2020年9月3日 独立行政法人評価に関する有識者会議 地域医療機能推進WG(第7回) 議事録

日時

令和2年9月3日(木)10:00~11:30

場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階)

出席者

福井主査、大西構成員、小野構成員、柿崎構成員、亀岡構成員、河村構成員、坂井構成員、山口構成員

議事

議事内容
○事務局
 皆様、おはようございます。定刻より若干早いですが、皆様おそろいですので始めさせていただきます。ただいまより「第7回独立行政法人評価に関する有識者会議地域医療機能推進WG」を開催いたします。私は、事務局の政策立案・評価担当参事官室室長補佐の戸高です。よろしくお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。現在、厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症対策に省を挙げて取り組んでいるところです。
 本日は、可能な限り座席の間隔を取っております。また、マスクを着用したままで御発言いただくようお願いいたします。なお、本日は一般傍聴席を設けず、報道関係者のみの傍聴とさせていただいております。
 委員、法人、傍聴等の皆様におかれましては、咳エチケットを含め、感染症拡大防止対策について、御協力いただきますようお願い申し上げます。
 まず最初に、新たに構成員に就任いただきました小野構成員をご紹介いたします。小野構成員におかれましては、9月1日付けで、公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会長に押渕会長の後任として御就任されましたので、併せて本ワーキンググループの構成員に御就任されました。小野先生、よろしくお願いいたします。
 
○小野構成員
 よろしくお願いいたします。
 
○事務局(室長補佐)
 次に、本日の出席状況について報告いたします。本日は、大西構成員、坂井構成員がオンラインで参加されております。
 続きまして、御説明の前に、事務局の組織変更と人事異動について、御報告いたします。これまで当事務局は、政策評価官室でしたが、8月7日付けで新たに政策立案・評価担当参事官室に改組となり、参事官として生田が着任いたしました。
 
○政策立案・評価担当参事官室参事官
 8月7日付けで着任した、生田です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 
○事務局(室長補佐)
 また、政策立案・評価推進官の飯島も出席しております。
 
○政策立案・評価推進官
 飯島です。よろしくお願いいたします。
 
○事務局(室長補佐)
 続きまして、本日の議事について説明いたします。本日の資料に関しては、お手持ちのタブレットに収納しておりますので、そちらを御覧ください。本日は、「地域医療機能推進機構」につきまして、「令和元年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。具体的には重点化の対象とする項目を中心に、御意見を伺えればと考えております。また、例えば「A」という設定が適切かというだけでなく、法人の取組の中で、中期目標の達成に向けて優良と思われる点や、逆に課題があると思われる点については、評定に直接影響しないような場合であっても、積極的に御指摘をいただければ幸いです。それでは、福井先生、よろしくお願いいたします。
 
○福井主査
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。ただいま説明がありました、この会議の進め方については、何か御質問はありませんでしょうか。構成員の皆様、よろしいですか。それでは、議事に入りたいと思います。「地域医療機能推進機構の令和元年度業務実績評価について」、1つだけです。皆様方からの御意見を伺いたいと思います。
 はじめに、法人所管課室から、「重点化対象項目選定の考え方」について御説明いただき、その後法人から法人の業務概要及び、重点化対象項目の業務実績及び、自己評価についての御説明をしていただきたいと思います。これらの説明が終わりましたら、質疑応答をお願いいたします。それでは最初に、法人所管課室から、重点化対象項目選定の考え方についての説明をお願いいたします。
 
○医政局医療経営支援課医療独立行政法人支援室長
 医療独立行政法人支援室の樋山と申します。よろしくお願いいたします。私から、重点化対象項目の設定の考え方について簡潔に説明いたします。評価項目一覧を御覧ください。JCHOの評価項目は8項目あり、そのうち3項目が中期目標で、重要度又は難易度が高く設定されているため、重点化対象項目としております。
 まず診療事業(効果的・効率的な医療提供体制の推進)についてです。厚生労働省の政策目標である「地域包括ケアシステムの構築」などを達成するために重要な取組であるため、重要度が高く設定されております。また、近年、救急搬送患者数が受入先となる救急医療機関の増加率を上回る水準で増加を続けておりますので、平成29年度実績値を上回る救急搬送応需率を維持していくことは難しいところであります。
さらに、今後も高齢化が進展し、在宅復帰が困難な患者が増加すると見込まれることを考えますと、平成28年度実績値を上回る地域包括ケア病棟の在宅復帰率を維持していくことは難しいことから、難易度が高く設定されております。
 2つ目として、介護事業です。老健施設における在宅復帰の促進や、訪問看護ステーションの体制強化は、超高齢化社会を迎える我が国の地域包括ケアシステムを構築する上で、重要な課題であるため、重要度が高く設定されております。また、JCHOの老健施設の在宅復帰率は、全国平均と比較して既に高い水準にあり、更に高めることは難しいところであります。更に訪問看護ステーションにおける重症者の受入数を増加させるためには、訪問看護ステーションの強化を図る必要があり、全国的な看護師不足の中で多数の人材を確保する必要があることから、難易度は高く設定されております。
 最後に、財務内容の改善に関する事項です。公的医療機関の厳しい経営環境が続いていることなどから、経常収支率100%以上を達成することは難しいため、難易度が高く設定されているところです。以上でございます。
 
