2020年10月28日 第2回厚生労働省統計改革検討会 議事録

日時

令和2年10月28日(水)10時00分~12時00分

場所

航空会館会議室(航空会館7階)

出席者

<構成員(五十音順、敬称略)>

 

<オブザーバー(敬称略)>

議題

(1)統計改革の取組状況について
(2)厚生労働省統計改革ビジョン2019の進捗状況等について
(3)その他

議事

 
○武藤政策統括官付参事官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回厚生労働省統計改革検討会を開会いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございます。なお、神林委員、吉川委員からは、本日御欠席の連絡を頂いております。
 開催に当たり、土屋厚生労働審議官より御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。
○土屋厚生労働審議官 おはようございます。委員の皆様方には、大変お忙しいところ、この厚生労働省統計改革検討会に御参集いただき、誠にありがとうございます。この検討会の開催は、本年2月以来2回目となりますが、この間、皆様方に昨年取りまとめていただきました「厚生労働省統計改革ビジョン2019」に基づき、また第1回検討会において皆様方から頂いた御意見を踏まえ、統計改革の推進に努めてまいりました。
政府全体としても、統計委員会や統計改革推進会議の提言を踏まえ、本年6月に「公的統計の整備に関する基本的な計画」の改定が閣議決定され、品質確保に向けた取組の強化としてのPDCAサイクルの確立や専門性を有する人材の確保・育成といった新たな取組が盛り込まれたところです。
 一方で、新型コロナウイルス感染症は、統計業務にも大きな影響を及ぼしており、地方公共団体における調査事務や統計調査員による訪問が困難になるなどの課題が生じております。こういった急激に変化する調査環境の中においても、高い品質の統計を安定的・継続的に作成・提供するための取組が必要となっているところです。
 本日の検討会では、厚生労働省における、今申し上げたような状況下での統計改革の取組を御報告するとともに、これからも統計の品質向上と信頼回復に向け、統計業務の更なる改善を図っていきたいと考えておりますので、それに向けて忌憚のない御意見を賜ることができますようお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
○武藤政策統括官付参事官 続いて、事務局に異動がありましたので御紹介いたします。政策立案総括審議官の村山です。
○村山政策立案総括審議官 よろしくお願いいたします。
○武藤政策統括官付参事官 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。また、土屋厚生労働審議官は、別の公務のためにここで失礼させていただきます。
(土屋厚生労働審議官退席)
○武藤政策統括官付参事官 続いて、お手元の資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第です。次に、資料1から資料4の4種類の資料があります。また、参考資料も全部で4つあります。資料の不足等がありましたら事務局にお申し付けください。
 それでは、以後の進行は小峰座長にお願いいたします。
○小峰座長 皆さん、おはようございます。それでは、よろしくお願いいたします。本日は、最初に政府全体の統計改革の取組について、その後、本日のメインであります厚生労働省の取組について御報告をしていただきます。
 それでは、議題1の統計改革の取組状況についてです。御説明をお願いいたします。
○戸田政策企画官 私からは、政府全体の統計改革に対する取組状況について御説明いたします。それでは、資料1の1ページを御覧ください。こちらは「統計改革の取組状況について」という資料です。一連の統計不適切事案を踏まえ、統計委員会や統計改革推進会議、統計行政新生部会から提言がなされたことを前回の第1回検討会で御報告いたしました。そのうち、昨年12月24日に公表された総合的対策の報告書においては、定めた対策のうち、特に重要な対策を「公的統計の整備に関する基本的な計画」、いわゆる基本的計画に盛り込むとされました。
 その提言を踏まえ、今年6月2日に第Ⅲ期「公的統計の整備に関する基本的な計画」の改定が閣議決定されました。同時に、総合的対策に基づく工程表が策定されました。工程表については、お手元の参考資料に付けておりますので、お時間のあるときに御覧いただけますと幸いです。
 続いて、2ページの基本計画の変更についてです。基本計画の変更内容のポイントとして、5つほどまとめております。まず1点目はPDCAサイクルの確立や第三者監査の導入などの品質確保に向けた取組の強化。2点目は統計の重要度に応じたメリハリのある管理。3点目は各府省の統計部局による政府内の他組織への広範な支援。4点目は専門性を有する人材の確保・育成。5点目は職場風土等の確立です。5つ挙げましたが、この中で、1点目の品質確保に向けた取組の強化と4点目の専門性を有する人材の確保・育成について、少し詳しく御説明いたします。
 同じ資料の3ページを御覧ください。再発防止策を踏まえた取組状況です。品質確保に向けた取組の強化としては、いわゆるPDCAサイクルの調査計画について、事前に専門的な検討を行うだけでなく、事後にも調査計画の履行状況、回収率等の調査精度に関する事項、利活用状況等について定期的な点検・評価を行います。点検・評価結果、必要に応じて業務マニュアルの見直しや調査計画の改定、利活用が低調な調査の中止なども含めて検討・実施する形で、統計作成プロセスを不断に改善していくとしております。
 また、一定の統一性、品質の確保が必要であるとの観点から、点検・評価ガイドラインを7月30日に策定したところです。厚生労働省における統計の品質担保に関しても、このガイドラインを踏まえて点検・評価を進めていく予定です。
 4ページは、各府省における統計専門人材の育成のイメージを掲載しております。今後、統計データアナリスト、アナリスト補といった統計業務資格を設置し、各府省等の統計作成、データ利活用の水準の底上げを図ることとしております。
 現在は、必要とする研修内容や業務経験年数等の資格の認定要件、令和3年度以降の統計データアナリスト、アナリスト補を育成する計画を検討しておりまして、令和7年度から本格的に運用する予定です。特に、統計業務資格等については詳細を検討している段階であり、今後詳細が明らかになっていく過程などで、適宜、厚生労働省としての統計改革ビジョン2019の内容との関係を検討・整備し、必要に応じて統計改革ビジョンの工程表の見直しなどにも反映していく予定です。資料1の説明については以上です。
○小峰座長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御説明について、何か御意見、御質問等があればお願いいたします。
○美添委員 取組の御紹介ありがとうございました。着実に進んでいるものと思います。資料1の2ページに挙げている再発防止策・総合的対策の提言内容の盛り込みの1から5の中で、私が考えるに一番大事なのは4と5点目で、あとの1から3点目は必然的にそこから付いてくるものと思います。
 そう考えてみると、政府全体としての取組をやるという決意表明があって、それなりの受け皿はできつつあるのでしょうが、一カ所、私の聞き違いかもしれませんが、4ページの人材育成のところで、これらの計画を実現するのは令和7年度からとおっしゃいましたか。時間がかかるのは仕方がないと思いますが、人材の育成は令和7年度から本当にできるように準備をするということならば良いのですけど、ジワジワやっているうちに、あっという間に時間がたってしまうものですので、この辺りは、具体的にどのような手順で令和7年度までの教育プログラム、OJT、その辺の組合せをどうお考えなのかを少し御説明いただけますか。
○戸田政策企画官 御質問ありがとうございます。説明不足で恐縮ですが、令和7年度と申し上げたのは、本格的に運用するといった時期でして、この統計データアナリスト、アナリスト補に関しては、令和3年度から実際に資格に基づいた研修や、その資格に値する業務経験年数といったところを付与していく予定です。ただし、やはり研修に関しては時間がかかるものですので、令和7年度からは、本格的に統計に携わる職員が、実際にそういった資格を持って業務を遂行する状態にしたいと考えており、実際の完成した姿を令和7年度としているところです。令和3年度から順次研修等を受けていただくという、そのようなスケジュールで考えているところです。
○美添委員 ありがとうございます。令和7年度からは必ず本格的に運営を開始するという決意表明ですね。
○小峰座長 他はいかがでしょうか。
○中室委員 私も、今の美添委員の質問に少し追加でお尋ねしたいのですが、この4点目の専門性を有する人材の確保・育成みたいなことというのは、具体的にどのように行われる予定なのかを知りたいと思います。といいますのは、データ分析ができる、プログラミングができる人というのは、マーケットでのバリューもとても高くなっていて、とても需要が強いかと思いますので、一般の方と同じような処遇や評価の仕方では、なかなか良い人が確保できないという部分もあるかと思います。その点について、何かアイデアなどありましたら、是非お聞かせいただきたいと思います。
○戸田政策企画官 御質問ありがとうございます。研修内容等については今、検討しているところですので、具体的にこうした研修内容という話を今のところできない状況ですけども、ここで申し上げている話は、また後ほど厚生労働省の統計改革の進捗の中でも御報告いたします。既存のイメージとしては、先ほど先生からもお話があったように、外部人材の活用みたいな話もありますが、それよりも以前に、既存の職員の方々がこうした資格を取得され、そういった専門性を見付けられて業務に当たられるという、そういった議論の内容でございます。また、統計改革の進捗状況についての議事の中で御説明できればと思っております。
