第2回成年後見制度における市町村長申立に関する実務者協議(Web会議)議事録

1.日時 

令和2年11月27日(金)10:00~12:00

2. 場所

Web会議 赤坂インターシティコンファレンス

3.出席者

 

4.議題

(1)親族調査の在り方について(専門職団体)ヒアリング
(2)親族調査の在り方について(当事者団体)ヒアリング

(3)その他

5.議事

2020-11-27 成年後見制度における市町村長申立に関する実務者協議(第2回)
 
○南認知症施策・地域介護推進課課長補佐 おはようございます。事務局の南でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 現在、全国手をつなぐ育成会連合会様がオンラインで入っていないようですが、定刻になりましたので始めさせていただきたいと思います。
 では、ただいまから第2回「成年後見制度における市町村長申立に関する実務者協議」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 本日は、前回同様新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、ウェブ会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
 また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開とする形とさせていただいております。
 本日の構成員の皆様の出席状況でございますが、森和俊大阪市福祉局生活福祉部地域福祉課課長に代わりまして、同じく大阪市福祉局生活福祉部地域福祉課の係長、黒田暁子様に御出席をいただいております。
 また、事務局の笹子認知症施策・地域介護推進課長、及び河村障害保健福祉課地域生活支援推進室長は、本日欠席となります。
 それでは、議事に入ります前にお手元の資料の確認とウェブ会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 まず、資料の確認を行います。
 本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しておりますので、御確認いただければと思います。
 資料ですが、ヒアリング資料が7部ございます。
 資料1「日本弁護士連合会提出資料」。
 資料2「公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート提出資料」。
 資料3「公益社団法人 日本社会福祉士会提出資料」。
 資料4「一般社団法人 全国手をつなぐ育成会連合会提出資料」。
 資料5「公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会提出資料」。
 資料6「一般社団法人 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構提出資料」。
 資料7「公益社団法人 認知症の人と家族の会提出資料」。
 参考資料1「市町村長申立に関する現状について」。
 参考資料2「市町村長申立に関する通知等」。
 参考資料3「第1回議事録」をお付けしております。
 以上、お手元にございますでしょうか。
 ウェブで御参加されている方につきましては、恐縮ですがホームページから資料をダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
 次に、ウェブ会議における発言の方法について確認をさせていただきます。
 御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。
 発言者はこちらから御指名をさせていただきますので、指名に基づき御発言をいただくようお願いいたします。
 挙手しているにも関わらず、発言の希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、ウェブ会議システムのチャット機能などで会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですけれども、原則挙手にて意思表示をお願いいたします。
 なお、チャット機能等で記載いただいた内容については、ウェブの画面及び配信動画においても表示されますので御承知おきください。
 では、以降の進行は秋山座長にお願いいたします。
 よろしくお願い申し上げます。
○秋山座長 皆様、おはようございます。
 本日は、親族調査の在り方について専門職団体と当事者団体の皆様からヒアリングを行ってまいります。
 皆様方におかれましては、本日はお忙しいところお集まりいただきありがとうございます。成年後見の申立ての際の親族調査の在り方について、忌憚のない御意見を頂戴できればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 進め方ですが、各団体のプレゼンテーションを行っていただいた後、それぞれ質疑応答を行ってまいります。
 会議時間が限られておりますので、プレゼンテーションはあらかじめお伝えしている時間の範囲内で厳守していただくようにお願いいたします。今回は、1団体につき、質疑を含めて15分程度と設定をしております。
 終了時間の1分前になりましたら、事務局からアナウンスをさせていただきますので、御了承くださいませ。
 実務者協議会の構成員の皆様も、ぜひ時間の許す限り御質問、それから御意見をそれぞれいただきまして、活発な議論ができればと思っておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 では、ヒアリングの趣旨及びヒアリングを行う団体について、事務局から御紹介をお願いいたします。
○南認知症施策・地域介護推進課課長補佐 事務局でございます。
 まず、ヒアリングの趣旨について御説明をさせていただきます。
 現在、本実務者協議において個々の事情の状況に応じて、適切かつ迅速な申立てができるよう、成年後見の申立ての際の親族調査の在り方等について検討を進めているところです。
 今回のヒアリングにつきましては、今後検討を進めるに当たり、現場の実情を踏まえた議論とするために、関係団体の皆様から直接御意見を賜る機会を設けることを目的として行うものとなります。
 専門職団体の皆様からは、専門職後見人からの視点、当事者団体の皆様からは成年後見制度の利用者やその家族の視点から御意見を賜れればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、ヒアリング団体について御紹介をさせていただきます。
 日本弁護士連合会より、高江俊名様。
 公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートより、矢頭範之様、川口純一様、野村真美様。
 公益社団法人日本社会福祉士会より、星野美子様、田村満子様。
 一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会より、久保厚子様、又村あおい様。
 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会より、小幡恭弘様。
 公益社団法人認知症の人と家族の会より、花俣ふみ代様に、御出席をいただいております。
 なお、一般社団法人日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構様より、書面のみの提出をいただいております。本日は欠席となられますので、御意見につきましては事務局より代読をさせていただきたいと思います。
 発表の順番ですけれども、配付資料の順番で進めさせていただきますが、一部、順番を前後させていただきまして、資料1の日本弁護士連合会様の次に、資料4の全国手をつなぐ育成会連合会様からの順番とさせていただきますので、御了承いただければと思います。
○秋山座長 ありがとうございました。
 それでは、早速ですけれども、日本弁護士連合会様より、資料1について御説明をお願いいたします。
○日本弁護士連合会(高江) 私は、日本弁護士連合会の高齢者障害者権利支援センターの委員をしております高江と申します。
 このたびは、市町村長申立ての親族調査の在り方に関する意見を申し上げる機会をいただきましてありがとうございます。資料1に基づいて、お話させていただきます。
 資料の2枚目は団体概要の紹介ですので、3枚目を御覧いただければと思います。
 首長申立てにおける親族調査の在り方に関して、3つのポイントについてお話したいと思います。
 1つ目は、いわゆる親族調査の目的を明確にということです。
 2つ目として、虐待案件等の緊急事案では、市町村の判断で親族調査を省略できるようにということです。
 3つ目としまして、親族調査をしても訴訟リスクは軽減されないということです。
 次のページをお願いします。4枚目です。
 首長申立てにおける親族調査の在り方に関しては、いわゆる親族調査と呼ばれているものの目的を確認して、明確にしておく必要があると考えています。
 そのことを確認するために、首長申立ての在り方に関して厚労省から最初に出された平成12年のQ&Aをここに引用しています。この厚労省からの通知につきましては、御承知のようにその後、平成17年に最初の通知を改定する通知が出されておりますけれども、この最初の平成12年のときのQ&Aをここに引用しましたのは、親族調査は何のために行うのかについて、この平成12年のQ&Aを御覧いただいたほうがより分かりやすく御理解いただけると思われるからです。
 このQ2は、市町村長申立てはどういった場合に行うことが想定されるのかという問いですけれども、それに対する答えとしまして、親族等による法定後見の開始の審判等の請求を行うことが期待できず、市町村長が本人の保護を図るために審判の請求、すなわち後見申立てを行うことが必要な状況にある場合に申立てを行うのだと説明されているのです。
 要は、本人の保護のために後見の申立てが必要なのだけれども、親族が申立てをすることは期待できない場合に市町村長申立てをするということで、親族に申立てを期待できない場合というところがポイントであるわけです。
