第28回 地域医療構想に関するワーキンググループー議事録

日時

令和2年11月5日(木)16:00~18:00

場所

AP新橋 3階 Aルーム
(東京都港区新橋1-12-9 A-Place新橋駅前)

議事

○木下専門官 ただいまから、第28回「地域医療構想に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンライン併用による開催としております。
まず初めに、発言の仕方などを説明させていただきます。
御発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し発言するようお願いいたします。また、発言終了後は、再度マイクをミュートにするようお願いいたします。
座長から、議題などに賛成かどうか、異議がないかを確認することがあった際、賛成の場合には「反応」ボタンをクリックした上で「賛成」ボタンをクリックするか、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨を確認させていただきます。
続きまして、本日の構成員の出欠状況について申し上げます。
本日は、今村構成員及び野原構成員より、遅れて参加予定との御連絡をいただいております。
また、参考人として、苫小牧市立病院院長の松岡伸一先生、雲南市立病院事業管理者、大谷順先生、国立大学法人東京医科歯科大学生体集中管理学講座講師、医学部附属病院病院長補佐、若林健二先生、医療法人社団「直和会」平成立石病院院長、大澤秀一先生の4名の方をお呼びしております。
また、オブザーバーとして、総務省自治財政局公営企業課準公営企業室より目貫補佐に御出席いただいております。
次に、資料の確認をさせていただきます。事前に議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿のほか、資料1~6、参考資料を配付させていただいておりますので、お手元に準備いただきますようお願いいたします。
また、事務局の出席については、配付させていただいた省庁関係者出席者名簿により御報告させていただきます。
なお、冒頭のカメラ撮りについてはここまででお願いいたします。
(カメラ退室)
○木下専門官 それでは、以降の進行は尾形座長にお願いいたします。
○尾形座長 こんにちは。
それでは早速、議事に入らせていただきます。
まず、議題1「新型コロナウイルス感染症への医療機関の対応について(事例発表)」でございます。
まず、本日御参加いただいております各参考人の方々から順次説明をいただいた後、まとめて質疑応答を行いたいと思います。
それでは、早速ですが、松岡参考人からお願いいたします。
どうぞよろしくお願いします。
○松岡参考人 苫小牧市立病院の松岡と申します。当院におけるコロナの対応について簡単に説明したいと思います。
次のスライドをお願いします。
まず、苫小牧市ですけれども、北海道の太平洋側、黄色い矢印があるところにありまして、緑の丸が千歳空港で、札幌が千歳空港の北側にありますが、苫小牧市は逆の南側にあります。人口が17万人で、札幌、旭川、函館に次いで北海道では4番目に人口が多い町です。構成はスライドのとおりです。高齢化率は、工場などが多くて割と若い人が多いのですけれども、30%近くはいるというところです。
次をお願いします。
我々の地域は、胆振管内で、その中でも東胆振というところに存在しています。丸がついているところが東胆振で、一つ苫小牧の左側の白老というのが抜けているのですけれども、苫小牧市と周りの4つの町が東胆振に入ります。西胆振のほうは室蘭市を中心としたところで、医療圏は大体分かれているのですけれども、日高医療圏というのが南側にありまして、ここは大きな都市がないものですから、病院も割と小さめの病院が多いものですから、日高の患者さんも東胆振、特に苫小牧に来院されることが非常に多いという状況です。
当院は、東胆振の中核の病院の一つですけれども、もう一つ民間病院で王子病院というところがありまして、2つの病院が中心になっているということです。ただし、感染症の指定の医療機関に関しては、東胆振は当院だけ。それから、西胆振は、室蘭にも大きな病院が3つあるのですけれども、2つは民間病院ですが、感染症の指定医療機関は市立室蘭のみ。それから、日高にも浦河赤十字病院が感染症の指定病院になっております。
次をお願いします。
病床数は382床で、通常は二種の感染症の指定医療機関で、感染症病床が4床あります。診療科はここに書かれているとおり、大体の科はあります。
次をお願いします。
これがCOVID-19の我々の地域での体制です。左下の発熱検査センターとか北海道健康相談センターというのは最近できたので、その前は、患者さんがかかりつけ医か、あるいは帰国者・接触者センターに電話をすると、右下に書いてある病院が当院ですけれども、最初は全部当院に連絡が来る体制でした。PCRの検体を採るのもそうですし、疑似症例の入院、陽性の患者さんの入院も全部当院だけでやっていました。
だんだん患者が増えてきまして、当院の負担を軽減していただくために、苫小牧の医師会を中心に、今、発熱センターと書いていますけれども、これは11月にインフルエンザの検査も一緒にやるということで発熱センターという名前に変わったのですけれども、5月の末にPCRの検体を採るところが別にできまして、これは軽症者を主に扱っていただいたのですけれども、それによって当院の負担が5月からは少し軽減したということです。ただし、ここで陽性が出ると、当院で入院治療を行うという状況です。
次をお願いします。
受入れの状況ですけれども、北海道で最初に出たのが2月14日で、当院が初めて受入れをしたのが千歳空港で感染した方の1例目が2月21日です。それから、ぽつぽつと患者さんが出てきましたので、2月25日に、感染症病床が4床ある病棟を全て空けてコロナの専用の病棟にしたということです。
次をお願いします。
西5病棟というところの略図を描いています。ここの一番上に描いてある赤のところがもともとある感染症の病床で、個室が4つですけれども、全部陰圧になっていまして、テーベーの患者が入院するとここに入るという状況です。一般の患者も、こちらの下の横のほうにふだんは入院しているのですけれども、スライドに書いてありますように、最初のコロナの患者さんが入院したときに、接触を避けるという意味で、薄い緑の縦部分の病床を22日に空けた。ただ、人数が増えてきたときのことを考えて、25日から横の緑のところもベッドを空けて、この病棟をコロナの専用の病棟とした。疑似症例も同時に入院していましたので、ナースステーションと書いてあるところの上の4つは個室ですけれども、ここは疑似症例が入るところとしました。
次をお願いします。
これが病棟の様子です。左の写真にドアがありますけれども、そのドアの向こう側が4床の陰圧の病室がある病床です。右側の写真は、病室の中です。トイレと洗面所が全部の部屋についているという状況です。
次をお願いします。
しばらくはこれで運用していたのですけれども、4月に入りまして千歳でクラスターが発生したり、札幌でも感染が増えてきまして、北海道からベッドを増やしてくれないかという要請がありました。次にまた詳しく説明しますけれども、その時点で、ベッドは足りているのですけれども、看護師がもともと疑似症例と陽性患者の両方を見るので、夜勤を通常は3人でやっているのですけれども、ちょっと足りないので、4名体制の夜勤でやっていたのですが、それでもベッドを増やすと足りないだろうということで、看護師の補充のために東4病棟を閉鎖して、そこの看護師をコロナの病棟に再配置するということを行いました。
それで、4月21日に8床へ増床。それで、東4の看護師さんは感染症の扱いに慣れていませんので、ちょっと準備期間も設けて、少しトレーニングを積んだ上で、27日には12床ということになりました。
東5を東4に移動したと書いてあるのは、これは大した意味はないのですけれども、コロナの病棟の隣の病棟に一般の患者が入っていると嫌かなと思いまして、東4を空けたのを東5の患者さんを一回下に全部引っ越して、5階を全部コロナの、東5は使っていませんけれども、コロナの患者以外は入れない病棟にしたということです。
次をお願いします。
左側が通常時の感染が4室あるということで、最初は東4を空けたのですけれども、それで5階の患者さんを4階に引っ越したことによって、西4をコロナ専用にして、東5は空床とした。少し落ち着いてきたということで、8月18日からは再開して、看護師さんはコロナの少ないときはこちらを見て、多くなるとこっちを補助するという体制を取るようにしています。
次をお願いします。
増床後、現在まで51名と書いていますけれども、最近ちょっとこの地域で患者が増えていまして、今日時点で54名の確定であります。今、7名入院しています。それから、疑似症例はトータルで84名。
最初は、PCRの件数がこなせなかったものですから、結果が出るのに2~3日かかったりして、それまでは疑似症例も全部陽性患者と同じように扱わなければいけないので、結構大変だったのですけれども、最近では1日ぐらいで結果が出るようになったので、疑似症例は以前ほど手がかからなくなった。ただ、陽性例が最近増えてきているので、また忙しくなってきるという状況です。
廊下を半分に分けてテープを引いて、清潔なところと汚染しているところを分けたり、ゾーニングもいろいろ工夫して対応しているという状況です。
以上です。
○尾形座長 どうもありがとうございました。
続きまして、大谷参考人からお願いいたします。
○大谷参考人 雲南市立病院の病院事業管理者、大谷でございます。本日は、このように地域からの報告の機会を与えていただき、ありがとうございます。
それでは、雲南市立病院からの発表をさせていただきます。
スライドをお願いします。
本日のレジュメでございます。まず当院の外部環境について簡単に説明させていただき、次に今回の新型コロナ患者への入院対応について、病床確保、運営方法について、特に患者、スタッフの動線についての工夫、最後にスタッフの確保について御説明させていただきます。
スライドをお願いします。
当院の御紹介です。当院は、島根県の東部、雲南市にございます。赤く囲ったエリアでございます。北部は松江市、出雲市という島根県の2大都市に接しており、南部は中国山地の奥深く広島県三次市とも接しておりますが、その面積は東京23区の約9割と非常に広大でございます。一方、人口は少なく、わずか3万2000人。人口密度は1平方キロメートル当たり64名と東京23区の0.5%で、非常に過疎が進んでいる地域でございます。高齢化率も約40%と、高齢化も進んでおります。その人口の大半が北部の平地に集中しているという典型的な中山間地域でございます。
私どもの雲南市に加えまして、青のアンダーラインで示しております飯南町、そして奥出雲町を加えて雲南二次医療圏が構成されております。医療圏の最北部に位置いたします当院は、圏域の中核病院としての役割を担っております。2018年3月に旧病院の老朽化、QI化に伴い現地建て替えを行ったところでございます。
スライドをお願いいたします。
当院の概要です。一般、地域包括ケア、回リハ、医療療養、感染症病床も4床持っておりますが、トータルで281床のケアミックスでございます。15の診療科がございまして、10の診療科が常勤医師、赤が非常勤対応としております。27名の常勤医師で運営をしているところでございます。
スライドをお願いします。
この表は、さきに公表されました医師確保計画の基になる医師偏在指数を示したものでございます。赤で囲いましたところは私たちの雲南二次医療圏でございますが、県内で最も少ないどころか、全国的に見ましてもほぼ最下位ということで、当雲南地域は極めて医療資源の乏しい地域ということがお分かりいただけるかと思います。かといって、広大な地域、かつ公共交通機関が乏しいという環境のため、都市部への移動もままならず、住民の生活を支える当院の役割は極めて重要であります。
スライドをお願いします。
さて、今回の新型コロナ感染拡大に伴い、当院でも18名の患者の入院対応を行いました。圏域内の患者は市内発生の3名のみで、あとは県の調整本部からの依頼で、松江市、出雲市の患者を受け入れております。4月、青いところでございますが、松江市、出雲市で飲食店関係のクラスターが発生しておりまして、そのときに最初の患者さんを受け入れたということでございます。
次をお願いします。
陽性患者の在院日数でございます。基本的に軽症患者を受け入れておりまして、1例のみが全くの無症状でございますが、何らかの症状を有している、かつ軽症の患者を受け入れております。4月の当初は、退院基準が厳格であったために入院期間も長く延びた症例がございますが、その後は10日前後で退院ができているところでございます。
