2020年11月17日第2回「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」議事録

 

 
 
1.日時 令和2年11月17日(火)17:15~19:15
 
2.場所 対面及びオンライン会議(厚生労働省 省議室)
 
3.出席者
 阿部(一)構成員、阿部(正)構成員、阿由葉構成員、池田構成員、岡田構成員、菊池構成員、久保構成員、倉知構成員、駒村構成員、藤尾代理(酒井(京)構成員)、酒井(大)構成員、鈴木構成員、竹下構成員、仁平構成員、長谷川構成員、古川代理(山口構成員)、達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官、源河企画課長、小野寺職業安定局障害者雇用対策課長、小林障害者雇用対策課長補佐、石井障害福祉課長補佐、塩田人材開発統括官付特別支援室室長補佐(オブザーバー)、八田文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長(オブザーバー)、 古谷独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部次長(オブザーバー)、一般社団法人日本発達障害ネットワーク、きょうされん、公益財団法人日本知的障害者福祉協会、精神保健福祉事業団体連絡会、特定非営利活動法人日本高次脳機能障害友の会

4.議題
 (1)関係団体からのヒアリング
(2)その他
 
5.議事
○駒村座長 こんばんは。定刻になりましたので、ただいまから、第2回「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」を開催いたします。
委員の皆様には、御多忙のところ、遅い時間にもかかわらず参集いただきまして、大変ありがとうございます。
本日の検討会については、こちらの会場とオンラインで開催いたします。オンラインの方は、事前にお送りしている「会議の開催、参加方法について」を御参照ください。
また、議事に入る前に、皆様からの発言についてお願いがあります。
最初に私が発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手を、オンラインの方は「手を挙げる」機能を使用してください。
御発言される方は指名させていただきますので、指名された後に御発言を開始してください。
御発言の際には、まずお名前を名乗っていただき、可能な限り、ゆっくりと分かりやすくお願いいたします。
また、できるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださるようお願いいたします。
オンライン出席の方で、操作などの質問がある場合は事務局までお問い合わせください。円滑な議事運営に御協力をお願いいたします。
それでは、事務局より委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○源河企画課長 事務局より御報告します。本日の委員の出席状況についてです。
本日は、眞保委員、永松委員が御都合により欠席です。また、酒井京子委員の代理として藤尾様に、山口委員の代理として古川様に出席いただいております。
なお、阿部正浩委員は途中で退席される予定です。
続いて、資料の確認です。本日の資料は、議事次第、資料1から5、参考資料1から参考資料4でございます。
これらの資料に不備がございましたら、事務局にお申しつけください。
また、本検討会はペーパーレス開催であり、会場においてはタブレットを使用して行います。こちらのタブレットについても、使用方法について質問がある場合は事務局までお問い合わせください。
以上です。
○駒村座長 それでは、議事に入ります。
頭撮りはということですけれども、カメラの方いらっしゃればここまでということで、御退出をお願いいたします。いない感じですね。
では、議題1「関係団体からのヒアリングについて」、まず事務局から進め方について説明をお願いいたします。
○石井障害福祉課課長補佐 事務局、障害福祉課の石井です。
お手元、参考資料1を御覧ください。本日の関係団体ヒアリングにつきましては、前回第1回で御報告させていただきました内容に基づき、ヒアリング先10団体の候補のうち5団体のヒアリングをさせていただく予定です。各団体、具体的な名前につきましては議事次第のほうを御覧ください。
具体的なヒアリング項目につきましては、参考資料1の別紙につけさせていただいております。
なお、関係団体の皆様方には、内容が多岐にわたるため、本日の御発言内容につきましては、内容を絞って御発言することも可能である旨伝えておりますので、その点、各委員につきましては御承知いただければと思います。
ヒアリングの進め方につきましては、各団体、質疑応答を含めて約15分を予定しております。最初、各団体から8分程度御説明いただき、その後、7分程度、委員の皆様方からの御質問、御意見を承るという形で進めてまいります。
事務局からの説明は以上です。
○駒村座長 それでは、各関係団体からのヒアリングを開始いたします。
最初に、公益財団法人日本知的障害者福祉協会の皆様、お願いいたします。
初めに、本日参加いただいている方のお名前、役職、団体の概要を簡単に御紹介いただいた後に御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○日本知的障害者福祉協会(志賀) 公益財団法人日本知的障害者福祉協会の生産活動・就労支援部会から参りました、部会長の高橋と、副部会長の志賀です。どうぞよろしくお願いいたします。
協会の内容につきましては、お手元の資料のほうにお配りさせていただいておりますので、お目を通しいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、説明のほうに移らせていただいてもよろしいでしょうか。
○駒村座長 どうぞ始めてください。
○日本知的障害者福祉協会(志賀) 本会の意見ですが、資料では多岐にわたっておりますので、本日のヒアリングでは4点に絞って御説明させていただきたいと思います。まず、私のほうからは2点ほどございます。
1点目が、知的障害者の障害特性を踏まえた上での連携についての意見と、就業・生活支援センターの機能強化についてお話しさせていただきたいと思います。資料でいいますと、ヒアリングテーマ2の「技術革新や環境変化を踏まえた多様な就労支援ニーズへの対応について、どう考えるか」ということです。知的障害のある方には環境変化に順応するということが大変困難な方が多くいらっしゃいます。そういったことから、現在の多様な働き方、例えばIT化であるとか在宅就労であるとか、さらに労働時間の短時間化等も含めたところで、これらの様々なニーズ、またはその環境の変化に対して、知的障害のある方が担う仕事の現業が、例えば減ってしまったり、在宅ワークのために仕事を失うことがないように、そのための就労支援策というものが必要ではないのかということで、今回述べさせていただいております。これは、現在のコロナ禍で離職者数が増加しているということから大きな危惧すべき問題の一つではないかということで、ぜひ知的障害という障害特性を踏まえた連携に対して御検討いただければと思っております。
それから2点目ですが、就業・生活支援センターの機能強化という点から2つのことをお話しさせていただきたいと思います。1つは、ヒアリングテーマ1の最後の○の項目でありますが、専門支援人材の育成や確保について、どう考えるかということです。既存の機関を活用するということであれば、当然、福祉と労働、雇用の両方に、今の支援策として制度化されているこの障害者就業・生活支援センターのあり方を見直すことで、この中で専門的な人材の確保であるとか育成について期待ができるのではないかと思っています。
具体的には、職場適応援助者、例えばジョブコーチの養成研修や、障害者職業生活相談員の認定講習などのカリキュラムを、さらに実地に合ったような実践的な内容に抜本的に見直しを図りつつ、センターがその人材を確保して育成するということも必要ではないかと考えています。
それから、もう一点がヒアリングテーマ3の最後の○の項目の「中間とりまとめ」にあります雇用施策と福祉施策の連携強化に向けてどんな検討が必要かということでありますが、ここの最後のポツのところに記載させていただいておりますけれども、先ほどお話ししました中ポツセンターといいますのが、就業支援と生活支援をいわば一体的に提供するということでありますが、なかなかそこが予算的な枠組みが縦割りになっている関係で、仕組みが一体と言えないというような現状があるのではないかと捉えています。ですから、この両方にまたがる制度を拡充、充実させていくとともに強化を図って、センターが真にセンターとしての役割を担えるような制度としていただきたいと思っています。
では、高橋部会長、お願いいたします。
○日本知的障害者福祉協会(高橋) 日本知的障害者福祉協会の生産活動・支援部会 部会長の高橋といいます。どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうからは、3番の2つ目と3つ目の○の項目、いわゆる障害福祉施策の抱える課題についてと、関係機関、教育などの関連分野との連携についてお話をさせていただきます。
まず、障害福祉施策の抱える課題ですけれども、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労移行支援事業の果たす役割が曖昧になりつつあると感じております。A型事業の基本は、労働時間、最低賃金、身分保障、そして、一般就労への移行と考えております。調査によりますとA型事業所では、全体の6割以上の事業所が1日の平均労働時間が4時間以上5時間未満に集中しており、利用者の7割以上の方がそこに集中しているという実態がございます。これは週30時間労働のいわゆる短時間労働にあたります。A型事業の平均月額賃金は現在7万8975円です。制度が始まった平成18年、福祉工場で支援を行っていた当時の11万3000円から考えますと、大きく賃金が落ち込んでおります。様々な理由で短時間しか働けない障害のある方がいらっしゃることは十分理解しておりますが、基本を見据えた上での対応をしたいと考えております。
