第41回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省

健康局 健康課予防接種室

日時

令和2年11月9日(月)10:00~12:00

場所

中央労働委員会講堂(7階)
(東京都港区芝公園1-5-32)

議題

  1. (1) 新型コロナウイルスワクチンの接種順位等について
  2. (2) 予防接種施策の見直しについて
  3. (3)報告事項
  4. (4)その他

議事

議事内容
○元村予防接種室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第41回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催いたします。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
開会に先立ちまして、健康局長より御挨拶を申し上げます。
○正林健康局長 皆様、おはようございます。健康局長になりましてから初めての基本方針部会ということなので、一言御挨拶申し上げます。まず、大変御多忙の中、こうしてお集まりいただきまして誠にありがとうございます。また、日頃は予防接種行政に多大なる御尽力、それから御指導、御鞭撻を賜りますことに厚く御礼を申し上げます。
昨年の8月から、この基本方針部会において、予防接種施策の見直しの作業に取り掛かっているかと思います。思い起こせば、平成25年、私が結核感染症課長時代に予防接種法を改正して、そのときに見直しの規定を入れてますけれども、あれからかなり時間もたち、諸々問題点がないかということで、昨年8月から御議論いただいて、その関係では様々な方をお招きしてヒアリング等も行っていると思いますが、この基本方針部会で引き続き御議論いただきたいと思っています。
さて、今年の1月から新型コロナが問題となり、ずっと我々もその対応に当たってまいりました。特に、一旦落ち着いたかに見えて、またしばらく微増傾向だったのが、ここ1、2週は少し増加の兆しが見え始めていて、ちょっと油断できない状況かなと思っています。
そんな中で今、ワクチンに大変注目が集まっております。今、我々も鋭意、様々な企業と交渉に当たったり、接種体制の構築に向けて準備しております。特に、この中に2009年の新型インフルの際に、私と一緒に対応してくださった方も何人かいらっしゃいますが、あのときもやはり、一遍にはワクチンが出てこないので、優先接種というやり方を取りました。恐らく、今回もそのような形になるかと思いますので、今日のメインのテーマは、その優先接種、順番をどうするかといった辺りについて、既にコロナ分科会のほうで大きな方針は頂いているわけですが、更に細かく、もう少し医学的な観点から、先生方にいろいろと忌憚のない御意見を頂けたらと思っています。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
○元村予防接種室長補佐 それでは、本日の出欠状況について御報告いたします。川俣委員、中野委員から御欠席の連絡を受けております。現在、委員12名のうち10名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
また、本日は参考人といたしまして、国立国際医療研究センター国際感染症センターの大曲センター長、高知大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座の横山教授に御出席をお願いしております。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。お手元のタブレットには、番号01の第41回予防接種基本方針部会議事次第及び委員名簿から番号09の利益相反関係書類を格納しております。不足の資料等がありましたら、事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 皆様、おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。まず、事務局のほうから、審議参加に関する遵守事項についての報告をお願いいたします。
○元村予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日御出席いただきました委員、参考人の方から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について御申告いただきました。各委員、参考人の方からの申告内容につきましては、資料9番を御覧いただければと思います。本日は、議事内容に関し、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、まず議事次第を御覧ください。最初に、議題1、新型コロナウイルスワクチンの接種順位等について議論したいと思います。接種については、先日、10月2日の予防接種・ワクチン分科会で、国が主導的役割を持ちますが、住民に身近な市町村が実施主体となって、特例的に国が優先順位等を決定して、全国統一的に接種を実施するということが必要ではないかということで、分科会としては大きな方向性として了承いただいたということになります。
本部会としましては、接種順位についてのもう少し技術的な事項として、具体的に高齢者や基礎疾患の範囲と、それから妊婦への接種というものについてどう考えるかということを議論していくということになります。資料1を御覧ください。「新型コロナウイルスワクチンの接種順位等について」という資料ですが、こちらを事務局から説明いただきます。それでは、お願いします。
○大島予防接種室長補佐 事務局です。資料1、「新型コロナウイルスワクチンの接種順位等について」を御覧ください。
まず、ワクチンの開発状況について簡単に御紹介いたします。3枚目のスライド、新型コロナワクチンの開発状況について、国内・海外の様々な主体が実用化を目指して取り組んでおります。新たな手法によるワクチンの開発が進められているところでありまして、現時点で開発が先行している新型コロナワクチンは、ウイルスの遺伝情報の一部を接種することにより、体内でウイルスの一部が作られて免疫ができるものとなっております。
海外の大手製薬企業が開発で先行している状況でありますが、国内の研究開発生産体制整備についても国が支援を行っております。
次のスライドを御覧ください。海外で開発されたワクチンの確保に関する取組の御紹介です。正式契約を締結したものといたしまして、モデルナ社との契約があります。また、ファイザー社、アストラゼネカ社とは、基本合意というところまで至っております。このほか、国内生産が計画されているものといたしまして、ノババックス社ですが、これは武田薬品工業株式会社が提携して、日本国内でワクチンを生産する予定です。それぞれ、こちらにあります人数分、回数分のワクチンについて供給を受けるということで、現在交渉を進めているところであります。
ここからワクチンの安全性、有効性についてです。次のスライドを御覧ください。ワクチンの安全性、有効性について、一部の海外開発のワクチンで第Ⅰ相、第Ⅱ相の臨床試験の結果が発表されております。また、一部のワクチンでは第Ⅲ相臨床試験が進められているところであり、今年の秋から冬に掛けて、一定の結果が明らかになる可能性もあるというように見られております。そういう形で、第Ⅲ相臨床試験の結果が出てまいりますと、それを踏まえて、海外・国内で承認試験がなされるというように考えられております。
右下に4と書いてあるスライドです。新型コロナワクチンの知見に関する論文報告に関して、ごく簡単にまとめたものであります。先行する4つのワクチンの論文による報告についてですけれども、有効性に関しては一定性の液性免疫、細胞性免疫が誘導されているということが報告されております。ただ、一方で、誘導された免疫による発症予防効果や重症化予防効果の有無、免疫の持続期間については、まだ評価されておらず不明という段階です。それから、小児・妊婦・高齢者のデータは少ないということで、不明な点が多いということになっております。
安全性に関しては、接種後の局所部位反応の発現頻度が高いということが報告されております。また、倦怠感、不快感、筋肉痛といった重篤でない全身性の有害事象についても高頻度で発現したという報告がなされております。安全性に関しても、小児・妊婦・高齢者のデータが少なく不明な点が多いという状況です。
モデルナ社、ファイザー社、アストラゼネカ社、それぞれ開発中のワクチンに関する報告については、参考資料の方にまとめたものがございますので御参照いただければと思います。
続きまして、ワクチンの効果についてというスライドを御覧ください。ワクチンの効果については、感染予防、発症予防、重症化予防というものがあると考えられております。このうち、発症予防と重症化予防に関しては臨床試験等で評価を行うことができる一方で、感染予防に関してはなかなか実証しにくく、臨床試験で確認することは稀であります。また、集団免疫効果というものに関しても、大規模な接種後まで分からないとされております。
続きまして、新型コロナウイルスワクチンの評価に関する考え方ということで、医薬品医療機器総合機構から出されております指針の概要をまとめたスライドです。この指針は、2020年8月時点の状況を踏まえた上で、国内でのコロナワクチンの開発のために求められる有効性及び安全性の評価についての考え方を提示したものということです。
有効性評価に関しては、原則としてコロナワクチン効果の有効性を評価するために、新型コロナの発症予防効果を評価する臨床試験を実施する必要があるとされております。また、安全性評価に関しては、有害事象について、ワクチン接種から少なくとも7日の間に認められた局所反応及び全身反応並びに少なくとも28日の間に認められた有害事象を収集することが求められるといったことが記載されております。
右下に7と書いてあるスライドです。ワクチンの接種に係る判断についてです。対象者の特性によって有効性の大きさが異なる場合、同じワクチンであっても接種の判断が異なりうると考えられます。ですので、ワクチンの接種に当たっては、ワクチンの特性に加えて、対象となる方の年齢や医学的な背景を踏まえたリスクなどを勘案して、総合的に接種の判断をすることが必要というように考えております。
