第131回社会保障審議会医療保険部会 議事録

日時

令和2年10月14日(水)15:00~17:06

場所

全国都市会館

議題

  1. 1.医療保険制度における新型コロナウイルス感染症の影響と対応について
  2. 2.医療保険制度改革について
  3. 3.マイナンバーカードの健康保険証利用等について
  4. 4.令和3年度予算概算要求(保険局関係)(報告)

議事

議事内容
 
○須田課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第131回「医療保険部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただき、ありがとうございます。
なお、本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによる開催としております。会議中、御発言の際は「手を挙げる」ボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにしていただくよう、お願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には「反応」をクリックいただいた上で賛成、親指アップボタンをクリック、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、一瀬委員、藤原委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、平井委員、池端委員におかれましては、公務のため途中退席されると御連絡をいただいております。
次に、前回の医療保険部会開催以降、事務局に人事異動がございました。私より紹介いたします。
大臣官房審議官(医療保険担当)の榎本でございます。
○榎本審議官 このたび医療保険担当の審議官を拝命いたしました榎本でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○須田課長 本日、記者の方には別室にて会議の模様を傍聴いただいております。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○須田課長 それでは、以降の議事運営は遠藤部会長にお願いいたします。
○遠藤部会長 では、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入る前に、欠席委員の代わりに出席をされる方についてお諮りいたします。藤原委員の代理としまして酒向参考人の出席につき、御承認をいただければと思いますが、よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日は、「医療保険制度における新型コロナウイルス感染症の影響と対応について」「医療保険制度改革について」「マイナンバーカードの健康保険証利用等について」「令和3年度予算概算要求(保険局関係)(報告)」の4つを議題といたします。
では、初めに、「医療保険制度における新型コロナウイルス感染症の影響と対応について」を議題といたします。関連の資料を事務局から説明をお願いいたします。
○西岡課長 調査課長でございます。
資料1-1を御説明させていただきます。新型コロナウイルス感染症の影響として、最近の医療費の動向を紹介させていただきたいと思います。
1ページ目を御覧ください。厚生労働省では、いわゆるメディアスとして月次で医療費の動向を公表しております。前回の部会で令和元年度分を紹介させていただいたところですが、今回、その後、4月から6月分が取りまとまりましたので、御報告します。
通常、月次の報告は厚生労働省のホームページで公表させていただいておりますが、4月から6月は新型コロナウイルス感染症の影響により患者の受診動向等に大きな変化があったことから、そのポイントとなる部分を取りまとめました。実線の枠の中に主な内容を書いておりますが、令和2年4月から6月の医療費の伸びは、対前年同月比で4月はマイナス8.8%、5月はマイナス11.9%と10%程度の減少となりましたが、6月はマイナス2.4%の減少にとどまっております。
2つ目の○、診療種別では、入院外、歯科の減少幅が大きくなっております。
3つ目の○ですが、とりわけ未就学者の減少、医科診療所の小児科、耳鼻咽喉科の減少が大きくなっておりまして、都道府県間でも減少幅に差が見られたということでございます。
2ページ目を御覧ください。医療費の動向を見る上で、医療費の要素を受診の頻度を表す受診延日数と1日当たり医療費に分けて見ることができます。令和元年度の医療費の伸びが2.4%となっていますが、これは近年の伸び率から見ても、人口の高齢化、医療の高度化などによる平均的な伸びの年だったと評価しており、その要素の内訳としては、受診延日数はマイナス0.8%の微減、1日当たり医療費はプラス3.2%となっております。
それに対して4月、5月は、受診延日数はマイナス17.9%、マイナス18.5%となっておりまして、一方で1日当たり医療費はプラス11.0%、プラス8.1%となっており、新型コロナウイルスの影響により受診頻度が落ちる一方で、1回の診療における費用が増えていることが分かります。6月についても、医療費はマイナス2.4%に戻ってはいますが、受診延日数はマイナス8.2%で、依然として受診頻度は落ちている傾向にあります。
3ページを御覧ください。同様にそれぞれの医療費の動向を受診延日数と1日当たり医療費に要素分解して示しておりますが、3ページからは診療種別に見たものです。入院については、受診延日数が下がる一方で、4月、5月の1日当たり医療費は令和元年度に比べても低くなっているということが特徴でございます。なお、6月の1日当たり医療費は3.0%とプラスになっております。
4ページを御覧ください。今度は入院外になります。受診延日数が4月、5月でマイナス20%程度まで落ち込む一方で、1日当たり医療費が7~8%伸びているというのが、入院外の特徴となります。
5ページを御覧ください。歯科についてですが、こちらはおおむね入院外と同様の傾向が見られております。
続きまして、6ページでございます。調剤ですが、4月で言えば受診延日数がマイナス16.5%、1日当たり医療費がプラス16.1%となっており、受診延日数が減った分、1日当たり医療費もある程度増えている。結果として、入院外に比べても医療費の減り幅は少なくなっているということが言えます。
続きまして、7ページから10ページで年齢別の状況を見ております。7ページは75歳以上の状況でございますが、4月がマイナス7.9%、5月がマイナス11.1%、6月がマイナス1.8%で推移しております。こちらの医療費には、入院、入院外、歯科、調剤等の合計が含まれております。
8ページを御覧ください。75歳未満の状況で見ると、4月がマイナス10.5%、5月がマイナス13.5%、6月がマイナス3.3%で推移しておりまして、75歳以上と比べると医療費の減り幅はやや大きくなっております。
続いて9ページですが、この減り幅につきましては、未就学者の変動幅が大きいことが影響しておりまして、未就学者を除く75歳未満の状況で見ると、75歳以上の減り幅に近づいていることが分かります。
10ページでございます。未就学者のみを取り出してその状況を見ると、4月マイナス32.1%、5月マイナス33.8%、6月マイナス22.9%となっており、減り幅が大きい上に、6月になっても戻っていないという状況が分かります。また、1人当たり日数については、4月43.3%、5月47.4%、6月35.9%で、1日当たり医療費は、4月が19.9%、5月が25.9%、6月が20.4%のプラスとなっております。
この1日当たり医療費の増の中には、医療費の内訳としての入院と入院外で、入院外の減少幅のほうが大きかったので相対的に入院のウエートが大きくなったことで増えたという影響があるので、その点は御留意いただけたらと思います。
11ページでございます。入院外の医療費につきまして、診療所の主たる診療科別の伸び率を見たところですが、他の診療科に比べて小児科、耳鼻咽喉科の減少幅が大きく、それは6月になっても戻っていない。これらの診療科には、未就学者などの子供の受診が大きいことが考えられます。
12ページを御覧ください。同じく入院外医療費について、都道府県別に医療費の伸び率を見ると、東京を含む1都3県や富山、石川、大阪、福岡、沖縄といったところで減少幅が大きくなっておりまして、東北、山陰、九州の各県など減少幅が小さいところもあり、差異があることが分かります。
13ページでございます。このように新型コロナウイルス感染症の影響により、医療費がこれまでにない状況で変動しております。その際、月次で見ているわけですが、留意点がありまして、休日の数によって変動影響を考慮する必要があります。過去の経験値から日曜・祭日、土曜と休日でない木曜があると休診日が増えて、医療費が押し下げられる影響があります。逆にそれらの日が減ると、医療費が押し上げられる影響があります。    
6月については総計でマイナス2.4%の減ということで、医療費の水準が戻ってきていますが、昨年6月に比べて今年は日曜と土曜がそれぞれ1日少なかったために、その影響を調整するとマイナス6.1%になることを参考に示しておきたいと思います。
続きまして、レセプト件数・点数に関する調査を紹介いたしたいと思います。
こちらは社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険中央会のそれぞれのホームページで掲載されている数値を基に、参考までに厚生労働省で対前年同月比と対前々年同月比を機械的に算出したもので、7月まで見ることができます。それぞれ3月から7月までの推移について、15ページから19ページはレセプト件数、20ページから24ページがレセプトの点数について取りまとめたものとなっております。
15ページが診療種類別、16ページは入院・外来別、17ページは病院と診療所別、18ページが診療所の診療科別、19ページは地域別として、新型コロナウイルス対策で4月に対策本部が特定警戒都道府県と位置づけた都道府県とそれ以外で、それぞれのレセプト件数を比較したものを示しております。
20ページでございますが、被用者、国保、後期高齢者の制度別、21ページは診療種類別、22ページが入院外来別、23ページが病院と診療所別、24ページが診療所の診療科別に、それぞれ点数の比較を示したものです。
先ほどメディアスのデータで4月から6月の動向を見たところでありますが、件数の前年同月比については、7月も6月と同水準、もしくはそれ以上に戻ってきている区分も多いことが分かります。一方で、点数の前年同月比については、6月よりも7月の減少幅がわずかに大きくなっている区分があります。いずれにしても、今後、7月以降の医療費の動向等をしっかり取りまとめていきたいと思っています。その際には、休日の補正の影響なども踏まえた上で、実態を捉えていきたいと思っております。
駆け足ですが、説明は以上とさせていただきます。
○須田課長 総務課長でございます。
続きまして、資料1-2「医療保険制度における新型コロナウイルス感染症への対応について」を説明させていただきたいと思います。
1ページ目を御覧いただければと思います。こちらにつきましては、6月19日に開催いたしました医療保険部会におきましてもほぼ同様の資料で取組を紹介させていただきました。その後、追加的に行った対応もございますので、改めて御説明を申し上げたいと思います。
まず「1.保険料の減免、猶予等」ですけれども、被用者保険に関しましては、本年2月以降、収入減があった方に、保険料を無担保かつ延滞税なしで1年間納付を猶予すると。また、5月以降は、診療報酬月額・保険料を翌月から減額改定できるという特例措置を講じてございます。
国民健康保険・後期高齢者医療制度につきましては、新型コロナウイルスの影響で収入が減少した被保険者への保険料減免措置及びその費用の財政支援を実施しております。
続いて「2.傷病手当金の対応」でございます。3月にQ&Aを発出し、発熱などの症状があるために自宅療養を行った期間についても対象とする。また、事業主の証明書による支給も可能とするといったようなことを周知してございます。国民健康保険・後期高齢者医療制度への特例的な財政支援も実施しております。
続いて2ページでございます。「3.特定健診・特定保健指導等における対応」につきましては、緊急事態宣言期間中、また、宣言解除後の必要な対応につき、通知を発出しております。
「4.PCR検査、抗原検査の保険適用」につきましては、御覧いただけますように3月、5月、6月、それぞれ医療保険を適用する検査を拡大してきております。
