第99回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和2年9月25日(金)13:00~15:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省職業安定局第1会議室)

議事

○阿部分科会長 それでは、ただいまから第99回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中御参集いただき、ありがとうございます。
本日の分科会も、Zoomによるオンラインでの開催となりますので、開催にあたり、改めて事務局から説明がありますのでよろしくお願いいたします。
○小林障害者雇用対策課長補佐 障害者雇用対策課長補佐の小林です。今月18日付けで着任しました。どうぞよろしくお願いいたします。本日は2回目のZoomによるオンライン会議で、改めて簡単に操作方法について御説明いたします。事前にお送りしている会議の開催、参加方法についてを御参照ください。現在、委員の皆様には、我々事務局がおります厚生労働省の会議室の映像、各委員の皆様が映っているかと思います。まずは、その下のマイクのアイコンがオフになっていることを御確認ください。本日分科会の進行中は、委員の皆様のマイクをオフといたしますが、御発言をされる際にはサービス内の手を挙げるボタンをクリックいただき、分科会長の許可があった後に、マイクをオンにして名前を名乗ってから御発言をお願い申し上げます。アイコンの赤い斜線がなくなれば、マイクがオンになったことになります。
また、本日は諮問を予定しております。事務局から資料を御説明し、質疑応答を行った後、労働政策審議会に審議結果を報告することになる場合には、画面上に報告文案を表示いたします。報告文案の内容に御意見があるようでしたら、手を挙げるボタンをクリックいただき、分科会長の許可があった後にお名前を名乗ってから、御発言いただきますようお願いいたします。
会議進行中、通信トラブルで接続が切れてしまった場合や、音声が聞こえなくなった場合など、トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしている電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。なお、通信遮断が生じた場合には、分科会を一時休憩とすることもあります。あらかじめ御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議についての説明は以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。本日は武石委員、中川委員、岡本委員、森口委員、阿部一彦委員が御欠席です。
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令及び身体障害者補助犬法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令案要綱について」、これは諮問案件となっております。2つ目に、「今後の障害者雇用対策の検討の進め方について」、3つ目に「その他」となっております。それでは、議題1の障害者の雇用の促進等に関する法律施行令及び身体障害者補助犬法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令案要綱について、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。資料1-1、資料1-2を併せて説明いたします。資料1-1の1枚目に、諮問文が付いております。1枚めくって、2ページ目を御覧ください。障害者の雇用の促進等に関する法律施行令及び身体障害者補助犬法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令案要綱としてお示ししております。まず第一の一は、当分の間、民間においては2.3を2.2、国・地方公共団体・特殊法人につきましては2.6を2.5、教育委員会につきましては2.5を2.4と、雇用率等につきまして、読替規定を置いておりました。これにつきまして廃止すること。
二は、身体障害者補助犬法に関連する部分ですが、法定雇用障害者数が1人以上である場合の事業主が常時雇用する労働者の数のうち最小の数を勘案して補助犬の使用を拒んではならないという規定となっておりますが、その部分につきまして当分の間43.5を45.5と読み替えておりました、この部分についての廃止です。施行期日は令和3年3月1日。これにつきまして経過措置、必要な措置を置かせていただくものです。政令案要綱といたしましては以上でございます。
併せて、前回様々な御意見を頂きました、0.1%引上げの影響を踏まえた支援施策ということで、資料1-2にまとめております。頂いた御意見を集約いたしますと、おおむね4点になってくると思います。ハローワークの機能強化、今後取り組みを進めていく上での企業の取組に対しての情報提供、雇用福祉連携事業の分かりやすい周知です。これらにつきましては、3月1日引上げ前から既に足下で取組を進め、強化を図っていきたいということで、今後の取組についてまとめて、お示ししております。併せて、支援体制等の充実・強化ということで様々な御意見、御示唆を頂きましたが、これにつきましては本日の議題2でも含まれる部分かと思いますが、今後の障害者雇用分科会における議論におきまして、引き続き検討を進めるということで整理しております。
以上でございますが、政令案要綱につきましてお諮りをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。本件は、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会に対して、「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令及び身体障害者補助犬法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令案要綱について」の諮問がなされたところでございます。当分科会としては、本件について議論を行った上で、その結果を労働政策審議会に報告したいと考えております。
それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見がありましたら、視覚・聴覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、必ず挙手をしていただき、私が指名した後にお名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。それでは、御質問、御意見はございますでしょうか。池田委員、お願いいたします。
○池田委員 経団連の池田です。政令案要綱につきましては、これまでの議論を踏まえた内容となっており、異存はありません。経団連としても、会員企業に対して、来年3月1日の雇用率引上げを見据えた準備を働きかけてまいりたいと考えております。その上で、前々回、前回の会合でも申し上げたように、テレワークの急速な普及やデジタル化の進展により、企業における障害者雇用が大きな転換期を迎えていることについて、改めて共有させていただきしたいと思います。
企業は、職域・業務の開拓など新しい働き方や感染予防に配慮した採用活動などに、まさに現在進行形で取り組んでいる状況です。
資料1-2に、各種支援施策の方向性を示していただいておりますが、支援体制等の充実・強化については、「今後の本分科会における議論も踏まえて検討」とあります。この点、企業の足下の状況を御理解いただき、是非とも、可能な限り迅速な検討、実施をお願いしたいと考えております。私からは以上です。ありがとうございました。
○阿部分科会長 御意見として承りたいと思います。それでは、続いて高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 ありがとうございます。ダンウェイの高橋です。まず、9月18日付けで障害者雇用対策課様宛に提出したパブリックコメントに関する意見書で申し上げておりますが、2021年3月1日付で法定雇用率を0.1%、民間企業においては2.3%へ引き上げることであれば、障害者雇用に関する各種施策を強化・充実していくことが不可欠であると考えております。具体的には、中小企業における障害者雇用にとって身近な支援機関であるハローワークの機能強化が極めて重要であると考えます。例えば新卒応援や若者、マザーズの各ハローワークや就職氷河期専門窓口などのように、全国のハローワークに既にある障害者雇用専門援助の窓口の体制強化・拡充及びマンパワーの増強を是非お願いいたします。
また、障害者雇用ゼロ企業に対する提案型雇用支援の中核を担う就職支援コーディネーターについては、現在全国で113人にとどまっているという企業支援担当の人員強化や周知の徹底、効果・実績の見える化を通して、このコロナ禍の困難な状況下でも、障害者雇用に取り組む中小企業の後押しに是非取り組んでいただきたいです。
