令和2年10月30日 第190回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和2年10月30日(金) 14:30~17:30

場所

WEB会議
日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F

出席者

委員 ※五十音順

議題

  1. 1.令和2年度介護事業経営実態調査等及び令和2年度介護従事者処遇状況等調査の結果について
  2. 2.令和3年度介護報酬改定に向けて
  3. (居宅介護支援、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設)
  4. 3.その他

議事録

議事内容
○栗原企画官 それでは、定刻になりましたので、第190回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、これまで同様、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、ウェブ会議システムを活用しての実施とさせていただきます。
 また、傍聴席は設けず、動画配信システムでのライブ配信により、一般公開する形としております。
 本日の委員の出席状況ですが、井口委員、亀井委員より御欠席の連絡をいただいております。また、岡島さおり委員に代わり、齋藤訓子参考人に、黒岩祐治委員に代わり、水町友治参考人に御出席いただいております。
 井上委員、河本委員、荻野委員、鎌田委員、齋藤参考人からは、遅れて御出席されるとの御連絡をいただいております。
 以上により、本日は22名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 議事に入る前に、お手元の資料の確認と、ウェブ会議の運営方法の確認をさせていただきます。
 まず、資料の確認を行います。
 本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
 まず、議事次第と委員名簿がございます。
 次に、令和2年度介護事業経営実態調査等及び令和2年度介護従事者処遇状況等調査の結果に係る資料として、資料1「令和3年度介護報酬改定に向けた各種調査の公表について」。
 資料2、3が実態調査結果の概要と調査結果の本体になります。
 資料4から6までが処遇状況等調査の関係の資料をつけさせていただいております。
 参考資料1としまして「新型コロナウイルス感染症による介護サービス事業所等の経営への影響に関する調査研究事業(速報)」。
 参考資料2としまして「新型コロナウイルス感染症の介護サービス事業所等の収入への影響について」。
 参考資料3としまして「新型コロナウイルス感染症拡大防止に係る取組に関する通所介護事業所への調査」をつけさせていただいております。
 さらに、令和3年度介護報酬改定に向けた各サービスの報酬基準に係る検討の方向性の資料として、資料7「居宅介護支援・介護予防支援」。
 資料8「介護老人福祉施設」。
 資料9「介護老人保健施設」。
 資料10「介護医療院・介護療養型医療施設」をつけさせていただいております。
 また、委員提出資料として、伊藤委員、東委員から資料が提出されております。
 資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードをいただくなどの御対応をお願いいたします。
 次にウェブ会議における発言方法等について確認させていただきます。
 御発言される場合は、通常の会議と同様に挙手をお願いいたします。画面で田中分科会長に御確認をいただき、指名していただきますので、指名に基づき御発言いただくようお願いいたします。
 挙手しているにもかかわらず、発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合は、ウェブ会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては、挙手にて意思表示をお願いいたします。
 なお、チャット機能等で記載いただいた内容については、ウェブの画面及び配信動画においても表示されますので御承知おきください。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様には、ここで御退室いただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○栗原企画官 では、以降の進行は、田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 委員の皆様、こんにちは。毎週の御参集、ありがとうございます。
 本日は、令和3年度介護報酬改定に向けて、まずは「令和2年度介護事業経営実態調査等及び令和2年度介護従事者処遇状況等調査の結果について」、報告を受けます。その後、居宅介護支援、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院・介護療養型医療施設について議論していく手順となります。
 初めに、令和2年度介護事業経営実態調査等及び令和2年度介護従事者処遇状況等調査の結果について、事務局から説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 それでは、令和2年度介護事業経営実態調査等及び令和2年度介護従事者処遇状況等調査の結果などにつきまして、事務局から説明をさせていただきます。
 本資料でございますけれども、先ほど、この分科会に先立ちまして、12時45分から開催されました給付費分科会の下に設置されております介護事業経営調査委員会におきまして提示されたものと同じでございます。また、そちらの調査委員会のほうで了承されておりますことも、事務局から御報告させていただきます。
 それでは、内容に入らせていただきます。資料は大部でございますが、時間の関係から、簡潔に御説明申し上げるために、資料1を用いて御説明させていただきたいと思います。
 スライド番号で申し上げると1ページを御覧ください。合計で3つの内容について御説明させていただこうと思っております。1ポツ目が介護事業経営実態調査でございます。2ポツ目が新型コロナウイルス感染症による介護サービス事業所等の経営への影響でございます。これはここにありますとおり、新型コロナウイルス感染症による事業所等への支出への影響についてアンケート調査、決算書類に基づく分析等により把握するものでございます。そして最後に、介護従事者処遇状況等調査ということでございます。
 特に2について、下にアスタリスクがございますけれども、この介護事業経営実態調査は元年度の収支となりますので、把握できない今回の新型コロナウイルス感染症による影響を把握するために追加的に実施したものでございます。
 まず、介護事業経営実態調査についてでございます。
 3ページに進ませていただきます。もう御案内のことでございますけれども、介護報酬関係の調査といたしまして、介護事業経営概況調査と実態調査がございます。今回報告するのはこの実態調査でございます。
 3ページの下に表がございます。介護事業経営概況調査は昨年御報告させていただきました。そして今回御報告するものが介護事業経営実態調査、右側になるわけでございますけれども、有効回答率でございますが、経営概況調査のほうは48.2%、介護事業経営実態調査は45.2%ということで、3ポイントほど前回を下回ったということでございます。
 4ページに進ませていただきます。こちらが収支差に関しましての表になります。右下に全サービス平均というカラムがございますけれども、そこで赤で囲っておりますのが実態調査の結果でございまして、収支差率は2.4%でございました。概況調査が3.1でございましたので、比較いたしますと△0.7ポイントとなっているところでございます。
 その中で、各サービスごとにそれぞれ並べさせていただいておりますけれども、上の○にありますとおり、例えば介護老人福祉施設は0.2ポイント低下するなどしてございます。一方で、訪問看護が上がるなど、それぞれサービスごとに異なった状況となっております。
 5ページでございますけれども、収支差が悪化している要因でございますが、介護人材の確保が課題となる中で、人件費が増加していることも一つの要因として考えられるとお示しするものでございます。このほかにも、表にはつけてございませんが、委託費の増なども考えられているところでございます。
 6ページは改定率一覧でございますので、説明は割愛させていただきます。
 7ページ目以降が新型コロナウイルス感染症による介護サービス事業所等の経営への影響でございます。詳しい資料は参考資料1につけてございますので、そちらも適宜御参照いただきながらということでございますが、8ぺージ、9ページは5月と10月の収支差に関しまして、ざっくりどのように認識されているかということをお聞きしたアンケート調査でございますけれども、この場では御説明は割愛させていただきます。
 10ページに進ませていただきます。費用面への影響を把握したものでございます。上半分の○で今回の調査設計を書いてございます。簡単に申し上げますと、コロナがなかったという前提で、その支出を100とした場合に、事業所の決算書等から元年度ではどのぐらい増であったか。また、2年度はどのぐらいの増であると見込まれるかというように、一定の仮定を置いて推計したものでございます。
 10ページの下の表にございますとおりで、まず、全サービス平均を御覧いただければと思います。コロナがなかった場合を100とした場合に、令和元年度決算の中の物件費は100.3と見込まれる。令和2年度では101.0、1ポイントの増と見込まれると回答があったものでございます。
 11ページ目は、増と減の要因でございまして、1つ目の○のポツが3つございます。保健衛生費(マスク、手袋等)、日用品費(アルコール消毒液など)は、増の要因。一方で、研修研究費などは減の要因ということで、下がった要因もあるということでございました。
 次に、12ページは国保中央会の統計でございまして、いわゆる給付費の実績を見たものでございます。一番上、合計の欄がございますけれども、2月、3月から8月までのそれぞれの給付費の合計がございます。見ていただきますと、5月が対前年比で0.5%の増ということでございまして、一番落ち込んだのはこの時期であったかということでございます。
 その中で影響を受けたサービスはやはり濃淡がございまして、そこに黄色でハイライトしてございますけれども、通所系、短期入所生活介護の影響がマイナスで大きいということをお示ししてございます。
 それを折れ線グラフにしたものが13ページでございます。
 14ページに進ませていただきます。こちらは新型コロナウイルス感染症拡大防止に係る取組に関するデイサービス事業所の調査でございます。参考資料3に詳細な結果をつけてございますけれども、この中でコメントさせていただきますのは、14ページで申し上げますと(8)特例適用でございます。2区分上位特例を適用した事業所が、今回調査した中の半分の50.6%でございまして、その中で、特例の適用者数は平均79.3%、約8割の方に適用していたということでございます。半分の事業所で8割の方に提供していたという実態でございました。
 16ページ目でございます。介護従事者処遇状況等調査でございます。
 17ページ目は、これまで類似の処遇改善をやってまいりまして、これまで類似の調査をやってきておりますけれども、昨年10月に創設いたしました特定処遇改善加算による影響を把握するために行ったものでございます。
 結果が18ページでございます。上に箱がございまして、○が2つございます。
 1つ目の○でございますけれども、平成31年2月と今年2月の給与の差を比較いたしますと、合計では1万8120円の増となっていた。2つ目の○でございますが、勤続年数10年以上の介護福祉士の平均給与額については、2万740円の増となっていたということでございます。
 右側に、さらに少しブレークダウンした分析がございますけれども、特定処遇改善加算は介護職員以外にも配れるとなってございますので、そこの1の下、その他職種の下にございますけれども、看護師さんや事務職員さんにも配分したという結果がございます。
 また、経験・技能のある介護職員の改善状況ですが、2にございますとおりで、月額8万円以上の方をお一人以上つくったという事業所が1割、年額440万円以上となる賃金改善も実施したというところが38.6%という状況でございました。
 また、この特定処遇改善加算の届出を行わない理由としまして、18ページの右下3でございますけれども、職種間の賃金バランスが取れなくなることが懸念といった例があり得るとして、挙げられてきたところでございます。
 その後、21ページは、新しい経済政策パッケージ、今回の特定処遇改善加算の概要の説明紙でございまして、22ページ、最後のページが請求状況でございまして、この特定処遇改善加算が始まりました10月から、取得割合はだんだん上昇しておりますが、令和2年4月で64%ということでございまして、さらなる取得促進を進めていくことが必要だと考えておるところでございます。
 こうした結果を御説明いたしまして、先ほど開催されました経営調査委員会におきまして、主な意見を御紹介させていただきます。
 このコロナ禍の中では、非常に事業所の皆様に御努力いただきまして、一定の回収率は確保できたのではないかという意見があった一方で、そういう背景があるものとしても、有効回答率が45.2%というのは低いという御指摘がございまして、公費・保険料で運営されている保険事業でございますので、本来全ての事業所が回答すべき。事務局はさらなる回収率向上の努力をしていただきたいという意見もございました。
 内容についてでございますけれども、次回の概況につきましてどのように考えるか、検討が必要ではないかという御指摘をいただきました。コロナの影響が、今回の調査では限定的に把握されているだけでございますので、まだコロナの影響が残るということも踏まえて、どのように調査をして次回概況に反映させるかということを検討すべきという意見もございました。
 また、処遇状況等調査につきましては、事業所でどのようなパターンで給与を上げたかも見たほうがいいのではないかという御意見もあったところでございます。
 この調査に関しまして、決算書等に基づいて記録をしていただいているのですけれども、会計記録と今回調査票に記載されたデータでございますが、今後も一致状況も求めるようなことをしてはどうかという意見があったところでございます。
 事務局からの御説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 老人保健課長が言ってくださったように、先ほどの経営調査委員会で了承されております。同委員会における委員からの御意見は、今紹介がありましたように、次回以降の調査の回収率を上げるにはどうしたらいいかといった点に集中したように感じました。
 それでは、ただいま説明を受けました事項について、御意見、御質問がおありの方はお願いいたします。
 伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 今回の経営実調につきましては、収支差が前回に比べて低下している一方で給与費が増加しているということで、人件費が経営を圧迫しているという評価をされかねないところでありますが、人材確保がかなり厳しくなっているということに加え、この間、処遇改善加算の対応をしていただいているということもあって、今後も人件費が高まっていくというのは当然のことだと思っています。
 また、コロナの影響に関する調査については、通所系で特に影響があり、給付額等が大きくへこみ、その後に反動でサービス利用が増えているということですが、これは経営実調と併せてこれから評価していかなければいけないと思います。
 処遇状況等調査ですが、特定加算(I)、(II)で1万8120円の改善、それから、特定加算を取っていないところ、通常の処遇改善加算(I)、(II)、(III)を取得しているところでも6,000~9,000円の改善があったということが見えますし、時給・非常勤の者でもかかなりの改善が見られるということからして、処遇改善の効果はあったと評価できると思います。
 ただ、中身を見てみますと、給与等の引き上げの実施方法について、手当・賞与で対応するという回答が今回多くなっておりまして、これまでは賃金制度をつくり対応していく方向にあったものが、少し変わってきてしまっているという点で残念に感じます。
 また、特定加算の届出を行わなかった理由として、職種間の賃金のバランスが取れなくなることが懸念されるというのが4割近くあるということですが、全職種が対象になるということがこの特定加算のよいところとも思っていましたけれども、配分ルールの仕組みが3段階で差をつけないといけない点がなかなか難しいということの表れなのかなと感じています。
 加算(I)の取得、通常の加算ですけれども、取得が困難な理由が、昇給の仕組みの合意形成が困難という回答が一番多くなっています。これも、特定加算の制度に引っ張られたのかもしれませんけれども、これが理由になってしまうと、本来の目的を果たせなくなってしまうので、改善すべき点だろうと思っております。
 連合で調査をした「新型コロナウイルス感染拡大下の介護現場実態調査」結果を今日提出させていただきましたので、本当に簡単に御説明させていただければと思います。
 1ページは調査実施ということで、8月から9月に、私どもの連合の労働組合のある事業所にお聞きしました。労働組合の役員または管理者に回答いただいて、それは1事業所当たり1人回答という形にしていただきましたので、事業所内で重複して回答しないようお願いしたところです。訪問介護、通所介護、特養、居宅介護支援という順番に多く回答いただきました。
 3ページで、職員の過不足状況についてということで、「不足している」との回答が7割超でした。
 「不足している」と回答した事業所にその理由を聞きますと、「募集しても応募者が少ないから」というのが83%、「仕事がきついから」が32%、「採用してもすぐ退職してしまうから」というのが29.1%という状況でした。
 事業所での現在の問題点について、何ですかとお聞きしたところ、「人手が足りない」が61.5%、次に「身体的・精神的負担が大きい」、「仕事量が多い」、「賃金が低い」という順番で続きました。
 賃金について、同業他社、他産業、業務量、業務内容、能力や仕事ぶりと比べた場合ということで、それぞれよい、普通、よくない、分からないということで聞いたところ、他産業と比べた場合に「よくない」という結果が非常に多く出ました。また、業務量と比べて「よくない」、業務内容と比べ「よくない」と回答する割合で最多の結果が出ました。これらから言えることは、仕事の負担に賃金が見合っていないという認識を現場の人が持っているということだと思います。
 次です。コロナの影響で、職員数の変化がありましたかということを尋ねたところ、「変わらない」という回答が73.2%でしたけれども、「非常に不足するようになった」、「やや不足するようになった」を合わせて24.9%です。
 次のページですが、その理由をお聞きしたところ、「募集に応募する人が少なくなった」というのが最多で43.2%でした。
 新型コロナの影響・不安に感じている点を尋ねた10ページを御覧ください。何に不安を感じているかといいますと、「職員から感染者があらわれる」というのが最多でありました。次に「利用者から感染者があらわれる」や「職員のストレスが増加する」という回答が多く出ました。やはり人との接触が避けられない仕事を、感染防止対策を講じつつ行うということの難しさが現れたと思います。
 次のページが加算です。処遇改善加算は「取得している」という回答が7割で、そのうち「計画どおりに支給されていない」、「わからない」が27.9%ございました。
 次が特定加算ですが、こちらは「取得している」という回答が47.8%でした。
 13ページですが、特定加算ですけれども、仕事のやりがいや意欲、資格取得や自己啓発、職場の雰囲気、人材確保にどういう影響があったかをお聞きしたのですけれども、仕事のやりがいや意欲が「高くなった」と評価した回答が30.6%ありました。加算の導入前には、職場の人間関係への悪影響も懸念されたところですけれども、その点については限定的で、むしろプラスに評価するというような現場の状況も見てとれました。