3ページ目に参ります。「5.診療報酬上の対応」でございますが、4月、5月の対応に加えまして、9月には、呼吸不全管理を要する中等症以上の入院患者への救急医療管理加算を5倍に引き上げるという措置を講じております。
マルニといたしまして、これはいわゆるオンライン診療でございますけれども、4月10日以降、記載のとおりの措置を講じております。
「6.診療報酬の概算前払い」につきましては、福祉医療機構などの融資が実施されるまで、5月診療分の診療報酬の一部につきまして、概算前払いを実施するという措置を講じております。
続いて4ページ目、今申し上げてきました措置の実績でございます。まず、健康保険組合の保険料につきましては、8月時点で御覧のとおり123組合、延べ2,856事業所、合計で235.9億円の保険料の納付猶予を行っております。協会けんぽにつきましては、8月時点で1,050.3億円の保険料の納付猶予がなされております。
続いて5ページ目でございます。今申し上げました健康保険組合の納付猶予状況の詳細、3月以降、月ごとの推移を整理したものでございます。御参照いただければと思います。
続いて6ページ目、標準報酬月額を翌月から改定できる特例を設けたという件でございますけれども、8月までに1.5万事業所、19万人に適用がございました。その後、8月から12月の休業により所得の急減があった方についても同様の措置を講じるなどを行っております。
次のページですけれども、国保と後期高齢者医療における保険料減免、それから、傷病手当金の実績をまとめさせていただきました。御参照いただければと思います。
続いて8ページ目でございます。診療報酬上、簡易な報告によりまして各入院料を算定できる取扱いとした件につきまして、4月18日以降、10月1日までの間の実績の推移を整理させていただきました。こちらも御参照いただければと思います。
最後に9ページでございます。オンライン診療の特例的な取扱いに対応する医療機関の数を、7月末の時点で各都道府県に御報告いただいたその結果を集計しております。都道府県ごとに初診、それから初診を含めた全体の、対応している医療機関数を紹介しておりますので、こちらも御参照いただければと思います。
説明は以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまのコロナ対応についての前回からの追加の御説明ということになるかと思いますけれども、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
藤井委員、お願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
まず、受診控えということは明らかでございますが、もともと先進諸国の中でも我が国は受診頻度が突出して高いということなので、これはむしろ正常な状態に近づいたのではないかという指摘もあるところでございます。
したがいまして、今までもしかしたら安易に医療機関にかかっていたのではないか、さらには、受診抑制が生じた結果、実際に重症化された方がいらっしゃるのかどうかについて、さらに掘り下げた分析をお願いできればと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
重症化した人の何らかのデータがあればという御要望もありました。ありがとうございます。
では、平井委員、お願いいたします。
○平井委員 ありがとうございます。また前回に引き続きましてこういう場をつくっていただき、遠藤部会長はじめ、皆様の御尽力、厚労省の御協力に感謝を申し上げたいと思います。
新型コロナの問題につきましては、我々、現場で医療機関と日々協議をしているところであります。現在、実は各都道府県、非常に頭を痛めていると思うのです。10月中に一般の診療所、クリニックにおきましても新型コロナの検査ができるようにすべきだと、これは厚労省のほうからそうした指導の通知が来ているわけでありまして、本県ももちろんでありますが、都道府県でそれを医療機関に対して今、協力をお願いしているところであります。
ただ、非常に、従来の新型コロナをめぐる医療の状況に対して、一種の恐怖感を現場では持っている。それは、新型コロナに関わっていくと経営が悪化するのではないだろうか。また、風評被害が起こるのではないだろうか。こういう声もいろいろな県で上がっているということで知事会のほうでも集計をしているのですが、万が一感染者がそのクリニックで出た場合に、それに対するコンペンセーション、補償というのがないではないかと。ですから、各現場で結構難航しているというのが実態であります。
やはり、これは医療全体の問題として、こういう保険診療ということも含めて、何らかの相応の手当てをする必要があるのではないかと思います。大きな病院で実際に入院している患者さんのところには、診療報酬の引き上げなど、順次、措置の拡大が図られてきています。ただ、それ以外のところでは、先ほどもございましたが、受診控えが小児科や歯科診療などで起こっているのも事実でありまして、それを単なるトレンドの問題としてだけいいのか、これが引き金を引いて、結局は受けられるべき医療が受けられなくなるということにつながらないか。また、新しい問題として、町のクリニックに対する対策、ここは診療報酬や、一応二万数千円の助成の問題というのは出てきてはいるのですが、正直、現場で説得するのは非常に厳しいぐらい、反論や反発も多いところであります。
やはりここは今、菅内閣が正面切って向き合うべき課題ということでありますので、ぜひ審議会、あるいは今後、中医協等いろいろなところで御議論をいただくのが本来ではないかと考えております。
なお、受診控えについての様々な御議論があるのかもしれませんけれども、我々が危惧をしておりますのは、例えば、がんとか、そういう非常に厳しい状況の中にあっても、やはり受診を控えられる、それによって診療が遅れて手遅れになるということであるとか、様々な問題が実は現場では指摘をされているところであります。正直申し上げて、医学界のほうでもそれぞれの学会が受診抑制を奨励するかのようなこともございまして、やはり経済社会を動かすということもありますが、医療につきましても、ある程度は正常化しながら、ウィズコロナというものをやっていく、医療界全体のそうした動きも本来であれば必要ではないか。そういうことで、むしろ受診控えをなくしていくことも必要なのではないかと考えております。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、先ほど来、お手を挙げておられます石上委員、お願いいたします。
○石上委員 ありがとうございます。
今御説明があったように、医療費は4月、5月に大きく落ち込んだということで、結果として医療機関の経営問題に影響したということは事実だと思います。
この間の議論の中で、外来の患者を病院から診療所へという流れをつくるということで、定額負担の拡大なども議論しているわけですけれども、結局、外来の患者によって病院の経営が保たれてきたという一面があることが今回明らかになったのではないかと思います。地方など医療機関の少ない地域での医療を確保していくという意味で言うと、単に機能分化を促進していくという議論だけでいいのかどうかという課題が明らかになったのではないかと思っております。医師や診療科の偏在問題ですとか、医療機関が少ない地域など、様々な状況を勘案して、機能分化促進という課題についても議論をしていく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
機能分化の議論にも一石を投じているのではなかろうかという御意見だと思います。
それでは、お待たせしました。佐野委員、お願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず、医療費の動向については、やはり4月、5月は当然伸びが下がっておって、6月には大分戻りつつあるというのは分かるけれども、今回の資料でも出ていますが、年代別や診療科別の実態について今後どうなってくるのか、注意深く見ていく必要があると思っています。
それを踏まえた上で、患者のほうの受診動向がどのようになっているのか、受診控えということの理由がどういうものなのか等々も含めて、よく調査分析をした上で、適切な医療機関の受診を含めて、医療の在り方等々を検討していくことが必要なのだろうと思っております。
もう一つの資料1-2のほうでございますけれども、こちらの6ページに今回の特例措置の延長の話がございます。これ自体は健保組合としてもやむを得ないものだと考えておりますけれども、既に実施されています特例措置と同様に、事務が円滑に進むように丁寧な周知、説明等々、十分な配慮をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
続いて、横尾委員、お願いいたします。
○横尾委員 ありがとうございます。お尋ねをさせていただきたいと思います。
貴重な資料を頂いて、まずありがとうございます。こうやって全体がエビデンスベースで分かるというのは大変ありがたいなと思っているところです。
その資料のコロナ関係ですけれども、18ページに診療科目ごとにレセプトの件数としてデータが出ています。かなり詳細で興味深く拝見いたしますし、多分、報道や一般の方も関心があるかと思っています。よく言われる「診療を控えることが多くなってしまう」という心配もあれば、片方からは、医療機関におかれましては、その分患者さんが減られますので、「経営的にも厳しさが増した」というのも、こういったデータを見ることで分かるかなと思っています。
そこでちょっとお伺いなのですが、例えば地域ごとに現状を見てみますと、一つはミクロに見ていくと、これは月単位なのですけれども、可能だったら、地域別にデータがもし取れるのであるなら、やっていただくと有効だと思います。ちなみに実際に起こっている事例を言いますと、その地域で感染者が発生したということになるとその影響が出てくる可能性があるのです。感染者発生のことがニュースに出るとそれに敏感に反応される住民の方も多いと思っています。
もう一つの影響は、公的病院やある程度の規模の民間病院で「新型コロナウイルス感染患者に対応します」とか、「入院受付します」とかいったことをしますと、そのことが新聞やテレビで報じられることによって、その病院への来院を控えるとか、あるいはその周辺の医療機関にも影響が出るということを聞きました。今後調査されるのであれば、そういうミクロの地域ごとの状況も見られたら、もっと詳細に分かるかなというのが1点目に感じているところです。
そこで1つ伺いたいのは、これだけ減ったことによって、現状としては、97%、100%とだんだん戻ってきていますけど、5、6、7月にかなり減っている診療科目があります。当然、経営的にも厳しい状況になっていると思うのですが、医療の崩壊を防ぎ、今後の地域医療を確保するためにはそういった医療機関が存続することが極めて重要なのです。これらについて、今後、厚労省とか政府では何らかの対策を考えようとされているのか、あるいは医師会などではそういった要望を強くなさっているのか、その辺の状況が分かれば教えていただければありがたいと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、御質問がございましたけれども、事務局、お願いします。
○井内課長 医療課長でございます。
今の厚労省ではコロナの影響が出た医療機関への支援でどういったことを考えているのかということでございます。診療報酬での対応も、本日御紹介させていただきましたように一定程度やっておりますし、補助金のほうも出ております。そうような支援策を活用していただくというのがまず一義的に必要かと思っております。
その上で、本日の分析のようなことを今後も我々としても注視し、一般医療を担う医療機関、地域の医療体制がどういったことになっているのかについても注視しつつ、その在り方についてしっかりと検討していきたいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
横尾委員、よろしゅうございますか。ありがとうございます。
続きまして、前葉委員、お願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
私は、1-2の7ページに国保と後期高齢者医療の減免決定について御記載いただきましたので、この点について発言をさせていただきます。
