第40回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録(2020年11月19日)

 

 


○日時


令和2年11月19日(木)16:00~18:00

 


○場所


Web会議
全国都市会館 第3会議室(B1)
東京都千代田区平河町2-4-2

 


○議題


1.新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた保険者インセンティブの取扱いについて
2.後期高齢者支援金加算・減算制度の中間見直しについて
3.新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特定保健指導の実施方法の見直しについて
 
○議事


○新畑医療費適正化対策推進室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより「第40
回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、本日は、お忙しい中、本検討会に御出席賜り、まことにあ
りがとうございます。
なお、本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としてお
ります。会議中御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、座長
の指名を受けてからマイクのミュートを解除していただき、御発言をお願いいたします。御
発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただくようお願い申し上げます。また、議題
に対して御賛同いただく際には、「反応」ボタンをクリックいただいた上で「賛成」、またサ
ムズアップボタンをクリックしていただいて、またカメラに向かってうなずいていただく
ことで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきたいと思います。よろしくお願いしま
す。
次に、構成員の出欠状況について申し上げます。本日は、鈴木志保子構成員につきましては、
17 時以降に御出席されると、御連絡をいただいております。坂口構成員は、途中で御退席
されるということです。なお、岡﨑構成員の代理で大原参考人、長崎構成員の代理で眞田参
考人、前葉構成員の代理で前田参考人に、御出席いただいております。医療介護連携政策課
長の山下は公務のために欠席となります。なお、保険課長の姫野は遅れての出席となります。
本日、記者の方には別室にて会議の模様を傍聴いただいております。会議冒頭のカメラの頭
撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、座長選任についてでございます。前回の検討会までは日本公衆衛生協会名誉会
長の多田羅先生に座長をお願いしておりましたが、座長を御退任されることになりました
ので、座長代理をお願いしておりました津下構成員に座長をお願いしてはどうかと事務局
では考えておりますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
○新畑医療費適正化対策推進室長 ありがとうございます。
それでは、以後の議事進行につきましては、津下座長にお願いしたいと思います。津下座長、
よろしくお願いいたします。
○津下座長 ただいま座長に御指名いただきました津下と申します。
多田羅座長がこれまで39 回にわたって指導をしてこられたこの検討会でございますけれ
ども、力不足でありますが、役目を果たさせていただきたいと思います。構成員の皆様の御
協力をどうぞよろしくお願いいたします。
○津下座長 それでは、議事に入ります。
初めに、議題1 として、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた保険者インセンテ
ィブの取扱いについて、事務局より資料1 の御説明をお願いいたします。
○新畑医療費適正化対策推進室長 事務局の医療費適正化対策推進室の新畑と申します。
それでは、資料1、2019~2020 年度の取組における新型コロナウイルス感染症の影響への
対応について、資料の御説明をさせていただきます。
資料の1 ページでございますけれども、こちらは、後期高齢者支援金加算・減算制度におけ
る対応方針(案)のまとめとして、御提示させていただいております。今回、保険者インセ
ンティブ全体の新型コロナウイルス感染症の影響への対応についてというところで検討を
進めておりましたが、まず一旦、後期高齢者支援金の加算・減算制度における対応方針のほ
うを取りまとめさせていただきました。
資料の1 ページの下に国保について書かせていただいておりますけれども、国保につきま
しては、2019 年度の特定健診等実施率は2022 年度の保険者努力支援制度で使用すること
となっておりまして、2022 年度の指標につきましては、来年の2 月から3 月ごろにその取
扱いを検討することとなっておりますので、この新型コロナウイルス感染症の影響への対
応につきましても同時期に議論を行う予定でございます。
それでは、加算・減算制度の対応方針の各案のまとめについて、御説明させていただきます。
資料につきましては、上に2019 年度の実績のほうをどのように評価していくかというとこ
ろと、下半分、2020 年度の実績をどのように評価していくかというところを大きく分けて
記載させていただいております。その中で、それぞれ特定健診、特定保健指導、その他の保
健事業への対応方針をまとめておりまして、上から御説明させていただきたいと思います。
特定健診につきましては、現在、加算・減算共通の、加算でも減算でもそれぞれ実施率を評
価することになっておりますけれども、2019 年度につきましては、2019 年度の最後の月、
3 月に新型コロナウイルスの影響を大きく受けただろうということを仮定としてさせてい
ただきまして、この3 月に実施できなかったものとして実施率の補正を行ってはどうかと
いうふうに考えております。具体的な補正の方法といたしましては、過去3 年分におきま
して、3 月の実施分を通年に占める割合を算出しまして、その平均をもとに3 月の実施分を
除いた各保険者毎の実施率を補正するという対応を行いたいと思っております。なお、補正
した結果が実際の実施率より低く出てしまう可能性もございますので、低く出てしまった
場合には、実際の実施率で評価を行っていくというふうに考えております。
また、特定保健指導に関しましては、こちらもこの過去の実績をもとに実施率の補正を行っ
ていこうというふうに考えておりましたけれども、具体的な補正の考え方につきましては、
資料の2 ページをおめくりいただけますでしょうか。
資料の2 ページでございますけれども、こちらの考え方を上に書かせていただいておりま
して、こちらの特定保健指導実施におきましては、やはり初回面接の実施が大きく新型コロ
ナウイルスの影響を受けるであろうというところで、これを基軸とした考え方を御提示さ
せていただいております。2 月までに初回面接を実施していた場合ですと、こちらの3 月か
ら5 月に中断を挟んだとしても、6 月から10 月の間に実績評価をすることは可能であろう
と。ただ、3 月から5 月に初回面接を予定していた場合は、こちらは新型コロナウイルス感
染症の影響により、なかなか実施が困難だっただろうというふうに考えております。また、
それ以降の6 月以降に初回面接を予定していた場合につきましては、こちらは例年どおり
のスケジュールで実施が可能であると。
そういった考え方をもとに、補正方法といたしましては、2018 年度の実績から、初回面接
を3 月から5 月に実施した割合を各保険者毎に算出して、実施率を補正してはどうかと考
えております。また、先ほどの特定健診につきましては、過去3 年分の平均で補正をすると
いうふうに御提示させていただきましたけれども、特定保健指導につきましては、2018 年
度から第3 期の実施計画の中で、指導期間が短縮していたりですとか、分割実施が可能で
あったりですとか、そういった大きな運用の変更がされておりますので、2018 年度の実績
のみではございますけれども、現行の制度の中での実施率の通年に占める割合というもの
を算出していこうと思っております。
具体的な補正方法といたしましては、下記のように、3 月から5 月に実施した割合を過去の
実施率から算出してきまして、こちらは20%であったといった場合には、矢印のように、
補正前の実施率と補正後の実施率、補正後の実施率につきましては、実際、その3 月から5
月以外の期間に初回面接を実施した者につきまして、20%、0.8 で割った上で、実施率を補
正していこうと思っております。また、こちらにつきましても、補正をしたことで実際の実
施率より低くなる可能性もございますので、そちらにつきましては、高いほうの値で評価し
ていくというふうに考えております。
資料が前後して恐縮ですけれども、1 ページに戻っていただきまして、2019 年度のその他
の保健事業のところでございます。こちらは減算のみの資料でございますけれども、2020
年3 月の実施予定であった事業は、予定していたけれども中止した場合ということにつき
ましては、こちらは個別に判断するということは既に事務連絡を発出しておりますので、そ
ちらで対応していきたいと考えております。
続きまして、2020 年度の実施率の取扱いにつきまして、御説明させていただきたいと思い
