令和2年9月25日 第49回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和2年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

日時

令和2年9月25日(金) 14:00~16:00

場所

浅草橋ヒューリックホール
(東京都台東区浅草橋1-22-16 ヒューリック浅草橋ビル2階)

議事

○事務局 定刻になりましたので、ただいまより第49回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和2年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき、ありがとうございます。
初めに、本日の委員の出欠状況について御報告します。副反応検討部会の倉根委員、長谷川委員、安全対策調査会の望月委員から御欠席の連絡を受けております。現在、副反応検討部会委員9名のうち7名、安全対策調査会委員6名のうち5名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。なお、全ての委員において、関係企業の役員、職員等でない旨を申告いただいております。
次に、事務局側で人事異動がありましたので紹介させていただきます。まず、8月11日付けで健康局長が宮嵜から正林に交代となっておりますが、ほかの公務のため遅れて出席する予定です。到着しましたら、改めて御挨拶させていただきます。また、8月7日付けで健康課長が神ノ田から鷲見に交代となっております。また、医薬・生活衛生局安全対策使用推進室長が田中から高橋に交代となっております。
申し訳ありませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますようお願いいたします。留意事項に反した場合は、退場していただきます。また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や、会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
本日の座長につきましては、五十嵐安全対策調査会長にお願いしたいと思います。それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 ありがとうございました。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。初めに、審議参加に関する遵守事項につきまして、事務局から御説明お願いいたします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。本日御出席された委員、参考人の方々の過去3年度における関係企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。本日の議題において調査審議される品目は、DPT、DT、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、混合不活化ポリオ、13価肺炎球菌、ヒブ、BCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルス、5価ロタウイルスの各ワクチンであり、その製造販売業者は、一般財団法人阪大微生物病研究会、第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社、KMバイオロジクス株式会社、デンカ株式会社、サノフィ株式会社、ファイザー株式会社、日本ビーシージー製造株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、MSD株式会社であり、事前に各委員に申告を頂いております。各委員からの申告内容については、机上に配布しておりますので、御確認いただければと思います。
本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、宮川委員は第一三共株式会社及び武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取があるため、DPT、DT、4種混合ワクチン、破傷風トキソイドについて、柿崎委員がMSD株式会社から50万円を超えて500万円以下の受取があるため、B型肝炎、5価ロタウイルスワクチンについて、意見を述べることができますが、議決に参加いただけませんことを御報告いたします。引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受取について、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いします。以上でございます。
○五十嵐委員 ありがとうございました。では次に、事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局より、本日の資料について説明いたします。各委員におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。なお、タブレット端末の操作方法につきましては、従前と同様ですので説明は省略いたしますが、御不明な点、不具合等がありましたら事務局員までお申出ください。それでは、配布資料の説明をいたします。資料は議事次第、委員名簿、資料一覧、座席図、遵守事項等資料、資料1~17、参考資料1~9となっております。また、委員限りの資料ですが、資料番号なしで、各社のワクチン出荷量と副作用の発現頻度をまとめた資料、机上にリーフレット案の紙媒体と資料15-2で御説明する症例票がございます。症例票につきましては、会議終了後に全て回収いたします。また、黄色の紙ファイルにて、各ワクチンの添付文書をお配りしております。資料を御確認いただき、不足の資料等がありましたら事務局にお申出ください。
○五十嵐委員 ありがとうございます。委員の先生方、何かありますか。よろしいですか。それでは、議題1「各ワクチンの安全性について」の審議に入りたいと思います。初めに、資料1~6までの説明をお願いいたします。
○事務局 まず初めに、全体的な事項を説明いたします。本合同会議での副反応が疑われる症例の報告につきましては、平成25年9月の合同会議において、定期的に検討を行うワクチンを選定し、比較的同時接種が行われるワクチンと、そうではない比較的単独接種が行われるワクチンにグループを分けて報告することとしております。本日は、比較的同時接種が行われるワクチンについて、その副反応が疑われる症例の報告状況について御説明いたします。比較的同時接種が行われるワクチンにつきましては、前回5月20日の合同会議におきまして、昨年11月1日から本年2月末までの症例について報告しております。本日は、本年3月1日から6月末までの4か月間に報告された症例について御説明いたします。
それでは、資料1~6について御説明いたします。百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオ関連のワクチンとなります。
資料1をご覧ください。DPTワクチンです。具体的な製品名は、1ページの上段にある「商品名」に記載しております。1ページの中段に表がありますが、こちらには、医療機関への納入数量を基に推定した接種可能のべ人数、製造販売業者及び医療機関からの副反応が疑われる症例の報告件数を記載しております。DPTワクチンの接種可能のべ人数は約2万人、医療機関からの報告は非重篤のもの1件でした。医療機関からの報告頻度は0.0046%となっております。1ページ下段には、重篤例の転帰等の情報をまとめておりますが、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。
2ページ目に移る前に、本資料を含め各資料の1ページ目の見方について説明いたします。重篤症例の報告数については、製造販売業者と医療機関の双方から報告された場合には、重複を排除するため医療機関の報告として計上しております。また、中段の表の報告数のところですが、集計対象期間内に報告された症例を集計しているため、この件数には接種日や発生日が対象期間以前の症例も含まれており、接種日が今回の対象期間内であったものについて、括弧書きでその件数を記載しております。また、製造販売業者ごとの出荷量や発現頻度につきましては、別途、委員限りの資料をご覧ください。
2ページ目をご覧ください。報告された症例を症状別に集計したものです。縦に見ていただき、表の左側が前回の合同会議までに報告された件数、右側が今回の集計対象期間に報告されたものとなっております。3ページには、予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しております。こちらの左側が前回までの報告、右側が今回の対象期間に報告されたものとなっております。4ページが報告された個別症例の一覧、5ページはアナフィラキシーとして報告された重篤症例の件数をまとめております。今回は対象となる症例はありませんでした。資料1は以上となります。
資料2はDTワクチンです。接種可能のべ人数は約65万人、医療機関からの報告は6件、うち重篤なものが2件でした。医療機関からの報告頻度は0.00093%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページ目は症状別に集計した結果、3ページは、予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。4ページから5ページが個別症例の一覧となっております。6ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして1件報告があり、専門家の評価によってブライトン分類が3以上とされました。症例の詳細な経過は7ページに記載しております。熱性けいれんを基礎疾患に持つ12歳男性の症例で、接種後まもなく顔色不良となり、アドレナリンが投与され、救急搬送された症例です。一番右側、専門家による評価の結果、ブライトン分類3以上のアナフィラキシー症例、ワクチン接種との因果関係は否定できないと評価されています。資料2は以上です。
