第3回 審査支払機能の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和2年10月30日(金)13:00~15:00

場所

全国都市会館 大ホール
(オンライン開催)

出席者

構成員(五十音順)

議題

1.不合理な差異の解消のための取組に関するヒアリング
2.支払基金と国保連のシステムの整合的かつ効率的な在り方に関するヒアリング
 

議事

(議事録)

○姫野保険課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回「審査支払機能の在り方に関する検討会」を開催いたします。
本日は、大変お忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
本日も、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としてございます。会議中、御発言の際は、Zoomの機能で挙手していただくか、難しい場合には、画面越しに手を挙げていただき、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
次に、本日の出欠状況ですが、宮田構成員から御欠席の連絡をいただいております。
会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
それでは、以降の議事運営は菊池座長にお願いいたします。
○菊池座長 お忙しい中、御参集いただきまして、ありがとうございます。
まず、冒頭に、昨日、田村厚生労働大臣と河野大臣、平井大臣との会談があり、審査支払機関改革についてもお話があったと伺っております。詳細は省略いたしますが、大臣間でも確認される重要課題という位置づけであるかと思いますので、引き続き、本検討会におきましても、皆様の活発な御議論をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
まず、議題1につきましては、前回に引き続き「不合理な差異の解消のための取組」を議題としております。これまでの議論を事務局から紹介してもらった上で、現場で審査を行っておられる社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会の審査委員の方々から、それぞれヒアリングを行わせていただきたいと存じます。
それでは、ヒアリングに入ります前に、不合理な差異の解消のための取組に関して、各構成員からいただきました主な御意見を事務局から御紹介、お願いいたします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。保険課長でございます。
それでは、資料1につきまして御説明させていただきたいと思います。資料1ですが、一番最後の7ページの部分でございますけれども、前回、途中で退席された黒田構成員から追加の御意見をいただいておりますので、添付してございます。この御意見も含めて、1回目、2回目の御意見ということで整理したものになってございます。
1ページでございますけれども、まず審査結果の不合理な差異の解消という部分です。
1つ目は、そもそも不合理な差異とは何かという定義の問題を御議論いただきました。
2つ目の○にありますように、現場の医学的な判断は一点に統一されるものではなく、一定の幅を持っているのではないかといった御意見もいただきましたし、一番最後のところにもございますけれども、医療の個別性と診療ルールの画一性の間を埋めながら、専門的知識と臨床経験に基づいて審査しているといった中で、支払基金・国保連、それぞれで様々な取組が行われていますので、そういったものを継続して差異解消に取り組んでいくべきであるという御意見をいただいたかなと考えてございます。
次の2ページでございます。各審査支払機関の中での差異の解消の取組でございますけれども、まずコンピュータチェックによる審査の9割完結といったことを支払基金のほうで目指していくという方針でございますが、この点に関して言いますと、例えば4つ目、審査の質を担保できるのかといった点。あるいは、その次の、AIの仕組みについて、教師データを検証するプロセスを入れるべきではないかといった御指摘もいただいてございます。
次の審査基準の統一に向けた取組の部分ですけれども、審査基準の整合性はどのように取るのか、プロセスが依然として不明確であるといった御指摘ですとか、年間、どれくらいのものを解消していくのかというスピード感、このあたりももう少し示す必要があると御指摘をいただいたと考えております。
次の3ページでございますが、自動レポーティング機能のプレゼンテーションも支払基金からしていただきましたが、これについても、どの範囲をレポーティングしていくのかという観点の御指摘が1点目かと思います。
それから、次の審査支払機関の間での差異の解消の取組ですけれども、1点目にありますように、雇用の流動化などもありますので、保険者種別で不公平が生じないようにしてもらいたいという御意見ですとか、4つ目にありますように、不合理な差異解消の取組を進めるために、両機関でのプロセス、目標、方法あるいは工程等を明らかにすることが重要であるといった御指摘もいただいております。
また、一番最後の部分ですけれども、前回、審査基準の統一を図ってきた105の事例の御紹介をいたしましたけれども、そういった統一事例の分母に当たる部分を示した議論が必要ではないかという御指摘もいただいております。この点については、事務局において整理するということを前回もお話ししておりますけれども、次回以降にまた御説明したいと思ってございます。
次の4ページでございますが、こちらはシステムの話になります。最終形として目指す姿の部分ですけれども、2点目にありますように、支払基金でモジュール化を進めておりますけれども、こういったものに加えて、最先端のものをきちんと使っていくことが大事であるという話。
それから、その次のポイントにありますが、デジタル化の推進に当たっては、業務の在り方自体の見直しということも必要であるという御指摘もいただいております。
また、1つ飛びまして、歴史や法律が別々ということで、独自のシステムを構築しておりますが、少なくとも医療機関の請求に対する審査というところでは統一が必要ではないかという御意見もいただいているかと思います。
それから、次の括弧でコンピュータチェックルールの部分ですけれども、支払基金と国保の間で、いろいろな用語・言語がかなり違うというイメージがあるのではないかという御指摘もいただいてございます。
また、次のページになりますけれども、コンピュータチェックルールの数え方とか、そういった単位を揃えるということも、不合理な差異を明らかにするためには必要ではないかということで、こちらも事務局として整理する宿題としていただいておりますので、これもまた次回以降、御説明できるように準備していきたいと考えております。
次に、再利用可能性と書いてございますけれども、システムの構築においては、可能な限り複数機関が相互に乗り入れて活用できるようにするべきであるということで、その下にありますように、保険者業務においても、あるいは医療機関の業務においても、サブスクリプションベースで利用できるようなことを目指すべきではないかという御意見もいただいてございます。
また、考慮すべき制約条件という部分ですが、国保のシステムについては、保険者機能を有する様々な分野のシステムともつながっているので、注意が必要であるという御指摘もいただいてございます。
③その他でございますが、オンライン請求の促進という観点で、紙レセプトの削減が重要ではないかという御指摘。あるいは、訪問看護についても、現在は紙の請求ですので、こういったものも課題ではないかという御指摘をいただいております。
最後、6ページ、在宅審査についてですが、利便性の向上という観点だけではなくて、コロナ後を見据えて、社会の新しい在り方といった観点から考えていくべきではないかという御指摘。
また、3つ目にありますように、個人情報の取扱い、セキュリティといった部分もありますので、慎重に検討していく必要があるのではないかといった御指摘をいただいているところでございます。
資料の説明は以上でございます。
○菊池座長 どうもありがとうございました。
なお、前回までに構成員の皆様からいただいた御指摘に対する支払基金・国保中央会などからの回答につきましては、次回、第4回の検討会で取り扱うこととさせていただきます。
それでは、審査委員からのヒアリングを行いたいと思います。まず、支払基金神奈川支部の田口審査委員長から、構成員のこれまでの御意見を踏まえて、審査結果の不合理な差異解消の取組について御説明をお願いいたします。
○支払基金(田口) 神奈川の田口でございます。こんにちは。基金の審査の立場の代表で、少し説明させていただきたいと思います。
まず、日本の保険診療は、一定のルールあるいは範囲、それから基準の中で診療が行われているということが日本の保険ルールでございます。その保険ルールに基づきまして、我々は医学的・専門的な知識をそこに加えまして、その診療は妥当性があるかどうかを判断するということが審査であるということでございます。この審査におきまして、それぞれの判断が医学的に妥当でないという結果も出てくることがございます。これが差異ということでございます。
差異の中には、大きく分けまして、今、話しましたように、医学的に整合性が説明できる、その上での差異ということ、これを我々は合理的な差異と考えております。一方、医学的に整合性が説明できない、その差異を不合理な差異と一応概念的には捉えておりますけれども、この整合性・合理性のない不合理な差異を線引きすることは非常に難しい。明確に分けることはできないと思います。現実には、これらを両方併せまして、私どもは差異ということで対応しているということでございます。
それでは、なぜ差異が発生してしまうかというところが大きな点、ポイントだと思います。1つは、これは医療ですので、非常に多様性が大きい、幅が広いということが特徴でございます。例えば、簡単な病気ですと、かぜ、いわゆるかぜ症候群におきましても、その症状は千差万別です。熱がある、ない、せきが出る、出ない、のどが痛い、痛くない。それから、おなかの症状がどうかと非常に千差万別であります。年齢によっても症状が違います。そうしますと、それに合わせたような治療、お薬の内容、投与期間、検査の内容、レントゲンを撮るとか回数といったことも全く変わってくるということが、これが大きな要因と考えております。
さらに、保険算定のルールがございますが、このルールも解釈が非常に難しいものがございます。明確でないものがあるわけです。例を取って申し訳ないですが、大腸の病気にポリープというものがございます。そのポリープは、最近では内視鏡的におなかを切らなくても取ってしまう。そうしますと、ルールの中で、このポリープ切除術は同一入院期間、または短期間のうちに初回の点数を算定する。1回のみというルールがございます。そうしますと、同一期間というのはレセプトを見れば我々は分かります。ところが、短期間という表現に関しましては、全く規定がないわけです。2週間なのか、1か月なのか、2か月、3か月なのか。
ただ、それは医学的な見地。ポリープは必ずしも1つではございません。たくさんできることがあります。そうしますと、取っていかなければいけないということで、その判断基準が分かれるわけです。それは、専門性の立場からいろいろな経験で分けていくということでございます。
それから、医学と医療のはざまということがございます。学問的に、例えばガイドラインに書いてあるからということで請求していることがあります。文献をつけて請求してくることがあります。これは、専門的な立場からイエスとかノーと判断しなければなりません。保険収載されていないので、基本的にはノーということが多いのですけれども、医学の進歩から考えますと、ガイドラインに沿った医療が行われていることは、ある程度容認するということになろうかと思います。これも差異に結びつくことがございます。
それから、医学教育ということも大きな差異の要因になってきます。すなわち、いろいろな大学の系列で、判断、治療の仕方、対応の仕方が少しずつ異なってきます。オーソドックスには青本がありますから、それにのっとりますけれども、医学教育というのは上級医あるいは指導医がだんだんにそれを教えていく。現場を見て習得していくということになりますと、こういう病気に対しては、こういう検査から入る、あるいはこの薬がどうということが、その系列の医療機関のルールというのでしょうか、方針に沿ってやられているということは事実でございます。
