2020年11月6日第1回「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」議事録

 

 
 
1.日時 令和2年11月6日(金)13:00~15:00
 
2.場所 対面及びオンライン会議(厚生労働省 職業安定局第1会議室)
 
3.出席者
 阿部(一)構成員、阿部(正)構成員、阿由葉構成員、池田構成員、岡田構成員、菊池構成員、久保構成員、倉知構成員、駒村構成員、酒井(京)構成員、酒井(大)構成員、眞保構成員、鈴木構成員、竹下構成員、永松構成員、仁平構成員、長谷川構成員、古川代理(山口構成員)、土屋厚生労働審議官、達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官、赤澤障害保健福祉部長、源河企画課長、小野寺職業安定局障害者雇用対策課長、竹内障害福祉課長、小林障害者雇用対策課長補佐、石井障害福祉課長補佐、塩田人材開発統括官付特別支援室室長補佐(オブザーバー)、八田文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長(オブザーバー)、古谷独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部次長(オブザーバー)
 
4.議題
 (1)検討会の開催について
(2)障害者雇用・福祉施策の現状について
(3)今後の検討会の進め方について
(4)意見交換
(5)その他
 
5.議事
○源河企画課長 ただいまから、第1回「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」を開催いたします。
皆様方には、本日御多忙のところ御参集いただき、ありがとうございます。
座長が選出されるまでの間、事務局で司会を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
本日は、厚生労働審議官の土屋が出席しておりますので、議事に先立ち御挨拶申し上げます。
○土屋厚生労働審議官 厚生労働審議官の土屋と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
委員の皆様方には、本日大変お忙しい中、この「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
また、皆様方には、日々それぞれのお立場で障害者の就労支援に大変な御尽力をいただいておりますことを、この場を借りして感謝申し上げたいと思います。
少子高齢化が進展をして人生100年時代の到来を見据えた中で、私ども国民の誰もが人生の主役として元気に活躍できる社会を実現していくことは、大変重要だと考えております。
厚生労働省としても、1億総活躍社会の実現に向けて、障害のある皆様方をはじめとして、女性、若者、あるいは高齢者の就労支援などに幅広く取り組んでいるところでございます。そのような中で、障害者の就労支援につきましては、ここ十数年の間に障害者の働く環境や、あるいは働きたい障害者を支える支援も大きく変化をしてきたと受け止めております。
また、今般の新型コロナウイルス感染症への対応におきましても、テレワークであるとか、新しい生活様式の定着を見据えた取組を見られますし、また、ウィズコロナ、ポストコロナの時代には障害者就労の可能性もさらに広がるといった面があるのではないかなと考えております。
厚生労働省におきましては、昨年成立した障害者雇用促進法の一部改正法に関する国会での御審議も踏まえまして、省内に「障害者雇用・福祉連携強化プロジェクトチーム」を立ち上げまして、私が主査となって、今後の障害者就労の目指すべき姿を展望しながら、雇用施策と福祉施策の連携強化について議論を重ねてまいりました。
本検討会では、このプロジェクトチームで議論をしてまいりました内容を参考にしていただきつつ、雇用施策と福祉施策の更なる連携強化に向けての必要な対応策について、更に御議論を深めていただきたいと考えております。雇用部局と福祉部局が一体となって検討会を設けまして、両分野を通じて知見を広くお持ちの委員の皆様方にお集まりをいただき検討を進めていくということは、実は遅まきながら初めての試みでございまして、私どもとしても、この機会を障害者の就労支援の施策、ひいては我が国の障害者施策全般を着実に前進させていく大きな契機としていきたいと考えております。皆様におかれましては、忌憚のない御意見をいただきますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○源河企画課長 本日の検討会は、こちらの会場とオンラインで開催します。このため、皆様方からの発言についてお願いがございます。オンラインの方は事前にお送りしている「会議の開催、参加方法について」を御参照ください。
座長が選出されるまでは、司会である事務局が、座長選出後は座長が御発言を希望される方を募ります。会場の方は挙手、オンラインの方は手を挙げる機能を使用してください。御発言される方を指名させていただきますので、指名された後に発言を開始してください。御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり分かりやすくお願いいたします。また、できるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いいたします。オンライン出席の方で、操作などの質問がある場合は、事務局までお問い合わせください。
また、本検討会はペーパーレス開催であり、会場においてはタブレットを使用しております。こちらのタブレットについても、使用方法について質問がある場合は事務局までお問い合わせください。円滑な会議運営に御協力くださいますようお願いいたします。
続いて、資料の確認をさせていただきます。
本日の資料は、議事次第、資料1、資料2-1、資料2-2、資料3-1、資料3-2、参考資料です。これらの資料に不備がございましたら、事務局にお申しつけください。
続いて、本日は第1回開催ですので、各参集者の方々と事務局を御紹介させていただきます。名簿の順に従って構成員の方々の御紹介をさせていただきます。
資料1の別紙を御覧ください。オンラインの方も含め名簿の順から御紹介いたします。
社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 会長 阿部一彦様。
中央大学経済学部 教授 阿部正浩様。
社会福祉法人全国社会福祉協議会全国社会就労センター協議会 会長 阿由葉寛様。
一般社団法人経済団体連合会 労働政策本部長 池田三知子様。
公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 理事長 岡田久実子様。
早稲田大学法学学術院 教授 菊池馨実様。
一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会 会長 久保厚子様。
九州産業大学人間科学部 教授 倉知延章様。
慶應義塾大学経済学部 教授 駒村康平様。
NPO法人全国就業支援ネットワーク 代表理事 酒井京子様。
全国就労移行支援事業所連絡協議会 会長 酒井大介様。
法政大学現代福祉学部 教授 眞保智子様。
福島県立相馬支援学校 校長 鈴木龍也様。
社会福祉法人日本視覚障害者団体連合会 会長 竹下義樹様。
大分県杵築市長 永松悟様。
日本労働組合総連合会総合政策推進局 局長 仁平章様。
福島大学行政政策学類 准教授 長谷川珠子様。
佐賀県知事の山口祥義様の代理として、本日は健康福祉部障害福祉課 就労支援室長 古川様に御出席いただいております。
続きまして、事務局を紹介いたします。
厚生労働審議官の土屋でございます。
高齢・障害者雇用開発審議官の達谷窟でございます。
障害保健福祉部長の赤澤でございます。
職業安定局障害者雇用対策課長の小野寺でございます。
障害保健福祉部障害福祉課長の竹内でございます。
障害者雇用対策課課長補佐の小林です。
障害福祉課課長補佐の石井です。
私が障害保健福祉部企画課長の源河です。よろしくお願いいたします。
また、オブザーバーとして、人材開発統括官付特別支援室 室長補佐の塩田が出席しております。
また、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課の八田課長にオンラインで御参加いただいております。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業リハビリテーション部 古谷次長にも御参加いただいております。
なお、長谷川委員におかれましては14時20分頃、阿部正浩委員におかれましては14時45分頃に所用のため退出予定と伺っております。
また、障害保健福祉部長の赤澤につきましても、公務により途中退席させていただく予定です。
それでは議事に入ります。
議題1「検討会の開催について」、事務局より御説明させていただきます。
○石井障害福祉課課長補佐 事務局の障害福祉課課長補佐の石井でございます。
お手元の資料1のほうをお開きいただければと思います。資料1に本検討会の開催要綱をつけさせていただいております。「趣旨」から簡単に御案内・御説明させていただきたいと思います。
趣旨の1パラ目でございます。障害者の就労支援につきましては、今般、雇用部局、福祉部局が集まっているように、雇用部局、福祉部局との連携の下、推進・進展がしてきたところでございますが、一方で、双方で整理すべき、対応すべき課題等々もあるところでございます。
また、2パラにありますとおり、近年、技術革新や多様な働き方の普及等々で障害者の就労支援ニーズというものも変化しているのではないかというところでございます。
3パラで、こういった課題なり変化に対応するというところでは、やはり雇用施策と福祉施策がより連携を強化していかなければいけないのではないかというところでございまして、先ほど土屋厚生労働審議官のほうから御案内がありましたとおり、省内でプロジェクトチームを発足させていただきまして、内容を検討させていただいたところでございます。そのプロジェクトチームで中間報告を取りまとめたところでございますので、こういった中間報告の内容を踏まえながら、関係者の皆様方にお集まりいただいて、雇用施策と福祉施策のさらなる連携強化について、具体的な検討等をさせていただければということが、今般の検討会の趣旨でございます。
2番目の「主な検討事項」でございます。(1)から(3)まで挙げさせていただいておりますが(1)効果的で切れ目のない専門的な支援体制の構築について、(2)技術革新等々を踏まえました多様な就労ニーズへの対応について、(3)としまして、それらもろもろ含めまして、雇用施策と福祉施策の連携強化に向けて、どのようなことがあり得るかどうか、そういったことを本検検討会の中で御議論いただければと思います。
3番の「構成員」でございます。構成員につきましては先ほど御案内させていただいたとおりでございます。
「その他」の項目について御案内させていただきます。
本検討会は、(1)のとおり、高齢・障害者雇用開発審議官と障害保健福祉部長の両名により構成員の方を参集して開催するものでございます。
また(2)で、本検討会には座長を置いて、構成員の互選により選出していただき、座長に本検討会を統括していただきたいと考えているところでございます。
また(3)で、座長につきましては、座長代理を置くことができるということで、規定を設けさせていただいております。座長に何らかがあった場合につきましては、座長代理が座長に代わって、議事進行していただくということを想定しているものでございます。
2ページ目で、本検討会につきましては(4)のとおり、構成員の皆様方のほか、有識者の方々等の参加・出席を求めることができるということを規定していただいております。
また(5)で、本検討会の資料、もしく議事録につきましては、原則公開としているところでございます。
本検討会につきましては、職業安定局障害者雇用対策課及び障害保健福祉部障害福祉課の両方の部局による事務局として運営させていただきたいと考えております。
本要項に定めていないものに係りましては、適宜座長と我々事務局のほうが相談して、内容のほうを決めさせていただきたいと考えております。
開催要綱等の説明は以上でございます。
○源河企画課長 続きまして、要綱に従いまして、座長の選任に入らせていただきたいと思います。
ただいま説明のありました要綱の4(2)より、この検討会の座長は参集者の皆様方の互選により選出することとしております。どなたか御推薦がありますでしょうか。