新型コロナウイルス感染症対策分科会のほうで、ワクチンの接種に関してこれまで何度か議論がございましたけれども、安全性、有効性に関しても、分科会で考え方というものがまとめられておりますので、右下に8と書いてあるスライドで御紹介しております。
次に、ここからはワクチンの接種順位等について御説明させていただきたいと思います。右に9と書いてあるスライドです。先ほど申しました新型コロナウイルス感染症対策分科会のほうで、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種についてということが、9月25日に中間取りまとめという形でまとめられております。接種目的に関しては、新型コロナウイルス感染症による死亡者や重症者の発生をできる限り減らし、結果として新型コロナウイルス感染症蔓延の防止を図るとされております。
接種順位に関してですが、当面確保できるワクチンの量に限りがあり、その供給も順次行われる見通しであることから、先ほど申し上げた接種目的に照らして、新型コロナウイルス感染症患者に直接医療を提供する施設の医療従事者等、それから高齢者及び基礎疾患を有する方を接種順位の上位に位置付けて接種するという形で取りまとめられています。今後、具体的な範囲について検討するということになっております。それから、(3)ですが、さらに妊婦の接種順位について国内外の科学的知見等を踏まえて検討するとされております。
その次、右下に10と書いてあるスライドを御覧ください。こちらは、10月2日の予防接種・ワクチン分科会で議論いただいた際の資料です。今後の検討体制についてということで、これまでは内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策分科会で、ワクチンに関する検討が行われておりましたけれども、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会でも議論いただくということで、このような検討体制で御議論いただきました。予防接種基本方針部会のほうでは、ワクチンの接種順位に関する技術的事項といたしまして、高齢者及び基礎疾患を有する方の範囲、それから妊婦の接種順位の位置付けについて検討を頂くことになっております。
右下に11と書いてあるスライドを御覧ください。新型コロナウイルス感染症のリスク因子について、ガイドライン等の記載をごく簡単にまとめたものでございます。新型コロナウイルス感染症診療の手引きという日本国内で出されております診療の手引きや、米国疾病予防管理センターから出された文章において、重症化のリスク因子として年齢や様々な疾患、状態が報告されております。左側に記載しておりますのが、診療の手引きの中で重症化のリスク因子といったものがどういう形で記載されているかを記載しております。それから、右側がアメリカのCDCから出されております文書で、重症化リスクが高い状態として挙げられているものということで御紹介しております。65歳以上の高齢者や慢性閉塞性肺疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、悪性腫瘍といった様々なものが挙げられております。
次のスライドを御覧ください。海外の知見ということで、イギリスの研究で報告されております重症化のリスク因子についてでございます。様々な疾患や状態がリスク因子として報告されているわけですけれども、特に重症化のリスクに当たる年齢の影響が大きいということが見て取れると思います。下のグラフの一番左の上に年齢がございまして、70代、80代以上の方に関しては、様々な基礎疾患と比較してもハザード比が高いことが報告されております。
1枚進んでいただきまして、今度は米国疾病予防管理センターから公開されているものでして、年齢や様々な疾患等について、重症化・死亡のリスクの大きさに関する報告をまとめたものです。上半分が基礎疾患に関してのもので、下半分が年代別の死亡のリスクをまとめた表になっております。御覧いただきますと、基礎疾患についてはおおむね1桁のオッズ比、リスク比である一方で、下の表を御覧いただくと、高齢者については死亡のリスクが数十倍以上になるというような報告がなされております。
右下に14と書いてあるスライドを御覧ください。こちらは第12回アドバイザリーボードという厚生労働省の会議体に出された資料であります。真ん中の赤い囲みの中を御覧いただきますと、新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、重症化する人の割合や死亡する人の割合は年齢によって異なり、高齢者は高く、若者は低い傾向にあるということが書かれております。
次のスライドを御覧ください。赤い四角の中を同じように御覧いただきますと、新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患のある方ということで、30代と比較した場合の各年代の重症化率という表を御覧いただくと、30代を1とした場合、50歳代、60歳代といった辺りからの重症化率が10倍、20倍という形で上昇するということが記載されております。
1枚進んでいただきまして、新型コロナウイルス感染症のリスクについての国内の知見でございます。国立国際医療研究センターが主導してレジストリ研究が進められておりまして、新型コロナウイルス感染症で入院した国内の症例を対象に、様々な基礎疾患についてのリスクが評価されております。御覧いただきますと、60歳以上の方は、60歳未満の方と比較して、押し並べて死亡リスクが高いという評価結果が得られております。また、各年齢群の中で、基礎疾患のある方は基礎疾患のない方と比較して死亡のリスクが高かったという結果になっております。
1枚進んでいただきまして、2009年の新型インフルエンザが流行した当時の対応についてでございます。2009年の新型インフルエンザワクチン接種においては、優先接種の対象とする基礎疾患の基準について手引きを示しております。これは参考資料のほうに付けておりますので、御参照いただければと思います。優先接種の対象とする基礎疾患については、1から9まで疾患が挙げられております。
1枚進んでいただきまして、右下に18と書いてあるスライドです。想定されるワクチン接種の運用と接種順位についてということで、こちらが資料1の中で御検討いただきたいことになります。医学的な知見として、これまで見てまいりましたように、新型コロナウイルス感染症の重症化・死亡のリスク因子として年齢と基礎疾患が報告されておりますが、特に年齢が大きく影響しているということが見て取れたかと思います。
それから、※印を御覧ください。接種の実務の面から見ますと、年齢に着目して高齢者から接種券を配布するということは、実施主体である市町村の実務としては可能なのですが、市町村は基礎疾患の情報を把握しておりませんので、基礎疾患のある方に接種するためには、全年齢の対象者に接種券を送付する必要が生じます。ですので、高齢者から先に接種券を配布して接種を始める方が、実務的にも実施しやすいというように考えられます。
こういったことを踏まえまして、検討事項を3つ挙げております。まず、高齢者、基礎疾患の接種順位についてどう考えるかということで、リスクの差の大きさ等を踏まえて、高齢者と基礎疾患を有する方の相体的な接種順位は、まず一定の年齢以上の高齢者が接種を受け、一定の年齢未満で基礎疾患を有する方がそれに続くということが考えられるのではないかという御提案でございます。
2つ目ですが、高齢者、基礎疾患の範囲についてどう考えるかですが、これは次の資料2のほうで今後の検討の進め方を御議論いただきたいと思っております。
3つ目ですが、ワクチンの供給量・時期によって、高齢者や一般成人・若年者の接種順位を更に細分化する必要がある場合には、何に着目して細分化することが考えられるか。高齢者、一般成人・若年者のそれぞれのうちでも、年齢によるリスクの差が大きいことから、より高い年齢の者から先に接種することについてどう考えるかといったことについて御審議いただきたいと考えております。
その下の図は、重症化リスクの大きさと接種券配布の実務を踏まえて考えられる接種順位についての大まかなイメージを記載したものでございます。
1枚進んでいただきまして、今度は妊婦への接種に関してでございます。妊婦であることが新型コロナウイルス感染症の重症化リスクとなるかについては、現在徐々に明らかになってきております。一方で、現在行われているワクチンの臨床試験においては、妊婦は対象から除外されておりますので、妊婦に対するワクチンの安全性、有効性は現時点では明らかではありません。
左側半分が、診療の手引き第3版における妊婦の重症化リスクに関しての記載を抜粋したものでありますけれども、妊婦とCOVID-19の重症化との関連は現時点でははっきりしていないという記載となっております。
右側、米国CDCの文章の仮訳ですが、10月27日の時点では「妊娠中の人は、妊娠していない人と比較して、COVID-19による重篤な病気のリスクが高いかもしれない」というような記載でございました。それが、11月5日時点で同じWebサイトを見ますと、記載が変更されておりまして、「COVID-19による重篤な病気のリスクが高くなる」というような形で、より断定的な記載となっておりました。
こういったことがございますけれども、検討事項としては、妊婦の接種順位の位置付けについて、少なくとも現時点では、基礎疾患を有する方と同じように、接種順位の上位に位置付ける積極的な知見はないのではないかということ、それから、関連学会からの意見や接種時点までに得られる知見を踏まえて、妊婦への接種について最終的に決めることとしてはどうかということを御提案させていただいております。
そこから先は参考資料でございまして、臨時国会に提出しております予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案についてですとか、10月2日の予防接種・ワクチン分科会で御議論を頂いた際の接種の実施体制の資料、そのほかワクチン開発の進捗状況をまとめたものなどをお付けしておりますので、御参照いただければと思います。事務局からは以上です。