そうしますと、逆に言うと、審査のほうも我々が育った環境はそうではないので、こうだということで、その整合性やせめぎ合いが出てくると思います。例えば、手術した後、本来は病名に関して薬を出さなければいけないのですけれども、抗生物質を出す、出さない。これは、医学的に分かれるところです。それをどう判断するかということです。このようなことから考えますと、差異というのは習慣であって、診療科の間であって、審査の先生個人の差もあります。さらに、国保との判断の差もあります。これが現実です。
我々、年に1回、神奈川ですから、神奈川の医師会に保険のルール説明に行きます。そのときに医師会の会員の先生からよく指摘されます。国保と社保の審査の違いを何とかしてほしいということも言われています。このように、差異があるということは是正しなければいけません。保険制度、医療あるいは審査制度を堅持するためにも、差異があると保険者あるいは医療機関からの審査に対する信頼性が薄くなります。それはいけないことだと思いますので、基金といたしましても、差異の解消のためにいろいろな会議を開いたり、検討したりということを行っております。
この電子審査になりましてから、コンピュータチェックでいろいろなことが明確になってきました。審査もかなり効率よくなってきましたが、毎月、何千万という膨大なレセプトを審査するには、事務方と医療機関と我々審査委員が協力してやらなければいけないということで、効率化は必要だと思います。そういう点から、今、電子審査でやっておりますけれども、今後、AIを含めた、さらに効率のいい審査ということが求められると思いますし、今、それを検討しているところでございますけれども、AIで全て審査が完結するということは、現時点ではかなり難しい課題があると思います。そのためには、いろいろ検討しなければいけないと思います。
AIにどのようなデータを搭載したらいいのか、あるいは出していただいたらいいのか。あるいは、医療の我々が判断するところを、AIがどうそれをカバーしていくか。ディープラーニングをしてもなかなか追いつかないこともあるでしょう。それから、高額で難しい治療に関しては、医療機関は症状詳記と言って、その経過を説明することができます。それに対してAIがどこまでそれを判読してくれるか、これも課題になるかと思います。ただ、先ほども話しましたように、基金といたしましては、差異というのは解消していかなければならない、努力していかなければならない。今後も、それは引き続きやっていくと思います。
私のほうからの差異に関しての説明は以上でございます。どうもありがとうございました。
○菊池座長 田口審査委員長、どうもありがとうございました。
それでは、引き続き、福岡県国保連合会審査委員会の津田会長から御説明をお願いいたします。
○国保中央会(津田) 福岡県国保連合会審査委員会の会長をしております津田でございます。どうぞよろしくお願いします。
今日は、審査の格差ということで、私のほうから、今、田口先生からお話がありましたことに、少し具体的なことを踏まえまして、6点ほどお話し申し上げたいと思っております。そして、このようなお話しする機会がありますことをお礼申し上げておきたいと思っております。
まず、不合理な差異でございますけれども、田口先生からお話ありましたように、医療機関と審査機関は療養担当規則という大きなルールがございますので、それに基づいて適正な保険診療がなされているかどうかということに関しまして、審査委員が、これは国保も基金も一緒ですけれども、学識経験者、公益代表、さらに保険者の代表、そして診療側の代表という三者構成で、医学的・専門的な立場から、中立と公正を保って総合的な審査を行っております。
ただ、先ほど田口先生からもお話ありましたように、人、皆それぞれ顔が違うように、症状も一様ではございませんので、一定の差があるとは存じます。ただ、審査委員の間で、医学的・専門的な判断の幅をなるべく小さくする努力は絶対に必要だと私も考えております。
審査の格差というのは、基金と国保、両方ともお互いに悩みを持っております。審査委員の間での違い。それから、今、お話がありましたけれども、都道府県の間でも若干違いがあったり、都道府県の中でも基金と国保で少し違うのではないかということがあります。突き詰めて考えますといろいろなことがありますけれども、これはルールの点数表というものがあるのですけれども、審査委員の中で習熟度が若干違うことがあるということ。
それから、もちろんルールブックといいますか、青本、点数表の中に、先ほど田口先生もおっしゃっていましたように、解釈をいろいろ変えられることがあるところがございます。その2つではないかと思っております。ですから、今回のITの導入で、さらなる活用ができるように強く願っております。
2点目は、国保の件でございます。国保は、御存じのように歴史が違うということで、今まで各都道府県が運営主体でございますから、ローカルルールがあるのではないか、あるいは、それぞれの地域で審査委員の個人の医学的な判断といったところがあるのではないかということが否めないところもありました。それで、そういった個人レベルに近いような医学的判断が入り込まないような制度の設計を、ぜひしていかないといけないだろうと思っております。
国民健康保険におきましては、審査の判断に関する疑問について、全国の各都道府県の連合会に審査の状況をお互いに聞きましょうということで、各県で200件近く調査を行っておりまして、返事が返ってきますから、その内容について全国から約30名、審査委員の代表を毎年2回ほど東京に集めて、これは結構きついのですけれども、議論して、その結果を過去10年間、冊子にまとめてきました。
これを10年間続けてきたのですけれども、今から10年ぐらい前に、各地のどういうふうにやっているかという実情を把握するだけでは駄目だろうということで、国保中央会の指導力でこれをルールとして全国的に決めていかないと駄目だろうということで、時の会長の判断で決まりました。
各都道府県からいろいろな疑義が出てきて、これはどうしているという話があるのですけれども、皆さん、御存じのように、アンケートを行う場合には、その答えがきっちり出てくるためには、その質問の文章も最初から整理しないといけませんので、適正に追加したり、訂正あるいは削除を行って、全国都道府県から回答を集めてきました。そして、厚生労働省が作りました点数表と齟齬のないものに関しましては、全国の80%の都道府県が賛成していることを国保のルールとして決めることを決定いたしました。
これを推進するために、審査基準の統一推進検討会というものを作りまして、全国の8ブロックから1年間、3回集まっていただいて、そこで詰めて議論して、その議論の結果を全国の国保審査会の会長役員会、それから全員が集まります国保の会長会に出して、最終的な決定としております。
3番目は、このように内部で議論してきたわけですけれども、判断がなかなか困難な例がございます。決めづらいことがあるので、そのために厚生労働省に確認をお願いして意見をいただくことを、中央会を通して行っているところでございます。その中で、全国の国保の会長あるいは現場の審査委員から、ここにお集まりの皆様は多分そう思っていると思うのですけれども、厚生労働省と支払基金と国保で一堂に会して、東京でルールを決めてしまって、それを全国一律流してほしい。そういう場を作ってほしいと願ってきました。議論することはたくさんあるのですけれども、この連絡会議というものを昨年、厚生労働省のほうで作っていただきまして、大変感謝申し上げたいと思っております。
実は、その連絡会議がコロナでなかなか開けていないものでございますから、お願いでございますけれども、今はテレビ会議の時代ですから、後で私、申し上げますけれども、福岡県では毎月やっていたものですから、このテレビ会議を毎月でもいいですからやれたら、審査の格差はどんどんなくなっていくと思うので、ぜひともお願いしたいと、ここで申し上げておきたいと思います。
その次の点は、こういう全体の話と、もう一つは、診療科それぞれの特性がございます。それぞれの診療科は、全国横断レベルで約束事を作っていて、それはそれでよろしいのですけれども、その専門家だけでは、ほかの診療科に関係することが結構出てくるものですから、これは用心しておかないといけないところがございます。
その次の点は、福岡での取組でございます。昔から福岡は、先ほどございましたけれども、医師会が橋渡しをしまして、毎月、支払基金と国保が1か月交代で案件を数件ずつ、大体四、五件ですけれども、出しまして、審査の格差を是正するようにお話、突き詰めをやってきました。これは、一月に1回、審査委員、両方から出てきてやってまいりまして、そういったものを集めまして、九州厚生局、福岡県の保険指導係、医師会、支払基金の審査の先生方、国保の審査委員が一緒になりまして、12年前から診療の手引きという形で、小さなパンフレット、冊子。小さいと言っても200ページ近くあるのですけれども、診療報酬の改定のたびにそれを作ってまいりました。
たった今、第7版というものができ上がったところでございます。これを、医師会の会員はもちろん配りますけれども、医療機関の事務職の方はそれを当然見ていますし、保険者の方もこれを参考にしております。これが1つのルールになっておりますので、これは非常に効果が出てきたなと考えております。
そうは言っても、審査基準の統一に向けまして、次の問題は、システムによるコンピュータチェックの精密な統一化が重要と考えております。国保においては、第1回、第2回でも指摘があったようでございますけれども、告示とか通知に関するような項目と、医学的判断が必要な項目で整理ができていなくて残っているものが結構たくさんあります。この点については、今から2022年にかけて片づけていかないといけない問題だと思っておりますけれども、大した問題ではありません。大事なことは、コンピュータが発展して審査でいろいろなことができても、AIになっても、最終的には、医師が中立的、公正に医学的判断をするものだと考えております。
最後になります。お話がありました在宅の話でございます。今、在宅医療がコロナの関係で出ております。ただ、これは医師が病歴を聞いたり、話を聞いたりというのは大事なのですけれども、自分で触ったりということが大変大事なことでございまして、総合的に診断すべきとの基本的な立場は変わらないし、変えてはいけないだろうと考えております。
同じように、在宅の審査につきましては、ICTを用いて多くのことができるようになると思います。ただ、これは個人がそれぞれのところでやりますと、どうしても一人一人になります。通常の審査会などでは、隣にほかの審査委員の先生がおられて相談するとか、これはどうだという話ができるのですけれども、個別でやりますとそういうことがなかなかできなくなるので、できますれば、必要なときにはグループで相談ができるような場が確保された上で始めるべきではないかなと思っております。
ここで基金の方々にお願いがあるのですけれども、この前の検討会で、群馬の支払基金で在宅の審査に関して実証実験をされているということなので、いかがなものだったのかということを、いい機会でございますから、ぜひお教えいただければありがたいと思います。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○菊池座長 津田会長、どうもありがとうございました。
それでは、今までの御説明に関しまして、御質問、御意見等ございましたら、挙手の上、発言をお願いいたします。次の議題との関係で、2時過ぎあたりまでをめどとしたいと思います。
それでは、河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
両先生、貴重な御説明、ありがとうございました。
私から3点ほどお伺いしたいと思います。
まず1点は、これは両先生にお伺いしたいと思うのですけれども、審査結果の支部間差異の理由で、医療の地域性ということがよく出てまいります。これは、具体的にどういったものなのか、お教えいただきたいというのが第1点でございます。
それから、2点目は、先ほどの国保の審査委員長様のお話の中でも、厚労省と支払基金と国保の審査部門と一堂に会して決めるべき、連絡会議というお話もございました。その意味では、診療報酬の算定要件の解釈が曖昧なものとか、あるいは明確にされていない部分があるというのが差異の一つの背景・要因としてあるということかと思いますので、厚労省が疑義通知を出すことを適切に行えば、差異の解消は進むのではないかと考えておりますけれども、この点、支払基金の委員長様はどういうふうにお考えなのかということをお伺いしたいと思います。
それから、3点目、これは国保の委員長様にお伺いしたいのですが、国保連と支払基金の審査結果の差異の理由の中で、国保は高齢者が多いからというお話が時々出てまいりますけれども、それは具体的にはどのようなものなのか。被用者保険でも、当然、高齢者の方は一定数存在されているわけで、高齢者医療に関する差異については同じ結果になると考えてよろしいのか。
