第6回 生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会 議事録

日時

令和2年12月18日(金) 16:00~18:00

場所

AP虎ノ門11階B室(一部オンライン)
(東京都港区西新橋1-6-15NS虎ノ門ビル)

出席者(五十音順)

 

議題

・これまでの意見の整理
・その他

議事

(議事録)

 

○駒村座長 こんにちは。それでは、定刻になりましたので、ただいまから第6回「生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会」を開催いたします。

 事務局より、本日の委員の出欠の状況と資料の確認をお願いいたします。また、オンライン会議ですので、会議での発言方法等についても改めて御説明をお願いいたします。

○本間保護課長補佐 本日の委員の御出欠の状況でございますが、全ての委員にオンラインで御出席をいただいております。なお、高橋総務課長は公務のため欠席となっております。

 なお、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、本日は一般の方の傍聴は御遠慮いただいており、報道機関の方のみの傍聴とさせていただいております。

 議事録につきましては、後日ホームページに掲載いたしますので、御承知おき願います。

 続きまして、本日の資料でございますが、議事次第に続きまして、資料1「検討課題を踏まえたこれまでの意見の整理(案)」、参考資料1「生活扶助基準における新たな検証手法の開発に向けた年次計画」となっております。

 資料の不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。

 会議の進行に当たっては、お手元の資料を御覧になりながら御参加いただければと思いますが、事務局からの資料説明の際には、Zoomの画面上にも資料を表示するようにいたします。

 また、会議中、発言を希望される際は、カメラに向かって挙手をお願いいたします。座長の指名を受けた後、マイクのミュートを解除して御発言いただき、御発言終了後は再度マイクのミュートをお願いいたします。

 それでは、これからの議事運営につきましては、駒村座長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○駒村座長 それでは、本日の議事に入ります。事務局から資料1の説明をお願いします。

○本間保護課長補佐 それでは、資料1の説明をさせていただきます。頭紙にも書いてございますように、本資料は、第4回検討会において整理した検討課題を踏まえまして、検討課題ごとに各委員からいただいた御意見を事務局においてまとめたものでございます。今後、次回の基準検証に向けて検討課題について議論を重ねていただき、令和2年度内に論点整理を行うこととしております。そのため、この資料でお示ししている検討課題、これまでの主な意見を基礎として、論点整理に向けた御意見をいただきたいと考えております。

 それでは、資料について説明いたします。2ページを御覧ください。最低限度の生活を送るために必要な水準について整理した検討課題でございます。消費水準が低下した場合の下支えをどう考えるか、貧困の概念との関係についてどう考えるか、貧困の概念の変遷において生じた社会的経費に着目する必要性についてなど、7つの観点から整理しております。

 3ページを御覧ください。2ページでお示しした検討課題に関するこれまでの主な意見についてまとめております。いくつか紹介させていただきます。上から3つ目の丸です。「生活保護世帯の生活の質を上げるためには、金銭給付も含め、適切な支援が必要」といった御意見。下から3つ目の丸「社会経済活動に加わるための社会的包摂ニーズを含めた最低生活費について議論することが必要である」といった御意見。下から2つ目の丸「費目ごとに水準設定の考え方を分ける方法もある」といった御意見をいただいております。

 4ページを御覧ください。最低限度の生活を送るために必要な水準を検証・検討するための手法についての検討課題でございます。第4回では1つにまめとていたのを事項別に分類し、それぞれ検討課題2-1、検討課題2-2としました。4ページは検討課題2-1について記載してございます。各検証手法についてでございますが、令和元年度に実施した調査研究事業であるMIS手法、主観的最低生活費、諸外国のマーケットバスケット方式による最低生活費の算出事例について、今後の検証・検討にどのように活用していくかといった観点から整理したもの。第2回、第3回の検討会において報告がございました諸外国の公的扶助についてどのように考えるかという検討課題。これらを検討課題2-1としてまとめてございます。

 5ページを御覧ください。各検証手法についてのこれまでの主な意見をまとめてございます。いくつか紹介させていただきます。上から4つ目の丸、生活費の全体ではなく、費目別に議論することが考えられるといった御意見ですとか、5つ目の丸、費目ごとに検討する際の留意点として「費目ごとに最低限必要なベンチマークについて検討することが非常に重要である」といった御意見。一番下の丸「生活扶助本体は今までと同様に、消費実態による相対的な比較によって検証を行う一方で、各種加算は理論生計費による検討を行うなどの対応も可能ではないか」といった御意見をいただきました。

 6ページを御覧ください。諸外国の公的扶助に関するこれまでいただいた主な御意見でございます。一番上の丸「公的扶助の制度設計、制度上の位置づけは国によって様々であり、制度の作り方も異なるので、単純に日本の生活保護をイメージして諸外国の公的扶助と比較することはできない」といった意見をいただいております。

 7ページを御覧ください。検討課題2-2でございます。生活保護世帯における生活の質の面から見た消費支出や生活実態等の分析に関する検討課題をまとめてございます。これまでの主な御意見としては、1つ目の丸にありますように、剥奪指数に見られる一般低所得世帯と生活保護世帯との差について、複数の尺度、評価軸で見ていく必要があるのではないかといった御意見。上から4つ目の丸「生活保護世帯の支出における交際費や教養娯楽費はとても低いが、これらの費目は一般世帯においても個人差が大きいところであるため、評価が非常に難しい」といった御意見をいただきました。

 8ページを御覧ください。現行の検証手法についての検討課題でございますが、こちらも第4回で整理したものをさらに事項別に分類して、検討課題としてまとめております。検討課題3-1ですが、水準検証における比較対象の設定、もう一つが年齢・世帯人員・級地別の体系検証について検討課題をまとめたものでございます。

 9ページを御覧ください。これまでいただいた主な御意見でございます。まず、水準検証における比較対象の設定としましては、高齢世帯をモデル世帯とすべきではないかといった御意見。また、高齢世帯の消費支出、資産の取り崩しに関する内閣府のレポートについての御紹介がございましたので、記載してございます。

 また、年齢・世帯人員・級地別の体系検証に関する御意見でございます。1つ目の丸は展開についての御意見でございますが、前回の平成29年検証において、高齢者世帯の検証にトライしたものの、貯蓄の扱いをどうするかという難しい問題が出てきたという御意見。一番下の丸、次回の検証ではこれまで使用してきた全国消費実態調査から全国家計構造調査を使用することになるのですが、統計が変わることに関しての対応等について整理しておく必要があるといった御意見をいただいております。

 10ページを御覧ください。検討課題3-2でございます。こちらについては基準見直しの影響把握の方法についてまとめさせていただきました。これまでいただいた主な御意見からいくつか紹介させていただきます。一番上の丸、生活保護世帯に限らず、全体の調査において、生活保護への出入りの状況を把握しなければ、基準見直しの影響の全体像が把握できていないのではないかといった御意見。2つ目の丸「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」は、一般世帯と生活保護世帯の比較できる調査であるため、定期的に実施して状況を把握するのがよいのではないかといった御意見をいただいております。

