第4回 事務所衛生基準のあり方に関する検討会 議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

日時

令和2年12月22日(火)10:00~12:00

場所

中央労働委員会 講堂
(東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館)

議題

  1. (1)第3回検討会までの議論の整理
  2. (2)トイレ設備の基準
  3. (3)その他(更衣設備、休養室等)

議事

○高田座長 それでは定刻となりましたので、ただいまより第4回事務所衛生基準のあり方に関する検討会を始めます。議事に入りたいと思いますので、円滑な進行に御協力くださいますようお願いいたします。また、傍聴の皆様におかれましては、カメラ撮影等はここまでとさせていただきます。御協力をよろしくお願いいたします。最初に、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
○矢吹有害作業環境指導係長 事務局から本日の資料を確認させていただきます。資料1「照度及び作業環境測定に関する見直しの方向性(案)」、資料2-1「トイレ設備に関する第2回検討会までの議論の整理」、資料2-2「衛生基準としてのトイレの取扱いについて」、資料3「更衣設備、休養室等について」です。また、参考資料1として「参集者名簿」、参考資料2として「事務所衛生基準規則ほか関係条文等」、参考資料3として「事務所における労働者の休養、清潔保持等に関する調査(JILPT抜粋)」を御用意しております。お手元の資料に不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。
○高田座長 よろしいでしょうか。それでは、議題(1)「第3回検討会までの議論の整理」についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○搆主任中央労働衛生専門官 それでは、事務局から説明いたします。資料1を御覧ください。前回、照度基準について議論いただきました。事務局から、旧事務所衛生基準規則が制定された当時に参考としたJISの照度範囲などを御説明いたしました。照度については、距離が2倍になると2乗に反比例で4分の1になること、70ルクスなどが非常に暗いものであることなどについても触れました。照度が衛生基準として定められていることについては、眼精疲労の予防や悪い姿勢を続けることによる上肢障害などを予防する観点であるということでした。
近年、環境全体が明るくなってJISなども見直されて久しいですし、事務所で働く労働者の年齢構成も変化していますので、現行基準を見直して少し上げるほうがよいのではないかという議論になりました。具体的には、一般的な事務作業について300ルクス以上、粗な作業、つまり付随するそれ以外の事務作業ということですが、150ルクスに上げるというものです。製図のような精密な作業については、法令で照度を示すということではなく、作業に着目して個々の事務所で定めたほうがよいという御指摘を頂きました。
なお、前回の第3回資料の資料2に事務的な間違いがありました。前回資料2の2ページの表題ですが、照度基準制定時の考え方という表題で、1964年と括弧書きを付しておりましたが、法令の制定は1971年の誤りでした。お詫び申し上げます。
それから、作業環境測定についての議論です。現状、対象となる事務室では、2か月ごとに作業環境測定を行う必要があります。室温、外気温、相対湿度については、一定の要件の下で年3回でよいという規定がありますが、一酸化炭素、二酸化炭素についてはどうなのかということであります。事務所の空気環境の維持管理の状況については、全体としては改善されているとはいえないというデータが、建築物衛生法に基づくデータとしてありました。二酸化炭素の発生源は、事務室内の労働者の呼気ですが、そうして汚染された室内の空気を希釈する外気にも二酸化炭素が含まれている関係で、換気に相当気を付けていないと室内の二酸化炭素の濃度が高くなってしまうということでした。
最近の動向として、自動制御を備えた空気調和設備も多く設置されるようになってきました。これらについては、第1回目の検討会でもお示しした実測データがありましたが、こちらから見る限り、在室者を詰め込み過ぎず、かつ設定が適正であれば、適切な制御も可能ということであり、設備的に能力があるものについては、しっかり運用しているかどうかがポイントだということでした。
一酸化炭素については、通常では余り検出されないという御指摘がありました。検出されるとすると、燃焼器具の使用や外部環境からの流入といった異常な濃度上昇によるものであり、こちらについては原因によって対策を構じないと、健康障害につながるということです。
こうしたことから、一酸化炭素、二酸化炭素に係る作業環境測定については、現行どおり2か月に1回実施することが妥当ということでありますが、一方で事業場における自主的な把握管理を進めるという観点からは、電子機器による測定が可能であること、これは今も可能ですが、可能であることを運用上しっかり明確化すべきということを提案させていただきました。実際のところ、電子機器で手軽に測定して、データ収集、管理をすることによって、換気が適切に行われ良好な空気環境であることを簡単に確認できるということになります。説明は以上です。
○高田座長 御説明ありがとうございます。資料1に基づきまして、照度及び作業環境測定に関する見直しの方向性ということで、これまでの議論についてまとめていただいたものとなります。この資料の内容につきまして、御意見、御質問等ございましたら発言をお願いいたします。はい、吉武委員、お願いします。
○吉武委員 丁寧にまとめていただきましてありがとうございました。内容に関しては全く異論はございません。特に照度に関しては前回の議論を反映されたものになっていると思います。前回、明石委員から、粗な作業の例に関する御質問がありましたので、調べたところを報告させていただきます。
