2020年9月9日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第34回) 議事録

日時

令和2年9月9日(水)13:05~14:37

場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階)

出席者

今村主査、酒井構成員、志藤構成員、宮崎構成員、坂爪構成員、高田構成員、土井構成員、三宅構成員

議事

議事内容
○事務局
 定刻より遅れましたが、ただいまから第34回独立行政法人評価に関する有識者会議労働ワーキンググループを開催いたします。事務局の政策立案・評価担当参事官室室長補佐の戸高でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。現在、厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症対策に省を挙げて取り組んでいるところです。本日は可能な限り座席の間隔を取っております。また、マスクを着用したままで御発言いただくようお願いいたします。なお、一般傍聴席を設けず、報道関係者のみの傍聴とさせていただいております。構成員、法人、傍聴等の皆様におかれましては、咳エチケットを含め、感染拡大防止策について御協力いただきますようお願い申し上げます。
 まず、新任の構成員を紹介させていただきます。4月1日付けで法政大学経済学部教授の酒井先生に御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○酒井構成員
 よろしくお願いいたします。
 
○事務局
 次に、本日の出席状況について報告いたします。本日は、坂爪委員、高田委員、土井委員、三宅委員がオンラインでの御参加となっております。また、関口委員については御欠席でございます。中村委員については最後の第36回からの御参加となります。
 続きまして、説明の前に事務局の組織変更と人事異動について報告させていただきます。これまで、事務局は政策評価官室が務めておりましたが、8月7日付けで政策立案・評価担当参事官室に組織が変わり、参事官として生田が着任いたしました。
 
○政策立案・評価担当参事官室参事官
 生田でございます。よろしくお願いいたします。
 
○事務局
 また、政策立案・評価推進官の飯島も出席しております。
 
○政策立案・評価推進官
 飯島です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 続きまして、本日の議事について説明いたします。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納しておりますので、そちらを御覧ください。本日は、勤労者退職金共済機構につきまして、令和元年度業務実績評価に係る意見聴取を行うこととなっております。具体的には、重点化の対象とする項目を中心に御意見を伺えればと考えております。また、例えば「A」という評定が適切かというだけでなく、法人の取組の中で中期目標の達成に向けて優良と思われる点や、逆に課題があると思われる点については、評定に直接影響しないような場合であっても、積極的に御指摘を頂ければ幸いです。本日は長丁場となりますが、よろしくお願いいたします。
 それでは、今村先生よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 はい、どうもありがとうございました。ただいま、事務局から説明がございましたが、皆様何かここまでの御説明に対して、御質問等がありましたらお願いいたします。これはオンラインで参加される方も随時声が聞こえるようになっていますか。
 
○事務局
 はい、随時声が聞こえます。
 
○今村主査
 分かりました。特にないようですので、議事に入りたいと思います。勤労者退職金共済機構の令和元年度業務実績評価について御議論いただきたいと思います。初めに法人所管課室から、「重点化対策項目選定の考え方」について御説明いただき、その後に法人から「法人の業務概要」及び「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価について御説明いただきます。この2つの説明が終わってから、質疑応答という形で進めていきたいと思います。それでは、法人所管課室から重点化対策項目選定の考え方について説明をお願いいたします。
 
○雇用環境・均等局勤労者生活課長補佐
 法人所管課の雇用環境・均等局勤労者生活課で課長補佐をしております村上でございます。重点化対象項目選定の考え方につきまして、私から説明させていただきます。座ったままでの説明になりますが、御容赦いただければと思います。
 資料1を御覧ください。重点化項目としまして4点挙げさせていただいております。いずれも退職金共済事業でして、一般の中小企業退職金共済事業、建設業退職金共済事業、清酒製造業退職金共済事業、林業退職金共済事業の4点でございます。
 まず、一般の中小企業退職金共済事業ですが、そもそも退職金共済事業につきましては、共済契約者から納められた掛金を運用いたしまして、一定の利回りを付与した上で、被共済者に退職金を支払うことが制度の根幹となっております。資産運用業務は、退職金共済事業の運営におきまして主要な役割を果たすもので、重要度が高いと考えているところでございます。総務省の指針では、重要度が高い項目につきましては、重点化項目の対象とすることとなっておることから、本事業につきましても重点化項目としているところでございます。
 なお、残りの3つの事業、建設業退職金共済事業、清酒製造業退職金共済事業、林業退職金共済事業につきましても、同様の考え方から重点化項目としているものでございます。
 加えまして、建設業退職金共済事業におきましては、確実な退職金の支給に向けた取組としまして、共済手帳の長期未更新者の縮減のための取組を目標に掲げているところでございます。建設業における期間労働者につきましては、建設工事全体の中の特定の専門工事に従事し、現場を点々と移動する場合が非常に多く、雇用の流動性が高いことが特徴となっておりま、す。また重層下請構造により雇用関係が複雑であるために、建設事業者による雇用管理の取組が容易ではないという実態もございますことから、長期にわたり労働者の住所及び勤務先を把握し続けることが難しいという事情がございます。このため、難易度が高いものと考えているところでございまして、建設業退職金共済事業におきましては、先ほどの資産運用業務に加えて、確実な退職金の支給に向けた取組も加味いたしまして、重点化項目としたところでございます。
 最後になりますけれども、林業退職金共済事業でございます。当該事業につきましては、既に御承知のことかと思いますが、累積欠損金を抱えている状況にございます。平成17年度に策定いたしました累積欠損金解消計画に基づきまして、その解消に努めているところであり、先般行われました労働政策審議会中小企業退職金共済部会におきまして、財政検証結果が取りまとめられたところでございます。当該財政検証の結果を踏まえまして、今後は累積欠損金解消計画を見直すこととしておりますところ、この見直しに当たりましては、資産運用面の検討のみならず、加入者確保対策の強化等、関係機関との連携による取組も含めて、より慎重に調整を必要とすることから、難易度が高いものと考えております。林業退職金共済事業は、先ほどの資産運用業務に加え、難易度が高い累積欠損金解消計画の見直しも加味して重点化項目としたところでございます。簡単ではございますが、説明は以上となります。
 
