2020年11月27日第22回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

 

 
 
1.日時 令和2年11月27日(金)15:00~17:00
 
2.場所 オンライン会議(TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E)
 
3.出席者
井出アドバイザー、岩崎アドバイザー、小川アドバイザー、小船アドバイザー、田村アドバイザー、橋本アドバイザー、平野アドバイザー、源河企画課長、竹内障害福祉課長、佐々木精神・障害保健課長、河村障害児・発達障害者支援室長兼地域生活支援推進室長、米澤障害福祉課長補佐、猪狩障害福祉課長補佐、小林障害福祉課長補佐、片桐虐待防止専門官、土佐障害福祉課長補佐、高橋地域生活支援推進室長補佐、古屋企画課データ解析専門官
 
4.議題
1.令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて(横断的事項(人材確保・業務効率化)等)
2.その他
 
5.議事
○竹内障害福祉課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第22回会合を開催いたします。
アドバイザーの皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
本日も新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、アドバイザーの皆様にはオンライン会議にて御参加いただいております。
また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
本日のアドバイザーの皆様の出席状況ですが、石津アドバイザー、佐藤アドバイザー、野澤アドバイザーにつきましては、所用により御欠席でございます。また、岩崎アドバイザーは途中から御参加いただく予定でございます。
続きまして、構成員の出席状況ですが、こやり厚生労働大臣政務官、赤澤障害保健福祉部長につきましては、公務により欠席でございます。
それでは、議事に入る前に、お手元の資料の確認とオンライン会議の運営方法の確認をさせていただきます。
まず、資料の確認を行います。本日も電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページにも掲載しております。
本日の資料の確認をさせていただきます。
資料1 障害福祉現場の人材確保・業務効率化について
資料2 横断的事項について(障害者虐待の防止、身体拘束等の適正化)
資料3 その他横断的事項について
資料4 障害福祉サービス等の指定基準省令改正に係るパブリックコメント(案)について
以上でございます。
資料の不足等がございましたら、恐縮でございますが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
続きまして、オンライン会議の運営方法でございますが、資料についてそれぞれ事務局から御説明させていただいた後に、アドバイザーの皆様からの御質問、御意見をいただきます。御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。発言者はこちらから指名させていただきますので、指名に基づき御発言をいただくようお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。
まず、資料1について、事務局から説明いたします。
○猪狩障害福祉課長補佐 それでは、資料1「障害福祉現場の人材確保・業務効率化について」、御説明させていただきます。1ページでございます。論点の一覧です。論点1として、人材配置基準における両立支援への配慮について。論点2として、福祉・介護職員処遇改善加算等について。論点3として、福祉・介護職員等特定処遇改善加算について。論点4として、現場の業務効率化を図るためのICTの活用となっているところでございます。
それでは、各論点について御説明申し上げます。まず、論点1ですが、4ページの「現状・課題」でございます。障害福祉サービス等報酬につきましては、サービスの機能・役割に応じて、生活支援員やサービス管理責任者等について、配置の有無、配置の形態、必要数の人員配置等を定めているというところでございます。
一方、3つ目のマルですが、両立支援の制度としまして、労働基準法による産前産後休業制度、育児・介護休業法による育児休業、介護休業、短時間の勤務制度などがございます。障害福祉サービス等報酬の人員基準における「常勤」配置や、事業所の従事者の数について、常勤の従事者の数に換算した上で定められた数を確保するという「常勤換算」の取扱いについてですが、1つ目のポツ、育児のための短時間勤務を行う場合は、「常勤」についての特例が設けられているというところでございますが、介護のための短時間勤務については特例が設けられていないというところでございます。
2つ目のポツ、育児・介護のための短時間勤務を行う場合に、「常勤換算」の取扱いについて特段の特例は設けられていないというところでございます。こちらにつきましては、診療報酬におきましては、週30時間以上の勤務を常勤換算上「1」と取り扱うことが可能となっています。
3つ目のポツ、産前産後休業制度や育児・介護のための休業を取得する場合に、「常勤」の取扱いについて特段の措置が現在設けられておらず、別の常勤の者の確保が必要になるというところでございますが、診療報酬においては同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算して基準を満たすことが可能となっているというところでございます。
こちらにつきまして、表にまとめたものが資料の8ページでございます。8ページの中で、現在特例があるのは、左上の育児による短時間勤務の「常勤」の取扱い。ここについてのみ現在特例が設けられているというところでございます。その他、介護の「常勤」の取扱い、「常勤換算」の取扱いについては特例がないというところです。診療報酬についてはそれぞれ特例が設けられているというところです。休業につきましても、産前産後育児、介護共に現在特例は特にございませんが、診療報酬については、休業を取得する際に同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算ですればよいという取扱いになっているというところでございます。
4ページに戻っていただきまして、論点でございます。人材確保の観点から、仕事と育児・介護との両立を進めるということが離職防止を図る観点から必要ということでございますが、人員配置基準上の対応としてどのような対応が考えられるかというところでございます。
5ページが検討の方向性です。障害福祉の現場において両立を進めるという観点から、以下の取扱いを認めることとしてはどうかということで、基本的には診療報酬の取扱いに並ぶというところでございますが、こちらにつきまして3つポツが書いてあります。1つ目のポツですが、常勤換算の計算に当たりまして、育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する場合、32時間を下回る場合でも常勤換算での計算上も1と取り扱うことを可能とする。
2つ目のポツですが、「常勤」の計算に当たり、育児の短時間勤務制度に加え、介護の短時間勤務制度を利用した場合でも、30時間以上の勤務で常勤という取扱いを可能とする。
3つ目のポツですが、「常勤」での配置が、人員配置基準、告示等で求められる職種において、配置されている者が、産前産後休業や育児・介護休業等を利用した場合、同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算で確保することを可能とするということでございます。この場合において、常勤職員の割合を要件としている福祉専門職員配置等加算等については、育児休業等を取得した職員がいる場合、これらの職員についても常勤職員の割合に含めることを可能とすることとしてはどうかということでございます。
以上が論点1についての説明でございました。
続きまして、11ページの論点2でございます。論点2につきましては、従前から設けられております福祉・介護職員処遇改善加算等についてというところでございます。「現状」でございます。これまでも言われていることですが、障害福祉サービスを安定的に提供していくためには、人材確保が非常に重要な課題であり、平成24年に「福祉・介護職員処遇改善加算」を創設するなど、障害福祉人材の処遇改善の取組を進めているところでございます。この間、事業所の皆様の自主努力も相まって一定の改善が図られてきたと考えているところでございます。
「現状・課題」の3つ目のマルでございます。平成30年度の報酬改定においても今後の課題となっております福祉・介護職員処遇改善加算IV、Vにつきましては、要件の一部を満たさない事業者に対して、減算された単位数での加算の取得を認める区分であるということや、当該区分の取得率や報酬体系の簡素化の観点を踏まえ、これを廃止する。その際、一定の経過措置等を設けることとし、その間、事業所に対してその旨の周知を図るとともに、より上位の区分の加算取得について積極的な働きかけを行うこととされております。
平成30年度以降の取得率の状況は26ページになりますが、まず、取得促進のための取組としまして、25ページの障害福祉サービス等支援体制整備事業の中の「事業内容」の1番、処遇改善加算の取得促進に係る事業所への助言・指導等ということで、例えば社労士の方などを現場に派遣しまして、加算を取っていない、もしくは下位の区分の加算の事業所を直接訪問して取得の指導を行うといった事業にも取り組んでいるところでございます。
その結果ということで、26ページの取得状況でございますが、赤枠で囲っている上のほうの処遇改善加算IV、Vでございますが、IVにつきましては、平成30年4月時点で0.8%でございましたが、直近の令和2年7月サービス提供分では0.4%ということで、さらに上位区分に移っており、同様に、Vにつきましても0.6%から0.3%になったというところで、いずれも上位の区分の取得が進んでいると捉えているというところでございます。
