第27回 地域医療構想に関するワーキンググループー議事録

日時

令和2年10月21日(水)10:00~12:00

場所

一般財団法人主婦会館 プラザエフ 地下2階 クラルテ
東京都千代田区六番町15

議事

○木下専門官 ただいまから、第27回「地域医療構想に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、一部オンラインによる開催としております。
 まず初めに、発言の仕方などを説明させていただきます。
 オンラインで御参加の構成員の先生方は、御発言の際には「手を挙げる」ボタンをクリックして、座長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し発言するようお願いいたします。また、発言終了後は、再度マイクをミュートにするようお願いいたします。
 座長から、議題などに賛成かどうか、異議がないかを確認することがあった際、賛成の場合には「反応」ボタンをクリックした上で「賛成」ボタンをクリックするか、またはカメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨を確認させていただきます。
 続きまして、構成員の異動がありましたので御紹介させていただきます。
 中川俊男構成員、本多伸行構成員が退任され、新たに、公益社団法人日本医師会副会長の猪口雄二構成員、健康保険組合連合会理事の幸野庄司構成員が就任されておりますので、御紹介させていただきます。
 次に、本日の構成員の出欠状況について申し上げます。本日は、全構成員に御出席いただいております。
 次に、資料の確認をさせていただきます。事前に議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿のほか、資料、参考資料1、2を配付させていただいておりますので、お手元に準備いただきますようお願いいたします。
 省庁関係者においても、前々回の検討会以降、新たに総務省準公営企業室長に着任されました水野敦志様に御出席いただいております。その他、事務局の厚生労働省におきましても異動がありましたので、配付させていただきました省庁関係出席者名簿により御報告させていただきます。
 なお、報道のカメラ撮りについてはここまででお願いいたします。
(カメラ退室)
○木下専門官 それでは、以降の進行は尾形座長にお願いいたします。
○尾形座長 おはようございます。
 それでは早速、議事に入らせていただきます。
 まず、議題1「新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想の考え方について」でございます。
 事務局のほうから、資料説明をお願いいたします。
○小川課長補佐 地域医療計画課の小川でございます。よろしくお願いいたします。
 資料に沿いまして、御説明させていただきます。
 まず、資料の2ページをお開きいただければと思います。この間の医療部会・医療計画の見直し等に関する検討会における議論につきまして、簡単に御紹介させていただきます。
 3ページ、4ページでございますが、8月24日に開催されました社会保障審議会医療部会におきまして提出させていただいている資料でございます。
 3ページでございますが、経済財政運営と改革の基本方針2020、骨太の方針2020でございます。
 一番下から5行目を御覧いただければと思いますが、感染症への対応の視点も含めて、質が高く効率的で持続可能な医療提供体制の整備を進めるため、可能な限り早期に工程の具体化を図る。その際、地域医療構想調整会議における議論の活性化、医療機能の分化・連携を推進するといった記載が盛り込まれているところでございます。
 4ページは、事務局のほうで新型コロナウイルス感染症の地域医療への影響例と課題ということで整理をした資料でございます。
 1つ目の○にございますように、新型コロナウイルス感染症の流行は、我が国の医療提供体制に多大な影響を及ぼしているという状況でございます。行政の課題としまして、病床数の不足の発生、医療機関間の役割分担・連携体制の構築の問題、感染防護具や医療用物資の確保・備蓄の問題等がございますし、医療現場でも、医療機関への受診控えや病床数の不足の発生といった課題があったという状況でございます。
 また、我が国の人口減少と高齢化は引き続き進行するという中で、今後、効果的・効率的な医療提供体制を構築するための取組、地域医療構想も含めまして、こうしたものは着実に進めるべきではないかといったこと。
 様々な課題に対応できる柔軟性ある医療提供体制の構築を目指していくべきではないかということ。
 こうした方向性を踏まえながら、各検討会、医療計画の見直し検討会やこの地域医療構想ワーキンググループにおきまして、具体的な検討を行うべきではないかといったことを提起いたしまして、御議論いただいたという状況でございます。
