第8回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会 議事録

健康局 結核感染症課

日時

令和2年11月6日(金)
14:00~16:00

場所

厚生労働省 省議室(9階)

議題

  1. 1.薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書(2020年度版)について
  2. 2.その他

議事

議事内容
○結核感染症課長補佐 皆様、本日はお集まりいただきありがとうございました。
 定刻となりましたので、ただいまより第8回「薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会」を開催いたします。
 まず初めに、厚生労働省健康局結核感染症課課長より御挨拶をさせていただきます。
○結核感染症課長 健康局結核感染症課長の江浪でございます。
 本会議、本来であれば健康局長が出席をさせていただきまして御挨拶を申し上げたいところでございますが、国会開催中でございまして、出席がかないませんでしたので、私のほうから御挨拶をさせていただきます。また、私、本日他用務におりまして、冒頭挨拶のみで退席とさせていただきますが、その点についても冒頭おわび申し上げたいと思っております。
 本日は、委員の皆様方には御多用のところ、検討会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。また、日頃より感染症対策の推進につきまして御指導を賜っておりますこと、厚く御礼を申し上げたいと思います。
 2016年4月に策定されました薬剤耐性対策アクションプランでは、ワンヘルスアプローチの理念に基づきまして、各分野の垣根を取り除いた横断的な取組を進めていくために、「薬剤耐性ワンヘルス動向調査」に係る体制を確立することとしております。本アクションプランは、今般の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、来年度以降に改めて見直しの作業を行う方針となりましたが、このアクションプランの見直し作業に当たりましても、関係各分野におけます対策の状況を把握して、アクションプラン全体の進捗状況を評価していくということがその第一歩になると考えております。
 2017年から発行しております「薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書」は、今年度で4回目の発行となり、回を重ねるごとにヒト、動物、環境分野におけるそれぞれのデータが充実してきております。この親告書を踏まえ、今後AMR対策がさらに充実することを期待しております。
 本検討会におけます検討事項は、各分野における薬剤耐性菌の発生状況や、抗微生物薬適正使用の進捗状況など多岐にわたりますけれども、委員の皆様方には活発な御議論をいただきますようお願いを申し上げまして、簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。
 本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○結核感染症課長補佐 江浪課長、ありがとうございました。
 続きまして、本日の構成員の出席状況を御報告いたします。本日は、田中構成員、御手洗構成員、村木構成員、矢野構成員より欠席の御連絡をいただいております。また、参考人として東京都健康安全研究センター、小西典子先生に御出席をいただいております。
 配付資料の確認をさせていただきます。議事次第のほか、資料1を準備しております。本年度は参考資料は資料1の92ページからになります。
 不足している資料がございましたら、お申しつけください。
○境構成員 すみません。配付資料というのは、このタブレットのことですか。
○結核感染症課長補佐 配付資料というのは、今回はタブレットとなっております。申し訳ございません。92ページ以降に参考資料を掲載しております。
 何か不具合等がございましたら、おっしゃってください。
 皆様、大丈夫でしょうか。もし何かありましたら、挙手をお願いいたします。事務局の人がお助けにお伺いいたします。
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
 以降の議事運営については渡邉座長にお願いいたします。
 渡邉先生、よろしくお願いします。
○渡邉座長 しばらくぶりですので、今日からペーパーレスということで、扱い方が慣れない先生もいらっしゃると思うのですけれども。
 今日は、薬剤耐性ワンヘルス動向調査報告書2020年度版について、皆さんに御議論いただき、最終バージョンという形に仕上げていきたいと思います。皆さん、もう既に何回か御覧になって、コメント等を厚労省のほうに返されて、最終的な案が今日皆さんのほうに資料1ということででき上がっておりますので、これに基づいて話を進めていきたいと思います。
 まず、全体の流れということと、項目ごとに皆さんの御意見を伺いながら、修正があればそこを変えていくということにしたいと思います。
 厚労省から今回の報告書が前回からどういうところが新しくなったのか、その辺のことがもしありましたら伝えていただけますか。
○結核感染症課長補佐 渡邉先生、ありがとうございます。
 まず初めに、資料1の文字のページ数が表・フオント、ページ数等の最終的な体裁の調整は、最終報告書の公開までに行うことを御了承いただけますと幸いです。
 まず初めに、目次からですが、例年どおり前文、略称、抗菌薬の種類と略号、要旨に始まり、日本の耐性菌の現状、日本における抗菌薬の使用量の現状、8、日本における薬剤耐性に関する国民意識、9の今後の展望へと続き、各調査に関しての詳細は、巻末の参考資料に記載してあります。また、各項目ごとに一部構成が変更となっておりますので、会議の中で各担当の先生に御報告いただく予定としております。また、要旨にはアクシヨンプランの成果指標の表を載せてはありますが、今回の会議で意見等を賜り、適宜内容や文章等を追記していきたいと考えております。そのため、各項目ごとに変更点について各先生から発表していただきますので、皆様、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 皆さん、これを開いていただいて、今、説明がありましたように、目次の各項目の構成自体はそれほど変わっていないということですけれども、構成について何か御意見がありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 ないようでしたら、この構成に基づいて進めるということにいたします。
 では、まず前文のところですが、ここに関して変えたほうがよいというところがありましたら。これは松永先生のほうからコメントが出ていたということですけれども、よろしいでしょうか。
○松永構成員 AMRの松永です。
 今までは薬剤耐性菌及び抗菌薬使用量だけに限って目的に書いてあったのですが、それに加えて、感染症診療や感染症対策の部分も追記していただけるとうれしいと思ってコメントさせていただきました。
 以上です。
○渡邉座長 前文で追加された字句とか、そういうのはあるのでしょうか。
○松永構成員 今回、J-SIPHE、日本サーベイランスデータを追加させていただいたので、真ん中のほうに「薬剤耐性菌及び抗微生物薬使用量の現状及び動向を把握し、薬剤耐性菌施策の評価を行うとともに」ということを加えさせていただきました。
○渡邉座長 分かりました。
 よろしいでしょうか。
 もしよろしければ、次の略称ですけれども、これに関して、柴山先生のほうからダプトマイシンの件について何かあったようですが、お願いいたします。
○柴山構成員 ダプトマイシンの略称が統一されていなかったところがありますので、これは「DAP」とするように御提案をさせていただきました。そのように直っていると思います。
○渡邉座長 これは何ページ目になるのですか。
○柴山構成員 7ページ目。幾つかあったと思うのですけれども。
○渡邉座長 リポペプチド系のところですね。
○柴山構成員 はい。
○渡邉座長 ダプトマイシンが「DAP」になったということですね。
○柴山構成員 はい。文章全体で「DAP」に統一していただいたということです。
○渡邉座長 分かりました。ありがとうございます。
 ほかの略号等に関してコメント等がありましたら、お願いいたします。事前に松永先生のほうからDDDとかその辺のコメントをいただいているのですが、説明をお願いできますか。
○松永構成員 DDD(Defined Daily Dose)ですが、これにDDDs、「s」がついていることに関して説明がなくて、なかなか分かりにくいということでしたので、「s」は複数形ということで、それが分かりやすいように追記させていただきました。8ページの下から3行目となります。
○渡邉座長 8ページのAUDの一番下辺りのところに書かれている。
○松永構成員 すみません。4ページの真ん中です。「DDD(s)」と書いてあって、それが複数形であると。記載させていただきました。
○渡邉座長 分かりました。
 よろしいでしょうか。
 では、続きまして、要旨のところに行きたいと思います。要旨の書き方に関しては、今までと変わらないと思うのですけれども、データのアップデートがされているということだと思うのです。これは農林省のほうからコメントがあったということですが、農林省の方、何かコメントがありますか。販売量・使用量を入れるというようなコメントをいただいているということですけれども。
○結核感染症課長補佐 こちらは藤本先生のほうから、販売量は、最初は「IQVIAソリューションジャパン」という記載ぶりだったのですが、レセプトデータは販売量とも言えるが、IQVIAからの情報とは質的に異なるため、使用量に近いと考えられるので、「販売量・使用量」という形で御意見をいただいたのですけれども、村木先生のほうから幅広くということで、「使用状況」に変更してはどうかという意見がありまして、今、記載されている内容としては、「抗菌薬の販売量・使用状況」という形で記載をさせていただいておりますが、いかがでしょうか。
○渡邉座長 藤本先生、コメント、よろしいでしょうか。
○藤本構成員 それで問題ないと思います。
○渡邉座長 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 続いて、方法、結果、この辺はよろしいでしょうか。菅井先生、どうぞ。
○菅井構成員 後から気がついたのですけれども、「結果」の2行目から3行目にかけて「腸球菌属」と書いてあるのです。
○渡邉座長 9ページ目の「結果」の3行目。
○菅井構成員 11ページ目の10行目「エンテロコッカス属菌」となっているのです。これは統一したほうがいいかなと思った。気がつきました。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 これはどういたしましょうか。これは動物関係ですから農林省。
○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 すみません。こちらは、農林水産省のほうで別に記載したため、厚生労働省の記載と整合性が取れていないため、「腸球菌属」と修正したいと思います。ありがとうございます。
○渡邉座長 ここが「腸球菌属」に変更になるということですね。ありがとうございます。
 ほかによろしいでしょうか。菅井先生、どうぞ。
