第133回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和2年11月12日(木)10:00~12:52

場所

TKP新橋カンファレンスセンター

議題

  1. 1.医療保険制度における新型コロナウイルス感染症の影響について
  2. 2.医療保険制度改革について
  3. 3.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について
  4. 4.オンライン資格確認等システムの進捗状況について

議事

議事内容
 
○須田課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第133回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、本当にありがとうございます。
なお、本日は、委員の皆様に会場で会議に御参加いただくことを基本としつつ、オンラインでの参加も可能としております。
会場で会議に御参加の委員にお願いいたします。御発言の際は、挙手をお願いいたします。部会長からの指名の後、事務局がマイクをお持ちいたします。
オンラインで御参加の委員にお願いいたします。「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をいただくようお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにしていただきますように、お願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際にはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきたいと思います。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、平井委員、一瀬委員、藤原委員より御欠席の御連絡をいただいております。
本日、記者の方には別室にて会議の模様を傍聴いただいております。
会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○須田課長 それでは、以降の議事運営は遠藤部会長にお願いいたします。
○遠藤部会長 皆様、おはようございます。
それでは、まず、議事に先立ちまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りいたします。
平井委員の代理としまして西尾参考人、一瀬委員の代理として石橋参考人、藤原委員の代理として井上参考人の出席につき御承認いただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は、「1.医療保険制度における新型コロナウイルス感染症の影響について」「2.医療保険制度改革について」「3.国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」「4.オンライン資格確認等システムの進捗状況について」の4つを議題といたします。大変議題が多うございますので、効率的な議事運営に御協力いただければと思います。
では、初めに、「医療保険制度における新型コロナウイルス感染症の影響について」を議題といたします。
それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○西岡課長 調査課長でございます。よろしくお願いします。
資料1を御覧ください。
10月14日の医療保険部会に続きまして、新型コロナウイルス感染症の影響として、最近の医療費の動向を取りまとめましたので、報告させていただきます。
前回は、医療費の動向をメディアスとして4~6月分、レセプトの件数・点数に関する調査として7月分までを紹介させていただきましたが、今回それぞれ1か月分の情報が加わっております。
資料の2ページを御覧ください。こちらは10月14日の部会と同様に、概算医療費全体の医療費、受診延日数、1当たり医療費をそれぞれ示しておりますが、7月分については医療費は青のグラフになりますが、一番右の欄、マイナス4.5%、受診延日数はオレンジですが、マイナス10.5%、1日当たり医療費が灰色のグラフですが、プラス6.7%となっております。緊急事態宣言が出された4月、5月の大幅な変動に対して、6月はかなり戻ってきましたが、7月は6月よりは減少幅が大きくなっております。
3ページ目以降につきましては、御覧いただくと分かりますが、入院、入院外といった診療種別、7ページからは、年齢階級別に見ても、おおむね今、申し上げたものと同様の傾向となっております。特出すべく部分としては10ページまで移っていただきたいと思います。未就学者の状況につきましては、7月でマイナス20.3%となっており、6月よりも少し減少幅は減っておりますが、依然として減り幅が大きい状況になります。
11ページを御覧ください。これに合わせまして、小児科、耳鼻咽喉科についても、7月も依然として減少幅が大きくなっていることが分かります。
12ページを御覧ください。都道府県別の状況については、少し変化が見られます。前回同様に減少幅の大きいところは赤、小さいところは青で示しましたが、6月までは特定警戒都道府県に指定されたところなどで減少幅が大きくなっていると説明しましたけれども、7月はそうした特徴が見られなくなったことに加えまして、減少幅について分散を取ってばらつきを見たところ、令和元年度の医療費の伸び率のばらつきと同程度になっております。依然として、全国的に医療費の減少傾向はあるものの、ばらつきは均一化されてきたと言えると思います。
13ページを御覧ください。月次の医療費データを見る場合に、休日数等の調整に留意する必要があると前回御説明させていただきましたが、7月は日曜・祭日等が1日多くなっているために、補正前のマイナス4.5%に対して、補正後はマイナス1.8%となります。6月分が補正後でマイナス6.1%だったので、補正前の見た目では、7月は6月よりも医療費の下げ幅が大きくなっていますが、補正後では医療費の水準は6月よりも戻っているという状況にあります。
14ページを御覧ください。こういう形で医療費の動向を見る上では、様々な観点で見る必要がありますが、10月14日の資料に関しましても、各委員の皆様方からさらなる分析の必要性を御指摘いただいたところであります。今回、4~6月分についてですが、従来のメディアスでお示ししてきたものよりもより詳しく医療費の分析ができるように、電算処理されたレセプトについて、「電子レセプトを用いた医科医療費の分析」として取りまとめさせていただきました。
以前より、概算医療費、メディアスに加えて電算処理された調剤レセプトを集計した「調剤メディアス」というものを公表させていただいておりますが、それと同じような位置づけであります。今年度は集計様式も含めて試験的公表という形で、今後ホームページでお示ししていきたいと思っておりまして、来年度以降、「医科メディアス」という形で公表したいと思っています。
現時点で留意すべきことといたしましては、四角の点線の中に書いておりますが、入院外の分が100分の1でランダム抽出したデータを用いていること、月によって電算化率に一定の変動があることから、概算医療費の動きと比較すると一定の差異が生ずることは御留意いただきたいのですが、医療費の動きとしては、大枠の傾向はつかめるものと考えております。
中身のほうに行きますが、15ページを御覧ください。年齢階級別の医科医療費の状況でございます。従来は未就学者や75歳未満といったような制度上の区切りでしか集計できなかったものが、年齢別に区切ることができます。これを見ると、特に入院外のほうで未就学者に限らず15歳未満や20歳未満のところで医療費の減少幅が大きくなっていることが分かります。
16ページを御覧ください。こちらは少し複雑な資料になっていますが、疾病分類別に見たものでございます。左の表の部分が分類別の医療費の伸びを示しております。ただ、分類によってシェアの小さなものもあるために、その表の右の真ん中ぐらいのところ、緑色のついている欄で、医療費全体に占める構成割合を示しております。
その上で、右側にある棒グラフですが、医療費の伸び率に対する疾病分類別の影響度を上位5疾病について表示させていただいております。
これについて、17ページを御覧いただけたらと思うのですが、特に入院外のグラフになりますが、「循環器系の疾患」や「筋骨格系及び結合組織の疾患」については、6月にはほぼ元の水準に戻ってきているのですが、「呼吸器系の疾患」は顕著に減少傾向が続いていることが分かります。
続いて、18ページを御覧ください。こちらは診療内容別に見たものです。表とグラフの見方は先ほどの疾病分類別と同じでございます。入院につきましては、青い「DPC包括部分」の減少幅が大きいですが、これは様々な診療内容が包括されておりますので、次に減少幅が大きいのが「手術・麻酔」となりますが、こちらは4月、5月に比べて、6月になると一定程度その減少幅が小さくなっていることが分かります。
続いて、19ページでございます。入院外について、4月、5月に減少幅が大きかったのは「初診」、「検査・病理診断」などでありますが、6月になるとそれぞれ減少幅が小さくなっていることが分かります。
このように、疾病分類別や診療内容別の医療費の動向を見ていくことで、新型コロナウイルス感染症による受診状況の変化を具体的に見ていくことができると考えておりまして、今後もこうした分析を継続していきたいと思っております。
20ページ以降は、レセプトの件数・点数に関する調査で、社会保険診療報酬支払基金及び国保中央会のそれぞれのホームページで示されている情報を取りまとめたものです。
新しい情報といたしまして、8月分を表示しております。
21ページを御覧いただくと、レセプト件数になりますが、8月分は93.3%、総計のところです。
27ページに飛んでいただきたいのですけれども、こちらは点数の総計になりますが96.5%となっておりまして、4月、5月からいえば戻ってきておりますが、依然として7月、8月と同程度の傾向で推移していることが分かります。今後の医療費の状況にも十分注視していく必要があると考えております。
駆け足ですけれども、説明は以上とさせていただきます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
前回の御報告に引き続きまして、新しいデータで御報告をいただきました。
御意見、御質問等があれば、いただきたいと思います。
まず、藤井委員、お願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
以前にも申し上げたとおり、受診控えが見られる中で、今まで安易に医療機関にかかっていたのではないかということも懸念されますし、また、受診抑制が生じた結果、実際に重症化された方がいらっしゃるかどうかということについても掘り下げた分析をお願いできればと思います。
それと、今年9月に健保連さんが実施された意識調査によりますと、持病のない方で体調が悪くなったとき、市販薬を買って治したと答えた方が約7割いたという結果でございまして、実際どの薬剤が置き換わったかということなども検証していただければと思います。資料の14ページ以降に、疾病分類や診療内容別のデータがございますが、やはり薬も正しく使っていただかなければいけませんので、ぜひそういった分析も行っていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 御意見として承りました。
ほかにいかがでございましょうか。
横尾委員、どうぞ。横尾委員の次は、松原委員、どうぞ。
○横尾委員 ありがとうございます。横尾でございます。
こうやってデータで示していただくと、非常に現状がつまびらかに分かっていいなと思います。ただ、最新でも記載は8月までということで、既に現在は11月半ばなのです。より最新の情報把握が重要と感じます。今後のデジタル改革、デジタルトランスフォーメーションを政府は目指しておられますので、こういった医療・健康分野、あるいは全国的な調査等については、ぜひ、よりリアルタイムに近い把握ができ、そして早く対策が打てるようにお願いしたいと思います。
特に今、この数日の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況をみれば、第3波かなと言われるような状況も出てきておりますので、ぜひそういったことを政府全体のデジタル戦略の中にも入れていただくように、厚生労働省からも働きかけをよろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
松原委員、お待たせいたしました。
○松原委員 今、耳鼻科と小児科が大変だというデータを出していただいたのですけれども、先ほど御意見があったような安易な受診がなくなったのではありません。小児科は親御さんたちがコロナ感染を大変心配していて、予防接種もきちんと受けていない状態がこの半年続いています。これは早く改善しないと、その子供たちの将来が大変なことになりますから、心配しています。
耳鼻科に関しては、ファイバーを使って鼻の中を見たり喉を見たりするわけですから、これも受診控えが起きるのは当然だと思います。耳鼻科の先生、小児科の先生も一生懸命頑張っておられます。安易な受診が多いと言われると、それは違うということを一言申し上げたいと思います。
それと、ヨーロッパを見てみますと、イギリスやフランスもロックダウンを行わなければならない大変な事態になっています。株を調べてみたら、これはスペインの農村部で変異したウイルス株が夏のバカンスで全ヨーロッパに広がってしまったようです。さらに、抗体産生を抑える能力を獲得したようで、デンマークではミンクがそれに感染したので、そのミンクを1800万匹焼却するということになっています。
それを考えると、とてもこのまま全世界がうまく収まるとは思えません。どこかの国でウイルスが残っていて、燃え盛ってくれば、必ず日本に入ってまいりますので、十分に注意しなければなりませんし、昨日も中川会長が申し上げたように、どうもこれは日本の状態も第3波に近いのではないかと大変心配しています。
ただ、前回の4月のときには、どんなウイルスかも分からない不意打ちを私ども医療機関は受けたわけです。防御する方法も手段もない。しかも、重症肺炎になられた方の治療法もどうしていいか分からなかったのですが、これにつきましてはようやく、肺炎を起こしたときに免疫抑制剤であるインターロイキン-6抑制剤を使うか、あるいはデカドロンのようなステロイドを使うかによって、かなり重症化するのを防ぐことができるようになりました。そういったことで日本の国は死亡者がかなり少ないのも事実でありますが、これでまたウイルス感染者が増えますと、つまり医療のキャパシティーを超えると大変であります。
ただ、明るい話を申しますと、前回のときには全く準備が整っていませんでしたので、患者さんの動線を分けたりすることができませんでしたが、この秋から、時間的あるいは空間的に、つまり別の診察室を発熱者のためにつくる、あるいは新たに時間を設けてそこで発熱している人を診るという仕組みをつくり上げております。これは全国の各かかりつけ医の先生が始めているところであります。早く見つけて、早く治療して、そして重症化しないようにするのが、コロナから脱する一番いい方法だと思います。医療機関は医療機関できちんと準備しているということを申し上げます。一度に患者さんが増え、キャパシティーオーバーになったときには、ヨーロッパで感染防御が十分にできずに看護師さんや医師がばたばたと死んでしまうという事態が4月に起きたわけです。私ども、命をかけて感染をブロックしながらやっているわけでございます。ぜひ御協力をいただきたいと思います。
以上であります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、池端委員、石上委員の順番でお願いします。
○池端委員 ありがとうございます。池端です。
今、お示しいただきました15ページ、16ページ、17ページの資料は非常に重要な資料だと思います。
今まで医療機関で診療が減っていたのは受診控えが中心ということでしたが、15ページを見ていただくと、明らかに小児あるいは学童児が依然として20%、30%の減になっている。一方で、16ページを見ていただきますと、目、耳というのも感染症に関連するものではないかと。そこがずっと(対前年比減が)続いているということ。一方で、私の肌感覚としても、新型コロナウイルス感染症対策によって、明らかに他の多くの感染症そのものの疾病が減っている印象を持っています。ですから、これは受診控えで経営が厳しいのではなくて、特に小児科、耳鼻科関係については、疾病の構造というか疾病の構成割合そのものが変わってきている可能性があるのではないか。そこを見て、長期的に支援が必要になってくる。場合によっては、診療報酬そのものの体系を根本的に見直さなければいけないのではないか。そういう目線でこのデータをずっと追っていく必要があるのではないかという気がしています。
実際に、現在インフルエンザも私の福井はゼロですし、全国的にも2桁と聞いています。去年の今頃は恐らくその100倍ぐらいの数字が出ていると思うので、そういうことをにらみながら、今後の推移を見なければいけないのではないかという気がしましたので、お話をさせていただきました。
ありがとうございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
お待たせしました。石上委員、どうぞ。
○石上委員 ありがとうございます。
今、何人かの委員が言われた課題なのですけれども、小児科の関係です。小児科医の確保はもともとあった課題だと思うのです。今回のように医療費の減少が続けば、さらに地域での小児科医の確保を難しくしていく可能性もあるし、経営の問題に発展する可能性があると思っております。少子化対策の一つとしても小児科医の確保は非常に重要だと思っています。その意味で、今後の対応を含めて、何かお考えがあればお伺いをしたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、小児科対策として何かあるかということです。
○高宮企画官(医政局) 事務局の医政局総務課になります。
小児患者の受診控えなどによって、小児科の経営のほうの問題も生じているという指摘は十分伺っております。その問題意識を踏まえまして、小児科も含めた医療機関への支援について、様々な検討を行っているところです。
また、根本的な小児科の医師の偏在に対する対策についても、これまでも養成課程における対策を含めて行ってきておりますので、これについての検討も今、続けて行っているところです。いずれにしましても、委員の御指摘も踏まえて、さらに引き続き対応を取り組んでいきたいと考えいます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにありますか。それでは手短に、横尾委員、お願いします。
○横尾委員 補足させていただきます。
自治体の首長ですので、現場のことを少し披瀝させていただければと思います。
お子さんをお持ちのお母さんやお父さんが、お子さんが急に熱を出した、体調を崩した場合、まず行きたいと考えられるのは小児科だと思います。しかし、必ずしも小児科専門医が全国津々浦々までくまなく存在しているわけではないという現状がございますので、大変厳しいところがございます。
そして、より専門的な治療を求めれば求めるほど、小児科医院あるいは病院においては、小児科医単独、つまり1人ではなかなか対応が厳しいという現状があります。公立病院でも、小児科を設ける場合には最低でも3人以上の医師でのチームを組まないと昼夜を分かたず連携した対応ができないという状況もあるようでございますので、小児科医そのものの確保としっかりした小児科専門の医療を提供するという体制づくりは大変厳しいところがあるのです。
さらには、経営等の面がどうかということももちろんあるのです。例えば、公的病院で小児科を設けたいと思っても、実は小児科の外来あるいは入院ができる施設を仮に設けても、そこに医師が確保できなければそれができないという事情があります。そういった、ある意味で構造的課題と言うのでしょうか。このような状況的な課題に、今回は先ほど来、御指摘のあるように、このコロナ禍の中でお子さんのことを大変心配される親御さんたちとしては、不注意に医療機関に行ってしまって罹患してはいけないということで控えていらっしゃるというのが現状ではないかと我々も捉えているところです。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。手短に。
21ページを御覧いただければと思います。種類別のレセプト件数ですけれども、医科と同様に薬局も減少しているのですが、薬局の場合、小児科薬局というのはないのですけれども、小児の患者が多い薬局、耳鼻科の患者が多い薬局があって、日薬の調査でそのような薬局は特に大きく落ち込んでおり、前年に比べて8割患者さんが減ったという薬局もありました。ぜひ、細かくいろいろなことを見ながら、今後、薬局機能が維持できるように支援をお願いします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、佐野委員、お願いいたします。
○佐野委員 1点だけ。
確かに小児科の診療が減ったのは大変問題だと思うのですが、これだけの有意な差が出ているというのは、子供については今、医療費の無料化がほとんどされているということも一つの要因になっているのではないかということもあると思いますので、そこについての分析調査もぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
自治体によっては小児の無料化が行われているということで、その関連も調べてほしいということですね。
ほかによろしゅうございますか。
ありがとうございました。
それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。次は「医療保険制度改革」についてでございます。本日はその中で、以下の4つについて御意見をいただきたいと思います。1「後期高齢者の窓口負担割合の在り方等について」、2「大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大について」、3「薬剤自己負担の見直しについて」、4「国民健康保険制度について」の4つでございます。
それでは、最初に「後期高齢者の窓口負担割合の在り方等について」について、事務局から関連の資料の説明をお願いいたします。
○本後課長 高齢者医療課長でございます。
資料2-1を御覧いただければと思います。
まず、1枚目は、全世代型社会保障検討会議の中間報告。施行時期、具体的な所得基準、長期にわたり頻繁に受診が必要な患者の配慮措置の3点が具体的な検討事項となっております。
2ページ目は、今の窓口負担の状況をまとめたものでございます。現役並み所得、これは課税所得が145万円以上という方です。全体の7%、約130万人が対象となっております。
その下が一般区分と言われるところで、課税所得145万円未満。これが被保険者全体の52%、945万人。
あと、低所得I、II。これが世帯全員が住民税非課税の方。合わせて41%という状況でございます。
3ページ目以降は、高齢者の生活の状況についてまとめた資料です。
まず4ページ目、収入の状況でございます。左側ですけれども、平均収入は50~54歳を頂点に、年齢を重ねるにつれて低下をしております。
70~74歳で218万円。75歳以上になりますと、右側に行きまして平均値で166万円。分布としては50万円、100万円が一番高くなっておりまして、中央値は130万円となってございます。
5ページ目です。これは後期高齢者の自己負担ということで、課税所得ベースで分布を見たものでございます。
まず一番右側、現役並み所得者が課税所得145万円以上が7.1%です。そこから左は窓口負担1割の方になります。100万円以上が5.7%、50万円以上が10.7%、課税所得がある方が14.7%、課税所得がない方々が21.0%でございます。課税所得なしという方の中には、御本人には所得はないけれども、御家族の中に所得があるという方も含まれております。
7ページ目でございます。これは世帯の収入と支出の状況を、モデルをつくりまして見たものでございます。
年収50万円の階級ごとに非消費支出を推計いたしまして、さらに平均的な消費支出を家計調査を基に推計し、収入と支出の状況を粗く見たものでございます。
一番右側が一番高い年収のモデル、250万円でございます。250万円のモデルでいきますと、下の青のところが非消費支出ですけれども年間で40万円、消費支出が193万円、合計234万円の支出ということを推計しております。200万円のところになりますと、合計で188万円。年収150万円で見ますと、147万円。年収100万円ですと、129万円となっております。
8ページ目は、同じ推計で夫婦2人世帯を見たものでございます。
一番高いところが右側、年収500万円。これで見ますと、支出が448万円。年収400万円で370万円。年収300万円で259万円。年収200万円で184万円といった状況を推計させていただいております。
続きまして、9ページ目は貯蓄の状況を見たものでございます。
左上の分布です。60歳未満の方だけで構成される世帯で見ますと、貯蓄の平均額は713万円、中央値が300万円となっております。
一方で、後期高齢者世帯で見ますと、平均が1067万円、中央値が500万円となっております。
この後期高齢者世帯の分布につきまして、その世帯の年収の区分ごとに見たものが下の3つのグラフでございます。年収が100万円未満というところで見ますと、平均値が478万円、中央値は100万円。年収が100~200万円で見ますと、貯蓄の平均値が545万円、中央値は300万円。年収が200~300万円で見ますと、貯蓄の平均値が1065万円、中央値が550万円となっております。その世帯の年収ごとに貯蓄の状況も異なるということでございます。
10ページ目は、直近の高齢者世帯の家計の収支状況を見たものでございます。
昨年の月次のものと比べますと、実収入で見ますと、昨年と比較いたしまして微増の傾向にある。特別収入として、定額給付金の影響がある。
一方で、実支出で見ますと、若干減少しているという傾向があります。高齢者の場合には年金が生活の中心になりますので、直近のコロナの状況におきましても、生活としては大きな変化はないのではないかと考えております。
続きまして、11ページ目以降は、医療の状況についての資料でございます。
12ページ目、左側は年間で外来受診をした患者の数です。後期高齢者医療ですと受診ありが95%、そして受診ありの方の中でも12か月毎月受診されている方が5割近くいるということ。
次の13ページ目ですけれども、診療の実日数を見ますと、75歳以上は30日を超えております。月平均2日ないし3日の受診をされているという状況でございます。
14ページ目からは、医療費の状況です。
医療費で見ますと、赤い箱の下ですけれども、70~74歳の区分で見ますと、年額の1人当たりの医療費は約60万ということであります。75歳を超えますと、高齢になるにつれて増加いたしますけれども、平均で約95万円となります。
これを次のページ、自己負担、窓口負担ということで見ますと、現在2割の窓口負担であります70~74歳の区分を出ますと7.2万円。75歳を超えますと、6.4、7.5、8.4といった窓口負担の状況でございます。
これを分布にしてみたものが16ページ目でございます。平均は、先ほど申し上げましたとおり医療費で約95万円ということですけれども、20万円まで、あるいは40万円までという方が全体の半数を占めているという状況でございます。
17ページ目は、今の医療費データを基に自己負担限度額などを当てはめまして、自己負担の額を推計し、分布に落としたものでございます。グラフを見ますと、5万円未満という方がかなり多くなっております。1人当たりの平均で見ますと年間8.1万円となります。
同じ医療費のデータを基に、仮に2割ということで置き直してみたもので見てみますと、8.1万円が11.5万円となりまして、年間で平均プラス3.4万円ということでございます。
18ページ目は、1人当たりの受診日数を負担増の時点と関連して見てもらえないかという御指摘が以前の部会の中でありましたので、それを見てみたものでございます。
1人当たりの受診日数が大きく減っているのは平成12年の介護保険の導入のときでございます。それ以降は、高齢者医療の1割負担を導入した平成12年、14年辺りに少し減少の傾きが大きい傾向も見受けられますけれども、一貫して減少傾向にあるということでございます。様々な要因がありますので、負担増の受診日数への影響を定量的に評価するのはなかなか難しいのではないかと考えております。
19ページ目は、現役並みの基準の見直しについてということでございます。
20ページ目ですけれども、改革工程表の中で見直しを検討するとされておりました。一方で、こういった点を踏まえて引き続き検討すべきではないかということでございます。
1つは、現役並み所得者への医療給付費については公費負担がない。したがって、判断基準や基準額の見直しに伴って現役世代の負担が増加する。これは部会の中でも再三御指摘をいただいております。こういったことに留意する必要があるのではないか。
それから、現役世代の収入、現在把握可能なデータは平成30年度のものでございます。コロナの影響で収入に影響があったと考えられる一方で、令和2年度の現役世代の収入が今、把握できないということがございます。
こういった点を踏まえまして、引き続き検討すべきではないかということで、整理をさせていただいております。
私からの説明は以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、前回に引き続きまして、この議題につきましてまた御意見をいただきたいと思います。
佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、本日の委員提出資料1ということで、被用者保険の関連5団体ということで私ども健保連を含めて協会けんぽさん、経団連、日商さん、連合さんの5団体で、先日、厚労大臣向けに意見書を出しておりますので、今日、添付させていただいております。委員の方が参加されていますので、後で御説明があると思いますので、私のほうからは紹介にとどめいたいと思います。
その上で、まず全体では、今回の見直しは、何度も申し上げているのですけれども、全世代型社会保障検討会議の中間報告にありますように、現役世代の負担上昇を抑えるということにつながるのかどうか。これが重要なテーマだと考えております。
具体的に、現役世代の過重な負担増の緩和につながる見直しを行って、高齢者の方にも応分の負担をいただくことで給付と負担の世代間アンバランスを是正して、全ての世代が安心できる社会保障制度の構築に向けた改革を講ずる必要があると思っております。
そういう考え方に立って、やはり低所得者に配慮しつつ、原則2割負担とすべきであって、一定所得以上の方を2割負担とする場合においては、健保連としては、少なくとも高額療養費の一般区分の方全てを2割負担とすべきだと考えております。
今回、参考資料につけていただいておりますけれども、現在の窓口負担割合は、現役世代は所得に関係なく3割となっております。同じ一般所得区分であっても、後期高齢者は1割、70~74歳の方は2割となっておりまして、さらに高額療養費制度によってその限度額も抑えられているということも十分留意していただく必要があると思っています。
そういった中で、資料について4点申し上げたいと思います。
まず1点目ですけれども、資料の5ページです。先ほど課税所得の分布の資料がございましたけれども、一般区分の方には、高齢者だけの世帯もあれば、高齢者以外の家族がいる世帯も当然含まれていると思われます。個人として課税所得がない、もしくは少ないという方であっても、高齢者以外の家族がいる場合には、例えばお子さんが世帯主になっているということも考えられます。その場合、やはりお子さんの所得が幾らなのかということも重要なポイントだと思います。
したがって、個人単位の所得だけではなく、世帯単位で収入水準を加味しないと、公平性に欠けるのではないか。そういうこともあって、今、一般区分ということも設定されているのではないかと思いますので、少なくとも世帯単位の所得に関するデータも併せて提示いただきたいと思います。
2点目です。資料の中で、各年齢階級別の1人当たりのグラフが示されております。例えば15ページを御覧いただきますと、年齢階級別の1人当たり窓口負担額というグラフがございます。ただ、これは健康な人も含む平均値でございますので、ある意味、受診割合が高い高齢者は当然に高くなるということだと思います。
今回議論しているのは、医療機関を受診した際の自己負担がどうかということになると思いますので、その実態を正確に比較するためには、健康な人を含まない、要は医療機関を受診した人の自己負担の比較で見るべきだと思います。そうした場合には、このグラフは相当形が変わるのではないか。ある意味で、現役世代の自己負担も相当増えるのではないかと考えております。
3点目でございます。17ページに後期高齢者の自己負担の推計群の分布状況がございまして、その中に、現在の1割が2割負担になった場合に、8.1万円が11.5万円という数字が出ております。これまで私どものほうも、1割が2割になっても2倍になるわけではないということを申し上げてきたのですが、まさにその数字が出たのではないかと思っております。これはまさに高額療養費制度等があることだと思いますので、2倍になるわけではないということも含めて、しっかりと説明をして理解を得る。その上で高齢者の方の不安解消に努める必要があると思っております。
4点目、18ページでございます。高齢者医療における受診日数の推移のグラフですけれども、自己負担増等の制度改正によって受診日数が減少するという資料が示されておりますが、実際、受診日数の減少自体が問題なのではなくて、この自己負担の変化が高齢者の健康にどういう影響を与えたかということが問題なのだろうと思います。
2014年以降、現在の70~74歳の方が1割負担から2割負担になったわけですけれども、その際に、健康状態への特段の影響はなかったという大学の研究者の論文もございます。そういったデータもしっかりと提示いただきたいと思います。
最後に、20ページの現役並み所得の基準の見直しのところでございますけれども、引き続き検討という案が示されております。現役世代の収入について、現在、把握可能なデータがないということであれば、やむを得ないのかなと思いますけれども、少なくとも我々としては対象範囲の拡大には賛成であって、早期に実施すべきだと考えております。
