2020年9月4日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和2年9月4日(金)16:00~
 

出席者

出席委員(20名)五十音順

欠席委員(1名)

(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者
 

  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
  •  田宮憲一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(新薬審査等部門担当))
  •  林直治(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(再生医療製品・ワクチン等審査部門担当)) 他

議事

○医薬品審査管理課長 ただいまから、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」のWeb会議を開催いたします。本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。今回の部会についても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からWebでの審議とさせていただきます。
 はじめに、本日の医薬品第二部会より委員に交代がありましたので、新しく御就任いただいた委員を御紹介いたします。公益社団法人日本医師会常任理事の宮川政昭委員です。よろしくお願いいたします。
○宮川委員 よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 なお、長島公之委員におかれましては、薬事・食品衛生審議会委員を御退任されておりますので、御報告申し上げます。本日のWeb会議の委員の出席については、山本委員から御欠席との連絡を頂いております。したがって、現在のところ当部会委員21名のうち、20名の委員がこのWeb会議に御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続いて、事務局に人事異動がありましたので報告いたします。医薬品医療機器総合機構執行役員(新薬審査等部門担当)の田宮です。
○田宮執行役員(新薬審査等部門担当) 田宮です。よろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 同じく執行役員で、再生医療製品・ワクチン等審査部門担当の林です。
○林執行役員(再生医療製品・ワクチン等審査部門担当) 林と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 ワクチン等審査部長の荒木です。
○荒木ワクチン等審査部長 荒木です。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告いたします。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告いたします。委員の皆様におかれましては、会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 また、本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてはマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。
 それでは、清田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○清田部会長 清田です。それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いいたします。
○事務局 本日はWebでの審議ですので、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について説明いたします。審議中に御意見、御質問をされたい委員においては、まず、御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を指名させていただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また発言されない際は、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。発言者が多いときは、発言されたい委員がこちらのコメント欄にメッセージを御記入いただくことで、部会長から発言者を順番に指名させていただきますので、適宜メッセージの機能も御利用いただければと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。これまでの説明について、御質問、御意見等はありますか。よろしいですか。それでは、本日の審議に入ります。まず事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 本日の会議に係る資料の確認をいたします。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~資料15と製剤見本と展開図を使いますので、お手元に御用意ください。このほか、資料16として審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料17として専門委員リスト、資料18として競合品目・競合企業リスト、また当日配布資料1として新型コロナウイルスワクチンの評価に関する考え方、当日配布資料2として議題1の医薬品ジセレカ錠の補足説明、議題3のアキャルックスについて参考資料として1~3、また、委員の交代に際して委員名簿を事前に電子メールでお送りさせていただいております。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続いて、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、報告いたします。資料18を御覧ください。1ページ目は、「ジセレカ錠100mg他1規格」です。本品目は、「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
2ページ目は、「ゼジューラカプセル100mg」です。本品目は、「卵巣癌における初回化学療法後の維持療法」他2つの効能を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
 3ページ目は、「アキャルックス点滴静注250mg」です。本品目は、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
4ページ目は、「サルグラモスチム(遺伝子組換え)」です。本品目は、「自己免疫性肺胞蛋白症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとさせていただいております。
 5ページ目は、「イピリムマブ(遺伝子組換え)」です。本品目は、「悪性胸膜中皮腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
最後に6ページ目は、「ミドスタウリン」です。本品目は、「FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの説明に、特段の御意見はありますか。よろしいですか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものといたします。それでは、委員からの申し出状況について報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申し出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりです。まず議題1の「ジセレカ」ですが、退室委員として亀田委員、議決に参加しない委員として、清田委員、中野委員、南委員。議題2の「ゼジューラ」については、退室委員なし、議決に参加しない委員として、亀田委員、川上委員、濱委員、南委員、宮川委員、渡辺委員。議題3の「アキャルックス」については、退室委員として、南委員、山口委員、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。議題4の「サルグラモスチム」については、退室委員、議決に参加しない委員、ともにいらっしゃいません。議題5の「イピリムマブ」については、退室委員なし、議決に参加しない委員として、亀田委員、南委員。最後に議題6の「ミドスタウリン」については、退室委員なし、議決に参加しない委員として、亀田委員、川上委員、清田委員、中野委員、南委員、宮川委員。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの御説明に、特段の御意見はありますか。よろしいですか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 それでは、審議事項の議題に移ります。議題1ですが、亀田秀人委員においては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題1の審議の間、会議から退出して待機いただくものといたします。亀田委員は、御退出をお願いいたします。
(亀田委員退室)
○清田部会長 それでは、議題1について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、ジセレカ錠100mg及び同錠200mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。
審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の各ページに「●/98」で記載しておりますページを使用いたします。
本剤の有効成分であるフィルゴチニブマレイン酸塩は、ヤヌスキナーゼ(以下、「JAK」と略します)阻害剤であり、実施された臨床試験成績等を踏まえ、今般、関節リウマチに関する効能・効果で製造販売承認申請がなされました。また本剤は、現在、米国及び欧州で審査中となっており、海外における審査状況につきましては、最後に御説明させていただきます。
本申請の専門委員として、資料17に記載されております10名の委員を指名いたしました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書91ページ、「10.その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性につきまして、メトトレキサート(以下、「MTX」と略します)効果不十分な関節リウマチ患者を対象とした国際共同第III相試験であるFINCH1試験成績より説明いたします。審査報告書44ページ、表44を御覧ください。本試験では投与12週時における関節リウマチの臨床徴候に対する評価指標である「ACR20%改善率」、及び投与24週時における関節の構造的損傷に対する評価指標である「mTSSのベースラインからの変化量」がco-primary endpointとされ、“プラセボ群との差″の行に示しますとおり、いずれの評価項目についても本剤各用量群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤100mg群及び200mg群の優越性が検証されております。
日本人部分集団の成績は同じ表44の下半分に示しますとおり、「mTSSのベースラインからの変化量」の本剤200mg群を除き全体集団と同様の成績が得られております。当該200mg群の日本人部分集団の成績ですが、副次評価項目では全体集団と日本人部分集団のいずれにおいても関節の構造的損傷の抑制効果を支持する成績が得られていること等を踏まえますと、本剤の有効性は期待できるものと考えております。なお、副次評価項目の結果の詳細につきましては、審査報告書61ページ、7.R.2.2項に詳細を記載しておりますので、御参照いただければと思います。
 次に、審査報告書49ページ、表49を御覧ください。こちらは生物製剤で効果不十分な関節リウマチ患者を対象とした国際共同第III相試験であるFINCH2試験であり、主要評価項目である投与12週時のACR20%改善率について、“プラセボ群との差″の行に示しますとおり、本剤各用量群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤100mg群及び200mg群の優越性が検証されております。日本人部分集団の成績は同じ表49の下半分に示しますとおり、全体集団と同様の成績が得られております。
以上より、機構は、MTXや生物製剤等の既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者における、関節リウマチの臨床徴候に対する本剤の有効性は示され、関節の構造的損傷に対する抑制効果も期待できると判断いたしました。
 安全性につきまして、審査報告書63ページ、表61に本剤の臨床試験における安全性の概略を示しております。また、審査報告書67ページの表65及び68ページの表66では、本剤の薬理作用等から懸念される有害事象の発現状況を示しており、審査報告書69ページ以降に記載いたしました検討の結果、「低リン血症」及び「男性の生殖能への影響」を除き、本剤の安全性プロファイルは既承認のJAK阻害薬と大きく乖離するものではなく、既存のJAK阻害薬と同様の安全対策を講じることで本剤のリスクは管理可能と判断いたしました。「低リン血症」及び「男性の生殖能への影響」については、それぞれ審査報告書82ページ、7.R.3.2マル10項及び83ページの7.R.3.2マル11項に記載しておりますとおり、添付文書等による注意喚起や製造販売後の安全性監視活動を適切に実施することにより、リスクは管理可能と判断いたしました。以上より、本剤の安全性は許容可能と考えております。
