第2回 審査支払機能の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和2年10月9日(金)15:00~17:00

場所

全国都市会館 大ホール
(オンライン開催)

出席者

構成員(五十音順)

議題

  1. 1.審査支払機関の間の不合理な差異の解消のための取組
  2. 2.社会保険診療報酬支払基金からのヒアリング
  3. 3.国民健康保険中央会からのヒアリング

議事

(議事録)

○姫野保険課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回「審査支払機能の在り方に関する検討会」を開催いたします。
 本日は、大変お忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
 本日も、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催といたしております。会議中、御発言の際は、手を挙げていただき、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 構成員の異動について御報告いたします。木倉構成員につきましては、全国健康保険協会の髙橋理事の後任ということで、今回から構成員になっていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、本日の出欠ですけれども、全構成員から出席の御連絡をいただいております。
 なお、代理出席の申出がございます。木倉構成員の代理として三浦様、岡﨑構成員の代理として川村様、河本構成員の代理として幸野様に御出席いただくこととしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○姫野保険課長 ありがとうございます。
 会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきたいと思います。
 それでは、以降の議事運営は菊池座長にお願いいたします。
○菊池座長 皆様、こんにちは。お忙しい中、お集まりいただきまして、御出席賜り、ありがとうございます。
 まず、議事に入る前に、今朝の閣議後記者会見において、田村厚生労働大臣から、審査支払機関改革について御発言があったと伺っております。本検討会にも関係する内容のようですので、まず、事務局から、この点、御報告をお願いいたします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。
 本日、朝、閣議後の記者会見におきまして、田村厚生労働大臣から以下のような御発言をしてございます。
 昨日、平井IT担当大臣、河野行政改革担当大臣と打合せ、申合せを行いました。社会保険診療報酬支払基金の改革については、システムのワンクラウド化を進めるということで、これを活用して最大限の業務の効率化や集約化を行っていくことであります。併せて、国保総合システムのほうも審査しておりますが、支払システム等の刷新・標準化について検討することについて合意したということでございます。こういった御発言をいただいてございます。
 この検討会におきましても、支払基金と国保連のシステムの整合的かつ効率的な在り方ということが議題となっておりますので、こういった大臣間での話し合いが持たれたということを御報告する次第でございます。
○菊池座長 ありがとうございます。にわかに重要課題という位置づけになってきたようでございます。本検討会でも活発な御議論をお願いできればと存じます。
 それでは、議事に入らせていただきます。本日は、会場は構成員、私1人ということで、皆様、Zoomで御参加いただいております。本日は「審査支払機関の間の不合理な差異の解消のための取組」を議題としております。これに関連いたしまして、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会から、それぞれヒアリングを行いたいと考えております。
 なお、本日の議題につきましては、前回、第1回の検討会におきまして、構成員の方々から、審査結果の不合理な差異の定義や具体例について明らかにしてもらいたいという御趣旨の御意見がございました。そこで、前回の構成員の皆様の御指摘も踏まえまして、まず事務局より、この点、資料の説明をお願いいたします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。
 それでは、資料1につきまして御説明したいと思います。
 1ページ目でございますけれども、審査に関する議論の前提ということで、昨年の国会における保険局長の答弁を抜粋してございますが、不合理な差異とはどういうことかということを端的に説明したものでございます。
 最初のパラグラフにありますように、医療というのは非常に個別性を持っているものである。一方で、審査というものは画一性が求められるということで、個別性と画一性の折り合いをどうつけていくのかというのが本質であろうということでございます。
 その中で、臨床現場では、患者様の個別性が高い、また治療の選択肢にも多様性があるということでございますので、そういった両者の医学的な診療の妥当性を判断するに当たって、審査委員の専門的な知識、臨床経験に基づいて判断していくということでありますので、そういう意味で、一定の差異というものは避けられない面があるという考え方を示してございます。
 最後の部分ですけれども、不合理な差異というものはどういうものかということですが、こうした臨床現場での多様性、あるいは審査委員の臨床経験、専門的知識といったものを考慮しても説明が困難なものは、いわゆる不合理な差異ではないかという考え方を示しているところでございます。
 次のページ以降で、幾つか具体例をお示ししてございます。
 1つ目は、胃薬ですけれども、H2ブロッカーとPPIということで同じ薬効ですけれども、作用機序が違うお薬について、併用投与の例が認められるケースと認められないケースがあったということでございます。
 こういったケースにつきまして、次のページですけれども、全国的にどういう取扱いの違いがあるのかということを調査した結果、調査結果にありますように、一律に併用は認めないという支部が45、一部併用を認めるところが2支部あったということでございます。
 この取扱いの作成につきましては、基本的には同効の薬剤であり、それぞれが単独使用で所期の効果は期待できるということでありまして、併用による効果ということについては、一定の見解、エビデンスを得られていないというのが学会でも示されている。
 これを踏まえまして、審査基準といたしましては、併用投与は原則として認めないということで統一してきたという事例でございます。ただし、原則として認めないということでありまして、例外としては、服用時点が実際には違っているといったことが症状詳記から判断できるような場合には、認められるケースがあるということでございまして、レセプト上、一見違うように見えるケースもありますけれども、こういった詳細なところを判断していった結果、取扱いが分かれるケースがある。こういったところは合理的な差異であると考えてございます。
 次のページですけれども、ピロリ菌の除菌薬については、検査とセットで使っていくということになるかと思いますが、検査が算定されていない除菌薬の投与について、認めている支部と認めていない支部があったという事例でございます。
 次のページに全国的な調査の結果を書いてございますけれども、検査がなくても認めている支部が36、詳記があれば認めるという支部が11あったということでございます。実際には、その上の○のところにありますけれども、他の医療機関などで診断検査したということが書いてあれば認めているというのが実態であったということでございます。
 それから、その次の根拠のところに書いておりますけれども、例えば3つ目の○にございますように、保険局医療課からの事務連絡の中においても、「健康診断で行った内視鏡検査で胃炎が見つかった患者も除菌治療の対象になるのか」との問いに対して、「対象となる」といった回答がされております。
 こういったことも踏まえまして、統一の内容といたしましては、他の医療機関で感染診断検査を実施した旨の詳記などがあれば認めるということで統一したという事例でございます。
 こういった実例も踏まえまして、次の6ページでございますけれども、この後、支払基金・国保中央会、それぞれから不合理な差異の解消のための取組を御説明いただきますけれども、それらを踏まえて、全体像がどういうイメージになるかというのを示したものが、この図になってございます。
 審査の過程を3つに分けておりますけれども、縦軸で、最初が医療機関等でのレセプト作成の段階でございます。この段階におきましても、中段にありますように、「CC」はコンピュータチェックを略しておりますが、コンピュータチェックルールを公開していくということで、医療機関の段階であらかじめ正しい請求をしやすい環境を作っていくということも、まず1つ必要な取組ではないかと考えております。
 その上で、審査支払機関の中での取組といたしましては、通常ですとコンピュータチェックをかけて、その上で疑義付箋などがついたものについて、職員・審査委員による審査を行っていくわけですけれども、どういったところに差異が生じているのかということを見える化していくという取組が一番左側でございます。これは、今後、支払基金においても、来年9月以降の実装を目指して取り組んでおりますけれども、自動レポーティングも使いながら差異の見える化を図っていくということかと考えてございます。
 次の右側のステップでございますけれども、こういった差異が明らかになった部分につきまして、全国のコンピュータチェックルールの統一化あるいは精緻化といった取組をするということが一つの解決策になるかもしれません。また、審査基準に差異が生じているということにつきましては、診療科別のWGを活用して統一するといったことも考えられるのではないか。また、職員・審査委員へのフィードバックを通じて差異の解消を図っていくということが考えられるのではないかと考えております。
 また、こういった形で支払基金・国保中央会、それぞれの中で統一化を図ったものについては、一番右側になりますけれども、コンピュータチェックルールについては、審査支払システムの整合性を高めていくことによる差異の解消という方向性が考えられますし、審査基準につきましては、昨年9月に保険局が設置しております連絡会議というものもございますが、こういった場において、双方の機関で統一された基準の最終的な統一化といったものも図っていくことが考えられないかと考えています。
 次のページからは、今、申し上げました審査基準の統一化に向けた取組として、昨年9月に設置した連絡会議の概要を示してございます。こちら、構成員としては、そこの表にありますように、厚生労働省保険局、支払基金、国保中央会、そして学識経験者に参画していただいております。おおむね年2回程度の開催を予定して、昨年9月に第1回目を開催してございますが、その後、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、開催を当面延期しているという状況でございます。
 ただ、その間にも事務的にはいろいろな検討を進めている状況でございます。次のページに全体のフロー図をお示ししてございます。支払基金・国保中央会、それぞれの中で審査の判断基準を統一してまいりますけれども、統一できたものについて、お互いに情報提供し合うという形にしてございます。
