第29回 地域医療構想に関するワーキンググループー議事録

日時

令和2年11月25日(水)10:00~12:00

場所

一般財団法人主婦会館 プラザエフ 7階 カトレア
(東京都千代田区六番町15)

議事

○木下専門官 ただいまから、第29回「地域医療構想に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
まず初めに、発言の仕方などを説明させていただきます。
御発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックして、座長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し発言をするようお願いいたします。また、発言終了後は、再度マイクをミュートにするようお願いいたします。
また、座長から、議題などに賛成かどうか、異議がないかを確認することがあった際、賛成の場合には「反応」ボタンをクリックした上で「賛成」ボタンをクリックするか、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨を確認させていただきます。
続きまして、本日の構成員の出欠状況について申し上げます。
本日、幸野構成員より別用務により欠席の御連絡をいただいておりますが、状況によっては遅れて参加が可能との御連絡をいただいております。
また、野原構成員に関しまして、遅れて御参加いただくという御連絡をいただいております。
オブザーバーとしまして、総務省自治財政局公営企業課準公営企業室より、水野室長に御出席いただいております。
次に、資料の確認をさせていただきます。事前に議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿のほか、資料、参考資料1、参考資料2を配付させていただいておりますので、お手元に御準備いただきますようお願いいたします。
また、事務局の出席については、配付させていただいた省庁関係出席者名簿により御報告させていただきます。
なお、冒頭のカメラ撮りについてはここまででお願いいたします。
(カメラ退室)
○木下専門官 それでは、以降の進行は尾形座長にお願いいたします。
○尾形座長 おはようございます。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
議題1つ目の「新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方について」でございます。
まず、資料の説明を事務局からお願いいたします。
○小川課長補佐 地域医療計画課の小川でございます。よろしくお願いします。
資料に沿って御説明をさせていただきます。
まず、資料の2ページでございます。医療計画の見直し等に関する検討会等における議論の状況ということで、まず直近の動きについて御報告をさせていただきたいと考えております。
3ページ以降、医療計画の見直し等に関する検討会、11月19日に開催されました会議の議論の状況ということでございます。
11月19日の検討会におきましては、4ページ、5ページにありますとおり、10月28日に開催されました厚生科学審議会感染症部会の状況についてまず御報告をしております。5ページの2.の1つ目の○にありますように、医療計画の記載事項に「新興感染症等の感染拡大時における医療」を追加するということも考えられるのではないかといった見解をいただいておりますので、こういった点についてまず御報告をしております。
あわせまして6ページ以降でございますが、6ページ以降は11月5日の本ワーキンググループにおけます議論ということでございます。
8ページ、一つの論点でございます感染拡大時の受入れ体制確保の中で、感染拡大時における個々の医療機関の取組、また、感染拡大時における医療機関の間での取組、また、機動的な対応に向けた枠組みということで、行政・医療関係者が平時から認識を共有しつつ、有事の際に機動的に対応するための枠組み、医療計画への位置づけなどを設定していく必要があるのではないかといった議論をこのワーキンググループでもいただいておったところでございますので、こういった状況についての御報告をさせていただいております。
9ページは、それに関連しての11月5日の本ワーキンググループにおけます様々いただいた御意見でございます。
10ページ、11ページでございますが、11月5日のワーキンググループにおきまして、5つの病院、実際に現場で一般病床を活用しながら感染症患者を受け入れていただいている病院の現場の実態といいますか、知見につきまして発表いただいておりますので、その状況についても御報告をさせていただいています。
そういった御報告をした上で、12ページ以降、医療計画の記載事項の追加ということで、論点を3つ挙げて御議論いただいております。
まず1つ目の論点1、医療計画上の位置づけということでございます。事務局の資料としましては、まず1つ目の○にありますように、医療計画の記載事項として「新興感染症等の感染拡大時における医療」というものを位置づけることとしてはどうかといった点。また、2つ目の○にありますように、具体的には災害時における医療と同様、有事対応として政策的に推進すべき、いわゆる「5事業」に追加することが適当と考えられるのではないかといった点。3つ目の○でございますけれども、具体的には2024年度から始まります第8次医療計画の中でこの記載を盛り込むこととしてはどうかといった点、こういった点について事務局から御提案をさせていただいています。
13ページは論点の2つ目ということでございまして、具体的な記載項目のイメージというものも御協議いただいております。仮に医療計画の記載事項に追加することとした場合に、例えばこういった項目を記載することを想定してはどうかということでございます。平時からの取組、感染拡大時の取組ということで、本ワーキンググループでも様々な意見をいただいておりました。そういった内容も踏まえた上で、事務局で一定整理をして御議論をいただいております。
14ページ、論点の3つ目ということで、医療計画の推進体制等ということでございます。仮に医療計画の記載事項に追加することとした場合に、どのような推進体制を考えていくか、圏域設定をどのように考えていくかといった点についても御協議をいただいております。具体的には少し御確認いただければと思いますけれども、マル1、医療計画の推進体制とございます。これは現行の医療計画制度の運用について整理をしております。2つ目の○にありますように、医療計画の作成指針(局長通知)におきましては、5疾病・5事業それぞれごとに医療審議会の下に作業部会を設置する。また、必要に応じて、圏域ごとに圏域連携会議を設置すると。さらにこの作業部会であったり圏域連携会議、さらには地域医療構想調整会議につきましては、関係者が互いに情報共有するといったことが書かれている状況でございます。
