第74回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和2年10月16日(金)13:00~15:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E(14階)
(東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング)

議題

  1. (1)会長の選任等について
  2. (2)第3期がん対策推進基本計画と中間評価の実施について
  3. (3)がん予防分野の中間評価について
  4. (4)その他

議事

議事内容
○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第74回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課がん対策推進官の岩佐と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、初めに、局長の正林より御挨拶を申し上げます。
○健康局長 皆さん、こんにちは。健康局長をしております正林と申します。どうぞよろしくお願いします。
まず、大変お忙しい中お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。また、今回は、前回が昨年の6月とのことで、大分間が空いてしまって、大変申し訳なく思っております。今回は委員の皆様の半分ぐらいが交代されて、新しい委員の方が多数いらっしゃいます。これまで継続されていた方は、今後とも継続のほどよろしくお願いします。また、新しく就任された方は、ぜひ忌憚のない御意見をいただけたらと思っております。
私自身もつい数年前までは隣にいる古元課長の前任の前任の前任ぐらいですが、がん対策・健康増進課長をしておりまして、この協議会の運営に関わってまいりました。その後、健康課長として健康増進法の改正とかたばこ対策もやってまいりましたし、もっと遡ると、若い頃、生活習慣病対策室で室長補佐をしていて、そのときは健康増進法の策定作業をしていましたが、当時はその室の中でがん対策も併せてやっていましたので、それこそ第3期の対がん10カ年戦略の策定もやっていましたし、がん診療連携拠点病院構想を打ち出したタイミングでもありました。様々な場面でがん対策に関わってまいりました。今度局長として就任して、再度このがん対策に取り組んでまいりたいと思っています。さらに言うと、中釜先生がいらっしゃるので、去年の夏まではがんセンターで理事長特任補佐として中釜先生御指導の下に仕事をしていましたので、深く深くがん対策に関わってまいりましたので、よろしくお願いします。
さて、全く新しく就任された方もいらっしゃいますので、経緯というか、簡単にこれまでのことをお話しします。平成30年3月に閣議決定された第3期のがん対策推進基本計画、がんの予防、がん医療の充実、がんとの共生を3つの柱として、がんの研究やがん教育などを支える基盤としています。その計画に基づき幅広くがん対策を推進しているところであります。
本協議会は、がん対策基本法に基づき置かれているものであります。がん対策推進基本計画の案を作成しようとするとき、意見をいただくものであります。委員の皆様には計画の実施、評価及び今後求められる課題等について適宜御意見をいただき、我が国におけるがん対策をよりよいものとしていただく、そういう役割を期待されております。
前回までの協議会において第3期の基本計画の評価指標をお決めいただき、研究班による調査などを行ってまいりました。今回からは各評価指標に基づき、中間評価に関する御議論をいただきながら、併せて今後必要な対策について御意見を賜りたいと考えております。がん対策のさらなる推進に向けて、皆様の活発な御議論をいただきますようお願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。
どうぞよろしくお願いします。
○がん対策推進官 ありがとうございました。
なお、正林局長は公務のために途中で退席をさせていただくこととなっております。
引き続きまして、会長が選任されるまでの間、進行を務めさせていただきます。
委員の皆様方の御紹介をさせていただく前に、1点事務局から御提案をさせていただきたいと思います。前回まで本協議会の委員をお願いしておりました西口洋平委員が、5月8日に御逝去されたというところでございます。そこで、哀悼の意を表しまして黙祷をささげたいと考えております。御賛同いただける委員の皆様方は御起立のほどをお願いいたします。
それでは、西口洋平委員の御霊に哀悼の意を表しまして、黙祷。
(黙祷)
○がん対策推進官 それでは、お直りください。御協力のほどありがとうございました。
それでは、引き続きまして、委員の皆様方の御紹介をさせていただきたいと思います。恐縮ではございますが、お名前を呼ばれた際に、会場の方は御起立いただきまして一言挨拶のほどお願いいたします。なお、今回ウェブにて御参加されている委員もいらっしゃいます。よろしくお願いいたします。各委員30秒程度の自己紹介をよろしくお願いいたします。
まず、NHKの専門解説委員でもございます飯野奈津子委員でございます。
○飯野委員 NHKの飯野でございます。よろしくお願いいたします。
情報を伝えるマスコミの立場とともに、ここ5年ほどの間に私も含め家族5人ががんにかかりまして、患者・家族の立場としてもがん対策について思うところをお話ししていきたいと思います。勉強もさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、東北大学大学院医学系研究科臨床腫瘍学分野の教授でございます石岡千加史委員です。
○石岡委員 石岡でございます。
私は、前任の南博信、日本臨床腫瘍学会の理事長の後任としてこのたびこちらの委員会に入れさせていただいたと理解しております。専門は腫瘍内科学で、37年間腫瘍内科学一本でやってまいりました。私どもの学会は、進行がん患者の主にがんの薬物療法、抗がん剤治療を専門に取り組んでおります。そういった視点で皆様のお役に立てればと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○がん対策推進官 続きまして、九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野の教授でございます大賀正一委員でございます。
○大賀委員 九州大学小児科の大賀と申します。
日本小児血液・がん学会の理事長を6月末に拝命しまして、前任の檜山英三先生、それから細井創先生に続きまして私がこの役割をお受けさせていただきました。私自身は小児血液、免疫、腫瘍に関することが専門でございまして、臨床医としても造血細胞移植を多く経験している者でございます。胚細胞の異常を含めまして、がんゲノムが現在問題になってきておりますけれども、臨床に取り入れられまして、私どもが向かう方向性をいろいろ勉強させていただければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○がん対策推進官 続きまして、今、来られたばかりで恐縮でございますが、小児がん経験者の会のFellow Tomorrowのメンバーの池田真実委員、お願いいたします。
○池田委員 すみません。遅くなりました。小児がん経験者の池田と申します。
今回すごく大きなお話をいただいて、私自身、とても戸惑っているのですけれども、皆さんのお力をお借りして自分のできることをやらせていただこうかなと思ってここに来たのですが、自分にどこまでできるか分からないのですけれども、精いっぱいやらせていただきますので、皆様、どうぞよろしくお願いします。
○がん対策推進官 続きまして、特定非営利活動法人キュアサルコーマ理事長、一般社団法人日本希少がん患者会ネットワーク副理事長、大西啓之委員でございます。
○大西委員 NPO法人キュアサルコーマの理事長をしております大西と申します。
成人の軟部肉腫の患者会の代表をしております。私自身は患者遺族で、家内が25歳のとき、今で言うAYA世代のときに罹患し、その後結婚、妊娠・出産を経て、娘が7歳のときに亡くなってしまいました。彼女が40歳のときでした。その娘ももう22歳になります。
それとは別に日本希少がん患者会ネットワーク、17の希少がんの患者団体と30人ぐらいの患者会もないような希少がん患者さんが入っている連合団体の副理事長もさせていただいております。今日は希少がんという立場、患者会の立場として発言させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、日本社会事業大学社会福祉学教授でございます小原眞知子委員でございます。
○小原委員 皆様、こんにちは。初めまして。日本社会事業大学の社会福祉学部の小原眞知子と申します。よろしくお願いします。
この日本社会事業大学は、戦後GHQと元の厚生省がつくった大学で、厚労省の委託の大学になっております。こちらで私は医療福祉を教えておりまして、特に医療ソーシャルワーカーの方々、社会福祉士の養成に携わっております。また、日本医療社会福祉協会という5,000人ぐらいの団体があるのですが、医療ソーシャルワーカーの方々の団体の理事をやっております。現在、がん相談支援センターに看護とソーシャルワーカーが配属になっておりますけれども、その方々のスーパービジョン等々をやっております。
今回この委員会に社会福祉の領域からということで、医療・医学だけではなくて、患者さんや家族の生活の視点から何か皆さんに貢献できればと思っておりますので、よろしくお願いします。
○がん対策推進官 続きまして、神戸大学医学部附属病院特命教授、特定非営利活動法人日本緩和医療学会の理事長でございます木澤義之委員でございます。
○木澤委員 神戸大学の木澤と申します。引き続き委員を担当させていただきます。
私は日本緩和医療学会の理事長をさせていただいているのですが、私たちの学会は、医師だけの学会ではありませんで、50%が医師、4割が看護師、その他ソーシャルワーカーさん、理学療法、作業療法士、心理職も交じっておりまして、多職種の団体であります。患者さん・御家族のQOLの向上を目指して緩和ケアを提供するという立場からお話をさせていただければと思っています。
もう一つ重要なことは、多死社会を迎えておりまして、地域の中でがんにかかられて亡くなっていく方をどう支えるのか。そして多疾患併存状態、高齢化という中でどう医療を展開するかということも併せて考えながら意見をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、慶應義塾大学医学部放射線科学教室教授であり、公益社団法人日本放射線腫瘍学会の理事長でございます茂松直之委員でございます。
○茂松委員 皆様、慶應義塾大学の放射線治療の教授でございます茂松でございます。
私、公益社団法人放射線腫瘍学会(JASTRO)の理事長を今やっておりまして、日本の放射線治療医は間違いなく100%JASTROの会員になっております。それ以外に技師さん、物理士さん、看護師さんを含め4,000人強の会員がいて、がん対策の目玉である局所療法としての手術と放射線ということで、放射線のほうをこれまでずっと考えさせていただいて、参加させていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、つるかめ診療所の所長、鶴岡優子委員でございます。
○鶴岡委員 初めまして。栃木県から参りました在宅療養支援診療所、つるかめ診療所の鶴岡優子と申します。このたび初めて参加させていただきます。