○今村主査
 それでは続いて、法人から法人の業務概要及び重点化対策項目の業務実績及び自己評価について御説明をお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構総務部長
 はい、勤労者退職金共済機構総務部長の久知良でございます。本日はよろしくお願いいたします。私から、法人の業務概要と重点化項目の実績、それから自己評価について御説明させていただきます。資料は、「業務実績に関する説明資料」というタイトルの資料でございます。次のページに当機構の概要がありますので、簡単に説明をさせていただきます。
 当機構は、中小企業退職金共済法の規定による中小企業退職金共済制度の運営、それから勤労者の計画的な財産形成の促進の業務を行うことを目的としているものでございます。平成15年10月1日に設立され、役員6名、職員258名という組織でございます。
 業務の概要として、1つは中小企業退職金共済制度ということですが、その中に2種類ありまして、一般の中小企業の退職金共済制度と特定業種の退職金共済制度がございます。特定業種のほうは現在、建設業、清酒製造業、林業の3業種になっておりまして、特定業種のほうは、この期間雇用の従業員の方を対象として、その方が事業所を点々としても、最終的にその業種を辞めるというときに、当機構から退職金を支給するという制度でございます。それから、大きな2つ目に勤労者財産形成促進制度ということで、財形貯蓄をやっている勤労者を対象にして、住宅の建設、購入、改良のための資金を低利で融資するという制度でございまして、そうしたことをやっている法人でございます。
 2ページを御覧ください。ここに評価項目の一覧を掲げさせていただいております。全部の項目についてB評価という自己評価をさせていただいております。本日は、その中の重点化項目である1番目から4番目までについて説明をさせていただきます。
 3ページを御覧ください。これが重点化項目の1つ目、一般の中小企業退職金共済事業についてです。中期目標の大きな柱立てとしては、資産の運用、確実な退職金の支給に向けた取組、それから加入促進対策とサービスの向上ということで、サービスの向上については受付から支給までの期間とか、ホームページのアクセス等が指標になるということで、この大きな枠組み自体は、ほかの3つの制度についてもおおむね同じということになっております。
 では、具体的な実績のほうの説明に移ります。4ページを御覧ください。重要度の高が付いております資産の運用についてでございます。指標としましては、委託運用部分について、毎年度各資産のベンチマーク収益率を確保するということになっております。
 これに関しては、このスライドの左下にあります図表1を御覧ください。国内債券から外国株式まで4種類の資産についての実績でございます。ここの超過収益率という所が全部白い△がない状態、マイナスがない状態になると、目標を完全に達成したという状態になるという設定でございます。それに対して、超過収益率の所にありますように、国内株式と外国債券で白い△があるということで、マイナスが立っているというような状況でございます。
 その原因について、上の緑の枠で囲った中を御覧ください。昨年度の末、つまり今年3月がどういう時期だったかというように見ますと、新型コロナウイルスの感染拡大を契機として金融市場が混乱し、また金融政策は異例の対応をやったということで、通常とは相当異なる状況になっていた、そういう特殊な時期だったと考えております。国内株式については、日銀によるETFの大量購入等がなされたということがありますし、外国の債券についても、FRB等の無制限の量的緩和によって予想外の金利低下といったようなことがあったということです。3月というのは、このような特殊な時期だったというように考えておりまして、私どもとしても、3、4、5月と資産運用委員会での御議論もお願いをしたところでございますけれども、委員の皆様の意見としても、短期的な動向で右往左往せずにやったほうがよいという助言を頂いたところでございます。
 4月以降の状況ということで、少し書かせていただいておりますが、国内株式、外国債券ともに大幅に改善をしております。5月末の時点でいずれもプラスとなって、それぞれ0.67と0.31のプラスで、全体でも0.31のプラスに転換をしております。その後、直近の一番新しい数字ですと、これが7月末の実績になりまして、そこではそれぞれの数字が1.68、0.49、0.78ということで、プラスの幅が拡大をしているという状況でございます。したがいまして、3月のこの結果というのは、3月のコロナの関係の特殊な要因が大きく作用しているものだと、私どもとしては考えております。
 続きまして、5ページを御覧ください。確実な退職金の支給に向けた取組についてでございます。指標が2つございますが、未請求率ということで、これは人単位のベースで1.3%以下に抑えるということ、それから退職金の額のほうで0.4%以下に抑えるというのが指標でございます。それに対して、実績としては1.65と0.47で、少し達成はしていないという状況になっております。
 その要因についてはこの緑の中で説明をしております。1つは企業間で通算をするという制度がございます。中小企業の退職金共済については、基本的には企業を辞めたときに退職金の支給が行われる制度ですが、御本人の選択で、次に就職する企業についても、この制度の加入の企業である場合は、本人が通算をするということを選択することができます。この場合は、その時点では退職金の請求はなされないということになるわけです。そういう通算を希望される方々が増加しているということに1つはなっているということです。
 下の右側の図表3を御覧いただければと思います。これは私どもで未請求の方々に、どういう理由で請求をしていないかをアンケートした結果です。それぞれの額に応じた異なった傾向が出ているというところでして、真ん中の10万~50万の所、それから50万以上の所では、請求しない理由として最も多いのは、やはり通算を希望するという方々が、それぞれデータにありますように6割以上おられるという状況になっております。一方で、10万円未満という少ない方々については、手続が面倒だということで、請求しない方が最も多く、37.8%という結果になっておるところです。私どもは、額によって別の手続を要求しているわけではございませんけれども、もらえる額との兼ね合いで、同じ手続でももらえる額が少ない方々については、手続が面倒だと感じておられるという状況になっているということです。
 また、緑のほうに戻っていただきまして、今申し上げましたように、そういう低額の方から請求がなされないということもこの目標未達の要因でございます。実際、私どもとしても、未請求者の方々に対する取組を、ここに掲げているようなことをやっておりまして、実際に年間の請求者数では前年を上回るようなことになっておるわけですが、制度自体は知っていても手続が面倒なので請求をしてこない方々への対策、これはなかなか難しいところがございます。
 対策としてここに並べておりますけれども、1つはこういうアンケート調査を継続的に実施をして、判明した原因を特定して解消する対策を考えるということだと思います。この手続が面倒だということへの対策は、結局のところ、その請求の手続を簡素化する、合理化するということにしかならない部分はございますけれども、私どもの制度からすると、やはりお金を払う制度なので、不正受給の防止といったような観点がございますので、無制限に簡素化したらいいというものでもない、それも確かでございます。そういう意味で、ここの対策の所に書いておりますように、請求手続の合理化策については、実施の是非とか実施の時期について検討するということです。
 そのほか、未請求者に対するテレホンアプローチとか、高額者に対する請求手続の要請を継続してやっていくとか、あと中退共の制度自体をきちんと周知しないと、私どもとしてその請求の手続の要請をすることは、振込先になる口座番号を教えていただかなければいけませんので、そういうことが詐欺みたいなものだというように思われないようにするためには、やはり制度自体の周知をちゃんとやっていくといったようなことをしっかりとやっていきたいと考えているところでございます。
 6ページ、加入促進対策の部分については、目標に対して100%を超える実績というようになっているところでございます。それから、サービスの向上についての指標につきましても、全て100%もしくはそれ以上ということです。したがいまして、資産の運用につきましてはコロナの特殊要因があったということ、それから退職金の取組については、先ほど申し上げましたような事情があるということがありますので、私どもとしては、この一般の中小企業退職金共済事業の自己評価はB評価とさせていただいているところでございます。
 続きまして、2つ目の建設業の退職金共済事業です。こちらにつきましても目標の立て方はほぼ同じで、先ほど勤労者生活課から説明がありましたように、確実な退職金の支給に向けた取組について、難易度のほうで高と付いているということでございます。
 8ページを御覧ください。資産の運用についてです。委託運用部分について、毎年度、複合ベンチマーク収益率を確保するということが指標になっております。この関係では、真ん中よりちょっと下の図表4を御覧ください。この中で、超過収益率の合計の所に△が立ってなければ、これは目標を完全に達成したことになるわけですが、この給付経理というのは中小企業を対象とした本来の退職金共済事業ですが、こちらについてはマイナスの0.06で、僅かにマイナスとなっております。それから、右の特別給付経理というのは付帯事業として行っています大企業向けの制度ですが、こちらについては△0.02ということで、ともに少しマイナスになっております。
