2020年12月10日 第5回 難病に関するゲノム医療の推進に関する検討会 議事録

日時

令和2年12月10日(金)11:00~13:00

場所

AP虎ノ門 NS虎ノ門ビル(日本酒造虎ノ門ビル)11階 室名A

議事

議事内容
○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただ今より、第1回「『全ゲノム解析等実行計画』の推進に向けた検討会議」を開催いたします。
本会議につきましては、「がんに関する全ゲノム解析等の推進に関する部会」と「難病に関するゲノム医療の推進に関する検討会」の合同開催となっております。最初のプレスリリースに関しましては、それぞれの会議の開催ということでお知らせしておりましたので、その点、御承知おきいただければと思います
また、構成員、オブザーバー、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日は全ての構成員に御出席をいただいているところでございます。詳細につきましては、参考資料1の名簿を御参照いただければと思います。
事務局から資料の確認をさせていただきます。
資料につきましてはホームページに掲載されているものを各構成員、参考人の皆様方には御用意をいただいていると思われますが、資料1から2、また、参考資料1から4までございますので、御確認をいただければと思います。
それでは、会場でのカメラの撮影等はこれまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○がん対策推進官 まず、参考資料3を御覧いただければと思います。こちらは、「がんに関する全ゲノム解析等の推進に関する部会」の開催要綱を一部改訂しておりますので御確認ください。
また、今回から構成員としまして、野田哲生構成員に御参加いただく形になっておりますので、御承知おきいただければと思います。
続きまして、議題(1)「『全ゲノム解析等実行計画』の推進に向けた検討会議について」ということで、少し話を始めさせていただきたいと思います。
まず、参考資料1を御覧ください。
本会議につきましては、「1.目的」にございますとおり、「全ゲノム解析等実行計画」に基づくがん・難病に関する全ゲノム解析等の推進について、一体的に議論するために開催するということで、冒頭申し上げましたとおり、「がんに関する全ゲノム解析等の推進に関する部会」と「難病に関するゲノム医療推進に関する検討会」の合同開催という形でしております。本会議で取りまとめた事項につきましては、厚生科学審議会に報告することといたしまして、また、がんに関しては「がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議」への報告の過程を経ることといたしております。
また、本会議におきましては、代表及び代表代理を置く形にさせていただいておりまして、代表及び代表代理に関しては、原則として部会の部会長及び検討会の座長を充てることとしております。つきましては、代表として山口健構成員、代表代理としましては水澤英洋構成員を指名させていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、山口代表、水澤代表代理に御挨拶をいただきまして、以降の進行を山口代表にお願いいたします。
○山口代表 TV会議というこういう状況ですので、着座のまま御挨拶申し上げたいと思います。
代表とされましたけれども、実際には水澤先生と共同代表のような形で、ただ、がんのほうにいろいろ課題が残っているということで、私が進行役を今日は務めさせていただくというふうになっておりますので、御了承のほどよろしくお願いいたします。
今日の「全ゲノム解析等実行計画」の推進に向けた検討会議は両部会合同会議です。全ゲノムに関しては様々な会議がありまして、皆様も少し混乱しているのではないかと思いますが、厚労内だけでも五階建てになっていると思うのです。この検討会議は、その中で最終的な取りまとめに当たるという役割を担っているのだと伺っております。この内容が実行計画の第二版の準備に充てられるものと思われますので、その旨、お含みおきいただきたいと思います。
今日の進め方ですけれども、資料1、資料2をこの後に御説明いただきますが、そこにやるべきこと、いつまでに結論を出したいことなどについて、事務局中心に取りまとめていただいたものの議論をさせていただくことになります。
その後、今日御出席のそれぞれの分野の担当の方をお願いしてございますので、そこからいろいろ御意見を賜りたいと思います。
その後、全員での議論を進めますが、テーマが設定されているもの、あるいは、本日はテーマに上げられておらず未検討だが、しっかり議論しておいたほうがいいだろうという項目など、ぜひ御指摘をいただきたいと思っております。
この検討会議は2回の開催が予定されていて、2回目が3月という設定になっております。その間に未検討の部分も含めて進め、後ほどの資料に記載されている3月末期限の項目を取りまとめていくのが、この検討会議(合同部会)の役割だと考えております。
また後ほど、いろいろな場面で申し上げたいと思うのですが、最初の冒頭の挨拶としてはここまでにさせていただき、水澤先生から御挨拶をいただきたいと思います。
○水澤代表代理 ありがとうございます。
代表代理を務めさせていただきます、難病のほうを担当しております国立精神・神経医療研究センター理事長の水澤英洋と申します。ぜひよろしくお願い申し上げます。
難病のほうの“階層”はさほどではなくて、検討会と政策研究班が1つずつあるという形だと思います。先行するがんのほうのお話をお聞きしながら御一緒にやっていきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○山口代表 ありがとうございました。
それでは、早速ですが、事務局より資料1の説明をお願いいたします。
○がん・疾病対策課長 がん疾病対策課長の古元と申します。事務局より、資料1に基づきまして御説明を申し上げます。
1ページ目が表紙でございます。
2ページ目を御覧ください。
こちらに検討会議のメンバーのリストを改めて記載させていただいております。本日、天野構成員の代理として桜井様に御参画いただいております。
また、一番下の表を御覧いただきますと、大きく「検討事項」が4点ございまして、それぞれについて、構成員の中から御担当の方を担当として御指名させていただいておりまして、その先生方からも後ほど御報告をいただきたいと考えております。
続きまして、3ページ目、「『全ゲノム解析等実行計画』の推進に向けた検討スケジュール」をご覧ください。こちらには17項目の検討内容が列挙されてございます。
一番左側に「項目」という大きな枠組みがございまして、その右に「主な検討内容」という17項目を並べております。
ここで1点、大変申し訳ございませんが、誤植がございますので御報告させていただきます。「2.効率的かつ統一的なシークエンスや解析方法等についての検討」とございますが、これは後ほどホームページにアップする資料は修正版を載せさせていただきますけれども、こちらは「2.全ゲノム情報に付随して保管する検体や臨床情報等についての検討」というのが正確な表現でございます。その下の3と同じ表現になってしまっておりますが、こちらは臨床情報や保管する検体についての検討という内容にございます。失礼いたしました。
この表の左から3列目を御覧いただきますと、「報告時期」とございます。これは、様々にございます17項目のうち、政府として一定時期を少し区分けいたしまして、この時期を目標に検討を進めていこうということのおおむねの時期を記載したものでございます。2020年12月のもの、2021年3月のものというふうに大きく2つに分かれますけれども、まず、先行的に12月を目標にしたものについて、がん領域並びに難病領域で検討を進めてきたというものでございます。
続きまして、4ページ目になります。
これは上段が「がん」、下段が「難病」と記載しておりますが、それぞれの連絡調整会議並びに検討会で議論をしてきた結果が、真ん中から少し右側の中段にございますが、「第1回 12/10」、これが本日でございます。
また、先ほど山口先生からもお話がございましたとおり、3月頃に第2回を設けまして、本日の議論も踏まえながら、全体の検討の対応方針を取りまとめていきたいと考えております。お付き合いいただければと存じております。
最後の5ページ目でございます。
「全ゲノム解析等実行計画」を策定いたしましたのが昨年の12月でございます。それからおおむね1年程度経過しております中で、患者様への診療への活用について具体的な検討を少し進めていくべきではないか。こうした御意見を部会、例えば、がんの連絡調整会議などでもいただいてきたところでございます。
そこで、<今後の方針(案)>と記載しておりますところを御覧ください。
「新たに発生した患者、および過去に発生した患者のうちバイオバンクや解析拠点に検体が保存されており、全ゲノム解析結果の活用が可能と考えられる患者について、複数医療機関において、全ゲノム解析等の結果を当該患者の診療に活用する」と。この具体的な内容について少し検討を進めてはどうかということでございます。
この状況を踏まえまして、そういった医療機関を段階的に増加させることを目指していこうではないか。このようなことも視野に入れまして、また本日は御意見をいただければありがたいと考えております。
説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○山口代表 ありがとうございました。
まず座長として、資料の見方を改めて御紹介申し上げます。2ページの下の「検討事項」というところに4課題が書いてございます。
それから、3ページの左の「項目」というカラムに同じ項目が並んでおります。1番だけ付け加えられております。
ちょっと先走って申しわけないのですが、資料2を御覧いただきますと、1枚めくったところに「内容」という形で目次が並んでいるのですが、ここと先ほど資料1で申し上げた項目が一致しております。ですので、今日のテーマは大きく分けてこの4項目。それから、理念的なものを加えて5点に分かれていると思います。そういう視点で議論し、資料2の説明を聞いていただけるとありがたいと思います。
以前、がん対策推進協議会の委員をおつとめになった桜井さんが代理で出席されておられます。そこで、付け加えさせていただきますが、がん対策推進協議会でまとめた第3期基本計画には、このゲノムを診療のほうのイの一番に上げておりまして、その成果が今ここにまとめようとしているという状況になっております。
それから、最初に申し上げればよかったのですが、実行計画第1版について私が厚労省の上の会議で御説明申し上げたのですが、そのとき、厚労省との相談の上、本プロジェクトは、「がん患者のために実施し、今後のがん医療の進展や個別化医療の推進を図る」と申し上げ、その後、1年をかけて検討を進めてきたことになります。「がん患者のために」というところは診療に相当し、後半が研究に当たると思います。研究なのか診療なのかという議論が、先日の難病の会議でも闘わされておりましたけれども、そういう位置づけであるということを、今日の議論の前に御承知おきいただければと思います。
それでは、今御説明があった資料1について御意見を賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 製薬協の安川構成員、お願いいたします。
○安川構成員 おはようございます。製薬協の安川でございます。
今御説明いただいた資料1の5ページ目のタイムラインについて、若干コメントさせていただきます。
まず、本取組の具体的検討に際しまして、ワーキンググループに製薬協のメンバーを入れていただきましてありがとうございます。データのアクセス方法などについて産業利用に向けた意見を取り入れていただいていることにまず感謝申し上げます。