 次は、加算について職員への説明がどうやってされているかを、それぞれ通常の加算と特定加算についてお聞きしたところ、いずれも「管理者・上司の説明」が50%を超える、次いで「文書の回覧」、中には「説明されたことはない」という回答も若干ありました。
 ここから考えられるのは、適切に書面による整備と、全職員への周知が徹底されているのかということがやや心配になるという点です。最後の15、16ページには、自由記入欄で大変多くの回答がございました。現場の生の声・回答ですので、ぜひ御覧いただければと思います。
 ありがとうございました。
○田中分科会長 連合の調査の紹介をありがとうございました。
 小泉委員、お願いします。それから鎌田委員。
○小泉委員 ありがとうございます。全国老人福祉施設協議会でございます。
 まず、経営実態調査についてでございますけれども、介護サービスの収支差率は前年度比マイナス0.7%の減少となっており、新型コロナウイルス感染症や巨大化している災害対応を恒常的に行っていくのであれば、基本報酬等による対応が必要と考えます。収支差率が2%以下のサービスにつきましては、赤字事業所も3割以上と推測されますので、対応について検討が必要と考えます。
 特に平均の収支差率がマイナスになっております居宅介護支援や、収支差率が0.4%の30床の小規模特養についてはそれなりの対応が必要かと考えます。収支差率の悪化の要因といたしましては、人材確保の費用が影響しているのではないかと考えます。特養も施設系サービスの中で最も給与費の支出割合が高いところでございますが、見かけの数値以上に影響は大きいものがあります。例えばやむを得ず利用する紹介業者に支払う委託あっせん費用や、同一賃金同一労働に伴う非正規雇用者への処遇改善、逆に人が定着すれば定時昇給なども長期的に大きく収支に影響を与えるものと考えております。
 総合的なこうしたコストへの報酬上の評価に加えて、人材確保対策が急務と考えます。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 遅れまして、申し訳ありませんでした。
 まず資料で、特例適用のところなのですけれども、特例適用を適用した事業所が5割、利用者で、その事業所で適用した人が8割となっていますが、2割は不適用という不平等なところがあります。家族の会はずっとこの制度の撤廃をお願いしております。デイサービスやショートステイの経営の改善には効果があり、それはそれで私たちが一番頼りにしているデイやショートが、経営がそのまま継続するということはいいのですけれども、このような不平等な制度をこのまま続けられるということは私たちにとっては大変不安というか、納得がいかないところですので、撤廃のほどをお願いいたします。
 それから、今回の結果で、ホームヘルパーで非常勤・女性、訪問介護事業者は介護職員等の特定処遇改善加算の届出が低いと伺っています。特定処遇改善加算を取得していない場合、ヘルパーの平均時給は幾らぐらいになるのでしょうか。もしデータがありましたらお教えください。
 また、介護職員はデイサービスと施設サービスが多いと思いますが、ヘルパーよりは常勤で働く人が多くなると思います。しかし、特定事業所加算の取得割合は、デイサービスは小規模事業所も多く、事務負担もあり、取得率が低くなっています。特定処遇改善加算段階別での月給の平均額はそれぞれ幾らになるのか、どれくらいの差になるのか、把握したいのでお教えください。
 新型コロナウイルス関連では、介護労働者に慰労金が支払われることになっていますが、事業所が申請する必要があります。以前、私のほうが個々の職員で申請することはできないのかと御質問申し上げましたら、それは事業所単位でないと駄目だということでしたけれども、この事業所単位の申請状況はどうなっているのかお教えください。
 加算により、給与に反映されているのはよいことではありますが、まだまだ平均賃金までには到達していない現状があります。過去の給付費分科会で経営者アンケートからは、人材の定着、離職防止にこの加算が効果があったと報告がありました。しかし、先ほどの伊藤委員からの報告でもありましたけれども、各現場からの報告では、人材不足、離職増加での人材確保が問題となっています。この辺りはどう考えればいいのでしょうか。相反するものと私は捉えています。
 また、加算によって給与が増えた職員の声はどのようなものがあるのかも、伊藤委員のところからは報告がありましたけれども、国としてどういうことを把握されているのかお教えください。
 以上です
○田中分科会長 ありがとうございました。
 それでは、御質問にお答えください。その後、東委員にいきます。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 まず、処遇改善等に関するお尋ねでございました。特定を取っているところとそうでないところでホームヘルパーさんの賃金にどのくらいの差があるか、それから特定の中で確かに階段が(I)、(II)がございます。その中で、それぞれどのぐらいの賃金差があるのか、現場の声としてどのようなことを把握しているかということでございますが、すぐにホームページ等を参照できないものですから、少しお時間をいただいてよろしゅうございますか。最後のものに関しましては、今回伊藤委員がお示しされたような現場の生の声を聞くようなアンケートはしてございませんので、これに関してはデータがないということでございます。数字に関しましては、少しお時間をいただければと思います。
○田中分科会長 少しというのはこの分科会の中でですか。
○眞鍋老人保健課長 できるかどうか、そこも含めて。分厚い処遇状況等調査の報告書がありますけれども、あの中にあるところをピックアップできればしてみたいと思います。
○田中分科会長 間に合えばこの回、間に合わなければ来週お答えするということですね。
○鎌田委員 よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 そのような扱いとします。
 それでは、東委員、どうぞ。
○東委員 全老健の東でございます。
 まず、介護事業経営実態調査と新型コロナウイルス感染症による介護サービス事業所等の経営への影響に関する調査の両方にわたって御意見を申し上げます。
 介護事業経営実態調査につきましては、説明がありましたように、前回(平成30年度)の介護報酬改定では0.54%のプラス改定であったにもかかわらず、かなりマイナスが大きいという数字が出ております。老健施設におきましても前年度比1.2%のマイナスでございます。
 また、居宅サービスにおきましては、居宅介護支援事業所を除きますと、通所リハビリのマイナスが大きいですし、令和元年度の決算では、1.8%まで落ち込んでおります。さらに新型コロナウイルス感染症の介護サービス事業所等の経営への影響に関する調査によると、資料1の13ページに保険給付額の推移のグラフがございますが、通所リハビリに関しましては本年5月で前年度比マイナス15.4%という大変大きいマイナス幅となっております。今回の介護報酬改定に当たりましては、こういう実態調査の結果も見ていただいて、ぜひプラス改定にしていただきたいということと、通所リハビリは特にマイナス幅が大きいということで、配慮をお願いしたいと思います。
 資料1の8ページの新型コロナウイルス感染症の経営への影響に関するアンケート結果を見ましても、令和2年5月で施設系では老健施設は60.6%が悪くなったと答えております。また10月を見ますと、ほかの在宅サービスと比べましても、老健施設が50.2%と一番悪いデータとなっております。これは老健施設がベッドを回転させているというところが大きな原因ではないかとも思っております。いずれにしても、新型コロナウイルス感染症による影響が大きいということを申し上げたいと思います。
 介護従事者処遇状況等調査の結果について1点だけ申し上げたいと思います。資料1の18ページに、特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)を取得した施設・事業所の介護職員の平均給与額の前年度差額が1万8120円となっています。同様に特定処遇改善を取得した施設・事業所の勤続10年以上の介護福祉士の平均給与額の前年度比が2万740円という数字が出ております。以前の分科会の資料にもございましたが、特定処遇改善の算定率が低いということが大変問題です。この特定処遇改善加算をきちんと算定していただくことで、2万740円という差額も、もう少し上がるのではないかと思います。同ページの右下に届出を行わない理由の表があり、その中に、『職種間の賃金バランスが取れなくなることが懸念』ということもありますが、それと並んで『賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑』ということも大きい要因となっております。ぜひ、特定処遇改善加算が現場で取りやすいように、事務作業等の軽減を図っていただきたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 様々な御指摘をありがとうございました。
 井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。
 経営実態調査につきましては、今回緊急事態宣言下での調査だったと思いますので、引き続き、今後、ウィズコロナの中でどうなっていくのかという丁寧な調査が必要だと思います。
 今回報告のあった、コロナによる介護サービス事業所の経営への影響に関する調査研究事業では、例えば保健衛生費の対応等々が必要だということも分かりましたけれども、この辺りにつきましては、公費と保険料の役割分担も考えながら精査していく必要があるのではないかと思います。
 また、処遇状況等調査につきましては、一定程度賃上げに寄与しているというデータも出ておりますけれども、この加算による賃金の上昇が介護職員の定着や人材獲得にどのようにつながっているのかというところもぜひ検証が必要だと思いますし、御指摘のありましたように、特定処遇改善加算につきましては、職種間のバランスが取れなくなるということを懸念するような声もありまして、制度上というよりも、事業所内の問題もかなりあるのではないかと思いますので、まずは特定処遇改善加算をまだ3割、4割近いところが使っていないということですので、この辺りの原因を究明していくべきだと思いました。
 以上でございます。
○田中分科会長 何を把握すべきかの御指摘をありがとうございます。
 藤野委員、お願いします。
○藤野委員 ありがとうございます。
 介護従事者処遇状況等調査結果についてですが、特定処遇改善加算の創設により、給与の底上げがされたことに感謝申し上げます。ただ、当初見込んでいたインパクトにはまだ十分ではない結果と感じております。引き続きの改善策の継続と、現場がより改善を実感できるような対策を強く望みます。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 ありがとうございます。
 まず、資料1の4ページに全体の収支差が出ておりますけれども、一部のサービスを除いて軒並み収支差がマイナスにシフトしています。そして全サービス平均が2.4%ということは、当然これで経営が成り立つわけではなく、健全経営が担保されていないということがますます明白になったと認識しており、大変深刻な事態であると感じております。
 続きまして、5ページに給与費割合がプラス0.4%と出ております。当然、介護報酬の大半は人件費に消費されているわけですけれども、仮にこれで現在の報酬単位が全くそのままだとすると、僅か数年で全体の収支差がゼロという危機に直面しますので、適正な報酬への見直しが必要ではないかと思っております。
 したがいまして、人件費が経営を圧迫しているのではなく、介護事業経営においては、人件費に見合った報酬設定がなされていないと考えるのが妥当ではないかと思っております。
 8ページから9ページに、今回のCOVID-19による経営悪化の影響が如実に出ておりますけれども、これは先ほどの実調の令和元年度決算の後の、さらにのダメージとなっておりますから、この実調の結果に加えてCOVID-19の影響が上乗せしているということで、ますます危機感を強めているところでございます。
 12ページにいろいろ出ておりますけれども、8月になっても収支がまだまだ戻っていないところもありますし、なぜかマーキングがないのですけれども、老健の短期入所療養介護は桁違いのマイナスになっておりまして、ピーク時は給付額が34.6%、8月でマイナス15.3%という形で、サービス類型によっては相当な影響が出ていると感じています。
 最後に18ページ、特定処遇改善加算についてであります。今回はスタート時点において、各事業所における勤続10年以上の介護福祉士が何人いるかというデータがなかったゆえに苦肉の策を取ったわけですけれども、現状ですと、勤続10年以上の介護福祉士が多ければ多いほど、いわゆる定着率の高い施設であるほど1人当たりの配分が少なくなるという加算の様式になっています。したがいまして、今回はデータがないのでやむを得なかったわけですけれども、今後は一人一人の頑張っている介護福祉士にそれぞれこういった加算の処遇が届くように、これは配分方法については次回以降、見直しを要望したいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 危機意識の表明と、次回以降への見解をありがとうございます。
 河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
 調査結果について御意見を申し上げたいと思います。
 まず、経営実態調査でありますけれども、確かに平成30年度に比べて収支差率はやや低下をしておりますが、それでも全体としてはプラスになっています。一方で、従来から申し上げておりますが、介護給付費の伸びは、2025年度には15兆円を超え、どんどん伸びていくと考えられます。その中で、制度の支え手である現役世代は減少し、また、足元ではコロナの影響もあって、経済状況の悪化、支える側の現役世代や勤労世代の報酬減少も懸念されています。こうした状況の中で、制度の安定性、持続可能性を確保していくためには、これ以上現役世代の負担が増大しないように、めり張りをつけた評価と改定率の設定が必要だと考えております。
 2点目のコロナ感染症による介護サービス事業所への経営への影響の調査の関係でございますけれども、1点コメントさせていただきますと、コロナ感染症の影響による経費の増加、いわゆるかかり増し経費に対する支援は必要だと考えておりますが、それが保険かというと、これは国庫補助を中心とした支援を御検討いただくべきではないかと考えます。
 3点目の介護従事者処遇状況等調査の関係でございますけれども、今回の調査で特定処遇改善加算の(I)、(II)を取得した事業所等の勤続10年以上の介護福祉士は、2万740円の改善ということでございます。そもそもこの加算、経験・技能のある職員に重点化をするということで設定され、いろいろな経緯をたどって少し重点化が弱まってしまったため、重点化ということを考えると、2万740円という水準はやや残念なのかなと思っております。
 それから、この処遇改善加算というのは、先ほども出ておりましたけれども、目的とするところは介護人材の人材確保なり職場定着ということであるわけで、給与というのはあくまでもその手段の一つにすぎないということだと考えます。この特定処遇改善加算の議論のときにも申し上げましたが、職場環境の改善、整備が極めて重要であるということはいろいろな統計等でも出ております。その取組状況なり進捗状況等もよく分析をして評価をしていくべきだと考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
 介護職員等の処遇改善加算につきまして、経験のある介護福祉士を中心に着実に給与等の引上げにつながっていることは評価したいと思っております。一方で、資料4の10ページを見ますと、同加算を取得しているにもかかわらず、約3割の事業所において経験・技能のある介護職員のうち1人以上は行うこととされている賃金改善が実施されていないということが分かります。この点は、今後ぜひ改善していくべきだと考えますので、事務局におかれましてはその要因をしっかりと分析していただき、経験・技能のある職員が正当な評価をされる仕組みへと見直していただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 今後への御要望でした。
 松田委員、どうぞ。
○松田委員 ありがとうございます。
 経営実態調査なのですけれども、介護報酬を決める上で非常に重要な調査だと思うのですが、ほかの調査に比べると有効回答率が低い。今回は50%を切ってしまっているわけです。そうすると数字そのものの妥当性や信頼性を問われかねないと思います。介護報酬を決める非常に重要な調査ですので、この回答率を上げることが非常に重要だろうと思っています。
 先ほど事務局の御説明でもありましたけれども、何らかの形でこの調査への参加、依頼されたところは回答をするということをある程度義務化したほうがいいのではないかと思います。これからコロナに関して言うとウィズコロナ時代で、恐らく予防的なものに関していろいろとコストがかかってくるだろうと思います。そういうものに関して、めり張りのついた支援をするためにも非常に重要な調査だと思います。この経営実態調査の有効回答率を上げるための義務化みたいなものを少し事務局のほうでも考えていただけたらと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 私も同感ですが、代わりに松田委員が言って下さった感じがします。ありがとうございます。
 特にこちらの議題についてはよろしゅうございますか。
 それでは、議題2の資料説明を受けて、そこで休憩を取ることにします。
 議題2の説明に移ってください。お願いします。
○笹子認知症施策・地域介護推進課長 推進課長でございます。
 資料7をお開きいただきたいと存じます。「居宅介護支援・介護予防支援の報酬・基準について(検討の方向性)」でございます。
 1枚目でございますけれども、これまでの分科会における主な御意見ということで、公正中立なケアマネジメントの確保、多職種の連携、インフォーマルサービスを含めた居宅サービス計画、地域包括支援センターの機能や体制の強化、介護予防支援などについて御意見を賜っているところでございます。
 3枚目に行っていただきまして、論点1でございます。逓減制ということで、居宅介護支援費につきましては、介護支援専門員(常勤換算)1人当たり40件を超えた場合、60件を超えた場合にそれぞれ逓減制の仕組みが設けられているということでございます。イメージ図がついてございますけれども、こうした逓減制について、居宅介護支援事業所の経営状況、現行の算定状況、報酬体系の簡素化といった観点から、どのように考えるのかということでございます。
 4枚目でございますけれども、この基本報酬等の算定状況ということでは、赤囲いしてございますけれども、居宅介護支援費、つまり40件までの場合には99.9%の事業所で算定されてございますけれども、(II)、(III)の算定率につきましては、それぞれ2.46%、0.08%となっているところでございます。
 5枚目でございますけれども、介護支援員1人当たり担当利用者数でございます。
 右側に赤囲いしてございますけれども、ケアマネ1人当たりの担当利用者数、要介護で約25人、要支援で約6人ということで、合計で約31人でございます。
 6枚目でございます。居宅介護支援事業所の経営状況ということで、利用者別でございます。ケアマネ1人当たりの利用者数別では、いずれの事業所でも収支差が赤字となっているということで、こちらは先ほど御議論のあった経営実調からのデータでございます。細かい表で恐縮ですけれども、赤囲いしてございます。それぞれ26人未満、26~30人、31~35人等々と区分がございますけれども、全ての区分で収支差が赤字になっているということでございます。