また、同じく医療計画作成指針(局長通知)におきましては、マル2、圏域設定の考え方とございますが、5疾病・5事業ごとに、従来の二次医療圏にこだわらず、患者の移動状況や地域の医療資源等の実情に応じて弾力的に設定することとされておる状況でございます。事務局の案としましては、こういった現在の取扱いを踏まえまして、各地域の実情に応じた計画の策定、また具体的な取組の促進を促していったらどうかという形で御提案をさせていただいております。
これを受けまして、15ページでございますが、様々な御意見を検討会でいただいております。1つ目の小見出しでございますが、医療計画上の位置づけという部分でございます。検討会の中ではその5事業に追加していく方針については賛成ということで、おおむね合意が得られている状況でございます。また、2つ目の小見出し、記載項目のイメージという部分につきましては、事務局から御提案した内容について、さらにもう少しこういった点を追加してはどうか、修正してはどうかといった点で様々な御意見をいただいている状況でございます。3つ目の小見出しでございますが、医療計画の推進体制につきまして、この推進体制につきましてもおおむね賛成、合意をいただいているかと思っております。その上で最後の○でございますけれども、医療計画の5事業に追加するということで、これを前提とした上で地域医療構想の枠組み、そもそもの目的を再確認した上で、今後のスケジュールについて国が示した上で検討されるべきではないかといった御意見もいただいている状況でございます。
続きまして、16ページ、17ページでございます。こちらにつきましては、前回このワーキンググループと同日付11月5日に開催されました社会保障審議会医療部会の議論につきまして御紹介をさせていただきたいと思っております。
17ページ、医療計画の検討状況、また地域医療構想の検討状況について御報告をさせていただいています。様々な御意見をいただいておりますが、特に地域医療構想の関係でございますが、1つ目の○にありますように、現下のコロナの状況を踏まえますと、一旦先送りをするというのが今の分かりやすい判断ではないかといった御意見がある一方で、下から3つ目の○にありますように、地域医療構想の検討は人口構造の変化といった構造的な要因が変わらない中では粛々と進めていくべきではないかといった御意見もいただいている状況でございます。
こうした最近の検討の状況を御報告させていただいた上で、18ページ以降でございますが、今後の地域医療構想に関する議論の整理(案)という形で事務局で整理をさせていただいています。前回このワーキンググループの終了の際に、座長から一定の方向性を示すことができるような、そういった形の議論ができるような準備を事務局のほうに御指示いただいておりますので、そういう形で整理をさせていただいています。
19ページ以降でございますが、資料の組立て方としましては、まず青枠のところ、前回までの議論をまとめさせていただいています。薄い字と太字と2つございますが、薄い字が10月21日にいただいた御意見、太字が11月5日のワーキンググループでいただいた御意見という形で整理をしております。
その上で20ページをおめくりいただければと思いますが、こうした御意見を踏まえながら、事務局で議論の整理(案)という形でお示しをさせていただいています。今回は論点につきまして3つ提示をさせていただいています。1つ目が地域医療構想と感染拡大時の取組との関係、2つ目が地域医療構想の実現に向けた今後の取組に関するもの、論点の3つ目が地域医療構想の実現に向けた今後の工程ということで、3つをお示ししておるところでございます。
20ページ、論点の1つ目、地域医療構想と感染拡大時の取組との関係の議論の整理(案)ということでございます。小見出しは2つございますが、1つ目、医療計画における新興感染症等への対応の位置づけということでございます。内容につきましては、先ほど御紹介させていただきましたように、先日11月19日の医療計画検討会の中で「新興感染症等の感染拡大時における医療」というものを、医療計画の記載事項として位置づける方針が示されている、平時からの取組、感染拡大時の取組について、あらかじめ地域で議論・準備を行うことを促していく方針というものが示されている、そういうことを記載させていただいています。
その上で、2つ目の小見出しでございますが、地域医療構想と感染拡大時の取組との関係ということでございます。新型コロナウイルス感染症対応が続く中ということではございますが、この間も人口減少・高齢化というものは着実に進みつつあるということ、医療ニーズの質・量が徐々に変化するとともに、労働力人口の減少によるマンパワーの制約も一層厳しくなりつつあるということが言えるということでございます。また、各地域におきましては、こうした実態を見据えつつ、質の高い効率的な医療提供体制を維持していくため、医療機能の分化・連携の取組は必要不可欠であること、こういったことも言えるかと思っております。こうした地域医療構想の背景となる中長期的な状況や見通しは変わっていないということで整理をさせていただいています。
その上で、2つ目の○でございますが、新興感染症等への対応を医療計画に位置づけた上で、平時から、感染拡大時にゾーニング等の観点から活用しやすい病床、あるいは感染症対応に転用しやすいスペースの確保に向けた施設・設備の整備、また、感染拡大時における人材確保の考え方の共有、こういったことを進めておくことによって、平時の負担は最小限にしながら、有事に機動的かつ効率的に対応することが可能となるのではないかという形で整理をさせていただいています。一方で、地域医療構想における医療需要・病床必要量の推計を超えて、感染拡大の時期や規模の予測が困難な新興感染症等に備えて、一定数の稼働病床を確保し続ける場合には、当該体制の維持には追加的な負担がかかり続けることが想定されるのではないかという形で整理をさせていただいています。
こうしたことを踏まえますと、感染拡大時の短期的な医療需要には、各都道府県の医療計画に基づき機動的に対応するということを前提とした上で、地域医療構想につきましては、その基本的な枠組み、具体的には病床必要量の推計や考え方などを維持しつつ、引き続き着実に取組を進めていく必要があるのでないかという形で整理をさせていただいています。
21ページ以降、論点の2つ目、地域医療構想の実現に向けた今後の取組ということでございます。
22ページを御覧いただければと思います。事務局の議論の整理(案)ということでございます。1つ目の○でございますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前から進めてきた取組、あるいは今般の新型コロナウイルス感染症への対応状況などを踏まえますと、今後、地域医療構想の実現に向け、以下の取組を着実に進めていく必要があるのではないかという形で整理をさせていただいています。
