第16労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和2年1月22日(水)15:00~17:00

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

議題

1令和元年度補正予算案及び令和2年度予算案の概要について
2職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の改正(諮問)
3その他

議事

 
○小杉分科会長 定刻となりました。定足数に達しておりますので、ただいまから第16回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。
まず、当分科会に所属されます委員の交代がありましたので御報告いたします。労働者代表委員の日本労働組合総連合会の仁平委員です。

○仁平委員 今日から参加させていただきます連合の仁平です。

○小杉分科会長 全自動車産業労働組合総連合会の熊野委員です。


○熊野委員 よろしくお願いします。

○小杉分科会長 ありがとうございます。本日の出欠状況ですが、川﨑委員、上野委員、小倉委員、臼田委員、河本委員、美野川委員、渡邊委員が御欠席です。
それでは議事に入ります。令和元年度補正予算案及び令和2年度予算案の概要についてです。内容について事務局から説明をお願いいたします。

○河野人材開発総務担当参事官 御説明申し上げます。資料1-1を御覧ください。昨年12月に、安心と成長の未来を開く総合経済対策が取りまとめられ、人材開発統括官においても、就職氷河期世代への支援や災害からの復旧・復興が盛り込まれており、助成金等の見直しを行うこととしています。
1ページから順に内容を御説明いたします。まず、特定求職者雇用開発助成金について、就職氷河期世代向けの雇入れ助成金を拡充することとしております。具体的には、下の支給要件等の箱の所の②を御覧ください。従前、雇入れ日前、正社員としての雇用期間が通算1年以下の者を対象にしておりましたが、直近5年間に正社員としての雇用期間が、通算1年以下の方にも対象を拡大することとしております。
また、③で、従前、職業紹介の時点で失業状態の方のみを対象にしておりましたが、失業しておらず、非正規雇用労働者である場合も含めて、正社員就職を支援することとしております。
次ページは人材開発支援助成金に関してです。概要の所にありますように、現在、非正規雇用労働者が正規雇用労働者に転換することを目的として、OJTとOff-JTを組み合わせた雇用型訓練を実施する事業主に対し、支援を助成をしているところです。これについて、就職氷河期世代を含めた労働者を対象に、事業主がより柔軟に対応できるよう、最低の訓練期間について3か月以上としているものを、2か月以上に緩和をすることとしております。
次ページです。次は、雇用保険を受給できない方を対象に行っております求職者支援訓練におけるコース設定の要件について、就職氷河期世代を含めた安定就労を見直す方々が、それぞれの個々人の状況に応じて、安定就労に有効な職業能力等の習得ができるように、見直しを行うものです。
具体的には網掛けの上の箱を御覧いただきますと、まず1点目、実践コースに関して、実践的な技能等を習得の上、就職に直結する資格を取得できる特定の訓練コースについては、訓練期間の下限を、現行3か月以上であるものを、2か月以上と緩和をすることとしております。
また、網掛けの下段の部分ですが、※の所にもありますように、雇用保険の被保険者になれていないマルチジョブホルダーの方や、非正規雇用労働者など、在職中の方や、雇用保険の受給資格のない育児や介護中の方などの受講に当たりまして、この1日当たりの訓練期間について、現行原則5時間以上6時間以下、また1月当たり100時間以上にしているものを、1日当たり原則3時間以上6時間以下、1月当たり80時間以上とすることとしております。
次ページです。災害からの復旧・復興として1点盛り込んでいるものです。認定職業訓練に関するもので、事業主の行う職業訓練のうち一定水準を満たしたものを都道府県知事が認定したものに対し、助成を行う都動府県に対して国が補助を行っております。
これに関し、昨年の台風19号に伴う被害を受けた認定職業訓練校の円滑な運営を図るために、災害救助法適用市町村に所在する認定職業認定訓練施設・設備の災害復旧に要する経費を県が補助した場合、国の負担割合を、右下の箱にありますように、引き上げを行うこととしております。令和元年度補正予算については以上です。
続きまして、資料1-2を御覧ください。令和2年度予算案については、昨年12月20日に閣議決定をされました人材開発統括官の予算案の概要を御説明いたします。
1ページです。総括表の右から3番目の一番下の所を御覧いただきますと、総額ですが、令和2年度予算案総額2,935億円、対前年度比プラス363億となっています。
3ページ以降、ポイントを御説明いたします。まず第1として、就職氷河期世代向けの支援策を盛り込んでいます。(1)にありますが、新たに就職氷河期世代向けの「短期資格等取得コース」を創設して、短期間で修得でき、安定就労につながる資格等の取得を支援するため、人材ニーズの高い業界団体等に委託をし、訓練と職場体験等を組み合わせ、正社員就職を支援する出口一体型の訓練を行うこととしております。さらにこのコースにおきましては、求職中の非正規雇用労働者の方が働きながら受講しやすい夜間、土日やeラーニング等の訓練を提供するとしております。その下の、求職支援訓練の要件緩和については、先ほど補正予算で御説明したものを、引き続き行うこととしております。
(2)の所は、この就職氷河期世代の雇入れ支援で、補正予算に引き続き実施することとしております。
(3)は地域若者サポートステーションに関してです。就職氷河期世代の無業者の支援のために、対象者の年齢を40歳代まで拡大をすること、また、福祉機関等へのアウトリーチの展開等を行うこととしております。
(4)は、新たに一人ひとりにつながる積極的な広報等ということで盛り込んでいます。就職氷河期世代に対する国の各種支援策について、SNS広告、動画広告、インターネット広告等のメディアを活用し、様々なルートを通じた広報を実施することとしております。
4ページです。2つ目の柱、高齢期も見据えたキャリア形成支援の推進です。(1)ですが、労働者のキャリアプランの再設計や企業内の取組を支援するキャリアサポートセンターを整備し、労働者等及び企業に対しキャリアコンサルティングを中心とした総合的な支援を実施をすることにしております。特に、中高年齢層に対し、キャリアの棚卸しや高齢期を見据えたキャリアプラン再設計をジョブ・カードを活用しながら支援することにしております企業に対し、セルフ・キャリアドックの導入を支援するとともに、ジョブ・カード制度の周知、ジョブ・カード制度活用企業の開拓等を行うこととしております。
(2)の所ですが、65歳超の高齢者の継続雇用支援のために、生産性向上人材育成支援センターによる、各企業の実情に応じたオーダーメイド型、レディメイド型の在職者向けの訓練を推進することとしております。
(3)はリカレント教育の推進です。ハロートレーニングにおいて、国家資格取得等により、正社員就職を実現する長期の訓練を推進してまいります。また、長期の教育訓練休暇制度を導入し、一定期間以上の休暇取得実績が生じた事業主等に対し、助成金による支援を実施することにしております。
更に中小企業や製造現場等で働く人向けのIT理解・活用力習得のための職業訓練コースについて、全国の生産性向上人材育成センターで実施をすることとしております。
5ページの3番の所にありますように、技能を尊重する気運の醸成として、技能五輪国際大会等に向けた選手強化のための費用等を盛り込んでいます。
4番、障害者職業能力開発校において、「職業訓練上特別な支援を要する障害者」に重点を置いた職業訓練を実施をいたします。また、精神障害者等の受入体制を整備するため、職業能力開発校(一般校)において、精神保健福祉士等を配置するとともに、精神障害者等の受入れに係るノウハウの普及・対応力強化に取り組むこととしております。
最後に、第2の所にあります、外国人技能実習制度に関してです。外国人技能実習制度の適正な運用を図るため、管理団体・実習実施者に対する実地検査及び外国人技能実習生に対する相談援助等を実施する外国人技能実習機構の体制を強化するための予算を盛り込んでいます。説明は以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について皆様から御質問、御意見をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