 例えば、支払基金で統一したものについて国保側に情報提供しますと、それが支払基金と国保の中で取扱いが一致しているもの、あるいは一致していないもの。また、国保内部で取扱いがまだ統一されていないものに分かれていくわけですけれども、一致するものについては、統一事例ということで公表することが可能ですし、一致していないものについては、厚生労働省も中に入り、現状の把握・案件整理をする中で、また作業部会なども通じて調整を図っていくことにしてございます。
 実績でございますが、左下に第1回連絡会議の実績がございますけれども、基金から国保に情報提供された106事例が昨年9月にございましたけれども、そのうち77事例につきましては、両組織での取扱いの一致が確認されてございます。残りの29事例については、国保内で再検討してございますけれども、今年の7月末の時点では、29事例のうち24事例は取扱いを一致することができるということを確認してございます。現在、残りの5事例については、基金・国保間で調整を続けているということで、現在、取組を進めているという御報告でございます。
 説明は以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
 この後、より詳細な取組内容につきまして、支払基金・国保中央会からヒアリングをさせていただく予定ですので、両審査支払機関の御説明を聞いた上で議論を深めたいと思いますが、どうしてもこのタイミングでただいまの説明について確認しておきたいという方がいらっしゃいましたら、御質問を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
 たくさん出席者がいらっしゃいますので、できましたらZoomの手を挙げる機能を使っていただきたいのですが。ただ、今、平川構成員から手が挙がっているのが見えましたので、どうぞ御発言ください。
○平川構成員 すみません、ありがとうございます。
 先ほどの連絡会議についての質問ですが、これには大学、有識者という方しか参加していませんが、日本医師会とか、我々病院団体のほうからの出席というのはないのでしょうか。我々のような医療機関の方が、問題が起きたことが実感として分かるところだと思うのですけれども、いかがでしょうか。7ページです。
 よろしくお願いします。
○姫野保険課長 お答えさせていただきます。
 この連絡会議でございますけれども、7ページを見ていただきますように、支払基金・国保中央会から、それぞれ審査委員会の委員の医師あるいは歯科医師の先生方に入っていただくことになりますので、こういった専門の先生の御意見、御議論を通じて検討を進めているということでございます。そういった意味では、明示的に団体推薦という形は取っておりませんけれども、それぞれの支払基金・国保中央会の審査委員に御出席いただくという形を取ってございます。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
○平川構成員 松本先生、これでよろしいでしょうか。
○菊池座長 松本構成員、何かございますか。よろしいですか。
○松本構成員 はい。
○菊池座長 はい。
 それでは、黒田構成員、お願いします。
○黒田構成員 京都大学、黒田です。
 今の平川先生の御質問と関係するのですけれども、多分、両審査機関の間で確認されていることはあると思うのですけれども、基金と国保の間で査定の結果が違うというのは、実際、私たちもこの数日の間に病院の事務方に聞いてみましたが、どちら向きにも5件から6件ぐらいずつ、これは違うことは分かっているのですというのを情報としていただけるようなレベルです。
 ということを考えると、国内で医療機関も含めて、いろいろなところに一度調査をなさる。それは、査定する側ではなくて、査定されている側に対して調査なさったほうがいいのではないかと思うのですが、今後、そういうことをされるような御予定とか、厚生労働省さんのほうであるのでしょうか、教えてください。
○姫野保険課長 御指摘ありがとうございます。
 この点について、6ページで少し御説明いたしましたけれども、不合理な差異の解消のためのファーストステップとして、差異の見える化ということが大事だという御趣旨の御指摘なのかなと理解しております。そういった意味では、この後、また支払基金・国保中央会から、どういう形でこういった見える化に取り組んで、また今後取り組もうとしているのかという御説明もそれぞれあるかと思います。そういった中で、今、御指摘のようなところについては、確かに力を入れていかないといけない部分ではないかなと考えているところでございます。
○黒田構成員 ごめんなさい、ちょっと趣旨が伝わらなかったようですが、システムとして、そういった形で見える化をこれからなさるということについては、全然異論がないですし、ぜひなさるべきだと考えます。そうではなくて、これまでに既に体験していらっしゃる医療機関がある中で、そういうところから何かそういう情報を収集される。今、こんなことが起こっていますという情報を収集なさるような事業をなさったほうがよいのではないでしょうかという趣旨での御質問だったのですが。
○姫野保険課長 失礼いたしました。
 厳密に言うと調査ではございませんけれども、医療機関のほうからは、査定されたものに対する再請求というプロセスがあったりいたします。また、保険者サイドから再審査請求といったプロセスもございますので、再審査、再請求といったものがどういう実態になっているのかというのも、1つ手掛かりになるかと思いますけれども、それをさらにもう少し詳細に調査してはどうかという御指摘かと思いますので、こういった再審査、再請求といったものを踏まえた上で、どういった形で現状を把握できるのかということは少し考えてみたいと思います。
○黒田構成員 ありがとうございます。
 診療機関の側は、基本的に再請求することを最初から諦めていることのほうが多いと思います。やってもエネルギーをかけるだけだからということは結構ございますから、そういう意味では、今みたいな受動的な分析ではなく、積極的な調査をなさることをぜひお考えいただければと思います。
 私のコメントは以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。今の御質問とともに、御要望、御提案という趣旨も含まれていると思いますので、事務局で預かっていただければと思います。
 それから、幸野参考人、印南構成員から手が挙がっています。このセクションは、この2人でよろしいですか。森構成員もですか。では、このお三方ということにさせていただきます。
 それでは、幸野参考人からお願いいたします。
○幸野参考人 ありがとうございます。
 審査基準統一推進連絡会議について、一堂に会して開催するのはいいことだと思うのですが、昨年、第1回目を9月に開催して、2回目はコロナ禍で延期したということですが、これは参加者が一堂に会さなければならない会議なのかということについて、まずお伺いしたいのですが。オンラインで意見交換していくこともできるのではないかと思うのですが、これは一堂に会さないと開催できないものなのでしょうか。それについて、まずお伺いします。
○姫野保険課長 ありがとうございます。
 先ほど実績のところでも御報告いたしましたけれども、昨年9月に106事例を交換して協議を進めていますけれども、その間も、この連絡会議自体は開催してございませんが、それぞれに情報のやりとりをしつつ、例えば昨年9月の時点では一致していなかった29事例についても、24事例は集約していくということで作業を進めているところでございます。そういった意味では、最終的な結論を確認する場として、こういった連絡会議を使っておりますけれども、作業自体は、御指摘のようにいろいろな形で調整を進めているということでございますし、今後もそういうふうにしていきたいと考えてございます。
○幸野参考人 来年の支払基金のシステム刷新後は、自動レポーティング機能で差異の見える化が加速すると思われますので、年2回連絡会議を開催して結論を出すということではなくて、双方が統一できた基準をその都度オンラインで情報提供し合って、いわゆるキャッチボールしながら進めていくというやり方でもできるのではないでしょうか。ぜひスピード感のある枠組みを今後検討いただけるようお願いします。
 以上です。
○菊池座長 この点も御要望という趣旨が含まれていると思いますので、いかがですか。それも踏まえて受け止めていただくということで、御検討いただくということで、お願いいたします。
 それでは、印南構成員、お願いいたします。
○印南構成員 前回、不合理な差は何かと、しつこく質問させていただきまして、今回、それにお答えいただきまして、ありがとうございます。
 冒頭に挙がっている事例は、私個人は比較的分かりやすいと思うのです。このテーマだけだったら大げさな議論は要らないのではないかと思ってしまうのですが。
 それで、資料の最後のページの左下を見ますと、残りの事例は国保内で再検討と。ですから、簡単には差異の原因が判明しなかったりするような事例があるのではないかと私は推測するのですけれども、これらについて、例えば何が原因なのかというのを、簡単でいいので教えていただけますでしょうか。というのは、冒頭の局長の議論だと、全て医学的判断以外の差異、レジデュアルだという言い方ですけれども、そうすると、こんなに再検討するというのは、医学的判断も違っているのですかという話になりますので、それならいいのですけれども、それ以外の原因がある程度分からないと、この先の議論に影響するのではないかと思います。
 すみません、よろしくお願いします。
○姫野保険課長 大変恐縮でございますけれども、本日、この連絡会議の担当の課長が所用により欠席してしまっておりまして、この106事例のうち調整中のものなど、具体的にどういったものなのかということは、次回御報告させていただければと思います。
○印南構成員 分かりました。
○菊池座長 では、次回の宿題ということでお願いいたします。
 それでは、このセクションの最後に森構成員、お願いいたします。
○森構成員 ありがとうございます。
 7ページの連絡会議のところで、1つ確認というか、教えていただきたいのですけれども、先ほど支払基金・国保中央会のほうから構成員を出しているというお話だったのですけれども、医科と歯科からの審査委員会の委員だけで、調剤は出ていないという理解でよろしいですか。
○姫野保険課長 大変申し訳ありません。確認中ですけれども、少しお時間いただいて、後ほど御報告させていただく形にさせていただければと思います。
○森構成員 分かりました。
○菊池座長 すみません、少しお待ちいただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。議題2「審査支払機関のヒアリング」でございますが、まず社会保険診療報酬支払基金からヒアリングをさせていただきます。支払基金では、令和3年9月にシステム刷新を予定しているため、新システムの開発状況やその他の取組について、総括的な御説明をいただくこととしています。
 最初に、支払基金の神田理事長から御説明をお願いいたします。
○神田支払基金理事長 支払基金の理事長の神田と申します。よろしくお願いいたします。限られたお時間ですので、効率的に説明させていただければと思います。
