令和2年11月5日 第191回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和2年11月5日(木) 13:00~16:00

場所

WEB会議
東京虎ノ門グローバルスクエア コンファレンス

出席者

委員 ※五十音順

議題

  1. 1.令和3年度介護報酬改定に向けて
  2. (地域包括ケアシステムの推進、自立支援・重度化防止の推進)
  3. 2.その他

議事録

議事内容
○栗原企画官 それでは、定刻になりましたので、第191回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、前回同様、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、ウェブ会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
 また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
 本日の委員の出席状況ですが、井口委員、大西委員、河本委員、椎木委員、正立委員より御欠席の連絡をいただいております。また、井上隆委員に代わり、間利子晃一参考人に、黒岩祐治委員に代わり、水町友治参考人に御出席いただいております。
 以上により、本日は19名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 議事に入る前に、お手元の資料の確認とウェブ会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 まず、資料の確認を行います。
 本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
 まず、議事次第と委員名簿がございます。
 次に、検討の方向性の資料として、資料1「地域包括ケアシステムの推進」。
 資料2「自立支援・重度化防止の推進」となっております。
 資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いいたします。
 次に、ウェブ会議における発言方法等について確認させていただきます。
 御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。画面で田中分科会長に御確認いただき、指名していただきますので、指名に基づき御発言いただくようお願いいたします。
 挙手しているにもかかわらず、発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、ウェブ会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては挙手にて意思表示をお願いいたします。
 なお、チャット機能等で記載いただいた内容については、ウェブの画面及び配信動画においても表示されますので御承知おきください。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様にはここで御退室いただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○栗原企画官 では、以降の進行は田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 委員の皆様、こんにちは。毎週の参集、ありがとうございます。
 本日は、令和3年度介護報酬改定に向けて「地域包括ケアシステムの推進」、2番目「自立支援・重度化防止の推進」について議論いたします。
 資料1、2について両方まとめて事務局から一通り説明を受けた後、質疑を行うこととします。
 いつものことですが、事務局においては、資料説明を簡潔に行うよう努めてください。
 委員の皆様も、御発言は論点に沿って簡潔に行うようお願いいたします。
 早速、事務局から説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 それでは、資料1及び資料2を用いまして御説明をさせていただきたいと思います。
 大部でございますが、簡潔な説明に努めさせていただきたいと思います。
 資料1「地域包括ケアシステムの推進(検討の方向性)」でございます。
 1ページ以降、9ページ目までこれまでの分科会における御指摘でございます。
 そして、10ページ目、「1.認知症への対応力強化」でございます。
 論点マル1、認知症専門ケア加算でございます。
 11ページ目でございますけれども、■が3つございます。
 認知症専門ケア加算は、21年度改定におきまして専門的な認知症ケアを普及する観点から施設系、グループホームにおいて導入されたということでございます。
 2つ目の■でございますけれども、平成30年度の介護報酬改定におきまして短期入所系のサービスにも対象を拡大したところでございます。その改定検証調査でございますけれども、ポツが2つございます。この加算を算定するメリットといたしまして「認知症の利用者に対して、より専門的な介護が提供できるようになった」が多く挙げられ、次のポツでございますが、一方で、算定する際の課題として「認知症ケアに関する専門研修を修了した者の確保が困難である」が多く挙げられております。
 3つ目の■でございます。訪問系サービスにも拡大するよう要望があること、そして、昨年6月に取りまとめられた認知症大綱におきましても、「在宅の中重度の要介護者を含め、認知症への対応力を向上するための取組を推進する」とされていることを踏まえまして、各介護サービスにおける認知症対応力を向上させていく観点から、認知症専門ケア加算についてどのような対応が考えられるかという論点にしております。
 12ページは現在の認知症専門ケア加算の概要でございます。ⅠとIIがございます。
 そして、13ページが各種意見でございます。
 14ページ目が認知症ケア加算でございますが、左側に加算の設定状況ということでサービス種類ごとに○が打ってございまして、前回改定で短期入所系、介護医療院というところに○、注釈がついてございます。
 15ページ目が主な認知症関連加算の算定状況でございますけれども、認知症専門ケア加算は左側の青い表の部分でございます。ざっと見ていただきますと、真ん中あたりですが、認知症対応型共同生活介護でⅠを取っているところが2割程度ということで、これが最も多く算定されているサービス類型かと思います。
 16ページ、17ページは論点のところでお示しした検証調査の内容でございますので割愛させていただきまして、次に進ませていただきます。
 各種意見ということで、19ページに要望書の抜粋をつけさせていただいてございます。
 次に20ページでございます。認知症に関連いたしまして、専門性を有する資格職といたしまして認定看護師、専門看護師、精神科認定看護師という資格がございますけれども、それぞれの概要をお示ししてございます。
 また、21ページ目には、令和2年度の診療報酬改定におきまして認知症ケア加算が拡充されたということをお示ししているところでございます。
 次の22ページに進ませていただきます。認知症ケアに携わる介護従事者の研修ということでございまして、実施主体ごと、また、研修の名前ごとに整理させていただいているところでございます。その中で左側を赤で囲ってございますけれども、指定基準の要件加算等、一番下のところに赤字でございますが、加算の中に認知症専門ケア加算IIの算定要件、その右側にⅠの算定要件をお示ししているものでございます。
 こういったことを踏まえまして、23ページ、検討の方向の案でございます。
 ポツが3つございます。在宅の中重度の要介護者も含めた認知症対応力を向上させていく観点から、訪問系サービスにおいても現行のこの加算の要件等を踏まえて対象とすることを検討してはどうか。
 次のポツは、これまでに加算を算定していない理由として検証調査のような結果があったことを踏まえつつ、質を確保しながらeラーニングの活用等により受講しやすい環境整備を行うこととしてはどうか。
 最後のポツです。さらに、診療報酬の認知症ケア加算の要件も踏まえまして、算定要件であります研修修了者の配置を満たす資格要件に、認知症ケアに関する専門性の高い看護師を加えることとしてはどうかというものでございます。
 続いて、24ページ、論点マル2でございます。
 認知症の人の行動・心理状況、以下BPSDと略させていただきますけれども、その発症を予防したり、重症化の緩和を図る観点、介護現場の負担を軽減する観点からどのような対応が考えられるかということでございます。
 2つ目の■でございますが、行動・心理症状への緊急対応を含め、在宅高齢者の緊急時の宿泊ニーズへの対応を強化していく観点からどのような対応が考えられるかということでございます。
 その下には認知症大綱の関連抜粋をつけております。
 25ページは行動・心理症状(BPSD)の概念図をお示ししているものでございます。中核症状、その周囲に行動・心理症状があるということでございます。
 26ページは、この行動・心理症状でございますけれども、どのようなサービス類型で多く出現しているかということでございます。
 27ページは、BPSDの評価尺度の代表的なものとして、NPI(認知症BPSDの評価尺度)、DBD13というものを例としておつけしております。
 28ページでございますが、認知症BPSDケアプログラムの広域普及に向けた検証事業でございます。昨年度の老健事業で認知症BPSDケアプログラムの広域普及に向けた検証事業を行っているところでございまして、一定程度これでBPSDの症状が緩和されているという結果が出ているところでございます。
 29ページでございます。各種意見ということで、今年8月に行われました事業者団体ヒアリングにおきましても御意見をいただいているところでございます。
 30ページ、31ページは情報公表制度の概要と公表される内容でございます。字が大変細かくて大変恐縮でございます。右上のほうに赤でハイライトをしてございますけれども、認知症の方の利用者などがどのぐらいということで、質の公表とか、そういった公表されている情報があるということでございます。
 次に、32ページは認知症行動・心理症状緊急対応加算ということでございます。これは名前のとおりでございまして、緊急対応をしたときの評価を行うものでございます。その表の中にありますように、在宅で療養を行っている者にBPSDが認められ、医師が緊急入所が必要と判断した場合の緊急的対応を評価したものでございまして、利用した日から起算して7日を限度としております。
 そして、33ページは(看護)小規模多機能の居宅介護における短期利用居宅介護の利用者の状況でございますが、主傷病としては認知症が多いということが出ております。
 こういったことを踏まえまして、34ページ、検討の方向でございます。
 老健事業におきまして、BPSDを客観的指標に基づき継続的に測定しながら、PDCAサイクルに基づくチーム介護を実施する取組を行われているということで、このような取組を踏まえまして、BPSDへの対応力の向上をどのように図っていくか引き続き検討してはどうか。
 次の■でございます。全ての事業者にBPSDの対応力が求められているということでございまして、その取組状況、特に研修の受講状況等につきまして、利用者が情報公表システムで確認できる仕組みを検討してはどうかというものでございます。
 また、3つ目のポツでございますけれども、短期利用の報酬区分がある(看護)小規模多機能の居宅介護につきまして、施設系と同様に認知症行動・心理症状緊急対応加算の対象とすることを検討してはどうかとするものでございます。
 以上が論点マル2でございます。
 続きまして、35ページ、論点マル3でございます。
 認知症についての理解の下、本人主体の介護を行うようにということでございます。そして、認知症の人の尊厳の保障を実現していくという観点から、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させていくことが求められるが、どのような取組が考えられるかでございまして、35ページの下に認知症大綱の抜粋をしてございます。その下に「KPI/目標」の○がございます。その中で4つポツが並んでございますが、一番下の認知症介護基礎研修は介護に関わる全ての者の受講がKPIとして設定されているということでございます。
 36ページ目は介護分野の資格における認知症に係るカリキュラムということでございまして、今申し上げた基礎研究、一番上に赤で囲ってハイライトをしてございます。こうした研究。あとは、それぞれの資格職ごとに認知症の理解などを進める研修項目があるということをお示しするものでございます。
 37ページでございますけれども、この基礎研修の都道府県別の修了者数をお示ししております。
 38ページでございます。介護職員の皆様の資格の取得状況でございますが、何らかの資格をお持ちであれば、その中で認知症に関する研修を受けていらっしゃることが大半でありますけれども、こういった資格なしという方も一定程度いらっしゃいまして、6.1%であったということでございます。
 そして、39ページは、この基礎研修を今後も受けやすくしていくなど、eラーニングの教材の作成などを行っていこうという方針をお示しするものでございます。
 40ページでございます。この検討の方向性につきましては、認知症介護基礎研修を全てeラーニング化した上で、介護に直接携わる職員のうち、無資格者の方に関してはこの基礎研修の受講を義務づけることとしてはどうか。その際、一定の経過措置を設けることとしてはどうかというものでございます。
 以上が認知症の論点でございます。
 41ページ以降、「2.看取りへの対応」でございます。
 42ページに進ませていただきます。論点マル4でございます。
 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等に基づく取組を促進する観点からどのような対応が考えられるか。
 各サービスにおける看取りへの対応を充実する観点から、看取り、ターミナルケアに係る加算等の在り方についてどのような対応が考えられるかでございます。
 次から基礎資料でございます。
 43ページは死亡者数の将来推計でございまして、2040年頃が最も年間の死亡者数が多く160万人を超えることが予想されているところでございます。
 44ページが死亡場所の推移でございまして、御希望と死亡の場所には乖離があるとお示しするものと、あとは、近年、病院での死亡の割合自体は減少傾向にありまして、一方で老人ホームでの死亡者の割合が増えてきているということでございます。
 45ページは介護保険三施設における入所・退所の、どこからいらして、死亡退所なのか医療機関にかかられたのか等をお示しする表でございますけれども、老人福祉施設、特養と下の介護療養型医療施設では死亡退所が多くなっております。一方で、介護老人保健施設では家庭に帰られる方が多く、死亡退所は12%でございまして、施設ごとの特徴が出ているかと思います。
 46ページでございます。高齢者向け住まいでも入所・退所の中で死亡による契約終了は一定程度あるということでございます。
 47ページは介護医療院でございますけれども、ここも半数の方は死亡退所であるということでございます。
 48ページ目は「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」のイメージ、概要でございます。
 次に、49ページ目は特定施設入居者生活介護における看取りの状況でございまして、看取りの実績がある介護付きホームなどがそれなりにあるということでございます。
 50ページは看取りの状況の続きでございますけれども、受入方針について見ますと、7割のところが受け入れるということでございました。
 51ページ目は特養の人生の最終段階における医療・ケアについての話合いでございますけれども、こういった本人の意思確認あるいは推定を行っていることにつきまして、「いつも行っている」というところが7割を超えて8割弱となっているところでございました。
 52ページ、同じく特養でございますけれども、看取り介護加算の算定を行っているところが63%ということでございます。
 53ページ目でございます。これは看取り介護加算でございますけれども、給付実調から取ってきまして、算定日数自体は増加してきておるということで、特養における看取りも進んできているということを示唆するものだと考えております。
 54ページ目は介護老人保健施設における取組でございますけれども、左側が在宅復帰率階級になっております。その中で積極的に施設内看取りを行っているという割合をブルーの帯グラフでお示ししてございますけれども、在宅復帰率が上がると同時に積極的な看取りも行っていらっしゃる施設が増えておりまして、在宅復帰の高いところにおきましては看取りの機能も高いのではないかということが示唆されるものではないかと思っております。
 55ページは介護医療院の基準、報酬でございますけれども、お示ししたいのは、下線を引いておりまして、そもそも介護医療院は看取りを行う施設であるということが本体の基準に入っているということでございます。
 56ページでございますけれども、介護医療院におけるターミナルケアにつきまして94.4%の施設が取り組んでいらっしゃる。
 57ページでございます。看取りを開始した日から死亡日までの日数につきまして、それぞれ介護医療院、介護療養型医療施設、老健施設では32~180日という割合が最も高かったということでございまして、その平均値をお示ししております。
 58ページは割愛させていただきます。
 59ページが認知症グループホームにおける加算の算定状況、看取りの状況でございます。左側のグラフが看取り介護加算を18.3%算定しており、右側のグラフは約2割の方、19.4%になってございますが、事業所内でお亡くなりになった方がいらっしゃるということでございます。
 60ページに進ませていただきます。こちらは看多機で看取りを行っているかどうかということでございますけれども、2019年6月から9月の4か月に看取りを行った利用者の死亡場所でありますが、事業所が多いということでございます。その下、本人の意向ということでございますけれども、事業所内を希望する方も多いというものでございます。
 61ページ目は小規模多機能型居宅介護の看取りの状況でございます。安定期から死亡まで事業所が関わったケースは非常に多いということでございました。
 62ページ目が看取りに関する加算の一覧でございまして、算定状況が63ページにございます。
 こうした状況を踏まえまして、64ページに検討の方向がございます。
 看取り期における本人・家族との十分な話合い、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」などに基づく取組を推進する観点から、看取り、ターミナルケアに関する加算要件または基本報酬等において、このガイドライン等の内容に沿った取組を行うことを明示してはどうか。
 各サービスにおける看取りへの対応を充実する観点から、看取り、ターミナルケアに係る加算等の在り方について検討してはどうかとしております。
 それでは、「3.地域の特性に応じたサービスの確保」というテーマでございます。
