薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会(2020年10月14日)

日時

令和2年10月14日(水)
13時00分~16時00分

場所

オンライン会議
事務局設置場所:AP虎ノ門 会議室C

出席者

委員

佐藤部会長 石見委員 工藤委員 桒形委員
笹本委員 杉本委員 瀧本委員 戸塚委員
原委員 二村委員 三浦委員 吉成委員
       

事務局

中山食品基準審査課長 田中補佐 松浦専門官
小泉技官 重田技官  

議題

(1)亜硫酸水素アンモニウム水の新規指定の可否等について
(2)キチングルカンの新規指定の可否等について
(3)DL-酒石酸カリウムの新規指定の可否等について
(4)ビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体の新規指定の可否等について
(5)その他

議事

 
○事務局 では、皆様御入室いただけましたので、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会」を開催させていただきます。本日は御多忙のところ、御出席を頂き、また準備の御協力を頂きまして、誠にありがとうございます。まず初めに、オンラインで本部会を開催するに当たり、委員の皆様に御注意いただきたい点について、前回と同様ではありますが、確認させていただきます。
 まず、御発言時以外は、基本的にマイクをミュートにしていただけますようお願いいたします。発言時以外にマイクがオンになっている場合、事務局がミュートとさせていただく場合がありますので御了承ください。また、御発言がある場合は、あらかじめチャット機能を用いて意思表示をお願いいたします。部会長又は事務局から御指名させていただきますので、その後に御発言をお願いいたします。御発言の際は、最初にお名前をおっしゃっていただきますようにお願いいたします。御発言が終了しましたら、「以上です」とお伝えいただきますようお願いいたします。
 部会長から委員の皆様に審議事項について認めることでよいかなど、確認をすることがありますが、御意見がある場合には、チャット機能でその旨を意思表示いただきますようお願いいたします。部会長から指名いただいた後に御発言をお願いいたします。御了承いただける場合、チャットで「異議なし」などと御入力いただきますようお願いいたします。
 続いて、本日の委員の皆様の出席状況を御報告します。本日は、中島委員から御欠席との連絡をいただいています。また、二村委員は、遅れて御出席との御連絡を頂いています。現時点で添加物部会委員の13名中11名の委員の皆様に御出席いただいていますので、本日の部会が成立しますことを御報告申し上げます。
 続いて資料の確認をいたします。あらかじめ紙のほうをお送りしていますが、大半は更新したものを再度メールでお送りしていますので、プリントいただいたもので、あるいはパソコン上で御確認をお願いします。議事次第と委員名簿のほかに、資料1-1から1-3、資料2-1から2-3、資料3-1から3-3、資料4-1から4-3、あとは資料5があります。資料について今、何か御不明な点がありましたら、チャットで御連絡いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。また何かありましたら御連絡ください。それでは議事進行を佐藤部会長にお願いしたいと思います。部会長よろしくお願いいたします。
○佐藤部会長 皆様、本日もお忙しい中、御参集ありがとうございます。また、オンライン会議ということで御不便をお掛けすると思います。本日、審議事項が4題ありまして、なかなか多いのですが、活発な御議論をお願いいたします。まず、事務局から本日の部会の審議品目に関する利益相反の確認結果について報告をお願いします。
○事務局 はい。本日の部会においては、利益相反の確認対象はございません。以上です。
○佐藤部会長 よろしいでしょうか。それでは審議に入ります。今回は4品目の添加物の新規指定等に係る審議ということで、時間内に審議できるように進めたいと思います。また、効果的な議論のために各審議事項の中身を分けて、御意見を頂くタイミングを設けたいと思います。これまでと少し進行が変わりますが、御協力をお願いいたします。
 それでは議題1、亜硫酸水素アンモニウム水の新規指定の可否等に関して審議を行います。まず、事務局から亜硫酸水素アンモニウム水の添加物としての概要の説明をお願いいたします。
○事務局 はい、それでは事務局より、亜硫酸水素アンモニウム水についての御説明に入る前に、メールでお送りしております参考資料1を用いて、本日審議予定の添加物について導入的な説明をさせていただきたいと思います。
○事務局 それぞれの品目の御説明に入る前に、お配りした資料の参考資料1について、簡単に御説明いたします。本日の審議対象添加物は、いずれもワインに関連するもので、まずは、ワインの製造工程と添加物を使用する工程について御説明いたします。参考資料1には、ぶどうから始まって、白ワイン及び赤ワインに至るまでの製造工程がそれぞれ記載されています。後ほど、使用基準に係る御説明の中等で、ぶどう酒又はぶどう酒の製造に用いるぶどう果汁といった用語が出てまいりますが、こちらの図に示している工程部分にそれぞれ該当いたします。
 また、図の下にあります表は、8月の添加物部会で御審議いただいた添加物と、星マークを付けた、本日御審議いただく添加物の名称と用途をまとめたものです。本日御審議いただく品目は、<1>の亜硫酸水素アンモニウム水、<2>のDL-酒石酸カリウム、<5>のPVI/PVP、こちらの正式名称はビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体です。そして、<6>のキチングルカンです。
 なお図の右側の括弧は、該当する添加物がぶどう酒の製造工程において、主に使用される工程を図示したものであり、例えば<1>の亜硫酸水素アンモニウム水で言いますと、発酵が終了する前の工程で使用されることを示しています。以上の点を踏まえて、以降の御説明をお聞きいただければと存じます。参考資料1に関する御説明は以上となります。
○事務局 そうしましたら、亜硫酸水素アンモニウム水に関する説明に移ります。資料1のシリーズが、亜硫酸水素アンモニウム水の食品添加物の指定に関する審議資料となります。資料1-1は諮問書、資料1-2は部会報告書(案)、資料1-3は食品安全委員会の食品健康影響評価書(案)になります。説明は資料1-2を用いて行いたいと思いますので、まずは資料1-2を御覧ください。
 亜硫酸水素アンモニウム水の食品添加物の指定に関する部会報告書(案)のうち、まず1の「品目名」から6の「添加物としての有効性」までについて御説明をさせていただきます。品目名及び分子式、分子量については、記載のとおりとなっています。3の成分ですけれども、添加物「亜硫酸水素アンモニウム水」は、亜硫酸水素アンモニウムを主成分とする水溶液であり、水溶液中では亜硫酸水素イオン及びアンモニウムイオンに解離し、解離した亜硫酸水素イオンはpHに依存して、二酸化硫黄、亜硫酸水素イオン、亜硫酸イオンの状態を取ります。用途については、製造用剤(発酵助成剤)、保存料、酸化防止剤となります。
 続いて5の概要に移ります。亜硫酸水素アンモニウム水は、発酵前や発酵中の果汁等に添加することで、亜硫酸が酸化防止剤や保存料として、アンモニウムイオンがぶどう果汁の発酵を促進する発酵助成剤として機能するとされています。続いて(2)の諸外国での使用状況等です。EUでは、ぶどうやぶどう果汁、発酵中のマスト及びワインに対して、亜硫酸水素アンモニウムとして上限0.2g/Lの量で使用できるとされています。つまり、発酵が終了したワインに使用してはならないとされています。米国では、亜硫酸水素アンモニウムで処理されたワインをEU域内から輸入して、米国内で流通させることができるとされています。オーストラリアでは、ワインの製造において、発酵助成剤として、GMPの下で使用することが認められています。
 続いて、6の添加物としての有効性について御説明します。まず、2ページ目9行目から15行目では、発酵助成剤の観点について御説明しています。発酵の際に酵母の栄養源となる遊離アミノ態窒素が欠乏していますと、発酵の遅延や不完全発酵等によってワインの品質が低下するおそれがあります。そうした場合、果汁にアンモニウム塩や窒素を含む発酵助成剤を添加することが、一般的に行われています。亜硫酸水素アンモニウム水の場合は、解離によって生じるアンモニウムイオンが酵母の栄養源となるため、酵母の増殖を促し、果汁の発酵促進に寄与することとなります。
 続いて、16~23行目では、保存料の観点について御説明しています。通常、pHが3~4のぶどう果汁においては、亜硫酸水素アンモニウム水より解離した亜硫酸水素イオンは、亜硫酸水素イオンと二酸化硫黄の状態で存在します。亜硫酸水素イオンや二酸化硫黄は、従来からワイン製造において使用される、ピロ亜硫酸カリウムなどと同様に有害微生物の増殖抑制等の効果を有していることが知られています。
 24行目から、酸化防止剤の観点からの説明が記載されています。亜硫酸は、果汁に含まれる、容易に酸化されるポリフェノール等の化合物の酸化を阻害することが知られています。また、チロシナーゼ酵素群の働きを阻害することで、褐色のキノンが生成されるのを防ぎ、白ワインの褐変を防ぐ効果も報告されています。以上のとおり、亜硫酸水素アンモニウム水は、発酵助成剤として発酵を促進すると同時に、有害微生物の増殖抑制や果汁の酸化防止にも寄与する添加物となっています。
 続いて2ページ目の31行目、食品中での安定性についてです。添加物「亜硫酸水素アンモニウム水」に由来するアンモニウムイオンは、発酵の際に酵母により栄養分として吸収・消費されるため、製品ワインにはほぼ残存しないと考えられます。また、当該添加物により生じる亜硫酸は、基本的に効果を発揮しつつ大気中に揮散、あるいは酸化により徐々に消失すると考えられています。
 食品中の栄養成分に及ぼす影響については、記載のとおりとなっています。有効性までの説明は以上となります。なお、本日御欠席の中島委員からコメントを頂いていますので、この時点で御紹介します。
 『亜硫酸水素アンモニウムの件については、基本的に問題ないと考えます。古来より、糖分を含む食品の発酵では、乳酸菌と酵母の競争になることが多く、酵母を優先して生育させる必要のある種類の醸造では、生育速度に勝る乳酸菌をどうやって抑えるかが課題となってきました。ビールの醸造にホップを加えるのも、ホップの殺菌作用が大きな理由となっています。ワインの醸造では、亜硫酸塩を加えて、乳酸菌を抑えるのが一般的であり、昔はワイン醸造用の樽に硫黄を放り込んで火をつけて、亜硫酸ガスを発生させて、亜硫酸を確保してきた経緯があります。発酵食品の研究者としては面白い課題です。』以上になります。
○佐藤部会長 ありがとうございます。ここまでで、委員から御質問等ありますでしょうか。特にありませんか。それでは続いて、亜硫酸水素アンモニウム水の、食品安全委員会における評価結果について、事務局より端的に説明をお願いします。
○事務局 続いて、食品安全委員会の評価結果(案)について御説明します。3ページの9行目からを御覧ください。添加物「亜硫酸水素アンモニウム水」の食品健康影響評価については、添加物専門調査会での審議の結果、添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念はないとの評価がなされ、評価書(案)を一部修正の上、食品安全委員会に報告されることとなっています。