 11ページを御覧ください。検討課題3-3でございます。こちらは生活扶助基準の定期検証年以外の年における社会経済情勢の反映方法等についての検討課題をまとめてございます。これまでいただいた主な御意見として、一番上の丸「経済の先を見通しているような指標というのが、民間最終消費支出の見通ししかないと理解している」といった御意見。やはり毎年度改定の手法の改善は難しいのではないかといった御意見をいただいております。2つ目の丸「マクロ経済スライドのように高齢世帯に影響を与えるようなものがあり、一般の低所得高齢世帯にもものすごく影響を与えるので、そういった見通しとの兼ね合いも見る必要があることから、全世帯に当てはまる指標があるかどうかが最大の問題点ではないか」といった御意見をいただいております。

 12ページを御覧ください。検討課題3-4でございます。こちらは級地制度について検討課題をまとめてございます。級地制度の見直しにつきましては、平成29年検証の報告書におきましても、今後の検証に向けた課題として「今後も引き続き部会において議論を重ねていく必要がある」と指摘されたところでございますので、本検討会の開催趣旨からすれば、検討課題と論点を整理する必要がございますので、検討課題として整理してございます。

 資料の説明は以上でございます。

○駒村座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からの資料説明について御意見をいただければと思います。検討課題ごとに議論ができればと思いますので、まず1~7ページまでの検討課題1と2についての御意見をお願いいたします。指名をしますので、手を挙げてください。どなたもいらっしゃらないですか。阿部委員、お願いします。

○阿部委員 1の「最低限度の生活を送るために必要な水準」というところでよろしいでしょうか。

○駒村座長 どうぞ。

○阿部委員 御説明の中にもあったかなと思いますが、何回か「費目ごと」という言葉が出てきたと思います。私はここのところは重要かなと思っております。というのも、今までのように消費実態全体で一般の低所得世帯の何%とか何割とか何ポイントというやり方では、全体の消費の実態がスライドダウンしていくようなときは非常に難しいかなと思います。特に今後非常に不景気になってきたときには、それがますます問題になってくるかなと思います。

 といいますのも、費目によってはそのような考え方ができないことがあると思うのです。例えば食費は一般低所得世帯の何%でいいのだとかいうようなことは言えないので、そういったところは理論生計費を使うといったことで、今回もMISとか、そのほかのマーケットバスケットもどんなやり方があるか、今、検討してくださっていますし、いろいろ調べてくださっていますので、そういった諸外国のものも参考にしながら、費目の一部に理論生計費を持ち込むというのは、今後検討すべき方向ではないかなと思います。

○駒村座長 ありがとうございます。

 当検討会の問題意識が、相対的に一般世帯の消費水準とのバランスで考えていくと、デフレ下とか低経済成長の下ではどんどん下がり続けてしまうので、そこをどう下支えをするのかという考え方について、阿部委員が、費目ごとには揺るがない部分があるので、従来型のような相対的なものに加えて、今のような費目ごとのチェックを入れていくと。こういう意図であるという理解でいいですね。

○阿部委員 すみません。チェックだけではなく、実際にその数値を使うということも含めて検討すべきだと思います。もちろん、チェックして、従来の方向とそごがないということがあれば、そうなのですけれども、チェックしているということは、大きく乖離しているという可能性もあるということですので、そうした場合、乖離した部分をどういうふうに対処するのかということを考えなければいけませんので、その場合には一部理論生計費を使うということも考えるべきだと思います。

○駒村座長 場合によっては上がる局面もあるわけで、上がる局面で理論生計費で固定されてしまうと、逆に上がらなくなってしまうという考え方もあるので、今、あくまでも局面としては下がり始めているというところにこの考え方で下支えをするという理解なのですか、それともこの考え方に変えてしまおうという意図なのでしょうか。そこだけ確認したいと思います。

○阿部委員 それも費目ごとにあるかなと思います。例えば義務教育の年齢にかかる費用というものは、教育費ということを考えれば、理論生計費上に積み上げることも可能であって、実際に日本の公立の小学校・中学校であれば、何が必要なのかというのを積み上げることができるわけですし、全体に見て子供の教育費をどんどん上げていくかどうか、そういった議論を費目ごとにするべきではないかなと思います。もちろん、下がっていく局面においては最低限といいますか、フロアとしてはきちっと機能する必要があるかなと思います。なので、私としては必ずしも下がる局面だけと決めているわけではないです。

○駒村座長 分かりました。

 ほかの委員からも御発言。山田委員、お願いします。

○山田委員 私も阿部委員がおっしゃったことは賛成ですけれども、とりわけ重要だと思うのは、現在下がっている局面にあるというところだと思うのです。前回も議論させていただいたとおり、現行の水準均衡方式だと、どんどん平均所得もしくは中位所得がゼロになっていくと、強い相対的貧困線の考え方で最低生活費がどんどんゼロに近づいてしまうと。今、下がっている局面にあるという理解で、そこに何らかの社会的な参加のニーズを取り込んでいくと。要するに、ゼロに単純に行かないようにフロアを設けてあげる必要がある。それが前回も議論させていただいた弱い相対的貧困線の考え方ですけれども、どんどん平均所得もしくは中位所得が下がってもそれ以上下がらない部分をつくるという意味で、様々な費目ごとに必要な水準、阿部委員がおっしゃった理論生計費などの考え方に基づいて作っていくという考え方になるのではないかと私自身は考えています。

 もう一つ阿部委員の話のつけ加えになりますが、その場合に単に食費で、どんどん下がっていく局面では最低これが必要だ、もしくは通信費とか教育娯楽費というのは最低これが必要だというフロアをつくったとしても、ほかの要素も実は考えなくてはいけない。費目別に最低限のフロアを保障できても、それでも中には社会参加自体が様々な理由で難しい人々、もしくは健康を維持するということ自体が難しい人たちというのが多分存在すると思うのです。ですから、単に費目別にフロアを決めたから最低生活が守られるというわけではなくて、併せてそうした人たちをサポートする部分ということについても考えなくてはいけないのではないかと考えています。

 以上です。

○駒村座長 ほかの委員からも御発言をいただければと思います。今のところに関連しても、しなくても結構です。いかがでしょうか。岩永委員、お願いします。

○岩永委員 今の阿部先生、駒村先生、山田先生の議論を伺ってちょっと混乱しているのですが、今の先生方の費目ごとにチェックするというのは、水準均衡方式は維持するという前提の御議論ですか。ということが質問の1つ目です。それと付随して、水準均衡方式というのは、標準世帯を定めて、そこから展開していくという考え方に基づく算定方式だと思うのですけれども、費目ごとにチェックするという場合は、まず標準世帯についてチェックするという考えですか。

○駒村座長 今、3人の話がいくつか共通する部分もあれば、共通していない部分もあるのです。岩永さんが確認されたいのは、基本的な考え方は水準均衡的な考え方で始まっているのか。阿部さんの議論は、低下局面のところのフロアをどう考えていくのかという議論であったのかな。山田先生もどちらかというとそういう捉え方をしているわけですので、上がるときには、私や山田さんはどちらかというと相対的な水準均衡的な発想。フロアで費目別に下支えをしているかどうかをチェックするという考え方か。そういう意味で、山田先生が弱い相対のアイデアを紹介されたのだと思いますけれども、阿部さんが同じ考え方なのかどうかは阿部さんに御確認しないと分からない部分ではあります。

 岩永さんの質問はそういう趣旨でいいですか。

○岩永委員 はい。

○駒村座長 では、阿部さんからこの辺について御発言いただきたいと思います。

○阿部委員 すみません。私は、岩永先生のは、標準世帯というものをどう考えるかということについてなのかなと思ったのです。つまり、標準世帯で水準均衡をして、費目によっては理論で下支えするということなのか、そこは取っ払ってしまってもいいのか、考え直すのかということなのかなと思ったのですけれども。標準世帯を使うかどうかというところですよね。

