技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議(第47回)議事要旨

人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

日時:令和2年7月31日(金) 15:00~16:15
場所:Web会議
出席者:大迫委員、岡野委員、下村委員、當間委員、冨高委員、花山委員、村田委員
厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課、外務省領事局外国人課、外国人技能実習機構
(築炉関係)日本築炉協会、国土交通省、経済産業省
(缶詰巻締関係)公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会、農林水産省
 
議題
(1)築炉職種(築炉作業)の3号整備について
(2)缶詰巻締職種の試験の実施・運営状況の報告について
 
【概要】
○ 築炉職種(築炉作業)の3号整備について、日本築炉協会より概ね以下のとおり説明があった。
・ 築炉職種(築炉作業)は平成29年に移行対象職種・作業に追加された。
・ 築炉作業は用途、目的、要求仕様に基づき、耐火物を施工する作業であり、炉材の選別、墨出し等の施工の段取り、やりかたの製作及び設置、れんがの割付け、不定形材の混錬、れんが加工、迫り枠の製作及び据付け、付けとろに始まるれんが積み、アーチれんが積み、アーチ攻めれんが施工、不定形耐火物の施工、目地仕上げ、品質確認等を行う。
・ 3号整備に当たり、審査基準について、試験基準の内容と整合性を図るための修正、各段階の実習内容の違いを明確化することを目的とした細目を明示するための修正、その他、用語を適正する修正を行うこととした。
・ 審査基準を見直した結果、1号から2号にかけては、墨出し作業、れんが割付作業、れんが積み作業の各作業について、実施すべき内容が増えている。2号から3号にかけては、墨出し作業、れんが割付作業、れんが積み作業の各作業について、実施すべき内容を増やすこととなった。
・ 3号の必須業務について、れんが割付け作業では、2号で行う壁れんが積みの基本作業に加え、アーチ状・ドーム状の複雑な配列の割付け作業を行わせる。炉材の選別作業では、2号での必須業務に加え、形状/厚み寸法の確認による目地割への配慮(寸法許容値の偏りを確認すること)を行わせる。れんが手加工作業では、アーチ部れんがの加工を行わせる。モルタル及び不定形耐火物の混練作業では、2号で行うトロ舟による小ロットの混錬作業に加え、3号ではミキサーによる混練作業を行わせる。せり枠の製作作業及び組立では、図面より現尺寸法を読みとった後に、原寸墨を打たせ、加工/製作させる。せり枠の据付作業では、図面寸法どおりに据え付ける技能を修得させる。アーチれんが攻め作業では、アーチれんが構造の強度確保のために必要な、正確な加工寸法の確保と、攻めれんがの確実な施工に関する技能を修得させる。不定形耐火物の施工作業では、目地押しの効用を学ばせる。施工後の点検作業では、各部の要求寸法、垂直度・水平度、そり、むくり、傾きなどの確認ができるようにする。
・ 2号の技能実習生が受検している技能検定の(随時)3級では、1枚壁れんが4段の積み方及び並型れんがの七五分サイズの加工、不定形材の施工、目地仕上げ等が試験課題となっており、3号の技能実習生が受検することとなる(随時)2級では、(随時)3級に加え、アーチ煉瓦の施工、それに伴う迫り枠の製作、アーチ攻めれんがの加工及び施工、不定形材の施行、目地仕上げ等が試験課題となっている。
 
○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
 
委員) 2号を整備した際、3号が必要である認識はなかったのか。
説明者) 2号整備時からであるが、技能実習生には技能検定2級の合格に必要な技能を修得してほしいと考えている。今まで2号までの3年間で修得可能であると思っていたが、2級合格に必要な技能を修得するには日本人ですら約3年要し、2号までの3年間だけでは技能検定2級の合格に必要な技能を修得するのは難しいことから、3号を整備したいと考えた。
事務局)試験基準に「目地押し及び、目地仕上げができること」という表現があるが、審査基準には「目地押し」という言葉は出てこない。どういうことか。
説明者) 目地押し及び目地仕上げというのは、モルタルで施行したれんがの隙間にある目地を仕上げることを指し、目地押しと目地仕上げは表現の違いでしかない。
事務局)試験基準と審査基準の表現は統一した方が良い。
説明者)審査基準を修正することとする。
 
