2020年8月3日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第22回) 議事録

日時

令和2年8月3日(月)13:44~15:03

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8D(8階)

出席者

真野主査、五十嵐構成員、石渡構成員、梅里構成員、河村構成員、橋田構成員、三田構成員、石井構成員、名里構成員

議事

 
  
○政策評価官
 定刻より早いですが、おそろいですので、ただいまから「第22回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉WG」を開催いたします。事務局の政策評価官の溝口です。よろしくお願いいたします。
 まず、新型コロナの関係ですけれども、厚生労働省では新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでおるところでございまして、本日は可能な限り座席の間隔を取っておりますとともに、マスクを着けたままで御発言いただくようお願いいたします。なお、一般傍聴席は設けず、報道関係者のみの傍聴とさせていただいております。委員、法人、傍聴等の皆様におかれましては、咳エチケット等を含めて、感染拡大防止策について御協力いただきますようお願い申し上げます。
 本日の出席状況についてです。本日は、石井構成員、名里構成員は、オンラインでの御参加でございます。続きまして、本日の議事について御説明いたします。資料につきましてはお手元のタブレットに収納してありますので、そちらを御覧いただければと思います。本日は、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園につきまして、令和元年度業務実績評価に係る意見聴取を行うこととなっております。具体的には、後ほど御説明いたします重点化の対象とする項目を中心に御意見を頂ければと考えております。また、例えばAという評定が適切かというだけでなく、法人の取組の中で、中期目標の達成に向けて、優良と思われる点や、逆に課題があると思われる点については、評定に直接影響しないような場合であっても、積極的に御指摘をお願いいたします。それでは、真野先生、よろしくお願いいたします。
 
○真野主査
 それでは、早速議事に入りたいと思いますが、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の令和元年度業務実績評価についてです。最初に、法人所管課室から重点化対象項目選定の考え方について御説明いただき、その後法人から、法人の業務概要及び重点化対象項目の業務実績及び自己評価について御説明ください。この2つの説明が終わってから議論をしていきたいと思います。最初に、所管のほうから重点化対象項目選定の考え方について説明をお願いします。
 
○社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室長
 障害保健福祉部企画課施設管理室の川久保と申します。よろしくお願いします。着座にて御説明させていただきたいと思います。資料1に基づきまして御説明したいと思います。
 初めに、のぞみの園第4期の中期目標における重点化項目を含む全体の評価項目ですが、表の左から3列目に書いてありますとおり、上から順に、自立支援のための取組、調査・研究、養成・研修、援助・助言など、全体として8項目ございます。
 次に、重点化項目について御説明いたします。中期目標において重要度、難易度が高いと設定している項目ですけれども、資料ではブルーで網掛けをしている項目が重点化項目ということでして、具体的には自立支援のための取組、調査・研究、援助・助言の3項目になります。それぞれ重点化項目に設定した理由については、一番右の欄に記載していますが、それぞれ御説明をしたいと思います。
 初めに、自立支援のための取組についてです。自立支援のための取組につきましては、2つの視点から重要度、難易度の高い項目として設定しているところです。視点の1つ目ですが、施設入所利用者の地域移行の推進についてです。障害のある方が地域で日常生活、社会生活を営むことができるように支援することというのは、障害者総合支援法の基本理念にも明記されていまして、のぞみの園においても独立行政法人となる前から長期間入所されている方について、引き続き地域移行を進めることは重要度が高い業務と考えています。また、利用者の高齢化が進んでおりまして、機能低下や重症化により常時医療的な支援が必要となるなど、特別な支援が必要な方も多くなっていることから、受入れ先となる事業所を探すことも難易度が高い業務と考えているところです。
 続いて、視点の2つ目ですが、著しい行動障害を有する者等への支援です。著しい行動障害を有する方は支援が難しく、地域での受入れに当たり課題を抱えていることが多く、そういう方に対する地域での支援が進むように、モデル的支援を構築することが必要となっています。こうしたモデル的支援を構築し普及させることによりまして、障害のある方が地域で生活できるように支援することというのは、重要度が高い業務と考えています。また、著しい行動障害等を有する方につきましては、地域で受け入れる施設等がない、あるいは受け入れた施設においても支援が困難となっているケースもございます。加えて、刑務所など矯正施設を退所した知的障害者の方につきましては、複雑で多岐にわたる課題を抱えているケースが多く、その支援に当たりましては福祉サービスだけでなく、関係機関等との連携が必要となっています。さらに、その対応につきましては医療・福祉の両面からの支援が必要となっています。これらの方々につきましては、本人の特性を考慮した個別対応をはじめ、期間を設定して課題を整理・改善した上で、地域での生活を実現させることは難易度が高い業務と考えているところです。
 次に、2つ目の項目、調査・研究について重要度が高い項目として設定しているところです。その理由ですが、のぞみの園が運営している施設や事業における実践を活用した調査・研究について、その成果を全国の知的障害関係施設に普及させることは、障害者支援の質の底上げに貢献することになりますから、この項目については重要度が高い業務と位置付けているところです。
 続いて、表を1つ飛ばして援助・助言についてです。これを重要度が高い項目として設定している理由ですが、全国の知的障害関係施設等におきまして、障害者の支援ニーズが多様化している中で、個々の機関が課題を解決することが困難な場合があります。のぞみの園における知見を活用して援助・助言を行うことというのは、のぞみの園の重要な役割となっています。こうした取組は、障害者支援の質の向上、人材の育成にもつながることから、重要度が高い業務と考えているところです。私からの説明は以上です。