ます。こちらの特定健診につきましては、実施率の補正につきまして、2019 年度のような
補正は行わないのですけれども、後ほど資料2 でも御説明させていただきますが、段階的
に加算対象・加算率を広げたり引き上げていく予定にしておりましたが、ここは、2020 年
度の支援金の加算対象・加算率を用いるとさせていただいておりまして、本来であれば対象
を広げたりとか加算率を引き上げていくといった予定にしていたものを、前年と同様の加
算対象・加算率で据え置いた形で評価していくことを予定しております。
特定保健指導につきましても、こちらは加算対象・加算率の据え置きといった形で対応させ
ていただくとともに、また、実施方法の緩和につきましては、本日の議事3 の中で検討を行
ってまいりたいと思っております。
また、その他の保健事業でございますけれども、こちらは原則として考慮しないというふう
にさせていただいているのですけれども、しかしながら、4 月から5 月に実施できずに、そ
れ以外の期間に実施することが困難な理由がある場合につきましては、個別に申出を受け
付けるといった形で対応していきたいと思っております。
また、その下の2021 年から2022 年度の取扱いでございますけれども、こちらは2020 年
の3 月から5 月と同様の程度の特定健診・特定保健指導の実施が困難になる状況等が発生
すれば、加算・減算制度において、対応を改めて検討するということにさせていただきます。
こちらの対応につきまして、本検討会で御了承いただいた際には、この内容を、また特定健
診・特定保健指導を推進していく重要性とあわせまして、健保組合、共済組合に、事務連絡
を発出し、周知していきたいと考えております。
資料1 の御説明は以上になります。
○津下座長 ありがとうございました。
資料1 のご説明を頂きましたが、ただいまの2020 年度については資料2 との関連が深いと
いうことでございますので、引き続き資料2 の御説明をお願いしたいと思います。議題1 に
関する御質問、御意見については、後ほどいただくこととしたいと思います。
それでは、議題2、後期高齢者支援金加算・減算制度の中間見直しについて、事務局より、
資料2 の御説明をお願いいたします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。保険課長でございます。
資料2 について、御説明をさせていただきます。
後期高齢者支援金の加算・減算制度の中間見直しでございますけれども、資料の2 ページ
をごらんいただければと思います。こちらの加算・減算制度につきましては、第3 期特定健
診等実施計画と同じ期間で、2018 年から2023 年度の間で運用してございます。この第3
期の中間地点に、まさに今年度でございますが、実績などを踏まえて見直しをするというこ
ととしております。
まず、加算についてでございますけれども、この計画の中では、全保険者の実施目標を達成
するということを目指して、中間時点、2020 年度までについては、下の表にありますよう
な形で目標設定をしてございます。2023 年度末までに、全ての保険者が、全保険者目標の
70%という特定健診の実施率を達成するということを目指しまして、中間時点である2020
年度については、足元の45%と70%の中間値である57.5%というところを目標値とし、そ
れ未満の部分については加算の対象とするという考え方で、このような加算率を設定して
きていたところでございます。
また、特定保健指導につきましても、同様に23 年度末までの全保険者目標45%ということ
を念頭に、これのおおむね半分の20%まで達するということを目指しまして、中間時点で
ある2020 年度については、その半分である10%というところを目標値として設定をして
いたということでございます。2018 年度、19 年度、20 年度と、段階的にこの目標値を上
げていき、また加算率についても増加させていくという形で、こういった表を設定してござ
いました。これについて、今後、2021 年度、2 年度、3 年度の後半について、どういった目
標設定をするのかということを、加算・減算のワーキンググループの中で議論をさせていた
だいておりました。その中で、保険者のご理解いただいた中身を御説明させていただきたい
と思います。
まず、3 ページでございますが、加算につきましては、基本的な考え方といたしまして、2023
年度までに目標値を達成するということでございますけれども、加算だけではなく、減算、
その他、さまざまな実施率向上につながる取組によって、総合的に推進をしていこうという
発想に立ちまして、加算については、できるだけ現状に即して設定をしていったほうがいい
のではないかということを考えてございます。
具体的には、(1)、(2)と2 つ要件を書いておりますけれども、そのいずれかに該当すると
いうことを前提に、加算の条件となる目標値を設定するというふうに考えてございます。(1)
の要件につきましては、健診ですと70%という全保険者目標を達成できているかどうか。
また、(2)につきましては、保検者の種別、単一健保組合、あるいは総合健保組合、そうい
った保険者の種別毎に、実施率の平均値を大きく下回っていない、こういった2 つの要件
いずれかに該当しているということを目標設定の考え方としてはどうかと考えてございま
す。
具体的に、この(2)番の基準につきましては、現行の加算対象の上限、先ほどの前のペー
ジで見ていただいた表の目標設定でございますけれども、その上限を下回らない範囲で直
近の実施率の分布状況をもとに「各保険者種別の実施率の平均値から1 標準偏差を引いた
もの」、これを設定してはどうかと考えてございます。
これを整理いたしますと、例えば特定健診で見ますと、下の表にありますように、例えば単
一健保組合ですと実施率の平均値が81.4%、これに標準偏差8.5%を引きますと、72.9%と
いうところが平均値を大きく下回る部分というふうになります。ただ、一方で、現在では、
全保険者目標が70%ということでございますので、そういった意味では、70%は既に平均
を下回る水準でも達成しているということでございます。したがいまして、健診については、
70%というところを加算の際の目標値としてはどうかということになります。
一方、総合健保の場合については、平均値から標準偏差を引きますと63.2%ということに
なりますので、全保険者目標の70%にはまだ達してございません。そういった意味では、
この63.2 というところを総合健保にとっての現状に即した目標設定ということにしてはど
うかというふうに考えてございます。
また、特定保健指導についても、同様の考え方で、単一、総合、共済、それぞれ平均値引
く標準偏差という形で設定しますと、9.1%、3.1%、11.7%とありますけれども、現在の目
標設定、前のページの表でいきますと、単一健保の場合は10%、総合で5%、そして共済は
10%ということになってございますので、これと比較しますと、10%にまだ9.1%、少し下
回っておりますけれども、従前の目標値10%というものを維持するということで考えてご
ざいます。
具体的にそれぞれ表に落としてみたのが4 ページになります。まず、特定健診につきまし
ては、2023 年度の目標としては、先ほどの考え方に沿って設定しますと、単一健保、共済
については70%、そして総合健保については63.2%ということになります。そういった意
味では、この表の一番下の段、最終的に2023 年度の到達点としては70%未満あるいは
63.2%未満というところが、加算の対象になってくるということでございます。
それまでの2021 年度、22 年度につきましては、現行制度の延長線上に段階的に上限値を
引き上げていくということでございますので、例えば22 年度ですと、65%未満というとこ
ろまで引き上げていく。そして21 年度ですと60%未満というところまで引き上げていく
というのが基本的な考え方になりますが、先ほどの資料1 の説明にもございましたように、
新型コロナウイルスの影響も踏まえまして、2021 年度につきましては、前年度の目標値と
いったものをそのまま適用するということにしまして、括弧がないほうの記述ですけれど
も、単一健保、共済組合については57.5%という20 年度の値を設定するということで考え
てございます。
そして、実施率が特に低い保険者の加算率については、法定上限の10%まで引き上げてい
くということも考えてございます。また、加算対象保険者のうち実施率が一定以上の保険者
については、減算の際の総合評価の指標で一定以上の取組を実施されている場合には加算
対象としないという取扱いが現行も行われておりますけれども、その仕組みについては、21
年度以降も基本的には踏襲していくということでございます。この※印に書いている部分
の要件になります。
次のページでございますが、特定保健指導についての具体的な目標設定がこちらになりま
す。先ほどの考え方同様に、2023 年度については19 年度の実績をもとに設定をいたしま
すけれども、そうしますと、2023 年度末には全ての保険者が20%というのが目標とされて
ございます。そして、目標が20%ということでありますけれども、減算、その他の取組と
あわせて総合的に推進していくということを考えてございます。
そして、21 年、22 年度につきましては、この23 年度の目標設定をもとに段階的に引き上
げていくというのが健診の考え方ではございますけれども、特定保健指導につきましては、
基本的には、これまでの、20 年度までの目標値が維持されるということになりますので、