○福井主査
 ありがとうございます。1つ、アナウンスを忘れていました。部屋の気温に合わせて、適当に上着を脱いでいただければと思います。
 続きまして、法人から「法人の業務概要」及び「重点化対象項目」の業務実績、及び自己評価についての説明をお願いいたします。できましたら、15分程度でよろしくお願いいたします。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 地域医療機能推進機構企画経営部長の西川と申します。私からは、まず法人の概要を簡単に説明した後、令和元年度の業務実績について御説明いたします。資料は、2-1を御覧ください。1ページです。独立行政法人地域医療機能推進機構の概要です。設立が平成26年4月1日で、別々の団体でした3つの旧法人が所管する病院などを統合して運営するということで、平成26年に設立されております。機構の目的は、病院、老健施設等の運営を行い、救急医療をはじめとする、地域において必要とされる医療介護を提供することが、法律上義務付けられております。
3以降については、こちらに記載のとおりになっております。このJCHOの特徴として1つは、老健施設等の介護、訪問看護などの看護、そういった施設を医療介護一体となって提供しているということで、地域包括ケアの推進が大きな目的になっております。もう1つの特徴があり、独立行政法人は、国から運営費交付金が出ますが、JCHOについては、運営費交付金が出ないということで、各病院、自立経営が非常に強く求められるといった特徴があります。
 続きまして、令和元年度の業務実績について説明いたします。今回、令和元年度というのは第2期の中期目標の初年度の評価になりますので、新しい中期目標に基づいた初めての実績評価です。先ほど説明があった重点化対象項目を中心に、またそれに加えてそれ以外の項目でも、法人として昨年度はしっかりできたのではないか、十分高い実績を残せたのではないかといったところは補足で説明しながら進めたいと思っております。ただ、15分ですので、重点化対象項目以外の項目によっては、説明を割愛させていただきますので御承知置きください。
 まず資料2-1の3ページのスライドになります。こちらの評価項目1-1-1、診療事業(1)効果的・効率的な医療提供体制の推進です。ここは、先ほど御説明がありましたように重要度、難易度とも高いとされている重点化対象項目です。この項目については、(1)に書いているとおり、地域のニーズを把握して、他の医療機関との連携を図ること、地域医療構想の実現を図る、貢献するということ、地域包括ケアを推進するということなどが中期目標に記載しております。評価における指標は、四角囲みで2つあります。1つ目が、地域で中核的な役割を果たす病院。これは、中規模や大規模な病院を想定していただければと思いますが、そこでの救急搬送応需率を85%以上にするというのが1つ目。2つ目が、中核病院を補完する役割、我々は補完病院と呼んでいますが、中核病院以外の病院については地域包括ケア病棟の在宅復帰率を85%以上とするのが2つ目の指標となっております。
 4ページが、昨年度の実績です。ポイントの1つ目が、救急搬送応需率の実績です。昨年度は86%ということで、達成度101.2%。2つ目が、地域包括ケア病棟の在宅復帰率です。昨年度は85.9%、これも達成度101.1%ということで、双方とも達成することができました。
 5ページ目を御覧ください。数値目標以外の、その他の取組を記載しております。中でも(1)の1つ目のポツは、病床機能の見直しに関して、地域の医療ニーズを把握し、高度急性期・急性期の病床を減少させて、逆に回復期・慢性期の病床を増やしたこと。中でも、地域包括ケア病床については、地域の高齢化の伸展を踏まえ、一昨年度に比べ、213床の増床を行ったところです。
 また、次のポツは、昨年9月、厚生労働省から公的な医療機関424病院が、いわゆる2025プランを再度見直すようにと再検証の要請を受けました。JCHOは57病院所管しておりますが、そのうち22病院再検証の要請を受け、その直後理事長から、「今後のJCHOのあり方について」という院長宛ての文書を発出し、地域で必要とされる病院づくりに向けた必要な見直しを検討するようにというメッセージを発出し、本部と病院との間で対象22病院を中心にヒアリングを行い、積極的な検討を行いました。その結果、対象の22病院については2025プランから更に200床程度削減をする方向で、本部と病院とで合意している状況です。
 今後、都道府県の地域医療構想調整会議で、こうした方針を各病院が積極的に主張していくこととしております。こうした取組により、中期目標に記載があるような効果的・効率的な医療提供体制の推進に法人としてしっかりと取り組めたのではないかと考えております。
他の事項については説明を割愛しますが、6ページを御覧ください。⑤です。昨年度末までですが、新型コロナウイルスの対応ということで、少し記載させていただきました。3つのポツがあります。1つ目は、国の要請を受けた医師などの医療従事者の派遣について記載しました。2月9日~21日までの間、横浜港に停泊しておりましたクルーズ船については医師4人、薬剤師29名、看護師20名の派遣を行いました。また、そのポツの3行目になりますが、こちらも国の要請を受けて、3月27日~30日までの間、帰国者の対応として羽田空港の検疫所に医師12名、看護師11名を派遣しました。
 2つ目のポツは、クルーズ船や検疫所での検査の結果、陽性と判断された患者さんにつきましては、これも国の要請を受けて蒲田の医療センターの1病棟を専用病棟として、そうした患者の受入れ対応し、延べ人数496名の患者の受入れをしました。3つ目につきましては、昨年度末までの実績しか記載をしておりませんが、3月後半から拡がりはじめた市中感染を受けて、自治体からの要請に基づき、患者の受入体制を整備した実績などについて記載しております。
 こうした国からの要請、自治体からの要請に対してもJCHOとして積極的に対応したことは、地域の医療ニーズを踏まえて適切な医療を提供する中期目標の内容にも沿うものだと私どもは考えております。こうしたその他の取組と、先ほど4ページで説明した数値目標、双方の達成ができたという結果、そしてこの項目自体が重要度、難易度ともに高いということを踏まえて、自己評価としては「A」と考えております。
 続いて、7ページです。評価項目1-1-2、診療事業(2)予防・健康づくりの推進で、これは重点化対象項目ではありませんので割愛しますが、真ん中に数値目標があり、地域住民に対する教育・研修を1,000回以上行うということで、実績値として1,059回ということでこちらも達成ができたということで、その他の取組と合わせて自己評価「B」と考えております。
 続いて、8ページです。評価項目1-2、介護事業です。この項目は、重要度、難易度とも高いとされております。この項目は大きく3つあります。1つ目は(1)在宅復帰の推進、(2)在宅療養支援の推進、(3)介護予防の実施です。評価における指標については、2つあります。1つ目が、老健施設における在宅復帰率を前年度よりも増加させ、平成35年度と書いていますが、令和5年度までに55%以上(昨年度1年間の年度計画では52%以上)とするというのが1つ目です。2つ目が、訪問看護ステーションにおける重症者の対応者数ということで、これも毎年度、前年度よりも増加をさせ、令和5年度までに13,000人以上、昨年度の計画ですと10,900人以上というのが目標でした。
 9ページ目は、実績になります。1つ目が老健施設の在宅復帰率です。52%の目標に対して、実績値55.6%ということで、達成することができました。ポイントの2つ目は、訪問看護ステーションの重症者の対応者数で、11,965人の実績でこちらも達成することができました。
 10ページ目に、その他の取組を書いております。(1)につきましては、老健施設における医療ニーズの高い方の受入実績を記載しました。喀痰吸引や経管栄養が必要な方に対して、双方とも一昨年度よりも多くの方を受け入れることができました。また、(2)ですが、訪問看護の訪問回数や各種報酬の加算の取得状況について記載しており、いずれも一昨年度の実績を上回ることができております。
 特に(2)の3つ目のポツですが、後半部分に「特に」と書かれていますが、滋賀病院の訪問看護ステーションの取組を記載しております。滋賀病院の訪問看護ステーションについては、滋賀県と滋賀医科大との連携事業に参加し、大学病院の看護師さんを一定期間訪問看護ステーションに受け入れて、訪問看護の研修を受けていただいて、地域に返していくことで地域の訪問看護の人材育成にも貢献ができたのではないかと考えております。
 こうしたその他の取組と、先ほど9ページで説明した数値目標の双方の達成という結果、重要度、難易度が高いことを踏まえ、こちらの項目は自己評価としては「A」と考えております。
 11ページです。評価項目1-3、病院等の利用者の視点に立った医療介護の提供です。こちらも重点化項目ではありませんので、割愛します。ただ、目標値として12ページに記載があるように、病院の患者の満足度、それから老健の利用者の満足度を目標値としております。両方とも達成することができ、こちらも項目は自己評価としては「B」と考えております。
 13ページです。評価項目1-4、教育研修事業です。こちらは、重点化対象項目ではありませんが、法人として昨年度積極的に取り組み、十分な成果を上げられたものと考え、少し詳しく説明いたします。この項目における中期目標の記載につきましては、(1)①の質の高い職員の育成、②質の高い医師の育成、③質の高い看護師の育成、(2)地域の医療・介護従事者に対する教育で、大きく4つあります。ここの項目の評価における指標は2つあります。1つ目が、特定行為研修の修了者について、中期目標期間に250名、単年度では50名以上養成するというのが1つ目です。地域の医療・介護従事者への教育・研修の実施回数を、毎年度480回以上実施する。この2つが、数値目標になっております。
 14ページ目が、指標に対する実績です。ポイントの1つ目が特定行為研修修了者の数です。単年度で50人以上の目標に対して、70名養成することができ、達成度としては140%という高い達成率を実現することができました。
 その下ですが、特定行為研修修了者の貢献例として、医療現場での活動例を記載しております。そのうち1つ目のポツについては、褥瘡管理に関して、これまで週1回の医師の診察を待って対応してきたものが、特定行為研修の修了者が手順書に従って対応するということで、患者様の重症化予防につながったという例です。2つ目については、糖尿病の外来の患者さんに対して、特定行為研修修了者が、インスリンの投与量を調整するということで、こちらも医師の診察時間の短縮、患者へのサービス向上につながったということになります。どちらの例も医師の診察時間の短縮などで、医師の負担軽減にもつながり、かつ医療サービスの向上、質の向上にもつながったという貢献例です。
 また、その他の貢献例ということで、2つの取組を記載しております。1つ目のポツが、学会の場で、JCHOの取組を紹介した実績とともに、JCHOが取り組んでいる研修に関して一般購入可能なテキストを作成して販売しました。これによって、制度自体の普及と推進に貢献できたのではないかと考えております。
 さらに、2つ目のポツですが、指導者の育成に関する取組で、JCHOでは厚生労働省から委託を受けて特定行為研修の指導者の養成も行っております。全国6機関の1つとなっており、昨年度は、55人の医師、看護師などの指導者を育成しました。これは記載がありませんが、そのうち22名の方がJCHO職員以外の指導者ということで、こちらも制度自体の普及又はその推進に大きく貢献ができたのではないかと考えております。
2つ目のポイントと書かれている所が2つ目の指標です。地域の医療・介護従事者の教育・研修で、年間目標480回に対して実績として860回実施することができ、達成度としては179.2%と高い達成率を実現できました。こうした取組により、地域医療の推進に貢献できたのではないかと考えております。
 これらの実績に加え、15ページのその他の取組を記載しております。中でも②の質の高い医師の育成に関しては、これまでJCHOで取り組んでいるJCHO版病院総合医育成プログラムの実績を記載しております。昨年度は、合計5人の方が研修を行い、うち2名が研修を修了いたしました。総合診療医というのは、発熱等の症状のある患者に対して適切に初期診療を行う等、新型コロナウイルス感染症の対応にも貢献できる可能性が高いと考えております。こうした領域での総合診療医の活用も、今後進めていければと考えております。
 こうした、その他の取組と、先ほど14ページで説明した数値目標ともに120%を越える高い達成度を実現できたこと、それらに関連する具体的な取組については制度自体の普及にも貢献できたこと、また、地域医療の推進にも貢献できたことを踏まえ、この項目については自己評価を「S」としております。
 続きまして、16、17ページが評価項目2の業務運営の効率化に関する事項です。こちらについては重点化対象項目ではありませんので割愛しますが、目標設定をした数値目標に対する結果のみ説明いたします。18ページに飛びます。こちらは、3つ数値目標を設定しているうちの1つです。電子カルテを6病院導入する数値目標でしたが、昨年度10病院導入できたということで、達成できました。19ページに残り2つの数値目標を記載しております。1つが、医業未収金比率を平成30年度の実績値よりも低減させるもの、もう1つの目標が、一般管理費を平成30年度の実績値に比べて、1%以上節減を図ることで、2つとも達成ができ、合計3つとも達成でき、自己評価をBと考えております。
 続いて、20ページです。評価項目3の財務内容の改善に関する事項です。この項目は、中期目標では難易度が高いとされております。この項目の評価における指標は経常収支率を100%以上とすることで、その結果については21ページの上段に記載しております。昨年度の経常収支率、ポイントと書かれているところは、101.1%で、目標を達成することができました。冒頭で、法人の概要で説明したJCHOは他の法人とは異なり、国の運営費交付金が交付されない法人です。各病院には、自立経営が強く求められています。21ページの下の段の(1)に書いているように、不振病院に対しては、本部としてもしっかりとした経営改善を図ることで、昨年度も取り組みました。こうした取組の実施と、難易度が高いことも踏まえて、自己評価としては「A」という形で提出しました。
 最後の評価項目4、その他業務運営に関する重要事項で、こちらについては重点化対象項目以外です。また評価指標がありません。中期目標に書かれたそれぞれの項目について、24ページに記載があるとおり、所期の目標はしっかり達成できたのではないかと考えており、自己評価としては「B」という形で提出しました。
 以上、各項目について重点化対象項目を中心に説明いたしました。各項目の自己評価を踏まえ、2ページ目にお戻りください。各項目それぞれの自己評価の結果として、総合評定、右上になります。総合評定としては「A」という形で提出いたしました。長くなりましたが、私の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
 
