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- 2020年12月9日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
2020年12月9日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全企画課
日時
開催方法
出席者
委員(敬称略)
- 村田 勝敬
- 穐山 浩
- 阿部 圭一
- 五十君 靜信
- 稲見 成之
- 浦郷 由季
- 苅田 香苗
- 合田 幸広
- 財前 孝亮
- 佐藤 恭子
- 曽根 博仁
- 髙田 礼子
- 高橋 久尚
- 西内 岳
- 藤原 凛
- 堀内 基弘
- 松嵜 くみ子
- 松本 吉郎
- 村松 智恵子
- 脇田 隆字
事務局(12月9日時点)
- 浅沼 一成(生活衛生・食品安全審議官)
- 依田 泰 (大臣官房審議官)
- 小谷 聡司(生活衛生・食品安全企画課長補佐)
- 近澤 和彦(食品基準審査課長)
- 今川 正紀(食品基準審査課新開発食品保健対策室長、食品監視安全課食中毒被害情報管理室長)
- 井上 隆弘(食品基準審査課残留農薬等基準審査室長)
- 蟹江 誠 (食品監視安全課輸入食品安全対策室長)
議題
1.食品の規格基準の設定について
2.ミネラルウォーター類の成分規格の改正について
3.清涼飲料水の規格基準の改正について
4.食品添加物の指定等について
5.食品中の農薬等の残留基準の設定について
(2)報告事項
1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
(3)文書による報告事項
1.食品添加物の指定等の事後報告について
2.食品中の農薬等の残留基準の設定について
(4)その他の報告事項
1.食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について
議事
○小谷補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催いたします。本日の司会をさせていただきます、生活衛生・食品安全企画課課長補佐の小谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。この度、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。事前に皆様には動作確認をさせていただいておりますが、何か不都合がありましたらお電話又はチャット機能にて御連絡いただければ随時対応をいたします。
初めに本日の分科会委員の出席状況ですが、有薗委員、二村委員から御欠席との御連絡を頂いております。また合田委員、脇田委員は途中からの御参加、阿部委員は現在Web環境の関係上、参加の調整をさせていただいております。現在の分科会員総数22名のうち、現時点で18名の御出席をいただいており、出席議員が過半数に達しておりますので、本日の分科会が成立しますことを御報告申し上げます。なお合田委員、松本委員におかれましては、途中退席の旨を伺っています。
次に、事務局に異動がありましたので、御紹介します。食品基準審査課長の近澤です。
○近澤課長 近澤です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小谷補佐 なお、生活衛生・食品安全企画課長の巽と、食品監視安全課長の三木につきましては、急な公務のため欠席させていただきます。申し訳ございません。
続きまして、本日の議題ですが、お手元の議事次第にありますように、審議事項として、①食品の規格基準の設定について、②ミネラルウォーター類の成分規格の改正について、③清涼飲料水の規格基準の改正について、④食品添加物の指定等について、⑤食品中の農薬等の残留基準の設定について御審議いただいた後、事務局から何点か御報告を申し上げたいと考えています。
この分科会は、原則公開としていることから、一般聴講についてもWeb会議システムによる音声のみでの傍聴としています。なお、一般傍聴の方については、事前に御連絡しているところですが、厚生労働省HPに分科会の資料を公開していますので、各自御確認をお願いします。
また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま説明する場合がありますので、御了承いただければと思います。なお、本日の審議事項について「食品衛生分科会審議参加規程」に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、利益相反に該当する委員はいらっしゃいませんでしたのでお知らせします。
本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について御説明します。審議中に御意見、御質問されたい委員におかれましては、まずカメラがオンになっていることを御確認の上、挙手をしていただきますようお願いします。その後、分科会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。またノイズを減らすため、御発言が終わりましたらマイクをミュートにしていただきますようにお願いします。
なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した場合には、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員についてはメッセージに記入していただくよう、事務局又は分科会長からお願いする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて分科会長より発言者を御指名いただきます。
それでは村田分科会長、よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 新型コロナ感染による医療崩壊が叫ばれる中での会議開催となりました。Web会議で皆様の表情までしっかり見られない中ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。それでは審議事項1、食品の規格基準の設定について審議を行います。事務局から御説明願います。
○近澤課長 事務局から御説明いたします。資料1になります。通しのページが右の上と下にありますので、太字を優先します。「食品中のデオキシニバレノールの規格基準の設定について」ということで、3ページ以降に資料があります。それでは説明させていただきます。
デオキシレバニノールは、通称はDONと言われていますが、穀類の赤かび病の病原菌により産生されるかび毒になります。急性毒性としては、嘔吐、消化管、リンパ組織への障害などがあります。
2.デオキシニバレノールの規格基準検討の経緯です。平成14年5月に、部会で検討が行われ、小麦に含有するDONの暫定的な基準として、1.1mg/kgを設定しています。その内容に関しては、その下の括弧書きになります。
平成21年3月には、内閣府の食品安全委員会が健康影響評価を実施することを検討し、その検討結果が厚生労働大臣に通知されています。国際的には、Codex委員会において小麦、大麦、トウモロコシ及び穀類加工品について基準値が設定されています。
4ページ、Codex委員会では、ALARAという原則を適用していますので、これを踏まえ安全性と実効可能性の観点から基準を設定することについて、平成29年9月20日付けで厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会長宛ての諮問が行われています。
