2020年9月9日 薬事・食品衛生審議会 要指導・一般用医薬品部会 議事録

日時

令和2年9月9日(水)13:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名出席
 

欠席委員(1名)
 
行政機関出席者
 
 鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
 山本史(大臣官房審議官)
 吉田易範(医薬品審査管理課長)
 中井清人(医薬安全対策課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
 山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員) 他
 

議事

○医薬品審査管理課長 定刻より若干早いかもしれませんが、そろそろお時間ですので、薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会を開催させていただきます。本部会については新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Web会議形式での開催とさせていただいております。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御参加いただきまして誠にありがとうございます。

 最初に、委員の交代がありましたので、新たに委員になられた方々を御紹介させていただきます。公益社団法人日本薬剤師会常務理事の岩月進委員です。ココカラファイン薬局砧店管理薬剤師の川名三知代委員です。有限会社パラゴンにしもり薬局代表取締役の西森康夫委員です。国立医薬品食品衛生研究所副所長の本間正充委員です。公益社団法人日本医師会常任理事の宮川政昭委員です。これに伴い、乾委員、合田委員、長島委員、濱野委員、渡邉委員が御退任となっております。

 本日の委員の出欠状況についてですが、長谷川洋一委員から御欠席との御連絡を頂いております。したがって、現時点で委員19名のうち18名の委員の御参加を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。また、本日は審議事項の参考人として、国立医薬品食品衛生研究所生薬部長の袴塚高志先生に御出席いただいております。

 前回はメールによる持回り開催でしたので、前々回の令和元年8月開催以降の厚生労働省と医薬品医療機器総合機構における幹部の人事異動について御紹介させていただきます。まずは厚生労働省です。所用で遅れておりますけれども、医薬・生活衛生局長に鎌田が着任しております。大臣官房審議官(医薬担当)に山本が着任しております。私は、医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長に着任した吉田でございます。続いて、医薬品医療機器総合機構です。安全管理監の山田でございます。信頼性保証等部門担当執行役員の池田でございます。医薬品安全対策第一部長の鬼山でございます。一般薬等審査部長の横田でございます。

 それでは、部会を開始する前に、事務局から所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申請いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様におかれましては、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。

 また、本日のWeb会議に際しては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてはマスクを着用したまま説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。それでは、橋田部会長、以降の進行をよろしくお願い申し上げます。

○橋田部会長 橋田でございます。よろしくお願いいたします。それでは、事務局から審議の進行方法の御説明をお願いいたします。

○事務局 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法を説明させていただきます。審議中に御意見や御質問をされたい委員は、まず御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言をお願いいたします。

 なお、発言者が多いときには、発言されたい委員がメッセージに御記入いただくことで、部会長より発言者を順番に御指名いただくことになりますので、よろしくお願いいたします。適宜、メッセージ機能も御利用いただければと思います。

○橋田部会長 本日はWeb会議形式ということで、いろいろ行き届かない点もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。これまで本日の開催の形式について御説明を頂きましたけれども、これについて御質問あるいは御意見等はございますか。よろしいですか。

 それでは、本日の審議に入らせていただきます。まずは、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○事務局 本日の資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りした資料のうち資料1~3を用いますので、お手元に御用意いただければと思います。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けいただければと思います。

 続いて、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告をさせていただきます。資料3を御用意いただければと思います。競合品目、競合企業及びその選定理由について御説明いたします。議題1のベルフェミンは、セイヨウトチノキ種子エキスを含有する生薬製剤です。効能・効果は、軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による、足(ふくらはぎ、足首など)のむくみ、むくみに伴う足のだるさ、重さ・疲れ・つっぱり感・痛みといった症状の改善です。同様の効能・効果を有する製剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

○橋田部会長 ただいまの事務局からの説明について、御意見はありますか。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものとさせていただきます。

 それでは、各委員からの申出状況について、報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況について御報告いたします。議題1のベルフェミンについては、退室委員なし、議決に参加しない委員なしということでございます。

○橋田部会長 ただいまの事務局からの説明について御意見はありますか。よろしければ、皆様に御確認を頂けたものとし、議題に入らせていただきます。本日は審議事項が1議題、その他の事項が1議題となっております。

 それでは、審議事項に移ります。議題1について、機構から概要の説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、機構から資料1について御説明いたします。今回、Web会議にて実施する関係上、製剤サンプルをお見せすることができませんでしたので、製剤サンプルの写真を電子媒体で事前に送付させていただきました。併せて御確認をお願いいたします。

 審査報告書を御覧ください。販売名は「ベルフェミン」で、一般名は「セイヨウトチノキ種子エキス」です。申請区分は一般用医薬品の区分()-マル1で、新効能医薬品に該当します。

 効能・効果は、「軽度の静脈還流障害(静脈の血流が滞ること)による次の諸症状の改善」として、主にむくみに対して使用いたします。用法・用量は、「成人(18歳以上)1回1カプセル、1日2回朝夕食前に服用する」です。

 下段のイの項について説明いたします。ベルフェミンは、セイヨウトチノキ種子エキスを有効成分とする生薬製剤です。本剤は、「外国において一般用医薬品として汎用されている生薬製剤を一般用医薬品として製造販売承認申請する際の取扱いについて」という通知に基づき、申請区分()-マル1新効能医薬品として申請されました。

 本剤は、ドイツを含む22か国で承認され、15か国で販売されている製剤と同一の製剤です。

 申請者は、本剤を要指導・一般用医薬品として開発した経緯及び意義を、以下のように述べております。1ポツ目で、慢性静脈不全症の代表的疾患である一次性下肢静脈瘤は、積極的に治療する必要があり、低侵襲の治療法であることが重要であると考えられていること、2ポツ目で、本剤を要指導・一般用医薬品として提供することにより、軽度の疾患に対処する手段が増加すること、3ポツ目で、本剤の有効成分は欧米のガイドラインで慢性静脈不全症に対する薬物療法として推奨され、本剤は40年以上もの間、慢性静脈不全症患者の健康に寄与し続けていることが挙げられています。

 表4に、既承認OTCの類薬であるアンチスタックスとの比較を記載しています。本剤は、アンチスタックスと同一の効能・効果が設定されています。

 以降は、臨床試験成績を中心に説明していきます。ト項についてです。臨床試験に関する資料として、海外試験8試験の成績が評価資料として提出されています。これら8試験は、EMAがCommunity herbal モノグラフを作成する際に評価資料として使用され、かつドイツを含む外国の審査当局への評価資料に用いられた臨床試験です。さらに、安全性の確認を主たる目的として国内で実施された一般臨床試験1試験の成績が提出されています。