○福井主査
 ありがとうございました。大変、分かりやすく説明していただきました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等ありましたら、構成員の皆様、お願いします。
 
○山口構成員
 特にS評価を付けていらっしゃる教育研修事業の所を拝見しますと、特定行為の看護師が非常に活躍されて、予定より20名も多く取得されていることとか、地域医療介護の従事者への教育研修も、目標の1.8倍ということで、非常に努力されている。そのため、S評価にするということは、私もこれはいいのではないかと思っております。
 さらには、10ページにございました滋賀医科大学の大学病院の看護師を在宅医療に受け入れていらっしゃる。大きな病院の看護師は、どうしても家にいる患者の姿をなかなか想像できなくて、入退院の調整をするときにもイメージが湧かないということがあると聞いておりますので、こういう経験を地域でしていただくということは、とてもいいことなのではないかと、ご説明をお聞きしていて特にプラス面で思いました。その上で質問と意見を述べたいと思います。
 まず、5ページの所で、地域で不足している回復期・慢性期の見直しをしていくということであったり、57病院中22病院が再検証の対象になったということで、地域で必要とされている医療機関の見直しということで、まずは本部で200床削減する話をされたということです。
これは事前に説明をお聞きしたときに、では、この後はどうするかと伺ったのですが、地域との話合いを重視していくのだというようにお聞きしております。今度、地域で話合いを重視していったときに、本部との関係性と言うか、どのように本部に報告をして、どのような話合いで、またその地域にフィードバックするのか、それとももっと地域ということを本当に重視して進めていくのか、その辺りのことを1つお聞きしたいというのが、まず1つ目の質問です。
 それから2つ目として、7ページの地域住民への教育研修ということで、指標としてはクリアしたということです。回数は数多く重ねておられるのですが、1,059回行ったことの成果は何ではかっていらっしゃるのか。どのような内容だったのかということも、次回以降で結構ですが、どのような内容をされていて、どのような成果が出ているかということの報告も頂きたいかなと思いました。
 ここにちらっと書いてあるのを見ると、糖尿病や認知症についてのレクチャーと言うか、知っていただくことをされているようですが、現在の患者を考えると疾病ということも然ることながら、例えば医療機能の分化であったり、地域包括ケアシステムであったり、最近はACPということも言われています。そういった医療のことで知っておいていただかないといけないこと、なかなかこれに触れる機会がないというように思っておりますので、上手な医療の受け方ということもありますが、そういったことも実際にされているのか、今後含めていかれるのか、もし、まだされていないとしたら、是非御検討を頂きたいと思います。
 最後は要望ですが、指標達成ということを、どうしてもこういう評価のときには強調されてしまうのですが、中身がどうなのかということであったり、あるいは問題点、改善点ということ、力を入れたら、この部分が改善できたのだ、そのようなことも、短い時間なのでなかなか難しいかもしれませんが、是非そういったことの見える化ということを私たちにもしていただけたら有り難いなと思います。
 