○駒村座長 標準世帯を使うといった瞬間にある種相対とか水準均衡方式を意味してきているということなので、そこは言い換えの問題なのですけれども。

○阿部委員 いや、それとはかからないと思います。例えばMISのように、ある一定の世帯。それを標準世帯とすれば標準世帯だと思います。それで理論生計費を積み上げて、そこからの展開方式は今までと同じように展開のスライドでやるという考え方もあると思うのです。なので、あくまでも一番最初の基準とするのか、標準世帯でやるのか、それとも全世帯タイプでばらばらにやるのか、または標準世帯をいくつか設けるのかとか、そういったところになるのかなと思います。標準世帯をどこにするのか、または標準世帯を設けずに全体でやるのかとか、細かく世帯タイプ別にやるのかとか、そこら辺は正直なところ私もまだ考え切れていないです。

 今までも何回か少なくとも2つ設けるべきではないかという議論はあったかなと思います。高齢者単身世帯と今までの標準3人世帯。ですが、そこのところで結局、データの問題ですとかいろいろなことで挫折してしまっているといったところはあるかなと思いますので、今回新しいデータも使えるようになるということなので、そういったテクニカルな面も含めて検討しなければいけないところかなと思います。

○駒村座長 「標準世帯」という言葉の使い方を確認したほうがいいと思いますので、岩永さんがおっしゃっている「標準世帯」というのは一体どういう意味なのか。今の阿部さんの意味と同じ意味で言っているのか、一度すり合わせをしてもらえますか。

○岩永委員 多分阿部先生がおっしゃった意味は、どちらかというと近年のこの検証の中では「モデル世帯」と呼んだものに近いのかなと思って伺いました。

 水準均衡方式は、その定義が、80年代から微妙に変わっているとは思います。とはいえ、基本は標準3人世帯の基準額について、民間最終消費支出やそのほか、総合的に判断して何%上げるというのを決めて、その%を基準額表にも落とし込んでいく。落とし込んでいく作業はどういうふうにするのか、私には分からないですけれども、標準世帯の%を決めることでその後展開していく、と考えます。

○駒村座長 「モデル世帯」「標準世帯」という言葉は、ちょっと違う意味で使われている可能性があるのではないかなと思うのです。岩永先生がおっしゃっていたのと阿部さんがおっしゃった「標準」というのは同じ意味なのか。岩永さんが「標準」と言っていたのは、阿部さんにとってみたら「モデル世帯」を意味していたのか。この辺がずれている感じがしました。

 阿部さんのほうからどうぞ。

○阿部委員 私は、一番最初に消費実態をするときに選んでくる世帯で、「標準3人世帯」と言われる、お父さん、お母さん、子供1人という世帯のことを意味しているのかと思ったのですけれども。そういう世帯タイプのことを意味していると思ったのです。

○駒村座長 岩永さん、どうですか。

○岩永委員 世帯タイプのこと。

○駒村座長 山田さんから手が挙がっているので、山田さん、お願いします。

○山田委員 多分、岩永先生がおっしゃっている標準世帯というのは、1つしかないわけです。標準3人世帯。阿部先生が先ほどMISでおっしゃっているのはいくつか。例えば男性高齢単身とか、女性単身とかいう形で設定している世帯なので、現在使っている1個の標準世帯でなくて、いくつかモデル世帯があると。その中の特定の1つを標準世帯と。岩永先生がおっしゃっているのはそういう整理という理解でよろしいでしょうか。それとは違うまた別の説明ということでしょうか。

○駒村座長 岩永さん、どうぞ。

○岩永委員 自分の考えを考えながら山田先生の話を聞いていて、よく分からなくなってしまったのですけれども、どちらかといえば、標準3人世帯とは、いくつかのモデル世帯ではなく特定の一つという意味です。生活保護はあらゆる人、あらゆる世帯に対応するわけですが、そういったことの全ては想定できないので、まず1つ標準世帯というのを決め、そこから現行の基準額表ようにばらしていくということを便宜的にしている。便宜的という言い方を、法制定当初、しているのですね。標準世帯が決定的に重要で、近年のように高齢者世帯とかひとり親世帯の最低生活費が適切か、歪みとかそういうものは検証してこなかったわけですよ。他方で、現在は、生活保護世帯の半分は高齢者世帯であったりして、あまり標準という意味をなさないのではないかということで、近年モデル世帯という概念を使っていると私は理解しているのですが。

○阿部委員 今もモデル世帯でなくて標準3人世帯を使っているのですよ。そこから展開しているのです。そこは昔から全く変わっていないですね。

○岩永委員 はい。そうすると、先ほどの阿部先生の御提案は、そこからはずれない提案なのですか。

○阿部委員 いや、私はそこを変えるというのも視野に含めるべきだと思って。

○岩永委員 という御提案ですね。

○阿部委員 ええ。その提案はこれまでも何遍も出ていて、ただ、テクニカルなところでつまずいていたというのがあったかなと思います。

○駒村座長 だから、阿部さんが先ほど今の標準3人世帯の考え方というのは、まさに相対基準のある種の目盛り、位置づけになっていたわけですが、その考え方から変えると言ったので、そういう意味では、相対基準の考え方から少し離れていく積み上げの考え方に切り替わっていくということは間違いないのですかというのが前段の部分の質問で、そういう意味では「標準世帯」という使い方が少し違って。阿部さんの中の新しい「標準世帯」の考え方を御提案されたのだなという確認なのですね。

○岩永委員 そうです。

○駒村座長 阿部さんはそれでもいいのですね。今おっしゃったように、考え方を変えると言ったのですから。

○阿部委員 標準3人世帯から動くということですね。

○駒村座長 はい。

○阿部委員 1タイプでなくて、いくつかのタイプを設けることもあり得るということです。

○駒村座長 どうぞ。

○岩永委員 ということは、水準均衡方式ではなくなるということですね。相対基準にするとかいうことからなかなか離れないと思うので、相対基準には一部、理論と言っても残るとは思うのですが、今で言う水準均衡方式ではなくなるということの御提案ですね。

○阿部委員 水準均衡方式というのに標準3人世帯を使うというところまでが含まれているのであれば、おっしゃるとおりです。でも、私はそこは含まれていないのかと思っていたので。

○駒村座長 そこです。そこが整理できればすっきり前に進むので、阿部さんの御主張の特徴と、これまであった形と、それから先ほど山田さんと私がちょっと触れた考え方とか、上昇局面まで考えたときにどう考えるかというところと、フロアにそれを使うのかというのと、フロアのみならず全面的に阿部さんの考え方を使うのかというのは少し差があると。岩永さんから見るとかなり大きな変換を意味している可能性もあるよということを確認したかったということだと思います。岩永さんもそういう理解ですね。

○岩永委員 はい。

○駒村座長 阿部さんもそういう御発言が今あったということで、少しこの部分は再度議論を深めていかなければいけないと。

 この検討会の私なりの動機づけは、今の標準型のやり方をやっていると、先ほど山田さんがまとめたように下がり続けてしまうというときに、阿部さんが想定されているような積み上げたもののラインまで踏み込んで落ち込んでいくというのをどう止めるのか。そういう意味ではチェックというか、フロアというふうに御表現したのですけれども、阿部さんはそうではなくて、上げ下げ全部にこの考え方を入れたらどうかという理解なのですね。