 66ページに今日御提案します地方からの過疎地域等の取扱いの関する提案ということで、令和2年の提案募集の抜粋がございます。そこで赤い破線でハイライトをしてございますけれども、今日御議論いただく提案事項は2つございまして、訪問看護ステーションの看護師等の人員に関する基準でございます。現行は常勤換算2.5人という基準があるわけでございますけれども、そうした基準を「従うべき基準」から「参酌すべき基準」とするという要望がございます。
 もう一つの提案は下でございまして、特別養護老人ホームの定員規模別の報酬の設定ということでございまして、定員規模別、括弧の中に30人、31~50人、51~80人とございますが、この報酬を設定することを要望されているところでございます。
 まず1つ目の看護職員の配置でございますけれども、67ページ目に論点をお示ししてございます。この人員配置基準を「従うべき基準」から「参酌すべき基準」に見直すことが提案されたがどう考えるかというものでございまして、68ページ目がその提案の抜粋でございます。
 69ページ目には「参酌すべき基準」と「標準」と「従うべき基準」のそれぞれの法的な効果も含めて類型をお示ししてございます。現在、この2.5人という基準は「従うべき基準」、つまり一番右でございまして、必ず適合しなければならない基準。一番左の「参酌すべき」というのは十分参照しなければならない基準でありますが、独自の基準を定めることが可能ということでございまして、こういった「従うべき基準」から「参酌すべき基準」へという要望でございます。
 次の70ページは過去の資料でございますが、「従うべき基準」とされたものの一覧でございます。
 71ページでは、9月に同じような御提案を申し上げたときにいただいた意見の主なものを抜粋してございます。
 それから、72ページでございます。こういった僻地、中山間地域でございますけれども、サービス確保が困難な特例がございまして、2つございます。そこに青で薄く網掛けをしてございますが、サービス確保が困難な離島等の特例ということで、マル1からマル6まで類型をお示ししてございます。その中でマル6豪雪地帯、特別豪雪地帯云々とございますけれども、これがサービスの確保が著しく困難な地域123市町村を指定してございます。
 一方で、その下に報酬上の評価でマル1、マル2、マル3とございますが、マル1の特別地域加算がございます。この中でまたマル1からマル6までございまして、このマル6でございますけれども、豪雪地帯、同じような表現を引いてございまして、123市町村を指定となってございます。その中で、上の特例居宅介護サービスとこの特地加算の対象地域が今同一となっているところでございます。それが73ページにお示ししているものでございます。
 74ページでございますけれども、検討の方向でございます。
 2つ目の■でございます。本要望でございますが、サービス利用者の確保が難しい中山間地域での事例を踏まえたものということでございますので、介護保険制度におきましては既にこうしたところを想定した特例が設けられてございます。特例居宅サービス費が支給されるというものでございます。
 この対象地域につきましては、今は自治体の申請を踏まえて特地加算の対象地域とセットで指定されておりますけれども、そういった地域におきまして、地域の実情に応じた柔軟なサービス提供をより可能とするという観点から、特例居宅介護サービス費の対象地域と特地加算の対象地域についてそれぞれ分けて申請を可能とし、指定を分けて行うこと等を検討してはどうかとするものでございます。もしこれが本日おおむね御了承いただけたら、その作業に入らせていただきたいと思っております。
 次に75ページ目、論点マル6でございます。
 先ほどの特別養護老人ホームの基本報酬について、定員規模別の設定をすることでございます。
 76ページ、77ページは提案募集の抜粋でございます。
 78ページ目に定員規模別の収支差率をお示ししてございます。左から29名以下、30名、31~50名、51~80名ということでお示ししてございます。101名以上ですと2.6%の収支差があったということでございまして、これは先日公表いたしました令和2年度の介護事業経営実態調査、令和元年度の収支状況を聞いたものでございます。
 79ページ目は経済財政運営と改革の基本方針の抜粋でございまして、経営の大規模化・協働化などが求められている。こういう大きな流れが一方であるということでございます。
 80ページ目に検討の方向性をお示ししてございます。
 1つ目の■の段落でございますけれども、定員規模別の報酬を設定することが提案されている。令和2年度介護事業経営実態調査によりますと、80名以下の規模における収支差率は低い傾向にある。一方で、仮に定員規模別の報酬設定とした場合、施設の規模によって利用者の自己負担額が変わる。安定的経営を図る観点から、こちらは経営の大規模化・協働化が目標に掲げられておりますけれども、当該提案は政策目標と逆のインセンティブとなり得るということで、どのように考えるかといった論点とさせていただいてございます。
 資料1につきましては以上でございます。
 続きまして、資料2を用いまして「自立支援・重度化防止の推進」について御説明をさせていただきたいと思います。
 こちらはこれまで非常に多くの御意見をいただいておりまして、それを12ページ目まで私どもとしてまとめさせていただいております。
 それでは、13ページ目以降、「1.介護の質の評価と科学的介護の推進」ということで御説明をさせていただきます。
 14ページ目に論点マル1をお示ししてございまして、介護の質の評価と科学的介護の推進(VISIT・CHASE)でございます。
 ■が3つございます。1つ目の■でございますけれども、平成30年度の介護報酬改定に関する審議報告の抜粋でございますが、2020年度の本格運用開始を目指すこととされているデータベースの構築によりまして、介護の取組とそのアウトカムの関連の分析等を加速し、さらなるエビデンスを集積して科学的な効果が裏づけられた介護サービスについて報酬上の評価を検討するべきとされたところでございます。
 次の■は現状を示してございまして、平成29年からはリハビリに関する情報(VISIT情報)を集めております。今年度、5月からでございますけれども、高齢者の状態やケアの内容等の情報、通称CHASE情報の収集・分析をしているところでございます。令和3年度以降は一体的に運用するという方針でございますけれども、負担軽減を図りながら取組を推進していこうとしております。
 3つ目の■でございますけれども、今後、VISIT・CHASE等により介護の質の評価と科学的介護を推進し、介護サービスの質の向上を図っていくため、どのような方策が考えられるかというものでございます。
 15ページ目は既存の資料でお示ししたものでございます。質の評価につきましては、平成18年度以降累次検討が重ねられてきているということでございます。
 16ページ目は介護関連データベースの構築ということで、左側に重箱のような図がございますけれども、いわゆる介護データと言われるものと、それに加えてVISITとCHASE、そして、地域支援情報などがデータベースとして構築されているということでございます。
 VISIT・CHASEの概要が17ページにございます。
 18ページ目がリハビリテーションマネジメント加算、VISITの提出を行うリハマネ加算IVというものの御説明資料でございますけれども、18ページの一番下でございます。リハビリテーションマネジメント加算(IV)でございますけれども、VISITを活用してデータを提出しフィードバックを受けるとこれが算定できるということでございます。
 19ページはVISITを用いたPDCAサイクルの好循環のイメージでございます。
 ここまではVISIT、そして、20ページ目以降がCHASEの元となった検討会の概要でございます。
 21ページ、22ページ目は割愛させていただきまして、23ページ目に進ませていただきます。
 23ページ目では、CHASEにおける基本的な項目と関連する現行の加算ということでございまして、基本的な項目が30ほどございますけれども、その中で、分野で分ければ「総論(ADL)等」「口腔・嚥下」「栄養」「認知症」と分けられるかと思ってございます。その横に関連する加算等ということで、現在介護報酬上設定されている加算でこういったものが関連するのではないかと考えられるものをリスト化してお示ししております。後ほど提案が出てまいりますけれども、こうしたデータを提出し、フィードバックを受け、サービスの改善につながるというところに関しましては加算などで対応してはどうかということを考えているところでございます。
 24ページ目も過去にお示ししたものでございますけれども、先ほど申し上げましたように、下記のような項目も入力し、より精度の高いフィードバックを受けることでさらに質の高い介護につなげるということが考えられるということでございます。
 また、25ページは、VISIT・CHASEは今年度まで運用しますが、来年度以降はVISIT・CHASEは一体化して運用するということをイメージでお示しするもの。そして、下にありますように、多くの介護記録ソフトとデータ連携を可能といたしまして、入力の負担は軽減する方向ということでございます。
 26ページ目はそのイメージでございまして、省力化を考えているということ。
 そして、27ページ目でございますが、ICTの導入支援に関しましては、地域医療介護総合確保基金においても支援をしているということをお示しするものでございます。
 次に29ページ目に進ませていただきます。これは訪問・通所リハビリテーションにおけるリハマネ加算の要件でございます。先ほどざっくり御説明申し上げましたが、加算(Ⅰ)がリハビリテーション実施に当たりまして詳細な医師の指示があるということ。IIとIIIは様々な要件がございますけれども、大きな違いは、IIはPT、OTまたはSTさんがリハビリテーション計画について説明をすること。IIIは医師が説明をすること。そして、IVが少し体系が変わってございまして、加算IIIを算定している上にVISITを活用してデータ提出をしているという体系になっているところでございます。
 今のはリハビリテーションに関するリハマネ加算でございますけれども、30ページが特養における個別機能訓練加算が設定されておりますということをお示しする資料。
 そして、31ページ目、32ページ目は口腔衛生関連サービス、栄養関連サービスといった加算がそれぞれの施設サービスや居宅サービスに設定されておりますということを体系を通してお示しするものでございます。
 また、33ページ目は検証調査で、1つの調査だけ少し遅れておりましたけれども、その結果について近々お示しさせていただきたいと思っております。
 34ページでございます。このVISIT・CHASEを統合した在り方につきましてどのように考えるか、検討の方向性でございます。
 より科学的介護を推進していく観点からということでございますけれども、CHASEについて現行のVISITにおけるデータ提出やフィードバックによりPDCAサイクルを推進してケアの向上につなげるという仕組みを参考に、同じようにデータ提出と活用を評価することを検討してはどうか。
 「具体的には」とございますが、収集項目の各領域にも含まれる個々の利用者への計画書の作成、それに基づくケアの実施・評価・改善などを通じたPDCAサイクルの取組を基礎として、上乗せの取組としてCHASEにデータを出していただくこと、そして、フィードバックでPDCAサイクルを回していただくことを評価することを検討してはどうかと。
 3つ目の■でございますけれども、この全体の取組を一層進めるため、利用者単位のみならず事業所単位の取組を評価することを検討してはどうか。具体的には職員の負担や基本的な項目も勘案しつつ、事業所の全ての利用者につきましてCHASEの収集項目の各領域ごとの基本的なデータを提出していただく。そして、フィードバックを受けていただいて、その中でPDCAを回すということを評価してはどうかということでございます。
 下から3つ目の■でございますけれども、評価の対象とするサービスにつきましては、現在、CHASEでモデル事業をやってございますし、VISITの取組もやっておりますので、まずは施設サービス、通所サービスを中心に検討してはどうかというもの。
 下から2つ目の■でございますが、VISIT・CHASEを一体的に運用する観点から、VISIT情報につきましても対象サービスを拡大しながら上記の枠組みに位置づけて収集・活用することも検討してはどうかということでございます。また、VISIT・CHASEにつきまして、科学的介護の理解と浸透を図る観点からも、今、2つの名前で分けて呼んでいるわけでございますけれども、統一した別の名前をつけてはどうかと考えております。
 最後の■でございますが、現行の加算におきまして、厚労省にアウトカム評価に係るデータ等の提出を求めているものがございます。現状、ADL維持等加算におきまして、報酬請求明細書に摘要欄がございます。そこに自由記載のような形で記載していただいているという方法が取られておりますけれども、自由記載ですとデータの分析・活用が困難であるということから、これらにつきましても、利便性やデータ活用の観点から、CHASEの活用で足りるというふうな扱いを検討してはどうかということでございます。
 35ページ、「2.リハビリテーション・機能訓練、口腔・栄養」でございます。
 36ページ目でございます。リハビリテーション・機能訓練、口腔・栄養の取組は一体となって運用されることでより効果的な自立支援、重度化予防につながることが期待されますけれども、どのような方策が考えられるかということでございます。
 37ページは一体的な運用に関しまして概念図をお示ししたものでございます。
 38ページ目は高齢者のリハビリテーションのイメージでございますが、左から急性期・回復期、生活期と時間軸が流れてございまして、それぞれの段階で心身機能へのアプローチ、活動へのアプローチ、参加へのアプローチが重視されてくるという時間的な軸がありますということの中で、介護保険に関しましては主に生活期のリハ、心身機能のみならず活動、参加という観点が重要であるということをお示しするものでございます。
 39ページ目は診療報酬の資料でございますが、栄養状態を改善するとADLも改善するということをお示しするものでございます。
 40ページ目は主なリハ・栄養・口腔関係の加算で各種計画書あるいは会議の要件を一覧にしたものでございます。その中で、表がございますけれども、実施者、会議・計画作成参加者というところがございます。こういったように、それぞれの加算ごとにどういった職種に参加していただくべきかということをお示ししてございます。
 41ページ目は主なリハ・栄養・口腔加算等における各種計画書でございます。共通する項目がそれぞれありまして、またそれぞれ固有の項目があるということでございます。
 こういうことを踏まえまして、42ページ目に論点マル2の方向性でございます。
 先ほど申し上げたような観点から、リハビリ専門職、管理栄養士、歯科衛生士の関与についてばらつきがある各種の計画書や会議の要件につきまして、各専門職が必要に応じて追加することを検討してはどうか。また、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の計画書について一体的に記入できる様式を検討してはどうかというものでございます。
 続きまして43ページ、論点マル3、ADL維持等加算でございます。
 1つ目の■でございますけれども、平成30年度の介護報酬改定におきまして、利用者の状態改善等のアウトカムに注目し、ADLの維持・改善につながった利用者が多い通所介護事業所を評価する加算(ADL維持等加算)が導入されたところでございます。
 この取得状況や課題も踏まえながら、どのような今後の方策が考えられるかという点でございます。
 44ページ目、45ページ目は各サービスの目的、あるいはリハビリテーションや機能訓練の行う者の配置などについて比較の表でまとめたものでございます。
 46ページ目は自立支援に向けたインセンティブ付与に関連する政府の方針でございます。
 47ページ目、48ページ目はADL維持等加算の現在の概要をお示ししてございます。47ページ目でございますけれども、例えばマル1で総数が20名以上であること、マル2、マル1について以下の要件を満たすことということで、例えば要介護度が3、4または5である方が15%以上とかといった幾つかの要件がございます。その考え方を48ページ目にお示ししております。
 そして、算定事業所の算定状況が49ページ目でございまして、令和元年4月サービス提供分と令和2年サービス提供分を比べましたところ、事業所数自体は増えてきているところでございますが、全体の中で申し上げますと2.38%ということで決して高い算定割合ではないということでございます。
 50ページ目はBarthel Indexの概要でございます。
 51ページ目が通所介護のサービス利用者の初月のBarthel Index値の階級別による、6か月目にどのぐらい改善しているか、あるいは下がっているかということをお示しするものでございますけれども、初月のBarthel Indexの値によりまして、6か月目のBarthel Indexの変化の傾向は少し異なっているかなと思っております。やはり低いところからですと改善度合いは高くなるということでございます。
 52ページ目、53ページ目、54ページ目は既に検証調査の結果をお示ししたところでございますけれども、このADL維持等加算、どういったものが取りにくいかということなどをお示しするものでございます。また、初月の利用者などによりますと、認定を受けてから短い期間ですとADLの改善がより高いということをお示しするものでございます。
 55ページ目はBarthel Indexの変化についてということでございますが、現行の基準でございますけれども、そうすると多くの事業所はADL維持等加算につきましては算定していただきやすいような設定になっているということをお示しするものでございます。
 56ページ目はADL維持等加算の要件についてということでございますけれども、どういったことで算定要件を満たせないかということをアンケートしたものでございます。
 こういった現状を踏まえまして、57ページ目に検討の方向性がございます。
 4つ■がございますけれども、現行のADL維持等加算は自立した日常生活を営むための自立支援・重度化防止に資する機能訓練等の取組を行う。そして、その効果としてADLの維持・改善につながった利用者が多いデイサービス事業所を評価するものでございますけれども、対象サービスにつきまして、デイサービス事業所に限らず、同様の取組を行い、ADLの維持等を目的とするようなサービスにも拡大することを検討してはどうかということでございます。
 次の■は工夫でございまして、現行の加算でございますけれども、算定要件が複雑であるということでございます。また、評価開始時のADLによって変化の傾向が異なるということを踏まえまして、クリームスキミングを防止する観点も含めて、評価開始時のADLを考慮できる仕組みや算定要件を簡略化する等の見直しを検討してはどうか。
 そして、居宅系のサービスで通所・訪問リハビリテーションを併用している場合、併用していない場合と比べてADL維持・改善の傾向が見られているということでございまして、併用しているリハビリテーションサービスの効果も含まれるということについてどのように考えるか。