○中室委員 ありがとうございます。
○小峰座長 私もそれに関して質問があるのですが、この統計データアナリスト、アナリスト補というのは、多分、一定の研修を受けて、その資格を認定されることになると思いますが、これは普通の課長や課長補佐など、そういう職務上の名称との関係はどのようになるのですか。何とか課長であってアナリストとなるのでしょうか。その辺がよく分からないのです。
○奥垣統計企画調整室長 私から御説明いたします。まだ予定ではありますが、役職というよりも、将来、基幹統計や一般統計といった重要な統計は、設計を行うときには必ず統計データアナリストがいなければならないといったことですとか、あるいは、調査するに当たっては、必ずアナリスト補を置かなければいけないという形で実践したいと思っております。役職等とアナリストの関係については、まだ整理できていない状況です。
○川口委員 令和3年度から始められるということで、もう来年度ということだと思いますが、大体どれぐらいの人数の方を想定されていて、どれぐらいの期間、それぞれの方に研修に行っていただくというイメージなのでしょうか。
○奥垣統計企画調整室長 どれだけの人を育てるか、どのような形で育てるかという目標を、今年度策定することとしておりますので、今は検討中です。
○小峰座長 他はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次の議題に移ります。議題2として、厚生労働省統計改革ビジョンの進捗状況等について御説明をお願いいたします。
○戸田政策企画官 厚生労働省統計改革ビジョンの進捗状況としまして、資料2から資料4を御説明いたします。まずは、資料2のビジョン連絡会議開催実績を御覧ください。
 厚生労働省では統計改革を計画的に進めていくため、政策統括官に統計改革プロジェクトグループを設置し、その下にガイドライン作成グループ、情報システム適正化グループ、データ利活用推進グループ、EBPMプロジェクト推進グループ、研修見直しグループの5つのグループを編成し、それぞれについてグループ長が責任を持って進捗を管理していくこととしております。
 資料2にありますように、ビジョン連絡会議では、各グループ長が政策統括官、政策立案統括審議官に定期的に進捗状況の報告を行い、必要な指示を受けるとともに、各グループ間で研究し、統計改革を進めることとしております。開催の頻度としては、当初2週間に1回のペースでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、1か月に1回のペースとし、オンラインを活用して開催しているところでございます。資料2の説明は以上です。
○奥垣統計企画調整室長 私のほうから、工程表に基づく進捗状況のフォローアップについて御説明いたします。資料3を御覧ください。「1ガイドライン作成とPDCAサイクルの着実な実施」、「2情報システムの適正化」、それから、先ほど御質問を頂きました「3組織改革・研修の拡充等」について御説明させていただきます。なお、資料としては、この他に参考資料4が補足資料となっておりますので、併せて御覧いただければと思います。
 まず、ガイドラインの作成とPDCAサイクルの着実な実施について御説明いたします。資料3の4ページを御覧ください。今回、ビジョン作成におきましては、担当課室内のみの判断においての調査計画の変更、職員間の連携不足によりシステムの改修が適切に実施されなかったというような課題に対して適正な業務ルールに基づく業務の遂行という御指摘を頂いたところです。これを踏まえ、新しくガイドライン、マニュアルという形で業務を遂行するということで、資料のとおり分類いたしました。
 1つは、標準的な業務マニュアルである統計標準ガイドラインでして、こちらは厚生労働省が行っている多種多様な統計調査を包含しました標準的な業務プロセスや規則、遵守事項をまとめた標準ガイドラインを作ることとしております。もう1つは、統計調査ごとに個別マニュアルを作ることとしております。
 資料4ページの中程です。工程表では個別マニュアルは1つでしたが、大きく分けて2つ作ることを考えています。1つは統計実施計画書、もう1つは業務マニュアルと呼ばれているものです。
 統計実施計画書は、統計業務の実施に先立ち、企画から公表・提供までのスケジュール、実施体制、成果物を記載したものです。少し噛み砕いて言いますと、実施計画書にはなぜこの統計調査を実施するのかといった目的、その目的達成のために必要な実施体制、実施体制とは組織だけではなく、どのようなマニュアルを使うか、どのようなシステムを使うか、どのような体制でやるのかです。それに対する成果物、成果物とは、調査計画、調査仕様書、報告書といったような、このプロジェクトで作成されるものです。その成果物が出来上がるまでのスケジュールを、まずは作成することとしております。こちらを作成することにより、統計実施計画書は、これに基づいて本当に実施できるかどうかという計画妥当性を判断するとともに、進捗状況を把握することにより、ガバナンスの強化を図りたいと思います。実施計画は網羅的な計画案ですので、その他、各担当が実際に業務を行う形で業務マニュアルを作成することとしています。これは統計調査ごとに、どのようなことをやらなければいけないのか網羅的に書いたものでございます。
 3ページにお戻りください。今年度の取組状況についてです。まずは、統計標準ガイドラインを策定し、ガイドラインに作成しなければならない個別マニュアルの作成方法を記載したところです。これを9月に取りまとめました。もう1つは、国民の方から調査の誤り、調査結果の乖離があったときに容易に受け付ける連絡窓口を、先週の10月22日に厚生労働省のホームページで開設をしたところです。
 今年度下半期の取組ですが、まず標準ガイドラインを作りまして、事務局側で、本当に個別マニュアルができるかどうかの検証を行った上で、実際に今年度は8つ程度の個別統計のマニュアルを作成することとしております。もう1つは、今年の秋、11月にかけてコンプライアンスチェックを試行的に実施する予定としております。また、調査実施機関との意見交換については、適宜実施させていただきたいと思います。
 来年度につきましては、各統計において、統計標準ガイドラインに基づく業務の遂行と、それから標準ガイドラインについては、PDCAサイクル等々に基づいて適宜見直しを実施したいと思います。
 続きまして、情報システムの適正化について御説明いたします。6ページを御覧ください。ビジョンでは、汎用性が高く容易に改修することができるシステムの計画的な移行、ICTを活用した業務の見直しに関して提言を頂いたところです。大きく2本の柱で現在動いております。
 まず、今年度上半期の取組です。システム共通としまして、今後の統計処理システム等に係る調査研究の実施です。我々政策統括官組織においては、統計処理システムという1つのシステムを用いた形で、統計の審査とか集計を行っております。現在、こちらについては、統計システム全体に関するシステムの関連の他、業務の在り方についての課題の整理を行っております。その他、課題を踏まえ、次期統計処理システムの在り方について、こちらは12月末でございますが、検討を行っております。また、最近はAIやRPA等もありますので、新しくICTが統計に活用できるか情報分析を行っております。それから、毎月勤労統計システムとしましては、全国調査の集計処理の内容を詳細に記述したプログラム仕様書を今月に作成し、全国調査の集計処理内容の可視化を行ったところです。
 今年度の下半期です。まず、統計処理システムについては、今後の統計処理システムに向けた移行方針の確定、それからICT技術の統計システム活用方法の検討を行います。また、毎月勤労統計について、COBOLから、汎用性が高く容易に改修等ができるプログラム言語の移行を実施するための調査仕様書の作成を行う予定です。
 次年度についてです。令和3年度の予算が認められる前提ですが、統計処理システムに関しては、実際に数値を用いて、いろいろな誤りがないかという検証を行います。また、一部機能については、要件定義に取りかかりたいと思います。さらに、毎月勤労統計システムについては、集計処理プログラム開発し、試行や検証を行いたいと思います。
 7ページを御覧ください。次期統計処理システムのイメージについてです。今後、これを詰めていくのですが、現在は政策統括官組織が作成する統計が対象になっております。サーバを自前で持っている関係で、なかなか拡張性が少なく、ファイル容量等の関係で、調査が終わった部分のデータはDVD等で保管をしており、また、新しいサービスの導入が困難な状態です。次期統計処理システムに関しては、イメージですが、クラウドを利用することによって、政策統括官以外の厚生労働省の保存用調査票等データも一元的に管理でき、ファイル容量には柔軟に対応、またクラウドの利点をいかし、新たなクラウドサービスを容易かつ迅速に導入することにより、発展性、拡張性のあるシステムを考えているところです。
 最後に、組織改革・研修の拡充についてです。こちらは、先ほどいろいろ御議論いただきましたが、9ページを御覧ください。厚生労働省では、「政策立案のための能力(統計データ作成・活用・分析能力)の向上に向けた厚生労働省人材育成基本方針」を策定しておりましたが、今回、統計不適切事例で統計に関する認識・リテラシーの向上が求められておりましたので、4月1日に新しく改定したところです。
 中身としては、必須研修の設置ですとか、スキルレベル別研修に新たな研修を新設しました。こちらについては、次の10ページで具体的に御説明します。今までは上にある青字の部分、スキル別研修という形でレベル1からレベル3まで、具体的には、統計検定4級レベルのレベル1、検定3級レベルのレベル2、検定2級レベルのレベル3という形で研修を行っておりました。今後はEBPMが必要ということで、レベル1ではEBPMの基礎研修、これはEBPMに関する基礎的な知識の修得です。また、レベル2で、応用研修としてEBPMの実施に向けた応用知識の習得をするということで、EBPMの研修を用意しました。