また、就労継続支援B型事業においても、いわゆる一般企業の雇用に結びつかない人たちが一生懸命に生産活動に取り組んでいるわけでございますが、3万円から5万円の高い工賃を支払っているところもあるが、平均月額工賃は1万6000円程度にとどまっている実態がございます。この要因の一つは、B型事業利用者の重度化、高齢化にあると思われます。障がいのある方の働きたいという思いを実現するために、工賃の多寡だけではない別の評価軸が、A型事業、B型事業ともに必要と考えております。
次に、教育などの関連分野との連携ですが、福祉と雇用の前に必ず教育という話題が出てまいります。ライフステージから考えて、そのように捉えております。一般的に、高卒で就職する人の割合は全国で17.5%、進学する人は大学、短大も含めて58.1%というデータがございます。
私が住んでいる北海道の話で恐縮ではございますけれども、北海道の特別支援学校卒業者は、卒業と同時に就職する方が37%いらっしゃいます。また、何らかの福祉サービスを利用する形で卒業する方が55%となっております。
現在の仕組みでは、支援学校卒業と同時に就職した場合、利用できる福祉サービスが限定的であることなどから、就労継続に必要な支援が行き届かないなどの課題がございます。また、北海道の場合、半数以上の卒業生が福祉サービスを利用していますので、教育の出口と福祉の入り口の連携が必要であると考えております。
特別支援学校の先生方も、3年間でこの生徒には何が足りないのか、どういった支援が必要かということなど、移行支援事業所に何を託すかということは十分ご存知なはずですから、在学中からの教育と福祉の連携が非常に大切であると考えております。
次に、卒業と同時に就職した方が直面する課題の大変さについて、私たちは、18歳問題と称していろいろ議論を重ねてきております。卒業と同時に、すぐ就職すると、まず職場での仕事の習得をはじめ、不慣れな職場環境への順応、他の社員はほぼ全員が自分より年上の人間関係になります。次に生活です。自宅から自力で通える人はまだ良いのですが、グループホーム等での生活を余儀なくされる人は、はじめのうちは人間関係も非常に希薄な小集団での不安な生活が余儀なくされます。
次に、お金の問題です。18歳ですから、障害年金も未受給です。経済的な困難さがここで生まれてまいります。同じ18歳でも、半数以上の人たちが大学へ進んでから就職する現状を考えると、その間の2年ないし3年は職業訓練なり社会適応力を身につけるための期間や場所が必要ではないかと考えています。以上でございます。
○駒村座長 高橋さん、ちょっと時間オーバーしていますので、まとめていただけますか。
 
○駒村座長 すみません。ありがとうございます。御協力いただきまして。
それでは、今のお二人、知的障害者福祉協会からの御報告について、皆様から御質問、御意見いただきたいと思います。まず、フロアのほうから始めましょうか。いかがでしょうか。フロアのほうで、確認したい点ございましたらと思いますが、いいですか。
では、オンラインのほうで、御質問、御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。
今、手が挙がっているのが千葉県障害者キャリアとなっていますが、ここは。
○藤尾代理(酒井(京)構成員) 全国就業支援ネットワークの酒井代表の代理で来ました、中ポツ部会の部会長をしております藤尾と申します。よろしくお願いいたします。
中ポツに対する言及が2点ほどあったと思います。1つは人材育成に絡めたところで、機能強化と、あと予算のところ。特にその機能強化のところですけれども、現在の障害者就業・生活支援センターの機能でどこが足りなくて、どのような機能が具体的に付加されるとより進むとお考えか、具体的に御意見いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○駒村座長 もう一問ぐらいやってから、オンラインで取りましょうか。それとも、一問一答はいいですかね。では、フロアのほうから、菊池さんから手が挙がっていますので、菊池先生、お願いします。
○菊池構成員 ありがとうございます。ちょっとよく聞き取れなかったかもしれないので、その確認でもあるのですが、A型とB型の役割が曖昧になりつつあるので、その見直し整理する必要があるということなのですが、具体的に何かお考えをお持ちでしたら、どういう整理の仕方とかあればお伺いできればと思います。
○駒村座長 協会のほう、聞こえましたでしょうか。藤尾さんからは、中ポツの機能強化がどうなのかという点だったと思います。それから、菊池先生から、AとBの役割のところについての御質問があったと思います。取りあえずこの2つの御質問について、福祉協会のほうから御回答いただければと思います。
○日本知的障害者福祉協会(志賀) では、私のほうから就業・生活支援センターの機能強化の点についてお答えさせていただきます。
1つは、人材育成のところで言いますと、現状、センターの動きを見ていましても、大変しっかりやられているところもあるのですが、人が足りないとこもあるようです。これは、一つのセンターに対する登録者の数が大変多くなってきているということではなかろうかと捉えています。ですから、本来、センターだけで行うということではなくて、センターがその地域の中でいかに、センター的な役割としての機能をもつか、集約などの機能がもう少し、他の就労系の事業所との連携の仕方などの潜在的な役割を充実させるためには、やはり予算的な措置と人員の配置が必要ではないかということで述べさせていただきました。
以上です。
○日本知的障害者福祉協会(高橋) 私のほうからは、A型とB型の御質問についてお答えしたいと思います。
冒頭申し上げましたように、A型事業の基本は労働時間と捉えています。現在は、労働時間で報酬が決まっておりますけれども、そのほかに、最低賃金の支払いや、労働者としての身分保障さらに、一般就労への移行といったことが基本的な役割だと考えています。
ただ、賃金にもありますように、30時間ぐらいの短時間労働に多くの事業所、利用者さんがいらっしゃるということで、これもやはり変えていかなければいけませんし、逆に、もっと長い時間働きたいと思われている利用者さんもいらっしゃると思います。それがもしかすると事業所の都合で短時間労働になってはいないか。こういったことを考えますと、もう少し基本に返って、しかも、なかなか事業所の運営も大変で、改善計画も出している事業所もかなりあると思われますけれども、もう一度基本に立ち返って、この辺りのところをしっかりと詰めていく必要があると思われます。
また、B型事業については、先ほど申しましたように、重度・高齢化が進む中で、ご本人たちの働きたいという意思を尊重しつつ、なおかつ、その中で高工賃を支払うという大変さがあります。ただ、やはりこの働きたいという思いを大切にしながら、重度・高齢化の人たちの支援をどう行っていくのかが今後の大きな課題になってくると感じております。
以上でございます。
○駒村座長 ありがとうございます。あと御質問、長谷川さんも含めて3人。すみません。余り時間もないので、酒井さん、長谷川さん、阿部さんの順番で、簡単に御質問をまとめていただいて、シンプルに言っていただいて、あと、質疑を終わりたいと思います。
では、酒井さんからどうぞ。
○酒井(大)構成員 酒井です。御説明ありがとうございます。
私のほうからは、話の中で、ジョブコーチの研修と職場生活相談員の認定講習の見直しをしてはどうかというところで、実勢と合っていないというようなお話でしたが、合致していないという点があるならば、具体的にどのような見直しが必要なのかお教えいただければと思いますことと、先ほどのA型、B型の役割と併せて、次のポツには、就労移行支援事業についても制度や仕組みの見直しが必要ということが記載されておりますけれども、こちらについても、具体的にどんな見直しが必要なのかということももしあればお教えいただければなと思います。
○駒村座長 では、長谷川さんから続けて質問、それから阿部さんからも質問いただいて、まとめて御回答いただくようにしたいと思います。
長谷川さん、お願いします。
○長谷川構成員 福島大学の長谷川です。
支援法が2005年に制定されて、その際に3障害共通のシステムをつくるということで、現在、AとかBとかあると思うのですけれども、設立年が1935年ということで、古い協会でいらっしゃるので、お考えとして、3障害共通のシステムにしたことのよい面、悪い面みたいなことがあればお話しいただければと思います。
以上です。
○駒村座長 では、阿部さんから御質問どうぞ。
○阿部(一)構成員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。
先ほど高橋さんから、特別支援学校在学中に福祉との連携が重要だということをお話しいただいたことは大切なことだと思います。今回は雇用と福祉の連携ということですけれども、教育との連携ということで、高橋さん、お考えのことがあったら教えていただきたいと思います。支援学校では、個別の指導計画、授業等についての指導計画とともに、個別支援計画もつくっていると思います。そのことも併せて、個別支援計画では福祉との連携がここでは関わることがあるかなと思いながら質問させていただきました。よろしくお願いします。
○駒村座長 では、余り時間もないので、福祉協会のほうから、これも端的に御回答いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○日本知的障害者福祉協会(志賀) 1つ目の質問に対して私のほうから御回答させていただきます。
まず、研修の件については、例えば障害者職業生活相談員認定講習は、あまり実践的ではないといいますか、もう少し現場に合った内容を多く盛り込んでいただきたい。特に福祉の分野についてさらに詳しくお願いできないかというのが1点です。
それから、ジョブコーチについては、現状で大分改善されながら行われていると思いますが、今の働き方、新しい働き方等々についての対応についても、今後カリキュラムの見直しが必要かなということで述べさせていただきました。
それから、移行のところの見直しについては、今、移行支援事業自体が休止や廃止になっている現状もありますので、制度そのものの設計に不具合が生じてきているのではないかということで、例えば今の利用対象者等々や訓練期間なども大幅にもう一度しっかりと検討するべきではないかということで出させていただきました。
