令和2年12月2日 第195回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和2年12月2日(水) 15:00~18:00

場所

Web会議
東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス
 

出席者

委員 ※五十音順

議題

  1. 1.令和3年度介護報酬改定に向けて(運営基準に関する事項について)
  2. 2.その他

議事録

議事内容
○栗原企画官 それでは、定刻になりましたので、第195回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、これまで同様、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、ウェブ会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
 また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により、一般公開する形としております。
 本日の委員の出席状況ですが、安藤委員、大西委員より、御欠席の連絡をいただいております。
 また、岡島さおり委員に代わり、齋藤訓子参考人に、河本滋史委員に代わり、田河慶太参考人に、黒岩祐治委員に代わり、水町友治参考人に御出席いただいております。
 なお、水町参考人より、遅れて御出席されるとの御連絡をいただいております。
 以上により、本日は、20名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 議事に入る前に、お手元の資料の確認とウェブ会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 資料の確認を行います。
 本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
 議事次第と委員名簿がございます。
 資料1「運営基準の改正等の概要(案)」。
 資料2「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の改正等に関する事項について(案)」。
 参考資料がございます。
 資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
 次に、ウェブ会議における発言方法等について、確認させていただきます。
 御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。画面で田中分科会長に御確認をいただき、指名していただきますので、指名に基づき御発言をいただくようお願いいたします。
 挙手しているにもかかわらず、発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、ウェブ会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては、挙手にて意思表示をお願いいたします。
 なお、チャット機能等で記載いただいた内容については、ウェブの画面及び配信動画においても表示されますので、御承知おきください。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様には、ここで御退出いただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○栗原企画官 それでは、以降の進行は、田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 委員の皆さん、こんにちは。
 本日は「1.令和3年度介護報酬改定に向けて(運営基準に関する事項について)」の議論を行います。
 事務局においては、資料説明を簡潔に行ってください。
 また、各委員も毎回のことですが、論点に沿って発言を簡潔に行っていただくよう、協力をお願いいたします。
 早速、運営基準に関する事項について、事務局より説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 それでは、御説明をさせていただきます。
 本日、用意しております資料は、資料1が「運営基準の改正等の概要(案)」でございます。
 資料2が「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の改正等に関する事項について(案)」でございます。
 その後ろに参考資料ということで、本日の御提案内容に関する資料に関しまして、これまでの介護給付費分科会に御提出した資料から抜粋したものを、その中から選んで、参考資料としてつけているものでございます。
 それでは、資料2を用いまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 資料2の一つ目の○にございます。各サービスの提供に当たりまして、遵守を求める基準でございますけれども、この基準等につきましては、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律に基づきまして、地方公共団体の条例に委任をされているところでございます。このため、運営基準等を改正した場合には、条例の改正等を要する場合がございます。
 こうした背景に基づきまして、二つ目の○でございますが、地方公共団体の手続に要する期間を考慮いたしますと、可能な限り速やかに運営基準等を定める必要があると考えてございます。そのため、これまで御審議いただいた中で、運営基準等に関する事項の整理を進める必要がありますけれども、当分科会におけるこれまでの議論を踏まえ、以下の事項についてどのように考えるか、本日は御提案をさせていただくものでございます。
 また、こちらは給付のサービスについて、記載をさせていただいておりますけれども、介護予防についても、同様の措置を講ずるということに提案をさせていただいておりまして、その場合は重複を避けて、★を付記しているものでございます。
 その後、続けて各サービスについて、御説明させていただきたいと思います。
 「1.訪問系サービス」から始まっているところでございますが、全体の整理ということで、ページを進めさせていただきまして、大変恐縮でございますけれども、10ページの「9.全サービス共通」の部分から御説明をさせていただきたいと思います。
 後段でございますけれども、マル1、感染症対策の強化でございます。介護サービス事業者に感染症の発生及び蔓延等に関する取組の徹底を求める観点から、下のア、イのそれぞれ、施設系サービスについて、訪問系サービス、通所系サービス、短期入所系サービス、多機能系サービス等々でございますが、以下の取組を義務づけるものでございまして、その際、3年の経過措置期間を設けるものでございます。
 マル2、業務継続に向けた取組の強化でございまして、感染症や災害発生時でも、必要な介護サービスを継続的に提供する体制を構築する観点から、全ての介護サービス事業者に業務継続に向けた計画の策定等を義務づけることとするということでございまして、その際、同様に3年の経過措置期間を設けることでございます。
 11ページに進みます。マル3は、ハラスメント対策の強化ということでございます。こちらも全てのサービス事業者に、男女雇用機会均等法におけるハラスメント対策に関する事業者の責務を踏まえつつ、適切なハラスメント対策を求めるものでございます。
 マル4、会議や多職種連携におけるICTの活用でございまして、運営基準において実施が求められる各種会議等につきまして、感染防止や多職種連携の促進の観点から、下のポツが二つございますが、見直しを行うものでございます。
 一つ目のポツは、適切な取組のためのガイダンスや、あるいは安全管理に関するガイドラインを参考にすることです。
 二つ目のポツは、利用者等が参加して実施するものにつきましては、上記に加えて、利用者等の同意を得た上で、テレビ電話等を活用しての実施を認めると提案するものでございます。
 マル5、利用者への説明・同意等に係る見直しということでございます。利便性向上や業務負担軽減ということで、政府全体の方針も踏まえまして、利用者の説明・同意におきまして、書面で行うものにつきまして、電磁的記録による対応を原則認めてはどうかというものでございます。
 マル6は、記録の保存等に係る見直しでございまして、いわゆるローカルルールの解消と事業者の業務負担軽減、こういった観点から、諸記録の保存・交付等につきまして、電磁的な対応を原則認めることとし、その範囲を明確化するものでございます。
 11ページから12ページに進ませていただきまして、運営規程等の掲示に係る見直しでございます。12ページに進みます。運営規程等の重要事項について、掲示だけではなく、閲覧可能な形で、ファイル等で備え置くことを可能とするものです。
 マル8、高齢者虐待防止の推進ということでございまして、障害福祉サービスにおける対応も踏まえということで、全ての介護サービス事業所を対象に、こういったことを義務づけるというものでございます。その際、3年の経過措置を設けます。
 マル9、CHASE・VISIT情報の収集・活用とPDCAサイクルの推進ということでございますけれども、全てのサービスについて、データベースを活用した計画の作成や事業所単位のPDCAサイクルの推進、ケアの質の向上を推奨する。
 こういったことが全サービス共通としてお示ししているものでございます。
 大変恐縮でございます。1ページにお戻りいただきまして「1.訪問系サービス」から御説明を順にさせていただきたいと思います。
 1ページの真ん中より下でございます。「1.訪問系サービス」の(1)夜間対応型訪問介護でございます。
 マル1は、オペレーターの配置基準等の緩和でございます。地域の実情に応じてということで、既存の資源等を活用しながら、サービスの実施を可能とするという観点から、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と同様に、利用者の処遇に支障がない場合には、以下について可能とするということです。
 アがオペレーターに関するものでございます。iの併設施設等、その中にはサービスが並んでおりますけれども、その職員と兼務すること。
 iiでございますが、随時訪問を行う訪問介護員等と兼務すること。
 イは、他の訪問会議事業所、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所に事業を一部委託すること。
 ウは、1ページ目から2ページ目にかけてでございますけれども、複数の事業所間で集約化することを認めるものでございます。
 2ページに進ませていただきます。(2)居宅療養管理指導でございます。
 基本方針を踏まえた多職種連携の推進ということでございまして、薬剤師の居宅療養管理指導の算定要件とされている介護支援事業者等への情報提供について、明確化するものでございます。
 (3)訪問系サービス共通ということでございます。
 ここは、サービス付高齢者向け住宅等における適正なサービス提供の確保という観点で、事業所と同一の建物に居住する利用者に対しまして、サービス提供を行う場合には、当該建物に居住する利用者以外に対しても、サービス提供を行うよう努めることとするものでございます。この表現は、ほかのサービスにも出てまいります。
 2ページの真ん中より少し上のところでございますが、「2.通所系サービス」の(1)通所介護でございます。
 マル1、通所介護における地域等の連携の強化でございまして、その文章にございますように、地域住民との交流を促進する観点から、地密型の通所介護と同様に、地域住民やボランティア団体との連携及び協力等の地域との交流に努めなければならないこととするというものでございます。
 マル2は、先ほども申したものと同じでございますので、割愛させていただきます。
 (2)認知症対応型通所介護でございます。
 管理者の配置基準の緩和ということでございまして、事業者の管理上、支障がない場合には、本体施設・事業所の職務と併せて、共用型認知症対応型通所介護事業所の他の職務に従事することを可能とするものでございます。