○福井主査
 いかがでしょうか。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 最後に御指摘いただいた点ですが、これから内容ですとか、改善点については、その御指摘を踏まえて、来年度以降はしっかりと実績を取ってお示しできるようにしたいと思います。ありがとうございます。
 それから、御質問は2つあったと思います。1つ目が地域医療構想ですとか、病床の見直しに関しまして、実際、これは地域医療構想調整会議というのが都道府県で設けられています。そこで病床機能についてどうするのかということを議論するというのが、法律上の立て付けになっております。ただ、そこで調整した結果、地域では削減ではなくて、しっかりと病床を確保をしてくれと言われたり、増床するべきだという御意見も、もしかしたらあるかもしれません。そうしたときには、当然病院から本部に、こういった意見があったということで調整はさせていただきます。
1つ重要な観点は、運営費交付金が出ていないという中では、各病院それぞれ自立運営をしていかないといけないというのがありますから、本部としては、経営の視点から大丈夫なのかといったところは調整させていただきます。
 ただ、やはり地域医療機能推進機構とありますように、地域の医療ニーズをしっかりと踏まえて、病院経営をやるということが大事ですから、そこは例えば自治体から支援が頂けるということがあるのであれば、それは当然地域のニーズにしっかりと応えるべきだということで、地域の意見というのが尊重されることが大事だと思っております。
 それから、7ページ目の所の教育研修の実績を1,000回という形で、地域住民に対する研修を書かせていただきました。成果としては、2つ事例を書いていますが、ざっくり言いますと、テーマとして大きかったものは、糖尿病、あとは高血圧など生活習慣病に対するテーマというのを非常に多く開催したという実績を聞いております。
 もう1つが、介護に関しても、介護の方法、認知症の御家族に対する対応方法みたいなものを教えてほしいというニーズがあって、そういった面で行ったと聞いております。
 ただ、先生が言われたように、これから医療機能がどう分化していくとか、いわゆる医療の在り方みたいなところまでは、まだテーマとして十分にできているわけではないと思いますので、そこは御指摘いただいた点は、次の改善点に踏まえたいと思います。
最後にACPの話がございました。実はAdvance Care Planningについては、病院で緩和ケアなどの病棟で取り組んできたところではありますが、昨年度は先生がおっしゃったように、病院から地域住民の方に、御理解いただくような啓発活動をやったと聞いております。そういう意味では、まだ医療機能の在り方とか、そういったことはできておりませんが、御指摘いただいた課題を踏まえて、また来年度の改善につなげたいと思います。ありがとうございます。
 
○山口構成員
 提案ですけれども、医療機能の分化などということをテーマにしても、人は集まらないと思うのです。人の集まる、糖尿病、高血圧、認知症などをテーマにしたときに、プラスアルファで、そういったことを付けていただくと、人が集まったときに、余り日常的に関心を持っていないことをプラスアルファで情報を得られるということのほうが効率的かなと思いますので、そういったことも御検討いただければと思います。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 御指摘ありがとうございます。
 
○福井主査
 河村構成員、どうぞ。
 
○河村構成員
 非常に厳しい状況の中、本年も高い業務実績を挙げていらっしゃるという感じで拝聴しておりました。私からは幾つか意見と、ご質問をしながら、お答えを伺いながら、こちらの意見を言わせていただければという部分がございます。
 最初に意見ですが、評価項目1-1-1の所です。ここは数値目標も然ることながら、それ以外の部分、例えば厚労省で去年の秋に打ち出されて、いろいろと国内では波紋が起きましたが2025プランの見直しの関係などで、非常にJCHOとして積極的に取り組みになられているといった辺り。3ページの評価指標でも、JCHOは機構としての57病院の成り立ちを考えると、いろいろな生い立ちの病院があります。それで性格もそれぞれで、地域で果たしている役割も違うと思うのですが、そういう所をきちんと中核病院と補完病院という形で分けて、57病院を一緒にしてしまわないで、きちんと分けてきめ細かく指標を立てて、それで達成しているということで、こういったところは数字に出てくるところと出てこないところがありますが、あと御説明くださったコロナで足元は非常に大変だと思うのですが、国からもいろいろな要請があり、自治体からもいろいろな要請がありという中で、それでなくても普段から厳しいところをしっかりとやっていらっしゃるということはすごくよく分かりましたので、そういう数字に表れてこないところも含めて、非常に高く評価できるのではないかと。この部分の項目のA評価は本当に妥当ではないかと思っております。
あと、ご質問しながら意見を言わせていただきたいと申し上げたのは、その後の教育研修の所です。S評価ということです。これは達成率が非常に高い数字が出てきているのですが、大元の評価書の本体も拝見したのですが、こちらの52ページで拝見すると、主要な経年データというのが出ていて、今回は新しい中期目標期間の初年度ということもあって、過去の数字がないのです。今中期目標期間の初年度の数字だけがあって、過去の数字がないということです。
 それで、国全体として独立行政法人の評価をするときの考え方というのは統一した考え方があって、それに従って我々は考えなければいけないと思うのですが、総務省から方針はきちんと文書で示されていて、それはこの会議に先立っての参考資料ということで私たちの所にも送られてきています。それはここ数年で変わっているものではないと思います。
 今日持ってきたのは、2年前のこの会議のときに配られた、政策評価官室で作られた独立行政法人の評価の考え方という資料で、これがすごく分かりやすいと思います。今日は配られていませんが、ここから見ますと、S評価というのは、定量的な指標がある場合に達成度が120%以上で、質的に顕著な成果があることだと。A評価というのは、定量的な指標の達成度が120%以上である。ただ、そこできちんと書いてあるのは、A評価の場合でも目標設定の考え方の明示、目標値が妥当であるかの検証が必要であるということが明確に書かれています。実際に過去の平成27年の総務省の点検結果のときにも、目標の設定の考え方が十分に分かりやすく示されていないにもかかわらず、初期の目標を量的に上回る成果を挙げているとしてA評定をするのは問題ありという指摘が、どこの府省の法人か分かりませんけれども、下ったことがあるということが書いてありますので、念のためにお尋ねいたします。
 説明資料の14ページで、達成度が140%になっている特定行為研修の修了者の数、目標は50だったと思いますが、これの過去5年間の実績値、それから下の所の目標値ですが、研修の実施回数ですが、地域の医療従事者を対象とした研修、介護従事者を対象とした研修、症例・事例検討会も入るということだと思いますが、この教育研修の目標値が480回以上になっていますが、昨年度の実績は860回ということなのですが、この過去5年間のそれぞれの対応する実績の数字をお教えいただきたいと思います。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 2つ御質問がありました。まず1つ目です。教育研修の中でも特定行為の実績の過去ですが、特定行為研修というのは、14ページの一番上のほうに書いていますように、JCHO法人全体が指定研修機関となって、平成29年度から取り組んでいるわけです。実は、JCHO法人全体が指定研修機関として取り組んできた結果の研修修了者は、過去はおりません。ですので、令和元年度が初めてになります。
 ただ、新宿メディカルセンターという大きな病院がございまして、そこの病院単体でも指定研修機関になっています。その新宿単独での実績というのが、平成28年度に2名、平成30年度に1名ということで、過去には3名がJCHOの研修機関での実績であります。一方、令和元年度は初めてJCHO全体として、しかも70名というところで実績を残せたということです。
 もう1つ、地域医療、介護従事者に対する教育研修の過去の実績ですが、これまで第1期の中期目標のときに業務実績評価書で御説明していた内容と、ちょっと数字の取り方を変えている部分がございます。過去の実績というのを少し申し上げれば、平成29年度は1,346回、平成30年度が1,243回ということになっていますが、過去の実績には病院が主催したもの以外、例えば自治体とか医師会が主催したものに講師として派遣といったものも、過去は計上しております。今回、860回とお示ししている数字は、あくまで病院が主催をして行ったもののみの算出ということになっていまして、比較をするということが難しい。過去の実績から病院の主催以外のものを除くということは、分けて調査をしていませんでしたので、そこの比較ができない。
 ただ、この目標と実績という考え方や、目標設定については、あくまで厚生労働省又は大臣からお示しされたものですが、中期目標の中にも記載されていますように、地域医療支援病院というのがございまして、200床以上の病院ですが、そういう病院は承認条件に月に1回、教育研修を地域の方にやりなさいということが条件になっています。その地域医療支援病院と、あとは300床以上の大きな病院について、月に2回ぐらいは実施をしなさいということで大臣から示されて、その合計が、大体20か所病院がございましたので、月に2回で12か月ということで、480回ということで、大臣から示されたものと承知しております。
 今回、それに照らして860回を分析してみますと、地域医療支援病院というのが18か所に増えておりまして、その代わり300床の病院は3病院ということで、平均しますと、それらの病院というのは1病院、1月当たり1.8回ができていると。それに加えて、もともと想定されていなかったような200床未満の小さな病院で、1月に大体0.9回ですから、1回それぞれの病院も実施できたということで、合わせて、およそ地域医療支援病院については2回実施した上で、想定されていない小規模な病院が月に1回程度やったということで、860回ができたということですので、地域医療又は介護の質の向上という意味では、貢献ができたのではないかと考えております。
 
