2020年9月9日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第36回) 議事録

日時

令和2年9月9日(水)16:29~17:53

場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階)

出席者

今村主査、志藤構成員、中村構成員、宮崎構成員、高田構成員、土井構成員、三宅構成員

議事

議事内容
○事務局
 定刻になりましたので、ただいまから第36回独立行政法人評価に関する有識者会議労働ワーキンググループを開催いたします。
 本日の出席状況について報告いたします。本日は、先ほどと同じく高田構成員、土井構成員、三宅構成員がオンラインで御参加、関口構成員が御欠席です。
 また、先ほど説明した通り、坂爪構成員及び酒井構成員については、この会は退席しております。また、中村構成員はまだ到着しておりませんが、到着次第御案内いたします。
 続きまして、本日の議事について説明いたします。本日の資料に関してはお手元のタブレットに収納してありますのでそちらを御覧ください。
 本日は労働政策研究・研修機構につきまして、令和元年度業務実績評価に係る意見聴取を行うこととなっています。具体的には、重点化対象とする項目を中心に御意見を伺えればと考えております。また、例えば「A」という評価が適切かというだけでなく、法人の取組の中で、中期目標の達成に向けて優良と思われる点や、逆に課題があると思われる点について、評定に直接影響しないような場合であっても積極的に御指摘いただければ幸いです。
 なお、説明される皆様にお願いがございます。オンラインで参加されている方もいらっしゃいますので、資料等を引用して説明される場合は、ページ数、項目番号などを明示していただくようお願いいたします。また、比較的ゆっくり大きな声で御発言いただければ幸いです。
 それでは、今村先生よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 ありがとうございます。ただいまの事務局からの御説明につきまして、何か御質問がありましたらお願いいたします。特にないでしょうか。大丈夫ですね。
 それでは、議事に入りたいと思います。労働政策研究・研修機構の「令和元年度業務実績評価」について御議論いただきたいと思います。まず、法人から「法人の業務概要」及び「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価についての御説明をお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 総務部長の中井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私からは、法人の業務概要及び重点化対象項目の業務実績及び自己評価について御説明させていただきます。
 資料でございますけれども、今日は画面上ということですので、資料1と資料2、資料2は2種類ございまして、評価の要約と補足資料となっていますが、そちらを用いて御説明をさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、資料1が画面に出ているかもしれませんけれども、ちょっとページをスクロールして、資料2-1「評価の要約」という資料を御覧になっていただければと思います。その資料の2ページ、独立行政法人労働政策研究・研修機構についてという資料がございます。これに基づいて、まず法人の概要を御説明させていただければと思います。
 上段の左側、法人の概要を御覧いただければと思います。まず、目的でありますけれども、内外の労働に関する事情及び労働政策について、総合的な調査研究等を行うこと、それとともに、その成果を活用した労働行政担当職員等に対する研修を実施すること、この2つの目的を柱として事業を実施しているところでございます。
 設立年次は平成15年10月で、当時の特殊法人であります日本労働研究機構と厚生労働省の施設等機関であった労働研修所を統合し発足しております。
 所在地は、法人本部及び労働政策研究所が練馬区の上石神井、労働大学校が埼玉県朝霞市にございます。
 理事長は平成30年4月より樋口美雄慶應義塾大学名誉教授に就任いただきまして、樋口理事長を含め5人の役員で構成しております。職員数は昨年度末時点で102名、予算額は昨年度ベースで約28億円となっております。
 上段右側は簡単な組織図です。役員の理事、監事とありまして、横に労働政策研究所とありますが、所長の下に研究調整部と調査部があります。研究調整部はその横に記載してある研究6部門の研究の進捗管理等を主に行い、それに加えて成果の普及・政策提言といった業務を担当している部署になります。調査部の中には、国内及び海外の労働事情の収集整理を担当する部署と統計・解析を担当する部署がございます。
 その下の労働大学校は、校長の下で教育担当として教授及び准教授、さらに大学校事務局ということで研修推進課を配置しております。
 それから、法人本部事務局として総務部があり、加えて内部統制推進室が理事長の直属としてコンプライアンス統制を司っているという体制になっております。
 資料の下の段に移っていただきまして、法人の業務の概要を御覧ください。先ほど、業務の概要で2つの目的の柱を申し上げましたが、労働政策の総合的な調査研究では、時宣に応じた政策課題に基づき労働政策を支援するための研究を実施すること、さらに体系的・継続的な基礎研究を実施すること等を通じて、政策の企画立案及び推進をサポートしております。
 労働行政職員研修については、具体的にはハローワーク、労働基準監督署、また労働局の各ポジションの職員を対象に、階層ごとに一般研修、労働安全、労働衛生、障害者、生活保護等の部分に対する専門研修、さらには所長や課長等のような管理監督者の研修を実施しておりまして、昨年度は85コース、4,173名を受講者として、職員を対象に実施させていただいたところです。以上が、法人の概要についての説明になります。
 続きまして、令和元年度の業務実績及び自己評価について御説明させていただきます。最初に、評価項目の説明ということで資料1を御覧ください。これが、我々労働政策研究・研修機構の評価項目一覧となります。中期目標に基づきまして、評価項目というものが第3-1から第5までございます。
 簡単に読み上げますと、労働政策研究の実施、内外の労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理、労働政策研究等の成果の普及及び政策への提言、労働関係事務担当職員等に対する研修、業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項という評価項目でございます。
 その中で、特に第3-1、労働政策研究の実施を御覧になっていただきますと、重要度、難易度、重点化項目について、それぞれマルが記載されております。ここは特に、我々機構の組織として、最も重要かつ困難な項目ということでございます。それについては、重点化理由に書いているとおりでして、労働政策の企画立案及び推進に貢献することができる質の高い研究を実施するということ、それから中長期的な課題を含めて労働政策の動向を適切に把握し対応するとともに、現時点では想定しない様々な政策課題が生じた際にも適切な対応ができるよう、基礎となる研究を体系的・継続的に推進するということが最も重要な業務であるというように考えているところでございます。
 以上のような評価項目になっていることを踏まえ、引き続きまして評価について御説明させていただきます。資料2-1が2種類あると申し上げましたが、その後ずっとスクロールしていただくと、2-1の最初の15ページの後に「補足資料」が出てくると思いますので、そちらを御覧になっていただければと思います。
 この資料については、昨年度評価いただいたこの会議の場において、評価項目そのものについて目標を達成したという説明が中心ということになっていたということにつきまして、事業間の連携も含めた事業の全体像をもっと説明した方がいいのではないかということと、それから単に目標を達成したということだけではなくて、具体的に事業でどのようなことを展開しているのかということについても説明をした方がよいのではないかという御指摘を頂きまして、それを踏まえて、資料についても工夫をさせていただいたところでございます。
 それでは、補足資料の2ページを御覧ください。この2ページの資料が当機構の事業活動ということで、上に事業全体を有機的に連携して実施することで有意なデータ、エビデンス、分析結果を的確、迅速に提供していますというように書かせていただいております。先ほどの評価項目にも連動するわけですが、真ん中に労働政策研究として1-1、それからその真ん中の左側に情報収集・整理として1-2、その右側に労働行政職員研修として1-4、一番下に研究成果等の普及ということで1-3というように記載しております。
 これらが事業の柱ということになるわけでして、それらの事業をそれぞれ、矢印を双方向に引いておりますが、事業間の、例えば労働政策研究と情報収集・整理というのは相互補完的な位置付けということで、それぞれやっている事業に基づき情報提供し合う、参考にするということも踏まえて、フィードバックも含めて取り組んでいるという形になっています。それは、労働政策研究の成果というものを行政職員の研修に活かして、そこの研修職員というのは労働行政の現場の職員でありますので、そこから得られた知見や情報をフィードバックして政策研究に活かすということでして、その上に、研究と研修の連携とありますが、そういうことを意識して、昨年度も取り組んできたということを書かせていただいております。
 一番下の研究成果等の普及については、当然それぞれの事業の成果を効果的に普及する、あるいは政策提言を行うということも含めて取り組んでいるということで、事業体系として、全体として、有機的に取り組んでいることを簡単に述べさせていただいたということでございます。
 各々について、どういうことに取り組んでいるかについては、その周りに簡単に概要を記載しております。時間の都合で細かい御説明は省略させていただきますけれども、特に特徴的というか、新規性のあるものということについてはオレンジ色にしております。