 7枚目でございます。一方で、特定事業所加算の算定の有無によって収支差が異なっているということでございまして、こちらも表を赤囲いしてございますけれども、特定事業所加算(I)、特定事業所加算(II)を算定している場合には黒字となっておりますが、(III)あるいは算定なしの場合には赤字となっているという状況でございます。
 8枚目に行っていただきまして、ケアマネ1人当たりの担当利用者数の分布でございます。事業所全体では30人未満が43.0%、30人以上40人未満では42.7%でございましたけれども、このグラフを御覧いただきますように、例えば20人未満は4,688事業所、一方で50人以上のところが819といったデータになっておるところでございます。
 9枚目でございますけれども、累積分布を示したものでございます。事業所全体では1人当たり利用者数が30人に満たない事業所がおおむね半数を占めているということでございます。マル1ということで、太い青線が全体でございますけれども、ケアマネが3人未満の事業所は全体に比べて30人未満の事業所が多い傾向にある一方で、3人以上の事業所は全体に比べて30人未満の事業所が少ない傾向にあるということでございます。
 10枚目以降で、事務職員の配置状況や業務のデータをつけさせていただいております。
 事務職員を1名以上配置している事業所は36.5%であったこと、さらに事務職員が行っている業務は給与計算に関する業務、あるいは関係書類の打ち込み、コピー、ファイリングなどといったことをやっていただいているということでございます。
 11枚目でございますけれども、事務職員を配置したことによる効果ということで、介護支援業務の業務負担が減った、介護支援専門員が行う業務の質が向上したなどのメリットが声としてあるということでございますが、人数別で見てみると、3人以上の事業所で介護支援専門員が担当ケースをより多く持てるようになったという割合が多かったということでございます。
 12枚目に行っていただきまして、携帯情報端末、ICTの利用を行っているかということでございますけれども、ケアマネ事業所が利用しているという割合が11.6%でございました。
 13枚目でございますけれども、こういった端末を使うことによる効果ということで、効率化が進められたという声が多かったということでございます。
 14枚目も同様でございまして、15枚目でございますけれども、AIを活用したケアプランの作成について、昨年度、老健事業で調査研究を行わせていただきました。ポイントは3ポツの真ん中にございますけれども、業務効率化等に関して一定程度の効果が得られたということでございます。
 以上を踏まえまして、16枚目でございますけれども、検討の方向(案)でございます。逓減制について、居宅介護支援費(II)、(III)の算定状況、また、経営状況や報酬体系の簡素化等の観点を踏まえ、質の高いケアマネジメントを実施するため、ICTの活用や事務職員の配置等の一定の要件を満たした場合の取扱いなどについて検討してはどうかということでございます。
 17枚目でございます。論点マル2、質の高いケアマネジメントということで、特定事業所加算について、人員や体制、利用者の状況などを踏まえた評価が行われているということでございますけれども、質の高いケアマネジメントとする観点から、どのような対応が考えられるかということが一つ。さらに、公正中立性の確保、資質向上、業務負担軽減などの御指摘をいただいているということでございますけれども、こういったことに関してどのような対応が考えられるかということでございます。
 18枚目以降は、昨年の介護保険部会の取りまとめをはじめとして、公正中立性などについての御指摘をつけさせていただいております。
 22ページ目まで行っていただきまして、特定事業所加算の概要をつけさせていただいております。先ほど経営実調のお話をさせていただきましたけれども、(I)、(II)を取っていると黒字ということでございました。特に(I)は、算定率1.05%ということでございますが、こういった主任ケアマネの配置といったものを要件として、質の高いケアマネジメントに向けた加算ということで設定されているものでございますが、一番右の(IV)については、退院・退所加算の算定に係る連携の回数やターミナルケアマネジメント加算を5回以上算定しているなど、(I)~(III)の加算とは少し趣を異にしているということでございます。
 23枚目でございます。特定事業所加算などの算定状況ということで、申し上げたとおり、(I)については1.05%でございますが、(II)、(III)、(IV)それぞれ御覧いただけるような取得状況になっているところでございます。
 24枚目、特定事業所加算(I)を算定していない理由ということで、少し古いデータで恐縮ではございますけれども、主任ケアマネを1人以上配置できないという左側のお声のほかに、真ん中にございますけれども、利用者のうち中重度、すなわち要介護度3~5の占める割合が4割以上という利用者がいらっしゃらないといったお声があるところでございます。
 25枚目は、公正中立性の確保に向けた各種の取組みということで、これまで類似の取組をさせていただいてきたということでございます。運営基準でありますれば、利用者に対して特定の事業所を利用すべき旨の指示を禁止するなどの取組を省令で規定するなどの取組をさせていただいてきたということ。報酬上も特定事業所集中減算の創設、見直し等を行ってきたこと。さらに一番下でございますけれども、情報公表を創設させていただいてきたということでございます。
 26枚目、27枚目は情報公表制度の実態でございまして、27枚目の真ん中より下を御覧いただきますと、例えばこのようなことが書いてありますという御紹介でございますけれども、特定のサービスや事業所に偏らないように公正な居宅介護支援を行いますというような記載を御紹介させていただきます。
 28枚目でございますけれども、適切なケアマネジメントの実施に向けた各種の調査研究事業についてということで、こちらはニッポン一億総活躍プランにおいて、自立支援と介護の重度化防止を推進するために、適切なケアマネジメント手法の普及を図ることとされております。このため、ケアマネジメントの標準化についての概念の整理、想定される支援内容を整理、分析に最低限必要な知識の整理といったことを行ってきたということで、これまでの成果実績が右側に囲ってございますけれども、平成28年度の脳血管疾患・大腿骨頸部骨折がある方のケアから始まりまして、4種類の手法をまとめているということでございます。
 さらに、AIによるケアプラン作成支援は、先ほど令和元年度においての調査研究において、業務効率化において一定の効果が得られたという御説明をさせていただきましたけれども、下にございますように、2020年度からケアプランへのAI活用を推進するということをさらに進めるために、ケアマネジャーが利用者のアセスメントから得られる情報をどのようにプランに落とし込んでいるのかという思考フローをAIのアルゴリズムによって可視化するというような、大変困難な事業でありますけれども、これを今後調査していくということでございます。
 29枚目でございますけれども、適切なケアマネジメント手法の作成に関して、スケジュール感を持って進めさせていただいているということでございます。
 30枚目は先ほどのAIの調査研究、2020年度からのものの御説明でございます。
 以上を踏まえまして、31枚目でございますけれども、検討の方向性ということで、居宅介護支援の特定事業所加算について、質の高いケアマネジメントとする観点から、また、医療や介護に加えて、インフォーマルサービスも含めた多様な生活支援が包括的に提供されるような居宅サービス計画の作成を推進していく観点も踏まえつつ、要件の見直しや評価軸が異なる加算(IV)の在り方について、検討してはどうかということでございます。
 ちなみに、このインフォーマルサービスにつきましては、昨年の介護保険部会の意見書の整理を踏まえてこういった書き方をさせていただいてございますけれども、例えばケアマネの運営基準においては、地域の住民による自発的な活動によるサービス等の規定もなされているということでございまして、必要に応じて用語の整理はさせていただきたいと考えているところでございます。
 31枚目の下でございますけれども、ケアマネ事業所のケアマネジメントの強化を図るために情報公表制度等も活用しながら、公正中立性を高める方策、さらには適切なケアマネジメント手法等も活用しながら、資質向上や業務効率化などを図る方策についてどのように考えるのかということでございます。
 32枚目でございますけれども、通院時の情報連携ということで、論点でございます。ケアマネにおいては、入退院時に係る医療機関との連携を報酬上で評価してございますけれども、通院時に同行して医療との連携を図る例があることも踏まえて、医介連携を強化する観点から、どのような対応が考えられるかということでございます。
 33枚目は通院同行の状況ということで、「同行したことがある」が53.3%であり、同行する理由については、医師の指示が必要な場合などについて行っているということでございます。
 34枚目、35枚目、それぞれケアマネが医師に伝達する情報、医師から情報収集する内容に関してデータを取っているところでございます。
 さらに36枚目、ケアマネが収集した情報を家族や介護サービス事業所で情報共有しているということでございます。
 以上を踏まえまして、37枚目でございますけれども、医療と介護の連携を強化し、適切なケアマネジメントや質の向上を進める観点から、ケアマネと医療機関の通院時に係る情報連携の評価について検討してはどうかということでございます。
 論点4でございますけれども、緊急的な対応に係る実費の徴収ということで、ケアマネジャーが役割を効果的に果たしながら質の高いケアマネジメントをできる環境整備を進めることが重要であるということでございますが、ケアマネジメント業務以外にも利用者や家族の依頼で様々な対応を行っている実態があることも踏まえて、どのような対応が考えられるかということでございます。
 39枚目、40枚目は、既に8月の分科会でもお示ししてございますけれども、必要に迫られてやむを得ず利用者、家族の代行をしたことがあるというデータでございます。
 以上を踏まえまして、41枚目、検討の方向性(案)ということで、ケアマネがその役割を効果的に果たしながら質の高いケアマネジメントを実現できる環境整備を進める観点から、緊急時等に業務外として生じた業務に係る費用については実費徴収が可能であることを明確化することを検討してはどうかということでございます。
 続きまして、42枚目でございます。論点5ということで、サービス利用前の相談・調整等に係る評価の在り方です。退院時等に必要なケアマネジメントの対応を行ったが、サービス利用につながらなかった場合には、支援費が算定されないということでございます。ケアマネジャーがその役割を効果的に果たしながら質の高いケアマネジメントを実現できる環境整備を進める観点から、どのような対応が考えられるかということでございます。
 43枚目、給付につながらなかったケースが1件以上あったというものが43.3%あったというデータでございます。
 44枚目でございます。そういった状況を踏まえながら、利用者の事情等により、サービス利用につながらなかった場合の評価の在り方について、検討してはどうかということでございます。
 45枚目でございますけれども、最後、論点6は介護予防支援でございます。
 46枚目を御覧いただきまして、昨年12月の介護保険部会の取りまとめにおいて、地域包括支援センターについて、外部委託を認めつつ、介護予防ケアマネジメント業務センターが引き続き担うことが必要であるとされ、外部委託を行いやすい環境整備を進めることが重要であるということを指摘されていることを踏まえて、これについてどのように考えるのかということが47枚目の検討の方向性(案)でございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 議題2の2番目は介護老人福祉施設です。
 高齢者支援課長、お願いします。
○齋藤高齢者支援課長 高齢者支援課長です。資料8を御覧ください。特別養護老人ホームでございます。
 1ページから3ページまで、これまでの御意見がありました、兼務等の人員配置基準や看取りに関すること、あるいはユニットケアに関する御意見をいただいております。
 論点は5つございます。
 まず、論点1は4ページでございます。人員配置基準について、人材の確保あるいは職員の定着の観点から、サービスの質の確保に留意しつつ、どのような対応が考えられるかという点でございます。
 5ページ目は主な人員配置基準を記載させていただいております。
 6ページ、人材の不足の状況ですけれども、職員が不足しているという施設が57.7%という状況でございます。
 また、勤務の継続に当たりまして、7ページでございますけれども、休暇の取得のしやすさやワークライフバランスといったものを重要と考えるというところが一定割合ございます。
 こうした中で8ページでございます。特養と特養を併設する場合、これは広域型と地密型が典型だと思いますけれども、これを併設する場合の兼務の状況でございます。従来型と従来型の併設の場合、あるいはユニット型とユニット型の併設の場合につきましては兼務が可能でございますけれども、ユニット型と従来型の組合せの場合だと兼務ができないということでございまして、例えば片方の施設で職員がお休みになったり、研修に行かれたりする場合に、施設をまたいでシフトを組むことがユニット型と従来型の場合だとできないことになっております。
 10ページでございます。今度は特養と小多機の併設の場合でございますけれども、地域密着型の特養につきましては、介護職員、看護職員、管理者ともに兼務が可能でございますけれども、これが広域型の特養になりますと、看護職員は兼務可能ですが、介護職員、管理者が兼務できないという状況になっております。
 12ページです。これは以前も資料をつけさせていただきましたけれども、老健に附属するサテライトの特養や老健、特養に付随するサテライトの老健につきましては、生活相談員、支援相談員も置かないことができるのに対して、特養に附属するサテライト特養だけは兼務できないという形になってございます。
 また、1ページ飛ばしていただきまして、14ページでございます。特養の栄養士についてでございますけれども、表の左側にありますとおり、広域型の特養につきましては、入所定員が40名を超えない場合については栄養士を置かないという場合ができるわけでございますが、サテライトはできるのですけれども、地域密着型の場合だと、栄養士を置かないということができない形になっております。
 これを踏まえまして、15ページが検討の方向でございます。人材確保や職員定着の観点から柔軟な働き方ができることは重要であり、単に人員を減らしてサービスの質の低下を招くことにならないように留意しつつ、入所者の処遇に支障がない場合において、先ほど申し上げた従来型とユニット型を併設する場合の介護・看護職員、広域型特養と併設する小多機における管理者・介護職員、本体施設が特養である場合のサテライト型特養における生活相談員の兼務を認めてはどうかという点と、地域密着型特養における栄養士の配置基準を見直してはどうかという点でございます。
 論点2、16ページでございます。個室ユニット型施設のケアの質を維持しつつ、人材確保や職員の定着を目指し、ユニットケアを推進する観点から3点、1ユニットの定員を現行の「おおむね10人以下」から15名程度以内に緩和すること、ユニットリーダーについて原則常勤は維持しつつ、出産・育児などやむを得ない場合は必ずしも常勤を求めないこと、3つ目、ユニット型個室的多床室を新たに設置することを禁止することについてどのように考えるかというところを論点として示させていただいております。
 17ページ目は基準でございますので、飛ばさせていただきまして、18ページでございます。ユニット施設の最大の入居定員数でございますけれども、10名のところが大半を占めるのですが、15名、16名というところもそれぞれ若干数存在しています。15名以上のユニットのところに運営状況について聞きましたところ、10名のユニットよりも手厚い職員配置が行われているという傾向がございまして、1人の職員が個室内で介助を行っているという場合に、別の職員が他の入居者の見守りがしやすいとか、人手がかかるような介助がしやすいとか、1ユニット内の職員の勤務シフトが組みやすいというメリットが挙げられております。
 一方で、どうしても手厚い職員配置になってしまうために、人件費率が高いという御指摘もございました。
 20ページでございます。ユニットケアリーダーのことでございますけれども、研修修了者につきまして、ユニットリーダーのうち研修を受講した者の割合が47.8%でございます。また、研修受講者の半数以上はユニットリーダーとして勤務していただいていますけれども、ユニットリーダーも下位の職員や非常勤として働いていらっしゃるようなケースも一定数見られました。
 また、ユニットリーダーとして勤務していない理由を尋ねたところ、12.9%の施設で、出産、育児、介護等の加点の事情により、常勤の勤務が困難であるということが理由として挙げられております。
 21ページでございます。28年度診療報酬改定でございますけれども、以前御紹介したとおり、育児休暇などを取得した場合の代替の職員につきまして、非常勤を可能とするということや、育児休暇が終わった後の従業者の方の短時間勤務を許容するということにつきまして、改定を行っているというところでございます。
 22ページでございます。ユニット型個室的多床室は、完全な個室ではなくて、天井と壁の間に一定の隙間が空いていることも許容するというものでございますが、現在、施設の割合としては0.5%程度となっております。
 これらを踏まえまして、23ページが検討の方向でございます。1ユニットの定員を現行の「おおむね10人以下」から15名を最大として緩和することを検討してはどうかというのが1点目。
 2点目、ユニットリーダーについて、原則常勤を維持しつつ、出産・育児などやむを得ない場合について欠員が生じる場合には、一時的に非常勤職員で代替する、あるいは本人が復帰した際は、短時間勤務を認めることとしてはどうかという点。
 3点目は、ユニット型個室的多床室について、新たに設置することを禁止する方向で検討してはどうかという点でございます。
 24ページ、論点3は看取りの関係です。
 中重度者や看取りへの対応を充実する観点から、どのような対応が考えられるか。
 25ページ目は、特養の看取りの加算の内容でございます。
 26ページ、看取りの加算の状況でございますけれども、看取り介護加算の算定を行っている特養が63%となっておりまして、看取りでの対応を行うことを決定した時期は、半数近くが死亡日から31日以上前となっております。
 27ページは、人生の最終段階のガイドラインの概要ですので、飛ばさせていただきます。
 28ページでございます。人生の最終段階における医療ケアにつきまして、いつも行っているところが77.3%、この話合いを繰り返し行っているかについては、いつも行っているが42.6%となっております。また、話合いに参加する施設関係者の職種につきましては、看護職員のほか生活相談員も多くなっております。
 日常生活継続支援加算でございます。29ページは概要でございますけれども、算定の要件として、そこに書いてありますマル1からマル3の要件のいずれかを満たす形になっております。
 この要件に関することでございますが、30ページ、特養の重点化は原則3以上としておりますので、要介護度4以上の方が増えておるという点、認知症高齢者の入所状況が31ページでございますけれども、これもランク3以上の方が増えているという状況でございます。
 32ページ、医療措置を要する入所者の方も一定数いらっしゃるという御紹介でございます。
 33ページ、日常生活継続支援加算の算定に当たりまして、満たしている要件といたしまして、先ほどの3つの要件がそれぞれこのような形で満たされているという状況でございます。
 これを踏まえまして、34ページでございます。検討の方向は3点ございます。
 1つは、看取りへの取組の状況等についての評価やソーシャルワーカーの関与を明文化するという御意見もあるという中で、看取りへの対応を充実する観点から、看取り介護加算の在り方について検討してはどうかという点。
 2点目は、人生の最終段階のガイドラインに基づく取組を促進する観点から、対応を検討してはどうか。