 最後の■でございますけれども、現行のADL維持等加算ではADLの情報を提出していただいている事業所については、ADL利得の要件を満たしている事業所が大半であるということを踏まえまして、より効果的な取組を行うということで、利用者のADLを良好に維持・改善する事業所を高く評価していくことを検討してはどうかというものでございます。
 58ページ目に進ませていただきます。論点マル4でございます。
 生活期のリハビリテーションは「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかけ、日常生活の活動を高めるということを掲げさせていただいております。こういった観点から、リハビリテーションにおける活動・参加の測定方法及び心身機能であるADLの評価についてどのような方策が考えられるかということでございます。
 60ページ目は通所リハビリテーションにおけるADLの状況でございます。ポイントは右側のグラフでありまして、利用開始時のBarthel Indexがどんな状態であっても大方の方は改善する傾向にあるということ。
 また、61ページ目はリハマネ加算II~IVを算定している利用者の方々はそれ以外の者と比較いたしまして、リハ開始時から6か月後のIADLとLSAが有意に改善しているということをお示しするものでございます。
 62ページ目はIADLを図るFAIという指標、また、活動範囲ということでございますけれども、LSAについての概要でございます。
 63ページ目は利用期間別にADLの改善状況を見ておりますが、長いところ、短いところとざっくり申し上げてしまいますけれども、そこでは期間によってはADLの改善度に有意差がなかったということでございます。
 64ページ目は老人保健施設の入所者の状況でございます。入所の方々もBarthel Indexが0点から100点までありますけれども、大方のスタート時のBarthel Indexの値は改善しているということが見えております。
 65ページ目は老健施設における医師の関与ということでございます。医師がセラピストに出すリハビリテーションの指示内容でございますが、左にありますように訓練中の留意事項が最も多かった。開始前にチェックすべきこととしてこういったことが指示されておると。そして、右側は指示の項目が多いとADLがより向上するということが見てとれるというグラフでございます。
 66ページ目は、前回改定で老人保健施設の入所者に関しまして導入された5段階の評価でございます。在宅復帰率等に着目いたしました5段階の評価にしたというところでございます。67ページ目はこの中で超強化型と言われる類型の施設が増えておりまして、基本型と言われる類型の施設の割合が減ってきているということをお示しするものでございます。
 68ページ目は通所リハビリテーションと通所介護の要件との比較でございます。
 通所リハビリテーション運営基準を69ページ目にお示ししてございます。その113条に入りますが、指定通所リハビリテーションは利用者の要介護状態の軽減または悪化の防止に資するよう、その目標を設定しということで計画的に行わなければならないということが示されてございます。
 70ページ目は介護予防通所リハの月額単位報酬における過去の議論でございますけれども、ここでも介護予防におきましても目標志向型のサービス提供が必要ということが言われているわけでございます。
 71ページ目が(介護予防)通所リハビリテーションの基本報酬の構造でございます。
 そして、72ページ目が、社会参加支援加算の算定と通所リハビリテーション事業所・利用者の特性でございますが、過去にお示ししておりますので割愛させていただきます。
 73ページ目でございます。利用者のADL改善と事業所の特性でございます。ざっくり申し上げまして、利用者のADLの改善が多いところと少ないところを見てみますと、大規模事業所では多いとか、短時間サービスの提供は少ない、あるいは総利用者数、要介護4~5の利用者が多いといった傾向が見られるところでございます。
 74ページが通所リハビリテーションの介護報酬のイメージでございます。
 こういった状況を踏まえまして、論点マル4に関する検討の方向でございます。
 1つ目の■でございますが、老健や通リハの利用者のBarthel Indexは大方で改善している。そして、通所リハビリテーションの利用者のADLやIADLの改善には、事業所の特性や各種加算の算定割合に関連性が認められるということでございます。
 2つ目の■は老健の5段階のことを言っております。申し上げたので割愛します。
 3つ目の■でございますけれども、介護予防通所リハビリテーションの月額報酬の過去の議論におきましては、明確な目標設定を行うことが示されているところでございます。
 4つ目の■でございます。生活期リハビリテーションは「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかけることとされているということでございまして、3行目ぐらいですけれども、入所者(利用者)の活動・参加の測定方法の在り方、及び心身機能であるADLの維持・改善に基づく評価について検討してはどうか。
 最後の■でございますが、通所リハビリテーション事業所の自立支援の機能を高めるという観点から、利用者のADL及びIADL等と事業所の特性を組み合わせた評価としてどのような方策が考えられるかというふうにお示ししてございます。
 それでは、76ページ目に進ませていただきます。論点マル5です。
 適時適切なリハビリテーション専門職の活用ということでございまして、これは生活機能向上連携加算に関するものでございます。論点マル5、地域におけるリハビリテーション専門職の活用につきまして、その専門性を効果的に活用する観点からどのような対応が考えられるかでございます。
 77ページ目は前回改定の概要でございます。現行から改定後でⅠとIIに分かれてございます。ICTを活用した類型といたしましてⅠをつくったということでございます。
 次に、78ページ目は例として訪問介護の概要をお示ししてございます。
 79ページ目が生活機能向上連携加算の要件ということでございますけれども、表にしてございます。通所介護、短期入所生活介護、特定、認知症グループホーム、介護老人福祉施設においては、訪問介護等と異なりまして、ICTを活用した場合の算定要件が設けられていないということで、これを設けてはどうかという御提案を申し上げるものです。
 そして、80ページ目に行かせていただきます。こちらは生活機能向上連携加算の変遷ということで、下に表がございますけれども、改定時にできたもの、また、27改定で入ったもの、30年改定で入ったものをお示ししてございます。
 81ページにリハビリテーション等関連の主な加算の算定率がございます。ここで申し上げますと、表の下のほう、生活機能向上連携加算ということでございますが、おおむね2%、1%、3%といった算定率になってございます。一番上に訪問介護がございますけれども、こちらはさらに低く、0.数%という算定率になっているということでございます。
 82ページ目でございます。通所介護で生活機能向上連携加算を算定していない理由といたしまして、赤で囲ってございます。外部のリハ事業所との連携が難しい、かかるコスト・手間に比べて単位数が割に合わないといったことが課題ということでございます。
 83ページ目に進ませていただきます。他事業所等のリハビリ専門職や医師と連携するに当たってのICTの活用の有無でございますけれども、ICTを活用している、今後活用する予定であるというところが、合計しますと26.6%であったということでございます。
 84ページ目は総合事業のものでございますが、地域リハビリテーション活動支援事業の概要、また、一般介護予防事業の中での地域リハビリテーション活動支援事業ということで、このようなものがあるということを御紹介しております。
 86ページ目でありますけれども、こうした現状を踏まえまして論点に関する方向性でございます。
 1つ目の■でございますが、機能訓練の提供に当たり、他事業所等のリハビリ専門職等と連携するに当たってICTを活用している、今後するという回答をしたところが26.6%を占めていたこと。
 また、通所介護から始まりますこのサービスにおける生活機能向上連携加算につきましては、外部のリハビリテーション専門職との連携を促進するため、訪問介護等におけるものと同様、ICTの活用によって行った場合も評価することを検討してはどうか。
 3つ目の■でございますが、算定要件上連携先となり得る事業所等の情報を事業所に提供するなど、連携先を見つけやすくするための方策として、自治体、都道府県、保険者が事業所間の調整を支援することを検討してはどうかとしてございます。
 あと、下に囲っておりますのは、過去の分科会でお示しした方向でございます。
 次に進ませていただきまして、87ページ、論点マル6でございます。
 現在、口腔衛生管理の取組が進んでおりますけれども、口腔衛生に関する研修の開催、食事等に係る協力歯科医療機関の参加など、取組内容への課題が見られているところでございます。施設系におきまして、より入所者の状態に応じた丁寧な口腔衛生管理を充実させるという観点から、どのような対応が考えられるかというものでございます。
 88ページ目が施設サービスにおける口腔衛生管理は現在どのような評価があるかということでございまして、主に口腔衛生管理体制加算、口腔衛生管理加算でございます。下に算定状況がございまして、体制加算はそれなりの割合で算定されているということでございます。
 89ページ目、体重減少に対する口腔衛生管理加算の効果でございます。体重減少のリスクと口腔衛生の関係を右側にお示ししてございまして、リスクはやはり歯科専門職による口腔衛生管理が実施されている場合は低いと言えるというデータでございます。
 90ページ目は口腔衛生管理と肺炎の発症リスクをお示しするものでございます。右側のグラフでございますけれども、口腔衛生管理が必要であるけれども実施できていないという場合には肺炎のリスクが上がるということでございます。
 91ページ目は入所者の歯科の受療状況でございます。定期的な受診が約1割、何かあったときに受診した経験がある者が6割ということでございますけれども、入所後1度も歯科受診の経験がないという方も3割いらっしゃるということでございました。
 次の92ページ目は割愛させていただきます。
 93ページ、検討の方向でございますけれども、先ほど91ページ目でお示ししたように、入所後全く歯科医療管理が行われていないという方も3割程度いらっしゃるということでございます。
 次の■ですが、全ての介護保険施設で口腔衛生管理体制を確保するよう促すとともに、入所者の状態に応じた丁寧な口腔衛生管理をさらに充実させるという観点から、加算の見直しを検討してはどうか。その際、CHASEを活用したPDCAサイクルの推進についても検討してはどうかというものでございます。
 94ページでございます。論点マル7、栄養ケア・マネジメントの強化でございます。
 入所者の約半数が低栄養リスクが中・高リスクの者であるということで、さらなる取組の強化が求められるという現状認識の下、次の■でございますが、低栄養状態の中・高リスク者、リスクの高い方や誤嚥性肺炎による入院が少ない施設は、多職種の連携によるミールラウンドや入退所時の栄養連携の実施割合が高いなど、丁寧な栄養ケアを実施している。また、栄養ケア・マネジメント体制を強化している施設は、在宅復帰を推進し入院を抑制している傾向にございます。
 こうした状況も踏まえながら、介護保険施設における栄養ケア・マネジメントの取組を一層強化する観点から、どのような対応が考えられるかということでございます。
 95ページに施設にサービスにおける栄養ケア・マネジメントの評価の体系をお示ししてございまして、下に算定状況をお示ししてございます。
 96ページは様式ですので割愛させていただき、97ページも過去の分科会資料でお示ししたものでございますけれども、低栄養のリスクが中程度、高程度であるという方が約半数いらっしゃいますということをお示しし、また、98ページ目には低栄養状態の中・高リスク者が少ない施設は経口維持加算の算定やミールラウンドの実施などの割合が高かったということでございます。
 99ページ目も論点で抜粋したようなことをお示しするものでございます。
 100ページも同じでございます。
 101ページ目が介護保険施設における管理栄養士の配置状況でございます。これも過去にお示ししてございますけれども、定員100名以上となりますと管理栄養士を2名置いていらっしゃるところが出てきてまいりまして、それが2割弱ということでございます。
 102ページには現行の基準をお示ししてございます。
 103ページ目、検討の方向性でございます。
 介護保険施設における栄養ケア・マネジメントの強化を図るためということでございますけれども、全ての施設におきまして入所者ごとに栄養ケア計画を作成し、計画に従って継続的な栄養管理を行うことを促すとともに、低栄養状態のリスクが高い入所者への丁寧な栄養ケアの実施や栄養ケアに係る体制の充実を図っている場合に一層の評価を行う観点から、栄養マネジメント加算や人員基準の見直しを検討してはどうか。その際、CHASEを活用したPDCAサイクルの推進についても検討してはどうか。
 栄養ケア計画につきましては様式を見直してはどうか。
 そして、上記の検討に関しては、管理栄養士の配置要件については栄養ケア・マネジメントの質の確保もしつつ、管理栄養士が柔軟な働き方ができるよう検討してはどうか。
 最後の■ですが、低栄養状態の改善を促進する観点から、必要な方に適切に継続的な経口維持や褥瘡管理に関する取組が行われるよう、各加算に係る算定期間や他の加算との併算定の要件の見直しを検討してはどうかというものでございます。
 104ページに進ませていただきます。論点マル8、多職種連携における管理栄養士の関与でございます。
 介護保険施設におきまして、多職種連携で行う取組について、管理栄養士の役割や関与の実態を踏まえつつ、さらなる推進を図る観点からどのような対応が考えられるかというものでございます。
 105ページに進ませていただきますけれども、老健におけるターミナルケア加算、褥瘡マネジメント加算、特養における看取り介護加算の算定に当たって、管理栄養士の関わりがあると回答していただいた施設が6割ということでございます。
 その内容を示唆するものでございますが、106ページでございます。高齢者の最期まで食べることを支援するということでございまして、看取り期に管理栄養士が関与していたということでございます。
 こういったことを踏まえまして、107ページでございますが、看取り期における栄養ケアの充実を図るという観点から、看取りへの対応を評価する加算において、関与する専門職として管理栄養士を明記することを検討してはどうか。
 また、褥瘡の発生や改善は栄養と大きく関わるということで、褥瘡マネジメント加算におきましても同様の対応を検討してはどうか。
 108ページ目でございます。論点マル9、通所サービス事業所における口腔機能の取組につきまして、口腔機能向上の対応が必要な利用者が分からない等の理由で低調な状況にございます。
 居宅要介護高齢者につきまして、個々の口腔・栄養状態を効率的に把握し、口腔機能低下や低栄養状態のリスクがある者を適切な口腔・栄養改善の取組につなげていくという観点から、どのような対応が考えられるかということでございます。
 109ページ目、口腔機能向上加算、現行の加算でございますけれども、している事業所が通所サービスでは12.2%であったと。それが難しい理由を右側に挙げております。利用者の把握が難しい、あるいはうまく説明ができない、同意を得ることが難しい、算定を支援していただける歯科医療機関がないといったものでございました。
 110ページは平成30年度の診療報酬改定の概要でございまして、口腔機能低下症という新たな疾患概念に対する評価をつくったということで御紹介するものでございます。
 111ページ目は通所サービス利用者の口腔状態ということでございまして、1つ目の○でございますけれども、通所サービス御利用者のうち、歯科受診の必要性があると歯科医師が判断した方は6割いらっしゃったということでございます。
 112ページは要介護高齢者の調査であります。歯科医療や口腔健康管理が必要であるという方が64.3%でありましたけれども、過去1年以内に歯科を受診していた方は非常に少なく2.4%だったということでございます。
 113ページ目は、口腔健康管理と認知症発症にも関係が見られるのではないかということがデータとしても示されてきているところでございます。
 114ページ目は口腔スクリーニング項目の開発でございまして、今年度の老健事業で作業を進めてございますけれども、これはいわゆる専門職ではない方でも口腔に関する一定のスクリーニングができるような簡便な項目を開発しているところでございます。
 115ページに検討の方向がございます。通所サービス利用者の口腔機能低下を早期に確認し、適切な管理等を行うことによりまして、口腔機能低下の重症化等の予防、維持、回復等につなげる観点から、介護職員も実施可能な口腔機能のスクリーニングの取組を進めることとし、これを評価することを検討してはどうか。
 また、当該スクリーニングでございますけれども、栄養スクリーニング加算の取組と併せて提供することを検討してはどうか。これは栄養口腔スクリーニングのような形で一体的なものにしてはどうかという提案でございます。
 116ページ目でございます。同じく通所サービスにおける栄養ケア・マネジメントであります。通所介護事業所においては一定程度低栄養の方がいらっしゃいますけれども、それを把握していない事業所が半数以上あるということであります。主な理由として、栄養状態の確認を行う体制がないとの回答が多かったこと、栄養改善サービスは該当する利用者がいないとの回答が多く、算定件数も低調であります。また、効果的に栄養改善サービスを提供するためには居宅での食生活の把握や支援が重要でありますけれども、取組は進んでいないといった状況がございます。
 こういう通所介護事業所におきましても、さらに栄養改善が必要な者を的確に把握し、適切なサービスにつなげていくという観点からどのような対応が考えられるかであります。
 117ページ以降でございますけれども、この論点にポツでお示ししたようなことをそのまま書いてございますので、説明は割愛させていただきます。
 そして、122ページ目は管理栄養士による居宅訪問を含む栄養改善の例をお示しするものでございまして、やはり居宅訪問をしておうちでの食事も御指導させていただくと改善するということがお示しされる。
 123ページでございますが、検討の方向でございます。「通所事業所において、栄養改善が必要な者を的確に把握し」と同じようなことなのでございますけれども、この栄養ケア・マネジメントの取組を進めることから、これを評価することにしてはどうかと。その際、CHASEを活用したPDCAサイクルの推進についても検討してはどうか。
 また、栄養改善が必要な者には適切な栄養管理を行う観点から、通所事業所の管理栄養士が居宅を訪問しての栄養改善サービスの取組を進めることとし、これを評価することを検討してはどうかとするものでございます。