3.諸外国における規制状況等です。Codexでは加工向けのものが2000μg/kg、小麦や大麦などのフラワー等が1000μg/㎏、乳幼児用の穀類加工品が200μg/kgとなっています。
5ページ、4.我が国におけるDONばく露状況です。まず汚染実態として、一番上の「海外産小麦」ですが、定量限界以上の試料数は554、そのうち基準値を超えているものが括弧内の数字ですけれども、11です。もし今、基準値を1.0mg/㎏と想定した場合は11件が超過するということになります。また、ベビーフードで超過している2件については、あくまでもCodexの基準である0.2mg/㎏をそのまま引用した場合ということになります。
次のページ、通しでいくと6ページです。(2)ばく露量推計ですが、食品摂取量及びDONの汚染実態調査結果に基づいて推計しますと、このような表のようになります。例えば下から2番目ですが、現行の規制状況である小麦が1.1mg/㎏、大麦が基準値なしという形では、未就学児の95パーセンタイル(%ile)値が1.1μg/kg体重/日。小麦が1.0mg/㎏という仮想の基準値とすると、95パーセンタイル(%ile)値が1.0μg/kg体重/日となり、これがTDIと同値になるのではないかということです。
7ページ、審議の結果です。平成29年9月の食品規格部会における審議の結果、上から2行目の①小麦について暫定基準値1.1mg/㎏で管理している現行の規制では、長期毒性を評価する際の指標となる経口摂取量の95パーセンタイル値が、未就学児において食品安全委員会が設定したTDIである1μg/㎏体重/日を僅かに超えるということなどが言われています。真ん中辺りの7行目です。小麦(玄麦)に対し、規格基準を1.0mg/㎏以下とすることが適切であるということが結果として出されています。
「また」以下ですが、平成22年の食品健康影響評価においてTDIが示されていたDONと同一グループのカビ毒であるニバレノール(NIV)については、Codexで基準値が設定されていないことと、日本人におけるばく露量がTDIの10分の1程度であったことから、現時点において基準値は設定しなくてもよいという結論が出されています。
8ページの(2)令和2年9月の食品規格部会における審議の結果です。結論的には、下記①及び②から、平成29年9月部会の結論のとおりとし、小麦(玄麦)に対するDONの規格基準を1.0mg/kg以下とすることとしたとなっています。①、②については参照いただければと思います。①の中に書いてありますが、CodexやEUでは、DONのみを規制対象として、類縁物質は規制していないという状況になっています。下の括弧書きは、食品健康影響評価の概要で、食品安全委員会で行われたものであり、こちらのような結果になっています。
9ページのb)ばく露量評価です。b)の4行目のくだりを読みます。長期毒性を評価する際の指標となる95パーセンタイル値に関しては、全年齢集団で0.38μg/㎏体重/日、また、1~6歳の場合でも0.94μg/kg体重/日となってTDIを下回っているので、このような基準でいいのではないかということです。
最後に、10ページ、6.まとめです。以上を踏まえ、小麦(玄麦)に対するDONの規格基準を「1.0mg/㎏を超えて含有するものであってはならない」と設定することが妥当であるという結論を頂いています。11ページに、部会の委員の名簿などが載っています。以上です。
○村田分科会長 議論に入る前に、部会での審議の状況について五十君部会長から御報告いただくことはありませんでしょうか。
○五十君委員 部会長の五十君です。音声は聞こえてますでしょうか。ただいま事務局から説明があったとおり、食品安全委員会の食品健康影響評価が平成22年11月と令和元年12月に行われています。2番目として、ばく露量推計の結果。3番目として、国際的な状況、アセチル化体等の妥当性が確認された試験法が未確立であること、含有実態データが不足していることなどから、国際的にもDONのみを規制対象としていること。この3点を踏まえ、小麦に対してDONの規格基準を1.0mg/㎏以下とすることで特段問題ないという結論になっています。
なお、DONの類縁体に関する知見等が得られましたら、必要に応じて当部会でも引き続き検討していくこととしています。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは本件について何か御意見がありませんでしょうか。穐山先生どうぞ。
○穐山委員 国立衛研の穐山です。ちょっと確認なのですけれども、1.0mg/㎏に基準値を設定すれば、95パーセンタイルで基本的にはTDIを超えないということでしょうか。
○近澤課長 はい、そうです。
○穐山委員 どうもありがとうございました。
○村田分科会長 このほか御質問はございませんでしょうか。藤原先生どうぞ。
○藤原委員 ちょっと教えていただきたいのですが、今の1.0mg/㎏という基準値の設定は、小麦類の一日摂取量とか加工減衰とかというものを想定した上での数値になっているのでしょうか。
○事務局 事務局からお答え致します。今、御覧いただいている分科会資料の6ページ、4の(2)にばく露量推計の表がございます。こちらは摂取量に基づいています。ただ、お話のありましたような加工による減衰については、一部データが限られているということから減衰は考慮しておりませんので、保守的な推計結果になっていると考えています。
○藤原委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 ありがとうございます。そのほかにございませんでしょうか。ほかに御意見がないようですので、分科会として、これで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
(了承)
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、事務局には、答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告してください。
次に、ミネラルウォーター類の成分規格の改正について審議を行います。事務局から御説明をお願いします。
○近澤課長 同じ資料の13ページ以降になります。見出しとしては、「清涼飲料水の規格基準の改正について」ということで、食品規格部会の報告書になります。一応、ミネラルウォーター類も清涼飲料水の一部ということなので、このような見出しとさせていただいています。
それでは、13ページ以降の説明をさせていただきます。経緯として、清涼飲料水は「食品、添加物等の規格基準」の370号告示にその規格基準が規定されているという形になっています。平成14年に、Codex委員会におけるナチュラルミネラルウォーター等の規格の設定及び我が国の水道法の水質基準改正の動きを受け、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会において、清涼飲料水の規格基準の改正について審議されたとい
うことです。こちらは清涼飲料水全体の書きぶりになっていますが、今回御議論いただくミネラルウォーターに特化した審議の結果は2番以降になります。
13ページの下ですが、審議の結果として、「ミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定等について」が、平成22年の部会で決定されていますので、それを踏まえ、「ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うもの」要するに、ナチュラルミネラルウォーターではないミネラルウォーターのことですが、これについてのフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)に係る成分規格について、TDIを超えないような評価値を算出し設定することとしています。
