2020年8月31日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第23回) 議事録

日時

令和2年8月31日(月)13:28~15:13

場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階)

出席者

真野主査、五十嵐構成員、石渡構成員、梅里構成員、河村構成員、橋田構成員、松原構成員、石井構成員

議事

議事内容
 
○事務局
 ただいまより「第23回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG」を開催いたします。私は事務局の政策立案・評価担当参事官室室長補佐の戸高でございます。よろしくお願いいたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただいて有難うございます。現在、厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症対策に省を挙げて取り組んでいるところでございます。本日は、可能な限り座席の間隔を取っております。また、マスクを着用したままで御発言いただくようお願いいたします。
 なお、一般傍聴席を設けず、報道関係者のみの傍聴とさせていただいております。委員、法人、傍聴席の皆様におかれましては、咳エチケットを含め、感染拡大防止策について御協力いただきますようお願い申し上げます。
 本日の出席状況について御報告いたします。本日は、石井構成員がオンラインで御参加、名里構成員、三田構成員は御欠席となっております。
 続きまして、御説明の前に事務局の組織変更と人事異動について御報告させて頂きます。私ども事務局は、これまでの政策評価官室から政策立案・評価担当参事官室に改組となり、参事官として生田が着任いたしました。
 
○政策立案・評価担当参事官
 8月7日付で着任いたしました生田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 また、政策立案・評価推進官の飯島も出席しております。
 
○政策立案評価推進官
 飯島です。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 続きまして、本日の議事について説明いたします。本日の資料に関しては、お手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧ください。
 本日は「医薬品医療機器総合機構」につきまして、「令和元年度業務実績評価」に係る意見聴取を行うこととなっております。具体的には、重点化の対象とする項目を中心に御意見を伺えればと考えております。また、例えば「A」という評定が適切かどうかということだけでなく、法人の取組の中で、中期目標の達成に向けて優良と思われる点、逆に課題があると思われる点については、評定に直接影響しないような場合であっても積極的に御指摘いただければ幸いです。
 それでは真野先生、よろしくお願いいたします。
 
○真野主査
 有難うございました。進め方について事務局から説明いただきましたが、何か御質問とか、よろしいですか。何回目かですから慣れていますね。
 それでは、議事に入りたいと思います。最初に「医薬品医療機器総合機構」の「令和元年度業務実績評価」について議論していきたいと思います。初めに、法人所管課室から「重点化対象項目選定の考え方」について御説明いただき、その後、法人から「業務概要」及び「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価について御説明いただきます。その説明が終わってから質疑応答という順番で進めていきたいと思います。
 それでは、法人所管課室から「重点化対象項目選定の考え方」について、まず御説明をお願いいたします。
 
