2020年12月8日 第4回 難病に関するゲノム医療の推進に関する検討会 議事録

日時

令和2年12月8日(火)15:00~17:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンターホール15A(15階)

議事

議事内容
○南川難病対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、第4回「難病に関するゲノム医療の推進に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
本日の出席状況ですが、森構成員より御欠席の連絡をいただいており、参考人として、森構成員と同じ日本難病・疾病団体協議会副代表理事の辻邦夫様に御出席いただいております。
続きまして、正林健康局長より御挨拶申し上げます。
○正林健康局長 健康局長の正林でございます。
本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃はこの難病の行政について、その推進に御尽力いただいておりますことについて、改めて感謝を申し上げたいと思います。
私自身は、今年の8月から健康局長になりましたので、今回初めてなのですが、がんセンターに勤務したことがあって、そのとき、まさにこのゲノムを担当しておりました。そのときは、イギリスまで行ってGenomics Englandに視察に行ったり、いろいろ勉強してまいりました。
がんのほうも進んでいて、この難病のほうは1年ぶりと聞いていますが、先行解析から本格実施に向けて着実に進めていかないといけないなと感じています。昨日もがんの関係で同様の会議に私も参加いたしましたが、そのときに出た御意見として、こういう全ゲノムのプロジェクトというのを、単に研究のためとか、あるいは論文を書くためとか、製薬企業の単なる薬の開発だけではなくて、きちんとそれを最終的に患者さんに還元すべきということを忘れてはいけないという御意見を構成員の方からいただきました。私もその視点がとても大事なのではないかと思います。
究極は、このプロジェクトは難病あるいはがんの患者さんのために、それができるだけ早く、その方々に還元できることを目指して、このプロジェクトが進んでいくことを期待しておりますので、ぜひ先生方にもそういった視点でいろいろ御意見を賜れればなと思っております。
本日はよろしくお願いします。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございました。
カメラの撮影は、ここまでとさせていただきます。
傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いします。
以降の議事進行につきましては、水澤座長にお願いします。
○水澤座長 初めに、本日の検討会では、厚生労働省が取り組んでいる会議のペーパーレス化の一環としてタブレットを使用し、議事を進めてまいりますので、お手元のタブレットの使用方法等について事務局より御説明をお願いします。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございます。
本日の検討会では、タブレットを使用し、議事を進行させていただきます。簡単ですが、使用方法を御説明いたします。タブレットの画面上に資料一覧が表示されております。資料のタイトルを押していただきますと本体資料が表示されます。2本指で広げたり狭めたりすることで、資料の拡大・縮小が可能です。ページをめくる際に、画面に指を置き、上下を動かしてだけいただければ、1ページずつめくることが可能です。
また、資料全体を閲覧したい場合には、机上配付の操作説明資料2の(2)に記してあるとおり、画面左下のマークをタップしていただき、ファイルに注釈をつけるをタップしていただきますと、画面の下部に全ページの画像が小さく表示されますので、こちらで指を左右に動かしていただき、閲覧したいページを選択するとページを超えて表示することができます。
お手元にタブレット操作説明書をお配りしておりますので、そちらも御覧いただきながら、使用方法に御不明な点がございましたら、遠慮なく挙手をお願いします。会議の途中でも、事務局が個別に御説明いたします。なお、タブレットに関しては、会議終了後、回収いたしますので、持ち帰らずに机の上に置いたままにしていただきますようお願いします。
事務局からの説明は以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。
それでは、資料の確認をお願いいたします。
○南川難病対策課長補佐 タブレットのフォルダ内の資料一覧をごらんください。タブレット内に本体資料として、議事次第、委員名簿、参考人名簿、資料1から3、参考資料1、2を用意しております。過不足ありましたら、挙手いただければと思います。
○水澤座長 よろしいでしょうか。
それでは、早速、議事(1)「「全ゲノム解析等実行計画(第1版)」を推進するための体制及び進め方について」に入りたいと思います。
まず、事務局から、資料1「全ゲノム解析等実行計画(第1版)策定及びそれ以降の経緯について」の御説明をお願いいたします。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございます。
それでは、右下にスライド番号がございますので、スライド番号に沿って御説明させていただきたいと思います。
スライド2、まず、この検討会は、昨年の12月まで、これまで3回やっておりまして、その後、この検討会の議論を踏まえて全ゲノム解析等実行計画が策定されましたので、その概要を御説明させていただければと思います。
3ページ目を御確認ください。全ゲノム実行計画の概要でございます。
全ゲノム解析の目的ですが、1つ目の○にありますとおり、全ゲノム解析等は、がんや難病患者のよりよい医療の推進のために実施することになっております。
主に太字を中心に御説明させていただきます。具体的な進め方としまして、3つ目、難病のゲノム解析等については、ゲノム解析拠点の検体、既存の研究を進めている解析拠点がございますので、その検体及び今後提供される新たな検体数アルファを解析対象にさせていただくこととなっています。
その上で、4つ目の部分ですが、難病の先行解析においては、単一遺伝子性疾患、多因子性疾患、診断困難な疾患に分類した上で、成果が期待できる疾患(約5500症例(6500ゲノム))及び今後提供される新たな検体数について、まず先行解析として全ゲノム解析等を行うということを記載させていただいています。
体制整備・人材育成・今後検討すべき事項という部分につきましては、一番下の○ですけれども、本格解析に向けた体制整備・人材育成、倫理的・法的・社会的な課題への対応、産学連携・情報共有の体制構築、知財・費用負担の考え方等の検討を進めるとさせてもらっております。
スライド番号4ですが、全ゲノム解析について、先行的にやってみる症例数について、上ががんの部分、下が難病の部分になりますが、単一遺伝子性疾患、多因子性疾患、診断困難な疾患、これはあくまでも類型ですけれども、類型化したうえで、それぞれの主要解析拠点にあるものを中心に、約5500症例(6500ゲノム)を行うという形にさせていただいております。
そして、5ページ目、実際のタイムスケジュールに関してですが、先行解析は最大でも3年程度をめどに当面の間とさせていただきまして、先行解析後、速やかに本格解析という形で、青から赤に移動していく形になっています。
下の矢印にありますとおり、この全ゲノム解析等実行計画については、提供した患者への医療に適切に活用するとか、遺伝子パネル検査の改良等、難病患者の早期診断ができる体制整備を推進するとか、中長期視点に立って、医薬品等の研究開発を促進など、患者さんに還元する形で行っていくことが主眼となった計画でございます。
6ページ目には、がんのものを参考におつけしております。
7ページ目ですが、これは昨年の12月に厚生労働省が発表したものでございますが、今年の7月に発表されました経済財政運営と改革の基本方針においても、この実行計画を政府としても着実に推進し、治療法のない患者に新たな個別化医療を提供するべく、産官学の関係者が幅広く分析・活用できる体制整備を進めるとなっているところでございます。
これは、全ゲノム解析等実行計画、がんも難病も含めて行われることでして、8ページ目以降、昨年の12月に計画策定して以降、特に難病に関して、どのようなことを行ってきたかということを御説明させていただきます。
9ページ目を御確認いただければと思います。この検討会そのものも昨年できたものですが、昨年12月以降、2つ目の○、難病に関するゲノム医療推進に当たっての統合研究班という形で、先行解析及び本格解析に向けた制度設計をするに当たって、専門的な事項を検討する研究班を今年4月から立ち上げました。
そして、3つ目の○ですが、制度設計や専門的な検討を踏まえて、実際に先行解析、シークエンスとかデータ共有する研究班として、難病のゲノム医療の推進に向けた全ゲノム解析基盤に関する研究開発ということで、AMEDの研究班が今年の10月以降、発足しております。
2つ目の研究班ですが、本会議の座長である水澤先生を研究代表者として、それぞれ、9ページのマル1からマル6の課題について検討を進めていただいております。後ほど参考資料の部分で、簡単に検討の状況について御説明させていただければと思っております。
そして、本年10月から、10ページにあります研究班が立ち上がっております。単一遺伝子性疾患、多因子性難病、未診断、オミックス解析と、それぞれの分野のエキスパートが1つのチームとなって行える、大きな研究班をAMED研究班として立ち上げているところでございます。