 3点目、入所者の平均要介護度が年々上昇していることなどを踏まえまして、日常生活継続支援加算の在り方を検討してはどうかという点でございます。
 続きまして、論点4でございます。リスクマネジメントの関係でございますが、事故報告について、標準化による情報蓄積と有効活用に資する取組はどのようなことが考えられるかということと、事故に関する情報の共有や介護事故の発生予防、再発防止の観点から、介護保険施設における安全対策に対する体制についてどのようなことが考えられるかという点でございます。
 36ページは、前回の改定の審議報告でございます。
 37ページ、安全管理体制に関する基準でございます。
 見ていただくとおりで、各施設におきましては、1項1号で指針の整備、2号で、事実が報告され、分析し、周知徹底するような体制の整備、3号、委員会や研修を定期的に行うこと。2項になりますが、速やかに市町村、入所者の家族に連絡するということが義務化されております。
 38、39ページは飛ばさせていただいて、40ページからが施設の状況でございます。まず、指針の作成でございますけれども、93.8%の施設で作成をされているという状況です。
 41ページ、95.8%の施設で発生した介護事故の分析をそれぞれの施設の中で行っているというところでございます。
 42ページでございます。市町村への施設からの報告対象の範囲について定めているというところが92.4%、様式についても定めているが93.8%でございます。
 43ページは委員会等でございますが、94.6%の施設で3か月以上の頻度で委員会を開催しているという状況でございます。
 44ページ、研修でございますけれども、93.6%の施設で介護事故防止のための研修を行っているという状況でございます。
 45ページは市町村の対応です。介護事故報告の範囲を市町村として定めているところは58.2%でございます。また、介護事故情報について、39.6%の施設で活用している一方で、30%程度の市町村では活用されていないというところでございました。
 これらを踏まえまして、検討の方向でございます。2点ございます。
 1つは、市町村によって事故報告の基準が様々であるということを踏まえまして、将来的な事故報告の標準化による情報の蓄積と有効活用等の検討に資する観点から、国において報告様式を作成し、周知することを検討してはどうかという点。
 2点目は、介護保険施設における安全管理体制に関して、指針の作成、委員会の開催、研修の実施、専任の安全対策担当者の設置などの状況を踏まえまして、安全対策をより一層強化していくべきではないかという点でございます。
 最後、論点5は高齢者虐待についてでございます。
 高齢者虐待につきましては、虐待防止法に基づいて措置を規定していますけれども、障害福祉サービスと異なって、運営基準において定めがないというところでございます。こういった中で、では高齢者虐待防止の取組を強化する観点からどのような対応が考えられるかというところでございます。
 48ページは法律の概要でございます。
 49ページは対応状況に関する調査結果の概要でございまして、要介護施設従事者の虐待というところの主な発生要因を見ていただきますと、は「教育・知識・介護技術に関する問題」が58%ということで、大変多くなっています。
 こういったことに対応いたしまして、50ページでございますけれども、国庫補助事業によりまして、市町村に対して研修などの実施に対する支援を行っているところでございます。また、51ページでございますけれども、本年度の老健事業で虐待防止プログラムといたしまして、研修教材などの開発を行っているところでございます。
 52ページは、障害の施設の人員運営基準と、特養の人員運営基準を並べたものでございます。障害のほうにつきましては、3項のところにありますけれども、責任者を設置するなどの必要な体制を整備するということと、研修を実施する等の措置を講ずることに努めなければならないという規定がございますが、高齢者のほうにはないというところがございまして、53ページの検討の方向でございます。高齢者虐待防止の取組を強化する観点から、障害福祉サービスにおける対応を踏まえながら、介護保険サービスの各運営基準において、虐待防止委員会の設置や責任者の研修受講などの体制強化に関する規定を設けることとしてはどうかということと、この検討の方向につきまして、他の施設サービスや居宅サービスにおいても同様の規定を設けることを検討してはどうかという点でございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 議題2の3番目、介護老人保健施設、4番目の介護医療院・介護療養型医療施設について、一括して説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 御説明に入ります前に、先ほど鎌田委員からの御質問がございましたけれども、事務的に確認いたしますと特別集計が必要なことが分かりそうでございましたので、少なくとも今日は出ません。そこを御了承いただきますとともに、今後また対応させていただきたいと思っております。
 資料9、介護老人福祉施設の報酬・基準について、御説明をさせていただきます。
 おめくりいただきまして、前回の意見は3ページでございます。これは前回改定で導入いたしました介護老人保健施設の報酬体系をお示ししております。超強化型からその他型までの5段階になっております。
 4ページ目は、その超強化型が増えてきているということをお示しするものでございます。
 5ページ目は、介護老人保健施設におきまして、在宅サービスを提供している中で、訪問リハビリテーション実績ありが3割程度ということでございました。
 6ページ目に進ませていただきまして、リハ職種は3種あるわけでございますけれども、3職種全てを配置している場合は、言語聴覚訓練、IADL訓練等の割合が高いということが示されてございます。
 8ページ、セラピストによるリハビリテーションの指示内容でございますけれども、訓練中の留意事項が多く、その項目が多いほどADLの向上が期待されたということでございます。
 9ページ目は認知症施策推進大綱の抜粋でございます。
 10ページに進みまして、介護老人保健施設につきましても、認知症高齢者の日常生活自立度3以上の方が結構いらっしゃるということをお示しするものでございます。
 こういうことを踏まえまして12ページでございますけれども、検討の方向性でございます。リハビリテーション機能の強化といたしまして、1つ目の矢羽がございますけれども、訪問リハビリテーションの比重を高くする。2つ目でございますが、リハ3職種の配置を評価することを検討してはどうかということ。次のポツでございますけれども、医師の指示に関する事項を明確化してはどうかということでございます。
 (2)といたしまして、認知症の人への対応でございまして、認知症に係る事項も追加してはどうかということなどを提案させていただいております。
 13ページは論点の2つ目でございます。介護老人保健施設につきまして、リハビリテーションを提供して機能を維持・改善する役割を担う施設としての機能をより推進するため、どのような対応が考えられるかということでございます。
 14ページは、介護老人保健施設におきまして、入所する方、Barthel Indexでございますけれども、どの状態でスタートしましても、大方の方は改善しているというもの。
 15ページはリハビリテーションマネジメント加算の考え方。
 16ページ目が、VISITを用いたPDCAサイクルの好循環のイメージでございまして、事業所、厚生労働省ともに、よいPDCAサイクルが回せるのではないかということを考えてございます。
 17ページに検討の方向性がございます。リハビリテーションを提供して心身の機能を維持・改善する役割の評価の導入について検討してはどうか。
 そして、VISITにつきまして、介護老人保健施設においても活用することを検討してはどうかとしてございます。
 18ページ目は論点3でございます。老健施設における中重度者や看取りへの対応を充実する観点から、どのような対応が考えられるかという論点でございまして、19ページ目は、真ん中が介護老人保健施設でございますけれども、12%ということで、一定程度お亡くなりになる方はいらっしゃいます。
 20ページ目は、在宅復帰率に応じまして、積極的に看取りを行っているかということを、在宅復帰率階級で見たものでございますけれども、在宅復帰率が高くなりますと、積極的に施設内看取りを行っているという施設も多くなってきているところでございます。
 21ページは、看取りに係る取組をどの程度の日数やっているかということでございますけれども、介護老人保健施設では32~180日の割合が最も高いということでございます。
 22ページはガイドラインでございますので、割愛させていただきます。
 24ページは検討の方向性でございます。介護老人保健施設における看取りへの対応を充実する観点から、ターミナルケア加算等の在り方について検討してはどうか。
 また、ガイドライン等に基づく取組を促進する観点から、対応を検討してはどうかとしております。
 25ページ目、論点4でございます。居宅介護支援事業者、いわゆるケアマネ事業所との連携についてどのような対応が考えられるかということでございまして、現在26ページにありますような退所前連携加算というものがございます。
 27ページ目、退所後のケアプランを作成した居宅のケアマネジャーさんと連携を取った時期は、退所前1か月が多かったということでございます。
 28ページ目は、居宅介護支援事業所とのカンファレンス回数があるか。1回以上の場合は、0回と比較して入所期間が短いという傾向にあるということをお示しするものでございます。
 29ページ目は検討の方向(案)でございます。より早期の在宅復帰を促進する観点から、入所時からの、入所者が退所後に利用を希望するケアマネ事業所さんとの連携を評価することを検討してはどうか。
 そして、この取組を促す観点から、ここは財政的な観点もありますけれども、退所前のみの連携については、現行の単位数を見直すことを検討してはどうかという論点にしております。
 30ページ目、論点5でございます。入所者により適切な医療を提供する観点から、現在設定されております介護老人保健施設における疾患の発症・治療状況を踏まえた所定疾患施設療養費の算定要件、対象疾患についてどのように考えるか。
 所定疾患施設療養費の概要が31ページ目にございまして、32ページ目に、それぞれどのような疾患が多いかということをお示しさせていただいてございます。
 33ページ目には、肺炎による感染症が多いわけでございますけれども、そのほか帯状疱疹等もあるということをお示ししております。
 34ページ目に行きまして、検査を実施しているものがどのぐらいあるかということでございます。細かい説明は省かせていただきます。
 35ページ目が、この所定疾患施設療養費でございますが、算定日数が決められておりますけれども、これを超えて治療を行っているという実態をお示ししてございます。
 36ページ目に検討の方向がございまして、この所定疾患施設療養費の算定要件につきまして、検査の実施の明確化、算定期間の延長を行うとともに、対象疾患の見直しを検討してはどうかとしております。
 37ページ目、論点6でございます。かかりつけ医との連携を推進し、入所前後で継続的な薬物治療を提供する観点から、どのような対応が考えられるか。
 それから、入所中に服用している薬剤に変更があった場合、その変更の経緯・理由や変更後の状態に関する情報をかかりつけ医に共有することが重要と考えられるが、これを促したいというものでございます。
 38ページ目が、今ございますかかりつけ医の連携薬剤調整加算でございまして、下の算定要件等のロにありますように、1種類以上、薬剤が減少した場合に算定できるということで、ほかにも要件がございますけれども、最終的には1種類以上減少させた場合も要件に入っているということでございます。
 39ページ目が、この調整加算の算定状況でありますけれども、1種類以上減った人の割合は31%、3割ぐらいいらっしゃるのですけれども、このうち加算を算定した人の割合は6.9%となっているということで、全てを算定できているわけではないということでございます。
 40ページ目は、かかりつけ医との連携をお示しする資料でございます。
 診療報酬でも対応は行われているということを41ページ目、42ページ目、43ページ目でお示ししております。
 44ページ目に検討の方向性がございます。
 1つ目の■でございますけれども、入所時、そして対処時におけるかかりつけ医との連携を前提としつつ、この取組と、かかりつけ医と共同して減薬に至った場合を分けて評価することを検討してはどうか。あと2つ方向性を書かせていただいております。
 45ページ目は論点7でございます。これは事故報告について、標準化による情報蓄積と有効活用等に資する取組として、どのような対応が 考えられるかなどでございます。これは先ほどの特養の論点と同じでございまして、資料もこれまでの検証の調査で行いましたものと同様のところを引用しておりますので、論点も同じにさせていただいておりますので、説明は割愛させていただきます。
 それでは、資料10に行かせていただきまして、介護医療院・介護療養型医療施設の報酬・基準についてでございます。
 まず、介護医療院からでございます。
 3ページに論点1がございます。特に介護療養病床を有する診療所から介護医療院への移行を一層促進する観点から、どのような対応が考えられるかというものでございます。
 4ページ目でございますけれども、6月末時点の開設状況でございますが、515施設3万2000床余りでございます。
 5ページ目はその減少具合でございますけれども、診療所に関しては、病院と比較して移行が進んでいないと私どもは考えております。
 6ページ目は、左側が病院、右側が診療所ですけれども、病院・診療所別の移行予定をアンケートしたものでございます。右側の診療所と左側を比べていただきますと、例えば一番上でございます。未定、あるいは2023年度末までが設置期限でございますけれども、そのときも介護療養型医療施設であると回答していらっしゃる事業所の割合が高いということでございます。
 7ページ目は、移行すると仮定した場合の課題のアンケートでございますけれども、工事が必要ということが言われております。
 8ページ目に、介護医療院の基準といたしまして、浴室があるということでございまして、そのほか、一般浴槽のほか、特別浴槽を設けることというのが要件となっているということでございます。
 9ページ目は介護療養病床、医療療養病床でどのような浴槽の類型が設置されているかをお示しするものでございます。
 10ページ目は検討の方向性でございますけれども、一言で言うと要件を緩和してはどうかという内容でございまして、有床診療所から移行して介護医療院を開設する場合であって、入浴用リフトやリクライニングシャワーチェア等によって、身体の不自由な者が適切に入浴できる場合は、設置は求めないことを検討してはどうかというものでございます。
 11ページ目は論点2でございます。看取りへの対応を含めて、医療の必要な要介護者の長期療養施設としての機能、そして生活施設としての機能をより充実させる観点から、どのような方策が考えられるかでございます。
 12ページ目は報酬と算定要件でございまして、下線を引いておりますが、ターミナルケアを行うということがそもそも介護医療院の役割であるとされているところでございます。
 13ページ目でございますが、現時点でも死亡退所が非常に多いということがあります。
 14ページ目は、その取組をしていただいているところが大半であるということをお示ししておりまして、15ページ目はそのガイドラインでございます。
 16ページ目は看取りの状況でございますけれども、実績が多いということ。そして、17ページ目は介護医療院に入っていらっしゃる方の要介護度、重い方が多いこと。また、これは診療報酬の考え方でございますけれども、医療区分1、2、3と数が上がると、医療の必要性が高い方でございますが、医療区分1の中では、医療の必要性が低い方が多いということでございます。
 18ページ目は診療報酬の資料でございますけれども、入院料ごとの患者の在院期間別割合の分布でございまして、療養病棟は長い方が多いということをお示ししておりまして、19ページ目は、その方々がなぜ退院できないかということでございますけれども、19ページ目の右下にあるように、あるいは左側もそうでございますが、地域の中で看取りを行える介護施設が少ないというアンケート結果になっているところでございます。
 20ページ目、21ページ目は、介護医療院で理念を創設したかどうか。また、移行後、経営面でプラスになったり、入所者、家族が生活の場として感じてくれるようになったといったいい結果も出ているところでございます。
 22ページ目、1つ目の■は、介護医療院もそうでございますけれども、医療の療養病床における長期入院患者がよりよい環境で療養を続けていただくという観点から、受け入れた場合の評価を検討してはどうか。また、ガイドラインも取組を推進する観点から対応を検討してはどうかというものでございます。
 23ページ目、論点3でございまして、こちらは移行推進のためのいろいろな支援が行われているということでございまして、2つ目のポツにありますが、期限は今年度末となっております。さらにどのような支援が考えられるかという論点としております。
 24ページ目が転換の概要でございまして、様々な経過措置を設けておるということでございます。
 また、25ページ目には、その経過措置を活用しているという例をお示ししております。
 26ページ目に進めさせていただきまして、移行を決めた理由としては、それぞれの診療所あるいは病院では、「自院には介護医療院にふさわしい患者が多いと考えられた」というのが多いということでございます。
 27ページ目は、1日93単位でございますけれども、移行定着支援加算を高い割合で算定していただいているということでございます。
 28ページ目は、この介護医療院1人当たりの1か月の費用額は41.6万円でございます。介護療養が39万円ということでございますので、この移行定着支援加算分が乗っていると見てもいいのかもしれないと思っております。
 29ページ目は介護医療院への移行支援の例ということで、基準、報酬、基金、予算事業、計画などで支援をしているということでございます。
 30ページ目は検討の方向でございますが、円滑かつ早期の移行を促進する観点から、移行状況等を踏まえまして、先ほど基準や報酬というチャートがございましたけれども、これらを踏まえて検討を進めてはどうかというものでございます。
 31ページ目以降が介護療養型医療施設でございます。
 32ページ目に論点を示してございます。令和5年度末の廃止期限までに、確実に行われるよう、より早期の意思決定を促進するために、どのような方策が考えられるかということでございます。
 34ページ目は、先ほどの病院・診療所合計と同じようなグラフでございまして、未定であったり、介護療養型医療施設であり続けるという回答がまだあるということでございます。
 35ページ目は課題でございまして、工事が必要である。あるいは、経営の見通しが立たないというアンケート結果。
 36ページ目は、移行後はよい影響があったという回答もそれなりにあるということでございます。
 38ページ目は、基金で支援をしておるということ。
 39ページ目でございますけれども、自治体でも移行を把握する等の取組を進めていただいているということでございます。
 40ページ目、2つ目の■でございますが、円滑な移行等に向けて、より早期に意思決定を促すため、一定期間ごとに検討状況の報告を求め、報告の有無によりめり張りをつけた評価とすることを検討してはどうかとしております。
 41ページが論点5でございます。令和2年度診療報酬改定における医療療養病床に係る評価の見直しを踏まえて、介護保険の療養病床に対する評価について、どのように考えるかということでございます。
 44ページ目は前回改定の概要でございまして、特に変更はしてございませんが、45ページ目は令和2年度の診療報酬改定の概要でございまして、こちらでは100分の90だったものを100分の85という基本点数の見直しが行われたということでございます。