 提出された臨床試験のうち、国外試験としてト-1、国内試験としてト-9について説明いたします。ト-1は、プラセボ及びストッキング圧迫を対照として、ドイツで実施された試験で、本剤群の例数は95例です。有効性評価項目として、下肢の体積変化が評価されています。12週間投与後における下肢の体積変化量は、プラセボ群9.8mLの増加に対し、本剤群43.8mLの減少で、統計的に有意な差が認められました。

 続いて、ト-9を御覧ください。これは本邦における試験で、非対照の一般臨床試験が実施され、72例が登録されています。有効性評価項目として、下肢の周径変化と体積変化のほか、自覚症状と全般改善効果が調査されています。12週時における下肢の周径及び体積はいずれも減少しています。自覚症状のVASスコアも、夜間のこむらがえりの12週時を除き、継時的に減少しました。12週時の全般改善効果の改善割合は、医師による評価では70.1%、被験者による評価では88.1%でした。安全性について、副作用は5例に発現しましたが、重篤な副作用はありませんでした。副作用5例の内訳は、軟便2例、便秘1例、悪心1例、局所腫脹1例でした。

 続いて、審査の概略を説明いたします。こちらもOTCとして重要な部分を中心に説明いたします。「効能・効果について」を御覧ください。申請時の効能・効果は、アンチスタックスの効能・効果に、更に4つの症状が追加されたもので申請されました。機構は、検定の多重性が考慮されていないこと、少ない症例数で実施された臨床試験があることから、アンチスタックスの効能・効果に追加された「かゆみ」、「夜間のこむらがえり」、「むずむず感」及び「知覚異常」の4つの症状については、海外臨床試験において十分に有効性が確認されたとは判断できないと考えました。結果として、アンチスタックスと同一の効能・効果に変更されたことから、機構は効能・効果に問題はないと判断しました。

 「使用上の注意について」を御覧ください。使用上の注意は、関連通知のほか、類薬の添付文書や海外の添付文書を参考に作成されています。高血圧、糖尿病、動脈硬化症及び脳血管障害の人についても適切に対応されたものと考えたことから、使用上の注意に問題はないと判断しました。

 「適正使用について」を御覧ください。本剤の適正使用に資する資料として、使用者向け及び薬局・販売店向け情報提供資料並びにセルフチェックシートが作成されています。申請者は、本剤服用の自己判断の可否について、以下のように述べています。下肢に生じたむくみの原因が静脈還流障害ではない別の疾患である場合、使用者自らが本剤の服用対象外であることを判断できる必要がある。本剤は下肢に生じるむくみを対象としているため、全身性のむくみを呈する疾患との判別は容易である。一方、局所性のむくみのうち、静脈還流障害と同じく下肢に限局してむくみを呈する疾患はリンパ浮腫である。リンパ浮腫は、罹患者の9割以上が乳癌や子宮癌等の治療でリンパ節の切除や放射線治療を行った後に発生する続発性の疾患であるため、使用者への適切な注意喚起により、リンパ浮腫患者を除外することは可能である。加えて、激しい痛みや皮膚病変等を有する人を対象外とすることで、症状が進行した慢性静脈不全症等の可能性が除外できる。したがって、これらの内容を確認事項に設定したセルフチェックシートを提供することで、服用希望者は自らの症状が軽度の静脈還流障害による下肢のむくみであることを的確に判断することが可能である。

 審査においては、妊婦又は妊娠していると思われる人に関する記載が適切に修正されています。また、授乳中の人に関する記載も適切に修正されました。

 これらの経緯を踏まえ、機構は、以上より、修正された使用者向け及び薬局・販売店向け情報提供資料並びにセルフチェックシートについて現段階で特段の問題はないと判断するが、販売にあたっては、適正使用されるための対策が十分になされることが重要と考えます。したがって、製造販売後調査において、適正使用状況も含めて十分に確認し、必要に応じて適切な措置を検討する必要があると考えます。

 続いて、3.を御覧ください。3-1に適合性書面調査に関する事項、3-2にGCP実地調査に関する事項をまとめていますが、いずれにおいても、特段の問題は認められませんでした。

 最後に、総合評価です。以上の検討を行った結果、機構は提出された申請内容について、以下の効能・効果、用法・用量において、本剤を承認して差し支えないと判断しました。なお、本剤は新効能医薬品に該当することから、再審査期間を4年とすることが適当であり、要指導医薬品に該当すると考えます。機構からの説明は以上です。御審議をよろしくお願いいたします。

〇橋田部会長 ありがとうございました。それでは、本日参考人として御参加いただいております袴塚先生から、御意見や補足などをお願いいたします。

〇袴塚参考人 国立衛研の袴塚です。本剤は、ヨーロッパにおいて医薬品として承認されて、広く使われておりますが、これは日本では医薬品としての承認がないということで、健康食品、サプリメントとして利用されている現状がございます。これが、要指導医薬品として承認され、医薬品としての品質が確保された状態で日本に流通させることが可能となれば、国民の健康の向上に貢献することが期待されますので、これが正しく審査されて承認されることを望んでおります。

○橋田部会長 ありがとうございます。ただいま機構から御報告いただいた審査結果、参考人の袴塚先生の御意見について、御質問あるいは御意見等がございましたらお願いいたします。

〇宗林委員 国民生活センターの宗林です。

〇橋田部会長 はい、お願いします。

○宗林委員 ヨーロッパとか、例えばドイツのコミッションEなのかどうか分かりませんが、Community herbal モノグラフとか、いろいろな所で、ということで、それ自体は評価すべきことだと私も思っています。

 問題は、日本で承認するに当たって、この薬理成分が、「エスシンとして1628%の」とか、「40%~80%のエタノールにより抽出され」ということで、エキスを作られているようですが、それを具体的に、それに合っているかどうか、同等性ですね、今までのヨーロッパで使われていたものと、国内で使用する、また作られるものとの同等性の確認という観点で、資料概要の67ページに定量法というものが書かれていますが、私が見る限りは、最終的には○○の○○○で見るぐらいの感じで見受けられますので、これできちんと同等性を確認できるのかどうか。例えば○○○とか、もう少し精査できるような方法でなくていいのかどうかをお尋ねしたいと思います。

○橋田部会長 機構から御説明いただけますでしょうか。お願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 機構から説明いたします。本剤は、ヨーロッパで使用されている製剤と全く同一の製剤を輸入して販売することになりますので、その点ではヨーロッパと全く同等というのは担保可能と考えております。

