2020年10月6日 第24回中央訓練協議会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和2年10月6日(火) 15:00~17:00

場所

Web開催

議題

(1)令和3年度ハロートレーニング(公的職業訓練)に係る概算要求について【報告】
(2)令和3年度全国職業訓練実施計画の策定方針について
(3)その他

議事

 

○今野浩一郎名誉教授(学習院大学) 時間になりましたので、ただいまから第24回中央訓練協議会を開催いたします。本日の協議会は、新型コロナウイルス感染拡大の防止の観点から、Web会議による開催といたします。今日お集まりいただいている方については、お手元にあります参考資料1に出席者名簿がありますので、それで対応させていただきます。
 今回から、新たに1名の構成員が参加されることになりましたので、御紹介いたします。一般社団法人日本経済団体連合会より、池田労働政策本部長が新たに就任をされております。なお、京都府鈴木商工労働観光部長の代理として、河島商工労働観光部副部長に御出席を頂いております。よろしくお願いいたします。
 また、事務局に人事異動がありましたので、併せて紹介いたします。小林人材開発統括官、富田審議官、篠崎人材開発政策担当参事官、黒田政策企画室長、平川訓練企画室長、津崎特別支援室長です。それから職業安定局では、志村審議官、安蒜訓練受講者支援室長が就任をされています。本当は顔が見たいのですけれども見られませんので、声だけで紹介をさせていただきます。
それでは、冒頭に小林人材開発統括官より御挨拶を頂きます。
○小林人材開発統括官 今日は皆様御多忙の中御参加を頂きまして、本当にありがとうございます。先ほど座長から御紹介いただきましたように、8月7日付けで異動がありました。私のほか、メンバーが変わっておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 訓練の関係については、これまでも経済社会動向の変化に対応して、適切に対応するということでやってまいりました。御案内のとおり目下のところは、コロナの問題があります。こういった状況を踏まえて、離職者・在職者訓練の適切な実施を図っていく必要があります。これまで、求職者支援訓練の枠の拡充を補正で行いました。また、感染症対策を、訓練実施に当たって徹底頂いております。それから、オンラインによる訓練の実施が可能になるように、規定の見直しも行ったところです。これからも、ウィズコロナ、アフターコロナということで取り組んでいかなければいけませんし、その他デジタル化等の経済社会の変化があります。また、中小企業の生産性向上といったことも課題となっております。こういったニーズに対応していく上で、この中央訓練協議会、あるいは各都道府県の地域訓練協議会の役割が、ますます重要になってきていると思っております。
 本日この後、令和3年度の概算要求、それからハロートレーニングの訓練規模、あるいは目標などについて御意見を頂ければと思っております。それを踏まえて、各都道府県の訓練協議会において、活発に御議論いただくということにもなってまいります。今日は活発な御議論を賜れればと思いますので、皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。それでは議題に入る前に、本日の資料とWeb会議の接続不調時の対応等について、事務局から説明をしていただきます。よろしくお願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 事務局から事務連絡をいたします。本日の協議会ですけれども、座長からもありましたとおり、Web会議による開催とさせていただきます。資料は、事前に送付をしております資料1~6を使用いたします。Web会議の接続に問題等が生じましたら、事前にお送りしてありますマニュアルに沿って、事務局宛にメール又は電話で御連絡を頂ければと思います。
 メインテーブル出席者におかれましては、skypeのインスタントメッセージに、御発言を希望する際には発言希望と打っていただいた後にお名前を打っていただいて、座長から指名をされた後に御発言をお願いいたします。発言が終了した際には、「以上」と言っていただくなど、発言が終わった旨をお伝えいただければと思います。また音声の乱れにより、他の発言者の発言内容が聞き取れなかった等の場合には、その旨お伝え頂けましたら、再度発言者の方に発言していただく等の対応をとりたいと思っております。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございます。私も、これだけの人数が参加するWeb会議は初めてなものですから、うまくいくといいなと思っております。全体としては、少しゆっくり進めたほうがいいかなと思っていますので、よろしくお願いします。
 今回は、令和3年度の全国職業訓練実施計画の策定方針を中心に議論していただきます。その前に、まずお手元の議事次第にあります令和3年度のハロートレーニングに関わる概算要求について、事務局から御説明を頂いて議論をいたします。それでは、よろしくお願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 申し遅れましたが、私は訓練企画室長の平川と申します。よろしくお願いいたします。令和3年度概算要求について、資料1を御覧ください。令和3年度の概算要求額、訓練規模について、公共職業訓練、障害者訓練、求職者支援訓練の3つに分けて記載をしております。このうち公共職業訓練については、更に離職者訓練、在職者訓練、学卒者訓練の3つに、それから障害者訓練については、離職者訓練と在職者訓練の2つに分けて記載をしております。各項目の上段にあるのが、令和3年度の要求額や訓練規模になります。下段の括弧内が、令和2年度の数字となっております。
 一番上の行は、公共職業訓練全体の要求額で、約1,018億円ということで、今年度より315億円ほど少ない要求となっております。一方で、右の訓練規模の所は36万4,000人で、今年度より1,000人程度増えているところです。この訓練規模の内訳ですけれども、離職者訓練の施設内訓練の対象者が約1,000人増。委託訓練と在職者訓練、それから学卒者訓練の対象者は、前年と同規模ということです。委託訓練の所を見ていただきますと、この委託訓練は都道府県から民間の訓練実施機関に委託して行うものですが、予算額としては292億円ほど減少しており、約384億円となっております。訓練規模は13.5万人ということで、今年度と同程度の規模となっております。これについては、長期高度人材育成コースについて、直近の受講実績を踏まえて対象者数を減らす一方で、短期の訓練について対象者数を1万8,000人ほど増やし、トータルで同程度の規模としているところです。
 その下は障害者訓練についてです。委託訓練については、訓練コースごとの定員数の見直しや予算執行状況を踏まえた経費の見直し等を行った結果、予算規模は減少しておりますけれども、事業内容は今年度と同様で、訓練規模もほぼ同程度としたいと考えております。