 まず、労働政策研究の実施の1-1を御覧いただきますと、プロジェクト研究という所に「新型コロナの影響に関する調査研究を開始」と書いております。御承知のとおり、新型コロナウイルス感染症の我が国に与える影響というのは非常に甚大で、いろいろな所に厳しい状況をもたらしているわけでございます。当然のことながら、雇用・就業に関する影響も極めて大きいということで、当初の研究計画になかった中で、もともと新たな政策課題が発生したときには迅速かつ的確に対応することも我々の使命としてあることから、昨年度のうちに機構内にプロジェクトチームを立ち上げて調査研究をスタートさせたということでございます。
 また、その下に政策への貢献とございますが、厚労省とのEBPMセミナーの開催というように書かせていただいております。これにつきましては、政策展開の上でEBPM(Evidence-Based Policy Making)、日本語ですと「証拠に基づく政策立案」というように言っておりますが、政策レベルで調査・研究結果を政策立案に活用するという重要性が更に増している中において、我々の持っている調査・研究の知見を政策に活かしていただくということで、厚生労働省と連携して、厚生労働省の職員に勉強していただくとともに、我々の職員も一緒に切磋琢磨することでセミナーをやっていこうということで、これも昨年度のうちに、その枠組みを作って進めるということにさせていただいていました。コロナの関係もあって、開催は年度を越えてしまったのですが、そういう枠組みを昨年度のうちに作っているということでございます。
 また、右側のほうですが、研修・講座等のオンライン開催というように書いてあります。これは、年度をまたがって今でも対応している話ですけれども、行政職員研修が集合研修ということで、これまでやってきた中において、コロナの影響でそれが極めて厳しいという状況にある中で、その代替策としての研修の実施を模索しながら、可能なものから実施をしているということを、これまで行ってきたということです。
 また、これは新規ということではないのですが、一番右下にメールマガジンのことを書いております。この間、情報発信、成果の普及に努めてきている中で、今回の新型コロナの関係もそうなのですが、メールマガジンとホームページを連動させながら情報提供を進めた結果、それぞれ閲覧、購読が増加をしているということで、メールマガジンも読者が4万人まで届いたという状況にあるということです。
 全体として、こういう取組を行っている中において、年度をまたがるような話になってしまうのですが、次の3ページを御覧になっていただければと思います。新型コロナの関係で、昨年度のうちにプロジェクトチームを立ち上げたと先ほど御説明させていただきましたが、それについて各種取組を行っている、今年度にまたがる話にもなってしまいますけれども、昨年度取り組んだことをそのまま継続してこういう形に成果として結び付いているというように考えているところでございます。
 時間の関係もあるので細かく御説明できないのですが、例えば主な取組として左上の調査・研究二次分析等ということでは、今回の影響を見るために、個人あるいは企業に対する調査を、パネル形式で、同じ調査客体を継続的に追いかけるという調査設計をして行っております。個人調査は既に2回、企業調査も1回、結果について公表しているということです。その辺の二次分析も含めて、いろいろな影響を、我々の職員、研究員、調査員はじめ職員総出で各種既存のツールも使って取り組んでいるということ、そして右側にありますけれども、それをいろいろな形で情報発信、これは英語化して海外に対する情報発信も含めて行っております。
 左下の少し色が付いている所を御覧ください。こちらは、新型コロナに関して我々の成果の活用事例を少し書いております。日本版O-NETが、実際に調査・研究のインフラとして既に活用されたという話であるとか、過去の雇用調整助成金の研究の成果が政策を議論される場、これは内閣と書いてありますが、そういう所で活用されたということ、それから、関係機関との連携という中で、日本政策金融公庫総合研究所と行いました意見交換で議論したテーマが、政策金融公庫さんのほうでフリーランス融資制度というものを今回のコロナの関係で作られたのですが、その制度設計の参考にしていただいたとか、そういうことも成果として御参考までに紹介をさせていただきました。
 ここからが本題ということでございますけれども、評価シート1-1、4ページを御覧いただければと思います。ここが、我々として最も重要な重点化項目ということで、右肩に赤色で記載しております。その中で、数値目標として①から⑥というように記載されておりますが、その結果として、表の下を御覧になっていただければと思います。
 特に、研究成果の評価、①ということで、外部評価を頂くということが、我々の政策研究の成果の最も高いレベルの報告書を評価いただくということ、これが重要度、難易度が最も高いということで整理をさせていただいているところでございます。それにつきましてですが、目標値2.0以上ということに対して、実績値2.67が本年度の成果ということでございます。それも含めて、具体的な数値目標に関しては、①から⑤で達成をしたということで、これについては自己評価を「A」と評価させていただいております。
 その要因として、その下に書いておりますけれども、全ての目標で達成したというのは、先ほど申し上げたとおりでございます。そして実際に、その成果というものが、2つ目のマルにあるとおり、例として日本版O-NETのことを書いておりますが、成果が多数活用されて労働政策の企画立案に貢献できたということ、それから当機構の様々な研究成果が各会議等で有効活用されたということ、海外の研究者とのネットワークの拡充強化も着実に進んだということ、こうしたことを成果として自己評価をさせていただいているということでございます。
 すみません。時間も押してきました。その次のページからは、かいつまんで主なところを御覧になっていただければと思います。
 5ページについては、全体の研究体系とその柱ということでして、これに基づいて行ってきたということであります。
 6ページは、ちょっとやや細かい資料になっております。これは先ほど、前のページの柱に対しまして、昨年度の成果の取りまとめ等でして、それが青色でございます。それから、それをどう活用されたかということについては、緑色で記載をしております。
 その中で、ちょっと幾つか事例ということで申し上げたいと思います。Ⅲの④を御覧ください。そこに、労働力需給の推計というものが出ております。これまでも人口推計と連動して、我々として推計して世に公表させていただいているわけですが、これについては「今後も白書で活用予定」とそちらにも書いてありますが、政府のいろいろな政策会議で政策が議論される上で基礎データとして活用されるということであるとか、公的年金の財政検証にも使われている極めて重要な推計だと考えております。
 また、右側のⅥの⑪ですが、ここに日本版O-NETのことを書いております。先ほどから少し言及させていただきましたが、これも政府の成長戦略に記載されているものでございまして、職業情報提供サイトということで、職業情報をデータベース化するというインフラの研究でありますが、それを昨年度公表させていただいたということでございます。それについて、先ほど活用事例も申し上げましたけれども、インフラデータとして各種いろいろな所で活用されているということでございます。
 7ページです。こちらは、各方面との連携評価ということで整理をした資料になります。その中で、特徴的な話としては、最初のマルの2つ目に厚生労働省との連携の新たな取組ということで、繰り返しになりますがEBPMセミナーの話を書いております。
 右側ですが、JILPTの研究成果の評価、リサーチ・アドバイザー部会で評価された3つの政策研究報告書とレポート、それぞれ評価がA評価、S評価、S評価ということで、これを数値化すると2.67になっているということでございます。また、そのリサーチ・アドバイザー部会で指摘された事項として、その下にも指摘・要望を反映した具体例とありますけれども、新型コロナウイルスの感染拡大が労働にもたらす影響の研究を検討すべきであるという御指摘をその部会等でも頂いており、この重要性に鑑みて、今取り組んでいるということでございます。
 一番右下の、労使団体等との意見交換・要望把握という所ですが、労使団体とも継続的に意見交換なども行っておりますが、日本政策金融公庫総合研究所との意見交換も記載させていただいております。
 8ページですけれども、こちらは審議会や研究会等における活用、あるいは研究員の審議会等への参画あるいは講演等ということで、これも実績が記載されております。件数も掲載しておりますが、これは先ほどの6ページを別の観点から整理をさせていただいたものということでございます。
 9ページ、こちらは国際関係、交流事業等ということで、研究者の派遣、研究者の招聘、国際セミナーの開催といったことを、それぞれ実績として掲載しております。その中で右側、国際セミナーの(2)ですが、こちらは昨年度末に予定していたセミナーが、新型コロナウイルスの影響を受けて延期をするということで、残念ながら先送りになっていまして、これも引き続き開催を模索していきたいと考えております。
 10ページと11ページは参考ということで、実際、具体的にどのように評価していただいたかというのを、主な事例を基に整理させていただいております。その中で、特に①の外部評価の所、先ほど報告書で3点申し上げたところですが、それぞれについて、具体的にどのような評価を頂いたかを記載をしております。これについては時間の関係もあって省略しますが、改めて御覧になっていただければと思います。
 以上、御説明させていただいたとおり、重点化項目の1-1、労働政策研究の実施に関しては、自己評価を「A」とさせていただいたということでございます。
 なお、新型コロナウイルス感染症の令和元年度、昨年度の事業に及ぼす影響については、年度末に予定していた国際会議の延期であるとか、一部研修の中止といった状況がございましたが、昨年度の評価には影響はなかったというように考えております。また、そういった厳しい状況の中で、我々として事業継続を進めていくということで、年度替わりのタイミングでありますけれども、緊急的なテレワークを実施するための体制の構築、あるいは電子決裁制度の前倒し導入ということも行いながら、事業を適切に実施するための努力もしたところでございます。
 ちょっと長くなって恐縮でございますが、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらどうぞ御自由にお願いします。いかがでしょうか。
 
