第100回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和2年10月16日(金)15:30~17:30

場所

オンラインによる開催(厚生労働省省議室)

議事

○阿部分科会長 それではただいまから、第100回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の分科会も、ZOOMによるオンラインでの開催となります。開催に当たり、改めて事務局から説明がありますので、よろしくお願いします。
○小林障害者雇用対策課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林です。本日は、3回目のZOOMによるオンラインの会議となっておりますが、簡単に改めて操作方法のポイントを御説明させていただきます。事前にお送りさせていただいている「会議の開催、参加方法について」を御参照ください。本日、分科会の進行中は、委員の皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際にはサービス内の「手を挙げるボタン」をクリックしてください。分科会長の許可があった後に、マイクをオンにしていただき、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。また、会議進行中にトラブルがありましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡をお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、分科会を一時休憩とさせていただくこともございますので、御容赦くださいますよう、お願いいたします。オンライン会議に係る説明については、以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、本日の出席状況を御報告したいと思います。本日は岡本委員、門﨑委員が御欠席です。なお、長谷川委員は所用のため途中からの御参加と伺っております。
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、4つ用意されております。なお、本日は議題2の関係で、労働政策審議会運営規程に基づき、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課に御出席いただくこととしております。それでは、議題1について事務局から説明をお願いしたいと思います。議題1は「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則第二十条の二第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める障害者介助等助成金の額等を定める件及び障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則第二十条の四第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める重度障害者等通勤対策助成金の額等を定める件の一部を改正する告示案要綱について」の諮問です。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。資料1を御覧ください。今回の諮問案件は、障害者介助等助成金と重度障害者等通勤対策助成金の納付金助成金の拡充をさせていただき、10月1日から施行させていただいているものです。本助成金は、重度訪問介護サービス、同行援護及び行動援護の利用者に対して業務遂行のために必要な職場介助者の委嘱、そして通勤を容易にするために援助する通勤援助者の委嘱、これらについて助成率を5分の4、中小企業については10分の9とさせていただき、それぞれの上限額をその割合に応じて引き上げて施行させていただいているものです。これらの助成金については、基本的に、一会計年度でそれぞれの事業者との契約を1回と規定しておりましたが、その後、実際には複数のサービス事業者等に委嘱するような状況も見られましたので、今回は不備の改正に近いものですが、助成金の率及び額等は全くそのままでありますが、一会計年度あたり1回というところを削除させていただき、上限額の中で、それぞれ柔軟に活用いただくように措置をさせていただきたいというものです。
本件をお認めいただければ10月1日以降に支給する両助成金に対して適用させていただきたいと考えております。説明としては以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。本件につきましては、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に対して諮問がなされております。当分科会としては、本件について議論を行った上で、その結果を労働政策審議会に報告したいと考えております。
それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問や御意見がありましたら、視覚・聴覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、必ず挙手をしていただき、私が指名した後に、お名前を名乗ってから御発言いただくようお願いいたします。いかがでしょうか。特に、御発言、御質問ございませんでしょうか。
特にないようでしたら、当分科会は、厚生労働省案を「妥当」と認め、その旨を分科会長名で、労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
ありがとうございます。それでは、報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案表示)
それでは、この報告文案により、労働政策審議会会長宛てに報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。今後は、労働政策審議会会長宛てに報告した後、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申することとなります。ありがとうございました。
続きまして、議題2について事務局から説明をお願いいたします。議題2は、障害者雇用・福祉連携強化PT「中間取りまとめ」についてです。では、よろしくお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。資料2-1、資料2-2を御覧ください。まず、資料2-1は、今申し上げたプロジェクトチームのこれまでの設置、開催状況について改めてご説明するものです。平成31年の法改正の審議において、衆参両議院から、附帯決議としていただいております雇用施策と福祉施策の一体展開への推進を審議できる体制を速やかに整備というところに基づき、本プロジェクトチームを設置しております。それ以降、主に通勤支援と職場等における支援につきまして議論を重ね、年明け以降からは、少し全体的な就労支援について議論を重ねてまいりました。今回、その結果として資料2-2に、「中間取りまとめ」として議論の結果をまとめております。
資料2-2で、概要を説明いたします。まず第1として、現状認識と課題認識について整理しております。雇用施策・福祉施策の両方におきまして、それぞれ取組を進め、障害者雇用は着実に進展し、また同様に福祉から雇用という流れも進展を見てきたわけですが、一方で整理・解決していくべき課題も顕在化してきたところです。2番の基本的な現状認識ですが、まず課題認識の1つとしては、それぞれの施策が縦割りになっていること等による課題です。1点目、就労能力や適性を客観的に評価し、可視化していく手法等が確立されていないと、御本人のニーズに合った必要な支援等を選択していただく際に、参考となるような雇用・福祉共通の判断基準等がないといったこと等から、支援の利用に当たりましては、本人あるいは現場の判断に任されていて、御本人を中心としたシームレスな適切な就労支援が提供できていないのではないかといった課題認識です。2つ目が、医療面や生活面の支援が必要な重度障害者のみならず、例えば精神・発達障害者に加え、高次脳機能障害や難病の方、多様な障害をお持ちの方、あるいは高齢になった障害者といった様々な方の就労支援ニーズが増大する中で、それに応えるべく人材というのが質・量ともに限定的ではないかという課題認識です。3つ目が、通勤、職場の介助でも見えてきましたが、やはり制度の谷間が生じている点、あるいは一方で重複感に対しての指摘もあるという課題があります。
