技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会(第5回)議事録

政策統括官付政策統括室

日時

令和2年11月24日(火)10:00~12:00

場所

厚生労働省省議室(9階)

出席者

委員(五十音順)
事務局

議題

(1)近年の「労使コミュニケーション調査」結果について
(2)ヒアリング
 ・太陽生命保険株式会社 一番ヶ瀬智彦様
 ・株式会社ヒロハマ 広浜泰久様
(3)その他

議事

議事内容
○守島座長 それでは、定刻になりましたので、本日の会議を始めたいと思います。ただいまから、「技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会」の第5回を開催いたしたいと思います。
皆様方、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。
カメラは、いらっしゃいませんね。
本日は、戎野委員、後藤委員、佐藤委員、仁平委員、根橋委員はオンラインで御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
また、所用により、大竹委員、鬼丸委員、冨山委員が御欠席でございます。
本日は、委員の皆様方のほかに、ヒアリングのために、太陽生命保険株式会社、一番ヶ瀬様と、株式会社ヒロハマ、広浜様においでいただいております。どうもありがとうございます。
議事に入ります前に、本日の検討会の説明はタブレットで行いますので、まず、事務局より簡単に御説明をいただきたいと思います。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 本日の検討会はペーパーレスで実施させていただいております。手元には、タブレット、スタンド、スタイラスペンを配布しております。使用方法につきましては、操作説明書を机上に配布しておりますが、御不明な点がございましたら、職員にお声がけください。
本日の資料は、「プライベートファイル」というフォルダ内に資料1から資料3までとして格納しております。
併せて、第1回から第4回の当検討会の資料についても御参考に格納しておりますので、必要に応じ御参照いただければと思います。また、発言の際には、マスク着用のままにてお願いいたします。
○守島座長 ありがとうございました。それでは、議事に入りたいと思います。
本日の進め方について、まず御説明をいたしたいと思います。最初に、「近年の「労使コミュニケーション調査」結果について」、事務局から御説明差し上げます。次に、「AI等のデジタル技術の導入と労使コミュニケーション」について、太陽生命保険株式会社、一番ヶ瀬様と、株式会社ヒロハマの広浜様の順でお話をいただきたいと思います。
2社のプレゼンが全て終了した後でまとめて質疑応答を取りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。その後で自由討議を行います。
それでは、資料1の近年の労使コミュニケーション調査の結果について、事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 それでは、資料1について御説明いたします。資料1を御覧いただけますでしょうか。この資料につきましては、前回の検討会におきまして、直近の令和元年労使コミュニケーション調査の結果の資料提出をいたしましたけれども、過去の調査結果からの傾向も含めまして、この場で共有することが検討に資するものと考え、今回改めて御説明するものでございます。
まず、2ページを御覧ください。調査の概要でございます。調査の目的は、労使間の意思疎通を図るためにとられている方法、運用状況等や、事業者側、労働者側それぞれの意識等について実態を明らかにすることとなってございます。
調査の対象ですが、常用労働者30人以上を雇用する民営事業所から抽出した事業所を対象とする事業所に対する調査と、その事業所の労働者から抽出した労働者を対象とする労働者調査、この2つがございます。
5年ごとに調査が行われており、この資料では、平成11年調査以降のデータを用いております。
次に、3ページを御覧ください。これは事業所への調査ですけれども、労使コミュニケーションについての評価に関して平成16年、21年、それから、若干質問が変わりまして、平成26年、令和元年には、「労使関係についての認識」という聞き方で聞いております。直近では、「安定的」「おおむね安定的」といった回答で8割を占めております。
次に、4ページを御覧ください。こちらは、労働者に労使コミュニケーションの良好度について聞いたものでございます。「非常に良い」「やや良い」の回答が、平成11年調査以降、一貫して増加しており、直近では6割程度となっております。
次に、5ページを御覧ください。事業所の調査になります。労使コミュニケーションを重視する内容について聞いたところ、いずれの時点でも、「日常業務改善」「作業環境改善」「職場の人間関係」、それから、「賃金、労働時間等労働条件」の回答の割合が高くなっており、特に「日常業務改善」「作業環境改善」が増加しているという状況にございます。
次に、6ページでございます。今度は労働者に労使コミュニケーションを重視する内容について聞いたものでございます。「職場の人間関係」が最多で、その他には「日常業務改善」「賃金、労働時間等労働条件」となっております。傾向として、「日常業務改善」「作業環境改善」が増加しております。
次に、7ページです。労働者に「労使コミュニケーションにおいて労働組合に期待する役割」を聞いたところ、「労働者の意見代弁」が最多で、次いで「各種要求獲得」となっております。
次に、8ページです。「労使協議機関の有無」について事業所に聞いたところ、労使協議機関ありが約4割で、おおむね横ばいとなっております。
次に、9ページです。「労使協議機関に付議する事項」について事業所に聞いたものです。平成26年調査以降で選択肢が変わっておりますので、グラフが上下に分かれておりますけれども、いずれの時点も、一番左のほうにありますが、労働時間、休日、休暇、こういったところが最多となっております。
選択肢が異なるため単純比較はできませんけれども、平成11年調査では「経営の基本方針」というのが、右のほうにございますが、約7割などとなっておりましたが、直近では、経営に関する事項は約5割程度となっております。
次に、10ページでございます。労働者に労使協議機関の協議内容をどのように知ったのかというのを聞いたところ、「労働組合の広報資料等」が最多で、次いで「社内報等」「朝礼、職場懇談会等」となっております。
次に、11ページは職場懇談会の有無について事業所に聞いたところ、職場懇談会がある事業所が約5割で、おおむね横ばいとなっております。
次に、12ページです。職場懇談会で話し合われた事項について、事業所に聞いたものです。「日常業務の運営に関すること」が9割近くとなっており、続いて「安全衛生に関すること」「経営方針、生産、販売等の計画に関すること」などの割合が高くなっております。
次に、13ページです。「苦情処理機関の有無」について事業所に聞いたところ、「苦情処理機関がある」と回答した事業所が増加しております。直近では約6割まで上っているという状況でございます。
次に、14ページです。苦情処理機関の利用があったかを事業所に聞いたものです。平成26年以降は相談窓口と苦情処理委員会に質問が分かれておりますので、グラフが2つ分かれておりますけれども、直近では、利用が増加している傾向にあるというところでございます。
次に、15ページです。「苦情処理機関を利用した際の苦情の内容」について事業所に聞いたものです。平成26年と令和元年の調査では、相談窓口と苦情処理委員会の2つの棒グラフが表示されております。最も多いのは、一番左、「人間関係に関すること」であり、次いで「日常業務の運営」といったところでございます。
それから、次に16ページです。労働者に、自分自身の処遇等について不平・不満を事業所に伝えたことがあるのかを聞いたところ、平成11年で約4割でしたが、その後は1割から2割程度で推移しております。
次に、17ページは、不平・不満を伝えた労働者にその伝達方法を聞いたところ、「直接上司へ」が7割超、次いで「労働組合へ」が10%台となっております。
最後に、18ページでございます。労働者に不平・不満の内容を聞いたところ、「日常業務の運営に関すること」が最多で、その他、「賃金、労働時間等労働条件」、それから、「人事に関すること」となっております。
以下は、参考としまして、労働組合の推定組織率などのデータと労使コミュニケーション調査の各回の調査概要を添付しております。
説明は以上でございます。
○守島座長 ありがとうございました。
ただいまの説明について、事実確認等の質問がありましたらお願いいたしたいと思います。意見等はこの後の自由討議の時間にまとめてお願いいたします。何か質問とか確認とかあれば、どうぞ御発言いただきたいと思います。
よろしいですかね。
ありがとうございました。
それでは、2社からのヒアリングに移りたいと思います。最初に、太陽生命保険株式会社、一番ヶ瀬様にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○一番ヶ瀬氏 よろしくお願いします。太陽生命で人事課長をしています、一番ヶ瀬と申します。本日は貴重な機会をいただきましてありがとうございます。
それでは、弊社の取組について簡単に御説明させていただきます。
まず、弊社の概要ですが、2ページを御覧ください。1893年に創業し、今年で128年目の会社になります。生命保険会社としては、家庭市場を中心とした個人保険営業を中心に活動している会社だと御認識ください。
従業員数につきましては、総合職、一般職等、いわゆる内勤職員と呼ばれる従業員が約2,400名、営業職員が約8,300名という会社になっております。
平均勤続年数等については、記載のとおりです。
続いて、沿革ですが、1893年に名古屋生命保険株式会社として、愛知県の名古屋市にて創業しております。高度成長期には、短満期の貯蓄保険を販売して成長しました。その後、金融ビッグバンを挟んだ2000年ごろから、医療保険や大型の死亡保障を提供して成長してきた会社だと御理解いただければと思います。
併せて、3ページに青字で記載してあるのですが、2001年から業務改革、「NET′S01」を展開し、お客様情報のデータベース化を始めました。2012年には、業務改革、「EXCITE’10」を展開し、契約手続きのペーパーレス化、キャッシュレス化を実現しました。2015年には、業務改革、「EVOLUTION’15」を展開し、支社組織の変革を行い、業務全体のペーパーレス化、キャッシュレス化の実施にあわせて内務員の働き方の変革も順次行っております。