11ページにもう一度お戻りいただきまして、次に、福祉・介護職員特別処遇改善加算というものがございます。こちらにつきましては、資料の21ページを御覧いただければと思います。21ページは「特定処遇改善加算・処遇改善加算の全体のイメージ」です。この中で、※印の2つ目ですが、「この他、福祉・介護職員を中心として、従事者の処遇改善が図られていることを取得要件とする処遇改善特別加算(月額0.5万円相当)がある」ということでございまして、こちらにつきましては、この表で言いますと、加算Vについては、算定要件としてはいずれも満たさないということで、加算額としては1人1.5万掛ける0.8相当ということでございますが、いずれにつきましても福祉・介護職員の賃金として配分するということになっておりますが、この特別加算につきましては、福祉・介護職員以外の職種にも配分できるという趣旨の加算が設けられていたというところでございます。
11ページにお戻りいただきまして、この加算につきましては、一番下のマルですが、24年の処遇改善加算の創設時に「介護保険サービスと比べた障害福祉サービス等の特性を踏まえ、福祉・介護職員の処遇改善をより一層推し進めるために、加算要件を緩和し」対象職種を限定しない「福祉・介護職員特別処遇改善加算」というものが創設されたというところでございます。
こちらの取得率につきまして、26ページの真ん中ほどに「処遇改善特別加算」というものがありまして、処遇改善加算IV、Vと同様の取得率となっておりますが、0.9%から0.5%に半減しているといったところで、こちらにつきましても上位区分への移行というものが進んでいると捉えているところでございます。
12ページの「現状・課題」の3つ目になります。こちらは福祉・介護職員処遇改善加算の加算率の見直しということでございまして、平成30年度予算執行調査において指摘がされたというところでございますが、当時の指摘としては、特に訪問系サービスにおいてこの加算率がちょっと過大になっているのではないかということが言われているところでございます。社会福祉施設等調査における常勤換算従事者数が実態に比べて過大であることが要因という指摘を受けたものでございまして、こちらの対応としまして、令和元年10月の臨時改定、こちらの改定はメインとしては特定処遇改善加算の創設であったわけでございますが、これに付随した改定としまして、従来の処遇改善加算についても、一部の加算率について暫定的な見直しを行ったというところでございます。こちらにつきましては、直近の令和元年調査の結果、こういったものを用いて適切に反映させるということとされたところでございます。
4つ目の「職場環境等要件について」でございます。職場環境等要件については、通知において具体的な取組を例示しているというところございます。
この例示の中身としましては、35ページでございます。通知上、職場環境等要件としての取組を例示しており、こうした中から取組を進めていただくよう求めているというところでございます。この職場環境等要件については、上のマルにありますが、この要件について、加算IとIIについては27年4月以降、IIIとIVについては20年10月以降に実施した取組について、当該年度の取組として認めるということとされております。現在、過去に取り組んだものをそのまま認めているといった運用になっているところでございます。
12ページにお戻りいただきまして、こちらの職場環境等要件についての課題としまして、2つ目のポツが今、申し上げた点でございます。1つ目のポツは、取組の例示に健康診断等法令上取り組むことが求められているものが含まれているということ、そういったものが課題としてあるというところでございます。
最後のマルでございます。介護報酬における令和3年度改定に向けた検討においては、職場環境等要件について、介護事業所における職場環境の改善の取組を実効性の高いものとする観点からということでございますが、1つ目のポツとして、過去に行った取組ではなく、当該年度における取組の実施を求めることとしてはどうかということ。2つ目のポツとして、職場環境等要件に定める取組の例につきまして、介護の現場においてより長く働き続ける環境整備を進める観点から、若手職員の採用ですとか、定着支援に向けた取組、そういったものに置き直すこととしてはどうかという検討の方向性が示されているところでございます。
以上、従前からの福祉・介護職員処遇改善加算につきまして、特別加算も含めて、合計4つの「現状・課題」ということで御説明を申し上げましたが、こちらにつきまして、13ページにそれぞれの論点ということで、1つ目のマルから4つ目のマルに書いているところでございます。
それぞれの「検討の方向性」を13ページから14ページにかけて記載しております。1つ目の福祉・介護職員処遇改善加算IV、Vにつきましては、平成30年度改定の際に示されている上位区分の取得について、先ほど御説明したとおり、一定程度進んでいるということを踏まえまして、一定の経過措置期間を設けた上で、廃止することとしてはどうかと考えているところでございます。
2つ目のマル、特別処遇改善加算につきましては、対象職種を限定しないということを主眼として設けられたものでありますが、一方、令和元年10月に創設した特定処遇改善加算につきまして、配分ルールとしまして、経験・技能を有する者に重点化しながら、一定の範囲で他の福祉・介護人材、その他の職種にも配分できるように裁量を認めることとしております。さらに、後ほど論点3で御説明しますが、加算の取得促進を図るとともに、より事業者が活用しやすい仕組みという観点からの見直しというものも検討されるということから、本特別加算の取得率や、報酬体系の簡素化の観点を踏まえて、IV、Vと同様に一定の経過措置期間を設けた上で、廃止することとしてはどうかという方向性を考えているところでございます。
14ページの3つ目のマルで、予算執行調査を踏まえた対応でございます。こちらにつきましては、令和元年の社会福祉施設等調査の結果を踏まえながら、適切に見直しを検討してはどうかというところでございます。
最後の職場環境等要件につきましては、介護報酬改定に向けた検討も踏まえながら、職場環境等要件に基づく取組について、より実効性を確保するという観点から、過去に行った取組ではなく、当該年度における取組を求めることとしてはどうかというのが1点でございます。
2つ目に、職場環境等要件に定める取組について、介護の現場においてより長く働き続けられるという環境整備を進めるという観点から、例示としまして、若手職員の採用、定着支援の取組、キャリアアップに資する取組、両立支援における課題とか、腰痛を含む業務に関する心身の不調に対する取組、生産性向上、仕事へのやりがい、そのような取組が促進されるように、要件と例示を見直すこととしてはどうかということでございます。
以上が論点2の福祉・介護職員処遇改善加算、特別処遇改善加算についての論点と対応の方向性でございました。
次に36ページの論点3につきましては、令和元年10月に創設された特定処遇改善加算についての論点となります。御案内のとおり、特定処遇改善加算については、1つ目のマルですが、経験・技能を有する障害福祉サービス等従事者に重点化しながら、障害福祉人材のさらなる処遇改善を進めていくために創設されたものということでございます。
特定処遇改善加算の取得状況、この加算を取得した事業所における賃金改善の状況については、先般公表しました令和2年障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査の結果によりますと、取得率につきましては4割程度にとどまっており、当該加算を算定していない事業所における理由について、賃金改善の仕組みを設けるなどの事務作業の煩雑さ、職種間、福祉・介護職員間の賃金バランスが取れなくなるなどの懸念が挙げられているといったところでございます。
特定処遇改善加算について、加算を取得している事業所については、一定の賃金改善が図られているという結果を先般お示ししたところでございますが、論点としては、加算を取得していただくという観点から、どういった対応が考えられるかということだろうと考えております。
37ページの「検討の方向性」でございます。特定処遇改善加算について、導入の趣旨を踏まえつつ、加算のさらなる取得を図るとともに、事業者が活用しやすい仕組とする観点から、配分ルールを見直すこととしてはどうかということでございます。
具体的には、38ページを御覧いただきますと、配分ルールとして「経験・技能のある障害福祉人材」と「他の障害福祉人材」について、現在、総額としての配分額を2倍以上差を設けるというのがルールとなっておりますが、1点目としましては、マル1のオレンジとマル2のブルーについて「2倍」と言っていたのを、マル1の方が高ければよい、より高くすることということで、「2倍」というのを外して、マル1とマル2の高さを比べたときに、マル1の方を高くするということのみとしてはどうかということでございます。
次に、一番右の「他の障害福祉人材」と「その他の職種」でございます。こちらも同様にマル2とマル3の高さについては、マル2とマル3を比較して2倍以上の差を設けるということとされておりますが、こちらについてもマル2とマル3の差について、マル2のほうを少しでも高くすればよいというように見直してはどうかということが、介護報酬の特定処遇改善加算の見直しの方向性として示されておりまして、障害報酬の特定処遇改善につきましても、より取得を促していくという観点から、この配分ルールについて何かしらの柔軟化を検討してはどうかというのが、こちらの論点3でございます。
論点1から論点3の説明については以上でございます。
○土佐障害福祉課長補佐 続きまして、論点4、ICTの活用についてでございます。資料は45ページからになります。まず、「現状・課題」でございますが、介護報酬におきましては、30年度改定におきまして業務の効率化・合理化に資するICTの活用に応じた報酬の設定として、リハビリテーション会議への参加についてテレビ電話等を活用してもよいこととする要件の緩和が図られておりまして、また、今回の改定におきましても、ICTの活用について介護給付費分科会で議論が行われております。
一方、障害福祉分野におきましては、昨年度「生産性向上に資するガイドライン」を作成いたしまして、全国の事業所等に展開するとともに、令和元年度補正予算と令和2年度の一次補正予算におきまして、「障害福祉分野のICT導入モデル事業」を実施しているところでございます。
また、ICTの活用につきまして通常の報酬上の取扱いは現状されておりませんが、コロナに係る臨時的な取扱いとしましては、例えば特定事業所加算の算定要件にあります定期的な会議の開催につきまして、テレビ会議等を活用するなどの柔軟な対応も可能としておるところでございます。
これらの現状を受けまして、論点といたしまして、「今後現役世代の減少が見込まれ、人材確保が難しい状況の中で、障害福祉サービス等の生産性向上・業務効率化を図る観点から、また災害や感染症の発生時の支援の継続を見据えた対応を行うため、障害福祉サービス事業所等におけるICTの活用をどのように考えるか」とさせていただいております。