目標値の設定については、単一健保が10%、総合健保については5%になります。共済組
合だけは、平均からの乖離が大きいところも11.7%という若干高い水準になってございま
すので、共済だけは、21 年度以降、もう一段高い目標設定をしていくということで考えて
ございます。
健診と同様ですけれども、実施率が特に低い保険者の加算率につきましては、現在、2020
年度ですと5%になっておりますけれども、それは2021 年度以降、基本的には10%に引き
上げていくということでございますが、21 年度につきましては、先ほどのコロナの影響も
ありますので、20 年度と同じテーブルを使っていくということになってございます。
また、これも健診と同様ですけれども、実施率が一定以上の保険者につきましては、減算の
際の総合評価の項目で一定以上の取組が実施されている場合には、加算対象としないとい
うことで考えてございます。
次の6 ページでございますが、現行制度におきましても、今の目標設定をした加算率につ
きましては、災害その他の特別な事情があった場合には加算対象から除外するという仕組
みになってございます。1 つ目の要件は災害その他の特別な事情でございまして、2 番目が
特定健診の対象者数が1,000 人未満であるといった場合、3 番目がシステムの故障など保険
者の責めに帰すことができない事由があった場合。そして、4 番目が先ほど申し上げました
減算の総合評価の項目で十分な取組がされている場合、そういったことが要件として設定
されてございます。
この中で3 番目の保険者の責めに帰すことができないという事情につきましては、保険者
側のデータ登録時のシステムベンダーの誤りによって欠損が生じた場合なども適用してご
ざいますが、こういったところの内容を周知しているところでございますけれども、今後、
具体的な対応事由についても、Q&A などに盛り込んで丁寧に説明をしていきたいと考えて
ございます。また、4 番目の減算の総合評価の取組が十分であるということで対象外にする
要件については、次のページ以降で御説明します減算の要件も若干見直されますので、それ
にあわせて見直しをしたいと考えております。
次のページからが減算の見直しになります。9 ページでございますけれども、第3 期の前
半、2018 年から20 年度の減算の指標を決めた際の資料でございますけれども、第3 期の
中間年度で保険者の総合的な取組を促すように減算の指標、配点、評価方法の見直しを検討
するということにされてございます。
また、下の箱にございますけれども、2 つ目の○にありますように、法定義務となっていま
す特定健診・特定保健指導に加えてバランスのとれた取組の確保をするために、保険者にお
いて優先的に取り組む重点項目というものが設定されてございます。現在は、大項目毎に1
つ重点項目を実施するということが要件になっておりますけれども、この重点項目の在り
方についても、見直しを検討するということにされてございます。
次の10 ページでございますが、中間見直しをするに当たって、政府においてのこれまでの
横串的な方針がどうなっているのかというのを整理したものでございます。例えば1 つ目
の「骨太の方針」、あるいは「成長戦略のフォローアップ」、そういったところで閣議決定さ
れている内容ですけれども、2 つ目の段落にありますように、糖尿病性腎症の重症化リスク
のあるものに対する介入、先進優良事例の横展開とか、歯科健診・がん健診の受診率の向上
などが進むような取組が必要であるということ。あるいは、3 つ目にありますが、個人のイ
ンセンティブ付与につながるような保険者の取組の支援をする。また、次の項目ですけれど
も、レセプトなどを活用した多剤・重複投薬の是正、重症化予防、それから保険者による解
析、そういったものを重点的に評価する。そういったところが政府の共通的な取組方針とさ
れてございます。
また、2 つ目の「成長戦略フォローアップ2020」におきましては、例えば1 つ目でござい
ますけれども、成果指標の拡大、配分基準のメリハリを強化するといったことも求められて
おります。また、2 つ目にありますように、支援金の加算・減算率について、加算対象組合
の公表についても検討をするようにというのが宿題としてございます。こういった政府全
体での方針を踏まえまして、今回の減算指標の中間見直しにおいて、保険者全体の目標達成
に向けて、保険者種別毎の目標を達成すべく、減算対象の範囲、それからインセンティブの
度合い、また評価指標の選択、優先順位づけ、そういったものについて総合的に見直しを行
ったところでございます。
12 ページですが、減算要件の新旧を、現行と、それから見直し案を比較したものでござい
ます。大項目の3 の③というものがございますが、退職者へのデータ提供、これについて
は、オンライン資格確認のシステムが来年3 月めどで運用されますので、これによって保
険者間の引き継ぎなどが行われますので、削除してはどうかと考えてございます。また、大
項目4 の①、後発医薬品の希望カードの配布につきましては、調剤報酬の中で後発医薬品
の使用に関する患者の意向確認というものが要件化されてございますので、これについて
も削除してはどうかと考えてございます。また、その他、矢印で幾つかまとめて書いてござ
いますけれども、項目をまとめて評価をするといった形で考えているところでございます。
以下、個別の評価指標毎の説明になりますが、13 ページでございます。大項目1 の中の見
直し事項ですけれども、黄色くハイライトしている部分が見直しの部分になってございま
す。まず1 点目は、減算の評価をする際に、どうしても特定保健指導の実施率が目標値に達
していないということで、その他の総合的な取組があっても必ず減算対象にならないとい
う現状もございますので、特定保健指導の基準値を緩和するということを考えてございま
す。具体的には、この黄色くハイライトしているところですけれども、現行では単一健保で
49.5%というところを満たさないと、この減算対象になってきませんけれども、これを30%、
現状を踏まえて少し緩和してはどうかというふうに考えてございます。
また、右側の配点の部分でございますけれども、特定健診・保健指導の実施率につきまして
は、一定基準を達成すると何点という形で設定をしておりますけれども、そうしますと、連
続的な努力のインセンティブがなくなるということもありますので、これを連続的に評価
できるように、10 点から50 点の間で、連続的な評価に見直していきたいと考えてございま
す。それから、アウトカム指標の配点という意味では、③にあります特定保健指導の対象者
割合の減少と、こういったアウトカム指標が盛り込まれてございますけれども、現在では、
5 点または10 点という配点がされておりますが、これを0 点から25 点まで連続的に評価
をするという形で考えていきたいと思ってございます。
次のページが、大項目2 でございますけれども、減算組合の多くが既に取組を行っている
ような受診勧奨、それから受診の確認の項目について、2 つの項目を1 つに統合いたしまし
て、かつまた受診勧奨後の医療機関の受診率という結果がどうなっているかというところ
も、定量的に評価をしてはどうかと考えてございます。また、重症化予防事業につきまして
は、③、④とありますが、従来、下の表にありますように③ということでかなりシンプルに
「重症化予防プログラム等参考に実施」とだけ書いておりましたけれども、もう少し満たす
べき要件をきちんと明確にしたほうがいいのではないかという御指摘もありまして、ここ
を少し精緻化してございます。
次、大項目3 でございますが、これも減算組合の多くが既に取組を行っておりますような
健診結果の提供に関する指標、これもまとめて評価をするという形で見直しをしてござい
ます。
次に、大項目4 でございますけれども、後発医薬品の差額通知と効果の確認というものも、
これを1 つに指標を統合してはどうかと考えてございます。また、後発医薬品の使用割合
につきましても、下の表にありますように、80%以上であれば5 点、70%以上であれば3
点という形でこれまで評価してございましたが、これも、5 点から15 点の間で、使用率、
使用割合に基づいて、連続的に評価をする形にしてはどうかということでございます。③の
加入者の適正服薬の取組に関する指標というものは、新規に追加してはどうかということ
でございます。先ほど御紹介した政府の成長戦略、そういったところでも、こういった適正
服薬の取組が求められてございましたので、こういったところも盛り込んではどうかとい
うことでございます。
次に、17 ページ、大項目5 の見直しでございます。こちらも減算組合の多くが、既にがん
健診の指標については、がん種毎に5 種類の健診を実施しているということが実態として
はございますので、従来、がん健診を実施しているというだけの要件でありましたけれども、
5 種のがん健診全てを実施しているということを要件にしてはどうかと考えてございます。
また、がん健診の要精密検査となった場合の受診勧奨ですけれども、こちらについても実際
の受診率というものも定量的に評価をするということを盛り込んでございます。それから、
歯科健診、それから歯科の受診勧奨につきましては、これを統合いたしまして指標化してご
ざいます。また、配点について、従来ですと合計12 点になってございますけれども、これ
を15 点に拡大をしているところでございます。
18 ページ、大項目6 の主な見直しですけれども、こちらは、さまざまな運動習慣、食生活
の改善、そういった取組を行うということがこれまでの要件でございましたが、加えて効果