○河村構成員
 では、数値目標の所、最初の50人以上の所、特定行為研修の所なのですが、過去はやっていなかったことを近年になさるようになって、これだけの実績が出たということで、それで評価できると思うのですが、こちらの50人以上という目標は、どういう根拠で立てたのでしょうか。これは本省にお尋ねしたほうがいいのかもしれませんけれども。
 
○医療独立行政法人支援室長
 考え方を説明させていただきます。特定行為研修の修了者を増やすということがチーム医療の推進、それから地域医療への貢献などの、高い看護師の育成にとって重要であるということを踏まえまして、特定行為研修の修了者の養成数をJCHOの教育研修事業の実績を図る目標として設定をしております。
 実際、医師が不在のときの対応などを考慮して、令和元年から令和7年(2025年)までの7年間で、JCHOの各病棟、全部で350病棟あると聞いておりますが、その特定行為研修の修了者を1病棟に1人ずつ配置することを目標として、1年当たり約50人、要はこの7年間というのは、350病棟を単純に7で割って、1年当たり50名という考え方で設定させていただいております。そういうことですので、設定の考え方はそのとおりになっています。
 
○河村構成員
 そういうことであれば、1病棟当たりお一人ということであれば、実績は70人ですが、実績を取るときに、1つの病棟にお一人ずつ、というようにばらけていけば、各病棟はあまねく7年間で増えていくと思うのですが、その辺のばらつきは見なくていいのかなという気もいたします。こちらの目標の設定は分かりました。
 もう1つの下のほうなのですが、これは先ほど480回の目標の設定の考え方、300床以上の病院が月に2回ということは分かりましたが、ちょっと実績との乖離が気になります。過去の連続する数字は取っていないということなのですが、病院主催以外の研修も入った数字しか過去にはないということなのですが、今年の860回という実績で、病院主催以外の研修も入った数字というのがあれば、それをお教えいただけないでしょうか。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 今の御質問で、860回が病院主催のみということでして、医師会、自治体で主催されたのが252回というのが昨年度の実績になっていまして、合計すると1,112回ということになります。
 
○河村構成員
 この手の数字というのは、5年前から同じことをやっているわけではなくて、途中からいろいろと新しい目標とか課題が出てきて、適切に目標を作ってやっていくということで、それは本当にいいことですし、内容的にもいろいろな成果を細かく最初に御説明くださったので、高く評価できるというのは分かると思うのですが、数値目標の所は気になるところで、今お話くださったそれ以外の部分も含めた数字が、令和元年度は1,112回ということですが、連続する数字で先ほど御説明くださった数字を見ると、2年前の平成29年度は1,346回、去年の平成30年度は1,243回、今年は1,112です。単純な数字だけで見てはいけないのかもしれませんが、減っていることになります。
 それを特に見たときに、ここの評価書では達成度は179.2%と出てくるのですが、これは受け止め方としてはどうなのかなと言うか、S評価は政府全体で見たときに、付けるのは相当ハードルが高いことになっていると思いますので、最後は大臣評価ということで厚労省でお考えになると思いますが、お考えいただいたほうがいいのではないか。S評価は厳しいし、場合によっては目標の設定が妥当かどうかということを考えたときに、A評価は厳しくなってくるかもしれない。それぐらいの線なのではないかという気がします。
 
○福井主査
 ほかにはいかがでしょうか。
 
○亀岡構成員
 私からは、3点ほどございます。1つは、最初にあった地域の他の医療機関との連携ということと収入の確保ということです。その後にある業務実績評価書というのがありますが、これは2回出てくるのですが、8ページと75ページに同じ表が出ているのですが、この中で、高額医療機器の共同利用や開放型病床とか、あと医療資源の有効活用ということで、高額な医療機器を地域の医療機関に開放していくというようなことだと思うのですが、見せていただくと、MRIに関しては平成30年に2万3,268件あったのが、令和元年では2万3,088ということで、180件減っているのです。さらにCTについては平成30年度が2万1,877で、令和元年は2万1,225件で、652件減っているのです。これで収入の増加につながるとか、さらに地域関連が更に広がったということと逆行しているように感じます。特にMRIに関しては、件数が減っているのですが、利用率が増えているように書いています。これはなぜかということが、最初の1点目の御質問です。
 2番目の質問としては、まとまっている資料の15ページ目になるのですが、「質の高い医師の育成」ということで、その前には質の高い職員等ということもあって、地域に看護師などは看護学校で、地域の看護人材に努めたということで、他の法人や大学と連携を進めたということで、すばらしいことだと思っていますが、②の質の高い医師の育成ということがございます。
 この中の1行目で、57全ての病院でJCHO版病院総合医育成プログラム、いわゆるJCHO版とあるのですが、これは一般的なものではなく、JCHO特有のものなのか、逆にこのプログラムをした方が一般の地域で貢献できるのかどうか。わざわざJCHO版と書いているのは、どういう意味があるのかというのが2点目です。
 3点目は、人件費の割合が適正化に向けるということで、67ページになります。効率的・弾力的な病院組織の構築というところで、人件費、委託費の適正化に向けて、平成30年度における人件費、給与とか委託費を65%以上の病院に対して、令和2年度以降の3年間で計画的に人件費を削減と書いているのですが、今お話を伺う中では、人が足りないという中において、65%がいいということではないのですが、人件費の削減というよりも人件費率の減少というなら分かりますが、むしろ収入等を増やすことによって、結果的に65%を下げていくということなら分かるのですが、人件費の削減ではないのではないか。この辺についてのお考えを頂ければと思います。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 3つ御質問を頂きました。貴重な御指摘をありがとうございます。
 1つ目です。業務実績評価書の8ページで、医療機器の共同利用の件数についてです。まず、高額医療機器の共同利用の考え方ですが、これはJCHO内で共同利用するわけではなくて、地域の他の医療機関と共同で利用していくというか、逆に利用していただくということで、我々が実施したMRIの件数に比べて、実際に共同で利用した件数の割合、利用率という形で出しています。それがどうだったのかということですので、実際にMRIについては、JCHOで購入しているMRIが減った結果、総件数自体が減りました。ただし、利用率は上がっていますから、地域の方にはより多く利用していただいたということになります。ただ、CTについては御指摘のとおり、両方とも利用率は0.2ポイント減ってしまっておりますので、もう少し周知に努めたいと思います。ということですので、収入という意味では、無償で共同利用していきますので、特に関係はないということです。
 2つ目が医師の育成に関して、パワーポイントの資料15ページの所です。JCHO版の病院総合医プログラムについてです。こちらはJCHOが独自に平成29年度から始めたプログラムになっておりまして、卒後6年目以降、いわゆる初期研修、そして後期研修が終わった方を対象としまして、JCHO独自のプログラムで、地域医療に貢献する能力を持つ医師を育成することを目的にやってきているプログラムです。ですので、特有のプログラムということで御理解いただければと思います。
 最後、人件費の関係でして、パワーポイントの19ページにも記載がございます。65%以上ということで、率を下げていくべきであって、額ではないのではないかと。おっしゃるとおりです。実は、平成26年度以降、これまでも運営費交付金がない中で、人件費率を適正に抑えていくという取組をやってきたわけですが、人件費率については収益が大きくなると、比率は下がっていきます。これまでは、収益を確保するということに力点を置いてやってきましたが、なかなか収益の確保だけでは、実際は収益の確保自体が難しいという地域性もあり、そういったところについては、今度は費用の額をしっかりと下げないといけないという2段構えでやっています。その2ステップ目の取組だということで御理解いただきたいと思います。
 なぜ65%かということはあると思うのですが、これについては赤字、黒字の病院を上から並べていったときに、人件費率で65%以上というのが赤字のデッドラインと言いますか黒字のデッドラインと言いますか、そういうこともありまして、65%を切りまして、その病院についてはこれまでも収益を確保せよと言ってきたけれども、なかなか収益が伸びませんから、やはりここは分子のほうの額までしっかりとやらないといけないということで、取組を2ステップ目に進めたということで御理解いただければと思います。
 