そして2018年には、一つの働き方改革の総仕上げとして、「太陽生命コンシェルジュ」を導入し、保険料決済を含めた完全ペーパーレス化、キャッシュレス化を実現しました。それに併せて、社会的課題を解決すべく認知症治療保険や認知症予防保険の提供、そして、2020年9月からは新型コロナウイルス感染症も保障する「感染症プラス入院一時金保険」を販売しております。
併せて、昨年度、まさかこうした環境になるとは思わなかったのですが、インターネットで契約の加入手続きが完結する、“スマ保険”を販売しております。コロナ禍の現在において、対面型の保険募集が手控えられる中、インターネットだけで加入手続きが完結する保険を昨年度から販売しておりましたので、契約業績も堅調に推移しております。
続いて、4ページを御覧ください。経営ビジョンでございます。こちらも記載のとおりでございます。広く社会に役立ち、確かな未来に貢献できる会社を目指しております。
現行の中期経営計画では、100歳時代を先取りした最優の商品・サービスをご家庭にお届けすることによって、より多くのお客様の安心で豊かな暮らしを支える保険会社となるべく、「元気!長生き!太陽生命」をキャッチフレーズにして、2019年からの3年間取り組んできております。
5ページを御覧ください。弊社の従業員の職種区分になります。総合職と地域限定型のエリア総合職が約1,200名、営業とサービスのプロフェッショナルである一般職が約1,000名、金融法人の営業を担当する担当職が約40名となっております。
その他、継続雇用嘱託職員が約40名、事務パートタイマーが約520名、営業職員が8,320名在籍しており、全体では1万1,000名の従業員が働いている会社になっております。
続いて、6ページを御覧ください。労働組合の概要になります。1969年に太陽生命内務員組合として発足し、上部団体である全国生命保険労働組合連合会に加盟しております。それから、1994年には、さまざまな職場環境に関する問題が起きたことを踏まえて、職場改善環境協議会を労使で設置し、労使協議を始めております。2001年には、関連会社であるT&D情報システム株式会社従業員の組織化をしております。
2003年には、適正な労働時間管理の徹底に向けて、労使で協議する「労働時間適正化推進協議会」を設置しております。これは労働時間適正把握基準を厚生労働省が発出したことを踏まえた対応ということになっております。
2014年には、継続雇用嘱託職員を組織化しました。2016年には、ワーク・ライフ・バランスの充実に向けた諸課題に対して、労働時間適正化推進協議会、職場環境改善協議会、福利厚生に関するその他協議会を一本化したワーク・ライフ・バランス推進協議会を設置し、幅広く、従業員の福利厚生、労働環境の問題等に取り組んできております。
続いて、7ページを御覧ください。労働組合の意思決定機関については、その他の組合とほぼ同様だと思いますが、決議機関の大会、中央委員会、執行機関の中央執行委員会、協議機関の代議員会議、部・支社代表者会議があります。さらに、情報共有や意見収集を実施する全国オルグ、職場集会、職場訪問という形になっております。
今年は、やはり対面型というのが難しくなっており、大会や中央委員会、全国オルグや職場集会については、オンライン開催が増えてきております。全国に148の支社・営業所がありますが、30支社程度は全てオンライン開催になってきております。
続いて8ページを御覧ください。組織のイメージについては、記載のとおりで、決議機関と執行機関がそれぞれ分離しております。私は、今、人事課長をしておりますが、ちょうど10年前は労働組合の委員長をしておりました。年間に70支社ぐらい訪問し、きめ細かく意見吸収をして、それを経営との協議に生かすという活動をしておりましたが、今もそれは変わらないという認識でございます。
続いて、9ページを御覧ください。労使協議機関は、大きく分けて4つございます。年に2回、年度の決算が締まった5月と中間決算が締まった11月に労使懇談会(決算)を開催し、会社と収益管理部門である主計部と労働組合の執行部で協議・意見交換を行っております。ここで、経営に関する重要事項、決算に関する事項を中心にしっかり意見交換しております。
それから、労使懇談会(春臨闘)については、組合からの要求を受ける、会社の回答をするということで、通常、3月と4月に例年実施しております。作業部会というのは、大きな人事制度改定や大きな福利厚生制度の改定を行うときに、まず、経営側から労使懇談会で説明をさせていただき、その後、作業部会を開催し、経営層ではなく人事課長もしくは組合の書記長クラスできめ細やかな意見交換をしているということになります。
○守島座長 すみません。ちょっと音が聞こえなくなってしまいました。調整しますので、ちょっとお待ちください。
では、再開を。9ページ辺りから。
○一番ヶ瀬氏 9ページの労使協議機関の4点目ですが、ワーク・ライフ・バランス推進協議会を毎月開催し、労働時間の状況、休暇の取得状況、福利厚生、健康増進に関する施策、職場環境に関する事項について毎月労使で協議しています。この中で、組合側からは、毎月訪問もしくはオンラインで実施している職場集会の状況や職場訪問の状況を連携いただくとともに、年に1回組合が実施する労働時間、職場環境、人事評価の面接実施状況等に関するアンケートのフィードバックを受ける機会としても活用しております。
続いて、10ページを御覧ください。当社における「業務改革の変遷」ですが、簡潔に申し上げると、IT化、ペーパーレス化、キャッシュレス化を進めて、事務的作業を削減して、いかに生産性の高い会社を実現するかという取組をこの20年間継続しております。これに伴って、契約手続きや保全支払に関するペーパーがなくなり、現金が支社からなくなり、PCで全ての手続き等が完了することにより、従業員の働き方が変わり、総労働時間の縮減や有給休暇の取得促進が図られる大きな改革を行ってきたということです。「NET’S01」「EXCITE’10」「EVOLUTION’15」「コンシェルジュ」とありますが、改革の中身については記載のとおりでございます。
続いて、11ページを御覧ください。先ほどご説明申し上げた改革と連動しているのですが、2001年に始まった業務改革により、2011年にサポートセンター、いわゆるコールセンターを導入し、2016年からは事務とサービスというものに働き方が変わり、2018年に営業とサービスというものに一般職の働き方が大きく変わっているということでございます。
特に一般職約1,000人の働き方ですが、もともとは事務をするために入社した従業員ですが、IT化が進み事務的な仕事は急激に減少する中で、雇用の確保とサービスの充実の観点から2016年には、業界で初めてかけつけ隊サービスというサービスを開始しました。このサービスはお客様のところに支払のプロが訪問して、その場でお支払い手続を完結するという内容ですが、2016年に一般職の業務の中身が大きく変更となるため、就業規則の改定を行いました。加えて2018年には、かけつけ隊に加えて、いわゆるインフォマーシャルというテレビのCMを見たお客様からコールセンターに電話があり、支社にその電話が連携されて、今度は商品の説明・提案に伺う業務も一般職の仕事に追加されるため、それに伴った一般職の職種定義を2度変更しています。
これは、一般職からすると非常に大きな働き方の改革になりますので、この10年間、トップメッセージを発信したり、会社の今後の働き方、もしくは雇用の方針ですとかそういうものを労働組合にも提示しながら、また、働き方を変えるだけではなくて、処遇の向上ですとか労働時間の縮減、有給休暇の取得促進、そういったことを合わせ技で労使で共有しながら、特に一般職の働き方・意識というのを変えてきました。
11ページの左の下段の「労働時間、有給休暇の状況」というのを見ていただくと、これは管理職も含めた、当社の内務員2,400名の総労働時間の合計になりますが、2019年度末で1年間で155.3時間というのが月間平均になっています。
IT化が本格的に始まった10年前は192時間程度でしたので、労働時間については2割削減ができています。有給休暇の取得についても、10年前は8.5日程度であった有給休暇の取得が、2019年度では、元気プロジェクトの効果もあり17.3日まで取得が増加しております。
なお、この10年間を振り返ると、リーマンショックなど厳しい時代もあったのですが、安倍政権の下、毎年ベースアップの要請もありましたが、賃金については、定年延長に伴う人事制度改定分も含め10年前と比べると約1~2割程度は向上しているのではないかなと思います。労働時間が減少し休暇取得が倍増していますが、従業員の処遇は向上させている内容となっております。
続いて12ページ、4-3として、「業務改革の変遷」と記載しております。個人保険の営業が営業職員チャネルであり一番の主要なチャネルなのですが、一本足打法ではなくて、2011年から銀行に保険代理店として当社の保険を販売していただく銀行窓販チャネルを開始し、2016年からはコマーシャルを見て保険商品に興味を持っていただいたお客様のところに従業員が訪問し説明や契約手続きを行うインフォマーシャルという新たな販売チャネルも開始しております。加えて企業に福利厚生として企業保険を販売する法人営業チャネル、2019年10月からはインターネットで契約手続きが完結するスマ保険というインターネットチャネルも開始しております。
また業務改革の中にある支社の事務要員数の削減についてですが、2001年には一般職と事務パートタイマーが1,800名在籍していましたが、2019年にはペーパーレス・キャッシュレス化や契約や支払査定の自動化等により、2018年には支社の事務的業務は約500名で対応できるまで効率化を図りました。ただし、要員数の削減については、リストラをしたのではなく、定年退職、結婚出産等による中途退職による自然減で10年間程度かけて500人まで効率化しています。加えて業務の内容も事務だけではなくかけつけ隊やインフォマーシャル等の営業・サービスに業務もシフトさせるなど、雇用を確保しながら新しい仕事を一般職にやっていただいているということです。
営業・サービスの拠点機能の強化については、事務からサービスへの業務の変遷を踏まえた対応のことです。シニアになってきますと、目が見えにくい、耳が聞こえにくい、手足がふるえる等の理由で途中で保険金等の給付請求の手続を諦めてしまうお客様が多いのですが、そうしたお客様のところに事務とサービスのプロである一般職が訪問して、その場で諸手続をすることによって確実かつ迅速にお支払いを行うかけつけ隊サービスは今や利用件数が10万件を突破しています。やはりシニアの方を主要顧客としているので、こうした他社にない対面サービスを充実させて、商品とサービスを一体化した取組を推進しています。