続きまして、11ページ目を御確認ください。先行解析の研究班、そして政策研究班の役割分担を書かせていただいております。
政策研究班については、1から6の課題について具体的にどのように先行解析、そして本格解析について進めるかという部分を検討していただいて、それを右側の矢印どおり、それぞれの主要な解析拠点が、まず協力医療機関から検体と情報を取っていくに当たって、どのような情報、どのような同意書がいいのかみたいな議論をしていただいて、それをマル4のゲノム基盤という形で、先行解析を担う研究班に各主要解析の研究班から集めていって、それをシークエンス、基礎解析、データベース化した上で、みんなで活用できる環境を作っていくという形で、現在、この体制整備を進めているところでございます。
12ページにつきましては、実際、具体的な症例や、ゲノムについて、どのような形で優先的に行っていくかの検討の視点ですけれども、1つは、遺伝的な関与度において、3つの類型、単一遺伝子性疾患子、多因子性疾患、診断困難な疾患という形で分けさせてもらっていますが、それぞれ主要な解析拠点にアンケート調査等を行って、実際にどのような検体を今、持っていて、そこについての臨床情報、そしてどういう同意を取っているのかとか、それぞれ拠点ごとの手続等も確認しておりますので、こうした結果を踏まえて、どのような人の検体を行っていくかを、それぞれの研究班と連携しながら検討していくことになっていくと思っております。
この12ページ目までが、これまでの難病に関する全ゲノム解析の検討に当たって行ってきたことでございます。
そして、13ページが今後のゲノム医療の推進の進め方になります。今後は、本格解析に向けた検討を進めていくに当たって、14ページにありますボードメンバー16名で、ここにいらっしゃる構成員の方と、がんにも同じく同様の構成員の方がいらっしゃいますので、それが集まって一堂に会したところで物事を決定していきたいと思っております。実際の検討に当たっては、全ゲノム情報に付随して保管する検体や臨床情報についての検討とか、シークエンス・解析方法についての検討、データ共有・活用、インフラ等についての検討、そして倫理面に関する検討という形で、それぞれがんと難病の先生に御担当いただいて、合同した会議で今後検討を進めてまいりたいと思っております。
15ページ目ですが、実際の検討事項、これは後ほど資料2のほうでも御説明させていただきますか、このような検討事項がありますので、この後、御検討いただければと思っております。
そして、16ページ目は今後の進め方になりますが、難病のほうで言いますと、先ほどの統合研究班というものが一番下にありまして、我々の検討会は、去年3回やって、今日が4回目という形でして、それに対して、がんは新たな検討をする会議体、がん全ゲノム解析等連絡調整会議というものを立ち上げておりますので、そこでこれまで3回やっておりまして、その3回目の議論を昨日しましたので、それと同じ論点で、本日、これから難病に関しても御議論していただいた上で、12月10日に合同の会議を行いたいと思っております。さらに、来年3月に改めて合同会議を開くという形で、現在、考えております。
資料1についての説明は以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。
昨年度、本検討会、3回実施されまして、そのときの議論を踏まえて全ゲノム解析等実行計画(第1版)が策定されたわけであります。今、その後の現在までの経過を事務局に御説明していただきましたし、これからの予定も少し触れていただいたと思います。この資料1の御説明に関しまして、皆様から御質問や御意見等ございますでしょうか。いかがでしょうか。
辻さん、手を挙げておられますか。辻さん、どうぞ。
○辻参考人 本日、森の代わりに出席させていただいております辻と申します。よろしくお願いいたします。参考人ということで、以前の論議について未熟な部分があって、大変不適切な発言もあるかもしれませんが、お許しください。
今回の全ゲノム解析の対象疾患、いろいろそろったり、そろわなかったり、あるいは先行解析で先にやったり、その後に検体をそろえたりと、いろいろあると思うのですけれども、例えば指定難病の333疾患のうち、どれが対象だとか、そういうのは発表される予定はあるのでしょうか。今後のことにも関わるので、後で出てきたら申し訳ないですが、ちょっと教えていただければと思います。
○水澤座長 いかがでしょうか。
○南川難病対策課長補佐 基本的には、前回の3回の議論の中で、この資料1の12ページ目に一定の対象という前回の検討を踏まえた議論がありまして、例えば単一遺伝子性疾患というのは、1つの遺伝子で病気が起こり得る疾患です。この中でも、例えば遺伝子性疾患の診断がついたのですけれども、全エクソーム解析を行っても、まだ分からないものについて、まずやっていこうという話であったり、多因子性疾患もかなりバラエティーがある中で、特に遺伝的な関与が強いもので、かつ数が一定程度症例を確保できる疾患にかかる検体をまず優先的にやるとなっていますが、そのほかはやらないというわけではなくて、優先順位的にそういう形でやっていこうという話です。
診断困難な疾患も、これまでの研究の中で、全ゲノムの前の全エクソームという検査の中で診断がついた方をやるわけじゃなくて、そこでも診断がつかなかった方をやっていく方向で議論がなされています。今、議論されているのはこの程度でございまして、そこで疾患がどこかという議論までしているわけではないということです。
以上です。
○辻参考人 ありがとうございます。
患者としては、自分の疾患が対象になっているのか、あるいはなっていないのかというのが気になるところですが、それを言うか言わないかのスタンスもあると思いますので、そういう患者側の本来的なものかと思いますが、あるということで御認識いただければと思います。
以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。
重要な御指摘だと思います。我々、なかなか気づかない部分があろうかと思います。疾患は、恐らく全て対象だと思うのですけれども、今、お話があったみたいに、優先順位というか、サンプル数が十分あるとか、そういったことも影響してくると思いますので、順番的なものが出てくる可能性はありますので、いろいろなものを公表したりするときに配慮していったほうがいいかなと私も思います。
松原先生、ありますか。どうぞ。
○松原構成員 今のことに関連してですけれども、患者会の方としては、御自分の病気が入るのか入らないのか、非常に大きな問題だと思うのですけれども、このプロジェクトの中では、そういう病気に対して、この病気は入る、入らないという仕分けはしないということですね。全ての疾患であって、それぞれの疾患の中で既に原因が分かっている方については、これは全ゲノムの対象にならないけれども、よく知られている病気でも、その個人個人の方で病気の原因が分からない方に関しては対象になる。そういう基準で選んでいくので、病気の名前によって、入る、入らないという区別をするのではないということでよろしいでしょうか。
○水澤座長 そういうメッセージが分かるような形で出していくことが大事だろうと私も思います。よろしいでしょうか。
ほかにはよろしいでしょうか。なければ、ありがとうございました。
そうしましたら、次に移りたいと思います。資料2「「全ゲノム解析等実行計画」の推進に向けての検討(案)」、資料3「難病ゲノム医療の推進にあたっての検討事項について(案)」についての御説明をお願いいたします。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございます。
それでは、資料2、資料3、そして参考資料2も御説明させていただきたいと思います。
資料2の下のページ番号を基に御説明させていただきます。「「全ゲノム解析等実行計画」の推進に向けての検討(案)」となっております。
1ページ目ですが、前文という形で、先ほど御説明しました政府の閣議決定「経済財政運営と改革の基本方針2019」での記載。そして、それを踏まえて策定された「全ゲノム解析実行計画(第1版)」。そして、今年度改めて着実に進めるようにと記載された「経済財政運営と改革の基本方針2020」というものを記載させていただいております。
1ページ目の全体の推進における方向性の検討についてですが、(1)の方向性で、検討の視点については、がんも難病も同じですが、患者のよりよい医療の推進のために実施するということを記載させていただいた上で、機微な情報ですので、当然安全性が大事ですという部分を書かせていただいています。
2ページ目を御確認ください。それを踏まえて、対応方針としては、患者に積極的に還元する仕組みの構築を図っていくという話と、セキュリティーの観点から、国内で完結できる体制、及び許可された者が許可された範囲でのみ情報を取り扱うことができるようにすることが担保できる体制とするというのを記載させていただいております。
続きまして、3ページ目ですが、全ゲノム情報に付随して保管する検体や臨床情報等についての検討の部分です。
臨床情報の内容の検討の視点として、患者さんの診療、臨床研究、創薬をはじめとした各種活用に求められる情報が網羅されていることが必要であるということで、それぞれの対応方針(案)として、共通では、1から6に掲げる項目があると同時に、難病の場合は疾病がかなり多岐にわたりますので、疾患共通の必須項目があると同時に、疾病の特性に応じた追加項目というものも、特に制度上、集めている臨床個人調査票に関する情報とか、疾病の特性に応じた診療情報について、これは治療に関するものも当然含みますが、というものを記載させてもらっています。
