2020年10月30日第19回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」議事録

 

 
 
1.日時 令和2年10月30日(金)15:00~17:00
 
2.場所 オンライン会議(TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E)
 
3.出席者
 井出アドバイザー、岩崎アドバイザー、小川アドバイザー、小船アドバイザー、橋本アドバイザー、野澤アドバイザー、平野アドバイザー、赤澤障害保健福祉部長、源河企画課長、竹内障害福祉課長、佐々木精神・障害保健課長、河村障害児・発達障害者支援室長兼地域生活支援推進室長、米澤障害福祉課長補佐、猪狩障害福祉課長補佐、栗原地域生活支援推進室長補佐、高橋地域生活支援推進室長補佐、藤川地域生活支援推進室相談支援専門官、片桐障害福祉課虐待防止専門官、吉野地域生活支援推進室障害福祉専門官、友利精神・障害保健課長補佐、齋藤精神・障害保健課地域移行支援専門官、古屋企画課データ解析専門官
 
4.議題
 (1)令和3年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて(計画相談支援、障害児相談支援、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進等)
 (2)その他
 
5.議事
○竹内障害福祉課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」の第19回会合を開催いたします。
アドバイザーの皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
本日も、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、アドバイザーの皆様には、オンライン会議にて御参加いただいております。
また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
本日のアドバイザーの皆様の出席状況でございますが、石津アドバイザー、佐藤アドバイザー、田村アドバイザーにつきましては、所用により御欠席でございます。
続きまして、構成員の出席状況ですが、こやり厚生労働大臣政務官につきましては、公務により、欠席でございます。
それでは、議事に入る前に、お手元の資料の確認とオンライン会議の運営方法の確認をさせていただきます。
まず、資料の確認を行います。本日も、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
本日の資料の確認をさせていただきます。
資料1「計画相談支援、障害児相談支援に係る報酬・基準について」。
資料2「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進について」。
資料3「ピアサポートの専門性の評価について」
参考資料「第13回報酬改定検討チーム等における主なご意見について」。
以上でございます。
資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
次に、オンライン会議の運営方法でございますが、資料について事務局から説明させていただいた後に、アドバイザーの皆様から、御質問、御意見をいただきます。御発言される場合は、通常の会議と同様に、挙手をお願いいたします。発言者は、こちらから指名させていただきますので、指名に基づき、御発言いただくようお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。
まず、資料1について、事務局から説明いたします。
○高橋地域生活支援推進室長補佐 資料1「計画相談支援、障害児相談支援に係る報酬・基準について」をお願いいたします。
1ページをお願いいたします。計画相談支援です。サービスの内容ですが、サービス利用支援、障害福祉サービス等の申請に係るサービス等利用計画案を作成、支給決定後にサービス等利用計画を作成。継続サービス利用支援は、サービス等の利用状況等の確認の検証(モニタリング)でございます。請求事業所数でございますが、今年度4月の実績で、8,805の事業所から利用者数19万8130名になっております。
2ページをお願いします。同じように、障害児相談支援でございます。サービスの内容につきましては、計画相談支援と一緒でございます。請求事業所数につきましては、同様に今年の4月の実績で、5,239事業所、利用者数については8万678名になっております。
3ページをお願いいたします。計画相談支援の現状でございます。○の1つ目でございます。令和元年度の費用額は約307億円です。2つ目の○でございます。費用額、利用者数、事業所数についても、毎年増加している。○の3つ目、1事業所当たりの利用者数についても増加をしているということで、今年の3月時点で20.2名になっております。
4ページをお願いいたします。同様に、障害児相談支援の現状でございます。費用額は約111億円で、費用額、利用者数、事業所数についても増加している。1事業所当たりの利用者数についても同様に増加しているということで、今年の3月時点で11.4人になっております。
5ページをお願いいたします。関係団体ヒアリングにおける主な意見ということで、5ページから11ページまで御意見をいただいております。主な御意見を紹介させていただきます。
5ページの1番でございますが、事業が安定的に実施できるよう、基本報酬等の充実を行う必要があるといった御意見。同様に、同じページの9番でございますが、特定事業所加算は人員配置や関係機関との連携を評価する加算でございますが、この経過措置の特定事業所加算II及びIVの経過措置を延長するといった御意見。少し飛んでいただきますが、10ページ、52番でございます。複数の相談支援事業所が協働して運営する形態を条件つきで認めてはどうか、併せて、そういった場合に特定事業所加算が算定できるような仕組みを創設すべきといった御意見。このように、基本報酬や特定事業所加算の充実を求める御意見をいただいております。
そのほか、8ページ、37番、サービス終了後の追跡モニタリングやサービス利用開始前の関わりについても評価をいただきたいといった御意見。
戻っていただいて、6ページになりますが、16番でございます。相談支援専門員が対応すべき直接的な支援について評価する報酬や加算を創設するといった御意見など、いわゆる相談支援業務の評価を求める御意見。
そのほか、5ページでございます。5番でモニタリングの実施標準期間を改定してはどうかといった御意見。同様に、9ページでございますが、44番、モニタリング回数については、市町村によっては国からの例示をそのまま硬直的に運用している例が見られるといった、モニタリングの標準実施期間や頻度に関する御意見などをいただいております。
少し飛んでいただいて、13ページでございます。計画相談支援、障害児相談支援に係る報酬・基準についてということで、論点1から論点3まで、3つを挙げさせていただいております。論点1として、基本報酬・特定事業所加算の見直しについて、論点2として、相談支援業務の評価と事務負担の軽減について、論点3、モニタリングの標準実施期間とモニタリング頻度の決定についてでございます。
14ページでございます。論点1、基本報酬・特定事業所加算の見直しについて、でございます。現状・課題、○の1つ目でございます。計画相談支援は、利用者の生活全般にわたり長期的に影響を及ぼすサービスである。障害福祉サービスの支給決定時に勘案されるサービス等利用計画案を作成するなど、特に高い中立性や公正性が求められる。○の2つ目、そのため、人材養成や地域の体制整備による質の高いサービス提供が求められている。これまでも、事業所内研修や基幹センターが実施する事例検討会への参加について、特定事業所加算として報酬上は評価してきた。○の3つ目、平成30年度報酬改定においては、ポツの1つ目でございます。改訂前の特定事業所加算IIIの要件を緩和した特定事業所加算IV、さらに充実した体制を評価する特定事業所加算IとIIを創設しました。
ページを先に進んでいただいて、19ページをお願いいたします。平成30年度報酬改定における特定事業所加算の見直しとなっております。左のところに番号を振っている(1)のマル3、特定事業所加算III、相談支援専門員が3名以上、うち1名が現任研修の修了者というものをベースに、それより緩和をした相談支援専門員2名以上の配置がいわゆる加算IV、より体制を強化したということで(1)のマル1、(1)のマル2のとおり、相談支援専門員4人以上を配置している、うち1人が主任相談支援専門員とか、うち1人が現任研修修了者とか、体制を強化したI、IIをつくっております。このうち、IIとIVについては、今年度末までの経過措置になっているというのが現在の特定事業所加算の状況でございます。
ページを戻ってください。○の3つ目の2つ目のポツです。特定事業所加算を複数創設した、一方で、基本報酬については一定程度引き下げたというのが前回の改定でございます。
前回の改定の概要は、18ページに記載させていだいております。
○の4つ目でございます。現在の相談支援事業所の状況でございますが、相談支援専門員の配置は平均2.2人で、前回改定から増加はしていない。また、常勤専従の配置なしという事業所の割合は増加しているということ。ポツの2つ目でございますけれども、経営状況は、令和元年度の経営概況調査においては、収支差率がマイナスの2%であったということ。○の5つ目でございます。現状、特定事業所加算の算定事業所は、こちらにI~IVの内訳を記載しておりますが、全て合わせても18%と低い状況になっている。○の6つ目でございます。特定事業所加算を算定しない理由を伺ったところ、いわゆる、複数名、一定数の人員配置、24時間連絡体制の確保が難しいという回答が多かったということでございます。