「支社業務のさらなる効率化」については、ペーパーレス、キャッシュレス化が進み、紙によるほとんどの事務作業を削減しました。その結果、記入ミス等が完全になくなり訪問回数も必要最低限で契約手続き等が完了する為、営業職員も含めてより効率的な生産活動が実現しております。
5-1「働き方の変化」についてです。こちらも、安倍政権の頃に、高年齢者雇用の活性化に向けて、定年延長を強く企業に求めるという提言がなされています。それを踏まえて、生命保険業界では初めて、2017年の4月に65歳定年制度および70歳までの継続雇用制度を導入しております。同制度により新入社員から65歳のシニアまで、同じ人事制度の中で切磋琢磨し合える、そういう環境を実現しております。
当社の65歳定年制度については、特に特筆すべきところは、役職定年を併せて廃止をし、65歳まで部長、支社長、次長、課長として活躍できる仕組みにしているところです。
併せて、旧制度では57歳で役職を降職し、年齢で一律に賃金を2割程度減額する特別職員制度を導入していましたが、それも廃止して、22歳から65歳まで内務員として現役で働ける環境を整えております。
Bになりますが、最長70歳までの継続雇用については、まだ法律で義務化されているわけではないので、健康状態や人事評価等によって、65歳のときに一定の選別をする内容としています。加えて、毎年の更新制とし、最終的には70歳まで働ける継続雇用制度を導入しております。
採用や更新の基準については、職場規律の維持が主目的であり、健康で人事評価が標準評価の方については全員継続雇用者として就労できる内容にしています。この65歳定年、70歳までの継続雇用制度の導入により、生涯賃金が平均で15%程度増加しています。
続いて、5-2の「働き方の変化」についてです。14ページを御覧ください。「福利厚生制度の充実」については、先ほども申し上げましたけれども、65歳定年制度に合わせて太陽生命の元気プロジェクトを推進する中で、様々な労働環境の改善、福利厚生制度の充実、そういったものを実現しております。
主な施策としては、A.「総労働時間の縮減と有給休暇の取得促進」になります。月間平均総労働時間、月間平均時間外労働時間、有給休暇の取得日数については記載のとおりでございます。
仕事と生活の両立支援については、育児休業は3年間、それから、子供が小学校を卒業するまで短時間勤務ができます。休憩時間1時間込みで最短5時間勤務が可能です。男性の育児休業についても、1カ月間の取得を推奨しています。これは非役職者だけではなくて、支社長、部長、課長についても、お子さんが生まれたら、人事部門が主導して、原則1カ月間取得する取組を推奨しています。今年についても、既に20名程度の方が管理職も含めて取得をしています。
介護については、週3日、週4日勤務も可能です。最長3年間、3回を限度に分割して取得できる介護休業や、有給とは別枠で毎年30日間介護休暇も取得できる制度としています。従業員の平均年齢が上がってきて、やはり介護をされる従業員の方も増えてきていますので、利用が少しずつ増えてきています。
仕事と病気の治療の両立についてですが、今日では、がんについても、働きながら治せる病気になってきていますので、そういう従業員向けに週3日、週4日勤務も可能です。また医療の進歩で不妊治療を経て出産される方も増えてきています。そういう従業員向けの通院休暇も、この元気プロジェクトの中で実現しています。
65歳もしくは最長70歳まで働くことになりますので、健康増進施策、予防と早期発見というのも大変重要になっています。これはMCIスクリーニング検査、軽度認知症障害も確認できる検査を55歳のときに、全従業員を対象に会社が全額負担で実施しています。以降、57、59、61、63、65と2年ごとに認知症を予防するためのMCIスクリーニング検査を実施しています。重症化予防については、再検査、精密検査を基本的には100%受診させるため、個別に検査結果を、産業医に確認いただくとともに、全件、人事部で架電をしています。営業職員についても、所管部門が全件、受診をさせる対応を行っております。
15ページ、5-3の「働き方の変化」についてですが、「テレワークの推進」について記載しております。これは、オリンピックのためにテレワークの環境を昨年整えていたのですが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、より前倒しをしてテレワークの推進を行っています。
実は本日、本社部門の総合職、一般職、担当職、パートタイマー全員に自宅でも会社でも使用できるモバイルPCを約2,000台配布をし、会社でも家でも同じPCを使用して仕事ができる環境を今日から整えています。
加えて、サテライトオフィスも導入しています。首都圏の大きな支社、例えば、大宮、浦和、船橋、横浜、町田、立川など9支社で常時100名以上の従業員が活用できる対応を行っています。在宅勤務の場合は会社で勤務するよりも情報セキュリティに不安がある場合もあります。例えば契約や支払の査定業務などはお客様の健康に関するセンシティブ情報を大量に取り扱います。そうした業務を可能な限り自宅の近くで行えるよう専門のPCを9支社に約100席準備し、そこで支払いや各種査定の業務を行っています。
Cとして「業務の棚おろし」を記載しております。こちらは10年以上前からIT化を進めていて、ペーパーレス化、キャッシュレス化、また決裁書類も含めてほぼ全てイントラネットで完結する環境を整えていましたので、今般、サテライトオフィス勤務や在宅勤務が円滑に導入できているということだと思います。
16ページ、最後の「労使コミュニケーション」についてですが、「これまで」と「これから」と記載してありますが、組合の活動もそうですし、我々会社側もそうですけれども、やはりオンラインを活用したコミュニケーションが増えていくのではないかなと思います。
当社では働き方改革を進める上で一般職の働き方を大きく変革しています。その中で、労働者側、組合側から最も強い要請があったのは、やはり雇用の確保です。太陽生命では、創業以来、今までに早期退職も含めたリストラを実施したことがありませんし、これからも実施するつもりもないということをはっきり組合側に伝えた上で、この働き方改革を他社に先駆けて10年間継続して進めてきたということが一つの成功事例ではないかなと思います。
従業員数が減少しながら、効率化して生産性を向上させる中で、例えば賞与増額や65歳定年制度を導入し生涯賃金を15%以上アップさせるとともに、働く環境を大幅に改善させながら働き方を事務から営業・サービスにシフトしてきました。その中で緊密な労使コミュニケーションを継続する、そうした様々な施策が従業員に適切に伝わり、モチベーションの維持・向上が図られたのではないかと思っております。
以上で、簡単ではございますが、太陽生命の取組とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○守島座長 どうもありがとうございました。
それでは続きまして、株式会社ヒロハマ、広浜様よりお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○広浜氏 それでは、株式会社ヒロハマの広浜と申します。私どもの取組についてお話しさせていただきたいと思います。
2ページ目に会社の概要というのが書いてあります。事業所としては、本社が東京にありまして、千葉工場、それから大阪工場があって、設立が1951年ですので、もうすぐ70年になるという会社です。
やっている仕事ですけれども、ブリキ缶用部品一式と言われてもなかなか分かりづらいかと思うので、いつも、私ども、商品を持っているのですが、一斗缶って多分御存じの方あると思いますけれども、その一斗缶についている、押すとパチンと開くキャップです。御年配の方は、家に灯油を入れる容器としてあったので、さわったことあるかと思うのですが、缶は全くつくらずに、こういうキャップですとか、キャップがはまるのが口金と言うのですけれども、口金とか、それから、持つところ、手環ですね、そういったものだけを専門に扱うという仕事をしています。
今は灯油には全然使われていないのですが、塗料とかシンナーとか、あるいは業務用のお醤油とか食用油、あるいは洗剤とか接着剤とか、いわゆる業務用の液体を入れる容器としてはまだまだたくさん使われていまして、年間で1億4,000万缶ぐらい、一斗缶というのはつくられています。
ただ、ピークはバブルの頃で、2億4,000万缶ぐらいだったので、既に6割は切っているかなという形で、縮小している業界ではあります。ただ、その中で私どもはずっとシェアを伸ばす形で売り上げを伸ばしてきまして、昨年までは、過去10年間ぐらい、過去最高売り上げという形で推移していまして、今現在は大体6割をちょっと超えるかなというぐらいの全国シェアを持ってやらせていただいています。
社員数が137名で、そのうち、正社員の中の、管理職除いたところで、正社員のみの組合員になりますけれども、69名という形です。オープンショップが、ほとんどの人は組合に入っています。パートさんのほうは、パート協議会というのがありまして、そこでいろんな打ち合わせをされているというようなことです。
3ページ、4ページは、工場の外観と職場の雰囲気なので、ちょっと御覧になっていただければと思います。
5ページに、労使コミュニケーションの方法というところで記載させていただいているのですけれども、上のほうの部分は主に組合との関わりが多いですね。中央労使協議会というのは労働組合と年2回やっていて、場所別というのは、千葉と大阪それぞれという意味ですが、そこでやっています。場所別の労使協議会には、パート協議会のほうの代表の方も参加されるという形でやっています。
そのほかに、安全衛生委員会は労使双方から委員が出ていまして、月1回開催している。それから、団体交渉は年2回やっています。春の昇給のときに、夏のボーナスも一緒に決めるという形と、あと、年末の賞与のための団体交渉をしています。
あと、ハラスメントなどの窓口がありまして、これは常時設営されていて、組合からも管理職側からもメンバーはいるという形です。
この赤字で書いてあるところが我々の会社での特徴ということになるのですけれども、トップを含めたメンバー一人一人との面接というのが年1回あります。本人と直属の上司と、それから工場長とかと、それから社長、会長ですね。だから、1対4~5名でやる、そんな面接ですけれども、社員と、準社員と言われている方々全員とやります。100名ぐらいになりますが、それは中小企業だからできるということで、やっています。
そのほかに、人事考課した後のフィードバック面接、これは本人と直属の上司とがやるという形で、年2回行っています。
