技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議(第45回)議事要旨

人材開発統括官海外人材育成担当参事官室

日時:令和2年6月15日(月) 15:00~17:15
場所:Web会議
出席者:市田委員、大迫委員、岡野委員、椎根委員、下村委員、當間委員、冨高委員、羽柴委員、花山委員
厚生労働省人材開発統括官海外人材育成担当参事官室、出入国在留管理庁在留管理支援部在留管理課、外国人技能実習機構
(鉄道施設保守整備関係)一般社団法人日本鉄道施設協会、国土交通省
(非加熱性水産加工食品製造業関係)全国水産加工業協同組合連合会、水産庁
(空港グランドハンドリング関係)日本フライトケータリング協会、国土交通省
 
議題
(1)鉄道施設保守整備職種(軌道保守整備作業)の追加について
(2)非加熱性水産加工食品製造業職種(調理加工品製造作業・生食用加工品製造作業)の追加について
(3)空港グランドハンドリング職種(インフライトケータリング作業)の追加について
 
【概要】
○ 会議の冒頭、事務局から、技能実習評価試験の整備等に関する専門家会議の開催要綱を改正し、人材開発統括官が必要であると認める場合は、専門家会議について、テレビ会議での開催を可能とするととともに、テレビ会議の出席も定足数の出席に含めることとした旨の説明があった。また、委員に交代があったことについて説明があった。

1 鉄道施設保守整備職種(軌道保守整備作業)の追加について
2 非加熱性水産加工食品製造業職種(調理加工品製造作業・生食用加工品製造作業)の追加について
3 空港グランドハンドリング職種(インフライトケータリング作業)の追加につい

