2020年8月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和2年8月27日(木)16:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(2名)

行政機関出席者
 

 鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
 山本史(大臣官房審議官)
 吉田易範(医薬品審査管理課長)
 中井清人(医薬安全対策課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
 山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 田宮憲一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員) 他
 


 

議事

○医薬品審査管理課長 ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会のWeb会議を開催させていただきます。本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。今回の医薬品部会についても、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
会議を始める前に、本日の医薬品第一部会から、委員に交代がございましたので、新しく御就任いただきました委員を御紹介させていただきます。公益社団法人日本医師会常任理事の宮川政昭委員です。よろしくお願いいたします。
なお、長島公之委員におかれましては、薬事・食品衛生審議会委員を御退任されておりますので、御報告申し上げます。
本日のWeb会議における委員の出席状況は、金子委員、代田委員が御欠席です。大森委員と平石委員は遅れての御参加と聞いております。したがいまして、本日は、現在のところ当部会委員数21名のうち、17名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
続きまして、事務局に人事異動がございましたので御報告させていただきます。医薬品・医療機器総合機構執行役員、新薬審査等部門担当の田宮です。
それでは、部会を開始する前に、事務局から所属委員の薬事分科会規定第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規定第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧門等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規定第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。
委員の皆様におかれましては、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、多大な御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
また、本日のWeb会議ですが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、説明者においてはマスクを着用したまま説明させていただく場合がございますので、御了承いただければと思います。
それでは、杉部会長に以後の進行をお願いいたします。
○杉部会長 事務局から審議の進行方法の御説明をお願いいたします。
○事務局 本日はWebでの審議ですので、対面での進行と一部異なる部分がございます。審議の進行方法について御説明させていただきます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言お願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名させていただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないかを御確認の上、発言をお願いします。なお、発言者が多いときには、発言されたい委員にメッセージ機能をお使いいただきまして、そちらに記入いただくことで部会長より発言者を順番に御指名させていただきます。よろしくお願いします。
○杉部会長 今、説明がございましたが、何か御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の審議に入りたいと思います。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目及び競合企業リストについて、報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日の会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料1~資料11-7までと、製剤の見本の写真を用いますので、お手元に御用意ください。このほか資料12として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料13として「専門委員リスト」、資料14として「競合品目・競合企業リスト」を事前にメールでお送りさせていただいております。なお、システムの動作不良などがございましたら会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
続きまして、本日の会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料14の「競合品目・競合企業リスト」の1ページ目を御覧ください。ユルトミリス点滴静注300mgです。本品目は非典型溶血性尿毒症症候群を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとさせていただいております。
続いて2ページ目です。エクロックゲル5%です。本品目は原発性腋窩多汗症を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の2品目を競合品目として選定しております。
続いて3ページ目です。エナロイ錠2mg他1規格です。本品目は腎性貧血を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
続いて4ページ目です。ゼプリオンTRI水懸筋注175mgシリンジ他3規格です。本品目は統合失調症(パリペリドン4週間隔筋注製剤による適切な治療が行われた場合に限る)を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
続いて5ページ目です。エビリファイ持続性水懸筋注用300mg他3規格です。本品目は双極I型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
続いて6ページ目です。ブコラム口腔用液2.5mg他3規格です。本品目は、てんかんの重積状態を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の3品目を競合品目として選定しております。
続いて7ページ目です。パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)です。本品目はムコ多糖症II型を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤として、こちらに記載の2品目を競合品目として選定しております。
最後に8ページ目です。オリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)です。本品目は酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症を予定効能・効果としておりまして、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとさせていただいております。以上です。
○杉部会長 今の事務局からの説明に、先生方から何か特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、このWeb会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、先生方の了解を得たものといたします。
それでは、委員からの申出状況につきまして、報告をお願い申し上げます。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況につきまして、御説明いたします。本日ですが、議題1~議題8を通しまして、退室委員はいらっしゃいません。
以下、議決に参加しない委員を御紹介させていただきます。議題1のユルトミリスについては、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。議題2のエクロックについては、議決に参加しない委員として大森委員、武田委員です。議題3のエナロイについては、議決に参加しない委員は大森委員、武田委員です。議題4のゼプリオンについては、議決に参加しない委員として、大森委員、山田委員です。議題5のエビリファイについては、議決に参加しない委員として大森委員、山田委員です。議題6のブコラムについては、議決に参加しない委員として大森委員、川上委員、武田委員、宮川委員です。議題7のパビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)については、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。議題8のオリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)については、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。以上です。
○杉部会長 今の事務局からの説明に、先生方から何か特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。なければ、先生方に御確認いただいたものとしたいと思います。
それでは、審議事項の議題に移ります。まず、議題1について、機構から概要の説明をお願い申し上げます。
○医薬品・医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品ユルトミリス点滴静注300mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は、の本邦では血栓性微小血管症(TMA)の病態を示す疾患のうち、志賀毒素を有する病原性大腸菌による溶血性尿毒症症候群、血栓性血小板減少性紫斑病及び二次性TMAを除いた先天性または後天性の補体制御異常によるものと定義されており、溶血性貧血、血小板減少及び腎不全を主な徴候とします。現在、aHUS治療薬として、ヒト補体第5成分に対するヒト化モノクローナル抗体のエクリズマブ(遺伝子組換え)が使用されています。既承認のエクリズマブの重鎖の一部のアミノ酸を置換したヒト化モノクローナル抗体のように、エクリズマブと同様にヒト補体第5成分に結合して、その活性化を阻害します。本剤と補体第5成分を結合した複合体はピノサイトーシス後にエンドソーム内で乖離し、再び細胞外にリサイクルされることにより、本剤の終末補体阻害時間がエクリズマブと比較して長くなるように設計された薬剤です。