 124ページでございます。論点マル11、認知症グループホームにおける栄養改善でございます。
 ■が4つございます。グループホームにおきましては一定数低栄養の方がいらっしゃるということでございます。そして、要介護度、認知症高齢者の日常生活自立度が重度なほど低栄養の方の割合が高い。
 グループホームには管理栄養士・栄養士の配置要件はなく、7割の事業者が不安を感じている。
 3つ目の■でございますが、一方、同一法人の他施設の管理栄養士が関与している場合は、食事等に関する困り事や不安が少ないということで、食事中の徴候・症状の発生頻度が低減し、食事摂取量が改善するという報告もございます。
 認知症グループホームにおきまして栄養改善の取組を進める観点から、どのような対応が考えられるかということでございます。
 125ページから128ページ目は、今論点でお示ししたことの裏づけデータでございます。
 129ページ目に検討の方向がございますけれども、認知症グループホームにおきまして、栄養改善の取組を進める観点から、管理栄養士が介護職員等に利用者の栄養・食生活に関する助言や指導を行う体制づくりを進めることとし、これを評価することを検討してはどうかとするものでございます。
 130ページ目に進ませていただきます。「3.重度化防止の推進等について」でございます。
 論点マル12であります。介護保険法の理念でありますが、「要介護者の尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」という理念が規定され、2つ目の■でございますが、科学的裏付けに基づく介護に係る検討会、いわゆるCHASEを御検討いただきました検討会の取りまとめにおきましても、生活の場であることをより重視した形で、例えば下の2行にありますが、食事の方法、排泄の方法、日中の過ごし方等の本人の主体性を引き出すようなケアの提供方法の重要性が指摘されているところでございます。
 3つ目は、こうしたことを踏まえまして、尊厳の保持、有する能力に応じた自立した日常生活を営むという観点で、廃用の悪循環を断ち切り、寝たきりとなることを防止する観点から、どのような対応が考えられるかというものでございます。
 132ページ目は介護保険法1条、2条、4条、5条の抜粋でございます。
 133ページ目は過去にお示ししたものでございますので割愛させていただきます。
 134ページ目も過去にお示ししてございますが、これは寝返りを打つことも困難である寝たきり状態のC2と言われる状態の方も、1年から4年後においても一定数が同様の状態にある一方で、サービスを受ける中で自立度が改善しているケースも少なからず存在しているということをお示しするものでございます。
 そして、135ページ目でありますけれども、今のデータをまた別のデータで裏づけをしてございます。
 136ページ目でございます。こちらは高齢者における離床時間と日常生活動作能力は有意に関連しているということでございます。
 137ページ目に進ませていただきまして、適切な介入によりまして、寝たきりは改善できるということをお示しするものでございます。
 138ページ目に検討の方向でございます。
 利用者が要介護状態となっても、先ほどの文言が並んでおりますけれども、医師の関与の下、リハビリテーション等の必要性や日々の過ごし方等をマネジメントし、適切に離床、リハビリテーション・機能訓練、介護等を行う取組を進めることをしてはどうか。
 具体的にはとございますが、定期的に全ての利用者に対する医学的管理の必要性や、それに基づくリハビリテーション、日々の過ごし方等についてのアセスメントを実施、ケアマネージャーさんやその他の介護職員が日々の生活全般において適切なケアを実施するための計画を策定し、それに沿って介入や介護を行う仕組みを導入し、これを評価することを検討してはどうか。その際、CHASEも活用してはどうかということでございます。
 あと2つ論点がございます。13番目が褥瘡マネジメント加算ということで、139ページ目でございます。
 平成30年度介護報酬改定のことを書いてございまして、褥瘡マネジメント加算が創設されたと。
 2つ目の■でございますが、算定施設数、取得率は増加傾向にありますけれども、現在の褥瘡の定義について捉える範囲が異なっているというような状況も見てとれるところでございます。
 また、この加算につきまして、加算を実施したことに伴う状態改善の状況も踏まえつつ、質を上げて取組を一層推進する観点からどのような対応が考えられるかということでございます。
 140ページ目は加算の概要、141ページ目が、3か月間をならしまして算定している事業所がどうかという推移を見たものでございますけれども、増加傾向にはあるということでございます。特に老人保健施設において算定率が高いような傾向にございます。
 142ページは改定検証調査のデータでございますけれども、どのレベルから褥瘡と捉えているかというところでばらつきがあるということでございます。右下にあるように、褥瘡に関しましてDESIGN-Rという分類が用いられてございまして、持続する発赤から捉えているというところが多くございましたが、真皮までの損傷というところから捉えているところもあったということでございます。
 143ページ、検討の方向でございます。
 褥瘡マネジメント加算に関しまして、施設の毎月の取組を評価するという観点から、今は3月に1回ですが、これを毎月にしてはどうか。
 2つ目の■でありますけれども、こちらは褥瘡の状態改善(アウトカム)への評価を行うこととしてはどうか。そのときにCHASEを活用したPDCAサイクルの推進についても検討してはどうか。
 3つ目の■でございますが、褥瘡の定義や評価指標を標準化、統一してはどうかということでございます。
 最後の論点でございます。論点マル14、排せつ支援加算でございます。
 平成30年度の介護報酬改定におきまして、文章が並んでおりますが、排せつ支援加算が創設。
 2つ目の■でございます。老健施設で一定程度加算が取得されているということで、一方で、介護老人福祉施設等では加算の取得が進んでいない。
 3つ目の■でございます。加算を取得し、そのサービスを実施したことに伴う状態改善の状況等も踏まえつつ、質を上げて取組を一層推進する観点からどのような対応が考えられるかであります。
 145ページに算定率をそれぞれの施設ごとにお示ししてございます。
 146ページに排せつ支援加算の概要をお示ししてございまして、毎月100単位ということでございます。また、排泄に係るガイドラインなどを参考にということでございます。
 そして、148ページには排せつ支援加算に関する意見が提出されているところでございます。
 こういった状況を踏まえまして、最後の149ページ、検討の方向でございます。
 1つ目の■でございます。排せつ支援加算は医師等が改善が期待できると判断した者が対象ということでございますが、排泄状態の改善が期待できる者を漏れなく支援していく観点から、全ての入所者に対するスクリーニングの定期的な実施を求めることを検討してはどうか。また、継続的な取組を促進する観点から、現行6か月に限って算定可能とされているところ、継続して算定可能とすることを検討してはどうか。
 2つ目の■です。排泄支援の取組への評価に加えまして、排泄状態の改善(アウトカム)への評価を行うことを検討してはどうか。その際、CHASEを活用したPDCAサイクルの推進についても検討してはどうか。
 最後の■です。アウトカムの評価を行うに当たっては、統一的に評価することが可能な定義・指標を用いることを検討してはどうかということでございます。
 長くなりましたが、御説明は以上でございます。
○田中分科会長 論点が20個もありましたが、大部な説明をありがとうございました。
 では、ただいま説明を伺った事項について、委員の皆様から御質問、御意見を伺います。途中で休憩を入れます。
 小玉委員、どうぞ。
○小玉委員 田中分科会長、ありがとうございます。
 私からは、本日、資料2「自立支援・重度化防止の推進」につきまして、4点論点に沿った意見と要望を申し上げたいと存じます。
 初めに、14ページ目からの論点マル1、介護の質の評価と科学的介護の推進でございますけれども、34ページ目に検討の方向が示されてございます。この2つ目の■につきまして、CHASEの収集項目と利用者への計画書作成、ケアの実施評価改善といった一連のPDCAサイクルへの上乗せの取組に個別機能訓練、口腔衛生管理加算、栄養マネジメント加算を一体的に実施してケアの質の向上に取り組むことへの評価はとても重要だと思います。
 そして、3つ目の■にありますように、各サービスがどのように健康や要介護、要支援状態の維持に影響があるかを分析・評価して、介入の工夫等をPDCAサイクルで繰り返して、よりよい質の高いサービスにつなげることを期待いたしております。効果的な分析のためには一定数以上の施設のデータ入力が重要となってくると思いますので、実効性が上がるように、現場の意見を聞きながら、分かりやすい説明、また、使いやすい様式、問合せの窓口の設置などの検討をお願いしたいと思います。
 続きまして、2つ目でございます。42ページ目の論点マル2、リハビリテーション・機能回復、口腔・栄養の一体的な運用についてでございます。
 ここの1つ目の■に各専門職を必要に応じて追加することの検討と記されてございます。この前の40ページ目、41ページ目の表にその他の職種と丸められているところは、ここに示されてございますように、栄養士、歯科衛生士等明記していただければより分かりやすく取組が進むのではないかなと思ってございます。
 また、同じく42ページ目、2つ目の■につきましては、リハ、口腔、栄養の連携は極めて重要と考えます。例えば食べるという日常生活動作ができるようになるためには、スプーンを持って体幹を維持するためのリハビリテーション、同時に摂食、嚥下、そしゃくといった口腔機能回復のリハビリテーション、機能に合った食事形態の提供等、複数の要素への対応と評価が必要になってくるわけでございます。
 また、施設には歯科診療所から訪問して、個室や洗面所の前での治療ということがありますけれども、リハビリにつきましては、リハビリテーション室などでの対応ということになると、現場が異なるということがありますので、一体的な記入ができる様式をもって計画概要や職種間での対応の共有・理解が進むことが非常に大事なことではないかなと思ってございます。
 3つ目でございます。93ページ目の論点マル6、介護保険施設における口腔衛生管理についてでございます。
 1つ目の■に口腔衛生管理の取組の状況がありますけれども、口腔衛生管理体制加算を算定していない施設でもあっても、何らかの口腔ケアは行われているものと思います。しかし、その取組がどのようなものであるか、また、それぞれの施設での口腔ケアの取組が歯科医学的にどのようなものであるかということが分かりにくい面があるかもしれませんので、例えば協力歯科医等の専門職に適宜相談できるような体制づくりが重要であろうかと思います。
 2つ目の■でございます。各施設の入所者の口腔の状態に応じて必要な口腔ケアも異なってまいりますので、口腔衛生管理につきましてはどのような対象者にどのようなサービスをどのように工夫しながら行い、その結果がどうであったかということを施設ごとに考えていただきながらの取組が重要であろうかと思います。
 また、92ページ目には介護保険施設等における歯科専門職の口腔衛生管理等への取組の状態が示されてございますけれども、右下の表にあるとおり、協力歯科医療機関に行ってほしい業務と実際に行っている業務の取組については、将来的にはそれぞれの施設で必要な項目についての取組を行っていただいて、さらにPDCAを回すというような展開がよいかなと思っているところでございます。
 最後、4つ目でございます。108ページ目に論点マル9、通所サービス事業者の口腔機能の向上についてでございます。
 入院や入所の前には、自ら歯科診療所に通院する方々が多いわけでございますけれども、一時体調を崩されたり、また、要支援、要介護状態になられて入院されたり入所されている間に口腔に課題があれば、病院や施設でスタッフの方々がいろいろ努力されて口腔管理が維持されるということが多いと思います。しかし、退院されたり退所された後に自立度が下がったりする場合であれば、介護力が小さくなっている生活環境の中で、口腔ケアが不十分になったり、口腔状態が悪化してもすぐに治療できずに放置してしまうということがあるかもしれません。
 そこで、108ページ目で1つ目の対応と示されてございますけれども、115ページの1つ目の■にあるように、居宅で療養される方々の口腔状態を簡便にスクリーニングするサービスを新設することについては賛成でございますし、また、スクリーニングが効果的に提供されるように要望したいと思います。
 さらに、スクリーニングを実施した後の流れや道筋を分かりやすく示していただきたいと要望いたします。具体的には、スクリーニングの後の状態をもって必要な社会資源への連絡、また、連絡方法、連絡先を施設職員の方々に負担にならないようにできるような状況をつくっていただきたいと思います。利用者さんが入所される際に、かかりつけ医の先生や薬剤師さん、かかりつけ歯科医などの受療状態をケアマネジャーさんが把握されていれば非常に円滑に進むと思いますけれども、かかりつけ歯科医がいらっしゃらない利用者の方々や、療養に際して転居され、これまで受療していたかかりつけ歯科医へ受診することが困難な場合にあっては、地域の行政や歯科医師会との連携をもって、そういったところの情報提供やスクリーニングの後の処置に円滑につながるような体制の整備が必要かと思いますので、その点、私どももいろいろと尽力してまいりたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 ちょっと長くなりましたけれども、以上です。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 小泉委員、安藤委員、石田委員の順でお願いします。
○小泉委員 ありがとうございます。
 まず地域包括ケアシステムの推進のところにおきまして、論点マル1でございますが、認知症専門ケアのケア加算の訪問系サービスへの拡大は行うべきと考えます。認知症実践リーダー研修及び認知症介護指導者養成研修は、eラーニング等による受講等を考慮すべきと考えます。
 24ページの論点マル2に当協議会の意見が掲載されておりますが、御利用者の生活背景を踏まえた関わりや栄養・排泄ケア、減薬等による対応等で状態は随分落ち着くことがございます。そうした現場での取組を評価していく観点で、精神科医や協力医療機関等の医師による脳疾患の鑑別診断による連携や、認知症に関する情報の提供に関する取組を評価していただくべきと思います。
 また、BPSDケアプログラムを参考に多職種連携による観察評価、背景要因の分析、ケア計画への反映、実行というストラクチャープロセス評価を勘案していただきたいと思うのですけれども、説明がなかなかうまくできないのですが、2分15秒ほどこの説明をさせていただきたいと思います。
 BPSDへの対応につきましては、認知症BPSDケアプログラム、NPIの導入により、手順に従い的確に対応すれば、BPSDの軽減が見込まれるケースがございます。
 背景疾患の鑑別診断をまず行います。診断により、背景にある疾患ごとにBPSDの状況も異なりますので、診断を念頭に置いた対応を図ることが可能となります。BPSDの発症の要因を評価・分析し、要因に応じたケアの方法や環境の調整等を行っていくことが可能となります。
 例えば認知症BPSDの中に徘徊がございます。徘徊には幾つかの種類があり、落ち着きがないとか夕暮れ時に不安を感じる、不眠、場所の見当識障害、ここは家ではないといった場所・状況の誤認、同じ行動を繰り返すといったことが挙げられます。ここは家ではないといったような誤認はレビー小体型、アルツハイマー型に特徴的です。鑑別診断でその疾患に由来していることが把握でき、その後、介護の体制をどうするか検討することが可能となります。徘徊の中でも、同じ行動を繰り返すようなケースは前頭側頭型認知症に特有で、単に日課や習慣のように行われているケースが多くあります。この場合は早期の段階で危険な行動を繰り返さないように働きかけることや、徘徊のコースや行動の安全を認識するなどにより対応ができれば、大きな問題になる場面が押さえることが可能となります。
 認知症BPSDでケアプログラムの流れである鑑別診断からの症状の背景を探り、専門職種が行動し、得た情報を生かしてケアに活用し、NPIで評価していく仕組みを報酬上も評価できれば、社会にとっても有益と考えます。
 老施協のほうでは、平成25年からモデル事業でNPI-NHを現場で使ってきた実績がございますし、東京のモデル事業や老健事業でもNPIの可視化によるPDCAサイクルの導入に効果があることが実証されていますので、よろしく御検討いただきたいと思います。
 次に、論点マル3でございますけれども、認知症介護基礎研修をeラーニング化した上で無資格者に研修の受講を義務づけるべきで、経過措置も必要かと考えます。
 論点マル4でありますけれども、ACPの内容に沿った計画書を作成し、実行した場合に、その取組について加算で評価すべきと考えます。従来は看取り介護計画書を作成していましたが、様式はACPの内容に沿った内容が含まれていることを要件とする必要があると思います。加えて、特養については、ソーシャルワーカーの関与や看取り前31日以上の関わりを評価する等も検討いただきたいと考えます。
 論点マル6でございます。特別養護老人ホームの基礎報酬を定員別に設定する件については、これを認めてしまうと、他のサービスも同様に全て規模を考慮しなければなりませんし、同じサービスであれば費用負担は同一であるべきですが、定員規模別により利用者負担が変わること、報酬体系を簡素化する声が強い中で複雑化にもなること、スケールメリットを生かして効率的な事業運営を求められていることへも逆行する等の課題があるため、反対と意見をさせていただきます。
 次に、自立支援・重度化防止の推進であります。
 論点マル1、介護の質の評価と科学的介護の推進でありますが、現段階ではVISIT・CHASEのデータの提出とその活用を評価すべき段階と考えます。CHASEに関する体制を整え、取組を行うことを評価する方向でよいと考えます。
 論点マル2でございますが、各計画書を一体的に記入できる様式の作成は、合理化の面でも有効と思われますので、推進すべきと考えます。また、ケアプランの一部として運用するべきと考えます。
 論点マル3でありますけれども、ADL維持等加算は取得率が2.38%であり、当面、取得率のアップを目指すべきと考えます。算定率拡大のためには、要件の緩和と退院数の見直しが必要と考えます。また、ADLの評価を行うことが望ましくないサービスもあるため、まずは通所系サービスを中心にADL維持等加算を浸透させ、その上で居住系サービスに広げていくなど、段階的な拡大が必要と考えます。
 論点マル6ですけれども、歯科衛生士等の口腔衛生管理への関与は、その効果が導入施設で実証されています。CHASEにおいても、各論的項目の口腔においては歯科衛生士等の関与が必要となりますので、歯科衛生士等の雇用、契約が推進されることが望ましく、推進に当たり契約、採用し体制が整っていることに対して加算で評価すべきと考えます。