その上で、情報収集をする方法とか現場負担の軽減策についてですが、1つは、セキュリティーを徹底した上で、データ入力そのものの負担軽減を同時に図るべきであるという形になっています。
4ページ目を確認していただければと思いますが、対応方針として、データ収集の可用性や負担軽減の仕組みを検討する。具体的に、1つは、収集する臨床項目を厳選すると同時に、入力の仕方を選択方式にするとか、データの形式そのものの標準化処理を行って集めるという話を記載させていただいております。実際、セキュリティーも含めて、ゲノム情報を格納するための専有領域の確保が必要という話も記載させていただいております。それと同時に、現場の負担軽減から、電子カルテへの標準化処理についても行うという形を記載させていただいております。
次に、検体の処理・収集・保管等のワークフローの確立の部分で、検討の視点としては、高品質なシークエンス。そして、残余検体とか追加検体を使えるような拡張性を確保すること。それから、個人情報へのアクセスのリアルタイムの把握や検体の取り違い防止についても、しっかりとセキュリティーを確保することとなっております。
4ページ目の下の部分、検体の処理については、標準作業手順書の骨子(案)、これは主にがんのほうで作られたものですけれども、難病のほうでも検体をどれぐらい取るかみたいな議論はしているところでございます。
それ以外に、残余検体、追加検体の収集・保管についても、標準手順書をしっかり追加するという話や、ゲノム情報のデータベースとひもづけが可能となるように管理するなどの仕組みを作っていくことが記載されております。
5ページ目のシークエンスの実施機関の在り方ですが、検討の視点として、セキュリティーが担保されていることと、FASTQという一番最初にできるファイルについても、ちゃんと転送できるような形にすること。シークエンスそのものも高品質・均質であること。そして、実際にやるところについて、適切な精度管理が実施された、例えば「衛生検査所等」でのシークエンスを基本とすることが検討の視点として書かれております。
実際の対応方針としては、アクセス制限等も含めたセキュリティーが担保されていることや、実績がしっかりあること。そして、遺伝子検査にかかる精度管理をしっかり行っている場所であること。国際共同研究ができるようなシークエンスができること。均質なデータをしっかりと確保できるシステムでシークエンスされていることが記載されています。
その上で、2つ目の○ですが、定期的な品質の再評価、再検証などについても行って、さらなる低価格化に向けた検討が必要となっております。
次に、収集したデータの管理の在り方ですけれども、FASTQだけでなく、CRAM、VCF等のデータをどうすべきか。あとは、それをどこに安全に、確実に保管するべきかという検討の視点を書かせていただいております。
その上で、対応方針(案)ですが、FASTQとか中間の生成物であるCRAMやVCFは、別のストレージで保管しておくとか、データストレージは、既存のリソースを活用しながら、クラウドへ移行していくという話とか、複数保管、分散保管という話を記載させていただいています。
解析のためのコンピューティングリソースの在り方については、基本的にスーパーコンピュータを使用する場合とクラウドを使用する場合とで、性能、コスト、利便性を含む相違点とかについて、どう整理していくのかという部分と。二者択一でなく、将来を見据えた検討が必要という話。コンピューティングリソースの管理ができる人材の育成も、併せて進める必要があるというのを検討の視点にさせていただいています。
対応方針の部分については、当面の間はスパコンで解析・共有を開始し、徐々にクラウド環境に移行していくという記載をさせいただいているのと。利用に関しては、当然安全性等を確保してやっていくということと、人材育成も長期的な目線で育成を図ると記載させてもらっています。
全ゲノムデータ等の網羅的解析のための人工知能の部分については、全ゲノム解析情報は情報量がかなり多いので、それについて、どうやって人工知能を活用するかという形ですが、対応方針にそのための条件や効果についての記載がありますので、後ほど御議論いただければと思っております。
続きまして、8ページ目ですが、データを共有・活用するための考え方、インフラですが、検討の視点としては、一体的、一元的なデータ等の管理・運営体制が必要である。かつ、自立的な運営の仕組みや、様々な方が利用できるようにシェアリングポリシーに配慮する必要がある。実際に共有するに当たって、何を、誰に、いつ、どのような形でとか、安全性の部分が視点として書かれています。
対応方針についても、それに対応した形で、一元的なデータ管理・運営とか民間資金のノウハウの活用、アカデミア及び新たな医薬品の開発等を目的とした産業利用、それぞれにしっかりルールを作っていく。データセンターが設置する審査会において適切な審査を行うといった記載が書いてあるところでございます。
データの二次利活用の整備につきましては、国民、患者等に成果を届けるためのシステム構築が必要であるという話とか、ルールをしっかり作っていくべきではないかとか、それを作った上で、アクセス手段の確保やデータの分析、二次利用についてのビジネスモデルなどの構築について記載されています。
その上で、実際に使うに当たっては、ワンストップの利用申請でできるようなシステムを構築していくとか、迅速なデータ利活用、先ほど申し上げたアカデミアと新たな医薬品の速やかな開発等を目的とした産業利用も含めた形で、しっかりとルールを作っていく。また、セキュリティーについては、しっかり保っていく。実際に蓄積されたデータの使い方として、臨床試験の支援の話とか、民間のノウハウや資金も活用するということが書かれています。
産学連携・情報共有の構築、知的財産の整理につきましては、産学連携と情報共有体制についての構築の仕方として、特に開発・研究のインセンティブとしての知的財産権の在り方。かといって、知的財産権が広く独占されると、ほかの研究が阻害されるようなことは避ける必要があるのではないかという視点がありまして、対応方針として、アカデミア、産業界、それぞれが主体的にデータセンターに関与できる形を基本とするという話とか、マッチングシステムをしっかり作りますとか、英国でやられているようなフォーラムをアカデミアと産業で作って、情報共有を自主的に定期的に行う。
10ページ目を見ていただきますと、知財については、原則として新たな知見を得た研究者、企業等に属するものとする。そこで得られた知見に基づいて開発された治療・検査法等を患者に届けるに当たっては、もともとこの事業は公的なものですので、より多くの患者が容易にアクセスできるように配慮すること。得られた知財は有効活用しましょうということを10ページに書いてあります。
11ページですが、倫理面や幅広い利活用を可能とするインフォームドコンセントの在り方等についての検討で、新薬の開発や、それに対する包括的な同意取得の統一化についてということで、検討の視点としましては、今後、追加解析が必要となる状況を想定して、同意をどのように取るかというのをしっかり整理する。
がん・難病ともに、1から5に当たる部分に対応したインフォームドコンセントフォームの素案を賛成しまして、これについて、さらに議論した上でアップデートしていく方向で考えております。
患者等へのリコンタクトの話ですが、リコンタクトが必要となる状況をしっかり整理した上で、どういう形のツールを使うかという部分の検討が必要としていまして、その対応方針としましては、先ほどのインフォームドコンセント、リコンタクトを書くこととか、リコンタクトによって様々生じることについて、倫理指針とかAMED研究班の成果を参考に対応手順を作っておく。そこの具体的なフローとかコミュニケーションツールをしっかり作るということを記載させてもらっています。
12ページは、今回、先行解析や主要な解析拠点で、既にバイオバンクにあるものもありますので、そこについて、これから作ろうとしている統一的な同意書素案と同等性がどの程度あるかというのを確認した部分です。
がん領域の確認部分と難病領域の確認部分がありますが、難病領域の確認部分は、基本的に今までの同意書で、アカデミア、産業界との共同研究の二次利用は可能ですけれども、産業界のみの利用については、オプトインが必要・原則であることが今回確認されたということが記載されております。
治療に有用な情報等の患者や家族への丁寧な説明等のガイダンスの策定については、ゲノム医療の情報伝達と、結果の開示の双方に関わるため、2つの視点からの検討が必要であることと、守秘義務の関係もしっかり整備した上で、対応方針としては、研究班の成果や指針に準じてしっかりやっていくということが記載されています。
ELSIに必要な法制度の検討、相談体制の整備についてですが、ゲノム情報が活用されることによって、患者さんに不利益が生じないようにするということと、既存の不利益が拡大しないように努めることが重要という視点や、相談の体制が大事という話。国民の支持と信頼の醸成をする取組が求められるという視点がある中で、対応方針として、ゲノム情報に関連した不利益の防止や、情報漏えい・悪用に関する防止・制裁のための法制度を含めた制度の在り方について検討する。既存の相談機関で一次相談を引き受けられるよう、教育啓発活動を通じて支援体制の整備・拡充を図る。がんゲノム医療中核拠点病院等において、相談対応が可能となるように取り組む。そのほか、啓発・研修とかトレーサビリティの話がされているところでございます。
ちょっと長くなってしまいましたが、資料2の御説明は以上です。これは、がんと難病、基本的に共通的に取り組んでいる部分で、難病ゲノムに関して、特に必要な部分について、資料3で書かせていただいています。