○菅井構成員 要旨の一番最後に「第3世代セファロスポリン系抗菌薬耐性菌の多くが、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌であることから、JANISではESBL産生菌の指標として第3世代セファロスポリン系抗菌薬耐性菌を集計している」という記載があって、これは藤本先生のサジェスチョンに従って我々のほうで一応書き換えたのですけれども、実はJANISそのものがESBLの産生菌を指標として第3世代セファロスポリン系抗菌薬耐性菌を集計しているという、そのこと自体がJANISのほうでどこにも記載がないので、これを外させていただいて、その代わりに、ワンヘルス動向調査の報告書をずっと読むと、動物のほうではESBLの話が書いてあるのですが、こちらのヒトのほうではそれがあまりないので、読んだ人が違和感があるだろうということで、JANISの記述が13ページから始まります。13ページの最初のパラグラフのところに「一方で、大腸菌におけるセフォタキシムなどの第3世代セファロスポリン系抗菌薬及びレボフロキサシンなどのフルオロキノロン系抗菌薬への耐性率は引き続き増加傾向にあり、特に重点的な対策が必要と考えられる」という記載がございます。
 そこを少し変更しまして、「一方で、大腸菌におけるセフォタキシムなどの第3世代セファロスポリン系抗菌薬及びレボフロキサシンなどのフルオロキノロン系抗菌薬への耐性率は引き増加傾向にある。第3世代セファロスポリン系抗菌薬に対する耐性率の増加は、ESBL遺伝子を保有する菌の増加を反映していると考えられる。これらの耐性菌の増加に対して特に重点的な対策が必要と考えられる」として、ESBLの文言を入れるという御提案をしたいと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 これは何ページ目になるのですか。
○菅井構成員 13ページ。
○渡邉座長 グラム陰性菌のパラグラフに今のものが追加というか、修正されるわけですね。
○菅井構成員 はい。
○渡邉座長 藤本先生、いかがですか。
○藤本構成員 耐性菌をやっている人たちは、第3世代セファロスポリン耐性の菌をどういう意味で集めているかというのは十分に知っているのですが、案外一般の人はそこがすぽっと抜けているので、どこかで加える必要があると考えました。
 私は、JANISということでなくて、ワンヘルス全体でそういうことを入れたらいいかなと思っていたのですけれども、ワンヘルスにしても、先ほどJANISで問題になったように、どこかにそういうことをうたったということはないわけなので、ここは今、菅井先生からの御提案のように、JANISのところで一旦きちんと述べていただくということで、読んでいる方の理解を促すということでよろしいかと思います。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 これは薬剤耐性菌センターのほうでは、代表的には大腸菌なら大腸菌を集めて、それの解析をやられているのだと思うのですが、そのデータというのはどんな状況になっているのでしょうか。
○菅井構成員 AMED研究で第3世代セファロスポリン耐性の菌で、大腸菌とクレブシエラ、あと、CREとかもこの中で集めまして、大体2万株強集めて、最終年度なのですが、その中でのデータでほとんどESBLだということで、その結果は多分来年のこの会には反映できるのではないかと考えています。そこでは「ESBL」という言葉がちゃんと入った形の報告ができるのではないかと思っています。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 国内だけでなくて、世界的にこのデータを出すときにも、実際ESBLがどのぐらいあるのか、つまり第3世代セファロスポリン剤に対する耐性の機構として、遺伝的な解析がされているのかどうかというのは非常に興味があるところだと思いますので、ぜひ入れていただければと思います。
○菅井構成員 はい。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 そのときには報告書を引用するという形になるのですか。それともそれまでに論文が出る形になるのですか。
○菅井構成員 頑張ります。
○渡邉座長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○結核感染症課長補佐 ほか、1点いいですか。
 矢野先生は本日御欠席なのですが、矢野先生に事前にお話をした際にあった意見です。要旨の際に背景から環境のことにも触れているのに、考察については環境について触れていないので、できれば考察で環境のことも触れてほしいという意見がありましたので、皆様に共有させていただきました。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 環境のところは後で黒田先生から報告をいただくことになると思うのですけれども、今の意見について、いかがでしょうか。要旨のところに何か加えることは可能でしょうか。
○黒田構成員 感染研、黒田です。
 今日、お話を少しさせていただいた中で、もし有用であれば1~2行追記いただければとは思いますけれども、まずは。
○渡邉座長 では、報告いただいた後にどういうふうにまとめるか。
○黒田構成員 はい。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 セファロスポリン系のところはよろしいですね。
 続いて、グラム陰性菌のデータはよろしいでしょうか。
 グラム陽性菌のところで、藤本先生のほうから表10-1、10-2、10-3辺りに関してコメントがあったようです。
○藤本構成員 病床数によってMRSAが占めている割合が違うということが実際に表に出ているのですが、本文中に現れないので、それについてはもう既に菅井先生のほうから追加をしていただきました。
 もう一点懸念事項として、ヒトのMRSAの検出にはコロニーを拾って耐性を見ているものと選択培地を使って見ているもの、両方とも含めて数として計上しております。小さい病院でより多く選択培地を使っているとか、そういうことがあると、ここのデータというのは解釈が難しくなるのですが、そのことについていかがかということを菅井先生のほうに伺いまして、菅井先生のほうから、そこまでの解析は進んでいないということで、取りあえず大きさによって違うという、今、分かっていることを述べて報告とするという形にすることになったかと存じております。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 これは病院関係のデータだと思うのですが、実際はどういう形でやられているのですか。では、柴山先生。
○柴山構成員 これはJANISのデータですけれども、200床以上の病院と200床未満の病院に分けて、黄色ブドウ球菌中に占めるMRSAの割合を単純に計算して、割り算をして出した数値になります。これは200床以上の病院と200床未満の比較的小規模な病院とで検査のやり方、あるいは検体の採り方も多分違うと思うのですが、そういった形でこういう差、200床未満の小さい病院のほうが比較的MRSAの率が高いという数字が出てしまっているのですけれども、これがどういうことが要因でこういう違いが出ているのかというのは、JANISとしてはまだ把握できていないので、これはこれから解析していきたいと考えています。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 MRSAのほうはブドウ球菌を分離して、その中でMRSAかどうかを検査するのですか。それとも初めからMRSAをターゲットとしてポジティブセレクションをしているのですか。
○柴山構成員 先ほど藤本先生が御指摘になりましたように、これも病院によってちょっと違うと思うのですが、ブドウ球菌が分離剤の中からさらにMRSAを分離したり、あるいは選択培地をいきなり使うということもあると思いますので、そこが私たちとしても把握し切れていないところです。
○渡邉座長 データとしては、それが混在した形でここには書かれているという理解でよろしいわけですね。
○柴山構成員 おっしゃるとおりです。
○渡邉座長 分かりました。 
 藤本先生。
○藤本構成員 MICを送っていただいているデータと、あとMRSAだけのデータを送っていただいているものがありまして、MRSAだけ送っていただいているもののほとんどが、選択培地によって上がってきたものを指しているのだろうと考えていますが、ただ、それも本当かどうかということをきちんと確かめる必要があるので、今後調査をしていただくということでいいかと思います。
○渡邉座長 分かりました。
 精度管理の問題と絡んでくるのだと思うのですけれども、今後その辺を明らかにしていただければ、200床以下と200床以上の間の差異、その辺がどういう理由なのかということが明らかになってくるのだと思いますので、よろしくお願いいたします。
 MRSAはよろしいですか。
 次に、エンテロコッカスのところはいかがでしょう。それからフェシウム。あと、肺炎球菌のところでしょうか。そこら辺はよろしいでしょうか。
○松永構成員 AMRの松永です。
 肺炎球菌のところで1つ御相談なのですが、髄液検体の耐性率の推移は、なかなか数が少なくて、耐性率の変動が大きいです。一方で、髄液検体以外の耐性率の推移というのは、抗菌薬適正使用、どの抗菌薬を使用していいかという指標の観点から、MICが高くて推移がなかなか分かりにくいという現状があると思います。ですので、例えば髄液以外の検体も、髄液のMICを指標することによって、AMRのトレンドというのがより分かりやすくなるのかなと考えたのですけれども、その点、いかがお考えでしょうか。
○渡邉座長 どうでしょうか。柴山先生。
○柴山構成員 これはJANISのデータのことで御指摘いただいたと思うのですが、髄液以外の肺炎球菌のMICも髄液の判定基準で見ていったらどうかという御提案だと思うのですけれども、JANIS側は技術的には可能なのですが、実際の医療機関で髄液検体以外の肺炎球菌で、髄液の判定基準でMIC、データを出していただいているかどうか、その辺を私たちは分からないのです。そういうデータがあれば、もちろんできるのですけれども、その辺を調べてみたいと思います。調べた上で、検討したいと思います。
○松永構成員 ありがとうございます。
○渡邉座長 よろしくお願いいたします。
 ほかに御意見がありますか。よろしいでしょうか。
 続きまして、NESIDのところはいかがでしょうか。NESID関係の先生は、今日は来ていらっしゃらないですか。
 よろしいでしょうか。特にコメントがないみたいだったのですけれども、2018年のデータが追加されているというところだと思います。
 では、その他でカンピロバクター。これは都衛研のほうでやっていただいているデータですが、よろしくお願いいたします。
○小西参考人 カンピロバクターについては、散発患者由来の株の薬剤耐性率の発生動向を健康安全研究センターのほうで調べさせてもらっています。そして、表のところで昨年度と大きく変わるところが薬剤の種類ですが、昨年はエリスロマイシン、ナリジクス酸、フルオロキノロン薬剤ということで、ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、3薬剤のものを合わせていたのですけれども、同じ機構のものをたくさん耐性率を見てもというところがありまして、少しすっきりさせようということで、2018年のデータからはシプロフルオキサシンのみのデータを出しています。ただ、幸いにして、これまでデータを取ってきたものは、この3薬剤、全く同じ動向を示していたので、数字的には変わっていないということになります。それが表17で、カンピロバクター・ジェジュニのほうのデータ。表18、コリのデータということになります。