粗な作業の具体的な例は、事務作業では記述がありませんでしたので、工場等で例をあげますと、包装や荷作りなどが粗な作業として記述があります。したがって、事務所における机の上で行う作業としては、袋詰めとか封筒詰めというようなものが粗な作業に入るだろうと考えられます。ただし、粗な作業か一般的な作業かの区別は、袋詰め、梱包だから粗な作業といえるわけではなく、目印に合わせながら袋詰めする作業など該当しないこともあります。つまり、形のみで作業をできるとか、物を細かく識別特定しなくてもよい作業というのが、粗な作業に該当するとご理解いただければと思います。
○高田座長 ありがとうございました。今のことについて、明石委員お願いします。
○明石委員 ありがとうございます。吉武先生ありがとうございました。よく分かりました。照度の問題については、前回の吉武先生の御紹介、それから事務局からの御説明を聞きまして、当会傘下企業にも意見を求めてみました。照度基準が見直されることについては、今日的な事情を鑑みて理解をするところです。1点だけお願いがありまして、法令の施行に当たっては、十分周知期間をとっていただきたいということです。今のコロナ禍という状況で、特に中小企業など経済状態が良くならず苦しんでいるところも多いことに配慮願えればと考えております。引き続いて、作業環境についてよろしいですか。
○高田座長 お願いします。
○明石委員 作業環境測定については、事業者もできるだけ簡便な方法でコストを掛けずにやりたいと思っているところですが、やはり二酸化炭素の濃度が下がっていないというエビデンスがあるものですから、現行のものは受け入れざるを得ないと思います。ですが、今申し上げたように、簡便な方法については、やはり見直しに向け不断の検討を今後ともよろしくお願いしたいと思います。
○高田座長 ありがとうございました。事務局のほうから何か追加でございますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 ご意見承知いたしました。
○高田座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。作業環境測定のほうについて専門の委員の先生がいらっしゃいますが、柴田委員、齋藤委員、林委員、いかがですか。皆様、よろしいですか。
○冨高委員 ありがとうございます。内容については資料のとおり前回の議論のまとめがされていると思っておりますが、先ほど明石委員からもあったとおり、丁寧に周知をしていただきたいと思います。粗な作業も含めて基準が見直されるということですので、どういうものがそれぞれの作業に該当するのか、あるいは高齢者への対応や、一律の照度基準を示すことが適切ではない場合における個別の判断など、是非周知していただきたいと思います。
○高田座長 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。それでは、照度と空気環境につきましては、おおむね議論の整理はされたということでございますので、この見直しの方向性に基づいて新たに頂きました御意見を踏まえて、事務局にて取りまとめ作業を進めていただければと思います。ありがとうございました。
それでは、次の議題に移ります。議題(2)「トイレ設備の基準」についてです。本日は、資料2-2を1つずつ議論していきたいと思いますので、まずは事務局より説明をお願いいたします。
○搆主任中央労働衛生専門官 資料2-1は前回確認いただいた資料ですので、資料2-2について説明いたします。資料2-1の論点を4つに整理した上で、事務局から考えられる対応案を付したものです。便房・便所という表現は前々回、第2回の議論と同じように法令用語であり、便房とは1人分の個室スペースのことを、便所とは、その個室を1つあるいは複数含む区域全体の場所的概念を表すこととなっています。
論点1は、便所を男女別に設置する考え方の原則を維持すること、その上で、独立個室型の便房については、多機能トイレも含めて、条件を満たせばそれ自体を便所の区画として扱うべきではないかということです。
その下に書かれた補足をご覧ください。当初からある仕切り壁型の便房についてはプライバシーが限定的ですので、便房が複数あったとしても、それらを含む区域全体が1つの便所であって、男女別を判断することになるだろうということです。また、独立個室型の便房について、これを1つの便所と解釈するためには、プライバシーの確保という点が最も重要です。目隠しや仕切り板ではなく、床から天井まで動かない壁で囲まれていることや、当然、施錠ができることが前提になると思います。手洗い設備は、前回少し議論が出たとおり、個室の中にあるもの、出口付近、外側に備えられたものなどがあると思いますけれども、それ以外に何か条件が必要かどうかといった確認をお願いしたいと思います。こうした独立個室型の便所は、事務所衛生基準規則において、就業労働者数に応じて設ける便所として取り扱われる、数に含まれるということになります。
論点2を御覧ください。こちらは独立個室型の便所について、例えばマンションの1室を事務室として使うような少人数の事務所においては、便所・便房の箇所数の考え方は柔軟にすべきではないかということです。論点1の原則に対する例外にあたりますが、具体的には、独立個室型の便所は1つ1つが独立しているわけで、必ずしも男女別を固定せずに、女性用便所、男性用便所、男性用小便所のいずれとしても取り扱う余地があるのではないか、時間的に切り替えるという考え方も可能ではないかということです。
論点3については、障害者や性的マイノリティを含め、多様な労働者にとっての利用しやすさと、法的な義務としての衛生基準をどのように整理するかということです。職場にいる各労働者にとって便所の利用は不可欠ですから、多様な労働者への配慮も当然必要になってくると思いますが、一律の規定ではなく、事業場の実情に応じ、柔軟に対応できるようにすることが重要と思われます。したがって、多機能トイレの設置は事務所衛生基準規則において一律に進めるということではなく、事業者が設置しようというときに、男女別でないものであっても法令に基づく便所として取り扱うところに重点を置くべきと思われます。事業場の実情に応じということですが、そのように言うためには法令で該当があることが前提になるということです。