○小松委員 まず全体的に法律の緩和や、予算の増額については、人材育成や雇用が促進されるという観点から、基本的には賛成です。
ただ、気になる点としては、予算案の中で4ページ目の2の(1)で労働者のキャリアプラン再設計や企業内のキャリアコンサルティング導入等を支援する拠点の整備が、新規で18億円ということで、実際にこのキャリアサポートセンターというものを、まず全国にどのぐらい設置することを見越しているのかということと、セルフ・キャリアドックを企業に導入することを推進すると書かれていますが、これは企業が制度を導入した場合に、短期的なサポートなのか、長期的なものになるのかか、また、企業側はどのように関わっていくことをイメージされているのかということについて教えていただきたいと思います。
あと1つ、(3)にリカレント教育の推進とありますが、その中のイ、長期の教育訓練休暇制度を推進する事業主等への助成金が、300億円ほど増額されておりこれはかなり大きい額だと感じています。この根拠があれば教えていただきたいということと、逆にウで、中小企業等の労働者を対象にしたIT理解・活用力習得のための職業訓練の実施というものが削減されていますが、当社のような中小企業としては今後IT化が推進されていく中で、企業内ではなかなか習得しづらい内容でもあるので、こういった外部のIT訓練のコースがあるのは助かる、積極的に活用していきたいところなので、これが減らされてしまったというのは残念に感じております。以上です。

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局お願いいたします。

○山本キャリア形成支援室長 まず、1点目のキャリアサポートセンターについてです。これは新規で18億ということで立て付けをしているわけですが、既存の今年度行っている事業、ジョブ・カードのセンター事業とセルフ・キャリアドックの事業を整理、統合しました。親和性の高い両事業の特徴を相乗的にいかしたいということで、形としては新規ではありますが、統合した上でキャリアコンサルタントなどの少し上積みをした形となっています。
どのような設置の仕方、全国でというお尋ねだったかと思いますが、こちらについては委託事業により相談窓口を設置するということで、これからその企画、提案をしていただきます。今時点で箇所数が決まっているわけではありませんが、対労働者、対企業向けのコンサルティングをかすがいとしたサービス展開をするために、全国区をカバーするのに必要な箇所数を含めた提案を今、募っているところです。ちなみに、今年度、ジョブ・カードセンターの箇所数で言いますと33か所でカバーをしているところです。
2点目、セルフ・キャリアドック、短期か長期かというところで、お尋ねがあったかと思います。こちらについては、セルフ・キャリアドック、いわばキャリアについて人間ドックのように、節目節目でセルフでチェックをしていくというようなもの、これを企業に定着をさせていくということで、御自身、従業員にあってはキャリア形成について自律的に考えてもらう。そういう風土、組織づくりをするというところを狙いとしています。短期か長期かという意味においては、そういったセルフ・キャリアドックの仕組み、これを制度の中、組織の中で根付かせていきたいという願いを持って、普及促進に努めるというものです。