 また、申請書におきまして、エキスの製法としてエタノールの濃度とか、エスシンの濃度などを別紙規格で規定することになりますので、その点でも品質は担保されると考えます。

○橋田部会長 宗林先生、いかがでしょうか。

○宗林委員 エキスが完全に輸入されてと、エキス状態で輸入されたものを使うということの前提にされているということでしたが、今回のメーカーに関してはそういうことということでしょうか。今後ずっとそういう形で、エキス状態で輸入されたものを、日本では製剤にしていくということを考えているということでしょうか。

 それであれば、エキスはヨーロッパの品質あるいは同等性を担保できると思いますが、いずれ変わっていくということが考え得るのであれば、エキスとしての同等性の確認方法をきちんとしたほうがよろしいかなと思います。

○医薬品医療機器総合機構 先ほどの説明ですが、もしかしたら間違えて申し上げたかもしれませんが、輸入するのはエキスではなくて、製剤として輸入することになります。なので、本剤に関しては、現状、製剤として輸入することになりますので、製剤の品質も海外と同じということは担保可能です。また、今後本剤を承認した後に、仮に製造所の変更などがある場合には、また一変申請などで機構が審査することになりますので、頂いた御意見を踏まえて審査に臨みたいとは考えております。

○宗林委員 分かりました。ありがとうございます。

 もう一点、念のためにお尋ねいたします。先ほど国立衛研からのお話がございましたので分かりましたが、いわゆる食薬区分的には専ら医薬品ではなくて、効能・効果をうたわなければ食品でも使えるというところに、これは入ってくるということでよろしいでしょうか。あるいは健食としても使っているということが現状ありますので、場合によっては、医薬品量よりも多い健康食品で市販される可能性があるということかなと思いますが、いかがでしょうか。

○橋田部会長 いかがでしょうか。

○事務局 種子エキスに関しては、専ら医薬品という成分になっております。

○宗林委員 もちろん、医薬品の成分なのですが、食薬区分のときに、例えばセイヨウトチノキ種子というものが食薬区分の専ら医薬品にしか使えないものに入っていなかった場合、B群でしたっけ、ノットBでしたっけ、どちらにも使える区分だと、原材料としてはかなり幅広になると思います。そちらに入っているからこそ、健康食品で今販売されているのではないかと思ったので、お尋ねした次第です。後ほどということの御回答でも結構です。

○事務局 承知しました。後ほど御回答させていただきます。

○袴塚参考人 よろしいでしょうか。

○橋田部会長 お願いします。

○袴塚参考人 先ほどの私の発言で誤解を生じさせたかもしれませんが、このセイヨウトチノキの種子は、事務局の発言のとおり専ら医薬品のリストに入っていますので、現状では日本国内で医薬品としてしか製造販売させることはできません。ただ、これが海外で、例えばアメリカなどでサプリメントとして販売されているものを、個人輸入して使うことはできるわけです。

 日本では専らリストに入っていますから、日本のメーカーが健康食品として販売するということはあってはならないことなのですが、それを国民が個人的に輸入することに関しては、止める手段は今のところはありません。それを、日本で要指導医薬品としてきちんと承認して、医薬品として流通させることによって、正しく使用していただくことが望ましいという趣旨の発言でした。

 食薬区分において、医薬品として承認されたら、それで食薬区分が変わるということはないのですが、セイヨウトチノキ種子は既に専ら医薬品のリストに入っていますので、医薬品として承認されることをもって、食薬区分が変わるということはありません。つまり、効能・効果をうたわなければ食品として販売してもいいというリスト(非医薬品リスト)のほうに鞍替えするということは全くなく、このまま専ら医薬品としての扱いが続くと思います。

○宗林委員 承知しました。よく分かりました。ありがとうございました。

○橋田部会長 ほかに御質問はいかがでしょうか。

○多田委員 皮膚科の視点から、幾つかお聞きしたいと思います。まず、全身性の疾患からのむくみが足だけに出ることがないというお話だったのですが、必ずしもそうではありません。特に高齢者においては、長時間座る生活をされている方が多いので、全身性のむくみの症状が最初に足だけに限局して出てきて、それで全身に広がっていくというケースがございます。そうした症例をどこで拾いあげていくかという問題があると思います。患者用のチェックシートの一番最後のところに高齢者というチェック欄があります。高齢者である場合には服用する前に医師又は薬剤師に相談してくださいとありますので、そこで患者さんが気がついて、相談してもらえるといいと思いますが、具体的な年齢が書かれていないので、自分が高齢者かどうか、把握できない方がいるかもしれません。もし可能でしたら、例えば具体的な年齢、60歳とか、少し厳しめの定義での高齢者の年齢を入れていただくと、全身性のむくみをきたす疾患の初期症状である足のむくみを見逃さないという点でよろしいのかなというのが、まず1点です。

 それから、もう一つは使用者向けの情報提供資料ですが、これを見ますと「還流障害」という言葉は出てくるのですが、具体的に「静脈瘤」という言葉が出てきません。一部に「弾性ストッキングを使用することも、足のむくみに対して有用な場合があります」とは書いてあります。足のむくみから発見されるものとして多いのが静脈瘤で、きちんとした治療選択肢が弾性ストッキング以外にも、症状の進行にあわせてあります。ですから、どこかで静脈瘤という疾患がちゃんとあって、それは医療機関で治療対象となるというような話が、説明書を読む方に御理解いただけるような形であることが望ましいのではないかと思うのです。つまり、足はむくんでいるけれど、これを飲んでいるしか治療方法がないのだというように誤解されてしまいますと、国民の健康という観点で、静脈瘤の早期発見、早期に進行を止めるというようなところに患者さんが行き届かないような問題点が生じる可能性があるかと思いました。

 3つ目ですが、静脈のうっ滞がみられる疾患のうち、非常に危険な疾患として、深部静脈血栓症というものがございます。片足だけで急に腫れてくるのですが、できるだけ早くに受診していただかないと、肺の塞栓症などを来すなど、重篤な転帰をたどる可能性があります。自覚症状としての痛みなどはなくて、無症状で時間が経過して、患者さんが見過ごすことがあります。その辺りについての記述も加えておいたほうがよろしいのではないかなと思いました。以上、質問というよりコメントなのですが、御検討いただければと思います。

○橋田部会長 ただいまの御意見に対して、御回答を頂けますか。

○医薬品医療機器総合機構 機構から回答いたします。3点ほど頂いたかと思います。まず1点目、高齢者の年齢を具体的に書いたほうがよいのではないかというところですが、「高齢者」と書くことで、薬剤師に御相談していただいて、そこで判断していただくということになるのかなと思いますので、特段記載は不要ではないかと考えておりました。