14ページですが、真ん中に食品安全委員会の評価結果があります。「非発がん性・発がん性」の所ですが、げっ歯類において雌雄の生殖系に対する影響が示されています。特に妊娠期及び授乳期の母動物を介したDEHPのばく露によって、雄の子どもの生殖系に対する影響が比較的低用量から認められているということがあります。
それから「また」以降ですが、遺伝毒性についても検討されていますが、古典的な遺伝毒性物質ではないのでTDIを設定することが可能であるという食品安全委員会の結果でした。以上から、最も低いNOAELの結果に不確実係数100を適用して、TDIは0.03mg/kg体重/日という形になっています。
そこで基準値案になりますが、括弧が現行基準です。現行基準は基準値なし。今回、0.07mg/Lを基準値案として出しています。その下にアンダーラインを引いていますが、基準値案である濃度0.07mg/Lの水を体重50kgの人が1日あたり2L摂取した場合には、1日の体重1kgあたりのDEHP摂取量は、0.0028mg/kg体重/日となり、一番下ですが、DEHPのTDIの10%が0.003mg/kg体重/日であるということから、基準値案の濃度の水を摂取した場合その範囲に入るということになります。
まとめです。次の15ページですが、「ミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うもの」のフタル酸ジ(2-ヘチルヘキシル)に係る成分規格については、以下に示す改正案のとおり改正することが妥当であるという結論を頂いています。下に表がありますが、基準値としては、現行は基準値なし。改正案としては、0.07mg/Lということになっています。
ちなみに17ページ以降に、水道水の水質管理目標値及びWHO飲料水の水質ガイドラインがありますが、注目すべきは水道水の場合です。評価値は0.08mg/Lとなっていますが、TDIを超えない値は0.075mg/Lであり、それを切り上げた数字ということです。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。議論に入る前に、部会での審議の状況について、五十君部会長から御報告を頂くことはありますか。
○五十君委員 ただいま、事務局から説明がありましたとおり、食品安全委員会の食品健康影響評価において示されたTDIを超えないように算定された数値を基準値とすることで、特段、問題はないという結論となっています。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは本件について、何か御意見、御質問はありますか。穐山先生、どうぞ。
○穐山委員 国立衛研の穐山です。御説明ありがとうございました。ちょっと意見なのですが、単位がmg/LのLが小文字のエル(l)なのです。基本的に370号の告示は添加物も農薬もラージエル(L)に、今、統一しているのですが、ここは訂正可能でしょうか。
○事務局 ありがとうございます。確認し整合性をできる限り取っていって確認をさせていただきたいと思います。
○穐山委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 同じ資料の他の箇所を見ると、ラージエル(L)が使われていますので、そうしていただけると整合性がよくなると思います。穐山先生、どうもありがとうございます。よろしいですか。では、ほかに御意見がないようですので、分科会として、これで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
(了承)
どうもありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告してください。
次に清涼飲料水の規格基準の改正について、審議を行います。事務局から御説明願います。
○近澤課長 ありがとうございます。資料1の18ページです。「清涼飲料水の規格基準の改正について」ということで、食品規格部会の報告書が載っています。
経緯です。先ほども説明しました370号告示があります。3行目ですが、その中にミネラルウォーター類、冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水、いわゆるその他の清涼飲料水の製造基準が規定されているのですが、基本的には殺菌、滅菌というものが基準の中に入っています。
一番分かりやすいものは、次の19ページを御覧ください。基本的には、一番上の「原材料①」から一番下の「充填・密封」に行くまでの間、あるいは右の「原材料シロップ③」もきちんと殺菌して混合して充填するということが通常の基本的な考え方になります。
18ページの真ん中の辺りに戻って、「現在」という所のパラグラフになります。通常は原材料を殺菌しなければいけないということになっているのですが、実は「その他の清涼飲料水」の中でも「承認品」というものがあります。これは、総合衛生管理製造過程の承認制度の中でHACCPに沿った衛生管理が義務付けられており、これに基づき安全性がきちんと確保できるだろうということで製造基準に基づかない個別の製造方法が承認された製品が2製品あります。一方で平成30年の法律改正においてHACCP自体が食品事業者に衛生管理として義務付けられたことからこの承認制度が廃止されたという状況になり、この2製品が浮いてしまうということになりました。
それに関する規格を別途立てなければいけないということで、下にいきますが、「そのため」という所のパラグラフにありますが、HACCPに基づく衛生管理を前提に、清涼飲料水に係る規格基準を改正することによって、実際に今まで流通しているものに関しては、同じように基準として別途、設定することによって、リリースできるようにしたいということを提案させていただいています。それは19ページのフロー図で、正にこの製造工程概要になりますが、グレーが掛かっている部分、原材料②としての乳酸菌、酵母、発酵乳、乳酸菌飲料は、これ自身が生きていないと価値のないものです。したがってそれを混合するときに殺菌してから混合するということはできませんので、混合するけれども製造管理をきちんとすることによって、安全性を確保するということになります。
下にありますが、「承認品A」は、豆乳に発酵乳を混ぜて乳酸発酵させたものです。それから「承認品B」は、果汁に水、糖類、添加物、香料を混合して殺菌したものに乳酸菌を添加ということになりますので、これらは発酵乳や乳酸菌自体は殺菌しないということになります。
20ページ、3.その他の清涼飲料水の製造基準で求められる衛生管理についてです。現行のその他の清涼飲料水の製造基準は、食品中で増殖する微生物を制御することを目的にされています。ただ、承認品の2製品に関しては、先ほどお話しましたが製造工程でHACCPに基づく衛生管理や一般衛生管理をすることによって、クロストリジウム属菌やバチルス属菌などの食中毒菌や腐敗菌を制御し安全性を確保しています。
4.審議の結果です。こういう形で、3のような一般的な衛生管理やHACCPによる衛生管理において十分に安全性が確保されることから、承認品の製造方法を踏まえてそれをその他の清涼飲料水の規格基準に設定するということになっています。
その下の「なお書き」にありますが、この衛生管理状況に関しては、安全性が確認されていることを示す文書の提出を事業者に求めるということが適当とされています。
「規格案」ですが、これは実際の告示案です。「清涼飲料水のうち、cに定める方法により殺菌又は除菌したものに乳酸菌、酵母、発酵乳若しくは乳酸菌飲料を混合するものにあっては、混合以降の工程を病原微生物により汚染されない適当な方法で管理し、自動的に容器包装に充填した後、密栓若しくは密封しなければならない」と書いています。