本邦では、本剤は2019年6月に、発作性夜間ヘモグロビン尿症の効能・効果で承認されています。今回、申請者はaHUS患者を対象とした国際共同第III相試験を実施し、本剤の有効性及び安全性が確認できたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。なお、本剤は海外では、aHUSに対して、2019年10月に米国で、2020年6月に欧州で承認されています。本品目の専門協議では、本日の配付資料13に示す専門委員を指名しております。以下、本剤有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性について、まず補体阻害剤未治療のaHUS患者における有効性について御説明いたします。審査報告書、併せて表記している通し番号16ページの表21を御覧ください。12歳以上の補体阻害剤未治療のaHUS患者を対象とした国際共同第III相試験(311試験)において、主要評価項目である「Day183までにTMA完全奏効(血小板数が正常化、LDH値が正常化及び血清クレアチニン値のベースラインからの25%以上の低下)を達成した被験者の割合」は53.6%であり、aHUS患者を対象としたエクリズマブの海外臨床試験と同程度の有効性が認められました。
また、審査報告書の通し番号17ページの表22を御覧ください。18歳未満の補体阻害剤未治療の小児aHUS患者を対象とした国際共同第III相試験(312試験)のコホート1において、「Day183までにTMA完全奏効を達成した被験者の割合」は77.8%であり、小児aHUS患者を対象としたエクリズマブの海外臨床試験と同程度の有効性が認められました。
日本人症例の結果について、審査報告書の通し番号の17ページの表23を御覧ください。TMA完全奏効に至ったのは、4例中1例のみでしたが、いずれの症例においても血液学的正常化(血小板数及びLDH値の正常化)の改善傾向が認められました。
次に、エクリズマブから本剤に切り替えたaHUS患者における有効性について、御説明いたします。審査報告書の通し番号18~19ページの図2~図5を御覧ください。エクリズマブから本剤に切り替えた後、血液学的パラメータ(血小板数、LDH値及びHb値)及びeGFRの推移は、試験期間を通して、おおむね安定して推移しました。日本人症例4例についても、データカットオフ日まで安定して推移し、全集団と比較して劣る傾向は認められませんでした。以上より、aHUS患者に対する本剤の有効性は示唆され、日本人患者においても有効性が期待できると考えました。
安全性について御説明いたします。審査報告書、通し番号22ページの表26を御覧ください。国際共同第III相試験2試験が併合解析における有害事象の概要を記載しております。重篤な有害事象、感染症、重篤な感染症が比較的多く認められたものの、aHUS自体の病態と、ベースライン時の状態が重篤であったことに起因するものと考えられました。既承認効能のPNHに対する本剤の投与と同様に、aHUSの診断、治療に精通し、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関の下で、髄膜炎菌感染症の診断、治療に精通した医師との連携を取った上でのみ投与されるよう注意喚起する必要があると考えました。また、国内での治療症例数が極めて限られていることから、製造販売後、全症例を対象に使用成績調査を実施し、本剤投与時の安全性情報等を早期に収集する必要があると考えました。したがって、これらの点については、審査報告書の通し番号の2ページに記載した承認条件を付すことが適切と考えました。
以上の審査の結果、非典型溶血性尿毒症症候群に対する本剤の有効性は示され、期待できるベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。
本申請は、希少疾病用医薬品として承認された新有効成分含有医薬品に対する希少疾病用医薬品に指定されていない効能・効果の追加に係るものであることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は5年10カ月と設定することが適切と判断しました。また、薬事分科会では報告を予定しております。御審議、どうぞよろしくお願いいたします。
○杉部会長 今の説明に対しまして、委員の先生方から、何か御質問、御意見などがありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。教えていただきたいのですが、国際共同治験の中で除外基準が出ております。例えば表9です。除外基準で、これの場合は感染症とか、悪性腫瘍によるTMAは除外されているのかどうか御意見を伺いたいと思いまして、御質問申し上げました。今までの報告書の中では、いろいろな感染症、悪性腫瘍というのが見られるのですが、表10、その後の表にもあるのですが、除外基準の中に、感染症と悪性腫瘍によるTMAが除外されていないのですが、これはどのように考えたらよろしいのか、よろしくお願い申し上げます。
○医薬品・医療機器総合機構 審査報告書の表10に記載させていただいている選択基準や除外基準については、主な選択基準や除外基準を抜粋して記載させていただいております。感染症に関しては、感染症に対して治療をされている被験者は、本試験に入ることができるような設定となっております。
○宮川委員 ありがとうございます。悪性腫瘍に関しても、同じように感染症として考えてよろしいのでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 悪性腫瘍につきましては、スクリーニングの場合は5年以内の悪性腫瘍の既往歴がある被験者については、除外されております。
○宮川委員 ありがとうございます。
○杉部会長 そのほかの先生、何かございますでしょうか。
○宮川委員 これはラブリズマブの場合、発作性の夜間ヘモグロビン尿症に対しては、薬エクリズマブの比較試験というのが実施されていたのですが、本薬については比較試験というのがないのですが、これに関しては比較試験というのは必要ないのか、御見解をお聞かせ願えればと思います。
○医薬品・医療機器総合機構 宮川先生から御指摘いただきましたように、PNHは比較対照試験を実施しております。一方で、aHUSにつきましては、年間罹患率が100万人中2、3人と非常に患者数が限られているということも踏まえまして、今回は非盲検・非対照試験として実施されております。
○宮川委員 ありがとうございます。理解できました。引き続きよろしいでしょうか。
○杉部会長 どうぞ。
○宮川委員 対象患者が12歳以上であり、18歳未満との比較が出ているのですが、この比較から、成人患者よりも小児患者でより有効性が高いと考えてよろしいのかどうか。この数値から見て、そのように理解してよろしいのでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 小児と成人で、それぞれ別々の試験を実施しておりますので、試験間の比較になることから、小児と成人の直接比較はできないのですが、今回対象となっている被験者の数は非常に限られておりまして、成人では56名、小児では18名と非常に少ない中での検討ですので、この数値だけをもって、小児のほうが効きやすいというような結論には至らないと考えております。
○宮川委員 分かりました。そういう意味では、小児を対象とした試験であることも含めてですが、対象年齢が18歳未満ではなくて、どの年代から、もしくは何歳からが含まれるのかということも、添付文書等には記載するべきなのかどうか。それについて、御見解をお聞かせ願いたいと思います。
○医薬品・医療機器総合機構 今回、提出された臨床試験を踏まえ、臨床試験に含まれた患者背景は添付文書、資材等を用いて対応させていただきたいと思います。
○宮川委員 よろしくお願い申し上げます。以上でございます。
○杉部会長 そのほか、何か御質問はございますでしょうか。
○柴田委員 安全性について質問させてください。審査報告書の青字の22ページの所に、重篤な感染症ですとか感染症の数字が表26にあります。これらに対して、上の所での解釈としては、「aHUSの病態とベースライン時の状態が重篤であったことに起因するものと考えられた」というように考察があります。つまり、これは全て有害事象ベースで、65.2%、27%と出ているけれども、いずれも本薬との因果関係は否定されているという解釈をすればよいのでしょうか。その点を明らかにしていただければと思います。
○医薬品・医療機器総合機構 表26では、重篤な感染症、感染症等が、どれぐらい発現したのかを記載させていただいております。審査報告書の24ページを御覧いただければと思います。こちらに感染症についてより具体的に検討したものを記載させていただいております。感染症については、全てが因果関係がないと判断されたということではなくて、中には因果関係があるものも散見されております。ただし、aHUS患者について、現時点でエクリズマブと比較して、臨床的に問題となるような傾向はないということは確認させていただいております。
○柴田委員 ありがとうございます。今お伺いした理由として、添付文書案の所の感染症などの頻度と、こちらに書いてある審査報告書、先ほどの24ページのお話も含めて、数字が合わないような気もしたので、その理由も含めてお伺いしたいと思ったのです。添付文書案の2ページのほうでは、感染症の所が1.6%になっているのですが、これは既存の効能も含めて1.6%ということなのでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 aHUS以外の臨床試験も含めての数値です。
○柴田委員 最後に細かなところなのですが確認させてください。23ページの表27についての質問です。こちらは311試験、312試験のデータを、表26のデータを分けて記載したものだと理解しているのですが、重篤な副作用とか、重篤な感染症の数が表26と表27で合わないのですが、これはデータカットオフが違うとか、そういう理由があるのでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 表26ですが、表の下のほうに評価した期間を記載しております。そちらを踏まえますと、311試験と312試験のほうは、評価期間は中央値で497日までの状態を記載しております。表27も先ほどの表26と評価期間は同じデータで、311試験、312試験をそれぞれ分けて記載しています。
○柴田委員 例えば重篤な感染症は表26では24例とあるのですが、表27では11例と10例と書いてあるように見えるのですが。
○医薬品・医療機器総合機構 恐らく誤記と思いますので、確認して、適切に修正させていただきたいと思います。
○柴田委員 逆に、重篤な副作用は表27のほうが足すと多くなっているので、そこは確認しておいていただければと思います。以上です。
○医薬品・医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。
○杉部会長 重要な指摘を頂きました。機構のほうでよろしくお願いいたします。
大分質問も出ましたので、議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようでしたら、承認を可として薬事分科会に報告したいと思いますが、よろしいでしょうか。特に異議がないようですから、承認を可としたいと思います。今の御指摘のところは、また機構からの報告をよろしくお願いいたします。
それでは、議題2に移りたいと思います。議題2について、機構から概要の説明をお願い申し上げます。
○医薬品・医療機器総合機構 お待たせしました。大丈夫でしょうか。
○杉部会長 はい、大丈夫です。
○医薬品・医療機器総合機構 それでは、議題2、資料2、医薬品エクロックゲル5%の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。資料を御覧になる際には、資料2のフォルダーをお開きいただいて、★が付いている審査報告書のファイルをお開きください。
原発性腋窩多汗症は、日常生活に支障を来す大量の発汗が腋窩から生じる疾患で、治療としては、塩化アルミニウムの外用を行うことがありますが、医療用医薬品として承認されている製剤はないことから、院内で調製する必要があります。また、承認されている製剤としてA型ボツリヌス毒素の皮内投与が使えますが、重度の場合に限り適応となります。
本剤は、ソフピロニウム臭化物を有効成分とするゲル剤で、コリン作動性神経により調節されているエクリン汗腺のアセチルコリン受容体とアセチルコリンとの結合を阻害することで、原発性腋窩多汗症に対して効果を発揮することが期待され、開発に至りました。