 48ページ目は検討の方向性でございます。この介護療養の評価につきまして、令和2年度の診療報酬改定で、先ほど申し上げたような見直しが行われたことを踏まえて、評価の見直しを検討してはどうかとするものでございます。
 御説明は以上でございます。
○田中分科会長 説明をありがとうございました。
 休憩を入れる予定ですが、大西委員が時間の都合がおありだそうなので、先に御発言ください。
○大西委員 ありがとうございます。
 私のほうからは2点についてお話をさせていただきたいと思います。
 資料7の居宅介護支援・介護予防支援の報酬・基準についての中で、3ページの論点1、逓減制についてでございます。
 我々全国市長会におきましては、以前から主任介護支援専門員をはじめとした専門職の人材確保や質の向上、処遇改善を図るために十分な支援策を取っていただきたいということを要望してきたところでございます。
 資料7の10ページから調査結果がいろいろと示されておりますけれども、これを見てみますと、ICTの活用や事務職員を配置することにより、業務の効率化やケアマネジャーの業務負担軽減、質の向上等の効果があるということがうかがえるところでございます。
 一方で、その資料を見てみますと、事務職員を1名以上配置している事業所が36.5%、携帯情報端末の利用、ICTの活用ということですが、それについては11.6%の事業所にとどまっているということでございます。
 したがいまして、事務職員の配置等により、ケアマネジメントの質の維持が担保され得る体制が整うということであれば、居宅介護支援費の逓減制の見直しは妥当であると考えております。しかし、そのためにはICTの活用や事務職員の配置等を一層推進して、ケアマネジャーの負担軽減、質の向上を図る必要がございますが、小規模な事業所においてなかなか体制整備が難しいという現状がございますので、その辺の導入経費等の支援策等につきまして検討していただきたいと要望します。
 2点目でございます。同じく資料7の45ページの介護予防支援について、必要な介護予防支援におけるケアマネジメント業務について、外部委託等の環境整備をどうするのかということでございます。
 46ページの介護保険部会のまとめにもございますように、地域包括支援センターの業務の中で業務負担が大きいとされております介護予防ケアマネジメント業務につきましては、外部委託は認めつつ、引き続き地域包括支援センターが当該業務をきちんと担っていくことが必要であるとされておるところでございます。
 しかしながら、市長会に寄せられる自治体からの要望といたしましては、外部委託を行いたくても、介護予防支援のケアプランにつきましては、業務内容が煩雑であるにもかかわらず報酬単価が低いということもございまして、ケアマネジメント業務の委託先の確保に非常に苦慮しておるということでございます。地域包括支援センターの負担がその分増大しておるという声が圧倒的な状況でございます。本市におきましても同様な状況でございます。
 このようなことから、まずは介護予防支援に係る報酬単価につきまして、業務の委託が推進されるように、増額改定を行う必要があるものと考えております。
 それと併せて、介護予防ケアマネジメント業務におきましても、業務の簡素化やICTの活用等を盛り込んだ業務の効率化により負担感を軽減しながら、外部委託を行いやすい環境の整備を進める支援策を具体的に検討して、講じていただきたい。これも要望いたしたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ここで5分間だけ休憩を取ってリフレッシュいたします。
 
(休  憩)
 
○田中分科会長 それでは、再開いたします。
 なお、本日は議題が多いため、時間までに全員発言できないおそれがあるかもしれません。そのときは次回の冒頭に今回発言できなかった人のための時間をつくりますので、ご安心ください。
 あまりの多さなので、あいうえお順でいきます。安藤委員、お願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。
 手短に。といっても結構いっぱいあります。
 まず、居宅介護支援について意見を申し上げさせていただきます。
 資料7の31ページの検討の方向(案)につきまして、インフォーマルサービスも含め、多様な生活支援が包括的に提供されるようなケアプランを作成することの重要性につきましては十分に理解いたします。しかし、そのためには公的な医療・介護サービス以外の様々なサービスや地域資源に精通しているとともに、それらのサービスの中から、利用者の生活の質の向上のために必要なサービスを的確に選択できなければなりません。
 そのため、そうした取組を評価していく方向性であれば、現行どのような形でインフォーマルサービスとの連携を図っているのか、まずは実態をお示しいただき、一定の基準やマニュアルの作成、研修の実施など、一定の質を確保するための方策を併せて検討すべきであると考えます。
 そして、資料の12ページに、11.6%の方しかスマホやタブレットを利用していないということがあります。そういった方がこれを実際にできるのかどうかということも非常に不安です。ただし、これをできるようなインフラをつくればできるようになると思いますので、そこは検討の価値はあると思います。
 例えば、各地域の自治体がこういった情報のインフラを整備して、それをケアマネが活用できるようなプラットフォームをつくるということであれば、それはできるようになるのかなと思います。
 次に、介護老人保健施設について意見を申し上げます。
 基本サービス費類型について、超強化型や加算型の割合が増加してきていることは望ましいことであると考えますが、今後もこうした類型におけるサービスの質をより一層向上させていく必要があると考えます。資料9の3ページに、在宅復帰、在宅療養支援等指標が示されておりますが、サービスの質を評価する上で特に重要と考えられるマル1の在宅復帰率やマル2のベッド回転率について、個々の事業所の分布を経年で見た場合にどのようになっているのでしょうか。その状況によっては、さらなる質の向上を図る観点から、基準の引上げや著しく成績の悪い事業所をマイナス点にするなどの見直しを検討するべきだと思います。
 また、8ページにつきまして、リハビリテーションにおける医師からの詳細な指示の重要性が明らかに見てとれますので、医師の指示に関する事項を明確化していただきたいと思います。
 17ページの検討の方向案にも賛成ですので、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。
 最後に所定疾患施設療養費について、適切な医療を提供する観点から、(II)と同様に(I)についても診断に至った根拠を診療記録に記載するよう見直すべきであると考えます。
 また、算定期間の延長を検討するに当たっては、35ページのデータにおいて多くのケースで現行の算定日数以内に治癒をしていることを踏まえ、8日以降については単位数を逓減させるなどの対応も検討していただきたいと思います。
 続きまして、介護療養型医療施設について意見を申し上げさせていただきます。
 資料10の40ページの検討の方向案のとおり、一定期間ごとに検討状況の報告を求め、めり張りをつけた評価とすることには賛成でございます。その際には、移行に向けて具体的にどのような検討を行っているかを評価することが必要であると思いますので、ただ単に報告の有無だけではなく、その内容も踏まえた評価とするべきであると思います。
 また、48ページの検討の方向(案)について、介護療養病床の評価は医療の療養病棟、入院基本料の経過措置1に合わせた見直しとすべきであると考えます。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 手を挙げるのは大変ですから、順番にあいうえお順にいきます。パスする方はパスと言ってください。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 居宅介護支援です。
 まず、16ページの論点1で、携帯情報端末の活用と事務職員の配置等が出てまいります。携帯情報端末の活用については、負担の軽減につながっているという意見がある一方で、後で入力するのではなくその場で入力するとなるとケアマネの傾聴という仕事との相性がいまいちよくないということや、個人情報が入った端末を持ち歩くことに対する懸念、あと、人によっては携帯情報端末の活用が負担軽減にならない場合があるということの指摘を受けています。
 事務職員に関しては、事務職員自身の業務範囲を明確にしないと、何でもかんでも事務職員に頼むという形になって、事務職員の負担過多となってしまうという問題がありますので、このような課題も解決しつつ、逓減制の在り方の検討をしていくことが必要だと思います。
 次に、論点2の質の高いケアマネジメントですが、今回、特定事業所集中減算については、検討の方向性に示されておりませんけれども、減算制度によって結果的に良質なマネジメントをする事業所が選択できなくなる場合があるという問題もありますし、反対に囲い込みをして、グループ全体で収入が上がればいいと割り切って、減算を覚悟の上でケアマネジメントを多く採ってくるという事業所もあるということを聞いていますので、公正中立性の確保にはあまり寄与できていないという面があると思います。経営実調では今回、ケアマネ事業所はマイナス1.3%と大きく収支差が減少しているという問題がありますので、公正中立性の確保という観点から懸念が大きいです。ケアマネ事業所が単体で経営可能な報酬水準にするということを考えていく必要があると思います。
 論点3の通院同行については、認知症や独居の人が増えていく中でこういうケースが多くなっていて、通院同行に丸一日かかるようなケースもあると聞いています。医療機関の情報連携という役割を果たすという意味でも、報酬上の対応は検討すべきだと思います。
 論点4の緊急的な対応に係る実費徴収ですけれども、実費徴収が可能である旨を明確化することがよい面がある反面、ケアマネ業務とそれ以外との線引きが微妙なケースが考えられることや、生活困窮者には実費徴収ができなかったり控えざるを得なかったりして、結局のところ無償の場合が続くということがあります。あと、ケアマネが既に何でも屋状態で、明確化することによって緊急時対応にとどまらなくなって、より業務が忙しくなるという懸念も聞かれますので、そういった点も十分留意していただきたいと思います。
 論点5の利用者の事情等でサービス利用につながらなかった場合の評価については、入院やお亡くなりになった場合が想定されますけれども、何らかの報酬上の対応はやはり必要ではないかと思います。
 あわせて、これと似た話なのですけれども、ターミナルケアマネジメント加算も、在宅で死亡したことが算定要件になっていますが、最後に家族が不安になって救急車を呼ぶと、それまでのケアマネジメントが評価されないということになってしまうのは残念な話であり、併せて検討していく必要があると思います。
 論点6の介護予防支援におけるケアマネジメント業務については、居宅介護支援事業所が担当することは考えられますけれども、そのためには報酬水準のバランスを考えないと現実的になりません。あと、特定事業所加算(I)を取得しているような居宅介護支援事業所だと、要介護3~要介護5である者の割合が4割以上という要件が引っかかって、なかなか要支援者を受け入れられないという問題もありますし、報酬水準や要件などを併せて検討していく必要があると思います。
 介護老人福祉施設ですが、15ページの論点1の人員配置基準の緩和の部分です。緩和によるサービスの質の低下が懸念されますが、もしサービスの質の低下があるのであれば、報酬に差があって当然ということになるのだと思います。そういうサービスの質の低下を招かないことが前提条件となると思います。
 ここに「入所者の処遇に支障がない場合等」ということが書いてありますけれども、これがどういう場合なのか、適切に運用されることができるようにしないといけないと思います。
 論点2の個室ユニット型施設の1ユニットの定員を増やすことについては、明らかにサービスの低下になりますし、実際には10人を前提とした施設に入所させるということはないのだと思います。要件緩和により職員の負担増となるのは確実ですし、人員配置の引上げも併せて検討する必要があると思います。
 2ユニット単位の勤務についても、ユニットケアの姿が若干変わってくるということもありますし、職員の負担増ということにも十分留意していただきたいと思います。
 論点5の高齢者虐待防止の推進については、この考え方に異論はありませんけれども、一番効果的なのは、職員の勤務負担を軽減して、気持ちにゆとりを持たせる体制を確保することだと思いますので、その点は強調しておきたいと思います。
 介護医療院の資料に飛びます。
 論点1で、有床診療所からの移行する場合について、個別浴槽を設けることを必要としないという提案ですけれども、むしろ入浴設備をつくるための助成をしていくことが、移行の促進につながるのではないかと考えますので、そのような方法も併せて検討していただきたいと思います。
 最後、今回の論点とは合わないのかもしれないですけれども、介護のことをもっと世の中で理解してもらうために、職員の地位向上というのはよく言われてきましたけれども、それだけではなくて、介護保険の在り方や財源ということも含めて、公共CMなどでももっとアピールしていただきたいと思います。
 余計な時間を取りまして、すみません。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 石田委員、どうぞ。
○石田委員 ありがとうございます。
 私のほうからは、資料8の介護老人福祉施設のところから、4つほど意見を申し上げたいと思います。
 先ほどの伊藤委員の御意見と重複するところもあるのですが、論点1の人材の活用と人員配置基準のところで、兼務を認めていくということについてです。先ほどもありましたけれども、ここで「入所者の処遇に支障がない場合において」という注釈がついているわけです。この文言と、論点2につきまして、個室ユニット型施設の設備、勤務体制でユニットの定員を10人以下から15人以内にするという緩和の点があります。
 入所者の処遇というところもさることながら、こうした規制の緩和によってスタッフの業務の荷重が促進されてしまうことを一番懸念いたします。事業所においては、ICTの活用であったり、そのほかの工夫によって何とかそこを柔軟な人員体制で進めていきたいという意向があることは理解できますが、ここで業務の過重化を招いてしまうことによって、スタッフが疲弊しないかどうかというところはきちんと厳重にチェックしておく必要があるだろうと思います。
 もう一つ、論点5で先ほど出ました高齢者虐待の件です。障害のところではきちんとそういう規定があるということなので、今回改めてここにこれが挙がったというのは非常に重要だとは思います。体制を強化していただいて、委員会を設置したり、研修を実施していくということも必要であると思いますし、同様の規定をそのほかの居宅サービス等にも執行していく。これも重要なことだと思いますが、虐待については、一番根本的なところで、虐待がなぜ起こったかという原因や背景をきちんと調査した上での虐待防止という取組でないと、重要な点が見過ごされてしまう懸念があります。防止するだけではなく、虐待事件が発生してしまった理由、その根本を考えていくという視点をぜひ重視していただきたいと思います。
 最後、論点4で、リスクマネジメントによる安全体制の強化についてです。資料9の老健のほうでも論点7で同じことが挙がっていますので、これは共通するのですけれども、ここで示された検討の方向が2つあって、まずは国において報告様式を作成して、周知することを検討してはどうかというのがあります。これに関しては、国が報告様式を全部統一して、全国一律にするというよりは、むしろ国においては必ずこの点だけは押さえておくべきという必須項目などはきちんと統一して提示していきつつも、そのほかの細かなところで、地域の実情によっていろいろ状況などが変わってくることもあるかと思いますので、基本的・共通的な部分は国で決めるとしても、そのほかの状況等は各地域の実情に合わせて、質問や項目は決めていくというような体制にしたほうがいいのではないかというのが1点です。
 2つ目に、もう一つ最後に安全対策をより一層強化していくべきと書いてあります。これは非常に重要とは思いますけれども、この強化の方向性の中で、介護施設等では自立支援を促進するために離床を積極的に進めているところもあります。利用者自身で歩く・食べるといったケースが増えれば、それだけ転倒や誤嚥などによる事故のリスクが高くなってくるということが当然にあります。
 この安全対策の強化ということがあまりに強調されますと、逆に現場の職員の人たちが委縮してしまうことになりかねません。事業所は介護事故が多い事業所であるというようなマイナスのレッテルがつけられてしまうことをおそれると思います。そのためにも、ここは十分に自立支援などの取組を積極的に行ったがゆえに、事故も発生してしまったというケースなど、状況を的確に判断していくことが重要なのではないかと思います。現場が事故の再発防止に前向きに取り組むことができるような体制づくりを目指して検討していく必要があるのではないかと考えております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 次に、今井委員、お願いします。
○今井委員 ありがとうございます。
 本日はパスとさせていただきます。
○田中分科会長 井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
 資料7につきまして、まず16ページの論点1、逓減制についてでございます。
 この逓減制自体は、数をこなすことによって質が落ちるのではないかということで設定されている制度だと思いますので、無論、ICTの活用にとって質が担保できるということであれば考えられますけれども、ICTの活用でその質を担保するには相当な工夫が必要であり、本格的なAIの活用であるとかが必要だと思いますので、その辺を踏まえて御検討いただければと思います。
 44ページ目の論点5、サービス利用につながらない場合の評価でございますけれども、つながらなかった理由をもう少し明らかにする必要があるのではないかと思います。もしかすると、利用者負担がないということがその理由の一つになっているのかもしれませんので、その辺りも含めて理由を明らかにすべきだと思います。
 続きまして、資料9の老健でございます。
 12ページ目の論点1の検討の方向に示されている認知症の方の受入れの促進の観点は非常に重要な考え方だと思います。一方で、老健の目的でございます在宅復帰、在宅療養支援にどのようにつながっていくのかというところの意義を明らかにした上で、御検討いただきたいと思います。
 17ページ目の検討の方向につきましては、非常に重要な観点でございますのでぜひ進めていただきたいと思いますし、例えば通所介護におけるADL維持等加算などを参考にしながら検討していくのがいいのではないかと思います。
 続きまして、資料10の介護医療院でございます。
 30ページ目の論点3の移行支援につきましては、現状でもかなり手厚い支援がなされていると考えておりまして、現行の期限を厳守しながら移行を支援していくというのは、さらにどのような策があるのかなかなか思い浮かばないのですけれども、とにかくこの期限を守りながら移行を進めていくことにつきまして、支援だけでいいのか、あるいはもう少し強い指導というものが必要になってくるのではないかという感じもいたしますので、その辺りを踏まえて御検討いただければと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 ありがとうございます。
 それでは、資料に沿って申し上げたいと思います。
 まず、資料7の3ページに逓減制のイメージ図が出ておりますけれども、これはケアプランの質を確保するために逓減制がなされたわけでございますので、4ページの赤括弧にございますように、居宅介護支援費(I)が99.99%、これはまさに政策誘導の結果でございますので、万が一これを見直すのであれば、大儀が必要であると考えます。したがいまして、今回も実調でマイナス1.6%という大変厳しい収支差が出ている居宅介護支援ですけれども、もし経営状況が厳しいがゆえに逓減制を緩和するというのは本末転倒でありますので、ケアプランの質の確保あるいは職員の働き方改革に逆行することになりますから、その辺りはぜひ慎重に検討していただきたいと思っています。