 原因については上の緑の中にありますが、先ほど申し上げましたように、3月は極めてコロナの影響が大きかった特殊な時期だったということでして、この対策の2つ目のマルの2つ目のパラグラフに4月以降の状況を書いてありますけれども、こちらも5月で給付経理が0.05%、特別給付経理が0.30%ということで、プラスに転じてございます。その直近の数字として、7月末ではそれぞれ0.33と0.80ということでプラスの幅が拡大しているという状況ですので、こちらについても3月に僅かにマイナスになりましたが、これはコロナの特殊要因が大きく影響したものと判断をしているところでございます。
 続きまして9ページです。確実な退職金の支給に向けた取組ということで、長期未更新者、要するに手帳の未更新者を縮減するための取組をやっているところでございます。それぞれ調査をやるということと、それから長期の未更新者で住所を把握している方で75歳に達した方に対しては、退職金の請求勧奨を行っているところでございます。それから、掛金の納付日数が24か月以上の人で70歳、74歳、80歳以上の方に対しても、この掛金納付状況等を通知することで請求を促すという取組をやっております。その他広報とか専用のフリーダイヤルの設置等で取り組んでいるところです。また、共済証紙を適正に貼付するということに向けての取組も行っているところですし、そのほか、3番の加入促進対策、4番のサービスの向上、それぞれの指標において達成度100%あるいはそれ以上となっているところでございます。
 したがいまして、この建設業の退職金共済事業につきましても、私どもとしては、自己評価はB評価とさせていただいているところでございます。
 続きまして3つ目です。清酒製造業退職金共済事業で、10ページになります。目標の立て方はほぼ同じですので省略させていただきまして、11ページを御覧ください。資産の運用の部分です。この資産の運用については、あらかじめ一言申し上げておきますと、本年度からは、中退共の事業と合同運用というのを始めておりますので、この単独で運用した結果を評価していただくのは、今回が最後ということになります。その最後の結果ですけれども、こちらのほうも複合ベンチマーク収益率の確保ですので、真ん中にあります図表5の超過収益率の合計がプラスになっていれば、一応目標は達成されたということで、こちらのほうは0.82%ですので、目標は達成されたということになっております。
 (2)の確実な退職金の支給に向けた取組です。こちらにつきましても、調査をやり、あるいは退職金の請求等の手続を取ってない方に対する要請等を行っているところです。また、かつて住所が不明だった方に、追跡調査をして住所が把握できたというケースについても、退職金請求等の手続を取るように要請をしております。
 続きまして、12ページの加入促進対策ですが、こちらは目標が120人に対しまして、実績が117人ということで、達成度97.5%でして、僅かに達成をしていないところでございます。原因ですが、緑の枠の中を御覧いただければと思います。清酒製造業というのは免許事業者ですので、この対象となるものが確定した世界でございます。そういう方々が1,997おられ、そのうちの1,859については、これまでの取組の中で既に加入を頂いている状況になっております。加入率でいうと94%ですので、この任意加入を前提とした制度の中で94%ですから、これは既に、ものすごく高いレベルの状況になっているということです。さらに、ここから加入をしてもらおうとすると、新しく業界に入って来た方々に加入してもらうか、まだ加入してない6%に働き掛けるか、あとはその94%の加入されている方で、新しく期間雇用の方を雇ったときに確実に加入の手続を取ってもらう、この3つでございます。ただ、平成31年1月から令和元年12月ということで、昨年1年間で新規の免許を取った事業所はゼロということで、新規加入への働き掛けは昨年度はやることができなかったということです。ただ、未加入の事業者に対する働き掛けや、加入している方で期間雇用者を雇い入れた場合についての働き掛けはしっかりやっておりますので、そういうことは今後ともしっかりと続けていきたいということでございます。
 それから、サービスの向上につきましても、それぞれ指標としては100%あるいはそれを超えているということですが、1件だけホームページのアクセス件数が、やや異常値と思われるように高くなっているということです。これについても、若干説明をさせていただきますと、12ページのⅢ(2)ですが、目標値と実績値の乖離の要因は、情報セキュリティ通信監視サービスのほうが、外部から当方のホームページについて頻繁に稼働状況の監視をしているということが要因であろうというふうに考えられます。ただ、情報セキュリティの通信監視サービスは、手の内をなかなか明かしてくれないということがありまして、どのIPアドレスがそれなのかを明かしてくれませんので、どれぐらい影響が出ているかを確定させることは難しいのですが、それが相当数あるということは確かだろうと思っているところです。その上で、この清酒製造業につきましても、自己評価としてはB評価とさせていただいているところでございます。
 次に、林業の退職金共済事業です。13ページです。目標の立て方は先ほどとおおむね同じですが、累損があるということで、難易度も高になっているということでございます。
 14ページ、資産の運用についてですが、林業については既にもう中退共との合同運用を始めておりますので、ここに書かれておりますことも、最初に御説明したことと全く同じでございます。したがいまして、3月の異常なコロナの影響が出てきているという状況なのと、4、5月、それから7月と回復している状況になっているということです。林業につきまして、資産運用における中退共事業との合同運用の割合の検討というテーマがあります。これにつきましても、資産運用委員会とか運営委員会に諮った上で、令和2年度から約1億円の増額をすることといたしました。
 それから、確実な退職金の支給に向けた取組についても、未請求の方々などに要請を行ったりすることをきちんとやっているということです。加入促進対策につきましては、実際にやったことはここに並べておりますように、いろいろな機会を捉えて、関係省庁とか事業主の団体と協力をして、周知広報や未加入事業主に対する加入勧奨とか、既に加入しておられる事業主については、期間雇用者を雇ったときに必ず加入手続をやってもらうことなど、いろいろな場面で要請をしているところです。ただ、残念ながら、指標は目標値1,900人に対して、実績が1,548人ということで、達成度81.5%になっております。この要因については、また説明させていただきます。
 次の16ページ、サービスの向上についてです。指標については100%達成をしております。ただ、アクセス件数については、先ほど申し上げたことと同じ要因で、やや異常値になっているところでございます。
 17ページ、加入促進対策の関係です。先ほど、目標を下回っているという説明をさせていただきました。その要因を考えたときに、林業の従事者数そのものが減少傾向にあるという状況になっているということです。平成2年度に10万人が、平成27年度が4.5万人で、これは国勢調査の資料ですので少し古くなっておりますが、最新の国勢調査が正に今から始まるというタイミングですので、今ある数字としてはこの平成27年度が最新でございます。
 そもそもの従事者数の減少傾向のほかに、もう1つ傾向が出てきておりまして、それは林業の従事者数の中で、林退共が対象としております期間労働者の割合が減っているということです。こちらの図表7を御覧ください。これは、林業の労働者の中で森林組合に雇われている労働者についての統計です。そういう労働者については、林野庁が毎年、年間の就業日数について統計を取っておられますので、これを使わせていただいておりますけれども、一番左側が平成13年で、右側が平成30年です。上のピンクの所は年間で212日以上就業していますから、おおむね常用雇用の方々と思われます。その下の3つのジャンルについては209日以下でして、おおむね期間雇用の労働者と考えられますが、このピンクの所は全体が減っている中でもそんなには減っていないという状況で、その下の平均就業日数が少ない方々が大幅に減ってきているという状況になっております。これは常用の方の率が増えて、期間雇用の方の率が減っているということで、政策的には厚生労働省も林野庁も、林業の労働者を常用化するというような、方向性として進めていることですので、そのこと自体はポジティブに政策的には評価すべき話なのですが、そのことが私どものこの制度、期間雇用者を対象とした制度の加入の促進との関係では、重くのしかかってくるということです。
 ただ、そこは所与の条件として我々としては考えて、その範囲で頑張るしかないということですので、取組としまして、令和元年度も関係省庁とか事業主団体の協力を求めて、いろいろな所での活動をやっておりますが、令和元年度から新たに林業労働災害撲滅キャンペーンという、業界のほうで労災が多いので、キャンペーンをやっておられる場がありますけれども、そういう場に行って制度の周知と加入勧奨をやるというような新しい取組をやっております。それから、今後も引き続き、既に加入している事業主の方に期間雇用を雇ったときにきちんと手続してくださいということ、未加入の事業者に加入してくださいという勧奨を引き続きやっていくということです。森林経営管理法という法律に基づきまして、平成30年度から新たに地方自治体のほうで、意欲と能力のある林業経営者というものを公募して、これを公表するという取組が行われておりますので、この公表された経営者に対して、強く加入勧奨を実施するというようなこともやっていきたいと考えているところです。林業についても、私どもの自己評価としてはB評価とさせていただいているところでございます。私からの説明は以上でございます。
 
