第91回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第91回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和2年11月16日(月) 14:58~16:20
 
2.場所 AP虎ノ門 会議室Aルーム(一部オンライン会議会場)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

3.出席委員
(公益代表委員)
○東京大学大学院法学政治学研究科教授 荒木 尚志
○慶應義塾大学名誉教授 大前 和幸
○名古屋大学大学院法学研究科教授  中野 妙子
○読売新聞東京本社編集委員 宮智 泉
○慶應義塾大学大学院法務研究科教授    森戸英幸

(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理  楠 博志
○日本化学エネルギー産業労働組合連合会副会長 安原 三紀子
○全国建設労働組合総連合労働対策部長  田久 悟
○日本基幹産業労働組合総連合会中央執行委員 黒島 巌
○UAゼンセン労働条件局部長  髙橋 義和
○日本労働組合総連合会総合政策推進局長 仁平 章
  
(使用者代表委員)
○日本通運株式会社 人財戦略部専任部長 北 隆司
○セコム株式会社人事部主務 久保田 祥子
○一般社団法人 日本経済団体連合会労働法制本部長 鈴木 重也
○東京海上ホールディングス株式会社人事部ウエルネス推進チーム専門部長 砂原 和仁
○鹿島建設株式会社安全環境部部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社人事労政部部長  山内 幸治


4.議題
(1)特別加入制度の見直しに係る関係団体からのヒアリング
(2)特別加入制度の対象範囲の拡大に関する検討事項
(3)労災保険率について
(4)令和2年労務費率調査結果
(5)押印を求める手続の見直しのための厚生労働省関係政令等の一部を改正する政令案(仮称)等(諮問)
(6)その他
 


 
5.議 事

○荒木部会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから第91回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会を開催いたします。本日の部会は、会場からの参加及びオンラインでの参加と併せて実施いたします。
委員の出欠状況ですが、水島委員が御欠席と承っております。出席者は現在16名となりますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ3分の1以上の出席がありますので、定足数は満たしていることを御報告いたします。カメラ撮りは、ここまでということでお願いします。
それでは早速ですが、第1の議題に入ります。「特別加入制度の対象範囲の拡大に係る関係団体からのヒアリング」となります。本日はお忙しい中、日本柔道整復師会の三橋理事においでいただいております。それでは、三橋理事より御説明をよろしくお願いいたします。
○日本柔道整復師会(三橋理事) 日本柔道整復師会総務部長を務めております三橋と申します。本日は、このような機会を頂き、誠にありがとうございます。短い時間ですので、早速お手元の資料を基に御説明いたします。
我々柔道整復師、「柔道整復師」という名前はなかなか皆さん御覧になったことはないかと思いますが、実は町で開業をしております接骨院や整骨院、これらの業種でございます。ここに書いてあるとおり、例えば専門学校を3年間修了、若しくは4年制の大学を出て、国家試験の取得の条件が満たされて、国家試験を受験し受かった者が、厚生労働大臣免許の柔道整復師となるということです。現在では、資格取得後に3年間の実務経験と研修の受講により、いわゆる保険の取扱いができる職種になっております。ちまたでは、整体師、カイロプラクティック師等がありますが、これらは全く国家資格ではないですので、是非御理解いただきたいと思います。
我々の業務につきましては、御存じの方もいらっしゃると思いますが、いわゆる骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷という5項目の損傷に対して、例えば骨折であれば手術をしないで徒手整復を行って、患者さんの自然治癒力を十分に発揮させて骨をくっ付けていく、あるいはじん帯をくっ付けていくという、そのような業務内容です。最近、本当に単なるマッサージを行うような所が非常に増えてしまって、恐らく本日御出席の皆様の中にも、ああそうだったんだというふうに思われる方もいらっしゃるのかなと思います。
3ページに歴史的なものが書いてあります。日本古来の武術の1つであります柔術から発生しておりまして、いわゆる殺法、人を傷付ける方法につきましては、現在のオリンピック柔道につながっています。また、倒れた相手に手を差し伸べる、いわゆる治療をするということ、これが活法ということで、現在の我々のほねつぎ、接骨、そして柔道整復術につながっているところです。
歴史については、非常に古い歴史がありますが、明治18年に実は接骨禁止令が出まして、大正9年まで我々の業務は全くできなくなっておりました。しかしながら、柔道整復師という名前に変わり、大正9年に内務省の規制改正により許可が出て復活をして、ちょうど今年が、復活してから100年という記念の年を迎えております。また、昭和22年、GHQにより、武道の廃止、医学教育を伴わない医療の禁止ということで、一時的に危機にみまわれましたが、先人の団結と努力に加えて、またいわゆるカンシュウジョウ、骨折や脱臼をしますと、病院に行くよりも、その当時やはり接骨院に行く患者さんが非常に多かったこともあり、危機を乗り越えたことがあります。また、昭和45年には、それまでは按摩、鍼、灸、マッサージ、柔道整復は全く一緒の法律でしたが、昭和45年に単行法として柔道整復師法が成立し、現在に受け継がれております。保険の取扱いについては、昭和11年から認められており、全国の各都道府県の柔道整復師会と厚生支局とが協定を結んで料金を定めて、現在、受領委任払いという保険を扱っております。
4ページにも書いておりますが、WHOでは2001年2月に「伝統医療と相補・代替医療に関する報告」ということで、日本の伝統医療として柔道整復術が紹介されております。それに伴って、モンゴル国、あるいはカンボジア、ベトナムに、柔道整復術の普及ということで、現在国際交流を重ねておるところです。
5ページ、柔道整復師の現状です。実は、平成10年以前は、学校の数が全国に16校しかありませんでした。その中で、国家試験を受けるのが1,050名という非常に少ない中で国家試験も行っておりましたが、平成10年に規制緩和ということで、実はこれは厚生労働省がその規制をかけていたものに裁判をかけられ、敗訴してしまい、学校の設立を認めざるを得なくなってしまったということがありました。平成10年から少しずつですが、学校が増えていって、16校から一番多いときには116校と、非常に多い学校の数になっております。大学もそれに伴い、現在16校の大学も設置されております。その中で、平成20年から平成30年までの柔道整復師の数が出ておりますが、どんどん増えている状況で、現在では70,000人を超えています。また、接骨院、いわゆる施術所の数ですが、これも人数が増えるに伴い、現在では全国に50,000件ぐらい存在しております。