2つ小見出しをつけております。1つ目が、各医療機関、地域医療構想調整会議における議論ということでございます。公立・公的医療機関等におきましては、具体的対応方針の再検証等を踏まえて、着実に議論・取組を実施していただくとともに、民間医療機関におきましても改めて対応方針の策定を進めていただきまして、地域医療構想調整会議の議論を活性化するということではないかと整理をさせていただいています。
2つ目の小見出し、国における支援ということでございます。4点ほど列記をさせていただいています。まず、地域医療構想調整会議における議論の活性化に資するようなデータ・知見等を提供していくということ。2つ目に、地域医療構想調整会議における議論・合意を前提とした上でということでございますが、国による助言や集中的な支援を行う「重点支援区域」というものを引き続き選定しまして、積極的に支援していくということ。3つ目には、各地の調整会議における医療機能の分化・連携の議論を踏まえた上で、雇用や債務承継など病床機能の再編に伴い特に困難な課題に対応するための財政支援としまして、今年度「病床機能再編支援制度」というものを創設しておりますが、これにつきまして、令和3年度以降、消費税財源を充当するための法改正を行いまして、引き続き病床機能の再編を支援していくということ。最後に、各地の調整会議における医療機能の分化・連携の議論を踏まえた上で、医療機関の再編統合を行う場合において、民間医療機関が資産等の取得を行った際の税制優遇措置の創設を検討するということ、こういった点を挙げておるところでございます。
2つ目の○でございますが、「なお」としまして、第8次医療計画の策定に向けた議論におきましても、その時点における医療機能の分化・連携の議論・取組の状況を踏まえる必要があり、こうした観点からも、地域医療構想に関する議論を着実に進めることは重要であると整理をさせていただいています。
なお、※印にございますが、「具体的対応方針の再検証」につきましては、当初から以下の2点が前提とされていることを改めて認識する必要があるのではないかということでございます。1つ目は、地域の議論を活性化するためのものであって、再編統合など結論ありきのものではないということ、もう一点が、国の分析だけでは判断し得ない診療領域や地域の実情に関する知見も補って議論する必要があるということでございます。
続きまして、最後の論点でございます。地域医療構想の実現に向けた今後の工程ということでございます。
25ページを御覧いただければと思います。事務局で提示させていただいた議論の整理(案)ということでございます。これは11月5日の本ワーキンググループにおきましても同様の記述で議論の整理に向けた考え方を示させていただいています。
まず、地域医療構想の前提である2025年までの工程ということでございますが、新型コロナウイルス感染症対応が続く中ではございますが、人口減少・高齢化は着実に進みつつある状況でございます。こうした中で、質の高い効率的な医療提供体制を維持するためには、地域医療構想の実現に向けた医療機能の分化・連携の取組が必須ということでございますが、こうした取組につきましては検討から実現に至るまで相応の時間を要するということでございます。着実に議論を進める必要があるのではないかということでございます。今後、地域医療構想の実現に向けまして、様々な整理を進める中で、地域医療構想の実現に向けた取組に関する具体的な工程につきましても、速やかに明らかにする必要があるのではないかという形で整理をさせていただいています。その際、具体的な工程の内容につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応状況等に配慮しつつも、一定のスピード感を意識する必要があるのではないかという形で整理をさせていただいています。
最後に2つ目の小見出しでございますが、2025年以降を見据えた工程ということでございまして、2025年まで残すところ5年を切っている中、2025年以降を見据えた具体的な工程についても議論を進めていく必要があるのではないかという形で整理をさせていただいています。
事務局からの説明は以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明がありました資料につきまして、事務局から示された今後の地域医療構想に関する議論の整理(案)を踏まえ、特に3つの論点が示されておりますので、その辺を中心に御議論をいただければと思います。御意見、御質問を承りたいと思います。
小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 ただいまの御説明をいただいて、今後の大きな方針という点では大きな異議はないということなのですが、私から3つほど御質問させていただきたいと思います。
一つは精神のことが書かれて、医療審議会か何かの意見にあったと思うのですけれども、我々の会議でも今回のコロナを通して精神の患者の扱い、方向性が、現場で全く協議されていないと。それは地域医療構想が一般病床を対象にしたものなので、地域の中で精神の扱い方というのは具体的に協議はあまり行われていない現実にあって、実際に今回はコロナの患者で精神の患者をどうするかということが現場では困ったということがあって、そういったことを地域医療構想の調整会議の中で話をするのは場所が違うという考えもあるかもしれませんけれども、では、どこでやるのだという話が出ていまして、できれば今後のことを考えても一体化して、精神も調整会議の中で話をすることができないのかと。あるいは別の作業部会みたいなものをつくってやってもいいというお話でしたけれども、そういうものを国から指示いただけないのかというお話がございました。それが第1点目です。
第2点目は、先ほど将来中長期的に病床が減ってくる、それは十分理解できているところですけれども、例えば将来に向けた病床の中で感染症対策をした病室が圏域によって推測病床の中に収まる場合と、収まらない場合も圏域によっては出てくるのではないかと思うのです。それは結局コロナがある程度、今はすごい第3波で全国ではやっていますけれども、後から振り返って最大にこれだけの患者が出て、これだけの重症者が出て、この地域にはこれだけ出ましたという事実が明らかにならないと、それに対する必要な病床数や感染症対応の体制を協議するのがなかなか進まないのではないかと私どもは思うのです。ですから、ある程度の最大時の必要病床数というのが、コロナだからほかの新興感染症に適用できるというわけではありませんけれども、コロナを目安にした必要量を参考にしないと協議もなかなかしにくいのではないかなと私どもは考えております。