○今村主査
 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明がありました事項について、どうぞ御自由に、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。20~30分程度は予定しておりますので、どうぞ御遠慮なく。先ほど、冒頭に説明がありましたように、評価に関わらなくても、中期目標達成のために役立ちそうな御意見、御提案などがありましたら、御遠慮なくお願いいたします。
 
○宮崎構成員
 御説明ありがとうございました。資料5ページになります。御質問ですけれども、通算期間が2年から3年に延長されたという記載があるのですが、これはちょっと不勉強で恐縮なのですが、辞められた方が次の会社に移られるまでの期間が3年であれば継続できるという意味なのかという、ちょっと内容を教えていただければと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 中退共担当の西川でございます。私から御説明をさせていただきます。御指摘のとおりでございまして、中退共に加入している企業を退職された方が次の企業に移られたときに、次の企業も中退共に加入していれば、元の企業の退職金を受け取らないでそのまま移管することができます。その、そうした形での移管が認められる猶予期間が、2年から3年に延びたということです。
 
○宮崎構成員
 分かりました。ありがとうございます。これに関連した評価そのもののコメントではないのですが、参考までに意見として述べさせていただきます。先ほど、未請求への対応で、少額であるとなかなか通算希望の方とか、手続が煩雑でというお話があったかと思うのですが、辞められた方を追いかけてアンケートを送ったりというのは、なかなか大変だと思うのです。私の理解では、不正確でしたら恐縮ですけれども、退職したときに支給する場合は、退職する企業が中退共に請求されて、本人に直接支給するとか、そのような仕組みであったかと思うのです。支給しないのであれば、退職した元の企業が退職者に、例えば中退共に通算を希望するとかしないとかという、何か手続の書類を渡すことを義務付けるとか、仕組みを改善されると、もう少し効率的に未請求率、通算の改善に寄与するのではないかと、ふと思いました。
 要は、支給するか支給しないかで、支給しない場合、通算する書類を退職者にちゃんと渡しなさいということが有効ではないかと思いましたので、そのような観点から検討いただければと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 ありがとうございます。今の制度上は、退職があった場合には、まず企業のほうから私どもに退職届というものが出されます。それで、退職されたときに企業から御本人に対して請求用の書類を渡していただくことになっていますので、おっしゃるような作り付けというのは既にできております。
 今の未請求関係の取組は、平成19年頃から始めているのですが、それ以前は自分に請求権があることを知らない方がそもそも非常に多かったのです。ですから、それ以降の今までの取組というのは、いかに御本人に請求権があることを認識していただくかということに主眼を置いてきました。そのうちの大きなものが、退職時に事業主から機構に提出される退職届に、退職された方の住所を記入することを義務付ける、そうした制度改正を致しました。私どもはそれで得られた情報を元に御本人にアプローチをすることで、退職者に、請求権があることを直接知らしめることができるようになりました。
 その際、お手紙や電話など、いろいろな形で通知をさせていただき、現在では受け取っていただいている方の比率が98%以上になっております。そういう意味では知っていただくことについては、おおむね達成できているかと思っています。問題は、現在の未請求者の大層は、知っているのだけれども受け取っていただけない方々であり、そういうところが非常に難しいと思っているところでございます。
 
○宮崎構成員
 よく理解しました。請求する書類とかをお渡しされているにもかかわらず、やるべきことはやっていらっしゃるのだけれども、そこから先、御本人がそれでも請求されないものがあるということで理解しました。ありがとうございます。
 
○今村主査
 いかがでしょうか。オンラインのほうはどうですか、大丈夫ですか。
 
○事務局
 今のところどなたからもございません。
 
○今村主査
 いかがでしょうか。
 
○宮崎構成員
 それともう1点。すみません、今度は建退共のほうなのですが2点あって、1点が資料8ページなのですけれども、これをよく見ますと、ベンチマークの収益比率指標が建退共の外国債券は4.37%となっていて、中退共と林退共は7.46%となっています。国内債券、国内株式、外国株式は全部ベンチマークの数字が同一なのですけれども、規模が違うとかいろいろあるとは思うのですが、建退共だけ外国債券がベンチマークで違うものを取られたのは、委託している運用機関が違うからとか、何かお考えがあれば教えていただければと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 資産運用を担当しております西川から御説明させていただきます。これは中退共、林退共、清退共では、外国債券について為替ヘッジする形で運用しています。一方で、建退共の外国債券はヘッジなしです。このため、期待収益率が異なる格好になっています。
 
○宮崎構成員
 よく分かりました。あと、建退共でもう1点なのですけれども、証紙で共済証紙の適正貼付の取組というのがあるのですけれども、これは後ろの23ページぐらいにシステム化を検討されると書かれていて、確かに今の時代に、紙に貼って証紙で退職金納付額を把握するというのはなかなか大変だと思いますので、今後システム化されていくということで、建設業に従事される方でも、今は携帯電話ぐらいお持ちの方がほとんどだと思いますので、そういったものを活用した形で、うまいシステムになっていくとよろしいかなと思うのですが、実際の取組状況というのはどんなものかちょっと教えていただければと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事長代理
 建退共の場合、証紙を手帳に貼るということは、もともと法律に書いてあったところです。ところが、それについて、厚生労働省のほうで大変御尽力を頂きまして、令和元年、去年の5月に中小企業退職金共済法がデジタル手続法案という大きい法律の中で改正をされて、それで証紙貼付方式に加えて電子申請方式が可能になったという状況です。
 その状況を受けて、私どもではいろいろと準備をしまして、法律自体はこの10月から施行となりますが、施行に合わせて、まずはシステムがきちんと動くかどうかということを、試行的実施という形で希望される共済契約者の方々に現にやっていただきます。その上で、本年度中に全ての共済契約者の方に、電子か証紙かどちらかをお選びいただくという、そのようなことで取組を行わせていただいております。
 
