技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会(第4回)議事録

政策統括官付政策統括室

日時

令和2年10月20日(火)10:00~12:00

場所

厚生労働省省議室(9階)

出席者

委員(五十音順)
事務局

議題

  1. (1)今後の進め方等について
  2. (2)「AIなどデジタル技術の導入と労使コミュニケーションに関する調査」の結果について(報告)
    • 独立行政法人労働政策研究・研修機構中村様
  3. (3)その他

議事

議事内容
○守島座長 では、定刻になりましたので、ただいまから「技術革新(AI等)が進展する中での労使コミュニケーションに関する検討会」の第4回を開催いたしたいと思います。
皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本検討会については、新型コロナウイルス感染症感染拡大の下、感染防止の観点から、2月に行った第3回以降の開催を見送って本日の開催まで中止しておりました。そのことについて皆さん方に御理解を頂ければと思います。
それでは、カメラは、いらっしゃいませんね。撮影はこれで終わりにします。
本日は、所用により大竹委員と冨山委員が御欠席でございます。
今回、委員の交代がありましたので、御紹介いたしたいと思います。日本商工会議所の羽柴委員に代わって井上委員が就任されました。井上委員、一言お願いいたします。
○井上委員 日本商工会議所の井上です。よろしくお願いいたします。
○守島座長 よろしくお願いいたします。
続きまして、事務局に異動がございましたので、御報告をお願いしたいと思います。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 本年8月7日付及び9月1日付で事務局に異動がございましたので、御報告いたします。
政策立案総括審議官の村山。政策統括官付参事官の松本は本日は所用により外しております。労働基準局労働関係法課課長補佐の竹中、雇用環境・均等局総務課雇用環境・均等企画官の前田、人材開発統括官付政策企画室長の黒田、以上でございます。
○守島座長 ありがとうございます。
では、議事に入ります前に、本日の検討会は説明等をタブレットで行いたいと思いますので、初めに事務局から御説明を頂きたいと思います。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 本日の検討会はペーパーレスで実施いたします。お手元にはタブレット、スタンド、スタイラスペンを配付しております。使用方法につきましては、操作説明書を机上に配付しておりますが、御不明な点がございましたら職員にお声かけください。
本日の資料は、プライベートファイルというフォルダ内に資料1から5として格納しております。また、参考資料1として委員名簿、参考資料2-1から2-3として前回のヒアリング概要を格納しております。さらに、参考資料3として今月9日に行われました労働政策審議会本審の資料「労働分野における新型コロナウイルス感染症への対応について」を格納しております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けた雇用・失業情勢のデータや、雇用調整助成金の特例など、厚生労働省の対応についてまとめたものでございます。あわせて、第1回から第3回までの本検討会の資料についても御参考に格納しておりますので、必要に応じて御参照ください。
また、御発言される際には、マスクを着用したままにてお願いいたします。
以上でございます。
○守島座長 ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。
まず、本日の進め方について簡単に御説明を差し上げたいと思います。事務局からこの検討会の進め方について説明していただいて、その後で皆さん方の御意見を頂ければと思います。その後、独立行政法人労働政策研究・研修機構の中村研究員より「AIなどデジタル技術の導入と労使コミュニケーションに関する調査」を行いましたので、その結果を御報告いただき、報告後に皆さん方の御意見、御質問を頂ければと思っております。
それでは、資料1から4について事務局から御説明を頂きたいと思います。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 それでは、資料を説明させていただきます。
まず、資料1を御覧いただけますでしょうか。今後のスケジュール(案)でございます。次回以降ヒアリングを進めまして、1月までは、日時、ヒアリング等が御覧のとおり確定しております。その後、2月、3月にも企業等へのヒアリングを行いまして、4月以降、報告書の取りまとめに向けた議論を行うスケジュールとなっております。
資料2-1と2-2でございますが、本検討会における検討課題についてでございます。
資料2-2の方を御覧いただけますでしょうか。こちらの資料は、第1回検討会におきまして資料4として提示しました「検討課題について」という資料に、今回再開するに当たりまして、赤字にて追記したものでございます。もともとの資料が黒字の部分です。
まず、赤字の丸の1つ目「AI、ICT等の新技術の進展による労使コミュニケーション自体の変化についても検討が必要」というのは、第1回での議論を踏まえまして、この際、明記したものでございます。
赤字の丸の2つ目「新技術の進展に伴う労使コミュニケーションへの新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響についても留意が必要」につきましては、今般、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けまして、テレワークをはじめとする新技術の普及が加速化されたことを踏まえて、この際、明記してはどうかというものでございます。
下の囲みの中にも同様に赤字で丸2つを追加しております。具体的には赤字の丸2つ目の下に括弧で例として追記しております。「テレワークの普及など働き方の変化の加速に伴う労使コミュニケーション」、それから、テレワーク以外にも感染拡大防止のために新技術の活用が進んだというところがございますが、これに伴いますビジネスの変化も見られるところでございまして「新技術の進展に伴う配置・職種転換、雇用調整等の加速に伴う労使コミュニケーション」についても再開に当たって検討課題に明記してはどうかというものでございます。
2ページ目には、具体的な労使コミュニケーションの例、こちらも以前提示したものでございますが、4行目「また、下記のいずれについても、リモート会議での話し合い、社内SNS、メール等を活用したやりとり」の所についても明記したところでございます。
以上が資料2-2でございます。
続いて、資料3を御覧ください。こちらは、先ほど資料2の検討課題におきまして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による新技術導入に伴う労使コミュニケーションへの影響というところを追記しておりましたけれども、実際に働く者に感染拡大がどのような影響を及ぼしたかについて議論の参考としていただくために各種調査からお示しするというものでございます。
まず、3ページを御覧ください。こちらは、JILPTが今年6月に行いました企業調査において、2月から5月までの各月における生産・売上額等の増減の状況について尋ねたところ、「減少」と回答した企業の割合が上昇しまして、5月には7割を上回っております。また、減少の程度についても「5割程度以上」が15.9%まで上昇しているというものです。
次に、4ページを御覧ください。同じ調査におきまして、企業が2月から5月までに、事業の運営、社員の働く環境に関連して実施した項目についてでございます。「在宅勤務(テレワーク)」が最も多く、次いで営業の短縮として「営業日の縮小」「営業時間の短縮」、さらに「有給の特別休暇の付与」、こういったところが多くなっております。
次に、5ページを御覧ください。同じ調査におきまして、雇用調整の状況について尋ねたものでございます。5月に「雇用調整を実施した」と回答した企業は「正社員・正規従業員」で55.1%、「パート・アルバイト・契約社員」で39.4%となっております。その方法については「残業の削減」「所定労働時間の短縮」「一時休業」の順となっております。
次に、7ページを御覧ください。こうした企業の対応が働く者に与えた影響についてでございます。こちらは、JILPTが4月、5月、8月と連続で実施しました労働者を対象とするパネル調査の結果でございます。毎回回答していただきました民間企業の雇用者について、感染拡大の「影響があった」と答えた方の割合が5月で43.9%、8月で40.5%という状況でございます。具体的な影響の内容については、8月調査では「勤務日数や労働時間の減少」が依然として高い一方で、「収入の減少」が8月時点ではこれを上回っているという状況でございます。
次に、8ページを御覧ください。賃金、労働時間以外にも感染拡大の直接の影響としてありますのが仕事上での感染不安でございます。8月調査におきまして、7月末現在での感染不安について聞いたところ、「感じている」と回答した割合が全体で66.0%、特に「医療、福祉、「飲食店、宿泊業」で7割を超えているという状況です。これに関連しまして、同じ調査の別の質問で、緊急事態宣言の期間に行われた就労面での対応のうち、7月末現在でも継続しているというものを聞いたところ、「マスク・アルコール消毒用品、フェースシールドの使用・配備」が最も高く、特にこうした業種で対応が取られていたというものでございます。
次に、9ページを御覧ください。感染拡大の中におきましては、フリーランスの方への支援も注目されたところでございます。JILPTの個人調査では、フリーランスで働いている者についても調査しております。緊急事態宣言の期間までに生じた影響と、そのうち7月末現在でも継続している影響について尋ねたところ、「何らかの影響があった」と回答した割合が「7月末まで」でも59.2%となっております。また、影響の内容を見ますと「業績への影響」「事業活動の抑制や中止」などが高くなっております。