○宮崎構成員
 御説明ありがとうございました。資料の補足資料となっているページ番号の7ページです。「リサーチ・アドバイザーの研究レポートの評価・指摘・要望」というコメントがありますが、新型コロナウイルス感染拡大が労働にもたらす影響の研究を検討すべきとの意見を踏まえて対応されたという記述があります。私も同様の意見です。特に、コロナが影響を及ぼす雇用情勢とかといった研究も当然必要だという認識ではありますが、現実的に企業で働いている身としてコメントさせていただきますと、やはりリモートワークなどにどう対応するかとか、結局、同じ場所で仕事をしないものですから、プロセスが見えなくなる関係で、どうしても人事考課とか成果主義になったりとか、あとジョブディスクリプションとか、職務を明確化するとか、前々から言われていると思いますが、日本のホワイトカラーの生産性向上みたいな話に、割と現場では悩みが多いのかなと思っています。その辺を、海外での事例とか、実際どのような課題があるとかというところを、是非今後取り組んでいただければと思います。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 所長の濱口です。正に今回のコロナ禍のもたらす労働に対する問題としては、今、言われたテレワーク、モバイルワークというのが最大の問題、最大かどうか、非常に重要な問題であることは当然であろうと思っております。我々も正に今年度、かなり早い段階からテレワークの調査研究を1つの柱としております。
 実は、従前からテレワークは注目していろいろ研究の蓄積はありますが、今年度、新たにテレワークの実態がどうなっているかを調べるとともに、同じようにロックダウンということで諸外国もテレワークが大変急速に広まっているということで、諸外国の実態を急遽一生懸命調べております。かつ、ここにもちょっと書いておりましたが、厚生労働省も先月からテレワークの検討会を開始しまして、私もその委員として参加をしています。来月の検討会で、私から、取りあえず途中段階ではあるのですが、我々が調べた実態について御報告をさせていただく予定にしております。そういった形で適宜御報告をしつつ、できるだけ早い段階で取りまとめて、国民の皆様にも知らしめていくのが我々の務めかなと思って、今回のコロナの1つの柱として取り組んでおります。
 