次に、就労支援ニーズの増大に対応する必要が生じてきた課題として、障害者については特に就職、雇い入れ時点、あるいは一定期間の職場定着といったようなスポット的な観点による支援が重点的に行われてきた中で、やはり中長期的なキャリア形成のニーズが増大しているのではないか。あるいは働き方についても柔軟に、在宅、テレワーク、短時間といったような多様な働き方のニーズが増大しているのではないか。あるいは技術革新等の進展、今般の新型コロナの影響などにより支援の在り方もオンライン化といったニーズや、テレワークを更に進めるようなニーズが増大し、特にウィズコロナ、ポストコロナ時代においては就労の可能性も拡大しているのではないか。こういった状況の変化に対して、しっかりと対応できているかというのが2つ目の課題です。
最後が、現行制度が抱えている課題です。1つ目は、雇用施策に内在する課題としては、障害者の雇用が進展すればするほど納付金財政は構造的に逼迫するというような課題、あるいは大企業やA型事業所に対しては調整金が上限なく支給されていることから、企業の社会連帯の範囲を超えた負担の調整が行われているのではないかといった指摘があります。また、雇用率制度においては、対象障害者の範囲や、在宅就業障害者支援制度等について、福祉施策との連携を進めながら検討する必要があるのではないかといった指摘があります。
一方で、福祉施策に内在する課題として、福祉施策としては、就労系障害福祉サービスが3つあります。まず、就労移行支援については、一般就労への支援が大きな役割になっているわけですが、移行実績が未だ低調な事業所が一定数存在する。あるいはA型については、雇用という形で最低賃金を支払えるだけの収益を上げることが1つの目標となっておりますが、経営改善が必要な事業所が多々存在します。あるいはB型については、利用者の障害特性、また求めるニーズが非常に多様化している実態に対して、賃金向上といったような1つの方向性で取り組んでいるような状況があります。こうしたことから、それぞれの役割に対してしっかりと対応できているかという課題があります。
これらの課題認識に基づき、資料2ページに、それぞれ当面の検討の方向性として取りまとめをしております。1点目は、効果的で切れ目のない専門的支援体制の構築です。(1)雇用と福祉、それぞれ共通のプラットホームとして御本人の就労能力や適性の評価の仕組み、いわゆるアセスメントの仕組みを作って、支援計画の共有化も図ってはどうかということ。(2)専門的な支援人材について、雇用・福祉施策をまたがる横断的カリキュラムの設定により、共通の人材の育成の仕組みを構築してはどうかということ。そういった横断的なスキルを身に付けていただいた上で、専門的に更にスキルを重ねていただくわけですが、それぞれの専門人材に対しての役割を改めて整理してみてはどうかということ。(3)通勤や職場等における支援の充実等です。10月から施行いたします取組の状況を踏まえながら、更に必要な検討を行っていくということ。併せて、各地域における就労機関それぞれについての役割分担を改めて明確化し、抜け漏れのないような形を検討してはどうかということです。
2つ目ですが、多様な就労ニーズへの対応としては、それに応える人材の育成の確保という意味では、1の2)と同様です。それに加えて、例えば障害者御本人に対しては、更に可能性のある業務の創出・改善やテレワークといった働き方の更なる推進といったようなこと、また多様なニーズに対応したという意味で言えば、在職者訓練の強化や、訓練手法につきましても、オンライン化といったようなこと、人材開発施策とも連携しながら検討すべきではないか。働き方といたしましては、短時間雇用を中心とした多様な働き方への対応ということも検討すべきではないかということです。
3つ目は、現行の制度の抱える課題に対しての対応です。まず、(1)障害者雇用促進制度の在り方の見直しとしては、特に雇用率・納付金制度におけるA型事業所の取扱いの検討、あるいは対象障害者の範囲について、精神障害者については精神通院医療の自立支援医療受給者証の取扱いや、難病に対しては指定難病の医療受給者証の取扱いといった観点、更に一歩進み、障害者手帳を所持していない方に対する取扱いとして個々の就労の困難性を判断していくといったようなことです。これは1の(1)で、構築してはどうかということを申し述べましたが、アセスメントの実効性を見ながらということになろうかと思いますし、更に、先の将来的な視点になろうかと思いますが、引き続き検討していくべきではないかということです。そして、それぞれの職業リハビリテーション機関についても、更に役割や在り方を再確認していってはどうかということです。
(2)就労系障害福祉サービスの見直しに当たっては、先ほど申し上げたようなそれぞれの就労系障害福祉サービスの在り方を再確認し、課題解決に向けた検討を更に進めていくべきということ。こうした事柄につきましては、雇用・福祉それぞれの双方の関係者を交えて更に検討していくべきと考えております。
欄外のオレンジのラインの所に書いておりますが、今、御説明いたしました内容を中心に更に検討を深めていくために、今般、職業安定局と障害保健福祉部による合同の検討会を立ち上げたいと考えております。参集者といたしましては、この一番下の枠組の所に書いておりますような障害当事者や、労使のほかに就労支援を実践されているような方、自治体の方、あるいは学識者などを想定しており、主に雇用・福祉を担当する両審議会、私ども障害者雇用分科会と、障害者部会それぞれから検討会に御参画いただくことを想定しております。現在、障害保健福祉部と調整しているところです。これらの合同検討の場で、議論されていきます内容につきましても、適宜、審議会にも御報告申し上げたいと考えております。以上が、「中間取りまとめ」の内容の御報告と、併せて今後の検討の場についての御報告です。御意見を賜れればと思います。よろしくお願い申し上げます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見がありましたら、手を挙げるボタンをクリックしていただき、私が指名した後に、聴覚・視覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、お名前を名乗って発言いただくようにお願いいたします。どなたからでも結構です。いかがでしょうか。それでは、まず竹下委員、佐渡委員、仁平委員、そして小出委員の順番でよろしいでしょうか。それでは竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。非常に重要な議題でありますが、時間の関係で3点だけに絞って発言させていただきます。まず1点目は、総論的なことです。福祉と雇用の連携が始まったことは、非常に素晴しい大きな前進だと思っています。それこそ、今の政府がおっしゃっている行政の縦割を大きく乗り越える1つのきっかけになっていると言っても言い過ぎではないほど大きな前進だと思っております。それだけに、そこに抱える問題の大きさを感じるわけです。制度の複雑さ、後でも議題になるような谷間の問題であったり、あるいは専門性が分化して進んでいたことを1つにすることからくる矛盾であったり、財源の問題であったり、それらが非常に複雑なものを生み出している不安感というか、心配感があります。そういう意味では、この議論が大きな成果をもたらすためには、こうした総論的な意味で、財源であったり、谷間を生まないための制度として今後どういう形で発展させていくのかということについては、重要な一歩を踏み出したのではないかと思っております。それを前提にして、2つだけ申し上げたいと思っております。
もう1つは、ここで専門性の問題が出ました。このことは、私は重要なポイントだと思っております。なぜかと言いますと、行政においてでさえ、国の行政においてでさえ、福祉の分野と、労働行政の分野を同時に精通した人が存在することは、まず例外だろうと思います。それが、自治体においてはどうかといえば、そのことが大きな壁になっていることであります。それを現場においてみますと、福祉の制度の成り立ちと、雇用行政の成り立ちというものの両方を念頭に置いて制度を運用していくということを理解した形で、事業所や福祉関係者がそれを捉えることの困難さがあるかと思います。であるだけに、双方の制度を理解した専門性の高いと言いますか、双方の分野に渡って理解を十分に身に付けた方が制度を運用する、あるいはコーディネートをしていく、アドバイスをしていく仕組みを作らないと、雇用と福祉の連携がうまくいかないのではないかと思っております。
