令和2年11月16日 革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品創出のための官民対話 議事録

医政局経済課

日時

令和2年11月16日 15:30~17:30

場所

TKP新橋カンファレンスセンター「ホール15D」

出席者

  1. (1)産業側
    医薬品・再生医療産業界
    手代木 功  (日本製薬団体連合会会長)
    中山 讓治  (日本製薬工業協会会長)
    ジェームス・フェリシアーノ  (米国研究製薬工業協会(PhRMA)在日執行委員会副委員長)
    ハイケ・プリンツ  (欧州製薬団体連合会(EFPIA)会長)
    岩屋 孝彦  (欧州製薬団体連合会(EFPIA)副会長)
    畠 賢一郎  (再生医療イノベーションフォーラム会長)
    医療機器産業界
    松本 謙一  (日本医療機器産業連合会会長)
    三村 孝仁  (日本医療機器産業連合会副会長)
    渡部 眞也  (日本医療機器産業連合会副会長)
    小野 徳哉  (日本臨床検査薬協会会長)
    小川 一弥  (米国医療機器・IVD工業会会長)
    森 秀顕   (欧州ビジネス協会 医療機器・IVD委員会委員長)
  2. (2)アカデミア
    中釜 斉  (国立がん研究センター理事長)
    小川 久雄  (国立循環器病研究センター理事長)
    湯澤 由紀夫  (全国医学部長病院長会議会長、山形大学医学部長)
  3. (3)行政庁
    田村 憲久  (厚生労働大臣)
    山本 博司  (厚生労働副大臣)
    三ツ林 裕巳  (内閣府副大臣)
    高橋 ひなこ  (文部科学副大臣)
    宗清 皇一  (経済産業省大臣政務官)
    三島 良直  (日本医療研究開発機構(AMED)理事長)
    藤原 康弘  (医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長)

議事

○司会(林経済課長) 皆さん、大変お待たせいたしました。定刻にそろそろなります。関係の方はお集まりいただきましたので、ただいまから開会させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
ただいまから、「革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品創出のための官民対話」を開催させていただきます。
本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
本日、司会進行を務めさせていただきます、厚生労働省医政局経済課課長をしております林でございます。よろしくお願いします。
冒頭、この会議の趣旨でございますけれども、産業界、アカデミアの皆様と政府の関係機関の間で革新的医薬品・医療機器の創出に向けての現状、課題を話し合うということで定期的に開催させていただいているものです。
今回は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、行政庁以外はウェブ参加ということにさせていただいておりまして、ちょっと不慣れな点もあるかと思いますが、御容赦いただきたいと思います。
また、公務の都合上、田村厚生労働大臣もオンラインで参加させていただいております。
Zoomを用いたシステムでやっておりますので、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようにお願いいたします。
資料につきましては、皆様方にはメールで事前にお送りしてございますので、そちらを御覧いただき、随時参照いただきたいと思いますが、今日の出席者につきましては資料1ということでお配りしておりますので、こちらを御参照いただければと思います。
それでは、冒頭、各省の政務の皆様方においでいただいていますので、御挨拶をお願いいたします。
まず、本会議の主催であります田村厚生労働大臣より御挨拶申し上げます。よろしくお願いします。
○田村厚生労働大臣 本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
この官民対話でありますけれども、産業界、またはアカデミアの皆様方にお集まりいただき、革新的な医薬品や医療機器、または再生等医療製品等々の創出を巡る現状でありますとか課題、こういうものを共有するために定期的に開かせていただいております。
今お話がありましたけれども、今回はコロナ禍ということもございまして、これまでとは異なる状況下の中での開催となりました。オンラインということでございまして、産業界の皆様にお集まりをいただいて初めての試みということでございます。なかなか伝わらないところはあるかも分かりませんが、御理解のほどをよろしくお願いいたしたいと思います。
さて、今般のコロナウイルス感染症の拡大でありますけれども、これに際しましても皆様には治療薬やワクチンの開発でありますとか、または医薬品医療機器の安定供給に大変御尽力をいただいております。改めて、心から厚く御礼を申し上げます。
医薬品医療機器産業は、様々な技術革新を基盤とした製品開発によって国民の保健医療水準の向上に大きく御貢献をいただいておるわけであります。もとより重要な産業であるところでありますけれども、こういった状況においてヘルスケア業界への国民の期待というものは大変大きなものになっておるわけであります。
厚生労働省も皆様方の取組を後押し、応援をさせていただきたいということで、研究開発支援でありますとか、規制の合理化等、様々な政策を講じてまいっておりますけれども、今後よりよい施策ができますように、皆様方から今日は忌憚のない御意見を賜りますようによろしくお願いいたしたいと思います。
各業界の垣根なく、ヘルスケア産業全体の振興に向けた議論を深めてまいりたいと思っておりますので、今日はどうかよろしくお願いいたしたいと思います。
本日は、この官民対話が各産業の発展に大変役に立つように、実り多きものになりますことを御期待申し上げて、冒頭の御挨拶に代えさせていただきます。
今日は、よろしくお願いいたします。
○司会(林経済課長) ありがとうございました。
続きまして、三ツ林内閣府副大臣より御挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。
○三ツ林内閣府副大臣 皆様こんにちは。科学技術イノベーション及び健康医療戦略を担当しております内閣府副大臣の三ツ林でございます。
今年度から始まった第2期の健康医療戦略については、日本医療研究開発機構、AMEDを中心に、基礎研究から実用化まで切れ目のない研究支援を一体的に行っており、日本初の革新的な医薬品の創出に向けた研究開発の充実や基盤強化に取り組んでおります。
来年度の概算要求におきましては、AMEDや国の研究機関として要求している約2,291億円のうち、6つの統合プロジェクトの中で、医薬品プロジェクトとして約453億円、医療機器、ヘルスケアプロジェクトとして約143億円、再生・細胞医療、遺伝子治療プロジェクトとして約192億円を計上しております。医薬品プロジェクトでは、創薬標的の探索から治験に至るまで、モダリティの特徴を考慮した研究開発を推進しております。
医療機器、ヘルスケアプロジェクトではAI、IoT技術、計測技術、ロボティクス技術等を融合的に活用し、診断治療の高度化や予防、QOL向上に資する研究開発を推進しています。
再生・細胞医療、遺伝子治療プロジェクトでは、細胞の分化誘導等に関する基礎研究、疾患・組織別の臨床研究、製造基盤技術の開発等を行うとともに、遺伝子治療に関する研究開発を推進しております。
さらに、健康・医療戦略推進本部も含め、総合科学技術・イノベーション会議、CSTIなどイノベーションに関連が深い司令塔間の調整、推進機能を担う統合イノベーション戦略推進会議におきまして、各司令塔が緊密に連携してSociety5.0の実現に取り組んでいるところであります。
関係団体の皆様におかれましては、本日は、我が国の医薬品・医療機器・再生医療等製品産業がさらに成長していくため、忌憚なき御意見を賜りますよう、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○司会(林経済課長) ありがとうございました。
続きまして、高橋文部科学副大臣より御挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。
○高橋文部科学副大臣 文部科学副大臣の高橋ひなこです。
本日の会議は、健康医療分野のイノベーションの強化に向けた今後の方策について、産業界とアカデミアの皆様と活発に対話をする場と伺っており、有意義な会になることを期待しております。
文部科学省では、まず大学等における基礎研究を力強く推進いたします。その成果を実用化につなげるため、産業界や関係府庁と連携し、一体的に研究開発を推進しております。新型コロナウイルス感染症での皆様方の御尽力に感謝申し上げます。
基礎研究の振興を担う文部科学省として、中長期的な視点で感染症対策に資する基礎研究と、それらを支える研究基盤の充実、併せて創薬支援基盤の抜本強化を図ることとしております。
今後も健康長寿社会の実現に向け、産業界、関係府庁及びAMEDの皆様と一丸となって取り組んでまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
続きまして、宗清経済産業省大臣政務官より御挨拶いただきます。よろしくお願いします。
○宗清経済産業大臣政務官 経済産業省のほうで大臣政務官を拝命しております宗清皇一です。よろしくお願いします。
経済産業省では、新型コロナウイルス感染症対策としてアビガンや人工呼吸器、検査キットなどの医療物資の増産支援、そして感染症対策の現場ニーズに対応した医療機器などの開発、実証を実施しているところでございます。
安全・安心な社会経済活動を営むためには、医薬品や医療機器を開発、製造するための国内基盤の保持が極めて重要であることを改めて認識しているところでございます。
経済産業省では、健康医療分野でのイノベーションをいかに迅速に社会実装するのか、産業化につなげていくのかという点を重視した政策を進めております。
具体的には、創薬分野ではバイオ医薬品の量産技術、あるいは再生医療、遺伝子治療の産業化のための研究開発を実施しているところでございますけれども、医療機器の分野ではデータやAIの利活用による革新的な医療機器の開発を行っております。
経済産業省としては、製薬産業、再生医療産業、医療機器産業の競争力の強化という観点から、引き続き必要な政策を積極的に実施してまいります。皆様方からの忌憚のない御意見を賜れれば幸いでございます。
私からは、以上です。
○司会(林経済課長) ありがとうございました。
冒頭の挨拶は、以上とさせていただきます。
プレスの方々は、これで退場をお願いいたします。

  (プレス退室)

○司会(林経済課長) また、公務の都合上、宗清政務官はこちらで退席されます。

  (宗清経済産業大臣政務官退室)