6ページです。これは当会、日本柔道整復師会17,000名の調査をしたところの現在の売上高ということで、これはいろいろ厳しい中で、柔道整復師の数、施術所の数が圧倒的に増えてまいりまして、それに対抗するような、例えば病院の数、整形外科の数も増えて、非常に我々の売上高は落ちております。6ページの資料のとおり、当会の数ではありますが、500万円未満が45%ぐらいを占めている現状です。ですから、今までは従業員、勤務柔道整復師と呼んでいますが、こうした従業員が2人、3人、4人といた接骨院もありましたが、今ではほとんどが1人で接骨院を運営しているという、これが今の現状です。
7ページを御覧ください。我々日本柔道整復師会ですが、平成23年に内閣府から公益社団法人として認定されております。現在、会員数が全国に17,000名で、各都道府県に公益社団法人を1つずつ持っております。料金改定、厚生労働省と唯一交渉できる団体ということで、公益活動としては全国少年柔道大会、災害救護、防災訓練、各種スポーツ大会のボランティアなど、特に来年実施されますオリンピック等でもしっかりと救護活動ということで参加しているところです。
8ページは、全国の47都道府県の地域の住所等が書いてあります。
9ページを御覧ください。これは、民間保険加入状況ということで、各県にアンケートを取らせていただきました。入っている保険は、生命保険等や、亡くなったときに出ます弔慰金等の関係で入っているグループ保険等もありますが、それらがほとんどです。不明と記載しているのは、恐らく会でまとめて何か民間保険に入っている状況ではなくて、会員個々が民間保険に加入をしているんだろうと思われるところです。
11ページから21ページまでは、事故の発生の症例数を記載しました。240例上がってまいりましたが、我々の怪我というのは、ほとんどが自宅から接骨院に行くという通勤途上でして、いわゆる通勤災害といいますか、そのような形で交通事故に遭ったり、例えば自転車で転んでしまったりという怪我がほとんどです。
施術所の中では、例えば車椅子に乗ってこられる患者さんをベッドに移す際に腰の怪我をするとか、ぎっくり腰になってしまうとか、施術所内でつまずいてしまって骨折をする状況がほとんどだと思います。あと、一般の医療機関であれば往診に当たります、我々は往療という形になりますが、往療の際にやはり同じように自転車で転んでしまったり、バイクで転んでしまったり、そういうような怪我が非常に多くなっている現状です。
22ページを御覧ください。これは、柔道整復師、施術所の柔道整復師とスタッフの怪我の事故に関するアンケートをまとめてみました。施術所で事故に遭い、怪我をしたことがあるというのが11.5%。また、施術所に行き帰の間に事故、いわゆる通勤の際に怪我を負ったことがありますかという問いに対して、9.1%がありますという回答が出てまいりました。
23ページに、治療費は誰が払いましたかという問いが載っております。自分で払ったと書いておりますが、ほとんどが自分で治したケースだと思います。軽い怪我であれば自分で治せますので、自分で治すケースが、これがほとんど多い状況だと思います。
続いて、厚生労働省の労災保険の特別加入制度について知っていたというのが29.9%でした。今回も、コロナウイルスの感染が広がり、改めて各会員に対して、例えば従業員がもし労災保険に加入しているのであれば、本人も入れることもありますので、そこは必ず確認をして、労災保険に入ってくれという連絡を申し上げましたところ、ほとんどの方々がやはり1人でやっているということで、今まで従業員がいたのだけど、今現在1人でやっているから労災保険には加入していない、何とか入るようにしてくれないかという要望も、たくさんいただいたところです。
24ページから26ページを御覧ください。これは、スタッフの怪我や事故に関するアンケート調査ということで、どういうふうにしたらそれが改善できるかというのも、アンケートで集めてみました。例えば、日頃からの体調管理はもちろんですが、例えば患者さんの介助につきましても、しっかりとやり方をもう一度見直して、自分の体に負担が掛からないような注意をすることも必要ではないか。例えば、不意な不良姿勢から急に何かを持ち上げるのではなくて、しっかりと準備をして持ち上げる。あるいは施術所内の整理、整頓。これをしっかりやることにより、やはり施術所内などの事故は減るのではないかというような回答が上がってきております。
27ページですが、安全で安心な施術所を作るためにということで、私ども公益社団法人日本柔道整復師会で、つい最近ですが、10月30日にまとめてみました。これを全国に配布する予定です。労働災害を防ぐように努めることが大切ですということで、そのためには、いわゆる安全で安心な施術所作りをやらなければいけない。特に多いのが、患者さんの介助においては腰痛等、あるいは転倒防止です。それから、安全な活動ということで、28ページの一番下、いわゆる危険の「見える化」でして、危険を周知する、職員、患者で危険な箇所を共有することができ、注意を喚起することができるというのが、安全な施術所、接骨院を作る上で非常に大事ではないのかということです。
29ページです。これは今回、今現在も起こっておりますが、新型コロナウイルス感染対策ガイドライン、これも我々でまとめました。緊急事態宣言が出ました後でしたが、このようなものをガイドラインとして厚生労働省医政局医事課と相談をしながら作らせていただき、7月16日に全国の会員に配布をしております。今、また第3波ということで、新型コロナウイルスが蔓延しております中で、明日18日ですが、改めて医政局医事課と今後のガイドラインということで、またこれを見直していく予定です。
31ページです。今回、特別加入の対象にすることへの要望書を提出させていただきました。先ほど申し上げたとおり、これだけコロナウイルスが蔓延し、各会員に周知をしたところが、今、私どもは1人でやっているということで、そうなると労災保険に加入することができないということ、また、ガイドライン等で我々上部団体から会員には周知しているところですが、例えば検温、手指の消毒あるいは換気、全てにおいて、我々はできる限りのことをやっている中で、例えば患者さんがもし持ち込んだときにどういうことになるのだろうということで、非常に17,000名の会員が不安になっております。
そんな不安を抱えながら、我々はそんな中でも、休業対象外の国家資格者ということで、実は休業を許されておりません。緊急事態宣言の中でも、換気、手指の消毒、検温、これらをしっかりとやりながら、しっかりと乗り越えてきております。その中で、また第3波、第4波となったときに、例えば患者さんがコロナウイルスを施術所内に持ち込まれるという言い方は変ですが、我々施術者が感染してしまうことで、例えば休業しなければいけない、もちろん入院もしなければいけないことになりますが、休業等を余儀なくされることにより収入が減少するわけです。つまり、病気や怪我で働けなくなったときの収入の補填も、しっかり労災であればできるとお伺いしておりますので、会員からは、何とか1人でやっている我々も労災保険に加入するようなことができるように是非要望書を提出してくれないかとありましたので、このような機会を頂いたわけです。
33ページを御覧ください。施術所の中では、非常に密になること。換気はしておりますが、やはり人対人の施術という形になりますので、例えば腰の施術をする場合には、34ページにあるように、カーテンをどうしても引かなければ、なかなかできないというケースも多々あります。しっかりと換気をしてといっても、やはり限度があるわけですね。
35ページを見ていただきますと、受付には、しっかりとポスターを貼ったり、消毒液を置いたり、患者さんには検温をしたりと、注意をしているところですが、いつコロナウイルスに感染するか分からないという、我々も恐怖を覚えながら施術をしている現状です。なんとか1人でやっている、特に先ほど資料で御覧になっていただいたとおり、500万以下の収入しかない人間たちが非常に多い職種になってしまいましたので、そんな中で、一人親方として労災保険に加入することができれば、非常に安心を与えられると思っているところです。