次に、10ページ以降は、こうした感染拡大下において普及しましたテレワークについての状況でございます。
11ページを御覧ください。テレワークの実施状況です。こちらは東京商工会議所による調査でございます。3月の調査と5月から6月にかけての調査を比較したところ、テレワークの実施率はどの従業員規模の企業でも上昇しておりますが、従業員規模が大きくなるにつれて実施率が高くなっているという状況です。また、業種によっても差があるという状況でございます。
次に、12ページです。こちらは労働者への各種の調査ですが、業種別、職務別により実施率が大きく異なっているという状況でございます。
次に、13ページは、内閣府の調査によりますけれども、テレワークの実施率でございます。業種別、雇用形態別、さらには地域別でも大きく異なっているという状況でございます。
次に、14ページは、テレワークの効果、メリットでございます。各種の労働者調査によりますと「時間を有効活用できる」「集中できる」といったような回答が多くなっております。また、企業調査によりますと「働き方改革が進んだ」「業務プロセスの見直しができた」、こういったところが多くなっております。
次に、15ページです。テレワークの課題、デメリットです。各種の労働者調査によりますと「社内コミュニケーションの不足」「勤務時間の線引きの困難」などが挙げられております。
最後、16ページもテレワークの課題です。企業調査では「ネットワーク環境の整備」「PC・スマホ等機器の確保」「社内のコミュニケーション」、こういったところが課題として挙げられています。
以上のように、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けまして、テレワークをはじめとする新技術の普及の加速が見られるところでございます。これに伴います労使コミュニケーションやその変化について、この後、御議論いただければと存じます。
最後に、資料4でございます。こちらは、第1回でお示ししました資料5というのがありまして、その中で平成26年の「労使コミュニケーション調査」の結果をお示ししておりましたが、先般、令和元年の同調査が公表されましたので、直近のデータとしてお示しするものでございます。説明は省略させていただきますが、必要に応じて御覧いただければというものでございます。
資料の説明は以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
それでは、今の資料の説明についての御質問、御意見等がございましたら、皆さん方からお受けしたいと思います。特にコロナ禍における新技術の進展に伴う労使コミュニケーション、その他の変化について、皆さん方が何かおっしゃりたいこと、御意見等がございましたら、ぜひお伺いしたいと思います。どなたでも御自由に挙手をなさって御発言いただければと思います。では、後藤委員、お願いします。
○後藤委員 御説明ありがとうございました。
資料2-2、新たに追加していただいたコロナ禍での労使コミュニケーションの在り方の部分ですけれども、今後のスケジュールにもありますとおり、これから様々な会社にヒアリングしていきますが、この検討会あるいは部会でも検討していく中において、新技術を導入していくスピードはもう少し緩やかだったのではないかと思います。その中で労使のコミュニケーションをきちんと取りながら導入していくべきではないか、ということを我々は課題として受け止めているのですけれども、コロナ禍によって、様々な新技術とまで言えるかどうかということはありますが、テレワークが急速に普及するということもありましたので、否応なく新技術等を入れていく中で、労使間でどういったコミュニケーションが短期間のうちに図られたのかということは注目していくべきではないかと感じております。特に大手の労使関係であれば、ある程度、先ほどの調査にもありましたとおり、成熟しているものがあるということですが、できるだけ小さな企業あるいは団体の中でどういうコミュニケーションを取りながら、コロナ禍に際してテレワークや新技術の導入が行われてきたのかということを我々としても参考としてヒアリングしておいたほうがいいのではないかと思いますので、御配慮を事務局のほうでお願いできればと思います。
以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
ほかにどなたか、根橋委員、お願いいたします。
○根橋委員 御説明ありがとうございました。
お話にありましたように、ここ数か月で新型コロナウイルスの感染拡大によって急速に環境が変化しております。私は地方に在住しておりますが、先ほど後藤委員からあったように、もっと先の問題であったデジタル化が、急速に求められるといった環境になっているのではないかと思っております。そんな状況であっても、個別企業の労使コミュニケーションによって、労使自治の中で課題に対する解決策、妥協策、これから求められる人材像などをしっかりと見いだして解決する、よりよい労働環境を維持していくということは重要な視点ではないかと思っています。
ただ一方で、新技術の進展によってますます広がる多様な働き方や産業構造の変化を見据えて有効な取組を行っていくには、これまでのような一企業の労使の枠組みの中でのコミュニケーションでは対応が難しいということも考えております。そうした意味では、横断的に適切なレベルでの社会パートナーによって知恵を出しながら対応していく、産業別、地域別、業種別等々の社会パートナーが対応を検討し、知恵を出し合いながら、適切な戦略について合意形成をしていくということも、これからの極めて重要な視点ではないかと考えています。
例えば、欧州労働組合連合と欧州の使用者団体が締結しているデジタル化に関する欧州労使枠組み協定、こういった先行事例を参考にしながら、政府、地域、産業の各レベル、地方においては行政、労使の各レベルにおいて社会対話と合意形成の場をいかにつくっていくかという視点もこれからますます重要なのではないかと思っております。こうした視点についてもヒアリングを通じて検討いただくということ、また最終的には技能の更新や、労働者の持続的なエンプロイアビリティーをしっかり確保しながら、人材の有効な活用を図っていくという視点も重要ではないかと思っております。
以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
ほかにどなたか、佐久間委員、お願いいたします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
資料ナンバーの2-2、今回、検討課題についての課題を挙げていただいたわけでございます。1回目の検討会、2回目の検討会で皆さん方と議論した中で、この検討会というのは、ITやAI、ロボットとか、現状よりもある程度の先の段階を見越してやるのか、または、現在、生じている問題から将来を見越してやっていくかということを検討してきたわけです。今回の氏型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークとかが非常に身近になったというか、導入が進んできたテーマを今回の調査結果でも挙げていただいています。
私が今後、本検討会でどういうふうに捉えていくのかを疑問に思っているのが、10月16日にも厚生労働省 雇用環境・均等局が、「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」でテレワークのガイドラインを示されております。テレワークの進め方でどうしても労使のコミュニケーションを図らなければいけないということは各所で出ているわけですが、こちらの検討会と、今、厚生労働省の各局・各課など、いろいろな部署でテレワークの関係、そして先にあるAIを使ったものとか、あるいはこのような、なくなる業務、また新しく生まれてくる業務が生じている関係でのコミュニケーションを図る方法が考えられます。また、現状はテレワークにおいても労使のコミュニケーションを図っていかなくてはいけない、いろんな部分で労使のコミュニケーションを図らなければいけないという事象が考えられます。本検討会でもこれから検討していくわけでしょうけれども、それをどういう形で取りまとめを行っていくのか。新しい技術に対して、そこの一つとして労使コミュニケーション図っていくのか、テレワークについての労使コミュニケーションなのか、さらには、なくなっていく業務、新たに生じる業務についての中での労使のコミュニケーションをどのように展開していくのか。その方法論として、個別具体的にするのか、ある程度全体を俯瞰する形でまとめていくのか、その辺の方向性について事務局としてどのように現段階でお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
以上でございます。
○守島座長 ありがとうございます。
今、お答えになりますか。よろしくお願いします。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 御意見ありがとうございました。
まず、後藤委員から、大きな企業だけではなく小さな企業もというお話を頂きました。それから、根橋委員から、各レベルでの取組、特に地域での取組というお話を頂きました。そういったところもできる限りヒアリング等で取り上げられるようにヒアリング先を探していきたいと思います。そこはまた座長と相談しまして、対応させていただければと思います。
それから、佐久間委員からありましたお話でございます。テレワークのところ、これから先、なくなる仕事、できてくる仕事、そういった様々なところで労使コミュニケーションが必要ではないか、それをどうまとめるかということです。まさに様々な段階でコミュニケーションがなされるところを俯瞰的にというようなお話がありましたけれども、どういったところでどういう形での労使コミュニケーションが必要なのかをこちらの検討会で御議論いただいて、それを全体としてまとめるということかと思います。そのために、既に行われている労使コミュニケーションの状況、特に今回、コロナで進んだというところもありますので、さらにヒアリングで追加しまして、そういったところを見ながら、将来的にどういったコミュニケーションが必要になってくるか、御議論いただければと思います。
以上でございます。
