第14回 厚生科学審議会健康危機管理部会 議事録

日時

令和2年10月8日(木)14:00~16:00

議題

    (1)部会長代理の指名について
    (2)国際保健規則に基づく国家連絡窓口機能の強化に関する令和2年度厚生科学課補正予算事業について
    (3)化学災害・テロ対策について
    (4) 新型コロナウイルス感染症への対応について
    (5)健康危機管理調整会議の開催状況について
    (6)その他 

議事

 
第14回厚生科学審議会健康危機管理部会
 
○鷹合健康危機管理・災害対策総括調整官 定刻になりましたので、ただいまから第14回「厚生科学審議会健康危機管理部会」を開催いたします。厚生労働省大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策総括調整官の鷹合でございます。
委員の皆様には、本日は御多忙のところお集まりいただき御礼を申し上げます。
本日は五十君臨時委員、重村臨時委員、竹内臨時委員から欠席の御連絡をいただいております。委員13名のうち、出席委員は過半数を超えており、会議が成立しておりますことを御報告いたします。
このたび、任期満了等により、3名の委員の方々の交代がございましたので紹介させていただきます。
御退任されたのは、奥田部会長代理、石川臨時委員、髙橋臨時委員です。
新任の委員の方を紹介させていただきます。各先生方におかれましては、御紹介がありましたら一言ずつ自己紹介をいただけますと幸いです。
国立食品医薬品衛生研究所長の合田本委員でございます。よろしくお願いします。
○合田委員 国立医薬品食品研究所の合田でございます。この4月より奥田先生の後任をさせていただいております。どうぞよろしくお願いします。
○鷹合健康危機管理・災害対策総括調整官 ありがとうございました。
次に、東京都葛飾区健康部長兼保健所長の清古臨時委員でございます。よろしくお願いします。
○清古委員 葛飾区保健所の清古と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○鷹合健康危機管理・災害対策総括調整官 ありがとうございます。
日本医師会常任理事の長島臨時委員でございます。よろしくお願いします。
○長島委員 日本医師会で救急災害医療を担当しております長島です。よろしくお願い申し上げます。
○鷹合健康危機管理・災害対策総括調整官 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
また、前回の開催から事務局に人事異動がありましたので、御紹介させていただくとともに、事務局を代表して御挨拶をさせていただきます。
大臣官房危機管理・医務技術総括審議官の佐原でございます。
○佐原危機管理・医務技術総括審議官 皆さん、こんにちは。危機管理・医務技術総括審議官の佐原と申します。8月からこのポストに就いております。
厚生労働省の中で危機管理について担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。
また本日の危機管理部会は、新しい日常に対応するため、Zoomを使った新しいやり方でやっていきたいと思います。また、今後もこういった新しい方法をうまく使いながら、効率的に御審議いただくような形を考えていきたいと思っております。
今日はどうぞよろしくお願いいたします。
○鷹合健康危機管理・災害対策総括調整官 続きまして、私は健康危機管理・災害対策総括調整官の鷹合でございます。室長の職務を行わせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、大曲委員は所用のため途中退席される予定ですので、御承知おきください。
これより議事進行につきまして、脇田部会長にお願いいたします。
○脇田部会長 皆様、改めましてよろしくお願いします。部会長を指名されています感染研の脇田です。こういった形での部会は初めての試みということですので、皆様には御協力いただきまして議事進行してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
議事次第を御覧ください。まず、議題1ですが、部会長代理の指名となります。奥田前部会長代理が退任されておりますので、部会長代理の選任を行わせていただきたいと思います。
私に事故がありました場合の部会長代理については、後任の合田先生にお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○合田委員 合田です。了解いたしました。脇田先生に事故がないのが一番なのですが、その際には代理を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございます。合田委員、よろしくお願いいたします。
本格的な議題に入っていきたいと思います。議題2を御覧ください。「国際保健規則に基づく国家連絡窓口機能の強化に関する令和2年度厚生科学課補正予算事業について」を事務局から説明をお願いいたします。