一方で、英国では100万人の全ゲノム解析の計画が進められております。現計画の2023年を待たずして、日本でも本格解析が前倒しでスタートできるように、先行解析の成功に十分な予算と手当て、また、ELSIや人材育成面での環境整備について、具体的な検討を加速いただきたいと思っております。英国よりも充実したデータで、がん、難病だけではなくて、多因子疾患あるいは健常人といったデータもワンストップで、アカデミアも産業界も同じタイミングでそれぞれの目的に幅広く利活用できる体制の構築を期待しております。
それを実現するための方策として、これも前々から申し上げていることですけれども、いわゆる司令塔機能や全体の推進体制について早急に検討いただきまして、その司令塔機能の下で、プロジェクトの推進に必要な予算や人員の手当て、ルール等について、スピード感を持って意思決定をしていただきたいと考えております。
以上でございます。ありがとうございます。
○山口代表 ありがとうございました。
多分、最後におっしゃった辺りは、3月末までの宿題になっているのではないかと思いますので、ここで議論を積み上げていき、最終的には政府としての決定になるのではないかと思います。
ほかにいかがでしょうか。
森構成員、どうぞ。
○森構成員 ありがとうございます。森幸子です。患者のほうの立場から申し上げます。
全体に関することですけれども、まだ難病は非常に社会の中では偏見や差別が強くありまして、患者、家族なども自分の病気をまだ明かすことができないような生活を送っている状況があります。もちろん、こういったデータ登録ですとかいろいろな解析が進みまして、セキュリティーは万全を期していただいていることと思いますけれども、そこはもちろん大事なのですが、やはりこれらに関する法整備ですとか様々な規定などを定めるというところを急いでいただきたいと思います。その上に立っての解析が行われるべきと思いますし、また、データの利活用が様々に広がっていきますと、情報の漏洩リスクも高まり、万が一のことも起こることもあり得るかと思います。そういったところが非常に心配でありまして、これが同意が得られるかどうかにも影響すると思いますし、そういったところの対策なども含めて御検討をいただきたいと思いますので、それらのスケジュール化というところも、ほかのところになるのかも分かりませんけれども、ぜひはっきりしていただきたくお願いしたいと思います。
○山口代表 ありがとうございました。
後に資料2でその問題が取り上げられると思うのですけれども、両部会ともにこれは課題だとなっておりまして、法整備という言葉なのか、それだと大分時間がかかるので体制の整備とかそういう言葉にすべきなのかという議論が闘わされておりますので、また後ほど議論していただければと思います。
○森構成員 ありがとうございます。
○山口代表 そのほかの構成員の方、いかがでしょうか。
横野構成員、お願いします。
○横野構成員 先ほどの資料の5ページ目の<今後の方針(案)>というところで追加をされた部分に関してです。
1つ目の○のところで、「新たに発生した患者、および過去に発生した患者のうちバイオバンクや解析拠点に検体が保存されており」ということが前提になっていますが、これは恐らく何らかの意図をお持ちでこのような表現になっているのだと思うのですが、この「新たに発生した患者、および過去に発生した患者」ということに関しては、「発生」というのは発症ないしは診断といったような捉え方になるのか、あるいは既に検体がある、あるいはこれから新規に検体を提供していただくという観点から書かれているのかというところがちょっと分かりづらいように感じたのですが、この辺りはどのような想定でお書きになっているのでしょうか。
○山口代表 それでは、事務局、お願いします。
○がん・疾病対策課長 ありがとうございます。
この辺りを含めまして、どういった方を対象にというのはまた御議論いただければと思っておりますが、基本的には新たに診断をされた、もしくは、例えば、手術などでフレッシュフローズンの検体を取得できるケースももちろんございますでしょうし、既に診断をされ手術を終えられた方で、そういった検体が現に保管されていらっしゃる、こういった方も含めて検討してはどうかといった問いかけでございます。
○山口代表 横野構成員、どうぞ。
○横野構成員 分かりました。ただ、ここでのこういった文言が意図しない形で対象を限定することがないように、今後もう一度検討していただいたほうがいいのではないかと感じました。
以上です。
○山口代表 具体的に対象を限定というのは、どういうことを想定されておられますか。
○横野構成員 「新たに発生した患者、および過去に発生した患者」ということがどのように解釈されるのかというところで、解釈の余地が結構ある文言のように思いますので、実際に行う解析等との間に隔たりが出ないような形の表現にしていただいたほうがいいのではないかと思います。例えば、この上のところのフロー図の「先行解析」という図の中では、「主に、バイオバンク・解析拠点で保存されている検体」という表現があります。そして、<今後の方針(案)>の2行目のところに「検体が保存されており」という表現がありますので、ここだけを見ると既に検体があるということが前提であるようにも思えますので、その辺りを少し懸念しています。
○山口代表 私が理解している限りでは、新たに発生した患者さんというのはこれから診断され、それからその2行後に「全ゲノム解析結果の活用が可能と考えられる患者」がそこにかぶりますので、そういうことを想定しているのだと思うのです。後半の部分は、バイオバンクに今保存されている検体を使うのだけれども、その患者さんにとって、まだ御存命で十分データが活用できるような方を、何らかの基準で選んで選択をしていくという趣旨で書かれているように伺っております。修文はするにしても、そういう理解でございますのでよろしくお願いします。
そのほかにいかがでしょうか。
上野構成員、お願いします。
○上野構成員 製薬協の上野でございます。今日はこのような機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
私自身、一昨日の第4回の難病の全ゲノム解析委員会、全ゲノム検討会で初めて参加させていただいて、それ以前の議論を十分把握していないのかもしれませんが、今般、がんと難病を両方合わせたこういった合同会議が開催されたということは、非常に有意義な会議だと思っております。難病の全ゲノムのときにもお話ししたのですが、せっかくこういう両検討会を合わせたというところで、資料3ページ目です。これまでの検討項目がここに書いてあるのですけれども、こういった中で、がんと難病共通で議論を進めるべきようなものと、あとは、それぞれが個別に議論進めるべきような項目、それはきっと分かれていると思うのですが、そういったところのどこが共通でどこが個別に検討していくという議論はある程度既になされているという理解でいいのか、あるいは今回は第1回の合同会議なので今後その辺を確認していくというのか、どちらなのかを少し確認の意味でお聞かせいただきたいと思います。
○山口代表 詳細はまた後ほど出てくると思うのですが、先日の難病の部会を伺ったときにも、がんと難病はやはり全然別な部分があるという議論がありました。そこはしっかり区分けをしたほうがいいという御意見があったように感じております。
資料2を見ていただくと、そこに「難病とがん」という形で両者に共通することがまとめて書かれておりまして、今日の話題は、ほぼそれを想定していると思うのですけれども、さらに構成員の皆様には、「いや、こういうこともあるよと、両部会でしっかり相談しておいてもらわなければ困る」といった内容の課題があれば、今日御発言いただき、3月までにまとめていくという理解で私は座長を務めさせていただいているのですが、古元課長からいかがでしょうか。
○がん・疾病対策課長 今の上野構成員の御指摘については、一定程度各領域で検討した内容を資料2に記載してございますので、後ほどまた御確認いただき、また御意見いただければと考えております。
○上野構成員 承知いたしました。ありがとうございました。
○山口代表 水澤先生、どうぞ。
○水澤代表代理 上野さん、どうもありがとうございます。
例えば、資料2の5ページ目を御覧いただきますと、共通のところとその下のほうに【難病領域】と書いてございまして、それぞれの領域に特徴的なものについても項目立てはされていると思います。別にこれに限りませんので、今、座長がおっしゃったように、これ以外のところ等があればまた御議論いただきたいと思いますけれども、まさに御指摘いただいたような仕組みになっているかと思います。
○上野構成員 ありがとうございました。
○山口代表 そのほかの御意見はいかがでしょうか。
神里構成員、お願いします。
○神里構成員 神里でございます。
3ページ目のスケジュールの点でありますけれども、私が担当している倫理のところ、5になります。5のところの一番上のところです。「新薬開発への活用や将来の追加解析に耐えうる包括的な同意取得を統一化」ということで、フォームをつくるということが一つの任務かと思っております。その中で難病の総合研究班でELSIを担当されている武藤先生にお話を伺ったところ、素案自体はもう出来上がっているのだけれども、なかなか書き込めていないところもあるということですので、この2と3と4のところで決まった決定事項の中で説明文書に盛り込まなければならないことを盛り込んでいくという作業が今後発生するかと思っています。なので、報告時期について、ICFに落とすのは12月という記載になっていますが、少し後ろになるというのが現実的ではないかと考えています。
以上です。
○山口代表 事務局、お願いします。
○がん・疾病対策課長 ありがとうございます。
このいずれの項目も互いに相関する、関係する事項が多うございますので、今、構成員にいただいたような、まずは可能な限り、例えば、フレームの部分をしっかり固めるとか、ディテールについてまたそこに挿入していくという作業は、いずれの項目についても恐らく生じ得ると思いますので、そういった内容でまずは12月に一旦まとめていくということで御相談させていただければと思います。状況については大変よく理解できました。ありがとうございます。
○山口代表 そのほか、御意見はございますか。
私から2点ほど確認させていただきたいのですが、5ページを見せてください。そこのブルーの中に、「先行解析」の説明の中に、さっき横野構成員が途中まで挙げられたのですが、その後に「今後提供される新たな検体を活用して解析を実施」という文章があります。それから、実行計画の中にも、先行解析の中で新しい検体が入ってくるということはしっかり記載されており、本格解析を前倒しする部分があると理解されます。これも実行計画の中に既に書き込まれていた方針なのですが、先ほどの御説明のあった、新たに診断された患者さん、あるいは新たに発生した患者さん、それは先行解析として実施するのか、あるいは本格解析の一部として実施するのか、そこら辺は事務局としてはいかがですか。
○がん・疾病対策課長 ありがとうございます。
今、山口先生から御指摘いただいたとおり、先行解析の中にも今後提供される新たな検体を活用して解析を実施するといった内容も含まれております。時期的には現在、先行解析を鋭意行っているところでございます。そういった先行解析の一部として前向きな検体を取得していく。こういった考え方に位置づけられるということも可能でございます。
他方、恐らく今後、患者さんへ活用していくとなりますと、ある程度がん種を限定するなど、様々ながん種、どういった施設で行う、そういったことをこれから検討させていただきながら進めるわけではございますが、事務局といたしましてはできるだけ早く本格解析を前倒しで実施する。こういったことも目指しながら進めていきたいということでございます。