○阿部(正)構成員 駒村委員が適任かと思いますが、いかがでしょうか。
○源河企画課長 ただいま駒村委員を座長にという御意見がございましたが、皆様いかがでしょうか。
(委員首肯)
○源河企画課長 異議がないようですので、本検討会の座長は駒村委員にお願いしたいと思います。駒村座長、どうぞよろしくお願いいたします。
(駒村構成員、座長席に移動)
○駒村座長 駒村でございます。今ほど座長に指名いただきました。よろしくお願いいたします。
障害者福祉と障害者雇用を連携一体的に議論できるというのは極めて画期的な議論の場だと思います。非常に大きな影響もあると思います。参集された皆様とこういう議論をできるのを大変楽しみにしております。皆様に後々もこの議論が非常に充実したもので、今後の社会に大きな影響があったと思っていただくように、充実した議事運営を進めていきたいと思います。
では、最初に開催要項に従いまして、座長代理を指名させていただきたいと思います。座長代理は座長が指名することになっておりますので、阿部正浩委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日は、議論のキックオフということで、最初に制度や現状について御説明いただき、その後に、今後の本検討会の進め方について議論したいと思います。
それでは、議題2「障害者雇用・福祉施策の現状について」事務局より説明をお願いいたします。
○石井障害福祉課課長補佐 事務局の障害福祉課課長補佐の石井でございます。
資料2-1、資料2-2に基づきまして、障害者雇用、福祉施策の現状等について御説明のほうをさせていただきます。
まず、資料2-1の2ページ目をお開きください。こちらのほうに「障害者雇用の促進に向けた支援策の主な流れ」ということで、雇用施策と福祉施策の全体像のほうを表させていただいている資料をおつけしています。
障害者雇用・障害者福祉につきましては、「障害者雇用促進法に基づく職業リハビリテーション」としまして、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、これらの支援機関により、障害者の雇用促進という支援を行っているところです。
また、これら雇用施策と相まって下の部分でございます。「障害者総合支援法に基づく就労系障害福祉サービス」ということで、4つのサービスによりこれらの福祉施策を展開させていただいております。具体的には、就労移行支援事業、就労定着支援事業、就労継続支援A型事業、就労継続支援B型事業がございます。
障害者雇用促進法に基づきます職業リハビリテーションに係る支援につきましては、主として一般就労・一般雇用を目指そうということで、障害者の方の就職支援をさせていただいているところです。
これら一般雇用・一般就労を目指す障害者の方を応援する施策の一部としまして、今度は下の部分で、障害福祉サービスとして、一般就労に向けた訓練等の支援をさせていただいているところです。具体的には、「就労移行支援事業」というのが中段にございますが、こちらの支援につきましては、直ちに一般就労が難しい方に、一定期間、一般就労に向けた訓練等の支援をさせていただきまして、一般就労を目指していただく、そういった支援です。その後、一般就労に行った方につきましては後半にあります「就労定着支援事業」で一定期間職場定着を支援させていただく。また、直ちに一般就労、雇用が難しいという方につきましては、一番下にあります「就労継続支援A型事業」もしくは「B型事業」というところで、期間の定めのない形で訓練等の支援をさせていただいて、本人の希望や能力、適性に応じて、一般就労を目指していただく。こういった支援を展開させていただいているところです。
いずれにしましても、雇用施策・福祉施策で一般就労を目指そうという形で、両者相まって障害者の雇用促進というものを図らせていただいている。そういった全体像になるところです。ただいま御紹介させていただいた各制度・各支援機関の内容につきましては、3ページ目以降につけておりますので、後ほど御参照いただければと思います。
実際、福祉・雇用相まって支援していこうという形で支援しているところですが、実際、どれぐらいの方が一般就労されているかというのを説明した資料が5ページ目です。5ページ目を開いていただきまして、こちらが就労支援施策の対象となる障害者数等々の資料です。こちらの図ですと、例えば、平成31年3月に卒業した特別支援学校の卒業生の皆様方が、どのような流れで一般就労に行かれているか、そういったものを表している図です。
先ほど申し上げましたとおり、障害福祉サービスにつきましては、一般就労を一定期間目指していただく支援になります。ですので、例えば一番下、特別支援学校の方、平成31年3月に2万1764人の方が卒業されて、うち、上の矢印でございます。そういった就労支援に係る障害福祉サービスに大体6,565人の方が行かれているというデータになっています。
そういった就労系の福祉サービスを利用されながら一般就労を目指している方が実際にどれぐらいいらっしゃるかというのが、大きい中段の四角囲みです。平成31年3月の数字ですが、先ほど申し上げた就労移行支援に大体3.4万人、就労継続支援A型に7万人、就労継続支援B型に26万人程度の障害者の方が一般就労を目指して支援を受けているような状況です。
次に、どれぐらいの方が障害福祉サービスを受けて一般就労しているかというのが、大きな四角囲みの右横です。就労系福祉サービスから一般就労への移行をどれぐらいされているかというのがその数字に書かれておりますが、直近の数字が平成30年の数字です。大体2万人弱というところで、年間1万9963人の方が福祉のサービスを受けて一般就労に行かれているというのが、現状の大きな流れです。
そのような福祉サービスから、もしくは卒業後すぐに企業のほう、一般就労のほうでお勤めになりまして、一番右端でございます企業のほうでは今、雇用者数で言うと大体56万人の方が障害者でお働きになっているというのが、この全体像の図です。
大体2万人の方が福祉から一般就労に移行しているということでございますが、これはいわゆるフローの数字です。一時点において、どのような流れで一般就労に行かれているかというのを表している数字でございますので、ストックとして、障害者の雇用は今現状どうなのかというのを表しているのが次の6ページ目です。
フローのほうも、福祉から雇用へというのは大体数字が伸びているところですが、ストックとしての障害者の雇用者数につきましても6ページ目にありますとおり、年々右肩上がりでございまして、16年連続で過去最高を更新している状況です。これらがいわゆる雇用施策・福祉施策相まって、一般就労・一般雇用を目指しましょうという支援をさせていただいている現状の数字です。
ただ、先ほど少し申し上げましたとおり、直ちに一般就労・雇用が難しいというような方もいらっしゃいます。そういった方につきましては、就労継続支援A型・B型という支援をさせていただいているところです。いわゆるA型・B型と言われる支援ですが、すぐには難しいような方に、障害福祉サービスの中で働きながら訓練を受けて一般就労を目指していただくといった支援です。そういった方々につきましては、働きながら支援を受けるというところですので、では、その働いている成果として利用者の方、障害者の方にはどのような賃金なり工賃がお支払いされているのかというのを表しているのが7ページ目です。
一般就労、企業のほうでお働きになれば、企業から給料等々が支払われるとなっておりますが、障害福祉サービスのA型・B型につきましては支援を受けながら働くということになっております。働いた成果を支援事業所のほうから賃金や工賃という形でお支払いする形になっております。
就労継続A型につきましては、雇用関係を持って支援を行うとなっております。また、B型につきましては、雇用関係のない形でお働きになっていただき支援を行うという形になっております。そういった意味で賃金と工賃という2つの言葉がございますが、賃金がまさに雇用関係に基づく給与、B型の工賃につきましては雇用関係ではない形、お働きになった成果として事業所がお支払いになっているお金という形になっています。
現状、その水準はそちらに書かせていただいていますとおり、直近、令和元年度の新しい数字でございますが、雇用関係のもと、就労継続支援A型で働きながら支援を受けている方にお支払いになっている平均賃金は月額で7万8975円です。一方、雇用関係のない形、就労継続支援B型でお働きになっている方につきましては、月額で1万6369円の工賃が払われているという状況です。
これが、一般就労が難しい方、働きながら支援を受けている障害者の方に支払われている賃金なり工賃の現状というところでございますので、各構成員の皆様方につきましては、ひとつ基本的な知識として知っておいていただければ幸いです。
また、こういった就労継続支援A型・B型、どのような形で障害のある方が働いているのか、という例を8ページ目につけさせていただいております。例えば、左の事例にありますとおり、障害者と農業をかけ合わせて農業をやっているという事例もございます。もしくは右側で就労継続支援B型でございますと、高齢者の方を支える、例えば見守りとか配食サービスといったものを障害者にやっていただいて、そこで工賃なり賃金を払っているといった事例もあるところでございます。
これらが障害者施策・雇用施策相まって支援のほうさせていただいている大体の現状等です。
以降、参考として10ページ目以降でございます。障害者雇用及び障害者福祉に係るそれぞれ参考資料をつけています。本来であれば、各制度について御説明をさせていただくところではございますが、時間の関係上、まず、御案内のみとさせていただきます。本日の議論の過程で、もし御質問がございましたら、これらを参照しながら、事務局から説明させていただきますので、今回は割愛させていただきます。
その中で1点説明を補足させていただきます。資料のページを少し飛んでいただきまして、32ページ目以降でございます。検討会のほうで議論させていただくに当たりまして、先ほど事務局から説明させていただきましたのは、障害者の雇用、一般就労の促進というのが、年々伸びている等々の状況になります。一方、今般の新型コロナウイルス感染症の関係で、足下としては、障害者就労にどのような影響があるのかというものも参考として資料をつけさせていただいておりますので、簡単に説明させていただきます。
33ページ目で、こちらは直近の新型コロナウイルス感染症に係る障害者雇用の影響について、簡単にまとめさせていただいたものです。
一番上の四角囲みです。ハローワークにおいて、どのような状況にあるかというのを近々、令和2年度の9月の状況というのを少しまとめさせていただいております。簡単に読み上げますと、1ポツ目でございます。障害者の解雇者数につきましては、一時的には増加傾向でございますが、足下、現状につきましては落ち着きの兆しが見られるという状況です。 また、2ポツ目で新規求職者、障害のある方で新しくお働きになりたいと申し込まれた方に係りましても、4月、5月と少し減少してきたものですが、その後、持ち直しの動きも見られるというところです。
これらを簡単に総括しますと、やはり障害者雇用への影響というのはあるものの、若干持ち直しの動きも見られているという現状でございます。
以降、34ページ、35ページのほうに障害福祉サービスの現状というのも少しつけさせていただいているところです。こちらもよろしければ後ほど御覧になっていただければと思います。34ページ目に、例えば、先ほど説明させていただきました、賃金なり工賃、どのような形で今影響を受けているのか、35ページ目に、一般就労を目指して支援をしている就労移行支援事業者さんの就職活動支援にどのような影響が今あるのかというのをまとめていますので、後ほど御覧ください。
これらが障害者雇用・福祉施策の現状等でございます。
続きまして、資料2-2に基づきまして、この9月に省内プロジェクトチームにて中間的に取りまとめた、今後の障害者就労支援の検討の方向性について説明させていただきます。
資料2-2の1ページ目です。第1のところに沿革、もしくは現状認識についてまとめさせていただいたところです。
沿革等ですが、先ほど数字のほうでも少し御説明させていただきましたとおり、近年の障害者雇用につきましては着実に進展しているところです。一方で、課題に少し書かせていただいておりますが、昨今、やはり雇用と福祉双方で整理・解決すべき課題というのも浮き彫りになってきているというのが現状認識です。