この論点に対する検討の方向性といたしましては、介護報酬における取組とか、あるいはガイドラインの事例を踏まえますと、業務の効率化、生産性向上の観点から、報酬算定上必要な会議等について、テレビ会議等を対象とすることとか、あるいは身体的接触を伴う必要がない、または対面で提供する必要のないサービスについて、テレビ会議等を用いたサービス提供を可能とすることが考えられるのではないかといたしまして、例えば訪問系サービスの「特定事業所加算」における「会議の定期的開催」等について、テレビ会議等が可能であることを明確化することとしてはどうかとさせていただいております。
続いて、46ページのほうではICT活用が可能と想定する場面等の例を一部掲げさせていただいております。詳細な検討はこれからでございますけれども、一番上は、今、申し上げました訪問系の特定事業所加算についてでございます。続いて、生活介護のリハビリテーション加算におきまして、リハビリテーションカンファレンスの関係について想定がされます。3つ目、計画相談支援、障害児相談支援の関係では、サービス担当者会議実施加算におけるサービス担当者会議、あるいは就労定着支援における利用者への相談、指導等の場面でのICTの活用が検討できるのではないかと考えております。
最後に※印で書かせていただいているのは、今回改定で創設を検討している加算等についてもICTの活用が可能かを検討していきたいと考えております。
資料の説明については以上でございます。
○猪狩障害福祉課長補佐 追加で補足がございます。先ほど処遇改善加算の御説明のところで、資料13ページの「検討の方向性」の福祉・介護職員処遇改善加算IV及びVについて、一定の経過措置期間を設けた上で廃止するということでございますが、同様の検討が介護報酬でも進んでおります。昨日、介護給付費分科会で同様の論点の審議があったわけでございますが、この加算IV、Vについては、新規取得については令和3年度以降は認めないとした上で、1年間の経過措置を設けることとしてはどうかという対応案が示されているところでございます。こうした点も踏まえていきたいということでございます。
それから、先ほど特定処遇改善加算について、配分ルールの柔軟化について御説明したところです。論点3で申し上げますと、37ページの主にマル1とマル2があるわけでございますが、介護給付費分科会において、11月9日に示された方向性は、マル1とマル2の両方を柔軟下するということでございましたが、その後の議論を踏まえ、昨日の検討の方向性においては、マル1の部分のみを柔軟化するということで、マル2については従前のルールをそのまま維持するという方向性が示されているところでございます。
なお、これまでの運用において、経験・技能のある介護職員については、月額8万円もしくは年収440万円以上の者を設定するというルールもありますが、このルールは維持するということが示されております。配分ルールについて、37ページのマル1の部分のみ柔軟化を図るということが示されておりますので、そういったことも踏まえて御議論いただければと思っております。
長くなりましたが、説明は以上でございます。
○竹内障害福祉課長 それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。小川アドバイザー、お願いします。
○小川アドバイザー 御説明ありがとうございます。
それでは、資料1、障害福祉現場の人材確保・業務効率化についてですが、論点1から3それぞれについて少しだけ意見を述べさせていただきます。
4ページの論点1、人員配置基準における両立支援への配慮についてでございます。人員配置基準の考え方については、7ページから8ページの参考資料に詳しく記載されていますが、これまで常勤の取扱いのなかった介護のための短時間勤務の特例制度を、育児の場合と同様に特例として週30時間以上の勤務で常勤を認める考え方については、昨今は育児と介護の両方を勤労世帯が担うダブルケアの問題がある現状を考えても、障害福祉現場において積極的に仕事と育児や介護との両立を進め、離職防止等を図る観点から賛成でございます。
ただ、その場合においては、事業所における障害福祉サービスの質の低下を招かないように、常勤専従要件のあるサービス管理責任者等を補佐する副サービス管理責任者を指名する等の対応を明記してはどうかと考えます。ただし、この場合、副サービス管理責任者については、「知識や経験があれば資格は問わないとする」などとすれば、配置のハードルが高くなることを防げるのではないかと思います。こういった対応をセットで考えれば、常勤者が育児や介護でフルに入れない時間、30時間と32時間の差の2時間、事業所が開所している時間も障害福祉サービスの提供の質の維持もできるし、育児や介護が必要な常勤のサービス管理責任者等も、何かのときに、副サービス管理責任者の配置により安心して休みやすい、働きやすい、そういった職場環境が整うのではないかと思います。
続いて、13ページ、14ページの論点2、福祉・介護職員処遇改善加算等についてでございます。「検討の方向性」の1つ目の丸にございます福祉・介護職員処遇改善加算において、平成30年度の報酬改定の際に示されている上位区分の取得、処遇改善加算IからIIIの取得率が向上したことを受けて、一定の措置期間を設けた上で、IV、Vの区分の算定基準を廃止することとする方向性については賛成です。
ただし、上位の処遇改善加算を算定できない事業所も少ないとはいえ一定数あることを考えると、そういった事業所を救ってあげるために、例えば処遇改善加算IIIの取得要件をやや緩和するなど、一定の救済策も必要ではないかと考えます。
最後に、37ページ、論点3、福祉・介護職員特定処遇改善加算についてでございます。本加算は、良質な障害福祉サービスの提供や福祉人材の確保を図るため、経験・技能を有する障害福祉サービス等従事者にスポットを当て、そのことを特定処遇改善加算として重点化することで、そういった方が安心して長く福祉職場で働けるよう、経験者を優遇することが本来の重要な目的であるのではないかと思います。そういった点を考えますと、長く福祉現場で頑張って勤務している経験・技能のある障害福祉人材は、その他の障害福祉人材の2倍以上とすることとしている現行の配分ルール、貴重な一部の人材の底上げルールはこのまま残したほうがよいと思います。
今回提案の「検討の方向性」にある「より事業者が活用しやすい仕組み」の観点、「2倍以上とすること」から「より高くする」というような見直しとすると、事業所の判断によっては1.1倍でも1.5倍でもよくなり、長く働いている人の賃金がなかなか上がらなくなる場合もあるのではないかと思うため、事業所の裁量による柔軟な配分を認めることは、結果的に長く仕事を続けるモチベーションの低下につながりかねないことを懸念します。
このようなことから、特定の本加算については今のスキームを維持し、福祉人材の確保、まだまだあるほかの職種との差を縮めるために、福祉職員全体の賃金改善のために、処遇改善加算そのものの底上げなどで対処、検討をすべきではないかと思います。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 御説明ありがとうございました。
論点2の福祉・介護職員処遇改善加算等について、14ページに、職場環境等要件について、「より実効性を確保する観点から、過去に行った取組ではなく、当該年度における取組の実施を求めることとしてはどうか」とありますが、この当該年度だけでは実施ができない事業所も出てくるのではないかと危惧しています。例えば当該年度だけではなく、「昨年度と合わせての実施」と余裕を持った形にしていただけるとよいのではないかと思いました。ハードルを上げ過ぎて取得率が下がらないように配慮していただければと思います。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
平野アドバイザー、お願いいたします。
○平野アドバイザー 御説明ありがとうございました。
1点目は総論の話からお話ししたいと思います。人材確保に関して言うと、障害に関して言うと、なかなか新規参入が少なくなってきているというのが現状で、今、大学などでもそうなのですが、障害分野に向かっていくという学生が減っている。少子化も含めて、新規参入が少ない状況の中で人材を確保するとすれば、今いる人たちの離職をどう防いでいくのか、今いる人たちをどう確保するかというのが鍵になるので、その辺を考えれば、論点1の離職防止の点から、両立支援でやっていくということについては非常に重要だと思っています。
もう一点は、これは障害の領域の仕事の特性ですが、介護と単純に比較できないのですけれども、一人職場が多いのです。居宅介護もそうですし、重度訪問介護、行動支援、同行援護、あと日常生活支援とか、就労支援とか、グループホームなども一人職場が多いのです。かなりの領域にわたって1人で、ワンオペレーションになっているところが非常に多いというのが障害の仕事の特徴なのです。ここに対して非正規の人たちもいっぱいいるという状況がありますので、先ほど言いました点から考えると、こういう1人で不安定なところにいる人たちを大事にしていくということをしないと、こういうところは1人いなくなると0になってしまうのです。施設でしたら何十人も職員がいますから、何十分の1ですけれども、1人のワンオペレーションのところは、いなくなると0になりますから、こういうところを大事にしていくということを考えると、ぜひこの辺の対応を考えてほしいなというのがあります。
37ページ目の特定処遇加算ですが、この趣旨に反対だというわけではないのですが、46.5%取得で、逆に言えば54%が取得しないということですけれども、これはいろいろ理由があると思うのですが、施設の経営者などと話をすると、それぞれの施設が法人の人事体系とか給与体系を持っているわけです。人事体系とか給与体系が、こういう加算をやっていくと、機能しなくなってくると言っているのです。それぞれの地域とか施設の職種があって。加算する側からすれば、効果を高めるために、こういう使い道でこうしなさいよということを言いたくなるというのは当然だと思うのです。加算の効果を考えれば。しかし、加算の効果を考えれば考えるほど、法人の持っている給与体系とか人事体系と合わなくなってきて、だったらというふうになっている部分もあるので、これをどうすればいいかというのは難しいのですが、裁量権を与えて認めていくということも今後の検討課題としてあるかなと思っています。