次をお願いします。
入院ベッドは、地域包括ケア病床48床を丸々空けて対応いたしました。この赤い部分でございます。ここが地域包括ケア病床48床でございます。この病棟は、通常であれば稼働率90%を超えておりまして、経営的にもダメージが大きかったのですが、既存の感染症病床2床がこの病棟内にあったこと、さらにダイヤモンドプリンセスや国内の院内感染拡大例で見られましたように、感染制御にはゾーニングが極めて重要だと考えたからでございます。
スライドをお願いします。
これが平常時のゾーニングでございます。当然ですが、病棟内に設けられております感染症病床、この図では2床で、反対側にもう2床あるわけでございますが、この2床のみの周囲をゾーニングしていたということになります。
次をお願いします。
スライドは、今回の実際の病室の状況です。通常4床部屋であったところを2床に減らして、感染拡大防止に努めました。
次をお願いします。
このスライドは、今回のコロナ対応で当初設けましたゾーニングでございます。運用していく中で、遮蔽物などの工夫により、肉体的、精神的にもストレスのかかるPPEの着用は不要であるというグリーンエリアを拡大いたしました。以下にその工夫をお示しいたします。
スライドをお願いします。
ビニールシートでパーティションを切ることにより、グリーンエリアを拡大しております。
次をお願いします。
これは病棟内の診察コーナーでございますが、これも同様に飛沫防止のパーティションを設けております。
スライドをお願いします。
軽症患者が多かったため、バイタルサインのチェックは自己で測定していただき、紙に書いてビニールシートに貼り付けるという形で、これも飛沫の飛散を予防しているというところで、ストレス軽減に役立ったということでございます。
次をお願いします。
その結果、グリーンエリアは格段に広がりまして、かつ、安全に運用が可能でございました。
スライドをお願いします。
最後のスライドですけれども、スタッフの確保についてです。地域包括ケア病棟の運用時には28名のスタッフで運用しておりましたが、専用病棟にした後は常時2名の看護師が対応に当たりました。
その選定方法でございますが、まず手挙げで募りました。その中で、病気を抱えている方、高齢者や幼児などと同居されているといった高リスクの方を除外するということで、14名に絞っております。この14名というのは、基本的に夜勤体制を2人でやるということを考えまして、1人の夜勤が月7回というところで14名ということにしております。
以上、簡単でございますが、当院での今回の新型コロナ対応について御報告いたしました。御清聴、ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
続きまして、若林参考人からお願いいたします。
○若林参考人 よろしくお願いいたします。東京医科歯科大学医学部附属病院の集中治療部、若林でございます。
それでは、スライドのほうをお願いいたします。当院における対応ということでお話をさせていただきたいと思います。
我々は東京医科歯科大学医学部附属病院ですけれども、東京の東側、お茶の水に位置しております特定機能病院でございます。大学病院がひしめき合っている中で、隣は順天堂というような状況であります。
753床の当院における重症病床に関しましては、ICU、HCUを合わせて50床を有しております。その他の数字は御覧のとおりで、他県からの受診患者も多くあるような状況でございます。
我々のCOVID-19に対する対応の実際です。我々は、もともとは感染症指定医療機関ではございません。ただ、患者数の増加に合わせまして4月2日から受入れを開始いたしまして、ここに示したグラフで、青が陽性の中等症の患者さん、赤が陽性重症の患者さんとなります。先日、軽快退院された方が200名をちょうど数えたところになります。約3分の1が重症患者で入ってきておりまして、その中の8割以上は他院から転院で御紹介いただくような患者さんということになります。
第1波、第2波と対応を続けておりますけれども、結果的には重症患者が入っている数としては都内随一でございまして、最近では中等症よりも重症患者が多い日も見られるような状況でございます。本日の時点で12床、ちょうど重症6、中等症6という状況でございます。
病床転換ですけれども、極期には約3分の1に当たります230床を休止して対応いたしました。これはやはり主に看護師をコロナ関連外来とか病棟に充てたためです。ICUに関しましては26床、6階にあった救急のICUと、あとは院内のICUを22床のコロナ専用ICUに転換しまして、16床の救急のHCUに関しましては休床としたという状況でした。
結果として、非コロナ患者のためのICU、HCUは8床に限定されまして、その中で我々は疑い患者とか院内急変の重症患者をやりくりする状況でございました。
看護師配置は大体1対1から1対2ということで、実際には患者よりも看護師が多いというような手厚く配置を行った状況で行っております。これは理由としましては、ECMO管理、そして腹臥位が非常に手を取りまして、7~8人で1人の患者を引っくり返すのですけれども、そこで非常に手がかかる。
そして、AP対応、空気感染予防対応のゾーニングというところで大きく人手を取られる状況が発生しておりまして、通常の5割以上、看護師を増員する必要があったという状況でございました。
現状は、コロナ関連病床に関しましては、疑い病棟も含めまして重症12床を含む52床でございます。休止病床は82床ということで、10%程度にとどまっております。これは、疑い病棟における大部屋の個室化なども関連して休床がやはり発生するところですけれども、現在できるだけ、病棟ごと休止した状況に関しましても2病棟ありますので、そちらの再開を目指して看護師の採用も積極的に進めているという状況でございます。
ここからは、我々の特徴である重症病棟のことに関してお話をさせていただきたいと思います。まずゾーニングの状況を示します。
左の赤い矢印、黄色い矢印は、スタッフの入室経路となります。患者さんに関しましては、黄色い矢印のところに書いてありますけれども、実際にはここから出入りするということで、裏手にエレベーターがあるのですけれども、そちらのほうから入ってくるという形になります。右手のイエローゾーンのところから退室という形で、基本的には入室、退室は一方向でそれぞれやるという状況になります。もともとは上半分が院内ICUで、下半分が救急のICUでして、そこをちょうど区切った形での運用となっております。
ゾーニングの実際をお見せします。徐々に工事を重ねながら進化している状況でございまして、4月が一番左です。これは、いわゆるビニールシートを天井から張ってというような状況で、寄りかかると壊れてしまうという状況であります。5月に関しては、一応窓枠ということで仮でつくったものをやって、このときが22床をつくったときの対応になります。現在は、7月のところでお見せしていますけれども、基本的には工事をしてしっかりとした窓と壁をつくったという状況で対応しております。
これらの工事は、全て常に重症患者を受けながら進めておりますので、我々は常に重症病棟のどこか1病棟の工事をしながら重症の患者受入れを続けていたという状況になります。
現在の状況です。動画をお願いいたします。現在の様子です。こちらはパスボックスですけれども、これはグリーンゾーンにいる看護師が中にいる防護服を着たスタッフに物を渡している。実際にこのように壁と窓があって、これはもともとなかったものですけれども、中に患者さんがいるというところです。多分、この患者さんはECMOが回っている人ではないかと思います。左手にECMOが見えました。
このように、常に患者さんの周りには非常に多くのスタッフがいるということで、外と中とはトランシーバー様のもので交信をしながらやっているという状況でございます。
人手のやりくりに関しては当院でも苦労いたしました。ユニークであったのは、恐らくバックヤードチームと呼ばれる対応ではないかと思います。清掃業者が陽性病棟に入れないという状況が発生しまして非常に困りまして、ここで看護師を投入すると見られる患者さんが少なくなるということがもう明白になりましたので、我々は手術を一回止めましたので、その時点で手の空いた整形外科医などが中心になって清掃をやっていただくことにしました。逆タスクシフトと我々は呼んでいましたけれども、そういった整形外科医とかが中心になって清掃、患者の搬送を手伝うというような体制を2か月にわたって敷きました。
また、人は数だけでなくて士気も必要ですので、その維持には当初より心を砕いておりまして、こういったコロナ関連業務に入るスタッフには全員オリエンテーションとしてPPEの着用、あとはメンタルヘルスケアサポートチームの面談を受けてもらいまして、その数は1,000名を超えております。
歯学部附属病院が隣にありますけれども、第1波においては約2か月間診療を閉じましたので、その際にはそちらの病院の看護師、歯科医師にも様々な形で応援をいただいたということがございました。
私たちがこのような体制を構築するに当たっては、地域医療連携が必須でございました。まず院内体制整備して4月には転院、入院制限を進めまして、稼働率は50%以下を目指したというような状況で、その際には連携病院に多大なる御協力をいただきました。また、陽性患者に集中するため、陽性患者が非常に増えたときには疑い患者に関しては連携病院にお願いするということも念頭に置いて対応に当たっておりました。
体制がある程度整いますと、今度は報道などで知った院内感染が発生した病院に関しては、実際には起きた場所というのは非常に混乱しておりますので、そちらに我々は一報を入れて、何かお手伝いできることはございますでしょうかというような話をして、我々はDMATcarを活用しましてお迎え搬送ということをやって、これを東京都の福祉保健局とやり取りをしながらこういった体制を築き上げたというところでございます。
現在、重症患者は非常に多いので、基本的には御紹介いただいて、人工呼吸器を抜管して1日見た後はバックトランスファーするということを基本にいたしておりまして、限りある重症病床をやりくりしている状況です。
最近の御報告をいたしますと、合併症を有する陽性患者が増えているというような印象でございまして、心筋梗塞、脳出血、透析患者、プラスCOVID-19重症という方が結構いらっしゃいます。
あとは、疑い病床の逼迫に関しましては懸念されているところでありまして、インフルエンザのみ陽性でコロナ陰性が確認された患者さんに関しましては、やはり連携が必要かなと考えて、現在、体制整備を進めているところでございます。
ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
続きまして、大澤参考人からお願いいたします。
○大澤参考人 私、葛飾区にあります医療法人社団「直和会」平成立石病院の院長の大澤でございます。このような機会を与えてくださいましてありがとうございました。
それでは、「当院における新型コロナウイルス感染症への対応」ということで報告させていただきたいと思います。
当院は東京都の葛飾区にありまして、葛飾区は人口約46万人、高齢者率約25%と、都内では比較的高齢者が多い地域でございます。一般病床203床で、7対1。東京都指定の二次救急医療機関でありまして、災害拠点病院でもあります。東京都の感染症診療協力医療機関であると同時に、現在は東京都の新型コロナウイルス感染症患者入院重点医療機関というふうになっております。当院は、地域における急性期医療、救急医療、そして災害医療等を担っております。
早速ですけれども、新型コロナウイルス患者の受入病床について報告させていただきます。当院は地上6階建てで、入院病床は左手にありますように1階、3階、4階、5階となっております。その中で1階病床、正面に見取り図がありますけれども、病室102号室というのは、そもそもSARSとか新型インフルエンザ患者の受入れということで、感染症に対応できるような病室となっております。
特徴は、表の玄関を通らず、病院のバックヤードのほうから入ってくることです。なおかつ、102号室のところはシャッターを下ろすことによってこの病室を陰圧にすることが可能となります。ここを当初、コロナの患者の受入病床ということで使用しました。
その後、患者さんがどんどん増えてきたことで、いよいよこれはもう1階病棟全体をコロナウイルス対応にするしかないという話になりまして、1階病床はそもそも26床あったのですが、そのうちの16床をコロナ専用病床といたしました。