それから、昼礼といって、会社の業績ですとか、今、我々が置かれている状況はこうで、こういうことに努力しなければいけないよねということをお話しするのを月1回やっているのですけれども、コロナになってからは、みんな集めると密になるので、昼礼は中止していまして、そのかわり、社内報は出しているので、伝えたい内容については社内報で全部皆さんに伝わるようにしているという形にしています。
この面接とかですけれども、実は人事管理制度の一環としてやっていまして、後から人事管理制度について、ちょっとお話しするのですけれども、何でそれを始めたのかというところ、次の6ページにちょっと書いてあります。ここに「神様と呼ばれた人の末路」と書いたのですが、どんなことかといいますと、実は私ども製造業なので、どんどん自動化、自動化という形は進めてきたわけですね。
昔は、こういった製品をつくるときも、大きな板を細かいブランクに切りまして、それを手で、プレスという機械にとんとんとんと送ってあげるという作業がメインだったわけですね。そういう作業をする作業者の中でも、一つのブランクをやって、次のブランクやってというその間を一回もあけずに、ずうっと連続してできるという、もう神業みたいなことをできる人がいたのですね。みんなからも非常に尊敬されていたのですけれども、当時もどんどん自動化されていくわけです。自動化されていきますと、そういった作業が全部自動化の機械でやれるようになってしまう。そうすると、その人はやる仕事がなくなってきたのですよ。
そんなこともあって、余り仕事に対してやりがいとかを感じられなくなったというのも多分原因の一つだと思うのですが、会社を去る形になりました。
そんなことを振り返ってみると、結果的には、会社としてはそういう人を使い捨てにしてしまったという思いが強いのですね。みんながみんな、どんなときでも輝いているという形に理想的にはするべきだろうということで、いろんな仕組み、人が育つ仕組みというものをつくっていこうではないかということで取り組んできました。
その仕組みというのは大きく言って2つでして、その一つが職能資格制度。これは中小企業ではつくっているところは少ないかとは思うのですが、職能資格要件表という中心のものがありまして、1級から6級まであるのですけれども、例えば製造の3級だったら、こういうことができなければいけないよと書いてあるのですね。できなければいけない仕事、やるべき仕事が書いてある。こういうことができなければいけないよと書いてあることが人事考課表とも連動していまして、さらに、3級でもABCDEとかあるのですけれども、3級のAで何歳だと幾らと基本給表と連動しているのですね。さらに、その要件表の中には、こういう教育がされていなければいけないとか、こういう資格を持っていなければいけないとか、そういう教育と連動するようにしている。
要は、やらなければいけない仕事と評価と給料と教育、その4つが連動する仕組みにしている。なぜそのようにしているかというと、やはりやる気のある人はどういう方向に向かって、どういう姿に向かって努力すればいいかということが少なくとも明確になっているというようなことですね。そんなことで、自己啓発を推奨するという形の仕組みになっています。
あともう一つが、毎年の面接ですけれども、面接の前に自己申告をしてもらうのですね。自己申告って何を書くようになっているかというと、今やっている仕事が自分に向いているか向いていないか、忙し過ぎるか暇過ぎるかとか、そういう今の仕事について書いてもらうのと、あと、1年間いろんな目標に取り組んでいるので、どういう目標に取り組んで、結果どうだったかということと、将来的にはどういう仕事につきたいかということも書いておいてもらって、それに対して上司も記入して、それをもとに、我々と一緒に面接をするのですね。
何でそれをやっているかというと、大きく理由は2つありまして、1つは、いろんな原因があってやる気をなくしている人というのも、100人からやっていると、毎年2~3名はいたりするのですね。そういう方々にはやはり別途フォローをしていくというような形をするということですね。
もう一つが、みんな、やる気のある人はいろんな自己啓発にも取り組んで力量が上がってくるのですけれども、上がってくるのはとてもいいことですが、上がってきた力量にふさわしい仕事とか課題が与えられているかというと、結構そうでなかったりするのですね。それだと本当にもったいないことなので、その辺をみんなですり合わせして、なんか物足りなそうだから、こういう課題を与えようとか、こういう仕事につかせようとか、このように配転しようとかいうのをみんなですり合わせするという形をとっています。
実はこれをやり始めて、特に面接をやり始めてから、定着率は極めてよくなったです。それまでは結構、優秀な人から先にやめていくということもなくはなかったのですけれども、これはとても効果あるなあと思っております。
次のページの社内ネットワークですね。これはWebでやっているネットワークですけれども、こういった規程関係、規程類はほとんどコンピュータの中で示されるという形にはしているので、特にISOなんかは、いろいろ改定、改定とやらなければいけないので、これはとてもプラスだったなと思っています。これのほかに、生産管理とか経理とかはそれぞれのシステムで動いているという形ではなっています。
あとは、メールの配信とか、今はズームの会議とかもWebでやるという形で、適宜、コンピュータは使いながらやっているという形になっています。
AIという形で言うと、次のページの【AI等デジタル技術の実装】、この辺になりますと、一番有効に使わせていただいているのが、ここに書いてある製造ライン上での全数目視検査というものなのですね。どういうことかといいますと、キャップつくりますね。つくって、最後、コンベアで流れてくるのですけれども、昔は、そのコンベアの上で必ず人が、悪いものが入っていないかどうかを見ていたのですよ。検査していたのですね。例えばこんなことあってはいけないですけれども、トヨタさんのキャップの中に日産のキャップが入っていたというともう大変なクレームになったりするわけですね。そういったことがないようにということで全数目視検査していたのですけれども、今はほとんどのラインが、9割方変わりましたけれども、画像処理検査装置で検査するようになりました。だから、人が一日そこで見ているということはほとんどなくなった。そんな形で、自動で全数の外観検査をするようになったのですね。
これは本当に、品質クレームは半減以上に減りました。ということだけではなくて、短時間での無人化というのがかなり進みました。それまでは必ず1人ついていなければいけなかったわけですけれども、全部自動で流れていて、最後、段ボールに入る、その段ボールを交換する作業だけは10分に1回とかやらなければいけない。ラインのつくり方によっては1時間に1遍とかいう形になりまして、その間は誰もついていなくてもいいという形になるので、1人当たりの生産性というのは極めて高くなったということではあります。
ただ、画像検査装置というのはそんなに安いものではないので、たくさんのラインという形になると一気にはできないので、徐々に増やしてきているという形で進めているところであります。
次のページにいきまして、そういった画像処理の検査装置も含めて、いろいろ新技術を導入したり運用したりするのですけれども、どんな工夫をしているかというと、金額的に張るもの、1000万円以上の設備というのは、ただ単に稟議書出せばいいぞというのではなくて、事前に何回か協議をしてから、やるかやらないかということを決めるという仕組みにしています。
それと、いろいろ新技術がそれぞれのメンバーに身につけてもらわなければいけないわけですけれども、そこで結構有効活用できているかなというのは、力量表というものですね。例えばこのラインを動かすには、こういうこと、こういうことができなければいけないぞということがかなり詳しく書いてあって、それに対して、この人はこれができる、これができませんといったものが全部一覧できるようになっているのですね。それが力量表というのですけれども、そういう中に、例えば画像処理検査装置にしたらどうかとかいうようなことも含めているということです。
そういった例の中で言いますと、それに対して組合、労働者側から何か反対があったかというと、これは一切ないです。なぜかというと、大変なのですね。一々検査するのだって大変だし、万が一見逃してクレームが出たりするととても大きな責任が発生するので、余りやりたくないなあということだし、検査しているということ自体で、スキルアップも必要ですけれども、やはりスキルアップも限界あるわけですね。それ以上どうしようもないよねというところもあるので、ほかのいろんな仕事、代替するような業務についてもらって、もっともっとスキルアップしていこうねというような、我々としての働きかけもあるので、それに対しての反対は一切ありませんでした。
あと、先ほどお話しさせていただいたように、自己申告とか面接に基づいての自己啓発と異動。これは、いろいろ新技術も入ってくるので、「どんな勉強をするの?」と。例えば電気制御の勉強をやったらとか、あるいは空気圧、エアコンプレッサとか、そういうのも使っていたりするので、いろいろ覚えなければいけないことはたくさんあるわけですね。それに対して、その人が置かれている状況の中で、ではこういうことをやったらいいよねみたいな課題をみんなですり合わせしながら設定するということはやっているので、それは異動も含めて、一人一人の持っている力を一番いい形で発揮してもらうということについてはいい方向には影響を与えているなと思っています。
次の10ページの【労使コミュニケーションの現状認識】のところですけれども、私ども、組合があって、実は春と冬の団体交渉の前は必ず組合アンケートを出してもらうのですね。これが匿名の自由記述というやつなのです。匿名の自由記述というのは結構辛辣なのですよ。今でこそそうでもないのですけれども、ちょっと前の会社の管理状況、余りよくないなと自分でも思っていたようなときは、私はどっちかというと余り感情の波風立てないほうですけれども、自分でもそれを読むとしばらくは仕事にならないというぐらい、いわゆる上司批判、会社批判というものがずうっと書いてあったりするのですね。それがまた当たっていたりするわけです。それは気分的にはよくないのですけれども、必要な情報だったなということはとても強く感じています。
中小企業で、なおかつ組合もないという会社だと、こういう耳に痛い話は絶対に経営者のところには届かないだろうなということは、いつもそれを見ながら感じているのですね。大体耳に届くときはその人がやめるときで、腹いせまじりに話をするぐらいだろうなと思っています。
その組合アンケートの中にはいろんなことがあって、例えば、ふだんコミュニケーションがとれていないので社員旅行には行きたくないみたいな話があって、全然ずれているなと。コミュニケーションが悪いから社員旅行を設定しているのに、逆の考えだなあとか、それこそいろんな意見が出るのですけれども、その都度、丁寧に対応はしていこうということで取り組んでいるところです。