 効能・効果につきまして臨床試験では、MTXや生物製剤等の既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者において有効性及び安全性が確認されていることから、本剤の効能・効果は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」と設定することが適切と判断いたしました。
 用法・用量につきまして、ページが戻ってしまい恐縮ですが、審査報告書58ページ、表57を御覧ください。こちらの表に示しますとおり、FINCH1及びFINCH2試験では、200mg群の成績が100mg群の成績を上回る傾向が認められていることから、本剤の通常用法・用量は200mgの1日1回投与が適切であると判断いたしました。一方、一部の有害事象や臨床検査値の変動に用量依存的な発現リスク上昇の懸念があること、治療により寛解を長期間維持されている患者では生物製剤やJAK阻害薬の減量等を考慮することが診療ガイドラインで推奨されていることを踏まえますと、個々の患者の副作用発現リスクや疾患活動性等の状態を勘案して用量調節が行えるよう、100mgも治療選択肢の1つとすることは臨床的意義があり、患者の状態に応じて100mgの1日1回投与を設定することは可能と判断いたしました。
 最後に、本剤の海外における審査状況につきまして御説明いたします。メールにて送付させていただきました当日配布2の資料「議題1、医薬品ジセレカ錠100mg及び同錠200mgの補足説明―FDAcomplete response letterに対する機構判断ー」の資料をお手元に御用意ください。1.経緯の項に記載しておりますとおり、本品目は欧米でも関節リウマチに係る効能・効果で承認申請がなされておりました。米国の状況につきましては、現時点では本剤を承認できないとの判断がFDAより示されたとのプレスリリースが本年8月18日に米国ギリアド・サイエンシズ社よりなされておりますことから、FDAの指摘内容及び当該指摘に対する申請者の見解、並びに機構の判断につきまして、御説明いたします。なお、欧州では、EMAのヒト用医薬品委員会から、本剤100mg及び200mgのいずれの用量についても承認に肯定的な見解が発出されております。
2.1項を御覧ください。申請者から説明されておりますFDAの指摘内容は2点あり、1点目は、本剤は非臨床試験において精巣毒性が認められているため、本剤の包括的なリスク・ベネフィット評価を実施するには、現在実施中のヒトの精子形成に対する影響を評価する臨床試験成績が必要、との指摘となっております。2点目は、本剤100mgに比べ200mgで得られる有効性は小さな増加であるが、安全性については、死亡率、帯状疱疹、静脈血栓塞栓イベント及び悪性リンパ腫について用量に関連したリスクが認められており、この状況を踏まえて本剤のリスク・ベネフィット評価を実施するためには、先ほどと同じく、現在実施中のヒトの精子形成に対する影響を評価する臨床試験成績が必要、との指摘でございます。
その下の2.2項には、当該FDAの指摘に対する申請者の見解を記載しておりますが、1点目の精巣毒性に関する指摘については、添付文書や医療従事者向け、また患者向け資材を用いた注意喚起により当該リスクは管理可能であり、2点目の用量に関連したリスクに対する指摘については、本剤の安全性について一貫した用量依存的な傾向は認められておらず、200mgで100mgを上回る有効性が示されたことを踏まえると、本剤の推奨用量は200mgである旨、申請者は説明しております。
 当日配布資料の2ページ以降の3項には、当該指摘に対する機構の判断を記載しております。まず、有効性につきましては、審査報告書57ページの7.R.2項に記載しておりますとおり、既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者に対して、本剤100mg及び200mgのいずれの用量についても有効性は示されていると判断しております。
次に、安全性について、1点目の精巣毒性に関する指摘については、審査報告書32ページ、5.R.3.1項にもございますが、この当日配布資料の2ページ中段の<精巣毒性について>の部分に記載しております。本剤の非臨床試験成績から精巣に対する影響を否定することはできませんでしたが、フィルゴチニブの遺伝毒性は陰性であり、雄ラットにフィルゴチニブを投与した生殖発生毒性試験では、初期胚発生に安全性上の懸念は認められませんでした。以上から、男性へのフィルゴチニブばく露によって、精子形成障害に伴う男性の生殖能低下のリスクが懸念される一方で、胚・胎児発育へ与える影響は極めて小さく、フィルゴチニブを投与した男性患者に対して避妊を求める必要は低いと考えております。
また、審査報告書83ページの7.R.3.2マル11項及び審査報告書93ページの審査報告(2)1.2項の検討も踏まえまして、当日配布資料の2ページ一番下の枠囲みに示しますとおり、「生殖可能な男性には、本剤投与による精子形成障害に伴う妊孕性低下の可能性について説明した上で、投与を開始すること」と注意喚起することにより、男性の生殖能低下のリスクは管理可能であると判断しております。
 2点目の用量に関連したリスクに対する指摘については、当日配布資料3ページ冒頭より記載しております。3ページ上段の表を御覧ください。こちらの表は、上から4行が本剤の臨床試験、その下より、他のJAK阻害薬であるトファシチニブクエン酸塩、バリシチニブ及びウパダシチニブ水和物の臨床試験、並びに関節リウマチ患者集団におけるFDAの指摘において言及された各事象の発現状況を示しております。本剤投与例の死亡、静脈血栓塞栓症、帯状疱疹については用量依存的傾向は認められるものの、アダリムマブやプラセボ/MTX投与例における発現率を著しく上回る傾向は認められず、また試験間の比較に限界はございますが、他のJAK阻害薬における試験成績と明確な違いは認められませんでした。悪性リンパ腫については、本剤の用量依存傾向は認められず、本剤投与例における発現率も他のJAK阻害薬における試験成績及び関節リウマチ患者集団における発現率と同程度でした。なお、各有害事象における詳細な安全性評価につきましては、審査報告書63ページの7.R.3.1項、71ページの7.R.3.2マル12)項、74ページの7.R.3.2マル2項、76ページの7.R.3.2マル4項に記載しております。
以上より、他のJAK阻害薬と同様に、本剤についての十分な知識と関節リウマチ治療の経験を有する医師により慎重に使用されることを前提に、個々の患者におけるリスク・ベネフィットを勘案して本剤のいずれの用量についても投与可能であると判断しております。また、製造販売後において、本剤が投与された関節リウマチ患者全例を対象とした特定使用成績調査を実施予定であることから、機構は、市販後の安全性情報収集を徹底するよう申請者に指示し、申請者から適切に対応する旨の回答を得ております。
以上の海外における審査状況について、本申請の専門協議を行った専門委員からも機構の判断を支持する旨の意見が得られております。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 また、渡辺委員、川崎委員より事前に御質問を頂いておりますので、これより御回答申し上げます。
渡辺委員より、ゼルヤンツ、オルミエント、スマイラフ等のJAK阻害薬がリウマチ治療薬として承認されているが、いずれも効能又は効果に関連する注意欄に「過去の治療において、メトトレキサートをはじめとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること」となっており、MTXの先行治療については曖昧な点がある。本剤(ジセレカ)も同様の使用上の注意がなされると理解するが、「CTD2.5臨床に関する概括評価」を読む限り、必ずしもMTXの先行使用を不可欠とは記載していないように感じる。本剤について、市販後にMTXの先行使用を必須とするのか、他剤と同様に曖昧なままとするのか、専門家の間では、UPFRONTなJAK阻害薬の使用をとの意見もあるようだが、患者の受ける恩恵という視点からはどのように考えたらよいか、との御質問を頂いております。
 本御質問につきまして、現時点における関節リウマチの治療におけるJAK阻害薬の臨床的位置付けを、まず御説明いたします。
審査報告書85ページ、7.R.4.2項の4行目以降を御覧ください。最新の診療ガイドラインである2019年改訂EULARリコメンデーションでは、初期治療における治療選択肢としてはMTXを中心としたcDMARDsが推奨されており、初期治療に対する反応性や予後不良因子の有無を考慮した上で、生物製剤やJAK阻害薬の追加治療を選択することが推奨されております。この点につきまして、以前の診療ガイドラインでは、JAK阻害薬は生物製剤よりも後の使用が推奨されており、以前よりは、早期からの治療が推奨されておりますが、第一選択薬とまではされておらず、MTX等のcDMARDsで効果不十分な患者に対する追加治療における選択肢の1つにJAK阻害薬は位置付けられております。
 続きまして、「既存治療」に関する御指摘でございますが、関節リウマチの治療開始の第一選択薬はMTXではあるものの、MTXが禁忌の場合には、サラゾスルファピリジン等から始めることが推奨されているなど、治療開始薬剤に対する忍容性も患者ごとに異なると考えられます。機構としては、患者の状態に応じて、臨床現場で、ある程度は柔軟な治療法を選択できるようにすることも重要と考えており、また、十分な治療経験と治療薬に精通した医師の下で使用される点を考慮し、効能・効果に関連する注意では、基本的な位置付けを記載することが適切と判断いたしました。
 続きまして、川崎委員より、製造販売承認申請書7ページ、○○○○○、試料溶液と標準溶液のピーク面積比を求める試験において、「規格値/判定基準:○○○○○の量○○~○○%」とは何を意味しているのでしょうか。本品は○○○○○○であり、本試験は○○○○に相当する試験と思いますので、フィルゴチニブのように、規格は○○~○○○%のような設定がよいのではないでしょうか、との御質問を頂いております。
 こちらに対する御回答を申し上げます。製造販売承認申請書7ページを御覧ください。○○○○○の量(%)の計算式中の後半部分でございますけれども、○○○○○○○○の部分は、○○○○○標準物質単品のピーク面積と濃度の関係性を示す、いわゆるレスポンスファクターとなっており、この値を○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○に掛けることで、試料溶液中の○○○○○濃度となります。これを○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○の濃度で割ることで原薬全体中の○○○○○の占める割合が計算されますので、原薬中の○○○○○の占める割合を意味しております。後半の御指摘につきましては、○○○○○は原薬の○○○○○○ですので、その含量値は○○○○と同様に理論値を100%とした場合の相対含量で設定したほうがよいのではないかという旨の御指摘と理解しております。現在の○○○○○の規格は、原薬フィルゴチニブマレイン酸塩、分子量541.58、一定量中に○○○○○、分子量○○○、がどの程度含まれているかを測定するものとなっております。御指摘のとおり理論値○○%を100%として、90数%から100数%というような設定も可能ではありますが、記載ぶりは異なりますが、測定しているものには違いがないことから、申請者の提案する記載内容で受入れ可能と判断いたしました。以上が御質問に対する回答でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。最初にあらかじめ御質問いただきました、まず、渡辺先生、ただいまの回答につきまして、何か御意見はございますでしょうか。
○渡辺委員 大体納得はできるのですが、この資料をあっちこっち見ますと、結局、そのJAK阻害剤に対する効果に期待が大きくて、既存のJAK阻害剤、UPFRONTで使われるような状況が増えているということですけれども、そこら辺は専門家集団で今後シークエンスをどのように考えていくかということについては検討されると思うのですが、私がちょっと気になったのは、メトトレキサートの先行治療はあるなしということに、余り強い規制というか制限がなされていないということならば、専門家集団の判断で、今後より良い使い方、その複数の薬剤の順位あるいは併用の形ができ上がってくるのだろうなというように一定理解できましたので、今の御説明で納得いたしました。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、コメントを頂きました川崎委員、いかがでしょう。
○川崎委員 はい、御説明ありがとうございました。理解できました。ただ、この記載を見ますと、○○○○○の量○○%~○○となっていまして、正しくは乾燥物に対して○○~○○%なのではないかと思いました。分かりにくい表現だなと思いました。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。機構のほうはよろしいでしょうか。大丈夫かな。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。少し分かりにくい記載になっておりましたことをお詫び申し上げます。御指摘の点につきまして、より分かりやすい承認申請書の記載ぶりを考えていきたいと思います。