○鷹合健康危機管理・災害対策総括調整官 資料1を御覧ください。3ページになります。画面に映っていると思いますけれども、具体的には6ページを開いていただけますでしょうか。
国際保健規則に基づく対応については、WHOの外部評価委員から体制強化について提言をいただいておりました。今般、新型コロナウイルスの感染下において必要な情報量がさらに増加したことにより、補正予算において体制強化を図っておりますので御報告いたします。
7ページと8ページが今回の新型コロナウイルス対応に関する新しい資料となりますが、まずは4ページから説明させていただきます。
国際保健規則、The International Health Regulations(IHR)は世界保健機関憲章第21条に基づく国際規約であり、国際交通に与える影響を最小限に抑えつつ、疾病の国際的伝播を最大限防止することを目的として定められました。全てのWHO加盟国が拘束下にある国際法です。
加盟国が規則の一部または全体に対する留保または拒否を表明し、許可された場合は拘束下から除かれますが、それ以外の加盟国は拘束下にあるとみなされます。
5ページを御覧ください。IHRの重要な規定ですが、まずはWHOへの通報です。原因を問わず、国際的な公衆衛生上の緊急事態を構成するおそれのある全ての事象が対象となり、各国においてPHEICに関する評価を行ってから24時時間以内にWHOに通告する義務があります。
後ほど出てきますが、日本における新型コロナウイルス陽性者の第一例が出た際も、WHOに24時間以内に通報しております。
なお、先ほどPHEICと申しましたが、PHEICについては資料3において説明させていただきます。
2つ目として、国家連絡窓口の設置です。24時間いつでもアクセス可能であることが必要であり、厚生労働省厚生科学課が窓口となっております。後ほど御説明いたしますが、今回この窓口対応を強化しました。
3、4、5、は省略いたしまして、6ページを御覧ください。
2017年2月にWHOによる合同外部評価が行われ、提言がなされております。8項目ありますが、主に3点について今回対応しております。赤字の箇所でございます。
1つ目は、先ほど御説明しました国家連絡窓口の強化です。
2つ目は、オールハザードの情報集約体制の強化です。
3つ目は、公衆衛生リスクアセスメントとリソースマッピングです。
詳細は8ページで御説明いたします。
7ページになります。新型コロナウイルス感染症流行下における国際保健規則の役割ですが、初動における役割として、まずは中国が第一報をしております。日本における第一例についても、確認後24時間以内にWHOを通じて共有いたしました。
各国における症例数、死亡者数の疫学情報については、IHRに基づいてWHOと共有しております。
このように、厚生労働省としましては、初動期におけるIHRの役割の重要性について再認識したところでございます。
また、患者や濃厚接触者の国際渡航や輸入感染症の発生、各国の政策等に関して、加盟国間で情報共有をしたり、IHRを通じて、香港政府よりダイヤモンドプリンセス号における患者の発生の第一報を受領、情報共有を行いました。パンデミックの進行とともに、加盟国間の情報共有の量は急増しました。24時間体制での急増した情報の処理体制の必要性を強く感じたところでございます。
そこで8ページになります。今般の新型コロナウイルス感染症対応に関する第1次補正予算において約1億円を計上し、国家連絡窓口機能を強化しました。
具体的な事業概要を見てみますと、第1のポイントは、24時間体制での国際的な疾病監視の強化です。ローテーション体制で24時間迅速に窓口業務を実施するため、英語で業務可能な公衆衛生の知識を有する期間業務職員による対応体制を確保しました。
第2のポイントは、迅速かつ確実な国際的な事案処理体制の強化です。IHR事案を漏れなく適切に処理するための事案処理システムを整備させていただきました。また、多数の関係国に迅速に情報共有できるメールシステムを整備しました。
第3のポイントは、まだ実施予定の段階ではございますが、国際的なリスクアセスメント・情報発信能力の強化です。収集情報を一元的に集約し、分析に役立てるための情報管理基盤の開発や、専門家等から成る情報分析チームを組織し、日々のアセスメントを実施することを検討しております。
これらを行うことにより、我が国の国際的な公衆衛生情報に関する多面的な分析・評価、国際的な事案の迅速かつ確実な処理、国内外への迅速かつ有効な情報発信に関する能力の向上、公衆衛生機関としての国際的責任を果たすとともに、我が国の公衆衛生情報の積極的発信による国際的プレゼンスの向上が期待されるところです。
説明は以上となります。
御説明した内容については、令和2年度に限定される内容ではありませんので、今後もどのように体制をとっていくか検討しているところになります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