次に、5.食品健康影響評価の結果です。こちらに関しては21ページですが、食品安全委員会に意見を求めています。イタリック、斜め書きの所の「よって」の上3行ぐらいです。「従来乳酸菌等混合飲料が総合衛生管理製造過程の承認を受ける際に必要とされていた要件を製造基準として、食品、添加物等の規格基準に新たに追加するものである。したがって、これにより人の健康に悪影響を及ぼすとは考え難い」ということで、食品安全委員会から意見を頂いています。
6のまとめになります。「以上を踏まえ、清涼飲料水の規格基準を改正し、その他の清涼飲料水の製造基準に規定案を追加することとする。」というのが部会の評価です。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。議論に入る前に、部会での審議の状況について、五十君部会長から御報告いただくことはありますか。
○五十君委員 ただいま事務局から説明がありましたとおり、現在の告示に規定案を追加して、製造基準を改正することが承認されています。なお、改正した後の運用について委員から質問がありましたが、告示改定の際に適切な方法で管理されていること、この具体的な確認手続等について、通知を発出して個別に確認していくということで、了承されたという状況です。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございました。それでは本件について。何か御意見、御質問はありますか。稲見委員、どうぞ。
○稲見委員 東京都の稲見です。1点、確認させていただきたいのですが、今回、製造基準の中に、この規定が載るということで、これまでに例外承認という形で2つの製品があったと思いますが、ほかの会社でもこういった製品をつくれるようになるという理解でよろしいのでしょうか。
○近澤課長 はい、そういうことになります。規格基準として設定しますので、承認品という形では取り扱わずに、一般論として適用するという形になります。
○稲見委員 追加で教えていただきたいのですが、この審議結果のなお書き以降の個別に確認することが適当であるというのは、自治体がやるということになるのでしょうか。
○事務局 その点については、今までの総合衛生管理承認過程の制度と同じように、厚労省で確認をしていきたいと思いますが、具体的にその申請の手続等々については、ただ今整理中でございます。改めて各自治体の皆様方、事業者の方にお示しをさせていただきたいと考えています。
○稲見委員 マル総が廃止になってしまうので、普通に清涼飲料水製造業の許可を持っている事業者の方であれば、製造基準の中に載ってくれば、どの事業者の方でもできるようになってしまうと思うのですが、それでも個別に厚労省で確認されるという理解でよろしいですか。
○事務局 はい、そのような運用を考えています。
○稲見委員 分かりました。ありがとうございます。
○村田分科会長 そのほかにありますか。合田委員、どうぞ。
○合田委員 合田は、今、参加したばかりです。ほかの会議に出ていました。すみません。
○村田分科会長 そのほかにありますか。高田委員、どうですか。
○高田委員 聞こえますか、高田です。私からは、特に気になった点等はありません。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。松嵜委員、どうでしょうか。
○松嵜委員 特に気になったところはありません。
○村田分科会長 はい、分かりました。ほかに御意見がないようですので、分科会としては、これで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
(了承)
どうもありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過については、次回以降の本分科会で御報告してください。
次に、食品の規格基準の設定について審議を行います。まずは、亜硫酸水素アンモニウム水について事務局から御説明願います。
○近澤課長 それでは、先ほどの資料で継続させていただきます。資料の23ページです。食品添加物の指定等についてということで、最初に亜硫酸水素アンモニウム水があります。こちらの用途を見ていただくと、製造用剤(発酵助成剤)、保存料、酸化防止剤ということになっています。
概要を見ていただくと、ぶどう酒の原料となる発酵前や発酵中の果汁等に添加することで、亜硫酸による効果として、果汁の酸化を防ぐ、あるいは有害微生物の発生や増殖を抑制すると共に、アンモニウムイオンの効果として、ぶどう果汁の発酵を促進するとされています。
その下の段の諸外国の状況です。EUでは、ぶどうやぶどう果汁、発酵中のマスト及びワインに対して、亜硫酸水素アンモニウムを0.2g/L以下の量で使用できるとされています。米国では、亜硫酸水素アンモニウムで処理されたワインをEU域内から輸入し、米国内で流通させることができる。それから、オーストラリアではワインの製造において、GMPの管理のもとに使用することが認められているという状況です。
一番下になりますが、食品安全委員会における食品健康影響評価の結果です。経口投与された際に体内で生じると予測されるアンモニウムイオン並びに二酸化硫黄及び亜硫酸塩のそれぞれの安全性に係る知見をもとに評価がされました。アンモニウムイオンについては、添加物由来のアンモニウムイオン摂取量は、ヒトにおいて食事から産生される量と比較して無視できることから、安全性に懸念はないと判断されています。それから、亜硫酸水素アンモニウム水由来の二酸化硫黄及び亜硫酸塩のNOAELは、71mg/kg体重/dayと評価されたということで、問題はないということになります。したがって、毒性試験成績からNOAELが得られているものの、毒性影響は重篤ではないことを考慮して、亜硫酸水素アンモニウムの性質、使用方法、実際の摂取量、使用基準案等から、添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ。1日許容摂取量を特定する必要はないと判断されています。
ここで訂正ですが、次の25ページの一番最後の3行です。今後、WTO通報を実施する予定となっていますが、実際には12月の上旬に通報済みということになっています。ですので、国際的な手続は始めているということです。
26ページの使用基準(案)が真ん中辺りにありますが、これは、ぶどう酒の製造に用いるぶどう果汁及びぶどう酒以外の食品に使用してはならないということが原則です。それから、次のパラグラフですが、ぶどう酒1Lにつき0.2g以下でなければならない。要するに、使用量は1L当たり0.2g以下でなければならないということです。そして、二酸化硫黄として、ぶどう酒1kgにつき0.35g以上残存しないように使用しなければならないという使用基準になっています。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。議論に入る前に、部会での審議の状況について、佐藤部会長から御報告いただくことはありますか。
○佐藤委員 佐藤です。聞こえますか。
○村田分科会長 はい、聞こえます。
○佐藤委員 亜硫酸水素アンモニウム水は、飲料やぶどう酒の製造に用いられている食品添加物で、今回、審議を行いました。亜硫酸塩類の食品添加物は幾つかありまして、既に使用されているということもあり、部会でも特段の議論はありませんでした。亜硫酸塩はアレルゲンの可能性も否定できないということなのですが、先ほど事務局から御説明がありましたように、使用基準の下から3行目にもあるように、亜硫酸水素アンモニウム水は、二酸化硫黄としてという所ですが、ほかの亜硫酸塩に設定されている基準の0.35g以上残存しないように使用しなければならないということで、ほかの亜硫酸塩と合わせて使用されても量が増えることのないよう規制されています。