その上で、今回、基準の見直しをしないとしても、そもそも現役並み所得者に対する公費負担がないと。現行の仕組みの問題点については、ぜひとも見直しをお願いしたいと思います。
20ページの資料のアスタリスクのところに、数千億円の財源が必要となるとございますけれども、我々の試算では、現役並みに公費が入らないことによる負担は、現在は4500億円、平成22年度、10年前は3400億円ということで、この10年間で1000億円以上も増えているということで、これはまさに現役世代の過重な負担になっていると考えております。そういう面で、少なくとも制度見直しされるまでの間は、財政支援も含めてお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
御意見もありましたが、幾つか事務局に対してデータに関する御要望もありましたので、もし事務局、関連でお答えできることがあればお願いします。
高齢者医療課長、どうぞ。
○本後課長 高齢者医療課長でございます。
最初の世帯単位で見た収入の状況でございますけれども、世帯単位で見るのは低所得区分にその世帯が該当するかどうかという点だけで見ますので、家族に所得があるかどうかというところについては分かりますけれども、世帯全体の収入という観点では、申し訳ありません、データを取ってございませんので、そこは把握あるいはお示しすることは難しい状況でございます。
もう一点、医療費について、健康な方を含めないデータをということがございました。この点につきましては、高齢者の方は医療にかかる頻度が高いということを踏まえて医療費のデータは見る必要があるのではないかという観点で、このようなデータを出させていただいたものでございます。患者の医療費という観点でデータが出せるかどうかについては、検討させていただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 佐野委員、よろしいですか。
○佐野委員 最初の点について、データがないということなのですけれども、もともと低所得という区分と一般区分を分けているわけですから、そういう面で、課税所得がないというのは一般区分に入っているということは低所得ではないということだと思いますので、ここの部分についても何らかのデータを出していかないと正当な比較ができないのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
続きまして、先ほど来、手を挙げておられる方からいきましょう。前葉委員、お願いいたします。
○前葉委員 以前から、高齢者の生活実態を踏まえた議論が必要ということで、データをお願いしておりましたところ、今日、御報告をいただきました。ありがとうございます。
その上で、こういう生活費をどうカバーするかということについて、収入について議論しなければいけないということで、今日は3点、質問をさせていただきたいと思います。
1点目は、2ページでございますが、課税所得という考え方で整理することになります。これは税の議論なのですが、課税所得があるとかないとかいうのは、そもそもどういう人に課税しないということなのかということです。これを明確にしておかなければいけないと思います。
その上で2点目ですが、より重要なのは、一般という区分がされている現役並み所得以外の方、52%が非常に大きい割合なのです。ここをしっかりと見ていかなければいけない。逆に言うと、ここを十把一からげで全て同一の区分として対応を決めていくというのは、非常に荒っぽい議論になるのではないかということを心配しております。
特に、この議論は現在の現役世代と現在の後期高齢者がどう医療の負担をしていくかということでありながら、もう一つは、加えて、以前の現役世代が後期高齢者になって、どのような年金収入の区分にいらっしゃるかということがポイントになろうかと思います。
したがって、いわば年金収入の水準との関係で、52%の一般区分の中で、例えば平均的な年収のサラリーマンでリタイアして75歳以上になっている方が年金収入をどれぐらいもらっておられて、この52%の中のどの辺りに位置づけがされるのかというデータがあるかどうか、分析できるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
以上2点が、課税所得の中での議論でありまして、最後、3点目にお尋ねしたいのは、介護保険で2割負担の仕組みがございます。一般の中の恐らく上のほうの一部が介護保険は2割負担になっていると思うのですが、これはどういう考え方で整理されていて、それと今回の議論をどう考えていかなければいけないか。この3点をお尋ね申し上げたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 それでは、事務局、すぐにお答えできないものもあるかもしれませんけれども、御対応をお願いいたします。
○本後課長 高齢者医療課長でございます。
まず、お尋ねの1点目でございます。
課税所得とはどういうものかということですけれども、資料の6ページ目を御覧いただきながらお聞きいただければと思います。課税所得は、収入から公的年金等控除などを行った後の所得、それからさらに基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除といった所得控除を行った後の所得ということでございます。世帯としての税の負担能力を示すものと認識しております。
課税所得がある、ないという観点で見ますと、所得に応じた課税をする能力がどれぐらいあるのかということを示す指標だと認識をしております。
2点目でございます。平均的な収入でリタイアをして75歳以上になった方については、どれぐらいの位置づけなのかということでありますけれども、これはもちろん仮の計算ではございますが、平均の収入で退職された方の年金は、推計しますと187万円ぐらいになるかと思います。その水準で見ますと、少し切りのいいところで見ますと、ちょうど被保険者全体で見て上から30%ぐらいのところ、課税所得のベースでいくと28万円、年金収入に置き直すと200万円となりますので、ここが一番近いラインなのかなと考えてございます。
3点目ですけれども、介護保険の基準はどうだったのかということでございます。介護保険は平成27年から自己負担を2割にしております。そのときの考え方でいきますと、被保険者の上位20%ということで設定をしておりました。年金ベースに直しますと280万円という水準を設定いたしまして、介護保険は2割負担ということにいたしました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
前葉委員、よろしゅうございますか。
○前葉委員 ありがとうございました。
市長という立場は、全ての市民の生活を守る立場でもございますので、今、お話がありましたような、普通に働いている人たちが後期高齢者になって、どういう負担があるべきかという議論をぜひこの後も続けていただければと思います。
ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、先ほど来オンラインで手を挙げておられます井上参考人、お願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。それでは、意見を申し上げます。
今後、高齢者が増加する一方で、生産年齢人口が著しく減少していくわけでございますので、支え手である現役の保険料負担がますます重くなっていくということでございます。
この議論を進めていく上で最も重要なのは、将来にわたり国民皆保険制度をどのような形で持続可能な制度としていくか。それを維持するための保険の財政の在り方とはどういうものなのかということをしっかりと議論することが重要だと思います。
とりわけ、現状ではどうしても高齢者の方に偏りがちになっております給付を見直して、現役世代の負担の抑制、あるいは子どもや子育てといった社会保障を充実していくという全世代型の見直し、バランスの取り方が重要になってくると思います。
そのため、私ども経団連といたしましては、一定の負担能力のある後期高齢者の方にも負担を分かち合っていただくことはやむを得ないと考えておりまして、具体的には、先ほどありました一般区分の方を対象に、窓口負担を2割に引き上げるべきであると主張をしているところでございます。
先ほどの資料の7ページ、8ページ目に収入の状況がございましたけれども、これに加えまして、貯蓄の取り崩し状況あるいは先ほど来御議論のあったとおり子供さんからの支援ということも考えていかなくてはならないと思いますけれども、資料の17ページにありますとおり、窓口負担を2割とした場合の自己負担の増加額が3.4万円ということでございますので、そういうことをトータルで考えれば、この3.4万円というのは将来の保険財政を確実なものにするために御負担をいただけないかなと考えるところであります。
また、2割への引上げによって受診抑制が進むのではないかという御指摘も当然あるわけでございます。当然、低所得者の方への配慮は重要ですが、受診抑制自体を予防する取組はそのほかの手だてでもカバーできるのではないかと思います。
例えば、現在でも「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」という取組も進められているわけでございまして、そういうものを通じて、2割への引上げに伴って受診控えが起きないような対応も考えられますし、それでも受診が必要なのだけれども自己負担の増加でできないという方に対しては、個別に公費で支援をしていくということも十分考えられるのではないかと思います。トータルとして、保険財政を将来の持続可能性を考えた上で、しっかりとしたものにしていくということが非常に重要だと思います。
また、資料の19ページ、現役並み所得基準の見直しにつきましては、これまでの主張どおり、現役世代の保険料の負担の増加につながらないような改革を強くお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、先ほど手を挙げておられた菊池部会長代理、お願いいたします。
○菊池部会長代理 ありがとうございます。
まず、先ほど資料17ページで、2割負担になった場合の医療費自己負担の増加が3.4万円というデータを示していただきましたけれども、一方で、ほかの資料で、医療費は年齢が高くなると増加するということですので、年齢が高くなると自己負担も増えるかと思います。ですので、次回以降で構いませんので、年齢区分ごとの増加額が分かる資料をできれば出していただきたいというのが1つです。
私は世代間公平という観点は非常に重要だと思っているので、2割の対象をできるだけ狭めるべきというスタンスでお話をしているわけではないのですが、きめ細かな検討が必要だと思っています。
その関係で、先ほども課税所得の話が出ましたが、課税所得ゼロの意味合いについてもう少し分析できないのかなと思いました。中でも本人の無年金、低年金者がどのくらいいるのか。収入に占める公的年金の割合が分かることで、ある程度、推測できるのかもしれませんが、低年金という場合の水準についてもある程度把握できるのかどうかということです。
この問題は、特に公的年金等控除の在り方の議論とも連動しているのではないかと思いまして、これ自体はここの部会の対象ではありませんが、一つの参考資料として、公的年金等控除の基準を明らかにしていただければと思います。
1割から2割に引き上げるに当たっては、急激な負担増を避けるために、段階的引上げなどの経過措置の検討が必要かと思います。期待的利益の配慮というのは、法的な側面からも必要になってくるかと思います。
社会保障立法には、立法裁量、行政裁量が広く認められていますけれども、裁量判断を行うプロセスは司法審査の対象になりますので、丁寧に行う必要があるかと思います。
関連して、最近、公的年金の特例水準解消について、全国の下級審、裁判所の判決が出ています。私は10の地裁判決を承知していますが、憲法でいうと13条、25条、29条違反、全て合憲判決が出ています。もちろん違憲違法であるとは私は思いませんけれども、ただ、そうであるとしても、政策判断の適切性については吟味が必要かと、丁寧な審議が必要かと思います。
実は一部負担金というのは、まさに負担の増大の問題ですけれども、例えば健保の家族療養費というのは、法の立てつけとしては給付率の問題です。給付と負担というのは、ここでは裏腹の関係になっていますので、憲法29条の財産権保障との関連も考慮には入れておく必要があると思います。
その意味で、先ほど期待的利益の配慮ということを申し上げたわけです。年金の特例水準解消については、3年かけて2.5%引き下げるという措置が取られていますので、これも一つの参考になるかと思います。
加えて、2割の基準をどこに設定するかを判断するに当たっては、憲法25条、とりわけ1項との関連を意識する必要があると。その意味合いで、課税ゼロの意味合いを明らかにする必要があるのではないかということを先ほど申し上げました。
さらに、世帯類型によって不合理な取扱いの格差が生じないかという視点も必要かと思います。これは憲法でいうと14条1項、法の下の平等という視点であります。その意味では、単身世帯と被扶養家族がいる世帯とのバランスという視点が重要になってくるかと思います。
最後に、後期高齢者医療制度は、第1号被保険者の保険料は個人単位であるのに対して、一部負担金は世帯単位ということで、少し大きな視点になりますけれども、医療保険における個人単位と世帯単位の給付と負担の両面にわたって整理してみる。それをお示しいただくというのも一つの参考になるかなと思います。
今、何かお示ししてほしいというわけではなく、次回以降に可能な資料等があればお願いしたいという趣旨でございます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
事務局、何かありますか。
○本後課長 最初にお尋ねのありました年齢区分ごとの自己負担額の増加につきましては、資料を検討させていただきたいと思います。
課税所得がゼロの意味合いということがございました。先ほど御説明したことをさらに補足等々しながら御説明させていただきますと、収入に対する控除からさらに基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除などを行った後の所得が課税所得でございます。世帯としての税の負担能力を見るという観点からこの課税所得があるわけでございます。後期高齢者の窓口負担を算定するに当たっても、ここの課税所得を基準としております。本人の課税所得がゼロ、ないということになりますと、その御本人について税を負担する能力はないということになろうかと思います。
公的年金等控除の水準でございますけれども、税制改正で基礎控除との関係で入り繰りが若干ありましたけれども、基本的には年金収入が320万、従前のベースで置き直すと330万までの方は、公的年金等控除は120万円ということになります。
個人、世帯の整理を示してもらう資料が必要ではないか。この点については検討させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、林委員、次に樋口委員でお願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の林でございます。
後期高齢者の患者負担割合の在り方についてでございますが、財政論ありきの給付と負担の見直しでは将来への不安が募り、国民の安心と納得が得られません。若い世代もいずれ訪れる将来に関しましては、安心と納得が得られる医療と介護の在り方を示しながらの議論が重要と思っております。
現役世代の過度な負担軽減を含む応能負担の議論は十分理解しておりますが、負担能力の判断基準に関しましては、年齢がかさむほどより慎重で丁寧な確認が必要と思っております。5ページ目以降の資料でお示しいただいておりますけれども、世帯の実情等を加味しますと、なかなか複雑な面がございます。負担が増えても、それ以上に納得感が得られる明確な制度設計であるべきと思っております。
過去、70歳から74歳の窓口負担の2割議論に関しましては、慎重議論の結果、段階的な引上げをすることで、実際の負担割合が増えることはありませんでした。今回は1割から2割に上がるということでございますので、負担割合の上昇による受診控えが懸念されるということからも、より慎重な配慮が必要と考えております。
新型コロナウイルス感染症の影響に関する調査では、感染拡大によりまして、病院に行きたくても感染の危険を感じるという人が67%に上っております。既に受診控えは実際に起こっておりまして、さらなる受診控えが起こることで、疾病の重症化や健康被害が起こることが強く危惧されます。
歯科は、一部負担金の増加による受診控えが医科よりも大きいと言われております。コロナ禍におきましては、尚早な結論を求めるものではなく、さらなる慎重な議論を求めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
お待たせしました。樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
私は後期高齢者医療制度の恩恵を浴している年齢の者として発言させていただきます。
本当にこの席に来ると、いかに日本の高齢者、特に後期高齢者が若い世代の負担の上で良好な医療を受けているかということ、常に機会があれば申し上げておりますけれども、本当にありがたいことだと思っております。