資料3のジフテリアトキソイド、資料4の破傷風トキソイド、資料5の不活化ポリオワクチンにつきましては、今回、対象期間内に製造販売業者及び医療機関のいずれからも報告はありませんでしたので、説明は省略いたします。
資料6は4種混合ワクチンです。接種可能のべ人数は約123万人、製造販売業者からの報告は6件、医療機関からの報告は19件、うち重篤なものが5件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00049%、医療機関からの報告頻度は0.0015%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページから4ページは症状別に集計した結果、5ページは予防接種法に基づく報告基準に定められた症状の集計結果です。6ページから9ページが個別症例の一覧となっております。10ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして2件報告されましたが、専門家の評価によりブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過につきましては、11ページに記載しております。資料1~6の説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 御説明ありがとうございました。資料1~6までにつきまして、委員の先生方から御意見、御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか。特段の御意見、御質問はありませんか。
事務局の説明をまとめます。副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特に高いということはありませんでした。死亡症例も対象期間内にはありませんでした。DTワクチンの症例で1例アナフィラキシー、ブライトン分類でもアナフィラキシーと評価される症例が1例ありました。ということで、よろしいでしょうか。
この内容を踏まえ、現状でのこれらのワクチンの取扱いにつきまして、変更する必要があるかどうか、もし御意見がありましたらお願いしたいと思います。よろしいですか。それでは、1~6までにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価をしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのようにしたいと思います。
続きまして、資料7と8の説明をお願いいたします。
○事務局 資料7をご覧ください。13価肺炎球菌ワクチンです。接種可能のべ人数は約121万人、製造販売業者からの報告は14件、医療機関からの報告は22件、うち重篤なものは13件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0012%、医療機関からの報告頻度は0.0018%となっております。肺炎球菌ワクチンに関しましては、薬効欠如などのワクチンの副反応ではないと考えられるような症状が報告されていることについて、これまでの合同会議で御指摘いただいており、内数として、肺炎球菌感染、肺炎等を除いた値もお示ししております。今回は該当する症例はありませんので、内数は同数となっております。また、1ページ下段の重篤例の転帰について、製造販売業者からの報告で後遺症症例が1例報告されています。また、6か月間の死亡頻度の報告頻度は0.05~0.06となっており、この数値は急ぎの検討が必要とされる0.5を下回っております。2ページから6ページは症状別に集計した結果です。こちらの表で一番左側に★が付けてある症状につきましては、1ページで内数として集計する際に除外する症状となります。7ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。8ページから11ページが個別症例の一覧となっております。8ページ目の製造販売業者からの報告No.3が後遺症の症例です。その後遺症症例につきましては、12ページに掲載しております。70歳女性の症例で、プレベナー13を接種後、右肩に疼痛が発現し、腕を挙上できなくなり、後遺症ありとして報告された症例です。一番右側に専門家の意見を記載しております。「ワクチン接種との因果関係は否定できない」「評価のための情報が不十分である」といったコメントを頂いております。13ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内に報告された症例は5件ありましたが、専門家の評価によってブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過は14ページ以降に記載しております。資料7は以上となります。
資料8はヒブワクチンです。接種可能のべ人数は約130万人、製造販売業者からの報告は12件、医療機関からの報告は25件、うち重篤なものが13件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00093%、医療機関からの報告頻度は0.0019%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。また、6か月間の死亡症例の報告頻度は0となっており、急ぎの検討が必要とされる0.5を下回っております。2ページから5ページは症状別に集計した結果です。6ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。7ページから11ページは個別症例の一覧となっています。12ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内に5件報告がありましたが、専門家の評価によってブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の経過は13ページ以降に記載しております。
資料7~8までの説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 御説明ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、何か御意見、御質問はありますでしょうか。よろしいですか。
報告をまとめたいと思います。確認できた内容としては、まず副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特に高いということはありません。死亡症例は、対象期間内にはありませんでした。肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの6か月間における死亡例の報告頻度は、両ワクチンとも急ぎ検討が必要とされる10万接種当たり0.5を大幅に下回っています。ということで、よろしいでしょうか。
では、そのようなまとめを踏まえ、現状の取扱いを変更するかどうか御審議いただきたいと思いますが、御意見ございますか。よろしいですか。それでは両ワクチンにつきましては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価をしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。
続きまして、資料9~15までの御説明をお願いいたします。
○事務局 資料9をご覧ください。BCGワクチンです。接種可能のべ人数は約36万人、製造販売業者からの報告は3件、医療機関からの報告は29件、うち重篤なものは8件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00084%、医療機関からの報告頻度は0.0082%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰について、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページは症状別に集計した結果です。3ページは予防接種法の副反応報告基準に定められた症状の集計結果です。4ページから6ページは個別症例の一覧となっております。4ページの製造販売業者からの報告No.1の症例については、従来、BCGは管針によって経皮接種されるものですが、これが誤って皮下注射された症例です。本症例の報告を受け、企業からワクチン接種に関するお願いが出されており、PMDAメディナビでも情報発信をしております。その中で、BCGワクチンは経皮接種用の濃厚なワクチンであるため、添付文書を熟読の上、使用することについて注意喚起を行っております。7ページは後遺症症例です。対象期間前の報告になりますが、当時は転帰が「未回復」であったところ、追加の報告によって転帰が「後遺症」となったものです。1歳女性の症例で、接種403日後に跛行を認め、病変部より生検された組織の抗酸菌培養でBCGTokyo株であると同定された骨結核の症例です。右側、専門家の意見として、「因果関係は明らかである」といった御意見を頂いております。8ページはアナフィラキシーのまとめで、今回はそのような症例はありませんでした。資料9は以上です。