現状についてただいま御説明をいただきましたけれども、委員の皆様から今後の進め方等につきまして、御意見がありましたらお願いをしたいと思います。いかがでしょうか。
挙手をしていただければこちらから指名させていただきますので、よろしくお願いします。
まず、私のほうから。
今回の新型コロナウイルス感染症の流行で、IHR窓口機能の強化が必要だということは明らかになったわけですけれども、事業概要・目的の3のところです。今回のWHOの緊急国際会議等で、コミュニケーションを行う会議室機能の整備というのが非常に重要だと思っていました。
ですから、厚生労働省にそういった緊急的に会議ができる機能をぜひ強化していただいて、それを必要なところに、具体的に言えば感染研とか、そういうところにもつないでいただけるような機能を拡充していただけると、こういった国際的な健康危機の際の対応が非常に迅速かつ集約的に可能になるかと感じているところですので、ぜひ、そこのところの機能拡張はお願いしたいと思った次第です。
長島先生、手が挙がっています。お願いします。
○長島委員 長島でございます。この強化の計画は現時点でどの辺までが達成されていて、今後どのようなスケジュールで進めていくかということがお分かりでしたらお願いいたします。
○脇田部会長 事務局からただいまの御質問に対してお答えいただけるでしょうか。
○杉原国際健康危機管理調整官 健康危機管理・災害対策室の杉原と申します。
現時点で、24時間体制で国際的な監視の強化という観点で、窓口機能の強化。ページ数でいきますと8ページ目になりますが、1つ目の点につきましては、実際にもう現時点で24時間体制での管理ができるようなローテーション体制が確保されているという状況です。
第2項目、国際的な事案処理体制の強化についても、事案処理システムの整備を進めておりまして、輸入感染症の方、特に空港検疫で見つかった方ですとか、国内で発生した海外からいらっしゃった方々等、コロナで非常に増えている状況もありますので、そういった方々に関する情報も含めまして、これまで個別的にやっていたものをシステム化して、大規模にできるようなオペレーションのシステムを整備しております。これも現時点で実施をしているところです。
今度は3番目のリスクアセスメント・情報発信能力の強化に関してなのですけれども、こちらは準備等も必要になりますので、現時点では方向性等も含めまして検討を進めている段階でございます。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そうしますと今、お答えいただきましたけれども、これは令和2年度の第1次補正予算ということで進めていただいているわけですが、今後の定員要求、予算要求を含めて、さらに窓口機能の強化は進められるということでしょうか。
○杉原国際健康危機管理調整官 令和3年度に向けても、順次必要なものに関して進めていく予定でおります。
○脇田部会長 ありがとうございます。
それでは、さらに委員の皆様から御質問いかがでしょうか。
今後もこういった新型コロナにかかわらず、新型インフル、そのほかのパンデミックのポテンシャルがある感染症の流行というのは可能性があるわけですね。2003年のSARSに始まり、2009年の新型インフルエンザ、MERSの流行と、今回の新型コロナです。
ですから、今後も、予測はなかなか難しいですけれども、これがまた再び新たな感染症の流行という可能性がありますので、そういったものに直ちに対応ができるような体制をさらに強化していくということが必要だということは多分、議論を待たないところではあるのですけれども、実際どういった機能をIRH窓口に強化していくかというのは、厚生科学課、国際課のほうでしっかりと議論をして進めていただければと考えております。
長島先生、もう一度お願いします。
○長島委員 来年予定されている東京オリパラのときに極めて必要とされると思います。それまでに強化が間に合いますでしょうか。
○脇田部会長 お願いします。
○杉原国際健康危機管理調整官 もちろん、オリパラがもう1年を切っておりますので、それに向けて、これまでも進めておりましたが、特にコロナ禍でのオリパラ開催ということで、必要な対策をとっていけるような形で整備を進めていきたいと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
さらにそのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
オリパラについてはまた次の議題でも出てまいります。
よろしければ、次の議題に移らせていただきます。
議題3の「化学災害・テロ対策について」、こちらも事務局から説明をお願いいたします。
○鷹合健康危機管理・災害対策総括調整官 厚生労働省では、2021年に開催予定のオリンピック・パラリンピック東京大会等の大規模イベントに向けて、化学災害・テロ対策の強化を進めてきており、先般の部会においても委員の皆様より、対策の強化の必要性につきまして御指摘をいただいたところです。