ただし、全世代型の医療を考えるというのは、それぞれの世代間の利害の衝突ということではなくて、これが皆様、65まで生きた人の何%が100まで生きる可能性があるとか、リンダ・グラットンさんの本なども出ておりますけれども、恐らくこれから人生100年というのは、若い方にとっても、年を取っている人にも、ほぼ平等に実現する。そうすると、全世代型というのは自分がどのステージにあろうと、あるいは10年後であろうと、50年後であろうと、どの世代においてもよりよい医療が受けられる。そして、人生100年を全うできるという意味だろうと思って、私は世代間の利害の対立という形でこの議論をしていただきたくない。全ての人の人生100年の医療を保障するという形で考えたいと思います。
ただし、現実に若い世代の方々に負っていることは事実でございまして、総じて申し上げれば、今回のある程度の高齢者の負担増ということは仕方がないというよりも、それがある意味で筋であろうなと思っております。
しかし、それにもかかわらず、ここで私が申し上げたいことは、できるだけ現在の高齢者の実態に即して、その範囲は、できるだけ広くという御意見もそれなりにあるようでございますが、私はできるだけ範囲を絞っていただきたい。ということは、今の高齢者、特に後期高齢者の実態を見ていただきたいということでございまして、このうちのかなり人は独身でございます。それはずっと独身で来た方もございますけれども、夫に死なれ、妻に死なれ、独身になった方が非常に多うございます。高齢者を含む世帯の中で、単身世帯は全体の4分の1、25%になります。そして、単身者の予備軍と言うべき老夫婦だけの方が3割ぐらいいらっしゃいます。そうしますと、今、子供さんの収入と合算収入という言葉が出てきまして、それはそれで重要なのですけれども、基本的に申し上げると、高齢者の世帯は独り暮らしないし独り予備軍の老夫婦で世帯数の過半数を占めているということでありまして、残り20%は高齢者と結婚していない子供という人が2割おりまして、そういたしますと、全体の7割は次の若い世代がいない世帯ということになっております。
つまり独り暮らしが多いのですけれども、その独り暮らしの中でも男女差を申し上げたいと思います。男の方は寿命を全うなさるとき、5割の方が奥様がいらっしゃいます。女性は逆に8割が独身として死を迎えます。ですから、独り暮らしが圧倒的に多いのは女性でございます。
そこで経済的な状況を見ていただきたいのですけれども、高齢者の多くは年金を頂いておりますが、同じ独り暮らしになりましたとき、男の方が妻を失ったから年金が減るのは、御承知のとおり妻の基礎年金、フルペンションで6万5000円程度が減るだけでございますけれども、女の人が独りになりますと、今度は夫の基礎年金6万5000円、プラス夫の被用者年金の75%を残して25%がなくなります。ということは、男の方は奥様を亡くされて大変な思いをなさるでしょうけれども、年金が減るのは要するに妻の基礎年金だけなのです。ところが妻のほうは、夫の被用者年金の7割余を残して、つまり、男と女が独り暮らしになったときでは、年金の減り方がちょうど倍ぐらい違うわけでございます。私どもが若い頃は、女の人は働き続けたくても若年定年制とか結婚退職制とか出産退職制とか山のごとく差別定年制がございまして、昇進もできず、いや応なく辞めていった人たちが多数おります。
今、厚労省のほうで出していただいている健康寿命と平均寿命の差、残念なことに健康寿命は女性が男性よりも3年ほど短うございます。平均寿命は女性のほうが長いのですけれども、健康寿命と平均寿命の差は、男の方は約9年なのに、女の人は約12年、そのぐらい高いのでありまして、もしかしたらこれは、老後の経済というものが健康に影響を与えるのではないか。統計の中にジェンダー的な視点も入れて調べていただきたいなと思っております。
私が見るところ、夫が亡くなりますと、まずみんな車を売ります。そして、車を売った後で、災害情報などがありますからテレビをやめるわけにはいかないので新聞をやめます。そういうぐあいで、高齢女性は非常に家計が厳しくなっておりますので、結論としてはせいぜい2割ぐらいのところにとどめていただきたいなと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。どうも失礼いたしました。
それでは、ほかに手を挙げておられる方。菅原委員、どうぞ。
○菅原委員 ありがとうございます。
手短に。1点は事務局に対する要望でございます。2点は意見です。
まず1点目なのですけれども、後期高齢者の自己負担割合を議論するに当たりましては、負担能力、特に所得状況の把握が極めて重要だということは御承知のとおりでございます。その上で、6こま目、先ほどより繰り返し説明がありましたように、課税所得と実際の収入所得との間には、様々な控除の関係で乖離がございます。特に大事なのは、課税所得で一般並み所得とされている上位7%の方々を含めまして、保険者全体で見た場合に、収入並びに所得の水準が上位15%、20%、25%、30%、この辺りは5%刻みできちんと議論したほうがいいと思うのですけれども、収入、所得水準にその範囲で該当する方がそれぞれ何人いらっしゃって、その方々の実収入が幾らなのか、事務局のほうでデータがあれば御教示いただきたいというのが第1点目の要望でございます。
2つ意見なのですけれども、先ほど来、前葉委員、菊池部会長代理からあるように、後期高齢者で自営やいまだ被雇用者として給与を得ている方は、基本的に経費や給与所得控除とともに公的年金等控除も同時に利用されているということになると思います。したがいまして、現役世代と比べた場合に、同様の課税所得で見てみますと、同じように見えてる方でも実際にはかなり乖離をしている。実収入ではかなりの乖離があるということだと思います。それが実際、想定上どの程度の額になっているのかということをデータで示していただきたいということです。
3点目、10こま目の直近の収支状況、昨年と今年のコロナ禍においての家計収支の状況を表しておりまして、データとして見ますと、65歳以上の夫婦無職世帯ですが、年齢で見ますと、平均年齢が世帯主は76歳になっていますので、およそ後期高齢者もかぶっているということで、データとしてはある程度、参考になるかと思います。これを見ますと、実収入は実は昨年に比べて高齢世帯は増加しております。かつ、実支出は、これを見ていただきますと、当然ですけれどもコロナ禍で支出ができなかったということもありますが減少しておりますので、負担能力としては、基本的には昨年よりも増加しているという認識が大事かと思います。
さらに言いますと、保険医療の分野を見ますと、ほかの支出は大幅に減少しておりますけれども、先ほど来、受診抑制が非常に大きくかかったということは間違いない事実でありますが、ほかはほとんど減っていますが、保険医療サービスの支出に関してはコロナ禍においても伸び続けたということが、この支出の状況からは見えるような気がいたします。
繰り返しになりますけれども、これは65歳以上の夫婦無職世帯だけですので、より詳細な検討が必要です。けれども、まさしくコロナの状況下での負担の議論にはなりますが、先ほど来、樋口委員もおっしゃったように、これから先の世代を含めて現在の医療保険制度を維持するためには、コロナの影響と現状の収支の状況、負担の状況というのはきちんと区別して議論する必要があるかと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
事務局にコメントをいただきたいと思いますが、幾つかデータに関しての御要望があったかと思いますので、関連でお願いいたします。
○本後課長 最初の御要望の点でございます。
上位何%という単位で分かりやすく示してほしいということでございました。
上位何%というときは、御指摘がございましたとおり、今、申し上げるのは被保険者全体の中で上位何%ということで申し上げたいと思います。まずベースは課税所得で見て上位何%にあるか。それを年金収入に置き直した場合にはどうなるかということでお示しをいたします。
上位15%ということで見ますと、課税所得ですと88万円、これを年金収入に置き直しますと、単身で270万円、これは夫婦世帯になりますと390万円と推計されます。
上位20%で見ますと、課税所得で64万円。収入に置き直しますと、単身240万円、複数で見ますと360万円。
上位25%で見ますと、課税所得で45万円、収入に置き直しますと、単身で220万円、複数で見ますと340万円。
これは一部、先ほどお答えいたしました上位30%というところで見ますと、課税所得は28万円、収入に置き直しますと単身200万円、複数で見ますと320万円となります。
その階級に入る方の人数というお話もございました。これは制度をつくるときに、一定の仮定を置く必要はございますけれども、ある程度、収入基準等々の仮定を置きますと、上位15%で対象になる方は約115万人程度、上位20%ということで対象になる方は約200万人程度、上位25%で見ますと約285万人程度、上位30%で見ますと約370万人程度となろうかと思います。
次に、2つ目の御質問でございます。収入の中で、年金収入と給与収入が両方ある方でございます。これは委員御指摘のとおり、収入の中で控除するのは年金に関しては公的年金控除、給与収入については給与所得控除になりますので、両方の控除がかかってまいります。したがいまして、同じ収入で年金だけの収入の方、年金と給与の収入を合わせてその年収になっている方で比べますと、控除の額は給与収入と年金収入の両方がある方のほうが大きくなります。ただ、給与所得控除は年収に応じまして違ってきますので、控除の額もそれに応じて変わってくるということでございます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
菅原委員、よろしゅうございますか。
それでは、井深委員、お願いいたします。
○井深委員 ほかの委員の先生方からも御指摘がありましたが、5ページ目の課税所得なしというところなのですけれども、割合としてもかなり多い割合を占めているということもありまして、課税所得なしという分類に該当する方々の具体的なイメージは、どういう方々が入るのかということを特に世帯類型等との関係でお示しいただけると、少し参考になるかなと考えました。
もう一点、17スライド目ですが、こちらは先ほど菊池部会長代理のほうから、年齢ごとのこのような分布があるといいという御意見がありましたが、私も非常に似た考えを持っていまして、今、所得との関係という話をしていることから、具体的に出ている3.4万円という数字が一般区分全体での平均値ということになるわけなのですけれども、一般区分の中にも多様な方々がいらっしゃるということがありますので、全ての類型の中に3.4万円という数字が当てはまるというのは、それかどうか分からないというところがあると思います。ですので、一般区分の中で分布の形が同じでない可能性もあると考えますので、可能であるのならば、今、一般区分の中で幾つか分類を出されていると思いますが、その分類ごとにこの数字を当てはめて、所得に対する増加分の割合もしくは医療費支出全体の割合を出すということは重要ではないのかと考えます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
これもデータに関する御要望あるいは質問でありますので、事務局お願いいたします。
○本後課長 最初の課税所得なしのイメージということでございます。
先ほどの資料の中で、一般区分が全体52%の中で21%の方が課税所得なしということでおられます。
この中でさらに見ますと、課税所得がないという中に、住民税非課税のラインが、課税所得なしより少し下のラインでございます。単身年金収入のみですと155万円という水準になりますけれども、こういった方が、被保険者全体で上から見ますと約44%ぐらいいると推定されています。したがいまして、推計ですけれども、住民税が非課税でありながら家族と同居しているということで一般区分に入る方は、差し引きますと残りの15%程度がいらっしゃるのではないかと考えてございます。
それから、自己負担の増加額の分布につきましては、先ほど菊池先生から年齢区分ごとというお話がございました。それも含めまして、どういった資料をお出しできるかどうかの検討をさせていただきたいと思います。
○遠藤部会長 井深委員、よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、まだいろいろな方が手を挙げておられますが、初めての方を優先しまして、安藤委員、池端委員の順番でお願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。
全国健康保険協会といたしましては、現役世代の負担軽減につながる仕組みとなるよう、今回の後期高齢者窓口負担の在り方については、低所得者の方たちに十分な配慮をしつつも、原則2割とする方向で見直していただきたいと思います。
また、2割負担の対象者を議論するに当たりましては、これまでも複数の委員の方たちからいろいろな資料を提出してくださいという御要望があって、なおかつ事務局からも御説明がありましたが、その御説明した内容も含めてきちんとした表にして、次回以降、出していただければと思います。
現役並み所得の基準の見直しを引き続きの検討事項とすることには異論はございませんが、現役世代の支援金負担が過重なものとなっていることを踏まえまして、現役並み所得者につきましても、それ以外の者と同様に公費負担を50%とすることを御検討いただきたいと思います。
また、現役並み所得者の範囲を拡大する際には、少なくとも現役世代の支援金負担がこれ以上増加しないような仕組みとしていただくことが必要ですので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
データについて、次回以降、書面で提出してほしいということで、これは私のほうも申し上げようと思ったところですので、ぜひその辺はよろしくお願いいたします。
続きまして、池端委員、どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。
手短に、2点質問です。
17ページのグラフで、加入者1人当たりの平均8.1万円が2割負担になっても倍になるわけではない。11.5万円、40%ぐらいの増になるということで、世代間格差を少しでもなくして、持続可能な医療保険制度とする上において、ある程度の負担増というのはやむを得ないということは私も認識はしているつもりですが、ここで2点質問です。まず、この1割を2割にしても倍にならない理由として、高額医療費や低所得者対策等が考えられると思いますが、ほかに理由が幾つかあるのであれば教えていただきたい。
一方で、それを全部除いて、確実に負担が2倍になる後期高齢者の方が一定割合いらっしゃると思います。何割ぐらいの方がそうなるのかということをもしお示しいただけるのであれば、教えていただきたい。
というのは、9割給付が8割給付になったということならば、それぐらいという言い方はあるかもしれませんけれども、実際に今、払っているのが倍になるという世帯は、これがかなり受診抑制につながる可能性が高い。それが全体の後期高齢者の何割ぐらいを占めるか、そこに対してどういう対策を取るかというのは非常に重要な問題ではないかと思うので、ぜひその割合が分かれば教えていただきたいと思います。
以上、2点です。
○遠藤部会長 事務局、いかがでしょうか。コメントをお願いします。
○本後課長 今いただいた御質問、2点であります。
1点目の御質問は池端委員御指摘のとおりでございます。自己負担の限度額、外来につきましては1か月当たり、入院につきましても限度がございますので、自己負担が1割から2割になるにつれて、自己負担額に当たるということで、限度額までということになりますので、自己負担が2倍にならないという方もいらっしゃるということでございます。
2倍になる方の数字でございますけれども、これは精査が必要ですので、少し検討させていただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それも含めて、少し御検討いただいた形で、もし書面で出せるような内容であればお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
最初の方からいきたいと思います。兼子委員が先ほど来から手を挙げておられますので、オンラインで兼子委員、お願いいたします。
○兼子委員 ありがとうございます。
全体として持続性をどう確保するかということが大きな問題で、そのバランスのためには、窓口負担の問題がいつも取り沙汰されているわけですが、私は毎回、持続性を保つためには、法律で改めて応能負担の在り方を考えなければいけないと。それが保険料においてやられるべきであって、窓口負担のところを大きくすると、それは受診抑制につながっていくという考え方でいるわけです。
ですから、例えば現役世代の負担ということがよく言われますけれども、現役世帯というよりは、私は所得別の負担、所得に対して医療費の負担や保険料の負担がどうなっているのかといったことを見ていかないと、根本的な解決にはならないだろうと思っています。