3点目は、この10月から福祉と雇用の連携事業がスタートしたわけですが、お聞きしていると13自治体が手を挙げたと聞いておりますが、最後は14団体の自治体の方かな、そこのところが、私の知る限りでは、極めてピンポイント的な制度の運用にとどまっていると理解しています。それらの実績だけで、来年の4月以降の大きな広がりを前提とした制度の説明や運用になるのかを心配しているわけです。すなわち、この10月からのスタートそのものが、何と言いましょうか、限られた、しかもごく例外的なところでの制度運用になっているというふうに思うわけです。それが、本当に本来の雇用と福祉の連携として幅広く、例えばで言いますと、同行援護事業者あるいは重度訪問介護者の訪問介護の利用対象者が本当に全体として通勤から職場へという形で制度が利用できるようになっているのか、今回、初めて壁が開いた自営業者に対する制度の利用という場面において、自治体に押しかけても、全く理解してくれない、全くは形容詞ですが、なかなか理解してくれない。それだけに、これまで存在しなかった自営業者に対する福祉制度の適用というのは、今まで誰も経験していなかったと言っても言い過ぎではないと思うんですよね。それを来年から大きく広げようとするわけでありますから、この10月からの実績というところにこだわらずに、現時点で見えてきた矛盾というものを大きく幅広く捉えた上で、来年4月以降の実施に向けた準備をお願いしたいと思っております。長くなりましたが、以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。竹下委員、ありがとうございました。頂きました意見、特に10月からの施行される新制度について、先ほどの説明ではそれらの実施状況も踏まえて今後の在り方を更に検討と申し上げましたが、当然のことながら、10月から今年度中の実績だけをもって何か方向性を出していくというよりは、来年度、更に横に広がっていく状況ももちろん踏まえながら、順次見えてきた課題に対しては、なるべく早期に解決できる部分については解決をしていくということで、とらまえていきたいと考えております。以上でございます。
○阿部分科会長 それでは、佐渡委員からお願いいたします。
○佐渡委員 使用者側代表の佐渡です。1点御質問があります。障害者雇用と福祉連携の強化についての意見ですが、中間取りまとめについては、2017年9月20日に第1回が開催され、その後15回に渡る検討会で協議され、2018年7月30日に、今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会で報告書が取りまとめられました。その報告書の内容を基に、厚生労働省内で、今後どのように取り組んでいくか、方向性としてまとめたものなのか。あるいは、研究会報告書の次の段階として、「障害者雇用・福祉連携強化PT中間取りまとめ」を作成されたので、今後は障害者雇用・福祉連携強化PT中間取りまとめを基に議論をしていくのか、研究会報告書と、障害者雇用・福祉連携強化PT中間取りまとめとの関係についてお教えいただきたいです。以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局お願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今、佐渡委員からありました「障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」は、これまでにも何度か、この場で論点整理をさせていただく中で、その研究会報告書に基づく事項自体も盛り込み、整理をさせていただいたものです。研究会報告書及び、前回の改正に向けて取りまとめていただいたこの分科会の意見書、これら2つの議論の成果は、現在において積み残っている課題としては引き続き、現在の論点の中にも整理して盛り込んでいるものです。正に、障害者雇用対策として、当分科会の中で議論が積み重なってきたものの成果と考えております。
一方で、新たに雇用だけではなく、福祉施策という観点を併せて、正に雇用と福祉の連携の中で議論していくべきテーマも多々見えてきている中で、別途、この雇用・福祉連携プロジェクトが立ち上がって、連携施策に基づく課題の整理として並行して議論がスタートしているものです。これまでの分科会で成果として取りまとめていただいた積み残しとなっている課題と、一方で、雇用・福祉で更に見えてきた課題に対して、いろいろ議論した成果が最終的には一つになって、また分科会で論点整理をさせていただき、それに向けてまた議論を深めていくことではないかと思っておりますので、それぞれの関係で申し上げれば、事務局としても整理した上で、分科会で更に検討していく事項になっていくものと考えております。
○阿部分科会長 佐渡委員、よろしいでしょうか。
○佐渡委員 分かりました。結構です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは続いて、仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 連合の仁平です。私からは3点あります。まず、資料2-2の2ページの一番下の合同検討会の立ち上げのところです。立ち上げ自体は了解したいと思っているのですが、その性格について、方針を決めたり結論を出すような場ではないという理解でよろしいでしょうか。また、審議の途中経過などについて、この分科会の委員の皆様方に丁寧に説明いただいて、共有いただくことが大事ではないかというのが1点目です。
2点目は、2ページの1番の(2)に、「就労支援人材の育成・確保」と書いてあります。この意味合いですが、従来の就労支援に携わる人材に加えて、新たに専門人材を育成した上で確保し、体制を強化していくという理解でいいのかということです。これもその上であれば、新たな支援体制の構築によって、これまでの業務の重複化や人手不足などによる負担増が生じることのないように対応していただくことが大事だろうと思いますし、障害者に、より一層丁寧な支援をするためにも、十分な財政的あるいは人的支援をお願いしたいというのが2点目です。
3点目は、その下の2番の(2)の3つ目のマルです。「雇用関係以外の働き方など、多様な働き方への対応も検討」という記載があります。障害の種類や程度によって、様々な働き方を選択肢として用意する必要があるというのは理解した上で、最低賃金の適用や雇用保険、労災保険など労働者保護という意味では、やはり雇用への移行が重要ではないかと思っておりますので、これは意見として申し上げたいと思います。
○阿部分科会長 事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。では御指摘いただいた点について、1点目からお答え申し上げたいと思います。仁平委員から承った合同検討会の位置付けについては、仁平委員の御理解のとおりです。基本的に、この合同検討会は、今回取りまとめて御報告申し上げた「中間取りまとめ」を踏まえ、それらの中からメインになるテーマ等を中心に御議論していただいて、更にその検討の方向性をより具体化し、明確化していっていただくものです。したがって、何かを結論付けるということではなく、論点の整理をより一層深めていただくものと思っております。その上で、御意見としていただいた途中経過についても、もちろん御報告できる段階になりましたら、丁寧に共有を図らせていただきたいと考えております。
2点目の新たに専門人材を育成するのかという御質問については、まずは現在、雇用や福祉のそれぞれに携わっておられる専門人材の役割を改めて整理し、それに基づいて今必要とされている支援などに対応できているのか、あるいは重複感がないのかといったことを明確化した上で、もし仮に別途、専門人材が必要であれば、そういったご意見をいただければと思います。今後の整理の中で見えてくれば、新たな人材の育成も視野に入れながら、いずれにしても必要な財源措置等にも努めながらというように考えておりますが、これもこれからの御議論の中で整理をしていただければと考えているところです。
○阿部分科会長 仁平委員、よろしいですか。
○仁平委員 ちょっと声が小さかったところはありますが、何となく伝わりました。
○阿部分科会長 続いて小出委員、よろしいでしょうか。お願いします。
○小出委員 手をつなぐ育成会の小出です。1ページの2と、2ページの第2の2に、新しい働き方としてテレワークの件が上がっております。今後のウィズコロナ、ポストコロナ時代には、テレワークが必要なツールになるということで上げられております。私もそう思っておりますけれども、知的障害の人がどれだけ使われているのか。前回、ほとんど使われてないという報告をいたしました。育成会のほうで、全国にこの調査をいたしました。そうしたら大阪圏のほうは残念ながら上がらなくて、関東圏ですけれども、東京のほうは外務省で既に知的障害の一部でテレワークをやっていました。また、2つの会社が知的障害のテレワークをやっていました。これはZoomを活用して行っているということでした。いろいろな指示もZoomで顔を見ながら、この頃そういうことをやっているというのがありました。
それから就労というか、雇用を担当しているところから上がっているのは、最近、障害者雇用の領域では、企業が障害のある人の働く場所を自社企業内だけでなく、外部に確保することで雇用率の達成を図っているというのを、あからさまにやられているということが目に付くということでした。テレワークの在り方を安易に進めると、障害者がいなくてもできるものですから、これを雇用率に換算することができると思いますけれども、そこでこういうことが実際に起こっているということも含めて、危惧しているという報告がありました。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは池田委員、高橋委員、阿部委員の順番でお願いしたいと思います。