取りあえずは以上です。よろしくお願いします。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。田村アドバイザー、お願いします。
○田村アドバイザー 御丁寧な御説明ありがとうございました。
論点1、2、3については、他のアドバイザーの方から御意見をいただきましたので、論点4のところに絞って私の意見を述べさせていただきます。災害が毎年増えてきている。それから感染症についてはコロナ問題ということで、テレビ会議などのICTを活用するということは非常に大事になってきていると思います。ただ、ICT活用が可能と想定する場面の例が46ページに挙がっておりますが、この中でも居宅介護とか重度訪問介護とか同行援護、行動援護、こういったところに関しては実際に人が直接対応するということも非常に大事だと思いますので、そういうところとテレビ会議などで必要なカンファレンスをするという他のサービスは分けて考えるべきだということで、このICTの活用については、それを積極的に支援するサービス内容を選定するということが大事なのではないかと考えました。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。岩崎アドバイザー、お願いします。
○岩崎アドバイザー 遅れて参加しまして大変失礼いたしました。聞こえていますでしょうか。よろしくお願いいたします。
おおむね御提案について異論はないのですけれども、論点3の37ページ、先ほど介護のほうでは難しいという御議論があったと伺ったその他の職種の話ですが、たしか特定処遇改善加算のことを議論したときに、高齢者の領域よりも障害者の領域のほうが多様な職種が働いているということが一つ特性なのではないかということでお話があったかと思うのです。ですので、ここら辺の緩和というのはぜひ取り入れていただけるとありがたいなと思っております。
論点4のICTの活用のところですが、利用者に対面で行うのは就労定着支援などが例に挙がっていますけれども、利用者さんとの面談をリモートで実施することを報酬で認めていくということは非常に難しいということは理解しております。安易な使用や全てリモートで行うこととか、そういうことは考えてはいないのですが、ただ、一定以上のサービス水準の提供ということができる。それをどう判断するかはいろいろ議論があるかと思うのですが、そういった事業所で、かつ状況によってリモートのほうが業務の効率化が図れるといったことがあったときに、報酬上どう評価するのかということに関してはいろいろ議論があると思うのですが、利用者さんとのICTを活用した面談というものの評価についても、今後で結構ですので、ぜひ想定していただけるような議論をお願いできればと思いました。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次の議事に移らせていただきます。資料2について、事務局から説明いたします。
○高橋地域生活支援推進室長補佐 それでは、資料2「横断的事項について(障害者虐待の防止、身体拘束等の適正化)」でございます。
1ページおめくりください。論点1、障害者虐待の防止の更なる推進について、論点2、身体拘束等の適正化についてとなっております。
2ページ「障害者虐待防止の更なる推進について」でございます。「現状・課題」でございます。丸の1つ目、障害者虐待防止法第15条において、事業者は、従業者に対する研修の実施等、障害者虐待の防止等のための措置を講ずるものとされております。
丸の2つ目、基準省令第3条第3項において、事業者は、虐待の防止等のため、責任者を設置する等必要な体制の整備を行うとともに、従業者に対して研修を実施する等の措置を講ずるよう努めなければならないという形になっております。
丸の3つ目、厚生労働省のほうで作成しております障害者虐待の防止と対応の手引きでは、虐待防止のための体制整備の取組の一環という形で、虐待防止委員会の設置を求めております。役割としては、マル1、虐待防止のための計画づくり。マル2、チェックとモニタリング。マル3、検証と再発防止策の検討。こうした役割を持つ虐待防止委員会の設置を求めているところでございます。
丸の4つ目、虐待防止のための責任者、委員会の設置状況については、後ほど資料のほうを御説明させていただきますが、サービス類型によって大きな開きがあって、施設系では8割以上で設置している。それ以外のところでは5割を下回っているというサービスもありますということでございます。
丸の5つ目、虐待の件数等を定期的に調査させていただいております虐待対応状況調査の結果では、施設従事者による障害者虐待の件数というのは年々増加傾向にあるというところでございます。
この調査では、虐待の発生要因として、個人的要因、組織的要因というもので、いずれも見られるのですが、例えば個人的要因としては、教育・知識・介護技術等に関する問題とか、倫理観や理念の欠如。組織的要因としては、職員のストレスや感情のコントロールの問題、虐待を助長する組織風土や職員間の関係性の悪さ、そういったものが虐待の原因となっているというところでございます。
3ページ、論点でございます。増加している施設従事者の障害者虐待への対応策として、どのような方策が考えられるかということでございます。
次に、「検討の方向性」でございます。丸の1つ目、虐待の発生要因というのは、個人的要因とか組織的要因、いずれも存在しているということから、各サービスの実態を踏まえつつ、指定基準に以下の内容を盛り込むこととしてはどうかということで、1つ目としては従業者への研修実施の義務化。2つ目としては職場環境の確認とか、改善を行うための組織として虐待防止委員会の設置を義務化。マル3として責任者の設置の義務化というところでございます。
丸の2つ目でございます。その際、小規模な事業所もあることから、そうした事業所において過剰な負担とならないように、効果的な取組が行えるよう、具体的な方法・配慮を併せて示すこととしてはどうかというところでございます。
丸の3つ目、施設・事業所が対応を行うためには一定の時間を要すると見込まれることから、一定の準備期間を設けるといったことを検討してはどうかというところでございます。
アスタリスクでございます。今後、国として現場における好事例を収集して、内容を現場に周知を予定していく。
また、一定の準備期間というところでございますが、既に研修の実施と責任者の設置は既に努力義務となっているので、虐待防止委員会の設置を来年4月から努力義務化して、平成4年4月から努力義務になっているものを全て義務化という形にしてはどうかというところでございます。
4ページをお開きください。これは施設の従事者の障害者虐待の経年比較というところで、青いラインが相談・通報件数ということで、近3年では2,100件、2,300件、2,600件と相談・通報件数が増えている。これに合わせて、市町村が虐待として判断した件数も401件、464件、592件という形で、増加傾向にあるというところでございます。
5ページは、施設従事者に関する障害者虐待ということで、先ほどの相談・通報件数が2,600件となっておりましたが、それが一番左のブルーのところでございます。その中から4ページの赤いライン、虐待判断件数というのが、上の段のグリーンのところ、592件あるという状況。
592件に対してどのような措置が取られたかというのが、隣の黄色の欄でございます。施設に対する市町村からの指導とか、あとは総合支援法に基づく権限の行使ということで、立入検査とかそういったものが行われたというものでございます。
下のほうを見ますと、虐待者。これは虐待をしている者でございますが、男性の方が約7割、女性の方が約3割。年齢では60歳以上とか、50~59歳。被虐待者。虐待を受けている者は、男性が65%、女性が35%。年齢では20~29歳の方とか40~49歳の方が多いということです。
ちょうど真ん中でございますが、では、どのような虐待が行われていたのかというと、身体的虐待というのが50%、心理的虐待というのが40%。
障害者虐待が認められた事業所種別ということで、障害者支援施設が構成割合として23%、生活介護が17.9%、共同生活援助、グループホームですが15%とか、こうした構成割合になっているというところでございます。
6ページは、厚生労働省のほうで出している虐待防止の手引きというものについて、虐待防止委員会の役割について記載されたページでございます。
7ページは、障害福祉サービス事業所における虐待防止委員会の例ということで、こういった形をイメージしているというところです。下に書いてありますが、虐待防止委員会の役割として、研修計画の策定・職員のストレスマネジメントとか、あとはチェックリストの集計、分析と防止の取組検討、次の論点に出てきますけれども、身体拘束の適正化についての検討といったことが役割として考えられるのではないかというところでございます。
8ページは、先ほど施設系で8割、それ以外では5割も下回っているという御説明をさせていただきましたが、ちょっと古い26年度の調査でございますけれども、上段「虐待防止に関する責任者の設置」で見ますと、施設入所支援では9割となっている。児童発達支援センターでも76%ぐらいになっている。ただ、下段「組織(虐待防止委員会)の設置」について見ると、施設入所支援では8割となっている一方、児童発達支援センターでは5割を下回るというところでございます。
9ページが障害者の虐待対応状況調査ということで、先ほど御説明をした市町村職員が判断した虐待の発生要因で、教育・知識・介護技術等に関する問題と判断したものが7割。職員のストレスや感情コントロールの問題と判断したものが57%あるというところ。
下段の施設・事業所の虐待防止に関する取組は、虐待が認められた施設に事実確認に入った時点での取組ということで、例えば研修の実施が行われていたのは5割しかなかった。管理者の虐待防止に関する研修の受講をしているところは34%ぐらいであった。そういった表でございます。
最後のページも障害者虐待対応状況調査のほうでございますが、こちらで特に重篤事案があったところで、自治体に対するヒアリングであるとか、法人・事業所が行う取組に関するものも記載しておりますので、御覧いただければと思います。
論点1の説明については以上でございます。
○小林障害福祉課長補佐 続きまして、論点2、身体拘束等の適正化につきまして、障害福祉課、小林より御説明させていただきます。よろしくお願いします。
まず、11ページ「現状・課題」です。丸の1つ目、通所・入所・居住系サービスの基準省令には、各サービスの創設当初から「身体拘束等の禁止」について規定されていましたが、身体拘束等の適正化を図るため、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定において、「身体拘束廃止未実施減算」を創設したところでございます。