前回の部会において、自動注射器に関する検討会の報告をさせていただきました。今回はその後の進捗を御説明させていただきます。
10ページの資料2を御覧ください。昨年5月15日の第12回の当部会において、四角囲みにあります神経剤解毒剤の自動注射器について備蓄を検討すべきといった提言をいただきました。
この提言に基づいて「化学災害・テロ対策に関する検討会」を設置して5回開催し、報告書を作成いただきました。
報告書については、昨年11月14日の第13回の当部会で了承をいただいております。
11ページを御覧ください。これまでの経緯です。
12ページは、医師・看護職員以外の実働部隊の公務員による解毒剤自動注射器の使用に関する医師法の考え方です。
13ページは、自動注射器の使用までの流れを説明したものです。前回までの部会で説明済みでございますので、説明は省略いたします。
次に14ページになります。自動注射器について、適切に使用できなければ意味がありません。来年はオリンピック・パラリンピックという大規模イベントがあることから、できるだけ早急に実働部隊が自動注射器を使用できるよう研修をして、使用方法を学ぶ必要があります。
今年の1月23日に指導員向けの実働部隊隊員向けの研修の試行コースを実施しました。対象は消防隊員、警察官、海上保安官及び自衛官です。講義と実習の両方を行いました。実習の様子の写真も掲載しておりますので御覧ください。研修を修了した参加者には修了証を交付しております。
15ページを御覧ください。新型コロナウイルス感染症流行下においても研修が実施可能となるよう、オンラインと実地を組み合わせたハイブリッド型の研修コースを開発しました。
コース構成としましては、講義と実習に関するeラーニング、オンラインでの質疑応答、理解度テストといったオンラインにおける学習。練習キットを用いた個別練習。全国会場で個別に実技の評価テストの実施を検討しております。今月から12月にかけて行う予定です。
説明は以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
ただいま現状について説明をしていただきましたけれども、何か御意見ございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。前回からの進捗状況というところだと思います。
○遠藤委員 遠藤です。お願いします。
今、御説明いただきましたハイブリッドコースを今月以降12月にかけて実施されるということなのですけれども、具体的に回数等、タイムスケジュールを差し支えない範囲で、決まっておりましたらお教えていただけますでしょうか。
○脇田部会長 それでは、よろしくお願いします。
○杉原国際健康危機管理調整官 こちらの研修会に関しましては、オンラインコースに関しては適宜受講をしていただく形で、もうすぐ開始するという段階にきております。
実技評価に関しては、実地では合計8か所、それに加えてオンラインで実施予定です。実際に全国会場とはいっても県をまたいだりすると難しいというところもございますので、そういった諸事情等も踏まえまして、ウェブ会議システムを使ってオンラインで評価するような考査も並行して実施するような形で検討を進めております。
オンライン研修に関しましては、最終的な人数が出そろった段階で、時間等、タイムラインが決まってくる予定です。
実技評価を実地で行う開発時期に関しましては、11月から12月のころにまとめて集中的に実施をする予定でおります。
○遠藤委員 ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
○古米委員 古米です。スライドの14と15で理解した内容としては、今年の1月にインストラクターを養成するための研修会が行われて、指導ができる方を養成したように理解しました。
その方々も関わって今月から研修会が行われるということですが、1月においてインストラクターはどれぐらい養成されて、最終的に10月から12月に行われる研修会はどのぐらいの人数の方々が受講されて、しっかりとした研修を受けられるか。その全体人数が、今後想定される場合に対応できるぐらいの人数になっていないとおかしいと思うのですけれども、大まかな人数の想定はあるのでしょうか。
○杉原国際健康危機管理調整官 まず、今年の1月に実施しました研修会につきましては、試行コースですので受講者は60名弱ということでした。今年はコロナ対応のために一時期ストップしておりましたが、再度こういったモジュール、eラーニングのコンテンツを作りまして、約3か月で集中的に実施いたしますが、現状は約1000人の受講を見込んでおります。この辺は最終的には増減する可能性があるのですが、その程度を見込んでおります。