検証を行うというところまで保険者にお願いをしたいというふうに考えてございます。
大項目7、次のページでございますけれども、こちらについては大事な項目でございますけ
れども、大きな見直しはなく引き続きしっかりと取り組んでいくということで考えてござ
います。
最後、20 ページでございますが、このような見直しをすることによりまして、減算組合数
がどうなるかということの見込みを立ててございますが、現状の取組水準で推移したと仮
定しますと、200 組合弱が減算に該当するという見込みでございまして、現状よりは40 組
合程度が新たに該当する見込みでございます。さらに、実施率の向上次第では、減算組合が
400 ぐらいまで増加をするというふうにも見込んでございます。
それから、次のページが加算の除外になる要件でございますけれども、左側が現行の要件で
すが、大項目毎に重点項目を1 つ以上実施した保険者が、加算の対象外になるということ
でございました。見直し後につきましては、基本的には大項目毎の重点項目を1 つ以上実
施したというところが対象になりますけれども、大項目2 につきましては、もともとこの
重点項目を2 つというのが減算の要件になっていますけれども、加算の除外要件としては、
どちらか1 つというものを満たしていれば加算除外に当たるというふうに整理をしたいと
考えてございます。
続きまして、23 ページから、その他、運用の見直しについての論点でございます。
まず23 ページ、実績報告の方法でございますが、現在、単一健保、総合健保、共済の点数
を横並びで評価することにしてございますけれども、実績方法の違いによる差が出ないよ
うに、各指標の要件を確認する必要があるのではないかと考えてございます。具体的には、
健保組合については、データヘルス計画の実績報告から、それぞれの事業分類などの選択状
況をもとに減算指標の達成状況を把握してございました。この結果、指標の細かい要件を確
認せずに達成状況というものが登録されている可能性がありました。
例えば、例にありますように重症化予防事業ということで取り組んでいるかどうかという
ところにチェックをすることになりますが、セミナーの題材で重症化予防を取り扱ったと
いうことで、この重症化予防事業をやりましたという形でチェックされてしまうケースも
生じ得るということでございました。こういった点については、要件の実績報告を用いる際
に、正確性を担保するために、各事業に関連する指標について細かい要件を確認してチェッ
クボックスを押すような形で把握するように見直していきたいというふうに考えてござい
ます。共済などについては、エクセル様式で指標毎に要件を満たしているかどうかという形
で今報告をいただいておりますので、基本的には同じような形で実施できるのではないか
と考えてございます。
次の24 ページですけれども、減算の指標を満たした組合について、それぞれどういう減算
率を設定するかということでございますが、現在、2018 年度の減算率を設定した際には、
保険者種別毎に上位、中位、下位と3 つに区分を設定いたしまして、得点の減算率の調整を
してございます。指標の基準値におきまして、既に保険者種別毎の配慮を行っておりますの
で、2021 年度以降については、保険者種別に関係なく一体的に運用してはどうかと考えて
ございます。イメージ図が下にありますけれども、現在、単一、総合、共済で、それぞれ別々
に中でのばらつきを見まして、上位、中位、下位と割りつけてございますけれども、見直し
後は、単一、総合、共済を全部合わせて評価をしていってはどうかということでございます。
また、上の箱囲みの2 つ目の○にありますように、現在の上位、中位、下位と、中位が一番
多くなるように上位と下位が少なくなるような設定の仕方をしてございますけれども、右
側の見直し後にありますように、下位の減算率ほど保険者数が多くなるように区分しては
どうかというふうに考えてございます。また、減算保険者の増加が見込まれることから、実
績なども踏まえつつでありますが、5 段階、3 段階での5 段階を目安に設定してはどうかと
考えてございます。
最後でございますけれども、点数の公表範囲でございます。成長戦略の中でも加算組合を公
表することも検討課題とされてございますけれども、現在は、減算組合のみ点数を公表して
ございます。他方で、他の制度のインセンティブ制度では、全保険者の実績を公表しており
ますので、公表することでインセンティブが一層働きやすくなるということもありますの
で、2021 年度以降は全保険者の点数を公表してはどうかと考えてございます。また、公平
性を担保するという観点から、保険者からの定量的な報告値に基づいて加点をするような
指標につきましては、減算保険者からの報告値そのものも、あわせて公表してはどうかと考
えてございます。
3 つ目にございますけれども、加算組合をリスト化して公表するということについては、特
に単一健保については企業イメージの影響もありますので、そういったことも考慮しまし
て、加算組合ということをあえてグルーピングした上での公表ではなく、点数のみの公表と
いう形で対応してはどうかと考えているところでございます。
説明は以上でございます。
○津下座長 ありがとうございました。加算・減算制度に関する検討状況について、御報告
いただきました。
まず資料1 については、2019 年から2020 年度の、新型コロナウイルスの影響により健診・
保健指導の実施率が影響を受けているということで足元をどうするかということについて、
御検討いただくことになります。資料2 では、その後の、21 年度からの加算・減算制度と
いうことになろうかと思います。いずれにしても、参考資料にありますようなデータをもと
に、加算・減算ワーキングで検討されて、このまとめとして御提案いただいているというふ
うに認識しております。
まず資料1 につきまして、2019 年度、20 年度の影響をどう調整するか、補正するかという
ことについて、御質問や御意見がございましたら挙手をお願いしたいと思います。いかがで
しょうか。河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 議題の1 と2 を合わせて意見を申し上げたいと思います。
まず、実態として健診・保健指導の現場では、緊急事態宣言解除後も引き続きコロナの影響
を強く受けています。健診機関におけるキャパシティ制限などの問題に加え、加入者におけ
る感染リスクへの懸念から、健診・保健指導を積極的に受診していただけないというケース
も見受けられるなど、健保組合は、受診勧奨に苦慮しているというのが実態でございます。
そういう実態の中で、今回、コロナにおける対応ということで、実施率の補正が措置される
こと、あるいは中間見直しにおける年度別の加算率の設定において、そうした実態を踏まえ
て一定の配慮をいただいていることについては感謝しつつも、今後の実施率向上には、制度
面の改善も必要と考えております。評価については、別途、健保連から厚労省に対して要望
を提出させていただいたところでございます。
具体的には、特定健診と安衛法の健診について、健診項目の統一やフォーマットの統一、あ
るいは第3 期から始まった特定保健指導のモデル実施の制度化など、制度面の改善も進め
ていただきたい。2023 年度の目標に向けて進んでいくためにも、制度の見直しについて、
関係する検討会やワーキンググループでの議論もお願いしたいと思っております。
また、新型コロナウイルスの影響が足元で拡大してきているという実態もございます。今後
更に急拡大をして健診や保健指導の実施に影響を与えるような場合には、柔軟に対応して
いただきたいことをお願いしたいと思います。
○津下座長 ありがとうございました。
実施率を高めるための制度的な検討、これについては大きな課題でございますので、引き続
き検討していく必要があると思います。
ほかにいかがでしょうか。加算・減算制度、特に議題1、今回のコロナの影響についての補
正の考え方でございますけれども。伊藤構成員、お願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
私から5 点ほど質問させていただこうと思います。かなり初歩的な質問があると思います
が、率直にお答えいただければありがたいと思います。
まず、資料1 に関してです。2019 年度、2020 年度とも、「その他の保健事業」の対応方針
(案)については、「個別に判断する」、「個別に申出を受け付ける」ということなのですけ
れども、この辺は、減算の実績にかかわる部分だと思うので、それなりの公正さというのは
必要だと思います。この点については不公正は生じないということでよろしいのでしょう
かというのが1 点です。
それから、資料2 の後期高齢者支援金の加算の中間見直しです。3 ページの上の「加算対象
について」という考え方は一定の理解をするのですけれども、「加算対象は現状に即して設
定する」というように書いてありながら、結果的に、加算免除対象が拡大するようです。あ
と、6 ページに加算除外の要件について書いてあって、これも何か見直しを指しているよう
にも読めるので、加算対象が増えるのか減るのか、増やそうと思っているのか、減らそうと
思っているのかということを教えていただければと思います。減算は現状の実績に照らせ
ばこういう数になるという資料が出ていると思うのですけれども、加算対象はどうなのか
というのを教えていただきたいと思います。
次に、加算というのはペナルティなので、本来、保険者機能を十分に果たしているとは言い
