第99回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会 議事録

日時

令和2年12月25日(金)14:30~15:30

場所

厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

 

○阿部部会長 皆さん、こんにちは。ただいまから、第99回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会を開催します。皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の勇上委員、使用者代表の若鶴委員が御欠席と伺っています。本日の分科会は、Zoomによるオンラインでの開催となります。開催に当たって事務局から説明がありますので、よろしくお願いします。
 
○介護労働対策室長 雇用開発企画課介護労働対策室長の木嶋です。本日はZoomによるオンライン会議ということで、改めて簡単に操作方法について御説明させていただきます。
 事前にお送りさせていただいております雇用対策基本問題部会の開催・参加方法についてを御参照ください。現在、皆様の画面には、我々事務局がおります厚生労働省の会議室の画像及び各委員の皆様が映っているかと思いますが、まずは、その下のマイクのアイコンがオフになっていることを御確認ください。本日、部会の進行中は、委員の皆さんのマイクをオフとさせていただきますが、御発言される際には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の許可があった後にマイクをオンにして、お名前を名乗っていただいてから御発言いただきますようお願いいたします。
 会議進行中、通信トラブルで接続が途切れてしまった場合や、音声が聞こえなくなった場合等トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、部会を一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
 
○阿部部会長 それでは、議事に入ります。議題1ですが、「介護労働の現状と介護雇用管理改善等計画について」です。資料について、事務局より説明をお願いします。
 
○介護労働対策室長 介護労働対策室長の木嶋です。よろしくお願いいたします。御説明をするに当たり、まず参考資料1を御覧ください。2ページです。介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律第6条にて、「厚生労働大臣は、介護労働者の福祉の増進を図るため、介護労働者の雇用管理の改善、能力の開発及び向上等に関し重要な事項を定めた計画を策定する」という規定があります。そして、その第3項には、この計画を策定する際には、あらかじめ、労政審の意見を聴くものとするというような規定があります。
 3ページ、現在の介護雇用管理改善等計画です。左上の計画期間ですが、平成27年度から平成32年度になっており、今年度いっぱいで現在の計画は切れることとなります。来年度以降の新しい計画策定に向けて、本日は計画の策定に当たっての介護労働の現状を御説明した後、次回の計画の論点となるべき事項、そして骨子案についてお示しいたします。議論が順調に進めば、来年の部会で本文を示した上での議論という形に進めさせていただければと考えております。よろしくお願いいたします。
 では、資料1に戻っていただきまして、2ページ目を御覧ください。介護職員の現状についてです。就業形態別で、老人ホーム等に勤務されている介護職員と御自宅に伺って介護される訪問介護員に分けて集計を取っておりますが、施設等で働いてる介護職員は正規職員が多いのに対し、訪問介護員については非正規職員の割合のほうが多くなっております。
 2ページの下です。職種別の年齢分布を見てみますと、施設等で働いていらっしゃる職員については、割と20代から60代以上まで満遍なく、年齢層が幅広いのに対して、訪問介護員については40代以上の割合が多くなっております。また、60歳以上の方々も30%ということで、かなりの方がいらっしゃいます。
 3ページです。男女比ですが、どの職種、就業形態別においても、女性のほうが多いという結果です。
 4ページです。勤続年数について比較したものです。介護職員の勤続年数ですが、産業計と比べると低い傾向です。ただ、平成27年度と令和元年を見てみますと、着実ではありますが、勤続年数自体は長くなっています。
 6ページを御覧ください。介護人材不足が長年言われておりますが、2016年度に今後必要となる介護人材について試算を行ったものがあります。それによりますと、2020年度末までに約26万人、2025年度末までに約55万人、年間6万人程度の介護人材を確保する必要があるとされております。
 7ページです。平成12年の介護保険開始以来ですが、介護職員自体は18年間で3.5倍に増加しているものの、要介護者、要支援者についても同じように右肩上がりとなっているところです。
 8ページです。、有効求人倍率の推移について見てみます。介護職員に関しての有効求人倍率ですが、産業計と比べますと、かなり高い倍率で推移しております。令和2年以降、コロナの影響で全体の有効求人倍率は下がっておりますが、介護関係職種においては3倍の後半の所で高止まりしているというような印象です。
 9ページです。都道府県別の倍率を見てみますと、いずれの県においても2倍を超えているような状況です。特に、都市部においては倍率が高くなっております。
 10ページです。離職率・採用率の状況ですが、右下の産業計と介護職員の離職率の推移を御覧ください。こちらは、産業計と介護職員の離職率をそのまま抜き出しておりまして、少し留意していただきたいのが、それぞれの数値でございます。産業計については雇用動向調査で、介護職員については介護労働実態調査という別々の調査で取った数値ですので、単純な比較ということでは留意が必要な数値でして、そこは御注意ください。介護職員を見てみますと、平成30年度までは、産業計と比べるとやや高い水準で推移しております。こちらは平成22年度まで遡っておりますが、その前のリーマンショックの頃は20%を超えていた時期もあります。その頃に比べますと、雇用状況は大変良くなっておりますので、離職率自体は下がっております。令和元年度においては、介護職員のほうが一般産業平均よりも離職率は数字上では低くなっています。
 11ページです。事業所規模別の離職率でして、左の表を御覧ください。こちらは規模が大きくなるほど離職率が低くなっている傾向です。
 12ページです。従業員の過不足の状況です。訪問介護員、介護職員(施設等)ですが、どちらも人手不足感がありますが、訪問介護員のほうが人手不足が強く、不足している理由としては、採用が困難であると答えた方が圧倒的に多い状況です。
 13ページです。介護職員の賃金です。この数値自体、平均年齢・勤続年数に違いがありますので、単純な比較はなかなかできないのですが、数値を見てみますと、介護職員の平均賃金の水準については、産業計と比べると低い傾向があります。
 14ページです。現在の仕事の満足度ですが、介護労働実態調査で、実際に働いている職員、そして事業所にアンケート調査をしたものです。この満足度D.I.ですが、仕事の内容・やりがいについて満足を示している方が非常に多いのに対して、賃金面についての満足度は低くなっております。ただ、令和元年度と平成27年度とを比較したところ、賃金に対しての満度は、まだ低い水準ではあるのですが、若干回復している、若干ましになっているという状況です。
 15ページです。労働条件の不満等です。「人手が足りない」、「仕事内容の割に賃金が低い」、「身体的負担が大きい」といった項目が上位に来ております。特に、人手が足りないことについては、平成27年度よりも不満度が上がっている状況です。
 16ページです。介護の仕事をやめた理由として、職場の人間関係、結婚・出産等のため、施設の運営なりあり方に不満があったためといったものが上位に来ております。
 18ページです。雇用管理責任者の状況について御説明させていただきます。介護施設においては、予算事業の中で、毎年、介護事業所における雇用管理責任者、雇用管理の改善に対してリーダーのような役割を担う雇用管理責任者についての講習事業を行っております。雇用管理責任者の状況ですが、事業所に調査したところ、選任していると答えたのが40%強でした。また、労働者に、自分の勤めている所に雇用責任者がいるかどうかと調査したところ、「いない」、「わからない」と答えた方が6割以上いらっしゃいました。この雇用管理責任者ですが、雇用管理責任者がいると回答した事業所のほうが、例えばキャリアアップの仕組みの整備、上司と相談する機会の設定、賃金等の説明、研修制度といったような雇用管理改善、満足して働ける環境が整っているといった回答が出ておりますし、離職率についても、雇用管理責任者が選任されていると答えている事業所のほうが、平成30年度を除くと低くなっています。