 5ページは、医療部会における主な御意見を整理したものでございます。
 1つ目の○にありますように、医療計画の5疾病5事業の中に、新興・再興感染症対策の追加をしていくべきではないかといった御意見。
 2つ目の○にありますが、今回新型コロナウイルス感染症の下、患者・住民の受診行動がどのように変化したかといったものを分析しながら、その結果を地域医療構想の検討などに活用すべきではないかといった御意見。
 3つ目の○にございますが、医療施設の最適配置の実現、地域医療構想の取組を進める必要性が今回の新型コロナ対応の中で逆に明らかになったのではないかといった御意見もいただいておるところでございます。
 続きまして、6ページ以降でございますが、10月1日に開催しました医療計画の見直し等に関する検討会の資料でございます。
 6ページ、7ページは、事務局のほうで整理させていただきました現状・課題・論点のペーパーでございます。
 6ページの1ポツでございますが、地域の実情に応じた医療提供体制の確保に関しまして、各都道府県におきまして2つ、まず1つは、医療計画を策定しまして、疾病・事業ごとに医療連携体制の構築に向けた取組を進めているということ。また、地域医療構想を策定しまして、2025年の医療需要と病床必要量を推計した上で、将来の医療需要を見据えた病床機能の分化・連携に向けた取組を進めているということ。
 2つ目の○にございますが、一方で、感染症の医療提供体制の確保に関しましては、各都道府県におきまして、感染症法に基づく予防計画を策定し、取組を進めている状況にございます。
 3つ目の○にございますが、そうした中で、今般の新型コロナウイルス感染症の対応に当たりましては、同種の感染症への対応に関する知見がない中で、感染症病床のみならず一般病床におきましても多くの感染症患者を受け入れるといった、医療計画や予防計画等では想定されていないような事態が生じている。新型コロナウイルス感染症以外の医療連携体制、役割分担や連携の在り方にも大きな影響を与えているということでございます。
 こうした現状を踏まえまして、2ポツの課題でございます。
 1つ目でございますけれども、新型コロナウイルス感染症対応により得られた知見を踏まえまして、今後、新興・再興感染症対応に係る医療連携体制を構築する必要があるのではないかということ。
 2つ目の○でございますが、引き続き進行する人口構造の変化を見据えた上で、新興・再興感染症が発生した際の影響にも留意しながら、入院医療・外来医療の双方におきまして、質の高い効率的な体制の確保に向けた取組を進めていく必要があるのではないかということ。
 課題をこの2点に整理させていただいています。
 7ページは、そうした課題を踏まえての今後の論点でございます。
 まず1つ、医療連携体制の構築、医療計画に関連する内容でございます。
 こちらにつきましては、矢印にありますように、関係審議会・検討会等におきまして新興・再興感染症対応の課題について整理した上で、医療計画の見直し等に関する検討会におきましても必要な検討を実施していくという方針を示させていただいています。
 2つ目、将来の医療需要を見据えた病床機能の分化・連携、地域医療構想の関係でございますが、こちらにつきましては、詳細につきまして、本地域医療構想に関するワーキンググループにおいて検討することとしてはどうかという形で示させていただいています。
 8ページでございますが、その検討会の中でいただいた主な御意見について整理をさせていただいています。
 2つ目の○でございますが、新型コロナの対応を見ていますと、余力がないとなかなか対応が難しい。その中で、地域医療構想というのは提供体制の効率化を進めていくというもの。この余力を確保していくということと、効率化を進めていくというところ、うまくすり合わせをしていかないと両立は難しいのではないかといった御意見をいただいています。
 3つ目でございますが、地域医療構想のターゲットである2025年という残された時間を考えますと、新たな工程の具体化に向けた検討を行っていくべきではないかといった御意見もいただいています。
 4つ目の○でございますが、疾病構造はコロナを経たからといって大きく変わったということではないという中で、基本的にはこの地域医療構想というものは粛々と進めていく形になるのではないか。その中で、病床の在り方、感染症対応の在り方というものをどう考えるのかというところはしっかり議論すべきではないかといった御意見。
 5つ目、6つ目の○でございますが、2040年を展望した新しいビジョン、工程も議論をすべきではないかといった御意見をいただいているところでございます。
 続きまして、9ページ以降は「2 地域医療構想について」ということでございます。委員の皆様にはよく御承知の内容かと思いますが、簡単に御紹介させていただきます。