○宮崎構成員
 最後にもう1点ですけれども、25ページに社会的に優良な企業への投資を検討促進するという、運用の話かと思うのですが、書かれていまして、「特性を踏まえてどのように実施できるか検討し」、「可能な場合は実施する」と掲げられているのですが、この検討状況をお教えいただければと思います。
 以下は、私見というか私のただのコメントです。ESG投資とか環境とかいろいろなものがありますし、厚生労働省の労働部会ということもありますけれども、例えば厚生労働省で取り組んでおられるようなホワイト企業とかくるみんとか、いろいろな優良認定とかがありますので、そういったものを1つの判断材料にされるとか、いろいろなことも有り得るのかなと思いますが、いずれにしろ、どんなことを社会的に優良な企業と定義されているのか、検討状況を教えていただければと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 資産運用担当の西川から御説明いたします。2つあって、まずこれはESGの中のSに相当するものです。私ども運用機関としての特徴は2つありまして、1つは公的な機関であるということですので、直接的に企業の経営に口を挟むことは好ましくないと認識しております。したがって、私どものESG投資というのは、運用を委託している運用受託機関を通じて実施するという、いわゆるスチュワードシップ活動というものですけれども、それを通じて実施するという形になります。したがって、どの企業がどういう経営をしているか、そこの企業に対し私どもが直接物を申すということではなくて、運用受託機関に彼らがどのようなスチュワードシップ活動を行っているかというのを、ヒアリングをし、意見交換をする中で、私どもの思っているところ、例えば、これから労働関係が重要ですよねとか、良い雇用環境を持っていない企業は長続きしませんよねというような話をするとか、そういうような活動を通じて実施するということです。
 もう1つの特徴は、私どもはGPIFの賦課型と違って積立型の基金ですので、長い目で見るといっても、100年間で元を取れればいいということではなくて、納付期間が大体平均して20年間ぐらいですから、その期間で元が取れなければいけないということだと思っています。そうしますと、現状では、ESG投資が確実にその期間内に高い収益率を上げられるというような確たる証拠がないものですから、現時点では、私どもは直接的にESG関係のインデックス投資等はやっておりません。あくまでも、先ほど申し上げたスチュワードシップ活動を通じ、運用受託機関を通じて、私どもの意見を表明していくというような格好が、今の私どもの特性を踏まえると適切であろうということでやらせていただいております。そういう意味では、ESG投資の仕方というのはいろいろあって、大別すれば、優良企業に投資をするインベストメント、悪い企業から投資資金を回収するダイベストメント、それと対話を行うエンゲージメントですが、私どもはこの3つのうちのエンゲージメントを運用受託機関を通じて実施しているということでございます。
 
○今村主査
 ありがとうございます。今、質問が来ているのですが、ちょっとそれに関係して28ページですか、大変興味深いと思ったのは、今の方針は理事長が直接面接をしてコミュニケーションしているということで、これは私がイギリスの同じような所に行ったときに、やはり対話でしっかりやっていくということ、それを方針としてやっていらっしゃるので面白いと思うのですが、投資の方針みたいなところは共有されているのですか。そこだけちょっと教えていただければと思います。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 毎年トップ面談を実施しており、トップマネジメントとの対話については、運用受託機関の親会社のトップの方と理事長が直接的に対面をして話をしております。その際には、長期的なサスティナビリティの観点から実施しております。この他に、運用受託機関の担当者ベースの意見交換も実施しております。
 トップ面談については、例えば、生命保険会社系の運用受託機関であれば、その親会社の生命保険会社の社長様と理事長が面談をして、運用部門のトップではなくて、その運用部門にどれだけの資源を投入するかという方針を決める方という意味で社長様とお話をし、日本の資本市場、金融市場を将来的にサスティナブルにし、発展させることで、運用業界全体が活性化し、運用の収益を上げている私どもの顧客のためになることを目指す、やや迂遠かもしれませんが、そうした長い目で見た取組をやっております。
 
○勤労者退職金共済機構理事長
 付け加えさせていただきますと、資産運用に携わっている方というのはマーケットの感覚は強いのですが本格的なエンゲージメントは経験が不足しています。例えば、この指標を上げれば株価は上がりますよというエンゲージメントはされますが、10年先を見て、あなたの所はここにもっと資源配分をするべきではないかといった、経営に切り込む様なエンゲージメントを担える人材が極めて不足しています。それは、外資の例えばブラックロックとか世界の有数の資産運用会社に比べて、日本の会社は人材が非常に薄いのです。この役割は従来、間接金融が強かったので、メインバンクが担っていましたし、資本市場では主幹事証券の仕事だったからだと思います。
 そこで、アセット会社ではなくて、資源投入権限を有する、その親会社の社長と直接お話をして、どうやって人を養成していくのでしょうかという議論をさせていただいています。アセット会社の社長さんとお話をすると、うちはこうやっていますよという回答が返ってきますが、例えば日本を代表する生命保険3社、信託銀行2社、証券会社2社、メガバンクグループのトップとお話をすると、皆さんまず言うのは、そうなんだよねと、自分達もそこは悩んでいるんだという話で会話が進みます。本格的なエンゲージメントについては公的機関の社会的な使命として取り組んでいるということです。以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。規模が6位ということで、そういう行動で非常にインパクトが広がると思いますので、是非お続けいただければと思います。土井委員から何か質問が入っているということで、流していただけますか。
 
○土井構成員
 土井です。聞こえますでしょうか。
 
○今村主査
 聞こえます。
 
○土井構成員
 すみません。こちらの受けている音声がちょっと悪くて、全部聞き取れていないので申し訳ないのですが、先ほど15ページで、林業の加入者が対象となる人が減っていて、達成度が81.5%だったという話をしていただいたのですが、17ページを見ると、これをこのまま伸ばすと、対象となる人は10年経つとゼロになるのではないかと思える減少の仕方なのですが、その辺りを考えると目標の設定の仕方というか、この事業の存続自身をどう考えておられるのかというのを教えていただきたいのですが、よろしくお願いします。
 
○勤労者退職金共済機構理事(大地)
 林退共を担当しております大地と申します。林業労働者については、17ページにありますように、四半世紀、平成2年度から平成27年度にかけて半減しています。下のグラフを御覧いただきますと、森林組合統計なので、森林組合に雇用されている方で、林業従事者の一部ではありますが、期間雇用者の減少が続いています。恐らく全体において、今後とも期間雇用者が減っていくという中ではあるのですけれども、新規就労者は毎年約3,000人いらっしゃいまして、その中で恐らく常雇の人が増えていくのだとは思うのですけれども、その一定割合は林退共に入っていただける方ではないかと思っています。
 私どもとしても、いろいろな努力はしているのですが、なかなか未達でございます。目標は厚生労働大臣からお示しいただくものなので、法人から申し上げていいのかどうか分かりませんが、今回の1,900人という目標は5年間を通じて、前回の第3期の目標が9,000人余りの新規加入者があったということで、それをもう少し頑張りなさいということで、9,500と定められたところではないかと思います。その9,500人を5年で割って1,900人ということで、前回の5年との対比で見ると、おかしな数字ではなく、私どもとして努力して達成しなければいけない数字だと思っております。ただし、気の早い話かもしれませんけれども、次の計画の頃になりますと、新しい国勢調査も出ているかと思いますし、林野庁が中期的な林業の方向性について5年に1回ぐらい計画を立てていまして、来年度にそれをまた策定する予定だと聞いておりますので、そちらで今後の林業従事者の動向というのを予測されるのではないかと思います。それらを加味して、次の目標を厚生労働大臣から頂くのではないのかと思います。それに対応して、私どもとしてはできることは精一杯実施していくこととなると思います。
 また、先月、厚生労働省の労働政策審議会で財政検証が終わったことを受け、当機構において新しい累損解消計画を策定しますが、累損解消をしていくためには、資産運用残高や被共済者数というのが必要であると認識していますので、入るべき方がいらっしゃるという状況においては、その方々に強く働き掛けをしていきたいと考えています。以上です。
 