3点目は、この間、医政局長が再検証を要請された病院のうち119がこのコロナの対応に当たったと、国会だったと思うのですけれども、回答されたという記事を読んだのです。そうすると、その119という病院は、この地域医療構想の流れからいくと、自院の在り方を見つめ直して地域で協議をしなくてはいけないという立場の病院ですね。119ということはかなりの数に上っていて、それを今後の感染症という6事業目の役割という点を考えると、私どもはむげに再編統合しなさいという話には行き着かないのではないかと思うのです。ですから、それもしっかりと調整会議の中で、地元できちんと話し合う必要がさっきのデータとともに一緒にしてあるのではないかと思うものですから、その3点について御質問させていただいたところです。
○尾形座長 これは御質問ということですので、事務局、お願いします。
○小川課長補佐 御質問ありがとうございます。
まず精神の患者の扱い、特に今回のコロナ対応の中で様々な課題が浮かび上がってきている、これをどのように協議していくかという御質問かと考えておりますが、それにつきましては、11月19日の医療計画の見直し等に関する検討会におきましては、今回の新興感染症等の対応というものを医療計画の中に位置づけていく方針になっております。そういう中で14ページにございますが、医療計画をしっかり推進していく、まずはその計画をつくる、その上で推進をしていく、場合によっては5疾病・5事業との関係についても整理していく必要があるかと思っております。
そういう場合に、2つ目の○に書いておりますように、現在ちゃんと5疾病・5事業ごとに作業部会を設置するということや、圏域ごとに圏域連携会議を設置するということが書かれておるところでございます。こうしたところの中で、医療計画の記載事項であったり、また、それをどう推進していくかを御協議いただくことになっておるということでございます。ただ、小熊先生の御指摘のとおり、これがなかなかもし実効的になっていないというのが実情ということであれば、そこをいかに実効的なものにしていくかということは、次の第8次医療計画に向けてそれも課題かと思っておりますので、そこは省内でもよく連携を取りながら対応を検討していく必要があるのではないかと考えております。地域医療構想調整会議は、非常にドライに申し上げますと、まずは地域医療構想についてどう考えるかというところかと思っておりまして、そこは一定、少し役割を分けた上で進めていくことが適当でないかと事務局としては考えております。
2つ目の点でございますが、今回のコロナ対応を振り返った上で病床必要量、今回の事務局の議論の整理(案)としましては、これを維持しながら着実に進めていくと書かせていただいておりますけれども、今回のコロナを最後に振り返った中でこれとの関係について少し議論する必要といいますか、なかなか見えにくい部分があるのではないかという御指摘なのかと思っております。
今回のコロナ対応の状況をしっかり地域ごとに振り返った上で議論を進めていただくことが重要かと考えておりますが、事務局の整理(案)としましては、20ページに書かせていただいておりますように、地域医療構想における医療需要・病床必要量の推計と、平時を想定したこの推計を超えて一定数の稼働病床、地域医療構想の病床必要量は基本的には稼働病床で考えておりますので、これを確保し続ける場合には追加的な負担がかかり続けることが想定されるのではないかと考えております。一方で、今回、様々得られてきた知見を踏まえますと、平時の負担を最小限にしながら機動的にこれを活用していく、一般病床を感染症対応に転用していくといいますか、そういうことも可能になるのではないかと考えておりますので、そういった地域医療構想、既存の枠の中を維持しながら議論を進めていくことがあり得るのではないかという形で事務局の整理(案)はさせていただいております。
最後に、再検証の要請、再検証対象の医療機関の関係でございますが、御質問につきましては、事務局の整理としましては22ページでございます。具体的対応方針の再検証につきましては、当初から国の分析だけでは判断し得ない診療領域や地域の実情に関する知見も補って議論する必要があることを前提として取組を進めてきたところでございますので、まさしく国の分析だけでは判断し得ない診療領域等に感染症対応、新興感染症等対応も含めた上で、視野に入れた上で、地域で御議論いただくことが重要なのかと考えております。
○尾形座長 小熊構成員、いかがでしょうか。
○小熊構成員 分かりました。
○尾形座長 よろしいですか。
それでは、織田構成員が手を挙げておられるので、織田構成員、お願いします。
○織田構成員 25ページの2つ目の○の※印の注意点のところに、重点支援区域等において、新型コロナウイルス感染症への対応と並行して、地域医療構想の議論を進めていくとありますけれども、8月にも重点支援区域が指定されて、コロナ禍であっても進んでいますね。今、この重点支援区域の相談などは、ほかにはあとどれぐらいの区域が入っていますか。
○尾形座長 これは御質問ですので、事務局、お願いします。
○小川課長補佐 今、手持ちで具体的に幾つというわけではなかなかないのですが、実際に8月の下旬に第2回の選定をした以降も、この重点支援区域に関心を持っているということで御相談といいますか、いただいている事例は幾つか出てきておるところでございます。
○織田構成員 重点支援区域においては、国からの技術的支援や財政支援ということで、集中的に支援することになっていますね。そういう中であくまでもこれはダウンサイジングや機能転換、連携の議論をどちらかというと優先していただいて、アドバイスをしていただくならば、あまり拙速に新しい病院をつくったり、基幹病院をつくったりするのは莫大な財政支援が要ります。また、時間も必要ですので、今必要なのは箱物をつくるのではなくて現在ある医療資源、病院を有効に活用してダウンサイジングして、コロナ等の現在のような非常に危機的状況にあって、危機管理時のバッファー、ダウンサイジングした病棟をバッファーにつくり替える、そういう方向性で考えていただきたいと思います。そうすることによって、一部の病院だけ集中的に財政支援を受けるのではなくて、多くの病院が財政支援を受けることによりダウンサイジングしているところをバッファーみたいな、ある意味では感染症の受入れ病棟みたいな形で変えていくことによって、余裕が生まれてくるのではないかと思います。そこら辺も御検討いただきたいと思います。
○尾形座長 これは御意見として承っておきます。
ほか、いかがでしょうか。
今村構成員。
○今村構成員 今の織田構成員の意見と重なる部分があるのですけれども、今回コロナの議論は医療計画の事業のほうで、そして、医療構想は今までどおりということですけれども、現実にこの2つの計画をつくっていくとすると、コロナで例えばある地域1,000床で、でも、医療構想ではそれよりももっと少ないと。では、それを乗せたときに一体どんなことが起きるのかというと、まさに織田先生がおっしゃるように、病床としては例えば5,000床を確保しておくけれども、稼働病床は4,000床だという状況が発生するのです。それをどうやって持たせるかということになったときに、大きな基幹病院に余力を持ってもらうという話になっていくと、その地域で許可病床そのものを超えてくる可能性も出てきて、これをどう両立させるのかが非常に難しい問題として出てくると思います。