1つは、難病ゲノム医療の中核となる医療機関等の整備の検討についてですが、全ゲノム解析等を着実に実施し、その成果を難病患者に還元していくために、先行しているがんを参考に、難病ゲノム医療の中核となる医療機関の設置を含めた体制構築が必要という視点をもって、先行しているがんの事例や、研究班の検討を参考に、このような難病のゲノム医療の中核となる医療機関の整備を検討するというのが1つ目です。
2つ目は、国際連携という視点で、難病は希少性が高いので、国内だけで完結しない部分がありますので、患者還元につながる科学的根拠を得るためには、国際的なデータシェアリングが必要という観点です。
1つは、シェアリングをするに当たって、日本の疾患名とICDとかの海外の疾患コードみたいな部分の対応関係を明確化する必要があるという点と、Genomics England等の海外のゲノム基盤等との積極的なデータシェアリングを検討するということを資料3に視点として入れさせていただいております。
続きまして、参考資料2は細かく御説明しないですが、これまで政策研究班の関係の資料として、お開きいただいて、ページ番号を基に御説明させていただければと思っています。
1ページ目、2ページ目については飛ばしていただきまして、3ページ目から7ページ目が、難病の政策研究班で、難病ゲノム医療推進に当たって、どのような情報を収集していく必要があるかということで、山野分担研究者による検討の資料となっております。
8ページ目から18ページまでは、徳永分担研究者による、ゲノム基盤がどうあるべきかという形で、私が今、申し上げた対応方針に相当するようなことが記載されているところでございます。
続きまして、19ページ目から27ページまで、製薬協の推薦で御参加いただいた林分担研究者のほうから、製薬企業としての関わりという部分で記載されています。この中には、製薬企業が求めるゲノム基盤への機能や、実際にどの程度の費用負担が考え得るのかみたいなアンケート調査の結果が載っていますので、御参考にしていただければと思っています。
28ページ目からは、既存の使用解析拠点の同意書を調べた結果、今後の倫理審査もしくは患者同意等の手続をまとめていただいている武藤分担研究者の資料でして、それが38ページまでございます。
そして、39ページ目から56ページ目が、難病ゲノム基盤を医療機関という視点から詳細な検討をしていただきました竹内分担研究者の資料です。この中には、ゲノムの中核となる拠点病院が要るのではないかという話を記載していただいています。
最後、57ページは、鎌谷分担研究者による国際連携の必要性ということで、現時点でGenomics England等の研究の状況や、59ページにありますとおり、日本と海外の疾患名の一致の状況等について、詳細に検討してもらっておりまして、今後どう対応していくかという研究を引き続き続けてもらっているところです。
以上が今の政策研究班の検討状況でございます。
私からの説明は以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。
それでは、具体的な検討に移りたいと思います。これが今日のメインの検討になると思います。今、事務局のほうから、これまでの議論を踏まえて、今後検討すべき事項というのを、資料2にありますような形で御説明いただいたわけであります。これから、ここの項目につきまして、1つずつ議論してまいりたいと思っております。
まず、資料2の1ページ目から2ページ目にありますように、「1.「全ゲノム解析等実行計画」の推進における全体の方向性について」、検討したいと思います。いかがでしょうか。御意見や御質問とか、ありましたら、ぜひお願いしたいと思います。(1)が全体の方向性ということでございます。検討の視点と、それに対する対応が2ページに書いてある形でございまして、いずれも最初にお話がございましたように、患者さんのよりよい医療の推進のために実施するということが最初にきちんと強調されていると思います。
どうぞ、鎌谷先生、お願いします。
○鎌谷構成員 全体としての方向性、大変すばらしいと思うのですけれども、有用と考えられる情報が得られた場合に、患者さんに積極的に還元する仕組みの構築を図らないといけないと思うのですけれども、患者さん側には、知らない権利を行使したいという意思を表明できるタイミングを取っておくことは可能でしょうか。ありそうですけれども、知りたいですかと言ってしまうと、もう出してしまっている状態になってしまうので、先に確認しておく必要があるものなのかなと思っております。
○水澤座長 もちろん、最初の段階でそういう場を設けるべきかと思うのですけれども、難病とがんでちょっと違うかもしれませんけれども、この辺、どうでしょうか。神里先生、松原先生、あるいは辻さん、御意見があったらお願いしたいと思います。
○神里構成員 では、私のほうから。
知らない権利というのはあるので、そこは最初に御意向を伺うということはあり得ると思うのですけれども、考え方も変わっていくということもあると思うので、それをどういうふうにフォローするかということと。
同じところで私も1点、お伺いしたかったので、ついでに伺いますと、積極的に還元するということは大賛成ですけれども、もともとこの解析自体が研究で今やろうとしている中で、だんだんと医療とのすみ分けというのが分からなくなってきて、それは同意の取り方についても反映されるべきところだと思うのですけれども、その辺はどのように考えたらいいのかということを、ちょっと事務局にお伺いしたいのですけれどもね。
○水澤座長 いかがでしょうか。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございます。
還元の在り方というのはいろいろな形があって、ここの検討資料でも、当該患者の診療・臨床研究・創薬という形でいろいろあると思います。おっしゃるとおり、研究という形で研究成果を還元していく、もしくは開発成果を還元していくという形と、実際の医療という形で還元していくという部分は、両面考えなければいけないと思っていまして、それに当たって、この基盤というのがどうあるべきかみたいな部分も当然検討の対象になってくると思っています。
現時点ですぱっと、こういう還元だという形は言えないのですけれども、先生、おっしゃったとおり、医療と研究というのが、難病の場合は、そもそも医療と研究がかなり近い領域ではあるものの、いずれにしてもどういう形の還元の在り方があるかというのは検討していく必要があると思います。
○水澤座長 どうぞ。
○上野構成員 まず、冒頭御挨拶から。私、今回から初めて参加させていただく製薬協を代表しております上野と申します。田辺三菱製薬の代表取締役社長を4月から務めておりまして、前任の三津家の後任ということで、今回から参加させていただいています。
それで、製薬企業の立場から申し上げますと、我々としては、この難病に対して、医薬品の提供ということを通じて患者さんに貢献したいと思っております。そういう意味で、今の御議論のように、このゲノム情報が医療、研究と申し上げたときに、我々製薬企業も医薬品を提供しながら医療に貢献したいという考えでおります。その際に、産業利用という言葉が入った瞬間に営利目的ではないかとよく誤解されて、せっかくの患者様からの情報提供に少し壁ができてしまうということも、これまでもあるやに聞いておりますので、産業利用とはいえ、その結果が医薬品を通じても医療に貢献するのだということを踏まえて御説明いただきたい。
これは、最後のほうにも書かれておりますけれども、全体の方向性のところでまずは申し上げたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○水澤座長 ありがとうございました。
最終的には、局長がおっしゃったように、患者さんのためを思って全ての研究もするわけですけれども、目の前の患者さんから将来の患者さんまで対応になっていると思いますけれども、そこをうまく説明することが大事なのだろうなと思いますし、最初、ちょっと議論になりましたけれども、診療と研究、あるいは医療と研究というものの切り分けというのがなかなか難しいと思うのですけれども、そういう意味でも両面があるような感じがするのですね。未診断疾患プロジェクトではそれが問題になっていて、そこに悩みながらやっているかなと思うのですけれども、松原先生、御経験でどうでしょうか。
○松原構成員 臨床と研究の切り分けというのは、しばしば私たちも直面して、非常に難しい問題だと思うのですけれども、どの視点でこれを考えるかということはとても重要だと思うのです。私は、1つは患者さんの視点から考えるべきであると思います。要するに、これを研究事業としてやる上では、研究としてのアウトプットがしっかり担保されているということを前提に御参加いただくことが前提ですので、いろいろな制限をつけるということになってくると、これは研究とは言えない、そぐわなくなってくると思うのです。もちろん、患者さんに返すか返さないかは、これはインフォームドコンセントをはっきりしておくべきだと思いますけれども、まずそこの視点がすごく重要かと思います。
一方、いわゆる臨床と考えていくと、これは研究ではないのです。患者さんの幸福が第一になります。ですから、そこの部分を何となく曖昧にしたまま進めていくと、どこかで非常に苦しい場面がお互いに出てくると思います。研究者側にとっても、患者さんにとっても、非常に困った事態が生じてくると思うので、私はこれを研究事業として進めていくのであれば、患者さんにもそのことをよく御理解いただいて御参加いただくという方向が正しいのではないかと思います。