○山口代表 そうしますと、今度は医療現場のことを考えると、これは、先行解析として行うか、あるいは、本格解析の前倒しか、いずれの場合にも同じなのですが、研究計画を書き、IRBの承認を得るというステップが必ず入ります。多分、数か月はかかるでしょう。ですから、やることは多分それほど大きな違いはないのだけれども、本格解析の一部として位置づけるのか、あるいは先行解析の中で行うのかということはかなり重要なポイントになってきますので、その議論も含めて皆さんの意見を今後聞かせていただければと思います。
それから、それに関連して5ページの2番目のところなのですけれども、ともかく新しい患者さんということになると、先ほど申しましたように医療機関が参加することになります。その医療機関をどのように選定していくのか。私の経験から申し上げると、現在、行われているパネル検査の多くが病理標本を用いているのに対し、全ゲノム解析では、手術時に採取した新鮮凍結組織を使用するとなると、かなり大きな変更になり現場の負担が増します。労力も必要になりますので、一斉に全国で開始というわけにはいかず、かなりの準備期間を要するはずです。そこのタイムラグ、研究計画の設定、医療機関の指定などは大きな課題だと思います。イメージとしては、がんゲノム中核拠点あるいは拠点はエキスパートパネルを持っていますので、そういう中から選択していくのかなと想像されます。それでできるようになったところから順番に進めていくのかなと思われます。本格解析を考えた場合にそんなイメージが浮かぶのですが、事務局として何かコメントはございますか。
○がん・疾病対策課長 ありがとうございます。
実施施設につきましては、今、山口先生からの御指摘のような施設が候補になり得るとは思います。ただ、パネル検査で用いる検体と全ゲノム解析で用いる検体は、もとより異なります。また、様々な病院内の体制を含めまして、実施可能である施設はある程度限定されるであろうと思います。どういったところであれば実施可能なのかを含めまして、また皆様と御議論しながら、少し詰めていきたいと考えております。
○山口代表 今の2点、本格解析の前倒しなのか否か、それから新規がん患者を取り扱う医療機関。これは今日、新たに出てきた課題ですので、この点について特化して構成員の皆様から御意見がございましたらお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。
野田先生、どうぞ。
○野田構成員 野田です。
ちょうどこの後で連絡調整会議でバンクとか臨床情報の収集というのと、今、山口先生が提起されたポイントは割と密接に関連する部分なのですけれども、今、事務局がお答えになったように、山口先生の提起されている問題に対して議論を始めたところで、今後3月までなのでしょうかね、山口先生が提起されたように2点、非常に鍵になるポイントなので、そのディスカッションを続けていくという状態だと考えています。連絡調整会議の段階でこれに関する部分がちゃんと揉まれたというところまでは行っていない。ただ、意見は出ているということだと理解していて、山口先生が引っ張って議論されていると思いますけれども、後のところでまたちょっと繰り返しますが、そういうふうにがんのほうでは理解しています。
○山口代表 ありがとうございます。
私が提起した問題ではなく、事務局から今日提起されたので、どういう整理をするのかなという勝手な考えを申し上げただけですので。
○野田構成員 分かりました。では、間違えたので、議事録はそこだけは直してください。
○山口代表 はい。よろしくお願いします。
○野田構成員 よろしくお願いします。
○山口代表 ほかにいかがですか。
どうぞ。
○水澤代表代理 御議論ありがとうございました。
難病のほうについてちょっとだけ情報共有いたしますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、我々は検討会というのは1つだけだと思います。そしてそれを補完するような形で政策研究班として、難病領域のゲノム医療推進に関わる統合研究班というのがございまして、そちらのほうでこれまで4月の発足以来、10月まで4回にわたって議論を重ねて、10月末に報告会、説明会というのも開かせていただきました。ここにおられる方々には、途中御参加いただいた方も多いと思うのですけれども、そこで、今御議論いただいたような点はかなり議論を詰めて集約したものをその説明会でも説明させていただきましたので、恐らくこれからこの会議を、あるいはほかの会議を通じて、がん領域と調整を進めていくことによって非常に大きく進展すると期待しております。
以上です。
○山口代表 ありがとうございました。
一応ここで、一番新しい問題について、座長としてはこんな感じかなというまとめをいたしますと、まず、新規がん患者を対象とした解析は本格解析前倒しもあり得るので、今後いろいろな意見を伺いながら進めていく。
2番目の新規患者診療医療機関に関しては、野田先生がおっしゃったように、がんの分野でいろいろ相談をしていくが、多分対象となるのはがんゲノム医療中核拠点、拠点の辺りだろうという議論があったということで、取りまとめさせていただこうと思います。
ちょっと長くなって恐縮ですが、引き続き、事務局から資料2の説明をお願いしたいと思います。その説明を聞いていただく際に、先ほど目次のところで資料1の2、3ページが反映されているということを念頭に置いていただきたいと思います。多くの部会構成員の皆様にとって、何度も同じ資料が出てきたと思われるでしょうが、議論に基づいて微妙に内容が修正されておりますので、特に対応方針のところをしっかり御覧いただいて、このままでいいのか、さらに修正すべき点があるのか、また、追加する大事な項目が抜けている、さらには大きな大項目で大事な点が抜けているとか、そのような御指摘を期待しておりますので、そういう目で御覧いただきたいと思います。
それでは、説明をお願いいたします。
○事務局 事務局の南川から、資料2について御説明させていただきます。
資料の1ページ目と2ページ目は、表紙と目次ですので割愛させていただきます。
3ページ目を御確認ください。
3ページ目の前段部分については、先ほど資料1でも御説明しました「経済財政運営と改革の基本方針2019」に基づいて検討が行われたことを受けて、2019年12月に「全ゲノム解析等実行計画」が策定され、先ほど御紹介したのと同じく、「基本方針2020」においても着実に行うということが書かれておりまして、そこにある記載がここに転記されている形になっております。
「1.『全ゲノム解析等実行計画』の推進における全体の方向性についての検討」の「(1)全体の方向性について」です。
<検討の視点>につきましては、がんについても難病についても患者のより良い医療の推進のために実施するという全ゲノム解析等実行計画の目的を見失うことなく推進することが必要ということであったり、情報の利活用を前提としつつも、情報が漏えいすることのないよう安全性が確保されていることや、システムインフラの可用性が必須ということが記載されています。
4ページ目を御確認いただきますと、<対応方針(案)>としまして、診断や治療に有益と考えられる情報が得られた場合については、患者さんに積極的に還元する仕組みを構築するという点と、事業を国内で完結できる体制を確保し、許可された者が許可された範囲内でのみ情報を取り扱うことができるように担保できる体制とするとさせていただいています。
5ページ目を御確認ください。
「2.全ゲノム情報に付随して保管する検体や臨床情報等についての検討」の「(1)臨床情報の内容について」です。
<検討の視点>としましては、臨床情報について当該患者の診療、臨床研究、創薬をはじめとした各種活用に求められる情報が網羅されていることが必要と記載させていただいております。
<対応方針(案)>については、がん・難病について共通的な項目と、それぞれがんと難病について必要な項目について記載させていただいております。
「(2)臨床情報の収集方法および現場負担軽減策について」です。
<検討の視点>としましては、収集方法についてセキュリティーを徹底して確保するとともに、データの入力の負担軽減、潤滑な情報の利活用に留意することが必要と記載させていただいています。
<対応方針(案)>につきましては、セキュリティーが確保されたネットワークを使用して入力を基本とすること。
6ページ、2つ目の○ですが、収集する臨床項目を厳選するとともに、選択方式を基本としてデータ形式の標準化処理を行うこと。
3つ目の○ですが、クラウドの活用も含めた臨床情報の収集・共有、臨床情報の構造化、他のデータベースとの連携、電子カルテへの標準化処理等の検討も行うと。その際に、クラウド上に、外部アクセスとは完全に分離された、ゲノム情報を格納するための専有領域の確保が必要と記載させていただいております。
「(3)検体の処理・収集・保管等のワークフローの確立について」です。
<検討の視点>につきましては、検体処理について、均一で高品質なシークエンスを可能とすること。また検体処理・収集・保管を行う人員・機材の確保に留意すること。
2つ目の○では、残余検体、追加検体の収集・保管については、拡張性を確保すること。
3つ目の○では、検体の保管について、検討の取り違い防止や、アクセスのリアルタイムな把握など、セキュリティー対策だけではなく、検体管理に用いる識別子や管理環境についても、ちゃんとセキュリティーを確保すること等々を記載させていただいております。
これについての<対応方針(案)>ですが、検体の処理に係る標準作業手順書骨子案を検討したという部分と、この骨子案に対して、残余検体、追加検体の保管・収集についても、早い段階で追加していくということであったり、3つ目の○にあるとおり、検体の取り違い防止などの観点から、ゲノム情報のデータベースと紐づけが可能となるように管理するなどの仕組みが必要などと記載させていただいております。
7ページ目を御確認ください。
「3.効率的かつ統一的なシークエンスや解析方法等についての検討」になります。
「(1)シークエンス等実施機関の在り方について」の<検討の視点>としては、セキュリティーが担保されていること、国内でシークエンスが可能であることなどが1つ目に書かれています。
2つ目では、その上で、多数の検体に高品質かつ均質なシークエンスを、低コストで実施できる必要があると書かせていただいております。
3つ目の○ですが、実際に医療の実用化を見据えて、適切な精度管理が実施された「衛生検査所等」でのシークエンスを基本とするであったり、それまでのロジスティクスを整備すると記載しております。
これに対する<対応方針(案)>ですが、シークエンス等実施機関には以下の全ての条件を求めることとするという形で、1から5の要件を書かせていただきましたので御確認いただければと思います。
上記を満たすシークエンス等実施機関等の解析精度を確保した上で、さらに向上させる観点から、実施機関において定期的な品質の再評価、再検証するとともに、低価格化に向けた検討を行うと記載しております。
「(2)収集したデータの管理の在り方について」です。
<検討の視点>としては、FASTQとCRAM、VCF等のデータをそれぞれどのように保管すべきかと、安全に、確実にデータを保存するためには、どこに保存することが適切なのかという形で記載させていただいております。
8ページ目を御確認ください。
これに対する<対応方針(案)>としましては、FASTQ、CRAM、VCFと連結可能にしたうえで、別のストレージで保管しておくであったり、2つ目の○では、データのストレージについては、既存のリソースを活用しながら、クラウドへの移行を進めるだったり、3つ目では、FASTQなどは複数保管、分散保管を原則とするというふうに対応方針を記載させていただいております。
続きまして、「(3)解析のためのコンピューティングリソースの在り方について」です。
<検討の視点>として、スパコンを使用する場合とクラウドを使用する場合の、性能、コスト、利便性を含む相違点、長所や短所はどう整理されているかという部分と、二者択一のみならず将来の展望を見据えた検討が必要であったり、コンピューティングリソースの管理ができる人材の育成を進めることも必要ということです。