○司会(林経済課長) さて、本日の進め方ですけれども、まず各産業界から資料をいただいていますので御説明いただきまして、その後、意見交換をさせていただきたいと思います。
田村大臣、三ツ林副大臣、高橋副大臣は公務の都合上、途中退席とさせていただきますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
資料は、事前にメールで送付しております。まず、医薬品製薬業界、再生医療等製品、そして医療機器という順番でお願いいたします。
御説明時間は、事前にお願いしている時間厳守でお願いいたします。
それでは、まず日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会を代表しまして、手代木会長、中山会長、よろしくお願いいたします。
○手代木会長 ありがとうございます。日薬連の手代木でございます。このような機会を、本当に厳しい中でもおつくりいただきましたことに、心より感謝を申し上げたいと思います。
それでは、時間の関係もございますので、資料の御説明をさせていただきます。
2ページ目、「本日の説明項目」でございますが、1、2、3に関しましては、より団体全体に関係するということで私のほうからお話をさせていただき、4番以降につきましては製薬協の中山会長のほうから御説明をいただくということで考えております。よろしくお願いいたします。
3ページをお願いいたします。まず、中間年の薬価改定でございますが、そこに記載しておりますとおり、COVID-19対応により、卸、医療機関・薬局様との価格交渉の大幅遅延、特に非常に大きな負担が現場にかかっているということと、医薬品の安定供給、これは大臣からもお話がございましたとおり、本当に私どもそこは身を粉にして物が必ず切れないようにということで努力をさせていただいておりますが、こういったことを考えますと、2021年度の薬価改定の実施は非常に困難な状況にあり、仮に実施されますと業界全体に対する影響は著しく大きいというふうに考えております。
この場をお借りして、改めて慎重な御対応をぜひお願い申し上げたいと思っております。
皆様方の御尽力によりまして、7月17日に閣議決定されました骨太方針では「新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して十分に検討」というお言葉を頂戴しております。業界としては、この言葉通り進めていただきたく改めて強調させていただきたいと思います。
次に、4ページ目をお願いいたします。医療用医薬品の安定供給確保のために、全ての品目を日本国内で調達すべきとは我々も考えておりませんが、医療上必須な医薬品につきましては、国内でのサプライチェーンを、このようなタイミングだからこそ考えていただくというのは非常に重要なことだと思っております。今般、政府において、医療用医薬品の安定確保策について基本的な考え方をまとめをいただいたということについては、業界を挙げて感謝申し上げたいと思っております。
産業側のスタンスとして、より安いところに生産を移していくのは必然とはいえ、やはり品質の問題、あるいは安定供給の問題を考えますときには、国の財政支援等も含めました長期にわたる目線が必要だろうということを私どももお願いしてきております。
具体的喫緊の課題として、抗菌剤の国内での生産確保がございます。これにつきましては、財政支援と併せまして、ぜひ採算に見合う薬価上の措置、また、場合によっては、国による買上げ等も含めてお考えいただければと思っているところでございます。
それでは、次、5ページ目でございます。業界にとりまして、今後、イノベーションとの関係で非常に重要度の高い個人情報に関する法的な課題について、我々の見解を書かせていただいております。臨床試験データを含む健康医療データの利活用は、特にがん、希少疾病も含め、極めて重要でございます。これを安定的・発展的に利活用できる環境整備、特にアメリカもヨーロッパもそうなのですが、中国も昨今、このあたりにレバレッジをかけて新しいものをつくっていこうと考えておられるようでございます。そういったことで、以下の3点、業界としてはお願いを申し上げたいと思っております。
1番目は、海外の規制当局へのデータ提出、あるいは国際共同試験等を円滑に実施できるよう、令和2年改正で追加された「海外にある第三者への提供に係わる情報提供等」の規定、これに関して二重に負担を増加させないという御配慮をぜひお願い申し上げたいと思っております。
2番目でございますが、医薬品等の研究開発にも利活用可能な医療分野の仮名加工情報、これは本当に難しい問題だと思いますが、私どもとしてはここを何とか実践したい。その環境整備について、御配慮を賜りたいと思っております。
3番目でございますが、個人情報保護法における公益目的の例外規定につきまして、医薬品の研究開発の適否に関する解釈、これは法律を見られる方によりまして少し違っておりますので、この解釈の明確化をお願い申し上げたいということでございます。
日薬連の手代木からは以上でございます。以下、中山製薬協会長のほうからお話をさせていただきます。
○中山会長 日本製薬工業協会の中山でございます。
私のほうからは、イノベーション促進の観点から「研究開発税制の維持・拡充について」を申し上げます。
新薬を生み出すためには、御案内のとおり長期間にわたって高額な投資が必要となります。研究開発税制は、企業の研究開発の促進やグローバル競争力を高める上で必要不可欠な税制となっております。
令和3年度に向けた税制改正要望事項として、2点ございます。6ページに記載のとおりでございまして、1点目は総額型における維持・拡充、そして2点目はオープンイノベーション型における手続要件の緩和でございます。
1点目の総額型の維持・拡充につきましては、法人税に対する控除上限率について、本体部分の25%と上乗せ10%の計35%以上の拡充をお願いいたします。
2点目のオープンイノベーションについては、障害となっている手続要件の緩和を要望いたします。
7ページを御覧ください。特に総額型の時限措置である「控除上限上乗せ措置」の控除上限10%部分の維持・拡充が重要と考えております。対売上型、研究開発比率10%以上という上乗せ措置の基準に対して、製薬協平均では約16%、さらにもちろん20%を超える企業も多くございます。研究開発を積極的に行っている製薬業界にとって、この上乗せ10%は極めて重要であり、研究開発投資の強いインセンティブになっております。
8ページを御覧ください。次に、ゲノム解析等実行計画についてでございます。ゲノムデータベース基盤の構築は、まさに医療におけるデジタルトランスフォーメーションの中核になると思います。このデータ基盤の活用によって、個人に合った治療が可能になり、患者さんのQOLの向上や健康寿命の延伸が実現できます。企業は医薬品開発のスピードアップや成功確率の向上、開発コスト低減が可能となり、医療コストの効率化にもつながってまいります。
9ページを御覧ください。ゲノム解析では、既に他国の取組が先行しております。スピード感を持った対応と、強力な推進組織が必要と考えます。ゲノムデータは重要な個人情報で、そのデータベースは重要な公共財であります。したがって、国民の納得・安心を得るためにも、法律の下に設置された国の機関がしっかりと管理することが適当であると考えます。
英国では、政府が国営企業を設置し、プロジェクトやデータの管理を行っています。日本でも戦略的に推進する計画を立案し、事業運営の責任を持つ国の推進体制が必要だと考えております。
10ページを御覧ください。全ゲノムの「本格解析に向けた要望事項」でございます。まずは早急に本格解析へ移行し、産学官が利活用を開始するための計画立案と推進、そして先行解析を加速推進するための令和3年度予算案等の確実な確保をお願いいたします。
また、利用者のニーズを満たさないデータベースに利用価値はありません。後発となる日本は他国を凌駕する必要があり、そのためのポイントを枠内に4点記載しております。ぜひこれらの観点を踏まえたデータベース構築を強力に推進していただきたく存じます。
11ページを御覧ください。「創薬基盤技術の高度化について」でございます。既存の創薬技術では、治療薬の開発が困難な医療ニーズを満たすために、クライオ電子顕微鏡など、最先端機器を用いて新たなモダリティーに対応した創薬基盤技術を高度化することが不可欠だと考えております。
12ページを御覧ください。最後は、感染症対策についてでございます。日本の製薬企業においても、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬が使えるようになるまでの時間を短縮しようと、各社それぞれ鋭意努力をしている状況でございます。また、新しいモダリティーや生産方法にも取り組んでいます。
13ページを御覧ください。また、新型コロナウイルス以外にも脅威となる感染症があります。特に既存の薬剤に耐性を持つAMRは、死亡者が2050年に1,000万人に達するという予測もあり、極めて重要な課題だと認識します。新型コロナウイルスとAMRで最も異なる点は、AMRは問題となる菌種が特定されており、予測が可能なことでございます。しかし、抗菌薬の開発は1980年代をピークに減少の一途をたどっております。
14ページを御覧ください。そこで、抗菌薬の研究開発を進めるために、本年7月に世界の製薬企業有志が約1,000億円の出資を行い、AMR Action Fundを設立しました。
しかし、これだけでは不十分です。AMR治療薬の場合、開発が成功しても薬の耐性菌を生まないようにできるだけその新製品は使わないようにいたします。結果、売上げは全く期待できません。したがって、構造的にAMR治療薬の開発は難しい状況がございます。プル型インセンティブの導入等によって、事業採算が成り立つようにする政策が必要不可欠でございます。
次のページを御覧ください。プル型インセンティブの具体例です。このような制度を試行的に導入し、運用において問題のないことを確認した上で法制化することを御提案するものでございます。
資料の説明は以上でございますが、最後に昨日行われました行政事業レビューに関しまして、一言コメントさせていただきたいと思います。
昨日の行政事業レビューにおきましては、原価計算方式による原価の開示に関する御指摘がございました。私どもといたしましては、実際の厚労省担当者との交渉の中で、薬価交渉の過程におきまして可能な限りの原価を開示するよう、最大の努力をしております。
また、開示いたしましても、その薬価への反映については全てが認められるわけではございません。逐一厳しい必要性のチェックを受けた上で、厚労省によって認められるというプロセスでございまして、決して企業の言いなりで薬価が設定されているものではない。この事実を、ぜひ引き続き発信をしていただきたいと存じます。
私からは、以上です。
○司会(林経済課長) ありがとうございました。
続きまして、米国研究製薬工業協会、ジェームス・フェリシアーノ副委員長、お願いします。資料は、2-2になります。
○フェリシアーノ副委員長 皆さん、こんにちは。ジェームス・フェリシアーノと申します。PhRMA在日執行委員会副委員長をしています。本日の議論も、楽しみしています。5分以内で終わらせたいと思います。
日本政府の大規模かつ成功したパンデミック対策に感謝しています。
バイオ医薬品産業は、新しい新型コロナワクチンや新治療薬開発を続けています。このパンデミックへの迅速な対応は、私どもに資金、知的財産、経験ある人材、製造施設や研究開発インフラを含む資産や長期投資によって可能となっています。
イノベーションが評価される強力な先進市場なくして新型コロナのような危機に対応するために動くこともできませんし、医療のアンメットニーズに対応する研究をすることもできません。このウイルスに打ち勝つために協力が進む中、これは日本の医療改革の方向性を見直し、真のコスト要因分析の結果を基に改革を実施するチャンスでもあります。このことを念頭に、PhRMAはより効果的かつ強靭な医療制度を日本が実現するのに貢献すると信じる提言を策定しました。
提言の柱は、3つです。イノベーション、投資、そしてデジタル化です。皆さん、スライドに詳細が出ておりますので、見ていただければと思います。
最初の柱、イノベーションでは日本の薬事制度改革を提言しています。具体的には、迅速審査制度を改善し、科学的進歩と歩調を合わせることで革新的治療法がより早く患者さんに届くようにするという提言です。