○清田部会長 ほかの委員から御質問、御意見はございますでしょうか。はい、どうぞ。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですけれども、よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○宮川委員 これは末期の腎不全患者にはもちろん禁忌ですけれども、この中で重度の腎機能障害というのに対して3例が組み入れられている、臨床試験が入っているのですけれども、第III相試験の中に重度という表現が組み入れられていないのですね。正常、軽度、中等度までは入っているのですが、重度が入っていないのですが、実際にそれをどのように投与対象として考えてよいのかどうか、お聞かせ願えれば幸いです。以上です。
○清田部会長 機構からいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。御指摘の点につきましては、審査報告書の92ページと93ページに記載しておりまして、確かに御指摘のとおり、第III相試験では重度の腎機能障害の患者は除外されているという状況ではございますけれども、審査報告書93ページの表81に示しますとおり、臨床薬理試験で検討された範囲ではありますが、こちらでは腎機能が正常な被験者に200mgを投与した場合と、重度の腎機能障害を有する被験者に100mgを投与した場合のフィルゴチニブ及びその主要代謝物であるGS-829845のばく露量は同程度でございまして、この観点から、主たる第III相試験には重度の患者は組み入れられておりませんけれども、慎重に投与の可否を判断した上で、患者の状態を観察して投与していくことは可能と判断させていただきました。
○清田部会長 宮川先生、よろしいでしょうか。
○宮川委員 わかりました。はい、以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
○清田部会長 菊池先生、はい、どうぞ。
○菊池委員 筆談で。
○清田部会長 筆談でですね。ちょっと待ってください。
○事務局 事務局から読み上げさせていただきます。菊池先生のほうから、添付文書の主要文献がほぼ社内資料で、CTDが現段階でも全て○○年○月○日で、せめて幾つかは既に日時も決定しているのではないでしょうか。引用文献がないよりはいいですが、文献へのあり方は全体的に、この薬剤に限らず、添付文書ではどうあるべきという判断なのでしょうか、一般論で構いません、という御質問を頂きました。
○清田部会長 機構からお答えいただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。主要文献等が社内資料となっておりますので、承認日は現時点で書くことは困難でございますけれども、市販時には適切な記載がなされると思われます。また、今後、例えば実施された臨床試験などが論文化された段階で、可能な範囲で論文等の記載も増えていくのではないかと想定しております。こちらの主要文献の記載につきまして、アクセスのしやすさに関する御指摘につきましては、申請者にも伝えさせていただきたいと考えております。
○清田部会長 菊池先生、よろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。ほかに御質問はございませんようですので、議決に入りたいと思います。なお、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。また、私につきましても同様の取扱いでございます。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題2に移ります。御待機されている亀田委員をお呼びいただきます。ちょっとお待ちください。
(亀田委員入室)
○清田部会長 入室されたようですので、議題2につきまして、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料番号2、医薬品ゼジューラカプセル100mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。DNA修復に関与する酵素であるポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(以下、「PARP」と略します)はDNAの一本鎖切断部位に結合し、当該切断の修復に寄与すると考えられています。
本剤の有効成分であるニラパリブトシル酸塩水和物は、PARPの機能を阻害することによって最終的には腫瘍細胞のDNAに二本鎖切断を蓄積させ、細胞死を誘導することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
 今般、本剤は「卵巣癌における初回化学療法後の維持療法」、「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」及び「相同組換え修復欠損(HRD)陽性の進行・再発卵巣癌」を効能・効果として承認申請されました。
令和2年5月時点において、本剤は、卵巣癌における初回化学療法後の維持療法に関する効能・効果では米国のみで、白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法に関する効能・効果では40の国又は地域で、相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌に関する効能・効果では2か国で承認されています。
本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料17にありますとおり8名の委員です。
以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明します。
 今般の承認申請で提出された主な臨床試験について、審査報告書41ページ、7.R.1を御覧ください。白金系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法による奏効が維持されている卵巣癌患者を対象としたPRIMA試験と呼ばれる海外第III相試験、白金系抗悪性腫瘍剤感受性かつ直近の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による奏効が維持されている再発卵巣癌患者を対象としたNOVA試験と呼ばれる海外第III相試験、並びに3つ以上の化学療法歴を有する再発卵巣癌患者を対象としたQUADRA試験と呼ばれる海外第II相試験及び同様の本剤を対象とした2002試験と呼ばれる国内第II相試験が提出されました。
 安全性については、審査報告書43ページ、7.R.2を御覧ください。本剤投与時に特に注意を要する有害事象として、骨髄抑制、高血圧、間質性肺疾患、血栓塞栓症、二次性悪性腫瘍及び可逆性後白質脳症症候群が認められております。これらの有害事象に加えて、胃腸障害の発現に注意すべきであるものの、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しています。
 有効性について。PRIMA試験における結果は審査報告書39ページの表23及び図4並びに40ページの図5を御覧ください。PRIMA試験において、主要評価項目とされた中央判定による無増悪生存期間(以下、「PFS」と略します)について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が示されたこと等から、白金系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法による奏効が維持されている卵巣癌患者に対する本剤の維持療法としての投与の有効性は示されたと判断しました。
NOVA試験における結果は、審査報告書35ページの表22及び36~37ページの図1~3を御覧ください。NOVA試験において、主要評価項目とされた中央判定によるPFSについて、プラセボ群に対する本剤群の優越性が示されたこと等から、白金系抗悪性腫瘍剤感受性かつ直近の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による奏効が維持されている再発卵巣癌患者に対する本剤の維持療法としての投与の有効性は示されたと判断しました。
 QUADRA試験における結果は審査報告書34ページの表21を御覧ください。3又は4つの化学療法歴を有する相同組換え修復欠損陽性かつ直近の白金系抗悪性腫瘍剤に感受性を示す、PARP阻害剤による治療歴のない患者を主要解析対象としたQUADRA試験において、主要評価項目とされた治験責任医師判定による奏効率は27.7%でした。
また、審査報告書32ページの表20を御覧ください。QUADRA試験と同様の患者を対象とした2002試験において、主要評価項目とされた治験責任医師判定による奏効率は35.0%でした。当該2試験の奏効率の成績に加えて、白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌患者のうち、腎機能の低下、過敏症の発現等により、白金系抗悪性腫瘍剤を使用困難な患者が一定数存在すること等を考慮すると、3つ以上の化学療法歴を有する白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌に対して、本剤投与の一定の臨床的意義があると判断しました。
 以上のような審査の結果、機構は、「卵巣癌における初回化学療法後の維持療法」、「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」及び「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。
本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、委員の先生から事前に頂いた御質問、御意見について機構より回答させていただきます。
まず、渡辺委員より御質問を頂いております。内容としては、本剤の同種同効薬であるリムパーザ錠では、卵巣癌に係る効能・効果は「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」及び「BRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌における初回化学療法後の維持療法」とされており、本剤では「卵巣癌における初回化学療法後の維持療法」が加わっており、この違いは何に由来するのか。リムパーザ錠では検討されていない臨床試験が行われたということでしょうか、というものです。
 まず、卵巣癌に係る効能・効果に関して、本剤とリムパーザ錠で差異がある点について御説明します。初回化学療法後の維持療法に関しては、リムパーザ錠ではBRCA遺伝子変異陽性の患者のみに限定した第III相試験が実施され、その試験成績に基づいて承認されたため、効能・効果には「BRCA遺伝子変異陽性の」が設定されています。一方、本剤では先ほど御説明したPRIMA試験において、BRCA遺伝子変異陽性に限定しない対象患者で臨床的有用性が示されたことから、効能・効果を「卵巣癌における初回化学療法後の維持療法」とすることが適切と判断しました。また、「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌」に関しては、本剤では、先ほど御説明したQUADRA試験及び国内第II相試験である2002試験の成績に基づいて効能・効果の1つとして設定することが適切と判断しました。一方、リムパーザ錠については、再発卵巣癌患者を対象とした第II相試験が海外において実施されておりますが、本邦では再発卵巣癌患者に係る承認申請は行われておりません。
 また、南委員より御意見を頂いております。内容としては、本剤の用量は通常200mgで、体重77kg以上で血小板数が15万以上の場合のみ300mgの個別化投与量とされています。PRIMA試験において、途中で個別化投与量が用いられ有効性に交互作用は見られなかったことが理由に挙げられていますが、もともと交互作用を見るために計画された試験ではなかったはずです。しかも、この試験には日本人は含まれていません。日本人は基本的に全て300mgで評価されています。また、PPKでは体重の影響は限定的と結論付けています。臨床試験でも問題となるような有害事象を示さない患者のほうが多くなっています。日本人で副作用を心配するあまり不用意な減量をすると有効性を落とすことも懸念されます。海外のPackage insertでは個別化投与ではなく全例300mgで開始し副作用が認められたら減量することになっています。日本でもこのようにしないとUndertreatmentとなるがん患者が出ることを懸念します。また、国の間で用量が異なると、市販後に国際共同臨床試験を組む際に大きな問題となります。用量の書きぶりにもう少し配慮があったほうがいいと思います。
 機構としましては、次のように考えております。PRIMA試験においては、個別化用量に変更されたタイミングで治験実施計画書に、開始用量の違いが本剤の安全性及び有効性に及ぼす影響について解析することが規定されており、治験の主たる目的ではありませんが、事前の計画に基づき解析された結果が提示されております。御指摘いただいた200mgを開始用量とすることにより有効性が減弱する可能性についてですが、NOVA試験及びPRIMA試験の解析結果から、曝露量や投与量の差異がPFSに及ぼす影響は認められておりません。また、日本人患者において200mgで開始された患者は忍容性及び安全性の確認を目的とした国内第I相試験の3例に限られますが、国内第II相試験である2002試験で、300mgから減量した患者においても標的病変の径和はおおむね一定に維持されていたことを確認しております。
 一方で、300mg投与時の国内試験における有害事象の発現率を見てみると、審査報告書31ページに記載しておりますが、2001試験において、投与開始から30日以内に31.6%の患者でGrade3又は4の血小板減少症が認められており、審査報告書45ページの表27に記載しておりますが、2001試験及び2002試験では70~80%弱の患者で有害事象により休薬又は減量に至っております。以上の点なども考慮した上で、本邦における承認用量としては、体重及び血小板数に基づく個別化用量を設定することが適切と判断しております。