以上3点、お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、田口先生からよろしいでしょうか。
○支払基金(田口) それでは、お答えさせていただきます。
まず、医療の地域性、地域差ということでございます。これは、なかなか難しい問題があるかと思います。と言いますのは、先ほど説明させていただきましたように、日本の医療というのは一定のルールで行われていることが原則でございますし、1点10円というルールもございます。そういうことから考えますと、皆さんは地域性というのはそれほどないだろうとお考えになるかもしれませんけれども、現実の医療の現場の地域性というのは、例えばの話、人口分布の問題もございます。若年が多いところ、高齢者が多いところ、それから環境・気候ということで疾病の種類も違ってきます。
このようなことで、先ほども話しましたように、治療の検査の仕方、投薬の仕方が差として出てくるということが地域性と私どもは理解しておりますし、その地域ということを尊重したいと考えております。ただ、逆に言いますと、地域性の中で傾向的な診療という負の点もございますので、これは基金として是正していかなければならないと思います。
それから、医学の教育のことも先ほど少し触れさせていただきましたけれども、地域の体系というのでしょうか、上級から現場に指導していく。そういう差も多少地域性に入ってくると私どもは捉えております。ただ、それはなるべく是正していく努力をしているということでございます。
あと、厚労省からルールの解釈がということでございます。これは、現場の作られる方は大変だと思います。先ほどもお話ししましたように、疾病・病気というのは、同じ病気でもかなり症状も違います。そうしますと、一律的に1足す1は2という表現ができないものがよくあります。分かります。ですから、先ほど一例を説明させていただきました。
また、時には医学的判断にという文言もございます。これも、我々の立場で公平に判断しているつもりでございますけれども、差の要因になってくるということでございます。ただ、しっかりとしたインフォメーションを作っていただく、出していただくことは非常に大切だと思っております。
以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。
津田先生、お願いします。
○国保中央会(津田) それでは、3点です。
最初の地域性の問題でございますけれども、私は、田口先生もおっしゃいましたように、地域性というのはそんなに大きな違いはないのではないかと思っております。ただ、河本構成員、お感じのように、健保連はお金を払うほうですから、御存じのように、基金も国保も高額医療というものがございまして、38万点以上は中央で審査しております。ですから、中央の審査が行われていますので、一様に審査されているのではないかなと思っております。
2番目の疑義解釈の問題ですけれども、今、田口先生もおっしゃいましたけれども、厚生労働省が法律を作るのは大変だろう、御苦労は大変だろうと思っております。だから、僕らも勝手なことを言いますけれども、大変だろうと思いますので、それは先ほど申し上げましたように、頻度を上げてしょっちゅう会って、これはどうなのということをやっていけば、簡単に解決する問題だと考えております。
それから、3番目の、国保には高齢者がということがございます。御指摘のことは、多分高齢者の医療費が高い、それから、基金と国保と比べますと、高齢者医療の保険制度が変わりまして、取り扱う件数も取り扱う金額も基金と国保が逆転してしまいました。ただ、国保のほうが確かに高齢者が多いので、重症といいますか、若い人はすぐ回復して退院する方がおられますけれども、高齢になりますとどうしても長くなるということですね。そのときには、医療の内容をどうするかということに関しては、残念ながら国民的な合意がないものですから、全力でやっていくという態度でやっているので、国保のほうが高齢者医療費が多少高いということは、それこそ健保連のほうではお感じになっているのではないかなと思っております。
私からは以上です。
○菊池座長 河本構成員、よろしいでしょうか。はい。
それでは、大石構成員、お願いいたします。
○大石構成員 御発表ありがとうございました。非常にいろいろなことをお考えになられて、しっかりと取り組まれていらっしゃるということをお伺いして、安心しました。
私の意見ですけれども、まず、地域によって高齢者がいるとか、いないとか。そもそも、医療の特性の主義が違うとか、こういう患者さんにどういう薬を出すのかという差異があること。あと、実際の保険点数で何がどういうふうに算定できるかということについても、かなり曖昧である。曖昧であるから、疑義解釈という、どんどんいろいろなものが出るのですけれども、そういうことがあることは理解しつつ、同じ患者さんが仮に違う地域にいたとしたときには、同じ医療を受けるべきだというべき論はあると思うのですね。
ですから、今で言うと、地域によって提供されている医療が違っていたり、当然それはよかれと思ってやっていらっしゃると思いますし、その結果、審査結果が違ってくることはあり得ると思いますし、一概に否定できないと思うのですけれども、べき論から言ったときに、それはできる限りなくしていく。
それは、単に差が悪いから差を是正するというよりは、どこにいても同じような最適な医療が受けられる。その結果、それが保険適用になっていくということを目指すべきだと思うのです。そうなっていくと、目指すポイントというのは、いきなりそれをコンピュータとかAIを使って一律に切ったり、こうしろというものでは多分なくて、第1段階は、どれだけ見える化するかということだと思うのです。
だから、同じような患者さんがいらっしゃったとき、もしくは同じような状態であったときに、結果として差が生じていますということをできる限り多くピックアップし、かつ、その差異が患者さんの属性なのか、場合によっては特定の審査委員の方が特定の傾向値を持って審査されているのかという原因を究明して、それをできる限りオープンにしていく。オープンにした後に、それを地域を越えて議論を促進していき、結果としてベストな医療に寄せていくということのプロセスが要るのだと思うのです。
今回、コンピュータ化等を入れることの一つのメリットというのは、みんなで頭を寄せ合って相談してというのと同じプロセスを、より広範囲に、かつ大量にできるということだと思うので、見える化をどれだけできるか、またそれが分かりやすくできるか。また、その後の原因究明と是正のプロセスをどれだけ、どういうふうにして入れるのかというところに力を入れられると、今、目指している姿のほうに行けるのではないかなと思いました。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございました。
御意見ということでございますが、両先生から何かコメントございましたら。それでは、田口先生、お願いします。
○支払基金(田口) ありがとうございました。
御指摘はもっともだと思います。日本にいる限り、どこに行っても同じような治療・医療を受けられる、これが基本だと思います。そのために、医学教育もされているでしょうし、いろいろな卒後の教育もあると思います。
ただ、先ほども話しましたように、大まか、基本的なことは変わっていないと思います。全国、どこでも同じだと思います。ただ、細部に行きますと、先ほど説明させていただきましたように、それぞれの教育を受けた過程での差異というのは多少あるというところだと思います。そういうところがクローズアップされて差異だと言われることもありますので、我々としては、それを含めて是正していく。見える化というのは非常に大切だと思います。
日常、診療していますと、レセプトで、別の何々県は、これをこういうふうに判断しているのに、神奈川はどうしてそれが違うのかという説明を求められることもあります。それに関しましては、我々も、ほかの県も、それなりに理論を持って理論的に説明して理解を求めているということでございますが、保険者さんのほうは、なかなか理解が難しいということでございますので、今後はそれについても取り組まなければならないと認識しております。
以上です。
○菊池座長 津田先生はいかがでしょう。
○国保中央会(津田) 特にございません。見える化というのは、本当に大事なことだと思います。そのためには、開かれた場で議論することだと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、佐藤主光構成員、お願いいたします。
○佐藤(主)構成員 よろしくお願いいたします。
お二人の御説明ありがとうございました。大変参考になりました。
この検討会、少なくとも出口はデジタル化あるいは標準化、地域格差の是正というほうに向かっていくのだと思います。社会、世の中が今、大きくデジタル化の方向にかじを切っておりますので、デジタル化の前提条件というのはどうしても標準化ということになりますので、できるだけ地域差というのは解消していくということなのかと思いますし、あと、今の政権はかなりスピード感を持ってということでありますので、迅速な対応を求められるのかなと思いました。
何点か質問ですけれども、1つは、支払基金さんと国保連合会さんと厚労省さんの協議会の話が出ていたと思います。この協議会というのは、具体的にどんなことを協議するというとあれですけれども、差異を一個一個挙げて議論されるのか。それとも、ガイドラインという言葉が出ていましたけれども、何らかの包括的なガイドラインを作るということなのか。議論は余り進んでいないようですけれども、その目指す方向というのを確認させていただければと思います。
それから、地域差という言葉が何度か出てくるのですが、これは地域差なのか。さっき医学教育の違いというお話があったので、実は大学差と言うと失礼ですけれども、大学でどんな教育をしてきたかによって、結果として地域差が生まれてくるのか。いろいろな患者さんによって個体差があるのはよく分かるのですけれども、その個体差が体系的に地域差になって現れるとは思えないので、これは医学の大学教育の違いというのが大きな要因と考えたほうが素直なのかどうかということについて、これも2点目、質問です。
それから、最後に、これは感想になってしまいますけれども、まさにある程度の地域差というのはやむを得ないとしても、御指摘のあったとおり、説明責任は問われると思うのですね。ですから、妥当な説明ができないものについては、順次解消せざるを得ない。いずれにせよ、医療の現場あるいは支払基金さんであれ、こちらサイドといいますか、医療従事者サイド、支払基金や国保連合会さんサイドに、この地域差に関する説明責任が問われているという状況なのかなと思いました。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
1点目は、事務局のほうで、連絡会議の件ですかね。お願いします。
○井内医療課長 連絡会議の件でございますが、お話にございましたように、現在、新型コロナウイルス感染症の関係で開催が止まっているというのが実情でございます。ここの会議の中で具体的に目指していくものは、個別の事例を支払基金及び国保連から持ち寄り、その中で意見が分かれていたものを双方から挙げていただき、その中で双方の違いがあるかどうか等、個別の確認を目指しております。
そういったことをしていただくためにも、違いがあるから、こちらに揃えるというだけではなくて、なぜそういった差ができたのか、そういった差をどう解消するのかというところを検討していこうという形で現在、進めようとしているというのが事実でございます。今後は、本日の御意見もいただきながら、どのような運営がいいのかというのは、我々としてしっかり検討させていただきたいと思います。
○菊池座長 先ほど津田会長から、早く再開してほしいという御要望がございましたけれども、それも今、お答えできることはあれですか。検討するということになりますか。
○井内医療課長 この場でいつ再開できるかについては、本日御意見もいただきましたので、今まで目指していました方向性と、本日いただきました御意見とのすり合わせをさせていただきまして、どういった方向でやるのが一番よいのか。標準化、見える化についてスピード感を持って進めていく。そういったことを踏まえさせていただき、やり方については検討させていただきたいと思います。
○菊池座長 ありがとうございました。
それでは、2点目、3点目につきましては、両先生にお願いできればと思います。
まず、田口先生のほうからお願いいたします。