○ 鉄道施設保守整備職種(軌道保守整備作業)の追加について、日本鉄道施設協会より概ね以下のとおり説明があった。
・ 前回の専門委員会における指摘事項への対応について説明する。1点目は、実技試験の判定のばらつきに関する指摘で、チェックシートを準備し動作ごとの具体的な判定基準を記載した。2点目は、実習中の日本語研修の必要性に関する指摘で、普段からチームとして十分なコミュニケーションを取らないと保線作業ができないため、日常の作業を通じて試験の合格に必要な日本語の習得が可能と考えている、また、上級の学科試験についても、日常的に使う専門用語からの出題であるため、回答は十分に可能であると考えている。3点目は、元請会社が実習生を適切に扱うための周知徹底について、鉄道工事の安全確保のために鉄道事業者は元請会社や下請会社に日常的に関わっているので、こうした機会を通じて、技能実習制度の目的が国際協力であることを十分に説明していく。4点目は、鉄道事故等に対し責任を持つことになる工事管理者として第3号技能実習生が従事することはないかとの懸念で、工事管理者となるには資格が必要であり技能実習生にこの資格を取得させるつもりはない、また、発注側がこのような履行状態を厳しく管理しているので懸念の事態は発生しない。5点目は、関連業務及び周辺業務に関する質問で、これらの業務は技能実習のどの段階でも実施するものであるため同じ記載としているが、出題の内容や要点は各級で異なるため試験基準は異なる記載としている。6点目は、鉄道各社の軌道の構造や規格の違いにより受検生に不公平が発生しないかとの懸念で、軌道の基本的な構造や規格は同じであるため問題はない。7点目は、実技試験の補助者の技能レベルによる影響についての質問で、技能を測る部分は受検生が行うことや補助者が指示・アドバイスを行った場合は不正行為として扱うことを徹底することなどで問題ない、また、試行試験でも影響はないことを確認している。
・ 次に、本年1月30日に大阪で実施した試行試験の概要である。技能実習評価試験は、学科試験と実技試験の2種類からなる。実技試験は集合方式で実施し、製作等作業試験と判断等試験に区分して行う。受検者は、実務経験等を考慮し、初級は4名、専門級と上級はそれぞれ3名が受検した。受検生の全員が外国人とはならなかったが、各級で1名は外国人とした。試験監督者は、鉄道施設協会、軌道会社、鉄道事業者から軌道部門のベテランを選定した。学科試験は点数のばらつきがあったが受検生全員が合格となった。
実技試験は、試験監督者間の評価に違いが出ないように、試験等級別に実技試験チェックシートを試験監督者に配布し、チェックシートの各項目の判定基準により採点を行った。3名の試験監督者が同一受検生を評価したが試験監督者により判定のばらつきが出た。これらの主な原因は、単純な見落とし、判定基準に関する認識の違いによるものだった。試験監督者3名の判定が全て異なった項目も1つあった。なお、試行試験の製作等作業試験で試験監督者により評価が異なった理由は次のとおりである。まず、チェックシートに記載された判定基準の見落としである、採点対象の「単純な見落とし」が5項目あった。また、試験監督者の判断基準に関する「認識の違い」は8項目あった。次に、試行試験の判断等試験で試験監督者により評価が異なった理由は次のとおりである。まず、採点対象の「単純な見落とし」が4項目あった。また、試験監督者の判断基準に関する「認識の違い」は1項目あった。なお、試行試験終了後に試験監督者3名でチェックシートの内容を確認し、合議で最終的な評価を決定した。
・ 試験監督者により評価が異なったことに対して次のとおり対応する。まず、実技試験では最低2名以上の試験監督者が同一受検生を評価する。また、製作等作業試験では、試験監督者の認識が統一できるよう実技試験チェックシートの表現を修正し、統一的な判断ができるようにする。次に、判断等試験では、出題の意図と異なる回答がなされ得る写真であったため、写真や設問を見直す。また、試験監督者に対して、講習会を年1回実施して周知徹底を図るとともに、特に見落としやすい点は試験の事前説明でも周知徹底を図る。最後に、本実施までに試行試験を東京地区などでも実施し、試験監督者の評価に差が生じないか確認する。