 なお、米国においても初回化学療法後の維持療法は、本邦で承認予定の用量と同一の個別化用量にて承認されております。また、韓国では、初回化学療法後及び再発卵巣癌における維持療法、再発卵巣癌のいずれにおいても個別化用量で既に承認されており、スイスでは初回化学療法後の維持療法は現在審査中ですが、再発卵巣癌における維持療法として既に個別化用量で承認されています。説明は以上になります。御審議のほどよろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは最初の御質問を頂きました渡辺先生、先ほど機構からの回答がありましたが、いかがでしょうか。
○渡辺委員 PRIMA試験がその設定の根拠になっているということですが、42ページを見ますと、PRIMA試験の中でもhomologous recombination deficiency陽性集団と全体集団を分けて解析していますが、明らかに、homologous recombination deficiency陽性のほうが効果が良いと見て取れるのです。それで、これを根拠に、いわゆるBRCAのミューテーションに関係なく初回化学療法後の維持療法として認めることになりますと、実は全然効いていないけれども、だらだらと長いこと使わざるを得ないというか、初回化学療法で、プラチナとタキサンで、例えばステージ3で腹水が貯留していた卵巣癌の患者にケモセラピーでタキサンとプラチナ系を使ってCRになった状態で、仮にBRCAのミューテーションが陰性であっても、適用となってずっと使い続けるという状況になるわけです。その辺りというのはどうもしっくりこないのですが、もう一回御説明いただけますでしょうか。
○清田部会長 機構からいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御説明いたします。審査報告書38ページを御覧ください。PRIMA試験の概要が記載されております。有効性について事前に計画された解析計画に基づいて、PFSの主要解析が行われており、その主要解析ではHRD陽性集団及び全体集団それぞれについて、階層的な検定手順により解析が行われ、その結果、審査報告書39ページの表23に記載しておりますように、いずれの集団においても優越性が検証されております。確かに、先生のご指摘のとおり、ハザード比の中央値としましては、HRD陽性集団では0.43である一方、全体集団では0.62である等、効果の大きさとしましては、HRD陽性集団の方が大きいことが示唆されています。しかしながら、全体集団としても本薬の優越性が示され、かつ得られたPFSの延長効果は臨床的にも意義がある結果であったことに加え、HRD陰性集団の結果についても、審査報告書62ページに記載しておりますが、PFSのハザード比が中央値で0.68、95%信頼区間の上限で0.94という結果が得られていることなども踏まえると、投与対象としてはHRD陽性に限定しない設定とすることは可能と判断しました。
○清田部会長 渡辺委員、いかがでしょうか。
○渡辺委員 しかしながら、BRCAミューテーションというのは簡単に調べることはできるわけです、現在。そういう情報を基に、よりベネフィットが得られるケースを濃縮できる状況であるにもかかわらず、このPRIMA試験の結果でHRDの陰性試験を含めても、だけにしても差があったということを根拠に、BRCAのミューテーションを測らない、知らないで治療するということがどうも腑に落ちないのですが、どうでしょうか。
○清田部会長 機構のほう、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明します。本剤と同様のPARP阻害剤としましては、先生が言及されたようにリムパーザ錠も既に承認されております。PARP阻害剤の投与に際しては、BRCA遺伝子変異の有無を検査した上で、その検査結果に基づいてリムパーザ錠が用いられる選択肢もございますし、一方、当該変異が陰性で本剤が選択される場合もあると認識しております。PRIMA試験の結果に関して、HRD陽性集団と全体集団の結果の両方を添付文書において情報提供することとしておりますので、これらの情報等を考慮した上で、がん化学療法に十分な知識及び経験を持つ医師が個々の患者ごとに治療薬が選択されるものと考えております。
○清田部会長 渡辺委員、いかがでしょうか。
○渡辺委員 そうであったらいいのになと思いますが、本当にそういうふうに期待するほどの結果かどうかちょっと分かりませんが、一応、了解しました。
○清田部会長 ありがとうございます。次に南委員、いかがでしょうか。コメントいただいたのに御回答を頂いております。つながっていますか。
○南委員 海外で同じような用量設定になっているということであればそれでいいのですが、私が調べたPackage insertはちょっと古かったのでしょうか、海外では300mg開始、必要に応じて200mgに減量というのが出てきましたのでコメントしました。ただ、300mgから200mgに減量した人でも有効性が維持されていたからという御説明がありましたが、それは科学的にはやはりちょっとおかしいように思います。300mgではオーバードーズになっていた、すなわち血中濃度が高かった可能性がある。そのため副作用も見られていたので、減量してそのまま有効性が維持されていたというのは、やはりちょっと、200mgで開始する根拠にはならないのだろうと思います。ただ、海外とそろえていただいているのであれば結構だと思います。それから、先ほどの渡辺先生のコメントもやはり私は重要だと思います。臨床試験の成績等、あるいは資材等できっちりと現場に紹介してもらうよう指導いただいたほうがいいかと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。機構からはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ご意見ありがとうございます。海外の承認状況につきましては、資料2の1.6「外国における使用状況等に関する資料」を御覧ください。こちらの2ページ目に、米国における2020年4月29日の承認内容として、体重と血小板数によって200mgと300mgが選択される、本邦における用法・用量と同様の内容で承認されている旨が記載されています。また、PRIMA試験に関する本部会での委員の皆様からのコメントについては、申請者にも伝えて、適正使用に努めるよう指導したいと思います。ありがとうございました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに先生方で御意見、御質問ございませんでしょうか。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○宮川委員 渡辺先生の御指摘は非常に重要なことだと思います。やはり臨床試験の中でそのような読み替えをしてはいけないのだろうと思います。初回の化学療法後の維持療法において、2002試験の中ではそのような強化する試験デザインになっていないわけです。渡辺先生の御懸念は消えないのだろうと思うので、そこはしっかりと審議していただかないといけないのではないかと私も思います。以上です。
○清田部会長 機構からいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書38ページに記載しておりますように、階層的な検定手順により、HRD陽性集団で統計学的な有意差が認められた場合に、全体集団に対する解析を行う計画と事前に設定されておりました。その上で、HRD陽性集団で統計学的な有意差が認められ、さらに全体集団での検定を行った結果、統計学的な有意差が認められたということで、HRD陽性集団のみならず、全体集団に対しても優越性が検証されたという結果が得られております。
 しかしながら、先生のご指摘のとおり、効果の大きさとしては確かにHRDの有無により一定程度差異が認められておりますので、本剤において得られた臨床試験成績について、添付文書や資材等を用いて適切に医療現場に情報提供し、必ずしも本剤のみがどのような患者に対しても選択すべきものという認識がされないよう、本部会で頂いた御意見を踏まえて申請者に伝達することといたします。
○清田部会長 宮川先生、よろしいですか。
○宮川委員 渡辺先生と同じように納得しないまま、そうやって話を終わらせなければいけないのかと思って非常に残念な気がしております。以上です。
○清田部会長 機構からはいかがですか。大丈夫ですか。
○医薬品医療機器総合機構 先生のご意見を踏まえて、本剤が適正使用されるよう、申請者に伝えることといたします。
○宮川委員 適正使用の観点から十分に議論していかなければいけない問題だろうと思っております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに。
○渡辺委員 つまり、宮川先生がしっくりいかないということは、今、機構から御説明いただいた統計学的な話の筋道ではそうなのかもしれないけれど、やはりバイオロジーに基づいて、そこに統計学が存在するわけですから、その辺りのバイオロジーを無視して陰性でも使ってもいいという話には、どうも臨床医としては納得がいかないので、その辺りをもう一回、企業にもしっかり伝えておいていただきたいと思います。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかの委員の先生方、よろしいでしょうか。それでは、渡辺先生と宮川先生の御意見はしっかり反映していただくようにしていただいて。それでは議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、濱委員、南委員、宮川委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。誰もマルを頂けなくて恐縮ですが、特に御異論がないようでしたら、本議題につきまして御異議がないと判断させていただいて、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。どうもありがとうございます。
 続いて、議題3に移ります。議題3については、南博信委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、また、山口委員におかれましては第11条に基づく申出によって、議題3の審議の間、会議から退出して御待機いただくことにいたします。南委員、山口委員は御退出をお願いします。少々お待ちください。
(南委員、山口委員退室)
○清田部会長 それでは、議題3につきまして機構から概要を説明していただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料番号3、医薬品アキャルックス点滴静注250mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。
本剤は、上皮増殖因子受容体(以下、「EGFR」と略します)に対するIgG1サブクラスのキメラ型モノクローナル抗体であるセツキシマブと光感受性物質であるフタロシアニン誘導体(IR700NHSエステル)が結合している抗体薬物複合体であり、光線力学的療法(以下、「PDT」と略します)に使用される薬剤です。
 参考資料3、「レーザ光照射治療について」を御覧ください。PDTは、半導体レーザ装置として、2種類のプローブを用いて波長690nmのレーザ光を照射することで、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するEGFRに結合した本剤が励起され、腫瘍細胞を傷害することが期待される治療法です。
 今般、本剤は「再発頭頸部癌」を効能・効果として承認申請されました。また、本剤投与下におけるレーザ光照射に使用されるPDT半導体レーザ及びプローブについても製造販売承認申請されており、9月2日に承認されております。なお、本剤は医薬品の条件付き早期承認制度の適用とされており、令和2年5月の当部会において、報告させていただいております。また、本剤は、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、令和2年5月時点において、本剤が承認されている国又は地域はありません。
本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料17にございますとおり、9名の委員です。
以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、海外第I/IIa相試験である101試験が提出されました。
有効性については、審査報告書25ページの表18を御覧ください。切除不能な局所再発の頭頸部扁平上皮癌患者を対象とした101試験において、主要評価項目とされた改変RECIST ver1.1に基づく中央判定による奏効率は43.3%でした。当該成績に加えて、切除不能な局所再発の頭頸部癌患者における局所病変は、嚥下障害、栄養障害、気道狭窄、誤嚥、瘻孔形成等、患者の生活の質を著しく低下させる病態を引き起こす可能性があり、当該病変に対する局所制御は一定の臨床的意義があると考えること等を考慮すると、切除不能な局所再発の頭頸部扁平上皮癌患者に対する本剤投与下におけるレーザ光照射の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書29ページの7.R.3を御覧ください。本剤投与下におけるレーザ光照射時に特に注意を要する有害事象として、出血、腫脹、infusion reaction、光線過敏症及び皮膚反応が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法及びPDTに十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。
 ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤投与下におけるレーザ光照射が実施された全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。また、本剤を用いたPDTを適正に施行し、有効性及び安全性を確保するためには、PDTに関する技術及び知識の習熟が必須であると考えていることから、PDTに関する十分な知識・経験がある医師によって施行される等、適正使用に必要な措置を取ることを承認条件とすることが適切であると判断しております。なお、本剤を用いたPDTの適正使用に必要な措置として、関連学会と連携した上で、医師要件、施設要件等が規定される予定となっております。
以上のような審査の結果、機構は、「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、委員の先生から事前に頂いた御質問につきまして、機構より回答させていただきます。渡辺委員より2点御質問及び御意見を頂いておりますので、機構より回答させていただきます。
 1つ目として、販売名が申請時の「アカルックス」から「アキャルックス」に変更された理由について御質問を頂きました。申請時に提案された販売名「アカルックス」について、「新規承認医薬品名称類似回避フローチャート」に従い検討したところ、販売名の先頭の3文字が「アカル」とされている既承認薬が存在することから、既存の医薬品名称との類似性を回避し、医薬品の取違いを防止する医療安全上の観点から、販売名が変更されております。
 2つ目として、頭頸部扁平上皮癌に対する局所治療による腫瘍縮小が、発声、嚥下等の機能改善に寄与する可能性はあるものの、101試験において客観的指標を用いた当該機能改善の成績が示されていないので、本治療の意義は評価できないのではないか。また、101試験における本剤を用いたPDTの奏効率の結果をニボルマブの臨床試験における奏効率と同程度と主張する意義は乏しいのではないか、という御指摘を頂いております。
 機構としましては、次のように考えております。御指摘のとおり、101試験では客観的指標を用いた当該機能改善効果やQOLの評価は行われておりません。しかしながら、腫瘍縮小効果が得られることで、発声、嚥下等の機能改善に寄与する可能性はあると考えることから、奏効が得られることに臨床的意義はあると判断し、奏効率の結果に基づき局所治療としての有効性を評価することが可能と判断しました。また、本剤を用いたPDTの奏効率の結果と全生存期間の延長が検証されているニボルマブの奏効率の結果を比較する意義は乏しい旨の御指摘については、機構も同様に考えております。審査報告書の27ページでは、既存の全身化学療法では局所制御が十分に得られていない現状について、ニボルマブの奏効率の話を一例として記載させて頂きました。なお、審査報告書の37ページに記載しているように、本剤を用いたPDTについては、現時点で延命効果に関する情報は得られていないことから、ニボルマブ等の標準的な治療が可能な場合には、これらの治療を優先する旨を、効能・効果に関連する注意の項で注意喚起することが適切と判断しております。
 続きまして、川崎委員より御質問及び御意見を頂いておりますので、機構より回答させていただきます。1つ目として、審査報告書1ページ、本質について、「ザニウミル」は「アザニウミル」の誤記ではないかという御指摘を頂きました。御指摘いただき、ありがとうございます。そして、申し訳ございませんでした。頂いた御指摘を踏まえ、適切に修正させて頂きます。
 2つ目として、添付文書案の19項の「有効成分に関する理化学的知見」について、2点の御指摘を頂いております。1点目は、サロタロカンナトリウム部位の構造式について、イタリック、上付き、下付きが解除されているのではないかという御指摘を頂きました。2点目は本質について、18項の薬効薬理の項と同様に、例えば「キメラ型抗ヒト上皮成長因子受容体(EGFR)モノクローナル抗体(IgG1)であるセツキシマブ」のように、セツキシマブの説明を追加してはいかがでしょうかという御指摘を頂きました。こちらにつきましては、頂いた御指摘を踏まえ、適切に修正、追記させて頂きたいと思います。
 3つ目として、本剤は○○○○○○○○を出発物質とし、IR700NHSを重要中間体、セツキシマブ サロタロカンナトリウムを原薬としています。重要中間体の管理では、薬物本体に対して○○○○○○○○○○、○○○○で評価されないことから、○○○○の管理が重要になるものの、○○○○での○○○○○○○○○○と○○○○の規格は○○○○○○で管理されておりません。○○○○○○を規定しない理由について、また、○○○○○○で管理できない場合は、標準物質の規格を定め、参照スペクトルを添付する必要があるのではないでしょうか、との御意見を頂きました。
 一般に、化成品の出発物質の標準物質の規格やスペクトル等、承認申請書に記載することまでは求めていないことを考慮し、モジュール3に提示されたスペクトルなどを確認した上で、GMPにおける管理としておりました。しかしながら、御指摘頂いた点を踏まえ、承認申請書における記載について適切に対応させて頂きたいと思います。
 事前に頂いた御質問に対する回答は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方からの御指摘は、そのまま反映させていただくということです。渡辺先生、いかがですか。
○渡辺委員 アキャルックスというのは言いにくいと思うのと、電子カルテに文字を入れるときに入れにくいと感じただけで、ネーミングに関しての極めて素朴な感想です。
 もう1つ、Photodynamic Therapyとモノクローナル抗体の物質というのは極めて画期的で、期待できると思うので、是非、市販後と言うか、早い段階で客観的な効果をまとめて提示していただければと思います。特に、上顎洞だったか、この辺りの扁平上皮癌の患者というのは本当にQOLが悪くなって、かわいそうな状況を我々も体感しておりますので、是非、客観的に評価していただけたらと思います。
○清田部会長 次に、コメントを頂きました川崎先生はいかがですか。
○川崎委員 御検討いただけるとのご回答、ありがとうございます。特に、○○○○に関しましては重要だと思いますので、しっかりと管理をして、製造に用いてほしいと思います。
○清田部会長 ほかに委員の先生方から御意見はございますでしょうか。
○宮川委員 客観的な指標というのはものすごく重要なので、渡辺委員の言うとおりだと思います。今実施中の第III相試験というのは、いつ終了するのでしょうか。47/50の所に書いてありますが、第III相試験の終了する時期と言うか目標というのはどのぐらいになっておりますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現在実施中の国際共同第III相試験の進捗状況ですが、こちらは2019年の第1四半期より患者の組入れは開始されておりますが、2020年4月に終了する予定となっております。
○清田部会長 もう終了しているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 申し訳ありません。訂正させていただきます。まだ進行中で、2020年6月の時点では、計○名の患者に治験薬が投与されている状況で、終了予定は20○年○月と説明されております。
○宮川委員 分かりました。条件付きで早期承認というようなことで、何でそこまで焦るのかなと懸念します。やはり客観的な指標というのは非常に重要なので、局所制御ということは非常に重要なのですが、その辺のところはしっかりとこれから検証していかなければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 菊池先生から御質問を頂いています。
○事務局 代読させていただきます。症例数が極めて限られているので、頭頸部癌ではなく頭頸部扁平上皮癌と明記する。先駆けなのでエラーは許し難く、慌てる必要はなく、用量についても、640mg/m2一本で大丈夫なのでしょうか。このような御意見を頂いております。
○清田部会長 機構からいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 頭頸部扁平上皮癌に限定したほうがいいのではないかという御質問についてですが、頭頸部扁平上皮癌以外の患者は、頭頸部癌全体の約10%であり、極めて希少であること、また、頭頸部非扁平上皮癌の患者に対する治療は、扁平上皮癌の患者に準じた治療が行われているということを考慮しまして、効能・効果等において組織型では限定しない設定とさせていただいております。
 また、実際の臨床試験において組み入れられた患者の組織型については、臨床成績の項において情報提供させていただく予定でおります。したがいまして、専門家の先生が使われるのであれば、適正使用できるのではないかと考えております。
 用法・用量についてですが、3種類の用量で検討されておりまして、101試験の第IIa相パートにおいて、本薬640mg/m2を2時間かけて静脈内投与されることで臨床的に意義のある奏効率が得られましたので、当該用法・用量を設定させていただいております。
○清田部会長 まず、菊池先生に対する機構の説明に対しては、「分かりましたけれども、心配です」とのことです。私も心配していて、焦った感じがしているとは思います。川上先生から御質問がございます。
○事務局 代読させていただきます。添付文書についての御質問です。添付文書の1ページ目の一番上、商品名の上にある製品説明についてで、抗体、光感受性物質複合体とのことですが、例えば同様の抗体複合体であるエンハーツと比べても簡素すぎるように思いますが、標準的な記載方法はあるのでしょうか。このような御質問を頂いております。
○医薬品医療機器総合機構 こちらの添付文書の販売名の上の所の表現については、これだという明確な決まりは特にございませんで、ある程度申請者からの申出を踏まえて、我々としては、それが間違っていないという、言わばネガティブチェックを行った上で、決定させていただいているという現状でございます。
○清田部会長 川上先生、いかがでしょうか。
○川上委員 それならよろしいかと思いますが、今後、抗体と薬物の複合体が他にも出てきたときに、どのような薬かというのが添付文書の冒頭部を見ただけでは分かりにくいかと思ったので質問させていただきました。ありがとうございました。
○清田部会長 浦野先生から御質問がございます。
○事務局 代読させていただきます。資料がどこの御指摘かが分からないのですが、リジンに2、3個のIR700という、比較的幅広い個数となっていますが、これは分子量から出しているのでしょうか。また、通常のADCに比べて正確度としてよろしいのでしょうか。このような御質問を頂いております。
○浦野委員 私から直接申しましょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○浦野委員 このやり方というのは、非常に新しいやり方なので、私は個人的には是非早く患者さんに使ってほしいかなと思うのですが、実際に抗体に対してNHSエステルを使って、ラベル化するというところで、いろいろなリジンにたくさん付いているということはよく分かったのですが、その幅が2から3個という比較的甘いと言うか、50%以上の誤差を含むような値になっているのですが、これで将来にわたって品質をしっかりと管理できるのかどうかというところが不安だったので、この2から3個というのをどうやって決めているのかということを、資料が膨大すぎて読みきれなかったのですが、私は最初は吸収スペクトルから決めているのかと思ったら、どうもそうではなさそうで、分子量から決めているような気がするのですが、これで認識が合っているのかどうかということが1つです。
 2つ目に、通常のADCと、これぐらいの幅を持って、50%ぐらいの幅を持って、設定のドラッグの数を言っているのか、記載された経緯というのはほかにもあるのかどうかというところを伺いたくて、質問させていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 抗体に結合している色素部分の分子数に関しては、臨床試験で投与された実績のある製剤において規格試験が実施されて、その投与実績に基づいて、この幅であれば有効性及び安全性が担保できるだろうという幅が記載されているというところになります。ですので、臨床試験の投与実績に基づいた値というところで、その点については審査で確認した上で、この値になったということになります。
 記載幅として、50%程度幅のあるものがあるのかというところなのですが、全ての抗体薬物複合体に関する事例を今把握しているわけではないのですが、例えばエンハーツですと約8といったような記載があるのですが、幅があるような記載を、ある程度許容するような形にはなるかなと思っています。
○浦野委員 そうしますと、これから先どんどん患者が増えていくと、新しいバッチが出てくると思うのですが、それの数をどうやって決めているのかというのが分かりにくかったのですが、把握している範囲で結構ですので、お答えいただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 薬物の結合分子数は、規格試験において抗体部分の含量と薬物の含量を測定するような規格が設定されておりまして、その測定値から抗体と薬物の比が算出されますので、それによって、この数値が出ているということになります。
○浦野委員 その含量をどうやって出しているかを知りたかったのです。
○医薬品医療機器総合機構 ○○○○○○○○○○○のピークの含量を測定してというところになるのですが、お答えになっていますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 補足させていただきますと、○○○○○○○○○○○でのピーク面積を○○部分と○○部分で、それぞれ○○○○○○を出して見ているという状況です。