以上です。
○日本知的障害者福祉協会(高橋) それでは私のほうからは、3障害、同じ制度でということに関しましてお話しします。これは就労系事業に限って言いましても、障害者の雇用促進の面から考えますと、身体に障害のある方が最初にカウントされ、その次に知的障害の方、そして精神障害の方ということで、このようにカウントされるのも温度差があります。何といっても、障害特性の違いというのは大きな問題だと捉えています。労働時間の問題や障害特性によってそれぞれ違う評価が出ているのではないかと思います。
最後に教育との関係ですけれども、教育との関係は、お話しさせていただければ本当にたくさん時間をいただきたいくらいですけれども、現状では高等学校、養護学校高等部3年間の教育に、さらに1、2年の追加がなされていくわけにはいかず、3年間で必ず卒業しなければならない。そういう意味では、先生方もいろんな思いを持って卒業させていく。ですから、卒業前からしっかりと教育と雇用と福祉が連携をとることによって、本人を中心に据えて、個別支援計画も学校から福祉まで継続しながら持って回るというような全国一律のシステムが大事なのだと思っております。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会様におかれましては、お忙しいところ、ヒアリングに御快諾いただきまして、大変ありがとうございます。もう少し議論もしたいところでございますが、次の方もいらっしゃいますので、取りあえずはここのところについては以上とさせていただきたいと思います。
ここで十分質疑ができなかったこと、あるいはちょっと聞き取れなかった部分もあるかと思います。これについては後で事務局に整理していただいて、皆様と共有したいと思います。日本知的障害者福祉協会の皆様、大変ありがとうございました。
続けて、一般社団法人日本発達障害ネットワークの皆様、お願いいたします。初めに、本日参加いただいている方のお名前、役職、団体の概要を簡単に御紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○日本発達障害ネットワーク(日詰) 日本発達障害ネットワーク事務局長と副理事長をやっております日詰と申します。よろしくお願いいたします。
日本発達障害ネットワークは2004年に発足し、2010年から法人化した、発達障害に関する家族、職能団体、学会等で、25団体で組織している団体です。
平成17年の発達障害者支援法以降、雇用分野、障害福祉分野、就労についていろいろな施策を進めていただき、改めて感謝申し上げます。一部、課題と感じるところが会員の中には残っておりますので、今日はその部分について御紹介させていただきます。
まず、労働分野についてです。一部かとは思うのですが、障害者職業センターに相談したときに、職業能力や障害特性のアセスメントや、その次の障害福祉サービスや障害者生活・就業支援センター等へのつなぎをしてもらえないケースがどうもあると、複数、そういう会員からの声もありました。このような対応はごく一部だとは思われるのですが、すぐに就職ができない、例えば在学中で、まだ少し時間があると、そういうケースの場合に特に目立つという印象があるようです。
2つ目です。発達障害の特性、例えば感覚の過敏さ、暑いところが苦手とか、音が大きいところが苦手とか、読みが苦手とか、そういう特徴があるわけですけれども、そういうことへの配慮の必要については、障害福祉分野を比べると、改善の余地、速度、対応がちょっと遅いという印象があるようです。
障害福祉分野の事業所ももちろん差が大きいわけですけれども、全体的に余り早くないという印象が会にはあるようです。
具体的には、障害者職業センターはいろいろ把握していらっしゃることが、現場の職場ですとか、中ポツになかなか伝わっていないようだという声です。
3つ目です。障害者生活・就業支援センターにおける「生活支援」と「就業支援」の人材配置や予算配分が、間に壁があって、相互乗り入れしにくい仕組みになっているのではないかと。予算が余っているのに片方に使えないというようなことがあるという声も聞かれております。
また、労働分野については、障害福祉分野では実績を上げたときに若干インセンティブが働くようになっているのですが、そのような仕組みがないというのも現場のモチベーションに若干関わっているのではないかという声もありました。
一方、障害福祉分野です。人材育成をどのように行うかというのは事業所任せになっているため、対応の質に大きな開きがあるという印象です。全ての事業所の職員に一定の支援の質を担保するために開発された研修受講を義務づけるということが必要なのではないか。
あと1点追加なのですが、コロナの関係で、離職障害者がこれから増えるということが予想されます。労働分野ではリワークの対応とか、既にいろいろ取り組んでいることを障害福祉分野でも好事例を集めて紹介を行っていくという対応が当面必要になるのではないかという意見もございました。
最後です。労働・福祉の両分野に対してです。障害特性について、これは発達障害だけではなくですが、配慮がまだ足りないと感じられるので、医療や教育分野と「情報共有できる」フラットなアセスメントとか支援技術について、知識や技術を習得する研修というのをもう少し充実できるようにしたほうがいいのではないか。このフラットにというところが要望の肝だと思います。
2つ目、労働・福祉分野の就労支援担当者が交流しやすい人材配置や予算、研修。労働分野の機関が行っている研修に福祉の分野が参加させていただくことはあるみたいなのですが、そのときに、福祉分野の職員だけ有料でとか、そういう参加料金に差があるところがどうもあるようで、その辺についてどうかというような疑問も現場からは届いております。
ここに書いていないのですが、3点目として、これから増えてまいります、先ほどコロナの話でしたが、高齢期の障害者についての取組について両分野で協力して取り組んでいくべきではないかというような意見が出ておりました。
当団体からは以上です。
○駒村座長 どうもありがとうございます。
それでは、質疑に入りたいと思います。まず、会議室のほうで御質問予定の方、いらっしゃいますでしょうか。
では、倉知さん。あと、ネットのほうも聞いてみます。オンラインのほうで質問予定の方いらっしゃれば、手挙げ機能を使っていただければと思いますが、いかがでしょうか。
鈴木さんが手挙がっている。では、倉知さん、鈴木さんの順でお願いいたします。
○倉知構成員 九州産業大学の倉知です。
貴重な御発言、ありがとうございました。一番最後におっしゃられていた労働・福祉の就労支援担当者が交流しやすい仕組み、少しイメージしづらいところがあるので、ちょっと何かイメージできることがあったら教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○駒村座長 では、続けて鈴木さんからも御質問いただいた後、まとめて御回答と思います。鈴木さんから、どうぞ御質問してください。
○鈴木構成員 相馬支援学校校長の鈴木と申します。ありがとうございました。
一番最初の部分、つなぎの部分のところですけれども、現在、高等学校に在籍している発達障害をお持ちの生徒さんの多くの方というか、障害の理解とか受容が進んでいないために支援につながらないというケースが多々ございます。例えば、中ポツセンターが、障害者という看板が上がっている時点でそこにつながらないとか、そういったこともあるわけです。もちろん、学校側のいろいろな指導支援のスキルアップということも大事なのですが、このつなぎのシステムのところに対して何か具体的な対応のイメージとかそういったものがあればお聞かせいただければと思います。
以上、お願いします。
○駒村座長 ありがとうございました。では、差し当たり、この2つについて、日詰様からお答えいただければと思います。
○日本発達障害ネットワーク(日詰) 1つ目の、労働・福祉の担当者が「交流しやすい」。これは少し前に出てきています、(1)のところですね。アセスメントの共有ということで、同じような障害特性とか職業能力とか、この辺りの、同じアセスメントを同じ研修会で学んで、それを現場でも引き渡ししやすくするというイメージが1つです。もう一つは、先ほど少し言いましたように、参加費用の問題というのが、瑣末な問題かもしれませんが、現場ではそういうことがどうもあるようなことを聞いています。そのぐらいのことです。
もう一つ、鈴木様からいただきました障害受容が進まないということについては、高等部に来る前から実は課題になっていることかと思うのですが、これは教育とか労働とか福祉だけの問題ではなくて、医療や保健も含めてですが、障害であるということを話すときに、障害であって残念だねみたいな言葉をまだ使う医者ですとか保健師とか学校の先生もいらっしゃると。そう言われたら、そう残念なものになりたくないということも結構あるので、障害、残念なものではなくて、自分の一部の特性でということを、学校だけではなくて、医療も保健もみんなが少し言葉とか伝え方を工夫するということが、教育以前の問題としては必要かなと思っています。
それから、高等部から職場へのつなぎについてですが、障害ということではなくても、こういうところが苦手なことを分かってもらうと助かるよねというような、本人のメリットという視点で、どう伝えていったらいいかということを、障害というふうに言うとか、手帳を取るのは先でもいいけれども、伝え方について本人にアドバイス、サポートとかしておいてくださって、その後に、それを伝えやすくするために障害という言葉を使ったほうが楽だとか、手帳というのも取ったほうが楽だとか、メリットとか、楽だとか、そういう視点で本人に伝えていくというのが比較的早いのではないかなと私たちは現場で感じています。
すみません。説明として不足だったかもしれませんが、答えは以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。
私からも実は1点ありまして、今のは高等教育の話だったのですけれども、大学にもこの発達障害の問題というのはあるのですけれども、大学生の場合はどのように、この1番目のつなぎの部分、就職へのつなぎの部分、何かいいアイデアありますでしょうか。