 続きまして、16ページの論点につきまして、仮に事務職員を新たに配置するのであれば、さらに経営状況が厳しくなると思いますし、ICTの導入に当たっては、特養で導入されているように、実際にどれぐらいの業務負担の軽減になるのか、あるいはどれぐらいの時間数が削減されるのかということを十分に慎重に検討した上で、その結果を踏まえてお願いしたいと思っております。
 続きまして、22ページでございます。ここに特定事業所加算の一覧がございます。特定事業所加算は先ほど事務局の説明がありましたように、内容が異なるものでございますので、これはまた別途別の評価で見直すべきであると思っております。
 あわせまして、特定事業所加算の(I)、(II)、(III)でありますが、まず特定事業所加算の算定をしている居宅介護支援事業所は、いわゆる困難なニーズに応える、あるいは医療ニーズの高い困難事例等に対応するためにこの加算が設定されており、そして他の居宅介護支援事業所にアドバイスをするという役割が付加されております。現行、この特定処遇改善加算を算定している事業所が地域で見える化されていないがために、例えば隣の事業所が居宅介護支援事業所を算定しているかどうかも分からない状況であって、これをぜひ見える化して、地域で困難事例を支えるという体制を構築することが重要であると思います。
 したがいまして、そのような役割にのっとって特定事業所加算(I)、(II)、(III)はそれぞれの役割が期待されて設定されておりますので、これについては現行どおりで、今のところ課題はないのではないかと思っております。
 続きまして、31ページでございます。こちらにつきまして、特定事業所加算の要件の見直しについては慎重に検討していただきたいということと、適切なケアマネジメント手法は、内容的には医療の視点が盛り込まれておりますので、ぜひこういったことを積極的に活用していただきたいと思っております。
 続きまして、37ページの論点3でございます。これは医師とケアマネジャーの顔の見える連携につながるので、非常に期待されるところでございますが、一方で、既に連携が取れているケースもありますので、必要性をぜひ検討して、導入するのであれば、要件の整理を考える必要があると思っております。
 続きまして、39ページにケアマネジメント業務以外で云々がありますけれども、中にはごみ屋敷の整理や家探し、引っ越しの手伝いという到底ケアマネジャーの業務とは思えないものが散見されるわけでありますし、そもそもこういったものについて、自費サービスをどう考えていくのか。保険外サービスというのは、公的な保険方式、特に共助の仕組みの中で介護保険が担う役割は十分検討する必要があるので、実費徴収についてはぜひ慎重に検討していただきたいと思っております。
 したがいまして、41ページの論点につきましては、ケアマネジャーは専門性の高い職種ですから、ケアマネジャーの専門性に特化した業務に集中していただく。人材が余っている状況ではないので、その辺りは十分に検討していただきたいと思っております。
 続きまして、43ページの給付につながらなかったケースにつきましては、1件でもあればこういう状況が出ていますけれども、実際にトータルの頻度としてどれぐらいあるのかどうかは、データを踏まえた上で慎重に検討していく必要があると思います。
 実際の延べ件数の問題ですけれども、それが占める割合が非常に重要なので、そういったデータを踏まえて、改めて検討するべきだと思っております。
 47ページの地域包括支援センターですけれども、これは恐らく改定の財源等の見合いになるかと思いますが、今の431単位、居宅予防支援を委託するときに非常に影響する金額になりますので、これはまた事務局のほうで追って検討していただきたいと思っております。
 総括的に、居宅介護支援につきましては、さらに平均収支差が今回実調でマイナス1.6%と悪化しておりますので、これは何はさておき基本報酬の設定がいかがなものかということと感じますから、そちらが対応するための最優先事項ではないかと思っております。
 続きまして、資料8の23ページでございます。ユニットケアの方向性です。検討の方向についてはおおむね賛成でございます。ただし、1ユニット15名以内に緩和することに当たっては賛成ですけれども、ぜひユニットケアの生命線である職員の固定配置を併せて担保していただきたいと思っております。
 ユニットリーダーも、業務を鑑みますと、当然常勤でないと全うできないのですけれども、この辺りもやむを得ない場合は致し方ないと思っているところでございますし、ユニット型個室的多床室の新たな設置の禁止についても、質の向上に向けて取り組んでいただきたいと思っております。
 続きまして、34ページでございます。こちらに論点がありますけれども、まず、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスにおけるガイドライン」に基づく取組の促進については賛成ですけれども、これは看取り期になる前から、例えば意思表示ができなくなることが想定される本人については、それ以前に早くいろいろと取組をしようということなので、決して看取りに特化したガイドラインではないので、ぜひこれは看取り介護加算の算定要件ではなく、施設の運営基準として盛り込んでいただきたいと要望いたしたいと思います。
 続きまして、46ページでございます。これは老健とほかの施設の共通でございますけれども、様式統一には賛成でございます。あわせて、提出する判断基準がまちまちでございますので、例えば医療的ケアを要するというのを具体的にお示しして、提出基準を統一していただきたいと思います。
 さらに、今、市町村のインセンティブ交付金には盛り込まれておりますが、ぜひ全国でたくさんの事故報告が蓄積されておりますので、これが今、活用されていないのが実態だと思いますから、これを分析するなどして、ぜひ現場にフィードバックをしていただきたいと考えております。ぜひその辺りはよろしくお願いしたいと思っております。
 続きまして、老健の資料9でございます。
 3ページにマトリックスがありますけれども、これは前回の改定で老健をあるべき姿に導くためになされた改定でございます。したがいまして、マル1からマル7の項目は全て従前の強化型のグループ、加算型のグループ、その他従来型のグループという順番で、よりよく取り組んでいた項目でございます。マル8からマル10については、そのグループによって差はなかったのですけれども、いわゆるクリームスキミングの防止、重度者をちゃんと見てくださいということで入っておりますので、これは言い換えれば、老健の施設機能評価でございますから、ここに盛り込む項目は明らかに老健の機能が向上すること。あるいはケアの質が向上する項目を盛り込むということを前提にしていただきたいと思います。
 右下に充実したリハがありますが、週3回個別リハとなっておりますけれども、前回申しましたが、認知症の方においては集団的リハも一定の効果を得ておりますので、その辺りは今後検討課題かと思っております。
 12ページの検討の方向で、訪問リハの比重を高くすることは賛成でございます。
 それから、認知症の人の対応ですけれども、認知症の重度の方が多いことイコール施設のケアの質が高いということでは全くございません。特に認知症自立度はBPSDに着目しております。認知症ケアの質の高いところにおいては、未然にBPSDを防いで、非常に穏やかな利用者の状況にちゃんと誘導を図っているということになりますから、その辺りは認知症の改善度合いは大事ですけれども、認知症自立度の重度の方が多いということは、決して施設の機能の指標にはならないと思っております。
 一番下の要介護4、5と喀痰吸引、経管栄養です。要介護4、5の割合と喀痰吸引、経管栄養はいずれも医療的ケアなので、ここは2つの要素がございますので、この3つを全て合わせるというのはなかなか評価がしづらいと思っております。
 続きまして、17ページ、検討の方向です。当然Barthel Index等いろいろ見ていくことは重要だと思いますが、急性期リハは早くから取り組んで予後を改善する。回復期リハは当然回復すべきもの。生活期リハは維持して改善をして、何が大事かというと、活動参加です。ですから、そういったところを評価していくことが重要になりますので、その辺りを含めて、ぜひ評価について今後検討していただきたい。実際に「要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制に関する検討会」でも、生活期リハのアウトカムについては、現時点ではまだ見送られておりまして、今後検討していこうという方向になっております。
 続きまして、24ページでございますが、中重度、看取りの対応ということで、こちらも先ほどと同様で、ガイドラインについては運営基準に盛り込んでいただきたいと思います。
 看取りに関しては、開始の定義がまだディスカッションされていない部分なので、医師の判断によりますが、看取り開始の定義は今後検討していくことになろうかと思っております。
 34ページに、所定疾患施設療養費(II)で検査を実施していないというのがありますが、当然適切な検査をしない限り肺炎の診断等はつかないわけでございますので、これは(I)についても(II)についても、今後検査を義務化ということには賛成でございますし、36ページ、所定疾患施設療養費の肺炎等は7日間では収まらないケースがありますので、実態に見合った算定期間にしていただきたい。
 それから、前回も申し上げましたが、所定疾患施設療養費(II)において、レセプト用紙、いわゆる請求明細書に何の検査をしたかまでを詳細に書くことが規定されておりますが、これは診療録に書いてあることお二重写しすることになりますので、二度手間でございますから、ぜひこういったことは実施指導等の対応で検討していただきたいと思っております。
 44ページのかかりつけ医との連携ですけれども、ポリファーマシーというのは薬が多いことではなくて、それによって有害事象が出ているということでございます。これについて、過去の老健の研究事業等では、老健に入所すると3か月ぐらいで薬が減っているというデータが数多く報告がありますので、現時点において、老健においてポリファーマシーというのは課題であるのかどうか。かかりつけ医との連携は十分取っていただいているかと思いますが、老健においてポリファーマシーというのが課題かどうかというのは、十分引き続いて検討していただきたいと思います。
 最後、資料10について簡単に申し上げたいと思います。
 10ページの検討の方向、有床診からの介護医療院への移行促進は、前回要望させていただきまして、賛成でございます。
 特に最近、個浴で、以前も申し上げましたが要介護5の方でも1対1の職員、マンツーマン入浴ケアにより、適度な大きさのヒノキ等の木製の浴槽で、ちゃんと介護技術を身につければ十分個浴で対応できますので、そういったことを進めていくことも重要であります。ですから、個浴で対応できれば機械浴は不要ということになります。
 そして、そういった個浴のケアがかなり広まっておりますので、研修を十分広げていくことが重要であって、そういう入浴ケアも今後期待がされるところでございます。
 最後に22ページでございます。長期療養と生活施設の機能の充実でございますが、療養病床から長期療養に移られたときの評価というのは慎重に検討すべきではないかと。特になぜ医療療養かというと医療ニーズがあるわけで、それなりのニーズがあってそこにいらっしゃることがある。それから、本人の意志・意向も十分に踏まえないといけないということになりますから、そこはお一人お一人の状態を考えて検討していただきたい。
 最後に、ガイドラインは同様でございまして、運営基準のほうで盛り込んでいただければと思います。
 一番最後に介護医療院への移行に関しては、都道府県では、介護療養病床に一件一件当たって相談するということになっていますから、その辺りで支援を個別に対応していくべきものと思っております。
 長くなりましてすみません。ありがとうございます。
○田中分科会長 包括的にありがとうございました。
 荻野委員、どうぞ。
○荻野委員 私からは特にございません。ありがとうございます。
○田中分科会長 鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 ありがとうございます。
 私はまず、居宅介護支援・介護予防支援について言います。
 論点2では、居宅介護支援事業所の特定事業所加算が取り上げられていますが、これまでの議論でもよく取り上げられている質の高いケアマネジメントという内容がよく分かりません。家族の会では、利用者や介護者にとって分かりやすい、細かいことでも納得できるよう説明してくれる人がよいケアマネジャーの上位です。特に閉じ籠もりがちになる介護生活の中で、ケアマネジャーの定期的な訪問が社会とのつながりになっていることも数多くあります。質の高いケアマネジメントは論点にはなっていますが、本人・家族が望むケアマネジャーは、制度をよく理解し、素人に分かるよう説明できる人です。人材育成の際にそこも考慮していただきたいと思います。
 次に論点2です。ケアマネジメント以外で必要に迫られやむを得ず行ったことがあるという業務外の調査のところですけれども、介護や環境支援にはつながらない相談が40%となっていますが、利用者や介護者への提供やカウンセリングな対話も含まれているのではないか。それを業務外とケアマネジャーが捉え回答されているのではないかと危惧をいたします。それは業務ではないかと思っております。
 論点5、契約に至らない相談業務に関してですが、家族の会では一定の対価とすることを要望してきました。要介護認定後にケアマネジャーの紹介を受け、相談し、今回はサービスの利用はせずとも、もう少し経過を見ようと思ったり、状態が悪くなり入院となったりで、契約までには至らない場合があります。ケアマネに相談しやすい環境、居宅介護事業所の経営安定のため、介護報酬外での検討を希望いたします。
 論点6ですけれども、予防給付が地域包括支援センターのケアマネジャーで、介護給付が居宅介護支援事業所のケアマネジャーと分かれていることは、私たち利用者側、本人・家族にとってはとても不都合なことです。状況を知ってもらい、誰かに支えてもらわないといけない状況となった思いを共有した予防給付のケアマネジャーから離れ、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに情報が提供されていても、文面だけでは理解していただけないし、話さないと分からない点もあります。人間関係も新たにつくっていかないといけないです。予防給付の件数や報酬など、受託しやすい環境の整備を望みます。
 先ほど申し上げましたが、本人・家族は予防給付から介護給付まで同じケアマネジャーで継続した中であることは大変ありがたいし、安心であります。居宅介護支援事業所が予防給付を受託しやすく、また、地域包括支援センターからは予防給付事業を外すことを望みます。ケアマネジャーがころころと替わることは、本人・家族にとっては大変しんどいことです。
 あと、今回論点となっている居宅の逓減制ですが、ケアマネジャーが1人当たりの担当件数が40件、60件を超えた場合、介護報酬は減ることになっています。逓減する仕組みを導入するには理由があったと思います。先ほど江澤委員がおっしゃっていましたけれども、その理由を再度、国のほうから説明を伺いたいと思いますのと、提言を導入したことによる効果あるいは課題は何だったのか、既に御説明があったかもしれませんけれども、改めてお教え願いたいと思います。
 最後に居宅のところで、ケアマネジメントのICT化が進み、ケアマネジャーがモニターと対話することが増え、利用者や介護者とのコミュニケーションが減ることを危惧することを申し上げておきたいと思います。利用者や家族が置き去りにされたICT化とならないよう、コロナ感染予防が必要ではありますが、人と人が触れ合うことでの肌感覚も備えたICT化であってほしいものです。
 また、制度がここまで複雑になり、地域包括支援センターの担当者やケアマネジャーにとって、コロナ前以上に利用者や介護者に説明する時間が必要になってくると思います。居宅のケアマネジャーもそうです。介護報酬の引上げを検討することがとても重要だと思います。
 また、ケアマネジメントに利用者負担を導入する提案ですけれども、これは以前から申し上げていたように反対です。多くの利用者は、介護保険料を払っていることは知っていても、具体的な利用方法は知りません。サービスの入り口であるケアマネジメントに利用料が必要というだけで、サービスの利用を諦める人が増えることが懸念されます。新型コロナウイルスの影響で利用控えが多いと言われながらも、その実態はまだ十分には報告されていません。サービスへのアクセスをさらに遠くする利用者負担の導入は、改めていただきたいと強く申し上げます。
 次に、ユニット型特養の人員増についてですが、10名を15名に増やすことは反対です。資料として利用者増で人の配置も手厚くすることによっての結果が示されておりますが、一方で、経営を圧迫しと書いてあります。ということは、継続は難しいということになります。データとしては大変偏ったもののように思います。それをもって人振りができるので利用者の人数を増やすというのはどうかと思います。認知症の人は、多くの情報となる狭い空間で多人数の人がいることは大変苦手です。
 最後に老健のところですけれども、かかりつけ医との連携の強化を望みます。今回示された現状にはありませんけれども、在宅で服用内服薬が入所で飲めなくなり、そのことで状態が悪化したとの話を介護者から聞くことは多いです。家族は自身の体調不調や重度介護で負担増となり、在宅限界で老健入所を考えますが、老健で処方できる内服薬の変更で状態に変化が起き、在宅復帰時に苦労した話や、入所させた自分を責めている家族の姿があります。そのことを聞いたほかの家族も入所をちゅうちょする場合もあります。かかりつけ医と老健の医師との間での連携が強化された中での内服薬変更などとし、家族や本人にきちんと説明をしていただくよう、報酬の中での検討をお願いいたします。
 また、特別な薬で状態の安定が図られているとのかかりつけ医と老健医師との間の話合いで決定をした場合には、何らかの対応がされることを望みます。
 最後に、老健の入所の認知症の人に受入促進は大いに進めていただきたいことです。指標に認知症割合の追加をお願いしたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 お尋ねの件についての回答は、次回の冒頭にお願いします。
○鎌田委員 分かりました。ありがとうございます。
○田中分科会長 河本委員、お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
 まず私からは、資料8の特養の関係でございますけれども、論点2の個室ユニット型施設の関係でございます。これはケアの質を落とさないということがもちろん大前提ではございますけれども、そういう前提の下で、1ユニットの定員の緩和等々については賛成でございます。
 論点3の中重度者や看取りへの対応の充実というところでございますけれども、日常生活の継続支援加算、取得状況や満たしている要件等々を見せていただきますと、それを踏まえると要件の簡素化と基準の引上げを検討すべきと思います。
 資料9の老健の関係でございますけれども、論点1の介護老人保健施設の在宅復帰等々でございますが、在宅復帰、在宅療養支援等の評価指標の見直しについては、記載されている検討の方向性の案に賛成でございます。
 資料10の介護医療院・介護療養型医療施設の関係でございますけれども、論点3の介護医療院への移行支援でございます。マル2の移行定着支援加算は来年3月までという期限になっておりますけれども、延長すべきではないと考えております。
 そもそもサービス提供以外の部分について、介護報酬の加算という形で評価するということは利用者負担にも影響しているわけで、それはそれで問題だと考えます。早期の転換を促す施策は必要だと思いますけれども、利用支援策は介護報酬以外の形で検討すべきだと考えるところでございます。