○脇田部会長 それでは今、説明がありました新型コロナウイルスのワクチンの接種順位についてですが、まず最初にワクチンの開発状況について説明していただいて、その後、安全性、有効性の考え方、最後にワクチンの接種順位についてという御説明がありました。それで、主には18ページの検討事項ということでして、ここで高齢者、それから基礎疾患のある人の接種順位をどう考えるかということですが、高齢者、基礎疾患の範囲については、資料2でこの後議論したいと思います。
それでは、皆さんから御意見を頂きます。今日は、大曲先生と横山先生に参考人として来ていただいておりますので、適宜、御意見を言っていただきまして、また、委員の皆さんから質問があれば聞かせていただくということで、よろしくお願いいたします。では、池田先生、どうぞ。
○池田委員 池田でございます。1点質問と、1点意見を述べさせていただきます。右下の番号の9ページです。接種目的とありまして、新型コロナウイルス感染症対策分科会でまとめられた接種目的、「新型コロナウイルス感染症による死亡者や重症者の発生をできる限り減らし」ということについては賛同致します。その上で、接種順位について既に高齢者、基礎疾患を有する者と、この分科会のほうでも議論されているということですが、ここで言っている高齢者というのは、いわゆる一般的な高齢者の定義である65歳ということが既にこの分科会の前に決められているのか、あるいはその年齢についても本日の会議で議論をすべきところなのかというのが1点目の質問です。
というのは、右下のページ番号14、15ページなどを見ますと、日本で示されている、少なくとも今日示されているデータというのは、60歳以上とか50歳以上とか、10歳刻みでデータが示されていて、このデータを後ほど専門家の先生方にいろいろ御指導いただけると思いますが、これを見る限り60歳代あるいは50歳代以上も重症化のリスクとしては大きいようにも見えるので、65ということが既に定められたそれより上ということなのか、それとも、60代とか50代まで範囲を、高齢者という言葉は適切ではないにしても、そういった年齢の区切りを考えることもやってよろしいのかどうか。新型コロナウイルス感染症対策分科会で、どこまでのことが決定されているのか、決定事項なのかということを教えてください。それが質問です。
意見ですが、先ほど、どういう対象者を優先的に接種するかというときに、7ページで、リスクと有効性というこの2点で評価するということで、これも賛同するところですけれども、その中に重症化予防等ということで書かれているわけですが、費用対効果とか、医療経済といったようなことを専門にやっているものですから、その観点からいくと、例えば10万人の方に接種したうち重症者を何人減らせるかということが、多分先ほどの接種目的にもあった、そういう目標になるのではないかと思います。そうなりますと、今回示されている重症化の割合とか、死亡の割合というのは、診断された人のうち重症化する方、診断された人のうち死亡する方なので、本来見るべきものは、まず各年齢でどのぐらいの方が診断されるのかということ、つまり発症なのか、感染なのかというのはありますけれども、その率と、それに対して、どのくらいの方が重症化するのか、死亡するかという割合と、それに対して、年齢ごとにワクチンがどのくらい有効なのかという、その3つの掛け算になるのだと思うのです。
ですので、もちろんワクチンはこれから開発されて、臨床試験の結果などが出てくる中で、各年代ごとの有効率などはきっとそこで示されると思いますが、まずは日本においてどういう年代の方が感染しやすいのか、あるいは診断をされているのかという、多分そちらのほうも含めて接種すべき対象者を決めるのが、既に決められた接種目的という「死亡者や重症者の発生をできる限り減らし」というところに合致するのではないかということで、意見を述べさせていただきました。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。
○白井委員 8ページに分科会の意見が出ているのですが、実際に接種を始めてからというか、始める前に、もちろん安全性、有効性については薬事承認が行われた後ということになっているのですが、実際に市販後にも多くの人々への接種が開始された後に、初めて明らかになる安全性への課題も想定されるということについては、その接種された方々に市販後に調査を行うということが重要になってくると思うのです。その場合にも今回、高齢者の方を優先するということになると、そういう方々にも調査を依頼して、協力いただくということが必要だというか、その前提でやることもお伝えする必要があるのではないかと思いました。
高齢者と同時にというか、並行して医療従事者とかの接種も言われていると思いますが、それについても、やはり市販後の調査を含んだ優先順位だということが現実的なのではないかと思いますので、そういうような意味での優先順位をどう考えるかということも議論になるかと思いました。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。それでは、私からも少し述べさせていただきます。中年齢層というか、18~55歳ぐらいの知見が多いわけですけれども、高齢者のデータが本当にそろわないと高齢者には打たないのかということです。例えば今、モデルナ社のものが先行していますから、そちらについて高齢者のデータがきちんと出てくるまで、接種はしないのかどうなのかということをお聞きしたいと思います。
それから、ADE等のある程度時間が掛からないと分からないようなものというのは、やはり今の市販後の調査でしっかりと見ていくべきではないかと考えていますということは、一応申し上げておきたいと思います。
今の池田先生、白井先生から御意見と御質問について、事務局からありましたら、お願いします。
○大島予防接種室長補佐 事務局でございます。池田委員から御質問がありました高齢者のことに関して、具体的な年齢が新型コロナウイルス感染症対策分科会のほうで何か決められているのかということですが、これに関しては、何歳をもって高齢者とするということは現時点では決まっていない状況です。
先ほど、池田委員から御指摘もあったように、アドバイザリーボードの資料とか、その他いろいろな国内外の知見を踏まえますと、重症化のリスク、死亡のリスクというものが、明確に何歳以上で急に重症化率、死亡率が上がるということではなくて、年齢を重ねるに従ってグラデーションのような形で上昇していくということがありますので、なかなか年齢を定めるのはサイエンスの観点からは難しいところがあろうかと事務局としては考えております。
ただ、一方で接種を実際に行う実務の面から考えますと、何らかの形でこの検討事項の18ページのスライドにも書きましたように、実務の面から見ると、やはりある一定の年齢以上の方が先に接種を受けて、それ以外の方がそれに続くというような実務がスムーズなのではないかと、事務局としては考えているところです。
○林予防接種室長 市販後調査の対象は、これから検討することになるかと思います。早い優先順位の方を中心に調査をしていくことがどうしても必要だと思いますが、こういった接種の優先順位が固まっていくにつれ、またそうした調査の対象についても決めていくことになると思います。
あと、高齢者のデータが出てくるまで接種をしないかどうかということもありましたが、これも薬事当局のほうで、その時点での最新の知見を基に、どういった範囲で承認をするかということを決めることになると思いますので、その前提に立った上で、その後どういう接種の優先順位にしていくかということになるかと思いますが、ここでは、承認されたワクチンが確保できたときに、どういう優先順位にするかという観点から御議論いただけたらと思います。
○脇田部会長 私のほうからもう一点、こういうふうに段階を踏んで優先順位をもって接種をしていくというオペレーションを想定しているわけですが、一方で、かなり大量のワクチンを一気に入れて、短い期間に接種を行うということは想定されているというように伺ってますので、そうしたかなり集団的な接種をしなくてはならないような状況で、こうした段階的な接種というものが、実際には本当にオペレーション上、可能と想定しているのか、それともかなり広い範囲の住民に集団的な接種を行う必要があるというように考えられているのか、それはあくまでこういった優先順位をもって行うというのが優先されるのか、そこはどうお考えなのでしょうか。
○林予防接種室長 ありがとうございます。今回、供給量としては相当な大きな量を確保するように努力しておりますので、おっしゃるように相当なボリュームで入ってくるということを目指しております。とはいえ、全人口に対して一気にどうぞというようになると、いくら大量とはいえ、1か月当たり何千万とか、そういう量で入ってきたときに、やはり一定の優先順位付けがないと接種していくことがなかなか難しいと思います。そこのトレードオフだと思いますし、入ってくる供給量の大きさというのがはっきりと決まっていない段階では、1か月分が何千万人になるのかというようなことをはっきり決めてお示しするのはなかなか難しいのですけれども、そういった中でも、どういう考え方で順番付けをしていくかということについて御議論いただきたいという趣旨です。
少なくとも全人口一気にということは難しいと思いますので、高齢者とか基礎疾患を有する方というようなことで、これは分科会のほうで御議論いただいておりますし、ここでは更にそれを細分化しなければいけないときに、何に着目するかということを併せてお諮りさせていただいておりますけれども、基本的には先生がおっしゃるように、接種体制の上からは、できるだけ単純で、大くくりのほうがやりやすい、そういう中で必要な場合にどういう細分化をするかということを、両にらみで考え方を御議論いただきたいというものです。