○池田委員 経団連の池田でございます。佐渡委員と仁平委員のご発言とも関係しますが、仁平委員に対する小野寺課長の御説明が聞き取れなかったこともあり、もう一度同じ質問をさせていただければと思います。この中間取りまとめは、国会の附帯決議を受けて、あくまで厚労省事務局として、課題と検討の方向性を整理したものと受けとめております。取りまとめに当たって本分科会で審議したものではないため、分科会での議論は、中間取りまとめの方向性にとらわれるものではないことを確認させていただきたいと思います。また、今後は合同検討会で、この中間取りまとめを出発点として議論が進められていくことと思いますが、検討会における成果は、あくまで本分科会の審議に資するための材料であり、本分科会での議論が、その内容に捕らわれるものではないことについても確認させていただきたいと思います。
その上で質問です。参考資料3に、中間取りまとめの全文が紹介されております。その10ページの3.の(1)に、「障害者雇用促進制度の在り方等の見直し」があります。その2段落目以降に、雇用率制度の計算式の分子におけるA型事業所の利用者の取扱いや調整金におけるA型事業所に関する取扱いに言及されており、更に10ページの下から11ページの1行目にかけて、「A型事業所の今後の在り方の見直しを踏まえた検討をしていく必要があるのではないか」という記述があります。
この表現を見ると、福祉政策としてA型事業所の今後の在り方の見直しについて検討が進まないと、雇用政策としての議論ができないという印象を受けます。この障害者雇用分科会における今後の審議と、新設される合同検討会における検討と、更には福祉政策を議論する障害者部会の関係性について、スケジュール感を含めて、もう少し詳しく御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
加えて、合同検討会で今後検討を行い議論を取りまとめていく際、議論の過程で意見が分かれた論点については、少数意見を記載するなど柔軟な対応をお願いしたいと考えます。
○阿部分科会長 御質問もありましたので、事務局からお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御質問のあった件ですが、まず合同検討会の位置付けについて、先ほど仁平委員からもあった御質問と併せて、改めてお答え申し上げたいと思います。今お示ししたプロジェクトの中間報告というのは、省内部のプロジェクトチームにより検討を進めてきたものです。厚生労働大臣まで御報告申し上げましたので、組織としては一定の取りまとめということになりますが、今後、関係者の皆様に御議論いただくための検討の論点、議論をしていただくための素材として、御提示申し上げたという整理かと思っております。
これを踏まえ、合同検討会のほうで、今回整理をした項目素材について、検討の方向性などを更に具体化、明確化していただきたいと考えております。特に雇用サイドとして障害者雇用分科会という議論のみならず、雇用と福祉それぞれの関係者にお集まりいただいて、双方の連携した問題意識をお出しいただくということかと思います。そういった場において、更に深めていただきます。深めていただいたものについては、合同検討会のほうで取りまとめていただいたものを、障害者雇用分科会、障害者部会のほうに改めて御報告を賜りたいと思っております。御報告いただいたものについては、それ以降のそれぞれの所掌に応じて議論を進めていく素材として活用していただくものですので、分科会の検討自体を縛るものではないということは、池田委員がおっしゃった理解のとおりかと思っております。
あわせて、最後におっしゃっていた合同検討会での取りまとめの仕方としても、そういった意味では雇用サイド、福祉サイドそれぞれの関係者にお集まりいただいて、例えば雇用サイドから福祉サービスを見たときの御意見があったり、雇用に対しての福祉サイドからの御意見があったり、様々な多角的な御意見を頂くと思います。そういったことについて、両論併記なり、それぞれのご意見を丁寧に取りまとめの中で反映させていただきたいと考えております。
○阿部分科会長 続いて高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。私からは大きく4つあります。まず初めに、資料2-2の基本的な現状認識のうち、就労支援関係の課題についてですが、新型コロナウイルスの影響で障害者の勤務日数や業務範囲が縮小しておりますので、テレワークやオンライン化に対応した新たな職域拡大に資する教育訓練の整備といった在職者支援の強化・拡充が急務であると考えております。ついては多様な働き方、キャリア形成ニーズに対応できるように、公共及び民間の力を借りた職業訓練等の強化・拡充を是非お願いいたします。
次に来年3月1日に、法定雇用率が0.1%引き上げられる予定になっていますが、コロナ時代に対応した就労支援と、好事例の横展開を行っていただくことで、企業が引上げに向けた準備を円滑に進めることができるように万全な支援をしていただきたいと思います。
更に私個人の強い思いとして、これまでも教育との連携、雇用、年金、福祉等の諸制度間の連携推進を繰り返しお願いしてまいりました。今般、プロジェクトチーム等において、今後の方向性に関する中間取りまとめが行われたことは、高く評価しております。特に効果的で切れ目のない専門的支援体制の構築に関しては、共通のプラットフォームにおいて、就労能力や適性を客観的にアセスメント・評価し、可視化することで、ライフステージに応じたシームレスな就労支援を提供できる可能性が大いに広がると思います。その際に「障害特性」「概念理解」「情報保障の在り方」などを十分に把握し、それらを活かした有効な合理的配慮を提供した上で、職業準備性ピラミッド等のアセスメントを行っていただき、就労支援に活かすことが重要であると考えています。その結果、障害のある方や就労支援機関、受入企業等が更に、共に前に進むことができるため、特に教育機関等との連携は非常に重要です。さらに、これらの実現から、多様な働き方や中長期的なキャリア形成を実現すると思います。
最後に、特別支援学校等の卒業生の受入れに関して、障害のある子供たちの増加や多様化などの課題があります。現状の課題解決には企業ですぐに受け入れるよりも、一旦、福祉就労支援機関等で受け入れて、アセスメントや就労支援を行うことを通常の流れとすることも、課題解決の1つの策であると思いますので、是非検討いただきたいです。
○阿部分科会長 それでは阿部委員、お願いいたします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。よろしくお願いいたします。私の質問と確認は、高橋委員と重なる部分もあります。資料の中間取りまとめの第2の1の(1)にありますが、「就労能力や適性の評価の仕組みの創設や一人一人の就労に向けた支援計画(就労支援プラン)の共有化を検討する」ということは、すごく大事なことだと思います。その中で共有化の共有の範囲も今、高橋委員がお話されたことでもありますが、この支援計画は就労に向けたとあるのは、これが働く前の計画なのか、それとも働きながらの環境との調整も含めた、もっとトータルなものを言っているかどうかということを確認したいと思いました。
そして就労能力や適性の評価の仕組みの創設というのは、多分、時間の掛かるものかどうかも含めて、とても大事なことだけに、ロードマップみたいなものというか、すぐに取り組めるものであればそうかもしれないけれども、その辺のことを確認したくて質問しました。本当に大事な取組だと思っています。それが3の手帳制度との関係にもなるというのは、私も理解できますので、その辺のところが大事だと思いますので確認します。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 それでは事務局、お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今の御指摘ですが、まず今後、共通のプラットフォームとして仕組みを作っていく、アセスメントの仕組み自体をどのような形で位置付け、誰が担っていくのか、支援計画の共有の範囲についても、今おっしゃったような入口部分だけなのか、その後のトータルな観点も含めてなのかというところについては、現在具体的に想定はまだしておりません。これもまた今後の議論の中において、教育関係者、企業の皆様など、様々な角度からそれぞれ関連する分野からの知見もいただきながら構築していければと考えております。
○阿部分科会長 よろしいですか。
○阿部委員 これからもいろいろな検討をなされると思いますけれども、これはとても大事なことだと思います。職場の環境との調整も大事だと思いましたので、働くためだけではなく、その後も生かせることが大事だと思いました。それが加齢とともに働き続けるという、次に出てくることにもつながると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○阿部分科会長 それでは眞壁委員、山内委員の順番でお願いしたいと思います。眞壁委員、どうぞ。