 論点4の早期の意思決定の促進でございますけれども、これも令和5年度末の介護療養型医療施設の廃止期限が決まっている以上、早期の意思決定を促すために検討状況を報告すること、それから報告しなければ減算するといったことを介護療養型医療施設の基本報酬の要件に加えるべきであると考えております。
 最後、論点5ですけれども、介護療養病床の評価の見直しですが、医療療養病床に対する評価の見直しを踏まえて、100分の95を100分の85にするといった見直しを行うべきだと考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 小泉委員、お願いします。
○小泉委員 ありがとうございます。
 居宅介護支援と介護老人福祉施設について意見を述べさせていただきます。
 まず、居宅介護支援の論点1で、逓減制についてでございますが、現状で99.99%が40件以内となっておりますので、一定の要件を付して逓減条件の緩和を行うべきと考えます。
 論点3、論点4でございますけれども、通院時の情報連携、緊急的な対応についてですが、いずれも突発的な事象であり、これらを加算や実費徴収とすることについての配慮はありがたく感じますけれども、このような緊急的なことは必然的に発生するものでもあり、現状の老福に対して、基本報酬で対応していただくべきと考えます。業務範囲を広げてしまう結果となるのではないかと心配をしておるところでございます。
 論点5でございますが、サービスの利用前相談についてです。利用者の事情によりサービス利用につながらなかったようなケースについては、評価の方法もいろいろと考えられますが、報酬体系の簡素化も配慮いただき、基本報酬で評価すべきと考えます。
 介護老人福祉施設についてでございますが、論点1、人材活用についてです。入所者の処遇に支障がない場合において、3件の兼務について例示されておりますけれども、賛成でございます。ただ、特養と併設する小規模多機能型居宅介護における兼務については、広域型特養のみではなく、老人ホーム等も含めて兼務を御考慮いただきたいと思っております。
 サテライトにおける栄養士の配置基準も、同様に本体施設との兼務が可能とすべきと考えます。
 次に論点2、個室ユニット型施設の整備、勤務体制でございますけれども、ユニットリーダーの件は一時的ということで、実施すべきと考えます。ユニット型個室的多床室については、今後の施設整備は禁止でよいと考えます。
 論点3でございますが、中重度や看取りの方への対応の充実ということで、ACPへのソーシャルワーカーの関与は賛成です。特に現在看取り介護加算については、施設入所の際に指針の説明や同意を得ることとなっていますが、ACPを考慮すれば施設入所前の利用者の環境や推定される意志等を把握する視点があってもよいと考えます。
 このような取組を促す観点から、施設の生活相談員等のソーシャルワーカーが入所予定の利用者の生活背景、地域住民や社会資源との関係の中から情報収集をすることや、関係者との看取りに当たっての意思決定、支援に参画し、看取り介護につなげる取組を評価すべきと考えます。
 日常生活継続支援加算につきましては、特養において濃厚な医療は必要なくとも、様々な疾病や複雑な状態像の方に対して、生活支援の目線で介護福祉士が担っていくという重要な意義のある加算でございます。質の向上と量の確保にはまだ時間がかかると思われますので、闇雲に要件を見直すよりも、現行のまま維持をして、定着を図るべきと考えます。
 論点4でございますが、介護保険施設のリスクマネジメントということで、事故報告書については市町村により様式が異なります。報告の基準にも差がありますので、統一された様式と報告に関する基準を設定することは合理化にもなると考えます。
 老健事業でも検討されているようですので、事故報告書は様式を厚生労働省で作成いただき、メールにて提出すべきと考えます。提出されたファイルは集計しやすいもので作成し、市町村で分析等が可能となるような様式とすべきと考えます。また、施設でも分析ができるようなファイルがありがたいと感じております。
 施設での取組は進んでいるところでございますが、濃淡はあるようにも思われます。実際に安全対策担当職員の配置は54.1%となっており、対策を恒常的なものとする上でも、基準上、位置づけを明確にし、責任者の配置と研修や事故報告等の一連の取組に対して、報酬上も評価すべきと考えます。
 次に論点5でございますけれども、高齢者の虐待防止ということで、53ページの検討の方向に記載されている内容で規定を設けるべきと考えます。
 なお、身体拘束防止のための委員会や、それぞれの施設・事業所で基準上行うべきとされている会議体とは同一のタイミングで実施できるようにすることや、ICTを使った研修等を念頭に検討すべきと考えます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 小玉委員、お願いします。
○小玉委員 田中分科会長、ありがとうございます。
 私からは本日、資料7の居宅介護支援・介護予防支援の論点に沿いまして、意見と要望を述べさせていただきたいと存じます。
 資料7の17枚目と31枚目には、それぞれの論点マル2として、質の高いマネジメントということが挙げられてございます。そのためには、次ページの中段のところ、多職種の連携というところで、日頃からの医療介護関係職種の情報共有、また、主治医等の指摘事項等から、医学的ニーズを抽出した事柄をケアプランに反映することが重要と考えてございます。
 2ページ目の主な意見のその他のところに、主治医の意見書の医学的観点の必要性の欄に、必要な介護サービスに印をつける欄があるが、それがケアプランにどのように反映されているか検討の必要性があるということが指摘されてございます。
 主治医の先生方におかれましては、このチェックを注意深く行っていただいておりますので、こういった情報を第一に、また、地域での日頃からの医療関係者との連携の中で、ケアマネジャーに寄せられる様々な情報の整理も特に医療関係者からの情報の整理ということが必要だろうと思ってございます。
 そして、28ページ、29ページに適切なケアマネジメントの実施に向けた手法の策定という内容が出てございますけれども、現在それぞれの疾患に沿って、また今後はケアマネさんの思考フローや標準化項目の反映をケアプランに載せるというところが記されてございますけれども、31ページ目の論点マル1の長いケアマネジメントの検討の方向の中で、2つ目の■に適切なケアマネジメント手法等も活用しながらということが記されてございます。ですから、主治医の先生の意見書、また地域の医療関係者からの情報、そして適切なケアマネジメント手法に沿った医学的なニーズをもとにケアマネさんが判断した事柄がケアプランにいかに反映されているかということの分析・検討が今後必要かと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 齋藤参考人、お願いします。
○齋藤参考人 ありがとうございます。
 私からは資料7の居宅介護支援、特別養護老人ホーム、最後に介護医療院について意見を申し上げます。
 まず、質の高いケアマネジメントのところで、検討の方向性は理解いたしますけれども、論点3のいわゆる医療機関との情報のやり取りにつきましては、これは提案でございますが、特定事業所加算の要件に組み込んではどうかと思っております。やはり情報というのは、単に連携を評価するというより、連携の中で得た情報をいかにケアプランや適切な給付管理に役立てていくかが非常に重要だと思います。特定事業所加算の中に組み込めば、例えば中重度の利用者の割合等にも影響が出てくるかと思いますので、検討していただきたいと思っております。
 論点4の緊急的な対応につきまして、実費徴収ということですけれども、資料の39枚目のスライドを拝見しますと、ケアマネジャーがこういった業務を行っているというのは、地域包括支援センターの業務あるいは地域支援事業の状況も影響しているのではないかと思っております。
 対応の方向としては賛成ですけれども、ただ、報酬とは違った観点で申し上げると、地域包括支援センターの業務、人口規模に応じた職員の配置等については見直していったほうがいいのではないかと思っております。江澤委員もおっしゃっておりましたけれども、ケアマネジャーが本来の業務に専念できるような環境を地域の中できちんとつくっていくという方向が大事なのではないかと思います。
 論点5につきましては、こういったケースはほかのサービスでも起こり得ることですので、その辺りは整合性を持った対応が必要ではないかと思っております。
 特別養護老人ホーム、資料8の人材の活用につきまして、ここは伊藤委員や石田委員が指摘されていたとおりだと思っております。また、兼務を認めても支障がないという裏づけ、そういったデータがもしあれば教えていただきたいと思います。
 これからの特養は、数年前に制度改正されたように、中重度の方々を中心に受け入れていくということであれば、看取りや重度化対応が求められますので、一方で人員の兼務を認め、けれども利用者への対応はかなり濃く、深くとなりますと、どうも整合性がないという感じを持っております。
 重度化対応が求められる中で兼務を認めることにより、さらなる労働環境の悪化にもつながりかねませんので、慎重な検討が必要ではないかと思います。
 また、ユニットリーダーの要件緩和につきましては、致し方ないのではないかと考えております。
 最後に、介護医療院の浴槽の設置の件につきまして、江澤委員が御指摘のように、技術の工夫で対応できることは一定程度あるかとは思いますが、重度化している方々への安全な入浴機会の確保ということも考えていかなければならないと思います。介護浴槽の設置を求めない要件緩和については、恒久的にではなく、期限を区切った経過措置とすべきではないかと思っております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 お尋ねの件があったかもしれませんが、それは次回に答えていただきます。
 椎木委員、お願いします。
○椎木委員 全国町村会の椎木でござます。
 初めに、資料10の「介護医療院・介護療養型医療施設」の論点マル2の「長期療養・生活施設の機能の充実」について申し上げます。
 まず、私の町にある独立型の老人保健施設は、もう間もなくですが、令和3年4月1日から介護医療院に転換する予定です。町の高齢化率が50%を超えるという中で、特養や老健では胃瘻等医療ニーズの高い要介護者への対応に限界があるため、町立病院が受け皿となる必要があり、長期間にわたる入院、社会的入院によりまして、医療報酬が削減され、結果として、町立病院の経営自体が困難になるということも大変大きな要因となっているところでございます。
 また、特養では看取りも行われてはいますが、医療ニーズが高くなると入院を余儀なくされ、その間、特養に新たに入所させることができないため、特養側にも大変な減収となっているところであります。よって、介護医療院は単に介護療養病床からの転換という位置づけではなく、社会的入院を回避するため、医療ニーズの高い要介護者の受入れと、看取りの場としての重要な施設であるとのことをもっと周知すべきであると考えております。
 次に論点マル3の「介護医療院への移行支援」についてであります。先ほど申し上げました老人保健施設を介護医療院に転換するもう一つの理由に、老人保健施設はリハビリによる在宅復帰施設ではあるものの、在宅扱いではない一方、介護医療院では在宅扱いとなるため、町立病院の地域包括ケア病床の在宅復帰率70%を満たすことができる施設であることであります。
 また、介護療養型医療施設の令和5年度末への廃止期限に向け、円滑かつ早期に移行を促進するためには、今年度策定する市町村介護保険事業計画への記載が必要であることはもちろんですが、早期に医療構想との整合性も図る必要があります。なお、移行継続支援加算は、令和5年度末までの延長は必要ではないかと考えております。
 次に、「居宅介護支援・介護予防支援の報酬・基準」について申し上げたいと思います。
 私の町の直営である地域包括支援センターでは、採用する職員は全て保健師ですが、保健師がケアマネジャーの受験資格を得るには5年の実務経験が必要であり、主任ケアマネジャーを取得するためには、さらに3年の講習を受講する必要があります。
 このことが、ケアマネジャーの人材不足につながる一つの理由として考えられるため、保健師等専門職の資格取得の緩和や受験費用の補助等が必要と考えます。
 また、地域包括支援センターには2名の正規事務職員を配置しておりますが、その人件費が補助金には含まれず、町の単独経費となっていることから、事務職員の人件費を補助する制度が必要と考えます。
 さらに私の町では、毎月、医師、ケアマネジャー、事務職員等で会議を開催しておりますが、無報酬であるため、多職種連携を評価する報酬の仕組みが必要と考えます。なお、高齢化率が50%を超える私の町では、フォーマルサービスのみでは当然生活支援はできず、インフォーマルサービスを組み合わせたケアプランを策定していることから、インフォーマルを含んだケアプランを評価するよう、検討をお願いしたいと思います。
 次に、「介護老人福祉施設の報酬・基準」についてであります。
 高齢化率50%に対応するためには、私の町には18法人で64の介護事業所が設置されています。全ての事業所において人材不足が顕著であり、法人内における兼務によって、人員配置基準を満たしている現状であるため、サービスの質を担保しつつ、地域の実情に即した柔軟な人員配置とすべきと考えます。
 次に、「介護老人保健施設の報酬・基準」についてであります。
 老人保健施設はリハビリの強化による在宅復帰施設でありますが、訪問リハビリテーションへの取組が低い状況にあります。在宅復帰・在宅療養支援等評価指標において、訪問リハビリテーションの比重を高く設定することが老人保健施設の本来の役割につながるものだと考えております。
 最後になりますが、このたび、言語聴覚士などの専門職の配置における加算のお話もありましたが、こうした加算については中山間地域や離島等の条件不利地域においては、専門人材の確保が困難であります。このため、介護人材の広域的確保等が必要だと思っております。これに関わらず、制度全般として条件不利地域においても活用できる、分かりやすい現実的な介護報酬制度にしていただくことを望んでおるところであります。
 以上であります。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 武久委員、どうぞ。
○武久委員 ありがとうございます。
 居宅介護支援ですけれども、サボってあまり仕事をしない人と一生懸命やる人とは、どんな職種もあるのです。調査によりますと、ケアプランが全然変わっていないというのが半分近くあるということもありまして、サボろうと思えばサボれる。一生懸命やろうと思えば一生懸命やれる。頑張っている人を評価してあげるような方向をぜひ取っていただきたいと思います。そのために、今回も出ておりましたけれども、IT的にコンピューターの処理をしたり、事務的にする仕事が結構多くて、ケアマネジャーもデスクワークが非常に多くなっているのです。できれば外へ出ていって、いろいろ病院に付き添うとか、居宅に実際に行って、居宅の会議をするとか、そういうことをどんどんやっていただいて、事務的処理は事務員がする。その代わりに、ケアプランを50か60ぐらいまでは今の報酬で対応するとしたほうが、よくやる方をより評価してあげるというシステムになったらいかがかなと思っております。
 もう一つ、特養には昔のあれで、ユニットをどんどんユニット化すると言いながら、東京都ではユニットと4人部屋をミックスしたような施設がたくさんあります。今回の検討にもありましたように、残念ながら、私もやっておりますが、2つの違った施設が一緒になっているという処理の仕方をされております。したがって、ダブるような職員の職種が4~5名いまして、ダブっていて、結果的に収益は赤字になっているところが多いということでございますので、今回出ておりましたように、効率化をしていただければありがたいと思っております。
 それから、過疎地の特養に関しまして、以前にも1回言いましたけれども、要介護者は3以上でないと入所が駄目とかいう特養の入所基準ですが、ほかに行くところがない方のためには、例外はあると言いながら、地方の過疎地にある特養には要介護2の人も入れるようにしてあげたほうがいいのではないかと思いますので、臨機応変に対応していただけたらと思います。
 また、過疎地における介護サービスが非常に効率が悪くて、どこも提供してくれないということで、大手も収益性を考えると、過疎地に行くと収益率が悪くなるということで、なかなか出てくれませんので、これはある意味、介護保険の中の措置というか、少し特別な場合にサービスを維持するようなシステムを老健局で考えていただかないと、過疎地の要介護者は踏んだり蹴ったりというふうになっている状況もございます。
 もう一つ、介護事故です。よくあるのは誤嚥による死亡や認知症の人が転倒して、骨折するとか。これは状況によりまして、御家族が納得される場合もありますけれども、よくあるのは裁判になることが多いのです。ところが、法定人員をきちんと整備しているにもかかわらず、そういう虚弱な要介護老人というのは突発的な動きをしますし、なかなか大変なのです。不可抗力な場合も結構あるのですが、裁判になるとほとんどが施設側が負けている。ここは何とか法整備をしていただけたらありがたいかなと思っております。
 介護医療院ですけれども、介護療養型医療施設から介護医療院へどんどんと転向してくれればいいのですが、アンケートによりますとまだ動きが鈍いように思います。さらに93点という点数を加算で、もう少し伸ばしてくれというような意見もあります。我々日本慢性期医療協会の中ではいろいろ意見がありますが、私としては、行政が行うことは信用してついていったほうがいいというのはかねてからの意見ですけれども、財務省が関わってきて点数になってくると、出ておりますように、マイナス改定がどんどん進んでいる。ここは残念ですけれども、新しい施設をつくるときには行政に協力していって、介護医療院にどんどん移っていただきたい。というのは、介護療養病床が、医療療養病床に移行できるとして、今、医療区分2、3が8割以上という条件の患者さんを急に入院させることができるかというと、非常に厳しい状況があると思います。
 さらに、介護医療院に医療療養型の病床を移行させようとか、また、ほかの病棟でも移行させようとすると、実は市町村が多く反対をいたしまして、介護保険財政が非常に厳しくなるということで、介護医療院へ移行するのをかなり抑制している市町村が全国に散見されます。これは国の施政方針に対しての現場での障害になっておりますので、介護医療院へ移行したいというところはスムーズに移行できるように、厚労省のほうで対応していただけると大変ありがたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 田辺委員はいかがですか。
○田辺委員 時間もございませんので、パスいたします。
○田中分科会長 協力をありがとうございます。
 濱田委員、どうぞ。
○濱田委員 ありがとうございます。
 私のほうからは、居宅介護支援を中心に意見を述べさせていただきます。
 まず、論点1の逓減制でございますが、導入が2006年、平成18年ともう15年たっておりまして、この際に35件標準担当件数ということにもなったのですが、その後、ケアマネジメントの研修の体系化や、時間数なども大幅に増えておりまして、技能や質の向上に寄与していると考えております。人件費率の比重も高くなり、設備投資も困難な状況にありますので、質の担保を確保しつつ、逓減制の緩和を要望いたします。
 例えば通所系などであれば、定員のあるサービスは、平均利用者は定員が15名としますと、15名の日もあれば10人ぐらいの日もあって、平均が10名とか11名ということで、定員の上限には行かずに下振れする傾向がございます。このため、逓減制緩和によりあと数件、例えば今、40件目から逓減制にかかりますが、42件とか45件程度まで、取りあえずもう少しだけ減額を受けずに担当できるようになれば、1人当たりの平均担当件数も3~5件程度の増加も期待され、経営や処遇の改善につながる可能性もあります。