○福岡企業内人材開発支援室長 (3)のイ、長期の教育訓練休暇制度の金額ですが、まずこの874億は、実は人材開発支援助成金、いわゆる企業の方が職業訓練した場合の助成金全体の数字になっています。ちょっと見づらいのですが。では、この長期の教育訓練休暇制度に関するコースについては幾らかと言うと、実は220億円が令和2年度の予算になります。元年度は実は、新設した時期になりますので、2年度が一応、平年度ということを考えていますので、元年度はその4分の1ぐらいが出るだろうということで、55億円を計上しています。したがいまして、長期休暇コースだけを見ても55億円から220億円と上積みになっていますが、これは今年度、2年度が平年度という形での予算計上になっています。

○相本人材開発政策担当参事官 (ウ)のIT理解・活用力習得のための職業訓練の実施の予算額についてです。この事業に関しては、平成30年度から3か年で計3万名に対して、訓練を実施するという計画の下に実施しているところです。令和元年度においては、1万3,000人、令和2年度においても同じく1万3,000人の事業規模で実施することとしております。これは実際にこれまで事業を委託してみまして、当初の予定よりも予算額について節減が可能だということが判明したので、来年度に関しては予算額が若干減額になっています。事業実施に関しては、予定どおり実施するということです。

○小杉分科会長 いいですか。

○玄田委員 今の小松委員の御質問に関連して、質問させていただきます。特に(3)のイの部分です。先ほど、福岡室長からお話がありましたが、この書き方は甚だ問題だろうと。つまり、これを見ただけでは当然、この55億円から220億円と説明された部分について、874億円が当てられていると読み取るのが自然なので、やはりこの書き方についてはもう少し工夫をする必要があるだろうと思います。来年度の検討課題にしていただきたいと思っています。
あわせて、これだけを見ると非常に長期の教育訓練制度が導入できている企業、しかも一定期間以上の休暇取得の実績がある企業というのは、一般的な感覚からするとかなり余裕のある企業であって、こういう企業に対して更なる助成をするというのが、いかなる公平性の観点からなされているかということの説明が、ちょっと不足しているように思います。これははっきり言えば、助成金よりも褒賞金に見えるようなイメージがあるので、これは助成する必要がある、非常に困難に直面している企業に対する正当な助成だということの説明については、もう少し補足が必要なのではないでしょうか。いかがでしょうか。

○福岡企業内人材開発支援室長 まず、すみません、書き方については次年度以降、工夫をさせていただきたいと思います。
この制度なのですが、昨年度、リカレント教育の推進の1つのメニューとして創設をしたわけですが、正直に申し上げますと、企業にこれだけの例えばニーズがあるので、その休暇を更に促進するためのインセンティブになるようにというよりは、このようなものを1つの手法として企業に勧めていただこうという意図の下で、創設したというのが正直なところです。ですから、こういった企業が例えば、具体的に長期というのは何日を想定しているかというと、実は120日以上なのです。かなりの長期です。それから導入すれば、導入の助成もあるプラスアルファ、有給で自発的な労働者の方が休暇をする場合についての賃金助成も、これは想定しているのですが、ではそういった企業がどれくらいあるのかというのは、正直申し上げて、今、なお分析中ですが、そういったいわゆるニーズを持って、そういうところを褒賞的な形で措置をしたということでは実はないのです。
それだったらニーズがないのに、これからどうするのかということがあるのですが、そこはちょっとこの日数とどういったことに対して助成するかということも含めて、更なる検討が少なくても令和3年度の予算要求に向けて、必要であるのではないかなと認識しているところです。

○松井委員 私も関連して、この問題は何回か質問させていただいていて、50億も今年度で出るのかなとちょっと驚きだったのですが、220億円という場合は何件ぐらいを想定されているのか教えていただければと思います。

○福岡企業内人材開発支援室長 まず先ほど申し上げましたように、元年度の55億というのは4分の1、経過措置的なものと御理解いただければと思いますが、このベースになっている数字が、まず1つは制度導入だけ、つまりは有給ではなく無給で、この労働者に対する休暇を与える企業もあるだろうというところを、一応、人数にして労働者の数で1万人ほどと見ています。
加えまして、いわゆる有給の場合は、制度導入助成のほかに、賃金助成も必要になりますので、この分もいわゆる外数で更に1万人を計上しています。制度導入助成は20万円なのですが、これが1万人分と、それから賃金助成については最大値を150日、1日当たり6,000円という数字を諸制度化していますので、この最大2人分と。2人分というのは、上限なのですが、それを計算しますと合計で220億という計上にはなっているところです。