 次のページは、求職者支援訓練です。令和2年度については、年度当初の計画は2.8万人でしたけれども、一次補正予算で拡充をして、合計で5万人規模となっております。令和3年度については、「予算編成過程において調整」と書いてありますけれども、今後の予算編成過程の中で今年度の実績等も踏まえながら、財政当局と調整をしていくことになっております。この求職者支援訓練については、足元の受講者数は増加に転じている状況ですけれども、今後は動向をよく見て、財政当局と調整をしていきたいと考えております。
 次のページは予算の関係で、新たな要求事項として2つあります。1つは、職業能力開発大学校等における給付型奨学金の支給です。大学等の学生については、令和2年度から就学支援新制度ということで、授業料、入学金の減免や給付型奨学金の支給が実施をされておりますけれども、職業能力開発大学校等の学卒者訓練の対象者については、この文科省の制度の対象にはなっておりません。授業料、入学金の減免制度は、学卒者訓練についても今年度から類似の制度を創設しておりますけれども、給付型奨学金の制度は今のところありません。今後、新型コロナウイルスの影響で経済情勢が悪化した場合に、職業能力開発大学校等への入校、それから訓練の継続を諦める受講生が出てくることも考えられますので、コロナ対策の関連予算として、給付型奨学金の予算要求を行ったところです。
 もう一点は、介護分野への就職支援です。コロナウイルスの影響で離職者が発生することが見込まれる中、介護分野の人材確保を支援するために、ハローワーク、訓練機関、それから福祉人材センターが連携をして、就職支援に取り組むこととしております。福祉人材センターは、全国の社会福祉協議会等に置かれておりますけれども、この福祉人材センターとハローワーク、訓練機関が連携した就職支援を行うほか、返済免除付きの貸付金の創設等も行われることになっております。訓練実施機関向けの施策として、介護分野の訓練について、職場見学や職場体験などをカリキュラムに盛り込んでいただくことを条件として、実施機関にお支払いする委託費等を1人1月当たり1万円上乗せするという内容で予算要求を行っているところです。令和3年度については、非常に財源が厳しい状況ではありますけれども、コロナウイルス関連の予算として、この新規の要求を2つ行っているところです。資料1の説明は以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございます。それでは、御質問、御意見をよろしくお願いします。いかがでしょうか。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長(全国専修学校各種学校総連合会) 全国専修学校各種学校総連合会の関口です。次の議題のほうで方針があるのですが、今の予算を全体として見て、委託訓練のうちの長期高度人材育成コースの減額は、全体として大変大きいのは歴然としております。これについての質問や意見等は、その次の御説明を受けたほうがよろしいのでしょうか。いかがでしょうか。
○今野浩一郎名誉教授 事務局、いかがですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 次の資料2で、具体的な人数等も説明をいたしますけれども、お答えはどちらでも構いませんが。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 それでは、次の説明をお聞きしてからにいたします。失礼いたしました。
○今野浩一郎名誉教授 では、そういう質問があったことを忘れないようにしておきますので、一番最初に答えてもらいましょう。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 すみません、日商の杉崎委員が、御発言希望と出されております。
○今野浩一郎名誉教授 すみません、気が付きませんでした。その前に、連合の仁平さんお願いします。
○仁平章総合政策推進局長(日本労働組合総連合会) これも資料2に関する話なのですけれども、ここでもよかったですか。
○今野浩一郎名誉教授 では、まとめて資料2でやりませんか。
○仁平章総合政策推進局長 分かりました。すみません。
○今野浩一郎名誉教授 日商の杉崎さん、いかがですか。杉崎さん。聞こえないですか。では取りあえず、経団連の池田さん、どうぞ。
○池田三知子労働政策本部長(一般社団法人日本経済団体連合会) 経団連の池田です。御案内のとおり、雇用保険二事業に関して、現在新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、雇用調整助成金の支出が大幅に増加しているところです。直近8月の完全失業率は微増ながら3%と、リーマンショック後の5.5%に比べれば低い数字にとどまっており、失業予防対策としての雇調金の役割をしっかり果たしていると考えております。
 一方で、雇調金は全額事業主負担の保険料で賄われていて、二事業の財源は実質的に枯渇化している状況です。そうした中で、二事業である公的職業訓練についても支出の重点化、効率化を思い切って進めていただきたいと思います。
 そうした観点から、是非人手不足業種や成長分野の就職支援のための訓練に、できるだけ重点化していただくようお願い申し上げます。私からは以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございます。事務局から何かありますか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 御指摘いただいたとおり、重点化は大変大事なことかと思っております。実際の訓練ニーズに沿った訓練を行うように、これからも努めてまいりたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
○今野浩一郎名誉教授 日商の杉崎さん、聞こえますか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 日商の杉崎さんには、こちらの声は届いているようなのですけれども、杉崎さんからのお声がちょっと届いておりませんので、電話対応などでもできないか、検討いたします。
○今野浩一郎名誉教授 あるいは、チャットで書いてもらえば。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 杉崎さん、チャットで大丈夫でしょうか。
○今野浩一郎名誉教授 後からで結構ですので、電話で事務局に言っていただくか、チャットに書いていただいても結構ですので、質問が分かれば回答を頂くようにします。他にいかがですか。よろしいですか。
 それでは次の議題に入ります。次の議題は、令和3年度の全国職業訓練実施計画の策定(案)についてです。まず、事務局から説明をお願いできますか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 それでは、資料2を御覧ください。全国計画策定に当たっての方針案ということで、左に書いてありますのが、令和2年度、今年度の職業訓練計画の抜粋です。右にありますのが、令和3年度計画に向けた議論のためのたたき台で、変更点について下線が引いてあります。