在宅医療に関わる臨床医としての意見になるかと思います。在宅医療はいろんな職種が関わっておりまして、訪問看護やリハビリ、訪問介護、施設職員、そしてケアマネジャー、色々な職種の方との連携が重要ですので、多職種連携のための勉強会も主催しております。よろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、大阪大学医学部医学系研究科外科学講座消化器外科の教授であり、日本癌治療学会の理事長でもございます土岐祐一郎委員でございます。
○土岐委員 大阪大学の土岐と申します。
前任の慶應大学の北川雄光日本癌治療学会理事長の後を継いで、昨年より理事長を拝命しております。日本癌治療学会は、約半数は外科医ですが、そのほかにも内科の先生、泌尿器科、婦人科等々、ほぼ全ての臓器のがん腫を扱う治療医が集まっております。それ以外にも緩和、薬剤師、そういった多職種で構成しております。そういう幅広い観点からこのがん対策推進協議会で何かお力になれることがあればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、国立研究開発法人国立がん研究センターの理事長でもあり、日本癌学会の理事長でもございます中釜斉委員でございます。
○中釜委員 国立がん研究センター理事長、中釜です。
私は、がん対策推進基本計画を実践するプレーヤーの立場から、現場の抱える課題、そういうものをこの協議会の中でテーマとして提出し、議論させていただきたいと思います。
加えて、現在日本癌学会の理事長を務めておりまして、日本癌学会は、基礎研究、あるいはトランスレーショナル研究、さらには公衆衛生研究を中心とした研究者の集団で、1万5000人の団体ですけれども、その中で広い意味でのがん研究の推進という立場から、課題をこの中で提案させていただきたいと思います。
この協議会で得られた議論、重要な点に関しては、医療の実践の場、あるいは研究として落とし込めないか、そういうものにも取り組んでいきたいと考えています。よろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、藤沢タクシー株式会社代表取締役の根岸茂登美委員でございます。
○根岸委員 皆様、こんにちは。藤沢タクシー株式会社の根岸茂登美と申します。
私は家業のタクシー会社を継ぎまして、その中で両立支援を必要としている社員が今、1割います。いつもそういう状況ですけれども、企業における両立支援が少しでも進むように、特に中小企業における両立支援を推進したいと思っております。私自身はもともと看護職でずっと仕事をしてきております。自分もがんサバイバーです。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、特定非営利活動法人肺がん患者の会ワンステップ理事長であり、日本肺がん患者連絡会理事長でもございます長谷川一男委員でございます。
○長谷川委員 皆さん、初めまして。長谷川と申します。肺がん患者の会ワンステップの理事長をしております。
私自身が肺がんの患者です。その病の原因として受動喫煙があるのではないかと疑っているものです。そして、父も肺がんを患い、亡くなりました。たばこが原因でした。その苦しみを間近に見てきた者として、自分自身もその苦しみを体験している者として、また、過去、現在、全国にいる依存に苦しむ者たちの代表としてこの任期を務めたいと思っております。よろしくお願いします。
○がん対策推進官 続きまして、公益社団法人日本医師会常任理事の羽鳥裕委員です。
○羽鳥委員 皆さん、こんにちは。日本医師会の羽鳥です。
私は、日本医師会の中では学術、生涯教育、専門医機構の仕事をしています。また、公衆衛生委員会、がん対策の担当であり、今期もそれをテーマに2年間実臨床の立場から問題点を討議する予定です。
今回、がん検診におきましては、コロナの影響を非常に受けており、約3か月検診にストップがかかっており、ブランクができている。これをどうやって取り返していくのかということで、各団体の皆さんも頑張っているところだと思います。僕自身も神奈川県の川崎というところで前はがんの終末期医療を含む在宅医療をしていました。現場の立場からということでお話をさせていただきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、学校法人金沢医科大学医学部腫瘍内科学講師、久村和穂委員でございます。
○久村委員 皆様、初めまして。金沢医科大学腫瘍内科学講座に所属しております久村和穂と申します。
私自身はもともとソーシャルワーカーでして、以前は拠点病院のがん相談支援センターで専らがんの患者さん・御家族の相談支援業務に従事しておりました。現在は、がんの患者さんの、特に社会的苦痛とその支援に関する教育、そして研究活動を行っておりまして、金沢医科大学病院のほうでは主に緩和ケアチームの活動であるとか、がんサロンの運営などに携わっております。また、そのほかに石川県がん安心生活サポートハウスという、金沢の町なかにあるがんサロンで、若い世代の患者さんや就労・お金の問題を抱える患者さんの支援に関するプログラムを担当しております。これまでの研究活動や臨床の現場で学んできたことを生かして、次のよりよいがん対策につなげていけますように微力を尽くしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、公益財団法人福井県健康管理協会副理事長であり、一般社団法人日本消化器がん検診学会理事の松田一夫委員でございます。
○松田委員 先生方、こんにちは。福井県健康管理協会の松田でございます。前期に引き続いて委員を務めさせていただきたいと思います。
私は、がん検診全般、とりわけ大腸がん検診が専門です。日本のがん検診、後ほどもデータが出てまいりますが、受診率が低い。その前に正確な受診率が不明であると私は前から思っています。そして、なかなかがん検診を受けられない人たちがいる。このような状況を改善し、他の先進諸国に日本のがん検診が追いつき、そして追いつけるようにしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、東京女子医科大学病院脳神経外科家族の会「にじいろ電車」の代表でございます三上葉子委員でございます。
○三上委員 皆さん、初めまして。東京女子医大病院脳神経外科家族の会「にじいろ電車」代表の三上葉子と申します。
「にじいろ電車」は、主に脳腫瘍に罹患した子供たちの家族会になります。私の息子も16年前に脳腫瘍に罹患いたしました。幼少期に発症した子供たちは今、AYA世代となっております。教育、就労、今では神経心理学、合併症という様々な課題にぶつかっております。小児がん親の会連絡会を通じて、全国の小児がんの子供たちや御家族の意見のパイプ役になれればなと思って参加させていただいております。職業は保育士で、今、小児専門病院で病棟保育士をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 続きまして、静岡県立静岡がんセンター総長でございます山口建委員でございます。
○山口委員 静岡がんセンターの山口です。
私は、卒業してすぐ国立がんセンターに勤務し、再発乳がんの治療に当たってまいりました。その経験を踏まえて、1997年頃からがんサバイバーの研究に従事するようになり、2000年に今の拠点病院の前身である拠点病院構想を垣添先生たちと御一緒に計画を立ててきたという経緯がございます。2002年に静岡がんセンターに移りまして、以来、静岡がんセンターをこのがん対策の実践の場にしようとみんなで話し合いながら、できるだけ多くのことを取り入れてきたという経緯がございます。研究面、臨床面、サバイバーシップリサーチ、一応広く浅くですけど経験してきました。これまでの経験を活かし、御意見を申し上げたいなと思っております。どうぞよろしくお願いします。
○がん対策推進官 なお、公益社団法人日本看護協会常任理事の荒木暁子委員、京都府健康福祉部長の松村淳子委員からは、本日御欠席との御連絡をいただいているところです。
また、事務局でございますが、健康局長をはじめとしまして、がん・疾病対策課、健康課から出席しておりますが、これらにつきましては座席表を御参照いただければと思います。
また、本日の検討会におきましては、厚生労働省として取り組んでおります審議会等のペーパーレス化の一環としまして、タブレットを会場のほうでは使用させていただいております。お手元のタブレットはカバーがついておりまして、こちらは外さないようにお願いいたします。
簡単にタブレットの操作について説明を加えさせていただきますが、もし途中で不明な点、困った点がございましたら、お知らせいただければ事務局の者が参りますので、手を挙げてお知らせいただければと思います。
現在タブレットの端末に議事次第のページが表示されているかと思いますが、画面を軽くタッチしていただきますと、左の上に「がん対策推進協議会」という青の矢印が出てくるかと思います。こちらをタッチしていただきますと、資料の一覧があります。参考資料が大変多い状況で、申し訳ございませんが、それぞれ資料がございますので、資料の番号のところをタップいただければ資料の閲覧ができる形になっております。
また、表示の拡大・縮小につきましては、画面に指を置きまして2本の指を開いたり閉じたりすることによりまして拡大・縮小ができますので、御参考にしてください。また、ゆっくりなぞっていただきますとページをめくることができるという形でございます。
簡単ではございますが、タブレットの操作は以上でございます。引き続き何か分からない点がありましたら、事務局の者にお声がけください。
続きまして、ファイルのほうが全てそろっているか確認をさせていただきたいと思います。また、オンラインの方々につきましては、お手元の資料の御確認をお願いしたいと思っております。資料は、資料番号としては1-1、1-2、2-1、2-2、3-1、3-2までの6つのファイル。これはタブレットでは下のほうにございます。参考資料につきましては参考資料1から15まで。順番が先に10から始まっておりますけれども、そのような順番で入ってございます。
また、当日配付資料1が別途ございまして、それと座席表、議事次第で全ての資料となっております。
もし不備、分からない点がございましたら、お知らせいただければと思います。
それでは、議題の1番「会長の選任等について」に移りたいと思っております。資料1-2に協議会の運用規定を定めた政令を示させていただいておりますが、第二条におきまして「協議会に、会長を置き、委員の互選により選任する」となってございます。
本件に基づきまして、委員の互選によりまして会長を選任いただきたいと考えておりますが、どなたか御推薦ございますでしょうか。それでは、羽鳥委員、お願いいたします。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。
この協議会の古くからの経緯をよく御存じで、先ほどの御挨拶にもありましたように、多方面において主導的な立場を取っていただけると思いますので、研究、診療、患者支援の立場をよく御理解いただける、前回も会長をお務めいただきました山口建先生に務めていただくのがよいと思いますので、山口先生を推薦したいと思います。御検討いただければ幸いです。
以上です。
○がん対策推進官 ただいま山口委員の御推薦がございましたが、そのほかに。中釜委員、お願いたします。
○中釜委員 私からも今、御推薦があった山口建先生を推薦したいと思います。先ほどの御本人の御挨拶にもありましたが、がん対策、がん研究、がん医療の現場においてその課題というものに実際に取り組んでこられたということ。それから、この協議会の委員として、また前期は委員長としてがん対策の課題、及びその時代的な推移についても熟知されているというところから会長としてふさわしいと思います。