○眞壁委員 全国精神保健福祉会連合会の眞壁です。私は今回、合同検討会ができることを大変期待しております。今回、就労継続支援B型の問題は、本当だったらこの場では余り話せなかったと思うのですけれども、福祉の関係の方もいらっしゃるようなので、お話してみたいと思います。就労継続支援B型の報酬についてです。工賃が高いほど加算が多くなる制度なのですけれども、居場所としてのニーズに取り組んでいる事業所にとっては、そのことがとても不利になります。高い工賃を維持するために、勤務が安定して作業能力の高い利用者を、事業所が就労に送り出しにくくて囲い込んでしまうということも発生しています。職業能力の高い利用者ほど一般就労に送り出せないという状況は、やはり本末転倒ではないかと思っております。やはり本人が希望すれば、よりやりがいのある仕事に就けるように、ステップアップできる仕組みをきちんと作り出していかないといけないと思っております。
○阿部分科会長 それでは山内委員、お願いいたします。
○山内委員 使用者側の山内です。私からは要望を1点だけお伝えしたいと思います。今日説明いただいた資料2-2の2、就労支援ニーズの増大に対応する必要が生じてきた課題の御説明を頂いて、そのとおりだというように認識しております。使用者側の方々の意見を私どものほうで伺うところによりますと、今回御提案いただいた内容は、いわゆる新型コロナが発生する前から議論されてきたものというように理解しているのですが、コロナの影響で様々なものの変化が生じていることは、皆さん方も御承知のとおりかと思います。そういう中で障害者の方々の仕事そのものの見直しを進めざるを得ないというのも、使用者側の今置かれている状況です。
アフターコロナの場合も含めて、在宅勤務が中心となる場合、障害者の方々にしていただいている仕事を見直しせざるを得ないという状況は、各企業共通の課題と認識しております。そういう意味では量の問題と質を高める問題は、使用者側にとっては喫緊の課題となっております。その上で、今日御説明いただいた非常に多岐にわたる施策項目は、それぞれ一つ一つが非常に貴重な課題だと認識しているのですが、先ほど池田委員からもお話があったとおり、スケジュール感的なものを示していただけないかというのが、要望の1点です。できれば優先順位がある程度見えるような形にし、スケジュール感を示していただいて進めるという形をお願いできればと考えております。
○阿部分科会長 では事務局、お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。スケジュール感について、池田委員と山内委員から御質問がありました。後ほど議題3でも御説明申し上げますけれども、現時点においては年度末までの検討のスケジュール、まずは当面、年度内は、分科会としての各論の議論を続けていきます。一方で、先ほど申し上げた合同検討会での議論が並行して進んでくる中で、一定の取りまとめのタイミングになりましたら、雇用・福祉連携の合同検討会の検討の方向性も受けとめながら、改めて分科会のほうの今までの論点整理と一定の整理をした上で、更に具体的なスケジュールを共有させていただきたいと思っております。御理解いただければと思います。
○阿部分科会長 では倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 2点ほど発言させてください。1点目が、客観的に評価をするツールが必要というのは、私も全く異論はありませんし、こういうものはあったほうがいいと思っています。ただ、中間取りまとめでは、能力等に応じて適切な支援につなげられていないのは、アセスメントがうまくできていないからだという捉え方でまとめられているのですが、それはどうかなと私は思っています。先ほど眞壁委員もおっしゃったように、アセスメントの問題ではなく、就労継続支援事業B型の制度上の仕組みの問題としてあるということです。
また、就労移行支援事業でも一定数雇用に移行させられていないというのは、就労移行支援事業所側に移行させるという意識が弱いのです。スタッフ側の意識の問題が非常に大きいのではないかと思っています。そこを解決しないで、アセスメントツールだけを作っても、余りうまくいかないのではないかということです。
逆に心配してしまうのは、「あなたは障害が重いから雇用は無理ですね」という客観的な資料になってしまうことを、私は心配してしまうのです。ですからツールの開発と同時に、ツールの使い方の問題と、もう1つ適切な支援につなげられていない理由が制度上の仕組みにあるということを、整理する必要があるのではないかと思いました。
それからもう1点です。就労定着支援において、就業生活支援センターや、職場適用援助者の役割分担について記述されていますが、私はそんなに役割分担を明確にする必要があるのかと思っているのです。というのは、就労支援だけでも、役割分担をすると支援がぶつ切りになってしまうのです。担当者がどんどんぶつ切りになってしまうのは非常にマイナスになることで、今、役割分担を明確にするほど支障が出ているのかというところが気になっています。むしろ利用者が、適切に支援してくれる所を選んでやっている結果ではないかと思っています。役割分担を明確にすることで、ここはこれをする、ここはこれをすると明確に決めて、就労支援をぶつ切りにしてしまうというところは避けなければいけないのではないかと思っています。
○阿部分科会長 ほかに御発言の方はいらっしゃいますか。よろしいですか。それでは議題3に移りたいと思います。議題3は、「今後の障害者雇用対策の検討の進め方について」です。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。資料3-1から資料3-3までを使って御説明いたします。まず、資料3-1は、前回の第99回の分科会において、頂きました主な意見として取りまとめております。頂きました御意見については、御意見として受け止め、今後の検討に向けての段階で留意していきたいと考えております。1点のみ、この意見等を踏まえ、資料3-2にあります論点整理(案)を変えておりますので、その点を御説明したいと思います。
資料3-1の一番最後の4.「上記論点以外の意見」の3つ目のポツです。倉知委員から御指摘を頂きました件で、「雇用の質の向上」という論点を設け、合理的配慮、雇用におけるソーシャルインクルージョンの促進、働きがいの持てる環境設定、キャリア形成の促進といったものを記載できないかという御意見を賜りました。
これに基づき、資料3-2は、今後の検討に向けた論点整理(案)の2ページ目の一番下の3.「その他」の部分に、マル1雇用の質の向上についてということで、御指摘のありました内容について改めて盛り込んでおります。論点として修正点は以上です。
あわせて、資料3-3を御覧ください。今後の検討スケジュールです。先ほどの議論の中でも委員から御指摘がありましたが、今後のスケジュールについては、前回、お示ししたものを改めて提示しておりますが、年度内においての主な検討の中身について整理いたしました。
前回の分科会においては、この令和3年1月頃からスタートする「障害者雇用率制度・納付金制度」に関する各種論点についてと、各論の議論がスタートすることについて、少し時期尚早ではないかといったような議論、なかなかまとまらないものについては後回しにしてはどうかといった御意見も頂いたところではありました。分科会長とも御相談し、改めて1月からのキックオフを提案したいと考えております。
と申しますのは、この令和3年1月頃から取り上げるテーマについて、まずは雇用率制度・納付金制度についての現状の認識をこの場で早めに共有したいという思いがあります。手元にあります様々な制度運用上の実績あるいはデータ等についてお示しをし、又はJEEDの調査結果についても、順次提出されるものについては、この場で共有し、必要な議論をする。早めに意見交換ということで様々な御意見を頂き、その頂いた御意見に対して、更に追加的に必要なデータや資料をそろえて御提示し、更に御意見を頂くということで、なるべく早い段階からこういった場で議論していくことにより、議論の深まりも出てまいりますし、特に、雇用率制度・納付金制度は非常に重要な障害者雇用対策上の制度ですので、早めにキックオフをしながら検討を深めていきたいということです。
したがいまして、令和3年1月頃から、このような形で進めていきたいと考えております。このスケジュール(案)には、見えておりませんが、先ほど議題2で御説明した合同検討会が動いている状況の中で、合同検討会については、論点としては重なりもありますが、福祉サイドからの御意見も頂きながら、最終的に雇用・福祉連携の中での観点を今後の検討の方向性の中で生かしていくということです。それを受け止めた上で、分科会で1月以降進んできた論点と、取りまとまったタイミングで再整理し、論点の粒度なども検討し直すことになってくるかと思います。そういったことで、1月以降は、長期間にわたって検討を繰り返していくようなスケジュールになっていくと考えております。以上が今後の進め方についてです。今回これで御了承いただければ、このような形で今後、御協力いただきながら進めてまいりたいと考えております。