 20ページです。雇用管理責任者の講習に関してです。講習における満足度調査を毎年実施しておりますが、70%以上満足しているのに対して、雇用管理責任者の選任状況は40%台で低迷しているということで、こちらは我々としては特に問題視しております。後ほど、次期計画の論点整理ということで示させていただきます。
 21ページです。外国人労働者の状況です。ここ最近、医療・福祉分野、特に社会保険・介護事業における外国人労働者自体が増えているところです。
 22ページです。外国人と一緒に働くことについて、例えば生活、習慣等の違いに戸惑いがある、コミュニケーションがとりにくいといったネガティブな回答ですが、実際に働いていない方のほうが、そのようなネガティブな回答する割合が多い一方で、職場に活気が出るといったポジティブな回答をしている方は、実際に働いている方のほうが多いといった結果が出ております。
 23ページです。現計画の実施状況です。こちらは適宜御覧いただければと思います。
 32ページです。次期計画策定に当たっての論点整理をさせていただきます。
 33ページです。介護労働の現状ということで、先ほど御説明いたしましたように、介護労働者の離職率は低下しております。一方でコロナ禍であっても有効求人倍率は高く推移しております。そして、介護の特徴ですが、施設系を中心に24時間体制が必要ということで、労働者が負担を強いられている職種であると。そして、労働者の多くが人手が足りないといったことや賃金面、精神的・身体的負担に不満を感じているということ。離職理由の上位としては、職場の人間関係、出産といったものが上位に上がっているということです。
 34ページです。次期計画策定に当たっての論点整理をさせていただきました。こちらは、雇用管理改善、能力開発、その他福祉の増進ということで、3つの項目に分けて書かせていただいております。
 次期計画の主な項目となる雇用管理改善ですが、上から2番目の課題についてです。先ほどの繰り返しになりますけども、毎年講習を実施しておりますが、雇用管理責任者の選任率が低調であるということ。その要因について検討したところ、こちらで考えられるものとしては、法律などにおいて、雇用管理責任者の役割が一切明確化されていないということ。それにより、各介護事業所において雇用管理責任者を選任することのメリットが、関係者にまだまだ理解されていないということ。また、我々の責任でもありますが、雇用管理責任者講習を実施した後、特にフォローアップをしていなかったことが問題点として挙げられると考えております。
 その下の現場の声、有識者等の意見です。次期計画を策定するに当たり、実際に現場で働いている方々、有識者に対して意見聴取をしたところです。現場の声を見てみますと、先ほどの調査のとおり、離職を考える要因としては、人間関係といったものが挙げられること、人手不足を感じるといった声か多いということ、雇用管理責任者がいることで働きやすい職場づくりにおいてメリットを感じるといった意見もありました。また、事業所からは、職員との面談、相談しやすい雰囲気づくりに努めているといったような事業所もある一方で、人手不足であり、雇用管理改善に取り組む余裕がないといった声もありました。
 また、有識者からは、小規模や創業年数の浅い事業所では、まだまだ労務管理が確立していない所もあるといったこと。介護従事者のメンタルヘルス対策は極めて重要であるということ。そして、雇用管理責任者へは、介護従事者の心身の状況把握と心身保持を担う役割、事業所内でコミュニケーションを取って、様々な課題解決に向けてリーダーシップを取って動ける方、そのような役割が求められるのではないかというような声がありました。
 そうしたことを踏まえて、一番下の論点ですが、介護職員のモチベーションを上げ、働きやすい仕事の環境を整えるための雇用管理改善施策、特に雇用管理責任者が事業所内で果たすべき役割を明記した上で、この雇用管理責任者が介護事業所で実際に機能するために、国と介護労働安定センターの間でどのような役割になるべきかを次の論点とすべきではないかと考えております。
 次に、真ん中の能力開発を御覧ください。現場の声、有識者等の意見を見てみますと、介護に関しての基本的な知識等は必要であるものの、やはりチームで動きますので、コミュニケーション能力といったものも非常に重要ではないかといった声や、介護職員の評価制度がまだまだ浸透していないといった声も頂いております。
 次に、福祉の増進(人材確保など)についてですが、課題としては、引き続き人材不足の状況にあるといったことが挙げられます。現場の声、有識者の意見としては、特に現場からですが、処遇改善、賃金アップが必要であるという声が圧倒的に多くありました。また、有識者からは、潜在介護福祉士の掘り起こし、また、介護職に関してのイメージ改善といったものも、これは国が相当に取り組むべきではないかといった意見ですとか、ICTや介護ロボットなどの最新の技術も出てきておりますので、それらの導入によって介護職員の業務効率化、負担軽減を図るべきではないかといった意見を頂戴しました。
 35ページです。雇用管理責任者の役割についての案をお示ししました。まず、やはり適切な雇用管理ということで、労働者の適切な配置、賃金制度の整備、人材育成といったものに取り組むほか、介護業の特徴を踏まえて、労働者のメンタルヘルス対策、特に労働者の悩みや不満に対応するなど、やりがいのある職場づくりに積極的な方、また、ICTや介護ロボットを導入することによって、職員の負担の軽減のために指導的な役割を担うといったことを求められているのではないかと考えております。
 その下の雇用管理者が機能するための役割分担の案として、まず厚生労働省としては、これまでどおり講習事業を実施し、選任を促したいと考えております。また、講習内容については、これまでの労働法の説明だけではなくて、マネジメント対策、メンタルヘルス対策ということで、マネジメント関係の講習といったものも適宜加えるべきではないかと考えております。
 介護労働安定センターですが、普段から介護事業所への相談援助事業等を行っております。その中で、介護を選任された雇用管理責任者が有効に機能するために適宜フォローアップを行うこと、また、訪問した所に雇用管理責任者がいなければ、雇用管理責任者の選任のメリットを説明した上で、雇用管理改善に向けて助言をする、そのような役割が求められているのではないかと考えております。
 それらを踏まえて、次期計画の骨子案を示させていただいております。37ページです。下線を引いている所が大きな修正点です。
 第4の雇用管理改善の基本となるべき事項についてです。まず、前文において、雇用管理責任者の必要性と、その役割について述べること。(1)で、厚生労働省において講習を実施し、(2)にて、センターが雇用管理責任者のフォローアップ等を行うといったこと、(3)で、これまでどおりセンターで雇用管理改善のための相談援助等を行う、そういう分け方を考えております。(6)ですが、先ほど外国人労働者が介護現場ではどんどん増えているといった説明をさせていただきましたが、外国人労働者の雇用管理改善のための取組についてまとめて記載するべきだろうということ。(7)、(10)ですが、6年前に比べ、働き方改革、ハラスメント防止対策といったことが法律改正等で強化されておりますので、それに対応する必要があること。また、委員の方からは、ハラスメント対策の中には、カスタマーハラスメント対策といったものも入れるべきといった御意見も頂戴いたしましたので、そちらの記載についてもしていく予定です。
 39ページです。その他の施策の基本となるべき事項ということで、人材確保等については、しっかり書く必要があると考えておりますが、一番下の労働者の健康の保持・増進で、新型コロナウイルス感染症拡大等で、介護現場においてもクラスターの発生等も起きているところです。一般的な記載になろうかと思いますが、職員の感染症防止対策についても、やはり触れるべきではないかと考えております。
 40ページ以降は、今の計画と新しい計画のそれぞれの項目について、新旧対照で示したものです。適宜御覧いただければと思います。私からは以上です。
 