次のページへ行きまして、ここのところに来ての新型コロナウイルス感染症による影響ですけれども、私どもの製品は、直接の影響はないのですけれども、大きく2つ、関連しての対応をしています。1つは感染防止策ですね。製造業でテレワークがとてもしにくいので、テレワーク以外のことは全てやったというような形では取り組んでいます。
あともう一つは、こういう18リットル缶、一斗缶というのは大体日本経済の内需と連動するということなので、これだけコロナの影響があれば、必ず落ち込んでくるぞと。多分、2割ぐらいは落ち込むぞというようなことは想定できて、また実際にそれが現実化したのですけれども、それに対してはあらかじめ対応をするようにしました。
年内いっぱい、20%へこんだ場合にはどうなるのだというようなシミュレーションをしまして、その場合は資金的にはどうなるのだという確認もしまして、少しでも利益をプラスに持っていくという、少なくとも営業利益をプラスにするにはどうしたらいいかと。原則、残業なしだよとか、設備案件は凍結だよとか、もっとへこんできたら、いわゆる休業をして雇用調整助成金をいただこうと。そのような準備のために、あらかじめ在庫は増やしておいてもいいぞというような取組をやる。
さらに、休業すると、一斉休業でなくて、順番に休んでいくという形になると、少ない人数でラインを動かすということをせざるを得ないですね。それはいい機会なので、いろんな挑戦をしていこうではないかと。昔と違って、二次的なトラブルというのはほとんどなくて、トラブったら機械は止まるという形に今なっているので、今まで、1台1人でやっていたものを1人で2台3台4台というような取組も、やろうと思ったらできるよね。稼働率は下がるけれども、そういう取組はできる。うまくいったら、それを次にずっとつなげていけばいいのではないかということで取組も同時にやるようにしました。
そういった意味で、どのような対応をするかによって、会社と社員の力量向上というのもつなげることはできるのだろうなということでの取組をさせてもらいました。
そういったことをずっとやってきたのですけれども、それに対しては、労使コミュニケーションは、特に組合とは対応策の都度協議していました。妊婦さんはもう出てこなくていいということを早くに決めたりとか、時差出勤とか、社有車、営業車は、普通は通勤には使わせなかったのですけれども、それを使っていいぞとか、休業やるので、その準備をするぞとかいうようなこととか、あと、リモートで会議をやるぞということ、重要な案件についてはあらかじめ組合と話をして、理解もいただきながら前に進めてきたというのは、いつもこれはやっているのですけれども、必要なことではあったなと思っています。
ということで、ざっと私どもの取組を御報告させていただきました。以上とさせていただきます。ありがとうございました。
○守島座長 広浜様、ありがとうございました。
それでは、質疑応答及び意見に入りたいと思います。ただいまの2社の御説明と、それから、先ほどありました事務方からの労使コミュニケーション調査についての御報告、それも含めた上で御議論いただければと思います。どなたでも御意見、御質問がある方は挙手をされて御発言いただきたいと思います。
では佐久間委員。
○佐久間委員 全国中小企業団体中央会の佐久間と申します。今日はありがとうございました。
2社様の概要等々お伺いしまして、「非常によくやっていらっしゃるな」というのが率直な感想でございます。まず、太陽生命さんにおかれましては、この10年、働き方改革というか、自社のAIを進めておられて、これからまたどんどん成果が出てくるのではないかと感じています。ご説明の中で、生産性ということを、社員の方々、また執行部の方々も上げられながら働き方の改革を進めてこられたと思いますが、生産性を上げるということについて、従業員の方々が新たな目標か何かをそれぞれが設定されて、または、目標を設定させられて、と言うと表現がおかしいかもしれませんけれども、それに基づいて給与と連動するようなものを自分たちでつくっていったのかというのをお伺いしたいなと思います。
その前提として、話が長くなってすみません、労働組合というか、内部の組合があって、内勤の方々の数と、それから営業の方々、組合員数が2260名で、ユニオンショップでありながら、どのくらいの役職者とその人数が入っていらっしゃるか、また、組合員資格がある方の組織率みたいなものも教えていただければと思います。
それから、もう一点ですけれども、春闘交渉と4つの協議機関があります。労働組合との交渉と、この4つの協議機関、労使交渉機関というか、そこのメンバーが組合員執行部となっていますけれども、全て同じになってしまうのか、そこのところを教えていただきたいと思います。まとめますと、生産性を高めるために、個々人が目標を持って、その目標の一例があったら教えていただきたいなというのが1点。
それから、組合員資格の中で、役職以上の方とか以下の方とか、どういう方々が加入されているのか、あとは春闘交渉と協議機関というのはメンバーが一緒になってしまっているか、その3点についてお伺いさせていただければと思います。
それから、株式会社ヒロハマ 様についてですが・・・。
○守島座長 すみません。ちょっとそこで一旦切りましょうか。
○佐久間委員 はい。分かりました。
○守島座長 それでは、一番ヶ瀬さんから。
○一番ヶ瀬氏 まず、人事制度について申し上げますと、フル成果主義型の人事制度になっています。期初に所属長と一人ひとりが目標を設定し、その目標を半期ごとにどれだけ達成できたか確認し7段階で評価を行います。その評価が賞与や年間の給与に反映される仕組みになっています。
賃金については、基本的には資格と職務ごとに給与の値段が決まっている内容になっています。大体30歳ぐらいまでの能力伸長期の従業員については、毎年B評価でも給与上がる仕組みとしていますが、管理職に積極的に登用される30歳前半からは、一定の職位以上に登用されないと処遇が向上しない仕組みとなっています。
それから、組合の組織率については、2,400名の内務員のうち組合員ではない従業員は、本社では部長と課長は組合員ではありません。支社では支社長、次長、事務長・業務教育課長、係長、非役職員という階層に分かれていますが、事務長以上が非組合員になります。したがって、従業員のうちの7割程度が組合員となります。
労使協議の出席者ですが、書記長、委員長等の専従役員は原則すべての労使協議に出席しますが、組合の中でも賃金担当部、ワークライフバランス担当部、イベントの企画・開催を行う企画広報部など、いくつかの担当部に分かれています。労使協議のテーマに応じて各担当部の部長も出席する内容となっています。
よろしいでしょうか。
○守島座長 ありがとうございます。では続けて。
○佐久間委員 すみません。長くなって申し訳ございません。
それでは、株式会社ヒロハマ様のほうですけれども、2つほど教えていただきたいと思います。先ほどと同じように、労働組合があるということですけれども、春闘交渉と、今回、中央労使協議会とか、職場の労使協議会とか、4つの協議会があるのですけれども、交渉する相手というのは大体同じメンバーになるのか、それとも、その執行部というか、組合の執行部以外の方が出ていらっしゃるということが多いのか。これは面接とか、ほかにやられることもありますけれども、この協議会のメンバーについて教えていただきたいと思います。
それから、AIの関係の機器、情報機器と言ってもいいと思うのですけれども、ヒロハマ様は検査装置を入れられたということですけれども、検査機器にはセンサーがついている機械とか、そういうのを導入されていると思いますけれども、それによって、人を少し動かしたほうがいいなとか、人数を少し動かしたほうがいいなということで、何か省力化というか、人事配置をしたときの、経営側というか、会長さんにとって留意した点みたいなのがあるかどうか、教えていただければと思います。
以上です。
○広浜氏 まず、労使コミュニケーションの中央労使協議会とか、場所別とかあるのですけれども、これは組合のほうの委員が、本部委員というのがいまして、それのメンバーとやるのが中央労使協議会であり、団体交渉です。支部は支部で、支部の労働組合の支部役員というのがいまして、千葉は千葉、大阪は大阪でいるのですね。その支部役員との話し合いというのがこの場所別の労使協議会というような位置づけでやっています。
話す内容は、中央労使協議会のほうは会社全体の、いわゆる制度がこのように変わる大きな内容の話とか、あるいは会社の業績がこのように推移しているというような話とか、決算の報告とかの中央労使協議会とやるという形で、場所別の労使協議会のほうは、それぞれの事業所の業績報告もするのですけれども、主に議題に上ってくるのは、それぞれの工場でいろいろ組合員のメンバーが気づいた、改善したい事項ですね。あそこに段差があるので直してくれませんかとか、ちょっと駐輪場の屋根が壊れているので何とかしてくれませんかとかいうような話が結構多いです。
そういう話は、本来は職制を通じてやったほうがいいのじゃないのという意見もあるのですけれども、職制で言いにくいからこういう場で出ているのだから、それはそれでよしとして、真摯に対応はしていこうとしているところです。
それから、配置の問題ですね。今もいろんなセンサはついていて、その配置の問題ともちろん微妙に絡んできます。それについては現場のほうでそれぞれ対応しているのですけれども、ではどんな対応をしているかというと、結局、どういう仕事で、どんな時間が取られているかとか、どこにトラブルが多いかとか、そういったことというのは現場の作業者が一番よく分かっているのですね。そういったことを自分で解決するというようなことを奨励していまして、解決してくると、ではこの辺のところは今まで2人必要だったのが1人でもいいよねというような形に、自らそういった体制をつくっていくというところを大切にしてやってもらっている感じです。上のほうからああしろこうしろという形の指示よりは、現場のほうで改善を自発的に進めた結果として、そういう配置になってきたというケースのほうがほとんどかなと考えております。
以上です。
○守島座長 ありがとうございました。オンラインの方で何件か質問をいただいております。まず、後藤委員からお願いします。
○後藤委員 今日は御説明ありがとうございました。太陽生命さんに3~4点御確認させていただきたいと思います。
1点目は、先ほど佐久間委員からも御発言があった内容に関連するのですけれども、職種区分全体で見ると1万人を超えているように思いますが、組合員数は全員ではないという御発言でした。この差分に当たる方々はどういう職務区分の人たちなのかということと、組合に入られていない方々との労使コミュニケーションはどのようにとられているのかということをお伺いしたいと思います。