○医薬・生活衛生局総務課長
 医薬・生活衛生局総務課長の込山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。座って御説明させていただきます。
 資料1につきまして御説明申し上げます。非常に小さい字で誠に恐縮ですが、「医薬品医療機器総合機構評価項目一覧」という表です。こちらの表の左側に、評価項目として6つの事項を並べております。こちらは中期目標における各業務の内容を章立てに即しまして評価項目としたものです。
 以前の評価項目におきましては15項目でしたけれども、今回の第4期中期計画においては6項目に集約されています。この点につきましては、また後ほど法人からも説明があるかと思います。この6つの評価項目のうち、重点化項目として位置付けさせていただいているものが4つあります。資料の真ん中辺りの「重点化項目」という欄にマルを付けてあるものが、これに当たるものです。この重点化項目につきましては、中期目標の中で各業務において重要度、また難易度ということで、特に列記させていただいているものを重点化項目として当てはめさせていただいております。
 ということですので、「重点化理由」につきましては、中期目標において重要度、難易度のコメントが付いていることを以って当てはめております。そこは改めての御説明で恐縮ですが、御覧いただきたいと思います。
 まず具体的に、1点目の健康被害救済給付業務についてです。こちらは今申し上げたように、中期目標上の重要度、難易度が記載されております。
 かい摘まんで御説明申し上げますと、重要度につきましては、医薬品の副作用等により健康被害に遭われた方の救済を正確かつ迅速に行う必要があるという大変重要な業務です。こういうことによって重要度が位置付けられております。
 また加えて、難易度ですが、昨今は先進的な医薬品が次々と承認されております。また、お年寄りが増えているということもあり、多剤服用等により副作用の発生頻度の高いケースの増加が見込まれているということです。こういった医学的・薬学的判断の調査業務が非常に高度化・複雑化しております。こういった点で難易度が高いということで位置付けさせていただきました。こういうことから重点化項目とさせていただいております。
 次の重点化項目は、3つ目の「審査業務」です。こちらは言わずもがなですけれども、国民の皆様が国際的水準にある医薬品、医療機器を安心して用いることができるよう、より良い医薬品、医療機器を、より早く安全に医療現場に届けるという非常に重要な業務です。そういった観点から、重要度といたしましては、重要度の1番として、迅速な審査の実施につきましてイノベーションに対応した有効性・安全性評価を実施するという非常に重要な業務、かつ現状の審査期間を堅持するといった重要性がございます。
 加えて難易度ですが、こちらの難易度1を御覧いただきたいと思います。審査を効率的に行うのみならず、開発段階から治験相談等を実施し、申請品目の理解や問題点の把握に努めるといった多面的な活動といった面で非常に難易度の高いものです。こういった位置付けが中期目標とされておりますので、こちらを重点化項目とさせていただいております。
 3点目の重点化項目は、安全対策業務です。こちらも中期目標上の記載を借用させていただいております。内容といたしまして、特に重要度の1番ですが、副作用等の情報収集、評価及び安全情報の医療現場への迅速かつ正確な提供というのは市販後安全対策の骨格であります。こういった意味での重要性というのは言わずもがなです。
 加えて難易度は、1番の2行目です。とりわけ新しい医薬品、新しい医療機器におきましては、従来の治験では想定されないような副作用・不具合に対処していかなければいけない、また国内外の情報収集等に基づき、高度な専門性を必要とするといったことで難易度が高いと位置付けられています。こういうことから重点化項目に位置付けさせていただいております。
 最後に4つ目の重点化項目ですが、組織ガバナンス関係です。こちらは中期目標上、重要度が高いと位置付けられておりますが、その記載ぶりは重点化理由にあります。非常に組織が拡大しており、こういった拡大した組織を適切に運営していただくためのガバナンス体制というのは当然重要なテーマです。大変恐縮でございますが、過去に一部不祥事等もありまして御指摘いただいたところです。そういったことも踏まえて、今後とも社会的に信頼される組織であり続けるため、引き続きガバナンス体制を強固にしていく、こういった不断の努力というものが必要だと思います。こういったことで重点化項目として位置付けさせていただいております。
 中期目標の表現を借用させていただく形で御説明申し上げましたが、今申し上げたとおり、4つの重点化項目について御審議を賜りたいと存じます。説明は以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。続いて、法人から「法人の業務概要」及び「重点化対象項目」の業務実績及び自己評価について御説明をお願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構執行役員
 医薬品医療機器総合機構の経営企画部門担当の執行役員の中村と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、業務概要と業績実績及び自己評価について御説明させていただきます。資料2-1を中心とさせていただき、ときどき資料3のページ数を申し上げることがございますが、時間も短いということですので、後ほど御意見、御質問を頂く際に御参照いただければと思います。
 まず資料2-1の2ページ、3ページですけれども、先ほど説明があるだろうと言われた評価項目の点ですが、第3期中期目標の評価項目と今回、昨年度が初年度となる内容の評価項目を図にしてお示ししております。情報としては資料1からあまり違いはないのですが、全体といたしまして今般の目標におきましては、それぞれの業務の拠出金とか手数料といった財源の使い方に着目しつつ、なるべく大括りの形で評価項目を設定するという考え方がとられているものと承知しており、このような関係について、より視覚的な形でお示ししております。それぞれに含まれる事項を2ページに、3ページには前回の中期目標期間を通じた評価の結果などを、追加的に記載させていただいております。
 続きまして4ページですが、私どもの医薬品医療機器総合機構(PMDA)の概要としては、4番に書いていますように、健康被害の救済、関連の製品の有効性・安全性・品質の審査・調査、それらに対する安全対策という三大業務を実施することで、国民の健康・安全の向上に貢献する法人ということです。目標の項目も、これとほぼ同様となっているということです。
 5ページ、6ページは、組織の変遷と、常勤役職員数、PMDAの人員体制の推移をお示ししておりますが、個別の説明は省略させていただきます。
 その上で、重点化対象とされております4つの項目について順次、説明してまいります。非常にたくさんのことを記載していますけれども、時間も限られていますので結論の部分に関わるものを中心に絞って説明したいと思います。
 まず、7ページの最初の健康被害救済業務ですが、これについては1つの大きな項目として、救済制度に関する広報及び情報提供の拡充については、医療関係者の方々の協力がないと請求自体がなかなか難しいという制度でもありますので、こういう方々への救済制度への理解を深めるとか、そもそもの当事者である国民の皆様方の制度利用を促進するということで、普及・広報の取組を進めているものです。
 個別記載のとおり、両面から様々な経路を通じて取り組んでいるわけですけれども、昨年度における大きな成果として、このページの下から3行目ですが、私どもの機構のホームページに救済制度の特設サイトを設けております。そのアクセス数が過去最高を記録したということが、一つ大きな成果としてあります。
 次に8ページですが、もう一つの柱としては請求事案の迅速な事務処理ということがあります。定量的な指標としては、請求から支給・不支給、支給額の決定がされるまでの事務処理期間につきまして、6か月以内で処理された件数を60%以上とするということが目標となっております。これについては、その下に書いてありますように様々な努力の結果として、昨年度の水準が72.3%で、目標の60%と比較して達成率で申しますと120.5%という実績であったということです。
 これを以って、9ページですが、この事務処理期間について、難易度が高いという設定をされている中で120%を超える達成度になったということであり、かねてより難易度が高いと言いながら100%を超えたら直ちにA相当ということではないという評価をされてきたと理解しておりますけれども、120%という非常に高い水準であったということと、先ほど申し上げました特設サイトへのアクセス数が非常に多かったということで認知度の向上につなげていく足掛かりを得られたということを踏まえ、全体として自己評価としては、A評価とさせていただいているものです。
 続きまして、10ページから審査業務になります。これについては医薬品医療機器などの製品の審査業務を迅速かつ適切に実施するということのほか、従来は別立てとなっておりましたが、科学技術の進展に対応した業務をできるように取り組んでいくということで、レギュラトリーサイエンスの推進による業務の質の向上と、国際化の推進につきまして、後ほどの安全対策部門にもそれぞれ分かれて同じことが書いてありますが、審査に着目した部分として評価を頂くことと理解しております。
 目標と実績との比較について、この後に全体をまとめて記載があるのですが、17ページから19ページのとおり審査期間の目標が製品の種別ごとに設定されています。かなり多数になりますので、17ページの医療用の医薬品から19ページの医療機器にかけて、多数のものを一覧にして掲載させていただいています。大部分のものは、先ほどの救済給付業務と同じように、ある一定の期間に処理できた件数が、どれだけの割合を占めていたかということを見ていくものとなっております。設定された水準と実際の昨年度の実績値を比較してまいりますと、最初の新医薬品に関する2つのものが120%を僅かに下回っておりますけれども、ほかは基本的に全て120%を超える達成率となっています。あとは件数がそもそも少ないものについては特定の期間を全件守るべきとされている目標が若干ありますが、それも達成しているという全体の状況です。
 その上で、また戻っていただきまして、資料の11ページからですが、冒頭に国際比較においてはどんな状況であったかということを、昨年度に説明しているのとほぼ同じような結果になっていますが、これを資料3の12ページから14ページのグラフでお示ししているところです。
 次に、「個別品目としては」という段落の所ですが、医療上特に必要性の高い製品への対応ということで申しますと、先駆け審査指定品目、希少疾病用医薬品、条件付き早期承認品目とされたもの、更に12ページの医療機器において、先駆け審査指定品目として、承認をしたというものもあります。こういった製品群につきましては、いずれも6か月前後の審査期間で迅速に処理をいたしまして、必要性の高い医薬品や医療機器をいち早く医療現場に提供することができたと考えております。
 次に13ページは、レギュラトリーサイエンス研究の推進です。こちらにつきましては、ホライゾン・スキャニングという、今後実用化に向けて応用される可能性のある新たな技術について、早期に把握して、規制への具体案を考えていくという取組ですけれども、これについて実施要領を定めるなど、具体的に対応していく体制の整備を図りました。その上で、このページの一番下の所ですが、試行的な取組を開始しています。
 また、最初のところで、「科学委員会において」という部分ですが、革新的医薬品の評価法についての報告書を2報と書いてあります。これは昨年度、薬剤耐性菌の感染症治療薬、ゲノム編集技術等を用いた製品について検討を開始するということを御報告しておりましたが、それが実際に報告書の形になったということです。
 少し飛ばしまして14ページ、国際化の推進について記載しております。国際化の推進につきましては、まず定量的指標として、アジア諸国の規制当局の担当者等へのセミナーの実施に関することが定められておりまして、それらについては高いレベルで達成したと考えています。
 それから、特筆することとしては、15ページに、多国間国際規制調和活動という項目があります。医薬品等の製品の分野においては、様々な国際的な組織が、参加国や着目している分野に応じて立ち上げられておりますが、これらにつきまして昨年度は特に多くの会議の場で議長や副議長といったポストを獲得いたしまして、それらの会議における議論を推進する役目を果たしてきたと考えております。
 具体的には資料3の59ページに、もう少し視覚的に見やすく表の形でまとめています。なお、こういった国際会議の枠組ですが、必ずしも審査と安全というように、完全に分けられるものではないところではありますが、今回、評価項目の整理に沿って、あえてここでは審査の色合いが濃いと考えたものを記載させていただいております。
 それから、1つ項目を飛ばしまして、参照国化等に向けた取組のところで、我が国の基準ですとか、審査の結果を外国に取り込んで活用していただくというところですが、この取組については、それぞれ内容は異なりますが、オーストラリア、タイ、インドネシアといった国々について新たな成果があり、更に進展したと考えております。
 16ページですが、それらを総括いたしまして、医薬品、医療機器等の審査に関する多くの項目について、120%を大きく超えるという成果が得られておりまして、特に先駆け審査指定品目等の承認におきましては、国民の新たな医療へのアクセスという観点で、これを早期に実現したということで、質的に顕著な結果も得られていると考えています。
 レギュラトリーサイエンスの推進については着実に進めたということですが、国際活動の部分で、議長や副議長のポストを獲得できたということは、これまでの国際的な場での活動の成果として地位の確立・向上が図られているということで、大きな成果が具体的に表われてきたと思っております。数値目標があるわけではありませんが、私どもとしては高く評価できる内容なのではないかと思っております。
 これらに加えて、参照国化の取組も実績が更に得られたということで、全体として難易度が高いと設定されている目標に関して、定量的な部分と質的な部分で、双方とも顕著な成果があったと考えまして、S評価を自己評価としております。
 続きまして安全対策業務は、20ページからです。個別の項目としては、情報の収集・評価の実施ということと、それを受け入れた上での安全性情報の提供ですとか、個別の措置のフォローアップに加えて、レギュラトリーサイエンスや国際化といったものは、こちらにも出てくるという構造になっています。
 21ページですが、副作用・不具合情報の収集・整理・評価に関するところです。記載の順番と逆になりますが、従来からの取組としては、企業や医療機関から症例ベースで報告をされたものを、昨年度は対前年度比で6.8%増の61万件という膨大なものですが、この評価作業をきちんと行ったということがあります。少し戻っていただきまして、新たな取組としては、私どもが自前で運営をしておりますMID-NETや、その他の医療情報データベースから得られる情報に基づいて、薬剤疫学データを活用した解析を行って、その結果を具体的な安全対策措置につなげていくということを進めております。これについて、昨年度は初めてということになるのですが、1)から3)まで書いてある事象について、実際に個別の薬剤の添付文書改訂の措置が実現したということで、初めてのことでもあり、大きな成果と思っております。
 また、この21ページの下のほうですが、安全性情報の提供などに関する部分です。これについては定量的な指標として、22ページの冒頭に表で3つお示ししておりますが、達成状況として問題はないものと思っています。その上で2番目の副作用・不具合情報等の掲載期間ですが、国内の企業や医療機関から得られた副作用が疑われる症例の情報につきましては、私どもはラインリストと称しておりますが、関連の情報をまとめた一覧表の形で公表することとしております。何ぶん件数が多くて、一定の評価や整理も必要ということで、4か月以内に公表するという目標となっています。
 これについては21ページの一番下を御覧いただきますと、対象となる報告の件数が、この目標を策定した時期から昨年度までの間に相当増えており、このような状況の中で、担当者等も大きくは増えない中で、この目標を達成することができたということで、関係者が努力したというものであります。
 その次の項目は、特に重要な情報については、PMDAとして自ら「適正使用のお願い」などの形で発信していくものについて、もともと5回以上ということで、数が小さいので率が大きくなるという面もあるかとは思いますが、140%の達成率というところになっています。
 そのほか、定量的指標以外の実績として、医薬品129成分の添付文書の改訂などに対応したことなどを記載しております。
 それから、23ページに安全対策に関わるレギュラトリーサイエンス推進の取組ということで、1つの柱としては、最初にも申し上げましたように、MID-NET等のデータベース調査の活用というのが大きな柱です。それについては、実際にデータ規模の拡大ですとか、多数の行政的対応を視野に入れた調査を順次実施しております。そういった中で、先ほど申し上げたように、初めて具体的な添付文書改訂の措置を実施したということも重ねて記載させていただいているところです。
 また、安全対策に関わる国際化の推進というところですが、最初の定量的指標は審査の所と同じ内容です。
 それから24ページに、議長を務めたと書いてありますが、これも資料3の59ページにまとめて記載している中で、あえて安全の関係のものということで個別に記載すれば、こちらのものがあるということです。
 それから、二国間の活動の所では、安全対策に特有のものがあります。特にグローバルに展開している企業からは、各国地域の当局に対して同じような情報が入ってきますので、それらについてどのような評価をしたのかといったようなことも含めて、情報交換をお互いに当局同士で行っておりまして、お互いの対策の向上につなげていこうというような活動をしております。
 取りまとめのところですが、以上のとおり、全体として難易度が高く設定されているところで、定量的指標においては、設定時の想定よりも厳しい条件の下で達成したということとか、120%という水準を超えているものがあるというところです。
 また、定性的な目標、質的な面では、何度も申し上げますけれども、国内医療情報ベータベースの活用による新たな評価手法を、実際に具体的な安全対策措置に結実させたという、昨年度においては、言ってみれば前例のない成果ということであり、特筆すべきものと考えています。
 また、国際化の面につきましては、文面上は審査と同じ記載をしていますけれども、あえて審査と安全を分けて考えるとすれば、審査ほどの実績ではないということになるかもしれませんが、安全対策分野でも、着実に成果はあると考えていますので、以上を総合して、自己評価ではA評価としたということです。
 最後に、ガバナンス体制の構築、人材の確保・育成の項目です。この項目については、25ページの一番下の所ですが、情報発信という中身も入っているものですから、この指標としては、海外への発信に関する目標がありまして、これらについては、着実に達成をしているという状況です。
 その上で、26ページの最初の所に、ガバナンス体制の構築について記載しておりますが、総合的なガバナンス向上の取組を進めていくためのプロシーディングプロジェクトを進めております。この中で結論が出たものを順次、実施しているということです。
 具体例としては、一部の上級幹部のポストにおいて、規程上、責任の範囲が明らかでないものがあったということで、より明確化して、役員から現場までをきちんとした指揮監督の体系となるような制度の構築に努めたということがあります。
 その次に、今後、重大な不祥事を起こさないということで、リスク管理の強化の取組をしていますが、その中で、リスク管理の研修につきましては、全職員を対象としたもののほかに、管理職、あるいはその中でも、上級以上といったような形で階層を分けまして、それぞれの階層に応じて、どういう役割が求められるのか、どういう認識が求められるのかというようにテーマを絞った研修を実施するということで、中長期的に進めてまいりました。
 それから、過去の発生事案のほかに、潜在的なものを含めて、私どもとして持っているリスクの洗い出しを行って、発生頻度ですとか、組織や社会への影響度を踏まえた評価を行い、これに関係する部署ですとか、予防策、モニタリングの仕方といったようなものに基本的な考え方を整理したリスク管理計画を作成して、共有しているところです。
 以上のほか、これに並行して、その下に書いてありますように、人事評価制度を見直して、これと一体で、よりメリハリを付けた新給与制度を構築するなど、様々な管理面の改善の取組を進めているところです。
 最後のところですが、以上のように、定量的指標の目標も上回っており、その上で特に、この重要度が高いということの要因とされております組織ガバナンス体制の構築について着実に進めています。これは、当たり前のことではあると思いますので、この状況をもって、一応、B評価ということで、自己評価をいたしております。説明は以上です。
 