 以上になります。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 続いて、サルモネラですが、これは地方衛生研究所の検査データが入っていると思うのですけれども、よろしいでしょうか。どうぞ。
○四宮構成員 22ページになります。Non-Typhoidal Salmonella属菌ということで、2019年のデータを加えた表に改訂しております。表19は、左側がヒト由来菌の分離頻度が高い上位10位、右側が食品由来菌の分離頻度の高い上位5位を書いております。10位と5位の中で共通のものとしてはSchwarzengrund、Infantisなどがありますので、それについては両方の比較ということもしております。
 表20がヒト由来サルモネラ属菌。
 表21が食品由来で、食品由来のCTX、CAZ、CFXは2017年に8.1%と少し高くなっているという指摘がありましたので、そこは外国産由来のものと国産由来のものがあるのですけれども、括弧の中が国産鶏肉になっておりまして、国産品に関しては第3セフェムに対する耐性が特に上昇しているということはないということです。
 表22と表23が食品由来のInfantisとSchwarzengrundで、表24から表28がヒト由来のサルモネラ属菌の血清型別の年次的な変化を書いております。
 28ページの表29がヒトと食品双方から上位に検出されるInfantisとSchwarzengrund、Manhattanの5年間のトータルの株数と、その薬剤耐性パターンを示しております。これは表なので少し分かりにくくて恐縮なのですけれども、グラフにすると、デンドログラムとして食品由来株とヒト由来株の中に強い類似性が見つかるということが明らかになっております。
 2015年からこの5年間にデータが得られているのですが、大きな変動というのはなくて、現在の日本の状況を示しているのではないかと思います。
 22ページに戻っていただいて、今年度は昨年度までなかった部分が22ページの下から6行になります。「薬剤感受性試験に加えて、2015年~2018年分離株のうち、CTX、CAZ、CFXの1剤以上に耐性を示した株(ヒト由来26株、食品由来31株)があったのですけれども、そのフェノタイプを解析するために、ESBLの6種類の薬剤耐性遺伝子、AmpC型の6種類の遺伝子型についてPCRにより遺伝子解析を行いまして、それぞれのESBL、AmpCのGenogroup、それから遺伝子型を決定いたしまして、CTX-M-1グループの保有が最も多くて、TEM型が次に多いというその順位が、食品由来株とヒト由来株で同様でしたので、そのことを記載しております。
 AmpC型でもCIT型の保有が最も高くて、これはヒト由来株と食品由来株で共通でしたので、その点も記載しております。
 ただし、ヒト由来株のほうが26株中の22株でESBL型で、食品由来株では31株のうち18株はAmpC型のものが検出されましたので、ヒトからのもののほうがESBLに属する耐性菌が高度に検出される。その点は違うかなと思います。
 以上になります。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 この解析は、数が少ないからあれですけれども、血清型別では何か差異があるのでしょうか。
○四宮構成員 血清型別のデータはまだ見ていないのですが、これはフェノタイプとしてその3剤の中で1剤以上耐性というもの。トータルの解析になっています。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 ヒトからの解析は主に大腸菌をやるのでしょうか。菅井先生。
○菅井構成員 大腸菌、クレブシエラ、あと、それ以外の菌としてはVRE。あと、MRSAは血液由来のものに関しては行っています。
○渡邉座長 分かりました。ありがとうございます。
 サルモネラは、ヒトからの数が少ないから、耐性菌センターに全部集まってくるわけではないのですね。
○菅井構成員 サルモネラに関しては、うちに集まってきません。
○渡邉座長 そうすると、そのデータは地方衛生研究所のこのルートを通してやるということが必要になるということですね。
○菅井構成員 はい。
○渡邉座長 分かりました。
 よろしいでしょうか。御質問等がありましたら。
 では、続きまして、ナイセリアですけれども、これは感染研から誰か来ていないのですね。
 では、ここを見ていただきますと、昨年までとほぼ同じようなデータが出ているということになると思いますけれども、よろしいでしょうか。
 続いて、チフスとパラチフス、赤痢菌に関しても、感染研からは来ていないですね。
 感染研に集められたこれらの菌に関しての耐性率の変化は、ここに挙げられていると思いますが、例年とあまり変わらないような状況が続いているということになると思います。
 続きまして、結核菌ですけれども、結研の先生はいらっしゃらないですね。
 この結果をちょっと見ていただきますと、耐性率の変化というのは昨年度までと変わっていないということになると思います。
 では、続いて、Clostridioides difficileに関して、これは松永先生。
○松永構成員 AMR、松永です。
 アップデートした部分を説明いたします。今年度からJ-SIPHEの年報が出まして、そちらで集計したデータを追加させていただきました。CDIの罹患率は、1万患者当たり1.38という数字が出てきました。既存の観察研究では0.8~4.7、前向きの研究では7.4%と、かなり差があるデータとなっております。いわゆる前向き研究の場合には、検体数をしっかり狙いに行って採っているということと、あと、全ての検体において遺伝子検査をされているという状況です。J-SIPHEはよりナラティブ、観察的に採っておりますので、その数値の違いがあるかなと思っています。
 今後J-SIPHEでは、検体数、CDIの検査をどれぐらいしかたというものを精度基準として追加で採っていくことを考えております。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 この頻度というのは、欧米と比べた場合に日本は少ないのではないかと言われたときもあるのですが、現状はいかがなのでしょうか。
○松永構成員 J-SIPHEの数値ですと、欧米よりも低い数値となっております。前向き観察研究ですと、欧米と同様の結果となっているというのが現状です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 続きまして、院内感染の状況で、JANISのほうから説明を加えていただけますか。柴山先生、お願いします。
○柴山構成員 院内感染の発生状況ということで、32ページ目、SSIは、手術部位感染の発生の推移です。こちらもほぼ横ばいの状況となっております。
 ICUにおける感染症の発生状況におきましても、人工呼吸器関連肺炎、尿路感染、カテーテル関連血流感染症についてですけれども、こちらもほぼ横ばいの状況となっております。
 JANISのほうは以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問等ありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 では、続きまして、高齢者施設における抗菌薬の調査状況。松永先生のほうからお願いいたします。
○松永構成員 AMR、松永です。
 8.病院における感染診療・感染対策・疾病負荷に関する調査というところです。今年度J-SIPHEの年報が出ましたので、AMR対策に係るシステム「J-SIPHE」についての記載を追加させていただきました。J-SIPHEは、現在年報では581施設、加算1が約450、加算2が100という形の施設に御参加いただいております。その中で診療のプラクティスとして、血液培養の提出数が、中央値23.8(/1,000在院延べ患者数)であり、複数セット率は、成人では中央値90%以上を超えていた。よい形であったということを御報告させていただきました。
 また、血液培養の陽性率は、13.27%と適切な指標であった。ただ、加算1算定病院が中心だったことと、病院によってかなりプラクティスの幅があるので、底上げをしていかなければいけないかなと考えております。
 また、その中で各医療機関の血流感染症の発生状況を確認いたしました。JANISの報告があったように、大腸菌であったり、ブドウ球菌及びクレブシエラが菌血症に非常に多い菌であったということが判明しました。
 また、手指衛生のプラクティスですが、手指衛生遵守率、どれぐらいしっかり手を洗っていただろうかということで、病院全体では57.5%。これは約70~80%ぐらいを目標にしようということで、もう一息と。一方で、ICUであったり、そういうクリティカルケアの部門では67%と若干高かったという数値が出ております。
 また、手指衛生の遵守率というのは、なかなか調査するのが大変だということで、手指衛生の使用量を代替指標としてチェックしている病院があります。それは全体で7.44mL/1000在院患者延べ数ということで、WHOの指標では20を目標にしているのですけれども、日本ではまだ十分でない可能性がある。一方で、製剤自体が進化していて、いわゆるアルコール製剤も泡であったり、1cc当たり、単位の基準もかなり進歩しているというところがありますので、今後日本での指標をしっかりとつけていかなければいけないかなと考えております。
 あとは、厚生労働省の科研費でJANISデータを用いて血流感染症の患者における死亡数を公表させていただきました。MRSAに関しましては、年々死亡数は減少しておりましたけれども、2017年には4,224人。フルオロキノロン耐性大腸菌は年々増加傾向で、2017年には3,915人死亡されているということが推定されていました。今後菌種を拡大していくことを検討していることと、死亡数だけではなくて、QALY、DALYsといった疾病負荷指標を算出していく予定です。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 今の点に関して御質問等がありましたら。どうぞ。
○藤本構成員 見落としていたのですけれども、IQRはパーセントと同じぐらい周知されているのかどうなのかということで、もしあれだったら、どこかに何の略であるかというのを断っておいたほうがいいと思います。
○松永構成員 ありがとうございます。IQRはしっかり注記しておくようにいたします。
○渡邉座長 これはどこに入れますか。最初の略称のところに入れますか。それとも。
○松永構成員 そしたら、まずここの8番だけに下にアスタリスクをつけて入れるようにしてみます。
○渡邉座長 それでよろしいですか。
○藤本構成員 はい。
○渡邉座長 ほかに御質問ありますか。浅井先生、どうぞ。
○浅井構成員 内容ではないのですけれども、ここだけ何々からのところが直線で、ほかのところは波線になっているみたいなので、修正いただいたほうがいいのかなと。例えば「70-80」。
○松永構成員 ありがとうございます。修正させていただきます。
○渡邉座長 では、合わせるようによろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 では、続いて動物のほうで、家畜由来細菌、JVARMのデータに関して、農林水産省のほうから御説明をお願いいたします。
○関谷構成員 農林水産省動物医薬品検査所の関谷と申します。よろしくお願いいたします。
 37ページの真ん中から動物が始まりまして、まず病畜由来です。家畜保健衛生所において病性鑑定を実施した家畜から分離された菌のデータで、2018年のデータをつけ加えて更新しております。