 まず最初に、3ページをお開きいただきたいと思います。背景ということでありますけれども、一番上がレセプトの請求件数でありますけれども、令和元年で見ますと11億6000万件のレセプトの請求があって、これは年々増えている状況にございます。青い線が医療保険ですけれども、ピンクの線がお子さんとか障害者の地方単独事業の受託ということでありますが、地方単独事業の受託分の増加等があって件数が増えているという状況でございます。
 5ページ目をお開きいただきたいと思います。レセプトの電子化の状況でございます。これで見ていただきますと、平成20年から一部オンライン請求の義務化が始まりまして、平成23年以降、原則義務化ということになってございます。このオレンジ色のところがオンライン請求、青いところが電子媒体ということでございますが、直近で言うと、原審査では1.2%だけが紙で、残りは電子媒体という状況になってございます。
 1ページお戻りいただきまして、4ページを御覧いただきますと、こういうことを踏まえまして、支払基金では、ピーク時の平成13年のところを御覧いただきますと、6321人いた職員が、今、令和2年では4113人ということですので、2200人、約3分の1の人員削減を進めてきております。オンライン請求になって効率化が進んで職員を減らしたということと、先ほど御覧いただいたように請求件数が非常に増えているということから、この赤い線を御覧いただきますと、審査支払手数料は、ピーク時が107円であったものが、今は59円90銭ということで、45%、ほぼ半減しているという状況になってきております。
 こうした状況を踏まえて、今、審査事務の集約化計画工程表というものを進めようとしております。7ページをお開きいただきたいと思います。これは、今年の3月31日に決定した審査事務集約化計画工程表についてでございます。
 10ページの地図を御覧いただきたいと思います。支払基金では、コンピュータを使ったレセプトの事務点検を行う職員は、全国14か所の拠点に集約するとしております。10ページの赤い丸がブロックの中核本部ということで、審査結果の不合理な差異について、中核的な役割を果たすところであります。
 オレンジ色が一般の審査事務センターということで、北海道、北陸、四国など、地理的に独立性が高く、一定の規模があるところに補完的な審査事務センターを置くとしております。
 それから、青い丸が経過措置ということで、審査事務センターの分室を置くことにしております。なぜかということでありますが、例えば新潟から埼玉に通うことは難しいわけでありますけれども、群馬県の高崎に置きまして、転勤・転居だけではなくて、通勤の選択肢を確保するということで、暫定的に4か所の審査事務センター分室を置くとしております。
 令和4年10月に、事務点検を行う職員は、14か所の拠点に一気に集約するという計画を立てております。
 次に、9ページをお開きいただきたいと思います。それに向けての大きな工程ということでありますけれども、今日、御説明させていただきます、大きくは審査支払システムの稼働という上の大きなラインと、下の業務の棚卸しということがございます。具体的には、審査支払システムの2つ目の丸のところに遠隔地におけるレセプト同時閲覧機能と書いてございます。各都道府県に審査委員会が置かれますけれども、職員は集約されますので、職員と審査委員が同じレセプトを見ることが今はできませんので、新しい審査支払システムが来年9月に稼働しますけれども、同時に見る機能を搭載することにしております。
 それから、上の審査支払新システムのすぐ下に書いてございますけれども、AIを使ったレセプトの振分機能を搭載しまして、3年9月から2年を目途に、レセプトの9割はコンピュータで完結させ、人が見るレセプトを1割に絞り込むことを目指して、これを導入することにしております。
 それから、その下の薄い水色のところを御覧いただきますと、審査の差異の見える化をする自動レポーティング機能を搭載することにしております。今、申し上げたような自動レポーティング機能というものと、4年10月に審査事務を集約いたしますと、そこで診療科別の組織を設置して、中核支部の審査事務センターに診療科別WGというものを設置して、そこで審査の差異の調整をするという枠組みを作ることにしております。この自動レポーティング機能というものと新しい枠組みによって、審査結果の不合理な差異の解消、四角で囲ってございますけれども、そういうものを進めていきたい。
 それから、AIを使って、人が見るべきレセプトを1割にしていくということと、下の業務の棚卸しということで、無駄な業務の廃止、頻度の低い業務は本部・センターに集約することによりまして、令和6年度までに平成29年度対比で約2割減の800人の人員削減をするという計画を立ててございます。
 続きまして、新しい審査支払システムについて御説明させていただきます。12ページをお開きいただければと思います。ここに集約されておりますので、これで説明させていただきます。左から右にレセプトの流れとなっておりますけれども、新しい審査支払システムでは、まず、一番上に書いてありますクラウド化をします。それから、今、サーバが47都道府県にありますけれども、センターサーバの一元化をすることによって、コスト削減を図ることとしております。
 それから、2番目として、その下にモジュール化と書いてございますが、受付、審査、支払という機能を分割して発注することによって、ベンダーロックインを解除して、業務の変化に柔軟に対応できる。診療報酬改定があっても、必要な部分だけいじればいいとするためにモジュール化することにしております。
 参考に13ページを御覧いただきますと、受付機能、振分・コンピュータチェック機能という、それぞれの機能について、それぞれ分割して開発を進めております。この中で言うと、審査委員会機能と設計のところは同一社ですけれども、ほかは全部別の会社になってございます。ベンダーロックインを解除するということでございます。
 それから、12ページにお戻りいただきまして、先ほど申し上げたAIを使ったレセプトの振分機能と自動レポーティング機能を搭載するというのが、新しい審査支払システムの狙いになってございます。
 続きまして、AIを使ったレセプトの振分機能について御説明いたします。15ページをお開きいただければと思います。これは、レセプトを受け付けして、右に支払いをするという流れでございます。
 一番最初、ルールに基づくチェックということで、電子点数表等で基本的なチェックをするとなってございますが、2段階でレセプトの振り分けをして、人が見るべきレセプトを絞り込むことにしております。振分チェック1と書いてありますが、これは人が目視すべきものと、そうでないものを振り分けるとしております。
 一番上に特審レセと書いてありますが、高額のレセプト、38万点以上のレセプトですとか入院レセプトとか、新しい医療機関のレセプトは、人が見るべきほうに振り分けます。
 一番下にあります判断の明らかなレセプト。例えば、初診料と処方箋料だけしかなくて、査定するところがないようなものについては、基本的には目視の必要がないということで、一番右、既に定型的なレセプトについては、そのまま支払いに持っていくとしております。
 入院レセは人が見ますので、外来のレセで、定型的でもないし、人が見るべき必要もないものについて、AIを使って振り分けをしております。これを2段階で行いまして、AIを使って、過去のレセプトの査定がないようなものについては、点線で書いてある下のほうでありますけれども、医学的判断チェックにかけることなく支払いに持っていく。
 それから、AIを使った振り分けによって査定される可能性が高いものについては、医学的判断チェック、コンピュータチェックにかけた上で、かかったものは人が見る、かからないものはコンピュータチェックで、もうそれで終わりにするということで考えております。
 次、御覧いただきたいと思いますが、振分2のところでは、2つのAIを使うことにしております。
 まず1つは、Minhashというものでございます。これは、過去に同じ類型のレセプトが査定されているかどうかによって振り分けをするものでございます。左を御覧いただきますと、赤いものが新しいレセプトで、黒いものが過去のレセプトの査定事例となってございます。このグループというのは、16ページの左下のところに、傷病名、診療行為、医薬品や検査といった、同じものを使っている医薬品、傷病名があるものをグルーピングするということであります。
 これで御覧いただきますと、上の丸の中に黒いものがたくさん入っていると、査定率が高いものは人が見るほうに振り分けます。ぱらぱらと黒い査定レセプトが混ざるようなものは、コンピュータチェック、医学的判断チェックにかけます。そして、白丸だけ、査定がないものについては、そのまま支払いに持っていく。これがMinhashによる振分1であります。
 それから、過去に同じレセプト類型がないものについては、過去の同じ類型のレセプトの査定率によって判断することができませんので、それを推計するものとしてXgboostというエンジンを使うことにしております。それが17ページでございます。
 まず、左下を御覧いただきますと、決定木分析ということで、例えば診療行為、傷病、医薬品といった、どういうもので実際の査定がされたか、されないかということが分岐するかというもので、決定木を作ります。それを実際の結果と照合することによって、差があるものについては再学習するということで、右のほうに決定木がたくさん並んでおりますけれども、今の予定ですと、この決定木を500本ぐらい作って再学習して精緻化を図ることを考えております。そういう2段階の振り分けによって、査定される可能性が高いものを人が見るという振分機能を搭載することにしております。
 続いて、新システムの大きな機能の自動レポーティング機能についてでありますが、18ページを御覧いただきたいと思います。御覧いただきますと、審査結果の差異の見える化をする。それから、どういう原因で差異が生じているかというのを明らかにするということにしております。
 取組方針のところを御覧いただきますと、多くの付箋がつくコンピュータチェックにおける審査結果の差異をレポーティングするとなってございます。今、考えておりますのは、全国で2000件以上の付箋がつくもの。これは、一番小さな鳥取県でも、10件程度は同じ付箋がつくということから逆算して、まずは、この2000件以上、レセプトにコンピュータチェックがつくものの審査結果の差異をレポーティングしようと考えております。
 そのほか、既に取扱いが集約された、全国統一的な取扱いが策定されている事例等についてもレポーティングしていきたいと考えております。2000件以上のものについては、網羅的にレポーティングすることを考えております。
 19ページ、御覧いただきますと、これは自動レポーティング機能の搭載に向けて、今、試行的に始めているものであります。御覧いただきますと、糖尿病の確定診断後のインスリン検査の算定についてでございます。原則は、字が小さくて恐縮ですが、一番下の注のところにありますように、連月でインスリンの算定はできないということですが、ただし書きで症状詳記があって、薬を変えたとか、コントロールが不良ということがあれば連月算定できますよというものであります。これについて見える化するということで、イメージ的に今、作っているものが、ここにあるようなものでございます。
 支部間の査定率の差を示しております。ここに書いてある査定率は折れ線グラフでありますけれども、連月でインスリンを算定しているもののうち、査定されたものの比率が、この折れ線グラフになります。