○真野主査
 では、法人の業務内容及び重点化対象項目の説明をお願いいたします。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園総務企画局長
 それでは、本日説明させていただきます総務企画局長の齋藤と申します。よろしくお願いいたします。資料に沿って説明させていただきます。資料2-1になります。令和元年度業務実績に関する説明資料(重点化項目)によりまして、法人の概要及び重点化項目の業務実績、自己評価について説明させていただきます。
 1ページに目次がございます。全体の自己評定について記載しています。その中で、2の調査・研究、4の援助・助言につきましては自己評価Aとさせていただいています。3の養成・研修についてはC評価とさせていただいています。そのほかはB評価です。
 2ページは、のぞみの園の事業体系図です。法人の目的につきましては、のぞみの園法に規定されていて、のぞみの園では重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供、調査及び研究等を行い、知的障害者の福祉の向上を図る取組を実施することとしています。
 表の上のほう、1-1の自立支援のための取組は重点化項目という位置付けにしています。その下に4つの項目があります。この項目を総合的に評価することとしています。1つ目は地域移行の推進、2つ目は高齢者に対する支援、3つ目は著しい行動障害を有する者への支援、4つ目は矯正施設を退所した知的障害者への支援です。1-2の調査・研究についても、重点化項目ということで後ほど説明させていただきます。1-3の養成・研修については、研修会・セミナーの開催が、目標10に対して実績が10、参加者の満足度については目標80%以上のところ54%、実習生の受入れについては目標150人以上のところが137人、ボランティアの受入れについては目標1,250人以上のところが実績は784人で、目標に達していないものもあり、C評価とさせていただいている状況です。1-4の援助・助言についても、重点化項目ということで、今回説明させていただこうと思っています。
 3ページ、施設入所利用者の概況です。令和2年3月31日現在の入所者数については205人、内訳は男性120人、女性85人という状況です。平均年齢については62.4歳、有期限の方を除いた旧法人からの入所者についての平均年齢については67.6歳という状況です。平均入所期間については37.6年、有期限を除いた旧法人からの入所者の入所期間については43.7年という状況です。
 4ページは、のぞみの園における利用者等に対するサービスの概況で、のぞみの園で行っているサービスを列挙しています。一番上の居住支援については、施設入所者支援ということで13か寮で205人の入所者について支援をしているところです。その下のグループホームについては、定員は28人ですが、現員は25人ということで、4つのグループホームで支援しています。以下は省略させていただきます。
 5ページ、自立支援のための取組になります。こちらの取組につきましては、地域移行の推進、高齢者の支援、著しい行動障害等を有する者への支援、矯正施設を退所した知的障害者への支援をやっていて、支援の難易度、重要度を踏まえて総合的に判断し、自己評価をBとさせていただいたところです。内容につきましては、以下に述べさせていただきます。
 Ⅰ-1-1、地域移行の推進ですが、中期目標については重度知的障害者のモデル的な支援を行うということで、地域移行者数を毎年度5人以上としています。その下の考え方にありますけれども、地域移行者数については、高齢化・重症化が進み、地域移行についての課題が多いのですが、引き続き取り組むということで、平成28年度実績の5人以上というものを指標としています。その下ですが、指標については地域移行につながるプロセスに関する指標も重要ということで、地域生活体験の実施日数や保護者懇談会の説明回数も指標としています。重要度、難易度については、共に「高」ということでの整理です。その下の実績ですが、地域移行者数については実績値3人、達成度60%です。地域生活体験の実施日数については、実績値338日、達成度169%です。保護者懇談会での説明回数については、実績値各寮1回、達成度100%という整理になっています。その他考慮すべき要素ですが、地域移行については、本人及び家族の同意のもとで実施することを原則としていて、本人の高齢化、重症化の進行、親の高齢化又は死亡により同意が困難な状況になっています。また、受入れ先の確保については、介護度の高さ、医療的ケア等への対処法の未整備、事業所の空き状況などにより困難な状況となっているところです。
 6ページですが、地域移行への取組結果ということで推移表を作っています。令和元年度については、入所が15人、退所が3人、利用者の死亡が20人、有期限の退所が12人、合計は年度末で205人ということで、昨年より20人減という状況です。
 7ページは、地域移行への取組結果(Ⅱ)ですが、地域移行した3人の状況について記載しています。いずれも40年を大きく上回っている状況でして、移行が難しい状況の中で何とか3人達成できたというところです。移行直前で結び付かなかったケースがあり、これにつきましてはグループホームでの受入れを検討していたところですが、面接、宿泊体験をやっている途中、目前にして急性心不全ということでお亡くなりになったということがあり、ほぼ移行が決まったケースでありました。一番下のフォローアップについてですが、フォローアップについては移行1年経過者2人、5年経過者5人、それから、同じ事業所で生活している利用者7人の計14人に対して訪問を実施していて、127人に電話連絡等延べ330回実施しているところです。
 8ページは、地域移行への取組状況です。施設入所利用者の地域移行を推進するために、引き続き粘り強く行ってきていて、本人及び保護者への働き掛けとしましては、保護者懇談会を実施して88家族、148人に対して説明したほか、個人面談等も実施しています。それから、法人のグループホーム等を活用し、地域生活体験(宿泊・日中体験)を実施しています。また、地域移行に向けての支援計画を作成したり、保護者に向けては年1回の「地域移行通信」を配布しているところです。2の令和元年度末の地域移行候補者の内訳は、施設見学家族同意者は1人、宿泊体験家族同意者は8人、地域移行同意者は7人ということで、その下の3にありますように、令和元年度においては、地域移行同意者7人を中心に出身市区町村の自治体や事業所と、移行先の確保に向けた協力要請や情報交換を行っているところです。
 9ページ、Ⅰ-1-2の高齢の施設入所利用者に対する支援です。中期目標ですが、効果的な支援を提供するために職員研修会の開催を毎年度12回以上するという目標です。実績については職員研修会開催数が14回、達成度117%です。リハビリ的活動を取り入れた日中活動の提供数が1人月7回、達成度175%です。文化的活動を取り入れた日中活動の提供数が1人月6回、達成度150%となっています。
 職員研修会としては、介護技術、褥瘡予防、感染予防研修を各1回開催していて、そのほかに診療所と連携した救急救命講習会を毎月実施しています。3月はコロナの関係で中止しましたが、合計で14回の研修会を実施したことになります。また、リハビリ的活動・文化的活動の提供については、各寮で様々な工夫をして毎月4回以上実施したところです。