2点目ですけれども、大分前から自動化、そしてペーパーレス化を進められてきたということですが、そういった対応を導入していくときに、導入する前段で労使コミュニケーションを行ってきたのか、あるいは職種の変更や、人事制度の変更など、直接社員の方々に何か影響が出る段階で労使コミュニケーションを実施されたのか、どういったタイミングでされたのかということをお伺いしたいと思います。
3点目については、事務要員の方々を大幅に減らしたという御説明があり、その上で、営業戦略だとか、かけつけサービスへ移行させていったということですけれども、そういった職種を転換、あるいは移行させるときに、教育訓練などはどのように進められたのか、あるいは職種を転換するということに対しての納得感はどのように醸成されたのか。先ほどの御説明ですと、トップからのメッセージを発信してということだったと思うのですけれども、それで十分であったのかどうか。または、職種転換や移行へ対応できなかった社員の方もいらっしゃったのではないかと推測するのですけれども、会社や組合のほうでどういったフォローをされてきたのかということがお伺いしたい点です。
4点目については、最後のページに、労使コミュニケーションをとりながら、時代の変化を先取りしてスピーディに施策を行っていくということがあったのですけれども、労使間のコミュニケーションと施策のスピーディさと、丁寧な労使協議を両立するポイントがあればぜひ教えていただきたいと思います。
以上です。
○守島座長 では、よろしくお願いします。
○一番ヶ瀬氏 まず、職種区分について、組合員ということで申し上げますと、資料の5ページを見ていただくと職種区分が記載してあります。このうち、5ページの内務員と記載されている総合職、エリア総合職、一般職、担当職、継続雇用嘱託職員が基本的には組合員になります。弊社では事務パートタイマーと営業職員については組合員化がされておらず、ここは今後の課題になるのかなと思っています。
組合員化されていない事務パートタイマーにつきましては、月に1回、内務員が原則全員参加する、内務員ミーティングを開催しています。その中で、パートタイマーの処遇に関する意見を聞き、会社のほうで徹底しなければいけない法令改正やコンプライアンスの対応ですとか、必要な事柄を徹底しています。営業職員については、営業部門や営業職員を管理する部門が支社長や次長等の支社管理職が、営業職員や従業員代表から意見吸収をする形でコミュニケーションを図っています。
2点目の、IT化を進めてきたことについては、9ページに「当社の労使協議機関」を記載してあります。この中で、決算労使懇談会において中期経営計画や太陽の元気プロジェクト、大きな組織改編等を行う場合には、必ず事前に組合に経営の考え方や対応方針等について説明しています。今回のIT化の推進についても、毎年の労使協議会の中で、IT化を進めるが、リストラはせず雇用は確保する、それから、会社が成長するためにIT化が不可欠であることや今後の従業員に期待すること、働き方を変えていただくこと、そういうことについて丁寧に説明をして取組を進めてきております。
併せて、働き方が変わるということになると、人事制度も変えなくてはいけない、人事評価制度も変えなくてはいけない、仕事の中身の変更、会社が求める役割を適切に評価する仕組み導入しなければならないという観点から、2001年以降、5年に1度の割合で人事制度の改定、人事評価制度の改定を行ってきています。その中で、従業員に求めることや期待することを丁寧に労使でコミュニケーションをしております。基本的には事前に労働組合に趣旨や内容を説明して、従業員の意見・声を組合に集約していただいて、それを踏まえて労使協議を繰り返し行い、納得感のできるだけ高い人事制度や人事評価制度改定を行っています。
それから3点目の、仕事が大きく変わっていくということについては、労使協議を通じた取り組みに合わせて、会社側でも働く労働者の意識を変革するための取組みを数年間かけて行っております。例えば支社内で今まで事務だけを行っていた従業員がお客様のところに訪問してお支払い手続き等のかけつけ隊サービスを行っていく取り組みを推進する際には、支社の組織も変更しますが、サービス部門の統括部署を中心に全国の一般職全員を対象にした研修を繰り返し開催したり、支社に配置されているカスタマーサービスを担当する係長だけを全国から本社に集めて研修を行ったりしました。加えて、支社でお客様サービスを充実させるための独自の取組みを検討・実施させ特に優秀な取り組みを毎年表彰する全社的なコンテストを毎年開催して従業員の意識を変革する取り組みも併せて行いました。
さらには事務ではなく訪問サービス業務に積極的に取り組む従業員を高く評価するという会社のスタンスを示すために、例えば賞与において、かけつけ隊に多件数訪問した従業員や、CMを見て当社の商品に興味を持たれたお客様のところを多件数訪問し、成果を上げた従業員を特別に評価し賞与を増額する施策を3年連続で導入し、お客様を訪問し多様なサービスを実施することがすばらしい仕事である旨を賞与の支給においても体現しております。当社の働き方改革の一つの総仕上げとして今年の4月から大きく人事制度を変更していますが、訪問サービス業務に関する詳細な評価項目の導入、新しい仕事に挑戦する従業員を高く評価できる評価体系、さらにはFPをはじめとした営業・サービスに関する資格取得を後押しできる人事評価項目の導入を行うとともに、成果主義型の給与体系への変更や評価乗率の拡大も行い、よりメリハリの効いた新たな働き方に対応した人事制度を導入するなど、事務から営業・サービスへと働き方を大きく変革する対応をこの10年間様々な対応を行っております。
最後の時代の変化を先取りしてきたことについては、労働組合と会社の間の信頼関係という観点で言うと、弊社においては基本的に処遇の引き下げについては、過去20年間を振り返っても、リーマンショックなど余程のことがない限り賞与の削減は行っておらず、むしろ処遇を継続的に向上させてきています。加えて労働時間の大幅な縮減や有給休暇の取得促進、仕事と生活の両立支援、住環境の改善、子育て世代への経済的な支援などについても、会社側から組合に毎年提案を行い、労働条件が格段に向上していることを労働組合や従業員が実感し建設的な労使関係が継続的に構築されていることが、大きな働き方改革の成功に繋がっているものと認識しております。 65歳へ定年延長を行った際にも、経営側では人件費が増加するのではないか、役職定年を廃止する、年齢による処遇の切り下げを廃止して新入社員から定年である65歳まで正社員で雇用すると人件費が大幅に増加するのではないかという議論は当然ありましたが、当時の社長である田中社長が、人件費はコストではなくて投資である。太陽生命は成果主義型の人事制度を導入しており、年齢で処遇が切り下がるとか役職を降職することは理念にそぐわない、経営理念を優先した人事制度改定を行うべきであるとして現在の人事制度が構築されています。こうした従業員の処遇やモチベーションが大幅に向上する人事制度改定であったので非常にスピード感のある労使交渉が実現できました。
私も、入社して23年が経過しましたが、自分が入社したときの労働環境から考えると、隔世の感があるなと実感します。当時は24時間働けますかという栄養ドリンクのCMが流行しましたが、今は、総労働時間の縮減、有給休暇の取得促進、仕事と生活の両立支援、テレワークの導入、健康経営の推進など価値観や労働環境が大きく変わってきていることを実感しております。
以上です。
○守島座長 ありがとうございました。では続けて、戎野委員、お願いいたします。
○戎野委員 ありがとうございます。大変貴重なお話、ありがとうございました。
今、後藤委員より御質問ありましたこととちょっと重複するところもあるかもしれませんが、両方の会社様にお伺いしたいと思います。やはり今回、この技術革新等の中で、仕事が大幅に変わっていくこと、またそれに伴い働き方も変わるというところ、ここは非常に大きなポイントであると思います。そこで、制度面やコミュニケーションについてお伺いしたいのですけれども、5年、10年働いていたベテランの社員になれば、今までの仕事に誇りを持っていたり、またそこに自らの自信もあったりする中で、いわゆる技術革新を迎えて、そういった能力ではない、新たな能力が求められてくるということは、本人にとってはやはり大きな変化でありますし、それは日々のやる仕事内容の変化だけでなくて、気持ちの面でも大きく変わることです。そして、本人が新しく能力向上を図ることも大変大きな負荷だと思うのです。
様々な対応をなさっていることはお伺いしたのですけれども、もう少し詳細に聞きたいところがございます。今、定年年齢も上げていらっしゃるところもある中で、年齢が上がっていけば、やはりそれについていくということが難しい方がいらしたり、また、適性上、事務の仕事が非常に好きで、あるいはまたそこにやりがいを持っていたのに、お客様に会わなければいけないのはすごいストレスだとか、考えてもいないことが起きている中には、トラブルやアクシデントもあるのではないかと思うのです。
自己申告して、自己啓発してくださいというような面接があるということもありましたけれども、そんなこと、私、ちょっとできませんというような方、あるいはいろいろと悩まれる方も中にはいらっしゃるのかなあと思いました。なかなかついていきにくい人、また習得に時間がかかる人など、こういう人に対してどのような対応をとってきたのでしょうか。最初に事務局のほうから労使コミュニケーションの調査を御紹介いただきましたけれども、その中には、組合を通しての会合のほか、上司との関係、あるいは職場全体で何か一丸となってやっていくみたいなこともありました。この辺りも含め、なかなかついていけないタイプに対して具体的にどんな対応があったのかというのを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○守島座長 では、よろしいでしょうか。
○一番ヶ瀬氏 弊社の場合ですと、仕事が事務から営業・サービスに変遷してきましたが、新契約の引受業務や契約内容の変更業務、保険金等のお支払業務、支社での電話による顧客照会業務などペーパーレス・キャッシュレス化されていますが事務的な対応が必要な業務も残っています。
支社の中においても適材適所というのもありますし、何十年もずっと事務的業務で働いてきた人がいきなり訪問サービス業務を遂行できるかというと、抵抗がある方も中にはいます。したがって、支社の中で各個人に役割を与えて、訪問サービス中心の従業員、支社内での契約関連業務や顧客対応業務が中心の従業員というように役割を与え、時間をかけて訪問サービス業務が全員対応できるよう育成していきました。こうした時間をかけた人材育成に合わせて、会社の価値観を変えていく必要があるため、訪問サービス業務に積極的に挑戦する従業員を高く評価する、新しい仕事に挑戦する人を高く評価するなど人事制度改定も適宜行いながら、この10年かけて、働き方・価値観を変えてきました。