次のページをお願いします。先ほど関係団体からの意見で御紹介させていただいた関係団体ヒアリングでご意見があったことを記載させていただいております。下の論点でございます。○の1つ目、人材養成と地域の体制整備による質の高いサービス提供促進の観点から、どのような対応が考えられるか。○の2つ目、現行の特定事業所加算について、以下の点について検討してはどうか。マル1、特定事業所加算の在り方の見直し、マル2、経過措置となっているIIとIVの取扱い、マル3、人員の配置要件と24時間連絡体制確保要件の評価、マル4、主任相談支援専門員の配置に対する評価でございます。
次のページをお願いします。検討の方向性でございます。○の1つ目でございます。現行の特定事業所加算が求める常勤専従の相談支援専門員の配置、また、24時間連絡体制の確保等の要件につきましては、質の高い相談支援の提供の根幹をなすものである。こうした体制の確保をさらに推進する観点から、以下の見直しを行うこととしてはどうか。○の2つ目でございます。特定事業所加算については、相談支援事業所の経営実態、人材確保の困難性を踏まえ、今年度末までとされていた特定事業所加算のIIとIVを含め、段階別の基本報酬に位置づけるとともに、ポツの2つ目でございますが、加算IVについては、現在、常勤専従の相談支援専門員を2名以上配置することを要件としているが、2名のうち1人以上が常勤専従であることを要件とした区分を新たに設定してはどうかということ。○の3つ目、基本報酬の単価については、経営実態調査の結果も踏まえて検討してはどうか。○の4つ目、複数の事業所が協働した体制の確保や質の向上に向けた取組を行うことを評価する。人員配置要件や24時間連絡体制の確保といった要件については、地域生活支援拠点等を構成する相談支援事業所全体で確保されていることをもって要件を満たすとともに、人材確保の困難性も踏まえ、他のサービスで認められている従たる事業所の設置を認めることとしてはどうか。最後の○でございます。主任相談支援専門員については、常勤専従の主任相談支援専門員を配置した場合に評価を行うこととしてはどうかということでございます。
以上が、論点1の説明でございます。
続きまして、28ページをお願いいたします。論点2、相談支援業務の評価及び事務負担の軽減について、でございます。現状・課題でございます。○の1つ目、現行の基本報酬の対象となるのは、「サービス利用支援」または「継続サービス利用支援」を提供した場合ということで、「サービス利用支援」については、申請したサービスの支給決定を受けた際に算定可能となっている。「継続サービス利用支援」については、市町村が必要と認めた期間ごとに算定可能となっています。○の2つ目でございます。平成30年度報酬改定では、サービス利用開始時の業務の手間を評価するための初回加算や、関係機関との連携した支援を評価するため、括弧に書いてあるような入院時情報連携加算等の各種加算を創設したところ、関係機関との連携を評価する加算については、算定している事業所の割合はいずれも5%未満と低い状況になっているということでございます。○の3つ目、加算を算定しない理由としては、そもそも利用者が関係機関を利用することがなかったというもののほか、届出の事務が煩雑とか、コストが報酬を上回るといった御意見がございました。なお、関係団体ヒアリングにおいても、先ほど御紹介したように、相談支援業務の評価について記載のような御意見がありましたということでございます。
続きまして、29ページをお願いします。論点でございます。○の1つ目、計画決定月・モニタリング対象月以外の業務について、報酬上の評価を行うべきか、行うとしたらどのような形がよいかということ。○の2つ目、加算を算定するために必要な事務負担の軽減についてどのように考えるか、でございます。検討の方向性でございます。○の1つ目、計画決定月・モニタリング対象月以外の業務についても、以下の一定の要件を満たす業務を行った場合は、評価を検討してはどうかというところでございます。マル1、障害福祉サービスの利用申請から利用開始までの期間内に一定の要件を満たす相談支援の提供を行った場合でございます。一定の要件を満たすという部分について、※1の部分でございますけれども、契約締結日を含む月以後、サービス等利用計画案の提出月までに一定期間以上を要した場合で、その間に月2回以上の面接や同行等の対面による相談をした場合を想定しているところでございます。マル2、サービス利用中であって、モニタリング対象月以外の月に一定の要件を満たす支援を行った場合でございます。ここでいう一定の要件については、※2でございます。障害福祉サービスの利用調整に関連して、利用者の求めに応じて、自宅への訪問や面接を月2回以上行った場合、障害福祉サービス事業者等の参加するサービス担当者会議を開催した場合、障害福祉サービス等の利用調整に関連して、他機関が行ういわゆるカンファレンス・会議等へ参加した場合を想定しているところでございます。マル3、サービス終了前後で他期間へのつなぎの支援を行った場合ということで、※3でございますけれども、介護保険の居宅介護支援事業所へ引継ぎを行うとか、また、進学や就職等に伴いサービスを終了する者ということで、小学校、中学校等々への引継ぎに一定期間を有する者、そういった者に対して、月2回以上自宅を訪問することにより面談をした場合とか、他機関の招集する個別のケア会議に参加した場合等々を想定しているところでございます。最後の○でございます。加算の算定要件となる業務の挙証書類については、省令に定める記録、個別の利用者ごとの相談支援台帳に、その内容を含めて作成、保管するということだけにしてはどうかということでございます。
以上が、論点2の説明でございます。
続きまして、論点3、37ページでございます。モニタリングの実施標準期間とモニタリング頻度の決定についてということでございます。現状・課題、○の1つ目、モニタリングの実施標準期間は本人の状態や利用するサービス種別ごとによって規定されているということで、平成30年度報酬改定では実施標準期間を短縮する見直しを行いましたということでございます。○の2つ目、実際のモニタリング頻度については、本人の状況やサービス等利用計画案、モニタリングの標準実施期間等々を勘案して、個別の状況に応じて市町村が決定するものとされているということでございます。○の4つ目、医観法の対象者、矯正施設退所者など、属性や状態像によって標準期間の短縮を求める声があること。○の5つ目、先ほど御紹介したような関係団体ヒアリングでは、標準実施期間の改定とか、硬直的に適用している市町村があるといった御指摘もいただいているところでございます。論点でございますけれども、1つ目の○、適切なモニタリング頻度を担保するためにどのような方策があるかということでございます。
次のページをお願いします。検討の方向性でございます。○の1つ目、適切なモニタリング頻度を担保するために、以下のとおり対応してはどうかということ。マル1、利用者の個別性も踏まえて、頻度の決定を行う旨、期間の変更をする際の手続等を再度周知徹底してはどうかということでございます。マル2、頻度を短くする必要がある場合の例示。マル3、論点2ではいわゆるモニタリング月ではない月に一定の要件を満たす支援を行った場合に報酬上の評価をしてはどうかということを御提案させていただきましたが、それが頻回に算定される利用者については改めてモニタリング頻度を検討する必要があるのではないか、そういったことを明示してはどうかということでございます。○の2つ目、モニタリング頻度の適切性をはじめとした支援の検証が重要であること、市町村がその場を、基幹センターなどを活用しながら設定することが重要であること、そうしたことは第6期の障害福祉計画基本指針においても示しているということも含めて、改めて再度周知徹底してはどうかということでございます。
以上、論点1から論点3まで、事務局の説明を終わらせていただきます。
○竹内障害福祉課長 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。
小船アドバイザー、お願いします。
○小船アドバイザー 御説明をありがとうございました。
まず、論点1、資料の16ページになりますけれども、主任相談支援専門員について、計画相談においてこの主任相談支援専門員の評価を行うことは大変重要だと思いますけれども、この主任相談支援専門員は国が養成して僅か2年ということで十分な人材が確保できていない状況の中で、主任相談支援専門員は基幹相談支援センターに優先的に配置されることが前提でありますので、この報酬改定によって、主任の配置加算の算定が優先されて、基幹相談支援センターに主任が配置されなかったり、あるいは、基幹相談支援センターの整備そのものを停滞させることがないようにお願いしたいと思います。
また、複数の事業所が協働して行う取組の評価におきましては、従たる事業所の設置を認める場合、質の高い相談支援の提供の観点からも、常勤専従の相談支援専門員を1人以上配置することを要件にしてはどうかという意見がございます。
併せて、29ページの論点2ですけれども、サービス終了後の支援に対する評価につきましては、サービス終了月に支給決定期間も終了している場合についてはどういった請求方法になるのか疑問があります。これは就労系のサービスが終了して6か月後に提供される就労定着支援の計画相談との関係性にも関連していきますので、しっかりとお示しいただきたいと思います。
以上です。
○竹内障害福祉課長 井出アドバイザー、お願いいたします。
○井出アドバイザー 御説明をありがとうございました。
論点1、2、3、多分アドバイザーの先生の中でもこの相談支援についてはしっかりやりたいという先生はいらっしゃると思うので、基本的に、この3つの論点をお聞きして、方向性に私は賛成しています。