最後のページですが、我々は47都道府県に公益社団法人という団体があります。しかしながら、例えば会員数は、東京であれば1,300名おりますが、島根県、鳥取県になりますと、やはり18名から20名程度の会員数になってしまいます。いわゆる体制に差があることから、事務処理も体制が異なります。そのため、会員数が少ない地域では特別加入団体の設立が非常に難しいのかなというふうに考えております。そこで、47都道府県の上部団体であります日本柔道整復師会の会員ですので、東京にあります日本柔道整復師会がまとめて特別加入団体を設立し、労働災害保険の事務に当たらせていただければと思っております。本日は、資料に基づいて御説明いたしました。よろしくお願い申し上げます。
○荒木部会長 三橋理事、大変ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。オンラインから出席の方は、チャットに発言希望と入力いただければと思います。大前委員、どうぞお願いいたします。
○大前委員 事故に関するアンケートの資料についてです。
○荒木部会長 すみません。大前先生、最初の部分ちょっと音声が切れてしまいまして、もう一度最初からお願いいたします。
○大前委員 すみません。質問は22ページの柔道整復師のスタッフの怪我や事故に関するアンケートの部分についてです。この部分を見ますと、1つは会員の方が1万7,000名くらいいらっしゃって、回答している方が660名ぐらいなので、この数字は本当に代表性があるかどうかということが1つです。
2つ目はクエスチョンの1と2を見ますと、トータルが同じような数字でやっているのですが、柔整師の場合は、御自宅でやっていることが結構あると思うのですが、御自宅でやっていらっしゃる方と通勤をしている方との分母はどのようになっているのですか。この数字は、御自宅の方も含めたパーセンテージでしょうか。
○日本柔道整復師会(三橋理事) 今、御質問いただきました数字ですが、緊急アンケートということで、要望書を出すに当たって、各県にお願いをして集まったのがこの数字ということです。また、怪我に関するアンケートということで、以前は実は自宅でやっている柔道整復師は結構多かったのですが、最近は60%ぐらいが店舗を借りて施術所の経営しているというのが現状でございますので、その中で通勤というのが、自宅の下にあるような施術所ではなくて、店舗を借りてやっている柔道整復師の通勤の際の怪我というように御理解を頂ければと思います。
○大前委員 一般的に見て、事故に遭った方、通勤災害に遭った方が9%というのは、一般の企業と比べてすごく多い感じがするのですね。そうしますと、この答えられた660人の中にひょっとして自宅でやっていらっしゃる方が、今のお話だと4割くらいいそうなので、それを勘案すると、通勤なさっている方の事故率はもっと高くなるということで、ちょっと異常に高過ぎる集団かなというように感じました。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。北委員、どうぞ。
○北委員 御説明ありがとうございました。1点質問です。9ページに民間保険の加入状況を記載いただいているのですが、ちょっと不明というところが多くてよく分からないのですが、先ほどの御説明だと、入っている方も弔慰金の部分がほとんどということなのですが、これは例えば民間の保険に何か入れない理由といいますか、知り得る範囲で結構ですが、例えば保険料が高くて無理だとか、適した保険がないのか、何か主たる理由として把握されているものがあれば、少しお教えいただきたいと思います。
○日本柔道整復師会(三橋理事) 確認したところ、不明という答えを出した各都道府県の柔道整復師会は、いわゆる個々の加入に任せているという現状もあります。日本柔道整復師会でグループ保険の医療保険を設立をしまして、このコロナ禍でなかなか集まらなかったのですが、ようやく100名を超えまして、日本柔道整復師会でグループ保険の、いわゆる医療保険を設立はしました。それでなんとか対応しようというように思っているのですが、各都道府県で恐らく個々に任せているケースがこれだけあるのかなとちょっとびっくりしまして、その中には入っていない方もいらっしゃると思いますので、その分においては、日本柔道整復師会のグループ保険に加入の促進をしようと考えているところでございます。
○荒木部会長 よろしいですか。仁平委員、どうぞ。
○仁平委員 御説明ありがとうございました。連合の仁平と申します。働いている方々の状況を確認させていただきたいと思います。説明の中で、1人で開業されている方が多いと言われていましたが、一方で病院、接骨院などで勤務されている方もいらっしゃるというような記述もあります。7万3,000人のざっくりした内訳ですが、どれくらいの方が1人で開業されているのか、また勤務されている方はどれくらいでしょうか。ほとんどは一人親方というお話だったと思うのですが、労働契約ではなく、主流はフリーランスだと、このように考えていいのか、というのが質問の1つ目です。
それから、会員が1万7,000人ということで御説明がありましたが、もしその特別加入を希望した場合に、会員以外の方への対応はどうなっていくのか、現状でお考えがあれば聞かせていただきたいのが2つ目です。
3つ目は今の北委員の話ともかぶるのですが、現状でどんな保険に加入しているか、多分、都道府県支部で民間保険を提供しているところがあったり、グループ保険なども書いてありますが、23ページのほうでは、保険で対応された方はわりと少ない感じで、自分で治していますという御説明もありましたが、そもそも保険に入っていない割合が多いのかどうか、感覚的な話も含めて、この3点をお伺いできればと思います。
○日本柔道整復師会(三橋理事) ありがとうございます。今回、先ほども申し上げましたとおり、グループ保険の医療保険を設立するに当たって、各都道府県にいろんなアンケートをしているところですが、まだ回答が集まってこなくて、正確な数字はなかなかつかめていなくて、どのぐらい一人親方でやっているかというのが、まだ完全な数字はつかんでおりませんが、6ページの数字を見ていただきますと、500万未満という中で、例えば店舗を借りるという形になりますと、ほとんど人を雇うなんていうことは全くできないような金額なのですね。以前は、かなり収入もあったのですが、毎年毎年収入が落ちているような状況があって、特にコロナ禍の中では、非常に打撃を受けている職種でもあります。その中で45.8%という比率が出ていますが、恐らく全部とも言えないですが、1人でやっている可能性もあるのかなと思います。また、改めて数字は集めたいなと思っています。でも、今までは1人、2人いたのだけれども今年から自分1人でやっているというような答えを聞くことも非常に多くなっているのも事実であります。
また、我々は会員1万7,000名おりますが、実際の数字というのは、5ページに書いてありますとおり、7万3,000名いるわけです。国が作った制度の中で、国と協定を結んで保険の取扱いをしているのが、いわゆる日本柔道整復師会の加盟の所属の柔道整復師になるわけですが、個人契約という形で、個人で国と契約をして保険の取扱いをしているという柔道整復師もおります。現在では、その方が、どちらかというと5万人を超えるような数になっておりますが、実は日本柔道整復師会では、その個人契約の柔道整復師の方々を集めて、いろいろな研修会等も行いながら、例えば今回労災について、このような形ができれば、一人親方ができれば、個人契約の方々にも加入を促進してまいりたいなとは思っております。数字を今回出させていただきましたが、先ほども指摘がありましたように、全員からのという回答が得られませんでしたので、どちらかというと、我々会員の中で、怪我をしたことがありますかというようなアンケートで取った答えが、先ほど読ませていただいた資料でございまして、通勤途上で怪我をしていない、あるいは施術所の中で注意を払って怪我をしていないというのがほとんどだと思います。私も、今まで通勤途中あるいは施術所内で怪我をしたことがありませんので、本来はそれが普通なのかなと。ただ、やはり中には、今回アンケートを取りました中で、600名近くが怪我をした経験があるというようなことで上げてきているのかなと思っているところです。以上でございます。