 表45、サルモネラです。シプロフロキサシン、フルオロキノロンですと引き続き低いという状況がありますが、一方で、アンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン、特に鶏のカナマイシンにちょっと上昇傾向があるというような2018年のデータになっております。第3世代セファロスポリン系に関してはゼロということになっております。
 次のページはサルモネラの血清型別。この傾向に関しては18年のものも加えていますが、特に傾向が変わったということはございません。
 表47は黄色ブドウ球菌でございます。シプロフロキサシンのほうが40ページのところにございますが、鶏と牛では低いですが、豚で23.5%ということで、若干高いという状況になっております。
 表48は、引き続き病畜からのということですが、大腸菌の2018年のところが入っております。第3世代セファロスポリンのセフォタキシムが低くなっておりますけれども、アンピシリン、ストレプトマイシン、テトラサイクリンなどに関しては50%以上となっています。
 次のページです。コリスチンに関しては、途中でブレイクポイントが変わっておりますので、非常に上昇しているように見えますが、以前のブレイクポイントに基づくと変化はないという状況になっております。これはEUCASTのブレイクポイントを2016年から採用しております。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問等がありましたら、お願いいたします。どうぞ。
○勝田構成員 すみません。内容ではないのですけれども、サルモネラのところの本文3行目が「スルファメトキサゾール/トリメトプリム(ST)」になっていますが、それに対応する表45が、「ST」というものがなくて「TMP」になっているのですが、これは読んでいて分かりづらいので、ほかにも何か所かSTに対しての記載と表現の記載が違っている箇所が見受けられるので、その辺りを統一していただければと思います。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 よろしくお願いいたします。
○関谷構成員 対応させていただきます。
○渡邉座長 これはどちらに統一しますか。ST、TMPですか。
○関谷構成員 ヒトの分野の記載なども見て全体で統一したいと思います。今、確認ができなくて恐縮です。
○渡邉座長 お願いいたします。
 ほかにございますか。
 これは大腸菌もそうですが、ブドウ球菌もそうですけれども、シプロの耐性値が、2012年と比べると2018年ぐらいは半分以下に下がってきているというのは、食品安全委員会か何かの答申に基づいて使わなくなってきているということが反映しているのでしょうか。
○関谷構成員 はっきりは申し上げられないですけれども、アクションプランもできて、その後のそういった国際的な状況もあるし、食品安全委員会の評価結果に基づいていろいろなリスク管理措置をしておりますので、ある程度そういうのは効いてきているのかもしれないですが。
○渡邉座長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 なければ、健康家畜のほうをお願いいたします。
○関谷構成員 41ページの真ん中から健康家畜ということで、先ほど病畜ということで、抗菌剤の使用とか治療の影響もあるというものでしたが、健康家畜のほうはバックグラウンドデータということになります。同じく2018年のデータを加えております。表49が大腸菌で、新しいところとしましては、メロペネムを薬剤として追加しておりまして、耐性株はなかったということになっております。
 大変恐縮ですけれども、2018年の健康家畜のデータですが、ちょっと修正が必要な部分がございます。耐性率の大勢には影響ない、大体の傾向には影響ないのですが、細かいところで、と畜場に集まってきた菌株の農場の由来を選別するときの代表株、農場代表株というのがありまして、データを取り違えているものがあったということなので、公表までに修正させていただきますが、大きな傾向には影響ないと考えておりますので、すみません。
○渡邉座長 はい。
○関谷構成員 訂正ばかりで恐縮ですけれども、あと、表49のメロペネムのブレイクポイントが32になっておりますが、これは「4」の間違いでございます。CLSIの4ということになります。訂正させていただきます。
 42ページの下のところからはカンピロバクター・ジェジュニでございます。表50になりますが、これも2018年のデータを追記させていただいております。2017年からはアジスロマイシンも加えておりますが、エリスロマイシンとパラレルな動きというような形になっております。
 カンピロバクター・コリのほうですけれども、表51です。豚でありますと、コリが分離が多いということで、豚のほうが示されております。これでいきますと、シプロフロキサシンが58.6%ということで、高い状況にはなってございます。
 続いて、44ページの腸球菌ですけれども、大変申し訳ございませんが、2018年のデータが精査中で、公表までに間に合わないという状況でございますので、更新がされていなくて、2017年までということになっております。申し訳ございません。ですので、ここは変更がございません。表53、表54も変更がございません。
 47ページ、サルモネラ。これは鶏のものでございます。こちらは2018年からメロペネムを追加しておりますけれども、表55の表から抜けておりますので、追記をさせていただきたいと思います。メロペネムに関しては耐性株は認められておりません。
 48ページからはサルモネラの血清型のヒト、動物、食品の比較ということで、これは昨年の報告書にも掲載させていただきましたが、2018年までのデータを追加をしておりますが一番多いということですが、上位5つでほとんどが占められている。表57ですが、ヒト由来では多様性があるという、血清型の違いが見られているという傾向に変わりはございません。
 50ページは養殖水産分野が載ってございます。表59のレンサ球菌症原因菌、ラクトコッカス・ガルビエの2018年のデータが追加されております。リンコマイシンの耐性率が下がっている状況で、エリスロマイシン、OTCに関してはゼロという状況になっています。株数が、2017年から調査の強化として増加しております。
 類結節症のところに関しては新しいデータがございませんので、前回のままになっております。
 51ページのビブリオ病の原因菌のところですが、2018年のデータを追記しております。
 なお、ブレイクポイントが設定できなかったものについては、表の下に注記してございます。
 腸炎ビブリオのほうですが、これも新しいデータがないということで、前年と同じということになります。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問等ありましたら、お願いいたします。どうぞ。
○田村構成員 健康な鶏から分離されるサルモネラと大腸菌の、ストレプトマイシンの耐性率が2013年から上がっていますね。これの原因について調べているのか、またはどう考えられているのか教えてください。
○関谷構成員 ストレプトマイシンとカナマイシンが鶏で増加が見られている状況で、鶏でどのように使われているかという使用実態などを調査しながら、リスク管理措置を今、検討しているところでございます。
 場合によっては、以前にセファロスポリン系の耐性率が鶏で上がったという事例がございまして、この報告書の後ろに載ってございますが、ワクチンを鶏に投与するときに一緒に投与してしまっているという事例もあったりしましたので、実際に使用実態がどうなっているのかをよく確認した上で、食品安全委員会にアミノグリコシド系としてリスク評価も依頼することを予定しておりますので、それも踏まえてリスク管理措置、規制措置等を検討していきたいと考えております。
○渡邉座長 ありがとうございます。
○田村構成員 やはり卵内のヒナのときに適応外使用で、抗生物質を使うやり方が問題だと思うので、その辺のリスク管理をよろしくお願いします。
○関谷構成員 その点も踏まえて対応させていただきたいと思います。
○渡邉座長 これは今の話とちょっと関連するのですが、「健康家畜由来」と書かれているのですけれども、確かにセファロスポリン系の第3世代に関しては、一時高かったのが低くなってきていると思います。ただ、病鑑由来の菌はそれ程でもないような感じですが、病鑑由来の菌に対してどういう薬を使うかというのは、獣医師さんの判断に任されているということでよろしいのでしょうか。
○関谷構成員 動物用の医薬品も旧薬事法、医薬品医療機器等法で承認という制度がありますので、承認を取るということになります。基本的には承認されているものを獣医さんが使うということになります。鶏用のセファロスポリンというのは承認はないので、適応外使用で過去に、使用されていたという状況もありましたので、そこを中止することで耐性率が下がったということかと思います。
○渡邉座長 ほかに御質問ありますか。よろしいでしょうか。松永先生。
○松永構成員 養殖水産分野のラクトコッカスのリンコマイシンの耐性率が2018年度はすごく下がっているというのがあるのですが、これは何かワクチンであったり、抗菌薬の規制であったり、ここでエポックメーキングなことがあったのでしょうか。去年マクロライドが増えたのはラクトコッカスが流行したからでしたか、そういうことをおっしゃっていたと思って、何か関連するのかなと思いまして。お願いします。
○関谷構成員 引き続きラクトコッカス・ガルビエが原因となるレンサ球菌症というのが出ておりまして、やはりマクロライド系の使用量の増加が見られている状況に変わりはないのですが、リンコマイシンがなぜ下がったかというのは、なかなか考察できないところでありますが、いずれにしても、対策として新しいワクチンの必要性などの措置の検討をしているところという状況でございます。
○渡邉座長 藤本先生、今、手を挙げていましたか。
○藤本構成員 大変細かいことで恐縮ですけれども、44ページの表52の上のパラグラフで、下から3行目後ろのほうから始まりますが、「ヒトの医療で重要なエンロフロキサシンに対する耐性率は」という文章がありまして、重要ではあると思いますけれども、ヒトの医療でエンロフロキサシンは使わないので、ここは、「ヒトの医療で重要なフルオロキノロン系薬剤であるエンロフロキサシンに対する耐性は」で、同じく「ヒトの医療で重要なバンコマイシン」というような話で分けられたほうがいいかと思います。
○渡邉座長 今のをつけ加えていただいて、よろしくお願いします。
○関谷構成員 はい。ありがとうございます。
○渡邉座長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 では、次の項目のほうをお願いいたします。愛玩動物のところ。
○関谷構成員 51ページの下、3.愛玩動物というところからお願いいたします。JVARMという動物分野のモニタリング調査の中で、愛玩動物のほうのモニタリングも2017年から、まず疾病に罹患した動物、臨床検査の検査機関に動物の材料が行きますので、そこから分離される菌についての調査を始めたところです。今回は2019年のデータを追記しております。委員の方から御意見をいただいて、52ページのイのところに、どこの検体かということ、尿及び生殖器、尿及び皮膚ということを明記させていただきました。
 表62は、2019年のデータを追加しております。メロペネムに関しては引き続きゼロということになっておりますが、疾病に罹患したということですので、薬剤によっては耐性率が高いということですけれども、コリスチンとかメロペネムに関しては低い、またはゼロということになっております。