 専門調査会で使用された評価書(案)を、資料1-3としてお配りしています。まず、(1)安全性に係る知見の概要です。添加物「亜硫酸水素アンモニウム水」の体内動態及び毒性については、経口投与された際に体内で生じると予想されるアンモニウムイオン並びに二酸化硫黄及び亜硫酸塩の安全性に係る知見を基に総合的に検討が行われたとされています。アンモニウムイオンについては過去に評価されていることから、体内動態及び毒性に関する検討は行われていません。二酸化硫黄及び亜硫酸塩については、NOAELは71mg/kg体重/日(二酸化硫黄として)と判断されています。
 続いて、4ページ目の(2)一日摂取量の推計等に移ります。添加物「亜硫酸水素アンモニウム水」の使用基準案、後ほど言及します使用基準案の最大量0.2g/Lが全てぶどう酒に残存した場合を仮定し、飲酒習慣のある者から算出したぶどう酒推定一日摂取量に基づいて、ぶどう酒からの二酸化硫黄及びアンモニウムイオンの推定一日摂取量が推計されています。ぶどう酒からの二酸化硫黄の摂取量は、0.113mg/kg体重/日と推計されまして、これにマーケットバスケット調査に基づく現状の摂取量を合計しまして、二酸化硫黄の推定一日摂取量は0.116mg/kg体重/日となると判断されています。また、添加物「亜硫酸水素アンモニウム水」の使用基準が策定された場合の、ぶどう酒から摂取されるアンモニウムイオンの摂取量、1人当たり1.75mg/日については、ヒトにおいて食事から産生される量と比較して、無視できると判断されています。
 最後に、(3)食品健康影響評価です。まず、添加物として適切に使用される場合、添加物「亜硫酸水素アンモニウム水」に由来するアンモニウムイオンは、安全性に懸念がないと判断されています。また、入手したヒトにおける知見からは、亜硫酸水素アンモニウムに関するヒトにおけるアレルゲン性の報告はないものの、添加物「亜硫酸水素アンモニウム水」由来の二酸化硫黄及び亜硫酸塩によるアレルゲン性の可能性は否定できないですが、使用基準に基づいてぶどう酒の製造にのみ用いられることを考慮すべきと考えたとされています。
 繰り返しになりますが、亜硫酸水素アンモニウム水由来の二酸化硫黄及び亜硫酸塩のNOAELは、71mg/kg体重/日、二酸化硫黄の推定一日摂取量は、0.116mg/kg体重/日となると判断されています。ただし、<1>~<3>に記載のように、二酸化硫黄は、効果を発揮しつつ大気中に揮散又は酸化により徐々に消失するとされていること等を踏まえて、当該添加物の実際の摂取量は、推定一日摂取量よりも少ないと考えられたとされています。
 以上を踏まえ、毒性試験成績からNOAELが得られているものの、毒性影響は重篤ではないことを考慮し、亜硫酸水素アンモニウムの性質、使用方法、実際の摂取量、使用基準案等から、添加物「亜硫酸水素アンモニウム水」が添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ、ADIを特定する必要はないと判断されています。食品安全委員会における評価結果(案)については以上です。
 なお、本品目と後ほど御審議いただくキチングルカン及びビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体については、食品安全委員会の評価について、評価書の案に基づいて御審議を頂くこととなっています。案ではありますが、いずれも食品安全委員会の専門調査会では、適切に使用する場合、安全性に懸念はないと結論し、終了しているものとなっています。このため、本日は、そのような評価が厚生労働省に通知される内容となることを前提に、御審議を頂ければと思います。なお、本部会の最後に改めて言及しますけれども、食品安全委員会の評価書については、現在の案から大きな変更があった場合、部会長と相談の上、その後の対応方針について検討したいと思います。以上になります。
○佐藤部会長 ありがとうございます。食品安全委員会における安全性に係る評価の概要について、委員の方よりコメントをお願いしたいと思います。まず体内動態について、吉成委員いかがでしょうか。
○吉成委員 吉成ですけれども、もし資料1-3をお持ちの方は、29ページにまとめがありますので御覧いただければと思うのですが、結論としましては、本剤については、アンモニウムは少量ですので問題がないということと、その他二酸化硫黄、あるいは亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオンに関しては、硫酸の形に酸化されて、その後は速やかに排泄されるということで、特段問題がないということですので、この添加物についても、体内動態で問題になる点はないと考えています。以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。続いて遺伝毒性について、戸塚委員、いかがでしょうか。
○戸塚委員 はい、戸塚です。同じ資料の、遺伝毒性に関しては30ページからになります。非常に多くの試験結果が掲載されているのですけれども、まとめに関しては、45ページを見てください。この亜硫酸水素ナトリウムやピロ亜硫酸ナトリウムに関しては、幾つか試験で陽性のものが出ているのですけれども、これらは生体内では起こらないだろうという結論が、ここに書かれています。また、適切な条件下で試験されたin vivoの試験系では、いずれも陰性という結果が出ていますので、こういったことを踏まえて、46ページに、生体にとって特段問題となるような遺伝毒性の懸念はないと判断しています。以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。それでは、遺伝毒性以外の部分を、桒形委員よりお願いできますでしょうか。
○桒形委員 はい、桒形です。遺伝毒性以外の毒性情報について、簡単に御説明します。資料1-3の76ページを御覧ください。各試験のまとめは、詳細にこの前に記載がありますが、76ページに毒性のまとめとなっています。反復投与毒性、ブタの48週試験で病理所見が認められた。これは、肝臓と消化管にマクロファージ浸潤が見られたと記載がありますが、その病理所見が認められたということで、NOAELが71mg/kg 体重となっています。こちらの試験の数値が、本剤の一番最小のNOAELとなっています。それ以外の反復投与毒性試験としまして、ラットの2年間反復投与毒性・生殖・発がん性併合試験が行われています。反復毒性としては、胃の病理所見。こちらは腺胃の粘膜肥厚あるいは前胃・腺胃の過形成・炎症性変化というものが認められました。そのほか便潜血の所見が認められていますが、こちらの試験のNOAELは、72mg/kgとなっています。
 生殖試験におきましては、母動物・児動物の体重増加抑制が高用量群で認められていまして、NOAELはその下の262mgと設定されていますが、生殖毒性は認められていません。発生毒性試験ですれども、こちらは胎児体重の減少が認められて、NOAELが80mg/kg体重と設定されていますが、催奇形性は認められていません。発がん性については、発がん性は認められないと判断されています。
 以上のことから、動物実験を用いたNOAELは、ブタの48週間経口投与毒性試験のNOAELであった、71mg/kg体重/日(二酸化硫黄として)と判断されています。以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。ここまでで委員から、食品健康影響評価における評価結果について、御質問等ありますでしょうか。
○石見委員 すみません、石見です。今、チャットにコメントを入れていますが、本申請品について、JECFAでの評価については資料1-2に記載がないのですが、それについてよろしくお願いします。
○佐藤部会長 では、事務局、御説明いただけますか。ちょっと11ページを見ていただけますか。
○事務局 資料1-3の11ページにありますけれども、亜硫酸水素アンモニウム水の安全性評価は確認ができなかったということです。
○佐藤部会長 石見委員、よろしいでしょうか。
○石見委員 食品安全委員会の評価書に記載がありましたので、了解しました。資料のほうには書かなくていいのかなとちょっと思った次第です。以上です。
○佐藤部会長 はい、ありがとうございます。
○事務局 記載を検討したいと思います。
○佐藤部会長 事務局から、記載を検討するということですので、よろしいでしょうか、石見委員。
○石見委員 承知いたしました。
○佐藤部会長 ありがとうございます。ほかにどなたか御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。続いて、亜硫酸水素アンモニウム水の使用基準と成分規格案等について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-2の5ページ目の26行目を御覧ください。ここまでの内容を踏まえて、「新規指定について」に記載のとおり、亜硫酸水素アンモニウム水については、添加物として指定することは差し支えないとしております。また、使用基準については、EU域内において適用される基準、添加物としての有効性と安全性、既に添加物指定されている亜硫酸塩類や二酸化硫黄において設定されている、二酸化硫黄に係る残存量の規定等を踏まえて、亜硫酸水素アンモニウム水については、ぶどう酒の製造に用いるぶどう果汁及びぶどう酒以外の食品に使用してはならない。使用量としては、ぶどう酒1Lにつき0.2g以下でなければならない。二酸化硫黄として、ぶどう酒(ぶどう酒の製造に用いる酒精分1容量%以上を含有するぶどう搾汁及びこれを濃縮したものを除く)1kgにつき0.35g以上残存しないようにしなければならないとしております。なお、食品安全委員会に諮問した際には、使用できる食品から発酵が終了したぶどう酒を除いておりましたが、法技術的な観点から、発酵が終了したぶどう酒への使用への制限については、酒税法に基づいて担保する予定ですので、食品安全委員会において行われた評価には影響はありません。
 成分規格については、8ページの別紙1を御覧ください。基本的には、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)の規格、食品添加物公定書の亜硫酸水素カリウム液及び亜硫酸水素ナトリウム液の規格を参考に設定をしております。本品目の名称は、亜硫酸水素アンモニウム水。定義は、亜硫酸水素アンモニウムを主成分とする水溶液であるとしております。含量、性状は記載のとおりであり、確認試験として、アンモニウム塩の反応及び亜硫酸水素塩の反応を呈すること。アンモニアとして、2.1%以上を含むこととしております。純度試験としては、鉛及びヒ素について、亜硫酸水素アンモニウム当たりの濃度として、規格値を設定しております。強熱残分及び定量法は、記載のとおりです。詳細な成分規格の設定根拠及び参考とした規格との対比表は、別紙2、別紙3にまとめております。亜硫酸水素アンモニウム水の添加物指定に関する説明は以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。使用基準案及び成分規格案等について、委員からコメントがありましたら、お願いいたします。まず、成分規格案について、杉本委員、いかがでしょうか。
○杉本委員 事務局の説明のとおりでよいと思います。
○佐藤部会長 ありがとうございます。その他の委員から、何か御質問等はありますか。特にないということで、よろしいでしょうか。それでは、全体を通して、亜硫酸水素アンモニウム水の新規指定等の可否について、御意見等をお願いいたします。特にありませんか。それでは一通り御審議いただいたということで、亜硫酸水素アンモニウム水の新規指定等の可否については、認めるということでよろしいでしょうか。御意見のある方は、チャットでお申し出ください。また、御了承いただける場合は、チャットで「異議なし」等の入力をお願いいたします。では、皆様から異議なしという御意見を頂きましたので、部会報告書を取りまとめ、分科会へ報告する手続を取りたいと思います。事務局から、その他何かありますか。