既に真ん中の段、令和2年度の分だけで、国保は240億減免決定、後期高齢も2.8億という数字が出ております。非常に大きな金額になっております。これへの財政措置については、参考資料1の最初のページに出していただいていますが、令和2年度補正予算365億、これは特別調整交付金とは別に準備をしていただいています。ただ、これは介護保険を入れてのもので、小さく右上の隅に書いてありますが、国保は260億ですね。このペースだと非常に不足が生じる心配もございますので、今後、3次補正になるのかどうなるのか分かりませんが、もし、さらに不足が生じる場合には、必要な予算について確保をしていただけますよう、厚生労働省において、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
予算に関するお考えをお示しされたわけですが、何か事務局からありますか。よろしゅうございますか。
それでは、続きまして、菊池部会長代理、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長代理 ありがとうございます。
私からも1点、ちょうど今、国保の保険料のお話がございました。私も保険料に関して、国保のほうは減免という措置が取られていますが、被用者保険についてはあくまで納付猶予ということになっています。ということは、行く行くは保険料を徴収することになりますが、その際には標準報酬月額の改定を行って、そういったもろもろの事務処理がかなり発生すると思います。もちろん健保組合についてもそうなのですが、とりわけ協会けんぽさんにつきまして、これは実際上、日本年金機構が徴収事務を行っているのではないかと思います。実はその年金の保険料のほうで今かなり懸念されていまして、この徴収事務は相当の事務量があって、年金機構の事務量の逼迫が懸念されているところなのです。ですので、この点に関しては、年金局だけではなく、保険局としても御留意いただいて、御配慮いただきたいということで1点お願いしておきます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務の負担についての御発言でしたが、何か保険局としてお考えはありますか。お願いいたします。
○姫野課長 保険課長でございます。
今、協会けんぽの保険料の徴収について、年金機構での事務負担について、しっかり配慮するようにと御指摘いただきました。年金機構における事務負担については協会けんぽの方からも一部事務負担、費用負担しながら行っておりますし、さらに今回、特例改定ということで、標準報酬の改定を4か月待たずに翌月から改定するという取組もしてございますが、こういった中身については、年金局と保険局と足並みをそろえながら、円滑に事務が進むように調整してございますので、引き続き円滑な事務の遂行に努めていきたいと考えてございます。
以上です。
○遠藤部会長 よろしくお願いいたします。
それでは、お待たせしました。林委員、お願いいたします。
○林委員 ありがとうございます。歯科医師会の林でございます。
詳細なデータをお示しいただきまして、ありがとうございます。私からは、資料1-2の9ページ目でございます。歯科におきましては、4月27日より時限的・特例的に電話等通信機器を用いた診療が認められたところでございますが、このお示しいただいておりますデータの中に、歯科も入っている件数データであるかどうかということと、また、万が一入っているのであれば、届出医療機関数、並びに初診の報告件数を切り分けてお示ししていただくことができるかどうかということでございます。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 では、事務局、御回答いただきたいと思いますが、いかがでしょう。お願いします。
○須田課長 恐れ入ります。詳細につきまして、今手元にございません。また、この内訳が出せるかどうかということも、これは医政局のほうで調べているものでございますので、確認をして、後日、御報告させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 では、そのような対応でよろしくお願いいたします。
○林委員 よろしくお願いします。
○遠藤部会長 では、お待たせしました。兼子委員、どうぞ。
○兼子委員 ありがとうございます。
私のほうからは、資料1-2でPCR検査のこととか、あるいは保険料の減免のことが出ていますが、これらについて今後のことということで、PCR検査については前回も少し発言しましたけれども、高齢者の立場から言いますと、今のコロナ感染の中で外出を控える。一般的に控えるというよりも、閉じこもり状態の高齢者が増えているということがあるわけですね。その閉じこもりによって、心身への影響が非常に大きいわけです。私どもの老人クラブの活動、あるいは多くの高齢者の社会活動というのは、公的な地域センターとか公民館、団地の集会所などを利用して開かれています。こういった利用についてはあらかじめ申し込んでいますので、利用計画に従って参加者が数日前から検査を受けて、陰性であれば、一応の安心感で参加できるということが考えられます。そういう意味で、このPCR検査の抜本的な強化をぜひお願いしたい。公費で賄うことが大切ではないかと。このことによって、閉じこもりの重症化を防ぐということと、コロナ感染の場合も、やはり基本は早期発見、早期対応ということだと思いますので、抜本的な対応が必要であると思います。
2番目ですが、保険料の減免の問題ですけれども、ぜひコロナを通じて、私はやはり応急的な対策としてやっていく必要があるのではないかと。常々、私は、非課税世帯は保険料減免ということを申し上げておりますけれども、コロナを通じてその必要性が現実味を帯びてきていると思います。保険料が払えない、窓口負担が払えないということで、医療にアクセスできない人がいるということは、コロナ感染者が潜伏するという事態をつくってしまうと考えられます。コロナにとどまらず、新しい感染症がこれからは頻発するということが様々な形で言われていますので、そういう意味でも、保険料について減免というものが、非課税ということを基準にして、私は取り入れていくべきではないかと思っております。
それから、今日の資料とは関連しないのかもしれませんけれども、コロナを通じて感じた点ですが、先ほど申し上げましたように、新しい感染症が数年置きに起きてくると言われていますので、診療機関の空きベッドはある程度確保していくということが、むしろ私は社会的に必要なのではないかと。これについてどんな形がいいのか。診療報酬では対応できない課題ですので、公費でそこを賄っていくとか、そういうことをしていかないと、こういう感染症が起きた場合の対応に遅れが出るのではないかと思います。
あと、今、マスクとか防護服などがかなり出回り始めたようですけれども、今回のコロナ対策を通じて非常に感じましたのは、国内での生産体制をきちんと確保しておかないと、医療従事者の方々、何日間も同じ防護服を使うとか、そういった報道などを見ていますと一般市民としては非常に心が痛む問題ですので、こういった対応ということでお願いしたいと思います。
少し出された資料から外れた点もあったかと思いますが、以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、森委員、お願いいたします。
○森委員 ありがとうございます。
資料1-1の6ページを御覧いただければと思います。医療費の動向、調剤への影響なのですけれども、先ほど事務局のほうから1日当たりの医療費が調剤は伸びているというお話がありました。その要因なのですけれども、一つは感染防止の点から処方の長期化が行われています。これまで14日分でもらっていた人が30日分、1か月分、30日分であった人が60日分などと伸びており、薬剤費の増加が要因のひとつだと思います。
もう一点が、今日の資料にありますように、小児科や耳鼻科の患者さんがかなり減っています。そのため、1日当たりの医療費が少ない患者さんが減っていることによって、1日当たりの医療費が伸びている要因になっているのではないかと思います。
15ページ目のレセプト件数を見ていただきますと、調剤も医科同様に減少しております。3月から件数が減少してきて、4月、5月と大きく減少して、緊急事態宣言解除後、一時的に6月は回復したのですけれども、7月がまた落ち込んでおります。
7月に落ち込んだ要因なのですけれども、処方の長期化による受診間隔の影響があると思います。今後も前年に比べて受診患者が減少した中で処方の長期化の影響によって患者数が上下していくことが予想されます。今後も注意深く、医療機関、薬局への影響を見ていただいて、医療機能、薬局機能を維持するための支援をお願いしたいと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。調剤報酬に関しての動向についての解説をしていただきました。
ほかにございますか。
それでは、松原委員、お待たせしました。
○松原委員 日本医師会の松原でございます。
厚生労働省におかれましては、いろいろな点においてコロナ対策に対し御配慮いただき、大変感謝しているとこであります。ただ、今回のレセプトの調査でも明らかとなりましたように、耳鼻科と小児科では、患者さんが、感染を恐れて、非常に苦境に立っているというのは事実であります。その対応をお願いしたいと存じます。新型コロナウイルスについては、世界を見ていますと、イギリスではまた再び燃え上がっていますし、フランスでもそうであります。アメリカはとても終息できない状態です。海外から再び入ってくることも含め、これからの秋冬において大変様々な問題が起きると思います。現場の意見をよくお聞きいただきたく存じます。現場の医療機関は、最前線でございます。よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
それでは、大体御意見を承ったと思いますので、この議題はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
議題の2番目でございます。医療保険制度改革について、子ども・子育て支援、その中での不妊治療関係を本日やりますので、不妊治療関係につきまして、事務局から関係資料の説明をお願いします。
○姫野課長 保険課長でございます。
資料2と参考資料2を用いまして、御説明をしたいと思います。
まず、資料2の1ページ目でございますが、不妊治療の保険適用に係る政府方針ということで整理をしてございます。今年の5月ですけれども、少子化社会対策大綱の中で今後の5年間の計画を立ててございます。この中で不妊治療につきましては、適応症と効果が明らかな治療には広く医療保険の適用を検討するという、これは従来と同様の内容でございますが、記載してございます。加えまして、そのためまずはということで、2020年度に調査研究等を通じて、不妊治療に関する実態把握を行うとともに、効果的な治療に対する医療保険の適用の在り方を含め、検討のための調査研究を行うということで盛り込んでいたところでございます。
加えまして、その下、菅内閣の基本方針ということで、この9月に閣議決定した内容でございますが、不妊治療への保険適用を実現するという方向性を示しているところでございます。
これを踏まえまして、現在の不妊治療の流れを2ページ目に概略図で載せております。青枠で囲っている上の部分が現在保険適用されている部分、下側の赤枠の部分が保険適用されていないものという区分けになってございます。上のほうですけれども、まず検査をする段階、そして、男性不妊、女性不妊、または原因が分からないいわゆる機能性不妊といった形で大別されますが、その後、原因に対する治療ということで、手術あるいは薬物療法、そういったものが行われる部分については保険適用がされているということでございます。
一方で、機能性不妊ですとか治療が奏功しなかったものにつきましては、夫婦間での人工授精、あるいは体外受精、顕微授精といったものが行われてございますが、赤い点線で囲っている部分、いわゆる特定不妊治療と呼んでおりますが、この部分につきましては、現在、国費で助成をしているところでございます。
それ以外、精子提供、卵子提供、代理懐胎といった部分につきましては、倫理的な課題などもございまして、保険適用も国による助成事業もいずれも対象になっていないという整理でございます。
次に、3ページが不妊治療の概要ということで、タイミング法、人工授精、体外受精、顕微授精といったもののイメージ図を掲げてございます。例えばマルサンにあります体外受精ですと、卵巣に穿刺し、卵子を採取した上で、シャーレ上で精子と受精させるといった形で、ある程度侵襲性のある行為も行われているという実態でございます。