○亀岡構成員
 今の御回答で納得はしたのですが、1つ、2番目の回答の中で、いわゆるJCHO版の総合医の育成プログラム、これは地域に一般的に適応できるというように判断してよろしいのでしょうか。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 亀岡委員の総合医の話ですが、私から補足させていただきます。これはJCHO特有のものなのか、今の御質問はJCHO独自でも地域に実際に貢献するのかという話です。プライマリケア学会の人たちと数年前に相談をして、JCHOは比較的総合診療医を育成するにふさわしい病院が多いので、少し時代を先行してくれないかと。どういう意味かと言うと、これからの時代には、特に地方の中小病院では、自分は整形外科しか診られません、あるいは呼吸器しか診られませんという人だけを育てても、なかなか地域のニーズに応えられないということで、我々の機構は先鞭を付けるということで、いわゆるサブスペシャリティで病院総合医という、地域の実践の中小病院で特に求められる人を、少し時代に先駆けてまず独自に作ろうということです。
 そのときは、プライマリケア学会とか病院総合医の、国診協の先生にも今日は来ていただいて、そういう人と十分に連携を取って、ただ、誰かが走らなくてはいけないということで走ったと。
 そういう中で走って、だんだんと病院総合医を育てるという関心はほかの病院群でもあるのです。今は、いわゆる病院総合医を育てるコンソーシアムというのができていて、これから専門医機構の中でどう位置付けるかという議論を、彼らと一緒にしていまして、この病院総合医の目的は、何も病院総合医だけを育てると言うよりも、これから医師というのは多様なキャリアの選択肢を持っていたいと思います。大学病院にいて開業する人、あるいは大学で専門医をやっているのだけれども、40、50になったら地域に帰りたい。いろいろな多様なニーズがあります。
 そういういろいろな入口はあっても、出口はいろいろあるので、それをJCHOだけではなくて、関心のあるほかの病院団体と一緒に、そういう意味では結論から申し上げますと、これはJCHOだけで完結する話ではなくて、日本の地域医療、これからこういう人が求めますので。もちろん専門医も求められます。そういうことを、ほかの関係団体と一緒に、地域のいろいろなニーズに応えようということでやっているプログラムです。
 
○亀岡構成員
 ありがとうございました。
 
○山口構成員
 今のお話で関連して質問します。先ほどの御説明の中でJCHO版総合病院医というのは、初期研修が終わった後だとおっしゃったのですが、ということは専攻医ですよね。そうすると、今の専門医制度との絡みの中でどう位置付けられるのか。例えば基本領域の中の総合診療医というようなものが取れるのかどうか、その辺の位置付けを教えていただきたいと思います。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 ちょっと私の説明が不十分だったかもしれませんが、初期の研修がありますよね。後期研修は専攻医です。今、我々のJCHOはその上の3段階目です。だから、専攻医というのは19番目の基礎領域です。病院の総合医ということで、さらに、それを終わった次の段階の話です。
 したがって、今専門機構の中でも、このサブスペシャリティをどう位置付けるか、このようなことの議論がこれから始まると思いますが、これは19番目の中ではなくて、19番目の更に上というのは語弊がありますが、サブスペシャリティと言いますか、そういう位置付けです。
 
○山口構成員
 そうすると、初期研修が終わった次の人ではなくて、初期研修が終わって、更に3年間どこかに行った後ということですか。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 入口はいろいろあって、19基礎領域の19番目が終わった人で、ここに入る人もいるし、全くそれでなくても、これから開業をしたいと。大学病院などでずっと放射線科をやっていた人が開業したいという人にも、どうぞということです。あるいは、都会の病院にいたのだけれども、これからは地方の中小病院でやりたい人が研修をしたりというような、多様なニーズに応えられるプログラムという位置付けです。
 
○山口構成員
 では、今はJCHO独自の位置付けであって、専門医制度の中のサブスペではないということですね。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 そうです。今、それをどうしようかという議論が少しずつ進むと思います。
 
○福井主査
 40歳、50歳、60歳の例えば泌尿器科の先生が総合医的な仕事をしたいというときに、1年間あるいは2年間の病院団体のプログラムで勉強していただいて、その病院団体の中で総合医的な役割を果たしてもらう。
 
○山口構成員
 分かりました。専門医機構のサブスペというのと同じ言葉を使われると、混乱するかと思いましたので。
 
○福井主査
 2,400ぐらいの病院が所属している日本病院会でも、日本病院会の病院総合医のプログラムを走らせています。そういうプログラムを全部オーガナイズしようという動きもありますが、専門医機構の卒後3年目以降の人が入るプログラムとはちょっと違うものです。
 ほかにはいかがでしょうか。柿崎構成員からお願いします。
 
○柿崎構成員
 ここで質問すべきなのかどうか分からないのですが、事前のブリーフィングがあったときも質問させてもらいまして、まだこれからだという話でした。
 今年の4月までで新型コロナの対応をなさっています。このときは局所的と言うか、そういうものだったのですが、評価は来年にやることになりますから、そこに新型コロナウイルスへの対応というのは被さってくると思います。そうすると、評価の在り方自体は全く変えないまま考えるのか、それとも、新型コロナは特殊な事情として考えて、その計画自体の中を変えるのか。決まっていないとは思うのですが、もし今の段階で分かれば教えていただきたいと思います。今年度のものには関係ないのですが。
 
○福井主査
 診療事業の中での評価なのか、どうなのかということでもあると思います。お願いします。
 
○医療独立行政法人支援室長
 まず、今回の新型コロナウイルス感染症に関して影響を受けているということがありますので、その点について考えるということになります。
 まず、最初に総務省が策定している独立行政法人の評価に関する指針というものがございます。その中に、独立行政法人の自己評価の結果を踏まえて、中期計画の実施状況などに留意しつつ評定を行うこととされております。さらに、予測し難い外部要因により業務が実施できなかった場合や外部要因に対して法人が自主的な努力を行っていた場合には評定において考慮する。このように当該指針において規定されているところです。
 このため、今回のようなコロナ禍に対する業務実績への影響が認められた場合には、その内容を考慮した上で、独立行政法人の自己評価結果に対して評定を行うことになると考えております。
 