○がん対策推進官 それでは、お二方から御推薦ございました。山口委員に本協議会の会長をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○がん対策推進官 それでは、山口委員は会長席のほうへ移動をお願いいたします。
(山口委員、会長席へ移動)
○がん対策推進官 それでは、山口会長より改めて一言御挨拶をいただけますでしょうか。
○山口会長 この職に御推薦いただきましてありがとうございます。御挨拶は、マイクの関係があるので着座のままやらせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
まず最初に、本日ご出席の正林健康局長、私は以前からお付き合いさせていただいておりまして、先ほど御自身の紹介にもあったように、がん対策をずっとやってこられていて、関連した職を歴任されておられます。私は本当に適任だと思っているのですが、ネットで見ると、がんのことはあまり出てこずに、厚労省のコロナ対策のキーマンとか、そういう説明が出てきます。クルーズ船のこととか、今の専門家会議も仕切っておられましたので、それはよく分かるのです。コロナも大切なのですけれども、局長におかれてはぜひがんもしっかりお願いしたいと思います。本当にベストパーソンがこの席に着いてくれたと思っておりますので、よろしくお願いします。
会長としての挨拶ということなのですが、日本のがん医療をずっと長く見てきますと、どんどん進化してきているのは間違いないと思うのです。とくに、一気に変わってきたなと思うのが2006年から2007年にかけてのがん対策基本法、それからがん対策推進基本計画、この辺りだったというのは間違いないと思います。
それで進化を遂げてきて、その結果として、20世紀までの「がんを治す」という基本テーマから「がんを治し、同時に患者家族を支える」というパラダイムシフトが今、実現に向かって進んでいる。それが日本のがん医療の現状ではないかなと思っております。
今日お集まりの皆様の主たる使命は、第4期のがん対策推進基本計画の骨格を固めることだと理解をしておりますので、そういう方向でぜひ御参加いただければなと思っております。先ほど黙祷をささげた西口洋平委員がこの席で、あるいはNHKの日曜討論でも御一緒させていただいたのですが、その席で随分おっしゃっていたことを少し紹介したいと思います。確かに日本のがん医療は進んだ。だけど、実際に自分が患者になってみると、まだまだだと思うところがいろいろある。具体的には、彼は子供がいるがん患者の交流の会を主宰されておられましたので、自分ががんになって、子供にどのように話をすればいいのか、あるいは子供と一緒にがんを患う親としてどういう生活をしていったらいいのか、そういう情報がなかなか得られない、指導も受けられないということをおっしゃっておられました。一言で言うと、コミュニケーションの問題ともおっしゃっておられました。
そういうお話もあって、過去2年間のこの会の議論では、一つはがん情報の均てんということが主要なテーマになるだろうなということを委員の皆様の間で話し合ってきたと思います。それは一つのテーマだと思うのですが、同時に委員の皆様にぜひお願いしたいのは、今の日本のがん医療を実践するに当たって残されている大きな課題、それから課題として挙げられてきたが進捗状況がうまくいっていないもの、そういったものをしっかりいろんな立場から御意見を言っていただき、優れた第4期計画の基礎をまとめていっていただきたいというのが、会長としての皆様へのお願いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
続きまして、この会には会長が指名する形で会長の代理を置くことになっております。山口会長より会長の代理の御指名をいただきたいと思います。
○山口会長 中釜国立がん研究センター理事長にお願いをしたいと思います。前期も務めていただき、日本のがん対策の実践を全て担っている組織でもありますので、ぜひ中釜先生にお願いをしたいと思っております。
○がん対策推進官 それでは、中釜先生より一言御挨拶をいただければと思います。
○中釜委員 改めて副会長に指名されて身の引き締まる思いですけれども、今、会長が御指摘になったように、まだまだ現場には、がん対策として残る課題は多くあるという認識であります。それをいかに解決の方向に向けていくのか。この場は、当然、国民あるいは患者さんの様々な視点を取り入れながらよりよい体制を取っていく議論をする場だと思います。これまでの経緯としても、この協議会の議論を踏まえて本当にがん医療が大きく変わってきたというのは実感するところであります。この協議会の運営に微力ながら尽力できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
それでは、以降の進行につきまして、山口会長のほうにお渡ししたいと思います。
○山口会長 それでは、議題に入りたいと思います。前もって2~3点お願いをしておきたいことがあります。1番目は、どうしても議論を尽くそうとすると時間が足りません。そこで、その日の議論で言い尽くせなかったこと、あるいはその後、いろいろ考えたことを事務局のほうにメール等でお送りいただきたいと思います。その次の会議の席に答えられるものは答える、調べられるものは調べる。しかし、対応できないものはその旨を率直に言っていただく。そういうやり方で2年間やってまいりましたので、ぜひそれを踏襲させていただきたいなと思っております。
2番目に、いろんな御意見の中で、こういうところがよくないから、厚労省、ちゃんとやってくださいという意見が時に見られるのですけれども、今の状況でそう振られても、予算の問題もあるし、様々な問題がありますので、簡単には解決できません。できることであれば、そういう意見に加えて、御自身としての、あるいは有識者として、こういうやり方があるのではないかという具体的な解決方法を一緒に述べていただけると、議論がより進むのではないかなと思っております。もちろん、全てがそういうわけにはいきませんので、解決方法が分からない、課題だけ提示するということも結構だと思います。
3番目、今日オンラインなのですけれども、私も幾つか経験して、なかなか難しい問題が生じることがあります。オンラインで参加の皆様は、オンラインの具合の悪いときは途中で遮っていただいても結構ですから、聞こえないとか、ぜひ言っていただきたいと思います。
司会役としては、できるだけ手を挙げていただいたものを見て御発言いただこうと思っているのですが、近視・老眼でなかなか気がつかない部分もありますので、厚労の方に助けていただいて、何々先生が発言があるようですと率直に言っていただいて、できるだけ御発言いただきたいなと思っております。
その3点ぐらいをまず申し上げた上で、正式な議題に入っていこうと思います。
今日は、議題2「第3期がん対策推進基本計画と中間評価の実施について」、議題3「がん予防分野の中間評価について」というテーマになっておりますので、資料2-1から3-2を使って事務局から御説明をいただきたいと思います。その上で、委員の皆様の御意見を賜りたいと思います。
それでは、事務局、どうぞよろしくお願いします。
○がん対策推進官 それでは、事務局から資料2-1から資料3-2まで説明をさせていただきます。できる限り討議の時間を取りたいという観点から、少し様々な点を省略しながら説明をさせていただきますが、御了承いただければと思います。
まずは資料2-1をお開きいただきたいと思っております。「第3期がん対策推進基本計画と中間評価の実施について」ということで、資料を作らせていただいております。
2ページ目、がん対策の歩みとしまして、少し全体の経緯を書かせていただいております。先ほど自己紹介の際にも幾つか言及がございましたが、平成18年にがん対策基本法が成立しまして、そこから第1期、第2期、第3期とそれぞれ基本計画をつくりまして、これまで取組を進めてきたところでございます。
3ページ目でございます。がん対策基本法というものが私たちの取組の本になっているものでございます。この中で厚生労働大臣ががん対策推進基本計画を策定していく形になりますが、そのための意見を申し上げる機関としてがん対策推進協議会が設置されているというところです。そして、法律の中では基本的な施策としまして、がんの予防及び早期発見、がん医療の均てん化、研究の推進、がん患者の就労等、がんに関する教育の推進という形のたてつけになっております。こういった法律に基づいての対策、また、この協議会であるというところでございます。
4ページ目は、第3期がん対策推進基本計画の概要、大まかなたてつけの説明になります。全体目標としましては、「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」ということとしまして、①科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実、②患者本位のがん医療の実現、③尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築という形で、それぞれ①~③に対応した形で「がん予防」「がん医療の充実」「がんとの共生」という3つの柱を立てさせていただいて、また、これら3つの柱を支える基盤の整備として研究や人材育成等々を挙げている。こういう分野別の施策をしております。さらに、がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項を並べさせていただいて、第3期の計画という形にしております。
5ページ目は、がん対策推進協議会の今後のスケジュール(案)という形でございます。2年ごとの任期となっておりまして、2020~2021年度につきまして先生方に委員として御参画をいただきたいと思っております。その中で第3期がん対策推進基本計画の中間評価の報告書を作るというのが一つ大きなポイントでございます。ただ、中間評価というものだけにとどまらず、その先の第4期の基本計画に向けた新たな課題、必要な取組、様々な状況の変化等についても様々御意見をいただきながら、私たちとしては進めていきたいと考えております。
6ページ目は、がん対策推進協議会の中間評価にかかるスケジュール(案)でございます。今回10月に第74回を開始しまして、来年度にかけまして4回、場合によってはもう1~2回増やすということもあり得るかとは思いますが、いずれにしても中間評価の報告書の公表に向けて検討を進めていきたいと考えておりますので、御協力のほどお願いいたします。
7ページ目は、第71回のがん対策推進協議会の資料から抜粋したものでございますが、中間指標というものを既に定めてございます。国のほうで計画全体にわたりまして基本計画の進捗状況を把握して、さらにそれを管理するため、3年を目途にしまして中間評価を行うというふうにしているものですが、その際に、個々に取り組むべき施策の個別目標の達成に向けて、どれだけ効果をもたらしているのか、そういったことを科学的・総合的な評価を行いまして、それを踏まえて課題を抽出し、必要に応じて施策に反映するものというふうにしておりますので、そのような位置づけでこの中間評価を進めていきたいと考えております。
8ページ目は、中間指標に用いる調査としまして幾つかの調査を進めさせていただいております。都度そういったことの報告、それからこの中間評価においても引用をさせていただきながら進めたいと考えております。さらに、中間評価の指標が全部で140項目ございますが、こちらのほうに反映をさせていくような形で考えております。