 それから、今回の事案では、法令遵守が求められましたので、レベル1で統計法令遵守研修を新たに設けました。また、統計研修の受講機会の拡大という観点から、従来から内閣府や総務省で実施している統計研修、具体的には計量経済分析研修がレベル3で、統計担当者向け入門や社会・人口統計の基本等々についてはレベル2で追加しております。
 また、新たに必須研修を設けました。こちらは赤文字で、2種類ありますが、EBPMの実践担当職員向けの研修と、もう1つは全職員向けや幹部職員向けの研修で、eラーニング研修、幹部職員のための統計研修等を新たに用意したところです。
 9ページに戻っていただいて、実績です。人材育成基本方針が4月1日に改定されまして、それに基づく形でやっております。幹部職員(指定職)のための研修を9月15日に実施しております。また、ここには書いておりませんが、10月19日から11月20日にかけまして、eラーニングで全職員向けに研修を行っている段階です。その他、定員要求や予算要求も行っています。予算要求は3.6億円となっておりまして、こちらの中身については後で御説明いたします。
また、統計人材プロファイルの整備ですが、先ほど職員のキャリアアップの話がありましたが、我々局内の職員を対象としたプロファイルを準備しているところです。
 下半期の取組ですが、見直した研修計画を引き続き下半期も継続していくこととしています。先ほどありましたデータアナリストですが、育成目標を今年度に策定するわけです。統計幹事を補佐する専門家の配置ということで、こちらは民間の方に来ていただき、統計幹事を補佐する専門家を配置したいと考えております。さらに、政策所管部局、他省庁等との人事交流の拡大、統計人材プロファイルの運用を行っていきたいと思っております。
 令和3年度ですが、先ほど御説明しました人材育成基本方針というのを、今年度末にまた新たに改定しまして、令和3年度から新しい人材育成方針とします。それから、統計データアナリストの育成、政策所管部局や他省庁との人事交流の拡大を行っていくということです。先ほど先生方から御質問がありました点につきましては、この基本方針の中に、できれば盛り込めたらいいと考えているところです。私からの説明は以上です。
○大野審査解析室長 審査解析室長の大野です。続いて、資料3の13ページ、データの利活用・一元的な保存の推進について御説明いたします。
 最初に、2020年度(令和2年度)上期の取組内容についてです。これには2点あって、1点目が厚生労働省データ利活用検討会、2点目が広報についてです。
 1点目、厚生労働省データ利活用検討会を、5月22日に新型コロナの影響で書面開催とさせていただきました。当該検討会については、14ページを御覧いただきますと、設置の目的とありますが、真に国民や統計ユーザーの視点に立った公的統計を作成することを目的とした「厚生労働省統計改革ビジョン2019」に基づき、調査票情報等の一層の有効活用に向けた取組の推進や、データの一元的な保存の推進に取り組むため、学識経験者等からなる「厚生労働省データ利活用検討会」を開催し、専門的な見知からの検討を行うとともに、意見・助言を得るものとなっております。
 検討事項としては、(1)基幹統計調査、一般統計調査の調査票情報の二次利用の利用促進に関すること、(2)行政記録情報の利用促進に関すること、(3)は、(1)(2)の検討について得られた知見に基づき、時代に即した既存統計等の調査項目等の見直しに関すること、(4)データの一元的管理などその他のデータ利活用に関することとなっておりまして、一番下にあるとおり、中央大学の阿部教授を座長として、本日いらっしゃっている川口先生の他、オブザーバーを含めた4名が構成員となっております。
 13ページに戻ってください。第1回の検討会で議論された内容です。オンサイト施設に係る取組を拡充させるための課題や、厚生労働省のホームページの見やすさ、情報の過不足、調査票情報の二次利用に係る審査手続や利用手引きにおける情報の過不足等が議論されております。この第1回の議論を踏まえて、調査票情報の二次利用等の利用者アンケートとホームページの改良を実施しております。
 アンケートの概要は15ページにあります。過去に調査票情報等を利用された研究者の方々を対象に、二次利用における審査、厚生労働省からの情報提供、利活用促進に関する意見等を伺っておりまして、おおよそ100人程度に調査させていただいております。結果については、11月6日開催予定の第2回データ利活用検討会においてお示しする予定となっております。
 ホームページの改良については、16ページを御覧ください。改正前はこちらのとおり、オンサイト利用については詳細なページにたどり着くのに、2回クリックする形になっておりましたけれども、それぞれのページの内容が薄いとの御指摘がありましたので、17ページを御覧いただくと分かるとおり、最初のページでオンサイト利用で提供できる内容も含めて掲載させていただいております。また、御意見としては、総務省の政府全体のミクロデータの利用の紹介サイトである「miripo」というページがあり、こちらへのリンクを新たに貼っております。
 13ページに戻ってください。2点目の広報についてです。ホームページの改良を行った経緯は御説明申し上げたとおりです。もう1点が学会等への広報ですが、皆様も御存じのとおり、新型コロナウイルス対応で、学会自体が中止になったり、若しくはオンライン開催になったりしたことから、残念ながら例年行っているチラシ配布等による広報が、現在は行われていない状況となっております。
 次に、(2)の2020年度(令和2年度)下期の取組方針です。第2回利活用検討会を、11月6日に開催する予定となっておりまして、先ほどのアンケート結果等を踏まえ、利活用について御議論を頂き、さらに年度内には報告書を取りまとめていただく予定となっております。
 最後に、(3)の2021年度(令和3年度)の取組方針です。先ほどの報告書に取りまとめられた利活用促進策を実施し、利活用の一層の促進、広報の充実等を図る予定です。私からは以上です。
○飯島政策立案・評価推進官 続いて、EBPMの実践を通じた統計の利活用の促進について、御説明させていただきます。私は、政策立案・評価推進官の飯島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料の19ページを御覧ください。まず、本年度上期の取組内容について御説明いたします。EBPMの関係については3点あります。1点目は、EBPMの対象施策の拡大です。当省では政府方針に基づき、平成30年度から実質的なEBPMの実践を開始しており、平成30年度、令和元年度は、各局1施策、EBPMの実践対象として、毎年度約15事業について、ロジックモデルを活用した実践を行ってきました。今年度は統計改革ビジョン工程表等を踏まえ、EBPMの対象範囲を拡大し、令和3年度予算要求事業のうち、1億円以上の新規事業、全てのモデル事業及び大幅な見直し事業を原則対象として、ロジックモデルを作成することにしております。こちらについては、概算要求に係る会計課長説明において、10局31事業について活用しております。
 2点目は、有識者によるEBPMの実施状況の検証です。今年度のEBPMの取組状況を検証するために、本年9月に有識者4名によるEBPM有識者検証会を開催しております。こちらについては20ページを御覧いただければと思います。本年度は、みずほ情報総研に調査研究事業として委託している事業があり、その事業の一環として、EBPMの更なる推進を図ることを目的として開催しております。検証する事項としては、各局から提出されたロジックモデルの点検・助言・効果検証方法等の精度向上に係る検証や、次年度のEBPMの実践に向けて、例えば、対象事業のスクリーニング基準の妥当性といったことについての検証などを行うことにしております。こちらは、東京大学の田中教授を座長として、他3名の構成員の方に御参加いただいております。9月に1回開催しており、年度内にもう1、2回開催し、全3回程度開催したいと思っているところです。
 資料19ページにお戻りください。3点目は、EBPMよろず相談窓口の対応状況です。当省では、EBPMの実践対象事業を毎年度指定しておりますが、その実践対象事業に限らず、省内全ての施策のEBPMを支援することを目的として、昨年7月によろず相談窓口を設置しております。本年度は、事業の効果検証の相談など、7局11件の相談を受け付けておりまして、民間事業者の専門的知見を活用し、相談に対応しております。資料の21ページに、各局に送付したメールの内容がありますので、御覧いただければと思います。案内としては各局の窓口に送るのではなく、私たちEBPM事務局から全職員に一斉メールで送るという形にしております。窓口経由ですと、なかなか末端の担当まで情報が行き渡らないこともありますので、この内容については、全職員に送っているという形で進めております。
 再度、資料の19ページですが、(1)の2つ目、省内若手・中堅プロジェクトチームの関係です。こちらは昨年12月に設置して、現在は構成員が10名で、3つのサブチームを設けまして、働き方改革、女性のキャリアと子育て、障害者雇用という、3つのテーマについて分析を開始しています。
こちらも補足資料を付けておりますので、22ページを御覧ください。今、申し上げたとおり、若手ということで、資料の設置目的等の真ん中辺りにありますように、現在10名で、課長補佐級1名、係長・主査級7名、係員級2名のチームで活動を進めているところです。こちらは、昨年12月の設置以来、3回の会合をしており、現在分析作業を進めております。年度内に、調査票情報の二次利用等を行いながら、分析結果をまとめるということにしております。また、最後にあるように、この活動の一環として、労働政策研究・研修機構(JILPT)と連携し、EBPMセミナーを開催しております。こちらは本年8月7日に開催し、JILPTと厚生労働省のトータル31名が参加し、JILPTの研究者から、男性の育休と育児の現状等について御講演をいただき、意見交換を行いました。