と言いますのは、結局、全ゲノム解析というのは、別にこのプロジェクトに入らなくても、ある程度のお金を払えばできるわけです。そんなとんでもない、何千万とか何億とかいうお金は要らないわけです。ですから、診療としてのものもかなり近づいてきて、できるようになってきておりますので、これを研究事業として進めていくのであれば、そのあたり、最初からはっきりと患者さんと研究者、医療がきちんとしたインフォームドコンセントで、お互いの納得ずくで御参加いただくというスタンスは、私はきちんと設けておいたほうがいいのではないかと思います。
○水澤座長 ありがとうございました。
うまくまとめていただいたように思いますけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
どうぞ。
○辻参考人 ありがとうございます。
患者の知らない権利についてかと思うのですけれども、患者としては研究にぜひ貢献したいという患者が大多数だと思うのですけれども、自分の特に遺伝性の疾患とかの部分について知りたくないという方も当然いらっしゃいますし、実際に調べてみて、リコンタクトのところでも出てくるかも分からないのですけれども、実際にはもう少し重複している疾患があったという場合は、生命保険とか経済的な問題にも直結しますので、そういうところも明らかにしてインフォームドコンセントを進めていただいて、知らない権利についても、研究への寄与とはきっちり区別して御説明いただければと思っております。
以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、3ページ、「2.全ゲノム情報に付随して保管する検体や臨床情報等についての検討」につきまして議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。
辻さん、どうぞ。
○辻参考人 たびたびすみません。
2つあるのですが、1つ目として、臨床情報の内容についての難病領域の特性に応じた追加項目の中で、臨床個人調査票と書いてあるのですけれども、これは小児の場合、医療意見書も含めると考えていいのかどうかをお聞きしたいと思っております。
もう一つは、臨床個人調査票に関しまして、参考資料2の5ページ目の山野先生の臨床個人調査票の項目という中に、重症度分類に関する事項と書いてあるのですが、重症度分類に関する事項につきましては、この基準について、患者会の中でも不適切ではないかという意見が実際に相当ございまして、その辺を踏まえた上で取扱いをお願いしたいという希望を持っております。
この2点、1個質問と意見になりますが、よろしくお願いいたします。
○水澤座長 ありがとうございました。
1番のほうの意見書については、いかがでしょうか。どうぞお願いします。
○南川難病対策課長補佐 疾患の特性に応じた追加項目なので、今回、政策研究班で検討した中ではこれだけだったのですけれども、医療意見書が含まれるかどうか、ちょっと検討します。ただ、一般論として御存じかと思いますけれども、臨床個人調査票のほうがかなり細かくて、医療意見書のほうは、臨床個人調査票に比較すると、そこまでデータ項目は多くありません。もともとこれを入れていただいた趣旨というのは、臨床個人調査票というのは既に出されているものなので、関係者の負担が少なく集められる情報で、かつ経年的に集められる情報だからという観点で入れられていると考えていますので、御意見を踏まえて研究班の中でも議論をお願いできればと思っています。
2点目の重症度分類に関する事項については、御指摘ありがとうございました。重症度分類は、別の指定難病検討委員会の中で、難病法の制度の中で一定の手続を経て医学的に検討されているものですので、一応御意見を賜ったという形で御発言させていただければと思います。
以上です。
○水澤座長 よろしいでしょうか。
ほかにはどうでしょう。どうぞ。
○上野構成員 こういった情報をいかに創薬研究につなげるかというところで、参考資料2に、研究会で、これも製薬協の代表の林構成員のほうから説明されておると思うのですけれども、19ページを御覧になっていただきますと、全ゲノムデータと臨床情報、プラス、オミックス情報というものが薬を作る上では非常に重要、必須でありまして、こういった点について、もう少し具体的にどういった情報があれば、どういった研究ができるかということについても、どこかの段階で我々のほうから情報提供させていただける機会があると、それを前提に検体を採取したり、あるいは検体の条件にも関わってくるかと思いますので、一度どこかで情報共有させていただく場があるといいのかなと思っています。
それが研究班のほうでなされるということであれば、そちらのほうに委ねることになろうかと思いますけれども、その点、よろしくお願いします。
○水澤座長 重要な御意見だと思います。余り心配ないだろうと思います。
資料2の9ページでしょうか、後のほうに出てくる産学連携体制のところで産業フォーラムという言葉が出てくると思います。私もごく最近、耳にしたのですけれども、こういうものが考えられておるようでして、こういったところで恐らく検討されるかなと思います。これはとても重要なことだと思います。余裕があれば、もしかしたら統合研究班のほうでも検討できるかもしれません。
追加はありますか。
○南川難病対策課長補佐 統合研究班のほうで、この先行解析を実際行うに当たって、研究者を集めて説明会をしたときも、林分担研究者からこの内容について御説明いただいていますし、そういうことも含めて、先ほどの産業フォーラムも含めて、産学連携というのはしっかり進めていきたいと思っております。
○上野構成員 承知いたしました。ありがとうございます。
○水澤座長 ほかにはどうでしょうか。
鎌谷先生、どうぞ。
○鎌谷構成員 念のため、確認させていただければと思いました。オミックス情報は、産業での創薬の方向性にも非常に有効であるだけではなくて、恐らく組織というのは、RNAシークエンスとかメタボロームなどの解析をすることで、診断に行くと患者さんに直接関係する情報にも結びつくと思いますので、それもこの枠組みの中では積極的にできる形になっているとよいのかなと思っております。
○水澤座長 そのほかはどうでしょうか。よろしいでしょうか。これは、また戻って御議論いただくことも可能ですので、よろしいですか。
4ページの検体の処理・収集・保管等のワークフローもよろしいですか。セキュリティーのことは、全てのところにきちんと書いてあるかと思います。
ありがとうございました。
そうしましたら、5ページから7ページにかけて「3.効率的かつ統一的なシークエンスや解析方法等についての検討」という項目につきまして御議論いただければと思います。いかがでしょうか。
どうぞ、松原先生、お願いします。
○松原構成員 5ページの対応方針(案)の3ポツに、遺伝子検査にかかる精度管理を実施している衛生検査所等でシークエンスを行うと書いてあります。精度管理をきちんとしているということは必須条件で、非常に高いレベルのものが要求されていると思いますし、こういう趣旨で恐らくお書きになったのだと思うのですが、ここで衛生検査所という文言が出てくるのは、私はちょっと違和感があります。
と申しますのは、現在、日本で衛生検査所というのは、いろいろな臨床検査をやっているところです。全ゲノムシークエンスをやっている衛生検査所はほとんどないのです。しかも、もう一つ、衛生検査所に要求される遺伝子検査関連の精度管理というのは、例えば台帳をちゃんとつけるというレベルの管理でしかないのです。全ゲノムシークエンスの精度管理としては、ほとんど何も言っていないに等しいぐらいの基準しかないのです。ですから、ここに衛生検査所という文言を入れることで、かえって誤解を生むのではないか。全ゲノムシークエンスなんか、ほとんど経験がないような会社とか施設を、あたかもここで認定しているかのような印象を与えかねないと思うのです。
現在、日本には、遺伝子検査にかかる、はっきりとした精度管理の基準がないのです。そこが根本的な問題なのですけれども、この研究はどんどん進めていかなければいけませんので、ここの文言、例えば「遺伝子検査にかかる適切な制度管理を実施している施設でシークエンスを行う」ということで、衛生検査所という言葉は、私は外していただいたほうが誤解を招かないのではないかと思うのですが、ほかの構成員の方々、いかがでしょうか。
○水澤座長 ほかの構成員の方もあれですけれども、事務局的にはどうですか。この文言については、上のほうの○のところにも書いてあります。「等」がついてはいるのですけれどもね。
○南川難病対策課長補佐 御意見を踏まえて検討したいと思っていますけれども、趣旨としては、おっしゃっているとおり、精度管理がしっかりされているということが多分一番大事な話であって、一応、学会が出している基準とか、それに基づいて保険診療がやられている部分もあるので、ゲノム検査についての一定のクオリファイみたいな部分をちゃんとやっている部分がないという御趣旨の発言だと思います。どのような記載が適切かについて、がんとも関わる部分ですので、事務局として持ち帰らせてもらえればと思います。
○水澤座長 ありがとうございます。
ほかの構成員の方、よろしいでしょうか。文言の語感が少しあるかもしれません。
そのほか、どうでしょうか。ほかに6ページ、7ページもあるのですけれども、コンピューティングリソースの話とか人工知能の活用といったことが項目として挙がってきています。それぞれ当然必要かなという感じがいたしますけれどもね。
どうぞ、お願いします。
○菅野構成員 菅野ですけれども、こういうふうに基準をしっかり決めてやるのは結構ですけれども、がんと難病とで、必要な精度とか丁寧さというものが若干違うかなという気もしているのです。次回は全体として一緒にやるということで、完全に1つの方針で、それぞれの疾患に本当に最適な形になるかどうかというのは、若干気になるところがあります。ですので、大枠としてはこういう形でいいのですけれども、必要に応じて若干プラスアルファみたいなことができるような書きぶりをしておいていただいていただけるほうが、現実的に成果が得られる形になるような気がします。