先ほど樋口先生から高齢者の実態についてかなり触れられましたので、それらについては繰り返しませんけれども、現行制度の中で、私は基本的には強化というのはやるべきではないとは思っていますけれども、ほかの制度とのバランスで、現在やむを得ず取るとすれば、介護保険料のところでしょうか。多くても2割の中にとどめるべきで、できるだけその幅は小さくしていただきたい。現実的な選択がやむを得ないのであればそのようになるのではないかと思っています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
お待たせしました。松原委員、藤井委員の順番でお願いしたいと思います。
○松原委員 負担の話、皆さん2ページ目を見ていただけますでしょうか。今、一番議論になっている後期高齢者における一般の区分の方の外来の負担と入院の負担という話が出ています。世界中の皆保険制度の中で、なぜ日本がさらに優れているのかといいますと、高額療養費制度というのがあるからです。これがある国はほとんどありません。つまり簡単に言うと、大きな病気で入院したら、1ヵ月で5万7600円をほとんどオーバーします。若い人もお年の人も子供さんも、入院したらこの金額よりもかなり高くなりますから支払金額は5万7600円で止まります。皆さんはそれで安心できて、もしも病気で入院しても対応できる。これは日本の大変優れた制度であります。
それと同時に、外来のみの月単位の上限額が1万8000円となっています。普通、外来だけで1万8000円を払っている人はほとんどいらっしゃいません。確かに1日内科、整形、眼科と3か所、毎日行くとなったらそれぐらいになる人もいますけれども、実際上、今は、何百円あるいは1,000円前後となり、1ヵ月で1万8000円を超えるような外来受診になるということは、まず起きません。
介護保険のときに年間で調整するというのもありますけれども、実際上は外来では上限額を超えるほど使っている人は多くないということであります。
そうしますと結局、一般区分の人が2割になると、2倍払うことになります。検査をしたら物すごい金額になります。そういった2倍になるということでありますので多くのお年寄りがどう判断するかというと、たいへん心配です。
次に、4ページを見ていただきますでしょうか。患者さんと話をしていますと、70までは元気だったから働けたと。その後でも、自分は道路工事のガードマンで仕事をしていると。すごくしんどい。足も痛い、腰も痛い。年金が少ないから頑張っていると。でも、その人たちがさらにお年を召したときに一番心配をしているのは医療費であります。これは政治のアンケートでも、皆さんは何に興味を持っているかといったら社会保障である。その年令になったときにもろにかかるのは医療であります。住居費もありますけれども、持ち家の方はその分は維持費で済むわけであります。
そういった中で、お年を召しても、75まで頑張ろうと。75以上の方でばりばりで働いていらっしゃる方も確かにいらっしゃいます。会社の社長をやっている方もいらっしゃいますけれども、多くの皆さんは75を超えると、アルバイトすらなくなる人がほとんどであります。雇う側からすれば、75歳以上の人を雇うよりも、少し出しても20歳ぐらいの人を雇ったほうがいいというのは当たり前であります。
それと同時に、あとの資料にも出ていますように、75を過ぎるといろいろな病気が出てきます。目の病気があり、腰が痛くなり、そして内科で高血圧の薬を飲まなければいけない。だからこそ増えるのであって、調子が悪くなり、外来に行かなければいけない理由は、やはり老化に伴うものであります。人生100年と言っても、本当に元気でいられる期間は100年もはありません。そういったことを考えると、お年寄りの人たち、75歳以上の方は、70歳前半よりも医療費が高くなるし、収入は年金以外はなくなります。そういったことを考えて対応していただきたいと思います。
また、先ほど申しましたように、75まで頑張れば何とかなるのだ、医療費はそんなにかからないのだということで頑張っておる方に、突然あなたは2割ですということは、先ほど憲法学の話もありましたけれども、なかなか難しい話であります。ここのところでもし対応するとしても、これから75になる人に対応すべきであるのですが、その人たちにも十分な説明が要りますし、ましてや75以上の方に突然2倍になるということを言うことは、どんなにその人たちにとって安心を妨げることになるのかということであります。
医療というのは安全でなければなりません。もう一つは、その方たちが安心できなければ、適切な医療ではありません。コロナの件も先ほど申しましたように、心配だからお子さんを連れていかない。お年を召して、心配だからもっとお金をためなければいけない。医療費がかかるので頑張らなければいけないと思って生きておられる方はかなりいらっしゃいます。安心をまず第一に考えなければなりません。安心がなければ幸福ではありません。そういったことについては、私は政治家の皆さんに十分に考えていただきたい。日本国民がお年を召して、安心して暮らせるような世界をつくっていただきたいと思います。
先ほど樋口先生から、2割は致し方ないと。これは恐らく遠慮してそのようにおっしゃるのでしょうけれども、実際に75歳以上で収入のない方たちは、この医療費が上がると大きなダメージであり、心配が増えて、さらに貯金しなければいけないということぐらいにしか効果がありません。そしてそれは日本国民の幸せにとってダメージであります。そこのことを十分にお考えいただかないと、最終的にはこれは法律改正であります。私どもがここで議論しても、行政が判断しても、財務省が言っても、最後は議員の先生方が日本国の在り方の中で判断されると思います。そこのところ、もし国民の皆さんが幸福でない、安心できないと思ったときにどのようなことが起きるか考えると、私は大変心配しています。
先ほどから若い人たちの世代間の話をされますけれども、私は前から何度も言っているように、75歳以上の人たちは、戦後の時代、裕福で裕福でたまらなかったわけではありません。貯金しながら一生懸命頑張ってきて、今、年金生活に入っている。年金生活に入れば、先ほど申しましたように、75を過ぎたらほとんどアルバイトも何もありません。確かにデータを見れば、金融資産を持っている方はかなりいらっしゃいます。平均したらかなり持っているように見えても、一部お金持ちがかなり持っています。全く貯金がないに近い人たちも随分いらっしゃいます。平均値で物を考えるべきではありません。やはり持っていない方々がどのように考え、どのように安心できるかということを十分に考えなければならないと思っております。
そういった点を十分にお考えいただかないといけませんし、75歳以上の方たちが造った道路、新幹線、ダム、そういったものに対して今、維持費だけで若い人たちがくらしていけるのは、その方たちが努力して、延々と積み上げて、税金を払って、我が国が造ったからであります。そういったことを全く考えないのは間違いであります。
さらに、一生にかかる医療費というのは、お年寄りの人も若い人も子供も、現在、平均したら、二千何百万前後かかかるというのは分かっています。それを働ける人たちで支払おう、頑張って支えようというのがこの皆保険制度の趣旨であります。みんながみんなを支えるということであり、若い人が高齢の方の分を単純に支払っているということではないことを十分御理解賜りたいと思います。
私は、制度が異なるので医療と介護保険を無理に一致させること自体も間違いであるし、介護保険は65歳から対象でありますので、医療保険の75歳以上の部分を考えるときには、十分に考えていただきたいと思います。
長くなりました。以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
続いて、藤井委員、森委員の順番でお願いします。その次に横尾委員。
では、藤井委員、お願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。簡潔に。
私どもの産業界も、先輩方の力でここまで来ましたので、すばらしい制度をつくっていただいたことは、感謝に堪えない部分がございます。本当に感謝しているわけでございますが、残念ながら時代が変わりまして、昔のように稼げる時代でもなくなってきました。それは頑張ってはいます。しかし、目の前でどんどん廃業が続いている業種もございますし、コロナもございますし、本当に現役世代や企業の負担が限界に達していると非常に実感しているわけでございまして、そういった、産業界も厳しい、特に中小企業は厳しいということをぜひお分かりいただきたいと思います。
その上で、これも何度も申し上げてきたことでございますが、3つございます。1つは、所得要件の設定如何によって、制度の持続性を高める効果が限定的になってしまうのではないか。それから、新たに所得区分を設定すると、制度がより複雑化してしまうのではないか。そして、既に低所得者に配慮して高額療養費制度が講じられている。これらのことを踏まえまして、苦しいのですが、原則として2割ということを強くお願いしたいと思っている次第でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
続きまして、森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。
先ほど、樋口委員と兼子委員からお話がありましたので、高齢者に常に接している薬局の薬剤師の立場から少し意見を述べたいと思います。
何回かこの場でも高齢者の特徴というお話をさせていただいたと思います。どうしても複数の疾患に罹患することが多い。そうした中で、うちの薬局にも、内科にかかり、整形にかかり、眼科にかかり、それぞれの医療機関から処方箋を持ってくる患者さんも少なくありません。そうした患者さんは、長期に渡り医療機関にかかって、頻回に受診している患者もいます。そうした中で仮に負担が1割から2割に上がると、それぞれの医療機関の窓口で今までの倍を払って、そして薬局でもこれまでの倍の金額を払うということになるので、非常に負担感が増すと思います。それから、会計のたびに不安感も増すのではないかと思います。
高齢者の受診の特性、収入所得の状況もそうですけれども、先ほど樋口委員が言われた生活の状況も考えながら慎重に検討していただきたいと思います。介護保険で2割という話がありましたけれども、松原委員のほうから介護保険は65歳だという話がありました。そのようなことを考えますと、介護保険以上に限定して、慎重に検討をすべきだと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
横尾委員、お待たせいたしました。
○横尾委員 ありがとうございます。
まず、資料に関係して、5ページ目なのですけれども、先ほど本後課長からも少し説明があったのですが、例えばここの中で、実質的な所得が幾らかというのはぜひ数字を入れてほしいと思いました。右端と左の2つは年収約何十万と書いてあるのですけれども、真ん中のグリーンの4つが分からないので、ぜひ入れていただくと、より詳しく分かりやすいし、国民の理解も進むものだろうと思っています。
次に7ページ目を見ると、例えば年収100万円のところで消費支出118万円なのです。すなわち赤字なのです。どのようにこれを考えたらいいのかなというのがどうしても出てきます。こういう現状を見ると、なかなか負担増というのは厳しいものがあるなということを改めて感じられるところなのです。赤字になるような支出と所得の構成のところを厚生労働省はどう御覧になるのか、もし意見があれば伺いたいと思っています。
続いて3点目は、10ページ目に65歳以上の夫婦世帯の経済所得の支出の状況が書かれています。後期高齢者医療を考える場合だとしましたら、ぜひ75歳以上の場合で、単身あるいは夫婦世帯でどうなのかということも示していただきたい。データに基づくポリシーを考えるのであれば、しっかりと把握する必要がありますので、ぜひ資料があれば出していただければありがたいと思います。
続いて、4点目は17ページです。2割負担という話が出て、先ほどの御説明では、必ずしも2倍にはならないよとありました。つまり、3.4万円程度のアップになるだろうという御説明でした。それならばそうとして、多くの方々はそういったことがまだ分かっておりませんので、一般的には単純に2倍になるという受け止めをされておられると思いますから、「そうではない」ということや、どれぐらいの規模になるかというボリューム感などを広く知らしめるためにも、ぜひそういったことの広報が重要ではないかと思っています。
最後に、座長にもおっしゃっていただいたのですけれども、本後課長から詳しい説明と上位15%、20%、25%がありました。これらはぜひ資料で出していただいて、皆で供覧をして、議論が深められるようにしていかなければいけないと思います。
いろいろな議論と質問を聞きながら、後期高齢者医療を預かっている広域連合協議会の身からきたしますと、人生100年時代といって生き長らえていくことができるとしても、その自分自身が社会の荷物になっていると感じることは何とも悲しい寂しいことですので、少しなりともそういうことがなく、少しなりとも努力して、あしたに希望を持って生きていけるような環境をどう整えていくかというのがこれからとても大事だなと思います。人生は人それぞれではありますけれども、その人らしい人生を全ういただくような医療と健康面の支えをどうするかが肝心であります。これは大きな観点から、保険ということに関係しますけれども、ぜひそういったことを皆様と一緒に深掘りしていくことができればと思っています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
幾つか御要望もありましたけれども、これは次回以降、宿題返しという形で対応させていただくことにさせてください。
ほかにいかがでしょうか。
秋山委員、どうぞ。
○秋山委員 手短に。
私も診療側の委員から出されました懸念について、本当に同感でございます。1割負担から2割負担になることで、窓口負担が実際、2倍になる方も少なからずいらっしゃいますので、そうしたデータをきちんと出していただきたいと思います。また負担が増えることで受診控えや治療中断ということが起きて、それが重症化につながってしまいますと、また医療費が膨らんで本末転倒になってしまいますので、その辺はもう少しデータを見せていただいて、慎重に検討をしていくべきかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにございますか。ありがとうございます。
それでは、本日はこの議論につきましてはこれまでにさせていただきたいと思います。事務局におかれましては、様々な御意見が出ましたので、それを踏まえまして適切な資料の作成をしていただきたいと思います。引き続き、今後もこの議論は続けさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
続きまして、「大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大について」を議題としたいと思います。
事務局から、資料の説明をお願いします。
○姫野課長 ありがとうございます。保険課長でございます。
資料2-2を御説明したいと思います。
まず、1ページ目でございますけれども、全世代型社会保障検討会議の中間報告におきまして、病院の外来機能の明確化、そしてかかりつけ医機能の強化といったものを踏まえて、こういったものを推進する観点から、医療保険制度の中でも紹介状なしで受診した場合の定額負担の拡充といったものを検討するということになってございました。
検討の体制につきましては、1ページにございますように、医療提供体制の「医療のあるべき姿」の点については医療部会において議論をし、これを踏まえて、医療保険部会の中で定額負担の求める制度設計について基本的な設計を行うという形で議論を進めさせていただいているところでございます。
本日は、左側の医療部会での現在の検討状況を御紹介しつつ、直近での定額負担の徴収の状況について御報告をしたいと思います。
2ページでございます。医療部会の下に設置されております検討会での議論の状況でございます。医療資源を重点的に活用する外来というものの議論がされておりますけれども、外来医療の高度化等が進んでいく中で、入院医療とともに外来医療についても議論を進めていくことが必要であるということで、こういった医療資源を重点的に活用する外来に着目をして、外来機能の明確化・連携を図るという観点から議論がされております。
具体的に、医療資源を重点的に活用する外来のイメージといたしまして、以下、3つ掲げておりますような観点で検討してはどうかということでございます。
1点目が、医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来。
2点目が、高額等の医療機器・設備を必要とする外来。
3点目としては、紹介患者に対する外来。
こういった機能に着目して、議論を進めていただいているところでございます。
こういった機能につきましては、仮称ですけれども外来機能報告という形で、各医療機関から都道府県に具体的な機能を報告するということを考えてはどうかという議論がされてございます。
次のページでございますけれども、こういった個別の外来の機能の報告を踏まえまして、地域における協議の場で必要な機能についての調整を行うということも検討されてございます。
また、2つ目の○でございますけれども、国民・患者の分かりやすさの観点から、「医療資源を重点的に活用する外来」を地域で基幹的に担う医療機関といったものを明確にする仕組みを設けてはどうかということでございます。