 資料の19ページにもう一度お戻りください。資料の真ん中にありますが、本年度下期の取組方針です。EBPMの実践関係については、EBPMの対象事業の中から、ロジックモデルの精度向上を図るため、政府方針でロジックモデルを作ることが今回示されております10億円以上の新規事業と、効果検証の実現可能性が高い事業の中から、重点フォローアップ事業(12事業)を選定しました。この重点フォローアップ事業の中から、有識者検証会の意見等を踏まえ、効果検証対象事業を1~3事業選定する予定にしております。また、平成30年度から実施してきたEBPMの対象事業が30事業程度ありますけれども、その中から1~3事業を選定し、実際のデータを用いた効果検証も今年度下期に行っていきたいと思っております。有識者検証会については、先ほど申し上げたとおり、引き続き年度内に2回ほど開催する予定です。また、若手・中堅プロジェクトチームついては、資料にあるとおり、分析の結果を年度内にまとめて、結果については厚生労働省のホームページ等で公表していく予定にしています。
 (3)の令和3年度の取組方針について御説明いたします。EBPMの関係については、本年度に設置した有識者検証会による有識者の意見を踏まえ、工程表にもあるEBPMに適した事業の更なる対象拡大について検討する予定としております。有識者検証会についても引き続き開催し、令和4年度に向けてEBPMの実施状況を検証していくということ、よろず相談についても引き続き実施していくということを予定しております。また、若手・中堅プロジェクトチームについては、継続する意志のある方には引き続きお願いしたいと思いますが、そうでない方についてはメンバーを入れ替えて、新たな分析を令和3年度も行っていくということを予定しております。私からの説明は以上です。
○戸田政策企画官 最後に、資料4、令和3年度の統計改革関係の予算概算要求の組織・定員要求として、新型コロナウイルスを踏まえた統計調査の内容について御説明させていただきます。資料4の1ページを御覧ください。
 1ページは、令和3年度の予算概算要求の概要です。統計改革の推進として、昨年度比マイナス1.8億円の3.6億円の予算案を要求しています。具体的には、統計に関するガバナンス強化のための統計分野に知見のある非常勤の民間人材の活用に係る経費が800万円、統計業務の改善として、先ほどの情報システムの適正化の項目において御説明した次期厚生労働省統計処理システムのPOCと呼ばれる概念実証や、毎月勤労統計調査のシステム移行に係る費用等を要求しています。また、統計改革ビジョン2019の工程表における予定よりも前倒しして、統計等データ保存に関する仕組みの要件定義の実施として費用を要求しています。さらに、統計に関する認識・リテラシーの向上として、研修内容の拡充等に要する経費として6,000万円、EBPM推進検討事業として2,000万円を要求しています。
 続いて、2ページを御覧ください。令和3年度予算概算要求の概要、新型コロナウイルス感染症対応ということでして、新型コロナウイルス感染症対応に係る要求内容をまとめております。1つ目は、非常時における統計調査継続のための検討として20万円、昨年以後の所要額は今後の予算編成過程で検討されることとなっておりますが、令和3年の国民生活基礎調査におけるコールセンターの導入、人口動態統計における公表早期化に向けた調査研究、同調査における把握可能な国籍情報の拡大対応について要求しています。
 2ページの下側にある令和3年度の統計改革関係の組織・定員要求については、新しい生活様式を踏まえた統計調査実施の支援体制の整備、死亡統計の公表早期化のための体制整備等、統計の効果的な活用の確保、統計作成プロセスの適正化などの観点で、定員を要求しているところです。
 続いて、同じ資料の3ページを御覧ください。タイトルは、「新型コロナウイルス感染症を踏まえた厚生労働省所管統計調査の対応について」という資料です。新型コロナウイルスを踏まえて、厚生労働省所管の統計調査について、中止や調査計画の変更等に対応しているところです。保健所における業務負荷軽減の観点から、人口動態調査は調査票の不備や疑義に係る照会などの縮小及び延期を実施しています。国民生活基礎調査については、保健所における業務負荷軽減と調査員の訪問対面接触による感染拡大防止の観点に加え、代替的な方法も困難であったことから、令和2年調査は中止とさせていただきました。これを受けて、後続して実施する予定の社会保障・人口問題基本調査なども実施しないことといたしました。また、次の欄にある医療施設調査と患者調査については、提出期限を延期するなどの対応を行っております。最後の毎月勤労統計調査については、調査員調査による令和2年の特別調査を中止し、代替調査として小規模事業所勤労統計調査という名称の一般統計調査を、郵送とオンライン方式で実施しております。
 以上、御紹介した基幹統計以外に、一般統計調査についても、実施時期の繰下げ、提出期限の延長、郵送・オンラインの導入、公表時期の繰下げなどの措置を講じていくこととしております。最後になりますが、統計調査は社会・経済の実態を捉えるためにも重要なものですので、感染症の状況等も踏まえ、引き続きその適切な実施に努めてまいりたいと考えております。資料4の御説明は以上です。
○小峰座長 ありがとうございました。ただいまの説明に関連して、何か御意見、御質問等があればお願いいたします。
○梶木委員 2点ほど質問があります。まず、資料3の6ページです。今回は業務体制に加えて、システムを改善していくということで始まったわけですが、昨今、霞が関でもデジタル改革をしなければいけないということで、政府がかなり積極的にいろいろなことをおっしゃっています。その結果、単体としてこのシステムの改善を考えておられると思うのですが、局内や省内、あるいは他の官庁との関係で、政府からこういう要件を満たしてほしいとか、新たな宿題が出ているのかどうかというのが1点目です。
 2点目は10ページです。職員みんなで、eラーニングあるいはオンライン講座というのは、非常に結構な試みだと思っています。今はコロナということもあり、他の分野でも、従来は会議室でやっていたものを、eラーニングでやるという試みをやっています。その結果、最近は公認会計士協会の内部研修でズルがありました。ズルを防ぐというよりも、できる限り真剣に取り組んでもらうためには、本当のことを言うと、eラーニングの講座が終わった後、一番大事なところだけ5問ぐらいテストをして、別に合格不合格を決める必要はなくて、肝心要の、頭に入れておいてもらいたいことを5問ずつぐらい入れて行うというのは、非常に効果的だという感じがしました。
 私が所属する弁護士会でも、今年はコロナの関係で、2年ごとに行っていた弁護士法や弁護士倫理規定に関する結構面倒な事例研修を、今年はeラーニングでして、いきなり選択肢が6つぐらいある問題を10問やりまして、確定を押すと○×が出ました。その後、講師の方の説明が5~7分あって、それが終わらないと次の問題に行けないのです。結局、10問中7問以上正解しないと落第で、追試を受けさせられるのです。追試は同じような形で、恐らく間違った分野を中心に選ばれるのだと思いますが、6問中4問以上合格しないとアウトで、それでも不合格な方は、弁護士会に対してレポート提出ということで、私を含めて、かなりお年を召された弁護士の先生方も真剣に、こんなに真剣にeラーニングに取り組んだことはありませんでした。せっかくおやりになるのだから、職員の皆さんの頭に一番大事なところが残るような、ちょっとした工夫を後ろに付けられてはいかがかと思いました。
○奥垣統計企画調整室長 最初に、情報システムに関して、デジタル庁などもあって、政府全体で何か動きがあるかということですけれども、まずはクラウドということ、政府全体でクラウドを推進しようという話が少し前からありましたので、今回はそれに対応する形になっています。もう1つ言われているのが、オープンデータの活用です。なるべく情報公開をする。それもPDFではなく、皆さんが使えるようにテキストはCSV形式で情報提供をするような形がありますので、それらについては政府全体の方針を踏まえながら、より国民の方々が使いやすいようなシステムを目指していきたいと考えています。さらに、今後のデジタル庁の関係で、当然いろいろな動きがありますので、それらと連動した形で、順次システムのほうは作っていきたいと考えております。
eラーニングの提案についてはありがとうございました。先生が御指摘のように、せっかく勤務時間中に研修するわけですから、実りあるものでないといけない一方で、勤務時間にやるわけですから、余り拘束できないということもあります。先生がおっしゃるように、必要なところは試験問題をやるということ、それと、今でも紙芝居型というような動くような形で、ポイントを強調するようなことはやっておりましたけれども、先生の御提案を踏まえながら、研修のほうについてはPDCAサイクルに基づき、順次良いものを作っていきたいと思います。どうもありがとうございました。
○三浦参事官 補足させていただければと思います。情報化を担当しております参事官の三浦でございます。今、奥垣から話がありましたとおり、例えばクラウド・バイ・デフォルトといって、政府が新しいシステムを作るときには、いわゆるオンプレミスという、機械を買うのではなく、クラウドを使いましょうとか、幾つかの方針というものが示されています。