○宮崎構成員
 ありがとうございます。
 
○今村主査
 今、オンラインに2つほど質問が入っていますが、もしよろしければそちらに回してよろしいでしょうか。それでは、まず、ここに書いてある順番で土井先生、それから引き続き高田先生ということでお願いします。
 
○土井構成員
 土井です。質問いたします。1点目は、今の御質問とも絡むのですが、コロナということで、今お話があったように、テレワークというところで、今年度研究を進められるということなのですが、実はテレワーク以前に一番最初何が問題になっているかと言いますと、押印が必要であるとか、テレワークしたいけれども肝腎な資料が共有されていないという、要は日本がデジタル化が遅れているために、非常に今でも混乱というか起こっているわけです。自宅でテレワークができない方がいらっしゃるわけです。そういう点に関して、テレワーク以前に、テレワークができる環境に関して、今までずっと海外とかいろいろな情報などを調べておられたので、そういう意味での企業あるいは非企業でも、そういう環境が、デジタルトランスフォーメーションと今は言いますが、そういう環境が本当に整っているのかということに関して、今まで報告などを出されたことがあるのか。出されたことがないのでしたらば、今後そういう点に関してどのような調査などを実施されるのか。出されたことがあるのでしたら、なぜ、その報告調査が、政策というか企業の在り方など雇用の改善に活かされてこなかったのかというところを教えていただきたいというのが1点目です。
 2点目は、補足資料の5ページに書いていただいておりますが、研究の結果が政策貢献に期待できるということで、厚生労働省から評価を受けているということで、これが1つの評価指標になっているのですが、ただ、貢献が期待できるということで、本当に貢献しているかどうかは分からないわけですよね。ですので、短い期間ではその成果を見ることは、確かに本当に政策に取り入れられたのかどうかを見ることはできないのですが、ある程度、5年間という中で、前の期とか、そのときに提言したものが、どういう形になって本当に政策に取り入れられたのか、取り入れられたけれども本当に成果を発揮しているのかといったことを、今後はきちんと定量的に見ていく必要があるのではないかと思います。これが2点目です。よろしくお願いします。
 
○労働政策研究・研修機構副所長
 ありがとうございます。ただいまの土井委員の1点目は、海外のICT化の状況についての報告があるかという御質問だったと思います。これについてお答えいたします。海外を担当しています副所長の天瀬と申します。これについては、幾つか海外の状況を調べた報告書があります。1つは、2018年6月に出した資料シリーズ№205というもので、「近年の技術革新と雇用に関わる諸外国の政策動向」という形で取りまとめております。もう1つは、2019年7月に取りまとめた海外労働情報19-07「諸外国のプラットフォームビジネスの調査」というもので、これはアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスについての状況を整理したものです。
 また、これとは別に、海外のICT化の状況の議論のプラットフォームとして2つほど議論したことがあります。1つは、2018年11月に行いました北東アジア労働フォーラム、これは日中韓で議論する枠組みですが、ここでは、ICTを含める近年の技術革新が新しい就業形態、労働規制及び権利利益保護にどのような影響を与えたかという観点で議論をしております。また、2018年3月に行いました国際比較労働政策セミナー、これはアジアに加えて欧米の研究者を招聘して行ったセミナーですが、ここのテーマは「就業構造・就業形態の変化と政策的対応を振り返る-そこから見える未来」と題して議論を行っております。以上が、土井委員の1番目の御質問に対する回答です。

○労働政策研究・研修機構研究所長
 2番目の御質問に対するお答えです。土井先生から、いろいろ活用されているというけれども、そこはどこに結実しているのかという御質問がありました。例として挙げますと、例えば高齢者の研究であれば、これは労政審、労働政策審議会で審議をされ、高年齢者雇用安定法の改正に結実しております。あるいは、いわゆる仕事と介護の研究であれば、これは育児介護休業法に結実し、いわゆるパワーハラスメントについての実態研究を踏まえて、パワハラの法制化に結実しておりまして、むしろこれが通常です。中には、そういった法改正に結実していない例もあります。むしろ、それを御紹介したいと思います。
 それは例えば、解雇の金銭解決というトピックです。これは閣議決定された日本再興戦略で、解雇の金銭解決を検討せよ、ついてはそれに必要な調査をせよという指示がありまして、我々で実態を調べ、これを報告書にまとめ、厚生労働省の検討会に報告をしました。しかし残念ながら、大変労使の意見の対立が激しくて、今日までまだ結実はしておりません。結実はしていないのですが、逆に言うと、それだけ大変大きなトピック、労使の間で大きな論争点になるようなトピックについて、今日まで使われるようなデータを、我々が調査をしてまとめ、そして各方面、厚生労働省の検討会も含めて各方面で議論される素材として御活用いただいている例もあります。全てが結実をしているわけではありませんが、結実をしていないものも含めて、このように活用されているということです。以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。こちらからの回答は以上です。土井先生、いかがでしょうか。
 