○真野主査
 それでは、御説明のあった件に関して、構成員から何か御質問や御意見はありますか。
 
○松原構成員
 ホライゾン・スキャニングというのは難しくて、一般の株式会社でもなかなかできていない話かなと思うのですが、「ホライゾン・スキャニングの活動」と書いてあるのですが、具体的にどのような活動をなさっているのでしょうかということと、それをレギュラトリーサイエンスにどのようにつなげているのか、つなげていく予定なのかについて、ご教示いただけると有難いです。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 組織運営マネジメント役の佐藤でございます。ホライゾン・スキャニングについて御質問いただきました。ホライゾン・スキャニングというもの自体は、例えば開発中の医薬品、医療機器といったもののトレンドを見ていくということで、これからどういったものが承認申請とか治験の実施につながっていくかということを、様々な文献ですとか、AMEDさんから頂いた情報を精査して予測を立てていくということをやっております。
そういった中で、AMEDさんを含めて様々な学術情報ですとか、そういう文献などの調査もしていまして、その中で具体的に製品化されてくるようなものが効果があるのかということを見ていきまして、実用化が近くなってきますと、それに対して、あらかじめ承認審査ですとか臨床試験をやるためのガイドラインのようなものを事前に作っていこうということです。より先駆け的に技術を評価する考え方を規制当局のほうでもまとめていくというのが、ホライゾン・スキャニングの流れになってまいります。
 具体的には、去年の9月から、そういう実施要領を作りまして、具体的に活動を始めてきております。実際には、ホライゾン・スキャニングの中で有力だと考えられたケースについて科学委員会を使いまして、ガイドラインを作っていくという作業をしています。
 ここにも御紹介させていただいておりますが、例えばゲノム編集技術といったものも大変注目を集めていますけれども、これが将来に製品となって出てくる際に、品質・有効性・安全性について、どういう点を審査の中で見ていけばいいのかというようなところを科学委員会の場を使って報告書を作っていただく。それについて既に英語での論文化させていただいて、世界にも発信させていただいているというような形で進めています。そういうものでして、そういう予測的に規制の考え方を示していくのも、レギュラトリーサイエンスの1つの考え方だろうということで、実施しているものです。
 
○松原構成員
 大変難しい、チャレンジングなことをなさっているということがよく分かりました。ありがとうございました。
 
○真野主査
 橋田先生、お願いします。
 
○橋田構成員
 今、ホライゾン・スキャニングの話が出ましたので、もう少し質問させていただきます。これは、例えばPMDAが第4期の中期目標でも大きなポイントに挙げておられるのではないかと思います。そういった形でレギュラトリーサイエンスを展開していかれるということも、今の御説明でよく分かりました。
 御説明の中でも、将来の医薬品開発のトレンドというような言葉が一方であり、一方ではレギュレーションのための、規制のための、承認申請のためのという部分があると思います。その辺をどういうバランスでやるのか、全部を包括的に議論されているのかもしれませんが、その辺りはどのように考えているのでしょうか。これが1つです。
 それから、実際にそういう技術ができたり、議論を始められるところと、実用化というところのステップも当然ありますが、タイムラグがあると思うのです。その辺については、どのようなイメージを持っておられるのでしょうか。
 もう1つは、それはレギュレーションのためだけにやっているのか、あるいは産業育成とか開発の促進とか、そういったことも視野に入っているのか。その辺りについて説明をお願いします。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 御質問ありがとうございます。組織運営マネジメント役の佐藤でございます。ホライゾン・スキャニングにつきましては、様々な技術のトレンドをリスト化していきまして、それに対して全てガイドラインを作っていくというものでは必ずしもございません。やはり実用化が近くなってきて臨床試験などに入ってくるステージが近くなってきているものや、あとは新しい技術であっても従来の医薬品医療機器の評価の考え方と違うモダリティで評価をしなければいけないようなものに対してフォーカスを当てて、従来の延長線上でできるものを、あえてここでやることはないと思っていますので、そういうものに絞って対応していくような形で技術を選定しています。
 現状、今年はマイクロバイオームという、いわゆる細菌叢とか、そういうものを使って治療するとか、細菌の集合体みたいなものをどうやって薬にするのかという、これは従来のモダリティとは全然違うものですので、そういうものをターゲットに当てたものを本年度はやらせていただいているということです。
 実際にタイムラインということで言いますと、ホライゾン・スキャニングで取り上げているのは、かなり将来の技術を予測してということになりますので、これでガイドライン等を作っても、すぐに当該技術を使用した製品が出てくるとは限らないということです。そこはタイムラグが発生しますし、恐らく、実際にそれが技術化されて出てくる間にいろいろと変化もあると思いますので、そういうところは適宜、見直していかなければならない部分だろうと考えているところです。これでお答えになっていますでしょうか。
 