○土井構成員
 どうもありがとうございます。もう1点教えていただきたいのですけれども、ホームページのアクセス件数に関してロボットによるクローリングの件数も入っていてということであれば、そもそも指標として組み入れることは適切ではないと思うので、その辺りは是非、再度御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構理事(大地)
 アクセス件数の目標は、各事業本部に渡っているところですが、引き続き清退共と林退共の担当をしております大地から回答いたします。というのも、アクセス件数の達成が特に異常値を示しているのは、契約者あるいは被共済者数が少ない事業本部において、監視のアクセスの影響がより多く出ていためと考えられるため、私のほうから御説明させていただきたいと思います。
 当機構といたしましては、情報セキュリティ通信監視サービスによるアクセス件数を取り除いて、本当に御覧いただいている方のアクセス数を取りたいと思ったのですが、それがなかなか難しいため、大体監視サービスの分は恐らくこれではないかという推測に基づいて外しますと、各事業本部とも大体100%以上となっているところではあります。ただどうしても、完全に取り除くことができず、目標に対する正しい実績を出すことができないという意味では、目標が適切ではないということは事実です。
 そうであれば、例えば監視サービスも入れて数を取るとか、そういうことが考えられなくもないのですが、監視サービスがどれだけアクセスしてくるかというのが、それはそれでまた秘密なわけで、目標値の定め方は難しいところです。引き続きの検討課題とさせていただきたいと思います。
 
○今村主査
 よろしいですか。
 
○土井構成員
 はい、よろしくお願いします。
 
○今村主査
 今の件に関して、単純にホームページアクセス回数ということでやっていらっしゃいますけれども、そこは区別すればいいわけですから、いいねの数ではないですけれども、法人が届けたい情報に対して役に立ったかどうかという、そういうホームページを作っている所もありますから、是非工夫をしていただければと思います。よろしくお願いします。
 
○勤労者退職金共済機構理事(大地)
 承知いたしました。
 
○今村主査
 大体、予定では2時10分ぐらいから法人理事長からの挨拶という予定ですので、まだ時間がありますので、あと1、2つどうぞ。重要項目以外の質問も出ていますので、とにかく垣根を取り払って、御自由に何か御意見や御質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。まだ御発言いただいていない方、せっかくここまで出て来て、どうぞ。
 
○志藤構成員
 今のサービス中の指標の1つとしてのホームページのアクセス数ということですが、いろいろな御苦労はおありだと思いますけども、そもそも発想として、ホームページヘどのぐらいの数がアクセスされたから、それがサービスになっているかどうかという発想自体をお変えになってもいいのではないかという気がしております。
 今、委員長からもありましたように、それが本当に役に立っているかどうかを調べることのほうが大事であって、今回のような異常な事態がたまたま起きたのか、それとも、これからも起きるのか、そのような予想がつかないものを指標にすること自体が非常に危険なわけで、しかもアクセスしたからといって、それがサービスにつながったかどうかということはイコールではないわけですから、この指標という発想の中からお外しになって、その22日以内というのは、とても大事な目に見えるサービスだと思いますが、これをこのまま指標として続けていっていいかどうかに関しては、少し御検討いただいてもよろしいのではないかと僭越ながら思いました。
 もう1つお願いですが、私は年のせいで耳が遠くなっていることに加えて、マスクを通しますと、どうしても皆様のお声がよく聞こえないものですから、少し大きな声でお話いただけると、大変有り難いと思っておりますので、勝手を申しますが、よろしくお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構理事(大地)
 御意見、御指導ありがとうございます。ホームページの件ですが、厚生労働省と御相談し、御指導いただきながら検討したいと思います。ちなみに、この目標のホームページのアクセス件数は前中期目標期間中のアクセス件数を参考として定められているところですし、目標について、法人の立場で言い過ぎてはいけないと思いますが、今村主査や志藤構成員から頂いたような、もう少し進化した目標というのも考えるべきときに来ていると思います。大変貴重な御意見、御指導をありがとうございました。厚生労働省と御相談し、ご指導いただきながら考えていきたいと思います。ありがとうございました。
 
○今村主査
 どうもありがとうございます。何かありましたら、あと、1つか2つどうぞ。オンラインはいかがですか。
 
○酒井構成員
 今回、初めて携わらせていただくので、少しナイーブなコメントというか、質問になってしまうかもしれないので御容赦いただきたいのですが、私も先ほどから出ている土井委員や志藤委員と問題意識を非常に共有するところです。やはり、目標設定、この目標値が達成度以上に大事だと感じるのですが、私が伺いたいのは、この中退共の未請求率1.3%以下という目標値を設定されていますが、この目標値の根拠はどこから出されたか、先ほどの話ですと、目標値自体は厚生労働省から示されるということでしたが、もし御存じでしたら教えていただきたいと思いました。
 どういうことかというと、例えば類似制度で未請求率は大体このぐらいなので、この中退共に関してもこのぐらいを設定しているということなのか、それとも、別の方法によって設定されたのかというところを伺いたいと思います。というのは、私の個人的な意見ですが、この目標値のハードルが低すぎるというよりは、むしろ、お話を聞いていると高すぎるのではないかと、かなりやるべきことは全てやっていて、結構達成困難なのではないかと、そのような達成不可能な目標に対して資源を投じていることこそ非効率になってくるのではないかと感じた次第なので、目標値の今後の在り方も含めて、根拠を御存じでしたら教えていただきたいです。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 中退共担当の西川から御説明させていただきます。目標値を設定しているのは私どもではないので、私から御説明するのも僭越なのですが、今回、法外な目標値を設定されたということではないと思っております。前中期計画中に、前回までは退職後2年経過時点の年度末までに目標を設定されており、その前期中期計画中の実績をベースとして、無理のない範囲でという格好にしていただいておりました。
 その際、先ほどの移行通算が2年から3年に延びたことを受けて、目標を設定する期間も退職後2年目から3年目にずらしました。それを基に、過去の実績から1.3%という数字、各実績で2年目の終わりに1.4%ギリギリぐらいまで下げることができたという実績がありまして、さらにその後、1年たつと少しずつですが減っていき、1.3%ぐらいまでならいけるであろうと、そのような中で設定した数字でございました。
 では、なぜ現在、それが未達になっているかというと、この移行通算期間延長の影響を全く読み誤っておりまして、制度改正が、こういった形で効いてくるということを、私どもは認識していなかったものですから、それで現在、未達の状況になっているところです。
 もう1つ要因がありまして、この3年間、どのような方達が未請求なのかを分析すると、地域や業種の偏りは余りないのですが、金額の低い層の未請求者が増えてきているのが分かっております。分類しますと、金額の多い方々は、何かしらの個別の特殊事情で御請求いただけない方々、10万円よりも上の少し金額の多い方々は、移行通算を希望しているので請求してこない方々、が中心です。この金額の多い方、真ん中ぐらいの金額の方というのは、なかなか私どもから受け取ってくださいというのが難しい方々だと思っております。
 一方で、最後の金額の小さい方については、多少はやりようがあるかなと思っております。何回も請求するというよりは、ハードルを下げるという、多分この金額の小さい方々は、請求することのメリットとコストのバランスが、今の状態だとコストのほうが大きい格好になっておりますので、コストを下げることによって請求していただけるのではないかと思っております。
 先ほど、若干の説明がありましたが、2つ、まずは手続面の簡素化ができるならばやると、それともう1つは、知名度を上げることにより、ひょっとしたらこれはオレオレ詐欺なのではないかという意味でのリスクを下げるという、この2つをやることで、全部は無理だと思いますが、増えている低金額層の未請求者数を何かしら下げることができるのではないかということで、余りコストを掛けずに、もう少し改善したいと思っております。ただ、明らかに、私ども移行通算の影響を見誤っておりましたので、この分はどうしても達成できない分が出てきてしまうかなと反省しているところです。
 