 論点マル8でありますけれども、管理栄養士が看取り及び褥瘡マネジメントに関与することは非常に有効ですので、両加算の算定において関与すべき専門職として位置づけるべきと考えます。
 論点マル9です。介護職員が行う口腔機能スクリーニングの取組は利用者のためには有益であると思われますが、歯科衛生士等のフォローの下に実施すべきであると考えます。
 論点マル10でございます。管理栄養士と介護職員等の連携による栄養ケア・マネジメントの取組は有効であると思われますが、管理栄養士のフォローの下に実施すべきであると考えます。このため、実施に際して、管理栄養士が本体施設の管理栄養士との兼務を可能とするなど、配置要件の緩和など取組が進みやすい形にしていくべきと考えます。
 論点マル11における認知症グループホームにおける栄養改善についても、同様の配置要件の緩和をすべきと考えます。CHASEの実施において、医師、看護、介護、管理栄養士、歯科衛生士、生活相談員、リハ職等が各分野を担当し、チームケアの土台として位置づけるべきであり、定期的なカンファレンスを経てPDCAを機能させていくべきと考えます。会議の在り方や記録についても、この機会に機能性を重視して、全てを見直していくような形を取ってはいかがかと思います。
 以上でございます。長くなりましてすみませんでした。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
 私から、まず特別養護老人ホームの定員規模別の報酬設定について意見を申し上げさせていただきます。
 以前よりこの分科会でも申し上げておりますが、限られた人材や財源で十分な介護サービスを提供するためには、特に地方等において分散しているサービスを集約し、利用者のニーズを十分に踏まえた上で重点的な体制整備や施設の多機能化などを進める等、効率的なサービス提供の在り方を検討すべき段階に入っているのではないかと考えております。
 また、今回、骨太の方針等におきましても、介護の経営の大規模化・協働化が目標に掲げられておりまして、小規模な施設の設置を促進するような今回の介護報酬の見直しにつきましては基本的には反対でございます。その是非については慎重に検討すべきであると考えております。
 次に、介護の質の評価と科学的介護の推進ですが、資料2の14ページの介護の質の評価と科学的介護の推進に関する論点について意見を申し上げさせていただきます。
 科学的介護を推進する観点から、VISITを参考にCHASEによるPDCAサイクルの推進、ケアの質の向上を図ることや、VISIT・CHASEを一体的に運用する観点から、VISITの対象を拡大していくことなどについては、基本的に賛成でございます。
 その上で、現行、リハビリテーションマネジメント加算IVにつきましては、VISITの加算が算定要件となっておりますが、今後はほかの加算等についてもVISIT・CHASEを活用したデータ提出やフィードバックを算定要件とすることを検討すべきであると考えております。その際に、これまでの資料で事業所におけるデータ収集や提出について負担感が大きいといった課題があったかと思いますので、介護職員の負担軽減を図りつつ、必要な情報を確実に収集できる仕組みを御検討いただくとともに、事業所にとってメリットを感じて活用してもらえるよう、フィードバックを活用したケア内容の改善等に関わる好事例の共有等にも取り組んでいただきたいと思います。
 また、今回のVISIT・CHASEを使ったICTの活用なのですけれども、今回の資料の83ページにリハビリ専門職や医師等と連携するに当たってのICTの活用の有無の調査結果が出ておりまして、その中で55.4%の方たちが活用する予定はないと言っている現実はあります。ここの部分の現実とVISIT・CHASEの活用方法をどういうふうに関わらせて実際的に運用をしていけるのかということも非常に大事な点であると思います。
 続きまして、ADL維持等加算等について意見を申し上げます。
 高齢者のQOL向上の観点から、ADL維持の維持・改善等のアウトカム評価を通所、リハビリテーションなど他のサービスに拡大していく方向につきましては賛成でございます。その上で、ADL維持等加算におけるADL利得が要件としてしっかりと機能するよう見直すことが必要であると考えます。
 具体的には、現行、要介護度に関係なくゼロより大きいか小さいかでカウントをしていますが、利用者のサービス利用開始時の状態により、改善度に差があるようですので、要介護度を踏まえたカウントの仕方が考えられるのではないかと思います。その際、ADL利得が上位85%の者をカウントする現行の方法がよいのか、あるいは全利用者をカウントする方法がよいのか等、併せて御検討いただきたいと思います。また、ADLの維持・改善に特に寄与することがデータ上明らかな加算等がある場合には、そうした加算等を取得していることをADL維持等加算の要件とすることも御検討いただきたいと思います。
 最後に、通所サービス利用者口腔機能の向上について意見を申し上げさせていただきます。
 高齢者の健康を維持・増進する観点から、口腔機能の維持・向上を図ることの重要性については理解しております。また、資料2の108ページにつきまして、介護職員による口腔機能のスクリーニングを推進することは方向性としては理解いたしますが、スクリーニングを行うだけではなく、その結果を活用し、一定の基準に該当する利用者に対して必要なサービスを提供することや、歯科医療機関につなげることなどが重要であると考えます。
 109ページの算定を支援してくれる歯科医療機関がないというところが24.2%、4つに1つの施設がそういうところがないということを考えますと、本当に活用していただけるのかなと思いますが、スクリーニングを実施したものの、その結果を十分に活用できないといったケースが発生する危険性があると思いますので、活用方法を明確化した上で具体的なサービスな治療等につながった場合に評価するなど、確実に口腔機能の向上につながる仕組みを検討すべきであると考えております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 次は石田委員、お願いします。
○石田委員 よろしくお願いいたします。
 私のほうからは、資料1から1点と資料2から4点意見を申し上げたいと思います。
 まず資料1、地域包括ケアシステムの推進についてですが、論点マル2です。BPSDへの対応に関する取組状況といったものを情報公表して、利用者がちゃんと確認できる仕組みをつくっていくことはどうかという提案について、先ほど小泉委員のほうから詳しい御説明もありましたが、そういったことについて利用者がしっかり把握できるということは非常に重要なので、これはぜひ進めていただきたいと思います。
 もう一点、看多機や小多機において、そのほかの施設と同じように認知症行動・心理症状緊急対応加算の対応は認めていくということに賛成したいと考えます。
 次は資料2です。
 まず論点マル2です。リハビリ機能訓練と口腔・栄養の一体的な運用について、一体的に記入できる様式を検討していきたいというようなことはぜひ進めていってほしいと思うのですけれども、論点7にもつながるのですが、この場合に、リハや口腔・栄養に関連した様々な複雑な加算についてももう一度改めて整理をして、統一した形で少しシンプルなものができないかどうか、ぜひ検討していただければと考えております。
 論点マル5です。生活機能向上連携加算についてですが、ここの※に入っているところ、サービス提供責任者とリハ専門職がそれぞれ利用者宅を訪問して協働してカンファレンスを行う要件に関して、提案があったように、サービス担当者会議によることを可能とするとなっておりますので、これはぜひそれも可能とするという形で進めていただきたいと思います。
 それから、論点マル10、もう一つ、マル11にも関連するのですが、通所のサービスにおいて、また、認知症グループホームにおける管理栄養士の活用といいますか、役割の重要性ということで、通所の場合にも管理栄養士が居宅を訪問して栄養改善サービスをするということを評価してはどうかという提案についてです。ぜひそういったことは進めていただきたいとは思いますけれども、実際にこういったことを考えるときに、現場で管理栄養士の数は十分足りているのかどうか。例えば配置要件を緩和するのみで十分なのかどうか、今後は複合的な専門職の関与は非常に重要になってくると思いますので、そういった専門職の配置基準といいますか設置の人数も改めてしっかり考えていく必要があるのではないかなと考えます。
 最後に、資料2の論点マル1です。VISITやCHASEにありますように、介護の質の評価を科学的介護としてしっかり確立してきちんと数値化し、誰にも分かるように見えるようにしていこうということは非常に重要なことと思います。こういったところからフィードバックがちゃんと行われて、ケアの質の向上が図られる。介護報酬上の効果もちゃんと数値で表されて検討ができるということで、これは重要なことだと思いますけれども、そもそもということなのですが、どうしてこの科学的介護というのが必要なのか、目指していくべきかというところです。本来、一番重要な目的は、介護を必要としている全ての人が平等な形で質の高いケアを安心して受けられる状況を目指すということではないかと考えます。この基本的な視座がときに影が薄くなってしまうことがないよう、数字、数値、確率(パーセント)などを追いかけることが目的にならないように、常に原点に返って、ケアを受ける側が、安心して専門家に任せられるケアを平準的に確保するためのプログラムであることを改めて申し上げておきたいなと思っております。
 そして、そのときに、現場の業務負担の加重化を極力防いでいただくために、プログラムの入力作業については、ぜひ可能な限り簡素になるよう開発していただきたいと思っております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 間利子参考人、伊藤委員、今井委員、そこで休憩を取ります。では、今から3人お願いいたします。
○間利子参考人 ありがとうございます。
 幾つか資料に沿って申し上げたいと思います。
 まず地域包括ケアシステムの部分ですけれども、最初に64ページの看取りへの対応の部分でございます。看取りの対応の重要性自体は理解していますけれども、例えば63ページにあるように、既に看取りやターミナルケアに関連した加算はかなり充実しているような状況にあると理解しておりまして、これ以上の充実が果たして必要なのかどうかということは若干疑問が残るところです。仮に、さらに何か上乗せの評価をしていくことが必要であるならば、例えば当該事業所で最後の看取りまで完結させるというようなところなどに限定していくべきではないかと思うところでございます。
 それから、80ページ目の特養の定員規模別の報酬設定は、既に御意見がありますように、基本的には介護保険制度の効率的な運営を目指していくという観点からも、まさに骨太の2019にあるような経営の大規模化を追求すべきと我々も考えていますので、こういった視点からしますと、規模別の報酬設定はなかなか賛同できないと思っております。
 続きまして、自立支援・重度化防止の視点ですけれども、今回提案のある中で、大きくは利用者の自立支援を進めていくために、状態改善や維持に着目して評価をしていく方向性、例えば57ページなどの方向性については大きく賛同するものでございますし、併せて、CHASEやVISITを活用したデータの収集・分析、フィードバック機能の推進につながる提案についても我々としては賛同するものでございます。なお、CHASEに関しては、過去にも発言していますように、ある種政策誘導的に定着するまでの間というような初期のインセンティブだというところを強調しておきたいと思います。
 こうした前提を踏まえまして、さらに幾つかの視点から指摘をしておきたいと思います。
 1点目は、これも従来から我々主張していますように、やはり具体的な指標や数値に基づいてアウトカムが改善するといった評価に軸足を置いていくべきだと思っております。この観点から申し上げますと、例えば143ページの論点13の検討の方向で提起されております褥瘡マネジメント加算などについても、全体の検討の方向性に大きな異論はないのですけれども、この辺も従来あるプロセス評価から、どちらかといえばアウトカム評価を重点的に評価していくといった体系にシフトしていくべきだと思っております。
 それから、2点目の視点として、これはどちらかというと確認あるいは質問になるかと思うのですけれども、今回提案があった中で少し評価に重複があるように見える論点があって、その点をまず確認させていただければと思っております。
 例えば34ページの論点1の介護の質の評価と科学的介護の推進に関する部分なのですけれども、2つ目と3つ目のVISITの評価は利用者ごとと事業者ごとに評価するとの提案だと受け止めております。恐らくそれぞれのアプローチが違うために、評価を分けるということだと思うのですが、ただ、受ける側からしてみると、効果というのが、利用者ごとであっても、最終的に事業者全体としてもですけれども、違いが分からないような気がして、この辺、具体的にどういう効果の違いがあるかということを後ほど御説明いただければありがたいと思っております。
 それから、138ページの論点12の寝たきり予防・重度化防止のためのマネジメントは、重要性を否定するわけではないのですけれども、まさに、例えば通常のケアプランの作成ですとか、そういった中で既に行われていることなのではないかとは思うのですけれども、この辺、例えば通常のケアプランの作成といったプロセスとの違いがもしあれば、ぜひ教えていただきたいということが一つです。
 3点目の視点として、今回、口腔や栄養に関する提案はかなりボリューム感が大きいように感じていますけれども、その中で特に体制やプロセス面での新たな評価の追加が幾つかあるように理解しています。こうした点に関連して、仮にこれを評価していくということであれば、全く新しく独立して新たな加算などを立ち上げるというよりも、既存の加算のスクラップ・アンド・ビルドですとか、あるいは今ある加算の上位区分の設定などという形を取りつつ、全体的によりよいサービスを提供するようなところを財政中立の形で対応していくということを検討するべきではないかと思っております。
 例えばですが、93ページ目の論点マル6に関連して、口腔衛生管理加算というもの、これは介護職員に対する技術指導の体制評価部分の加算と、入所者に対する直接的なケアへの評価というのが2つあるのですけれども、前者の体制評価というよりも、直接的に入所者に対するケアというところを評価する形に一本化していくということも考えたほうがいいのではないかと思っております。
 それから、これも関連してですけれども、115ページ目の論点9の通所サービス利用者の口腔機能の向上ですが、これも重要性から鑑みれば、評価というよりもむしろ既存の関連する加算といったものの要件として組み込むことも検討してはどうかと考えております。
 私からは以上でございます。
○田中分科会長 質問が2つ含まれておりましたが、お答えください。
○眞鍋老人保健課長 御質問を2ついただきました。
 まず、資料2の34ページでございます。2つ目の■と3つ目の■でございますけれども、大きく分けて2つ目は御利用者様ごとの加算を考えておりまして、CHASEに例えば口腔や栄養、嚥下、認知症に関しましてデータを入れていただいて、それに基づくフィードバックとケアの改善といったことを御利用者様ごとに評価すること。また、3つ目に関しましては、事業所ごとでトータルで入所者の方々、御利用者様の方々にパッケージでCHASEにあるような情報を入れていただくこと自体を評価していく。もちろんフィードバックをしてケアが改善していくということ、PDCAを回すことが前提なのですけれども、それを評価してはどうかと考えてございます。
 それがまず1つ目の御質問に対する回答になるかと思います。
 それから、2つ目でございますけれども、138ページでございます。こちらの加算、通常のケアプランと違いはあるのかという御質問でございました。ここはその後に続きます排せつ支援加算や褥瘡マネジメント加算がございます。こういったことと同様に、通常のケアで実施している以上の取組を何らか評価できないかと。日中の過ごし方ですとか、CHASEの検討会でも言われていたようなことを何らか具現化できないかということで御提案しているものでございます。
 回答は以上でございます。
○田中分科会長 では、今井委員、どうぞ。
○今井委員 私でよろしいでしょうか。
○田中分科会長 私が今指名してしまったので、今井委員から行きましょうか。今井委員、伊藤委員でお願いします。
○今井委員 民間事業推進委員会の今井でございます。
 私のほうからは、2点ほど意見を申し上げます。
 まず1点目、資料1の地域包括ケアシステムの推進の看取り関係でございます。論点マル4の看取りへの対応についてですけれども、これは前々回の給付費分科会の中でも申し上げたのですが、在宅での限界点を高める視点、また、看取り期における介護職員の利用者、家族への関与、関係性で、やはり看取り期に果たす介護職員の役割は非常に大きいと思っております。
 しかしながら、61ページに小規模多機能の職員の記載がありますけれども、60%以上の職員に知識がないというような結果。これは以前指摘させていただいたのですけれども、介護職員を対象とした研修会等がないのが実情であると思っております。したがいまして、加算の創設は賛成いたしますけれども、セットで国のほうでも研修会の実施体制や受講環境の整備の仕掛けづくりをお願いしたいということが1点でございます。
 2点目でございます。資料2の自立支援・重度化防止のADL維持等加算について意見を申し上げたいと思います。
 このADL維持等加算の検討の方向案について異論はございません。しかしながら、この加算の取得率を高めるためには、検討の方向案に記載がありますけれども、算定要件の簡略化だけではなくて、やはり介護職員の事務処理の負担、日々の利用者管理を適切に評価する。それに見合う報酬に引き上げること、すなわち単位数の引上げを強くお願いしたいと思っております。
 以上2点、意見を申し上げました。以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 伊藤委員、お待たせしました。すみません。お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 そうしましたら、まず資料1の論点マル1、認知症専門ケア加算について、訪問系サービスにおいても加算の対象とすることが提起されていますけれども、訪問系サービスにおいては非常勤の職員が多くて、事務所に必ずしも毎日出勤するとは限らないということもありますし、個人が実際に居宅に伺うということで、事務所でなかなか利用者やケアの実態を把握しにくいという特徴があると聞いています。要件設定に当たっては、そういうようなことを考慮する必要があると思います。
 それから、論点マル3の認知症介護基礎研修なのですけれども、これ自体を否定するつもりはないのですが、無資格者が受けるべきことというのは、知識より介護サービスの技術そのものをまず身につけることが重要だと現場から多く聞いています。ですので、併せて無資格者に対する介護技術の研修もぜひ進めていただきたいと思います。