○橋田構成員
 ありがとうございました。
 
○真野主査
 ほかの構成員はいかがでしょうか。
 
○河村構成員
 既に、本当に高いレベルのところまで実績を挙げていらっしゃる機構でいらっしゃいますので、更に高い目標を掲げられてというところでの御苦労もあるのではないかと思います。
 評価について、定量的な目標に対する面と、定性的な面を含めて、決して数値目標だけで決まる話でもないと思います。ただ、定性的な部分も含めていろいろな御説明が途中にありましたが、当初に想定されていた前提よりも厳しい条件の中で目標を達成されたとか、国際的な貢献の面であるとか、定性的なところも含めて非常に高いレベルで業務運営の実績を上げられているということを感じます。
 念のためということでお尋ねしたいのですが、今回、新しい中期目標期間に入っています。それで、1-3の所で自己評価はS評価を付けていることもあって、独法の評価の仕方として、Sを付けるのは結構大変で、定量目標が幾つ以上ということだけではなくて、定性的な部分の問題であるとか、目標設定自体に問題はないかどうかということもきちんと考えてということで、そういう指針が出ていたりもすると思うのでお尋ねしたいのですが、1-1の健康被害救済業務の指標とか、1-3の審査業務の指標、今御説明くださった2-1の資料の8ページの健康被害救済の数字であるとか、審査のところは17ページ以降にたくさんの表が出ていると思います。前中期目標期間中の実績がおありになったと思いますし、目標もおありになったと思うのですが、それに比べて、この目標の設定はどういう目標の設定になるかということをかい摘んでお教えいただけないでしょうか。
というのは、これについて、いわゆる評価書の本体である資料の2-3の20ページの所を見ると、今は新しい中期目標期間の1年度目ですので、それぞれの目標が掲げられていて、ずっと数値目標が同じというものもあれば、毎年毎年ちょっとずつ上がっていくものもあります。そういうのはよく分かるのですが、今回は新しい中期目標期間中で、2年目、3年目であれば数年前の経年推移が全部そこで見られるのですが、今回は分からないものですから、そこをかい摘んで数字を教えていただけないでしょうか。ですから、ここで令和元年度の目標値、例えば17ページの所であれば、ずらっと表で書いてくださっていますが、これは前中期目標期間に比べると、例えば少し上がっているもの、何箇月といったところであるとか、何十パーセントというところを少しいじられたりしているのかどうかということを、全部でなくても結構ですので、簡単に教えていただけないでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(宇津)
 御質問ありがとうございます。理事の宇津でございます。まず、審査の部分をご説明します。先ほど先生に御指摘いただいた17ページ以降の部分ですが、過去のデータを手元に全て持っているわけではないので、かい摘んでということですが、まず、新薬の部分です。17ページの表ですと、優先審査は9か月、80%です。通常審査は12か月、80%です。これは前期の計画ですと、9か月、12か月では大体一緒だったのですが、この80%というところを50%から、例えば60%、70%、80%、90%ときて、どんどん前期までの期間に上げてきました。80%はマックスだろうということでありまして、申請資料などの問題で、数品目に、すぐに影響が出てくるところもありますので、この点については前期の最後の年と同じになっております。
 大体が前期のものを引き継いでいるのですが、徐々に上げていっている品目があると思います。これらについては、前期のものを参考にして徐々に上げていくという形で、例えばジェネリックとか、18ページの要指導OTC医薬品とか、その下の一般用医薬品、対面助言など、新しく設定したり、パーセンテージを上げていったりしています。ざっと見ていただいて、パーセンテージが上がっていっているものは前期のところから上げていって、フラットになっているものは前期のところでマックスだったということで見ていただければと思います。
 
○河村構成員
 分かりました。既に前期のところで上がっていかれて、もう相当高いレベルで、そのまま横ばいでというものもあるし、そうでないのもあるということですね。
 例えば資料2-2を見ますと、今お話してくださったところでは、ジェネリックのものですと、今中期目標期間中でも、ちょっとずつ目標が上がっているものがあります。例えばジェネリック医薬品と新規申請の行政側の審査期間であると、何パーセンタイルで10か月というのが、50パーセンタイルから、55、60、65、70とずっと上がっていっていますが、これは前中期目標期間から上げてこられたトレンドを、そのまま引き継ぐ形で、今中期目標期間についても、毎年ちょっとずつ上げていらっしゃるという設定になっているという理解でよろしいですか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(末岡)
 担当理事の末岡です。健康被害の救済の関係について、ご説明申し上げます。資料の8ページを御覧ください。平成31年度の目標値につきましては、請求から処理結果を出すまでの期間は、6か月以内の処理件数を60%以上として設定しております。これにつきましては、前中期期間の際に設定した目標と、数値としては同様です。
 この数値につきましては、救済をめぐる状況というのが、事案の高度化が進んできている、あるいは中期的なトレンドを見ますと処理件数も増加してきているという中で、引き続き困難性が増している中での目標ということで、数値としては同様の数値を設定しておりますが、より高いところを目指すという趣旨で、このような数値に設定しているところです。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(宇津)
 追加で御説明いたします。先ほど先生から御指摘いただいたように、ジェネリックについては前期を参考にしつつ、今期も上げていきます。それから要指導、一般用医薬品、いわゆる薬局などのものですが、これらについての目標値は前期には設定しておりませんでしたので、今期に新しく設定したところです。
 
○梅里構成員
 審査がS評価ということで、どうしても目が行ってしまうのですが、資料3の14ページの所に、優先審査品目と通常品目を分けて、審査期間に関する状況の資料を頂いています。これはPMDAの評価だと、25パーセンタイルから75パーセンタイルの幅が狭いことを質的に高いという、良いことだという評価とされているように読めますが、例えばFDAとか、オーストラリアのTGAとか、カナダなどと比べると、優先審査品目については、PMDAはやや長い期間がかかっているとも読めます。一般品目については短いということで、全体を見るとばらつきが小さいのですが、逆に言うと諸外国は、一般品目はちょっと時間がかかっても優先品目を短くするという対応方針を取っているのかなというように見えるのです。
 これは昨年も私はお話させていただいたのですが、PMDAとして、この優先審査品目を更に短くしていくということの必要性をどのように考えているのかということと、これが諸外国に比べて、まだ少し長くかかっていることのネックになっている部分は、どのように分析して考えておられるのかという点です。
 先ほどの指標についても、一般品目を短くする、審査品目も短くする、どんどん両方が目標を高く掲げておられるのですが、必要性ということで、優先審査の審査品目に重点を置いて、これを短くしていくということの必要性をどのように考えておられるのでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(宇津)
 御質問ありがとうございます。優先審査と通常審査の位置付けについてという御質問だと思います。まず、タイル値の意味について、先生方はよく御存じだと思いますが、タイル値が狭いということは、その中にたくさん品目が分布するということで、これは申請する企業にとっては、申請すると大体どれぐらいで承認されるかの予想が付くということで、タイル値が狭いということは申請者にとって非常にメリットがあるということで、これは1点だけ申し上げておきたいと思います。
 優先審査と通常審査の位置付けということで、優先審査は、おっしゃるとおり、医療上特に必要性が高いというものですから、早く承認して、より早く利用できるようにするということは求めていくべきものだと思います。
 一方で、この審査期間9か月というのがどういう位置付けかと言うと、かなり審査側にとっては、きつい状況です。ただ、世の中に求められているというのは先生の御指摘のとおりですし、我々もそのように思っておりますので、優先審査というのではなくて、例えば先ほど話に出ている先駆け審査指定制度というところで、新しい別のスキームを作って、先駆けでは大体6か月で承認しておりますが、そのような形で対応しています。
 ただ、先駆け審査指定制度ではなぜ6か月でできるかと言うと、審査に当たって、例えば臨床試験をやっている間に、資料として固まった非臨床とか、臨床試験の早い段階のものは申請前に評価をする、これは事前評価と言っておりますが、そのような制度を活用することによって、承認申請されてから承認までの期間を短くするという取扱いを作っておりますので、そういった別のスキームで、より必要なものについては、短くしていきたいと思っております。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
 今の審査のところについて、追加で、理事長のほうから補足いたします。Health Canadaとか、Swissmedicとか、TGAは、優先審査の品目も、実はFDAとかEMAとかPMDAが承認したものを、後追いで簡略的に審査する制度があります。見た目では審査期間が短いように見えても、ほかの国でがっちり見たものを後からゆっくり見ているという、そういう制度があるので、多分この辺が短くなっているのは、その影響が多いと思うのです。
 これは昨年も申し上げましたけれども、これまでは審査の期間を短くするということにも傾注すると申し上げましたが、こういう中で優先審査の対象は、世界で初めて優先的に審査したものがどのぐらいあるかという比率は今回の統計の上では出ていませんので、そこを差し引いて見ていただければと思います。
 