4ページ、不妊治療の実態でございますが、国で網羅的に実施件数などは把握してございませんが、日本産婦人科学会におきまして、学会に登録されている医療機関に対して毎年実態調査を実施してございます。その結果によりますと、登録施設数、あるいは特定不妊治療、要は体外受精や顕微授精などによって出生した方の数は年々増加傾向にあるということでございまして、下側の表にありますように、2010年、特定不妊治療による出生数は約2万9000人でございますが、2018年では5万7000人程度に増加しているということでございます。
また、費用についての実態ですが、特定不妊治療にかかる1回当たりの費用は、体外受精で約38万円、顕微授精で43万円という調査結果がございます。この調査結果につきましては、助成事業に申請をしてきていただく際に添付されている領収書を集計したものでございますので、申請する内容が全ての治療内容なのか、一部なのか、それは個人差がありますので、若干ここは粗い部分がございます。したがいまして、この費用の額の差自体が実際の実態を表しているかどうかというところは少し検証が必要でございますが、例えば体外受精、平均38万円でございますが、この領収書が出された金額の合計という意味では最小が1万3000円、最大が110万円で、かなりの差があるという実態もございます。
続きまして、5ページが現在助成事業として行っている事業の内容でございます。令和3年度の概算要求額で151億円プラスアルファということで現在要求しているものでございます。
事業の内容ですが、対象の治療法は体外受精及び顕微授精ということで、対象者につきましては、特定不妊治療以外の治療法による妊娠の見込みがない、あるいは極めて少ないと診断された御夫婦ということになってございます。給付の内容は、1回15万円。ただし初回については30万円までの助成ということで、他方、所得制限がございますので、夫婦合算の所得ベースで730万円以下の方が対象となってございます。
沿革にございますように、平成16年度に創設されてございますが、その後、順次金額ですとか対象回数などの拡充が行われてきているところでございます。
6ページでございますけれども、先ほどの少子化大綱にも調査研究を進めるということが書かれてございましたが、今年度、不妊治療の実態に関する調査研究を行うこととしてございます。背景・目的にございますように、平成10年度に厚生労働科学研究において不妊治療にかかる費用の患者調査を行ってございますが、昨今の需要の増加、技術の高度化なども鑑みまして、改めて現時点における実態把握を行うというものでございます。
事業内容は1から3までございますけれども、不妊治療の実施医療機関における不妊治療の実施件数ですとか妊娠出生率等についての調査分析、2つ目は、医療機関における不妊治療にかかる費用の調査分析、最後に3つ目は、一般の方を対象としたアンケート調査を通じて、妊娠に対する意識ですとか、不妊治療にかかった費用、そういったものの調査分析を行うということで、8月からスタートして今年度いっぱいかけて調査をしていきたいと考えているところでございます。
参考資料2を開けていただければと存じます。最初のほうは先ほど御説明したものの詳細資料でございますが、保険適用についての議論をするに当たりまして、4枚目のスライドを御覧いただければと思います。不妊症というものに対して治療をしていく、体外受精などをしていくことについて保険適用するかどうかということでございますが、国際的な不妊症の定義・疾病分類、そういったものの現状を御紹介したものでございます。例えば、WHOの定義で見ますと、不妊症とは「避妊を行わない性交を定期的に12か月以上行った後、妊娠できないことによって定義される生殖系の疾患」という形になってございます。その他、アメリカでの定義、ICD10における定義におきましても、例えばICD10におきましては、原因不明の女性不妊症、そういった形でかなり広範に含まれているところでございます。
5枚目のスライドにつきましては、国内における状況でございますが、日本産婦人科学会におきましても、何らかの事情により1年間妊娠の成立を見ない場合を不妊と言うという定義をされているところでございます。
6枚目のスライドでございますけれども、健康保険法上、この疾病についてどのような解釈を示してきていたかという整理でございます。これは健康保険法に関する解釈本の中からの引用でございますけれども、疾病の定義としては、医学的に、身体の一時的異常などそういった定義がございますけれども、こういったものは疾病自体について当てはまる定義でございますが、健康保険法上の保険事故としてどこまでを対象とするかということとは直ちに関連するものではないということも書いてございます。
一方で、これまでの経緯を振り返りますと、健康保険法におきましては、医学的な定義に該当する疾病のうち、ある程度、また、ある範囲のものを保険事故として、疾病としてきておりまして、その範囲につきましては、時代とともに変化をしてきているという状況でございます。例えば制度施行当初、大正10年の段階では、労働能力に全く関係のない疾病は除外するというような形でございましたけれども、その後、昭和16年には労働能力との関連性を払拭して、幅広く、労働能力と関係なくても、被保険者の健康の保持増進上必要と認められれば疾病の範囲とするといった形になり、現在に続いているところでございます。
最後の○にありますように、施行当初は疾病の範囲外とされていたものでも、現在では範囲内とされているものも相当数でございますので、その範囲は極めて広いというような記述をしているところでございます。
これが現状の御説明でありますので、これを踏まえまして、不妊治療の保険適用という方向性について御議論を賜れれば幸いでございます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、皆様から御意見、御質問等をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
私のほうからは、少子化対策の観点から、不妊治療の経済的負担の軽減を図ることは大変重要であると考えております。疾病に対する治療という観点からも、医療保険を適用するという考え方も理解できるところでございます。ただし、そのためには、しっかりと実態を調査し、医学的データ等のエビデンスも踏まえた上で、保険給付の範囲や有効性、安全性を明らかにしていただく必要があると思いますので、現在行われている調査研究の結果を待って具体的に議論すればよいのではないかと考えております。
また、不妊治療に限らず、新たな革新的技術や薬剤を保険適用し、広く国民が享受できるようにすることは、まさに医療保険が果たすべき役割であると考えております。一方で、医療保険財政には限りがありますので、薬剤給付の見直しなど、医療費の適正化に資する改革も同時に検討していくべきであると考えます。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、藤井委員、お願いいたします。
○藤井委員 ありがとうございます。
不妊治療の充実ということに関して、もちろん反対するものではございません。大変重要なことだと思っております。しかし一方で、やはり若年層へのライフプランニング教育の実施や、不妊に限らず医療や健康に対する国民のリテラシーの向上、要するにセルフメディケーションの推進ということをしっかりと進めていただきたいと思います。
また、男性は不妊治療に対する意識が低く、抵抗感があるため、検査を受けるタイミングが遅いという指摘もございますので、男性が早期に検査を受けることを促すような仕組みづくりもできたらと思いますし、例えば、男性ホルモンの保持を目的としたOTC医薬品でも効果があるものがございますので、体に対する負担をも考慮しますと、最初から高度な保険医療を使わなくてもできる方法があるということを、ぜひ啓発していただければと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
続きまして、平井委員、お願いいたします。
○平井委員 今、菅総理の新しい政策として、この不妊治療の問題がクローズアップされたことは、我々としても歓迎をいたしたいと思っております。私ども鳥取県でも、例えば今お話がありましたような早い段階で検査を受けてもらって、不妊治療が必要かどうかというのを見分ける。これを新たに補助対象にさせていただいたり、国の補助制度に上乗せ助成をしたり、回数の問題だとかいろいろと対策を強化させていただいております。
現実にも、正直申し上げまして、今、晩婚化が進んでいまして、この不妊治療というのは不可欠な地域課題になってきているところでございまして、多くの自治体がこれに取り組んでいるところであります。ぜひ、様々な分析をされるということで結構かと思いますが、まずは補助制度を考えられる。今、予算措置を考えるということかもしれませんけれども、総理がおっしゃっているように、保険治療に結びつけるということ。これは全国知事会としてもかねて要望していることでございまして、ぜひとも御検討いただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
続きまして、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 松原でございます。
私ども医療機関としましては、不妊治療を保険適用するという総理のお言葉は大変重く受け止め、また、大変すばらしいことだと理解しております。少子高齢化に対する決め手は、やはり子供が増えることに尽きるのではないかとも思っております。その中で、体外受精などは女性にも大変負担がかかり、費用の問題も大きくのしかかっているということでございます。働きながら体外受精するのも大変であります。ぜひ保険で適用していただきたく思います。
ただ、不妊治療というのはどんどんいろいろと進歩しております。様々な治療の方法が実際にはございます。そういった様々な治療、進歩する治療に対して対応できるような方法にしないと、治療自体が時代遅れになってしまいます。また、倫理的な点も踏まえて中医協で十分議論していただきながら、これを進めていただきたいと思っているとこでございます。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
それでは、佐野委員、お願いいたします。
○佐野委員 ありがとうございます。
いずれにしても少子化対策というのは国として極めて重要な課題で、不妊治療を含めて様々な政策を打たなければいけないという必要性は十分理解しております。もともと健康保険法においては、疾病または負傷に対する治療について給付を行うとなっております。この不妊治療も、疾病における治療と位置づけることは十分理解できますが、先ほどもありましたが、やはり具体的な適用の範囲等については、国の実態調査であるとか専門家の御意見を基に、丁寧な議論を進めていくことが必要ではないかと考えております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、石上委員、お待たせしました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、石上委員、お待たせしました。
○石上委員 ありがとうございます。
不妊治療の医療保険の適用については、所得にかかわらず、不妊治療にかかる経済的負担を軽減できるということや、保険収載によって不妊治療に係るデータを蓄積することができることで、不妊治療の質の標準化が期待できると思いますので、前向きに検討すべきだと思います。
ただ、一方で課題も少しあり述べさせていただきたいのですが、財政審で財務省が不妊治療について、保険外併用療養制度の柔軟な活用も検討すべきと言っております。この制度は混合診療の一種と言えますので、これが一般化した場合、患者の負担の増大につながる可能性が懸念をされます。したがって、不妊治療の医療保険適用について検討するに当たっては、患者の安全性の確保と医療の標準化、医療アクセスへの公平性の確保を重視すべきであって、保険収載を前提としない混合診療の導入につながらないように検討すべきだと思います。
不妊治療の保険適用を少子化対策というふうに政府は位置づけているのですけれども、これも一つの方法だとは思いますが、本質的な解決策ではないと思います。やはり経済的な理由で子供を産み育てることを諦めざるを得ない方々も多くおられますから、本質的には、良質な雇用や就労機会の実現というのが一番大事なことだと思っておりまして、そういったことに尽力いただければと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、樋口委員、お願いいたします。
○樋口委員 ありがとうございます。