○小杉分科会長 よろしいですか。ほかには。

○正木委員 今の小松委員の質問に関連して、セルフ・キャリアドックについての御説明の所がよく分からなかったので、もう一度お伺いします。セルフ・キャリアドックは、短期か長期かという意味で、働き手が自身のキャリアの中で長期的にキャリアコンサルティングを受けてほしいという趣旨は分かりました。伺いたいのは、会社にとっての支援の意味合いです。導入時にだけお金が出ますという意味で、短期だということなのかもしれません。では、かみ砕いて、導入というのはどういうことをするのか。会社がキャリアコンサルタントさんとの間で契約等をして、その方の所に従業員の方がキャリア相談に行くという仕組みを作るということなのか。そうすると導入のお金というのは、一体どういうことで、例えば、初年度のキャリアコンサルタントの方との契約金を助成するといったことでしょうか。2年目以降は要は自己負担するということになるとすると、幾らぐらいのどういう負担があるのかというのが、使おうとする企業の側がもうちょっと分かるように説明していただけると有り難いと思います。

○山本キャリア形成支援室長 はい、今、正木委員からの御質問についてお答えします。企業に対してキャリアコンサルタントが、導入に向けて、例えば会社が抱える人事上の問題や、若年者の定着が悪いなど、あるいは中高年のモチベーションをもっと上げたいなど、そういう内容を入口として、キャリアコンサルタントが企業の方とお話をします。そして、その企業において、例えば従業員20人なら20人、30人なら30人に対してキャリアサポートセンターからキャリアコンサルタントが出向くなどにより、キャリアコンサルティングを行います。その最初のところについては、費用をいただくということはありません。
ただ、永続的にその企業に掛かりきりというのは現実的ではありませんし、そこまでお付き合いができるというところでもありませんので、そこは先ほど申し上げた組織の中で根付くというところについては、導入の最初のところはこちらのサポートセンターからキャリアコンサルタントが出向きますが、それ以降については、また企業においてキャリアコンサルタントと契約いただいて、その会社の従業員に対するキャリアコンサルティングを行っていただくという形で考えています。何らかのキャリアコンサルティングを行っているという企業については、能開基本調査などによって、まだ半数にもいきませんので、なかなか企業にとってのキャリアコンサルティングというものについての御理解を、普及も含めて理解を進めるというところも政策の思いとしては持っていますので、まずはそこの部分、企業経営者の方々にもそういうところを御理解を頂いて、そのキャリアコンサルティングのメリット、効果なども感じていただく。そして、従業員の方にも御自身のキャリアについて考えていただく、そういうきっかけにもなってもらう。そういうことで、キャリアコンサルティングを受ける機会、それを担保しようというようなことを考えています。

○小杉分科会長 よろしいですか。

○正木委員 余りよく分からなかったのですが、けっこうです。

○小杉分科会長 大丈夫ですか。ほかにはありませんか。

○早川委員 私は2つ質問させていただきたいのですが、内容が全然違うので分けてしたほうがよろしいでしょうか。

○小杉分科会長 そのようにお願いいたします。

○早川委員 1つは、第1の2の(1)の中に、2は「高齢期も」と書かれていますので、高齢期も含めた全労働者にも関わる部分だと思うのですが、(1)の中で、ショブ・カードの活用について、1つ質問を申し上げます。
ジョブ・カード制度については、運用されて随分長くなりますが、このたびの予算でこれをもっと普及していくことになると思います。今年度、国土交通省主導で始まっている建設キャリアアップシステムは、ジョブ・カード制度をモデルにして、国土交通省で進めたシステムだと思うのですが、能力評価に処遇改善を結び付けるという制度です。今年度始まったばかりの制度ですから、運用の詳細については私もよく理解しているわけではないのですが、ICカードにデータを入れて、建設に従事する労働者の能力開発、能力評価とともに、それにみあった処遇改善をするツールとして使われていくもののようです。私が注目しているのは、建設分野において、入管法改正によってできた新たな「特定技能」の在留資格の外国人と、技能実習生、そして国土交通省所管の建設就労者受入事業の外国人に関しては、国土交通省の指導の下で、外国人とともに、雇用主の両方の登録を義務付けていることです。
理想として申し上げるのですが、これを参考にしますと、建設以外のジョブ・カード利用を進めるために、建設業以外の分野に関して、特に特定技能の外国人を受け入れる人手不足の特定産業分野においては、厚生労働省の主導の下でジョブ・カードの活用を進める施策を取っていただいてはどうか。先ほどの国土交通省の仕組みを参考にしていただいて、能力評価と処遇の改善を結び付けるシステムを作られてはどうかと思います。
建設キャリアアップシステムもそうですが、必ずしも外国人のシステムではなく、日本人も含めた全従業員の能力評価を処遇改善に結び付けるためのものとして、これを厚生労働省のほうの仕組みとして、建設以外の分野について導入されてはどうかと思います。
全部一遍に進めるのは大変でしょうから、離職率も高い一方で、経験者の再就職の可能性も高い職業、例えば介護とか、そういった手を付けやすい業界において、外国人も含めて、ジョブ・カードの利用を進めていかれたらどうかということなのです。一つのアイディアとして申し上げます。