○梅里構成員
 ありがとうございます。今御説明いただいたように、ばらつきが小さいことは企業にとってメリットがあるというのは、そのとおりだと思うのですが、FDAのほうで、ばらつきがやや大きく見えるのは、先ほどお話したように、一般審査と優先審査の両方を引っくるめてばらつきを出していますので、そうすると一般と優先のそれぞれについてはばらつきが少なくても、両方を合わせればばらつきが大きく出ます。
 という意味では、先ほど御説明のあった意味で言うと、通常品目における審査期間のばらつきも諸外国と比べて小さい、優先審査品目のばらつきも諸外国と比べて小さいという数字が出ていると理解してよろしいですか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(宇津)
 この辺は私どもが分析したものではないので詳細は分からない部分です。
 
○梅里構成員
 資料を両方合わせたばらつきしか出ていないのでということだと思います。
 今言っているのは、要するにばらつきを小さくする努力は必要だと思うのですが、先ほども言っているように、優先審査品目とのメリハリをつけるというようなことが必要なのではないかと感じています。今の理事長の御説明では、追認のようなものも入っている場合があるということなので、もしそういうことであれば、我が国のPMDAの審査が優先品目について、かなり適切にと言うか、かなり短い期間で実施できているということをしっかりモニターしていく、PMDAとしてもモニターしていくために、そういうものを除外して、こういうものについての審査期間はどうだということを見ていく必要があると感じます。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
 先生が御指摘のとおりでして、昨年に赴任した後に、私もそれを内部的に検討するように指示しておりまして、多分、来年には結果が出てくると思いますが、世界で最初に承認している品目とかがどういうパフォーマンスを示しているかというのを、今、審査部の人たちが鋭意集計していると思いますので、そういうものが出てくるようなことになると思います。そうすると、わりと分かりやすいと思います。
 それから、1つ強調しておきたいのは、例えばFDAの審査官は新薬だけを見ても数千人いて、私どもの何十倍と言ったらいいかもしれませんが、それだけ多くの担当者でこのスピードというのと、私どもは1,300人で、そのうちの半分ぐらいが新薬審査としても10分の1ぐらいの人数で、これだけのパフォーマンスを示しているというのは御理解いただきたいと思います。それから、EMAも本体は1,000人ぐらいですが、各国に規制当局があって、みんなが一緒にやっていますので、そういう面からすると、私どもPMDAのコストパフォーマンスというのは、すばらしいのではないかと思います。
 
○真野主査
 ほかの国もデータを出していると、比較というのは難しいところがあると思いますが。
 
○石渡構成員
 いろいろ御説明ありがとうございました。私は福祉の人間なので、この前の事前説明のときにもお尋ねしたのですが、先駆け審査品目の中にデュシェンヌ型の筋ジスの方の治療薬とか、その後にも遺伝子治療という話も出てきていて、私たちがデュシェンヌ型の筋ジスの方について初めて接したときには心理的なケアしかなかったみたいな時代で、ここまで治療というのが可能になってきたのかというところで、とても有り難いというか、そのような思いを持ったのですが、こういう情報を患者団体の当事者の方たちに、どういう段階で、どのように情報提供してくださるのか、その辺りのところを教えていただければと思います。
 やはり、こういうものがどんどん開発されているというのは、本当に患者にとっては希望を持てることだと思いますので、その辺りはどのような情報提供されるのかを教えていただければと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構理事(宇津)
 患者への情報提供というのは、いろいろな段階、我々を含めていろいろな関係者からの情報提供というのがあり得ると思います。
 まず、医薬品の開発ですと、臨床試験という段階があります。特に難病ですと、臨床試験に参加するということも1つのメリットです。臨床試験の情報については、厚生労働省で統一的な臨床試験の登録サイトを設けておりますので、そういうところから治験として、疾患についてはどういうものが動いているという情報を得ることができますので、そこを見ていただければ、自分の関係する病気の治験に入ることはできるかと思います。
 それから、私どもの関係で言いますと、審査中の品目、開発中の品目というのは、企業の守秘の情報になりますので、私どもから情報提供することは難しいところです。承認された後に、この薬とはどういうものなのかというものを、これは企業を通じてということもありますが、添付文書とか、特に新薬ですと患者への情報提供資材といったものを作って配るようにしておりますので、我々も内容についてチェックしますが、そういったものは企業を通じて、あるいはPMDAのホームページにも、そういう医薬品の情報というのを載せておりますので、そういったものを通じて情報提供するということになっております。
 
○石渡構成員
 ありがとうございました。ということですと、患者によっては非常にアクセスしにくいかなという気がいたしまして、医療サイドではなくて、福祉サイド的な情報提供の仕方を今後考えていただけると有り難いかなと思いました。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
 こういう開発における患者・市民参画というのが、昨今、非常に大きなポイントになっております。PMDAは審査の規制当局ですので、なかなか守秘義務等があってお話できないときに、先生がおっしゃるように、いかに患者にリアルタイムでそういう情報を共有していくのかというのは非常に大事なところなのですが、私どもができる範囲には限界があるので、例えば筋ジスの話とかSMAの話などは、私が前のポジションのときには、AMEDの中に患者参画に関する委員会がありまして、その委員会を通じて患者さんとの意見交換を行いました。将来的には、どういったエンドポイントが適切かなどの議論はされていくと思います。
 特に筋ジスに関しては、国立精神神経センターが長い研究の歴史を持っていて、彼らのグループは患者団体と非常に緊密に連携されていますので、ALSなどがそうですが、そういうところでは訪問診療が主体になると思いますが、そういう所の方々は別に医者だけではなくて、訪問看護ステーションの方々とか、ソーシャルワーカーとか、そういう方もいろいろな意見を交換しながら、開発に向けて努力しているというような説明はされていました。ですから、治験等の企業がやっている臨床試験の中の枠組みだけでこういうものをやっているわけではなくて、様々な医療従事者が関係しながら、その意見を汲み上げながら開発していると思われたらいいですし、これからますますここが強化されていくように、政府の健康医療戦略などでも、そういうことがうたわれておりますので、先生のおっしゃったことを私どもも肝に銘じて進めていきたいと思います。
 
○石渡構成員
 ありがとうございます。今、ALSの話などにも触れて、この間の京都での悲惨な事件も話題になっている中で、本当に希望の持てる医療を、それから生活支援のようなことも、ますます御検討いただけると有り難いと思います。
 
○河村構成員
 先ほどお尋ねしたのとちょっと別の観点から、2つほどお尋ねしたい点があります。1つは、項目2-1のガバナンス体制の構築うんぬんの所なのですが、御説明くださった資料の26ページの辺りです。昨年度の評価のときには、いろいろな問題の事例があったりとかして、昨年度中については、そういうことはなかったと。いろいろな取組をやってくださっているということでB評価だというお話で、そこは特に異論があるわけではないのです。ただ、この問題は昨年で終わりではなくて、もちろん中期目標期間を通じてずっとやっていかれる、少しずつ続けていかれるお話ではないかなということでお尋ねいたしますが、26ページの一番上の4-1に書いていらっしゃるガバナンス体制の構築の所で、今のところやっていらっしゃることというのは、ここで書いていらっしゃるのは研修をやる、リスクの洗い出しをしてリスク管理計画を作成する。それでThat’s allという感じでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
 ここは割と官僚的に記載されていますが、実際は様々な試みを、この1年ぐらいやっております。というのは、先生方が御指摘のように、第3期の後半というのはいろいろな不祥事が起きて、私もそれを見て、これは風通しが悪い組織、あるいは非常に急激に大きくなった組織の弊害がいろいろあるのだろうなということを思いました。こういう管理計画に加えて、例えば昨年も少し御紹介しましたが、私は理事長面談といって、課長補佐以下の現場の職員の方々全員と面談をしております。昨年8月から既に218人、ちょっとコロナが入ってしまったので今は止まっていますけれども、そういう方々の声も聞いて、どういう風通しがいいのかと。いわゆる管理職の方々が把握している考え方と、現場の考え方との乖離があってはいけないなというので、そういう聴取も一方ではしております。
 それから、これは新しく来られた監事さんなども民間から来られたということであるかもしれないなのですが、私も思ったのは、コンプライアンス重視にしすぎてちょっと堅苦しいなというのがあって、それを是正するためには、まず褒める文化を推進していこうと。頑張っている人は正当に、気軽に声を掛ければいいと思うのですが、何か表彰するとかではなくて、いつもすばらしいねとか、これはよくやっているねとかということを小まめに皆で言っていこうという話もしています。
 今年の新人研修で、私が申し上げたのは、文化としてPMDAに足りないのは、最後に新人の方に思ったので言ったのですが、誇りを持った職場で、自分がやっている仕事というのはすばらしいという自覚を持って、なおかつ周りの人たちに常に声掛けをして思いやりを持った職場にしていきましょうと。こういうのは理事会だけではなくて、執行役員とか部長クラスの、いろいろなミーティングを通じて、そういうことをしっかり皆で共通の認識を持とうと。理念だけではなくて、そういう心のこもった職場にしようと話しています。さらに、私どもPMDAが一番すごいなと思うのは、国民とか海外の人々の健康にものすごく貢献しているにもかかわらず、今一つ皆がそれを褒められていないので、職員がよく実感していないのです。職員の方と話したとしても、彼ら彼女らは自分たちがやっていることがどう伝わっているのかというのが、ちょっと見えないように、この1年間で思いましたので、そこを改善すべく機会も見付けて、そういうのを皆で言っていく、我々のやっている仕事はすばらしいのだということをやっているというところです。
 ですから、こういうコンプライアンスはきちんと向上している一方で、ソフトな面でもいろいろなことを今やっているという状況にあると思います。
 