 頂いた御意見の中の全身性のむくみを、全身の疾患であっても、局所に、足のみに出ることがあるというのは、確かにおっしゃるとおりでして、こちらは申請者からも説明されております。資料概要の23ページを御覧ください。2段落目の上から4行目ぐらいからですが、「腎臓病等の病初期には、下肢に限局してむくみが生じることはあるが、これらの疾患の典型的な症状である息切れ、倦怠感等を確認することで、本剤の服用可否を判断できる」ということで説明がございます。御説明いただいたチェックシートの一番下の部分でも、息切れや倦怠感などがある場合には、薬剤師に相談してくださいということで、記載させていただいております。

 また、2点目についてです。情報提供資材に静脈瘤についての記載をするということですが、これは、おっしゃるとおり必要な記載かなとも思いますので、申請者と相談させていただきまして、申請者に適切な形で記載するように伝達いたします。

 3点目の深部静脈血栓症につきましても、2点目に頂いたコメントと同じように、申請者に適切に記載するように伝達したいと考えております。

○多田委員 ありがとうございました。まず、今のご回答でおおむねよろしいかなと思います。確かに高齢者の年齢を記載しなくてもよろしいかなと思います。これをこのまま読みますと、先ほどの使用者向け情報提供の3番目の項目に、「足以外の部位又は全身に認められるむくみは、心臓病」うんぬんというもので、「可能性がありますので」というように書かれています。

 これを読みますと、足だけだったら、こういうのは逆にないのではないかと思われる方もいらっしゃって、ちょっと危ないかなと思います。ですので、どこかに高齢者の方ですとか、特定の条件下では、足だけに初期にむくみが出ることがあるということを書かれたほうがいいのではないかと思います。実際に、息切れとか、そういったものは活動性の高い高齢者は症状として自覚できる可能性がありますが、活動性の低い高齢者は日常生活の中では、心不全の軽い初期症状は感じないまま、足のむくみの症状だけできてくることもありますので、その辺りは用心して記載しておいたほうがよろしいのではないかと思いました。

 あと、静脈瘤と深部静脈血栓症につきましては、機構の御説明のとおりにしていただけますと有り難いです。

○橋田部会長 機構のほうはいかがでしょうか。

○岩月委員 発言してよろしいでしょうか。

○橋田部会長 どうぞ。

○岩月委員 今の多田先生の御指摘は正にもっともだと思いますが、セルフチェックシートのセルフという意味は、患者さんがこういう症状を訴えて薬局にお見えになったときに、患者さんが1人で書き込むものなのかという前提を確認したいと思うのです。薬剤師と相談しながら、こういう症状があるのだけれども、こういうお薬を使ってもいいですかと、そういったための資料だと思いますので、例えば今、御指摘のあったようなことについて、患者さんがセルフで深部静脈瘤といったことが判断できるのか。一般的に言えば、判断できるはずがないと思うのですが、薬剤師が相談に乗ることによって、このお薬を販売しないという防波堤には、私は十分になるだろうと思っていますが、その辺の前提はいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。先ほど多田先生に頂いた意見につきましては、適切に反映するようにいたします。

 今、岩月先生から頂いた意見につきまして、セルフチェックシートの使い方ですが、頂いたとおり、薬剤師の先生と相談しつつ飲んでもいいかどうかというのを判断しながら進めていくものと考えています。

○橋田部会長 岩月委員、よろしいですか。

○岩月委員 そういう観点で言うと、()の所ですが、「服用する前に医師又は薬剤師にご相談ください」という文言が、薬剤師とともに確認しているのであるのであるのなら、薬剤師に相談をしましょうとか、場合によっては医師への受診をお勧めすることがありますというような表現でないと、薬局にモチベーションを持ってお見えになった患者さんが、こういった症状を訴えていらっしゃるのに、医者の所に戻すのかというような表現に取られかねないという懸念は持っています。

 したがいまして、薬剤師とともにチェックをして、その上で販売をしないとなれば、患者さん向けの情報文書だけれども患者さんに渡らないわけですから、ここの第1関門をいかに大事にするかというように、少し文言も含めてお考えいただけるとよろしいかなと思っています。

○橋田部会長 これは一般用医薬品の在り方に関して、いつも議論になるところでもございますが、いかに病気を持ってこられる方に対して正確な情報を提供するかということと、必要な場合には、例えば薬局のいろいろなアドバイス、あるいはセルフチェックシート等を通じて必要な受診を勧奨するといったところが、総合的なシステムとしてうまく機能するように、どういった形で、こういう販売店向けの情報提供資料の、例えば内容を整理することかと思っております。

○新保委員 内科医の立場から、多田委員が発言した内容に関連したお話をさせていただきたいと思います。むくみのときに、内臓をはじめ器質的な疾患がないかどうかということが非常に重要かなと思います。それで、審査報告書の36ページの適正使用の所を見ますと、判断が容易というようにメーカーが記載されているように読めるのですが、実際は器質的な疾患があるかどうかという判断は、かなり難しい判断に入るのかと思います。心臓や肝臓、腎臓の疾患、あるいは悪性腫瘍、下肢の静脈血栓症の鑑別は、そんなに簡単ではないと思います。

 多田委員からのお話にありましたとおり、下肢の静脈血栓症ですと、肺塞栓症など命に関わるようなこともあります。それで、下肢の静脈血栓症では、必ずしも激しい痛みを伴うことはないのです。痛みを伴うようなことがないこともあります。そういう点で、添付文書ですが、マル1の「次の人は服用しないでください」の()で、むくみのことは記載されていますが、むくみ以外の症状がある方も気を付けたほうがいいかなと思っています。

 それから、次の()で、足に激しい痛みということで、激しいというように限定していますが、「激しい」という文言はなくてもいいのかなと思います。これは添付文書ですが、販売店向けの情報提供資料のチェックシートでもそういった見直しは必要かなと思っています。

 それから、販売店向け情報提供資料の中の5ページ目で、「本剤の適応対象外となる浮腫」ということで、「浮腫の原因を判別することが重要です」と記載があって、全くそうかなと思っています。この辺に、鑑別は難しいこともあるというようなことも含めて記載していただけるといいかなと思います。

○橋田部会長 ただいまの御議論に対して、更に何か追加はございますか。

○稲葉委員 先ほどの新保先生のお話なのですが、私も甲状腺の診療をやっているのですが、高齢で甲状腺機能低下症というのが、診断されずに過ごされている方が多いのです。こういう足のむくみで、初めて甲状腺機能低下症というのが発覚するような患者さんがかなりいらっしゃるので、診断がついている人は問題ないと思うのですが、甲状腺などについても、ちょっと注意喚起していただきたいと思います。