○荒木部会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 経団連の鈴木です。本日は丁寧な御説明を頂きましてありがとうございます。資料の27ページ目に、安全で安心な施術所を作るためにということで、労災防止の心得といいますか、マニュアルを作って取り組まれているというお話を頂きました。是非こういった労災防止に向けた取組を続けていただければと思っています。
先ほど、通勤災害の比率が多いという御指摘もございましたが、通勤災害防止のために、注意喚起や取組をされる御予定があるかどうかお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○日本柔道整復師会(三橋理事) ありがとうございます。怪我をする中では、わりと通勤時に発生することが多いのかなというようなデータも集まってまいりましたので、ウーバーイーツではありませんけれども、交通安全はもちろんのことですが、一番多いのはオートバイ等で往療に行った際、あるいは通勤の際に、例えば転倒するとか、そういうことが多いものですから、そういう部分についても、これ我々が逆に患者さんに注意をしているところなので、自身でもしっかり注意喚起をしなさいという文書を出そうというように思っています。
○鈴木委員 ありがとうございました。
○荒木部会長 田久委員、どうぞ。
○田久委員 御説明ありがとうございました。私は建設関係の組合の者ですが、27ページ、これ今年の10月ということですが、それ以前にトータル的なことを行っていたのかどうかということと、もう1つ、特別加入団体を作るというのは、最大の目的は、やはり安全の教育というか、安全対策を講じることがメインだと私は思っていますので、そういったところが体制的にきちっとできるかどうかということと、もう1つは、先ほど仁平委員からも言われたように、人数的なものでいくと7万人のうちの1万7,000人、個人で国との契約を結んでいるというこのような人たちを、この労災保険を含めると、特別加入団体を作るときには、そこに加入しなくてはなりませんので、今までそういった情報もなかなか知り得ない人たちに入れていこうということは、すごくいいと思うのです。
ただ、加入は基本的には自己負担となりますので、その部分では、加入をしたいと思っている人がどれぐらいいるのかというのが、分かればでいいですから教えていただきたいのと、建設などでいうと、どうしてもそういったところでは、自己費用が大きくなると、やはり安い日額も含めたところになってしまって、本来の目的であるところを全然補えないような状況も生まれてきているので、そういったところでは、会が、しっかりそういったことを指導していくということが必要かなと思いますので、その辺も是非検討していただきたいと思います。
○日本柔道整復師会(三橋理事) 今まで、我々は労災保険で来る患者さんを扱っているという逆の立場だったのですね。それが今回、先ほどもお話ししました、医療保険を、グループ保険を設立する際に、全国にいろいろな連絡を申し上げたところが、医療保険もいいのだけれど、1人でやっている柔道整復師がコロナウイルスに感染したら、もう仕事ができなくなって、休業せざるを得ないという中で、収入の補填もできるような労災保険に、我々一人親方として加入できないのかというような声を全国から頂いて、今回の御要望に至ったわけです。今回、安全で安心の施術所を作るためにということで、先ほど申し上げたとおり、労災事故で怪我をして来られる患者さんに、逆に我々のほうから言う言葉なんですね。それを逆に今回は、文書にして、我々が労災に加入をするに当たって、例えばこういうことに気を付けなさいよと、労働災害が起こらないように、御自身で今まで患者さんに啓蒙したことを、自分でもしっかりと守りなさいよということを出したわけなのですが、何とか啓蒙してまいりたいなと思います。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、三橋理事には大変お忙しい中、私どものヒアリングに御対応いただきありがとうございました。十分に参考にさせていただきたいと思います。
○日本柔道整復師会(三橋理事) ありがとうございました。よろしくお願いします。
                                 (三橋理事退出)
○荒木部会長 それでは、第2の議題に移りたいと思います。「特別加入制度の対象範囲の拡大に関する検討事項」です。事務局より説明をお願いいたします。
○労災管理課長 労災管理課長の山田でございます。資料2です。これまで3つの団体、日本俳優連合、日本アニメータ演出協会、それから本日の日本柔道整復師会から、それぞれの業界の状況について、ヒアリングという形で御説明を頂いたところです。これまでのヒアリング、あるいは事務局から引き続きいろいろと確認をしておりますが、今後これらの団体あるいはその業界の特別加入を希望されているという、この是非について具体的に御議論いただくために、どういう項目を整理していく必要があるかということで、今回まとめさせていただいたものです。
まず、業種全体の就業者数です。本日の資料にも出ておりますが、全体としてどういう状況なのか。それから、業務の範囲です。かなり業種が多岐にわたっているような業界も、これまでのヒアリングであったかと思います。これは、最終的に省令を改正することになる場合には、どういう範囲かということを書く必要がありますので、その辺りの明確化が必要になります。それから、災害の状況です。本日の説明の中にもありましたが、最終的には仮に特別加入認めるということになったときには、どういう災害なのか、どういう頻度なのか、あるいはその次にありますとおり、同種あるいは類似の既存の業種と、こんなところがあるのかどうかといったところが、料率を設定していく上で、参考になる重要なファクターになるかと思っております。
それから、特別加入団体の担い手の有無です。これまで3団体は、それぞれ特別加入団体として活動するという意向を表明されております。そうしますと、具体的には特別加入団体の承認の要件というところが課題になっております。下にポツで幾つか示しておりますが、これまでの特別加入に当たっては、厚生労働省の通達によりまして要件を定めております。1つは一人親方と又は特定作業従事者の数、括弧書きで相当数を構成員とすることとありますが、これは何か通達の中で具体的に何人以上ということ示しているわけではありませんが、当然特別加入団体として加入されている方のために労災保険の事務をきちんと処理すること、あるいは安全衛生の観点からの活動もやっていくということで、それにふさわしい団体かどうかということが基本的な趣旨かと理解しております。2つ目、当然のことですが、団体の組織運営方法が整備をされていること。3つ目、労災保険事務処理が可能であること。これは事業内容の観点ということもありますし、事務対制、財務内容などの観点からも確認をしていくという必要があるかと思います。