今でも、やはり事務の仕事が得意な従業員、訪問サービス業務が得意な従業員、両方得意な従業員が存在しますが、適材適所で個々人に目標を与え適切に評価できる仕組みに2020年4月から改定しています。組合からも、毎年の組合アンケートの中で、新しい仕事はやりたくない、そういう従業員も複数いましたが、一度お客様のところに直接行って、お支払手続時にお客様から言われることは「わざわざ来てくれてありがとう、すぐに来てくれてありがとう」です。お客様から目の前で大変感謝をされる仕事に基本的にはなります。そうした経験を積むと、自社の販売している保険商品に誇りが持てますし、会社が推進しているサービスについても、お客様に非常に喜んでいただける、行けば行くほどお客様から感謝される仕事ばかりですから、今では、もうサービス業務をやりたくないという従業員はほとんどいないと思います。
また、社内コンテストというのですか、143ある支社の中で様々な訪問サービス等に関する優れた取組や、効率化に関する優れた取組などを本社で選考し、特に優秀な取り組みを行っている支社については、社長賞、会長賞など毎年表彰するようにしています。
加えて、大きな改革を推進するためには管理者の理解も重要です。そのため、経営を推進する側の部長、課長、支社長、次長にも業務改革や働き方改革に関する経営の思いをしっかり理解してもらう必要があるので、年に4回程度実施する部長・支社長会議の場で社長・会長から繰り返しお話をしていただいています。さらには次長や課長を対象とした管理職研修の場で人事部門等から経営の思いを伝えたり、働き方改革や労務管理、健康経営の推進と併せて様々な従業員の声や従業員に対する対応をきめ細かく伝えたりしてきました。その結果、業務改革や働き方改革が成功し今に至っていると考えております。
最後に、平成22年度から新卒の採用を9年間中断していました。その9年の間に、定年退職と中途退職で一般職の方の人数が1,500人から1,000人に減少し、事務パートタイマーについても定年でパートタイマーの人数も減少させてきました。本当に一切リストラはやりませんでした。一方で、4年前から新しい働き方ができる一般職の採用を再開して、新しい働き方での採用が約100名となりました。もう事務ではなくて、訪問サービスをする、営業サービスをする一般職が新しく入ってきて、全体の1割を占めてきていて、その層に対する教育研修を会社を挙げてやっていますので、随分雰囲気が変わってきたと思っています。
以上です。
○守島座長 ありがとうございました。では続いて、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 ありがとうございます。連合の仁平です。
最初に説明のありました労使コミュニケーション調査に関しての意見です。資料の5ページ、6ページを見ますと、日常の業務改善、職場の作業環境、人間関係、賃金、労働時間などについて、労使間のコミュニケーションが深まっているのはよい傾向なのですが、経営に関する事項について見ますと、平成21年ですから、リーマンショックの後ということになると思いますが、この時と比べますと、それ以降では、労使ともに労使コミュニケーションにおいて経営に関する事項を重視する比率が下がっていることが気になるところでございます。
9ページには労使協議に付議する事項という項目がありまして、ここにおいても、経営に関する事項について、平成26年調査以降、割合が大きく低下しております。設問が変わっているので、そのまま数字を比べられないということはあるかもしれませんが、この傾向は気になるところです。
前回御報告いただきましたAIに関する労使コミュニケーション調査によると、AIの導入は、経営判断のため労使協議は必要なしという回答が5割程度あったかと記憶しております。そういうことも考えますと、この10年程で、労使コミュニケーションの中身が変化してきているのかもしれないと感じております。一方では深まっている部分があり、一方では薄くなっている部分があるのかもしれないということです。
リーマンショックのときには、多くの雇用問題が発生しており、必然的に経営に関する事項についての協議が多く、一方、最近は、働き方改革などへの対応が協議の中心になり、労働条件と職場のトラブル解決などが労使コミュニケーションの中心になっていたところもあるのかもしれません。
しかしながら、足元の状況は、コロナ禍への対応、そして新技術の進展なども重なり、企業や働く者を取り巻く状況が急速に変化している局面であり、労働組合としても、賃金等の諸条件のみならず、将来の事業展開など、より幅広い事項を労使で話し合うことが一層大事になっていると考えております。
そういう観点からしましても、本日お話を聞かせていただきましたお二方、太陽生命さん、ヒロハマさんとも、経営課題も含めて常日頃から労使で意識の共有を図ることを大事にしている好事例なのだろうと思います。今後の検討の中で、今申し上げた視点も含めて取りまとめに向けた意見交換をしていくことも必要かと思います。
○守島座長 ありがとうございました。それでは、オンライン最後で、根橋委員。
○根橋委員 ありがとうございます。根橋でございます。
大変有意義な御報告をいただきましてありがとうございました。その中で、株式会社ヒロハマ様に対して4点ほど質問させていただきたいと思っております。
まず、ヒロハマ様の資料2ページに、労働組合はオープンショップで、正社員のみ対象としていると記載されており、ほとんどの正社員の方が属しているという御報告をいただきました。非組合員についてはパート協議会等々で対応しているというお話を聞きましたが、このパート協議会は労働組合と同様な機能を有しているのか、あるいは労働組合がそういった機能を補完しているのかについて、お教えいただきたいと思います。
2点目でありますが、先ほど戎野委員からの発言にもございましたが、6ページで御説明いただいた、自動化、機械化の結果、従業員が担うべき仕事が再定義をされて、新たな役割を担うために必要なスキルセットが大きく変化した際に、職場で長らく旧来型の技術を有してきた皆様方、御説明の中で、神様と言われた方々のスキルアップ、スキルチェンジが大きな課題であったと思っております。
過去には労使関係が敵対的であったというようなお話を伺いまして、その要因は様々なものであったと思っておりますが、こうしたスキルアップ、スキルチェンジ等の課題、また職場の納得感が醸成されなかったことなども、労使の摩擦を生んだ要因であったのかどうか、差し支えない範囲でお話しいただければと思っております。
3点目でありますが、8ページで、AI等デジタル技術の実装で品質クレームの半減などの効果があったというお話を伺いました。こうした今まで導入してきた新技術のうち、職場からの改善提案ですとか労働組合の提案など、現場からのボトムアップで導入した事例があるのかどうかについて御教示いただきたいと思います。
最後になりますが、中小企業の経営者からは、信頼感、緊張感ある労使協議の実施が難しいですとか、労働者からは、なかなか現場の思い、また課題を吸い上げてくれない、また、労働組合からは発言型組織の役割を担えていないといった声も多く耳にしております。そのような中でも、御社については様々な労使コミュニケーションの方法、また工夫により意識のすり合わせを行っているという御報告をいただきました。うまくいっているポイントは何か、また、今後感じている課題等があれば御教示いただきたいと思っております。
以上であります。
○広浜氏 まず、御質問の1点目ですけれども、パート協議会のほうは、組合と同じような機能を持っているとは思っていないです。それを組合のほうが、簡単に言うと面倒見ているという感じで、例えばパートさんも昇給とかを決めなければいけないのですね。その辺のところの、会社のほうでこのようになりますということについては、組合との団体交渉の中でお話をして、それがパートさんのほうに伝わるという形になって、いわゆる会社との窓口としては組合がなっているというような位置づけになっています。
それから、2つ目の御質問ですけれども、よくない労使関係のときに例えばどんな感じだったかというと、私、ヒロハマという会社に入った頃の状況は実はそうだったのですけれども、組合の人の中でやはりそれなりにやる気のある人もいて、例えば始業前にちょっと油くれてやって始業運転をする準備をする人もいたのですね。そういうのを見てほかの組合員が声かけるのですけれども、何と言うかというと、おまえ、何やってるんだ、おまえ、会社の犬かみたいな、そのような感じだったのですね。だから、いわゆる社員と言う前に組合員という雰囲気が強かったなと思っています。
当時だと、生産性上げなくちゃねという話をすると、それは労働強化ということですかという答えしか返ってこなくて、非常に苦労したことはあったのですけれども、あるときから、我々のほうもいろいろ勉強しまして、結局、1人当たりの生産性を上げないことにはみんなの給料上がらないんだよね、それと同時に、いわゆる労働時間も減らすこと、長労働時間を減らすことできないよねという、簡単な計算式を示しまして、いわゆる人時生産性、1人当たりの1時間の生産性掛ける年間労働時間掛ける労働分配率が給料だよねという話の中で、要は、1人当たりの生産性、1時間当たりの生産性を上げないことには、上げたいと思っても上げられないと、会社つぶれちゃうよねというような話をずうっとやっていきまして、その辺で納得がだんだん得られてきて、実際に生産性を上げるための種というか、材料というのは、我々よりも現場の人がたくさん持っているのですね。どういうところでつまずいているか、どういうところでトラブルがあるか、一番よく分かっているので、そういった形で、全社的にそっちの方向を向くようにだんだんなってきたというような形ではありました。
あと、改善提案ですけれども、大きな提案で、社員からの提案でこれで大きく変わったというものよりは、今は、例えばコストダウンとかも、チーム、グループを組んで、それぞれのグループで改善提案をするように、そういう仕組みにして、ほとんどの人がそれに関わるという形で今やっているのです。実はその形でやるようになってから、その目標が、我々の会社クラスでも何千万というぐらいのメリット計算の出せる改善提案というのがそれぞれのグループから累積すると出てくるようになって、要は、たくさんの人が小さな改善でもみんなで出し合うということがないと、コストダウン一つにしても達成できないのだなというのは、そういった結果を見てもすごく強く感じていて、以前は、例えば工場長とかが、こういう形でコストダウンやりますと3点ぐらい挙げてそういう計画を出してくるのですけれども、達成できたためしがないのですね。ところが、今はそういった形でそれぞれのボトムアップの形での提案というものを大切にする仕組みにしてからはほぼ毎年達成できるようになったということがありました。