○阿部委員 全部でなくて費目ごとに。

○駒村座長 分かりました。

 渡辺さん、何かありますか。どうぞ。

○渡辺委員 前回の報告書にもあるように、これ以上下がってはならない基準を設けなければいけないということは、そのとおりだと思っていますし、そういう意味では、山田先生が御指摘された弱い相対基準みたいなところで、ある一定程度のところまでは下がらないで、一定程度成長したときには、その成長に合わせて基準も上がっていくというような考え方を生活保護でも取り入れる必要があるのかなと思います。

 なので、これまでは実態から相対的に決めるというところだけで考えられていたと思いますが、そこに新たに、実態から離れたところでその水準を検証するという二本柱になるのかなと思っています。これまで実態と相対だけしかやっていなかったのを、もう一本確認をするというところが必要になってくる局面なのだろうと思っています。

 ただ、ある一定程度の水準がどこなのかと決めるときに、それが費目別に決めるという考え方でよいのかどうかというのは分からなくて、いわゆる理論生計費方式というのは色々ありますので、費目別に確認するというのがベストかどうかというのは分からないなと思っています。

○駒村座長 いかがでしょうか。ここはかなり大事な部分で、哲学的というか、思想的な部分で、相対とか水準均衡が入れられたのは、生活保護水準も経済成長とともに上げていくという局面の時代に、それは当然そういうものだろうということで切り替わったわけですが、下がった局面でこれを守ることの弊害をどうするかというのが最大の問題点で、下がったときのフロアを、今、阿部さんのような費目ごとの考え方というものもあれば、渡辺さんは、色々なものを検討する必要があるのではないかという趣旨だと思います。

 阿部さん、いかがでしょうか。こういう考え方で今、話が進んでいますけれども。阿部さんのアイデアというのはこれから議論を深めていくことになると思いますが、現時点での入り口のところということですけれども。

○阿部委員 必ずしもマーケットバスケットでも理論生計費でも色々なやり方があって、どの理論に基づくかというところがありますので、究極的なところで、いくら食べれば体力が下がらないのか、社会的な活動ができるのかといったことになっていったときに、外食費も含めて、その中で相対的な考えが入ってくる可能性もあると思うのですよ。理論生計費というのは、社会の生活水準と全く関係なく決められるものであるというだけではないと思うのです。ある程度になれば極端に人との交流が減ってくるなどというのは、恐らく相対的に決まるところも少なからずあるはずなので、そういった意味で、消費のどの分位の何%という考え方でない理論的生計費が入る余地というのはあるのではないかということです。

○駒村座長 社会の中で固定されてしまっているのではなくて、社会との相対的な中で意味がある費目、押さえなければいけない費目がそれぞれあるだろうと。だから、固定されているだけでなくて、それ自体も社会との相対的な中で変化していくだろうというのが阿部さんの整理の仕方ということですね。

○阿部委員 そうですね。MISなどは典型的で、MISは、5年後、10年後にやっていったら、また金額が変わってくるのですよ。ですので、あれは理論生計費かもしれませんけれども、中身は恐らく相対的な貧困概念でなされているのですね。人々の意識というのは。なので、必ずしも固定しているものだと考えなくてもいいのではないかなと思います。ですから、同じ理論を使ってやったとしても物価が上がっていくときにはそれなりに変わっていく。

○駒村座長 阿部さんの理論生計費とかマーケットバスケット的な発想になると、どうしても生物的に必要最低みたいな議論になってしまって止まってしまうわけですが、MISの議論などは、設定水準のエンジン自体が社会との関係で決まるものだという考え方だということは強調していただいているので、固定されてしまうものでもないですよというのは大事なアイデアかなと思います。

 この点について、ほかに。山田先生、お願いします。

○山田委員 今、「絶対」と「相対」という言葉が出てきたのですけれども、そこは非常に重要な論点だと思うので確認させていただきたいのですが、例えばアマルティア・センが言う貧困に非常に関わりの深い機能として、人前で恥をかかないとか社会に参加するというのが重要な機能、重要なファンクション、なわけです。そのファンクションがあるかないかというのは絶対的な基準なわけです。そのファンクションは貧困に非常に関わりが強いものであるから、それは満たさなくてはいけないというのは絶対的な基準なわけです。一方で、それをどうやって今ある現代の社会生活様式の中で実現させるかというと、そこの金額というのは相対的に決まってくるというものだと思うのです。

 ですから、社会参加が相対的に決まると言うと、少々誤解を招く可能性があって、社会参加は必ずできるようにする、もしくは人前で恥をかかないようにするというのは絶対的なファンクションとして保障しなくてはいけないと。それが1つのフロアであって、それの金額が相対的に決まることはあっても、その機能自体というのは、最低生活としてどんなに中央所得もしくは平均所得が下がったところで、満たさなくてはいけないということについては絶対だと思うのです。だから、相対と絶対と言うと、何となく相対で決めればいいのだと誤解される方もいらっしゃると思うので、念のための確認です。

 以上です。

○駒村座長 山田さんの今の発言は、多分僕と阿部さんの話の中で分かったものとして「相対」と「絶対」の使い方が使われているのだろう。今、山田さんの言うとおりの意味で「絶対」「相対」が使われているのだよということを解説していただいたものと思っていますので、特段異論があるというか、一般に使われている「絶対」「相対」の意味とは違う意味で使っていますよということの確認だと思います。

 阿部さん、そこはいいですよね。

○阿部委員 はい。

○駒村座長 1~7ページでほかに御意見とかあれば。渡辺さんも含めて御自由に。あるいは事務局からも今の議論も含めて御意見、確認事項があればと思いますが、どうでしょうか。

○本間保護課長補佐 事務局としましては、今いただいた御意見を踏まえまして、次回、論点として整理した上でお示ししたいと考えております。

○駒村座長 今、山田さんが手を挙げかけたので、山田先生、どうぞ。

○山田委員 ありがとうございます。

 もう一つ、理論生計費的なものを使うということで、阿部先生が精力的にやっていらっしゃるMISというのもありますが、あと、5ページに出てきているマーケットバスケット方式というのも、どういうふうに計算するかというやり方の一つだと思うのです。最新の研究を伺うところによると、マーケットバスケット方式で食費ですら選択によっては幅が出てくると。先ほど出ましたように、外食をどうするのかとか、嗜好品みたいなものをどうするのかということで幅が出てくると思うのです。

 今回、MISと主観的最低生活費については出てきたわけですけれども、マーケットバスケット方式については、具体的な試算結果というのはこの検討会内では出てこなかったので、これについてどうするのか。引き続きこれも含めて検討していくのかどうかというのは一つ論点になるかと思います。

 以上です。

○駒村座長 狭い意味でマーケットバスケットとなると、後のほうでも整理が出ていますが、専門家が選んだ水準、費目を積み上げていくという発想でどうしても固定的になり、絶対的な性格が強くなってくるのだけれども、そうではない、まさにMISなどは積み上げ方式なのだけれども、費目と水準を選ぶ計算式というか、選択の仕組みが市民の中の熟議によってある種決められていくというところであって、そういう意味では、山田先生は、マーケットバスケットということも現代的に置き換えたときに、現代的な意味でのマーケットバスケットというのは幅があるものではないだろうかと。ただ、幅のあるマーケットバスケットの開発というのが今回はできていないのではないかと。これをさらに今後も幅のある、現代的な意義のあるマーケットバスケットみたいなものについて議論を続けるのかというのが山田先生の御質問というか、御確認点でいいですか。