その下に、団体の主たる事務所の所在地というものがあります。これは次のページをお開きいただきたいと思いますが、この参考の⑤で、「当該団体の地区が、その主たる事務所の所在地を中心として別表(下記)に定める区域に相当する区域をこえないものであること」ということになっております。例えば、東京都に事務所があるのであれば、ちょっと小さい字で恐縮ですが、その範囲は茨城県、栃木県、山梨県、静岡県など、近隣の所に限られるというふうな形での運用をしてきたところです。これについては、今回ヒアリングをさせていただいた団体からも、関連する御要望が出ておりますので、次回以降その辺りも含めて整理をしてお諮りをしたいと思います。
いずれにしても、ここに掲げております項目が、いわばマトリックスの一番左側の項目という形で、これまでの3団体あるいは3業界と言ったほうがいいかもしれませんが、それらが、それぞれ就業者数、業務範囲、その他どのようになっているのかということを整理した上で、次回の労災保険部会でお示しして、それに基づいて御議論いただければと考えております。以上です。
○荒木部会長 ただいまの説明について、何か御質問、御意見等があればお願いいたします。田久委員、どうぞ。
○田久委員 この間、3つ、4つの団体ですかね、ヒアリングを受けて、特別加入制度の拡充、現時点で補償されていない人たちに対する拡充というのはすごく重要と思っています。ただ、先ほど柔道整復師の方にも言わせていただきましたが、やっぱり安全の対策の強化とか対策を構ずるということ、ここが特別加入団体としては最大の要件だというふうに思っています。それを行うことによって、やはり労災事故を減らしていく、そのことによってお金の関係も安定運営ができるようになっていく、こういうことがあると思います。
そういう点では要件ですね。建設の立場から言いますと、やっぱりこの要件というのはすごく重要になっていて、地域それぞれによってのそういう対策というのは違ってきますので、そういうことが必要かとは思っています。ただ、今言われたように、柔道整復師の方も事務的なことは1つでやっていくということもありますが、仮に特別加入団体、地域要件を外すということではなくて、広げていく観点として、どういう安全対策というものが現時点で考えられているのかというのが、もしあれば是非教えていただければなというのが1つあります。
○労災管理課長 お答えいたします。御指摘がありましたとおり、何のための特別加入団体なのかというときに、労災保険の事務処理ということはもとより、そもそも災害が起きないように団体として活動していくことが重要であるということは、これまで類似のこの部会の中で、何度も御指摘いただいたところだと思っておりまして、事務局としても、非常にその点については重要視していかなければならないというふうに思っております。
一方で、これまでヒアリングした団体の中には、その辺りについて、何某かの方策はないかというところの御意見もあるところですが、例えば全体として今回の地域要件との関係で言えば、あるところに例えばそういう事務所がないということについて、様々な手法があろうかと思いますが、研修会ですとか講習会ですとか、様々何某か対応していくという方法もあろうかと思っております。この辺りが、私どもとして、これまでの団体の方々とまた相談をさせていただきながら、あるべきルールの素案みたいなものも、次回以降御議論できるように準備をさせていただければというふうに考えております。
○荒木部会長 田久委員、どうぞ。
○田久委員 ありがとうございます。是非そこは考えてください。やっぱり1つ、インターネット上でのそういう加入団体というかそういう所が、実際に本当に安全対策を行っているのかというのが甚だ疑問な部分というのもかなりありますし、私たちの労働組合が作っている事務組合に対する誹謗中傷も含めて、ネット上でやられたりするということもありましたので、こういうところでは安全を守るという立場での運営ではないなというのが感じられているところも含めた整理を今後はきちっとしていく、広げていくからこそ、そういうことをやらないと、より一層そういう安全対策も行わずに、業務だけを行うという、こういうことが増えていくというのはちょっと困るなと考えておりますので、是非そういう点も含めて検討をお願いしたいと思います。
○荒木部会長 鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。ただいまの田久委員からおっしゃられた、まずはこの労災防止を取り組む、そうした体制整備が大事だという点は全く同感です。今回、業種の追加を検討するに当たっては、労災防止に向けた意欲を持って、しかも体制が整っている特別加入団体の担い手があるということを前提に、検討を進めていきたいなと思っている次第です。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○大前委員 大前です。よろしいですか。
○荒木部会長 はい、どうぞ。大前委員。
○大前委員 事務局に質問なのですが、建設の一人親方ですとか、俳優さんたちの話ですと、本当に人に使われているという、そういう意味では労災というイメージがあるのですが、今日の柔道整復師の場合は、これは本当に自営、自分の意思でやっているわけですよね。そうすると、同じ1人でやっているのも、建設等々の一人親方の話と、今回の柔道整復師なんかとは同じに考えていいものなのですか。これは事務局に対する質問です。
○荒木部会長 それでは、事務局よりお願いします。
○労災管理課長 御指摘いただいた点については、今後は特別加入の範囲、労災の特別加入の範囲をどこまで認めていくのか、求めていくのかということに関わってくるのかなと思っております。もともと、特別加入について拡大をしていくという今回の政府の方針については、働き方そのものが変わってきていると、いわゆる労働基準法に基づく労働者という形だけではない働き方が拡大してきているという中で、あるべきセーフティネットという観点で、できることはないかということで、現在検討しているところです。
今、先生が御指摘になったとおり、一人親方の世界の場合と今回御提案のあった世界で、どのような違いがあるのかということは確かにあろうかと思いますが、まずはこういう世界の働き方について、セーフティネットという形で整備していく必要性があるのかどうかという観点から、検討していく必要があるのかなと考えております。
○荒木部会長 大前委員、よろしいでしょうか。
○大前委員 言っていることは分かりましたが、今日の柔道整復師さんなどの場合、これはもう傷害険でいいのではないかという感じがしまして、労災保険に入れる必要があるのかどうか非常に疑問に思いましたので、質問しました。
○荒木部会長 ありがとうございました。特別加入をどこまで認めるか、その趣旨についての論点ということだと承りました。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、第2の議題については以上といたしまして、次の議題に移ります。次は、議題3「労災保険率について」、議題4「令和2年労務費率調査結果」です。まとめて事務局よりお願いいたします。
○労災管理課長 それでは御説明いたします。資料3です。表題は労災保険率に関する資料というものです。めくっていただきますと、後のほうに、平成17年3月25日付けで労災保険率の設定に関する基本方針ということで、これは事務局のほうでまとめさせていただいて、当時労災保険部会にも御報告、御了解いただいているものです。これによりますと、労災保険率は原則として3年ごとに改定をするということになっております。資料に戻っていただきまして、現在の労災保険料率については、平成30年4月1日施行ということで決まっておりますが、これについて3年後ということになりますと、来年4月1日が通常であれば見直しの時期になるという状況です。