 3ページに進ませていただきます。(3)通所リハビリテーションでございます。
 マル1は、先ほど説明したものと同じですので、割愛をさせていただきます。
 (4)通所系サービス共通ということでございます。
 マル1、災害への地域と連携した対応の強化ということでございます。災害への対応、地域との連携が不可欠であることを踏まえまして、非常災害対策が求められる介護サービス事業所を対象に、小規模多機能型居宅介護の例を参考に、訓練の実施に当たっては、地域住民の参加が得られるように、連携に努めなければならないことをすると規定するものでございます。
 マル2でございますけれども、認知症介護基礎研修の受講の義務づけでございます。2行目からですが、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させていくことでございまして、介護サービス事業者に直接介護に携わる職員のうち、一定の資格を有さない方に関しても、認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講ずることを義務づけ、その際、3年の経過措置を設けることとするものでございます。
 下の「3.短期入所系サービス」でございます。
 (1)短期入所生活介護のマル1でございますけれども、短期入所生活介護における看護職員の配置基準について、看護職員を配置しなかった場合であっても、利用者の状態像に応じて必要がある場合には、看護職員を病院、診療所、または訪問看護ステーション等との密接かつ適切な連携により確保することを求めるものでございます。
 4ページに進ませていただきます。(2)のマル1、災害への地域と連携した対応の強化は、先ほどと同じものでございますので、割愛をさせていただきます。
 マル2も先ほどと同じでございますので、割愛をさせていただきます。
 マル3、個室ユニット型施設の設備・勤務体制の見直しでございます。個室ユニット型施設につきまして、ケアの質を維持しつつ、人材確保や職員定着を目指し、ユニット系を推進する観点からということで、アとイの見直しを行うものでございます。
 アは、介護職員、看護職員の平均的な配置を勘案して、職員を配置するよう努めることを求めつつとございますが、1ユニットの定員は、15人を超えない範囲で緩和する。
 イは、ユニット型個室的多床室につきまして、感染症やプライバシーに配慮し、個室化を進める観点から、新たに設置することを禁止するものでございます。
 その続きでございます。「4.多機能系サービス」でございます。
 (1)小規模多機能型居宅介護でございます。
 マル1にございますけれども、令和2年の地方分権改革に関する提案募集における提案を踏まえということでございますけれども、これを従うべき基準から標準基準に見直すものでございます。
 5ページに進みまして、※がついてございますけれども、こちらは必要な法律上の措置を講じた上で、運営基準について、所要の改正を行うことを想定しております。
 マル2でございますけれども、小規模多機能型居宅介護の人員配置基準の見直しでございますが、入所者の処遇や事業所の管理上支障がない場合は、管理者・介護職員の兼務を可能とするものでございます。前提がございまして、介護老人福祉施設、または介護老人保健施設と併設する場合においてということでございます。
 次に進みまして、(2)でございます。多機能系サービス共通ということでございます。
 過疎地域等におけるサービス提供の確保ということでございます。地域の実情により、事業者の効率的運営が必要であると市町村が認めた場合ということでございますが、人員・設備基準を満たすことを条件として、登録定員を超過した場合の報酬減算を一定の期間に限り行わないこととすることを踏まえ、この場合には、登録定員及び利用定員を超えることを可能とするものでございます。
 ※がついてございます。こちらは最大3年間を基本とするということでございますけれども、市町村が将来のサービスの需要の見込みを踏まえ、代替サービスを新規整備するよりも、既存の事業所を活用したほうが効率的であると認めた場合には、次期計画の終期まで延長が可能としているものでございます。
 マル2でございますが、こちらは先ほどの認知症介護基礎研修の義務づけでございまして、同様の内容でございますので、割愛をさせていただきます。
 6ページに進ませていただきます。「5.福祉用具貸与・特定福祉用具販売」でございます。
 こちらもマル1でサービス付高齢者向け住宅等における適正なサービス提供の確保でございまして、この前の御説明と同じでございますので、割愛をさせていただきます。
 「6.居宅介護支援」でございます。
 マル1、質の高いケアマネジメントの推進ということでございまして、事業者に以下について、利用者に説明を行うことを新たに求めるということでございます。
 ポツが二つございます。前6か月間に作成したケアプランにおける訪問介護、通所介護等の各サービスの割合です。
 二つ目のポツですが、前6か月間に作成したケアプランにおける訪問介護、通所介護等のサービスごとの同一事業者によって提供されたものの割合でございます。
 マル2でございますけれども、生活援助の訪問回数の多い利用者等への対応でございます。区分支給限度基準額に対する利用割合が高いということで、かつ訪問介護が利用サービスの大部分を占める等のケアプランを作成するケアマネ事業所を、事業所単位で抽出するなどの点検・検証の仕組みを導入するものでございます。
 「7.居住系サービス」でございます。
 (1)が特定施設入居者生活介護・地密型の特定施設入居者生活介護です。
 マル1、災害への地域と連携した対応の強化は、先ほどと同様でございますので、割愛させていただきます。
 6ページの下に(2)といたしまして、認知症対応型共同生活介護でございますけれども、7ページに行きまして、マル1、地域の特性に応じた認知症グループホームの確保ということでございます。こちらはユニット数の弾力化、サテライト型事業所の基準を創設ということでございます。
 アがその弾力化の部分でございます。経営の安定性の観点からということで、ユニット数について、原則1、または原則2、地域の実情により事業所の効率的運営に必要と認める場合は3とされているところ、これを3以下と弾力化するものでございます。
 複数事業所で人材を有効活用しながら、より利用者に身近な地域でサービス提供が可能となるようにする観点から、サテライト型事業所の基準を創設する。同基準は、本体事務所との兼務等により、代表者、管理者を配置しないことや、介護支援専門員ではない認知症介護実践者研修を修了した者を計画作成担当として配置することができるようにするなど、サテライト型、小規模多機能型居宅介護の基準を参考に定めるものでございます。
 マル2でございます。認知症グループホームの夜勤職員体制の見直しでございます。1ユニットごとに夜勤1人以上の配置とされている認知症グループホームの夜間・深夜時間帯の職員体制につきまして、安全確保、職員の負担にも留意しつつ、人材の有効活用を図る観点から、3ユニットの場合であって、各ユニットが同一階に隣接しており、一体的な運用が可能な構造で、安全対策、マニュアル策定、訓練の実施を取っていることを要件に、夜勤2人以上の配置に緩和することを可能とする。
 マル3でございます。外部評価に係る運営推進会議の活用でございますけれども、1行目にありますように、現在、運営推進会議、外部評価の双方で第三者による評価が行われておりますが、業務効率化の観点から、既存の外部評価は維持した上で、小規模多機能型と同様に、自ら提供するサービスの質の自己評価を行い、これを市町村や地域包括支援センター等の公正・中立な立場にある第三者が出席する運営推進会議に報告し、評価を受けた上で公表する仕組みを制度的に位置づけ、当該運営推進会議と既存の外部評価による評価のいずれかから、第三者による外部評価を受けることとするものでございます。
 8ページに進みます。マル4でございます。計画作成担当者の配置基準の緩和でございまして、認知症グループホームにおきまして、人材の有効活用を図る観点ということでございますが、介護支援専門員である計画作成担当者の配置について、ユニットごとに1名以上という配置から、事業所ごとに1名以上の配置に緩和するものでございます。
 (3)居住系サービス共通ということでございますが、こちらは認知症介護基礎研修の受講の義務づけでございまして、先ほどと同様でございます。
 8ページの真ん中から下の「8.施設系サービス」に進ませていただきます。
 (1)地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護でございます。
 マル1は、人員配置基準の見直しでございます。2行目からということですが、職員の勤務シフトを組みやすくする等、働き方改革の取組を推進するとともに、職員の過剰な負担につながらないよう、十分に留意しつつ、以下の見直しを行うものでございまして、ア、イとございます。
 アは、連携できる場合、効果的な運営を期待できる場合とあって、処遇に支障がないときは、栄養士を置かないことを可能とします。
 イは、同様に生活相談員を置かないことを可能とするものでございます。
 9ページに進ませていただきます。(2)介護医療院でございます。
 マル1でございますが、有床診療所から介護医療院への移行促進ということでございます。現在ございます一般浴槽及び特別浴槽の配置を求める介護医療院の浴室の施設基準について、入所者への適切なサービスの提供の確保に留意しつつということでございますけれども、介護療養を有する診療所から介護医療院の移行を一層促進する観点で、有床診療所から移行して開設する場合には、一般浴槽以外の浴槽の設置は求めないこととする。子の取扱いは、当該事業所が施設の新設、増築、または全面的な改築の工事を行うまでの経過措置とするものでございます。
 (3)施設系サービス共通ということでございます。
 マル1、介護保険施設の人員配置基準の見直しであります。従来型とユニット型を併設する場合におきまして、入所者の処遇に支障がない場合には、介護・看護職員の兼務を可能とするものでございます。
 マル2は、認知症介護基礎研修の義務づけでございますので、割愛をさせていただきます。
 マル3、口腔衛生管理の強化ということでございまして、管理体制を整備し、入所者ごとの状態に応じた口腔衛生管理を行うことを求めるものでございまして、その際、3年の経過措置期間を設ける。
 マル4は、栄養マネジメントの充実でございます。栄養ケア・マネジメントを基本サービスとして行うこととし、現行の栄養士に加えて、管理栄養士の配置を位置づけるとともに、入所者ごとの栄養管理を計画的に行うことを求める。その際、3年の経過措置の期間を設けることとするものでございます。
 10ページに進ませていただきます。マル5、個室ユニット型施設の設備・勤務体制の見直しでございますが、こちらは4ページの短期入所で御説明したことと同じでございますので、説明を割愛させていただきます。
 マル6でございます。介護保険施設におけるリスクマネジメントの強化ということでございまして、介護保険施設における施設系サービスの事業者を対象に、事故発生の防止のための安全対策の担当者を定め、発生した場合には、組織的に対応可能な体制を構築しておくことを義務づける。その際、6月の経過措置期間を設けることとするものでございます。
 残りは、冒頭に御説明した「9.全サービス共通」でございます。
 また、それぞれの内容につきまして、参考資料に過去の分科会資料からのスライドを抜粋してございます。
 事務局の説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 ただいま説明を伺った事項について、御意見、御質問がおありの方はお願いいたします。鎌田委員、伊藤委員の順で行きます。
○鎌田委員 ありがとうございます。
 資料2の6ページの居宅介護支援についてですけれども、生活援助の訪問回数の多い利用者などへの対応のところで質問ですが、区分支給限度額の利用割合が高く、かつ訪問介護が利用サービスの大部分を占めるなどのケアプランを点検、検証する仕組みを導入するとありますが、ケアマネジメントの基準の見直しで、今度は生活援助だけでなく、訪問介護全体をターゲットにして、在宅サービスの抑制を図るつもりなのか、御説明をお願いいたします。