○支払基金(田口) それでは、まず、差の要因としての教育ということの御指摘がございました。医療の現場では、オーソドックスなことに関しては全く差がないと考えております。ただ、細部の本当に細かいことですけれども、教科書に載っていないようなところについては、上級医の日常の診療を若い人たちは見よう見まねで習得してということが医療の実際の現場でございます。ですから、こういうときはこういう薬を使うということが前から残っているのでということで、それがその地域によって、あるいは系列によって差が出るということも事実だと思います。ただ、それは是正しなければいけない。
では、そういう中でどうしたらいいかということは、1つは、卒後教育の中でも結構ですけれども、保険診療ということを学生なり、あるいは研修医なりに教育するということも必要だと思います。これは、この場でそういうことを話すのが適切かどうかは別といたしまして、私はそういうことを考えております。
それから、2番目としまして、説明責任というのは非常に大切だと思います。基金のほうといたしましては、今は医療機関、ないしは保険者に、その審査の結果がどういう理由でこうなったかということを文章として説明を出しております。文章の内容は、まだ改善しなければならないものも多少あるかもしれませんけれども、そういう取組をしているということは、先方が見える化を評価する、あるいは理解してくれるということで、非常に大切だと思います。
これは、医療機関に対しましては原審査ですから、今は九十数%、行っております。それから、保険者の再審査請求に対する結果の説明も90%に近いぐらい行っているということでございます。これは、できれば100%を目標という努力をしているということでございます。説明責任は非常に大切だと、このように私どもは理解して取り組んでおります。
以上です。
○菊池座長 津田先生、いかがでしょうか。
○国保中央会(津田) 先ほどの連絡会議の件、どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
それから、地域差の件でございますけれども、そういったものを是正しようということで出てきましたのが、専門医教育のいいところと悪いところがあると思うのですけれども、いわゆる総合医を育てましょうという感じで、若いときに教育の中でいろいろな分野の経験をしたほうがいいと。私どもの世代のときには、いろいろな科を若いときに自由に行き来していたのですけれども、それができにくくなってきた。ですから、専門医制度の少しネガティブな部分が出ているのですけれども、それを補うように、総合診療とか総合医を育てましょうという動きが出てきている。これがうまく行けばいいなと思っております。
それから、3番目の説明責任の件でございますけれども、田口先生がおっしゃったとおりでございます。基金のほうが既に先行して、そういった符号を、従来でございますと、A、B、Cというのがございまして、Aというのは、保険でやったら駄目ですよ。Bというのは、ちょっと回数が多いですよ。Cというのは、保険診療のルールで見たらおかしいですねというのが、昔はA、B、Cだったのです。ただ、基金も改善されていますけれども、今、私がお話しした言葉がついているだけなのですね。だから、これは改善していただかないといけないので、国保も真似しないといけないので、ぜひ先行してお手本を示していただきたいと思っております。
よろしくお願いします。
○菊池座長 ありがとうございます。
佐藤主光先生、よろしいですか。
○佐藤(主)構成員 ありがとうございました。
○菊池座長 どうぞ、神田理事長。
○神田支払基金理事長 今、津田先生からお話ありましたけれども、支払基金のほうは、先ほどおっしゃったA、B、C、Dだけではなくて、今、どういう理由で査定されたかというのを文章化して返すようにしております。先ほど田口委員長のほうからお話がありましたけれども、今年の8月で言いますと、原審査については98.6%、再審査については95.9%、今、100%を目指して、必ず理由を付して返すようにということをしております。
それから、職員個人が何文字で理由を説明しているかというのを全部フォローするようになっていまして、非常に短い理由ですと理解が十分得られないということで、短い理由を書いている職員には、個別に指導するということもしています。
○菊池座長 どうもありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
平川構成員、お願いします。
○平川構成員 ありがとうございます。
国保連合会も、基金のお話も、それぞれ大変よく分かったのですが、大前提として、医学的に整合性があるかないかということで、不合理か、そうでないかというお話がありましたが、地域差とか教育の問題、それから高齢化等は、基金とか国保連合会というそれぞれの立場とまた違う視点だと思うのです。ですから、そういう意味では、お二人のお話を聞いても、医者として差異はないのではないかと私は思いました。それぞれお聞きしたいのですけれども、お互い違うところはどういうところなのかということの御説明をちょっとお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池座長 御質問の趣旨は。
○平川構成員 大きな差はないのではないかと私は思うのですけれども、それぞれ自分のところはここが違うのだということを説明いただきたいのですが。
○菊池座長 ということでございますが、いかがでしょうか。それでは、津田会長からお願いします。
○国保中央会(津田) 平川先生、私ども2人の話で、基本的に余り変わらない。審査の格差があるのではないかと認めたように、私ども申し上げていますけれども、余り大したことはないのではないかという御意見と理解していいでしょうか。
○平川構成員 大したことはないというか、それぞれの基金と国保で審査のやり方に変わりはないのではないか。同じようにやって、きちんとした判断をされているようなので、それぞれ違った判断をしようとしているとは思えないので、逆に1つでやられてもいいのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○国保中央会(津田) 後半の話になるのだと思うのですけれども、私は基金と国保は性格が少し違うところがあるものですから、基金の場合には、審査支払というのが業務でございますけれども、国保の場合は、歴史的に各県で国民健康保険ということで、審査支払とともに保険者の機能、各行政が国民健康保険という形で持っている。そこの保険者機能があるものですから、それが一番大きな違いじゃないかと思います。
ただ、先生がおっしゃるように、審査をするときの方向性は違いはないと思います。ですから、そういう面では2つが1つでいいのではないかというのはあります。そのためには、先ほど申し上げましたように、実際、同じ業務をやる人間がしょっちゅう顔を合わせて、これ、どうするという感じで話をしていくのが一番早い話ではないかなと思っております。ですから、そういう意味ではおっしゃるとおりで、大きな違いはないのではないかと思っております。
○菊池座長 田口委員長、お願いします。
○支払基金(田口) ありがとうございます。
まず、差ですけれども、国保と社保では、審査委員そのものの立場も異なります。国保は国保なりに、社保は社保なりにそれぞれ主張して、ただ、それは整合性がかなりあります。意見を聞けばもっともだ。ただ、結果が違うというところでございます。それは、お互いの専門の人たちの判断ですから、我々はその人たちの判断を尊重するということもあります。現場では、医療の裁量権ということで、いろいろ幅があるということですけれども、審査の中でも、レセプト、紙1枚で判断するということですので、その判断結果に関しましては尊重するというところもあります。
我々神奈川ですと、国保と社保が定期的に話し合いを持っております。それぞれが問題点を出して話し合いますけれども、半分は意見が分かれてしまいます。それが現状であります。それは、統一することは必要だと思いますけれども、立場が違うと多少判断が変わってくるかなと思います。
ただ、それでは問題ですので、神奈川としてはどうしているかというと、全体会議ではなかなか細かいところまではできませんので、その後、継続審議になっているものに関しましては、ワーキンググループを作って、さらに深く議論して歩み寄ろうという取組をしております。それが現実であるということです。ただ、社保も国保も、基準はできることなら統一して、同じ結果ということが望ましいというところでございます。
以上でございます。
○菊池座長 平川構成員、いかがでしょう。よろしいですか。
○平川構成員 私も医者ですから、私が国保の審査委員になったり、社保の審査委員になったりすることで自分の意見が変わるとは思えないので、おっしゃっている意味がよく分かりません。ですから、都道府県別にそれぞれ考え方が違うのであれば、都道府県別に1つずつあってもいいのかなと思うのですけれども、今のお話で、立場による医学的考えが変わる、基準が変わってしまうということは、私はちょっと理解できませんでした。
○菊池座長 どうぞ。
○支払基金(田口) 言葉の説明が少し不足していたかもしれませんけれども、例えばの話、基金では、昔からいろいろな算定ルールを作っております。これは、かなりベテランの先生がいろいろなことを考えて、1つのこういうルールであるということで、それを我々は踏襲しております。そうすると、だんだん時代が変わってきて、医療内容、診療内容も変化してきます。
そのときに、どういう対応がスムーズかということでも差が出てくることもあると思います。そのときには、早く是正すればという御意見もあると思いますけれども、先ほども説明させていただきましたように、これは我々が是正しなければいけないのかもしれませんけれども、いろいろなことに関しての判断の尊重、診療科の問題での特性。それに対しては、我々は専門外ですと、専門的ですから介入するのは難しい。ということで差が出てくるということはあろうかと思います。その差がないように、診療科ごとに毎月、国保と社保で話し合いを持つことも現実やっているというところでございます。
ただ、先ほどもお話ししましたように、先生おっしゃいますように、そんなに差はないのです。問題は、差があるものが改善できているかどうかというところに大きな点があると思います。これがなかなか改善、一致しないということが現実でございますので、その努力をしているということで理解していただければと思います。
以上でございます。
○菊池座長 一旦引き取らせていただきまして、よろしいでしょうか。
ほかにいかがでしょう。
印南座長代理、お願いします。
○印南座長代理 質問ですけれども、津田先生のお話を伺っていると、すごくよくやられているなと思うのですが、最初の質問は、これは福岡県だけじゃなくて、全国の国保でその進展度合いに差があるのかどうか。仮に全都道府県で同じように努力されているのだったら、問題は随分緩和されているはずというのが1つの意見なのですね。
もう一つは、御意見を聞きたいのですが、もし福岡でやっているような連絡会議のようなシステムがきちんと機能して、その結果をお互いに会議に参加した人が共有するだけじゃなくて、きちんと標準化し、場合によってはデジタル化し、さらに医療課のいろいろな通知とか診療報酬の条件設定や疑義解釈に速やかにフィードバックされれば、コンピュータシステム自体の統合とか、そこまで差を解消するために必要なのかというのは、ちょっと疑問になってくるのですね。もし、それがすごく難しいのだったら、コンピュータ化によって同一システムを導入するのが一番手っ取り早いという話になってしまうのではないかと思うのですが、そのあたりについての御意見、いかがかということです。
以上の2点です。よろしくお願いします。
○菊池座長 津田先生、お願いします。
○国保中央会(津田) 先生、ありがとうございます。
こういうふうになってきたのは、実は先ほどちょっとお話し申し上げましたけれども、福岡の話もありますけれども、全国の国保のいろいろな県で判断が違うので、その意見を集める作業をおよそ10年間していたのですけれども、その違いをお互いに認識するだけでは話にならないので、これをルール化しようと。ただし、これは厚生労働省が決めたルールが厳然としてありますから、それを超えることはできないわけでございますから、厚生労働省が決めたルールがどうなのだろうというときには、厚生労働省に質問とかを上げて伺いをするということしかないだろうと思っております。
