2019年12月3日 第3回 難病に関するゲノム医療の推進に関する検討会 議事録

日時

令和元年12月3日(火)14:00~16:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンターホール13A(13階)

議事

議事内容
○南川難病対策課長補佐 定刻となりましたので、第3回「難病に関するゲノム医療の推進に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、まことにありがとうございます。
本日の出席状況ですが、森構成員より御欠席の連絡をいただいており、参考人として、森構成員と同じ日本難病・疾病団体協議会副代表の原田久生様に御出席いただいております。また、菅野構成員におかれましては、所用のため、途中で退席されるとの御連絡をいただいております。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いします。
以降の議事進行につきましては、水澤座長にお願いします。
○水澤座長 まず、最初に、ペーパーレス化の一環としてのタブレットの使用方法について、一言御説明をお願いいたします。
○南川難病対策課長補佐 事務局です。
本日の検討会は、タブレットを使用し、議事を進行させていただきます。もう既に、これまで御説明させていただいておりますし、お手元にタブレット操作説明書をお配りしておりますので、そちらもごらんいただきながら、使用方法に御不明な点や機器のふぐあい等がありましたら、遠慮なく挙手をお願いします。
○水澤座長 よろしいでしょうか。
それでは、資料の確認をお願いいたします。
○南川難病対策課長補佐 それでは、タブレットフォルダの資料一覧をごらんください。タブレット内に本体資料として、議事次第、委員名簿、参考人名簿、資料1、参考資料1から4を御用意しております。過不足等ありましたら、挙手いただければと思います。
○水澤座長 よろしいでしょうか。
それでは、早速、議事「(1)難病のゲノム医療推進に関する実行計画の策定に向けた検討」に入ります。
まず、事務局から、資料1「難病に関するゲノム医療の推進についてのこれまでの議論」について御説明をお願いいたします。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございます。
それでは、皆さん、資料1を御確認ください。「難病におけるゲノム医療の推進についてのこれまでの議論の経過」ということで、これまで先生方に御議論いただいたものについて、まとめさせていただいております。
2ページ目に目次がございます。
1ページ目、3枚目です。下のほうにページ数がありますので、これからのページ数は下のページ数で申し上げさせていただきます。
まず、「背景」を記載させていただいております。
今回の議論が始まる背景ですが、難病には、単一の遺伝子異常等が原因となる遺伝性疾患が多く含まれており、従来より遺伝学的検査が臨床現場で利用されている等、ゲノム情報と疾患の関連に関して比較的エビデンスが蓄積されていますので、ゲノム医療の実現が期待しやすい領域でありますというのが1つ目の○にあります。
2つ目の○には、こうした背景を踏まえて、難病法の中でも「遺伝子診断等の特殊な検査について、倫理的な観点も踏まえつつ幅広く実施できる体制づくりに努める。」とされているとともに、内閣官房が主宰している「ゲノム医療実現推進協議会」の「中間とりまとめに対する最終報告書」においても、「遺伝学的検査の実施体制の整備や遺伝子治療を含む全ゲノム情報等を活用した治療法の開発を推進」することを目的として、がんと並んで優先的に「ゲノムデータの構築」を行うべきとされている分野でございます。
3つ目の○ですが、厚生労働省は、これらの背景を踏まえ、これまで医療提供体制の構築及び治療・研究開発に努めてまいりました。
4つ目の○ですが、他方、諸外国では、昨今、米国ではPrecision Medicine Initiative、英国ではGenomics Englandを初めとして、国家プロジェクトとしてゲノム医療の実現に向けた取組が進められていると記載させていただいております。
そして、5つ目の○ですが、こうした中、我が国においても、今般、「経済財政運営と改革の基本方針2019」の中で、全ゲノム解析等による難病の早期診断に向けた研究等を着実に実施するため、英国等を参考に、数値目標や人材育成・体制整備を含めた具体的な実行計画を、2019年中を目途に策定するとされております。
最後の○ですが、このため、実行計画の策定に当たって、専門的な観点から助言を行うことを目的として本検討会が設置されて、本検討会の中で、本日も含めて3回にわたる議論を行って、以下のとおり整理しましたと記載させていただいております。
2ページ目を御確認ください。
「難病領域における全ゲノム解析の必要性と目的」の部分でございますが、1つ目の○です。難病領域においては、従来よりさまざまな遺伝学的解析手法を医療、または研究目的で利用してきました。近年、次世代シーケンサーが開発されたことにより、難病領域のさまざまな場面で網羅的なゲノム解析が活用されてきています。特に、全ゲノムのうちのタンパク翻訳領域を選択的に解析する全エクソーム解析については、今後議論する全ゲノム解析と比較して費用面での優位性が高かったこと等から、積極的に活用され、希少遺伝性疾患の原因解明に貢献してきました。
2つ目の○ですが、一方、この全エクソーム解析でも原因解明率は約3割との、第1回の松本参考人からの御報告もあり、全エクソーム解析で未解明の症例に対して、非コード領域とかディープイントロン、その他の検出にも優れている全ゲノム解析を行うことによって、難病の本態解明がさらに進むことが期待されるという御意見を頂戴しました。
このヒアリング等を踏まえて、検討会の中で、4つのポツがありますが、これは前回、第2回の検討会でもお示ししたものをそのまま掲載しておりますので、この点については御説明を割愛させていただければと思っております。
2ページ目の「3.対象疾患」のところでございます。
難病等については、疾病が多岐にわたるため、本検討会では、ゲノム情報基盤の整備に関する対象疾患や症例数に関する数値目標の設定の考え方を整理するに当たって、遺伝学的な観点も踏まえて、(1)単一遺伝子性疾患、(2)多因子性疾患、(3)現時点で疾患概念が十分に確立しておらず診断が困難な疾患の3つに分類し、難病医療の現状と課題を整理した上で検討を行っております。その際、指定難病333については、難治性疾患政策研究事業の研究班に対する書面調査を行って、それぞれの遺伝子関与度を確認したところでございます。
ちょっと先に飛んで、11ページに行っていただきますと、参考資料としまして図1を記載させてもらっております。この参考資料の中で、そもそも難病等(未解明の疾患を含む)としていますが、これについては、前回、難病だけではなくて、特に小児の疾患で未解明な部分についても、この全ゲノム解析に極めて意義があるということについて、本文中でも記載されていますが、ここでも御説明させていただきます。この難病等の定義の中には、小児慢性特定疾患を初め、診断は可能であるが、現時点では疾患概念が十分に確立しておらず、難病法の対象になるかどうかどうか不明な疾患や、診断そのものが困難な疾患を含めるということで、※を打たせていただいております。
その中の指定難病333疾病の中に、単一遺伝子性疾患が含まれる疾病として235。その中に、単一遺伝子性疾患のみで構成されるものが155疾病、約5.5万人。単一遺伝子性疾患と多因子性疾患が混在するものがB類型、80疾病で32.1万人。そして、多因子性疾患のみというのがC類型で98疾病、53.6万人とさせていただいております。
また、3ページ目まで戻っていただければと思います。今の図の説明は、3ページ目の※の説明に相当するものでございます。
続きまして、(1)の単一遺伝子性疾患ですが、1つ目の○が、指定難病に指定されている単一遺伝子性疾患のみの疾病は、原因遺伝子が同定されていますので、その遺伝子について遺伝学的検査で検出することが診断の有力な手がかりになることが多いとさせていただいております。実際に、今回の遺伝子関与調査において単一遺伝子性疾患のみの疾病と分類された155疾病のうち、130疾病は、遺伝学的検査が指定難病の診断基準の構成要件となっている。この130疾病というのは、事務局のほうでそれぞれの診断基準を調べた上で積み上げさせてもらったものでございます。
150疾病のうちの残りの25疾病についても、原因遺伝子そのものは同定されているのですが、遺伝学的背景だったり、臨床症状、その他の検査所見で診断がつく等の理由により、指定難病の診断基準としては遺伝的検査を必須とはしないものになります。