○小杉分科会長 今のは1つ御意見で、もう1つはいかがでしょうか。

○早川委員 もう1つは、第2のほうの外国人材受入れの環境整備のほうです。技能実習ですが、先ほどの話の流れで、入管法が改正になって、特定技能の制度が今年度の4月1日から導入されています。特定技能のほうは、いろいろと制度整備が必要ということで急増している状況ではありませんが、技能実習がものすごく増えています。対前年比で、着地を見ないといけませんが、10数パーセントの伸びになるのではないかと。
そうしますと、実は現場において、いろいろと課題が発生しているのではないかということなのですが、その中で、特に技能実習制度においては、1号、2号、3号の各段階に、技能検定あるいは技能検定に相当する技能評価試験を受けるのですが、特に技能検定のほうで、技能検定の基礎級はうまくいっているようですが、随時3級と随時2級を、各都道府県の職業能力開発協会のほうで実施するにあたって、余りに人数が増えすぎてしまって、随時実施のためのマンパワー、技能検定委員の確保や試験会場あるいは設備の確保がかなり苦しい県があって、県外に技能実習生を行かせて、そこでやっと受けられるような状況が出始めているかに聞いているのですが、その実態がどうなのかということも含めて教えていただきたいと思います。それと、64億円の予算は前年度と同じ額の要求ですが、技能実習生の人数が増えていて、必ずしも外国人技能実習機構のマンパワーだけでなく、中央能力開発協会及び都道府県の職業能力開発協会のマンパワーが不足しているのではないかと。ここの強化は必要なのではないかと思われるのですが、いかがでしょうか。

○小杉分科会長 御意見と御質問を含めてですが、まず最初のほうからお願いします。

○山本キャリア形成支援室長 第1点目の建設キャリアアップシステム、国交省の部分とのお話でした。こちらについては建設技能者の資格、現場での就業履歴など、そういうものがデータベース化されているということで、ジョブ・カードとの共通性があると私どもも認識しております。御意見いただきましてありがとうございます。
今後、例えば利用者の利便性の観点ですとか、ジョブ・カードが持っている能力評価のツール、機能の辺りを、どのようにいかせる方法があるのか、あるいは少し難しいのか、御意見として受け止めさせていただければと思ったところです。
それから、ジョブ・カードを取り巻く環境としましては、様々な行政サービスのデジタル化、いわゆるオンライン化という政府方針の下、いろいろと中期的な計画や方針もありますので、そういった課題に今取り組んでいるところで、これはジョブ・カードに限らずの部分ですが、ジョブ・カード単体でそういう見直しができるのかどうかということが、現実的なものかどうかという観点も含めて、考えていく課題なのかなと感じております。

○釜石能力評価担当参事官 能力評価担当参事官です。2番目の技能実習生が技能検定を長期間受けられずに待たされるという問題については、そのような状況を昨年に把握しておりまして、待機期間が特に長くなっていた愛知県、三重県、神奈川県という3つの県に対して、知事宛てに、まずは技能検定試験の実施体制をしっかりと整備して、円滑に試験を実施するよう、人材開発統括官通知をもって要請したところです。
その後、1月8日付けで、全都道府県知事宛てに技能実習生向けの技能検定試験の円滑かつ確実な実施というのを、実態把握と併せて要請しました。現在、この要請に都道府県のほうがどのように対応しているかを照会しているところで、現状を把握の上、必要に応じて更なる対策も講じていきたいと考えているところです。都道府県協会のほうも、受験者増に対応して、試験実施体制について人を増やして対応しようとしている最中ということです。
予算の関係では、技能実習生の受験者が増加して、都道府県の予算が不足した場合に備えて、平成30年度から増加に応じて都道府県の予算も増やしているという、一定の要件を満たした場合には、国が足りない分を補助するような特例の措置も設けているところです。

○小杉分科会長 よろしいですか。

○早川委員 はい。

○正木委員 先ほどのジョブ・カードの件ですが、事実関係を教えていただきたいのですが、外国人技能実習生がジョブ・カードを取得して、自分の技能をジョブ・カードのデータとして載せることはできるのでしょうか。その上で、それは帰国した後もずっとデータとして維持するといったことができるという仕組みになっているのでしょうか。

○山本キャリア形成支援室長 仕組みとしては、基本的に個人がパソコン上でジョブ・カードの様式に書き込むということですので、能力が何か御墨付的に認証がされているというものでは、必ずしもないものです。ですので、国籍、年齢などを問わずジョブ・カードは御利用いただけますので、そこの部分は御本人がどのように活用し、あるいは雇入側、受入れの部分として、どのようにジョブ・カードに書かれたことを理解し、活用するかというところかと思います。

○正木委員 そうすると、早川先生の問題意識のとおり、例えば建設業以外の業界が、「当業界で働きたい方は、自らの技能を示すジョブ・カードを持ってきてください」ということを自主的にできるということですか。

○山本キャリア形成支援室長 そうですね、業界としてそのように使うということがあれば、共通言語的なものとして使うことはあり得ると思います。

○正木委員 分かりました。

○小杉分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○玄田委員 資料1-2の1ページ目の予算内容の所で、労災勘定が26億円と前年度に比較してかなり大きな減少になっていまして、前年度より約1割の減少です。なぜ、これほど大きな減少になったのかが御説明では分からなかったので、この背景についての補足をお願いできますでしょうか。