○山田委員 はい。

○駒村座長 事務局はこの点はどう考えるかということですけれども。いかがでしょうか。事務局から何かありますか。

○本間保護課長補佐 その点も踏まえまして、次回の検討会でお示しする論点として整理していく上で検討いたします。

○駒村座長 岩永さん、どうぞ。

○岩永委員 マーケットバスケット方式とか理論生計費の場合、今回研究調査事業で出てきたものを、前回紹介されていたと思うのですが、全体的に今の生活保護基準よりMISや主観的のほうが高いという結果だったと思います。それはなぜか。MISのやり方などでも持っているものを耐用年数で割って算入するわけで、結果として、どうしても高く見えるなと思います。MISの場合は裸一貫からやり直すというか、何を持っていないという前提で一から生活が始められるようにというふうに議論するので、ある架空の人が何も持っていないということを想定しているわけですが、通常今、生きている人たちはそういうことはあり得ないわけです。

 マーケットバスケットとか理論生計費の考え方を反映していくのだとすると、そのときにはどうしてもその人が既に持っているストックとか貯蓄というものを生活保護の中でもどう評価するのかということとは無縁ではないのではないかと今日の議論を聞いていて、あらためて思いました。

 資料の3ページ目の一番下の意見に関係する部分ですけれども、これに加えて、理論生計費、マーケットバスケット方式というのを入れた場合に、より貯蓄とストックとその基準、フローの金銭給付の考え方をきちんと整理する必要があるのではないか。

 以上です。

○駒村座長 ありがとうございます。

 MISとマーケットバスケットは考え方の違いがあり、マーケットバスケットは、ストックとか起点というところを少し考えておかなければいけないだろうねという話だと思いますが、今の岩永さんの御指摘に対して何か加えることや意見があればと思いますが。渡辺さんも意見を発言していただいて構わないですよ。どうぞ。

○渡辺委員 岩永先生の御指摘でストックとフローは両輪だというところはあると思っていますし、今回、特に最低限度の生活というところに重きが置かれているわけですけれども、生活保護では同時に自立の助長というところも重要な目的になっているわけで、その観点から見ても、ストック、資産の在り方というのは考えなければいけないかなと思います。

 それから、水準均衡でやっていくときには、レース・トゥ・ボトムにならないようにという観点は生活保護の中では重要かなと思います。

○駒村座長 7ページまで、検討課題1、2について、ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。山田さん、どうぞ。

○山田委員 今の貯蓄のところで2つ論点があります。1つ目は、一般世帯で低所得世帯、特に高齢世帯で将来の不安から貯蓄をなるべく取り崩さず、かつ消費を無理にものすごく削ってしまっている人がいると。先ほど水準均衡でモデル世帯の話が出ましたが、こうした生活実態を非常に注意して見ていく必要があるのではないかというのが1点目です。

 2点目としては、生活保護受給開始の理由として、貯蓄を全て取り崩し切ってしまったという理由で流入してくるというのが最近増えていると。これをどういうふうに見るのかというのは考えていかなくてはいけない。その背景として一体どういう理由があるのか。理由は分からないのだけれども、過去に比べて明らかに貯蓄をどんどん取り崩していかざるを得ない状況に陥って、取り崩し切ったところで生活保護受給開始となると。この背景というのは、貯蓄を考えることに関して明らかにしておかなくてはいけない論点かと思います。

 以上です。

○駒村座長 前半のほうの確認ですけれども、単純に余命で資産を割って消費に回せるというような簡単な話で人は行動していなくて、老後の心配が非常にあって、貯蓄を取り崩すスピードを無理して抑えて消費水準が非常に低くなっている、そういう無理をした行動に検証が影響を受けないかということをおっしゃっているという理解でいいのですか。

○山田委員 はい。特に高齢世帯の場合、通常は合理的に貯蓄を取り崩しているという前提を置くのですけれども、非常に不安が勝って、明らかに貯蓄取り崩しスピードが落ちて、消費を無理に削っている人たちと丈比べするというのは気をつけなくてはいけない。まさに座長がおっしゃるとおりかと思います。

○駒村座長 ありがとうございます。

 高齢者の議論をするときには、普通の収入のみならず、貯蓄をどう使っていくのかというのがポイントになるわけでして、一方で、収入がないことによって発生する不安とか、長寿の不安とか、健康への不安が非常に高い貯蓄を残す行動につながっていき、その結果、消費を無理して抑えている。それを生活保護基準が参照してしまったらば、生活保護のほうもかなり無理した水準になってしまうのではないのということですね。分かりました。

 7ページまでの議論から離れますけれども、ほかに意見があればと思いますが、どうでしょうか。いいですか。

 先ほども年金のマクロ経済スライドみたいな話も少し紹介されましたが、今の山田さんの話にもつながるわけですけれども、マクロ経済スライドなどで公的年金の給付水準が下がっていく中で、それが下がったから、では、生活保護も下げていきましょうみたいな簡単な議論になってしまうと非常に困るということも考えておかなければいけない。そういう意味では、先ほど皆さんが意識していたフロアはきちんとつくらなければいけないということだろうと思います。

 続けて、8~12ページの検討課題3のほうに移ってしまっていいでしょうか。8ページ「3 現行の検証手法」からの議論になっていきますが、ここについての委員の御意見をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。比較対象の設定で、高齢世帯をモデルの1グループとして考えたときにも、先ほど山田さんが言った心配ですね。あるべきというかどうか分かりませんけれども、無理しなくても生活するであろう必要な消費水準まで抑え込んでいるような行動が低所得者の高齢者に見えた場合に、ああ、皆さんがそうだから生保もそうしますかという議論にはならないようにしておかなければいけないということにもつながるとは思うのですが、この辺の議論、何かあればと思いますが。岩永さんはこれまで生活保護基準部会の展開方式なども見られているので、いろいろ論評もされると思うのですけれども、現行の検証方式について御意見はありますか。3-1辺りです。その次のページでもいいですけれども。例えば主な意見のところで、標準世帯という意味ではないモデル世帯として高齢者世帯について設定すべきではないかなどという辺りの議論も出てきています。岩永さんのほうから特段ないですか。

○岩永委員 はい。

○駒村座長 ほかにないでしょうか。阿部さん、お願いします。

○阿部委員 丸ポツの中に書いてあるのですが、加算の話はやはり一度整理するべきかなと思いました。特に費目別みたいな話が入ってきたときには、どこの部分が加算で、どこの部分が1類で、どこの部分が2類なのかという議論です。現行のをそこそこ動かさずに、本体のほうのやり方を動かすということは難しいのではないかなと思います。

 また、先ほどの標準3人世帯をどうするのかといったこともありますし、そうしたときに、高齢者加算をどういうふうに見るのかとか、そういう理論的なところでもそごが出てきてしまうと思うのです。本体の推計のやり方をもし変えるのであれば。なので、どこを加算とするのかというのをもう一度次回の基準部会できちんと議論していただきたいなと思います。

 比較的分かりやすいのが、例えば冬季加算とか、通常の中では見られないプラスというのはあると思うのですけれども、高齢者とか母子とか、そのほかの教育関係の様々な加算というのは、かなりごちゃ混ぜになってきているかなという気はしています。