今の世でございますから、この問題を考えるとき、少子化対策とか人口問題を視野に入れなければいけないということもよく分かります。私は長年女を生きてまいりまして、私自身が若い頃から、不妊のカップルがいかに悩み、特に女性の側が本当に身も世もないほど悩みながら諦めてきた事実を見ております。ですから、今回、医学の進歩というものの恩恵をきちんと受けた上で、ある一定の条件の方に、保険適用という形でこの政策を進めることに、私は全く異存がございません。
それは少子化対策もさることながら、本当の少子化対策はもっと子供が育てやすいような保育対策とか、家庭対策とか、親たちの就労対策とか、そういうことが大事だと思いますけれども、何よりも子供を持ちたいという若いカップルの願い、これはもう幸福追求の権利でございまして、若い人たちの幸福という意味からも、この政策は一定の所得制限をかけた上で実現してよいことだと思っております。
ただ、1つ気になりますものは、今度、コロナ対策でも見えてまいりました、日本社会に非常に蔓延している同調圧力というのですか。お金がないから子が無くても仕方がないと思っていたけれども、今度は政府が補助してくれるのだから不妊治療を受けなければいけないというような目が親戚一同、近所隣、こういう関係に広がるというようなことを恐れております。国連では1994年にカイロで世界人口開発会議を行いまして、リプロダクティブ・ライツ/ヘルスの定義を採択しています。私もたまたま代表団に加えていただきまして、当時は河野洋平大臣が全権大使でいらっしゃいました。そして、子供を産む、産まない、いつ、どれだけの間隔を空けて産むかということは、何よりもカップルが、その当事者であるカップルが決めることと明記されています。日本はその会議をきっかけにいわゆる優生保護法が廃止されまして、今の母体保護法がつくられたと記憶いたしております。
ですから、あくまでも、たまたま不妊であっても、夫婦で話し合って、子供を持たない生活をしようと思った人たちが変に白い目で見たりされないような、ここにはメディアの方もいらっしゃるかもしれませんけれど、あくまでも若いカップルの選択であって、生殖年齢にある方々の幸福追求の一つの形であるということでお進めいただきたいですし、先ほど御説明がございました調査研究、世論調査なども十分に施していただきたいと願っております。
これから先は質問なのですけれど、今、世界では、不妊治療に関しては国籍でばらばらのようでございます。アングロサクソン系のように他人の卵子を借りてきてというようなことも認められている社会もあれば、例えば北欧の中で、これはむしろ珍しい例だと思いますけど、スウェーデンでは、ステディーかあるいはカップルに認められた人でないと、他の男性の精子を借りてくるというのは禁じられていると聞きました。確認してございません。ということは、この資料の中にもございますけれども、やはり本人が自分の出自、自分はどこから来たか、父はどこから来たか、母はどこから来たかということを知る権利ということは大切に考える必要があるのではないか、と考えます。
そういうことが割とルーズというか、割とフリーなアメリカにおきましても、数年前に見たテレビ番組でしたけれど、ユタ大学で、他人の精子を使ってというのが許されていた時代に立派な実業家になっている中年の紳士が、一体自分はどこから来たのか。ユタ大学の該当年齢の人、医学部の卒業生全員に手紙を出して、私はあなたを恨みはしない、命を与えてくれたことをありがたいと思う。でも、もし思い当たることがあったら手紙を下さいというのを出しても、結局何の反応もないという悩みが伝えられていました。私は、やはり本人が出自を知りたいという権利というのは結構大事なことではないかと思って、その点は慎重にご検討いただけたらと存じます。
以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、事務局、お願いいたします。
○小林課長(子ども家庭局) 子ども家庭局の母子保健課長でございます。
今、幾つか御指摘いただきましたけれども、まず、カップルが選択すべきことであって不妊治療を強いることがあってはならないという指摘があったかと思います。これにつきましては、現行の私どもが行っています助成制度の考え方の中でも、基本的には妊娠・出産に関わる意思決定、すなわち子供を産むか産まないかについては、あるいはいつ産むかといったことは、当事者である男女が自ら意思決定を行う事柄であるということで、これは決して行政のほうが強制するとか、強く促していくとか、そういったものではないと考えているところでございます。
それから、海外の事例について幾つか御紹介いただきましたけれども、今般、実態調査と併せまして、海外の事例についても我々は把握する方向で今、調査の検討を始めております。
それから、第三者の精子あるいは卵子の提供を受けることについての論点でございますけれども、これは資料2の2ページを見ていただければと思います。上のほうの青色で囲った部分は保険適用、下の赤字の部分は保険適用外ということで表になってございますけれども、第三者から精子をいただきますようないわゆる人工授精、AIDですとか、あるいはほかの方の卵子をもらってくる、あるいは代理懐胎と、そのような行為につきましては、いろいろな倫理的な問題もございます。親子関係とか、今御指摘いただいたような子供の出自を知る権利ですとか、近親婚の防止をどうするのか、対価の授受がいいのかどうかと、様々な議論があるということでございまして、かつて厚生労働省は平成15年に一旦、厚労省の審議会の中で議論した経緯がございますけれども、いろいろ倫理的な問題、法的な課題もあり、まだ法制化には至っていないということでございます。
現在、私どもの体外受精の助成制度では、基本的には婚姻関係にある夫婦間での精子と卵子の体外受精を対象としてございますので、第三者から提供いただくことについては、直接的な議論の対象の枠外と考えてございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。よろしゅうございますね。
では、引き続き、オンラインの方に回したいと思います。
前葉委員、お願いいたします。
○前葉委員 ありがとうございます。
保険適用について、その範囲の拡大の検討がこれから進むと思うのですが、その前に一旦、助成金を増額してはどうかという議論が霞が関でなされているということは、田村厚生労働大臣の会見などでもそのように述べられたという報道を見たことがございます。
恐らく、資料2の5ページのこういう事業を充実させていこうと。令和2年予算は151億で、令和3年概算要求は151億プラス事項要求となっていますので、この事項要求の部分で勝負していこうということになるのかと思いますが、政策としてどう仕組むかというところで、地方公共団体と国とのいわば政策の絡み方のところで発言をさせていただきたいと思います。
今触れられたところなのですが、この仕組みは現在、配偶者間での不妊治療に要する費用の一部を助成なのですが、1の下から2行目、実施主体は都道府県、指定都市、中核市となっておりまして、負担割合は国が2分の1、県が2分の1というスタイルになっております。都道府県が直接実施をしているということなのですが、実際には市町村が上乗せ助成をするケースが相当ございます。三重県の場合は29市町ありますが、全ての市町独自で何らかの上乗せ助成をいたしております。
なぜそうなるかというと、これはそれぞれの市町においての少子化対策として実施をしている政策であるわけでございます。現状そうでありますが、仮にこれが充実されるとした場合に、そもそも市町村のところでこういう政策が違うのがいいのかどうかということになるのが1点と、もう一つは、日本の国としてこれを充実させていこうという重要取組課題として取り上げられる以上は、一定のナショナルスタンダードになってくるのではないかと思いますので、そうなった場合、県が実施主体となる国からの補助というスキームがこのままであれば、それをどう国と地方の財政負担の在り方の中で考えていくのかということの整理が必要になってくるかと思います。
もちろん、市町において、少子化対策あるいはライフスタイルとしての支援をしていきたいという考え方には変わりございませんが、この辺り、今後どのようになってくるのかという議論をしっかりとしていただければと思うわけでございます。
その上で、いずれ保険適用となった場合に、それはいわば少子化対策なのか、それとも医療なのかというところに議論が進んでくると思います。もちろん日本の国全体として少子化対策、あるいは国民一人一人の生活、ライフスタイルの在り方として、不妊に悩む方が妊娠をされる方向に後押しするということは非常に大事なことだと思っておりますので、政策として進めるべき、あるいは保険医療として考えていくべきということについては、大きな方向性はそれでいいと思いますが、仕組みのつくり方のところで、いろいろこれから整理をしていただくポイントが幾つかあろうかと思いますので、発言をいたしました。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
支援事業をもし拡大するという形になったとき、どういうフレームワークでいくのかということの問題提起だったと思いますけれども、直接この保険局関係かどうか分かりませんが、何かコメントございますか。それは御意見として受け止めておくだけでよろしゅうございますかね。重要な御指摘だと思います。御意見として受け止めさせていただきました。ありがとうございます。
それでは、お待たせしました。秋山委員、どうぞ。
○秋山委員 ありがとうございます。
不妊治療の保険適用に当たりましては、私も何よりも治療の標準化と安全性の担保を大前提にお願いしたいと思います。
それからまた、不妊治療につきましては経済的な負担ももちろんなのですけれども、治療に伴って身体的な負担ですとか精神的な負担も非常に大きいものですから、治療にとどまらず、妊娠の終結あるいは治療の終結に至るまでの心理的な切迫感ですとか、あるいは妊娠に至らない場合の治療継続の選択ですとか、夫婦間での治療の向き合い方、もしくは仕事や生活との両立など、不妊治療を受ける方への精神的なサポートと継続的な意思決定支援というのが非常に重要だと考えています。
そこで、2点質問なのですけれども、現在全国に76か所設置されております不妊専門相談センターについて、保険適用されるようになった後も引き続きこの事業が継続されるのかどうかということが1点。
2点目は、資料2の6ページに示されている不妊治療の実態に関する調査研究の概要の3つ目の項目で、一般の方を対象にしたアンケート調査が計画されているようですけれども、単にその費用に関することだけではなくて、不妊に悩む方々が求めていらっしゃるような様々な支援について、幅広くそのニーズを把握できるような項目が調査の項目に含まれているかどうかという、この2つについて御質問させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御質問がありました。現在進行形の案でありますので、どこまで明確にお答えできるか分かりませんが、事務局、お願いいたします。
○小林課長(子ども家庭局) 子ども家庭局母子保健課長でございます。
今、1つには不妊専門相談センターについて、今後の扱いについて質問がございましたけれども、これは保険適用のいかんにかかわらず、継続的に進めていく必要があると考えてございます。
それから、少子化社会対策大綱の中で、今の資料の1ページの中では、不妊治療に係る経済的負担の軽減ということだけが資料1に書いてございましたけれども、先ほどの不妊専門相談センターの整備、それから不妊治療と仕事の両立のための職場環境の整備の重要性も指摘をされてございます。また、子供を希望したのだけれども子供ができなかった方に対して、例えば里親ですとか、特別養子縁組といった制度の活用とか、様々な論点、取り組むべき課題があるかということで、引き続きそういった取り組みも幅広く推進していきたいと考えております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
秋山委員、よろしゅうございますか。
○秋山委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、お待たせしました。池端委員、どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。
私も総論としては、不妊治療に関する保険適用というのは、ぜひ必要な範囲で進めていただきたいと思っています。その上で、保険適用になることの心配な点を2点ほどお話ししたいと思います。
まず1点は、あくまでもこれは保険ですから、保険適用になるということは、一応この不妊ということを保険事故とみなすことになります。そうすると、それは疾病、病気という形になってしまうことによって、先ほど樋口委員からもおっしゃったように、子供を望まない方に対する対応、あるいはトランスジェンダー等々でそれでもできない方も等もいらっしゃいます。そういう方々が病気を負ったというふうに、世間からそういう偏見とかいう目で見られないように、そこはきちんと丁寧に国民へ同時に話をしていきながら進めていかないと、難しいことが起きる可能性があるのではないかということを1つ危惧するので、これは意見です。