 それから、この点に関してもう一つ大事な点は、ここで4親等内の親族がいなかったりとか、あっても親族が音信不通の状況にあると書かれていますけれども、その後に「などの事情」と書かれているところにあります。
 つまり「などの事情」ということは、ここに挙げられている場合は、あくまでも親族に申立てを期待できない場合の例示にすぎないことなのです。これらは例にすぎませんので、親族に申立てを期待できないと判断できる場合は、これらの場合に限られないということなのです。
 次のページを御覧ください。
 首長申立ては、今、確認しましたように親族に申立てを期待できない場合に行うことですので、いわゆる親族調査と呼ばれているものの目的は、申立てを期待できる親族がいるかどうかを確認することだということを確認する必要があるかと思っています。ですから、親族調査で行われる親族の意向を確認するというのも、そこで確認する親族の意向は、その親族が後見申立てをする意向があるかどうかなのです。
 この点で親族の意向確認の内容について、親族が後見申立てに同意するかどうかだと誤解されていることがあるように思うのですけれども、そうではありませんので、御留意いただく必要があると考えています。
 首長申立てに関しては、親族の同意書がないと首長申立てができないと誤解されているように思われる例に接することがあるのですけれども、後見制度の利用が必要かどうかは親族の意向によって決まるものではないのです。
 分かりやすい例で言えば、この後、御説明する虐待事案では本人の財産を侵害している養護者の親族などは、当然、後見申立てに反対するわけなのですけれども、だからといって、後見申立てをしないことにはならないわけです。
 次のページを御覧ください。
 ここで改めて確認したいのは、親族が反対しているからとか、同意書を得られないからとか、あるいは親族がいるからとかというのは、首長申立てをしない理由にはならないということです。このページで、家庭裁判所による親族の意向調査との違いに注意が必要だということを書いていますけれども、時間の関係がありますので、一旦省略させていただきます。
 次のページです。
 ここで書いているのは、本人が後見制度の利用を必要とする状態にあるかという問題と、それから後見制度が必要だとして誰が申立てをするかという問題とは区別されるべきだということですけれども、この点も時間の関係がありますので、一旦省略して、先に行きたいと思います。
 今日、お話しするポイントの2つ目です。
 虐待案件等の緊急事案で、親族調査を省略することについてであります。いわゆる高齢者虐待、障害者虐待の問題につきましては、虐待防止法という法律ができていて、そこで虐待案件については市町村が責任を持って対応することが定められています。
 市町村が取るべき措置の一つとして、必要な場合に適切に後見申立てを行うべき義務が定められているのです。虐待防止法は、市町村は適切に後見申立てを行うものとすると定めていて、これはその義務規定になっていることをきちんと押さえておく必要があるかと思っています。
 先ほど、1つ目のポイントのところで、親族調査は親族に申立てを期待できるかどうかを確認するために行うことを御説明しましたけれども、その親族調査の目的に立ち返って考えるならば、市町村が虐待対応の一環として市町村長申立てによって後見申立てを行うのが適切だと判断するのであれば、誰が申立てを行うかについては、市町村が後見申立てを行う方針はもう決まっているわけですから、親族に申立ての意向があるかどうかは確認する必要がないことになるかと思うのです。
 それから、第1回の実務者協議でも明らかになったかと思うのですが、虐待事案では親族調査をせずに、首長申立てを行っているという自治体が現にあるわけなのです。
 その一方で、私などが市町村の担当者の方に虐待事案について親族調査をやっておられますかと尋ねますと、厚労省の通知があるので2親等の範囲ではやらざるを得ないという答えが返ってきたりすることがあるのです。
 次のページお願いします。
 親族調査については、その調査のために戸籍調査なども含めてやりますので、2か月とか3か月ぐらいの期間かかっていることが、この間、後見制度の利用促進の関係で行われている厚労省のアンケート結果などでも出ているかと思うのですけれども、市町村が虐待対応として迅速に対応しようとしても、結局その厚労省通知があることで親族調査をしなければいけないと考えて、迅速に首長申立てができない。つまり、その厚労省通知が迅速な対応の妨げになっている実情があるように思っています。
 そういうことからしても、虐待事案では市町村の判断で親族調査は省略してもかまわないのだという趣旨の通知を厚生労働省のほうから改めて出していただきたいと思っているところです。
 それから、今回お願いしたいことのもう一つは、虐待事案以外の事案でも、市町村の判断によって緊急性のある事案では親族調査を省略したりとか、あるいは親族に申立てを期待できないという判断を柔軟に行ってかまわないのだということを、厚労省の通知で示していただきたいです。
 次のページをお願いします。
 1つ目のポイントの冒頭のところで最初に申し上げましたように、要は親族に申立てを期待できるかどうかがポイントなわけですので、書面で意向照会しなくても申立てを期待できないと判断できる場合はあるはずなのです。
 ここに例を2つ挙げていますけれども、1つ目の音信不通の状況にある場合は、平成12年の最初の厚労省のQ&Aでも、申立てを期待できない場合の例として明示されている場合なのです。実際の実務の現場では、音信不通の状況にあるというのは、戸籍調査などをして意向照会の書面を送るまでもなく、御本人とかあるいは関係者からの事情聴取でそのように認められる場合はありますので、そういう場合は時間をかけて戸籍調査をしてということをしなくても、親族には申立てを期待できないと判断していいのだということを示していただきたいです。
 それから、これも最初に申しましたように、音信不通の状況にある場合などというのは、親族に申立てを期待できない場合の例でありますので、期待できないと判断できる場合はそれ以外にもあるということです。
 ここで2つ目に上げている、親族が高齢で遠方に居住しているような場合も、そういう場合の例の一つとして挙げているものです。こういった判断を、市町村のほうで柔軟にできるようにしていただきたいということであります。
 次のページ、最後になりますけれども3つ目のポイントになります。
 親族調査をしても訴訟リスクは軽減されないということです。虐待事案などで親族調査を省略することについて、一部では親族から訴訟されることのリスクについて懸念があるということのようですけれども、虐待事案では首長申立ての場面だけではなく、立入調査の場面であるとか、虐待親族から訴訟されるリスクというのは、常につきまとうわけなのです。
 虐待事案で訴訟してくることが想定されるのは、基本的に虐待している親族だと思うのですけれども、虐待している親族が市町村による後見申立てに反対するのは当たり前のことでありまして、だけれども反対されたからといって後見申立てをやめることにはならないわけです。
 ですから、そういう訴訟リスクを親族調査を行うことで回避できるのかといえばそれはできないので、それは結局、虐待対応について法律専門職などとも連携を図っていただくなどして対応するしかないのです。
 利用促進の基本計画では、市町村は中核機関を設置してそこに法律専門職も関与して連携を図りながら後見制度の利用を促進していくということが示されていますので、基本計画が想定しているような中核機関の機能が整備されていくことで、そういう訴訟リスクに対する懸念も解消していくものだと思っています。
 基本計画が求める市町村長申立ての充実強化のためにも、ぜひともこの機会に厚生労働省の通知の改善をお願いしたいと思っております。
 どうもありがとうございました。
○秋山座長 ありがとうございました。
 それでは、少しお時間を残していただきましたので、質疑応答をお願いしたいと思います。
 どうぞ、構成員のメンバーの皆様はじめとして、何でもお聞きになりたいこと、いかがでしょうか。ぜひ、挙手でお願いできればと思います。
 もしなければ、今、御説明をいただきまして飛ばしますとおっしゃられた部分で、これだけはもう少し追加などは。
 豊田市さん、ありますか。ありがとうございます。
 どうぞ、中野さん、御発言お願いします。
○中野構成員 豊田市の中野です。よろしくお願いします。
 虐待事案の例の中での御説明、ありがとうございました。
 ただ、首長申立てをした後に、戸籍調査を省略することはあるのですけれども、では申立てをしました。後見人がつきました。その後はどのような形というか、後見人さんが戸籍調査をしていくのか、親族調査をしていくのか、していかないかというのはどちらかなという部分です。
 虐待事案も一生ずっと分離ではなくて、また地域のほうに帰っていく可能性もあるという部分で、虐待が解消したというか、地域のほうに戻るとかということもあったときに、やはり親族調査は首長申立てをするまではしなかったとしても、その後どうなっていくのかを知りたいのでお聞きしたいと思います。
○秋山座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
○日本弁護士連合会(高江) 説明を省略したところに関わるのですが、説明を省略いたしましたのは、虐待事案で親族調査を省略できるようにすべしというのは、そこで言う親族調査というのは、ずっと申し上げていますように親族が申立てをするかどうかの意向を確認することを省略することなのです。
 ですので、それはその虐待事案で、例えば養護者支援を行うとかあるいは本人を支援するために協力してもらえる親族がいるかどうかを探すとか、そういう親族に関する調査をするなと言っているわけではないわけです。それはそれで、虐待対応の中で当然必要に応じて行うことですし、それから後見人がついた後もそれは後見人が必要に応じて調べることだと思っています。
○秋山座長 ありがとうございます。
 そうすると、親族調査というよりも、親族意向調査と分けたほうが分かりやすいかもしれないですね。