○守島座長 ありがとうございます。
佐久間委員、よろしいですか。ありがとうございます。
では、ほかの方、どなたでも、では、仁平委員。
○仁平委員 ありがとうございます。
私も、コロナ禍において、改めて労使のコミュニケーションの範囲という視点が重要だと考えております。デジタル・トランスフォーメーションは恐らく、コロナ禍により加速していくのではないかと考えておりまして、それは言わずもがな、様々な働く人に影響を与えるものだと思います。先ほどのアンケートの中でも様々な影響が見てとれます。
この間のヒアリングでは企業と従業員のコミュニケーションを中心にお伺いしてまいりましたが、先ほどの資料にありましたけれども、フリーランスで働く者もコロナ禍で注目されております。企業と従業員の場合とは違い、まずはコミュニケーションの場自体がほぼないのではないかと思います。例えばウェブ上の相談窓口などはあるのかもしれませんが、従業員と企業の場合とはかなり落差がありますし、そもそも、フリーランスに関しては、セーフティーネットが脆弱であることを前提にしなければいけないのではないかと考えております。さらに、プラットフォームを活用したクラウドワーカーなども確実に増加しており、今後さらに増えていくのではないかと見ております。
こういった方々が如何に固まりをつくっていくのか、そもそもコミュニケーションの相手は誰で、誰と誰をつないでコミュニケーションを図っていくのかということそのものが課題ですし、その他にも様々な課題があるのではないかと考えております。欧州を中心に、海外では、集団的なコミュニケーションを通じたフリーランスに関するルールづくり、あるいは就労環境改善への関与であるとか、集団的な交渉を可能にするような環境づくりなどの動きもあるとお伺いしております。海外の取組なども念頭に置きつつ、ヒアリング等を通じて検討を深めていくべきではないかと考えますので、意見として申し上げておきます。
以上です。
○守島座長 ありがとうございます。
事務局、フリーランス等の点については何かお答えが今ありますか。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 御指摘いただきまして、ありがとうございます。もともとこの検討会の検討課題でも「就業構造・働き方の多様化の中で」ということを入れておりまして、さらに今回、コロナの関係で特に注目を浴びたということもございます。そういったことでフリーランスのところも、今の御指摘を踏まえまして、何らかヒアリングで聞けるいいところがあればということになってまいりますけれども、そちらも調査したいと思いますので、また座長と相談して決めていきたいと思います。
○守島座長 ありがとうございます。
ほかにどなたか、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 NECの佐藤です。
少し観点が違うかもしれないのですが、AIを使ったというところで申し上げますと、弊社のまだ検討中の事例なのですけれども、AIを使いながら、今、ピープルアナリティクスのところをやっています。人と組織の分析みたいなところですが、社内でプロジェクトとしてその分析をやったり、あるいは外の団体にお願いして他の団体と一緒に参画するような分析をやっています。どうもこのコロナの状況というのが世界中にとって初めての体験であることと、ボディブローのようにこの状況が組織や人に対して効いてきているのが分析の中で興味深く浮かび上がってくるところがありまして、言葉で明確に社員が表さないことをAIの分析によって浮かび上がらせることができるのです。もう少しこの検討会の中でもAIを使って状況をより分析していくみたいなことも提言できたらよいかなと思いました。
以上です。
○守島座長 ありがとうございます。
AI等を使って労使コミュニケーションのパターンが変わっていくというのは非常に重要なテーマなので、そういう検討はしていくのだと思います。
○佐藤委員 はい。
○守島座長 ほかにどなたか、井上委員、お願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。
新型コロナウイルス禍において、以前から問題となっておりました人手不足は一時的に低下しておりますが、生産年齢人口の減少などに鑑みますと、人手不足が引き続き日本全体の問題であることは間違いございません。この人手不足を解消するためには、社員一人一人の生産性向上を図る必要がありますので、今後ますます技術革新、AIなどが進展する中で円滑に労使間のコミュニケーションが図られること、その結果、生産性向上につながることを大いに期待しております。
商工会議所の会員企業におきましても、労使のコミュニケーションツールとして費用を投下しまして、社員の端末から共有クラウドにアクセスして、閲覧、参加できる双方向のシステムを構築している企業から、低コストで導入できます。例えばTeams、Zoom、Webex、Meetup、そのほかチャット専用のツールなどを気軽に活用して円滑に社内コミュニケーションを図っている企業も新型コロナウイルス感染症を境に増えてきております。
また、これからアフターコロナの時代にはテレワークが働き方の一つとして定着されることが予想されますので、労使間でのコミュニケーションを図るに当たっては、対面のみならず、テレビ電話やチャットなど形式にとらわれない労使間のコミュニケーションの機会を今後ますます増やしていくことが大切になるのではないかと考えております。
また、中小企業を見ますと、AIをなかなか導入できていない企業もたくさんいらっしゃいますので、こういったコミュニケーションツールなどの取組好事例の収集と周知を引き続き皆様と協力して図っていくことが重要であると考えております。
以上です。
○守島座長 ありがとうございました。
鬼丸委員、手を挙げていらっしゃいましたか。
○鬼丸委員 今、実際に新型コロナの影響で今まで想定していた以上の速度感や広がりを持ってAIをどんどん活用しようという動きが出ているということが各種の調査結果などからも出ているのですが、その中で課題もたくさん出てきていると思います。このようなAIを急いで導入いたしましたが、今後それがどのような形で定着していくか、あるいは広がっていくかということを考える上では、この課題をどうやって乗り越えていくか、そこに必ず労使コミュニケーションという一つのファクターが関わってくるのではないかと感じております。
もしこの検討会で今後、そのケースなどを伺う余裕があるとすれば、急いで導入したが、こういう課題が出てきた、労使コミュニケーションをどう乗り越えたとか、ひょっとすると、あまりに急いで入れ過ぎたので、少し揺り戻しではないですけれども、導入のペースを落としたですとか、入れた先どのような形になっていくのかという、少し長い目で見たときの変化やコミュニケーションの在り方というところも、この会に余裕があれば、一度お話をお聞かせいただいたり、皆様の御意見なども伺えると、さらに労使コミュニケーションについての理解が深まるのではないかと感じております。
以上です。
○守島座長 ありがとうございます。
1つだけ確認したいのですけれども、今のお話というのは、AIというツールを言っておられるのか、新技術全体なのか、それとも急激に入ってきたのはテレワークというか、さっき井上委員もおっしゃったようなオンラインとか、そういうコミュニケーションのパターンをアシストするツールみたいなところが多かったのですが、その辺は鬼丸委員はどこまで広げるべきだとお考えですか。
○鬼丸委員 もしも可能であれば、新技術全体についてコミュニケーションがどのように深まっていっているのかということ、どのようにますます深くしようとしているのかというところを伺えればと思ったのですが、しかし、今の現実の動きの中でどういう改善やコミュニケーションが見られているのかというところに目線をもってまいりますと、先生が今、御指摘くださったように、テレワーク等を、今回、急いで導入しましたというところなどは、よい事例になるのではないかと感じております。
○守島座長 ありがとうございました。
ほかにどなたか、大丈夫ですかね。
この検討会というのは、新技術全体を一応フレームワークの中に置いて、その中でAIやテレワーク、テレワーク自身は働き方なのですけれども、それをアシストするツールとか、そういうものがどういうふうに労使コミュニケーションと関わっていくのか、もしくは労使コミュニケーションのパターンからどういう影響を受けるのかという話をやっていくのだと思います。そういう意味では、急速に入ったというのは非常に重要な事実なのですが、できればそれだけに終わりたくはない。重要な話で、そこをちゃんと見なければいけないというのは確実に同意するのですけれども、それだけで終わるとこの検討会は、さっき佐久間委員も言われたように、もう一つのテレワークのほうの、私もそっちのほうの座長もやっていますので、ちょっと不可思議な感じなのですが、向こうのほうとの差別化という意味も含めて、少し広い範囲の技術、それから、もうちょっと長いスパンでのコミュニケーションと技術、労使コミュニケーションと技術という視点でやっていきたいと私は思っております。
ほかにどなたか御意見等を、後藤委員、どうぞ。
○後藤委員 今の座長のお話の中にありましたとおり、コロナ禍というものに引きずられ過ぎてしまう嫌いがあるかと思っております。AI等の新技術という範囲が一体どこまでなのかを冷静に見なければいけないときに、どうしてもこの半年間、コロナ禍への対応で、いわゆるテレワークが急速に進んでいったということはありますが、テレワーク自体を果たして新技術と言っていいのかということだと思うのです。テレワークを行う中で、先ほど佐藤委員からもあったように、働いている方々の行動をAIで分析するなどというところまでいくのであれば、それはこの検討会がフォーカスすべきところなのではないかと思いますが、ただ単に働く場所を事業所から自宅に移して、それをオンラインでやっているだけということなのであれば、それはまた違う場での議論になってくるのかもしれません。実際、資料2-2の中に、コロナウイルスの感染拡大を踏まえてということを入れていただいていますけれども、実際この半年間で急速に導入が進んでいったものは何なのかということは、分析といいますか、基礎資料として見ておいたほうがいいのではないかと思いました。