もう一点は、不妊治療といっても、今は様々な不妊治療があります。例えば今、特定不妊治療に関して保険適用を認めるということであれば、それはすんなりいくと思いますけれども、一方で、例えば、先ほどありましたようにAIDなどはまだ保険適用にならないとなると、子供ができるまで両方の治療を受けたいとなると、片方が保険治療で片方は現実的には民間の治療になります。これを同時に受けるとなると、現状の診療報酬体系では、これは混合診療に当たってしまうのではないかと。その辺をどう整合性あるいは担保するかということも含めて、そういう問題があるのではないかということを危惧するのです。この辺について質問をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤部会長 この世に既に普及している技術を保険適用にする中で標準化されると、そこから外れるようなものとの併用を認める必要があるのではないかという形で、今のような保険併用の話とか混合診療の問題と絡むわけなのですが、それに対してどういう考え方を持っておられますか。事務局、どうぞ。
○井内課長 医療課長の井内でございます。
様々な不妊治療がある中でどういったものを保険適用にするのか、との御指摘だと考えております。実際に調査をしておりますので、どのような実態になっているか、実際に見てみるというのが一義的に一番重要なことかと考えております。その上で、どのような形で保険適用するのかというのはその後、考えていくということで、本日御指摘していただいておりますような、患者さんと言うべきかどうか分からないのですが、不妊治療を受けられる方に対する配慮等も含めて、どういった形にするのかというのは、今後検討していきたいと思っております。
○遠藤部会長 池端委員、よろしいですか。要するに問題意識としては持っているわけですが、今後の検討とさせていただきたい、重要な御指摘をいただいていると、このようなことだと思いますが、池端委員、どうぞ。
○池端委員 ありがとうございます。
○遠藤部会長 それでは、続きまして、酒向参考人、お願いいたします。
○酒向参考人 ありがとうございます。
不妊治療の保険適用につきまして、私が申し上げたかったことは全てトップバッターの安藤委員がおっしゃってくださいましたので、同じ意見ですということと、1点だけ付け加えさせていただければと思います。不妊治療の保険適用につきまして、非常にいろいろな方々が注目されておられるということがありまして、今、政府のほうで実態把握をされていますといったことについて、何を調査しているのですか、もう日本産科婦人科学会で調査しているのではないですか、政府は何のために調査しているのですかというような質問をされる方がおられます。そういった方々は個々の技術の標準化が必要であるとか、保険適用に当たってのいろいろな手続について御存じない方が、何をそんなに時間がかかるのですかという趣旨で質問しておられます。
なので、非常に今回、保険適用につきましては、いろいろな方が注目されているということもありまして、何を把握されようとしているのか。保険適用に当たっての標準化、標準化という言葉自体を御存じない方にそれが必要であるということをどう伝えていくかということについて、説明をきちんとしていただくことがとても重要ではないかなと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御要望として承りました。
それでは、お待たせしました。横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 ありがとうございます。
今回、保険適用を表明されたので、大変喜ばれている方が多くいらっしゃるのではないかな、そして、これから利用者も増えていくだろうとまず思っているところです。では今回のことについて4点意見を述べたいと思います。
まず1つ目ですけれども、この不妊治療助成制度のことについて、実は制度が始まってから私ども多久市の市内や佐賀県内で、実際に制度を利用して、今はお子さんをお持ちになることができた方もおられます。ただし、そのときにちょっと苦労があって、私はお手伝いしたのでそのことを踏まえて申し上げます。今はこの助成制度が改善されていればいいと思っています。その苦労されたことは何かというと、年度をまたいで不妊治療を行うケースだったのです。そうすると、年度内なら認めるが、年度をまたぐのはルールに該当しないからとかいろいろなルールがあって取りやめになるとか申請を却下されるかもしれないぐらいいろいろありまして、当時厚生労働省に行って実情をお話しして、御理解いただいて、対応できるようになったと記憶していることがありました。ぜひこのような場合は年度切りとか何かではなくて、お一人お一人の状況に応じて対応ができるようにお願いしたいと思っています。このことをしていかないと、よりよい政策実行にはならないのではないかと感じていますので、まず1点目としてお願いしたいと思っています。
2つ目は寄り添うということです。これまでいろいろな御苦労をされて、不妊治療の成果がなかなか出ないとか、ようやく子を授かったという方もいらっしゃると思うのですけれども、そういう御苦労された方の中で本当に重い苦労をされた方にぜひ実情をヒアリングしていただいて、深く理解をしながら、よりよい政策実行、あるいはよりよい受胎をできるということに事が運んでいくように、適切な対応ができるように努力をしていただきたいと希望しています。例えば1つの方法ですけれども、厚生労働省に限らず政府内において同じように、官僚の方々の御家族の中でもこの不妊治療を経験された方がいらっしゃるかもしれません。もしそうだとしたら、そういった方々で、アドホックでもいいのでチームをつくって、より深い認識と理解の下に、よりよい政策づくりということも検討されたらどうかと感じています。
3点目は、人材と心的バリアの克服ということです。実際に何人かの方のお話を聞きましたけれども、例えば女性の場合は、女性医師の方とこのことについて相談ができると大変安心されていますし、また、よりよい展開ができるように期待をされていますし、希望を持っておられます。ぜひそういうことができるように女性医師の育成、また人材の確保ということも片方では必要と思いました。同じことが逆に男性の場合も、同性の方が相談しやすいということがあるようですので、そういったことを考えると、人材の確保と、躊躇なく、できるだけ自然な状態、自然な気持ちで不妊治療に進むことができるような状況を整えていくことも必要と思っています。
最後に4点目ですけれども、中長期的なことです。不妊治療に関してほかの委員からも意見がありましたが、健やかな母子が育っていくように皆で支えなければいけないと思っています。そういった意味では、中長期的なことになりますが、1つは健康を一人一人がどのように保持していくのかという教育や、食事を含め食育、そして体づくりのことについての啓発や教育ということも中長期的には大変大きな意味が出てくると思っています。
併せて、学校教育も含めて必要なのが、母になる、父になるということの意義や、その責任の重さや、社会的にもきちんとしなくてはいけないということなども啓発をしていく必要があるだろうと思います。
また、加えて当然のことですけれども、学校教育課程の中で、もう既になされていると思いますけれども、正しい性教育の在り方とか知識を正確に伝えていくということも重要だろうと思っています。そして、子供を授かって、その子供を大切に育むことが重要なのですけれども、一方では経済的な負担とかいろいろな問題が指摘されていますので、そういった負担感の軽減については、諸般の政策で手を打つことがもちろん重要であります。
そして、子供を授かり子供を育てることの意義をもっと広く伝えたい。もちろん子育ての大変さはありますけど、それ以上に、子供に恵まれることによって喜びを見出したり、希望を感じたりするわけですから、そういったこともぜひ発信ができるような機会があると、より多くの方々が、少々大変でも、ぜひ子育てしようと、子供を授かりたいなと思う方も増えていくと思います。ひいては日本の人口問題等もプラスになってきますから、ぜひ中長期的な観点ということも必要と思っています。
4点言いましたけれども、ぜひこういったことも踏まえた改善をお願いしたいと希望しています。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。御要望として承りました。
それでは、大体よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、この件につきましては、本日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。
次は、マイナンバーカードの健康保険証利用等についてを議題といたします。事務局から関連の資料をお願いします。
○山下課長 ありがとうございます。医療介護連携政策課長でございます。
資料3「マイナンバーカードの健康保険証利用等について」で説明をさせていただきます。
前回の医療保険部会で、マイナンバーカードを持ってくださいという国民向けに、またマイナンバーカードを読み込むためのカードリーダーを設置してくださいということで医療機関向けにどのように普及啓発をしていくのかという説明をさせていただきました。今回は、マイナンバーカードをどうやって健康保険証とひもづけていくのか。また、マイナンバーカードを健康保険証として医療機関で使う場合にはどのように使っていくのかという観点で資料をまとめさせていただきましたので、御覧いただきたいと思います。
まず2ページ目、マイナンバーカードを健康保険証とひもづけていくための申込みでございます。マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、マイナンバーカードそのものだけではなくて、それを健康保険証として利用しますという申込みをしていただくことが必要になります。これはどういうことかといいますと、マイナンバーカードについているICチップ、これについている利用者証明用電子証明書のシリアル番号と個人単位の被保険者番号のひもづけを電子的に行うということですので、このマイナンバーカードを持っているのは私ですよということを言っていただければ、それで健康保険証の利用の申込みとなります。
そのためには、マイナンバーカードとそのマイナンバーカードを読み取るためのカードリーダー機能を備えたデバイス、それと、私が私であるということで、私しか知らない暗証番号をもって対応することが必要になります。そして、マイナンバーカードの健康保険証の利用の申込みというのは生涯で1度だけですので、ぜひともやっていただきたいということでございます。どのようにするのかというと、もしカードリーダー機能を備えたデバイスを御自身や御家族が持っている場合には、この絵に描いてあるようなアプリケーションをダウンロードしていただいて、その上で自分のマイナンバーカードを読み取り、そして健康保険証の利用の申込みとして、自分しか知らない暗証番号を打ち込んでいただければ、それで結構ということになります。また、カードリーダー機能を備えたデバイスを持っていらっしゃらない場合には、各市町村のほうでマイナポータル用の端末、読み込むためのカードリーダーがありますので、そこから申し込むことも可能です。また、これもないという場合については、今後、医療機関・薬局の窓口に設置する予定の顔認証つきカードリーダーから申し込みができますが、これは令和3年3月以降になっていきますので、こういったところで健康保険証の利用の申込みをしていただきたいということでございます。
3ページに参りまして、もう健康保険証の申込みをしましたということで、では、ふだんの健康保険証のようにマイナンバーカードを使っていく場合にはどうすれば良いか説明します。まず来院をしていただいて、診療所とか病院の外来にあります顔認証つきカードリーダーのところに御自身のマイナンバーカードを御自身で置いていただく。置くと、顔認証を行いますか、暗証番号を入力しますかということが出てきますので、顔認証であれば、顔をモニターのほうで見て、この枠に顔を入れてくださいというふうに撮影されるということ。もし顔認証ではなくて暗証番号というのであれば、番号を入力するということでございます。