9ページでございます。今回は全体の基本計画、3つの柱のうちの「がんの予防」のところの柱を中心に実施したいと考えております。また、別の回で医療の充実や共生、基盤の整備、その他を含めまして議論を進めたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、資料2-2を御覧いただきたいと思います。2-2につきましては、少し細かなものになっておりますけれども、中間評価の指標の一覧。140項目が載っているものでございます。この項目自体は既にこれまでの協議会で議論をして決まったものでございますが、これに基づいて検討するということになっております。
本日は、この中の1、ピンク色で左にマーキングをしてあります部分について御議論をいただこうと考えております。残りの部分につきましては、次回以降に検討したいと考えております。
続きまして、資料3-1の説明に進みたいと思います。資料3-1は、がん予防分野の中間評価に向けた整理の案として示させていただいております。こちらは、今後中間評価を最終的におまとめさせていただくに当たりまして、がん予防の分野について具体的にどのような進捗状況等にあるのかについて、事務局のほうで事前に先生方から頂きました意見も踏まえて整理をさせていただいているものでございます。
2ページ目は、第3期がん対策基本計画における「がん予防」の概要(計画開始時)という1枚のスライドで、計画開始時にはどういう状況だったかということを少し思い起こすための資料となっております。計画自体は第1期、第2期もございまして、その後も取組を進めてきている状況でございます。計画開始時にはこのような形で、一次予防、がんにならないための予防。二次予防として早期に発見し早期に治療する。そういう2つの大きな枠の中で取組を進めてきております。
具体的に細かい部分につきまして、次のページ以降で示させていただいております。3ページ目は、予防の分野にかかります全体目標としまして、科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実というものがございます。がんを予防する方法を普及啓発するとともに、研究を進めまして、その結果に基づいた施策を実施することによりまして、がん患者を減少させる。国民が利用しやすい検診体制を構築して、早期発見・早期治療を促し、効率的かつ持続的ながん対策を進めて、がん死亡者の減少を実現するという目標を掲げています。
評価指標としましては4つ、がんの年齢調整死亡率、がん種別の年齢調整死亡率の変化、がんの年齢調整罹患率や、がん種別の年齢調整罹患率の変化を挙げさせていただいております。これらにつきまして、それぞれ直近の数値と参考にすべき前年の数値などを示させていただいております。
ただ、ここの辺りのデータを見るには、前年だけを見ていても分からない点もあるかと思います。この場で全てを紹介し切れないところではございますが、参考資料の中には各種データを取りそろえてございますので、別途御参照いただきながら、長期的な経過も含めて御意見を賜れればと思っております。
そこの中で、全体目標の進捗状況につきましては、75歳未満のがん年齢調整死亡率について確認できる1995年の108.4から一貫して減少し続けておりまして、2018年は71.6まで低下をしてきている状況でございます。
また、がん種別の年齢調整死亡率は、胃がん・大腸がん・肝がんに関しては減少しているところでございますが、子宮頸がん・乳がんについては横ばいという状況かなと考えております。がんの種類によってやや異なった傾向が見られるという状況ではないかと考えております。
また、がんの年齢調整罹患率につきましては、数値だけを見ますと若干下がっているというところがございますが、2016年からがん登録の推進に関する法律に基づいた全国がん登録が実施されており、2016年の数はかさ上げされている効果があるという報告もございまして、そこの辺りは少し慎重に見ていく必要性があるかなというところで、留保するようなコメントをつけさせていただいております。
5ページ目は、がんの一次予防としまして生活習慣というものを挙げております。特にたばこ対策についてというところで、喫煙率の減少や受動喫煙の防止を図る施策をより一層充実させるというふうにしております。
また、様々なたばこにかける規制等々の状況を踏まえて、関係省庁が連携して対策を講じていくとしておりまして、個別の目標としましては、成人の喫煙率12%、妊娠中、未成年の喫煙率0%をはじめとした目標を掲げているというところです。
その中間評価の指標はお示しするような形で、成人喫煙率、未成年喫煙率、また、妊娠中の喫煙率や禁煙希望者の割合、望まない受動喫煙の機会を有する者の割合ということで、それぞれデータをお示しさせていただいております。
これらの部分につきまして、6ページに進捗状況という形で記載をさせていただいております。「現在習慣的に喫煙している者」の割合が17.8%というところで、目標達成が12%ということですので、さらに5.8%の減少が必要な状況でございます。直近の禁煙希望者の割合は32.4%ということで、これはちょっと異なる時点ですので単純比較はできないのですけれども、そういった方々にいかに禁煙をしていただくかということが重要だというところで、様々な取組をしているところでございます。
また、未成年者の喫煙につきましては、高校3年生の男子・女子、中学1年生の男子・女子でそれぞれデータを取っているところでございますが、減少傾向でございまして、中学生に関しましては、それぞれ0.5%ずつというところまで下がってきたところではございます。ただ、目標0%というところですので、このままの減少率を維持すれば、令和4年には目標値を達成する見込みがあるという評価もいただいているところではございますが、また御意見等をいただければと思っております。
妊娠中の喫煙率につきましても、2013年度の3.8%から年々減少している状況ではございます。ただ、まだ目標には至っていない状況でございまして、引き続き喫煙率0%を目指し取り組んでいくこととしております。
また、「受動喫煙の機会を有する者」につきましては、全ての場所において減少傾向ではございますが、健康増進法の改正がございました。それらの着実な施行のための周知啓発に取り組んでいるところではございますが、引き続き経過を見ていく必要性はあると考えております。
7ページでございます。生活習慣のもう一つの項目でございますが、喫煙以外のものについても健康日本21と同様の形でお示しさせていただいておりまして、「ハイリスク飲酒者」の割合、「運動習慣のある者」の割合、「適正体重を維持している者」の割合というものを見ながら進めているところでございます。
進捗状況でございますが、直近の「生活習慣病のリスクを高める量の飲酒をしている者」の割合が男性15%、女性8.7%ということでございまして、健康日本21のほうの基準年である年から見ますと、男性のほうは有意な増減がなく、女性はやや増加をしているという状況もございます。
また、「運動習慣のある者」については、以前のデータから見ると、やや減少傾向にある。また、「適正体重を維持している者」の割合については、肥満者について若干の増加傾向を認めるなど、この辺りはなかなか取組が難しい点があるかと考えております。
8ページ目は、食塩の摂取量、野菜・果物の摂取量、野菜・果物の摂取不足の者の割合という形で、3つの項目を挙げさせていただいております。これらにつきましても健康日本21の目標値を引用するような形で目標を立てさせていただいております。食塩の摂取量につきましては、直近のデータで10.1グラムとなっておりまして、目標の8グラムにはまだ至っていない状況でございます。また、野菜の摂取量につきましては若干の減少傾向であり、果物摂取不足の者の割合については若干の増加を見ているところでございます。それぞれ対応する取組を進めているところでございます。
9ページは、がんの一次予防として感染症対策というところがございます。「HPVワクチンについては、摂取のあり方について、国は、科学的な知見を収集した上で総合的に判断していく」であったり、肝炎ウイルスに対する対策、さらにはHTLV-1、また、胃がんにおけるピロリ菌の対策、そういったものについてまとめているものです。
中間指標としましては、B型・C型肝炎ウイルス感染率や検査受検率、定期接種の実施数、HTLV-1の感染率等々を挙げさせていただいております。
10ページ目に進捗状況を簡単にまとめてございます。肝炎の治療推進のための様々な施策等々に取り組んできているところでございます。また、肝がんの発症予防という観点で、肝炎ウイルスの感染を早期に発見するための検査の推進。併せて、B型肝炎の予防接種の定期接種化を踏まえて、その推進。さらには、成人T細胞白血病と関連するHTLV-1の感染について取組をそれぞれ実施しているところでございます。
11ページはがんの早期発見及びがん検診というところで、受診率の向上対策ということを進めているところです。がん検診の受診率については50%、精密検査の受診率については90%を目標としているところでございます。
その進捗状況につきまして12ページ目にまとめさせていただいております。がん検診の受診率は、40~69歳の者について、過去1年間で受診した者の割合で見ていきますと、肺がんが最も高く、男性で53%ということで、目標を達成しておりますが、女性の肺がんを含めまして、その他の疾患についてはいずれも50%にはまだ到達していないという状況でございます。
また、がん検診受診率向上のためには、各種受診勧奨等々をさせていただいておりますけれども、「ナッジ理論」を活用した好事例の展開など取組を進めているところです。
また、個別の受診勧奨や再受診勧奨、そういったことも進めているような状況でございます。
13ページ目には精密検査の受診率等々を記載させていただいております。こちらについても目標を90%としているところでございますが、現時点では80%前後という状況となっております。
14ページ目は、指針に基づくがん検診を実施している市町村、それから基づかないがん検診を実施している市町村の割合や、事業評価のためのチェックリストを実施している市町村の割合ということで、まとめてお示しをしております。
15ページは、それらを踏まえました進捗状況についてです。精密検査未受診者や郵送や電話等による個別的な受診勧奨の取組が自治体において行われているところですが、乳がんではおおむね目標を達成しておりますが、その他、大腸がんでは約7割程度となっております。
精密検査に関しましては、未受診者を正確に特定しまして受診勧奨を行うことが重要という状況ですけれども、胃がん検診の精密検査の未受診率というのは、胃がんでは減少しておりますが、その他がほぼ横ばいという状況でございます。
市町村が実施するがん検診については、実施状況調査等によりまして適宜実態把握と分析を行っているところではございますが、特に胃がんの検診につきましては、指針を改定した影響もございまして、さらには、当面の間は胃がんの検診、指針の中では50歳以上の隔年としている中、当面の間は40歳以上の逐年という形も認めているというところから、指針に基づく実施率が非常に低くなっているというところでございます。
指針におきましては、がん検診の事業評価につきましてもチェックリストを実施するなど把握をすべきというところでございますが、その実施率についても少しずつ上がってきているという状況でございます。
資料3-2、事前に先生方から御意見を頂戴していたところでございますが、こちらについては、こういったものも踏まえて資料を作らせていただきましたということで、御紹介にとどめさせていただきます。
事務局からの説明は以上とさせていただきます。