そのようなことで、このような動きが国保のほうで起こってきたのは10年前でございまして、全国の8ブロックの代表の現役と言うとおかしいですけれども、先生方で、ちょうどワーキンググループみたいなものですけれども、それぞれの地域でそこのブロックの連合会のほうに情報、こういう話があったということを、もちろん紙では全国に行くわけですけれども、そのほかにそういう話をしていただいております。それで、いろいろな県から上がってくる内容も、大きな問題じゃなくて、小さな問題に大分なってきたような感じがいたします。要するに、大きな話はだんだん片づいてきたので。
それから、福岡で先ほどの情報の共有がございますけれども、基金と国保で話をした内容については、そこには医師会の役員も来ております。ということで、医師会のほうからそういう情報も流れますし、審査委員のほうから情報が流れます。
ただ、問題は、1つは、国保と基金と違いまして、申し訳ありません。国保が都道府県単位で動いてきたという歴史があるのですけれども、基金の場合には、東京のほうに本部機能があるということで、本部でやってきましたので、ここで言っていいかどうか分からないですけれども、本部と地方では若干ギャップがおありになるのです。東京ではこう決めているけれども、地方ではそうしていない。これは何でと私どもはよく言っていたのですけれども、そういうものがあります。ですから、その辺も是正していかないといけないところはあるかと思っております。
先生、これでよろしいでしょうか。
○印南座長代理 ありがとうございます。
完全に納得していないですけれども、すみません、また後で質問したりするかもしれません。
ありがとうございました。
○菊池座長 会場からは何かございますか。
どうぞ、神田理事長。
○神田支払基金理事長 印南先生の御質問についてですけれども、私も多くの支部に行って、各都道府県ごとに国保と支払基金の審査の差異についての協議をどういうふうにやっているのかというのは、各支部に行ったときには審査委員長に必ずお聞きするようにしています。
先ほど津田先生からお話があったように、国保と支払基金の協議は年に2回とか、頻度は県によって違いますけれども、ほとんどの都道府県で行われています。ただ、扱いは、先ほど津田先生がおっしゃったように、福岡のようにまとまったものは、医師会が冊子にしてきちんと情報提供する、あるいは医師会報などでフィードバックする都道府県もあれば、まとまらなければ次の議題に行ってしまって、そのまま放置されている都道府県と、先ほど言ったように、医師会がきちんとまとまったものをフィードバックする。扱いは違うと。(音声混線)
○菊池座長 大丈夫ですか。理事長、途中からで申し訳ありません。
○神田支払基金理事長 ほとんどの都道府県では行われています。それから、メンバーは、厚生局が入っているところ、県の担当課が入っているところ、医師会だけのところと、いろいろありますけれども、構成も少しずつ違うということですけれども、通常、年に2回ぐらいずつは協議されている。ただ、きちんと結論を出すまで議論するところと、違えば、そのまま次の議題に行くところと、県によって扱いがかなり違うというのが、実際に多くの現場に行って聞いている話では、そういう実態かと思っています。
○菊池座長 ありがとうございます。
それでは、佐藤好美構成員、お願いします。
○佐藤(好)構成員 ありがとうございます。
今日は、お二人からとてもいい話を聞いたなと思って、聞いていました。
感想めいた話になるのですけれども、ルールがあって、ルールに合わせてレセプトチェックをしているようなつもりでいるのですけれども、現実にルールのほうが定まっていないものについては、当然、チェックも定まらない。そういうものであればあるほど、多分、差異が生まれてくるのだろうなと思いました。それこそ療担規則等に「短期間」でと書いてあるものについては分からないというお話も、現実にはバリエーションのある治療例があるから数字が入っていないのでしょうし、実際に現場に行くと、それに合わせて、またいろいろな例があり、そこで差異をどう合わせていくのか、ということなのではないかなと思いました。
医学教育についても、都道府県の医学部によって考え方が違い、本来はそういうものを合わせるために学会ガイドラインがあるのだと思いますが、学会ガイドラインも診療科によって、極めて美しいものを作られるところと、そうでないところがあって、では何が正しいのかというと、現実にはよく分からないということが、審査の違いに反映されてしまうのだろうと思いました。
その中で、現場で努力されているすり合わせをうまくルールに乗せていくことがすごく大事だと思います。印南先生が御指摘になったところですが、例えば福岡県が作られた診療の手引きみたいなものを実際にルールに乗せていくとか。それこそ、厚生労働省で国保と基金と厚生労働省が一緒になってやっている協議会については、恐らく厚生労働省自身が療担規則を作るときに学ぶものもあるのだと思いますし。
それから、最近では適正使用ガイドラインみたいなものも出てきていて、学会ではガイドラインになっていないけれども、こういう使い方をしてください、みたいなものが出てくること。標準治療を提供するために現場で行われているすり合わせの努力が、ルールにも結びついていくといいなと思ってお聞きしました。
以上です。ありがとうございます。
○菊池座長 ありがとうございます。御意見として承りたいと思います。
先生方から何かコメントございますか。
それでは、田口先生、お願いします。
○支払基金(田口) ありがとうございます。
今、先生が言われたのは、本当にそのとおりだと思います。ですから、国保もそうですし、我々もそうですし、それなりの努力もしています。ただ、根幹が揺らぐと、どうしても判断にぶれが出るということもありますので、これは正本を作る、基準を作るところも、そういうところが非常に多様で難しいのは重々理解しておりますけれども、ある程度明確な基準があると、もっと差は少なくなるということも現場の意見としては確かにございます。これは、今後全ての部門で協力して進めていかなければならない問題と認識しています。
どうもありがとうございました。
○菊池座長 よろしいでしょうか。そろそろ時間が参っておりますが、ほかによろしいでしょうか。
それでは、議題1につきましては、これで終了いたします。田口審査委員長、津田会長におかれましては、大変御多忙の中でお越しいただきまして、貴重なお話を伺わせていただきました。誠にありがとうございました。
(田口委員長、津田会長 退席)
○菊池座長 続きまして、議題2「支払基金と国保連のシステムの整合的かつ効率的な在り方」につきまして、まず令和6年にシステム更改を予定しておられる国保中央会から、システム更改の検討状況、課題、今後の方針などにつきまして御説明をいただきます。その後、先行して令和3年9月にシステム刷新を行う支払基金から、改めてシステム刷新の内容を御説明いただきます。
では、最初に国保中央会の原理事長からよろしくお願いいたします。
○原国保中央会理事長 それでは、私のほうから、資料2に基づきまして国保総合システム更改に向けた検討状況について御説明させていただきます。
1ページ目をお開きいただきたいと思います。太字で書いておりますように、国保連合会は、審査支払業務のほか、国保保険者が行うべき事務の効率化を図るための共同事業を行っております。こうした業務を行うために、下の○でございますが、国保中央会が標準システムとして、これを開発し、連合会がこれを使っている。また、この標準システムの経費は、市町村等の保険者や後期高齢者広域連合が負担していただいているという構図になっております。
資料の5ページ目を御覧いただきたいと思います。この国保総合システムでございますけれども、まずは、電子化されたレセプトの受付事務点検ということで、オンライン請求システムというものがございます。これは、支払基金さんが開発した機能を国保も共有して使っております。来年1月には更改を迎えるということで、クラウド化するということで、両機関、準備を進めているところでございます。
ここで受け付けた情報を国保総合システムの中に取り入れていくわけでございますけれども、上のほうの赤い枠で囲った部分が審査支払系システムということで、レセプト電算処理システム、画面審査システム、国保請求支払システムの3つからなっておりますが、ここがいわゆる支払基金さんのシステムに相当している部分でございます。
一方、国保総合システムは、このほかにも、右側の下にありますように、保険者共同処理系システムというものを持っておりまして、審査支払系システムで出てきた医療費等の情報を300以上のテーブルと1000近いファイル連携を行うことによって、その情報の受け渡しをいたしまして、保険者給付システムでは、例えば高額療養費の計算に使って、それを市町村保険者に情報提供している。
また、レセプト管理システムと言いまして、査定が終わったレセプトは、本来は保険者にお返しするのですけれども、市町村保険者からの委託を受けまして、連合会がこのシステムを作って一元管理をしている。こういう一元管理をしますと、そのメリットとして、ここで蓄積された情報を例えば保健事業等に活用できる。
この保険者共同処理系システムから左のほうに矢印が出ておりますけれども、例えば国保データベース(KDB)システムは、これはいろいろな保健事業を支援するシステムですけれども、こういったところに情報をつないでいっている。あるいは、介護保険の審査支払等のシステムにも活用しているということで、こういった国保固有システムとも情報連携ができているということでございます。このように、国保連が担う保険者の事務の共同事業を処理するための総合的なシステムとなっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
仮に支払基金のシステムを審査支払系システムに取り込んだ場合には、後ほど25ページに雲の絵が出てまいりますけれども、連携インタフェースの差異を吸収するシステムの構築ということが必要になるということでございます。
6ページ、検討の経緯のところでございますが、1の最初の○、3行目に、実は国保総合システムは、現在47都道府県の連合会にそれぞれ分散配置されている。ここが1つの大きな課題でございます。
それから、3つ目の○でございますけれども、2018年に稼働を開始しておりまして、2024年度にハードウエアの保守期限を迎えるということで、そこに向けて、今、更改していかなければいけないという課題を負っているということでございます。
7ページ目、2つ目の○でございますが、更改時期が国保より早い支払基金さんのシステム開発の情報を提供していただきながら、国保側が更改を行うということで、今、進めてきているわけでございます。
下のほうの矢印の四角の中の3行目でございますけれども、2024年までにはかなり期間が限られておりましたので、支払基金さんの開発状況の提供を受ける前から、すなわち昨年度から、当時の知り得る情報を基に、私どもとしても対応方針の検討を開始してきたところでございます。
8ページ目がその検討のプロセスということでございまして、2019年度はフェーズ1ということで、システム化構想、大きなシステムの枠組みみたいなものは先に検討できるだろうということで、昨年来、検討してきております。
今年度に入りまして、今年の1月から、支払基金さんから基本的な設計等の情報提供が始まりましたので、現在は真ん中にある支払基金新システムの状況把握に努めているところでございます。その上で、今年度中に、システム将来像的観点、審査支払業務の将来像的観点、システム更改に係る費用、この3つの観点から国保の更改方針というものを検討し、決定していきたいと思っております。
9ページは、この更改時の検討要素ということで、3点掲げさせていただいております。後ほどBRMSというのが出てまいりますけれども、一番下に※印で注意書きをさせていただいておりますので、御覧いただければと思います。
10ページは、2019年度のフェーズ1でどういう検討をしたかということで、3つの観点から検討を行いました。1番、システム・非機能構成パターン検討ということで、主なシステムの設置形態とか、幾つかの観点から6パターンのシステム構成を考え、検討した次第でございます。
11ページ、2点目が審査支払機能の改善という観点。
3点目、支払基金新システム機能取込検討ということでございます。2行目に、先ほど言いましたBRMSが出ておりますけれども、これは昨年の夏頃、支払基金さんがBRMSというものを採用するという情報が入ってまいりました。これは、そのBRMSをどの範囲で導入するかにもよりますけれども、支払基金さんのこれまでの説明を前提にしますと、サーバが47拠点に分散している国保連合会の状況下においては、それぞれの国保連合会にミドルウエアのライセンス保守費用が発生することになりますので、コストが非常に多額になるということが判明いたしました。
12ページ目は、先ほどフェーズ2で御説明したことを絵にしたものでございます。