○福井主査
 ありがとうございます。それでは、小野構成員からお願いします。
 
○小野構成員
 質問させていただきます。取組として大変頑張っていらっしゃるというのが分かりますし、全国で、大規模から中小規模までいろいろな病院がある中で、我々の国診協と同じように、中小病院も多いということで、地域で必要とされている病院が多いだろうなということは、内容から分かりました。
 そういう中で御質問させていただきたいのは、最初の重点項目にある地域包括ケア病棟の在宅復帰率の所です。85%という数値目標です。我々も地域包括ケア病棟をやっていますが、常々在宅復帰率は90%はいくと言いますか、そこを目指してやっているわけです。
 全国調査の平成30年の中に、地域包括では85%以上の病院が半分以上を占めているのではないかと思います。ここは、数値目標を今後高くしていってもいいのではないかと。恐らく、診療報酬改定で老健がカウントされなくなった部分もありまして、その分で我々も若干下がってきているのは当然そうなのですが、そこら辺も加味されて、5%だったのかどうかというのが、1つの御質問です。
 2点目は、介護予防事業もやられていることは大変すばらしいことだと思うのですが、これは市町村と連携しながらやっているかどうか。というのは、介護予防の中で例えばリハビリの部分もありましたが、地域にリハビリのスタッフが出ていって、通いの場で住民にリハビリの話をいろいろとして、評価をして、ADLの向上に結び付けるという事業を、市町村とタイアップしてやっているかどうか。そこの辺りもお聞きしたかったのですが、いかがでしょうか。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 1つ目の地域包括ケア病棟の在宅復帰率ですが、国でやっている中医協の入院医療等実態調査を見ますと、地域包括ケアの入院料、管理料は、それぞれ1、1と2、2というのがありますが、我々JCHOで取っているのは2のほうが多いものですから、それで比較すると平均が84.6%とか85.2%になっていまして、そういう意味では85.9%という数字が、そこまで低いとは言えないと思っています。
 ただ、1つポイントは、小さい、いわゆる病棟ではなく病床で10床とか、そういった所はJCHOの中でも非常に高い復帰率になるのですが、病棟単位で、例えば熊本総合病院は1病棟で56床の地域包括ケアをやっていたり、埼玉北部も58床で1病棟をやっていますので、その病棟単位で見ていくと、若干低くなるというところもあります。
 もう1つ、老健が入らなくなったという御指摘もそうでして、そこは大きな影響があるとともに、やはりコロナの影響も少しあるのかなとは思っていますし、地域性というのも加味しなければいけないかなと。
 先生の御指摘を踏まえると、85%未満の病院も実はありますので、そういう意味では、そこはしっかりと底上げしていかないといけないというのが、来年度以降の課題だとは思っています。
 それから、介護予防の件につきましては、御指摘いただいたように、市町村としっかりとタイアップしてリハビリなどをやっているのかということですが、その1つの目安としては、市町村が主体になって委託をする地域包括支援センターというものがあります。これは、いわゆる生活圏域に1個ずつ置くというのが法律上の立て付けになっていまして、それが社会福祉法人ですとか、我々のような医療機関を運営している法人に委託をすると。JCHO全体で、今13センターが受託することになっています。受託しますと、当然介護予防とかリハビリというのはしっかりと市町村とタイアップして、市町村の受託事業ですから、やるということですので、しっかり取り組めていると考えています。
 
○小野構成員
 ありがとうございました。
 
○福井主査
 それでは、オンラインで参加されている大西構成員からも御質問がございますので、事務局からお願いいたします。
 
○事務局
 オンラインで参加されている大西先生から質問をお預かりしております。音声は届いておりますので、回答できる部分については御回答をお願いいたします。「本年度の状況にもつながります件をお伺いすることになってしまいますが、地域の医療、介護従事者に向けての研修において、新型コロナを含む感染症についての対応などは項目として取り上げられたりはしておられないのでしょうか。また、新型コロナウイルス後の社会を見通して、中期計画などを再検討されたりしていることはありますでしょうか。」以上ございます。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 1つ目の御質問についてですが、これはJCHOの職員の医療従事者、介護従事者に対しての研修ということでお答えしますが、例えば先ほど御説明した昨年度、蒲田の医療センターは1病棟専用で患者をお受けするという体制整備のときは、大学の感染症のプロフェッショナルにきていただきまして、病棟を担当する看護師、医師をはじめ、徹底的な研修を行って、院内感染の防止ですとか、対応について研修を行ったということもありますし、4月以降も、そうしたことは各病院で取り組んでいるところです。
 すみません。2つ目の御質問ですが、もう一度お願いしてもよろしいでしょうか。
 
○事務局
 はい。新型コロナウイルス後の社会を見通して、中期計画などを再検討されたりしていることはありますでしょうか。
 
○医療独立行政法人支援室長
 総論と言いますか、一般論になるのですが、まず、我々、厚生労働省から示します中期目標についてですが、こちらは中央省庁等改革の推進に関する方針の中において、中期目標の変更は特段の必要がある場合に限って行うこととされているところです。
 中期計画については、現時点においては特に中期目標を変更することは考えておりませんので、その点からすると、先ほど御説明させていただきましたが、中期計画の変更については独立行政法人の評価に関する指針の中にある、予測し難い外部要因により業務が実施できなかった場合、それと外部要因に対して法人が自主的な努力を行っていた場合には、評定において考慮するという当該指針の規定に基づくことになると思います。
 このため、今回のようなコロナ禍に対する業務実績への影響が認められた場合には、その内容を考慮した上で、独立行政法人の自己評価結果に対して評定を行うことになると考えております。
 
○福井主査
 ありがとうございます。
 意見を申し述べていないのは私だけですので、最後に簡単に申し上げます。全体的には自己評価の内容に賛同するところですが、1点、私も河村構成員と同じで、Sにするときの質的に顕著な成果が得られているというところをクリアしているかどうかは、正直なところ少しヘジテイトいたします。教育を受けた、その人数が増えたというだけで、AからSに飛ぶものかどうかというのは、少し躊躇します。それ以外のところは、自己評価にほとんど賛同します。
 幾つかコメントがございます。1点目が教育の所で、職員という言葉と、医師の育成、看護師の育成は出ているのですが、私が見たところで、薬剤師とかコメディカルが対象になっているところが目に付かないものですから、当然、事務職員と薬剤師、コメディカルも非常に重要ですので、もう少し目立つように書いていただければよかったのではないかという印象です。
 それから、目標全体がどうしてもプロセスを目標とせざるを得ないというのは、私もよく分かりますけれども、今説明していただいた中では患者の満足度がアウトカム評価の指標になっていると思いますが、それ以外にも工夫されて、患者の健康上のアウトカムでも何でもいいですので、何かアウトカム指標みたいなものが何項目か出てくると、バランスが取れていいのではないかと思います。
 先ほどの話ですが、例えばCTの件数について、放射線被ばくの問題も世界的にずっと大きな問題であり続けていますので、できるだけCTを撮るのをやめようという話もあるわけでして、CTによる放射線被ばくを1人当たり少なくするとか、そういうような工夫をしたとか、そういうアウトカムもあり得ます。必ずしも死亡率を低くしたとか、病気の治癒率を高くしたとか、そういうファイナルアウトカムまでいかなくても、幾つか患者に直接関わるアウトカムは考えられる可能性があると思います。臨床指標に関わっている方々が考えられるといいのではないかと思います。
 最後に、コロナの関係で、残念ながらクラスターが発生した病院があると思います。我々の所も、いつ起こっても、これは仕方のない話だと私自身病院職員に言っているのですが、もしクラスターが起こった病院での要因分析を十分にされて、繰り返さないように、またほかの病院で参考にできるような仕組みを組み込んでいただければと思います。これは感想です。患者の状況によって、また大部屋を持っている病院では、一人一人がどれだけ努力してもクラスターを防げないところがあるのは事実だと思いますので、よろしくお願いします。大雑把な感想ですので、答えは結構です。
 ほかには構成員の方々から、最後にこれだけはという点がございましたらお願いいたします。
 