続きまして、3ページ目の単一遺伝子性疾患の2つ目の○ですが、他方、単一遺伝子性疾患のみの疾病のうち、保険診療として遺伝学的検査が行われているものは53疾病にとどまっています。また、単一遺伝子性疾患は希少であり遺伝学的検査の実施件数も少ないので、衛生検査所以外に一部の医療機関や研究施設で行われている現状があると記載させてもらっています。
4ページ目の一番上の○ですが、ゲノム医療の充実の観点で、遺伝学的検査の分析的妥当性・臨床的妥当性・臨床的有用性を確保しながら、通常の診療の中で必須な遺伝子検査が適切に行われるよう、保険診療となる疾病をエビデンス等に基づき検討しながら、体制を構築すべきとさせてもらっております。
2つ目の○からは、研究の話になります。単一遺伝子性疾患の研究の観点では、既知の遺伝子異常が同定された症例に対して全ゲノム解析等を行っても新たな発見につながりにくい。
3つ目の○ですが、他方、家族歴や臨床症状から遺伝性が強く疑われて、指定難病の単一遺伝子性疾患と診断された場合であっても、既知の原因遺伝子を認めない等の非典型的な症例については、全ゲノム解析を行うことによって、当該単一遺伝子性疾患のさらなる病態解明、診断、治療等につながる新たな発見が期待できるとさせていただいています。
4つ目の○ですが、このような症例、遺伝子関与調査の中でも、155疾病のうち100疾病にあるという御報告をいただいていますので、これが全ゲノム解析の対象になるのではないか。それによって、個別化医療や診断性のさらなる向上につながるのではないかと書かせていただいております。
そして、5つ目の○ですが、先ほど図でもお示ししましたが、指定難病に指定されていない中でも、原因遺伝子が十分判明していない部分がございます。これについては、特に小児疾患の場合は、発病機構が不明で、治療法が未確立で、希少疾病であるにもかかわらず、長期療養の必要性が不明であるということもあって、指定困難な場合もあります。これらの「単一遺伝子性疾患が疑われるが、遺伝学的背景が十分に判明していない疾患」に対しても新たな診断・治療法などを模索することは極めて重要であり、全ゲノム解析の対象に含めるべきであるとさせていただいています。
続きまして、多因子性疾患の部分になります。
1つ目の○ですが、多因子性疾患は、単一遺伝子性疾患と異なって、遺伝要因のみで発症するわけではないため、診断的な意義としては高くない。他方、全ゲノム解析等により疾患の発症機序が解明できれば、創薬ターゲットを発見することが可能になり、革新的な治療薬の開発や個別化医療につながる可能性があります。実際に、昨今は希少な遺伝子多型(レアバリアント)の中に疾患との関連性が深い遺伝子異常が見出されてきており、これらの発見が医薬品の適応拡大に向けた治験につながっているというのが、辻参考人等の資料から記載されています。
このレアバリアントの中で疾患との関連性が深い遺伝子多型を見出す解析については、鎌谷構成員からの資料にあったとおり、かなりの数、1疾患あたり2万5000人あれば、おおむねの疾患について検出できるとの報告もございます。このため、戦略的にゲノム情報基盤を構築する観点で、多因子性疾患については、指定難病の中で遺伝子要因の関与が高い疾病と考えられる単一と多因子が混在する疾病について全ゲノム解析の対象とすることが考えられ、その中でも一定数以上の症例を集積できる疾患を対象としてはどうかとさせてもらっています。
また、多因子性疾患のみの疾病については、遺伝要因・環境要因の双方の観点からのアプローチが重要であるため、当面の間は、ゲノム解析に限定せず、さまざまな視点で研究開発を進めるべきとさせていただいております。
次の5ページ目の(3)ですが、現時点で疾患概念が十分に確立しておらず診断が困難な疾患については、世界的にも確立していない場合、世界的には確立していたとしても、日本では患者の有無も含めて不明な場合、指定難病に相当するように思われるが非典型的な場合など、通常の難病診療では、診断が困難な症例がございます。
2つ目の○にあるとおり、こういうものは、実際にAMEDのIRUDという研究事業の中ではっきりしてきたところでございます。
3つ目の○ですが、このIRUDは全エクソーム解析でやっているのですが、米国の報告の中では、全エクソーム解析で診断できなかった症例も、全ゲノム解析であれば診断できたという報告がございます。
4つ目の○にあるとおり、これらの状況を踏まえて、単一遺伝子性疾患が疑われる者に対して、既存の研究事業の枠組みの中で、引き続き全エクソーム解析を継続しつつ、臨床所見等から特定の疾患名を想起することが困難な症例について、通常の診療の中での早期診断の実現を図るために、将来的には単一遺伝子解析による遺伝学的検査の充実、先ほど図ると言っていましたが、それだけではなく、パネル解析や全エクソーム解析の医療実装を図るべきとさせていただいております。
6ページ目ですが、上記の取組にあわせて、こうした症例についても全ゲノム解析により病態解明、診断、治療等につながる新たな発見が期待できることから、全ゲノム解析の対象に含めるべきであるとさせていただいております。
次は、6ページ目の4の「全ゲノム解析等の具体的な進め方及び数値目標策定に向けた考え方」になりますが、1つ目の部分です。全ゲノム解析を進めるに当たっては、戦略的なゲノム情報基盤の構築に向けて、大きく2つの目的。1つは、対象疾病・数値目標に対する考え方の検証、もう一つは、全エクソーム解析と比較した全ゲノム解析の優位性を確認するために、既存の研究事業の枠組みを活用し、上記3の対象疾患の考え方を踏まえて、当面の間、まずは先行解析を行ってはどうかという形にさせてもらっています。
今回、先行解析をするに当たって、その考え方を整理させていただいた遺伝子関与調査については、各疾病の専門家に対して短期間のうち書面調査を行ったものをまとめたものなので、国外の遺伝性疾病のデータベースとの整合性が図られているものではないため、本格解析を行うに当たっては、希少疾患・遺伝性疾病の海外のデータベースとの整合性も含めて改めて調査すべきとさせていただいております。
単一遺伝子性疾患の考え方ですが、既存のオミックス解析拠点事業の中で、約3000のトリオ検体が蓄積されています。
先行解析に当たっては、この既に蓄積された検体の中で、一定の症例数が確保できる疾患を対象として、全エクソーム解析でわからなかったものに対して、全ゲノム解析を行ってはどうかとさせていただいています。
多因子性疾患についても、既存のオミックス解析で蓄積した臨床検体のうち、一定症例を超える検体が蓄積されている疾患について、前回御議論した1000件、5000件、2万5000件にステップアップしていく戦略だったり、対象疾病そのものの選定の仕方が正しいのかを検証するために、全ゲノム解析を行ってはどうかというのが(2)になります。
(3)については、IRUD解析拠点において全エクソームでわからなかったものに対して、特に遺伝性が疑われる場合については、全エクソーム解析と比較した全ゲノム解析の優位性を確認することも、考えられるべきではないかとさせていただいております。
続きまして、8ページ目からは体制の話でございます。
1つ目の○は、厚生労働省として、これまで難病法に基づいて遺伝学的な診断体制に努めるとされている中で、これまで難病診療連携拠点病院を中心としたカウセリング体制の構築であったり、難病医療支援ネットワークをつくってきましたというのが2つ目の○です。
3つ目の○は、先ほど来御紹介していますAMEDの研究事業を行ってきましたと。
4つ目の○については、これらの医療体制及び研究事業の中で、専門性が要求される機会を提供することにより、専門的人材の育成に寄与してきました。
5つ目の○が、本検討会では、これらの厚生労働省の取組及び英国の取組を参考に、ゲノム情報基盤の体制整備について、臨床データ・ゲノムデータの質、そして、必要なコスト・症例集積の規模、幅広いデータの利活用等の観点を踏まえつつ、データ等の収集の段階、そして検体データ等の管理・運営の段階、そしてデータの利活用の3段階に分けて検討を行い、以下の意見があった。この以下の意見については、前回の意見及び1回目の意見を取りまとめたものを列挙したものになります。
厚生労働省は本格解析に向けて、これらの意見を踏まえつつ、必要な調査研究を先行解析と併行して行う等、体制充実に努めていくべきであるとさせていただいております。
全体について、1つ目の点と2つ目の点については、1回目の検討会で御発言があったものですので、そのまま載せております。
専門的な人材育成が必要という部分についてと、9ページ目に行っていただきまして、国民・患者の積極的な参加が必要不可欠であるという話は、神里構成員からの御意見を入れさせていただいています。
9ページ目の2つ目の点にあります、アクセスのしやすい仕組みであったり、包括同意というのは、三津家構成員の資料等から入れさせていただいております。
ステップ1については、データの入力について、時系列の質の高い情報が必要な一方、臨床現場に過度な負担にならないように補助する人材の確保等の負担軽減をあわせて検討すべきという話であったり、特に難病の場合は、疾病が多岐にわたるため、協力医療機関内で関係者が多いということを配慮すべきという話。