減算につきましては、身体拘束等が行われていた場合ではなく、基準省令で規定されている「やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びにやむを得ない理由その他必要な事項」を記録していない場合に適用されることとなっています。
平成30年度の報酬改定の議論において、「更なる見直しについて検討する」と整理されているところでございます。
13ページを御覧ください。平成30年度の報酬改定の概要でございます。マル5で「身体拘束の適正化について」ということで、今般、「身体拘束等の記録を行っていない場合の減算を設けることとするが、『身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会の開催、指針の整備、職員等に対する研修の定期的な実施』についても努めるものとし、その上で、更なる見直しについて検討する」というふうに定められております。
15ページを御覧ください。現状としまして、「身体拘束廃止未実施減算の適用要件(介護保険サービスとの比較)」という表を添付させていただいております。左側が障害福祉サービス等です。マル1「身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録すること」とされています。先ほど御説明しました委員会の開催等につきまして、右側の介護保険サービスではマル2、マル3、マル4となっていまして、マル2で身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を開催するとともに、その他従業者に周知を徹底すること。マル3で身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。マル4、従業者に対し、研修を定期的に実施すること。介護保険サービスのほうではマル2、マル3、マル4ということが減算適用要件として規定されているという現状になっているところでございます。
申し訳ありません。11ページに戻っていただきます。そのような状況の中、「介護保険における運営基準及び身体拘束廃止未実施減算の適用要件を踏まえ、障害福祉サービス等においても基準省令の見直しや身体拘束廃止未実施減算の適用要件について見直す必要があるか」という論点とさせていただいております。
「検討の方向性」としまして、介護保険における運営基準及び適用要件を参考に、算定要件の追加を検討してはどうか。その際、国において具体的な対応例を示すとともに、これを受けて施設・事業所が対応を行うために一定の時間を要すると見込まれるため、一定の準備期間を設けることを検討してはどうか。また、虐待防止の取組で身体拘束等の適正化について取り扱う場合には、身体拘束等の適正化に取り組んでいるとみなすこととしてはどうかと考えております。
※印でございます。具体的なスケジュール例ですが、省令につきましては、令和3年4月から努力義務化。令和4年4月から義務化する。また、減算の算定要件につきましては、令和5年4月から適用することとしてはどうか。
丸の2つ目です。訪問系サービスについても、身体拘束が行われていることも想定されるため、規定を追加するとともに、身体拘束廃止未実施減算を創設してはどうか。
※印です。具体的なスケジュール例としまして、現在障害福祉サービスにおいて義務化になっている「身体的拘束等を行う場合の記録」については、令和3年4月から義務化する。その他の事項につきましては、令和3年4月から努力義務化、令和4年4月から義務化。減算の算定要件につきましては、いずれも令和5年4月から適用することとしてはどうかと考えているところでございます。
12ページは団体ヒアリングにおける主な意見ですので、後ほど御覧いただければと思います。
13ページは御説明しました。
14ページにつきましても、身体拘束廃止未実施減算の適用状況ですので、後ほど御覧いただければと思っております。
16ページ、「身体拘束廃止未実施減算」創設による取組や意識の変化という調査の関係でございます。一番上の丸、事業所調査によると、身体拘束廃止未実施減算創設による取組や意識等の変化については、「特に変化はない」が44.7%と最も多くなっているところでございます。
下の棒グラフの左側「取組や意識等の変化」ということで、「特に変化はない」が44.7%となっております。
丸の2番目、自治体調査によると、身体拘束廃止未実施減算創設による障害福祉サービス等事業所における身体拘束の廃止・適正化の効果については、「一定の効果がある」が63.2%と最も多くなっているところでございます。右側の自治体調査の左側の円グラフ、「一定の効果がある」が63.2%となっております。
また、丸の3つ目、自治体調査によると、身体拘束廃止未実施減算の創設に伴う事業所の身体拘束の廃止・適正化に関する意識の変化については、「それほど変化は感じない」が64.2%と最も多く、次いで「どちらかといえば高くなっているように感じる」が33.0%となっております。右側の自治体調査の右の円グラフです。緑の「それほど変化は感じない」が64.2%、右側の赤いところが「どちらかといえば高くなっているように感じる」が33.0%となっております。
下の棒グラフですが、高くなっていると思う自治体が感じた変化について聞いたところ、一番上の「身体拘束に関する事業所からの問い合わせ、質問等が増えた」が66.7%。次いで下から4番目「身体拘束の適正化に向けた取組をはじめる事業所が増えた」が30.6%という調査結果となっているところでございます。
続きまして、17ページをお願いいたします。一番上の丸です。調査対象サービスの利用者に対する身体拘束の対応方針につきましては、「身体拘束を一切行わない」が58.7%となっております。介護保険事業も実施している法人の事業所で、「身体拘束を行うことがある」とする割合が比較的高くなっております。
上の横棒のグラフ「身体拘束の対応方針」です。全体では58.7%ということで、青い部分です。真ん中の介護保険事業を実施しているところでは41.9%で、「身体拘束を行うことがある」という割合がやや高くなっているところでございます。
また、丸の2番目、「身体拘束を一切行わない」と回答した事業所につきましては、身体拘束を行わないという方針の適用範囲は、「法人全体の方針として決めている」が62.7%と最も多くなっています。介護保険事業を実施している法人の事業所で、「法人全体の方針はないが、事業所で方針として決めている」とする割合が高く出ているところでございます。
下の横棒のグラフ「身体拘束を行わない方針の適用範囲」として、「法人全体で決めている」というところが62.7%ということで、青いところでございます。
その下で、赤い棒の「法人全体の方針ではないが、事業所で方針として決めている」というのが42.5%となっていますが、介護事業所を実施しているところではこの割合が高くなっているところが見られます。
続きまして、18ページでございます。一番上の丸です。「身体拘束を行うことがある」と回答した事業所につきましては、身体拘束を行う際の明文化された手続やガイドライン、マニュアル等の文書の整備状況は、「身体拘束を実施する場合の一連の手続きを定めたもの」が70.2%と最も多くなっているところでございます。
下の棒グラフ左側、手続きやガイドライン、マニュアル等の文書の整備状況としまして、上から2番目「定めたものがある」が70.2%です。
また、丸の2番目、廃止・適正化の取組として実施していることについて、「職員に対し、身体拘束の弊害の周知や、身体拘束をしない支援等についての研修会等を行っている」が45.3%と最も多くなっているところでございます。それは右側の棒グラフ、身体拘束の取組として実施していること。赤い四角で枠が2つありますが、これは介護保険における減算適用要件のところです。45.3%につきましては、赤枠の上段の2段目「職員に対し、身体拘束等について研修を行っている」が45.3%となっているところでございます。
また、介護保険事業も実施している法人の事業所で、実施していない事業所に比べて各項目について取り組んでいる割合が高く、右側の棒グラフで赤い棒が一番高くなっているところが見てとれるところでございます。
18ページにつきましては、70.2%の話と、「取組の検討を行っている」20.3%、「研修を行っている」45.3%という割合は、後ろのほうでもまた同じような話が出てきますので、頭の隅に置いておいていただければと思います。
続きまして、19ページになります。身体拘束の適正化のための対策を検討する委員会の設置につきまして、身体拘束の廃止・適正化のための委員会を設置している事業所は、20.3%となっています。先ほどの18ページの調査の割合でございます。
自治体調査の結果によりますと、「身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」の開催を減算適用の要件として追加することの可否については、「難しい」が50.9%と半数を上回っており、「可能」は30.2%となっております。左下円グラフの赤いところが50.9%で、「難しい」。「可能」が30.2%となっております。
下の四角です。事業所における身体拘束に係る認識を強化し、障害福祉施設等において組織的な取組を促進する観点から、身体拘束の廃止・適正化のための委員会の開催を基準省令に位置づけ、対応しない場合は、減算の適用要件としてはどうか。なお、虐待防止委員会において、身体拘束等の適正化に向けた検討も合わせて行う場合は、身体拘束の廃止・適正化のための委員会を開催しているものとみなしてはどうか。
また、自治体の調査の結果によると、要件追加が難しい理由について、「規模が小さく、組織内の体制づくりの難しい事業所が多い」が81.5%と8割を超えておりますので、一定の配慮が必要となる事業所が存在すると想定されることから、本取扱いの適用に当たっては、一定の準備期間を設けることを検討してはどうかと考えております。
20ページは、先ほどの虐待防止の説明の表と同じです。7ページにあったのですが、虐待防止の委員会を開催しているとみなしてはどうかという部分で、一番下の「身体拘束に関する適正化についての検討」ということをここの中に1つ入れまして、みなしてはどうかということで、小規模な事業所などにも配慮して、こういう形で合理的にやっていけばいいのではないかと考えております。