○日本発達障害ネットワーク(日詰) 多分、大学の先生もいらっしゃるのであれですけれども、最近、大学の健康相談センターとか、そこのカウンセラーの方たちが発達障害の勉強をかなりしてくださっていて、そこで、今言ったような障害という言葉を使わないけれども、長く続けていくにはどのように理解してもらうと得かという話ですとか、先輩に来てもらって話を聞いてもらって、やはり損か得かみたいな話が比較的入りやすいと聞いています。健康管理センター等でかなりその辺のアドバイス等を行う大学も増えてきています。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。
フロアのほうはよろしいでしょうか。オンラインのほうはよろしいでしょうか。
手が挙がっていないですね。
では、大変お忙しいところ、本日は御報告いただきまして、大変ありがとうございます。今日の、もし後で質問等がありましたら、また事務局で共有してフォローアップさせていただきたいと思います。本日は、日本発達障害ネットワークの日詰さん、大変ありがとうございました。
続けて、きょうされんに御報告をお願いしたいと思います。本日参加されている方のお名前、役職、団体の概要を最初に簡単に御紹介いただき、説明に入っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○きょうされん(赤松) きょうされんの赤松と申します。本日は、事務局長の多田と2人で参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
まずもって、このようなヒアリングの場をいただいたこと、感謝申し上げます。また、この雇用と福祉の連携強化というのは、私どもは、就労支援分野では積年の課題だと認識しております。そういった点で、このたびこういった検討会が設けられたことに対しまして、大いに期待しておりますとともに、委員の皆様におかれましては、ぜひとも骨太な御議論をいただけるようお願い申し上げたいと思っております。
当会からは、就労支援能力判定、それから連携強化、この2点に関しまして発言させていただきたいと思います。
まず、能力判定に関わってですが、現在は長年にわたって、仕事を探したいなというときに、ハローワークに相談に行けば一般企業が紹介される、市区町村の障害福祉窓口に行けば作業所等につながるという形で、どこに相談するかによって行き先が分かれてしまうという現状がございます。そういった点で、この雇用と福祉の連携強化ということが議論の俎上に上がったということでもありますので、やはり就労に関わるワンストップの相談窓口というものの検討に着手することを私どもとしては提案申し上げたいと思います。簡単なことではないと思いますが、ぜひとも必要な課題ではないかということでございます。
また、その判定のスケールと申しますか、評価の仕方ですけれども、障害者権利条約でいう、いわゆる社会モデルの観点、この観点がやはり能力判定においては欠かせないだろう。そういった社会モデルを踏まえた判定のあり方というものを改めて模索するということが重要だろうと思うのですが、例えばJEED様なんかでも長年にわたって研究の蓄積もございますので、そういったところの検討の到達、こういったものを踏まえた検討が必要だろうということが1つ。
それから、一律の判定スケールでありますとか、あるいは医学的な診断に基づく判定ということではなくて、障害特性でありますとか必要な支援内容、あるいは希望する職種、そういったものに即した具体的な判定能力というものが多分必要になってくるだろうと。また、判定に当たりましては、例えば障害者権利条約を批准して、雇用促進法によって合理的配慮の提供義務が定められました。ということは、障害ゆえにできないことがあるとしても、合理的配慮を提供することでできるようにしましょうということだと思うのです。そういう意味で言うと、就労能力判定によってその時期の能力を判定することと、合理的な配慮を提供すればこの職務が遂行できますよということの関係を整理する必要があるだろうということ。また、最初はできなくても、練習する中で徐々に経年的に能力を獲得していくということは誰にでもあることであります。
しかしながら、一時の労働能力判定によって、そういった経年的な能力の獲得というものが考慮されないとすると、それは御本人にとっても非常に不本意なことでありますので、そういったこともどう反映するのかということも大きな課題かなと認識しているところであります。
続きまして、福祉と雇用の連携強化の点でございます。この点につきましては、私も作業所で仕事していたときに、やはり仕事したいのだけれども、通勤の手段がないから、田舎でしたので、特に通勤の手段、公共交通機関も発達していませんので、仕事ができない、あるいは仕事を探してもなかなかいい仕事にめぐり会えないという方がおられました。そういう点で、希望もあるし能力もあるのだけれども、通勤の支援や仕事中の生活支援が受けられないから仕事できないという方はたくさんおられると思うのです。まさに福祉と雇用の連携強化によって、こういった人たちがやはりちゃんと仕事をして力を発揮できるという環境をつくることが何よりも大事なのだろうと認識しております。
また、現行のそういった観点も踏まえながら、事業体系のありよう、いろんな課題は指摘できると思いますが、今回は3点指摘しております。1つは、A型で申し上げますと、雇用契約を結ぶのだけれども、福祉サービスでもあるということで利用料が発生するということ。B型に関して言いますと、働いているのだけれども、福祉サービスの利用者なので、労働者としての保護が受けられないということ。また、地域活動支援センターという市町村事業ですが、働く場として重要な役割を果たしている事業があるにもかかわらず、ほかの事業との格差が非常に著しいということ。このような課題が私たちとしては解消すべき課題としてあるのではないかなあと考えておりまして、当面、4点、そこに必要な改善ということで掲げさせていただきましたが、まずは通勤や仕事中の支援、ここを福祉サービスを利用できるようにすることというのがやはり喫緊の課題ではないかと。これによって働けるようになる人はたくさん増えると認識しております。
また、B型事業所で働いている方にも、労働法の全面適用ということは難しいかもしれませんが、部分適用ということをやはり検討していくというのが今求められている課題として言えるのではないかということ。このようなことも踏まえて、今、この検討会のテーマである雇用と福祉の連携強化という観点で現在の事業体系を見直すということが必要なのではないかと思っています。
最後になりますが、この検討会を機にさらに一歩踏み込んで、障害のある人の一般雇用、それから福祉的就労、こういった就労支援全般を所管する新たな部局というものを、雇用施策と福祉施策の連携強化という観点から、ぜひ新たな部局の設置というものを検討するということを御提案したいと思います。
当会からの発言は以上になります。
○駒村座長 ありがとうございました。では、質疑に入りたいと思います。まず、会議室のほうでいかがでしょうか。
では、倉知さん。あとはいいですか。オンラインのほうで御発言。阿由葉さん、酒井さん、阿部さんの手が挙がっています。
では、倉知さんからお願いできますか。
○倉知構成員 九州産業大学の倉知です。2点お願いします。
1点、これは教えていただきたいのですが、最初のほうに、窓口が違うことによってワンストップサービスが必要だという話だったと思うのですが、窓口が違うことによってどんな不利益があるのか、ちょっと具体的に教えていただけるとありがたいと思います。
それからもう一点ですが、B型事業所に労働法を一部適用できないかという話だと思うのですけれども、その一部というのは具体的にどの辺りを指しているのか、ちょっと教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○駒村座長 では、少しまとめてからと思います。阿由葉さん、次にお願いします。
○阿由葉構成員 倉吉さんとちょっとあれなのですが、ワンストップの相談窓口というので、実際どういうメンバーで検討というか、考えていらっしゃるのかというのが分かれば教えていただければと思います。
それから、もう一点ですが、先ほど海外の事例の社会モデルの関係ということがありましたけれども、具体的にどこの国のどういった内容かというのが分かれば教えていただければと思います。
以上です。
○駒村座長 次に、酒井さん、お願いします。
○酒井(大)構成員 構成員の酒井です。丁寧な御説明ありがとうございました。
私も、1点がワンストップ窓口について、倉吉さんと同じですけれども、もう少しアイデアがあれば、例えば設置主体であるとか設置単位など、何かアイデアがあればお教えいただきたいなと。適用については、もう倉吉さんが御質問されているとおりですので、その回答をお聞かせいただきたいなと思います。
以上です。
○駒村座長 次に、阿部さん。
○阿部(一)構成員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。
先ほどお話しいただいたところで、就労能力判定方法ということに関して、その内容についてどうお考えかということで赤松さんにお聞きしたいと思います。赤松さんの説明の中では、これは委員の先生方の御指摘もあるように、社会モデルを踏まえてというお話がありました。そうすると、この就労能力判定の中には、環境というか、やはりその人の社会的障壁、困っていること、不便なことも踏まえて就労能力判定とすべきではないかなと、私は思います。就労能力判定方法という言葉だけを見ると、その人の持っている職業の能力みたいに思われてしまうようなところがあるのだけれども、その辺、社会モデル、そして、だからこそ私は環境の整備が大事だと思いますし、環境の整備が整わない場合に初めて合理的配慮となるというのが障害者権利条約の考え方だと思います。そのようなこともふまえて、それぞれの方の働き方の、働くときの支援のあり方を考えるというのが就労能力判定方法であれば、その辺のところを、今私思ったことが正しいのかも含めてお話しいただければと思いました。
以上です。よろしくお願いします。