○浦野委員 分かりました。○○○○○○から出しているということだったら安心感があるので。質量だけだと、いくら何でも厳しいかなと思ったので。分かりました。それだったら結構かと思いますし、2から3個の範囲で、臨床試験でそれほど大きな差が出ていないというデータがあるのでしたら、これから先のバッチが収まるのでしたら、同じように期待できると考えていいということだと思いますので、了解いたしました。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。菊池先生から御質問です。
○事務局 代読させていただきます。添付文書に、医療機器のバイオブレードレーザーシステムを必ず使うことを明記しなくてもいいのですか、という御質問を頂いております。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点につきまして、本薬と一緒に使うPDTの半導体レーザについて、その販売名を明示したほうがいいのではないかという御指摘かと存じます。先般からの部会でも、個別の製品名は書くべきではないという、別の委員からの御指摘も頂いておりまして、それも踏まえて、今回、添付文書の用法・用量に関連する注意の項の7.4という所で、承認されたPDT半導体レーザを使用するというところの注意喚起をさせていただいております。
 現時点では書けていないのですが、将来的には、この記載の上に、さらに、承認されたPDT半導体レーザがどういったものかというのをURLを記載することで、更にその先の情報を周知できるようなことを検討させていただきたいと考えています。
○清田部会長 菊池先生、よろしいですね。まだありますか。
○事務局 菊池先生から、添付文書の統一を申し上げておりますので、統一してくださいと。ボロンニュートロンキャプチャー治療のときは明示されていたと思います、との御意見を頂いております。今の機構の御説明でお答えになっているかとは思うのですが、菊池先生、いかがでしょうか。
○清田部会長 菊池先生、よろしいですか。御理解いただいたということで、議決に入らせていただきます。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題4に移ります。御待機されている南委員と山口委員をお呼びください。
(南委員、山口委員入室)
○清田部会長 私からのお願いですが、議決のときに、反対の場合は、大きな声で「反対」とミュートを外しておっしゃっていただきたいと思います。私から皆さんの顔が見えませんので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議題4につきまして、事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。議題4、資料4、サルグラモスチム(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について説明いたします。
 資料4の2、事前評価報告書を御覧ください。1ページですが、申請者は「ノーベルファーマ株式会社」、予定される効能・効果は、「自己免疫性肺胞蛋白症」になります。
 希少疾病用医薬品の3要件のうち、まず、最初の要件の「対象患者数」について説明をさせていただきます。自己免疫性肺胞蛋白症ですが、指定難病で、平成30年の特定医療費受給者証所持者数が148名となっております。以上より、患者数5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
 2つ目の要件である「医療上の必要性について」、説明をさせていただきます。本疾患ですが、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子に対する自己抗体の過剰な産生により肺胞内に不溶性の物質が蓄積することで、呼吸不全が引き起こされると考えられております。本疾患患者の70%程度の患者では進行性又は洗浄療法に抵抗性であり、感染症、肺線維症等の合併例は難治重症化し予後不良です。
 本邦では、本疾患に対する医薬品がなく、肺の洗浄療法が行われておりますが、患者の負担が大きいことから、侵襲性が低く、有効性の高い治療方法が期待されているところです。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、3つ目の要件である「開発の可能性」ですが、現在、医師主導の第I相試験、又は医師主導の第III相試験の成績をもって申請を準備中ということを聞いております。ですので、3つ目の要件である開発の可能性について、あると考えております。
 以上より、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えておりますので、よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様からの御質問、御意見はありますか。あるようでしたら、大きな声で「あります」とおっしゃってください。よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、特に御質問とか御意見はないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。反対の場合は、「反対です」とおっしゃってください。御異議はないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 議題5に移ります。議題5について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 議題5、資料5、イピリムマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について説明いたします。資料は、「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」を御準備ください。
 報告書1ページ中ほどを御覧ください。申請者は、「ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社」、予定される効能・効果は、「悪性胸膜中皮腫」です。
 まず、「対象患者数」について、厚生労働省における患者調査より、本邦における悪性胸膜中皮腫の総患者数は約2,000人と報告されており、指定基準を満たしているものと考えております。
 「医療上の必要性について」、悪性胸膜中皮腫患者に対する化学療法としては、白金系抗悪性腫瘍剤とペメトレキセド水和物との併用投与が標準的治療として推奨されており、当該治療後に進行した場合、ニボルマブ単独投与等による治療が行われているものの、治療効果は限られており、依然として悪性胸膜中皮腫は予後不良な疾患であることから、新たな治療薬の開発が望まれております。したがって、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、2ページの「開発の可能性について」、御説明いたします。化学療法歴のない切除不能な悪性胸膜中皮腫患者を対象とした国際共同第III相試験において、標準的な化学療法と比較し、本剤とニボルマブを併用した群で全生存期間の延長が認められたことから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見はありますか。よろしいですか。ないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 議題6に移ります。議題6について、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題6、資料6、ミドスタウリンを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、御説明いたします。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」を御準備ください。
 報告書の1ページ中ほどを御覧ください。申請者は、「ノバルティスファーマ株式会社」、予定される効能・効果は、「FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」です。
 「対象患者数」について、厚生労働省における患者調査及び文献報告より、FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病患者は約2,100例と推計されており、指定基準を満たしているものと考えております。
 2ページの「医療上の必要性について」、未治療の急性骨髄性白血病患者に対する治療は、FLT3遺伝子変異の有無にかかわらず、シタラビンとアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤との併用化学療法等の実施が標準的な治療として推奨されておりますが、FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病は、予後不良であることが知られており、化学療法により寛解が得られた後に同種造血幹細胞移植の実施が推奨されております。しかしながら、治療を行った場合であっても再発することが多いことから、新たな治療薬が望まれており、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、「開発の可能性について」、未治療のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病患者を対象とした海外第III相試験において、標準的な化学療法に本剤を上乗せすることにより全生存期間の延長が認められていること等から、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を承りたいと思います。いかがですか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に移りたいと思います。亀田委員、川上委員、中野委員、南委員、宮川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにします。私についても同様の扱いです。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 報告事項に移ります。報告事項の議題1、2です。これについて事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題1の「医薬品ヤーボイ点滴静注液50mg」と議題2の「医薬品オプジーボ点滴静注20mg」他2規格については、併用して投与されることから、併せて報告をさせていただきます。
オプジーボは、Programmed cell death-1に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「根治切除不能な悪性黒色腫」等、計9つの効能・効果に対して承認をされており、用法・用量としては、1回240mgを2週間間隔で点滴静注するものです。
 ヤーボイは、細胞傷害性Tリンパ球抗原-4に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるイピリムマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「根治切除不能な悪性黒色腫」及び「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」を効能・効果として承認されております。
 今般、小野薬品工業株式会社及びブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社から、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」に係るオプジーボとヤーボイの併用投与の用法・用量及びヤーボイの効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 また、小野薬品工業株式会社から、オプジーボ480mgを4週間間隔で点滴静注する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断されております。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方からの御質問、御意見はありますでしょうか。大丈夫ですか。ありがとうございました。特にないようですので、議題1、2については御確認いただいたものとします。
 それでは、事務局から引き続き御説明をお願いします。
○事務局 報告事項の議題2、オプジーボ点滴静注20mg他2規格については、「MSI-Highを有する結腸・直腸癌」に係るイピリムマブと併用する用法・用量の追加及び全ての効能に対する480mgを4週間間隔で点滴静注する用法・用量の追加に伴い、最適使用推進ガイドラインの改正を予定しておりますので、その内容について御説明をいたします。資料14-1を御準備いただければと思います。ページ番号については、最下部に記載している「138分の」で記載をしている番号に基づいて説明いたします。
 MSI-Highを有する結腸・直腸癌のガイドラインですが、3ページを御覧ください。対象となる効能・効果に変更はありません。用法・用量については、先ほど御説明した2つの用法・用量の追加が入っております。
 6ページを御覧ください。こちらには、今回の審査において評価された本剤とイピリムマブの併用投与の有効性を示しております。併用投与時の奏効率は54.6%でした。