 10ページが地域医療構想の概要資料でございます。地域医療構想は2025年に向けまして、病床の機能分化・連携を進めていく。医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推計するものということでございます。
 その中で、病床機能報告、足元の状況を報告いただきながら、地域医療構想調整会議の中で分化・連携に向けた議論を進めていくというものでございます。
 11ページは2025年の医療需要、病床必要量の推計の基本的な考え方の資料でございます。
 2つ目の○にございますが、医療需要(1日当たりの入院患者延べ数)を算出した上で、それを病床稼働率で割り戻しまして、病床の必要量を推計しているというものでございます。
 12ページでございますが、公立・公的医療機関等への具体的対応方針の再検証の関係でございます。
 右下の四角にございます。この具体的対応方針の再検証等の期限につきまして、8月31日付で通知を発出しております。再検証等の期限を含めまして、地域医療構想に関する取組の進め方につきましては、厚生労働省におきまして改めて整理の上、お示しするといった内容を通知しております。
 13ページは、重点支援区域の関係の概要資料でございます。
 国による助言、集中的な支援を行う重点支援区域の設定でございます。右下に今の選定区域とございます。本年8月25日に第2回の選定を行いまして、現在9道県12区域の重点支援区域を選定し、支援を進めている状況でございます。
 14ページは、今年度新たに予算を確保しております新たな病床機能の再編支援の関係でございます。
 四角囲みの中の2つ目の○にございますように、地域医療構想の実現を図る観点から、調整会議の合意を踏まえて行う自主的な病床削減、病院の統合による病床廃止に取り組む際の財政支援を実施するというものでございます。
 3つ目の○は、令和3年度以降、調整会議における議論の進捗等も踏まえながら、消費税財源によるための法改正を行いながら、これに基づき病床機能の再編支援を実施するといった内容の方向性でございます。
 15ページ以降、「3 新型コロナウイルス感染症対応の状況」を整理しております。
 まず16ページは、感染症法に基づく予防計画でございます。上の四角囲みにありますように、各都道府県は、感染症法に基づきまして、国が定める基本指針に則しまして、予防計画を定めるということにされております。
 下の右側の四角は、予防計画の概要でございます。赤の四角囲みにありますように、感染症に係る医療提供体制の確保に関する事項も盛り込まれているという状況でございます。
 続きまして、17ページは新型インフルエンザ等対策特別措置法の概要でございます。
 下のほうにございますが、緊急事態宣言が出された中では、2ポツのマル3にありますように、医療提供体制の確保としまして、臨時の医療施設等の開設等々の規定が盛り込まれているという状況でございます。
 18ページから20ページにかけまして、この間の新型コロナウイルス感染症の発生状況、発生動向、また重症者数の推移等につきまして資料をつけております。後ほど御覧いただければと思います。
 21ページは、そうした発生動向の中で、厚生労働省におきましては、各都道府県に対しまして病床確保計画の策定をお願いしておるところでございます。
 中ほど、少し上のところに緑の囲みがあるかと思います。時間軸を踏まえましたフェーズに応じまして病床確保等を実施していきましょうということで、各都道府県で計画を策定いただいております。現在、全都道府県におきまして策定が完了しているという状況でございます。
 22ページでございますが、病床確保計画の中では、左上の四角にありますように、入院で対応する分と併せまして、宿泊療養で対応する分につきましても推計の上、盛り込んでいただいているということ。また、下のほうにございますが、患者の重症化率も考慮しまして、重症患者の受入病床も考慮しながら確保を進めていただいているという状況にございます。
 23ページ以降は、この間の新型コロナウイルス感染症関係、それを受けた医療提供体制の状況につきましてデータを整理しておりますので、御紹介させていただきます。
 まず23ページでございますが、各都道府県別の新型コロナウイルスの感染状況、1月から9月におけます人口10万人当たりの累計の陽性者数を整理しております。
 24ページは、令和2年4月時点で全国の一般病床、感染症病床がどういった利用状況であったか、新型コロナの入院患者数がどうであったかというところを整理しております。
 令和2年4月末時点で入院していた新型コロナの患者数は5,514人でございます。これに対しまして、下の棒グラフにございますけれども、一般病床数と感染症病床数を足したもので88万9479、そのうち利用していた病床数が57万4390といった状況でございます。