 併せて今、デジタル庁の設立に向けた動きが加速しております。もともとデジタルガバメント閣僚会議というものがあって、官房長官が議長をなさっていたのですが、これを総理に格上げし、その下にワーキングを幾つか作っておりまして、特に、法制化ワーキンググループでは、新しい組織体をどうしていくかといったような議論をしており、年末に向けて、コンテンツ、正に先生に御指摘いただいたような、政府のシステムについてはこういった基本原則を満たす必要があるのではないかといった議論を並行して猛スピードで行っているところです。省内でも情報共有をしておりますし、またアップデートがありましたら、是非御報告させていただければと思います。
○小峰座長 よろしいですか。他はいかがですか。
○川口委員 丁寧な御説明を頂きましてありがとうございました。4つの質問があります。1つ目は、資料3の7ページのクラウドのイメージです。もちろん、暗号化はするのだと思うのですけれども、厚生労働省とクラウドの間はインターネットでつなぐというイメージなのでしょうか。仮にそうだとしたときに、今進んでいるオンサイト利用、特定の場所に行かないとデータが使えないという考え方と、どういうように整理するのか。明らかに逆方向に行っている考え方ではないかと思うのです。その辺りはどういうように整備されているのかということを、お伺いできればと思いました。
 あと、細かい話で恐縮ですけれども、10ページです。体系図があって、レベル3でSPSS研修というように、極めて具体的に書かれているのです。しかし、SPSSというのは使っている人が少ないのではないかという気がしました。右側のレベル2にはRと書いてあるのですが、Rのほうが普及していると思います。無料ですし。この辺、SPSSは考え直されても良いのではないかと思いました。他の委員の方は違う御意見をお持ちかもしれませんけれども、個人的にはそう思いました。
 3点目は19ページです。EBPMの取組ということで、着実に進んでいるのだなということがよく分かりました。これは、もう政府の方針なので、仕方のない部分はあると思うのですけれども、ロジックモデルをやってデータ分析をやるというように、ステップが分かれてしまっていると思うのです。ですが、ロジックモデルというのは、私の理解している範囲だと、あくまでもデータ分析などをやるための前提みたいなところがあって、ここだけを独立してやるというのは余り面白くないというか、結局こういうものをずっとやっていると、例えば行政事業レビューみたいな話と、どう違うのかという意見が出てきてしまうのではないかという気がしています。もちろん、現場のレベルで工夫してやっていらっしゃると思うのですが、データはどういうものがあって、どういう分析手法が適用できるかということをイメージしながら、あくまでもその準備段階としてロジックモデルというものがあるのだという形でやられるといいのではないかと思います。これは余り時間を掛けてやる話でもないのではないのかなという気もしていまして、もう順次、実際にデータ分析に入られているということなので、そのような事業が増えるといいのではないかと思いながら、お話を伺っていました。
 いろいろと恐縮なのですが、4点目です。残念ながら、今年は国民生活基礎調査が中止になったということで、私も報道以上のことは何も知りませんけれども、保健所の状況というのを考えれば、当然やむを得ない判断だとは思うのです。しかし、こういう状況だからこそ、生活水準の低いというか貧困世帯の方など、生活に御苦労なさっている方が増えている可能性があると思うのです。そういう意味で、国民生活基礎調査というのは非常に貴重な調査なので、ここの部分で何か代替的な手法を検討されたのでしょうか。やはり基本的にはやるということで、やむを得ない判断だったとは思うのですが、何か代替的な手法が考えられないものか。
 また、今の体制で調査を続けられると、恐らく同じようなことが将来的にも起こってくる可能性があるのではないかとも思うのです。保健所というのは、ずっと縮小されてきたと言われていて、そういう中で、この調査を一体どういうように継続されていくのかということに関して、何か検討されていることがあれば、差し支えのない範囲でお聞かせいただけると有り難いと思いました。どうもありがとうございました。
○奥垣統計企画調整室長 ありがとうございます。まず、私から最初の2つの質問について、システムに関することと、研修に関することにつきましてお答えいたします。
 まず、クラウドですが、少なくとも統計システムに関しましては、インターネット上にありますクラウドサービスを使うことを考えております。なお、厚生労働省とクラウド間の線を、専用にするのかインターネットにするのかにつきましては、セキュリティの問題等を踏まえる形で、今後検討していきたいと思います。
 次に、オンサイト施設の関係です。まずは、現在クラウドで考えている部分につきましては、審査集計や厚生労働省の職員が行う部分を、次期までにとしているところです。ただ、クラウドとなりますと、インターネットがありますので、いろいろな都道府県の方などを接続する面では、すごく有意義な点は承知しておりますので、まずは将来をどうするかを考えた上で、その過程の中で、検討させていただければと思っているところです。
 2番目のSPSSとRの話です。これは省の事情なのですが、システムを更改するときに、分析ソフトが必要だということで調達したところ、SPSSという製品が入っておりまして、そのためSPSSを有効活用するということで、研修の中にSPSSを具体的に位置付けているところです。Rに関しましては、フリーソフトでもあります。今している統計システムの検討につきましては、分析にはどういうソフトを使ったらいいのか、ツールがいいのか、言語がいいのか等、その辺りを議論しております。その中で、体系が決まれば当然あるべき研修も決まりますので、今後検討させていただければと思います。どうもありがとうございました。
○飯島政策立案・評価推進官 では、3点目のロジックモデルの活用について御説明いたします。先生がおっしゃるとおり、政府の方針では、まずロジックモデルを作ることが示されており、それに沿って進めているところです。ただ、実際、ロジックモデルを作ることが目的化してしまうことや、ロジックモデルを作って、それでEBPMが終わりだと思ってしまうような弊害がありますので、当省ではロジックモデルを作った後に、先ほど申しました重点フォローアップ事業につきましては、各局に直接ヒアリングをしながら、分析の仕方等を支援する予定です。特に、今年度は、令和3年度予算要求事業を対象にしており、事業実施が来年度になりますから、比較的仕込みがしやすい仕組みにしておりますので、ロジックモデルを作って終わりではなくて、効果検証の仕方、あるいはそれをやるためにはどのような事前準備が必要かということを、丁寧に各局担当者に説明し、コメント等を提供しながら対応していきたいと思っております。
 また、先生も御出席いただいている政府の会議ですが、EBPMの在り方についていろいろ議論されておりますので、私どもとしましても、ロジックモデルありきが良いのかどうかも含めて問題提起をしていきたいと思っております。以上でございます。
○戸田政策企画官 最後に頂いた国民生活基礎調査の御質問について、御回答するとともに、今までお答えした内容について、少し補足させていただければと思います。国民生活基礎調査につきましては、令和2年に関しては中止いたしましたが、その際、郵送やオンラインといった調査員が訪問する方法以外の方法も検討させていただきました。ですが、やはり国民生活基礎調査の内容、御案内のとおり、いろいろと社会保険料の細かい情報をお伺いすると、なかなか回答者の方が回答できなくて、訪問する調査員の助けを借りて回答するといった事情もありますので、そういった観点で、郵送やオンラインで実施するということは困難だという状況で、今回は中止ということにいたしました。
 先生が御指摘のように、今後コロナの問題がやはり続くだろうという中で、対策としては、予算計上の中ですと、国民生活基礎調査に関しては、対面の調査をするといったときにも感染防止対策として予算要求をしているところですし、あとは保健所に関して、例えば回答される方からの照会に対応するようにコールセンターを設置するといったことも予算要求等をさせていただいているということで、令和2年は中止としましたが、今後は調査が実施できるように、少し対策を講じた上で進めていきたいと考えております。
 幾つか、他の点についても補足いたします。最初のシステム自体をクラウドに進めていくというような考え方と、実際に進めているオンサイト施設との考え方ですが、先ほど奥垣室長から、情報システムに関しては職員向けのシステムである一方、オンサイト施設はユーザーの方向けのシステムであるという話がございました。あと、もう1つ付け加えて申し上げますと、オンサイト施設に関して、政府全体の取組としては、特に調査票情報を二次利用される方が実際に分析する際に、調査票情報を生で見られてしまうということで、今回の二次利用の申請に際しては、必要最低限な項目だけ御提供するというようにしているところですので、そういった考え方に基づいて、オンサイト施設ではユーザーの方がそういった情報に触れたとしても外部に漏れないようにするような対策をしているところです。やはり、そういった考え方の違いもありますので、そこも整理して進めていきたいところです。
 2点目のSPSSかRかという話です。私も、どちらかというと川口先生の御意見に賛成といいますか、共感できるところはあるのですが、統計作成業務でどういったプログラムかソフトを使うかという話と、あとは実際に統計部門以外でも、実際に統計分析をされるところがありますので、そこを分けて考える必要があると思っております。統計作成業務に使うソフトやプログラムに関しては、先ほど奥垣室長から申し上げたとおりですが、それ以外の統計、他の部局での分析に関してはRみたいなソフトが使えるといいというように、個人的には考えております。今、研修の話がありましたが、私も少し研修の内容を見せていただきまして、計量経済学の基礎的な研修もありますが、それがなかなか所管課でのデータ分析にいかされていないような状況もありますので、もう少し実践的な研修みたいなものを作って、今年度は少し試験的に実施して、Rも使えるみたいなところも少し視野に入れて検討していきたいなと思っております。