がたいところが加算対象になるべきだと思うのですけれども、今回いろいろ書いてあって、
減算対象をすごく増やす、128 組合と、2018 年度から2 倍以上に減算対象が増えるような
感じで資料が出ているものですから、加算の財源確保を考えているのでしょうか。そういう
考え方はあまり適切ではないと思うので、加算の考え方について、どのように考えているの
かというのを、教えていただきたいと思います。
それから、先ほど河本委員もコロナ禍の話をおっしゃっていましたけれども、保険財政の見
通しが不透明な中で、加算が今後10%になるというところもあります。加算制度の意味と
して、保険者の解散を促す、あまり事業をやっていないところはもうやめてもらうというよ
うなことまで含んでいる加減算制度の機能と理解すべきなのかどうかというのも、教えて
いただきたいと思います。
最後の質問として、減算対象の項目です。総合評価のところで、私が前から言っているのは、
19 ページにあります大項目7 の中の③ですね、「就業時間中の特定保健指導の実施の配慮」
の部分、これがとても重要なのだと。こうした配慮がないとなかなか実績が上がらないと考
えているのですけれども、参考資料1 の29 ページに達成状況が書いてあって、単一健保や
共済組合で8 割前後実績があり、それから総合健保でも7 割ということなので、それなり
にやっているということだと思いますが、保健指導の実績は、あまり上がっていないわけで
すよね。
この間事業主への協力依頼の通知を厚労省が出しているというのも承知していますが、高
確法における保険者と事業主の連携強化という政策の方向があると思うので、就業時間中
に健診・保健指導がちゃんと受けられるように、これは法律上位置づけてもらう必要がある
のではないかと思っています。少なくとも法的対応がとられるまでの間は、その評価のウエ
イトを高めることも必要だと思います。この就業時間中の実施の配慮について、厚労省とし
てどのように考えているのかを教えていただきたいと思います。あまり重要性を感じてい
ないのではないかとも感じるものですから、認識を教えていただきたいと思います。
以上です。
○津下座長 ありがとうございました。
まず資料1 の御質問で、個別に判断するその他の保健事業、この個別の判断について、お願
いいたします。
○姫野保険課長 資料1 で個別の判断が不公平にならないかという御指摘でございますが、
現時点でどういった申し出が出てくるのかというのもまだわからない中で、なかなかお答
えしづらい部分でありますけれども、実際に出てきた申出については、きちんと客観的な理
由なども聞いて判断をしていきたいと考えておりますし、もし判断が難しいケースあるい
は皆様に共有したほうがいいようなケースがあった場合には、また委員の皆様にも共有す
ると、そういったことも含めてしっかりと対応していきたいと考えてございます。
○津下座長 よろしいでしょうか。
それから、2 番目、3 番目、4 番目に質問いただいたのは、資料2 に入っていますけれども、
加算の考え方をどういうふうに置いているかということですが。
○姫野保険課長 まず、加算対象となる保険者が、増やそうと考えているのか、減らそうと
考えているのか。あるいは、また、減算の対象保険者が増えていく中で、その財源確保とい
う趣旨があるのかどうかという御指摘だったかと思いますが、基本的に私どもの考え方と
しては、減算のための原資を確保するという発想ではなく、むしろ達成すべき、保険者とし
て果たすべき機能をしっかりと果たしていただくための目標値の設定ということだと考え
てございます。
そういった意味で、本日御説明した資料にもありますように、従来、2023 年度の目標値と
いうものを定めて、そこに達成するための段階的な目標値を設定してございましたけれど
も、一方で、保険者のほうからは、実態よりもかなり高い目標設定の場合は、なかなか動機
づけも起こりにくいという御指摘もあったということでございます。そのために、より実態
に即した目標設定をできるようにということで、平均から1 標準偏差を引いたところに満
たない保険者を加算対象とするという発想にある意味切りかえて考えているというところ
でございますので、あくまでもその保険者の種別毎に見て、平均を大きく下回っているとこ
ろについては、より積極的に保健事業に取り組んでいただくという趣旨で目標値を設定し
ているというものでございます。
それから、コロナ禍において、この加算制度の機能することの意味合いをどう理解すればい
いのかという御指摘でございました。まさにコロナ禍であっても、被保険者に対する健診あ
るいは保健指導というものの重要性はなくならないということでございますので、コロナ
禍で非常に難しい状況ではございますけれども、コロナ禍でもきちんと保健事業をしてい
ただくという意味で、この加減算の仕組みというものはしっかりと運用していくべきもの
なのだろうと考えております。一方で、かなり運用が厳しい状況にも配慮して、目標値の設
定については、1 年度前の段階のものを適用するなど、配慮をしていくということを考えた
いと思ってございます。
それから、最後に就業時間中の保健指導など、事業主との連携の重要性につきましては、
我々も非常に大事なものだというふうに考えておりますし、現にこういった就業時間中の
保健指導というものができているところが、保健指導についても円滑に実施できているの
だろうと考えてございます。この指標の中での位置づけというものは、今回中間見直しとい
うことでございますので、基本的には従来どおりの位置づけで取り組んでいきたいと考え
てございます。
他方で、その他のさまざまな取組としては、例えば保険者と事業主との間のコラボヘルスを
促進するための取組として、スコアリングレポートというものも一昨年度から送付してご
ざいます。それを送付する際に、好事例として、就業時間中の保健指導を実施するというこ
と、それを事業主さんとコラボする中で、実施する事業所数、職場の数を増やしていったケ
ースとか。そういったコラボヘルスを進めることで、就業時間中の保健指導の実施場所が増
えていった。増えていった結果、被保険者にとっても保健指導が簡易に受けられるようにな
ったと。そういった好事例を厚生労働省としても周知をしているところでございますので、
さまざまな形でこの重要な取組については周知をしていきたいと考えてございます。
○津下座長 ありがとうございました。
伊藤構成員、よろしいですか。
○伊藤構成員 今のお答えに対して一言いいでしょうか。
○津下座長 どうぞ。
○伊藤構成員 いずれの答えも一応受けとめさせていただきますが、コロナ禍の加算対象
になったところが、負担増となることで事業の継続に影響が出るかという点は、きちんと見
ていく必要があると思います。解散して協会けんぽに入ってもらうということが適切なの
かということは、大きな問題だと思いますので、そこは継続的に見ていく必要があると思い
ます。
それから、就業時間中の配慮については、この通知の中にも、健診情報を求めたら提供しな
くてはいけないということもあわせて書いてあるのですけれども、そういうところとあわ
せて、きちんと連携ということが考えられることもあるのだろうと思うので、今までの好事
例の周知だけでとどまるということでは不十分ではないかというのが意見です。
あと、意見の追加です。減算段階を保険者種別から一括にする点についてはいいと思います。
この点については、課題があるということが参考資料ではよく見て取れましたので、これで
いいと思います。しかし、保険者種別を撤廃して一体的に運営した場合であっても、再分配
がゆがんでおきないかということは、引き続き確認していく必要があると思いますので、そ
の点はよろしくお願いします。
以上です。
○津下座長 ありがとうございました。
それでは、今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 ありがとうございますした。
先ほどの河本委員、それから伊藤委員のお話にも共通することなのですけれども、資料1 で、
コロナの流行による影響があることから、健診・保健指導の、いわゆる基準というものを緩
和するという方向で御検討いただいたことは一定程度評価をさせていただきたいと思って
おります。先ほど伊藤委員からも資料2 の6 ページのお話が出て、現行制度においても加
算対象から除外する項目に災害その他の特別な事情という項目があるのですけれども、例
えば広くコロナが全体的な全ての保険組合に影響するとなると、これは全員共通の話だと
は思うのですけれども、例えばある組合の中で、健診機関等でクラスターが発生し、健診が
ある期間もう全然できなくなった場合は、この「その他の特別な事情」に入るのでしょうか。
大変細かい御質問ですけれども、これを教えていただきたいということ。
もう1 点、平時のときに考えられている仕組みであるが、今、姫野課長は、コロナであって
もやはりこういう健診や保健指導は重要なことなので、きちんと粛々と進めていきたいと
いうお話だったと思います。ただ、今のコロナは、指数関数的に患者が増えてきている状況
で、今後もこういう流行の波が繰り返されるということがあろうかと思います。そういった、
コロナがいわゆる市中感染としてもう定着した状態で、コロナ禍であっても健診・保健指導
が重要だというのは理解できるのですけれども、もしこれがもう医療崩壊にもつながるよ
うな状況が起ってきた中で、これは粛々とやっていきますというのは、なかなか理解がされ
ないのかなというふうに思っております。そのあたり、厚労省として、どの程度の状況であ
れば今の制度としてやっていくという想定をされているのかどうかということについて、