臨床検体の収集に当たっては、均一な手順書に基づいて行うべきである。
実際の利活用に当たっての包括同意は、産業利用・国際利用も含めるべきであるという意見を列記させていただいております。
ステップ2については、データの利活用の拡張性を確保するために、オミックス解析等の追加解析を行うことができる検体の収集とか、患者等へのリコンタクトが可能な仕組みが必要。
運営主体の人材確保については、これまでのプロジェクトの人材を活用したらどうかとか、希少性が高いため、国際連携してはどうかということを記載させていただいております。
ステップ3の利活用の部分については、産業界も含めたさまざまな研究者が全ゲノム情報も含む全てのデータにアクセスできる体制とすべきではないかという話であったり、製薬企業の立場からは、英国等を参考に、システム全体の構築は公的資金で行い、利用するデータに応じて費用負担を発生する形が望ましいという御意見を載せております。
10ページ目の用語の定義につきましては、ゲノム医療実現協議会の用語の定義を基本的にそのまま引っ張ってきているものでございます。
資料1の説明は以上です。
簡単に参考資料1だけ御説明させていただきますと、1枚目に、今回、A類型、B類型、C類型とまとめた遺伝子関与調査の概要が書いてございます。
2枚目ですけれども、10月8日に出したときから数字が少し変わっていますが、その数字が変わった理由としまして、10月8日の段階では、類型が困難だったり、記載不備などの理由で研究班から回答がなかった14疾病について、改めて難病対策課のほうから直接連絡をとって、研究班との合意の上、類型化したので、数字が少しだけずれております。
あと、3枚目から個別の具体的な告示病名、類型と原因遺伝子数とか受給者数がありますが、平成29年度の衛生行政報告例から平成30年度の衛生行政報告例にリバイスしておりますことだけ御指摘させていただければと思います。
参考資料2、3、4は、これまでの議論で使った資料を載せさせていただいております。
事務局のほうからは以上です。
○水澤座長 ありがとうございました。
「難病におけるゲノム医療の推進についてのこれまでの議論の経過」というタイトルで、これまでの議論のまさに全体を包括して御説明いただきました。
これから具体的な議論に移っていきたいと思いますけれども、中を3つに分けまして、最初の1ポツ、2ポツにあります背景とか目的、1ページから2ページ目に当たると思いますけれども、その辺についての御議論をいただければと思っておりますけれども、いかがでしょうか。
どうぞ、原田参考人。
○原田参考人 この背景の中に、どういうふうに進めていくかというところだと思いますけれども、アメリカとかイギリスの事例を参考にしてと書いてあるのですが、我国もイギリスの考え方といったものを実際やるのかどうか。その辺をお聞かせいただきたい。
○水澤座長 事務局、どうですか。
○南川難病対策課長補佐 1ページ目の5つ目の○にあるとおり、「経済財政運営と改革の基本方針2019」というのが、まさしく日本政府としての方針を記載しているものでございますので、その中で、全ゲノム解析等による難病の早期診断に向けた研究等を着実に推進するため、英国等を参考に、これまでの取組と課題を整理した上で、数値目標や人材・体制整備を含めた実行計画を、2019年中を目途に策定すると記載されていますので、我々としても参考にしながら、全ゲノム解析等の体制を構築していくという方針で進めております。
○水澤座長 ありがとうございました。
具体的には、例えばホームページとか、さまざまな手法を使ってやることになりますか。
○南川難病対策課長補佐 普及啓発とか、そういう話ですか。
○水澤座長 キャンペーンとおっしゃったでしょうか。
○南川難病対策課長補佐 この実行計画の中で、どういう形で進めていくか。日本における全ゲノム解析体制が一定程度固まった中では、もちろんホームページとか、そういう形でのさまざまな普及啓発をしていくのかなと思っております。
○水澤座長 よろしいでしょうか。
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
かなり議論したものをまとめていただいたことなので、もしかしたら余り御議論はないかもしれません。背景、目的と必要性、そこまでよろしいでしょうか。
そうしましたら、次に移ってもよいでしょうか。次が、2ページから7ページにあります3ポツ目と4ポツ目、対象疾患、数値目標です。ここは、かなり多くのものが含まれていると思いますけれども、ここについてはいかがでしょうか。
先ほど、菅野先生が少し早目に退室されるということだったので、先生、もしよろしければ御意見をお願いします。そういうことで、ここに限らなくても結構です。
○菅野構成員 大切なのは、このプログラムはスタートさせるとジャンプスタートと言いますか、ちゃんと結果が出せる、出さなければいけないプログラムになるという気がしておりますので、学問的にこれぐらいの数をやると結果が出るという検討も大切なのですけれども、具体的にそういうサンプルがちゃんとどこまであって、インフォームドコンセントあるいは倫理委員会などの承認もあって、さらには、シークエンスをする部分、それに全ゲノム配列を決めるときは、その後、ミューテーションコールをほぼ標準の手順でやるのですけれども、そこは細かいところでいろいろなバリエーションがありますので、そういうものをどういうふうに決めて、それでどれぐらいのスピード感でそこをやっていくのかとか。
まさに極端なことを言うと、始まったら進捗管理ぐらいちゃんとやらないといけない。そういうところも含めた上で検討して、それで数の議論に踏み込んだほうがよいかなと、前々から思っておりました。
それで、このカテゴリーの中で、単因子のものと、それからカテゴリーの3番目の未診断のものというのは、数はともかくとして、個別で少数の例がたくさん出てくる。ここは、そういうことですので、本人にやればやるほど結果が得られるだろうということですけれども、逆に最後の詰め、変異が出てきたときにこれが原因だと見つけるのは、かなり専門家が集中してやらなければいけないので、病気の専門家はそれぞれの病気に日本で1人とか2人ということになりかねませんので、そういうところで体制を考えていかないといけない。
一方で、多因子病のほうは、だっとやれば何か出てくる可能性が高いと思うのですけれども、単因子病と違って見つからない場合も出てくる、あるいは判断がつかない場合も出てくるので、こういうことも考えながらタイミングと症例数を考えていく必要があるかなというのは、具体的になってからのことがほとんどですけれども、そういうことももう既に考え始めながら、数の議論などをしていくというほうがいいのではないかと、ちょっと先走っておりますけれども、考えております。
ちょっと長くなりました。
○水澤座長 ありがとうございました。
具体的な数字が余り載っていないのですけれども、先ほどもちょっとお話がありましたが、前回は1000、5000、2万5000という数値があったと思いますけれども、その辺をもっと具体的にということになりましょうか。
○菅野構成員 松原先生も前回にお話ありましたけれども、単因子病あるいは未診断のところでは、かなりのものが使える形であるのではないかというお話でしたので、そういうものの中から、しっかりと解析していただける研究者の数がちゃんとあるものを選んで、粛々とやっていくということだと。
多因子病のほうは、難病ですので、数が欲しいと言っても、右から左にはちょっと難しいと思いますので、前回議論が少しありましたように、理想の数はこれだけれども、現状はこれぐらいというところで、まずはやってみて感触を見る。先行研究という言葉が出てきましたけれども、そういうアプローチも必要かなと思います。
○水澤座長 ありがとうございました。
どうぞ、三津家先生。
○三津家構成員 今の菅野先生の御指摘と少し関係あるのですけれども、6ページの4の1つ目の○の上から4行目、先行研究を行うのは、私は、いいのではなかろうか、そこから次の作戦を考えるというのが現実的かなと思っていて。今回、数も出ていないわけですけれども、この先行研究の期間ぐらいは明示しておいたほうがいいのではなかろうか。当面の間と書かれているのですけれども、非常にわかりにくいというか、幾らでも読めるので。例えば松原先生とか、1.5年でできる話なのか、何か感触を現場の先生はお持ちなのではないかと思って。
ここは、がんのことも関係あるかもしれませんけれども、本格運用にいく前にいろいろな体制を整えるという意味も考えると、ここだけは年限を書き込んでもらえないかという気がしております。
○水澤座長 では、事務局、それから松原先生でいいですか。最初に何かありますか。