 10ページは、高齢の施設入所利用者支援に関する取組状況です。専門性の高い支援に向けた取組につきましては、先ほど説明した職員研修会を実施して質の高い取組をしているところです。その下の高齢化に対応した施設・設備の整備では、離床センサーや車椅子を配備しながら介護の提供しているであるとか、高齢化に伴う身体機能の低下の予防を目的として、「健康増進プログラム」を平成28年度から実施しているところです。その下ですが、情報提供としては、法人の機関紙であるニュースレターでの情報提供、高齢化をテーマにした国立のぞみの園福祉セミナーの開催、認知症ケア学会での発表等を実施しています。下から2つ目ですが、高齢知的障害者の理解と支援のためのテキスト等の有償頒布も実施しているところです。
 11ページ、Ⅰ-1-3の著しい行動障害等を有する者への支援です。中期目標については、著しい行動障害等を有する者についてモデル的支援としての拡充を図る。それから、支援に当たっては、本人の特性を考慮した適切な支援プログラムを作成するなど、きめ細かな対応に努めるという目標設定になっています。重要度、難易度は、共に「高」という整理になっています。
 実績についてです。受入れ者数の拡充では実績値10人、達成度100%です。受入れ後3年以内の地域移行率は86%で、令和元年度の地域移行者数は7名いますが、3年を超えた移行者が1名いたということで86%という数字になっています。
 考慮すべき要素です。期限内の移行に向けては、援護実施者や相談事業所、保護者等が参加する個別支援会議を1か月、6か月、次に1年6か月と書いてありますが、これは半年ごとにやっていますので1年後と1年6か月後に開催しているということで、支援の進捗状況や受入れ予定の事業所の情報共有、本人との面接、本人の支援のポイントを記載したサポートブックを作成し、円滑な引継ぎを行えるように努めておりますが、本人の障害特性や移行先の確保が困難な上、体制整備に時間を要したということで3年を超えたケースがあるということです。
 12ページは、著しい行動障害等を有する方の受入れと移行の実績が載っています。3の地域移行者についてですが、先ほどの3年以内の移行ができなかったというのは、④にあります幼少期の親からの虐待による脳挫傷が原因で「知的能力の低下」「てんかん」を発症し、他害等の行動障害があり精神科病院に入院していた20代女性のケースです。車椅子を使用していましたが、服薬調整と支援により歩行が可能になり、他害行為も改善したため、障害者支援施設への移行ということで在籍が4年10か月というケースです。
 13ページは、矯正施設を退所した知的障害者への支援です。中期目標ですが、モデル的支援として拡充を図ることと、支援に当たっては、本人の特性を考慮した適切な支援プログラムを作成するなど、きめ細かな対応に努めること、それから法務関係機関との連携・協力を図るという目標設定になっています。重要度、難易度については、共に「高」という整理です。実績ですが、受入れ者の拡充については実績値5人、達成度71%です。受入れ後2年以内の移行率は100%という整理になっています。その他考慮すべき要素については、入所に至るまでに矯正施設等での面談を9名に対して事前に10回行っていて、本人の意思や支援チームの有無も考慮する必要があったということで、なかなか難しい状況になっています。
 14ページは、矯正施設を退所した知的障害者の受入れ及び地域移行の状況です。これまでの受入れ者数と移行の実績を載せています。ここについても、3の地域移行者を御覧ください。地域移行の取組については、罪名から受入れに躊躇されるケースや、受入れ先事業所が矯正施設退所者への支援経験がない等、地域移行に困難を極めている状況がありますけれども、地域生活支援定着センターや相談支援事業所、受入れ先事業所、関係機関との調整を重ねた結果、グループホーム、アパートへの地域移行ができたところです。①から④まであり、その下の*については、グループホームの宿泊体験を行う段階になり移行が間近いと思われたところですが、宿泊体験中に出奔し、その後自主的に退所といったケースが1件含まれています。
 15ページは、調査・研究です。中期目標については、知的障害に関する国の政策課題等について、のぞみの園でなければ実施できないものに特化して、各年度において具体的なテーマ等を設定して調査・研究を行うということ、また調査・研究の基本的な方針や内容について、全国の研究機関、研究者及び事業所との連携・協力を行うことで充実を図るという目標になっています。それから、調査・研究の成果について、研究成果を分かりやすく解説した情報発信を行うことになっています。重要度は「高」という整理です。
 実績については、研究会議の開催回数が2回で100%、研究テーマの数は5テーマで達成度125%、研究成果のアクセス件数は3万件強で達成度155%、各種学会等への成果の発表回数が52回で達成度236%です。参考指標ですが、テーマの設定数については11テーマで達成度157%となっています。このほか、全国の自治体やサービス事業所等の状況の把握・分析、全国の現場で活用できる事例集、手引き等の作成を行い、国立機関としての役割を果たすことができたということがあります。これらによりまして、所期の目標を上回る成果が得られていると判断し、自己評価をAとさせていただいているところです。
 16ページは、調査・研究テーマの設定です。令和元年度に行った調査・研究のテーマについて表記しています。参考に御覧いただければと思います。
 17ページは、令和元年度外部の調査・研究に分担研究者・協力者として参加したものと、その下には調査・研究成果の積極的な普及・活用ということで記載していますので、御覧いただければと思います。
 18ページは援助・助言です。中期目標については、支援技術について、のぞみの園における専門的・先駆的な取組や調査・研究の成果等に基づき、援助・助言を行っています。全国の知的障害関係施設等の自立支援活動に寄与するということ、また講師を派遣するなど、障害者支援の質の向上に寄与するという目標です。重要度については「高」という整理です。
 実績ですが、援助・助言の件数が508件で達成度145%、講師の派遣件数が154件で達成度118%となっています。援助・助言の提供に当たっては、行動障害者への支援方法、知的障害者の高齢化問題、発達障害児・者への支援方法、知的障害者の触法関連の問題など多岐にわたる課題について、要請者のニーズに沿った効果的な方法を選択して実施しています。また、年4回発行しているニュースレターに全国の障害者支援施設等への援助・助言として記事を掲載するなど、広報活動の充実を図っています。以上により、所期の目標を上回る成果が得られていると判断し、自己評価をAとさせていただいているところです。
 最後、19ページです。実施件数の推移ですが、電話等につきましては354件と、昨年度を大きく上回っています。講師派遣については、コロナウイルス感染防止のため予定していた派遣の中止等があり、それが影響しているということです。右隣の主な相談者についてですが、電話相談については障害者支援施設等からの相談が多いということですし、講師派遣は福祉関係機関からの要請が特に多いという状況になっています。その下の援助・助言表の主な内容ですが、電話等、講師派遣とも特に行動障害が多いですが、そのほかに高齢知的の関係、矯正の関係、発達障害の関係の内容が特に多いという状況になっています。説明は以上となります。
 