 それから、どういう原因でその差異が生じているのかということを示すために色がついていますけれども、水色のところが査定。オレンジ色みたいなところが請求どおりということで、職員がチェックを外したもの。赤いところが、職員は付箋をつけたのですけれども、審査委員の先生が請求どおりにしたものという分析をしております。
 これで見ていただきますと、どういうことが分かるかということでありますが、例えば神奈川県は査定率が非常に低くて、職員がチェックを外している。オレンジのところが非常に大きいということであります。今、順番に聞いておりますけれども、例えば神奈川県については、幾つかの医療機関から出ていて、そこから出ているレセプトには、多くは症状詳記がされていることによって、職員の段階で確認ができているから職員が外しているということが、今、各支部から報告を受けて、だんだん分かってきております。
 それから、例えば群馬とか山形もオレンジ色のところがありますけれども、これは職員が本来査定するべきものを査定できていなかったという原因がありますので、職員の指導をいたしております。
 また、特殊な例としては、岩手県で審査委員とか職員が外している、請求どおり認めているものがありますけれども、これは抗がん剤のオプジーボを投与しているときには、1型糖尿病について注意するようにというガイドラインがあるということで、そういう場合には連月算定してもいいだろうということで認めているものというものでございます。
 今、申し上げたように、どういうふうに差が生じているのか、その原因を見える化することによって、各支部に確認することによって、不合理な差異かどうかを確認するとしております。
 その結果によって、20ページでありますけれども、算定ルールに関するもの。例えば、先ほど申し上げたように山形とか群馬で、本来職員が査定すべきものを査定していないということであれば、一番上で、算定ルールに関するもので、職員がきちんと疑義に変換できていないということであれば、職員に対して上司から指導します。
 また、審査委員の先生のところで、それを認めているということで、算定ルールについての審査委員の理解が足りないという場合には、審査委員長等から周知していただくとしております。
 それから、医学的判断に関するもの。例えば、先ほど申し上げたようなオプジーボを投与している場合については、連月算定してもいいのではないかという議論があります。これについては、現在、統一的な取りまとめがありませんので、こういうものについては、全国で議論する必要があると考えられますので、一番下の全国的に差異があるということで、本部の検討会で議論していただくことによって、例えばコンピュータチェックにオプジーボの投与があるかどうかということを設定することによって、より精緻化することができると考えております。
 こういうものを順番にやりまして、何が申し上げたいかというと、19ページで言うと、査定率に大きな差があるように見えますが、一つ一つ分析していくと、必ずしも全てが不合理というわけではなくて、きちんと詳記ができているから認めている。そうでないところは査定しているという地域的な違いがありますので、見える化したからといって、単に率だけで議論することはなかなか難しくて、しっかり分析して何が不合理かということを確定しながら、20ページにございますようなPDCAサイクルを回していきたいと考えております。
 それから、統一的なチェックに向けまして、今、申し上げたようなコンピュータチェックを順次公開するとしております。21ページに四角で黄色く囲ってありますが、30年3月にチェックマスタと言って、傷病名と医薬品や診療行為との関係をチェックするもの、それから、本部の点検条件など、8万6000件について公開しておりまして、今、全体の4分の3ぐらいを公開しているという状況でございます。
 さらに、現状では、例えばチェックマスタはごく一部しか公開されておりませんけれども、傷病名と医薬品、傷病名と診療行為に関するチェックですとか、用法・用量に関するチェックについても、試行的に公開することによって、それによって問題が生じないかどうか検証いたしまして、保険者や医療機関等、関係者の合意を得ながら、順次公開を増やしていくようにしたいと思っております。
 また、今の公開は、これまで文書で公開してまいりましたので、公開しても、それを事前に医療機関でチェックすることができないということがございましたので、21ページの2つ目のポツに書いてございますけれども、チェックマスタに関するもの、今、2700ぐらい公開されておりますけれども、これは来年9月にはファイル形式で渡して、医療機関でレセコンに取り込んで事前にチェックしてもらえるようにしよう。それから、本部の点検条件等、残り8万4000については、令和4年10月には、ファイル形式でお渡しすることによって、事前にチェックしていただけるようにしようと考えております。
 次に、22ページでございます。これは、これまで平成19年から支部独自のコンピュータチェックをつけることができることになりまして、この改革が始まった平成29年には、一番左でございますけれども、14万の支部独自のコンピュータチェックというものがございました。これをできるだけ統一するということで、1年後には7万になっており、足元で1万2700まで統一を進めてきておりますが、新しい審査支払システムの稼働時には、既存のコンピュータチェックについては、全て本部のチェックに統一するという取組を進めております。
 続きまして、23ページでございます。統一的なコンピュータチェックの設定ということで、できる限りコンピュータチェックを付していこうということでございます。
 取組状況のところを御覧いただきますと、一番下の※でありますけれども、保険者から再審査請求が出てきた、あるいは原審査の段階で職員が疑義付箋を付して査定になったもののうち、コンピュータチェックがついていないものについて、例えば医薬品とか検査とか処置について、どういう理由で査定になったのかということについて分析しまして、順次、コンピュータチェックを付していくことにしております。
 現時点で言いますと、年間の査定箇所数が1000か所を超えて、40を超える支部で査定になった医薬品や検査・処置から順次行っております。来年6月までに348の項目について分析して、コンピュータチェックを付していくということで作業を進めております。今、3分の2ぐらい分析が終わっておりますが、順次進めていきたいと思っております。
 続きまして、24ページ以降でございますけれども、25ページを御覧いただきたいと思います。新しく審査事務を集約した後の差異解消の枠組みについてでございます。先ほど申し上げた自動レポーティング機能と併せまして、25ページのポンチ絵の一番下のところを御覧いただきますと、新しい審査事務センターでは、診療科別に組織を構成する。内科、外科、歯科、その他という形で構成いたしまして、職員が複数の都道府県のレセプトを持つことによって、これまでですと再審査請求があって初めて分かる、それから、審査委員の間で何が違うかということで議論があって、差異に気づくということであったわけでありますけれども、今後は、審査事務センターで職員が複数の都道府県のレセプトを担当することによって、こことここは、こう違うということが日々、診療科の中で気づけるようにいたします。その上で、差異があるものについては、上にWGと書いてございますが、診療科別WGに報告して、そこで調整していただくことを考えております。
 先ほど、対面でやるのか、ウェブでやるのかというのがございましたが、これはブロック内の各都道府県の各診療科の主任となる審査委員の先生方、医療顧問の先生方に入っていただいて、原則はウェブで、必要があるときは対面でという形で、できる限り取扱いをそろえていくように議論していただきたいと思っております。まずは、ブロック内で同じ職員が審査事務点検をして疑義付箋を付しても、ある県では査定され、ある県では請求どおりということになりますと、職員はどの県かによって事務のやり方を変えなければいけないということになりますので、まずはブロックでそろえていきたいと思っております。
 その上で、25ページのポンチ絵の右のほうに書いてございますけれども、本部から各ブロックごとの診療科別WGに参加いたしまして、不合理な差異を認めた場合には本部の検討会で協議するという枠組みを考えております。
 続きまして、27ページをお開きいただきたいと思います。審査結果の差異の解消ということで言いますと、今、本部、国保でも国保中央会に特別審査委員会というものがございます。これは、高額のレセプトとか専門性の高いレセプトをチェックするという趣旨で、昭和59年だったと思いますが、できたものであります。これについて、課題のところにありますが、平成30年から、40万点以上であったものを38万点へ引き下げるとか、移植については本部で審査するという形にしております。
 現状、4万7000件の高額のレセプトをチェックするとなっておりますけれども、実は、医薬品が高いというだけでは余り査定する箇所がなくて、判断が定着しているようなものもございます。典型的には、血友病などで、薬は高いのですが、審査としては査定する部分が余りない。この特別審査委員会の審査委員の先生方というのは、大学の教授の方ですとか、そういう専門性の高い審査委員の方々に多く入っていただいております。そういう意味で言いますと、専門性を生かしていただいて、新しい技術とか医薬品、あるいは、都道府県では件数が非常に少なくて、ぱらぱらとしか出てこないので、審査の統一ができないというものを統一していくという扱いをしていきたいと思っております。
 それから、今後の課題ということでありますけれども、29ページを御覧いただきますと、紙のレセプトの削減に向けた取組ということでございます。
 左は、医療機関からの請求状況で、右は保険者からの再審査の状況でございます。紙のレセプトは割合が非常に低いわけでありますけれども、29年に行った調査では、レセプトの紙の割合は2%ですけれども、業務の割合としては2割となってございます。一気にということは難しいと思いますけれども、医療機関でまだ電子媒体で行っているところ、紙で行っているところ。あるいは、保険者からの再審査請求についても、一気にということは難しいと思いますので、年次計画等で計画的にオンライン請求にしていただけたらと思っております。
 それから、31ページ、今後の課題ということで、在宅審査についてであります。これを御覧いただきますと、規制改革実施計画で、職員の審査事務とか審査委員の審査が効率的で安全に行われることを踏まえつつ、在宅審査の仕組みを検討するとされております。
 新型コロナウイルスの関係で、埼玉、東京、神奈川等では審査委員長一任ということで審査をいたしましたので、審査件数、審査点数が大きく減少いたしました。そういうこともございますので、在宅審査について、効率的で安全であるかどうか、情報セキュリティの問題、それから審査の質が確保できるかどうかということを検証しながら導入を検討していきたいということで、群馬支部において在宅審査を試行的に実施して課題を検証したいと考えております。
 最後、32ページ、33ページでございます。33ページを御覧いただきますと、支払基金は新しくデータヘルスに関する事業に取り組むことになってございます。来年3月にオンライン資格確認が始まります。令和2年度の最後のところを御覧いただきますと、オンライン資格確認と併せまして、健診情報の提供を始めます。