具体的には、現状認識のところで3つ課題を柱で挙げています。
1つ目の課題が、やはり連携が進んでいると言っても、雇用施策・福祉施策、制度が縦割りになってしまっていること等に起因している課題というのがあるのではないかということです。
更に具体的に3つ記載していますが、まず1ポツ目として、雇用施策・福祉施策の中で、働きたいと希望する障害者の就労能力とか適性とか、そういったものを客観的に評価して可視化していくような手続・手法等がまだまだ確立されていないのではないかということ。これが、福祉施策・雇用施策、横串で確立されていないため、例えば障害者に適切な支援を御紹介するに当たっても、十分な支援内容というのが提示できないのではないか、もしくはシームレスな形で提案することがなかなか難しくなっているのではないか、そういった問題意識です。
また、2ポツ目として、例えばそういった障害者就労を支える人材、昨今ですと精神障害の方、もしくは発達障害、難病の方とかそういった方々も、就労支援ニーズというのが大きく高まっている中で、それらの方の就労を支える人材が、まだまだ質・量ともに限定的なのではないかという問題意識です。
また、3ポツ目として、例えば、通勤なり職場の介助のように制度の谷間により十分に対応できていない部分や、一方で、雇用施策・福祉施策が同じようなことをやっていて重複感があるような部分があるのではないか、そういった指摘も昨今されているところです。こういった課題について、どのように対応していくかという問題意識です。
2つ目の柱でございます。就労支援ニーズについても、昨今変化が出てきているのではないかというところです。例えば、1ポツ目のとおり、障害者雇用・福祉の就労支援につきましては、やはり就職といった一時点をもって、雇用促進を図っているところですが、就職した後、中長期的な観点から、どのようにキャリアアップを図っていくか、もしくはどのような形で能力開発をしていくか、そういったことに関しましても昨今ニーズが増えてきているのではないかと考えているところです。これらのキャリア形成ニーズに対する対応につきましては、人材開発部局と連携を取りながら、何らかの課題解決ができないかどうか等々の問題意識です。
また、2ポツ目、3ポツ目です。そういったキャリア形成ニーズだけではなくて、働き方自体にも多様性が求められる時代であり、そういった働き方の多様化のニーズにも十分に対応できているのかといった問題意識です。例えば、オンラインでの支援やテレワークでの働き方を希望する方に関しての支援、こういったところが支援やサービスとして十分に対応できているかどうかということです。
また、3番目の柱としては、雇用施策・福祉施策各々でもまだまだ課題解決を図っていかなくてはいけないものを掲げています。
例えば、雇用施策に関しましては、納付金財政に係りまして、雇用が進展すること、これ自体はいいことなのですけれども、障害者雇用が進展しますと、どうしてなかなか納付金財政上厳しくなってしまう、そういった課題を抱えているところです。これについて何らかの形で解決策等が見いだせないかどうか。また、後段に書いていますとおり、就労継続支援A型なり大企業の方々に、障害者雇用に係る調整金というのが上限なく支給されている現状についても指摘がありますので、これも考えていかなくてはいけないということを、雇用施策の中でも内在している課題として挙げています。
また、福祉施策につきましては、就労移行支援やA型・B型の支援につきましても、各々課題を持っているところです。これらについても真摯に受け止めて、課題解決を図っていかなくてはいけないのではないか、こういったところを課題として掲げているところです。
これらの現状・課題認識につきまして、2ページ目です。プロジェクトチームでは、このような方向で検討してみたらどうかと何点か掲げさせていただいています。
第2の1つ目、同じく3つの柱で掲げさせていますが、「効果的で切れ目のない専門的な支援体制を構築してみたらどうか」ということを検討の方向性として掲げさせています。
例えば、(1)では、先ほど、福祉と雇用で横串になるような評価の仕組み等がないという問題意識をお示ししましたので、1番目にあるのはそういった能力なり適性を評価する仕組みを創設してみてはどうか、もしくは障害者本人を支援する支援計画なり就労支援プランなるものを、雇用と福祉で共通化・共有化してみたらどうか、そのようなことを一つ提案として掲げています。
また、1の(2)ですが、人材育成に関しても、雇用・福祉にまたがるような専門支援人材を育成するために、その育成の仕組みというのを構築してはどうかということを掲げています。
1の(3)では、通勤なり職場等における支援についても、課題解決を図らなければいけないということで、例えば1マル目にあるように、通勤と職場における支援については、本年10月から両者が連携して新しい取組をしていますので、そういった新しい取組の実施状況等を踏まえて検討してみたらどうかといったことを掲げています。また、2マル目では、いわゆる定着支援については、それぞれの支援機関が定着支援をやっている状況がありますので、これらについて役割分担をより明確にしてはどうかと掲げています。
また、大きな柱の2つ目については、(2)において、多様な就労支援ニーズにつきましても、例えばテレワークやオンライン、こういったことを想定した支援の在り方というのを考えてみたらどうかということを掲げているところです。
また、大きな柱の3つ目につきましても、雇用施策・福祉施策、それぞれ現行が抱えている課題についても、やはり真摯に対応しなければいけないということを掲げているところです。例えば、(1)雇用促進制度につきましては、1マル目で、雇用率・納付金制度におけるA型の取り扱い、こういったことも考えていかなくてはいけない。また2マル目で、現行の雇用率制度につきましては、その対象者が手帳所持者となっているところ、手帳を所持していない方に関する取り扱い、こういったことも検討していかなくてはいけないといったことを掲げています。
または(2)で、就労系の障害福祉サービスにつきましても、現状、就労移行支援、就労定着支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型の4つのサービスで展開していますが、これらサービスの在り方につきましても再確認させていただいて、課題解決というのを検討してみてはどうかということを記載しています。
これらを、検討の方向性として掲げさせていただいた上で、第3としまして、これらについて関係者を交えて更に検討を進めていきたいということで、この検討会で更に議論を深めていただきたいと考えているところです。
少し長くなりましたが、障害者雇用・福祉の現状、もしくは先日取りまとめさせていただきました中間取りまとめに関しての説明は以上です。
○駒村座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまから、事務局の説明について皆さんからの御質問、御意見をいただきたいと思います。この後、委員同士の意見交換もございますので、そちらのほうで使えるというか、ヒントになるような部分の御質問でもよろしいかと思いますので、よろしくお願いします。
御発言予定の方は、会場にいらっしゃる方は挙手を、オンラインの方はオンラインの中の手を挙げるボタンをクリックしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
まず、会場のほうから御指名していきたいと思います。一番遠い阿由葉さんからお願いいたします。
○阿由葉構成員 お世話になっております。全国社会就労センター協議会の阿由葉でございます。
 
まず、一番最初の資料の1ページ目になりますが、主な流れを先ほど説明していただきました。その中で若干気になったところがありまして、実は職業リハビリテーションと就労系障害福祉サービスのところで、就労系障害福祉サービスは一般就労を目指す事業だということ、これは確かにそのとおりでございます。ただ、雇用から福祉サービスへの逆の流れも、高齢化とかいろいろな形の中でそういう方もいらっしゃいますので、ここのところはそれだけではないことも含めた説明が必要なのではないかと思ったところです。
それから、5ページ目のところですけれども、就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れということで、これは以前からこういった形の説明をいつもいただいております。我々就労系の福祉サービス事業者でも多くの利用者が一般就労へ移行するように努力をしております。ただ、それだけではなくて、逆に企業から、逆のパターンとして、解雇や高齢といった形の流れもここにありますので、先ほどと同様にそういった数字もここで分かるようにしていかないと、幾ら就労と言っても解雇とかそういった形の流れで逆のパターンの数字が見えないと、どれだけ増えているのだという確実性がないと思っています。その2点が今気になったのでお話をさせていただきました。
○駒村座長 ありがとうございます。
多くの委員の方が障害、あるいは雇用のほうの審議会に入られていると思いますけれども、ふだん同じ障害の問題を見ていながら見方がちょっと違う、アプローチが違うというところもありますし、やや制度の理解にも濃淡があるのではないかと思います。
阿由葉さんの今の御指摘の部分、これは私も前から質問を、時々障害者部会のほうでも議論していただいているテーマで、資料2-1の5ページのフローで、福祉サービスから雇用へという流れでありますけれども、これは厚労省のチームがまとめた中でもどう理解されているかという点になると思うのですけれども、今後、障害を持った方の高齢化が進んでいくと、やはり労働市場から逆に福祉のほうに流れてくる逆流問題があるのではないか。このフローは福祉から雇用のほうだけが流れているけれども、この逆流はどうなっているのだと、そこによって福祉の価値も変わってくるのではないかという御質問、これは前から部会でも議論されていると思います。
事務局、今、阿由葉さんからの御質問、御意見、これはもしあれば確認いただきたいと思います。その間、別の委員の方も御質問、御意見の準備をいただければと思います。
では、先に菊池さんから続けていきましょうか。ちょっとまとめたところで事務局からもお願いいたします。
○菊池構成員 早稲田大学の菊池です。
第1回なのでちょっと確認ということで、雇用と福祉を同じ場で議論するこういう機会を設けられたというのは非常に画期的だと思うのです。こういう枠組みは非常に有意義だと思うし、私も積極的に参加させていただきたいと思っているのですが、あえてちょっと事務局に確認ですけれども、高齢者の世界では雇用と年金をどう組み合わせて老後生活を支えていくかということが大きな政策マターになっていますが、障害を持つ多くの方にとっても年金と就労・雇用をどう組み合わせて生活を送っていくか、障害を持つ方の生活をどう支えていくかという観点から考えていくと、所得保障の問題というのは欠かせないと思うのです。
ただ、今回の議論の枠組みの中に直接入ってこないというのは重々承知しているのですけれども、事務方の中でそういう問題意識というものを、資料1-2の作成の中でも、多少なりとも持っておられたのか、持っておられるのかという辺りです。
例えば工賃の話も先ほど資料で出てきましたし、あるいは労働法の適用、最賃の適用など、全く関係ないわけではないと思います。
その中で今回、教育、文科省さんとか、幅広く参加していただいている。これも大変画期的だと思いますが、私は座長と同じく社会保障審議会の年金部会の委員をこの春まで務めさせていただいていましたけれども、障害年金の在り方というのはきちんと議論してくださいと。年金改正の合間に障害者の所得保障をきちんと議論してくださいと何度もお願いしてきたのですが、なかなか実現せずにいるのですが、障害年金の在り方にはいろいろな課題がありますし、少なくとも年金局をオブザーバーとして呼んでくださいとまで言いませんけれども、問題意識の共有とか情報提供とか、広い意味で障害者の生活を支えるという視点から、厚生労働省内部で情報の共有、提供などを図っていただけないものかという、その辺りもお伺いしたいです。
まとめますと、事務局としての問題意識です。雇用と福祉サービスという、そこはもう分かりますけれども、背景とか前提とか、その中で少し所得保障、どう生活を支えていくかという問題意識がありながらのこの検討会なのかということが一つ。