現実に新しい病院をつくってというのはあまり今の政策になじまないので、恐らく改築ですね。何が必要かというと、動線が交わらないような病棟と個室が必要なのです。だから、それをつくっていくとすると、大きな病院にそれを構造として持ってもらわないとそんなものはできないわけで、すると、もともと大きな病院をダウンサイジングしようかという計画と矛盾するのです。だから、ここで医療構想でダウンサイジングしていこうという話と、医療計画の中の事業のほうの感染症で余力を持っておきましょうという話は各病院の中でぶつかってしまう、利益相反する話になるのです。そこに恐らく構造の改造を加えなければいけなくなるので、そこをどう両立させるのかを今の段階で議論しておかないと、現場で自由に考えてくださいというのは結構難しい話になると思うのです。ですから、そこを整理してほしいということがまず意見です。
現実問題として、一番困るのは重症病床なのです。ICUをどれだけ確保できるのかが最終的な医療として受けられるかどうかという話になって、ICUの確保ということになってくると、ICUが止まると一般医療が止まるのです。ですから、大きな病院でICUを確保するということは、一般医療をその病院からほかの病院に移さなければいけないということで、そういうことが今の計画の中ではまだはっきりと書かれていないのです。まだ今のコロナの状況だと、これがほかの病院がもっと受けてもらわないとというところまで行っていないのですけれども、もうちょっと増えたら多分切実な問題になってきます。大学病院もまだ受けられる範囲ですけれども、恐らくもうちょっと増えると、重症患者の数で言うと大学でも10人ぐらい増えたらICUは全部埋まります。そうすると、手術できなくなるのです。そのときに、大学病院で受けているようなオペをほかの病院でやってもらうのですかということが、それとも大学病院みたいなところは受けずに一般病院にICUを受けてもらうのですかということを考えなければいけなくなってくるのです。
恐らく今後増えるとその事態にはなるので、そこの部分を今起こっていないから考えないで進めると非常に危険なことが起こると思います。ですから、重症病床に関しては特出しで考えるべきで、それをぜひ論点としては書き加えてもらいたいし、その辺をどう考えておられるのかはぜひお答えいただきたいと考えます。そこは質問ということで。
○尾形座長 重要な御指摘だと思います。
事務局、お願いします。
○小川課長補佐 まさしく今村先生から前回、前々回と重症患者の対応といただいているかと思います。13ページで今回感染拡大時の対応というものをしっかり医療計画の中で担保していくといいますか、体制を確保していく、考え方をあらかじめしっかりと共有しておくということを考えている中で、13ページの感染拡大時の取組の感染拡大時の受入れ候補医療機関の中で、特出しで重症例、また、疑い症例の関係も御指摘いただいたかと思いますけれども、こういうものを想定ではもちろんございますけれども、どのように考えるかというところもあらかじめ地域の中で議論していくことが重要かと思っております。
その上で、その際にどのようにいざというとき、有事の際に医療資源などを集中的に投入しまして、配置などもこれから改めましてやっていくかというところにつきましては、現在、前回のワーキンググループでいただきましたように様々な御知見が蓄積されてきている状況かと思います。こういうものをちゃんと踏まえながら機動的に体制を変えられるような、転用できるようなやり方について、しっかりと関係者の中で共有していくことが重要なのかと思っています。
○尾形座長 今村構成員。
○今村構成員 現実、今、コロナが起こっていて、例えば奈良県でもこれ以上増えたらどんなことが起きますかというのは切実な議論としてあるわけです。ですから、もう何人以上来たら一般のオペを止めなければ、奈良県全体で止めなければいけないという事態は割と目の前の未来として想定されるのです。そこで行き詰まるわけです。だから、そこの部分の方針を考えていく必要があるということで、一般病床を急にICUに転床していくようなことをするのか、今後ICUをつくる病院は第1、第2、感染症用と一般用に分けていくなどということを考えていくのか、将来の計画として地域で考えてくださいという論点をちゃんと明確にしてあげないといけないと思うのです。だから、感染症の場合は大きな違いとして、構造を変えなければ、個室や動線を変えなければいけないという問題がありますので、そこの部分を一般の災害と違う点としてぜひ考えてもらいたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 ありがとうございます。
今のことに通じるのですけれども、もう現在、患者さんがどんどん増えてしまって、前回のこの会議で医科歯科大学の方がICUがコロナで占められているのでほかの大きい手術ができないというようなことも言っておられたので、しかも今、拡大していますから、2024年の医療計画とか、そういうことも必要ではありますが、差し当たって今拡大していったときに受け切れなくなったときにどのようにするかというコントロールを国として指示を出していくというのは、どこがやることになるのですか。
○尾形座長 これは御質問ですが、事務局、いかがでしょう。
○長谷川室長 現在、コロナ対策本部で医療班副班長をしております、長谷川でございます。
御質問の点でございますが、基本的にはコロナ対応の病床の確保と病床の運用等々について、都道府県に対して私どもは助言をしておりますが、そちらの医療班で基本的な対応の方針を助言させていただいているところでございます。基本的な考え方につきましては、6月19日に各都道府県にお示ししていますが、病床確保の計画に基づいて、各都道府県で実情に応じて対応いただくということになっております。
○猪口構成員 どうなるか分かりませんけれども、最近の増え方を見ていると、例えば札幌ではかなり医療崩壊に近くなっていますし、大阪でもかなり厳しいというお話がありますから、次のステージではどうするというようなことが出てこないと、現実的にまだ今週末ぐらいでどれぐらいになるか分かりませんけれども、こういうものはかなりのスピード感を持ってやらないと、現場は対応できないということを最近強く感じております。
もう一点なのですが、22ページに書いてあります国における支援の中の重点支援機関、幾つかいろいろな案で、これはもう具体的に進んでいるのだと思いますけれども、こういうワーキンググループには、この地域ではこのような形で話が進んでいるという御報告をいただけるものなのでしょうか。
○尾形座長 事務局、お願いします。
○小川課長補佐 ありがとうございます。