 なお、上の四角囲みの2つ目の○にございますように、先ほど申し上げました病床確保計画の中で、都道府県が即応病床として、最終フェーズにおきまして確保するということを計画した病床数は計2万7580床という形になっております。
 25ページは、全国の1日平均の在院患者数、入院患者数の前年比のグラフでございます。一般病床に限ったものでございます。
 一般病床におけます全国の1日平均在院患者数は、前年の同時期に比べて減少傾向でございます。特に5月は前年比で86%ということでございます。
 26ページは、1日平均の在院患者数の前年比でございます。都道府県別10万人当たりの陽性者数、感染拡大の状況とクロスをさせて整理している資料でございます。横軸が人口10万人当たりの陽性患者数、縦軸が1日平均の在院患者数、前年比の割合でございます。
 右肩下がりという形になっていますので、陽性者数、感染が拡大している地域において昨年比で入院患者数は減少傾向にあるという状況が見てとれるかと考えております。
 27ページは、新入院患者数、退院患者数、平均在院日数の前年と今年の比較でございます。
 新入院患者数、退院患者数につきましては、前年同時期に比べて減少傾向でございます。
 一方で、全国の平均在院日数でいきますと、前年同時期に比べて長期化している傾向があるという状況でございます。
 続きまして、28ページ以降につきましては、G-MIS、また病床機能報告で当方で把握しているデータを活用しまして、状況について整理をしている資料でございます。
 まず29ページの一番上の棒グラフにつきましては、9月までの間にG-MISの中で御報告いただいている医療機関7,307の中で、受入可能と報告いただいた日があった医療機関の合計が1,700であったということでございます。7,307のうち23%に当たる1,700で受入可能という御報告をいただいたという状況でございます。
 2つ目のグラフでございますが、その1,700の中で1,353が、実際に受入実績があったということでございます。
 また、この1,353の中で307の医療機関が、人工呼吸器(ECMO)の使用をした患者の受入れがあったと御報告いただいているということでございます。
 30ページは、病床規模別の受入れの状況につきまして整理をしているものでございます。
 上のグラフの一番左側を見ていただければと思います。100床未満の医療機関は、全体で1,382の医療機関から御報告をいただいておりますが、その中で147の医療機関から受入可能という形で御報告をいただいているということでございます。下のグラフになりますけれども、さらにその147の中で75の医療機関で実際に受入実績があったという見方をしてまいります。
 どちらのグラフも右肩上がりでございますので、病床規模別で申しますと、病床規模が大きい医療機関のほうが受入割合も大きくなるということでございます。
 下のグラフに参りますと、100床未満のところでも51%の医療機関で実際に受入実績があるということでございますので、受入可能といただいた医療機関では、全体的にかなり多くの医療機関で受入れを御協力いただいたという状況かなと考えております。
 31ページからは、医療機関の機能別の受入状況でございます。
 まず31ページでございますが、感染症指定医療機関、地域医療支援病院、特定機能病院それぞれにおきまして、どの程度の割合で受入可能という形の御報告をいただいたかということでございます。3つの医療機関の種別の中で、おおむね9割程度、受入可能という御報告をいただいたという状況でございます。
 32ページは、実際に受入実績があったかどうかということでございます。感染症指定医療機関、地域医療支援病院、特定機能病院ともに、おおむね8割程度、受入実績があったということでございます。また、特定機能病院につきましては69%とかなり高い割合で重症患者の受入れも御協力いただいているという状況でございます。
 33ページも医療機関の機能別の受入状況の整理でございますが、少し観点を変えております。急性期病棟を有する医療機関、二次救急医療施設、三次救急医療施設、ICU等を有する医療機関の中でどの程度、受入可能と御報告いただいたかということでございます。
 見ていただきますと、三次救急医療施設やICU等を有する医療機関で、かなり多くの割合で受入可能と御報告いただいているということでございます。
 さらに34ページは同じ観点で、実際に受入実績があったかどうかを整理しているものでございます。こちらにつきましても、三次救急医療施設、ICU等を有する医療機関におきまして高い受入実績の割合になっているとともに、重症患者の受入割合も非常に高くなっているという状況でございます。
 35ページからは、公立・公的等・民間の設置主体別に、この間、受入れの状況がどうであったかを整理しているものでございます。
 35ページの左側のグラフでございます。見方としましては、例えば公立の中では694の医療機関に御報告いただいている中で、69%に当たる482の医療機関で受入可能という報告をいただいているということでございます。