21ページ、身体拘束等の適正化のための指針の整備です。「身体拘束を行うことがある」と回答した事業所について、身体拘束を行う際の明文化されたガイドライン、マニュアル等の文書の整備状況は、「身体拘束を実施する場合の一連の手続きを定めたもの」が70.2%と最も多くなっております。先ほどの18ページのマニュアルを整備しているところの70.2%でございます。
自治体調査の結果によると、「身体的拘束等の適正化のための指針」の整備を減算適用の要件として追加することの可否については、「可能」が52.8%と半数を上回っており、「難しい」は3割を切っていて、28.3%となっているところでございます。左下の円グラフでございます。
身体拘束の適正化のための指針の整備を基準省令に位置づけまして、対応していない場合は、減算を適用要件としてはどうかと考えております。
また、自治体調査の結果によると、要件追加が難しい理由については、「規模が小さく、組織内の体制づくりが難しい事業所が多い」及び「障害の場合、障害種別や様態等の多様性から、身体拘束等の適正化には相応の専門性が必要であり、個々の事業所に対応を求めることは難しい」が共に66.7%となっています。こうしたことから、一定の配慮が必要となる事業所が存在すると想定されます。本取扱いの適用に当たっては、一定の準備期間を設けることを検討してはどうかと考えております。
22ページになります。職員に対し、身体拘束の弊害の周知や、身体拘束をしない支援等について研修会を行っている事業所は45.3%となっています。こちらは先ほどの18ページの調査結果でございます。
自治体調査によりますと、「身体拘束等の適正化のための定期的な研修」の実施を減算適用の要件として追加することの可否につきましては、「可能」が58.5%と半数を上回っており、「難しい」は21.7%となっています。左下の円グラフでございます。
それを受けまして、身体拘束等の適正化のための定期的な研修の実施を基準省令に位置づけ、対応していない場合は、減算要件としてはどうか。なお、虐待防止等のために研修を実施している場合には、身体拘束の適正化についても研修内容に含んでいる場合は、身体拘束等の適正化のための研修を実施しているものとみなしてはどうかと考えております。
また、自治体調査の結果によると、要件追加が難しい理由になっておりますので、「外部から専門性を有する人材等の支援を得ることが難しい」が60.9%となっており、一定の配慮が必要となる事業所が想定されることから、本取扱いの適用に当たっては、一定の準備期間を検討してはどうかと考えております。
23ページは、身体拘束等の禁止の人員基準につきまして抜粋してありますので、後ほど御覧いただければと思います。
以上、御説明を終わりにします。
○竹内障害福祉課長 それでは、ただいま説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。田村アドバイザー、お願いいたします。
○田村アドバイザー 御丁寧な御説明ありがとうございます。
論点1と論点2について、私の考えをお話しさせていただきたいと思います。まず、論点1の障害者虐待防止に関してでございます。そのための虐待防止委員会が8割もの障害児入所施設で設置されていながら、これだけの虐待が起きているということを、私は非常に驚いて見させていただきました。虐待防止委員会を設置する場合に、その構成が大事でございます。その中で利用者・家族というメンバーが入るということは当然のことなのですけれども、普通の事業などの場合には、利用者や家族の方は事業主に対して強い立場にあることが多いのですが、障害福祉関係の場合におきましては、利用者・家族は必ずしも事業主に対して強い立場にあるとは限らなくて、事業所に対していろいろ遠慮をしてしまうということが十分想定されると思います。ですから、ぜひ虐待防止委員会の構成メンバーの中には、利用者・家族だけでなくて、そのほかの外部委員を入れるべきである。外部委員としては、基本的にその施設のある自治体が一つ候補としていいのではないかなと考える次第です。
論点2の身体拘束についてでございます。身体拘束に関しては、主として臨時的問題として考えられる方が一般的には多いのではないかと思いますけれども、医療的に言いましても、身体拘束というのは非常に大きな問題を引き起こす可能性がございます。身体拘束のために深部静脈血栓が肺栓塞を起こして亡くなったという方が報告されておられますし、ただ、その場合に、それぞれの施設の少ないスタッフの状況の中では、100%身体拘束をやめるということは不可能であるにしましても、日本の身体拘束は、欧米の身体拘束に比べますと時間が非常に長い。場合によっては何十日間も継続して身体拘束されているという事例もあるようでございます。だから、そういうところに対しては、身体拘束がもたらす精神的もしくは倫理的な問題だけでなくて、身体的、肉体的な危険性についてもきちんとスタッフに周知徹底した上で、身体拘束をもしやらなければいけないにしても、それは限られた状況で、限られた時間にするということを徹底するべきだと思います。
ただ、そのためには、スタッフ不足ということは大きな身体拘束の理由になりますので、それを少しでも減らすために、今回資料1で述べられたような障害福祉サービスのスタッフの定着、もしくは新規参入のための待遇改善ということが大きな課題になってくるかと思います。
それで、研修会におきましても、そういう拘束された方の身体的な問題についてもきちんとその研修の中に入れるということをすべきではないか。ですから、そういう研修会を受けていないという場合の減算とかいうことに関しましては、令和5年まで待つようなことはせずに、もっと早く繰り上げて行うというふうにしてもいいのではないかと思います。それが私の意見でございます。
どうもありがとうございました。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
それでは、小船アドバイザー、お願いいたします。
○小船アドバイザー 御説明ありがとうございました。
私からは論点1の障害者虐待防止の更なる推進についてということで、意見を述べさせていただきます。資料の3ページに「検討の方向性」をお示しいただいておりますが、マル1、マル2、マル3の項目について、スケジュール例をお示しいただきまして、令和4年4月から義務化するということで御提案をいただいておりますが、このうちマル1とマル3は既に努力義務となっているものでもありますから、令和4年4月を待たずに、もう少し早く適用して、障害者虐待防止へ取り組むという姿勢を国としてもしっかりお示しいただいたらどうかという意見でございます。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
橋本アドバイザー、お願いいたします。
○橋本アドバイザー 御説明ありがとうございました。
虐待防止は、常日頃から細心の注意を払って行わなければいけないことであり、利用者との日常の関わりの中で、職員のちょっとした言動や行動が思いもかけず虐待になってしまっていることも多々あるのではないかと思います。組織の風土がそれを当たり前としていると、虐待をしていること自体に気づけていないことも多く、虐待防止のためには、内部だけではなく、相談支援専門員のモニタリングや、苦情解決の第三者委員の面接など、外部の人の目を入れていくことが重要だと思います。
指定基準に虐待防止委員会の設置など、準備期間を設けて義務化することには賛成ですが、小さい事業所では実施が難しいところもあると思われるため、自立支援協議会などを活用できるような仕組みもあるとよいと思います。
また、訪問系や相談系の事業所など、密室でほかの人の目がない中で行われているかもしれない虐待をどのように防ぐかについては、検討していく必要があると思います。
同様に身体拘束についても、訪問系サービスに身体拘束廃止未実施減算を適用することには賛成です。訪問時に真にやむをえず身体拘束を行ったときに、その必要性を説明できるように記録の整備を徹底していくことで、ふだんの虐待防止の意識が上がることになるかと思います。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
平野アドバイザー、お願いします。
○平野アドバイザー 私のほうからも3点ほどお話をさせていただきます。虐待防止も身体拘束の禁止も全く異論がなく、ぜひ進めてほしいと思っています。そうなってくると、これを具体的にどういうふうに現実的にするかというのが鍵になってくると思っています。先ほど橋本アドバイザーからも話があったのですが、特に小規模のところでどういうふうにするのかというのが大きな問題になってくると思っているのです。実際訪問介護などの事業所を見ていると、例えば正規の職員は3~4人しかいなくて、20人ぐらいが非正規というところもいっぱいありまして、そういうところだと、研修のために集めてくることは大変ですし、しかもそれが報酬上裏打ちされないとなってくると、非常に難しいというのがある。
こういう現実を踏まえてくると、どうやって現実化するかというと、例えば虐待防止委員会も共同設置を認めるとか、あるいは自立支援協議会にそういう部会をつくって、そこに参加してもらって、そこで話し合うとか、そういう形をしなければいけないだろう。研修も事業所に集めてやるのはちょっと難しいとすれば、例えば基幹相談支援センターで開催して、そこに研修に行かせるとか、そういうのも含めて認めていくというのが実効化させるために必要ではないのかなという考え方を持っています。
2番目の身体拘束のほうに関して言えば、これも場合によっては自立支援協議会に身体拘束の部会をつくってもらって、そこに事業所の代表が行くとか、そういう形で話し合って、それを認めていくというほうが多分現実的なのかなと。中の事業所で一個一個つくれというと、ちょっと負担が大き過ぎるし、結果的にやらなくてなってしまうということ。あと、実を取るということを考えるべきではないかと思っています。
3番目です。今回のテーマというのは、障害者の従事者の虐待をなくすということを意識しているのですが、私自身、現場の人たちから話を聞くと、訪問介護でお宅を訪問した職員、あるいは身体介護、重度訪問介護、同行介護で行ったときに、ヘルパーさんたちが家庭での虐待に気づくことがいっぱいあるという声があるのです。僕は、家庭での虐待をなくすためにも、ヘルパーさんたちが虐待に対する意識を高めるということがすごく大事だと思うのです。家庭の中の虐待に気づく。それに対して適切な対応ができる。福祉の従事者が虐待しないのは当然ですけれども、それプラス虐待を予防するための力にしていくということも必要だと思うのです。