○駒村座長 すみません。もう一点、ごめんなさい。ネット上のほうで藤尾さんから今手が挙がっているようでございます。これで最後にいたします。では、藤尾さん、よろしくお願いします。
○藤尾代理(酒井(京)構成員) ありがとうございます。卵が先か鶏が先かになるかもしれないのですけれども、雇用の場が一体的に再編成された場合に、このワンストップの窓口というのが、役割が今と恐らく変わってくるだろうなという気がしているのですね。さらに、今、阿部さんの言われた就労能力の判定、これに関して言うと、今現状も御本人たちは自分の希望に基づいて窓口の選択をしていて、自分たちが働き方を選択していると思うのですけれども、就労能力判定が生かされるとすると、僕のイメージだと、生活保障がここに入ってきて、この人の給料どれぐらいだよという、そういったところに活用され、その残りの部分を国が保障するみたいなところに活用されるのかなというイメージでいたので、この就労能力の判定というところの活用の目的とか範囲というところがちょっと知りたいなと思って御質問させていただきました。よろしくお願いいたします。
○駒村座長 では、赤松さんのほうからお願いできますか。
○きょうされん(赤松) 多岐にわたる御質問、本当にありがとうございます。順番にお答えさせていただきたいと思いますが、1つは、ワンストップの窓口に関して幾つか御質問をいただきました。
まず、ワンストップの窓口の必要性と言いますが、現行の不利益な点ということで倉吉先生から御質問ありましたが、必ずしも御本人が選択して、ハローワークに行くか、市町村の窓口に行くか、両方てんびんにかけて選択していっているケースもありますが、そうでないケースもある。すなわち、継続して今まで福祉的就労、福祉の窓口に相談していたから相談していた。その場合は作業所等につながっていくということで、一般的に、基本的にはそういう企業につながる場合と作業所等につながる場合で所得格差がかなり大きいわけであります。
そうではなくて、やはり働きたいと思ったらこの窓口に行きます、そこで、一般就労なのか、作業所なのか、その人の適性も踏まえた判断がされるという機関としてこのワンストップというものが必要なのではないかということ。そこにおける労働能力判定という形で、その労働能力判定の意味というのは何かということで申し上げますと、本人が働きたいと思う仕事がある、あるいは働きたいと思う場所があった場合に、そこの一つの適性ということはありますけれども、やはりその判定によってどういった支援、どういった合理的配慮があればこの仕事ができるかということが明らかにされるような判定ということでなければ、本人にとっては何かはじくための判定にしかならないのではないかということがあるかと思っています。
そういう点で、ワンストップの窓口と、それから労働能力判定のあり方というのは確かに非常に大きな問題ですけれども、ワンセットで検討すべき内容かと認識しているということでございます。
それから、労働法のB型への一部適用の問題ですけれども、まだまだこれは私どもも検討の真っ最中でございます。これというものがあるわけではございませんが、例えば労災が適用されるということで、労災、要はB型で仕事をしていて、仕事上のけがをしても、そういうものはないので、一部、今、派遣なんかで工夫して対応しているということはございますけれども、やはり働いているということがございますので労災の適用ということは重要なのではないか。あるいは、労働安全衛生法の適用なんかもこういうところでは考える必要があるのかなあということは議論しているところでございます。
それから、社会モデルに関しての海外事例という御質問を阿由葉さんからいただきました。これに関しましては、ヨーロッパでいろんな先行研究、あるいは先行の実践があるかと思います。フランス、ドイツ、イギリスなどで、そういったワンストップの窓口でございますとか、あるいは社会モデルに基づいた判定ということで実際にやっておられると。そのことのよしあしでございますとか、あるいは日本でどこまで取り入れられるかということも含めた検討が必要かなあと考えております。
それから、先ほどのワンストップ窓口に関して、設置主体等含めてどう考えるのかというような御質問を酒井さんからもいただいておりました。設置主体に関しましては、基本的には労働に関することですのでそういうことだと思うのですが、先ほど私どもが提言させていただいた福祉と雇用の連携強化に基づく障害者就労支援に関わる新たな部局、もしこれができれば、ここが所管するということが一番望ましいのだろうと。そこに至るに当たっては、基本的には労働部局ということになりましょうが、福祉部局との連携の下での所管というふうになるのではないかというイメージを持っております。
全ての御質問に適切に答えられたかどうか分かりませんが、私のほうからは以上でございます。
○駒村座長 丁寧にお答えいただきまして、大変ありがとうございます。
もう時間も来ておりますので、次のほうに向かいたいと思います。きょうされんの赤松さん、多田さん、本日は大変ありがとうございました。
そうしましたら、次に精神保健福祉事業団体連絡会のほうから森様がいらしているということでございますので、よろしくお願いいたします。
○精神保健福祉事業団体連絡会(森) 精神保健福祉事業団体連絡会、略しまして精事連と申しますが、当団体の副代表の森敏幸と申します。よろしくお願いします。
精事連は、NPO法人全国精神障害者地域生活支援協議会、通称、あみ、一般社団法人日本精神保健福祉事業連合、通称、日精連、そして、全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク、通称、全精福祉ネットと申しますが、この3つの団体で構成された組織です。
今回、時間的に余裕がなく、3団体で意見集約が十分できておりません中で、お手元のような意見を提出させていただきました。ややまとまりのない内容になっているかと思いますが、御容赦ください。
まず初めに、ヒアリング項目1つ目の「効果的で、切れ目のない専門的支援体制の構築について」ですけれども、お手元の資料に幾つか提示させていただきました。その中で、切れ目のない支援を実現するためには、身近な地域に中核的で専門的な相談機関を整備する必要があるのではないかと考えております。相談から評価、それから就業、生活支援、それから定着支援、それに、企業にも支援だとか、地域の連携を図るような事業をやれるような相談機関が必要かと考えております。現在の障害者就業・生活支援センター、中ポツセンターが全国335ありますが、それを再整備し機能強化するような形で整備していってはどうでしょうか。
次に、雇用・福祉施策の双方に係る知識等を身につける専門支援人材の育成等について、お話しします。
先に述べました機能強化した中ポツのバックアップ機関として、地域の障害者職能センターを位置づけて、雇用、福祉相互の人材育成を担う研修などを充実させていってはどうかと考えました。一定の経験だとか専門研修の受講などを要件として、主任就労支援員だとか主任生活支援員というのを資格化して技術的な保障をしてキャリアアップを図っていくようなことが必要ではないかと思っております。
それから、職能センター、それから、中ポツと連携しながらいろいろな専門的な技術だとか知識なんかを研修等で広げていくようなことが必要ではないかと思っております。
また、幾つかの企業の中には、福祉的な支援を行っているものにも非常に参考になるような有効な実践がありますので、そういう実践を異業種の企業だとか福祉サイドがまとめる機会、こういうものも、そういう職能センター、中ポツセンターの連携の中で広げていく必要があるのではないかなと思っております。
次に、2つ目の多様な就労ニーズについての考え方に移りたいと思います。川崎市だとか神戸市で始まっております、さらにソフトバンクなどの一部企業で導入されている超短時間雇用モデルなどは、精神障害だとか発達障害の方たちに有効なモデルだと言われております。このような新しい就労ニーズの掘り起こし、地域経済の活性化につながるものと考えております。積算型の雇用率制度だとかB型事業所の併用などの規制緩和を図っていくような課題はありますが、発達障害、精神障害、その他の重い障害を持っている方などが地域社会へ参加できる機会を見出していくものではないかと考えております。
続きまして、3の障害者雇用施策の抱える課題についてに移りたいと思います。障害者雇用率制度は、障害者の雇用を進めたという一定の成果をもたらしましたが、やはり週20時間の壁というものがあります。先ほど申しましたように、積算型の雇用率制度だとか、あるいは超短時間雇用モデル、さらにフレックスジョブというような考え方なんかも検討していくこともいいのではないかなと思いました。
そして、精神障害者の雇用に関しては、従前から、ナイトホスピタルなどで実践されてきている、身近な中小企業などで働ける福祉の開拓というのを積み上げてきております。精神障害者が短時間で小さな企業の中へ入り込めるような支援施策というのが非常に大切で、本当にそれができればインクルーシブな雇用を進めることになるのではないかなと考えております。
次に、障害者福祉施策の抱える課題について述べさせていただきます。私どもの団体、精事連では、昨年、B型事業所の実態調査をまとめました。その結果、決して工賃が高いから満足しているという結果は得られませんでした。高い工賃が稼げる障害者は一般雇用の可能性の高い人かと思いますが、事業所運営上、このような方を外へ出そうとしない、抱え込んでしまうような、社会へ出るチャンスを支援者側がついていくような状況が生み出されていくようなことになっていくのではないでしょうか。少しこの辺りを考えていただいたらいいかなと思います。
それから、ある研究では、雇用型のサービスを利用している方と非雇用型のサービス利用者では職業能力の差は1.1倍程度、それほど大きい開きはないという結果も出ております。これなどは非雇用型のサービスを利用している人がやはり雇用型のほうへ移れる可能性を非常に秘めているということですので、この辺りも考える必要があるのかなと思います。
それから、資料には何も記載しておきませんでしたが、教育など関連分野との連携については、中ポツセンターの相談事例では、高等学校だとか専門学校、大学などから紹介がうかがわれるような学生の就労相談が少なからずございます。今後はこの辺りとの連携をどう構築していくかは一つの課題ではないかなあと考えております。