○駒村座長 母子加算のときにも過去からの経緯をひもといて、過去のマーケットバスケット的な、あるいは絶対的な要素があったときに加算ができて、そこでいろいろな理由で積み重ねられてきた中で、一方で加算の意味も違ってくるし、加算の必要性に応じて再評価も前回やって、母子加算というのはやはり必要なのだけれども、前回のような計算方法をするとあのぐらいの金額ではないかという考え方に至ったわけですが、冬季加算のような明瞭な加算でない加算については、阿部さんの御意見は、この際きちんと再評価をして、本体に入れるべきなのか、加算として調整すべきなのか、積もり積もったものをちゃんと整理したほうがいいのではないかということですね。

○阿部委員 はい。

○駒村座長 この点について、ほかの委員の方はどうでしょうか。山田委員、どうぞ。

○山田委員 9ページの下から3ポツ目に書いているのですけれども、ここが重要なところで、前回も加算のいくつかの検証というところで、それに耐え得るデータがどうなのかというのがあったわけです。ですから、実際の家計というのはやりくりしている部分がありますから、個別のものだけ取り出して、この加算で足りているのかというのは、先ほどから議論に上がっていますように、理論生計費のような形で積み上げてみて、妥当かどうかを検証するか、もしくは前回耐え得るデータがどうだったのかというのが非常に悩ましかったわけですけれども、また何かしらのデータを持ってくるのか。データを持ってくるというのはかなり難しいということを前回の加算の議論で我々は共通認識したので、耐え得るデータについての検討ということで言うと、どちらかというと理論生計費的な考え方でやるしかないか、あとは阿部さんのように、全て家計のやりくりをしているのだからといった形、本体に織り込んだ形で出すか。今の加算部分の話については、そういう形になるのではないかと思いました。

 先ほど私が挙手したのは、一番下にも書かれているとおり、今、懸念しているのが、新しく調査が切り替わったときに、この調査の傾向というものをどういうふうに検証していくのか。基準部会が始まってしまうと時間的な制約もきついので、今のうちに単に整理しておくというばかりでなく、どういうふうに影響があったのかというのを検証する方法はないか考えておく必要があるかなと。非常に難しいとは思うのですけれども、そう思いました。

 以上です。

○駒村座長 母子加算を現実のデータから正当化するのは、前回もいろいろ工夫はしたけれども、なかなか従来の考え方できれいなものが出てこなかった。そこで、世帯構造が母子世帯になることによって、そうでない世帯に比べて消費行動にゆがみが出ているのかということに着目して分析した結果、一定のゆがみが出ているので、その部分を補填しなければいけないという考え方で前回は母子加算を計算したという経緯があったわけです。そういう意味では、ここの部分をどういう哲学とか考え方でやっていくのかというのは、実際に議論するとなかなか難しい部分かなとは思いますが、だから、これまでも手をつけにくかった部分だったわけですけれども、加算の意味というのを本体に本来入れるべきなのかどうなのかもきちんと整理しなければいけない。

 それから、2番目の部分の調査方法が変わるということのインパクトがどう出てくるのか。これを部会などで併走させるとものすごく時間がかかったり、あるいは要らざるメッセージを与えてしまうような気もしないわけでもないのですが、事務局としては、調査が違ってくることによるインパクトというか、効果、内容をどう評価するつもりのなりでしょうか。9ページの最後のポツですけれども、何か具体的に案があるのでしょうか。

○梶野保護課長 現時点では具体的にないですが、これは従来から御指摘いただいており、検証ではこの全国消費実態調査の特別集計をフルに使いますので、部会で十分御審議いただくようにする必要があるとの問題意識は持っています。今日、「もっと時間が必要なのではないか」という御意見をいただきましたので、そこも踏まえて改めて検討させていただきます。

○駒村座長 もしかしたら、これを深掘りするために下準備、そういう作業はやっていただかないと、時間がかかる話になり得ると。大きい課題が3つぐらいあるわけです。1つは新しい検証方法。端的に言うとフロアをどうするか。あるいはフロアにとどめるかどうかというのもあるのですけれども、そこが大きい話としてある。それから、このタイミングで次回は一番よって立つデータセットに変化が生まれている。それによる効果というのも出てくると。3つ目は級地という何十年も見直してこなかったようなものもテーマになってきているということなので、盛りだくさんなのです。事務局としてはその3つに対応するおつもりで日程を組んでいただきたいというか、作業の場を組んでいただきたいと思っていますが、よろしいですか。

○梶野保護課長 まさにそのために今、いろいろ御検討も急いでいただいているということで、準備をしております。

 それから、今、3点おっしゃられましたが、4点目としては、新型コロナ感染症の社会経済への影響をどのように考えるかどうかなどにつきましては、また部会で先生の御意見を伺いますけれども、そこも論点にはなるかと考えていますので、もろもろの準備を一生懸命進めているというところであります。

○駒村座長 今の最後の点はこの検討会が始まった後に起きた事象ですね。ただ、走っているうちに検討会がコロナの影響を受けた後の社会と向き合わなければいけない状況にもなってくると。そこの影響も考えましょうという趣旨なのですよね。きっと。

○梶野保護課長 考えるかどうかも含めてとうことであります。ただ、現実としては消費行動に現在変化があるところですので、消費行動が以前に戻るのかどうか、その辺りも含めて、それを取り入れるかどうかも含めて、いずれにしても論点としては御意見をいただかざるを得ないのかなと事務局としては考えています。

○駒村座長 分かりました。4点目はこの検討会でどこまで議論しておくかどうかは別にしても、起きているということなのですが、委員のほうから何かありますか。岩永さん、どうぞ。

○岩永委員 先ほど山田先生がおっしゃった加算について検証するデータ、資料の9ページの下から3つ目の丸のことについて言及されたのだと思うのですが、加算についての検証に耐え得るデータがないのか、それともカテゴリー別に設定すると検証に耐え得るデータがないのか、両方なのか、どちらのお話だったのでしょうか。

○駒村座長 山田さんが手を挙げていたので、それは山田さんからの御発言で少し御対応していただきましょう。山田先生、お願いします。

○山田委員 加算については、岩永先生、色々な資料を読み込まれているのでお気づきかと思うのですが、過去にこういう理由で加算が設定されたという色々な経緯があります。それに沿って色々と理由に関して、その理由どおりの支出かどうかというのを検証すると、ぴったりのデータというのがなかなかなくて、母子加算とかを実際上生活の必要から出してきたものと、当時加算をつける理由として設定されたものを考えた場合に、非常に検証に苦労したと。当時加算をつける理由として設定したものについては、それにぴったりの支出を明らかにするための耐え得るデータを探すのが難しかったと。そういう意味で申し上げました。御期待されていたお答えとはずれているかもしれませんけれども、実際当時悩んでいたことはそういうことです。

○駒村座長 どうぞ。

○岩永委員 分かりました。ありがとうございます。

 そうすると、今の山田先生の御説明で、カテゴリー別に考えるということは可能なのかもしれないというふうに受け取りました。その前提で、先ほどの標準世帯とモデル世帯の話に戻ってしまう部分があるのですが、加算を整理するべきだという阿部先生のお話と理論生計費をちょっと使っていくということを考えると、加算はどちらかというと現時点で先ほどの費目別とか理論生計費に近い考え方で、本体の基準額に上乗せしているのだと思うのです。ただ、加算について、検証に耐え得る資料がなかった、経路依存でつくられてきたものであった。これらを今、検証するのは難しかったということだと思います。