○南川難病対策課長補佐 先行解析の部分をどのぐらいでやるかというのは、この時点で、事務局としては、当面の間という形で御明示していないのが今の立場ですけれども、御指摘のとおり、いろいろな御指摘をいただいた上で検討したいと思います。
○松原構成員 先行解析については、確かにおっしゃるように、きちんとある程度の期間を決めて、どのぐらいのことをやるかということは必要だと思います。先行解析の中には、ただ実際に手を動かしてゲノムを解析するというだけではなくて、各疾患について、どういうことが、どのくらいの期間に予測できるかということは、関連する研究者に出させるのがすごくいいと思うのです。
これは私の経験になりますけれども、もやもや病の関連遺伝子というのを、私、大学におりましたころにとりましたけれども、当時は多因子疾患だからなかなか難しいだろうと思っていたのです。ただ、私たち、脳外科の教室をやっているときに、家族発症が結構あるということから、これは結構行けるのではないかということで解析して、そのとき72症例だけ集めてゲノムワイド関連解析をやったのです。当時は全ゲノムできませんでしたから、とんでもなく少ない数だったのですけれども、やってみると遺伝子がとれたのです。オッズ比が正常の人に比べて190倍の遺伝子変異がとれたのです。これはちょっと衝撃的なことだった。
その病気に関して、本当に深く勉強している人の意見を聞かないと、何となく理論的に2万5000やればいいということだけでないと思います。特に、もやもや病の場合は、私たちが見つけたものは、東アジアでは非常に高い発症確率の遺伝子変異なのですけれども、欧米の白人に当てはまらないのです。ですから、実際にその疾患を扱っている研究者の洞察というか、そういったものを入れ込んだ形も含めての先行解析というものをもう少し入れたほうがいいのではないかと、私、思います。
それから、私が関連する先行解析となりますと未診断疾患の部分ですけれども、こういったものは、もう先行解析は要らないと私は思います。既に対象疾患となる患者さんのグループはありますし、恐らくそのグループをやれば10%くらいは見つかってくるというのが、欧米のいろいろなデータから予測できますので、こういったものはいきなり本番に入っていってもいいのではないかと思います。
○水澤座長 では、原田参考人、どうぞ。
○原田参考人 実は、菅野構成員からもお話が出たように、解析はほとんどできているというお話もあったかと思います全国でどのぐらいの人たちが解析に携わっていらっしゃるのか。それから、施設の一覧表みたいなものを出していただけると、実行計画についての検討会ですので、その辺の資料があるとありがたいです。
○水澤座長 大体、頭に入っていますね。オミックス拠点とか。
○南川難病対策課長補佐 第1回目のときに出した参考資料で、参考資料4を見ていただきますと、18枚目に先ほど申し上げたIRUDと言われる診断困難な方に対する全エクソーム解析をする体制図がありますけれども、その左下に解析センターというものがございまして、現在、6大学のほうでおおむねやられています。
次に、19ページのほうに、オミックス解析拠点。これは、診断がつくものに対しての解析センターと研究している主研究施設としては、9拠点ございます。
以上です。
○水澤座長 多分、それ以外にもやられている方はおられます。かなりの方がおられると言っていいかと思います。
さっき松原先生がおっしゃった10%は、多分全エクソーム解析による30%の上をさらに、全ゲノムをやるとアップする診断率という意味ですね。
○松原構成員 30%わかる中で、さらに10%は間違いなく行くだろうと思っています。
○水澤座長 一番最近のIRUDのデータですと、最初の段階でも40%ぐらいになっていましたので、かなりのものが期待できるかもしれないと思っています。
○菅野構成員 全ゲノム解析はお金がかかりますので、こういう大きなプロジェクトに入っていれば、やるチャンスはあるのですけれども、個々の先生方だと、本当に1例2例やれるだけなので、正直申し上げて、今回、大量にやるということが現実化したので、新しいスタートみたいな形で考えても、全ゲノム解析ということに関してはいいのではないかという気はしております。
○水澤座長 おっしゃるとおりだと思います。後のほうで体制が出てきますが、今おっしゃったことが、まさにそこにかかってくると思います。
どうぞ。
○菅野構成員 申しわけない、少し先に失礼させていただかなければいけない。
シークエンスをどこでして、それをどこで解析してやるかという、それのシークエンスを出すまでの時間と、それから変異を見つけるまでの時間。変異の見つけ方は、通り一遍のやり方で、ざっと変異の全体のリストを出す。これは、ほぼ自動でできる。でも、それにも物すごく時間がかかるのです。だから、シークエンスをして、遺伝子変異のリストを出す期間がどれぐらいかかるのか。そのデータをもらって、専門家の人が、これが多分、一番問題の変異だろうと判断するまでに、またどれぐらいの時間がかかるのか。この辺が言ってみれば実際の運営をしていくので大切なところ。
なので、こういう大きなプロジェクトでは、どこまで進んだか、毎月報告させるのです。何例やったか、それぞれの例について、どこまで進んだか。それは、参加者にとってはすごくストレスフルな。のんびり、ぽんとお金を渡して、1年後にはいと発表すれば済むというプロジェクト立てだと成果が上がらないので、進捗管理をしっかりやってという、AMEDの仕事になるかもしれません。そういうことはやらないといけないかな。
それは、先行研究であってもそういうことをやって、先行研究の間にここはこうしたらいいとか、あそこはああしたらいいとか、そういうことを考えていくというプロセス。だから、2年ぐらいの間に何とかそういうものができれば。これはゼロからやりますから、時間がかかると思います。
○水澤座長 ありがとうございました。大変貴重なご経験に基づくコメントだったと思います。
どうぞ、松原先生。
○松原構成員 数値目標の設定のことについて、お伺いしたいのですけれども、今回も具体的な数字がない形で出てきていますけれども、実際には数値目標をどこかで決めなければいけない。それは、いつ、どの段階で、誰が、あるいはどういう組織体で決まるのかという見通しがあれば、教えていただけますか。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございます。
数値目標そのものにつきましては、今回、考え方をこの検討会でお示しいただいて、それを受けて厚生労働省のほうで改めて検討した上で、その先、数値目標がいつごろかというところだけ、年内めどに数値目標を含めて示すということが閣議決定されていますので、そこまで決まっていて、その間の部分について、現時点でこうなりますというところについて、なかなかお答えしがたいのですけれども、基本的には、いただいた考え方に沿った形で数値目標は厚生労働省で検討していく形になると思います。
○松原構成員 どうぞよろしくお願いします。
それで、今、御指摘あったように、進捗管理というのは、毎月かどうかは別として、きちんとやっていって、途中で、例えばこっちのほうはどうも進捗がうまくいかないとなると、そこに少し力を入れるなり、あるいは別のところにシフトするなり、AMEDは大変お得意だと思いますけれども、IRUDなどではすごく管理されていますけれども、似たようなシステムで定期的に進捗状況をモニターしていくということが、特にこういう大型の研究の場合は必要かなと思います。
それから、最後になりましたけれども、小児の疾患を先日の会議で申し上げましたけれども、今回の中にきちんと入れ込んでいただいて、どうもありがとうございました。感謝いたします。
○水澤座長 ありがとうございました。たしか、3ページの上のほうの下のところ、小児慢性特定疾病ということで入っております。2カ所ですが、そこに1カ所入っていると思いますので、これでカバーできるのではないかと思います。
ほかはどうでしょう。
どうぞ、鎌谷先生。
○鎌谷構成員 先ほど松原先生から、74人でも出た病気がある。それは、全くおっしゃるとおりだと私も考えておりまして、1000、5000、2万5000と、平均的にこうなるのではないかというのを集団遺伝学的にシミュレーションすると、そうだったということではありますけれども、それだけで決まるものではないというところが実際にあります。先生のRNF23に私もその後、絡ませていただいて、私はそのとき、国際共同研究でメガストロークというのをやって、そこでRNF23には出ていないのですけれども、京大の小泉先生から、これは脳梗塞で絶対出るはずだと。
確認したところ、外国人、白人にはないもので、日本人にだけしかなくて、日本人はバイオバンク・ジャパンと久山で参加していたのですけれども、それは人数が足りなくて、そこに国立循環器病センターをさらに足すと、きちんと出てきた。見立てによって出てくるものというのは、確かにあるように思います。