 また、来年10月には薬剤情報の提供。それから、令和4年に向けて、手術、移植、透析等の情報の提供ですとか、同じ令和4年夏に電子処方箋の取扱い等を検討していくということになってございますので、32ページにありますように、今、データヘルスに関する部署が各部署に分かれておりますが、統括的に戦略的な取組ができるような組織の改編と、アドバイザリーボードの整備を検討しているところでございます。
 ちょっと長くなりまして申し訳ございませんでした。
○菊池座長 ありがとうございました。
 それでは、引き続き、国保中央会、原理事長から御説明をお願いいたします。
○原国保中央会理事長 国保中央会理事長の原でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 資料3をお開きいただきたいと思いますけれども、国保連合会・国保中央会における「審査基準の統一等の取組について」、御説明を申し上げます。
 資料、ちょっと飛びまして13ページをお開きいただきたいと思います。私どものほうでは、平成29年7月に、厚生労働省と支払基金さんと連名で支払基金業務効率化・高度化計画を策定されまして、それを踏まえまして、国保連合会としても、ICTの活用等により審査業務の効率化・高度化にこれまで以上に積極的に取り組むことが不可欠であると判断いたしましたので、ちょっと遅れましたけれども、その年の10月に中央会・連合会連名でこの計画を作った次第でございます。
 この資料の左側、計画の基本的な考え方ということが私ども、大事ではないかと思っておりまして、3点掲げさせていただいております。
 それは、厚生労働省・支払基金の改革と一体となって取り組んでいくことが必要であろうということが1点。
 2点目は、コンピュータチェックの拡充は、当然、これからやっていかなければいけないことはであるのですが、システムを動かしているのは連合会の職員であるということで、そういった職員も資質の向上等を図りながら、システムというものをしっかり使っていくという、そこの好循環が図れるような計画にしていかなければいけないということが2点目でございます。
 3点目が、私ども連合会は、国民健康保険法に基づきまして、市町村等の保険者が共同で設立した組織でございます。そういう意味では、いわば審査支払業務で言えば、保険者の直接審査ということも言えようかと思いますけれども、保険者のニーズをしっかり取り込んだ審査をしていく。「保険者の共同体としての特性を活かした」という意味はそういう意味でございます。
 もう一つが、これは次回検討会で御説明したいと思っていますが、私どもの国保総合システムは審査支払業務をやっているシステムなのですが、これは保険者共同処理系のシステムを内包した、統合されたシステムでございます。前回の保険局からの提出資料の中にもあったかと思いますし、また次回もお出しして説明いたしますけれども、そういった性格のシステムでございますので、審査業務で得られた知見とかデータを、それ以外の国保総合システムに包含しています保険者共同処理系の業務に活用していくというところがありまして、その点も大事な視点であるということを書かせていただいております。
 具体的な内容としては、右側のほうに書かせていただいていますけれども、一番下の新たな取組の実施ということで、例えば連合会は、介護保険の審査支払業務もやっておりますから、例えば高齢者の医療レセプトについて、介護のレセプトとの突合をするとか、そういった連合会独自の審査の視点という、新たに取り組むものもあります。それ以外のものは、支払基金さんの計画の内容に沿って、私どもも国保でできることはやっていこうということで計画を作らせていただいております。
 次の14ページでございますが、その主な取組状況ということで、大きく4つほど書かせていただいておりますけれども、1番の審査支払新システムの開発については、次回、一括して御説明させていただきたいと思っていますので、本日は資料等を出しておりません。御理解いただきたいと思います。
 あと、4番目、先ほど支払基金さんのほうからも御説明がありました特別審査、高点数のレセプトの審査についても、国保サイドにおいても、令和元年7月審査分から同様に点数を引き下げて、中央で審査しているということでございます。
 残り、2番目と3番目について、この後御説明させていただきます。
 なお、参考までに、15ページ以降、査定率の推移とか職員数の推移、それから手数料単価の推移等つけております。時間がありませんので、また何かございましたら御質問いただければと思います。
 戻っていただきまして、資料の1ページ目でございます。まず、審査基準の統一の現状と今後の方針ということでございます。計画では、原則として、全連合会のうち8割以上が採用している基準は、全国の会長連絡協議会で承認を得た上で、全連合会共通の審査基準とするということを決めていただきまして、これを今、運用しているということでございます。当然、それが済んだら、それに満たないものも手をつけていかなければいけませんので、常務処理審査委員等による協議の場ということで、各連合会には、常勤もしくは常勤に近い形で審査を担当していただいている常務処理委員という方がいらっしゃいますので、この方々の参画を得て協議の場を設け、段階的に審査基準の統一の拡充に向けて議論していただいているということでございます。
 結果、現時点では、下のほうの棒グラフを見ていただきますと、医科・歯科合計で、それぞれの年の累計でございますが、令和2年9月時点で基準統一ができたものが466、うち国保支払基金で統一した事例が193、まだ基金等の統一までは至っていないけれども、国保単位で統一できたものが273という状況になっております。
 次のページは、先ほど言いました審査基準統一化のプロセスでございます。各国保連合会より、審査基準が異なっていると思われるものについての事例を募集したり、ブロックごとに会議、全国8ブロックございますので、ブロックの中で取り決め事項を協議していただく。そして、審査基準統一推進検討会、先ほどの常務処理審査委員による委員会でございますけれども、ここで議論し、さらに統一できたものは役員会に上げて、最終的には一番右の全国会長連絡協議会という全国の会議の場で御承認いただくという段取りでございます。
 この後、図に描いてございませんけれども、本日、保険局のほうから御説明がありましたように、国保内で統一できたものは、直ちに支払基金さんのほうに情報提供して、統一できるかどうかを協議して、両者で合意ができたら、その時点で統一という扱いをさせていただいております。また、意見が一致しないようなものについては、厚生労働省で開催される協議の場、連絡会議のほうに上げて、そこで調整するといったプロセスで基準の統一を進めているところでございます。
 資料の3ページ目でございますが、先ほど申し上げました466項目、現時点で統一できましたけれども、この内訳について記載しております。統一できたけれども、公表までに至っていないものもございますので、統一したものは速やかに公表に向けて調整を進めていきたいと考えております。
 それから、一番下の参考は、支払基金さんの資料にもございましたけれども、調剤については、厚生労働省と支払基金さんのほうで、審査情報提供検討委員会というものを設置していただいて、医薬品の適用外使用に係る事例の調整をしていただいておりますので、これも私ども、参画させていただいて、同じように、統一できたものは公表させていただいている。それが251あるという資料でございます。
 4ページ目をお願いいたします。審査結果の差異の解消の例の、これは一つの事例でございますけれども、先ほど支払基金さんの資料にもございましたけれども、インスリンの治療を行っている患者に対して、IRIという検査は、内因性インスリン量しか測定できないものですから、インスリンの投与を受けている患者さんに対して、どこまでそれを認めるのかということが従来から判断が分かれていたわけでございますけれども、今回、認めないということで統一が図られた事例でございます。
 それから、5ページ目でございますが、2つ目のテーマ、コンピュータチェックルールの精緻化・統一化でございます。これについては、下の欄の※のところに注がございますけれども、告示・通知上の算定ルールのうち、医学的判断を伴わないものをSランプと呼んでおります。これが約6400項目ございますが、本年8月審査をもって、全国で統一化(共通設定)ができたということでございます。
 若干時間がかかったのは、実は従来、Sランプの中には、医学的判断を伴うようなものも一部混在しておりまして、医学的判断を伴うものとしてVランプというものが別途ございますけれども、そちらのほうに移管したり、整理したりして、Sランプについては、審査委員会会長連絡協議会の承認を受けて、2つ目の○でございますが、全て事務付託、委員会にはかけないで、事務職員レベルで審査を完結させるということで御了解を得て、現在、これを全国設定、共通化しているということでございます。
 一方、Vランプ、医学的判断を伴うものでございますが、これについては、Sランプの統一のめどがついた令和2年、今年3月から統一化を本格的に開始したところでございまして、そういう意味では、まだこれからということになりますけれども、コンピュータチェックに係る自動レポーティング(チェック結果統計表)などを活用しながら、チェックの精緻化を図りつつ、統一化を進めていきたい。
 下の今後の方針にありますように、令和4年度中に統一化を図っていきたいということでございます。
 次の6ページ目でございますが、これが今、言いましたSランプ、Vランプのスケジュールでございます。Sランプは8月で完了したということでございますけれども、Vランプについては、現時点で数えると、全体で4万3000項目ございます。それで、この4万3000項目については、下の例に書いていますけれども、類似の項目が結構ございまして、これを統合、もしくは削除を一方でやっていかなければいけないということでございます。例えば、ある検査の算定については、月に2回以上は認めないというチェック項目があった場合に、外来レセプトだけチェックする、入院レセプトだけチェックする、外来も入院も全てチェックする。種類としては、3項目に分けることができます。
 こういうものについては、1つにまとめても点検業務の効率性が失われないだろうと判断できるものは、外来レセプトと入院レセプトを全てチェックするという形で、1項目に統合する。そんな作業をしながら、ステップ1の段階では、4万3000項目を4万ぐらいに整理しながら、一方で統一は1万5000項目まで目指して共通設定していきましょう。ステップ2、ステップ3と、段階的に分母と分子の見直しを進めながら、令和4年度中には設定率100%を目指したいという計画でございます。
 先ほど言いましたように、国保の場合には、国保総合システムの機器更改を令和6年度に迎えますので、ここをどうしていくかということを今、議論しております。支払基金さんのシステムとの整合性を図ることが大きな課題になっていますので、来年9月に行われる支払基金さんのシステム刷新に向けて、今、作業されていますけれども、そちらの内容も見ながら、私どもの国保総合システムをどのようにしていくかという議論をしている最中でございまして、そういう意味で、並行しながらやっているということが背景としてございますので、ここまで少し遅れた感はございます。