 それから、64ページ、論点マル4、看取りへの対応が充実するというのはいいことだと思っていますが、看取り介護加算やターミナルケア加算は死亡を起点として遡って算定するという性質ですので、利用者家族の理解が得られにくいと聞いています。期間を延ばすとなると、より丁寧な説明を行い、理解をしていただく必要があると思います。
 あと、看取りに関する加算を充実させるにあたっては、手順としては、現在、ターミナルケア加算や看取り介護加算を取得している事業所で、本人の尊厳に配慮したケアがどのように行われているのか、また、どういうような状態だったのかということを調査する必要があると思います。どういうことが行われているかを調査することで、その加算が正当化され、加算の意味合いが明確になると思います。
 看取り介護加算などは回復の見込みがない入所者が対象になっていると思います。ターミナルケア加算は末期がんが対象となっていますが、例えば老衰だとか、がんではないのだけれどもだんだん弱ってきていて心不全で亡くなったというような場合は看取り介護加算の対象になるのかいうことが分かっていないので、教えていただければと思います。
 それから、論点マル5の地方分権提案なのですけれども、まず、訪問看護ステーションの人員配置基準を「従うべき基準」から参酌基準にするということについては、小多機の定員のところでも発言しました。かつて、とはいえそんな昔ではないですが、厚労大臣が、高齢者の処遇の生活の質を一定以上にするために「従うべき基準」は定めているのであって、自治体の裁量を認めるべきではないのだと、答弁していました。これは非常に適切な考えだと思っています。そういうことからすると、参酌基準にすることは適切ではないと思います。
 他方、特例居宅介護サービス費については、特別地域加算を取らずに申請できるようにするという提案かと理解しましたけれども、働く人の処遇を含めて、事業者のサービス提供がこれで行われるのかも心配なところです。安定的なサービスを提供するということが今回の提案の本旨なのだろうと思いますが、本末転倒にならないように考える必要があると思います。
 次に、論点マル6の地方分権提案です。特別養護老人ホームの基本報酬について、80人以下の区分をつくることについては、安定的経営のための大規模化と相反するとの説明は、確かにそうだと思うのですけれども、経営の安定ということも重要ではありますが、やはりケアの質の確保とそのための人員配置が守られることが重要だと思っていますので、経営が安定することが第一義ではないということは言っておかないといけないと思っています。
 また、実態として、人員確保難で定員いっぱいまで入所がさせられないような特養もあると聞いています。そういう実態もある意味不効率ということになるかもしれないので、実態を詳細に踏まえて検討していく必要があると思います。
 次に、資料2です。
 論点マル1のVISIT・CHASE等による科学的介護の推進ですけれども、CHASEの利用促進が狙いだということは分かるのですが、大変枠組みが難しくて十分理解できていません。間利子参考人がさきほど指摘したことと同様のことを私も感じています。利用者単位と事業者単位ということで、利用者単位の取り組みの評価というのは、資料2の後半に出てくる口腔衛生管理加算や栄養ケア・マネジメント加算、寝たきり予防の加算、褥瘡マネジメント加算、排せつ支援加算に共通して書いてある「CHASEを活用したPDCAサイクルの推進」ということを意味しているのでしょうか。もしそうだとしたら、事業所単位の加算が重畳するということもありますし、また、利用者単位として挙げられている加算それぞれについて、データ提出加算をさらに重複して取得できるのかなどという点もよく分かりません。利用者単位、事業所単位については私が言ったような理解でいいのかということを教えていただきたいと思います。
 これは分かりにく過ぎますし、まずはデータ提出の基盤であるソフト連携ができるように支援の強化をすることが必要です。27ページに資料をつけていただいていますけれども、医療分野ではオンライン資格確認の認証つき端末を配付したりしていますが、介護分野でも強力にやっていかないとなかなか進まないと思いますので、支援を進めていただきたいと思います。
 それから、57ページのADL維持等加算ですけれども、これを通所介護に限らず拡大するというときには、利用者が複数のサービスを併用している場合に、Barthel Indexの評価を事業所間ですり合わせるというようなことが必要になってくるのではないかと思います。利用者に対する評価に不整合が起きるとややこしい話になると思いますので、そういったことも検討する必要があると思います。なお、算定要件の簡略化については、クリームスキミングの防止については引き続き確実にビルトインすべきだということは申し上げておきます。
 最後です。138ページの寝たきり予防です。こちらについては前にも一度お話ししていますけれども、今回、施設系サービスにおいて評価するという提起でありますが、訪問系サービスでもこういった離床を促すような取組を行っているということも聞いておりますので、広く検討していただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 では、伊藤委員の質問にお答えいただいたところで休憩を取ります。お願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 まず、ターミナルケア加算と看取りの加算の対象者でございますけれども、例で申し上げますと、資料1の56ページにターミナルケア提供者の定義がございます。その中でマル1からマル3とございますけれども、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した者ということでございまして、こうした基準を介護報酬上も引用してございまして、特にがんに限ったということではないと思っております。まずこのように考えております。
 次のVISIT・CHASEの統合したデータベースに関する評価に関するお尋ねでございますけれども、伊藤委員から御質問いただいたとおりで、資料2の後段にありますように、それぞれCHASEを利用したPDCAサイクルというのは利用者個人を想定しております。また、事業所全体でと申し上げておりますのは、事業所全体の取組を改善していくことにつなげる評価と思っておりまして、事業所単位、利用者単位ということでございます。また、併算定できるかどうかという技術的な課題に関しましては、おおむね御議論をいただいてから、私ども、そこはテクニカルに詰めていきたいと考えているところでございます。
 以上です。
○田中分科会長 お答えありがとうございました。
 それでは、3時5分まで休憩を取ることにいたします。
 
(休  憩)
 
○田中分科会長 では、再開いたします。
 御意見のある方は挙手をお願いします。
 鎌田委員、それから東委員、お願いします。
○鎌田委員 ありがとうございます。認知症の人と家族の会の鎌田です。
 まず、資料1の認知症関連の加算についてです。認知症への対応力を強化するため、様々な加算でケアの質の向上が図られているような取組は本人、家族にとってはありがたいです。しかし、現実にはまだまだです。当会の電話相談にはテレビ番組を認識し楽しむことができなくなっている母に、コロナ感染予防のため、自室で過ごすため、テレビの購入を依頼されたとの怒りの電話相談がありました。このような事業所は少なくなっていると思いたいのですが、認知症対応力向上に関する各種の認知症専門ケア加算の取得状況の数字を見ますと、グループホームですら2割でほかの施設は1%にも満たない現状ですので、先ほどのようなことも致し方がないと家族は思いますが、悲しいです。
 加算要件である実践者リーダーや指導者養成研修修了者は、今回示された数字では合計で7万8000人で、離職者もいるでしょうから、全介護保険事業所に配置できる数字ではありません。eラーニング受講などで修了者が増えるような取組とともに、認知症認定看護師など、認知症を専門する看護師との定期的な連携や、ほかの認知症ケアでの資格なども要件に加えることはできないのでしょうか。認知症専門ケア加算の取得がもっとスピード感を持って進むよう、取得しやすい要件としていただきたいと思います。
 また、研修は全てeラーニング化するとなっていますが、受講でも現場でも実践の中でまだ見ぬ課題が出てきたときに、そのような支援体制があるかが重要だと思います。特にホームヘルプサービスでは、直行直帰型のホームヘルパーへのバックアップ体制に不安があります。利用者の在宅生活を最もよく知っているホームヘルパーが安心して介護できる環境が必要だと思います。
 なお、新たな仕組みを増やすことは、現場の消耗につながりかねません。事業所のほか、地域包括支援センターの担当者やケアマネージャー、サービス担当者会議など、既存の体制の中で対応できるような仕組みも考えていただきたいと思います。
 また、eラーニングでは研修会場などへの移動時間はないのですが、受講する時間が必要です。人材不足の現場の中でどのような受講しやすい職場環境整備ができるかも考えて検討しないと受講者が増えないように思います。
 認知症介護基礎研修の介護職員への義務化は大いに賛成です。進めていただきたいです。先ほど伊藤委員がおっしゃった介護技術も大事なのですけれども、その技術を駆使するには、利用者の病気の背景を知り、それらの対応を知った上でだと思いますので、基礎研修を進めていただきたいと思います。
 認知症専門ケア加算は訪問系サービスも対象としていただきたいです。認知機能の低下が始まった初期の人はホームヘルパーを利用することが多いです。
 質問ですが、論点マル3の認知症介護基礎研修は6時間と設定されていますが、受講者の累計が3万9031人というのは少ないと感じますが、厚生労働省はこの数字をどのように考えているのでしょうか。
 2つ目は論点マル2、行動・心理症状です。BPSDへの対応に介護現場が苦慮されている現状は、その介護を在宅で行っている家族もよく分かります。激しい症状と判断された認知症の人は、家族が介護負担で倒れかかっていてもなかなか受け入れてもらえません。状態にもよるでしょうが、精神病院での治療などが優先されます。緊急加算などもありますけれども、なかなかな現状があります。
 母も骨折の入院で不満と不安が続いたときは、薬が処方され、面会に行きますとろれつが回らず、食事も喉を通らない、もうろう状態でした。治療で入院しているので致し方がないのですが、前にも報告され、今回もBPSDケアラーへの効果が報告されている認知症BPSDケアプログラムの広域普及に向けた検証事業での成果によったケア方法については、ぜひ介護現場に入れていただきたく進めていただきたいと思います。職員さんもケアに困ってしまう頻度が減るということは負担が軽くなりますし、ひいては離職防止にもなるでしょう。本人の混乱も軽減します。その混乱を施設から聞く家族は、心の中で在宅介護ができなかった自分を責めます。そのようなことも減ります。
 どのような方法でこのことを実施している事業所を評価するかですが、加算が増えるのを心配しますが、ぜひ現場がケア方法を取り入れやすい状況をつくり、取得率が上がる仕組みとなることを要望いたします。
 訪問介護と訪問看護では行動・心理症状の出現率が中・高同じレベルになっています。この点からも訪問看護、介護についても認知症への加算をつけるように引き続きお願いいたします。
 また、別件なのですけれども、訪問介護におけるセクシュアルハラスメントの問題にも認知症の人の行動・心理症状の影響が大きいと考えられます。以前にも意見を出しましたが、体制を整備していただくことを要望します。
 最後に、看取りへの対応の充実ですが、国民の多くは最期を迎えたい場所について自宅を希望しているという資料がありますが、自宅を望む者、家族に負担をかけたくないという要望もまた多いのが現実です。サービス提供事業所の対応を充実させたとしても、在宅の家族への負担が増えるようでは進まないと思います。
 看取りへの対応を検討するに当たっては、サービス付き高齢者住宅や住宅型有料老人ホームを含め、在宅を支える家族への支援も併せて考えていただくことを希望します。看取り期における本人・家族との十分な話合いとありますが、本人も家族も気持ちがとても揺れ動きます。繰り返し話し合うといっても、同じことを何回も言われると受け手は拒否感を抱くと思います。残された家族が後悔にさいなまれないよう、慎重な検討をお願いしたいと思います。また、看取りを終えた家族が鬱状態になることも多々あります。介護保険が担当するのか、医療保険が担当するのか分かりませんが、事後の支援についても併せて検討することを望みます。
 それと、言葉についてですが、先ほど御説明がありましたけれども、介護医療院はターミナルケア、特養、老健などは看取り加算です。これは終末ケアにおける同じケアのことだと思いますが、先ほど56ページの説明を受けましたが、看取りは誰が判断して看取りとしているのでしょうか。医師ではないのでしょうか。家族は違うものとして捉え、混乱します。分けないといけないのでしょうか。言葉の統一を希望いたします。
 以上です。
○田中分科会長 研修について質問がありました。お願いします。
○菱谷認知症総合戦略企画官 認知症総合戦略企画官でございます。
 ちょっと音が聞き取りにくかったのですけれども、認知症介護基礎研修の修了者数の人数についての受け止めという質問かと思います。
 累計で3万9031人というのが平成30年度の状況でございます。こちらについては、そもそも介護福祉士や実践者研修、介護初任者研修など、既に認知症に係るカリキュラムは順次充実させてきている中で、介護基礎研修については現状無資格の方などを念頭に今後広げていくことが重要だと思っております。いずれにいたしましても、認知症施策推進大綱で掲げられておりますように、介護に関わる全ての方が何らかの一定の認知症に係るカリキュラムを受講できるよう、国としても政策を進めていきたいと考えております。
○鎌田委員 ありがとうございました。マイクの調子が悪くて申し訳ありませんでした。
○田中分科会長 では、東委員、岡島委員の順でお願いします。
○東委員 ありがとうございます。全老健の東でございます。
 論点に沿って御意見を申し上げたいと思います。
 まず、資料1「地域包括ケアシステムの推進」の認知症の対策についてです。資料1の27ページにBPSDの評価尺度が載ってございます。今回BPSDの対応力を向上させるということ自体には賛成であります。しかし、この評価尺度を御覧になったら分かりますように、NPIは妄想や幻覚、鬱、不安といった精神症状を主に見ております。一方、DBD13は徘徊等の行動症状を見ておりますので、できましたら、NPIやDBD13を合体させた適切な評価指標を使うことによって、BPSDの対応力向上を図るべきだと思っております。
 資料1の34ページに行動・心理症状(BPSD)への対応力向上に対する検討の方向(案)が出ております。基本的には賛成でございます。しかし、BPSDに特化して認知症の方を評価し対応していくことには違和感を覚えています。認知症の方のうち、BPSDの症状がある方はむしろ少なく、BPSDの症状のない認知症の方が大半でございます。いわゆる中核症状と言われる記憶力障害、見当識障害、コミュニケーション障害等を示す方がほとんどであり、これらの残存能力を適正に評価してケアやリハビリを提供することのほうが先決ではないでしょうか。認知症の方の尊厳を守るという意味でも、きちんとしたそういう対応が今後必要になると考えております。
 次に、看取りについてです。資料1の58ページに介護医療院、介護療養型医療施設、介護老人保健施設における看取りの状況の資料がでております。右下に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に従った取組の有無というグラフがあります。これを見ますと、介護老人保健施設は介護医療院等に比べて国のガイドラインに従って取り組んでいる割合がかなり少ないデータになっており、一方、国のガイドラインに従った取組はしていないというところが43%とかなり多くなっております。、老健施設がいかにも国のガイドラインに沿って看取りをしていないというようなデータに受け取れます。これは私どもとしても大変心外でございます。といいますのも、全老健では平成24年に「介護老人保健施設における看取りのガイドライン」という当時では大変先進的なガイドラインを発出しております。多くの老健施設がこれを用いて看取りを行っていると考えております。そういう意味では、検討の案のほうに「『人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン』等の内容」というふうに「等」と記載はございますが、やはり団体等でつくった適切なガイドラインがあるならば、それも認めていただきたいと考えております。
 次に、資料1の74ページの訪問看護ステーションの人員基準でございます。これは先ほど何人かから御意見もありましたが、私も「参酌すべき基準」に見直すことは反対でございます。
 それから、資料1の80ページにあります特別養護老人ホームの規模別の報酬の設定も反対でございます。
 次に、自立支援・重度化防止について御意見を申し上げたいと思います。
 まず、資料2の34ページにVISIT・CHASEについての検討の方向(案)が書かれてございます。2つ目の■の後半ですが、CHASEへのデータ提出やフィードバックによるPDCAサイクルの推進、ケアの質の向上の取組を評価すると書いてございます。これについては、先ほど伊藤委員も現場の負担、ICT化や介護ソフトの導入の促進をしっかりと実施してほしいとおっしゃっておりましたが、私も全く同感でございます。現場の負担にならないような工夫をしっかりしていただいた上で、このCHASEを進めていただきたいとお願いを申し上げます。
 それから、3番目で利用者単位のみならず事業所単位の取組の評価ということも提案されてございます。3行目に事業所の全ての利用者について実施した場合に評価をするという主旨が書かれております。CHASEに関しましては、これを提出する場合に利用者や御家族の同意が必須でございます。そうした場合に、全ての利用者について同意が得られない場合は事業所の評価が得られないということになりますので、これについては全ての利用者にということは現実には無理だと思っています。まずは例えば6割とか、その程度の利用者についてCHASEの取組を行ったところの事業所評価をすべきだと思っております。
 その次の施設サービスと通所サービスを中心に、それから、統一した名称については賛成でございます。
 次に、資料2の42ページにリハビリテーション・機能訓練、口腔・栄養の一体的な運用の検討の方向(案)が出されています。これも賛成でございます。ただ、2行目に「リハビリ専門職、管理栄養士、歯科衛生士」と書いてございますが、歯科医師の方も老健施設においては大変重要な役割を担っておりまして、歯科医師の助言を参考にケアプラン等をつくっていることもよくございますので、ここに歯科医師というのも入れていただいてはどうかなと思います。