<対応方針(案)>につきましては、当面の間はスパコンで解析・共有を開始し、この間クラウド環境の構築、人材育成等を行い、徐々に移行していくということであったりとか、クラウドの利用に当たっては、政府が定める安全性確保に関する指針への適応だったり、サプライチェーンリスクへの対応も必要となるという話であったりとか、専門性が高い人材が必要になるので、長期的な目線でスタッフを確保した上で育成を図るという記載をさせていただいております。
「(4)全ゲノムデータ等の網羅的解析のための人工知能の活用について」です。
<検討の視点>としましては、情報量の多い全ゲノム解析情報と、詳細な臨床情報について網羅的に解析するために、人工知能を活用するための条件については明らかにするというものです。
9ページ目、<対応方針(案)>については、人工知能を活用するための条件、人工知能における効果を記載させていただいていますので、御確認いただければと思います。
続きまして、10ページを御確認ください。
「4.データを共有・活用するための考え方、インフラ等についての検討」です。
「(1)データ等の管理・運営体制の在り方について」の<検討の視点>としては、質の担保された均質的なデータであること。それを一体的、一元的なデータ等の管理・運営体制が必要であること。その上で、持続的に運営される仕組みが必要であること。様々な研究者が有効に情報を利活用できるようにデータシェアリングポリシーを考慮すること。何を、誰に、いつ、どのような提供方法で共有するのか。どう審査・提供するかという部分。そして、安全に、確実にデータを保存するために、どこに保存するのかといった部分が検討の視点でございます。
これについての<対応方針(案)>につきまして、まず1つ目ですが、一体的、一元的なデータ等の管理・運営のためにデータ管理のための運用拠点を置き、データクリーニング、セキュアな管理、運用等を実施すると。
2つ目については、管理運営に当たっては、民間の資金やノウハウを活用し、できる限りの持続的な運営を目指すこと。
3つ目の○ですが、データの利用については、アカデミア及び新たな医薬品の速やかな開発等を目的とした産業利用、それぞれについてのルールを策定し、迅速なデータ利用を実現すると。ここの点を事務局からちょっと補足しますが、ここの点については、研究結果の公開に一定の制約を課すなど、アカデミアの研究と競合しないように留意をしながらも、できる限り早期に活用できるよう、産業界独自のデータ活用も許容される形を想定しております。
4つ目の○ですが、データの利活用については、データセンターが設置する審査会において、適切かつ迅速な審査を行うこと。
原則として一次解析データを共有すること。
各研究班内では一次解析データは制限共有とし、一定期間後に制限公開とすること。
ストレージについても、既存リソースを活用しクラウドへ移行すること。
そして、データポータルを通して事業の進捗や成果を定期的に公開することを記載させていただいております。
「(2)データの二次利活用の制度の整備、構築について」です。
<検討の視点>としては、いち早く成果を届けるためのシステム構築が必要であること。
利用者の目的に応じた二次利活用のルールを構築すべきこと。
迅速さと合わせて、適切なデータのアクセス権限に基づいて、アクセス管理の手段を確保する必要があること。
ストレージだけではなく、データの分析分類等についても二次利活用の提案をするシステムが必要ではないかということ。
持続可能な二次利活用のビジネスモデルを構築すべきではないかということ。
11ページ目、<対応方針(案)>として、ワンストップ申請で、迅速かつ適切な審査の上で、産業利用も含めたデータを最大限利活用可能なシステムを構築すること。
先ほどと同じですが、データ利活用に当たっては、アカデミア及び速やかな医薬品の開発等を目的とした産業利用についてのそれぞれのルールを策定し、迅速なデータ利用を実現すること。
取得したデータが、外部に漏えいすることなく安全に利用されるために、そのセキュリティーレベルを明確化した上で、様々な適切な対策を講じるということ。
利活用促進に当たって臨床試験を支援するなどの仕組みをつくること。
民間のノウハウや資金も最大限活用するために、データの利活用に際して課金をデータの内容や件数に応じて段階的にすることなどが記載されています。
「(3)産学連携体制・情報共有体制の構築及び知的財産等の整理について」です。
<検討の視点>としましては、産学連携体制・情報共有体制をどのように構築していくかということ。
開発や研究を進める上でのインセンティブ等の観点から知財の在り方についてどう検討していくかということ。
それに当たって、知的財産が広く独占されることなく、他の開発もしくは研究の推進が妨げられるような状況は避ける必要があることという視点を記載させていただいております。
それに対する<対応方針(案)>として、データセンターの運営においてアカデミア、産業界双方が主体的に関与する形を基本とすること。
アカデミア、産業界とのマッチングシステムや臨床試験構築のための支援システムを構築すること。
英国での取組を参考に、アカデミア、産業界でそれぞれのフォーラムをつくり、情報共有を自主的に定期的に行うこと。
人事交流を通して人材育成を図ることなどが記載されています。
知財については、原則として二次利活用にすることによって得られた知財については、原則として新たな知見を得た研究者、企業等に属するものとすること。
研究成果に基づいて開発された治療・検査法等を患者に届けるに当たっては当該事業が公的なものであることを認識して、より多くの患者が容易にアクセスできるようにすること。
得られた知財を使用しない場合は譲渡するなど、積極的に活用することと記載させていただいています。
続きまして、13ページとなります。
「5.倫理面や幅広い利活用を可能とするためのICのあり方等についての検討」の部分です。
<検討の視点>としまして、追加解析等が必要となる状況を想定して、幅広く有効となる同意を取得するために必要とされる説明内容を整備するとされています。
<対応方針(案)>については、統一的なインフォームドコンセントの素案を作成しております。その中の項目が1から5について含まれている形で素案をつくらせていただいておりまして、これについて先行解析の実施期間中に議論を踏まえてアップデートしていくとさせてもらっています。
「(2)患者等へのリコンタクトも可能とする仕組みの構築について」です。
<検討の視点>としては、必要となる状況を整理した上で、患者の希望に応じた対応が可能な仕組みを構築すること。そのツール等も検討が必要としております。
これに対する<対応方針(案)>としましては、インフォームドコンセントでしっかりとリコンタクトの意思確認ができるようにすることと、主目的となる所見以外の所見が得られた場合に、倫理指針であったりAMED研究班の成果を参考にちゃんと対応すること。
そのリコンタクトが必要となる場合の具体的な手順について、事前の同意を踏まえて、知見を得た者から患者までの具体的なフローを検討すること。
その際に、双方向のコミュニケーションができるようなツールを含めた方法を検討することとなっております。
14ページ、「(3)過去に取得された同意と、統一化された同意との同等性の確認について」です。
<検討の視点>としましては、過去に取得された同意について、今つくっている統一的な同意書素案との同等性を確認すると。
それぞれの先行解析の候補となっている施設でつくられた説明・同意書の記載内容の確認を行った内容が、がん、難病それぞれ下に記載されております。
続きまして、「(4)治療に有用な情報等の患者や家族への丁寧な説明等のガイダンスの策定について」です。
<検討の視点>としましては、その情報の説明に当たっては、ゲノム医療に係る情報伝達と研究で得られた結果の開示の双方に関わるため、両方の視点が必要ですという部分と、家族への説明と患者に対する守秘義務との関係を整理する必要があると。
これについては、関係法、倫理指針を遵守し、AMED研究班の成功を参考に、国内外の事例や議論状況を参照して2021年3月までに本事業に用いるガイダンスを策定するという対応方針にさせていただいております。
15ページ、「(5)ELSIに必要な法制度の検討、相談支援体制の整備について」です。
<検討の視点>につきましては、ゲノム情報に関連した新たな不利益が生じないようにするだけではなく、既存の不利益の拡大につながらないように努めることも重要という部分と、不利益に関する相談の受け皿を充実させることが必要という部分と、国民の支持と信頼を醸成するための取組が求められるというものです。
<対応方針(案)>としましては、ゲノム情報に関連した不利益の防止、情報漏えい・悪用に関する防止・制裁のための法制度を含めた制度の在り方について検討する。
それぞれの相談体制であったり、教育啓発活動等についてしっかりと取り組むというものを記載させてもらっています。
最後の部分ですが、患者・市民の視点を取り入れて、データのトレーサビリティーや利活用に関する説明や対応方針を策定するなど、透明性を高める方策を実施するという形の記載をさせていただいています。
かいつまんで早口で恐縮ですが、資料についての説明は以上とさせていただきます。
○山口代表 ありがとうございました。
この後、まず、今の取りまとめについて、さらにそれぞれの担当の4人の先生から御意見、コメントをいただき、さらに水澤先生から大所高所からあるいは難病を代表して御意見をいただき、その上で議論に入りたいと思っております。
それでは、まず、野田先生、どうぞよろしくお願いします。
○野田構成員 ありがとうございます。
ちょっと前置きになりますけれども、さっき山口先生が言われた複雑ながんのレイヤーの話を申し上げますと、資料2にまとめられた2から5までの4つのそれぞれの課題あるいは分野に関してワーキンググループがつくられています。そのワーキンググループが具体的な内容の検討、あるべき姿の提案等をした上で、それをグループワン会議(がん全ゲノム体制班)というのがまとめて、その結果を連絡調整会議に提出するという形で、連絡調整会議はそこで議論をしています。その連絡調整会議の議論を受けて資料2はまとめられているので、私は、この資料2の「2.全ゲノム情報に付随して保管する検体や臨床情報等についての検討」という部分について、それに対するさらなる意見という部分をお話ししたいと思います。
非常によく書けていると、我々の検討結果をきちんと拾い上げていただいて書いていただいていると理解をしています。ただ、幾つかの意見は、やはりここでちょっと皆様にお伝えしておきたいなということもありますので、それについて幾つか述べたいと思います。
主に全体のシステムとして俯瞰したときにもうちょっと考えておかなければということですけれども、まず、我々の場所の検体や臨床情報のところでの検討は、みんなの共通した意見が、いかなる臨床情報をいかに集めるかいうことがこのプロジェクト全体が成功するかしないかの非常に重大なポイントになるという理解を共有いたしました。
そうした上で、ある委員からは、電子カルテから情報を自動的に収集してくるというAIあるいはインターフェースを用いて、人の労力ではなく、コンピューターからクラウドに自動的に必要なデータが移るような仕組みを考えるべきではないか、そういうシステムを考えないと負担ばかりが多くなってしまうということの指摘がありました。
それに合わせて、一方、そうやってデータ収集が大規模になればなるほど、既存の法体系で対応できるのかどうかという検討は非常に重要となると。臨床情報や個人情報を利活用するような別の法律の立てつけを検討する必要があるのではないかという、その検討の視点を取り込むべきだという話もあります。