 クレブシエラですが、53ページの表63にございます。こちらもメロペネムに関しては2019年もゼロということになっております。コリスチンもゼロということですが、セフォタキシム、あるいはシプロフロキサシンに関してはこのような状況になっておりますので、高い傾向がございます。
 それから、コアグラーゼ陽性のスタフィロコッカス属菌ですが、表64に同じく2019年のデータを追加しております。こちらでもオキサシリンあるいはシプロフロキサシンも高いという状況になっております。
 表65は、ちょっとページがまたがっておりますが、黄色ブドウ球菌のほうです。こちらも2019年は、2017年から同様な傾向で推移しておりますけれども、全体的に高い状況がございます。
 腸球菌でございますが、表66でございます。こちらは2019年からバンコマイシンを対象薬剤としておりますが、バンコマイシン耐性の腸球菌はなかったということになっております。
 以上が疾病に罹患した犬猫からの分離された菌の調査ということです。
 56ページからは健康な犬及び猫由来ということで、これは今回初めてデータを掲載していただくことになりました。2018年から新たな取組として開始したものでございます。
 こういった健康な愛玩動物のモニタリングというのは、諸外国でもなかなかシステマチックに行われていないようなものなので、世界的にも先駆的な取組かと思っております。
 実際のデータは表67にございますが、疾病にかかった犬猫に比べると全体的に低い耐性率になっております。メロペネムは耐性株はなかったということになっておりますし、セフォタキシム、あるいはコリスチン、シプロフロキサシン、そういった人医療で重要なものも疾病動物に比べると低く抑えられているという状況になっております。
 次のページに腸球菌が出ておりますけれども、バンコマイシンに関しましては耐性株はなかったということで、こちらも同様に疾病動物に比べると全体的に低いというデータになってございます。
 以上でございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問等ありましたら、お願いいたします。黒田さん、どうぞ。
○黒田構成員 ありがとうございます。
 疾病罹患の犬猫、健康犬両方、例えばセフォタキシムとシプロフロキサシンの耐性の割合が非常に似通っている。もしかしたら1株そのものが多剤耐性菌とか、株で見たときにどのような耐性の種類を複数持っているかという特徴というのをこの中から見ることはできるでしょうか。
○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 遺伝子型のパターンや多剤耐性パターンということでしょうか。
○黒田構成員 はい。
○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 現状で正確に疾病羅患と健康由来の株の比較をしておりませんが、遺伝子型としては同じくCTX-M型が検出されております。先生がおっしゃるように、耐性パターンやその他性状等についても、比較の実施を検討していきたいと思います。
 ありがとうございます。
○渡邉座長 ほかに。藤本先生。
○藤本構成員 これはこのデータのことではないのですが、バンコマイシン耐性の腸球菌について、ヒトでも選択培地に広げないと拾えないことが比較的多くて、アウトブレイクがあったりすると、みんな選択培地にまくので、すごい数が出てきて、全国的にも数が増えてしまうようなことが起きています。
 動物についても、今は例えば100株普通に拾ったらば、こういうので、150株拾ったら、こういうので出ていませんでしたというのはすごく大事なデータだと思いますが、将来的には選択培地に一定の量をまいて、一つも出てこないのかどうなのかというところは見ていく必要が。病鑑の場合で抗菌薬を使っていた場合にはかなり選択されていると思いますけれども、そうでない場合は、特にそういった調査が重要になるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○関谷構成員 ありがとうございます。検討させていただきます。
○渡邉座長 これは、ポジティブセレクションでやった場合、出てくる可能性はあるのですか。
○藤本構成員 選択圧がかからないと、10万分の1、100万分の1という数で腸内に生息していて、抗菌薬を使用すると、数日でそれがマジョリティーになってくるということは、観察としてはよく見られますので、同じことから言うと、例えばスワブ1個まいても、出なくなる状態でも出てくる可能性はあるのですが、ただ、1コロニー、2コロニー拾うのとスワブ1個を選択培地でまくのでは、全然見ている菌数が違いますので、感度は10の数桁上がるだろうということで、ないないと思っていて実はあるということを避けるためにできるだけ感度のいい方法で、それで実現できる範囲でやっていくことが大事かと思います
○渡邉座長 20世紀の終わりに日本は先んじてバンコマイシンと同系統のアポパルシンを動物から投与を禁止したということで、動物の分野ではこの20~30年同系統のものは使っていないと思うのです。そうすると、一般的に考えた場合には、そういう耐性遺伝子も含めて、耐性菌もだんだん脱落というか、除去されてくるのかなと思うのですけれども、外国由来の鶏肉等からバンコマイシン耐性菌が分離される例もあるので、そういうのが国内の動物に与えられた場合に耐性遺伝子が入り込む余地はあるのかなとは思うのですが、現実的に日本でそういう動物等でバンコマイシン耐性菌をポジティブセレクションで調べたデータというのは、誰かお持ちなのですか。
○田村構成員 ないですね。
○渡邉座長 分かりました。
 そういう意味では、非常に重要なポイントかなと思いますので、農林水産省としてできるようでしたら検討していただければと思います。
 よろしいでしょうか。
 続いて、野生動物のところをお願いいたします。
○浅井構成員 岐阜大学の浅井でございます。
 昨年度議論いただいていたと聞いておりますが、最終的にパブリケーションができていないということで、削除されたものになります。それで、無事論文発表が終わりましたので、できた部位のみ掲載させていただくようお願いしている次第です。
 基本的にほとんど耐性菌というのはすごく低率だったということ。それから、比較的生息場所と関係した耐性菌の分布で、小型哺乳類、ネズミとかモグラとかが入っているカテゴリーになりますが、家畜の関連施設で捕獲されたネズミでは、それらに耐性菌はいたけれども、山間部とか都市部では低率だったと。そういう感じのデータになっております。
 前回のときは、環境のところに入れるほうがいいのではないかという話がたしかあったと聞いておりますが、今回どういうふうに扱うかについては御議論いただければと思います。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 まず、データに関して御質問等がありましたら、お願いいたします。どうぞ。
○勝田構成員 細かいことで申し訳ないのですけれども、表の薬剤の略号が6ページのものと違っているので、合わせていただければと思います。
○浅井構成員 修正いたします。
○渡邉座長 そうですね。一致させていただければと思います。
 ほかにございますか。菅井先生、どうぞ。
○菅井構成員 菌名もここは「大腸菌」になっていますが、ほかのところは学名になっていますので、学名で合わせるのであれば学名で。
○浅井構成員 はい。分かりました。
○渡邉座長 ほかにございますか。
 野生動物はあまり薬にさらされることがないがゆえに、こういう耐性率として低いと考えてよろしいのでしょうか。
○浅井構成員 そういうのも大きな要因になっているかと思います。
 あと、生息場所で人とのコンタクトが少ないものがやはり耐性菌が少ないという傾向かと思います。
○渡邉座長 小型哺乳類というのは何になるのですか。
○浅井構成員 小型哺乳類はネズミとかモグラとか。都市部のものはほとんどドブネズミとかクマネズミが中心。家畜施設もほぼ同じで、山間部のものはアカネズミだったり、ハタネズミだったかな、それからヒミズとか、そういうモグラの類いも入ってくるという成績になっています。
○渡邉座長 そうすると、都市部と山間部で少し耐性のパターンまたは耐性率が違うというのは、今、先生がおっしゃったような人間の世界に近いかどうかと。
○浅井構成員 はい。人の食べ残しだったり、残飯とかと接触するとか、そういうものが関係しているのではないかなと思っています。
○渡邉座長 アナグマとトカラ牛。トカラ牛というのは何ですか。知らないのですけれども。
○浅井構成員 鹿児島のほうの離島の牛だそうです。
○渡邉座長 例えばテトラサイクリンか何かが耐性率が高いというか、持っているというのは、やはり人の世界に近いのですか。
○浅井構成員 アナグマについては、民家とかそういうところの近くまで出てくる事例は結構ありますので、そういうこともあるのかと思いますが、最近、鹿児島大の先生たちが出したアマミノクロウサギのデータがあって、それは100頭ぐらい調べて1頭もいなかったと。そういう成績もあります。
○渡邉座長 よろしいでしょうか。
 抗菌薬とかそういうのに触れる機会が少なければ、耐性は持たないだろうという、ある意味示唆的なデータかなと思うのですけれども。
 では、続いて、食品の項です。食品の項は厚労省の研究班の事業としてやっているのをまとめた結果ですが、サルモネラ、カンピロバクターに関しては、先ほど四宮先生と小西先生から報告されたデータがほかのところに上がっていますので、そちらを参照していただければと思います。
 同時に輸入食品等について調べているのですが、少し国産と輸入食品の間での耐性率の違いがあるというのが第2段目のところに書いてあります。
 ESBLについても調べた結果、特に健康人由来大腸菌のESBL保有率が5%ぐらいあると。これは毎年、大体このぐらいのデータが出ていますので、一般の人もそのぐらい持っているのだろうということで、この健康由来の人がどのぐらい前に抗菌薬を投与された経験があるのかどうかというところまでは調べていないのですが、一般的に大学等の学生のふん便を調べた結果のデータがどこかの大学から出されているのですが、その学生さん、数十年来抗菌薬を投与されていないという方に関しても5%ぐらいESBLを持っているというデータがありますので、日本人一般の人はこのぐらいもう既にESBLを腸内に持ってしまったと考えられます。これがどこから来たのかというのは、想像はできるのですけれども、なかなか証明は難しいというところだと思います。
 あとは、イミペネム、ペネム系の耐性菌は健康人由来のふん便からは認められていないわけですが、プラスミド性コリスチン耐性遺伝子の保有株は、健康な人のふん便中からも認められているということは、今後臨床の分野でこういうコリスチン等が使われていくとすると、そういうのが選択されてくる可能性もあるということだと思います。
 以上ですけれども、食品等で何か。四宮先生と小西先生、つけ加えることがありますか。よろしいでしょうか。
○結核感染症課長補佐 すみません。矢野先生からいただいた御意見ですが、参考程度で委員にお伝えさせていただきます。3パラグラフ「調べた鶏もも肉の内76.7%、鶏むね肉の内66.0%の肉がESBL大腸菌を持っており」というところの書きぶりで、どうしても鶏の汚染が多いように捉えるとおっしゃっておりました。また、その1行下「鶏肉の大腸菌がそのままヒトの腸内に定着しているわけではないが」というところで、どうしても腸内に定着しているように捉えられてしまうとおっしゃっておりました。