 それと、もう一つは、腎臓病などがなくても、高齢の女性というのは浮腫が起こることがあるので、別に腎機能低下がなくても、利尿剤などを使っている患者がいらっしゃるのですが、利尿剤を服用されている患者で、もっとむくみを取りたいということで、こういう薬局を訪れる方の対応というのはどうなっているのでしょうか。利尿薬については、ここには書かれていないと思うのですが。

○橋田部会長 幾つかの点について問題提起していただいていますが、いかがでしょうか。

○望月委員 今の利尿薬について書かれていないという御質問に対する御回答は、まずは事務局からあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただきます。利尿薬を併用禁忌には挙げておりませんが、利尿薬は必ず医療機関で処方されるお薬になりますので、「相談すること」の1の()で、医師の治療を受けている人というのがございますので、相談することにはなります。利尿薬に関しては以上です。

○望月委員 質問いたします。まず、この製品の製剤なのですが、徐放性の顆粒がカプセルの中に封入されているというように読んだのですが、それでよろしいでしょうか。それで、海外のものをそのまま輸入されるので、海外で行われた臨床試験も、カプセルの中に徐放性の顆粒が封入されたものが使われているということでよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 徐放性のことについて回答させていただきます。今おっしゃっていただいたとおりで、徐放性の顆粒が徐放性ではないカプセルに封入されているという製剤です。また、海外から製剤そのものが輸入されておりますので、海外と同じ製剤です。

○望月委員 では、臨床試験もそれで行われたということで解釈いたします。その場合、製剤見本のサイズ感が分からないのですが、やや大き目のカプセルに見えまして、脱カプセルして、すり潰したりしないといった徐放性が壊れてしまうことにならないような注意喚起をしておくのはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 カプセルについては、日本薬局方カプセルという規格がございますが、そちらに適合するカプセルでございます。通常のカプセルと同じものですので、カプセルに関する特段の注意は不要と考えています。

○望月委員 できたら薬剤師向けには、これが通常のカプセルの中に徐放性の顆粒が入っている製剤なのだという情報提供を、薬局、薬店向けの説明文書の中に書いておいていただきたいと思います。

 次の質問です。食前投与ということになっているのですが、薬物動態を見ると、食間投与のほうが吸収はかなりよい形になっています。あえて食前投与を選ばれた理由を教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 先ほどのカプセルの中の、徐放性顆粒が含まれているという点を薬剤師向け情報提供に記載させるということで、申請者に伝達します。

 また、食前になった経緯については、審査報告書の35ページに記載されております。申請時には「1日2回朝夕に服用」ということで、食前の規定はされていませんでした。ただ、機構の見解としましては、3段落目に記載していますが、「機構は、以下のように考える」として、食前と食後を直接比較したデータがないことをもって、食前を規定しない理由にはならない。また、海外の臨床試験では2試験が食前で実施されており、国内試験も食前で実施されたことを踏まえると、有効性が担保できるのは食前であるというように判断いたしました。

○望月委員 ただ、私が質問したのは、なぜ食間を選ばなかったのかということで、明らかに食前食後より、食間投与のほうが動態的にはAUCが大きくなっているのですが、海外は食間投与というのは行われていなくて、海外の臨床試験データを今回かなり使っているので、食前投与で結果が得られているという理解でよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 国内臨床試験を含め、食前投与で有効性及び安全性を確認しております。また、海外の文献ですが、文献ですので、一部どのタイミングで投与をしたのかが分からない文献もございますが、少なくとも2試験において、食前で実施しているということを確認しております。

○望月委員 分かりました。了解したいと思います。

 最後にもう一点です。先ほど年齢のお話が出ていたのですが、本剤は「成人(18歳以上)」というように用法・用量に書かれているのですが、アンチスタックスというほぼ類似のOTCでは、「成人(20歳以上)」という書き方になっていて、ここは少し整理していただいたほうがいいと思うのですが、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 本剤はヨーロッパのCommunity herbal モノグラフなどに従って、まず設定が始まっております。そのモノグラフにおきましては、18歳以上に対して有効性が確認された旨の記載がございます。また、日本の国内試験が、アンチスタックスと異なり、18歳以上を対象に実施されておりまして、それを基に、今回は18歳というように設定したという経緯がございます。

○望月委員 今の御説明はそうなのかなと思うのですが、添付文書上に出てくる「高齢者」ですとか、「成人」あるいは「小児」という言葉が、何歳から何歳を指すのかというのが、一応添付文書上のルールというのがあったと記憶しておりまして、こういうような形でルールがいろいろな一人歩きをするような形で崩れていくというのはどうなのかということを思っております。単に「成人」という言葉とか、そういうもののルールをこれから見直しするとか、そういうことがあるのでしたら、それはそれで結構だと思いますが、これは意見として述べさせていただきます。

○橋田部会長 非常に大事な問題かと思いますので、将来に向けて、そういった形の整理は是非御検討いただければと思っています。

 望月委員からは、製剤特性をいかすために、いろいろな条件の確認を、それから販売者向けの情報提供資料の中身についても、御注文がございまして、これについては必要なものは修正いただいて、また望月委員に確認していただくということかと思います。

 それから、その前に、いわゆる疾患像といいますか、そういったところで、いろいろな記述の内容、情報提供の内容についても御意見を頂きましたが、これらにつきましてはそういう形で修正を委員の先生方ときっちりと詰めていくということでよろしいでしょうか。

○宮川委員 宮川ですが、よろしいでしょうか。

○橋田部会長 どうぞ。

○宮川委員 各委員がすごく懸念されているところは非常に分かるのです。その根本というのは何かというと、これは静脈還流障害と書いてあるのです。これは海外の文献を全部細かく読んでも、加圧試験なので、血流を抑制して、静脈の容積からそれを推察するために下肢の体積とか周径を測って、最終的に静脈還流障害を推察しているだけなのです。文献上全部それです。これでは、静脈還流障害という言葉が一人歩きしています。

 これに対して、本当に静脈還流障害を是正しているのかという結果がどこにもありません。本邦における臨床試験という中にも、1つも書いていないのです。しかし、72例の下肢の静脈還流障害患者と書いてあるのが、非常に不思議です。