教えていただければと思います。
以上です。
○津下座長 ありがとうございます。
○姫野保険課長 御指摘ありがとうございます。
まず1 点目、コロナの影響で例えば健診機関でクラスターが発生したとか、そういった特
別な事情が発生した場合、この加算除外要件、災害その他の事情ということに該当するのか
ということでございますけれども、何か地域的あるいは保険者特有の事情が発生したとい
うことであれば、そこは丁寧に事情を聞いていきたいというふうに考えてございます。
それから、今、第3 波と懸念される中で、この特定健診・保健指導を粛々として大丈夫なの
かという御指摘かと思います。そういう意味では、コロナの状況がどうなるかによりまして、
例えば4 月の段階では、一旦、特定健診・保健指導については控えるというような通知も厚
生労働省のほうから出したこともございますけれども、そういったコロナの状況を見なが
ら柔軟に対応していくというのは当然必要なことかと思いますので、コロナ禍でも必ず健
診・保健指導をやっていくと言うと若干言いすぎかもしれませんけれども、一方で生活習慣
病のリスクというものもありますので、そこをきちんとバランスを持って判断をしていく
ということかと思いますので、今村先生からの御指摘もしっかりと受けとめて、状況をしっ
かり見ながら対応していきたいと思ってございます。
○今村構成員 よろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございました。
それでは、坂口構成員、お願いいたします。
○坂口構成員 これまで資料1、2 ですか。3 も途中でどうなるかわかりませんので、前に
説明を受けた関係で、資料3 についてもちょっと前もって御意見を述べさせていただいて
よろしいでしょうか。
○津下座長 どうぞ。
○坂口構成員 退職して、健保共済から、国保に入ってくる被保険者が非常に多いです。退
職し、国保に加入しても、被保険者が健診を受けるためには、保険の垣根を越えた取組が今
後必要になってくると思っております。高齢者の保健事業の実施に関し、それぞれの市町村
にどれほど余力があるかわかりませんが、世代の垣根を越えて考えていかないと、医療費の
削減はなかなか難しいと我々も思っております。議題1、2 については、特に異議はありま
せん。
ただし、議題3 にあるように、ビデオ通話は高齢者には操作が難しいのではないかと思わ
れます。初回面接を対面で行うことになっていたため、コロナの影響で実施できなかったこ
ともあります。こうした場合において、電話による初回面接の実施についても、柔軟に対応
していただきたいと思っております。
以上でございます。
○津下座長 ありがとうございます。最後の御指摘については、次の議題ですので、また後
ほど御説明を受けてから議論させていただくということでよろしいでしょうか。
議題の資料1 に加えて、資料2 の質疑にも入ってきました。2021 年度から23 年度の方針
についても、中間見直しについても御説明いただいたところですけれども、ここについての
御意見はいかがでしょうか。
○山本構成員 日本歯科医師会、山本でございます。
○津下座長 どうぞよろしくお願いします。
○山本構成員 今回の見直しの中で、大項目5 の、いわゆる歯科健診、そして受診勧奨とい
う部分、3 項目から2 項目ということで、保険者の方にとっては若干ハードルが高くなった
という部分があるかもしれませんが、非常に点数も高くなりましたし、私どもとしては大変
評価をしております。厚労省の方には大変御尽力をいただきまして、そして、特定健診の質
問票から対象者を特に選んでいただいて受診勧奨につなげていただければ、私どもとして
は大変ありがたいと思っている次第でございます。どうぞこれからもよろしくお願いした
いと思います。
以上でございます。
○津下座長 ありがとうございます。これについては、質問票の活用ということが、さらに
進んでいくといいかなというふうに考えます。
今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 何度もすみません。ありがとうございます。
資料2 の16 ページの部分で、意見と御質問をさせていただきたいです。
後発医薬品の促進は、非常に重要だと思いますし、これをより進めていきたいということで
保険者として取り組まれるというのは、よくわかっております。この差額通知ですけれども、
実際に私どもの患者さんも、結構この差額通知の用紙を持って来られる方もいますし、自分
自身も薬を飲んでいるのでこの差額通知が来るのですけれど、いつも感じることは、薬品の
単価だけしか計算されていないことです。
実際に、例えば薬をもらうときには、いろいろな点数、例えば院内処方の場合には薬剤師の
技術料というのもあって、これは後発医薬品に変換することによって、逆にその技術料がか
なり高くなっていることがあって、実際上の患者さんの費用負担というのは、あまり変わっ
ていない、もしくは増えているケースもあります。これは患者にとってフェアな仕組みでは
なくて、確かに国策として後発医薬品の使用率を上げていくというその数字のことだけで
考えれば、そういった形で医薬品の価格だけを示すということもあると思うのですけれど
も、やはりそこはきちんと受け取る側にわかるように、もう少し精緻な通知というものを考
えていただいたほうがありがたいなと思っています。
それからもう1 点、質問がありまして、3 番目の加入者の適正服薬の取組実施というところ
で、服薬情報の通知、それから個別に指導するというこの中身、具体的にどんなことをされ
るかというイメージがあるのでしょうか。というのは、例えば、薬剤師会の代表の方がこの
委員には入っておられませんけれども、本来、薬剤師が薬を出すときに情報というのは全部
提供する。あるいは、そのあとにどうなっているかフォローするというのが薬剤師の役割だ
と思っていますが、それを全て保険者がやるというようなイメージに読み取れますし、個別
に指導ということが具体的に何を指しているのかというのがよくわからないので、事務局
にぜひそこをお答えいただければと思います。
○津下座長 いかがでしょうか。
○姫野保険課長 御質問ありがとうございます。
適正服薬の個別の指導の具体的なイメージですけれども、参考資料1 の17 ページに、これ
は市町村国保での実例でございますけれども、一例を掲げてございます。これは広島県広島
市で行った例ということでございますけれども、実際にレセプトによって重複の服薬者を
抽出いたしまして、個別に訪問しての保健指導などを行ってきたということでございます。
こういったものを1 つ具体事例として掲げているところでございます。
そのほか、19 ページが、これは岡山県備前市の取組でございますけれども、左の実施内容
のところでございますが、長期の多剤服薬者に対して個別に服薬情報一覧とか適正服薬に
ついてのチラシ、こういった主治医、薬剤師への相談勧奨、そういったものを送付すると、
こんな実例もあるというところでございます。
以上です。
○津下座長 ありがとうございました。
○今村構成員 今の御回答に対してよろしいですか。
○津下座長 どうぞ。
○今村構成員 イメージがよくわかりました。まさしく今、課長がおっしゃったように、医
療機関や薬局としっかり連携するということが大事で、個別にその保険者の方が患者さん
に対して「薬が多いからこれを減らせ」など、医療の中身のことがあまり十分にわかってい
ない担当の方がそういった指導をすることがよいことと読み取られることが起こってはい
けないと思います。やはり重複の投薬があるのだったら、それなりにその薬局がどうかかわ
っているのか、あるいは医師の側がそれを知らないで出しておられるとしたら、担当者がき
ちんとアクセスをして調整してもらうなど、現場との間の情報共有がすごく大事だと思っ
ています。したがって、保険者の方も確かに重要なお仕事ではあると思うのですけれども、
担当者が患者さんのところに直接医療の中身に係る何かを指導するというふうに読み取ら
れることがないように、きちんとした適切な指導としていただきたいと思っています。これ
はお願いです。
○津下座長 よろしいでしょうか。何かコメントありますか。
○姫野保険課長 御指摘ありがとうございます。御指摘の点、ごもっともと思いますので、
今後これを具体的に進めていく中では、今御紹介したような事例など、好事例を御紹介する
とともに、また、この要件の中では実際の取組の実施前と後で取組の評価もしっかりしてく
ださいということもお願いしておりますので、そういったものもしっかりと進めながら、適
切な方法で運用することを心がけていきたいと思います。
○津下座長 ありがとうございます。
保険者が、医療機関と薬局との信頼関係のもとに、患者によりよい医療を提供できるように
調整していく、そういう役割が果たせれば、保険者としては健康面でも医療費の面でもプラ
スになるというような考え方が適切に伝わっていくといいかなというふうに思いました。
資料1、2 について、ほかに御質問や御意見はありますでしょうか。
もしなければ、この方向で加算・減算制度の考え方について、見直しをかけていくという方
向でおおむね了承していただけたということで、よろしいでしょうか。
(了承)
○津下座長 ありがとうございます。
この加算・減算制度が、健診受診率や保健指導実施率をより高めることや、それを実施しや
すくする、後押しをする制度として、役に立つような制度設計にしていただければと思って
おります。保険者さんのますますの御努力、そしてそれを受けて実施していく機関の協力が