 意見ですけれども、前回のケアマネジメントの見直しで、生活援助の利用回数が一方的に制限され、苦境に陥る人もいる中、また、新型コロナウイルスの影響により、利用控えをする利用者もいる中で、実態調査もなく、さらにホームヘルプサービス全体を抑制しようとする意図が明白な見直しは、受け入れることができません。在宅で介護が必要とする独り暮らしや老老世帯、介護する家族を介護離職や高齢者虐待に追い詰めるような見直しに反対をいたします。
 次に人員配置基準の緩和についてです。質問ですけれども、夜間のホームヘルプサービス、認知症デイサービス、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護、認知症グループホーム、施設系サービスにおいて、人員配置基準の緩和が多く提案されていますが、利用者の処遇に支障がない場合という条件がついているものが多くありますが、利用者の処遇に支障がないというのは、具体的にどういう内容かお教えください。
 質問2です。財政制度等の審議会が2021年度の予算編成に関する建議で、介護報酬をプラス改定し、国民負担増を行うべき事情は見いだせないとしています。今回の多様な人員基準の緩和案は、介護報酬を引き上げない代わりに、介護スタッフを減らし、実質的には引上げだとするつもりなのでしょうか。
 次に意見です。人員配置基準、利用定員の緩和についてですけれども、2005年2月に石川県で起きたグループホームの介護職員による利用者への虐待事件は、厚労省の中では風化しているのでしょうか。この事件は、石川県かほく市のグループホームで、20代の夜勤専門パート職員が84歳の入居者を殺害する事件で、懲役12年の判決が出ております。介護現場からは、深刻な現状とともに、職員一人の問題ではないということが出ておりました。
 介護家族は家族であり、その人をよく知っていて、1人しか介護していなくても、夜中に同じことを何度も繰り返し言ったり、外に出ていこうとするときに、お茶を勧めたり、ほかの話をしたりしても、どんどんエスカレートし、興奮が収まらず、どうにもならないことがあります。それが要介護1、要介護2の足腰がしっかりしている認知症の人が多くいるグループホームは、1人ならまだしも、複数で不安になられた場合には、専門的な認知症ケアの学習がまだされていない職員には、より困難な場面で追い詰められていくことの、想像は容易です。
 認知症介護基礎研修の義務づけを規定しなくてはならないぐらい、介護現場の職員は、認知症介護研修を受講していない職員が多く働いていて、対応に不安を抱えながら存在しているからこそ、このような義務づけがされているのではないでしょうか。矛盾はしていませんでしょうか。
 今後3年間は要件を示し、実態の検証をしていくとのことですが、私たち家族は、在宅介護が限界となっても、このような状態では不安と心配で、グループホームや特養の入所を躊躇します。
 また、2005年の石川県のような不幸な事件で、介護現場に希望を抱き入職しようとしていた人が断念することを懸念します。今回示された夜間の人員配置基準の緩和、また、定員基準の緩和には、断固反対します。
 意見です。登録定員及び利用定員の基準についてですけれども、施設系サービスで、1ユニットの定員を10人から15人に増やすことが提案されています。また、小規模多機能型居宅介護の定員も標準基準に弾力化するとしています。人員配置基準の緩和と定員基準の緩和をセットで見ると、利用者を増やし、介護職員を減らすという見直しになります。これでは、介護現場はさらに苦しくなるのではないでしょうか。また、サービスの質の向上が語られていますが、利用者は多忙な介護労働者にこれまで以上に遠慮したり、我慢しなければならなくなるのではないかとの懸念が尽きません。
 全サービス共通事項として、感染症対策の強化やハラスメント対策の強化、高齢者虐待防止の推進のため、計画などの策定、研修や訓練の実施を求められ、サービスを提供する事業所は、これまで以上に多忙になりそうです。人員を減らし、利用者を増やせば、介護事故のほかに介護職員のストレスによる高齢者虐待度が増えるのではないかと家族は心配をいたします。
 最後ですけれども、認知症介護基礎研修の受講の義務づけですが、改正案では、通所系サービス、短期入所系サービス、福祉用具、居住系、施設系の資格を持たない介護労働者にeラーニングで義務づけることが考えられています。前回の資料では、認知症の介護基礎研修は6時間とありました。パソコンやスマートフォンで6時間の研修を受けるのでしょうか。介護現場で認知症の人と直接向き合う皆さんに、認知症についての基礎的知識や留意点を学んでいただくのは必須だと思いますが、ケアは個別性も非常に高いものです。人員配置基準の緩和、定員基準の緩和の中で義務づけられた研修を受けるだけで大丈夫なのかと不安に思います。
 認知症介護基礎研修の内容については、公開するとともに、多くの関係者の意見を取り入れながら、より良い講習となるようにしていただくことを望みます。短い研修であっても、介護労働者の皆さんが認知症について理解し、利用者や介護者にも安心できるような効果のある内容にしていただくことを希望いたします。
 以上です。
○田中分科会長 御懸念や御意見を頂戴しました。
 質問の部分にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 まず財政審の御質問に関しまして、全体の話だと思いますので、私から御説明をさせていただきます。財政審の建議がなされたことは承知をしてございます。介護報酬に関しまして、その改定率は、予算編成過程の中で政府全体として決定されていくべきものと考えてございます。
 今回、提案しております、例えば人員配置基準の緩和とか、あるいは定員の増ということですけれども、これも別の文脈で提案をしてございます。何かと申しますと、働き方改革の推進とか、生産性の向上、人手が減る中での生産性の向上ということを私どもは求めていくべきだろうと思いまして、そういった文脈から御議論いただいたものの中で、これで運営基準に提案できるものだろうということを、今、御提案させていただいていると承知をしております。
○田中分科会長 推進課長、お願いします。
○笹子認知症施策・地域介護推進課長 推進課長でございます。
 生活援助の訪問回数が多い利用者等への対応について、御質問がございました。
 まず生活援助の訪問回数が多い利用者等への対応につきましても、これはサービスの利用制限ではないということは、しっかりと様々な文書等に明記させていただいておりまして、あくまでもピックアップする基準として、回数を設定しているということでございますけれども、いずれにしても、その内容を地域ケア会議などできちんとチェックしていただくという現存の仕組みでございますが、こちらにつきましては、実施の状況、あるいは効果、そういったことを踏まえまして、ケアマネジャーや市町村の事務負担などを考慮して、今後は検証の仕方、さらには届出の頻度について、まずは運用面を見直すことは既に御説明させていただいているところでございます。
 その上で、今回、6ページ目で新たに御提案しているものにつきましては、財政審議会の分科会において、様々な指摘がされているということでございますが、私ども厚生労働省としては、訪問介護全体にこれを広げることは適当ではないと考えております。しかも、それがサービスの利用制限につながるといったことも、全く考えているところではございません。
 したがいまして、訪問介護の中で区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつそのケアプランの中で、訪問介護が利用サービスの大部分を占めるものについて、ピックアップをさせていただいて、それについて、地域ケア会議のみならず、様々な会議において、チェックをしていただくという仕組みを御提案していることでございますので、先生の御指摘のようなことを意図しているものではございません。
 続きまして、各種人員配置につきまして、支障がない場合はどういうものなのかという御質問でございました。既に介護保険制度においては、利用者等の支障がない場合といった要件が規定されているものもあるわけでございますけれども、幾つかの自治体に確認いたしましたところ、例えば指定の際に確認するであるとか、監査の実施上において、業務がきちんとなされているかどうか、利用者に何らかの支障がないかということを確認しながら、問題がある場合には見直しを求めるといった取扱いがなされているとのことでございます。個々の事例に応じて支障の是非も異なると思いますので、具体的に申し上げることはできませんが、ご紹介した対応がなされているということでございます。
 グループホームについて、石川県の事件についての御指摘がございました。当然こういったことがあってはならないということでございます。今回、御提案しているのは、3ユニットの場合であって、各ユニットが同一階に隣接していて、一体的な運用が可能な構造、さらに安全対策を取っているという、二重にも、三重にも配慮した上で、しかも、その事業所においては、夜勤が1人にはならない、2人以上の配置が可能になることを御提案しているものでございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 どうぞ。
○鎌田委員 いろいろありますけれども、御丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。
○田中分科会長 次に伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 伊藤です。
 今日は運営基準の改正案の議論ということなので、報酬そのもののことではないですけれども、資料1の横断的分野のスライド2、スライド3にあります「介護人材の確保・介護現場の革新」から今回も意見を申し上げたいと思います。
 2019年のときの介護報酬改定のこの場で決めた審議報告では、現下の厳しい介護人材の不足、依然として小さくない他産業との賃金の中、介護離職ゼロ等に向けて、介護職員の確保、定着につなげていくために、今後も確実な処遇改善を担保するためには、介護職員のさらなる処遇改善を行うことが適当だという意見を取りまとめたわけです。
 今回の議論をしてきた中で、厚労省からさらなる処遇改善の提案が出てきていません。そのような中で、運営基準の見直し案が出てきたわけですが、1ユニット定員の拡大とか、グループホームの夜勤職員の配置基準の緩和とか、専門職配置の廃止とか、職務の兼務の拡大とか、自治体による利用定員に関する裁量の拡大とか、職員の配置を減らす内容ばかりです。また、今日の提案の中には入っていませんけれども、新技術の導入による業務の効率化の部分を人員配置基準や加算の人員要件の緩和に充てるという案も前回示されました。
 政府が考えている介護人材の確保の意味が変わってきたのかということを聞きたいと思います。これまでこの分科会や介護保険部会では、介護分野の離職防止とか、新たな人材の参入を介護分野に進めていくことの重要性が議論されてきたと思います。
 しかし、今回は、職員をさらに疲弊させていくような内容ばかりで、これで人材確保という意味が分かりません。私からも資料を出しましたけれども、コロナ禍で介護人材確保は一層厳しくなっているのに、処遇改善も行わずに、さらに疲弊させるような内容で、総理が言う介護人材の確保とか、政府が言っている介護離職ゼロという意味が変わってきているのではないか。人員配置基準を減らして、事業所が事業を継続できるようにするという意味に変わったのかということを説明していただきたいと思います。
 この後は個別のことで、資料2に即して意見を申し上げたいと思います。質問もあります。4ページの「3.短期入所系サービス」と「8.施設系サービス」に共通する、ユニット定員を15人以下に緩和するという話です。こちらについては、これまでもお話ししていますけれども、職員の負担増とユニットケアの変質という両面で課題が大きいと思っています。
 職員の負担については、「ユニット型指定介護老人福祉施設等における介護・看護職員の平均的な配置を勘案して、職員を配置するよう努めることを求めつつ」ということが書かれていますけれども、これで担保になると思えません。この点は、現場の職員から大変不安が大きい問題ですし、利用者にとっては、処遇の低下につながりかねない問題です。実効性をどうやって持たせるつもりなのかということを改めて教えてください。