重点支援区域につきましては、基本的には今いただきましたとおり、どういう形で進捗しているかをしっかり見える化をして共有していくことが重要かと思っております。どうしても再編等々に関する内容でございますので、機微に触れる内容も中にはあるかと思いますが、可能な範囲でしっかりと皆様にも進捗状況を御確認いただけるように努めていきたいと思っております。
○猪口構成員 そういう細かい機微に触れることではなくても、例えば再編統合するときに中規模クラスの病院が2つあるけれどもどっちも空いてしまっているというときに、ともすれば、それを今度は合わせて少しダウンサイジングはするけれども、かなりがっちりした基幹病院をつくると。特に公立病院でですね。そのような例を散見するので、そのようなことは将来的に考えると、かなりの無駄を生む可能性があると思っています。ですから、そのような計画の中に、例えば基幹病院をつくるのではなくて、また近くに基幹病院があるのならばこれはBのほうにも触れてくることになりますので、そういうことはぜひやらずに、地域の中の医療機関としてこれは生かして、高度な医療はこちらを利用するとか、少し広い目で見た再編計画があったほうがいいのではないかと。ただベッド数だけを調整するのではなくて、機能に応じた基幹病院と地域の病院とか、そのような考え方をすべきではないかと思いますので、ぜひその辺の基本的なコンセプト、重点地域のものを少し示していただけると助かると思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
野原構成員、どうぞ。
○野原構成員 野原でございます。
新型コロナウイルスの状況でございますけれども、岩手県でも患者が増えておりまして、現時点で病床が逼迫している状況ではないのですけれども、一般医療の負荷が高まってきております。手術などへの影響が出てきている状況です。
2点御意見を申し上げたいと思います。まず、論点1の地域医療構想と感染拡大時の取組との関係です。今般の新型コロナウイルス感染症対応病床については、感染症病床に限らず多くの一般病床を活用して対応いただいているところであります。今後地域において議論を進めていくに当たって、新興感染症等への対応として、一般病床をどの程度確保していくのか。また、今村構成員からもお話がありましたとおり、ICU等、特に重症者のためにどれぐらい病床を確保していくのか。これが大きな論点となります。今般の新型コロナウイルス感染症対応では、国が示した流行指標に基づいて段階的に病床の確保を進めておりますけれども、こうした病床の在り方について、国において考え方を示していただく必要があると考えております。
また、一般病床を新興感染症対応の病床に転換する際に、動線の確保や個室化、陰圧病床等への改修が必要となることが考えられますが、その際の財源措置等の支援についても示した上で議論を進めていく必要があると考えております。
論点3の今後の工程ですが、この3つ目の○に一定のスピード感を意識する必要があるという記載がございます。この記載について理解をするところではございますが、現状、全国各地域で新型コロナウイルス感染症の拡大が続いており、地域医療構想調整会議を構成する多くの保健医療関係者がその対応に当たっている状況にあります。また、事務局機能を担います都道府県の本庁、保健所の行政にあっても同様であり、多くがBCP対応下にある状況でございます。今まずなすべきことは新型コロナウイルス感染症対応でありますので、今後の進め方についてはこの点に十分配慮をお願いしたいと思います。
また、進め方については、都道府県と十分意見交換する機会を持っていただければと考えております。
以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 今回の論点3に当たる部分で、先々医療構想をどうしますかということで、今2025年を目標に2020年の区切りを切ってやってきたわけですけれども、現実にそこの区切りを続けるのは難しそうだという状況だと思います。そうすると、2021年、2022年になると、もう3年後の話になってしまって、先々の計画をつくりますかということを考えなければいけなくなってくる。考えるときに、目標の年次によって随分目標が変わってくるということをぜひ認識してもらいたいと思うのです。
一般的に2040年と言っていますけれども、2035年の状態と2040年の状態と2045年の状態は劇的に違うのです。2035年辺りだと恐らく医療としてはピークです。都会で物すごく増えていて、地方ではすごく余ってきている状態が極端になっているときが35年ぐらいです。2040年ぐらいになってくると団塊の世代ジュニアがリタイアされますので、ニーズそのものが変わらないのにマンパワーがぐんと減ってくるときです。2045年まで来ると患者さんも減ってきますので、みんな減ってくるという状態になります。だから、35年に設定するのと、40年に設定するのと、45年に設定するのでは随分中身が変わってくるので、今後2025年の話を、もう少し先のことを検討するのであれば、何年をターゲットにするのかということで随分変わってきます。長い目で見れば全体的な撤退戦を戦うことになるので、2025年までは患者さんが何だかんだ言って増えるのです。拡大戦を戦ってきていると思うのですけれども、次につくる計画はどんな撤退をしますかということを考える対策になるので、大きくやり方としては変わると思うのです。
ですから、その目標が2035年か40年か45年で随分変わってくるということはぜひ意識してもらいたいですし、先の計画をつくるのであれば、そこによって随分中身が変わってくるということを考えて目標の設定をしてもらいたいと思います。これは意見ということです。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほか、いかがでしょう。
それでは、私から1点質問と1点意見を申し上げます。資料22ページの先ほどから出ております国における支援というところの3つ目のポツですが、赤字で「令和3年度以降、消費税財源を充当するための法改正を行い」と書いてありますが、これは具体的にはどんな改正を考えておられるのか、今の時点で分かることで結構ですので、御説明いただけないかというのが質問です。
意見ですが、25ページ、今、今村構成員がおっしゃったところなのですが、私も2025年以降を見据えた新たなビジョンあるいは計画をつくっていく必要があるということは前から申し上げているとおりなのですが、そのときに意識しなければいけないのは、もちろん年次をどうするかということも大事だと思うのですが、それと同時に、重要なのは地域医療構想というのは社会保障と税の一体改革という大きな枠組みの中から出てきたものであるということです。ですから、給付と負担、特に財源のあり方をどう考えるかという大きな枠組みを考えないと、単なる机上の空論になってしまう可能性があるのではないか。これは意見として申し上げておきます。
質問のほうをお願いできますか。