○真野主査
 ありがとうございました。それでは、早速議論していきたいと思いますが、構成員の方から何か御意見、御質問はありますか。
 
○河村構成員
 御説明ありがとうございます。今回の評価でCが付いている養成・研修についてです。今日の御説明に使ってくださった資料を事前にも拝見していて2ページの所にあるぐらいかなと思うのですが、先ほど指標の御説明はあったのですが、もう少し具体的に御説明いただけないでしょうか。こういう評価をするときに、もちろん指標があって、それが何パーセント達成できているかということも見ないといけないのですが、それだけではいけないのではないかと思っていますので、何か御事情等があったり、内容的な問題が何かあったということであれば、是非お話を伺いたいと思うのです。2ページに出ている指標を拝見しても、例えば実習生の受入れ者の数が少し少なかった、ボランティアも昨年は少なかったということですが、何か特別な御事情などがあったのかどうか、研修会などもどういう内容のものをなさった結果、こういう数字が出ているなど、そういったところを少しお伺いできればと思います。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 説明資料では、重点化項目以外の所の2ページのお話だと思いますが、その中でセミナーの開催ですが、そもそも満足度については、5段階の中の「やや満足」は入れないで、「満足」と答えた人たちだけで80%という高い目標になっています。その中で努力してきたのですが、強度行動障害者の支援者養成研修というものが基礎と実践とありまして、それは県の研修をする方を養成する研修なのですが、それが受講者の幅が広がり、従来の研修内容とカリキュラムを変えて、もう少し全体に分かりやすいものに変えたところ、受講者の方々にやや戸惑いがあったこともあり、満足度が前年より10ポイントから20ポイント下がっています。
 そのほか、やはり強度障害の関係ではフォローアップ研修等もやっているのですが、そこもやや実践をもう少し聞きたかったというような御意見もあり、前年より20ポイントぐらい下がっているということもありました。そういうことがあり、極端に変わっているわけではないのですが、前年よりは低くなって現在54%という状況です。満足度が80%の目標に対して54%です。
 ボランティアの関係ですが、イベントのときに来ていただくケースが多いのですが、予定していたイベントが台風の影響等で事前準備ができずに、数が少なくなったということがあります。背景として、そもそもずっと継続的に来ていただいているボランティアの方々がだんだん高齢化もあり、会員が減ってきているということもあり、なかなかボランティアの実績が上がらないということもあります。ただ、昨年は悪天候の影響もあり、来ていただけなかったということがありました。
 実習生の受入れですが、毎年150人を目標にしています。前年度も161人の予定を大学と調整して入れていました。ただ、結果として御本人の都合等で欠席ということになり、実績としては137人といったような状況です。この3つの指標については以上です。
 
○河村構成員
 分かりました。そのお話を伺うと、評価の枠組み上でCになってしまうのかもしれませんが、いろいろな御事情、台風などはしょうがないのではないかなと思いますし、カリキュラムの内容をいろいろ変えられたり、それは毎年同じものではなくいろいろ工夫なさると思うので、そういう御対応ということであれば安心しました。ありがとうございました。
 もう1つ質問してよろしいですか。本当に大変なお仕事を粘り強く、いつも機構からお送りいただくニュースレターにも書いてあると思いますが、本当にそのとおりになさっていると思います。最後のⅠ-1-4の所ですが、矯正施設を退所された知的障害者への支援のことでお尋ねしますが、これに限らずなるべく地域移行を進めてということで、本当に大変な目標を立てられてやっていらっしゃると思いますが、その後のフォローアップなどがいろいろ事例の御説明の中で出てくるのですが、特にこういう矯正施設を退所した知的障害者の地域移行をしたときに、こののぞみの園が地域移行された方のフォローアップはどのぐらいの期間なさるのですか。結構お若い方も、いろいろな事例を見るといらっしゃるようですので、もし長くフォローアップをされていくということになると、こうやって毎年毎年、数は5名、8名という人数であっても、ずっとその方々のフォローアップをされていくと、そのフォローアップをしなくてはいけない対象の方がどんどん多くなっていって大変なのではないかなと思うのですが、その辺の御事情をお教えいただきたいと思います。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 フォローアップをしているのは、主に高齢者、旧法人時代からのぞみにいらした方で、地域に行かれたり、あるいは施設で暮らしている方について、定期的にフォローアップもしているのですが、矯正施設を退所した方と強度行動障害の方は、御依頼があった場合、あるいは連絡があった場合を中心にフォローアップしています。
 そういう中で、矯正施設を退所した方の場合は、今まで第2期から始めているのですが、40人ほどのぞみを退所して動かれているわけですが、28名の方から何らかの形で御連絡を頂いて相談に乗ったりしているという状況があります。残りの12名の方は、残念ながら連絡が取れない状況もあります。
 