・ 試行試験に視察された外国人技能実習機構からの指摘への対応を説明する。実技試験の判断等試験で、受検生に見せた写真資料が紙でできていたので、雨風への考慮が必要との指摘に対し、ラミネート加工を行い耐久性を向上させる。また、試行試験では、タブレット端末を用いて時間表示を行ったが、受検生の時間管理が困難であるとの指摘に対し、試験監督者が5分前、3分前に残り時間を口頭で伝える方式とする。さらに、安全衛生業務の採点に関して、試験停止の条件などの記載がなかったとの指摘に対し、試験問題及び試験監督者のマニュアルに試験停止の条件などを記載する。
・ 試行試験の結果を踏まえ、実技試験の実施方法は次のとおりとする。上級のレール交換作業の「レール切断機」と「レール穿孔機」の技能を独立して評価すべきという試験監督者からの意見を反映し、これらの配点を分割するように試験監督者のマニュアル等を見直す。また、前述のとおり、2名以上の試験監督者が同一受検者の評価を行う。そして、最大年間260名程度の受検生を想定しており、1回20名程度の試験を年間12回程度実施する必要がある。このため、年度初に試験監督者の候補として、鉄道施設協会のほかに施工会社、鉄道事業者の中から適当な者を300名程度登録する。
 
○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
委員) 試行試験において実務経験年数が長い人が学科試験で点数があまり取れていなが、適切な試験内容となっていると言えるか。
説明者) 問題の難易度については、これから本格的に試験を実施していく中で、技能実習評価試験委員会で判断していきたい。
委員) 問題の難易度の検討は慎重にしてほしい。受検者が合格できるように問題の難易度を見直すのは適切とは言えない。
説明者)安易に難易度を下げるのではなく、技能実習で習得すべき知識や技能を評価できる問題にしていきたい。精査して作り込んでいく。
委員) 技能実習生が工事管理者になることは想定していないということであるが、技能実習生から工事管理者になりたいという要望があった場合はどうするのか。
説明者) 工事管理者の資格はそれぞれの鉄道事業者が定めているので、最終的には鉄道事業者との調整になるが、一定の経験年数を求めている事業者もあり、技能実習生が工事管理者になることは難しいと思っている。
委員) 資格がなくても工事管理者が行うような作業を行わせることは可能なのか。
説明者) 工事管理者が行っている鉄道事業者との打合せや計画の策定などの様々な業務は能力的に技能実習生ではできないと思っている。加えて、事前の打合せ等で工事管理者がきちんと配置されているかチェックされるので、技能実習生が工事管理者が行うべき業務に従事することはないと考える。
委員) 試験中止となる内容は事前に知らせるべきではないと考えるがいかがか。
説明者) 補助者が行ってはいけない行動は事前に伝えるべきと考えている。
委員) 「補助者が受検者に対して、試験の解答につながる指示・アドバイスを行う」ことが失格条件になっているが、補助者がアドバイスをしてしまったが故に受検者の責によらずに受検者が失格になるのは妥当ではないと思われるが。
説明者) 補助者は受検者の所属する会社から準備してもらおうと考えている。補助者が第三者であればその人の責で試験が中止になるのは問題だが、受検者と関係のある人に補助者を担ってもらうため、補助者の責で受検者が失格になったとしても問題ないと考えている。
委員) そのように運用する場合、補助者への説明を徹底する必要がある。
説明者) 試験官からの補助者への説明を徹底する。
 