○事務局 本品目については、新規添加物の指定となりますので、分科会では審議事項として進めさせていただくこととしております。また、手続を進める中で、細かい文言の変更等の軽微な修正が必要となった場合については、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題がなければ手続を進めてもよろしいでしょうか。
○佐藤部会長 事務局からの提案ですが、そのように進めてよろしいでしょうか。よろしいですね。それでは、そのほか事務局からありますか。
○事務局 大丈夫です。
○佐藤部会長 続いて、議題2、キチングルカンの新規指定の可否等に関して、審議を行います。事務局から、キチングルカンの添加物としての概要を説明願います。
○事務局 資料2が、キチングルカンの食品添加物の指定に関する審議資料となります。先ほどと同様、資料2-1は諮問書、資料2-2は部会報告書(案)、資料2-3は食品安全委員会の評価書(案)となっております。説明は、資料2-2を用いて行います。まず1の「品目名」から5の「添加物としての有効性」までについて御説明します。品目名は、記載のとおりとなっております。成分については、添加物「キチングルカン」は、糸状菌(Aspergillus niger)の培養物から得られたものであり、菌糸体細胞壁の主要多糖であるキチン及びβ-1,3-グルカンで構成されております。2つの多糖は共有結合しており、3次元構造を形成するとされております。用途については、製造用剤(清澄剤、重金属及び汚染物質の除去)となります。
 続いて概要です。添加物「キチングルカン」は、糸状菌(Aspergillus niger)を用いたクエン酸生産の副産物として得られたものです。重金属や汚染物質等を吸着するため、清澄化、重金属の除去、汚染物質、特にオクラトキシンAの除去の目的で、主にEU等で使用されております。続いて、諸外国での使用状況等です。EUでは、ワインの製造におけるキチングルカンの使用が認められており、ワインへの使用については重金属の除去、並びに鉄混濁及び銅混濁の防止の目的で1g/L、オクラトキシンAの除去の目的で5g/Lを上限としております。米国では、キチングルカンは一般に安全と認められる物質とされており、アルコール飲料生産100L当たり10~500gの範囲での使用が認められております。オーストラリアでは、キチングルカンはワイン等の製造において、GMPの下での使用が認められております。
 続いて、添加物としての有効性について御説明します。まず、12行目からの清澄化の観点について、御説明します。清澄化とは、ぶどう果汁及びぶどう酒に存在する混濁物質及び混濁物質の生成要因となる原因物質を除去し、酒類の透明度を向上させ、混濁の発生を予防することを指します。次のページの表1には、マストを対象に、キチングルカンの清澄剤としての有効性を検証した試験の結果を示しております。3種類の異なるぶどう品種を混合したマストに、キチングルカンを含む様々な清澄剤を添加したところ、ベントナイト等の既存の清澄剤と同様、キチングルカンによってマストの濁度が減少し、キチングルカンが清澄剤として働くことが示されております。
 続いて、3ページ目の4行目より記載の重金属の除去の観点について、御説明します。ワインには、マンガン、鉄、銅などの重金属が微量、ないしは痕跡量含まれております。こうした金属の含有量の増加は、味への影響、褐変、混濁、沈殿物の形成など、ワインの品質劣化を引き起こす要因の1つとされております。表2には、赤ワイン、白ワイン、甘味ワインに対して、キチングルカン処理を実施することによって、ワイン中の鉄、鉛、カドミウム含有量が減少すること、つまり、キチングルカンにワイン中の重金属を除去する働きがあることが示されております。
 続いて、4ページの1行目からは、オクラトキシンAの除去の観点からの説明が記載されております。オクラトキシンAは、Aspergillus属などの幾つかの糸状菌によって産生されるかび毒であり、多種多様な食品への混入が認められております。非常に低濃度ではあるものの、ワインにも混入している事例が報告されております。表3には、オクラトキシンAを添加した3種類の無ろ過ワインに対してキチングルカン処理を行ったところ、全てのワインのオクラトキシンA含有量が減少することが示されております。以上のように、キチングルカンは清澄剤としての効果のほかに、重金属の除去やオクラトキシンの除去等の効果を有する添加物であると言えます。
 続いて、食品中での安定性です。添加物「キチングルカン」は、果汁やワイン中で非常に安定に存在すると考えられます。なお、本添加物は製造工程における各種ろ過過程等において、除去されるということになります。有効性までの説明については以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。ここまでで、委員から御質問等はありますか。
○吉成委員 質問ではないのですけれども、つづりが間違っていたので修正いただければと思います。4ページ目の一番上のAspergillusのつづりが、「Asper」の後に「i」が入っていますけれども、要らないと思いますので、修正だけお願いいたします。以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。続いて、キチングルカンの食品安全委員会における評価結果について、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 引き続き、資料2-2を用いて御説明します。食品安全委員会の評価結果(案)について、御説明します。添加物「キチングルカン」の食品健康影響評価については、添加物専門調査会での審議の結果、添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念はないとの評価がなされ、評価書(案)を一部修正の上、食品安全委員会に報告され、現在、広く国民より意見・情報の募集がなされております。現在、パブリックコメントに供されている評価書(案)を、資料2-3としてお配りしております。
 (1)安全性に係る知見の概要について、御説明します。添加物「キチングルカン」の製造を目的として、適切に管理されたAspergillus nigerについては、添加物としての摂取において問題になるような病原性の懸念はないと判断をされております。また、添加物「キチングルカン」に由来するかび毒である、フモニシン及びオクラトキシンAについては、それぞれ過大な見積りで推計しても、それぞれの最大ばく露量は、それぞれの耐容一日摂取量を超えないこと等から、健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと判断をされております。
 なお、評価書(案)においては、添加物「キチングルカン」の製造を目的に、適切に管理された菌株以外の菌株が使用されることが否定できないことから、リスク管理機関において、十分に配慮する必要があると考えたとされております。この点については、厚生労働省では、従前よりワインを含め、比較的頻繁に食べられる食品を対象に、オクラトキシンの汚染状況に関する実態調査を行っておりますので、キチングルカンが添加物指定された後も、ワインの実態調査を継続し、その結果に応じて必要な対応について検討したいと思っております。
 そうしましたら、今一度資料に戻っていただき、5ページの23行目の段落を御覧ください。ヒトに6週間服用させる介入試験において、ヒトがキチングルカンを4.5g/日摂取しても毒性影響は認められないと判断されております。(2)一日摂取量の推計等について、御説明します。添加物「キチングルカン」の使用基準案の最大量(5g/L)が全てぶどう酒に残存した場合を仮定し、飲酒習慣のある者から算出したぶどう酒推定一日摂取量に基づいて、ぶどう酒からのキチングルカンの推定一日摂取量は、4.37mg/kg体重/日と推定をされております。
 (3)食品健康影響評価です。添加物「キチングルカン」は、使用基準案において最終食品の完成前に除去されることが規定されていること。不溶性であり、消化管での吸収はほとんど起こらないこと、ヒトの介入試験において4.5g/日摂取しても毒性影響が認められなかったことを総合的に評価し、現時点で得られている知見を検討した結果、添加物「キチングルカン」が添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと判断されております。食品安全委員会における評価結果(案)については、以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。食品安全委員会における安全性に係る評価の概要について、委員よりコメントをお願いします。まず、体内動態について、吉成委員、いかがでしょうか。
○吉成委員 吉成です。お手元の資料2-3を御覧いただければと思いますが、15ページに体内動態の記載があります。「上述のとおり」と、上を少し引用しているのですが、キチングルカンは不溶性であるということで、ヒトの小腸では吸収されずに、一部常在細菌叢によって発酵されるとされています。これ以外の知見は十分ないわけですが、不溶性であるということから、ヒトに吸収されないということで、問題がないと考えられます。以上です。
○佐藤部会長 続いて、遺伝毒性について、戸塚委員、いかがでしょうか。
○戸塚委員 戸塚です。同じ資料の16ページに、遺伝毒性についての結果が掲載されてますが、in vitroのAmes試験1つしかないのですが、こちらが陰性ですので、まとめとしては、キチングルカンの遺伝毒性は、限られているけれども、認められないと判断しています。以上です。
○佐藤部会長 続いて、遺伝毒性以外の毒性について、桒形委員よりお願いできますか。
○桒形委員 桒形です。同じ資料の20ページを御覧ください。<6>毒性のまとめという項があります。こちらですが、まず、急性毒性の懸念はありません。また、発がん性及び生殖発生毒性試験は、報告が認められないので、評価できないと判断しています。反復毒性試験として、ラット13週間経口投与試験、こちらの最高用量群で、ラトケ嚢胞や盲腸拡張という所見が観察されてはいるのですが、ラトケ嚢胞は自然発生範囲内であること、また、盲腸の拡張は、本剤のような消化性が難しい炭水化物をラットに大量に投与したときに認められる一般的な反応ということで、本剤の影響ではないと判断され、最高用量の10%投与群、すなわち雄では6.6g、雌では7.0g/kg体重/日と判断されています。
 また、ヒトにおいて、6週間の介入試験が実施されていますが、ヒトがキチングルカン4.5g/日を摂取しても、毒性影響は認められないと判断しています。以上です。
○佐藤部会長 ここまでで委員から、食品健康影響評価における評価結果について、御質問等はありますか。よろしいですか。続いて、キチングルカンの使用基準案と成分規格案等について、事務局からお願いします。
○事務局 これまでの内容を踏まえ、6ページの9行目の7番、新規指定についてに記載のとおり、キチングルカンについては、添加物として指定することは差し支えないとしております。使用基準については、EU域内等において適用される基準、添加物としての有効性と安全性を踏まえ、キチングルカンについては、ぶどう酒の製造に用いるぶどう果汁及びぶどう酒以外の食品に使用してはならない。使用量としては、ぶどう酒1Lにつき5g以下でなければならない。また、使用したキチングルカンは、最終食品の完成前に除去しなければならないとしております。