13ページ目をお開きいただきます。このフェーズ2では、3点から検討するということで、1点目がシステムの将来像的観点、どういう検討をしていくかということでございます。私どもとしては、1の(1)にありますように、6つの理想的なシステム要件を設定いたしまして、(2)にありますように、この要件から導き出される、目指すべきシステムの姿を目標として掲げております。ⅰのクラウドネイティブ化。iiのシステム全体のサブシステム化、機能・処理単位のモジュール化。iiiのオープンソフトウエア、サーバレスを有効活用したシステムの実現。iv.各国保連合会システム・データの集約化ということでございます。
14ページ目に、しかしながら、この2024年度の更改に向けては、2つの大きな制約・課題があることが明確になってまいりました。
1点目は、開発の工期に係る課題でございます。この検討会の結論を踏まえて、年度末までに工程表というものが策定されるわけでありますけれども、21年度当初から、それに基づいてシステム開発業者の調達等をした場合に、システム更改までの間に開発・改修に費やせる期間が15か月間しかないことがはっきりとしてまいりました。
(注1)にありますように、この期間を長くするために、私どもとしてはハードウエア等の保守期限を1年間程度延長できないかということも検討いたしましたが、残念ながら、それがここに書いてあるような理由から難しいという判断に至っております。
15ページをお開きいただきたいと思います。課題の2点目は、集約化の設計・システム運用体制構築面における課題ということでございます。開発ミスで医療機関への支払いや被保険者に対する給付に間違いを起こすことは、決してあってはいけないことだと思っております。システムやデータを単純に一挙に集約化した場合、連合会の障害がもし起きた場合は、他の連合会にも影響が甚大なものになるというリスクがございますので、こうしたリスクヘッジというものをしっかりと取ることが必要ではないかという議論をしております。
16ページ、以上のような検討を踏まえまして、私どもといたしましては、(4)にございますように、段階的なアプローチを取ることが適当ではないかと、今は考えている次第でございます。
具体的に言いますと、(4)の最初の○、クラウドシフトを見据え、現行システムをクラウドリフトとしたシステム構成とすることによりまして、まずは、ハードウエアの保守期限によるシステム更改の制約から脱却し、その後のシステム更改に順次つなげていくことが可能になるのではないかと考えている次第でございます。
17ページ、その段階実施のイメージをこの図で示しております。下のほうに47拠点、分散しています現状、オンプレミスでサーバ等が分散されていますけれども、2020年には、47の拠点をクラウドリフトすることによって単純クラウド化方式を取る。その上で、その二、三年後に第2段階として、システム、データの集約化、1拠点化を実現する。さらに、先ほど言いました、望ましい目指すべきシステム像の実現を、第3段階、2031年度を目途に実現するという絵柄になっております。
2031年度、ちょっと遅いのではないかという御意見もあろうかと思います。これは、国保のシステム全体が、先ほど見てもらいましたように総合化されていること、あるいはデータベースが物すごくたくさんあるということで、頑張ってもなかなか一挙にできないという現状がございますし、また、市町村からこの費用の財源調達をしなければいけませんので、そういったことも考えますと、短期間にやるというのはなかなか難しい面があるのではないか。もちろん、その間、IT技術の進歩というのは目覚ましいものがございますので、こういった目指すべき像というものも随時見直しをしていく必要があろうかと思いますけれども、そういう考え方で置いております。
ただ、これは現在検討中の内容をイメージ化したものでございまして、この検討会の皆様の意見や市町村保険者等の意見を今後踏まえまして、さらに精査していきたいと考えております。
18ページ目でございます。2つ目の観点、すなわち審査支払業務という観点からの検討でございます。システムの刷新に併せて、こちらも段階的に実現することが望ましいと考えております。
(1)、まず2024年度に何を実現するかということであります。
1点目は、医療機関事前点検であります。医療機関の立場に立ちますと、社保のレセプトと国保のレセプトについて、受付事務点検のサービスに違いが出るのは許されないことだと考えております。これは、何としても24年には実現したいと思っておりますが、この3つ目のポツ、支払基金新システムがなされるのは、2021年、来年9月でございます。先ほどBRMSの話をいたしましたけれども、これが来年9月では国保は47拠点に分散しておりますので、この時点で導入することについては費用が多額になる。また、来年9月でございますので、開発の期間も取れない。こういうことで、私どもとしては、24年に実現するということで関係者の理解を得て進めていきたいと考えているところでございます。
2点目は、コンピュータチェックの統一に適合したシステムの構築ということでございます。審査基準の統一のためには、コンピュータチェックの精緻化・統一化は不可欠であると思います。2024年度までに、できることはしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
19ページ、マル3の自動レポーティング機能、マル4の返戻査定理由の明確化につきましては、支払基金さんの検討や取組が先行して進んでおりますので、私どもとしても、ぜひ情報を提供していただき、それを分析した上で、活用できるものはぜひ活用しながら、実現化・実装化を検討していきたいと思っております。
5番目の統計情報収集、全国決済効率化・業務分析の実現でございますが、2つ目の全国決済業務。これは、実は支払基金さんにはない業務でございまして、国保独自の業務でございますので、こういうものは私たちが独自に取り組んでいかなければいけない課題となっております。
6番のAIの活用については、国保でも昨年度、厚生労働科学研究によりまして、国保連合会のレセプトを使いながら、振り分け等に活用できないか、検討を進めているところでございますので、こちらも支払基金さんの開発されたものも含めまして、検討を進めていきたいと思っております。
それから、在宅審査については、他の項目に比べて課題は多いと思いますけれども、段階実施なども視野に入れながら、支払基金及び関係団体とも連携しながら検討を進めていきたいと思います。
21ページ、2024年度以降、具体的には2026年、27年度あたりを目指したいと考えておりますけれども、1番、最適なウェブシステムへの移行を含めた画面審査システムの充実・改善は、ぜひやっていきたいと思っておりますし、AIの活用、あるいはマル4の全国決済の自動化、業務の標準化もぜひ実現したいと考えております。
それから、22ページ、3点目は、費用の面からの検討でございますけれども、(1)の3つ目の○、連合会は法人税の課税団体でございますので、内部留保に一定の制約を受ける構造となっており、大規模なシステム開発を今後やるためには、多額の財源を必要としております。これは、新たに保険者から財源調達を行うことになるわけでございますけれども、最後の○でございますが、当然、この財源は保険料を納めている被保険者の負担増につながるわけでございますので、ぜひとも国からの財政支援措置も含めまして、保険者の理解を得ていく必要があるということでございます。
それから、最後でございますが、現在、何をしているかということでございますけれども、基本的な情報を本年6月末、また詳細な資料については、ちょうど1週間前に支払基金さんから情報提供していただいたところでございます。これを踏まえまして、今、国保サイドとしては全力を挙げまして、どの領域をどのようにして取り込むことができるかについて、システムへの影響やコストメリットも含めて検討を進めているところでございます。
この下に2行書いてありまして、さらに確認が必要な箇所があるという記載がありますけれども、若干補足説明をさせていただきますと、どういうことかといいますと、本年6月末に提供いただいた基本的な情報を確認したところ、これまで共同開発してきた機能、具体的には受付事務点検でございますけれども、新システムの受付領域のみを取り込むことで実装できると当初思っておりましたけれども、現行システムの継続利用であるマイグレーション領域も点検の一部を基金のシステムの中では担っているということで、点検を行うための定義やレセプトデータについても、マイグレーション領域が保有しているように、今のところ読み取れております。
仮に、こうした領域間で複雑な連携が行われている場合は、受付領域だけではなく、他の領域を取り込むとした場合も、国保側で複数の領域の取り込みや、受入れ側の既存アプリケーション改修も大きくなってしまうということでございまして、先般いただいた詳細設計情報を基に影響調査を実施し、どの領域をどうやって取り込めれば、国保側で効率よく使えるのか、早急に確認していきたいと考えているところでございます。
それから、最後でございますが、26ページ。これは、今、申し上げたもの全体をスケジュール表的にしたものでございます。一番下にありますように、支払基金システムの状況把握。よいもの、あるいは使えるもの、あるいは費用の低減につながるものは、ぜひ活用していきたいと思っておりますけれども、そういう状況把握に努めながら、システム将来像的観点、審査支払業務の将来像的観点から、3段階で実現をしていきたいという絵柄でございます。繰り返しになりますけれども、検討会での御意見や国や市町村保険者等の御意見も踏まえて、年度末までにこれを固めていきたいと考えている次第でございます。
私からの説明は以上でございます。
○菊池座長 原理事長、ありがとうございました。
続きまして、支払基金、神田理事長からお願いいたします。
○神田支払基金理事長 それでは、資料3に基づきまして、支払基金のシステム開発の状況等について御説明させていただきたいと思います。
申し訳ありません、2ページ目でございますけれども、前回も少し説明させていただきましたので、簡潔に説明させていただければと思っています。左側からレセプトの流れでありますけれども、支払基金では、来年9月に新しい審査支払システムを稼働させるということで、現在、システム開発をしております。来年2月には、モジュール化した各システムをつなげる統合テストを行うということで、最終開発段階に差しかかっているという状況でございます。
2ページ目にありますように、目的としては、そこに大きく4つ書いてございます。支払基金も、これまで47支部にサーバがありましたけれども、クラウド化してセンターサーバを一元化するという一番上のもの。
2点目としては、モジュール化をして、ベンダーロックインを解除し、開発コストを下げる。あるいは、改定等があった場合にも対応が柔軟にできるようにするということでございます。
それから、3点目としては、前回説明させていただきました、AIによってレセプトを振り分ける。人が見るべきものについては、稼働後2年以内に人が見るべきレセプトを1割に絞り込む機能を搭載する。
それから、一番下に書いてございます自動レポーティング機能ということで、審査結果の不合理な差異を解消するために、一定以上の付箋がつくようなコンピュータチェックについては、網羅的に審査結果の差異の見える化をしていく機能を搭載するということにしております。
これについて、私どもの国保との整合的なシステムの在り方ということの基本的なスタンスについては、4ページ目に書かせていただいております。支払基金と国保連では、先ほど原理事長のほうからも説明がありましたけれども、現在、オンライン請求システム、ASPという入り口のところで、条件仕様に合致していないような一定のものについては、その段階で医療機関側に返して、修正して、その月に再度請求していただければ、その月の審査に間に合わせるようにするという機能を搭載しておりますが、そういったオンライン請求システム。
それから、審査支払システムの中の基本マスター、医薬品とか診療行為、傷病名、特定器材等のマスター機能については、支払基金で開発して両機関で共有することによって、レセプトの件数によって開発経費を分担するということをしております。したがいまして、私どもの立場としましては、詳細な情報等について、今後も継続的に情報提供を行って、協力しながら連携を図っていきたいと思っております。
3点目のところに書いてございますけれども、先ほど原理事長のほうから、国保のシステムについては、保険者共同処理系のシステムがある、あるいは時間的制約もあるということでありますけれども、1つは、マル1に書いてありますけれども、審査結果の不合理な差異の解消という観点から、私どもとしては、前回申し上げましたけれども、今の資料の13ページに出ております。これまで支部でつけていた点検条件については、新しい審査支払システムでは、原則として全国統一した点検条件に集約していくことにしております。