論点4に移ります。これは先ほどの3つよりも少し細かい内容に入っていきますが、事務所衛生基準規則で定めがある就労労働者数に応じた便所・便房の数の規定についてです。第2回で御議論いただきましたときに、空気調和・衛生工学会が規定する衛生器具数の基準と大きな乖離はないということが分かりました。この事務所衛生基準規則の箇所数の基準を見直すとすれば、既存の設備にも影響しますので大ごとなのですが、衛生上支障があるというほどではないということでした。もちろん、望ましい便房の数といった考え方は一律の基準で示せませんので、法令の基準を満たせばそれでいいということではなく、事業場ごとに取り組むべき課題の1つです。また、先ほど論点1から3までに出てきたような事例についても、この数の考え方をどのように取り扱うかといった点もポイントになると思われます。説明は以上です。
○高田座長 御説明ありがとうございます。資料2-1にある第3回検討会で出ました第2回検討会までのトイレの設備に関する議論の整理を基に、今回、論点を4点出していただいたという形になります。この論点について、具体的にこれから議論を進めさせていただきたいと思います。恐らく内容によっては、前後を行ったり来たりするようなことは出てくるかと思いますが、こちらについて進めていきたいと思います。
まず、論点1について、御意見がございましたらお願いできればと思います。何かございますでしょうか。男女別に設置する考え方は今後も維持するという方向性はよろしいでしょうか。それから、仕切り壁型の便房を有する便所は、従来どおり一連の便房を含む区域全体で、男性用、女性用の別を判断することでよいかということは、特によろしいでしょうか。
問題になりますのは、独立個室型の便房を1つの便所と解釈するために、プライバシーの確保、手洗い設備の設置について、何かございますか。特に手洗い設備のほうです。個室内又は個室と近接している位置でというようなことについて、何か要件等で御意見はございますでしょうか。こういったことは含めておいたほうがいいのではということはございますか。林委員、お願いします。
○林委員 要件の中に、独立個室型になるということはここで規定すべきことなのかどうか私には分からない面があるのですが、換気については重要なポイントだと思います。
○高田座長 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。換気について、事務局のほうから何か追加でございますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 個室ごとの換気ということですね。事務所衛生基準規則では換気についての規定はありませんが、建築基準法施行令に便所の採光及び換気に関する規定があります。たしか、直接外気に接する窓という書きぶりになっていたと思いますが、これに代わる換気扇などを設ければよいわけです。もちろん、独立個室型の便所については、その1つ1つに換気扇が必要だと思われます。
○高田座長 林委員、よろしいでしょうか。ほかにはございますか。冨高委員、お願いします。
○冨高委員 まず、全体について、従来どおり男女別の便所の概念を原則にするという点は、是非そうしていただきたいと思っています。
カウントの部分ですが、原則を守ったうえで、目的を持って設置されているトイレ、例えば、性別にかかわらず誰でも使えるように配慮されているとか、車椅子でも使えるといったような、何らかの目的があるような多機能トイレなどをカウントするのは適切だと思います。一方、独立個室型の便所をすべてカウントするとした場合、既に設置されている男女別トイレがだんだん置き換わり、男女別が少なくなるということはないのかという点を懸念します。男女別トイレの原則をしっかり守るということを軸に、多機能をカウントするイメージなのかなと思っています。
○高田座長 重要な御指摘ありがとうございます。男女別で必要数の確保を図った上で、そういう多機能トイレのようなものをカウントしていくということで、労働者の人数に応じて適切な数が維持されるように配慮が必要だという御意見だと思います。今のことについて何かほかにございますか。住徳委員、お願いします。
○住徳委員 独立個室型のトイレというものをカウントする場合に、今の冨高委員の御指摘のように、男性側にするのか女性側にするのかということは、設置したときの状況によって変更していいものなのかどうかというのが1つ疑問な点です。
あと、独立個室型トイレというと、いわゆる一般的に多機能トイレをつい連想してしまいがちになると思いますが、多機能トイレといってもいろいろなものがあります。障害者用の車椅子が入れるようにするのかとか、手すりを付けるとか、オストメイトの人も使えるようにするとか、多機能トイレも多様です。独立個室型トイレはどういう条件であれば独立個室型であり、多機能トイレは独立型トイレに含まれるものなのかとか、そこの整理がないとカウントするときに混乱するのではないかと思います。これらの整理を、定義を含めて検討されたほうがいいと思いました。
○高田座長 ありがとうございます。事務局のほうで追加で補足はございますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 事務局から補足させていただきます。独立個室型のトイレは男女別のものも多くあります。男女別の独立個室型のトイレを共用に変えるという意図ではなく、独立個室型のトイレは、その1つだけで基本的に便所としての機能が完結しているではないかという議論は、過去に行われた形跡がないので、今回は論点1でまず整理しておくということです。
その上で、まずは独立個室型便所の定義についてですが、独立個室型は今までの仕切り壁型とはプライバシーの観点で違いがありますので、定義をしっかり定める必要があります。事務局案は、全方向が堅牢な壁に囲まれて、押したら動いてしまうような間仕切りや、天井、床付近に空きがあるようなものを除外するという簡潔なものです。仕切り壁式なのか独立個室なのか、明確に分けられるようにすべきと思います。
一方、多機能トイレについてですが、おっしゃるとおり多機能トイレはいろいろなものがあります。当初、バリアフリー法以前から、車椅子利用者のためのトイレということで、広めで手すりが付いていたりというものが標準でしたけれども、その後、オストメイト対応になったり、小さい子供を連れて入って使いやすくとか、いろいろな機能が付いたものが出てきて、多様になった経緯があるようです。これを職域、つまり事務所衛生基準規則で機能に応じて区別する必要があるかということは、論点3になります。法令上で区別することで取扱いを変える必要があるのかということです。