とりわけ論点1ですけれども、一つは基本報酬。説明にありましたけれども、経営実調を見てということですので、私もそれでまた判断をさせていただきたいと思っています。ただ、経過措置についても継続の方向でよろしいのではないかと私は思っていますし、複数の協働でというものも理解できます。基本的に、たくさんの御要望がある中で、できるだけそういった方向にも沿うようにぜひお願いしたいと思っています。
以上でございます。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
橋本アドバイザー、お願いいたします。
○橋本アドバイザー 御説明をありがとうございました。
計画相談は、計画を作成し、関係機関と連絡調整をする業務のみでは収まらず、特に福祉サービスが少ない地域では、相談支援専門員自らが実働して様々な支援を行わざるを得ません。利用者の人生を左右する重要な役割ですが、責任の重さの割には報酬上の評価がなされておらず、使命感で運営しているところが多いのではないかと思います。
まず、加算が多く、複雑で取得しにくいです。一人事業所も多く、事務職員もいない中での事務的な負担から加算を取ることを忘れたり、諦めてしまう場合も多いと思います。これが収支差率の低さにもつながっているのではないかと思います。加算をある程度取りやすく整備して、高い取得率の加算は基本報酬に組み入れてしまってもよいのではないかと思います。
例えば、サービス提供時モニタリング加算は、43.8%と高い取得率ですが、サービス提供をしている場でのモニタリングが重要であることと同様に、自宅への訪問も生活の場をアセスメントするために重要なことだと思います。加算を取るために自宅への訪問を控えてしまうこともマイナスではないかと思いますし、どちらも重要であることを鑑みて、モニタリング月以外は現状どおり加算できることとし、モニタリング月における事業所への訪問は基本報酬にプラスで組み入れてしまってもよいのではないかと思います。
特定事業所加算についても、要件が厳しく、そもそも人材がいない中で、常勤専従を何名も配置することは難しく、たとえ人を増やせても利用者が増やせなければ報酬は増えないため、結局はほかの事業との兼務で回していくしかないので専従ができないという悪循環に陥っていると思います。この悪循環を断ち切らなければ、多くの事業所は採算が厳しく、新しい事業所も増えていかない状況が続くかと思います。特定事業所加算を取りやすくし、加算を整理して基本報酬に組み込んだ上で、さらなる基本報酬の引上げを行う必要があるのではないかと思います。
論点2の相談支援業務の評価については、モニタリング月ではなくても、突然のトラブルや不調になった際には、対応にかなりの時間と労力を割く必要があります。計画相談の趣旨はサービスの調整だと思いますが、実際には相談支援専門員が計画を書いて少し調整すれば済む方とかなりの実働を要する方とに分かれます。実働が必要となる方への支援に対しては、開始前後も含めて報酬上の評価が必要だと思います。その際には、要件をしっかり示していただければと思います。
加算の算定要件となる業務の挙証書類を簡潔にしていただくことは、ぜひそうしていただきたいところです。モニタリングでお話を伺うこと以上に記録に時間がかかることもあり、書類作成の二度手間など、効率の悪さを防いでいただきたいと思います。
長々とすみません。以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
小川アドバイザー、お願いします。
○小川アドバイザー 御説明をありがとうございます。
計画相談支援、障害児相談支援に係る報酬・基準については、私からは、2点、意見を述べさせていただきます。
まず、14ページから16ページの論点1、基本報酬及び特定事業所加算の見直しについてでございます。相談支援事業所の現状といたしましては、基本報酬が低いため、経営が厳しい状況にございます。ほかの事業所と兼務する相談員が多いのが実情でございます。障害福祉サービスの入り口である相談支援で質の高いサービスを提供するためには、特定事業所加算は段階別の基本報酬へ位置づけることで継続的に評価することは必要であり、そういう方向性にしていくという考え方は必要だと思います。また、それに加え、質の高い相談支援の提供を行うためには、基本報酬を上げて専任体制の構築をすることも重要であると考えます。
続いて、29ページ、論点2、相談支援業務の評価及び事務負担の軽減についてでございます。介護保険サービスのケアマネジャーによるモニタリングでは、毎月モニタリングをしているため、きめ細かい評価が可能となっているという現状がございます。これに対し、障害福祉サービスのモニタリングは、主に、3か月、6か月のモニタリング設定となっています。しかし、モニタリングの対象月以外のモニタリングを行っている事例も多く、相談員から市へ相談が入ることも多い状況でございます。そのため、モニタリング対象月以外でも、必要な臨時的要件、一定の要件を満たす場合は、対象月以外でも報酬対象とすることも必要ではないかと思われます。
以上でございます。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
平野アドバイザー、お願いします。
○平野アドバイザー 資料の14ページ目のところなのですけれども、前回の報酬改定では、できるだけ、相談、ケアマネジャーの仕事をだんだんいいほうに持っていこうということで、体制がよくなったら乗っけていくという形にして、その分、ちょっと基本報酬が下がってしまったのですけれども、ここにあるように、結果的には、なかなか増えなかった、収支差率が厳しかったという、このことはよく考える必要があるなと思っています。反省材料でもあるのですけれども、実際には、それまでは数がたくさんあったので数で稼いでいたのですけれども、それを少なくして質をアップしようということだったのですけれども、なかなか現場の人手が少ない中でこういうふうに誘導していっても、逆に難しい。それどころか、こういう本体部分が下がったことによってむしろ逆に厳しくなってしまったというのが現状だと思っております。ですから、そういった意味では、この本体のほう、基本報酬のほうを上げていかないと、悪循環をしてしまうという部分があるのかなと。ある程度兼務を認めていますので、とにかく、状況としては、高いものをいきなり求めるよりは、現実のところをしっかり動けるようにするというところが鍵かなと思っています。特に加算に関しては、特定事業所加算が18%ですから、前のときの構想では特定加算を取ると今までより上がりますよということを考えていたのですけれども、18%しか取れませんから全体としては下がってしまったという構造になってしまったので、ここは全体の底上げを図る必要があるということだと思っています。
次に、モニタリング期間のところなのですけれども、皆様方の発言にあったように、現場の相談員に話を聞くと、やはり単純に1・3・6でかかっているケースもあればそうではないものもいっぱいあるのが現状だとみんなは言っていました。間の部分に関わるケースは、以外と難しいケースが随分あるのですね。こういうケースに対して手厚くしないと、結果的に、簡単なケースだけでやってしまう、手のかからないケースだけをやろうと、実はそういう動きもあるのですけれども、そうなってしまったら困るのではないかと。特にこれから地域に移行していこうということを考えていくと、柔軟に対応できる、こういう多少難しいケースに対してもやるとそれなりの評価をもらえるという形にしないと、相談員のモチベーションもないし、難しいケースを排除するような状態になってしまっては困ると思うので、この辺の対応は柔軟にしていくことが必要だと思っております。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
岩崎アドバイザー、お願いします。
○岩崎アドバイザー 御説明をありがとうございました。
先生方のおっしゃっていることと重なることもあるので、簡略にと思いますけれども、ほかの給付の事業では処遇改善の加算はついていますけれども、相談支援専門員の皆さんはその対象になっていないということを含めて、事業所の中で非常に利益を上げることが難しい部署にどうしてもなってしまいます。ですので、非常に優秀な人材をそこに配置したいと思っても、ほかの事業のこともあったりして、兼務になってしまうという実情の中で、なかなか事業所加算を取り切れなかったということがあると思います。今回、これまでの経過措置の加算を続けてくださることについては非常にありがたいのではないかと思います。大変な事例というか、ケアマネとしての動きのある事例については手厚くということについても賛成でございます。
ただ、前回の改定のときにもめり張りをつけて加算をということでやりましたけれども、事業所の実情からすると、細々とした加算をいろいろつけてくれるよりは、やはり基本報酬を上げてもらいたいというのが一番の要望だと思いますので、そこら辺の御検討を再度どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
野澤アドバイザー、お願いします。
○野澤アドバイザー 委員の皆さんがおっしゃったことと大体同じなのですけれども、これまでも報酬改定のたびに相談支援を重視していこうというあれが見えるのですが、何かもどかしくて、個々の論点や課題ももちろんそうなのですけれども、相談支援とはそもそも何なのだろうかいうことを考えると、厚生労働省は何を目指しているのだろうか、みたいなところを、もう一つはっきりと打ち出してほしいなと思っているのですね。