○土井構成員
 ありがとうございます。2点目に関しては、ある意味、そういう良い、良いというか、まだ実現には至っていないけれども非常に重要な議論の基になっているというのであれば、それはそれで、そういうものも良いものがあるということが表れるような指標も、是非考えていただくのが重要かと思います。
 一方で、1点目に関しては、今御紹介いただいたように何件か出ているわけです。私として興味があるのは、ではそれぞれの年度で厚生労働省から政策に貢献すると評価されたのであれば、その後、評価されたけれどもどうなったかというのは、言ってしまえば、あまり企業とかほかの所は全然そちらのほうに動かなかったということなのだと思いますが、これだけ世界がデジタルトランスフォーメーションと言っていたのに、間に合っていなかったということなので、そういう意味では、良い提言をされたのであれば、それはそれできちんとフォローアップしていただくということがあれば、もしかしたらもう少しデジタル化が進んでいたのかもしれないな、残念だなというのは、ちょっとすみません、感想です。どうもありがとうございます。
 
○今村主査
 ありがとうございます。では引き続き、高田先生お願いします。
 
○高田構成員
 高田です。よろしくお願いします。まず第1点として、感想なのですが、これまでの着実な研究体制の整備が、コロナの状況に対応して非常にスピーディな研究体制が組まれつつあるということを伺いまして、大変心強く感じた次第です。
 土井委員の質問の関連で、まず最初に1点目として申し上げたいと思うことは、研究機構のテレワークに関する取組は、私は日本の研究機関の中ではよくやられていたほうではないかなと実は思っております。と言いますのは、私も30年近く前になるのですが、テレワークの研究会に、別の所なのですが、参加していたことがあります。私の参加していた研究グループは、その後、日本テレワーク協会というNPOを立ち上げまして、テレワークの普及も頑張ったのですが、結局、日本の当時の会社は対面のコミュニケーションをベースにした働き方、経営の仕方というのを、それで成功してきたということがありますので、それから離れることができなかったということで、その協会の活動も余りぱっとしたものにならなくて、私もこの研究から離れてしまったのですが、その後も、研究機構では、雑誌の特集等でもテレワークのテーマを取り上げられていまして、その意味では、断続的とは言えますが、継続して情報を蓄積されてきたかなと思っております。ただ、日本の企業風土が、テレワークに対しては非常にマイナスに働いてきたということがあって、今回それが、コロナという大きな衝撃をもってかなり変わってくるのではないかという、私としては期待ですが、それを持っております。その関係の研究活動も、もう既に着手されたということで、そういう点では非常に高く評価したいと思っております。
 それから、コロナの問題のもう1つの面です。雇用形態が非常に多様化してきて、そういう中で、コロナの影響で自営業といいますか、インディペンデントビジネスコントラクターといいますでしょうか、そういう働き方の人たちが増えてきているのに、コロナの対応ができなくて非常に困っているというようなことを聞いております。そういう研究も取り組まれていることを伺いました。これは全く別の面であって、労働問題としてこれは非常に重要な問題です。これからも、恐らく雇用の流動化というのは続いていくと思われますので、そういう中で多様な働き方を確保するという労働政策の重要な基礎データになるものですから、是非こちらの方面にも力を入れてやっていくということ、ほかの団体がなかなか取り組まない領域でありますから、私としてはこちらのほうに大きな力を注いでいただきたいと思っております。基本的に、機構の取組に関して評価させていただきたいと思っております。ありがとうございました。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 所長の濱口です。2点御指摘いただきました。1点目は、先ほどもおおむね申し上げましたテレワークですが、正に高田先生の御指摘のとおり、もう当機構は、設立当時からテレワークを重要な柱として研究を続けてきました。日本社会の中でなかなかテレワークが広まらないこともあって、ある意味細々といいますか、継続的に続けてきましたが、今回のコロナ禍で、これだけ急激にテレワークが広まったということもありまして、今までの蓄積を踏まえて、かなり大掛かりに調査をやっていきたいと思っております。何らかのかなり良い成果を出したいと思っております。
 それから、2点目の御指摘も、我々にとって非常に重要な柱だと思っております。これもコロナが起こる数年前から、いわゆる雇用類似の働き方ということで、近年は大変な問題意識を持たれてきたところです。これは、厚生労働省の雇用環境均等局でこの問題については関心を持たれて、そちらで検討会をされるということで、日本で雇用類似の働き方をされている方が一体どれくらいいらっしゃるのか、そして実際どのような仕事をどのようにしているのかを調べろという指示といいますか、依頼がありまして、これも累次にわたって御報告をしております。
 また、諸外国、同じようなことは、ウーバーだとか何だったかという形で、諸外国でも同じような事態が起こっております。これも英米独仏、このような国々でどのような事態が起こり、そしてどのような対応をしているのかということも、一生懸命調べて御報告をしているところです。
 今回のコロナ禍の中で、もちろん雇用されている労働者、中でも非正規でかなり厳しい状況に置かれている方々も多いのですが、取り分けフリーランスと言われている方々が、いろいろなセーフティネットから外れているという御指摘がありますので、この辺もやはり我々として非常に重要な着目点だろうと思っておりまして、これまでの雇用類似に関する調査を踏まえて、更に今回のコロナ禍で指摘をされているいろいろな問題点についても、引き続き研究に取り組んでいきたいと思っております。どちらも非常に重要な課題だと思っております。
 
○労働政策研究・研修機構理事長
 今、所長の濱口のほうからお答えさせていただきました。これは感想めいたことになりますが、1つはフリーランスといいますか、雇用類似の働き方、その点については、今回、個人調査をパネル調査ということでやっております。その中に、もちろん会社に勤めている方々も入っているのですが、同時に我々の目的として、フリーランスを特別扱いという形で入れましょうと。従来、厚労省のターゲットといいますか、そうしたものになっているのかどうかと議論しているところですが、それに先んじて、例えば所得の変動が、会社に勤めている人と比べてどうなのか、収入の増減ですが、これが非常に大きいということも今回の調査結果で分かってきました。特に、コロナ禍における影響が強いことも分かってきたということです。その点は、高田先生の御指摘のとおりということについて、我々も注目しているところです。
 もう1点、土井先生もおっしゃった、何でこれだけ調査研究がテレワークについて行われているにもかかわらず、それが有効に使われていないのか、日本社会においてどうなっているのだという御指摘ですが、これも全く私も同感なところでございます。昨年まで、私も労働政策審議会の会長を務めておりまして、その関係から未来投資会議という官邸で行われるような会議にも出席してきました。そこでも正に、IT技術の活用の問題がずっと取り上げられてきたわけですが、残念ながら民間企業も含め、これは政府あるいは自治体の所においても、汎用性の問題を含めて、なかなかうまくこれが有効に活用されていないということについて議論してきました。しかし残念ながら、そこが現実になっていないということがあったかと思います。
 その点、実は非常に私も反省しておりまして、今回EBPMを議論していこうと。それは正に証拠に基づいた、あるいは分析、調査結果に基づいて政策を考えていくということ、考えていくだけではなく、やりっぱなしではなく、見直しを進めていくというのが基本的な考え方であります。このEBPMを推進することが、いろいろな調査研究で行われているものを具体的に政策化していくというところで、それは有効に使われるのではないかという期待も含めて、私どもは従来から、従来はこの推進母体である統計委員会というのがありますが、その総務省の統計委員会、かつては総務省、私の頃は内閣府でしたが、そこでずっと提言してきたのが正にこの問題です。やっと、これが実行に移されてきたという状況になってきているのかなということでして、是非、土井先生にも応援団という形で御支援いただければと思っております。どうもありがとうございました。