その分、見取り図の右下の青くなっている部分ですが、ここは7床分のベッドを潰しまして、右下の写真にありますような前室としました。いわゆるイエローゾーンという形になります。その境目のところに壁を設置しまして、なおかつ病室内に陰圧用換気システムを増設しました。
この陰圧システムを増設したことによって、青い部分と左に見えるナースステーションのところをビニールシートで仕切ったわけですが、左側の写真を見ていただくと分かりますように、陰圧になっているのでビニールが伸びている状態、張っている状態になります。これは中で働いている人間たちにとって非常に安心感を与えるのです。陰圧になっているから安全だという意味では、かなりよかったのではないかなと思っております。
続いて、ゾーニングです。真ん中のところ、職員の出入口が上からありまして、そこから入ってきたところがグリーンゾーンです。先ほどお話ししたビニールシートの内側というか、入り口側のほうはグリーンゾーンになっていますので、左の写真を見ていただくと分かりますように、通常どおりのスタイルで仕事をしております。そこからイエローゾーンに入りまして、そこでPPEを装着して、いよいよレッドゾーンに入るということになります。通常のナースたちは、レッドゾーンの前のイエローゾーンで着替えて、そこからレッドのほうに入っていくという形になります。
私どもの1階病棟は、そもそも医療従事者はどういう形で対応したかといいますと、まず、30名いた1階のナースがほぼ専従ということになりました。その中でレッドゾーンに入れるナースは厳選して十数名として、残りのスタッフはいわゆる外周りというか、グリーンゾーンでの勤務といたしました。現在、コロナが長期化してきましたので、他病棟から応援という形で、週単位でヘルプに入る形になっております。
ドクターに関しましては、私と名誉院長がほぼ専従でコロナ担当となりました。これは、私どもは民間病院でなおかつ救急をやっておりますので、一般の医療を閉ざすわけにはいきませんので、なおかつ1階病棟専従ということで、一般の方あるいはスタッフはほぼコロナの患者と遭遇する機会がないのです。入退院は全部バックヤードからですし、そもそも1階だけに患者さんがいますから、ほぼ遭遇することがない。その代わり一般の救急は頑張ってくれという形で、ドクターに関しては私と名誉院長という形で担当しました。グリーンゾーンでは、一般のスタッフは普通に通常どおり勤務しておりました。
当院でのコロナの受入れ実績です。第1波のあった2月からダイヤモンドプリンセスの受入準備もしていた関係で、2月15日に1人目の患者さんを受けまして、第1波では45名受け入れました。
第2波として、一度先ほどの病床を一般に戻したのですが、また第2波が来たということで、同様の工事、壁の設置等を行って、7月1日から第2波の受入れを行いまして、10月31日までで202名受けております。全期間のトータルで247名、当院ではコロナ患者を受け入れております。現在も15名ほど入院しております。その中で重症は8名おります。
この8名に関しては、高次医療機関、先ほどお話がありました東京医科歯科大にも数名転院搬送させていただいておりまして、その転院搬送に関しましては当院にあります病院救急車を用いて搬送しております。中等症が70名、28.3%、残りが軽症ということで、当院は中等症、軽症を主に受け入れているという病院でございます。アビガン、デカドロン、レムデシベル等を使用する機会もありました。
当院は民間病院ということもありまして、地域医療を閉ざすわけにはいきませんので、先ほども申しましたように、コロナをやりながらも地域の救急医療は支えなければいけない。その両立をすることに非常に苦労しました。
当初、風評被害もありましたが、地域の医師会や行政の方々の理解を得まして、また、地域住民の方々の応援、支援等がありましてこれまで頑張ってくることができました。
何より、これだけ患者を受け入れておりますけれども、当院の職員から一人も陽性者が出ていないということで、職員の高い意識があるのではないかということで、そこは感謝したいと思っております。
以上、当院の紹介でした。御清聴、ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
議題1の関連では、岡留構成員からも資料の提出をいただいております。公的医療機関での事例ということで、済生会福岡総合病院の事例を御紹介いただけるということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
○岡留構成員 発表の機会をいただきまして、ありがとうございました。
今日、お話しする内容ですが、病院の概要、それから福岡県、福岡市のCOVID-19の発生状況、それから当院の対応、受入状況、最後にこれまでの振り返りと今後の対策について、そして考えたことということでお話をさせていただきます。
当院は、福岡県の二次医療圏、福岡・糸島地区にあります。職員数は約1,000名です。病床利用率84.7%、紹介率88.2%です。
病床数は380床ですが、右に書いていますように、福岡地区の第三次医療機関、救命救急センターの指定を受けておりまして、地域医療支援病院、がん診療連携拠点、臨床研修指定、災害拠点等を指定されております。後ほど出てくると思いますが、救命救急センターは50床を持っておりまして、そのうち4床がICUになっています。あと、HCUが16床等の指定を受けております。
福岡・糸島医療圏は、人口は福岡市が160万、糸島地区を合わせて約170万の医療圏でございます。必要病床数は、機能報告制度の値等を考えてみますと、高度急性期がちょっと多過ぎるのではないか。それから、回復期が非常に足らないという特徴であります。
続きまして、コロナの関連でございますが、これは福岡県のホームページから掲載しております。やはり第1波、第2波、全国的な状況と一緒でございます。
これは福岡県のホームページから福岡市について抜粋しておりますが、これもやはり同様であります。
新型コロナウイルス感染症の発生状況です。福岡県はコロナ警報という基準を設けておりまして、1日当たりの陽性患者数が3日連続で40人以上など、1週間当たりの割合が感染経路不明者が50%以上等々の基準値を設けまして見ておりますが、感染経路不明者が直近の値では52.4%というところで、この辺がまだ収束する方向ではないという感じがしております。ほかは、病床稼働率、重症病床稼働率もそれほど逼迫した状況ではございません。
続きまして、当院の対応について述べます。私どもの病院では、救命救急センターを持っておりますので、6階、7階を救命救急センターにしております。計50床の救命救急センターですが、今回のコロナ対応につきましては7階を全てコロナ対応のフロアにいたしました。6階は従来の一般の救急医療を行っているということで、階ではっきりと分けられたのが幸いだったかなという感じがしております。
当院での受入状況です。2月以来、約16床のところをコロナ対応の病床にしておりましたが、4月から5月は16床はほぼ満床で、8月から9月もやはり16床全てを使っているという状況でございました。
入院患者受入数はトータルで161名、うち陽性者が54名でございました。その後、2月の末から帰国者・接触者外来PCR検査をするようにしまして、これは後ほど申しますが、病院の外側にハウスをつくりまして、そこで検査をして、陽性者に対応するというふうにしております。
これが院内の感染防止対策で、全外来にはアクリル板を設置して飛沫感染の予防を徹底するということ。それから、出入口を制限して、きっちりそこのゾーニングをしていくということでございます。
それから、サーマルカメラ、サーモグラフィーを外来に置きまして、外来の出入口のところで同時に20人の検温が可能になっております。
これが帰国者・接触者外来で、病院の中庭にプレハブを2基つくりまして対応に当たった。それから、ドライブスルー形式での検査も行ったということであります。
救命救急センター内はこのようにビニールカーテンで仕切りまして16床を、後半についてはきちっと整備をしまして、ドアをつけて完全に隔離をするという方向で行きました。
入院患者さんに対しては、個人防護具は一時的に品薄となった状態があったのですが、なるべく在庫管理を徹底して切らさないようにということをして、レッドゾーン内にはCOVID専用のスタッフを配置し、対応したということであります。
コロナウイルス感染に大体どの程度のハード面でお金を使ったかということですが、医療・事務消耗品費、例えばマスクとかガウン、フェイスシールド、洗浄剤等で300万ちょっと、専用プレハブを設置するのに79万、検温用サーマルカメラが約100万かかっております。
そのほかに医療機器整備としては、人工呼吸器、メラ遠心血液ポンプシステムで2100万ほど、それから7階のセグメンテーションをするときにレイアウトをいろいろ変更したりした費用で137万、窓口等の飛沫防止シールドは病院保有の資材で職員が作成したということであります。
これまでの振り返りと今後の対策です。当院では、感染症に対しては地域柄、韓国に近い、中国に近いというような、かねてから感染が入ってきやすいところでございましたので、ICTが中心になって教育、研修を徹底してやっていたということで、マニュアルを作成し、それで最初は対応しておりました。
病院の構造上、4対1の看護体制である救命救急センターの一部を受入病床とすることができたため、看護職員の配置を変更する必要はございませんでした。また、救命救急センターには陰圧個室を4つ持っておりますので、従来より感染症患者の対応を行っていたことも強みになったのではないかなと思います。その結果、救急医療と新型コロナウイルス感染症を並行して行うことができたということになりました。
それから、二次医療圏では、県や市、感染症指定医療機関が中心となり、主に急性期機能を担う医療機関が協力して地域での受入体制を構築しております。県が主導して、非常に頻繁に調整会議みたいなスタイルで、各病院長が集まって調整していたように思います。
今後、新型コロナウイルス感染症については、重点医療機関、うちも重点医療機関ですが、重点医療機関と協力医療機関など、各医療機関が担う役割に沿って対応していくことになりますが、本来の地域での役割、急性期機能や一般医療との両立が求められるのももちろんであります。
福岡県で感じたことは、このように僕らの二次医療圏は非常に医療資源が豊富で、病院も豊富で、看護師さんもいっぱい集まってくるというような恵まれた状況にありますけれども、県内には医療資源の乏しい地域で一般病床をコロナ対応に使わざるを得なかった病院が公立・公的病院の中にも結構あったという報告も受けております。
以上でございます。ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま5人の方から御説明をいただいたわけでございますが、御質問等があればお願いしたいと思います。どなたからでもどうぞ。
伊藤構成員。
○伊藤構成員 伊藤でございます。
各施設の先生方は大変御苦労なさった、あるいは大変な実績を残されたということで感
謝を申し上げるとともに、地域に多大な御貢献をいただいたことを本当にありがたく思います。
特に今日御発表いただきました5施設の皆様方にぜひお伺い申し上げたいのは、コロナの受入れを積極的にされたということで、これに対して、特に流行の初期ですと、コロナはどういう疾病であるかということがあまりはっきりしていなかった、要するに未知の感染症で、大変怖い、感染力の強い、しかも致命的な疾病であるのではないかという中でそれをお受けになったということから考えますと、恐らく一般医療、特に二次あるいは三次の救急の受入れの体制を犠牲にしてコロナ患者さんをお受けになったのではないかと推察します。このときに、二次、三次の、特にCOVIDでない、重篤な症例に関してどんな形で地域連携をされたかということを御教示いただきたいと思っておりますのが1点。
それから、松岡先生、苫小牧市立病院さんでは、二次医療圏としてそんなに多くの医療機関があるわけではないとお聞きしたように思うのですが、二次医療圏の中だけで三次救命あるいは二次の救急医療の受入れが十分に対応できたのかどうかというのが1点。
もう一点は、コロナ患者さんの入院への対応につきまして、恐らくコロナはたとえ病床がたくさん確保してあっても、人員の問題でも一つの病院だけで十分に対応できないところがありまして、コロナの入院対応について他の二次医療圏、あるいはもっと広域な圏域との連携というものを求めたり、実際に連携構成されたことがあるのかどうかということをお教えいただきたいと思います。
○尾形座長 これは全ての方に御質問ということですね。
それでは、松岡参考人からお願いできればと思います。
○松岡参考人 御質問ありがとうございます。