 親族調査は必要なのだけれども、親族の意向調査は虐待などの場合は要らないという意味でよろしかったでしょうか。
○日本弁護士連合会(高江) はい。
 意向調査ということと、その意向の内容は親族が後見制度の利用に賛成か反対かということではなくて、親族が後見申立てをする意向があるかどうかだということが、ポイントだと思っています。
○秋山座長 ありがとうございます。
 ほかに御質問等、ございますでしょうか。
○南認知症施策・地域介護推進課課長補佐 事務局でございます。
 残り1分でございますので、もし御発言があれば最後にいただければと思います。
○秋山座長 分かりました。
 事務局のほうから残り1分ということなので、ぜひもうお一方ぐらいの発言でしたら時間があるそうですので、いかがでしょうか。
 それとも高江先生、もう少し飛ばしたところで付け加えることはありますか。
○日本弁護士連合会(高江) 飛ばしたところで説明したいところはあるのですが、1分では難しいので、補充の意見書などを出させていただければと思います。
○秋山座長 そうですか。
 いいですか。
○日本弁護士連合会(高江) はい。
○秋山座長 分かりました。
 では、日弁連の高齢者・障害者権利支援センターの高江先生からのお話を終わらせていただきます。ありがとうございました。
 それでは次に、先ほど順番が前後しますというお話をさせていただきましたので、一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会様、資料4になります。
 資料4について、全国手をつなぐ育成会連合会様より、御説明をお願いいたします。
 大丈夫でしょうか。
○一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会(又村) ありがとうございます。
 全国手をつなぐ育成会連合会の常務理事の又村と申します。
 本来であれば、会長の久保が冒頭に会の概略などをご説明申し上げ、実務的な部分を又村から説明する予定だったのですが、久保が所用のため、冒頭から又村がお話させていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日は、成年後見制度の市町村長申立てに関する意見のヒアリングの機会をいただきましてありがとうございます。私どものほうからは、特に知的障害、発達障害のある人の本人及び家族の立場から意見を申し述べたいと思います。
 1枚、めくってください。
 私ども一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会、長いので全育連と略させていただきますが、もともとは昭和27年に設立をされました。知的障害児を育てていた母親3人が、当時は特に就学の保障を求めて立ち上げたことがきっかけの団体でございます。昔は、御案内のとおり精神薄弱者と呼ばれていましたので、精神薄弱者育成会という名称でしたけれども、こちらも御案内のとおり名称変更の法律が施行されたことに伴いまして、今は手をつなぐ育成会という名称になっております。
 全国に55の正会員がございまして、47都道府県に全て正会員があるほか、政令市は8つの正会員ということで、55正会員がございます。それを7つのブロック、いわゆる関東甲信越とか東北とかそういったブロックに分けて、ブロックごとの活動を中心に行っております。私ども全育連の事務局は全国全体の取りまとめ及び、施策提言、あるいは要望活動などを行っております。
 会員数はちょっと正確な数字を押さえている最中でして、10万人から15万人ぐらいの間の会員数になっているものでございます。
 それでは、団体の概略はこの程度にしまして、次をめくってください。
 今回、障害当事者団体には視点2、それから視点3についての意見を寄せるということで御指示をいただきましたので、視点1は飛ばして視点2の地方自治体、特に市町村長申立て担当部局に求めることについて、大きく3点、御説明申し上げます。
 1点目は、成年後見制度利用支援事業の予算に関することになります。
 これは市町村だけではなくで、国にも求めたいことになりますけれども、いわゆる首長申立ては、親族がいない、もしくは申し立てる気がないということで、御本人が1人でおられるときに首長さんが親族に代わって申立てをするということになります。そうしますと、成年後見制度利用支援事業の利用が非常に濃厚になるわけですね。特に、御本人が親御さんから莫大な遺産を受けているというケースを除くと、多くの場合には御本人にもうお金がないので、経費の補助を含めての支援事業の利用が必要になるということになります。
 障害分野においては、御案内のとおり支援事業は地域生活支援事業の中で必須事業になっているところではありますけれども、十分に予算が取れているかというと、これはケース・バイ・ケースでして、中には事が起こったら考えますというスタンスで運用している市町村もあるやに聞いております。
 そうなりますと端的に言うと、お金に合わせて動くということが起こり得てしまうのではないかという疑念が拭い去れずに、十分な予算が確保されることは求めたいと考えているところです。
 ただしこれは、市町村側からの事情もあって、この地域生活支援事業、あるいは介護保険の地域支援事業は、いわゆる包括補助でして、予算の範囲で2分の1以内、都道府県は4分の1以内ということになりますので、障害分野においては地域生活支援事業の必須事業で、相談の仕組みであるとかあるいは移動支援であるとか、その他事業、いわゆる任意事業の中にも日中一時支援のように、ほぼ悉皆でやらなければ地域が回らない事業がめじろ押しになっていまして、これらを頑張ると市町村の持ち出しが増えるという財政上、非常に悩ましい状況があり、この仕組み自体が課題だろうという認識は持っています。
 あくまで、市町村の部局に求めることという切り口ですので、タイトルとしては予算確保をしっかりしてほしいということになるのですが、予算確保がしにくい仕組みになっていることも含めてぜひ御議論をいただければというのが1点目でございます。
 おめくりいただければと思います。
 次が、親族調査等の迅速化です。
 これは今、日弁連さんからもお話があったように、一番手っ取り早いのは簡略化することとは思いますけれども、今の時点では、まず2親等以内の有無は確認する、いないのであれば4親等まで広げて確認することになっています。2親等がいないか音信不通であるケースが多いから首長申立てになっているわけですので、そうすると実質4親等親族まで調べましょうかということになると、市町村に専任の職員がいるケースはまれですので、ほとんどの市町村では兼務でやっている。あるいはケースワーカーがたまたま当たったら、そのケースワーカーがやることになっていますので、申立てまでにえらい時間がかかっていることも承知しております。
 緊急性が想定されるというか、やらなければいけないから当然首長申立てをするわけですから、少なくとも遅いのはよくないだろうということで、必要人員の観点で言えば、少なくとも2親等親族がいないことが確認された場合に、確実に応援職員が配置できるといった仕組みを整えていただいて、迅速に首長申立てが実現できるようにしていただきたいなと考えておりますし、この後、視点3の中でも触れますけれども、本当に緊急で必要であればそれはやむを得ない措置を発動すべき案件でしょうから、その部分との兼ね合いで進めていただければという期待があります。
 おめくりください。3点目です。
 後見人等が選任された後のお話になります。今、豊田市さんのほうの日弁連さんへの御質問も多分、そういう趣旨もあったのかなと思ったのですが、今は首長申立てで後見人等が選任された後は、当たり前ですけれども後見人等が障害福祉サービスの利用調整とかも含めて被後見人等の支援をするわけですけれども、他方で申立てをしたのは市町村等ですし、先ほど言ったように経済的に余裕がない方も多いでしょうから、そういった方には申立ての費用と報酬を出すわけです。
 公金からお金を出している立場の市町村がいたとして、選任された後見人等と定期的な意見交換などを行っている事例というのは、残念ながら全育連としては寡聞にして知らないわけです。簡単に言うと、選んだ後は後見人等にお願いしますということになっているわけですが、お金は何しろ役所が払っているわけですので、説明責任は生じるのではないかと。何らかのフォローアップが必要ではないかということです。
 ただ、これに関しては、御案内のとおり利用促進法で中核機関の中に後見人支援機能を盛り込むことになっていますので、この中で確実にフォローアップがされていくということであれば、これはぜひこの方向で進めていただければと考えております。
 以上が視点2の3点になります。
 おめくりください。視点3でございます。
 ここについては種々御意見もあろうかと思いますし、また意見が割れるところかと思いますが、意向調査の省略についての意見です。全育連としては十分に慎重な検討が必要と考えております。
 先ほど日弁連さんのお話、特に豊田市さんとのやり取りも拝聴していて、その意味では非常に心強く感じたところではありますけれども、まず私どもの資料に基づいて御説明します。
 まず、一刻を争うのであれば「やむを得ない措置」が発動される。これで緊急一時保護が対応されますので、本人の安全は確保される。その次のステップとして首長申立てに進むということなので、先ほど時間がかかるのはよくないと申し上げましたが、他方でやむを得ない措置が効いている限りは身体生命への危険性は低いという状況で首長申立てが行われると考えています。
 他方、ここでは虐待と限定していますので、養護者からの虐待以外考えられないと思うのですが、養護者からの虐待で事が起こる背景は障害者虐待防止法の結果報告の中でも分析されていますけれども、簡単に言うと世帯に対する公的な支援が少なくて、家族がかりになった結果として殴ってしまいました、食事を与えませんでした、この辺が通報されて虐待で上がってくるわけですね。
 先ほど、豊田市さんもおっしゃったように、一度養護者虐待があったからと言って、永久に家族分離をして、本人は絶対に家に帰らないわけではないので、というよりも虐待防止はそもそも養護者支援をするための法律なので、その観点から最初の入り口のところを省略してしまうことの懸念があるということです。