○河村構成員
 理事長が組織の下のほうというか、いろいろな職員の方と面談を直接やってくださっているのは、すごくよいのではないかなと思います。ただ、こちらで思いますのは、以前のようにそういういろいろな事案があったと。それも、ふだんの勤務態度とかで気がつかなくはなかったのに発見が遅れたという話を以前の評価のときに伺ったこともあって、理事長がおっしゃられたように役所的な発想だなと。研修するとか、リスク管理計画を作るというよりも、PMDAの今の組織のことを考えると、お仕事そのものの性格によると思うのですが、やはり民間との人の行ったり来たりが活発にあるわけですよね。それは、やはり組織としての仕事の質を上げていく上でも大切なことであると思います。
 役所とかのように、新卒で入ってそのまま何十年も勤めるという感じで、人に対する教育などをやっていけばいいというのとはちょっと違うと思いますので、是非コンプライアンス体制としては、何か問題があったときの発見というのが、理事長とお話してということもあるのでしょうけれども、そういう機会がそんなにしょっちゅう一人一人の職員の方にとってあるわけでもないでしょうし、コンプライアンスの窓口とか内部通報とか、外部の方も交えたようなそういう何かおかしいなと思ったところを、一緒に仕事をしていて、近くで仕事をしている人に何かおかしいなというところがあったときに、早い段階で発見できるような窓口とか、そういうシステムを作るなどといったことも御検討していただけるといいのではないかなと思います。
 もう1つ申し上げたかったことは、コンプライアンスばかりだと堅苦しいと理事長がおっしゃられたのは正にそのとおりで、その下の4-2の優秀な人材の確保の所で少しお書きくださっているのですが、職員のモラルを上げることと、問題事例が起こらなくなることは非常に密接に関係しているというか、理事長がおっしゃられたように、モラルが高くて、すごく働き甲斐があってモチベーションが上がる組織であるほうが、そういった問題とかは起こりにくいということもよく言われていることでもあると思いますので、人事評価制度の運営とか、上司評価制度とか、そういったところをもっと導入していく。それから対外広報とかがやはり大事だと思います。理事長がおっしゃられたように、これだけ大切な仕事をやってくださっていながら、最近のコロナの問題のいろいろな新薬の承認とか、そういうことだってあったわけですよね。国民も誰が承認をやっているのか知らないのですよね。どれだけコロナの大変な中で時間を短縮して、承認とかいろいろなことをやってくださっているのかということを思いますが、是非そういうところの広報的なこともお考えいただけたらいいのではないかなと思います。
 余り時間がないようなので、ちょっとここは終わりにして、もう1つお尋ねしたいところがあるのですが、1つ前の安全対策の所で、MID-NETの所です。御説明でもちょっと触れてくださったのですが、これをどのように実用化して、いろいろな形で活用していくかということに取り組んでいく段階に入っていらっしゃるのだろうかと思うのですが、23ページに、国立病院機構との協力関係構築に向けた検討を開始とありますけれども、これは既存の持っていらっしゃる20幾つの病院のデータに、更にNHOの分のデータが全部入ってくる形になるのか、どのような方向で考えていらっしゃるのかということをお尋ねできればと思います。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 組織運営マネジメント役の佐藤です。質問いただき、ありがとうございました。2点ありましたが、最初にMID-NETのほうを御説明申し上げます。MID-NETは、現在500万人強の患者さんのデータが活用可能という形まで大きくなっているのですが、もともと利用できる患者さんの数が1,000万人というのが最初の目標です。国立病院機構さんのデータとMID-NETのデータを連結できるようになってまいりますと、恐らく目標にかなり近づくところまで来られると考えております。一昨年度から順次、国病機構と話合いを続けていて、ようやく具体的にデータを連結して調査ができるかどうかということを実装的に試験する段階まで来ているということです。できるだけそういったものを早くユーザーの方にも提供させていただけるように、1,000万という数字の目標に向けて、我々も取り組んでいきたいと思っております。
 あと、先ほど御質問いただいた人材育成の観点ですが、PMDAではキャリアデベロップメントプラン、CDPと呼んでおりますが、各職員の等級ごとに目指すべき職員像というものを示しております。初級であればこういうことを、中級であればこういう能力ということを紙に書いたものを作っており、そういう目指すべき職員像の役割にどれだけ個人の方が合っているかというのを、人事評価の中で達成度を見ていくということをやっております。これは新しい人事評価制度として、昨年度から導入して実際にやっており、それによって実際のボーナスとかでも、より優秀な方には高い割合のボーナスを支給するとか、かなりメリハリの利いた形でインセンティブが持てるような形での人事評価制度というものを取り入れていて、それを更にこれから進めていきたいと思っております。
 あと、先生から御指摘のありました昨年度の実際の職員の兼業事案の件ですが、やはり勤務態度、勤務体制とか勤務の時間管理等の乱れがある職員というのは、そういう良からぬことというか、不正等に往々にしてつながりかねないということが強く指摘されているところです。我々の研修等の中でも、時間管理が乱れている職員を見付け出して、そういった方々を是正するとか、早期発見という形で対処するかということを継続的に取り組むということで、昨年度以降やらせていただいております。また先生方からいろいろなそういった方法について御示唆等がありましたら、我々のほうで参考にさせていただきながら進めさせていただきたいと思っております。どうもありがとうございます。
 
○梅里構成員
 今の安全対策のデータの関連なのですが、MID-NETで1,000万人分のデータが目標というのは、ナショナルデータベースのデータは持ち込まれているのですね。ということは、DPCも入っているのですか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 組織運営マネジメント役の佐藤です。MID-NETの中のデータの構成の中には、レセプトとかDPCも入っています。ただ、MID-NETは保険局さんが持っておられるナショナルデータベースとは、まだ連結されていませんので、MID-NETに加盟している病院の中の協力病院の中で、そういったDPCを使わせていただいているという状況です。
 
○梅里構成員
 分かりました。NDBとかDPCは、使った薬とか実施した医療行為のデータはふんだんにというか、全て入っているのだけれども、その結果、患者さんがどうなったかという結果に関するもの、症状とか検査の結果とか、そういうデータはないですよね。ということは、それを国立病院機構のデータで分析されているということになると思うのですが、安全性を見るためには、どうしても薬を投与した結果がどうなったかというデータが非常に必要になってくるということで、国立病院機構の協力病院のそういうアウトカムまで含めたデータをどのように拡充していくかという、そういうところはどういう計画になっているのでしょうか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 組織運営マネジメント役の佐藤です。再び質問をありがとうございます。特に先生がおっしゃるように、医薬品の安全性の評価をする場合は、アウトカムの情報が非常に大事です。レセプトとかDPCですと、何を行為として行ったかということは確かに分かるのですが、アウトカムの部分が情報として不足しているというのがあります。現在MID-NETシステムでは、約200項目強の検査情報が全て取れるようになっており、それが他施設で連結した形で検査情報を分析できるというのがMID-NETの一番大きな強みということです。これは、副作用等を分析するに当たって、やはりエッセンシャルな機能だということで、国立病院機構さんと連携をしていく中でも、国立病院機構さんが持っておられるデータベースもMID-NETと非常に類似した形のデータベースで検査情報等も入っていますので、それがうまく連携できるかというところが一番の肝になると思っていますので、そういうところを、これからじっくりと検討させていただこうと思っております。
 