当医療圏は、先ほどもお話ししましたけれども、当院382床と、もう一つ民間の総合病院、450床ぐらいの病院がありまして、その2つで輪番で救急診療をやっています。具体的には奇数日が当院、偶数日がもう一つの病院というふうにやっています。
コロナが発生してからは、どちらの病院もコロナを扱うと救急医療ができなくなるおそれがあると考えまして、コロナは当院で主に診て、コロナ以外をもう一つの病院が診るという体制に、完全ではありませんが、そういうふうにしました。
具体的に言うと、奇数日は当院の救急当番ですけれども、コロナの対応をやっている間はもう一つの病院が救急を引き受けてくれるというような話合いをして、それで今のところは何とか問題なく行っております。
重症の患者さんは、札幌が割と近いので札幌に搬送することもありますし、当院ももう一つの病院も、ICUではないのですけれども、そのような病棟を持っていますので、ある程度の患者にはコロナをやりながらでも対応できておりました。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
続いて、大谷参考人、お願いします。
○大谷参考人 島根県雲南市立病院でございます。
当院の場合、先ほどお話しいたしましたように、松江、出雲という大きな医療圏、この医療圏はそれぞれ三次病院を2つずつ抱えております。こちらの病院で重症患者は診ていただくということでございましたけれども、軽症患者を診るだけのキャパはなかなかないということで、隣接する医療圏であります当圏域、かつ、感染症指定病床を持っているということもございまして、これは松江、出雲でクラスター発生をしておりますので、いずれ隣接している当地域でもクラスターが発生する可能性もあるということで、実際に3名出たわけですけれども、もともと当院はリニューアル、建て替えのときに新型インフルエンザも対応した感染症対策ができるような病棟もつくりました関係で、これは積極的に受けるべきという判断をいたしました。
それと、圏域内での連携ということに関して申し上げますと、この地域の特性といたしまして、広い圏域で、かつ平面地図上では横の連携が可能かと一見思われるのですけれども、山間部ですから、圏域内に病院が4つあるのですけれども、それぞれの病院への移動が非常に難しい。それぞれ生活圏も異なりますし、横移動というのは現実的ではないということで、これはやはり集約的に当院で診るべきだという考えになったわけでございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、若林参考人、お願いします。
○若林参考人 我々の当院に関しまして、ゴールデンウィーク明けまではとにかく患者数がどこまで伸びるか分からないというような状況で行っておりましたので、とにかくそこの体制を整えるために、全くどう対応したらいいか分からないという状況でしたから、基本的には手術も止めて、救急も一回止めたというような状況がありました。それは非常につらい選択だったのですけれども、救急と集中治療部がかなり重症の部隊の中心でしたから、ちょっとやむを得なかったかなと考えております。
ただ、そこに当たっては、結局は東京都全体で、我々はどこの足りないところを埋めるべきかというような考えを持っておりまして、東京都のほうとも連携をして連絡を密に取り合って、我々は特定機能病院、国立大学病院の使命として、ここはやはり重症を診るべきではないかということで向かっていったというところでした。
その後、実際に5月ぐらいになって如実化したのは、重症疑い患者の問題だったと思います。コロナの疑い患者さんがかなりたらい回しされているということが問題になってきて、そういった意味で、徐々にまた扉を開け始めるときは、まず重症疑いをどう診るかというところですけれども、コロナ陽性も重症、疑いも重症ということで、そこの捻出をするのが非常に苦しい中、何とかやりくりをしながらやっていくうちに、体制が大体見えてきたというような経過だったかなと思います。
あとは、医療に関しましては、外来と化学療法に関しましてはキープするというところに関しては最初から明確化していたと思います。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、大澤参考人、お願いします。
○大澤参考人 まず、当初のコロナに対する対応ですけれども、当院は地域における災害拠点病院でもあり、感染症の受入病院ということで、正直言うと、地域のために覚悟を持ってやるしかないなという職員の高い意識の中でやっていました。
ただ、現実的には、4月、5月に関して言うと発熱患者さんを受け入れるのがなかなか困難で、救急車の受入台数も減って、結果的に病院の売上げも下がったというような状況があったのが現実でございます。
我々は民間病院でありますから、売上げが下がるということはそのまま職員の給与等に直結してくるわけで、これはいけないということで、まず院内の対策としてERで発熱患者を積極的に診ていこうと。診ていくということは当然リスクを負うのですけれども、そのリスクを少しでも少なくするために、例えばERに入れる前にまず発熱患者の胸のCT検査をやって、肺炎像がないということで、それでも100%安心ではないのですけれども、ERをやる。ERにビニールハウス的な隔離できる小さな処置室みたいなものが2部屋ほどありまして、そこの中で疑い患者を診ていくというような形で、救急で発熱患者をどんどん積極的に診ていこうという体制を構築したというのが6月以降です。それにより救急患者も増え、収益もある程度盛り返したというのが現状です。
あと、地域の話を言いますと、東京においてはコロナの疑似症例をどうするかというのが一つ大きな問題になりまして、これに対して東京都のほうではコロナの疑似症例における東京ルールといって、担当病院を決めて、そこがまずファーストタッチで受け入れるという対応をしておりました。
ただ、地域によって、これはまた細かい話になるのですけれども、隣の足立区は、実はコロナ患者さんが1,000人以上出ているにもかかわらず、地域の中にコロナを受け入れている病院がないのです。そうすると、隣の葛飾、我々のところとか近くのところで患者を受け入れざるを得ない。
あとは、皆さん御承知かと思いますが、永寿総合病院みたいに地域の中の中核病院、コロナを受けている病院でクラスターが発生してしまうと、その余波が周辺地域に広がるというのも我々は体験しています。
ですから、地域の中でどういうふうにバランスよく受け入れる病院を配置していくのか、それと、もしそこが駄目になったときに次はどうするのだというようなことも、地域医療という形では考えていかなければいけないのではないかと感じております。
もう一つ言うと、正直申し上げまして、実は公的な病院は土日はほとんど動いてくれていません。結局、土日は民間が受け入れざるを得ないので、うちはほぼ毎土日は患者さんを受け入れています。ちょっとここは病院によっては耳の痛い話かもしれませんが、これが現実だと思います。いろいろな問題があってかと思いますが、動いていない。ただ、コロナの調整本部、東京都自身は年中無休で動いていますから、患者さんも当然土日も発生しているわけで、そこは少し考えていただければなと感じております。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、岡留構成員、お願いします。
○岡留構成員 最初の頃は、福岡市の場合は感染症指定医療機関が最初からきちっと分かっていましたので、うちは感染症の専門医がいますので、発熱があったとき、どうもおかしいなというのはCTを撮ったり、それからPCR検査をしないといけないのではないかというような症例は、感染症指定医療機関との連携でそっちに送ったということがあります。
ところが、ベッドがいっぱいにきますと、どうしても受けざるを得ないということで、病院で診なければならなくなった。
今、大澤君が公的病院は土日は休みと言いましたけれども、私たちのところは365日フル稼働でやっています。それは一概に言ってもらっても困るのだけれども、そういった医療を隙間なく、スリットなくつくっていかないといけないのではないかなと思います。
今度のコロナで分かったことは、もう私は何回も言っていますけれども、一律の医療政策、地域医療構想ではもう追いつかないという事態が必ず有事の際には来るのだということを再認識していく必要があるのではないかなと思います。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
伊藤構成員、よろしいですか。
○伊藤構成員 本当に御苦労なさったことを聞かせていただきまして、感謝申し上げる次第です。
申し上げたいのは、都市部と地方ではそもそもの発生する患者数も違いますけれども、それに対する対応が全く違っています。地方では搬送も含めて非常に動線が難しいという事態もあるようですが、そうかといって、全ての二次医療圏にパンデミックに対応できるだけの十分な設備とか人員を用意すればいいではないかという御意見もあると思うのですが、それでは全く非効率になってしまい地域医療構想の考え方とは相反することになります。今回のパンデミックで起こったこと、特に問題点をきっちりと集約して、それに対して地域医療構想の中で、パンデミックのような広域にわたる感染症に関して新たにどういう仕組みをつくるためには詳細な分析と、それに対する二次医療圏を越えての対策が必要ではないかということで発言させていただきました。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 医科歯科の若林先生に伺いたいのですが、本来、大学病院がやるような非常に重症の手術、心臓の手術とか、それがどうしてもこれだけを見てしまうとそっちのほうが手薄にならざるを得ない。ただ、コロナ自体は、今も東京都内は数が若干増えつつある、全国的に見ても増えつつある。そうすると、本来業務に戻していくにはどうしたらよろしいのでしょうか。これは大学病院としていつまでもやらないわけにもいかないと思うのですね。その辺のお考えがあったら、ぜひお聞きしたいと思っております。
○尾形座長 それでは、若林参考人、お願いします。
○若林参考人 非常に難しい問題で、日々悩んで、今も我々は悩み続けているのですけれども、実は今回を機に我々はベッドコントロールセンターをつくりまして、残された病棟というのを、今は大体1割休床していて、さらにまたコロナの病床に割いていって、今は2割ぐらい潰れている状況なので、その中でいかに効率的にやるかというところで、ベッドコントロールセンターをつくって、そこでできるだけ効率的にやるということを目指しているのが一つです。
あとは、非常に苦しいところがあって、ただ、幸いと言っては何ですけれども、一部の診療科のアクティビティーは、検診がなくて、例えば消化管系のがん患者が少し減っているとか、そういったところがあるので、そこをうまく、どこの診療科から回復させていくかというところをいろいろデータを見ながら考えて行っているという状況ですけれども、基本的には我々もこのまま持続可能な体制というのは何かというのが日々問われているところで、あまり明確な答えでなくて申し訳ないのですけれども、できるだけ効率化というところ。
あとは、実際の待ち患者さんのプロフィールというか、全科を見たときに待ち患者さんが多いところをある程度優先的にオペのほうを戻していくとか、そういった形で現在は対応しているという状況です。よろしいでしょうか。
○猪口構成員 どうもありがとうございました。
○尾形座長 ほかはいかがでしょうか。
小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 諸先生のお話をお聞きしていて思ったのですが、御発表になった先生、医科歯科とか岡留先生のところは別格として、当初から病院建築、再建をしている病院が多くて、それから立石病院の大澤先生のところも当初から感染対応、いわゆる救急ということでやられていたと。その中でも、例えばゾーニングだとか場所分けという問題は非常に大きかったと。でも、それはほかの病院から比べると、たまたま今日御発表いただいた先生方のところは比較的うまく対応ができたのだろうと、僕はそう思って聞いていたのです。
問題は、先ほどからお話が出ているように地域地域によって患者数も違いますし、対応できる施設も違うわけですけれども、全国を見たときに、それをどうやって対応できる状態まで持っていくかということが今後の大事な問題なのではないかというのを一つ感じました。みんなが先生方のように対応できるかどうかという問題は大きいと思うのです。
もう一つは、医療スタッフ、特に看護師さんをどうやって集めるか。中には、病棟を何個か閉鎖して、それを注入してやるといいますが、今度はその看護スタッフをはじめ従事者の負担をどうやって解除してあげるか。やはり定期的に担当看護師を替えたり、部署を替えたり、ストレスを聞いたり、いろいろなことをされたと思うのです。