○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの件について質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見がありましたら、手を挙げるボタンをクリックしていただき、私が指名した後に、聴覚・視覚障害者の方々の皆様への情報化、情報保障の観点から、お名前を名乗って御発言いただきますようお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、佐渡委員、池田委員、中川委員、高橋委員の順番でお願いします。では、佐渡委員からお願いいたします。
○佐渡委員 使用者側代表の佐渡です。まず、4点ほどあります。先ほどから話題のスケジュール感についてです。最終的に、どの程度の議論を踏まえて、いつまでに分科会としての方向性を出すのかを知りたいと思っております。
2点目は、論点整理(案)についてです。精神障害者のカウント等について、個別案件については項目も多いことから、あえて詳細には書いておりませんが、法定雇用率算定の計算式を現在のままにすると前提し、精神障害者に関する雇用率のカウントについては、短時間の就業者の取扱い、等級ごとのカウント方法についても議論が必要です。
また、精神障害者のカウントを行うための前提となる精神障害者保健福祉手帳の保有の有無だけでは、精神障害者と同様にもかかわらず、隠れている障害者のカウントができるように考慮することが必要だと考えます。手帳を保有していなくても、医師の診断書、処方された薬の種類・程度、あるいは就労パスポート、ジョブ・カードなどにより、本人が明記している場合にはカウントできるようにしてもいいのではないでしょうか。
次に、納付金制度の在り方についてです。現在、すぐに変更されるわけではないと思いますが、調整金・納付金制度を法定雇用率に近付け、適用拡大を行う議論を拙速に対処されては、現在のコロナウイルス感染症の多大な影響の、特殊な影響から通常の経営活動を取り戻していない状況において、経営者の心理的な負担は計り知れないものがあります。2022年からは、雇用保険において企業に係る保険料の増加、厚生年金の人数規模の拡大、子ども子育て給付金などの費用負担、そして、高齢者70歳までの就業機会の確保のための努力義務、各種届出書類の増加なども見込まれており、労働環境に関する経費と労力は増加の一途をたどっております。個別の制度でなく、負担の全体額や項目を勘案していただく必要があると考えております。
障害者雇用は、社会に資する企業がそれぞれ負担しながら、互いに雇用を確保していくことが重要です。そのために適用拡大により罰則的な納付金を納め、適用拡大を行うのであれば、同時に雇用を確保するのが、雇用する自己負担分を補う施設や、障害者を受け入れた場合の全額の助成措置を考えていただきたいと思います。
最後に、事業協同組合の算定特例についてです。この制度のメリットとして、個々の中小企業で障害者雇用を進める十分な仕事量の確保は困難であるが、事業協同組合等を活用し、普通の中小企業が協働して障害者雇用機会を確保することができるということだと思いますが、普及していないのが現状だと思います。
事業協同組合に加入している中小企業の組合員のため、障害者雇用をしやすく、特例子会社やグループ特例のように、全体で雇用率をより達成するとみえる事業協同組合の算定特例制度を改定していただくのも得策ではないかと考えます。また、制度の改定の中に、以前から申し上げていますが、優先調達推進法、認定制度の団体部門も絡めて検討していってはどうかと考えております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは1点目、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。佐渡委員、御意見を頂き、ありがとうございました。1点目について、スケジュールの御確認、御質問がありましたので改めて申し上げます。佐渡委員からは、前回も十分な議論の回数、あるいは場をもって検討すべきということで、丁寧に対応すべきという御意見も賜っていたところですが、今回も同じスケジュール案をお出ししております。スケジュール上は当面の3月頃までをお示ししておりますが、3月までに結論を出すということではなく、その後も引き続き、様々なデータ、参考資料等を共有し、それに対していろいろな御意見を頂いていくステージかと思っております。
先ほど申し上げたように、合同検討の場が一方で動いており、そこでの検討の一定の方向性、今後の検討をしていく上での、より具体的な方向性をお示しいただいたものを分科会で受け取り、年度明けに、そちらの議論、今年度中の分科会での議論も踏まえた上で、それぞれの論点を整理し、更に議論を深めていくステージになりますので、その後も引き続き議論は続いていくということです。
御質問のありました、いつ頃に取りまとめていくのかについては、年度明けからの議論の深まりにもよって、また変わってきますし、その議論を見つめながらタイミングを見てスケジュールについても具体化を更に図り、また、この場において共有させていただきたいと考えております。以上です。
○阿部分科会長 佐渡委員、何かありますか。
○佐渡委員 いや、結構です。
○阿部分科会長 それでは池田委員、お願いいたします。
○池田委員 経団連の池田です。配付資料3-1に前回の分科会で出された主な意見についてまとめていただいております。その上で、使用者側としての考えを追加的、補足的に述べたいと思います。まず、2018年度に本分科会で行われた法改正に向けた審議は、公務部門の問題が生じたため、誠に残念ながら民間部門に関する議論がほとんどなされませんでした。
つまり、障害者雇用制度の見直しが足踏みしてしまったと言えますが、この間も前回、前々回の会合でお伝えしてきたとおり、また、先ほど山内委員からも御指摘がありましたように、コロナ禍やデジタル化などによって企業の障害者雇用を巡る状況が大きく変わってきています。是非、このことに留意して御議論をお願いしたいと思います。
その上で、使用者側としては、2018年7月に今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会が取りまとめた報告書を踏まえつつ、例えば、法定雇用率の計算式について、A型事業所の利用者数の除外や、短時間で就労する精神障害者のカウント1.0の恒久化の問題、更には、中高年齢者等の長期継続雇用のカウントの上積みなどについて、大きな関心を持っております。具体的な考え方については、各論を審議する際に改めて御意見を開陳してまいりたいと考えております。
いずれにしても、障害者雇用が転換期にあることを本分科会で共有した上で、中小企業も含めて我が国全体でいかに障害者雇用を促進していくのかという観点から審議に臨みたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございます。続いて、中川委員お願いいたします。
○中川委員 中川です。今後の検討の進め方について、特に精神障害についての意見を述べたいと思います。精神障害というのは、身体・知的障害とまた違った精神特有の雇用策上の多くの課題があります。本日、資料でお示しいただいたように、雇用率のカウントに関しては、重度の取り扱いがないことや短時間雇用者の勤務のカウントの問題です。そして、先ほど話題に出ましたが、自立支援医療受給者証の交付者を対象障害者に加えるか否かの問題もあります。
そして、職業能力の評価に関しても、精神障害は、その特性として就労能力が環境に大きく影響を受けることもあり、どのような評価方法が適切かという問題もあります。このような様々な問題もありますので、専門的な観点から議論を深めて施策につなげていく必要があり、できれば別立ての検討会で検討していく必要もあるのではないかと考えております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。続いて高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。佐渡委員と池田委員と少しかぶるところもありますが、大きく4点意見を述べさせていただきます。まず1つ目は、「今後の検討に向けた論点整理(案)」が改めて提示されましたが、多くの中小企業は雇用調整助成金等を活用しながら事業の存続と雇用の維持に懸命の努力をしているのが実態です。加えて、中小企業の実質雇用率は1.71%にとどまっている中で、コロナ禍で障害のある方の業務は減少しており、雇いたくても雇えない状況が発生しています。現下の経済情勢と障害者雇用の実態を踏まえると、来年3月1日での法定雇用率0.1%の引き上げは、中小企業にとって厳しい内容でもあり、更なる引き上げを議論するという状況には、現在、全くないと認識しております。