事務局としては、独立個室型なのか仕切り壁型なのかということは、プライバシーの観点で大きく異なるので、しっかり定義した上で、便所という1つの区画として扱うのか、それとも大きな区画の一部として扱うのかという点で差異を設ける必要があると考えます。一方、多機能であるのかそうでないのかということは、論点3で必要な労働の法令で整理する限りにおいては、その機能の有無は、むしろ事業場側の運用に委ねられるべき部分で、法令上の位置付けには影響しないのではないかということです。
○高田座長 おそらく、仕切り壁と独立個室型が分かりづらくなっていますので、第2回検討会のときの資料3を参照しましょう。トイレ設備の分類と特徴ということで、仕切り壁方式、独立個室型、それから、いわゆる多機能に当たる車椅子使用者用水洗器具付きというのが出ています。こちらを見ながら議論していただくと、最初の1と2は仕切り壁型と独立個室型の大きな区分であり、その後、3、4に多機能に当たる部分が示されていますが、これらを1や2にどのように位置付けるかということになるわけですね。
まず、独立個室型の便房を1つの便所と捉えることでよいかということ、先ほど出てきた手洗い設備等の問題もございますが、大枠で何か御意見があればお伺いしたいと思います。独立個室型トイレをカウント対象とすることについて何か大きな反対の御意見がなければ、一応こういった方向性で、次の論点に進んでいきたいと思います。よろしいでしょうか。そうしましたら、論点1については、林委員、冨高委員、住徳委員から御指摘がございましたところを意識しながらということで、まとめていただくことにいたします。
続きまして、論点2になります。独立個室型の便房を1つの便所として扱う場合、少人数の事務所における便所・便房の箇所数のカウントについて、何らか規定をということで出ていますけれども、こちらの考え方について御意見はございますでしょうか。ここは少人数の場合、男女別でない独立個室型の便所というものについて何らかの規定をしておく必要性ということで、少人数の事務所、それから一定の要件を満たす独立個室型の便所の要件です。いかがでしょうか。こうしておくべきという御意見はございますか。小規模事務所のことについて何かございますか。冨高委員、ございませんか。
○冨高委員 原則的には男女別とされていますので、先ほど事務局からありました、今、設置しているものを変えようというわけではないということは、少人数事務所についても同じことでよいのか、確認をさせていただきたいと思います。もう既にマンション等で事務所として使っているものを、わざわざ変えるということではないのかなと思いますが、その原則がなし崩しになるような運用にならないようにしていただきたいというところは、改めて申し上げておきたいと思います。
あと、先ほど時間的に区切るようなお話もされていたのですが、生理現象的や女性の場合の生理などを考えると、余り馴染まない部分もあるのかなという印象を受けました。以上です。
○高田座長 事務局のほう、時間で区切るということについて、いかがですか。
○搆主任中央労働衛生専門官 先ほどの説明は、言葉が足りませんでしたが、時間で区切るというのは、何時から何時までと決める趣旨ではありません。共用で使わざるを得ない場合においても、プライバシーが確保されていれば、男性用か女性用かを結果的に時間で分けていることになるのであって、衛生基準としての男女別が損われるわけではないということを説明しようとしたものです。
○高田座長 同時に利用していることがないということが、結果的に時間で区切られているという表現をされたということでよろしいでしょうか。
○搆主任中央労働衛生専門官 そのとおりです。
○高田座長 明石委員のほうは、この件に関して何かございますか。
○明石委員 ありがとうございます。今の冨高委員の発言に全く同感です。今、現実を変えるのは物理的にとても無理ですし、また、小人数の事務所に対する例外をを入れることによって、もともとの原則が崩れることも、今この時点では余りいいことであるとは思えません。人の意識とか考え方が変わってくると、男女別もゆくゆくはどうなるかというところはありますけれども、現状では今の状態を変えるべきではないと思いますし、ここの論点1、論点2については賛成をさせていただきたいと思います。
○高田座長 ありがとうございます。ほか、論点2についてはございますでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたら、続きまして論点3です。障害者や性的マイノリティを含む多様な労働者にとっての利用しやすさと、法的義務としての衛生基準をどのように関係づけるべきかということです。こちらは2つ論点が書かれていますけれども、御意見はございますか。多様な労働者への配慮・対応というものについて、最低基準として一律に規定するのではなく、事業場の実情に応じて柔軟に対応できるようにということですが、この辺りについて冨高委員、何かございますか。
○冨高委員 ありがとうございます。基本は原則が維持された上で、性的マイノリティの方も含む、利用のしやすさを追求していくというのは非常に重要ではないかと思いますので、アドオンの議論としてあると思っています。なので、性別にかかわらず使えるような便所が作られるように、支援等をしていくということは、非常に重要な観点と思います。
○高田座長 ありがとうございます。先ほど論点1でも出てまいりましたけれども、この多機能トイレを含む独立個室型便房を1つの便所として扱って、事務所衛生基準規則上の便所としてカウント対象にすることについては、更に何か追加で御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、論点4に移ります。事務所衛生基準規則で規定する男女別便房・男性用小便所数について、この基準の見直しが必要かどうかということについてです。まずは衛生基準に照らして、最低基準としての見直しが必要となるような衛生上の問題は、生じていないのではないかということと、利便性の向上からどう推進していくべきかという2点が出ていますけれども、こちらについて御意見がございましたらお願いいたします。
前回、例えば多機能トイレですと占有時間の問題とか出ていましたけれども、そこから何か対応が必要なこと、盛り込んでおくべきことが何かございますか。数字データがないとなかなか議論しづらいかなと思いますので、方向性としてこういうことは盛り込んでいただきたいという内容でも構いません。