○今村主査
 ありがとうございます。重点事項に限ってずっと議論をしていただきましたが、もう少し時間があります。どんなテーマでも構いませんが、御質問があればと思います。
 もしないようでしたら、1つだけちょっと今の雇用類似のということで、お伺いしたいことが少しあります。機構の立ち位置というのは、こういう制度上、厚労省の中でということで仕方がないと思うのですが、例えば経団連とかだとソサイエティ5.0とDXとかいろいろ出ていますよね。
 つまり、雇用だけがこの問題を解決するのか、もっと生産性とか市場とか、いろいろな問題がこの問題を包括的に関わってくるということを考えると、つまりどういうことかというと、立て付けの中で機構の立ち位置をこれからどう考えるかという中で、今やはり言われているのは個人の力ですね。一人一人の立ち上がり、だから立て付け、立ち位置、立ち上がりというのでしょうか。何かそういう意味で、私どもの研究所でやった調査なのですが、グローバルイノベーションランキングというのをやったら、日本が32位ぐらいだったのです。マーケットとポリシーとインターナショナルハーモナイゼーション、国際協調と技術とヒューマンバリューとやると、シンガポールやアメリカとか比べると、日本はヒューマンバリューが非常に低いのです。その内容はというと、実はヒューマンキャピタル、教育、所得格差、多様性、スマートファーといった、いろいろな要素でやってみると、教育はいいのですが、日本は大概どれを取っても非常に低いのです。
 つまり、私の質問はどういうことかというと、その立て付けの中でやってらっしゃることの中で、だけど日本はこれからイノベーションという視点で見通すと、諸外国と比べて少しヒューマンパワーという点で心配があるという指標は、いろいろなところから言われているわけですが、その解決策として、雇用類似という話にいきますと、スタートアップとか起業家とかそういうことも含めて、今データの中に入れられたというのは非常にすばらしいと思うのですが、そういう見通しというのはどうなのかということだけを、これは大きな問題なので簡単には答えられないと思うのですが、非常にJILPTに期待するところが多いので、是非お聞かせいただければと思います。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 的確なお答えになるかどうかは分かりませんが、もちろん労働政策研究・研修機構でありますので、働くということに何らかの関わりがある研究をするという枠はございます。ただ、それが狭い意味の雇用労働に限られなければならないかというと、もう実体は、つまり雇用類似ということが問題になるということ自体、雇用労働と自営業というものが、かなり曖昧化しつつあるという、その中で、少なくとも人が働くということに関わる問題ということであれば、もちろん濃淡はあるかとは思いますが、当然我々として関わりを持って研究していかなければならないのではないかと思っています。
 これは決して我々日本だけの話ではなく、世界的に見ても、やはり労働研究というものが働くということを通じて、今までの狭い意味での雇用労働を超えたところにかなり焦点が動きつつあるのは間違いないと思いますので、そこは世界のそういった動きもにらみながら、同じように遅れないように進めていきたいなと思います。デジタル化全般ということになると、正直言うとなかなか我々の能力がどこまで及ぶかというということもございますが、当然のことながら、そのデジタル化に関わって、雇用であれ自営業であれ、様々な働くということが大きく変容しつつあると、そこには着目をして研究を進めていきたいと思っております。
 
○労働政策研究・研修機構理事長
 全く同じことの繰り返しになってしまうので恐縮なのですが、実はどこまでが労働政策なのだろうかというような問題と非常に密接に関連しておりますし、もう正に雇用政策の守備範囲を、今の御指摘のような一種の自営業、しかし、働いてもあまりその資本に基づく収益というのはないような仕事、こういったものを含めるべきかどうかということについて、ずっと議論してまいりました。
 これは労政審のほうに、昨年、労働施策基本方針部会というものが作られまして、その部会長を私も務めましたが、その中で厚労省として今後どうするのかというようなことに対して一定の答えを私たちは出したと思っておりますが、そこでは、それも含めるというような形で、どういう形で支援していくのか、保護していくのかというようなことというのも、この間の報告書の中に書かせていただきました。
 これと関連しまして、私どもはコロナについて毎週火曜日の午後に勉強会を開いております。毎週2、3時間やっていて、その中で労働政策というのは一体何なのだろうかと、どこまでを言うのかというのは、正に基本的な問題として取り上げておりまして、その中でのこの雇用類似の働き方に限らず、御指摘のような生産性の問題でありますとか、時にはマクロ政策にも言及するようなことというのも、労働政策かどうかと。過去の研究を調べてみましたら、雇用政策というのは労働省のやっている政策であると書いてある研究論文がございまして、これではいつになっても発展というのはないだろうというようなことから、今回のこのコロナの問題につきましても、本当に何が労働政策なのだということなのです。
 例えば10万円の給付や低利の公的融資、これは労働政策なのかどうか、あるいはいろいろな形での家賃の補填の問題とかも出てきておりますが、どこまでを考えていくべきかというのを、正に議論しているところでして、まだ答えは出ておりません。多分、ずっと出ない問題かもしれませんが、従来よりは幅広に考えていかなければいけないだろうというようなところについては意見が一致しているかと思いますが、どこまで含めるのかということについて議論しているところです。
 