食品安全委員会の評価書では、確か、発酵終了後のぶどう酒への制限が設けられていたのですが、これは使用基準ではなく、酒税法に基づいて規制される予定です。以上です。よろしくお願いします。
○村田分科会長 どうも丁寧な御説明ありがとうございます。それでは、本件について、何か御意見、御質問はありますか。穐山委員、どうぞ。
○穐山委員 国立衛研の穐山です。御説明ありがとうございました。使用基準で、今、佐藤先生から御説明していただいたように、亜硫酸水素アンモニウム塩の使用基準では0.35g/kgと決まっているのですが、これは基本的には酒税法での監視のところで、食品衛生法で使用基準が決まって、これを開始するということは可能なのですか。例えば、食品分析法でつくって、これを監視することは可能ですか。
○近澤課長 すみません、御確認させていただいてよろしいですか。使用基準の残留のところの、例えば1kgにつき0.35g以上残存しないように使用しなければならないというところの基準ということでよろしいですか。それを監視するかどうかですね。恐らく、いろいろな収去や監視の担当の所で、市場で疑われるということが分かれば収去のような形でモニタリングしていくという話になると思います。
○穐山委員 それは例えば、これは酒税法の管轄ですね。
○事務局 食品衛生法上の従来基準です。
○穐山委員 例えば、地方衛生研究所等で監視することはできるということですか。
○事務局 はい、従来と同じ枠組みになります。
○穐山委員 分かりました。
○近澤課長 同じようなケースで、昔、ジエチレングリコールがあったのですが、同じような感じで、監視することが多分できると思います。
○穐山委員 ありがとうございます。
○村田分科会長 そのほかありませんか。苅田委員、ありませんか。
○苅田委員 特にございません。よろしいかと思います。
○村田分科会長 ほかにはありませんか。それでは、ほかに御意見がないようですので、分科会としては、これで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
○藤原委員 問題ありません。
(了承)
○村田分科会長 どうもありがとうございます。
次に、キチングルカンについて、事務局から御説明をお願いします。
○近澤課長 それでは28ページ以降になります。キチングルカンは、糸状菌の培養物から得たものです。菌糸体の細胞壁の主要多糖であるキチンで構成されています。
「用途」を御覧ください。製造用剤ということで、清澄剤、重金属及び汚染物質の除去ということになっています。
それから下のほうですが、諸外国での状況です。EUでは、重金属の除去及び鉄混濁及び銅混濁の防止目的で、1g/L、オクラトキシンA、これはカビ毒ですが、この除去の目的で5g/Lを上限として、ワインへの使用が認められています。アメリカでは、GRAS(Generally Recognized As Safe)物質とされて、アルコール飲料生産における使用量としては、0.1~5g/Lでの使用が認められています。オーストラリアでは、ワイン等の製造において、GMPのもとでの使用が認められているという状況です。
次のページです。食品健康影響評価結果・摂取量の推計です。3行目辺りからです。使用基準案において最終食品の完成前に除去されることが規定されていること、不溶性であり、消化管での吸収はほとんど起こらないこと、ヒトの介入試験において4.5g/day摂取しても毒性影響が認められなかったことを総合的に評価すると、添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと評価されています。
「なお」のパラグラフの中ほどの「また」以降ですが、添加物「キチングルカン」に由来するフモニシン、これもカビ毒ですが、オクラトキシンAについては、それぞれ過大な見積もりで推計しても、それぞれの最大ばく露量は、それぞれの耐容1日摂取量を超えないこと等から、健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと判断された。なお、推定に用いた菌株以外の菌株が使用されることが否定できないことから、カビ毒汚染の定期的なモニタリングの検討など、リスク管理機関において、十分に配慮する必要があると考えたとされています。
30ページの真ん中より少し上の使用基準(案)です。これは、ぶどう酒の製造に用いるぶどう果汁及びぶどう酒以外の食品に使用してはならない。ぶどう酒1Lにつき5g以下でなければならない。最後に、最終食品の完成前に除去しなければならないという使用基準(案)を部会から頂いています。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。議論に入る前に、部会での審議の状況について、佐藤部会長から御報告いただくことはありますか。
○佐藤委員 佐藤です。ただいま事務局から御説明いただいたとおりです。キチングルカンに関して、Aspergillus nigerから得られるということで、フモニシンやオクラトキシンAが懸念されるということで、ワイン中のオクラトキシンについては、委員より、ワイン中のオクラトキシンAの汚染実態ということで測定を行っているということと、フモニシンについても今後モニタリングしなければいけないという発言がありました。
またキチングルカンの規格においては、確認試験に固体NMRが採用されました。こちらは国内の公的な規格としては、恐らく初めてということになります。公定書の一般試験法にNMRは収載されていますが、固体NMRについても含めたものに一般試験法を改正する予定です。以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは本件について、何か御意見、御質問はありますか。よろしいですか。
○合田委員 よろしいと思います。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ほかに御意見がないようですので、分科会としては、これで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
○合田委員 了解します。
(了承)
○村田分科会長 ありがとうございます。
次に、DL-酒石酸カリウムについて、事務局から御説明願います。
○近澤課長 34ページになります。DL-酒石酸カリウムです。先ほど説明が足りなかったのですが、食品添加物の指定なのですが、令和2年10月14日開催の添加物部会において審議されて、指定等を行うものということで、全てこの手の種別は10月14日の添加物部会の結果です。
用途は、製造用剤(除カルシウム剤、除酸剤)ということになります。概要としては、L-酒石酸カリウムとD-酒石酸カリウムの2種類の鏡像異性体が等量存在するラセミ体ということになります。諸外国での状況ですが、EUでは、ワイン製造工程において、過剰なカルシウムを沈殿させる目的で使用することが認められています。米国及びオーストラリアでは、DL-酒石酸カリウムで処理されたワインをEU域内から輸入して、国内で流通させることができるとなっています。
食品安全委員会における食品健康影響評価結果・摂取量の推計は、添加物「DL-酒石酸カリウム」の使用に係る推定1日摂取量は、0.0409mg/kg体重/dayという数値を勘案すると、NOAELである60mg/kg体重/dayとの間に十分なマージンが存在するということから、添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないという判断をされております。
36ページは、実際の使用基準(案)になります。DL-酒石酸カリウムは、ぶどう酒以外の食品に使用してはならないという基準の案です。