考えたときに、相談支援は措置から契約に切り替わって以降、どう考えたって要だと思っているのですよね。要であるし、ほかのあらゆるサービスと根本的に違うものではないかと私は思っていて、何なのかというと、母体法人からすれば、いわゆるほかのサービスは利用者が増えて収益が上がって事業を拡張していくというインセンティブがどうしても働くと思うのですね。ところが、この相談支援はそうではなくて、個々の利用者の生活や人生をつくり出したり伴走したりしてやっていく。非常に中立性・公正性が高くて、これに徹すれば徹するほど母体法人のインセンティブと合わない場面が出てくるのは当然だと思うのですよ。結局、現状はどうなっているのかというと、相談支援をやっている方は非常に優秀な方も多いしやりがいを持ってモチベーションの高い方もいらっしゃるけれども、どこか母体法人から軽視されて、いい人をつけてもらえない、人を厚くしてもらえないということに非常に苦しんでいるのですね。母体法人の出先機関みたいな状態でいる限りはこういう矛盾は解消しないのではないかと私は思っているのです。
前回のこの報酬改定のときに特定事業所加算をつけたというのは、私は大きなメッセージだと思っていて、厚労省はそんなことは言わないのですけれども、本当にやる気のある、力のある相談支援専門員は、母体法人から独立して、本当に中立・公正でこの利用者の側に立ち切った相談支援をやってほしい、そのための事業所加算を取ってくれというメッセージではないかと私は勝手に思ったのですけれども、ただ、そこで基本報酬を下げたものですから、アクセルとブレーキを一緒に踏んで、結局、母体法人の側からは冷遇された状態が続いている。それが今回のこういう結果に表れているような気がしているのです。
ここは本当に要だということももちろんきちんと認識した上で、出来高払いと加算による報酬体系からもっと包括払いに近いような形にして、母体法人から独立した形態をもっと踏み込んで目指していくべきではないかと思っていて、基本報酬に位置づけることには非常に賛成だし、経営実態調査を見てからでいいのですけれども、きちんと報酬を上げることを基本にしてほしいと思います。相談支援は、どこからが仕事でどこまでが仕事かと、なかなか量的な判断は難しいですよね。やるときはとことんやるし、そういうところに仕事のやりがいを感じている方もいっぱいいらっしゃるので、いつまでも出来高払いと加算でやっていると、現状のまま、いつまでたってもこのままの改正だと、改善がはかどらないのではないかという気がしてなりません。人材養成と地域の体制整備で中立・公正を考えたときにいかにあるべきかということをもっと大胆に打ち出したほうがいいのではないかと思っております。
そういう意味では、複数の事業所の協働は大賛成です。そういう形で母体の法人からどんどん独立して、利用者の側に立った相談支援の理想形を1つでも2つでもつくってみせて、それを後押ししていってほしいと思っています。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
平野アドバイザー、お願いします。
○平野アドバイザー 今、野澤アドバイザーさんから大変すばらしい問題提起があったと思うのですけれども、相談事業に関しては、ほかの事業との違いをはっきり認識する必要があるだろうと私も思っています。つまり、ほかのサービスはいわゆるサービスの提供なのですね。つまり、提供事業者なのですけれども、この相談事業だけは明らかに利用者サイドに立たなければならないのですよね。いわゆる利用者サイドはどうなのかということを、むしろサービス提供者に突きつけるわけではないのですけれども、向かっていくという、その立場性が明らかに逆だということを考える必要がある。
2番目なのですけれども、1人当たりの事務量を考えると、この相談員の事務量は物すごいのですよね。ほかのサービスに比べて明らかに事務量が多いのですよね。ほかは、言わば事務サービスですから、実際のサービスを提供するわけですけれども、ここは言わば書類の作成とか、モニタリングとか、モニタリングにしても書類をつくらなければいけないし、評価もしないといけない、計画もプランニングをしなければいけないとか、もともと具体的なサービスよりも事務作業が圧倒的に多いところなのですね。
そういったところで、しかも、3番目としては、非常に小規模なのですね。本当に一人事務所などもいっぱいありますから、そうすると、ただでさえ事務作業が多い、むしろ事務作業が中心だと言ってもいいくらいですよね。調整とか、そういうところ、これがほかとの違いだと思うのですね。そういう中でこういう細々とした加算で細々とした事務量が来ると、事務量が多いところに体制が弱くてかさんでくると、結局、乗れない。
こういう矛盾になってくるので、改めてこの相談サービスの立場性の違いやほかのサービスとの違いを踏まえた上で基本報酬とかを考えていかないと、同列で考えてしまうのは無理だろうなと、そこはしっかり考えていくことが必要だと思っています。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、次の議事に移らせていただきます。
資料2について、事務局から説明いたします。
○友利精神・障害保健課長補佐 資料2について、御説明させていただきます。
精神・障害保健課の友利と申します。
資料2、1枚目を御覧ください。精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築のイメージ図でございますけれども、こちらは、精神障害者の方が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、医療、障害福祉・介護、住まい、社会参加、地域の助け合い、教育が包括的に確保された地域包括ケアシステムの構築を目指しているイメージ図になっております。
次を御覧ください。こちらが、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る現状・課題、今回の対応の方向性でございますけれども、現状・課題については、後ほど各論点のところで詳しく御説明させていただきます。今回、6つの論点を設けておりますけれども、対応の方向性で、1つ目の○、精神障害者等が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、住まいに係る課題を関係者間で共有し理解しながら住まいの確保を進めるとともに、日中の支援のほか、夜間における緊急時の対応の充実を図る観点から、論点を3つ設けさせていただいております。次ですけれども、地域生活への円滑な移行を推進するため、専門的見地からの相談対応に加え、地域移行支援事業所の実績に基づいた評価の充実を図るという観点から、2つの論点を設けております。最後ですけれども、地域生活における病状の変化等に早期に気づき、日常生活を維持する上で必要な支援を行えるよう、精神科医療機関との連携を強化する観点から、1つの論点を設けております。
以降、関係団体ヒアリングにおける主な意見を掲載しておりますので、こちらは説明を割愛させていただきます。
8枚目までお進みください。今回の論点が6つございますけれども、論点1、2、3については、再掲になっております。
9ページを御覧ください。こちらも再掲ですけれども、論点1として、夜間の緊急訪問・電話相談の評価がございます。
次、11枚目にお進みください。こちらも再掲ですけれども、論点2として、地域生活支援拠点等の整備・機能の充実を設けております。
13枚目へお進みください。こちらも再掲ですけれども、論点3として、地域移行実績の評価ということで、論点の3つを再掲しております。
次、14枚目のスライドから新しい論点になっております。論点4としまして、可能な限り早期の地域移行支援ということで論点を設けております。現状・課題ですけれども、良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針、大臣告示ですけれども、こちらの基本的な方向性としまして、入院期間が長期化した場合、精神障害者の社会復帰が難しくなる傾向があることを踏まえつつ、入院期間が1年未満で退院できるように退院に向けた取組を行い、必要な医療を提供するための体制を確保することと示されております。
こちらで、参考資料を御覧いただきたいのですけれども、28枚目のスライドを御覧ください。こちらは精神病床退院患者の退院後の行き先をデータでまとめたものになっておりますけれども、精神病床からの退院患者の退院後の移行先としまして、平均しますと66%の方が家庭に退院をしております。ただ、その内訳を見ますと、入院期間で大きな差がございます。平均が66.6%でございますけれども、入院期間が3か月以上1年未満になりますと平均から外れまして56.5%、1年以上になりますと19.2%、8.3%ということで、入院期間が長くなるごとに家庭への退院率が下がるという現実がございます。
論点4、14枚目にお戻りください。現状・課題の2つ目の○ですけれども、こういった観点から、第6期の障害福祉計画におきましても、精神病床における入院後3か月・6か月・1年時点の退院率について、それぞれ目標値を定めることとしております。これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会の報告書におきましても、早期の退院に結びつけるとともに、地域生活へ移行した際、必要な医療等による支援が途切れ、症状が再発することにより、地域で生活することが困難になることを防ぐ必要があることが指摘されております。そこで、入院後早期における地域移行支援及び地域移行の実績の評価についてどう考えるかということで、論点としております。検討の方向性ですけれども、現在、地域移行支援では、退院・退所月加算によって、退院・退所等をする月において地域生活への移行に向けた集中的な支援を実施して、当該月に退院・退所した場合は評価されております。それに加えまして、精神障害者等に対する可能な限り早期の地域移行支援を推進する観点から、入院後1年以内に退院・退所する場合についてはさらに加算で評価してはどうかということで御検討いただきたいと思っております。