○山口会長 ありがとうございました。
関連して、前回からの引き続きになるのですが、加熱式たばこの問題、もう一点はHPVワクチンの現状、これをここでお話しいただきたいと思うのですけれども、HPVのほうは少し到着が遅れるかもしれませんので、先に加熱式たばこの状況を御説明いただきたいと思います。
○事務局(健康課) 健康課の守川と申します。よろしくお願いいたします。
参考資料4を御覧になっていただきたいと思います。1ページ目は先ほど事務局から御説明がございましたので、割愛させていただきたいと思います。
2ページ目を御覧になっていただきたいと思います。加熱式たばこは最後に出てまいりますが、2020年4月1日から全面施行されました健康増進法について、まず御説明申し上げたいと思います。改正の趣旨でございますが、望まない受動喫煙をなくすということが1つ目の考え方。受動喫煙による健康影響が大きい子供、患者等に特に配慮したというところが2つ目の考え方。3つは、施設の類型・場所によって対策を実施するというところがポイントとなっております。
4ページを御覧になっていただきたいと思います。4ページが分かりやすい資料となっております。改正健康増進法の体系でございますが、幾つかに分かれておりまして、一番上から見ていきますと、「第一種施設」と記載してございますのが学校・病院等になります。ここは敷地内が禁煙となっております。その下の「第二種施設」が事務所、飲食店等に該当する場所でございますが、これは原則屋内禁煙という形になっております。また、下のほうには喫煙目的施設でありますとか、屋外・家庭などと分かれておりまして、このような類型にすることによって子供や患者さんを守っていこう、そういった形での改正となっております。
7ページは、先ほど申し上げました第一種施設の対象が詳細に書いてございます。また、その敷地内におきましては特定屋外喫煙場所を設置することが可能となっており、以下の措置を取ることが必要になるということが記載されております。
8ページは、第二種施設等におきましては、喫煙専用室を設けることができますが、その専用室を設けるときの技術的な基準が書いておりまして、入り口から外に煙が漏れ出ないようにさまざまな条件をつけているというところでございます。例えば①に書いてございますのが、入り口から屋外のほうに漏れ出ないように、室内に向かう風速が0.2m/秒以上であること。そういった技術的基準も記載されております。
13ページは、喫煙専用室の標識等を例示しているものでございます。その中で、例えば部屋の前に貼るものでしたら、①のような形式のものを設置する必要がございまして、②と書いてありますのは、お店等の入口にこういったものを設置して、表示すべきとなっております。その中で、今、委員から御指摘がございました加熱式たばこに関しましては、3番、4番の表示になっております。
15ページからが加熱式たばこの御説明になります。加熱式たばこは、紙巻きたばこと同じようにたばこ葉を使用しております。ただ、大きく違いますのは、たばこ葉を燃焼するか、加熱するかの違いでございまして、加熱式たばこに関しましては、たばこ葉を加熱するといったところが違いになっております。主な製品といたしましては、御覧になっていただいているような種類のものが販売されております。
16ページは大事なポイントでございまして、加熱式たばこは、製品によっては主流煙の中に紙巻たばこと同程度のニコチンを含む製品もあるというところでございます。また、2番目に記載されておりますように、加熱式たばこの主流煙に含まれる主要な発がん物質等に関しましては、紙巻たばこに比べれば少ないものの、含まれているところが大事なポイントでございます。
現時点での評価でございますが、加熱式たばこの主流煙に健康影響を与える有害物質が含まれているところは明らかでございます。ここで「販売されて間もない」と書いてございますが、これは「紙巻きたばこと比べてまだ歴史が浅い」と書き換えていただきたいのですが、まだまだ得られた科学的知見が少ないというところもございますが、加熱式たばこの受動喫煙による将来の健康影響を予測することが必要でございますので、今後もしっかりと研究や調査を行っていきたいと考えております。
私からは以上でございます。
○山口会長 ありがとうございました。
HPVワクチンはまだですね。
それでは、ここから議論を進めたいと思うのですが、正林局長が改正健康増進法を大変御苦労なさってまとめられたという経緯があるのですが、加熱式たばこに限らず、全体を通してコメントをいただけますか。
○健康局長 先ほどの資料で分かりやすいと示した4ページです。健康増進法は、いろんな経緯があって、もともと平成15年に施行した段階では努力義務でありました。健康増進法第25条、受動喫煙防止措置についてですけれども、がん対策・健康増進課長になった平成26年だったと思いますが、自分自身がやり残した仕事だと思っていましたので、ぜひ努力義務を義務規定に変えたいということで、作業をスタートしました。当初塩崎大臣の指導の下に進めていたわけですが、最初はかなり硬めの案で進めようとしましたけれども、特に与党、自民党にはその案はなかなか御理解いただけずに、途中で大臣が加藤大臣に代わりまして、今は官房長官をなさっていますが、加藤大臣から通さなければ意味がないだろうということで、現行の案にしています。
ただ、一見大分後退したように捉えられがちではありますけれども、これを見ていただくと、「喫煙可能な場所である旨を掲示することにより、店内を喫煙可能」というのが下にあります。これが緩過ぎるのではないかということですが、ただ、これは既存の店舗に限定しています。新しい店舗の場合は、その上の「原則屋内禁煙」でなければいけない。日本の場合、飲食店というのは、放っておいても2年たつと大体2割弱入れ替わっています。したがって、2年たつと2割が新しい店舗なので、どんどん原則屋内禁煙にお店が変わっていく。それが1点。
当時、加藤大臣は、子供を大事にされる方でしたので、20歳未満はとにかく喫煙室に入ることも許さぬという固い意志がありましたので、それを法律上、位置づけました。それが位置づけられていることによって、例えばラーメン屋さんがあったとして、そこのお客がみんな喫煙者だったら、狭いラーメン屋だったら、下の喫煙可能なというほうを選ぶかもしれませんが、もし家族で来られるような場合、お子さんがいますので、お子さん中心のお客さんを優先したいということであれば、上の原則屋内禁煙を選ばないといけない。恐らく多くのそういう小さな店舗、場合によっては居酒屋でもお子さんを連れてこられる方もいらっしゃるので、そういう場合はそもそも喫煙可能であってはいけない。上の屋内禁煙でなければいけない。20歳未満は入れてはだめだよということもしっかり規定したので、そういうものを盛り込んで、健康増進法は何とか与党の賛成も頂き、国会でも可決・成立したという経緯であります。
これが今年の4月からスタートして、全面施行ですが、これからどんどん受動喫煙対策が前に進んでいくのではないかなと期待しています。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
ここからの議論の進め方ですが、全体目標、がんの一次予防、そして検診というパートに分けて御意見を賜っていこうと思います。オンライン参加の方で検診辺りに非常に強い方がおられますので、順番を適時変えながらやっていきたいと思うのですが、まず全体目標に関して、この本会場におられる方の中で御意見がある方は挙手を願えれば幸いですが、いかがでしょうか。質問ないし御意見に当たっては、資料何々の何ページに書いてある点について意見を述べるということをはっきり言っていただくと、対応が非常にやりやすくなるのではないかと思います。本会場のほう、いかがでしょうか。大西委員、どうぞ。
○大西委員 キュアサルコーマの大西です。
参考資料3でがん種別の年齢調整がん罹患率というところがありまして、ここでがん種別の罹患率の変化等が書いてあるのですが、我々希少がん患者会としてこれは非常に分かりにくい。希少がんも少し入っていたり、入っていなかったり、例えば子宮、子宮頸部、子宮体部とあるのですけれども、例えば子宮肉腫は入っているのか、入っていないのか。最初の議論として、希少がん対策ということも入っておりますので、できれば希少がんと一まとめで変化があるのか、ないのかというところを見ていただいて、その後、別の会議体で希少がん対策を個別にしていくとか、何となく全体が分かるような資料があれば非常にありがたいのですが、いかがでしょうか。
○山口会長 事務局、お願いできますか。
○がん対策推進官 希少がんに関しましては、若年における希少がんの年齢、発症率が腫瘍がんと比べて高いというデータもありますが、希少がん全体、それだけを取り出してまとめてデータを示すという辺り、どういう定義に基づいてやっていくのがいいのか、非常に難しい点もあるところでございます。ただ、今、問題意識等も頂きました。これらの部分、研究している専門の先生にも御相談させていただきながら、どういう形でお示しさせていただくのが希少がん対策にとっていいのかということで、少し知恵を絞りながらやっていきたいと思います。
○大西委員 よろしくお願いします。
○山口会長 確かに第3期の概要に希少がんは難治がんとともに独立した項目になっておりますので、例えばゲノムでも希少がんは特出しして今、研究が進められようとしておりますが、中釜副会長、もし希少がんセンターのことなど、御意見がありましたらお願いできますか。
○中釜委員 今の御指摘の点に関しては、確かに希少がんは200種ほどで、多くあるということから、実際にがん対策としての実効性をどういうふうな数値で表すかは少し検討が必要だと思います。その中でも数の多いものに関して、軟部肉腫であるとかそういうものの動向であるとか、あるいはその診断精度とか、いろんな指標を取り入れながら議論していくということは重要かと思うので、その辺りはこの協議会の中でも議論していただければと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、正林局長、どうぞ。
○健康局長 自分ががん課の課長をしていたときに希少がんの検討会を立ち上げていますので、あのとき、がんセンターの希少がんのチーム、メンバーにいろいろお手伝いいただいて資料作りとかをやっていますので、ちょっと相談をさせていただけたらと思います。何か資料が作れるかもしれませんので。
○山口会長 ありがとうございました。
オンライン参加の方から御意見がありましたら、挙手をお願いいたします。どうぞ。
○久村委員 金沢医科大学の久村です。
私が気になっておりますのは、先ほど御説明いただきました資料3-1の3ページ目です。女性の特に乳がん、子宮頸がんの年齢調整死亡率の減少が男性と比べると緩やかであるということ、それから死亡率の変化が横ばいであるというところが非常に気になったところでございます。女性の立場に立ったがん対策、がん検診、あるいはがん予防というものの強化が必要なのではないかと思っています。女性のがんの年齢調整死亡率が横ばいなのは、一体どういう原因でこうなっているのかということであるとか、あと女性のがん検診の受診率が低い理由というのは何なのかということについて、もっと十分に分析をする必要があるのではないかと思っています。