具体的に、こういった基幹的に担う医療機関の報告に当たっては、国で一定の基準を示し、これを参考にした上で、地域の協議の場で確認をしていくということで、地域の実情を踏まえることができる仕組みも検討されているということでございます。
4ページは医療部会での主な意見ですので、説明は割愛させていただきます。
5ページですけれども、医療保険の中で大病院の紹介状なしで受診した際の定額負担を求める仕組みがございますけれども、現状では、赤く囲っております200床以上の医療機関については、医療機関の任意で定額負担を求めることができることになっておりますが、緑で囲っておりますところは、医療保険制度上、徴収することが義務となっている医療機関でございます。今回の議論では、この緑の部分を赤い枠のところまで拡大していくという議論をすることになりますけれども、医療部会での外来機能の分化の在り方を踏まえて、この赤い部分をどこまで拡大していくのかという議論をしていくということでございます。
次に6ページでございますけれども、200床以上の一般病院という形で全世代型社会保障検討会議の中間報告に記載されておりますが、200床以上の定義について少し曖昧な部分があるという御指摘をいただきましたので、現在の制度上の整理をつけさせていただいてございます。
現在、医療保険制度上、選定療養として紹介状がない方の初診時の定額負担を取ることができるという規定になっておりますが、その際の徴収可能な医療機関の定義といたしましては、一般病床の数が200床以上の病院となっておりますので、療養病床、精神病床などを除いた一般病床の数が200床以上であるということが条件となってございます。
次に7ページ、8ページはこれまでの御議論の整理をしたものでございます。総論といたしましては、対象範囲の拡大、負担額の増額、そして増額分を医療保険の負担軽減に充てるということについては賛成である。あるいは、定額負担の拡充については患者の受診行動を変えていく必要性ということでは認識しているという御意見をいただいております。
一方で、定額負担の対象病院の範囲については、一般病院と一口に言っても地域によって果たしている機能が違うということで、地域の実情に応じて考える必要があるという御指摘をいただいておりましたけれども、この点、今、医療部会で議論されている内容も踏まえて、引き続き御意見をいただければと思ってございます。
8ページでございますけれども、この議論の際にはかかりつけ医についての強化も併せて検討が必要であるという御意見をいただいておりますし、また、定額負担の水準については、保険財政の持続可能性に寄与するような形で検討すべきであるといった御意見もいただいてございます。再診時の取扱いについても、しっかりと検討すべきであるという御意見をいただいているところでございます。
9ページからが、現状の定額負担の徴収の状況について、直近の状況を御報告する部分でございます。
10ページでございますけれども、選定療養の届出状況につきましては、7月1日の時点でどのような徴収額になっているのかなどの状況について、各医療機関から地方厚生局に報告がされてございます。これを速報値として取りまとめたものでございます。
11ページでございますが、先ほど緑と赤の枠囲みをお示ししましたけれども、緑の枠になっております定額負担を徴収することが義務となっております対象病院と、任意で取ることができる対象病院とを比較したものでございますが、紹介状なしの患者様、定額負担の徴収患者の比率については、いずれも義務となっている対象病院が低くなっているという状況でございます。
一方で、再診患者につきましては、義務の対象病院、任意の病院、いずれも比率が非常に低いという状況が見てとれるかと思います。
次の12ページでございますけれども、特別の定額負担を徴収しなかった患者の内訳でございます。類型といたしましては、特別の料金徴収を行うことが認められない患者様と、特別な料金を病院側の判断で求めないことができるという類型で大きく2つに分かれてございますけれども、その中の細目を見ますと、「救急の患者」「救急医療事業、周産期事業における休日夜間受診患者」の比率が多くなっている一方で、再診時については「その他」ということで、医療機関の判断で必要性を特に認めた患者の割合が高くなっているという傾向でございます。
13ページにつきましては、紹介状なしの患者の比率が高い病院の分布を、それぞれ義務の対象病院、任意の病院でプロットしたものでございます。定額負担の徴収が義務となっている病院では、50%台が一番ピークになってございますが、任意の病院では80%台がピークになっているというところでございます。
14ページが定額負担の徴収額の設定状況でございます。定額負担義務の対象病院では5,000~6,000円のところに集中してございます。これは5,000以上取ることが義務になっておりますので、この部分に集中しているということかと思います。
一方で、任意の対象病院では1,000~3,000円といった施設が多い部分になってございます。再診時の定額負担の徴収額については、いずれも2,500円以上、3,000円未満が大半となってございます。徴収額の最大額は、初診では1万1000円、再診は8,800円となってございます。
15ページは定額負担の徴収額と紹介状なしの外来受診患者の比率の関係を見たものでございますけれども、徴収額が高ければ高いほど、初診患者に占める紹介状なし患者の割合や特別な料金を徴収した患者の割合が低くなるという傾向が見られてございます。
16ページについては、再診についてお示ししたものでございますが、初診時と同じような傾向でございます。
17ページは参考でございますけれども、平成30年度に、現在の特定機能病院、地域医療支援病院の定額負担の義務化の対象を500床以上から400床以上に拡大した際に、拡大された医療機関と、もともと義務化になっていた医療機関との比較をしたものでございますけれども、一番下のグラフにありますように、平成30年度改定から義務化の対象になった医療機関では、紹介状なしの対象患者の比率が22.5%から18.5%に、4%ポイント減少しているという実績データでございます。
説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
本案件も前回御議論いただいたことでありますので、その継続ということになりますけれども、何かコメントはございますでしょうか。
松原委員、どうぞ。
○松原委員 何度も議論したところですけれども、これはあくまで選定療養として対応し、最終的には御負担させることなく、かかりつけの先生から紹介状を持ってきていただきたい。これによって機能の分化をしようということであります。特定機能病院と地域支援病院についてはやって当然だということで、ここに至っています。
一般の病院については、その病院の考え方に合わせてされればいいので、義務化しないということでここまで来たわけですけれども、一般の病院において、どこのベッドからその義務を負うなどというのは非常に難しくて、例えば急性期に特化している病院もあれば、慢性期に特化している病院もあります。そこを十把一からげで、ベッド数で切るのはまず無理であります。そういったことを十分に考えると、これを広げていくよりは、むしろ再診をきちんと対応していただくべきです。今は再診患者からはほとんどもらっていないような状態です。これを強化して、なるべく地域に患者さんを戻していただきたい。その循環をして、本当に必要なときだけ紹介して、そしてある程度安定したら地域に戻してということをすれば、医療資源が非常にうまく使えると思います。方向性が最初の趣旨と違っているということを申し上げたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
池端委員、どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。池端です。
この問題は、私も何度もお話をさせていただいて、繰り返しになる点もあるかもしれませんけれども、今、松原委員もおっしゃったように、根本的に選定療養の考え方として、これを義務化するということはかなりおかしいというか、問題ではないかと思っています。患者さん主体に考えれば、そこにはいろいろ理由があって行っているわけです。しかも、これはかなり地域性があります。地域によっては200床以上でも、本当にかかりつけ医機能を担っている公的・私的病院がいっぱいあります。こういうところを全て義務化してしまえば、本当に患者さんの行き場所がなくなってしまうということがありますし、まずは病診連携、病病連携をしっかり進めることが前提であって、その上で選定療養が自由に選択できるという、制度設計はそういうことが根本ではないかと思います。
もう一点は、病院そのものの収入構造にも、ある程度、問題点があると思います。というのは、大学病院クラスでも外来の収入が一定程度ないと経営が成り立たないのが現状の収入構造だと思います。そこに切り込んで行かない限り、外来もある程度確保しなければいけないという病院、特に200床以上に下げればそういう病院がどんどん厳しい経営にならざるを得ないこともあると思いますので、そういう意味でも、今、松原委員もおっしゃったように、逆紹介をどんどんしていって、そういうところから病診連携を図っていくことで、外来の機能分化をしていくということが大事ではないか。北風政策を幾らやっても、これはなかなか難しいのではないかということを私は考えています。
もう一度言いますけれども、病院の収入構造の変革を考えながら、逆紹介を増やしていって、病診連携を図るということが本来の筋ではないかと思っています。
さらに今回のコロナ禍で、200床以上の病院がかなりかかりつけ医機能を担いながら感染対策に当たったところもありますので、その辺を含めると、もう一度、根本的にこの問題を考え直さなければいけないのではないかというのが、病院団体協議会全体の意見ということで、ここで申し上げさせていただきたいと思います。
以上です。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
先ほど来、ネットでお手を挙げておられた井上参考人、お願いいたします。
○井上参考人 ありがとうございます。
本件はタイトルのとおり、大病院への患者の集中を防いで、かかりつけ医機能の強化を図るということが目的だと考えております。
これを通じて、それぞれの施設が集中すべき診療が明確になれば、患者から見てもどこの医療機関を受診すべきかということも明確になりますし、また、限りある医療資源の有益な活用や、医師、医療関係者の働き方改革にもつながると考えております。
医療部会でも議論がありましたけれども、まずは「医療資源を重点的に活用する外来」を担う医療機関を地域の実情を踏まえて明確化するという枠組みが必要である。ネーミングがどうかという御意見も前回の医療部会であったので、そこは検討していただければと思いますけれども、それを踏まえながら、定額負担の増額につきましても、公的医療保険の負担を軽減するように改めるとともに、保険財政面でも寄与するような水準にすることが重要だと考えております。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
菅原委員、お願いいたします。
○菅原委員 ありがとうございます。2点ございます。
1点目は、本制度の制度趣旨からすると、病床規模200床という話になりますと、これが本当に大病院なのかというところから根本的な話になるのですけれども、ほかの委員の先生がおっしゃっていたように、地域において様々な機能を果たす病院というのがかなり含まれてきますので、一律に病床規模だけで規制をしていくというのは難しいのかなと私自身も思います。
例えば地域包括ケア病棟などは介護施設の緊急入院を受け入れるだとか、そういう実態的な機能を果たされていることなども考えますと、これらを考慮せずに病床規模だけというのは難しいと思いますので、基準設定をやるとすれば、病床機能とか病棟機能をクロスさせて考慮していく必要があると考えます。
12こま目、先ほど来お話になっている再診の問題が、恐らく制度をつくったときには勤務医の負担軽減というのも一つの大きな柱でしたので、再診を減らしていくということが非常に大事なことだと思っています。患者の同意が取れないで再診料を取れていないケースがまだかなり多いということで、ここの徹底を図る必要があるのです。ただ、患者の支払う側からすると、最初に高いお金を払って、次にまた同じ病院に来られないというのはおかしいという考え方もある。恐らく実効性を上げるためには、再診時にどれだけ負担がかかるのかというのを初診の最後のところで再度徹底してきちんと説明するような、運用上の工夫が恐らく必要になると思います。
これは恐らく16こま目にあったと思いますけれども、外来再診患者の全体に占める、紹介したにもかかわらず自院を受診した患者がまだ3割とか、割合としてかなりいらっしゃるということを考えると、運用面で、まさしく病院の職員の方々に頑張っていただかなければいけないと思いますけれども、この工夫が非常に大事だと考えております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
林委員、どうぞ。
○林委員 林でございます。ありがとうございます。
前回も申し上げましたけれども、地域によりましては大病院が外来患者さんを直接受け皿として機能せざるを得ない状況があるということもございます。ウィズコロナの状況下におきましては、その必要性がさらに増してきておる現状もございますので、機能の議論から病院規模の議論に簡単にすり替わるということのないように、実情に応じて柔軟な対応を求めていきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかによろしゅうございますか。
御意見は前回も含めまして大体出尽くしているかなと思います。今、医療部会のほうで議論されている外来機能の分化のほうの議論がもう少し進みませんと、それに関連して議論が進みませんので、またそれが少しまとまりつつあれば、それを基に議論を深めていきたいと思います。本日は、この議論につきましてはこの程度にさせていただきたいと思います。
続きまして、「薬剤自己負担の見直しについて」に入りたいと思います。
事務局より、資料の説明をお願いします。
○姫野課長 ありがとうございます。保険課長でございます。
資料2-3につきまして、御説明をいたします。
まず1ページ目は改革工程表での記載でございますけれども、薬剤自己負担の引上げなどにつきまして、市販品と医療用医薬品との間の価格のバランス等の観点から検討をし、その結果に基づき必要な措置を講ずることになってございます。
2ページは、財政制度等審議会での資料でございますけれども、どういったことが提案されているかということで、参考でつけてございます。
左側にありますのは、医薬品につきまして一部、保険給付の対象から除外するということも考えられないかという御提案でございます。
右側につきましては、フランスやスウェーデンの例を参考に、薬剤の種類に応じて患者負担の割合を変える、設定するということも考えられるのではないか。そんな御提案があるところでございます。
これまでの当医療保険部会での議論を3ページ以降に整理してございますけれども、例えば1つ目の例示にございますように、OTC配合剤の使用を促進すべきであって、それが進まない場合には、給付率の引下げ、あるいは保険対象から外すことも考えるべきという御意見もいただいておりますが、一方で、保険給付の対象外とすることは疑問である、あるいは、真ん中辺りにありますけれども、14年改正法附則の趣旨から保険外しなどについては慎重であるべきといった御意見もございます。
一番下にありますように、OTCの有無によって保険適用を決めるというのは、治療の必要性によって保険適用を決めるという原則に反するのではないかといった御意見もいただいてございます。
4ページでございますけれども、こういった賛成、反対の御意見とは別の論点かと思いますけれども、こういった保険給付の在り方の議論も必要ではありますが、自己負担の見直しのみならず、後発医薬品の利用促進やセルフメディケーション税制の拡充、生活習慣病の治療薬の在り方などについて、検証・検討を進めるべきといった御意見もいただいているところでございます。
次の5ページにこれまでの議論を少し整理してございますけれども、検討に当たっての考え方ということで、改革工程表における記載などを基に検討を進めていくわけですけれども、これまでの意見を踏まえた論点として整理いたしますと、市販品類似薬の医薬品の保険給付の在り方、保険給付の重点化という考え方から見直していくべきではないかという御意見もあります。一方で、医療上の必要性に応じた医薬品の選択を担保とすることの必要性、14年の健保法改正附則における7割給付を維持するということの必要性といった慎重な御意見もございました。こういったものとまた別の論点ということで、自己負担の引上げ以外の方策によるセルフメディケーションの推進といったところを考えてはどうかという御意見もいただいていると整理してございます。
6ページでございますが、前回この論点を議論した際に、生活習慣病治療に用いられる後発医薬品の使用状況について示してもらいたいという御指摘がございましたので、グラフにしてございます。血圧降下剤や高脂血症用剤といった生活習慣病に用いられる後発医薬品の使用割合につきましては、令和2年3月時点で既に8割を超えているという状況でございます。