 その次のパラグラフ「2018年」のところの内容が相反する印象を受けるとおっしゃっていて、「2018年」の後半のパラグラフでは「直接的な伝播は限定的と考えられた」というのと、先ほどの「定着しているわけではない」、この辺りの書きぶりのところで若干相反するような印象を受けてしまうという御意見がありましたことだけお伝えさせていただきます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 これは先ほどから話が出ているところだと思うのですが、検体を直接抗菌薬含有培地に貼付して調べる方法だと、その検体が1つの耐性菌株でも含んでいるとポジティブセレクションで分離され、耐性菌陽性検体となります。一方、その方法とは異なり、まず大腸菌を分離し、その中に耐性菌があるかどうかを調べ、調査した全大腸菌に対して耐性菌の割合を調査する方法があります。どちらの方法により得られたデータなのかにより、意味するところが違ってきます。過去何年前でしたか、新聞等で食品の汚染というのは非常に高いのではないかということが言われたのですけれども、そのときはポジティブセレクションで調べた結果、学会報告されたときのデータが出てしまったのです。だけど、そうでなくて、まず対象菌を分解し、その後、耐性菌の割合を調べた時には低い値になりました。その辺が誤解を生む原因になるのではないかと思うのですが、そういう意味では、「薬剤含有培地直接選択法で調べた場合」と記載したのは、今のような誤解がないようにという形で記載したのですが、一般の人が見たときには、その辺がなかなか分かりにくいかもしれないです。
 先ほどJANISのときにも問題が出たのですけれども、どういう方法で耐性率を出しているのかという方法を正確に記載しておいた方が良いと思います。
 JVARMは、恐らく大腸菌なら大腸菌を分離して、そのうち何株か。これは1検体について何株調べているのですか。大腸菌は10株ぐらい調べているのですか。
○関谷構成員 1検体は1株です。
○渡邉座長 1株が耐性でなければ、感受性と報告されてしまうわけですね。そうすると、見方によっては、大腸菌の中で10個に1個しか耐性菌がいない場合には、その検体は感受性とみなされるわけですね。ポジティブセレクションでやれば耐性菌陽性になってしまうので、その辺がなかなか難しいですね。今、JVARMは1個ということですけれども、地方衛生研究所で調べているのは何個でしたか。
○四宮構成員 ヒトの場合は、サルモネラの場合は病原菌なので、大腸菌と違って分離されたものの1事例。例えば食中毒だと、1事例は1株ということになります。ただ、多くの地衛研でやっているので、その集合体としての評価になると思います。
 食品はまちまちで、食品の汚染実態調査で採っているものもあるし、それから自治体は食材の検査を独自にやっているところがあるので、そういうもの。それから実際食中毒の原因追及として採られたものとか、その背景は様々になっています。そのときに、例えば1ブロックの鶏肉当たりからサルモネラを何株採っているかというのも少しずつ状況が変わってきていると思います。
○渡邉座長 この調査にそういうバイアスがあるというのは、どこかに記載しておいたほうがいいのだと思うのです。論文の場合などには、何個釣菌して、そのうち何個耐性があるかどうかを調べて、1個でも耐性だったら、10分の1だとしても、それは耐性菌を含んだ検体であるというふうに書く場合もあるので、この報告書はそこが見えていないというのが一つ欠点と言えば欠点なので、それを書き出すと、それぞれによってみんな違うので、逆にもっと誤解を生んでしまって、もっと統一しろとなりますね。精度管理ができていないではないかという批判がされてしまう可能性があるのかなと思うのですけれども、その辺は皆さん、いかがですか。あまり書かないで、ぼやかしておいたほうがいいのですかね。柴山先生、いかがですか。
○柴山構成員 JANISのほうではまだ実態が把握できていないという状況でもありますので、書き出すと大変かなと思っています。
○渡邉座長 そうですね。
 どうぞ。
○関谷構成員 例えばJVARMで1株と言っても、もちろん必要な株数を集めて、優勢なものはどうかという面でのモニタリングを目的としていますので、選択培地での調査とは目的がちょっと違うかなという感じがしますので、諸外国とかとの比較、耐性の状況、何が優勢かというところを見るのであれば、今の方法というのは妥当な方法ではないかなと思うのですけれども。
○渡邉座長 OIEとかその辺の基準というのは、今、JVARMがやっているやり方になるわけでしょうか。
○関谷構成員 そこはのっとった形でやっていますので、目的がということでしょうかね。何が優勢になっているかというところを見るという。
○渡邉座長 JANISは、GLASSが要求している方法とちょっと違うのですね。
○柴山構成員 違います。
○渡邉座長 GLASSというか、WHOが要求しているのは、感受性菌のうち何株調べているというのは、記載がありましたか。
○柴山構成員 あれはそういう記載がなかったです。
○渡邉座長 それぞれが少し違いが出てくるというところだと思うので、今のコメントがありましたやつが分かるような形で書き直しをしたいと思います。
 どうぞ。
○浅井構成員 基本的には動向調査が目的ですので、例えば薬剤を入れて分離された株についての記載については、その章の一番最後のほうに、基本的には注意喚起を目的にしているかと思うのですが、潜在的にはこれぐらいあるのだよということを伝えるための。ですから、そういう形で、順番をある程度ルール化してまとめていくという形がいいのではないかなと思います。
○渡邉座長 そうですね。分かりました。
 どうぞ。
○藤本構成員 後ろの参考資料のところに、それぞれのサーベイの方法、例えばどこどこで採ってきた株をどこに送って、そこで明らかに1株を検査しているなというのが分かるようなことが書かれていますので、もう一度そこはそれぞれの方に見直していただいて、はっきりしないところをもうちょっとはっきりさせてもらえれば、形としては足りているのかなと感じております。
○渡邉座長 よろしいですか。では、もう一回。
 ただ、最後のところにそんなに詳しく書いていなかったような気がするのだけれども。
○藤本構成員 詳しくはないですが、想像がつく程度には。
○渡邉座長 では、想像がつく程度に書いていただくと。
 よろしいですか。
 野生動物のところをどこに入れるかというところで、今回は「野生動物」という形でこういうふうにしてありますが、これを環境の中に入れるかどうかというのは、去年ちょっと議論されたところだと思うのですけれども、黒田先生の話を聞いた上で皆さんの御意見をお願いしたいと思います。
 では、黒田先生、お願いします。
○黒田構成員 環境分野のほうは、環境における薬剤耐性の因子を定量的になるだけ捉えるということを目的として、それがいかにリスクにつながるかというタイトル、目的になります。厚労科研費で今年は3年目になるのですけれども、東北大学の金森先生を代表として、地方衛生研究所、自治体のほうから下水処理場の放流水、処理した水が河川に流れてという、その原水をもってメタゲノミクスという方法を用いて、放流水の中にどれだけ耐性遺伝子が残存して、環境に放出されているかということを評価することをしています。
 この調査のほうでは、2年間分、夏、冬、夏、冬で4回分のデータを加えています。今年で5回目で、夏はもう採って、評価も終わっています。この中には入れ込めませんでしたが。
 結論ですけれども、データが62ページの下のほうにありまして、34か所の自治体の計219サンプルのまとめなのですが、RPKMというのは、薬剤耐性遺伝子の濃度と思ってください。濃度というのは変なのですけれども、どれだけ耐性遺伝子が検出されたかという頻度になります。次世代シーケンサーで使う技術の単位になります。Total ARG、薬剤耐性遺伝子の検出頻度が徐々に上がってきておりまして、2018年の夏から2020年の冬まで右肩上がりかなと。そこで上がっている特徴的な耐性パターンの中で、サルファ剤、Sulfonamideと第四級アンモニウム塩のQuaternary ammonium消毒剤をメインにした耐性が増加傾向。これまでヒト及び家畜関係の中で耐性遺伝子、耐性菌が減っている中で、環境ではちょっと増えているという結果になっています。
 落ちているほうはマクロライドが落ちています。アミノグリコシドも若干落ちる。つまり、年とともにというか、4回分経時的に採っていますので。これをよく考えてみると、サルファ剤とQuaternary ammonium、第四級アンモニウム塩の耐性というのは、Class1インテグロンという、今、一番厄介な耐性遺伝子を運ぶカセット。カセットを運ぶテープレコーダーみたいなものなのですが、それが菌の中で広がりつつ、水平伝播する原形なので、その部分だけが増えて、あとは残りのβ-ラクタム耐性とか、いろんなものを移し合っている部分かなと推測しています。
 こうやって日本の耐性遺伝子の状況は見られるのですが、実は30以上の自治体に個別のデータを返していまして、おたくのところは都市型、おたくのところはもしかしたら家畜産業に関わるような遺伝子が、耐性が増えていませんかということで、毎回毎回特徴を持ってレポートを返しているという状況になっています。ですので、地域特性も現場では判断できるというメリットがあると考えています。
 細かい考察のところは前回と変わっていなくて、この検査法は、世界でWHOがやっているGlobal Sewage Projectとほぼ同じ一緒です。ただ、残念ながら彼らは処理する前の水を使う。環境リスクを語る上で、何で流入なのかが私には理解できないのですが、そこの部分があって、サンプルの種類が違うというところだけが違いです。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問がありましたら。どうぞ。
○浅井構成員 Class1インテグロンというお話だったのですが、家畜とかだと、Class1インテグロンの中に入っているのがストレプトマイシンのaADとか、あとトリメトプリムの耐性が多いと思っていたのですけれども、こういう調査というのは由来が推測できるような成績は出てくるのでしょうか。
○黒田構成員 これは遺伝子単位で調べて、今、カテゴリーとしてまとめていますが、実はどの遺伝子の頻度が高いか低いかと細かく分かっています。ですので、例えばtetでも十何種類ある中で、tetLが高いとか、そういう答えが出せる方法です。ですので、Class1インテグロンとして増えているのか、別個のプラスミドとして水平伝播で環境からもらう、また、環境で放出する、そういうメカニズムのちょっとしたスタートが説明できるかと思っています。
○渡邉座長 ほかにありますか。どうぞ。
○田村構成員 世界的に環境由来耐性に関する指標菌の議論というのはされているのでしょうか。
○黒田構成員 田村先生がおっしゃる指標菌というのは、スタンダードになるところですね。
○田村構成員 ええ。
○黒田構成員 今回下水処理場の放流水ですので、実は活性汚泥のスラッジの有機物を分解するバクテリアがメインで、そこにバクテロイデスですとか、処理し切れなかった我々のふん便が結構出てきている。バクテロイデスの検出が多いと、ふん便が多いことになり、処理場の能力が足らない、もっとちゃんと処理をする能力を上げてくださいということを説明できる、そういうデータにはなっています。それに加えて耐性遺伝子というものが見えてきているという状況です。
○渡邉座長 日本のこういう下水処理場では、最終的に放流するときに、例えば殺菌工程のオゾンとか、いろんなやつはやっていないのですか。
○黒田構成員 京大の田中先生が一番御専門なのですけれども、1mL当たり3,000個の大腸菌群なのですが、大体そこの基準は守られているのですが、0ではないということです。その中の1~10%の幅でESBL等のセフェム耐性菌がいるというところです。
 オゾン処理はお金がかかるので、ほぼどの自治体もやっていません。塩素処理が大半です。