私は臨床の経験からも、女性の働き方が非常に多様で、非正規雇用、パート、派遣であったり、職域の検診を受けられない方がかなりたくさんいますし、女性は仕事をしながら子育て、親の介護で忙しかったりして、自治体の検診に行くような時間の余裕がないという方もいらっしゃいます。それからシングルマザーの方も今、増えています。母子世帯が123万世帯あるということも推計されているようですけれども、女性は子育て、親の介護、夫の健康のために毎日忙しい日々を送っているのだけれども、自分の健康について考える余裕がないという方も多いのではないか。決して女性の健康意識が低いというわけではないと思うのです。こういった女性の多様なライフスタイルに合わせた、あるいは生活ニーズに合わせた多様ながん予防とかがん検診の勧奨の仕方であるとか、検診を受けやすいような体制の整備が必要でないかと考えます。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
今の御質問、御意見についてこの場で議論するというのは、時間の問題もありますので、この中間評価を進めるに当たって今の御意見をできるだけ意識しながら、評価を進める中で問題を解いていくという形にさせていただこうと思います。
そのほか、全体目標に関して、この会議の席あるいはオンラインの方で御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いします。羽鳥先生、どうぞ。
○羽鳥委員 日本医師会の羽鳥です。
今の資料3-1、9ページの一番上のカラムに「HPVワクチンについては、接種のあり方について、国は、科学的知見を収集した上で総合的に判断していく」とありました。それから、今回は間に合わないけれども、次回に子宮頸がんワクチンについては議論するということだと思いますので、次回出てくるときまででも結構ですが、最近、北欧とか幾つの国でHPVワクチンは子宮癌の罹患率や修正死亡率にも有意に差が出てきております。科学的根拠がしっかりしてきたと思いますので、特に日本の今の状況、HPVワクチンをほとんど接種していないような状況で、10年後、20年後、このがん対策推進協議会が何をやっていたのだというふうに言われることもあり得ると思います。厚労省も振り返って糾弾されることがあり得ると思います。日本医学会、日本医師会が共同して推進にかじを切るというふうになっているのですけれども、国のほうではまだ文言がはっきりしないところもあるので、その辺を前向きに捉えて検討していただけたらと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
今日、この件については後ほど厚労から現況を報告していただくことになっておりますので、それも併せて意見を進めていきたいと思います。
それでは、時間の関係もありますので、次のテーマに移らせていただきます。がんの一次予防の部分について、御意見等がございましたらお願いいたします。まず、オンラインで御参加の方から御意見がありましたら、挙手をお願いします。どうぞ。
○久村委員 久村でございます。
私がちょっと気になっているのは、ハイリスク飲酒に関する対策が今まで十分に取られてきたのかどうかというところで、今後もう少し見直していく必要があるのではないかというところです。ウェブであるとか自治体レベルでの啓発活動というのは強化することがとても重要で、実は喫煙と比べると飲酒に関するがんのリスクというのは、あまり一般の方々に知られていないのではないかと思われます。どの程度のアルコールが発がんリスクを高めるのかということについて、具体的に伝えていくということが重要かなと思います。
あと、参考資料5にあるように、アルコールの使用障害が疑われる方を専門の医療機関、例えば精神科の病院などが多いかと思うのですけれども、つなげていくということは非常に重要なのですが、例えば石川県の現状としては、一般の病院からアルコール専門の医療機関につなげるというのは、精神科の病院に紹介をするということになるわけです。ただ、これは患者さんの心理的な抵抗感が非常に強くて、実際に受診した患者さんというのは極めて限定的ではないかとソーシャルワーカーとしての経験から思うわけです。
一方で、一般の医療機関の内科医やかかりつけの先生たちは、アルコールの過剰摂取で体調を崩した患者さんを日常的に診ているのではないかと思うのです。患者さんも自覚症状を認める段階で通院しているわけで、助けを求めて通院しているわけですから、一般の内科医の先生方、かかりつけ医の先生方がアルコール使用障害の患者さんをスクリーニングして、きちんと同定して、外来でアルコール量を減らすような節酒というか、減酒の指導を行うといった対策、アルコール依存症になる前の段階で適切に見つけてサポートするといった対策が必要ではないかと考えます。それから、ハイリスク飲酒の方が同定されるのだとしたら、やはりがん検診を勧めるということも同時に必要かなと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
アルコールはがんに限らず、様々な疾病との関係がございますが、事務局から今の御意見に対してコメントがございますでしょうか。
○健康課女性の健康推進室長 健康課の松村と申します。
今、御指摘のありましたハイリスク飲酒というものは、健康日本21の男性40グラム、女性20グラム、これ以上取りますと生活習慣病のリスクが上がるというものを引用していただいて目標値が設定されていると思います。こちらの基準や、飲酒のリスクというものに関しては、健康日本21の普及啓発のための活動である「スマート・ライフ・プロジェクト」等を通じて広く全体に広報させていただいているのですが、それに加えて、アルコール健康障害対策推進基本計画が今、まさに改定されておりますので、そこの議論に健康課も一緒に参加させていただいており、病院に患者さんがいらっしゃった場合、飲酒のリスクのある方々をどのように見つけて、治療につなげていくか。まさに委員から御指摘があったような、依存症になる前のハイリスクの飲酒をされているような方々をどう見つけていくかという議論がなされておりますので、今年度中ぐらいの取りまとめということで、今、障害保健福祉部が中心となって検討しておりますので、今いただいたような点も議論につなげていければと思います。ありがとうございました。
○山口会長 ありがとうございました。
オンラインでどなたか手を。どうぞ。お願いします。
○石岡委員 東北大学の石岡です。
私の意見というより、先ほど久村委員からの内科でアルコール健康障害対策を進んでやろうということに関して、反対意見ではございませんが、私は内科医ですけれども、アルコール依存症の専門家は精神科です。内科ではございません。医学教育、教科書、いずれの面においてもアルコール依存症は精神科医が診るという大きな枠組みがございます。ですから、簡単に内科にアルコール依存症を移すということはできないと思います。
○山口会長 では、コメントとして伺っておいて。
あと、本会場のほう、この分野についてどなたか。長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 肺がん患者の会ワンステップの長谷川です。
私からは質問が1つと意見が2つほどあります。たばこの対策、受動喫煙に関して質問したいと思います。資料3-1、5ページを御覧ください。受動喫煙に関してのところですが、第3期の計画では数値目標がなくなったという経緯があったと思います。今回健康日本21の目標がここに入っているというふうに理解しています。これはたばこをがんだけに捉えずに、健康という大きなくくりに変えて、より厳しく受動喫煙の対策を進めるのだというふうに私は解釈したのですけれども、その解釈でよろしいのかということが質問です。
意見を2つほど述べたいと思います。同じ資料で、未成年者の喫煙率に関してのことです。0%を目指す、そしてどんどん未成年の喫煙率が下がっているということに関しては非常に評価できると考えています。しかしながら、本当に少なくなっているのかということを考えたときに、私は0%にそんなに近づいていないのではないか。目指す上でもっと必要なことがあるのではないかと思っています。データを申しますと、人数で言うと、毎日喫煙者は、高校生ぐらいの方だと3万人ぐらいいると思います。3万人というのは少ないですかということです。
また、禁煙外来。2016年に未成年も禁煙外来に行けるようになりましたけれども、成人で禁煙外来に行っている方は、喫煙者の中の1%ほどだったと思います。でも、未成年が禁煙外来に行く率は0.6%ぐらいで、成人よりも禁煙外来にかかる率は少ないと自覚しています。法律では20歳未満はたばこを吸えないというふうに禁じていますが、それは罰するのではなくて、子供を守るという趣旨だったと思います。それでしたら、この状況はより変えるべきではないか。依存というところにはまり込んだ若者を、いや、子供は間違っていいのだよ、何度でもやり直せるのだ、困っている子供を救うのだというメッセージを社会に伝えて、未成年の喫煙ゼロを目指す。そんなふうに進んでほしいなと思っています。意見の1つ目でした。
2つ目の意見は、加熱式たばこに関してです。加熱式たばこに関しては、先ほど事務局から説明があったとおり、有害な物質が含まれている。それが少ないということが分かっている。ただ、安全性とか健康面で言うとそれは評価できない、これからも研究を続けていくということでしたけれども、一般には加熱式たばこイコール安全であるという認識が広まっていると思っています。先ほど山口先生がおっしゃったように、がん情報をどんどん出していくということであれば、そういったところもより活発に進めていくべきではないかと意見を申し上げて、終わります。
○山口会長 ありがとうございました。
最初の包括的に捉えていいかという点について、まず事務局からお答えいただきたいと思います。
○事務局(健康課) 健康課の守川でございます。
まず、大変貴重な御質問をいただきまして感謝申し上げます。1つ目の御質問に関しましてお答え申し上げます。委員のおっしゃるとおりでございまして、年間で受動喫煙により亡くなる方が毎年1万5000人いらっしゃるということで、その中では、がんだけでなくて、心臓病、COPD、いろんなものが含まれていると考えております。お亡くなりになることで悲しむ方やつらい思いをされる方もたくさんいらっしゃいますので、がんだけではなく、幅広くそういったものに対応できるように取り組んでまいりたいと考えております。今後とも御指導を賜りますようよろしくお願いいたします。
また、貴重な御意見を賜りました。本当におっしゃるとおりだと思います。未成年の喫煙問題や加熱式たばこの課題等、まだまだ解決しないといけない課題はたくさんございますので、検討や調査を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○山口会長 ありがとうございました。
それでは、次に移らせていただいて、がんの早期発見並びにがん検診について。これもオンラインのほうに御専門の方がおられますので、どうぞ。松田先生ですか。
○松田委員 福井県健康管理協会の松田でございます。
がん検診、そしてちょっと戻ってしまうのですが、先ほど羽鳥委員がおっしゃったHPVワクチンについても言えることですけれども、がんの一次予防、二次予防、日本の対策が奏功しているかどうかということを判断する際に重要なのは、他の先進諸国との比較だと思います。がん検診の対象となっている特に乳がん、子宮頸がん、大腸がん、そしてHPVワクチンによる子宮頸がん対策なのですが、ほかの国と比べて日本はどうなのかということを検討する際には、ほかの国の年齢調整死亡率との比較をぜひ念頭に置く必要があるのではないかと思います。