この方々は指導員という形になりますので、この方々が実際に御自身の職場に戻っていただいて、さらに訓練を続けていただくという形になっております。現状、各省庁において全てこれらは協力して行っておりまして、オリパラまでに必要な方々に対して研修できるような体制をつくっている状況です。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
長島先生お願いします。
○長島委員 コロナ禍によって対面での実習、研修がしにくくなったというマイナスと、コロナによって1年延びたということで1年時間が確保できたというプラスがあると思います。このプラスマイナス差し引きでどう評価されているのか。基本的には予定どおりの人員がしっかり確保できるという想定なのでしょうか。
○脇田部会長 いかがでしょうか。
○杉原国際健康危機管理調整官 必要な人員に関しては、今回もかなり柔軟に実施できるような形で、研修に関しては全て修了できるような見込みで考えております。
○脇田部会長 ありがとうございます。
私のほうから1つ。自動注射器の配備状況がどの程度進んでいるのかというのはいかがでしょうか。
これはもう各消防隊の化学部隊というのですか、そういうところには全部配備がされているということでよろしいでしょうか。
○杉原国際健康危機管理調整官 国家備蓄に関しましては、物の具体的な種類、量、場所については秘情報になっておりますので、公開は差し控えさせていただきたいと思いますが、こちらにつきましてはいただきました指摘、提言に基づきまして備蓄を進めている状況という段階でございます。
○脇田部会長 よろしくお願いします。
ほかに御質問はいかがでしょうか。
佐藤先生、お願いします。
○佐藤委員 大変基本的な質問となって恐縮なのですけれども、今回は、指導的な立場になられる方の養成ということなのですけれども、その対象となる方たちの、資格的なものはどうなっていますか。どういった方たちを対象として、それはさらに何を基準にその方になっているのかというところと、養成対象は今後さらに増やしていかれるのか、お分かりになれば教えていただきたいのですが。
○脇田部会長 いかがでしょうか。
○杉原国際健康危機管理調整官 スライドをご覧下さい。
こちらの医師法における考え方のところに記載がありますが、あくまで実働部隊の公務員ということで、特に医師が対応できないような状況となりますと、化学テロで実際に汚染されている区域、いわゆるホットゾーン、ウォームゾーンと言われるような世界で活動できる方々となりますと、ある程度専門的な訓練を受けている方々というのが前提となってきます。
特に、そういった方々で、かつ、実際にオリパラで活動されることが想定される方々を現時点では最優先として、これは優先順位をつけないと進めていけませんので、進めておるところです。
具体的には消防隊員、警察官、海上保安官、自衛官の方々になりますが、この中でも特にそういった化学テロ等の防護具等を着た活動に関してちゃんと熟知されている方々がまずはインストラクターとなりますので、そういった方々を対象に進めております。
具体的なその後の展開につきましては、それぞれの省庁及び機関において、必要な方々に進めていくという形で整理をしております。
以上です。
○佐藤委員 ありがとうございます。
○脇田部会長 それでは、そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。
次の議題に移りたいと思います。議題4です。「新型コロナウイルス感染症への対応について」を事務局から説明をお願いいたします。
○鷹合健康危機管理・災害対策総括調整官 厚生労働省において従前より行ってきました国際案件等を含めて、どのように新型コロナウイルス感染症下において対応しているかについて、当課の杉原から説明させていただきます。
○杉原国際健康危機管理調整官 よろしくお願いいたします。資料3に沿って御説明いたします。
17ページを御覧ください。議題1でも取り上げましたとおり、新型コロナ対策におきましては、IHRはWHOや各国との情報共有において中心的な役割を果たしておりまして、特に今年1月のコロナ発生の初期段階におきましては、未知の疾患で、どこでどのように発生しているのか、どのような特徴を有しているのかということを理解する上では極めて重要な仕組みとして機能してまいりました。
まず、WHOへの通報のプロセスの詳細について御説明しまして、その上で、日本において行ったIHR対応について御報告いたします。
IHRにおいては国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態、いわゆるPHEICを構成するおそれのある全ての公衆衛生事象をWHOに通報することを各国に義務づけております。
日本においては、厚生労働省の担当職員や国の専門家も参加する健康危機管理調整会議において、潜在的にPHEICになる可能性のある事象に該当するか否かのアセスメントを行っておりまして、原因が不明の公衆衛生事案が生起するような場合においては、本部会を臨時で開催して御意見を伺うこととなっております。