 右側のグラフに参りますと、482の中で76%に当たる367の医療機関におきまして受入実績があったと見てまいります。
 こう見てまいりますと、受入可能という割合で申しますと、左側のグラフ、公立・公的等が高い割合になっている一方で、右側のグラフに参りますと、公立・公的等・民間、設置主体の別に関係なく、高い割合で実際に受入れに御協力いただいているということがお分かりいただけるかと思います。
 36ページは、設置主体別に人口規模、地域性を加味しながら整理している資料になります。
 見方としましては、左側のグラフでございますが、一番下、10万人未満の圏域では、全体で131の受入可能医療機関があったということでございます。その中で58%が公立、24%が公的等、18%が民間という形になっているということでございます。
 これを見ますと、人口規模が小さい圏域でございますと、公立・公的等の受入可能医療機関の割合がかなり高くなっている。一方で、100万人以上という圏域になりますと、民間の受入医療機関の割合が最も高いという状況になってまいります。
 参考としまして、右側に公立・公的等・民間別の急性期病棟を有する医療機関の割合、またその中でICU等を有する医療機関の割合につきましても掲載させていただいています。
 37ページは、100床当たりの常勤換算医師数別に新型コロナ患者の受入可能医療機関がどの程度あったかという状況でございます。
 一番左側にありますように、100床当たり医師数が10人未満の医療機関は全体で926ある中で、22%に当たる206の医療機関で受入可能と御報告いただいているということでございます。
 下側のグラフでございますが、206の中で59%に当たる122の医療機関で実際に受入実績があったと見てまいります。
 常勤換算医師数が多い医療機関ほど、受入可能医療機関の割合は比較的高くなっていくという傾向が見てとれるかと考えております。
 38ページは、37ページと同様の観点で100床当たりの常勤換算看護等職員数で分析をしているものでございます。医師数と同様に100床当たりの常勤換算看護等職員数が多い医療機関ほど、受入可能医療機関の割合は大きくなる傾向ということでございます。
 続きまして、最後でございますが「4 今後の論点について」ということで、事務局のほうで整理させていただいている資料でございます。
 まず40ページは、先ほども簡単に御紹介しました10月1日の医療計画の見直し等に関する検討会で配付させていただいているペーパーでございます。
 これを踏まえまして、41ページは新型コロナウイルス感染症を踏まえた地域医療構想に関する論点でございます。
 一番上の四角囲みにありますが、大きく分けて3つ程度あるかなと考えております。1つが受入体制の確保、2つ目が公立・公的医療機関等に対する「具体的対応方針の再検証」などの取組への影響、3つ目が今後の工程の関係でございます。
 まず、「1.感染拡大時の受入体制確保の在り方」でございます。
 地域医療構想は、中長期的な取組としまして、将来の医療需要を見据えた病床機能の分化・連携を目指すものでございます。一方で、新興・再興感染症の感染拡大時には、短期的な医療需要が発生する可能性があるという中で、これに適切に対応する観点も必要ということでございます。
 こうした感染症患者の受入体制を確保するためには、病床やスペース、医療機器等の資機材、必要な資質を備えた人材等を確保していく必要がある。あわせまして、新興・再興感染症以外の医療連携体制への影響を考慮しながら、医療機関の間で役割分担・連携を進めていく必要があるということでございます。このように、感染拡大時に機動的に必要な物的・人的資源の確保を進めるために、平時からの備えとしての取組、感染拡大時の取組としまして、どのような取組が必要かということでございます。
 こうした観点を踏まえまして、3つ目の○でございますけれども、地域医療構想を進めていくに当たりまして、その構想の基本的な考え方や枠組みに関しまして、新興・再興感染症の感染拡大に備えた取組を踏まえまして、どのような点に留意が必要かということでございます。
 42ページでございます。「2.公立・公的医療機関等に対する『具体的対応方針の再検証』などの取組への影響」でございます。
 本年1月17日付で、地域医療構想調整会議における議論の活性化を目的としまして、国のほうで診療実績のデータ分析を行った上で、一定の基準に合致した公立・公的医療機関等に対しまして、具体的対応方針の再検証を要請しているという状況でございます。
 先ほど申し上げましたように、本年8月31日付で、期限を含めまして、今後の進め方につきましては厚生労働省において改めて整理・提示する旨を示しているところでございます。
 ※印にございますように、再検証要請のほか、重点支援区域の関係、病床機能再編支援補助金の関係も進めているという状況でございます。