また、12ページにありますけれども、今はコンピュータチェックについて、8割程度の公開となっておりますけれども、これまで慎重に取り扱ってきました医薬品の適応、診療行為等の適応等をチェックするチェックマスターとか、点検条件についても、今、試行的に公開を始めておりますけれども、その結果を踏まえて、基本的に公開して、それをASPに取り込んでいくという機能を、新しい審査支払システムに搭載していくことにしております。
それから、14ページにつけておりますけれども、コンピュータチェックがこれまでついていなくて、再審査等になる事例について、医薬品、検査、処置等について新たにコンピュータチェックを付すという取組も進めております。
今、申し上げたような取組を新たな審査支払システムに盛り込むとしておりますので、今後、審査結果の不合理な差異を解消していく両機関間での差異の解消ということを考えれば、できる範囲で、先ほどのいろいろ制約があるかと思いますけれども、可能な範囲で取り入れていただければと思っております。
それから、4ページのマル2でありますけれども、実は先ほど申し上げたオンライン請求システムとか基本マスターについて、支払基金で開発して両機関で共有、費用分担をしております。例えば、平成30年の診療報酬改定では、全体で支払基金としては15億円程度の改定に伴う開発経費がかかっておりますけれども、そのうちオンライン請求とか基本マスター等については共有しておりますので、8億7000万円部分については、両機関でほぼ折半できて費用節約できているということがございます。
そういった観点からも、マル2でありますけれども、可能な範囲でシステム開発経費を分担することによって、双方の費用の負担軽減、ひいては被保険者の方々の保険料負担の軽減につなげていけるということであります。先ほどの国保の特殊性がございますので、私どもとしては、できる限りの情報提供に努めて連携を図っていけたらと考えております。
以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
この論点は、次回の検討会でも十分に時間を取って御議論いただく予定でございます。ですので、本日は、時間の許す限りということで御意見をいただければと思います。
それでは、御意見、御質問等ございましたら、挙手をお願いいたします。
佐藤主光構成員、お願いいたします。
○佐藤(主)構成員 よろしくお願いします。
理解を確認したいので、3点ほど質問させてください。
国保中央会さんの資料の5ページで、まさに国保独自の共同処理系システムとか国保固有システムとの連結が課題だということだったのですが、極端な場合、仮に赤枠のところを支払基金に切り替えたとしたときに、この残りのシステムにつなぐというのは技術的に大変だという意味で、困難があるという理解でいいのか、あるいはお金がかかるという意味で大変だというのか、どちらなのですかということが1つ目。
それから、飛んでしまって悪いですけれども、17ページです。この2031年という根拠は、今から10年後と言えばそうかもしれませんが、2031年に設定されている理由と、Exadata、オラクルのシステムですね。これを使用するか、しないかというところで時間的なラグがあるということは、これは今、使っているベンダーとかとの関係で、どうしてもこれぐらい時間がかかるという理解でよいのか。
2031年という設定を伺うのは、政府はスピード感を持ってデジタル化に前のめりになっていますので、それも踏まえると、この31年というのは随分ゆっくりしているなというイメージがあるのですけれども、技術的にそうなのか、どうしてもそうならざるを得ないのか、あるいはそれ以外の理由なのか、この辺の時間設定の根拠を教えていただきたいというのと。
すみません、これは私が理解していないだけかもしれませんけれども、18ページで、国保さんの場合、BRMSを使っているけれども、自分たちはそれはまだ検討するということですが、ASPを含むオンライン請求システムの部分というのは、今、支払基金さんと共有しているということですが、仮にBRMSを支払基金が採用し、国保がそうしなかった場合、この部分。事前点検のところ。オンライン請求システムの共有というのは、何か支障が出るものなのか、あるいは実はそれは余り関係ないと思ってよろしいのか、以上3点です。
○菊池座長 いかがでしょうか。
○原国保中央会理事長 まず、私のほうから2点、お答えします。
1点目の技術的な問題なのかどうかという、5ページについては、基金さんの審査支払系システムを丸ごと移植することについては、もちろんいろいろ細かい技術的な問題はいっぱいあると思いますが、技術的にはできると。ただ、非常に費用がかかる、あるいは時間がかかるということと。それから、全国決済業務みたいな、基金さんにはない業務で、私どもは必ずやらなければいけない業務は、基金のシステムには入っておりませんので、そういう意味では、全く右から左に持ち込むことはもちろんできないということでございます。
ただ、基本的には、費用の面、それから時間的な面から、なかなか難しい課題は多いと認識しております。ただ、部分的に取り組めるものはぜひ取り込んでいくということは、もちろんそういう観点から今、検討しているということでございます。
それから、2点目の、なぜ2031年かということについては、先ほどもちょっと御説明しましたが、何か定量的に2031年でなければいけないという理由はございません。ただ、国保の5ページの絵にもありますように、非常に総合的なシステムになっていて、膨大なデータベースを抱えておりますので、例えば非オラクル、ミドルウエアのオラクルから脱却するためには、相当労力をかけて改修していかないといけないのではないか。ミスが起きてはいけないという判断。
それから、財源調達も実は気になっておりまして、開発期間を短くしたとしても、これから財源を市町村保険者等から調達していかなければいけませんので、そういうことも考えております。もちろん、ここは必ず2031年でなければいけないという理由はございませんので、専門家の皆様の御助言等もぜひいただきたいと考えているところでございます。
以上です。
○国保中央会(細田)それでは、3点目について、お答え申し上げます。BRMSにつきましては、これまでは支払基金さんが開発されました受付段階での事務点検を、プログラム、アプリケーションの形で基金さんから御提供いただいて共有しておりました。これが基金さんのほうで新しいシステムの開発に当たっては、BRMSを採用されることになりましたので、先ほど原理事長から申し上げましたとおり、現段階では47拠点でありますので、そのライセンス料が高額になるために、来年9月にそれを入れるということは、大体70億、90億円程度の費用が発生するということから、なかなか難しいのではないかと検討しております。
ただし、そのことにつきましては、今、基金さんから頂いている詳細な情報を基に分析しまして、2024年までの間に、どのような形で、同様の事務点検ができるかということについて検討してまいりますけれども、当面は、2024年までの間は、同じBRMSを使って処理することは難しいということを申し上げております。内容につきましては、また詳細を検討して、今後対応について検討を進めてまいりたいと思います。
以上です。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
○佐藤(主)構成員 ありがとうございました。
私、財政学者なので、余りこういうことを言ってはいけないのですけれども、もしお金の問題、補助金の問題であれば、厚労省さんのほうで財務省にそれなりに予算要求するというのは、あってしかるべきかと思うのですけれども、以上です。
○菊池座長 それでは、画面が変わらないので、岡﨑構成員にお願いします。
○岡﨑構成員 全国市長会で出ております高知市長の岡﨑です。
原則的なところを御認識していただいておかないといけない。国保中央会が今、説明しておりますが、国保中央会は各47都道府県にあります国保連合会の集合体であります。各都道府県の国保連合会は、基本的に各市町村で構成されておりまして、こういうシステム開発の定義で言いますと、最終的に市町村の負担ということでないと、各都道府県連合会、また中央会にも、大規模なシステム開発にかかります基金のような積み立ての残高は、現状で言うと余りないので、大規模システムの改修にかかる経費が、最終的には市町村の負担になるということが原則的にあります。厚生労働省、国からの支援がありましても、最終的には市町村負担になるということは、一定のスパンの期間を持って平準化して負担しないと、なかなか負担できない。最終的に、市町村では、かなりもめますので、そういう構造的なところを御認識していただいたらと思います。
以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。御意見ということで承らせていただきます。
それでは、黒田構成員、お願いいたします。
○黒田構成員 ありがとうございます。
まず最初に、事務局にお尋ねしたいことがあるのですけれども、よろしいですか。事務局というか、厚労省の方にお尋ねしたいのですが、今回の調達の中でクラウドリフトというのは必須の項目なのでしょうか。そもそも、今回の調達でこうやって会議していることの本質的なところの御質問になるのですけれども、2者のシステムを整合的にすることで、審査の在り方を共通化することと同時に、システム全体の費用を圧縮することが狙いだったと理解しているのですが、私の理解は間違っておりますでしょうか。事務局のほうから教えていただけませんか。
○菊池座長 事務局のほうからいかがでしょうか。
○森田国民健康保険課長 国民健康保険課長です。
必須かと言われると、今日、国保中央会が、国保連との間でこれまで1年以上かけて議論していただいた中央会としての案を提示していただきました。そういったことも含めて、この検討会の委員の皆様の御意見を踏まえて考えていくことではないかと思います。
○黒田構成員 分かりました。
葛西先生はおられますか。
○葛西参与 おります。
○黒田構成員 お尋ねしたいのですけれども、厚生労働省の立場というか、そちらの立場から見られて、今回のこのアプローチで最終的に対国民で考えたときに、費用圧縮が可能とお考えになりますか。
○葛西参与 今の段階で、幾つか国保中央会の方が説明した方式でクラウドリフトを一旦しますということに関しては、まず費用圧縮は特段しないと思います。もともと経緯としては4年前ぐらいから検討しているのですが、制約条件として、大抵、期間が足りないという理由と、あとお金が足りない。それから、例えば保守の契約が難しいとか継続が難しい。なので、一旦こういう形にしますというパターンは、往々にして多いです。
4年前に検討していたとき、私、構成員だったのですが、その際にも、例えば支払基金と中央会で受付部分を共有化することが目的で、まずモジュール化、正確にはサブシステム化ですけれども、サブシステム化するということで、受付など共通化できるところは共通化するというお話を聞いていました。ところが、今回、当時は、考えもしないBRMSを使うので、費用負担上、高額になって、共通化は、なかなか難しいかもしれないと言われてしまう。そういうことを考えたときに、果たして2030年の段階でのシステムの在り方について、今の段階で議論して、ちょうど10年前にクラウドの議論がそれほどあっただろうかということを含めて、先生方に御意見いただければなと思います。
○黒田構成員 ありがとうございます。
今の議論で、本質的なことを1つ聞きたいことがあるのですけれども、これ、入札必須ですか。どなたがお答えいただくのか分からないですが、事務局の方にお尋ねです。
○菊池座長 国保中央会さんのほうからですね。
○黒田構成員 すみません、厚生労働省に聞いています。
○森田国民健康保険課長 中央会のシステムになりますので、我々への御質問の趣旨が分かりかねています。
○黒田構成員 このぐらいの金額のものであれば、入札をしなければ、国のルールとして成り立たないということなのかどうかを教えてください。
○森田国民健康保険課長 仮に中央会のシステムではなくて、政府のシステムの場合という御質問でよろしいでしょうか。
○黒田構成員 なるほど。中央会のシステムであれば、国の制度上の縛りがかからないので、入札しなければならないという制約はかからないというお答えだと理解してよろしいですか。
○菊池座長 国保中央会さんのほうからお答えいただきます。