○脇田部会長 はい、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。市町村としては、コロナワクチンの接種主体ということになったときに、1つのお願いは、簡便な方法でお願いしたいということです。というのは、確かに基礎疾患を細かくジャンルで分けてやるというのは1つの方法かもしれませんけれども、先ほどおっしゃっていましたが、市町村側には基礎疾患の患者さんの情報というのは持っていないという状況の中で、それをかかりつけの先生に全部任せてしまうのかということになります。そうすると今度はかかりつけの先生への問合せとかが増えて、多分パンクしてしまうだろうということです。基礎疾患のきめの細かい分類をするというのは、確かに1つの考え方と思いますが、もっと簡単な方法で、言ってしまうと、基礎疾患を自己申告にしてしまってはいかがでしょうか。少なくとも、その接種する際にかかりつけの先生とどういう病気に接種が必要かの簡単な相談をするぐらいな形でやれば、市町村の負担もかなり減るのではないかというところです。きめの細かさと、簡便さというところのバランスをしっかり考えてやっていただきたいというお願いです。
○脇田部会長 ありがとうございました。年齢のほうは、かなり分かりやすいわけですが、基礎疾患は情報が非常に取りにくいところでありますので、そこの部分をなるべく簡便に把握するような方法を考えてほしいといったお願いです。
○宮入委員 成育医療センターの宮入です。予防接種を行っていく上での律速段階がどこにあるかということが明らかになると、進める上での段取りを考えやすいのではないかと思いました。
今回、インフルエンザに関しても、優先順位に基づいて実施されました。実際に小児科医の所では高齢者に接種することはなくて、接種をする準備はできていたけれども待たなければならず、2回接種しなければいけない子供の接種が遅れることがあったと思います。実施には供給量のバランスとか、周知をすること、クーポン券を配付するといった、いろいろなステップがあると思いますが、何が律速段階になるかを明らかにすると、優先順位の付け方も分かりやすいのではないかと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。ほかにありますか。
○磯部委員 磯部でございます。先ほどの坂元先生の御意見、現場での簡便さということとも少し関わるのですが、改めてこの優先接種の、優先の意味合いということの確認です。17ページの2009年の新型インフルエンザのときの手引きというのは、いずれにしても疾患等が挙がっていて、この基準を参考に、この診療に当たっている医師が適切に判断するということで、医学的な判断に最後は委ねるという方法で、その意味では判断主体、最終判断はプロフェッションに委ねるという、分かりやすい制度設計だったのだろうと思います。また、今年の季節性インフルについては、優先接種を呼び掛けたというだけで、その上で、現場でどうしても欲しい、やってくださいといったときに、最終的にどうするかはお医者さんの判断だったのかなと想像するのです。
今回、この18ページですが、クーポンを配布するということになっているわけですね。このクーポンの持つ意味ということですが、もともとクーポンは要らない医療従事者等については、果たしてどの範囲なのかとか、本人の同意の任意性をどう確保するかという論点は別途あるとして、クーポンを配布した場合、これもまずは年齢で区切るというのは政策的には合理的だと、本当にそのとおりだと思います。ただ、今回は、国が買い上げて確保したものであるから、クーポンがないから自費でもいいけれども受けたいという人がいたときでも、そのような人は拒否しなければならない、接種は受けられないということなのか、それでもなお、接種できる可能性があるのかという、どのぐらい強面に優先接種というのをやるのかということが問われるのではないかと思うのです。場合によっては、医療へのアクセスとか医療従事者のプロフェッションの判断を、クーポンの有無ということで制約するということになるというところまで踏み込むおつもりでいらっしゃるのかということの確認です。
○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、事務局から、今の宮入先生と磯部先生の御意見に対して何かありますか。
○林予防接種室長 まず、接種のどこが律速段階になるかということに関して、確実なことを申し上げることは難しいと思いますが、少なくとも供給量に関しては、一遍に1億2,000万人分が、ある1か月に来るということはないですから、今のインフルエンザワクチンでもそうかも分かりませんけれども、1つのボトルネックというか、一気にできない事情の1つになると思います。
接種の体制もおっしゃるように、大量の接種の体制を構築するのは難しいと思いますので、それはそれで限界があるということで、どちらのほうが、より制約が強いかということまでは分かりませんけれども、どちらも制約があるという前提になると思います。
それから、この優先順位以外の方が自費で接種できるかということに関してですが、今そういうことができるようなことにはならないと見込んでおります。今回のワクチンは市場に流通させるものではなくて、国が買い上げるというか、確保して、これを医療現場に配布し、接種していただくものでして、公的な接種に使っていただくことを条件として配布をすることになると思いますので、それを現場で転売するようなことは想定していないということです。
○脇田部会長 私から1点確認したいのですが、今、1億2,000万人とおっしゃったのですけれども、現状のワクチンの治験は、ほぼ18歳以上のものしか進んでいなくて、つまり18歳以下か未満なのかはあれですけれども、小児とか若者に関しては、直ちに接種の対象とはならないという考えでいいのでしょうか。
○大島予防接種室長補佐 事務局です。ワクチンの接種の対象となる年齢がどういった範囲になるかということは、今、行われております臨床試験の結果等を踏まえて、薬事当局のほうで検討して、それを踏まえての薬事承認になろうかと思います。ですので、実際に広く接種する場合に、どういった年齢の方を対象にするかについても、そういった薬事承認といったところを踏まえて検討する形になろうかと思います。
○脇田部会長 分かりました。そうすると、18歳以下あるいは妊婦に関しての臨床試験というのが、余り今、行われていないということですので、薬事承認のところを見て、それで進めるということと理解しました。伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 今回のインフルエンザワクチンのときに、高齢者を10月に優先接種して、それから一般の人にというのは大変うまく動いたのではないかと思っていて、そういう意味では、日本の国民の人たちには、よく理解していただけるのではないかと思っています。このワクチンの律速段階を考えたときに、医療関係の人に聞くと、新しいモダリティのワクチンは本当に大丈夫なのかという不安が強くて、積極的に打ちたいという人がそれほど多くない、たかだか2割ぐらいとか、という調査をされた方もいると聞いています。そういう意味で、安全性の情報とか有効性の情報の欠如が一番大きな律速段階ではないかと思うのです。
もう1つは、ワクチンの効果を見る限り、発熱の頻度とか有害事象の頻度が、インフルエンザのワクチンに比べて明らかに高くて、集団で、例えば1つの医療機関全員に打つということは、多分難しいワクチンではないかと思っています。そういう意味で、2009年のときも外国から輸入したワクチンがほとんど使われないままに廃棄されたということもあるので、そのバランスを取りながらうまくやっていくことを考えるしかないのかと思います。
基礎疾患のある方についての捕捉が難しいというのは十分理解できるところなので、例えば医療機関にクーポンの申込書を置いておいて、自ら書いていただいて、自治体に提出してというような、少し工夫をすれば楽になるのではと考えておりました。以上です。
○脇田部会長 釜萢先生、どうぞ。
○釜萢委員 釜萢です。今、皆様からいろいろな御意見が出まして、私も基本的には大体同意見ですが、現時点で新型コロナのワクチンについて、まだ詳らかでない部分が非常に多いので、今の時点で、余り詳細まできちんと決めるというのは難しいだろうと思います。現時点における大きな方向性として、接種の優先順位をどう考えるかは打ち出せるように感じます。一方、実際の運用に当たっては、接種の対象年齢をはじめ薬事承認になる段階まで分からないことがあると思いますので、いろいろな情報が出てきたところで、また修正をしていく必要があります。今、準備すべきことは大きな全体の流れであろうと思います。
接種対象年齢については、先ほど大島室長補佐から話がありましたけれども、医学的に判断できる明確なエビデンスは無く、何歳で切るか難しいというのは、そのとおりだと思います。
一方で、予防接種法におけるインフルエンザ定期予防接種の対象年齢が65歳からとなっており、65歳以上を高齢者として接種の対象にするというのが1つの考え方ではないかと思います。
基礎疾患については、17ページに一覧が出ておりますが、新型インフルエンザは私も記憶に非常に鮮明でありますが、接種現場としては基礎疾患の点は非常に扱いがやっかいでした。なかなかそう簡単ではありません。したがって、先ほど坂元先生からも御指摘があったように、あらかじめかかりつけの医師と患者さんの間で接種についての話をして、また伊藤先生からもお話があったように、具体的なやり方については、今後また検討するとして、基本的に御本人が基礎疾患があるということを行政、自治体に申請して、予診票あるいはクーポンの発行を求めるという形で整理をしていくのが一番現実的ではないかと感じました。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はいかがですか。
○多屋委員 18ページ目の優先順位の表の中で、医療従事者等が一番最初に接種する順番になっているのですが、高齢者の方とか基礎疾患を有する人、もちろんそこには子供も含まれるのですが、そういう方々がいらっしゃる高齢者福祉施設とか福祉施設の職員については、医療従事者等の中に含まれると考えてよろしいのでしょうか。
○大島予防接種室長補佐 まず、伊藤先生から御指摘いただきました医療関係者の間で打ちたくないという人が、かなり多いのではないかといったことですとか、あるいは安全性に関して、従来のワクチンよりも有害事象の発現が多いのではないかということについてですが、この辺りに関しては、ワクチンの有効性、安全性に関する情報について、国のほうからしっかりと発信をして、実際接種を受けていただく方々と、しっかりとしたコミュニケーションを取っていくということが重要だろうと考えておりますので、そちらのほうはしっかりとやっていきたいと考えているところです。