○守島座長 ありがとうございます。そのとおりだと思います。
テレワークということ自身を捉えると、それは新技術ではなくて、新技術によって可能になった一種の新しい働き方というふうに私は理解しているのですが、それと労使コミュニケーションというものにどういう関係があったのか、今回の過去6か月ぐらいで起こってきたことだけを捉えて見ていると、少し特殊現象を見ている感じが私はしますので、そこのところももうちょっと長い目で、長い目というか、広い目で見ていきたいという感覚を私個人は持っています。
ほかにどなたか、よろしいですか。
事務局から何かありますか。大丈夫ですか。
ほかにどなたもいらっしゃらなければ、今、ある方向性がある程度見えたように思いますので、それで進めていきたいと思います。皆さん方、御意見どうもありがとうございました。
それでは、そろそろ時間ですので、議題2に移りたいと思います。議題2は、JILPTにやっていただいた調査結果の御報告を中村研究員からお願いしたいと思っております。中村さん、よろしくお願いいたします。
○中村氏 ただいま御紹介いただきました労働政策研究・研修機構の中村です。
本日は、厚生労働省からの要請を受けまして、私どもが実施いたしました「AIなどデジタル技術の導入と労使コミュニケーションに関する調査」の調査結果を報告させていただきます。
では、パワーポイントの1ページを御覧ください。「はじめに」というところでございます。AIなどデジタル技術を職場に導入するときに、企業は従業員とどのような協議やコミュニケーションをしているのか、また、そうしたコミュニケーションがあること、あるいはなかったこと、協議をした方法が導入効果にどういうふうに影響があったのか、こうした調査で、AIなどが導入されたときに働き方がどう変わるかということではなくて、そうした技術を導入する際のコミュニケーションの在り方、それが後に影響しているのかどうかというところにフォーカスした調査でございます。
調査概要は、そこに書きましたとおりで、本年3月から4月、まさに緊急事態宣言のさなかに調査を実施いたしました。対象は30人以上の事業所、これは「労使コミュニケーション調査」になるべく準ずるということを考えまして、2万票をまき配布しました。このところ、企業調査の回収率というのはなかなか上がらないのですが、今回は幸運なことに約2割弱の回収率になりました。
2ページを御覧ください。「主たる事実発見」ということで、ここから何枚かは企業属性や日常的なコミュニケーションの在り方ということの結果でございます。属性のところは御覧いただければと思いますが、事業所を単位に調査しておりますので、その事業所が所属しております企業の規模を聞いております。100人から299人で4割弱、業種は最も多かったのが製造業、それから卸小売、運輸、建設、医療、福祉といったところが1割程度という構成になっております。
3ページでございます。創業年は結構ばらつきがございますけれども、10年区切りで見ますと、一番多かったのが1950年代、平均は1956年という結果でございました。調査いたしました事業所の従業員数では、100人から299人で3割をちょっと超える程度という結果でございます。平均人数は、全体、正社員、派遣、そこに書きましたとおりでございます。
4ページを御覧ください。労働組合の有無も聞いております。労働組合が「あり」と答えたのが4割、「なし」がほぼ6割でございました。その中で、ユニオンショップ協定を締結しているのが約3分の2、していないのが3割という結果でございます。組合の場合、正社員以外の加入者が「加入している」のが4分の1強、「加入資格はあるが、加入していない」が5%、「加入資格がない」というのが過半数でございます。この辺りまでが属性でございます。
日常的なコミュニケーションということに関しますのが⑥以降でございます。労使協議のための手段ということで、どのような手段を持っているのかということを尋ねました。一番多かったのが社内報などでの情報提供で7割弱、懇談会・説明会などの常設ではない会合、そして相談窓口といった回答が多くなっており、4割強です。
5ページを御覧ください。そういったところでどういった協議をしているのかということを尋ねますと、基本的には労働条件や職場環境に関わることと言っていいと思います。「労働時間・休日・休暇」が7割強、「安全衛生」が約3分の2、「福利厚生」が約50%という結果でございました。
では、そうした協議をした結果の反映がどういうところにつながっていくのか、当然のことでございますけれども、「労働条件・職場環境の改善」がほぼ9割で断トツのトップ、その次が少し下がりますが、「雇用の維持や配置・職種転換」が4割強という水準でございました。4割弱で「ハラスメント防止への影響」も反映されているという結果でございました。これも単純集計の結果でございます。
この辺りが、事業所属性と日常的なコミュニケーションの内容ということで質問した結果でございます。
では、6ページにお移りください。この調査の目的でございます、新しい技術を導入するときの労使の協議があったのかなかったのか、どういうことになっていたのかというところに入ってまいります。
そもそも新しいデジタル技術と呼ばれるもの、これは非常に範囲が広うございますが、実際問題、企業、事業所はどういった技術を導入しているのか、それを尋ねたのが6ページのグラフでございます。複数回答で聞いておりますが、最も多かったのが「クラウド」で6割、それに「RPA」「ロボット」が約2割の水準で続いております。よくこういった場合に代表的に取り上げられます「AI」といいますと、やはり今の段階では1割強という水準でございました。右側のグラフは単純集計の結果のみを掲載しておりますが、一番最後のところに、若干ではございますが、基本的には業種別でクラウドあるいはほかの技術の導入状況というグラフを作成いたしまして、添付しております。後ほど参考までに御覧いただければと思います。
ざっと見ておきますと「クラウド」は各業種でもちろん導入率が高いのですが、金融・保険、卸小売、製造業などが5割前後ということで相対的に低くなっているところが見られました。「RPA」に関しましては、進んでいるのが不動産業、情報通信業で5割ほど、「ロボット」では、やはり製造業が大きいのですが、あと、医療、福祉で3割程度、「AI」は卸小売、宿泊業で3割程度という結果でございました。「3Dプリンター」は、やはり物を作るということで製造業、あるいは生活関連サービス業で2割ほどの導入となっておりました。これが導入状況の概要でございます。
7ページにお進みください。では、こうした技術をどういうことを狙って導入したのかというのが7ページのグラフでございます。その上で、どういう効果があったと企業が認識しているのかという話でございます。狙ったのは、最も多かったのが「定型的な業務の効率化・生産性の向上」であったという結果でございました。そして、効果があったというところもその点が一番多くなっております。その次が、大分比率は落ちますが、狙いとして出てきているのが「人件費の削減」、そして「オフィスコストの削減」という結果でございました。AIというと何か非常に創造的なというイメージもございますけれども、基本的にはこうした技術が効率化や生産性の向上を狙って導入されているという結果でございます。
ただ、幾つかクロス集計を行っておりますけれども、5000人以上の規模の企業、あるいは創業2000年以降の企業、比較的新しい企業で効果を尋ねますと、左のような単純集計結果とは別に、例えば「自社の製品・サービスの競争力の強化」や「顧客満足度の向上」で効果があったという結果が少しほかとは違って出ておりました。
8ページを御覧ください。少し細かい図になっておりまして、恐縮でございます。では、そうした新技術導入の際に、協議したのか、しなかったのか、した場合にはどういったタイミングで協議したのかというところでございます。全体の結果といたしましては「導入前に行った」が4割程度、「導入後に行った」が1割強、「行っていない」が実は過半数でございました。
それを業種別あるいは企業規模といった属性ごとに見た結果がその2つのグラフでございます。業種別には「生活関連サービス業」「医療、福祉」で導入前の協議が全体より多くなっているということと、企業規模を見ますと「5000人以上」、非常に大きいところが導入前に協議を行っているという比率が高いのですが、それを除きますと、規模が小さいほど導入前協議比率が高いという結果でございました。組合の有無あるいは労使協議機関の有無に関して見たのはその下に書いてあります。
9ページを御覧ください。導入に際して、協議した時期、そのときの組合や従業員側の姿勢ということを尋ねております。事前に協議したという場合には、1か月単位で区切りますと「6か月前」が約3割で一番多くなっておりますけれども、「3か月前」、要するに、すぐ近くになってからの合計がほぼ3割という結果でございました。半年というところを中心に考えますと、半年以上前の合計、前からやっているというのが半数という結果でございます。
そうした協議を提案されたときに組合あるいは従業員側がどういう姿勢であったのかということを尋ねますと、おおむね積極的に対応をしてきたという結果でございました。ほぼ半数は積極的と考えられる。むしろどちらかというと消極的であったというのは非常に少ないという結果でございました。
では、導入の決定の前に協議したのか、あるいは企業側が導入を決定した後に協議したのかを尋ねますと、「前に協議」が4割強、「後に協議」が4分の1強という結果でございます。
10ページを御覧ください。導入前に従業員と協議した方法はどういう方法であったのかを尋ねたのがそのページでございます。従業員に対して「説明会を実施した」が過半数で、「幹部による説明や意見交換の場の設定」が3分の1強、「日常的な業務の中での説明」も3分の1ほど、「社内報や社内掲示板での情報提供」もほぼ3割というところで続いております。
そうした結果を製造業・非製造業で分けて見たのが右のグラフでございます。若干傾向が違っているのが御覧いただけるかと思います。非製造業の場合ですと「従業員への説明会の実施」が過半数となっておりますけれども、製造業の場合ですと「日常的な業務上の会話の中での説明」が過半数という結果でございました。その辺りが業種別には違うのかなというところでございます。