それ以外に、例えば先ほど伊藤先生もちょっとお聞きになったと思うのですけれども、圏域内で他の病院からスタッフを流用させていただいたとか、あるいは自分の病院に元勤めていた看護師さんに来てもらってやったとか、そういうような御苦労というか、取組はされたのでしょうか。やはりスタッフを集めるのはすごく大変なのだと。ですから、結局病棟も閉鎖してしまうわけですから、そこらの点は実際に現場の先生方のお考えとしてはどうなのか、印象をお聞かせ願えたらと思うのですが、いかがでしょうか。
○尾形座長 スタッフの確保ということですね。
では、松岡参考人からお願いできますか。
○松岡参考人 当院の場合は1つ病棟を閉鎖して、そこの閉鎖した病棟のスタッフを加えるということで何とか間に合っております。
それで、この地域でほかの病院でコロナを扱っている病院が全くないものですから、検査はPCRをやるところはありますけれども、入院患者はないので、ほかから看護師さんを借りるということもなかなかしづらいですし、それから、勤務を交代するということも、長期になるとそういうことも考えなければいけないのでしょうけれども、今のところは慣れた人にいろいろ処置をやってもらうことが院内感染の防止にもつながるし、取りあえずは今のスタッフで現状は頑張っていただいている。
それから、公立病院なのであまり手当を出すことはできないのですけれども、ちょっと市にお願いして危険手当みたいなものを少し出してもらって、給与面で多少のプラスをしているというぐらいしかないですね。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
では、大谷参考人、お願いします。
○大谷参考人 当院の場合、コロナ患者を受け入れるに際して看護婦の不安要素を幾つか聞いたのですけれども、やはり一番大きいのは検体採取です。検体採取で飛沫感染をしてしまうのではないかという懸念があったわけでございます。それに関しましては、コロナ対応の医師、内科の総合診療医を中心に当番制でコロナ対応のドクターを決めまして、医師が検体採取をするので、看護師は一切検体採取をする必要はないということで、かなり安心感を与えたところがあると思います。
そして、当院の場合、感染症の管理認定ナースを養成しておりまして、研修させて資格を取らせています。このナースが感染症に関してのプロとして、COVID-19に関する最新の知識、知見等を看護師たちに共有することによって、正しく知って正しく恐れるということができたということも、今回、コロナ対応がスムーズにいった大きな要因ではないかと思います。
やはり公立病院ですから給与の面で特にというのはなかなか難しゅうございますけれども、正しい知識を正しく共有するということが非常に大きかったのと、ドクターの協力が得られた。この2点だと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
若林参考人、お願いします。
○若林参考人 なかなか一つのきれいな解はない話なのかなと思っておりまして、今、おっしゃったローテーションの話とか、メンタルヘルスケアの話、全部我々も、本当にいいと思われることは何でもやっていこうということをこの半年間繰り返してきているところです。
コンセプトとして、一つは人身御供を避けるというところはポイントかなと思っております。例えば肺炎ということから考えると、呼吸器内科とかそういったところに普通に考えると負担が集中すると思うのですけれども、そうではなくて全学一丸となってやるのだというところに関しましては執行部のほうが最初から明確にしておりまして、負担をできるだけ広く浅く散らしていくということに関しては、いろいろと業務の負荷の計算というのを裏でやっていたり、できるだけ公平にということに関しましては心がけております。
あとは、全体の負担というか、やはりリスクコミュニケーションの問題なのだと思うのですけれども、いろいろな対応というのは日々変わっていきますから、その中で非常に混乱、うわさとかも出てくることがあるので、そこに関しては我々は情報を一元化するということで、コロナ対策室ということで災害医療とかに強いスタッフを配置しまして、情報も徹底的に一元化することにしまして、何か分からないことがあったらコロナ対策室に電話というような体制をつくり上げました。
あとは、そこが中心になってコロナ通信といって毎日何らかの情報を発信して、そこにできるだけポジティブな言葉で、大変かもしれないけれども、患者と仲間たちをコロナから守る、責めるより応援しよう、そういった幾つかのキャッチフレーズをつくって、それを繰り返し訴え続けたというところはあるかなと思います。
ほかには、温かい食事を提供する。そこは栄養部の尽力もあって、コロナ対応スタッフに対して温かい食事を提供するとか、一つ一つのことに関しましては細かいことですけれども、そういったことを重ねてきているという状況でございます。
以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
では、大澤参考人、お願いします。
○大澤参考人 最初にあったハード面の話ですけれども、当院においては本当にたまたま運がよかったというのが正直なところです。1階病棟を感染症対策として準備していて、本当にたまたま新型インフルエンザに準備していたものがそのままコロナで対応できたという意味では本当にラッキーだったと感じております。
我々が培った経験というものを、今後、いろいろな施設に伝えていかなければいけないのではないかなという責任を感じております。こういうふうにゾーニングしていく、こういうふうに分けることで職員が安心して働けるということを伝えていかなければいけないかなと感じております。
スタッフの確保の話ですけれども、実はコロナを受け入れたということでやはり数名の職員は辞めています。当然、当時はそういうことがありました。どうしなければいけないかというと、まず、先ほどありましたが、正しく恐れるということを徹底して院内研修を頻回にやりました。感染症専門の医者にも話をしてもらったり、実際にコロナを診ている先生にも話をしてもらったり、私自身が職員に話したりということで、何しろ職員に安心感を与える。なおかつ、現場においても安心だということを伝える。
やはり経験がどんどん重なってくることで、大丈夫なのだというのがかなりうちの職員たちの間では浸透してきて、それが今定着につながり、なおかつコロナを応援しよう、私が率先してそこの病床に行こうというナースも出てきてくれています。
もう一つ大きいのは、疑似症例は一般の病室で診ているのです。疑似症例の中には本物もいるのです。だから、本物がいるかもしれないという意識で一般床のスタッフたちも仕事をしているというのも、意識が高くなることにつながっているかなというところです。
○尾形座長 それでは、岡留構成員。
○岡留構成員 小熊先生の御質問ですが、僕らの病院はスタッフの数もドクターの数も非常に恵まれているので、100床当たりのドクターの数は福岡県内で断トツ1位です。要するに、今度考えたことは、院内の教育・研修体制、感染症に対する考え方を職員全員が共有しておかないといけないのだなということを改めて思いました。
それを言いますと、事務方のほうから、先生、一回一回こんなに大変な苦労を取るのだったら何回補助金をもらっても間に合いませんよと言うから、そのうち国が新型コロナ関連対策管理加算がDPC係数IIに入ってくるよと、僕はだまくらしているのですけれども、どこか国がサポートする具体的な指針を示していただきたい。非常にファイナンシャルなサポートがこれから必要になってくる時代が来るのではないかと思うのですね。
先生、よろしいですか。
○尾形座長 小熊構成員、よろしいですか。
○小熊構成員 ありがとうございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
まだ、いろいろ御質問があろうかと思うのですけれども、大分予定の時間を過ぎておりますので、議題1についてはこの辺にしたいと思います。
本日、参考人として御協力いただきました皆様におかれましては、お忙しい中、お時間を頂戴し、大変貴重なお話を聞かせていただきましたことに対しまして心より御礼を申し上げます。
本日いただいた御知見などにつきましては、今後の議論に大いに活用させていただきたいと考えております。本日はどうもありがとうございました。
それでは、続いて2つ目の議題、「新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方について」でございます。資料5及び6について、事務局から説明をお願いいたします。
○小川課長補佐 事務局でございます。資料5と資料6について御説明させていただきます。
資料5「今後の地域医療構想に関する議論の整理に向けた考え方(案)」ということで、前回10月21日の御議論の内容も踏まえまして、事務局のほうで整理をさせていただいたペーパーでございます。
この御説明に入る前に、まず資料6のほうでございます。「新型コロナウイルス感染症対応の状況等」ということで、各種データ、資料について整理をしておりますので、こちらのほうを御紹介したいと思っております。
まず、2ページから17ページは、前回10月21日のワーキングで御紹介したデータ関係の資料でございます。
次の18ページ以降、4枚程度新しいデータを追加しておりますので、簡単に御紹介いたします。
18ページは、病院の病棟数別に新型コロナ患者の受入可能医療機関がどの程度あったかということを整理したものでございます。右側のほう、病棟数が多いほど受入可能というふうにG-MISのほうで報告いただいた医療機関の割合が多くなっているという状況でございます。
続きまして19ページ、同じく病棟数別ということでございますが、一番左が200床以上300床未満の病院群、真ん中が300床以上400床未満の病院群、一番右側が400床以上500床未満の病院群、それぞれの病院群で病棟数別にどの程度の新型コロナ患者受入可能医療機関の御報告があったかということを整理しております。
いずれのグラフも、右側、病棟数が多いほど受入可能医療機関の割合は増加している傾向があるというところでございます。
続きまして、20ページは病床の規模別。一番左側が200床未満の病院群、真ん中が200床以上400床未満の病院群、一番右側が400床以上の病院群でございますが、それぞれの病院群で救急車の受入台数別に、どの程度新型コロナ患者の受入可能医療機関の御報告をいただいているかという状況でございます。
それぞれ右側、つまり救急車の受入台数が多いほど、新型コロナ患者受入可能医療機関の御報告の割合も高くなるという傾向が見てとれるという状況でございます。
21ページ、同じく救急車の受入台数別に分析をしているものでございますが、構想区域の人口規模別にグラフを分けております。左側が人口100万人以上の構想区域にあります病院群、右側が人口10万人未満の構想区域にあります病院群でございます。いずれのグラフも、右側、救急車の受入台数が多いほどコロナ患者の受入可能医療機関の割合も多くなっているという傾向が見てとれるところでございます。
22ページ、23ページは、これまでも御紹介しております各都道府県で作成いただいております病床確保計画に関する概要資料でございます。
24ページは、先ほど議題1の中で5つの病院の皆様から実際の事例発表をいただきましたけれども、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大時の受入体制のイメージを簡単な図で作成したものでございます。
一番左、平時でございますと、基本的には感染症病床は患者もスタッフも張りついていないという状況かと思います。その後、感染症の発生初期になってまいりますと、感染症病床でしっかりと患者さんを受け入れていかなければいけないという中で、マンパワーを生み出すために一部稼働病床を休床にするなどしてマンパワーを活用していくというフェーズに入ってくると考えております。
さらに、これが感染拡大、一番右側になってきますと、さらなる受入体制の確保が必要になってまいりますので、稼働病床をさらに病棟を一時休床、休棟にしまして、そのマンパワーを、感染症病床はもちろんでございますが、一部一般病床を感染症受入病床に転用しまして、そこの中でマンパワーを活用しながら患者さんを受け入れていく。そういったことが実施されていたということかと思います。また、場合によっては臨時の増床、臨時の医療施設の開設や宿泊療養施設の開設、こういうところにもマンパワーを活用していた、そういう状況かと考えております。