○河村構成員
 ありがとうございました。
 
○真野主査
 ほかの方はどうですか。
 
○梅里構成員
 関連なのですが、矯正施設を退所した方たちは、例えばグループホームで受けられる所があれば、そこへすぐいけるのか、それとも、いきなりは無理で、この2年以内に移行しているのですが、のぞみの園の中で2年間のうちにグループホーム等で暮らせるような形にするという、何が変わって、そういうことができるようになるのか、その過程におけるのぞみの園の役割や機能というのはどういうものなのかをちょっと教えていただいてよろしいですか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 今まで、先ほど申し上げた40人、第2期から受け入れて地域に移行していただいているわけですが、その中でグループホームや自宅へ行かれた方が26人いらっしゃいます。それが65%の割合です。ですから、それ以外は入所関係、通勤寮や福祉施設が8人ということで20%です。また、鑑別所や少年院、刑務所に戻ってしまう方もいらっしゃり、そういう方は4人、10%ぐらいいらっしゃいます。それ以外が2人ということなのですが、基本的には基本的な生活習慣を身に付けていただいて、決まりごとなどをある程度守れるようにしてもらいまして、そうした結果、安定した生活をしていただいて、基本的にはそのままのぞみから先ほど申し上げたグループホーム等にそのまま移られているということです。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園施設事業局長
 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園施設事業局長の小林と申します。本人が抱えている課題は、特にコミュニケーションの問題が非常に多いかと思います。困ったときの対応の方法がよく分からないので、犯罪行為に至ってしまっている方もいらっしゃいます。困ったときにこうすればいいのですよというようなことを、具体的にどうしますかというところを、のぞみの園の中で練習していただいて、それを実践の場でということがいいのかなと思います。ですので、SSTのような形で練習をしていく、そういったものを積み重ねていく中で、社会の中で困ったときにこうすればいいということを練習していくということです。特に、相談できるということが大切で、誰かに頼ってもいいということを教えてあげると言いますか、そうすると問題に至らずに違う方法が見付けられる、それは支援者に頼っていいのですというところを教えていく、伝えていくことが大事かなと思っています。以上です。
 
○梅里構成員
 そういうことというのは、矯正施設では全く行われていないのですか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園施設事業局長
 矯正施設は、基本的には懲りてくださいというシステムなのです。社会の中での生活のノウハウを覚えましょうというのは矯正施設の役割としてはないので、やったことについて、あなた懲りてくださいというシステムの中で動いていますので、社会の中でノウハウといったようなことをどうやっていくかというのは、出てきてからとなるのかなと思います。以上です。
 
○梅里構成員
 類似しているのですが、著しい行動障害の方も受け入れていらっしゃいますね。とにかく大変な方たちの面倒を見ておられるのですが、この行動障害というのは法に定める知的障害も持っているということなのですか。それとも行動障害だけの場合は、のぞみの園の対象なのかどうかということでは、どういうお考えなのでしょうか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 のぞみの園は、知的障害者の総合施設ですので、基本的に知的障害があって自閉等も併せ持って、著しい行動障害を持っているという方が中心になります。
 
○真野主査
 ほかの方はどうですか。
 
○三田構成員
 今のお話ですが、最近は刑務所なども社会福祉士や精神保健福祉士を迎え入れて、つまり出るに当たって関係が取れていないと、すぐにどこかに行ってしまうということがあるので、その矯正施設の中でも福祉のプロが関わっているのではないかなと思うのです。懲りるだけでは、もう無理だというのが世界中で分かってやっておられるかと思いますが、そういう所からの利用者は受けていないということでよろしいですか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園施設事業局長
 精神保健福祉士さんや社会福祉士さんがいらっしゃって、そういった方々が地域生活定着支援センターに御紹介を頂いて受入れはしています。その前提となるのが、福祉の支援を本人が望まないとできませんので、そこは望んだ方だけということになります。そういった方を受け入れているということになります。
 
○三田構成員
 のぞみで受け入れる場合には、そこまで会いに行ったりして、出るに当たっての支援もしているということですか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園施設事業局長
 はい、文書で照会が来ますので、御本人さんと面会をさせていただいて、本人の御希望が真実なのかという部分もありますし、どこへ帰りたい、何をしたいなどの将来的な部分も含めてお話を頂いて、支援が可能であればしていくという流れになっています。
 
○三田構成員
 多分、そこで本音をどれだけ聞き出せるかというのがプロの腕の見せ所ではないかと思います。ありがとうございます。
 先ほどの質問の研修についてですが、先ほどの御説明だと分かりやすくなってしまったら参加者が戸惑ったという、そのイメージが分からなくて、分かりやすくなったらとても参考になるのではないかと思ったのですが、もうちょっと説明いただけますか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 担当している部長から、もう少し詳しく説明していただきます。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園総務企画局研究部長
 研究部長の日詰です。強度行動障害については、障害者施設の虐待の予防のためにも、全国中の施設に広げたいということで、一昨年のカリキュラムを変えて、今まで研修で行っていたレベルよりも、もうちょっとシンプルな形に、かなり焦点を絞った形で初心者、障害者福祉現場が0年0か月の人にも分かってもらえるような内容にという絞り込みを行ったのです。それまで何年かやってきた都道府県の指導者の方たちは、もうちょっとレベルの高いことを現場に伝えないと混乱するのではないかという戸惑いがあったようです。我々は厚労省と相談しながら、もっと0年0か月の方にも分かってもらわないと、この問題は一部の方だけに負担が偏る、背負わされているというところを変えたいという思いで変更したのですが、受講に来ている全国の指導者の方たちは、もっと自分たちはレベルの高いことをやりたかったということを、後でお聞きしました。その辺の戸惑いがあったということの説明でした。
 
○三田構成員
 分かりました。では今後は、例えば初心者向けとレベルの高い人向けのような形とか、もう少しどこかに特化するといった研修になっていく可能性もあるという感じですか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園総務企画局研究部長
 ですから、今後は裾野が大分これで広がっていくと思いますので、後は戻った施設でどうやって仲間を増やしていくのかという、そこの仕組みづくりを厚生労働省と考えていくことになります。
 
○三田構成員
 基本的な分かりやすいということは、私はすごく大事だと思いますので、幾つかの研修のパターンがあったらいいのかもしれないですね。ありがとうございました。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園総務企画局研究部長
 ありがとうございます。
 
○三田構成員
 もう2つぐらいあるのですが、5ページの自立支援のための取組の所です。そこのⅡの目標と実績との比較の定量的指標③で、保護者懇談会で説明を行って、各寮で年に1回以上できたということだったのですが、多分これは去年も一昨年も聞いているかもしれませんが、ここで言う保護者というのが、入所者の平均年齢が60歳代ですから、兄弟や、あるいは成年後見制度をお使いになっていたら後見人の方、そういう方も含まれているのかということと、どのくらいの人、先ほど88家族148人というものを8ページで教えていただいたのですが、本当の親の世代、例えばずっと一生施設にいてほしい、せっかく入ったのだからという方と、兄弟などとは感覚が違うと思うのです。その保護者の内訳を、何となくでいいのですが教えていただけますか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 全部が親ではありません。保護者というのは今、兄弟の方になっています。更には甥、姪もいらっしゃいますので、保護者会をしたときも見える方というのは、全部が親ではないと考えています。割合については、何か多少分かりますか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画部長
 割合についてですが、大体御兄弟に代が替わっていらっしゃる方が8割ぐらいになっています。その8割で代が替わっているのですが、その中の2割ぐらいが甥御さん、姪御さんの代に替わってきています。親御さんが、まだ御存命で関わっていらっしゃる方は、もう2割弱ぐらいになっている印象です。
 