 そうではない市町村が多いと信じていますけれども、ただ残念ながら一部の自治体では入り口のところで関係がないので、その後も簡単に言えば分離しっぱなしでいいという判断をしてしまうことが懸念されるということで、事務負担の軽減であるとか、本来すべきケースワークの時間を割くということについて異論はありません。この視点3は十分に慎重な検討が必要と考えると書かせていただきましたが、その趣旨は、もし意向調査を省略するのであれば、それとバーターで障害者虐待防止法に基づく養護者支援を確実に行うことを市町村に求めるような運用にしていただきたいという趣旨とお考えいただければと思います。
 少し雑駁になりましたが、全育連からは以上でございます。ありがとうございました。
○秋山座長 ありがとうございました。
 それでは、皆様方からいかがでしょうか。御質問等、いただければと思います。
 ぜひ、挙手でお願いをいたします。各市町村さん、構成員のメンバーの皆様も大丈夫でしょうか。
 それでは、また後でお時間があれば総括して全部に御質問をいただくような形にさせていただいて、先に進めさせていただいても大丈夫でしょうか。いいですか。
 それでは、ありがとうございました。
○一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会(又村) ありがとうございました。
○秋山座長 追加も含めて、後でまたもし御質問等、御意見等あればいただくということにします。
○秋山座長 分かりました。そうでしたね。ここまでということで。
○秋山座長 どうもありがとうございます。
 それでは、次に移りたいと思います。
 公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート様、どうぞよろしくお願いいたします。資料2になります。
○公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート(川口) 私、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートの副理事長をしております川口と申します。
 今回、こういう機会をいただきましてありがとうございます。私どものほうで各支部との連絡を取りながら資料をまとめましたので、その結果に関しまして担当しております野村のほうから御説明をさせていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○秋山座長 よろしくお願いいたします。
○公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート(野村) 公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートの常任理事の野村と申します。
 それでは、当法人が提出しております資料の御説明をさせていただきます。
 当法人には、全国の都道府県に50支部がございまして、約8,000人の司法書士正会員がおりますけれども、今年の10月にこの50支部に対してアンケート調査を実施いたしまして、市町村長申立てに関する事例の収集と意見の募集を行いました。
 本日、提出しております資料は、そのアンケートの結果を参考に作成しております。資料は表紙、団体概要の次の1ページ目が意見で、2ページ目が意見の裏づけとなる事例を記載してございます。
 では、団体概要の次の1ページ目の意見を御覧ください。
 1ページ目の意見のまず1ですけれども、「成年後見制度における親族への申立ての意向調査に関する課題について」は、(1)虐待事案、そのおそれのある事案を含む。その他緊急を要する場合につきましては、2親等以内の親族の有無の確認の省略をすべきであると考えます。
 実際に、事例1にもございますとおりに、虐待が疑われる事案で2親等以内の親族調査を行って、戸籍調査だけで多大な時間を費やしたという事例が報告されております。
 次に(2)、これは虐待事案に限らないのですが、2親等以内の親族がいる場合でも、審判請求する者がいないときは、市町村長が速やかに審判請求すべきであると考えます。
 (3)、上記(2)の確認につきましては、当該親族の状況や本人との従前の関係、その他の事情から審判請求を期待できないと判断される場合は、意向照会をせずとも、当該親族は審判請求しないと判断すべきであり、連絡がつかない場合や書面による意向照会に対して回答がない場合なども審判請求をしないと判断することができるとすべきであると考えます。
 事例の2にもございますとおり、2親等以内の親族であったとしても、本人と関わりが薄く、または関わりたくない者もおり、意向確認に時間がかかるケースがございます。
 さらに(4)、上記(2)の審判請求をする者とは、申立人として主体的に申立て事務を行う意思があるものとすべきであると考えます。
 事例3ですとか事例9もそうなのですけれども、市町村長申立てを回避するために、申立て事務を支援者が行って形式的に親族に申立人になってもらうケースが見受けられます。
 続きまして、2の地方自治体の申立担当部局に求めることですが、まず(1)、マニュアルの整備等迅速な申立てが可能となる体制を整え、申立てが必要な事案については、積極的に申立てを行うことをお願いいたします。
 続きまして(2)、申立てに当たっては親族に対し丁寧な説明をすることをお願いいたします。
 さらに(3)、申立て後も後見人等を支援する体制を構築することをお願いいたします。
 事例6にありますとおり、後見人選任後に行政に御協力いただけない、潮が引くようにいなくなってしまうようなケースというのが、複数報告されております。こちらのほうは、先ほど又村さんのお話にもあったように、中核機関が整備されれば、解消されることにはなるかとは思います。
 続きまして、「3その他の市町村長申立に関する要望」になります。
 これは親族調査とは関係がないのですが、その他の要望も記載してよいということでしたので、書かせていただきました。
 まず(1)ですけれども、本人の居所または住所地と、住民票所在地とが異なる場合における申立てにつきましては、介護保険制度の利用者、障害福祉サービスの利用者、または生活保護を受けている者については、それぞれその担当の市町村の長が、申立て事務を行うことを原則として、その他の場合には本人の居所または住所地の市町村の長が申立て事務を行うこととするほか、迅速な申立てを可能とするために、事案に応じて柔軟に対応できる体制を構築していただいて、どの市町村長も申立てをしないという事態が生じないような体制を整備していただきたいと思います。
 事例7にもございますとおり、自治体同士がお見合いをしてしまって必要な申立てがなされないというケースが報告されています。
 また、自治体によっては、利用支援事業による申立て費用、報酬助成について要件が異なることから、事例8にございますとおり、どちらの自治体で申し立てるかによって、報酬助成制度の利用の可否が異なるケースもあり、または場合によっては助成の限度額が大きく異なることもあり得ますので、そのようなことがないようにしていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、(2)市町村長申立てが、利用支援事業による申立て費用、報酬助成の要件となっている自治体がございますが、そのような要件はぜひ撤廃していただきたいと思います。
 また、そのような要件がある自治体においては、事例9にもございますとおり、市町村長申立てを回避するケースも報告されておりますので、そのようなことがないよう殊更申立てを積極的に行っていただくようお願いいたします。
 資料の御説明は以上となります。ありがとうございました。
○秋山座長 ありがとうございました。
 それでは、構成員のメンバーの皆様から、併せて御質問だけではなく御意見もいただきたいと思いますので、ぜひ挙手をお願いいたします。
 ありがとうございます。豊田市さん、どうぞ。
○中野構成員 豊田市の中野です。よろしくお願いいたします。
 資料の1番の(1)、虐待事案のところなのですけれども、2親等以内の親族の有無の確認をすべきであるということなのですけれども、先ほど弁護士の先生からもお話があったのですけれども、例えば後見人がついた後も必要に応じてリーガルさんのほうでも、戸籍調査をして親族の調査、もしくは意向調査をしているかどうかという部分で判断してやっていただけるのかという部分、先生と同じ考えでよろしかったかという部分を確認したいと思います。
○秋山座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
 では、川口さん、お願いします。
○公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート(川口) 川口のほうからお答えさせていただきます。
 考え方は同じでありまして、基本的に虐待事案は養護者支援を中心に行わないと虐待自体がなくならないケースがほとんどだと私は思っておりまして、そのためにも、やはり親族関係の調査が必要になってくるケースが多いと思いますので、そこを省くというのは考えていないと思います。
 それは、ただ虐待事案における後見制度の申立てに関してそれを行ってからでないといけないということとはやはり違うと、それは日弁連さんを同じ考えでございます。
 私も経験している中では、2親等内の親族を調査することによって、中には養護者、例えば母を虐待している長男の場合に、同居している父親がいて、父親が申立てをすると言っているのですけれども、長男が両方に影響を与えていることによってなかなか申立てが進まない。そうしているうちに半年とか1年たってしまうというケースが中にはあります。そういったような問題はここに書いてありますように、先ほど日弁連さんもおっしゃっていましたように、緊急性があって特に虐待事案でありますので、そこを重視して、手続きを省略しつつ申立てをすると言っている人がいても、そこは本人保護を重視すべきだということで、こういう話をさせていただいております。