さらに、日本の安全性、有効性データに基づき、他国に先駆けて医薬品やワクチンの緊急使用を認める制度を構築することも必要だと思っています。
医薬品開発サイクルは非常に長いため、国の医療制度のルールが予見可能で透明性あるものであることも必須です。
直近3回の薬価改革、つまり2016、18、20年において、56の薬価ルールの変更が実施されました。日本の政策の中には、過去10年の前向きな進歩を深刻に脅かし、投資を日本以外の国へ向かわせる可能性のあるものがあります。実際、日本の新しい政策の影響は既に現れています。バイオ医薬品産業の2015年から18年の研究開発投資は、グローバルでは平均19%伸びていますが、同時期の日本の研究開発投資の伸びはマイナス4%でした。日本は間違った方向に進んでいます。
ぜひ薬価制度を改定し、科学に基づき公正にイノベーションを評価し、報いる制度、透明で予見可能な制度となるように要請します。
次に、2つ目の柱は投資です。私たちは、医療制度の長期持続可能性を目指すという日本の目標を共有するものです。しかし、短期的視点で薬価を削減することでこの目標は実現できません。より全体的な医療制度改革が必要です。
バイオ医薬品業界では、特許切れ製品の薬価改革により追加的なコスト削減が実現できる。そして、その削減分はイノベーションへのさらなるインセンティブとして活用すべきであると、PhRMAは信じています。
さらに、一次予防、二次予防の推進症例策は日本にとって大きな社会的、財政的効果をもたらします。
最後に、3つ目の柱はデジタル化です。新型コロナによって、デジタル技術の重要性が浮き彫りになりました。日本はデジタル技術を活用することで、医薬品開発のスピードと予見性を向上させるべきと考えます。
具体的に、次のものを要望させていただきます。包括的に電子医療記録、電子カルテシステムを構築し、主要ステークホルダーがアクセスできるようにしながら患者の個人情報を保護する。リアルワールドデータを、医薬品やワクチンの研究開発や安全性確保に活用する。オンライン診療にとどまらず、医師や患者を支援するデジタル医療環境を作る。
PhRMAは、皆さんと連携して日本の医療制度の持続可能性と強靭性を向上させ、革新的で命を救う医薬品へのリアルタイムのアクセスと継続的投資の恩恵を日本が享受できるように新型コロナにも活用していきたいと思います。
ぜひ政府におかれましては政策決定プロセス全体にわたり、協会と対応することを願っております。ありがとうございました。
○司会(林経済課長) ありがとうございました。
続きまして、欧州製薬団体連合会、EFPIAの岩屋副会長、お願いいたします。
○岩屋副会長 欧州製薬団体連合会、EFPIA、副会長の岩屋です。本日は、意見表明の機会を賜り、ありがとうございます。
イノベーションの持続と早期導入が安心できる社会を実現、維持することが鍵となることは明らかです。イノベーションを持続できる環境を整備することで、予防、診断、治療にかかる画期的な技術の開発が促進されます。その結果として、病気の予防や正確な診断、医療成果の向上などのよりよい成果が得られ、私たち個人の健康寿命の延伸と社会の持続的な発展が期待できます。
そのためには、企業のイノベーションへ向けた努力に加えて、イノベーションを持続可能とする環境を整備することが極めて重要と考えています。
しかしながら、私たちEFPIAは2018年の薬価制度の抜本的な改革以来、イノベーションの評価の間口が大幅に狭められ、費用対効果評価制度の導入、薬価の毎年改定の方向性など、コスト削減ありきともとれる改革が続いていると認識しています。
その結果、継続的なイノベーションを促進し、健康寿命の延伸と安心できる社会の持続的な発展につなげるためのサイクルがうまく回っていかない状況が発生していると危惧しています。
次のページを御覧ください。EFPIAは、世界の最新技術を日本の患者さんへ届けることで、よりよい医療と社会の実現を目指しています。イノベーション持続と早期導入を可能とするために、以下4つの課題についてこれからも政策対話に参加し、ともに解決を図りたいと考えています。
まず最初に、イノベーションの適切な評価の実現です。イノベーションが適切に評価されず、毎年薬価が強制的に切り下げられる状況になれば、世界における日本市場の相対的な魅力は下がります。この結果、国際企業においては日本の優先順位そのものが下がることにつながりかねず、このような状況において、日本の患者に対し、革新的な医薬品や治療方法を早期にお届けできない状況が発生する可能性が生じることを危惧しています。
2点目として、EFPIAは日本政府のデジタル化を推進する立場を支持します。デジタル技術の活用、具体的に申し上げればオンライン診療をさらに普及させ、健康データ活用の基盤を整えることで医療の効率化へつなげることができると考えています。この点について、我々はこの分野におけるヨーロッパ諸国の成功事例を参照しながら、政策対話を行う用意があります。
次に、アクセスに関する課題です。現在、患者の医薬品に対するアクセスに関し、日本は世界的に見て良好な環境にあると考えています。ドラッグラグを短縮するためのこれまでのPMDA、政府の取組に感謝申し上げたいと思います。
しかしながら、万が一、薬価改定が毎年実施される状況となれば、例えば現在行われている2月の薬価収載が行われなくなり、このため患者の新たな技術、医薬品への早期アクセスが阻害される要因になるのではないかという危惧はあります。ぜひ、現状の速やかなアクセスをこれからも堅持していただきたいと考えています。
最後に、国際的に調和した規制の実現です。EFPIA会員会社のうちの数社は世界的に今、COVID-19ワクチンや治療薬の開発で先行しています。安心できる社会の実現と発展に貢献するために、これらを早期に日本の患者へお届けしたいと考えています。
これを実現するために、ワクチンにおいては日本独自の検定制度など、医薬品においてはさらなる国際共同治験データの活用などについて、これまで以上の一層の規制の国際的な調和をお願いしたいと考えています。
これらの課題について、EFPIAは行政、立法の各方面と積極的に議論を重ねてまいりたいと思います。ぜひ、これからもこれまで以上の機会創出を御検討いただけますよう、重ねてお願いを申し上げます。
EFPIAからの意見表明は、以上となります。御清聴ありがとうございました。
○司会(林経済課長) ありがとうございました。
続きまして、再生医療イノベーションフォーラムの畠会長、お願いいたします。
○畠会長 再生医療イノベーションフォーラムの代表理事・会長の畠でございます。
本日は、昨年に引き続きまして発言の機会をいただきまして誠にありがとうございます。日頃より厚労省様を始め、関係各位の御協力を賜りながら鋭意進めてまいっております。まずは深く御礼申し上げます。
2ページ目を御覧ください。このページに示しておりますのが、現在国内で承認されている9つの再生医療等製品でございます。一口に再生医療等製品と申しましても、製品の特性は大変多種多様でございます。
次のページで、これら再生医療等製品を4つに大別し、各々の特徴と課題について御説明したいと思います。
3ページ目を御覧ください。まずは一番上の1段目、または3段目の右下に青く囲みました再生医療製品ですが、これは培養によって完成した製品を患者様に移植し、組織を再生させる効果を期待するものでございます。現時点では患者さん御自身の細胞、すなわち自家細胞を利用した製品のみでございます。これらの製品は、患者様御自身の組織、細胞を原料とするためにその組織採取が必要でありまして、通常の製品とはビジネスモデルが全く異なります。
また、移植手技を要しますので、移植する先生方の熟練が必要となります。この製品群は、また持続的な効果を期待できますが、その一方で長期的な評価が必要になったりといったこともあります。必ずしも従来の方法が踏襲できるわけではございません。また、製品によりましては医療機関において最終培養工程の手続が必要になるということもございます。
また、2段目にお示ししていますのは細胞治療製品と言われるもので、細胞懸濁液を注射または点滴することで治療を行うものでございます。
我が国では、黄色で囲みました1件の他家の製品、他人の細胞を用いた製品と、緑色で囲みました2件の自家細胞の製品が承認されております。
他家製品は他人の細胞を用いますので、原料細胞の調達が必要になりますが、これについては現状、海外からの輸入に頼っております。
一方、自家細胞の場合には先生方の手術手技を要しない点滴等でございますが、先ほど述べました青のカテゴリー同様の課題が存在し、ビジネスモデル構築が喫緊の課題でございます。
一番下、3段目にございますピンク色で囲みました製品群は遺伝子治療製品でございます。体内に直接遺伝子を投与し、治療を行うものでございます。これらの製品におきましては、医療機関内でカルタヘナ法対応が必要となりまして、グローバル試験を推進する上での課題となるおそれがございます。
資料の4ページ目を御覧ください。お示ししましたように、再生医療等製品には様々なものが存在し、ビジネスモデルの構築のみならず製品評価の在り方など、それぞれに応じたきめ細やかな対応が必要なるかというふうに理解しております。
今回、これらの現状を踏まえまして、革新的製品の創出を加速する6つの取組につきましてお話をしたいと思います。
まずは、「イノベーション創出に向けた環境整備」の観点で4点述べたいと思います。
まず第1に「臨床データの利活用」でございます。再生医療等製品の治験におきましては、比較データを用いた試験が困難であるケースが多々ございます。そのため、リアルワールドデータの利活用が望まれることになります。現在、レジストリに関しましてはCIN構想等が推進されるものと理解しておりますが、データの直結や自動入力など、国主導で推進いただくことは、ペイシェント・アクセスの観点からも国益に資する取組であると考えます。
第2に、「国内外での商業利用を見据えた細胞調達システムの構築」でございます。今後、製品が増加すると見込まれる他家製品の原料細胞の国内調達、安定供給は、地政学的リスクの低減化の観点も極めて重要でございます。健常人ドナーを含めた商業利用も見据えた細胞調達システムを早期に構築いただきたく存じます。
3番目の「再生医療に係る規制調和の推進」につきましては、現在も厚生労働省様、PMDAの皆様の御努力により、各種規制調和の推進が進められていると承知しておりますが、生物由来原料基準、カルタヘナ法対応につきましては国内外の運用の違いがドラッグラグにつながるおそれもあり、引き続き我々業界団体とともに運用を含めて御検討賜りたく存じます。
環境整備の最後に、我が国の誇る優れた規制制度であります、例えば先駆け審査承認制度、条件及び期限付承認制度の価値や意義を海外でも正しく理解していただくため、その背景や考え方を含め、情報発信を御検討いただくとともに、さらなる制度の改良に向けて御検討をお願いしたく存じます。
次に、「イノベーションの適正な評価」の観点についてお話させていただければと思います。
第1に、これは他団体の方々からも御意見が上がっていましたが、再生医療等製品の価値を適切に価格に反映する仕組みの早期創設をお願いしたいと思っております。多種多様な再生医療等製品のモダリティーに対しましては製品の特殊性を加味し、医療上の価値を適切に判断できる、反映できる柔軟な算定ルールが必要でございます。それにより、企業の価格予見性も高まり、革新的製品の開発が推進されるものと考えております。
最後に、「医療機関での体制整備等の対価を適切に反映する仕組み」でございます。現状では、製品原料となる細胞の処理や、入荷した製品の最終加工を医療機関内で実施する必要がある製品も多く存在します。
これらの製品の品質を担保するために、医療機関では人員、機器などの体制を整備する必要がありますが、これに対する診療報酬はついておりません。医療機関に対する診療報酬上の手当てが十分でないことが再生医療等製品の提供の機会を拒み、再生医療の成長・発展の障害となっているのではないかと考えております。
医療機関での調整・手技に適切に反映する仕組みの創設も、併せて御検討いただきたく存じます。
私の説明は、以上でございます。ありがとうございました。
○司会(林経済課長) ありがとうございました。
途中でございますが、三ツ林副大臣は公務の都合上、ここで退席されます。