具体的にどことはなかなか言えないのですけれども、例えばSOPみたいなものとかシークエンスの精度とか、そういう基準を作るときに、プロジェクト全体としてという部分と各領域としてという部分とで少し分けて書くという方式にしておいていただくほうが、現実にはいいのかなという気がしております。
以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。
大変貴重な御意見で、もっともだと思います。それは、そのような方向で考えているのではないかと思います。それはいいですね。
○南川難病対策課長補佐 基本的には、今でも情報の部分だったり、がんと難病で書き分けている部分があったり、最後、別紙にしていますけれども、病院の話だったり、異なる部分は当然あると思いますので、そこは一定程度書き分けるという方向はあっていいと思います。
ただ、大きなプロジェクトの共通部分みたいな部分を今、議論している状況だと思いますので、気になる部分というか、ここはこの記載だと、その後、各プロジェクトの最適化をするときにさすがに厳しいという話があれば、御意見をいただければ、それでまた事務局のほうで調整したいと思っています。
○菅野構成員 僕がゲノムのほうの専門家なので、具体的にどこと指摘はできないのですけれども、ぜひ松原先生や様々な先生たちに御発言いただければと思います。あるいは、必要があれば、例えば小崎先生とか松本先生にも具体的に聞いて、どういう形がベストなのかということは必要かなと思っております。
以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。
松原先生、何かありますか。今、お名前が出ましたけれどもね。
○松原構成員 御指摘いただいたように、確かに全ゲノムシークエンスと一口に言っても、がんと難病では見ているものが全然違います。機械は同じですけれども、やり方がかなり違ってくるので、もう少し具体的なプロトコルとか、そういったものに落とし込んでいくときは、これは分けてきちんと考えていかないと、どっちにも通用するものを作ると、どっちにも使えないものになってしまうと思います。
検体の処理もそうです。がんの場合は、正常組織とがんの組織。しかも、その中で混じり合っているわけですけれども、そういう難しさがありますけれども、逆に難病のほうは難病のほうで、基本的には血液1つだけで一発でいいのですけれども、モザイクというのは出てくる。例えば、髪の毛とか皮膚とか、ほかの組織が必要になってくる。それぞれの検体の集め方そのものについても違った難しさがありますから、これは具体化する段階では少し分けて考えていただければと思います。
○水澤座長 ありがとうございました。
全体を通じて、そういう理解になっているのではないかなと私は思いますけれども、折に触れて、そういったことをきちんと強調しておかないといけないのかもしれないと思います。ですので、全体としても、そのような構成になっていると思いますけれども、今の点も十分に配慮した形で進めていきたいと思います。
ほかにはよろしいでしょうか。
どうぞ、上野さん。
○上野構成員 6ページ、7ページに書かれているスーパーコンピュータの在り方とか人工知能の活用等について、ここに書かれている内容については特に反対するものではないのですけれども、私自身、ゲノムに関して、現在、ゲノム協議会のほうに構成員として、その前身のゲノム医療実現推進協議会からも参加させていただいているのですけれども、その場でも長らく、こういうコンピュータの利活用とか、特に人材育成ということがいつも書かれてはいるのですが、これが時間軸で見てもなかなか進んでいる感がない。
この辺は共通性が高いインフラ整備や人材育成と感じているのですが、具体的にどういった枠組みが主眼となって整備していくという具体的な計画があるかどうか。これは、事務局の方に対してかもしれませんが、ちょっと御質問したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○水澤座長 コンピュータとかIT関係の人材育成ということで、よろしいですか。お願いします。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございます。
スーパーコンピュータの話だと、解析リソースについては、具体的には現時点では、例えば難病であれば、AMED研究班で立ち上げる部分に対して、検体を集めてきたものの解析にスーパーコンピュータを使っていくという方向性が示されていますけれども、これは全体のがんも併せたプロジェクトとして、どういう形で進めていくのかというのを、現在のことを書いた上で、将来的に次に進んでいくみたいな記載になっています。人材育成については、現時点でほぼ同様の状況ですので、あさっての合同開催の会議と、その後を含めて、引き続き、今後、どうしていくのか、もしくは実効性のあるものにどうしていくのかみたいな部分の議論を着実にしていきたいと考えております。
○上野構成員 まさに、今、こういった情報が出てきているところで、かなり共通性の高いインフラ整備を前広に基本設計みたいなものをしておいたほうが、後で変更とかをするのは作業が結構大変になろうかと思うので、その辺の対応は前広にやっておく必要があるのかなと思っております。
以上です。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございます。
○水澤座長 ありがとうございました。
私もちょっと似た感覚を持っているのですけれども、例えばゲノムの人材育成といったこと。例えば、AMED等の研究費を頂いて研究する場合に、必ず人材育成という項目があるのです。それは、その研究費の中で少しやるという感じですけれども、もうちょっと本格的にそこに投資して大々的にやらないと、なかなか人材育成できないのではないかという実感がありますので、ぜひ今回、全ゲノム解析のプロジェクトに関しては、人材育成についても十分に留意して配分する、注力することが必要なのではないかという感じです。
ぜひよろしくお願いしたいと思います。
ほかはよろしいでしょうか。ありがとうございました。
そうしましたら、次は8ページの「4.データを共有・活用するための考え方、インフラ等についての検討」というところで御議論いただきたいと思います。8ページから11ページくらいまで、少し項目が多いと思いますが、よろしくお願いします。
辻さん、どうぞ。
○辻参考人 8ページの(2)データの二次利活用の制度の整備のところですけれども、対応方針に、アカデミアだけではなくて、産業利用についてもきちんとルールを策定しということで、ぜひお願いしたいと思っております。製薬会社さんは、会社によって対応方法がいろいろあると思うのですけれども、これについては、非常に微妙な遺伝情報ということもありますので、ルールをぜひきちんと策定して、患者が迷わないようにしていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
もう一点、セキュリティーについては、もう皆さん御承知のとおり、非常に固い防壁で守っていこうということで、異論はないのですけれども、それでも漏れる場合が社会にはありますので、そのときに万が一とか想定外ということが言われるわけですけれども、もちろんこれは言わなくて結構だと思うのですけれども、万が一のことも想定した上で、きちんと対処していただくようにお願いしたいと思っております。
以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。
鎌谷構成員、よろしくお願いします。
○鎌谷構成員 がん・難病で共通のところに、一体的・一元的なデータ管理という記載があるので、がんと難病とのデータを全て一元的に管理するイメージなのでしょうか。
○南川難病対策課長補佐 方向性としては記載のとおりですので、がんと難病でそれぞれやっている部分について、一元的・一体的なのですけれども、それが具体的にどの程度のものなのかみたいな部分については、例えばこれぐらいが本当は現実的なのではないかとか、こういう課題があるのではないか。むしろ、積極的に進めていくべきみたいな御意見等あれば、今回、我々はこういうことを記載していますけれども、御意見をぜひ賜れればと思います。
○鎌谷構成員 ありがとうございます。
恐らく先ほどもちょっとお話があったような、がんと難病のそれぞれの特徴とか、難病で特に希少遺伝性疾患でプライベートバリアントがあるようなときに、がんでやるような集約的な解析はもしかすると合わなかったり、あるいは多因子難病では実は合っていたりとか、いろいろな状況がありそうな気がしますので、恐らく状況に応じて考えていくところが必要なのかなと思いました。
○水澤座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○上野構成員 辻様がおっしゃられた最初のコメント、こういった情報の産業利用に当たってのルールと申しますか、ガイドライン、こういったものを、私ども製薬協がある程度主体的になって作成した各製薬企業にお知らせしていきたいと思います。そういったものの策定に当たりましても、どういったことに留意すべきなのかというのも、こういった機会を通じてお聞かせいただいて御指導いただきたいと思っております。
よろしくお願いいたします。
○辻参考人 よろしくお願いします。
○水澤座長 ありがとうございました。
ほかは特にないでしょうか。どうぞ。
○菅野構成員 菅野ですけれども、データはシークエンスした一次データと、そこから抽出された二次、三次のデータがあるのですけれども、ここで書かれていることは、一次データについてのことがかなり多いのです。今、ちょっと思ったのですけれども、産業利用するときに、どこまで一次データが大切なのかというのは、意外にそうでもなくて、二次データ、三次データのほうが有用である可能性があります。