 成分規格については、8ページ、別紙1を御覧ください。基本的には、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)の規格やEFSAで評価された際の規格、食品添加物公定書のカードラン及びアスパラギナーゼの規格等を参考に設定をしております。本品目の名称は、キチングルカン。定義は、糸状菌(Aspergillus nigerに限る)の培養物から得られた、キチン及びβ-1,3-グルカンで構成される共重合体である、としております。含量、性状は、記載のとおり設定しております。確認試験として、キチンとグルカンの構成比の項目を設定しております。試験法はOIV規格と同様、固体13C NMRを用いる試験法を設定しております。純度試験、乾燥減量、灰分、微生物限度、定量法は、記載のとおり設定しております。成分規格の設定根拠及び参考とした規格との対比表は、別紙2、別紙3にまとめております。キチングルカンの添加物指定に関する御説明は、以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。使用基準案及び成分規格案等について、委員からコメントをお願いします。まず、成分規格について、杉本委員、いかがですか。
○杉本委員 杉本です。事務局のおっしゃるとおり、この規格でよいと思います。この中で1つ言うとすれば、確認試験です。確認試験の中に、今回初めてCP/MASの13C NMRが採用されています。この13Cを確認試験に使うものは、私の知る限り、国内の公的な規格としては、多分初めてになるのではないかと思います。とはいえ、第9版公定書の中に、一般試験法として、既にNMRの試験法は入っています。その中には、主に溶液のプロトンのNMRについての一般試験法が書かれており、この規格を入れても、その中で読み込めるとは思います。ですが、13Cを使う規格はこれが初めてになりますので、第10版の改正においては、ここの部分も完全に読み込めるように改正してはどうかとは思っています。以上です。
○佐藤部会長 その他、委員からコメントはありますか。工藤委員、お願いします。
○工藤委員 国立医薬品食品衛生研究所の工藤です。食品安全委員会における評価案のところですが、今、案ということですが、当所当部でオクラトキシンのワイン中の汚染実態を行っており、測定はまだ進めているところです。Aspergillus nigerについては、フモニシンも産生しますので、そのモニタリングは、今後進めていかなければならないのかと思っています。以上です。
○佐藤部会長 そのほかありますか。よろしいですか。では、全体を通してキチングルカンの新規指定の可否について、御意見等をお願いします。特にありませんか。では、先ほどキチングルカンについては、Aspergillusのつづりに誤りがあったということで、そこを修正していただき、その他については、キチングルカンの新規指定の可否について、認めるということでよろしいでしょうか。御意見がある場合は、チャットでお願いします。よろしいですか。では、一応これで御了承いただける場合は、チャットで「異議なし」と入力をお願いします。大丈夫ですか。皆様から異議なしという御意見を頂いたところで、ありがとうございます。事務局から、そのほか何かありますか。
○事務局 本品目についても、新規添加物の指定となりますので、分科会では審議事項とされており、審議事項として進めることとしております。また、手続を進める中で、細かい文言の変更等の軽微な修正が必要となった場合については、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題がなければ手続を進めてもよろしいでしょうか。
○佐藤部会長 こちらについても、よろしいですか。御意見がある場合には、チャットでお申し出ください。よろしいですね。それでは、続いて議題3、DL-酒石酸カリウムの新規指定の可否等に関して、審議を行いたいと思います。事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 御説明します。本議題の資料は、資料3のシリーズとなっております。先ほどまでと同様に、資料3-1は諮問書、資料3-2は部会報告書(案)、資料3-3は食品安全委員会の食品健康影響評価になります。
 資料3-2を中心に御説明させていただきます。まず、1の品目名から5の添加物としての有効性までについて御説明いたします。1の品目名と2の構造式、分子式及び分子量については、記載のとおりです。3の用途については、製造用剤(除カルシウム剤、除酸剤)となります。
 4の(1)概要について、添加物「DL-酒石酸カリウム」は、L-酒石酸カリウムとD-酒石酸カリウムの2種類の鏡像異性体が等量存在するラセミ体であり、ワイン中で2価の陰イオンである酒石酸イオンとカリウムイオンに解離した後、酒石酸イオンはワイン中のカルシウムイオンと難溶性のラセミ体の塩となり、結晶が形成されて沈降するとされております。その結果、DL-酒石酸カリウムにより、ワイン中の過剰なカルシウムを除去できるとされております。(2)諸外国での使用状況等について、EUでは、ワイン製造工程において、DL-酒石酸又はDL-酒石酸カリウムを、過剰なカルシウムを沈殿させる目的で使用することが認められております。また、米国及びオーストラリアでは、DL-酒石酸カリウムで処理されたワインをEU域内から輸入し、国内で流通させることができます。
 5の添加物としての有効性について、御説明します。(1)除カルシウム剤及び除酸剤としての機能について、ワイン中に過剰のカルシウムが含まれると、瓶詰された製品内で徐々に酒石酸水素カリウム及び酒石酸カルシウム等が含まれる酒石が形成されることがあります。酒石発生を防止するためには、ワイン中のカルシウム濃度を低く保持することが重要となってまいります。DL-酒石酸カリウムは、DL-酒石酸イオンとカリウムイオンに解離し、DL-酒石酸イオンとワイン中のカルシウムイオンが会合することでDL-酒石酸カルシウムが形成され、ワイン中のカルシウムを除去することができる添加物とされております。こちらの反応機構は、下の反応式1に示しております。また、DL-酒石酸カリウムの添加によって生じたカリウムイオンは、ワイン中の酒石酸イオン及び水素イオンと結合してL-酒石酸水素カリウムを形成し、沈降することにより、除酸効果も示すとされております。なお、DL-酒石酸イオンは、DL-酒石酸の解離によっても生成することが知られており、DL-酒石酸カリウムと同様にワイン中のカルシウム除去の機能を持つとされております。こちらの反応機構についても、下の反応2に示しております。今、御説明したように、DL-酒石酸カリウムのカルシウム除去剤としての機能は、DL-酒石酸イオンによるものであるとされているため、今回、御審議いただくDL-酒石酸カリウムの有効性については、DL-酒石酸を用いて得られた試験結果から検討することができると考えております。
 3ページに移ります。以下に列挙する理由により、除カルシウム剤としては、DL-酒石酸よりDL-酒石酸カリウムの有用性が高いと考えられます。<1>DL-酒石酸よりもDL-酒石酸カリウムのほうが水への溶解度が高く、表1にそれぞれの溶解度を示しております。表1の酒石酸塩の水(100g)に対する溶解度の比較を御覧ください。酒石酸のDL体の可溶量については20.6g、酒石酸カリウムのDL体の可溶量については103.1gとされており、DL-酒石酸カリウムはDL-酒石酸よりも溶解度が高いという結果になっております。上の説明文にお戻りください。<2>DL-酒石酸カリウムは、DL-酒石酸と比較して、ワインのpHを上げるため、DL-酒石酸カルシウムの形成を早めます。こちらについては、ワイン中のpHが高いほうが、DL-酒石酸カルシウムの形成が早まることが知られており、表2にワインのpHとカルシウム沈殿ができるまでの時間の関係を示しております。表2を御覧ください。3.6以上のpHでは、8日間で理論値のDL-酒石酸カルシウム沈殿が発生したとされております。また、pHが3.6以下の条件下では、沈殿が発生するまでの時間が長くなるとともに、沈殿の回収率が低下しているという結果になっております。
 また、上の説明文にお戻りください。<3>について、DL-酒石酸カリウムは、ワインにカリウムイオンを供給することで、L-酒石酸水素カリウムの結晶沈殿を促進し、酒石の析出防止につながるとされております。<4>として、<3>のとおり御説明いたしました、生成したL-酒石酸水素カリウムの結晶が種晶となり、DL-酒石酸カルシウムの結晶の生成を助けることで、よりカルシウムの除去が期待できます。
 4ページに移ります。これまでの御説明を前提に、表3では、異なる量のDL-酒石酸をワインに添加し、DL-酒石酸の添加量とカルシウム除去量の関係について、検討した試験結果を示しております。その結果、DL-酒石酸の添加により、ワイン中のカルシウム量が減少していることから、DL-酒石酸がワインに対するカルシウム除去効果を有することが分かります。加えて、カルシウムの約2.8倍量に相当する428mgのDL-酒石酸を添加するまでは、添加するDL-酒石酸の量に対して比例的にカルシウム除去量が増加いたしますが、それ以上の添加量では比例的に増加しないことが示されております。また、諸外国ではワイン醸造の教科書として使用されている書籍においては、ワイン中に含有されるカルシウム量の3倍量以上のDL-酒石酸を添加しても、逆に瓶詰後のワインで酒石発生の原因となってしまうため、3倍量のDL-酒石酸を使用することを推奨しております。この結果は、先ほどのワイン生産における慣習と概ね一致しております。以上より、DL-酒石酸カリウムは、目標とするカルシウム除去量を踏まえて、酒石発生も想定して、過剰とならないよう適切に添加量を設定して使用した際に、ワインの品質管理上、十分なカルシウムの除去効果が得られると考えております。
 (2)食品中での安定性について、DL-酒石酸カリウムは、2個のカリウムイオンと1個の酒石酸イオンに解離します。ワインへ添加されたDL-酒石酸カリウムから生じた酒石酸イオンは、そのほとんどがDL-酒石酸カルシウムとなり、結晶沈殿としてろ過等により除去されるとされております。5ページに移ります。(3)食品中の栄養成分に及ぼす影響については、記載のとおりです。有効性までの御説明は、以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。ここまでで委員から御質問等はありますか。
○瀧本委員 国立健康・栄養研究所の瀧本です。すごく細かいことですが、4ページの9行目で、3倍量推奨と書いてあって、10行目で3倍量以上という表現があるのですが、そうすると、3倍量を含んでしまっているから、3倍量を超えて添加しても余り意味ないから3倍にしましょうという趣旨かと思うので、少し記載の表現を分かりやすくしていただけるといいかと思いました。以上です。
○佐藤部会長 事務局。
○事務局 御指摘ありがとうございます。確かにこちらの記載では、3倍以上となっております。3倍量がいけないような記載に読み取れますので、分かりやすく修正させていただきたいと思います。以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。では、ほかにどなたかありますか。よろしいですか。それでは、続いて、DL-酒石酸カリウムの食品安全委員会における評価結果について、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 引き続き、資料3-2を用いて御説明いたします。5ページの6食品安全委員会における評価結果について、御説明します。令和元年10月9日付け厚生労働省発生食1009第3号により、食品安全委員会に対して意見を求めたところ、DL-酒石酸カリウムが添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念はないとの評価結果が、令和2年9月15日付け府食622号で通知されております。