今般、原発性腋窩多汗症患者を対象とした国内臨床試験により、当該患者に対する本剤の有効性及び安全性が確認され、医薬品製造販売承認申請がなされました。
なお、2020年6月時点において、本剤は海外において承認されておりません。本品目の専門協議では、本日の配付資料13に示す専門委員を指名しております。
以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性に関しては、審査報告書、青字で表記しております通し番号30ページ、表31を御覧ください。国内第III相試験の主要評価項目は、発汗状態を主観的に評価するスコアであるHDSSを指標としており、「治療終了時(投与6週)のHDSSが1又は2であり、治療終了時(投与6週)の両腋窩合計発汗重量のベースラインとの比が0.5以下の患者の割合」について、本剤群はプラセボ群に対する優越性が検証されました。
以上より、機構は、原発性腋窩多汗症患者に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
安全性に関しては、審査報告書、通し番号31ページ、表32を御覧ください。国内第III相試験の投与6週後までの有害事象の発現状況を示しております。プラセボ群と比較して本剤群で有害事象の発現割合がやや高かったものの、多くは「塗布部位に発現した有害事象」で、ほとんどが軽度でした。
さらに、審査報告書、通し番号37ページ、表41を御覧ください。本剤の長期投与時の有害事象の発現状況を示しております。投与期間の長期化に伴い、有害事象の発現割合が増加する傾向は認められませんでした。
続いて、審査報告書、通し番号38ページ、7.R.2.5の項を御覧ください。抗コリン作用に関連する有害事象の発現状況について検討しましたが、プラセボ群と本剤群で大きな差はなく、認められた事象はいずれも軽度であり、重篤な事象及び投与中止に至った事象はありませんでした。また、国内長期投与試験において認められた有害事象は、おおむね軽度であり、治験の中止又は治験薬の投与中止となった抗コリン作用に関連する有害事象は、散瞳及び霧視が各1例認められたものの、転帰はいずれも回復でした。
以上の検討を踏まえ、本剤の抗コリン作用によるリスクは小さいものの、作用機序を踏まえ、添付文書において適切に注意喚起することが妥当と考えました。以上より、機構は本剤の安全性は許容可能と考えました。
以上、機構での審査の結果、原発性腋窩多汗症に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。
なお、本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。
薬事分科会では報告を予定しております。機構からは説明は以上です。御審議をどうぞよろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問を受けようと思いますが、最初に堀先生から御質問があるようです。堀先生、どうぞお願いします。
○堀委員 ありがとうございます。それでは質問させていただきます。患者の立場からまず意見を1つ、そして、それに伴う質問を2点させていただきます。
まず患者の立場から、原発性腋窩多汗症の治療剤として塗り薬ということでは、非常に患者としても使い勝手がよくなり、非常に喜んでいらっしゃる患者さんも多いかとは思います。それに伴いまして、使い方、使用方法が私ども患者にとっては簡単であるということがポイントになると思います。恐れ入りますが、その文書の添付文書の14.2の薬剤投与時の注意について質問をさせていただきます。
14.2.1に、この製剤の使い方が書かれてあります。今回から資材の写真も送っていただき、大変感謝しています。資材の資料の1ページと併せて確認させていただきました。14.2.1では、まずはボトルに充填された本剤をポンプで塗布具(アプリケーター)に吐出させ、そして塗布具を使用して、要するにアプリケーターを使用して、腋窩に塗ると書いています。
このエクロックの製剤写真の資材の1の部分を拝見してみますと、どうやって使うのかが、これだけだとよく分からなかったので、質問をさせていただきました。
アプリケーターが4.3cmととても小さいものなのですが、このアプリケーターを単体で腋窩に塗るのかどうなのか、そこの使い方についてお知らせいただければ幸いです。お願いします。
○杉部会長 ありがとうございました。機構からお願いします。
○医薬品・医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構から回答させていただきます。今、製剤写真と添付文書について御意見いただいておりますが、患者用資材を作っておりまして、こちらで図解付きの説明がされております。アプリケーターに薬剤を吐出して、それを脇の下に持ってくるような形で塗布します。今の説明の内容が患者用資材で図解付きで説明されております。
○堀委員 ありがとうございます。そうすると、アプリケーターもかなり小さいものというように解釈してよろしいのでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 手元にある実物を見ますと、それほど小さいという印象はございません。
○医薬品・医療機器総合機構 補足させていただきますが、よくある市販の制汗剤、スプレー剤、小型のもの程度の上部サイズぐらいでございます。
○堀委員 なるほど。持ち手の部分が、例えば肩こりに使うような塗り薬ですと、結構持ち手部分、柄の部分が長いので非常に使いやすいかなと思うのですが、脇の下で、これだと持ち手の部分がかなり短いので、使い勝手はどうなのかなと思って質問させていただきました。
○医薬品・医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。まず、塗布部位が、肩とか背中ではなく脇の下ですので、製剤として容器が長くなる必要はないと考えております。なお、手元にある実物を見ますと、グリップが持ちやすいようになっておりますので、問題はないと思っております。
○堀委員 分かりました。どうしても小さかったので、使い勝手という意味では、患者が一番気にするところなので、確認させていただきました。では、患者用資材に関しては、もっと分かりやすい説明があると理解してよろしいでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 はい、御理解のとおりです。
○堀委員 ありがとうございます。あともう1点お願いします。
○杉部会長 どうぞ。
○堀委員 この製剤の性状については、添付文書の1ページ目の3.2の所にゲル状と書いてあります。同じように14.2.1の部分の所には、直接ゲル状の部分を、手に出して塗ってはいけないとも書いてあります。つまり手に付着した場合は、直ちに手を洗うこと、というふうに書かれています。今、コロナ感染に対応して、ゲル状タイプの手指用の消毒剤というものを、皆さん本当によく使っています。消毒剤というスプレータイプでもなく、アルコール様のスプレーでもなく、ゲル状タイプのものがよく使われていて、それを手指に付けたり、又は腕の部分に付けたりとか、というような感染対策が日常で行われていると思います。
ただ、この製剤に関しては、ゲル状であっても、手に付けたりしたら、必ず洗うこと、手に残してはいけないことが書かれています。是非、患者用資材においては、今、ゲル状タイプのアルコールというものは軽微に使っていいというイメージが、私たち一般市民には固定化されていますので、そこの部分をできましたら大きく説明書きに書いていただけたらと思います。以上です。
○医薬品・医療機器総合機構 御意見ありがとうございました。患者用の資材でも、薬剤を手に取って塗らないでくださいと、図解付きで注意喚起されておりますが、委員のご意見を申請者にも改めましてお伝えすることといたします。ありがとうございます。
○堀委員 よろしくお願いします。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほかの先生、何か御意見はありますか。
○合田委員 国衛研の合田ですが、質問していいですか。
○杉部会長 合田先生、どうぞ。
○合田委員 ケミストとしての質問なのですが、これは異性体の混合物ですよね。それで、これはどちらがより有効だとかということは、分かっているのですか。活性には、そこの立体は関係ないということでよろしいのですか。
○医薬品・医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。どちらの異性体がより効くということは、特にないです。
○合田委員 それは両者を分けて、活性を見てということですか。
○医薬品・医療機器総合機構 それぞれ分離して、活性を見ることはしておりません。
○合田委員 そうすると、どちらかが、最後の合成の所は、最後に立体が生じますけども、ほかに両者の活性が分かれるか分かれないかということは分からないと。最後のところで○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ということを保証しないとまずいということですよね。そのほうは大丈夫ですか。
○医薬品・医療機器総合機構 ○○○○を管理して作っております。
○合田委員 ここの○○○○○○○○をしっかり管理しているのですね。N1の所の、これ、もともと書かれている構造式が、そこは立体が両方あるという感じで書いてありますが、書類では○○○○○○○○、○○○○○と○○○○○という形が後ろで何度か出てくるので、多分○○○○○○○○○のだろうなと思いますが。その○○○○に品質規格があるのですね。
○医薬品・医療機器総合機構 御指摘のとおり○○○○○○○○○○なっており、○○○○の規格が設定されております。
○合田委員 分かりました。ありがとうございます。それなら結構です。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほかの先生方、いかがでしょうか。
○宮川委員 日本医師会の宮川ですが、よろしいでしょうか。
○杉部会長 どうぞ。
○宮川委員 ありがとうございます。これは有効性の所ですが、投与を6週で終了したものと、52週でその有効性を見たものと、両方あるのですが、実際には本剤は使用し始めたら52週のことを概念に入れて、ずっと使用し続けることを想定しているのでしょうか。それとも有効性があったら、その場でやめるという形で考えているのでしょうか。これは1日1回適量を塗布するという形で書いてあるわけですが、どう考えたらよろしいでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 機構よりお答え申し上げます。本適応症は、患者様の自覚症状に基づくものですので、投薬を中断することも、もちろん構わないと思いますし、継続的に使っても全然問題がないかということは、長期投与試験で確認されておりますので、患者様の御希望があれば、継続して使用することも可能と考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。引き続きですが、9.7で、小児等という形で、12歳未満の小児は対象とした国内試験はされていないということですが、実際には使用開始のときの年齢を、何歳に想定しているのか。実際には、13歳からいいのか、どのように考えたらよろしいのでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 機構よりお答え申し上げます。臨床試験は、適切に使用可能で、かつ、ある程度発症頻度が上がってくる年齢層を対象にしており、それが12歳ということになっております。もちろん、その年齢以上であれば、安全性について、成人と概ね大差なく、問題ないだろうと想定されておりますので、推奨年齢に含まれてよいと考えております。12歳未満につきましては禁忌とはしておりませんけれども、試験成績がないので、推奨できるだけのデータがないという状況です。患者様の状態とか、体格等、症例毎に、先生方に判断していただくことになるかと考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。これは非常に有用な薬剤なので、そういう意味では、小児の場合、体格とか、いろいろなことがありますので、正確にお示しいただければ有り難いと思って御質問させていただきました。ありがとうございました。