 7ページの「7.居住系サービス」の(2)のマル2、グループホームの夜勤の職員体制の見直しのところです。今回、提案されているものを見ると、「一体的な運営が可能な構造」という書き方がされております。一体的ということとグループホームがどうしてつながるのかがよく理解できておりません。ユニット単位を超えて、一体的に運営することを日常的に行うようなことを許容したら、もはやユニットケアではないと思いますので、どういう意味なのでしょうか。
 9ページの「8.施設系サービス」の(3)のマル1にあります、介護保険施設の人員配置基準の見直しです。こちらについて、前回の資料では、「職員の過度な負担につながらないよう配慮しつつ」ということなど、一定の職員の兼務を認めるに当たっての留意点が書いてあって、休憩時間や休暇の確保などが示されており、私から実効性がないのではないかと申し上げた点です。何も記載がなくなっているのですけれども、こういう職員の負担は一顧だにしないでいいという判断に至ったということなのか、その辺にどういう経過があったのか、教えていただきたい。
 4ページの「4.多機能系サービス」のマル1の小多機の定員を従うべきから標準基準にする点ですけれども、人権に関わる基準はどの地域でも最低基準が必要だということは、これまでも述べているとおりですし、先ほど説明していただいた中でも、記録の保存でローカルルールの解消と言いながら、地域の緩和、弾力的と言っていることが矛盾をはらんでいますので、この点どういうように説明をされるのか、改めて全体を俯瞰した見方をして検証する必要があると思っています。
 6ページの居宅介護のところですが、マル1で利用者への説明とあります。あくまでもこれはケアマネ事業所におけるケアプランのばらつきを抑える効果を期待しての一つの案だとは思うのですけれども、ケアプランを提案するために前6か月のデータを示して説明する際の労力を考える必要がありますし、前に言ったように、希望しないサービスの利用をむしろ説得する材料になるような機能を持たないようにしないといけないことも考える必要があります。その点、このやり方がやや適切だと思えないところがございます。
 参考資料の63ページにありますケアプランの検証の仕方の見直し案のところの中に、行政職員やリハ職等の専門職を派遣する形で行うサービス担当者会議等を想定とありますけれども、大人数で集まっても議論が活性化するとは限らないので、必要に応じて出席者を求めるという運用で、関係者の負担が増えないように配慮すべきだと思います。
 以上、質問について、お答えいただきたいと思います。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 老人保健課長、お願いします。
○眞鍋老人保健課長 まずは冒頭の人材確保、処遇改善、介護職員の人材確保等に関するスタンス、意味が変わってきたのかという御質問でございました。ここは私ども、本来は福祉人材の確保全般で申し上げれば、社会局の御担当からも御説明させていただくべきだと思いますが、私の今の立場で申し上げるとすると、特定処遇改善加算を導入したときの審議報告を一緒にまとめていただきまして、ありがとうございますと申し上げたいのですが、その頃からの現下の人手不足、人材確保の困難性に鑑み、人材確保をしやすいように、そして、定着をしやすいようにということで、人材確保はあらゆる手段を使って行っていこうというスタンスには変わりがないところでございます。それに関しましては、私どもは変わりがないことをまず御説明させていただきます。
 介護人材の確保、介護現場の革新という文脈で、今回も柱としては大きく出させていただいておりまして、今日は運営基準の内容が主でございますので、緩和のところが主で出てきておりますけれども、例えば特定処遇改善加算につきましても、まだ6割5分の算定割合でありますので、残りの算定を推し進めることによりまして、全体の処遇を改善していくとか、職場環境等の要件を実効性のあるものに見直していく等のそういった努力は、引き続きさせていただきたいと思っているところでございます。
 総論としては、私からは以上でございます。
○田中分科会長 高齢者支援課長、お願いします。
○齋藤高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。
 15名ユニットのところで御質問がございました。我々としては、10名ユニットの場合よりも、15名ユニットのほうが一つのユニットに当たる職員が多くなることによって、シフトが組みやすくなるという働き方改革の観点から御提案したものではございますけれども、職員の過度な負担になるのではないか、ケアの質の低下につながるのではないかという様々な御意見をいただきました。
 そういったことを配慮いたしまして、今般、先ほどお話にありましたとおり、新規に10名を超えるユニットを整備する場合にあっては、これまでの平均的な配置を勘案して、職員を配置する努力義務を課すことにさせていただきました。
 この実効性の担保の点でございます。もし平均的な配置に満たないという人員配置を行う場合には、十分な努力が行われたのか、今後どのような努力を行うのかということについて、施設側に説明責任が生じるものと考えております。
 このため、施設が現行の入居定員を超えるユニットについて、都道府県に届出を提出する際には、届出施設が平均的な配置に満たない場合には、都道府県において、これらの点をきちんと聴取して、十分に努力を行っているかどうか、そういうことが認められない場合には、適切に指導するようにということで、国から都道府県に対して通知をする予定でございます。
 また、こうした指導が適切に行われますように、国としてもマニュアルなどを作成いたしまして、適切な施行に努めていくことを考えております。
 国として、都道府県に通じて、10名を超えるユニットの整備、運営の状況を定期的に把握いたしまして、適切な運営とか、指導などが行われているかということを検証いたしまして、必要に応じて、制度の見直し等を行ってまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、今般の努力義務を規定すること自体は、入所者のケアの質が低下しないでありますとか、職員の過度な負担につながらないというためのものでありまして、十分に実効性が保てるように、様々な工夫をしてまいりたいと思っております。
 また、9ページの(3)のマル1のところで、入所者の処遇に支障がない場合と書いてあるのですが、前回御説明したときの留意点の話はどうなっているのかというところでございますが、我々といたしましては、前回御説明をさせていただきました兼務のときの留意点として、労働関係法令に基づき、職員の休憩時間などが適切に確保されているというようなことでありますとか、処遇の低下につながらないことは、きちんと留意点として明示させていただきまして、指定のときとか、あるいは監査のときに、そういったところをきちんと見てもらうように促してまいりたいと思っております。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 推進課長、お願いします。
○笹子認知症施策・地域介護推進課長 推進課長でございます。
 7ページ目の認知症グループホームの職員体制の見直しに関して、一体的な運用という部分についての御質問がございました。こちらについては、先ほど鎌田委員にもお答えしたとおり、利用者の安全などが侵されることがあってはならないと私も強く思っておりまして、その上で、今回御提案しているのは、各ユニットが同一階に隣接していて、例えばほかのユニットの起こっているようなことが全く聞こえないであるとか、そういったことがあってはならないですし、さらに何かあったときには、すぐに駆けつけられる、そういった構造を想定しておりまして、そうした構造を一体的な運用が可能という表現ぶりにさせていただいております。いずれにしても、安全性をきちんと担保する観点から、どのような構造、要件の詳細がさらに必要なのかということについては、先生方にもよく御相談しながら、決めていきたいと考えております。
 小規模多機能の4ページ目でございますけれども、利用定員、登録定員に係る従うべき基準からの標準基準に変更することに関しての俯瞰的な説明という御指摘でございました。私どもとしては、ローカルルールの中でも、例えば文書負担などの軽減、そういったものについては、しっかりと進めながら、さらに地域の実情に応じて、適切なサービスが提供されるという観点から見直しをしているということでございます。
 先ほど冒頭に老人保健課長から御説明したとおり、1ページ目の上にあります地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律がございます。こちらにおいては、利用定員に関する基準は標準が原則だけれども、例外もあるといった建てつけになってございまして、例えばほかのショートであるとか、認知症のグループホームであるとか、こういったものの利用定員は、既に標準になってございますし、さらに看護小規模多機能型についても標準基準になっているということでございます。
 いずれにいたしましても、地方からのご要望は参酌基準にしてほしいということでございました。参酌基準というのは、国の基準を参酌するという行為を行ったかどうかについてのみ、説明責任があるもので、こうした類型にしてほしいということでございましたけれども、私どもとしては、それはさすがにということを考えまして、標準基準は標準と異なる内容について、合理的な理由がない場合には違法といった基準でございますので、標準基準に見直してはどうかということで、バランスを取りながら進めてまいりたいと考えているところでございます。
 さらにケアマネは、6ページ目の「6.居宅介護支援」のマル1の質の高いケアマネジメントの推進の観点から、利用者に説明を行うことを新たに求めることについて、事業所の労力・負担の観点や利用者に希望しないようなサービスを説明されてしまうのではないかといった御指摘でございました。
 事業所の負担につきましては、ここで御提案しているのは、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、福祉用具貸与の提供回数ということでございます。これらのサービスが前6月間に作成した居宅サービス計画に位置づけられた場合、同一事業者によって提供されたものの割合が80%以上になると減算がかかるという特定事業所集中減算という仕組みが既にございます。したがいまして、事業者におきましては、こういったデータというのは、システム上で基本的には取れると考えておりますけれども、一部改修等が必要かもしれません。負担などについては、十分に配慮しながら進めたいと考えております。
 さらに利用者が希望しないようなサービスを説明されてしまうのではないかという御指摘については、先ほど御説明した特定事業所集中減算を80%以上ということでございますけれども、こういったファクトも併せて説明していただくなど、公正・中立という観点から、利用者が理解しやすいような工夫はしてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○田中分科会長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 御説明ありがとうございました。
 一つ目の人材確保のところですけれども、最初に鎌田委員からの質問に対する老人保健課長の説明の中で、働き方改革という文脈での説明もございましたが、働き方改革で人員配置を減らすような考え方は、働いている人に対して、あまりにも理解がなさ過ぎると思います。
 結果的に業務の効率化などが起きたときに、柔軟な働き方ができるということで、働き方改革が成立する、そのための労働法上の様々な基準、ルールを変えるというのが、働き方改革関連法だったと思いますので、今回の人員配置を変えるということで、強引にもっと働けというようなことをするというのを働き方改革の文脈で説明するのは、非常に恐ろしいと思います。仕事に見合っていない賃金が現場の職員の最大の課題認識であることを忘れないで、引き続き報酬の検討をお願いしたいと思います。