○ 検討の結果、鉄道施設保守整備職種(軌道保守整備作業)の追加について、了承された。
 
○ 非加熱性水産加工食品製造業職種(調理加工品製造作業・生食用加工品製造作業)の追加について、全国水産加工業協同組合連合会より概ね以下のとおり説明があった。
・ 前回の専門委員会における指摘事項への対応について説明する。まず、半解凍の定義に関するもので、試行試験前に半解凍を「完全凍結と完全解凍の間であり、触ったときに凍結部分(芯)が確認できる」と定義したことにより、半解凍であるかを判定しやすくなった。また、採点にばらつきがなくなった。
・ 半解凍試験の試験時間を試験官に一任している中、試験時間を30分に固定すべきではないという御指摘について、試験時間は半解凍後の原料処理から計測しており、半解凍する時間は試験時間に含まないこととしている。
・ 半解凍の試験時間を試験官に一任することが可能なのかという御質問について、試験官を増やすことを検討したが試験官を2人にして実施することは難しい。地域の気候や魚の状態に精通している者に試験官を委嘱するため、試験官1人にしても問題ないと考える。ただし、採点基準が試験官に浸透するまでの間は2人にしたい。
・ 半解凍試験の原料が試験を始める前から完全解凍だった場合の対応に関する御質問について、試験の原材料は予備を含め、凍結状態のものを受検者側が用意することにしており、受検者側が全解凍状態の原材料を持参した場合は減点する。
・ 上級試験では歩留まり計算をさせるのではなく、歩留まり基準を設定し、基準以上の製品を作れたかを評価すべきではないかという御指摘で、歩留まり下限を質量ベースの25%に設定し、それ未満ならば生食処理工程ができていないと判定することにする。ただし、歩留まり下限の設定値については、魚種間で差異が大きいと判明した場合は修正を検討する。
・ 高度衛生管理とは何か、試験ではどのように判定するのかという御質問で、生食を扱う工場では、高度衛生状態を保つために、一定の工程又は時間等で衛生具の交換や器具の洗浄消毒を行っており、そのことを高度衛生管理としている。試験では原料処理後に手袋の交換や器具の消毒作業をしてもらい、それを評価することとする。
・ 作業間の難易度のばらつきが生じないようにどのように対応しているのかという御質問で、試験問題の作成時に難易度を調整している。今まで作業間での合格率にほぼ差はない。
・ 次に、3月2日に行った試行試験の結果及びそれを踏まえた対応を報告する。試験時間については、試行試験の結果を踏まえ、初級及び専門級の安全衛生管理作業の試験時間を修正した。
・ 調理加工品の試行試験は非加熱水産加工食品製造業による乾製品製造作業を実習している外国人実習生の中で、冷凍食品を製造している実習先の実習生を受検者として実施した。学科試験において、上級試験の合格者はいなかった。
・ 生食用加工品の試行試験は、非加熱水産加工食品製造業の塩蔵品製造の実習生で、生食用加工品を製造している実習先の受検者および生食用加工品製造企業の日本人の実務経験者を受検者として実施した。学科試験において、上級の合格者は1名であった。
・ 次に、実技試験の結果を説明する。調理加工品製造作業では専門級の1名が調理加工作業において原料処理と調味液の調整を行うことができなかった。上級の試験では2名が判断試験が原因で不合格となった。生食用加工品製造作業については、初級の試験で1名が高度衛生管理時に消毒を行わなかったことと、判断等試験の安全衛生管理作業ができなかったことから不合格となった。
・ 試験官の間で評価が異なった部分について、改善策を説明する。1つ目は安全衛生管理作業における爪の長さの受け取り方についてで、爪の長さに関する基準はないが公開されている実験データにおいて、爪先の白い部分が長くなる毎に細菌数が増えることが示されているので、一定の長さを指標に減点にする。ただし、爪の形状等個人差に配慮して採点することとし、試験官からの報告を基に試験委員会で指標の修正を検討する。
・ 安全衛生管理作業の手洗いに関して評価が分かれた理由は、ペーパータオルでの拭き取り後に、皮膚の個人差が原因で水気が残っているように見えた試験官がいたからである。若干光って見えた程度であり、また、ペーパータオルを数枚使って拭いていることが確認できたため、減点なしとした。
・ 調理加工品製造作業の原料解凍状態の判別で評価が異なった理由は流水を止めたかどうかの受け取り方が試験官によって異なったためである。一度、流水を止めたけれども再度流水を始めたので可とした試験官がいたが、一時意図して止めた事実があるため、減点にした。
・ 初級の生食用加工品原料処理に関して評価が分かれた理由について説明する。三枚下ろしの際は背骨付近のめふんという内臓を洗い落とすことになっているが、魚によって洗浄しにくい場合がある。洗った形跡があれば少量残っていても可としていたが、めふんを洗う行為が認められなかったので減点とした。
・ 次に、前回の専門家会議で指摘のあった生食用の上級試験の歩留まりに関する課題について、説明する。1名が歩留まり基準を下回っていたが、この受検者は出来映えを意識して尾の部分をトリミングした上、可食部である尾の部分を大きく廃棄してしまった。事前に歩留まり基準を公表して対応していきたい。
・ 次に、上級の試験の難易度について説明する。学科試験と実技試験の判断等試験が不合格になっている者がいた。出題内容を見直すとともに、問題文を平易な日本語に修正することで対応したい。さらに、判断等試験においては、事前に周知する課題の内容をより詳細に整備することで対応したい。
・ 次に、外国人技能実習機構からの指摘に対する対応について説明する。上級の指示書の使用器具に「紙皿」の記載がなかったことについては、指示書に記載する。また計量の際に、水分の多い材料を使用することもあることから、採点時の誤差を防ぐために、紙皿の風袋調整を事前に行い、紙皿の重さを確認することとする。
・ 製作等作業試験において、工程ごとに一旦ストップさせ、試験官が採点する流れとなっているところ、先に終わった受検者を次の工程に進めさせていたことが原因で、試験官が見ていなかった部分が発生していたという御指摘については、受検者ごとにタイマーを設置して確認するよう見直しすることとし、作業自体を採点する箇所は、タイマーを用いて時間を区切り順番に採点を行い、結果を採点する箇所は同時と順次を使い分け作業を行い採点するよう改善する。
・ 以上の対応を適切に行うため、採点基準および採点マニュアルを見直すこととする。見直した採点基準及び採点マニュアルに関しては、試験官に対する研修会等で周知・徹底を図る。
・ 製作等作業試験においては、承認後の各級において試験開始から1年間は試験官2名体制で評価を行うこととする。その期間の採点結果を踏まえて採点マニュアルを充実させ、試験官1名で評価する体制に切り替える。
・ 試験官の必要数は他の作業の試験の実績を踏まえ、初級5名程度、専門級10名程度、上級11名程度と想定して試験を実施することとし、必要に応じて見直すこととした。
 