最後に、臨床情報と、今までずっと広く広くと言ってきたわけですが、意見は、ある程度目的を明確化しないと、いかなる臨床情報を集めるかという視点に行けないのではないかと。例えば、創薬に結びつく臨床情報を、臨床データを収集するという視点を持てば、臨床試験ベースの臨床情報が最適であるし、臨床試験に準じたデータの集め方が必要だと。例えば、その場合、治験症例であれば過去検体でも症例数が少なくても精度が高いデータが得られる等があるので、ある程度出口を一定は決めて臨床情報の選択をする必要があるのではないかという意見も出ています。
以上が我々のほうで出ている意見ですけれども、加えて最後に、先ほど上野様から御質問いただいたポイントで、先ほどのワーキンググループからのように、我々のあくまでもがんのほうのあるべき姿をきれいにしていって持ち寄ってきて、そして今、難病と照らし合わせているという段階で、そしてここで、資料2に共通の事項というのは随分きちんと書き込まれていると思うのですけれども、今後もこの共通の事項をきちんと話し合うということも重要であるという認識もみんな持っております。
以上です。
○山口代表 ありがとうございました。
それでは、引き続き、大津構成員からお願いいたします。
○大津構成員 私のほうは、「3.効率的かつ統一的なシークエンスや解析方法等についての検討」の領域であります。
資料2の作成いただいた文章には4つのポイント、項目で分けられていまして、最初が、「(1)シークエンス等実施機関の在り方について」です。
対応方針の部分に関しましては、ほぼがんと難病の共通のところになるかと思います。その視点としましては、解析の質保証、その担保をどうするか。セキュリティーの担保をどうするかといったところ。それから、海外との国際共同研究でも利用可能か。こういったことに関しては、がんも難病も同じところであるかと思います。
それから、「(2)収集したデータの管理の在り方について」の点に関しましても、ゲノムのデータのどの部分までデータを管理し、かつ、あるいはデータをシェアするかということについての部分になるかと思います。
次の部分に関しましても、恐らく、企業等とのデータシェアの部分に関しても、がんと難病に関してはそれほど大きな差はないのではないかと思います。FASTQの場合はかなり容量が大きく利用の頻度も少ないと思われるために、CRAMかVCF等でストレージ保管しておいたほうがいいのではないか。保管方法に関しては、まずはオンプレミスでサーバーで置いて、いずれクラウド等のセキュリティー環境が、今はいろいろ構築されてきていますが、まだ十分ではないところもあるので、サーバーの後にクラウドへの移行ということを考えてはどうかということであったと思います。
それから、コンピューティングリソースの在り方に関しまして、この辺も特にがんと難病での差はほとんどないのかなと思われます。クラウド環境、人材育成等を行った上で、いずれにしても人材育成というのは、全ゲノムのいろいろなところで非常に必要になってくるかと思いますが、その育成に関しては、今の構成員の参加施設等が中心となって広く進めるべきかなということであります。
それから、人工知能の活用に関しましては、既に幾つかの取組も始まっているかと思いますし、若干臨床の視点において、がんと難病では異なる部分があるかと思います。ただ、共通項目もたくさんあるかと思いますので、解析時におけるデータの統一化、アルゴリズムの利用等々で共通の部分は出てくるのかなと考えております。
この解析の方法での領域は以上でございますが、おおむねそれほどがんと難病のところで大きく異なるところというのは多くはないのかなと考えております。
私からは以上でございます。
○山口代表 ありがとうございました。
それでは、引き続き、鎌谷構成員、どうぞよろしくお願いします。
○鎌谷構成員 よろしくお願いします。東京大学の鎌谷です。
難病の検討会のほうから、今回、「4.データを共有・活用するための考え方、インフラ等についての検討」についてお話しさせていただきますが、実際にはここの検討の内容は、がんのほうで精力的に取りまとめいただいたものが多くまとめていただいたものとして上がってきているものだと認識しておりますけれども、難病の検討会におきましてもこの内容につきまして検討しまして、おおむね賛同となっていることを申し上げたいと思います。
そういったわけですので、「(1)データ等の管理・運営体制の在り方について」は、一体的、一元的なデータ管理のために運用拠点を置いて、一次解析データは制限共有し、一定期間後に制限公開、データポータルを置きましょうといったことで、難病とがんの間で同意がある状況だと考えております。
データの二次利活用につきましても積極的に進めていくということ。
(3)の産業界との連携についても検討していくということになっております。今後、がんの側の油谷先生とも御相談しつつ、ここの取りまとめに参加していければと思っております。
この「データを共有・活用するための考え方、インフラ等についての検討」につきまして、幾つかの意見をいただいております。
まず、難病のほうからなのですけれども、現時点でこの(1)の内容につきまして、主に一次解析データについてどのようにするかという方針が策定されていますが、二次解析データ、VCFになった後の解析結果などにつきましても、これはデータ共有、特に製薬企業はそちらのほうが興味があるのではないかということでありまして、二次解析データについても共有方針を定めていくほうがよいのではないかという御意見がございました。
それから、これはがんのほうからなのですけれども、これまでもこういったゲノムデータのデータシェアリングポリシーというのがありましたが、本事業はこれまでとは大きく変わっていて、がんの患者さん、難病の患者さんなど、将来の患者さんにできるだけ成果を早く届けるというところから考えると、これまでとは全く違う考え方に基づいたデータの扱いをすべきではないかという御意見がございました。
あと、製薬企業の方からは、これまでこのゲノムデータなどは2年間データを独占した、占有した後公開となっていましたけれども、それでは製薬企業側としてはあまり魅力がないので少し検討できないかといったところ。
それから、産業界側として、求めるデータというのがあるので、データ収集の時点からアカデミアと連携していきたいという御意見がありました。
最後に、患者様団体からは、産業利用に関して基本的に賛成ですけれども、同意するときに迷わないように利活用のルールづくりをしっかりと策定してほしいという御意見がございました。
私からは以上です。
○山口代表 ありがとうございました。
それでは、神里構成員、お願いいたします。
○神里構成員 東京大学医科学研究所の神里です。
私からは、「5.倫理面や幅広い利活用を可能とするためのICのあり方等についての検討」の御報告をさせていただきます。
12月7日に開催された、がん全ゲノムの連絡調整会議、そして、翌日8日に開催されました難病の検討会において出た意見を述べさせていただきます。
この5自体について大きく異論というのはなかったように理解してきます。その上でいただいた意見なのですけれども、まず(1)に関しましては、(1)と(3)がちょうどリンクするような形になっているのですけれども、製薬協様からは、既存検体のICFでは企業単独での利用というものがなかなか難しいということが分かったので、やはり前向き検体の早期収集、そして本格解析の早期実施を強く希望しますという御意見もいただいております。
それに関連しまして、統合的なインフォームドコンセントの大枠が出来上がっているということもありますので、なるべく早い段階で統合、ICFを完成させて、先行解析と並行するような形で本格解析に使え得るようなICFを取っていくという、前倒しで進めるということが重要なのではないか。とりわけ、来年度から指針の改正がありまして、これまでのように各施設でIRBを取るということではなく、一括審査も可能になりますので、以前よりは少しやりやすくなるのではないかという意見がありました。
また、偶発的所見のルールづくりだとか、知らない権利というものも患者にとっては重要であるという点、そしてリコンタクトという新しい概念が入っていますけれども、これについての方針についてもしっかりと決めてほしいという御意見がありました。
そして、小児に関しては、成人よりもインフォームドコンセントの件で複雑になります。インフォームドアセントを取って、代諾者からのICを取り、そして年齢が一定程度来たときには御本人からICを取り直すのか。このような点についても議論が必要ではないかという御意見をいただいております。
そして、(2)の偶発的所見については今述べました。
そして、(5)の点に関しましては、患者団体様より、啓発に関してはとにかく分かりやすい形で国民に成果を示してほしいという御要望、また、社会的な不利益が生じないようにする法整備についてもぜひとも積極的に進めてほしいという御意見もいただいております。
そして、ELSIの問題は重要ではあるのだけれども、現場としてそれを支えるような人材育成というものについても積極的に取り組んでほしいという御意見もいただきました。
以上でございます。
○山口代表 ありがとうございました。
それでは、水澤先生に、大所高所から、それから難病のほうの御意見も踏まえてお教え願えればと思います。
○水澤代表代理 山口先生、ありがとうございます。
まずは、ゲノム医療推進に当たって、本日ここにお集まりの皆様はもちろんのことですけれども、がん領域、難病領域でさらに多くの方々が関与していらっしゃると思います。また、厚生労働省やAMEDなどの関係者の方々も含めて、これまで非常に長い時間をかけて様々な検討を続けてこられましたことに、深く敬意を表したいと思います。その御努力が本日のこの会議に結実していると理解しております。
私からは、大所高所ではないのですけれども、少し全体的な話をしたいと思います。
今、私たちは、全ゲノム解析という、僅か20年ほど前にはまだ夢のような技術だったわけですけれども、それを既に使うことができるようになっております。既に多くの疾患の診断や治療に大きな貢献が始まっておりますし、しかもその技術の医学、医療への貢献も日々進化してきております。このような状況の中で、ゲノム医療、ゲノム研究を正しく効率的に進めていくということは世界的な課題だと思います。よって、競争も激しいわけですけれども、日本にとっても極めて重要で、本日の議論も含めた皆様の、我々の努力が極めて意義深いと認識しております。
今、そのようなオールジャパンのゲノム診療・研究の体制あるいはゲノム基盤と言ってもいいかもしれませんけれども、そういうものの構築が見えてきたところだと実感しております。
具体的には、今おまとめいただいた4つのポイントを中心に、先行するがん領域と難病領域が連携、協力して、今後の着実な発展を目指すことになると思いますけれども、ここで一つ、我々として注意しなければいけないのは、がんと難病の違い、あるいはその共通点といったことで議論が進んでおりますけれども、病気はそれだけではありませんので、最終目標である全ての患者さんに、全ての病気の患者さんにこのゲノム医療研究の恩恵を届けるということが大事だと思いますので、そこを目指してそれを忘れることなく、がんと難病の領域を代表として検討することでそこに貢献できるのだと私は確信しております。これからの議論を含め、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
以上でございます。
○山口代表 ありがとうございました。
それでは、構成員の皆様から御意見を伺わせていただこうと思います。今日のお話の基本は大体、本格解析に向けてのいろいろな議論であって、中に一部先行解析が加わっておりますけれども、中心は本格解析についての議論であると言うことをまず申し述べた上で、一項目一項目で御意見を承っていこうと思います。
まず、3ページから4ページにかけて御意見はいかがでしょうか。この部分は先ほど、資料1のところでかなり議論した内容が含まれておりますけれども、1ページ2ページに関連してどなたか御意見はいかがでしょうか。
菅野先生、どうぞ。