○河野人材開発総務担当参事官 お答え申し上げます。令和元年度に関しては、障害者の訓練校の施設整備につきまして、一定程度大規模に実施をしているところですが、一通りそれが済んだということで、来年度はその分が減少しているという状況です。

○小杉分科会長 ほかにございませんか。

○正木委員 就職氷河期の支援についてですが、経団連でも、昨日、経営労働政策特別委員会報告というものを取りまとめて、この後、各地の経営者協会、業界団体などに内容の周知徹底をする機会があるものですから、氷河期世代の活用についてもいろいろな形で呼び掛けをしていくつもりです。
なかなか補正予算とか予算が通らないと、広報する余裕がないのかもしれないのですが、どんどん新たな施策ができ次第、Webサイトなりに載せていただいて、どのようなものが活用できるのかなと思って企業の方が見たときに、すぐに分かるような形で、是非、迅速な広報と、補正が通った時点でまた補正の分を載せるといった具合に、順次、素早く対応していただければと思います。よろしくお願いいたします。

○河野人材開発総務担当参事官 今、御要望いただきました点に関しましては、きちんと対応してまいりたいと思いますし、今、先行して4つの府県で都道府県プラットフォームが立ち上がっておりますが、その現場においても企業の皆様から、どのような支援が利用できるのかといったようなことも御要望いただいておりますので、それぞれの地域での工夫、中央での周知・広報の工夫、両にらみで実施してまいりたいと思います。

○小杉分科会長 よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、この議題については、ここまでとさせていただきます。
次に、「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の改正」についてです。事務局から説明をお願いいたします。

○相本人材開発政策担当参事官 議題2について、資料2-2に基づいて御説明いたします。まず、1枚目を御覧ください。1点目ですが、求職者支援訓練のコース設定の要件緩和です。先ほどの令和元年度の補正予算の説明の中にもありましたが、この改正については厚生労働省就職氷河期世代活躍支援プラン、昨年5月の取りまとめに基づきまして、就職氷河期世代を含めた安定就労を目指す方々が、個々人の状況に応じて安定就労に有効な職業能力等の習得ができる訓練コースの設定が可能となるよう、改正を行うものです。
まず1点目ですが、訓練期間の下限を緩和することとしています。実践的な技能などを習得の上、就職に直結する資格を取得できる実践コースについて、訓練期間の下限を現行の3か月以上を、2か月以上と緩和するところです。この緩和後の対象コースについては、安定的な就職が見込まれる特定のコースに限ることとしております。具体的には、介護職員初任者研修対応コース、生活援助従事者研修対応コース、医療事務従事者対応コースを予定しております。なお、今後の求人ニーズや就職状況などを勘案して、対象コースについては追加を検討したいと考えております。
2点目が訓練時間の下限の緩和です。働きながら資格取得などによる安定就労を目指す方にとって、1日の訓練時間が長いなど、受講しづらい状況にあるということがあります。このため、ハローワークがその必要性を認めた在職者等を対象とした訓練を設定する場合には、現行の1日当たり原則5時間以上6時間以下、1月当たり100時間以上となっている下限を、1日当たり原則3時間以上6時間以下、1月当たり80時間以上と下限を緩和することとしております。
2点目ですが、東日本大震災特例措置の延長に関する改正です。求職者支援訓練における震災特例については、現在2つの措置を講じています。1点目としては、現在、福島県において開始される職業訓練のうち、小型移動式クレーン、フォークリフト、車両系建設機械又は玉掛けの就労資格の取得に係る実践訓練について、訓練機関等の認定基準の一部を緩和して設定することを可能としております。
2点目として、岩手県及び福島県において開始される職業訓練の実施後の就職率について、次回以降の求職者支援訓練の認定審査時に用いる認定基準の特例措置を設けているところです。これらの措置は求職者支援法施行規則の附則において規定しており、毎年度省令の改正を行って、1年ごとにその期間を延長してきたところです。この延長の判断に当たっては、対象となる都道府県の意見も踏まえ、各労働局からの要望等に基づいて判断しております。
昨年の秋の段階で、対象労働局向けに、来年度の実施希望を調査したところ、福島労働局から措置の1点目について、引き続き延長が必要との意見が寄せられたということを踏まえて、この必要性等について判断の上、来年度末までの1年間限りの措置を継続することとしたところです。なお、2点目の就職特例措置については、来年度は延長しないこととしているところです。
3点目ですが、建設人材育成コースに関する特例です。この建設人材育成コースですが、東京オリンピックを見据えた暫定措置として、平成28年10月1日から令和2年3月31日までの間に開始される職業訓練のうち、小型移動クレーン、フォークリフト、車両系建設機械又は玉掛けに係る就労資格の取得にかかる内容を含む基礎訓練について、特例措置として奨励金の額を1月当たり10万円としているところです。
この暫定措置に関しては、この措置期間の満了となることから、省令上、規定を削除することとしています。以上です。

○小杉分科会長 ただいまの説明につきまして、皆様から御質問、御意見等を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○正木委員 最後の建設人材育成コースですが、具体的な実績と言いますか、一時、公共事業が減って建設人材はすごく少なくなっていたと思うのですが、こういうことをやったことによって結果はどうだったのでしょうか。こうした人材の人数がこれぐらい増えたとか、そういう御説明はございますか。