○原国保中央会理事長 中央会のルールでは、このぐらいの規模であれば、当然入札の対象になると理解しております。
○黒田構成員 分かりました。基本的に国のルールがそうだから、そうなるだろうなと思っていましたし、私たちもふだん、それで困っているのですけれども、今回の期間がないという発言の基にあるのが、入札でやらなければいけないということに縛られていることが根本的にあるように思っていて、入札型でこういうシステムを導入すると、設計した後の入札プロセスから設計の期間まで一切何も変えられないので、結果として必要以上に短い期間でやらないといけないということに落ち込んでいくような気がすごくしているのです。
これがルール上、入札であるというならば仕方がないと思いますが、そもそも入札制度をとらねばならないこと自身が僕は間違いではないかという気がしています。そもそもソフトウエアは、入札にそぐわないものですので、開発しながら少しずつ修正して直していくのが通常のやり方だから、こういう物の申し上げ方をしています。
その上でもう一つ、今日、お話をいただいて、国保さんがすごく頑張って、基金さんのシステムの中をきちんとお調べになって、整合性を一生懸命探していらっしゃるというのがすごくよく分かったので、よく努力されているのだなというのが伝わってきたのですが、お話を聞いている限り、「基金さんのシステムは使えない」と明言されているように聞こえたのです。いや、調べているところですというのが答えかもしれませんけれども、もしそうであるならば、2024年にこだわる必要があるのかなというのがすごく気になったのです。
2024年に現在の状態で、モジュールという言葉を使われていましたけれども、僕自身はこんなものはモジュールと呼ばないと思うのですけれども、そのまま使えるものがなくて、全部結局、自分たちでソフトウエア的なものは移行してもらうにしても、組み立てておかなければならないと考えるのであれば、クラウドを使えば使う分だけ、他人の土地を借りてコンピュータを置いてもらうのがクラウドですから、それで費用が圧縮できることにはなりません。
そもそもクラウド化することの本質的な意味というのは、一つ一つのソフトウエアが小さな単位、レゴのブロックみたいなものになって、お互いのレゴのブロックの間で通信が行われて、共有して使うことで全体のコストを押し下げるというのがクラウド化することの本質的な意義ですので、それができないのであれば、わざわざクラウド化すること自身に意味もないですし、負担だけが大きくなるのではないかなと考えるのですが、どうしてもクラウドリフトしなければなりませんか。国保さんのお考えを教えてください。
○菊池座長 どうぞ。
○原国保中央会理事長 私も専門家じゃありませんので、理解が間違っていたら、むしろ先生から今後いろいろ御指導いただきたいと思っていますけれども、今はハードウエアという形でオンプレミスで持っておりまして、これが2020年度で保守期限が切れてしまう。切れてしまいますと、その後保守サービスが受けられなくなって、機械が故障したときに業務ができなくなる。これは絶対避けなければいけないものですから。そうしますと、従来であれば機械を買い換えて、買い換えますと、これはまた7年ぐらい使わないと費用的にもったいないという話になってしまって、結局、システム更改の機会を束縛されてしまう、制約を受けるというジレンマがあるわけでございます。
そういう意味で、現在、Exadataを使っていますので、オラクルクラウドという形になりますけれども、一旦クラウドリフトいたしまして、そのときの費用は現行の費用の範囲内におさまるという概算は持っておりますので、そういう中で一旦はクラウドリフトした上で、その後、できるだけ速く、スピード感を持って、データの集約、システムの集約、あるいはいろいろな業務機能の改善ということに取り組んでいきたいという考え方で、これを作っているものでございます。
○黒田構成員 ありがとうございます。
ということは。
○菊池座長 黒田構成員、まだほかにもお手を挙げていらっしゃる方がいらっしゃいますので、次回以降も続くので、そろそろおまとめいただければ。
○黒田構成員 分かりました。では、1つだけ意見を申し上げて終わりにします。
御意見、よく分かりました。であるならば、2024年の改定というのは、基本的にハードウエアだけを更新されて、もうちょっとちゃんとお調べになって詰めていかないと、今の計画で整合性があるようにそろえることをされること自身が僕は「悪」だと受け止めましたので、基本的にはソフトウエアそのものの資産をクラウドに上げるということだけなさって、開発そのものは1年程度後ろに遅らせて、基金さんと国保さんともう一回御相談になって、基金さんの使えないものは捨てて、新しいシステムの構築をなさったほうがいいのではないかという意見だけ申し上げて、次回にお話を続けたいと思います。
ありがとうございました。
○菊池座長 ありがとうございます。次回以降も続きますので、また御議論いただければと思います。
あと、お手を挙げていらっしゃいますのが、林構成員、横尾構成員、河本構成員です。時間の関係上、次回も続きますので、このお三方ということで締めさせていただきます。
まず、林構成員、お願いいたします。
○林構成員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
私からは、医療の現場から懸念されることを中央会と支払基金のほうにお聞きしたいと思います。資料2の5こま目、26こま目の、国保総合システムを中心としました標準システム等の連携でございますが、審査支払系システムの基金との共有は理解しておるところでございますが、保険者共同処理系システムとの連携に関しましては、各国保連と中央会のつながりの強化が前提と考えております。
また、それぞれの国保固有システムとの連携となると、さらにハードルが高いところもあると想像しております。段階的に行うということで御説明いただきましたが、各市町村の保健事業等のサービス提供に今後支障が出ないのかどうか、そういったところをお聞きしたいと思っております。
続きまして、基金のほうでございますが、資料3の2こま目の自動レポーティングシステムについてでございます。審査結果の差異を把握できるよう、支部別の査定や返戻などの処理状況を見える化して、レポーティング後の差異解消に向けました取組と理解しております。このレポーティングに関しましては、同一事例における査定や返戻等の取扱いの差の属性を示すのみとの理解でよろしいのでしょうか。また、医学的判断が必要なケースにおきましては、コメント記載や症状詳記によって個別に判断することが多うございますので、その内容まで踏み込んだお話になっているのかどうか、教えていただきたく思って御質問しております。
2点、よろしくお願いいたします。
○菊池座長 ありがとうございました。
では、原理事長からお願いします。
○原国保中央会理事長 まず、1点目の御質問ですけれども、これはもちろん市町村国保の保健事業に支障がないように、また支障を出してはいけないと思っておりますから、そういうことがないようにシステムの開発を進めていきたいと考えております。御心配は大丈夫だと思います。
○林構成員 ありがとうございます。
○菊池座長 では、神田理事長、お願いいたします。
○神田支払基金理事長 自動レポーティングについては、医学的判断に関する事項等についても踏み込むのかということですけれども、資料3の10ページ目をお開きいただきますと、これは現状で言うと、レポーティングのイメージということで、既に先行的に幾つかの事例について、このような分析をしております。前回説明させていただきましたけれども、折れ線グラフが同じ事例についての査定割合。それから、色別に原因を分析するということで、職員の段階で請求を認めたのか、オレンジ色のところですけれども、それとも審査委員の判断で請求を認めたのかということを分析いたします。
前回、ちょっと御説明させていただきましたけれども、例えば神奈川県で言うと、職員の段階で請求どおりと認めている例が多いのですけれども、神奈川県は特定の医療機関からの請求が多くて、それには症状詳記がかなり記載されていて、認めてもよいという事例が多いため、このようになっているということを分析いたします。それから、県によっては職員が間違って処理していて、請求どおりにしているという原因がございます。
それに従って、11ページでございますけれども、原因を一つ一つ分析した上で、それが算定ルールに関するものの取扱いの間違いであれば、職員が間違っていれば、一番上ですけれども、上司が職員を指導します。審査委員の方の個別判断が一般とずれているということであれば、審査委員長から周知していただく。
また、医学的判断に関するものについては、ブロック内のものであれば、ブロックの診療科別WGで議論する。全国的にまたがるものであれば、本部の検討会で整理するということで、原因をきちんと分析した上で、医学的判断に関するものについても、どういう原因があるのか、統一する必要があるものについては、今、申し上げたような形で整理して、整理できればコンピュータチェックの設定とか精緻化を図るということでPDCAを回していきたいと考えております。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
○林構成員 ありがとうございました。
○菊池座長 それでは、横尾構成員、お願いします。
○横尾構成員 もう時間になってしまったので、印象だけ述べたいと思います。
両者のお話を聞いていて、共通していることについては、前半でもほかの構成員の方から御発言がありました。一般的な市民の目から見ても、簡単に言うならば納税者の目から見ても、統合できるところは統合する、共同化するというのは当然必要だと思っています。それで、特殊性や、歴史的な経緯とか、保険者機能とかいうことについては、いわばプラスアルファのオプションとも言えますので、メインの部分とオプションの部分を仕分けしながら、何か改革できないかなという印象を改めて持ちました。
そして、ずっと御説明聞いていて感じたのは、いわゆるビジネスの世界で言うところのビジネス・プロセス・リインベンティングあるいはリエンジニアリングですね。業務のやり方を根本的に分析し、もっと大所高所から見て、より合理的な方法を今後検討すべきじゃないかなという印象を持ちました。
1つは、今のまま残すというのはあると思いますが、2つ目、3つ目、4つ目のオプションとしては、統合案Aとか統合案Bとか、新たな方式Cといったことを考えないと、現状を、お互いにディフェンスするだけでは創造的な未来は開けないのではないかという印象を持ちました。今後、私もよく勉強して研究していきたいと思いますけれども、そういった形での課題解決をぜひ図っていくべきだろうと思っているところです。
もう時間がないので、以上で終わります。
○菊池座長 ありがとうございます。御意見として承らせていただきます。
それでは、最後になりますけれども、河本構成員、よろしくお願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
私からも一言だけ、国保中央会と支払基金にご要望を申し上げたいと思います。
まずは国保中央会に、今後、支払基金のシステムをどれだけ使えるのかというのを検証・確認されていくということですけれども、その検証・確認結果というのは速やかに明らかにしていただくと同時に、私どもの立場で言っても、可能な限り、両者のシステム・機能が統一された形で、コストが安い形でできるというのが国民目線からも正しい話だと思いますので、ぜひそういった目で御検討いただいて、その検証・確認結果を明らかにしていただきたいということと。
それから、支払基金にお願いしたいのは、支払基金の資料の4ページで、支払基金・国保連、双方の費用の軽減につながるようにしていきたいと書いていただいておりますけれども、今後、可能であれば、それが具体的にどういった費用低減につながるのかということも明らかにしていただきたいと思っております。
以上です。要望でございますので、コメントは結構でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。御要望というところで承っておきます。
まだ時間があればいろいろ御質問、おありかと思いますが、次回につなげたいと思いますので、本日はここまでということにさせていただきます。
それでは、次回の日程につきまして事務局から御連絡をお願いいたします。
○姫野保険課長 次回検討会の開催日時につきましては、11月25日水曜日の14時からを予定しておりますが、詳細につきましては、追って御連絡いたします。
○菊池座長 それでは、以上をもちまして、第3回「審査支払機能の在り方に関する検討会」を終了いたします。
お忙しいところ、どうもありがとうございました。