こういうことを踏まえまして、その次のページですが、令和3年度から令和5年度までの労災保険率の算定、これは全業種の平均ということですが、事務局のほうで算定をさせていただきました。といいますのも、今回は従前の改定のときと違いまして、コロナが非常に広がっている中で、企業活動を取り巻く環境が大きく変わっております。具体的に申し上げれば、企業活動がいろいろ制約をされる中で、結果として賃金数、労災保険は最終的に賃金総額に対する労災保険料率を掛けたものが保険料という形で出てくるわけですが、これが落ち込んでくる可能性が非常に高いということを危惧しております。それを踏まえまして、ここにパターン1とパターン2ということで、試算をさせていただきました。
まず、パターン1ですが、これは今年の夏に、内閣府のほうで中長期の経済財政に関する試算ということで出されたものをベースにしているわけですが、賃金総額は令和2年度に減少して底を打ち、その後、令和4年度に従前の水準まで回復するということです。内閣府の試算はGDPの話ですが、労災保険料率であれば、これは賃金総額ということになりますので、それに置き替えて、その後令和5年度はプラス成長していくということで想定をしております。
もう1つ、パターン2ということですが、これは政府の見解とは異なりまして、エコノミストの間では、この景気回復について非常に厳しい見方をしている向きもあるやに聞いております。そういうものを総合して、実際には回復が令和6年度までずれ込むのではないかという見通しを立てているエコノミストの方もかなりいらっしゃるということを踏まえて、2つのパターンで労災保険率を算定したものです。
ここにありますとおり、それぞれ業務災害分、それから非業務災害分、社会復帰等の事業の費用、それから年金積立調整費用ですが、これは年金の支払いに関する積立金について若干の余剰がありまして、それを越えて積立てをしている部分がなおありますので、それについては、いわば取り崩すという形で、保険料率についてはマイナスということになっておりますが、これらを合わせますと、いずれのケースでも4.5、1,000分の4.5ということで、現行の料率を変えなくても、3年間は財政的には中立な形で運営が可能であるということが、一応事務局として確認できたところです。
その上で、実際に全体の料率は変わらないという形であったとして、個々の業種について、これは特別加入含めてですが、改定するかどうかということが次の課題になるわけですが、御承知のとおり、コロナの状況が非常に出てきましたのは今年1月以降ですが、実際の経済活動などに非常に大きな影響が出ているのが今年4月以降です。仮に、労災保険料率を個々の事業場について計算する際には、過去3年間の数字を参照しておりますので、今年の3月以前の3年間というデータになります。残念ながら、これですと、今回のコロナの状況を踏まえて、企業の活動や労働災害の状況とか、そういう変化を折り込んだ形での推計が難しいという状況ですので、こういうものを踏まえまして、今回、労災保険料率については、3年間料率を据え置くという形の御提案を事務局としてさせていただきたいというふうに考えております。
ただし、経済情勢が予想よりも早く改善するなど状況の変化が認められる場合には、3年を待たずに御議論いただくということもあり得ると考えておりますが、基本は据え置くということで、今回御提案をさせていただくものです。これが資料3です。
続きまして、資料4です。これは令和2年労務費率調査の結果というものです。この労務費率調査といいますのは、建設業の請負形態でやっているものについては、元請のほうで一括をして労災保険料を払うという形になっておりますが、個々の下請を含めて、正確に賃金を把握するというのが非常に煩瑣で難しいということもありますので、従前からこの労務費率という形で、要は発注額、受注額に対してそのうちのどれぐらいが労務費と、いわば賃金という形で回っているのかということを調査をしております。これも、例年この料率の改定の時期と合わせて、3年に1回出させていただいております。
資料の下にありますとおり、今年の6月15日から7月10日、調査事業場数は9,450、有効回答数5,451ということで、結果を出させていただいたものです。これについては、私どもは従前からこの中位数というものに着目をして労務費率を定めておりますが、ここにありますとおり、例えば水力発電施設、ずい道などが18.95、その次の道路新設業が19.0などの数字が出ておりますが、この結果はその次のページにあります現行の労務費率表、これは四捨五入した結果になりますが、これと同じ、変わらないというふうな結果が出ております。ですから、この労務費率についても今回変えるエビデンスもありませんので、そのまま据え置くという形で提案をさせていただきたいというふうに考えております。以上です。
○荒木部会長 ただいまの事務局の説明につきまして、何か御質問、御意見があればお願いいたします。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 ありがとうございます。コロナ禍で大変厳しい経営環境に陥っている企業は少なくありません。もちろん、労働者の方はもっと大変な思い、御苦労もされているというふうに思っております。今は雇用維持というのを最優先にするときです。したがって、個別業種の保険料率の引上げによって、更なる経営環境の悪化を招くような事態は避けるべきと考えております。ただいまの事務局よりご説明があったとおり、全業種の平均が上がらないということでしたら、コロナ禍の特別な事情を鑑み、今回の料率改定を見送るという御提案に賛同したいと思っております。以上です。
○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。オンライン参加の委員の皆様からも、何かあればチャットに書き込んでください。よろしいですか。
○山内委員 すみません、山内ですが、質問させていただいてもよろしいでしょうか。
○荒木部会長 どうぞ、山内委員。
○山内委員 ありがとうございます。資料3見方なのですが、この中で、業務災害分のところについて、現行との比較でいうと長期給付分のところの労災保険料率の変化は大きいものの、短期給付分党合わせた合計では料率の変化はないことになっています。長期給付分の現行の1.18が1前後に、パターン1、パターン2とも変わる中で、ほかとの差がちょっと大きいなと思いました。ここの見方だけ御説明いただけると有り難いです。
○労災保険財政数理室長 それでは、長期給付分につきまして御説明させていただきます。その前に、短期給付のほうは、賃金が小さくなると企業活動が低下して給付も小さくなるということで、余り変わらないということなのですが、長期給付分については、事故の発生が減少する部分もあるのですが、そもそも既に年金給付をもらっていらしゃる方もいらしゃいますので、そんなに大きく事業活動の低下によって、長期給付分が大きく変動するということが動きにくいということでして、それで主には、分母のほうの賃金のほうの動きに大きく影響されるということです。
○山内委員 ということは、賃金総額分の動きが、むしろダイレクトに長期給付のほうは効いてくるということですね。
○労災保険財政数理室長 そうですね、はい。
○山内委員 対象者が余り変わらないということでしょうか。
○労災保険財政数理室長 そうですね。そのように理解いただければと思います。
○山内委員 了解しました。ありがとうございます。
○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、特段御意見がないということでしたら、ただいま事務局から説明がありましたとおり、労災保険率、特別加入保険料率、労務費率の改定は見送るという方針について、特段の異論はないということで、了解させていただいてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○荒木部会長 どうもありがとうございました。そのように取扱うことといたします。それでは、今の方針に従って、事務局としては準備を進めていただければと思います。