必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
○津下座長 続きまして、議題の3 に入りたいと思います。新型コロナウイルス感染症の
影響を踏まえた特定保健指導の実施方法の見直しについて、でございます。御説明をお願い
いたします。
○新畑医療費適正化対策推進室長 医療費適正化対策推進室長でございます。
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた特定保健指導の実施方法の見直しについて、
資料3 の御説明をさせていただきます。
資料3、1 ページでございますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響下の社会におき
ましても、引き続き特定保健指導を適切に実施していくため、特定保健指導の実施方法につ
いて見直していきたいというふうに考えております。こちらは現状と対応案についてでご
ざいますけれども、現状でございますが、現在、新型コロナウイルス感染症の影響下におき
まして、なかなか対面の保健指導が、感染症の恐れもある中でなかなか実施が困難であると
いったところがございますので、このビデオ通話が可能な情報通信機器、ICT 機器を用いた
特定保健指導の実施をさらに促進していくことで、特定保健指導を適切に実施していきた
いと考えております。こちらに挙がっています対応案というのを2 つ考えておりまして、
現状と対応案ともに御説明させていただきたいと思っております。
対応案①のところでございますけれども、こちらは初回面接についてのICT 機器を用いた
条件の緩和についてでございます。現在、初回面接につきましては、個別支援とグループ支
援、このグループ支援はおおむね8 人以下で行う場合の支援というふうになっております
けれども、こういった支援形態がある中で、このICT 機器を使った支援、初回面接ができ
る場合は、この個別支援、実施者と対象者が1 対1 で行う支援に限って実施することがで
きるというふうにしているところでございます。こういった現状がある中で、対応案といた
しましては、現在、情報通信機器の発達によりまして、そういった対面で行う保健指導と同
質の指導ができる環境が整いつつあるというところの状況を踏まえまして、この複数人の
対象者と実施者をICT 機器でつながった形で面接を行う、このグループ支援につきまして
も、ICT 機器を使えるというふうに要件を緩和していってはどうかというふうに考えてお
ります。
対応案②につきましては、こちらは継続支援についてでございます。この継続支援につきま
してはポイントを定めておりまして、ポイントを積み重ねていただくことで特定保健指導
は、1 つの基準で180 ポイントという基準を満たした上で、この特定保健指導を行ったとい
うふうにさせていただいているところでございます。この継続支援のポイントの中で、現状
でございますけれども、ビデオ通話が可能なICT 機器を用いた継続支援を行った場合につ
きましては、電話支援のポイントと同じポイントを算定するというふうにさせていただい
ていると思います。ですので、対面の支援につきましては電話支援よりはポイント数が高い
ところでございますので、実際、対面で行う場合と比べてICT 機器を使った場合はポイン
ト数が低いというところが現状でございます。
そういった現状を踏まえまして、この対応案といたしましては、先ほどから申し上げている
ICT 機器の発達によりまして、この対面での指導と同一の環境が整いつつあるというとこ
ろを踏まえまして、この継続支援におきましても、ICT 機器を用いた継続支援で、対面で行
う場合と同じポイントを算定してはどうかと。対面におきましても、現在、個別支援とグル
ープ支援という枠組みがございますけれども、そういったそれぞれと同じポイント数を算
定することとしてはどうかというふうに考えております。
先ほど坂口構成員からも御質問、御意見があった、初回面接におきまして電話支援を可能と
するかどうかというところでございますけれども、こちらの下に、枠外に書かせていただい
ておりますけれども、初回面接におきましては、対象者を生活習慣改善に向けた行動に向か
わせるために、対象者の状態を的確に把握した上で、今後保健指導を継続して行っていく上
での関係性を最初に構築する重要な機会であるところから、直接会って対面で行うところ
を、ICT 機器を今回要件として緩和いたしますけれども、そういった考え方で行っていると
いうところでございます。したがって、そういった対象者の表情とか、声、しぐさ等が確認
できないような環境ではなかなか実施が困難であろうというふうに考えておりまして、今
回の要件緩和から対象外とさせていただいてはどうかというふうに考えております。
資料3 の御説明は以上になります。
○津下座長 ありがとうございます。
この件に関して、御質問、御意見をいただければと思います。特定保健指導を対面で実施で
はなく、ICT を用いて初回面接をグループで実施すること、また、継続支援のときにICT
を使って支援した場合には、対面と同じようなポイントというような扱いにすることにし
てはどうかということでございますけれども、いかがでしょうか。
坂口構成員、お願いします。
○坂口構成員 改めてお願いいたします。資料3 について、ビデオ通話によるグループ支
援の緩和、積極的支援における継続ポイント見直しなどを検討していただいておりますが、
高齢者や障害者など、Zoom 等を操作・利用することが困難な人もいます。実例もあります。
国保の場合ですが、初回面談のために電話すると、一部の方が、「コロナが心配なので会い
たくない、保健センターや医療機関の人とは今は会いたくない」と。緊急事態宣言が解除と
なってからも、断られ、訪問拒否されることが、今年度上半期にありました。今は、ある程
度の理解をしていただいておりますが、初回面接で直接会い、対面で話をすることになって
いるため、実施できなかったこともあります。感染状況によってどうなるかわかりませんが、
こうした状況において、健保、共済においても、電話による初回実施も柔軟に対応してもら
いたいという意見もあります。よろしくお願いいたします。
○津下座長 ありがとうございます。
また皆様の御意見を伺った上で、御回答いただくということにしたいと思います。
今村構成員、いかがでしょうか。
○今村構成員 ありがとうございます。
今、それこそオンライン診療のお話が世の中で大変盛り上がっているので、当然、診療より
も、これはある意味指導の話なので、もともとこの保健指導において、いわゆるビデオ通話
可能な通信機器でということは認められていたので、もっともっとこれが先に広がってい
くのかなというふうにも思っていたところです。
事務局にぜひ教えていただきたいのは、今、どのぐらいこれが保健指導の中で活用されてい
るのかというデータはお持ちなのかどうか、参考にまず教えていただければというのが1 点
です。
もう1 点、こういったICT 機器を活用しての保健指導の手引きというのが多分出ていたと
思うのですけれども、昨今、オンライン診療のほうでも非常に問題になっているのは、いわ
ゆる肖像権に係ることで、指導を受けている方が指導している人の画面を写真で撮ってし
まうとか、あるいは逆のこともあるのかもしれませんけれども、そういったことに対するき
ちんとした制約のようなものは、その手引きの中には記載がされているのかどうかという
ことだけ教えていただければと思います。
以上です。
○津下座長 ありがとうございます。
事務局から何かありますでしょうか。
実際に保健指導をされている武藤先生のところで、遠隔の状況など、少しお話しいただけま
すでしょうか。武藤先生、お願いいたします。
○武藤構成員 ドック学会の武藤です。
遠隔は、今のところ我々の施設では2 割ぐらいだと思いますね。それまでは1 割ぐらいだ
ったのですけれども、それが少し増えてきて2 割ぐらいになっている状況なので、増えて
はきています。まだその程度です。
○津下座長 それと、今回話題になっているグループ支援、個別の面談ではなくグループで
遠隔で実施すると。ちょうど今みたいな画面に、何人か、8 人ぐらい映っていて、保健指導
するということが想定されるとすると、先ほどのほかの人の顔も映ってしまうということ
もあるのですけれども、そのあたりの留意事項とか少し気になる点もあるのですけれども、
運用はいかがでしょうか。
○武藤構成員 まず、今、我々の施設なんかですと、特定健診はほぼ100%ぐらいに戻って
いるのですけれども、一番減っているのが特定保健指導で、増えたといっても、戻ったとい
っても8 割ぐらいでして、その減った分というのは、グループ支援がすごく減っているみ
たいなのですね。ですから、こういったリモートでできるようになるのはいいと思ったので
すけれども、先生がおっしゃったように、結局、グループ支援の中では、参加者がそれぞれ
のプライベートなことを結構話し合うという機会をつくらなければいけないとなっていま
して、例えばグループだと男女がまざるとよくないとかそういう話もよく聞いたりもしま
すので、結構、ほかの人が簡単に見えてしまうとなかなか話がしにくいというのは、多少は、
若干の懸念材料であるかなというふうに思っています。
○津下座長 ありがとうございます。
何か情報はありますでしょうか。
○新畑医療費適正化対策推進室長 適正化室長でございます。
今村構成員から御質問いただいたICT の使用状況につきましては、我々としてはまだデー
タを持っておりませんで、武藤構成員からも御紹介いただいた、事業所等での実施状況等も、