○小川課長補佐 22ページの国における支援の3つ目、消費税財源を充当するための法改正というところでございます。大変恐縮ながら、現時点でまだ法改正をどういう形でこれを実現していくかというところ、現在、事務局といいますか、どういった対応ができるかということも含めて検討中ということかと思っています。今年度の予算を措置する際、昨年末でございますが、厚生労働大臣と財務大臣が折衝する中でこういった方向性が示されている状況でございまして、この具体的な内容は今後検討していくという状況でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
今村構成員。
○今村構成員 先ほど小熊構成員がおっしゃった精神の問題と各疾病別の対策の問題について意見です。精神の問題も含めて、全体に必要なのは一般の医療と隔離された状態で専門医療を提供するという話なので、産婦人科にしろ、精神科にしろ、外来を隔離する、一般入院病床を隔離するという物理的に離れた、もしくは陰圧のという構造的に別のものを持っていなければいけないという話になります。ですから、疾病別に議論をしていったとしても、最終的に丸めて何床ICUが必要ですかとか、どんな診療科でも診られる隔離病院が必要ですという話になりがちです。でも、結果的にそれを一個ずつするのは難しくて、大きな病院にくっつけてそれをつくるという話になっていて、すると、大きな病院に余力を持っていなくてはいけないというようになると思います。すると、どんな構造になるのかなと考えていくと、先ほど許可病床と稼働病床の話がありましたけれども、許可病床としては大きな許可病床を持っていて、稼働病床としてはもう少し少なめを持つというイメージになっていくのかなと思うのです。その場合に、許可病床ということをこの医療計画や医療構想の中で法的にどう整理するのかというのは必要かなと思います。
実際に物理的に病院があって入院できるところがあれば、それは稼働病床として認めているわけで、物理的にできれば許可病床の範囲ならば認めているわけで、そうすると、それは受け身としてつくられているのが稼働病床のほうだと思うのです。ですから、法的に認めているのは許可病床のほうで、それに対して稼働病床を、これを2段構えにするのだったら法的に位置づけをするか、もう少し稼働病床にするための基準のようなものを明確にしていかないと、この両立も難しいと思うのです。事業のほうで感染症を走らせて、構想のほうは構想で走らせるのであったら、最終的な調整としては、許可病床の部分と稼働病床の部分の法的な整理と、そこを余力として持つという話になっていくのかと思います。これは厚労省で本来考えるべきことだと思うのですけれども、そのように整理していく必要があるのではないかと思うので、意見として述べさせていただきました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほか、いかがでしょう。
小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 先ほどは質問という形で、意見も入っていたのですけれども、もう一度私どもの意見という形で今度は述べたいと思うのですが、今村先生もおっしゃいましたように、感染症という特殊な施設条件が要るわけですね。感染症に対応するには一般医療とも違うし災害医療とも違うので、ですから、それをどれだけ各圏域に持たせるかという基準的なものがないと、各圏域で協議してそれぞれの医療機関が機能分担して対応してくださいと言ってもなかなか簡単にはいかないと思うのです。もちろんそれには設備的なものもありますし、余力を持たせようと思えば当然平時には無駄になる可能性もあるわけで、そういったことを詰めていくには、一定数の根拠みたいなものがある程度必要になるのだと私どもは思っているのです。ですから、そういう根拠をある程度出して、地域が具体的に協議できるような時期が必要なのだろう、資料、データも必要なのだろうと思っております。ですから、そういったことを考えた上で今後の在り方を決めていかざるを得ないのではないかと思っています。
それと、何度も言いますけれども、精神にしろ、産科にしろ、小児科にしろ、それぞれ個別の問題、普通の一般科よりは高いので、そういったものをきっちり考えていかなくてはいけないと思っておりますので、そういったことを考えた上で、ある程度の基準となるデータに基づいて将来のありようを決めていかざるを得ないのではないかというのが私の考えであります。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。
それでは、本日、幸野構成員は御欠席ということでございますが、参考資料のとおり御意見をいただいておりますので、事務局から御紹介をお願いします。
○小川課長補佐 では、参考資料1をお手元にお配りしているかと思います。これにつきまして、私から読み上げさせていただきたいと思います。
まず論点1.地域医療構想と感染拡大時の取組との関係ということでございます。11月19日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」において、第8次医療計画の記載事項に「新興感染症等の感染拡大時における医療」が追加されることがおおむね了承された。これにより「感染症拡大時に感染症対応が可能な病床を一般病床からどのように転換していただくか」等の非常時の対応が前提とされることとなる。そうであれば、車の両輪の関係である地域医療構想はあくまで今後、確実にやってくる将来の医療需要の変化を見据え、各地域の実情も勘案いただきながら病床のダウンサイジングや機能の転換、さらには必要に応じ病院の再編・集約も選択肢に入れて各地域で検討いただき、県ごとに策定する「医療計画」や「予防計画」においてはその中で感染症拡大時の対応を担保するという整理でよいのではないか。
論点2.地域医療構想の実現に向けた今後の取組について。現在足踏み状態にある地域医療構想調整会議を早期に再開、活性化すべく、国はデータ・知見の提供を行うとともに、病床機能の再編統合を行う場合には、当然必要な財政支援を行うべきである。あわせて、新型コロナウイルス感染症対応の先行きが見えない中、保健所等が地域医療構想調整会議の事務局機能を担っている現状を踏まえ、地域における議論の効率的な進め方を提示するなどの工夫も必要となるのではないか。
論点3.地域医療構想の実現に向けた今後の工程について。地域医療構想の実現に向けた今後の工程について、2つのポイントがあると考えている。まずは、2025年という地域医療構想そもそもの目標年次であるが、その前に2024年度から始まる第8次医療計画も見据えた対応も重要となる。第8次医療計画の作成指針等の策定は2022年度頃から行われ、それを受けて各都道府県が2023年度に具体的な計画策定を行っていくこととなる。それを踏まえれば、2022年度中をめどに地域医療構想の実現に向けた地域の議論が進捗していることは、2025年の先を考える上でも重要であると思われる。