○酒井構成員
 分かりました。ありがとうございます。是非、余りコストを掛けずに対策していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
○今村主査
 貴重な御指摘ありがとうございます。5ページの資料を非常によく、機構として、真摯にエビデンスをいろいろと蓄積されて対策を取っておられると思うので、非常に大きな進歩ではないかと思います。
 1つだけ小さな質問ですが、この退職金制度は、本人が働いている間は自分の退職金がここで運用されていることを知ることができるのか、できないのか、つまりこの退職金制度の特徴です。雇用主が、雇われている人のために、雇用主が決断して運用しているから、その間、本人というのは直接関与できないわけでして、そうすると、年金制度のように、あなたの退職金は機構で運用されていますよみたいな情報を流しておけば、また違うのかなと、ふと、怪しげな詐欺と間違えられないかなと思ったのですが、その辺はいかがでしょうか。現状を教えていただけますか。
 
○勤労者退職金共済機構理事(西川)
 ありがとうございます。未請求対策の中で、企業には加入したときには必ず従業員に対してそれを通知してくださいと申し上げておりますし、毎年、今あなたの退職金は、金額ではないのですが、何箇月間積み立てていますというのを、一人一人分バウチャーみたいなものを企業に送っており、それを企業から直接、従業員の方に渡してくださいというお願いもしているところです。
 さらに、毎年実施しているアンケート調査では、きちんと渡していますかというようなお伺いをし、そのアンケート結果のサマリーでは、何%の人しか渡していませんが、これは必ず渡してくださいというメッセージを記載する、そのような形で、周知には努めております。しかし、中には確信犯的に、やはり最後に驚かせたい、知らせてしまうと何となく権利が分かってしまうので嫌だなど、そのような感覚の方も中にはいらっしゃるので、完全に周知というわけにはいかないのですが、引き続き、従業員の方が自分の請求権があることを知ることができるよう工夫していきたいと思っております。
 
○今村主査
 ありがとうございます。時間も予定を超過してしまいました。特に重要なコメントがなければ次に移りたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、これまでの議論を受けて、まずは、法人の監事、理事長から年度中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえ、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと存じます。最初に法人の監事から、続いて法人の理事長より、順番にお願いいたします。
 
○勤労者退職金共済機構監事
 監事の鈴木です。着席したままで御発言させていただきます。隣におります塩田監事とともに監査業務を行っております。前任監事の辞任に伴い、9月1日に監事に就任しております。前任監事からの引き継ぎにより御報告いたします。
 当機構の令和元年度監査報告は、6月24日付けで理事長宛てに御報告いたしました。資料2-4、令和元年度監査報告のとおりです。
 監査方法については、監査実施計画に基づき、業務監査については役員及び職員から職務の執行状況について聴取するとともに、関係書類の閲覧、理事会その他重要な会議への出席などを通じて、機構の意志決定過程や業務活動状況を監査いたしました。また、会計監査については、会計に関する帳簿や計算書類を閲覧するとともに、会計部門から聴取を行い、当機構の会計監査人の監査結果報告を受けたところです。
 その結果、法人の業務は、法令等に従い適正に実施され、また、第4期中期計画に基づき策定した令和元年度の年度計画の着実な達成に向け、効果的かつ効率的に実施されていると評価しております。また、内部統制に関すること、役員の不正行為、法令違反、平成30年9月に改訂された独法会計基準に適合した事業報告書及び財務諸表等の内容について、いずれも適正に行われており、指摘すべき重大な事項は認められませんでした。
 以下、若干の意見を述べますと、機構のガバナンスの強化策の一貫として設置された厚生労働大臣任命の資産運用委員会、情報セキュリティに係る規定等を審議する情報セキュリティ委員会、外部有識者3名を委員に迎え情報セキュリティ施策に関する現状計画を審議する情報セキュリティ有識者委員会、機構が抱えるリスクの現状と課題を検討するリスク管理コンプライアンス委員会等の開催により、内部統制の強化を確実に実施するなど、大変評価できると考えております。
 また、インターネット環境が目まぐるしく変化する中、大量の個人情報を保有する機構の業務を安全、確実かつ効率的に実施していく上で、セキュリティ対策は重要な施策であります。その施策として、各種規定の整備やインシデント手順書等を見直すとともに、サイバー攻撃等の脅威に対して強固なシステム環境を構築しているほか、ヒューマンエラー対策については、まだ意識の浸透や体制構築は仕切れていない面も見られるものの、総じて情報セキュリティ対策が図られていることは評価しております。
 今後の事業運営に関しては、超高齢化社会の日本において、退職後の生活設計の基礎・基盤となる退職金をお預かりする機構として、安全かつ安心できる事業運営を心がけるとともに、制度の目的である中小企業で働く方々の福祉の増進と雇用の安定に寄与することを期待しております。機構として、引き続き法令を遵守し、効率的、効果的な業務運営に努めていただきたいと思います。私からは以上です。
 