○阿部部会長 ありがとうございました。それでは、本件について、御質問、御意見がございましたら御発言いただきますが、まず「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただければと思います。志賀委員、お願いいたします。
 
○志賀委員 志賀です。御説明ありがとうございました。日商が今年の夏に実施した調査で、人手不足に悩む中小企業の割合は36%と、コロナ前に比べて一気に低下いたしましたが、その中でも介護、看護に関しては66%と、大変深刻な状況が続いているところです。
 資料1の33ページ、34ページにヒアリングで得られた声が記載されていますが、人手不足やコロナ禍の中で介護従事者の皆様は日々奮闘されていることと存じます。こうした状況を踏まえて、次期計画の策定に当たっては、介護従事者のモチベーション向上に向けた職場環境の改善が重要ですので、雇用管理責任者の役割の明確化と選任の促進というのは妥当な方策であると考えています。
 一方、これらの措置だけで足りるということではありませんので、人材の確保と定着に向けた業界の魅力の発信やロボット等の活用による負担の軽減、生産性向上に向けた取組の促進、更には外国人材の受入増加や活躍推進など、採るべき方策は多岐にわたりますので、厚生労働省におかれましては、是非、関係省庁と連携して取り組んでいただきたいと思います。
 
○阿部部会長 ありがとうございました。春川委員、お願いいたします。
 
○春川委員 春川でございます。私からは意見です。先ほど御説明いただいた骨子案の38ページの(10)でして、ハラスメント防止対策を新規で盛り込むということは非常にすばらしいと捉えておりまして、御説明の中でもありましたが、ここは職場内でのハラスメントだけではなく、第三者からのハラスメントについても一定は考えていく必要があるのではないかということです。
 その中で、ハラスメントに対する目配りという部分で、今回メインとなる雇用管理責任者が担うべきかどうかという部分というのは、慎重な判断が必要ではないかとも思っていまして、介護現場でのハラスメント防止の体制を整えていくというような部分も含めて、今後の検討の中には盛り込んでいただきたいという意見です。
 
○阿部部会長 ありがとうございました。桑村委員、お願いいたします。
 
○桑村委員 私からは基本的な部分での確認が2点と、意見が1点です。
 資料1の通し番号18に、雇用管理責任者の状況についての調査結果が示されています。ここでいう雇用管理責任者に関するデータは、このような名称の責任者が選任されているかどうかの結果と見るべきなのか、それとも注で示されているような、この責任者が果たすべき役割を果たしている者であれば、どのような名称であれ、この結果に反映されていると見るべきか、これがまず1点確認です。
 お話の中に、雇用管理責任者が果たすべき役割が明確でないということがありました。次の19ページを見ると、雇用管理責任者を選任している方が離職率が低く、メリットが大きいというデータになっていますが、そもそも何を行う人が雇用管理責任者なのかが曖昧なままの調査結果ですと、本当に実態を反映しているのか、選任した方が大きなプラスになるのかは、もう少し慎重なデータ分析が必要だと思います。これは意見なのですが、雇用管理責任者を選任した後の効果に関しては、今回役割を明確にした後で、もう一度調査を行い、その結果を見る方が適切かなと考えています。
 最後にもう一点確認です。通し番号の35に雇用管理責任者の果たすべき役割を整理したスライドがあります。上にある「適正な雇用管理」の下に3つポツで示してありますが、この3つの項目の全てを役割として担っていること、かつ右側にある「特殊性を踏まえたやりがいを持てるような職場づくり」の下にも2つポツがありますが、これも両方ともやっている人、つまり、ここで挙げられている全てを役割として担っている人を雇用管理責任者として定義されるのか、それとも、それぞれの項目でどれか1つ該当すれば、雇用管理責任者という名称を付与してよいということになるのか、その辺の定義の確認についてよろしくお願いします。
 