11ページを御覧ください。導入前に協議した事項、当初方針からの見直しとの関係ということでございます。そうした技術を導入するときに導入前にはどういうことを話し合っているのか、複数回答で尋ねた結果が11ページのグラフの左側でございます。そこにもありますとおり「取組の導入方針・範囲・スケジュール」が一番多くて8割強、「運用方法・作業環境の変更」も8割強、「業務内容の見直し」が7割強、「勤務時間や働き方の見直し」が3分の2程度で続いております。「組織編成の見直し」、それ以外のところも5割強というところです。導入前に、当然と思われるスケジュールのところを始めとして、組織編成の見直しといった非常に重要度の高いと思われるような事柄を非常にたくさん協議しているというところがこの結果からも御覧いただけるかと思います。
協議しました結果、では当初方針から何か見直しにつながっていったのかというところも尋ねております。見直しにつながったのかどうか、そうした見直しには特につながらなかったのかを見たのが右側のグラフでございます。見直しにつながったという回答が多かったのが「運用方法・作業環境の変更」「業務内容の見直し」「勤務時間や働き方の見直し」という結果でございました。そして「取組の導入方針・範囲・スケジュール」から右側の部分は、協議はしたけれども、当初方針からの見直しにはつながらなかったという項目が並んでおります。一番右を御覧いただきますと「人事制度の見直し」は、協議はしたけれども、特に見直しにはつながっていないという項目でございました。
協議したというのが導入前、導入後というところで両方同じパターンで質問しておりますが、グラフの形もほぼ変わりません。第2位、第3位の「業務内容の見直し」と「勤務時間や働き方の見直し」が逆転しているだけで、あとの結果は全て同じという結果でございました。
12ページを御覧ください。そうした協議によって効果があったのかどうかということを尋ねました。そうすると「効果あり」という回答が9割と大多数でございました。そして、これが協議したタイミングで違うのかと思って調べてみたのですが、そういうことには関わりなく、いずれの場合でも傾向は同じでございました。
では、協議による効果の内容は何かとなると「現場の意見が反映され、効果的な実施につながった」あるいは従業員の理解、納得感が得られたということで、効果的な実施、計画どおりの導入・運用、円滑な実施につながったと回答が読み取れるように思えます。右側のグラフで御覧いただいていますように、製造業と非製造業では若干傾向が違うところもございました。
13ページを御覧ください。効果があったという回答が大多数というところを今、申し上げたのですが、一方で、協議により何か課題が生じていないのかというところも尋ねた結果が13ページのグラフでございます。「課題が生じた」と回答しているのが4分の1強、「課題が生じなかった」と答えているのが7割弱という結果でございました。「課題が生じた」という場合に具体的にはどんな課題だったのかというところが左側でございますが、一番多かったのが「調整に時間がかかり、導入・運用の計画が遅れた」、第2位が、少し下がりますけれども、「従業員の意見で、予定よりコスト高のものを導入した」、この2つが多数でございました。
1位、2位の回答を企業規模あるいは業種、製造業・非製造業で見たのが右側のグラフでございます。それを見ますと、企業規模が大きいほど、あるいは非製造業のほうが「調整に時間がかかり、導入・運用の計画が遅れた」という回答が高くなっておりました。
14ページにお進みください。最初のほうに、協議を行わなかったところが過半数であったという結果を御報告しております。これは私には意外だったのですが、協議を行わなかった理由は何なのかということでお尋ねした結果が14ページでございます。最も多かったのは「経営判断であるため、必要がなかった」が51%でございます。「特に大きな決断ではなかった」が25%、ほぼ同じで、「本社や親会社の方針であったから」が24%、「現場の裁量で導入したから」が2割強という結果でございました。
様々なクロスを取っておりますけれども、製造業・非製造業で比較いたしますと、右側のグラフで御覧いただいておりますように「特に大きな決断ではなかった」というのは非製造で高いのですが、「現場の裁量で導入したから」は製造業で高いという結果になっておりました。
協議を行わないために生じた課題では「特に課題を感じていない」が8割という結果でございます。課題があったという回答ももちろんあるのですが、「従業員から不満の声があった」が一番多い回答で約5%という水準でございました。
15ページを御覧ください。そうした協議を行った成果の把握、あるいは「見える化」というものを考えているのか、実施しているのかということに関しましては「行っている」という回答が4割弱、「行っていない」が6割でございました。企業規模で見ますと、やはり大企業ほど行っている比率が高くなっております。
その内容を見ますと「労働生産性に関する定性的な成果の把握」が最も多くて4割弱という水準でございます。これは、どういう効果があったのかを聞き取りしているということをイメージしていただければいいのではないかと思います。そして「労働生産性に関する成果の目標や目安となる数値を定める」が3割、「労働生産性に関する定量的な指標を設定」が2割強でございました。製造業・非製造業で見ますと、製造業のほうでは「目標となる数値」というところが高くなっておりまして、非製造業のほうでは「定性的な成果の把握」が高くなっております。
16ページを御覧ください。そうした成果の把握の「見える化」をやっていることでどういった効果があるのかを尋ねたのが16ページの結果でございます。効果としましては「業務の効率化・省力化」が約8割、「労働時間の削減」が過半数と上位になっておりました。その一方で「従業員の負担の軽減」が4分の1強、「顧客満足度の向上」が4分の1強ということで、「業務の効率化・省力化」「労働時間の削減」というところに比べますと、相対的に低くなっているという結果でございました。
それを製造業・非製造業で分けたのが左側のグラフでございます。創業年で古いところ、1919年までの創業と2000年以降の創業の企業で分けて見たのが右側のグラフでございます。製造業・非製造業というところでは、製造業で「労働力不足解消」が高くなっておりますけれども、非製造業では「顧客満足度の向上」が違いというところで見えるかと思います。創業年で見た場合には、黄色のところを御覧いただきますと、上位の項目とは別に「より質の高い商品などで顧客満足度の向上」が非常に高いという結果が出ておりました。
17ページを御覧ください。取組成果に関して「あった」という回答が非常に多いわけですが、それを従業員とどういうふうに共有しているのかというところを尋ねております。「概ね全ての従業員と共有」が4割弱、「限定された従業員のみと共有」が3分の1強でございますが、その2つが3割を超えているという回答でございました。「概ね全ての従業員と共有」というのは、規模が大きな企業、非製造業、創業年が新しい企業ほど多いという結果でございました。
情報を共有し、活用しているかどうかということに関しましては「組合との協議などで活用している」という回答が4割強で最も多くなっておりますが、「共有するのみにとどめている」という回答も、若干差がありますけれども、ほぼ同じ水準であったという結果でございました。
18ページを御覧ください。取組を効果的に行うための対応というところも尋ねておりますが、右側のグラフで御覧いただいているとおり、無回答が6割という結果でございました。やっているという回答が一番多かった「業務プロセスの見直し」も2割弱ということを考えますと、全体として取組を効果的に行うための対応策にはあまり積極的に取り組んではおられないという結果でございます。
19ページを御覧ください。これは全ての事業所に尋ねております。今後、デジタル技術を活用した取組を行う予定があるのか、あるいはその際に従業員との協議を予定しているのかどうかを尋ねた結果でございます。今後の取組に関しましては「予定がある」が3割、「予定はない」が1割、「わからない」が過半数でございました。いろんなところで切っておりますけれども、企業規模、事業所規模が大きいほど「予定あり」の比率が高くなっているという傾向を御覧いただけるかと思います。行う予定がある場合には、従業員との協議に関して実施するという肯定的な回答が6割を超えております。逆に否定的な回答は2割という結果でございました。
おおよそここまでが調査結果の概要でございます。
最後に20ページを御覧ください。若干、簡単なまとめをしております。
「明らかになったこと」をざっと見直します。
全体として見ますと、新しいデジタル技術を導入する目的、これは技術の範囲が非常に広うございますけれども、定型的な業務の効率化、生産性の向上にあったと考えてよろしいかと思います。
そのため、導入した効果がどうだったのかというときに、やはりそうした点が着目されているということでございました。
新技術導入に際して、従業員側との協議が絶対必要だとは思われていない。少なくともこの調査からはそういうふうに考えられます。過半数は事前協議を行っていませんでした。
ただ、それが重要ではないということではなくて、基本的には新技術の導入が経営判断であり、そこまで従業員との協議をする必要がなかったと企業側は考えているからだと思われます。
協議した場合でも、その後のプロセスを見ますと、協議をどのタイミングでしているのか、それがどういうふうに影響を及ぼしているのかというところも見ましたが、協議のタイミングというのはあまり大きな問題ではないと考えられます。
それが全体としての結果でございますけれども、さらに企業規模、事業所規模、いろいろな企業属性によって差異が見られることは確かでございまして、そこを軸にさらに検討していく必要があると思います。
「まとめと今後の課題」も簡単にまとめました。
今も申し上げましたように、結果は、ある意味、一貫しているように思えます。現段階で導入されている新技術はおおむね、企業内をあたかも一変させるというようなイメージではございませんで、効率化を目指すということが大きな目的になっていたと思います。効果も、そうした範囲内で検討されております。そして、少なくともそうした新技術というのは、あくまでも経営判断の範疇で考えられることでありますので、従業員との協議は必ずしも必要・重要ではないと考えている企業が多かったというふうにこの調査からは読み取れます。