○杉部会長 ありがとうございました。いろいろ御指摘いただき、また機構のほうとも検討させていただければと思います。そのほか特になければ議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、大森先生、武田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにしますが、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。特に異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
続いて、議題3に移りたいと思います。議題3について、機構からの概要の説明をお願いします。
○医薬品・医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品エナロイ錠2mg他の製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。
腎性貧血に対する薬物治療は、現在、赤血球造血刺激因子製剤、以降ESAと略します、が主に使用されていますが、ESAはいずれも注射剤であり、また抗エポエチン抗体陽性赤芽球癆がまれに発現することが報告されています。
本薬は、エナロデュスタットを有効成分とする経口剤です。本薬は、低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素に対する阻害作用を有することから、エポエチン産生を増加し、赤血球造血を亢進することが期待され、腎性貧血に対する治療薬として開発に至りました。
今般、腎性貧血患者を対象とした国内臨床試験により、本薬の有効性及び安全性が確認され、製造販売承認申請がなされました。同一の作用機序を有する腎性貧血の経口剤については、これまでに本部会で御審議いただいており、複数の薬剤が既に臨床使用されています。
なお、海外において、本薬が承認されている国又は地域はありません。
本品目の専門協議は、本日の配布資料13に示します専門員を指名しています。
以下、本薬の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
有効性について、まず、保存期慢性腎臓病患者における有効性を説明いたします。審査報告書、青字で表記しております通し番号41ページ、表48を御覧ください。主要評価項目である「投与20~24週の平均Hb値」について、ESAであるダルベポエチン アルファ群に対する本薬群の非劣性が検証されました。
次に、血液透析患者における有効性について説明いたします。審査報告書、通し番号46ページ、表57を御覧ください。ESA前治療ありの血液透析患者を対象とした試験においても、先ほどと同じ主要評価項目について、本薬群のダルベポエチン アルファ群に対する非劣性が検証されました。
最後に、腹膜透析患者における有効性について説明いたします。審査報告書、通し番号60ページの図8を御覧ください。平均Hb値は投与期間を通じて、目標範囲とされた10.0g/dL以上12.0g/dL以下に維持されました。
以上より腎性貧血に対する本薬の有効性は示されたと判断しました。
安全性については、審査報告書、通し番号64~70ページに記載しております。注意すべき有害事象として、血栓塞栓症、心血管系事象、網膜関連事象、高血圧及び悪性腫瘍の発現状況について検討を行いました。これらの事象について、ダルベポエチン アルファ群に対し、本薬群で臨床的に問題となる傾向は認められていないことを確認しました。また、本薬の作用機序等を踏まえ、血栓塞栓症について添付文書の警告の項で注意喚起することを含め、類薬と同様の注意喚起を行うことで、本薬の安全性は許容可能と判断しました。
以上の審査の結果、腎性貧血に対する本薬の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、機構は、本品目を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。
本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。
説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○杉部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問を受けようと思います。まず、最初に大谷先生のほうから御質問があるようです。大谷先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○大谷委員 慶応義塾の大谷でございます。聞こえますでしょうか。
○杉部会長 はい、大丈夫です。
○大谷委員 薬物動態に関する添付文書の記載について、質問というか要望があります。まず、この添付文書案を拝見しますと、16項目中、16.4、16.5等において、薬物動態に関する記載があるのですが、この薬物がどのような形で体内から排出されるのかが、非常に分かりにくい記載になっています。当然、この薬は腎機能が低下した患者さんに使われる薬ですので、その消失経路が腎排泄なのか、また肝代謝なのかという点は非常に関心されるべきところなのですが、これが分かりにくいです。実際に細かくCTD2.5等を見ていきますと、きちんと尿中と糞中における未変化体と代謝物のマスバランスは当然測られているわけです。未変化体と代謝物に分けて、尿中と糞中の排泄量を、代謝物は総量として、しっかりと添付文書に記載すべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○杉部会長 機構のほう、いかがですか。
○医薬品・医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。添付文書の16.5の排泄の項に、マスバランス試験における糞中と尿中の放射能の割合をそれぞれ記載しておりまして、いずれにおいても主成分が未変化体であったことは記載しておりますけれども、代謝物の割合等を具体的に書いたほうがよいという御指摘という理解でよろしいでしょうか。
○大谷委員 はい、当然です。放射活性ですと、代謝物が含まれた形での量しか分かりませんから、当然その中での割合が分かりませんので、主要消失経路が肝代謝なのか腎排泄なのか分かりません。特に糞中は主要は未変化体とはなっておりますが、細かく見てみると未変化体37%、代謝物の総和が36%ということですので、こういった情報は非常に重要になってくるかと思います。総合的に判断をすると、恐らく代謝のほうが主要な消失経路だということが細かく見ていくと分かるのですが、少なくとも添付文書の記載からそれが分かる形になっていませんので、これは添付文書上の記載としては問題ではないかと考えます。いかがでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 ありがとうございます。先生の御指摘を踏まえまして、添付文書を適切に修正したいと考えております。
○大谷委員 ありがとうございます。添付文書の記載に関しまして、もう2点ほど簡単な意見があります。続けてよろしいでしょうか。
○杉部会長 はい、どうぞ。
○大谷委員 はい、2つ目は、代謝というところで、16.4に、in vitroの試験結果で僅かに代謝と書いてあって、6.4%という数字が載っています。ただ、この6.4%という数字は、当然実験条件等によって全然変わってくる値ですので、この6.4%という値には意味がありません。これを書くことにより、この薬物のin vivoにおける代謝の寄与を過小評価してしまって誤解される可能性がありますので、この記載は削除すべきではないかというのが2点目です。
それから3点目ですけれども、当然腎機能が低下した方に用いるのですが、当該腎障害には様々な病態の種類があります。その病態の種類ごとに薬物動態が異ならないかどうかというのは関心事だと思います。これに関しても、CTD2.5のほうには、病態の種類による影響は見られなかったという重要な情報が記載されているのですが、その記載が添付文書のどこを探してもありません。これは臨床的に重要な情報かと思いますので、逆に添付文書に記載するべきではないかと思います。以上です。いかがでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。先ほどの件と併せまして、記載の削除や追記を検討したいと思います。ありがとうございました。
○大谷委員 よろしく御検討のほどお願いいたします。ありがとうございました。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほかの先生から何か御質問はありますでしょうか。
○堀委員 杉先生、堀です。よろしいでしょうか。
○杉部会長 どうぞ、堀先生どうぞ。
○堀委員 お願いいたします。同じく添付文書についてお尋ねいたします。添付文書の7、用法及び用量に関連する注意の7.1の所について教えてください。これは用量調整が必要な場合、下表を参考に1段階ずつ投与量を増減すること、と書いてあります。その上の6番、用法及び用量の所で、保存期慢性、腎臓病患者及び腹膜透析患者の方は2mgから、それから血液透析患者の方は4mgから。でも両方とも1日の上限は8mgとすると書いてあります。この7.1の1段階~5段階ということで、本剤に投与量が書いてあるのですけれども、これは例えば血液透析者の方が、1回目4mgだったとしたら、それを1段階上げると5mgになるという判断なのでしょうか。すみません、一般患者は最近は添付文書を見ることが非常に多いので、私ども患者の立場から言うと、ここがちょっとよく理解できなかったので、是非教えていただけたらと思います。
○医薬品・医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。7.1の用法及び用量に関連する注意に表で記載しているように、血液透析患者では4mgから開始し、増量する場合には1段階上げるということになります。表では3段階が4mgで、その次は4段階の6mgになりますので、増量する場合は5mgではなくて6mgを投与するということになります。この表に従って投与量を1段階ずつ上げたり下げたりしていただくということです。
○堀委員 ということは、今ある現状の要するに例えば血液透析患者の方でしたら、一番最初は4mgなので、一番最初のスタートは3段階と理解してよろしいでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 はい、その理解で問題ありません。使っていただいている用量から、いきなり2段階上げたり下げたりしないで、1段階ずつ様子を見ながら調節していくことになります。
○堀委員 1段階ずつというのはとても理解できたのですけれども、例えば今おっしゃった一番最初の4mgが3段階であること、又は腎臓病患者の方が一番最初が2mgというのが2段階であるのが、一般の市民、患者の立場からはこの7.1の説明は少し分かりづらいかと思いますので、もしよろしければ御検討いただけたらありがたいと思います。
○医薬品・医療機器総合機構 ありがとうございます。腎性貧血の治療では患者さんが自分の判断で投与量を増減するわけではなくて、Hb値を確認しながら医師が投与量を増減するかの判断をします。投与量を増減するかどうかは、医師の指導があって決まると思いますので、御指摘いただいた点は、それほど問題にはならないと考えています。
○堀委員 それもよく理解しています。ただやはり患者も、このような添付文書の情報が簡単に入手できるので、特に病気が重くなればなるほど、添付文書を本当に隅々まで読んでいらっしゃり、そしてその服薬方法のことに関して理解した上で、医師と向き合うという場面もかなり増えてきています。ですから私から申したいのは、もちろん添付文書は医師の方が理解しやすいということはもちろんなのですけれども、やはり患者に対しても少しわかりやすく書いていただきたいと思います。もちろん患者向けの資材ももっと丁寧に書いてあると思うのですが、ちょっと分かりにくい部分があったときには申し訳ありませんが今回のように指摘させていただきます。