 まず、上からまいりますと、公共職業訓練のうちの離職者訓練です。対象者数につきまして、施設内訓練については2万3,000人から2万4,000人と、1,000人増。委託訓練につきましては、約13万5,000人で、微増ということにしたいと考えております。先ほどお話がありました長期高度人材育成コースですが、令和2年度は2万7,000人の計画でしたが、こちらにつきまして、令和3年度は実績を踏まえて9,000人という計画にさせていただければということです。日本版デュアルシステムにつきましても、実績を踏まえて8,500人から4,000人ということにしてはどうかということです。
 一方で、短期の訓練の対象者を拡充して、全体では昨年と同程度の対象者数にしたいと考えております。就職率の目標、その下にあります②訓練内容、次のページの③効果的な訓練実施の取組につきましては、変更なしとしてはどうかと考えております。
 さらに次のページです。下にページ番号が打ってあり、8/72と書いてあるページになります。こちらは在職者訓練です。施設内の訓練につきまして2,000人減、6万6,000人を2,000人減として6万4,000人の規模で実施とする一方、生産性向上支援訓練について拡充をすることとしてはどうかと考えております。高齢・障害・求職者雇用支援機構では、平成29年から生産性向上支援訓練を実施しておりますが、これとは別にIT理解・活用力訓練というのを平成30年度から実施しております。どちらも民間の実施機関に委託して行う訓練です。IT理解・活用力習得訓練につきましては、平成30年度から3年間で3万人を対象に、ITリテラシー習得のための訓練ということで実施してきております。こちらは、令和2年度でこの3年間を終了いたしますが、引き続き生産性向上支援訓練の中でITの利活用による生産性向上という観点から実施していくことにしたいと考えております。それに伴い、生産性向上支援訓練の対象者数を拡充したいと考えております。
 また、これに併せて、②の訓練内容の所ですが、IT利活用の訓練が生産性向上の観点から行うものであることを明確にする書きぶりに変更してはどうかと考えております。具体的には、これまでは生産性向上のための支援、IT理解・活用力を習得するための事業主支援と並列で書かれておりましたが、こちらを生産性向上に必要な生産管理、IT利活用を習得するための事業主支援と変更してはどうかと考えております。
 次のページは学卒者訓練です。日本版デュアルシステムの人数につきまして、実績を踏まえて、300人から200人に減らしてはどうかと考えておりますが、その他の対象者は100人増やして、全体としては5,800人ということで、前年と同程度としたいと考えております。
 次のページは4の障害者訓練です。こちらは予算額の減少を踏まえて、対象者数について100人程度の減少としてはどうかということです。
 5は求職者支援訓練です。求職者支援訓練につきましては、先ほど御説明いたしましたが、令和3年度の訓練規模は今後調整していくということですので、現段階では具体的な人数の案は記載しておりません。左側に書いておりますが、今年度の計画におきましては、求職者支援訓練の人数につきましては2万7,613人と現在記載されております。こちらにつきましては、一次補正予算で5万人に拡充されておりますので、本日の協議会で御異論がなければ、今年度計画につきまして対象者数を5万人に改める等の改正をさせていただければと考えております。
 求職者支援訓練の就職率目標と、その下の②、基礎と実践の割合につきましては、今年度と同様でどうかと考えております。③の実践コースの重点ですが、現在、介護、医療事務、情報の3分野について割合が定められております。各都道府県ごとの計画を策定する際に、この割合を下限の目安として、分野ごとの割合を定めることになっておりますが、現在この3分野のうち、情報につきましては5%程度となっております。今後デジタル人材に対するニーズがますます高まると考えられますので、こちらを10%に引き上げてはどうかと考えております。その下の④新規参入の上限ですが、この新規参入の上限につきましては、訓練の質を担保する観点から、新規参入を一定程度制限するために定めているものですが、求職者支援訓練につきまして、訓練の枠全体が大幅に拡大していることを踏まえて、新規参入を容易にするために、現在の20%から30%に引き上げてはどうかと考えております。
 次のページは、⑤地域ニーズ枠です。都道府県ごとの計画におきましては、独自の訓練分野、特定の対象者、地域を対象とする地域独自のコースを少なくとも1コースは設定することとなっておりますが、この全体の中での上限の数につきまして、現在10%以内となっておりますが、各都道府県ごとに更に地域ニーズに応じたコースを設定しやすくなるように、こちらを20%に引き上げてはどうかということを考えております。資料2の説明は以上です。
 資料3は参考データです。令和元年度の実績を、速報値ですが、取りまとめたものです。主だったところだけ簡単に御紹介いたしますと、17/72と書いてあるページを御覧ください。都道府県別の受講者数です。公共職業訓練(離職者訓練)の受講者数は、こちらはちょっと誤植があり、受講者数10.4万人と書いてありますが10.3万人の間違いです。具体的な数字につきましては、右の列の下から3番目辺りの合計が10万3,287人と書いてありますが、こちらが具体的な数字です。この10.3万人につきましては平成30年と比較しまして3,000人減少ということです。
 18ページは就職率です。公共訓練の就職率につきましては、施設内訓練につきまして、前年度比2.6ポイント減、委託訓練につきまして2.9ポイント減となっております。
 27ページは求職者支援訓練の就職率です。こちらは、令和元年12月末までに終了した求職者支援訓練の就職率ですが、基礎コースで57.3%、実践コースで63.1%ということで、基礎コースで約2ポイント、実践コースで約1ポイントの下落ということです。
最後、32ページです。求職者支援訓練の分野別の就職状況です。雇用保険適用就職率につきまして、介護福祉が73.7%ということで、介護福祉の就職率が最も高いということです。資料3の御説明は以上です。
 資料4につきましては縦書きになっておりますが、今年度の全国職業訓練実施計画の本文です。資料5についている一覧表ですが、各都道府県ごとの求職者支援訓練の計画内容を取りまとめたもの。資料6は、今年の2月から3月にかけて開催された地域訓練協議会で出された主な意見を取りまとめたものですので、御参照いただければと思います。資料の説明は以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。それでは、この議題に入る前に、前の議題についての日商の杉崎さんの質問が出てまいりましたので、杉崎さんどうぞ。
○杉崎友則産業政策第二部担当部長(日本商工会議所) 聞こえておりますでしょうか。
○事務局 はい、聞こえております。