がん検診に関して申し上げますと、問題は、以前から申し上げているように、職域のがん検診に法的な根拠がないということで、全くその実施状況が分からない。がん検診を職域で受けられない人たちがいる。先ほど久村先生がおっしゃったように、とりわけ女性のがん、乳がん、子宮頸がん検診が受けられない。特に非正規の雇用の人たちの受診が非常に難しい。ですから、職域でも将来的には法的な義務づけということも考えないといけないと思いますが、誰もが受けられるような体制づくりを目指さなければなりません。そして、国全体のがん検診の受診率は国民生活基礎調査で算出されますが、精度管理の指標は地域保健・健康増進事業報告によりますので市区町村における検診のみの数字に基づいています。ですから、この2つが混在するというのは非常に分かりにくいと思います。国内で行われている全てのがん検診を把握する仕組み、精度管理する仕組み、そしてみんなが受けられる仕組み、そういったものをぜひ目指していかないといけないと思います。まだまだ時間がかかることは十分承知をしておりますが、今の日本のがん検診については問題が多々あると思っております。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
事務局からコメントございますか。それとも今後この指標を生かしていくということで受け止めるということでよろしいですか。
○がん・疾病対策課長 はい。
○がん対策推進官 はい。
○山口会長 松田先生も過去の状況をよくよく御存じの上で、なぜ国民生活基礎調査が使われたかという事情も御承知だと思いますので、これはいつかは改めなければいけないと思いますが、一朝一夕ではいかない。だから、努力をしなければいけない。この質問についてはそういうふうにまとめさせていただきます。
オンラインの方でほかに。大賀委員からお願いします。
○大賀委員 九州大学の大賀と申します。小児血液・がん学会の理事長をしております。
小児のがんの検診というのが実はここではほとんど出てこないわけですが、年齢別のものが非常に重要になりまして、1~4歳までですと、悪性新生物が不慮の事故を除いて2番目の死因に上がり、5~9歳、10~14歳になると、悪性新生物が小児でもトップの死因になってまいります。大事なことは乳幼児期のがんの検診がどうなっていたかということですが、2003年に固形腫瘍では脳腫瘍とともに最も多い神経芽腫の検診が中止になっております。これによって乳幼児期のスクリーニングがなくなったわけですが、その後、6か月以降に見られる進行がんが実は増えてきているということを、2008年のLancetに私どもの学会メンバーからも出しております。したがって、乳幼児の健診の在り方をこれからどうするかというのは、死亡としては0歳児は出てこないのですが、進行がんの発症が6か月以降に始まっているわけですので、乳幼児健診の在り方の中に例えば腹部エコーを入れるとか、そういった健診の在り方を少し検討するようなことができればよろしいのではないかと学会としても考えるところでございます。
以上でございます。
○山口会長 ありがとうございました。
この点についても今後の検討の過程で検討させていただくことになろうかと思います。
それでは、会場の中で。どうぞ。
○三上委員 「にじいろ電車」の三上と申します。
今の乳幼児の健診というところでは、網膜芽細胞腫という小児がんについて、目の状況に応じて早期発見ができるというところで、網膜芽細胞腫の会のほうからは、その写真を母子手帳の中に入れてもらえないかという働きかけをされているようなので、その辺も検討していただけたらと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
あと、職域のお話がちょっと出ていたと思うのですが、根岸委員、コメント、いかがでしょうか。
○根岸委員 職域からいきますと、企業規模による差が出てきているように思います。そのデータが手元にないので、もしそれが分かれば欲しいところですが、ざっくりとした印象として、大企業のほうは進んできている。ですけれども、中小企業は大分後れを取っているだろうというところがあります。
もう一つ加えてさせていただいてよろしいでしょうか。
○山口会長 どうぞ。
○根岸委員 先ほどの受動喫煙のところですけれども、資料3-1の5ページのところで、飲食店に次いで職場での受動喫煙のところの割合が高くなっています。これも最新のデータがちょっと乏しい状況でして、業種によって、あるいは企業規模によっての差がかなり出てきているように思われるのですが、その辺りの資料をもしどこかで出していただければ、大変ありがたいなと思います。
○山口会長 ありがとうございました。
最初の質問、特に職域検診の状況というのは、第3期の基本計画にしっかり書き込まれていたと思うのですけれども、この中間評価である程度出てくるでしょうが、今おっしゃられたように、特別に職域検診の状況を把握するような努力を現状なされているかどうか、そしてその資料を出せるのかどうか、お答えいただけますでしょうか。
○がん対策推進官 今、職域におけるがん検診につきましては、平成30年3月に作成しましたマニュアルを参考にしましてがん検診を実施する保険者、事業主が出てきているというところでございまして、これらの普及に取り組んでいるとともに、厚生労働科学研究費補助金における研究であったり、今年度は実態調査を実施しているところでございますので、それらも踏まえて進めていくこととしております。次回以降の回でその実態調査の結果についても御報告をさせていただければと思います。
○山口会長 受動喫煙に関してのより詳細なデータというのはいかがですか。
○事務局(健康課) 事務局の守川でございます。
御質問ありがとうございます。今、特に職場等におきましては、委員のおっしゃるとおり、分類によって受動喫煙の割合が異なりますので、環境調査でより詳細な調査を行っております。今後も行っていく予定でございます。また、詳細に関しましては、持ち帰らせていただきまして、内容に関しましてはお答えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○山口会長 羽鳥委員、お願いします。
○羽鳥委員 先ほどの松田先生の職域のがんのお話ですけれども、東北大の大内先生座長の検討会のときに、職域のがん検診を普通の市町村の対策型がん検診と一緒にできない理由の一つとして、職域検診はあくまでも任意であるので精度管理ができていないという言われ方をしたこともあります。ただ、職域がん検診であってもダブルチェックをきちんとしているというものもたくさんあるわけですので、その要件を満たしているものについては、対策型がん検診と統合してデータを集める。職域がん検診にもこういう条件で検診を行うべきである。ここで提案をしていかないと先へ進んでいかないと思いますので、ぜひこれはお願いしたいところだと思います。
以上です。
○山口会長 ありがとうございました。
では、事務局のほうでそういうことも勘案しながら進めていっていただきたいと思います。
○がん・疾病対策課長 はい。
○がん対策推進官 はい。
○山口会長 この検診、早期発見について、現場。中釜委員、お願いします。
○中釜委員 先ほどの乳幼児の重篤な神経芽腫とか網膜芽腫の早期発見に資するようなスクリーニングに関しては、非常に重要な御指摘だと思います。一方で、早期発見が大事だというところは事実なのですが、これを検診というところで論ずるのか、新しい早期発見技術の開発に注力して対策型の検診に資するようなものを見出していくのか、その辺りを含めて議論していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○山口会長 では、そのような視点も持って協議会として進めていきたいと思います。
その他、この会議場にいらっしゃる方、あるいはオンラインの方でも結構ですが、御意見ございますでしょうか。久村委員、よろしくお願いします。
○久村委員 私が一つ気になっているのは障害者、障害を持っている方がきちんとがん検診を受けられているのかどうかといったところで、データもないので、気になっておりました。障害者は少なくとも全人口の7%程度いるかと思います。このような方々が施設にいても、自宅にいても適切ながん検診、がん検診だけではなくて、がん治療も緩和ケアも含めてなのですけれども、きちんと受けられるようなサポートが得られているのかなというところが気になっています。
島根大学の稲垣先生の研究班の調査によりますと、通院中の統合失調症の患者さんががん検診を受ける受診率というのは、一般市民と比べて極めて低いということを報告されています。この結果を経時的に見ても、統合失調症の患者さんと一般市民のがん検診の受診率というのは、ここ10年でその差がほとんど縮まっていないということも報告されています。
ほかの障害についても、もし一般市民と比較してがん検診の受診率が低いのであれば、やはり何らかの対策が必要ではないかなと考えております。
以上です。
○山口会長 この問題はもう少し広かったと思うのですが、前期のこの協議会で議論されていた側面がありますので、過去の記録も振り返りながら今の御意見を取り入れるようにしていただきたいと思います。
○がん・疾病対策課長 はい。
○がん対策推進官 はい。
○山口会長 そのほか御意見、いかがでしょうか。
それでは、木澤先生、緩和ケアの立場から御意見があると承っておりますので、どうぞ。お願いします。
○木澤委員 全体の話題とは全然関係ないことですけれども、山口先生、大丈夫ですか。
○山口会長 はい。そう承っております。
○木澤委員 このコロナの状況で緩和ケアで大きな問題が1点あります。緩和ケア研修会のことです。全国の拠点病院で緩和ケア研修会が実施されるように努力はされているのですが、感染防御のために医療従事者が1か所に集団で集まることを避けるために、実地研修が全く進んでいないという状況です。各都道府県によって状況が違うのですが、例えば私が聞き及ぶ福岡県であるとか愛知県であれば、なかなか緩和ケア研修会が開かれないような状況になっていて、大変苦慮しているという声がございます。都道府県によっては、そんな中でも研修会を実施するように努力されていて、例えば研修会ではロールプレイが行われるのですが、マスクをして、フェイスシールドをして、1メートル以上離れてロールプレイをしても十分な研修の効果が得られないという声があります。また、診療所の先生方や地域の病院の先生方は、研修会自体に参加が難しい状況になっています。というのは、感染防御の観点から、多施設の医療者が交流するのを避けるために、参加者をがん診療拠点病院内の職員だけにしている病院が殆どとなっています。そうなると、事前にeラーニングを受けても、その有効期限が切れてしまって、実地研修が受けられないという状況になっています。早急に開催指針の書き換えについて検討していただいて、ウェブで研修するような仕組みをつくっていただく必要があると思っています。
また、緩和ケア研修会の受講者は、今までは幅広い参加者だったのが、だんだん若い医師に偏ってきていて、研修医が受講するようになってきているのですが、そこに対応した研修会の内容になっていないので、合わせて開催指針を至急検討してその状況に対応していく必要があると感じています。
以上です。
○山口会長 緩和ケアの研修会についてはいろんな問題が起きているのですが、ここは一応厚労省のがん・疾病対策課として対応を緩めるとかいろんなことをやっていらっしゃるはずですが、コメント、いかがでしょうか。
○がん対策推進官 当課におきましても学会や現場の皆さんの御意見をお伺いしているところでございます。一方で、果たしてオンライン開催で十分な効果が見込めるのか。これまでの緩和ケアに係る研修の成り立ち、そういったところも踏まえて検討は必要だと考えております。
早急に緩和ケアに係る部会の開催に向けて進めているところではございますので、そういった中で議論できるようにしていきたいと考えております。