あともう1点質問をお願いしていいでしょうか。1段階の1mgという場合に関しては、エナロイ錠2mgを2つに割線で割るかと思うのですが、いかがでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 1mgを投与する場合は、2mg錠を割線で割っていただいて、半錠を飲んでいただくということになります。
○堀委員 その際に割線の割り具合というのでしょうか、錠剤によっては割線があって割らなければいけないのに、非常に割りにくい。そのために錠剤カッター、ピルカッターという物が売っているのですけれども、それを使わないと割りにくい。又はピルカッターでやると粉々に壊れてしまうという問題も聞いています。この割り具合とかはいかがでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 機構よりお答えします。実際の割れ具合については審査の中で確認をしていないのですけれども、品質に関する試験の中で、半分に割れるということを申請者より説明としては頂いています。再度、企業には割線で問題なく割れるということを確認したいと思います。
○堀委員 分かりました。割線の入っている錠剤に関して、割るという作業が調剤薬局でやっていただくところもあるかもしれないのですけれども、大体は患者の家族とか患者自身がこの割線で割って飲んでいるということをされています。そのときにこの割り具合というのは、非常に私ども患者にとってはストレスになりますので、是非その部分もこれから検討していただければと思います。以上です。ありがとうございました。
○医薬品・医療機器総合機構 ありがとうございます。
○杉部会長 御指摘ありがとうございました。そのほかの先生、何か御質問ございますでしょうか。
○宮川委員 日本医師会の宮川でございます。よろしいでしょうか。
○杉部会長 どうぞ。
○宮川委員 先ほど代謝の所で、大谷先生からあった御質問というのは非常に重要なことなので、これはしっかりと記載をしていただければと思います。繰り返しますけれども、血液透析を含めた透析患者さんと、保存期の患者さんではかなり対応が違うので、そこは非常に重要だと考えていかなければなりません。類薬として同じような物が出てくるというのは、使い分けの点で市場に対して非常に大きな問題があろうかと思いますので、その点についての何か分かっていることがあれば教えていただきたいと思います。以上です。
○医薬品・医療機器総合機構 ありがとうございます。こちらの作用機序の薬剤については、いろいろな企業がほぼ同時期に開発し、申請についても同時期に出てきているという状況です。どの薬剤もESAに対する非劣性を臨床試験では示しており、同様の位置付けで使用していただけるものと考えています。また、投与のタイミングの規定等、薬剤によって異なる点もありますので、そういった点も踏まえて医師の裁量で判断いただくものと考えています。
○宮川委員 ありがとうございます。患者の多様性に対して医師が判断し、処方をしていく中で、類薬が多く出てくるときには審議に対して慎重にしていただければ幸いだと思います。以上です。
○杉部会長 御指摘頂きましてありがとうございました。赤羽先生から質問があるのですが、どうぞ。
○赤羽委員 赤羽でございます。副作用に関して1点お伺いしたいと思います。通し番号で37ページの表41などに、嘔吐というのが結構14%という、少し無視できない割合であると思います。46ページの表58におきましても、やはり嘔吐が10.3%という割合になっています。それでこの嘔吐とか気分が悪くなるというような消化器系の症状というのは、どうやらほかの類薬でも共通した副作用のようなのですけれども、添付文書を拝見しますとこの添付文書に関しては11.2の所のその他の副作用には何も記載がありません。類薬で例えばロキサデュスタットとかバダデュスタットといったものの添付文書をみますと、嘔吐とか悪心とかそういったその他の副作用のほうに記載があります。重大な副作用ということではないかもしれないですけれども、患者さんのQOLということを考えますとこれも記載していただいたほうが良いのではないかと思いました。いかがでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。添付文書のその他の副作用については、治験薬との因果関係がありとされた副作用を基に記載しています。臨床試験において、嘔吐は有害事象として報告されているけれども、副作用としては頻度が低かったため、添付文書には記載をしていないという整理になります。
○赤羽委員 ありがとうございました。これは頻度が低いから問題ないということですね。了解しました。
○杉部会長 よろしいですか。それではそのほかの先生いかがでしょうか。特になければ議決に入りたいと思いますが、いかがでしょうか。大丈夫ですか。それでは議決に入りたいと思います。大森先生、武田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。いろいろ添付文書の訂正などあると思いますが、よろしいでしょうか。特に御異議はないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございました。続いて議題4に移りたいと思います。議題4について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品・医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品セブリオンTRI水懸筋注175mgシリンジ他の製造販売承認の可否等について、機構より説明をいたします。
資料4の審査報告書の一番下、全61ページの通し番号3ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。本剤はパリペリドンパルミチン酸エステルを有効成分とする注射剤であり、本邦において、パリペリドンの経口剤であるインヴェガ錠3mg他が2010年10月に、また、パリペリドンパルミチン酸エステルの4週間の投与間隔の注射剤であるゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ他(以下、PP1Mと略させていただきます)が2013年9月に統合失調症の効能・効果で承認されています。本剤は、薬物の○○○○○○を○○することで、PP1Mより持効性を高め、投与間隔を12週間とした製剤であり、今般、本剤の統合失調症に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。本邦において、統合失調症の効能・効果を有する持効性注射剤として、2週間の投与間隔のリスペリドン製剤、4週間の投与間隔のハロペリドールデカン酸エステル製剤、フルフェナジンデカン酸エステル製剤、アリピプラゾール水和物製剤が承認されております。海外では2020年5月現在、本剤は米国及び欧州を含む約80の国又は地域で承認されております。本申請の専門委員として、資料13に記載されている7名の委員を指名しております。
臨床試験成績を中心に審査内容を説明します。
まず、有効性について、審査報告書の通し番号で19ページの表19を御覧ください。PP1Mを4カ月間投与し、症状が安定した統合失調症患者を対象に国際共同第III相試験が実施され、主要評価項目である二重盲検期における非再発割合について、全体集団における群間差の95%信頼区間の下限値は-2.7%であり、事前に規定した非劣性マージンである-15%を上回ったことから、本剤のPP1Mに対する非劣性が示されました。
次に、安全性ですが、審査報告書の通し番号で30ページの表25を御覧ください。臨床試験における有害事象の発現状況の比較において、本剤とPP1Mの安全性プロファイルは大きく異なりませんでした。次に、PP1Mの製造販売後の状況につきまして、審査報告書の通し番号で32ページの表27の下の段落を御覧ください。PP1Mでは、製造販売後早期に複数の死亡例が集積したことから、2014年4月に安全性速報が発出されました。その後、PP1M、パリペリドン経口剤及びリスペリドン持効性注射剤の製造販売後調査における死亡数等が比較された結果、これらの薬剤間で大きな差異は認められなかったことなどから、2019年3月に日本精神神経学会から見解が公表され、適正使用の下ではPP1M投与が死亡リスクの増大につながる危険性は低いと判断されていると申請者は説明しております。続いて、審査報告書の通し番号で33ページ中段の「機構は、以下のように考える」から始まる段落を御覧ください。PP1Mの製造販売後に認められた死亡例を踏まえ、本剤においても、製造販売後の死亡例の発現状況について引き続き注視する必要があること、本剤はPP1Mより血中濃度の持続期間が長く、副作用の出現時においても薬剤を排除する方法がなく、血中濃度が長期間持続することから、副作用の発現時の処置、過量投与等について十分留意するよう注意喚起すること、本剤が適切な投与対象へ投与されるよう周知徹底することが必要であると考えております。
続いて、効能・効果につきまして、審査報告書の通し番号で55ページ中段の「以上を踏まえ機構は」から始まる段落を御覧ください。臨床試験において、PP1Mを4カ月間投与し、症状が安定した統合失調症患者を対象に本剤が投与され、PP1Mの投与期間中に他の抗精神病薬の併用は禁止されていたことから、効能・効果及び効能・効果に関連する注意の項において本剤の投与対象を明確にする必要があると考えました。以上より、効能・効果にPP1Mによる適切な治療が行われた場合に限る旨を記載した上で、効能・効果に関連する注意において、本剤の投与開始に際しては、他の抗精神病薬を併用せずにPP1Mが4カ月以上継続して投与され、安全性・忍容性が確認された、症状が安定している患者に投与する旨を注意喚起することが適切であると判断しました。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新効能・新剤形医薬品であることから再審査期間は4年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。先生方から何か御質問、御意見はございますか。
○大森委員 徳島大学の大森です。
○杉部会長 はい。大森先生、どうぞ。
○大森委員 今、機構からの説明にありましたが、PP1M、1か月製剤が発売後、死亡例が続いて物議をかもしたという事情が確かにありました。恐らく薬自体に問題がなくて、使い方のほう、多剤併用の中で使われてしまったというようなことが関連があると思われるわけですね。その点、今回のは非常に厳しい4か月4回、1か月製剤を、しかも、ほかの抗精神病薬の併用なく使った例というふうに限定されているので、そこは非常にきちんとした適用になっているなと感じます。ただ、ちょっと気になるのは、これをどうやって守ってもらうかというところ、会社側がどんなふうに考えているのか、御存じでしたら教えていただきたいと思います。
いろいろ考えると、これを守るのはなかなか難しいかもしれないですね。頓服的に少し併用したことがある、4か月の間に1度2度ぐらいは使った例などもあり得ると思うので、どのくらいきちんと守っていくかは大事なことなのだけれども、少し難しいことにもなっていくような気がするのです。ですので、発売後の、そこをどんなふうに工夫されていくのか現場側からは気になります。
○杉部会長 ありがとうございました。機構のほうはいかがですか。
○医薬品・医療機器総合機構 ご質問ありがとうございます。審査報告書の通し番号51ページを御覧ください。先生から御指摘いただいたとおり、本剤において製造販売後の適正使用策は非常に重要と考えておりますので、本剤においても医療従事者向け資材を作成して適正使用を推進し、引き続き情報提供を行う予定です。また、本剤を納入する施設につきましても、PP1Mが適切に使用されている施設であるかを、本剤の納入前に申請者が適切に確認を行う予定であり、PP1Mが適切に使用されている施設に本剤を納入することで、本剤が適正に使用されるように対応する予定です。