次の議題に移ります。議題5「押印を求める手続の見直しのための厚生労働省関係政令の一部を改正する政令案(仮称)等」という案件です。これは、諮問案件ということになります。事務局より説明をお願いします。
○労災管理課長 御説明いたします。資料5がありますが、先に中身のほうを、横とじの労災保険関係事務・徴収事務の押印の見直しという資料がありますので、こちらでまず御説明をさせていただきます。
1ページ、押印原則の見直しですが、これは今年7月17日に閣議決定された規制改革実施計画などにおいて、行政手続における押印原則の見直しが方針として明記されております。現行は、労災保険関係事務あるいは労働保険徴収事務において、政令、省令、告示、あるいはものによっては通達もありますが、これにより届出・申請などに用いる様式に、記名押印又は署名という形で、署名でなければ記名押印が求められております。これはここに書いてある赤の枠の形で、様式の中に「印」というマークが付いているものです。
2ページですが、今後の政府全体の方針として、行政手続における本人確認手続として、記名押印又は署名を求めている手続については、記名押印又は署名に代えて、氏名を記載することをもって足りると。ですから、署名がないのであれば、記名押印でなければいけないということではなく、氏名を記載することをもって足りるという形にし、各種様式についても、押印欄の見直しを行うことを全体として進めているところです。改正のイメージとして旧と新とありますが、要は「印」というマークを様式から落としていくと、これが基本的な改正の中身です。
4ページ以降、今回諮問をさせていただくものを概略として書かせていただいております。4ページは、労働保険の審査請求の関係ですが、審査請求人の押印についてですが、これは政令で、審査請求においては審査請求人又は代理人が記名押印しなければならないという規定がありますので、こういった政令の改正が必要になってまいります。
5ページですが、同様にこういった政令を踏まえて、審査請求人等について、各種様式については、省令の様式の中で押印のマークが入っていますが、これの改正が必要です。
6ページですが、これは申請人の押印を求めている省令様式で、これは炭鉱災害における一酸化炭素中毒に関する介護料支給申請書とか、失業保険法などの整備に関する省令の中で、一部求めているものがあります。
7ページですが、これは告示で様式を定めているものです。労災の場合の告示の様式は大変多うございます。最初の様式の第5号とありますが、療養補償給付の請求書、この中に押印を求めるという様式になっております。8ページも同様です。最後、9ページですが、同じように、これは労働保険料の徴収の関係ですが、押印を求めるものがあります。
これらについて、政令と省令について改正をさせていただきたいということで、今回諮問をさせていだくのが資料5です。これは3つに分かれておりまして、まず最初は、関係政令の一部を改正する政令案ということで、これは労働保険の審査請求に関する押印を不要とすることです。次が、省令の一部改正に関する諮問でして、労働保険料の徴収とか、そういったものの押印欄を削除するということです。3番目は、政令の一部の改正に伴って、省令も改正をするものです。政令の本文に押印と書かれていて、それに基づいて省令の様式も印のあるケースがあるわけですが、これについて様式を改定するものです。これは労働保険審査会などの審査会関係の様式について、押印欄を削除することを、政省令の改正ということでお諮りをしたいというものです。以上です。
○荒木部会長 ただいまの説明について、何か御質問、御意見等があればお願いします。
○鈴木委員 御説明ありがとうございます。聞き逃しかもしれないのですが、交付日から施行するという施行日期日がありますが、交付日はいつを予定されていますか。
○労災管理課長 失礼しました。交付日は、現在、年内を予定しております。
○荒木部会長 仁平委員、どうぞ。
○仁平委員 御説明ありがとうございます。単なる認印のようなものは消略しても問題ないと思っているのですが、例えば原本であることが求められる書類については、どう区別、確認していくのか大事かと思うので考えを教えて下さい。いずれにしても、押印がないことによるデメリットが生じないようにしてほしいと思っておりますし、現場が混乱しないように、分かりやすい周知は求められると思っています。以上です。
○荒木部会長 事務局よりお願いします。
○労災管理課長 御指摘の点ですが、押印がなくてもいいということになれば、請求関係については、その分の一種の形式あるいは負担がなくなるという一方で、内容について、真正でないものが出てくることはまずいことでありますので、当然これまでも、労災に関して、あるいは徴収もそうですが、請求の内容、真正性については、きちんと確認をするということ、疑義が生じた場合には、どのような……にするかを、我々もいろいろきちんと工夫をしていかなければならないと思っておりますが、例えば請求者などに電話をして、直接調査確認をすることも含めて、そういった問題が生じないように、しっかりやっていきたいと考えております。
○荒木部会長 ほかにはいかがですか。特に御意見がないようでしたら、諮問のあった件については、当部会としては妥当と認め、労働条件分科会長宛てに報告することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。オンライン参加の先生方も大丈夫ですね。
                                   (異議なし)
○荒木部会長 ありがとうございました。それでは、そのように進めることとします。労働政策審議会令第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同令第6条第7項により、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められています。
また、労働条件分科会運営規程第7条において、当部会の議決をもって分科会の議決とすることになっており、労働政策審議会運営規程第9条において、分科会の議決をもって審議会の議決とすることになっています。したがって、当部会の議決が審議会の議決ということになります。
それでは、事務局に答申案を用意してもらっていますので、これを読み上げることにしたいと思います。まず、お配りください。
(答申案配付)
○荒木部会長 オンライン参加の先生方には、後ほど読み上げで確認をお願いします。それでは、事務局より読み上げをお願いします。
○労災管理課長 それでは、読み上げをさせていただきます。令和2年11月16日。労働条件分科会分科会長荒木尚志殿。労災保険部会部会長荒木尚志。「押印を求める手続の見直しのための厚生労働省関係政令の一部を改正する政令案(仮称)要綱」について。令和2年11月16日付け厚生労働省発基1116号第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記、厚生労働省案は、妥当と認める。
以下、同じように、今のは政令案に関する答申ですが、その後、ほぼ全く同じ文言で省令案に対する答申、それから、政令の改正、施行に伴う省令の整備に関する省令案要綱についても、同様の答申ということでございます。以上です。
○荒木部会長 それでは、ただいま読み上げられた内容で、部会長から分科会長、分科会長から労働政策審議会長宛てに報告し、この報告のとおりで厚生労働大臣宛てに答申を行うことにしたいと思います。なお、答申は後ほど皆様に送付させていただきます。