  (三ツ林内閣府副大臣退席)

○司会(林経済課長) また、続きまして医療機器産業界からの御発言ということでございますが、大変恐縮ですが、大臣の公務の都合もありまして、16時30分までにはプレゼンを終わっていただければと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
それでは、松本会長、三村副会長、渡部副会長、小野会長、小川会長、森委員長より、よろしくお願いいたします。
○松本会長 ありがとうございます。医機連の会長の松本でございます。本日は、このような機会を設けていただきましてありがとうございます。
早速でございますが、2ページを御覧ください。ここには、本日、日本の医療機器産業界からお話し申し上げたいポイントをお示ししております。
1番の「医療機器」の4については私から、2番の「体外診断用医薬品」については臨薬協の小野会長から、それぞれお話を申し上げます。
3ページを御覧ください。先ほどのページでお示しした4つの大きなポイントは、今回のパンデミックを経験したことで浮き彫りになりました課題などを踏まえ、私ども医療機器産業界が全てのステークホルダーと力を合わせて、特に進めていきたいと考えている取組でございます。以下、順次申し上げますが、本日御出席の関係各位の御理解をいただき、今後力強い御支援をお願いできればと考えております。
次に、4ページを御覧ください。まず第1の取組は、「イノベーションの加速に向けた環境の整備」でございます。今回の経験により、多くの国民の皆様が、我が国の医療提供体制を強靭なものにする必要性を実感されたと思いますが、その構築のためには日本の医療機器産業としてもグローバルな医療現場で、より高い評価を受ける力をつけることが必要だと考えております。
そして、その実現に向けましては、緊急事態時に必要な医療機器等の国際競争力向上を目指した戦略的な研究開発体制の構築、診療の効率化や働き方改革など、社会的な価値の評価まで含めた多面的なイノベーション評価、それから新製品の開発費用などの軽減や異分野の要素技術産業との協業などなど、多角的な施策を進めていくことが必要だと考えております。
次に、5ページを御覧ください。第2の取組は、「医療機器の国内供給体制」の確保でございます。この点につきましては、約10年前の新型インフルエンザ流行時の経緯を知る一員として、今回は決して喉元過ぎれば熱さを忘れるといったことにならないように、特に声を大にして申し上げたいと存じます。
備蓄を含めた生産を計画的に行う一方、一定数を定常的に海外の医療協力に活用するなど、平常時から緊急事態まで供給可能な仕組みを構築することが必要と考えますし、ほかにも資料に示しましたような重要な課題があるものと認識しております。政府におかれましても、既に検討を進めておられるものとは存じますけれども、そうした情報につきましてはできるだけ産業界にも御教示いただくとともに、関連する課題につきましては議論の場に産業界も参加させていただくなど、日本の医療機器産業界としても貢献したいと考えております。
次に、6ページを御覧ください。第3の取組は、デジタルトランスフォーメーションによる医療データの利活用の推進でございます。医療データの利活用を進めていくためには、利用価値の高いデータの整備が重要でございます。取得・収集・活用しやすいということが非常に大切であると考えます。個人情報保護法や臨床研究法など、関係法令の運用の見直しなど、あるいは医療情報基本法などの検討などによりまして企業の研究開発が促進され、その成果が社会実装につながる。そういった施策の推進が必要だと考えております。
7ページを御覧ください。また、医療情報が個々の医療施設内にとどまるだけでなく、デジタル化と情報連携を進めることで、医療における運用化、効率化と安全確保を進めることが重要でございます。
個人の診療記録などをクラウド上で管理する体制や、「トレーサビリティーの確保に向けた基盤整備」を進めることが必要だと考えております。
そして、欠かすことができないのは「サイバーセキュリティー対応の強化」でございます。メーカー、医療機関等、全てのステークホルダーの連携を促進する施策が必要ですし、医療機関が所要の体制を整備するための費用負担の在り方についても議論を始めていただくことが必要ではないかと考えております。
8ページを御覧ください。最後に、国際展開への取組でございます。私ども医療機器産業連合会では、昨年、厚生労働省からのお呼びかけを受けまして、特に中国に進出する国内企業を官民一体で支援していくための組織を立ち上げました。また、会員団体、加盟企業の意向も踏まえ、先月の理事会では今後、特に中国関係の取組を強化していくことを申し合わせたところでございます。
ただ、民間からの働きかけがなかなか難しいのが中国でもございまして、官民一体でその働きかけが非常に重要であると考えておりますので、この点どうかよろしくお願い申し上げます。
以上、4つのポイントにつきまして、時間の関係で口早で申し訳ございませんでしたが、医機連の立場から申し上げましたとおりでございます。
それでは、次に臨薬協の小野会長にバトンをお渡ししたいと思います。よろしくお願いします。
○小野会長 日本臨床検査薬協会の小野でございます。臨薬協、AMDD、EBCを代表して、対外診断用医薬品業界からの意見を3点説明させていただきます。
9ページを御覧ください。
1点目は、「新興感染症に対する危機管理計画の具体的立案」に関する要望です。緊急時において、体外診断用医薬品の開発/供給を混乱なく、迅速かつ円滑に進めるために、「研究開発から生産供給までの一貫した戦略」の立案及び推進・支援が必要です。厚生労働省を中心に、内閣府、各省庁や関連機関、そして我々企業を巻き込み、実行可能性のある具体的な危機管理計画の立案及び周知をお願いいたします。
2点目は、「品質/精度を確認した検査の適正な提供」に関する要望です。新興感染症発生時に、透明性のあるプロセスにより、一定程度の品質や性能が確認された検査が迅速かつ適正に国民に提供されるよう、緊急使用許諾制度(EUA)の創設及びその許諾に基づく市場提供を提案します。
3点目は、「安定供給体制確保のための環境整備」に関する要望です。新興感染症発症時に、検査体制の拡充・安定供給体制の確保が円滑になされるよう、買取りの保証、公的補助などによる測定装置の配備といった緊急対応のほかに、危機管理対策として平時の医療機関等における「測定装置等の整備」及び「人材の確保・育成」の実施の推奨をお願いいたします。
以上、体外診断用医薬品業界から3つの要望を御説明させていただきました。今般のコロナ禍で見えた課題においての意見・要望ですので、今後発生する新興感染症に備えてぜひ御検討のほどよろしくお願い申し上げます。
私からは、以上です。
○司会(林経済課長) ありがとうございました。
続きまして、AMDDから小川会長お願いします。
○小川会長 AMDDの小川でございます。時間が限られているということなので、ハイポイントだけカバーしていきたいと思います。AMDDからは「COVID-19禍に学ぶ国際協調の重要性」ということと、それからバリューベースヘルスケアの提言ということで、2つお願いしたいと思います。
3ページを御覧ください。COVID-19でこの備蓄を今、始められていると思いますけれども、多国間で共通して使用できるような製品については生産と備蓄を融通し合う共助体制を産官で構築していくことが必要ではないかと思っております。
それから2つ目、いわゆる医療機器の本体の確保と併せて、その医療機器の稼働に必要な備品とか回路の十分な備蓄にも目を配ることと同時に、稼働のために必要な人員とか技能の養成も平常から行うということが大事だということが、今回認識されたというふうに考えております。
3つ目は、内閣府が推進していらっしゃる戦略的イノベーション創造プログラムの事業に早くから私どもAMDDは参画しておりまして、RFIDを使った流通システムの改善の推進に協力しております。このもともとのゴールは流通の簡素化あるいは正確度を上げていくというようなことが大きな目的だったのですが、今このデータを使って台湾のようにいろいろ必要な部材の所在地、数量を示すシステムに使えるのではないかと考えております。
それと、医療機器の審査プログラム、MDSRPのようなものを厚生労働省あるいはPMDAさんの協力を得て、昨年12月の共同計画には国際整合の推進として含まれておりますけれども、これをさらに加速をかけていただきたいと思っております。
最後に「薬事行政の電子化」、文書の電子フォーマットでのやり取り、あるいは署名捺印などの簡素化というものを拡大していただくことを要望しております。
4ページを御覧ください。4ページは先ほどのSIPのスマート物流ですが、クラウド上に各標準化されたデータを取り込んで、メーカーだけではなく特約店さん、それから病院さん、運送業者が個別にこのデータを使いながら流通を正確に把握していく。有事の際は、この個々のバリアを外して全ての状態が見られるようにするというのがコンセプトになっております。
次に、6ページを御覧ください。これは概念図なのですが、前回、2017年には患者さんの健康状態向上のためにバリューベースヘルスケアという提言をAMDDはさせていただいて、その際は医療技術とか機器の評価に焦点だけを当てていたのですが、今回医療機関さん、あるいは受療者、患者さんにかかわるものにも範囲を拡大して総括的な提言を行っていこうということを考えております。
次に、7ページをよろしくお願いします。こちらに、(1)から(5)の5本の提言の基本を入れております。
まず(1)番は、受療者に質の高い技術が包括的に提示される環境の整備をしていく必要があると考えております。過去、日本医師会さんとともにシンポジウム等を行っていた中で、患者さんが新しい技術や、あるいは新しい医療機器の情報が手に届かないで、御自身で使われるまでに大きなタイムラグが生じているということが分かりましたので、そういったものは環境整備をして信頼できる中立的な情報のデータベースをつくったり、治療の選択肢を提示した場合の診療報酬上の評価を行ったり、国民皆保険を堅持した上で患者さんの選択肢拡大のために、保険収載されていない部分についての保険外併用療養費等の取扱いの提言を行いたいと思います。
2つ目は、データベースの整備でございます。特に、医療機関が質の高い医療技術や医療機器をより多く用いるために、個々の技術、機器の有効性に関わるデータベースが必要だと考えております。
1つのアイデアとしては、DPCデータに製品情報等の情報を追加したりして、こういったものを補足していく。あるいは、レジストリとのコラボレーションを行ってその質を上げていくというようなことを考えております。
3つ目ですが、医療技術あるいは医療機器に関わる技術料にアウトカム評価の要素を導入するということです。アウトカム評価の導入は、より質の高い医療技術とか機器を用いて、優れた患者のアウトカムを出すことのインセンティブが医療機関に生じるというふうに考えております。具体例としては、感染予防対策加算というのは医療機関の取組に対する評価はされていますけれども、感染発生状況等のアウトカムについての評価はされていないと思いますので、こういったものを取り込んでいくことが必要なのではないかと考えております。
4番目と5番目は、従来どおりの医療技術、機器のイノベーション評価の在り方に関するもので、費用削減効果あるいはエビデンスの評価の方法、技術料として評価されるものの評価基準等についての提案を行っております。この後のスライドで詳細を説明しておりますが、以上が根幹になっておりますので、AMDDからは以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○司会(林経済課長) ありがとうございました。
最後になりますが、EBCの森委員長、お願いいたします。4分程度でお願いできればと思います。
○森委員長 EBCの森でございます。このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
早速、2ページ目をよろしくお願いします。デジタル化の推進が国策となってきておりますけれども、まず第1に「デジタル機器を用いた医療の質の向上」、そして第2にCOVID-19、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた「新たな日常の確保に向けた医療供給体制」につきまして、そして3番目に「医療技術の適正評価」、国民の皆様の生活や健康に資する新たなイノベーションの追求につきましてです。
次に、3ページをお願いいたします。まず、「デジタル機器を用いた医療の質の向上」の中のPHRを活用いたしました医療機器のトレーサビリティーの向上ということにつきましてです。現在、植込み型ペースメーカー等の「特定医療機器」では植込み患者の連絡先等に関する記録の作成、保存は義務づけられております。
ですけれども、情報更新は患者の申告によりますためにタイムリーに情報が更新されない場合もございます。また、「非特定医療機器」の人工関節、ステント等の植込み機器に関しましては、そもそも義務がないということになっております。
そして、要望といたしましては、患者に挿入されておりますデバイスに関する情報を含めて医療情報が患者にひもづいてきちんとデータベース化され、医療機関との間で情報が共有されるようなプラットフォームを構築してはどうかということです。
そして、構築に当たりましては、実際にそういった機器を作っているメーカーもぜひ議論の場に入れていただきたいと考えております。
次が、4ページの遠隔医療、ドクター・トゥー・ドクターの推進につきましてです。欧米では遠隔医療は進んでおりまして、患者の利便性の向上や医療の均てん化に寄与しております。例えば、遠隔ICU支援は支援センターから集中治療現場に対しまして遠隔で支援を行うものです。遠隔ロボット手術支援は、専用のコックピットから遠隔操作でPCI等の治療を行うことができます。これによりまして、医療従事者の被ばく低減によるプロテクターが全く不要になりまして、女性医師の参画にも大きく貢献することになっています。
要望といたしましては、医師の負担の軽減を図り、医療の均てん化に寄与するために、遠隔支援を行う医療機器をぜひ診療報酬において適切に評価していただければと考えております。
5ページにお移りください。現在、コロナ禍におきまして輸送コスト等の高騰によりまして、安定的に医療機器を供給することは非常に困難になりました。こうした事態に備えて、企業責任で在庫を積み増すことは不要在庫を抱えるリスク等もありましてなかなか困難なものがあります。あるいは、このCOVID-19による過剰な恐怖反応によりまして国内の検体輸送の停滞も生じました。
要望といたしましては、ぜひとも省庁の垣根を越えて医療用の航空貨物枠の設定を御検討いただきたい。そして、国としての備蓄、そして国主導による緊急時の検体等の輸送体制もぜひお願いしたいと考えております。
次の6ページにお移りください。次は、「医療技術の適正評価」につきましてです。「医療技術評価の仕組みの検討-予防・検診の評価」といたしまして、low dose、低被ばくCTによります肺がん検診の推進をお願いしたいと思います。欧米では、既に肺がん検診が低線量CTによって行われておりまして、これは単純Ⅹ線よりも肺がん減少効果が20%以上高いことが報告されております。日本におきましても、名和先生らによりましてこの効果ということも検証がなされております。
要望といたしましては、対象患者を絞った低線量肺がんCT検診をぜひとも死亡率を下げる予防・先制医療の検査として、保険給付の対象としても検討いただきたいと思います。
最後の7ページで、「医療技術評価の仕組みの検討」につきましてです。現在、新規の技術の評価につきましては、海外との評価に大きな隔たりがあるものがあります。また、AI等を用いた画期的な製品。
○司会(林経済課長) すみません。森委員長、もう時間が超過しましたので終わらせていただきます。大臣が時間ですので、申し訳ありません。後でお願いいたします。
以上で、各団体からの御説明ということでいただきました。業界の皆様方の御説明を受けまして、田村厚生労働大臣から発言をお願いいたします。
○田村厚生労働大臣 すみません。もう時間がきましたので、私はこれで御無礼いたします。山本副大臣のほうが、皆様方に後でいろいろなお話をさせていただくと思います。
中間年の薬価改定の問題、それから医療基本情報の問題も随分ありました。非常に重要な問題だと思います。医療のDXを進めるためにいろいろな課題がたくさんあるわけでありますけれども、一つ一つ、我々もこれに関する解決を進めていかなければならないと思っています。
あとは、AMRの問題でありますとか、ゲノム解析の先行解析のほうを来年度予算なるべく早くということでございますし、その点は以前からいただいております。
研発税制の問題も以前からいただいておりまして、これに対してもしっかりと検討を進めてまいりたいと思っております。
医療機器の確保、PPEの確保、これはサプライチェーンも含めてしっかりと確保していかなければならない話でございまして、当初、PCR検査等々、非常に日本は検査件数が限られてきておりました。今やっと8万を超えてきたわけでありますけれども、しかしながら、次の感染症に向かってこのような問題等々も含めてしっかり対応していかなければならないと思っております。
イノベーションの評価というものに対して、大変厳しいお言葉をいただきました。新薬創出加算は、前回の見直しでかなり皆様方からいろいろな御意見もいただいております。一方で、医療の財政というものも制限がございまして、社会保障の財政というものをどうしていくか、大きな課題でございますが、原価の開示に関していろいろな御意見があることもよく存じております。
いずれにいたしましても、日本の国ですばらしい薬が利用されない、使えないということになれば、これは大きな問題になりますので、皆様方が日本の市場において上市をするような、そんな気になっていただけるような制度というものを、これからも不断の見直しをしてまいりたいと思っております。
今日は、どうもありがとうございました。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
途中でございますが、田村大臣、あとは高橋副大臣もこちらで退席をさせていただきます。
なお、山本副大臣と事務方は最後まで参加する予定でございます。