その一方、同様に100人ぐらいでゲノム解析をやって、出なかった病気もたくさんあるのは事実でありまして、そうすると、いろいろな疾患領域がありますけれども、それはある程度ばらつかせて、いろいろな疾患領域でそれぞれの専門の先生で、これは遺伝、ホールゲノムシークエンスの価値があるのではないかというものを、もう少ししっかり見ていく必要があるのかなと感じております。
○水澤座長 ありがとうございました。
時間もあると思うので、今の点をちょっと確認したいのですけれども、もやもや病の遺伝子を先生が見つけられたときは、孤発性疾患と思われていて、大部分は孤発性なのだけれども、よく調べると家族例があって、それを調べられて見つけられたということでよいですか。
○松原構成員 集めたのは、ほとんど孤発例です。家族例はそんなに多くないので。ただ、家族例が割とぱらぱらあることから、孤発性を入れての72だったと思います。ほとんど孤発例でした。
○水澤座長 私も似たような経験があって、それは辻先生がまとめられた多系統萎縮症ですけれども、これも教科書に孤発例と書いてあるのですけれども、よく調べると家族例が数家系、日本にあって、その方々を中心に調べて、100倍とは行きませんでしたけれども、かなり高い感受性を来すミューテーションを見つけることができたということがございますので、恐らく家族歴等がある方々は、きちんとそれを調べるということがどこかに書いてあったと思いますけれども、そういうアプローチも必要だろうなと思います。
この辺まではよろしいですか。どうぞ。
○神里構成員 今回、先行解析をやるということで、既存の研究事業を用いるということですけれども、現状の同意のとり方についてもぜひ調査していただきたく、今後の本格解析に移るときには、ベストな同意のとり方、インフォームドコンセントのとり方の参考材料になるようにしていただければ有益かなと思いました。
以上です。
○水澤座長 現状で行われていることがどんな感じかということを、まずは調べた上で、包括同意とか、この前議論が出たようなことを進めるということでしょうか。
○神里構成員 多分、今回の先行解析をやる上では、特段問題ない範囲、何らかの手当てをすれば大丈夫だと思うのですけれども、今後、それをデータベースに入れて産業利用するといったときに、現状のものが持ちこたえられるかという点。そして、さらに必要な情報があるのであれば、つけ加える必要性を、今後、本格解析をやるときにはそれでとっていくべきだと思うので、参考資料となるようなものがあるといいかなと思います。
○水澤座長 ありがとうございます。
では、原田参考人、どうぞ。
○原田参考人 ここで議論すべきことかわかりませんが、議論の中で希少性の話が出たので。希少の中でも超希少ペルオキシソーム病で1例しか見つけられなかった。しかも、その研究者の先生は岐阜にいらっしゃった。1例で1人の研究者しかいないというのもあったりします最初から数で入っていったり、数値目標も含めて、三津家構成員もできるだけ広くと。2回目に、松原先生が子供の未診患のことも含めて御指摘なされた。
そのときつくづく思ったのは、超希少性みたいなところのものをどういうふうに取り上げていくのか、救済していくのか、今のところよく見えなかったので、わかるような御説明をいただければありがたいなと思ったのです。
○水澤座長 神里先生、何か御意見ありますか。それとも、松原先生、何かありますか。超希少疾患に対するアプローチでしょうか。おっしゃるように、非常にレアな疾患の方がおられます。1家系とか数家系とか。ですので、そういう方々にどうやって、こういう研究等に入っていただくかということでしょうか。何かありますか。
○原田参考人 実は、そういう方ほど薬もないし、治療方法もないものですから、そういう方こそ光を求めているところがありますので。
○水澤座長 私から言いますと、それがここに書いてあるのですけれども、まさにIRUDです。それをやろうということが目的の1つです。
もう一つ、そこでわかった遺伝子の異常等は、そういう疾患だけではなくて、前回申し上げたのですけれども、ほかのもっとコモンな病気にも役立つこともあるということで、できるだけ支援していただきたいという状況だと思います。もし何かあれば。
ほかはよろしいでしょうか。
そうしたら、まだ全体を通じてのお話もありますので、また戻っていただいても結構でございますが、今も少し議論になりましたけれども、5ポツ、8、9ページ、体制整備・人材育成について、特に御議論いただければと思います。
(菅野構成員退室)
○水澤座長 どうもありがとうございました。
どうぞ。
○松原構成員 5ポツに明示的には書いていないのですけれども、実際に全ゲノム解析、ウエットは誰がやるのか。それから、インフォマティクスで解析する初期の部分を、誰が、どこでやるのかということは、余り書かれていないのですが、そこは結構肝じゃないかと思うのです。御存じのように、全ゲノム解析の技術あるいは機械・試薬というのは、全部海外のメーカーのものが入ってきています。今、全ゲノムを始めるとなると、企業への外注しかなくなるのです。単なる企業への外注という形で、巨額の予算が全部そっちへ流れてしまうと、日本での体制整備とか人材育成は余り進まないと思います。
特に、難病関係だと、多分疾病ごとにいろいろな研究者におりていって、そこの研究者がどこかに外注に出して、返ってきたデータを解析するとなると、そこの割と細分化された研究者のところで人材を少し育てようかなというのが始まるけれども、大体3年たつと研究が終わってしまうということで、なかなか組織だった体制整備、人材育成ができないのではないかという危惧を私自身は抱いています。
そんな中で、1つ参考になるのはGenomics Englandだと思いますけれども、全ゲノムの解析の拠点を1カ所にまとめてしまう。日本はここでしかやらない。そこにウエット、それからインフォマティシャンを集めてやるという体制づくり。これは、恐らく厚労だけでなくて、文科とか経産関係のものも含めて、日本はここというものをつくったほうが、1つは、コストが安く抑えられる可能性がある。もう一つは、人材育成ということで、私は拠点には疾患の研究者を入れてはいけないと思います。疾患の研究者を入れてしまうと自分の病気ばかりかわいくなってしまって、抱え込みが始まりますから。そうじゃなくて、インフォマティシャン、ウエットの解析の技術者を中心にする。
もう一つは、できれば企業もその中に組み込むような形で。今、全ゲノム解析の新しい技術というのは、企業が開発していますから、企業も産学共同の組織体をどこかにつくって、みんなが共同利用できるようなシステムにすることで技術開発も進む。それから、恐らくコストも企業にもある程度負担させるということで安く済む。そして、みんなが利用できるということで、そうなると、研究費が少ない研究者もそこを利用できるようになると思うのですね。
ですから、何かそういう組織体をぜひつくってほしいと思いますし、そういった意味で、5ポツにそういった趣旨のことを何か書き込んでいただきたいなという個人的な希望があります。
以上です。
○水澤座長 事務局、どうでしょうか。
○南川難病対策課長補佐 体制の議論にちゃんとフォーカスを当ててやったのは前回が始めてでして、今回の資料の構成そのものとしては、8ページ目にあるとおり、先行解析という話をやっているのですけれども、先ほどの神里構成員の御質問に答える形で、上から6つ目の○の中に、厚生労働省は、本格解析に向けて、これらの意見を踏まえつつ、必要な調査研究を先行解析と併行して行う等体制整備を着実に進めていくべきであると書いてあります。
これらの意見は、こちらの点にあるものが、前回、体制等に関して構成員の皆様方からいただいた御意見ですので、今回、松原構成員の御意見とか神里構成員からの追加の御意見についても、ここに記載を拡充する中で、我々、必要な調査研究も含めて、体制について引き続き検討していくことになるのかなと思っている次第です。
○松原構成員 ぜひお願いいたします。
○水澤座長 では、三津家先生、どうぞ。
○三津家構成員 体制整備につきまして、我々産業界のほうから申しております、できるだけ1つの体制でとか、データの拡張性に関して、かなり書き込んでいただいてありがとうございます。
それで、もう一つのファクターであります時間といいますか、スピードの問題というものが、もう一段工夫していただけるとありがたいなと思っています。例えば、今のお話ですと、先行研究の間に1つ、体制整備の調査研究が行われるというお話です。
そうしますと、9ページ目の2ポツ、ステップ1に入る手前のところですけれども、これに当たって、包括同意、倫理審査体制、利用申請手順等ルールの整備を行うべきと書いてある。例えば、ここの頭につけるといいますか、「本格解析の前に、そういう体制がいつまでにつくってある」というのを1つ書き込んであると、調査研究・先行研究の間に体制整備ができていて、本格研究のときには、たまってきたデータは全て国民の共通財産になるみたいな仕組みができるかなと思っております。