加えて、助成金の利用促進、申請に対するきめ細かい支援や、中小企業認定制度の幅広い周知も含めて、中小企業に対する支援を強化・充実していただきますよう、是非よろしくお願いします。
なお、雇用福祉連携に関しては、障害者総合支援法や児童福祉法からなる各種サービスの個別支援のまとめ役、かつ雇用につなぐ役目であるサービス管理責任者、児童発達支援管理責任者等が、雇用に関する知識や経験が非常に少ないことが多いため、より密な連携のために同管理者に対する障害者雇用に関する研修や実務経験の充実などの検討を是非お願いいたします。以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。御意見として承りたいと思います。ほかにいかがでしょうか。特段、よろしいでしょうか。では、ほかに御質問、御意見がないようですので、当分科会としては厚生労働省案を妥当と認め、その旨を分科会長名で労働政策審議会会長に御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
皆さん、特に御異議がないようですので、報告文案の表示をお願いしたいと思います。
(報告文案表示)
御覧いただけていますでしょうか。障害者の雇用の促進等に関する法律施行令及び身体障害者補助犬法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令案要綱について、令和2年9月25日付け厚生労働省発職0925第3号をもって、労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は下記のとおり報告をする。厚生労働省案は妥当と認める。このような形で報告することとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
ありがとうございます。それでは、そのように報告をさせていただきます。今後、労働政策審議会会長宛に報告した後、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申することとなっております。
続きまして議題2の「今後の障害者雇用対策の検討の進め方について」、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは、御説明申し上げます。障害者雇用対策課長の小野寺です。資料2-1、資料2-2を説明いたします。今回お示ししております資料2-1、今後の検討に向けた論点整理(案)は、これまで在り方研究会の報告書、障害者雇用分科会意見書の引き続き検討課題とされていた事項、それと併せて、それ以降この場におきまして様々な御指摘を頂いた部分、現在並行して省内で進んでおります雇用福祉連携プロジェクトの議論の中で出てきました論点も含めまして、改めて再整理をしているものです。今日は、この論点をお示しした上で、漏れがないか、あるいは特に重点的に議論すべきものなどについて、各委員の御意見を承りたいと思っております。併せて、資料2-2にお示ししております年度中の大まかなスケジュールにつきまして共有を図る場にしたいと思っています。
資料2-1です。論点整理の項目としては、まず雇用率制度と納付金制度、これが基本となる根幹の制度ですので、この2つの柱と、それと併せまして、雇用・福祉連携に係る論点等について、「その他」という形で整理をしております。まず1.のマル1の法定雇用率の引上げに関する検討については、改めてこの場で共有、備忘しておきたい点です。今後の雇用率見直し時における法定雇用率については、計算式に当てはめて算定したものにより導き出された雇用率を法定雇用率と設定する。ただ、導き出された雇用率について、引上げ幅、引上げ時期をどうしていくか、具体的なアプローチ、プロセスにつきましては当分科会で議論することが適当と意見書の中で取りまとめられておりますので、こういった考え方で進めていくことを改めて共有させていただきます。その上で、計算式上の問題の指摘が継続検討となっております。
マル2にありますように、分子部分にカウントして計上されている就労継続支援A型事業所の利用者についての評価をどうするか。
マル3にありますように、やはり分子でカウントしているカウント方法ですが、精神障害者については、令和4年度末まで短時間労働者0.5カウントを1カウントとさせていただいていますが、この取扱いにつきまして、令和5年度以降どうしていくかということです。また、新たな視点として追記しておりますのは、身体・知的障害者については「重度」という取扱いがありますが、精神障害者につきましてはそういった取扱いがない中で、例えば等級に応じて雇用率制度におけるカウントを上積みするといったようなことが考えられるといったこと。本日、中川委員が御欠席ですので、中川委員のコメントを紹介いたしますと、重度カウントをしていくことについての方向性は、分科会で一定議論ということであるものの、どういった方をどのような形で上積みしていくかは、非常に専門的な知見が問われる話ですので、分科会というよりは専門家にお集まりいただいて、別途の場を設けることも一つではないかと示唆をいただいております。精神障害者のカウントにつきましては、今、JEEDで調査を進めております。このJEEDの結果もお示ししながらと思っております。
マル4の対象障害者の範囲についてですが、精神障害者の方について、雇用の義務ということで法的には位置付けられているわけですが、その取扱いは、あくまでも精神障害者保健福祉手帳にのっとっている中で、いわゆる精神障害者の方の中で、手帳を取得したくないというお気持ちをお持ちの方もいる状況を鑑みれば、別途、自立支援医療受給者証をもって、これを取り扱ってはどうかという御議論。もう一方で、精神障害者とは異なりますが、難病の方々の取扱いとして、医療受給者証という客観的なものがあるので、これをもって取り扱ってはどうかという論点。さらに、こういった手帳ではなく、個々の就労の困難性を客観的に評価することについてどう考えるか。特にドイツ、フランス等で行われております諸外国の状況も踏まえて検討をということです。この諸外国の状況につきましても、JEEDで調査をしていただいているところです。
労働時間の取扱いに関連して、2つ目の◇の短時間勤務者の取扱いです。今、雇用率制度上は週20時間以上を経済的な自立と捉え、雇用と評価してカウントをしておりますが、納付金制度におきまして、今般、特例給付金制度を創設し、20時間未満であっても10時間以上の方については、そういった働き方も応援していくような方向性も出しましたし、週20時間未満の短時間勤務者の取扱いについてどのように考えるかということ。
マル5は、中高年齢層等、長期継続雇用の評価についてです。1つの事業所の中において長きにわたって雇用していくことについて、雇用率上、何らかの評価ができないかということです。今の長期雇用の話と少し連動した話で、新たな視点として、障害者の活躍の促進や定着の促進を図っていくこと、長い目で見ればキャリアアップもあれば、加齢によるキャリアダウンもあるかと思いますが、そういった様々な視点から、中長期的にキャリア形成を捉えながら適切なアセスメントをしていくことについてどう考えるか。
マル6が、除外率制度です。これも今、JEEDのほうで、除外率設定業種において障害者雇用がどのような状況になっているかを把握しております。その結果も踏まえ、検討していただければと思っております。
2つ目の柱の納付金制度の在り方についてです。マル1として、中小企業に対して、障害者雇用の調整金・納付金、それらの適用範囲の拡大についてという論点です。今、雇用義務と納付金の義務自体に隙間ができている中で、これら中小企業に対しての拡大についてどう考えるか。拡大にするに当たっては猶予措置や、支援制度といったことをどう考えるか。
マル2が、調整金の取扱いです。現行、各企業の経済的負担を調整する趣旨の下に運用されておりますが、大企業、A型事業所については支給上限がありませんので、その趣旨から少し逸脱しているのではないかという御指摘であります。支給上限額等の設定は考えられるかということ。A型については、やはり障害福祉サービスの報酬が入っている事業所であります。A型の利用者について、雇用という評価で調整金の支給をしておりますが、これについてどう考えるかということ。
マル3が、納付金財政自体の調整機能についてです。財政運営の安定化に向けて、例えば単年度で赤字になった翌年度について調整金の減額をするといった何らかの形で、しかるべく調整機能を考えてはどうかということです。