それから、最後の信頼感、労使の信頼感のことですけれども、これはずうっとやってきていて感じるのは、経営者の姿勢というのは1つ、初めの段階ではとっても重要だなと思います。先ほどのアンケートの中にも、会社批判みたいなところで、経営陣の一部で、これは批判されてもしようがないよねというようなものがあると、やはりそれが災いはするということは強く感じているところです。そういう消極的な要因が1つあります。
あともう一つは、この間に会社のほうも経営理念もつくりかえて、実はお客さんに対しても、特殊な業界なので、我々こそが缶の業界を全面的に支援するぞというような大きな目当てを立てて、それに向かってやっていくということについては、やはり働いている人もそれなりの誇りも持てるという形にはなってきたとは思うし、もう一つ、一人一人が持つ全ての能力を一番ベストの形で花開かせようという経営理念もあって、それに基づいて面接だとか人事管理制度とかをつくってきているので、そういうところについては、それぞれ自分が輝くためにはそういった方向が必要だよねということも感じ取ってはくれていると思うので、そういった全体的な動きの中で、徐々に徐々に信頼感とか、だんだん培われてきたかなということは感じています。一朝一夕にはいかなかったなということを、振り返って、今、考え直ししているところです。
以上です。
○守島座長 ありがとうございます。広浜さん、申し訳ないのですけれども、先ほどの戎野さんの御質問、両方ともというお話だったので、すみません、ちょっと簡単にお願いします。
○広浜氏 先ほど、仕事が大幅に変わる中で、それはできませんという人も中にはいるのではないかという御質問があったかと思うのですけれども、実は私どものところは、パートさんと、それから準社員と社員となっていまして、それぞれ上には行ける仕組みにはなっているのですけれども、基本的には、パートさんは御自身が扶養家族でいたいという方、働く時間も少なくて賞与もないという形なのですね。それぞれ、仕事の我々の与え方というのは、ある程度の範囲を示しています。
パートさんの場合は、望んだ職種で選んでいいよと。この職種以外はやりたくありません。それもオーケーという形ですね。準社員の場合は、職種は選べない。だから、検査だけやりたいと言ってもだめ。そうでなくて、現場の作業もやってもらいますよというのが準社員ですね。社員の場合は、それだけではなくて、残業ももちろんあるし、同じ仕事、例えば現場作業の中でも、ラインを動かせばいいというだけでなくて、修理もしなきゃだめ、金型交換もしなきゃだめ、調整もしなきゃだめ、あらゆるところにレベルを上げてもらいますよと、そのような仕事の取組方をしています。
それが前提になるので、少なくとも社員になっている人は、いろんな課題設定されたときに対して、それはできませんとか、やりませんとかいうのは基本的にはない。ただ、得意か不得意かというのはあるので、それを見ながらやっていくわけですけれども、結構、力量表の中で、こういったことが今できています、これができません、ではこの1カ月の間にこれができるようにやろうねみたいな、そういう細かなすり合わせはしていまして、そのことに対して一つ一つ取り組んでスキルを上げていくというような形は、社員はやっているということです。
準社員にしても面接をやっているので、社員になる気持ちないですかとか言って毎年確認はするのですけれども、中には、いや、いいですという人もいるのですね。今のままでいいです、そういう人もいます。そういう人はそういう人で、では今の仕事頑張ってねという形でお話はしていて、やはり一人一人の思いといったものを大切にしながらこれからもやっていきたいなとは考えています。
大体以上です。
○守島座長 ありがとうございます。
○戎野委員 ありがとうございました。ちょっと今のことでよろしいですか。
仕事が変わったことによって、もう準社員に変わりたいという人もいますか。今までの仕事を変わらなければいけない。技術革新によって。そういうことはとてもこれから、自分は勉強したりするのはとても厳しいと。特に年齢が上がってきたりすると。そうすると、逆に準社員になりたいという方はいらっしゃるのでしょうか。
○広浜氏 今までそういう事例はないですね。社員から準社員になりたいという方はいなかったです。
○戎野委員 ありがとうございます。
○守島座長 ありがとうございました。もうちょっとあるのですけれども。
では、井上委員。
○井上委員 ありがとうございます。日本商工会議所の井上です。私からは、本日の感想を手短に述べさせていただきます。
まずは、太陽生命保険様、ヒロハマ様、経営理念を明確にされながら、労使間でのコミュニケーションを図られ、業務改善を重ね、生産性を高めながら事業をしっかり拡大されてこられたすばらしいお取組のお話、大変勉強になりました。本日はありがとうございました。
さて、事務局より本日御案内いただきました労使コミュニケーションの結果の8ページですね。現状としまして、労使協議機関がない企業が全体の6割を占めていると。これはまさに中小企業含めまして、日本国内の現状なのかなと思っております。
また、6ページの労使コミュニケーションを重視する内容では、職場の人間関係とか日常業務、作業環境改善といった職場の基本的な内容も上位を多く占めております。
さらに18ページになるのですが、労働者の不満や不平の内容では、日常業務の運営に関わることが最も多いと。さらに、そのような内容、不満を直接上司に相談しているという回答が圧倒的に多いという状況になっております。
このような状況を踏まえますと、労使協議会の有無にかかわらず、労使間や上司と部下の間で日常業務、人間関係のことを密にコミュニケーションを図っていくことが大変重要であると認識しております。加えて、近年では、新型コロナウイルス感染症を境にテレワークを導入した企業も増えておりますので、チャット機能とか、本当に気軽に取り組めるツールなどを活用して、労使のコミュニケーションを円滑に図っている、企業の規模を問わず、そういった企業も増えておりますので、リアル、そしてオンライン、しっかり気軽に取り組める企業の取組を今後も幅広く周知、または、このような場を通じて今後も共有されることが大切であるのではないかと考えております。
以上になります。
○守島座長 ありがとうございました。では、池田委員、お願いいたします。
○池田委員 御報告ありがとうございました。
時間も迫っておりますので手短に伺いたいと思いますが、今回御報告いただいた両社に共通するところは、ほかの委員の御指摘もありましたが、今回冒頭に紹介していただいた、労使コミュニケーション調査の参考資料にもついているように、日本の労働組合の組織率が非常に低迷していると言われる中で、いずれも比較的組織率が高い労働組合があって、そこと経営側との比較的良好な労使関係があって、それをベースにしてコミュニケーションを取られているということが非常によく分かりまして、大変興味深く拝聴させていただきました。
そこで伺わせていただきたいのですが、これまでの質問と重複してしまうかもしれませんが、この検討会のテーマであるところの技術革新とか新技術の導入という観点では、今日もお話にあったとおり、比較的トップダウン型といいますか、経営側が発信して実施するというものが多くなりがちかと思うのですが、そのプロセスに労働組合が介在することの意義について、どちらかというと経営側を代表していらっしゃっているお二人がどのようにお考えかお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○広浜氏 それは、新技術導入だけということではないのですけれども、労働組合があることの意義といいますか、私が感じているのは、何点かあるのですけれども、その一つは、労働組合と交渉の中で、総論賛成、やはりこうあるべきだよね、そうですねということを確認できるというのが一番大きくて、そのほかの各論反対というのは幾らでもあるのですね。各論反対の部分は、やはり組合としての組織の中でもある程度の統制はかけてもらうという形がとれるというのは、特にずうっとやってきた中で賃金体系の変更とかいった場合には、絶対それが必要だったなということを強く感じています。
そのほかに、経営側が気がつかないところを組合通じていろいろ問題点を指摘してもらうという役割はありますけれども、一番のところは、そういう総論賛成、各論反対は何とかしてねという、その部分かなということを感じています。
以上です。
○守島座長 ありがとうございます。では、一番ヶ瀬さん、お願いします。
○一番ヶ瀬氏 私も自分が労働組合の委員長をやっていたときに特に感じましたが、組合活動というのはより純粋な活動ではないかなと思います。労働組合は経営権を持っているわけではなく、より民主的に従業員から意見を吸い上げて、その中で会社がやるべきこと、もしくは向かうべき未来ということについて組合員同士がしっかり議論をして、それを会社にきちんと筋道を立てて会社に提案する、民主的な組織であるということが従業員の人材育成機関としての機能とあわせて一番重要なところなのではないかと思います。やはり経営側は人事権も含めた経営権や大きな予算を持っていますから、従業員に強く指示・命令することも可能ですが、組合員からの組合費で運営される労働組合の場合は各施策を理屈で考えて、よりピュアに議論をして経営にぶつけられる。そうしたところが労働組合の最大のメリットなのではないかなと思います。
そこには当然耳の痛い話というのもありますが、そうした事柄も含めて、健全な労使関係の中できちんと協議が行えるそういう組織として労働組合は重要ではないのかなと考えます。是非、今後も会社の施策、方向性を踏まえて、いろんな声を持っている従業員の声を吸い上げて、正しいと思うことをきちんと経営に伝えられる、そういう機関として弊社の組合には活躍していただきたいと考えています。
以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
それでは、そろそろ時間になりますので、本日の会議はこれで終了させていただければと思います。
それでは、事務局から次回日程について御連絡をいただきたいと思います。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 次回の検討会は、12月4日(金曜日)の14時から16時の開催を予定しております。詳細につきましては追って事務局から御連絡いたします。
○守島座長 それでは、広浜様、一番ヶ瀬様、本日は、お忙しい中、どうもありがとうございました。
これで本日の会議は終了したいと思います。皆さん方、どうもありがとうございました。