 そういうものを整理して、標準世帯から離れてモデル世帯をいくつか設定しようとしていくと、そのときには論理的に言って1類、2類、加算という考え方は要らなくなるのだと思うのです。その場合はまさにカテゴリー別、高齢夫婦、子供が何人とか、何年生ぐらいの子供なのかということでカテゴリーにしていく。そちらのほうに行くという議論も成立し得るのかなと。モデル世帯をいくつか設定して基準額算出する。その場合のデータはあるのか、可能なのかというのが私には分からなかったので、先ほど山田先生が発言されたことと関連して御質問したという感じです。

○駒村座長 母子の過去の経緯を調べると、なぜその金額にしたのというと、例えば合い鍵が必要だったとか、お母さんがいない間に色々な栄養費が必要だったとか、色々な説明があったので、それが復元可能なのかということを作業すると、必ずしもそういう数字が見つかってこなかった。過去の理由を説明するに値するだけの数字はどうもないよねというのが、山田先生の先ほどの説明でいいのですね。

○山田委員 はい。

○駒村座長 だから、それとは別に、新たにカテゴリー別で、モデル別で扶助基準をつくっていけば、まさに今、言ったみたいに1類、2類、加算という概念はなくなって、それぞれの世帯モデルの扶助基準というのが出てくると。そうなってくると、もしかしたら前段の議論から新しい考え方に全面的に動いていくのかもしれないし、それがフロア的な機能を果たしていくのか。そういう接ぎ木みたいなものができるのかどうなのかというのは分からない部分でもあるのです。世の中が豊かになったら、やはり生活扶助の水準も豊かさについていきたいという気持ちもあって、阿部さんはそういう仕組みはカテゴリー別というか、積み上げ方でもできるよという話をされていましたので、世の中が豊かになって、生活扶助が置いていかれないようにする方法は積み上げ方でもあるのだ。逆に下がるときにはフロアにもなり得るのだと。カテゴリー別でもそれはできるのだという趣旨だったと思うのですけれども、その辺が接ぎ木みたいなものになるのか、今みたいな方法で一般扶助から色々な加算をつけていく形を修正したものにすぎないのかというのは、議論がまだ残るのかなと思います。

 山田先生は先ほどの岩永さんの質問に対して答えたのですが、御自身の御発言は別の意図だったのではないでしょうか。

○山田委員 覚えていてくださり、ありがとうございます。

 まず、岩永先生の今の御議論なのですけれども、前回標準3人世帯と高齢世帯というモデル世帯をつくってみて、問題は、標準3人世帯から展開をさせるので、高齢世帯でできた基準と標準世帯でできた基準を展開で、間を埋める作業が必要なのですが、おのおのつくると両方から出発することになるので、その間の接ぎ木がなかなかできないという技術的な制約があったということになります。

 ただ、岩永先生が今おっしゃったように、たくさんのモデル世帯をつくるという考え方はあるかと思います。それによって接ぎ木の難しさというのをある程度軽減することはできると思いますけれども、それでも現実にはいろいろな世帯類型がありますので、必ずしも複数のモデル世帯のところに分類できないような世帯類型が生活保護の受給申請をしたときに、その人たちにどういう基準額を当てはめるかというのは、また調整が技術的には難しいというところかと思います。

 ですから、岩永先生の考え方も一つあるかと思うのですが、一方で技術的な制約をどうするのかというのは引き続き考えなくてはいけない。軽減はされるけれども、なくなったわけではないということをどう考えるのかというのがあるかと思います。それは岩永先生のご議論で考えたことです。

 もともと発言をしたかった点は、検討課題3-2の基準見直しの影響把握の方法について、前回発言を差し上げたことについて改めてまとめ直していただいて、ありがとうございます。先ほど座長からありましたが、次回の基準部会はいろいろと検討しなくてはいけないことが多くて、時間的な制約が前回以上に厳しくなるということは理解した上で、人的リソースも有限だというのはよく分かっておりますので、基準見直しの影響把握の方法として、こちらで書かれていないこととして、これを必ずやったほうがいいのではないかと申し上げるのではなく、あくまでも一つの選択肢として、社会保障生計調査が月ごとに消費支出を一応は限られた地域で追えるはずですので、基準の影響というのはそういうやり方でも月次パネルデータ化して把握できるのではないかと思いました。これはあくまでも一つの選択肢としての御提案です。

 以上です。

○駒村座長 ありがとうございます。

 本来は影響に関してもきちんと検証してからというのがあるべき姿で、一つのアイデアをいただいたということですね。

 まだ少し議論を続けて、後でまた事務局から御意見、御感想なり、できること、できないことをいただければと思いますが、ほかにいかがでしょうか。渡辺さん、お願いします。

○渡辺委員 今の御議論を伺っていて、少なくとも現行の1類、2類というところから考えて、それであらゆる世帯類型に対応するというところから考えると、展開をしていくモデル世帯をいくつかつくるというのは、つじつま合わせがすごく難しいなと思います。ただ、現行のように標準3人世帯から展開することによって、ゆがみが集中してしまうような世帯類型もいるのだと思うのです。特に前回だと高齢者世帯が水準均衡で言われる6割、7割の目安を下回ってしまっているというのはやはり問題だろうと思います。取り崩しを控えて消費がかなり抑え込まれている上での実態と比較して6割、7割を切っているというのは、かなり厳しいと思っていて、今、御議論を伺っていて、そういうところで加算を使うのは1つの方法なのかなと思いました。この辺りはもちろん今後の審議会、基準部会でどういうふうに基準を検証するか、見直すかというところで御議論いただく話なのかなと思いました。

○駒村座長 今のところは大事なところなので一回切ったほうがよくて、高齢世帯は従来からの展開方式というのはどうしても無理が出てくるというのは大事なポイントで、そこで高齢世帯にゆがみが集中している可能性があると。ということになってくると、加算の根拠、理由づけは展開方式の限界を補う部分の性格を持っていると。展開によってやる方法は限界があるのだという点を補正する方法として、加算は積極的な価値がある、意義がある可能性もあるという指摘でいいですか。

○渡辺委員 そうですね。

○駒村座長 今の従来方式の中で考えるとということですね。

○渡辺委員 もちろん各モデル世帯で理論生計費から基準を定めていったら、どの世帯類型にもゆがみは出てこないわけですけれども、水準均衡という相対的な中で決めていくときに、展開をしていったときにどうなるかとなると、いくら精緻に推計をしてもどこかにゆがみが集中してしまう可能性はあるなと思っています。

○駒村座長 では、先ほどの発言の続きを続けてください。

○渡辺委員 すみません。ちょっと話が変わってしまって。2のところでお話ししようと思っていたところ、今、3に移られた。

○駒村座長 どうぞ。いいですよ。

○渡辺委員 これまでも金銭的なところから実態、消費支出でいろいろ基準検証がされてきたとともに、非金銭的な指標である剥奪指標でも一般低所得世帯および生活保護世帯での検証が行われてきたと思っていますし、前回の母子加算でも剥奪というところは少しフォーカスされていたと思います。ですので、それを調査できる「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」というのは、ここの検証に資する資料だと思いますので、定期的にちゃんとスナップショットを取っていくというのは必要かなと思います。先ほど時々によって必要な財とか物、サービスも変わってくるという話はありましたので、何が今の社会にとっての必需財なのか、社会的に必要品としてみなされているのかというのも定期的に見直しつつも、ただ、調査としての時系列で推移をちゃんと担保できるような調査設計を考えていく必要はあるかなと思っています。