3つ目の柱の「その他」で整理をしております。まず1点目は、自宅や就労施設等での障害者の就業機会の確保についてです。通勤がなかなか難しい、あるいは企業というよりも就労施設等において就労していくことが適切な方もいらっしゃる中で、こういった方たちに対しての就業機会の確保も1つ重要であろうと。ただし、私ども雇用を進める立場からすれば、雇用率制度においても直接雇用を基本としておりますし、福祉的な就業を促進するとしても、一般就労への移行という観点が重要であろうと捉えております。その中で、現在、在宅就業障害者支援制度があり、在宅就業される障害者や、福祉施設等で働いている障害者の方たちに、お仕事の発注をする企業に対して納付金制度の中で特例調整金等をお支払いしております。これについて、更に一層利活用を進める上での見直しとして、例えば一般就労への就労の可能性を含んでいる施設外就労を応援する、あるいは実際に一般雇用化した部分において上乗せをしていくといったことが考えられるのではないかということ。
次のページのマル2です。障害者就労支援全体のあるべき姿ということで、特に雇用福祉連携プロジェクトの中でも大きなテーマになっております。改めて地域の就労支援機関の在り方を考えるということです。1つ目のポツにあるように、雇用と福祉、それぞれがシームレスに支援を展開できるようにということで言うと、それら両方に共通するある一定の評価、あるいは可視化していく手法ということで、アセスメントの枠組みを構築していくのはどうかということです。それから、就労支援機関それぞれの役割が不明確、あるいは新たな支援も創設されることによっての重複感などが生じているのではないかということで、改めてこの在り方を考え直す、それらを支える人材の役割、人材の育成について改めてどう考えるのかということです。
マル3は、雇用、福祉のみならず教育、年金制度も含めて、諸制度間の連携についてです。障害者お一人を中心にシームレスな有効な支援を展開をしていく上でどのようなことができるかということです。
マル4の通勤支援、職場における支援です。本年10月から福祉の地域生活支援事業とセットで納付金・助成金を拡充して新たな枠組みを作っておりますが、この実施状況も踏まえながら、次の段階にどのような支援があるのかということ、それ以外にも納付金制度、助成金等様々な御要望等を頂いていますので、併せてどういった支援の在り方があるかを考えていくべきではないか。
このページの最後のマル5です。中小企業に対しての障害者雇用の促進についてです。まずは4月に創設した認定制度を更に発展させていくための方策で、この場においても例えば認定企業が半分以上を占める団体について、何らかの評価をしていってはどうかという御意見も頂いたところですので、そういったことも含めて、今後、中小企業に対しての支援と併せて、ある一定のグループを作った上での支援といったような観点もあろうかと思います。そういった意味で申し上げますと、事業協同組合等算定特例の枠組みがありますが、これがなかなか活用されていないことと、結果として個社の雇用率が上がっていく状況がなかなか見えてこない中で、効果的な在り方をどう考えるかということ。下の2つのポツですが、納付金の適用範囲についてと、短時間労働者の取扱いを再掲しております。
最後のページのマル6です。多様な就労ニーズへの対応についてです。障害種別で申し上げても、医療・生活の支援が必要な重度障害のみならず、精神、発達、高次脳機能障害、難病のある方、長く働く意味で高齢障害者ということの様々な方たちの就労ニーズが高まっているということ。今まで、やはり就職や一定期間の定着といったようなスポット的な支援に重点が置かれていましたが、中長期的なキャリア形成のニーズが増大していることについてどう考えるか。働き方についても在宅、テレワーク、短時間といった多様な働き方のニーズがあります。また、AIの進展と技術革新の進展、今般、新型コロナウイルスの関係でより顕在化しましたが、オンラインの就労支援、それから訓練についてもオンラインといった考え方があろうかと思います。こういった多様な就労ニーズが生じている中で、的確にどのように対応していくのかということ。
マル7の差別禁止及び合理的配慮の提供の実施状況につきましても、JEEDで現在実態の把握をしております。実施状況の現状を把握した上で、更に進めるための方策をどう取るべきかということを検討するということ。マル8が、合理的配慮の1つである短時間勤務の措置自体が、どのように効果を上げているのか、この辺りも把握して、より一層進めるのかどうか、どういった在り方があるかを検討していくということ。最後が、マル9の公務部門における障害者雇用の促進で、本日も参考でお入れしておりますが、行政機関において雇用率は達成したところですが、更に質を高めていく方策、それから、雇用率としてもなかなか進んでいない教育委員会を含む地方公共団体において一層取組を進めるための方策をどう考えるのかということです。
非常に多岐にわたっての論点であり、これを全て同じウエイトで議論することは、なかなか現実的ではないということで、一定の結論が出るもの、また、もう少し中長期的に検討していかなければいけないものと、今後少しずつ振り分けも必要と思っております。
併せて、資料2-2を御覧ください。今申し上げた論点整理の中で、JEEDに調査を依頼しているものにつきましては、JEEDの調査結果が出てきてから議論をさせていただきたいというのものがあったり、現在、雇用福祉連携プロジェクトチームでも、一定の取りまとめということで議論を進めておりますので、その取りまとめ結果も御報告してから、更に議論を深掘りしていくものもある中で、現在、年度末までのスケジュールとして、粗々なものを共有させていただくとすると、最初にJEEDから調査結果として既に取りまとまっているものの御報告などもしながら、まずは1月ぐらいに納付金制度、雇用率制度について、データ等も活用しながら議論できるものはさせていただき、2月にまた新たにJEEDの調査結果も出てくるので、除外率制度等についての議論をスタートしたり、少し各論的なものになりますが、自宅、就労施設での就業機会や中小企業における雇用の促進といったようなことも議論させていただければと思いますし、年度末の3月ぐらいには精神障害者の実態調査が出てまいりますので、令和5年度以降の取扱いについての議論をキックオフしていきたいと思います。
それら順次、多少前後はあるかとは思いますが、年度内につきましてはこのような形で検討のスケジュールを考えているところです。説明としては以上でございます。御意見を賜われればと思いますので、よろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問や御意見がありましたら、手を挙げるボタンをクリックしていただき、私が指名した後に聴覚、視覚障害者の皆様への情報保障の観点から、お名前を名乗って御発言いただくようお願いいたします。先に、内田委員から発言の旨を承っておりますので、まず内田委員、その後、竹下委員にお願いしたいと思います。
○内田委員 丁寧な説明をありがとうございました。労働側の内田です。私からは5点について、意見と要望を述べさせていただきます。まず資料2-1の2ページの2.の「納付金制度の在り方について」のマル2です。大企業及び就労継続支援A型事業所に対する障害者雇用調整金の在り方の1点目の「現行、多数の障害者を雇用している企業に上限なく調整金が支出されているが、経済的負担を調整するという制度の趣旨の観点からどう考えるか。支給上限額等の設定は考えられるか。」という御指摘がありますが、私どもが行ったヒアリング等からは、特例子会社の事業が厳しい状況になっていると感じております。支給上限額の設定を行うのであれば、特例子会社の経営状況等を確認した上で慎重に行っていただきたいと考えます。
また、マル3障害者雇用納付金財政の調整機能についての「給付金制度の財政運営の安定化に向け、障害者雇用調整金の支出についてどう考えるか。」という所で、「単年度収支が赤字になった場合に、赤字額の程度に応じて翌年度以降の調整金の額を減額させる仕組み等の導入について、どう考えるか。」ですが、給付金制度は、職場の雇用率が向上すると給付金収入が減少し、助成金の財源が不足してしまうといった財政上の課題があると認識しております。その財源を活用した助成金制度は、年限などの支給制限が設けられたものが多くあると思っております。障害者の雇用促進に向けて安定した財源が求められておりますので、給付金制度の財政運営の安定化に向けた論議をすることは賛成なのですが、単年度収支が赤字になった場合に、赤字額の程度に応じて翌年度以降の調整金の額を減額させる仕組み等の導入については、慎重に議論を行うべきではないかと思っております。
3ページの「その他」のマル4ですが、通勤支援、職場における支援の検討についての2点目の「障害の程度にかかわらず、職場介助者や手話通訳者の派遣等を含めた職場等における支援の在り方についてどのように考えるか。」という所についてです。障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議にもありますが、「職場介助者や手話通訳者の派遣等の人的支援に関し、現行制度上の年限の撤廃及び制度利用の促進について検討すること。」とあります。年限の撤廃等に向けて検討を進めていただくようお願いしたいと思います。また、中小企業などは専任の担当者がいない所も多く、各種手続への対応が困難であるとも聞いております。制度の利用促進を進める上でも、申請書類等の簡素化を図るなど、手続の事務負担軽減に向けた検討もお願いしたいと思います。