 次に、資料2の57ページにADL維持等加算の検討の方向(案)についてです。ADL維持等加算については算定率が1~2%しかございません。そもそも1~2%しかない加算のサービス分野を拡大するとか、2段階に評価をするというのはいかがなものかなと思います。まずはADL維持等加算の算定率を上げるということに注力すべきではないでしょうか。2つ目の■に「算定要件を簡略化する等の見直し」と書かれております。56ページにADL維持等加算を提出していない理由のグラフがでております。この上位6つのうち、1番目に「要介護3~5の利用者割合の算定要件を満たさない」とありますが、2番目が「Barthel Indexを用いた評価の負担が大きい」、4番目が「Barthel Indexを用いた評価をできる職員がいない」、6番目が「Barthel Indexを用いた評価の方法が分からない」となっております。これを見ても分かるように、介護現場でいかにBarthel Indexというものが普及していないかということが分かると思います。そういうものであるにもかかわらず、ADL維持等加算をBarthel Indexでやっているところに私は無理があると思っておりますので、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 それから、リハビリテーションでございます。資料2の75ページにリハビリテーションにおける数々の検討の方向(案)が示されております。老健施設のテーマになっております4つ目の■に「生活期リハビリテーションは「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランス良く働きかける」と書かれておりますが、これは当然でございます。また「自立支援・重度化防止の観点から、介護老人保健施設や通所リハビリテーションにおいて、入所者(利用者)の活動・参加の測定方法の在り方、および心身機能であるADLの維持改善に基づく評価」とございますが、私ども全老健では既に12年前から活動・参加に着目し、ICFの考え方に基づいたICFステージングという極めてこの文章に近いものを作成し、会員に広めておるところでございます。今では1,000を超える老健施設がICFステージングを用いて生活機能を評価しているわけでございます。
 先ほどから申し上げているBarthel Indexはインターナショナルかもしれませんが、その内容を見ると、一部介助というような非科学的なものが入っておりますし、認知症の評価指標も入っておりません。そういう意味で、認知症やADLを含めた生活機能を評価するということでは、ICFステージングのほうが優れていると考えています。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
 次に資料2の123ページの通所サービスにおける栄養ケア・マネジメントについてでございます。2つ目の■に「通所事業所の管理栄養士が居宅を訪問して栄養改善サービスの取組を進める」とあります。これは私も提言しましたけれども、大変有効で必要だと思います。しかし、この際に通所事業所では管理栄養士を専従、常勤で雇用するのは大変厳しいですので、併設の老健施設や外部の管理栄養士も認めるべきと考えております。
 また、資料2の129ページの認知症グループホームにおける栄養管理についても、専従の管理栄養士は厳しいですので、同様に外部からの管理栄養士を認めていただきたいと思います。
 最後に、資料2の143ページの褥瘡マネジメント加算について申し上げます。これは以前にも申し上げましたが、褥瘡マネジメント加算につきましては、低栄養リスク改善加算の併算ができません。そこのところの根本的な問題がございますので、褥瘡マネジメント加算自体をいろいろいじるのではなく、低栄養リスク改善加算との整合性を検討していただきたいと思います。
 長くなりまして申し訳ございません。以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 岡島委員、どうぞ。
○岡島委員 ありがとうございます。
 私からは、資料1から3項目、資料2から3項目、それぞれ論点に沿って意見を述べたいと思います。
 まず資料1「地域包括ケアシステムの推進」について、論点マル1、認知症専門ケア加算についてですが、資料の23ページの検討の方向案にあります3項目については賛成でございます。特に3ポツ目の認知症専門ケア加算の要件を満たす資格に認知症ケアに関する専門性の高い看護師を加えることについてはぜひ進めていただきたいと思います。認定看護師は600時間、専門看護師は大学院2年間で特定の領域に関する高度な教育を積み上げておりますので、介護分野でも施設内の職員の人材育成などに活躍していただきたいと考えております。
 次に論点マル2、行動・心理症状の対応力の向上ですが、34ページの検討の方向案にありますとおり、認知症行動・心理症状緊急対応加算を施設と同様にショートステイの報酬区分があるサービスも対象とすることに賛成でございます。地域密着型サービスにおいても既にBPSDの緊急対応をしておりまして、今後も認知症の方ができるだけよい環境で宿泊できることが重要ですし、御家族が安心してレスパイト利用ができることにもつながりますので、BPSDへの対応力向上を評価する方向で御検討をお願いしたいと思います。
 次に、論点マル5、地方分権案の訪問看護ステーションの人員基準についてです。74ページの検討の方向案の1点目ですが、訪問看護の人員基準を「従うべき基準」から「参酌すべき基準」にするとの御提案については反対の意見を述べたいと思います。これは分科会の訪問看護の回で示されました、医療ニーズのある要介護者の在宅療養を24時間365日支える体制強化とは全く逆のインセンティブになりかねない提案だと思っております。
 第148回の分科会でも申し上げましたけれども、公的制度における訪問看護は利用者への安定的、持続的なサービス提供体制を整えることが重要でございます。今後の方向性としては、事業所の大規模化、多機能化の視点が不可欠であります。
 自治体の皆様に御理解いただくために、訪問看護の実態を少し詳しく御説明させていただきますと、小規模では1事業所当たりの訪問件数が少ないために経営が厳しい状況にあります。看護職員4.3人以上でようやく収支差がプラスになるとの調査結果もございます。また、小規模事業所では、緊急訪問やオンコール対応など、看護職員一人にかかる負担が大きく、また、看護以外の事務負担もあって、離職してしまったり、管理者がオーバーワークで健康を害するなどにより休廃止に至っている実態もございます。
 地方分権からの御提案では、中山間地域で新たな訪問看護ステーションの設置が進まないとのことですが、仮にこうした地域で現行基準の2.5人より少ない人員での開設を認めたとしても、安定的なサービスを継続することは困難であります。そもそも中山間地域では利用者宅への移動時間が長いため、1日当たりの訪問件数が人口密集地より少なく収益が上がらないという中で、自家用車の維持コストや事務所経費は一定程度かかりますので、需要に合わせた人員基準の見直しでは解決できない様々な課題があるということです。また一方、都市部では需要は大きいけれども競合するサービス資源も多く、利用者が事業所を選ぶ。その際には緊急訪問や24時間対応が可能な事業所を求めますので、サービス提供体制が脆弱な事業所は選択されないということになります。このように、2.5人の基準を下げるということは、人口規模に関わらず労働負荷の高い不安定な運営に拍車がかかるとともに、利用者に不利益が及ぶおそれがあるということでございます。
 したがいまして、人員基準の緩和によらない解決の方法としましては、例えば中山間地域などにおいてはサテライトの設置や特例居宅介護サービス費など、既にある仕組みを活用することや、地域の基幹的な医療機関などが一定地域をカバーする、または夜間帯の訪問を担当するなどの方策が考えられますし、自治体独自に高速道路や有料道路の利用料の補助をする運営支援を行うなど、自治体がサービス提供体制を独自の創意工夫で整えている例もございます。したがいまして、保険者の皆様には、事業所の自由参入にお任せという待ちの姿勢ではなくて、地域特性に応じてどのように訪問看護の提供体制を整えるかという広い視点で御検討をお願いしたいと思います。
 続きまして、資料2につきましては簡潔に3点お伝えしたいと思います。
 まず論点マル1、35ページに検討の方向案がございますが、介護サービスの質の向上と科学的介護の推進の観点から、VISITに引き続きCHASEでもデータ提出の活用を進めるということについては賛成いたします。現在はデータを抜き出して記載しているという加算についても、データ入力が省力化され、現場の負担軽減にもつながるということであれば大変望ましい方向だと思っています。また、どのサービスでも同じプラットフォームを使って質を評価することは重要でございますので、広く施設や通所サービスを対象とすべきであり、看多機についても対象に含めていただければと思います。
 次に、論点マル13の褥瘡マネジメント加算と論点マル14の排せつ支援加算について一括して意見を述べて終わりたいと思います。
 資料の143ページと149ページに検討の方向性がございますが、利用者の重度化防止やQOL向上の観点から褥瘡ケアや排泄支援の取組は大変重要です。これらを推進するためにプロセス評価やアウトカム評価をぜひ進めていただきたいと思います。取組の質を担保して確実な状態改善につなげるためには、エビデンスに基づくケアと評価が不可欠でございますので、スクリーニングや状態評価がどの施設でも同じように行われるよう統一的な定義や指標を活用すべきだと思います。また、褥瘡ケアや排泄支援、栄養状態の改善に関しては、看多機での状態改善の成果が既に得られておりますので、ぜひアウトカム評価の仕組みを看多機にも導入していただきたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 堀田委員、藤野委員、濵田委員の順でお願いします。その次、武久委員です。
○堀田委員 ありがとうございます。
 最初の2点は、論点に関連して今回御検討いただきたいことです。残り3点は、今後論点に関連して、少し中期的に検討が必要だと感じた点を申し上げたいと思います。
 最初の2点はいずれも資料2の栄養に関連するところです。
 1点目は論点マル7、103ページのところです。今後管理栄養士の配置ということを考えていくときに、確かにこれまでの様々な調査からも複数の配置があることが栄養ケア・マネジメントの上でも有効そうということが分かっているわけですけれども、他方で、単に複数としますと、栄養ケア・マネジメントではなくて給食管理に回ってしまうというようなこともあり得なくないので、例えば複数配置といったことを示される場合には、栄養ケア・マネジメントの強化という意味合いでの配置が分かるように工夫していただく必要があるかなと思いました。
 もう一点も今回御検討いただければということです。同じ栄養に関連して、123ページ、論点マル10です。先ほど東委員の御指摘にもございましたけれども、ここのところ、通所事業所と外部の栄養ケアステーションや医療機関の管理栄養士の方々が連携して通所での機能改善を主に目的とした栄養の改善ということと、それから、在宅での生活の維持、通所では元気だけれども家では召し上がることが難しいというような認知症のある方も少なからずおられますので、通所でのことと在宅での栄養改善がうまく組み合わせられていくということを考えると、居宅療養管理指導を組み合わせるということをぜひ検討いただけるといいのではないかなと思いました。
 それから、この後は今回直接的にというよりも今後に向けてということです。
 今の栄養に関連しては、今回多くの論点について管理栄養士のことを明記するであるとか、配置をするということが書かれていて、管理栄養士さんの役割に本当に期待しているのですけれども、改めて、これはほかの職種にも共通するところもあると思いますが、地域での生活を読んで、そしてその生活を支えるという観点から教育を充実していくということも欠かせないと思っています。
 もう一つ、資料2ですけれども、論点マル1の介護の質の評価、科学的介護の推進のところです。これはこれまでも多くの委員の方々が御意見をおっしゃっていると思うのですけれども、今後に向けて、介護の質の評価を行うためにデータを提出させられるということではなくて、より事業所が主体的にデータをしっかりと取って入力をしていくことで、自分たちのケアの質の改善につなげていくことができるというような、サービスの質を上げていくマネジメントみたいなところも、伴走支援というかフィードバックの在り方みたいなことが短期的には検討されるべきということになるのだと思うのですが、今後は事業所がそういったサービスの質の向上に向けたマネジメントサイクルを回していけるためにというところにも様々な仕組みを考えていく必要があると思っています。
 最後です。資料1のほうなのですけれども、認知症に関連して、マル1、マル3も今回様々、研修とか関連する資格を持っているということを加算の中でどう考えるかといったようなことが挙げられました。ほかのいろいろな加算にも、特定の研修であるとか、あるいは資格を持っていることを評価するというような視点のものが多くあるわけなのですけれども、とりわけ改めて認知症に関連して、実際にそういった研修を受けているということが本当に認知症になる方との関わりであったり、職場で発揮される能力という意味で、どれだけアウトカムが上がっているのか。一部、検証・研究委員会の中でも評価がなされていますけれども、今後、できれば認知症のある方の視点も含めた形で、研修を受講していること、あるいは資格を持っていることがどのようなアウトカムへの効果をもたらしているのかということは検討していくべき余地が大きいのではないかなと思っています。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 藤野委員、どうぞ。
○藤野委員 ありがとうございます。
 論点に沿って幾つか意見を述べさせていただきます。
 地域包括ケアシステムの推進の論点、認知症専門ケア加算についてです。認知症ケアや看取り期の支援など、介護福祉士や介護職が専門性を持って活躍する場が増えていますが、これらがより可視化され評価されることで、介護の仕事の魅力を伝えることができ、介護人材の確保にもつながると考えます。また、養成校のカリキュラムでは認知症の学びが強化されましたが、実務者に対する認知症に関する研修は公的なものや民間のもの、あまたあり、いずれも必要な研修ですが、現場が業務に並行して受講するに当たっては整理が必要と考えます。
 次に、自立支援・重度化防止の推進の論点マル9、通所サービス利用者の口腔機能の向上についてです。口腔機能向上加算を算定しない理由として、加算の必要性について利用者、家族の同意を得ることが難しいとあります。口腔スクリーニングについて、利用者が希望する場合に介護職が行うことは可能だと考えますが、希望しない場合には歯科専門職から必要性についての説明が重要と考えます。加算取得のために利用者本人の意思が軽視されることがないようお願いいたします。
 論点マル10、マル11の通所とグループホームにおける栄養改善への取組についてです。論点マル10では管理栄養士や介護職員等との連携とあり、論点マル11では管理栄養士が介護職員等に助言や指導とあります。122ページに栄養改善への取組例がありますが、通所時に本人に対して管理栄養士や介護職員や三食の食事の大切さやおいしさ、おいしく食べているか声かけをし、食事量や体重の改善が見られたら賞賛とあります。多職種が同じ目標に向かってそれぞれの専門的見地からアプローチすることが大切ではないかと考えます。そして、それら連携を評価する必要があると考えます。
 最後に、論点マル12、寝たきり予防・重度化防止のためのマネジメントについてです。離床が目標にならないことが大事であると考えます。そのためには、本人の主体性を引き出すようなケアの提供が大事であり、より利用者に近いところで支援をしている介護福祉士を中心とした介護職がアセスメントを行い、計画を立て、実践・評価するというケアプロセス、介護過程が評価されることは大事であると考えます。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 濵田委員、どうぞ。
○濵田委員 どうもありがとうございます。
 まず私からは、地域包括ケアシステムの推進の「1.認知症への対応力向上」、論点マル1の認知症ケア加算から意見を申し上げます。これはあえて申し上げるべきことではございませんが、専門性の高い看護師を含めるということは賛成といいますか当然という認識でございます。
 続きまして、論点マル2の行動・心理症状への対応力向上でございますが、情報公表システムで確認が取れるようにするということにつきましては、利用者のサービス選択に資するため賛成でございます。また、BPSDへの対応力を各職員が高めていくということは必要かと思っておりますので、よりこの取組と活用を進めていただければということでございます。
 続きまして、自立支援・重度化防止の推進の「2.リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養」の論点マル2のリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的な運用でございます。これは論点マル8の多職種連携における管理栄養士の関与もほぼ内容が似ておりますが、各専門職を追加するということにつきましてはもちろん賛成でございます。ただ、各現場の業務都合等の考慮も必要なため、例えば会議等に参加が難しいという場合は、事前、事後の意見提出などの対応も認めるなど、柔軟な参画ができるようにしたほうがいいのではと思っております。
 様式についても同じでございまして、一体化しますと、利用者あるいは御家族からは非常に見やすくなるかなと思っておりますが、書き込む側としましては、ソフトやファイル共有などを活用していればいいのですが、各職種が記入しにくくならないような細かい配慮も必要かと考えております。
 続きまして、論点マル6の介護保険施設における口腔衛生管理につきましてでございますが、これも入所後、口腔衛生管理が行われていない例が一部報告されておりますので、その要因と対応が必要と考えております。具体的には歯科医療機関との連携になると思っておりますが、そういう意見でございます。
 それから、論点マル7の栄養ケア・マネジメントの強化のところでございます。これも論点マル10の通所サービスにおける栄養ケア・マネジメント、また、論点マル11の認知症グループホームにおける栄養改善とほぼ共通した意見でございますけれども、先ほど来から御指摘も出ておりますが、今後は施設と同時に、いわゆる居宅、在宅の利用者への管理栄養士の方の関与が期待されております。栄養ケアステーションも設立されてまいっておりますが、まだ箇所数も少ないため、地域で連携することは難しい状況がございます。
 このため、病院等医療機関や施設の管理栄養士の方が一定要件の下、この一定要件と申しますのは、それぞれの施設の定員によりまして、例えば100名でも30名でも1名の配置があろうかと思っておりますので、業務上可能な範囲で負荷がかからない程度にということでございますけれども、居宅介護支援事業所とも連携して、併設サービス利用者や他の居宅サービス利用者への関与や総合事業の自立支援の取組への参画や配置が可能となるような検討をお願いできればということでございます。