そういった意味からも、ヘルパーさんたちの現場の虐待に対する感度を高めたり、意識を変えていくということが家庭での虐待を減らすことにもつながっていくと思いますし、そういう意味から考えてくれば、ちゃんとした研修をしてもらうことと、併せて、先ほど言ったように、本人たちにそういう虐待をしないように、身体拘束をしないようにちゃんと意識づけるということがすごく必要だと思っています。そういうことをぜひお願いしたいと思っています。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
小川アドバイザー、お願いいたします。
○小川アドバイザー 御説明ありがとうございます。
それでは、資料2「横断的事項について(障害者虐待の防止、身体拘束等の適正化)」について、幾つか意見を述べさせていただきます。
まず、2ページ、3ページの論点1、障害者虐待の防止の更なる推進についてでございます。年々増加する施設従事者による障害者虐待への対応策、方策の検討の方向性として、従事者への研修実施の義務化や、事業所内での委員会、虐待防止責任者の設置など、ここで挙げられていることの実施、方向性については、おおむね賛成でございます。
そのほかに考えられることといたしましては、例えば虐待防止委員会と併せて、都道府県が実施する研修に参加した相談支援専門員や主任相談専門員等が、労働現場にある安全衛生委員会の推進委員のようなイメージで虐待防止推進委員となる虐待防止推進委員制度的なものを創設してもよいのではないかと思います。
また、虐待防止委員会設置や虐待防止に関する取組も、事業所内のメンバーでの取組だけでは判断の固定化や、職員がこのケース指導は指導の範疇、これは虐待に当たるのではないかと思ったとしても、例えば理事長等の上席の意見には逆らえない等の問題が出る可能性もあるし、そういった虐待のシグナルを感じたとしても、そのことを内部の視点だけでは解決できないと思います。実際本市において過去に虐待の聴き取りを行った際、虐待かどうかの判断は法人で行うべきではないかと言われてしまった事例もございました。
こういった状況を踏まえまして、これらを解決するためには、田村アドバイザーからも意見がございましたように、外部からのチェックとその意見に基づく改善が不可欠であると思います。具体的には、現状では設置義務とはなっていない第三者委員会の設置や、事業所で設置する虐待防止委員会には、例えば民生委員や有識者等の専門家など、必ず外部の目、意見が取り入れられるような構成とすること。適切な施設運営をチェックできるような仕組みを取り入れることを義務化し、事業所の実地指導等で確認できるシステムを導入してもよいのではないかと考えております。
次に、11ページ、論点2、身体拘束等の適正化についてでございます。高齢者の入所施設では認知症や徘回などの問題から、やむを得ず身体拘束をする場合もあるかと思いますが、障害では精神障害者は入院する病院関係者の目が入っているし、知的障害は行動障害が著しい場合に一時的に身体拘束をする場合が考えられるかと思いますが、身体拘束等を必要とするケースは、実際はそれほど多くはないのではないかと思います。
しかしながら、やむを得ず身体拘束等が行われた場合等は、そのことが適正かどうかを判断するための介護保険サービスの運営基準の中にある身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3月に1回以上開催するというような内容を、障害福祉サービスの現場でも例えば必要に応じ開催することを努力義務とする等、何らかの規定を追加してもよいのではないかと思います。
障害福祉の視点、精神障害者の関係でも、入院している精神科病院で身体拘束をされることが多くあり、そのため、精神保健指定医の判断と定期的な確認と記録の義務、さらに院内に身体拘束のための委員会の設置が義務づけられているからです。このようなことから、精神科病院のケースに準じて、事業所においても身体拘束のための委員会の設置義務を設け、身体拘束が行われている際の定期的な確認と記録の義務化などを図ってもよいのではないかと考えております。
以上でございます。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
岩崎アドバイザー、お願いします。
○岩崎アドバイザー 本当に丁寧な御説明ありがとうございます。
私も報酬改定のところで虐待防止のこういった仕組みづくりということがこんなに大きな課題として出てくるということが、現状の難しさを物語っているのではないかと感じております。
また、田村アドバイザーがおっしゃったように、その背景に何があるのかということが解決に向かっていかない限り、形を整えても、結局、形骸化してしまうということが起こり得るのではないかと感じています。ですので、虐待がないということはもちろんいいことだと思います。ただ、形式的にそういったものが上がってこないということが必ずしもいいことだということではないということがうまく伝わるような、そういった仕組みづくりをしていただきたい。要は、形骸化してしまわないようなヒヤリ・ハットの仕組みとか、気がついたところをちゃんと改善していけるような仕組みづくりということに本当はとても意味があるのだと思いますので、委員会をつくって終わりということにならないような形を望んでおります。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次の議事に移らせていただきます。資料3、資料4につきまして、事務局から説明いたします。
○小林障害福祉課長補佐 続きまして、その他横断的事項につきまして。論点1、食事提供加算の在り方について、御説明させていただきます。
2ページ目、関係団体ヒアリングにおける主な意見につきましては、割愛させていただきます。
3ページ、論点1、食事提供体制加算の在り方についてでございます。「現状・課題」です。食事提供体制加算につきましては、収入が一定額以下の利用者に対しまして、事業所が原則として当該施設の調理室を利用して、調理員による食事の提供を行った場合に算定可能となっております。当初は平成21年3月31日までの経過措置でありました。社会保障審議会障害者部会における障害者総合支援法施行3年後の見直しの報告書では、障害者の利用者負担につきましては原則無料になったことや激変緩和措置としての経過措置が平成30年3月31日までの措置とされていたことから、食事提供体制加算の見直しについては時限的な措置であることや施行後10年を経過すること、平成22年度より障害福祉サービスの低所得者の利用者負担が無料になっていることや他制度のバランス、公平性等を踏まえ検討すべきとされたところであります。
前回平成30年度の報酬改定の議論において、「食事提供体制加算については、食事の提供に関する実態等の調査・研究を十分に行った上で、引き続き、そのあり方を検討する」と整理されたところでございます。
4ページになります。食事提供体制加算の在り方をどう考えるかということで、「検討の方向性」です。食事の提供に関する実態調査の結果、食事提供体制加算を算定している事業所においては、食事提供の方法や事業所として配慮している事項など様々な態様があることが分かりました。
一方、関係団体ヒアリングにおいては、食事における特別の配慮の必要性や食育の必要性なども含め様々な提案・要望があったところでございます。
このようなことから、例えば栄養面などの障害児者の特性に応じた配慮や食育的な観点など別の評価軸で評価することも考えられるかも含め、他制度とのバランス、在宅で生活する障害者との公平性等の観点も踏まえ、さらに検討を深める必要があることから、今回の報酬改定においては、食事提供体制加算の経過措置の延長をすることとしてはどうかと考えております。
5ページになります。平成30年度の報酬改定の議論において課題とされた食事提供体制加算の在り方についての検討を行うため、検討に当たって参考となる基礎資料の作成を行うことを目的とし、食事提供体制加算に関する実態調査を行いました。調査対象、調査方法、調査期間、主な調査項目につきましては、後ほど御覧いただければと思います。
概要ですが、6ページになります。食事提供に関する実態調査の概要としまして、平成30年9月の食事提供体制加算等の算定状況は、障害者通所サービス全体では、「算定している」が55.5%となっています。食事提供体制加算の算定状況は、障害児通所サービス全体では、「算定している」が20.4%となっています。
真ん中の棒グラフですが、食事の提供状況は、「提供している」が障害者通所サービス全体で66.5%、児の通所サービスで37.1%となっております。
一番右側の棒グラフです。食事を提供している事業所における平成30年9月の食事提供体制加算等の算定状況は、障害者通所サービス全体では、「算定している」が83.4%、障害児の通所サービス全体では55.0%となっているところでございます。
7ページになります。食事の提供方法、献立の作成者、調整食の提供実績ということで、「事業所に従事する調理員が、事業所内の調理室で調理し、提供している」が、障害者通所サービス全体で39.1%。児の通所サービス全体では39.0%となっております。
障害者通所サービス全体で「食事の提供に関する業務を外部委託し、調理、運搬等についての規程に基づき食事を提供している」は19.1%となっています。
事業所内調理を行っている事業における献立の作成者は、障害者通所サービス全体では「事業所に従事する管理栄養士・栄養士以外の職員が作成」が29.8%となっており、児のサービス全体では「事業所に従事する管理栄養士が作成」が42.2%となっているところでございます。
調整食の提供実績につきましては、「きざみ食(栄養素の調整なし)」が、障害者通所サービス全体で21.1%、児の通所サービスでは38.1%となっています。
一方、「調整食を提供していない」は、障害者通所サービス全体で48.1%、児の通所サービスで24.3%となっているところでございます。
8ページ、事業所として食事提供で配慮していることでございます。食事を提供するに当たり実施していることにつきましては、「定期的な体重の測定と記録の把握」は障害者通所サービスが54.6%児の通所サービスが67.0%となっております。また、右側の棒グラフで、食事の提供で事業所として配慮していることとしましては、「利用者の健康を考え、食事の栄養バランスなどを配慮している」、また、「楽しく食事ができるように、環境づくりや雰囲気づくりに配慮している」というところの割合が大きくなっているところでございます。