25ページは、新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた医療法上の様々な緩和措置でございます。真ん中のほうにございますが、病院の開設の許可、または病床数の増床、病床種別の変更といった場合には、基本的には厚生労働大臣に、協議するに当たりまして様々な手続が必要になってくるところでございますが、こうした手続を簡素化する、簡略化するといったような考え方を厚生労働省のほうからお出ししているというものでございます。
以下、26ページ以降、参考資料でございます。御紹介だけでございますが、49ページ、50ページにつきましては、データの関係で少し新たな資料もおつけをしております。49ページは、医療機関の拠点機能別のコロナ患者の受入可能医療機関の割合。また、50ページは病床規模別に、前回は受入可能医療機関の割合等々をお出ししましたが、今回は実際に重症の患者さんをどれぐらい受け入れたかというところの割合についても少し整理をしておりますので、おつけしております。後ほど御参照いただければと考えております。
続きまして、資料5のほうにお戻りいただければと思います。「今後の地域医療構想に関する議論の整理に向けた考え方(案)」でございます。
2ページ以降でございますが、資料の構成としましては、上の青い枠が前回ワーキンググループでの御議論で、下の緑が、それを踏まえまして議論の整理に向けた考え方として事務局のほうで作成させていただいた文章でございます。
まず、2ページでございますが、表題にありますように「議論の前提」でございます。議論の対象となる感染拡大の状況といったものをまずは整理しましょうというペーパーでございます。
前回の御議論の中でも、新興・再興感染症というのは今般のコロナだけでない、未知のものへの対応が必要ではないかといったこと。また、今後起こり得る様々な感染症の流行拡大に対応できるようにすべきといった点も含めて、議論の前提を整理する必要があるのではないかといったような御意見をいただいております。
これを踏まえまして、「議論の整理に向けた考え方」でございます。今般の新型コロナウイルス感染症につきましては、当初、感染症への対応に関する知見がないという中で、多くの医療資源を投入しながら入院患者の受入れ、疑い患者への対応というところに御尽力いただいているという状況でございます。患者数が増加する前から、医療提供体制には大きな負荷がかかってきたところと考えております。
また、感染拡大により患者数が増加した段階におきましては、重症化リスク、また感染拡大防止等の観点から入院医療を原則とせざるを得なかったという状況がございます。感染症病床だけでは対応できずに、一般病床の転用による対応が必要という状況になりましたので、入院医療体制に大きな影響を及ぼしてきたという状況だと考えております。
こうした今般の対応により得られた知見を踏まえまして、去る10月28日に厚生科学審議会感染症部会におきまして、新興感染症等の感染拡大時の医療提供体制確保について議論が行われております。その中で、議論の対象となる感染拡大の状況について、以下、赤枠のとおり整理をされているところでございます。
国民の生命・健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症、具体的には感染症法上の新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症などが想定されているところでございますが、こうした感染症の全国的な蔓延等であって医療提供体制に重大な影響が及ぶ事態というふうに整理されております。
こうした状況を受けまして、本ワーキンググループにおきましても、こうした一つの前提に沿って議論を進めていくこととしてはどうかと整理をさせていただいています。
続きまして、3ページでございます。表題にありますように「感染拡大時の受入体制の確保」、マル1としまして感染拡大時の具体的な取組について御議論いただきましたので、その内容について整理をしております。
小見出しをつけておりますが、まず「感染拡大時における個々の医療機関の取組」でございます。新興・再興感染症には、余力・余裕がないと対応できないという中で、このような余裕というものを中長期的な人口減少や病床必要量と整合性をどう確保していくかというところが今後の大きな課題ではないといったような御意見。
一方で、平時から感染症対応のために病床を確保しておこうとすると、効率的には難しい部分が出てくるという中で、感染症対応に迅速に転換できるような柔軟な医療体制をつくっていくことが重要ではないかといったような御意見。
また、3つ目の○にありますように、重症例をどのように受け入れるか。また、5つ目の○にありますように、疑い症例への対応をどういうふうに考えていくか。こういった観点もしっかりと留意しておく必要があるのではないかといった御意見もいただいております。
2つ目の小見出しでございますが、「感染拡大時における医療機関間の取組」でございます。感染症対応を行っている病院に、他の病院から医療従事者が支援に行くといったような取組や、また、感染症対応を行う病院において、入院患者を他の病院にお願いするといったような連携体制も考えていく必要があるのではないか。そういった御意見もいただいております。
また、3つ目の小見出しでございますが、「機動的な対応に向けた枠組み」でございます。新興・再興感染症は、感染症病床だけではとても対応できないという中で、予防計画の見直しや医療計画の疾病・事業にどのように位置づけていくかということが非常に重要ではないかといったような御意見。
また、医療資源の少ない地域において、どのように一般の医療との両立、バランスを取っていくかという観点から、地域にも配慮した視点が必要ではないかといった御意見もいただいております。
これを踏まえまして、4ページ、「議論の整理に向けた考え方」でございます。まず、個々の医療機関の取組というところでございますが、中長期的な人口減少に伴いまして、医療需要の質・量の変化、またマンパワーの減少が継続することを前提とした中で、新興感染症等の感染拡大時に、短期的な感染症患者の医療需要に機動的に対応していくために、以下の資源の確保に向けて取り得る現実的な方策について整理しておく必要があるのではないかということでございます。
まず、1つは患者が入院する場所の確保。2つ目、マンパワーの確保。3つ目には、感染防護具、医療資機材の確保。こういった点を挙げております。また、重症患者、疑い症例の対応等も念頭に置きつつ議論することが重要ではないかとしております。
2つ目の医療機関の間での取組ということでございます。新興感染症等の感染拡大時に、一般の医療提供体制への影響を最小限にとどめる観点から、地域の医療機関の間で役割分担等を機動的に進めるために必要な取組、また医療機関の間での連携・支援の取組等について整理をしておく必要があるのではないかということでございます。
3つ目、機動的な対応に向けた枠組みということでございます。新興感染症等の感染拡大時において、上の2つでございます、個々の医療機関ごとの取組、また地域の医療機関の間での必要な取組を進めることができるように、行政、医療関係者が平時から認識を共有しつつ、有事の際に機動的に対応するための枠組みを設定する必要があるのではないかということでございます。具体的には、医療計画への位置づけなどが想定されるかなということでございます。
また、こうした枠組みの構築に当たりましては、地域の関係者の間で、医療資源の状況など、地域の実情を踏まえた取組が進められるように、必要な情報やデータを共有しながら、議論・取組を進めることが重要ではないかとさせていただいています。
これらの論点につきましては、本ワーキンググループだけではなくて、関係審議会・検討会等における新興感染症等の感染拡大時に関する議論と整合性を図りながら、議論の整理を進めていく必要があるのではないかと考えております。
続きまして、5ページでございます。その上で、感染拡大時の受入体制の確保を念頭に置きながら、地域医療構想との関係についてどうかというようなことでございます。
まず、前回の御議論でございますが、現在の地域医療構想の病床必要量等には感染症等は想定されていないという中で、仮に病床必要量に感染症対応を反映させるとした場合、また、病床機能報告に反映させるとした場合の課題を含めて整理が必要ではないかといった御意見。
また、地域医療構想は、あくまで将来の医療需要を見据えた病床機能の分化・連携を構築することが目的であろうという中で、新興・再興感染症への対応は、都道府県が策定する医療計画、予防計画の中で担保していくということを確認した上で、地域医療構想自体は粛々と進めていくことが必要ではないかといった御意見もございました。
こうした中で、「議論の整理に向けた考え方」でございます。先ほどの4ページのほうで整理しております感染拡大時の取組における新興感染症等の医療計画の位置づけなどの枠組みをあくまで前提とした上ででございますが、今後の人口構造の変化に伴う医療ニーズの質・量の変化、また労働力人口の減少に対応しながら質の高い効率的な医療提供体制を維持していこうとする地域医療構想につきましては、引き続き、着実に進める必要があるのではないかと整理をさせていただいています。
続きまして6ページ、地域医療構想の中の「公立・公的医療機関等に対する『具体的対応方針の再検証』などの取組への影響」でございます。
2つ目の○にございますように、具体的対応方針の再検証が必要な公立・公的医療機関の中には感染症医療を担っている公立・公的医療機関もあるという中で、こうした役割をどう位置づけるのか、今回のコロナ対応で担った役割をどう反映させるのかといったところについて、国のほうでもしっかりと論点整理をお願いしたいといった御意見がございました。
また、中長期的には人口も減少する中で、平時の医療はそれはそれでしっかりと考えていかなければいけない。ただ、再検証に当たっての分析というものは、急性期の比較的高度な指標をもって判断されたものであるという中で、あくまで圏域ごとに病院の在り方や必要性について議論をしていくことが重要といったような御意見もありました。
そうした中で、「議論の整理に向けた考え方」でございますが、「具体的対応方針の再検証」については、当初から地域の議論を活性化するためのものであって、再編統合など結論ありきのものではないということ。また、国の分析だけでは判断し得ない診療領域や地域の実情に関する知見も補って議論する必要があること。こうしたことが前提である旨を改めて確認する必要があるのではないかとさせていただいています。
その上で、こうした再検証などの取組を進めていくに当たりましては、今般のコロナ対応の状況、また、今後の新興感染症等の感染拡大に備えた取組の検討状況にも留意することが重要であると整理をさせていただいています。
最後の論点、「今後の工程」。スケジュールでございます。まず、前回ワーキンググループでの御議論でございますが、感染症に対する対応にめどがついたということを踏まえてから、じっくりと話し合ってもよいのではないかといった御意見や、民間医療機関の機能が大きく変化することも十分に視野に入れながら、少し時間をかけて検討したほうがいいのではないかといった御意見。また、実際にコロナ対応が進んでいる中で、病床の不足感がある方々に、今、議論して決めてくださいと言っても、少し病床数が多めの議論になってしまうのではないかといったような御意見もいただいておりました。
一方で、新型コロナが収束していない状況下でも、医療需要の減少はますます加速・進行する。一歩踏み出して、新たな工程をつくりまして具体化に向けた検討を再開すべきではないかといった御意見。
また、公立・公的医療機関以外の民間医療機関につきましても、いつ、どのように進めていくのかという結論を得ていくべきではないのかといった御意見。
人口減少で病床を減らさなければならないという区域、また重点支援区域のような地域も話合いが進んでいるという中で、新興・再興感染症対応の結論が出てからということでは間に合わないのではないか。感染症対応と地域医療構想とをうまく整理しながら進めていく必要があるのではないかといった御意見もいただいております。
そうした中で8ページ、「議論の整理に向けた考え方」でございます。まず、新型コロナウイルス感染症が続く中ではございますが、この間も人口減少、高齢化は着実に進みつつあるということ。その中で、医療ニーズの質・量が徐々に変化する。また、労働力人口の減少によるマンパワーの制約も一層厳しくなりつつあるということがあろうかと考えております。
こうした中で、質の高い効率的な医療提供体制を維持するためには、地域医療構想の実現に向けた取組は必須となっていくということでございますが、こうした取組は検討から実現に至るまでに相応の時間を要するということでございます。着実に議論を進める必要があるのではないかとさせていただいています。