○今村主査
 ありがとうございます。もっと議論したいところなのですが、三宅委員からちょっと発言されたいということなので。ちょっと大事なことを忘れていました。個人的なことで申し訳ないのですが、グローバルイノベーションランキングを、2019年版を作って大事なことを忘れていて、濱口先生と樋口先生に送るべきでした。すみません、今後引き続き議論はお願したいと思いますが、よろしくお願いします。三宅構成員、すみません。どうぞお願いいたします。
 
○三宅構成員
 三宅です。幾つか印象とそれから質問があります。まず印象ですが、研究についての話は、数値目標を達成したという量的な指標だけではなくて、内容を拝見するとクオリティのほうもきちんと担保されているようで、非常にすばらしい状況にあると思いました。自己評価「A」で問題ないと思います。
 今も話にあったように、社会自体が非常に変動期というか、今後の見通しが付いてないような状況ですが、今後のことを考えて、近未来のいろいろなシミュレーションが必要だと思うのですが、そこにおいては、なるべく幅広く見て、いろいろなシナリオをきちんと抽出した上で、調査それから研究して、提言につなげるようなことができればいいなと、是非幅広にシナリオ抽出をお願いしたいと思います。これはお願いです。
 それから、私は理工系、技術系の人間ですので、産業の現場に関する話を産業界の方々とお話する機会があるのですが、今までは産業に関しては、経営層とそれから現場の風通しですとか、いろいろな関係性が述べられてはいたのですが、実は今はやはり中間層ですね、中間の管理職の層が一番疲弊していると指摘されています。特に、このコロナの時代にあっては、中間管理職の方々はリモートができず、そしてもちろん現場のほうはリモートもできないまま、何とか人をやりくりしている状況だと思うのですが、そのしわ寄せが全てその中間層にきているので、そこに対する良いアイディアが出ないかと、今後研究のほうでお願したいと思っています。
 質問ですが、幾つか拝見していると、アジア、ASEAN地区にいろいろ海外展開されているようなのですが、ある所ではタイ、ある所ではミャンマー、ある所ではラオスとなっているのですが、そこら辺の海外戦略、海外展開に対する基本的な考え方とかスタンスをちょっと聞かせていただければと思います。以上です。
 
○労働政策研究・研修機構副所長
 今、頂いた御質問の3番目のほうから少しお答えさせていただきます。アジアについて、どのような方針で調査研究をやっているのかという御質問だったかと思いますが、基本的には近隣の北東アジアをまとめる中国、韓国と、我々は非常に密接な関係を持っております。この2か国における研究機関、中国がCALSSという組織で、韓国はKLIという組織ですが、この3か国の枠組みで、あるときは3か国、あるときは2か国において、共通のテーマで議論を毎年行っているといったような状況にあります。
 また、それ以外のアジアの国におきましては、これについては1つずつ国を取り上げまして、先ほど言及がありましたミャンマー、ラオス、カンボジアあるいはインドにおける、これは日系企業が主に進出している国なのですが、この雇用環境と申しますか、労働法制あるいは現地の日系企業の活働状況について調査し、またそれが現地の労働法制、労働にどのような影響を与えているかについても調査して、毎年これまで1冊の書籍にして出版してきているところです。以上です。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 これは御質問ではなかったということなのですが、中間管理層の疲弊というもの、これはある意味では、日本の雇用システム全般の問題かと思います。これは我々としても一つ一つの細かな問題についての調査研究を進めるとともに、日本の雇用システム全般についての見取図といいますか、今後どういう方向に向かっていくのかという、そういう問題意識を持っていまして、今出ているもので言うと、5ページ目にプロジェクト研究のテーマが載っていますが、冒頭に雇用システムに関する研究があります。これは現在、進めているところでありまして、まだまとまってはいないのですが、やはり今回のコロナ禍でも現れてきたような日本の雇用システムの問題を、かなり広い観点から、1つはグローバル化であるとか、企業経営が今後どうなっていくかということ、もう1つは人口構成がどんどん高齢化する中で今までのような雇用システムの在り方でいいのかという、主としてこの2つの問題意識を持って、いろいろと実体を調べております。まだ、まとまっておりませんが、もしまとまれば、これも世の中に結構大きな意義を持つのではないかと思っております。
 
○労働政策研究・研修機構理事長
 管理職についてのお話がありましたが、これは厚労省からの緊急調査ということもありまして、先ほどの資料の5ページ目を見ていただきますと、そこに管理監督者の実態調査とあります。正に、管理職というのが一体どういうことをやっているのか、どういう権限を与えられ、どういう責任があるのかというようなことについて調べるというものであります。
 この問題、これは私個人の問題意識として、よく言われますのが、日本の管理職というのは、海外に比べてプレイング・マネージャーが多く、どうも役割が違っているのではないか、あるいは管理職の定義をどうすればいいのかというような、例えば残業割増しを付けるのかどうかというような制度的な問題も含め、また権限の問題も含めて、それはいろいろな研究で、どうも日本の管理職の数が国際的に見て多いという。ただし、調査によって定義が違っているもので、一概に国際比較はできないのですが、そんな問題意識から、この調査に私も関心を持って実施しているというようなところであります。御指摘の中間管理職というのは、日本の特徴的なところもあって、そしてそれが、濱口のほうから説明がありました日本全体の雇用システムの中で、どう位置付けられているのか、どう責任を持っているのか、どういうような役割をその企業全体で果たしているのかというようなことについて調べているところです。
 
○三宅構成員
 ありがとうございます。
 
○今村主査
 ありがとうございました。よろしいですか。
 
○三宅構成員
 最後のお話ですと、やはり管理職というか、組織の問題になると思うのですが、労働者、従業員の方々というのは、人事評価制度というものに非常にセンシティブに捉えてると思うので、そこら辺を含めて、日本と海外の組織だとか、いわゆる文化だとか、そういったものを加味していただけると面白いかと思います。
 それと、もう1つあるのですが、最初のアジア展開の話なのですが、例えば日本の産業界が、特に製造業とか建設業ですが、海外に進出をしていって向こうでいろいろ活躍をしていただく場合に、産業現場のいわゆる労働安全衛生というのが非常に重要であって、これを担保することは不可欠だと思うのです。そういう観点からすると、製造を担当する省庁があると思うのですが、そちらのほうとの連携を、少なくとも研究のレベルではできると思うので、いろいろ反映していただいて、産業現場での安全ということも研究の1つとしていただければというふうにお願いします。以上です。ありがとうございました。
 