もう一つは、年金局との何らかの連携、あるいは情報提供というものはお考えになられないですかという、この2点を確認させてください。
○駒村座長 ありがとうございます。
菊池先生がおっしゃるとおりで、障害者の生活というのは別に制度別に成立しているわけではなくて、今日御参集いただいている雇用・福祉・教育、それ以外にも所得保障等々いろいろあるのだと思います。障害雇用で働いている方、あるいはA・Bの利用者、これに対して、この方たちが例えば基礎年金なり二十歳前障害の基礎年金がどうなっているのか、場合によっては、Bにはもしかしたら生活保護受給者もいるかもしれないという所得保障制度が、障害を持った労働者のモチベーションとかインセンティブに影響を与えているのか、いないのか、こういったものを本当は頭に入れておかなくてはいけない。
この一方で、制度的に分かれている部分もありますし、なかなかデータが全部整っているかどうかというのもやや分からないところもある。事実関係はどうなのかとか、そういう視野があるのかどうなのかというのが菊池先生の御質問の部分だと思いますので、また後で、事務局にちょっとお聞きしたいと思います。
続けていかがでしょうか。
では、酒井さんから行きたいと思いますので、オンラインの方は少しお待ちください。
○酒井(大)構成員 全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井です。
私からは資料2-1の33ページの新型コロナウイルス感染症による障害者雇用への影響についてのスライドについて質問です。雇用者数、新規求人数、就職件数と詳細をお教えいただいているのですけれども、可能な範囲で結構ですが、地域の特徴でありますとか、産業別でありますとか、もう少し詳細が分かれば、特徴があれば教えていただきたいなと思います。
○駒村座長 足下で起きている新型コロナのインパクトをもう少しいただきたいということだと思います。
倉知先生、お願いします。
○倉知構成員 九州産業大学の倉知です。よろしくお願いします。
中間取りまとめの概要のところでちょっとお聞きしたいのですけれども、まず現状認識とか今後の方向性はすごくよくまとめられているなと思いました。
その中でちょっと気になったことがありまして、就労能力や適性を客観的に評価し可視化していく手法が確立されていないから就労移行支援が低調な実績になっているというようなニュアンスを感じたのですが、本当にそうなのかなという思いがありまして。そもそも評価というのは、本人のニーズをどう達成するか、達成するためにどんな支援が必要なのか、そこを見ていくのが評価だと思っているのですけれども、ここでの客観的な評価とは今の能力をきちんと評価しましょうということだと思うのです。
そうなると、客観的評価とは、過去のデータを基に客観的な能力を見ていくのです。要するに今働けている人、今働いていない人の現状からどういう可能性があるかというのを見ていくので、今よりも就労の可能性や職域の広がりが発展することがあまりない。そうなってしまうのがちょっと懸念されるのです。
そもそも就労移行支援の実績が低調なところというのは、本当に移行させる気がないのではないかなと思っているのです。特に多機能型が多いと思うのですが。それから、B型から移行支援事業とか雇用施策に移すことがなかなか少ないというのも、制度上それを阻んでいるような仕組みになっているのではないか。
そもそも就職させようという意識がない中で客観的な評価をしていくと、余計それを止めてしまう。そのようになっていくほうが、危険になってしまうのではないか。だから、この客観的な評価結果から働ける、働けないと判断することの危険性というのをすごく感じてしまって、まずその前に、支援する側がどうしたらこの人は働けるのかとか、本人の働きたい思いをどう達成するために評価していくのかとか、そういう使い方をしていくことが前提として必要なのではないかということを思いましたので、確立されていないため現場に任されている実態という記述は、ちょっと私は気になりました。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございました。
これは恐らく、後の委員同士でのディスカッションがあると思います。そこでまたいろいろな意見が出てくると思いますけれども、一応そういう問題意識があるというお話だと思います。
いかがでしょうか。フロアのほうでなければ、オンラインのほうで手が挙がっている方がいればと思います。
まず、竹下委員から御発言をお願いいたします。
○竹下構成員 日視連の竹下です。ありがとうございます。
議論の前提になるかと思いますので、2点だけ教えていただきたいと思っています。
1点目は、石井補佐から説明のあったように、福祉の面での雇用に関連するものとしていろいろな施策があるわけですが、そのうちの定着支援ですけれども、これはある意味で始まっている雇用と福祉の連携と言えるかと思うのですけれども、具体的に定着支援がどこまで今進んで実績が出ているのかということと、それと、ある意味では雇用施策の中でジョブコーチという支援策があるわけですけれども、ジョブコーチの役割と定着支援との関係というのはどうなっているのかなということを、少し資料になるものがあればお教えいただきたいというのが1点目です。
2点目は、A型の事業所の問題だと思っています。A型の事業所というのは、言い方は非常に失礼かもしれませんが、ある意味では中途半端な位置づけになっていて、福祉就労としながらも、いわば労働基準法の適用も含めて雇用という面を取り込んでいるわけですから、今回の議論の中で、このA型事業所の位置づけ方についても議論の対象にするのかどうかについて教えていただければと思っております。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。
続きまして、仁平委員、お願いいたします。
○仁平構成員 連合の仁平です。説明ありがとうございました。
私のほうから、今後議論を進めていくに当たって一つお願いがありまして、1回目ということもあって発言させていただきます。
実態を踏まえた上で議論を進めていくべきだと考えておりますが、私だけかもしれませんが、様々な制度に精通しているわけではないものですから、引き続き資料の提供と分かりやすい説明をお願いしたいと思っております。例えば今しがたも話題になりましたA型事業所の話ですが、約7割のところで生産活動の収支よりも障害者に払っている賃金総額のほうが多いという話も聞いたことがあります。一方で、今日の資料などを見ると、A型事業所の数が増えているところであります。増えてきている原因はどの辺にあるのか、よく承知しないところもございますし、次回以降に数字や見解などを教えていただければと思っております。
加えて、A型事業所について、利益が上がらないから賃金総額を抑えるために最低賃金の適用を外すことがあってはならないと考えております。
本日の資料の34ページのA型の生産活動収入の状況というのを見ると、コロナの影響もあってと推測いたしますが半数が減収となっております。一方で、賃金・工賃の状況を見ると、平均値としては昨年より増えている。こういった要因も知りたいと思っておりますし、さらに言えば、障害の種類によってもコロナの影響の違いがあるような気がいたしまして、障害種別の数値も示していただけるとありがたいなと思っております。
いずれにいたしましても新型コロナが障害者雇用に与えるインパクト、足下の対応と中長期的なインパクトと両方あると思いますが、こういったものを踏まえた議論も今後必要ではないかと思っておりますので、申し上げておきます。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。
竹下委員も仁平委員も現状制度の確認ということで、特に仁平委員からはA型ですね、収支会計構造についての確認といったものもありますので、これも両方の分野の方が集まっているので、全てに精通しているということはなかなか難しいと思いますので、まず、情報共有をしてから議論を深めるということだと思います。
次は長谷川委員、お願いします。
○長谷川構成員 福島大学の長谷川です。御説明ありがとうございます。
私から幾つか質問をさせていただきます。
まず、資料2-1で、先ほど倉知先生も御指摘していらっしゃったところで、適性の客観的な評価等のところなのですが、単純な質問で、手法が確立していないので、現在は現場にその判断が任せられているというようなことが資料には書かれているのですけれども、そこの現場というのが何を指しているのかというのをお聞きしたいなと思いました。
現在、訓練等給付を利用しようと思う場合には、市町村等が調査とか聞き取りとかをすることになっていると思うのですけれども、そういったことをおっしゃっているのか、それでは駄目だから課題だということだとすれば、市町村が判断できていないのかといったようなことも併せて教えていただければと思います。
もう一つは、同じく資料2-2の2ページ目の3の(2)です。「就労系障害福祉サービスの見直し」のところで、支援の枠組みの再編も視野に入れて在り方を再確認するということを書いてくださっているのですけれども、この枠組みの再編というのは、どの辺りまで視野に入れていらっしゃるのだろうかというのをお聞きしたいなと思いました。
現在、4つありますけれども、就労継続支援AとBとありますが、なかなか今の仕組みに合わないというか、実態と法律の間の乖離が出てきているのではないかなと私自身は理解しているのですけれども、そういった中で、実態を法律で押し込めるのではなくて、実態に合わせて法律も柔軟に変えていく必要があるのかなとも思っておりまして、どの辺りまで視野に入れていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
加えて、B型については現在労働法の適用のない形で運用されていますけれども、B型の実態も非常に多様で、場合によっては労働者性が認められるような働き方をしている利用者の方々もいらっしゃるのかなと思っています。そういった実態を前提にしたときに、いろいろな考え方があると思うのですけれども、A型の一部には労働法を適用するという考え方もあるでしょうし、そうでないとしても、先ほど菊池先生のおっしゃった年金で所得保障するという形もあるでしょうし、労働法とは違う形で就労条件を保障していくという形もあると思いますので、そういったことまで含めて、この検討会で検討していってよいのかどうかということも、事務局のほうがどう考えていらっしゃるか、聞かせていただきたいなと思います。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。
この中間取りまとめの射程がどういう射程なのか、それから、ここで書き切られていることだけで考えなくてはいけないのか、当然ここを触れば関連する制度にも波及するではないかということも出てきている。
あとは、先ほど阿由葉さんからありました障害で働いている方自体の高齢化が進むことによる効果みたいなものも出てくるのではないかと考えると、中間取りまとめをどこまで見ていくというか、どう解釈していくのかという御質問だったと思います。後でまた、もしかしたらそれ自体が今日の後半の議論になってくるのかもしれないと思います。
では、手が挙がっている久保委員からお願いいたします。
○久保構成員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
私どもの会は、知的障害の御本人と家族を中心とした団体でございますので、その視点からお話をさせていただきたいと思っております。
まず最初に、今回のこの会議はとても画期的で、こういう会をもっていただいて本当にありがたいなと思っております。この場に教育の方も参加をしていただいておりますのでとてもありがたく思っております。私どもにしますと、福祉から就労だけではなくて、学校教育から就労という方もおられますので、そういう意味では準備として、この福祉と教育というのは大変大きな役割を担っている部分だと思っています。
その視点から見ますと、この資料にも少しありますけれども、専修学校とか大学とか、私立の学校とかに行かれますと、就労の準備ができていないところが結構あります。ですから、そこが私たちはちょっと懸念をしているところでもあります。
また一方で、特殊学校の高等部などになりますと、やはりちゃんと就労してもらいたいという思いを先生方は持っていただいていますので、割とすごく頑張らせるというのがあって、生徒さんが精神科に通うというのも聞いたこともありますので、そこは本人の適性だとか精神面だとか、そのところも考慮しながら御指導いただきたいなと思っています。