参考ですけれども、外皮用薬、中枢神経用薬などについては、増加傾向ではございますけれども、その他の薬効群と比較すると使用割合が低いという状況でございます。
7ページ以降でございますが、先ほどの論点の整理のところでも御説明いたしましたけれども、セルフメディケーションの推進といった観点からの検討もしてはどうかということもございましたので、現在、厚生労働省における取組を整理したものでございます。
まず、セルフメディケーションの推進につきましては、骨太の方針にも記載されてございますけれども、一般用医薬品等の普及などによるセルフメディケーションを推進するということで、これによって限られた医療資源の有効活用、国民の健康の維持・増進にもつながるということを目的として進めてございます。
具体的には、スイッチOTCを一定金額以上購入した場合の税制の優遇制度、セルフメディケーション税制を2017年から創設してございます。また、医療用医薬品から要指導・一般用医薬品への転用を進めるとともに、「健康サポート薬局」などにおけるOTCの支援、自治体・保険者とも連携をした住民の主体的な予防・健康づくりの支援といったものにも取り組んできているところでございます。
8ページはそれを概念図にしたものでございます。
9ページですけれども、先ほど御紹介いたしましたセルフメディケーション税制の概要でございます。こちらにつきましては、健康の維持・増進、疾病の予防などを取り組んでいる方を対象といたしまして、スイッチOTC医薬品の購入額が1万2000円を超える場合に、その超えた金額について、その年分の総所得金額から控除するという仕組みでございます。
10ページでございますけれども、こちらが税制改正の期限が切れるということで、令和3年度の税制改正要望ということで、延長あるいは対象医薬品の範囲の拡大といったものを現在要望中ということでございます。
11ページ、12ページにつきましては、セルフメディケーション税制を活用した方と活用し得る人につきまして比較をし、実際にこれを活用した方につきまして、病気になったときのOTC処方への意識が変わってきているということを示したグラフでございます。
13ページでございますけれども、保険者インセンティブ制度の中でも、セルフメディケーションの推進について取組を進めているという御紹介でございます。具体的には、国民健康保険制度の保険者努力支援制度の中でございますけれども、予防・健康インセンティブの強化ということで、個人インセンティブの提供、あるいは被保険者に対するセルフメディケーションの推進、OTC医薬品の普及なども含めて、こういったものの周知啓発を評価対象としてきてございます。
また、健康保険組合、共済組合に対する支援金の加減算制度でございますけれども、2018年度以降、健診・保健指導の実施状況だけではなく、様々な幅広い保険者による取組を評価対象としてきてございます。現時点では、2例あります支援金の減算の部分で多様な項目を挙げております。現時点でOTC医薬品ということは挙げられておりませんけれども、引き続き、こういった幅広い取組を評価することを検討しているところでございます。
14ページをまとめますと、保険者における上手な医療のかかり方、あるいはセルフメディケーションの推進といった形で検討してはどうかということで整理をしてございます。
まず、受診の必要性や医療機関の選択等を適切に理解して医療にかかることができれば、患者・国民にとって必要なときに適切な医療機関にかかることができますし、また、医療提供側の過度な負担が軽減されることで、医療の質、安全確保と同時に、医療保険制度の安定にもつながるということでございます。こういった観点から、保険者の立場からも上手な医療のかかり方やセルフメディケーションを推進するということも考えられるのではないかと考えております。
具体的な取組でございますが、一律に制度を変えるということではありませんけれども、個々の保険者による自立的な取組ということで、例えば以下のような取組が検討されてはどうかということでございます。
マルイチにございますように、上手な医療のかかり方、セルフメディケーション、OTC薬の推進も含めまして、そういったものの周知・広報をしたり、マルニにありますように、実際にセルフメディケーション税制などを利用した場合の医療費負担の削減効果を個別に通知してみる。また、個別のインセンティブ付与といったものも考えてはどうかということでございます。
最後、15ページは参考までに医療用医薬品を処方された場合とOTCを購入した場合の比較でございます。
説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
OTC医薬品がある場合の医療用医薬品の保険給付の在り方は、これまでこの部会で何度もやってきた案件でありますが、それについてまた御議論いただくということと、もう一つはセルフメディケーション政策について報告がありましたので、これについて御意見、御質問等があればと思います。
いかがでございましょうか。
藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 かねて申し上げておりますとおり、商工会議所としましては、小さなリスクには自助で対応するという考えの下、薬剤の保険給付範囲の見直しというのは進めていくべきだと考えております。
一方、コロナによる受診控えに伴い、OTC医薬品の利用が進むなど、患者さんの意識も変化しつつありますので、ぜひこれを機会に、スイッチOTCに限らず、OTC医薬品全般の使用を進めるという観点で、セルフメディケーションの推進に取り組んでいただきたいと思います。
また、セルフメディケーションの推進には、国民のリテラシー向上や薬局の活用というのは大変重要なわけですが、一方で、受診したほうがいいのかどうかという目安がなかなか判断に迷う場合もございますので、そういった場合に、例えばAIを活用してレセプトデータを解析するなどによって受診の目安を策定し、患者さん自身が受診の目安を判断しやすくするよう、環境を整備してはいかがかと考えます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
森委員、お願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。
国民の予防・健康づくり、セルフケア・セルフメディケーションの推進というのは非常に重要ですし、今後も強化をしていく必要があるのではないかと思います。ただ、それを進める上で、適切に進めることが重要で、OTC医薬品を含めた政府機関の推進においては、ここでは専門家の関与が必要であり、専門家が入らずOTC医薬品を使われていることは適切ではないと思っています。
また、藤井委員のほうから受診勧奨という話がありましたけれども、ぜひそのような中でも、いつも気軽に相談できるかかりつけの薬剤師を持ってもらうことによって、より適切に、推進ができるのではないかと思っています。
市販類似薬の保険給付の在り方は、何回もここで意見を申してきましたけれども、国民自らが自分で判断して使用する市販薬と保険上必要な医療の提供に用いる医薬品とは成分が、たとえ類似していても、また同じであってもその使用目的は異なるものなので、市販薬の有無により、保険料の取扱いを変えるのは非常に理解し難いのではないかと思います。
国民の安心という話が先ほどからありました。保険医療上必要な医薬品が保険給付されることが国民の安心につながるのではないかと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
こちら側に行きましょう。それでは、佐野委員、お願いします。
○佐野委員 ありがとうございます。
本件は今までも申し上げておりますけれども、昨今、高額薬剤の保険収載等によって、薬剤費は増加し続けておりますので、皆保険制度維持の観点からも、市販品類似薬について、保険給付範囲からの除外もしくは償還率の変更ということは考えていくべきだと思っています。
その中で、5ページの論点でありますけれども、市販品類似の医薬品の保険給付の在り方、国民皆保険制度を維持する観点からの保険給付の重点化といったことは極めて重要な課題ですので、引き続き検討すべきだと思っております。
セルフメディケーション関連ですけれども、当然患者も選択肢が広がるという観点から、スイッチOTC医薬品の推進等の環境整備や、周知・広報は大変重要だと考えております。そういう面で、上手な医療のかかり方、セルフメディケーションを推進する方向性は理解しております。
ただ一方で、14ページの具体的な取組案の中に、保険者としての取組はどうかということがございますけれども、実際、これに対応するには技術的な面も含めて課題がまだまだあると思っておりますので、慎重に検討すべきではないかと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
私からも佐野委員と同様の意見なのですけれども、国民皆保険制度を維持するという観点、先ほどの後期高齢者の窓口負担もそうなのですが、その窓口負担を増やしたからといって、国民皆保険制度を維持できるように安心していられるのかというと、そんな状況ではないと思いますので、この薬剤の自己負担の見直しについても、引き続き議論していく必要があると思います。
それと、先ほどの14ページなのですけれども、保険者としてこういう取組を行う必要性はあるなということは理解しますが、どのような形で削減効果を算出して、通知するのが効果的なのかということにつきましては、保険者にそのまま丸投げではなく、ぜひ厚労省からも、こういう形でやったほうがいいですよねというようなモデルケースの創出等について御検討をいただければと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
先ほど来、手を挙げておられた池端委員、どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。
私もセルフメディケーションの流れに反対するつもりはもちろんありませんけれども、一方で、今日の資料を見せていただくと、どうもスイッチOCTに関してかなり前がかりな資料のみが出てきているようです。
もともと医療機関で医師の下に薬剤を一定の安全性を確認してスイッチOTCに切り替えていたものを、ぜひ切り替えたスイッチOTCの市場がどの程度あるのか。そしてそこに大きな問題点がなかったのか。
例えば抗潰瘍薬も出ています。それをむやみに自分の考えで飲んでいて、潰瘍が悪化した、あるいは別の病気が出たということがないのかとか、そういうデータもぜひここに併せて載せていただいて進めていかないと、どんどん前がかりな資料ばかりを出して、行け行けどんどんでは少し難しいところがある。慎重に対応しなければいけないところがあるのではないかという気がしています。
スイッチOTCがもう何剤か出ていますので、その市場規模やそれに基づく副作用等がないかどうかというデータがあれば、ぜひ次回、お示ししていただきたいと思っています。
市販類似薬の保険適用云々の話もありましたけれども、スイッチOTCに関して言えば、市販類似薬は1錠を2錠に増やして服用すれば、医療機関が出す薬と同じ以上の量になってしまう場合も随分ありますので、そこで大きな副作用、合併症が起きる可能性は一定程度危惧しながら、慎重に進める部分も必要ではないかと思っていますので、ぜひそういう資料に基づいて、チェックをしながら進めていただきたいと思っています。
以上です。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御要望として受け止めました。
それでは、菅原委員、お願いします。
○菅原委員 ありがとうございます。手短に。
これまで私も何回か意見を述べさせていただきましたが、今日は全然違う視点なのですが、実は患者さんの行動といいますか、自分自身がOTCを買うのはどういうときだろうというと、恐らく病院に行くと待ち時間があって、あるいは感染リスクがあるので、それを避けたいのでOTCという流れが普通かなと思っております。
そういった意味では、患者さんがどれだけOTCを使うかというのは、機会費用といいますか、どれだけそういう負担がかかるかというところが大きいような気がするのですけれども、現在コロナの状況下で、オンライン診療の初診からの保険適用が進んでいて、これから先、原則解禁も議論していると認知をしております。
何が言いたいかというと、OTCの利用促進というのは私自身も進めていくことはやぶさかではないのですけれども、一方で、オンライン診療を使う方というのも、受診のリスクや費用という意味で機会費用が下がりますから、ある意味では、オンライン診療とOTCの利用促進という2つの政策推進の方向性がバッティングするといいますか、代替をしてしまうような可能性もあるかと考えております。
個人的に、何人かオンライン診療をやられている先生方の処方状況をお聞きすると、大方処方薬の状況というのが、OTCで代替可能なものが上位に並ぶということを私自身、お聞きしまして、これから先、OTCとオンライン診療をどのように推進していく、どのように両立させていくかということも少し考えたほうがいいかなと思いました。
以上でございます。
○遠藤部会長 新しい視点で御提案いただきました。
お待たせしました。松原委員、どうぞ。
○松原委員 やはりお薬というのは安全に使われなければいけません。また、保険で使う場合には必要な医薬品は保険から現物給付するという大前提でやっております。そこは守っていただきたいと思います。
15ページを見て思ったのですが、例えばロキソプロフェンをお買いになる方がどういう行動を取るかといったら、明瞭に痛みがあって、何が原因か分からない場合には医者に行かれます。そして、そこで治療が終了するまで貼り薬を出すわけですけれども、OTCをお買いになるというのは、大体いつも起きている状況だから医者に行かなくてもいいだろう、待ち時間もあるしということで、お買いになるのです。表を見ていて思ったのですが、薬剤費のところ、ロキソプロフェンは170~290円なのに、OTCは同じ物に1,730円も本当にかかるのですか。これがもし事実だとしたら、薬剤費というのは中医協でいろいろな議論をして、原価計算やほかの薬と比較して価格を考えているわけですけれども、あまりにOTCは高いのではないですか。同じものが、価格が10倍は本当ですか。本当かどうかだけ教えてください。
○遠藤部会長 事務局、どうぞ。薬価と比べて10倍の差があるというこの計算の根拠について。
○紀平管理官 医療課薬剤管理官でございます。
こちらは小売価格も含めて、実際の店頭の販売価格を調べた上で記載しております。
医療用の薬価につきましては、医療機関や薬局への卸価格を基に算定しておりますので、一般小売店であれば、卸価格に相当するものと考えております。ですので、小売店での手取り分も含めた形の小売価格というのが、こういったOTCの販売価格に反映されているものと考えております。
以上でございます。
○松原委員 幾ら自由市場経済であるといっても、これはあまりにおかしいのではないですか。OTCは高過ぎませんか。原価から考えたら、その差額だけ収入なのですか。そういうことをしているから、結局OTCを皆さんが買わずに、内科医が見てから、理由が分からなかったら整形外科に紹介して、整形外科もMRIを撮らないと患者さんが納得されないから、結局何という病気でもないのに、貼り薬を貼っていれば治るのに、費用がかかる。その辺りのことを十分御検討いただけませんか。自由競争だからといって、10倍も取るのは幾ら何でもひどいのではないですか。御検討ください。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
薬剤の自己負担につきましては、これまでも随分議論されてまいりました。したがいまして、今後また新しいデータ等をベースにしながら議論を続けていきたいと思います。
本日御紹介いただいたセルフメディケーションの取組につきましては、大体御了承いただけたと思いますので、部会としてはそのように対応したいと思います。
次に、「国民健康保険制度について」を議題とします。
事務局から資料の説明をお願いします。
○森田課長 国民健康保険課長でございます。
資料2-4の1ページ目を御覧ください。
国民健康保険につきましては、御承知のとおり構造的な課題ということで、①から③にありますように、若者に比べまして高齢者の割合が高く、医療費水準が高い。あるいは、所得の水準は低いという中で、保険料の負担が重いということがございますし、⑥、⑦にございますように、小規模な保険者の存在あるいは市町村間の格差という構造的な課題がございます。
こうした中で、平成30年度から施行しております国保改革ということで、大きく2点、財政運営の都道府県単位化と都道府県と市町村の役割分担、公費3400億円ということでの財政支援の拡充ということで、現在運営を進めております。
①の3つ目のポツですけれども、新たな取組として、都道府県内の統一的な方針ということで、国保運営方針の下に都道府県・市町村の役割分担の下での運営をお願いしております。また、財産安定化基金を設置するということも、今回の改革で盛り込んでおります。
今後の主な課題として、平成30年度改革から3年目を迎えておりますけれども、地方自治体や国保連などの御尽力で、おおむね順調に実施されていると認識しております。