それをしている間に、次に映りますのは同意取得でありまして、左下になりますが、それぞれお薬の情報、特定健診の情報、これらにつきまして、医療機関のほうにお見せしますかということ。これは健康管理のために使えますので、お見せしますかということで本人の同意が必要になります。そして、同意する、同意しないというボタンを押していただくことになります。
これで一般的には終わりなのですけれども、一方で、高額療養費制度を利用する方につきましては、さらに高額療養費制度を利用する方はこちらというところを押していただくと、今度は限度額情報も保険者から情報を入手して、それを医療機関に提供するということでございます。
続きまして、実際に先ほど私は同意するということで、お薬情報とか特定健診の情報と言いましたけれども、その情報は一体何なのだというような疑問もありますので、5ページをお開きいただきたいと思います。この5ページのところに、支払基金・国保中央会(国保連)という中の青い枠の中に書いてありますけれども、オンライン資格確認等システムには、今後、一人一人の被保険者番号に加え、その方がどの保険に入っているのかという資格情報のほかに、特定健診の情報、75歳以上の方であれば後期高齢者の健診の情報、さらにレセプト情報として個人個人で出てくるデータからつくられる薬剤情報、つまり、実際にどの薬が処方されているのかというお薬の情報。そして、医療費としてどれだけの御負担をしたのかという医療費通知情報がございます。
この中の情報で、マイナポータルを通じて自分で取ってくる情報として薬剤情報、特定健診情報、医療費通知情報があるということ。また、医療機関・薬局のほうでも提供したいというときに、自分でまずこの特定健診の情報や薬剤情報を取ってきた上で、医療機関に見せる、見せない、薬局のほうで見せることに同意する、同意しないということで、同意すると、このように薬剤情報、特定健診の情報が薬局・医療機関に提供されるというような仕組みだということです。
つまり、どういうことかというと、この支払基金・国保中央会(国保連)にある情報は患者御自身のものです。この御自身のものを、マイナンバーカードを鍵のように使って自分で取ってきて、その情報を自分のマイナポータルで見るのか、それだけではなくて、医療機関・薬局のほうに提供するのかというのを御自身で決めるということでございます。
次に6ページに参りまして、御自身で決めるというけれど、一体、薬剤情報、特定健診の情報というのはそれぞれどんなものなのかということの疑問もありましたので、用意させていただきました。
7ページを御覧ください。7ページは特定健診情報でございます。ちょっと細かいのですけれども、御自身の名前、生年月日、年齢のほかに、例えば、特定健診の結果としまして、健診を受けた日の5か年分について、血圧とか血糖値、尿の値とか、右に移っていただきまして、例えば質問票には喫煙の有無とか飲酒、飲酒量とか、これも特定健診で聞いた結果をいただいていますので、これらの情報を医療機関に提供するということでございます。
続いて8ページは、後期高齢者の健診情報の閲覧イメージで、左側は先ほどと似たように、御自身の情報のほか、血圧とか血糖値、尿とかがありますけれども、例えば右下のほうにありますが、1日3食きちんと食べていますかという質問に対してどう答えているのか。また、6か月間で2~3キロ以上の体重減少がありますかということに対してどう答えていらっしゃるのか。そのような情報を医療機関に見せるのか、見せないのかということを御自身で決定するということでございます。
続いて、9ページを飛ばしまして10ページで、今度は薬剤情報でございます。薬剤情報として一体どういう情報を自分は管理して、そして医療機関に見せるのかということなのですけれども、薬剤情報を見ていただくと、御自身のお名前、生年月日、被保険者番号とか年齢がありますけれども、処方の実績として、いつ調剤されたのか、また、どこの医療機関でということなのですけれども、この医療機関ですが、医療機関名が出ません。他院というものと自院とありますけれども、自院というのは、自分が今かかっている医療機関で処方されたもの。他院というのは、今自分が薬剤情報を見せている病院や診療所とは別の医療機関で処方されている情報でございます。そのため、薬局で見ると、全部他院となります。001番、002番とかありますけど、これはそれぞれ別の医療機関ということでございます。
そして、処方の区分として院外の処方だったのか、入院のものなのか、院内のものだったのか。また、内服薬なのか、頓服薬なのか、外用薬なのか、注射剤なのかということもあります。あとは医薬品名として、実際に調剤された薬剤名。つまり、ここでは、処方の段階では一般名処方だけれども、後発品の場合には後発品の医薬品名が書かれるし、その下は成分名が書かれるということになります。あとは用法・用量として、どういうふうに飲んでくださいということのほか、右側に実際に何錠、何日分なのかということが載るということでございます。
続いて、高額療養費のボタンを押したらどうなるかということで、限度額適用認定証等情報をご覧ください。実は高額療養費のほかに、限度額適用認定証を提示することが原則不要となる、つまり窓口の支払いが一定上限額になるものとしまして、12ページにありますけれども、高齢者受給者証、限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証、特定疾病療養受療証、これらの証につきまして、保険者が既に持っている情報について、御自身で同意をすれば、その医療機関に自分のステータスですね、例えば自分がどこまで自己負担をしなければいけないのかというステータスを医療機関にお伝えすることができるということでございます。この結果、事前に、医療機関に行く前に保険者に行って限度額認定証をもらって、そして、それを紙で医療機関の窓口見せることが不要になるというものでございます。       
最後に13ページを見ていただいて、医療費通知情報ということです。医療費通知情報として、自分が年間にどれくらいの医療費を使ったのかが見られるということなのですけれども、それよりも実際は、医療費控除として、自分の所得からこれだけの医療費を使いましたよと伝えることができる。これは今までは、医療費として実際に医療機関からもらった紙の領収証をのりでくっつけて確定申告として送るということをやっていましたけれども、これらが完成する令和4年の確定申告からは、紙で管理しなくても、マイナポータルで自分の医療費通知情報を税務当局のほうへ伝えるということをするだけで、紙で送る必要がなくなるというものでございます。
実際の医療費通知情報の閲覧イメージが14ページでございます。
これらのような形で、医療機関だけではなくて、患者さん自身も非常にメリットがあるのではないか。また、保険者が持っている情報をこのような形で利用していただくことによって、よりよいサービスを提供しようというものが、オンライン資格確認の目指しているところでございまして、15ページ、16ページになりますが、現在の導入準備状況について、最後に御紹介をしたいと思います。
このオンライン資格確認等システムにつきましては、来年3月から開始をしようと思っておりまして、その開始に向けて、前回も説明しましたが、現在、医療機関向けに普及啓発をさせていただいており、おかげさまでオンライン資格確認の導入をしようというものとして、顔認証つきのカードリーダー、先ほど見ていただいたマイナンバーカードを読み取るためのカードリーダーの申込み数につきましては、3万3179施設から申込みを既にいただいているところでございます。
今、まだ顔認証つきカードリーダーを申し込むかどうか、もう少しいろいろ見てからということで様子を見ている医療機関もありますけれども、一方で、右側の参考を見ていただきたいのですが、社会保険診療報酬支払基金のほうにつくられているポータルサイトに登録をしていただいている医療機関は27.2%、6万2000以上の施設に登録をしていただいています。
まず、私どものお願いとしましては、全ての医療機関にポータルサイトのアカウントに登録をしていただいて、オンライン資格確認がどのように進もうとしているのか知っていただきたい。また、顔認証つきカードリーダーを申し込む窓口でもありますし、さらに、システム改修をした後の補助の申請の窓口でもありますので、こちらに登録をしていただきたいと思っています。
それと併せて、右下、同じグレーで囲っている参考でありますけれども、今日のメインの説明なのですが、マイナンバーカードを健康保険証としても利用したい、利用しますという申込みをいただいているのが、見ていただくと116万強の件数。実際にマイナンバーカードの交付枚数で言うと4.4%でございます。ここにつきまして、やはりまだまだ4.4%と非常に低い状況でございますので、我々としても、マイナンバーカードを健康保険証として利用できますということをしっかりと伝えていく必要があると考えております。    
また、「3.対応」で、これまでの対応とこれからの対応でございますが、これからの対応について言いますと、まだまだ知らないという医療機関もありますので、やはり私たち、地道に医療機関のほうに説明をさせていただきたいと思っています。今回、説明用の動画もたくさん作りましたので、それぞれ医師会、歯科医師会、薬剤師会などの御協力をいただきながら、さらに働きかけをしていきたいということでございます。
あと、最近ようやくカードリーダーの実物を見ることができましたので、こういった実物についても医療機関のほうに見ていただいて、どうやって自分たちの病院に入れていくのか、自分たちの医療機関に入れていくのかということを御支援させていただきたいと思っています。併せて、私たちとしましては、大手システムベンダーに対しても、しっかりとした適正な見積もりをするようにこれからも依頼をしていきたいと思っております。
説明は以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見をいただければと思います。いかがでしょう。
藤井委員、どうぞ。
○藤井委員 ありがとうございます。
まず、資料3の3ページの左下に、本人同意の取得画面がありますが、この制度をあまり理解しないままやりますと、安易に同意しないという選択をされてしまうおそれがありまして、そうするとせっかくのよい仕組みが骨抜きになってしまうのではないかということを大変懸念しております。本来は、本人の同意がなくても、健康管理をする上でこれは必要なのだと、本人の同意がなくても閲覧可能とすべきと思いますけれども、それがなかなか難しい場合でも、できるだけ「同意しない」を選択しないような、例えば、選択してしまうと本人にとってある部分で不利益だとか、健康管理に支障を来すとか、そういうことを分かっていただく努力、自然に「同意する」を選択してもらうようにする工夫が必要ではないかなと思います。
また、資料4ページ以降にあります提供される各情報についてでございますが、薬剤情報や特定健診情報にとどまらず、レセプトやカルテ、予防接種、服薬したOTC医薬品といった情報等についても閲覧可能にすべきなのではないかと思います。我々事業者にとっては、今は社員も高齢化が進んでおりますから、実際に事故に遭ったり、あるいは突然気を失ったりということもございますので、その場合に医療機関に担ぎ込まれて、その社員がどういう医療を受けているか分からないと命に関わりますから、私は、これはまさに“命のカード”ではないかと思っておりますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、佐野委員、お待たせしました。どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。
まず今回、最終16ページのところで、オンライン資格確認システムの導入準備状況を御報告いただいたことについて御礼を申し上げたいと思います。
一方で、オンライン資格確認、いわゆるICT関連の施策については、やはり制度スタート時点での対応が極めて重要なのだろうと思っております。要は、スタート段階で利用者である患者であったり国民に、いかに多くの人に便利さを実感してもらうのかが大きなポイントなのだろうと思います。
その意味では、ここに書いてあります医療機関等の6割程度での導入とあるわけですけれども、この目標はいわば最低限の数字として実施をしないと、導入率が低ければメリットを実感できないということになるのではないかと危惧いたします。
そういう意味で、今日の報告を見ていますと、現時点で顔認証つきカードリーダーの申込みは14.5%と、やはりこの数字はまだまだ低いなと思いますので、ぜひともスタートの3月に向けて、この取組をより加速していただきたいと思います。