○大森委員 はい。理解いたしました。
○杉部会長 ありがとうございました。その他、先生方から何か御質問ございますか。
○宮川委員 日本医師会の宮川でございますが、よろしいでしょうか。
○杉部会長 はい。どうぞ。
○宮川委員 審査報告書の7.1.1で、国際共同第III相試験のところですが、カプラン・マイヤー法による48週間後の総合失調症症状の再発率の表です。これには日本人が、本剤で51例、パリペリドンの4週間隔投与製剤で56例含まれると、ここに記載していたほうが非常に分かりやすいかと考えるのですが、いかがでしょうか。これは大森先生などにも、御専門なので、お伺いしたいと思うのですが、どのように考えたらよろしいのでしょうか。機構側のほうもよろしくお願い申し上げます。以上です。
○杉部会長 まず、機構のほうからいかがですか。
○医薬品・医療機器総合機構 ご質問ありがとうございます。添付文書の17.1.1のカプラン・マイヤー曲線の下に、試験における安全性評価対象例として、日本人52例を含むことを記載しています。
○杉部会長 安全性情報ですね。
○医薬品・医療機器総合機構説明者 はい。日本人症例数として記載させていただいております。
○杉部会長 何番に書いてありますか。
○医薬品・医療機器総合機構 添付文書の6ページ目の18項の上段にありますが、御覧いただけておりますでしょうか。
○杉部会長 はい。分かりました。宮川先生、どうでしょうか。ここには書いてありますが。
○宮川委員 これは審査報告書ですが、61分の19ページの所、表19の所の、全体集団と日本人集団という所で書いてある症例数と、今言ったような添付文書の52例を含むというような形の記載と、どのように考えたらよろしいのかと思ったものですから。カプラン・マイヤー法に基づく推定ということで、表19には日本人集団として、本剤群として51例、PP1M群で56例と書いてあるのですが、副作用のことで52例を含むと書いてあるので、どのように考えたらいいのか、お尋ね申し上げました。
○杉部会長 ありがとうございます。機構のほうはいかがですか。
○医薬品・医療機器総合機構 ご質問ありがとうございます。添付文書における記載は安全性評価対象例として症例数が記載されておりますが、御指摘頂きました審査報告書の表19の記載は、Per-protocol解析対象集団であり、対象集団が異なっていることから、症例数の記載が異なっている状況です。
○宮川委員 はい。ありがとうございました。
○杉部会長 ありがとうございました。そのほか、何か御指摘はございますか。よろしいでしょうか。では、議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、大森先生、山田先生におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
はい。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可として、薬事審議会に報告させていただきます。
続きまして、議題5に移りたいと思います。議題5につきまして、これも機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品・医療機器総合機構 それでは議題5、資料5、医薬品エビリファイ持続性水懸筋注用300mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。
資料5の審査報告書を御覧ください。審査報告書の一番下、全48ページの通し番号で5ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」を御覧ください。本剤はアリピプラゾール水和物を有効成分とした持効性の注射剤であり、本邦では「統合失調症」を効能・効果として、2015年3月に承認されております。今般、双極性障害における維持療法に係る有効性及び安全性が確認されたとして、承認申請が行われました。本剤は2020年6月現在、欧米等50以上の国又は地域で承認されており、このうち双極性障害に関連する効能・効果では米国を含む9つの国又は地域で承認されています。本申請の専門委員として、資料13に記載されている4名の委員を指名しております。以降については、臨床試験成績を中心に審査内容を説明させていただきます。
まず、有効性について、審査報告書の通し番号で9ページの表3を御覧ください。双極I型障害患者を対象とした国際共同第III相試験の二重盲検期において、主要評価項目である何らかの気分エピソードの再発までの時間について、本剤群ではプラセボ群と比較して統計学的に有意な延長が認められました。また、審査報告書の通し番号11ページ、表4に示しましたように、国際共同長期投与試験の本剤維持治療期において、国際共同第III相試験からの継続例及び新規の双極I型障害患者を対象に本剤を長期間投与した際、多くの被験者で症状の安定状態が維持されていることが確認されました。以上の成績等を踏まえると、本剤の双極性障害の維持療法における有効性は示されていると判断いたしました。
次に安全性ですが、審査報告書の通し番号で20ページの表14に示しましたように、国際共同第III相試験及び国際共同長期投与試験における有害事象の発現状況に加え、既承認効能・効果である統合失調症患者における本剤の安全性プロファイルとの比較等を踏まえると、双極性障害患者に対する本剤投与において、新たな安全性上のリスクは示唆されておらず、既承認効能・効果と同様の注意喚起の下で適正使用されることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と考えております。
続きまして、効能・効果について、審査報告書の通し番号で37ページ、中段より上の「機構は」から始まる段落を御覧ください。双極I型障害患者を対象とした国際共同第III相試験及び国際共同長期投与試験において、先ほど御説明したとおり、本剤の有効性及び安全性は確認されており、また、国際共同第III相試験における気分エピソード別の有効性の結果から躁病エピソード又は混合性エピソードに対する本剤の再発・再燃抑制効果が期待でき、当該エピソードと比較すると、うつ病エピソードに対する再発・再燃抑制効果が期待できないものの、その症状を悪化させる傾向までは認められませんでした。加えて、国際共同第III相試験成績等から双極II型障害患者でみられる軽躁病エピソードに対する本剤の再発・再燃抑制効果が明らかではないこと、うつ病エピソードに対する再発・再燃抑制効果は期待できないこと等を踏まえると、本剤の投与対象は双極性障害患者のうち双極I型障害患者とし、本剤の効能・効果を「双極I型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制」とすることが適切であると判断いたしました。以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新効能医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適当と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 ただいまの説明について、先生方から何か御質問、御意見ございますか。
○大森委員 徳島大学の大森でございます。
○杉部会長 どうぞ大森先生、お願いします。
○大森委員 機構の御説明にもありましたが、うつ病エピソードのほうには効果が期待できないですね。17ページの表の10を見ると、それが非常にはっきり示されています。うつ病エピソードのほうはプラセボ群と全く変わらないという結果になっているわけで、ここのところは適応が気分エピソードの再発・再燃抑制となるのは、主要評価項目がこれだったから当然そうなると思うのです。しかし、うつ病エピソードには効果が期待できないということは、現場の医師には十分情報提供していただく必要があるかと思います。というのは、うつ病エピソードの再発が多いようなタイプの患者さんよりは、躁病エピソードの再発の多い人に適切に使うと、この薬の意義がとても出てくると思うので、そこのところの情報提供をきちんとしていただきたいと思いました。
もう1つは、本当はこの注射剤だけで治療できれば理想的ですが、リチウムやバルプロ酸とかを既に使っている患者さんで、うまくその病相抑制ができない人に重ねて使うということがあり得るかと思うのですが、現時点でリチウムやバルプロ酸との併用した場合のデータ、安全性、有効性などについて文献的にあるかどうかという点をお伺いしたいと思います。以上2点です。
○杉部会長 では、機構のほうからよろしくお願いします。
○医薬品・医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず1点目の本剤の気分エピソード別の有効性につきまして、先生がおっしゃるように、審査報告書の通し番号で17ページの表10を見ますと、本剤についてはうつ病エピソードの再発・再燃抑制効果は期待できなかったことから、対象患者としては双極I型障害に限ったというところがございます。また、審査報告書の通し番号で44ページの一番下に記載しておりますように、同じような御意見を専門協議の委員からもいただいており、効能・効果については、気分エピソード別に限定せず、気分エピソードの再発・再燃抑制とすることで問題はないが、その気分エピソード別の有効性の結果については適切に医療現場に情報提供するよう、コメントをいただいております。以上を踏まえまして、本剤の気分エピソード別の有効性の結果については適切に情報提供するように、申請者に指示しているところでございます。1点目につきましてはよろしいでしょうか。
○大森委員 はい、了解いたしました。
○医薬品・医療機器総合機構 ありがとうございます。続いて2点目でございますが、リチウム、バルプロ酸との併用についてのデータの御指摘と理解しております。国際共同第III相試験では、基本的にはこれらの薬剤との併用はされないデザインで試験が実施されておりますが、一方で、その延長試験であります国際共同長期投与試験では、症状が悪化した患者さんなどには救済治療として、これらリチウム等の薬剤の併用が許容されていました。審査報告書には記載はしておりませんが、これらの併用例における安全性等については申請資料等から確認しておりまして、特に懸念される点はないことを確認しております。説明は以上となります。
○大森委員 はい、現状分かりました。ありがとうございます。
○杉部会長 そのほかの先生、何か御質問、御意見ございますか。
○宮川委員 すみません、日本医師会の宮川でございます。
○杉部会長 どうぞ宮川先生、お願いします。
○宮川委員 大森先生が懸念していたということは非常に重要なことだろうと思っております。機構のほうからも、先ほど48分の43、44ページのところで、いろいろな懸念として有効性、気分エピソードに対する記載はしなくてはいけません。48分の13ページのところから次のページのところで、実際にいろいろ問題点が書かれています。日本人に対しては、ハザード比として高値を示す結果となっています。その理由に対しては症例数が少なくというようなことを書いてあり、重要です。群間での背景因子の偏りに起因した可能性があるとしているが、知見が限られているということは、やはり添付文書等は限られた中での知見であるとの認識が分かる様にしていただきたい。非常に重要なことであろうと思いますので、少し意見を追加させていただきました。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。機構のほう、いかがですか。
○医薬品・医療機器総合機構 コメントありがとうございます。先生の御指摘のとおり、国際共同第III相試験におきましては日本人症例が少ないという状況下で、本剤群とプラセボ群の患者の背景因子や環境要因の偏りが原因となって、主要評価項目については全体集団と日本人集団で一貫した傾向は認められなかったという点がございます。一方で、国際共同第III相試験における主な副次評価項目である重度の症状と想定される患者の入院状況や安全性、あるいはその延長試験である国際共同長期投与試験における日本人の有効性及び安全性については、全体集団と比較して大きな問題はないことを確認しております。また、添付文書については、日本人症例数を記載させていただいておりますが、資材等では全体集団と日本人集団の有効性及び安全性の結果を適切に記載するよう、申請者に指示している状況でございます。そういった情報から、日本人患者さんの限られた症例ではありますが、有効性及び安全性のデータが医療現場に情報提供されると理解しております。以上となります。