こうして通報された事案については、専用のウェブサイトを通じまして各国の保健当局に共有される仕組みとなっております。
18ページになります。新型コロナウイルスは1月30日にPHEICが認定されましたが、このPHEICがどのような事象に対して認定されるかはIHRに規定がございます。
具体的には、疾病の国際的な拡大により、他国に公衆衛生上の危険をもたらすと認められる事態、または、緊急に国際的対策の調整が必要な事態に対して、IHR緊急委員会の助言等を踏まえまして、WHOの事務局長がその認定を行います。
過去、PHEICに至った事例は、新型コロナを合わせて6事例ございます。
各国によるWHOへの通報が義務づけられている潜在的PHEICは、右下の枠に書いております潜在的PHEICの構成要素というところになりますが、「重大な健康被害を起こすリスクのある事象」「予測不能、または、非典型的な事象」「国際的に拡大するリスクのある事象」「国際間交通や流通を制限するリスクのある事象」、以上の4項目のうち2つ以上該当した事案を指します。
次に19ページをお願いいたします。こちらに具体的にどのような通報を行うかということにつきまして、これはIHRの附録第2というものに基づくものですが、掲載しております。
WHOの即時の通報が必要になるものは天然痘、野生型ポリオ、新型のヒトインフルエンザ、SARSの4疾患がございまして、その他の疾患についてはIHR参加国が国レベルで検知をしてから48時間以内に、先ほど述べた4つの項目についてのアセスメントを実施しまして、2項目以上合致した場合にはアセスメント実施後24時間以内にWHOに通報を行うことが義務づけられております。
20ページを御覧ください。ここからコロナウイルスに関しての初期段階におけるIHR対応についての記載です。まず、2019年12月31日に武漢で原因不明の肺炎の集積の報告がなされまして、IHR情報につきましては1月5日に各国に共有されております。
本件につきましては、1月10日に健康危機管理調整会議の本会議において報告がなされております。
1月12日にはIHRにおいて新型コロナウイルスの同定についての報告がなされまして、16日には本邦の初症例が確認されております。
本邦の初症例が確認された同日には臨時の健康危機管理調整会議を実施しまして、IHRの附録第2に基づくアセスメントを実施し、同日中にWHOへの通報を行っております。
1月21日には再度健康危機管理調整会議の臨時会を開催しまして、省内連絡会議を設置しまして、22日には第1回のIHR緊急委員会が開催されております。
21ページを御覧ください。IHRの通報内容はWHOによる確認を経て、各国の保健当局に共有されますが、一部の公開可能な情報についてはWHOのウェブサイトに掲載されております。
日本の新型コロナウイルスの報告につきましても、報告を行った翌日、具体的には1月17日にWHOのウェブサイトに掲載されております。
以上が新型コロナのごく初期におけるIHRの対応のまとめです。
議題1でも取り上げましたが、実際には今後IHRを通じてやり取りされる情報が急増しております。
具体的にどのようなやり取りをその後行っているかということについてです。まず、WHOとの情報共有については、IHRの6条、先ほど申し上げましたWHOの通報ですが、これに基づきまして継続的な症例情報を共有しております。
そして、追加的な保健措置、これは渡航制限も含めますが、それに関する通報です。
連携・支援に基づく照会対応も行っております。
WHO西太平洋事務局とのウェブ会議等での情報共有等も行っております。
また、他国との間では、国際渡航関連の公衆衛生リスク情報の共有や、技術的な関連情報の照会への対応等を行っております。
自治体や在外公館等とも、国内対応や在外邦人の保護のための情報共有を実施しているところです。
新型コロナ対策に関連しましたIHRの国家連絡窓口の活動の報告は以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
議題2でも説明があったIHRの窓口が、まさに今回の新型コロナウイルスのアウトブレイクに活用されて、WHOとの情報共有に使われたということになりますが、ここに関して何か委員の先生方から御意見はございますでしょうか。
よろしいですか。
それでは、後ほど気がついた点でもよろしいですので、また御意見をいただければと思います。先に進ませていただきます。
次は世界健康安全保障イニシアチブについて説明をお願いいたします。
○杉原国際健康危機管理調整官 よろしくお願いします。24ページを御覧ください。今、画面共有いたします。
世界健康安全保障イニシアチブ(GHSI)の活動につきまして御説明いたします。
GHSIは、2001年の米国の同時多発テロを受けまして、米国・カナダ政府の呼びかけにより、テロリズムや新型インフルエンザ対策といった世界の健康危機管理の向上のための連携について議論するために、保健担当大臣会合として発足しております。