釜萢先生からありました、今まだワクチンが開発中の段階だということがありますので、これは資料2のほうでまた御審議いただきたいと思いますが、今の時点では、2009年の新型インフルエンザの手引きのような非常に細かい基準を定めるということではなくて、あくまでも現時点で考えられる基礎疾患の範囲ということを、最終的に現時点ではまとめることができればと事務局としては考えております。
多屋委員からありました高齢者施設の従事者が医療従事者の中に含まれるのかどうかということですが、その点に関しては、右下に9と書いてあるスライドを御覧ください。中間とりまとめに関してです。先ほど説明を飛ばしてしまったのですが、接種順位の(2)で、高齢者及び基礎疾患を有する方や障害を有する方が集団で居住する施設等で従事する方の接種順位について、業務やワクチンの特性等を踏まえて検討するということにされておりまして、右下に10と書いてあるスライドの今後の検討体制を御覧いただきますと、(2)に関係する検討については、新型コロナウイルス感染症対策分科会のほうで、引き続き議論をしていくという形で整理されております。
○脇田部会長 それでは、一通り御意見を頂きましたけれども、よろしいでしょうか。では、引き続き資料2のほうも事務局から説明していただき、また議論したいと思います。それでは、事務局、お願いします。
○大島予防接種室長補佐 事務局です。資料2の「今後の進め方について」を御覧ください。今後の進め方の案でございます。現状としましては、現時点で新型コロナウイルス感染症の重症化のリスク因子等に関する知見について様々なものが報告されておりますが、患者数の多い疾患などに限られているかというように考えております。また、ワクチンが開発中であることから、ワクチンの安全性、有効性等の知見が限られており、実際に接種されるワクチンが決まっていない現状がございます。
そういったことを踏まえて、今後の進め方についての案をお示ししております。まず、1点目ですが、高齢者・基礎疾患の範囲についての検討には医学的な専門性が必要であることから、検討の参考とするために、関連学会に意見を求めることとしてはどうかという御提案です。それから、接種されるワクチンが明らかになっていない段階では、検討の時点で考えられる高齢者及び基礎疾患を有する方の範囲を本部会として示すこととしてはどうかということ、患者数の少ない疾患が、新型コロナウイルスに感染した症例数が少ないために、エビデンスがないという理由だけで範囲から漏れてしまわないように配慮する必要があるのではないかということ、そして接種されるワクチンが明らかになり、安全性、有効性に関する国内外のデータ及びワクチンの供給量等について、追加の情報が得られた際に、必要があれば基礎疾患の範囲を見直すこととしてはどうかと御提案させていただいております。
次のスライドを御覧ください。関連学会への依頼についての案です。意見を求める関連学会といたしましては、2009年の新型インフルエンザの対応を参考に、こちらに記載しております学会に意見を求めてはどうかということを御提案させていただいております。また、関連学会に依頼する検討の内容といたしましては、今般の新型コロナウイルスワクチン接種の接種順位の上位に位置付けるべきと考えられる基礎疾患を持つ方の範囲について、医学的な観点から検討し意見を求めることを依頼してはどうかと御提案させていただいております。御審議のほど、お願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、資料1と2の両方を含めて、御意見、御質問等があればお願いしたいと思います。坂元委員、お願いします。
○坂元委員 基礎疾患に関して、こういう専門学会に依頼するというのはいいことだと思います。そこで、1つお願いとして、専門家の先生が、余り一般の人が見ても分からないようなものを出してくると、市町村として、それをどうやって市民に伝えていいかという問題があります。専門家にお願いの1つとして、一般の人にも説明して分かりやすいような、いわゆる基礎疾患というものの判断基準をお願いしてほしいということです。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。
○白井委員 白井です。この中で、先ほど妊婦さんの話がありました。産婦人科学会にも意見を求めるようなことになっていますが、妊婦さんを優先するかどうかということだけではなく、この妊娠期においてワクチンについてどういうふうに考えるかということを、一般論になるかもしれませんが、逆に排除というか、妊婦さんだからやめておこうという話にならないのかという逆の方向も検討していただく必要があるかなと思いました。
例えば、優先するか、ある程度配慮が必要だという場合には、胎児に影響があるのかとか、あとは御本人については妊娠週数にもよると思いますが、一定少し肥満体になるような状況もありますし、妊娠高血圧や妊娠糖尿病というようなリスクも高まります。肺容量も少なくなるといった時期もありますから、そういうことも含めて意見を頂くことができたらなと思います。産婦人科学会全般というよりも、この中に産婦人科感染症学会というものもできていると聞いたのですが、このコロナウイルス感染症の初期にも意見を出していただいた学会なので、そういう所にも意見を求めてもいいのではないかなと思います。よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございます。今、坂元委員と白井委員からの御意見がありましたので、そこは事務局で勘案していただき、関連する学会にそのように周知していただければと思います。中山委員、どうぞ。
○中山委員 このワクチンは、国民の期待も非常に大きいものですが、何しろ新しいワクチンなので、やはり副反応については、あらかじめ早いうちから対応を考えていたほうがいいと思います。
疾病認定審査会で普通の定期接種のワクチンの被害救済については対応していると思いますが、あの審査会では、扱っている定期接種のワクチンはそれぞれに長い歴史があるものが多くて、これはこのワクチンの副反応として妥当だというような、一定の基準にしたがって審査がなされているわけですが、こういう新しいワクチンの場合は、そのような基準を作るのがなかなか難しいと思うので、早いうちに枠組というか、どういうふうに被害救済をやっていくのかということも、あらかじめ考えていたほうがいいと思います。以上、意見です。
○脇田部会長 ありがとうございます。当然、かなり多くの人に同時に接種されますから、そうすると様々な事症が、もちろん副反応としてだけではなく、いろいろなことが起こり得るということですので、対応については、注意をして準備をしていく必要があるということだと思います。よろしくお願いいたします。
ここで、今日は参考人の先生方に来ていただいていますので、高齢者あるいは基礎疾患の範囲等について、何か御意見があれば伺っておきたいと思いますが、大曲先生、横山先生、順番に御意見を頂いてもよろしいでしょうか。
○大曲参考人 国際医療センターの大曲です。私は、フラットに言ったほうがいいと思います。どこまで申し上げていいか分からないところがありますが、私たちが今回レジストリで提示したデータに関しては、まずは予断を持たずに出したところはあります。要は、年齢が一番効いてきそうだというところは、海外の知見でもそうですし、今回我々が唯一解析したのは、年齢で層別化してデータを出したことだけなのですが、それで見ても、素朴に見ても、年齢がかなりリスクとして、重症化あるいは死亡のリスクが効いているというのは見えてきます。
ただ、実際に数字を見ていながら感じたのは、それ以上のところを言うには当然解析が必要でして、例えば多変量解析等が必要になるのですが、そこに関しては、やはり慎重であるべきだろうと思いました。というのも、特に資料2での議論で思いましたが、メジャーな誰でも思い付くような基礎疾患は、レジストリでも情報は登録されやすいのですが、希少疾患といったことに関しては恐らく漏れがちではなかろうかと思います。そこへの目配りは非常に必要だと思っています。
あとは、多変量解析するにも、それなりにやはり判断というのはどうしても入ってしまいますので、今回はそこが入らないようにということで、特に頻度の多い基礎疾患に関して出させていただいたところであります。私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。横山先生、お願いいたします。
○横山委員 接種の優先順位についてお話を伺いましたが、基礎疾患は高齢者に多いため、高齢者をまず対象にするというのに賛成します。
自体も高齢者に多い疾患が大変多くなっていまして、例えば慢性閉塞性肺疾患というのは、ほぼ65歳以上の人に起こる疾患です。3点申し上げたいのですが、1つ目は、このように基礎疾患は高齢者に多いということです。
2つ目は、先ほどもありましたが、医療従事者に接種する、あるいは妊婦の方に接種するという場合に、安全性それから有効性が極めて重要で、現在フェーズⅢが終わっていませんので、詳細には分からないわけですが、分かり次第広く周知していただくことが最も重要だなと思います。
3点目は、各学会に、基礎疾患で接種順位の上位に位置付けるべきものを問うときに、先ほどもありましたが、接種すべきでない人あるいは接種しても有効性が期待できない患者さんもいらっしゃると思いますので、そういうのも併せてお聞きするのもいいのではないかと思いました。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。宮入先生、どうぞ。
○宮入委員 先ほど、釜萢先生から話がありましたが、現段階では、今度できてくるワクチンがどのようなものかが分かっていない上での議論です。今まで出てきた優先順位について総論的には賛成なのですが、実際に第Ⅲ相試験の結果が得られて、承認されて、接種が開始されるまでには、どれぐらいの時間的な猶予があるのでしょうか。実態がわかってから詳細を詰めていく作業が可能なのか、あるいはそれよりもっと前に、ある程度詳細を詰めておかないと難しいのかということについては、何か分かりますでしょうか。
○脇田部会長 では、事務局お願いできますか。