○阿部部会長 御質問ですので、事務局からお願いいたします。
 
○介護労働対策室長 志賀委員から頂きました件については、どちらもしっかりと検討してまいります。
 春川委員からの意見ですが、職場でのハラスメント防止対策につきましては、人間関係等で辞めていかれる方も多いということなので、そういったことにも目配りできるような形の雇用管理責任者というものを想定しております。
 桑村委員からの御質問の件です。
 最後にあった質問ですが、我々のイメージとしては、35ページに書かれている項目を全てやる方というのを想定しております。ただ、介護事業所においても小さな所から大きな所まであると思っています。例えば、大きな所で1人の人が全てやるというのも多少難しいかと思いますので、そういった所では複数人が雇用管理の役割を担う人を置いて、事業所内で機能を果たせるようにするといった形の選任をしてもらえればと思っていますし、そちらについても厚労省と介護労働安全センターの訪問事業の中で、事業所規模に応じてやっていければと思っております。
 最初の御質問の雇用管理責任者の調査についてです。雇用管理責任者を設置しているかというような聞き方ではなくて、18ページの下の注にあるような雇用改善への取組、相談の対応、管理業務を担当する者は事業所内にいるかという形で聞いたものです。
 
○志賀委員 結構です。ありがとうございました。
 
○阿部部会長 仁平委員、お願いします。
 
○仁平委員 連合の仁平です。私からは介護現場の人員体制という視点から、幾つか意見を申し上げたいと思います。
 介護報酬改定に向けた社会保障審議会における検討の中では、認知症グループホームの夜勤の職員体制の緩和など、一定の条件の下で従来より少ない人員配置とすることを可能とするような方向で議論されています。ただ、資料の15ページのとおり「人手が足りない」という不満が多いことや、実際に現場からも「満足に休息を取ることが難しい」という声が聞かれることを踏まえると、必要な人員の確保が雇用管理の改善計画のベースにあるべきだと考えます。37ページの、「第3 計画の目標」の1点目に「一層の職場定着を図る(離職率)」が掲げられていることからしても、「人手が足りない」といった不満の解消も含めた対応が必要なのではないでしょうか。
 39ページの「第5 人材確保」の1つの項目に、「シルバー人材センターの活用」と記載されております。センターの活用というのは、シルバー人材センターを経由した派遣労働者の受入れという理解でよいのか、お聞かせください。
 また、介護分野では、ボランティアを活用している事業所も多いと伺っております。その一部の業務を担っていただいているボランティアの確保についても、この計画の「人材確保」に含まれるのかどうか、現時点でお考えがあれば聞かせください。
 
○阿部部会長 御質問がありましたので、事務局からお願いいたします。
 
○介護労働対策室長 雇用管理改善計画なので、配置の基準とか報酬についてはなかなか書きづらいところは御理解いただければと思います。
 今の計画では、介護補助業務を受託することが、介護業務に専念できる職場づくりに寄与することから、シルバー人材センターによる介護補助業務の取組を支援するという形で記載しておりますので、今回もそのような書きぶりを予定しております。ボランティアの活用についても、また本文を書く際には検討させていただければと思っております。
 
○阿部部会長 仁平委員、よろしいですか。
 
○仁平委員 計画の本文が提示された際には、その書きぶりなども拝見しながら、また改めて意見を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 
○阿部部会長 紺谷委員、お願いします。
 
 〇紺谷委員 私からは、雇用管理責任者に関する論点整理、34ページの論点整理の所について意見を申し上げます。34ページの論点整理に直近のヒアリングの結果が記載されているわけですが、前回の介護雇用管理改善計画の策定時点と比較した場合の意識調査結果等の変化とか、その間に講じられてきた施策の内容を含めて整理していただく必要があると考えます。
 そうした整理を踏まえて、35ページにある「適正な雇用管理」の中の「労働者の適切な配置」、「適切な賃金制度や評価等の処遇」、「多様な人材の技能向上」といった役割、先ほどの桑村委員からの発言と被ってしまうかもしれませんが、この3つの役割について、果たして雇用管理責任者が担うという方向性でよいかどうかという議論がなされることが望ましいと考えております。意見です。
 
○阿部部会長 ありがとうございました。御意見として承りました。それでは、中澤委員、お願いします。
 
○中澤委員 全国中央会の中澤です。幾つか質問させていただきます。6ページ目ですが、今後、2025年度末には245万人の需要となるという非常にショッキングなデータが出ており、これに対応するためには年間6万人程度の介護人材を確保する必要がありますが、この中の介護人材の内訳、施設職員あるいは訪問職員といったような区分した数があれば、教えていただきたいと思います。
 それから、14ページに介護人材の現在の仕事の満足度というのが出ていまして、仕事の内容、やりがいの満足度が示されております。ある意味で、仕事の内容、やりがいについては、かなり高くなってきているという理解をしております。
 それから、33ページに介護労働の現状が書かれておりまして、その2つ目のポツに「職員4名以下の零細事業所は少なく」と書かれているのですが、ほかのデータを見ますと、その辺の割合について、必ずしも零細事業所自体が極端に少ないというような状況にはないのではないかと思っています。できるだけ、零細事業所自体で対応ができる対策が望まれているのではないかと思っている次第です。
 