○村田分科会長 議論に入る前に、部会での審議の状況について、佐藤部会長から御報告いただくことはございませんでしょうか。
○佐藤委員 今、事務局から御説明いただいたとおりですが、DL-酒石酸カリウムについては使用基準量は特に定められておりませんが、部会の審議において、DL-酒石酸カリウムというものが、添加量がカルシウムの2.8倍までは添加量とともにカルシウム除去率が増加するのですが、3倍を超えるとワイン中でもカルシウムの除去率が下がり、ワイン中で逆に酒石酸の発生の原因となってしまうということが報告されています。それによって、添加量というのは自ずと制限されてきていることになっているようです。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 それでは、本件について、何か御意見、御質問はありますでしょうか。浦郷先生、何かありますか。
○浦郷委員 これもEUでワインを作る上では必要な添加物なのだろうと思います。EUでも、今までずっと使われてきたところだと思いますし、食品安全委員会の評価の結果も安全性に懸念がないということや、使用についても、ぶどう酒というところで限定されているというところで、特に問題はないと思います。
○村田分科会長 高橋委員、どうですか。
○高橋委員 問題ないと思います。
○村田分科会長 ほかに御意見はないようですので、分科会としては、これで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
○合田委員 了承します。問題ないと思います。
(了承)
○村田分科会長 どうもありがとうございます。
次に、ビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体について、事務局から御説明をお願いします。
○近澤課長 38ページ以降になります。ビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体です。こちらは添加物部会で審議され、指定等を行う形になっています。成分は、1-ビニルイミダゾール(NVI)及び1-ビニル-2-ピロリドン(NVP)から、2%未満の架橋剤1,3-ジビニルイミダゾリジン-2-オン(DVI)存在下で、重合反応によって製造される共重合体(ポリマー)です。概要ですが、イミダゾール基を機能部位として有しているため、ワイン中の鉄、銅などに対する吸着効果があるとされている。その吸着効果によって、ワインを清澄化するというものです。それから、酸化反応を抑制し、結果として褐変やピッキングを抑制する効果も有しているとされております。諸外国での状況として、EUでは、マスト及びワインに対して、500μg/Lまで使用が認められています。米国では、PVI/PVPを使用したワインをEU域内から輸入し、米国国内で流通することができるとなっています。また、一部のPVI/PVP商品は、アルコール飲料から重金属等を除去する目的で、0.80g/Lの範囲での使用が認められています。オーストラリアでは、ワイン等の製造において、GMPの下での使用が認められています。
食品安全委員会における食品健康影響評価結果(案)、摂取量の推計です。安全性に関する評価が行われています。そのうち、一番上にありますが、PVI/PVPのほか、PVI/PVPの不純物も含めて、安全性の評価がされております。PVI/PVPは最終食品の完成前に取り除かれること、PVI/PVPの不純物については、成分規格案において、PVI/PVP1g当たりの上限量(2μg~50μg)が設定されており、摂取量は少ないと考えられることから、ばく露マージンによる評価が実施されております。それぞれのNOAELと推定1日摂取量との間には十分なマージンが存在することから、添加剤として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと判断されております。
40ページ、使用基準です。ぶどう酒の製造に用いるぶどう果汁及びぶどう酒以外の食品に使用してはならない。また、ぶどう酒1Lにつき、0.50g以下でなければならない。基準の締めの部分は、最終食品の完成前に除去しなければならない。このような使用基準の案となっております。
○村田分科会長 議論に入る前に、部会での審議の状況について佐藤部会長から御報告いただくことはございませんか。
○佐藤委員 ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン共重合体につきましては御説明のあったとおりです。部会では、今回の添加物全体を通して、ぶどう酒の摂取量について、95パーセンタイルとか、そういったものまで示すと、より実態に近いものになるのではないかという意見が出たのですが、これについては評価は食品安全委員会でなされているため、食品委員会にお伝えするという御回答を頂きました。
○村田分科会長 それでは、本件について何か御意見、御質問はございますでしょうか。
○合田委員 1つは、厚労省の直接の問題ではないのですが、食品安全委員会が出されている文書の中に構造式が示されているのですが、その構造式自身は余り適切ではない構造式なのです。このものの構造、そこへCAS番号も書かれていますが、そのCAS番号を見ますと、実際には、40ページの成分規格に書かれている定義というのは、かなり適切な定義だろうと思います。食品安全委員会のものより、こちらのほうが非常によいなと思います。
1点、この定義のように架橋剤をかけて重合反応をやるので、ビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体という名前であると、架橋剤が入っているということについて、そこの部分の説明が、この文書上にはないのです。例えば英語でいくとクロスリンクドなどになりますが、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン架橋共重合体とか、そういうような名前にする手もあるかなとは思わないではないです。
ただ、多分、こういうものは、いろいろ考えられて名前を付けられたと思いますので、こういう名前になった理由を教えていただければと思います。架橋化とか、クロスリンクドということを入れるべきかどうかということについて、ちょっと気になりましたので発言させていただきました。
○村田分科会長 これについてはいかがですか。
○近澤課長 先生が言われるように、厳密に言えば、英語の名称にはクロスリンクドというのが頭に付くのだと思うのです。ただ、今までの医薬品の添加物などでも、微量に使った架橋剤について、架橋剤の有無の名称は特に付していない、名称から外しているということがありますので、一応、現在の名称案になっているということが背景にございます。
先生が言われるところは非常に重要なところですので、全体にも及ぶことですので、今後どのような形にしたらいいのかというのは前向きに検討させていただきたいと思いますが、今回はこのままでお願いいたします。
○合田委員 前例があるということですので、国の文書上、そろえたほうがよろしいというのはよく分かりますので、了解いたしました。どうもありがとうございます。
○村田分科会長 私から質問なのですが、諸外国での状況で、アメリカではビールにも使っているという書き方がされているようですが、日本での使用基準は、あくまでぶどう酒及びその果汁を使った食品以外には使ってはならず、ビールには使ってはいけないということでよろしいのですか。
○近澤課長 今のところの使用基準は、ぶどう酒の製造に用いる果汁なので、ぶどう酒以外には使ってはならないということを考えています。
○村田分科会長 分かりました。ほかに御意見はございませんでしょうか。