定着支援のように、雇用・福祉施策における支援内容に重複が見られる部分についてどう考えるかに移ります。ある研究では、就職時点で福祉機関と連携があった、すなわち、障害福祉サービスを利用し継続的な地域の福祉支援ネットワークに身を置いて生活している場合、離職の抑制につながったと考えられるという結果が得られました。職リハの支援業務に加え、福祉機関なども職リハとは異なる支援を提供する支援機関との連携を形成することが中長期的な職場定着で求められることだという世論がある。これなどは、今後、定着支援を進めていくときに大切なものかと考えます。
最後に、雇用施策と福祉施策の連携強化に向けて検討が必要な事項についてですが、障害者の就労支援施策に関して、この施策部門と福祉施策部門の統一がなされない、互いの人事交流が図られるなどして、それぞれの施策の理解が深まることが地方の現場で感じる縦割り行政の弊害の解消につながっていくのではないかと考えます。
以上です。ありがとうございました。
○駒村座長 どうもありがとうございました。それでは、質疑に入りたいと思います。
今度はオンラインのほうから募りたいと思います。オンラインのほうで御質問予定の方、いらっしゃいますでしょうか。挙手いただければと思います。
藤尾さんが手が挙がっています。藤尾さん、「手挙げ」機能というのもありますので、それのほうが発見しやすい。それだとすぐ見つかりやすいので。すみません。あとは、フロアのほうではいかがでしょうか。菊池先生。
では、藤尾さん、次に菊池さんの順番。あと阿由葉さんも手が挙がっていますので、先にネットで、藤尾、阿由葉、そして菊池さんという順番でお願いします。では、藤尾さんからどうぞ。
○藤尾代理(酒井(京)構成員) ありがとうございます。今、御説明いただいたものの中でとても気になったというか、いいなと思ったものがあったのですけれども、福祉と就労をうまくマッチングするという考え方ではなくて、就労に福祉の色を入れていくというような御発言があったと思うのですね。障害者の就労支援をしていると、雇用企業に関して言うと、企業努力に委ねているところがあって、なかなかこの障害のある方に対する理解、啓発というのが、新たな層へ引き込むような仕組みになっていない。就労が唯一、多分今まで関わったことがない方たちがたくさん関わる機会ではないかなと我々は感じて仕事をしているのですけれども、できたら、この色を入れていくというのを具体的に何かアイデアがあれば教えていただけると、我々もふだんの仕事の中で取り込めることがあるのではないかなと思ってちょっと御質問させていただいていますが、よろしくお願いいたします。
○駒村座長 では、次は阿由葉さんからお願いします。
○阿由葉構成員 すみません。2番目の技術革新云々ですけれども、まず、そこの(1)のところで、企業側の提供する支援と雇用側の求めとかけ離れているということが書かれています。福祉事業所の持つ社会性の問題もあるのではないかということですが、どちらかといえば、我々は、これは片方だけでなくて、双方向の連携が大切だと考えています。そういった中で、その後ずうっと、3枚目もそうですが、A型、B型、一般就労できない人に対する制度とか、本来のあり方について議論を進めていく必要がある。確かに議論は進めていく必要がありますが、今これは一般就労できない人の支援制度ではなくて、中からきちんと一般就労していくというのが当然のことで、福祉側のところもその旨きちんと対応していると思っています。そういった意味では、内容とか、改める、そういったところを理解していただく必要がある部分があるのかなと思っています。
社会参加の役割ということが書かれていますけれども、やはり就労して働くことによって工賃を得ることで非常に喜ぶ方たちがたくさんいらっしゃいます。高工賃を得ることで、働くということに向けて進めていくんだという方がたくさんいらっしゃるということがありますので、単なる低工賃で働くという場所ではなくて、ここはきちんと高工賃を目指すということがまず第一であると思います。
そういったことの中で、そこはなかなか難しい方たちも当然B型の中にいらっしゃいますので、そういう方たちを改めてどういう形で進めていくのかということは大切なのではないかと思っています。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。
では、フロアの菊池先生、よろしくお願いします。
○菊池構成員 今いろいろな観点からの説明があったのですが、その中で私が強く印象を受けた点ということで、まさに今、お二方の御質問のポイントと重なっているのですけれども、お話の中で強く印象づけられたのは、一方では、企業に福祉の色を入れていくという、企業の、ある意味では福祉化というような方向性が必要であるというお話。
他方では、福祉の側の社会化というか、社会性というものをもっと考えていく必要があるのではないかという、その2つのベクトルというか、お話があって、非常に印象深かったのですが、そういう面で、特に後者の福祉事業所の持つ社会性の問題というものも含めてもう少し何か具体的にお話しいただければ。そして、それをどのように乗り越えていけばよいのだろうかというものがあればお伺いできればと思います。
○駒村座長 では、森様のほうからお答えできますでしょうか。今、三人からの御質問でございます。よろしくお願いします。
○精神保健福祉事業団体連絡会(森) ありがとうございます。お三人の御質問が割に重複しているような御質問だったかと思います。
1つは、企業側の福祉化という問題ですけれども、中ポツの事業なんかを進めているときに、企業さんで結構、こんなに福祉的にいろいろ支援をしておられ、私たちもびっくりするような支援をしておられるような実践というのが結構ありますので、そのような実践も、セミナーだとかいろんな形で好事例の紹介とかいう形で進めていくというのも一つの手かなあと思っております。これが非常に大事なことかなあと思います。
それから、地域でこういう企業と福祉の連携を図るような関係の場といいますか、会議の場なんかを設けてお互いに意見を交換し合うということは、私どもの中ポツでは実際にやっているのですが、そういうものも有効になってくるのかなと思っております。
それからもう一つ、福祉の側の社会化ということがあるのですけれども、例えば滋賀県の就労移行事業所連絡協議会が、移行の職員が企業の側へ実習に行くというような実践をやっておられます。これなんか、お聞きすると非常に職員の意識も変わってくるし、そこで交流を深めることで、企業の側が福祉のことも理解される、こういうことがより深まっていくということを聞いておりますので、ここに書かせていただきましたが、こういう企業と福祉の人事交流、こういうものが制度的なものとして構築されていくとありがたいかなと思っております。
それから、阿由葉さんからの御質問の中で、御意見かと思いますが、確かに高工賃を求めるといった障害者の方たちの意識の感覚になってくるところはありますけれども、今のB型の事業所の中には、特に病気を抱えているような方たちが、働く以前の問題を抱えながら、特に地方のB型なんかは、本来のB型のあり方よりも、どちらかというと地域活動支援センターの役割も担わされているというのですか、社会資源として1つしかなくて、ここを利用していくという方たちも非常にいますので、そういう意味では非常に多様な方たちが利用されていくので、就労施策と言うかどうか分かりませんけれども、A型、B型の2つの分け方でない新しい社会資源、こういうものも創出というか、考えをしていかなればいけないのかなと、地域活動支援センターが少し脆弱化していくところが一つの大きな問題かなと個人的には思っております。
以上ですが。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
ほかに御質問もないようですので、1つだけ、先ほど御紹介いただいた精神障害者における就労継続支援B型事業実態調査、これはそちらの森様の団体のほうでやられた調査ということでしょうか。
○精神保健福祉事業団体連合会(森) はい、3団体一緒にやった調査です。
○駒村座長 そうですか。大変興味深いというか、気になる結果ですので、もし公開されているようなものであれば、情報を報告し、調査報告書を事務局に送っていただいて、ぜひ拝読したいなあと思っております。よろしくお願いいたします。
○精神保健福祉事業団連合会(森) 分かりました。ありがとうございます。
○駒村座長 ありがとうございます。
それでは、次の方も控えておりますので、森様におかれましては、今日は大変お忙しいところをありがとうございます。
○精神保健福祉事業団連合会(森) ありがとうございました。
○駒村座長 それでは次に、NPO法人日本高次脳機能障害友の会の皆様から御発表をよろしくお願いいたします。最初に、お名前、役職団体の概要を簡単に御紹介いただいた後、御説明に入っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○日本高次脳機能障害友の会(片岡) よろしくお願いします。日本高次脳機能障害友の会理事長の片岡保憲と申します。
本法人は、高次脳機能障害を抱える当事者家族の家族会としての法人です。中には、当事者家族会を母体に就労支援事業所なんかを運営している団体もあります。我々、当事者家族会ですので、少し勉強不足の点もあるかと思いますが、我々なりにまとめさせていただきましたので、報告させていただきます。
まず、支援計画の共有化についてどう考えるかというところですが、共有化は必要であると考えております。高次脳障害は、症状や経過、変化に要する期間とか変化の程度がかなり多様です。一律の経過をたどらないために、時系列的な情報共有の必要性があります。高次脳機能障害の中でも特に社会的行動障害と言われる障害は、当事者本人が困る以上に、周囲の家族、職場の仲間、支援者が困惑し、自閉することが多いと言われています。そのため、当事者の周囲の環境の評価も必要であり、評価に関わる人も多数になることが想定されます。適切な評価・支援の提供のためには、関係者間での情報共有が必要であると考えております。
次に、専門支援人材の育成確保についてどう考えるかという点ですけれども、既存の人材と専門支援人材育成のカリキュラムを流用し、一方の施策の知識を身につけている人材にもう一方の施策の知識等を身につけられるというような教育を行うのが効率的かなあと考えております。