資料10は日本脳炎ワクチンです。接種可能のべ人数は約165万人、製造販売業者からの報告は4件、医療機関からの報告は24件、うち重篤なものが10件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.00024%、医療機関からの報告頻度は0.0015%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰については、製造販売業者からの死亡症例が1例、医療機関からの後遺症症例の報告が1例あります。2ページから3ページは症状別に集計した結果です。4ページは予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果です。5ページから7ページは個別症例の一覧となっております。5ページの製造販売業者からの報告のNo.4が死亡症例です。6ページの医療機関重篤報告のNo.2が後遺症症例です。その後遺症症例は8ページに掲載しております。3歳女性の症例で、ワクチン接種当日に発熱・けいれんが発現し、急性脳症の診断となり治療の結果、運動及び言語障害が後遺症症状となった症例です。一番右側、専門家からは、「情報不足で評価できない」といった御意見を頂いております。9ページも後遺症症例となっておりますが、こちらは対象期間前に報告された症例で、下線部の情報が追加され、再度評価を頂く症例になっています。症例の経過部分については、別紙として15ページ以降に記載しております。3歳男性の症例で、ワクチン接種16日後に両側性強直けいれんが発現し、治療の結果、重度精神運動障害等が後遺症症状となった症例です。専門家の評価についてはページを戻って、先ほどの表の一番右側に記載しております。御意見としては、「因果関係が不明である」などの御意見を頂いています。なお、本症例については、脳症の症例としても12ページに掲載しております。10ページは急性散在性脳脊髄炎(ADEM)についての評価です。今回、医療機関からADEMの可能性のある症例が5件報告され、うち1件が専門家の評価によって「ADEMとして否定できない」とされております。11ページからがその症例の一覧となっております。該当症例は、11ページの症例No.3です。川崎病を基礎疾患に持つ12歳女性の症例で、ワクチン接種17日後に四肢麻痺等が出現、翌日、ADEMの診断にて入院・治療された症例です。縦に見ていただいて、一番右側に事務局評価を記載しております。専門家の意見に基づいて、「ADEMの可能性は否定できない。ワクチンとの因果関係は情報不足で評価できない」という評価をしております。13ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内に2件の報告があり、そのうち1件が専門家の評価によってブライトン分類3以上と評価されております。該当する症例は14ページのNo.1の症例です。9歳女性の症例で、ワクチン接種後、気分不良となって、アドレナリン皮下注射をされ、入院となった症例です。専門家による評価の結果、「ブライトン分類3以上のアナフィラキシー症例。ワクチン接種との因果関係は否定できない」とされています。17ページは死亡症例です。No.1は対象期間前の症例で、追加報によって下線部の情報が追加され、再度評価いただく症例です。死亡後に実施された検査の結果からは、死亡の原因は不詳とされており、調査の結果については前回同様、「ワクチン接種との因果関係は不明である」とされています。18ページのNo.2は対象期間内の死亡症例で、日本脳炎ワクチン接種後に死亡した、という親族からの情報のみであって、医療機関を特定することができず、報告医評価も入手できない症例です。そのため、「情報不足のためワクチン接種との因果関係は評価できない」としております。資料10は以上です。
資料11はB型肝炎ワクチンです。接種可能のべ人数は約144万人、製造販売業者からの報告は16件、医療機関からの報告は16件、うち重篤なものが9件でした。製造販売業者からの報告頻度、医療機関からの報告頻度はともに0.0011%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰については、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページから4ページは症状別に集計した結果です。5ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。6ページから8ページは個別症例の一覧となっております。9ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内に4件の報告がありましたが、専門家の評価によって、ブライトン分類が3以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細は10ページ以降に掲載しております。資料11は以上です。
資料12は、ロタウイルスワクチンです。接種可能のべ人数は約33万人、製造販売業者からの報告は16件、医療機関からの報告は8件、うち重篤なものが6件でした。製造販売業者からの報告頻度は0.0048%、医療機関からの報告頻度は0.0024%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰については、後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページから5ページは症状別に集計した結果です。6ページから8ページは個別症例の一覧となっております。9ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして2件の報告がありましたが、専門家の評価によって、ブライトン分類3が以上とされた症例はありませんでした。症例の詳細な経過は10ページに掲載しております。資料12は以上です。
資料13は5価のロタウイルスワクチンです。接種可能のべ人数は約23万人、製造販売業者からの報告は11件、医療機関からの報告は4件、うち重篤なものが1件でした。製造販売者からの報告頻度は0.0047%、医療機関からの報告頻度は0.0017%となっております。1ページ下段の重篤例の転帰については、対象期間内で後遺症症例、死亡症例の報告はありませんでした。2ページから3ページは症状別に集計した結果です。4ページから6ページは個別症例の一覧となっております。7ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内にアナフィラキシーとして1件の報告がありましたが、専門家の評価によって、ブライトン分類は3以上とされませんでした。症例の詳細な経過は8ページに掲載しております。資料13は以上です。
続いて、資料14をお願いいたします。ロタウイルスワクチンによる腸重積の発生状況について、これまでの会議と同様に、製造販売業者であるグラクソ・スミスクライン社、MSD社より、資料の提供を受けております。まず、資料の2ページです。こちらはグラクソ・スミスクライン社のロタリックスについて、腸重積報告の症例数、ブライトン分類評価が1に該当する症例数など、左側の列に米国、右側の列に日本のデータを記載しております。3ページはブライトン分類1相当の症例のうち、入院、外科手術、腸切除といった実施された処置ごとに件数をまとめたものです。4ページのグラフは、接種から腸重積発現までの日数をまとめたもので、左側が米国、右側が日本、上の段が接種1回目、下の段が接種2回目としてまとめております。5ページのグラフは、腸重積発現時週齢をまとめたものです。6ページのグラフは、ワクチン接種21日目までに腸重積を発現した症例について、ワクチン接種時の週齢でまとめたものです。7ページ以降は、MSD社のロタテックについて、ロタリックスと同様にまとめた資料です。資料の構成はただいま説明したロタリックスと同様なので、説明は省略させていただきます。
続いて資料15-1をご覧ください。前回、7月17日の合同会議で、2019-2020シーズンのインフルエンザHAワクチンの報告を行っておりますが、そのうち死亡報告について2症例「調査中」となっておりました。その調査結果を御報告させていただきます。左から3列目の番号は、7月17日合同会議資料に掲載されている症例番号と対応させております。No.2は87歳女性の症例で、接種後より気分不快などが認められ、14日後に急性心臓死にて死亡した症例です。調査の結果、「ワクチン接種と死亡との因果関係は不明である」とされています。次のページのNo.5は79歳女性の症例で、接種翌日に体熱感が認められ、15日後に間質性肺炎にて死亡した症例です。調査の結果、「ワクチン接種と死亡との因果関係は不明である」とされています。次のページに委員限りの資料が掲載されておりますが、こちらで公表不可とされている資料について御発言いただく際には、個人情報に御留意のほどお願いいたします。
最後に、資料15-2をお願いいたします。前回、7月17日の合同会議で報告したインフルエンザワクチンの副反応疑い報告で、インフルエンザワクチンの医療機関非重篤の報告1例が、医療機関報告受付時に漏れていたことが判明いたしました。大変申し訳ございません。当該症例の症例票を委員限り資料として机上に配布しております。この症例の追加に伴って、7月17日の資料の関係する数字を修正し、公表資料の差し替えを行わせていただきます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
資料9~15までの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 資料9~15までを御説明いただきましたけれども、何か御質問、御意見はありますか。
○濱田委員 東京医科大学病院の濱田です。資料9のBCGの4ページで、40歳の方が誤った経路で接種を受けて重篤な副作用ということですけれども、恐らく、新型コロナに効くのではないかということで打たれたと思うのです。もし資料があれば伺いたいのですが、メーカーのほうで、こういった大人への接種などで出荷量は増しているのかどうかというのが分かれば、教えていただきたいというのが1つです。