 あと、15人のユニットの話ですけれども、こちらは努力義務規定が都道府県の指導まで行き渡る仕組みがどうやってつくられるのか、いまいちわかりませんけれども、今、申し上げたような働く者と利用者との双方の不安が解消されるような形に、都道府県の指定と指導監査で担保されるような仕組みにしていかないと、意味がないものになってしまうと思います。
 グループホームの夜勤体制ですけれども、一体的運用の意味合いは安全性のためという御説明だったと思います。ケアそのものが一体的な運用ということになっては、ユニットケアの意味がない、変わってしまうと思いますので、その辺は限定的に、丁寧に説明されないと、間違った方向に行ってしまうと思いますし、依然として夜勤体制が今回の提案で大丈夫なのかというところは、まだまだ不安がありますので、慎重に検討していただきたいと思います。
 最後、介護保険施設の人員配置のところですけれども、留意点は示すつもりだというお話だったと思います。そうなると、実効性ということは依然として大きな課題だと思います。休憩時間とか、有給休暇の確保というのは、労基法で規定されていて、罰則があるわけです。法令順守は当然のことなので、兼務する者の長時間労働とか、過重労働が懸念される中で、こうした留意点というものだけで実効性があるのかは非常に疑問です。客観的な方法による労働時間の状況の把握義務が課されることになりました。改めて雇用管理の内容の徹底を図らないといけませんし、事業者に対して休憩時間の記録を行うこともしないと、この留意点なるものが実効性をもつとは到底思えないところです。
 先ほど言い忘れたのですけれども、ユニット型と従来型の職員兼務についても、ユニットケアの変質を招くものになりますので、純粋なユニット型との間でサービスの質の違いが出てくることも考えなくてはいけません。報酬の在り方や利用者の選択に資する情報提供の在り方を含めて、検討する必要があると思います。
 以上です。
○田中分科会長 御懸念の点、伝わったと思います。
 武久委員、お願いします。
○武久委員 伊藤委員の御発言に関連してお話をしたいと思います。事業者としての立場といいますか、グループホームや老健、特養を50近く運営しているものの立場として、その比較が十分にできます。例えば老健でいいますと、100ベッドのところにグループホームの同じような割合で夜勤をつけますと、11名の夜勤ということになります。特養のユニット型は、2ユニットで1人の当直ということになっております。
 グループホームは、9名に対して、1名の夜勤者になっておりますが、グループホームを運営している立場として、少し不安定な人もいますけれども、現状としては、慣れてくると非常に環境がよく、9名のうちのほとんどの方が安定した生活をされております。これは現場での話でございます。
 ただし、老健や特養でも当然入所してきた認知症の方でひどい人はいっぱいいます。そういうことからいいますと、小規模なところほど夜勤者なり、従業員が多くいるのは事実でございます。そうだけれども、比較した場合のバランスを考えていくと、今回のような老健課の提案は、私は適切ではないかと思っておりますし、現場としては支障がないと思っております。
 以上でございます。
○田中分科会長 現場の管理の経験からの御発言でした。
 小泉委員、今井委員の順でお願いします。
○小泉委員 ありがとうございます。
 今回の改定におきましては、ユニットや専従要件の緩和等に関する運営基準の変更、見直しをいただき、運営の合理化を図っていただいていることに対して、感謝を申し上げます。
 特養におきましては、今回の職務状況等調査におきましても、給与等を引き上げたと回答したのが、全サービスの66.1%に対して、特養は80.6%、職員全員に対して、給与等を引き上げたと回答した割合も、全サービスが46.2%の一方で、特養は63.4%と、業界の先陣を切っているものと自負しております。今回の要件緩和に引き続き就労環境や賃金改善に向けた取組を進めてまいりたいと思いますので、お示しの方向性で進めていただきたいと考えます。
 また、今回は、感染症の対応、非常災害対策、ハラスメント対策、事故発生の防止、高齢者虐待の防止の推進、認知症介護基礎研修等、新たな要件が加えられています。現場の負担を増やすというのは、それだけのコストも増えますので、コストに対し、報酬上も適切に反映いただきたいと思います。
 あわせて、小規模な事業所など、これらの取組の推進が困難な場合については、3年の経過措置と一般会計予算における支援策が必要だと考えます。介護サービスの質の評価と科学的介護の取組の推進におきまして、全てのサービスについて、CHASE・VISITを活用した計画の作成や事業所単位でのPDCAサイクルの推進、ケアの質の向上を推奨する推進につきましては、説明会、研修会の実施等、厚生労働省でも予算事業等を通じて、CHASEの推進に関する支援をお願いしたいと考えます。
 通所介護について、事業の運営に当たり、地域住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流につきましては、通常業務で余力もない場合やそもそも地域住民の協力を得ることが難しい地域もあり得ますので、そうした事業所が指導を受けるなど、無理のない運用となるよう、御配慮いただきたいと考えます。
 施設系サービスにおきまして、口腔衛生管理体制を見直し、口腔衛生管理を実施することにおきましては、体制整備に係る猶予措置及び要件の緩和が必要だと考えます。算定実績は6割未満でございますので、現在まで取組ができなかった事業所に対する配慮が必要だと考えます。
 管理栄養士の配置におきましても、同様に現在まで取組ができなかった事業所に対する配慮が必要だと考えます。
 これら口腔衛生管理体制加算、栄養マネジメント加算につきましては、もともと単位数が把握できる形で本体報酬への組入れをお願いできればと思います。くれぐれも減算にならないように、配慮をお願いいたします。
 介護保険施設におけるリスクマネジメントの強化につきましては、報告時の基準や要領の整備により、全国で画一化された運用が望まれます。様式の等式はもとより、どの程度の事故で報告が必要か等についても、整備をいただければと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 今井委員、お願いします。
○今井委員 民間介護事業推進委員会の今井でございます。
 資料1の運営基準の改正等の概要(案)は、今後の都道府県等の指導監査等の運用場面にも影響する話ですので、4点ほど、要望、意見を申し上げたいと思います。
 1点目でございます。2の地域包括ケアシステムの推進のマル3の短期入所系・施設系サービスの個室ユニット型施設の定員緩和についてですけれども、ユニット型個室的多床室の新たな設置の禁止は評価できるものと考えています。
 1ユニットの定員緩和措置については、これまで小規模単位での介護を追求するため、個室ユニット型を推進してきた経緯を踏まえて、資料2に記載されているように、ケアの質を維持しつつ、人材確保や職員定着を目指し、ユニットケアを推進するという点については、1ユニット15人、これは先ほど御回答がありましたけれども、やはり大規模処遇につながるおそれがあるので、そうならないように十分配慮いただきたいと思います。
 2点目でございます。マル4のケアマネジメントの質の向上と公正中立性の確保ですけれども、趣旨について異論はございません。
 居宅介護支援事業者の業務実態及び介護人材の確保・介護現場の革新の業務負担軽減の推進に照らして、全6か月間に作成したケアプランのサービスの利用割合や同一事業者の割合の算定等については、新たな業務負担の増加とならないように配慮いただきたいと思います。
 また、情報公表制度を活用して見える化するということですけれども、情報公表制度の都道府県への報告は1年に1回でございますので、これらの取扱いについても新たな負担とならないように、情報公表制度の運用は都道府県によって異なる部分もあると認識しております。新たなローカルルールの発生につながらないよう、十分配慮をいただきたいと思います。
 3点目は、4の介護人材の確保・介護現場の革新のマル1の介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取組の推進についてですが、今回の改定の内容をもってしても、人材の確保は本当に厳しい状況です。以前から申し上げてきましたけれども、これまでも訪問介護をはじめとした訪問系のサービスの人材確保については、極めて厳しい状況にありますことから、今回の運営基準の改正も含めて、今後の報酬改定に向けましても、この窮状を真摯に受け止めていただくとともに、今後においてもさらなる対応策の検討をお願いしたいと思います。
 最後に4点目でございますけれども、マル2のテクノロジーの活用、マル3の業務効率化・業務負担軽減についてです。ICTの技術等のあらゆる方法を用いて効率化を図っていくという方向性は賛同いたします。しかしながら、こうした対応を行う場合、効率化の視点だけではなく、利用者の安全・安心についても十分に検討していただきたいのと、新たに発生する事務負担やコストについても、介護現場の状況や意見を十分に踏まえていただきたいと思います。
 以上4点でございます。
○田中分科会長 御意見ありがとうございました。
 水町参考人、小玉委員、浜谷委員の順でお願いします。
○水町参考人 ありがとうございます。
 資料2に沿って意見を述べます。
 2ページ、1の訪問系サービスの(3)のマル1、サービス付き高齢者向け住宅等における適正なサービス提供の確保についてです。今回、サ高住等に併設された事業所による利用者の囲い込みへの対応として、事業所と同一の建物に居住する利用者に対しサービス提供を行う場合、当該建物に居住する利用者以外にもサービス提供を行う努力義務を設けるとの提案がなされました。しかし、その実効性には疑問を感じています。囲い込みの問題点は、利用者の意思や自立支援という目的に反しての過剰なサービス提供です。ケアプランの適正化や利用者の自由意思によるサービスの選択が実質的に確保されることのほうが重要ではないかと考えます。
 9ページ、8の施設系サービスの(3)のマル1の介護保険施設の人員配置基準の見直しについてです。入所者の処遇への影響が生じたり、職員の過度な負担につながらないのであれば、介護・看護職員の兼務を可能としても問題はないと考えます。
 10ページ、9の全サービス共通のマル2、業務継続に向けた取組の強化です。今回の新型コロナ禍では、居宅サービスのサービス継続が課題となったところです。全てのサービスで感染症や災害が発生した場合の業務継続に向けた取組の強化として、BCP計画等の策定、研修の実施などを、介護事業所の負担や十分な経過措置を考慮した上で義務づけていくことには賛成です。負担に見合うよう基本報酬の増額をセットで行うとともに、底上げを図るためには、加算によるインセンティブも有効だと考えます。運営基準では、小規模事業所でも対応できる内容のみを義務づけ、それ以上の取組を行った事業所を加算で評価する仕組みとしてはどうかと思います。例えば感染防止対策担当者の設置、地域との連携体制の構築など、業務継続に向けて特段の対策を講じている事業所、施設が考えられると思います。
 11ページ、マル3、ハラスメント対策の強化です。事業者の責務を踏まえ、適切なハラスメント対策を求めることは賛成です。一方で、ハラスメントは主に利用者やその家族の人権意識や男女差別意識が強く影響していると考えられますので、行政による利用者や家族等の関係者に向けた情報発信も重要だと考えます。
 マル4、会議や多職種連携におけるICTの活用についてです。各種会議について、一定の条件の下、テレビ電話等を活用しての実施を認めることについては、業務負担軽減の観点から促進すべきであり、賛成します。なお、居宅介護支援のモニタリングについても、訪問する場合と同様のモニタリングが可能といった要件を満たす場合には、認めることとしてはどうかと考えます。
 さらにテクノロジーを活用した場合の人員基準の緩和や介護報酬上での評価についても、引き続き検討いただきたいと思います。
 12ページのマル8、高齢者虐待防止の推進です。虐待防止のための委員会の開催等の義務づけには賛成です。居宅サービスは、養護者による虐待を発見する役割も大きいですが、人員不足のため、外部の研修の受講などがしにくいことから、研修受講に対するインセンティブの付与も併せて検討すべきだと考えます。