あくまで例えばのお話ですけれども、高次脳機能障害の知識を有している者として、高次脳機能障害支援普及事業に記されている支援コーディネーターは、福祉施策において支援や地域の関係機関との調整を実施することができます。しかし、雇用施策においての知識を有しているとは言い難い状況だと思います。
そこで、高次脳機能障害、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が主催する就業支援実践研修を受講した者を雇用・福祉施策の双方に係る知識を身につけている人材と位置づける等の検討を行う必要があるのではないかと考えております。
続きまして、多様な就労支援ニーズへの対応についてどう考えるかという点ですけれども、この点については、新しい課題であるため基本的にノウハウがないと考えております。これもあくまでもたとえ話ですけれども、ホームページなどアクセスしやすい媒体での好事例の公開等により、ノウハウを学べる場をつくるとか、当事者、支援者、雇用主、相談窓口等が参考にできる先駆的な好事例やノウハウを共有できるスキームというものが必要であると考えております。
続きまして、障害者雇用施策の抱える課題についてどう考えるかということですけれども、高次脳機能障害の場合、障害特性と回復の過程はかなり長期間を要します。障害者雇用施策における就労(復職)支援には利用可能な期間が定められておりまして、その期間で高次脳機能障害者は就労能力を得ることが難しいケースが多く存在しています。雇用施策において支援計画に障害特性を加味し、期間延長を含むプラン作成の検討をしていただければありがたいなあと思っております。
続きまして、障害者福祉施策の抱える課題についてどう考えるかということですけれども、高次能機能障害、特に社会的行動障害が重度の方は、他者とのトラブル、感情のコントロールができなかったり、あるいは非理性的行動があったり、いろいろな他者とのトラブルがあります。そういったトラブルが頻回に起こって、トラブルの予防や対応で支援者に大きな負担がかかっている現状があります。生活場面でのトラブルが多くても、支援者とつながることを拒むケースもあって、生活場面のトラブルに就労系の支援者が対応するケースも存在しているというのが支援の負担になっています。そういったことから、高次脳機能障害、特に社会的行動障害の重度の方を重度者として定量化できる新たな基準というものが必要であると考えております。
人材開発施策や教育などの関連分野との連携についてどう考えるかという点については、高次脳機能障害の周知を進める必要があり、その周知を進める人材の育成が必要であると考えております。
あと、その他のところですけれども、高次脳機能障害は中途障害であり、発症後に復職するケースもまれではありません。復職支援の際に福祉施策においてサービスを利用する際には条件が付与されます。高次脳機能障害の障害特性をより理解している障害福祉サービスと雇用施策とが連携することで、より復職への支援が充実することが考えられます。
また、高次脳機能障害の支援においては認知機能面の強化が重要であると言われています。福祉施策の就労移行支援には福祉専門職配置加算に作業療法士が新設されましたが、A型、B型においても評価はかなり重要となってきます。就労継続支援A型、B型の福祉専門職配置加算に作業療法士を加えるなどの工夫によって、きちっと認知機能面の評価が実施できる体制、そういった整理も御検討いただきたいなと考えております。
以上です。御清聴ありがとうございます。
○駒村座長 どうもありがとうございました。
では、今の片岡様からの御発表に関して、皆様のほうから質問を募りたいと思いますが、フロアのほうはいかがでしょうか。竹下さん。あと、オンラインのほうはどうでしょうか。長谷川さんと阿部さん。
では、竹下さん、次に長谷川さん、阿部さんの順番でお願いいたします。
○竹下構成員 竹下です。2点だけ教えてください。
高次脳機能障害の方、私も若干の接触があるのですけれども、今、重度という位置づけの指摘があったかと思いますけれども、高次脳機能障害の重度と軽度というものは、就労との関係でどういう違いを持って、あるいは支援の仕方について違いがあるとお考えになっているかについて教えていただきたいと思います。
もう一点ですけれども、高次脳機能障害の方、僕が接触した人は全て外傷性で中途障害の人ですが、従来持っている、負傷前とか受傷前の一定の就労経験というものは受傷後にも生かされているケースがあるのでしょうか。もし御存じだったらそれを教えていただきたいという、この2点です。
○駒村座長 それでは、長谷川さん、お願いいたします。
○長谷川構成員 お話ありがとうございました。福島大学の長谷川です。
お話しいただいた片岡さんへの御質問というよりも、お話あった中でトラブルの予防とか対応で支援者が非常に大変な思いをしていらっしゃって、就労側が支援することもあるのだけれども、必ずしもそれに対する対応が、加算とかそういうものがなされていないということだったのですけれども、その点に関して厚生労働省の方にお聞きしたいのですが、そういった形で就労側の支援者、例えばA型とかB型の事業者とか移行支援事業所とか、あるいは企業で働いていた場合には企業とかが使える助成金制度とか、あるいは福祉報酬の加算みたいなものというのは何か存在しているのでしょうか。あるかどうか教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○駒村座長 これは、では後で厚労省に答えていただくとして、阿部さん。酒井さんも手を挙げていますので、阿部さんが先、そして酒井さん、次にお願いします。
○阿部(一)構成員 日本身体障害者団体連合会の阿部と申します。
高次脳機能障害の方の場合は、交通事故とか、それから、脳血管疾患も原因になる場合があるとお聞きしていますけれども、そのような場合、身体に障害が表れる方と、身体の障害は、最初は表れるのだけれども、ほとんどなくなる方と両方考えればよろしいのかなと思います。そしてまた、今度は、例えば脳血管疾患などの場合には、ともすると年齢が40歳以上の方の場合には、介護保険に、病院から介護支援専門員さんがそちらに結びつける場合も多いのではないかということとともに、障害領域でも訓練等給付の中に自立訓練事業、機能訓練事業がありますので、それを活用しながら就労に結びつけるということもあろうかと思うのですけれども、その辺は全ての地域で周知されていない。その辺どうお考えなのかということと、そして、高次脳機能障害の方は、先ほどもありましたけれども、身体機能が回復するともう復職できると思う方が多いけれども、ただ、いろんな面で元と同じ力を発揮することが厳しい場合もあることもお聞きしています。私が関係している事業所では自立訓練事業をやっていますので、高次脳機能障害の方もいらっしゃいます。その辺のところで、よりよくそれぞれの方に対応した福祉のサービスの選択が行われているのか、介護保険のほうに先にいくような気もするのですけれども、その辺について現状等、そしてお考えがあったら教えていただきたいと思って質問いたしました。よろしくお願いいたします。
○駒村座長 酒井さん、そして阿由葉さんも手が挙がっていますので、取りあえずここまでと思っています。では、酒井さんのほうからどうぞ。
○酒井(大)構成員 酒井です。丁寧な御説明ありがとうございます。
雇用施策における支援の延長について言及されておりますけれども、これは具体的に雇用施策の中のどの制度を指されているのかということと、それから、長期間を支援では要する方がいらっしゃるということでしたが、どの程度の期間を、そういう方の場合要するのか、もう少し具体的なことが分かればお教えいただきたいなと思います。
以上です。
○駒村座長 では次に、阿由葉さんからお願いします。
○阿由葉構成員 障害者福祉施設に係る課題のところのA型、B型の重度者支援体制加算について、算定要件が基礎年金給付受給者の割合ということで、高次脳機能障害の方には算定することが難しいというお話でした。これはやはり知的障害の方も算定が非常に難しいということがありまして、例えばこれはどういったスケールであれば望ましいのかということが具体的にあればお聞かせいただければと思います。
○駒村座長 ほかはよろしいでしょうか。
では、片岡さんのほうから御回答いただければと思います。厚労省のほうは後で確認しますので、準備しておいてください。
では、片岡さんのほうからよろしくお願いします。
○日本高次脳機能障害友の会(片岡) たくさんの御質問ありがとうございました。
まず、高次脳機能障害の重症度の話があったかと思います。重度、軽度の違いというものは何に当たるのかということだと思いますが、高次脳機能障害というのは基本的に注意障害とか記憶障害、それから遂行機能障害というシミュレーションができない障害、あるいは、さっき申し上げました一番難渋する社会的高度障害全ての面を含みますので、注意障害が重度であれば重度、そういったテストバッテリーで重度と出れば重度、記憶障害が重度であれば記憶障害は重度だねという話になります。
社会的行動障害というものに関しては、例えば麻痺のない方で一見普通に見える方でも、例えば非理性的な行動をとったり、前頭葉の、要は抑制が効いていない状態ですので、すぐかっとなって人を殴ってしまったり暴力事件を起こしてしまったりとかいう事例があります。そういった方を重度と認定する基準がないと我々は解釈しております。どこが重度で、どこが軽度のものなのか、この人間社会生活の中で生活していく上でどこが一体重度という基本になってくるのかというのがないのではないかなと考えています。
あと、そういった外傷性を含めまして、受傷前の就労経験が生かされているかというケースに関しましては、生かされているケースももちろんあります。それは記憶障害の程度に関わってくることかもしれません。前の過去の記憶が全部絶たれているようなケースもありますので、そういう場合は、就労したことが分からない、後天的サバイバーのような状態になってしまうようなケースも確認されております。