 しかし、少なくともコンピュータチェックの項目、どんなやり方かは別にしても、どういう項目を同じようにチェックしていくかということについては、これはやり方の問題でございますので、このように4年度中には実現したいということで進めていきたいと思っております。
 それから、7ページ目でございますが、コンピュータチェック項目を統一する上で、先ほど来御説明がありました自動レポーティング機能は大変重要なことだと私どもも思っております。国保の場合には、まだ一部しか自動化ができておりませんで、コンピュータチェックを各連合会が実行したときに、その処理結果については、細かく自動的にデータ出力が各連合会でできるわけでございます。
 現在は、これを集計ツールを用いて中央会のほうで集計して、手作業でいろいろ分析し、また各連合会のほうに戻して、各連合会が月単位でバッチ処理で、どういうところにコンピュータチェックをかけていくかということを設定していただいているわけでございますけれども、ここの点線部分を自動化しなければいけないと考えておりまして、これについては、次の私どものシステム更改の中で、どうしていくか、対応を考えていきたい。ぜひやっていきたいという気持ちでおります。
 さらに言えば、集計結果分析にぜひAIというものを活用したいと考えております。具体的な内容については、まさにこれからの検討になります。
 それから、8ページ目はVランプの統一についての事例でございます。時間も余りございませんので、御覧いただきたいと思いますが、こうやってVランプが統一されますと、それが必ず審査委員会のほうに上がってまいりますので、審査委員会で判断していただくことになります。Vランプでチェックが統一されていないと、ある県では、その案件については審査委員会に上がっていかないことになりますので、基準の統一にも資することにならないということでございます。
 ただ、チェックをかけたからといって、それが直ちに審査基準の統一まで行くかどうかは、これは審査委員会での審査基準統一の議論になりますが、その前段階として必要なことだろうと考えております。
 それから、9ページがチェックルールの公開の現状でございます。これについては、チェックルールは、ここにありますように、査定や返戻の対象となる診療報酬の不適切な請求の中には、記載事項の漏れや診療報酬点数表の読み誤りなど、レセプトの入力ミス等に類するものがあり、このようなレセプトは、ことさら査定または返戻しての再請求とするよりも、医療機関等において事前点検でミスを確認し修正した上で請求してもらうことが効率的であると記載しておりまして、ぜひ進めていきたいと考えております。
 ただ、コンピュータチェックの中でも、Vランプのような医学的判断を伴うようなものを中心に、全部公開するかどうかということについては、いろいろ課題もあるということで、計画では公開基準を策定することとしておりました。
 この公開基準については、後で出てまいりますけれども、30年2月に策定いたしまして公表しております。
 それから、ASPを含む受付事務点検システムについては、今でも支払基金と共同開発して、原則同じシステムを使っておりますので、同じチェックができている。また、チェックルールについても公開しているという状況にございます。
 それから、コンピュータチェックについて公開する場合は、支払基金さん側と内容を必ず統一する、確認することが大事だと思っておりますので、確認したものについては、国保においても速やかに公開しているという状況にございます。
 あと、10ページ目が現在のコンピュータチェックの実施状況と、その公開項目でございますので、御覧いただければと思います。
 Sランプについては、全て統一しておりますけれども、まだ全てが公開になっておりません。公開になっていない部分は、現在、支払基金さんのほうと内容について同一性を確認しているところでございますので、調整が終われば全て公開していきたいと考えております。
 それから、資料の11ページ目が公開基準でございますので、御覧いただければと思います。
 私からの説明は以上でございます。
○菊池座長 ありがとうございました。
 構成員の皆様、お待たせいたしました。それでは、議論に入りたいと思いますが、支払基金のほうからは、本検討会の検討課題のうち、審査結果の不合理な差異の解消以外の取組についても説明いただきました。ただし、本日は、審査結果の不合理な差異の解消を御議論させていただきたいと思いますので、それ以外の部分については、次回以降、また議論の機会を設けますので、皆様におかれましては、御協力お願いいたします。
 それでは、御質問等ございましたら挙手をお願いいたします。
 佐藤主光構成員からお願いいたします。
○佐藤(主)構成員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 まず、国保さん、支払基金それぞれで、自分たちの中での差異の解消に努めているというのは何となく分かるのですけれども、この後、それぞれがコンピュータチェックを入れたり、AIを活用したりして、その出口として、果たして支払基金と国保中央会の間でちゃんと整合性が取れるのか。というのはなぜかというと、支払基金と国保のほうではチェック項目がかなり違いますね。だから、この辺りをこの後、どうやってすり合わせていくのか。それぞれがコンピュータ化を進めていく、ペーパーレスを進めていくという姿は分かるのですが、この後、これをどうやってすり合わせていくのかという道筋がよく分からないなと思ったので、もし何かあれば教えていただければと思います。
 もう一つ、支払基金さんのほうで御説明があったPDCAというのですか、20ページです。自動レポーティングを使って、医学的な判断を伴うところについては、最終的に本部とか支部ごとのWGを使って精査していくということですけれども、このPDCAのスピード感はどれぐらいなのか。例えば、本部検討会において差異を検証するということがありますけれども、頻度として年間どれぐらいやるのか。何か見つかったらアドホックにやるのか。このPDCAを回すのは結構ですが、そのスピード感というものをちょっと教えていただければと思います。
 とりあえず以上です。
○菊池座長 いかがでしょうか。2点ございました。
 事務局のほう。
○姫野保険課長 それでは、保険局、事務局でございますけれども、1点目、支払基金と国保連合会のシステムの整合性をどうやって取っていくのか、その道筋について御質問いただきましたけれども、これはまさに、この検討会での一つの大きなテーマかと思いますし、両機関でそれぞれきちんと、先ほど原理事長からもありましたが、情報を共有しながら進めていくというのも大事ですし、当然、その過程では、保険局も両機関を所管する立場から情報共有を進めていくという役割もあるかと思います。
 なので、今後、どういう道筋で進めていくのかということは大変重要なテーマだと思いますので、本検討会での方向性もいただきながら、保険局としてしっかりと進めていくというのが基本線かなと考えてございます。
○菊池座長 第1点はよろしいでしょうか。
 第2点目。
○神田支払基金理事長 2点目の自動レポーティング機能でPDCAを回していくスピード感ということでありますけれども、これは来年9月に稼働します、新しい審査支払システムにこの機能を搭載することにしております。先ほど申し上げたような、多く付箋がつくコンピュータチェックの審査結果のほか、18ページにございますけれども、各支部から差異があるということで上がってきたものを検討しております中央検討委員会というものがありますが、そこで継続検討しているもの、全国的に既に取扱いが統一されたものなど、全部で300程度のものを網羅的にレポーティングしていきたいと考えております。
 まずは、既に扱いが統一されているものについての差異について、実は先ほどの例で御説明した19ページのものも、一番下にあるような形で統一的な取扱いは出ているわけでありますけれども、個別の査定率とかを見ますと差があります。その原因については、先ほど申し上げたいろいろな原因がありますので、まずは既に統一されたものから整理していきたいと考えております。統一されているものについては、令和3年度中に分析することを目標にやっていきたい。新しいものについては、順次やっていきますので、計画の詳細については、今後検討していきたいと考えております。
○佐藤(主)構成員 ありがとうございました。
 1点、例の国保と支払基金のチェック項目の違いというのは、前のWGでも結構話題になっていて、英語とフランス語というか、ギリシャ語とラテン語というか、言語の違いをどうやって統一するか。これは結構大きなチャレンジかなと思いました。
 とりあえず以上です。ありがとうございました。
○菊池座長 それでは、現在手が挙がっております平川構成員、大石構成員、黒田構成員の順番で参ります。
 まず、平川構成員、お願いします。
○平川構成員 平川です。
 今、佐藤先生からお話があったのと似ているかもしれませんが、支払基金の15ページに、AIの導入については、入院については除外されると、左上のところですね。目視対象とするのは入院レセプトだと書いて、それ以外のものについては、AIによるレセプト振分機能を使うと書いてあります。一方で、国保中央会の6ページ目を見ると、入院も外来も一緒にやるという書き方をしてあります。AIを導入するポイントもそれぞれ違うような説明が先ほどありました。
 もともとロジックといいますか、全体の構造が違ってしまっていて、先ほどの言語の違いというのは、統合するのに非常に困難な事例になってしまうことが、我々の経験で今までたくさんあります。平井大臣が本腰を入れるということになると、個々の組織ごとにそれぞれの文化で積み上げたものを、後から統合するのは非常に大変なことだと私は思いますので、もう一度立ち止まって、統合することが目的であるのであれば、それに向かって基本構造を調整してから進んだほうがいいのではないかと私は思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○菊池座長 事務局、いかがでしょうか。
○姫野保険課長 それでは、両機関にまたがる話ですので、事務局から少しお答えいたしますけれども、私の理解では、国保中央会さんのほうから御説明があった資料7ページのところでAIの導入というものがありますけれども、これはまさに次の2024年度の刷新に向けて、こういったことも視野に検討していくという御説明だったかと思っております。一方で、支払基金につきましては、2021年9月、来年9月に新しくシステムを刷新して、AIについても活用を現実化していくということでございます。
 なので、まさに原理事長からありましたように、支払基金でどのようなことをやっていくのかという情報をしっかりと把握した上で、国保のほうについても検討を進めていくということかと思いますので、特に新しく導入していくようなものについては、当然、両機関で情報交換しながら、また、それが円滑に進むように、厚生労働省としても間に立ちながら進めていくということが基本かと思っております。今、いただいた御指摘は非常に重要なポイントかと思いますので、しっかりと受け止めていきたいと思ってございます。
○平川構成員 後で問題にならないように、非常に重要な分岐点だと思いますので、申し上げておきます。
○菊池座長 ありがとうございます。
 次に、大石構成員、お願いします。
○大石構成員 ありがとうございます。
 私の質問の一部は平川構成員と同じことだったので、そこは単に重なっていますということと。