2つ目は、除外率制度に関して、除外率が設定されている業種の企業から、制度の維持を望む声が多く聞かれていますので、本制度及び業種ごとに設定された除外率は、引き続き維持をお願いいたします。
3つ目は、納付金制度の在り方について、議論に際して、まず今後の財政見通しの提示を、是非、お願いいたします。納付金の対象を100人以下の企業に拡大することが検討項目に入っておりますが、中小企業において障害者雇用が進みにくい理由の1つに関して、障害のある方を実際に雇用するだけの業務量がないなどの様々な要因が指摘されておりますし、また、社会保険料や最低賃金、事業主拠出金の負担増が続いていることや、コロナ禍における極めて厳しい景況感等を考慮していただきたいです。したがって、納付金の対象拡大には重ねて強く反対させていただきます。
逆に、2018年度決算において、積立金が約200億円まで増加していることから、毎年30億円前後を支出している事務事業費の運用規律を徹底することで常用労働者数が100人超200人以下の事業主など、中小企業に関しては納付金を引き下げる措置を講じていただきたいと思っております。
最後に、就労継続支援A型事業所に関して、前回もお伝えしましたが、法整備の際に確認された理念や背景を大事に、もう一度、障害者雇用調整金や最低賃金除外など障害福祉報酬等の整理をする必要があると考えております。よろしくお願いいたします。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、続いて小出委員、竹下委員、長谷川委員の順でお願いいたします。小出委員お願いいたします。
○小出委員 全国手をつなぐ育成会連合会の小出です。先ほど高橋委員から特別支援学校卒業後の訓練が必要ではないかという、教育と福祉、それから雇用についての議論はスケジュールの中に示されておりませんが、以前、高橋委員から御指摘もあり、これは法的な評価の中でも示されておりましたが、知的障害者の職業準備性が整っていない人が増えたということがありました。
その1つには、平成19年からの特別支援教育を始めた以降、義務教育の特別支援教育を受けている児童・生徒が、平成20年から平成30年を比べますと倍増しております。それで、高等学校に行く生徒は特別支援学校の高等部ではなく、定時制・単位制・通信制と多岐にわたっていることがあり、18歳で高等学校・高等部を卒業した人たちのいろいろな多岐にわたる教育の場において、障害者就労を受け入れている雇用側、社長さん方の感覚的な見方もあると思いますが、その辺の職業準備性が整っていない人が増えたのは、高橋委員が言われるとおりだと思います。
この客観的な評価が少し弱いということと、これは雇用側の特別支援教育に対する評価が、雇用側での評価として出ていることも含めて、教育の在り方についてもフィードバックができるのではないかと、どこかのスケジュールの中に教育についても議論する場が必要ではないかと思っております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。では、続いて、竹下委員お願いいたします。
○竹下委員 竹下です。3点に絞って発言いたします。1点目は、ほかの方とダブリますが、除外率制度の問題です。これは長年にわたる課題でありながら、なかなか進展しておりません。それだけに、単純にそれを縮小するという目標だけでなく、高橋委員も言われたように、具体的に種別を意識したり、あるいは、何が弊害となっているかを分析しながら、それを克服する手立てと合わせて、この除外率制度の廃止に向けた流れを検討する場にしてほしいと思います。
2点目は、連携の所で、大きな次の問題があります。先ほどの議題で、福祉と雇用の連携の話がありました。この個別論点を見ても少し出てきますが、本当に、教育・福祉・雇用の連携がどうあるべきかについては、ほかの委員も発言しておられますが、本当に重要だと思っております。結局、職業リハビリ、職業訓練と教育のつながり、そして、雇用の場における雇用創出策とがどのような形で結び付いていくのか、そこに福祉の支援がどう重なっていくのかについて、それこそがシームレスというか、更なる形での検討がされるべきだろうと思っております。結局、通勤については、やっと介助という壁が開いたわけですが、教育をとってみても、まだ、通学の支援についても壁が破れていないわけですし、そのようなことを含めた流れというものは必要だろうと思っております。
3点目は、公務部門の問題です。やはり公務部門については、なかなか難しい問題があると、何回発言しても思うわけです。例えば、職場介助者あるいはジョブコーチを利用することは公務員の場合は駄目です。それは、雇用納付金制度による支払いだからで、それが壁になっているのだとすれば、雇用納付金の中に公的資金を入れることが解決となるのか、別の流動的な制度を設けることによって解決すべきなのか分かりませんが、この公務部門に対する支援を、是非、考えていただきたい。今回、通勤介助が実現したわけですが、現状では公務員に対する通勤介助がないわけです。それ1つをとってみても、矛盾ないし壁を解決できる方策も議論していただければと思っております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。先ほどの議題の2点目のところで質問するべきだったのかもしれないのですけれども、1つ質問があります。先ほどからも様々な委員の方々からもお話が出ていましたように、今後の検討の方向性の中間取りまとめの第2の1の所で、就労能力や適正な評価の仕組みの創設などを検討していくべきだろうということで、これは私も非常に重要だと思っているのです。その前に、どういう段階でそういう評価をするのかというのも、今後検討していくことだとは思っているのです。
障害者手帳は持っているけれども、就労能力や適正な評価をした結果、特に就労能力に問題もなく、雇用義務の対象とするべき職業能力上の困難性を有していないというような評価になった場合には、そもそもその方は雇用義務制度の対象として位置付けるのかどうかといったこととか、あるいは、高年齢の障害者を雇用している場合には、雇用率カウントのときにダブルカウントなり、プラスのカウントをしてほしいというような使用者側の御意見があるわけですけれども、そういったカウントのときに、このような能力や適正の評価というものを使うことも考えていらっしゃるのかという辺りで、どこまで評価を広げられると考えていらっしゃるのかについて、今お考えがあれば、是非お聞きしたいと思っています。よろしくお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。ありがとうございました。今の中間取りまとめ上の立て付けも、そうなっております。まずは、雇用福祉の共通のプラットフォームということで、多くはあらゆる障害者の方が節目節目で、例えば学校から卒業される際、あるいは学校から卒業して福祉就労に入られた方でも何年かに1回とか、あるいは離転職されたときのタイミングとか、様々なターニングポイントで一定の次の選択肢を選択していただく際の参考としていただくためのアセスメントという仕組みを目指したいというところが、1つです。
それに加えて、雇用制度の課題にも書いてありますが、今は原則、手帳により取り扱っている雇用制度ですが、将来的な展望として、今後アセスメントツールが実行あるものになっていったときに、個々の就労の困難性を評価するという可能性があるのであれば、そういったあり方も並行して雇用率制度の中に加え得るのかどうかということも視野に入れてという意味で、今後の検討の中での将来的な展望としては、念頭に置くことも必要なのではないかと考えているところです。以上です。
○武石委員 公益委員の武石です。私からは今後の議論について、事務局に、お願いが1点あります。今日の議論の中でも、障害者雇用の転換点など、非常に大きな状況の変化の中で、これから議論をしていくということについて、委員の皆さんとの共通理解があるように思います。障害者雇用の転換点なのですが、前提として、今はコロナの関係で労働市場が非常に大きく変わっていて、それが加速しているところでこの議論をしなくてはならないという、非常に難しい局面にあるかなと考えております。
先ほどの2つ目の議題で、多様な就労で、テレワークが障害者雇用にはプラスになるのか、あるいはそれが非常にネガティブな面があるのかという両方の御意見があったように思います。お願いというのは、この予定を見ると、1月から3月の辺りは現状を認識するところで、JEEDの御報告などを頂く局面なのかなと思いますので、今のテレワークとか、ウィズコロナ、アフターコロナというところで進んでいる働き方の変革が、実際に障害者の方たちにどのようなインパクトがあるのかと、データがあればいいのですが、もしなければ少し事例的なところで、プラスの事例、マイナスの事例を、どういう状況が起こっているのかという辺りをお示ししていただくようにお願いしたいと思いました。