○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
委員) 試験時間を約69分という中途半端な時間に設定しているが、70分では問題があるのか。
説明者) 問題ない。製作等作業試験問題の時間を61分に変更し、全体の試験時間を70分にする。
委員) 試験実施状況確認表で要改善が多く、問題なく試験を行えるか懸念がある。
説明者) 改善を要するところは多かったが、先ほど説明した改善策で対応できると考えている。
委員) 試験の公平性を担保するために、材料や包丁は各自で準備させ、試験側では用意しない方が良い。
説明者) 今回、受検生には遠方から来てもらったこともあり、解凍状態の材料を受検者に準備してもらうことが難しかった。そのため、今回は運営側で材料を用意したが、実際の試験では運営側が用意することはない。包丁についても運営側では用意しない。
委員) 試験官2名体制で行った後、試験官1名体制に切り替えることは本当に可能なのか。
説明者) 試験官を1名にしても必ず補佐員が付いて2名体制で行うので問題ない。
委員) 結果ではなく作業動作を確認する試験の場合、1人の試験監督者では複数の受検者を見ることができないのではないか。
説明者) 作業動作を確認する試験の場合は、1人ずつ試験を行うこととする。
委員) 実技試験で扱う魚の種類は指定しているのか。
説明者) 用意してほしい魚を指示している。
委員) 技能実習生が働く場所はラインのある工場や総菜店、スーパーの魚売り場など様々な所であり、求められる知識・技能等が違うと思うが、その点について、詳細に教えていただきたい。
説明者) 求められる技能等は試験基準・審査基準に記載しており、働く場所が異なっていたとしても修得すべき技能等は変わらないと認識している。
委員) 半解凍の試験において、適切な材料が準備されなかった場合の取り扱いについて、受検者には採点できないと伝えることとしているが、実際は減点にしている。伝える内容と実際に行っている内容が異なるので、統一する必要がある。
説明者)伝える内容を実際に行う内容と揃える。
 