○渡邉座長 そうすると、塩素を入れても死なない程度の濃度なのですか。
○黒田構成員 塩素はすごく臭いというデメリットがありまして、塩素を減らすという選択を選ぶ自治体も逆にありまして、生きたまま流れているケースもある。あと、合流式で、豪雨があると処理されずに流れるということです。
○渡邉座長 質問はありますか。どうぞ。
○菅井構成員 これは先ほどの田村先生の指標菌ということと関係するのと、あと報提供なのですけれども、WHOが最初先行してやっていたのですが、三輪車プロジェクト。環境とヒトと食品を大腸菌を切り口にして、大腸菌の中のESBL産生大腸菌の割合を出すというプロジェクトを計画していたのですけれども、一部倫理審査の問題でヒトの検体についてちょっと出遅れていたのですが、ほぼそれが出そろって、恐らく今年中にはプロトコルが公開されて、WHOとOIEとFAOのTripartiteで、世界中でそのデータを取り出すということを、パイロット実験はもうしているのですけれども、始めるということです。
 黒田先生のところが放流水なのですが、先ほどおっしゃられたように、WHOのプロトコルは下水に関しては流入水を使うということで、一応AMED研究で今年から最初は数施設ですけれども、うちのほうで取りまとめをして、ヒトと、それから環境は流入水、食品についてはJVARMのほうにお願いして、動物由来の大腸菌のデータをいただきまして、それを比較するということを始めています。
○渡邉座長 情報をありがとうございます。
 ほかに御質問ありますか。よろしいでしょうか。
 そうすると、先ほどの「環境」の中に「野生動物」をここに入れるというのは、どうですか。
○浅井構成員 何となく違和感を覚えますね。
○渡邉座長 違和感が何となくあれですね。
 そうすると、野生動物は野生動物で、今のような形でということでよろしいでしょうか。
 では、野生動物は、いわゆる「動物」の中に、家畜等の中に入れるという形で、今、提示されています報告書のとおりにしたいと思います。
 では、続きまして、日本における抗菌薬使用の現状ということで、説明は誰か。
○松永構成員 村木先生が不在ですので、私のほうから説明させていただきます。
 日本の抗菌薬使用量なのですけれども、IQVIAソリューションジャパンからいただいた販売量の結果となります。表69は経口抗菌薬の使用量なのですが、ここ数年減ってきたのですけれども、今年は横ばいになっているということです。あとは、経口セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライドが全体の75%を占めているという現状となっております。
 表70の注射用抗菌薬は年々増加経口にあると考えております。こちらは高齢者が増えているという影響もあるのではないかと考察をしております。
 表71、AWaRe分類ですが、WHOが必須医薬品リストとして、Access、耐性化の懸念の少ない抗菌薬、Watch、耐性化が懸念されるため、限られたときに使用しましょう、Reserve、他の手段がどうしても使えない場合に使ってもいいですよと。その段階に分けた指標を出しております。こちら日本は2019年、20.4。Accessの比率は低いですけれども、2013年が13%ですので、少しずつ上昇傾向、抗菌薬の適正使用が行われてきているような傾向はあります。WHOはAccessの比率を60%にしていこうということですので、今後も引き続き適正使用を進めていく必要があるかなと考えております。
 また、抗菌薬の重量ベースでの抗菌薬使用量を出させていただきました。こちらは増加傾向に見えるのですが、力価、重量が多い抗菌薬が年々増加しているということで、こちらのグラム単位にしては毎年増えているような結果となっているということです。
 簡単ですけれども、以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 引き続いて、動物用医薬品のほうの御説明をお願いいたします。
○関谷構成員 67ページの真ん中からです。2018年のデータを追加しております。表73を見ていただきますと、2018年、若干減っております。テトラサイクリン、サルファ剤、アミノグリコシド系などが少し減ってきているという状況になっております。
 動物種別のものが表74にございます。豚が一番多くて、次に水産用という傾向は変わってございません。
 69ページ、表75は系統別に畜産動物のものが出ておりますけれども、重量ベースでいきますと、先ほど御説明のあったヒトのほうと比べると多いところでございますが、第3世代セファロスポリンあるいはフルオロキノロン等に関しては、全体の1%未満ということで、原末換算にすると非常に少ないという状況になっております。
 表76、水産動物でございますが、マクロライド系に関して、やはり増えております。2018年も増えておりまして、これが先ほどのラクトコッカス・ガルビエの感染症との関連が考えられるということでございます。ワクチンの必要性など、対応を検討しているところでございます。
 愛玩動物、表77でございます。2018年の動物用というものを追記しております。愛玩動物分野では動物用医薬品として承認されている抗菌剤のほか、人用医薬品として承認されている抗菌剤も使われているということで、2016年から人用の業界の方にも御協力いただいて使用量の調査をしておりますが、2017、2018の調査結果は、何分膨大な量がありまして、今、解析を鋭意しておりまして、間に合わない状況で、恐縮です。
 71ページ、抗菌性飼料添加物、表78がございます。2018年のデータを追記しておりますけれども、若干減っておりますが、いずれにしても飼料添加物に関しては、ほとんどがポリエーテル系ということでございます。また、マクロライドあるいはテトラサイクリン系については、食品安全委員会の評価結果に基づいて飼料添加物としての指定を取り消して、使用を中止しておりますので、今後ゼロになるということであります。
 農薬のほうですが、2018年のデータが追加されておりますが、僅かに減っているという状況になっております。
 以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 人、動物を合わせて抗菌薬の使用実態、いかがでしょうか。御質問がありましたら。どうぞ。
○境構成員 日本獣医師会の境でございます。
 70ページに愛玩動物の記載がございまして、「調査の結果、動物用抗菌剤とほぼ同程度の量の人用抗菌剤が愛玩動物向けに販売されていることが明らかとなった」と記載されております。これは農林水産省の調査結果ですので、記載そのものはこれでいいと思いますけれども、日本獣医師会としては若干認識が異なっておりますので、御意見を述べさせていただきたいと思っております。
 小動物の臨床の実態、ちまたでは人用の抗菌剤が9割使われているのではないかというお話がございました。これは取りも直さず犬猫専用の抗菌剤が薬機法上、承認、許可されていないというのが大きな理由でございまして、人用の抗菌剤が獣医師の裁量の下に使用されているという実態がございます。
 私どもは、2017年度(平成29年度)1年間の使用実態調査を、私どもの会員であります小動物の診療獣医師に対して行っておりまして、全国で172か所の施設から回答がありました。その結果を見ますと、人用の抗菌剤は6割、動物専用は4割弱というのが調査結果でございまして、当初の9割というものよりは動物専用が使われているかなという結果になったということと、特にフルオロキノロン製剤などは、比較的犬猫用として承認、許可されておりますので、そういった承認、許可があるものについては、優先的に使用されているという実態があったのではないかと考えております。
 私どもは、愛玩動物の世界での薬剤耐性菌の問題は非常に重要だと思っておりますし、特に家庭で人と一緒に生活をしているという状況になってきておりますので、人の抗菌剤が使われ、また、同居しているということですので、畜産物も大変重要だと思いますが、愛玩動物の世界の耐性菌対策は非常に重要であると考えております。
 したがいまして、私どもは今後ともこういった調査を継続していきたいと思っておりますが、せっかくですので、その調査内容もより有効なもの、適正なものになるようにということで、現在農林水産省の御指導を受けながら、内容についてもチェックをいただいております。今後の調査については、農林水産省でやっていただくか、あるいは私どもと共同で調査をやっていただいて、その結果をこの調査結果にも記載していただく、あるいは今後の抗菌剤に対する薬剤耐性対策の具体的な施策に生かしていただくように御配慮いただきたいと考えております。
 具体的には薬機法に基づく承認、許可がないというのが大きな問題だと考えておりますので、なるべく使われている抗菌剤、使わなければいけない抗菌剤については、薬機法上、承認、許可を出していただいて、用法・用量を適正に定めて、その上で薬剤耐性にも配慮した慎重使用を行う、そういった形に持っていくのが望ましいのかなと考えておりますので、ぜひその点も含めて今後御検討いただきたいと思います。
 以上でございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 農林水産省から何かコメントがありますか。
○関谷構成員 獣医師会さんとも連携しながら対応していきたいと考えております。愛玩動物の分野のAMR対策も非常に重要だと考えております。愛玩動物分野の慎重使用の手引とか普及啓発のいろいろなツールも作成し、今、一生懸命それを普及するという取組をしているところでございますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○渡邉座長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 ほかに御質問ありますか。よろしいでしょうか。
 では、続いて、抗菌薬適正使用の研究の報告を松永さん。
○松永構成員 抗菌薬適正使用の総論ですけれども、内服抗菌薬について、2020年度に更新されたものですが、約70%が上気道に及び急性下痢症に使用されていると。マクロライド、フルオロキノロン、第3世代セファロスポリンが多かったというのが74ページになります。
 また、政策、小児外来抗菌薬適正使用加算を行ったら、抗菌薬の使用量は減りましたということと、かかりつけ医加算をつけていったら、かかりつけ医の抗菌薬の処方については少し増えてきたけれども、救急外来にかかる患者さんは減ってきたという効果が見られたということになっております。
 79ページ、JMDCデータベースで、ピボキシル基を含有する抗菌薬と低血糖の関係を示したところ、有意に関連があったということで、副作用に関してもしっかり目を向けていく必要があるのではないかという結論になっております。
 続きまして、2番の急性気道感染症に対する抗菌薬適正使用です。こちらは気道感染症に52.7%抗菌薬が使用されている。こちらのほうはまだまだ改善する必要があるのではないかという結論になっております。
 83ページ、急性下痢症に対する抗菌薬適正使用ですけれども、こちらのほうは新しい情報はない。まだまだ情報を集める必要があるという結果になっております。
 また、溶連菌に関しても、検査をされずに抗菌薬投与をされているという現状がありますので、そこも引き続き教育、啓発していく必要があるのではないかということです。
 簡単ですけれども、以上です。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問等ありましたら。よろしいでしょうか。
 次は87ページ、環境のところは、黒田先生、何かありますか。
○黒田構成員 これは京大の田中先生のご担当かと。
○渡邉座長 環境のところで何かコメントありますか。よろしいでしょうか。