 そういったケースというのはほかにも多くあります。ですから、虐待事案においては、この(1)に書いてあるような形を取らせていただければと考えております。
 以上です。
○秋山座長 ありがとうございます。
 豊田市さん、大丈夫でしょうか。ありがとうございます。
 高江先生、お願いいたします。
○日本弁護士連合会(高江) 先ほどの、後見開始後に調査をするのかどうかという点ですけれども、まずそもそも虐待対応として、協力してもらえる親族がいるかどうかを探すのは当然やるのだということを申しましたけれども、いわゆる今、問題になっている親族調査というのは、申立て意向があるかどうかの調査だということですけれども、戸籍をたどって照会書を送って確認をするという、そこにすごく時間がかかるわけなのですけれども、虐待対応で協力をしてもらえる親族がいるかどうかというときに、戸籍をたどらないと分からないような親族は、そもそも虐待対応として本人の支援に協力を得られるようなことはないだろうと思うのです。
 どんな事案でも、市町村あるいは地域包括さんとかで、親族関係についてヒアリングとかをして、協力してもらえる親族がいるかどうかはその段階で確認されると思うのですけれども、その段階で出てこないような親族は、わざわざ戸籍をたどって協力を求めるような必要はないのだろうと思うのです。
 ですから後見人としてついた後も、そういう親族がいるかどうかを戸籍をたどってまで調べるということはあんまりしないだろうと思います。
 後見人がついてから、戸籍とかを調べることは死後の引継ぎのために戸籍を調べるかどうかという問題があったのですけれども、それも今は後見人としての権限としてはなかなか難しいことにもなりつつあって、ですから必要に応じて親族に関する調査もしますけれども、戸籍をたどってまで調査をすることは、後見についてからやることはあんまりないですし、それはそういう調査は後見申立ての段階でもそこまではする必要がないのではないかということです。
○秋山座長 ありがとうございます。
 戸籍をたどってまでやる親族は遠いし、関連がないことも多いのでやらなくてもいいのではないかという御意見をいただきました。ありがとうございます。
 豊田市さん、中野さん、どうぞ。
○中野構成員 先生、ありがとうございました。
 ただケースによって、事例としても戸籍をたどって後から協力をもらえたケースもある部分なので、一律、後見についた後はもうしませんではなくて、そこの虐待の措置をしたところの市町村の担当者とよく話し合って決めたほうがいいかと。一律にやりませんというのはないかなと現場としては思います。ケースによって違うという部分があるかと思いますので、そこはやはり後見人の先生と虐待の担当の部署とよく情報共有とかケース検討会とかもやるとは思いますので、そのときにいろいろ検討していただきたい。一律だけはやめていただきたいと思います。
○秋山座長 ありがとうございます。
 いろいろな意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。
 ほかの方は大丈夫でしょうか。
 それでは、次に移らせていただきます。
 次が、公益社団法人日本社会福祉士会様、資料3について、よろしくお願いいたします。
○公益社団法人日本社会福祉士会(星野) 皆様、日本社会福祉士会の理事の星野と申します。
 このたびは貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私どもの団体につきましては、次のスライドのところに簡単にまとめさせていただいておりますが、事業内容のところの一番に「権利擁護センターぱあとなあの運営」とございます。
 今回のヒアリングにつきましては、権利擁護センターぱあとなあの中から、私、星野と田村の2人で本日は参加させていただいております。
 ぱあとなあは成年後見に特化した運営ではなく、虐待対応、未成年後見などの権利擁護に関わることを取り扱って今、運営を進めております。
 それでは、次のページから意見として3点まとめております。
 主に1番のところが中心になりますが、それでは、田村さん、御報告よろしくお願いいたします。
○公益社団法人日本社会福祉士会(田村) 本日は、よろしくお願いいたします。
 まず社会福祉士会としては、成年後見制度に対する親族の申立ての意向調査に関する課題ということで、この意向調査につきましては、第1回の会議及び先ほど来からの報告や質疑でもあったように、親族の有無ではなく、申立ての意向があるかどうかの認識であるということを最初に確認をさせていただきたいと思っています。
 第1段落目に書いておりますように、全国の団体ですので各市町村で、我々会員が直接行政の担当者あるいは福祉現場で実践をしている状況の中から、この虐待事案における親族調査の意向調査のことも含めて、その取組に大きな差があるのだということについては、実感をしているところではあります。
 そのことにつきまして今回、お願いの一つとしましては、高齢者のほうも障害者のほうも厚生労働省が関与された虐待対応の手引きの活用が各市町村において、十分になされているかどうかに関しては、もちろん各市町村で整備されているマニュアルも活用されていると十分言えるのかについて、再確認をしていただきたいと思っているところです。
 日弁連のほうからもありました。厚労省から出された通知の問題と、今、申し上げている手引きとの関連も含めて、今回のこういうヒアリング等を通じて、再度改めて原則的な考え方につきましてはそれぞれのローカルルールではなくて、原則的な考え方ということの手引きの活用、あるいは通知の見直しについてぜひお願いをしたいと思っているところであります。
 その理由につきましては、今までは首長申立てをすることの意味と虐待対応の中での申立について明確に記述がされてきたかどうかにつきましては、成年後見の申立て側の手引きの問題と、行政の虐待対応の手引きとの整合性について、十分協議をする場があったか、少し疑問の残るところでありますので、今回のような利用促進を踏まえて、全体的に整合性も踏まえながら見直していただきたいと思います。
 特に、虐待事案におきましては、第1段落目にも書かせていただきましたように、最終的な申立ての段階であることを認識すると、いかに早く申立てをして後見人等を選任する必要があるかどうかとが非常に重要になってくると認識しています。
 そのことについては、日弁連、リーガルサポート等と専門職団体としては同じ認識であると感じているところではあります。
 そのときに、セルフネグレクトの問題も含めて最終的に本人の意思で申立てができるということについて、それが一番望ましいのかも分かりませんが、残念ながら虐待事案においては御本人の意思で申立てをすることが不可能な事案が多い中で、首長申立てが可能となった背景も踏まえながら、迅速に申立てをしていただくことを改めて確認をお願いしたい。
 それにつきましては、先ほど来から出ている親族の意向の調査ということについての事務時間の要することが、本人のメリットには十分につながっていないのではないかと感じているところです。
 あと、家庭裁判所との関係も少し書かせていただいていますけれども、行政のほうが様々なプロセスを踏まえて迅速に対応しようということで、特に虐待対応についてなされることがあった場合も、家庭裁判所の理解が不十分である事案も散見されるようになってきていることを考えると、今回、先ほどの虐待の対応の部分と、首長申立ての手引きのところの整合性について、もう一回この機会に見直しをお願いしたいと申し上げましたが、この利用促進の大きな流れの中では家庭裁判所からも特に虐待事案に関しての理解を、行政とともに共有する場みたいなことを特に都道府県がその辺は大きく関与していただく必要があるのかも分かりませんけれども、御一緒に見直す機会としていただきたいと思っているところです。
 あともう一点、この後の2番とも関係していきますので、詳しくは2番での御説明になっていくと思いますけれども、虐待対応の場合に首長申立てをしたからといって、御家族等との関係が分断されるとなっているわけではないです。このことに関しては、虐待対応のプロセスでいかに虐待の事案を終結していくか、なぜ、家庭であればどの家庭で虐待が起こってしまったのかということの背景とか要因を分析してどのような形で養護者の方の支援をすべきか、あるいは地域にどのような形で戻っていってもらうことが御本人の安全安心、あるいは障害者の方の場合は自立に向けて再出発していただくことができるかを、十分に行政の責任の下で分析をしていただくということをお願いしているところですので、その辺りも含めて今後は中核機関等との関係の中で整理をしていただきたいと思っているところです。
 少し長くなりました。申し訳ありません。星野さん、よろしくお願いいたします。
○公益社団法人日本社会福祉士会(星野) 田村さん、ありがとうございます。
 引き続いて、2番以降、星野から御説明いたします。
 ただ、今の1番のところを若干補足させていただきたいと思います。
 1番目の資料のその前の資料になります。下から3段落目のところです。今まで話題になっております親族の申立ての意向調査のところは今までお話があったとおりなのですが、ここに書かせていただいたのは申立人を1人に決めなければならないということではないということを書かせていただいております。つまり、首長申立てをすることによって、親族が申立てをすることを拒むことではないということを触れておきたいと思います。
 続きまして、2番について御報告をさせていただきます。
 2番は、「地方自治体の市町村申立担当部局に求めることについて」ということで、これまでリーガルサポートさんのほうからも御指摘があった利用支援事業との関係について説明をさせていただいています。首長申立てに限定されている自治体が多いところから、報酬助成と併せて申立てに対して消極的になっている実態もあるのではないかところと、さらに利用支援事業についてのそもそもの組み直し、これは育成会の又村さんもおっしゃっていましたが、このような運用でいいのかというところの課題提起をしております。
 また、本会としても内容が精査できておりませんが、ここの課題が市町村だけで解決できる課題ではないと認識しております。