多分、雇用とか、雇用類似の働き方など、いろいろな形態が今は出てきていると思いますので、その辺りが障害者雇用にどういうインパクトがあるのかということで、丁寧なデータまで追い付かなくても、何か動きのようなものを教えていただけると大変有り難いと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。委員の皆様から、いろいろ御意見を頂きましたので、事務局と整理させていただきたいと思います。いろいろと御意見を頂きましてありがとうございました。
先ほどの2番目の議題でコメントすればよかったと思って反省しているのですが、合同検討会の位置付け等に関する御意見や御質問もありましたけれども、合同検討会での議論に関わる、かなり参考になるような御意見もあったように思います。例えば、眞壁委員や倉知委員の御意見は、今後の合同検討会でもいろいろと参考になる御意見かと思います。今日頂いた2番目の議題に関する御意見についても整理させていただいて、合同検討会にも御意見を披露できればと思いました。いずれにしても、本日もいろいろと御意見を頂きまして、ありがとうございました。
この辺りで議題3を終わりにいたします。続いて、「その他」に入ります。何かありますか。内田委員、森口委員から手が挙がっていますので、内田委員、お願いいたします。
○内田委員 発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。労働側の内田です。私からは、職場から頂いた相談事例の御紹介と要望について発言をさせていただきます。第97回の分科会でも報告させていただきましたが、コロナ禍において電機連合の加盟組織においても、障害者の雇用や就労に様々な影響が生じております。先日も、加盟組織から以下の御相談がありました。「現在、仕事がない部門の従業員については、会社と組合で協議をし、他の部門の仕事を請け負うなどの対応により、現状、全員通常の給与を受け取り、在宅勤務をしております。しかし、1名だけ臨時で業務を振ることができず、休業を余儀なくされている組合員がいます。当該組合員は視力に障害を抱えており、マッサージ師として業務に従事しておりました。御本人は就業意欲が高い方なのですが、マッサージルームの再開のめども立たず、副業をすることも困難であり、生活が維持できるか不安を抱えております。何か対応策はないでしょうか」というような御相談でした。電機連合としましても、様々な助言をさせていただいており、当該の労使でも、現在も対応策を検討されている状況です。ちなみに、こちらの企業については企業努力もあり、雇用調整助成金の特例の対象にはなっていないということを伺っております。
このような事例については、他にもあるのではないかと推測しております。これまで以上に、障害者の方が安心して働き続けられるように丁寧な対応が必要であると考えております。今、困窮している方々が置き去りにならないように、よろしくお願いします。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。森口委員、お願いいたします。
○森口委員 労働側の森口です。私からは、コロナによる障害者の働き方の影響について意見させていただきます。我々自動車の業界においてもコロナの影響が出ており、非常に厳しい状況が続いております。全体として、総じて仕事量が下がる一方で、新たな働き方としてテレワークなども進みつつあり、障害者雇用の働き方にも影響が出ている状況です。
本日、多くの委員の方々から発言があった部分と重複する部分がありますが、改めて現場の状況を3点共有させていただきたいと思います。1つ目は、仕事の創出の観点です。コロナの影響が非常に厳しく、仕事量が大幅に減少しており、現場で今まで仕事をしてきたことが通常どおりできなくなっているようなことが発生しております。今後に向けて、仕事の創出が課題となっている状況です。
2つ目は、テレワークの環境整備の観点です。テレワークは自動車業界においても一部進みつつありますが、通信機器などのインフラ環境の整備、またテレワークで仕事を創出して在宅で仕事をすること自体に難しさがあり、テレワークにおける仕事と、環境整備が課題となっている状況です。
3つ目は、採用の観点です。コロナの影響により、地域によっては支援学校や説明会に直接行けない状況もあり、リモートなどを使って対応しようとするものの、採用先によってはインフラ環境の整備がまだ整っていない状況もあり、採用活動にも一部影響が出ているという声も聞いています。以上、足元の状況を中心に共有させていただきました。ウィズコロナにおける障害者雇用のあり方について今後は非常に重要な議論になっていくと思います。足元と将来の観点で、労働側としても意見を申し上げていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。以上、意見となります。
○阿部分科会長 ありがとうございました。そのほか、御発言のある方はいらっしゃいますか。小原委員、お願いいたします。
○小原委員 大阪大学の小原です。皆さんの意見を聞いていて、事務局に1つお伺いいたします。実態を把握するための新しい調査などをする予定があるのでしょうか。調査をすべきだと言っているわけではなくて、今いろいろな調査をしても多分、非常にばらついた回答が出てくるので難しいのだろうなと思うのですが、今後の議論のめどと同時に、実態把握のめどが何か目指しているところがあるならば、それを共有しておいて、今日、小出委員でしょうか。私が知らなかった統計値の話を聞いたのですけれども、そういう調査をいろいろな所で、全国的にバラバラにやっていると思うのですけれども、何か大きなめどがあるのでしたら、それをお伺いしておいて、自分の周りでされている実態把握などを出せれば、もう少し小さいグループで議論をする所にも、私たちのほうでそれを1人1人が集めて出すこともできるのではないかと思って、お伺いした次第です。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。コロナの状況下においてということで、よろしいでしょうか。その件については、0.1%引き上げに際しての支援強化の対応について取りまとめをさせていただいた際に、こちらからも報告申し上げております。先ほど森口委員からも、仕事の喪失などで非常に苦慮していらっしゃる事業所もあるのではないかというお話がありました。改めて、障害者職業センターや労働局に対しては、こうした企業側への支援強化を改めて指示したり、ナカポツに対しても、生活相談のほうから把握したいろいろな状況について対応が必要であれば、企業側にアプローチするように、それぞれの指示をしております。この指示に対して動いた際に、事業所の状況の把握、あるいはテレワークの推進や仕事の転換などでも好事例も見られる可能性もあります。こういったコロナ禍においての事業所側での様々な対応の好事例について把握、収集するように、併せて指示をしておりますので、一定現場からの実態を把握するのが1つです。
それから、特例子会社の集まりのSACECと、多くの障害者雇用を雇っていらっしゃるような企業の集まりの全障協を通じて、会員企業の皆様方の現状を収集いただいております。これも年明けになってしまうかもしれませんが、この分科会の場でも、把握した事例について少し整理をして、現下においての各企業の状況などについては共有させていただきたいと思っております。そういった意味で、定量的な調査を行うというのは、今はなかなか困難な状況ですが、個々の事例については、できる限り様々なチャネルを使って収集し、整理をした上で共有させていただきたいと考えております。
○阿部分科会長 よろしいでしょうか。
○小原委員 はい、ありがとうございました。既に取り組まれていて、中小企業団体とかは、多分個々で取っているものを利用させていただくというのも有りだと思うので、そちらが主体となって何か追加で取るのは、今は難しい状況なので、そういうものも活用してもらったらいいのかなと思います。ありがとうございました。
○阿部分科会長 ほかに何かありますか。よろしいですか。それでは、本日の議論はここで終了いたします。最後に事務局から連絡事項がありましたら、お願いいたします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林です。次回の日程については、12月頃の開催を予定しております。詳細は、追って事務局より御連絡をいたします。以上です。
○阿部分科会長 本日も活発に御議論、御意見いただきまして、ありがとうございました。本日の会議に関する議事録の署名は、労働者代表は内田委員に、使用者代表は高橋委員に、障害者代表は阿部委員にお願いしたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。本日は、お忙しい中ありがとうございました。これで終了いたします。