   (田村厚生労働大臣、髙橋文部科学副大臣退室)

○司会(林経済課長) それでは、各業界の皆様方から御要望いただきましたので、まず行政担当者から簡単に説明させていただきたいと思います。
まず医政局からですが、間審議官から御回答申し上げます。お願いします。
○間大臣官房審議官 医薬品等産業振興担当審議官の間でございます。本日は政府への御意見、御要望、御提言、真摯にいただきました。ありがとうございます。私のほうからは、4点お話をさせていただきたいと思います。
まず、医薬品・医療機器等の安定供給、先ほど大臣からも少しお話がありましたけれども、今般の新型コロナウイルス感染症への対応として医薬品・医療機器の安定供給は大変大きな課題となりましたけれども、業界の皆様の御尽力、御協力に心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
厚生労働省といたしましては、海外で生産される原薬、原料の依存度が高い抗菌薬と、その医薬品の国内製造所の新設等への費用補助、あるいは人工呼吸器の買取り保証による生産支援などの取組を講じておりまして、引き続きこうした支援を継続していきたいというふうに思っています。
業界の皆様の御意見を聞きながら、引き続き安定供給の在り方について検討していきたいと考えておりますので、御協力のほど、お願い申し上げます。
2点目に、イノベーションの話に関連して研究開発税制の関係がございます。この点は大臣も頑張っているというお話でありましたけれども、今年、研究開発税制の延長拡充要望を行っておりますが、製薬産業は多額の研究開発投資を行うことで新規治療薬を開発、上市しているということは十分承知しております。国民の健康医療水準の向上や経済成長の観点から、関係省庁と協力しながら皆様の御要望の実現に向けて頑張っていきたいというふうに思っています。
また、革新的な医薬品・医療機器等の開発にはリアルワールドデータの利活用が重要であると認識しております。この点、先ほど御指摘もございました。
厚生労働省としては、レジストリデータを医薬品等の承認申請に利活用するための環境整備など、様々な取組を進めておりまして、引き続き皆様の御意見を伺いながら進めていきたいと思っております。
3点目に、医療の国際展開に関連しまして、特に医療機器業界の皆様から中国の話がございました。この点につきましては、新興国等の保健当局との協力関係の構築、あるいは人材育成支援等を通じた我が国の医療技術の普及に積極的に取り組んでいるところでございます。
特に皆様方の御関心の高い中国につきましては、ビジネスチャンスは大きいだろうと思う一方で、頻繁な制度変更があったり、あるいは知的財産の保護等の課題も多いというふうに認識しております。
先ほど、官民一体での働き方が重要だという御指摘もございました。中国当局と直接対話を行う枠組みである官民訪中の枠組みを引き続き活用するなど、中国における我が国企業のビジネス環境の整備を促進支援していきたいというふうに思っております。
最後に4点目でございますけれども、個人情報保護法制のお話がございました。
まず、令和2年度個人情報保護法改正に伴う課題につきましては私ども認識しているところでございまして、個人情報保護委員会とも連携して対応を検討していきたいと思っております。
また、さらに医療分野の個人情報をどういうふうに利活用していくかという点については、一方でその機微性を踏まえて手厚い保護を求めるという声がございます。また、一方に、本日御意見をいただきましたように、研究における利活用を促進すべきという声もございます。権利保護と利活用の双方から様々な意見がある状況でございまして、国民的な議論を起こしながら十分に合意形成を行うことが重要だというふうに認識しております。
厚生労働省では、海外の法制度や医療研究現場の実態調査を行っております。医療分野の個人情報の取扱いについては課題の精査、論点整理を進め、検討してまいりたいと思います。
私からは、以上でございます。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
続きまして、健康局の正林局長からお願いします。
○正林健康局長 健康局長の正林でございます。
まず、コロナの治療薬、ワクチンの研究開発について、国内外を問わず研究者の皆様、あるいは製造メーカーの皆様方、英知を結集して開発を進めていただいていることについて感謝申し上げたいと思います。
私どもとしては、こうした研究について研究開発の支援、研究費を支給しての支援とか、それから健康局ではないですが、承認についてはできるだけ優先的に、かつ迅速に承認していこうと、そのために審査を行っています。
具体的な取組として、まず治療薬について、例えばレムデジベル、これは5月7日にアメリカのEUAで研究使用許可が下りたことを受けて特例承認を行いました。それから、デキサメタゾンについては「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」に掲載をして治療の有効性をお示ししたところです。
また、そのほかの治療薬の開発については、早期の実用化を目指して既存の薬が使えないかどうかを確認する研究とか、新しい治療薬を作るための必要な候補物質を探す取組が多くの機関によって行われており、それを研究費によって支援を行っております。
次にワクチンですけれども、ワクチンについては安全性、有効性の確認を最優先に、来年前半までに全ての国民に提供できる数量の確保を図るべく、国内外を問わず精力的に企業との交渉を重ねるとともに研究開発への支援を行っています。
確保に向けた財政措置としては、令和2年度第2次補正予算で1,377億円をワクチン生産体制等研究整備基金、国内での生産体制構築のための基金ですが、そこで確保したり、それから7,270億円をワクチンを確保するための予備費として閣議決定をしております。
こうした取組によって、現在製薬企業3社から合計で2億9,000万回分、2回接種の場合、1億4,500万人分の供給を受けることについて合意に至っておりますが、いずれもまだ開発途上のものなので、引き続きワクチン確保に向けた取組、様々な取組を進めていこうと考えています。
最後にAMRですけれども、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえた上で、新たなアクションプランを検討する必要があるというふうに考えております。特にAMR、新薬開発にかかるインセンティブの在り方について、引き続き関係者の皆様の御意見をよく伺ってまいりたいと考えております。
私からは、以上です。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
続きまして、保健局の横幕審議官からお願いいたします。
○横幕大臣官房審議官 保険局審議官でございます。医療保険関係につきまして、幾つか申し上げます。
まず、来年度の薬価改定でございますが、最初の御発言の中でいただきました。その中にございましたとおり、今年度の骨太方針でこういうふうにされております。2018年の骨太等の内容に、新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して十分に検討し決定すると、この方針に基づいて適切に取り組んでまいりたいと考えております。
2つ目は、デジタル化についての御指摘がございました。重要な課題であると考えておりまして、先ごろの例ではニコチン依存症治療に用いるアプリについて審議を経て、来月から保険適用をするということになっております。医療の質を高めていくという方向で取り組んでまいりたいと思います。
3つ目は、イノベーションの評価です。これは大臣からも御指摘がございましたが、財政制約がある中ではありますけれども、どうやって両立していくか。新薬創出等加算といった仕組みは、今年度も対象品目の範囲拡大などを行ったところでございます。真に有効な医薬品のイノベーションを評価し、研究開発投資の促進を図るといった観点から、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
4つ目、再生医療等製品の価格算定ルールについての御意見がございました。今年度改定の中で、再生医療等製品はこれまで収載された製品が少なく特性もばらついているということで、当面、引き続き算定事例を集積して検討していくというふうに整理されておりますので、これを踏まえて引き続き検討してまいります。
最後は、医療技術機器の技術料の評価についての御意見がございました。評価に当たっては、エビデンスに基づいて、患者さんにとって価値はどうか。有効性、安全性等を含め、患者さんにとっての価値をベースに検討をしてまいりたいと考えております。
以上です。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
続きまして、佐原審議官お願いします。
○佐原危機管理・医務技術総括審議官 技術総括審議官の佐原でございます。
企業の皆様の研究開発が進むための体制の整備、特に個別の企業ではなかなかできない国家的なインフラの整備というのは非常に重要なことだと思っております。
このために、これまでも各種のデータベースを整備するということをやっておりましたが、さらにこれに加えて今、健康医療戦略室とも一緒になって、例えばAMEDの研究費で支援してきたデータの利活用をどういうふうにしていくのかというような議論を開始しております。
また、一昨年、がんセンターのほうに創設しましたC-CATにつきまして、後ほど中釜理事長からもお話があるかもしれませんけれども、集めましたデータの利活用といったものも進めていく予定にしております。
さらに、全ゲノム解析の推進という点につきましては中山会長から御要望事項をいただきましたが、厚生労働省においては昨年策定しました「全ゲノム解析等実行計画」を着実に推進していきたいと思います。
関係の皆様と、引き続き御意見をよく聞きながら進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
医薬・生活衛生局からお願いします。
○河野医療機器審査管理課長 厚生労働省医療機器審査管理課長の河野でございます。本日、医薬・生活衛生局長及び審議官が国会業務などのため、大変僭越ではございますけれども、私からコメントさせていただくことをお許しいただければと思います。
まず、皆様方におかれましては、新型コロナの対応などに関しまして、医薬局の対応に御理解、御協力いただいておりますことを感謝申し上げたいと思います。
私からは、3点ほどコメントをさせていただければと思います。
まず1点目でございますけれども、昨年の12月に公布されました改正薬機法の関係でございます。
おかげさまをもちまして、この1年目の施行に関しましてはこの9月に運用が開始されているところでございます。この間、関係団体の皆様におかれましては、多大なる御協力をいただいているということを申し上げたいと思います。今回の1年目の施行につきましては、先駆的審査指定制度や条件付承認制度、特定用途医薬品、医療機器などの新しいカテゴリーの創設が行われております。また、医療機器の観点からしますとAI技術等の最新技術の特性に対応した審査制度、こういったような新しい枠組みを設けさせていただいているところでございます。今後、これらのよりよい運用に努めたいと思っておりますし、まだ、この後、2年目、3年目の施行も続きますので、引き続き皆様方の御意見をいただきながら適切な運用に努めていきたいというふうに考えております。