○宮川委員 ありがとうございます。主要項目できちっとした判断がされて、副次項目でそういうような形なのだということで、しっかり記載されているということがこれからも重要なことと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。先生方からの懸念もあるということを、よくメーカーのほうにも伝えるように、また機構のほうからお願いいたします。よろしいでしょうか。
それでは議決に入りたいと思いますが、大森先生、山田先生におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですから、先生方の御懸念がよく伝わるように、機構のほうもよろしくお願い申し上げます。それでは、承認を可としまして、薬事分科会に報告させていただきます。
続きまして、議題6に移りたいと思います。議題6につきましても、機構のほうからの説明をよろしくお願いいたします。
○医薬品・医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品ブコラム口腔用液2.5mg他3規格の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。
資料6の審査報告書の一番下、全44ページの通し番号の3ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等」の項を御覧ください。てんかん発作は通常1~2分で頓挫することが多く、けいれん発作の場合、持続時間が5分以上続くとてんかん重積状態と診断し、速やかに治療を開始することが推奨されております。本剤はベンゾジアゼピン誘導体であるミダゾラムを有効成分とする口腔用液剤であり、てんかん重積状態の小児患者に対し、シリンジ液剤の全量を頬粘膜に緩徐に投与する薬剤です。本邦では、本剤と同じ有効成分であるミダゾラムの静注剤としてミダフレッサ静注0.1%が2014年9月にてんかん重積状態の効能・効果で承認されております。海外では、本剤は2011年9月に欧州で承認され、2020年2月現在、欧州を含む33の国又は地域で承認されております。以上の背景から、医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性が高いと評価され、開発要請が行われました。今般、てんかん重積状態に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。なお、本邦におけるてんかん重積状態の患者数は年間約○○人と推定されており、本剤は希少疾病用医薬品に指定されております。本申請の専門委員として、資料13に記載されている5名の委員を指名しております。
臨床成績を中心に、審査の内容を説明させていただきます。まず有効性について、審査報告書の一番下、全44ページの通し番号で14ページ、上から4行目を御覧ください。生後3か月、修正在胎で52週以上18歳未満のてんかん重積状態の患者を対象に、国内第III相試験が実施され、同ページの上から9行目、「主要評価項目である」から始まる段落に記載したとおり、主要評価項目であるFASにおける奏効率の95%信頼区間の下限値は64.3%であり、事前に規定した閾値である30%を上回りました。
次に安全性について、審査報告書の一番下、全44ぺージの通し番号22ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。臨床試験における有害事象の発現状況並びに呼吸抑制関連の事象、循環抑制関連の事象、中枢神経系の事象について検討した結果、既承認の本薬静注製剤と同様の注意喚起を行うことを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しております。また呼吸抑制関連の事象について、まず審査報告書の一番下、全44ページの通し番号で40ページの「1.5.1 医療機関外における投与を可能とする患者について」の項を御覧ください。本剤は既知のリスクとして呼吸器系等の抑制作用が知られており、また医療機関外においても投与される薬剤であることから、医療機関外で本剤を投与した場合、本剤投与後には原則として救急搬送を手配することが適切であると判断しております。その上で、戻って恐縮ですが、審査報告書の一番下、全44ページの通し番号で38ページの下から4行目、「呼吸抑制について」から始まる段落を御覧ください。本剤はてんかん重積の緊急な治療を要する状況において、静脈確保が困難な場合に使用可能な薬剤であることを踏まえると、重度の呼吸不全患者を禁忌にすることは困難であるものの、呼吸不全を有する患者に投与する場合には、医療機関内のように救急蘇生の対応が可能な状況下でのみ投与するよう、添付文書において注意喚起する必要があると判断しました。
最後に用法・用量について、審査報告書の一番下、全44ページの通し番号で39ページの「1.4 用法・用量について」の項を御覧ください。用法・用量の年齢下限について、臨床試験は修正在胎52週以上の患者を対象に実施されたこと、生後3か月以上で修正在胎52週未満の乳児に本剤を投与した場合、本薬の全身曝露量が高くなる可能性があること、本邦は海外と比較して周産期死亡率が極めて低いこと等を踏まえると、用法・用量の年齢下限は修正在胎52週以上とすることが適切と判断しました。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年間、生物由来製品並びに特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は毒薬、劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○杉部会長 てんかんの重積状態に、緊急時に使うということでございます。先生方のほうから何か御質問、御意見ございますか。
○堀委員 すみません、堀です。よろしいでしょうか。
○杉部会長 どうぞ、堀先生。
○堀委員 御説明いただき、ありがとうございました。この薬は今お話いただきましたように、私たち要するに一般市民であっても投与する機会があるということで、非常にその使い方についてはやはり留意すべきだと思っております。それで、つきましては添付文書の6の用法及び用量について教えていただきたく、質問させていただきます。用法及び用量を見ますと、年齢によってこのミダゾラムの投与するmgが変わってまいりますが、今、子どもによっては非常にその年齢が高くても体重が少なかったり、また小さくとも体重が重かったりするお子さんがいると思います。ここでは体重というものに関しては全く気にせずに投与してもいいということなのでしょうか。教えてください。
○医薬品・医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず、本剤の開発方針について説明いたします。御指摘いただきましたように、本剤の用法・用量は年齢区分別の固定用量とされております。本剤はてんかん重積状態という緊急を要する状態のときに使われますので、その都度に患者の体重を測定すると迅速な投与ができないということから、体重換算ではなく年齢区分別の用量で投与することで開発が進められております。
年齢区分別の固定用量とした理由について、審査報告の10ページ、「6.R.2 年齢区分別の固定用量とすることについて」を御覧ください。表6に示しておりますとおり、本剤を投与したときの曝露量について、年齢区分別に固定用量とした場合、区分間で大きな差違はないという結果が得られております。
○堀委員 ということは、今おっしゃったように、余り体重は関係ないという形で、考えていいのでしょうか。私ども、もし病院以外の、例えば幼稚園、小学校とか、保育園、20歳前18歳未満でしたら中学、高校とかで、もし教員の立場に立って生徒がこういうふうになったときには、事前にそのおうちの方、あとは担当の医師の方から、何かあったら投与してくださいといった形で委託をされるという状況なのでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 ご質問ありがとうございます。審査報告の11ページの1ポツ目、本剤の投与対象の最低年齢である生後3か月の小児の体重の3パーセントタイルは日本人の標準体重データで4.85kg及び4.57kgと報告されており、当該年齢区分での患者さんを想定して本剤の投与量2.5mgの体重換算量を考えた場合にそれぞれ投与量は0.52mg/kg付近となり、現在の国内外ガイドラインで推奨されております本薬の頬粘膜投与の推奨用量と同程度になるという結果が得られております。また添付文書におきましても、本剤の臨床試験に組み入れられました被験者の体重分布について、情報提供するようにしております。
○事務局 追加で御質問を頂きました、保護者の方々にどういう形で渡されるのかというところなのですけれども、基本的に、最初にもう保護者の方などに、「これこの用量お願いします」という形で、同じ規格のものが複数本渡されるような形になると思いますので、それを事前に学校などに置いたりして、そちらを使っていただくという形になると考えております。
○堀委員 ありがとうございます。関連しまして、患者向けの資材についてお尋ねしてもよろしいですか。
○杉部会長 どうぞ。
○堀委員 通し番号41ページの1.5.2の部分の2ポツ目のところを御覧ください。ここに、「見本があると良い」とあります。要するに練習、投与の練習のための見本があるとよいということで。その下のところに、申請者の。これは患者向けに資材に関してはこのような見本があると解釈してよろしいのでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答いたします。申請者には、製剤見本を医師だけでなく、必要に応じて保護者等に対しても提供できるように指示しているところです。また、保護者等に対しては、オンラインで視聴できる投与方法が学べる動画があり、資材に加えて、動画等も含めて投与方法について学んでいただく機会を提供する予定です。
○堀委員 そういたしますと、保護者向けというのは分かりましたし、では例えば学校の関係者の方たちもそのムービーを見たりして安全な投与の仕方とかを勉強できるということですか。
○医薬品・医療機器総合機構 必要に応じて、学校等の先生方に対しましても同様な情報提供をするよう、申請者に指示しております。
○堀委員 ありがとうございますその資材に対して最後にもう1つ質問なのですけれども、添付文書の「7.用法及び用量に関連する注意」の7.3のところに、「飲み込まないように注意すること」という文言がありました。私ども、その飲み込まないように注意をすると言われても、一体どういうふうにしたらいいのか、ちょっと分からない部分があるのです。確かに、この資材のお写真もいただいた通し番号33ページの14のところに、「投与方法」と書いてあって、それは分かるのですが、患者向けの資材には、そういうすぐ飲み込まないようにというような、具体的な注意事項は書いているのでしょうか。
○医薬品・医療機器総合機構 コメントありがとうございます。御指摘の点につきまして、本剤の投与方法については患者向け資材において説明しており、その中で、本剤を投与する際には、お子さんを横にした状態で本剤を歯茎と頬の間に入れ、ゆっくり注入するようにし、飲みこまないようにしていただきたいという記載があります。