ただ、それこそクラウドの導入ということと、例えばAI、そうしたところは相当技術自体も違いますし、技術を導入すると一言でまとめてしまいましても、その内容・種類によって状況は相当異なるというのは当然のことだろうと思えます。今回は、こうした技術全体の導入と労使コミュニケーションというところで検討をいたしておりますけれども、その技術の種類、それが非常に特殊な技術であるのか、あるいは一般的なものであるのか、企業全体にとってどの程度の重要性があるのかといったところをきちんと整理しながら、こうした問題を考えていく必要があるのだろうと思えます。
急ぎ足で申し訳ございません。雑駁ではございますが、私からの御報告は以上でございます。
○守島座長 中村さん、ありがとうございました。
それでは、質疑応答に移りたいと思います。
最初に確認だけさせていただきたいのですが、調査票は誰に答えてもらうという指定を何かしたのですか。人事部長なのか、何なのかというと、どうなのでしょうか。
○中村氏 それも実は非常に悩んだところでございますけれども、今回は事業所単位に送っておりますので、事業所の人事・総務担当に送っております。
○守島座長 ありがとうございました。
それでは、皆さん方から御質問、御意見を受けたいと思います。どなたからでもどうぞ。では、後藤委員、お願いします。
○後藤委員 御説明ありがとうございました。
今後の検討会を考えていく上で大変示唆に富んだ調査だったと感じております。つまり、ここで言う協議とは一体何なのかということであって、ひいてはこの検討会の中でこれからまとめを行っていくに当たり、労使コミュニケーションはどういう内容のものを求めていけばいいのかということに、大きくつながる結果だったと思います。
資料の10ページに、新技術についてどの様な形で協議しましたかという質問を設定していただいております。労働組合の役員の立場からすると、協議というと、ここのグラフの中にある「労使協議機関での協議」や「労働組合との団体交渉」であるとか、組合に限らず、何か社員の団体があって、そこと会社との間でしっかり議論する、どうしてもそういうイメージを持つのですけれども、この結果によると、大半が会社からの説明会、あるいは掲示板に情報を掲示であるとか、あるいはSNS、電子メールなどによる情報提供ということのほうが多くなっています。
では、その中でどういう内容を扱っているかというと、11ページの右側のグラフが象徴的だと思います。労働組合が協議する場合は、どちらかというと赤が減っていて青が増えている部分、ここで言うと、導入のスケジュールぐらいのところから反転していっていますが、生産性が向上したら従業員にどう配分しますか、であるとか、あるいは新しい技術を入れたら教育をどうしていくのですか、人事配置はどうしますか、組織変更はどういうことがあるのでしょうか、というようなことを会社側とがっちり話し合うことが協議というイメージでおります。新しい技術の運用方法、作業環境、あるいは業務をそれに基づいてどういうふうに見直していくかということについては、組合の視点からすると、それはまさしく職場での中での仕事の進め方のことなので、それは職場の方々にお任せしますということのほうが実態としては多いと受け止めています。そこから先に進んで、当該技術を入れて仕事をしていったときに、その部署では、例えば人が減らされてしまうかもしれない、時間が浮いたので新しい業務を追加するということが、結果として労働強化につながっていくかもしれない、あるいは大きな組織変更が起きてしまうかもしれないという部分のところにフォーカスして議論していくのがどちらかというと協議ということになっていくのではないのかと思います。
したがって、14ページの「経営判断だったから協議する必要がなかった」が過半数という結果は、まさしくそうなのだろうと思いまして、新しい技術を入れてこういうふうに仕事の内容を変えますよ、あるいは新しいツールを入れますよということを、会社として決めたので、職場に周知します、これを入れるけれども、どういう品物かが分からないので、どういう使い方をしていったらいいか職場で考えてね、という様な話合いを協議だというふうに会社の方々が思っているのであれば、まさにこの結果のとおりなのだろうと思っています。
つまり、最終的には、こういう結果を踏まえて、この検討会の中で、新しい技術を入れていくときに会社と働く人の間でどういうコミュニケーションを取っていくことが必要なのかということをきちんと整理していったほうがいいのではないかと思います。部会の報告書でも、取り残されてしまっていく人たちが出る可能性があるので、しっかりと職場でコミュニケーションを取るべきで、この検討会で考えてくださいということだったと思います。そういった視点を持つことを強く指摘していただいた調査だったと思いますので、今後の議論の参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
ほかにどなたか、戎野委員、お願いいたします。
○戎野委員 貴重な調査だと思います。ありがとうございました。
今もお話がありましたけれども、まさに新技術を入れていくに当たってどのようなコミュニケーションがあるべきかというのが、この調査の中でも一つの大きなテーマだったと思います。コミュニケーションを図っていく必要性、協議を行う必要性がないという回答も多く、協議を大事にしているところはその効果を高く評価していますし、その必要性はないと思っているところはそれによる問題もあまりなかったと思っているということで、新技術導入に当たってコミュニケーションが必要だと思うところは、より必要だと思いますし、そうでないところはそう思わないという、非常にくっきり分かれて出ているかなと思いました。
やはり新しい技術を導入していくに当たっては、いろいろな問題があるだろうということがこれまでの議論でもありまして、そのときに労使がどう協力し、そこにはやはり協議も必要だろうという問題意識が我々にはあるわけです。そこで、そもそもAIをはじめとしたデジタル技術を導入する、しないにかかわらず、どのようなコミュニケーションを労使で築いていたところにこの新技術導入という事態が入ってきたのかということ、要するに、新技術導入に当たって、その基盤となる職場なり労使の関係性にもともと違いがあったので、こういう反応の差が出てきたというようなことがもし分かれば、ぜひ教えていただきたいというのが1つです。
それから、こういう問題というのは、新技術導入しました、仕事がスムーズにいきますから問題ないです、あるいは苦情がないから問題ないですという、確かに短期的に見れば大きな問題はないかもしれませんが、実際に仕事を進めていく上では、そこで例えばトラブルが発生した、何か異常なことが発生したときの対応時に、事前に協議していたからこそ、あのときうまくいったねとか、やはりあのときにコミュニケーションを取っていなかったからうまくいかないとか、少しタイムラグがあって中長期的に見ると出てくることもあると思います。いつの時点で新技術を導入して、いつの時点で問題があったとか、効果があったとか、あるいは問題がなかったとか、そのような判断をしているのかという、時間的なものも併せて何か御存じでしたら教えていただけると大変参考になると思います。
以上2点、質問です。よろしくお願いします。
○守島座長 ありがとうございます。
では、中村さん。
○中村氏 大変重要な御指摘ありがとうございました。
後々を考えていきますと、今、御指摘いただきました、こうした新技術を入れる前にどういう状況であったのかということに左右されるのではないかというのは、私も全く当然のことだと思います。厚労省の方々とも調査票をいろいろ検討しておりましたときに、日常的なコミュニケーションの状況をどこまで入れるのかというのは、相当話し合った結果、御指摘いただいた、一言で言ってしまうと、コミュニケーションがうまくいっているかどうかといったところをきちんと把握するような設問を今回は入れておりません。直接はっきりとこういう傾向ですとお答えできないのが大変残念でございますが、ただ、非常に重要な御指摘でございますので、似たような変数で何か考えられないのかというのは今も考えているところでございます。何か協議する場が、例えば多いとか、今から調査をやり直すことができないので、それもまた後の反省でございますけれども、少なくともそうした人事や労務の担当者が自分たちの事業所、企業は労使コミュニケーションがうまくいっているかどうか、主観的にきちんと答えてもらうというような設問を入れてもよかったのかなと、今さらになって考えております。
ただ、今も申し上げましたとおりで、いろんなチャンネルあるいはいろんな方法でコミュニケーションを取っているというところが一つはコミュニケーションをうまくやっているという代理変数にひょっとするとなるのかなという気もしておりますので、またこれから検討させていただきたいというのが一つでございます。
そして、導入と効果を考えるときのタイムラグというお話でございます。それも非常に重要な御指摘だと思うのですが、これはあくまでも1回限りの調査というところがございますので、きちんとそうしたタイムラグも含めて結果を検討することが基本的にはできないというところでございます。何らかこれと同じテーマでもう一つ調査ができるという可能性は少ないとは思いますけれども、何か別の機会がありましたときに、御指摘いただいたタイムラグというところも含んだ検討ができるような仕組み、仕掛けというものをこれから考えていかなくてはいけないと思っております。
きちんとした回答になりませんで申し訳ございませんでした。
○戎野委員 ありがとうございました。
1つの調査だけで全てが分かるわけではなくて、今回のお話を頂いた上にこれからヒアリングということなので、まさに積み重ねていくということなので、大変貴重な調査だったと思います。今回聞けなかった部分をまたヒアリングのほうで補足できたらと思います。事前のコミュニケーションがどうだったかというのは、4ページ目あるいは5ページ目辺りの結果とのクロスによって、何らかの傾向がもし見えるようでしたら、また改めて御教示いただければと思います。どうもありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございました。