次のスライドをお願いいたします。こちらが実際に地域との連携によって可能な限り早期の地域移行・地域定着を行っている医療機関の取組事例として、ポンチ絵でまとめたものになっております。取組の内容は様々にございますけれども、中身を見ていきますと、入院初期から退院前の赤枠に囲っておりますように、医療機関においては、関係機関、障害福祉等サービス事業所との情報共有や連携調整に係るものが多いということが実態としてございます。
次、16枚目のスライドをお願いいたします。次が、論点5ということで、医療と福祉の連携の促進という観点から論点を設けております。現状・課題ですけれども、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に当たりましては、精神科の医療機関、その他の医療機関、地域援助事業者、市町村などとの重層的な連携による支援体制を構築していくことが必要となっております。精神障害者の方の危機などに適切に対応できるよう、自立生活援助事業者や地域定着支援事業者と精神科医療機関とが日常生活を維持する上で必要な情報について連携することが求められておりますけれども、現在の報酬上、その観点での評価はされておりません。関係団体のヒアリングにおきましても、医療機関で実際に行われていたケアが地域移行の後も継続されるように、地域の医療・福祉・介護と緊密に連携して、切れ目のない支援を行うことを適切に評価するよう要望が出ております。そこで、論点としまして、保健医療福祉等の日常生活を維持する上で必要な情報の連携のさらなる推進を図る観点から、自立生活援助事業者や地域定着支援事業者と精神科医療機関との情報連携についてどう考えるかということで、論点として設けております。検討の方向性ですけれども、自立生活援助事業者及び地域定着支援事業者において、日常生活を維持する上で必要な情報を精神科医療機関に対して情報提供した場合について、加算で評価してはどうかということで考えております。その際、計画相談支援事業者との共同に留意することとしてはどうかということで、簡単ですけれども、下のほうにイメージ図を記載しております。
次のスライドをお願いいたします。こちらは、昨年度の推進事業で作成したものになっておりますけれども、医療機関と障害福祉サービス事業所とが連携のために活用できる地域連携パスを一例として挙げております。
次、お願いいたします。通院中のものについても、パスを一例としてお示ししております。
次、お願いいたします。こちらは、精神科入院医療機関と関係機関間の連携の事例について、実際のものをお示ししたものになっております。地域生活の部分で、赤枠で囲っておりますけれども、医療機関においても、地域の関係機関、障害福祉サービス等事業所も含んでおりますけれども、そういったところのフォロー、情報共有がされているところもございます。
次、お願いいたします。次が、最後の論点になりますけれども、論点6としまして、居住支援協議会や居住支援法人と福祉の連携の促進としております。現状・課題ですけれども、入院している患者の退院先の希望としましては、自宅もしくはアパートなどで家族との同居が最多でございます。ただ、自宅もしくはアパートなどでの一人暮らしの希望を掲載したところ、合わせると約3割に上りまして、家族との同居に次いで多いというデータがございます。ただ、一方で、精神科の医療機関における特に困難な退院支援業務等としましては、居住の場の検討と居住先の確保が最も多い困難な退院支援業務として挙がっております。さらに、住宅確保要配慮者の入居に関しましては、賃貸人の約7割が障害者に対して拒否感があるという事実もございますし、入居の制限をする理由としましては、家賃の支払いに対する不安がある、ほかの入居者・近隣住民との協調性に対する不安がある、こういったものが上位に挙がっております。そこで、居住支援法人について着目したところ、居住支援法人については、約6割の法人に精神障害者への対応実績がありまして、最も得意とする対象者を精神障害者としている法人は、高齢者、生活保護受給者に次いで多いというものがございました。そこで、論点について、精神障害者等の居住先の確保及び居住支援を充実する観点から、居住支援協議会または居住支援法人と地域相談支援事業者または自立生活援助事業者との連携体制についてどう考えるかということで、論点として挙げております。具体的な検討の方向性でございますけれども、1つ目の○、下線部になりますけれども、地域相談支援事業者または自立生活援助事業者が居住支援協議会や居住支援法人とおおむね月に1回以上情報連携を図る場を設けて情報共有等をすることを評価してはどうかということで、1つ挙げております。2つ目ですけれども、居住支援法人と共同して、利用者に対して在宅での療養上必要な説明、指導を行った上で、障害者総合支援法に基づく協議会でしたり、保健・医療・福祉の関係者による協議の場に対して、居住先の確保、居住支援に係る課題を文書等で報告することを評価してはどうかということで、検討の方向性としております。
次のスライドをお願いいたします。居住支援体制の構築に当たりましては、昨年度の推進事業の中で「住まいと暮らしの安心サポートブックレット」を作成しておりまして、住まいを確保する際のポイントなどをまとめております。
次、22枚目を御覧ください。こちらは、実際に協議の場で住まいの確保を通した地域課題の解決事例がうまくいった例について事例を挙げておりますので、御参考までに掲載しております。
以上、事務局から御説明させていただきました。
○竹内障害福祉課長 ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。
橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 御説明をありがとうございました。
論点4の可能な限り早期の地域移行支援に関して、精神科の長期入院を予防するためにも、早期の病院と地域との連携は重要だと思います。御説明にもありましたように、退院後の行き先として入院が1年を超えると家庭やグループホームに退院することがかなり難しくなるというデータも出されており、論点6でも、精神科医療機関における特に困難な退院支援業務等として居住の場の検討と居住先の確保が最も多いと挙げられています。入院初期の段階から地域移行が入り、入院治療と居住の場の検討などを並行して行うことで、早期の退院を目指すことができるのではないかと思います。そのためには、入院初期の段階から連携する必要もあり、手間暇もよりかかるので、評価は適切だと思います。
また、論点5の医療と福祉の連携の促進について、精神障害者を支援していて感じることは、医師に正しく自分の病状や日常生活の困り事などを伝えることが苦手な方が多いことです。日常の生活を支援する自立生活援助事業者と地域定着支援事業者が精神科医療機関に適切に病状や日常の様子を伝えていくことは、再発防止や再入院の防止に効果があると思いますし、加算のインセンティブがあることで医療と福祉の連絡系統がスムーズにつくられるきっかけになるのではないかと思います。
論点6の居住支援協議会や居住支援法人と福祉の連携の促進について、地域移行支援を進める上では、まずは住む場所ありきで、居住支援法人がグループホームなどの福祉サービスと一般の不動産の提供するアパートの間ぐらいの存在で多様な居住サービスを展開してくれることは、障害者の地域生活を推し進める上で非常に意義があると思います。私の勤める事業所でも、居住支援法人と協働して地域移行支援に当たり退院された方もいらっしゃいますが、まだ居住支援法人は多いわけではなく、対象者がいるときには月に1回以上の関わりがありますが、対象者がいなければそこまでの関わりがあるかは分かりません。居住支援法人と連携して精神障害者の地域移行を促進していくことには賛成ですが、地域で数少ない居住支援法人が協議の場や情報連携の場に駆り出され過ぎて多忙になり過ぎないような仕組みをつくっていただければと思います。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
小船アドバイザー、お願いいたします。
○小船アドバイザー 御説明をありがとうございました。
私は、論点4のところで、早期の地域移行支援について意見を述べさせていただきます。新しい長期入院患者を増やさないという観点から、早期の支援に対する強化をすることには賛成いたします。こちらの加算を設けることで一定の効果も期待できるところと感じております。ただ、一方で、精神科病院にはいまだ長期入院を余儀なくされている障害者の方も存在していることを忘れずに、その方たちが福祉の支援から取り残されることがないようにしなければならないとも考えております。
そのためには、論点5にもありますように、医療と福祉の連携の促進は大変重要でございまして、以前も申し上げましたとおり、地域移行支援の新たな体制整備として市町村や保健所の行政の関与もぜひ位置づけていただきたいと思います。また、ここで出ている自立生活援助と地域定着支援につきましては、報酬改定の議論から多少ずれるかもしれませんけれども、この2つのサービスには一部重複する内容もございますので、いずれ法改正等でサービスを一元化するなどの調整も必要になってくると考えております。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
小川アドバイザー、お願いします。
○小川アドバイザー 御説明をありがとうございます。
資料2、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進については、論点4、論点5について、意見を述べさせていただきます。
まず、14ページ、論点4、可能な限り早期の地域移行支援について、精神障害者への早期の地域移行支援は大変重要だと思っております。このようなことから、なるべく早い段階から支援も必要ではないかと思います。国の第6期障害福祉計画においても精神科病棟において入院後3か月・6か月・1年の目標を定めることからも、入院後1年以内と言わず、地域移行支援も、同じように、3か月・6か月・1年という期間、1年以内で加算額を別に定めて報酬とすることも必要ではないかと思っております。