現在、新型コロナウイルス感染症の第3波が来ているとの指摘もあり、そうした中で地域医療構想の議論を再開させるのは困難だとの声があることは承知しているが、重点支援区域はじめ可能な構想区域で検討が再開できるよう、地域の実情に配慮しつつも2022年度を見据える形で今後の工程を具体的に明示すべきである。
こういう形で意見をいただいております。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はいかがでしょうか。
織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 前回、ヒアリングを5つの病院にしていただき、苫小牧市立病院、これは10ページに資料がありますけれども、3つ目の○ですね。同一医療圏にもう一つの民間総合病院があって、コロナは主に当院で診て、コロナ以外はもう一つの病院が診たということで、コロナ病院とコロナを受け入れない病院の2つにしっかり分けているのです。これは多分地域医療構想調整会議で常に議論ができて、さらに信頼関係ができているからこういうことができたのだろうと思います。基本的にはコロナを受け入れられない、一般を受け入れるというのは非常に難しい問題が出てくるので、ある意味ではこのような例が一つのモデルにこれもなれるのではないかと思いました。ふだんはいろいろな競合しているところもあるのでしょうけれども、こういう感染症に対しては、一つがそのような形で受け入れて、一つは一般の救急、一般医療が困らないようにコロナ以外を受け入れるという考え方もあっていいのかと思って聞きました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 病院の機能分化ができるのが一番理想的だとは思います。今回、新型コロナは飛沫感染なのでまだ今のような対策で済むのですけれども、これが新型麻疹、空気感染だったらこんな状況ではなかったはずなのです。ですから、本当に今の新型インフル、新型コロナタイプで考えるのか、新型麻疹で考えるのかで随分対策は変わってくる。今のところ動線と個室という話で行っていますけれども、新型麻疹になると陰圧室が必要になってきます。だから、全個室に陰圧をつけるかつけないかという話がさらに上に乗ってきますので、そうなってくると、病院単位でやるにしても建物として独立させなければいけないという問題が出てくるので、さらに問題としては難しくなってくると思います。ある程度感染症病床は麻疹タイプでも対応できますけれども、あれは一気に広がりますから、数としては全然足りなくなるのは目に見えています。
今回、有事に確保する病床に対してどこまでそういう感染症対応ができる病床を確保しておくのかということは、構造の改変と直接影響してきて、今のコロナよりももうワンランク上のレベルを考えるかどうかで随分その後の対策も変わってくると思います。ですから、病院単位で分けられるところはやっていくのがいいとは思うのですけれども、現実問題、こんなにきれいに分けられるところはあまりないと思うので、そこは何パターンか分けて対策を考えていかなければいけないのと、もうワングレード上の感染症があることも忘れずにぜひ考えてもらいたいと思います。
○尾形座長 小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 織田先生に苫小牧の実情をお耳に入れておこうと思うのですけれども、この苫小牧市立ともう一つは王子総合病院というのですけれども、王子という製紙会社がありますね。あれの企業病院なのです。どちらも同じようなベッド数で、王子のほうがちょっと大きいのかな。そして、ふだんから地域で病院の機能をお互いに分け合って診ているところなのです。ですから、公立と民間とがうまく機能分担できた。ふだんからやっているところなのでうまくいったのだと思うのです。それをあえて私は少し知っているものですから御報告をします。
今出ましたように、機能分担というのは非常に大事だと思うのですけれども、御存じのように今は北海道ではまさにコロナの拠点病院である国立病院が1つ潰れましたし、民間の手稲渓仁会、この2つ、物すごく頑張ってくれていたところが潰れています。コロナの院内感染です。旭川では旭川厚生病院、これも拠点病院ですけれども、コロナでそれも潰れてしまって院内感染を起こしてしまっている。ですから、いろいろなことが考える中で出てくるのだろうと思うのです。そういったことを、今村先生がおっしゃったように感染の難しさが要素として入ってきますので、そういった点は抜け落ちていてはいけないのではないかというのが、先ほども申しましたけれども、私の印象でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 これはこれから先医療計画のほうで話すことになるのかもしれませんが、先ほど今村先生が言ったようなことは非常に重要だと思います。今はもうコロナで我々はいっぱいなのですけれども、この先、感染症対応というのはコロナだけではないので、だから、どこまでやればいいというのも、またこれも分からない話なのですが、感染症病床、これは感染症の部会のほうで決めることかもしれませんが、少なくとも陰圧病床などの整備に関しては早く着手して増やしていかないと、なかなか今後の感染症に関しての対応が厳しいのかなという気がしております。
それから、先ほども言いましたけれども、今の北海道や大阪の状況を見ていると、何年か先にこういう計画でというレベルではなくて、すぐ手を打っていかないと手後れになったら嫌だなという気がしておりますので、その辺はコロナ感染症の本部で決めることかもしれませんけれども、みんなで力を合わせていかないと対応が厳しくなってきているなという気がしております。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。ほかに御意見、御質問がないようですので、そろそろ今日の会議を閉じたいと思いますが、本日も様々な御意見を頂戴いたしました。事務局におかれましては、本日の議論を整理していただきまして、次回の本ワーキンググループでは、これまでの議論を踏まえ、引き続き一定の方向性の提示に向けて御議論いただけるよう、事務局で必要な準備を行っていただきたいと思います。
用意した議題は以上でございますが、そのほか、全体を通して何か御意見、御質問等があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。
最後に事務局から何かございますか。
○木下専門官 次回のワーキンググループにつきましては、詳細が決まり次第御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
○尾形座長 それでは、本日のワーキンググループは以上とさせていただきます。
大変御多用の中、熱心に御議論いただきまして、どうもありがとうございました。

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