それから、先ほどからお話がありますように、福祉系のサービス、A型・B型、生活介護とか就労移行とかの部分です。そこが育成会として少し言い方は悪いですけれども、最近ちょっとごちゃごちゃになってきているのではないかなと、もともとの就労移行はこう、Aはこう、Bはこうと分けた、そのようになかなかなりきれていないところがあるのではないかなと思っています。
本当に生活介護でも、月額1万円の工賃を出しているところもありますけれども、また逆に、重度障害者の方が増えてきていますので、就労継続のところでも工賃が3,000円ぐらいしか出せないというところもありますので、全体を少し、これから先のことも考えながら見直していく必要もあるなと思っております。そこで見直しながら、どういう仕組みで就労に押し出していくのかということを議論できたらいいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございました。
一巡したかのように思いますけれども、フロアのほうで御発言をこの時点でしておきたいという方がいらっしゃれば、では、岡田委員、その次に酒井委員、お願いします。
○岡田構成員 全国精神保健福祉会連合会の岡田です。私どもは精神障害者の家族会の組織になっております。
1点ちょっと御質問したいところがあるのですけれども、資料2-2です。基本的な現状認識と今後の検討の方向性というところで、福祉施設に内在している課題の中の就労継続支援B型についてということで、ここに工賃向上の取組になじまない利用者も増えているということが書かれておりますけれども、このような状況になっている背景とか原因といいますか、何かそういう具体的な課題、こういう現象の根拠となるような何か原因・課題が見いだせているのかどうかをちょっとお聞きしたいなと思います。
○駒村座長 では、酒井委員、お願いします。
○酒井(京)構成員 全国就業支援ネットワークの酒井です。
今回、2040年を展望した社会保障、働き方改革の障害者雇用・福祉連携強化プロジェクトチームということで、20年後の社会を考えたときに本当にどうなっているのかなと思ったのですけれども、考えてみたら厚生労働省が2001年に誕生して20年前ですよね、障害者就業・生活支援センターは2002年ですので、18年まで約20年前です。あっという間の20年だったなと思っていまして、就業・生活支援センターも就業面と生活面、福祉と労働の一体的支援をするということで、まさしく縦割りではなく一体的支援ということで、現場レベルではすごく働くこと働く生活を支えるということで連携して行ってはいるのですが、ただ、やはり所轄が違うということで、雇用は雇用のやりにくさ、福祉は福祉のやりにくさを抱えながら就業・生活支援センターは18年間運営されてきています。
今回のこの検討会のイメージをちょっと確認したいのですけれども、この中間取りまとめを踏まえつつということで、やはり取りまとめの内容というのは、それぞれの福祉は福祉、労働は労働の恐らく強みを相互に生かしながら、よりよい就労支援の在り方をつくっていくという視点でまとめられていると思うのですが、やはりどこまで行っても枠組みがある中での支援というのを考えていくのか、それとも一旦枠組みは全部取り払った上で、何か新しいものを生み出していこうという視点で考えていいのかどうか、最初に確認をさせていただきたいと思います。
○駒村座長 恐らくそれも次の議論になってくる話だと思います。
それぞれの審議会では、片や福祉のほうは報酬体系や規制でかなり厳しくコントロールされている、片や雇用のほうは市場原理のほうでかなり制御されているという違うフレームで今まで来たわけでありますし、片や福祉のほうは公費財源を中心に、労働のほうは納付金財源を中心にと、これもまた違うところだと思います。これをどこまで変えていくのかということが御質問で、その覚悟の幅というか、ちゃんと確認させてくれよという話だったと思いますので、これは後ほど議論をしていきたいと思います。
フロアのほうはいかがでしょうか。
では、阿部構成員、ネット上のほうからお願いいたします。
○阿部(一)構成員 日本身体障害者団体連合会の阿部でございます。
構成員の皆さんから御指摘があった資料2-2の(1)の最初の○というか、就労能力や適性の評価の仕組みの創設ということについて同じような確認なのですけれども、私はこの仕組みは就労を実現するための課題なのではないのかなと思いました。仕事の能力も当然かもしれないけれども、就労を実現するためにはまずは通勤も含めて人によっては休憩の時間も必要ですよということで、就労実現するための課題が何なのかということをここで明確にしていただくことによって、課題をクリアすることにつながっていくものかなと思っていたところでした。ですから、働くためにも人によっては介助が必要でもあるわけです。
そしてまた、お一人お一人で、例えば障害によっては、最初は大勢の方と一緒に働くことはできないけれども、徐々にある一定の空間で仕事をしながら皆さんと働けるようになるということもあるわけだから、ここで就労能力や適性と言うと、何か仕事をする力だけであって、環境の整備というのが抜けてしまうような気がしましたので、多分、そのようなことも含めて検討していただく必要があるかなと思ってお話ししたところでした。
それから、確かに御指摘のように、高齢に伴って仕事ができなくなる方もいらっしゃいますけれども、ただ、様々な技術の活用によって、今、それが可能になるかもしれないとも思いました。現実に働いていて、それから、福祉サービスを使う方というのも一つの選択肢かもしれませんけれども、高齢になっても働ける環境条件をつくっていくということを一言申し上げさせていただきました。
以上です。よろしくお願いします。
○駒村座長 ありがとうございます。
加齢の効果が健常な方と障害を持たれた方、障害も知的と精神と身体で加齢効果はどう違ってくるのかというのは、細かい議論が本当は必要だと思いますけれども、それを技術でどう補えるのかということもまた議論していかなくてはいけないテーマだと思います。
ほかはいかがでしょうか。よければこの辺で事務局に、今御質問があった点について、今回は初めですし、事務局もリラックスしていただき、ある程度自由にお答えいただいていいと思うのです。ぜひともお答えしておきたいという部分もあれば、データがありましたらあると、ないならないと、あるいはそれをまさに委員で考えてくださいと、委員のほうから情報が欲しいということはあってもいいので、その辺は自由にお答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。
全体の総括的な受け止めは福祉課のほうからまとめてしていただくとして、先に雇用サイドのほうでいただいた御質問等に対してお答えしたいと思います。
まず1点目は、阿由葉構成員のほうから御指摘がございました、福祉から雇用のみならず、雇用から福祉という流れ、非常に重要な御指摘でございまして、まさに企業の皆さん方とお話をすると、この高齢化の問題に対してどう対応していくかということについての課題認識がますます強くなっていると感じております。
という意味で、御本人の長期的な職業人生をとらえたときに、御本人を中心にシームレスに雇用・福祉それぞれの必要な支援・サービスが届けられるべきということで言いますと、おっしゃっていただいたような雇用から福祉といったような一方向での支援の流れのみならず、キャリアダウンなどに伴っての福祉サイドへの段階的な移行ということも求められると思います。この辺りをしっかりとつくっていかないと、最初の雇用の入り口のハードルが高くなってしまうだろうということも念頭に置きつつ、こういった問題意識しっかり持って、今後検討していきたいと思います。
ただ、網羅的な数の把握というものが現時点では十分できておりませんので、ここは福祉課のほうとも少し御相談させていただきながら、何ができるかということを検討してまいりたいと思います。
それから、後ほどちょっと補足もあるかもしれませんが、年金等を含めての生活を支える所得保障など、そういった全体的な中での様々なデータについては、まだ不十分な点もありますが、当然その周辺領域の関係施策との連携という視点に立ち、どこまで、どういったデータが用意できるか、福祉課のほうと相談したいと思います。
年金局との情報の共有についても可能な範囲で対応させていただきたいと思っております。
次に、アセスメントの部分につきましては倉知構成員はじめ、何人かの構成員の方から御指摘をいただいておりまして、現時点での能力を見極めて、それで振り分けるといったことにならないように、さらにその後の発展ですとか、成長も視野に入れながら評価していかなければいけないですし、もちろん、何かそういった共通で評価をするプラットフォームをつくれば、それで解決するということではなくて、これに携わる支援者の方たちの意識だったり、制度自体の枠組みの問題というのはありましょうから、総括的にそれらを組み合わせて効果的な運用化を仕組めるように、逆に様々留意点などについても御教示をいただきたいと考えております。
加えて、例えば就労の困難性とか職業準備性という観点だけではなくて、職場環境、環境整備の面も含めてという御指摘についても留意をしてまいりたいと思います。
また、酒井構成員のほうから33ページのデータについて、具体的に地域とか産業別とといったような情報がないかというような御質問がございました。これにつきましては、現時点において地域ごとの格差まで検証が進んでおりませんが、全体の流れとしては、今回コロナの影響が大であった飲食サービスですとか、宿泊業、娯楽業、この辺りでの解雇者数が目立っていたということと、どちらかというと、障害者のみを解雇するというよりは、事業全体が立ち行かなくなって、全体としての解雇につながっているのかなという感覚を持っております。さらにデータ分析ができましたら、また共有させていただきたいと思います。
さらに、竹下構成員のほうからは定着支援事業とジョブコーチの関係ということで御質問がございました。これも福祉課のほうからもし補足があればと思いますが、当課のほうで所管するジョブコーチは職場適応上の具体的な課題が生じて、それに対して支援計画を立てて、集中的に環境介入して支援を行って、具体的な課題解決のために対応していくというものかと思っております。
一方で、定着支援事業については、生活就労面の課題を把握して必要な支援を実施すると、いわばもう少し予防的な課題も含めて定期的にフォロー、見守りをしていくというものと捉えております。若干その介入のタイミングや深さが違うのかなと理解しております。
私のほうからは以上でございます。よろしくお願いいたします。
○石井障害福祉課課長補佐 引き続きまして、事務局の障害福祉課の石井です。
何人かの委員から、今回の検討会につきまして、進め方なり、そもそもの持ち方なり、射程なりというところで御意見・御質問をいただいたところでございますので、それについて順次御回答させていただきたいと思います。
まず、本検討会につきましては、今回も障害福祉や障害者雇用の資料をつけさせていただきました。時間の関係、もしくは資料の分量の関係で少し割愛している部分もございますので、当然、その他の資料・データ等を含めまして、御用意できるものに係りましては、引き続き委員の皆様方には御提供させていただきたいと考えておりますので、もしこの検討会の後でも構いませんし、どこのタイミングでも構いませんので、何かこんなものはないかとか、このところについて少し資料が欲しい、説明してほしいというのがございましたら、事務局のほうに申し伝えていただければと思います。
その上で、まず阿由葉委員のほうから雇用から福祉を目指すサービスということで就労継続支援A型なりB型があるのではないかというような御指摘をいただいたところです。就労継続支援A型、もしくはB型がそれをやるのだということについては、現状で申し上げますと、なかなか一般就労が難しい方を受け入れているのがA型なりB型でもございますので、恐らくそうなるのだろうと思っています。
ただ、我々は雇用と福祉の問題としましては、高齢の障害者の方の就労支援ニーズをどのような形で受け止めるかと考えておりますので、本検討会におきましては、現状のサービス類型等に関わらず、そういった高齢になった方の就労支援ニーズはどのような形で支援ができるのかという観点からも御意見を承れればと考えているところです。