もう1つ、男性用小便所を備えない場合の男性用大便所の箇所数です。小便所を備えない場合の数え方ということで、当然、小便所はあったほうが回転がいいという部分はございますが、小便所よりも大便所を利用する方が増えているという御指摘も前回ございました。この辺について、何か追加で議論しておいたほうがいいようなことはございますか。事務局は何かありますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 先ほどの説明で触れるべきでしたが、前回、データがあれば事務局から提供をという宿題をいただいていたところ、残念ながら該当するような追加データはありませんでした。まず、便房の数の考え方については、第2回のときに学会基準などを出していただいていました。第2回のときにILO条約について御指摘があった点については、確認したところ、男女別のトイレの原則とか、当局が個数を定めることなど詳細な規定は、条約本文ではなく勧告に記載がありました。勧告という強い表現ですが拘束力がないrecommendationというものであり、拘束性のある条約そのものは衛生設備を設置することと適切な維持管理など、簡潔な規定のみでした。また、男女別であることの理由などについて、労働法令その他関連するところを古い文書も含め確認したのですが、見当たりませんでした。このように、残念ながら職場のトイレに関するデータということでは議論に役立つものはありませんでした。
衛生器具の数について、第2回の議論では、男性用小便器がない場合の考え方について、有識者からは、ない場合は男性用の大便所の数も女性用と同じにするという考え方があるという意見をいただいています。具体的には男性用の大便所を60人に1つとされているところ、これを女性用と同じく大便所を20人に1つとすれば、小便所がなくても機能としては果たせるのではないかということです。海外の規格などで例がないかと探しましたが、見つかりませんでした。
○高田座長 ありがとうございました。第2回のときの指摘事項について、事務局で調べていただいた結果を報告いただきましたが、今の点について何かございますか。明石委員から、今の件で何かございますか。
○明石委員 今の件については特に意見はないですが、この論点4の部分については、先般の学会の基準についての説明もあったとおり、現行の法令基準で特に問題はないと思っているところです。
○高田座長 ありがとうございます。そのほか議論すべきことはございますか。論点1から4に載っていないことでも構いませんので、追加で何かございますか。それから、何か追加で事務局から、これは議論しておいていただきたいというのはありますか。今、少人数事務所では男女別でない使用の形態ということでありましたけれども、これが大企業の場合に、多機能トイレとか入ってきた場合の取扱い等については、先ほど少し話がありましたが、ほかに追加で何かありますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 ありがとうございます。本日御指摘いただいた御意見を踏まえますと、少人数の事務所においては男女別の原則をしっかり置いた上で、例外規定というのはあり得るのではないかということですが、これから私どもが考えないといけないのは、少人数としてどの程度の人数までを想定するのかということと、それを例外的に認められるものかどうかというのが1つです。
それから、男女別でないもの、性別にかかわらず使えるトイレが、例外的に認められるのは少人数事務所のみなのか、それ以外の大規模事務所では全く認められないのかということです。今、男女別の便所がすべて男女共用に置き換わってしまうような事態を防ぐ措置を考えることを前提として、性別にかかわらず使えるトイレを、大きな企業においても1つ2つ設けようという考え方は、それが車いす用であれそれ以外であれ、上乗せの形で設けるのはよいことだというご意見でありましたから、それらのトイレを法令上で位置付ける方法はないのかということです。事務局として答えを用意しているわけではありませんが、男女別でない便所を少人数の事務所限定で規定しつつ、少人数でない事務所についても一定数規定するか、あるいは、事務所の人数規模によらず、一定数までは法令上数えられることとするといった方向性を考えていく必要があると考えています。
それから、多機能トイレの占有時間について調べたところ、バリアフリー法対象の公共施設における調査では、一般トイレの2倍から3倍時間が掛かるのではないかという資料がありました。基本となる占有時間が明確ではないので、通常よりは混雑しやすいということは言えるものの、職域の現行基準に対して使用時間を倍にすればいいという単純な話でもないように思います。
○高田座長 ありがとうございます。事業所の実態によって大きく異なってくる部分があるかと思います。何か明石委員からございますか。
○明石委員 ありがとうございます。今の少人数の件ですが、座長もおっしゃったように、いろいろな形態がありますし、男女別がどれぐらいなのかにもよるので、法令ではあまり細かく規定し過ぎずに、常識の範囲内といいますか、業態により在室人数が大きく変動することなどを考慮した柔軟な取扱いをお願いしたいと思います。
○高田座長 ありがとうございます。ほかに何かありますか。特になければ、これでトイレの取扱いの議論を終了したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしましたら、本日議論いただいた内容を事務局で整理して、更なる取りまとめを進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の議題に移ります。議題(3)「その他(更衣設備、休養室等)」についてです。第1回の検討会で全体を議論するだけにとどまってしまっておりますので、こちらについて皆様方の御意見を承りたいと思います。事務局から状況の御説明をお願いいたします。
○搆主任中央労働衛生専門官 更衣設備、休養室等については、第1回目で、全体として基礎資料を提示させていただきました。そのときに、昨年の労働政策研究・研修機構からの調査結果を速報という形で資料とし、また、来ていただいてご説明を頂いたところです。ちょうど、11月30日に最終報告書が公表されています。全体は参考資料3に入れておりますが、時間の関係で、資料3にポイントを取り出してありますので、こちらで少し補足で説明いたします。これを材料として再確認した上で、御議論いただきたいと考えています。