4ページのマル6ですが、多様な就労ニーズへの対応についての4点目に、「新型コロナウイルス感染症の影響により、業務創出やテレワーク等のニーズが増大していることについてどう考えるか。」という所については、今、正にこれまでと同じ働き方が難しくなっているという中で雇用を守っていくためには、新たな働ける環境を整備、整えていかなければいけないと考えております。そのためには、どのような支援が必要か、効果的な支援は何か、この論点について早急な議論が必要ではないかと考えます。
最後ですが、先ほどの1つ目の所で御質問すればよかったかもしれないのですが、資料1-2の、雇用率0.1%引上げにおける支援としてという所の、今後の取組の上の箱の2つ目です。「地域障害者職業センターに対し、職務の選定・創出や配置転換等に関する専門的な支援」と記載されておりますが、これ以外に何か働く環境の整備への支援について、お考えがあれば教えていただければと思います。以上です。
○阿部分科会長 それでは、御質問がありましたので、お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 内田委員、大変多岐にわたって御指摘いただき、ありがとうございました。最後の御質問の前に、いくつか頂いた点で、特例子会社の経営状況の把握をということについても留意してまいりたいと思いますし、助成金の年限撤廃についてということは、まさに財源あっての部分もありますので、納付金制度の安定運用、調整、機能も含めてセットで考えたいと思います。ただ、そういった年限撤廃ということでの御要望があるということについては、認識しているところです。そういったもともとの助成金の考え方、いわゆるイニシャルコスト的なもの、企業の取組に対して支援をするという考え方と、雇用し続けることについて調整金というものが別途ありますので、こことの関係で、どちらでどう見ていくのか、どう支援していくのかということも併せて整理しなければいけないかなと思っております。
最後の御質問ですが、これは地域障害者職業センターにおいてということでしょうか。地域センターにおいては、主には対企業へのアプローチと御本人へのアプローチという2つがあるかと思っております。ここで主に書いているのは、企業の中において新たに仕事を選定する、創出する、あるいは職務転換する際に御相談に乗るといったことで書いておりますが、もちろん合わせ技として、障害者御本人に対して職業評価等を行って、職務転換する場合にどういった仕事に適切に配置できるのかといったこと、両方からのアプローチがあるかなと思っております。どういった現場で支援が個々に行われているのかということについては、十分把握し切れていないかと思いますが、この辺りも事例収集ということでやらせていただこうと思っておりますので、またお示しさせていただければと思います。以上です。
○阿部分科会長 内田委員、よろしいですか。
○内田委員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
○阿部分科会長 それでは、続いて竹下委員から発言をお願いいたします。
○竹下委員 日視連の竹下です。いくつかの要望をしておきたいと思っています。まず、今回の検討に当たっての大前提として、実態把握は極めて重要だと思っております。その点では、今年も報告されておりますロクイチ(6/1)報告ですが、その調査報告の中でどれだけ正確な実態が把握できたかによって政策も変わってくるものと当然思います。その点で、前から申し上げているとおり、障害の部位別であったり程度別であったり、さらには、もっときめ細かな実態把握ができることを、例えば後で出てくる差別の禁止や合理的配慮の提供の有無についても、どういう形でそれが正確な実態として把握できるかということが全ての前提になるかと思いますので、そういう61調査を中心とした実態把握というものを、まずきちんとお願いしたいということが前提です。
その上でいくつか申し上げたいと思うのですが、まず1.の雇用率制度の中でのマル2のA型事業所のカウントの問題ですけれども、これは並列に今までやってきたことに大きな問題を感じています。A型を一応、民間事業におけるカウントの中に含めているわけですが、これはおかしいと思うわけです。なぜならば、御存じのとおりA型の就労支援事業所というのは、基本的には公のお金で運営されているわけです。それを民間事業としてカウントするのは、いかがなものかと。本質的に違うものを民間事業の中に充てているという意味では、やはり速やかに是正すべきだろうと思っております。
それから、1.の雇用率制度のマル6の除外率制度の問題ですが、これは課長からも指摘がありましたけれども、既にこれを廃止することを決めてから非常に長い期間が経過したわけです。その間には一度、二度の検討をされたかとは思うのですが、これを精力的にやらないと、国が決めたこと自身を放置したことになりかねないということですので、是非とも速やかな検討をお願いしたいということです。
それから、2.の雇用納付金制度のマル3の調整金の考え方ですが、この提案は少し後ろ向きであると言わざるをえません。単年度赤字になった場合に、補助金とかを言わば減額するというのは、明らかに後ろ向きな前提に立っているように思えてなりません。そうではなくて、雇用が進んできたことを大きな前進と捉えて、仮に単年度赤字が出るような場合には、公的資金による補充というか、そういう制度で前向きに物を考えるべきであって、単年度赤字になるから調整機能としての補助金の減額というのは、後ろ向きな議論になるということを十分に心得た上で検討していただきたいと思います。
「その他」のマル1ですが、自宅での就労支援というのはこれから大きく伸びていく部分だと思っているのです。先ほどどなたかの発言にもあったけれども、自宅での就労の場面でも合理的配慮というものも併せて是非お願いしたいわけです。オンラインでの業務あるいはテレワークでの業務を行う上で、視覚障害者を含めて一定の支援というものが出てきます。それは、人的な支援であったり、あるいはシステム上の支援であったりするわけですが、そういう意味では、在宅就労における支援というものについても十分に検討していただきたいと思っております。
「その他」のマル4ですが、通勤支援と職場における介助はこの10月1日から新たな出発をするわけですが、この制度がどれだけ活用されるかというのは、今日1番目の議題でもありました雇用率をアップした時点で更に障害者の雇用が拡大するかどうかのある意味では決め手になりかねない、それほど重要な意味を持っていると思いますので、この点をどれだけ普及させるかということ、どれだけ十分な制度として運用されるかということに気持ちを集中させていただきたいと思っております。
マル7の差別の禁止と合理的配慮の提供の実施状況の把握、これは当然のことなのですが、ここで是非、合理的配慮というときに、ジョブコーチによる支援もある種の合理的配慮の提供の1つではないかと思っているわけですから、ジョブコーチの養成というものを含めてこの点は御検討いただきたいと思います。
最後に、マル9の公務部門における問題ですが、公務部門における問題は非常に危険を感じております。なぜならば、水増し問題によってこの部分が大きく注目されたわけですが、2年間で障害者を対象とする選考採用試験が実施されて、法定雇用率を超えました。2.8%まで来たかと思うのですが、その数字目標の達成をもってその制度が今年は実施されない、これは非常に残念なことだと思うわけです。決して数合わせではないということを国自身が言い続けてきたわけですから、単に法定雇用率を達成したから、去年まで2年にわたってやってきた障害者向けの採用試験をやめるというのは、これもまたおかしな話だと思うわけです。
更に言えば、それを実施しないのであれば、余計に各省庁ごとで障害者の雇用というものをどういう形で進めようとしているのか。新規採用であろうが中途障害者に対する配慮であろうが、この部分について公務部門独自の問題点、例えばジョブコーチがそのまま適用されないとか、職場介助者が適用されないとか、公務部門独自の支援の在り方というものも検討されないと公務部門での障害者雇用は進まないのではないかと思うから、そうしたトータル的な視点に立った公務部門での支援策を考えていただきたいと思います。視覚障害者で申しますと、職種の問題も重要だと思っております。ヘルスキーパーという職種が視覚障害者の中で大きく伸びてきているわけですが、民間事業ではどんどん広がってきたのですけれども、公務部門では採用がまだほとんどゼロに近いわけです。その点でのそういう職業別の配慮も含めた公務部門での障害者雇用の促進ということをお願いしておきたいと思います。ちょっと長くなってすみません。以上です。