○ 検討の結果、築炉職種(築炉作業)の3号整備について、了承された。
 
○ 缶詰巻締職種の試験の実施・運営状況の報告について、日本缶詰びん詰レトルト食品協会より概ね以下のとおり説明があった。
・ 缶詰は巻締(密封)と加熱殺菌の2工程が行われることで長期間、常温保存できるようになる。巻締の工程では缶蓋と缶胴を圧着する形で密封を行う。
・ 缶詰巻締職種の実技試験では、巻締調節作業とデータ作成作業を行う。巻締調節作業では、シーミングロールの取付け、チャックの高さ調節、SCH(リフターとシーミングチャックの隙間の距離)の設定、リフターの高さ調節、ロールの寄り調節を行うが、等級によって行う作業が異なる。初級試験では、リフターの高さ調節とロールの寄り調節を行う。専門級では、チャックの高さ調節とSCHの設定を行う。上級試験ではこれらに、シーミングロールの取付けを加えた5項目が試験課題となる。
・ データ作成作業では、3か所の測定及びデータ作成により、部品が正しく取り付けられているかを確認できるか確かめる。具体的には、マーキング、外部の計量、内部の計量、外部の視覚、内部の視覚の検査を実施してもらう。
・ 専門級では、巻締調節作業とデータ作成作業に加え、耐圧試験を行う。耐圧試験は日本では、あまり実施されない試験であるが、平成に入る頃までは、実施されていた試験であり、海外の企業では今も必要な試験となっている。
・ 缶詰巻締職種の試験は、初級、専門級、上級の3区分に分かれており、学科試験と実技試験により実施している。学科試験は日本語で、漢字にルビを打った形で出題しており、初級と専門級は正誤式、上級は正誤式と多肢択一式により実施している。問題数は初級が20問、専門級が30問、上級は50問であり、試験時間は全て60分となっている。実技試験の試験時間は初級が60分、専門級と上級は90分である。
・ 合否の判定は試験の翌日から7日以内をめどに行っており、受検資格は、それぞれ6か月、24か月、48か月以上の実務経験年数を有することとしている。
・ 試験の実施体制について、総会、事務局の他、主任技術者資格認定運営委員会、缶詰巻締主任技術者資格認定委員会、技能実習評価試験査定委員会、技能実習評価試験実施委員会により試験を実施している。技能実習評価試験査定委員会では、試験実施要領の作成、試験基準の作成、試験問題の作成と合否の判定などを行い、技能実習評価試験実施委員会では、試験の準備・実施・採点、技能実習評価試験査定委員会への採点結果等の報告を行っている。
・ 事前に監理団体等に示している文書では、内部視覚検査でルーペ等を用いて観察することとなっていたにも関わらず、ルーペが用いられていなかったことについて、昔は、ルーペ等を使って断面を確認する必要があったが、今は電動式のカッターを使用するときれいな切断面をつくることができるため、ルーペの使用は必須としていない。
・ 採点基準が一部不明瞭である点については、本年度中にマニュアルを整備することで対応する。
・ 試験案等の作成機関と決定機関が別れていない点については、査定委員会、試験実施委員会、試験監督者の役割を明確にした上で、規程等の変更を行うことで対応する。
・ 技能実習評価の試験査定委員会が開催されていない点について、日程が非常にタイトなこともあり、決められた判定基準に基づいて、機械的に判定を行っていたが、今後は、電子メール等により、技能実習評価試験の査定委員に連絡し、合否の判定を受けた後で事務局からその合否の判定結果を通知するようにする。また、技能実習評価試験の実施委員を招集して年に2回程度会議を行って、御意見等を聴取する予定である。
・ 技能実習評価査定委員会及び技能実習評価委員会の委員の要件として、実務経験年数が定められていない点について、査定委員会の委員は幅広い経験、知識を有している方を選出しているので、具体的な実務経験年数を定める予定はないが、評価委員会の委員については、15年以上の実務経験を有する方、試験監督者については、10年以上の実務経験を有する方ということで、新たに要件をもうける予定である。
・ 試験監督者の明示(腕章)等がされていないという点について、本職種の試験は、食品工場内で実施しており、異物混入の防止から食品製造に関係のない異物の持ち込みが禁止されていることが多い。そのため、腕章等はしていないが、試験監督者は指定の作業服を着用しており、誰が試験監督者であるかは容易に見分けられるため、問題はない。
・ 缶詰巻締職種の試験の難易度は非常に高く、内容は妥当なものであると考えている。比較的合格率が高いのは、受け入れ実績が長い企業が多いためであると考えている。
 
○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
 
委員) 全ての級でローマ字表記は行わず、漢字にルビを振っているだけであるが問題はないか。
説明者) 本職種の実習実施者は、日本語の指導を熱心に行っており、初級の試験を受験する頃になると、技能実習生は平仮名を読むことができるようになっている。当初、ローマ字のルビを打っていたが、読み間違いが発生することもあったため、ローマ字を使用するのはやめて、漢字混じりの平仮名のルビ打ちで実施している。
委員) 初級と上級の選択肢で同じものがあるなど、精査できる部分があり、試験問題の定期的な見直しが必要であると感じた。
説明者) 広範囲な知識を得ているか確認するために専門級、上級でも初級で出題した問題を出題している。一方、定期的な見直しは図っていきたいと考えている。
委員) 一部の問題は文脈や図を見たときに、ある程度日本語が分かれば、技能や知識がなくても回答できてしまうような内容となっている。今後、試験問題を見直す中で、技能や知識を問うものに修正した方が良い。
説明者) 選択肢を増やすなどの対応を行っていきたい。
委員) 実技試験の方法は受検者にどのように伝えているのか。
説明者) 予め周知し、受検者が方法を把握した状態で試験に臨んでもらう。
委員) 打缶検査に関する内容を実技試験に入れないのか。
説明者) 高い技能を要する上に、現在は全部、機械で行っているため、実技試験の内容には入れていない。
委員) 技能実習評価試験運営状況の自主点検表において、「事業については内閣府の承認を得ている」となっているが、これはどういうことか。
説明者) 公益社団法人であるため、内閣府と公益認定等委員会に、3年に1度の業務検査、毎年の業務確認を行ってもらっており、それらを指している。
 
○ 報告の結果、缶詰巻締職種の技能実習評価試験について、試験実施機関は会議で受けた指摘に対応し、より一層適切な実施に努めることとされた。

(以上)