ですので、その辺をうまく段階を作って、こういう情報だったら本当に産業利用的な利用で、個人のセキュリティーは侵さずに利用できる。ここからは個人に関わることが多いので、非常に厳格に扱わなければいけないみたいな、少し構造を持った利用方針みたいなものがあってもいいのかなという気がちょっといたしました。そうじゃないと、全ての情報をがちがちに固めるとなると、非常に研究しにくい状況が起こる可能性もあるかなということです。
○水澤座長 ありがとうございました。
データの種類によって、利用の仕方も少し変わってくるのではないかということで、そのほうがより利便性があるかもしれないという御意見だったと思います。
どうぞ。
○上野構成員 上野ですけれども、菅野先生の御指摘、全く御指摘のとおりかと思います。私ども製薬企業としては、一次情報よりは、むしろそれがさらに解析された二次、三次というところが有用かと思うのですけれども、どういった情報を基に、その後私どもが創薬研究をして、どういったお薬ができて、それが患者さんに返せるかという、より具体的なお話をどこかの場でさせていただくほうが、今、言ったような御指摘にも答えられるかなと思っておりまして、その具体的な情報の内容について、ぜひこちらのほうからも御提供する場をいただければと思っております。
○水澤座長 ありがとうございます。
菅野先生、いかがでしょうか。
○菅野構成員 そういう提案をいただいて、それで全体の制度設計の中に入れておくほうが、後から混乱しない可能性が高いので、どのレベルでやるのかは大分難しいかもしれませんけれども、ぜひそういう機会をいただけるとありがたいです。多分、それはがんと一緒にやるべきかもしれません。
○水澤座長 そうですね。恐らく、これからここに掲げられた各種の問題を検討することになると思いますので、今日の様々な御意見が十分生かされるような形になるかと思います。
ありがとうございます。
○菅野構成員 はい。特に、今、情報解析もゲノム解析も日進月歩のところがありまして、さらに先ほど来お話が出ていましたオミックス解析となると、例えばプロジェクトを計画しているときよりも、始めたときにはもう進んでいたりするので、現場に近い方、それで製薬企業からも開発に近い方が具体的な意見を出すような場も、ワーキンググループみたいなものが必要かなという気がちょっとします。余りフォーマルな形でそういうものを作っても、実質有効な議論になりにくい感じがします。
○水澤座長 ありがとうございました。
そのほか、よろしいでしょうか。はい。
それでは、11ページから13ページにかけて、「5.倫理面や幅広い利活用を可能とするためのICのあり方等についての検討」ということを御議論いただければと思います。
どうぞ、神里先生、お願いします。
○神里構成員 12ページを見ますと、(3)の一番最後のポツに、産業界のみでの利用については、原則オプトインが必要であるということで、過去に取得された検体情報については、使いづらいという御指摘だと思うのです。他方で、統一ICFの素案というのは、もうお作りになっているということも書かれています。
指針が来年の4月になると新しい指針に変わると思います。医学系指針とゲノム指針が統合された指針ができるわけですけれども、そこにおいては、原則一括審査という制度が導入されるので、このプロジェクトのように、資料・情報を集めて、それを解析するというスタイルの研究はすごくやりやすくなると思うのです。今までは個別に審査を通っていって、それで変更申請となると、また全ての変更をかけなければいけないという形だったのですけれどもね。
なので、そういうことを考えると、この統一ICFというものをなるべく早めに前倒しで使ってもいいのかなと。1回、しっかりとしたインフォームドコンセントの書式を作って、それを先行解析が終わる前から使うことによって、産業界でも今後利用できるような体制を整えていくということは、1つの案として考えられるのかなと思っております。
○水澤座長 ありがとうございます。前倒しは十分可能ということでいいのでしょうか。
○神里構成員 この素案がどの程度でき上がっているのか分からないのですけれども、ここでは先行解析、多分、これは武藤班で作ってくださっているのですね。その先行解析の実施期間において出てきた諸課題をアップデートしていくという記載なのですけれども、先行解析を全部待たずに、少し並行して、そちらも取っていくということをすることによって、今後の研究に広がりを持たせることもできるのかなと思った次第です。
○水澤座長 ありがとうございました。大変心強いことだと思います。
ほかにはどうでしょうか。どうぞ。
○辻参考人 辻でございます。
先ほども申し上げましたが、リコンタクトのところで、患者が知りたくないことを知らされてしまうということがないように、よろしくお願いいたします。
それと、ELSIですけれども、万が一のとき、きちんと対応できるように、ぜひここは強くお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○水澤座長 今のはよろしいでしょうか。
ほかには特にありませんか。5番目のところ、大体お話が出ましたか。
どうぞ、神里先生。
○神里構成員 1つ質問させてください。13ページの相談支援体制です。ここにおける相談というのは、情報漏えいとか悪用ということが生じた場合の相談であって、個別の患者様等からの相談ということではない次元の話かなと思ったのですけれども、既存の相談機関でというのは、どこを想定しているのでしょうか。
○南川難病対策課長補佐 事務局です。
13ページの対応方針(案)の3つ目の○で、がんゲノム医療中核拠点病院等において、相談対応が可能となるよう取り組むと記載させてもらっているのと、その1つ上で、既存の相談機関で一次相談を引き受けられるよう、教育啓発活動していくという形で、比較的いろいろな形の相談体制を作っていくという対応方針になっています。
○水澤座長 よろしいでしょうか。そうすると、これは主に医療上の相談ですね。難病の場合の難病相談支援センターは各都道府県に1つありますけれども、そういったたぐいのものを指しているのではないかと思います。
ほかにはよろしいですか。
鎌谷先生、どうぞ。
○鎌谷構成員 もし見落としでなければ、偶発所見の扱いについてはお話がなかったかと思ったのですけれども、どういう方針になりそうでしょうか。
○水澤座長 議論はあったような気がしますけれども、こちらには特に書き込んでいないかもしれませんね。
○南川難病対策課長補佐 偶発的な所見というのは、当然大事な話でして、1つは、丁寧なガイダンスとかの部分にも関わってくる話ですし、いただいた御意見を踏まえて検討します。
あとは、偶発的な所見をどう捉えるかみたいな部分で、先ほどの知らない権利とか、そもそも医療と研究みたいなところにもいろいろ関わってくる部分だと思いますので、データの利活用も含めて、どのような形の記載がされているかどうか、ちょっと確認させてもらいたいと思います。
○水澤座長 ちょっと見当たらなかったかもしれないので、ありがとうございます。貴重な御指摘だと思います。
どうぞ、松原先生、お願いします。
○松原構成員 今の偶発的所見、今は二次的所見とか言いますけれども、それについて、私も少し懸念しております。偶発的所見を返すのか返さないのかということは、最初にきちんとしておいたほうがいいと思うのです。たまたま見つけてしまうということはある。それを返すのか返さないか。
ただ、返すというのも結構大変なのです。例えば、何か難病の検査をしていて、たまたま家族性乳がんの遺伝子に何か怪しいものを見つけてしまったときに、二次的所見を返さなければいけないともしなっていると、それが本当に病的なものなのかどうかということを徹底的に洗い直さなければいけないのです。これは物すごく大変な労力です。難病の研究とは全く違ったエフォートが必要になってくるのです。
そこを返さないでいて、後で家族の方あるいは御本人が家族性乳がんを発症した。では、過去の全ゲノムデータを見せてくれと言われた。ほら、ここにあったじゃないか。見逃しだ。レントゲン写真で、医療機関で最近見逃しがありますけれども、ああいう形で指摘される可能性も出てくるのです。ですから、二次的所見の扱いというものは、最初にきちんと決めておいたほうが、これも研究者のためでもあり、患者さんのためでもあると思うのです。この辺、研究も既に先行解析として始まっているわけです。この辺は、研究班でも議論していますけれども、もう少し全体的なルールをきちんと定めておいたほうがいいと私は思いますので、ぜひ御検討お願いします。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございます。
12ページの治療に有用な情報等の患者や家族への丁寧な説明等のガイダンスの策定についてというところの検討の視点の部分で、ゲノム医療に係る情報伝達と研究で得られた結果の開示の双方にかかわるため、2つの視点から検討が必要という形で、倫理指針とかAMED研究班でそれぞれ検討している部分がありますので、それを参考にガイダンスを策定する形になっておりますので、ここの中に入っているものと理解しますが、いずれにしても先生方が御指摘いただいた視点、極めて大事な点ですので、しっかりと考えさせていただければと思っています。
○水澤座長 ほかはよろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。はい。ありがとうございました。5番目のほうは終わりで、これで資料2のほうは一度終わりまして、資料3も御説明いただいたと思います。難病ゲノムのほうに特化したというか、検討事項だったわけですけれども、これにつきまして御議論いただければと思いますが、いかがでしょうか。2つございまして、中核となる医療機関等の整備ということと国際連携ということでございます。