その上で、今後、先ほど来整理しております感染拡大時の受入体制確保の在り方や、また公立・公的医療機関に対する「具体的対応方針の再検証」などの取組への影響について整理を進める中で、この具体的な工程についても速やかに明らかにする必要があるのではないかというふうにさせていただいています。
その際、工程の内容につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応状況等に配慮しつつも、一定のスピード感を意識する必要があるのではないかというふうにさせていただいています。
また、2025年以降を見据えた具体的な工程についても議論を進めていく必要があるのではないかというふうにさせていただいています。
その後のページでございますが、13ページ以降、先日、10月28日に開催されました厚生科学審議会感染症部会におきます、新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制確保に関する一つの見解につきまして御紹介をしております。
現在、ちょうど同時刻に開催されております医療部会のほうに、こちらの感染症部会の事務局のほうから報告をして協議がされていくところかと思っております。
15ページの1つ目の○にございますが、医療計画により整備される一般の医療連携体制にも大きな影響を及ぼすという中で、医療機関や行政など、地域の幅広い関係者により必要な対応が機動的に講じられるように、感染症部会の議論も踏まえながら、医療部会におきましても必要な取組について議論を進めるよう求めていくということがまとめられているという状況でございます。具体的には、医療計画の記載事項に「新興感染症等の感染拡大時における医療」を追加してはどうかといった観点で御意見をいただいているという状況でございます。
また、17ページでございます。参考マル3というふうにおつけしておりますが、これも先日10月29日になりますが、「地域医療確保に関する国と地方の協議の場」を開催させていただいています。全国知事会、全国市長会、全国町村会や、総務副大臣、厚生労働副大臣が参加した協議の場が開催されております。
この中で、地方団体のほうからは地域医療構想についても御意見をいただいているという状況でございます。地域医療構想の進め方につきましては、現状を踏まえながら軌道修正されていることを一定の評価をしているとしつつも、昨年の状況とは大きく状況が異なっていると。病院経営、また医療に対する住民の関心、各都道府県の状況は大きく異なっているということを踏まえますと、公立・公的医療機関等に対する再検証要請につきましては一定の期限を設定する必要があるという課題があることは理解しつつも、現在は非常事態であるということを踏まえれば、思い切ってスケジュールの見直しをするべきではないかといった御意見もいただいているという状況でございますので、御紹介をさせていただきました。
事務局のほうからは以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま説明がありました資料につきまして、特に事務局から示されております議論の整理に向けた考え方の案を中心に御議論をいただければと思います。御質問、御意見をどうぞ。
今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 3つほどあります。
まず、資料5の4ページの「議論の整理に向けた考え方」の感染拡大時の取組ですけれども、今回、資料6の24ページに非常にいいイメージを出してもらったと思います。この資料の19ページのところで、今回の追加で分析してもらった内容は、結局、地域の高機能病院がかなり積極的に受けているということで、高機能病院にコロナを受けてもらうためのマンパワーのプールとして機能してもらおうという図だと思います。
このときに、高機能病院から人を出すと、そこが受けていた患者さんをどこが受けるかということを考えなければいけないので、私はこのイメージは賛成ですけれども、このイメージに伴う、ここでマンパワーを確保することによって発生するであろう受け入れられない救急患者さんとか、受け入れられないオペ患者さんの医療をどう確保するのかというところを、今の議論の方向性の中にもう少し書き込んでもらう必要があるのかなと思います。
同じ4ページで、確保するところのマンパワーで、医師、看護師ということで医療関係が書いてあるのですけれども、先ほどの御発表の中にも、ロジ関係のマンパワーというのが結構苦しいところでありました。うちの病院でも受けたときに、誰が掃除するのかとか、ベッドメーキングは看護師さんかドクターしか実際にはできないという問題があって、それに投入すると、さらに一層病棟を閉めなければいけないということがあります。最終的に掃除してもらえるようになるまで、結構な時間がかかりました。
そういう院内研修の中で、どこまで事務方の皆さんに院内研修をするのかという問題はあるとは思うのですけれども、そこの協力がないと医療関係の専門家だけだと難しい。看護師さん、ドクターへは割とすんなりとリスクの説明ができるのですけれども、事務の皆さんにリスクがないという説明をするのは非常に難しくて、どこも大変だと思いますけれども、そういったことを考えていかなければいけないかなと。
3つ目ですけれども、6ページの「具体的対応方針の再検証」のところで、今後、コロナの対応を考えた上で、各地域で議論してくださいということですけれども、ここを議論するためにはコロナの情報を、どの病院がどれだけ受けたかとか、その影響としてどういうふうな救急の動きになったかという情報を医療圏ごとに、もしくは都道府県ごとに提供してあげないと、それぞれの地域で自分のところのデータだけで議論するというのはしんどいと思うのです。ですから、そういった情報の提供をぜひ考えてもらいたいということです。
3つとも意見です。
○尾形座長 3点御意見をいただきました。
事務局、何かありますか。
○小川課長補佐 ありがとうございます。そういった御意見を踏まえて、また検討していきたいと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 今、厚労省のほうから御説明いただいた中で、資料5の4ページにございますように、ほかの審議会や検討会でもどうするかということが協議されている段階でございます。いずれにしましても、感染症ですからある程度の対策を立てた病院をつくるということは考えなければいけないと思うのですね。それは時間もかかるし、お金もかかるわけですけれども、それをしないことには、コロナだけではなくて、これからの新興・再興感染症には全く太刀打ちできないという事態が起きると思うのです。ですから、そういったことがある程度ほかの審議会とか検討会も含めてめどが立たないと、地域全体の連携とか分担体制もうまく決まらないうちに、地域医療構想調整会議ですからスピード感を持って急いでやりましょうというのも、僕は無理があるのではないかと思うわけです。
将来、人口が減って疾病構造が変わるということですから、それに向かって何らかの対応をしなければならないというのは我々は認めているのですけれども、それを拙速にこのワーキングだけで進めてしまうと、ほかのものとの整合性が取れなくなってしまうおそれが強いのではないかと強く感じます。ですから、そういったことを踏まえてやらざるを得ないのではないかと私自身は感じております。
そのためには、先ほど今村先生もおっしゃいましたけれども、地域、圏域ごとにデータを示して、感染症発生の推計値なども出ているわけですから、そういったことも含めて、どの医療機関がどのような機能を果たして、どうやって連携していくかということをしっかりと協議していただかないと方向性が見えないと私は思いますので、そういったことを都道府県に対してしっかり対応するようにさせていただければと思います。
そういう体制に対する将来の皆さんの話合いがなければ、話は進まないのではないかと思っているところです。
以上です。
○尾形座長 これも御意見として承っておきたいと思います。
ほかはいかがでしょうか。
では、織田構成員、どうぞ。それから、野原構成員。
○織田構成員 ありがとうございます。
今回の参考人の皆さんのお話は非常に貴重だったと思います。これをいかに落とし込んでいくかというのは我々の役目でもあるのだろうと思います。
4ページにあります「議論の整理に向けた考え方」で、患者が入院する場所ということで、今まではどちらかというと病床をどうするかという議論に集中してきたところがあるのですけれども、実際には病院を使うとしたらやはりゾーニングの問題などにすぐ対応できるような形をつくっておかなければいけない。ですから、ダウンサイジングをするのはいいのですけれども、そういうところを活用して余裕を持たせるというのはありだろうと思います。
あと、感染症に対するマンパワーの確保は大変なことだなと思って聞きました。軽症者を扱うところはいいのですけれども、重症者を扱うところは、先ほど今村構成員もおっしゃっていましたように、ほかの病棟を潰すということですから、これは役割分担というか、地域地域で高度急性期を扱うところが真摯に話し合って調整会議を進めるしかないのだろうと思います。
あと一つ、岡留先生にもお聞きしたいのですけれども、岡留先生のところはICT、感染対策チームが中心となったということですけれども、今、感染症対策は診療報酬でも評価され各病院に医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師による感染症チームがありますよね。これは基本的に基幹的な役割を扱う加算Iを取っている病院は地域の他の病院も参加し、年に4回カンファレンスを開かなくてはいけないということになっていますから、各病院の多職種が実際に地域で顔を合わせる機会もあるわけですね。これを有効に使わなければいけないのではないかと思ったりするのですけれども、いかがでしょうか。
○岡留構成員 同感です。いいと思います。
○織田構成員 そういうことを各病院が取り組んでいる。薬剤耐性菌云々の話だけではなく、実質的には感染症の対策も話し合っているわけです。ですから、こういうことを実際に行っているわけですから、そこに注目して役割をもう少し上げるべきであろうと思います。実際に、先生のところみたいに感染症チームがリーダーになっておられますし、中小病院もそのカンファランスに参加し連携が可能となっていますので、これらを活用した地域での体制づくりが必要かなと思って聞いておりました。
以上です。
○岡留構成員 研修チームはやはり多職種から成るのが非常にいいと僕は思うのです。例えば感染症の専門医もいますけれども、もちろんナースもいますけれども、DMATのメンバーなんかも入っているのです。だから、広い意味で有事の場合を想定したようなニュアンスで動くのが、僕はイメージ的には機動的になるのではないかという感じがしているのです。
○織田構成員 僕もそのように思います。感染症の医療チームといいますか、各病院の感染防止対策部門をいかに、地域医療構想調整会議だけではなくて、有事を想定した地域連携に入れ込んでいくかというのは重要ではないかなと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
それでは、野原構成員、続いて幸野構成員の順番でお願いします。
○野原構成員 野原でございます。
まず、今後、地域医療構想調整会議の議論を進める上で留意すべき視点について意見を申し上げたいと思います。
本日は、各参考人の先生方からそれぞれの医療機関の機能を踏まえた新型コロナウイルス感染症への対応について御報告をいただきました。ありがとうございました。こうした現場での経験を踏まえた知見を基に各地域で議論を進めていく必要があると、改めて認識いたしました。今後、各地域でそれぞれの地域の医療資源や各病院の機能を踏まえた議論を進めていくことになるわけですが、本日も御報告があったとおり、感染症患者を一般病床で受け入れる場合のゾーニングなどの院内感染対策に求められる視点や要素、必要なマンパワーや資機材などの体制についての整備を進めていただきたいと思います。
また、その体制を確保するための国としての支援策や財源などについても、検討、整理を進めていただきたいと考えております。
また、二次医療圏ごとに感染症指定医療機関が整備されていますが、多くの構想区域は二次医療圏と一致していますので、地域における感染拡大時の医療体制を議論するに当たり、必要な感染症病床数や感染症指定医療機関の機能なども大きな論点と想定されます。今後、厚生科学審議会等で議論されると思いますが、この点についてもお示しいただきますと、地域においてより建設的な議論ができると考えております。