 (1)安全性に係る知見の概要について、DL-酒石酸カリウムの体内動態については、評価に当たっては種差に留意すべきとされております。in vitroの復帰突然変異及び染色体異常試験の結果がいずれも陰性であったことから、特段問題となる遺伝毒性はないと判断されております。また、入手したヒトにおける知見からは、NOAELは得ることができないと判断されておりますが、ラットを用いた試験の結果により、DL-酒石酸のNOAELは60mg/kg体重/日と判断されております。
 (2)一日摂取量の推計等について、ぶどう酒中のカルシウム濃度を最大である210mg/Lとし、ぶどう酒に残存するDL-酒石酸は、46.7mg/Lと推計されております。これに生産量統計調査に基づく摂取量を合わせて、DL-酒石酸摂取量は、0.0409mg/kg体重/日と推計されております。
 (3)食品健康影響評価について、DL-酒石酸カリウム由来のDL-酒石酸の摂取量は少ないと考えられることから、ばく露マージンを用いた評価が実施されております。推定一日摂取量(0.0409mg/kg体重/日)をNOAELである60mgと比較し、この間に十分なマージンが存在することから、添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと判断されております。食品安全委員会における評価結果については、以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。では、食品安全委員会における安全性に係る評価の概要について委員よりコメントをお願いしたいと思います。まず、体内動態について吉成委員、いかがでしょうか。
○吉成委員 吉成です。資料3-3の12ページを御覧ください。体内動態の前に、酒石酸カリウムが今回は対象ですが、体内動態の12ページの上のほうに書いていますように、カリウムイオンについては、既に評価がされて問題がないということで、体内動態については酒石酸及び酒石酸塩として検討されています。その後、結果がいろいろ書かれていますが、まとめが19ページにございますので、19ページに移っていただければと思います。19ページの(5)体内動態のまとめとありますが、先ほども少し説明がありましたように、ヒトとラットに種差があるということと、ヒトにおいては酒石酸塩の吸収率は低いこと。それから、経口摂取した酒石酸塩の多くは腸において分解されるとされています。20ページの上のほうにありますが、本剤の目的でもありますが、酒石酸を摂取することによって、カルシウム塩の蓄積が示唆されていますが、それはラットにおいてであり、先ほど申しましたように、ヒトでは吸収量が低いということから、種差に留意すべきですが、ヒトでは問題とならないとされております。以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。続いて遺伝毒性について、戸塚委員、いかがでしょうか。
○戸塚委員 同じ資料の21ページからが、DL-酒石酸及びDL-酒石酸塩の遺伝毒性について書かれているものになります。いずれもin vitroの試験のみですけれども、全て陰性となっておりますので、DL-酒石酸カリウムには生体にとって特段問題となるような遺伝毒性はないと判断されております。以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。それでは、遺伝毒性以外の毒性について、桒形委員よりお願いできますでしょうか。
○桒形委員 桒形です。同じ資料の29ページを御覧ください。こちらが(7)毒性のまとめとなっております。急性毒性試験につきましては、旋光性は不明なのですが、その試験結果から急性毒性の懸念はないと考えられます。また、そのほか反復投与毒性試験ですけれども、DL-酒石酸カリウムの13週反復投与試験、こちらはラットを用いた試験でございますが、1本ございます。その結果から0.5%投与群において、尿中の白血球値及びタンパク濃度の増加が認められたことや腎臓の病理組織所見、例えば腎皮質あるいは髄質に不規則な管腔を示す尿細管があったり、異物巨細胞の出現とか、その周囲の炎症等が認められておりまして、この病理組織所見から腎臓への有害影響が生じていると考えられたことから、NOAELは0.125%投与群から算出された60mg/kg体重/日、DL-酒石酸として判断されております。また、発がん性及び生殖発生毒性試験につきましては、試験が行われた報告がないことから、評価ができておりません。ヒトにおいてですけれども、同じページの<5>ヒトにおける知見のまとめとございますけれども、結果といたしましては、DL-酒石酸カリウムが添加物として適切に使用された場合の摂取量範囲よりも、すごく高い量で死亡例とか、あるいは吐き気、嘔吐、けいれんというものが認められて、とても高用量での報告であることから、ヒトの知見に基づくNOAELは得ることはできないと判断されております。以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございます。そのほか、委員から何か御質問等ございますでしょうか。三浦委員、よろしくお願いします。
○三浦委員 毒性の所で少し確認させていただきたいのですが、恐らく病理所見で慢性毒性で所見が見出されていないので影響ないと思うのですが、この酒石酸を日常的に、慢性的に摂取した場合に、食事からのカルシウムの吸収を抑制して、骨とかカルシウム代謝に影響はなかったのかどうかを少し確認させていただきたいのですけれども、よろしくお願いします。
○佐藤部会長 これはいかがでしょうか。事務局から回答願います。
○事務局 もともとこの酒石酸の成分については、ワインにも常在する成分です。食品安全委員会の摂取量調査でも、ワイン中に残存した場合にということで評価されておりますので、特段問題はないと考えております。
○佐藤部会長 三浦委員、このような回答でよろしいでしょうか。
○三浦委員 経験的にワインを飲んでもそういった影響はないという理解ということでよろしいということですね、分かりました。ありがとうございます。
○佐藤部会長 ありがとうございます。続きまして、事務局からDL-酒石酸カリウムの使用基準案と成分規格案等について説明をお願いいたします。
○事務局 資料3-2にお戻りください。6ページの7から御説明します。新規指定について、DL-酒石酸カリウムについては添加物として指定することは差し支えないとしております。8の規格基準の設定につきましては、(1)使用基準案について、使用基準案は、DL-酒石酸カリウムはぶどう酒以外の食品に使用してはならないとしております。
 (2)成分規格・保存基準につきましては、8ページの別紙1を御覧ください。基本的には国際ブドウ・ワイン機構(OIV)の規格、JECFAの規格、既に添加物に指定されておりますDL-酒石酸等を参考に設定しております。本品目の名称は、DL-酒石酸カリウム。定義といたしまして、本品はL-酒石酸カリウムとD-酒石酸カリウムの等量混合物であるとしております。性状につきましては、記載のとおりです。
 確認試験について、旋光性がないこと、カリウム塩及び酒石酸塩の反応を呈することを設定しております。純度試験については、鉛、ヒ素及びシュウ酸塩を設定しております。乾燥減量と保存基準については、記載のとおり設定しております。また、成分規格の設定根拠及び参考とした規格との対比表は、別紙2及び別紙3にまとめております。御説明は以上でございます。
○佐藤部会長 ありがとうございます。それではDL-酒石酸カリウムの使用基準案及び成分規格案について、委員から御質問ございますでしょうか。では杉本委員。
○杉本委員 事務局の説明で問題ないと思います。今、別の所で気がついた所があって、修正のお願いをしたいと思います。資料は大分戻りますが、気が付いたことを今言っておかないとということで、すみません。亜硫酸水素アンモニウム水の規格の部分ですが、「62%」の前に「w/v」の単位が抜けています。資料1-2、別紙2の1ページ、設定根拠の17行目の約62%のw/vが必要です。あとはもう1つあります。「二酸化硫黄として10%」の所も同じように、18行目も「10w/v%」に修正をお願いします。もう1つが、19行目も15.4になっているのですが、これもw/vと修正をお願いします。あとは大丈夫でしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
○佐藤部会長 ほかにどなたかコメント等ございますか。もう一度言っていただけますでしょうか。
○杉本委員 何か分かりにくくてすみません。資料1-2の別紙2の亜硫酸水素アンモニウム水の9ページの17行目、18行目、19行目、ここの3行に出てくる62と10と15.4に%が付いているのですが、その間にw/vの単位が入っていないとおかしいかなということで、修正をお願いします。
○事務局 事務局で修正して、後ほど委員とも確認をさせていただきます。
○杉本委員 はい。
○佐藤部会長 笹本委員、よろしいでしょうか。お分かりいただけましたでしょうか。
○笹本委員 笹本です。聞こえていますか。
○佐藤部会長 聞こえております。
○笹本委員 分かりました。ありがとうございます。
○佐藤部会長 ほかに御質問等ございますでしょうか。ありがとうございます。それでは全体を通して、ちょっと今は亜硫酸が入ってしまいましたが、DL-酒石酸カリウムの新規指定等の可否について御意見ございますでしょうか。それではDL-酒石酸カリウムにつきましては、先ほど瀧本委員より修正の御提案がありましたが、そこは適宜修正させていただくとしまして、新規指定等の可否については認めるということでよろしいでしょうか。御意見のある場合にはチャットでお申し出ください。御了承いただける場合は「異議なし」の入力をお願いいたします。ありがとうございます。それでは、部会報告書を取りまとめ、分科会報告する手続を取りたいと思います。事務局からその他、何かございますでしょうか。
○事務局 先ほど頂いた御指摘につきましては、修正の上、修正内容を部会長に御確認いただきます。その他、細かい文言の変更等の軽微な修正が必要となった場合につきましても、同様に修正内容を部会長に御確認いただきまして、特に問題がなければ手続を進めさせていただきます。また、本品目については、新規添加物の指定であるため、分科会では審議事項とされておりますので、審議事項として進めさせていただくこととしておりますが、よろしいでしょうか。
○佐藤部会長 事務局からの提案ですが、そのように進めてよろしいでしょうか。御意見がある場合は、チャットでお申し出ください。よろしいですね。では、以上でDL-酒石酸については議事を終了しまして、続いて議題4のビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体の新規指定の可否について審議を行いたいと思います。まず、事務局から添加物としての概要の説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より御説明します。資料4のシリーズが、ビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体の食品添加物の指定に関する審議資料になります。資料4-1が諮問書、資料4-2が部会報告書(案)、資料4-3が、食品安全委員会の食品健康影響評価書(案)となっております。説明は資料4-2に基づいてさせていただきます。
 まず、資料4-2を御覧ください。1の品目名から5の添加物としての有効性について、まずは御説明します。品目名は記載のとおりとなっておりまして、別名をPVI/PVPとしております。なお、1ページ目の脚注1に記載しておりますが、食品安全委員会に評価を要請した際に使用していました名称からは変更しておりますので、御留意いただければと思います。2の成分につきまして、添加物PVI/PVPは、1-ビニルイミダゾール(NVI)及び1-ビニル-2-ピロリドン(NVP)がおよそ9:1の比で重合した共重合体となっております。重合反応時には架橋剤である1,3-ジビニルイミダゾリジン-2-オン(DVI)が、モノマー総量に対して2%未満で使用されるとされております。用途につきましては、製造用剤(清澄剤、重金属の除去)となっております。