 後見人としては選任された後に、利用支援事業との関係において御本人にとって適切な住まいであるとか、そういうところを検討するときに住民登録が異なっている自治体の運用が様々であるところから、なかなか積極的に身上保護を図れないという実情がなきにしもあらずというところでは、こことの関係は特に虐待対応においては非常に大きな課題が幾つもありますので、全国統一ルールというものをそろそろ示していただきたいと思います。
 そして最後の3番でございますが、これはその他意見になりますが、そもそも今、議論されているこの協議会の中で、地域をまたぐという案件の話も協議会の1回目で出ていたと思いますが、地域をまたぐというところの前に、これも先ほどリーガルさんの事例でありましたが、そもそも住民登録ができないという方がやはりいらっしゃるのですね。長期入院の方に多いと思います。
 住民票が職権消除されてしまう事例です。ここでも、例えばというところで事例を挙げておりますけれども、こういう状況になりますと、そもそも適切な親族がいなくて、首長申立てを検討する前の段階からの課題として出てしまっております。
 先ほどの事例ではどちらがやるかという議論ですが、そもそも住民登録がされていない、住民票が消除されてしまっている。この事例は今は中核機関ですが、過去は社会福祉協議会でこういった支援をされていた方が、本人申立てでやむなく支援に入ったという事例でございます。
 こういったところも踏まえて、今後、協議会で議論をしていただけると非常にありがたいなと思います。
 1回目の協議会の記録を見させていただいて、皆様が申立てだけの話ではなく、後見人が選任された後の支援も踏まえた議論をされていらっしゃることを非常に心強く感じております。
 以上です。ありがとうございました。
○秋山座長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。御意見、御質問ございますでしょうか。
 御質問だけではなく、御意見でも大丈夫ですので、構成員の皆様、どうぞ。
 中野さん、どうぞ。
○中野構成員 何回もすみません。
○秋山座長 いえいえ。活発に議論したいと思います。
○中野構成員 3番の住民登録の問題の件なのですけれども、長期入院されている方が、なかなかその病院の所在地に住民票が置けないことが、実際にあるのだということを感じました。
 そのときに後見人をつけるに際して、こういうメリットがあるということを病院のワーカーもしくは院長等に丁寧な説明をすれば、御理解いただけるのではないかということを感じている部分で、意見というよりも感想を言わせていただきました。
 以上です。
○秋山座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○公益社団法人日本社会福祉士会(星野) ありがとうございます。
 おっしゃるとおりだと思うのですが、そもそも後見の必要性というところが共有できても申立てをできる人がいない、本人申立てもできないケースも多い中で、首長申立てというものがあるのに、それを活用することができないということが問題になっているかなと思っております。
 御意見ありがとうございました。
○秋山座長 ありがとうございます。
 それでは、ほかの皆様、よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、次に移らせていただきたいと思います。
 次に、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会様、資料5についてよろしくお願いします。
○公益社団法人全国精神保健福祉会連合会(小幡) 全国精神保健福祉会連合会の小幡です。どうぞよろしくお願いいたします。
 当会は、精神障害者の当事者を抱えている家族の会になります。その視点から本日いただいた課題について発言したいと思います。
 私どもの会は、最近親御さん、それから兄弟の方に加えて、とりわけ配偶者や子供の立場というところからの御家族の方の参加も増えてきておりまして、この虐待案件等に関しても、その立ち位置によっていろいろ見え方が違うところがあるようなのですけれども、総じての意見として3枚目のページで示しております【視点2】と【視点3】について報告させていただきたいと思います。
 申立ての虐待案件、虐待されている御本人がどういう状況にあるか、またそれが本当に虐待状況にあるのかについて、どこがどういうふうに判断をし、それを察知するのかということと併せて、今回の申立てについて、家族や親族も理解できるという状況をつくってほしいということがあります。
 虐待と認定する、しないという課題と、この申立てをする、しないということが、どういうふうに整合性を持ってくるのかについて家族としては関心があるとの意見になります。
 後見の必要があるかどうかと、その3類型のどれに当たるかということについては家裁のほうに上がってからになると思いますけれども、この申立てのときに行われる意向調査に関するところによって、今の虐待の状態にあることが算定されるに当たって、人権侵害だとか、また虐待案件とは違うと判断されて、実際は虐待だったとかということが起きるときの内容説明や根拠、所見をどういうふうに後々説明できるかが、詳細に分かるにはどうしたらいいのかという点について、注意していただきたいと思っています。
 ただ、申立ての状況にあるかどうかということと、その必要な状態にあるかどうかというところの、先ほど冒頭のほうで議論がありましたけれども、意向調査の位置づけが違うところについて、家族会の中でも十分理解できていないところがありましたので、そこも整理しながら提示していくことが求められるかなと思っております。
 視点3で言いますと、家族のほうで、申立ての意向をする、しないということについて、その判断すらも及ばないことになった場合に、市町村の首長申立てをしたときに、法律上の権限と実務上の関わり合いが、今度、親族としてはどういうふうになっていくのかということがなかなか分からないと。
 先ほど、どなたかのお話でもありましたけれども、家族間で意見が食い違って、申立てをする意思があるにも関わらず、別の親族の関係で申立てがなかなか進められないと場合に首長申立てになっていくケースがスムーズにいけばいいのです。そこが停滞するようなことがあってはいけないので、迅速にその処理をしていくところについて、親族がどこまで関わるのか、首長、行政のほうがどこまでの守備範囲としてその案件について関わっていくのかについて、非常にすっきりしない案件についてどう対処していくのかについても課題意識を持っていただきたいと思っているということです。
 これは例えば、家族のほうがイメージするのは、児童相談所なども含めて虐待案件についてはなかなか明確に可否を決められないことがあった場合に、どうしてもこの案件を進めていくに当たって、当事者サイドからすると恣意的に行政のほうでその判断がされたというような誤った認識を親族の側が持った場合に、その後の予後のところでいろいろな問題が生じる可能性があります。ここを省略をしていくに当たっても、後の後見が始まるところでの意向調査とよくすり合わせをして進めてほしいと思っているところです。
 あと、本当に社会福祉士さんや後見の専門職の方たちからも御意見出ておりましたこの申立て後の後見類型が確定していく中で、どういうような支援をしていくのかという点と、必ず接点を持ちながら意見調整をしていかないといけないのではないかと思っております。入り口と出口のところの関連性というところで、その責任が家族に及ぶ場合もありますし、そういった対応を後見類型と併せて判断いただきたいということです。
 私たち精神障害者のほうで言いますと、この案件とは別の事柄になりますが、医療保護入院、強制入院の課題が常々あります。法律の中では保護者制度が廃止されまして、家族同意で精神疾患が発症して入院が必要な場合に、どういうふうに入院するかというところで同意を求められることがあります。実質的には保護者同意と何ら変わらない。法律上は変わっているのだけれども、私たちが体感として被保護者との関係性を判断していくときには、何ら保護者としての同意が今までと同じように行われていることがあります。
 これは後見人の方が担当になった場合にも、例えば医療の同意を求められるときには、保護者と同等の判断をしていかなければいけないことがありますので、次元は違うし軸は違うのですが、ぜひこの意向調査の省略というところと、家族に代わって後見人の方がいろいろな事項が進展していくときの同意性というものが、家族がいらっしゃる場合にはどういうような関係性が築かれるのか
 特に、虐待案件については、緊急性が求められることで時間をいかにショートカットで進めていくのかというところでは必要なことだと思いますし、今まで述べてきた点の整理がつけば、私たちからすれば全て首長申立てにして、家族申立て自体をなくしても緊急事態についてはいいのではないかと思うくらいです。その整理がつかない範囲では、先ほど言ったように責任制の問題ですとか、予後の問題に不安がありますので、その辺の調整をうまくしていただきたいということです。
 ちょっととりとめもなく、整理がし切れていない中での発言になりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
○秋山座長 ありがとうございます。
 それでは、皆様方、御質問、御意見いかがでございましょうか。
 どうぞ、川口さん。
○公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート(川口) リーガルサポートの川口です。
 今のお話、よく分かります。
 私も、虐待の案件を見ている限り、虐待案件が市町村にまで入ってくるのに相当ぎりぎりになって、緊急性がある状態で入ってくるケースは多々あると思っています。
 特に医師とか、あるいはデイサービスといったところで、皮膚が剝がれたりいわゆるあざとかを発見しながらの通報ですとか、先ほど言いましたように養護者の影響がある親族が最後に思いを出して通報してくるとか、あるいは民生委員さんが相当ひどくなったことを見て通報してくるとか、そういったケースというのは多々あると思います。