1、2ページ目は、更衣設備、シャワー設備についてです。法令としては、枠囲みの中ですが、被服を汚したり濡らしたりする作業、そのおそれのある作業を対象に、更衣設備等が必要だとなっています。何が必要かというのは、ロッカー、更衣室、着替え保管をする設備などが更衣設備ということになりますが、こういうものを設置したり、あるいは濡れた衣類を干すための乾燥設備ですが、これは何か温熱で乾かすということではなくて、ロッカーがあるか、ハンガーかロープでしっかり乾かせるかという程度のものですけれども、こういった規定があります。このうち、労働者向けの調査では、更衣室という切り口で、汚染湿潤する作業があるかということを、労働者に対して聞いています。これは詳細な報告書であり、事務作業、事務所についてという切り口がありましたので、できるだけ事務所ということで取っております。事務所の21.3%が汚染湿潤作業があると答えていました。更衣室が実際にあるのは、男女共用も含めて49.1%でした。これは1対1対応をしているわけではありませんが、このような回答でした。
右側の円グラフですけれども、「汚染湿潤作業あり」ではなくて「更衣室あり」という表記でした。誤記です。失礼しました。1,165というのは、汚染湿潤作業ではなくて、更衣室があるという、真ん中の円グラフで男女別なり男女共用があるという回答のうち、「よく利用する」、「ときどき利用する」が55.6%でした。
不満について下に記しました。これは、事務所だけ切り分けられませんでしたので、事業所全体ということになりますが、「スペースが狭い」が圧倒的に多く、46.5%ありました。以上が更衣室についてです。
次のページは、シャワー設備についてです。厳密には、事務所衛生基準規則で定めがあるものではないのですけれども、この汚染湿潤作業の延長でここに記しております。左側のグラフは再掲で、先ほどの汚染湿潤作業についてです。このうち、真ん中のグラフですが、シャワー設備があるのは15.8%があると答えています。この「あり」という回答のうち、また右側のグラフは誤記で、「汚染湿潤作業あり」ではなくて、「シャワー設備がある」ことです。この回答のうち、「よく利用する」、「ときどき利用する」を合わせて21%でした。
シャワー設備に対する不満を見ますと、これは事務所で切り分けてなく事業所全体ですが、下にありますとおり「スペースが狭い」が35.8%、「シャワーの数が少ない」が31.6%でした。
3ページを御覧ください。休憩の設備についてです。これはカフェテリアのようなものだと思っていただければと思います。こちらにつきまして、事務所衛生基準規則では、囲みにありますように、設けるよう努めるという規定、努力義務になっています。したがって、法令上必須の設備ではありません。こちらについては、左の円グラフですが、48.8%があるという回答でした。利用状況については、右側のグラフですが、事務所を切り分けたものではなかったので、事業所全般のデータになりますが、「よく利用する」、「ときどき利用する」を合わせて61.4%になります。設備として何があるかを下に示しました。これも事業所全体です。机、椅子が一番多くあり、電子レンジ、冷蔵庫、自販機、テレビなどとなっています。休憩室の不満は「スペースが狭い」が多かったものの、複数回答なのですが、「特に不満なし」というものも4割ありました。
次の4ページ目は、休養室・休養所についての規定です。法令上は囲みにありますとおり、一定規模以上については、横になって休むための男女別の設備が必要ということです。臥床というのは横になるということです。これが法令にも規定があります。実際に「ある」と回答したのは左のグラフのとおり、27.9%でした。これは、実は措置義務がある規模の事業場では、男女別なのか、そうでないのかというのは非常に重要ですけれども、男女別は11.6%です。
その利用状況が右側にありますが、「よく利用する」、「ときどき利用する」を合わせて20.3%になります。これは、あくまで労働者がこのように設置している認識を持っているということと、自分自身が利用するかどうかという当事者の意見として集めたものです。休養室の設備は、法令上は横になれること以外の規定はありませんが、何があるかという問いに対しては、ベッド、布団、ソファー、救急箱、冷暖房器具、カーテンなどがありました。不満としては、「スペースが狭い」が37%でした。
以上、労働者からのWeb調査によるアンケートをまとめたものですが、当事者の意見を反映していると思いましたので、御紹介させていただきました。以上です。
○高田座長 御説明ありがとうございました。まず、更衣設備、ロッカー、更衣室についてです。これまでの検討会の進め方では、事務所における更衣設備、シャワー設備について、法令や指針の運用において特に考慮すべき内容があるかといったところを話していくことになっておりました。今のJILPTの調査の結果を踏まえて、更に何か基準等について、御意見はありますか。富高委員、お願いします。
○冨高委員 この更衣室や、後ほど出てくる休憩等もそうなのですが、やはり今は女性が様々な就業領域に拡大していて、それを更に進めていくという女性活躍推進の観点から考えたときに、この更衣設備についても男女別に設置することを促進する施策は、この事務所則上の規定にするかどうかは議論すべきだと思いますが、そういった支援は非常に重要な観点だと思っておりますし、連合加盟の組合からもそういった意見は出ておりますので、申し述べさせていただきます。
○高田座長 ありがとうございます。ほかにありますか。今、女性活躍推進の観点から御意見が出ました。明石委員、何かありますか。
○明石委員 更衣設備、シャワー設備については、それらを必要とする事業場が設ければよいと思いますので、事業者の裁量に任せるべきではないかと思っています。
○高田座長 ありがとうございます。住徳委員、お願いします。
○住徳委員 更衣室については、恐らく湿潤作業等で汚れることによって更衣が必要な形の更衣設備だということを、この規則では書いているのです。労働者は、どちらかというと制服や職服があって更衣を必要とさせられているので、そのための更衣室の設備の充足について捉えていると思います。