○亀岡構成員
 1つだけなのですが、分かればで結構です。大阪の病院の人件費が54%とすごく低いのですが、経常収益が赤字なのです。これは何が原因なのでしょうか。先ほどは人件費を下げるのだということを随分言われたのですが、54%はかなり低い人件費なのですが。分からなければ結構です。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 大阪病院ですが、令和元年度の実績で54.3%の人件費率になっています。
 実は大阪病院はこれまで黒字だったのですが、令和元年度に赤字になっていまして、入院収益、外来収益が落ち込みました。内科、消化器科、外科だったと思いますが、医師が何名か撤退されたということもあって、収益が落ち込んだという結果で、赤字になったという状況です。
 
○亀岡構成員
 そうすると、先ほどの人件費と収入のリンクは必ずしもないという考えでよろしいですね。もちろん人件費を下げるということも重要なのでしょうけれども。
 
○地域医療機能推進機構企画経営部長
 必ずしもリンクしているというわけではありません。少し御説明させていただくと、65%以上で人件費額を抑える対象病院を決めています。JCHOは創設以来、赤字の恒常化のような状態が続いている、いわゆる黒字と赤字の二極化とも言いますが、そういった所は、しっかりと収益だけではなくて費用もというところもありましたので、そこが65%以上だったということがございます。
 
○福井主査
 それでは時間のこともございますので、続きまして法人の監事及び理事長から、年度中期目標期間における目標の達成状況等を踏まえまして、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、その後に理事長からお願いいたします。
 
○地域医療機能推進機構監事
 監事の石尾でございます。令和元年度の監査結果については、お手元の監査報告のとおりで、全て適正で、特に問題となるところはございません。監査等を踏まえて、現在の法人の業務の運営状況や今後の課題・改善方針について、少しコメントさせていただきます。
 地域医療機能推進機構では、監事、会計監査人による監査に加えて、内部監査部門が定期的に各病院を回り、また各部門において適切な業務運営を確保するように努めるような仕組みを取っております。また、その診療事業については、地域において必要とされる5事業や地域包括ケアを実施しており、その中でも、先ほどから話題に出ている教育研修事業に非常に力を入れているところでして、その先頭を走るという意味でJCHO版の病院総合医育成プログラムや、特定行為研修に係る看護師の研修の推進を継続してまいりたいということです。
 これは、特に医師の働き方改革にも資するという意味で、できれば特定行為研修を修了した看護師を多く、早い段階で設置していきたいという表れです。これを受けまして、今年度、目標値の50名を上回る70名というところが実現できたのではないかと思っております。
 加えまして、令和元年度の決算におきましては、これまでの方針に引き続き、独自のめりはりのある給与、賞与の水準の維持などによる人件費の適正化や、物品購入の共同入札を進めるなどの経営改善に努めた結果、経常収支率は100%以上、経常利益は42億円を確保したこと、これは非常に大きく評価できるのではないかと思っております。
 ただし、我々が少し懸念しますのは、今後の設備投資についてです。本部財源による投資計画とはならない状況になってきていますので、今後は財政投融資を投資財源として行っていくと予想されます。ですので、より効率的な法人運営を着実に行い、資金面での安定化を一層意識していく必要があるのではないかと思っております。
 また、厳しい経営環境の下にありながら、職員の皆さんが国から付託された責務を果たすべく真摯に経営目標に取り組んでいることは監事監査を通じて非常に強く認識しているところで、監事といたしましては、当機構の業務運営は評価されるべきものであったと思っております。
 また、効果的、効率的な医療提供体制の推進として、地域で求められる医療を提供するためには地域医療構想の実現に向けた病床機能の見直し議論は避けて通れません。これを反映するため、当該地域で不足する回復期、慢性期の病床転換を積極的に進めていっております。令和元年度は前年度と比較し、回復期、慢性期病床は235床、地域包括ケア病床は213床増床し、転換が進んでいるということです。
 最後に、令和元年度は第2中期計画期間の初年度でしたが、令和2年2月以降に発生した新型コロナウイルスの影響を受けまして、非常に経営状況は苦しい状況になってきております。先ほどからお話に出ている予測し難い外部要因に正に該当するといえ、非常に目標としている損益状況の実現は現段階ではなかなか見通せないところまできているということです。
 特に、2月以降のクルーズ船の派遣であるとか、羽田空港検疫への医師、看護師、薬剤師等の派遣、蒲田での1病棟を専門病棟としてのクルーズ船からの受入れ等をやってまいりましたが、コロナの蔓延で、JCHOの各病院で検診業務を検診センターでやっているのですが、そこがパタッと4月、5月は人が来なくなるという状況がありまして、非常に収益面では大きな打撃を受けているところです。ただ、このような状況においても、コロナへの対応については、国、自治体からの要請に応じて、これからも積極的に受け入れて、応えていっていただきたいと思っている所存です。
 このように、公的医療機関として機構に課せられた使命を継続して果たしていくこと、それから職員が健康的で安心して働くことができるような働き方改革、これにしっかりと取り組んでいくなど、まだまだ課題は山積みでございますが、これらに対しても本部の各施設等に対する指示、中期目標達成に向けた取組等が、各施設、病院、老人保健施設等の職員に、確実に伝達、申達するように、より的確な指導を進めていく必要があるのではないかと考えております。以上でございます。
 
○福井主査
 それでは、尾身理事長からお願いいたします。
 
○地域医療機能推進機構理事長
 本日は委員の先生方、貴重な、様々なアドバイスをありがとうございました。頂いたアドバイスを真摯に受け止めて、これからの運営に生かしていきたいと思います。
 令和元年度につきましては、先ほど西川部長からの説明にありましたように、今年は第2期中期目標期間の初年度であり、新たに与えられた指標を実現すべく、JCHO一丸となって頑張ってまいりました。よろしく御評価のほどお願いいたします。
 さて、JCHOにとって発足以来、ずっと重要な課題の1つが、現場と本部との不十分なコミュニケーションということで、先生方は覚えておられると思います。これについては、今年度から新たに、コミュニケーションのプロを理事として採用して、少しずつ改善しておりますので、着実にいい方向にいっていると思います。
 また、JCHOの病院全体が、先ほどから議論にありましたように、我が国の新型コロナウイルス感染症に対して、国や地方自治体の要請に応えるため、感染者の受入れなど、できる限りの対応をしてまいりました。JCHOは発足以来6年間、ずっと黒字経営でしたが、この新型コロナウイルス感染症により、JCHOにとって重大な経営上の影響が既に出てきております。今年度の年度計画についても、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、数値目標の達成が極めて困難になるものと予想をしております。
 しかし、そうしたいろいろな困難な課題にもかかわらず、これからも引き続き地域のニーズに応えつつ、今まで以上に効率的な医療の提供を行って、JCHO一丸となって自律的な経営に取り組んでまいりたいと思っております。本日の先生方の御助言についても、肝に命じて職員一同、組織の更なる改善に取り組んでいく所存であります。委員の皆様におかれましては、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。今日は本当にどうもありがとうございました。
 
○福井主査
 ありがとうございます。
 それでは、以上で本日の議事は終了となります。最後に事務局からお願いいたします。
 
○事務局
 今後の流れについて御連絡いたします。本日御議論いただきました地域医療機能推進機構の令和元年度業務実績評価につきましては、この後、本ワーキンググループにおける御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに、公表いたします。決定したそれぞれの内容につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○福井主査
 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。熱心な御議論をありがとうございました。
 
(了)