続きまして、16ページ、論点5、医療と福祉の連携の促進について、地域医療連携のための加算は必要だと考えます。課題として、連携への報酬上の評価はされていない現状があるため、方向性としては、切れ目のない支援を継続的に行うためには加算評価が必要だと思います。また、地域事業者は医療機関との連携にハードルの高さを感じていることも多いことから、加算報酬とすることで積極的な連携が期待できるものと思っております。
以上でございます。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
野澤アドバイザー、お願いします。
○野澤アドバイザー ありがとうございます。
精神障害の方の地域移行をさらに進めていく、できるだけ早く地域移行と、これは本当に誰も異論はないと思うのですよね。現実に地域へ移行しているあるいは地域で暮らす精神障害の方が増えているのも、非常に望ましいことだと思います。
ただ、最近、一部で、グループホームとデイサービスをパッケージにして安上がりな地域生活をつくってしまうような、ちょっと貧困ビジネスに近いようなものが結構散見されるというか、そういうものを増やしていこうという一部の動きがあって、これからどんどん精神障害の方が地域に移れば、当然そういうところにビジネスチャンスを見いだそうとする事業所が出てくるのは当たり前だと思うのですよね。ちょっと気になっていて、できるだけ事業所から独立した相談支援の方が中心になるのが一番いいと私は思っているのですけれども、本当に本人の側に立った相談支援が中心になって、多くの機関が本人の地域生活に関われるような支援とチェックの重層的な体制をつくるべく、そういう報酬改定にしていただけたらと思っています。
今回の医療と福祉の連携や他機関との連携を進めていこうという方向は、私は賛成です。これを実のあるものにしていくべきだと思っております。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
平野アドバイザー、お願いします。
○平野アドバイザー どうも御説明をありがとうございました。
資料の2ページ目、課題の4個目のところで、退院後1年以内に再入院するのは4割だということが出ているのですけれども、生活保護のケースワーカーたちといろいろ話をすると、本当にせっかく出てきたのにまたすぐ戻ってしまうというのがあって、本当に残念だということをみんな言うのですね。大体パターンが決まっていて、病院から出てきて、一つは行く場所がなくて家に籠もっている。そのうちに、昼夜逆転してきたり、生活が乱れてきて、薬も飲まなくなってきて、症状が出てくる。そのうち、周りとの関係がだんだん悪化していって、また戻らざるを得ないというものがたくさんあるというのですね。ですから、最初の段階で、きちんと早い段階で手を打って、先手でやっていくということをしないと、後手になってくると解決できない。特に住居の問題でいうと、アパートで暮らしていて、近隣、隣近所と問題が起きると、こじれてしまって、戻れない。早めにやるという意味では、論点4の早い段階での加算をするとか、こういう早めにやることは、私はすごくいいなと思います。
最後の居宅支援事業は、大変すばらしい活動をしているところもいっぱいあります。本当に一生懸命取り組んでやってくれているというところで評価しているのですけれども、橋本アドバイザーも言っていたように、数の偏在がある。ある程度しっかりやっているところもあれば、ほとんどないような町村もある。関わり方でも、月2回みたいに定型化すると、事業所もちょっと難しいし、居宅支援法人も難しいというので、その辺も柔軟な形でやって、2回以上をやらないとお金がつかないとか、そういうことになってしまうと離れてしまうので、実利を取って、実際にやれるような、効力があるような、そういうもののほうがいいと思っていますし、先ほども言いましたように、かなりあるところと、全然ない市町村もいっぱいあって、これからもっとこういうところの活動を広げるという意味でも、あまり最初から高いハードルを求めないほうがいいのではないかと思っております。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
岩崎アドバイザー、お願いします。
○岩崎アドバイザー 御説明をありがとうございます。
私も、こちらに出ていることについては賛成でございます。
ただ、もともと地域移行も地域定着も自立生活援助も実績が本当にまだ少ない事業でございますので、今後どこまで実績が上がるのかということが心配ではあります。大前提として、精神障害者にも対応した地域包括ケアシステム、精神科医療機関、地域の福祉サービス事業所、行政等が本当の意味でつながっていくということがなければ、なかなかこれらの実績は上がっていかないのではないかと思うのですね。
ずっと昔から医療、保健、福祉の連携は重要だということが言われ続けて今に至っているわけですけれども、本当の意味で地域包括ケアシステムがそれぞれの地域で発展していくことを願っております。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、次の議事に移らせていただきます。
資料3について、事務局から説明いたします。
○栗原地域生活支援推進室長補佐 それでは、資料3、ピアサポートの専門性の評価の関係について、御説明させていただきます。
まず、スライド1ですが、関係団体ヒアリングにおきまして、障害者のピアサポートの専門性の活用を推進していくために、ピアサポート職員の配置加算について報酬上評価してはどうかという御意見をいただいております。
併せまして、参考資料としてつけておりますが、8月28日の障害者部会で、内布委員から、ピアサポートの報酬上の評価、特に障害者ピアサポート研修を今年度から制度上設けていまして、研修を受けた方について評価してはどうかという御意見をいただいているところです。
続きまして、スライド3、論点、ピアサポートの専門性の評価について、現状・課題の1つ目の○ですが、ピアサポートは、自ら障害や疾病の経験を持ち、その経験を生かしながら、ほかの障害や疾病のある障害者のための支援を行うものです。障害者総合支援法施行3年後の見直しについての障害者部会報告書になりますが、地域移行や地域生活の支援に有効なピアサポートについて、その質を確保するため、ピアサポートを担う人材を養成する研修を含め、必要な支援を行うべきであるとされています。平成28年に障害者総合支援法附帯決議におきましても、ピアサポートの活用等の取組を一層推進することとされているところです。さらに、障害者総合支援法におきましては、障害福祉サービス事業者や相談支援事業者の責務として、障害福祉サービスや指定相談支援を常に障害者の立場に立って効果的に行うよう努めなければならないとされているところです。このような状況を踏まえまして、厚生労働科学研究等においても検討してきたところです。令和2年度にピアサポーターの養成や管理者等がピアサポーターへの配慮や活用方法を習得する障害者ピアサポート研修事業を創設し、地域生活支援事業費等補助金の国庫補助対象としているところです。関係団体ヒアリングにおきましても、報酬上の評価をすべきとの御要望があったところです。これを踏まえまして、論点として、ピアサポートの専門性について、報酬上の評価を行うことについてどう考えるか。その場合、対象となるサービス類型や算定要件等についてどう考えるか。
次のスライドですが、検討の方向性ですけれども、対象となるサービス類型について、ピアサポートの専門性について、利用者と同じ目線に立って相談・助言等を行うことにより、本人の自立に向けた意欲の向上や地域生活を続ける上での不安の解消など、特に利用者に対する支援の効果が高いと考えられる以下のサービスについて、加算により評価することを検討してはどうか。以下のサービスにつきましては、地域移行支援、いわゆる相談系になりますが、地域定着支援、自立生活援助、計画相談支援、障害児相談支援について検討してはどうか。そのほかのサービス類型は、就労系などありますが、そうしたものにつきましては、引き続きその効果を検証していくこととしてはどうかとしております。加算の要件ですけれども、加算につきましては、以下の全ての要件を満たす場合に算定する方向で検討してはどうか。1つ目としまして、ピアサポートの専門性を確保する観点から、事業所において直接的にサービスを提供する障害当事者である職員が、後で御説明しますが、今年度から新しく設けて実施することとしている障害者ピアサポート研修のうち基礎研修及び専門研修を修了していること。2つ目として、ピアサポートの適切な活用及び配慮の観点から、同じ研修ですけれども、事業所の管理者または障害当事者以外のサービスを提供する職員が障害者ピアサポート研修のうち基礎研修及び専門研修を修了していること。3つ目としまして、事業所全体の支援の質の向上を図る観点から、研修を修了した障害当事者である職員や管理者等が、事業所内のほかの職員に対する研修の実施等を行うことにより、事業所全体として障害者の立場に立った効果的な支援につなげる。この3つの要件を満たした場合に事業所に対して体制として加算してはどうかということを考えております。加算額につきましては、ほかの研修による加算と同様に事業所に対する体制加算とするとともに、計画相談支援の精神障害者支援体制加算等の月当たり35単位を参考に検討してはどうかと、考えております。