 最後に全般にわたっての意見です。今回のように、感染症などが発生した場合の業務継続計画の策定や認知症への対応力向上に向けた取組などを新たに義務づけるという提案がありました。現状を鑑みると、いずれも必要なものであると思います。その上で、先ほどBCPのところでも申し上げましたが、義務化に当たっては十分な経過措置を設けるとともに、感染症や虐待防止の委員会や各種研修会は、既存の会議の活用を可能とするなど、現場の実情に合わせた柔軟な対応を可能として、事業者の負担軽減の配慮をお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 小玉委員、お願いします。
○小玉委員 田中分科会長、ありがとうございます。
 私からは、資料2の指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の改正等に関する事項について、二つ意見と要望を申し上げたいと存じます。
 9ページ目(3)の施設系サービス共通のマル3、口腔衛生管理の強化についてでございます。これは入所者ごとの状態に応じた口腔衛生管理を行うことを求めるとなってございまして、参考資料の32枚目にも口腔衛生管理体制加算を基本サービスに包括して、全ての施設系サービスにおいて、口腔衛生管理体制を整備し、入所者の状態に応じた口腔衛生の管理が行われるようにするということが示されてございまして、経過措置を3年としていただいてございます。歯科医師会といたしましては、関係機関等と協力しながら、できるだけ早期に全ての施設でこの体制整備が整うように、施設関係者の皆様とも連携を進めてまいりたいと存じますので、よろしくお願いしたいと思います。
 2点目です。12ページ目のマル9、CHASE・VISIT情報の収集・活用とPDCAサイクルの推進についてでございます。参考資料の36枚目にもありますとおり、介護の質の評価と科学的介護の推進につきましては、非常に重要なことでありますので、ぜひ進めていただきたいと存じます。そのためには、先ほど小泉委員も御指摘されましたけれども、データ入力等についての施設の環境整備も必要になってまいりますので、その点についての御配慮もお願いしたいと存じます。
 私からは以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 浜谷委員、どうぞ。
○浜谷委員 ありがとうございます。
 私からは、資料2について、2点ほど意見を申し上げたいと思います。
 一つ目は、5ページの(2)の「過疎地域等におけるサービス提供の確保」についてであります。マル1の中に、「市町村が認めた場合に登録定員を超過した場合の報酬の減算を一定期間行わないこと」や「登録定員及び利用定員を超えることを可能とすること」について記載いただきました。このことは大変ありがたいと思っております。私ども町村の過疎地域等におきましても、必要なサービスの提供を受けられるように、地域の事情によって期間の延長を可能とすることも含め、ぜひ実現していただくようにお願い申し上げたいと思います。
 二つ目ですが、先ほど小玉委員からもお話がございましたが、9ページの(3)のマル3、の「口腔衛生管理の強化」とマル4、の「栄養マネジメントの充実」についてでありますが、マル3とマル4はいずれも従来の加算を廃止して、その要件を基本サービス費の要件にしようというものだと思われますが、都市部などと違い、過疎地域等ではそのための人材の確保ができないことも大いに考えられます。したがいまして、経過措置期間を設けるだけではなく、地域の実情に応じて、都市部などとは異なる取扱いができるようにしていただきたいと思います。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 石田委員、正立委員の順でいきます。お願いします。
○石田委員 ありがとうございます。
 それでは、私から意見を申し上げたいと思います。
 今回、資料1に沿って見ていきたいのですけれども、資料1の2です。『地域包括ケアシステムの推進』のところのマル3には、「在宅サービス、介護保険施設や高齢者住まいの機能・対応強化」と書いてあります。そこにある二つ目のポツに記された部分です。ユニットの定員は15人を超えない範囲で緩和するという文言があります。ユニットケアというのは、個別ケアによる対応ということで、一人一人のライフスタイルというか、個性を重視したケアを行うということが基本になっているのですけれども、ここを緩和することが、先に述べられている高齢者住まいの機能・対応強化にちゃんとつながるのかどうか疑問を感じます。前からずっと申し上げておりますが、定員数が増えれば、そこで働くスタッフの業務過重化を招くことは想定できることなので非常に懸念をしております。本当にこれでいいのかどうかと思っております。
 次に4番目にあります『介護人材の確保・介護現場の革新』のマル2では、「テクノロジーの活用によって人員を減らし、業務の効率化・業務負担軽減を図る」とあります。ここにあります認知症のグループホームの夜間・深夜の時間帯の人員配置についてです。3ユニットの場合、一定の要件の下、夜勤2人以上の配置に緩和することが挙げられています。これも前に申し上げましたが、特に夜間・深夜ということで、利用者は皆さん認知症の方であるという状況を鑑みても、そこでのスタッフの負担というのは非常に重いのに、配置人員数を減らしてもいいのかどうかというところが大変疑問に感じます。
 先ほど他の委員からもそういった質問が出て、担当課長からの説明も聞かせていただきました。その中で「働き方改革」という言葉も出ました。私見ですが、働き方改革というのは、無駄をなくして、効率性を高めるという内容もありますが、その前に、もともと介護の現場というのは、過重な労働環境を何とか改善していくというところが、第一の働き方改革として必要なのではないかと思います。そこから業務の効率化とかが、その次の段階として始まるので、まず第一段階の部分が解決されない限り、現在進められている「働き方改革」の途にも着けないのではないかと思っております。
 最後ですが、介護人材の確保というところで、テクノロジーの活用ということがあります。その中で、先ほども質問に出ましたけれども、「入所者の処遇に支障がないことを前提に」といった文言が繰り返されております。これはエクスキューズのようにも見られて、それをどうやって確認するのかという質問のときに、監査であったり、行政の指導等でチェックを行うという御回答がありましたけれども、それで日々の現場がちゃんとチェックされるのか、特に利用者の状況がちゃんと担保されているのかどうか、これについては非常に不安が残ります。
 先ほど留意点で労働関係法のところの御説明もありましたけれども、そういったところがしっかり文言として出てこない限り、働く人たちもさらに不安が募ってしまうのではないか、そして、結果としては職場を離れていく、つまり人材確保の逆現象につながりかねないということを非常に懸念いたしますので、この点について、意見として申し述べておきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 御意見ありがとうございました。
 正立委員のお話を伺って、休憩を取ります。
○正立委員 ありがとうございます。全国老人クラブ連合会の正立です。
 資料2で横断的に記載があります、認知症介護基礎研修について、意見、質問をさせていただきます。
 今後さらなる認知症高齢者の増加が見込まれる中、一部サービスを除き、全てのサービス事業者に対して介護職員の基礎研修の受講を求めることは、非常に評価できる方向であると考えます。
 その前提に立って、1点、気になる点がございます。参考資料の12ページ目の対応案に基礎研修を全てeラーニング化した上でということが示されています。一方、その下の枠囲いに認知症施策推進大綱の抜粋がございますけれども、eラーニングの部分的活用の可能性を含めた検討となっています。受講する上で職場や自宅など、どこでもできる、また、時間を気にせずにいつもできるといったeラーニングのメリットは十分理解しておりますが、基礎研修のカリキュラムには講義のほかに演習が含まれています。集合型・対面型の研修であれば、演習において講師の指導や助言、受講生同士の議論といった双方向また複数方向の学習効果が期待できますが、eラーニングではその点についてどのように対応するのか。例えば講義科目を事前に3時間程度eラーニングで、演習科目を当日3時間程度集合型・対面型の研修でといった分割案も考えられますが、この点についてはどうか、お考えがあれば、お聞かせいただければと思います。
 あわせて、お尋ねですが、現在、基本的なカリキュラムは示しながらも、具体的な内容や活用する教材は、それぞれの都道府県や研修実施者に委ねられていると思いますが、今後eラーニング化する際、それらは国が一律で、いわゆる国定教科書のような形を考えられているのか、それともこれまでどおり、ある程度都道府県や実施者に任せるのか、お聞かせいただければと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 御質問が二つ含まれていたので、お答えください。
○菱谷認知症総合戦略企画官 認知症総合戦略企画官でございます。
 今、御質問がございました。まずeラーニングの部分的活用ということで、大綱に記載されております。この書きぶりにつきましては、基礎研修もあれば、実践者研修、実践リーダー研修等々を含めて、eラーニングの部分的活用の可能性も踏まえたと記載されておりますので、この点については、全体に係っている言葉ではありますけれども、その中の入り口の部分の基礎研修については、全面eラーニング化を検討しているところでございます。
 現在、それについては、老健事業におきまして、認知症介護研究・研修センター、仙台センターなどを中心に3センターに入っていただいて、さらに日本大学の内藤先生に座長を務めていただいて、カリキュラムの見直しを行っているところでございます。そういった中で、現状やっている認知症の人の理解であるとか、対応の基本、あるいは認知症のケアの実践と留意点に関する中身について、全員に受けていただくことの実際の手間の部分と、実効性をどういうふうに確保していけるのかの両面をにらみながら、今ある研修をしっかりやってもらうために、カリキュラムを見直していきたいと思っております。こちらについては、標準テキストという形で、しっかりとしたものをつくっていきたいと考えております。
○田中分科会長 よろしいですか。
○正立委員 ありがとうございました。
○田中分科会長 それでは、今、30分ぐらいですから、40分まで休憩をいたします。
 
(休  憩)
 
○田中分科会長 それでは、時間になりましたので、再会いたします。
 冒頭、老人保健課長より追加発言があるそうです。お願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 事務的に修正すべきところで、漏れが一つございました。そこについて、おわびとともに御説明をさせていただきたいと思います。
 資料1及び資料2でございますけれども、まず資料1で御説明をさせていただいたほうが分かりいいかと思いますので、御説明をさせていただきます。
 資料1の1ページ、2.地域包括ケアシステムの推進のマル1でございます。認知症への対応力向上に向けた取組の推進の一つ目のポツ、訪問系、居宅介護支援及び福祉用具貸与(販売)を除くのところに、基礎研修の受講を義務づけとございましたけれども、実は訪問系の中で、訪問入浴介護に関しては、無資格の方もいらっしゃるサービスであるということでございますので、訪問系の中からは訪問入浴を除くことになります。ですので、訪問入浴介護に関しましては、認知症介護基礎研修を受講していただくことを義務づけるという修正が必要になります。マル1の訪問系からは、訪問入浴を除くということでございます。
 資料2に関しまして、1ページ、訪問系サービスとございます。そこには新しくパラを一つ起こすことになりますけれども、認知症介護基礎研修の義務づけ、3ページの(4)のマル2にあるようなものを、訪問入浴介護についても記載を起こさせていただくという修正漏れが一つございました。