○勤労者退職金共済機構理事長
 理事長の水野です。本日は、令和元事業年度の業務実績について御審議いただき、誠にありがとうございます。昨年度末から、新型コロナウイルス感染拡大状況を受け、当機構の業務面でも影響を受けてきましたが、このようなときだからこそ、公的機関として高い職業倫理を胸に職務に精励すべきことを、理事長自ら肝に命じるとともに、役職員にも指示しているところです。未請求、未更新並びに加入促進といった機構の根幹的な施策については、従来から取り組んでおり、毎期一定の成果も上げておりますので、基本的には事業本部長、すなわち担当理事に任せております。したがって、今日もなるべく発言しないようにしておりました。
 私からは、第4期中期計画で走らせました3本の重要な新規施策を通して御説明いたします。1つ目は中退共のシステム再構築です。パワーポイントの23ページの4、業務の電子化に関する取組を御覧ください。中退共システムは、実に昭和43年のシステム導入以来、システムの基本構造を変更せずに、ハードコーティング方式で続けてきた結果、金融情勢に応じて機動的な対応が生命線である資産運用業務において、予定運用利回りの改定を例に挙げれば、システム面だけでも24か月も掛かる状況です。これが機構の現実です。
 さらに、このシステムの言語はCOBOLでして、COBOLの技術者の確保が高齢化により困難になる前に、もうすぐ困難になると思いますが、困難になる前に、パラメーター方式に再構築することにより、予定運用利回りの改定を例に取れば、12か月に短縮を図ろうというものです。
 令和元年度、システム関係の人材の確保、CIO補佐官体制の拡充といった体制固めを行ったところです。これらの対応により、中退共事業本部、システム管理部及び会計課といった関連部署の連携も円滑に行われ、システム再構築に関わる計画策定、要件整理といった大変重要なフェーズに入っておりますが、順調に進んでいるところです。
 2つ目が、その下の建退共の電子申請プロジェクトです。建退共の電子化は、こちらも足掛け20年に及ぶ懸案事項でしたが、先ほど稗田理事長代理から御説明があったように、鋭意取り組んでいるところです。今年度末までに本格実施する計画です。先ほど、稗田代理からも御説明がありましたように、証紙貼付方式も併存しますので、電子申請方式を採用してくれる共済契約者数をいかに増やすかということが、このプロジェクトの成否を決する大きな課題だと思っております。
 先ほどの中退共システムは、できれば終わりということですが、こちらは電子化システムができるのが必要条件で、それを選んでくれる共済契約者数が増えないと意味がないという、こういうプロジェクトです。稗田理事長代理をトップとする建退共事業本部の大プロジェクトですが、情報セキュリティという面では機微な個人情報を扱うので、機構を挙げて取り組む必要があると思っております。
 3つ目は資産運用です。パワポの26ページの1、内部統制の強化です。(1)資産運用委員会を御覧ください。中退共に係る資産運用については、着任以来4年半、延べ35回にわたり資産運用委員会でガバナンス、リスク管理並びに収益力の強化を目指して、ゼロベースから詰めた議論を行ってまいりましたが、令和元年度に一連のプロジェクトが一巡し、現代ポートフォリオ理論に基づく機構の資産運用のモデルが、ひとまず完成したところです。
 その集大成ともいえるマネージャーストラクチャーについては、内外のトップクラスのファンドマネージャーたちとの延べ50回、100時間にわたる面接審査に理事長も参加し、ゼロベースからの選定を断行いたしました。結果的には、内外の選りすぐりのアセットマネージャーを選定できましたが、大幅な入替えにつながりましたので、その選考過程も公表いたしました。大変大きな反響を呼びました。
 この一連のプロジェクトにより、中退共については、資産運用のガバナンス強化が図られ、今回のコロナ禍による金融ショックにもビクともしない、積立型の共済機構としては社会的使命に耐え得る強靱な財務基盤を構築することができました。このガバナンス強化の実績を踏まえ、本格的なスチュワードシップ活動にも積極的に取り組んでおります。
 パワポ28ページの4、資産運用における社会的に優良な企業への投資を御覧ください。先ほど、御質問がありましたので、もう御説明してしまいましたが、そういった本邦、海外のトップとのエンゲージメントを通して、単に運用収益の拡大を図ることにとどまらず、本邦資本市場の健全な成長を促し、その結果、年金等の資産運用を通じて、勤労者の老後の生活の安定にも資することを目指すことが、公的機関の機関投資家としての機構に与えられた社会的な使命であると考えております。
 この3つのプロジェクトは、飛躍的な人材養成にもつながっています。機構の業務は、法律に基づき、与えられた仕事を正確・迅速に行う業務が根幹であり、その根幹業務に資産運用、情報セキュリティ、システムといった先端的な業務が乗っておりますが、機構の人材ローテーションの基本は、根幹業務要員の養成を前提に組まれております。
 しかるに近年、その先端的業務の比重が飛躍的に増加し、かつ、その分野の進歩も日進月歩の様相を呈している中で、資産運用、情報セキュリティ、システム要員の養成が喫緊の課題でした。この席でも度々御指摘を受けているとおりです。かかる分野の要員養成には、大きなプロジェクトを共に推進していくのが一番ですが、大きなプロジェクトを起案するには、それにふさわしい陣容がないと起案もおぼつかないという、すなわち要員の養成が先か、プロジェクトの実行が先かという二律背反にトップは悩まされるわけです。
 パワポ30ページの第9、職員の人事に関する計画③、④を御覧ください。そこを解決したのが、中退共の資産運用では、外部有識者5名による資産運用委員会での延べ35回にわたる詰めたゼロベースからの議論だったわけです。先端的な分野については、過去の経緯から脱却できずに議論すると、致命的な過ちを犯すリスクが高いため、ゼロベースから安易な妥協を排除して議論するのが、例え時間が掛かっても鉄則であるというのが私の経営理念であります。お陰で、資産運用部についていえば、中退共の知見が建退共・清退共・林退共の担当者に伝播しており、資産運用の人材養成についての一定の成果が出てきております。
 この成功体験を、中退共の再構築プロジェクトを通したシステム要員の養成につなげていきたいと考えております。キーワードは再構築を一貫してフォローする、昨年度拡充を図ったCIO補佐官並びに来年度から採用する優秀な工程管理支援事業者、いわゆるPMOというコンサルタントと、我々システム部員との共同作業だと思っております。
 養成されたシステム要員については、プロジェクト終了後は順次、人事ローテーションの中に入れますので、現在手作業に頼っている根幹業務のシステム化を担う人材になってくれると思っておりますし、情報セキュリティ要員の拡大にもつながります。さらに、資産運用・システムといった最先端分野での一流コンサルタントとの日々の共同作業を通して、仕事に対する高い責任感、本質に迫る姿勢、クライアントファーストに徹した対応が、機構の職員に自然の形で伝播し、それが機構の働き方改革の原動力になると思っております。もう既に、その兆候は表れており、理事長としては嬉しい限りだと思っております。
 以上、3つのプロジェクトについて、縷々御説明いたしましたが、最も私が意を用いているものが何かといえば、2年半後に迫った任期をにらみ、先ほどの酒井構成員の御指摘は、着任直後に私も同じような感想を持ちましたが、その初心を思い返しながら、この5年間にわたる一連の改革の定着を図ることです。具体的には、以下の3点を理事長としての総仕上げと位置付けて、厚生労働省の御理解、御支援、御指導を得て、日々の業務に臨んでいます。厚生労働省の御理解については痛いほど感じており、本当に有り難いと思っております。
 1点目は、ガバナンスの改革と定着です。これは平成30年のこの会議の場で、第3期中期計画のローリングプランとして御説明し、大きな反響を呼びましたが、この改革の定着です。2点目は、人材の養成です。今、御説明したとおりです。3点目は、公的機関としての高い職業倫理の徹底です。
 最後になりましたが、本日は貴重な御意見をありがとうございました。また、来年度のこの会議ではより良い御報告ができるように、また明日から役員、職員が一丸となって頑張っていきたいと思います。本日は本当にありがとうございました。
 
○今村主査
 どうもありがとうございました。構想と実践が非常に密接に伴った素晴しい御活躍を高く評価したいと思います。是非、勤退機構モデルが認知され、幅広く広がっていくことを期待いたします。
 ただいまの発言について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。オンラインはいかがでしょうか。

〇事務局
 特にないようです。

〇今村主査
 それでは、これで本日の議事は終了となります。最後に事務局から御説明をお願いいたします。
 
○事務局
 今後の流れについて御連絡いたします。本日、御議論いただきました勤労者退職金共済機構の令和元年度業務実績評価については、この後、本ワーキンググループにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び、こちらは総務省の所管になりますが、独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。それでは、本日はこれで終了といたします。皆様の御熱心な御議論、心から感謝いたします。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。
 
(了)