それと、これは皮下注射をしてしまったわけですね。何が起きたかというところまでは分からないのですか。今後、新型コロナが不安でBCGを希望する方がいて、普通のお医者さんに行って受けるケースも出てくることがあると思います。皮下注射しないようにということ、打ち方注意ということはある程度警告しておいたほうが、今後のためにもいい例なのかもしれません。分かる範囲でお答えいただければと思います。
○事務局 まず1つ目の御質問の出荷量の推移についてです。今回の対象期間は3~6月までとなっておりますが、5月上旬ぐらいまでは、出荷量が例年に比べて若干多いという傾向はあったようです。その後、6月に入って需要過多の状況に調整が入って、7月ぐらいには、ほぼ平年ぐらいの数字に戻っているという報告を受けております。4か月間の出荷数量の全体的な推移としても、これまでの4か月間とおおむね変わりはありません。資料9の最後のページ、アナフィラキシーのまとめの資料の8ページをご覧いただきますと、冒頭で説明している、出荷数量に基づく接種可能のべ人数をまとめた数字が、この推定接種人数の部分にまとめて記載されております。今回の36万人という数字が、これまでの期間と比べて特段多いということでもないというのが御確認いただけると思います。
2点目の御指摘の打ち方に注意するべきではないかという点ですが、先ほどの説明でもいたしましたが、この誤接種の症例の報告を受けて、企業が注意喚起をしたのと併せて、PMDAのメディナビを通して、接種方法には注意が必要であるということは注意喚起をさせていただいている状況です。また、この会議を通して、この症例報告を通して、そういった注意喚起ができればというように考えております。
○濱田委員 どうもありがとうございます。
○五十嵐委員 そのほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは御報告いただいた内容をまとめたいと思います。確認できた内容としては、まず副反応疑いの報告頻度は、これまでに検討したワクチンに比べて特に高いということはありません。それから、日本脳炎ワクチンでADEMの可能性のある症例は、対象期間内に5例報告されましたけれども、その1例は「ADEMの可能性は否定できない。ワクチン接種との因果関係は否定できない」と判定されました。
次に、後遺症の報告は、対象期間内にBCGワクチンの単独接種で1例ありました。これは「ワクチン接種との因果関係は否定できない」とされました。もう1つ、日本脳炎ワクチンの単独接種でも1例報告があり、「ワクチン接種との因果関係は評価できない」と判断されました。さらに、対象期間前の日本脳炎ワクチンの単独接種症例で1例、情報の更新がありました。その情報の更新があった上で、「ワクチン接種との因果関係は不明である」という判断がされました。
次に、アナフィラキシーと評価された症例は、日本脳炎ワクチンの症例で1例ありました。死亡症例については、今回の集計対象期間内に日本脳炎ワクチンの単独接種で1例報告がありましたけれども、「報告不足のため、ワクチン接種との因果関係は評価できない」と判断されています。また、対象期間前の日本脳炎ワクチンの単独接種症例で、1例の情報の更新がありましたけれども、やはり「ワクチン接種との因果関係は不明である」と判断されました。2019-2020シーズンのインフルエンザワクチンの死亡症例のうち、調査中となっていた2例について、改めて報告がされました。調査の結果、いずれも「ワクチン接種との因果関係は不明である」と判断されています。このようなまとめでよろしいでしょうか。
では、その内容を踏まえ、これらのワクチンの現状での取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。特にないようですので、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価をしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないものとしたいと思います。以上で資料15までは終了いたしました。
次に、議題2「HPVワクチンの情報提供について」の審議に入りたいと思います。この議題からは、副反応検討部会長の森尾先生に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○森尾委員 早速、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 資料16、HPVワクチンの情報提供についてをご覧ください。1ですが、HPVワクチンの情報提供に係る検討の経緯についてまとめております。平成30年1月より、現在のリーフレットを用いて情報提供に取り組んでまいりましたが、自治体及び国民への調査の結果、リーフレットの活用状況や認知状況が必ずしも高くないこと、また、より分かりやすい表現が求められていること等が明らかになりました。この調査結果を踏まえて、HPVワクチンの接種対象者やその保護者に対し、より確実に情報を届ける方法を検討し、より分かりやすいリーフレットとするために記載内容の改訂を行うこととなりました。昨年の11月に、リスクコミュニケーションや広報等の専門家の方々からヒアリングを行った上で、今年の1月、7月に、情報提供の目的・方法を整理し、情報提供の具体的な内容について御議論いただきました。
2のHPVワクチンの情報提供の目的・方法・内容についてです。これまで本部会において御議論いただいた内容を踏まえて記載しております。次のような目的・方法・内容で自治体に対して通知を行うことについて、お諮りしたく存じます。まず目的についてです。前回までの資料と同じになっています。公費によって接種できるワクチンの1つとして、HPVワクチンがあることを知っていただくとともに、HPVワクチンの接種について検討・判断するためのワクチンの有効性・安全性に関する情報等や、接種を希望した場合の円滑な接種のために必要な情報を、接種対象者及びその保護者にお届けすることと、こうした目的を踏まえて、情報提供の方法及び内容を見直し、更なる情報提供の充実を目指すこととさせていただいております。
2ページ目の情報提供の方法についてです。こちらも前回の資料と同様になっております。今までに頂戴した御意見を踏まえて、接種対象者及びその保護者が情報に接する機会を確保し、接種するかどうかについて検討・判断できるよう、リーフレット又は同様の趣旨の情報提供資材を自治体から個別送付するとしております。また、情報提供については、居住する自治体にかかわらず行われるよう、周知の一環として実施するものとすると、注を付させていただいております。
最後に、情報提供の内容についてです。情報提供を行う際に、市町村等が実施できるよう、マル1対象者・目的を改めて整理し、構成の変更を行う、マル2読みやすさ、分かりやすさを重視するという方向性に沿って、また、接種を希望する場合に接種を受けられるよう、接種日時・場所等の接種の方法をリーフレット等と併せてお知らせするような形で改訂を進め、前回、案をお示しさせていただきました。なお、こちらも、情報提供に当たっては、積極的な勧奨とならないよう、個別送付する資材に接種をお勧めする内容を含めないよう留意することと、注を付させていただいております。
3は、前回資料のリーフレット案からの主な修正点です。資料には、それぞれのリーフレットについて修正した主な点を、表の形で記載しております。頂いた御意見を踏まえてリーフレット案を修正したものが、机上に紙媒体でも御用意がございますので、併せてご覧いただきながら、リーフレットの記載内容に関して御確認いただければと存じます。
まず、概要版です。1がリーフレットの3ページ目の「効果」の部分です。「2種類のウイルス」という表現について、「正確に表現すべき」「概要版であれば2種類という情報は不要ではないか」等の御指摘を前回に頂きました。前回お示しした案では、文章も長かったために2文に分けまして、「HPVの中には子宮けいがんをおこしやすい種類のものがあります。HPVワクチンは、このうち一部の感染を防ぐことができます」という表現に変更しております。
2は、「子宮頸がん自体の予防効果が証明されていないことが記載されていない」という御指摘を頂きましたので、こちらも3ページの「効果」の部分に注釈として「前がん病変を予防する効果が示されています。がんそのものを予防する効果を実証する研究も進められています」という記載を追加しております。
3は、複数の先生より御意見を頂戴した協力医療機関に関する情報です。3ページ目の「ワクチンのリスク」の最後の部分です。「接種後に気になる症状が出たときは、まずはお医者さんや周りの大人に相談してください」という1文を追加しております。そして、その注として、協力医療機関についての記載を追加するという形で修正を行っております。
4は、概要版の4ページと詳細版の8ページの最後の赤枠内の文言についてです。こちらに関しては「1文の中に情報が詰め込まれすぎている」という御意見を頂戴いたしました。そこで、文章を2つに分けて、1文目にどのようなお知らせであるかということを記載し、2文目に、積極的な勧奨が差し控えられていることをできるだけ平易な表現で記載するという形に変更しております。
5ですが、「QRコードを添付する等、ホームページへのリンクを円滑に行えたほうがいい」という御意見を頂いておりました。そこに関しては、各項目にQRコードを付けることはせずに、厚労省のホームページ内のHPVワクチンのページ構成のほうを分かりやすく改変させていただきまして、協力医療機関のリストや相談先の一覧、健康被害救済制度等の必要な情報がすぐに見付けられるように整理する形で対応したいと考えております。
続いて、詳細版に移ります。こちらは、先ほど概要版でもありましたが、「2種類のウイルス」という表現に関する修正になります。3ページ目の上段の「子宮けいがんにかかる仕組み」の後半部分になります。こちらの詳細版については、具体的な数字を入れ込み、遺伝子型といったような単語も用いて、なるべく正確な記載にするという形で修正を行っています。