 そういったときに、虐待認定をするのも市町村では相当慎重にやっていると私は思っております。そこの虐待認定をした後に、その対応策として成年後見の申立てをすべきかどうかも慎重に検討しているかと思います。
 その虐待事案で認定されて、慎重に検討された上で後見申立てが必要だということになってこの話になっていると私は思っておりますので、そうしましたらその場合はやはり迅速に申立てをすることが私は必要だと考えておりますので、先ほどリーガルサポートのほうでお話しさせていただいたような親族調査、意向調査に関しては、必須ではないという形を取りたいと考えております。
 特に、虐待の場合は養護者からのすごい反発があって、分離したりいたしますので、反発があります。そういったところに関しても、虐待対応ということに関しては慎重にいろいろやっていかなくてはいけないので、そこのところは先ほどの不安ということはよく分かりますので、それとは別に後見申立ての必要性がはっきりしているのであれば、それは迅速にすべきだと考えております。
 以上です。
○秋山座長 ありがとうございます。
 ほかには、どうでしょうか。大丈夫でしょうか。
 それでは、次に移らせていただきます。
 次に、一般社団法人日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構様なのですが、本日は欠席となりましたために、御提出いただいていた御意見の資料6につきまして、事務局より代読をお願いしたいと思います。
 事務局、よろしくお願いします。
○南認知症施策・地域介護推進課課長補佐 事務局でございます。
 では、私より代読をさせていただきます。資料6のスライドをめくっていただきまして2枚目でございます。
 「成年後見制度における市町村長申立に関する実務者協議に係る意見等(概要・総論)」のところから、お話をさせていただきます。
 民法の一部を改正して平成12年4月からスタートした成年後見制度ではあるが、20年以上経過した現在でも精神障害者への周知は進まず、誰のための制度なのかという根本が曖昧である。これは私たちピアサポート専門員が医療や福祉をはじめとした各領域での実践の中で得る各サービスユーザーの意見として、また自身も当事者であるピアサポート専門員としての実感である。
 今回の視点の中で、何をもって緊急時とするのかという想定をしたとき、それは私たち、当事者の意に反することは、すべからく権利侵害の要素を含むと考えることが重要である。それは、障害者権利条約の理念に照らし合わせても言えることであり、連続した時間を生きる1人の人間として尊重される対応を望みたい。
 緊急時に本人の同意がどうしても確認できない場合もあり得るが、例えば任意後見を精神科救急でも活用されるクライシスプランに位置づけられるものと置き換えた場合、専門職に限らず、本人の周囲の人たちと本人があらかじめ契約内容を明確にできる。本人のための制度であるためには、社会的な道徳や専門職の倫理だけに頼らず、より柔軟な運用ができる制度であってほしいということが当団体の意見である。
 スライドをおめくりください。
 続いて、「地方自治体の市町村申立部局に求めることについて」の課題、3つについて申し上げます。
 課題1、利用する可能性のある方々自身への制度自体の周知が依然として進んでいない。本人にとって分かりやすい、また安心できる制度として理解できる周知をしてほしい。
 課題2、既に転換期は訪れているが、本人へのアドボケート及び意思の形成、意思の表明、意思の実現という場面でピアサポートの活用が重要である。
 課題3、上記2点の課題へ取り組む際に、本人の安心感の肩代わりをピアサポーターのみに担わせることはしない。多職種及び本人を含めた周囲との連携によって初めてエンパワーメントされ得る。
 スライドをおめくりください。
 続いて、視点③についてでございます。利用者やその家族の視点から見て、虐待事案等において親族への申立の意向調査が省略されることについてどう感じるかという点、課題を3つ申し上げます。
 課題1、親族調査を省略した場合に、本人と親族に明確な関係悪化が起きなかったとしても、それは本人の環境への過剰な適応やセルフスティグマによるものが原因。つまり、本人が我慢する、意見表明しないことで問題が見えてこないとも考えられる点に留意してほしい。
 課題2、虐待事案その他の緊急事案の「その他」を明確にするべき。生活の背景にある本人の思いイコール意思は人それぞれであり、それは本人の価値観、選好によって醸成されていく。そのため、親族への意向調査を省略するには、本人の同意が必要と考える。
 課題3、課題2を踏まえて、虐待のおそれがあったとしても、丁寧な意思の形成、意思の表明、意思の実現という意思決定支援が必要。その為には制度運用を連続した時間を生きる1人の人間として尊重する、リカバリーの概念から捉え直すことが重要である。
 スライドをおめくりください。
 先ほど申し上げました、地方自治体の市町村長申立て部局に求めることについての各論となります。
 当法人内でもそもそも制度が分からない、言葉が分かりにくい、仲間、ピアに説明しにくいといった意見があり、従来から指摘されている周知の拡充は課題であると考える。誰のための制度かをいま一度考え直してほしい。
 平成24年度の厚生労働省総合福祉推進事業、課題34、「精神障害者のアドボケイトを担う人材及び精神障害者における成年後見制度の在り方について」でも報告されているが、諸外国では既にピアスペシャリスト、ピアアドボケーターが制度化されており、わが国でもピアサポートの活用を拡充すべき時期にある。
 審問の前に数回は、本人への説明を特に親族の意向調査を省略する場合に求めたいが、ただし、その際にはピアサポーターにのみ本人の安心感を担保させるのではなく、本人も含めた多職種によるエンパワーメントが重要である。
 たとえ医学的及び社会通念上の判断能力が衰えたとしても、連続した時間を生きる1人の人間として尊重してほしいというのが当事者の気持ちである。
 繰り返しにはなるが、成年後見制度の必要性が生じたときに私たち当事者が生まれるわけではなく、私たちは母の胎内から産まれた、もしくはそれ以前から尊厳ある存在であり、私たちのことを、私たち抜きで決めないでという障害者権利条約の理念をいま一度、立法者や行政、制度運営者に考え直してほしい。
 スライドをおめくりください。
 3つ目の視点の、利用者やその家族の視点から見て、虐待事案等において親族への申立の意向調査が省略されることについてどう感じるかについてです。
 当法人内でも、虐待時には省略したほうがいい、緊急時だからこそ親族との関係を大切にしたい、省略しないほうがいいという様々な意見がある。
 その背景には、精神障害への無理解や偏見を経験してきた当事者一人一人からの言葉であることを理解していただき、制度の柔軟な運用を求めたい。虐待があったとしても、そのことを本人がどう理解しているかを確認することもなく、周囲の人間だけで決めてしまうのではなく、でき得る限りの本人への同意を得るようにしてほしい。
 そのためには虐待のおそれとは別に、その他緊急時という表記を明確に定義するか削除してほしい。成年後見制度の理念を考えたとき、本人の保護と本人の意思の尊重の調和が求められる。
 しかし、本人の意思の尊重については、本人情報シート、生活上の課題を鑑定医に伝える目的や、本人への審問だけでは十分とは考えないほうがいいのではないか。生活上の課題や既存の専門職の立場だけでは見えないニーズを知る意味で、ピアサポーターの活用の可能性も、今後の在り方検討の中で必要ではないかと思う。
 以上でございます。
○秋山座長 ありがとうございます。
 それでは、ここでは御欠席ということでございますので、質疑応答の時間はなしとさせていただきまして、次に移りたいと思います。
 ヒアリング最後の団体になりますが、公益社団法人の認知症の人と家族の会様より、御説明をお願いいたします。
○公益社団法人認知症の人と家族の会(花俣) 公益社団法人認知症の人と家族の会の花俣でございます。本日は貴重な機会をありがとうございます。
 それでは、早速レジュメに沿ってお話をしていきたいと思います。
 次をおめくりいただいて、団体概要になります。
 私どもは1980年の1月に京都で結成された会です。40年間ずっと理念の下に活動を続けているという、まさに認知症の本人と家族のための団体ということになります。
 次をおめくりいただいて、残念ながらいまだ私どもの会の会員の中には成年後見制度を利用している方は非常に少ないことが現状としてございます。
 今日のテーマでありますけれども、この市町村長申立てという対象者になりますと、実は会員の中にはなかなかそういう方はいらっしゃらないこともありまして、今日の場合はあくまでも認知症の御本人と家族の立場に立って、参考意見ということでお話をさせていただきたいと思います。
 まず一点目ですけども、「地方自治体の市町村長申立担当部局に求めること」ということで、日頃交流のない親族に突然、申立ての意向がありますかというお尋ねが来た場合、そもそも制度そのものの周知がまだ徹底されていませんので、こういったことでこれは一体何のことなのかなといったこと、そういう戸惑いがないようにできる限り分かりやすい説明をしていただきたいということになります。
 それから、制度全般についても言えることですけれども、家族親族にとってはこういう申立ての意向がありますかというお伺いだけではなくて、申立てをすることによってどういう道筋になっていくのかもある程度お示しいただければ、それはその家族にとっての安心感にもつながると考えております。
 それからもう一点、申立てに時間がかかってしまうという先ほど来、ずっとそういう御意見がたくさん出ていると思うのですけれども、ここはなるべく迅速にというか、あまり時間がかかりすぎる、それも1週間、2週間といった単位ではどうもなさそうなので、その辺は何とかならないかと感じております。これは率直な意見になります。
 あるいは、自治体の担当者の皆さんから、分かっているけれども実績もあんまりないし、どう進めていいか分からないという本音も聞こえてくるところです。こういった点については、研修の実施であるとか、手引きの作成、あるいはもう少しその専門職に相談できる仕組みといった環境整備も必要ではないかなと感じています。