○杉崎友則産業政策第二部担当部長 ありがとうございます。日本商工会議所です。資料1の令和3年度概算要求につきまして意見を申し上げます。コロナショックは、あらゆる業種、業態の企業に甚大な影響を及ぼしましたが、中小企業景況調査の結果等を見ますと、特に小売業やサービス業での影響が深刻な状況です。また、失業率は上昇傾向にありますが、民間の調査機関によりますと、今後更に高まっていくと予想されております。そうした中、雇用調整助成金等の施策により、雇用を維持していくことが重要でありますが、それと同時に、雇用吸収力がある産業、成長分野への失業なき労働移動を円滑に進めていくことが求められます。失業なき労働移動を円滑に進めていくために、求職者支援訓練が果たす役割は極めて重要ですが、訓練規模は予算編成過程において調整とされておりますので、予算措置や執行につきましては、今後の動向を注視し的確に対応していただきたいと思います。
 委託訓練につきまして、要求額は昨年比で300億円減額している一方で、訓練規模は昨年と同規模の13万5,000人を保っている点は評価したいと思いますが、財政状況が厳しい中で、これだけ多額の予算を減額しても、なお同じ訓練規模を確保できるのでありましたら、他の訓練についても費用対効果の観点から事業内容を見直して、運用規律を徹底していただきたいと思います。以上です。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 森さんからも御意見があるそうですが。第1の議題のときに森さんからも御意見があったそうです。
○今野浩一郎名誉教授 森さんですね。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 はい。
○今野浩一郎名誉教授 ちょっと待ってください。杉崎さんの意見に対して事務局はどうですか。何かありますか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 事務局です。失業なき労働移動という場面におきましては、必要なスキルの開発が欠かせないところだと認識しております。離職者訓練でもそうですし、今在職中の方でもそうですが、新たなスキルの付与ということが不可欠と考えておりますので、こちらは必要な訓練が行えるように、今後財源の点でも調整を進めていきたいと考えております。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 それでは、先ほど関口さんと仁平さんは待ってくださいと言っていたのですが、もうしばらく待ってください。前の議題で、全産能連の森さんから御質問がきていますので、森さん、どうぞ。
○森信介専務理事(一般社団法人全国産業人能力開発団体連合会) ありがとうございます。森です。資料1-4の雇用と福祉の連携による離職者への介護分野への就職支援パッケージについて、意見を述べさせていただきます。これは大変有益な取組であり、施策の実施に期待するところです。リーマンショック時にも、類似の施策を実施していただきましたが、リーマンショック時には製造業の失業者が多かったことから、残念ながら制度を利用して採用した方の定着率について、1年未満で離職した方の割合が60%を超えていたという会員からの報告もありますが、今回は飲食業、宿泊業等のサービス業等からの制度利用者が多いと予想されますので、定着率が向上するのではと期待しているところです。
 1点、意見を述べさせていただきたいのは、このプログラムの中で職場見学、職場体験について、条件とされていますが、現状、介護の教育現場では、介護現場で感染防止のため現場実習がほとんどストップしています。教室での模擬実習やWebで現場を見る等の工夫をしている状況です。このような柔軟な取組についても、是非検討していただきたいと考えているところです。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。事務局、どうですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 事務局です。ありがとうございます。この職場見学については、やはり介護分野について、今まで全く経験のない方たちが介護に入ってこられるときに、実際の現場を見ていただくのが大事だろうということで盛り込んでいるものです。御指摘のとおり、コロナ対策の関係でなかなか今、見学が難しいという状況があるのは承知していますので、何らかの方法でその職場の状況などが分かるような手段で対応できないか検討を進めていきたいと思います。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 森さん、よろしいですか。
○森信介専務理事 はい、結構です。ありがとうございました。
○今野浩一郎名誉教授 それでは、今回の訓練計画の議論に入りたいと思います。まず関口さん、どうぞ。お待たせしました。
○関口常任理事総務委員会委員長 先ほどちょっと触れましたが、公共職業訓練の離職者訓練のうちの委託訓練、その中の長期高度人材コースについて、令和3年度に向けてお願いと言いますか、意見を述べさせていただきます。
 まず御説明の中でありましたように、令和2年度はこのコースに2万7,000人が、来年に向けては9,000人、これは実績を考えてということで、その実績については今回資料の20ページを御覧いただくと、長期高度人材コースについて、令和元年度の実績は4,550人ということです。ですから、2万7,000人を想定していたものが4,550人ということです。先ほど日商の杉崎さんが300億近い減額という話ですが、実態的には、その前の年も4,200ぐらいですから、大きな予算を付けていただいていたということですが、それがかなり幅がある結果になってしまっているということが続いていたので、実績に合わせるとそれだけ大きな減額ができると思います。ほかにはこのような事例はないのではないかと、これだけちょっと格別な例だと思いました。20ページの資料を御覧いただきますと、従来からあります介護、保育のところの数字が、コース数が2つ合わせると575、受講者数が3,300ぐらいです。そうすると、それを全体から引きますと今回、数が出ることを期待していた製造などの分野の受講者数については、1,200人程度というところにとどまっているということです。このような状況から言うと、9,000人でも大きな目標になるかと思いますので、そういう数字については異論のないところではあります。
 しかし、実際にこのコースをさらに成長させていくためには、この資料を御覧いただいてお分かりのように、例えば就職率が介護や保育の80%後半、ほかのコース、数は少ないですがトータルでも86.3%で、この長期高度人材コースの設定の趣旨であった安定的なキャリア形成や定着というためには、より長期なコースが必要だろうという考え方から出てきたものと考えれば、そうした目標は、人数が少ないながらも達成できている。就職率を見る限り、達成しているということと、主として専門学校が担当させていただいているということから言えば、専門学校が本来持っている就職指導力というものが、教育力と合わせて活きていると考えたいと思っています。