続いて、オレンジ色のワクチンを受けた方向けのリーフレットに移ります。1ですが、「頻度の標記等の統一が必要である」という御意見を受けての修正になります。裏面の2ページ目になりますが、「起こるかもしれない体の変化」の箇所の副反応の表についてご覧ください。そこに、接種を受けた人の10%以上に起こった症状を「多くの人に起こる症状」、それ以外を「その他の症状」と分けて整理し直し、表を作り直しております。
2ですが、こちらは概要版と詳細版の変更になります。概要版や詳細版には記載がなかったギラン・バレー症候群やADEMといった表現が、オレンジのリーフレットで急に出てくることに対しての御指摘を受けての変更です。御意見を踏まえて、詳細版では6ページの上段の「HPVワクチンのリスク」の部分をご覧ください。そちらの「重い症状」という所に注釈を付けて、注釈の中で、アナフィラキシー、ギラン・バレー症候群、ADEM、それぞれの病名と症状を記載しております。概要版については、3ページ目の下段の「HPVワクチンのリスク」の部分をご覧ください。こちらには病名は書かず、それぞれの症状を具体的に記載し、概要と詳細の差を付けるという形で修正しております。
主な修正点は以上ですが、その他、資料には載せておりませんが、データを更新した部分、読みやすさを意識して改行をやめた箇所、長い文章を2文に分けた箇所、読点を加えた箇所、また、リーフレット間で表記の形式をそろえた箇所等の細かい修正は加えております。資料の御説明は以上です。方針とリーフレット案について御確認いただきまして、御承認いただけるか御審議いただければと存じます。よろしくお願いいたします。
○森尾委員 今までの本合同会議での議論を踏まえまして、情報提供の目的・方法・内容について、整理されております。そして、リーフレットは前回提示されましたが、それについて前回も御意見を頂戴いたしまして、それに対して、事務局のほうから修正案を提示していただき、御説明いただいたということです。まず、リーフレットの修正内容について、委員の先生から御質問、御意見があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 2点確認させていただきます。1つは質問です。「医療従事者の方へ」というリーフレットは、一般の方もアクセスできるということでよろしいでしょうか。つまり、情報として結構深く知りたいという問い掛けへのアンサーになっているかということなのですが。
○事務局 ホームページに全てのリーフレットを並べるような形でアップさせていただきますので、今もそうなっていますが、一般の方もアクセス可能な状態で公表は考えております。
○佐藤委員 分かりました。そのほうが絶対にいいと思います。
それと、気になった表現についてです。とても分かりやすくなったと思いまして、しかも今回非常に修正内容をまとめて書いていただいたので、とても分かりやすくて有り難かったのですが、概要版の3ページの「子宮けいがんの原因の50~70%を防ぎます」というのが、質の話なのか量の話なのか混乱するかなと思いました。それと、「前がん病変」というのは、結構、解剖学的なワードだと思うので、その辺は工夫されたほうがいいと思います。混乱するかなと思いました、数なのか種類なのかということで。気になったのはここだけなのですが、混乱するかなと思いましたので。今日、今すぐアンサーがあるということではなくて、意見としてお心にお留め置きいただければと思います。よろしくお願いします。
○森尾委員 いかがでしょうか。前回も「子宮けいがんの原因の50~70%は防ぎます」というのは変わっていないですよね。これは事務務局から何か御回答はありますか。
○事務局 どこをどう直せばいいのか、今の御意見から十分に心得ることができなかったので、何か具体的な御意見があればと思うのですが。
○佐藤委員 「前がん病変を予防する効果が示されています」というのが正確なのであれば、正確な情報を載せるべきかと思っただけです。少しバイアスが掛かるような気がしましたので。「原因の50~70%を防ぎます」というのが、本当に種類が減るのか量が減るのか分からないですよね。その辺は、読み方が読む人によって変わるような情報提供はよくないのかなと思ったので、もう少し正確に事実だけをちゃんと書いたほうがいいのではと私個人的には思ったのです。
○森尾委員 いかがでしょうか。「子宮けいがんの原因の50~70%を防ぎます」という所が、注釈で実際には「前がん病変を予防する効果」と書かれているので、「子宮けいがんの原因」という所が、その下の「前がん病変の原因」というような読み方でよろしいのですよね。
○事務局 そういうことです。おっしゃっているのは、私が御意見を理解したところは、子宮頸がんのたくさんの方々がいらっしゃる、あるいはウイルスがたくさんある中で、そのシェアの50~70%を防ぐという意味でここは書かれているにもかかわらず、今回、注釈が付いたことによって、がんに至るまでが例えば1から100まであって、その50~70ぐらいまでいくところを防ぐというような、がんの進展というような読まれ方をするおそれはないかと。そういったことをおっしゃっているように受け止めたのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○森尾委員 佐藤委員、どうでしょうか。質的というところがどういうことかということですよね。
○佐藤委員 50から70という開きも、分かりにくいというのもあるのです。その辺が、分かりにくいのです。前がん病変を予防するということで、それは間違いないのですよね。前がん病変からがんに至るのですが、前がん病変というものが50~70%防がれているのですか。そうではない。私が読み切れていないのでしょうか。
○森尾委員 いかがでしょうか。
○事務局 詳細版の3ページと5ページを読んでいただきたいと思います。詳しく書いていくと、詳細版のようなことを書いていけば、詳しく書くことはできるのですが、文字を増やすと結果的に伝わるということでもないと思いますので、ここでは、その中のポイントとなる情報をお伝えするという考え方で書かせていただいています。
ただ、それによって著しく誤解を生じるようなことがあるということであれば、そこは直すべきだと思いますので、例えばここで「前がん病変」という言葉が出てくること自体に課題があるとか、そういうことであれば少し考えたいと思います。しかし、基本的には概要版には、その鍵になる情報を載せるという考え方で作成していったらどうかと考えております。
○佐藤委員 「原因」という言葉が問題なのかなと思ったのですが、私の個人的な意見ですが。前がん病変を予防する効果があるということは間違いなくて、そこが「子宮けいがんの原因の50~70%」と書いてしまったところに、飛躍があるように感じてしまったので。でも、詳細版を参照するというのを付け加えるのも手なのかもしれません。子宮頸がんがどのように進行していくかということが分かれば、読み取れるかもしれないというのと、50~70という数字の開きが、これはどういう意味なのかなと思うかなと思ったところです。
○森尾委員 詳細版の3ページに子宮頸がんの進行が書いてあるので、恐らくこれを御参照いただければ、「子宮けいがんの原因の50~70%」というのを理解いただけるのではと思います。これはかなり事務局が苦労された所で、子宮頸がんを防ぐではなくて、その原因を防ぐというところで、事実を書かせていただいたという感じだと思うのです。50~70というのは、論文での数字がそうなっているということで、50%という論文もあれば70%という論文もあるので、そういう開きがあると私は理解しております。言葉としては、正しい書き方をされているけれども、その理解がぼやっとする方もいらっしゃるかもしれないということでしょうか。佐藤委員、いかがですか。この図をご覧になると、そうなのだなという感じがするでしょうか。詳細版の3ページに、子宮頸がんの進行が書いてあります。伊藤委員、どうぞ。
○伊藤(清)委員 正しく理解できているか分からないのですが、医療従事者へのパンフレットの1ページのマル1の「ワクチンの有効性について」という所の「HPVと子宮頸がんについて」の5行目に、HPVの型として、「HPV16/HPV18型が50-70%」とあります。これが根拠なのでしょうか。そうであれば、今の話と違うのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。
○森尾委員 具体的にはそういうことですか。これは50~70%のウイルスに関して効果があるという意味が正確でしょうか。
○事務局 どちらの治験もいろいろあると思いますが、ここでの50~70というのは、おっしゃるように、原因となるウイルスの50~70%が防がれるという趣旨で書かれているということです。今回、前がん病変という注が後に入ったので、かえって、そこが後ろの前がん病変が50~70%防がれるというようなことを想起させるような構成になってしまったということなのだと思います。
○森尾委員 私もそのような感じのつながりになってしまったかなという気がしました。
○佐藤委員 分かりました。今、伊藤先生がおっしゃった「50-70」という数字を見て、意味が分かりました。座長のおっしゃるとおりで、前がん病変という所で、少し考えすぎてしまったのかなと思います。すみません。
○森尾委員 どうさばきますかね。
○事務局 どのような工夫ができるかを改めて見直すこと、それを部会長に御相談することはできると思います。例えば、ここの行間が、「そのことにより」の上の行がたくさん空いていて、その下が少ししか空いていないといったような、レイアウトの問題でも印象が変わったりする部分があると思いますので、御指摘は受け止めた上で、座長と後ほど御相談させていただくという形でよろしければ、やらせていただきたいと思います。
○森尾委員 そうですね。おそらく配置問題ですね。すぐ下に同じ「防ぐ」と「予防」という言葉が入っているので、リンクしてしまう可能性がということですかね。
○佐藤委員 「※」にしなくてもいいのかもしれませんね。別の案件と読んだほうが正確なのかもしれませんよね。ありがとうございます。