○梅里構成員
 先ほどの協力病院のレセプトとかDPCデータが入っているということで、その協力病院については検査結果とか、そういうアウトカムも頂いているという理解ですか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 そのとおりです。
 
○梅里構成員
 そのMID-NETの協力病院というのは今、何施設ぐらいあるのですか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 MID-NETは、現在23病院あります。
 
○梅里構成員
 23病院ですか。分かりました。これは毎年言い続けているのですが、PMDAの仕事ではなくて厚労省のほうかもしれないのですけれども、今の診療報酬の中で、データ提出加算という診療報酬が付いていますよね。これでDPCのデータ等の提出は、かなり促進されているというところがあります。
 私が厚労省にお願いしたいのは、検査結果データを各病院が提出すると、新たなデータ提出加算が医療施設に付くという診療報酬を考えていただくと、各病院から検査結果のデータがかなり標準された形で国に入ってくると思うのです。これとDPCを併せて利用すれば、かなりアウトカムの情報が一気にいろいろな施設から収集できると。これはPMDAの薬害等の分析、副作用の分析だけではなくて、ほかの各病院の医療の質とか、いろいろなものを測定していって、厚生行政を考えていく上でも非常に貴重なデータになると思うので、是非、厚労省のほう、PMDAに働きかけてもいいのですけれども、厚労省は各部局から診療報酬、医療局の保険化に診療報酬の改定についての要望が出せる仕組みがあると思いますので、是非、データ提出加算、検査結果についてというのを出していただければと思います。
 
○真野主査
 相当時間が過ぎたと思うのですが、石井先生からネット上で御質問があるというので、ちょっと読み上げていただけますか。
 
○事務局
 事務局です。オンラインで参加している石井先生から、1つ質問をお預かりしておりますので御紹介させていただきます。音声はつながっておりますので、法人からお答えいただければと思います。御質問の内容は、「新規の人事評価制度につきまして、評価する側、される側の御意見がありましたら教えてください。また、それを給与に反映させているようですが、それを適切だと、どなたが判断されているのでしょうか。」以上です。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 御質問いただき、ありがとうございます。組織運営マネジメント役の佐藤です。新しい人事評価制度が昨年度からスタートしたということで、やはり受ける側も行う側も新しい制度にして、ちょうど初めて昨年度やってみたというところで、それぞれの評価する側、される側の御意見をよく聞きながら制度の改善に努めていきたいと思っております。あと、給与の水準ですが、我々は独法ですので、基本的には給与の水準は、国の給料をベースにセッティングしています。国との水準で見た場合の金額というのが、ある種、適切な額として、こちらのほうでベンチマークをさせていただいているという状況というふうに御理解いただければと思います。
 
○真野主査
 ありがとうございました。それでは、時間も大分過ぎてしまいましたので、法人理事長、監事からのヒアリングに移ります。昨年度中期目標期間における達成状況を踏まえ、今後の法人の業務運営等について、最初に法人からの説明、次いで法人の理事長からお願いいたします。
 
○医薬品医療機器総合機構監事(寺林)
 ただいま御紹介いただきました監事の寺林です。令和元事業年度の監事監査報告書は、資料2-4です。通しのページが付いておりませんのであれなのですが、結構後ろのほうで財務諸表の決算報告書の次になります。よろしいでしょうか。ちょっとまだ駄目ですね。大丈夫ですか。では、令和元事業年度の監事監査報告をさせていただきます。
 まずは1ページの中段です。監査結果については、5つ御報告させていただきます。まずはじめ、1.は、法令遵守状況及び中期目標達成状況です。PMDAは御案内のように、健康被害救済、承認審査、安全対策、これらを通じて国民保険の向上に貢献することを目的としておりますが、その業務は理事長のリーダーシップの下、法令等に従い適正に実施され、また、第4期中期目標の着実な達成に向け、効果的かつ効率的に実施されているものと認められます。
 2.は、PMDAの内部統制システムの整備とその運営状況です。ガバナンス、コンプライアンス体制は適確に構築されております。内部の各種委員会により、PDCAを回しています。また、外部有識者も含まれる各種委員会・評議会により定期的なモニタリングもなされており内部統制は適正に実施されています。内部統制、ガバナンス体制に関する理事長の職務執行について、指摘すべき重大な事項は認められません。
 3.は、役員の職務執行に関する違法、不当な行為についてです。役員の職務執行に関する不正行為又は法令等に違反する重大な事実は認められません。
 4.は、財務諸表及び決算報告書の適否です。①財務諸表及び決算報告書に関わる会計監査人、「EY新日本有限責任監査法人」の監査方法及び結果は相当であると認められます。②会計監査人の職務遂行が適正に行われることを確保するための体制は相当であると認められます。
 5.は、事業報告書についてです。事業報告書は、法令等に従い、法人の状況を正しく示していると認められます。
次に、独立行政法人の事務、事業の見直しの基本方針等過去の閣議決定において定められた監査事項についての意見ですが、これについては2点です。1つ目は、給与水準の状況ですが、令和元事業年度のラスパイレス指数は120.1ですが、年齢、地域及び学歴を勘案した指数は104.7であり、また、下記の3つの理由により相当であると認められます。下記3つの理由は記載のとおりです。2つ目は、随意契約の適正化を含めた入札・契約の状況です。これは、契約監視委員会、調達等合理化検討委員会により、調達案件の事前点検による契約方法の合理性、予定価格の算出根拠の妥当性及び調達等合理化計画とその前年度計画のフォロー状況について審議し、全案件について公正性並びに透明性が確保されていると認められます。
 最後は、過年度の監事監査における指摘事項に係る改善状況についてです。これは2点あります。1点目は、継続指摘事項となっていた重大リスク案件の真因究明と再発防止です。令和元事業年度において、重要書類の機構内における紛失、職員の重大な就業規則違反、支払業務における不適切な事務処理といった事案が発生しなかったことを確認いたしました。真因究明と再発防止に向けた諸対策には、リスク管理委員会を中心に積極的に取り組んでいることを確認したことを御報告いたします。
 次は、MID-NET(医療情報データベース)基盤整備事業の安定的な運営についてです。MID-NETは、本格稼動となり、具体的に医薬品の安全対策の向上に貢献し、プレスリリースも行っている事実を確認しております。
 これは意見として、今後の安定的な運営に期待するということです。監事監査の報告としては以上です。ありがとうございました。
 