○三田構成員
 そうしますと、この報告を見るだけでも、全体的にどんどん地域の数は減っていくし、職員の方の苦労が年々大変になってくることがよく伝わってくるのです。だけど、必ず保護者の理解ということがあるわけですよね。でも、アプローチの仕方が、兄弟や甥御さんと保護者の方とはちょっと違うと思うのです。そういうところで、全国的にもそういう人たちは、多分自分の所にまた帰ってこられたら困ってしまうという正直なところがあるのではないですか。余り関係のない甥御さんもいるかもしれないし。そういう人たちに向けたアプローチの仕方を、のぞみでこういうことをやってみましたということをもっと知りたいのです。ですから、大変だったということはいっぱい伝わってくるのですが、だけどこういうこともやってみましたということが知りたいのです。簡単に、あるいはそれがなかなか難しいというのであれば、全国の人も多分難しいと思いますが、その辺はいかがですか。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画部長
 ありがとうございます。我々としても、やはり代が替わるということは1つのチャンスなのです。御家族、特に御両親は、やはり御兄弟の代に苦労を掛けたくない。ですから、ずっと入所にいてほしいということが非常に強いのです。でも、それが御兄弟に代が替わると、思いの外、やはり自分の生活がありますので、遠方からわざわざ会いに来るという時間的なことやお金の面でも相当厳しいので、近くに移してほしいと言われる御兄弟も一定数出てきます。それは、御両親が思っていたほど、御兄弟の代になると負担感がないのです。やはり兄弟だから面倒を見なくてはいけない、近くのほうがいいと言ってくれる人たちが増えてきます。
 ただ、それが甥御さん、姪御さんに替わっていくと、その御兄弟の関係性がそのまま甥御さん、姪御さんにいくのです。ですから、一生懸命通っていただいた御兄弟の子供さんたちだと、やはりおじちゃんを何とか近くに戻してあげたいと言ってくれる方もいるのですが、その逆もしかりです。全くそのおじさんの存在を知らなくて、役所などからの連絡とか亡くなるタイミングで、自分の親や兄弟から告知をされて関わるというようなケースもあります。
 我々からすると、特に代が替わったタイミングで、改めて地域移行ということについて御説明させていただいて、後は御本人の意向をきちんと御説明させていただく機会ということを大事にしてきました。やはり、それは現場の支援員に、代が替わるということも含めて必ず連絡が入りますので、その場合には、こういう大きな懇談会ということではなくて、個別に直接御連絡をさせていただいて、来ていただいた場合には必ずお声掛けをしてお話をしてという、そのようなことをずっと積み上げてはきています。
 
○三田構成員
 懇談会に来てくださるだけ、まだとてもいいと思うのですが、そのチャンスをどういかすかというのが、すごく知りたいと思っている方も多いのかなと思います。
 すみません、最後にもう1ついいですか。地域移行のこともそうですし、更生の矯正施設からのこともそうですが、なかなか難しい課題があり、CになったりBになるなど、そういうことよりも、今後その支援者の方がこの苦労をされていることが、どこにいくのだろうという不安を持ってずっと資料を見ていると、調査・研究だけはAなのです。多分、すばらしい研究を展開されていると思うのですが、現場では毎年また出なかった、地域移行を5人は無理と思っているところと、研究でやっていることがどうやってリンクしているのか、本当に本質的な話で失礼なことを言っていると思うのですが、では兄弟の人にどのように働き掛けたらというパンフレットを作るなど、何か分かりませんが、せっかくたくさんお金も掛けていい人材がいて研究成果を持っていることと、現場でのますます大変になっていくところが、なかなか理解できなくて、よかったら何か教えていただけると。
 