 9ページを御覧ください。臨床試験における投与量としては、1回3mg/kgでしたが、今回設定されている用法・用量としては、1回240mg又は480mgとなっております。こちらには、その設定根拠となりました母集団薬物動態モデルを用いたシミュレーションの結果等を示しております。11ページの「施設について」以降の内容については、大きな変更はありません。
 15ページ以降がほかのガイドラインになりますが、全てのガイドラインにおいて同様の変更を行っておりますので、非小細胞肺癌のガイドラインを用いて説明させていただきます。
 17ページを御覧ください。枠内が今回の変更箇所です。「又は1回480mgを4週間間隔」というものを追加しております。
 26ページを御覧ください。用法・用量として、MSI-Highを有する結腸・直腸癌のガイドラインに記載した内容と同様に、480mgの設定根拠となったデータを提示しております。変更箇所は以上です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ただいまのガイドラインの説明について、委員の先生方から御質問はありますか。菊池先生、どうぞ。今、読み上げます。
○事務局 読み上げさせていただきます。効能追加での報告は、癌腫が追加になると、いつも心配になります、ということで、報告で済む場合と審議になる場合の差が、いつも気になります、という御指摘を頂いております。
○清田部会長 お答えを頂けますか。
○事務局 報告と審議の差という。
○清田部会長 報告と審議になる場合の差ですね。審議というのは、議決ですかね。
○事務局 はい。
○清田部会長 今回のは報告になりますね。
○事務局 はい。
○清田部会長 ですから、審議はなしです。
○事務局 審議会規程に則り、明らかに異質の効能・効果を追加するものが審議となり、それ以外のものと分けている状況でして、抗悪性腫瘍剤に関しては、多くの場合、効能追加は報告となっている状況です。しかしながら、報告品目でありましても、先生方からの御質問等を踏まえ、我々としてもしっかりと検討していきたいと思っておりますので、コメント等を頂けますと幸いです。
○清田部会長 ということで、コメントはありますか。南先生、どうぞ。
○南委員 南ですが、よろしいでしょうか。
○清田部会長 はい。
○南委員 私も今の点、前から気になっていて、効能追加の場合は報告として上げられて、そういう制度として運用しているということは説明いただいたのですが、やはり少なくとも新たに見られた重要な副作用と、有効性に関しては、少なくとも御説明いただいて、委員の審議・審査を経るという形で、上げていただいたほうがよろしいかと思います。報告であっても議論する必要があると思います。
 以前あったのは、主たる解析で有効性が示されていなかったのだけれど、適応追加は承認された事例もありますので、一応、有効性に関してはしっかりと、報告という形でもいいですので、御説明いただいたほうがいいかと考えています。
○清田部会長 ありがとうございます。
○医薬品審査管理課長 そのようにさせていただきます。審議会規程の関係がありますので、全体の扱いは先ほど説明したような形にさせていただきますが。
○清田部会長 聞こえていますか。
○医薬品審査管理課長 大丈夫でしょうか。
○南委員 一部音声が割れました。
○医薬品審査管理課長 大丈夫でしょうか。審議会規程の関係がありますので、全体の報告か審議かという部分については、その整理に従って先ほど説明したような対応をさせていただきますが、先生の御指摘のとおり、報告でありましても、きちんと有効性については説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○南委員 よろしくお願いします。
○清田部会長 規程を。
○事務局 追加で事務局から。今、菊池先生から規程をお示しいただくかという御指摘を頂いていますので、後ほどその当該部分の分科会規程をお送りさせていただければと思います。
○清田部会長 ということでよろしいでしょうか。私のほうは物足りないのですが、それでは、一応御質問は頂いたものとします。他に御質問はありませんね。ありがとうございます。それでは、オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg及び同点滴静注240mgの最適使用推進ガイドライン(案)については御確認いただけたものとします。
 引き続き、報告事項3と4について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題3の医薬品アバスチン点滴静注用と議題4の医薬品テセントリク点滴静注については、併用して投与されることから、併せて報告をいたします。テセントリクはProgrammed cell death-ligand1(以下「PD-L1」と略します)に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるアテゾリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「切除不能な進行・再発の非小細胞癌」等3つの効能に対して承認をされております。
また、アバスチンは、ヒト血管内皮増殖因子に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるベバシズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」等6つの効能に対して承認されております。
今般、中外製薬株式会社から、切除不能な肝細胞癌患者に対するテセントリク及びアバスチンの併用投与の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
 臨床試験について簡単に御説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験であるIMbrave150試験が提出されております。こちらの試験は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞癌患者を対象として実施されており、主要評価項目は無増悪生存期間及び全生存期間でした。ハザード比はそれぞれ0.59及び0.58で、対照群として設定されたソラフェニブ群に対する優越性が検証されております。また、IMbrave150試験の日本人集団における無増悪生存期間及び全生存期間について、ハザード比はそれぞれ0.85及び1.71でした。
機構における審査において、全生存期間の結果について全体集団と日本人集団の間で異なる傾向が認められているものの、全体集団でソラフェニブ群に対する併用投与の優越性が検証されていること、全体集団と日本人集団の奏効率は同様の傾向が認められていること等を考慮すると、日本人患者を含め、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞癌患者に対するアテゾリズマブとベバシズマブの併用投与の有効性は示されたと判断されており、本品目を承認して差し支えないと判断されております。以上です。
○清田部会長 ただいまの御説明に、どなたか御質問ございますか。ございませんでしょうか。
○渡辺委員 ちょっと今の説明と関係ないのですが、機構の方に伺いたいと思うのですが、テセントリクの場合、この840mgと1200mgバイアルがあって、これの効能がちょっと違うように書いてあるのですが、そこら辺の理由を教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。テセントリク840mgバイアルは乳癌のみの適応を有しております。用法・用量を御覧になると分かるのですが、乳癌では840mgを投与する用法・用量の設定になっておりますので、こういう用法・用量の違いによって規格によって効能・効果が異なっています。
○渡辺委員 それでちょっと実際に混乱が起きたことがあるのですが、その1200を乳癌に使ってはいけないということなのですか、今回の主題とはずれますが。
○医薬品医療機器総合機構 840mgの規格では乳癌の効能・効果のみが承認されていますので、その他の効能・効果での使用は認められないということになります。
○渡辺委員 逆に、その乳癌で1200mgバイアルを使ってはいけないということですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりです。
○渡辺委員 それに関しては混乱は生じていないですか。
○医薬品医療機器総合機構 現時点で混乱が生じているという話は聞き及んでいないところではございます。こういう設定に至った背景として、PD-L1抗体製剤は高価な薬剤であり、残薬の発生が過去問題になったこともありまして、こういう設定になっているものだと理解しております。
○渡辺委員 分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問ございませんか。それでは報告事項の議題3、4については御確認いただいたものといたします。
 事務局から、引き続き説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項の議題4、テセントリク点滴静注1200mgについては、肝細胞癌に係る効能・効果の追加に伴い最適使用推進ガイドラインの作成を予定しておりますので、その内容について御説明いたします。
資料は14-2を御準備ください。ガイドラインの構成は、これまでと同じです。「13分の」で記載したページ番号の3ページを御覧ください。対象となる効能・効果は切除不能な肝細胞癌、用法・用量としてはベバシズマブとの併用で、1回1200mgを3週間間隔で点滴静注するものになっております。
5ページ以降に臨床成績を示しておりますが、こちらは先ほど御説明した内容を記載しております。
安全性について、本剤投与時に注意が必要な事象は、既承認の効能・効果に対して注意が必要と判断されている事象と同じでした。
9ページを御覧ください。施設についての箇所ですが、マル1-2として、肝細胞癌の化学療法及び副作用発現時の対応に十分な知識と経験を持つ医師を治療の責任者として配置いただくよう記載をしております。
11ページですが、対象となる患者の有効性に関する事項については、臨床試験成績に基づいて設定をしております。
安全性については、これまでのテセントリクのガイドラインと同じです。
12ページを御覧ください。こちらの投与に際して留意すべき事項もこれまでのテセントリクのガイドラインと同様ですが、マル3の主な副作用マネジメントについての3ポツ目、肝機能障害発現時の本剤の用量の調節については、肝細胞癌ではほかの癌腫と異なる設定がなされておりますので、そのことが分かるように記載をしております。説明は以上です。
○清田部会長 それでは委員の先生方から御質問がございましたら、承りたいと思います。いかがですか。菊池先生のほうから。
○事務局 事務局から読み上げさせていただきます。菊池先生からの御意見です。適正使用推進ガイドラインの添付文書内への記載についても、赤文字でなくても明記する点を添付文書の統一という観点から、今後改訂される添付文書では漏れなく明記されることを切望します、というコメントを頂いております。
○事務局 事務局です。今回テセントリクの添付文書の中にも記載はされているのですが、非常に分かりにくい記載となっており、承認番号や販売開始時期の下の部分、そこに「最適使用推進ガイドライン対象品目」と書かれています。記載されている位置や記載内容はこちらで定めた内容と同じなのですが、非常に分かりにくい状況なので、申請者には、もう少し分かりやすくならないか、伝達したいと思っております。
○清田部会長 菊池先生、どうも御指摘ありがとうございます。ほかに御質問ございますか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは、テセントリク点滴静注1200mgの最適使用推進ガイドライン(案)については御確認いただいたものといたします。
 引き続き、報告事項議題5~7について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。議題5、医薬品エンハーツ点滴静注用100mgの製造販売承認事項一部変更承認について報告いたします。
本剤は、ヒト上皮増殖因子受容体2型(以下、「HER2」と略します)に対するIgG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体とトポイソメラーゼI阻害作用を有するエキサテカン誘導体を、リンカーを介して結合させた抗体薬物複合体であり、現在は、「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果として承認されております。
今般、第一三共株式会社から、「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。なお、本申請は先駆け審査指定制度の対象とされております。
 臨床試験について簡単に御説明いたします。今般の申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第II相試験であるJ202試験が提出されています。トラスツズマブを含む2つ以上の化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者を対象としたJ202試験の主要コホートにおいて、主要評価項目とされた奏効率は、本剤群で51.3%、対照群である治験担当医師により選択された治療薬群で14.3%であり、本薬群で統計学的に有意に高いことが示されております。
以上の結果から、機構における審査において、がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断されております。
また、安全性については、既承認の効能・効果と同様に、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師により観察や管理等の適切な対応がなされるのであれば、忍容可能と判断されており、本品目を承認して差し支えないとの判断がなされております。