 ロジックモデルの点については御指摘のとおりですが、私の個人的な印象で恐縮ですが、若手チーム等で、係長、係員プラスの職員にロジックモデルを書いてもらうみたいなことをするのですが、私も当初は、行政官なので、ある程度政策について理解しているはずなので、さっさと書けるのではないかと思っていましたが、意外と、書いてみると理解が足りていないとか、データ分析の観点でまとめられていないようなこともありました。やはり、そういう意味では、政策の中身を理解するということや、因果関係をきちんと把握するという上では、こうしたロジックモデルを活用していくところは意義があるのではないかということで、それとデータ分析をどうつなげていくかというところは、また別の議論ではあるかと思いますが、こうした意義を理解している職員も徐々に増えてきている印象は個人的に持っているところです。すみません、長くなりましたが、以上でございます。
○小峰座長 美添さん、どうぞ。
○美添委員 膨大な説明を頂いたので、メモを取るだけで追い付いていませんが、質問したいことがたくさんあります。時間を頂くのは心苦しいのですが、分からないことをいろいろ聞いてもいいですか。時間は大丈夫ですか。すみません。勉強の機会として幾つか教えていただきたいことを順番にお伺いします。
資料3で、取組内容を、まず3ページに御紹介いただきました。第三者が誤り等を報告するための相談窓口、これは設置が求められていたものがようやく運用を開始されたということで、まだ開始したばかりなので実績はないだろうと思いますが、省内の負担はどんなものなのかが少し気になりましたので、それを後で教えてください。
 それから、4ページ、統計標準ガイドラインの作成という点は、統一したもののガイドラインを作ろうという工夫は評価されるものと思います。質問はその次の個別マニュアルについてです。私の理解では、従来から実施計画書は当然あったわけですよね。細かい実施手順は持っていて、そもそもそれがなければ、基幹統計が申請を受け付けられないわけですから、そういう施行の文書は明確だったと思うのです。少し違うかなと思うのは、業務実施体制を可視化するという点。なるほど、これは今まであまり見えていないことがあったかという気がします。
 その次の業務マニュアルが、これはとても大事なものなので、可視化する作業手順は重要だと思いますが、問題はどこまで公開するおつもりなのだろうかということです。利用者としては詳しい情報を知りたい気持ちはありますが、一般の方にあまり細かいことまで出すのは、出しにくい情報はたくさんあるわけで、それを分析したい研究者向けとか、本当に一般のマスコミの方とか、どこかで区別をしないで、生のままの手順をそのまま公開するのはうまくできるのかなと少し気になりました。
 小峰先生のいらした経済企画庁は膨大なマニュアルがあって、あれは非公開ですよね。私も中で仕事をしたことがありますが、担当者以外には見せないといって、見せていただけないぐらいの貴重なものでした。そういうノウハウがたくさん詰まっているものまで想定されると、ちょっと一般の公開というのは難しそうです。可視化はいいのですが、要するに省内で情報を共有するということと、対外的に情報を提供するということとは少し意味が違うのではないかという気がしています。
 4ページの一番右側に、調査計画、調達仕様書、報告書とあって、このうちの調査計画と報告書は従来からホームページ等できちんと公開されていると思いますが、今回の御提案は調達仕様書まで出すとされています。確かに役所によっては出ていないものがあって、どこの業者が落札したかという情報を自信を持って公開しようということだと思いますが、これはなかなか優れた取組だと思います。
 質問がたくさんあって、すみません。順番に質問いたします。6ページ、システム共通の所に、AIやRPAなどの導入に向けた調査研究とあって、調査研究はもちろんなさっていただく必要があるとして、RPAは私どもの調査会社でも使っているところがありますが、なかなか思うような効果が出ないので、これはかなり事例収集に時間がかかるかなと思います。やっていると書くのはもちろんいいのですが、成功事例を書けと言われると、そこで役所としてきちんとやっていないというように叱られそうな気がして不安に思いました。
 COBOLの件はいろいろと御意見が出ていますので、汎用性が高く容易に改修等ができるプログラム言語、検討中だということですが、もし差し支えなかったら、どのような言語をお考えなのかをお聞かせいただけると、進捗状況が分かって安心できると思います。
 議題2でいうと、7ページ目に、データの保管の話があります。先ほど川口先生からも御指摘がありましたが、今後クラウドが主流になるのは当然として、従来の統計データは大事なものは永年保存でしたよね。昔の磁気テープの時代はテープが劣化するため、数年に一度書き換えをやるとか、山の中のトンネルに放射線の来ない所に保存するとか、そういうことをやっていました。クラウドでも同じように永年保存をするシステムはいろいろありますが、相当慎重にバックアップを何重にも取ることが今まで以上に求められています。そういう知見はお持ちだと思いますが、ここは、民間でこういう知見がある業者とも十分御相談いただかないと、貴重なデータが、どこで、いつ失われるか分からないという危険なことだけは避けていただきたいと思います。その心配を除けば、この取組は当然のことだと思います。
 本当にいろいろなことをやっていて、人は多分若干増えただけでしょうが、この取組の増え方を見ていると、もっと人を増やしてもらえないかなという気が率直にしています。ここに書いてあることを、本当にこの人数でやるのかというぐらいのことが、たくさん書いてありますね。
 9ページですが、研修実施をきちんとなさろうということで、これも歓迎したいのですが、ただ、この研修は皆さんが多分お生まれになる前かもしれませんが、40年ぐらい前までは、各省はかなりしっかりした理論研修をやっていて、例えば当時の大蔵省は半年ぐらい理論研修をいろんな科目でやっていたわけです。経済学などの科目の中に統計学もありました。経済企画庁でも理論研修をやっていて、そちらは3か月ぐらいでした。厚生労働省でも私は理論研修を担当したことがありますが、次第に業務が忙しくてできないということで、どんどん減ってきてしまって、多分この20年ぐらいは、理論研修は各省ともやっていないのですよね。その中で、統計に関してだけは、基礎的知識が必要だということで、お始めになるということは大歓迎なのですが、統計以外にもいろいろな研修は必要だというのは役所の中では当然なので、その辺との兼ね合いが正直言って気になっています。統計は大事だと言いながら、突出して統計だけやるのかというのは、政府としては、統計と他の一般的な仕事とのバランスをしっかり見ないといけないなという気がしています。同じ9ページですと、職員を対象としたプロファイルを準備するということで、これも大歓迎です。
 10ページのスキルレベル別の体系、具体的にお考えいただいているということで、これは研修を受ける職員にとっても、目標が設定できて励みになるので、なかなかいい取組だと思います。統計検定を挙げていただけるのは、私も関係者ですので有り難いのですが、統計検定には実は厚生労働省からも後援を頂いておりますので、6つの学会が協力して無償奉仕のような形まで含めて貢献いただいているものなので、それなりのものができていると思いますから、是非政府としても御活用いただきたいと思います。
 もう1つだけ言うと、レベル1ですが、統計検定4級レベルで、もちろんこれは全ての市民が身に付けるべき知識として設定しているレベルですから、これを入れていただくのは当然として、もう1つお願いがあります。統計検定には、統計調査士という資格があります。これは公的統計を扱うための基礎知識ということで、最近は大学生でも大勢受験する方がいるのですが、これは最初は調査の実務に携わる人を想定して設計したのです。特に公的統計に関わる方に必須となる内容を入れたものなので、是非そこも御参照いただきたいと思います。そうすると、国あるいは地方公共団体として公的統計に関わるためには、こういう知識が最低限必要だということが身に付くと思います。
 9ページの(2)、下期の取組方針に、統計幹事を補佐する専門家ということが出ています。今年の下期ですから、そろそろですね。これは、民間からのということなので、これも大事かなと思いました。これは、相当レベルの高い方を想定されているのですよね。私の時代のレベルでは古くてもう駄目だろうからもっと若くていろいろなことができる方を多分想定されているのだと思いますが、そういう人材は、それこそ民間でたくさん引っ張られている方なので、うまい具合に見付かってくれるかなというのが、先ほど伺っていて気になりました。
 13ページから大野さんに御説明いただいたところだと、二次利用、データ提供の話が川口先生からお話がありました。私も二次利用に関しては、秘匿が必要だということで、そちらの国際的な研究をやっておりまして、提供する側として出すための準備をする負担はかかるのです。提供する側というのは、作成者が各府省ということですね。それを受けて、安全な二次利用、この二次利用のときに何段階かありまして、オンサイトというのは一定の条件を満たせば研究者は誰でも使えるようにしたいわけです。そうすると、昔から言うと目的外利用、今の統計法の第33条の2項でしたか、あれで使うことができる方は、またそれの先なのです。そういう方は、厚生労働省に行って審査を受けて使えばよいのです。その前に、二次利用ができる裾野を広げたいからオンサイトを作っているのです。それは、ある程度秘匿が必要です。これは国際的に常識になっているので掛けざるを得ないのですが。