次のページですけれども、ピアサポートにつきまして、その効果というところで、下のほうに書いていますけれども、体験の共感や共有、また、ロールモデルになりますが、同じような体験や障害を持っていることで、信頼関係が築かれて、適切な支援、本人のやる気につながる、しっかり助言を聞ける、ひいては、自立に向けた意欲が高まる、そうした効果が考えられる。併せまして、下から2つ目になりますが、家族との面談を通じて、家族につきましても、同じ立場にあるピアサポートの方の話を聞いて、ひいては、家族の側の病気や障害への理解促進、同じ事業所で働いているほかの職員の病気や障害の理解促進についても広がると考えています。
続きまして、6ページですけれども、ピアサポーターはどのくらいの事業所に配置されているかというところですが、これは平成27年度に調査研究をしておりまして、その結果になります。全体として、都道府県、指定都市、中核市に聞いて、どのくらいの事業所でピアサポートの活動をされている方がおられますかと聞いたところ、全国で827事業所なりました。そのうち、30%ぐらいですけれども、その調査に回答していただいたところにおいて、どういった事業所に、障害者、ピアサポートの方で、ただ謝金ではなくて、雇用されている方がいる事業所はどういったところがありますかと聞いたところ、237事業所になっております。基本的には、計画相談、相談系の事業所や就労系の事業所で多く配置されているという状況が認められました。
続きまして、調査研究事業になりますが、7ページですけれども、ピアサポーターの効果で利用者に与えるプラスの効果について調査研究をしております。経験者ならではの気持ちに寄り添った言葉をかけることができる、利用者の不安・孤独が解消されるといった効果が認められております。
続きまして、8ページになりますが、利用者だけではなくて事業所のほかの職員に与える効果というところで、ほかの事業所の職員につきましても、障害者である同僚と一緒に働くことで障害者の尊重や理解が深まるという効果が認められたところです。
続きまして、9ページになりますが、ピアサポーターの業務でどんなことをやっているかというところですけれども、自立生活援助事業者、計画相談の事業者、地域定着・地域移行の事業者で働いて、そこで、相談したり、同行をして、一緒に支援を実施されています。また事業所内でほかの職員に対する研修を実施したり、障害者の理解を深めるということをしていたり、家族に面接していただきましたり、そうしたことをしているという例になります。
続きまして、10ページになりますが、先ほどの今回の対象としてはどうかと掲げたサービスについて、それぞれ具体的な事例としてどのような効果があるのかということをまとめた資料になります。計画相談支援の関係ですけれども、ピアサポーターが相手だと緊張せずに自分の話ができる、さらに、主体的にサービス等利用計画を作成することができたと。ひいては、その地域で生活できるような適切なサービスの組合せにつながる。地域移行支援ですけれども、退院に向かう不安が軽減される。さらに、自信を持って地域に出ることが、実際にピアサポーターの方が現に自分で地域に出てきた姿を見て、退院することができて、自立生活援助につきましても、同じように精神科入院経験のあるピアサポーターからの助言を受けて、安定した地域生活を送れるきっかけになったと。地域定着についても同様の内容で、電話相談とかでしっかり相談を受けていただけることで安定した生活ができるといった例を具体的な例として掲げているところです。
続きまして、11ページですけれども、これまでの研究事業は、平成28年度からの厚生労働科学研究におきましては、研修のカリキュラムをずっと検討してきたということになっています。平成30年度までにかけて研修のカリキュラムを検討しまして、さらにその内容について、講師の養成等について、令和元年度または令和2年度におきましても、研究事業を継続的に実施している状況になっております。先ほどのピアサポーターの効果につきましては、下の障害者総合福祉推進事業で検討してきたところになります。
12ページになりますが、障害者ピアサポート研修事業につきましては、令和2年度、今年度から新たにカリキュラムとして設けて自治体に通知させていただいているところです。実施主体につきましては、都道府県または指定都市になっております。対象者につきましては、障害当事者の方で、基本的には障害福祉サービス事業所や相談支援事業所に雇用されることを想定されている方、そうした方向けの研修事業として新しくカリキュラムを設けているものです。2つ目としまして、障害当事者だけではなくて、そのピアサポーターと協働して支援を行う管理者とか、その他の専門職の方々、そうした方々についても対象者として想定しています。研修の内容につきましては、基礎的な研修を2日間、専門的な研修を2日間、フォローアップ研修を2日間という形で考えておりまして、国庫補助事業の対象になります。
研修のカリキュラムにつきましては、基礎研修につきましては、13ページになりますけれども、ピアサポートの理解、コミュニケーションの基本、そうしたものについて、講義、演習等を通じて2日間で学ぶ。
スライドの14になりますが、専門研修につきましては、基礎研修を受けた方について、さらに専門的な研修を受けることにしております。ここにつきましては、障害当事者の方もそうですし、また、専門職の方、管理者の方、そうした方向けに独自の研修カリキュラムを設けて、演習、講義を実施するような仕組みにしております。
その他、さらにフォローアップ研修という形で専門的な研修を行うという3つの枠組みにしておりまして、今年度、この制度を通知させていただいて、国庫補助という形でメニュー化をしたところですが、現時点ではまだ取組が進んでいないところですけれども、この報酬の加算対象とすることを検討することにより、この研修についてもしっかりと都道府県や指定都市に実施していただくような方向性で検討していきたいと考えているところです。
説明については、以上になります。
○竹内障害福祉課長 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。
小船アドバイザー、お願いします。
○小船アドバイザー 御説明をありがとうございました。
ピアサポートの専門性を評価することにつきましては、障害者の雇用促進はもとより、何よりも当事者の方の希望と力になることから、ぜひとも進めていただきたいと考えております。
ここで例示されている事業の中で、計画相談についてお伺いしたいことがあります。計画相談の中で想定されているピアサポーターにつきましては、相談支援専門員の資格を有する者に限定されるのかどうか、あるいは、雇用条件等で何か限定事項があるのか、現時点での方針等があればお聞かせいただきたいと思います。
また、今回はこの5つのサービスが例示されておりますけれども、就労系のサービスや、自立訓練、生活訓練におきましても、ピアサポートの専門性は発揮されると考えられますので、今回の改定で見送りをされるということであれば、ぜひ次回報酬改定までに検証をお願いしたいと思います。
以上です。
○栗原地域生活支援推進室長補佐 相談支援事業所の関係ですけれども、今我々としまして考えているのは、相談支援専門員以外の方であったとしても、相談支援事業所においてピアサポートを実施される方がおられたときには加算をする方向で考えております。
また、そういった場合に常勤でということは難しい面もあったり、現状、全ての方が常勤の方ではない状況もありますので、非常勤のような場合におきましても、一定の要件を設けることも考えておりますが、非常勤だから一切対象としないということではなくて、そうした場合についても実際に支援されているような場合につきましては対象とする方向で検討していきたいと思っております。
その他のサービス類型につきましても、今日の御意見も踏まえまして、改めてまた検討させていただきたいと思っております。
以上です。
○小船アドバイザー ありがとうございました。
○竹内障害福祉課長 橋本アドバイザー、お願いします。
○橋本アドバイザー 御説明をありがとうございました。
私の勤める事業所にもピアサポーターが勤務しておりますが、経験者ならではの利用者に寄り添った悩みや喜びを共有した相談や支援をしてくれています。事業所の職員も、ピアサポーターとともに働くことで、障害への理解を深め、支援やプログラムもより当事者の主体性を尊重する活動に変わってきており、ピアサポーターが勤務したことによる大きな変化の一つだと思います。
これまで、各地でピアサポーター養成研修が開催されてきましたが、活躍の場や雇用の場がないことが課題になってきました。養成と活躍の場がセットになっていなければ、養成した意味がありません。ピアサポートの効果は明らかですから、報酬で評価する仕組みをつくることで、雇用の場を増やし、ピアサポートの普及に努めていく必要があると思います。
対象となるサービスとして、ピアの専門性を発揮することができる相談系の事業から取り組むことも妥当だと思いますし、要件として、ピアと管理者等が共に研修を受け、さらに事業所内で研修を行うことも、ピアサポーターとしての専門性を担保し、ピアが働きやすい職場環境をつくり、ひいては、事業所の支援の質も上げることになるかと思います。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
野澤アドバイザー、お願いします。
○野澤アドバイザー 御説明をありがとうございます。
私も、ピアサポーターを進めていくことは賛成です。当事者にもできることがあるので雇用の場を広げようというのがこれまでの考えですけれども、私はむしろ当事者にしかできないことがあるのだということをもっと積極的に評価してほしいなと思うのですね。