○ 検討の結果、非加熱性水産加工食品製造業職種(調理加工品製造作業・生食用加工品製造作業)の追加について、了承された。
 
○ 空港グランドハンドリング職種(インフライトケータリング作業)の追加について、日本フライトケータリング協会より概ね以下のとおり説明があった。
 
・ 前回の専門家会議での指摘事項について説明する。1番目の指摘事項については、航空会社及び航空機の機種によって資機材は異なるものの基本的な技能や構造は世界的に共通しているので、日本で習得した技能は母国でも生かすことができると考えている。また、試験での評価内容について、学科試験では「食品衛生」、「安全衛生」、「インフライトケータリング業務全般」の知識を確認し、実技試験では実際に使用されるカート及びトラックを使用し、航空機のギャレーに見立てた環境を作り、業務上必要な技能を修得しているか確認する。
・ 2番目の担当便の搭降載責任者レベルとなるために5年間の実習が必要なのかという御質問について、日本人従業員の場合でも搭降載責任者レベルに達するためには2年以上の搭載実務経験を積んだ後に搭降載責任者になるための業務経験を更に2年ほど積む必要があることを確認したが、前回の専門家会議での御指摘を踏まえ、今回の申請は2号までとする。2号終了後の業務習熟度など帰国後に技能移転できるかを見極めた上で、更に3号での実習が必要かを検討していく。
・ 3番目、4番目の指摘事項について、1号ではインフライトケータリング業務の基礎となる航空機内サービス用品のカートへの組入れ作業を修得してもらい、2号では2年間で航空機への搭降載作業を修得してもらうことにし、3号については今後、検討していく。
・ 5番目の指摘事項について、実習で使用する言語は基本的に日本語となる。単語、用語レベルで英語を含むことがあるが、基本的には日本語で行う。日本語教育を技能実習に組み込むことは現時点で考えていないが、実習先には実習生の日本語能力を向上させる取組を行うことを推奨していきたいと考えている。
・ 6番目の指摘事項について、日本人従業員の場合であっても、搭載部門の部門長が技術・技能に加えて、搭降載責任者としての適性を見極めて、搭降載責任者を任命していることを確認した。
・ 7番目の指摘事項について、トラックの誘導補助や航空機への接着補助の作業場所となる航空機周辺は、ケータリングに関する機材等だけではなく、手荷物や貨物の運送・給油・給水等を行う車両や作業者が輻輳する現場になるため、咄嗟の判断ができ、かつ、日本人ドライバーとのコミュニケーションを取れることが求められる。技能実習2号の2年間で日本語が上達し、また、作業場所周辺に十分習熟してから、トラックの誘導指示等を行うべきと考えていた。3号を取り下げるが、技能実習指導員の指導の下、現場で付随的に学ぶ機会を提供できればと考えている。
・ 8番目の指摘事項について、防犯・防テロ、保安、防疫、災害・緊急時対応は、「その他空港で働くために不可欠な知識」として整理した。防犯・防テロ・保安については、空港の運用に関する規則、制限区域立入規則、国際航空運送協会等の危険品取扱規則の基礎、入退館時の施錠、身分証の携帯・管理、携帯禁止品等の規則や手順、不審者・不審物発見時の対応、密輸やテロ等の事例及び防止の基礎といったものを空港で働くための基礎的な知識として修得してもらい、学科試験にて確認を行う。防疫については、航空機から取り下ろされた機内食残渣等の食料廃棄物の管理を学んでいただく。災害・緊急時対応については、火災や地震、津波の発生、警報発令時の対応として、労働者自身の身体の安全確保、避難路の確保や避難方法、指示・連絡系統について学んでもらう。雨や雪、落雷、強風時の対応については、基本的な空港内のルールや作業を行う際の危険性について学んでいただく。事故予防と発生時の対応として、緊急着陸時、車両・設備の異常時、燃料漏れ発見時等に行うべき対応について学んでもらう。保税措置は、必ず身に付ける必要がある知識なので、航空機内サービス用品の準備・確認に「関税法に基づく取扱い」という形で追加した。
・ 9番目の指摘事項について、インフライトケータリングの作業の遅さ等が遅延の原因になることはあるが、遅延となる要素は他にもある。前回の専門家会議の説明に不十分な点があった。
・ 10番目の指摘事項について、関連作業はミールセッティング、カート、コンテナ等機材の点検と洗浄、航空機内サービス用品の棚卸と整理した。周辺作業については、航空機内サービス用品の開梱、梱包、作業場への移送、航空機内サービス用品の保管場所の整理整頓と整理した。安全衛生については、実習内容の3.安全衛生業務の所にまとめた。具体的には、1雇入れ時等の安全衛生教育、2作業開始前の安全確認作業、3整理・整頓・清掃・清潔・習慣の遵守、4作業者間の安全確認作業、5装備及び安全標識・装置等の確認作業、6インフライトケータリング職種における事故・疾病の予防、7労働衛生上の有害性を防止するための作業、8異常時の応急措置を修得するための作業、9空港で働くために不可欠な知識とした。
・ 指摘事項の11番について、毒物混入を防ぐためには工場内に不審者や部外者を入れないことが重要であるため、守衛所で車両や訪問者の入退出管理を徹底している。また、内部の従業員に対して、バッグ開披等の所持品検査を出社時に実施している。加えて、工場の出入口や作業エリア全てに監視カメラを設置しており、不審者や従業員の不審な行動を常時監視している。
・ 指摘事項の12番について、1号では工場作業場での航空機内サービス用品のカートへの組入れ、2号ではカートの出庫から航空機内ギャレーヘの収納に至るまでの作業を技能実習指導員の指導の下、完遂できるようになることを目標にする。
・ 指摘事項の13番について、2号実習の技能は出庫の準備、トラック車載・搭載、航空機への搬入・搬出、およびギャレー収納を各工程において限られた時間内で迅速かつ正確に作業を完了することができるかという観点で技能の習熟度を評価したいと考えている。また、搭載物品の名称や用途を正しく理解できているか等も確認する。
 
○ 同団体からの説明に対し、概ね以下のような質疑があった。
委員) 指摘事項の11番目について、既に実施されている措置でテロを防げるのか改めて確認したい。
説明者) 入退出時に厳しいチェックを行っている。また、館内の随所を監視カメラで監視している。これらは高い抑止効果があるので、そのような環境下でテロ行為を行うというのは考えにくい。
委員) 宗教組織がテロをさせるために人材を育成して送り込んでくる可能性なども考えられる。実習生のバックグラウンドなどを調査する予定はあるか。
説明者) 日本フライトケータリング協会が実習生を個別に調査することは予定していない。テロを狙われる可能性があることについて、実習生を受け入れる各社に対し、十分に注意喚起していきたい。

○ 検討の結果、空港グランドハンドリング職種(インフライトケータリング作業)の追加については、厚生労働省、出入国在留管理庁において、省令の改正案に係るパブリックコメントを実施し、その結果を踏まえ、審査基準案や技能実習評価試験案等について引き続き議論が行われることとなった。

(以上)