○福岡企業内人材開発支援室長 企業内人材開発支援室長です。私は建設の委託事業を所管している関係で、建設の労働者の状況を見てみたのですが、これは御案内だと思いますが、建設労働者の就業者の数は平成9年ぐらいをピークにして、特にこの10年ぐらいは500万人ぐらいの数が変わっていないという状況で、若手はどうなのかというのを見てみると、若手の割合も大体横ばい状況なのかなと考えております。
この建設人材育成コースについては、様々な技能講習の資格を取得するための訓練ということなのですが、この資格をどの程度技能労働者の方が持っているかというのは、データ的には数字がないのですが、ちなみに、この建設人材育成コースとはまた別に当室で所管している、先ほど説明がございました短期資格等取得コースという氷河期向けの施策がありましたが、これの前身の施策として、平成27年度から本年度まで、建設労働者緊急育成支援事業というのをやっているのですが、これは正にこういったクレーンであるとか、小型のフォークリフトであるとか、そういった資格を取得するための訓練を行って、就職をするという一体型の事業をやっています。こういったものについては非常にニーズがあったのかなと考えているところです。数的なところについての分析が甘くて、大変申し訳ないのですが、大体そのような感じでございます。

○小杉分科会長 この基礎コースがどれだけ動いたかというのはないのですか。

○相本人材開発政策担当参事官 この建設人材育成コースの実績については、平成28年度、平成29年度が4コース、平成30年度が6コースで、今年度が3コースという状況になっています。

○小杉分科会長 そこで、何人が受講したという数は取っていらっしゃいますか。

○相本人材開発政策担当参事官 人数については、平成28年度が33名、平成29年度が40名、平成30年度が37名、本年度は現在のところ16名となっています。

○小杉分科会長 というのが実態の、実績ということです。

○正木委員 それぐらいの人数なのですね。

○小杉分科会長 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、当分科会としましては、諮問されました職業訓練等の実施等による特定求職者の就職の支援に対する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱につきまして、妥当と認める旨を私から労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局から報告文(案)の配布をお願いいたします。お手元に配布されました報告文(案)により、労働政策審議会会長宛て、報告することとしてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。ほかにないようでしたら、この議題につきましても、ここまでとさせていただきます。
次に、その他として、事務局から1つ報告がございます。「特定一般教育訓練に関する報告」につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○篠崎若年者・キャリア形成支援担当参事官 資料3を御覧ください。特定一般教育訓練に関する報告で、新たなITパスポート試験に関する部分です。1つ目です。こちらの資料は、昨年、平成31年1月24日の分科会に提出した資料です。こちらを御覧ください。昨年、令和元年10月より制度を創設しました特定一般教育訓練給付については、平成31年4月から新しく始まった、新たなITパスポート試験の合格を目標とする講座についても、対象講座とすることとしておりました。一方で、昨年、平成31年1月に、雇用保険法第60条の2第1項に規定する厚生労働大臣が指定する教育訓練の指定基準要綱案の諮問時点において、新たなITパスポート試験がまだ抜本改定される前であったため、人材開発分科会においては、指定基準の適用を開始する時期については、構想どおり講座開講に至った場合は、試験開始後一定期間経過後に、試験の実態、講座との関連等について、報告を求めた上でその適用開始の時期を検討することとされておりました。これは資料は黄色で網を掛けていますが、「制度適用前の検証」という所に書いてあるように、新たなITパスポート試験を開始した後に、実質の適用時期を検討するとさせていただいておりました。
しかしながら、後ほど詳しく説明させていただきますが、新たなITパスポート試験は、予定どおり平成31年の4月から試験範囲を拡充し、受験者数が増加するなどの状況にあるものの、特定一般教育訓練給付の対象講座として、特に速やかな再就職や早期のキャリア形成に資するような構想どおりの講座開設に至った状態とは異なっている状況です。指定基準の適用を開始する前に、特定一般教育訓練給付の対象講座からは外させていただくこととしたいと思っています。
次のページを御覧ください。以下、この点について詳しく説明させていただきます。まず背景です。適用開始の時期を検討する前提である構想どおりの講座開設とは、新たなITパスポート試験は、IT技術者との円滑なコミュニケーションを図るため、非IT技術者が有するべき能力として、現場でリーダーシップを発揮できるレベルを証明するものであり、かつ転職の際に保有することが労働市場において一定のプラスの価値を有することを証するものであり、そうした試験の合格を目標とする講座の開講であると、御説明させていただいたところです。
この点、昨年の平成31年4月から開始した、新たなITパスポート試験の実態等について、所管する経済産業省に情報提供を求めたところ、予想以上に早いIT技術の進展に伴い、あらゆる産業活動や生活においてITが活用されたため、ITリテラシーに関する裾野が広がっており、新たなITパスポート試験は労働者に一般的に求められる能力になってきた。そのため、社会人以外にも多くの学生が就職活動などを機に、新たなITパスポート試験を受験しているという状況とのことでした。これが、「経済産業省提出資料」と書いてあるものですが、御覧いただけるように、受験者数自体は前年度より伸びております。一方で、企業の活用事例としても、幾つかありますが、企業の全員に合格を目指させるとか、かなり企業としてはITリテラシーということで活用が進んでいると。
最後の資料ですが、こちらを御覧ください。これは実際に受験者層を見たものです。受験者全体、あるいは対象講座の受験者というもので見ましても、赤の部分ですが、社会人だけでなく学生がかなり受けているということです。一方で、特定一般教育訓練給付の指定基準というときに、在職就職率等が80%以上等の基準がありますが、講座として学生が多いというのは悪いことではありませんが、特定一般教育訓練給付の対象としては、ちょっと違う状況になっているということです。
こういう中で、新たなITパスポート試験は転職等の際に保有することが一定のプラス効果を有するというよりも、社会人としての基礎的な能力を示すものとなったということであり、特定一般教育訓練が求める、特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資するものという構想とは異なっている状況です。
冒頭にも申し上げましたが、新たなITパスポート試験自体は、予定どおり立ち上がったものの、特定一般教育訓練給付の対象講座としては、特に速やかな再就職や早期のキャリア形成に資するような構想どおりの講座開設に至った状況とは言えないと考えています。したがいまして、今後、特定一般教育訓練給付の対象講座から外す指定基準告示の改正を行う予定であるので、報告させていただくものです。これにより、ITパスポート試験の合格を目標とする講座については、現在も特定一般教育訓練の対象とすることを保留している状況ですが、本年4月以降は、告示上からも、特定一般教育訓練としての申請ができないことになるということです。以上です。