現在、G7各国、メキシコ、欧州委員会がメンバーとして、WHOがオブザーバーとして参加しております。
閣僚級会合の下に局長級会合、その下に技術的な作業部会が設置されております。
25ページを御覧ください。こちらはコロナ発生前の話になりますが、昨年6月にGHSIの組織改編が実施されました。具体的には、これまではハザード横断的な案件を検討する作業部会であったリスク管理・コミュニケーション作業部会につきまして、実質的にはGHSIの全体のポートフォリオを調整する作業部会議長・リエゾン会合とのすみ分けが不明確であったことから、新たに全体調整を行う調整・リエゾン委員会(CLC)が設置されまして、また、リスク管理コミュニケーション部会を廃止して、同部会で検討されておりました非呼吸器系の感染症の技術的事項について検討を行う生物作業部会を新たに発足させました。本作業部会については日本が共同議長を務めております。
作業部会として独立していた検査機関ネットワークは、生物作業部会(BioWG)の下に再整備されております。
26ページを御覧ください。令和元年度以降のGHSIの活動について御報告いたします。
第12回の健康危機管理部会で実施予定として御報告いたしましたが、第19回の閣僚級会合は昨年の5月にG7保健大臣会合と合わせる形で、米国主催でフランス・パリにて開催されました。「コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱への対応」というテーマで議論いたしました。
新型コロナ流行が始まって以降は、調整・リエゾン委員会と新型インフルエンザ作業部会の合同会合と局長級会合のビデオ電話会議を定期的に開催しておりまして、各国の状況や対応策につきましてインフォーマルな報告を行っております。
ほかの作業部会におきましても、対面会合は年に1回か2回開催されているのですが、キャンセルされまして、ビデオ電話会議を継続して実施しております。
GHSIの活動の御報告は以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
GHSIの活動について御報告いただきましたが、何か御意見はございますか。
私のほうから。生物作業部会は日本が共同議長ということで、その下に検査機関ネットワークが設けられているのですけれども、この検査機関ネットワークの今後の活動について、何か予定等が分かっていれば教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○杉原国際健康危機管理調整官 ありがとうございます。
検査機関ネットワークにつきましては、主に感染研の先生方に活動していただいているところですが、現状に関してはコロナウイルスの検査系に関する評価や情報共有が行われていると承知しております。今後の検査機関ネットワークの活動については、また共有させていただきます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
実はPCR検査とか核酸の検査ですけれども、標準化といいますか、国際的なハーモナイゼーションというのがまだあまりよくできていないと思っています。
感染研だけではなくて国衛研にも協力いただいて、RNAのコントロールの作製というのは国内で行っているわけですけれども、そういった国際的な標準化というのが検査的には必要かとは思っているところですので、多分、ここの検査機関ネットワークが利用されるのではないかと考えていますので、ぜひまたよろしくお願いしたいと思います。
そのほか、先生方からいかがでしょうか。
今回の新型コロナウイルスに関するIHR、GHSIに関する取組、活動ですね。それから、今後の活動です。
立崎先生、お願いします。
○立崎委員 量研の立崎です。2点ばかり確認させてください。
1点目は、GHSIの感染症グループはこれまでもSNSとかマスコミからの情報収集など、かなり活発に活動されていたと認識しておりますが、インフルエンザだけではなくて各種感染症も扱っていらしたと思っていましたけれども、25ページの左側の図を見ると、新型インフルエンザの部会だけの名称になっていますけれども、このグループが名称にかかわらずほかの感染症の活動をされていたということなのでしょうかというのが1点目です。
2点目の確認は、検査機関ネットワークが生物作業部会の下になっていますけれども、放射線核の作業部会のほうでも、例えば便中、尿中の放射性物質の定量に関する検査機関、そういう研究所との間のinter-comparison、相互比較試験などを活動として行ってきていましたが、今後もこの検査機関ネットワークというのは、生物関係というか感染症関係に限定した活動をされるという認識でよろしいでしょうか。
以上、2点お願いします。
○脇田部会長 それでは、事務局のほうでお願いできますか。
○杉原国際健康危機管理調整官 どうもありがとうございます。