○菅野構成員 これの対応のところの2番目で「事業を国内で完結できる体制を確保し」というのが打ち出されておりますけれども、実はその後の様々のところでこのことと必ずしも一致しない可能性がある提言がなされておりまして、両者間でのバランスをどうするかという問題をあらかじめ検討しておく必要があると思います。
一つはクラウドの利用です。クラウドはそのセキュリティー、最も技術が進んでいるのはGAFAですので、GAFAとやることになると、これはセキュリティーの関係からもGAFAとやることが最もあり得るパターンだと思いますが、それが本当にこの「事業を国内で完結できる体制を確保し」に当たるのかと。
それから、もう一つは知財ですが、研究をして知財を確保するときに、知財の保持者は、その事実を見つけた研究者もしくは企業に帰属すると。それで、製薬協が今日参加されておりますけれども、多分、製薬協に参加されている企業の中で、外国企業の日本支社はかなりあられるのではないかと理解しております。もし、そこのルートを使って海外の企業がこの事業に参加したいと。そうすると、知財もその企業が取るという形になったときに、事業を国内で完結できる体制を確保できるかと。
それから3つ目は、海外との共同研究を推進できるような体制にするというのがありましたけれども、この場合もその患者さんに成果を返すという形で、「事業を国内で完結できる体制を確保し」という文言とどういう関係になるのかというのは、具体的になればなるほど微妙なところが出てくると思うのです。ですので、ここと他の項目とのバランスといいますか、どの辺りで線を引くのかという。クラウドのサーバーはひょっとすると電力が一番安い国に置くのがよいので、極端なことを言うと、日本のクラウド事業者を選定してもサーバーは海外にあるという状態もあり得ますので、そこら辺、かなり具体的なことまで踏み込んで検討する必要があるかもしれないので、この場で具体的なところまでやるのはともかくとして、やはりこうやって書いてある項目同士で矛盾が生じるようなことがあると、実際に仕事を始めてからでは非常に現場が困りますので、ある程度の方針はここで決めておく必要があるかなという気がいたしました。
以上です。
○山口代表 どうもありがとうございました。
事務局、今の点についていかがでしょうか。
○がん対策推進官 ありがとうございます。
まさに先生がおっしゃるとおり、非常に細かい点において、ここの辺りの調整というのはしっかりとしておかないといけない点だという認識でおります。今回この1で上げているものについては、全体の大きな方向性、考え方というふうに捉えていただければと思っております。
ただ、そこの中で、例えば、クラウドであれば各社の中でもそれぞれ各国の領域みたいなものを疑似的につくっているようには伺っております。そういった中で対応していくという形で実施すればいいのではないかであったり、知財に関しては個別具体的にルールを設けながら進めていくことになろうと思います。また、共同研究についても、具体的に企業等が使う場合のルールの策定の中に、どの範囲でどういうふうにどういうふうなこと、また、日本法人を持っていればできること、海外の本社にも提供してよい部分、そういった辺りについても細かく決めていく必要性はあるのだとは考えておりますけれども、特にここの部分で<対応方針(案)>として上げさせていただいているのは、そもそもの<検討の視点>のところにあるように、「情報の利活用を前提としつつも、機微な情報を取り扱うことから情報が漏洩することのないよう」にというところを前提とした上で、基本的には国内で完結できるような形の方向性を目指していくというものだと整理をしております。
○菅野構成員 文言を、例えば、今おっしゃったように、「完結できる体制」と書くのではなくて「基本的に完結できる体制に」という書きぶりにするとか、クラウドのところでも知財のところでも、そういう書きぶりを、今言った細かい調整ができるような形に少しお考えいただけるとありがたいかなと思います。
○山口代表 ありがとうございました。
特に知財のところに関して、製薬協の代表の方から何か御意見はございますか。
どうぞ。
○上野構成員 これは一昨日の難病の全ゲノム解析のときのお話にも出てきたのですが、特に難病の場合は希少疾患が多いということや疾病の数も多いということで、そこの一つ大きなことは、国際連携がかなり必要ではないかと思っています。我々製薬企業自身も、逆に、Genomics Englandのゲノム情報を使いながら今、研究開発をやっているという状況を考えると、国際連携というのも一つの基本的な考えの中で、患者様個人の情報がどんどん流出するというところは絶対どこかで止めなくてはいけない、範囲を決めなくてはいけないのですけれども、先ほど出たように、二次利用、三次利用するところでは、そこでは患者様の情報が特定できないような状況にして、その情報は広く国際的に使える状況にするということが重要です。その中で、その知財をどういうふうにするか。これはまだなかなか我々製薬企業の中でもこういったものがどういう知財権を持つのかというのを十分にはまだ検討できておりませんが、そういう中で今後検討を進められるべきではないかと。ですから、文言もさることながら、こういったゲノム情報をどう利活用して、患者様の情報を確保しながらも国際的に活用が進むような状況をつくるかということを考えるというところが重要かと考えております。
以上です。
○山口代表 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御意見を参考にしながら、必要であれば修文をお願いしたいと思います。
ほかにございますか。
それでは、次に、2に移らせていただいて、検体や臨床情報関連ですけれども、5ページと6ページになります。御意見はいかがでしょうか。
大津先生、どうぞ。
○大津構成員 がんの部会のときにもお話しさせていただいたのですけれども、ここに記載されている有効活用の目的として、創薬の有効活用のことが主に書いてあるのですけれども、そうなると、臨床研究、臨床試験ベースにならざるを得ないと思うのです。これはもう少し、こういった全ゲノムを広く集めて有効活用するという話になると、ヘルスケアとか政策的な利用ということの視点を入れ、その方向を広く集めるというのであれば、ヘルスケアとか政策的な利用というところでやるべきではないか。恐らく、診断薬、治療薬の開発、それから、個別化といったことをやるとなると、臨床試験ベースでやるということでないと、かなり膨大なロスをするのではないかと思うのです。リアルワールドデータの有効活用ということに関しても、まだ残念ながらそのカルテが全て自動的に読み取れるとなったとしても、いわゆるエビデンスをつくるというレベルにはまだまだかなり時間がかかりそうな状況であると思いますので、もう少し効率的なことをまず考えて、今、HL7のFHIRのシステムというのがかなり世界的なスタンダードになりつつありますけれども、そういったものがかなり普及してこないと、かつ、その施設の研究者の教育をしていかないと、直接的にプラクティスのデータが診断治療薬の開発ということに結びつくには、なかなか今すぐは難しいのかなと感じています。むしろヘルスケアであるとか政策的な医療に用いることの方向性を少し入れたほうがいい。広く集めるということをするのであれば、そういった方向ががんの領域ではいいのかなと感じます。その辺も御検討いただけるとありがたいです。
○山口代表 ありがとうございました。
その点については今後、事務局中心に御検討いただきたいと思います。
どうぞ。
○野田構成員 野田です。
大津先生の御意見はもっともなのですけれども、検討の分かれているところからすると、一つは、両方だったと思うのです。1ポツのほうのいわゆる全体の方向性についてというところに対する御意見が半分ぐらいあったと思うのです。なので、大津先生の今回のはそこのところも含めての話ですよね。この全体の方向性のところで創薬だけが強く出されると、今回の集めるべき臨床情報やなんかはもっと変わってくるのではないか、あるいは集め方も影響を受けるだろうということで、全体の方向性のほうも少し書きぶりを変えることと、それで集めるほうがある程度網羅性を持ちながらも、この(1)、(2)とありますけれども、その労力やなんかの効率化も含めて、臨床情報の絞り込みをある程度はするということの、この2点を進めるということで、大津先生、いいのでしょうか。
○大津構成員 はい。先生のおっしゃるとおりで、そのような形で議論を進めていただければ大変ありがたいです。
○野田構成員 ありがとうございます。
○山口代表 ありがとうございました。
そのほかにいかがでしょうか。
鎌谷先生だと思いますが、ちょっと名前が読めないので、どうぞ御発言ください。
○鎌谷構成員 全ゲノム情報に付随して保管する検体や臨床情報についてなのですけれども、何度かお話が出ていますけれども、難病に関してはかなりものすごく疾患が多様であるということがあって、そうしますと、収集する臨床情報というところの前のところで、先ほど、薬を創るのが目的かどうかというお話もあったと思いますが、難病に関しても、今、患者さんに届けるための研究ですとか、今解き明かさなければならない研究のテーマそのものが、その疾患ドメインごとに結構違っているということもありそうなところが、最近いろいろ情報を集めたところ、そんなような感じがしましたので、多少ばらつきが難病の中でも出てくるということを許容するところをある程度含めていただければいいのかなと思っております。
○山口代表 おっしゃっている意味は、難病の中の病気によって必要な臨床情報にばらつきが出るという御意見でしょうか。
○鎌谷構成員 そういう感じです。もしかすると標準、もちろん基本的に標準的な項目が当然出てくると思うのですけれども、標準項目以外にこのグループの難病はこれを集めるというところも定めていくとよいのかなと感じましたが、ここに書いてあるとおりです。
○山口代表 では、関連して水澤先生からお願いします。
○水澤代表代理 鎌谷先生、ありがとうございました。
先ほどちょっと御紹介した統合研究班の中では山野委員が担当されておりましたけれども、今の点は何度もディスカッションしまして、5ページを御覧いただきますと【難病領域】という形になっていまして、その下に○が2つあって、上が「疾病共通の必須項目」、下が「疾病の特性に応じた追加項目」という形で我々は対応できるのではないかと考えて、このような仕組みに今のところは考えております。こういう考えに立ちますと、例えば、難病とがんの違いというのも、先ほどちょっと申し上げましたが、ほかの疾患につきましても共通部分とそうではない部分ということで集めていく必要があるのではないかと思いますので、多くの疾患に対応できるのではないかという考えでおります。
○山口代表 ありがとうございました。
構成員の皆様、そのほかの御意見はいかがでしょうか。
なければ次に移らせていただいて、今度は、シークエンスや解析方向等についての検討です。7ページから9ページまでです。ここの文章について御意見を賜りたいと思います。
菅野先生、どうぞ。
○菅野構成員 菅野です。
今は次世代シークエンサーのショートリードを前提に、この全体が書かれている気がするのですけれども、本格研究が始まります2年後ぐらいですと、ロングリードによる全ゲノムシークエンスみたいなものもかなり入ってくるだろうと。特に検体数の少ない難病領域では、コストの問題がありますけれどもそういう形のデータのほうが有用である。この辺りの書きぶりがずっと抽象的なので、含んでいるかなという気もするのですけれども、ロングリードも入れるような形で少し余地を残しておいていただけるとありがたいかなと。ちょっと抽象的なコメントで申し訳ないのですけれども、そういったほうが特に本格研究をやっていく場合に、アップ・ツー・デートな対応ができると思いますので、例えば、詳細の部分についてはまた本格研究でも検討するみたいなそういうところを、何かただし書きみたいなものを少し追加しておいていただけるといいかもしれないと思いました。
以上です。
○山口代表 ありがとうございました。