○小杉分科会長 それでは、この件に関して、皆様から御質問、御意見をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

○松井委員 今の御報告は理解できたのですが、もう一回流れを教えていただけますでしょうか。もともとこの特定一般教育訓練というのは、政府のほうでIT人材の教育訓練を更に促進しなければいけないということで、骨太方針か何かで打ち上げて、それを基にここで議論が始まったような気がしております。このITパスポートを認定しないということになっても、その方針自体は、そのとおりに進んでいるというように理解していいのか。何か代わりのことを考えなければいけないのかという点を、教えていただきたいと思います。

○篠崎若年者・キャリア形成支援担当参事官 政府の方針として、IT分野を進めていくということは変更はありません。教育訓練の中でということですが、ITに関しては、特定一般教育訓練給付、新たなITパスポート試験だけではなくて、IT資格取得目標講座ということで、レベル感としてはITSS2以上というものがありますが、そちらについては引き続き対象となっていますし、昨年10月の指定の中でも、これは実際に複数の指定が行われているということですので、その他のIT分野、専門実践の中でもIT関係がございますので、そういったものの指定ということについては、引き続き行っていきたいと思っています。
また、新たなITパスポートにつきましては、特定一般ということではありませんが、一般教育訓練給付の対象になるとは思っています。もちろん、要件を満たせばということですが、そちらとしては使えますので、そういったことの活用も含めながら、IT分野についても推進していきたいというように考えています。
 
○小杉分科会長 ほかにございませんか。よろしいですか。ないようでしたら、この案件もここまでとさせていただきます。その他、委員の皆様から何かございますか。

○玄田委員 ちょっと前の議題に戻って申し訳ないのですが、自信がなかったので言わなかったのですが、やっぱり気になったので言います。資料1-2の3ページの1の(4)の広報の所です。先ほど正木さんが御質問された所です。気になる用語があって、「就職氷河期世代本人やその保護者等」と書いてあって、分かりませんが、保護者という概念は、通常は未成年者を保護する存在のことを保護者と言うのではないかという理解を私はしておりました。間違っていればちょっと違うのですが、なぜこれが気になるかというと、この文言だけを見ると、就職氷河期世代は定義上は30~40代なので、まず未成年者ではないというのは前提として、あたかも氷河期世代というのが保護されるべき存在であるかのような印象を持たれ、保護される存在だからこそ支援しなければならないので支援策をやるというような誤解が社会に広がることを懸念しております。
やはり氷河期世代支援というのは、更なる活躍の可能性が大いに見込まれるから支援をすることが前提であって、保護という概念とは合わないように思います。ですので、ここで保護者という概念を使われたのは思いがおありなのかもしれませんが、通常の理解だと「家族など」とか、そういう言葉のほうが、活躍プログラムを見ても「保護者」という言葉はなかったような気がするので、ちょっと御検討されてはどうかなと思うのです。以上です。

○小杉分科会長 事務局はいかがですか。

○前田政策企画室長 広報の担当をしています政策企画室長です。実際の広報の際には、頂きました御指摘も踏まえまして、「家族」といった形で広報に努めてまいりたいと思います。

○小杉分科会長 非常に違和感を持つ方は多いと思いますので、これはもう変えられないのですよね。

○玄田委員 広報で変えればいいのではないですか。

○小杉分科会長 今後気を付けていただきたいというだけですが。

○前田政策企画室長 実際の事業の実施に当たりましては、そのようにいたしたいと思います。

○小杉分科会長 分かりました。ほかにございますか。それでは、ないようでしたら本日の議論は以上といたします。次回の第17回の日程については、追って事務局より御連絡させていただきます。
本日の議事録の署名人ですが、労働者側は荘司委員、使用者側は小松委員にお願いいたします。それでは、本日はこれにて終了いたします。どうもありがとうございました。