○阿部部会長 ありがとうございます。御質問がありましたので、事務局からお願いいたします。
 
○介護労働対策室長 介護人材の必要数についてですが、手元では施設、訪問別まではつかめておりません。
 
○阿部部会長 中澤委員、よろしいですか。
 
○中澤委員 ありがとうございました。
 
○阿部部会長 境田委員、どうぞ。
 
○境田委員 本計画改定の内容に関わることではないのですが、実効性の観点から1点意見を述べさせていただきます。本改定もせっかく有意な改定を行ったとしても、認識されないと実効性を欠くものになってしまうかなと思っておりまして、本日、事務局から御説明いただいた資料の中にもありましたが、多くは中小の事業者であるという辺りも踏まえまして、実効性の向上という観点から、周知方法などについても是非御検討いただきたいと思っています。
 
○阿部部会長 ありがとうございます。御意見として承ります。玄田委員、お願いいたします。
 
○玄田委員 玄田です。皆さんの御意見と大分重なる部分があるのですが、いわゆる雇用管理責任者関連で大きく2つの意見を申し上げます。まず、資料全般から押さえておくべきは、介護労働の現状について様々な課題はありながらも、一定の改善傾向は見られるというところは、しっかりと押さえておくべきではないかなと。勤続年数しかり、離職率しかり、全く今回の計画がうまくいかなかったわけではないということです。
 ただ、やはり気になるのは、20ページの雇用管理責任者を選任している割合は50%で、全くクリアできなかった。もっと言えば、むしろ割合が大きく減りつつあるということに関して、きちんと総括をしなければいけないわけです。もともと雇用管理責任者の問題がクローズアップされたのは、先ほどの桑村さんの話にも関係しますが、基本的な労働条件がちゃんと認識されていない職場がたくさんあるのではないかと、非常にセットアップがある意味しやすい業態であるだけに、まず事業を始めることが中心になって、雇用管理や労務管理が二の次、三の次になっている所が、比較的規模の小さな所で進んでいるとすると、本当に基本的な労働条件を押さえるところがまだまだできていないと。その規模の問題も関わってくるので、できれば雇用管理責任者の問題で先ほど来出ている事業所規模、本当は企業規模が一番いいのでしょうけれども、データが取れないので、事業所規模の分類などもして、なぜ全く目標が達成できなかったのかということの総括を是非お願いしたいと思います。
 2点目に関わってくるのですが、労働条件の基本的なことがちゃんと定義できるということは、雇用管理責任者にもともと求めていたものだと思うのですが、先ほど来出てきている35ページの求める全てを見ると、とても高いものを要求しています。基本的な労働状況を知っているのであれば、雇用管理責任者と言えるレベルではなくて、むしろ、ある意味ではキャリアカウンセラーとかキャリアコンサルタントでもなれるとか、管理職ぐらいのものを求めているようにすらも感じます。もし、それが今回の現時点での計画に含まれているならば、とてもこんなにしんどい雇用管理責任者みたいなものならば、私は無理だとか、むしろ事業所とか従業員に対して、管理責任者になることが無理という負担感を植え付けている可能性もなかったのだろうかと思います。だとしたら、それに更に輪をかけるということになるとすれば、ますます管理責任者が足りないという状況に拍車が掛かってしまいます。
 そこで、今後の対応策の提案なのですが、どうしても介護労働というのはアナログといいますか、人手があってこその業種ということだと、我々自身が前提条件とさせすぎているので、むしろこれからの介護労働に関して、どういうデジタルサポートができるかということも、論点としては是非考えていただきたいということです。昨日発表された雇用政策研究会の報告の中にもあるように、これからの雇用政策はあまねくデジタル化をできる部分を推進していくというところが非常に重要な論点になるはずで、この計画とも決して無関係ではないと思います。もっと具体的に申し上げるとするならば、雇用管理責任者になった人が日々悩むのは、定期的な講習会で解決できる問題ではなくて、日々直面する様々な問題、こういうケースはどうすればいいのだろうという、法律や実態も含めオンラインで相談できるような体制ができたとするならば、随分と負担感は変わってくるかもしれないわけです。もっと言えば、雇用管理責任者がいない事業所でも、介護労働者自身がオンラインでいろいろな状況を相談できるような体制があれば、また随分違ってくる可能性があります。次の計画も講習を実施するとか、定期的なレクチャーをするというような、従来どおりというか、旧態依然といってしまっては失礼かもしれませんけれども、根本的な解決策になる匂いがしません。むしろ、こういう業態であるからこそ、デジタル的なサポート、オンラインによる相談のようなことで、日常的に労働条件を改善できるような環境と、キャリアカウンセリングのできるような両面の体制みたいなことを考えていくということも、是非検討に入れていただきたいというのが私の意見になります。
 
○阿部部会長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。新田委員、お願いします。
 
○新田委員 今回、計画骨子案の中で、雇用管理責任者に焦点を当てたということは、私も非常に良いことではないかと思っています。その上で質問と意見を申し上げます。
 今回、様々な問題があると思っていますが、大きく2点あると思っています。1つは雇用管理責任者についての認知度が非常に低いということです。資料の通し番号18で、認知状況は事業所調査でさえ、「名前だけは聞いたことがある」というのが36.7%、「初めて聞いた」が2割ぐらいです。ここに関して質問ですが、これは事業所調査ですが、労働者調査の数字があれば、教えていただきたいと思います。恐らく、事業所調査よりも更に認知度は低いのではないかと思っております。
 そういたしますと、まず、この認知度を高めていくということと併せて、もう1つは雇用管理責任者を設けることによって事業所に対してどういうメリットがあり、雇用管理責任者になった方にとってどういうメリットがあるのかというのが、非常に見えづらいのではないかと思います。今回の資料の中では、雇用管理責任者を置いている事業所において、こういうメリットがあったという、結果としてのメリットはいろいろと示されていますが、メリットをもう少し目に見える形で分かりやすく記述した部分が必要なのではないか、あるいは雇用管理責任者を設置することによって、設置した時点で何かしらメリットがあるということであれば、その点をしっかりと言及する必要があるのではないかと思っています。
 もう1つ質問ですが、通し番号24ページ、第3の4に雇用管理責任者の選任を促すという項目があるのですが、そこを見ている限り、選任を促すというのではなくて、具体的な方策がここには示されておりません。どういったことに取り組まれているのかということを御紹介いただくとともに、骨子の中においても、どういった形で選任を促すのかということについて、具体的な方策をきちんと書いておく必要があるのではないかと思っています。繰り返しになりますが、骨子の中に2つの柱としてもう少しきちんと書くべきと思っていることについては、1つは認知、周知の方法をより具体的に書くということと、メリットについてもう少し分かりやすく書くべきではないかということを、意見として申し上げておきたいと思います。
 