今の点は、今、戎野委員も言われましたけれども、常設の機関があるのかないのか、単にSNSで配信しているだけなのかというような、それだけでも労使関係のパターンがどうなっているかというのは結構違う可能性はあると思います。複数選択になっている可能性があるので、ちょっと難しいところはありますけれども、そんなところを使われるといいかなと思います。
その問題点はテレワークの導入についても言えて、これは中村さんは関係ないですが、テレワークを入れて、それがうまくいくというときも、やはり労使、上司と部下というのが一般的ですが、そのコミュニケーションがきちんとしているとうまくいくと言われていますから、そういう点では戎野さんが言われたことは物すごく重要な話なのだろうと私も思いました。私がしゃべってすみません。
ほかの方、どなたか、仁平さん。
○仁平委員 ありがとうございます。
20ページのまとめに記載があるように、新技術の内容や種類によってコミュニケーションの中身は相当異なるのだろうと考えております。6ページに、導入した新技術の内容と割合につきまして、クラウドから3Dプリンターまで記載されてあるのに続き、「上記以外のICT技術」と「その他」という項目がありますが、これらの具体的な内容については聞けているのでしょうか。調査時期が3月から4月ということもあり、急な対応となり慌ただしく選択肢を選んでいる可能性もあるのではないでしょうか。その場合、協議などを含めて様々な項目に影響している可能性もあるかと思います。「上記以外」と「その他」の詳細につきまして、分かるのかどうか教えていただければと思います。
○守島座長 これは自由記述を取っているのですか。
○中村氏 自由記述も取っております。こうした新しい技術というのは、例えばAIだったり、RPAであったり、聞いたことはあるけれども、よく分からないというところが間々あろうかと思いますので、AIなりRPAというのはこういうものですよという、それぞれの簡単な解説を3行程度で全てつけております。それから、今、御指摘いただきました「上記以外のICT技術」というのも例示しておりまして、読み上げますと「社内の情報共有やコミュニケーションツールとしてのクラウド以外のグループウェア、社内SNS、クラウドを活用しないスマートフォン、タブレットなどの携帯端末による情報共有、土木・建設の現場での三次元データ等のICT技術」といったような、なるべく分かっていただけるような例示をいたしまして、IoTやロボット、そういうところに入らない場合はこちらにつけてくださいという調査票にしております。
○守島座長 ありがとうございます。
ほかにどなたか、どうぞ。
○森戸委員 詳細な御報告ありがとうございました。
各委員が御指摘になったことのまとめみたいな意見になるかもしれませんが、非常に詳細な調査ですけれども、限界というか、もうちょっとヒアリングとかで聞いてみないと分からないところも見えたのかなという気がいたしました。
仁平委員がおっしゃったこともそうですが、新技術が何かによって、どんなものかによって話も違うでしょうし、かつどういう影響があるのか、そんなにないのかということにも話が大分違ってくる。突き詰めれば、経営判断だから説明は特に要らないというのがありましたけれども、あれも雇用そのもの、極端に人減らしになるかはともかく、これもさっき後藤委員がおっしゃいましたが、雇用そのものに影響があるとか、働き方が大分変わってしまうものなのか、そうではなくて単に今までやっていたこれがこっちになるだけなのかでコミュニケーションが要る要らない、職場の影響も大分違うと思います。雇用なり働き方にどういう影響があるものなのかによって当然コミュニケーションの必要性や影響も違うと思うので、その辺が調査だと全体的には出てくるけれども、その中にはいろんな雇用なり職場への影響が大きいものと、そうでもないものが入っているのだろうという気がしています。アンケートには会社側の狙い、効果というのはありましたが、それは労働者側、働く側にどういう影響があったかという話とはまた別なので、その辺がもうちょっと分かるといいのかなと思いました。
そうすると、これは戎野委員がおっしゃったことかもしれませんが、導入前もそうだけれども、導入した後どうだったのか、ちょっと時間を置いてからのチェックも要るかもしれないし、突き詰めれば労働側からというのですか、導入された職場のほう、労働側としてはどういう影響があったか、なかったか、どうでしたかというのも本当は聞かなければいけないのだろうと思います。労働側は、もちろん組合があればいいのだけれども、組合がない場合、どうやって把握したり調べたりするのか、ちょっと難しいのかもしれませんが、そういうところを今後意識して実態をもうちょっと深く見ることができたらなと思いました。
コメントですけれども、以上です。
○守島座長 有益なコメント、ありがとうございました。
ほかに、どうぞ、佐久間委員。
○佐久間委員 報告ありがとうございました。
私から感想を2点ほどです。
12ページの協議による効果は、まさにコミュニケーションを図る上では、導入前に協議した、導入後に協議したというこの数字はやはり高いものがあると感じます。日本的というふうになるのかもしれませんが、やはり労使でどういうふうにやっていくか相談しながらやっていくということが非常に重視されるのではないかと思います。そこの中で、今、ジョブ型雇用とか、その業務業務でこういう仕事の役割をしていくというときでも、やはり協議というのが必要になるのかなと感じたところです。
もう一点ですけれども、16ページに「見える化」による効果というところがあります。私も興味深く拝見させていただいたのですが、「業務の効率化・省力化」というのは、当然こういうもので企業は導入していくわけです。攻めのITをやっていくという観点からいくと、この項目の中で「新たな商品など新たな付加価値の創出」、まさにここが攻めのITであり、付加価値と生産性の向上にはこういうところを一番重視していくのかなと思ったのですが、この項目だけ見ると「業務の効率化・省力化」という、どちらかというと今までずっと取り組んできた項目が非常に多くて、それを一歩出た全社的な統合的な管理をするとか、それで積極的に打ち出していくという観点が大企業も含めてもまだ少ないのかなと思っています。ただ、実際に大企業はこのぐらいの数字ではないと思います。もっとすごくやっていらっしゃると思います。AIやロボットというのが「業務の効率化・省力化」のところに入ってしまっていて、本来だったら「新たな商品開発など新たな付加価値の創出」のほうに入るべきなのではないかということを感じたのですが、感想でございます。ありがとうございました。
○守島座長 ありがとうございます。
ほかにどなたか、鬼丸委員、お願いします。
○鬼丸委員 技術的な質問ですが、スライドの12枚目で協議による効果の内容というものがございました。例えば、こういったところは企業規模の違いによって何か傾向の違いが見られたりするということはあるのか、お伺いしたいです。もちろんスライドの12枚目だけではございませんが、どうしても日本で労働組合がある企業というと、どちらかというと大手の企業に偏っているという一般的なイメージがございますが、こういった労使コミュニケーションの調査の中でも、労働組合のあるなし、企業規模というのが結果に影響を与えていたのかどうかを教えていただければと思います。
○中村氏 ありがとうございます。
今、御指摘いただきました協議による効果の内容というところで、企業規模でどう違っていたのか、その分析はしておりますが、手元にデータを持っておりませんので、今、正確なお答えができないのですが、ほぼ全ての設問に関しまして、企業規模、事業所規模、組合の有無というところで切っておりまして、クロスをかけて検討しております。
それを見た私の感想のようになってしまうのが非常に申し訳ないのですけれども、組合のあるなしで回答傾向は案外違っておりませんでした。逆に、もう少し違うのかなと思ったのですが、組合ということに関してはあまりなかったという印象を持っております。ただ、その事業所が所属する企業規模というところに関しましては、特に非常に大きな規模の企業の回答傾向が違うというところは見えております。多分、年度内にはこの調査結果も取りまとめのつもりでございますので、そうした中で検討できればと思っております。
○守島座長 ありがとうございました。
例えば8ページ目のクロスだと、労使協議機関があるかないかというのがほとんど違わないのですね。「労使コミュニケーション調査」は今回、別のシートにありますけれども、それと比べてみてどんな感じなのかというのは少し見たほうがいいかもしれないですね。私も、労働組合に関してはあまり変数化できないというイメージを今回は持ったのですけれども、ありがとうございます。
ほかにどなたか、どうぞ、根橋委員。
○根橋委員 ありがとうございました。
私も感想になってしまいますが、先ほどから発言がありますように、労使コミュニケーションといっても、私たち労働組合の視点でいくと、やはり労使協議というのはこういう場で行うものだというものがあるのですが、多様なコミュニケーションがあるということが示されたと思っています。
ただ、私が着目したのは、協議の方法が一方通行的な報告なのか、という点です。私たちが解すると、協議というのは双方向で意見を出し合う、知恵を出し合う場というところがありますが、10ページにあるように日常的な会話の中での説明が基本ということから想像すると、「こういうのを今回入れるので、よろしく」という説明にとどまっている一方通行的なものに捉えられます。この協議というものが何なのかということについては、この間、労働政策基本部会の報告でも言及していただいていますように「人間中心のAI社会原則」なども踏まえ、要は、労使が知恵を出し合って、AIを導入する際には現場を熟知した働く者の声を十分踏まえて、それをもってAIをどう導入するかということが必要だと思っているのですが、協議ということの定義を考えさせられたというところで、この辺をもう少し明確化していかないと具体的な報告につながらないのではないかと感じたところです。
以上です。
○守島座長 ありがとうございます。