○林予防接種室長 事務局です。まず、承認されるときに、一定の集団の方が承認から除外されるようなことになれば、それはこちらとしての判断の必要もなく、そこについては接種しないことになると思いますので、それについては余り検討を要しないことだと思います。
それ以外に、いろいろな情報が出されたときに、それは添付文書にこう書かれているとか、こういう方々については慎重にだとか、そういうことをどういうふうに反映させていくのかに関しては、物事の大きさに応じて検討の時間を取るべきだと思います。早く接種してほしいという要請と慎重に検討してほしいという要請を、バランスを取っていくということになろうかと思います。
ただ、そうは申し上げるものの、市町村の準備が必要なことに関しては、例えばクーポン券をどういう順番でお送りするよう準備をしておくか、何枚ぐらい印刷をしておくか、どういう名簿を作っておくのかといったことについては、一定の想定を立てた上で、あらかじめ準備をしておかないと進みませんので、この年齢を基にクーポン券を送る準備をしておいて、医学的なことについては、その範囲で早い接種をしていただく方に接種していただけるような仕組みとしてはどうかということを、イメージとして申し上げているわけです。そういった一定の想定を置きながら、そこで得られた情報に基づいて必要な修正をしていくというような順番になるのではないかと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 日本では、筋肉内注射をするワクチンは、それほど多く行われていないと思いますので、接種の仕方が誰にでも分かりやすいようなガイドラインを作ったほうがよいのではないかと思います。それから、接種後の健康状況調査を見ますと、接種局所の反応や痛みといったものが結構多く報告されているようなので、接種に際しての痛みや接種後の痛み、海外には痛みに対するガイドラインなども出ているようですので、そういうことへの対処方法なども、あらかじめ準備しておくとよいのではないかと思いますが、いかがですか。
○脇田部会長 事務局、今の多屋委員の御意見についていかがでしょうか。
○林予防接種室長 おっしゃることについて、検討していく必要があると私どもも思います。今日の論点と直接的にどうかということではありますが、受け止めた上で検討したいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。坂元委員、お願いします。
○坂元委員 基礎疾患なのですが、年齢の部分は、例えば65歳以上の高齢者と限ったときに、自治体が仮に接種券を65歳以上の方に発行して、それぞれの方に対して、例えばどこで受けてくださいというような、いわゆる混乱を起こさない配分の仕方がある程度可能だと思うのです。ですが、基礎疾患は、何度も申し上げますように、自治体側にはその情報がない中で、一体これがどれぐらいのワクチン数が要るかということと、非常に多くの方が一つの医療機関で接種する場合、混乱が起きるので、例えば基礎疾患のある方が自治体に何か返信ハガキを返送して、自分は基礎疾患ありでというようなことを市町村が歯明きできるシステムを考えないと、混乱が起きるのではないかというように思っております。ちょっとその把握の仕方を考えていきたいということをお願いしたいと思います。
それから、非常に細かいことで申し訳ないのですが、既に我々自治体には、国から、接種券のモデルはこういうもので、それから接種済証はこういうものですよと、ある程度の案みたいなものを送っていただいています。1つ、この場しかないので言わせていただきたいと思いますが、接種済証に関して、多くの市町村が、多分このコロナワクチンというのは、接種を受けた方が、例えば海外に行くとかいったことで証明を求められることが多くなるのではないかということです。接種済証は英文併記みたいな形でお願いできればと思います。市町村のほうに予防接種済証を英文で出してくれとかの依頼がありますが、そういうものの負担が減るのでということです。細かいお願いで申し訳ないのですが、そういう配慮もお願いいたしたいと思います。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。接種済証のほうは、英文でもやってほしいということです。
それから、範囲ですよね。年齢は、先ほど釜萢先生からもお話がありましたが、65歳というのは1つの考え方ではないかということは、論点としてはあると。ただ、基礎疾患のほうは、やはりこれを捉えるのはなかなか困難であるということなので、それをある程度分かりやすく、自治体、市町村がカウントができると言いますか、そういう仕組みを作ってもらえると助かるというお話だと思います。それは今後、学会にも基礎疾患の範囲をどうするかということはお伺いする、意見を求めるということですから、その上でということです。高齢者の範囲に関しては、学会に聞いてもなかなか、あれですよね。どちらかというと、この部会である程度意見を言うのかなという気もします。
皆さん、先ほど釜萢先生からは65歳という話がありましたが、大体今日のところは、そのぐらいの御意見があったところでよろしいですか。はっきりと今、定めるということではないと思いますが。御意見がございましたらお願いしたいと思います。
○釜萢委員 これも2009年のときのことを振り返りますと、やはり優先して早く接種しなければいけないということで、医療従事者が対象になりましたが、医療従事者の範囲をどうするかというところがとても問題になったのです。例えば、医療機関の受付の人は対象になっていなかったし、それから調剤薬局薬剤師さんも対象になっていなかったのです。ですから、そこで少し混乱があったことを思い出します。
それから、先ほど多屋先生からも御指摘がありましたが、特に高齢者が重症になる病気であることから、高齢者の施設の従事者に対する接種については、今回はかなり優先順位が高いように感じます。その辺りのところを丁寧に考えていく必要がありまして、先ほど林予防接種室長さんからお話があったように、供給されるワクチンが最初にどのくらい入ってくるかというところもやはり制限がある中で、全国民の分が一斉に、全部一時期に調達できるわけではないですから、その辺りは今から可能性についていろいろ考えて、準備をしておくというわけです。
先ほども申しまして、繰り返しになりますが、現時点ではまだ情報が不十分ですが、その中でできることについて想像を加えながら、こういう場合の想定はどうしたらいいかということもいろいろなパターンを考えながら、できるところを準備しておくことが必要だろうと思います。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。医療従事者の範囲をどう考えておくかというお話ですね。病院等でのコメディカルの方々の範囲をどう設定するかということと、それから高齢者施設の従事者は、今回のコロナの高齢者における重症化率、死亡率が高いことを考えると、高齢者施設の従事者の優先度も高いのではないかと。これは、先ほどコロナ分科会の検討事項だというお話が事務局からありましたが、釜萢先生は分科会の委員でもありますので、またそちらでも意見を言っていただければと思います。その点について、事務局、何かございますか。局長、お願いいたします。
○正林健康局長 健康局長です。その点については、コロナ分科会で議論をしていただきますので、それでいいかなと思っていますが、全体を通じてコメントをしたいと思います。
2009年のときに、正に中心になってこのワクチンを進めましたので、あのときを振り返ると、ちょうど2009年10月19日から接種がスタートしました。その何週間か何箇月前か忘れましたが、製造メーカーから10月19日から最初のロットがスタートします、最初のロットは何人分ですといった、自分の記憶では、確か100万人分とか、そんな単位だったと思いますが、次の次の週あるいは次の週で200万人になるとか、一応製造メーカーからスケジュールを、大体いつ頃に何人分出るというのを事前に教えてもらいました。それは、製造メーカーがそれなりに生産ラインを組んで大体計画的に進めますので、その段階でいつ頃何人分というのが分かります。それを参考にしながらだったと思いますが、最初は医療従事者からスタートして、それは10月19日からそうしました。ただ、あのときは、とにかく最初は100万人分しか来ないと、当時医療従事者は全部で200万人いると言われていましたので、ちょっと厳格にやらないと混乱を生じるかなということで、受付の人は御遠慮いただくかとか、いろいろなことを議論したように記憶します。
今回は、果たしてどうなるか、まだ今の段階で全く分かりません。もう少し、時期が近付けば、より詳細なデータを頂いて、もう少し具体的な計画が作れるかなと思います。
申し上げたいことは、2009年の翌年、2010年に総括会議といって、いわゆる反省会みたいなことをやっています。そのときに盛んに出た御意見は、もう少し柔軟性を持って、これは対応全体に言えたことなのですが、柔軟性を持って対応したほうがいいのではないかという御意見を、総括会議の先生方から頂きました。
このワクチンの接種の順位も同じなのですが、余りにも厳格にやり過ぎると、実はもうその順番は終わっていて、本当は次のグループに移ってもいいのに、何日までは移ってはいけないのかなという、かなり頑なな、こちらはそこまで想定していなかったのですが、現場は想定してしまったので、結果としてワクチンが余りがちだったりとか、あるいはある程度は医療従事者の判断で多少順番を変えるとか、その辺は恐らく現場で柔軟にやっていただいてもよかったのではないかと思うのですが、それを許さない世論があったりとか、なかなか現場は相当その辺では混乱したかと思います。もう少し、最終的にある程度、医療従事者、接種をする人の判断に多少委ねる部分があってもいいのではなかったかというのが、当時の総括会議のまとめでしたので、その辺は今後の計画を作る上で大いに参考になるかなと思っています。
先ほど、伊藤先生から外国のワクチンが結果的にほとんど使われなかったとありましたが、あのときはピークが11月から12月でして、ピークを過ぎたら、一気に新型インフルエンザに対する国民の関心が冷めてしまって、実は国内ワクチンも、もう相当余り打っていただけませんでした。もう12月半ば過ぎぐらいからワクチンを打つ人がほとんどいなくなってしまって、海外ワクチンは年を明けてからのスタートでしたので、したがって打つ方が余りいらっしゃらなかった結果でした。必ずしも、海外ワクチンは忌み嫌ってというわけではなかったと思います。