また今後把握させていただきながら、対処のほうを考えていきたいというところと。
2 つ目の御質問がございました手引きのところの映像の要件のところでございますけれど
も、手引きにおきましては、実施者と対象者とが相互に表情、声、しぐさ等を確認できるこ
とというところは手引きのほうに記載させていただいておりまして、その要件の中で行っ
ていただくというところは、示させていただいているところでございます。
○津下座長 よろしいでしょうか。
今後も、遠隔での実施状況について把握しつつということにはなると思うのですけれども。
○新畑医療費適正化対策推進室長 そうですね。現在、NDB のところで申し上げますと、
2018 年度の実施については、現在、11 月1 日で法定報告のほうは済んでおりますけれど
も、そういったデータからICT での面接等は、どの程度行われているかというところを集
計してみたいというふうに思っております。
○今村構成員 ありがとうございます。ぜひまた教えてください。
○津下座長 ありがとうございました。
中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 協会けんぽの中島でございます。ありがとうございます。
今般、初回面接において、そして、かつグループ支援におきまして、情報通信機器を用いる
ことも可能としてはどうかという提案につきましては、コロナ感染の予防策として、その必
要性については理解できるところではないかと考えてございます。ただ、グループ支援はこ
れまでも展開してきているところでございますけれども、本日も御議論になっていますが、
個別支援に比べまして、個々の個人情報保護への配慮がより必要となってくるということ
でございます。特に遠隔でグループ支援をするとなりますと、対象者と個人毎の課題につい
てのやりとりが、直ちには実施しにくいということが生じるかと思ってございまして、それ
を補うための別途の支援が必要になるのではないかといった、新たな工夫を講じていく必
要性も出てくると思ってございます。そうした点に留意しながら進めていくということが
肝要というのが1 点。
それからもう1 点は、この特定保健指導を始めるに当たっては、個別面談ということを基
本としていたところが、グループ支援にまで対象が広がり、さらには情報機器等を用いてグ
ループ支援もということになってきますので、特定保健指導の質を担保していくという観
点からは、やはりしっかりした効果検証というものも、並行して行う必要があると思ってお
ります。先ほど新畑室長からも、電話支援についても、その是非については、エビデンスの
検証が要るというお話がありましたけれども、今回のこの遠隔のグループ支援につきまし
ても、効果検証していくための仕組みといったものも、作っていく必要があると思っている
ところでございます。
以上でございます。
○津下座長 ありがとうございます。貴重な御意見ありがとうございました。
伊藤構成員、お願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
私もコロナの影響を踏まえた保健指導の実施見直しの方向としては理解できます。しかし、
これを恒久的に認めるかどうかというときには、もっと実証的な調査と研究を行ってほし
いと思います。きょうは、個人情報の話が随分出ました。それも大変重要だと思いますし、
実際に指導を受ける側がどれだけ聞いているのか、聞こえているのかという、そうした技術
的な問題を含め、効果が本当にあるのかというところを検証していく必要があると思いま
す。こうしたZoom の会議というのは私も多く参加しているのですけれども、音がすごくひ
ずんでしまうときがあったり、音声がとまってしまったりすることもあります。そうした不
都合がある中で、グループ支援だと、「ちょっととめてください」とはなかなか言えなくて、
そのまま進んでいくという中で、ただただ一方的に音を流しているだけみたいなことにな
ってしまうと無意味になると思いますので、保健指導が形式的なものに変質しないように、
実施方法も含めて、研究をしていくということが必要だと思います。今後の検証を含め、研
究等を行っていく必要があるというのが私の意見です。
以上です。
○津下座長 ありがとうございます。
河本委員、お願いします。
○河本構成員 特定保健指導におけるICT 活用については、基本的には賛成でございます。
一方で、今も何人かの委員の方が発言されておりましたが、この特定保健指導の制度も、も
う制度開始後10 年以上が経過し制度そのものへの検証が必要なのではないかと考えており
ます。例えば、180 ポイントという支援の投入量のみで判断する積極的支援の方法について、
検証が必要と考えております。それに関連して、第3 期から導入された保健指導のモデル
実施について、既に3 年目に入っておりますが、支援のポイントが少なくとも減量に成功
しているという結果も出ており、先ごろ論文として取りまとめたところでございます。その
内容については、改めて紹介する場をいただきたいと考えておりますが、いずれにしても、
制度そのものへの検証、特に第4 期に向けて、特定保健指導における制度の検証と結果を
踏まえた改善の検討をそろそろ始めるべきではないかと考えております。そのあたりにつ
いて厚労省がどういうふうにお考えなのかということもあわせて伺いたいと思います。
○津下座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
○新畑医療費適正化対策推進室長 ありがとうございます。適正化室長でございます。
河本構成員からも御指摘いただいたように、この制度そのもの検証というところも、これは
これまでも行ってまいりましたし、引き続き、これは第4 期に向けても行っていく必要が
あると思っております。また、特定健診・保健指導につきましては、現在、厚生労働省でも
大規模実証という実証事業というものをしておりますけれども、実証事業の中でも、この効
果検証というのは、今年度から行うということにしておりますので、この検証も含めながら、
現在の制度そのものの第4 期に向けた議論のために、効果検証も引き続き進めていきたい
というところでございます。
また中島構成員も、また伊藤構成員からも御指摘いただいたように、これまでの制度の検証
のみならず、要件緩和につきましても、こちらについてももちろん引き続き検証を進めてい
く必要があると思っておりまして、どのような検証ができるかというところも含めて検討
してまいりたいと思います。
○津下座長 ほかによろしいでしょうか。
今回、このコロナウイルス感染症の影響がありますので、特定保健指導については、この
ICT を活用したグループ支援の実施の緩和、またこれを対面にかわる算定ポイントとする
という方向で、また詳細についてはどのような形で実施するのかなどの指針などは出るの
でしょうか。
○新畑医療費適正化対策推進室長 ありがとうございます。
こちらにつきましては、詳細につきまして、本日いただいた御意見を踏まえまして、手引き
等にどのように反映していくか今後検討して、最終的には手引きに反映してまいりたいと
いうふうに思います。
○津下座長 先ほどありましたけれども、暫定的な話と、それからこういうICT 機器や新
しい技術をどう取り入れていくか、長期的な視点で効果検証しながら、よいものであれば制
度の中に、例えば標準的なプログラムに導入できるエビデンスがついてくれば、そういう形
で恒久的な扱いもできるかもしれないということになるかと思うのですけれども、とりあ
えず今は暫定に当面これを導入するという考え方でよろしいでしょうか。
○新畑医療費適正化対策推進室長 まず、第3 期に一旦こちらの要件を緩和させていただ
きまして、検証を行いながら、こちらを引き続き行っていくのかどうか。一旦、恒久的に適
用するということを考えながら、検証は進め、また、この検討会の中で御議論していただけ
ればというふうに思っております。
○津下座長 先ほど中島構成員からお話がありましたように、この初回面接も、単に情報提
供で聞きおけばいいという話ではなく、本人の生活の中でどういうことが可能か、具体的な
行動計画をつくるとか、個別性をかなり要する部分もありまして、そのあたりについて、グ
ループ支援でありながら、その個別性をどう担保できる手法でやられるのか、こういう工夫
とかが必要になってくるのではないかなというふうに思いますので、暫定的にこれが行わ
れる期間に、丁寧に事業を見ていく必要があると思いますし、実施機関もいろいろな配慮を
しながら進めていかれる必要があるのかなというふうに思いました。
ほかに、特に御意見はございますでしょうか。
○津下座長 全体を通じて、今日は加算・減算の話、そして特定保健指導のICT 活用の話
が大きな議題であったと。そして、その中で特定保健指導のより効果的な実施方法について
も、さらに検証して進めていく方向について、御示唆があったというふうに理解しておりま
すけれども、よろしいでしょうか。
事務局、何か御発言ありますでしょうか。
○新畑医療費適正化対策推進室長 本日は活発な御意見をいただきまして、ありがとうご
ざいます。先ほども申し上げましたが、本日いただいた御意見を、また手引き等に反映しな
がら、適切に運用できるように、事務局でも検討してまいりたいと思います。ありがとうご
ざいました。
○津下座長 それでは、本日用意した議題はこれにて終了となります。
初めてのこの検討会の座長でなかなか不慣れなところもございましたけれども、御協力い
ただきましてありがとうございました。また引き続きどうぞよろしくお願いいたします。お
忙しいところ、ありがとうございました。