○阿部分科会長 それでは、事務局からお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課課長 竹下委員、大変多くの御指摘を頂き、ありがとうございます。では、いくつか今の段階で共有させていただきたい点を申し上げると、まず1つ目、これも従来より幾度となく御指摘いただいている61報告での障害部位別といった詳細にわたっての実態把握という御要望なり御指摘だったと思います。これについても私どもも問題意識としては共有しており、集計に当たってのシステム改修がどうしても必要になってしまいますので、措置ができるように予算要求をしているところでして、少なくともなるべく数年中には、必ずこういった把握ができるように、そして把握したものを政策にいかしていけるようにということで取り組んでまいりたいと思っています。
先ほどの内田委員からもありました単年度赤字の際の様々な対応については、納付金制度自体が、雇用率を引き上げるといった政策要因がない限り、雇用が進む中で逼迫していくという構造的な課題を抱えた制度であるということを前提に立つと、おっしゃっていただいた公的資金を入れるといったような別の考え方に立った制度の運用に立たない限り、なかなかすぐには解決しない問題です。そこまでの議論をするということになると、かなり労力の要る話にもなりますし、時間も必要なのかなと思う中で、これまでにも研究会報告書、分科会意見書の中でも御指摘があったような一定の運用に当たっての安定機能が必要ではないかという指摘だったと思っております。そういう意味では、公的資金による補充ということも1つの選択肢として留意しながら、将来的に議論ができていけばいいのかなと思っております。
あと、最後に公務の話について、統一選考が今年は実施されていないという話についての改めての御指摘がありましたが、であるからこそ各機関がそれぞれの出先機関も含めて個々の仕事に丁寧にマッチングをしていく、丁寧な選考を行っていくということで、それに対しての支援は当然続けていきたいと思いますし、政府全体として各機関がどのような採用をしていくのかというところは、何らかの形で取りまとめる必要があるのかなと思っております。ここは人事院、それから内閣人事局とも連携しながら進めてまいりたいと思います。一方で、公務の支援の在り方としては、一旦、一般会計で措置をするということで整理させていただきましたので、これにおいて過不足なくやっていけるように、実態も把握しながらでき得る支援を展開していきたいと思っております。以上です。
○阿部分科会長 竹下委員、よろしいですか。何か追加でございますか。
○竹下委員 特にございません。
○阿部分科会長 それでは山内委員、お願いいたします。
○山内委員 使用者側の山内です。私からは1点のみです。先ほど小野寺課長から御説明いただいた資料2-1の1、2ページにまたがった内容、中高年齢層等、長期継続雇用の評価についてです。これは中高年齢層に限らず、私が申し上げたいのは長期継続雇用の評価についてという点が1つ、もう1つ同じ1点なのですが、最後のページの「その他」の多様な就労ニーズへの対応についての2つ目のポチで、キャリア形成のニーズの増大ということです。企業側としては、当然ながら障害者の方々に提供する職務の開発というものを継続的に行っているわけなのですが、並行して長期的な勤続に至るように環境を整備するとか、Off-JT等の教育機会を提供してキャリアを積んでいただくということをしてまいっております。
これは、障害者の方個人にとってのキャリアアップにもつながりますし、企業側にとっても長く勤めていただいたほうが、会社側にとっては当然ながらスキルを持った方々が多くいらっしゃるということで有り難いわけなので、両方にとってとてもいいことなのですが、こういうことをこれからも継続的に進めるに当たって、是非検討いただきたいものとしては、やはり長期間にわたって雇用継続してきた障害者の方々について、先ほどもちょっと御説明の中にもありましたけれども、雇用率制度のカウントの仕方を考えるとか、あるいは障害者に対する教育機会を提供することに対して、事業主に対する支援措置を講ずる等の何か御支援を検討いただくなどというものを考えていただければ、頻繁に会社を変わる等のことがなく長い期間、安定した雇用が確保できるかなと考えております。是非そこら辺のところを検討の中に含めていただければという意見です。以上です。
○阿部分科会長 では、御意見として承ります。ありがとうございました。それでは、続いて高橋委員からお願いいたします。
○高橋委員 ダンウェイの高橋です。私からは、今後の検討に向けた論点整理については、中小企業の生の声を通じて実態把握を行いながら、適宜意見を申し上げていく方向で考えております。特に除外率制度については、先ほど申し上げた意見書でも触れておりますが、除外率が設定されている業種の企業から制度の維持を望む声が多く聞かれていますので、本制度及び業種ごとに設定されている除外率は、引き続き維持の方向でお願いいたします。
また、納付金制度の在り方については、財政状況を見ると、2013年度において20億円だった積立金が、2018年度には200億円まで増加しています。中小企業において障害者雇用がなかなか進みにくい理由に関して、障害者を実際に雇用するだけの業務量がない等の様々な要因が指摘されておりますし、社会保険料や最低賃金、事業主拠出金の負担増が続いていることや、今回のコロナ禍において極めて厳しい景況感等を考慮していただきたいと存じます。
よって現状を考えますと、日本商工会議所としては、納付金の対象を100人以下の企業に拡大することには強く反対いたします。逆に、毎年30億円前後を支出している事務事業費の運用規律を徹底することで、常用労働者数が100人を超えて200人以下の事業主等、中小企業に関しては納付金を引き下げる措置を検討いただきたいです。
加えて私個人の思いとして、教育との連携、雇用・年金・福祉等の諸制度間の連携推進を重ねてお願い申し上げます。参考資料3などにも詳しく書かれておりましたが、まずはじめに就労継続支援A型に関し、先ほど竹下委員からも触れられておりましたけれども、法整備の際には福祉工場の流れを継いで、より重度の障害のある方の選択肢を広げるために作られたサービスであると理解しています。同理念、最初の理念を大事にしていただきながら、もう一度障害者雇用調整金や最低賃金除外等の制度も含めて、障害福祉報酬との整理をする必要があると思っています。
また、教育との連携に関して、障害のある子供たちは10年前から2倍以上増えており、現在も増え続けております。中学卒業後からの様々な進路に分散しているなど、現状の課題をもう一度整理し、高校卒業後の福祉制度を中心とした多様な資源との連携の在り方等を再検討いただき、特別支援教育から雇用までのシームレスな客観的アセスメントによる能力の可視化などを行うことで、各企業へのより良いマッチング、定着支援を目指すことが重要です。これらが実行されると、先ほど来、触れられている、例えば20時間未満の短時間の雇用の推進や、雇用率へのカウントを前向きに考えることの可能性を広げること、また、現在、大企業に雇用されている障害のある方の高齢化等も進んでいることから、大企業から中小企業へ、又は中小企業から大企業への雇用の推進も広がっていく可能性があると思っています。
最後になりますが、生活困窮、生活保護の方への支援が各自治体等で積極的に現在行われておりますが、その中にも障害のある方が多数いると認識しておりますので、こういったところでの連携もされることを願っております。以上です。
○阿部分科会長 では、御意見として承りたいと思います。それでは門﨑委員、お願いいたします。
○門﨑委員 自治労の門﨑です。私からは、3番の「その他」の所の一番最後のページ、マル6の多様な就労ニーズの所と、マル7の合理的配慮に関して意見を述べさせてもらいたいと思います。まず多様な就労ニーズということですが、そこの最初のポツに書いてありますとおり、今、精神障害とか発達障害、高次脳機能障害ということで障外種別も多様になってきております。私も前やっていた仕事では、いわゆる手帳が取れない、例えば発達障害などは、今日の段階では精神の手帳を取るか、療育手帳や知的の手帳を取るかという状況になっていて、しかしそれすらも知的に高すぎると該当しない場合があるのです。そういう方も就労が可能であるかというと、障害によって非常に働きづらさを抱える方がいっぱいいらっしゃいます。その辺の就労支援と、いわゆる就労能力の判定が専門的にできるような、そういう在り方について検討していただきたいと思っております。