 では、なぜこの介護、保育以外のものが伸びないのかということですが、この目標に対して考えても、現在、300コースで受講者数が、それだけで言いますと1,200人ぐらいですから、介護と保育がこのまま動かないとすれば、1,200人から6,000人近いところまで引き上げないといけない。そうすると、5倍近く引き上げていくということを具体的にどうやって達成するかということは、重要かと思います。現状の課題から考えるとしても、ここの分野は、まず1つは情報の発信が非常に足りなくて、例えば私の学校でもコースに受講してきた学生のヒアリングなどをすると、たまたま見付けてラッキーだったということなのです。知らないということが、まず大きい。それから訓練コースは東京都でも僅か12コースしかありませんので、平均受講者数4人ですから、非常に僅かな人数しか、そもそも都道府県単位では開講していないということがあります。
 さらにコース名称については、この場でも申し上げていますが、長期高度というのはコースの内容を表した言葉ですが、例えば東京都では、専門人材コースと言ってやっています。それから、神奈川県では専門人材育成コースで、長期や高度などというものがまるで表現されていないコースになっていますので、これは長期高度人材育成コースという形で全国的に統一することが、先ほどの情報発信の上での認知度の向上ということにもつながるのだと思います。
 そして、受講期間の拡大ということなのですが、昨年ですが、東京都では1月7日から1月31日ということで、22、23日しか受講期間がありません。そうすると、そこでハローワークで相談して、キャリアコンサルティングを受けて手続をするということですので、大体3分か4分の相談で2年制のコースに入るかどうかということを、本来だったら決められるわけはないのです。そのようなことからいうと、申込期間の拡大ということは必至だろうと思います。今年の方針ではそのような情報の発信の拡大を含めて、様々な諸課題を改善して、都道府県の労働局との連携も強化するということで、はじめてこの9,000人の目標が達成できると考えます。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。平川さん、いかがですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 事務局です。ありがとうございます。この長期高度人材コース、分野別のお話を頂きましたが、この長期コースは平成29年度から長期高度人材育成コースという名前でやらせていただいています。それ以前は、資格取得コースということで介護福祉士と保育士の養成課程のみ対象となっていたコースでした。それもありまして、介護福祉士と保育士のところが今一番多いわけです。正におっしゃっていただいたとおり、介護、福祉、保育以外のところをいかに伸ばしていくかというところが課題だと考えています。
 そこで、伸ばす方法についても、御指摘いただいたとおりで、周知のところや申込期間の拡大等といったことになるかと思います。やはり、1、2年のコースで大体4月から始まるというような制約があるちょっと特殊な訓練ですので、簡単に受けてみようというものではないので、やはり職業相談の中できちんとキャリアコンサルティングもしながら、もっと長いスパンで進めていく訓練だと思います。そういったところも含めて、周知なり相談なりを充実していければと考えています。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 関口さんの御意見は、これは大変効果が大きいプロジェクト、プログラムなので頑張ってほしいが、目標達成をするには何か手を打たないといけないということだと思いましたので、厚生労働省できちんと対応していただくことと、その結果、来年の数字がどうなるかということを大変楽しみにしていますので。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 はい、ありがとうございます。
○今野浩一郎名誉教授 それでは、連合の仁平さん、いいですか、
○仁平章総合政策推進局長 はい、ありがとうございます。連合の仁平です。発言させていただきます。コロナ禍でのテレワークの対応という視点が大事ではないかという観点から、2点ほど申し上げたいと思います。
1つは、在職者訓練で強化したと御説明のあったIT利活用です。聞こえていますか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 聞こえています。
○仁平章総合政策推進局長 IT利活用等の習得する中身です。テレワークでの対応ができるように、ネットワークのセキュリティの強化などの観点も訓練に加える必要があるのではないかという点が1点です。
 もう1つは、障害者訓練の所なのですが、この中身を見ますと、令和2年度の内容とほぼ同じ内容ということになっていますが、障害者の法定雇用率は、来年の3月1日から引上げが予定されています。今後、さらに障害者への訓練のニーズが増えると予想されます。新型コロナウイルスの影響として、テレワークが増えていく情勢でもありますが、その後も含めて障害者の訓練については、在宅勤務を可能とするようなIT面の強化、そういった訓練内容も検討していく必要があるのではないかと思いますので、意見として申し上げます。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございます。事務局、どうですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 事務局です。まず前段のIT利活用のところですが、今現在行っていますIT理解・活用力の訓練ですが、中身としてワープロや表計算などのITスキルといったところもありますが、ほかにIT技術の動向、それからおっしゃっていただいたセキュリティ、コンプライアンスといったものも訓練内容に盛り込んでいます。来年度以降についても、こちらの生産性向上支援訓練で、特にセキュリティ、コンプライアンス等についても引き続きやっていきたいと思っています。
 それから、障害者の点については、担当の室長から御説明します。
○津崎人材開発統括官付特別支援室長 特別支援室の津崎と申します。障害者訓練は、在宅勤務においてITの利活用が非常に重要だということは御指摘のとおりかと思います。現時点での訓練について、ITに関する訓練を一部の障害者校や委託訓練で実施しているところですが、引き続きそういった地域ニーズ、または今後の状況を踏まえながら、必要な訓練を提供できるよう努めていきたい、また、時代に即して障害者訓練についても効果的な訓練を検討していきたいと思っています。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 仁平さん、いかがですか。
○仁平章総合政策推進局長 ありがとうございました。