○森尾委員 こちらに関しては、具体的な対応を事務局のほうで出させていただいて、最終的に座長にお任せいただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。さっと読んで誤解を招きそうな所があって、御指摘いただいてよかったと思います。ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
○山縣委員 今の点について疫学的に言うと、要するに、曝露と結果の関係で、曝露を減らしたからといって、結果が変わらない場合もあって、まず、曝露の部分が50~70減るという事実と、それによって、がんの減少まではまだエビデンスはないけれども、その前の状態までは減るということがわかっているということです。そういう意味では、ここで「※」を付けてつなげるので分かりにくいと、正に佐藤さんがおっしゃるとおりだと思うので、曝露と結果との関係を明確にしてあげると分かりやすくなるのだと思いました。
○森尾委員 整理していただいてありがとうございました。濱田委員、いかがですか。
○濱田委員 前回からこだわっていて申し訳ないのですが、一番最後の言葉の所で、1つの文章を2つに分けて分かりやすくなっているのですが、本当はこれは3つに分けないといけないかなと思っています。前半部分はいいのですが、後半の「おすすめするお知らせをお送りするのではなく」は積極的勧奨をしているわけではないということだと思うのです。この部分を分けたほうが、私は分かりやすいと思うのです。国語的な問題になってしまうので、余りこだわってもいけないのですが、ただ、ここがこのパンフレットの一番の魂になるのではないかと思うので、意見を言わせていただきました。
○森尾委員 ほかの委員の方々から御意見を頂けたらと思いますが、いかがでしょうか。メッセージとしては非常に重要な部分だと思います。濱田委員に言っていただいた、どれを一番最後の文章にするかということでも、大分印象が違ってくる感じもあります。いかがでしょうか。事務局で引き取りますか。
○事務局 このような形にさせていただいている意図をお話させていただこうと思います。今日、白いほうの資料で御説明させていただいたように、今回の情報提供の目的ということを、これまでこの部会でも議論いただいてきて、希望される方に接種を判断するための情報が届いていない、それをしっかりと届けるのだということが、今回これをやらせていただく最大の目的であるということについては、これまで何度も御議論いただいた中で、余り揺らいでいないところだと認識しております。そういう意味から、最後に何を持ってくるかというように会長から問掛けを頂きましたが、そこについては、やはり「希望される方が受けられるよう、情報をお届けする」ということなのだと思います。あと、国語的なことは、私たちもやってはみましたが、これ以上よりよいものには行き当たっておりませんので、いまこの形で御提案させていただいているということです。
○森尾委員 いかがでしょうか。
○濱田委員 大体言われていることは分かるのですが、せめて「おすすめするお知らせをお送りするものではなく」ではなくて、「おすすめするお知らせをお送りするものでありません。」と1回ここで区切ったほうが、よりよく分かるのではないかと思います。これ以上のことは、そちらにお任せいたします。そういう意見があるということでお聞きいただければと思います。
○森尾委員 ありがとうございます。この最後のメッセージの文章について、ほかの委員の先生から何かございますか。言葉の受け取り方というのは難しいところがあって、言い切るとメッセージが強くなるのですが、区切ると少し弱まるという感じもあります。ただ、事務局からお話があって、そして、今回の目的の所にも明示されているように、正しい情報をお送りすることが一番のメッセージだということは揺らがないかなと思っております。
○五十嵐委員 濱田委員の意見に賛成です。2行目まではこれでいいと思うのですが、「おすすめするお知らせをお送りするものではありません」に続くところを「みなさまに最新の情報をお届けしています」とするのは如何でしょうか。新しい情報を伝えるのだと事務局がおっしゃいましたので、それを入れたほうがいいのではないかと思います。
○森尾委員 「最新」は、新しい言葉を挿入するということでよろしいですよね。その「HPVワクチンの接種を希望される方が受けられるよう」というのは、これも心がこもったような気もしますが、生かすような方法があればいいですね。ほかにいかがでしょうか。
○舟越委員 別の所についてですが、詳細版の4ページ目です。以前に議論したかもしれないのですが、「HPVワクチンのはじまりと世界での状況」で、日本のデータがないと思うのです。なぜ入れていないのかなと。ほかのページを見ても、日本の2010何年度のデータはというようなものがないので、逆に入れたほうがいいのかなと思っています。
また、前回も発言したのですが、今回「最新の情報です」という話になると、こういったデータの改訂頻度について、どう考えるか。リーフレットで紙媒体でいくと、添付文書ではないのですが、Web版に載っているものに対して現場に行き届いている紙のデータが古いとか、そういった部分で、改訂頻度というのはどう考えているのかなと。その2点についてよろしくお願いします。
○事務局 まず1点目ですが、接種した方々の率ということに関して言うと、日本では積極的勧奨を差し控えるという制度の影響で、大きく揺れ動いているところがありますので、そういう点から、どこかだけを載せるというのはできないかなと考えているところです。
「最新の」というほうに関して言うと、御指摘のとおりだと思います。私どもからホームページに載せるというだけではなくて、自治体に印刷をして配っていただくということがございますので、どうしても、そこにもタイムラグが生じるということがあるので、「最新の」という言葉まで加えるのは少し慎重にしたほうがいいかなと感じています。改訂の頻度は、もちろんできるだけ確保して、古い情報にならないようにしていく努力は必要だと思いますが、実際の使われ方を考えると、そこまで背伸びせずにお届けさせていただければと考えております。
○森尾委員 いかがでしょうか。
○舟越委員 分かりました。データに日本が入っていないのは、そういうことなのだろうなと思います。ここは感想になりますが、医療従事者、我々のほうには、一番冒頭に積極的な勧奨を一時的に控えていますと、安全の部分の検証ができてからになると思いますが、これが入っているけれども、先ほどのデータのところは、要はWHOで推奨しておりと。普通に見たら世界的には推奨しているのだな、日本のデータはどうなのだろうというのは、普通に気になると思います。例えば日本の接種率が低かったとしても、日本はどうなのだろうというのは普通に国民は思うのではないかと思います。
○森尾委員 非常に微妙な判断のところだと思いますので、この形であれしながら、いろいろな形で、むしろ接種率が低いということは分かるような形にしていくということなのかなと理解いたしました。
あと、データの更新はできるだけ頻回にしていただくということと、事務局からありましたが、「最新」という言葉を入れると、いろいろな意味で突っ込みどころができてしまう可能性があるということでしょうか。
○事務局 そうは申しませんが、現場で使いにくくなってしまうということが起きないようにと。そこまで最新でなくても十分に使用に耐えるときに使えなくなってしまうと、困ると思いますので、そこは現場が使いやすいようにということを重視したいと思います。
○森尾委員 ほかにいかがでしょうか。
○佐藤委員 詳細版についてですが、情報を提供するという非常にニュートラルな立ち位置で情報を提供するという原則に基づくのであれば、4ページの「100カ国以上で公的接種」というのと「8割」というののフォントが大きなところに、すごく気持ちが入っている感じがしてしまうのですが。統計的なデータとして情報を提供するだけでは駄目なのでしょうか。ここに恣意的なものを感じ取る方もいるだろうなというのは思いました。情報の選別と言うか、選んではいけないのではないかと思ったので。
100か国以上ということは文章にありますし、この表を見れば、すごく数字が高い国があるということは明らかですから、逆に、この表の所で80%の所を少し色を変えていただくとかでもいいと思いますが。この書き方だと、選び取って書いているというように見えてしまわないかなというのが心配だったので、言わせていただきました。
○森尾委員 いかがでしょうか。永井委員、どうぞ。
○永井委員 以前からも痛みのことを申し上げているのですが、痛みが非常に強い、かつ持続が長いです。筋肉注射だからではないかと言われていると思います。諸外国では、痛み対策は結構しっかり行われている状況がありますが、日本では、そういう痛み止めというのは余りしないという慣習的なものがあるかなと思うのです。
ただ、やはりこれだけ痛みがある注射に対しては、軽くしてあげたほうが、受ける子たちには、そのしんどさを少し和らげる意味があるかなと思うので、使いなさいではなくて、使うことも可能だということは、どこかに、例えば医療従事者に対する情報としてあってもいいのかなと思いました。日本の場合は我慢する美徳のようなものがあるので、なかなか使いにくい状況があると思いますが、決して使ってはいけないものではないということは、どこかに示してもいいのかなと思いました。
○森尾委員 今、2つ出てきておりますが、痛みのほうは、医療者側へのメッセージということではなく、接種を受けられる方のほうにも書くということでしょうか。
○永井委員 そこは皆さんの意見で話していただいたらいいかなと思いますが、私としては、一般の方にもそういう方法があるという情報があればいいかなと思います。受けた後の体調に注意してくださいという所に、困ったことがあったら周りの大人に聞きなさいという所があったと思うのですが。
どうしても我が国の場合には、痛みに対して我慢するという風潮があるので、注射した後、痛みに対してはしばらく我慢したら治まるみたいなところがあると思うのです。そうではなくて、我慢せずに、何か対応してもらってもいいということは、どこかにメッセージとしてあってもいいのかなと思いました。