それから、基礎疾患を有する方について、今回こうして学会の方にお願いしようとも思っています。前回、2009年のときも同じようにやりましたので。繰り返しですが、こういったまとめていただいたものを余り厳格にやってしまうと、かえって現場が混乱することがありがちなので、もちろんまとめたものがなければないで逆に困ってしまうと思うのですが、基礎疾患を有する人って一体誰のことだということになってしまうので、ある程度の目安はお示ししする必要があるかなと思って、今回も準備しようと思いますが、余り厳格にならないようにとは考えています。以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。正林局長も、インフルエンザのときの思い出がかなりあるということで、参考にしていただき進めていただくことだと思います。ちょっと時間も来ていますので、意見は大体よろしいですか。活発な御議論ありがとうございます。参考人の先生方にも御意見を頂きましたので、事務局においては、今日の議論を参考にしていただき接種の進め方を検討していただくことかと思います。
現時点では、高齢者、基礎疾患を有する人の接種順位ですね。それから高齢者、一般成人、若年者、これを細分化する場合の考え方について。それから、基礎疾患を持つ方の範囲については関連の学会に意見を求めるということで、先ほど正林局長からもお話がありましたが、この提案のとおりに進めていく方針を本部会としては了承したいと思いますが、よろしいですか。
                                     (了承)
○脇田部会長 ありがとうございます。それでは、本日頂いた意見を踏まえまして、事務局では関連学会へ意見を伺う手続を進めていただくということで、お願いしたいと思います。
それから、接種の運用について、引き続き様々なデータがこれから入ってくると思いますので、検討を進めていただきたいと思います。参考人の先生方には、お忙しいところこの議論に参加いただきありがとうございました。
それでは、次の議題2に移りたいと思います。予防接種施策の見直しについてです。昨年8月から施策の見直しに向けた提言をまとめることを目指して、この部会で議論を行ってきました。本日は、災害時等の対応についてです。昨年12月の第36回基本方針部会において、検討課題として一度議論をしたものになります。資料3を御覧ください。こちらについて、事務局から御説明をお願いします。
○林予防接種室長 資料3に基づいて御説明いたします。予防接種施策の見直しに関して、包括的な議論をお願いしてきておりました。まとめたいと思いまして、スケジュール感をお示ししておりましたが、どうしても新型コロナ対策でスケジュールが狂っております。まず、それについて申し訳なく思っております。その中でも、災害時等の対応については、いつまた何があるか分からないということもありますので、それは1つ踏み切らせていただいて、対応できないかということをお諮りさせていただくものです。
2ページ、定期接種の接種時期等についてです。表にあるような接種時期が定められておりますが、一方、長期にわたり療養を必要とする疾病にかかったことなどによりやむを得ず接種機会を逃した方については、例外規定として、下の赤い文字でありますが、快復時から2年間は定期接種できるという規定が、ワクチンに応じて設けられております。こういった規定は、長期にわたり療養を必要とする疾病にかかったことといった理由による場合に適用されるものでして、災害時等については、これが適用されるということにはなっていないところです。
3ページ、これまでどうしてきたかということです。東日本大震災のときは、まだ長期療養特例すらなかったときですが、政令と省令をそのときに改正して、接種期間の特例を設ける対応を取らせていただきました。この3月、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う対応として、3月頃、感染症への罹患のリスクが、予防接種を延期することによるリスクよりも高いと考えられる場合など、定期接種ができない相当な理由があると判断した場合には、長期療養特例に準じて取り扱ってよいということで、これはそういうような事務連絡で対応させていただきました。
現在、省令等の条文上どうなっているかということですが、4ページ、「長期にわたり療養を必要とする疾病で厚生労働省令に定めるものにかかったことその他の厚生労働省令で定める特別の事情がある」ときに、こうした特例が適用できることになっております。この特別な事情というのが、5ページですが、厚生労働省令に定められている内容で、赤い文字を見ていただければと思います。「前条に規定する疾病」、これは1つ上に書いてある長期に療養を必要とするような疾病ですが、こうした疾病にかかった場合や、3の「前2号に掲げるもののほか、医学的知見に基づきこれらに準ずると認められるもの」という、この3つが「特別な事情」に当たるということになっておりますので、長期の療養が必要である疾病や、あるいは医学的知見に基づいてこれらに準ずると認められる場合については、特別な事情として例外を適用をしうるという規定ぶりになっております。
6ページにまとめております。1つ目のマルは、今申し上げたことでして、「定期接種の接種時期については、予防接種法施行令において規定されているが、長期にわたり療養を必要とする疾病にかかったこと等によりやむを得ず接種機会を逃した者や、医学的知見に基づきこれらに準ずると認められた者については、接種年齢を超えても接種を行うことができる」とされています。医学的な理由以外ではこうした取扱いが想定されておらず、災害等に関しては、政省令の改正を必要としたということです。
御提案ですが、大規模災害等によりやむを得ず接種機会を逃した場合について、必要に応じ、迅速に対応を取れるようにしてはどうかということです。定期の予防接種の対象年齢を過ぎてしまった者については、一定期間は定期の予防接種を受けられることとする。また、一定の間隔をおいて、複数回接種が必要な接種について、予定どおりに接種を受けることができなくなった者について、期間を過ぎてしまっていても定期の予防接種とみなすことができることとする。このようなやむを得ない事情として、どういうものが想定されるかということですが、現時点で考えているのは、大規模災害とワクチン供給の大幅な不足でワクチンの接種が困難な場合も想定されるのではないかということです。こうした事情が生じた場合に、その規定に該当するかということを国が示すという前提で、こうした場合に迅速に対応できるようにあらかじめ規定してはどうかということが、今回の御提案です。御説明は以上です。
○脇田部会長 ただいま御説明を頂きましたが、主には6ページの現状と課題、それと対応案について御意見を頂ければと思いますが、いかがですか。
○坂元委員 このように災害とか、そういうものをあらかじめ明文化しておくというのは、市町村にとっても非常に有り難いところです。災害などが起きますと、国から大量に事務連絡が来て、この場合はこうですとか弾力的運用の事務連絡が来ますが、なかなか市町村もそれを全部読みこなして判断することが非常に難しい場合があります。あらかじめ今の災害の多い時代に、下にある薬剤師法のように、薬剤師は調剤薬局以外でも災害時には処方しても構わないということが、本法にきちんと記載されていますが、そこまではいかなくても、やはりこの時代、災害時を想定したものを法内に記載すべきだと思います。
○脇田部会長 御意見ありがとうございます。そのほか、いかがですか。
○多屋委員 今回の新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴って、小児の定期接種の実施状況が落ちているということは問題になっています。麻疹や風疹なども、未接種のまま対象年齢の1年間が終わっている人もいらっしゃいますので、今回の流行が災害時等の対応についてということに加味していただけるのは大変重要なことだと思いますので、是非よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございました。この大規模災害等の「等」というのは、そのときの状況に応じて国がその該当性を示すという形ということですので、今回の場合も、もちろん含まれるということですかね。
○林予防接種室長 今回の場合については、「医学的知見に基づきこれらに準ずると認められるもの」というところで読み込んでまして、既に3ページの一番下にある事務連絡を発出しておりますので、市町村の流行状況等によって状況は違ったかもしれませんが、3月の時点で接種が難しかったような所においては、この規定が適用されているという状況です。
○脇田部会長 分かりました。これは諸外国でも同様に、定期接種率は落ちているのですか。
○多屋委員 はい、海外でもかなり落ちておりまして、米国などでも非常に下がっているというのが、論文でも発表されています。日本でも同様の状況かと思われます。
○脇田部会長 ありがとうございます。そのほか、いかがですか。
○白井委員 災害のときに予防接種をどうするかというのは、市町村全体が機能できなくなったときには対応できなくなりますので、仕組みのほうはよく分からないのですが、予防接種法を変えるということか、そこに付加していただくのと、あと災害救助法の中で予防接種の費用についても対象とするということが連動するのか、そこの制度も併せていただければ、市町村としては有り難いなと思います。
○脇田部会長 事務局、いかがですか。
○林予防接種室長 災害救助法の適用になるかというのは、結論から言いますと、別の話となります。災害救助法の適用になりますと、市町村の事務であったものが都道府県の事務となり、また応急の医療として必要な費用を都道府県が負担することになるわけですが、そこについては今回の話とは違った話ということで御理解いただきたいと思います。
○白井委員 結果的にということで、そういうことができればということを想定していただければ、市町村全体が機能しないということがあり得ますので、お願いしたいと思います。