その点は非常に重要だと私も思っています。要するに、労使コミュニケーションというもの自体が変質している。それはAIとか新技術の問題だけなのか、それとも一般的に労使関係自身が変化しているのか、原因は分かりませんけれども、労使コミュニケーションとか協議というとき、経営の方と働く人たちが何を認知しているのかというのは非常に重要な問題だと私も思いました。ありがとうございます。
ほかにどなたか、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ちょっと感想めいたことにもなりますし、何人かの委員の方々がおっしゃったことに重なるのですけれども、16ページの左側のところで、いろいろなものを導入してすぐに見えるものは比較的バーが高くなっているのかなと思いました。例えば顧客満足度から下辺りは、ちょっと時間がかかって、しばらくしてから効果が見えてくるものとか、そこに向かっていかなければいけないものなので、今後が注目されるかなと思います。コミュニケーションというか、労使の協議というようなところでも、会社側が今やっているプロセス、やり方を単にICTに変えますという導入のことだけではなくて、それによって何を目指しているのかをしっかり協議することで、本当に効果が見えなくても、このグラフの下のほうの項目にもう少しフォーカスされて本質的なところに行くのではないかと、感想ですけれども、思いました。
○守島座長 ありがとうございます。先ほど戎野委員が言われたことともちょっと関係しますね。
ほかにどなたか、池田委員、お願いいたします。
○池田委員 大変興味深いデータの御教示、ありがとうございました。
私、統計分析は素人なので、もし分かればというか、そういう分析あるいは、仮説があれば教えていただきたいということで、2点お伺いします。
まず、先ほど出ていた質問にも関係するのですが、8ページに過半数が協議をそもそも「実施していない」という回答結果が出ている中で、しかし10ページの「協議として何をしましたか」という質問の項目の中には、先ほどから出ている一方的なコミュニケーションとして、社内報や社内掲示板、場合によっては電子メールでの情報提供というのまで入っています。これを見ますと、もしかしたら協議というものの理解に、行き違いがあったのかもしれないのですが、過半数の企業はそもそも説明すらしていないと、そういう結果が出てきてしまうということになります。ただ、私のイメージでは、AIとか新しい技術をアナログの技術から置き換えるというときに、説明すらしないなんてことが企業運営上あり得るのだろうかというのが気に懸かりました。この結果について何か分析されたことがあるか、あるいは仮説を立てられたことがあるか、御教示いただきたいのが1点目です。
2点目ですが、7ページに「ねらいと効果」についての分析があります。左段の「ねらいと効果・合計」のグラフを見ますと、総じて言えるのは、狙いほどの効果には達していないと残念ながら言えるのかなという気がしております。デジタル技術の導入というのは、導入を決定する使用者側は狙いがあってやるのだけれども、導入してみた結果としてはどうも狙ったほどの効果は得られていないというのがこの結果から恐らく出るということになるのだと思います。
しかしながら、15ページで御説明いただいたところでは、そもそも成果を把握していないところが非常に多いということなので、そもそも成果を把握していないから、思った効果が得られているかどうか回答していないということなのでしょうか。そういう結果だと分析されるのか、それともコミュニケーションが不十分だったので、現場とのそごが生じてしまって、思ったほどの成果が得られなかったということになっているのか、仮説でも構いませんので、もし統計分析として何か得られた結果があれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○守島座長 ありがとうございました。
では、中村さん、お願いします。
○中村氏 ありがとうございました。
後のほうから申しますと、狙ったほどの効果が出ていないというのはこのグラフからも明らかでございますけれども、いろんな調査をしておりますと、逆に、ここまで狙って、その効果があったというギャップが少なくはなっております。そうすると、いろんな調査との比較で申し上げるのが適切かどうか分からないのですけれども、印象論でございますが、この調査に関してはギャップが実は少ないほうなのです。ですから、狙ったほどの効果が得られていないというのは、御指摘は全くそのとおりですけれども、むしろ私のほうからしますと、ここまで狙ってここまで効果があったという回答比率が高いのかという印象でございました。あと、先ほど付け加えて、把握していないからなのかというふうにおっしゃったのですが、そこもきちんと判別しておりませんでしたので、もう一度その点は検討させていただきます。
それから、第1点が何でしたか。ごめんなさい。
○守島座長 池田さんがおっしゃったのは、協議とは何なのだろうと、協議の意味がちょっと違う、そういう意味ですね。
○中村氏 協議というのも技術の内容によって相当違うのだろうと思いますが、今回の調査できちんと絞れなかった一つの要因というのは、技術の導入状況が基本的にはきちんと分かっていない。どの技術がどれぐらい入っているのかというところを見ながら、その特定の技術を導入する際にどういうふうに協議、話合いをしているのか、していないのかという話ではなくて、どうしてもそれを含めた全体でどういうふうに話し合っていますか、協議していますかという聞き方しかできなかったというところがございます。クラウドを入れる場合と、AI、ロボットを入れる場合というのは、相当内容が違うというのは当たり前の話でございますから、これから何らかの検討をしていくときにその辺りもきちんと分けながら検討していく必要があると思います。御指摘いただきましたところは当然のことなのですが、この調査の限界もそこにあるのかなと思います。すみません。回答になっていないかもしれません。
○守島座長 ありがとうございます。
池田委員がおっしゃったことは結構重要だと思っています。協議をやらなかったというときに、何をやらなかったのかということも実は明らかにしなければ本当には分かっていかない、そういう話ですね。そこのところもやはり深めていけるといいかなと思います。
ほかにどなたか。
○村山政策立案総括審議官 事務局から1点だけ、よろしいでしょうか。
○守島座長 どうぞ。
○村山政策立案総括審議官 先ほど守島座長からも御紹介のあった調査で、多くの委員の御質問や問題関心に沿うものとして、資料4の「令和元年『労使コミュニケーション調査』結果概要」がございます。時間の関係もありますので、ポイントを御説明します。
まず、3ページ、労使関係について企業の人事・労務の方に聞くと、8割を超える企業の方々は「安定的」だと思っていらっしゃいます。
4ページ、先ほど後藤委員から御指摘のあった何が話し合われているのかという点について、労使コミュニケーション全体で重視する内容としては、「日常業務改善」「作業環境改善」「職場の人間関係」等、企業の人事側は身近な内容を挙げています。
それから、多くの委員からお話の出た労使協議機関の有無に関しては、5ページ、6ページで、労働組合の有無別ではくっきりとした差があります。
この労使協議機関に付議する事項に関しては、8ページのとおり、中核的な労働条件の関係や雇用自体の在り方ということで、これが根橋委員がおっしゃった伝統的な協議で話し合われている内容なのだろうと思います。
それから、労働者側の声も見たいという御意見が森戸委員からございましたが、この調査は労働者側への調査も行っており、17ページ以降ですけれども、若干のギャップがあると言いながら、コミュニケーションの良好度に関しては6割を超える方が「よい」と答えていて、「悪い」と言われている方は1割弱ということです。
コミュニケーション全般の重視する内容としては、身近なことと労働条件のことが多くなっております。
今回お配りしているのは最新の調査結果の概要だけでございますが、戎野先生からお話がございました時系列という意味では、こうしたファンダメンタルな内容に関しては同じような調査項目でずっとデータを取っておりますので、今日の御意見を踏まえてどういうお示しの仕方ができるか、考えていきたいと思います。
それと、中村様からの御説明にありましたように、今回、JILPTにお願いして調査していただくときに、ベースラインとしては同じような企業の調査対象に調査票を送っていただいてますので、同じような対象の企業を調査したときに、今回のJILPTの調査でこういったことも明らかになったという形で見ていただくと、多くの委員から投げかけのあった問題意識に対していろいろヒントになるところもあると思っております。
なお、最後に、調査を依頼した私ども側からとして、労使コミュニケーション調査では新技術と雇用の関係について選択肢に上げて聞いていないわけでありまして、それが課題になってきたので、未踏の領域をJILPTの皆さんに英知を結集してやっていただいた。それは新しい課題であるだけになかなか難しいところもありますけれども、ファンダメンタルなところと併せて、またこの場で深めていただくことができればと思っております。
雑駁な資料の追加説明でございますが、以上でございます。
○守島座長 ありがとうございました。
確かにサンプリングの段階ではイコールというか、割合と同じものを捉えたと思いますが、回答した人たちということになるとちょっとまた違ってくると思いますので、そういう意味ではそこの部分はちょっと織り込まなければいけないかなと思いました。
時間が大分たちましたけれども、ほかに皆さん方、何か御意見等あれば。
それでは、ちょうど時間もいい頃になりましたので、これで今回の検討会は終わらせていただければと思います。皆さん方、活発な御議論をどうもありがとうございました。
事務局からありましたか。
○高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官 最後に、次回の検討会の日程でございますが、次回は11月24日火曜日、10時から12時の開催を予定しております。詳細につきましては、追って事務局から御連絡いたします。
○守島座長 では、これで終わりにしたいと思います。皆さん方、お忙しい中、どうもありがとうございました。御苦労さまでした。