○今野浩一郎名誉教授 仁平さんの御意見は、法定雇用率が上がるから障害者に対する訓練ニーズが高まるのではないかと。それに対して厚生労働省の対応は大丈夫ですねという気持ちも入っていたのですが、その辺はどうですか、大丈夫ですか。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 事務局です。おっしゃるとおり、全体としてのニーズが高まるのですが、一方で訓練なしでも採用したいという傾向が最近は強かったのかなということもありますので、おっしゃるとおり離職者訓練の中でどう就職していただくためのスキルを身に付けるかということは大事です。今後は、就職した後、どうスキルアップするかということも課題だとは思っています。就職される障害者の方が増えていきますので、就職していただく取組、それから在職中も、どちらも課題だと思っていますので、その課題が大きくなっていくということは認識しています。今後の課題としたいと思います。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございます。今、おっしゃられたのは障害者の人をどんどん採用しているから、在職者訓練のニーズが増えてくるのですね。今、あっと思ったのですが。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 事務局です。そういうような御指摘が増えてきています。ただ、これまで在職者訓練というよりは、離職者訓練を中心に取り組んできましたので、どういうニーズがあるか等々も、今後、把握していくようにしたいと考えています。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 はい、ありがとうございました。それでは、その次は全産能連の森さん、どうぞ。
○森信介専務理事 ありがとうございます。森です。私ども全国産業人能力開発団体連合会では、毎年会員に対して公的職業訓練に関するアンケートを実施しています。本年は、新型コロナウイルス禍における公的職業訓練についても事業者の声を集めましたので、併せて報告をさせていただきます。
 16社の会員から回答がありました。公的職業訓練の課題として、3つ挙げられています。1点目は、訓練の充足率の向上。2点目は、就業者数の増加による就業率の向上。3点目は新型コロナウイルス禍での事業者への支援です。
 まず、1点目の訓練の充足率の向上ですが、認定定員に対する充足率が50%台にとどまっている要因の1つとして、ハローワークによる受講生募集に対する取組に格差があるのではということが指摘をされています。また、先ほど御説明いただいた資料の3-19においても、介護福祉、医療事務の中止率が上昇しているということが示されています。これに関する解決策としては、訓練実施者の参加型の職業訓練説明会の全国実施が必要ではないかと考えています。訓練実施者が、資格や仕事の詳細な説明を直接訓練生へ説明できる機会を設定することで、訓練の効果や仕事に対する理解促進が図られ、充足率の向上につながるのではないかと考えています。これについては、配布資料の6-6、全体の通し番号58ページの令和元年度地域訓練協議会第2回実施分で出された主な意見、行政機関等に記載されている三重の意見です。こちらについては、仕事がよく分かるように、魅力をうまく伝えられるように来年度ハローワークで取り組みたいという意見が書かれていますが、このような取組を是非、全国でも広げていただきたいと考えています。
 2つ目の課題として、就業者数の向上による就業率の向上についてです。この要因としては、退校者が一定数発生し、就業者数へ影響していると考えています。退校者の中には、職業訓練の受講中に給付される職業訓練受講手当、月10万円の受給自体が目的となるケースがあると認識しています。また、修了してもアルバイトやパートなどの非正規雇用となるケースがあるということもあります。解決策として考えているのは、職業訓練受給中に給付される職業訓練受講手当の一部を就職祝い金として、就業後に給付することはいかがかと考えています。また、パートなどの短期間雇用者が就業できる比較的初級クラスの職業訓練と、在職者訓練の連動によるキャリアアップの実施等も考えられます。また、働き方の多様化への対応として、正規雇用以外の働き方が多様化している中で従来基準を継続することは時代の変化に対応できなくなる懸念があります。そのような対応を、是非、考えていただきたいと思います。
 3点目の課題として、新型コロナウイルス禍での事業者への支援です。事業者は、売上の減少と経費の増加に直面しています。職業訓練を実施する事業者は、新型コロナウイルスの影響、受講制限に伴う売上の減少及び感染防止対策にかかる経費の増加などにより、売上減少、経費増加という状況に直面しています。委託料や奨励金の増加がない状況で、休校期間中の体制維持経費はありますが、訓練体制維持のための休校期間中の教室賃料及び非常勤スタッフの人件費が対象であり、新型コロナウイルス感染防止の対策によって生じた経費は対象外となっています。経済的、人的コストを事業者の負担とするならば、職業訓練事業のその後の縮小になる懸念があります。解決策として考えられるのは、感染拡大防止策を実施している事業者に対する委託費の見直し等です。
 そのほか、従来から私どもが要望として挙げさせていただいているものとして、申請手続の簡素化等があります。また、公的職業訓練サービスガイドライン適合事業所認定の加点内容の見直しについても、引き続き声を上げさせていただきます。現在、ガイドライン研修で取った加点と適合事業所認定で取った加点とが全く同じだということで、かかる労力、コスト等は適合事業所認定のほうが大きいという状況です。また、公的職業訓練サービスガイドライン適合事業所認定の行政担当者の認知がまだ低いということもありますので、このガイドラインの適合が広がらないということもありますので、このようなところについても御配慮いただきたいと考えています。発言は以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。平川さん、お願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 主に4点ほど頂いたかと思います。充足率のお話、就業率のお話、支援のお話、それからガイドラインのお話でした。2番のところは、職業安定局の担当になりますので、そちらから答えてもらおうかと思います。
 まず、1番目の充足率の向上のところですが、御指摘のとおり、求職者の方に訓練の魅力を伝えて関心を持っていただくという際に、実際に訓練をやっておられる実施機関の方から直接お話していただくというのは、大変有効であると考えています。御紹介がありましたが、実際にハローワークで民間教育訓練機関に参加していただいた説明会を開催しているところもあるということで、本省の通知としては、そういったものを積極的に開催するようにというものは既に出しているところですが、実際、こういったものがもっと全国に広がっていくように引き続き指示をしていきたいと考えています。
 3番目の事業者の方への支援ですが、こちらについては非常にコロナウイルスの関係でコストが掛かっているという実態があることは、お聞きはしているところです。ただ、一方で雇用調整助成金の関係もあり、財政状況が非常に厳しいという状況も一方であります。どういった支援ができるか、必要かといったところは引き続き状況を見ながら検討ということにさせていただければと思います。
 それから2番目の受講給付金のところは、職業安定局の担当になりますが、御発言、大丈夫でしょうか。
○安蒜職業安定局訓練受講者支援室長 御質問されました給付金の関係です。職業訓練の受講給付金の目的としては、訓練期間中の訓練受講者の生活を支援するために支給することになっています。ですので、給付金は月ごとに訓練の出席状況を確認して支給する仕組みにさせていただいています。訓練受講者が生活のことを気にせず、安心して訓練を受講していただくためには、訓練の開始後、できる限り早めに給付金を支給することが重要だと思っています。ですので、現行の制度はそのような考え方になっていますので、その点は御理解を頂きたいと思います。