そういった意味では、他の委員から、そもそもこの検討会の射程、どこまで厚労省は覚悟があるのかということかなと座長からもお言葉があったところですが、制度の見直しにつきましては、この場でこうします、ああしますというのは、なかなか御回答が難しいということは御理解いただくとさせていただいた上で、あくまでも検討会の構成員の皆様方におかれましては、本当に忌憚のない意見、このようにやったほうがいいのではないか、あのような提案もあるのではないかというところも含めて、御提案のほうをいただければ、非常に助かるなというところです。
それを踏まえた上で我々事務局としても論点、もしくは課題を整理させていただいて、皆様方と少し議論のほうを深めさせていただければなと考えているところです。
さらに菊池委員からも年金等に関しても少し射程に入れるべきではないか、所得保障についてどう考えるのかというお話もございました。現状で入れませんとか、どうしますと決めるのもなかなか難しいところですが、当然構成員の皆様方からそういった意見がございましたら、我々も受け止めさせていただき、どのようなことがこの検討会のほうにお示しできるかどうかというのは、職業安定局と相談しながらやりたいと思います。
また、年金部局のほうへの情報共有につきましても、事務局としてそのような形にできればなと考えているところです。
また、定着支援の関係で、竹下委員のほうからジョブコーチと定着支援事業の関係について御質問等がございました。先ほど障害者雇用対策課長の小野寺から説明させていただいた通りですが、定着支援事業につきましては、就労定着に係る生活面を支援させていただくというのが障害福祉サービス上の規定にあります。ですので、働きながら、一方で生活面の支援もしないと、なかなか職場定着は図れないよねと、例えば体調管理とか金銭の使い方等を含めて、そういった生活面に係る部分を障害福祉サービスとして就労定着支援がやらせていただいている。そういった役割分担を現状させていただいているところです。
実際、定着支援事業はどれぐらいの活用状況なのという御質問も合わせて竹下委員からあったところです。資料に委ねてしまって大変恐縮なのですけれども、資料2-1の31ページに、就労定着支援の現状について現時点で御用意できるデータを示させていただいているところです。事業所数で言いますと、全国で1,251、利用者につきましては、直近の令和2年度5月で大体1万1000人ぐらいの方が利用されているという状況です。時間の関係上、恐縮ではございます。まず、このデータのほうを御覧になっていただき、詳しいところにつきましては、引き続きどのようなものが出せるかどうか、事務局としても考えていきたいなと思っているところです。
また、長谷川委員から、アセスメント等に関して、現場の判断が委ねられていると、それについて現場とはどこなのかという御質問があったところです。これにつきましては、同じく資料2-1の23ページ目をお開きいただければと思うのですが、障害福祉サービスについて御説明を細かくする時間がなくて恐縮ですが、障害福祉サービスを利用する簡単な流れを図示しているものです。長谷川委員の御質問に簡単にお答えさせていただくのであれば、障害福祉サービスを利用するに当たってはいろいろな手続があると、その過程では、当然市町村の判断もございますし、あとは少し細かいのですが、上から3番目にサービス等利用計画案の提出なる項目もございます。
このサービス等利用計画案というものを策定するのは、相談支援事業所という障害福祉サービスに係る別の事業所があるところです。現場というのは、そういった市町村なり、サービス等利用計画案をつくる相談支援事業所、もしくは御本人さん、御家族等々を含めてです。本人がどのような支援を受けるのがいいのか、どのような可能性があるのかというところが、どうしてなかなか、福祉、雇用のところで統一的な判断基準等がないので、それがいわゆる現場、皆様にお任せしてしまっているのではないかというのが問題意識ですので、ピンポイントにここですというものではなくて、もろもろの流れの中で、全てに共通して、皆さん何となく支援を受けていらっしゃるという方も少なからずいるのではないかというところが問題意識です。
また、倉知委員からは、そういったアセスメントがないから移行できないのではなく、移行支援事業所がまだまだ頑張りきれていないのではないか、もしくはアセスメントは未来志向的な話ではないか、そういった御意見があったところです。これは我々もそのとおりでございまして、あくまでも未来志向で、どのような支援を提供すべきかというタイミングにおいて、どうしてなかなか統一的な判断基準等がなくて、その提案に難しさを抱えている現場の皆様がいるのではないかという、そんな問題意識です。
少し長くなってしまいましたが、あとはもろもろ、この検討会での議論をどこまで広げるかのという意見が多数あったところです。座長のほうから冒頭ございましたお言葉に甘えさせていただくのであれば、どこまで射程に入れるのか等を含めて、この検討会の中で皆様方の御意見を承りながら、我々で受け止めて、どこまで形にできるかどうか、一緒につくっていただければなと思っているところです。
雑駁ではございますが、事務局からの御回答・説明は以上です。
○駒村座長 ありがとうございました。
次の議題4がありますので、意見交換に入りたいと思いますが、今の事務局からの御説明に関してのコメントや御意見はここでやっていきたいと思います。現状、制度にこだわっていく必要ないわけで、まさに政府が今掲げるように横断的に議論しなければいけないということは間違いないと思います。
一方で、具体的にどこまで行くのかというのが、制度を運営する厚労省としてはなかなか無責任なことは言えない一方で、やはりこの委員会としてあるべき姿はどこにあるのかというのを見ながら、少しずつ制度改革を進めるべきではないかという考え方を共有していけばいいのかなと思います。
ここから意見交換に入りたいと思いますが、いかがでしょうか。
阿部委員、よろしくお願いします。
○阿部(正)構成員 ありがとうございます。中央大学の阿部でございます。
この検討会での射程がやはり皆さん気になっていると思うのですが、私は個人的に申し上げますと、やはり雇用施策と福祉施策というのは水と油の関係で、かなり違うものがあると思うのです。やはりそういう意味で、我々がここで議論したほうがいいかなと思うのは、福祉から雇用、あるいは雇用から福祉への切れ目ない支援、これを実現するということだと思うのです。そのために福祉施策で何をやるべきなのか、雇用施策で何をやるべきなのか、そして、福祉施策と雇用施策を合わせて何をやるべきなのかという整理が必要かなと思います。
例えば福祉施策と雇用施策で常に重なり合ってやっているものとしては、就労支援があると思うのですが、この辺りを何かダブっているところはないのかとかいうのをチェックしていって、もしダブっているとしたら、それを単純なものにするためにも、重なりがあるのをもっと重なりがないような、一本でやれるのだったら一本でやるとか、そういう仕組みづくりというのも必要だと思います。
それから、これまで全く対応できなかったところもあると思うのです。例えば今回通勤支援を対応するようになりましたけれども、これまでは、あれは雇用だ、あるいは福祉だって言ってきて、何らできなかったわけです。だから、今後またそういうものがないのかというのを検討することは非常に大事なのではないか。つまり雇用でも福祉でもまだできていないところは何があるのかという点です。
私は雇用施策を考えたときに、もうちょっと頑張れたらいいかなと思っているのは、やはり合理的配慮を企業がどのぐらい提供できるかということと、それに対して国、あるいは地方自治体がどれだけ支援できるかというところではないかと思っています。専門家の皆さんですから、ほかにもいろいろな点でこういったことが必要だろうということはあると思いますので、そういったものを議論していって、切れ目ない支援の実現のために、福祉と雇用の重なり合い等、全く対応できていないところはどこかというのを、まず議論を先に進めていただいて、余力があれば年金の問題ですとか、あるいは福祉の問題、雇用施策の問題と入っていったらいいかなと思います。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。
今、代理がまとめてくださったように、福祉と雇用の間のシームレスな関係をつくるためのサービスの確認といったものを見ていく、そこに企業や自治体や政府がどう関わっていくのかというのを整理していくのが中核部分ではないか。あるいはそこに最適な財政配分、財政の主体は何なのかといったことも同時に議論していかなければいけないのだと思います。
ここからの話は先ほどもお話ししたように、自由な意見交換ということでございます。それぞれ見ている分野がいろいろ様々だと思いますけれども、イノベーティブな話というのは恐らく異なるアイデアとか異なる分野の交換から出てくるはずでございますので、今日は自由に御意見いただければと思います。オンラインのほうも今何人か手が挙がっていらっしゃいます。待たせていますので、オンラインのほうに戻していきたいと思います。
順番に阿部構成員、鈴木構成員、永松構成員、竹下構成員の順番で御指名したいと思います。阿部構成員からお願いいたします。
○阿部(一)構成員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。
これまでの議論ということと、先ほどの阿部先生の話を伺うと、本当に2つの福祉と雇用の施策をシームレスにということは、すごく期待が持たれるところです。
そして、その中で、今まで何となく埋もれてしまっているようなことで、例えばですけれども、資料2-1にありますように、特別支援学校から企業に就職する方々、ただ、この方々が就労定着支援事業を現行制度では使えないのではないのかなと思いますけれども、そういうものを見直していくということだけでも、すごく大きな意義があることだと思います。何となく名称だけを聞くと、それは両方に使えていそうにも思ったけれども、多分支援学校から直接企業に就職した人は、就労定着支援事業を使えないという事実なども含めると幾つか検討すべき課題もあると思います。
それから、大枠をしっかり考えることとともに、そういうすぐに目につくこと、気づくことについては具体的に検討していただきたいと思って発言をさせていただきました。
よろしくお願いいたします。
○駒村座長 ありがとうございます。
次は鈴木構成員、お願いいたします。
○鈴木構成員 相馬支援学校校長の鈴木と申します。よろしくお願いいたします
学校の立場から少しお話しさせていただきたいと思います。
資料にもありましたとおり、特殊学校高等科卒業生の約3分の1が一般企業に就職するという状況になって、この就職率は年々向上している。これは学校の指導だけではなく、様々な支援制度の充実によるものだなと感じているところがございます。
高等部在学中から、今、多くの支援学校で行われているのが、バトンゾーンの長い引継ぎをどのように行うかということで、在学中からハローワークさんや就業・生活支援センターの職員の方に学校に来ていただいて進路相談をしたり、実習に関する支援等を受けている中で、要は現在位置の評価をしっかりしていくということを専門家の目を入れて行っているということが増えてきております。教員だけではどうしても評価しきれないところをちゃんと専門家の方に見ていただくということがそれぞれの学校できるかなと思います。
私たち学校は、やはり卒業後の支援の輪から最初に引いていく立場ですので、私たちが引いていっても御本人、御家族が安心して生活、雇用を支えるという環境をつくっていくということで、今、関係機関と連携をさせていただいているところです。学校では、個別の移行支援計画をそれぞれつくっております。その移行支援計画と、資料にあるような就労支援プランといったものがどのように連携していくのか、在学中から卒業後の支援に必要なことを共有していくことができれば、さらにいいのかなと思っております。
雇用後については、やはりこれは都市部と地方では差があるかと思いますけれども、通勤がネックになって雇用につながらないケースもございます。私も田舎におりますけれども、電車もバスも限られております。せっかく雇用してくれるという会社があってもそこまで通えないといったような状況もありますので、さらに通勤支援等の充実をと思っています。
オンライン支援、テレワーク、在宅就労等については、身体に障害のある方はこれまでもなさってきているかと思いますが、知的障害の方が今後その分野でどのように就労していくのかということについては、学校だけではなく社会の方々と協力していく必要があるのかなと思っております。