現状を考えますと、以前ありました女性の制服、OLさんとか、地方自治体の公務員もそうですけれども、女性だけが制服があるという時代がかなり長くありました。そのために、女性が更衣室に期待するものというのが、恐らく法律とは違う方向でかなり大きくなっていたのかなという現状を感じています。
ただ、制服を会社側が準備するということが大分少なくなってきており、私服で働くということで、必ずしも職場で更衣をする必然性がない職場が増えてきていることを考えますと、この更衣設備と休憩設備とのちょうど間みたいなものが、もしかしたら女性の労働者には求められているのかもしれないと感じています。
○高田座長 ありがとうございます。ほかにありますか。事務局で今のことについて、何か補足はありますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 事務局としての補足ではありませんが、更衣設備、シャワー設備、休憩設備や、休養室については、法令が制定された当初と比べて使い方が変わってきており、法令に規定があるというだけで設置することではうまくいかなくなってきています。その意味では、事業場に任せてしっかり対応してもらう部分、それぞれで考えてもらいたい部分が大きくなっています。
実際には、例えば更衣室が必要だけれども、必要とする人はごく少ないので、鍵を掛けて使えるトイレ設備を数として充実させたほうが合理的だという場合もありましょうし、他の設備との関係、例えば更衣場所と休憩場所とどちらを優先して設置するかという問題は法令で規定しきれません。法令改正のタイミングで、各種課題を事業場ごとに考えてもらえるよう、しっかり周知する必要があると思います。
一方で、こういった設備を必要としている労働者は非常に多いわけで、事業場として、仕事そのものではないけれど、必要で重要な設備であるという共通の認識の下に議論をしてもらうことがポイントです。
○高田座長 ありがとうございます。その辺りは、事業場のほうで労使、衛生委員会等もありますので、話し合っていただくということも必要になってまいります。休憩設備も同じような観点で、特に追加で何かありますか。問題になるのは休養室のほうですね。そちらについて男女別、また男女共用になっているような実態もあります。以前、負担面で厳しいというお話も出ていたと思いますが、休憩設備と休養室の扱いについて御意見がありましたら、是非お願いいたします。明石委員、お願いします。
○明石委員 以前にも発言させていただきましたが、休養室については現時点で考えても合理的でないと思われるところがあります。例えば、従業員が50人いて49人男性で女性が1人の場合も、男性用女性用それぞれ横になれる設備を用意しておく必要があり、結果的に普段は使用しないデッドスペースになってしまいます。法令ですから個々のケースで有利、不利が出るのは仕方がないとしても、事業者としてはやはり多少首をかしげるところです。
また、職場における休養に対する考え方が、この法令が制定された当時からだいぶ変わってきているようにも思います。会社で具合が悪くなった人をまず休ませるのは当然として、今日では、病院に行かせる、すぐに救急車を呼ぶなどの対応を取ることが普通であって、午後いっぱい休養室で休んでいてくださいということはあまりないように思います。休養室はなくてよい設備だと言うつもりはありませんし、設けておいて必要なときに使えればいいと思いますが、休憩設備のような場所の仕様をうまく変えることにより、休養の機能をもたせることができないものかと、運用上の工夫をお願いできればと思います。
○高田座長 ありがとうございます。住徳委員、お願いします。
○住徳委員 50人以上の従業員を有するオフィスビルを念頭に置きますと、私も、休養室の設置が非常に負担になっている現状があると思います。弊社グループなどでも、M&Aや事務所の統合・分割が行われ、従業員30人ずつの事業場4つが合併して50人以上になるようなことがあります。それにより、産業医の選任義務が発生するのはまだしも休養室を設置する必要が生ずるということは、企業に混乱を生じさせています。
そういう状況が基本にある一方で、休養室が必要な状況もまたあります。企業の健康管理室で保健師として働く立場からは、仕事と治療の両立支援を推進していく上で、日常生活のサイクルに休養を取り入れることによって就業が続けられる事例を多く見てきました。例えば、復帰した従業員がインターフェロンを使う場合、昼食後に30-40分の休養が必要であるとか、抗がん剤を使う従業員の中には仕事の合間に少し休み、回復したらまた働くといったものです。ですから、休養室は、企業にとってデッドスペースになってしまう一方、フレキシブルな利用を望む声もあるということです。もちろん、利用時に労働者個人の健康情報が他人にさらされないような配慮も必要ですが、その上で新しいタイプの休養室を検討すべきです。
○高田座長 御意見ありがとうございます。冨高委員、お願いします。
○冨高委員 今の住徳委員の御発言は、非常に重要だと思います。治療と仕事の両立というのもありますし、高齢者の雇用が進んでくると、そうした利用法はより一層増えてくる可能性もあります。
加えて、先ほども申し上げましたけれども、女性も妊娠出産を経験して更に活躍し続ける方も増えてきており、つわりの際に休養室を使うという声もよく聞きます。そうしたとき、少し楽な姿勢や服装で横になるわけですから、やはり男女別の設備が求められる今の規則は、原則としてそのまま残していただきたいと考えております。
○高田座長 ありがとうございます。多様な労働者がいるということで、その配慮も必要だという御指摘だと思います。ほかに御意見はありますか。新しい休養室のあり方というところも、御意見として出てまいりました。事務局で、これは確認しておきたいということはありますか。
○搆主任中央労働衛生専門官 様々な観点からの御意見をいただきありがとうございます。現行の法令では、一定数以上の労働者がいる規模の事業場では、横になって休める旧消失、休養所を男女別に設けることとされています。その上で、先ほどご指摘のあった点、すなわち休養室、休養所を常設、専用のものを設けるということは、法令の解釈として示されているものです。先ほど私からの説明では取り上げませんでしたが、参考資料3の59ページ、労働者に対するWEB調査結果のうち休養室に対する不満を見ますと、スペースが狭いことを別として、性年齢別で不満が高かった20歳代以下の女性では、常に使える状態でないため困ったという回答が多くありました。法令遵守という観点では、専用の休養室があるかどうかが重要ですが、必要なときに実際に使える状態でないのであれば本末転倒ですし、設置する事業者にとっても、空けておいても目的を達成できないことになります。