 そして、御指摘を頂いた後払いにしたらいいのではないかというお話がある一方で、生活給付のお話ですので、前払いにしたらどうかという御意見も頂いています。ですので、それらを踏まえて、どういった形がいいのかこれから考えさせていただきたいと思います。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。森さん、よろしいですか。
○森信介専務理事 森です。結構です、どうもありがとうございました。
○今野浩一郎名誉教授 それでは、日商の杉崎さんから御質問が。
○杉崎友則産業政策第二部担当部長 資料2について、意見を申し上げます。在職者訓練のうち、8/72ページに記載の生産性向上人材育成支援センターについては、コロナ禍の以前から中小企業にとって生産性の向上は喫緊の課題ですので、幅広く周知し、より多くの企業が活用できるようにしていただきたいと思います。
 次に10/72ページに記載の障害者訓練については、先ほど仁平委員からも御指摘がありましたが、法定雇用率の引上げを控え、定着に向けたスキルアップを含めて、ニーズが高まっていくと思いますので、この点については、是非的確に対応していただきたいと思います。法定雇用率の引上げに関しては、多くの中小企業から不安を訴える声が聞かれていますので、訓練の面からもしっかりと対応していただきたいと思います。
11ページに記載の実践コースの重点については、デジタルスキルに関する講座や介護、医療をはじめ雇用吸収力のある産業にかかるスキルの講座に、より一層注力していただきたいと思います。
 最後になりますが、先ほどの失業なき労働移動はもとよりですが、労働生産性の向上などコロナ禍から経済がいち早く立ち直り、力強く成長していくために職業訓練が果たしていく役割は、ますます重要になっています。厳しい財政状況下では、費用対効果を十分に勘案していただきながら、今後も実効性のある事業運営に努めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。平川さん、どうですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 事務局です。3点ありました、1番目と3番目をお答えさせていただきます。
まず、生産性向上人材育成支援センターですが、現在87か所あります。こういったコロナの状況の中で、ますます中小企業、特に生産性向上に向けた支援が大事になってきていると考えています。こちらのほうを引き続き周知等を含めて推進していきたいと思っています。
 3番目の雇用吸収力の高い分野ということで、正に御指摘のとおりです。雇用吸収力の高いというところと、地域で人材ニーズが高い分野というものが、多分ニアイコールになっているのではないかと思いますので、引き続き地域の事業主の方のニーズや求職者の方のニーズ等を的確に把握して、適切な訓練コース設定に努めていきたいと考えています。
 それから、2番目の点についてです。
○津崎人材開発統括官付特別支援室長 2番目の点の障害者訓練の関係ですが、今後、そういった御指摘も踏まえながら調査研究を行う予定になっていますので、こういった実態のニーズ、その他必要なものを把握する中で、今後、的確に対応していきたいと思っています。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 全部、対応したかな。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 事務局からは以上です。
○今野浩一郎名誉教授 以上ですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 はい、事務局からは以上です。
○今野浩一郎名誉教授 杉崎さん、よろしいですか。
○杉崎友則産業政策第二部担当部長 はい、どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○今野浩一郎名誉教授 中央会の佐久間さん、どうぞ。
○佐久間一浩事務局長次長・労働政策部長(全国中小企業団体中央会) 佐久間です。いつもお世話になりまして、ありがとうございます。
 私も今、杉崎部長様が言われたところと、少しかぶってしまって申し訳ないのですが、資料2の8/72ページ目、生産性向上訓練の所です。今回、令和3年度に3万9,500人の目標を掲げていただいています。これは非常にこれは喜ばしいというか、重要なことだと思っています。JEED自体も本当に頑張っていただいて、目標に対して成果も十分でていると思います。しかし、JEEDの職員の方々に、あまり御負担が掛からないようにしてあげたいと思っております。また、訓練カリキュラムについて、ものづくりの関係だけではなく、ソフト的な科目にも充当できるように、是非お願いしたいと思います。
 それから、次の10ページ目にあります障害者の訓練の所が気になります。先ほども御指摘いただいたと思いますが、法定雇用率が2.3になり、いよいよ中小企業の一番多い人数というか、中央値にだんだん近付いてきていると思います。そこの中で、今回財源の重点的活用、これは先ほど経団連の池田本部長から御指摘いただきましたが、特にこの生産性向上、そして障害者訓練というものが、法定雇用率が上がってくることに伴って、よりこの要望等が、実際に受講される方も多くなるのは確実だと思います。令和2年度に比べて、少し予定人数が減っています。厚生労働省の事務局もしっかりやってくださるという御発言もありましたので、人数枠等に不足することがないよう留意して実施していただければと思います。
 あと1点、教えていただきたいのは、前に戻って申し訳ないのですが、資料№1の所で介護の職業訓練の中に給付金や免除措置などが記載されていますが、過去の実績として実際に皆さん方が2年間在籍をされて免除にちゃんとなっているのかどうか。あるいは、2年間在籍されないで、これは返還、返納される方が多いのかどうか、その辺が分かれば教えていただきたいのですが。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。それでは、平川さん、お願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 まず、1点目です。生産性向上の訓練ですが、こちら高齢・障害・求職者雇用支援機構でやっていただいていますが、非常にニーズが高い訓練です。実態としては、計画数を上回るぐらいの数をやらせていただいているところです。内容については、正に中小企業の生産性の向上ということですので、生産管理の方法や組織マネジメント、マーケティング等といったようなことで、全体の生産性を上げる横断的なものを、今やっているところです。これに加えまして、来年度からITの関係で、ITを使って生産性を上げようというコースも入れていくことにしたいと考えていますので、引き続きソフト面も含めて訓練を続けていきたいと考えています。