○今村主査
 ありがとうございます。大体予定どおりの時間で進行が進んでおりますが、よろしいですか。本当に議論が尽きないと思います。終電まで議論してももっと議論できるかと思いますが、是非JILPTには、こういうコロナ禍という機会の中で本当に期待するところが非常に大きくなっております。是非、引き続きすばらしい研究と、そしてその展開をどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、続いて法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況を踏まえ、今後の法人の業務運営等について、コメントを頂ければと存じます。まず、法人の監事から、続いて法人の理事長よりお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構監事
 監事の東ヶ崎でございます。お手元のほうに資料の2-4というのはございますか。それで御説明いたします。当機構の令和元事業年度に係る監査報告ですが、7月31日付けにて理事長宛てに報告いたしました。当機構の監査結果を御報告いたします。
 お手元の資料Ⅰに監査の方法及びその内容という記述がありますが、監査計画に基づきまして、業務監査にあっては、役職員からその職務の執行状況について聴取するとともに、全ての理事長決裁書類の内容確認を行ったほか、経営会議等の重要な会議への出席などを通じて、当機構の意志決定過程や業務活動状況を監査いたしました。
 さらに、会計監査に対しては、当機構の契約した監査法人の監査結果を聴取し、会計に関する帳簿、証拠書類及び計算書類を、閲覧、点検、資産の実地監査を行うとともに、会計責任者から聴取を行いました。
 その結果ですが、Ⅱに監査の結果を記しています。法人の業務は、法令等に従いまして適正に実施され、また、中期計画の着実な達成に向け、効果的かつ効率的に実施されているものと認めます。また、内部統制に関すること、役員の不正行為、法令違反、財務諸表等の内容、事業報告書の内容につきましても、詳細は割愛いたしますが、いずれも適正に行われており、指摘すべき事項及び特段の意見はございません。
 監査は私と非常勤の小林監事の2名で実施しておりますが、両監事間での意見の相違はございません。
 監査の報告は以上になりますが、今後の効果的かつ効率的な業務運営の遂行に当たり、日常及び監査期間中に気付いた点を少し述べておきます。昨年度末以降、新型コロナウイルスによる経済、雇用、就業への影響に着目し、年度始めより研究テーマとして、かかる影響の調査分析に関する研究を立ち上げ、理事長のリーダーシップの下、機構の多くの調査員、研究員の協力を得て推進中にあることが伺えます。先刻も機構側からの説明にもあったとおりです。実社会にあっては、働き方の在り方においても、種々分野の事業の在り方においても、新型コロナが引き金になり表面化、変容してきた事象が幾つも認められております。是非、機構の限りある資源を有効にマネジメントしていただき、今後変わろうとしている社会の道標となるアウトカムの創出へと、実が結ばれることを期待いたしております。以上で、監事からの報告を終わります。
 
○今村主査
 ありがとうございます。それでは、理事長からお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構理事長
 理事長の樋口でございます。構成員の皆様におかれましては、本日の業務実績評価を通じまして、多くの貴重な御意見を頂きました。是非、参考にさせていただきたいと考えております。また、同時に感謝申し上げたいと思います。
 ただいま、東ヶ崎監事から御指摘もありましたように、JILPTにおきましては、新型コロナウイルスという世界規模での脅威に対しまして、3月の早い段階でプロジェクトを立ち上げ、組織全体でスピード感を持って調査、研究、そして情報収集分析、さらには情報発進に取り組んでまいったところでございます。
 特に、4月からは同一の客体に対する、個人や企業に対し繰り返し調査を連続して行っていくパネル調査方式といったものを導入しまして、雇用者やフリーランスをはじめとする就業者個々人の仕事や生活についての影響、それから企業の業績や事業運営、雇用調整や雇用システムというようなもの、さらにはテレワークといった就業環境のコロナ禍における変化等について検討してまいりました。そして、これに基づきまして、またデータを使いながら、各国の雇用政策の違い、あるいは日本の政策の効果や課題について、海外の研究機関、例えば韓国、先ほどから出ておりますKLIでありますとかOECD、さらには慶応大学や東京大学と連携を深めまして、共同研究を進めていく所存でございます。
 一方、業務におきましても、このコロナというのは非常に大きな影響をやはり与えていると思っております。調査方法や労働大学校の研修など、機構全体の事業にも大きな影響を及ぼしておりまして、我々も政府全体の方針を考慮しながら、柔軟に対応することとしているところでございます。緊急事態宣言が安倍総理から出され、そして在宅の促進というような要請がありましたが、同時に私どもとして効率を考えながら、いろいろなリモートについて実施しているということでありまして、政府の要請は70%の在宅ということで、残念ながら69.9%というようなことになってしまいましたが、そのような取組を行っているということでございます。その政府全体の方針を考慮しながら、やはり柔軟に対応することとしておりますが、オンラインによるヒアリング調査、さらにはリモート研修というようなことを実施し、デジタル技術を駆使しながら感染防止を図り、今後の状況も十分に踏まえた上で、可能な限り効果的に対応していこうとしているところでございます。
 本日、皆様から頂きました御意見を、個々の研究調査、さらには研修の改善に反映させるのみならず、それらの相乗効果を将来を見定めながら引き出していくというような努力をしてまいりたいと考えております。
 皆様におかれましては、今後も御指導、御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。
 
○今村主査
 どうも、ありがとうございました。ただいまの御発言内容について、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。オンラインのほうはどうでしょうか。特にないようでしたらよろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事を終了いたします。最後に事務局からお願いいたします。
 
○事務局
 事務局でございます。今後の流れにつきましては、先に御議論いただきました2法人と同じく、この後、厚生労働大臣による評価及び独立行政法人評価制度委員会に対する通知ということとなります。決定した内容につきましては、構成員の皆様にも後日お送りいたしますので、よろしくお願いいたします。構成員の皆様におかれましては、本日は長時間にわたり、御議論ありがとうございました。事務局からは以上でございます。
 
○今村主査
 それでは、本日はこれにて終了させていただきます。構成員の皆様、3回にわたって非常に熱心な議論を頂きました。本当にありがとうございます。この会場もいつもよりエアコンが良く効いていたような感じがいたしますが、どうもありがとうございました。お疲れさまでした。
 
(了)