あと、身体障害のありなしについて、介護保険との感じなのですけれども、基本的には、介護保険化に流れていくというようなことがベースになっています。その中で、40歳とか超えている人で、本当は復職したいのにという人をピックアップする仕組みがないというのが現状です。そういった意味では、自立訓練のあの制度は、皆さんに確実に地方まで周知されているかというと、大分地域格差があると考えております。
あと、雇用制度の具体性ですね。雇用施策のどこのことかがちょっとあれですけれども、8週間から12週間でノウハウを身につける支援、それしか支援が入らないという制度があったかと思いますけれども、そこの部分を指しております。
あと、重症者のスケールについてですけれども、先ほど申し上げましたように、社会的行動障害についての重症度を判定する基準というものはなかなかないかなと思っておりまして、行動関連項目なんかを除いてみましても、我々がふだん支援をしていく人で、重度だ、この人は人に迷惑ばかりかけて大変だなと思うような方が重度者としてそのスケールでは認定されないというような現状がありますので、これはナラティブの積み重ねといいますか、事例の積み重ねによって基準を新たにつくっていくような方向しかないのではないかなと考えております。
以上です。お答えになっていないかもしれませんが、よろしくお願いします。
○駒村座長 どうもありがとうございます。
では、厚労省のほうからお答えいただけますでしょうか。
○石井障害福祉課課長補佐 事務局の障害福祉課、石井です。
長谷川委員から、生活支援について、今、国として制度としてどのようなものがあるのかという御質問があったところです。障害福祉について、現状という事実関係で申し上げますと、障害福祉サービス、例えば就労移行支援、もしくは就労継続支援A型、B型と言われる支援につきましては、それぞれ事業所に生活支援員を配置していただくこととなっているところです。ですので、役割としましては、生活支援につきましてはその生活支援員がやっていただくという形になっております。
また、就職後につきましては、就労定着支援事業において生活面のサポートをさせていただく、もしくは、障害者就業・生活支援センター、いわゆるナカポツセンターにおいて生活面のサポートをさせていただいているというのが現状の制度としての立てつけです。
ただ、先ほどの片岡理事長からの御意見につきましては、その現状の立てつけというのが十分機能できていないのではないか、もしくはなかなか難しい面があるのではないかという御意見であったと、我々厚生労働省としては受け止めたところです。
以上です。
○小野寺障害者雇用対策課長 加えて、
雇用サイドの支援ということについても併せて御質問ございましたので、企業側が何らかの措置をした場合の支援についてお答えします。現行においては、障害者雇用安定助成金の中での障害者職場定着支援コースというのがございまして、この中で一定の職場支援員の配置に対しての助成というのがございます。
ただ、例えば高次脳機能障害などの方の場合においては、その後、障害を負われた後、職場復帰される際といったある程度限定的な場面での活用を想定しておりますので、すべからく対応できるものではございませんが、こういったものも用意はしてございます。
○駒村座長 ほかには手が挙がっていないようでございますので、片岡様からの御意見は以上とさせていただきたいと思います。見えない障害と、それから社会的行動障害、認知機能が低下することによって外傷的な原因によって起きるこの障害、大変厳しいということも皆さんと共有できたのではないかと思います。本日は大変ありがとうございました。
○日本高次脳機能障害友の会(片岡) ありがとうございました。
○駒村座長 それでは、本日のヒアリングについては以上とさせていただきます。本日御協力いただきました団体の皆様には、大変感謝申し上げたいと思います。
では、議題2、その他について、事務局より御説明をお願いいたします。
○石井障害福祉課課長補佐 事務局の障害福祉課、石井です。
本日、ヒアリングにつきまして、時間が限られている関係もございます。先ほど座長からありましたとおり、今後、今日ヒアリングさせていただいた団体の皆様方に御意見なり御質問がございましたら、事務局に寄せていただければ、関係団体の皆様方と調整して、回答のほうを共有させていただく、そういった取扱いにさせていただきたいと思います。
それでは、その他として参考資料の御紹介をさせていただきたいと思います。まず、参考資料3につきましては、前回の検討会において皆様方からいただいた意見を事務局で整理させていただいたもの、参考資料4としまして、社会保障審議会障害者部会または労働政策審議会障害者雇用分科会においても、こういった雇用と福祉の連携について、各審議会の委員の皆様方から御意見を頂戴したところでございますので、それにつきましても、事務局で整理させていただき、この検討会の委員の皆様方に共有させていただくものです。今後の議論の参考にしていただければと思います。
最後に、お戻りいただきまして、参考資料2ですが、今後の「ワーキンググループの開催について」ということで資料をつけさせていただいているところです。前回第1回の検討会におきまして、今後、ワーキンググループを開催させていただきたい旨御了解いただいたところです。具体的にそのワーキンググループのメンバー等につきまして、座長と御相談させていただきまして、参考資料2のとおりとさせていただきたいと思いますので、各委員の皆様方につきましては御承知のほどよろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
○駒村座長 では、事務局のただいまの説明について御意見、御質問ございましたら、挙手でお願いしたいと思います。まず、フロアのほうはいかがでしょうか。竹下委員。それから、オンラインのほうでも御質問、御意見あればと思いますが、いかがでしょうか。今の時点で手は挙がっていないようですね。
では、竹下委員からよろしくお願いいたします。
○竹下構成員 竹下です。
ワーキングチームの議論が1月から始まるとしまして、その議論が全て終わってからこの検討会にもう一度検討が戻ってくるのか、それとも、ワーキングチームでの議論の一定の過程ごとでの、3つのワーキングチームを横断的にといいますか、全体的な議論をする場面というのは途中であるのかについて教えてください。
以上です。
○駒村座長 とても重要な点だと思います。ワーキングと検討会本体、どういう形で進めていくのか、事務局から御説明をよろしくお願いします。
○石井障害福祉課課長補佐 事務局、障害福祉課、石井です。
ワーキンググループ等の進め方についてですが、前回第1回で十分に説明ができなくて恐縮です。第1回の検討会におきまして事務局から御提案させていただいたのは、今後、関係団体の皆様方にヒアリングをやった後に、ワーキンググループで各テーマを御議論していただきたいと。その後、検討会のほうにワーキンググループの議論を戻していただいて、こちらの検討会で議論をさらに深めていただきたいと、そのように考えているところです。
一方で、では、ワーキンググループを開催している最中にこの検討会を開催しないのかという御質問が含まれていたと思います。それにつきましては、座長と相談させていただきまして、今後のヒアリング内容、もしくはワーキンググループの議論の内容を踏まえて、場合によってはこの検討会を、途中というか、間に開催させていただくこともあろうかと思います。大変恐縮ではございますが、現時点におきまして必ずこのタイミングで開催するというものではございませんが、必要に応じて、この検討会につきましても開催を検討させていただきたいと考えているところです。
以上です。
○駒村座長 ワーキングの状況に合わせて、場合によっては3つ同時に動くということでございますので、状況に応じて、場合によってはまた検討会を横断的に議論するという場を持つかもしれないということでございます。
オンラインのほうで、この進め方も含めて御質問いただければと思いますが、今日はヒアリングもかなり御協力いただいて順調に進んでおりますので、もしあればと思いますが、いかがでしょうか。
オンラインのほうからは、私が見える範囲では手は挙がっていないようですが。フロアのほうも、特段御質問、御確認はないと。
久保委員から手が挙がっているようですので、では、久保委員から御発言をお願いします。
○久保構成員 久保でございます。ありがとうございます。
これからワーキンググループを開催していただくわけですけれども、この3つのワーキンググループに対しての、例えば構成員からというよりも、団体からの意見をペーパーで出すとか、そういうことは可能なのでしょうか。ちょっと教えていただきたいと思います。
○駒村座長 事務局、ワーキンググループに対して団体から意見を出すということについての確認ですが、いかがでしょうか。
○石井障害福祉課課長補佐 事務局、障害福祉課、石井です。
最終的には座長と相談させていただくことになろうかと思いますが、各構成員の団体の皆様方から何らかの形で、この検討会の場での議論とは異なる形で御意見を頂戴する、何らかの意見書を出していただくということについては十分あり得るかなと思っているところです。当然、意見書のみならず、この検討会、ワーキングの議論の参考になる何かの資料等、各構成員の皆様方がお持ちでしたら、そういったものも含めまして幅広に御提供していただければ、座長と御相談させていただきたいと考えているところです。
以上です。
○久保構成員 ありがとうございます。
○駒村座長 それぞれのワーキングが少し深掘りをするということである以上、構成の団体からそういう情報提供、御意見提出ということもあるだろうと思います。ほか、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
では、やや時間にも余裕がありますけれども、意見が出尽くしたということでございますので、本日はこれで終了したいと思います。
最後に、事務局から今後の予定についての御説明、よろしくお願いいたします。
○源河企画課長 本日は御多忙の中御参加いただきまして、ありがとうございました。第3回は12月11日(金曜日)、引き続き、本日と同じように、関係団体の皆様からのヒアリングを予定しております。詳細は別途御連絡させていただきます。
以上です。
○駒村座長 本日は大変遅い時間まで御参加いただきまして、大変ありがとうございます。これで閉会といたします。皆さん、ありがとうございました。