○石渡構成員
 すみません、今の御質問とも関連するのでお聞きしたいのですが、私は調査・研究の外部評価を行う研究会議の委員でして、研究内容などについてお聞きしているのですが、やはりあそこの調査・研究がすごいのは、現場と入所支援をしている方たちとしっかりタッグを組めているから、結果が調査・研究の成果になっているとすごく感じるのです。この前もやはり、入所支援の担当の方が調査・研究の責任者もやっていらっしゃるということで、連携がうまくいっているというお話も聞いたのです。そういうところを含めて、今おっしゃった地域移行のこれからみたいなこととの関連でもお聞きしたいのです。本当に年齢が高くなって支援が難しい方に対して、私は先日説明会を受けたときに、まだ地域移行をやるのですかというような発言をしてしまいました。やはり、それは本当に頑張っていらっしゃるというところを評価して、そういう発言をしたのですが、のぞみの園は頑張っているのですが、全国の入所施設はちっとも地域移行が進んでいないということを、切実に感じるのです。
 私は神奈川の人間でして、津久井やまゆり園の事件が起こってから4年目が先週だったので、地域の人とセミナーなどをやったのですが、入所移行が進まないということに、報酬単価が入所施設向きなのではないかというような声がありました。調査・研究の部分で、報酬単価に関わるような調査をのぞみの園はやっていらっしゃると思うので、ちょっとその辺りについて、移行が進まないのはなぜかということと、報酬単価のようなことに関連をしたような研究をしていただきたいと、4周年をやったときに、現場の入所施設の方や地域で受けていらっしゃる方からすごく感じました。やまゆり園から地域移行した方たちは、本当に大きく生活の質が向上しているなというのは感じるので、やはり全国レベルで地域移行を進めるために、のぞみがやってきたことをどういかせるか、強度行動障害や発達障害のセミナーはやっているけれども、入所移行についてのセミナーのようなものを、もっと積極的にやっていただけるようなことができないかということをつくづく感じています。そのようなところなのですが、何か実績や方向性があったら教えていただければと思います。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 地域移行に関する現場の研究部門との連携はどうなのかというお話については、今回の研究についても、具体的には、例えば元年度には載っていませんが、パンフレットというか、地域移行におけるのぞみでこれまで取り組んだものをある程度の流れ、注意点なども含めて、そういうものを現在作成中です。そういうときに連携をしながらやっています。ただ、具体的な研究としては、今、石渡先生からも御指摘があったような単価的にはどうかというところは、基本的に単価の研究などは、国と調整しながら進めているところもありますので、今後そういう可能性があれば研究していきたいと独自でやるというのもあるかもしれませんが、することもできるのかなと思っています。
 移行のセミナーなどは、確かに現時点で進まないという中で、のぞみの園がきちんと独自にやるということもあるのかなと思います。移行そのものへの取組ですが、昨年度3人の実績があり、どの方も大変喜ばれているということもありますので、確かに目標としては高くなってきてはいるのですが、取組としてはやはり地道に理解を得ながら進めたいと、これが大事なのではないかと思っています。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事
 少し補足させていただきたいと思います。先ほど、石渡先生から研究等の支援部門との連携という話がありました。私が事前レクのときに、お話させていただいたのは、担当部のそれぞれのトップが、それぞれの部門に関わっているという話がありまして、令和元年度から研究課長と支援部門の特別支援課長、これが併任する形で支援部門と研究部門がうまく連携が取れるように、例えば研究でこういう課題が出たというときに、ダイレクトに支援のほうでその研究に資するようなどんな形で準備をすればいいかというところまでつながるような形で、そういった人事もさせていただきました。
 地域移行の課題というのは、本当に難しい課題だと私も思っています。いずれにしても、高齢や重度ということで難しくなっている方を、のぞみの園の実践の中で地域に移行させるということを、全国に広げていく取組は私どもの役割だと思っていますので、先ほど理事長から話がありましたが、パンフレットなど、こういった取組をすることによって、こういう流れ、手順でやっていくことによって地域移行はできますというような内容のパンフレットの作成をしたり、研究では、地域移行の研究は御指摘のようにしていないということなのですが、例えば厚生労働省で、もう少しそういう方向性で重点を置くという話が出れば研究課題として出てくると思いますので、厚生労働省とまた連携を取りながら、進めていくということになろうかと思います。
 
○石渡構成員
 ありがとうございました。今、神奈川県の話をしましたが、神奈川県の県立の入所施設などで、本当に虐待が頻発をしているというようなことが報道されて、県立施設の在り方などが問われています。私は都立施設の指定管理の評価委員も10年ほどやっているのですが、都立施設でも知的の入所、児童養護、性虐待などをはじめ、こんなことが公立の都立、県立の施設で起こっているのかと非常に憤りを感じています。やはり、そうではない支援をやっている民間施設などもむしろたくさんあるわけです。地域移行を積極的に進めている、その辺の違いはどうなのかということを、国レベルできちんと検討していたただかないと、入所した方が本当に悲惨な生活のまま人生を終わらなくてはいけないという厳しい状況にきていると思いますし、そこに強度行動障害や犯罪などが絡むと、更に難しくなってくるわけです。やはり、そういう人たちの地域移行ということを、厚生労働省とも連携してかっちりやっていただきたい。でも、やっているところも現実にあるわけですから、その辺りをどのように整理して、支援の在り方を考えるかということは、やはりのぞみのこれまでの実績からお願いをしたいと思います。
 
○真野主査
 ありがとうございました。ほかはいかがですか。今回はネットというかオンライン上では質問はないですね。では、お願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。ただいま名里委員から質問を頂きましたので、読み上げさせていただきます。音声がつながってますので、機構のほうからお答えいただければと思います。では、読み上げさせていただきます。
 「令和元年度に20名の方が亡くなられているのが平均在所期間40年以上の方々と考えると、何とも言えない気持ちになります。死亡原因は老衰ということになるのでしょうか。」こちらが1点目でございます。
 2点目でございます。「移行先確保についてですが、地域の自立支援協議会への問題提起等はされているのでしょうか。」こちらが2点目でございます。よろしくお願いいたします。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園施設事業局生活支援部長
 生活支援部長の田口と申します。死亡原因についてお答えさせていただきます。死亡原因ですが、肺炎が最も多く、その次が心不全、がんというような形になっておりまして、老衰という形はありません。簡単ですが、以上です。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園事業企画部長
 移行先の確保について、自立支援協議会への働き掛けですが、我々のほうから直接自立支援協議会に働き掛けるということよりは、受け取っていただける地域の事業所から、困難事例として自立支援協議会のほうに上げていただいて、お話をしていただくというケースはあります。ただ、それについては個別でお願いするということで、基本的に自立支援協議会に全てお話をしてというような手続を取っているということではありません。以上です。
 
○真野主査
 よろしいですかね。
 
○事務局
 また頂きましたら、御案内いたします。
 
○真野主査
 そうですね、はい。分かりました。それでは、大体よろしいですか。
 では、続きまして法人の監事及び理事長から年度中期目標期間における目標の達成状況を踏まえ、今後の法人の業務運営等についてコメントを頂ければと思います。最初に法人の監事から、次いで法人の理事長よりお願いいたします。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園監事
 監事をやらせていただいてます堀口です。もう1人監事がおりまして、2人で業務を行っております。監事の業務に関してですが、1年間やってまいりまして、法人の経営に関する執行状況といった辺りは、特に問題はございませんでした。また、会計等も、監査法人とも連携いたしまして取り組んだ結果、問題はございませんでした。
 今、頂いた業務運営に関する今後のコメントということなのですが、一言だけお話いたします。今、委員の皆様からは活発に御議論いただきました。研究部と現場との連携とか、そういうところがどうなのかということで、我々もその点は非常に関心を持ってますし、理事長のリーダーシップの下、理事からも話があったように人事交流とか、今まで現場の人があるいは支援のほうに回るとか、大きなことでやってまして、力を合わせればやっていけるかなと。私も外部から来たのですが、一番驚いたのが幸いに若手の志のある職員が結構いるということで、こういう人たちに力を発揮していただければ今後期待が持てるかなと思っております。以上でございます。
 