最後に、9ページ、利用者の状況につきましてです。左上の円グラフです。ふだんの食事のとり方としましては、「家族がつくった料理を食べることが多い」というところが67.6%。下の円グラフ、食事での栄養バランス等の考慮については、「家族やヘルパーなどに考えてもらう」が41.1%。「自分で考えている」というのが27.5%という形になっております。
また、食事で気をつけることについては、栄養バランスや食べやすさ、食事のマナーなど、いろいろなことに気をつけたりしているということが今回の調査で分かったところでございます。
食事提供体制加算の説明につきましては以上でございます。
○米澤障害福祉課長補佐 では、続きまして、論点2「補足給付の基準費用額について」を御説明させていただきます。10ページを御覧いただけますでしょうか。施設入所者の食費や居住に要する費用(食費・光熱水費)につきましては、どこで生活していても必ずかかる費用ということでございまして、原則として利用者が自ら負担をするということになっているところでございます。一方で、低所得者の負担を軽減するという観点から、食費や光熱水費に係る平均的な費用の額、基準費用額から所得に応じた負担限度額を控除した差額といったものを、いわゆる補足給付として支給するという制度がございます。
補足給付を算定する際に用います、今、御説明させていただきました基準費用額というものにつきましては、平成27年度の障害福祉サービス等報酬改定におきまして、その当時の経営実態調査等を踏まえまして、食費4万2000円、光熱水費1万1500円、合計5万3500円と見直しをされているところでございます。
論点といたしましては、この基準費用額の水準についてどのように考えるかというところでお示しをさせていただいております。
具体的な検討の方向性につきましては、平成27年度の障害福祉サービス等報酬改定と同様に、障害福祉サービス等経営実態調査結果等を踏まえまして、その水準を上げたり下げたり、そういったことを見直してはどうかと考えているところでございます。
資料の11ページ、12ページにつきましては、今、御説明させていただきました補足給付の概要資料になりますので、詳細な説明は割愛させていただきます。
以上でございます。
○猪狩障害福祉課長補佐 続きまして、論点3の地域区分についてでございます。前回11月18日の本検討チームにおいて方向性をお示ししたところでございまして、13ページと14ページにその資料を掲載しております。
15ページでございます。前回11月18日の検討チームにおいて検討の方向性をお示しした後、一部の自治体から、16ページの円グラフが分かりやすいのですが、前回「マル2に該当する事例」というところで、4級地以上差がある級地が含まれている場合にこの特例を適用するという案をお示ししたところでございますが、15ページの1つ目の丸に書いてありますとおり、4級地の差はないけれども、3級地差がある自治体があるわけでございますが、その自治体から、隣接地域とのバランスにより人材確保に大きな困難を来しているので、御配慮願えないかという意見の提出があったところでございます。
これを踏まえまして、この取扱いの方向性につきまして、15ページの一番下の隣接する地域とのバランスを考慮して公平を確保すべきと考えられる場合の特例について、マル1は前回のとおりとし、マル2につきまして、「4級地以上」としていたものを、御意見もあることを踏まえて、「3級地以上の差がある場合」に改めさせていただいた上で、各自治体の御意向を確認したいと考えているところでございます。
論点3についての説明は以上でございます。
○米澤障害福祉課長補佐 駆け足で恐縮でございます。続きまして、資料4「障害福祉サービス等の指定基準省令改正に係るパブリックコメント(案)について」、御説明させていただきます。まだ議論されている最中でございますが、本日御議論いただきました横断的事項にもありました障害者虐待の防止や身体拘束の適正化、また、これまで御議論いただきました様々な論点につきましては、いわゆる基準省令というものに影響のあるものもございまして、これらの基準省令につきましては、この後、各自治体様のほうでその基準省令を基に、条例に落として具体的な運用を進めていくということになっているところでございます。また、自治体様のほうにおけます地方議会のスケジュールなどを考慮いたしますと、今後12月を目途にパブリックコメント等、今後の手続を進めていく必要があるというところから、今回パブリックコメントとしてお示しするものの案を検討チームのほうにお示しをさせていただいているところでございます。
時間の関係上、詳細な中身について御説明させていただくことは省略させていただきますが、簡単な骨格だけ御説明させていただきます。資料の3ページ目は、令和3年4月1日施行分ということで、基準省令の概略をお示ししているところでございます。まさに今日御議論いただきました身体拘束、障害者虐待防止策の推進というところでは、当初努力義務から始めて、一定の準備期間を要するというところから、期間を置いた後に義務化をするという方向で論点をお示しさせていただいているところでございまして、その関係で基準省令につきましても令和3年4月施行分というものと、11ページの令和4年4月1日施行分というものの2つに分けてお示しをさせていただきたいと考えているところでございます。
中身につきましては、これまで御議論いただきました各論点のうち、基準省令に影響のあるものにつきましてまとめさせていただいているところでございます。また、各論点の中で、介護報酬関係で議論されているものを踏まえて議論していく必要があるといったものもございました。そういったものにつきましては、今回お示しをさせていただいたパブリックコメント(案)というものには入っておりませんが、今後介護保険の議論を見まして、私どものほうで適切に反映をさせて、パブリックコメントを行わせていただきたいと思っております。
簡単ではございますが、説明は以上になります。
○竹内障害福祉課長 それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。平野アドバイザー、お願いします。
○平野アドバイザー まず、食事提供加算なのですが、団体のヒアリングの意見を見ても、かなり意見に隔たりがあるということと、どうするかということに関してもかなり意見の隔たりがあるという状況の中では、拙速に答えを出すのは確かに難しいなということですので、今回経過措置を延長して議論をするという方向が現実的なのかなという解釈を持っています。このことについてどうするかは考えていかなければならないと思うのですが、まだこれだけ意見の違いがあるというのはちょっと大きいのかなと思っています。
補足給付の件に関しては、補足給付だけの問題でなくて、施設のナショナルミニマムの問題が絡むと思っています。釈迦に説法で恐縮ですけれども、例えば全く無収入で施設に入所した人が、生活保護で入ったとすれば、2万3000円ぐらいの日用品費が支給されるわけです。ですから、施設に入所していれば、2万3000円ぐらいがミニマムとして保障されるわけです。それに対して、施設の利用料を払っていくと、これは2万3000円を割り込んでしまう。11ページです。手元に残るのが1万円になってしまうとなってくると、生活保護では2万3000円ぐらいが施設生活のミニマムだと言っておきながら、利用者負担を払ってミニマムを割り込んでしまったら、利用者負担をして最低生活を割り込むというのは、どう考えてもバランスが取れない。施設生活をする上では最低限のミニマムを保障するのだということを考えれば、生活保護との関係もありますけれども、やはりミニマムは保障しておくということが必要だろうと思っていますので、そういう意味で、この件については御検討をお願いしたいと思っています。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
小川アドバイザー、お願いいたします。
○小川アドバイザー 御説明ありがとうございます。
それでは、資料3「その他横断的事項について」、4ページの論点1、食事提供体制加算の在り方について、少しだけ意見を述べさせていただきます。関係団体ヒアリングの意見・要望にあったように、食事における特別な配慮、栄養士による指導が必要な場合には、障害事業所における食育支援は重要であり、そのための食事提供加算による事業所の食育支援の必要性などは十分認識しているところでございます。しかしながら、一方では、食事の提供に関する実態調査において様々な対応があることも分かっています。特に就労系事業所等では、以前も意見として申し上げましたが、事業所の実地指導では、実際にみそ汁だけしかつくらずに加算を請求するなどの例が報告されています。このことは現在の基準では違反とまでは言えず、これを食育と言ってよいのか疑問になります。このようなことから、食事提供加算については、栄養士の指導など専門的な判断をする人がいないケースの加算の必要性の検討や、真に食育支援となるようなスキームの構築の検討などを深めていってほしいと思います。
以上でございます。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。
それでは、最後に全体を通しまして御質問、御意見等ございましたら、お願いいたします。井出アドバイザー、お願いいたします。
○井出アドバイザー 今日は出入りをしまして申し訳ありませんでした。
私のほうから、最初のほうで議論いたしましたICTの活用について、意見だけ述べさせていただきたいと思っています。それについては明示をしていくという方向性はよく分かりました。その方向で私も賛成です。一つお願いモードにもなりますが、ヒアリングとか要望の中にも現場の方からのいわゆる知恵みたいなものもあったと思いますので、そうしたところも生かしていただきたいのと、可能なものを対面からデジタル。デジタルという言い方がいいかどうか分かりませんけれども、ICTを活用する。紙から、ファクスから、そういうデジタル化していくという流れをお願いする中で、そうしたことが本来のサービスの時間を確保する。あるいは質を向上させるような方向に向かう中でICTの活用をぜひ進めていただきたいと思っています。
それから、介護もそうですが、これに関わっての研究事業がかなり進んでおりますので、これもお願いですが、障害福祉のほうもICTの活用の研究事業をまた進めていただければありがたいなと思っております。
以上でございます。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日予定している議事は以上で終了となります。
次回の検討チームにつきましては、開催日時等が決まりましたら改めてお知らせをいたします。
それでは、本日はこれをもちまして閉会いたします。お忙しいところ、誠にありがとうございました。