○脇田部会長 お願いということですね。
○林予防接種室長 分かりました。その事例に即して判断していく必要があると思います。適用したような事例としては、去年の長野県等での大規模な洪水の際に、インフルエンザの定期接種を災害救助法の適用対象としたということがあります。それは事例に応じて判断することになると思います。
○脇田部会長 そのほか、いかがですか。
○坂元委員 災害等というのを、本法のほうに入れて書いてしまうのか、それとも、政省令のほうで、接種期間が決まっているが、ただしどこかに、ここにある災害等の場合にはこの限りではないというものを入れるのか、今どちらをお考えになっているのかを教えていただければと思います。
○脇田部会長 事務局、いかがですか。
○林予防接種室長 ありがとうございます。想定しているのは、5ページにある予防接種法施行規則の第2条の6の「特別な事情」というところですが、ここの事情が、「医学的知見に基づきこれらに準ずると認められるもの」と限定されておりますので、ここに一部を追加するのか、何か方法は考えたいと思いますが、必要な理由を追記することによって対応できると考えております。
○脇田部会長 ありがとうございます。磯部委員、お願いします。
○磯部委員 先ほどの多屋委員の御質問に対するお答えについて、もう一度確認させてください。大規模災害やワクチン供給の大幅な不足等というのは、今回やむを得ない事情として例示されておりますが、今回のように、コロナウイルスが蔓延というので病院に行くのを控えたいというようなことから予防接種を控えてしまったという方について、お答えとしては、事務連絡で既に対応しているということでしたが、法律、政省令を改正した後は、その政省令の中で読み込めると、その事務連絡の内容はそちらに移行したということになるのか、どうなのかということを伺いたいのです。
○脇田部会長 お願いします。
○林予防接種室長 今回、事務連絡で対応したのは、5ページの「医学的知見に基づきこれらに準ずると認められるもの」という範囲で、今回の事象が読めるのではないかという解釈の下に事務連絡を出させていただいております。なぜかと言いますと、今回、3ページの一番下の書き方を見ていただけたらと思いますが、「接種のための受診による感染症への罹患のリスクが、予防接種を延期することによるリスクよりも高い」と市町村がお考えになったり、あるいは当事者の方がお考えになって、こういったことが起きたということで、それが「医学的知見に基づきこれらに準ずる」という範囲で読めるのではないかということで対応したものです。いろいろなことが起こりうるときに、それを医学的知見と考えるのか、災害に準ずるものと考えるのか、それについてはいろいろな解釈があり得ると思いますので、いろいろなことを想定して、対応が迅速に図れるように条文化することや、解釈をしていくことが必要だと思っております。
○脇田部会長 よろしいですか。
○磯部委員 はい、分かりました。
○脇田部会長 そのほか、いかがですか。おおむね、今まで委員の皆様からの御意見をおさらいしますと、この事務局案の形で進めていただくということで、よろしいのではないでしょうかということですので、これで進めていただくということでお願いしたいと思います。これまで、見直しに向けた提言をまとめることを目指して議論を行っておりますので、今後も引き続きこの部会で議論を進めていきたいと思います。委員の皆様、あるいはヒアリングで様々な参考人の方々から頂いた御意見等の論点を整理して、更に検討を行って提言をまとめていくということを目指しておりますので、また皆様、よろしくお願いいたします。
それでは、議題3、報告事項に移りたいと思います。資料4、「予防接種に関する間違いについて」を御覧ください。事務局から報告をお願いします。
○林予防接種室長 資料4をお願いします。これは毎年御報告させていただいているものです。予防接種に関する間違いについて、どんなものがあるか、どういった件数であったかといったことを御報告するものです。
資料の2ページを御覧ください。予防接種法第5条第1項の規定による予防接種の実施についての別添である定期接種実施要領において、市町村長は、定期接種の実施に際して生じた間違いを把握した場合、以下のとおり、都道府県を経由して厚生労働省に報告することになっております。昨年度の1年間に報告があったものとして、6,674件の報告がありました。延べ接種回数は4,500万件余りが報告されておりますので、10万回当たり14.6件余りということです。その内容については、健康被害が生じたものとして6件報告されましたが、いずれも発熱・接種部位の腫れといったものであり、重大な健康被害につながる間違いではなかったということです。
具体的に見ますと、3ページ、平成30年4月1日から平成31年3月31日までに発生した間違いということでして、多いものとしては、4番の接種間隔を間違えてしまった、あるいは3番の不必要な接種を行ってしまったといったものが多くなっております。
それぞれの累計ごとの主な典型的な事例について、4ページ以降にまとめております。1番の接種するワクチンの種類を間違えてしまった。いろいろなワクチンの間違いがあります。5ページ、対象者を誤認して接種してしまった。不必要な接種を行ってしまった。6ページ、接種間隔を間違えてしまった。接種量を間違えてしまった。7ページ、接種部位・投与方法を間違えてしまった。接種器具の扱いが適切でなかった。8ページ、接種器具の適切でない取扱いのうち、血液感染を起こしうるものとして、これは点線で挙げております。9ページ、期限の切れたワクチンを接種してしまった。不適切な保管をされていたワクチンを使用してしまった。10ページ、その他ということです。
こうした間違いは、どういった間違いが起きやすいのかということを把握する意味から、こういった調査をしております。また、こういったものをいかして、予防に取り組むことが重要だと考えておりまして、こうした事例も参考にしながら、研修等で注意喚起を図っていくことや、昨年度の御報告の際にお示ししたような「予防接種における間違いを防ぐために」というリーフレットを配布することで、間違いをできるだけ減らす取組を進めておりますし、これからもそういった取組をしていきたいと考えております。御報告は以上です。
○脇田部会長 ただいま説明していただいた内容について、御意見、御質問等があればお願いします。いかがですか。
○多屋委員 間違いの報告は1年に1回集計結果が報告されるのですが、非常によく似た報告が多くて、例えば3歳未満児への日本脳炎ワクチンが2倍量になったとか、B型肝炎ワクチンの0歳児への接種が2倍量になったとか、同じ間違いが多いので、接種医の先生ももちろん気を付けていらっしゃるのですが、例えば箱とかにもっと目立つように、何歳は何ccですというような、間違いを予防できるような手立ても考えたほうがよいのではないかと思います。製造メーカーさんにお願いしなければならない部分なので、可能かどうか分からないのですが、間違いが起こらないような予防方法も大事かなと思いました。
○脇田部会長 ありがとうございます。そのほかに、いかがですか。全体としては、間違いというものはどういうトレンドになっているのですか。年々減っているとか、あるいはもうほぼ同じぐらい発生しているとかというところはいかがですか。
○林予防接種室長 すみません、もう一度お願いできますか。
○脇田部会長 1年間の間違いの数の報告だと思いますが、これはトレンドとして増えているのか、それとも減ってきているのか、余り変わらないのか、そこはいかがですか。
○林予防接種室長 去年と比べますと、数としては減っておりますが、この間違い報告を始めてからの全体の傾向としては増える傾向にあったと承知しております。この数の大きさを減らしていくことが目標ではなくて、まずはきちんと間違いがあったものを報告していただくということ自体も目標と考えておりますので、この数が増えた、減ったということ自体を評価するような性格のものではないと考えております。
○脇田部会長 分かりました。
○伊藤委員 10月からワクチンの接種間隔、生ワクと不活化の接種間隔の制限がなくなっていると思うのですけども、間違いの中に随分それが入ってきていると思いますが、今後はどれぐらい減ることが予想されるのですか。
○林予防接種室長 私どもで予想することは難しいですのが、接種間隔を間違えたというものの中には、複数のワクチンの接種間隔が近過ぎたというもの、こうしたものはこれから間違いではなくなるということです。一方で、1つのワクチンの接種間隔を空け過ぎたとか、空けなさ過ぎたという場合は、これからもそこは間違いとして残ることになると思います。
○宮入委員 不必要な接種を行ってしまったという案件については、例えば母子手帳を持っていないような年齢の方とか、成人だとか、そういったところが含まれてくると思いますが、記録の電子化とか、そういったことをシステムでカバーするということがゆくゆくは必要だと思います。そちらについての今後の予定とか、お考えを頂ければと思います。
○林予防接種室長 記録の電子化については、各市町村で実際には相当程度進んでいて、予防接種台帳の電子的な記録というのを、ほとんどの市町村が保持しております。そして、それはマイナンバーと連携されていますので、マイナンバーカードとそのリーダーをお持ちであれば、少しタイムラグはあるので、先月、先々月の接種までは難しいと思いますが、かつて接種した内容について、そこから読み出すことは可能という基盤まではできてきております。あとは、今後そういったことがどう普及していくかといったこと、利便性を高めていくというような努力が必要になるかと思います。
○脇田部会長 よろしいですか。どうもありがとうございます。ほかにいかがですか。それでは、御意見がなければ、本日の議事は以上になります。事務局から、そのほか何かありますか。
○元村予防接種室長補佐 本日も活発に御議論いただきましてありがとうございました。次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。事務局からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。それでは、本日の会議はこれで終了させていただきます。今日も活発な御議論をありがとうございました。