がんの分野に関しては実行計画の第一版、これは先行解析が主なのですけれども、そこに新たな技術を検討するという書きぶりに多分なっていたと思いますし、そこにはロングリードとかリキッドバイオプシーとか、確かメチロームも入っていたのではないかと思います。そこは一応視野に入れた書きぶりになっています。ですので、事務局におかれては実行計画の第一版も参考にしながら、今の菅野先生の難病に関する御意見も踏まえながら、必要な修文をお願いしたいと思います。
どうぞ。
○水澤代表代理 私も菅野先生と同意見で、難病のほうの研究班の議論でもそうだったと思いますので、それが分かるような形での書きぶりを検討したいと思います。
○山口代表 それでは、そのほかの御意見を賜りたいと思います。
どうぞ。
○松原構成員 国立成育医療研究センターの松原と申します。
7ページのところで少し質問がありますが、シークエンスに関しては「適切な精度管理が実施された『衛生検査所等』でのシークエンスを基本とする」ということが書かれております。こことかが私はちょっと気になっておりまして、菅野先生の御指摘と絡むのですけれども、これはまず、衛生検査所でなくてもいいというふうに逃げ道を残してある書きぶりと捉えてもいいのでしょうか。これは後でお返事いただければと思います。と申しますのは、衛生検査所というのはそもそも医療の現場の臨床検査を提供するような検査会社とかあるいは病院とか病院の附属の施設とか、そういったところをターゲットに置いている基準なのです。そういったところでの遺伝子解析の精度管理というのは、全ゲノムには何も制限がないのと等しいのです。台帳をつけるとか、そういったことにしか規定がないのです。
菅野先生がおっしゃったように、現在、難病のシークエンスではロングリードのシークエンスというのはかなり重要な位置を示しておりますし、あるいはエピゲノムのシークエンスといったものも必要になってきております。こういったものは衛生検査所では実際には対応できていないというのが現状だと思います。
成育医療ではいろいろなことも考えて、研究所自体で衛生検査所の登録も済ませておりますけれども、これから先端的な技術でシークエンスをどんどんやっていくということになると、衛生検査所という文言は少し誤解を与えるようなものになるのではないかと思います。ここのところを「衛生検査所等」ということで、ほかの施設、研究所なんかでも精度管理がきちんとされていればそこでシークエンスをしてもいいと捉えていいのかどうか。この辺りを事務局としてどうお考えかをお聞かせいただければと思います。
○山口代表 ありがとうございました。
このお話は、たしか難病の部会でも話題になっていたと思うのですが、それを踏まえて事務局として御意見はいかがでしょうか。
○がん対策推進官 今回こういう形で示させていただいているのは、やはり相当数の、今回その先行解析においても、がんのほうでは1.6万という形で、万単位のシークエンスを回していくという形ですので、一定程度の質の均質性というものが、総合的なデータで見た場合には必要になろうという観点で、こういう形で入れさせていただいております。
先ほど先生がおっしゃったような、さらに追加での解析、様々な何かをやっていくという場合には、そこはそれぞれの研究室等で進めていけばいいというところですので、若干そこの辺りは切り分けをし、今回、「衛生検査所等」でという形でさせていただいております。「等」というふうに入れさせていただいているのは、別途他の臨床の国際的な規格等を入れ込んだりと、そういうふうなものなどは入ってくるのかなと思っておりますけれども、あまり個々ばらばらにそれぞれの研究機関が自分たちの手でシークエンスを回してそれを入れていくということはあまり考えていないというものになっております。
○山口代表 では、またそれは事務局として検討していただきたいと思うのですが、衛生検査所ということで皆さん若干、非常に幅広くてそんなできるのだろうかという心配があるのだと思うのです。私もちょっとここは気になっているところがあって、最後のところに国際共同研究をうたう以上、単なる衛生検査所ではなくて、キャップ(CAP)とかクリア(CLIA)を持っているような施設を検討すべきなのではないかなと思っていました。そういうことをおっしゃる方もいらっしゃいますし、そこも含めて事務局で検討いただければと思います。
構成員の皆様、ほかに御意見はいかがでしょうか。7ページから9ページまでです。よろしゅうございますか。
それでは進めまして、データの様々な管理のことですが、10ページから12ページまでのところで御意見があれば、よろしくお願いいたします。
上野構成員、どうぞ。
○上野構成員 基本的な質問になってしまって恐縮なのですけれども、先ほど来申し上げましたように、がんと難病を考えるときに、患者様の数と疾患の多さというところがかなり違うなと思っていて、一方で、先ほども集めるべきデータの内容も、恐らく難病のほうが多種多岐にわたるだろうということを考えたときに、そういった前提に立ったときに、私もデータベースの構築とか解析というところは詳しくはないのですけれども、結構データベースの設計とかインフラ整備においては何か違うような気もしないのでもないのですが、その辺はどう考えたらよろしいのでしょうか。
○山口代表 事務局として今までそういう議論はやっておられますか。
○がん対策推進官 がんの中においても当然、がん種によって異なる部分もございます。また、当然、難病のほうになりますと、それぞれの疾患ごとによって集めるべきものが違ってくるというところになります。ただ、基本的にはワンストップでデータを申請して、実際に集めるときにはそのデータベースそのもの自体は、もしかしたらある程度それぞれ作ったほうが効果的という場合にはそういう形になるかもしれませんが、それを例えば、製薬企業さんが、難病のこの病気とがんのほうのこの病気の人をこれだけ欲しいというふうに言った場合に、個々ばらばらに対応しなくてはならないような状況は避けるべきかなと考えておりまして、最低限その出口の窓口の部分についてはワンストップ化できるような形でしていこうという議論で、今のような案になっていると理解いただければと思います。
○上野構成員 承知いたしました。その御配慮に感謝申し上げます。ありがとうございます。
○山口代表 そのほかにいかがでしょうか。
どうぞ。
○野田構成員 野田です。
今ので純粋な単なる質問ですけれども、今おっしゃったので、窓口、ポータル一本化はよく分かったのですけれども、この11ページの【がん・難病共通】のところに「データセンター運営において」と書いてあるこのデータセンターというものですけれども、これは共通のものをデータセンターと。がんの場合は、今まではあまり難病のことをそれほど意識せずに、がんとしてのデータセンターの在り方というディスカッションがずっと進んでいるのですが、これは厚労省としては一本化というのを考えておられるのですか、それとも、まだそれはディスカッションだということでしょうか。
○山口代表 事務局、どうぞ。
○がん対策推進官 この点は、少なくともそれぞれの領域において一元化するというのはあるところなのですけれども、果たして、がんと難病のほうのデーターセンターをまとめて、それがデータの対応としてうまくいくのかというところはあるので、もう少し議論が必要かなと思っています。
ただ、窓口の一本化というところはしっかりと担保したいと考えています。
○野田構成員 ありがとうございます。
がんのそこのワーキンググループにもそれを投げていただく、あるいは私たちも持って帰りますが、よろしくお願いいたします。
○山口代表 その他、いかがでしょうか。
ちょっと私から。10ページと11ページにそれぞれ文章があるのですが、10ページの(1)の<対応方針(案)>の3番目の○、「データ利用に際しては、アカデミアおよび新たな医薬品の速やかな開発等を目的とした産業利用、それぞれについてのルールを策定し」云々と。かつ、11ページの<対応方針(案)>の2番目の○に全く同じ文章がコピーペーストされているので、厚労としてはよほど思い入れの強い文章かなと思うのですが、がんのほうの分野のデータ管理のところでポンチ絵が出ていまして、それでみんな共有しながら検討しているのですが、そのポンチ絵上は、データ管理委員会の許可を得た上で、アカデミアと企業は同じ並びで描かれて提供されると読めます。それはポンチ絵なので、さらに企業とアカデミアは分けて考えるという意味合いなのかなと思って伺っていたのですが、これは多分新しく出てきた文章なので、この内容についてちょっと御説明いただけるとありがたいのです。特にこの別々にというところです。それが倫理とかいろいろな問題につながるかもしれませんので。
○がん対策推進官 この点に関しましては、実際にデータを利活用される場合の環境であったり、その後どういうアウトプットをそのデータを用いて出していくのかというのが、アカデミアと企業で随分違う点があるのかなと考えております。ですので、当然、どういった御負担をいただくのかということも含めて、それぞれに異なったルール、それから、どういった対象についてどういう制限の上での提供なのかというところも違ってくるのかなと考えておりますので、それぞれにルールを設けるという形で示しております。
○がん・疾病対策課長 補足をさせていただきます。当然、今申し上げたとおり、一定の御負担をいただいた上で利活用をということを視野に入れておりますけれども、研究利用の場合と、あと企業が単独で利用する場合、これでやはり少しルールというのは別々にする必要があろう。すなわち、企業が創薬を目的として単独利用する場合については、より速やかに利用できるような形。これは当然、患者さんに対するインフォームドコンセントを、しっかり同意を得た上でということでございますが、そういったやり方を模索することができないのか、こういった内容で御理解いただければと思っております。
○山口代表 研究計画の中に書かれていて、インフォームドコンセントが得られていてという条件を整えれば、がんのほうは可能ではないかという意見もあるのですけれども、これは微妙にやはり患者さんのことに絡むことで、がんのほうはどうかな、何とかできるかなと思うのですけれども、難病のほうはこの考えは通用するというか受け入れられるかどうかはいかがでしょうか。難病の側の皆さんから御意見をちょっと承りたいのです。
水澤先生、お願いします。
○水澤代表代理 それぞれについてということについて、よく理解できると私は思います。規則、ルールとしては一つのルールの中に、企業の場合は、それからアカデミアユースの場合はといった形の書きぶりで、そこに違いが出てくることは十分によく理解できると思います。議論はそういう点ではないのでしょうか。
○山口代表 ありがとうございました。
その研究計画、インフォームドコンセントが整っていて、それでリーズナブルであれば、そのデータ管理センターが一元的に可否を捉えるということは必要だと思うのですけれども、その上で、これは企業ユースだからこちらのシステムで、それからアカデミア利用だからこちらのシステムでという形のシステムが出来上がることに関して、皆さんとしては、それは十分あり得るという御意見と承ってよろしいでしょうか。これはがんと難病併せての話にどうしてもなってきますので。
上野構成員、どうぞ。
○上野構成員 これも一昨日の難病の検討会でもお話ししたのですけれども、ちょっとこれからの話になるのですが、我々製薬企業が今後こういった情報を基に創薬する場合に、どういった情報があれば我々の創薬研究ができるかというのを、もう少し具体的にお示しする必要があろうかと思っています。今の考え方としては、我々としては患者様、個人が特定される必要というのは特になくて、その疾患ごとのこういう情報があればそれを基に創薬できる、いわゆる一次情報、二次情報あるいは三次情報みたいな、少し段階的な情報を分けることができるだろうと思って、そういったことで患者様にも、患者様御自身、個人が特定はされないということを前提に、その先に製薬企業での創薬研究に使われるのだということを説明していただくということも重要かと思っています。この点、がんのほうのあれで、安川さんの御意見もお聞きしたいと思うのです。