それから、先ほどほかの委員さんからもありましたけれども、支援学校は一人一人の目標、課題、身体の特性等に応じた支援を行っているところです。ただ、一方で、例えば高等学校にも支援が必要な生徒さんはたくさん在籍しております。そういった生徒さんの指導・支援については、なかなかお子さんと支援の関係者の方とのつながりを持ちにくいような状況があるかと思っています。お子さんの場合は、やはりバトンゾーンの長い支援というのはなかなかできない状況があるのが現実かなと思います。
併せて、高校に在籍しているそういった生徒さんの状況を市町村の保健福祉部局はどれぐらい把握しているのか、支援学校の場合はつながりを持っているものの、卒業後、地域で生活していく支援が必要な子が支援学校以外にも在籍しているというところをどのように行政側に把握していただくのか。学校に在学している期間がブラックボックスになってしまうような、そういった地域の支援体制はやはり何らかの形で改善していただきたいなと思っているところです。
そのほかいろいろあるのですが、とりあえず今思っていることだけをお話しさせていただきました。ありがとうございます。
○駒村座長 ありがとうございます。
教育から就労、あるいは福祉ルートを通じての就労とあるわけですけれども、今、鈴木さんの御質問、今日は委員同士の議論も大事にしたいと思っておりまして、次はちょうどタイミング的には永松さん、自治体を代表されている立場で、今どのぐらい情報を把握しているのだという投げかけもありました。もし可能であればそこも踏まえていただいて、御発言いただければと思います。永松委員、お願いします。
○永松構成員 全国市長会の杵築市長の永松と申します。御指名ありがとうございます。
私ども基礎自治体、市町村は障害のある人を地域で、その生涯にわたってサポートするというのが仕事になります。その中で今日の御議論の射程の問題ですけれども、やはり障害のある方の雇用と福祉の様々な問題点ということですけれども、それは当然成人期というのが前につくので、私どもは例えば周産期の支援から見取りまでという長いスパンで、もちろん全てができるわけではないのですけれども、人生のスパンでいろいろな支援を考えないといけない。
私も児童相談所に勤務していた経験が少しあるのですけれども、今、鈴木校長先生からとてもいいお話を伺いました。そのときに私が児童相談所から見ると、学校現場に生まれてからハンディキャップがあるということで療育を受け入れますとか、作業療法士の方とか言語聴覚士、理学療法士、それから、心理学的なアプローチ、そして、親御さんも含めて子供を支援するのが学校現場にどこまで伝わっているのかということ、もちろん学校はお忙しいでしょうし、療育も次々にお子さんがいらっしゃるので、療育を卒業して学校に行ってしまうとなかなか療育ができない。つまり学校のほうは学校教育が中心になりますので、残念ながら医学的なアプローチであるとか、心理学的なアプローチであるとか、そういったところがどうしてももったいないなと思ったのが、児童相談所のときの感想です。
療育と教育がシームレスにつながる、学校から成人期にシームレスの前に、療育、周産期から始まって、お母さんの状況、家庭の状況、そして、療育から学校、学校から成人期へシームレスにいろいろな専門家の方が関わっているので、そういった知見がいろいろな分析をしたり訓練をしたりとか、例えば投薬もあるでしょう、そういったものが継続してあるといいなと、そして、それが今度は成人期を過ぎて、地域で活動をリタイアして、皆さんと一緒に、普通の働く人と同じように、老後もゆっくり過ごしたいということであれば、地域でリタイアした後の過ごし方をどうするか。
やはり高齢者の方々とか地域の、私どもは田舎にいますと、障害のある方と高齢である方とか、それから、いろいろなサポートが必要な方々が、地域を単位に、旧小学校区単位でいろいろな作業を一緒になさるとか、そして、時間を共有するとか、当然農業とかありますので、いろいろな仕事で切り出して、そういう方たちと一緒に住んでいる地域の中で障害福祉であるとか高齢者福祉であるとかという形ではなくて、地域の中で、そういうシステムが出来上がってくればいいなと、そういう取組も今しているところです。
人生を通じて障害が発見されて、そして、就労継続Aから、一般企業から退職した後の音楽を楽しむであるとか、絵を楽しむであるとか、自由時間をどう充実して過ごすかというところまで、市町村としては、もちろん能力が高いわけではありませんけれども、いろいろな分野の人からの知見をいただいて、今日は文科省からも来ていただいたり、大変ありがたいなと思います。人生が充実するようにというところで、省庁の壁を超えて、市町村とかそういうところの行政対応を超えて、障害のある方、それから、その家族が一つの日が当たるような形でできないかなと、そうすると、市町村の職員も本当に仕事をしているという実感が出てきますのでいろいろな知見をいただければと思います。
長くなりましてすみません。
○駒村座長 ありがとうございます。
竹下委員から手が挙がっております。その後、池田委員から手が挙がっておりますけれども、またフロアのほうに戻しますので、とりあえず竹下委員からお願いいたします。
○竹下構成員 ありがとうございます。竹下です。
先ほど菊池先生もおっしゃいましたけれども、雇用と福祉の連携という形で、まず、この10月からスタートさせていただいたプロジェクトの役割というのは、僕は非常に画期的だと思っております。これまでにもいろいろな障害者部会で発言しても、雇用審議会で発言しても、あるいは内閣府の障害者政策委員会で発言しても、必ずと言ってもいいほど、例えば通勤通学のことを口にすると、通勤は雇用行政と福祉行政の問題だと必ず指摘され、あるいは通学に関しては教育行政と福祉の問題なので、その調整が、その壁を常に破らなかったわけです。それが今回大きな形で10月1日から破られたという意味では、今後どういう形でこれを発展させるかという意味では、ここの検討委員会の役割は非常に大きな価値を持つものだろうと思っております。
それだけに今後の議論のやり方に大きな期待がかかるわけです。例えばシームレスな支援ということが非常に重要なキーワードになっているわけですけれども、この10月1日からスタートした通勤、または職場における支援というところを見ますと、本当に複雑極まりない仕組みだと言ってもいいのです。障害福祉の地域生活支援事業のメニューの一つと、雇用行政の納付金制度による支援を組み合わせて、そこにしかもそれなりの厳しい要件をかぶせながら、財源だけではなくて給付率も違ったりとか、非常に複雑なわけです。
これを自治体に御理解いただいた上で、さらには雇用主にも理解いただいて、利用者も理解して、本当にうまく広がっていくのだろうかという不安がどうしてもぬぐえないわけです。それだけに雇用と福祉の連携をする場合に、どれだけ分かりやすく利用しやすいものにしていくかということが今後の課題だろうというのが1点です。
もう一つは財源の問題がそこに絡むのだろうと思っています。当然のことながら、一般財源もあるでしょうけれども、例えば先ほど申し上げた、通勤、昇降介助の支援を見ていても、通勤のところであえて言いますと、地域生活支援事業の支援のときに地域生活支援事業というのは自治体にしてみれば国から国庫負担金の配分はあるでしょうけれども、それをどんどん充実させようと思えば自治体自身の圧迫があるものですから、なかなかそこに枠を広げられない。そうなってくると、では、雇用を促進する場合に福祉という枠組みをどうしても利用しているために財源的な縛りがそこに関わったら、一定の人数以上の者が利用はできなくなるのかという、そういう壁ができてしまうことは非常によくないと思うわけです。
その点からも財源の問題というのは本当に慎重に審議していただく必要があると思っております。その点からも単に連携というところだけを見るだけのではなくて、福祉制度そのものの在り方も含めた議論ができる枠組みで検討会が進められることをお願いしたいと思っております。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。
かなり本質的な議論で財源問題です。公費財源がかなり自治体にとっても負担になっている中で、この就労問題とどう切り分けて役割分担をしていくのかというのを整理し直さなければいけない。でないと、かなり複雑なままであるという御指摘だったと思います。これも一つの大きなキーワードになっていくのではないかと思います。
フロアのほうはいかがでしょうか。オンラインの池田さん、ちょっと待ってください。あまり時間もないですけれども、委員の相互の発言を大事にしたい。いや、こう思っているとか、この部分は賛成だとか、こういったことも含めて自由に御発言いただければいいと思うのですけれども、フロアのほうで今はないですか。
岡田委員、お願いします。
○岡田構成員 討論になるかどうかちょっと分からないのですけれども、先ほど隣の阿部委員のほうから、雇用でも福祉でもできていないところという発言がございまして、先ほど私がちょっと質問させていただいたB型事業所の工賃向上の取組になじまない利用者も増えているというこの背景をちょっとお聞きしたかったのですけれども、私はここの部分に精神障害者が多く含まれているのではないかなと想像しております。
精神障害と一口に言いましても、その背景になっている疾病は様々でして、特にその中でも重度と言われる精神疾患、統合失調症の場合には10代から20代前半の発症が大変多いと言われておりまして、学齢期に発症して、この病気の回復には大変時間がかかりますので、皆さん想像していただきたいのですが、例えば中学2年生で不登校から始まって、医療につながるまでに数年かかるのです。医療につながって入院したり治療したりしながらも、またここで数年かかるわけです。気がついたときには20歳になっていて、もう自分は成人なのだから自立しなければとか、就労しなければという思いに駆られるのですけれども、実はこの思春期・青年期のいろいろな人格形成で必要な経験をすべきときに、全く社会から離れた環境に身を置かなければならない。
そういう中で、精神障害者は注意力が継続できないとか、疲れやすいとかという理解がされていますけれども、人生における経験値を積むことができないハンディキャップが、私はすごく大きいのではないかなと実は感じておりまして、そういうことを経験、積み重ねができるような安心してそういうものを補えるような場が地域には実は全くないのです。
なので、そこまで何とか病状が安定したとしても、次のステップに踏み出せないで家にいるしかないという精神障害を抱えた方が実は地域にたくさんおります。高齢の方ももちろんいるのですけれども、若い方もいます。このことを何とかフォローしていかないと、就労というところにつながっていかないのではないかなということをとても大きな課題として私は感じておりますので、ちょっと意見を述べさせていただきました。
○駒村座長 ありがとうございます。
考えておかなくてはいけないテーマで、恐らく生活困窮的な部分にもつながっていて、今回社会福祉法改正があって、その辺が少し対応できるようになってきているものの、そういう視点を落としたまま働ける条件を満たしていない、基礎条件を満たしていない人のことも考えておかないと、Bの役割は評価できないだろうということだと思います。
それから、先ほどの議論、酒井さんの議論も含めて、ちょっと私もいろいろデータをもらっていかないと話が進まないなと、あるかないかも含めて、委員のほうから必要なデータを求めていってもいいと思うのです。
先ほどお話があったような工賃の分布はもう当然データがあると思うのですけれども、例えば障害種別みたいなものが分かるのかどうか、それはどう動いているのか、どうなのかみたいなデータもどこまであるのかないのかということも前提の議論として考えておかないといけない。あくまでも想像だとおっしゃいましたけれども、もしかしたら皆さん、サンプルデータなり手持ちにもしデータがあれば、あるいはこういう研究があるということであれば、皆さんに共有していただければ話は効率的に進むと思いますので、逆に皆さんのほうからも事務局にこういうデータがある、こういう研究があるというのを出していただいたほうがいいと思いますので、事務局はその体制を整えてもらいたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
菊池委員、お願いします。