○山口会長 木澤先生に御発言いただいた一つの目的は、コロナでこの緩和ケア研修に限らず、様々ながん診療に影響が出ているということは皆さん御承知のとおりですので、一度次回までにがん課として、どういう影響が出ていて、どういう対応を取っている、あるいは今後取るべきなのか、それを有識者の皆様に伺うと。そういう機会をつくっていただいたほうがいいのではないかなと思うのです。この検診の辺りは今、大問題になっていて、やっと動き出したという感じですけれども、先ほどどなたかが言われたように、この年内にやれるのかどうかとか、そういう問題も生じてきますので、その辺りに対する厚労の対応、どういう方向性でやっているかということを教えていただけるとありがたいなと思います。
○がん対策推進官 はい。
○山口会長 それでは、時間がそろそろ尽きつつございます。先ほど申しましたように、まだ発言されたい方がたくさんいらっしゃると思うのですが、事務局宛てに御意見をメール等で頂き、次回のここでもう一度取り上げさせていただくという形で、発言の機会が不十分にならないようにしていきたいと思っております。
これで私のほうから事務局にお返しするのでよろしいですか。
○がん対策推進官 1点、HPVに関しまして、担当の者が来ておりますので、その点だけ。
○山口会長 ちょっと遅くなったから、次回でどうですか。あるいは今、聞きたい方、いらっしゃいますね。
では、時間が押しますけれども、御発言をお願いします。
○健康課予防接種室長 すみません。貴重な時間をいただきます。予防接種室長の林と申します。
参考資料12をお開きください。HPVワクチンについて、最近取り組んでおる一つの大きな動きがございますので、お時間をいただいて御報告をさせていただきたいと思います。参考資料12は、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で去る9月25日に検討した際の資料でございまして、この資料では「案」という状態で記載しておりますが、了承されて実際に実行しているものでございます。
経緯を振り返りますと、平成25年6月にワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとされ、積極的勧奨の差し控えをしているという状態で、以降7年余りが経過しております。
その間いろいろな取組をしてまいりましたが、最近では平成30年1月にそのときのリーフレット、これは今、ワクチンを受けることを検討している方々に対して有効性・安全性に関する情報をお届けするようなリーフレットでございますが、こういったものを作成してお届けをしようということをしてまいりました。しかしながら、調査したところ、皆様方に十分に情報が行き渡っていないということが明らかになりましたので、こうしたことを受けて、①HPVワクチンの接種対象者や保護者に対して、より確実に情報をお届けする方法を検討することや、②としてより分かりやすいリーフレットとするために、調査結果等を踏まえて記載内容を改訂するといったことを検討してまいりました。
その結果として、2ポツに移らせていただきますが、今回取りまとめた内容としては、情報提供の目的・方法・内容等について考え直して、改めて実施をするということでございます。
目的でございますが、公費によって接種できるワクチンの一つとしてHPVワクチンがあることについて知っていただくとともに、ワクチンの接種について検討・判断するための有効性・安全性に関する情報であるとか、接種を希望した場合の円滑な接種のために必要な情報を接種対象者や保護者にお届けする。こういう目的で情報提供を行うということでございます。
情報提供の方法でございますけれども、積極的勧奨の差し控え以降、自治体から個別の情報のお届けというものも自治体の判断に委ねられていて、必ずしも実施しなくてもよいということになっていたのですが、今般、「接種対象者及びその保護者が情報に接する機会を確保し、接種をするかどうかについて検討・判断ができるよう、自治体からリーフレット又は同様の趣旨の情報提供資材の個別送付を行う」というふうに改めることといたしました。
その情報提供の内容でございますが、リーフレットの改訂を行いました。これにつきましては、当日配付資料1ということでタブレットに格納させていただいております。もし届いていなければ、最近のプレスリリース等で出させていただいておりまして、厚労省のホームページにも掲載しております。ピンク色の簡潔版のリーフレット、それから水色の詳細版のリーフレットを作成いたしております。
ピンクのほうをざっと見ていただきますと、1ページ目に大切なお知らせがありますということをお知らせするとともに、2ページ目、子宮頸がんについて、これまではこのワクチンについてということばかりを情報提供してきたのですけれども、今回はがんについて、どういう病気であるか、どれぐらいの人がなるかということをお伝えするような部分を増やしております。
3ページ目にはワクチンの効果とリスクについて、できるだけ簡潔に情報を絞ってお知らせをしております。子宮頸がんの原因の50~70%を防ぐということ、それからリスクとしても副反応があり得るということをお知らせしております。
4ページ目は、ワクチンを受けることを希望される場合にどうすればいいのかということ。市町村からの御案内をこういったところに足していただくこともできるようなレイアウトとしておりまして、接種場所であるとか、どういったものを持っていけばいいかとか、そういったことをお知らせできるようなものとして、市町村に使っていただこうと思っております。
さらに、厚労省のホームページもこれに合わせて改訂をいたしておりまして、より詳しい情報、他のリーフレット等についても簡単にアクセスできるようにさせていただいております。
最後の記載でございますが、積極的勧奨の差し控え、つまり、個別通知でお勧めをするということまではしないということ自体は変えないで、現在この活動を行うこととしておりますので、最後にその旨を分かるように記載しておりますけれども、「このご案内は、子宮けいがんやHPVワクチンについてよく知っていただくためのものです」ということが最大の目的でございますので、まずはよく知っていただいて、御本人が接種するかしないか、あるいは保護者の方と一緒に考えて選んでいただくということを進めていきたいと考えております。
こういうことで、去る10月9日に自治体に通知をいたしましたので、早いところでは今年度、今年度が難しいところでも来年度にはこうしたお知らせが、実際に接種対象者の方々の御家庭に届くということになります。
御報告は以上でございます。
○山口会長 ありがとうございました。
林室長がいらっしゃる前に、この協議会の委員の皆様から世界各国の状況、それから今、ワクチンに対するエビデンスが徐々に出てきている中で、日本の政府、厚労省、あるいはがん対策推進協議会として方向性をしっかり打ち出さないと、やはり評価が非常に低くなってしまう。そういう御意見の中で、今、林室長から御説明いただいたのだけれども、皆さんが一番お聞きになりたいのは、積極的勧奨を今後どうするのか、厚労省はどういうステップでそういうことを考えているのかという辺りではないかなと思うのです。ですので、今すぐのお答えは大変困難だと思いますけれども、厚労省としての大きな方針。最後におっしゃったことが、積極的勧奨はしないが情報提供はちゃんとやると。そういうふうに聞こえたのですが、取りあえずはそういう方針だということなのでしょうか。
○健康課予防接種室長 まず、ワクチン行政全般にわたることですけれども、ワクチンの効果を得るということと、どうしても避けがたい副反応が起きるということ、そして副反応か偶然か分からないような状況が起こるということ。これはワクチン行政の宿命でございますので、そのことをしっかりと胸に刻みながら、また、検討の場としては予防接種・ワクチン分科会のほうでしっかり議論していくべきことだと思っております。
御質問の点でございますが、おっしゃるとおりでございまして、現在までにどこまで議論が進み、そして準備ができたかというところで申し上げると、積極的勧奨について差し控えるという状態自体は続いておりますけれども、これは個別通知をお送りしてお勧めするということをしないということであって、定期接種であること自体をお知らせしないとか、定期接種を行わないということではございませんので、そのことの誤解も起きているという中で、しっかりと情報提供して、御本人に選んでいただける状態をつくるということが現時点での進め方、方針ということでございます。
積極的勧奨の差し控え自体をどうするかということについては、今後も課題になると考えておりますので、先ほど申し上げたような検討の場で今後も引き続き検討していくということになります。
○山口会長 この問題は5分、10分で話せる問題ではないのですが、あえて今の御説明に対して御質問、御意見等があれば。ちょっと時間が超過して申し訳ないのですけれども、せっかくお話しいただいたので、対応させていただこうと思うのですが、会場の方あるいはオンラインの方、いかがでしょうか。どうぞ。
○飯野委員 NHKの飯野と申します。
平成25年に副反応の関係でマスコミが大騒ぎしたからこういうことになったのだということも言われて、私も報道した一人としてずっと気にかかっています。一つ知りたいのは、どの段階になったら積極的な勧奨を再開するのか。何が分かったらそこに踏み切るのかということです。今回のパンフレットにも様々情報は書かれていますが、一度差し控えた積極的な勧奨をなぜ再開しないのかという疑問に対しては、何も答えていません。その点が分からないと保護者も本人ももやもやして、判断に困るのではないでしょうか。何が分かったら積極的勧奨を再開するのか。その判断をするためにどんな研究を進め、どんな調査を行っているのか、知りたいと思います。
○山口会長 よろしくお願いします。
○健康課予防接種室長 そういうことだと思います。過去の経緯、副反応かどうか分からない方々、あるいは副反応の可能性のある方も含まれていると思いますけれども、そういったことへの関心が非常に大きく集まって、そういうことも背景として今の状況があるということは、おっしゃるとおりだと思います。
これが数字とか定量的なもので何がどうだと積極的勧奨ができて、何ができていないとそうでないということについて、はっきりとした事前の線引きができるかというと、なかなかそういうわけではないものだと思いますし、科学的エビデンスというだけではなくて、国民の皆様の理解ということも大きく影響する部分だと思いますので、こうした情報提供をしっかりしていくという方策を取らせていただいているということでございます。
十分なお答えになっていないことは十分承知の上で、そうした事前に線引きというのはなかなか難しいですけれども、しっかりとエビデンスの収集、そして国民の皆さんの理解を得ながら議論していくということについては約束をさせていただきたいと思います。
○山口会長 ほかはよろしいですか。
多分コロナのワクチンがこれから1~2年のうちに始まりますね。そこがある意味国民の皆さんがこの問題についてもう一度考え直すチャンスではないかなと思っておりますので、そういうことも視野に入れてお考えいただきたいなと思っております。
それでは、司会者の不手際で時間がちょっと超過してしまいましたけれども、事務局にお返しをさせていただきます。
○がん対策推進官 本日は時間を超過しまして御議論いただきまして、誠にありがとうございます。次回以降の会議日程につきましては追って調整、お知らせをさせていただきたく考えております。引き続きよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
本日は誠にありがとうございました。
○山口会長 どうもありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線4604)