 特に経営実調では、御承知のように、依然として唯一収支がマイナスである中で、一方で、給与費は増額をしているという状況がございます。収支差はさらに拡大しており、この辺りは基本単位の見直しや引上げが必要との認識を持っております。
 また各居宅介護支援事業所では質の高い介護支援専門員の安定的な確保を目指しておりますものの諸般の要因からか、今、受験者も非常に減ってきております。魅力ある職業とするため、報酬と環境の両面で処遇の改善を行いまして、また公正中立性なケアマネジメントが行える環境をつくるためにも、独立した事業所経営が可能となるような収支の改善を図って、業務実態に応じた居宅介護支援の報酬として評価いただければと存じます。
 論点2の質の高いケアマネジメントでございますが、介護保険サービス選択の際に、介護サービス情報のこういう制度の活用を促している自治体もあると伺っております。研修でもテキストに項目があり、近年では、利用者や家族の方も利用できるスマートフォンアプリなども開発されていて、サービスの選択や情報提供に寄与しているかと思っております。
 また、課題整理総括表の活用、定着や適切なケアマネジメント手法も調査研究が進められております。一方で、運用によっては、どういう形になるかでございますが、できましたら、質の向上を図る一方で、帳票類や事務負担の増大などがしないような形で、うまくAIの開発・活用、これによる効率化の期待と費用負担の不安もあるわけでございますが、これらも考慮しつつ、現場の介護支援専門員のコンセンサスも得ながら、質の高いケアマネジメントや評価の在り方の検討が必要と考えております。
 論点3の通院時の情報連携加算でございますが、これにつきましても既に調査が出ておりまして、同行したという介護支援専門員が半数以上ございまして、要因としては、利用者がかかりつけ医に病状説明等がうまく伝えられないため、また、医師からの指導を利用者が理解できないためというものが6割を超えているということでございます。情報連携のために一定の評価をいただければということでございますし、医療介護連携を推進するためにも、入退院連携だけではなく、通院同行、訪問診療同行など、平時からの情報連携に対しても報酬上の評価をお願いできればということでございます。
 論点4の緊急対応の実費徴収でございますが、業務や役割の明確化は必要と考えられますが、特定事業所加算算定事業所では、緊急時24時間の連絡体制が課されており、一方で、同じケアマネジメントを行う地域包括支援センターの場合では、直営や委託の場合でも同じく24時間の連絡体制が取られており、様々な対応の要請が入ってまいります。日常の典型的な対応で、明らかに業務以外の内容ということであれば考えられなくはないと考えておりますが、緊急時の場合は実費徴収の事前了解が難しいことも想定され、また非常災害時などの場合もございます。
 例えば利用者等への他の社会資源での対応や成年後見制度の普及促進により、認知症で独り暮らしの場合であれば、その生活支援の守備範囲をある程度広げていただくことで、介護支援専門員が全てを担わなくてもよいような方向が期待できれば、ある程度負担軽減につながる可能性があると考えております。
 論点5のサービス利用前の相談・調整の評価の在り方でございますが、要支援・要介護状態であり、契約も行い、アセスメント、ケアプラン作成を行い、ケアマネジメントプロセスを行い、さあ介護保険サービスの利用の段階になりましても、様々な理由で利用に至らない段階で、各種の社会資源を活用して支援を行っているというケースもございまして、言わば無報酬な支援ということで行われている部分もございます。当協会のほうでも、長年の課題であると捉えていたところでございまして、介護保険サービス利用の実績の有無にかかわらず、本来の業務として、一定のケアマネジメントプロセスを実施したものについては評価をいただくことができましたら、ひいては自立支援、介護保険のサービスの適切な利用につながっていくのではないかという期待もございます。
 論点6の介護予防支援でございますが、やはり既に御意見も出ておりますが、これは業務負担と外部委託を行いやすい環境の整備として、適切な報酬単価の改善が必要と考えております。
 また、この委託業務における地域包括支援センター及び居宅介護支援事業所双方の業務負担の軽減や、担当ケースの扱いも冒頭の逓減制とも関係してまいりますが、一定条件の下、居宅介護支援の件数の区分を枠外にするとか、もちろん業務の効率化、質の維持が前提ということではございますが、様々な形を検討することができないかと考えております。
 3番目の介護老人保健施設の論点4、居宅介護支援事業所との連携についてでございますが、検討の方向(案)どおり、早期の在宅復帰を促す観点からも評価や単位数の見直しをお願いできればということでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 東委員、お願いいたします。
○東委員 全老健の東でございます。
 大分時間が押し迫っている中で、たくさんの発言をするのははばかられるのですが、今日は私ども介護老人保健施設が議題でございますので、少しお時間をいただくことをお許しください。
 本日の資料に介護報酬改定に向けた要望書を出してございます。詳しくは申し上げませんが、簡単に1、老健施設における在宅生活支援機能の評価、2、老健施設における医療機能提供の拡充、3、老健施設におけるリハビリテーション機能の拡充、4、老健施設におけるケアの質の向上に対する取組への評価ということで、各項目、幾つか単元を設けてございます。それぞれについて説明も添付資料に書いてございますので、後で御覧いただけたらと思います。
 それでは、資料9の老健施設の論点に沿って御意見を申し上げたいと思います。
 まず論点1です。老健施設の在宅復帰、在宅療養支援機能の推進につきましては、資料9の12ページの検討の方向(案)にあるとおり、(1)リハビリテーション機能の強化を評価していただくのはありがたいと思っております。(2)の認知症の人への対応でございますが、認知症の方の尊厳を守るという観点からも、コミュニケーション能力やオリエンテーション能力といった認知症の方の残存機能をきちんと評価した上で、ケアやリハビリを提供すべきだと思います。いたずらにBPSDの有無や程度で評価すべきではないと思っておりますので、そこのところはよろしく御配慮をお願いいたします。
 次に論点2のリハビリテーション機能の強化でございます。17ページに検討の方向(案)が出ております。その中で、通所・訪問リハビリテーション事業所におけるVISITを老健施設にも活用してはどうかという記載がございます。VISITに関しましては、Barthel Indexの入力の負担が大き過ぎるということから、算定が極端に少ないというエビデンスも出ているところでございます。もし老健施設本体にもVISITを活用するということであれば、現場の負担を軽減しない限り算定はされないと思います。
 Barthel Indexが介護の現場では殆ど使われていないこと、認知症の評価項目がないなど、問題が多いということは既に何度も申し上げてきたことでございます。ここのところも御配慮をお願いしたいと思います。
 論点3でございます。中重度者や看取りへの対応です。看取りへの対応を評価していただくことはありがたいと思っております。賛成でございます。
 論点4の居宅介護支援事業所との連携につきましても賛成でございます。よろしくお願い申し上げます。
 論点5の入所者への医療の提供につきましては、資料9の36ページに検討の方向(案)が出ております。所定疾患施設療養費の算定要件における『検査の実施の明確化』につきましては、検査ありきの所定疾患施設療養費であると考えておりますので、検査の義務化をしていただいても結構でございます。
 それから、『算定期間の延長』については、現場のニーズに合った延長をしていただくことをお願い申し上げます。また、対象疾患の見直しでございますが、帯状疱疹等は非常にまれな疾患でございます。蜂窩織炎等を含む皮膚感染症というふうに包括的な視点で検討をお願いいたします。
 論点6のかかりつけ医との連携ですが、44ページに検討の方向(案)が幾つか書かれてございます。これに関しましては、老健施設の管理医師とかかりつけ医、医療機関の医師との連携がしっかり行われることが重要だと思っております。ぜひこの連携が進むような方向での改定をお願いしたいと思います。
 論点7、介護保険施設のリスクマネジメントは、前回の改定からの課題でございます。安全管理体制につきましては、施設研修の実施、専任の安全対策担当者の設置等は必要だと思います。全老健では約12年間にわたり、約2,300名のリスクマネジャーを輩出しておりますので、そこについての評価もお願いしたいと思っております。
 老健施設については以上でございますが、介護老人福祉施設と居宅介護支援事業所についても、1つ、2つ御意見を申し上げます。
 まず、介護老人福祉施設でございます。資料8の53ページに高齢者虐待防止の推進がございます。これは他の施設サービスでも共通ということでございますので意見を申し上げます。先ほど老健施設のところでも申し上げましたが、安全対策においても、委員会の設置、責任者研修受講など、同様の体制強化が求められておりますので、高齢者虐待についても、それとは別に委員会の設置、責任者の配置等が求められますと、現場の負担が大変大きいと考えられます。つきましては、安全対策と虐待防止について、責任者や委員会等を一体的に対応できる等の配慮が必要と思われます。よろしくお願いいたします。
 最後に、居宅介護支援について少し意見を申し上げます。
 まず、論点2の質の高いケアマネジメントに関しましては、資料7の24ページに特定事業所加算(I)を算定していない理由の表が掲載されております。そのうち「利用者のうち中重度者(要介護3~5)の占める割合が4割以上でない」が43.1%で一番多い回答となっております。主任介護支援専門員を1人以上配置するとか、ほかの要件は質の高いケアマネジメントという観点からは大変重要なものばかりだと思います。ただし、この中重度者の割合の要件に関しましては、要介護1、2の方からのオファーもあるわけですので、中重度の方ばかりを事業所側で選ぶというわけにはいきません。そういう意味では、中重度の占める割合が4割以上となっていることに関しては、ぜひ見直しを検討していただきたいと思います。
 最後に資料7の41ページ「緊急的な対応に係る実費の徴収」についてです。42ページの論点5にもありますが、サービス利用につながらなかった相談・調整に関する評価について、ほかの委員からも多数意見が出ておりました。これに関しましても、もし実費徴収ということになりますと、保険外サービスということになるわけでございます。ケアマネジメントの業務外に生じた業務に保険外サービスとして実費を取るということになりますと難しい問題も出てきますので、保険外サービスの議論と一緒に、検討すべきだと考えております。
 以上でございます。長くなってすみませんでした。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 藤野委員、どうぞ。
○藤野委員 ありがとうございます。
 論点に沿って、幾つか意見を述べさせていただきます。
 居宅介護支援の論点3、4、5についてですが、いずれも現状、ケアマネジャーが行っている業務を評価するものと考えます。しかし、論点3の通院時の情報連携については、受診に付き添うこと自体がケアマネジャーの業務であると誤解されない運用が必要と考えます。
 また、論点4、緊急的な対応に係る実費の徴収については、行き過ぎた運用がなされ、自立支援を損なうことがないような対応策が必要と考えます。
 論点5、サービス利用前の相談・調整等に係る評価の在り方についてですが、私自身、身近なケアマネジャーが時間をかけて面談し、調整したにもかかわらず、利用者が亡くなったり施設に入所するなどして算定に至らないケースを見ることがあり、適切な評価は必要と考えます。ただ、導入する際には正しく運用されるような仕組みの構築をお願いしたいと思います。
 次に、介護老人福祉施設についてです。論点1、人材の活用、論点2、個室ユニット型施設の設備、勤務体制についてですが、利用者、働く者にとって不利益がないか慎重な議論が必要と考えます。
 18ページに、15名以上ユニットの運営状況がありますが、10名ユニットよりも手厚い職員配置が行われていたり、一時的にユニット職員が1人になる時間帯の職員の負担が大きいという記載もありますので、論点の目指す人材確保や職員定着となるような運用を御検討いただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 正立委員、どうぞ。
○正立委員 ありがとうございます。居宅介護支援につきまして、論点に沿って意見を申し上げます。
 まず、資料7の3ページにある論点の1つ目、逓減制についてです。もともとこれはケアマネジメントの質を確保するために、あまり多くの利用者を抱えないようにすることを目的に取られた対応だと認識していますが、制度が発足して20年が経過し、ケアマネジメントという業務がある程度定着し、また、全体的にケアマネジャーのスキルが向上したということを考えますと、居宅介護支援事業所の経営状況や人材不足を踏まえ、算定基準を見直すことについてはやむを得ないものと考えます。
 ただし、例えば現在、支援費(I)で40件の上限をいきなり60件や70件にするといった極端な引上げにはしないこと、また、検討の方向(案)にあるように、それぞれの調査結果から効果が示されていますICTの活用や事務職員の配置などの要件を課して、マネジメントの質が確保されるような措置を講じることが必要だと思います。
 次に17ページの論点2、質の高いケアマネジメントについてですが、23ページの資料にありますように、特定事業所加算(I)の算定率は僅か1%で、算定しない理由として、利用者のうち中重度者の占める割合が4割以上でないという回答が最も多くなっています。この中重度4割以上という要件は、ほかの算定要件とは異なり、本来、事業者自体の努力でどうにかできることではなく、異質な要件だと思います。利用者の選別にもつながりかねませんので、この算定要件は見直すべきだと思います。
 32ページの論点3、通院時の情報連携についてです。今後さらなる人口の高齢化が進む中、医療と介護の両者を必要とする高齢者の増加が見込まれます。高齢者の場合、通院で加療をしている人も多く、また内科、整形外科、眼科、歯科など多数の診療科にかかっている人も少なくありません。
 33ページの資料にあるように、半数以上のケアマネジャーが通院に同行したことがあるという実態を踏まえ、質の高いケアサービスを提供するためにも、入退院時のみならず通院時における情報連携に係る加算を設けることが必要だと思います。
 38ページ、論点4、緊急的な対応に係る実費の徴収についてです。
 39ページにありますように、ケアマネジャーが必要に迫られ、やむを得ずマネジメント業務以外のことも行っている実態があります。利用者が独り暮らしであったり、高齢者のみの世帯であったりして、ケアマネ以外に頼る人がいない。また、ケアマネ側もほかに代わる人がいないといった事情が背景にあるのだと思います。
 ケアマネジャーが本来のマネジメント業務に専念できるよう、環境整備を図っていくことは重要ですし、当然なことですけれども、利用者にとって受け皿のない中で、41ページの検討の方向(案)にあるように、緊急時に業務外として生じた業務に係る費用について実費徴収が可能であることを明確化することで、この問題が解決するのかどうか疑問があります。
 最後、42ページの論点5、サービス利用前の相談・調整等に係る評価の在り方についてです。給付につながらなかったというのは、利用者が急に亡くなってしまった、病院や施設に入ることになった、親族が介護することになって引っ越すことになったなどの理由から生じることだと思いますが、ケアマネジャーがアセスメント、ケアプランの作成、サービス調整といった一連の業務を行ったということは、給付につながった利用者に行った業務とほぼ同じです。ほぼ同じということは、それだけの時間と労力をかけていることになります。
 43ページの資料を見ますと、1か月の間に43%のケアマネが給付につながらなかったというケースを経験し、さらに複数人の給付につながらなかったケースも見てとれます。サービスは提供した。でも、結果として給付に結びつかなかった。これはケアマネジメントが間接サービスであるがゆえの特異な事情でもあるように思います。給付につながらなかったという一事をもって全く評価しないということは、居宅介護支援事業所の経営やケアマネジャーの意欲に負の影響を及ぼしているものと思われますので、見直す必要があるのではないかと考えます。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 水町参考人、どうぞ。
○水町参考人 ありがとうございます。
 資料7の居宅介護支援についてです。
 論点5のサービス利用前の相談・調整等に係る評価の在り方ですが、検討の方向(案)、44ページに記載のような場合であっても、インフォーマルサービスの提供や家族、関係機関との調整の事実があれば報酬算定を可能とするということは、ケアマネジャーの業務を適正に評価することになると考えます。
 次に、資料8の介護老人福祉施設についてです。
 論点1、人材の活用についてですが、15ページの検討の方向(案)にあるように、入所者の処遇に留意しながら、兼務等の対応を認める方向については賛成です。
 また、以前も発言いたしましたが、介護ロボット、ICTの活用による人員基準の緩和等についても提案したいと思います。
 次に論点3、中重度や看取りへの対応の充実です。看取りへの対応を充実する観点から、ACPの作成が重要であり、一定の研修を受けた方を配置することを評価してはと考えます。
 なお、研修の仕組みも同時に検討していくことが重要だと考えます。これは、資料10の介護医療院の論点2も同様であります。
 次に論点4、介護保険施設のリスクマネジメントについてです。高齢者の安全・安心な生活を確保する上で、介護事故の防止は重要であり、効果的なリスクマネジメントの実現が求められています。本県では、介護保険制度が開始される際に市町村と県とで事故報告の内容を標準化しているところです。情報蓄積や有効なデータ活用の観点から、全国的な標準化やデータベース化を進めていただくことは有効だと考えており、検討の方向について賛成いたします。
 なお、報告を求める内容については、事業所の事務負担に配慮すると同時に、現在、各自治体が収集している情報にも留意していただいて、事故の原因や再発防止に必要かつ十分なものとすべきだと考えます。
 また、安全対策の一層の強化についても、検討の方向に異論はございません。
 以上のことは、介護老人保健施設の論点7についても同様です。
 最後に、資料9の介護老人保健施設についてです。
 論点1、在宅復帰、在宅療養支援機能の推進ですが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の3職種の配置や医師の積極的な関与は入所者のADL向上に寄与しており、円滑な在宅復帰につながることから、これらに対して加算上の評価を行うこと、医師の指示に対する事項を明確化することについては賛成いたします。
 次に論点2、リハビリテーション機能の強化です。個別リハについて、客観的に介護報酬で評価する必要があることから、ADLのアウトカム評価を導入すべきと考えます。
 また、今後はICTの活用やエビデンスに基づく介護、リハビリを提供することが必要であり、医療介護総合確保基金を活用してICTの導入を促進するとともに、通所・訪問リハで活用されているVISITの導入やPDCAサイクルの明確化を促していく必要があると考えます。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 一通り意見を伺いました。本日は議題が多かったため時間が長くなったこと、それからあいうえお順という大変不自由な順番にしてしまいましたことをおわびいたします。ありがとうございます。
 最後に、次回の分科会の日程等について、事務局より説明をお願いします。
○栗原企画官 次回の日程は追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○田中分科会長 本日は、長時間お疲れさまでございました。
 どうもありがとうございました。