 それでは、88ページ、国民の意識調査について、松永さん。
○松永構成員 AMR、松永です。
 国民への調査になります。毎年国民を対象とした意識調査を行っております。2019年度も行いましたけれども、回答者全体の40%以上が風邪を理由として抗菌薬を内服していたり、風邪やインフルエンザに対して抗菌薬が有効だと考えていたと。この傾向は経年的には変わっていないということで、今後も引き続き啓発活動が必要ではないかと考えております。
 続きまして、2番、医療関係者への調査。保険薬局薬剤師を対象とした意識調査になりますが、急性下痢症に関し軽症例では抗菌薬は不要だと認識しているとか、不要と思われる抗菌薬処方を希望する患者への適切な説明について理解している、いわゆる説明する側が十分理解しているかということに関しては、まだまだ理解が不十分である可能性がありますので、こちらのほうにも積極的な教育、啓発をしていく必要があるのではないか。
 2.医学生を対象とした意識調査です。こちらは医学生も高学年になるにつれて正しい知識を得ていく傾向にあるということがありました。ただ、6年生、最終学年でも25%ぐらいが「抗菌薬は風邪に効果がある」というふうになっていますので、最終的なアウトカムでもより改善できるような教育が必要かなと考えております。
 以上となります。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 御質問ありますか。
 学生さんに対しての意識調査というのは、面白いと言ったら失礼だけれども、6年生になってもまだ十分に浸透していないというのは、いかに教育というエデュケーション、リスクコミュニケーションが難しいかということの現れだと思うので、医学を志す人がこのぐらいだとすると、一般の人はましてやなかなか難しいなという感じを受けるところですけれども。どうぞ。
○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 松永先生の調査への意見ではないのですが、昨年度は人分野からは臨床医を対象とした意識調査を、動物分野からは、臨床獣医師への意識調査を実施しておりました。今年度は動物分野では、獣医師への意識調査は実施していなかったため、意識調査について、報告書には記載せずに、事務局に提出致しました。
 本年度の意識調査について、医学生の意識調査が掲載されていることから、獣医学生の意識調査についても掲載頂ければと思います。17大学中12大学677名に対して、農林水産省の職員が薬剤耐性菌の講義をしに行きまして、その際にアンケートを取っております。その結果について早々に取りまとめて事務局のほうに提出させていただきます。申し訳ございません。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 その結果というのは、いい結果と言ったらあれだけれども。
○農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐 3年生から5年生を対象にしておりまして、抗菌薬に関するイメージを聞いたところ、「風邪に効く」というのが677名中134名。「インフルエンザに効く」と答えた方が677名中31名ということで、インフルエンザに効くと思っている獣医学生はそれほど多くないという結果になっております。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○境構成員 今回のこの報告書には間に合いませんけれども、先ほど愛玩動物の診療現場での薬剤耐性菌の問題は非常に重要だと申し上げまして、まずは承認、許可されたペット専用医薬品を供給してほしいというお願いをいたしました。
 あわせて、獣医師そのものが耐性菌問題についての意識をきちっと持って取り組む必要があるということで、私どもとしては、小動物の臨床獣医師に対する意識調査を行うことを予定しておりまして、これも農林水産省に今、御確認をいただいております。獣医師そのものが動物専用の医薬品を適正に使用、慎重使用を行うということが基本になりまして、そういった意識をずっと持ってもらうということが重要ですので、これにつきましても先ほどの使用実態調査と同様に御指導いただきながら、できれば農林水産省主導で実施していただければと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 ほかに御質問ありますか。よろしいでしょうか。どうぞ。
○藤本構成員 今後の展望に入る前に確認していただきたいのですけれども、今日の目次の番号と内容の番号がずれていまして、8というのが「病院における感染診療・感染対策・疾病負荷に関する調査」で、9というのが「高齢者施設における感染症および抗菌薬使用に関する調査」。どちらもAMRCRCからの報告があって、今日チェックが抜けてしまったようなので、先生のほうから皆さんに確認して、これでよろしいかということで、一応。
○渡邉座長 場所は何ページ目になるのでしょうか。
○藤本構成員 33ページの8と34ページから始まる9というのが目次と項目が違っていまして、この2つを今日皆さんでチェックできなかったので、お願いいたします。
○結核感染症課長補佐 こちらは「野生動物」をどこに入れるかということも含めまして、今回固まった意見を基に最終的に体裁を整えさせていただきます。
○渡邉座長 よろしくお願いいたします。
○結核感染症課長補佐 また、今回いろいろ項目が追加されるということですので、全体的にデータが集まってから目次等を再度修正させて、皆様に共有させていただきます。よろしくお願いします。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 では、最後の今後の展望に関して。
○結核感染症課長補佐 すみません。今後の展望も現在データがまだ固まっていないところも一部ありまして、検討中です。また、皆様からの御意見を反映しながら作成させていただきたいと思っていますので、皆さんから事務局のほうに御意見をいただいて、また皆様の中で修正、意見、議論、メールベースになるかと思いますが、いただければと思っています。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 ということで、ここはまだ書き換え可能だということですので、皆さんの御意見を事務局のほうに寄せていただければと思います。
 続いて、参考資料のところは、例年同じような形態で書かれているところだと思うのですが、先ほど調査方法についてもうちょっと加えたほうがいいのではないかということがあったのですけれども、加えられる範囲でちょっと見直していただけますか。104ページまでです。
○結核感染症課長補佐 あと1点だけよろしいでしょうか。JMDCの説明は参考資料に入れるかどうか、皆様の御意見をお伺いしたいのですけれども。
○渡邉座長 いかがでしょうか。
 入れておいたほうがよろしいですかね。これは書くとすると、誰が書くことになる。
○結核感染症課長補佐 JMDCは、書くとなるとどちらですか。松永さん。
○松永構成員 私、書きます。
○結核感染症課長補佐 今回どうしますか。つけ加えますか。
○松永構成員 加えることは可能です。
○結核感染症課長補佐 ありがとうございます。では、松永先生、よろしくお願いします。
○渡邉座長 よろしくお願いいたします。
 藤本先生、ランプがついているけれども、何かコメントありますか。
○藤本構成員 全体。
○渡邉座長 全体で。
○藤本構成員 全体としていろんな情報が集まってくるだけでなくて、有機的に結びついて構成されてきたので、大分分かりやすくなったと感じております。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 全体を通して何かコメントがありましたら。どうぞ。
○釜萢構成員 先ほど松永先生からもお話をいただいたところですけれども、医療現場において薬剤耐性に対する認識はかなり深まってきている、しっかり対応しなければいけないという意識は非常に高まってきていると感じておりまして、この取組は非常に大事なことであるという認識は医療現場に広がっていることを喜ばしく思っております。
 さらに、動向調査を生かしながらやっていかなければいけないと思っておりまして、感想でありますけれども、感謝を申し上げたいと思って発言をいたしました。ありがとうございます。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 こういう形で出していることがだんだん効果的な。最終的な効果というのは、耐性菌によって起こる疾患の減少なり、また、それによって患者さんの命が救えるかというところに結びつくのだと思うのですが、その辺にこのデータが利用、活用されることを期待したいと思っている次第です。
 ほかに御質問等。境先生、どうぞ。
○境構成員 このワンヘルスの調査検討会の域を超えていると思いますけれども、今のアクションプランは2020年度までということで、当然今年が最終年度になっております。この報告書の中には12ページに成果指標のデータの比較表だけ1ページ掲載されているわけですが、次のアクションプランに移るのだと思いますので、どこかの段階でこの5年間の評価、総括をしていただくことになるのかなと思っております。そこはどうされるのかということと、次期、21年度以降のアクションプラン、本来であればこの11月に内閣官房の国民啓発会議が開催されるということでしょうけれども、新型コロナの関係で開催されないのかもしれないと思っておりまして、次期のアクションプランの取組はどのようになっていくのかという見通しを御存じであれば、お知らせいただきたいと思います。
 以上となります。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 お願いします。
○エイズ対策推進室長 結核感染症課の加藤です。御質問ありがとうございます。
 次期のアクションプランですが、御指摘にもありましたとおり、コロナ対策の関係上、スケジュールが延びております。内閣官房からは、今後、今回のコロナの事案も踏まえてどういったアクションプランをつくるのか検討された上で、各省に作業を依頼するという話をいただいていますので、具体的な作業が決まりましたら、我々のほうでこれから作業を進めることになるのだと思うのですけれども、現時点ではまだ見通しが立っていないという状況です。
 御指摘いただきましたとおり、このワンヘルス動向調査もそういったアクションプランの見直しの中で、冒頭江浪からも申し上げましたが、これまでの評価をした上で、今後どうやっていくのかというものの検討材料として使うことになろうかと思いますので、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。
○渡邉座長 ありがとうございます。
 ほかにコメント等ございましたら。よろしいでしょうか。
 このアクションプランは日本版という形で、こういう形でできたということと、これの英語版が出されて、世界に向けて日本が行っているところをコミュニケーションできるということは、今までこういう形はあまりなかったことだと思うので、ぜひこれは続けていっていただきたいと思いますし、出てきたデータを今後どういうふうに活用するかというところが、今、境先生からもお話がありましたように、一番重要なポイントになると思いますので、その辺の検討事項というのも今後よろしくお願いいたしたいと思います。
 では、皆さんからないようでしたら、時間を10分ばかりオーバーしましたけれども、これで今日の会議を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。