 以上です。

○駒村座長 ありがとうございます。

 今のセッションのところで、ほかはいかがでしょうか。今、2まで戻りましたが、そこは御自由に。もし戻りたければ戻っても結構です。本日はまだ時間に多少余裕がありますので、もしあればと思いますが、よろしいですか。

 今の渡辺さんの話も、カテゴリー別にしてもバラエティーのある全ての世帯類型を積み上げていくというのは、どちらにしたって難しいわけで、何らかの方法で、起点はカテゴリー別につくっても、家族のバラエティーに応じて展開というか、何らかの指数で積み上げた金額を調整しなければいけないわけですね。今、無理しているのは、1本しかないので、1本でバラエティーのある世帯類型を全部カバーしなければいけなくなると、高齢のところにすごくゆがみが出てきてしまっている状況で、そこの部分の加算の価値。なかなか積み上げで出てこなくてもその可能性はあって、そもそも高齢世帯のところが無理して消費を抑えているところの、消費のさらに低い割合しかカバーできていないというのはとても心配だということで、これは前回の検証でも課題として最終局面であった話だと思いますので、大事な点かなとは思います。

 いかがでしょうか。ほかに大きなものとしては級地ですね。昭和62年以来30年以上変わっていない級地というのも同時にやると。だから、これがどういうふうな影響が出てきて。つまり、考え方の変更が1本。データの変更が1本。級地の変更が1本で、現行の今、保障している水準がどう変わってしまうのか。激変みたいなものが起きないのかどうなのか。激変というのはどちらの方向にも起きるかもしれないのですが、そういったことも現実には考えなければいけない部分もあるかなと思うのですけれども、3つも併せるとすごく変化してしまう、そのことについての手当てというのは、事務局は当然頭の中に入っているという理解でいいのですか。我々がそこまでは気にしなくても、事務局がいろいろお考えをされているということで。

○梶野保護課長 最後のセーフティネットである生活保護ですので、丁寧に検討します。一方で、最後のセーフティネットですので、社会経済状況の変化にも対応しなくてはいけないということで、繰り返しになりますが、十分、御議論、御検討いただくために、今、まさにこの検討もしていただいております。準備はいろいろな研究事業もさせていただいていますし、いろいろな御意見をいただいていますので、抜かりなく検討に備えたいと思っています。

○駒村座長 事務局は、先ほどウィズかアフターか分かりませんけれども、コロナの影響を受ける社会の中でこの部会の議論が進んでいくということについて、4点目として少し触れられましたが、そういったことを考えるか考えないかというのは、この検討会である程度議論しておくべきことなのか、それともそれは部会に入っていく中で見ながら考えていくか。この辺はどうなのですか。いつやるべきなのですか。

○梶野保護課長 これは、十分に御議論いただくためのデータとか、今、まさに状況も変化しておりますので、実際、部会の最初の方には間に合わないのではないかと。ただ、今の時点では消費支出行動が明らかに変わってきていますので、これは戻るかもしれませんけれども、費目別に変わっています。制度としても今回、通信費は位置づけさせていただいております。そういうこともありますので、消費支出の行動、それがまた戻るかもしれませんし、それは非常に難しい課題ではありますが、この検討、論点も避けられないのではないかなと考えております。ですので、この検討会ではそこまでは間に合いませんが、部会で、こちらもどういうデータがいいのかとか、また先生の御意見を伺いながら進めさせていただきたいと考えています。

○駒村座長 部会は少し先になってから始まると思うのですけれども、部会で使う消費行動のデータはコロナ前のものを使いながら議論をしていき、そして出てきた結果がコロナ後の社会に使われるとなると、そこでインプットしたものと議論の結果と世の中がかなり乖離したものになってしまう。そこをどう考えていくかというのがこの問題についての最大のポイントということでいいですか。

○梶野保護課長 そのとおりでございます。

○駒村座長 山田委員、どうぞ。

○山田委員 今、事務局から御説明いただいた明らかに消費支出構造が変わったとおっしゃるデータがあるのであれば、今のうちに定量的とまではいかないですが、定性的な方向まで。今、事務局が把握しておられる範囲で少し簡単にでも御紹介いただければと考えております。それによって、場合によってはそちらのデータを使ったほうがいいのではないかという議論が当然基準部会のほうで予想されますので。もちろんいろんな人的制約があるというのは重々承知しておりますけれども、可能な範囲でお示しいただければと。可能であればということですね。時間的に難しければ、そのまま基準部会のほうでということになるかと思いますが、もし人的リソースとか時間的制約が可能であれば、そうしたことをお示しいただくというのも一つの方法かなと思います。

 3-4については「これまでの主な意見」というのがついていませんけれども、これは調査研究がまだ出ていないから、当然ながら我々も意見の出しようがないから、これはついていないということなのか、それともこの段階で何か意見を出すべきということで空白にしてあるのか。その点を御確認いただければと思います。

○駒村座長 お願いします。

○本間保護課長補佐 山田先生がおっしゃられたように、級地につきましては、別途、今年度の調査研究において御議論いただいているところでございます。この検討会の目的が次の基準検証につなげていくための検討課題と論点整理であることを踏まえまして、次の基準検証で御議論、御検討いただければということで、検討課題として示させていただいたものでございます。

○駒村座長 よろしいですか。

○山田委員 分かりました。特に意見をこの段階で出す必要はないという理解で、承知しました。ありがとうございます。

○駒村座長 コロナの影響というのは、そういう消費パターン、費目の構成にも影響を与えているのだろうなと思われますので、情報収集を事務局にもやっていただいて、議論の材料を集めていただくと。11ページに社会経済の情勢反映の中で消費支出とどう勘案させるのかという話が出ているわけですが、国会の厚生労働委員会でも何か議論があったようですけれども、例えばGo Toの影響とかコロナの影響とか色々あって、消費物価指数が大きく変化しているときに、年金のマクロ経済スライドをどうするのですかという議論もあったようです。もちろん、直面しているバスケットというか、消費者の年齢別や所得階層別にどの物価の変化とか消費動向の変化に影響を受けやすいかというのは異なるわけですが、低所得者には低所得者の影響が受けやすい費目もあれば、高齢者側は高齢者の費目が大きい影響もあるということもあって、既にコロナの影響などで年金政策のほうは少し議論があったかのように伺っていますけれども、コロナの影響を基準部会でどう考えていくのか。あくまでもコロナ前の統計データに基づいてやるというふうに考えていくのか。これは大変重要なものだと思いますので、色々な情報を事務局も集めていただいて議論の材料にしてもらいたいなと思います。そういう理解でよろしいですか。

○本間保護課長補佐 はい。承知しました。

○駒村座長 ほかに議論はいかがでしょうか。

 なければ、若干早いのですが、今日の議論は出尽くしているようなので、これで終了して、次回の開催について、事務局から案内をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○本間保護課長補佐 次回の検討会につきましては、追って御連絡させていただきたいと考えております。会場、詳細につきましては、改めて御案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○駒村座長 ありがとうございます。

 それでは、皆様、お忙しいところ、ありがとうございました。本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。失礼いたします。