 次、お願いいたします。
 虐待事案における親族への申立ての意向調査が省略されることについてですけれども、こういったケースについては、本人との関係の近い親族がおられないことが多く見受けられます。
 申立て時に意向調査を行うことで、先ほど来、申し上げているように時間がかかってしまうようであれば、調査を省略することでより円滑に制度利用につなげるほうが望ましいと思います。
 もう一点、認知症の高齢者が同居家族から虐待を受けている、あるいはセルフネグレクトなどのいわゆる困難ケースといった場合の緊急性が高いときには、先ほどありました措置とか一時保護とか、医療機関への一時入院などの対応がなされていますけれども、この場合、親族の意向よりもやはり本人保護の緊急性が優先されるべき。そうであるとするならば、意向調査を省略するなどして、市町村長申立てがスムーズにできるといいなと感じております。
 3つ目の■になります。上記のような困難事例では、例えば既に地域総括支援センターやケアマネさんが関わっているケースが結構多いと思います。本人を取り巻く環境などを把握していることも十分あり得ますので、虐待者と他の親族との関係性を聞き取りなどで自治体は可能な限り調査するなどして、親族への意向調査については時間のかかる同意書などは省略して、自治体による申立てを優先していただきたいということです。
 その次、虐待者と他の親族との関係悪化を防ぐためにも、また本人の権利擁護を速やかに行うためにも、自治体の判断による申立ては関係者全ての調査を待たずに行うなど、柔軟な対応が検討されるのが望ましいのではないか。
 そして最後になります。虐待していない親族が申立てを行う場合、特に虐待者が親族であれば、親族間の関係の調整などが難しい。ケースによっては申立てされる親族に、心理的、物理的な負担を与えてしまう場合もあります。
 例えば虐待者である親族から、何でそんな申立てをしたのかと突っ込みが入る。したがってこのような事態が起きないために、申立てはむしろ自治体が前面に立って進めたほうがよいのではないかというふうにも。
 次のページは、虐待の件数等々の厚生労働省から出ている資料になります。
 この中で赤字で書かせていただいた「認知症の有無」のところに、要介護者認定のうち認知症がある方がかなりいらっしゃるという現状があります。
 次のページをお願いいたします。
 もう一つ、意向調査が省略されることについての、ちょっと視点を変えたところなのですけれども、先ほどお話にあったかと思うのですけれども、虐待案件が落ち着くケースというのは、認知症高齢者を介護している家族の場合は結構こういうケースはあると思うのです。
 入所施設などで虐待者と分離ができた。あるいは経済的虐待で、債務の整理ができたといったケースにおいては、専門職関与の必要性が薄くなった場合に、後見人選任に適切な親族がおられる場合であれば、親族後見人にリレーできるといった柔軟な運用があれば、本当の意味での制度利用後に親族の意向も酌んだ本人支援ができると思いますので、そういったことももし可能であれば検討していただきたい。
 ちょっと1つ飛ばしまして、虐待が継続するものではなく特に後見人が選任され本人の生活環境が整うと落ち着くケースも多い。その時点で、専門職以外の後見人、例えば親族、あるいは市民後見人に引き継ぐという流れが構築されれば、後見人選任を希望されて、かつ本人にとってふさわしい親族がおられるとするならば、その親族は安心して引継ぎ、あるいは後見人等の業務を行うことができるのではないかなと思います。
 また、今の2点について後見人、あるいは親族が後見人を引き継ぐ場合に関しては、中核機関やチームでの支援体制というものが途切れないようなネットワークができることが求められると思います。
 成年後見制度の利用促進計画の中間検証の報告書の中にも、市区町村における地域ネットワークの整備や、事業の状況に応じた迅速な対応について国から自治体に対する働きかけや、国が主催する研修等において周知を図ることが必要である。
 そういったことも報告書の中に書かれておりましたし、こういうネットワーク、中核機関というものの整備がここで求められるのかなと感じております。
 それから、一番大事なことは、虐待者が虐待に至った経緯を十分に御理解いただいて、後見人との関係が構築されて虐待のリスクが軽減された段階で、適切な親族に引き継ぐ場合には自治体を含めて虐待事案の終結の判断をきちんとしていただいて、そしてさらに上記で述べたような検討があればいいなと思っています。
 最後の資料なのですけれども、これは虐待の発生要因にずっと件数と一緒に出ています。虐待事案というのは、被害者と加害者になるのですけれども、認知症高齢者の介護の場合、必ずしも被害者、加害者ではなく、ある意味両方が被害者。私たちは、一生懸命介護をして抱え込むがゆえの善意の加害者というふうにも捉えておりますので、その辺りも御理解いただいて、こういった柔軟な対応についても御検討いただければと感じております。
 私からは以上になります。ありがとうございました。
○秋山座長 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明につきまして、御意見また御質問がございましたらば、お願いいたします。
 もしなければ、全体にわたって何か御意見、御質問等ございましたらいかがでしょうか。
 特に構成員の皆様、これでヒアリングが終わりになりますからせっかくですので発言をと思います。
 中野さん、お願いします。
○中野構成員 豊田市の中野です。度々申し訳ありません。
 今後、議論をしていく中で、最終的に家庭裁判所とのやり取りがどうなっていくのかという部分が肝ではないかなと思っています。
 利用支援事業の話とかに関しても、自治体側からしてみると予算措置するにもなかなか判断基準が明確ではないという部分。ですから、各市町村のやり方によってばらばらで、利用者にとってみればどこを優先して使っていいかというのが分からなくなってくるという部分があるのかなと思ったりしますし、あと親族調査する、しないなどという部分に関しても、最終的には家庭裁判所が決めることという部分があるので、そこもしっかり国の方と裁判所とでしっかりと協議をしていただきたいとは思ったりします。
 あと最後、専門職の方々からもいろいろ虐待の派遣チームとかという形で各自治体にいろいろな勉強とか研修、ケース検討会に入っていただいたりしておるのですけれども、そこも虐待なら虐待とか、消費者問題なら消費者問題とかという部分の専門職の団体さんも縦割りにするのではなくて、権利擁護の視点を持った形でのいろいろな派遣だとかをしていただけると、横串が入って、また行政のほうも高齢者、障害者とかの横串が入って使いやすくなるのかと、この議論を通して思った部分になりますので、国の方、よろしくお願いいたします。
○秋山座長 貴重な御意見ありがとうございます。
 今日は、家庭裁判所の方は御出席いただけていないですね。もし、よかったら家庭裁判所の方にもお伝えをしていって連携を取っていかなくてはならないと感じています。
 どうぞ、お願いします。
○南認知症施策・地域介護推進課課長補佐 オブザーバー席の最高裁の方が手をあげています。
○秋山座長 ありがとうございます。
 今、最高裁の方が御説明をくださるということで、お願いします。
○最高裁判所(齋藤) 
 最高裁判所家庭局の齋藤と申します。よろしくお願いいたします。
 親族調査の話が出ていたのですが、家庭裁判所も申立人から親族の意見書というものを出していただいているところなのですけれども、これはあくまでも後見等開始の審理の参考とするために求めているものですから、親族の意見書が提出できない場合においても、申立て自体は可能です。
 家庭裁判所のほうで推定相続人の意見書の提出を求めているのは、本人の財産について将来的に利害関係を有する可能性のある親族に対して、後見の手続に対する意向を把握して審理の参考にするためですので、推定相続人に意見書を作成してもらうことが難しい場合にまで意見書の提出を求めるということはしておりません。
 令和2年4月から後見等開始の申立書を全国統一の書式とし、令和3年4月に一部を改定する予定なのですが、改訂版書式では、親族の意見書に関する説明として、親族の方に意見書を作成してもらうことが難しい場合には提出が不要であることを明記しております。これは、従前からそういう指摘もいただいていたところで、そこをちゃんと明示したほうがよかろうというところで、今回の改定で明示させていただいたところですので、一応この点も御紹介させていただきます。
 それと、虐待事案等における親族の意見書の提出、まさに今回話していただいているところだと思うのですけれども、親族の意見書も含め、後見等開始の審判に当たって、どのような書類の提出を求めるかは裁判官の判断事項にはなるわけなのですけれども、一般的には虐待事案といった親族の意見書の提出が難しい事案では、提出を求めていないことが多いと認識しているところです。
 こちらからの説明は以上です。
○秋山座長 ありがとうございました。
 今日は、最高裁の担当の方が来ていただきまして、御説明をいただきましてありがとうございます。
 ほかには御質問、御意見はございませんでしょうか。大丈夫ですか。
 それでは、皆様、本当にたくさんの闊達な御意見をどうもありがとうございました。
 本日の議論は、ここまでとさせていただきたいと思います。
 最後に事務局から次回の日程についてお願いしたいと思います。
 事務局、よろしくお願いします。
○南認知症施策・地域介護推進課課長補佐 事務局です。
 本日は御多忙の中、御議論をいただきましてありがとうございました。
 次回は日程調整中ですけれども、日程や会場等の詳細は事務局から改めて御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○秋山座長 分かりました。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。
 今日は、発言をしてくださった皆様をはじめとして、御参加をいただいた皆様、本当にお忙しいところありがとうございました。