どうぞ松原先生。
○松原構成員 難病ゲノム医療の中核となる医療機関等の整備の検討で、ここで少しお願いしたいことがあります。がんのゲノム医療というのは、放っておいてもどんどんいろいろな病院で進むのですね。病院としては、経済的にも利益があるということで、どんどん人をつけて整備していって、物すごい勢いでパネル検査をやっているのですね。
でも、難病のほうは、そういう動きには全くならないのです。病院の経営から言うと、難病の特にゲノム診療というのは赤字部門なのです。私、以前、大学におりましたときも遺伝科を主宰しておりましたけれども、財務担当の副病院長からいつも嫌みを言われる。全くもうからないというか、赤字部門なのです。例えば、遺伝カウンセラーの人を雇うにしても、その当時は病院なんか雇ってくれない、研究でしか雇えないという状況があるのです。これは、難病のゲノム医療そのものが日本の保険医療制度の中でもうからないシステムになっている。というか、全くペイしないのですね。
一部の私たちの大学などでは、自由診療でやっているということがございます。これは、混合診療になりかねない、非常に危ないことだと思うのですけれども、そういう事態をまず解決しないと、本当の意味での難病のゲノム医療の整備というのはできないのではないかと思います。非常に大きなメジャーな大学でも、遺伝子診療部門というのはあるのだけれども、専任の人が誰もいない。小児科医や産婦人科医あるいは内科のドクターが兼任で名前だけつけていて、何となく形をつけて、ほとんどバーチャルに近いような組織を遺伝子診療部のような形で作っているところは結構多いのです。
これは、ゲノムあるいは遺伝子のことを専門に見る専任の人が、きちんとそこで働ける。そして、遺伝カウンセラーもそういったところで働けるという財政的なバックボーンがないと、いつまでも研究でしか進まないという面があると思います。これは、難病対策課あるいは健康局のマターではないのかもしれないですけれども、ぜひ厚労省の中で関係部局に働きかけていただいて、難病のゲノム医療そのものがもうからなくても赤字が出ないような体制というのをぜひ作っていただきたいと思います。
ぜひよろしくお願いいたします。
○水澤座長 診療制度の要望です。お答えありますか。では、お願いします。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございました。
ここは、こういう検討を進めてはどうかという、検討会から我々へのお尋ねですので、それに対しては、しっかりと実効性を持って、ちゃんと整備すべきという形をいただいたと思っています。我々としても、名前だけの拠点病院じゃなくて、しっかりとした形で、この全ゲノム解析実行計画、患者還元というのが我々の大きな命題ですので、それに資するような形のものを作ってはどうかという形で、政策研究班でこれまで検討してきた難病ゲノム拠点の要件とか、がんゲノムが参考にならない部分も多々ありますけれども、そこを参考にしながら進めていけたらなと思っていますけれども、それについて、また先生方からいろいろ御意見いただければと思っています。
○水澤座長 ありがとうございました。しっかりと考えていただけると思います。
ほかはどうでしょう。どうぞ。
○辻参考人 辻です。
今回、難病の拠点病院体制を作るということで、非常に期待しております。今までは都道府県ごとの特性を生かした拠点病院作りというのが進んでいたと思うのですけれども、全国的な課題について、このような拠点病院をぜひしっかりと推進していただきたいと思います。
先ほどの資料2にも関係するのですが、相談対応というところで、がんゲノム医療の中核拠点病院ということになっておりますけれども、ぜひ難病の拠点病院でもしっかりとできるようにお願いしたいと思っておりますし、そのほか、相談機関というところでは、相談支援センターの話も先ほど出ましたけれども、都道府県単位で主体で進めていただいていることで、差異が、地域差が生まれておりますので、そういう意味では、こういうものについては地域差が生まれないように、ぜひお願いしたいと思っております。
以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。地域差への配慮ということでございます。
上野さん、どうぞ。
○上野構成員 製薬企業の立場からですけれども、2点ありまして、1つは、2番目の国際連携という点で、そこに書かれていますように、難病は希少性が高いためにということで、国際的なデータシェアリング。それはごもっともだと思います。進めていただきたいのですけれども、一方で、医薬品の研究開発を進めるのに、臨床試験とか承認取得の制度も、患者様の人数が少ないとなると、ある一定規模の臨床試験は国内だけではできない。当然、ここにおいても国際連携というのが本当に必要になってくると思いますので、そういったことが進められるような承認制度も含めて、ぜひ御検討いただきたいというのが1点と。
もう一点、これは松原先生の御指摘と同様に、製薬企業で医薬品を研究開発して提供するにおいても、そこで適切な保険償還がないと、製薬企業でこういった難病に対する医薬品の研究開発を進めようというところにはなかなか至らないかと思いますので、そこで収益を得るというよりは、しっかり医薬品を提供して、バランスが取れた薬価制度みたいなものをぜひ御検討いただければと思っております。
以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。企業のほうからも医療制度の整備というのはあるわけですね。
ほかはどうでしょうか。国際連携の話が出ましたけれども、鎌谷先生、何かありますか。
○鎌谷構成員 このお話のところでGenomics Englandから聞いた話ですけれども、製薬会社とGenomics Englandはかなり密に連携しているプロジェクトですけれども、その中で、製薬会社側から、こういった難病の患者さんの治験をやりたいといったところをつなぐような連携を促進するプログラムをこれから入れようとしていると伺いましたので、そういったところを考えることができるのではないかと思います。
それから、実際、Genomics Englandで既に走っていることとしては、幾つかの製薬企業が候補の薬剤を挙げて、こういった遺伝子変異の方に使える承認前の薬を研究できないかといったことを提案していて、たしかエーザイさんが1つ入っていたと思うのです。それをGenomics Englandの中で実際に遺伝子変異を見つけた患者さんに、承認前ですけれども、研究としてトライするといったことをやっているようですので、難病の患者さん、希少であるということもありまして、このプロジェクトで国として大きくやっていくということからは、製薬会社と密な連携があればよいのではないかと私も思います。
○水澤座長 ありがとうございました。
菅野先生、どうぞお願いします。
○菅野構成員 実は、Genomics Englandというのは、そもそも疾患の方のゲノムをシークエンスするだけの大きな枠組みがあって、それで具体的に何をやるかというのは決めずに始めたのですけれども、今もオンゴーイングですけれども、結果として8割は難病だったのです。ですので、我々のところとすごく相性がいい先行事例で、彼らは非常に長い時間をかけて試行錯誤しながらいろいろなシステムを作ってきたので、具体的に連携してもいいし、いろいろな知恵をもらってもいいのではないか。国情が違いますので、そのまま全てを輸入できるわけじゃないと思いますけれども、かなり効率よくプロジェクトを作ることができるのではないかという気がいたします。
以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。
ほかにはどうでしょうか。大体よろしいでしょうか。
そうしましたら、全体を通じてよろしいでしょうか。この資料2と資料3、両方含めて「案」がついていたわけですけれども、今、御議論いただきました。追加でもし御意見があれば、お願いしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
そうしましたら、本日は活発な御議論ありがとうございました。今日いただいた御意見等を踏まえまして、全ゲノム解析等実行計画の推進に向けての検討ということと、難病ゲノム医療の推進に当たっての検討事項についてということで、資料2と3でございますけれども、それを修正していきたいと思います。修正の素材につきましては、私のほうに御一任いただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○水澤座長 ありがとうございます。
少し予定より早いかもしれませんが、議論はここまでとしたいと思いますけれども、ほかに事務局から日程的なこととか、何かありますでしょうか。
○南川難病対策課長補佐 これまで過去4回にわたり、活発な御議論いただき、ありがとうございました。がんについても、同様に実行計画に向けた検討を行っておりまして、その検討の状況も確認しながら、本日の全ゲノム解析等実行計画の推進に向けての検討に関する議論を踏まえて、引き続き、がんと合同で検討を進めていきたいと思っています。
次回の開催はあさって10日、「難病に関するゲノム医療の推進に関する検討会」の合同会議という形で進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
○水澤座長 ありがとうございました。
本日は以上で終了したいと思います。どうもありがとうございました。