2点目は、今後の議論の仕分けです。各構成員からも意見がございましたが、国と同様に都道府県でも感染症対策を審議する場、医療計画を審議する場、地域医療構想を審議する場が、それぞれいわゆる法令等の根拠をもって設置されています。様々な論点についてどの機関で議論を行っていくかについては、十分な整理をしていただく必要があるものと考えております。
最後に1点、質問でございます。現在、高度急性期や急性期などの必要病床数に新たに感染症対応病床数を追加するのではなく、現在の病床数の内数として考えるという理解でよろしいか、この点を確認させていただきたいと思います。
以上でございます。
○尾形座長 最後は質問ですので、事務局、お願いします。
○小川課長補佐 ありがとうございます。
御質問でございますが、5ページの「議論の整理に向けた考え方」という中で、地域医療構想については引き続き着実に進める必要があるということで書かせていただいています。基本的な現在の枠組みで、そのまま引き続き着実に進めていくということを想定した記述ということでございます。
もっともこの点についても、現在、このワーキングで御議論をいただいているかと思いますので、この事務局のペーパーではということでございますが、そういう理解かなと思っております。
○尾形座長 鈴木課長。
○鈴木課長 補足させていただきますと、資料6の24ページになると思いますが、これは最終的には平時から初期の対応になって、感染拡大時の対応になって、またこれは最終的には平時に戻っていくことになると思うのです。ですので、そこをどう考えるかというのが、まさに地域医療構想の将来的な長期的スパンを考えたときの対応となると思います。
その中で、次の25ページにもありますが、こういったゾーニングだけではなくて、例えば臨時の増床というような、今まで使っていなかった病床っぽいところをすぐに病床に変換するとか、そういったものも今回やっておりますので、そういったものと組み合わせながらどう考えていくのかというところが主たる大きな論点になろうかと考えているところでございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
今のお話、私のほうから1点確認ですが、5ページの論点の整理で、「地域医療構想調整会議において、新興感染症等への対応の観点を踏まえて協議を行い」と書いてあるのですが、これは現在の法令で読めるのですか。それとも改正等が必要になるのでしょうか。その点だけ確認させてください。
○小川課長補佐 この文言の趣旨でございますが、実際に病床機能の分化・連携を進めていく、病院間の役割分担等を進めていく際には、単なる4機能別の病床数だけではなくて、各医療機関がどういう役割を担っていくかというところも併せての議論が必要かと思います。そういう際に、各病院の中で、例えば新興感染症等への対応でどういう役割を担っていくかという観点も一緒に議論していくことになろうかと思いますので、そういう趣旨で書かせていただいているということでございます。
法令上、特段改正をしなくても、この点については可能かなと考えております。
○尾形座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 地域医療構想に関して、今までのお話と少し違うのですが、この構想をさらに順調に進めていくという意味で、四病院団体協議会としては地域医療構想に関する税制上の要望を出しておりまして、これをぜひこのワーキンググループの中でも共有しながら御支援をいただきたいということでお願いをするのですが、地域医療構想に基づく医療機関同士の再編・統合をしますと、資産等の取得を行った場合において不動産取得税とか登録免許税については、その運営の主体になるものが公的・公立に限って減免をされておりますけれども、民間が運営の主体になりますとここが課税になってしまうということから言うと、効率的で良質な医療を提供するための地域医療構想に制度上の不公平が生じるということになりますので、ここはきちっと税の負担の公平性が担保されなければ、制度がゆがんだ形になるということを懸念しておりまして、ここについてぜひこのワーキンググループの中で情報を共有しながら、御支援いただきたいと思っているのが1点。
もう一点、先ほど地域ごとの各細かいデータをきちっと分析しましょうということで、資料5の17ページのところで「地方団体から出された意見」とございますけれども、これは四病院団体協議会のほうから民間病院の状況をお知らせするデータとして既に公表しています。n数は少ないのですが、7月までの数字が出ておりますけれども、V字回復とは全く言えない状況になっております。前年同月にもまだ追いついていないような状況で、特に民間病院の経営が継続できないのではないかという話は具体的なものになっております。今回のコロナ感染症の拡大によって各地域医療構想の中で果たす民間医療機関の役割がこれまでのデータとの大きなそごが出てくる可能性が高いのではないかと考えます。民間病院が地域医療構想の中で担う予定をしていた機能が経営状況の悪化で変わらざるを得ない事例も出現することになります。地域医療構想は基本、公立・公的病院は民間のできない機能を補完するということですから、あらためて民間病院を含めた各医療機関の経営の状況とか機能役割の継続性についても、きちっとしたデータを集めて、協議会で議論するべきではないかと思っております。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○尾形座長 幸野構成員、お待たせしました。
○幸野構成員 ありがとうございます。
2点ほど論点に沿って意見を申し上げます。
まずは、前段にありましたヒアリングで、5つの医療機関からコロナ患者を受け入れた大変な状況をご紹介いただきまして、ありがとうございました。現場の状況がよく分かりました。
今回のヒアリングで分かったことは、あらかじめコロナ患者など感染症患者を受け入れた場合に、病床の機能をいかに迅速に転換することが非常に重要であることと、地域であらかじめ連携する体制をどう確保するかということが、非常に重要であると分かりました。
この2点ですが、どこでどのように想定しておくかというところについて、意見を申し上げますと、都道府県が策定する医療計画や予防計画、それから地域医療構想で想定しておくことです。やはり、地域医療構想というのは、長期的な人口減少とか疾病構造の変化の中で、いかに地域医療を守るかがそもそもの目的でして、新興・再興感染症が一時的に発生しても、人口減少に歯止めがかかるわけでもありませんし、長期的な疾病構造が変化するわけでもない。地域医療構想は長期的な疾病構造に対応した、機能ごとの病床の必要数をあらかじめ定め、必要に応じて病床のダウンサイジング、機能転換や連携、さらに必要であれば、病院の集約を図っていく、これが全て選択肢として検討される場であると思っております。
その中で、いつどのように発生するか分からない新興・再興感染症を前提とすれば、逆にそれは平時にはかえって、経営上の負担になるのではないかと思います。
それではどこで想定しておくかという事ですが、都道府県が地域の実情を前提に策定する医療計画と予防計画の中で、想定しておくべきではないかと思います。新興・再興感染症が発生した場合の対応は、既存の病床数の中で、本日、ご発表いただいたコロナ患者を受け入れてご苦労された各病院が取り組まれたように、迅速に病床機能の転換をおこなうことと、近隣の病院と人材や患者の受け入れ体制を含めて、連携をすることだと思います。それを前提としておくのは、地域医療構想ではなく、都道府県が策定する医療計画・予防計画の中で担保していくことだと思います。
本日の資料14ページの中に、感染症部会の資料が出ておりますが、※3を見ますと、医療法に基づく「基本指針」や「医療計画作成指針」に新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制に関する記載がないと、指摘されています。そのような指摘も含め、今後、医療計画の見直しにおいて、5疾病・5事業に感染症を加えるかどうかという議論はあるかと思いますが、病床機能の転換や地域での連携というのはあらかじめ医療計画や予防計画の中で、対応していくことが必要ではないかと思います。以上が、地域医療構想とコロナの関係です。
それから2つ目の大きな論点になります、今後の工程をどうしていくかというところについて、述べさせていただきます。
これから冬になるにつれて、今も北海道や地域で感染拡大が大きくなっていますが、そのような状況の中で、今後の工程をどうするかということは、非常に難しい問題ではありますが、受診控えも起こっている状況で、医療需要の減少というのは今後、加速していくことが予想されます。特に再検証が必要な医療機関は、自院の経営の存続に係る問題でもあるため、いつまでも検討を中断しておくことはできないのではないかと思います。
ここで、期限を切るというやり方が難しいのであれば、国は、ある程度の大枠となる工程を示し、その示された工程の中で各地域の実情にあったスピード間で検討を再開してはどうかと思います。この立ち止まっている状態を一旦解除して、国が大枠のイメージを示し、地域はそれを参考に、実情に合わせながら検討を再開していくことが必要ではないかと思います。
それと、国としてやるべきことは、資料6の66、67ページにあるように重点支援区域への集中的な支援や病床削減に取り組む際の財政支援について、来年度においても予算要求をしておりますが、財政的な負担に対する支援も引き続き行っていく必要があると思います。
長くなりましたが、私から2点意見を申し上げました。以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 先ほど野原先生から出た御意見ですけれども、いわゆる全体の総枠の中でやるのかどうかという御質問だったのですが、それはやはり総枠の中でやれればそれで結構ですけれども、私の考えですが、やれない場合も病院によってはあり得るだろう。ですから、そういったことも圏域全体で考えて決めていただければと思います。
それと、申し訳ないのですが、幸野委員のお声がよく聞こえないので、次回からちゃんと聞こえるように改善していただけませんでしょうか。
○幸野構成員 大変失礼しました。
○尾形座長 よろしいでしょうか。
ありがとうございました。本日は、前回の10月21日に続きまして、様々な御意見を頂戴いたしました。事務局におかれましては、本日の議論を整理していただきまして、次回開催されます「医療計画の見直し等に関する検討会」、親委員会ですが、そちらにおいて本ワーキンググループの議論の状況を報告するという方向で調整を進めていただきたいと思います。
先ほど事務局のほうから御紹介がありましたように、本ワーキンググループ以外の動きとして、厚生科学審議会感染症部会において医療計画に新興・再興感染症等を位置づけることの検討を求めるという見解も取りまとめられておりまして、本日、別会場で開催されている医療部会でも議論されているところでございます。
親委員会であります「医療計画の見直し等に関する検討会」では、こうした動きも含めて、医療計画・地域医療構想、全体を見渡した議論が行われることになると思います。
次回の本ワーキンググループにおきましては、こうした議論も踏まえつつ、一定の方向性の提示に向けて御議論をいただけるよう、事務局において必要な準備を行っていただきたいと思います。
用意した議題は以上でございますけれども、全体を通して何か御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。
最後に、事務局から何かございますか。
○木下専門官 次回のワーキンググループについては、詳細が決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
また、本日は一般傍聴の制限をさせていただいておりまして、議事録につきまして可能な限り速やかに公表できますよう、事務局として校正作業を進めてまいりたいと存じます。構成員の皆様方におかれましても、御多忙とは存じますが、御協力いただきますよう、何とぞお願い申し上げます。
○尾形座長 そういうことですので、よろしくお願いいたします。
本日は、申し訳ありません、少し時間をオーバーしてしまいましたけれども、長時間にわたりまして熱心な御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。これをもちまして閉会といたします。

照会先

医政局地域医療計画課

直通電話:03-3595-2186