 続きまして、概要になります。PVI/PVPは、鉄、銅、アルミニウムのような金属イオンを選択的に結合するイミダゾール基を機能部位として有しておりますので、ワイン中の鉄、銅などに対する吸着効果があるとされております。これによりまして、金属イオンによって引き起こされる白濁や沈殿物の形成、混濁を防止し、ワインを清澄化するとされております。また、PVI/PVPがワイン中の金属イオンを除去することにより、酸化反応を抑制し、結果として褐変やピンキングを抑制する効果も有しているとされております。
 続きまして、諸外国での使用状況等になります。EUでは、PVI/PVPは、マスト及びワインに対して銅、鉄及びその他金属を除去する目的で、500mg/Lまでの使用が認められております。米国では、一部のPVI/PVP商品は、食品接触物質届出制度に基づきまして、ビールやワインを含むアルコール飲料から重金属イオン等を除去する目的で、100L当たり80gを超えない範囲での使用が認められております。また、EUの醸造規則を遵守して、PVI/PVPを使用したワインをEU域内から輸入し、米国国内で流通できることとなっております。オーストラリアではPVI/PVPは加工助剤とされており、ワイン等の製造において、GMPの下での使用が認められております。
 続きまして、添加物としての有効性についてです。まず、15行目から29行目を御覧ください。PVI/PVPは、重金属イオン除去のほか、褐変やピンキングの防止の目的でも使用されるとしております。従前、これらの問題に対しては個別の防止策が取られておりましたが、PVI/PVPは複合的な効果を有しているという特徴がございます。鉄、銅、亜鉛などのワイン中の含有量が多くなりますと、不快な味、褐変、沈殿物の形成など様々な問題が発生する可能性がございます。特に鉄や銅は、ワインの混濁の原因となることが知られております。表1には、PVI/PVPにワイン中の金属イオンを除去する働きがあることを示した報告についてまとめております。当該試験では、異なる濃度の鉄と銅を添加したワインに対してPVI/PVP処理を行い、ワイン中の金属イオン濃度を測定しております。その結果、赤ワイン及び白ワインのいずれにつきましても、PVI/PVPの添加によってワイン中の鉄、銅、鉛、アルミニウム濃度が減少したことが、こちらの表にまとめられております。
 続きまして、3ページ目の4行目から11行目を御覧ください。白ワインでは、過剰な酸化よって生成したフラボノイドポリマーに由来する褐変やピンキングと呼ばれる現象が起こることがございます。PVI/PVPは、そのフラボノイドポリマーの構成成分であるフェノール化合物を吸着することによって、褐変を抑制するとされております。表2は、白ワインのマストとワインに対してPVI/PVPを処理した際の、総フェノール量への影響を調べた結果を示しております。マスト、ワインともにPVI/PVP処理によって、総フェノール量の有意な減少が認められております。以上のとおり、PVI/PVPは、清澄剤としての効果のほか、金属イオンの除去、褐変等の防止の効果を有し、かつ、今回は言及しておりませんけれども、香味が保持されるというような特徴がある添加物となっております。
 続きまして、食品中での安定性について御説明します。添加物PVI/PVPは、果汁やワイン中で非常に安定に存在すると考えられます。なお、こちらも製造工程における各種ろ過過程等において除去されることになります。(3)食品中の栄養成分に及ぼす影響については、記載のとおりとなっております。有効性までについての説明は、以上となります。
○佐藤部会長 ありがとうございます。ここまでで、委員から御質問はございますでしょうか。吉成委員、お願いします。
○吉成委員 吉成です。細かいことというか、表現のことですが、この報告書の中で、「金属」という言葉と、「金属イオン」という言葉が、使い分けているのか、意図していないで使い分けているのかちょっと分からないのですが、これは何か表現の違いは意図して書かれているのでしょうか。というのが1点。
 それから、1ページの24行目に、「金属を選択的に結合する」という言葉があるのですが、この「選択的に」というのが何に対して選択的なのか分からなかったので、特に「選択的に」というのは要らないかと思ったのですが、ここでイミダゾールがあるので、金属イオンしか結合しないと思うのですけれども、それも含めて金属と金属イオンなのかということと、ここの選択的にという2点、ちょっとお伺いできればと思います。
○佐藤部会長 では、事務局からお願いします。
○事務局 事務局から回答させていただきます。「金属」と「金属イオン」という言葉の使い分けは特段意図的にしておりませんので、その辺り今一度精査をして修正させていただきたいと思います。同様に、「選択的に結合する」という言葉も、確かに適切でないように思いますので、こちらも削除する方向で検討して、適切に修正させていただきたいと思います。
○吉成委員 ありがとうございました。
○佐藤部会長 次に三浦委員、お願いします。
○三浦委員 とても細かい点で申し訳ないのですけれども、資料4-2の2ページ、23行目ですが、ここに「イオウ化合物」と書いてありますけれども、この「イオウ」というのは漢字ではなくて片仮名で書くのでしょうか。
○佐藤部会長 事務局お願いします。
○事務局 すみません、御指摘のとおり、余り片仮名では書かないように思いますので、漢字に修正をさせていただきたいと思います。御指摘ありがとうございます。
○佐藤部会長 続きまして石見委員、お願いします。
○石見委員 先ほどの「選択的」という所ですが、表1を見ていただきますと、カドミウムについては含有量が減っていないのですね。なぜ減らないのかという理由も知りたいのですが、減ってないということがあるとすると、選択的ということも言えるのかなと考えました。以上です。
○佐藤部会長 事務局いかがでしょうか。
○事務局 この表1の結果につきましては御指摘のとおりで、カドミウムについては減少が見られていないのは事実でございます。表1の結果がこのイミダゾール基の機能部位としての機能として金属を選択的に結合している結果かどうかというところは、なかなか難しいところかと思っておりますので、明確に金属を選択的に結合するというデータがないようであれば、やはりここは、選択的にとまでは言わないのが適切ではないかと考えております。
○石見委員 はい、承知しました。以上です。
○佐藤部会長 ほかにどなたかございますでしょうか。よろしいですか。それでは続いて、ビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体の食品安全委員会における評価結果について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 引き続き、資料4-2、6の食品安全委員会における評価結果(案)について御説明します。添加物「PVI/PVP」の食品健康影響評価につきましては、添加物専門調査会での審議の結果、添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念はないとの評価がなされておりまして、評価書(案)を一部修正の上、食品安全委員会に報告されることになっております。専門調査会で使用された評価書(案)を資料4-3としてお配りしております。まず、(1)安全性に係る知見の概要について御説明します。PVI/PVPの不純物としては、製造工程で出発物質として使用するNVP及びNVI、それから架橋剤のDVI並びに出発物質の分解生成物であると考えられる2-ピロリドン及びイミダゾールが挙げられます。DVIは、ワイン中で分解され、分解生成物であるアセトアルデヒド尿素、及びエチレングリコールに関しては、PVI/PVPが使用基準案の下で使用される場合には、残存量が十分少ないこと等から、安全性に懸念はないというように判断をされております。そのため、添加物「PVI/PVP」の安全性の検討に当たっては、PVI/PVPに加えて、不純物であるNVP、NVI、2-ピロリドン及びイミダゾールについて検討されており、28行目以降、黒ポツが5つありますけれども、それぞれの物質に関して、記載のとおり評価がなされております。
 続きまして、5ページの(2)一日摂取量の推計等についてです。添加物「PVI/PVP」の使用基準案の最大量0.5g/Lが全てぶどう酒に残存した場合を仮定し、飲酒習慣のある者から算出したぶどう酒推定一日摂取量に基づいて、ぶどう酒からのPVI/PVPの推定一日摂取量は、0.437mg/kg体重/日と推計をされております。また、後ほど成分規格案で言及させていただきますけれども、成分規格案において、不純物についての上限量を設定しておりますので、その上限量に基づいて、表3にお示ししているように、不純物の推定一日摂取量についても推計がなされております。
 最後に(3)食品健康影響評価につきましては、6ページの冒頭からの部分に記載のとおり、PVI/PVPは最終食品の完成前に取り除かれること、不純物については成分規格案において、PVI/PVP1g当たりの上限量(2µg~50µg)が設定されており、摂取量は少ないと考えられることから、ばく露マージンによる評価が実施され、添加物「PVI/PVP」が添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと判断がされております。食品安全委員会における評価結果の案につきましては、以上になります。
○佐藤部会長 食品安全委員会における安全性に係る評価の概要について、委員の方からコメントを頂きたいと思います。まず、体内動態について、吉成委員いかがでしょうか。
○吉成委員 はい、吉成です。資料4-3の15ページから、体内動態について記載がございます。先ほど少し説明がありましたが、考えられる不純物、出発原料等も含めます中に、アセトアルデヒド、エチレングリコール等がありますが、それらに関しては、量が少ないということで、検討はされておりません。いろいろデータが示されていますが、25ページに体内動態のまとめがございますので、そちらを御覧いただければと思います。
 順に、PVI/PVPに関しては、これは不溶性の共重合体であることから、消化吸収されないというように結論付けられています。その次、NVPに関しましては、体内で2-ピロリドン及びアセトアルデヒドに急速に加水分解されて吸収、排泄され、蓄積性が低いとされています。それから、NVI及び2-ピロリドンについては、まとめには体内動態に関する知見は提出されていないとありますが、脂溶性の指標であるlogP値を計算すると1未満、あるいはマイナスの値ということで非常に低いことから、蓄積性はないだろうと書かれております。最後に、イミダゾールにつきまして、これも経口投与されますと急速に吸収されますが、排泄されるのも早いということで、蓄積性は低いと考えられています。以上になります。
○佐藤部会長 ありがとうございます。続いて、遺伝毒性について、戸塚委員いかがでしょうか。
○戸塚委員 今と同じ資料の26ページからが遺伝毒性になります。まず、このPVI/PVPに関しましては、26ページの表7にありますように、in vitroの試験1点のみですけれども、陰性という結果が得られております。これはAmes試験ですので、これでAmesがネガティブなので、PVI/PVPの遺伝毒性は認められないと判断しております。この後、それ以外のNVPとかビニルピロリドンとかあるのですけれども、この辺も全て遺伝毒性の説明をしてしまったほうがよろしいでしょうか。
○佐藤部会長 はい、お願いします。