○森尾委員 非常に重要なポイントだと思います。詳細版の7ページの「ワクチン接種の注意点」の2つ目の所に、「強い痛みやしびれを感じた場合はすぐに医師にお伝えください」という文言があるようですので、パンフレットを利用して御説明いただくのがいいのかなという感じがいたします。
さて、佐藤委員から「100カ国以上」と「イギリス、オーストラリアでは接種率約8割」のハイライトについての御意見も頂戴しております。世界ではやっているのだというのはメッセージの1つではあるとは思いますが、ほかの先生方はいかがでしょうか。
○伊藤(澄)委員 「HPVワクチンのリスク」に、疼痛とありまして、いろいろな症状を出してくる一番の原因は疼痛なのでしょうけれども、50%以上ということは、少なくとも2人に1人には痛みが出るということだと思うので、もし直されるのであれば、注射を打った部位には痛みは出るのですと。ワクチンは、体の中に異物を入れるものだから、痛みが出るのは当たり前で、それはしようがないので、初めから理解してくださいというメッセージを入れたほうがいいのではないかという気がしました。
もう一点申し上げます。最後の文章で、何が引っ掛かっているのかと言うと、「おすすめするお知らせをお送りするものではなく」と書いている理由がはっきりしないで、一方で「情報を提供するものです」「おすすめをお知らせするものではありません」という、逆の意味が1つの枠の中に入っています。だから大変な違和感があるのだろうと思っています。
そういう点で違和感がないのが、「医療従事者の方へ」の紙には、冒頭から接種後に出現する広範な疼痛、運動障害について、現在専門家の間で検討中だから、積極的な勧奨をしていないという理由が付いているので、「ああ、そうなのだ」というところが、この中に入っていないからではないかという気がするのです。もし変える機会があるのだったら、現在検討中のため、検討しなければいけないところがあるから、お勧めのお知らせは送れていないということを、明示されたほうがいいのではないかという気がしています。
○森尾委員 痛みのほうの懸念点が多く出ているので、先にそちらから進めさせていただければと思います。おすすめするのではないとする理由が、痛み等の関連だけなのかどうか。これはなかなか記載が難しいですね。事務局からいかがでしょうか。
○事務局 伊藤先生から2つの御指摘を頂いております。痛みが起こることは書いたほうがいいというのは、これまでの議論でもあったと思いますので、例えば概要版の3ページの下の所ですが、「多くの方に、接種した部分の痛みや腫れ、赤みなどの症状が起こることがあります」と、比較的今回は目立つ所に書いていますし、その次にも、「筋肉注射という方法の注射で、インフルエンザの予防接種等と比べて、痛みが強いと感じる方もいます」ということを入れさせていただいております。
もう一点の4ページの一番後ろの所ですが、ここは実際に私どもがたくさんの御意見を頂く部分ですので、これを書いたほうがいいという御意見を頂く機会は多いのですが、最終的に何をお伝えするのかというところに、できる限り絞ったほうがいいとは思っております。ですので、一番伝えたいことは先ほど申し上げたとおりですが、希望された方が受けられるよう情報をお届けするのだというメッセージがきちんと分かるようにというところを優先する方向で対応するほうがいいかなと考えて、この形にさせていただいております。
○森尾委員 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 先ほどの詳細版の4ページ目の表ですが、約8割の接種率でカナダが抜けていると思うのですが、これは書いたほうがいいのではないですか。先進国で受けている方が多いという事実を伝えるのであれば、書いたほうがいいのではないですか。
あと、表がとても見にくいのですが、普段、表を目にする立場として、多い順に並べていただくと少し見やすくなるかなというのは、工夫として1つあるかなと思いました。その2点です。
○森尾委員 国の名前は、なかなか難しい問題でしょうか。代表的な所を2つという感じなのでしょうか。順番は、出典があって、どこかから捉えてきたからという感じではないでしょうか。
○事務局 ここは恣意的なつもりはなくて、たくさんの方が打っていらっしゃる国もあるということをお伝えするような部分だと思っておりますので、何かそういう国を網羅的に記載するという意図ではないということで御理解いただきたいと思います。
あと、国の順番も、米州、欧州、太洋州という大きなまとまりの中で、このように書かせていただいているということですが、その中の順番に根拠があるかどうかは今は確認できないので、そういったところでより合理的な順番があるのであれば、そういうようにしたいと思います。
○佐藤委員 分かりました。これは地域ごとに並べてあるのですね。
○森尾委員 佐藤委員から頂いた意見で残っているのは、ハイライト部分をどうするかということです。「100カ国以上」と「8割」というところを取り出して、青枠で大きくしているということですが、メッセージとして伝えたいことの1つであれば、載せておくということはよろしいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。これを取り立てて排除したほうがいいという方がいらっしゃれば承りたいと思います。よろしいでしょうか。では、そのままの形にさせていただけたらと思います。ほかにいかがでしょうか。濱田委員、どうぞ。
○濱田委員 先ほど伊藤先生が言われた、痛みのある場合に痛み止めを使うなりということを載せるのは、私は大変いいのではないかとは思います。私の所でも、大人のワクチン接種を海外へ行く方にはやっていますが、「痛かったら御自分の判断でお薬をお飲みいただいて結構ですよ」と言うと、飲んでもいいのだと、そのときに初めて気付くようなケースはかなり多いです。それによる副作用のようなものも考えなければいけないでしょう。
ワクチンで痛い場合には痛み止めを飲んでもいいということは、少なくとも医療従事者向けの中には入れておいてもいいのではないかとは思います。
○森尾委員 事務局から何かございますか。
○事務局 今、それを書くべきかどうかは私も判断が付かないところなので、可能かどうかは後から考えさせていただければと思います。もちろん、医師の判断で、医師が必要だという方に痛み止めを投与いただくこと自体を否定するわけではないのですが、国がそれをお勧めするような形にするということであるとか、予防接種被害救済制度との関係で、今度はその痛み止めによって被害が出たときに、どう対応するのかとか、ちゃんと国がお勧めするとなると幾つかクリアしなければいけない論点があるような気がいたしますので、そういったこととの兼ね合いで、現時点では宿題とさせていただくほうがいいのかなという印象を持っております。
○森尾委員 こういう公的なパンフレットの中に特別なことを書き込むことがいいのかどうかと言うと…。これは事務局ともませていただきます。重要なことだと思いますので。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。幾つか頂きましたが、1つは、「子宮けいがんの原因の50~70%を防ぎます」の下に「※」で「前がん病変」が入ってくると分かりにくいというところがありましたので、そこについての位置とかスペースに関しての誤解のないような改訂ということです。
あと、概要版の4ページ目の最後の所ですが、メッセージとしては、皆さんに情報をお届けすることが一番重要だということですので、文章的にもう少し変えられるようであれば、事務局と変えさせていただいて、具体的な点については座長に御一任いただけたらと思っております。
あと、データのアップデートについて御意見を頂きました。これは事務局としては承りとさせていただいて、ただ、特に「最新」という言葉は、いろいろな意味で今回は避けた形と致します。情報をお届けする、ただ、適宜情報は改訂していくという形にさせていただけたらということです。
あと、痛みのことで重要な御意見を頂きましたので、これについては公的な所に入れ込むかどうかということは別にして、どう対応していくかというところを宿題として頂戴するということでよろしいですね。ありがとうございました。
それでは、大分お時間を頂きましたが、次に、情報提供の目的・方法・内容の整理が今回示されています。それについて、御質問、御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
リーフレットの修正内容について、大分御意見を頂戴いたしましたが、頂いた議論をまとめさせていただきますと、今回、情報提供の目的は、公費によって接種できるワクチンの1つとして、このHPVワクチンがあることを知っていただくということです。それに加えて、HPVワクチンの接種について検討・判断するためのワクチンの有効性・安全性に関する情報とか、あるいは接種を希望した場合の円滑な接種のために必要な情報を、接種対象者及びその保護者に届けるということが目的であるということです。
2番目として、提供の方法としては、対象者及びその保護者が情報に接するような機会を確保して、接種を受けるかどうかについて検討・判断できるように、自治体からリーフレット又は同様の趣旨の情報提供資材の個別送付を行うということです。こちらも書いてごさいます。
3番目としては、内容についていろいろ御意見を頂いた中で、リーフレットを改訂させていただきましたが、その方向性としては、対象者・目的を改めて整理して、構成の変更を行う、そして、読みやすさ、分かりやすさを重視していくということです。こういう方向性に沿って御意見を頂いて、改訂していったものだと理解しております。
このHPVワクチンの情報の提供については、これらの目的・方法・内容で実施することとして自治体に通知するということで、まとめさせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。貴重なたくさんの意見を頂きました。事務局から何かございますか。