○阿部部会長 ありがとうございました。質問がありましたので、事務局からお願いいたします。
 
○介護労働対策室長 同じペーパーの4に、雇用管理責任者の有無ということで、労働者に対して調査をしたものがございます。自分の勤めている所に雇用管理責任者がいるかいないかということです。「いない」、「わからない」と答えた方が60%以上いらっしゃいましたので、認知度はさほど上がっていなかったというところです。
 また、メリットというと、人材確保等支援助成金の受給対象として、雇用管理責任者を選任しているという要件があることはあるのですが、認知度が低い要因としては、繰り返しにはなりますが、介護労働者法の中で雇用管理責任者がどういった役割を担うべきなのかといったような定義がなかったというのが、1つの要因かと思っています。一方で、建設労働や港湾労働については、こういう役割を担って事業所に付けなければいけないという義務規定のようにはなっているのですが、介護とは環境が違いまして、なかなか義務化までは現時点では難しいだろうとは思いますので、その中で雇用管理責任者を中心とした雇用管理改善を図っていくという方向で、次回、計画を何かしら打ち出せればとは思っております。
 
○阿部部会長 よろしいですか。
 
○新田委員 最初の質問は、18ページの所で、自分の事業所に雇用管理責任者がいるかいないかについてではなくて、雇用管理責任者というものについて知っているかについて、労働者に対して行った調査があるかという質問なのですが、その点はいかがでしょうか。
 
○介護労働対策室長 そのような調査項目はないです。
 
○新田委員 分かりました。
 
○阿部部会長 本日、委員の皆様から貴重な御意見がございましたので、事務局は本日の御意見を基に資料等の準備をしていただいて、次回更に議論をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次の議題に移ります。次の議題は「現下の外国人雇用の状況等について」です。これは、9月25日に開催された前回の部会において委員より頂いた御意見を基に、外国人雇用対策課で追加でデータを準備していただきました。そこで、資料がありますので、事務局より説明をお願いいたします。
 