差別というか、合理的配慮に関する場面ですが、自治労では自治体の障害労働者連絡会というのを持っており、その中で、今回のコロナ禍で新しい生活様式と言われているものについて、いろいろ抱える問題があるという報告が入っております。例えば、視覚障害でしたら、私たちは分かりにくいのですが、マスクをしていることによって歩行中の目印とか物の判別に大きく位置を占めている嗅覚が遮断されるとか、歩くときに情報として欠かせない風の吹いてくる方向が分かりにくいとか、職場ではアクリル板とか、飛沫の防止ということになっているのですが、それになると向こうから仕切りに反射してしまうために、どこから風が吹いてくるか分からないということがあるそうです。聴覚障害のほうは分かると思うのですが、顔の表情が見えないとか、また、肢体障害になると、上肢の障害であると消毒液に届かないとか自力で使用できないとかあって、全体的には、やはり接近や接触を恐れて職場等でも手助けをしてもらえなくなったと聞いております。時差出勤、リモートワークの導入で、必要なのですけれどもせっかく慣れてきた通勤や職場環境が変化してしまってリズムが狂ってしまうなど、そのような報告もされています。そういうことで、職場では個々の状態を把握した上、特に当事者を入れて、今言ったような一瞬気が付かないような所も当事者の方には非常に大きな障害になっているということがあるので、状態を把握した上での合理的配慮の支援等が必要になると思っています。その辺の早急な検討が必要なのかなと思っておりますので、意見として述べさせていただきます。以上です。
○阿部分科会長 貴重な御意見をありがとうございます。御意見として承りたいと思います。続いて池田委員、お願いいたします。
○池田委員 経団連の池田でございます。ありがとうございます。本日は議論のスタートですので、資料2-1に整理いただいている論点のうち、使用者側として重要と考えている論点の項目について、5つ挙げさせていただきます。具体的には、1.「雇用率制度の在り方について」のマル1法定雇用率の引上げ、マル2雇用率制度における就労継続支援A型事業所の利用者の評価、マル5中高年齢層等、長期継続雇用の評価、マル6除外率制度、2.「納付金制度の在り方」の5項目に関して、非常に高い関心を持っております。
その中の2点について、具体的に言及いたします。1.「雇用率制度の在り方について」のマル1法定雇用率の引上げに関する検討に関しまして、計算式の結果については、この分科会において雇用率達成企業割合などの要素を勘案した上で、引上げ幅、引上げ時期を決定することが適切だと考えております。
それから、マル5中高年齢層等、長期継続雇用の評価については、高齢化や障害の状況の変化に伴い、本人の了解の下、週20時間以上の短時間労働へ移行した場合は、従前の1.0カウントのままとする、あるいは週30時間以上で働きながら一定の勤続年数を超えた場合には1.5カウントとすることにより、長期にわたる企業の取組みを支援するインセンティブになると考えております。是非、御理解いただければと思います。
このほか、細かい事項については、今後の議論の中で開陳してまいりたいと思います。是非、皆様と企業における障害者雇用の課題を共有させていただき、御理解を得ながら、より良い障害者雇用を実現していければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。御意見として承りました。それでは、佐渡委員から、お願いいたします。
○佐渡委員 使用者側代表の佐渡でございます。何点かございます。まず、法定雇用率に関する論点の最初に挙げられている所です。同時期に並行して本件の御議論を進めるには、新型コロナ終息のめども見えない中、中小企業の現状の経営実態に即して考えれば時期尚早ではないかと考えております。
次に、今後の検討に向けた論点整理案では、3つの大くくりとして18項目の内容が記載されております。スケジュール的にこれだけの項目を議論する時間は非常に少なく拙速しすぎているのではないかと、十分な回数と議論の場を持って検討すべき項目であると考えております。
次に、中小企業における障害者雇用の促進について、令和3年3月に2.2%から2.3%になり、徐々に中小企業の多くが存立する従業員規模となってきていることから、今まで障害者を雇用した経験がない事業者が多いため、経営者だけでなく、そこで働く従業員は一緒に働く中で漠然として不安を持っている者も少なくないと思います。今後の議論として、中小企業への障害者の受入れが円滑に進むよう、施設整備についてハードとソフトの両面の費用助成の割合の増加、雇用率算定式の見直しについても審議会において検討すべきではないかと考えております。
新たな認定制度を創設するなど、中小企業における障害者雇用の促進を図ろうとしている中で、まず、既存の制度を最大限に活用することに注力し、その効果を検証すべきではないでしょうか。
以上のことから、納付金制度の在り方に関する議論を行うとしても終盤のテーマにしていただきたい。もし法改正等を早く進めていきたいというお考えがあるようであれば、労使合意が容易に可能な項目から取り組んで議論すべきではないでしょうか。そのため、納付金、調整金、奨励金関係は1月のスケジュールとなっておりますが、法定雇用率の計算法等の検討と、まず、前提となる法定雇用率計算式の率の見直しの課題もあり、そちらの議論のほうが先ではないかと考えております。
最後に、中小企業の障害者の雇用促進に関わるところです。認定制度の立ち上げに当たっても、以前に意見を申し上げたところですが、優先調達推進法等との連携を是非とも考えていただきたいということと、団体認定についても是非検討していただきたいと考えております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。佐渡委員から御意見を頂きましたが、確かにスケジュールについては、佐渡委員がおっしゃるとおり、今、多岐にわたって検討すべき項目が並んでおります。スケジュールについては、本日の皆様の御意見を勘案しながら、私と事務局でもう一度話し合ってみたいと思います。
○佐渡委員 了承いたしました。
○阿部分科会長 よろしくお願いいたします。それでは、佐渡委員の御意見は承りました。続いて、長谷川委員から、お願いいたします。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。御説明どうもありがとうございました。私からは、大きな点を2点コメントさせていただきたいと思います。まず、「その他」の所でもいろいろな項目を挙げてありましたが、やはり雇用と福祉の連携が非常に重要になってくるだろうと思っておりますので、今後は福祉分野も一緒になって考えていく必要があろうかと思っております。
昨日、障害福祉報酬の検討チームがYouTubeで配信したものを見ました。その中で、アドバイザーの方々の御意見で「でも、それは雇用がやることだよ」とおっしゃっていて、そうだと思いながら、これは一緒に考えないと解決しない問題だと非常に感じましたので、この部分を重点的にやっていきたいと思います。
例えば、雇用と福祉の連携について考えていく中で、先ほど雇用率制度の統計の中にあった、A型事業所の雇用率カウントをどうするかという問題などにも影響してくるだと思いますし、納付金制度の部分でも、A型事業所に対するものをどうするかということも大きく関わってくるのではないかと思います。
先ほど山内委員が、会社としては障害者の方々がしっかり職場定着するように、いろいろ教育訓練を支援するというふうにおっしゃっていたのですが、例えば障害者総合支援法に基づく就労支援であれば、就労継続支援や職場定着支援があり、その形でやれば福祉報酬が出るわけです。ただ、企業の場合はそういう報酬を受けずにやっている所がほとんどでしょうから、そこをどうするかを考えていく必要があろうかと思っています。その上で、ここは障害者雇用の分科会なので、A型事業所はどうするかということに議論が集中すると思うのですが、それだけではなくて、同じような働き方であるB型や特例子会社のことなども含めて、全体的に検討をする必要があろうかと思っております。
2点目としては、「その他」の所に、非常に働き方が多様化している、多様な就労ニーズがあるという論点がありました。ここにも関連して、障害概念も変化してきているのではないかと思っています。雇用率制度が出来たのは1960年の促進法制定のときですので、そこから非常に長い歴史があります。変えてはいけない部分はあると思うのですが、変えなければいけない部分もあるのではないかと思っております。
例えば、もともと身体障害者のための雇用促進法だったわけですが、バリアフリー化や産業構造の変化の中で、身体障害があっても就労する上では余り困難がないという方もいらっしゃると思うのです。他方で、サービス業などが増えていくと、コミュニケーション能力も求められる中で、コミュニケーションに困難を抱えるタイプの障害者の方々は、なかなか働くことが難しくなってきているという現状があるのかと思っております。
そういうことも含めて、雇用率制度の説明のところでありましたように、マル3の精神障害者のカウント方法をどうするか、あるいはマル4の対象障害者の範囲をどうするかという点について検討していかなければならないと思っております。また、新しい働き方等も増えてきていますので、自宅での就労等をどう捉えていくか。障害者雇用促進法は雇用に関わる部分ですので、在宅就業はどうしてもカバーしづらいのですが、そういうものも含めて検討対象にできればと感じました。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。続いて、倉知委員、仁平委員、塩野委員、眞壁委員という順にお願いしたいと思います。それでは、倉知委員から、お願いいたします。