○事務局 確認ですが、リーフレットの文言についても先ほど御議論いただいて、一部の文言について、事務局と部会長の間で調整した上で、部会長に御一任いただくという話だったと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。
○森尾委員 その方向性でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、報告事項に進めさせていただきます。事務局から報告事項の説明をよろしくお願いいたします。
○事務局 資料17-1をご覧ください。まず1つ目の議題として、予防接種後の副反応疑い報告における急性散在性脳脊髄炎(ADEM)及びギラン・バレー症候群(GBS)の分類評価の追加について、報告させていただきます。予防接種後の副反応疑い報告制度により報告されているADEM、GBSについては、多屋馨子先生が研究代表者となりまして、「ワクチン接種後の有害事象報告の収集・評価の新たな基盤整備の研究」により得られた知見を基に、ADEM、GBSの分類評価案が作成されました。そちらについては、第47回の本合同会議で審議されまして、了承されました。
その後の対応ですが、了承された分類評価を基に調査票を作成し、別紙様式1に加えました。その様式については、資料17-2の8~11ページにお示ししております。また、こちらについては、令和2年10月1日以降にADEM、GBSを報告する際に、調査票の記載を求めるとともに、分類評価を行うこととさせていただきました。こちらについては、関連する通知を昨日、9月24日に発出しております。
次に2つ目の議題に移ります。ワクチンの接種間隔に関する規定を改正することに伴う副反応疑い報告制度における対応となります。定期接種実施要領において、異なるワクチンの接種間隔については、生ワクチンについては接種後27日以上、不活化ワクチンについては接種後6日以上の間隔を置くこととされておりました。第36回、第37回の予防接種基本方針部会において、異なるワクチンの接種間隔について、注射生ワクチン同士を接種する場合は27日以上空ける制限は維持しつつ、そのほかのワクチンの組合せについては制限を設けないこととする案が了承されました。
その後、この議題については、第45回の合同会議で審議されまして、その結果を踏まえて、今回対応させていただきました。副反応疑い報告書の別紙様式1の接種状況の欄における予診票での留意点を記載する際に、接種日を記載していただくようにしました。そして、各ワクチンの疑い報告数については、改正が適用される10月1日前後での比較検討を行うとともに、接種間隔を把握できるようにしております。また、資料17-3に示しているように、予防接種後の健康状況調査において、こちらは比較的頻度の高い副反応を見ている調査ですが、接種の状況及び健康状況の変化の発生状況が集計できるようなものに既に改訂しており、今年度から実施しております。
次に、今回の改訂は、これまで長く続いたルールの大きな変更になります。資料17-4と資料17-5に示していますが、周知をするために、リーフレットを作成し、ホームページで公開するとともに、添付文書の改訂については、医薬品・医薬機器等安全性情報や事務連絡等でお知らせしております。以上、説明となります。
○森尾委員 今の説明は、今までの審議会の議論を踏まえて、副作用疑いの報告制度の取扱いが変更されたということです。ADEMとギラン・バレー症候群については、なかなか評価、診断が困難な場合がありますが、これから、これらの調査票を用いた分類評価によって、その点が改善されることが期待されます。
もう一点、重要な接種間隔制限に関する規定の変更については、小児科学会など、いろいろな団体から長く望まれていたことでもありまして、ワクチンの接種スケジュールを計画する際の利便性が高まると思いますが、今まで御議論いただいていたように、実施に当たっては副反応疑いの報告制度とか、あるいは予防接種後の健康状況調査などによって、情報を摂取いただくことがすごく重要になってまいります。この点も、かなり改訂を加えていただいたということです。また、間違い接種を防ぐためには、リーフレットなどを用いて周知に努めているということで伺っております。
委員の皆様から御意見はいかがでしょうか。多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 資料17-1のADEMとギラン・バレー症候群(GBS)の副反応疑い報告の調査票について御紹介いただきましてありがとうございます。昨年1年間、研究班で検討してきまして、私というよりも、特に研究分担をしていただいた国立精神・神経医療研究センターの中村治雅先生を中心として、神経内科の千葉大学の三澤先生、小児神経科の福岡市立こども病院の吉良先生、福岡歯科大学の鳥巣先生といった、神経を専門とされる4人の先生方に随分議論していただきまして、GBSとADEMの調査票を作っていただきました。予防接種後副反応の解析に世界的に使われているブライトン分類を参考に作っていただいたもので、調査票として書いていただくことで、よりよくその状況が把握できることを期待しております。実施に向けて御尽力いただきましたことに、大変感謝しております。
それから、10月1日から接種間隔の制限が撤廃されますが、撤廃されたと言っても、どのように接種してもいいという撤廃ではなくて、体調が悪いときは接種を控える、熱が出そうなときは接種は控えるということは、基本的に守った上での接種間隔の撤廃と考えているところです。私からは以上です。
○森尾委員 多屋先生におかれましては、お取りまとめ本当にありがとうございました。
適切な接種間隔で接種していただく、あとは体調が良いときに接種していただくというのは、しっかりと更にお伝えしなければいけないメッセージかなと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議論をまとめさせていただきます。今回の副反応疑い報告の取扱いに関する変更については、資料に記載しているとおりに進めさせていただきます。そして、10月1日からは、更にロタウイルスワクチンの定期接種化も開始されるということもありますので、こちらについても引き続き準備を進めさせていただきたいと思います。このような形でまとめさせていただいてよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。本日の議事は以上で終了させていただきます。事務局にお返しいたします。
○事務局 最後になりましたが、ここで正林から一言御挨拶申し上げます。
○事務局 8月11日に健康局長を拝命いたしました正林でございます。会の最後に一言だけ御挨拶申し上げたいと思います。
久々にお会いする先生もいらっしゃいますし、初めてお会いする方もいらっしゃいますので、自己紹介いたしますと、平成18年から結核感染症課に籍を置きまして、約8年間、ずっと感染症対策に携わってまいりました。当然、予防接種行政にも携わってまいりました。当時はB型肝炎の問題とか、C型肝炎の問題、あるいは2009年には新型インフルエンザ、そのときは担当の室長でもありましたので、あのパンデミックの対応にも当たりました。平成25年の予防接種法改正のときは、結核感染症課長として、責任者として改正作業をやりましたし、その直後に起こったHPVワクチンの問題にも対応してまいりました。
その後、感染症課から異動したのですが、異動先が健康課という所で、私にくっ付いてくるように、予防接種が健康課の所管になりましたので、引き続き更に4年間、予防接種行政をやらせていただきました。2年前にまた異動して、ついこの前までは、環境省で審議官をしておりました。ただ、そうした感染症行政が長かったものですから、1月にコロナが発生してから、ずっと厚労省のコロナ対策本部に戻って、環境省に籍を置きながら戻って、ほとんど朝から真夜中までずっとコロナ本部で仕事をしてまいりました。
今回、8月11日付けで健康局長を拝命して、2年ぶりに戻ってまいりました。この副反応検討部会も立ち上げの段階から、正に予防接種・ワクチン分科会を立ち上げる段階から、ずっと一緒にやらせていただきましたし、五十嵐先生はじめ、安全対策調査会の先生方とも、ずっと御一緒させていただいておりました。また戻ってまいりましたので、引き続きよろしくお願いします。
実は来る直前はコロナ関係の分科会に出ておりましたが、直近で、コロナのワクチンの中間取りまとめという議論もしていただきました。年が明ければ、もしかしたらコロナのワクチンが開発されて、場合によっては日本国内で接種が始まるかもしれない。それに向けては、また予防接種分科会、それから実際に接種が始まれば副反応検討部会、この安全対策調査会の先生方にも、またいろいろお世話になるかと思います。引き続き御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○事務局 本日は長時間にわたり活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。机上に配布しております添付文書集の黄色いファイルは再利用させていただきたいと思いますので、机上に置いておいていただければと思います。もし書き込み等をされておりましたら、お名前を書いていただければ、次回以降も同じ資料をお配りいたします。症例票については回収させていただきますので、机上に置いたままとしておいてください。次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡差し上げます。
傍聴者の皆様へお願いです。審議会委員が退室いたしますので、退室が終わるまではそのままお待ちください。事務局からは以上です。
○森尾委員 これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
(了)