それもあって、先ほどの発言の中に、先行研究はどれぐらいの期間でやるのか、というのも、ちょっと時間が明示してあると、どれぐらいの時間規模で次のステップに移れるかなというたてつけで頭の中では考えられるのですけれどもね。
○水澤座長 事務局、ありますか。
○南川難病対策課長補佐 基本的には、本格解析前に、これらの意見を踏まえて、体制整備に向けた調査研究を行っていくつもりでございますが、そこはさらに明示すべきという御意見と。先行解析、どのくらいなのかというのは、先ほど申し上げたとおり、今、この場では明確にお答えできないですけれども、いずれにせよ、本格解析に向けた体制整備については、着実に進めていきたいと思っております。
○水澤座長 ありがとうございました。
ほかにはどうでしょうか。
どうぞ、三津家先生。
○三津家構成員 続けて、申しわけありません。
あと、患者様の同意の件ですけれども、ここの部分はなるべくきちんと書いてあったほうがよいかなと思っております。同じく9ページ目のステップ1、ポチ3に、対象患者様からの同意を得るに当たって、ずっと書いてあって、包括同意を目指すべきであると書いてあるのですけれども、ここはもう一段強い表現で「包括同意を基本とすべきである」とか、そういう表現ではっきり書いてあったほうが、国の姿勢としてはっきり出るのではないかなと思っております。御検討いただけたらと思います。
○水澤座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
○南川難病対策課長補佐 ありがとうございます。
基本的には、この検討会の御意見として、皆さん、御異論がなければ書いていただいて、それを国が承った上で体制整備していくという形だと思っています。
○水澤座長 どうぞ、松原先生。
○松原構成員 今の点のことですけれども、包括同意を基本とすべきであるというのは、何となく研究者であったり、そちら側からの上から目線的なものがすごくあると思うのですね。このプロジェクトというのは、患者さんの側から、ぜひこれをやってほしい。税金を使って、私たちの病気をしっかりと解析して治療に結びつけてほしい。むしろ、患者さん側からの要望として包括同意が出てきてもいいように思うのです。どうしても上から目線でこういうものを書いてしまいますけれども、基本は包括同意以外、あり得ないと思います。
患者さんの個人情報はしっかり守りますけれども、何にでも使っていいから、ともかく早く原因を見つけて治療法に結びつけるという、患者さんからの強い要望というものが、このプロジェクトのベースにあると私は思います。ですから、そういう視点から、もう少しこういった文言を書いていったほうがいいのではないかと、私は思います。
○水澤座長 この検討会の構成もそうなっていると思いますが、原田参考人、どうでしょうか。
○原田参考人 基礎研究には、倫理学者も入っています、主治医や必要とする側から、言ってはいけない。間に誰か置いて、その人に同意を得てもらうようにという話すら出ている。慎重を期してやっていらっしゃる。ヒト胚を使うものだから余計かもしれませんが、そういう議論があります。
個人的に思うことは、患者は待ったなしです、薬がなければ薬をつくってほしい、治療法がなければ治療法をつくってほしいわけです、患者としては早く解決策がとれる、疾患の克服に結びつけたい、患者の気持ちは変わらないわけです。手続上で優生学や慎重論的なものが入ったりすると、時間がかかってしまうというのが率直な、印象を受けました。
○水澤座長 ありがとうございます。
ほかはどうでしょうか。
どうぞ、鎌谷先生。
○鎌谷構成員 先ほどの全ゲノムシークエンスと、その後の初期のドライの解析を一つのところでやるべきということに同意するのですけれども、その際、できれば私、早目に話し始めたほうがよいかなと思っておりますのが、この難病のプロジェクトと同時にがんも進んでいると思うのですけれども、がんと難病を同じところでやるべきなのか、それともがんと難病は別のところで組み立てていくべきなのかということに関しては、お互いのやってもいいか、やってもらってもいいかみたいな意思のすり合わせも必要と思いますので、お話ししておいたほうがよいかなと考えております。私個人としては、がんと難病と両方同じところでやっていいのではないかと考えています。
それから、ちょっと細かいところに入ってしまうのですが、スタッフの特性に関して、全ゲノムシークエンスデータがほかのタイプのデータと1つ違うのは、データ量がとてつもなく大きいということでして、1ステップごとに100ギガバイトクラスのファイルがどんどんつくられてしまいます。そういったところから、バイオインフォマティシャンの中にもできる人はいると思うのですけれども、とりわけコンピュータの本当に専門家で、スケーラビリティという言い方を最近しますけれども、大きいデータを効率的にちゃんと進めていけるような人材というのも、このコアのセンターに必要な人材ではないかと思います。
○水澤座長 ありがとうございました。
その辺の見通しというのはあるのでしょうか。がんと同じでしょうか。
○南川難病対策課長補佐 今と同じ時間帯にがんの検討会も同じような論点で議論していますので、その両方の検討会で出た御意見を踏まえて、厚生労働省としてどうあるべきかについて検討したいと思っています。
○水澤座長 ありがとうございました。
そのほかはどうでしょうか。体制ですね。鎌谷先生、今、人材のこともちょっとお話があったのですけれども、育成していくといったときに、ある程度集約した施設のほうが効率がよいという感じで理解してよいのでしょうか。
○鎌谷構成員 割と大事だなと思っていることの1つ目は、データを実際に触らせることによって育てていく、OJTということです。
それに加えて、指導者が何人もいるというのはあれですけれども、活発な議論が行われるような現場に、これから育っていく、教育する人たちもいることによって、さまざまな学習の幅も広がりますし。結局、このゲノム解析、どの分野にしてもさまざまな専門性が必要になっていきますので、いろいろな専門家が議論している場にいることによって、さまざまなことを吸収していけるという場が必要だと考えています。1施設に必ず全部いることが必要なのか、それとも複数に分かれていますけれども、常に集まって会議するような形が必要なのかというのは議論があるところだと思いますけれども、クリーンに、オープンに、みんなでやっていくということが割と大事かなと思っています。
○水澤座長 イメージ的には、先ほど松原先生からもお話ありましたけれども、Genomics Englandみたいなことをちょっとイメージされているのでしょうね。参考資料4の9ページ。ここで見ると、ゲノム・インタープリテーションもサービスカンパニーズになっているのですけれども、シークエンシングもある会社がやっているという形です。アカデミアの人たちはその枠外にいて、自分の興味というか、関心に応じて、出てきたデータを活用するといった枠組みなのでしょうか。松原先生もこういうイメージでしょうか。
○松原構成員 私自身も似たようなイメージを持っております。効率ということから考える、あるいは専門性、特にインフォマティクスというのは日本で本当に研究者が足りませんので、1カ所に集中して、そこでいろいろなことをやっていただくと同時に、そこで人材育成するということは一番効率的で、今後の日本のことを考えると、予算をばらまいて、いろいろなところで消えていくよりは、中央にこういったものをしっかりとつくっていただければと思います。
○水澤座長 三津家先生、どうぞ。
○三津家構成員 本当に繰り返しになって恐縮ですけれども、我々の業界の中でも、社長の集まりでちょっと話をしたことがあるのですけれども、ここのところは1つにまとめて、データのアクセスポイントも1つにしていただきたいですし、場合によっては、メーカーの人間もこういうところで訓練を受けるとか、お金を入れるポイントも1カ所になるみたいな形がありがたいかなという話をしております。
○水澤座長 どうぞ、松原先生。
○松原構成員 データの窓口も1つとおっしゃるのは、私もすごく賛成いたします。今のところ、例えばうちもそうですけれども、いろいろなところがデータを自分のところで持っていて、そこを例えば企業提供とか何とか言われると、別に隠しているつもりじゃないですけれども、出すためには、それぞれの施設でまた倫理委員会等をして、結局、人が誰か動いて、そのデータを外に出していくという作業が必要になるのです。
いろいろな人が使いたいというときに、これは1カ所にしていただくと、きちんと審査は必要だと思いますけれども、私たちが持っているデータを、私たちが知らない人にも活用していただけると思うので、まとめてやっていただけると、データを持っている側としてもとてもうれしいです。
○水澤座長 ありがとうございました。
ほかには、よろしいでしょうか。どうぞ。