 おわびとともに訂正をさせていただきます。以上です。
○田中分科会長 それでは、委員の方々、質問、御意見をお願いいたします。東委員、齋藤参考人、どうぞ。
○東委員 全国老人保健施設協会会長の東でございます。
 今回の資料に沿って御意見を申し上げたいと思います。
 資料2の10ページ「全サービス共通」のマル1、「感染症対策の強化」についてです。施設系サービスは、委員会の開催、研修の実施、訓練の実施等が示されております。これはこれで良いと思いますが、感染症や災害とか、研修を別々に開催しないといけないということがないように、一体的な研修の実施も認めていただきたいと思います。今回様々な運営基準等において、委員会の設置や研修の実施というものが課せられておりますので、なるべく現場の負担が軽減できるような工夫をお願いしたいと思います。
 資料2の11ページのマル5、「利用者への説明・同意等に係る見直し」におきまして、電磁的記録による対応を原則認めることになっておりますが、現場では実地指導等で、行政側から紙ベースでの資料を求められることがほとんどです。こちらに関しましても、電子媒体で可能だということを徹底して指導していただきたいと考えております。
 各論でございますが、何人かの委員からも資料2の7ページ、「認知症グループホームの夜勤職員体制の見直し」について御意見が出ておりました。様々な御意見があると思いますが、介護人材の不足は危機的な状況があります。また、今回のグループホームの夜勤職員体制の要件もかなり厳格なものとなっておりますので、私は事務局の提案に賛成でございます。
 それから、今日の資料ではございませんが、前回、11月26日の介護給付費分科会におきまして、理学療法士等が中心となる訪問リハビリテーションについて、提案があったと記憶しております。しかし、既にこの分科会の場におきましても、また、平成30年度介護報酬改定におきましても、訪問によるリハビリテーションは、医師の指示の下で行うべきという方向性が示されておるところでございます。私は今後ともこの方向性を維持すべきであると考えます。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 齋藤参考人、お願いします。
○齋藤参考人 参考人の齋藤でございます。ありがとうございます。
 ユニットの定員の緩和につきまして、様々な意見があったわけですが、先ほど委員の中から妥当である、あるいは入所者の処遇には今回の提案では問題は起きないのではないか、管理者の経験からそういった御意見があったと認識しておりますけれども、管理者の目線と実際にケアを提供する労働者の目線というのは、随分違うということを改めて感じた状況でございます。
 ユニットの定員の増加につきましては、今後、利用者の重度化が進むことも考えていかなければいけないと思いますし、ユニットケアの本旨である個別性を重視したケアと、定員の緩和のご提案については、少し矛盾があると思っております。ですので、先ほど来、労働者の負荷が大きくなるという御心配が他の委員からもありましたけれども、ユニットの定員を増やすのであれば、併せて職員数も増やしていくというのが、あるべき姿であると思っております。
 グループホームの夜勤の配置につきましては、これまでの経緯を考えてみますと、火災や事故の際に十分な対応ができなかったということがあって、今の夜勤体制になったと記憶しております。確かにスプリンクラー等が設置されて、万全だという御意見もあるかもしれませんけれども、決して火災だけの対応ではなく、これから利用者が重度化してくる、あるいは施設内で看取っていくことを考えますと、緊急性のある対応に3ユニット2夜勤では支障が出るのではないかと危惧されますので、ここはいま一度慎重な検討を求めたいと思います。
 最後に資料1の3ページにございます、短期入所生活介護の看護職員の配置についてです。以前の分科会でもショートにつきましては、定員20名以上でも、19名以下でも利用者の状態像にそれほど差がなく、医療的なケアが必要な利用者は6割から7割、看取りも一定程度行っているという御報告がございました。このデータをどう解釈するかですけれども、差がないから基準の緩いほうに合わせようということではなくて、むしろ医療的ケアの必要な方々が看護職の関わりが薄い中で増えてきているとも解釈できます。利用者安全の観点から考えますと、19名以下であろうが、20名以上であろうが、本来であれば、全ての類型について看護職が配置されるということが、目指すべき方向性なのだと思っております。
 見直し案では、看護職を配置しなかった場合であっても、地域の資源と密接な連携を取ることが記載されておりますけれども、連携先の看護職にも過重な負荷がかからないようにすることが大事な視点だと思いますので、密接かつ適切な連携の具体的な内容については、現場の意見なども聞きながら、慎重に検討していただきたいと思っております。
 介護職も看護職も人材確保が非常に厳しさを増していることは、重々承知をしております。ですけれども、人材の有効な活用とか、効率性の名のもとにサービスのあるべき姿を曲げていくということではないと思っております。
 以上です。
○田中分科会長 御意見ありがとうございました。
 濵田委員、どうぞ。
○濵田委員 今回の改正事項につきまして、簡潔におまとめいただきまして、大変ありがとうございます。
 2点だけ御意見を申し上げたいと思いますが、6ページの6の居宅介護支援のマル1の質の高いケアマネジメントの推進についてでございますけれども、内容についてではございませんが、説明の時期がいわゆる報酬改定の令和3年4月に集中しますと、負荷がかかるものでございますので、例えば何か月かに分けてでありますとか、見直しの時期に合わせてなど、説明の時期につきまして、運用のことで御配慮いただければ幸いだと思っております。
 マル2の生活援助の訪問回数の多い利用者等への対応の件でございますが、点検や検証に当たりましては、老計10号の趣旨も踏まえていただきますこととともに、個別の事例の検討に当たりましては、特に認知症で見守りが必要な方でありましたり、お独り暮らしや御家族が高齢や見守り困難など、例えば世帯の状況なども勘案した対応をお願いできればということでございます。
 また、適切な居宅サービス計画作成を推進する目的といたしまして、対象となりましたプランで、例えばこういう点が適切であったとか、ここは修正や検討が必要だったなどの検証の経過のうち、参考とになるような事項を当該保険者様の圏域の居宅介護支援事業所で共有いたしますと、我々プランを作成します介護支援専門員の理解や改善も広がることが考えられますので、そういった情報の共有につきまして、例えば集団指導の場などで、こういう点が昨年度あったとか、ここをもう少し改善してほしいなどの活用も考えられるのではないかということでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 具体的な例を挙げていただいて、ありがとうございました。
 田河参考人、お願いします。
○田河参考人 健保連の田河でございます。 
 今回、事務局からお示しいただきました運営基準等に関する事項の整理につきましては、ケアの質の維持やサービス提供に支障がないことを前提に基準の緩和等を行うこと、また、感染症や災害対策の研修、あるいはICTの活用、CHASE・VISITの情報の収集・活用など、必要な事項を義務化・明確化することについては、概ね賛成でございますが、その上で幾つか意見と質問をさせていただきたいと思います。
 資料2の3ページでございますが、看護職員の配置基準の見直しの記述がございます。そこを見てみますと、文章上「密接かつ適切な連携により確保することを求めることとする」となっておりますが、密接かつ連携につきましては、参考資料の52ページの※で考え方が示されており、そうした具体的な条件等をしっかり規定していただきたいと考えております。
 次に質問でございますが、5ページでございます。過疎地域等におけるサービス提供の確保についてでございますが、下の※のところに、当該介護保険事業計画期間終了までの最大3年間を基本とし、さらに次期介護保険事業計画期間の終期まで延長が可能と書いてありますが、最大6年間は減算を行わず、それ以降は報酬減算を行うということでしょうか。これは質問でございます。
○田中分科会長 それでは、質問にお答えください。推進課長、お願いします。
○笹子認知症施策・地域介護推進課長 推進課長でございます。
 5ページ目の(2)多機能系サービス共通の過疎地域等におけるサービス提供の確保の※の最大3年間の部分、延長の期限について御質問がございました。始めの期間は、最大3年間でございますけれども、さらにそれを延長するかどうかというのは、こちらにもありますように、一度、立ち止まって考えていただくということで、市町村が将来のサービスの需要の見込みを踏まえて、代替サービスを新規に整備するよりも、既存の事業所を活用したほうが効率的であると認めた場合には、次期介護保険事業計画期間の終期まで延長が可能ということでございます。
 その次についても、同様に市町村が将来のサービスの需要の見込みを踏まえてということで、もう一度、立ち止まって考えていただいて、そのときにおいて効率的であると認めた場合には、また延長が可能という解釈でございます。
○田中分科会長 よろしいですか。どうぞ。
○田河参考人 これまでも3年間はまだしも、延長には反対という意見を申し上げてまいりましたが、一定期間減算しないことが、介護サービスの整備が不足しているという問題の根本的な解決にはつながらないと考えております。3年間減算しないのであれば、その間に施設整備等、いろんな対応についてしっかり取り組んでいただきたいと考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 藤野委員、どうぞ。
○藤野委員 ありがとうございます。
 全体的なところで意見を述べさせていただきます。利用する側にとって利用しやすく、働く側にとって安心して働ける環境整備が必要だと考えます。もちろん現場に身を置く一人として、現場が人手不足である厳しい現状は十分理解していますが、だからといって、利用者に不利益をもたらすおそれのある見直しを安易に賛成することはできません。尊厳やサービスの質は必ず担保されるべきであり、一方、現場職員にこれ以上の過度な負担を強いることはできません。ほかの委員の御意見にもありましたが、合理化や効率化のみに焦点を当てるような印象の緩和策にならないよう、極めて慎重に検討されるべきだと考えます。
 また、グループホームの外部評価の件ですが、運営推進会議が場合によっては現場報告にとどまっている現状もあるので、質の向上につながるような会議になる工夫が必要だと考えます。
 以上です。
○田中分科会長 御指摘ありがとうございました。
 井上委員、江澤委員の順でお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。
 本日御提案のありました運営基準の改正等につきましては、今後の介護ニーズの増大でありますとか、人員確保の困難性をいろいろと考慮した上での配置基準、勤務体制の見直しでございまして、これまでの議論を踏まえた内容でございますので、私どもとしてはおおむね異論はございません。賛同いたします。
 その上で、人材が確保できない中で、例えば11ページにございますように、ICTの活用でありますとか、記録の保存方法の見直しなど、間接的な業務を電子化していくことは非常に重要なことだと思います。
 1点、申し上げたいのですけれども、大規模な事業者の中には、複数の自治体で事業を行っているケースも多々ございます。その際に自治体ごとに手続とか、申請書類が違うことで、かなり手間暇がかかるという声も聞いておりますので、自治体の間の調整でありますとか、今、政府全体で電子化・デジタル化を進めているわけでございますけれども、申請方法、届出方法の電子化、そういう行政側の電子化につきましても、同時に進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 ありがとうございます。
 資料1、資料2については、全体的におおむね賛成でございます。
 2点、申し上げたいと思います。