○穐山委員 使用基準に、これは加工食品なので最終製品に残らないということを付けていただいたので問題はないと思うのですが、これはポリビニルピロリドンのときに食品安全委員会の評価で、アレルギーの報告があったということで、ポリビニルピロリドンのときにはアレルギーの懸念がありました。
今回、食品安全委員会のほうでは感作性の試験をやられて、それで問題はないということなのですが、一応、国内メーカーもこれを使っていいという話になりますので、製造の最終段階で完全に除いてもらうように周知徹底していただければと思っております。
○近澤課長 実際に日本でも使えることになりますので、こちらは自治体などを通して、使用基準の遵守は周知いたします。
実際には、これはお酒ですので国税庁が所管する部分です。食品衛生上は食品衛生法です。それもありますので、国税庁にも、使用基準の遵守の徹底をしてくださいということを徹底いたします。
それから、先生が言われている成分上、アレルゲン性試験の結果というのがありまして、実際に最終製品に残らないというのが重要ですので、こちらに関しては、PVIとPVPの試験についても、今後、国衛研で検討していただくようなことで進めております。こちらの試験法が決まれば検疫所等でも、特にヨーロッパから来るものが多いでしょうから、検疫所等でも試験をしてもらうような形で進めていきたいと思っております。
○村田分科会長 そのほかはどうでしょうか。
○藤原委員 お教えいただきたいのですが、先ほどから審議している4つの添加物成分、いずれも完成前に除去されれば表示はされない、完成前に除去されずに残っていれば表示はされるという理解でよろしいでしょうか。
○近澤課長 表示と言うか、除去しなければならないので、もし残っていたら基準違反になりますので、認めるというわけではなくて、使うことはできるけれども、最終製品には残らないようにしてくださいという形になります。
○藤原委員 亜硫酸水素アンモニア水などは残留が認められたという理解だったのですが、その辺は表示されるということでいいのですか。
○事務局 残存するものになりますので、そういった場合には表示されることになります。消費者庁のほうのルールになってきますが、従来のルールでいきますと、残るものに関しては表示がなされます。
○藤原委員 分かりました。ありがとうございます。
○村田分科会長 ほかにございませんか。ほかに意見がないようですので、分科会としては、これで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
○合田委員 それで結構です。
(了承)
○村田分科会長 ありがとうございます。事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過につきましては、次回以降の本分科会で御報告してください。
次に、食品中の農薬等の残留基準の設定について審議を行います。事務局から御説明願います。
○井上室長 47ページを御覧ください。チオキサザフェンです。経緯ですが、インポートトレランス(IT)申請に基づく基準設定というものです。用途は、土壌中の線虫類を対象にした殺線虫剤というもので、種に処理する薬剤です。国内では登録はありませんが、諸外国の状況としては、JMPRにおいて毒性評価が行われ、Codex(国際基準)が設定されております。
続いて、食品安全委員会における食品健康影響評価の結果です。ADIに関しては、2つの試験の結果から、0.05mg/kg体重/dayということで評価していただいております。また、ARfDに関しても、2つの試験から、0.5mg/kg体重ということで評価していただいています。
48ページ、基準値案です。今回の規制対象物質に関しては、親化合物のチオキサザフェンと代謝物ということで、基準値は49ページです。提出された資料から、トウモロコシ、綿実に関しては、作物残留試験の結果から基準値の設定をしています。そのほか大豆及び餌由来の畜産物の基準に関しては、国際基準(Codex)を参照して基準値案を設定しています。これらについてのばく露評価は48ページに、長期・短期ばく露評価の結果を記載しています。いずれもADI又はARfDについて超えないということで、特段の問題はないものという評価をいただいたところです。チオキサザフェンの説明は以上です。
○村田分科会長 47ページの食品安全委員会の所で、マウスの雌で肝細胞腺腫の腺が「線」になっているのですが、これは「腺」だと思います。後で皆さんも直していただければと思います。
議論に入る前に、部会での審議の状況について、穐山部会長から御報告いただくことはございませんでしょうか。
○穐山委員 今、事務局から御説明がありましたが、再度、概要を御説明いたします。チオキササフェンは、インポートトレランス制度に基づく基準設定の要請を踏まえた食品中の残留基準を設定するものです。本年10月28日に開催した農薬・動物用医薬品部会において審議を行いまして、幾つかの報告書の記載整備に関する指摘はありましたが、今お示しいただいた食品安全委員会の評価結果として、生体にとって特段問題となる遺伝毒性等は認められておらず、閾値が設定できるという評価であったこと、また、トウモロコシなどの作残試験などから得られたデータに基づき、規制対象物質はチオキサザフェン及び代謝物TX2、これはベンズアミジンとすること。また、作残試験の分析法等、あるいは分析結果、あるいはばく露評価、国際基準等の情報などにより、残留基準値は適切であり、特段の問題はないという結論に至りました。私からのコメントは以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。それでは、本件について何か御意見、御質問はございますでしょうか。意見がないようですので、分科会としてはこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
○藤原委員 はい。
(了承)
○村田分科会長 どうもありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過につきましては、次回以降の本分科会で御報告してください。
次に、報告事項に移ります。薬事・食品衛生分科会規程第8条第1項により部会の議決をもって分科会の議決とされた事項については、同条第3項の規定に基づき、その決定事項を分科会に報告することとされております。まず、(2)報告事項の①「食品中の農薬等の残留基準の設定について」につきまして、事務局から御報告ください。
○井上室長 資料2の3ページの一覧を御覧いただければと思います。今回、御報告の品目は4品目です。いずれも9月、又は10月の部会において御審議いただいた品目です。4品目に関しまして、ばく露評価の結果ですが、長期・短期に関しまして、いずれもADI又はARfDを超えていないということで御評価いただいたものです。
詳細については、4ページを御覧ください。1品目めのエタボキサムです。こちらは農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う基準設定の要請があったものです。キャベツ、ブロッコリー等に適用拡大というものです。用途は殺菌剤です。我が国の登録状況は、農薬として、ばれいしょ、トマト等を対象に既に登録されています。基準値関係は6ページです。今回、適用拡大の申請のあったキャベツ、ブロッコリー、レタス等について、提出された作物残留試験の結果から基準値を設定したものです。
続いて、2品目目は8ページを御覧ください。クロルピリホスです。殺虫剤ですが、以前、部会又は分科会で審議及び御報告させていただいた品目ですが、その後に、ゴマに関して、新たな作物残留試験のデータが提出されたことから、改めて部会にお諮りしたものです。基準値関係は12ページを御覧ください。今回はゴマに関して、作物残留試験が提出されております。これを踏まえて、基準値は0.05ppmと設定するということで、御評価いただいたところです。