○南川難病対策課長補佐 事務局のほうから。活発な議論をありがとうございます。
参考資料3を見ていただきますと、これのかなり先のほうに行っていただいて、体制整備のさまざまな御議論をいただきましたが、11枚目にGenomics Englandの日本語訳の部分があるのが1つと。
もう一つは、12ページに、実施計画に当たり、策定すべき事項として、ステップ1からステップ2、ステップ3という形で、一部論点を掲げて、例えばステップ1だったら、検査の質を確保するために、協力のどんな体制が必要かとか、そもそも何拠点ぐらいあったほうがいいのかとか、データの質を確保するために、例えばどんなものが要るのか、患者さんから御協力いただくためには、どんなものが必要なのか。
ここでは運営主体と表現させていただきましたが、今回のデータ管理・運営を推進する主体の役割とか位置づけをどう考えるか、費用負担についてどう考えるか、利活用についてどう考えるかみたいな部分について、前回御議論いただいたものを、今回のこれまでの議論の経過に入れさせてもらっていますが、先ほど申し上げたような本格解析に向けて、我々としては必要な調査をした上で進めていきたいと思っておりますので、ほかに視点等がこのような形であれば、御意見いただければ、また改めて追記していければと思っています。
○水澤座長 どうぞ、原田参考人。
○原田参考人 がんのほうは、何かお聞きになっていらっしゃいますか。
○南川難病対策課長補佐 おおむね同じような論点、もしくは体制の部分については聞いているはずです。
○原田参考人 イギリスだと、日本の人口の半分、13施設を設けて、きめ細かくいいシステムだと思います。がんも、これに近い状態になっているのかなと思って。
○水澤座長 がんは、もっと拠点が多いですね。
○南川難病対策課長補佐 がんもいろいろな拠点の中で、がんゲノム中核拠点であったり、少し階層化した形で協力拠点と、中核拠点という形でやっています。
○原田参考人 データを求める場合は決まっている。松原先生がおっしゃるように、アクセスしやすくなっているので、がんのほうは進みやすい体制になっているかなと思います。
○水澤座長 ほかはどうでしょうか。
先ほど菅野先生がおっしゃっていた進捗管理というのがあって、AMEDさんにお願いするのだろうということをお話になっていました。さっきもちょっと出ていましたIRUDというのは、月に1回、推進会議というのを開いておりまして、それは進捗管理だけをやっているわけじゃないですけれども、そういった役目も持っていると思います。実際にデータを出していただくのは、年に2回という形にしているのですけれども、それでも皆さん、結構大変だということで、期限までになかなか集まらないこともあります。ただ、少なくとも月に一回ぐらいのミーティングで全体の動きは理解できると思いますので、システムとしては似ている感じかなと、イメージ的に思いました。
今の進捗管理に関して、何か御意見ありますか。どうでしょう。
はい。
○鎌谷構成員 これはわからないですけれども、私がこれまで所属した国内の施設では、進捗管理を含めて、基本的にはITである程度自動化できるようなところを、バイオの研究者が一生懸命つくったり、あるいは紙で管理していたりしたのですけれども、そこはITの人に任せることによって効率化できるところではないかと思います。留学中は、完全にITの人が進捗管理をしていましたので、研究者がやるべきことと、せっかく大きな組織をつくっていくところですので、考えに入れていければなと。研究者は、自分の研究により集中できるような環境になっていけばいいなと思います。
○水澤座長 ありがとうございます。
ほか、どうでしょう。もう全体を通じてでもよろしいかなと思いますけれども、一番最初の背景・目的から始まって、対象疾患、数値目標、そして、今の体制整備・人材育成を含め、最後のほうに用語の定義もありましたし、参考資料もありましたけれども、全体を含めて御議論いただければと思います。いかがでしょうか。かなり多くの御意見をいただいたかなと思いますけれども。よろしいでしょうか。
どうぞ、鎌谷先生。
○鎌谷構成員 今、世界的には、レアディジーズの原因遺伝子に対する治療というものがかなり大きな話題になっていて、この研究の枠組みにおいて、希少疾患のシークエンスをして、それに製薬会社に絡んでいただきたいというのも、薬をつくりたいという方向性はあると思うのですけれども、どういうふうになっていくのですか。これまでの流れだと、研究者がシークエンスで原因の遺伝子を発見したら、それで論文を書いたり、あるいは患者さんに御説明したり、しなかったりという枠組みで、その後で製薬会社さんのコンタクトか、あるいは研究所の中で研究を進めたりということだったと思いますけれども、この枠組みですと、かなり早い段階で製薬会社さんとコンタクトをとる感じになっていくのですか。
○水澤座長 それについては、どうでしょうか。今の議論したばかりなので、余りないかもしれませんが。
○南川難病対策課長補佐 逆に、そのような仕組みがいいかどうかということも含めて、ここで御議論いただければと思っていました。少なくとも我々が承知している限りだと、Genomics Englandの場合は、各疾病だったり、それこそIRUDみたいに診断困難な方に対するインクルージョン・クライテリアで、どんどんリクルートして、ゲノムデータ・臨床データを1カ所にためていくという仕組みをした中で、それに対する利活用に当たっては、研究者も製薬企業の方も、ほぼルールに基づいて、お互いに使い合っていくみたいな形になっていると思いますし、そういう形がよいのかどうかということも含めて、それについては御意見いただければと思っております。
○水澤座長 三津家先生、どうぞ。
○三津家構成員 今、お話のあった点、だんだんタッチーになってくるというか。今回の「議論の経過」の資料の中に入っていないのは、いわゆる知財権の扱いをどうするかという論点が全く入っていなくて。私自身は産業利用の整備をするという中に、知財権をどう扱うかということもまとめて議論されるという理解でおりまして、ここに余り細かく書き込むと、今回の検討会の趣旨とは少し違うかなと思っていたのです。むしろ、今後の体制整備の検討の中で、産業利用に当たっての利用料とか、場合によっては、そこから製品が出たときに、どういうふうにシステムのほうにメーカーからお金を戻すかみたいなことが、あわせて議論されればいいのではないかと考えています。
○水澤座長 ありがとうございました。
松原先生、どうでしょうか。IRUDもいろいろなことをやっていますね。
○松原構成員 これは結構難しい側面があると思います。特に未診断疾患の場合は、医療福祉的な側面から入ってきた部分がすごく多いと思います。困っていらっしゃる患者さんがいるということが出発点だと思いますけれども、製薬の側から見てくると、こういった病態に対して、ヒトの遺伝子をターゲットにして何か創薬ができないかという、遺伝子をターゲットにした創薬という立場とは必ずしもかみ合っていないと思います。ですから、創薬を考えた、創薬というのは、ただその病気に効く薬ということじゃなくて、もっと一般的な創薬に役立つ人間の疾患モデルというものを見つけるとなると、入り口のところでそういうプロジェクトを立ち上げる必要があるだろうと思います。
今のように、何となく医療の現場で困っている患者さんを対象にというものとは、常に結びつかない。むしろ、創薬の側から、こういったフェノタイプ、例えば臨床検査値ですごく外れ値の人たちの中のゲノム解析をするとか。むしろ、創薬というゴールを見据えた上での患者さんの発掘というプロジェクトというのは、私は立ち上げてもいいのではないかと思いますが、今のような仕組みで難病のカテゴリー分けをすると、なかなかそこには入ってこないですね。その辺、何かもう少しいい形での仕組みがないかなと、私は個人的にいつも思っています。
創薬をもっと視点に据えた形での、製薬メーカーさんから見ると、難病というのはむしろ関係がない世界で今まで来たわけですけれども、実はその中にきらっと光る宝物がいっぱいあるはずです。難病というのは、こう言うと患者さんに怒られると思いますけれども、ある意味、神様が行った自然界の実験のようなものですね。ある1つの遺伝子をいじると、人間のフェノタイプとしてはこういうふうに変わる、あるいは病態として、こういうふうに変わるという実験が行われているわけですね。
それは、患者さんにとっては不幸なこともあって、それを何とか治さなければいけないという病態がありますけれども、逆に創薬の側から見ると、そういうデータをうまく使って、ある病態の薬を見るためには、こういったパスウェイ、あるいはこういった遺伝子をターゲットにすればいいというヒントが出てくる。そこをもうちょっとうまく結びつけられるようなプロジェクトが、今回の仕組みの中でつくれないかということは、何となく漠然と思っています。
済みません、ちょっと漠然とした考えで。
○水澤座長 非常に貴重な御意見だと思います。