 それから、最後に御質問いただきました都道府県の貸付金ですが、こちらは来年度、新規で要求をしているものですので、今のところ実績はありません。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 平川さん、先ほどの佐久間さんの質問の中で、生産性向上訓練の対象分野で、ものづくりばかりだけではなくてソフト的な訓練をしてくださいとおっしゃられたのですが、ものづくり訓練は資料では8/72ページですが、ここにある在職者訓練というものがものづくり訓練に対応すると考えていいのですか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 ものづくり訓練の主なものは、離職者訓練と在職者訓練がございまして、求職者の方が施設内でものづくり訓練を受けていただく場合と、在職者につきましては、先生がおっしゃったとおり、8ページの在職者訓練の所になります。
○今野浩一郎名誉教授 そうですね、だから、主に生産性向上訓練というのは、佐久間さんの言葉で言えば、ソフト面の訓練だと思えばよろしいですね。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 はい。ただ、生産性向上訓練の中で、生産管理ですとか、品質保証ですとか、実際に手を動かすものづくりではないのですが、ものづくり分野の生産性向上訓練も行っておりますが、そのほかにマーケティングとか、営業や組織マネジメントもやっているということです。
○今野浩一郎名誉教授 はい、分かりました。あと、佐久間さんは、障害者訓練についてはちょっと心配されていて、もう既に発言されたので事務局からの回答はいいとおっしゃっていましたが、事務局は、もう一度頑張ると言ったらどうですか。
○篠崎人材開発統括官付人材開発政策担当参事官 事務局です。おっしゃるとおり、前同というよりは若干減ってはいるのですが、これまでの傾向からして、受講者の充足率というか、そういった問題もあったと思います。これは職業訓練ですので、当然受講者数、応募者数が増えてくれば、定員の在り方も見直さなければいけないですし、今冒頭に申し上げましたように、就職させる取組も、応募者がいれば、そのニーズに実態を合わせていく。それから、就職した後の在職者訓練も検討の課題であるということですので、このマイナスがこの取組の後退というつもりはありませんので、数は減っておりますが、しっかり取り組んでいきたいと考えております。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 はい、ありがとうございました。それでは、次の御質問は森さんからどうぞ。
○森信介専務理事 ありがとうございます。森でございます。東京都が今年度、令和2年度の補正予算にて実施している再就職促進オンライン委託訓練について御紹介させていただきます。私ども会員のほうで受託したコースに、医療事務コースをこのオンライン委託訓練で受託して1月に実施する予定ですけれども、この訓練内容は、総訓練時間は学科、実技、就職試験の合計時間。学科は主にオンライン訓練で実施するとして、学科及び実技は300時間以上、就職支援は12時間以上24時間以下と定められております。また、オンライン訓練時間は総訓練時間の80%以下と定めておりまして、通所による訓練時間は総訓練時間の20%以上、1か月当たりの訓練日は16日以上、かつ100時間以上と定められております。
 この課題としては、受講生がPCとかWeb環境を整備するということですので、今後PCとかタブレットの貸出し等の対応を検討していただければと考えております。このように東京都が補正予算で実施している取組につきましては、是非全国で事例の共有を図っていただいて、全国において、このオンラインによる委託訓練についても進んでいければと期待しているところです。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。ほかに御質問はいかがでしょうか。あるいは、今せっかく森さんから事例をお話いただいたので、その事例についての御質問でも結構ですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。たくさんの意見を頂き、ありがとうございます。事務局においては、今日いろいろな意見を頂きましたので、それを踏まえて、来年度の全国職業訓練実施計画の検討に進んでいただきたいと思います。
 それでは、議題の2番目を終わりましたので、事務局から、「その他」は何かありますか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 はい、「その他」につきましては、事務局からは特段ございません。
○今野浩一郎名誉教授 それでは、何でも結構ですので、全体を通して言い残したこととか、もう少し言いたいことがあったらお願いします。いつも対面でやっているときは、横に堀さんがいて、堀さんの顔を見ると堀さんが発言するのですが、堀さん、どうですか。
○堀有喜衣人材育成部門副統括研究員(独立行政法人労働政策研究・研修機構) 御指名ありがとうございます。労働政策研究・研修機構の堀でございます。聞こえておりますでしょうか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 聞こえております。
○今野浩一郎名誉教授 聞こえていますよ。
○堀有喜衣人材育成部門副統括研究員 ありがとうございます。今回ここしばらくなかった皆様の熱いコメントが続きまして、正に公共職業訓練の出番が来たということではないかと強く感じた次第であります。
 1つ事務局にお伺いしたいのですが、求職者支援訓練の予算も増額されるということで、これから力を入れていかれることだと思うのですが、求職者支援訓練の受講者が減ったということで、これまでに訓練実施機関がかなり撤退されていったわけですけれども、もう一度戻ってきていただくために、厚労省として何か取組をされるおつもりはありますでしょうか。教えてください。
○今野浩一郎名誉教授 どうぞ。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 事務局です。まず、今のところ目に見えることとしては、先ほど申しました新規の参入枠を拡大するといったようなところになりますけれども、その他諸々、今要件がいろいろかかっているところがございます。それにつきましては、精査をしていきまして、参入の妨げになっているようなものがあるのであれば、改正なりをしていきたいと考えている次第です。今事務的にいろいろ検討しているところでございます。
○堀有喜衣人材育成部門副統括研究員 期待しておりますので、頑張っていただきたいと思います。以上です。
○今野浩一郎名誉教授 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、本日の中央訓練協議会は終了させていただきます。次回の開催は来年の1月頃ということですので、また別途事務局から具体的な日程については連絡していただくことにいたします。
 今日は初めてのWebだったのですが、どうにか皆さんから活発な意見を頂いて、活発な議論ができたかなと思います。それでは、これで終わりにします。ありがとうございました。