○橋田部会長 ありがとうございます。御回答を頂けますでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構です。まず、先に伺っていたところで、添付文書や情報提供資料の記載については、可能な限り対応していきたいと考えておりますが、「してはいけないこと」の()でむくみ以外の症状を書いたほうがいいという意見に対しては、むくみ以外の症状についても効能・効果に含まれておりまして、そちらについても症状の改善を確認しているということがあります。

 また、()の「激しい痛み」の「激しい」を削除したほうがよいのではないかということですが、こちらも効能・効果において痛みというものに対する改善効果を確認している中で、激しい痛みに関しては、ほかの疾患の可能性や、もう既に重症化してしまっている可能性があるので、避けたほうがよいだろうということで設定されているものです。

 また、静脈還流障害に関する記載についてですが、審査報告書の21ページに、海外と国内の臨床試験についてまとめた表があります。表13の臨床試験一覧ですが、こちらに対象患者を記載しておりますとおり、海外においても慢性静脈不全症の患者、あるいは国内においても下肢の静脈還流障害の患者というものを、治験責任医師が診断した上で、それらの対象者に対して投与された結果、有効性はある程度担保していると考えております。したがいまして、静脈還流障害という記載を今回設定しているという経緯があります。

 また、静脈還流障害というものを使用者が自己認識することは不可能というのは正におっしゃるとおりでして、当初、前例のアンチスタックスでこのようになった理由は、静脈還流障害以外の原因によるむくみに対して、本剤の有効性が確認されていないため、効能・効果にて対象を限定する必要があると判断されたものです。本剤は同じ理由により設定しております。したがって、静脈還流障害という言葉を抜いてしまうと、静脈還流障害以外のほかのむくみに対して使用されてしまい、結果として適正使用の懸念がありますので、機構としては静脈還流障害を残すべきという判断をいたしました。以上です。

○橋田部会長 いかがでしょうか。

○宮川委員 それは逆なのではないでしょうか。静脈還流障害という病名を残してしまうこと自体がおかしなことです。静脈還流障害の患者さんだと規定した試験でしょうか。静脈還流障害という病態の人に対してやられた試験結果になっていません。では、セイヨウトチノキ種子エキスが静脈還流障害を是正するのですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構から回答いたします。まず、国内臨床試験における選択基準ですが、その中の1つに「慢性静脈不全症によるむくみを有すると判断される患者」という選択基準が含まれておりまして、そのむくみについてもCEAP分類で重度の者を除くという基準で、医師により判断された方が含まれています。

 また、効能・効果の記載については、OTCですので、静脈還流障害そのものを改善するというようには記載しておりませんで、「軽度の静脈還流障害による次の諸症状の改善」と記載しておりますので、あくまでも対象は静脈還流障害そのものではなく、諸症状の改善のみを効能・効果としているものです。機構からは以上です。

○宮川委員 これが一人歩きしてしまうと非常に危険だということを申し上げたいと思います。

○橋田部会長 ありがとうございます。今、御議論いただいた内容についても、ほかに御意見等はありますでしょうか。

○新保委員 新保ですが、よろしいでしょうか。

○橋田部会長 はい。

○新保委員 添付文書の「次の人は服用しないでください」の3番の所で、「むくみ以外の症状もある」というようなことを加えていただきたいということなのですが、もう少し説明しますと、例えば、心臓病とかであれば、息切れなどの症状が出てくると思います。甲状腺の疾患のような内分泌の疾患であれば、筋肉痛といったような、むくみ以外の症状が出てくることもあるかなと思っています。そういう点で、現在の記載ですと、余りに狭く一般の方に解釈されてしまうのではないかという懸念を持っています。

 それから、()の「激しい痛み」としてしまうと、やはり除外する対象者が非常に狭くなってしまう。下肢の静脈血栓症でも激しい痛みを呈するということはむしろ少ないぐらいで、軽度の痛み、あるいは痛みのないこともありますので、服用しないでくださいというところから「激しい」は除外しておいたほうがいいかと考えています。以上です。

○橋田部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。ほかにもいろいろあろうかと思っております。

○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただいてよろしいでしょうか。

○橋田部会長 はい、どうぞ。

○医薬品医療機器総合機構 今、お二方から頂いた御意見を踏まえまして、情報提供資料、特に薬剤師向け情報提供資料を充実させることで、適切に情報提供を図っていくという形にするよう、申請者に伝達したいと考えております。以上です。

○橋田部会長 いずれにしても、情報提供資料あるいは添付文書を十分御検討いただいて、今頂きました御意見をもとに修正をする、またそれを委員の先生方にも改めて内容的に確認いただくということで進めたいと思います。医薬品審査管理課長どうぞ。

○医薬品審査管理課長 これまでいろいろ御意見を頂いている中で、今、機構から説明がありましたとおり、添付文書あるいは情報提供資料の充実を図るという方向にさせていただきたいと思いますが、その際には、宮川先生等々からも御指摘がありましたとおり、このもの自身が、いわゆる静脈還流障害そのものを治すものではないのだということについては、しっかり認識できるように、そこは徹底できるようにさせていただきたいと思います。

 それから、効能・効果で対応するのか、そのほかで対応するのかについては、先ほどの機構の説明にもありますけれども、そこは対応を検討させていただきたいと思いますが、少なくともこのものが根治療法をするものではないのだということが誤解のないように、少なくとも薬剤師にそういうことの誤解がないよう徹底できるように対応させていただければと思っております。以上です。

○宮川委員 もう一点よろしいでしょうか。日本医師会の宮川です。

○橋田部会長 はい、どうぞ。

○宮川委員 添付文書の中に「西洋ハーブ」という言葉が出てくるのですが、「西洋ハーブ セイヨウトチノキ種子エキス配合 ベルフェミン」と書いてあります。「西洋ハーブ」という言葉は本当に必要なのでしょうか。

○橋田部会長 いかがでしょうか。御説明いただけますでしょうか。

○川名委員 薬剤師の川名です。実際に要指導医薬品を現場で販売しております。質問に対する質問ですが、「西洋ハーブ」という言葉がおしゃれに聞こえて、必要のない方にも使われてしまう可能性ということで、宮川先生は御質問されたのでしょうか。

○宮川委員 はい、そのとおりです。

○川名委員 分かりました。要指導医薬品については、薬剤師が対面で御本人に販売するような仕組みで販売させていただいております。なので、現場のほうでしっかり、おしゃれという感覚で、必要のない方に販売しないような対策は取らせていただきたいと思います。

○宮川委員 ありがとうございました。ですから、「西洋ハーブ」という言葉はなくても、実際にはお薬を求めて来た患者さんには説明できるわけですから、そういう言葉が本当にこういう所に必要があるのかなということで申し上げたという趣旨を御理解ください。