○外国人雇用対策課長 外国人雇用対策課長の石津でございます。よろしくお願いいたします。資料2でございますが、大きく3つの項目についてデータを整理いたしました。1つ目は前回提出しました外国人の求職者に関してデータを更新、アップデートしたものです。2番目は外国人に向けた求人に関するデータ。3番目は外国人の賃金に関するデータを整理しましたので、今回御報告させていただきます。
 まず、外国人の求職者の状況についてです。スライドの3ページを御覧ください。これは前回の提出したものの更新版ですが、ハローワークにおける外国人新規求職者数の推移でございます。アップデートした部分を中心に簡潔に説明させていただきます。直近3か月、8、9、10月のデータを追加いたしました。6月に前年同月比1.9倍で、ハローワークに来る外国人新規求職者数が大変多くなっておりましたが、その後減少傾向を続けております。
 4ページを御覧ください。これは、今回初めて提出するものでございますが、外国人について、新規ではなくて、有効求職者数も取ってみました。6月から急激に上昇して、8月に前年同月比1.83倍になっておりましたが、徐々に減少を始めたところです。
 5ページを御覧ください。これはアップデートでございます。一般というのは日本人でございます。前回、日本人と外国人の就職率の推移に関する資料を提出しましたが、これも直近3か月のデータを追加いたしました。引き続き、持ち直しの傾向を見せています。
 6ページです。これは、外国人の就職率を在留資格別に分解したものです。永住者の方、日本人配偶者等の方については20%近くまで就職率が戻ってまいりました。定住者については9月に13.0%を付け、その後12.2%に若干落ちていますが、年頭の水準と比較するとそれほど悪くないのではないかというところです。専門的・技術的分野、緑色の折れ線ですが、こちらも5月に4.1%という非常に低い就職率ですが、その後は徐々に右肩上がりで戻ってきております。
 7ページを御覧ください。今回初めて留学生の新規求職者数についても集計をしてみました。留学生の新規就職者と申しますのは、日本の学校を卒業した後に日本の企業で専門的・技術的分野での在留資格で就職したいという方です。アルバイトではございません。この留学生の新規求職者数ですが、4、5月の緊急事態宣言の時期には前年同月比で0.2%まで落ち込みましたが、8月には前年同月比を2倍を超えるまで急上昇しました。その後減少して、直近の10月はほぼ前年同月並みとなっております。
 留学生について、念のため有効求職で見たものが8ページでございます。谷の底やピークの時期は1か月ずれておりますが、6月に前年同月比で0.4倍まで減少、9月は前年同月比1.6倍まで上昇した後、10月に1.4倍と少し減っているという状況です。
 次に、求人のデータについても整理をしてみました。10ページを御覧ください。ハローワークには、外国人向けの新規求人というものが出されることがあります。ハローワークで求人を受理する際ですが、事業主の方から明示的に外国人向けであるということをおっしゃっていただいて、その旨を把握した求人です。1月から3月、年の頭は前年同月とほぼ同じでしたが、4月から外国人向け新規求人の数が急落しまして、その後は前年同月比で3割程度減少いたしまして、前年同月比7割程度で推移してきています。直近の10月のデータでは、前年同月比4割減となっておりまして、かなり厳しい状況が続いております。
 次に11ページですが、これは新規ではなくて、有効求人で見た場合の推移でございます。ハローワークにおける外国人向けの有効求人の推移を見ますと、新規求人のグラフと比べて、ややなだらかな形になっておりますが、年頭から5月にかけて徐々に減少しておりまして、5月以降は前年同月と比べて3割程度低い状態で推移しております。
 12ページを御覧ください。外国人向けの有効求人について、専門的・技術的分野の外国人の方に向けたものを取り出しまして、職業別の内訳を見たものです。専門的・技術的な職業は研究や開発、情報通信の専門家の職業ですが、専門的・技術的な職業、サービス、生産工程、建設・採掘、販売の順に職業が多くございます。本年5月以降、専門的・技術的職業の比率が減少し、サービス、生産工程の比率が増加している状況です。
 13ページを御覧ください。これは外国人向け求人のうち、専門的・技術的分野以外の在留資格の外国人に向けた有効求人の推移です。これについては、サービス、生産工程、運搬・清掃等、保安、建設・採掘の順でございますが、本年5月以降、サービス、運搬・清掃等が減少し、保安や建設・採掘が増加しているという状況です。
 14ページを御覧ください。これは、ハローワークにおいて外国語を使用する求人の数を集計したものです。外国語使用求人と申しますのは、ハローワークの窓口で事業主の方から求人をお出しいただいたときに、明示的に業務で外国語を使用すること、あるいは日本語を話せなくても大丈夫ということを把握した求人です。この外国語使用有効求人については、今年の1月から前年同月比で一貫して減少しておりまして、今年の7月には前年同月比6割減、前年同月の4割程度になっております。その後は横ばいで推移しております。専門的・技術的分野のうち、国際関係、外国語を使う業務の求人が大幅に減少していることを表していると受け止めております。言語別に見ますと、色分けしておりますが、英語、中国語、韓国語の求人が多かったのですが、いずれも減少しております。
 15ページを御覧ください。ハローワークで受け付けた外国語使用有効求人について、それを職業別に内訳を見たのが15ページです。専門的・技術的職業、事務的な職業、サービス、販売、輸送・機械運転の順に数が並んでおります。5月以降、専門的・技術的、輸送・機械運転の比率は増加し、サービス、販売の比率が低下しております。求人については、この外国人向けの、外国語使用有効求人については、全ての職業について、大幅に減少しておりますが、特にこのサービス、販売といったインバウンドに関わる職業の減少率が大きくなっています。
 最後3点目ですが、外国人の賃金について説明させていただきます。昨年の7月に実施し、今年の春に公表した賃金構造基本統計調査について、昨年7月に実施した調査で初めて、労働者について外国籍である場合はその在留資格を記載していただくという調査項目を設けておりました。そのため、今回初めて外国人の賃金について、在留資格別にデータを整理することができました。これは既に、厚生労働省のホームページ、それから統計局の統計データのホームページに公表されているものですが、それについて改めて整理したものです。
 17ページを御覧ください。左側のグラフは外国人労働者が過去10年間で2.5倍に増加していることと、身分に基づく方、技能実習、専門的・技術的分野が大きい割合であるということを示しているグラフです。右側が賃金に関するグラフです。外国人労働者の年収、これは「所定内給与×12+賞与」ということで、ここでは年収と呼ばせていただきますが、外国人労働者の年収は勤続年数に伴って上昇していくことは間違いないのですが、そのトレンドあるいは水準については在留資格によって大きく異なるところです。右側のグラフで、外国人全体は赤の点線ですが、身分に基づく在留資格である青の実線は全体平均より賃金水準が低いという傾向が見て取れます。
 18ページを御覧ください。在留資格は様々ありますが、身分に基づく在留資格の外国人についての年収、それと一般労働者、この一般労働者と申しますのは日本人、外国人を通じた労働者ですが、この年収の比率を比較いたしますと、身分に基づく在留資格の外国人の多くが従事している製造業やサービス産業(他に分類されないもの)においては、一般労働者全体の年収を常に下回ること、そして勤続年数が増すに従って全体平均との差が開いていくという傾向が見て取れます。特に、製造業を取り出してみますと、右側のグラフですが、この年収のトレンドについて、これは日本人、外国人通じてですが、それぞれの企業において正社員ではなく、かつ、期間の定めのある労働契約で働いている方の年収のトレンドとほぼ一致いたします。すなわち、身分に基づく在留資格の方で製造業で働いている方というのは、働き方が恐らくは正社員以外で有期、非正規雇用であって、そうなりますと、これらの方に対するハローワークでの支援としては、安定雇用の転職支援を重点的に行う必要があると考えております。
 次に19ページを御覧ください。これは専門的・技術的分野の在留資格で働いている外国人の方の年収について、これは日本人、外国人通じてですが、大卒の労働者の年収の平均と比率を見たものです。左側のグラフです。専門的・技術的分野の方の年収ですが、平均では大卒との年収と遜色はございません。しかし、そのうち専門的・技術的分野の13%を占める宿泊・飲食サービス業について着目いたしますと、その年収は勤続年数に応じて低下してまいります。この宿泊・飲食サービス業の年収のトレンドを右側で見ますと、大卒で、かつ、それぞれの企業で正社員ではないという扱いを受けており、かつ、労働契約に期間の定めがある方の年収のトレンドと推移は非常に似通っています。他方で、数十万円高い水準を推移しております。恐らく、これは外国語を使うことによる手当などが月数万円あり、それが年間で20、30万円の差を生んでいるのではないかなと思われるところです。宿泊・飲食サービス業については、コロナの影響を受けて求職は増加しております。この方たちに対する支援としては、専門的・技術的分野というのは、その専門性、技術の専門性の範囲内しか就職ができませんが、在留資格上の制限、制約に留意しつつも安定的な雇用への転換、あるいは他の職種への転換というものをハローワークで支援していかなければならないと考えております。
 20ページは、その前の2枚のスライドで申し上げたことをまとめたものです。
 21ページ、コロナウイルスの影響の下で、外国人の労働者の雇用に大きな影響が出ています。出入国在留管理庁においては、今回様々な特例的な在留資格というものを出しまして、我が国に残って就職する道を開いているところです。この在留資格の特例については、種類が多く、かつ頻繁に見直しがされておりますので、私ども職業安定局外国人雇用対策課において、この在留資格の取扱いの変遷をきちんと整理いたしまして、全国のハローワークへこの資料を示し、これまで見たことのないようなタイプの在留資格を持った外国人労働者の方、求職者の方が現われても、遺漏なく対応するように指示をしたところでございます。以上です。
 