そうだとすれば、専用の設備かどうかよりは、必要とするときに利用可能な状態にしておくことに重点をおくような法令の運用もまた重要だとも思います。
特に、常設でなくてもいいかもしれないというのは、以前のようにそこで長時間休ませるよりは、病院に行かせるなり帰宅させるなりするまでの一時的な休養、回復をさせる場所という機能がより重視されるようになっているということにもよります。高齢労働者や立ち作業が多い労働者が横になって疲れをとれることも重要です。休養室を設けることは重要として、他の目的に使えないという現状が事業者にとって負担になっているとすれば、利用可能な状態であるかどうかということに重点を置いた法令運用も考えられると思った次第です。
○高田座長 今のことについて、いかがでしょうか。住徳委員、お願いします。
○住徳委員 私も実務として保健師として働いてきて思うのは、休養室というのは、休養することによって回復して、また仕事に戻れるためにあるものだということです。先ほど明石委員からもありましたけれども、働けないほど体調が悪い状態であれば、休養室で休ませるのではなく病院に行かせるか、帰宅させるかを考えます。問題は、その判断を誰がするのかということと、休養室を臨時に使用する場合に、その管理を誰に担わせるのかという運用が難しいということです。
保健師がいる事業場においては、基本的に保健師がいる部屋に休養室があって、保健師が管理をしているわけですが、保健師がいない事業場もあるわけで、法令で定められた休養室について、運用ルールや誰が管理するかなどを事業場で決めないといけません。体調を回復させて仕事に復帰させるという休養室の機能、目的を果たすためには、こうした点が重要と思います。
○高田座長 重要な御指摘をありがとうございます。そうした問題は現実の運用面で起きてきていると思います。ほかにありますか。冨高委員は何かありますか。住徳委員の御意見に賛成ということですね。明石委員はいかがでしょうか。
○明石委員 皆さんのいろいろな意見を聞けて、大変有り難く思っております。今、事務局サイドからも、新しい使い方といったようなことで御提案があったところですので、方向性としては多分そういう方向なのだろうなと思います。
○高田座長 ありがとうございます。高倉課長、お願いします。
○高倉労働衛生課長 休養室、あるいは休養ができるスペースの確保が重要だということに関しては、御認識は一緒だと思います。そのときに考えないといけないのは、住徳委員がおっしゃったように、管理運用をどうするかという中で、男女別に設けるという話になってくると、これは男女別にすることの目的というか、プライバシーがきっちりと確保できるような場所、いわばトイレと近いような、鍵の掛かった堅牢な壁のきちんとした個室のようなイメージで、プライバシー確保的なものを優先すると、逆に管理上の危険性が出てきてしまうこともあるかと思うのです。
利用のしやすさであったり、一時的な利用か否か、利用の目的、あるいはそのときに管理するスタッフがいるのかどうかといった観点からいうと、プライバシー保護的な要素はどこまで優先しないといけないのか。これも、どういう対象者を想定するのかによっても、また違ってくるところなのかなとも思うのです。その点に関して、御意見があれば頂戴したいと思っております。
○高田座長 今のことについて、御意見はありますか。住徳委員、お願いします。
○住徳委員 2点あります。1つは、休養室の運用で労働者の健康情報を取り扱うこととなりますが、医療従事者がもつべき情報も含まれることがあるということです。例えば、妊娠は、あくまでも自己申告であり、会社側に伝えることにより初めて、母性保護の権利が発生することになりますが、保健師がいると妊娠の前から継続して相談がある場合もあります。また、仕事と治療の両立支援における治療内容のこともあります。そうしますと、秘匿すべき健康情報もあり、事業者がもつ安全配慮義務との関係もありますから、守秘義務が課せられている衛生管理者と、事業者側としての管理職との情報共有が必要となってきます。
もう1つは、休養室を施錠し、男女別に設けるといった密室にすることにより、企業側がリスクを抱えることも考慮しなければなりません。休養室を施錠してから職場を出たとしても、夜間に鍵を勝手に開けて寝ている人がいたりといった目的外使用が発生するような、人の目が届かなくなるようなことは望ましくありません。
○高田座長 ありがとうございます。明石委員や冨高委員は何かありますか。そのほかの委員におかれても、今までの議論を踏まえた御意見などありましたら、お願いします。適切な運用がされている事業場においては、柔軟な運用も可能なのでしょうが、そうでないところを一律に緩和してしまうと、いろいろな問題が発生する可能性もあります。実際の状況と事業場の体制にもよりますから、一律の基準を設けて運用するというよりは、原則的事項を維持しつつ、対応が可能なところについては柔軟な運用も認めていくという方向が現実的と思いますが、いかがでしょうか。
事業場の実態に応じて、このようなことに配慮して進めていくべきという方向性だとして、それを実際にどのように法令や運用で示していくかという点には難しい部分もあります。この更衣設備、休憩室、休養室について追加はありますか。
よろしいでしょうか。特に、これ以上御意見がなければ、予定されている議題はここまでになります。事務局においては、本日の議論を踏まえて、次回に向け、論点と対応の方向性について準備をお願いいたします。
その他、特に御発言のある委員がいらっしゃいましたら、お願いできればと思います。よろしいでしょうか。それでは、本日の議論はここまでといたします。次回は、この検討会で審議いたしました更衣設備、休養室等の基準について整理したものを、事務局で準備していただき、それ以外に全体についても取りまとめ案を提示していただき、御意見を頂戴したいと思います。では、進行を事務局にお返しいたします。
○矢吹有害作業環境指導係長 次回、第5回の検討会については、改めて日時を御連絡いたします。以上をもちまして、第4回事務所衛生基準のあり方に関する検討会を終了いたします。ありがとうございました。