2点目は、規制の国際調和に関してでございます。これまでもPMDAの御協力もいただきながらICH、IMDRFなどの多国間会合における規制の調和、または二国間会合の機会を通じた各国との信頼関係の構築、さらにはPMDAのアジアトレーニングセンター、こういったような取組も進めさせていただいているところでございます。今後もこのような取組を通じまして、規制の国際調和についても推進していきたいというふうに考えておりますし、また、カルタヘナ法の運用に関しましても業界の皆様の意見をいただきながら、運用の改善などにも努めていきたいと考えておりますので、引き続き御協力のほうをお願いしたいと思います。
それから3点目でございますけれども、臨床データの利活用に関してのコメントもいただいております。リアルワールドデータの活用に関しましては、レジストリデータを承認申請等に活用するための基本的な考え方であるとか、その信頼性の担保に関しての留意点、こういったようなことにつきまして専門家の御意見をいただきながら、できれば本年中にもそういったようなガイドラインの作成、公表を目指していきたいというふうに考えております。引き続き、このような薬事の観点からの環境整備にも取り組んでいきたいと思っております。
今後とも、様々な機会を捉えまして皆様方のお声を聞かせていただき、よりよい制度の運用構築に努めていきたいというふうに考えております。
私からは、以上でございます。
○司会(林経済課長) ありがとうございました。政府側からの回答は、一通り以上でございます。
本日は、AMED、そしてアカデミアの皆様方からも御参加いただいております。せっかくですので、AMEDの三島理事長から一言いただければと考えておりますが、よろしいでしょうか。お願いします。
○三島理事長 本年4月に理事長を拝命いたしました三島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、業界の方から大変貴重な御意見を伺うことができました。特に、AMEDに関わりのある新型コロナウイルス感染症への対応、あるいはゲノム医療の実現、デジタル社会におけるデータ利活用基盤の整備などの意見については、大変意義のあるものとして拝聴させていただきました。
AMEDとしては現在第2期が始まったばかりでございますけれども、モダリティを軸とした6つの統合プロジェクトをスタートさせているところでございまして、そのプロジェクトのPDの皆様方、また、疾患との関係についてもコーディネーターを配置して、総合的な健康医療に関するプロジェクトを展開しているところでございます。
このAMEDは、第1期のときからの目標でございます、成果を一刻も早く実用化して患者さん、御家族の元にお届けすることを目指して、迅速かつ着実に研究開発を支援して実用化及び社会実装、さらには我が国の関連産業の成長、発展を支援すべく、関係機関と緊密に連携して取り組んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
国立がん研究センターの中釜理事長はオンラインで御参加いただいておりますけれども、中釜理事長からもコメントいただければと思います。
○中釜理事長 中釜です。本日は、御指名いただきありがとうございます。私からは、資料4に基づいてお話をさせていただきます。
「がん領域の研究開発の最近の動き」についてです。
もう既に多くの論点が議論された点ではありますので、繰り返しになるかもしれませんが最近のがん研究開発の動きについて紹介させていただきます。
まずスライドの2ページ目、「C-CATのデータの一次、二次利活用」についてです。先ほど御紹介がありましたが、昨年6月にがん遺伝子パネル検査が保険適用されました。現在、国民皆保険の下でがんゲノム情報がC-CATに集約されるという体制が整ってきたわけです。これは、国民皆保険の下でがんゲノムデータが診療情報とひもづいた形で集約される、世界に例を見ない非常に優れたシステムと思います。
9月30日現在で既に8,900件以上の症例が集積されており、そこには患者さんの基本情報に加えて検体情報、さらには薬物療法の効果等の情報が変異情報とともに集約されています。
今後このデータをいかに利活用するのかが非常に重要なポイントであり、現在3段階でのステップを考えております。
一番上が診療検査ポータルとして現在9月末から試験的に実施していますが、がんゲノム医療中核拠点病院、あるいは連携病院等で患者さんの情報を共有するという医療連携のためのものがスタートしました。今後は、これを企業、アカデミアに広げていきまして、利活用の検索ポータルを構築予定です。さらに近い将来においてはこの利活用を広げるべく、クラウドを使ったインターネットのアクセスという対応にも取り組んでいるところであります。
めくっていただきまして、現在はがん遺伝子パネルという限られた数の遺伝子の検索ですが、今後は解析範囲を全ゲノムに広げていく。全ゲノムはいわゆるパネル遺伝子の数千倍の情報が含まれています。それをいかに効率的にオールジャパン体制で構築していくかということで、現在ここにお示ししたような体制で取り組んでいるところであります。がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議の下、部会あるいは連絡調整会議を通して、現在4つのワーキンググループの中で細かな調整を行いながら今後の利活用の促進、さらには最終的にはこの成果が患者さんに裨益するような体制を構築するところであります。
めくっていただきまして、リキッドバイオプシーについても現在進めています。現在のゲノム解析は患者さんの手術検体、生検材料を使って行っているわけですが、薬剤耐性を獲得した症例での解析等を行う場合に、患者さんに対して頻回に、あるいは経時的に検体を採取する仕組みが非常に必須であります。
その目的のために、血液等を用いたリキッドバイオプシーの検査体制は必須と考えます。現在、進行がんのゲノム医療に対するリキッドバイオプシーの有用性だけではなく、早期発見や術後のリスク評価等について、幅広い局面でのリキッドバイオプシーの有用性が検証中です。
めくっていただきまして、スライドの5ページです。これは、先月に発表された『Nature Medicine』の成果です。リキッドバイオプシーがいかに有効かということを消化器がんで示しているデータです。
左上のほうですが、Turnaround time(TAT)、結果の回付までの日数が手術検体を使うものに比べて圧倒的に短く、10日前後で現場に戻ってきます。それから、その中で実際に治験に適合する登録の割合も組織検体を使うものに対して決して劣っていない、あるいはより優れている場合もあります。これは、非常に迅速に結果が返ってくることから、患者さんにとって適切なタイミングで治験にエントリーするということが可能になっていることを示します。
しかも、このリキッドバイオプシーを使った臨床試験というのが、従来の組織検体を使ったものに比べて全く同等な臨床効果を評価できるということから、今後はリキッドバイオプシーを使った開発研究の促進というものが待たれるところだと思います。
めくっていただきまして、加えてこのようないわゆるデジタル情報の集積、患者さんのレジストリのデータを使った開発研究の促進というのは、内科的治療に限らず外科的治療、特に内視鏡外科手術においては非常に期待されるところであります。
現在、AMEDの支援をいただきまして内視鏡外科手術のデータベース構築、これは内視鏡学会及び複数の大学、教育機関とも連携しながら3,000例を超す症例のデータ集積を進めています。ここにAIの手術支援、あるいは技術開発等、アカデミアの協力によってこういうものに付加価値をつけて、さらにこのデータを広く企業、あるいはアカデミア等で利活用することによって産業利用可能な高品質な手術動画データの構築と、それを用いた人工知能の開発が日本において推進されることが期待されるところです。
めくっていただきまして、それらのBig dataを利活用した開発研究です。現在、国内におけるレジストリ、これはC-CATのゲノムデータもそうですが、希少疾患、希少フラクションのがん化に対するアンメットニーズ、メディカル医薬品開発においては、これを日本のみならず同じようなシステムを広くアジアに展開することが、非常に重要です。
なぜアジアかといいますと、人種差が少なく、しかも、アジア特有のがん種が存在する点、それからアジア地域の人口増大に伴い、今後のがん患者の増加も見込まれています。
現在、今年の9月からAMEDの支援を受けましてATLASという事業を開始したところであります。今後、このATLAS事業では治験基盤の強化であるとか、治験教育プログラムの提供、さらにゴールとしてはPMDAと連携しながらアジアの同時薬事承認であるとか、アジア全体のがんゲノム医療の推進に取り組んでいるところであります。
最後にめくっていただきまして8ページ目ですが、治験におけるデータ基盤の課題について少し紹介させていただきます。現在、治験を行う際に医療機関と製薬企業との資料の授受に関しては紙文書がベースになっております。医療機関においては大量の紙文書が蓄積されており、これは非常に労力も時間もスペースもかかるため、いかにデジタル化を推進するかということが重要です。
現在、我々のセンターでは企業と連携して、この資料のデジタル化を行うことによって医療機関と製薬企業の資料の授受が非常に簡便に電子化ベースで行えるような仕組み作りを行っていますが、この仕組みはオールジャパンに展開する必要があります。治験の効率的な実施のためには、デジタル化の全国展開は必須だと考えております。
最後に、まとめです。繰り返しですが、C-CATデータを蓄積することにより、がん遺伝子医療に関してはC-CATデータの二次利活用を開始する予定で、これは今後日本のゲノム医療が世界をリードするようなデータ基盤として発展することを期待しています。
それから、リキッドバイオプシーについては、これからのがんゲノム医療を担う非常に有効な手段というふうに考えます。
最後に、治験に係る文書の保管についても現場の大きな負担となっていることから、ぜひこの領域のデジタル化の推進が必須であると考えています。
私からは、以上です。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
続きまして、国立循環器病センターの小川理事長からお願いいたします。
○小川理事長 国立循環器病研究センターの小川でございます。
今日のお話を聞きまして、私の言おうとしたことは大体出ましたが、とにかく今回の新型コロナウイルス感染症の例を取りましても、データの収集に非常に時間を要しまして、なかなか展開が遅れていると思っています。既に市販されている薬である程度効果があるような薬もあるのではないかと思いますが、なかなかそのデータが集まらないというようなことが非常にその進歩を遅らせていると思っています。
ですから、今日お話がございましたように、個人情報保護の問題を何とかいい形で解決し、早くデータを使えるようにしていただきたい ということと、やはり今後は企業との連携が非常に重要になってまいります。アカデミアがデータをたくさん集めていますので、そのデータを何とか企業がもう少し利用しやすいような形で持っていけないかと思っております。アカデミアと企業が一緒になることによって、より研究が進むと思っていますので、その辺りの御配慮をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