では、原田参考人、どうぞ。
○原田参考人 冒頭でも議論があったと思いますが、また三津家構成員がおっしゃっていたのですが、既にゲノム医療全体から見ると、海外からおくれたという印象すらするわけです。海外とのジョイント、アライアンスを組むこととかして、スピードアップも図り、技術的な進化も早く取り入れてできるかなということがある。その点について何かありますか。
○水澤座長 事務局、ありますか。
○南川難病対策課長補佐 前回も御意見いただいて、この中にも少し入っているのですけれども、Genomics Englandとかとはコンタクトが、向こうからのオファーがあったり、こちらからも連絡をとったりしていますけれども、前回、小崎参考人もおっしゃっていましたけれども、一定程度、日本もゲノムデータがあった中で、具体的にどういう国際協調をやっていくのかみたいな部分が、この新しいプロジェクトでもあるでしょうし。ただ、既存の研究プロジェクトの中でも、いろいろな形で国際連携がされていると承知していますので、いずれにしろ、この難病領域においては、国際連携というものが一つのキーワードになって進んでいくものなのかなと事務局としては認識しております。
○水澤座長 先ほどの議論というか、知財権という言葉で、まさに鎌谷先生から挙げていただいたのですけれども、参考資料4は英語でしたけれども、参考資料3の11ページに日本語訳がありましたね。日本語訳のGenomics Englandの体制図があって、点線の右側のほうにアカデミアと産業界が外にあって、そこからGenomics Englandのシステムの中で得られたデータを使った研究をすることになっています。これはこれで、そこでいろいろな倫理審査を行って適格と認められたものをやることになるので、よく理解できると思います。
ただ、先ほどお話があったことがそうだと思いますけれども、難病ですと、ある1例であっても、それが非常に珍しい例だということになると、それはそれなりに価値があることになりますので、ここで言うと、中のゲノム解析サービス会社のレベルでわかってしまうようなことになった場合に、どういうふうになるのか。両側がミックスしたような状況が想定されると思います。
そういったことについて、例えば今、お話のあったように、Genomics Englandの場合はどういうふうに解決しているのかといったことは、先行している部分として参考になるのではないかと私は思っています。ですので、どこかの時点でそういうことを調査するというか、詳しくわかるといいなという感じがします。ちょっとコメントさせていただきました。
ほかにはどうですか。
どうぞ、鎌谷先生。
○鎌谷構成員 レアディジーズのお話は、レアディジーズに対するオーファンドラッグ、非常に希少な薬がつくられていて、希少な疾患の患者さんそのものの症状をよくしているということが、すごく大きなトピックになっていると理解しております。そうすると、この希少疾患あるいは未診断の疾患の患者さんのバリアントが出たことそのものが、恐らく創薬の対象そのものになっているということかなと考えております。
○水澤座長 その部分はもちろんありますね。
どうぞ。
○松原構成員 私、さっき何となく漠然と申し上げたのですけれども、もう少し具体例をここでお話しさせていただければと思いますけれども、最近、血友病B型、第IX因子の遺伝子治療が外国から入ってきておりますけれども、そこで使われている第IX因子というのは、実は血栓症で見つかった患者さんのスーパー凝固因子です。それを持っている患者さんは、血液があちこち固まって、血栓症でとんでもないことになるわけですけれども、逆に血友病の患者さんにとっては、それは朗報なわけです。そういったものが見つかっているという例があります。これは、イタリアで見つかった、たった1家系からそういうものが出てきたわけですね。
過去にさかのぼると、例えばフランスで見つかった高コレステロール血症の家系。今は、LDLレセプターの遺伝子異常ということで、みんな鼻にも引っかけないのですけれども、そこの研究者グループがよく調べてみると、PCSK9という、それまでほとんどノーマークだったコレステロール代謝にかかわる重要な酵素だったわけです。そこに目をつけてから、今、高コレステロール血症のブロックバスターの薬を世界中のメガファーマが売っているわけですね。それも結局、たった1例、フランスで見つかった高コレステロール血症の患者さんの遺伝子変異から見つかったもの。
あとは、今、糖尿病の腎の尿細管の薬で使われておりますSGLT2でしたか。それもブロックバスターで、いろいろな患者さんが使っていらっしゃいますけれども、これも腎性糖尿病という、本当は糖尿病じゃない患者さんが持っている遺伝子変異からヒントを得て、幾つかの製薬会社は気がついて開発を始めたわけです。そういったものは、これからどんどん出てくるように思います。
ですから、今までの希少難病の患者さんから見つかったものに対する薬を開発するという視点からいくと、コストが極めて限られていますけれども、逆にそういう希少難病の患者さんで見つかった遺伝子の異常というものが、非常に多くの患者さんがいる別の病気の病態のブロックバスターになる可能性というのは、これからも私は出てくるように思うのです。
ですから、そういったものを見つけるためには、最初のデザインを変えて、難病の患者さんをただ何となく広くシークエンスするのではなくて、もう少しフォーカスを当てたプロジェクトというものを、このプロジェクトのどこかに少し、1%でもいいですから、入れておいていただくと、何か大きなものがこれから出てくるのではないかという気がしております。
○水澤座長 ありがとうございました。未診断のところから、難病とは言っても、非常に数が多いところまで、孤発例まで含めた議論をしていますので、いろいろなところにいろいろなタイプのスタディーができる可能性はあるかなと思います。
ほかにはどうでしょう。よろしいでしょうか。全体を通じて、知財の件も出ましたし、倫理の同意の件も出ましたし、施設・体制の件も出ましたので、多くの点を御議論いただいたと思いますけれども、事務局のほうでありますか。ちょっと待ってください。まず原田参考人、それから事務局。
○原田参考人 新しくつくり上げるとき、必ずそうですけれども、我々患者会のほうも情報を流して、患者も理解する手だてが大事かと思います。一方で国民に理解を深めてもらうための啓発というか、こういう大きなプロジェクトですので、その点をどのように考えていけるのか。単なるホームページ上だけではなくて、イギリスなどの国をあげての取り組みをやっていけるのか、いろいろなところにリーチがかかるやり方が良いと思うのです。
だから、そういう具体例みたいなものを織り込んで示していただければ。患者会は患者会でいろいろやっていけます。理解を深めていくというところがいつも抜けてしまう、ホームページを立ち上げておけばいいというだけではいけないと思います。その点を工夫していただきたいです。
○水澤座長 ありがとうございます。
ほかには特にないでしょうか。よろしいでしょうか。
もしなければ、随分活発な御議論いただき、ありがとうございました。本日の議論を踏まえて、本検討会としては、これまでの議論の経過、これは事務局のほうに修正していただきたいと思っています。細かいところについては、事務局と私のほうに一任していただきたいと思いますけれども、必要に応じて、また御意見を伺いたいと思っています。
これまでの議論の経過について、事務局から特に聞いておきたいことはありますか。
○南川難病対策課長補佐 事務局のほうでは、活発な御議論をいただいたと思っております。
○水澤座長 そうしましたら、少し早いですけれども、本日はここまでにしたいと思います。
次回の日程とか実行計画策定に向けた今後のスケジュールについて事務局からお願いいたします。
○南川難病対策課長補佐 これまで3回にわたり、活発な御議論をいただき、ありがとうございました。
本日御議論いただいた、これまでの議論の経過については、対外的な打ち出し方も含めて、今後、座長と相談しながら、本日の議論も含めて修正させていただきたいと思います。
また、がんについても、同様に実行計画に向けた検討を行っておりますので、その検討状況も確認しながら、本日のこれまでの議論の経過を踏まえ、全ゲノム解析等に関する実行計画の策定に向けた取組を引き続き厚生労働省のほうで進めてまいりたいと思っております。
また、本日、さまざまな御意見をいただきました。本格解析に向けた体制整備・人材育成等の御議論についても、必要に応じて、本検討会でまた改めて議論していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。そういう意味で、開催日程については、まだ定まってございません。もし開催日程が定まりましたら、御連絡させていただければと思っております。
以上です。
○水澤座長 それでは、本日は以上で終了としたいと思います。どうもありがとうございました。