 あとはちょっと個別の話ですけれども、せっかくコンピュータ化、システムを入れるのであれば、その能力を最大限生かせるようにしていくべきだと思っていて、例えば、さっきの入院レセはAIにかからないということに関して言うと、入院レセが入るか入らないかで金額比率は大分変わると思うのです。枚数で言うと外来レセのほうが多いと思うのですけれども、金額は入院レセのほうが大きいので、そこが本当にAI化できないのかということを今の段階から検討し、それが国保だけじゃなくて、そもそも支払基金のほうでもできないかということを考えるということも必要なのではないかということを感じました。
 もう一つは、例えば各県別の差異が発生して、その原因がというのはありますけれども、そこの詳細分析であるとか、それを横串で刺したときに、この県はこういう傾向があるとか、こういう課題があるというのがある程度自動的に出るはずなのです。なので、そういうふうに最終的に見える化とか、見える化を通したPDCAを回すというところから逆算したときに、どこをどうシステム化するのかというところは、まだ工夫の余地があるのではないかと思いました。
 もう一つは、ちょっと細かい話ですけれども、その前提として、全体を効率化するためには紙レセをなくしていく必要があって、先ほども幾つか今後検討するという話があったのですけれども、受け付けないわけにはいかないと思うので、例えば紙レセで出した場合は支払いが6か月後ですとか、何らかのペナルティーを入れることによって自然となくしていくようなことも同時に考えたほうがいいのではないかと思いました。
 こういう3つのことに関して、どう思われますかという御質問です。よろしくお願いします。
○菊池座長 それでは、神田理事長から。
○神田支払基金理事長 まず、振分機能について、入院についてもAIを使ったほうがいいのではないかということですが、外来と入院ではレセプト枚数が圧倒的に違いまして、外来は月で五千数百万枚の請求があるのに対して、入院は80万です。
 したがって、もともと入院は単価が高いということで、人が丁寧に見たほうがいいだろうということで、15ページのフローを見ていただいても、医学的判断チェック。チェックマスタと言って、診療行為と傷病名とか、傷病名と医薬品、医学的な点検条件とか、そういうものは全部入院にもかけることにしておりますが、人が見ないで終わりにするというルートには、入院は全体五千数百万件の中の80万件で単価も高いということで、人が目視するほうに回すという枠組みで考えているということでございます。
 それから、最後の紙レセについてでございますけれども、支払基金の資料の5ページ目に紙レセの推移が書いてございます。20年4月からオンライン請求一部義務化が始まって、23年4月から原則義務化となったのですが、20年4月のときの紙レセの医療機関の電子媒体の例外になっているのは、もともとレセコンを使っていなくて紙で請求しているような医療機関とか、そこの医療機関の先生がみんな高齢者である。これは20年のときですので、今で言ったら後期高齢になっているような方ですので、一律ペナルティーを科すということより、どうやって計画的に進めていくのかということが大事なのかなと思っております。
 それから、先ほどの資料の29ページで見ていただいたように、実は媒体で出していただいているところも、今後、オンライン資格確認が始まります。この媒体のところというのは、オンライン資格確認ができないということになりますので、この機会に支払基金としてはできるだけオンライン資格確認を活用していただけるように、媒体のところをオンラインにしていただくようにお願いしたいと思っております。また、保険者からの再審査請求のところのオンライン化をどう上げていくのか、いかに計画的にやっていけるかということが大事かと思っております。
 以上でございます。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
○大石構成員 余りよろしくないけれども、いいです。
○菊池座長 申し訳ありません。時間が限られておりまして。
 繰り返しますが、本日、審査結果の不合理な差異の解消に関しての御質問をお願いできれば幸いでございます。
 次に、黒田構成員からお願いいたします。
○黒田構成員 ありがとうございます。
 佐藤先生以来、言われていることですけれども、基金さんのスライドの21ページ、国保さんのスライドの10ページを見せていただくと、多分並べて出せないと思いますが、これは同じような表ですね。コンピュータチェックの実施状況。数字がものすごく違うのです。つまり、使われている単位が、実施項目数だったり、実施事例数という形で、言葉が全部違う。一番大事な数字を出すときの単位が違うのです。
 最終的に不合理な違いを修正していくために鍵になるのは、先ほどからおっしゃっているレポーティングということになるのだと思うのですけれども、レポーティングに上がってくる数字を見ても、それを解釈できないことになりますので、使う単位をさすがに統一していただかないと、会話ができないのではないかという気がいたします。まず、少なくともここの整理はしていただいて、同じ単位、同じ計測指標を使って、どうなっているのかを表現していただくことをぜひお願いしたいと思ってございます。
 それをすることがとても大変だということであれば、最終的には、先にできているものを後の人が使わせてもらうほうが、他人のふんどしでいかに大相撲を取るかというのが、コンピュータの世界の基本的な戦略のはずですので、他人のふんどし、つまり基金さんが作られてしまっているチェックの仕組みを使って、国保さんが大相撲を取られる。つまり、それをうまく自分たちの機能に使われるという形に持っていくほうが、最終的には投入する国費も含めてバランスが取れて、しかも同じものを使うので、不合理な差異が自動的に解消されてくるのではないかと考えるのですけれども、この辺りについて、国保さん、基金さん、それぞれどのようにお考えなのかということを教えてください。
○菊池座長 それぞれ御発言ありますか。
 では、原理事長お願いします。
○原国保中央会理事長 御意見ありがとうございます。
 この公開事例の数の数え方でございますけれども、確かにカウントの仕方がちょっと違うというのは御指摘のとおりでございまして、国保は項目数で数え、基金さんは事例数で出されている。分かりにくいので、次回、お許しいただければ資料としても出させていただきたいと思いますが、例えばAという包括入院料の点数があったときに、包括対象の診療行為が50、その中で設定されている。50、含まれる。これが包括入院料だとしますと、私どもは、包括されている包括入院料を1項目として数え、事例というのは、その中に包括されている50の診療行為に着目して50事例という形で表現している。例えば、そういうことでございます。
 ただ、これは数え方の違いでございますので、内容的には同じものでございますから、それを分かりやすくしていくということはもちろん大事なことだと思っています。実際、私たちも項目を公開する際には、例えば基金さんが内容の同一性を確認した上で先に出された場合は、私たちも事例に置き直して公開させていただいておりますので、対外的にはそういう努力はさせていただいていますが、そろえることがコンピュータチェックシステムという中で、どのような影響が出てくるのか。
 その辺は、これから私たちもシステム公開の内容を検討していかなければいけませんので、基金さんのシステム、先にあるものを使えというのも確かに一つの物の考え方でございますけれども、それが性能としてどのようなものなのか。
 それから、コンピュータチェックの対象も、実は私たちは後期高齢者医療のレセプトを扱っておりまして、基金さんは、例えば生活保護のレセプトを扱っておられるとか、扱っているレセプトが違います。当然、医療行為としては、後期高齢者医療に特有なものがあったり、あるいは存じ上げませんけれども、生活保護に特有なものがあったり、そういった対象レセプトの違いみたいなものももちろんございます。
 それから、経済的なもの、いわゆる経費ですね。費用的なものも当然考えなければいけませんので、その辺は総合的に判断して、よりよいものを安く、そして対外的には分かりやすくということが大事なことかなと思っている次第でございます。
○菊池座長 この点について事務局から何かありますか。神田理事長からございますか。
○神田支払基金理事長 基本的な認識は同じであります。コンピュータチェックルールを公開している部分については、内容的には同じものを公開しているわけですけれども、数え方が、私どもが事例数で、国保のほうは項目数になっているということですが、対応関係は次回、しっかりお示しさせていただければと思っております。
 それから、コンピュータチェックについては、共通で使えるところとそうでないところがあると思いますので、そういうことをよく踏まえながら、私ども、先行して、先ほど申し上げた点検条件を全国的に統一するという形で新システムを構築いたしますけれども、どの範囲で使っていただけるかということについて、国保のほうで御検討いただければと考えております。
○黒田構成員 ありがとうございました。
 最終的には、基金さんの19ページに出てきたレポートが、基金さんと国保さんが1枚の紙に重なった形で出てくることが、不合理な違いを明らかにするためには最も大事だと思うので、単位をそろえるということをぜひ改めて御検討いただければと思います。
 ありがとうございます。
○菊池座長 この点、事務局から何かございますか。
○姫野保険課長 ありがとうございます。
 今、両理事長からお話あったとおり、考え方や整理の仕方が若干違うということですけれども、違いがあるかどうかを見るためにも、そういった言語をそろえていくということが大事だという御指摘だと思いますので、事務局としても、両者の考え方や数字の数え方が現状どうなっているのかといったところを整理できるように調整していきたいと思います。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、手が挙がっております幸野参考人、松本構成員、横尾構成員の順番で参ります。
 まず、幸野参考人、お願いいたします。
○幸野参考人 すみません、事前に伺うのですが、今日は不合理な差異に関するもの以外は、質問とか意見を言ってはいけないのでしょうか。
○菊池座長 大変申し訳ありません。あと15分という予定時間ということもございまして、次回以降に機会は設けますので、恐れ入りますが、御協力いただければと存じます。
○幸野参考人 分かりました。
 では、まず不合理な差異が生じる要因というのは、診療報酬上の算定要件の解釈が曖昧なものや、明確に示されていないものが非常に多いのが原因ではないかと思います。よくあるのは、原則としては認めないけれども、ただし書きで、「ただし、医学的に必要な場合は摘要欄に記載すること」といった表現で、この結果、支払基金では支部ごとに独自の判断をして差異が生じてしまうといったことが起こっているのではないかと思うのです。支払基金の事務局から厚労省の医療課への、問い合わせも多いと聞いています。
 支払基金・国保中央会にお伺いしたいのですが、厚労省が差異を支払基金と国保連に任せるのではなくて、差異の表現の是正や疑義通知を出すということを頻繁に行えば、差異がなくなるのではないかと思うのですが、それについての御意見をお伺いしたいというのが1つ。