○川名委員 はい。しっかり理解して、対応させていただきます。ありがとうございます。

○橋田部会長 今の「西洋ハーブ」という言葉もそうですが、制度的に決まった用語の使い方はあるのでしょうか。そうではなくて、正に申請がそうなっているので、そう取り扱われているという理解でよろしいでしょうか。あるいは、検討の余地もあるということでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構から回答いたします。制度はあるかという話ですと、恐らく「西洋ハーブ」という用語を定めた定義とか制度というのはないと理解しております。以上です。

○橋田部会長 はい。

○宮川委員 日本医師会の宮川です。ですから、その下に小さい字で、「ベルフェミンは、欧州で長年にわたり使用されてきた西洋ハーブ」ということが記載されています。科学的なものを、曖昧な言葉によって侵襲されてしまうことへの懸念をしているという話をしました。以上です。

○橋田部会長 ありがとうございます。これについても、もう一度検討するということになると思います。医薬品審査管理課長どうぞ。

○医薬品審査管理課長 その辺りは、事実の部分は事実として書ける範囲というのは確認させていただきます。ただ、それが過度に不適切な何らかの効果等を誘因するような形になっている可能性があるのかないのかということについては、申請者のほうと調整する形にさせていただければと思います。

○宮川委員 ありがとうございます。

○橋田部会長 本件は、もともと生薬というか天然物由来の医薬品で、しかも外国、ヨーロッパで長い使用の歴史があるものを、ある制度のもとに、今回日本に、要指導・一般用医薬品として導入するという医薬品ですので、やはりいろいろ説明資料等々、情報の提供の仕方についても検討しなければいけないことがあるということかと思っております。そういう意味で、今、頂きました意見を、全て一度機構と事務方で御検討いただきまして、もう一度整理をするとともに、御意見を頂きました先生には、また確認をさせていただく形で進めたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○川名委員 1つ、よろしいでしょうか。

○橋田部会長 はい、どうぞ。

○川名委員 現場で実際に要指導医薬品を販売している薬剤師の川名です。今日のお話を伺いまして、現場の薬剤師のやるべきことはたくさんあるし、期待されていることがたくさんあるのだと思いました。先生方の御懸念を全て解消できるような販売を心掛けてまいりたいと思います。

 そのときに、チェックシートについて、1点だけお願いがあります。チェックシートの()ですが、「次のいずれかに当てはまりますか」という問い掛けで、適応症が並んでいまして、ここを「いいえ」に進むと、「服用しないでください」という文言にたどりつきます。実際の接客の場面で、このシートを手に取って、この質問を見て、「いいえ」の矢印に進もうとされる方は、御自身の症状と記載されている症状が結び付くのか分からないという方もいらっしゃると思います。そのようなときに「服用しないでください」という強い否定の表現ですが、ここは是非とも「服用前に薬剤師に御相談ください」であってほしいと思います。もし、ここで御相談くだされば、私たちは販売店用の資料に沿って症状の説明もいたしますし、医師の先生方が心配されていた鑑別すべき疾患についての情報提供も行えると思います。そうすることで、お客様の判断を助けていきたいと思います。

 お客様がこの商品を手に取っているとき、このチェックシートを手に取っている方というのは、軽度な身体の不調は自分で手当てしようという意欲をお持ちの方ですし、意欲を支えるような情報提供の機会につながると思いますので、「服用前に薬剤師に御相談ください」の一文を是非入れていただければと思います。

○橋田部会長 ありがとうございます。今回の案件は個別の医薬品に対する承認審査の審議ですが、同時に、一般用医薬品、セルフメディケーションの在り方について、診療側と例えば販売される薬局との間の役割と責任といった問題を、こういう事例を通じて、より明確化していく、整理していく必要があるということかと思っております。ほかに御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、追加発言をお願いします。先に機構からお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 機構から、今のチェックシートの記載について回答させていただきます。機構としては適正使用の観点からは、こちらは服用できない方に当てはまりますので、明確に表現し、「服用できない」という旨を伝えることが重要と考えております。ただ、そちらの言い回しについて、確かに、「服用しないでください」ということは、強い表現ということで、薬剤師さんの所で問題が生じるということであれば、例えば「本剤を服用することはできません」といった記載に申請ということは可能かと考えますが、逆に「服用を避けてください」といった解釈が曖昧になってしまう記載は不適切というように考えております。以上です。

○橋田部会長 ありがとうございました。よろしいですか。御追加はありますでしょうか。

○医薬品審査管理課長 事前に先生方に資料を送って、あらかじめ先生方から頂いている御懸念の中には、要は12週間を超えて服用する場合、一旦その効果があっても、その確認をするという形にはなっておりますが、その辺の安全性の考え方あるいは対応の仕方について、少し機構から補足で説明していただけると有り難いのですが、よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 機構、いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構として長期投与に対する懸念ということで回答させていただきます。現状、添付文書の項で、12週間服用した時点で、仮に有効性が確認できていても、医師や薬剤師に相談することを規定しております。

 こちらの設定の根拠ですが、ドイツのほか海外、韓国やオーストリアなど多くの国の添付文書において長期服用が可能、あるいは医師に相談した上で長期服用が可能といった規定がなされています。また、海外の安全性情報についても、副作用発現頻度は非常に低く、安全性に懸念はないと考えております。

 また、国内試験ですが、こちらも12週間の服用ということで実施されておりますが、特に安全性の懸念はありませんでした。したがって、12週間以上服用した場合に、特段の安全性の懸念があるわけではありませんが、医師又は薬剤師の方に安全性を期して、相談していただいた上で長期服用することが望ましいと考えてこのような設定をしております。機構からは以上です。

○橋田部会長 ありがとうございます。

○宮川委員 日本医師会の宮川ですが、よろしいでしょうか。

○橋田部会長 宮川委員、どうぞ。

○宮川委員 今の機構の回答でよく分かりましたけれども、では、これを販売するときの個数、1回販売の個数とかそういう規定はあるのでしょうか。これは何も書いてなかったのですが。

○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただきます。本剤は要指導医薬品として承認されることになりますが、関連の法律や法令によりまして、1人1包装単位、1人1つということでの販売が義務付けられますので、その点は大丈夫かと考えております。以上です。

○宮川委員 はい、ありがとうございます。

○橋田部会長 ありがとうございました。ほかに御質問等はありますか。よろしいでしょうか。貴重な御意見をたくさん伺いました。個々の問題点を全て復唱することはできませんけれども、いろいろ御議論いただきました内容をもう一度踏まえて、改めて添付文書、それから情報提供資料をもう一度きちんと確認するといった形で進めたいと思っております。