○戸塚委員 はい、それでは、先ほどの体内動態と同様にその不純物についても評価がされておりまして、27ページのNVPに関しましては、以前の添加物評価書のポリビニルピロリドンにおいて評価がされているということで、この評価書の中にはその結果が掲載されておりません。調べてみましたところ、NVPに関しましても、in vitroの試験とin vivoの試験が全て陰性という結果が出ておりますので、これをもちまして、遺伝毒性の懸念はないと判断しております。次は、お手元の資料の29ページにNVIがありまして、このNVIに関しましても、1つの試験だけで陰性という結果が得られておりまして、試験結果は限られておりますけれども、NVIに遺伝毒性は認められないと判断しております。次は、33ページになります。2-ピロリドンですけれども、こちらは表19にありますように、幾つかの試験が報告されております。このうち、酵母を用いた試験だけが陽性となっているのですが、その下に続きますin vitro及びin vivoの染色体異常試験や小核試験等で陰性の結果が得られておりますので、これをもって、生体にとって特段問題となる遺伝毒性はないと判断しております。
 最後ですけれども、39ページにイミダゾールの遺伝毒性の試験結果が記載されておりまして、こちらは幾つか試験成績がここに書かれているのですが、in vitroの試験のみですが、いずれも陰性ということですので、イミタゾールには遺伝毒性は認められないと判断しております。以上になります。
○佐藤部会長 ありがとうございます。それでは遺伝毒性以外の毒性について、桒形委員よりお願いできますか。
○桒形委員 同じ資料の45ページを御覧ください。(6)として、毒性のまとめがあります。遺伝毒性のことはこちらにも書いてありますが、1つずつ説明していきます。①がPVI/PVP共重合体の毒性試験です。発がん性と生殖発生毒性に関する知見は提出されておりません。反復投与毒性試験は、ラットを用いた28日間反復経口投与毒性試験の最高用量まで何も毒性が出ていないということで、本剤のNOAELは1,000mg/kg体重/日と判断されております。
 <2>がNVP(1-ビニルイミダゾール)です。こちらは今御説明がありましたとおり、2013年のポリビニルピロリドンのピロリドンとして評価されております。その後は追加する情報がないということで、こちらの報告書から引用されております。反復投与毒性については、ラットの3か月飲水投与試験で、最高投与量の7.5mg/kg体重/日まで毒性は出ておりません。そのほかにラットの3か月経口投与試験においては、肝ホモジネートのγ-GTPの増加や肝重量の増加が認められており、こちらはLOAELが40mg/kg体重/日と判断されております。発がん性については評価することが困難との記載がありますが、吸入ばく露による発がん性試験が実施されております。この試験においては、上気道あるいは肝臓に腫瘍が認められております。この吸入ばく露による発がん性試験から、経口投与の場合でも同様に、発がん性を示す可能性は否定できないことから、評価することは困難と判断されております。NVPにおけるNOAELは、ラットの3か月間飲水投与試験に基づき、7.5mg/kg体重/日と判断されております。
 <3>のNVI(1-ビニル-2-ピロリドン)は、発がん性に関する知見は提出されておりません。反復投与のほうですが、これは反復投与毒性及び生殖発生毒性試験として、ラットを用いた反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験、俗にいうリプロトックス試験が実施されております。臨床症状としては、立毛あるいは眼瞼下垂が認められたという報告の記載がありましたけれども、こうした臨床症状と体重の減少が認められたことから、反復投与毒性に係るNOAELは、5mg/kg体重/日と判断されております。そのほかにラットの90日反復投与試験においては、肝臓の酵素活性でγ-GTPの上昇が認められたことから、LOAELとして90mg/kg体重/日となっております。このリプロトックスから生殖能に対する影響は認められておらず、親動物の生殖毒性に係るNOAELは、最高用量の35mg/kg体重/日と判断されております。一方、児動物については、周産期の死亡あるいは児動物の体重増加抑制、大動脈・拡張/動脈瘤といった大血管系の異常の発生率が増加していることが報告されており、児動物の発生毒性に係るNOAELは、5mg/kg体重/日と判断されております。以上のことから、NVIの最小のNOAELは、反復投与に係るNOAELと児動物の発生毒性に係るNOAELとして、5mg/kg体重/日と判断しております。
 <4>が2-ピロリドンです。発がん性に関する知見は提出されておりません。ラットを用いた飲水投与の90日間反復投与毒性試験においては、飲水量の減少や体重増加抑制等々、尿量の減少等が見られたことから、NOAELが207mg/kg体重/日と判断されております。発生毒性試験においては、ウサギとラットを用いた発生毒性試験が報告されております。ウサギの発生毒性試験においては、母動物の摂餌量、排糞量、体重の減少等々、あるいは胎児の体重減少が認められたことから、母動物の一般毒性及び胎児の発生毒性に係るNOAELが、250mg/kg体重/日と判断されております。本試験の最高用量は、これは1,000mg/kgをトップにした試験ですが、こちらの最高用量で内臓奇形があります。どのような内臓奇形かと申しますと、37ページの表24、内臓奇形は心室中隔欠損、心室腔狭小、つまり心室の腔が小さいとか、大動脈拡張の発生率の増加が認められております。ですから、著しく高い用量、例えば1,000mgの用量では、ウサギにおいて催奇形性があると考えられております。
 ラットの発生毒性試験においては、母動物の体重増加抑制等が認められたことから、母動物の一般毒性及び生殖毒性に係るNOAELは、190mg/kg体重/日と判断されております。また、胎児のほうは胎児体重の減少から、胎児の発生毒性に係るNOAELは600mg/kg体重/日と判断されております。こちらも、最高用量の1,900mg/kg投与群で胎児の奇形があります。こちらは胎児に無尾、鎖肛あるいは腕頭動脈の欠損、側脳室の拡張といった異常が認められ、腹数あるいは発生率の増加が認められたことから、著しく高い用量ではラットにおいても催奇形性があると考えられております。以上のことから、2-ピロリドンの最小のNOAELとして、190mg/kg体重/日と判断されております。
 最後にイミダゾールです。発がん性に関する知見は提出されておりません。反復投与毒性においては、ラットの28日間反復経口投与毒性試験において、肝臓、腎臓、血液に関する所見が認められ、この試験におけるNOAELは62.5mg/kg体重/日と判断されております。この試験の再現性を確認するという意味もあって、続いてラットの90日間反復投与経口毒性試験が実施されております。血液に関する所見の再現性は見られなかったのですけれども、肝臓及び腎臓の所見が認められております。この90日間反復投与毒性試験のNOAELは、60mg/kg体重/日と判断されております。
 発生毒性については、ラットの発生毒性試験が行われており、母動物の餌あるいは体重増加抑制、胎児の体重減少等が認められたことから、母動物の一般毒性、生殖毒性、胎児の発生毒性に係るNOAELは、60mg/kg体重/日と判断されております。こちらも最高用量である180mg/kg体重/日を投与した場合は、外表奇形、骨格奇形が認められております。例えば口蓋裂や橈骨/尺骨の弯曲といった奇形が認められていることから、180mg/kg投与群といった高い用量においては、催奇形性があると考えられております。以上のことから、イミダゾールに関するNOAELは、60mg/kg体重/日と判断しております。以上です。
○事務局 事務局のほうからすみません。先ほど二村委員が遅れて御出席ということでしたが、今参加されましたので御報告させていただきます。
○佐藤部会長 二村委員、途中からということで何か一言ありますか。
○二村委員 遅れて申し訳ありません。参加しております。よろしくお願いします。
○佐藤部会長 桒形委員、ありがとうございました。何か御質問はありますか。よろしいでしょうか。では使用基準案と成分規格案等について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 以上を踏まえ、6ページの14行目の7「新規指定について」に記載のとおり、PVI/PVPについては添加物として指定することは差し支えないとしております。使用基準については、EU域内等において適用される基準です。添加物としての有効性と安全性を踏まえ、ビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体については、ぶどう酒の製造に用いるぶどう果汁及びぶどう酒以外の食品に使用してはならない。使用量については、ぶどう酒1Lにつき0.50g以下でなければならない。また、使用したビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体は、最終食品の完成前に除去しなければならないとしております。
 成分規格については、9ページの別紙1を御覧ください。基本的には、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)の規格、並びに食品添加物公定書のポリビニルポリピロリドン及びポリビニルピロリドンの規格を参考に設定しております。本品目の名称は、和名としてビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体、英名としてCopolymer of Vinylimidazole/Vinylpyrrolidone、別名としてPVI/PVPとしております。定義、含量、性状については、記載のとおり設定しております。
 確認試験としては、赤外吸収スペクトル測定法を設定しております。純度試験としてはOIV規格と同様に、鉛、ヒ素、水可溶物、酢酸/エタノール可溶物及びモノマーとして存在し得る5種類の有機性不純物の項目を設定しております。規格値もOIV規格値を採用しております。乾燥減量、灰分、定量法は記載のとおり設定しております。成分規格の設定根拠及び参考とした規格との対比表は、別紙2、3にまとめております。PVI/PVPの添加物指定に関する御説明は以上です。
○佐藤部会長 使用基準案及び成分規格案について、委員の委員からコメントがあればお願いしたいと思います。原委員、どうぞ。
○原委員 少し細かいのですけれども、使用基準の最後の所に、使用したものは最終食品の完成前に除去しなければならないとあります。これはろ過状態なので、絶対にろ過しますよね。先ほども気になったのですけれども、しかし、こういう表現はちゃんと使用基準には記載しないといけないのでしょうか。
○佐藤部会長 事務局、お願いします。
○事務局 そうです。従前、ろ過助剤として使用する添加物については、使用基準において、完成前に除去しなければならないというように記載させていただいております。これにより、確実に除去されることを担保している次第です。
○原委員 分かりました。もう1ついいですか。先ほど吉成委員が聞いていたところで気になったのです。表1というのが3ページにあると思うのですが、金属イオンを抜いたという割には、銅と鉄という非常にあっさりした表現で、特に銅が気になったのですが、これには1価の銅イオンが書いてあるのですけれども、ワインなどは2価のほうが多いような気がするのです。こういう所はイオンとしないで、ざっくり鉄・銅とまとめた形で論文等にもなっていたのでしょうか。細かい質問ですみません。
○佐藤部会長 事務局、お願いします。
○事務局 すみません。すぐには分かりかねるので、確認をさせていただきたいと思います。
○原委員 よろしくお願いします。
○佐藤部会長 次に吉成委員、お願いします。