 もう1つは、次回へのお願いですが、今日、意見としては申し上げません。支払基金改革のキーワードには「自動レポーティング機能」と「AIによる振り分け」がありますが、まだまだ詳細が分かっていなくて、もう少し具体的に説明していただき、AIによるレセプト振り分けを活用して、コンピュータチェックで完結するレセプトをMinhashとXgboostという機能を使いながら9割まで引き上げていく中で、審査の質が本当に担保できるかということを確認したいと考えています。
 なぜかというと、今回のコロナ禍で審査の際に特例的にコンピュータチェックのみ処理した上で、審査決定は審査委員長に一任した結果、査定件数が7割、点数にすると9割落ちたことを非常に不安に思っていまして、コンピュータチェックが9割になったときに、今以上に審査の質が担保されるというところを、ぜひ次回以降、我々に見せていただきたいと思います。
 それから、もう1つの自動レポーティング機能というのが来年9月に実装されるということですけれども、これによって、先ほども質問がありましたけれども、どのようなスピード感で不合理な差異が解消されていくのかというのが見えていない。支払基金ではレセプトを年間11億件、処理されていると思うのですけれども、毎年、この自動レポーティング機能を使って、どれぐらいの件数の差異が出てきて、出てきた差異に対して、どういうスピード感で処理されていくのかというのが我々には見えない。また、どういう優先順位で差異を解消していくのかといったところについても、次回、お話しいただきたいと思います。
 それから、最後にもう1つ。在宅審査を群馬支部で実証試験されるということですが、これは非常に大事な取組だと思っていまして、冒頭、大臣の御意見もありましたが、新内閣の方針であるデジタル化というのは、あらゆる分野で加速することは間違いなく、支払基金や国保連も例外ではないと考えています。このデジタル化を進めると、働く場所という概念が払拭されて、次なる基金改革とか国保連改革に大きな影響を与えると思っています。もしできれば、在宅審査というものをどういったスピード感で進めていくのか、次回、詳細に説明していただけたらと思います。
 1つ目の質問についてコメントがあれば、お答えいただきたいと思います。以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 それでは、神田理事長のほうからお願いします。
○神田支払基金理事長 最初の、算定基準が曖昧ではないか、そもそもの解釈がそろわないと差異がなくならないのではないかというお話かと思います。実は、私どものほうからも、これまで記述式であった症状詳記については、できるだけ選択式の項目にしていただくという要望を出しております。現時点で言いますと、617項目のコメント等が必要な記載のうち、587項目、約95%については、選択式に診療報酬改定で手当てしていただきましたので、そういう文章にすることによる曖昧さについては、医療課のほうで御努力いただいて、順次手当てがされているのではないかと思っております。
 現場の審査委員からは、我々もできるだけ紛れがない点数表とか通知にしてほしいという要望は、よく伺うわけでありますけれども、冒頭あった審査の本質というのが、画一的な診療報酬点数表、療養担当規則等、多様な現場をどうつなぐかということで、よく「何々等」と書いてあるとか、短期間とか一連の治療行為とか、そういう記述が診療報酬の通知等にありますので、そういう個別の医学的判断を要する項目をできるだけ統一したいという気持ちは、現場の審査委員からはお聞きしますけれども、冒頭申し上げている審査の本質から言って、例外的な医学的判断の余地をどれほど確保するのかという本質的な問題もあるのではないかと思っております。
 その範囲で、我々としてはできる限り統一的な判断基準を医療課のほうで示していただけたらと思っております。
○菊池座長 原理事長、お願いします。
○原国保中央会理事長 基本的には同じ意見でございます。医療には非常に個別性があり、難しいところがございますから、どこまでできるかという問題はよく考えなければいけないと思いますけれども、審査基準の統一あるいはコンピュータチェックの統一を進めていくためには、先ほど出ていますけれども、レセプト様式の見直しとか審査基準の明確化を進めていくことが大事で、これは厚生労働省のほうでリーダーシップを取って、しっかりやっていただくことではないかと思います。私たちも、策定した計画の中で、そのことを厚生労働省のほうにお願いしたいということを書かせていただいているところでございます。
 以上です。
○菊池座長 2点目、3点目につきましては、事務局のほうで宿題あるいは御意見として承っていただくことにさせていただきます。よろしいでしょうか。
 それでは、松本構成員、お願いいたします。
○松本構成員 ありがとうございます。
 本日は、不合理な差異の解消のための取組ということでお話しいただきましたけれども、資料1で、不合理な差異の事例としては、今回はH2ブロッカーとPPIの併用投与について示されて、支払基金の中で基準を統一する努力がなされている旨の説明をいただきました。レセプトはあくまで請求書ですので、医学的な判断には限界がある中で、審査委員の専門的な知識と臨床経験に基づいて判断が行われています。
 資料1の1ページ目に、保険局長のなかなかうんちくのある国会答弁が記されております。医療という非常に個別性のあるものと、保険診療ルールという画一性の折り合いをどうつけていくかが審査の本質的な作業内容であって、患者さんは、例えば同じ病名だとしても、年齢、性別、病状など個別性が高く、医師による治療の選択肢も多様性があって、審査委員は保険の診療のルールとの間を埋めながら、専門的知識と臨床経験に基づいて判断しておられるということから、まさに一定の差異は避けられない面があります。確かにこのとおりでありますけれども、そのような中で、今回、支払基金や国保連において、差異解消に向けた様々な取組が継続されているということを理解いたしました。
 したがいまして、6ページにありますような取組の全体像にこれまでの支払基金や国保連における継続的な取組も書き加えて、それが真の全体像と言えるものだと考えますし、今後はこのようなプロセスを回しながら、両者の差異解消に継続して取り組んでいくべきではないかと思います。
 今回は以上とさせていただきます。
○菊池座長 ありがとうございます。御意見として承らせていただきます。
 それでは、横尾構成員、お願いします。
○横尾構成員 ありがとうございます。
 1つ意見とお尋ねでございます。
 先ほど両理事長さんのお話で大体分かってきました。例えばここでいうところの不合理な差異[A1] については、おおよそはAIとかコンピュータを使うことによって、かなり削減する努力をされているというのは認識しました。そこで、この1ページ目の記述に、地域間の差とか臨床現場での多様性とか、いろいろあるのですけれども、こういったものは、いわば本体の基本フレームからするとオプションという認識をして、中心のところは厳格にやって、不合理な差異のところをもっと極小化できる可能性があるのかどうか、その辺についてお二人から御意見いただければと思います。
○菊池座長 いかがでしょうか。
 神田理事長、よろしいですか。
○神田支払基金理事長 御質問の趣旨は、不合理な差異について、もっと集約できる可能性があるのかどうなのかということでしょうか。
○横尾構成員 そうです。
○神田支払基金理事長 私どもの基本的な考え方としては、先ほど集約化計画工程表で申し上げたように、1つは、自動レポーティング機能で全国2000件以上の付箋がつくものは、網羅的に差異を見える化していきます。先ほどの例で申し上げたように、どういう要因で、なぜその差異が生じているのかということを分析して、それを活用しながらコンピュータチェックの新たな設定ですとか精緻化を進めていくという取組をしていきます。
 それから、もう一つは、先ほど申し上げたような、新しい組織では、診療科別に職員が構成されて、例えば佐賀県と福岡県の両方のレセプトを見る。ある職員は、福岡県と長崎のレセプトを見ることによって、福岡と佐賀と長崎のどこがどう違うというのを日々把握しながら、それを審査委員の先生方にWGで調整していただくという、速やかに把握して調整する枠組みというものを作っていきます。そういう意味では、今回の集約化、それから新しいシステムに搭載するレポーティング機能を使って、さらに不合理な差異の解消に進めていける枠組みはできると思っておりますので、こうしたツールを活用して不合理な差異の解消の取組を一層進めていきたいと考えております。
○菊池座長 原理事長、お願いします。
○原国保中央会理事長 不合理な差異とは何かという議論をしてもしようがないと思いますので、基本的には神田理事長がおっしゃったように、そういう事例を抽出していって、大事なことは、国保連合会内部、さらには支払基金との間で具体的に協議して統一していくという仕組みを作っていく。そこに私たちは、具体的にはこれからの検討になりますけれども、AIを活用したレポーティングとか振り分けといったものを使っていくということではないかと考えております。
 以上です。
○菊池座長 よろしいでしょうか。
○横尾構成員 ありがとうございました。
○菊池座長 議論は尽きないところでございますが、申し訳ございません、終了予定時刻が近づいてまいりました。
 先ほどの第1議題で森構成員の御質問に対する回答を事務局のほうで用意してございますので、お願いいたします。
○姫野保険課長 確認いたしました。先ほど資料の中で、両機関の基準の統一化をするための連絡会議で御説明しましたが、この連絡会議の中は、支払基金・国保中央会、各4名ずつ入っていただいています。これは、審査委員会の委員長に出てきていただいたりするという関係もありまして、この中に薬剤師の方は入っておりません。
 ただし、その下の各作業部会で個別にいろいろと検討していく際には、必要に応じて薬剤師の方にも参画していただくといった形で進めているということでございました。
 以上です。
○菊池座長 森構成員、いかがでしょう。
○森構成員 ありがとうございます。
 調剤も支払機関の間ので差があったり、地域の差というものがありますので、そういうものがきちんと統一できるようにしていただければと思います。今日、厚労省のほうから示された事例で言えば、ある地区では、レセプトにその行為に関してコメントを求めている地域、求めていない地域や、薬学的判断ということで言えば、薬剤の製剤上の特性についての判断に差がある地域もあります。不合理な差がないように、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 以上です。
○菊池座長 ありがとうございます。
 恐らく皆様から御質問なさりたい、あるいはさらに深く議論したいというニーズ、無言の圧力が伝わってくるのですが、大変申し訳ありません。私の進行のせいで時間が参りました。まだ次回以降ございますし、できるだけ皆様に議論の時間を確保できるよう、事務局とも連携して努めてまいりたいと存じますので、どうか御容赦のほどお願い申し上げます。
 それでは、次回の日程について事務局から御連絡をお願いいたします。
○姫野保険課長 次回検討会の開催日時でございますが、10月30日金曜日の13時からを予定しております。詳細につきましては、追って御連絡いたします。
○菊池座長 それでは、少し急いで申し訳ございませんでした。
 以上をもちまして、第2回「審査支払機能の在り方に関する検討会」を終了いたします。どうもありがとうございました。