 ただ、先ほどの発言で気になったのは、必要最低限とおっしゃったのですね。必要最小限ではなくて、できるだけ、最大限に、利用者が希望するものを最大限提供する、ただし秘匿はかけるという姿勢が必要です。説明の仕方がネガティブに聞こえないように、他の方に説明するときはご注意ください。安全性を確保して、なおかつ有用性を保証するための秘匿方法を政府全体で考えていますので、厚労省は、基礎データの提供ということで、内部の審査を連携してやっていただくことが大事かなと思いました。
 それで、二次利用の他に、政府全体の統計としてe-Statがあるのです。実は、この数箇月見ていないのですが、昨年、前近のデータを分析してみようと思ってアクセスしたところ難しいのです。解説がバラバラだし、ダウンロードも面倒だし、悪口でごめんなさい、ここは改善していただけたのだろうかと、最近確認していません。仕事を増やすことになるとまずいのですが、これは一般のユーザーで、初心者から誰でも使える簡単な設計があると評価が更に上がる。大事な統計であって使いやすいことが認められることが大事だと思います。e-Statは、何か義務でやっているような雰囲気もある役所があるのですが、これは各省からの統計、作成者としてのアピールの場だと思います。
 19ページからEBPMの話、ロジックモデルのお話がありました。これは幾つか議論がありましたが、政府全体の話ですのでとやかく言いませんが、もし差し支えなければ、ロジックモデル、厚生労働省でこんなモデルを作ってみたというのを具体的に教えていただくと、私も勉強になります。
 EBPMのよろず相談窓口ですが、優秀な人がいるんですね。民間を活用するとして。この辺は、大風呂敷かなという気もしましたが、厚生労働省ですから、そういう人もいるかなという気はいたしました。
 どうでもいいことですが、資料4の最後のページに、統計分科会資料よりと書いてあるのは、具体的に何の分科会か、すぐ分かりますか。統計分科会は、厚労省の内部ですか。それだけです。細かいことをたくさんお尋ねしてすみません。
○奥垣統計企画調整室長 ありがとうございました。私で回答できる点をお答えいたします。まず、最後の御質問の統計分科会ですが、こちらは厚生労働省の社会保障審議会の中の統計分科会という形でありまして、人口動態であるとか社会保障、主に厚生統計に関して調査計画等を変更する前に審議するものです。この内容についてはホームページで公表しています。
 あと、実施状況について御質問いただきました。まず、ガイドラインや業務マニュアル、どこまで情報公開すべきかという話です。ビジョンの中においては、適正な業務ルールに基づいた業務の遂行の他に、情報公開の点を指摘されているところです。今回、こちらにあるのは、主に省内に向けて、どういう形で業務をやっていくかというガイドラインでして、実際に国民に対してどういう情報を提供すべきかについては、標準ガイドラインの中で検討を行っていまして、何を情報提供すべきかというのは3月の段階までに確定する予定としているところです。
 続いて、連絡窓口の設置と省内の負担ですが、今でも統計結果を発表しますと、基幹統計、国民に関心の深い統計については、いろいろ質問等が個別に行われています。ですので、窓口で受けた質問も、そのルートで流す形にしておりますので、各局の負担というのは極力発生しないものと考えています。また、これに関しては、いろいろな機会に省内に周知をさせていただいたところです。
 それから、RPAの件です。先生がおっしゃるとおりで、なかなかRPAに関して統計調査でそのまま使うのは難しいかなというのが正直なところです。一方で、今の業務体系のまま業務をやれば、当然難しいので、RPAとか新しいものの導入に関しては、今の業務で無駄がないかという業務のやり方を変えて、その中において、手作業であればRPA、あるいはRPAでなくても構わないのですが、新しい統計処理の新しい技術の中で、できることをやっていくということで、業務の正確性の確保、効率化を目的としていますので、新技術の導入は目的ではないということで御理解いただければと思います。
 あと、クラウドの場合はデータの紛失がないようにということですが、先生ありがとうございます。これに関しては、まずはクラウドといっても、1か所ではなくて複数のクラウドのほうでデータを拡納することとしていますし、これはまだ検討段階ですが、物に勝るものはないとありますので、バックアップデータというのは何らかの形で持つことも検討は行っている段階です。
 従来、厚生省のほうも昔は長期研修を行っていたところですが、残念ながら今は研修はできないような状況です。全ての職員を対象としての長期間の研修というのは、なかなか難しいのですが、一方で、専門家も育成しなければいけませんので、こちらは人材育成の基本方針を作成する中において、中長期的には研修の在り方だとか、他省庁との人材交流なども検討させていただければと思います。
 統計幹事を補佐する専門家の方ですが、民間の方を予定しています。これらの方については、補佐すると申しますが、我々自身も新しい空気を取り入れたいということもありますので、できたら若い方と一緒に仕事をさせていただいて、閉じた世界から脱却を図らせていただければと思っているところです。
○井嶋労働施策情報分析官 COBOLからの脱却の進捗ということですが、レガシーという指摘を受けていますので、技術者がたくさんいるとか、あるいは研修が充実しているといった観点から絞り込みをいたしまして、様々な言語の中から、3つに絞っております。CとPythonとVBAです。これについては、処理速度や移行の観点などを踏まえて決定していきたいと思います。
○美添委員 先ほど、RかSPSSかという話があったのですが、研究とか分析、教育はRとかPythonなのです。今は、世の中はそういう動きですから、それを使うべきだと思うのですが、一方で、私も数年前に国の統計情報を分析したときにRを使ってみせたら、ある偉い先生にお叱りを受けました。Rは信頼性は十分に保証されていないからチェックしろというので、私はSASでもやってみて同じ結果が出るというプログラムを作ってから、Rでその後の仕事をしたのです。
 やはり、SASとSPSSというのは、一応品質は評価されているものなので、これは残さざるを得ないかなと思います。SAS、SPSSあるいは独自開発でもいいですが、然るべき言語で開発されたシステムで信頼性が明らかになるもの、これは将来も残ると思います。ただ、教育上に、これを使うのがいいかどうかは話は別だと思います。
○小峰座長 他に説明は、まだありますか。
○飯島政策立案・評価推進官 先ほど、ロジックモデルの話がございましたので、若干説明させていただきます。厚生労働省のロジックモデルについては、実例創出として一般介護予防事業を公表しております。これは、通いの場を通じて、虚弱の発症リスクを低下できるといったロジックモデルを、昨年度に行革事務局に提出しており、行革事務局のホームページで公表されております。
 今年度についてですが、10億円以上の新規事業については、政府の方針で行政事業レビューシートと併せて公表することになっておりますので、間もなく10月も終わりますが、今月又は来月の早々には、行政事業レビューシートと併せて公表することにしており、今のところは2事業の公表を予定しております。
 あと、先ほど申しました重点フォローアップ事業、トータルは先ほどの10億円以上の新規事業を含めた12事業となりますが、現在、ブラッシュアップをしておりますので、年明けに厚生労働省のホームページで公表していきたいと思っております。ただ、新規事業なども含まれており、アウトカムの設定とか指標の設定の仕方とかで、なかなか難しいところもございまして、公表されたロジックモデルが完成版にまで行き付くかというと非常に難しいと思っておりますので、公表後もフォローアップをしながら、随時ブラッシュアップしていきたいと思っております。
○戸田政策企画官 若干補足させていただきます。オンサイト施設の件ですが、説明が足りなくて大変申し訳ございませんでした。先生のおっしゃるとおりと考えています。それに関連して、e-Statが見にくいという点は、私自身もそのように感じるところもございますので、是非、先生の御指導を頂ければと考えています。
 最後のロジックモデルですが、因果関係を推定するのは難しいという話で、私もそういったことをやってきた人間ですので、そのことはよく分かっているものの、いろいろと若手チームの中で、省内の持っている情報等を活用して検討すると、意外とできることもあるなというのが印象でして、できるところから着実に進めたいというように考えております。
○小峰座長 御説明はよろしいでしょうか。それでは、それ以外にはいかがでしょうか。
○中室委員 御説明いただきありがとうございました。特にEBPMの部分が、第1回の会合に比べると随分具体的な進捗があって非常に感銘を受けました。その点を中心に、幾つかコメントと1つだけ質問があります。
 1つ目には、EBPMを今後進めていくに当たって、研修とか職員のリテラシー向上ということに終わらず、実際の業務と結び付けていくということが非常に重要ではないかと思います。先ほど、美添先生が理論研修の話をされていましたが、業務が忙しいので理論研修がなくなってしまったというようなことと同じで、EBPMを研修だったり人材育成ということに位置付けて業務と無関係にしてしまうと、いずれ業務が忙しいのでやめていきましょうということになるのではないかということが懸念されますので、EBPMをきちんと業務と結び付けていくことを意図しておく必要があるのかなと。そのように考えたときに、先ほど来何度か行革事務局の話が出ていますが、行政事業レビューときちんと結び付けておくと、実利があってよいということになるのではないかと思いますので、その点は、是非御検討いただきたいと思います。