○阿部部会長 ありがとうございました。大変申し訳ないのですが、本日予定していた会議の終了時刻をちょっと超過しているところです。ただいま御説明いただいた資料について、御発言がありましたら手短にお願いしたいと思いますが、何か御質問や御意見ございますでしょうか。あれば、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきたいと思います。では、仁平委員、お願いします。
 
○仁平委員 9月の部会を受けて、今回新たに求人や賃金のデータも含めて示唆に富んだ情報提供を頂いたことに、まずもって感謝を申し上げたいと思っております。その上で、改めて提示していただいた求人についてなのですが、データの分析もしていただいておりますけども、明示的に外国人向けであるものや、業務で外国語を使用するものが、このコロナの影響で、減少から回復に至るまでにはまだしばらく時間を要するのかということだと思います。ただ、一般向けの求人も含めて、ハローワークとしてはマッチングを進めていくのだと思っております。その際に、業務上必要となるレベルを上回るような日本語能力を企業が求めることのないように、求人をする際に御指導も頂けたらよいのではないかというのが1つです。
 もう1つ、賃金についても新たに分析を頂いて、いずれの在留資格の外国人も、正社員以外で有期雇用の方が中心なのではないかと推察されるような分析だったのかと受け止めております。20ページに、その結論として、必要な支援策ということで取りまとめいただておりますが、そのとおりだと思います。安定雇用に向けた支援、制限を受けない外国人については転職支援を進めていくことは、私もそのとおりだと思いますので、是非ともこういった支援に取り組んでいただきたいと思っております。加えまして、資料には記載していないのですが、無期転換の支援という点についても、厚労省内で横断的に取り組んでいく必要があるのではないかと思っておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。以上です。
 
○阿部部会長 御意見ありがとうございました。事務局から何かありますか。特によろしいですか。
 
○事務局 はい。
 
○阿部部会長 それでは、志賀委員、お願いします。
 
○志賀委員 志賀です。簡単に、雇用安定の取組に対する要望に関して発言させていただきます。コロナショックで、先ほど15ページでの御説明にもありましたが、インバウンドや観光関連など、小売業やサービス業での影響が深刻になっている中、外国人の雇用状況についても非常に大きな影響があると思います。ただ、コロナ終息後を見据えますと、全体として人手不足の状況が続くと思いますが、産業構造自体が変化していることが考えられますので、日本人と同様に、外国人に対しても雇用吸収力のある産業や成長分野への、いわゆる失業なき労働移動を円滑に進めていくことが重要です。
 加えて、先ほどハローワークもかなり利用されているようには感じましたが、やはり日本人と比べて、外国人は活躍できる産業や業種が限定されると思いますので、ハローワークや民間の職業紹介などマッチングに資するサービスの利用経験の乏しさをカバーするような形で、日本人以上に雇用安定に向けた取組を講じていく必要がありますので、引き続き、外国人の雇用状況や労働環境を注視して対策を講じていただきたく思います。以上です。
 
○阿部部会長 御意見ありがとうございました。ほかに御発言のある方いらっしゃいますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題3の「その他」です。事務局からお願いします。
 
○総務課長 総務課長の蒔苗です。参考資料2を御覧ください。御報告案件です。押印を求める手続の見直しのための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令の御報告です。参考資料の8ページ目に省令案の概要を付けております。
 本件は、もともと7月に閣議決定されました規制改革の実行計画を踏まえて、所管する政省令において、国民や事業者等に対して押印を求めている手続について、その押印を不要とする改正を行うものです。本省令において、この基本問題部会との関係では、9ページに赤枠で囲んでありますが、労働施策総合推進法、同じく高年齢者雇用安定法、11ページに建設労働者法、同じく11ページに港湾労働者法の施行規則とそれぞれ書いてあり、これらの部分についての申請様式に係る押印の見直しを行っております。
 これらの省令については、本来、各部会ごとの審議事項ということになるわけですが、時間的な制約もありましたし、各部会においても専門的に政策的に議論していただくというよりは、むしろ分野横断的に対応が求められるものであったために、阿部分科会長とも相談いたしまして、各部会での御審議を求めるのではなく、安定分科会において一括の審議とさせていただいた上で、各部会にはその結果を御報告するという扱いにさせていただいております。安定分科会において御審議いただいた結果について、1ページに戻り、労働者代表の方からは、押印見直し省略によって、現場のトラブルが増えることのないよう配慮してほしいという御意見を頂きましたが、11月20日付けで、労政審より厚労省案が妥当であるという答申を頂いているところでして、本日御報告させていただきました。
 なお、これらについては、本日公布・施行されておりますので、併せて御報告いたします。以上です。
 
○阿部部会長 委員の皆様から何か御発言ございますか。よろしいですか。それでは、一応これで、こちらで準備した議題は以上となります。最後に、次回の部会の日程等について、事務局から説明をお願いします。
 
○介護労働対策室長 次回の労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会については、令和3年1月22日金曜日の開催を予定しております。詳細については、事務局から追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いします。
 
○阿部部会長 よろしくお願いします。それでは、予定されている議題は以上で終了しましたので、本日の部会はこれで終了いたします。
 なお、労働政策審議会運営規程が本日改正され、議事録の署名が廃止されることとなりました。ついては、本部会より、議事録署名人の指名は行わないことといたします。時間終了が延びまして大変御迷惑をお掛けしました。本日はどうもありがとうございました。