それでは、最後の案件ですが、その他という議題です。事務局より説明をお願いします。
○雇用・賃金福祉統計室管理官 私は、政策統括官部局で毎月勤労統計調査を担当する統計管理官の瀧原と申します。この度、毎月勤労統計調査において、公表結果を訂正する事態となりましたので、毎月勤労統計調査、毎月の賃金、労働時間、雇用等を、常用労働者5人以上について調査するもので、こちらの労災保険制度等にも使っていただいているところですが、これについて訂正という事態になりましたことを、心からお詫び申し上げますとともに、この場を借りまして、大変恐縮ですが、御報告させていただきたいと思っております。
資料は6で用意させていただいているものです。厚生労働省のプレスリリースの資料ですが、1ページの下の事案の概要を御覧ください。毎月勤労統計調査は5人以上と申しましたが、そのうち499人以下については抽出調査を基本としておりますが、500人以上については全数調査となっております。
しかし、神奈川県、愛知県、大阪府の平成31年1月分から調査対象とした事業所について、全数で調査を行っていたのですが、全国調査の集計に含めていないものが79事業所あったことが判明いたしました。
これについては、平成31年1月からということで、直近の公表分まで訂正をし、公表を改めてさせていただいたものです。なぜ、このような事態になったかを御説明いたしますので、2ページを御覧ください。
最初に注が書いてありますが、毎月勤労統計調査は、通常皆さんに御覧いただいているのは「全国調査」といわれているもので、全国の平均的な値を公表させていただいておりますが、それとは別に、都道府県ごとに都道府県が公表しております「地方調査」があります。これは、まとめて毎月勤労統計調査のカテゴリーでやっているわけですが、その場合、499人以下の場合は、先ほど申しましたように抽出でやっております。抽出でやった場合に、全国の抽出事業所だけで都道府県ごとに集計する場合には、数が少し少なくなるということで、精度を高めるために、都道府県で追加的に地方調査のみの事業所を調査することになっており、そういう2段的な構成になっております。
それが、実は今回の事案に関わるのですが、その次の事案が生じた理由を御覧ください。毎月勤労統計調査、500人以上規模は全数で調査することになっておりましたが、大変恐縮ですが、2年前に、これについては、東京都において全数をやっていなかった事態が判明し、それに対して適切に修正すべく対処いたしましたけれども、それに伴い、大変多大な影響といいますか、御迷惑をお掛けした事態でございました。
その際に、東京都が抽出をやっていたことに伴い、平成30年度に神奈川県、愛知県、大阪府も、全数調査から抽出調査に切り替えるということで、準備を進めていたことがありました。それについて、平成30年12月ですが、東京都が全数ではなく抽出でやっていたこと、及び平成31年1月から神奈川県、愛知県、大阪府について、抽出でやる予定を持っていたことに関して、統計委員会の委員長から厳しい指摘を頂きまして、東京都は全数に戻すべく、3府県についてはまだ抽出を実施しておりませんでしたので、平成31年1月から全数で引き続きやるようにという指示を頂きました。
ただ、この際に、事務処理誤りが起こりました。これは何かといいますと、3府県について、抽出でやることを予定しておりましたので、その際に、全国でやる調査と地方のみでやる調査という2つのカテゴリーができておりました。全数に戻す際に、抽出されていない事業所について、全て調査対象とする作業をさせていただきましたが、その際に、地方のみで調査する事業所について全国調査の対象にするという事務手続ができていなかったということです。そのために、先ほど申し上げました79事業所について、調査はしているけれども、地方のみであって、全国の集計に含まれないという大変恥ずかしいミスですが、このようなことが起きてしまったということです。
この影響がどのようなことになったかといいますと、その下の2番に別紙のとおりですと書いておりますが、大変恐縮ですが、5ページを御覧ください。こちらに平成31年1月からの正誤を書いております。左の上の現金給付総額ですが、そこにある金額が訂正されました。最大で、令和2年度6月の408円の差があるということです。あるいは、労災保険制度に使っていただいてます、決まって支給する給与でいきますと、その下になりますが、令和2年5月で74円の差があるという状況が起きておりますが、このような形の修正をさせていただく事態となりました。
なお、御覧いただきましたように、大体全部がマイナスになっているのは、毎月勤労統計の場合は、規模ごとにまず集計をしており、それに加重平均を掛けて全国平均を出すわけですが、今回が500人以上規模の所で、神奈川県、愛知県、大阪府がなかったわけですが、この3府県については、500人以上ですと、東京都が非常に大きな割合を占めており、そこに神奈川県、愛知県、大阪府を追加することによって、少し下がる賃金になったということで、それが全国の値に影響してこのような形になったということです。
訂正の概要は以上です。この訂正により、労災保険制度のスライド率等に影響を与えることになりましたことについて、深くお詫び申し上げます。常に正確性を求められる政府統計において、このような事態が発生したことを深く反省しておりますし、今後こういう事態が生じることのないよう、チェック体制の強化等をしっかりやって、このようなことが二度と起きないような再発防止に努めてまいりたいと思います。この度は、大変申し訳ございませんでした。
○荒木部会長 引き続き、事務局からお願いします。
○労災管理課長 私からは、今の資料の3ページですが、この訂正により、労災保険の給付に一部影響が出ておりますので、御説明いたします。3ページの上ですが、①にありますとおり、令和元年8月から令和3年7月までの期間に関して、労災年金のスライド率及び一時金の換算率に影響が出ております。
結果として、これは換算率の関係で、差額一時金を受給できる方がいらっしゃるのですが、この方々には追加給付が必要です。今、影響を試算したところ、約120人程度、1人当たり4,200円程度、合計で50万円程度が見込まれております。こうした方々については、再計算をして、対象となる方、給付額を特定した上で、速やかに準備、追加給付を行いたいと考えております。
逆に、③ですが、労災の年金給付の方については、まず150人について、1人平均、これは過去の7月分までですが、年額200円程度の引下げ、それからこれは直近ですが、令和2年8月以降の労災年金の給付分の一部、これは数が多うございまして、約6万人分ありますが、1人平均月額80円程度の引下げということで影響が出ております。
あと若干、一時金にも約100人、1人平均1,700円程度の引下げということで、これについてはいわば過払いという形になっておりますが、修正の適用前にお支払いした分については回収という形では行わないと。これは従前からの整理でそのようにさせていただきたいと思っております。
スライド率及び一時金換算率については、直ちに改正をして、今年12月分からは新しい改定をした形の率で適用できるように措置をしていきたいと考えております。以上です。
○荒木部会長 ただいまの説明について、何か御質問、御意見等がありますか。よろしいですか。それでは、ただいまの事項は、報告事項としてお聞きしたことといたします。
以上で、本日予定した議題は全てになります。この際、何か御質問、御意見等があれば伺いますが、よろしいですか。
それでは、次回の日程については、事務局より追って連絡させていただくことといたします。本日の議事録の署名委員ですが、労働者代表の仁平委員、使用者代表の砂原委員にお願いいたします。本日の部会は以上とします。どうもありがとうございました。