もう1点は、これまでも何度も申し上げているのですけれども、マイナンバーカードを利用する場合の利用料、いわゆるJ-LISの手数料について、これはやはりマイナンバーカード普及において非常にネック、阻害要因になると思われますので、ここは保険者負担にならないようにお願いしますけれども、ここの部分もぜひとも政府内での検討を加速していただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、秋山委員、お願いいたします。
○秋山委員 ありがとうございます。
先ほどの7ページの特定健診情報ですとか、10ページの薬剤情報の閲覧イメージは、恐らく医療機関側で見るようなイメージ図だと思うのですけれども、実際に患者さん自身がマイナポータルを通じて御覧になるような画面がもうできているのかどうかということと、それから、この健診情報に加えて、例えば再受診した後の受診後のデータであったりとか、がん検診の情報とか、何か患者さん側で追加していける機能を持っているかどうかということが1点。
あともう1点の質問ですけれども、訪問看護とか在宅医療の場合は、患者さん宅でもオンラインでの資格確認とか薬剤情報、特定健診情報の閲覧ができれば有用だと考えていますが、携帯型の端末なども検討されているのかどうかということについて、2点お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 では、事務局、どうぞ。
○山下課長 ありがとうございます。
5ページを見ていただきたいのですけれども、おっしゃられたように、患者さんがそれぞれ追加できるのかというところなのですが、保険者が持っている患者さん本人の情報を自分で取り出すということがマイナポータルでできます。と同時に、これらの情報を例えば自分のスマホに取り込んで見ることができるとともに、自分のスマホに別の健康の情報を自分で管理することもできます。その上で、これらの情報を連動させて、自分は今どういう状況になっているのかということで、例えば食事にもう少し気を使う、また、運動をちょっとしてみるというような形のサービスも今後できるということでございます。
併せて、私どもとしましては、今後、訪問看護のほうでも、今は紙で請求という形になっていますけれども、それをオンラインでの請求になるように、と同時に、訪問看護ステーションでも資格確認ができるように、その場合には外来でいらっしゃるという形ではありませんので、訪問して、患者さんの家でマイナンバーカードを読み取るということになりますから、実際にはモバイルのほうになりますので、こういったことも研究しながら、皆様方に使いやすいようなサービスをできるように、これからも機能を拡充させてまいりたいと思います。御指摘ありがとうございます。
○遠藤部会長 秋山委員、いかがでしょうか。
○秋山委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、お待たせしました。林委員、どうぞ。
○林委員 ありがとうございます。私からは資料3の10ページ目での質問でございます。
以前にもお伺いさせていただいたのですけれども、薬剤情報に関しましては、骨粗鬆症とか、抗がん剤とか、歯科におきましても非常に影響のある薬が掲載されておりますので、今後しっかりと閲覧できる環境づくりとして推進していただきたいところでございますが、左下のほうに書いてあります処方医療機関識別というところで、これは自院か他院かという把握になってございますが、今後は医療機関名を特定できるような情報になっていくのかどうか。そういったところは、恐らく今後掲載する内容を含めまして、医政局の検討会で協議されるとは聞いておりますけれども、その辺りは慎重に議論していただきたいと思ってございます。
事前に患者さんが了解をして、得るということになっている情報ではございますけれども、どのような内容が共有されているのかというのは、患者さん自身がしっかりと理解されておって、その上で、医療機関も含めてコンセンサスが取れているということが重要かと思ってございますので、国民への説明も含めて進めていっていただきたいと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 では、関連で山下課長、どうぞ。
○山下課長 ありがとうございます。
まさにこれらの情報につきましては、患者さん自身が既に処方箋として紙で処方のたびにいただいている情報、これを逆に言うと積み重ねていっているという理解でおりますので、そういったことからすると、患者さん自身も確かに有益な情報として、自院、他院とかよりは、あと、001番、002番というよりは、例えば本当にどこでもらったのかというのを、これは既に処方箋で分かっている情報でございますので、今おっしゃられたように、今後、医政局でのほうでも、ほかの情報として、より患者さんのためにいい情報はないのかという検討の中で、これからまた提供できる情報というのもより拡充できないかということで考えてまいりたいと思っています。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、横尾委員、よろしくお願いします。
すみません。続きがありましたね。
○林委員 申し訳ございません。私が言っておりますのは、医療機関名に関しましては、患者さん自身は御存じかも分からないのですけれども、医療機関同士が必要な情報かどうかというところ、それを患者さんが了解されるかどうか。かかっておられる医療機関に、他院にかかっている情報が分かるということを理解されているかどうかという、その辺りは慎重な対応をしていただきたいということでございます。
○遠藤部会長 前回も同様の御趣旨のことをおっしゃっておられたと思いますけれども、では、連携課長、どうぞ。
○山下課長 かしこまりました。今後、また医政局と一緒に検討していく中で、今の御指摘を含めて考えてまいります。ありがとうございます。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
では、お待たせしました。横尾委員、どうぞ。
○横尾委員 ありがとうございます。
小さいことですけれども、5ページ目の資料の中に閲覧の仕組みが図示されているのですが、右側の四角い囲みの中の下のほうに小さな字で、「75歳以上の者については広域連合が行う後期高齢者健診の情報」と出ているのですね。PHRについては全ての国民が私は情報を共有すべきだと思っていますし、若いときからそういった認識をすることがリテラシーとしても高まっていきますし、自分の健康維持または医療機関を受けた場合のその後のケアも、よりよく正確に、的確にできると思います。また、家族全員がそういったことを話題に話すことも今後出てくると思いますので、ぜひこのことについては、先ほどちょっと私は説明を聞き漏らしたかもしれませんが、全ての方が自らの検診データについては経年を追ってちゃんと把握していけるように、そういった配慮をぜひお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 どうもありがとうございます。
ほかに御意見ございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、この議題につきましては、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
最後の議題でございますが、令和3年度予算概算要求(保険局関係)を議題としたいと思います。では、事務局から関連の資料の説明をお願いします。
○須田課長 総務課長でございます。
資料4「令和3年度予算概算要求(保険局関係)の主な事項」につきまして、概括的に報告させていただきます。
まず1ページ目を御覧いただきたいと思います。医療保険制度の運営確保のための医療費国庫負担あるいは保険者への財政支援でございますが、いずれも括弧内に示していますのは令和2年度の予算額ですけれども、これと3年度も同額となっております。これは、依然として新型コロナウイルスの感染拡大が続いている状況の中で、現時点において来年度予算に必要な医療費の額を予測することが難しいというような状況の中で、1ページ目の下の※印で書いていますけれども、年金・医療等に係る経費の高齢化等に伴ういわゆる自然増等々につきましては、予算編成過程で検討するということで、現時点、概算要求の段階におきましては、令和2年度予算と同額で要求することとさせていただいております。
また、その上の※にありますけれども、薬価改定の対応につきましても、予算編成過程で検討することになっております。
2ページ目を御覧いただきたいと思います。科学技術・イノベーションの推進等ということで、これまで進めてきておりますシステム開発等の関係の経費、データヘルス関係の経費、さらに3ページ以降、健康で安全な生活の確保ということで、予防健康づくりに向けた引き続きの取組に関する経費等々を盛り込んでおります。一部新規のものもございますけれども、こちらも2年度と同様の要求となったものが多くなっております。
また、一部の項目で「+緊要」と書いたものがございます。これは各ページの注書きに書いていますけれども、新型コロナウイルス感染症への対応など緊要な経費として、概算要求では金額を示さず事項だけの要求をする、あるいは事項だけで増額の要求をするというものが多くなっております。増額が必要であろうというようなものについてはこういった形で要求させていただいて、年末までに調整を進めていきたいと考えております。
詳細な資料につきましては、参考資料3としてつけさせていただいておりますので、個別の項目につきましては、後ほど御参照いただければと思います。
報告は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
概要の報告でございますけれども、何かこの際、御意見等があれば承りたいと思います。
佐野委員、どうぞ。
○佐野委員 ありがとうございます。時間が押している中ではございますけれども、大事な部分でございますので、何点かコメントをさせていただければと思います。
まず、令和3年度予算概算要求については、被用者保険の財政支援も前年同額を要求されているのですけれども、コロナ禍による財政悪化等もありますので、我々、高齢者医療の拠出金、この負担軽減のための予算の拡充をぜひともお願いしたいと思います。
それから、今回の参考資料3の5ページですけれども、負担調整ですとか特別負担調整の記載がございます。義務的経費の中に占める拠出金割合が高い健保、特にこれが高まっている中で、現在の仕組みは導入当初の29年度に国費100億円というのが導入されて、そのまま変わらない状態になっております。ぜひとも、この国費100億円の拡充をお願いしたいと思います。
それから、最初の議題1のときに申し上げればよかったのですが、保険料の猶予というものが健保組合でも相当発生をしております。これまた今後とも増加が予想されておりますので、今後も続きますと、事業者による事後納付ができないような場合も相当想定されるのではないかと危惧をしております。こういった点も含めて、ぜひとも財政支援のほうをお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御要望として承りました。
ほかに何かございますか。
では、安藤委員、お願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。
資料4の3ページのマルニのウにつきまして、40歳未満の事業主健診情報を保険者に集約するためのシステムを構築するとのことですが、これまでも申し上げておりますとおり、まず優先的に対応すべきは40歳以上の事業主健診データが確実に保険者に提供される仕組みの構築であると考えておりますので、早急に調整を進めていただけるよう、よろしくお願いいたします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御要望として承りました。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは本日の議題は以上でございますので。
○小椋管理官 部会長、すみません。
資料1-2の林委員からの質問でございますけれども、9枚目のものでございます。これは医政局の資料でございまして、医政局に確認したところ、歯科は含まれていないということでございました。それで、歯科につきまして、ただいま集計中ということでございます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。そういうことだということで、至急調べていただいたということです。
それでは、本日の議論はこれにて終了したいと思います。
次回の開催日につきましては、追って事務局より連絡をさせます。
本日は、大変お忙しい中、御参加いただきまして、どうもありがとうございました。