○堀委員 ありがとうございます。ちゃんとそういうふうな丁寧な、お子さんを横にしてとかというふうなことが書いてあるのであれば、安心いたしました。今、頂いた取扱い説明書のところに、そういうものがなかったので不安に思いましたので、説明お願いいたしました。ありがとうございます。納得いたしました。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。ほかの先生方から何か御質問、御意見ございますか。特になければ、これはてんかんの重積発作で、とっさのときということになりますが、今、御指摘のありましたようなところ、よくメーカーのほうから使われる側に説明があるといいなと思っております。それでは、特に御意見なければ、議決に入りたいと思いますが、よろしいですか。
それでは議決に入りたいと思います。大森先生、川上先生、武田先生、宮川先生におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告をさせていただきます。
続きまして、議題7に移りたいと思います。議題7につきましては事務局から説明をお願い申し上げます。
○事務局 議題7、資料7、パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より説明いたします。資料については2つ目のファイル、希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書を御準備ください。報告書の1ページ中ほどを御覧ください。申請者はJCRファーマ株式会社です。予定される効能・効果は、「ムコ多糖症II型」になります。
対象患者数について、ムコ多糖症II型は指定難病であるライソゾーム病に含まれる疾患です。全国疫学調査によると、患者数は199人と報告されており、指定基準を満たしているものと考えております。
2ページの医療上の必要性については、本邦においてムコ多糖症II型に対する治療薬として、イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)が承認されておりますが、当該酵素は血液脳関門を通過しないことから、中枢神経症状の改善は認められず、新たな治療選択肢が求められています。本剤はヒト化抗ヒトトランスフェリン受容体1抗体に、ヒトイズロン酸-2-スルファターゼが結合した融合タンパク質であり、トランスフェリン受容体を介して血液脳関門を通過し、脳実質におけるヘパラン硫酸濃度を低下させ、ムコ多糖症II型患者における中枢神経症状を改善させることが期待され、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に開発の可能性について、ムコ多糖症II型患者を対象とした国内第II/III相試験において、脳脊髄液中ヘパラン硫酸濃度の減少が認められたこと等から、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品指定の3要件を満たしているものと考えております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございます。この患者さんは、大体、今199名ということです。希少疾病用の医薬品としての申請です。先生方から、何か御意見、御質問はありますか。特になければ議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告させていただきます。
続いて、議題8に移ります。事務局からの概要説明をお願いいたします。
○事務局 議題8、資料8、オリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より説明いたします。事前評価報告書を御準備ください。報告書1ページの中段です。申請者は、サノフィ株式会社です。予定される効能・効果は、「酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症」になります。
対象患者数について、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症は、指定難病であるライソゾーム病に含まれる疾患です。全国疫学調査によりますと、患者数は3人と報告されており、指定基準を満たしているものと考えております。
2ページの医療上の必要性についてです。本邦において、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症に対する薬物治療はなく、症状の改善、管理を目的とした緩和療法及び支持療法が行われております。本剤は、遺伝子組換え技術により製造されるヒト酸性スフィンゴミエリナーゼであり、本剤の投与により、全身組織におけるライソゾームのスフィンゴミエリンの蓄積を抑制することで、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症患者における様々な症状の改善が期待されることから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、開発の可能性です。本剤については、成人の酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症患者を対象とした国際共同第II/III試験において、脾容量の減少及び一酸化炭素肺拡散能の増加が認められております。また、小児患者を対象とした臨床試験においても、脾容量の減少及び一酸化炭素肺拡散能の増加が認められていることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。よろしく御審議のほど、お願いいたします。
○杉部会長 ありがとうございました。この薬に関しても、対象例は現在のところ3名ですが、将来にも影響があるということです。先生方から何か御質問、御意見はありますか。もしなければ、このまま議決に入ります。本議題について、希少疾病用医薬品の指定を可としてよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございました。
続いて報告事項に移ります。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項の1~3について、事務局からまとめて報告いたします。報告議題1、医薬品ツートラム錠50mg、100mg及び150mgの製造販売承認についてです。本剤は、トラマドール塩酸塩を有効成分とする1日2回投与型の経口徐放性製剤です。本剤と同じ有効成分の経口製剤として、1日4回の即放性製剤と、1日1回の徐放性製剤が既に承認されております。今般、国内臨床試験成績を基に、日本臓器製薬株式会社より新剤形医薬品として、「非オピオイド鎮痛剤で治療困難な慢性疼痛における鎮痛」を効能・効果とする本剤の製造販売承認申請がなされております。機構における審査の結果、本申請を承認して差し使えないとの判断がなされております。
続いて報告事項議題2、医療用医薬品の承認条件についてです。資料は、資料10です。今回、フィンゴリモド塩酸塩を有効成分とする医薬品イムセラカプセル0.5mg、及びジレニアカプセル0.5mgの承認条件に係る報告となります。本剤は、平成23年9月に多発性硬化症の効能・効果で承認され、その際こちらのページに記載のある承認条件が付されているところです。
この度、製造販売業者から承認条件に基づいて実施された使用成績調査の結果に関する考察、及び対応に関する報告書が提出され、機構において評価がなされましたので、報告いたします。1.製造販売後調査の実施の経緯ですが、審査過程において製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間、全症例を対象とした使用性成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、適正使用に必要な措置を講じることが必要とされておりました。
提出された資料の概要ですが、本剤を使用された全症例を対象に平成23年から実施されており、平成25年5月までに投与された1,797例の情報を基に、まとめられております。本調査において収集された有効性、及び安全性は、製造販売承認時に検討された臨床試験と、おおむね同様でした。以上より、機構は提出された資料から承認条件が対応されたものと判断をさせていただいております。
最後に、報告事項、議題3、医療用医薬品の再審査結果です。資料は、資料11-1~11-7です。資料11-1、有効成分名ヘキサシアノ(II)酸鉄(III)水和物、販売名ラディオガルダーゼカプセル500mgです。資料11-2、有効成分名ペンテト酸カルシウム三ナトリウム及びペンテト酸亜鉛三ナトリウム、販売名ジトリペンタートカル静注1000mg及び亜鉛トリペンタート静注1055mgです。資料11-3、有効成分名B型ボツリヌス毒素、販売名ナーブロック筋注2500単位。資料11-4、有効成分名パンクレリパーゼ、販売名リパクレオン顆粒300mg分包及び同カプセル150mgです。資料11-5、有効成分名リナグリプチン、販売名トラゼンタ錠5mgです。資料11-6、有効成分名はメマンチン塩酸塩。販売名メマリー錠5mg、10mg、20mg、同OD錠の5mg、10mg、20mg及びドライシロップの2%です。最後に資料11-7、有効成分名ガランタミン臭化水素酸塩。販売名レミニール錠4mg、8mg、12mg、同OD錠の4mg、8mg、12mg、同内用液の4mgになります。今、御紹介した医薬品ですが、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査及び製造販売後臨床試験に基づいて、再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要がないカテゴリーIと判定をさせていただいております。報告事項は以上です。
○杉部会長 どうもありがとうございました。今の報告事項の説明に関して、先生方から何か御質問、御意見はありますか。特にないでしょうか。よろしいでしょうか。それでは報告事項については、御確認いただいたものとしたいと思いますが、よろしいですね。ありがとうございました。それから、最初にあった議題1のユルトミリスに関して、機構からもう1回説明をしたいということですので、よろしくお願いいたします。
○医薬品・医療機器総合機構 お時間いただき、ありがとうございます。先ほど説明させていただきました議題1ユルトミリスについて、柴田委員から御指摘いただいた表の数字の違いについて、説明させていただきます。大変お手数ですが、資料1の審査報告書を御覧ください。審査報告書の通し番号23ページを御覧ください。先ほど柴田委員より、表26と表27の数字の誤記について御指摘いただいております。機構のほうで資料を確認いたしましたところ、表27に誤記がありましたので御報告いたします。まず重篤な副作用について、本薬311試験については2例、312試験については4例と記載しておりますが、正しくは311試験は修正はなく2例、312試験は4例ではなく3例(9.7%)であるということを確認いたしました。また、重篤な感染症について、311試験では11例、312試験では10例と記載しておりますが、正しくは311試験は11例ではなく14例(24.1%)、312試験は修正はなく10例です。御指摘いただいたこちらの修正については、修正表を作成する予定です。以上です。
○杉部会長 ありがとうございました。柴田先生の御指摘ですが、柴田先生いらっしゃいますか。
○柴田委員 はい。御確認いただきまして、ありがとうございました。
○医薬品・医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。
○杉部会長 いろいろとどうもありがとうございました。本日の議題は以上です。事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、10月29日(木)の4時から開催予定ですが、部会の開催方法については、追って御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○杉部会長 それでは、本日はこれで終了いたします。活発な御意見、御討論を頂き、ありがとうございました。また次回も、どうぞよろしくお願いいたします。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局 

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)