こちらの新型インフルエンザ以外の感染症につきましては、これまではリスク管理・コミュニケーション作業部会(RMCWG)で検討を行っておりました。早期警戒対応(EAR)というグループもございましたが、これはソーシャルメディアですとかインターネット上のオープンの情報からいかに早く情報収集するかというシステムですけれども、こういったものを構築してきたわけです。
こういった要素に関しまして、オールハザードの部分は調整・リエゾン委員会の中で議論することになっていまして、生物に関すること、感染症に関することは、呼吸器感染症に関しては新型インフルエンザ作業部会で議論して、それ以外の感染症に関しては生物作業部会(BioWG)で検討するというふうに再整備されたものでございます。
ラボネットワークに関しましては、こちらはもともとの経緯から申しますと、特に生物に関しては新型インフルエンザ以外はGHSIの中で具体的に規定されていなかったということもございますが、ただ、検査機関ネットワーク自体は、これまでも生物、微生物、病原体に関しての検査機関のネットワークとして機能してきたところがございまして、それで今回このような形で生物作業部会の下に整備されたという認識です。
以上です。
○立崎委員 分かりました。ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次の議題に進めさせていただきます。議題5です。健康危機管理調整会議について、事務局から説明をお願いいたします。
○鷹合健康危機管理・災害対策総括調整官 資料5、27ページを御覧ください。
議題4でも御説明しましたが、健康危機管理調整会議は厚生労働省内の健康危機管理関係者及び国の専門家で情報共有をし、対応に漏れがないかを確認している会議でございますが、平成31年4月から令和2年3月までの議題は資料のとおりです。食中毒事案への対策強化、エボラ出血熱の最新情報、新型コロナウイルス感染症、風しん、鳥インフルエンザ等について議論しております。
今後も、基本的には月2回、状況に応じて臨時会を開催し、関係者の情報共有を行い、対応に漏れがないようにしていきたいと考えております。
以上です。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
ただいまの健康危機管理調整会議の主な議題についての説明ですけれども、何か御意見はございますでしょうか。
よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、今日の議事全体を通して何か御意見あるいは御質問は。
長島先生、お願いします。
○長島委員 今後の健康危機に関しては、同じウイルスでもコンピューターウイルスなどを筆頭とするサイバーテロ、あるいは、東京証券取引所で見られたようなシステム障害というような、これがかなり直接的に大きな影響を与えるものではないかと考えております。
例えば国際的な情報共有にしても、あるいは新型コロナウイルスに対するHER-SYS、G-MIS、COCOA等にしても、あるいは、様々な医療機関にしても、消防、警察全て、ITなどの情報インフラを使っておりますので、ここに対するテロとか障害というのはCBRNE相当、もしくは、それ以上に大きな健康危機を促すものと思いますので、そういった観点で、健康危機のところにこのようなサイバーセキュリティーというものもしっかり、あるいは、そういうところとしっかり連携していくというのが今後極めて重要ではないかと思いますので、そのような視点も加えていただければ幸いです。
○脇田部会長 ありがとうございます。
今の長島委員の御意見は、大ざっぱに言うとサイバーテロに関して、健康危機管理部会そのもので扱うものなのか、そうでなければ、それを担当する部会等との連携が必要ではないかといった御意見でした。こちらは事務局でお答えできる範囲があれば今お答えいただいて、もし検討が必要だということであれば検討していただくということだと思いますが、事務局、いかがでしょうか。
○佐原危機管理・医務技術総括審議官 佐原です。御指摘ありがとうございます。
今いただいたようなサイバーセキュリティーのことは、健康面に与える影響は非常に大きいものがあり得ると思います。
ただ、この部会でやるかどうかは別として、省内にもサイバーセキュリティーをやっているところがありますので、委員の御指摘はよく踏まえて、連携して、この部会とどういうふうに連携したらいいかも含めて少し検討させていただきたいと思います。
御指摘ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
よろしいですか。
どうもありがとうございます。これで全ての議事が終了いたしました。
今回の開催は2019年度の事案の報告となっております。今年度末には2020年度の報告をいただくために部会を開催することになると思いますので、委員の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
これで閉会したいと思います。ありがとうございました。