 それでは、ただいまの話を条件にしまして、議決に入ってよろしいでしょうか。それでは、本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。また、要指導医薬品に該当するとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、御異議がないようですので、承認を可、要指導医薬品に該当するとし、薬事分科会には文書配布による報告とさせていただきます。その前に、本日御議論いただいた内容の御検討につきましては十分にしていただくということかと思っております。ありがとうございました。

 また、参考人の袴塚先生におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

 それでは、その他の事項に移ります。

○袴塚参考人 私、国立衛研の袴塚ですが、橋田先生、最後に一言よろしいですか。

○橋田部会長 分かりました。お願いいたします。

○袴塚参考人 今回、参考人として呼んでいただきましたけれども、次回呼ばれるわけではないので、最後に一言申し上げます。先ほど宮川先生から「西洋ハーブ」という言葉について御意見がありました。この添付文書の最初の所に「欧州で長年にわたり使用されてきた」という文言があります。本申請は、資料1の開発経緯の冒頭にある「外国において一般用医薬品として汎用されている生薬製剤を一般用医薬品として製造販売承認申請する際の取扱いについて」という通知により、できた制度に則って申請されているわけですが、欧州で長年にわたり使用されてきたものが、何でも当部会に出てくるということではありません。欧州で長年にわたり使用されてきた天然物医薬品(西洋ハーブ)の中で、現代科学的な臨床試験の成績がきちんとあるものについては、それをもとに国内での承認について検討しましょうという趣旨の制度であり、欧州で長年にわたり使用されてきた天然物医薬品が、何でもこちらに来てしまうのではないかという御懸念は必要ありません。この制度に則って出てくるものは、現代科学的な根拠があるものに限定されておりますので、それを踏まえてこれから審査していただければと思います。以上です。ありがとうございます。

○橋田部会長 ありがとうございます。今、袴塚先生からは、そういう背景のものだということで御説明いただきました。そういう意味でも特殊なケースであったのかとは思いますが、いろいろ議論いただきましたように、やはり特にそういうものであるからこそ議論をきちんとするということは必要だと思いますので、これからもよろしくお願い申し上げます。

○事務局 すみません、事務局でございます。西森先生からメッセージを頂いているのですが、御発言は特にないということでよろしいでしょうか。

○西森委員 薬剤師の西森です。よろしいでしょうか。チェックシートについてですけれども、一番下の4ですが、その中でチェックされれば服用が可能ですと、その後、薬剤師の説明を受け購入してくださいとなっているのですが、これは患者さん自身がチェックして、「はい、購入できます」というように受け取られるのではないかと、その場合でも「薬剤師に相談してください」とか、そういうようなニュアンスに変えられないでしょうか。以上です。

○橋田部会長 いかがでしょうか。これも頂きました御意見として、それを踏まえた修正を考えたいと思います。

○医薬品審査管理課長 ありがとうございます。今、頂いた御意見も含めて機構と企業で調整がされるものと考えております。どうもありがとうございました。検討させていただきます。

○橋田部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、その他の事項に移らせていただきます。

 その他事項の議題1ですが、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議について」です。説明をお願いします。

○事務局 それでは、事務局より御説明させていただきます。その他の事項の議題1として、資料2を御用意いただければと思います。医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議では、平成28年8月より、学会、団体、企業、消費者個人などの多様な主体から、スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望を受け付け、その要望成分をスイッチOTCとすることの妥当性について、医学・薬学の専門家のほか、消費者代表も会議に参加いただき、公開の場で議論しております。会議結果案については、パブリックコメントを実施し、広く意見を聞いた上で、再度会議で議論した後、確定した会議結果を公表しております。

 1ページ目を御覧ください。今年3月の前回部会以降、本日までに、新たに2成分につきまして、スイッチOTC化の妥当性に関する会議結果が確定し、公表をしております。2~3ページに会議結果の詳細をお示ししておりますので、議論のポイントを紹介させていただきます。

 2ページ目です。「エペリゾン塩酸塩」については、腰痛、肩こり痛を効能・効果として、個人より要望されたものになります。検討会議における議論の結果、通常の処方では消炎鎮痛剤との併用が多く本剤の効果が限定的と考えられること、めまいやふらつき等の副作用の懸念があること、筋緊張性疾患の治療剤の急性毒性では本剤の報告が最も多いことなどを考慮すると、本成分をOTCとすることは認められないとされまして、OTC化については否と判断されております。

 次に、3ページ目を御覧ください。「モサプリドクエン酸塩水和物」については、胸やけ、吐き気、嘔吐を効能・効果として個人より要望されたものになります。検討会議における議論の結果、長期服用されることがないよう薬剤師が説明するとともに、2週間服用して症状が良くならない場合は服用を中止し、受診勧奨する旨の情報提供を行うこと、販売時に副作用や注意すべき点などがチェックできるセルフチェックシートを作成すること、どのような嘔吐等を対象としているか使用者に情報提供すること等により、OTC化について可と判断されております。説明は以上でございます。

○橋田部会長 ただいまの内容に関して、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。検討会議の結果について御報告いただきました。よろしいでしょうか。それでは、ただいまの議題1については、御確認いただいたものとさせていただきます。ありがとうございました。

○事務局 先ほど、再審査期間4年のところですが、そこの部分の確認をお願いできますでしょうか。すみません、メモから漏れていたのですけれども、ベルフェミンの再審査期間を4年とすることについてですが。

○橋田部会長 そうですか、先ほどのベルフェミン再審査期間ですね。

○事務局 はい。

○橋田部会長 よろしければ、正確に御説明いただいてよろしいでしょうか。○事務局 ベルフェミンについては、新効能医薬品ということで再審査期間が設定されることになります。そちらを4年とすることについて、部会としての御意見を確定いただければということです。よろしくお願いいたします。

○橋田部会長 先ほどのベルフェミンの件は、そういうことを1つ追加させていただきまして、御承認いただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。

 また、改めてただいまのその他の議題1ですが、これも御確認いただいたことにさせていただきます。ありがとうございました。

 それでは、以上で用意しました議事は終わりましたけれども、事務局から何かありますか。

○事務局 次回の部会については、1130日の14時より開催予定となっております。部会の開催形式、開催方法については、追って御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。以上です。

○橋田部会長 これでよろしいでしょうか。それでは、本日の要指導・一般用医薬品部会をこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

( 了 )

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 高畑(内線2737)