 それから、「3.重度化防止の推進等について」の論点マル12、寝たきり予防・重度化防止のためのマネジメントでございますが、特に記載のとおり、日々の過ごし方のアセスメントにつきましては、ユニットケアで個別ケアを行う上では非常に重要と考えております。担当介護支援専門員とユニットリーダー、あるいは担当の介護職員の方、その他の方々で当然関係職種も含めてということでございますが、ケアマネジメントプロセスに沿って取組を推進するということにつきまして評価いただければ幸いかと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 武久委員、お願いいたします。
○武久委員 まず、資料1の41ページの看取りの部分でございます。
 一般的に病院でも施設でも、看取りというのは大変必要なことでございますけれども、がんの場合や神経難病など、予後が非常によくない場合には当然看取りになるのですが、病院の一部の医師によっては、高齢者で低栄養ということで看取りだというような判断をする場合もございます。介護保険制度では管理栄養士を非常に重要視していただきまして、介護保険施設の入所者の半数近くが低栄養になっているということでございますけれども、それの改善のために一生懸命やったところを評価するというふうに介護保険は対応していただいて、非常にありがたいのですが、少なくとも改善の見込みがある低栄養については看取りというふうに直結しないような何らかの方法が要るかと思います。
 と申しますのは、医師によっては90歳で低栄養であればもういいのではないかというようなこともありますけれども、しかるべき対応をすれば非常によくなる場合も多々ございまして、この辺のところは介護保険制度のほうで管理栄養士を重用していただいているということに感謝したいと思います。
 もう一つは、資料2の50ページ、Barthel Indexのところでございますけれども、私は医師でございますので、医療保険の中ではFIMを多用しております。したがって、介護保険ではBIが主体でございますので、できれば同じ患者が介護から医療へ、医療から介護へ行くので、リハビリの指標としては同じFIMを使ったらどうかというお話を以前しましたけれども、BIについてはあまりよく承知していなかったのですが、よく読んでみますと、FIMとBIの違いということで、介護保険はBarthel Indexを使っていらっしゃいますけれども、50ページをよく見ると、非常に具体的な判断基準が書かれております。非常に判断しやすい。しかも、リハビリの専門職でなくても判断しやすい基準があります。
 一方で、FIMのほうは障害度を25%ごとに機能低下を区切りまして、51%か33%かというようなことになって、ほんのちょっと2~3%違うことによってFIMの利得が1上がる。これが7項目あると7利得ということになって、これが現実問題として非常に大きなリハビリテーションでの評価になっておりますが、認知症はまず外しておりますが、認知症については認知症高齢者の日常生活自立判定基準が非常に多用されておりますし、Barthel Indexと認知症の算定基準によって、患者さんの状態、要介護さんの状態を把握するほうが私はいいように思い直しております。Barthel Indexというのは一応はできるADLを指しておりますし、FIMはしているADLということで多少違いますが、医療保険と介護保険でリハビリに対する評価の基準が違うという状況はできれば同じにしたほうがいいと思いますので、私は以前FIMに合わせたらと言いましたけれども、現状としては、医療のほうもBarthel Indexに合わせて、認知症は日常生活自立判定のほうを使ったらいいのではないかということで、ここで訂正させていただきます。
 ありがとうございました。
○田中分科会長 大きな変革でしたね。
 亀井委員、江澤委員、水町参考人の順でお願いします。
 亀井委員、どうぞ。
○亀井委員 ありがとうございます。
 先月26日の総理の所信表明演説の中で、安心の社会保障制度というのがございました。その中で、人生100年時代を迎え、予防や健康づくりを通じて健康寿命を延ばす取組を進めるとともに、介護人材の確保や介護現場の生産性の向上を進めますと申されまして、介護の関係者は大いに喜ばれておりますし、また、期待も寄せさせていただいているところでございます。
 そんな中で、3点ばかり御意見等も申し上げたいと思うのですが、1つは、重層的支援体制の整備事業です。これは多機関が協働事業とするわけですけれども、人材を養成、確保していかなければなりません。これがまさにリンクワーカーであり社会的処方士であるわけでして、これは堀田先生にも今後御指導いただきたいなと思わせていただいておりますし、予算もこれまで別々だったのですが、包括交付金としようかという検討も始められておりまして、これは大いに期待させていただいてございます。
 2つ目が地域包括ケアシステムに必要とされる施設と人材のことなのですが、施設というのは現有施設の有効活用、共生型施設としていくということですが、共生型人材の養成、確保ということもあるわけでして、これがかねてから申し上げているラヒホイタヤでございまして、一定の研修を受けて一定の資格を与えていく、有償ボランティアとする。そのためには総合支援事業の充実ということに期待させていただきたいなと思わせていただいてございますし、ラヒホイタヤについては医師会さんもかねてから提案なされていることでもございますので、また連携等もさせていただければと思っています。
 3点目なのですが、社人研の田辺所長に毎回ずっと御出席いただいておりまして、本当にありがたい会議でございますが、そんな中で、こんなことをお願いできるかなと思うのですが、このコロナ禍の中でいよいよ東京一極集中から多極分散型社会の流れができてきたなと思っているのです。それは、昨年9月時点から今年9月時点、東京から1万人以上の方が転出超過になってきているわけでございます。この方々はどのような年代の方々かなと。リモートで仕事ができる若者なのか、高齢者なのかと。これは今後の介護にも影響を与えてきますので、この辺はどうなのか。そしてまた、大阪、名古屋、この辺の都市はどうなのかなと。これは今すぐというわけにはまいりませんけれども、今後そういうふうなことをお教えいただけるような場面があったらいいのになと思っておりますので、よろしくお願いします。
 田中分科会長、よろしくお願いします。
○田中分科会長 田辺委員、統計が欲しいという御依頼がありましたので、可能であれば将来の説明をお願いいたします。
○田辺委員 私のほうからお答えさせていただきたいと思います。
 社人研のほうでは、5年に1回、移動調査というものをやっております。
 現在の状況が一時的なものなのか、それとも恒久的なものなのかということは現時点ではなかなか申し上げられないことでございますけれども、移動調査をベースに分析をすることによって、かなりの部分が分かってくるであろうと。それとともに、将来の地域別の人口推計も出生動向調査や移動調査の分析を元に展開していくことになるので、ある一定の時期が来ましたら社人研としての成果を御披露できるものと考えております。
 以上、職務上の答えのようなことで申し訳ございません。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 では、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
 では、資料に沿って幾つか意見を述べさせていただきます。
 まず資料1の34ページの論点、BPSDへの対応力向上についてでございます。認知症の重症度とBPSDは御存じのとおり無関係であり、むしろ認知症が中重度に進行いたしますと、BPSDの出現頻度は低下してまいります。BPSDの治療アルゴリズムにおいても、非薬物的介入を最優先とするとされておりまして、すなわち、認知症ケアの質が高いほど、BPSDの出現頻度は低下するわけであります。特に現場のケアにおいては、愛着のあるものの持ち込み等で本人の落ち着く居場所、いわゆるなじみの環境をいかにつくっていくのか。そして、現場職員は利用者のことをしっかりと受け入れて、そして、喜びも悲しみも共感していく、いわゆるなじみの関係を築いていくわけであります。ケアにおいては生活歴、生きがい、趣味、趣向といった過去の人生歴をひもとき、いろいろ工夫しながらケアを行ってBPSDを防いでいくわけであります。一般的にですけれども、認知症ケアの質がよい事業所ほど利用者の表情や感情が穏やかでございます。
 したがいまして、未然にBPSDを防いでいる質の高い認知症ケアをより評価すべきであると思っておりますので、その辺りの視点が今後重要であると思っております。
 続きまして、64ページの論点マル4の看取りへの対応の充実でございます。ガイドラインの内容に沿った取組を行うことについては賛成でございます。特に認知症が一定以上進みますと、意思表示ができず、ACPは実施不能となりますので、ぜひガイドラインを活用すべきであると思っております。このガイドラインは本人の意思を最大限に尊重するために、本人もしくは家族が医療・ケアチームと合意を形成するプロセスを重要視しているものであります。したがいまして、居宅あるいは地域密着サービスにおいて、果たして医療・ケアチームが一堂に会せるかどうか、いろいろな課題がある中で、その在り方についても今後模索していく必要があると思います。
 それから、以前も申しましたが、ガイドラインはもともと看取り、ターミナルケアの以前から取り組むべきものとして位置づけられておりますので、看取りの加算の算定要件ではなくて、運営基準に組み込むべきものであると考えております。
 それから、看取り介護加算等の算定要件でございます。ターミナルケア加算も同様ですけれども、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した者となっておりますけれども、今後、その辺りを整理すべく、加算の算定開始時に医師の指示を要件化すべきとも考えております。そして、以前も申しましたが、介護現場に即した看取り、あるいはガイドラインにのっとった取組を学ぶ研修の場を充実することが併せて必要であると思っております。
 続きまして、資料2の34ページ、VISIT・CHASEについてであります。先ほど東委員も申されましたが、事業所単位の取組の評価において、事業所の全ての利用者について基本的なデータを提出するということがございますので、ここは入力負担の軽減についてしっかりと対応していただきたいと思っております。
 また、フィードバックについては、十分に提出データが蓄積、プールされてから行っていただきたいと思います。データの蓄積が少ない状態だと、フィードバックするたびに内容が異なってぶれる可能性が高くございますので、その辺りは検討していただきたいと思います。
 また、今後においては、フィードバックする内容の評価も必要であると思っておりますので、事業者側へ有用性や満足度、あるいは事業所側の要望といったものの調査や確認を行ってPDCAを回していくべきだと思っております。
 続きまして、42ページのリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的な運用についてございます。こちらについては、リハビリテーション、口腔あるいは栄養の計画書の一体化については前回要望させていただきまして、非常に賛成でございます。ぜひ多職種で共有して有効活用すべきだと思っております。
 続きまして、57ページのADL維持等加算についてでございます。現段階においてADL維持等加算の他のサービスへの拡大は慎重にすべきであり、反対であります。なぜならば、現状、算定率が極めて低く、そして、前回の改定で設定されたばかりであり、本加算の有用性に関する評価が全く行われておりません。したがいまして、アウトカム評価にこの加算が資するかどうかの検証が先であり、それを踏まえた上で他のサービスへ拡大すべきだと考えております。
 あわせて、生活期リハビリテーションのアウトカム指標はまだまだ議論中であって定まっていませんので、慎重に取り扱うべきだと思っております。さらに、測定者間のぶれをなくすべく、Barthel Indexについて、福祉系の施設にこういったものが入っておりますので、ふだんBarthel Indexをもともと測定していない人も大勢いらっしゃるわけで、これができる限り正確に測定できるような地ならしが必要であると思っておりますので、データベースの精緻化をまず行うべきと考えております。
 続きまして、75ページのリハビリテーションにおける心身機能、活動参加の評価でございます。この論点を拝見いたしますと、施設機能と個々の利用者の評価が混同されていると感じています。例えば老健においては、在宅復帰・在宅療養支援等指標が施設の機能評価であって、通所リハにおいてはリハマネ加算が物差しとなっています。生活期のアウトカムの指標は引き続きまだまだ議論している段階であって、活動と参加をより評価していくのかということが課題になっています。特にFAIとかLSAは軽度の方の指標には使えるかと思いますけれども、中重度要介護者の活動と参加の評価をどうしていくかということは具体的な課題であります。また、生活期においては、ADLのみならず認知症の評価も併せて考えていく必要があります。
 続きまして、86ページの生活機能向上連携加算についてでありますが、連携先を見つけやすくするための方策として、都道府県及び保険者が事業所間の調整を支援することを検討と記載されておりますけれども、前回申しましたが、初対面の利用者へのICTを用いたアドバイスは不可能であります。それから、連携先は医療機関等が想定されますが、実際に設定されている報酬も低く、現状、算定率は極めて低い状況でありまして、ここまで努力をしてこの加算を残すべきかどうか、あるいはどういう姿で残していくのかということは検討課題だと思っております。
 続きまして、138ページの寝たきり、重度化防止のためのマネジメントでございます。寝たきりは御存じのように我が国の専売特許であり、一刻も早く撲滅すべきものだと考えています。器質的病変を除く廃用性の機能障害は十分回復可能であり、例えば長期の胃瘻であっても廃用性の嚥下障害は短期間で口から食べられるようになって胃瘻が抜去ができます。仮にリハビリや口腔ケア以外の日中の大半の時間をベッドで寝ている、あるいは横たわっている状態であれば、ADLも認知機能も当然改善いたしません。したがって、ベッド離床をし、日中に着替え、車椅子でなく椅子に座って食事をして暮らすことが普通の当たり前の生活でありますし、さらに個別ケアとして本人の意思に基づいた活動、あるいは生きがい支援をすることが尊厳の保持と自立性につながります。ぜひCHASEでも評価していただき、過去の生活にないネガティブなものは全て排除していただいて、自立を支援し尊厳を保障する取組が現場で浸透するよう、強く要望いたしたいと思います。
 最後に149ページ、排せつ支援加算についてでありますが、この加算はプロセス加算でございますので、ぜひおむつを卒業して排泄を全てトイレで行うことをより高く評価していただきたいと考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 幅広くありがとうございました。
 水町参考人、どうぞ。
○水町参考人 ありがとうございます。
 資料に沿って意見を申し上げます。
 資料1、地域包括ケアシステムの推進に関してですが、まず論点マル1、認知症専門ケア加算についてです。訪問系サービスにおいても現に中重度介護者を含めた認知症対応を行っていることを踏まえると、加算の対象とすることには賛成ですが、事業所にマニュアルの作成を求める場合には、負担にならないよう標準例を示すなど配慮することが必要と考えます。
 また、加算対象となれば、認知症介護実践リーダー研修や認知症介護指導者養成研修への受講者の増加が予想されるため、受講機会を増やす方策の検討が必要と考えます。また、その際、eラーニングを導入するのであれば、その内容については研修効果が十分なものになるよう、慎重に検討いただきたいと思います。
 次に、論点マル4、看取りへの対応の充実、64ページの検討の方向案ですが、本人の意思決定を尊重する観点から、検討の方向案に賛成します。ACP研修受講者の配置を要件とした加算の創設を検討すべきと考えます。
 次に、資料2の自立支援・重度化防止です。
 まず論点マル1、介護の質の評価と科学的介護の推進についてです。本県でも医療介護総合確保基金を活用してICTの導入補助を行っていますが、事業者の関心も高く、本年度、本県では300件を超える申請がありました。介護記録ソフトの導入については、CHASEとの連携が補助要件となっており、CHASEへのデータ提出の手間自体は大幅に小さくなると見込まれます。CHASEにデータを提出し、CHASEからのフィードバックを活用してケアの向上につなげることは推進すべきことと考えますので、検討の方向案に賛成です。
 次に論点マル5、生活機能向上連携加算についてです。86ページに検討の方向案がありますが、2つ目の■については賛成です。また、3つ目の■については、連携先を見つけやすくするための情報提供には派遣元の理解も大事であるので、派遣元へのインセンティブについて次回の診療報酬改定に向けて検討してはどうかと考えます。
 最後に、論点マル9、通所サービス利用者の口腔機能の向上についてです。通所サービスや地域密着型サービスの利用者に対する口腔機能スクリーニングや栄養スクリーニング加算については賛成します。さらに、ケアマネへの情報提供を行った場合も評価することが適当と考えます。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 間利子参考人、どうぞ。
○間利子参考人 時間がない中すみません。
 1点だけ補足なのですけれども、先ほど質問させていただきました34ページの論点1の介護の質の評価と科学的介護の推進に関する件なのですが、これは我々、決して反対しているわけではなくて、ぜひ効果的に活用していただきたいという趣旨でございますので、補足させていただきます。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 ほかはよろしいですか。
 今日は小泉委員や江澤委員をはじめ、何人かの方のおかげでBPSDについて勉強できました。ありがとうございます。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 今、江澤委員から、資料2の論点マル1、VISIT・CHASEに関して、データが十分に蓄積されてからフィードバックを行うということは確かにそうだなと思いました。もし当面は適切なデータがフィードバックされないとなると、データ提出だけのための加算という形になり、単に利用者負担が増えることになります。介護報酬の目的というのはサービスの対価として支給されるものです。フィードバックがされないうちに加算ということになるのだったら、それは時期尚早ということになると思います。
 以上です。
○田中分科会長 それでは、一あたりよろしゅうございますか。
 本日いただいた御意見を踏まえて、今後も引き続き検討を進めてまいります。
 本日の審議はここまでといたします。
 最後に、次回の分科会の日程等について事務局から説明をお願いします。
○栗原企画官 次回の日程は事務局から追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田中分科会長 本日はこれにて閉会いたします。
 お忙しい中、ありがとうございました。