○吉成委員 質問させていただきたいと思います。8ページの定義の所で、重合成分として、それを2%まで含むことがあると書かれているのですが、化学反応について理解してなかったのです。1ページだと、反応時に架橋剤を2%まで含める、使用されると書かれています。これは出来た重合体にも2%ぐらいまでは、架橋剤が入っているものなのでしょうか。教えていただければと思います。
○佐藤部会長 事務局、お願いします。
○事務局 重合したときにも入るのですけれども、もともとこの定義で、重合成分として2%まで含むことがあると書かせていただいている意図は、成分の所で書いているのと同じで、重合反応時には2%未満で使用されるということを意図して書いております。
○吉成委員 そうすると、最終成分で共重合体を除くとあるのですが、この重合成分である1,3-ジビニルイミダゾリジンも、当然なくなっていることを確認しないといけないということになりますよね。それでよろしいですか。
○事務局 使用基準において除くとしているのは、あくまでも共重合体になります。その共重合体の中には当然、架橋剤として添加している1,3-ジビニルイミダゾリジン-2-オンも存在しています。添加しているモノマーの1,3-ジビニルイミダゾリジン-2-オンについては、不純物のところで基準を設定しております。
○吉成委員 何となく分かりました。ありがとうございます。
○佐藤部会長 続いて笹本委員、お願いします。
○笹本委員 毒性のところで伺えば良かったのですが。一日摂取量の推計のときに使うぶどう酒の摂取量は、飲酒習慣のある者から算出したぶどう酒推定量と書かれているのですが、これはお酒を飲む人が全部ぶどう酒を飲んだと仮定して、平均値を出していると思うのです。実際にアルコール類は極めて嗜好性が偏ると思うので、この48.2mLに落ち着く人というのは、恐らくかなり少ないと思うのです。実際にワインを飲む人は、全く飲まないか、これよりもはるかに多い量を飲むという二方性に分かれると思います。実際に摂取量を算定するに当たって、そのような平均値で出すことが果たして適切なのかという純粋な疑問を持ったのです。いかがでしょうか。
○事務局 摂取量推計の方法としては、適切であると考えております。これはあくまでも毎日、48.2mLを一生涯飲むということを前提としております。
○笹本委員 今日の添加物は、どれも毒性が極めて低いので、仮に量が多くても問題になるような影響はないと思うのですけれども、ちょっと気になったのです。でも理解しました。ありがとうございます。
○佐藤部会長 ほかにどなたかありますか。石見委員、お願いします。
○石見委員 今の点で、もうちょっと幅で示すことはできないのでしょうか。範囲でもう少し、95パーセンタイルとか、そういうものまで示すと、より実態に近いものになるのではないかと思いました。
○佐藤部会長 事務局はいかがでしょうか。
○事務局 コメント、ありがとうございます。こちらの評価は、あくまでも食品安全委員会でなされているものなので、御指摘いただいた点は食安委のほうにも伝え、今後検討させていただければと思います。
○石見委員 承知しました。
○佐藤部会長 ほかにどなたかありますか。よろしいでしょうか。全体を通しての御意見でも結構です。いかがでしょうか。これは食品安全委員会で若干の修正もあるということですが、では議論をしていただいたということで、新規指定等の可否については認めるということでよろしいでしょうか。御意見がある場合はチャットでお申し出ください。また、御了承いただける場合は「異議なし」という入力をお願いします。ありがとうございます。それでは、部会報告書を取りまとめ、分科会報告をする手続を取りたいと思います。事務局からその他、何かありますか。
○事務局 幾つか御指摘いただいている点については、確認若しくは修正をいたします。修正した点については、御意見を頂いた委員と事務局との間で修正の後、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題がなければ手続を進めるということにしたいと思います。その他、細かい文言の変更等の軽微な修正が必要となった場合も同様に、修正内容を部会長に御確認いただき、特に問題がなければ手続を進めてもよろしいでしょうか。併せて本品目については新規添加物の指定であるため、分科会では審議事項とされておりますので、審議事項として進めさせていただくこととしております。
○佐藤部会長 事務局からの提案ですが、そのように進めてよろしいでしょうか。御意見がある場合は、チャットでお申し出ください。よろしいですね。では、4品目審議して御了承いただけたと思います。それでは今後のスケジュールについては、どのようになりますか。事務局からよろしくお願いします。
○事務局 今回の審議結果については、食品衛生分科会での審議のほか、所定の事務手続を開始したいと思っております。なお、途中でも言及いたしましたけれども、御審議いただいた品目のうち、亜硫酸水素アンモニウム水、キチングルカン及びビニルイミダゾール・ビニルピロリドン共重合体については、食品安全委員会からの評価結果が今後通知される予定です。現在の評価書(案)から大きな変更があった場合には部会長と相談の上、今後の方針について検討していきたいと思っております。
○佐藤部会長 それでは、適切に手続を進めてください。続いて報告事項、令和元年度マーケットバスケット方式による甘味料等の摂取量調査の結果について、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 それでは最後に、報告事項として御説明いたします。資料5を御準備ください。本マーケットバスケット調査は、毎年、佐藤部会長がいらっしゃる国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部にて実施いただいているものです。まず、調査の目的から御説明いたします。これまで、マーケットバスケット方式により食品添加物の一日摂取量調査を実施し、指定添加物を中心に、我が国における食品添加物の摂取実態を明らかにする取組を行ってきております。令和元年度は、成人(20歳以上)の喫食量に基づき、こちらに記載されている8種類の甘味料の一日摂取量調査を行っております。
 次に、方法について簡単に御説明いたします。調査に参加した国立医薬品食品衛生研究所及び地方衛生研究所5機関(札幌、仙台、香川、長崎、沖縄)において、それぞれ加工食品群を1~7群に分けて購入し、混合群試料を調整しております。その6機関に東京、千葉、広島を加えた9機関で調査対象物質について含有量を測定し、各加工食品群の成人の喫食量を乗じ、それぞれの添加物の一日摂取量を算出するものです。今御説明した混合群の調査とは別に購入した食品のうち、調査対象添加物の表示がある食品については、別途調整して分析を行い、表示された食品に基づく一日摂取量を別途算出し、混合群との比較を行っております。
 続いて、結果及び考察を御説明します。初めに申し上げますと、今回の調査では、各添加物の摂取量は特段問題ないと考えられております。次のページの表1を御覧ください。表1の見方を簡単に御説明します。表の一番左側の上から順番に、甘味料の物質名が並んでおります。それぞれの物質に対応した摂取量が1~7群まであり、合計した摂取量が一番右の列に記載されております。各項目につき、2つの数字が並んでおります。例えばアスパルテームの、1の調味嗜好飲料では、注釈のとおり、スラッシュの前の0が混合群一日推定摂取量、スラッシュの後の0.008が表示群一日推定摂取量の数値となっております。その結果、アスパルテームは混合群では表示群より低い値を示しておりますが、その他の甘味料では、混合群と表示群の推定一日摂取量は概ね一致しており、概ね表示どおりに添加物が使用されていると考えられました。
 次のページの表2については、表1で物質ごとにそれぞれ算出した一日摂取量をADIと比較しております。表の一番右に対ADI比が記載されております。この結果より、ADIが設定されている甘味料の推定摂取量は、いずれもADIを大きく下回っておりました。
 さらに、群別食品中の含有量と年齢層別食品喫食量を用いて算出した年齢層別推定一日摂取量を表3に、年齢層別の対ADI比を表4に示しております。その結果、これはあくまで20歳以上の喫食量から調製した試料を基に算出しているため参考データではありますが、どの年齢層においてもADIを大きく下回っており、これらの添加物については安全性上、特段の問題はないと考えられております。資料5についての御説明は以上です。
○佐藤部会長 ただいまの報告に御意見、御質問等はありますか。吉成委員、どうぞ。
○吉成委員 1点、使われている体重について教えていただきたいと思います。先ほどまでの報告書(案)等では、ばく露量の推定で55.1kgというのが使われているのですけれども、ここだと表2の注釈にあるように、58.6kgという値が使われているのです。この体重がなぜ異なるかということと、どこからきているのかということを教えていただければと思います。
○佐藤部会長 私のほうから回答させていただきます。こちらは方法の下に書きましたように、平成22年度食品等試験検査費事業の「食品摂取頻度・摂取量調査の特別集計業務報告書」に、実は年齢層別の体重が記載されているのです。こちらから平均を取ると55.1kgになるということで、年齢層別で記載する場合に、20歳以上を55.1kgとしてしまうと困ったことになるので、一応58.6kgというもともとの数値を使っております。つまり、食品安全委員会の55.1kgというのが、全人口の平均から割り出した体重ということになっております。
○吉成委員 そうすると、表3で全年齢層で50kgになっているというのも、また計算の方法が違うという理解でよろしいですか。
○佐藤部会長 全年齢層50kgというのは、昔の、平成22年度以前の全年齢層の体重を使っているということです。過去のデータが50kgだったので、それに合わせたと思われます。
○吉成委員 分かりました。確か農薬のほうにも過去と比較するには、体重を余り変えないほうがいいというお話もあったので、そのまま使われているということですね。ありがとうございました。
○佐藤部会長 よろしいでしょうか。ほかにありますか。二村委員、お願いします。
○二村委員 今回調べられた甘味料について、特にこれらを選んだ理由と言うのでしょうか。はっきりした基準があるかどうかは分からないのですけれども、大体こういう考え方で、この品目について調べたということがあれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○佐藤部会長 こちらを対象としたのは、主に指定添加物の甘味料を調査しており、これまでもずっと同じものを調査しておりました。ただ、新規指定のものも順次入れていくということで今回、アドバンテームが加わっております。あと、ステビア抽出物は既存添加物ですけれども、最近かなり使用されているということで、こちらも対象として加えております。この中で言いますとグリチルリチン酸というのは、グリチルリチン酸ニナトリウムは指定なのですが、カンゾウ抽出物という既存添加物の主成分でもあるため、その両方を区別なく、値としてというか、数値として出しております。指定の甘味料は、高甘味度甘味料を対象としているという感じです。
○二村委員 どれも消費者の関心が高い添加物ですし、よく聞くものだと思います。対象にした理由が大変よく分かる御説明でした。ありがとうございます。
○佐藤部会長 ほかにありますか。よろしいでしょうか。では次回の予定について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 次回の添加物部会に関しては、日程調整をいたします。決まりましたら、また御案内させていただきます。
○佐藤部会長 それでは長時間にわたり、皆様、御審議ありがとうございました。本日の添加物部会は、これで終了させていただきます。