 1点目は、令和3年度介護報酬改定に関わる来年4月以降の3年間は、ウイズコロナの3年間となりますので、感染症への対応力強化にしっかりと取り組めるよう、万難を排して利用者の命を守るべく推進していただきたいと思います。その上で、地域包括ケアシステムの推進や自立支援、重度化防止等の継続的な取組が持続できるよう、よろしくお願いしたいと思います。
 2点目は、先ほど東委員も意見を申されましたが、訪問リハビリテーションについて意見を申し上げたいと思います。前回の平成30年度介護報酬改定において、訪問リハビリテーションの事業所においては、専任の常勤医師の配置の必須化が示されて、すなわち医師の配置の明確化がされたところでございます。そして、最近の研究事業等において、医師がリハビリの指示を出す際に、詳細な指示、すなわちリハの目的でありましたり、開始時の留意事項、実施中の留意事項、中止基準、負荷量等に関する指示によるリハビリテーションは、ADL改善の効果が高いことが複数示されているところでございます。したがいまして、利用者の状態に応じて、医学的な判断によってリハを提供することが効果的でありますので、日々状態が変化する要介護利用者に対して、例えば専門職が訪問前後でタイムリーに、そして、対面で事業所の医師と気軽に相談をしたり、カンファレンスを実施したりすることが極めて重要であります。訪問リハの事業所における医師の配置というのは、利用者の安心・安全、効果的なリハビリテーションの提供の観点から不可欠であると考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 武久委員、どうぞ。
○武久委員 介護給付費分科会は、私も長く委員を務めさせていただいておりますけれども、事業を行っている方、勤務をしている方、学者の方とか、外部の方とか、バランスの取れた委員がそれぞれの立場でいろいろ発言されて、私も長い間聞いてまいりましたが、給付費を公平に分配するというのは、非常に重要なお仕事だと思っております。
 介護保険というのは、入所、通所、訪問、大きく分けると三つしかないわけです。2000年の開始からいうと、三つの中にとてもたくさんの種類の介護サービスが生まれておりますけれども、この会で非常に重要なことは、どのサービスもバランスよく、平均的に給付されるということです。すなわち、先ほど申しましたように、老健特養では100名のところの夜勤者に対して、グループホームは2倍以上のデューティーがあるというのは、あまりにもバランスを欠くのではないかということで、多分そういう細かいことも調整なさって、今回のような提案になっているのではないかと思います。
 私は病院もやっておりますので、医療としては、東先生や江澤先生もお分かりだと思いますけれども、病院では個室と4人部屋が別々の詰所になっていることはありません。同じ施設です。本来、辻さんのときに、できるだけユニットをということでしたけれども、都会等では支払いが厳しいこともありまして、従来型の4人部屋と個室ユニットが二つある。そうすると、施設内に二つの施設があるというのは、あまりにも効率が悪いと判断されていたと思います。病院の場合は個室であろうと、4人部屋であろうと、一つの詰所でやっています。また、医療の要素が介護の要素に非常に強く関わってきています。そういう意味では、医療と介護はできるだけ密接になって、利用者のために一番いいサービスを提供し、しかも、公平でバランスの取れたサービス給付ができるということが、この会の目的だと思いますので、私は今回の提案も評価しているところでございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 20年間の歴史を踏まえての発言、ありがとうございました。
 鎌田委員、亀井委員、お願いします。まずは鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 2巡目の発言をお認めいただいて、ありがとうございます。
 先ほど武久委員とか、東委員とか、小泉委員とか、齋藤参考人が、管理者の目線、労働者の目線の違いということをおっしゃっていましたけれども、私たち家族の会は、本人、家族の立場から御意見を申し上げました。このサービスで、公平性、バランスというのは大変大事ですけれども、誰のためのサービスかということについて、いま一度、御審議をお願いしたいと思います。本人や家族、そして、働く介護職員も今回の基準の見直しについては、不安、心配だと言っているわけです。それを公平性とバランスというところでいくということが、本当にいいものかどうかというところについて、もう一度御審議をお願いしたいと思って、重ねて御発言させていただきました。ありがとうございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 亀井委員、お願いします。
○亀井委員 来年度の改定に向けまして、田中座長をはじめとする委員の先生方には、精力的に審議をいただいております。保険者としてお礼を申し上げたいと存じます。
 二つばかりなのですが、一つは、介護職の養成・確保についてなのですけれども、金融危機であったり、リーマン・ショックの際には、福祉・介護分野への就労の流れが起こったわけでございますが、今回のコロナショックではそれが起こってきていないわけで、私はきっかけが必要だろうと思います。
 例えばヘルパーは130時間ですが、これをリモートで全てできないのかということでございます。せめて100時間をリモート、30時間を実技、こういう分け方、受講料5万円から10万円を無償化できないか、こういう検討は我々がしていかなければならないと思っておりますけれども、各種団体の方々にも御尽瘁いただければと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたしたいと存じます。
 2点目ですが、直接は関係なのですけれども、生活困窮者の自立支援であったり、高齢者、障害者の自立支援、この一連の流れというのは、現金給付の限界によって現物給付への転換を図ろうとするもので、我々も大歓迎ですし、これまでもその運動を行ってきたわけです。この取組もいよいよ来年度ぐらいから第2ステージに入る、迎えようとしていると思っています。
 それは、総合事業、重層型支援の充実ということになるわけでございますけれども、この取組で、今、新たにクローズアップされてきているのが、介護される人の支援も大事だということです。また、介護する方の支援も非常に重要だと思っております。特にヤングケアラーの支援は緊急を要するものでありますし、この子たちの教育の機会を奪うことがあっては絶対にならないと、我々は思っているわけです。中高年だけで介護は担えない、そんな状況が来ているわけですから、有償ボランティアの養成・確保、その方々による寄り添い伴走型支援が必要になってきます。
 つまり総合事業による重層型支援ということなのですが、今月、厚労省は介護する子供の調査をなさるそうでございますけれども、これは大いに期待をさせていただきたいと思っております。施設に入りたくても入れないのです。我々も努力はいたしてまいります。また、厚労省も老健、社援、子ども家庭局、保険、政策統括、連携協働によるスピード感ある取組をよろしくお願いをいたしたいと思っています。
 事務方でどなたか御所見があればと思いますけれども、よろしくお願いします。
○田中分科会長 局長、お答えください。
○土生老健局長 老健局長の土生でございます。
 ただいま御指摘がございましたとおり、介護される御家族の方、とりわけ今、課題になっております、その中でも若い方の支援というのは、大変重要な課題だと思っております。これまでも介護保険制度あるいは事業の中で、様々な支援が行われてきたと思っておりますけれども、今回、国として、文科省とも連携をして調査をしているところでございますので、省内で連携いたしまして、調査結果を踏まえて、また、老健局といたしましても、どういった対応ができるのかということを検討してまいりたいと思います。
 御指摘がございましたとおり、地域住民の方に御支援をいただくこと、これは人材確保の面でも既に介護助手等の取組も入れさせていただいておりますけれども、そういった元気な高齢者の方、あるいは地域の中で支え手、担い手になっていただく方、そうした方の御参画を得まして、地域全体で介護される方、介護している方、両方を支援していく取組を進めてまいりたいと思います。
 今回、介護報酬の在り方というのは、この分科会で、向こう3年間の在り方を決める重要な御議論をいただいているものと承知いたしておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 亀井委員からヤングケアラーについても問題提起があり、それに対して、老健局長からは前向きな回答をしていただきました。どうもありがとうございます。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。2回目の発言をお許しいただきました。
 経営している側からすれば、効率的な運営をできるようにすべきだとお考えになるのは、それも自然なことだとは思いますが、その考え方というのは、人材を当該事業所で確保できさえすればいいという発想なのではないかと思います。
 この間、大分議論をしてきたと思っていたのですけれども、いかに介護業界に来てもらえるか、そういう魅力のある業界にしていかなければいけないのではないかということで、一番重要なのが処遇、そのほか様々な要素があるということで、対応も図りつつ、議論も進んできたと思っていました。ところが、今回は、事業所で人が確保されさえすればいいということが色濃く出ていると思います。ここはよく振り返っていただき、労働者に選ばれる業界になっていくことを考えて、処遇改善を柱に人材確保を考えてもらいたいと思います。
 コロナで雇用問題が発生してきてしまっている中で、それぞれ事業所では人材確保がやりやすくなったという認識があるからなのか分かりませんけれども、私たちが今回、調査を行い把握したところでは逆でした。人材確保はむしろ困難になっている状況でした。人が足りないと皆さんおっしゃるわけですから、社会的使命としても、雇用を確保していくということをぜひ考えていただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 ほかはよろしゅうございますか。よいようです。
 それでは、今日は議論がいろいろとありましたので、分科会長の責任で少しまとめておかなければなりません。今日提示された運営基準等の多くについては、皆さん、いいと言っていただきましたが、二つ問題が残りました。
 第一に、省令事項のうちのグループホーム夜勤職員については、懸念が何人かの委員から示されました。よってこのままこれを今日まとめるわけにはいかないので、それらの意見を踏まえて、取扱いについて、私と事務局とでさらに相談を行うことといたします。
 一方、省令事項以外では、多くの方からユニット定員に関して懸念が表明されました。この部分については、安全性、質の確保、実効性の担保に関し、引き続き事務局において対応案をしっかり検討していただき、次回もう少し議論をしなくてはならないと感じました。
 それ以外のことについてはいいとして、この二つは、今日、決定を強行するわけにはいかないと、分科会長としての判断しました。事務局、よろしいですか。打合せなく、私の責任で申し上げましたが、そのようにさせていただきます。
 それでは、今後の取扱いについて、事務局から説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 長時間にわたり、ありがとうございました。
 本日御議論いただきました運営基準等に関する事項、その他でございますけれども、先ほど分科会長から御指示がありましたとおり、御相談の上、対応させていただければと存じます。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 よろしければ、本日の議論はここまでといたします。
 最後に次回の分科会の日程について、事務局より説明をお願いします。
○栗原企画官 次回の日程は、事務局から追って御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田中分科会長 本日も真摯な議論をありがとうございました。これにて閉会いたします。