最後に、全国医学部長病院長会議会長をされています湯澤会長からお願いいたします。
○湯澤会長 ありがとうございます。AJMC会長の湯澤でございます。
今日は資料がございませんが、今の会議を聞かせていただきまして、革新的医薬品・医療機器、再生医療、あるいは今回のコロナの感染症に関連したコロナの治療薬・ワクチンの治験等々、推進力になるのはやはり大学病院も含めた特定機能病院の力が非常に重要と思っております。
一方で、8月までの全国の大学病院の新型コロナ感染症による病院経営への影響を見ますと、各大学病院がかなりの財政的な負担を強いられているのが現状であります。こういった中で、先進的な医療機器・医薬品等々の開発に大学病院がしっかりコミットできるようなインセンティブ、あるいはそういった活力が非常に必要だと思っております。
データの利活用に関しましても、電子カルテのデータをビッグデータ解析用に徹底的にクレンジングするだけでも非常に大きな財政的な負担がかかります。今後、先進的な医療機器・医薬品等々の開発を推進するために、大学病院のスマートホスピタル化に向けての基盤整備を推進するインセンティブについて産官学を挙げた支援体制が重要と考えます。これは医学部教育において、多方面で活躍できる人材育成の教育基盤整備の面でも非常に重要な課題と思います。以上です。
○司会(林経済課長) どうもありがとうございました。
それでは、ここから意見交換に移りたいと思います。時間はちょっと限られておりますけれども、残り30分ほどでございます。
まずは医薬品、あるいは再生医療産業界の事項について御質問、御意見等がございましたらお願いします。Zoomの手を挙げるボタンで合図をいただければと思います。どなたかよろしくお願いします。
では、先にこちらから御発言ということでございますので、塩崎審議官お願いします。
○塩崎文部科学審議官 文部科学省審議官の塩崎でございます。今日は、いろいろ御提言いただきましてありがとうございました。
その中で、特に文部科学省に関係するところでございますけれども、中山製薬協会長様のほうから御発言にもありました創薬基盤技術の高度化に関しまして、クライオ電顕等の最先端の設備の産学官での共同利用という話がございました。文部科学省としても、この共同利用は大変重要だと考えてございまして、これまでも産業界の方々、産学官で話をさせていただいてきたところでございます。
文科省としましても、令和3年度の概算要求におきまして、クライオ電顕を含む最先端の研究基盤の整備強化を要求しているところでございますけれども、今般の経済対策での措置も視野に入れつつ、より迅速に実現すべく努力をしてまいりたいと考えてございます。
今後、企業とアカデミアの共同ということで、よりよい研究開発の推進が実現できるように努めてまいりたいと思いますので、引き続き御支援、御指導よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
それでは、製薬業界のほうからコメント等がございましたらお願いします。
○手代木会長 手代木でございます。
文科省、経産省、内閣府そして厚労省の皆様方がおられますので、少し総括的な話でございますが、感染症への取組ということでございます。
私どもが集めている情報によりますと、これまで感染症に対して、産業界もでございますけれども、国としてあまり取り組んでこなかったことにより、インフラが随分弱体化しております。研究者も全研究者の0.4%程度というデータもございますし、今般の新型コロナウイルス感染症への取組みが遅れた理由は、やはりウイルスの毒性が分からない中でレベル3とかレベル4の研究室が本当に少ない。日本国内でどういう実験をやるにしても、そういったインフラが非常に弱体化しているということはございます。
そういう意味では、病院の先生方も含めて感染症をやっておられる先生方を中長期的にお育ていただくような取組みが必要だと強く感じています。これは、単年度の予算ということではなかなか難しゅうございますが、5年、10年の計で国として、感染症に強いインフラを作るという取組みはどうしても必要だと思っております。
例えば10年前のパンデミックインフルエンザの時も、政府から大きな設備投資の支援をいただいておりますが、その設備投資後、その設備を年度によって使ったり、使わなかったり、設備のメンテナンスでありましたり、生産の人間の確保だったり、それはほとんどメーカー任せになっているところがございます。いざというときに発動できない大きな設備というのができてしまう可能性が今後もございますので、国家による備蓄でありますとか、戦略的にそのような設備をどのように確保していくのかという予算措置でありますとか、そういったことを産業界としては強く要望するところでございます。ぜひ今後ともお話し合いの機会を頂戴したいと思っております。
以上でございます。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
ほかにありましたら、コメントを先に業界側からいただいてまとめて回答したいと思います。
ないようですので、まずは正林局長から簡単にコメントをお願いします。
○正林健康局長 健康局長の正林でございます。
感染症について、インフラの弱体化のコメントがございましたが、それは私どもも時々感じるところでございます。
まず、医療界全体で感染症というと、戦後間もない頃は感染症が猛威を振るっていて、昭和30年代、40年代である程度克服してしまって、今というか、20~30年前は感染症といってもほとんどぴんとくる医療関係者があまりいなかった時代がしばらく続いたんじゃないかと思います。
ただ、ここにきて、ここ20~30年ですけれども、やはり新興再興感染症、新しい感染症が次々と出てきて、特に新型インフルエンザ、パンデミックであるとか、それから今回のコロナは典型ですけれども、このように忘れた頃にいきない物すごい感染症が猛威を振るう。そういうことに対しては、なかなか今の世の中、特に日本の場合、きちんとそれに対応できていなかったというのは大きな反省点かなと思っています。
これについては、さすがに今回は相当国民の意識も変わりましたので、このままではいけないという思いも強いでしょうし、予算についても今回数千億単位の予算がどんどんつくぐらい、政府を挙げてこれは何とかしようという思いがありますので、今後、それこそ5年、10年かけてもっとしっかりとした体制を取っていこうという考えをベースにしながら、これからどのようにその感染症に携わる方々を育てていくか。それは研究者もしかり、それから製造メーカーもしかりですけれども、様々な分野で感染症に当たる方々を育てていき、次のパンデミックはあまりきてほしくないですが、そういうことに備えていく体制づくりは重要かと感じております。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
続きまして、製薬協の中山会長からも手が挙がっておりますので、コメントをお願いします。
○中山会長 中山でございます。
先ほど、私のパートで全ゲノム解析の推進体制を御要望させていただきましたけれども、やはりこの全ゲノムのデータベースはある意味で国際競争になっておりまして、アメリカは民間ベースでそういうゲノムのデータベースを蓄えておりますので、製薬企業としては早くできたところから使うというふうに、ついついいきがちでございます。
ただ、日本でやはりゲノムのデータベースを持つということは、日本人のための創薬という可能性が非常に高くなると思っております。そもそも今、御案内のとおり、日本人の標準ゲノム自体が分かりませんので、変異のおさえ方というのも、やはり日本でのゲノムデータベースを作る中で明らかになっていくというふうに認識しております。
つきましては、現在の実行計画の中でぜひ推進体制を、つまり出来上がった形を、いかにイメージして、それをいかに早く作り、その出来上がった形、ゲノム基盤の例示をさせていただきましたけれども、そういった形で利用者をいかに巻き込んで使っていくか、あるいは、今からそのときのデータベースの仕様はどういうふうにしたら製薬企業が使いやすいか、もちろん、製薬企業から手数料を取るわけですけれども、そういう格好にしてデータベースを手数料で回していくということをしないと強いデータベースができないと思っておりますので、これはリバースプランニングじゃないのですけれども、ぜひそういう観点からも、研究と同時に実用化という観点からデザインあるいは推進体制の整備を、今から早目に検討いただきたいというふうに思っております。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
他にコメント、御要望等ございましたらお願いします。画面に向かって、手を挙げていただければと思います。
では、EFPIAの岩屋副会長お願いします。
○岩屋副会長 質問ではなくて、コメントです。少しだめ押しというかは、同じことの繰り返しになるかもしれませんけれども、今回のCOVIDが出て今、研究開発に各社取り組んでいる中で、COVIDが表していることというのは、本当に短期的な対応だけではどうにもならないというか、この国の中に研究開発の力とか、開発を進めていくためのインフラというのがしっかり出来上がっているということがないと、急にそれが作り上げるというのは難しいということを示しているかなというふうに個人的には思っています。
我々の主張の中で申し上げましたけれども、日本はとてもイノベーションに対して温かい国であるという認識については変わりませんが、しかし、経年的に非常に環境としては厳しくなっていって、このままではグローバル企業にとって日本のマーケットというのは相対的な魅力は下がってしまうというのを危惧しています。
今がそれを防ぐために非常に大切な時期かなと思っているので、ぜひイノベーションに対する要望ということについて、研究基盤、研究開発基盤の強化についてサポートしていただければというふうに思います。以上です。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
今いただいたことについて、今後に向けた御要望ということでしっかり受け止めて政府として取り組んでいきたいというふうに考えております。
大変恐縮ですが、時間の都合もございますので、次に医療機器業界について意見交換の時間に移りたいと思います。コメントや御質問、御意見等ございましたらお願いいたします。画面に向けて手を挙げるか、Zoom枠でお願いします。
では、医機連の三村副会長お願いします。
○三村副会長 医機連副会長の三村でございます。このたびは、このような機会を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。
サプライチェーン強化につきまして、一言発言したいことがございます。今回の新型コロナウイルスの感染拡大では、人工呼吸器やECMOといった高度な医療機器だけではなくて、非常にベーシックで基礎的な医療機器や資材の不足が医療崩壊を引き起こす原因になるということが明らかになりました。
ところが、ベーシックな医療機器というのは総じて単価が非常に安価であるものが多く、多くの国内企業は生産拠点を海外へ移しております。国の安全保障の観点から、生産の国内回帰を政府としても推し進められておられますが、このような極めて価格が安いものを国内で生産を続けるということは、経営としては極めて厳しいことはぜひとも御理解いただければというふうに考えております。