○真野主査
 では、理事長からお願いします。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 本日は、委員の皆さんには、大変御貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。令和元年度の業務実績については、目標数値に達しない項目もありましたが、全体としてはおおむね目標を達成できたのではないかと考えております。令和2年度においては、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、のぞみの園は高齢で基礎疾患を持つ入所利用者が多数を占めることから、感染防止のため様々な制限がある中での事業実施となりますが、可能なところはWebを利用するなど、工夫しながら目標達成に向けて努力してまいりたいと思っております。
 まず、自立支援のための取組のうち、地域移行の推進については、先ほど申し上げましたように、昨年度移行した方々、本人も保護者も大変喜んでおられまして、こうした状況あるいは移行の手順などを保護者に丁寧に伝えることで、新たに同意を頂けるよう努めるとともに、御本人の思いを大切にしながら取り組んでまいりたいと考えております。
 著しい行動障害等有する方については、新規の受入れ目標がほぼ今年度は倍増することになります。先駆的な取組をしている事業所への派遣研修の更なる充実等を図りまして、職員の知識、技術の向上に努めてまいりたいと考えております。矯正施設を退所した知的障害を持つ方については、性加害行為に至った知的障害支援のプログラムに関しまして、外部専門家にコンサルテーションを依頼し、支援力の向上を図ってまいりたいと考えております。
 評価C評価となった養成・研修については、様々な背景があって目標数値に達成しませんでしたが、例えば満足度については、アンケートの中身を少し工夫する等によりまして、しっかり要望を受け止めて、少しでも引き上げられるように努力してまいりたいと考えております。
 また、実習生の受入れ、ボランティアの受入れについては、今年度はコロナウイルス感染拡大に伴って現在制限しているところです。これを解除するというのはなかなか難しい状況にあるという状況です。研修セミナーの開催については、Webを活用することで目標を達成してまいりたいと考えております。このほか、調査・研究については地域移行等に対する調査・研究も国とも相談しながら進めてまいり、あるいは援助・助言についても引き続き真摯に取り組んでまいります。そうしたことを総合して、関係する皆様から信頼され頼りにされる存在でいられるよう努力してまいりますので、皆様の御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げまして、私からの一言とさせていただきます。ありがとうございます。
 
○真野主査
 ありがとうございます。何か御質問とかございますか。では私から、さっきも話題に出ていたのですが、コロナの話がちょっと出たのですが、何か影響があるかどうかというのが1つと、もう1つはたまたまC評価ということでしたが、その研修とかそういうものの実施、この前も少しそういう議論が出ましたが、評価項目事態をどのように、Webで代わりにされるということで、それであればそれでいいのかもしれませんが、要するにコロナの影響で何か評価の考え方を変えなければいけないものがあるのかどうかということですね。もちろん、評価自体は自分でされるわけじゃないと思いますが。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 コロナの影響を現在受けているところでは、入所、利用者の入所を迎える場合に、その人との面接などがかなり限られてしまうという状況がありますし、新たに受け入れる場合もかなり慎重にならざるを得ないというものがございます。研修とかは、やはり先ほど申し上げましたように、できるところはWebでやろうと思って、強度行動障害の支援者養成研修などはWebでやることで準備を進めております。ですから、できるものはそういうふうにしていきたいと思いますが、やはり一部どうしても対面でやらなければならないこともありますので、それは影響受けるかなと思っております。
 ボランティアあるいは実習生の受入れ、これはやっぱりどうしても制限して、ごめんなさいという状況にせざるを得ないものですから、これもかなり数字的には難しい状況だというふうに思っております。主な影響はその程度だと思います。
 
○真野主査
 その辺りは、ちょっと評価官のほうでも少し。
 
○政策評価官
 先ほどの会議でもございましたが、コロナ感染の関係で業務が、そもそも全法人でテレワーク実施しましたので、その影響もあるのですが、特に今後は国立病院機構とか病院を持っている法人もございますし、福祉施設という意味であればのぞみの園もそうですし、そういうことで影響が出てくるのは当然のことだと考えておりますので、そういうところをどういうふうに評価するかというのは、今の評価の枠の中でどうするかということとともに、総務省ともよく相談をしながら、来年度の評価に向けて考えていきたいと思っております。
 
○真野主査
 ありがとうございました。ほかはよろしいですか。どうぞ。
 
○河村構成員
 政策評価官がおっしゃってくださったのですが、多分秋くらいに総務省が次の年の取組を含めた指針みたいな出しますよね。やっぱり、そういうところにきちんと盛り込んでいただけるように、どういうふうに評価の際に配慮するか、1回立てた中期目標をちょっと変えることはそんなに簡単ではないかもしれませんが、評価のときにどう配慮するかということを盛り込んでもらえないかという感じで、是非働き掛けを厚生労働省ともやっていただけたらいいのではないかなと思います。以上です。
 
○真野主査
 ありがとうございました。
 
○事務局
 事務局でございます。名里委員から御意見をお預りしておりますので、発表させていただきます。
 「地域の自立支援協議会への働き掛けについてですが、受け入れる側に地域の課題として認識してもらうことものぞみの重要な役割なのではないかと考えます。難しいことでしょうが、あきらめずに取り組んでいただきたいと思います。」
以上でございます。
 
○真野主査
 本当に意見ですね、質問ではなくて。それはどうでしょうか。頑張るという話なのでしょうかね。
 
○国立重度知的障害者総合施設のぞみの園理事長
 承りました。
 
○真野主査
 ありがとうございました。それでは、ほぼ時間にはなってきておりますので、よろしいですかね。それでは、以上で本日の議事は終了したいと思います。最後に今後の流れについて、事務局から御連絡ください。
 
○政策評価官
 ありがとうございます。本日御議論いただきました年度業務実績評価については、この後本日の御意見や法人の監事及び理事長のコメント等を踏まえて、厚生労働大臣により評価を決定し、法人等独立行政法人評価制度委員会に通知するとともに公表する予定でございます。決定したそれぞれの内容については、後日構成員の皆様にもお送りいたしますのでよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。以上です。
 
○真野主査
 どうもありがとうございました。
 
(了)