ただ、課題もございまして、都道府県単位化の趣旨の深化ということで、現在、都道府県では国保の運営方針の改定あるいは中間見直しの議論を進めていただいております。大きな課題として3点挙げておりますけれども、法定外繰入等の解消ということで、計画的な解消あるいは状況の見える化を進めていただいておりますし、保険料水準につきましては地域の実情に応じながら、将来的な統一に向けての議論を深めていただいている。さらには保険者努力支援制度などを活用いただいて、予防・健康づくりなどを進め、医療費適正化を進めていくということがございます。
米印にありますけれども、国会の附帯決議、例としては子供の保険料、均等割の軽減の検討、あるいは骨太の方針・改革工程表では法定外繰入の解消ですとか、将来的な保険料統一、地方団体からの御要望も様々ございますけれども、例えば保険者努力支援制度の評価の在り方ですとか財政安定化基金の使途の拡充といった御要望もございます。また、政府・与党内でも関連する議論が進んでいるところもございます。国保制度につきましては、国と地方の協議ということで、基盤強化協議会、その事務レベルワーキングがございますので、現在これらの論点につきまして、検討・調整を進めております。
今後とも検討を進めまして、必要に応じて、またこの部会にも御説明をしてまいりたいと考えております。
以下、参考資料をつけておりますけれども、説明は以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ただいまの現下の国民健康保険制度の改革の状況についての御説明ですけれども、何か御質問、御意見はございますか。
それでは、前葉委員、お願いします。
○前葉委員 ありがとうございます。手短に申し上げます。
大きな方向性として、今、御説明にありましたとおりでございます。なお、政党で若干気になる動きが出てきております。国保改革をもっと推し進めるべきということで、財政均衡あるいは法定外繰入の解消、都道府県内の保険料の水準の統一については、我々も大きな方向性はそのとおりだと思いますが、これらの努力義務を法律に書いてはどうかとか、国保運営方針でかなりクリアに、明快にもっと出していくべきではないかという議論が一部あるようでございます。
私ども市町村の立場としては、1つは、国保の今後の進め方について、国からの強制的な義務づけをいただきますと少し地方分権の考えに反するのではないかということを心配いたしております。
もう一つは、これは市町村としては苦しい中、国からの御支援もいただきながら進めてきた国保改革でございまして、これからも一生懸命やるべきであると思っておりますが、その際、今後も市町村の意向を十分に尊重していただきたいと考えておるわけでございます。
都道府県が国保運営方針を立てていくということは重要なことですが、あまりにも理論だけで走り過ぎるようなことはないとは思いますが、そういうことのないように、市町村国保の実情を踏まえて進めていただくべきだと思います。
いろいろな議論の中で、都道府県によるガバナンスの強化などという少し強い言葉が出ておるのですが、それは都道府県さん自身も違和感をお持ちなのではないかと若干心配をしておるところでございます。
いずれにしても、国保改革を今後もしっかりと進めていくべきだという立場ではございますが、その進め方について、若干の心配を意見として申し上げました。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
市町村のお立場からの御意見ということで、時間があれば少し事務局からコメントも聞きたいところですけれども、今日は時間が押しておりますので、御意見として承りました。
ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、次の議題に移らせていただきたいと思います。次は「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」でございます。
これもしばしば当部会で議論してきた案件でございますけれども、事務局から関連の資料の説明をお願いします。
○森田課長 国民健康保険課長です。
資料3をお願いいたします。
国民健康保険の保険料あるいは保険税の賦課限度額でございますけれども、例年この時期に案の形でこの部会に御説明させていただき、意見を賜った上で、政府として決定していくということで進めているものでございます。
賦課限度額につきましては、保険料負担ですので、負担能力に応じるということも必要ではありますけれども、あまりに高い保険料ということになると、受益との関係でどうかということがありますので、一定の限度としての賦課限度額を設定しております。
資料の1ページを見ていただきますと、平成25年の国民会議の報告書を引用しておりますけれども、国保において相当の高所得の人であっても賦課限度額しか負担しない仕組みについて、賦課限度額を引き上げるべきということになっておりまして、基本的な考え方としましては、被用者保険とのバランスを取っていくということで、これまで進めてきております。ここ10年ぐらいを見ますと大体3万円ないし4万円、ただ2回ほど据え置いたということもございます。こういう状況の中で、令和3年度はどのように対応するかということで検討してまいりました。その結果を御説明させていただきます。
資料の2ページをお願いいたします。賦課限度額につきましては、限度額を据え置く形になると、1人当たりの医療費が増えていくという前提ですけれども、どうしても中間所得層の負担を上げないといけないという中での賦課限度額の引上げということで、昨年、令和2年度につきましてはプラス3万円ということで、基礎賦課額分がプラス2万円、介護納付金賦課額をプラス1万円引き上げたという経緯がございます。
令和3年度の考え方、一番下ですけれども、様々検討してまいりましたが、やはり新型コロナウイルス感染症の影響という特殊な状況がございますので、来年度につきましては見直しは行わず、据え置くこととしてはどうかと考えております。
簡単ではありますけれども、説明は以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
いかがでございましょうか。何か御意見はございますか。
よろしゅうございますか。ありがとうございます。
そうしますと、おおむね事務局の提案の方向性については、部会としては了承するという形にさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、最後の議題になるかと思います。「オンライン資格確認等システムの進捗状況について」を議題といたします。
事務局から、関連の資料の説明をお願いします。
○山下課長 医療介護連携政策課長でございます。
資料4に基づいて、説明いたします。
今回の論点は3点ございます。1ページめくっていただきまして、最初の論点は「特定健診等情報の薬局での閲覧について」でございます。
2ページ目のスライドに基づいてですけれども、この特定健診薬剤情報の情報は、支払基金・国保中央会のほうに入っている自分の情報を、患者自らが認めた医療機関、薬局に対して提供するというものになっております。そのため、今まで自ら認めた情報を提供する際に、医療機関には薬剤情報と特定健診、薬局には薬剤情報のみというふうになっていたのですけれども、本人の情報を本人がどこに提供するのかという観点で見ると、システム上、薬局は薬剤情報しか提供できないというようなことではいけないということで、特定健診の情報もまずシステム上は見られるようにする。けれども、それを決めるのは本人が自らここの薬局には見せるというようなことで対応する。本人の同意のあるところに届けるようにしたいと考えております。
これは理由がありまして、3枚目のスライドなのですけれども、別の検討会、健康・医療・介護情報利活⽤検討会のほうで、患者側の委員の方から、薬局には特定健診の情報がなぜ行かないのかということで、患者が自分の情報を誰に見せたいかということについては、自分で決めるのではないかという御質問があったということの経緯があってのことでございます。
ちなみに、4枚目のスライドなのですけれども、まさに顔認証つきカードリーダーでは、薬剤情報、特定健診の情報を自ら同意するということによってのみ、その情報が届くというものでございます。
続いて、二つ目の論点、5枚目のスライドからは「生活保護上の医療扶助のオンライン資格確認の方向性について」でございます。
飛んで8枚目のスライドの絵で見ていただきたいのですけれども、現状、上のオレンジ色の枠でやっているのですが、下のように、福祉事務所のほうで受給者の情報をオンライン資格確認システムのほうに格納する。つまり、今、一人一人の保険者が自らの加入者の情報をオンライン資格確認システムのほうに入れているのと同じように、福祉事務所があたかも保険者のように、自分の加入者、つまり受給者の情報について、オンライン資格確認システムに入れる。その結果、オンライン資格確認システムに受給者の情報が入っているということでもって、受給者がマイナンバーカードで受診することについてもきちんと情報が届くということでございます。
あわせて、それらの情報がオンライン資格確認システムのほうに導入されることによって、レセプト情報もしっかりとたまっていきますし、どこに受診しているのかという情報、これは一般のマイナンバーカードで受診する場合も同じですので、そういった対応もできるということです。さらに、NDBの解析精度向上のための被保険者番号の履歴を活用して、生活保護だけではなくて、その方の前の情報も含めて、履歴を活用して対応することができるというものでございます。
最後に、「医療機関・薬局におけるオンライン資格確認等システムの準備状況」でございまして、10枚目のスライド、顔認証付きカードリーダー申込数が11月8日時点で16.9%になっているということでございますが、最後の11枚目のスライドですけれども、よりマイナンバーカードの健康保険証利用を普及させるためにも、医療機関のさらなる導入支援について、また、マイナンバーカードの保険証利用の申込みをさらに促進させるため、また、健康保険の保険証で利用しているサービスというのは、何も医療機関、薬局だけではなくて、訪問看護や柔道整復、あん摩・はり・きゅうでも使われておりますので、これらについてのオンラインでの資格確認の在り方も検討するということが先月10月30日の閣議後記者会見で田村厚生労働大臣から発表されておりますので、これを御覧いただきたいと思います。
事務局からの説明は以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
このようなシステムで動いているということの説明ですけれども、何か御意見、御質問はありますか。
佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、今回、生活保護受給者の医療扶助について、オンライン資格確認を導入する提案がされているのですけれども、このオンライン資格確認の基盤を使ったものとして、当初の特定健診情報、薬剤情報、医療費情報に加えて、手術、移植、透析の情報や、40歳未満の健診情報等々、さらには電子処方箋と、相当に盛りだくさんになっている感じがありますので、ここは施策の全体像について、また費用負担の在り方も含めて、ぜひとも一回整理をしていただきたいと思います。
次に、11ページにあります今後の加速化プランの中で、柔道整復師、あん摩・はり・きゅうにおけるオンライン資格確認の在り方について検討と書かれておりますけれども、この分野にオンライン資格確認を導入することによって、マイナンバーカードの一本化、重要な基盤整備につながると考えております。これはできれば保険証の発行が必要なくなる等のメリットも保険者にも相当に出ると思いますので、早期実施に向けて、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。その際には、単なる資格確認にとどまらず、申請の電子化も実現して、審査事務の効率化も進めるべきだろうと思っております。
最後に、その前の10ページに導入準備状況がございますけれども、まだカードリーダーの申込数が現時点でも16.9%という数字でございまして、来年3月のスタート時の目標である6割というのは、率直に言って相当厳しいのではないかという印象を持ちます。
導入率が低いままでスタートしますと、当然ながら、医療機関ごとの対応が異なったりしますので、患者・利用者から見ても、オンライン資格確認のメリットが得られないばかりか、受診時に混乱が生じてしまうのではないかと危惧をしております。
政府として取組を加速するための努力は分かるのですけれども、今の状況を見ている限りにおいては、例えばオンライン資格確認の導入スケジュールの見直しみたいなことも含めて検討すべきではないかと考えます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局にはいろいろ御要望もありましたので、本日はコメントはいただきませんけれども、所要の対応をお願いしたいと思います。
それでは、横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 デジタルイノベーション、トランスフォーメーションが政府でも政策にどんと取り入れられるようになってよかったと思っていますが、その中で、このオンライン資格確認は極めて重要だと思っております。日本はこれまで個人情報の保護等があまりにも強く強調された面があって、例えて言うならば、ブレーキばかりある車でアクセルがないままに経過したような過去の流れがあったのではないかと分析される有識者もおられます。そういった意味では、情報の適切で、正確で、また安全性を確保してではありますけれども、よりよい活用をどんどん発送し創造していくべきではないかと感じます。ぜひそういったことが進むように、このオンライン資格確認、健康情報・医療情報等を含めて、よりよい行政、医療のサービスを国民に提供できるようにやっていただきたいと強く願っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
池端委員、どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。
簡単に。10ページです。オンライン資格確認の予定数が病院が19.8、医科診療所が10.6とまだ少ないのですけれども、課題のところに、一番最初にありますように、システムベンダーへの周知が不十分というのはまさにそうで、私も端末に関しては診療所1台、病院3台配付されますけれども、レセコンとのシステムを共有するためのそういう操作に対して、ベンダーに対して払う費用が膨大な費用を要求されるという診療所を随分聞いています。
補助金は限度額が100万程度ですけれども、何百万と必要だと言われてしまって、二の足を踏んでいるところが非常に多いので、この辺をもう少ししっかり調べていただいて、場合によってはそこをしっかり押さえないと、なかなかこれは進まないのではないかというのが私の印象なので、もし何かそれについてコメントがあったら教えていただきたいです。
○遠藤部会長 これはコメントを求められておりますので、よろしくお願いします。
○山下課長 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、私どももそのようなことを聞いておりますので、個別個別のシステムベンダーさんとヒアリングをすることを通じて、きちんと対応していただくようにやってまいりたいと思います。御指摘ありがとうございます。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
ほかにございますか。
それでは、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 今、コロナ禍で仕事が大変増えています。それでも何とかして、費用もかかるけれどもこのオンラインは進めたいと思って頑張っているところでございます。ただ、パーセントが上がっていないのは、今は発熱患者を診るので手いっぱいだという状態なので、御理解いただきたいと思っています。
そこのところで、2ページに出ました特定健診情報を薬局さんに見ていただくというのがあります。特定健診の説明というのはかなり時間がかかります。その方のいろいろな話をしながら、バックグランドを話しながら、数値というのは1つのところで切って、それで治療とか治療でないとかと決められない非常に難しい面があります。高くても、すぐに治療をしなければならない人もいれば、しばらく様子を見て、食事療法で頑張るべきというのもあります。
そこで、薬局さんが数字を見て、何でこれで薬をださずに置いておくのですかと言われると、薬なしで生活改善をすべきと判断したのに、またその説明を一からしなければいけない。恐らく内科の先生にとっては、コロナで手いっぱいで、しかもオンラインで手いっぱいにして、さらに仕事が増えるというのは酷だという意見は、確かにあると思います。さらに、慎重に検討していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、本日準備をいたしましたアジェンダは全て終了いたしました。司会の不手際で予定した時間をかなりオーバーしてしまいまして、申し訳ありませんでした。
それでは、本日はこれまでとさせていただきたいと思います。
次回の開催日につきましては、追って事務局より御連絡をいたします。
本日は御多忙の折、御参集いただきまして、どうもありがとうございました。