○菊池構成員 1点だけ、阿部先生が帰られてしまったのですけれども、先ほど阿部委員がおっしゃった中で非常に重要だと思ったのは合理的配慮のお話をされて、労働法の専門家の長谷川さんも退室してしまわれたみたいなのですけれども、やはりどうしても福祉のほうから考えていくと、企業のほうに送り出して、定着支援はあるけれども、一旦そこでよかったねという話になってしまって、しかし、そこからは企業での就労というか、企業の義務とか責任というものまでをどうしても福祉のサイドからは思考が及ばないのです。
実際に就労となると、もちろん公的責任をどう考えるか、そのための施策をどう考えるかというのをここで考える、主として考える場ですけれども、一方では合理的配慮義務をどう考えるか、先ほど竹下先生からあった通勤支援も実は、合理的配慮の中でどこまで企業側が義務を負っていくかという問題でもあるのです。そこの切り分けの議論をまだちゃんとできていないと思いますけれども、なので、頭のどこかに企業の合理的配慮を含めた義務なり責任というものをどう考えていくかということも頭に置く必要があるなと思いました。
ただ、先ほど竹下委員の通勤支援に関する御指摘は私もそのとおりだと、もっともだと思いますし、それを企業に押しつけて、公的な施策、国、自治体の責任がおろそかになってはいけないということも併せて述べておきたいと思います。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。
通勤の部分も地理的に地域によって全然違いますし、インフラ部分も、あるいは合理的配慮とはどこまでかという非常に難しい議論が出てくるのだろうと思います。
オンラインの池田さん、お待たせしました、御発言をお願いいたします。
○池田構成員 経団連の池田でございます。よろしくお願いいたします。
近年のデジタル化の進展や、今般のコロナ禍によって、障害者雇用は大きな転換点にあると認識しています。今回立ち上がったこの検討会の議論が、障害者の活躍や障害者雇用の促進に向けた効果的・効率的な環境整備につながることを期待したいと思います。
先ほど阿部先生が御発言された通り、この検討会の議論の範囲、はある程度絞らざるを得ないと思います。しかしながら、その中で有意義な議論とするためにも、障害者の方々が、障害者年金も含めてどのような公的支援を受けられているかといった全体像を理解・把握するデータについて、ぜひ整えてご提出いただきたいと思います。
その上で、具体的に何点か申し上げます。
第1に、中間取りまとめで指摘されておりますように、障害者の活躍を促進していくため、雇用と福祉の縦割りの解消が課題だと認識しています。その観点から、先ほども何人かの先生方から御発言があったとおり、障害者が障害の状況に応じて福祉と雇用の間を円滑に移行できる環境整備が必要です。その際、福祉から雇用への移行のみならず、必要に応じて雇用から福祉への円滑な移行が図られることが重要と考えております。
そうしたことから、中間取りまとめで示されている就労能力や適性を評価する仕組みの創設や、雇用・福祉の双方の知識を持った人材の育成というのは、一つの有効な施策と思います。いずれについても、ワーキンググループで具体的に検討が行われると伺っておりますが、ぜひ障害者雇用を熟知した企業の方々の意見を十分にくみ取っていただきたいと思います。また、制度の構築や運用にかかるコストの問題を意識して、現実的な対応について御検討いただきたくよろしくお願いいたします。
第2に、今後テレワークやロボティクスなど、デジタル技術を活用した働き方が広がることで、これまで就労が難しかった障害者が活躍できる機会も増えていく可能性がございます。こうした動きを加速していくためには、企業の合理的配慮を超える負担が生じないようにする必要があると考えます。また、中小企業における障害者雇用の促進も念頭に置き、就労したとしても、生活面のケアなど、必要な福祉サービスを継続して受けられるようにすることが重要と考えております。
第3に、今年10月から雇用・福祉施策が連携し、重度障害者等に対する通勤職場等支援制度が開始されました。雇用施策については、障害者雇用納付金による助成金が措置されたところです。納付金財政は、御案内のとおり、障害者雇用の状況に応じて変動が激しい構造にある不安定なものです。また、納付金は、キャリアアップなどの新しいニーズも踏まえて、雇用されて働く障害者の働き方の質を高めるために活用されることが望ましいと考えております。雇用と福祉施策の連携強化策の財源として納付金を活用することについては、慎重にすべきではないかと考えています。
最後に、障害者雇用分科会では、今後の障害者雇用対策の在り方について検討が開始されています。障害者雇用率制度や納付金制度におけるA型事業所の取り扱いなど、福祉サービスと関わる内容も論点として挙げられています。この検討会の成果を参考として、障害者雇用分科会、障害者部会での議論が進むことを期待しています。
○駒村座長 ありがとうございます。
この検討会の範囲をどこまで考えるかということでございますけれども、これは大変重要なことで、あまり風呂敷を広げてもしようがないということは、私もそのとおり。先ほど菊池先生から年金の話が出たわけでありますけれども、もちろん障害年金の給付要件というのは国によって違うわけでありまして、そこまで、もしかしたら将来的には入るかもしれませんけれども、一応頭に入れておいたほうがいいだろうという御発言の趣旨。
それから、私が触れた部分は、二十歳前障害とかの場合は、一定の賃金に関して、就労意欲に関して制約を与える可能性があるのだと、つまり就労制約、インセンティブに、労働供給者側に影響を与える可能性があるのではないか。そういう趣旨で関わる部分については、ほかの制度も視野に入れておかないといけない。同じことは、もしかしたら障害者が受けている生活保護の所得制限みたいなものも受ける可能性もあるだろうと、あるのかないのかが分からないので、ちょっとその辺は、まず事実関係を整理してから、障害雇用と関わる制度については見ておいたほうがいいではないかという趣旨だと思います。
大きい話をどんどん広げてしまうと、限られた会の中ではまとまらないと思いますので、まず、本流は障害雇用をメインに置きながら、きちんと関連する部分で、整合性があるかを見ていかなくてはいけないということだと思います。
時間がまだまだあると思いますけれども、まだ議論があると思います。もし、ここだけだということであれば、1つ、2つぐらい御意見を出していただいて、まとめというか今後の予定を見ていきたいのですけれども、いかがでしょうか。
久保委員と眞保委員のお二人、眞保委員からお願いします。
○眞保構成員 法政大学の眞保です。
私も切れ目のない支援というのが大変必要だと思っております。私はNPO法人障害者ダイバーシティ研究会で理事をしております。30社ほどの企業さんが会員になってくださっております。そこで常に出ています議論が、やはり高齢になった障害のある方をどのような形で福祉のサービスにつなげていくのか、ここが非常に課題になっております。
ある意味切れ目のない支援でそれをどうやっていくのかということで、本日議論で取り上げられなかったものの中に在宅就業障害者支援制度があります。これは実は労働側の制度の中で、それほどまだ利用がされていないのですけれども、簡単に申しますと、障害のある方に企業さんが仕事を発注して、そのことに対して企業さんに助成金をお支払いするという制度です。これを制度として少し拡充していく方法も利用の仕方としてはあるのではないでしょうか。
今、これは在宅と書いてありますので、いわゆるオンラインを使っての業務というようなイメージが大きいのですけれども、現実には、これは例えば知的障害の方が支援を受けながら、企業さんの現場で在宅就業支援団体が、支援を受けながら在宅だけではなくて、その企業の現場で働くというような方法もなされているところですので、この名称も少し分かりやすい名称にするということと、もう少し利用をしやすい形に変えていくことも考える時期かと思います。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。
高齢化の問題というのは本当に悩ましい問題で、高齢者雇用がどんどん世の中で進んでいくわけですけれども、加齢の効果が障害者と健常者で意味が違ってくると、雇用率の見方もどう考えていいのかというのは、ちょっと考え直さなくてはいけない部分も出てくると思うのです。そういった問題もちょっと考えておかないと、技術でいろいろな可能性も出てくる一方で、加齢のインパクトが3障害でそれぞれ違ってくると、雇用率制度の雇用率の考え方自身も影響を与えるかもしれないし。そうではないのかもしれない。ちょっとこの辺は考えなくてはいけないと思います。
お待たせしました。久保委員、お願いします。これで今日は最後にしたいと思います。
○久保構成員 ありがとうございます。久保でございます。
三つ四つお話があるのですけれども、一つは、コロナの関係でありまして、コロナ禍にありまして、実習先が減っているのです。それは教育からの実習もありますけれども、移行のところからの実習というのもなかなか受けてもらいにくいというのもありますし、知的障害の場合は就職が難しいという方もおられます。テレワークにつきましても、合理的配慮を考えていただきたいなと思っているのですけれども、知的障害者にとっては、やはりテレワークというのは難しい部分が結構あります。そういう意味では、職をなくしておられる方だとか、雇用を断られることも今、現状として発生しておりますので、その辺のところが、私たち知的障害のところでは課題となっております。
それから、先ほどから皆さんおっしゃっておられるように、知的障害の場合は大体45歳ぐらいになりますと雇用から福祉に移る方が増えていきます。そういう高齢障害者の働き方といいますか、それもこの場で検討いただけたらとてもありがたいなと思っております。
それから、もう一つは、今お話した面では、教育から福祉とか、福祉から雇用、雇用からまた福祉に行っているというのが現状でございますので、そういう切れ目のない支援というものは現状のままでいいのかどうかというのを少し疑問に思っている部分もありますので、調査をしていただきながら御検討いただけたらありがたいなと思っております。
もう一つは、納付金を使った現在の障害者雇用調整金です。障害者雇用率が年々アップしておりますので、その中で、継続可能な支援になっていくのかどうかというのは、とても不安に思っておりまして、そこを少し考えていく必要があるかなと思っています。
以上です。
○駒村座長 ありがとうございます。
今の御発言もありましたけれども、これから議論を進めるに当たって必要なデータはどうなっていますかということは、事務局に聞いていただく。もしかしたらそれはないかもしれない。ない中でいろいろ意思決定しなければいけない、提案しなくてはいけないと、あったらいいねというデータや調査の御提案も必要なのかもしれないと思います。
その上で、今ある統計の中でいろいろ判断をしていかなくてはいけないので、もしかしたら限られた範囲の調査なのかもしれませんけれども、何らかの根拠があれば、皆さんのほうからも集めていただいて提示していただく。構成員と事務局が協力して議論を進めていければと思います。
大変申し訳ないのです。私の運営がまずくて5分ほど既にオーバーしていますけれども、最後の議題5「その他」がありますので、それについて事務局から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○源河企画課長 本日は御多忙の中、御議論いただきましてありがとうございました。
最後になりますが、今後のスケジュールにつきまして、資料3-1を御覧いただければと思います。今後2回程度、関係団体からのヒアリングをさせていただきたいと思っておりまして、第2回を11月17日火曜日、第3回を12月11日金曜日に予定しております。ヒアリング候補につきましては、資料3-2に案でありますが、掲げさせていただいております。これにつきまして、詳細は座長とも御相談した上で決めさせていただきたいと思っておりまして、別途皆様に御連絡させていただきます。
また、本日御議論いただきましたとおり、論点がいろいろございますので、この検討会だけではなく、ワーキングチームを開催したいと考えております。このワーキングチームにつきましても、早急に座長と御相談させていただいた上で、開催に向けた準備を進めさせていただきたいと思います。こちらも詳細が決まりましたら、皆様方に御連絡させていただきます。
以上でございます。
○駒村座長 ありがとうございます。
ちょっと時間をオーバーして大変申し訳ございません。本日はこれで閉会としたいと思います。皆様、どうもありがとうございました。