これからもコロナに限らず、未知の感染へのリスクは続いてくるものと思われます。産業界としても、サプライチェーン強化に向けまして取り組んではまいりますが、本当の意味で医療の安全保障を考えるのであれば、安定供給維持を企業努力だけに委ねるのではなくて、やはり国としても医療現場を定点観測し、必要不可欠な医療機器や資材につきまして病院を含めて議論の俎上へ載せていただきまして、企業が安定的に生産・供給が行えるような下支えや計画的な備蓄など、官民一体となった取組をぜひ進めていただきたいと思っております。
最後に、もう一点お願いがございます。本年8月、アメリカにおきまして公衆衛生上不可欠な医薬品や医療機器の政府調達を国内の製造業者に限定するという大統領令が発令されました。先般、その対象リストが公表されまして、業界としてどの程度のインパクトが想定されるか、現在実態を調査中ではございますが、さらに対象製品が拡大されることはないか、今後の動向が大変気になるところでございます。
ぜひ、日本企業におきまして、これによって大きな不利益を被ることがないように、官民で情報共有を行いつつ、必要に応じましてアメリカ政府、また今、大統領選でどうなるかというところになっておりますが、アメリカ政府への申入れをぜひともお願いしたいと思っております。
私からは以上でございます。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
AMDDの小川会長からも手が挙がっております。お願いいたします。
○小川会長 ありがとうございます。
今回のコロナ禍は、実は諸外国と比べると日本のほうはかなりうまくマネージしているという結果が出ていて、ファクターエックスというようなことで議論されたりしていますけれども、やはり医療のアクセシビリティーのよさだったり、医療技術の質の高さとかが、コロナ感染をマネージする大きなドライバーになっていったというふうに思っています。このような日本の医療環境に加えて、これからの医療はもっと患者さんの持つ主体性みたいなものが大事になっていくという感想を持っております。
先ほども紹介いたしました、日本医師会さんと一緒にやっていますシンポジウムでも、患者さんが御自身の治療に必要な技術だとか機器をもっと早く知りたかったというようなことをおっしゃる方がかなり増えておりまして、これからはいわゆる患者さん主体の方向により、医療の質を上げていくような医療体制というのがすごく大事なようにAMDDでは考えています。こういった患者さんが医療技術を主体的に選ぶ、あるいはそのための環境整備などについて、今後、行政の皆様と意見交換等をさせていただきながら、よりよい提言をさせていただくようなチャンスがあればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
まだ医機連のほうから御質問、コメントございますか。まず、そちらからお聞きしたいと思います。お願いします。
○渡部副会長 医機連副会長の渡部でございます。
今、松本会長からの御説明の中にあったサイバーセキュリティーについて要望をお話させていただきます。
今はデジタル化、データの利活用ということで、この重要性は高まっているということは皆さん御案内のとおりでございます。医療機器に関しても、厚労省の課長通達でIMDRFのガイドラインも3年をめどに導入をするということで、医療機器として安心して使っていただくということで非常に大事なことだと理解しておりまして、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
一方で、サイバーセキュリティーということで考えますと、やはり医療現場が守られるということで、これはITシステムであったり、あるいは人間系の動作であったり、非常に幅広い取組が必要になってくるというふうに認識をしております。
その中で、医療機関がサイバーセキュリティーを実際にやっていくという面で、専用スタッフであったり、外部委託であったり、いろいろな費用が発生していくということで、往々にしてそれがボトルネックになって進まないということがあってはいけないわけであります。
一方で、中医協での御議論の中で、診療報酬にはなじまないというようなことも認識をしておりますけれども、ぜひ、これが全体として進んでいくという手だてをお考えいただきたいということが要望でございます。
以上でございます。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
EBC後はの森委員長からも手が挙がっておりますので、お願いいたします。
○森委員長 先ほどちょっと最後に時間が足りなくて申し上げられなかったんですけれども、やはりイノベーションの評価ということをお願いしたいと思います。
我々、ヨーロッパの企業だけではなく、日本の特にスタートアップ企業にとりまして、やはりきちんと開発コストが回収できるということは非常に重要なことだと考えております。特にAIのスタートアップ企業などというのは、やはりAIのソフトウェアだけで生きていかなければいけないです。
そういった中、やはりきちんと開発費用が回収できるような何らかの保険での手当てというものがどうしても企業としてこれから投資をしていく、あるいは存続していくためには必須のことと思っております。
もちろん、大臣からもお話がありました、財源が限られているということは重々承知の上なんですけれども、ぜひとも何とか、例えば承認申請時にC2として十分な実績はなかったけれども、保険収載後に立証的な有用性のエビデンスが確立した製品につきましては、使用実績等を踏まえまして再評価していただくですとか、あるいは学会とも協議の上、AIのソフトウェアに、より管理加算ですとか、特別な措置を与えるとか、何らの見直しをしていただければ、今後の医療産業にとって後押しになると考えております。よろしく御検討をお願いいたします。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
協会からのコメントは一通り、以上でございますが、経産省の畠山審議官から手が挙がっておりますのでお願いいたします。
○畠山商務・サービス審議官 経済産業省の商務・サービス審議官の畠山でございます。本日はありがとうございます。私から、2つコメントしようと思います。
1つは、医療関連物資のサプライチェーンの確保の問題でございます。これはまさに、今回コロナ対応でもマスクをはじめ医療物資の調達には大変困ったわけですけれども、これを感染症の有事に備えて国内で全部作っておくのかというと、なかなかそうはいかないという御指摘はそのとおりだと思います。
したがって、国内で作る部分、あるいは国内では作っていないんだけれども、有事が起きた際に国内で作れるように対応する。今回も、実際補助金も含めてそういう対応をしたわけですけれども、そういう対応ですとか、あるいは必要に応じて備蓄ということを考えたりとか、そういう組合せで考える必要があると思っていまして、いずれにせよ、厚労省さんをはじめ関係省庁とよく相談をしなければいけない。実際しておりますけれども、今後のまさにあってはならないですが、次の感染症にも備えられるように体制を構築していきたいと思っておりまして、国としてもそこの対応をしていく必要があると思っております。
それから、2点目は政府調達についてのアメリカの対応でございます。これは、外務省、厚労省さんとともに他国の対応状況についても注視をしているところでございます。対象品目となっておりますのは、医療品、医療機器など96品目だというふうに認識をしておりますけれども、現在まさに御指摘のように関係団体、それからメーカーさんを通じて情報提供をお願いしているところでございます。
今後、アメリカから政府調達の修正案が届き次第、速やかに対応をしていきたいと思っておりまして、対応についてはよく御相談もさせていただきたいと考えております。
私からは、以上でございます。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
医機連から手が挙がっておりますが、簡潔にお願いできればと思います。
○小野会長 PCRを研究用試薬で保険をつけていただいたことには感謝申し上げます。今後、新たなそういう新興感染症が発生した場合に、一定の品質制度を担保された検査を迅速に供給するために、緊急使用許諾、EUAの創設等を協会としては提案させていただいておりますので、この辺につきまして今後御検討いただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。回答を差し上げたいところなのですが、時間の関係もございまして、業界の皆様方から今日いただいたことについて事務的にもしっかり回答を、状況について経済課を通じて御説明をしたいと思いますので、その点、御容赦いただければと思います。
政府側出席者から特にコメントなければ、時間もまいりましたので、議論は大変尽きないところでございますけれども、本日の会議はこのあたりとさせていただきたいと思います。
最後に、山本副大臣より一言、御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山本厚生労働副大臣 本日は、医薬品・医療機器・再生医療産業界の皆様、そしてアカデミアの皆様から様々な御意見、御指摘をいただきまして誠にありがとうございました。
皆様の御意見を伺い、今後検討していくべき課題などにつきまして問題意識の共有ができたものと考えております。
意見交換では、コロナ禍におけるヘルスケア、イノベーションの強化に向けた課題や、今後の方策などを中心に御議論いただいたわけでございます。医薬品・医療機器・再生医療産業のさらなる発展に向けましては、医療データの利活用やデジタル化の推進に向けた環境整備、イノベーションの適切な評価と国民皆保険制度の両立、感染症の流行拡大に対応するための制度的対応や、医薬品・医療機器等の安定確保支援などが重要であることを改めて確認をした次第でございます。
これから年末にかけまして予算編成、税制改正、本格化をしてまいります。本日、様々いただきました御意見、御指摘をしっかりと受け止めながら進めてまいりたいと思います。
同時に、これまで以上に、今日も関係省庁は来られておりますけれども、連携をしながら、革新的な医薬品・医療機器等の実用化を促進するための取組を政府一丸となりまして進めていきたいと考えております。
今後も、様々な形で今日のような産業界、アカデミアの皆様との対話の機会を設けていきたいと思いますので、引き続き行政の取組に対しまして忌憚のない御意見をいただきますよう、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
本日は、大変ありがとうございました。
○司会(林経済課長) ありがとうございます。
今日の会議の概要は、これから記者にブリーフィングいたします。
それから、本日配付いたします資料ですが、資料2-1に1枚だけ公表できないスライドがございますので、その点だけ御留意いただければと思います。
後日、本日の会議の概要につきましては、厚生労働省のホームページにもアップする予定にしてございます。
本日の会議は、以上でございます。本日はお忙しい中、会議に出席いただきましてありがとうございます。


以 上