○山口代表 それでは、製薬協のほうでぜひ御検討いただいて、それから、どういうファイルを提供するかということに関しても、最初と現在とで少し製薬協側のお考えも変わっているように思いますので、その辺を取りまとめて、また御意見として事務局にいただければと思います。
○上野構成員 承知いたしました。
○山口代表 そのほか、この4のインフラ等についての御意見はいかがでしょうか。
鎌谷先生、どうぞ。
○鎌谷構成員 今の件についてなのですけれども、ちょっとテクニカルな話になるとは思いますが、出てくる全てのデータに対して同じようなルールにするか、患者さんの同意状態によって変えていくかということで、システムを恐らく何個もつくるというよりは、きっとデータアクセス権をきちんと管理していくという形でやっていけばいいのかなと思いましたが、どうでしょうか。各データに関してどれくらいのアクセス権を許すデータであるというふうにそれぞれ決めていくような形ですと。
○山口代表 では、水澤先生、どうぞ。
○水澤代表代理 鎌谷先生、ありがとうございました。
私どもの研究班でもそういう議論があって、名前としてはデータ管理委員会というよりは利活用していく上での委員会になるのだと思うのですけれども、申請があった段階でそれを検討するということで、まだそういう細かいところ、具体的なところは決めていないのですけれども、その委員会でルールを決めて対応することで十分できるのではないかと思っております。
○山口代表 鎌谷先生のおっしゃるような形にすると、例えば、企業にはほとんど全てが行ってアカデミアには一部とか、逆に、アカデミアは全て出せるけれども企業には一部しか出せないとかということが起こり得るような気がします。それも含めて製薬協の御意見を取りまとめていただこうと思います。
ほかによろしいですか。
それでは、最後のELSIのところに移りたいと思います。この分野については14ページと15ページですけれども、御意見をいただければと思います。
横野先生、どうぞ。
○横野構成員 早稲田大学の横野です。
私は、がんのほうの検討に主に関わってきましたが、先ほど資料1で最後に出されました<今後の方針(案)>、特に、全ゲノム解析等の結果を当該患者の診療に活用するということに関しまして、事務局としてのお考えをお伺いしたいと思います。
これまでのこの5の観点に関する検討においては、結果をお返しするということについては、基本的には新規で前向きに検体採取することを前提に、少なくともがんでは検討してきたと思います。既存の検体に関して結果を返すということとなりますと、また別のELSI上の対応の必要性でありますとか課題といったものが出てきます。今回の5に関する検討の中では、そういった点については具体的に検討している部分はほぼないのですが、この点に関して、ELSI上の検討については、事務局としてはどのように整理されているのでしょうか。
○山口代表 事務局、お願いします。
○がん対策推進官 まず、資料1で今回御提案させていただいた点に関しては、最初にも申し上げましたとおり、今回新たにというところで、これから少し整理をしていこうというところでしたので、そういう観点からは、ここの部分の必要な検討が、まだ今の資料2に反映されていないというのはそのとおりだと考えています。
一方で、リコンタクトという、当然、患者さんに返していくに当たってはリコンタクト等も含めて必要になってくると考えておりますし、リコンタクトを可能とする仕組みなど含めて、ある程度そういった体制が整った上で、特に既存検体について患者さんに返していくためにはやっていくのかなと思っております。より積極的にその患者さんに返していくという観点では、これから検体を採って解析をしていく方というのがメインの対象になるのかなと考えておりますが、既存検体部分についても必要な検討をこれから追加して進めていただければと思っております。
○横野構成員 ありがとうございました。
今の点に関連してですけれども、これは以前からお願いをしているところで、事務局で論点を整理していただいた際にリコンタクトという言葉を使われていて、それがこの中にも残っているのですが、リコンタクトというのはここではその研究に参加された後、何がしかの期間が経過した後に、その研究参加者に接触する必要が生じる場合全般のことを指していると思います。いろいろな場合がありますので、また今回は特に積極的に結果を診療に活用するという方針が新たに追加されましたので、このリコンタクトという言葉を今後も使っていった場合に、具体的な検討についてのいろいろな齟齬が生まれてくる可能性もあります。この部分については私たちも整理をしたいと思いますので、少しその表現を改めるということについてお許しいただければと思います。
先ほどの点に関しましては、今後一部の機関でパイロット的にこういった取組を行うことで、その取組を通じて課題を把握して対応方針に反映させていくということになるのかなと思いますが、既存検体について実際に行おうとする場合に、対応のための検討課題でありますとかあるいは人員コスト、検討そのもののコストといったものも発生してきますので、そういった点については十分に考慮に入れていただきたいと思います。
○山口代表 ありがとうございました。
そのほかはいかがですか。
○桜井代理人 山口先生、桜井ですけれども、今のリコンタクトに関連してよろしいでしょうか。
○山口代表 お願いします。
○桜井代理人 私も十数年前にBRCAの臨床試験に参加した経験があるのですが、リコンタクトの希望をして、でもまだ何も連絡が来ていないです。今、横野先生がおっしゃったように、やはりこれは将来にということになりますと、御遺族の方が受け取られるとか、あるいはそれが家族性のものであったりということで、いろいろな問題が出てくるかと思います。ぜひしっかりとこの部分は検討していただきたいと思っております。
リコンタクトしていただけるというのは、参加をした患者にとっては将来の希望につながっていくと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思っております。
以上になります。
○山口代表 ありがとうございました。
これ以外の分野でもリコンタクトという言葉が適切なのかという議論になって、それで製薬協の方もちゃんと定義をして別な言葉を使っていただいていいという御了解はたしか得ていますので、その点、事務局も含めて御検討いただきたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
神里先生、どうぞ。
○神里構成員 手短に申し上げます。
15ページの最後の一文になります。「本実行計画の実施状況の透明性を高める方策」と書かれているのですけれども、現在、コロナ報道でメディアが完全に偏っていて、このビッグプロジェクトを承知していないという国民がほとんどだと思います。やはり本格解析に向けて、そして産業利用も目的の一つになりますので、今から実施計画のビジョンだとか目的、そこからしっかりとお伝えするようなことを積極的に、そして早急に始めていただきたいと思います。
以上です。
○山口代表 ありがとうございました。事務局、よろしくお願いします。
司会の不手際で大分時間がたってしまったのですが、私から1点だけ。この前の難病の部会でも御指摘がありましたし、今日、神里先生もおっしゃっていたのですが、やはり全ゲノムというと二次的所見、随伴所見が非常にたくさん出てくると思うのです。それの議論が両部会でも多分あまりされていないのだと思います。ただ、かなり本格解析を少し早めようとなると、すぐに研究計画等の作成が必要になってきますし、この分野はほとんどの皆さんが経験のない分野なので、ぜひこの点の検討は急いでいただきたいと思っております。事務局、よろしくお願いします。
○桜井代理人 山口先生、桜井ですが、2つよろしいでしょうか。
○山口代表 どうぞ。
○桜井代理人 まず1点目は、これは事務局にちょっとお聞きしたいのですけれども、ELSIに関する法整備に関してです。先ほど冒頭に森委員からもお話がありましたように、こちらはがん患者団体でも本当に懸念をしておりまして、これまでも要望書などを提出してきているのです。超党派の議連も私が最初に参加してからもう5年近く経過しているのですけれども、進捗が全くないような状態になっています。この辺りについて事務局も今後どのようにお考えなのか。要は閣法等々で考えていくようなことも含めているのか、お返事いただければと思っています。
特に、がんの領域だと、HBOC等々については予防的な治療も今は保険適用になっていますので、いわゆる産業保健分野のほうでも主治医との両立支援プランの作成、主治医の意見書の中にこれを書くのか書かないかとかいろいろな議論が出てきています。ぜひこの部分は早急に動いていただきたいということを重ねて要望と、事務局に質問ということでお願いしたいと思います。
もう一点は、先ほどの神里先生の御意見とも本当に重なるのですけれども、ゲノム研究の進捗状況を公開していくということもあるかと思っています。ぜひ研究成果に対しても国民に対して進捗を公表していただきたいと思っております。先日、国立がん研究センターの東病院で進んでいるMonster臨床試験の発表会等々がありました。非常にすばらしい発表の内容になりましたし、私も、患者、国民としてもとても理解しやすい内容で先生方にお話しいただけたかと思っています。あのような場を設けていっていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
○山口代表 最初の事務局確認のところもこれはかなり難しい問題で、いろいろな議論がございますので、今日の御意見を踏まえて事務局で別の機会に回答していただこうと思います。
○桜井代理人 はい。ぜひお願いします。
○山口代表 ほかによろしゅうございますね。
○松原構成員 松原でございますが、1つよろしいでしょうか。
○山口代表 どうぞ。
○松原構成員 今の御質問に関連してなのですけれども、難病領域では、保険加入をめぐっての問題というのが既に何十年も前に顕在化しております。今から20年前、私どもが調査した新生児マススクリーニングで発見された子供さんたちが、当時の簡易保険、学資保険にも入れないということで、国会での質問が出たくらい当時はマスコミに取り上げられました。その後、全部忘れ去られてしまいました。難病の方が未発症のときに遺伝性であることが分かってしまうと、保険加入の点で日本では全く守ってくれる制度がないのです。これはもう数十年来の難病領域での懸案でございますので、ぜひその辺も併せて御検討いただければと思います。
以上です。
○山口代表 ありがとうございました。
私自身も20年前に三省合同のヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針を策定させていただいたときに同じことを訴えてお願いしたのですけれども、やはりそれきりになっています。関係者からは、なかなか政府として整理しにくい問題であり、非常に難しい法律になるだろうということも伺っております。この問題は、今日、この会で簡単な議論というわけにはいきませんので、ぜひ厚労省に持って帰っていただいて、政府の中で御検討いただきたいと思っております。
それでは、大変申し訳ないのですけれども、時間を超過してしまいましたので、今日の第1回の合同部会はここで閉じさせていただきます。いろいろな御意見がおありだと思いますので、ぜひ事務局にお寄せいただけますでしょうか。可能な限り回答させていただくように図らせていただきます。
それでは、皆さん、本日はどうもありがとうございました。
最後に事務局に振るのを忘れましたので、事務局お願いします。
○がん対策推進官 本日は皆様方に御出席いただきましてありがとうございました。次回の開催につきましては、事務局より追って御連絡さしあげますのでよろしくお願いいたします。
本日は長時間にわたりありがとうございました。以上で会議終了とさせていただきます。