○倉知委員 倉知です。論点整理は非常に多面にわたって提案していただき、本当にやるべきことはたくさんあるのだと思いました。非常に有り難いと思います。
その中で、早く取り組むべきこととして、1つは、雇用率制度です。その中で、制度上にゆがみが出ているところがあるので、A型事業所の取扱い、除外率制度を早急に解決してゆがみを直していく必要があるということです。もう1つは、雇用率制度の中で、障害者間の公平性という観点から、精神障害者の雇用率カウントをどうするかということを早めにやっていく必要があります。この辺りが、まず雇用率制度の在り方について早急にやるべきことではないかと思います。
もう1点は、この中では「その他」に入っているのですが、私は雇用の質の向上の促進を項目として独立させて挙げられないかと思っています。その中で、「その他」の中に入っているマル7の差別禁止及び合理的配慮の提供、これをまずやっていく。もう1つは、雇用におけるソーシャルインクルージョンの促進という、障害のある方と障害のない方が別々に働くのではなくて、1つの企業の中で働くという、最近は量の拡大に焦点を当てすぎていて、質のところがおざなりになっているような働き方が首都圏の周りで増えてきている感じがしますので、ソーシャルインクルージョンの促進を改めて考えたいということ。それに伴って障害のある従業員が働きがいを持てる職場環境をどう整えるかという方策についても、検討が必要かと思っています。それから、この中に出てきたキャリア形成の所ですが、キャリア形成の促進も含めて、障害のある人の雇用の質の向上を1つ項目として挙げてはどうかということを提案したいと思います。
また、それ以外ですが、納付金制度について幾つか御意見が出されていたかと思います。私は納付金制度の目的は企業間の不公平感の解消にあると思います。そうなると、多分、雇用納付金制度がなくなることが目標になってくるのだろうと思うのです。要するに、雇用が進んでいったら納付金制度そのものは要らなくなるという性格のものなので、例えば、障害者雇用が進んでいくと、障害者の雇用を余り促進していない企業の負担が増えていくという仕組みになっていると思うので、私は公的資金を入れるのは余り賛成できないと思っています。公的資金は別途考えていくべきものであり、雇用納付金制度は納付金制度の性格をしっかりいかしていく形で進めてはどうかと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。御意見を承りました。続いて仁平委員、お願いいたします。
○仁平委員 連合の仁平です。ありがとうございます。ここで示された論点はどれも議論すべき内容だと思っております。連合としては、特に1ページのマル4にある対象障害者の範囲について重要だと考えております。それと比べて。本日の論点整理案にはない細かな内容ですが、1点意見を申し上げたいと思っております。
実は障害者をサポートできるけれども利用者が少ない、若しくは健常者しか利用できない最新の機器もあると思っております。そうした機器について障害者、あるいは障害者を雇用している企業や医療機関などに周知、紹介する機会を作ることも必要なのではないかと考えております。開発している側も、障害者が利用できる可能性があることに気付かないこともあるのではないかと思っております。こうした両者をマッチングすることによって、更に働く環境の整備や効果的な合理的配慮が実現できるのではないかと考えております。
それと、今後の議論に向けてです。目的も含めて、制度面と実態面に関する基礎的なデータを是非示していただきたいと思っております。例えば、今日も話題になっているA型の事業所について、雇用と福祉はそれぞれどのような目的でどのような支援を行っており、そこにどれぐらいのお金が入っているのかなど、基礎的なデータがあるといいのではないかと思っております。本日も参考資料で整えていただいている部分がございますが、更に拡充をお願いいたします。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。続いて塩野委員、お願いいたします。
○塩野委員 使用者側の塩野です。先ほどの山内委員や池田委員の御意見とかぶるところもありますが、企業の立場から意見を述べさせていただきます。改めて言うまでもありませんが、企業は法定雇用率やその引上げを重く受け止めており、法定雇用率の達成維持を目指しますが、一方で雇用環境等が変動することもあります。そのため、今後の法定雇用率は、計算式の結果の引上げ幅、引上げ時期等については、企業の雇用やその他の状況も考慮しながら、分科会で是非議論できるようにしていただきたいと思います。
また、弊社の親会社も含めてですが、早くから障害者雇用に取り組んできた企業ほど、身体障害の方を中心に高齢化への対応が大きな課題になっているかと思います。これまでの長期にわたる企業の取組について、雇用率制度の中でできるだけシンプルな仕組みで評価していただけると有り難いと思っています。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。御意見として伺ってまいります。続いて眞壁委員、お願いいたします。
○眞壁委員 ありがとうございます。私からは雇用率制度の在り方のマル3マル4についてお話したいと思います。精神障害者に関する雇用率のカウントについてということで、短時間労働者、20時間以上の労働者について1カウントとされていますが、それを今後5年度以降はどうするかということでしたが、これは是非続けていただきたいと思います。それは精神障害者の障害の特性として、やはり長時間働くことが難しいという実態があります。週に40時間働ける人は、ほとんどいないと言っていいのではないかと思います。ですから、20時間以上の人たちを1カウントしていただくということを是非お願いしたいと思います。それから、20時間未満についても是非0.5としてカウントしていただいて、なるべく多くの精神障害者を雇っていただきたいと思っております。
もう1つは、障害者の範囲についてです。通院医療費の自立支援医療受給者証で取り扱っていただければ非常に有り難いです。なかなか障害者と認めたくないという非常にプライドが高いところもありますので、そこを受給者証で何とか認めてほしい。できたら、将来的には医者の診断書で認めてほしいと思っております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。続いて小出委員、お願いいたします。
○小出委員 ありがとうございます。育成会の小出です。障害者雇用制度の在り方について、これは基本的なことなのですが、私ども知的障害者の団体としては、障害があってもなくても分け隔てなく共生する社会の実現を目指しております。一般企業への就労の1つの枠として雇用率がありますが、雇用率は段階的に2.2、2.3と、あるいは、この計算式によってということですけれども、雇用率がステップで上がって行き着くところは、共生社会の実現へつながっていくということを私どもは目指しております。その過程において解決しなければいけない問題があると認識しております。
もう1つは、資料1-2に、雇用福祉連携事業の分かりやすい周知という所がありました。その中に地域生活支援事業などいろいろありますが、コロナになり特別支援学校を3月に卒業した生徒たちは就労したけれども自宅待機ということで、いろいろな問題が発生して課題が上がっておりました。福祉の支援はどういうことがあるのかということを細かく見たところ、結構あります。居宅介護、これはホームヘルパーを使えるということです。それから、視覚障害者用の同行援護、短期入所、グループホーム、最近出来た就労定着支援、こういうものをうまく使えるということを知らずに就職している人たちが多いということです。ですから、ハローワークもこういうことをきめ細かく周知することが必要ではないかと。
それから、地域活動支援事業は市町村の事業ですが、短時間労働者に対して福祉のサービスが使えるということもやっております。ですから、改めてコロナ禍で上がってきた課題を見直せば、結構、連携が取れていると思いますので、その辺りのところをもう少し周知することに力を入れていただきたいと思います。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。ほかに御発言はございますか。小原委員、お願いいたします。