○真野主査
 次いで、理事長からお願いいたします。
 
○医薬品医療機器総合機構理事長
 長時間にわたり、御評価をありがとうございました。最後に理事長から、今後の方向性等を踏まえて少しお話させていただければと思います。途中でも申し上げましたが、職員へのメッセージとしては、自分たちの仕事を通じて、日本国民、更には世界の人々の健康を守るということが使命であるし、医療現場をより良くするということも使命であるということを何回もお話するようにしています。自分たちの仕事の先には、医療現場と患者さんがいるということを忘れないでほしいということと、仕事に誇りを持って、責任や自覚を持って、周りの人たちに思いやりを持って仕事をやりましょうということを常にお話しております。これが私どもの心の理念と言ってもいいと思いますし、4期の間、それを徹底していこうと思います。
 人事評価制度も、「仏作って魂入れず」ではしようがなくて、いろいろな部署の人たちの評価の仕方が適切かということを、部署を越えて評価するような、お互いの部長同士がその人たちの評価が適正かということをお互いに見られるような委員会も設けております。それから、評価した後に不満がある方が、一定程度出てまいりますので、その方たちの不満をちゃんと聞いて、それを評価する委員会も実際に設けております。これが始まったのは今年の1月で、先々週にその委員会がありましたが、いろいろな感じ方をされる方に、どう納得感を持って人事が進んでいるか、あるいは給与が配分されるかということは、これからも心掛けてまいりたいと思います。
 それから、途中でいろいろな人事交流のお話が出ておりましたが、先月私が職員に話したのは、我々はどうしても企業の方々との付き合いが多くなりますので企業目線になりがち、あるいは企業に配慮しがちになってしまうので、いろいろな方面に心を開こうということを話しています。PMDAとしては、アカデミアであったり医療界であったり、企業以外の方々との交流というか、話をしっかり聞いて、その人たちが何をニーズとして持っているかということをもっとこれから聞いていこうという話もしています。
 今日は話に出ませんでしたが、コロナがあって、これからはいろいろな不況というか、これまでのような景気ではいかなくなると、審査手数料とか安全対策拠出金に依存している組織としては、ある程度世間の景気にも作用されますので、財務管理部を中心にして、月に1回は必ず財政状況の確認をするとともに、第4期だけではなくて第5期に向けて、つまり人員が今は960人ぐらいですが、1,065人という非常に大きな体制になったときの人件費、だんだん皆の年が増えていきますので人件費もこれから右肩上がりになっていく中で、PMDAの財政状況はちゃんと持つのかということの議論も常に心掛けるようにしております。
 それから、昨年も申し上げたように、ここの理事長の引継ぎとしては、国際化とMID-NETの充実ということを承ってきましたが、国際化については先ほど申しましたように、特にコロナで思い知らされたのは、原薬を中国とかインドに依存している日本の体質の中で、どうやって安定的な供給をしていくかを常に考えた視点ということを思い知らされておりますので、世界に対して開かれたPMDAで、アジアの方々とも仲良くしながら、アジアの国民が皆いい思いをし、幸福になっていく、健康になっていくということを目指していけば、そういう原薬問題も解決するということを考えております。途中で御質問いただいた審査のスピードの話も、去年これは指摘されましたが、スピードだけではなくて国際誕生日というか、世界で初めてしっかりと判断をして出していくということがレピュテーションというか、海外からの尊敬を受けることになりますので、審査の部門はまだ少し定員に足りないところもありますけれども、しっかり強化していきたいと思っています。
 最後に、今回S評価とA評価の所でいろいろな御批判を頂きました。救済に関しては、途中でも回答しておりましたが、これまで以上に頑張ってくれたということと、実際に皆様方に救済の職場を見ていただいたら分かるのですけれども、カルテとか患者さんの細かい手で書いた事例を何例にもわたって読み込んで、どのような薬がどういう時期に使われて、どのような議論がされているかというのを少ない職員でまとめた上で、厚労省の審議会にかけていくという非常に手間の掛かる作業をやっています。それが120%もいったということは、ものすごいことだと思うのです。自分で見て初めてそう思ったのですが、この上で是非、褒める文化でもありますし、彼らにそれを見て、やりがいがあったなと思ってほしいなと思って、A評価を付けております。
 Sについては、先ほども申しておりましたが、先駆けの審査の数が今年、令和元年度は非常に多いのです。これはものすごく手間で、相談から始まりますので、申請前から多くのスタッフが申請品目に関わって、承認までの期間をすごく切り詰めて作業をしております。これは、すばらしい手間なので、確かに120%プラスそういう中身的な進歩がこの1年間にあったということでS評価をしているので、是非、御理解いただければと思います。
 最後に、新型コロナウイルスについていろいろな御質問がありましたので、私どものこれまでのスタンス、これは令和元年度ではなくて2年度の所で関わりますが、少し御紹介すると、今年1月16日に国内初の感染者が出ておりますけれども、PMDAで新型コロナウイルス感染症対策本部を設置したのは、2月18日です。その1週間後に、理事長メッセージを配信して、その中で、これから有給休暇、特別有給休暇ですが、休んでも給料はなくならないとか、テレワークに向けてどんな準備をするとか、内部向けに様々なメッセージを発出しました。幸い私どもの施設にはインフェクションコントロールドクターが2名おり、ICDという病院と同じような感染管理とか整理ができる人たちがいますので、その人たちを中心に職場を全部見てもらって、職員を守る措置というのを始めております。
 2月21日に国内の感染者が100名を超えた後、安倍さんが臨時休校を要請したのが2月27日、コロナ特別措置法が出来たのは3月13日ですが、それを受けて厚労省は、すぐに新型コロナ関連の医薬品の開発をしっかりやろうというので、それらの治験届の30日調査の前倒しを事務連絡に出しておりますが、PMDAもすぐにその翌週、3月27日に様々な治験に関するQ & AをPMDAのホームページ上で、いろいろな所に目配せをして治験が止まらないようにするというQ & Aを出しました。3月31日には、海外向けにもPMDAの英語のホームページで治験をしっかりやるという宣言を出しております。令和元年度内ではそこまでですが、その後4月7日から緊急事態宣言が出て、皆さん非常に緊張が走ったところですけれども、特に2月、3月は内部的にも業界に対しても様々な措置をして、緊急事態宣言が起こることを見越して様々な作業をしていたということを少し申し添えて、私の話としたいと思います。本日はありがとうございました。
 
○真野主査
 ありがとうございました。何か御質問等はございますか。ちょっと私から1つだけ、MID-NETの病院の数ですが、23と言われましたかね。これは、前から比べると減ったのですかね。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 組織運営マネジメント役の佐藤です。MID-NETは10グループの病院グループがあって、その中の構成病院が23ということです。
 
○真野主査
 そうすると、参加している病院が10グループもあるけれども、23病院しかないということですか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 10グループの中で、1グループで3病院とか10病院とか、そういうことです。
 
○真野主査
 では、昔よりは増えてはいるのですか。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 変わっておりません。
 
○真野主査
 変わっていない。
 
○医薬品医療機器総合機構組織運営マネジメント役
 はい。
 
○真野主査
 分かりました。ありがとうございました。ほかはいかがですか。では短かめに、すみません、私も聞いておいて。どうぞ。
 
○河村構成員
 理事長のお話、ありがとうございました。評価全体のところで、これは政策立案・評価担当参事官のほうへの御質問になるのかもしれないのですが、今回、全体の総合評定という所をPMDAさんは空欄で出されてきていますよね。ほかの法人で評価もしていますが、これは余りないのではないかと。事前の御説明のときに伺った感じでは、すごく控えめなことをおっしゃっていらして、ここが空欄になっているのですが、これは余りないことなのではないでしょうか。最後の評価はもちろん厚生労働大臣がなさるわけで、私たちはあくまで、ここで意見を言っているだけで、それが取り入れられるかどうかということはあると思うのですが、こうなっていると一体、最後はどう付くのかなと。どういう方向でというのが、もしあれば教えていただければと思います。
 ほかの法人とかで伺っていると、これは厚労省の所管同士に共通なのかどうかは分かりませんが、何か計算式があるのですか。重点項目によって何かウエイトを付けて、掛け算をして加重平均して足すと幾つになるからとかという説明をほかの法人のときに聞いたこともあるのですが、大体今のところ、どの評価になる感じなのかとか、そこはお尋ねできますか。
 
○事務局
 政策立案・評価担当参事官室室長補佐の戸高です。御指摘のとおり、総合評定については計算式がありまして、例えば難易度が高いものについては点数を2倍にするとか、そういったところがあります。ですので、個別評価が出れば自動的に総合評定が出るという仕組みになっております。全体の評定を自己評価で付けるか付けないかというところなのですが、通常は御指摘のとおり付いているものなのですけれども、絶対に付けなければいけないかどうかというところについては、ちょっと確認させていただければと思っています。基本的には御指摘のとおり、最終的には主務大臣評価ということで行政側が付けるようになっています。
 
○河村構成員
 ありがとうございました。ちなみに、厚労省の総合評定を自動的に算出する仕組みに従って、今の各項目ごとの自己評価がもし、そのまま大臣評価でも通ると仮定したところで計算すると、総合評定は何になるのですか。Aですかね。
 
○医薬・生活衛生局総務課長補佐
 担当部局からお答えいたします。A評価になります。
 
○真野主査
 ありがとうございました。厚労省のほうにですが、議事の時間というのは、1時間半というのは全部どこの独立行政法人も一緒なのですか。というのは、PMDAは何か、割と議論が白熱して、今日は多分ちょっと控えているのか、時間もあれだということでしょうが。
 
○事務局
 お答えいたします。2年か3年前から、基本的に1法人につき1件1時間半です。ただ、中期目標とかそういったものがあるときは、2時間半と決めており、一律で時間を区切っているところです。
 
○真野主査
 分かりました。そうすると、なかなか難しいですね。了解です。それでは、大分過ぎてしまいましたが、議事を終了したいと思います。最後に、事務局から何かお願いできますか。今後の流れですかね、お願いいたします。
 
○事務局
 では、今後の流れについて御説明いたします。本日御議論いただいた医薬品医療機器総合機構の令和元年度業務実績評価については、この後、本ワーキンググループにおける御意見、法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえ、厚生労働大臣による評価を決定し、法人及び独立行政法人評価制度委員会、こちらは総務省の所管になりますが、こちらに通知するとともに公表いたします。決定したそれぞれの内容については、後日、構成員の皆様にも御報告いたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○真野主査
 それでは、大分延びてしまいましたが、本日はこれで終了させていただきたいと思います。長時間にわたり、御議論をありがとうございました。
 
(了)