 2つ目です。EBPMは今のところ効果の検証に重点が置かれていますが、重要なのは効果の検証だけではなくて、現状をきちんと分析し、問題の所在を洗い出すという観点でも極めて重要ではないかと考えております。先ほど、行革事務局でアウトカムの設定が難しいという話があったのですが、これは正に、現状分析がきちんとできていないということの裏返しであろうと思いまして、現状を分析しますと、何を改善するためにどのような手段を用いるのがよいかということを考えるわけですが、いろいろ霞が関の中で政策の効果検証をしたものを見ますと、手段は決め打ちで、アウトカムが不明という事業が非常に多いという印象がございます。これは現状分析がきちんとできていないので、原因となる問題をきちんと把握できていないことによるものだと思います。ですので、どういう政策が必要かということを考える上での現状分析に、データをしっかりと使っていただいて、EBPMをやっていただくことが重要ではないかと思いました。
 3つ目ですが、これは川口先生が先ほど御指摘になった、非常時における統計調査の中止という観点です。私も、この点は非常に重要な問題だと考えていまして、資料4の「統計業務の改善」の項で、非常時における統計調査継続の検討ということで、御検討いただいているところではあるとは思うのですが、この点についてどのようにしたらいいかということで、もう少し知恵出しが必要かなと思っております。
例えば、私が専門としている教育の分野ですと、コロナ禍で臨時休校が起こって、オンライン教育が急速に普及したわけですが、残念ながら全国学力学習状況調査が中止になり、この間、何が起こったかさっぱり分からないと、そうしますと、今後オンライン教育を推進していくに当たって、どのような投資を行うべきか、何を改善すべきかということが分からないという状況になってしまっています。
 だんだん対面授業が復活してきていますので、データを取る時期を逸してしまうと、このまま永遠に何が起こったか分からないというような状況になっていきますので、やはりこういう危機時に何が起こったかということを知ることは、今後の対策を有効にする上でも極めて重要なことかと思いますので、スピーディに調査をできるという何らかの方法を考えておく必要があるのではないかと、私も今回つくづく感じました。そのときに、調査員を派遣するというやり方は、スピード感やコストの観点からかなり難しいと思いますので、例えば行政データを使ったレジスタ方式みたいなものも検討していく必要があるのではないかと考えております。
 以上のようなことを踏まえて、今後、行政データの利活用ということは非常に重要になってくると思うのですが、今回の資料の中で行政データに関しては、資料3の14ページの厚生労働省データ利活用研究会の検討事項の(2)に、「行政記録情報の利用促進に関すること」ということで、1行出てくるのみにとどまっております。この点について、もし何か補足の説明がございましたら、是非お願いいたします。
○飯島政策立案・評価推進官 最初の2点について御説明いたします。当省としても、令和元年度までは実例創出ということで、業務と直接的に関係するものではなく、EBPMの好事例を作り上げるという作業でした。本年度からは、行革事務局の方針もございますが、予算プロセスとEBPMを一体的に進めることにしておりまして、会計課とも連携を図り、行政事業レビューシートの補足資料ということで、ロジックモデルを位置付けるというような形で進めています。そういった取組の延長線上で、今年度は会計課長説明にロジックモデルを使っておりますので、引き続き、業務の中に位置付けるということを意識しながら進めていきたいと思っております。
 あと、現状分析について、正にそのとおりと思っておりまして、政府のロジックモデルですとインプットからインパクトまでを並べるという様式が一般的ですが、本年度の当省のロジックモデルは、現状分析・課題と実際の事業との関係が分かる様式にしております。また、その中身をチェックするに当たりましても、本当にその事業を行う上で、現状分析・課題から見て有効なアクティビティであるかといったようなことを確認するような様式にしております。ですので、効果検証も非常に重要だと認識しておりますが、現状分析についても、しっかりとロジックモデルの中で確認しながら進めていきたいと思っております。
○大野審査解析室長 データ利活用検討会の件ですが、行政記録情報については、次回以降の利活用検討会の中で、ユーザー側、メーカー側も含めたいろいろな論点について議論させていただきまして、まとめていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○鈴木政策統括官 コロナ下における統計調査の話がございましたが、今年の国民生活基礎調査、先ほど代替調査もという話がありましたが、実はこの調査ですが、私も今回の問題が起こるまで余り認識していなかったのですが、調査員の役割がものすごく大きくて、調査が終わるまでに、大体5回から7回ほど御家庭に訪問するのです。調査票を回収したりとか問合せをしたりとか、調査員が通常やると想像されるような仕事をやっているのですが、この調査については、世帯がどこにあって何人いるかというのを、調査区が決まると、調査員を世帯ごとに全部派遣して、その数を数えて、それで調査客体を決めるというところがあります。
 これは住民票がこの調査区にあっても、例えば東京の大学に行って、そこの世帯にいないという方もいらっしゃるので、それをやらないと調査客体ができないのですが、そこがネックになって、今回は調査客体が決められなくて、代替調査も設計ができなかったというのが、先ほどいろいろ細かい点があるからと申しましたが、かなり決定的な要素であり、それで調査ができなかったのです。
 調査員については、この方たちがやると調査の回収率が結構上がるのです。これまでもかなり頼りきっておりましたが、やはり調査員は高齢の方が多いとか、今後10年後に調査員での調査ができるかというと、そうでもないということもございますし、それから厚生労働省の厚生統計を中心に、保健所というものを経由地点にしているものがありまして、こういう場合には、保健所が他の機能で使えなくなると調査が根本的にできなくなるということも含めて、従来の調査をそのまま引き継ぐのではなくて、ポストコロナにふさわしいような在り方を作らなければいけないと実感した次第です。
 このような理由で、今年度の国民生活基礎調査はできませんでしたが、来年度は必ずやるという決意でおりますし、更には調査員とか、いわゆる人を経由しないでできるやり方も検討したいと思っています。御意見ありがとうございました。
○美添委員 大変な苦労をされたということは分かっていますが、おっしゃったとおり、国民生活基礎調査は、調査の経路が都道府県、市区町村ではなくて、保健所と社会福祉事務所であることから非常に協力が高いと、昔はそう言われていました。昔はです。最近、だんだん協力が下がっているのは他の調査と同じなのですが、少なくとも5年ぐらいを目標にして、調査員の負担を減らす方法は考えるべきだと思います。ただし、調査員調査はなくなりません。これでなければ、絶対にできないという調査なのです。
 もう1つ、これは国全体の問題なのですが、調査に対する協力意識が非常に低下しています。今年は国勢調査ですよね。回答義務があるのですが、5年前の国勢調査で、全国レベルで、回答を得られなかった人たちが約13パーセントいるのです。ただ、東京に限ると約30パーセントが非協力を含む無回答なのです。今年はもっとひどいと思います。負担が多いから嫌だというのではなくて、そもそも協力意識が低下しているのです。この点について、国全体として、必要最低限の協力はしなければいけないということを明らかにするのと同時に、負担は減らすべきだと思います。
 国勢調査の例だと、調査員がしっかりやる部分は減らして、簡単に分かるところは置き換えるというのは十分に可能で、そういう検討は昔から何回もしているのですが、国勢調査については法令に調査項目まで書いてあるわけで、そう簡単ではないかもしれませんが、でも、今後は絶対に変えなければいけないと思っています。今回の悲惨な回収状況を見たら、世の中そう思うでしょう。
 そこで、調査を簡素化する、やりやすくするのと同時に、統計法に書いてあるとおり、回答は義務だということを、厚生労働省だけの話ではなくて、国全体として再確認する必要があると思います。その一環として、国民生活基礎調査も協力度合いが上がって、トータルとしての負担は減るという、そこができれば理想かなと思っています。
○鈴木政策統括官 国民生活基礎調査については、令和4年の大規模調査からオンライン調査の導入などを考えておりまして、調査員の負担をできるだけ下げる方向でと思っています。ただ、調査員でなければできないこともありますので、そこを見極めて、どれだけ負担、調査の客体の国民もそうですし、調査員、それから調査を実施する国、都道府県、市町村といったところの負担を、どれだけ軽減できるかが肝かなと思っております。
○小峰座長 他はいかがでしょうか。ないようでしたら、予定しておりました議事は全て終了いたしましたので、議題3に移って、その他に何か言い残したこととか、本検討会に関することで、何か追加的にございましたらお願いいたします。よろしいですか。
それでは、最後に事務局から連絡事項等があればお願いいたします。
○武藤政策統括官付参事官 皆様、本日はお忙しい中御出席いただき、誠にありがとうございました。次回の日程ですが、前回同様に2月頃を予定しておりますが、また追って日程調整をさせていただきたいと思います。決まり次第、御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○小峰座長 それでは、本日は活発な議論をありがとうございました。これをもちまして、第2回厚生労働省統計改革検討会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
(了)

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政策統括官付参事官付統計・情報総務室 坂部

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