 なお、渡辺先生より事前に質問を頂戴しております。審査報告書の1/34ページ、「なお、間質性肺疾患の発現状況及びリスク因子について、製造販売後調査において更に検討が必要と考える」との記載について、長年の腫瘍内科医としての臨床経験、及び国際共同臨床試験の効果判定委員、アドバイザリーボード委員等の経験から、種々の抗腫瘍薬について、日本人に、とりわけ間質性肺疾患が多い、重篤、という実感はありません。Attention biasではないかと思っていますが、Biasのないデータがあれば教えてください、というものです。
「種々の抗腫瘍薬について」として、御質問をいただいておりますが、種々の抗腫瘍薬におけるバイアスに関するデータを有していないことから、本剤の臨床試験成績に基づき説明をさせていただきたいと思います。
 本剤の臨床試験におけるILDの評価については、日本及び米国の胸部腫瘍専門医、呼吸器専門医及び放射線専門医によって構成されるILD独立判定委員会により判定がなされております。既承認の効能・効果である乳癌患者の承認申請時に提出された臨床試験5試験の併合解析において、ILDの発現状況は日本人患者で16.1%、外国人患者で6.4%と、日本人患者で高い傾向が認められておりました。
また、本一変申請で提出されたJ202試験の主要コホートにおいて、ILDが認められた12例のうち11例が日本人患者となっておりました。臨床試験において得られたデータに基づき、日本人患者でILDのリスクが高いか否かについて明確に結論づけることは難しいと思っておりますが、以上の状況を踏まえ、乳癌及び胃癌ともに、ILDの発現に関して製造販売後調査において更に検討が必要と判断されております。
○事務局 続きまして、先に事務局から議題の7まで報告をさせていただければと思います。次の議題ですが、議題6、医薬品トルツ皮下注80mgシリンジ及び同皮下注の80mgオートインジェクターの製造販売承認事項一部変更承認について説明をいたします。
資料12を御覧ください。本剤の有効成分であるイキセキズマブ(遺伝子組換え)ですが、ヒトインターロイキン-17Aに対するモノクローナル抗体であり、「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬」等の効能・効果で承認されているところです。前回7月の部会で、類薬であるセクキヌマブ(遺伝子組換え)について同様の御報告をさせていただいているところですが、今回、日本イーライリリー株式会社より、国際共同第III相二重盲検比較試験において、生物製剤による治療歴がなく、NSAIDs治療で効果不十分又は不忍容であったX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎患者に対して、プラセボ投与群に比べて本剤投与群で有意に反応率が良く、有効性、安全性について確認がされたところで、今回の効能追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請について、機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断がされております。
 続いて議題の7です。医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料13-1~13-3です。まず13-1ですが、有効成分名が「サリドマイド」、販売名が「サレドカプセル25、同カプセル50及び同カプセル100」。資料13-2が、有効成分名「サルメテロールキシナホ酸塩/フルチカゾンプロピオン酸エステル」、販売名が「アドエア100ディスカス28吸入用、同100ディスカス60吸入用、同250ディスカス28吸入用、同250ディスカス60吸入用、同500ディスカス28吸入用、同500ディスカス60吸入用、同50エアゾール120吸入用、同125エアゾール120吸入用及び同250エアゾール120吸入用」です。最後、資料13-3は有効成分名「ウステキヌマブ(遺伝子組換え)」、販売名は「ステラーラ皮下注45mgシリンジ」です。これらの品目ですが、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定をさせていただいております。事務局からは以上です。
○清田部会長 いままでの報告について、委員の皆様、御意見ございますか。
○渡辺委員 けんもほろろに言われてしまいましたけれども、やはり日本人特殊論に凝り固まっているところがあって、私が経験……。
○清田部会長 音声が途切れてしまうのですけれど。
○渡辺委員 ちょっとそちらの音声もさっきから途切れているのですが。
○清田部会長 今は聞こえます。
○渡辺委員 「私の経験で」と書きましたけれども、この間質性肺炎のことをあまりにも強調するばかりに、その製薬企業への対応が、過剰に対応するというところで、一臨床医としては非常に不便を感じているということに基づいて、間質性肺炎は実際にそんなに多くないのではないかという感想があるので述べたまでです。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。これは機構から答えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。先生、御意見ありがとうございます。本剤の臨床試験成績は先ほど御説明させていただいたとおりですが、今後、本剤が医療現場で使用されるにあたって、日本人患者さんでどういう発現状況なのかというデータが得られてくると思いますので、その際にまた、本当にリスクが高いのかどうかというのは引き続き検討してまいりたいと思っております。ありがとうございました。
○清田部会長 先生、これからもよろしくお願いいたします。
○渡辺委員 こちらこそよろしくお願いします。
○清田部会長 それでは報告事項の議題5~7については御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項に移ります。その他事項1、2について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項の議題1、最適使用推進ガイドラインについて、資料14-1、14-2については先ほど御確認いただきましたので、資料14-3について説明いたします。今回、最適使用推進ガイドラインの対象とする品目がございますので報告いたします。メルクバイオファーマ株式会社より、バベンチオ点滴静注200mgについて、局所進行又は転移性の尿路上皮癌に対する1次化学療法の維持療法の効能追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請がなされたことから、当該医薬品を最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定しております。
 続いて、資料15を御準備ください。キイトルーダ点滴静注100mgについては、平成30年11月29日に開催された当部会において、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌に係る効能・効果の追加について御審議いただきました。その承認に際し、実施中の2つの第II相試験について終了後速かにその結果を臨床現場に提供するよう、承認条件を付しております。
今般、2つの臨床試験のうちの1つであるMSI-Highを有する結腸・直腸癌患者を対象とした臨床試験の最終結果が得られ、最終結果は表に記載をしたとおりであったことが企業より報告されました。なお、資料には記載をしておりませんが、有効性解析対象における無増悪生存期間の中央値は2.3か月、全生存期間の中央値は31.4か月でした。報告は以上です。
○清田部会長 委員の先生方からの御質問がございましたら、承りたいと思います。いかがですか。
 それでは、その他事項の議題1、2については御確認いただけたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局のほうからワクチンに関して報告があります。
○事務局 続きまして、事前にお送りした当日配布資料1、「新型コロナウイルス(SARS-CоV-2)ワクチンの評価に関する考え方」を御覧ください。
現在御存じのとおり、世界的に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが生じており、これに伴い、新型コロナウイルス感染症の予防を目的としたワクチンの開発が国内外を問わず進められております。
新型コロナウイルスワクチンの評価のあり方については、世界的にも議論がなされているところであり、一定の取りまとめ情報が公表されているところではありますが、今般、機構において、これらを踏まえ、日本での新型コロナウイルスワクチンの評価に関する考え方について、本資料の11ページにお示ししております専門家の御意見を取り入れつつ、体系的に取りまとめ公表する運びとなりましたので、本部会にも報告とさせていただきます。
新型コロナウイルスワクチンや新型コロナウイルス自体に関する研究などにより、様々な科学的知見が集積していくものと思われますが、現時点における考え方をお示しすることにより、一定の予見可能性の確保や開発の一助になるものと考えております。
内容につきましては概略だけお示しさせていただきますが、例えば、2ページ目に薬理試験や非臨床安全性試験、薬物動態試験などについて、3ページ目にワクチンによる疾患増強について、6ページや9ページに有効性の評価について、6ページに安全性の評価について、8ページに高齢者等の評価について、といったことを記載させていただいております。こちらの文書については、現在、機構のホームページに掲載させていただいております。本件に関する報告は以上です。
○清田部会長 委員の先生方から何かございますか。よろしいですか。
○宗林委員 宗林です。これを読ませていただきましたが、普通のワクチン、通常のワクチンと大きく異なる点はどこであるのか何かポイントを絞って紹介することはできるのですか。
○事務局 ワクチンですので、他のワクチンと、非常にこれが違うというまでではないのですが、例えば疾患増強に関することなどは、過去のコロナウイルス関係のワクチンの開発で懸念されたこと等を踏まえて、入念的に記載しているという部分ですとか、あとは開発されているワクチンに関して、例えば最近は組換えウイルスワクチンといったものがあり、遺伝子組換え生物に該当するものもありますので、カルタヘナ法関係の話ですとか、あとは有効性の評価について、これもコロナワクチン特有というわけではないのですが、現時点における有効性をどう評価するかという議論がなされておりまして、それを主要評価項目としては発症予防効果とすべきだろうと。そういったことについて記載させていただいております。
繰り返しになりますが、今回のコロナウイルスワクチンの開発において重要なところを入念的に記載して、分かりやすくするというような形で記載させていただいております。
○宗林委員 どうもありがとうございました。多分、私も含め国民としては、このワクチンの、今、どこのポイントにあるのかということ、この考え方というものは、もしかすると通常の場合と比べてどこかまだ完成もしていない、あるいは見極めがついていないものについて、少し省略をするとか、ある程度圧縮してやるというようなことがあるのかなというふうに見がちなのですが、そういうことはないのでしょうか。その辺は大変気になるところですので、何か紹介できるものがあればと思ったのですが。
○事務局 圧縮という表現がそのままあてはまるのかというのは、ちょっと何とも言えないところではあるのですが、例えばですが、2ページ目の薬理試験、2.1薬理試験の一番下のポツ、「感染モデルを用いた感染防御/発症予防効果の評価は、早期の臨床試験と並行して実施することでも差し支えないが、可能な限り早期に実施すべきである」。こういった記載がありまして、現実的に、現在、その動物モデルをきちんと開発するというのは一定の時間がかかるということと、ただし、臨床試験もきちんと進めていくべきだろうということで、ある意味これが並行して進められている部分というのがありまして、ちょっと圧縮したという表現なのか分かりませんが、並行していろいろやっているという実態はございます。
○宗林委員 ありがとうございました。私もそう思って、その行は「並行的に」というところを見ていました。これはもう公表されているということですので、それ以上に、改めてこれだけを公表する意味とか、あとどこが違うのかということは、特段これ以上説明の必要はないということですよね。私自身は理解いたしました。
○清田部会長 ありがとうございます。途中経過でも国民の皆様にアナウンスするというような姿勢で公表していると思いますので、話が進めば、次のアナウンスはされるのではないかなというふうに思います。それでよろしいですか。
○事務局 はい。開発されているワクチンについては、機構のホームページではなく厚労省のホームページですが、こういったものが開発されていますという資料を出している部分がございます。それで機構のホームページに出しているこちらの資料については、1ページ目に記載しておりますが、あくまで現時点における考え方ということで、当然、まだ開発の早期の話ですので、これから様々な科学的知見が得られる可能性がありますので、そういったもの。あくまで現時点のものということで御理解いただければよいかと思います。
○宗林委員 分かりました。ありがとうございました。
○清田部会長 それでは、ほかに事務局からございますか。
○事務局 ありがとうございました。次回の部会でございますが、10月30日金曜日の午後4時から開催させていただく予定ですが、部会の開催方法については追って御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)