○小原委員 先ほどからデータの話が出ています。全数でやるわけではないので、セレクションサンプル、特に平時とは違い、不況下で回答してくれる会社としてくれない会社が著しく偏る状態が出てくる可能性があります。特に中小企業の状態を把握しようとすると、雇用に熱心な企業が回答してくれるバイアスは非常に深刻に大きく出てしまう、実態を把握できない可能性が出てきてしまうので、分析がきちんとできるようにウェイトを取っておくことと、やはり、なるべく多くの回収率を目指せるような視点も大事だと思って聞いていました。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございます。私が把握している限り全員の方から御発言を頂いたと思います。本当に多岐にわたっていろいろな角度から御意見をお寄せいただき、ありがとうございました。私と事務局で皆様の御意見を整理させていただき、もう一度、今後の検討スケジュールについても検討してみたいと思います。基本的には、一昨年の審議会での積み残しは資料2-1にあるとおりです。また、本日新たに論点が付け加わったようにも思いますが、改めて、まずどこから議論していくか、そして、どのように議論していくかということを事務局と相談して整理し、また皆さんに御相談させていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、もし特段の御発言がなければ、議題(2)「今後の障害者雇用対策の検討の進め方について」は終了し、議題(3)「その他」に入ります。議題(3)「その他」について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。資料3になります。今回は資料1-2でも論点としては挙げさせていただきましたが、いわゆる新しい枠組みとして10月に動き出しました「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」、これにつきましての進捗の御報告でございます。同案件につきましては、8月28日の社会保障審議会障害者部会のほうに御報告したものを、この場でも共有させていただくというものでございます。この事業につきましては、1枚目の中ほどにございますスケジュールに基づきまして、私どもは障害保健福祉課とも連携しながら、主要な自治体には御説明に直接上がったりというようなことで周知をしてまいりました。結果といたしまして、8月14日時点の数字になりますが、13の市町村において、10月からの開始に向けて手を挙げていただいたというような結果になってございます。
2ページ以降には、そのときに使った資料も含めまして、改めて今回の枠組みについて御説明をしております。連携のイメージとして左側の下側にございますが、私どもとして関与する部分はAの「民間企業で雇用されている者」でございまして、職場等における支援、それから通勤の支援に対して納付金助成金を拡充したものと、その他の必要な支援としての地域生活支援事業を組み合わせてやっていくというものであります。事業スキームについても右側のほうに参考までにお載せしております。
今回、8月14日時点において13の市町村が手を挙げていただいたということで、これらの市町村のお声としては、既にこれまで重訪サービスをお使いになっている住民の方の中で、働く上での支援を受けられないというようなことで問題意識を持っておられた、比較的特定個人を想定しながら手を挙げてこられたとお聞きしておりますが、関心の高かった自治体もそれなりにあったようでございますし、年度途中からのスタートということで、少し手の挙がりが少なかったのかなと思っております。いずれにしても、かなり問題意識を持って積極的にお取り組みいただいている自治体だと認識しておりますので、今年度の実施状況なども横展開というか、自治体のほうにも共有しながら、来年度については更に多くの自治体において取組が進みますように、障害保健福祉部とも連携しながら進めてまいりたいと思っております。資料3については以上でございます。
併せまして、今日お配りしております参考資料4、参考資料5、この辺りにつきましては、既にプレスリリースをしておりますが、国の行政機関についての雇用状況、それから採用・定着状況等特別調査ということで、御参考までにお配りしているものでございます。後ほど御覧いただければと思いますが、御報告としては6月1日時点での雇用状況報告におきまして、国の機関においては既に実雇用率2.83%、行政機関だけで見ますと2.85%ということで、雇用率達成をしております。ただ、今後3月1日に0.1ポイント上がりますので、その中で雇用率を達成するというのは最低限のことでございますので、ここについてしっかりと取り組んでいただくように、各府省応援していくのと併せまして、数ということだけではなく質を向上させていくという意味でも、この実態調査を含めて離職理由などの見えてくる課題もありましたので、各府省に対しまして引き続きの個別の取組についてのお願いを近日中に発出する予定でございます。御説明としては以上でございます。
○阿部分科会長 ありがとうございました。それでは本件に関しまして、何か御質問・御意見がありましたら手を挙げるボタンをクリックしていただいて、私が指名した後に聴覚・視覚障害者の方々の皆様への情報保障の観点から、お名前を名乗って御発言いただくようにお願いしたいと思います。何か御質問・御意見はございますでしょうか。では竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。2点だけ発言させていただきます。1点目は、課長からも御報告のありましたように、10月からスタートする重度障害者就労支援特別事業が、13自治体でスタートするというのは、これは多いというか、少ないというか、その数字はどちらでもいいのですが、大事なのは、来年の4月に向けてどれだけの広がりを持たせられるかということが重要だと思っております。そのためには自治体に対するコマーシャルだけではなくて、ハローワークの場面での理解というものが極めて重要になってくると思いますし、そうした機関への周知と、当然各事業主にもこの制度が御理解いただけるような手立てを是非お願いしたいというのが1点目でございます。
2点目は、この参考資料4、5のところに出てくるように、公務員の部門での実雇用率が増えたことは非常に有り難いと思っているのですが、その際に制度改革の中で、障害者相談員であるとか、その他の採用された障害者の職場における悩みを解決するための方策が取られてきているわけですが、そうした配置がどうなっているかということについても、是非また御報告いただきたいのと、確か厚労省にアドバイザー委員という、正確な名前ではないかもしれませんが、そういう者を配置されていたかと思うのですけれども、そういう人たちの活躍というのでしょうか、それは大きな役割も果たしていただける場面も作っていただくことをお願いしたいと思っております。以上です。
○阿部分科会長 ありがとうございました。事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。まず1点目のハローワーク等を通じての周知、今の御意見も賜りましたので、しっかりと取り組ませていただきたいと思います。
それから2点目の、公務部門での生活相談員等の体制、あるいは専門アドバイザーの活用状況等について御質問がございました。生活相談員につきましては、5人以上障害者がいる事業所につき1人、選任の義務を課しておりますが、実態としては、国の行政機関においては、おおむね障害者5人に対して1人というぐらいの比較的手厚い配置になったと聞いております。この辺りもまた引き続きフォローアップしていきたいと思います。
それから、専門アドバイザーにつきましては、当初、私どもの省におきまして、様々な御相談に対応しており、各機関に対して、ノウハウ提供などを進めてきたわけですが、現時点ではアドバイザーの活動自体は、昨年・一昨年に比べると、かなり落ち着いてきているような状況にはございます。と申しますのも、このアドバイザーを通じて、各省庁は個々につながりを作られておられて、例えば新しく専門支援員をお雇いになった省庁などもありますし、個別に支援機関などとのつながり、あるいは特別支援学校とのつながりを作られて、一定の取組に対しての専門的な知見を別途のアンテナからお取りになるような状況も整えられているという形になっております。ですので各府省の取組が低調になったということではなく、逆の形での各府省の自律的な取組が進んできていると評価しているところであります。以上でございます。
○阿部分科会長 竹下委員、よろしいですか。
○竹下委員 ありがとうございました。
○阿部分科会長 ほかにいかがでしょうか。特によろしいですか。ありがとうございます。ほかに御質問がないようですので、本日の議論は以上で終了となります。障害者雇用分科会はこれにて終了とさせていただきたいと思います。最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いします。
○小林障害者雇用対策課長補佐 次回の日程につきましては、10月中旬の開催を予定してございます。詳細は追って事務局より御連絡させていただきます。以上でございます。
○阿部分科会長 それでは、これで終了となりますので、本日の会議に関する議事録の署名につきましては、労働者代表は門﨑委員、使用者代表は佐渡委員、障害者代表は竹下委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。以上で終了いたします。