3品目はピメトロジンです。こちらは、急性参照用量(ARfD)の食品安全委員会での御評価を踏まえて、基準値の見直しを行うものです。17ページの構造式ですが、事前に合田先生から御指摘を頂いております。構造式の所に「*」を記載しておりますが、互変異生体の存在する可能性があるということで、注釈を加えさせていただきました。構造式に記載しておりますように、主として、ラクタム形をとるものと考えられることから、そのうちの1つを記載しています。用途は殺虫剤です。国内の登録状況は、イネ、ばれいしょ等を対象に登録されております。基準値案は19ページ以降です。今回、食品安全委員会でARfDが新たに設定されておりますが、これを超えるような基準値はありませんでした。そのほか、改めて作物残留試験のデータ等を確認して基準値の見直しを行ったものもございます。20ページですが、いわゆる可食部で基準設定したところを、果実全体、スイカ、メロン等ですが、併せて基準値の見直しを行っているというものです。
25ページは、ミクロブタニルです。こちらは農薬取締法に基づく適用拡大申請、及びインポートトレランス申請に基づく基準設定というものです。用途は殺菌剤です。基準値は27ページ以降です。Codex(国際基準)の設定がありましたので、国際基準を参照した基準値案を設定したものがあります。28ページ以降は、IT申請で、ラズベリー等に関して作物残留試験の結果が提出されております。これに基づく基準の設定を行うという内容になっております。以上4品目ですが、いずれもばく露評価の結果に関しては、長期・短期とも特段の問題はないということで御評価を頂いたものです。資料の説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 ただいまの事務局の報告について、委員から御意見、御質問はございますでしょうか。
○穐山委員 部会の審議もあったのですが、事前に事務局からお話がありましたように、事前に合田先生からご連絡いただきました。17ページを御覧ください。ピメトロジンの構造式が書かれていますが、ここは分子内でカルボン酸とアミンが結合して、分子内アミドで、これをラクタムと呼ぶのですが、このラクタム構造を有していまして、これが合田先生の御指摘で、ラクトンがOHに変わる、ラクチム形に互変異性するのではないかという御指摘を頂きましたので、事務局でメーカーと御相談したところ、ラクチム環の互変異性が取りづらくて、企業のデータで1H-NMRとか、赤外分析法からも、ラクタムの形を取ることが示されていることから、事務局で記載いただいたところです。
○村田分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問はございませんでしょうか。
○合田委員 そう言われると気になるのですが、この話は普通の1H-NMRやIRでは分からない。だから、これはもっと特殊な測定をしないと、15N-NMRとかN-HMQC取らないと、多分確定しないです。だから、本当にそう思われているかどうかというのは、やってみないと分からないと思います。という具合に、メーカーに伝えられたほうがよろしいのではないでしょうか。
○井上室長 合田先生の御指摘のとおり、互変異性体が存在する可能性はあるかと思いますので、御指摘を踏まえて、メーカーにも伝えておきたいと思います。ありがとうございます。
○村田分科会長 それでは、次に移らせていただきます。次は、(3)文書配布による報告事項に移ります。「食品衛生分科会における確認事項」において特に定められた事項については、文書配布により分科会に報告を受けることとされております。この資料に関しては、事前に委員の皆様の所に配布されていると思います。部会長からの補足の御説明、あるいは委員の方から何か、御意見、御質問などはございますでしょうか。よろしいでしょうか。
特段の御意見がなさそうですので、次に移らせていただきます。
続きまして、その他の報告事項です。「食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について」事務局から報告をお願いします。
○井上室長 資料4を御覧ください。こちらについては、前回及び前々回の分科会以降において、審議、報告を行った農薬等のパブコメの状況です。いずれも手続を順次進めさせていただいているところです。
○村田分科会長 ただいまの事務局からの報告に対して、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
以上で、審議事項と報告事項の議事は終わりました。最後に、事務局から連絡事項はございますでしょうか。
○小谷補佐 以上で、審議事項と報告事項についての議事は終了となります。長時間の御審議、誠にありがとうございました。なお、次回の食品衛生分科会は、薬事・食品衛生審議会総会後に、新たな委員の方をお迎えして行う予定となっております。開催日時については、現在調整中ですので、皆様、御回答のほうをどうぞよろしくお願いいたします。現時点においては、令和3年1月25日から29日の間に、今回と同様にWeb会議にて開催したいと考えております。
最後に、生活衛生食品安全審議官の浅沼より御挨拶申し上げます。
○浅沼審議官 審議官の浅沼です。本日も長時間にわたる御審議、誠にありがとうございました。この委員構成での食品衛生分科会は、実は本日が最後となります。委員の皆様方におかれましては、平成31年1月から2年間にわたりまして、分科会の御審議に御協力を頂きました。誠にありがとうございました。
この間、多数の農薬等や添加物の規格基準の設定のほか、令和2年1月には改正食品衛生法に基づく器具、容器、包装のポジティブリスト制度の導入に関して、公衆衛生の見地から貴重な御意見を頂き、適時的確な基準を設定することができました。
さて、財前委員、西内委員におかれましては、任期満了により、本日の分科会をもちまして御退任されることとなります。改めまして、この場をお借りしまして、お二人の委員を含めて、各委員の皆様に心より御礼を申し上げます。今後とも、科学的な知見に基づき、公衆衛生の見地から、国民の健康を守るため食品安全行政の推進に努めてまいります。様々なお立場から引き続き御指導いただきますようお願い申し上げまして、私からの御礼の言葉とさせていただきます。本当にありがとうございました。
○村田分科会長 今回の分科会で退任される財前先生、西内先生から、一言ずつ御挨拶をお願いしたいと思います。まず、財前先生、どうぞ。
○財前委員 通しまして4年間、お世話になりました。会社での役割任務も変わりますので、後任を推薦させていただいているところです。2年間、本当にありがとうございました。
○村田分科会長 本当にありがとうございます。続きまして、西内先生、どうぞ。
○西内委員 私は法律家の立場から、この分科会に参加させていただいておりました。したがってこの分野には全く素人でしたが、委員の先生方のご意見や事務局のご説明等をお聞きすることによって理解が深まり、大変勉強になりました。ありがとうございました。また後任にも法律家の委員が入ると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。長期間に渡り、ありがとうございました。
○村田分科会長 本当にどうもありがとうございます。今後とも、先生方が御活躍くださるようお祈りしております。
さて、新型コロナ感染禍の中、長い時間の御審議、誠にありがとうございました。これをもちまして閉会いたします。どうぞ先生方におかれましても、くれぐれも御自愛ください。どうもありがとうございます。