最近、薬物依存の当事者やサポーターの方と話す機会があるのですけれども、孤立している依存者とか、支援を拒否している方とか、なかなか難しいケースに物すごく鋭角的に踏み込んでいって、強引にでも連れ出して支援につなげていく。最初はすごく拒否されて罵倒されたりするのですけれども、実際に後になって考えてみると当時は死ぬことだけを考えていたみたいな、こういう支援はなかなか制度ではできないと思うのですね。あるいは、プロの支援者にできるのかなと考えたときに、なかなかできないのではないかなと。こういう制度にのっとったといいますか、こういうプロの支援だと、そうやって踏み込んだときに、権限は何があるのかとか、個人情報の保護はどうかとか、ほかの機関とのすみ分けはどうかとか、責任は誰が取るのかとか、いろいろなことが足かせになって、踏み込めない、踏み込まない、それが現状だと思うのですよね。何で当事者のサポーターは踏み込めるのかというと、やはり自分がそのときにそういう状況があって死にたいと思っていたから分かると。専門性とか、資格とか、そういう権限とかはないけれども、やむにやまれない思い、置かれている当事者の思いを誰よりも知っているのは当事者という立場の方だと思うのですよね。
もちろんそれだけではいろいろなあれはあるわけですけれども、これからの地域共生社会とかを考えても、支えられる側の方も支える側に回っていこうという考え方が出ていますし、精神障害、発達障害、認知症の世界でも、臨床の現場で当事者を主役にした実践が盛んに模索されていて、効果が出ている。こういうことの流れを考えたときに、このピアサポーターのような者を育てていくことは非常に重要だと思います。今回は5事業ですけれども、さっきの依存症の方の拒否される人にも踏み込んでいくという、これは非常に分かりやすいケースなのですけれども、日常のこういう計画相談や地域移行の現場のサービスにおいても、当事者でないと分からないことはいっぱいあるはずなのですね。ここをぜひ育てていってほしいと思います。
この3要件、当事者だけではなくて、いろいろな管理者や職場全体の理解を深めていく、あるいは、研修をしていく、これは非常に重要なことなのですけれども、背中を押すときにやはり若干ハードルが高いかなという感じがして、ハードルが高い割に参考に出ていた加算額がちょっと低過ぎるのではないかという感じがして、言っていることはいいのですけれども、やるとなると、35単位のためにいろいろな研修を受けて、どうなのかなと思って、この辺はもう少し本気で育てるのだという姿勢があってもいいのではないかと思いました。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
岩崎アドバイザー、お願いします。
○岩崎アドバイザー 御説明をありがとうございます。
私も、昨今は本当に当事者主体ということが当たり前の時代になってきたと思います。しかしながら、現実的には、専門職と当事者の間にはなかなか埋め切れない溝のようなものもございますので、当事者の人が職員として働くとなったときに、周りの職員の理解がないとなかなか定着していかないということがあろうかと思います。
もう一つは、今、人材が足りない中で、単に安上がりな労働力ということだけでピアサポーターを活用していただきたくないという気持ちもあったりしますので、ぜひとも大切に育てていただくというか、専門職も一緒にピアサポートの有効性を学んでいただいて、事業所の中で新しい文化を生み出していってもらいたいなと考えております。それが質の高いサービスにつながっていくのではないかと考える次第です。
今回御提案いただいた中で、全ての事業とはなかなかいかないという事情は分かるのですけれども、特に就労系の事業所には比較的多くのピアサポーターの人が既に配属されているわけですね。就労支援の現場では、割と、専門職である職員と当事者の上下関係が起こりがちだと思います。ですので、逆に就労支援に係る事業でピアサポーターを活用していただくことに意義があるのではないかとも考えます。
また、さっき野澤先生がおっしゃったみたいに、確かに、現場感覚でいうと、そこまでしてこの加算を取ろうと考えてくださる事業所がどのぐらいあるかという問題はあると思うのですよね。ですので、加算対象の事業を広げていただきたいということと、できればもう少しお金をつけていただけると、さらに普及していけるのではないかと希望いたします。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
平野アドバイザー、お願いします。
○平野アドバイザー ピアサポートの重要性については、本当に論をまたないと思いますし、すばらしい実践があちこちに出ていますので、そのことはいいと思いますし、これからも進めていく必要があると思います。
私自身もかつてケースワーカーとかをやっていましたけれども、同じ障害者ではないかという共感や共同体験は、やはり我々では入れない。そこはピアサポーターの重要性があるなということはすごく思っているので、そこはいいと思うのです。
3つあるのですけれども、現場でいろいろと聞いてみると、このピアサポートも、一つは、分かりやすい例で言えば、障害領域によってかなり違っているというのはあるみたいですね。すごくいい、はっきり効果があるというのは、難病の方とか、精神とか、こういうところはすごく効果がある。ペアレント・メンターみたいになってしまいますが、知的障害者の親御さんとか、こういうところはすごく効果があると言われているのですけれども、なかなか難しいのは肢体不自由や身体障害の方はなかなか難しくて、全盲同士はすごくいいのですね。聾啞者同士もすごくいいのですよ。ところが、全盲と弱視、聾啞者と難聴者とか、こういう組合せになるとなかなかうまくいかない。肢体不自由も、脊損系と脳性麻痺系だとちょっと違ってきたりとか、何でもいいというわけではないのと、一定の基本的な教育や研究をしないと、このうまくいかないミスマッチの部分が出てくる。もう一つ、知的障害者のピアサポーターとどう関わるのかがまた難しいのですけれども、こういうところがあるので、僕はピアサポーターならいいというわけではなくて、きちんとした研修が必要だし、マッチングも考えていかないといけない、そうしないと効果が上がらないと思っているのですね。その辺で、このピアサポーターがどういう形で生きていくのがいいのかということを考えれば、先ほど皆様方からあったように、この5つの部分もそうですけれども、いろいろな関わり方があると思うのですね。相談だけではなくて、僕の知っているところでは、苦情解決の第三者委員で当事者を呼んでいる。これはすごく効果があるみたいです。なかなか施設に対するいろいろなことは言えないけれども、同じ障害者だったら言えるというのもありますし、生活介護で同じ訓練をやっているところや、施設入所でやっていたりとかもありますし、夜中に話をしたりとか、当面は順番に広げていけばいいと思うのですけれども、やはりいろいろな場所で参加できるような形を考えてもらったほうがいいなと思っているのが1つ目です。
2番目なのですけれども、これは野澤アドバイザーさんからもあったように、これは理念としてはすごく分かりますし、加算要件はいいと思うのですけれども、現状で、まだ講習会もあまり開かれていない状況でこれだと、実際にいるのかなということがあると思うのですね。実際に現場の市町村に聞くと、一つはピアサポーターの講師がすごく難しいそうなのですね。こういうものは当然ピアサポーターの講師もピアであってほしいということなのですけれども、障害を持った人でこの講師ができる人は少ない。いろいろと聞いてみると、身体障害者相談員をやっていた人とか、そういう障害者運動をやっている人を呼ぶと、この内容かということが心配になってしまうようなものがあったり、ということで、なかなか養成そのものが難しくなっていると。もう一つは、こういう場所に参加してくる障害者を養成することも大変だと。ピアの講習会を受けようという障害者をつくるのもなかなか難しい状態で、ハードから全部準備しなければならないという問題もあって、そういった意味では、僕は、理念としてこれは正しいと思うのですけれども、最初からいきなりこれをやると、みんなは手を引っ込めてしまうのではないかと。だから、経過措置みたいにして、もうちょっと緩めながらだんだん高めていくとか、そうしないと、35単位も含めてそうですけれども、いきなり壁が高過ぎて、うちの場合は講習会をそもそもやっていないよねとか、そういう問題で諦めてしまうということになってしまうので、むしろ最初は、こういう形で、まずはいればいいですよとか、基本研修だけでもやっていればいいですよとか、そういう形で緩い形で始めていってやったほうが現実的かなという感じは持っています。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
小川アドバイザー、お願いします。
○小川アドバイザー ピアサポーターの専門性の評価については、いろいろな課題があると思いますが、各アドバイザーの意見同様、ピアサポーターを進めていくことは私も賛成でございます。
ピアサポーターは、自ら障害や疾病の経験を持っていますし、その経験を生かしながらほかの障害や疾病のある障害者のための支援を行う者であるため、障害を自ら理解しているといった意味でも、専門性が高い人材であると思います。今後は、ピアの活躍がどの分野においても必要とされる方向でございますので、障害理解もそのことによって深まると考えられます。このようなことから、ピアを活用している事業所については、加算を創設し、ピアの人件費に充てられるようにすることも必要ではないかと思います。
以上です。
○竹内障害福祉課長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
最後に、全体を通しまして、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。
よろしいでしょうか。
それでは、本日予定している議事は以上でございます。
次回の検討チームは、11月12日、木曜日、15時より、本日と同様のオンライン会議にて開催予定でございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、若干時間は早うございますが、本日はこれで閉会いたします。
お忙しいところ、誠にありがとうございました。