 こうした中で、3つ目の○にございますように、具体的対応方針の再検証などの取組を進めていくに当たりまして、新型コロナウイルス感染症への対応状況や新興・再興感染症の感染拡大に備えた取組の検討状況を踏まえまして、どのような点に留意・配慮が必要かということでございます。
 最後に「3.今後の人口構造の変化を踏まえた工程」でございます。
 骨太の方針2019におきましては、公立・公的医療機関等に対して具体的対応方針の再検証を求めるということと併せまして、民間医療機関につきましても、地域医療構想調整会議における議論を促すこととされております。
 骨太の方針2020では、感染症への対応の視点も含めて、質が高く効率的で持続可能な医療提供体制の整備を進めるため、可能な限り早期に工程の具体化を図るとされたところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、地域医療構想の前提である2025年、その先も続く人口構造の変化を見据えまして、新型コロナウイルス感染症への対応状況や新興・再興感染症の感染拡大に備えた取組の検討状況を踏まえまして、今後の議論、取組の工程につきましてどのように考えるかということでございます。
 以上、事務局からの説明でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明がありました資料につきまして、御質問、御意見等を承りたいと思います。特に最後、今後の論点についてということで3点が事務局から示されておりますので、その辺も踏まえて御議論いただければと思います。どなたからでもどうぞ。
 小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 ただいまは詳細な御説明をいただき、ありがとうございます。
 私ども自治体病院は、先ほど御説明いただきましたように、比較的30万以下の小規模のところに6割ございますので、そこを中心に患者さんを収容したというのはリーズナブルなものではないかと。
 それと、民間の医療機関さんが100万人以上のところでこれだけ多数の患者さんを引き受けていただいたということは、正直言って驚いております。その間、公立・公的等・民間でそれぞれがやれる範囲で頑張ったのだろうと思った次第です。
 ただ、先ほど小川さんがおっしゃったように、見直し等のところで出たように、地域医療構想調整会議は効率的で質の高い医療を目指すと。それと新興・再興感染症に対するというのは、余力というか余裕がないとここまで医療対応ができなかったのだろうと思っているのが現実でございまして、先ほどの見直し計画の中でもお互い相反するのではないかという意見を述べられていたと思いますけれども、それは私どもとしても非常に偽らざるところ、そう思います。
 これがぎちぎちで、例えば本当に効率的といって、常に高度急性期や急性期の患者さんで満杯になっていたら、新型の第1波、あるいは今の第2波でもいいですけれども、そう簡単には患者さんの移動や病室の確保、人的配置、感染症病床だけでは当然足りないわけですから、一般病棟を潰して人員を確保してスペースを確保したという実態にあるわけで、そこがどこもかしこも余裕がなければ、余力と言ってもいいのですけれども、そういう対応を取りたくても取れないという実態になると思うのです。
 ですから、その余裕をどの程度の範囲で収めて、それでいて中長期的な人口減と必要病床数のほうに整合性を持たせていくかということが、今後の課題の中で問題なのだろうなと思います。
 あとは連携体制です。例えばコロナの患者さんを収容しているところに、よそのところから医療スタッフが来て、もともとの本来のその病院の医療スタッフをコロナ患者さん用に充てられるというような連携も大事でしょうし、コロナを入れるために、入院している患者さんをよその病院にお願いしなければならないといった連携体制もきちんと考えていかなければいけない問題なのだろうなと私どもは強く思っております。
 話を元に戻しますと、余裕と効率性とをどうやってマッチさせていくかという問題が必要なのだと思いますし、はっきり申しまして、今までには感染症という新たな概念は医療計画になかったわけですので、それを今後ともしっかり事実に基づいて、あるいは推計に基づいて考えていっていただきたいと思っております。
 私のほうからは以上、まずはお話しさせていただきました。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 今までの経過を本当によく分かりやすくまとめていただいているなと思います。
 このコロナが始まって、3月末からもう半年が経過しているわけで、今から思い返すと、4月の急激に増えているとき、PCRはできない、入院病床はない、保健所は手いっぱいという中で、本当によくここまで収めてきたなということで、先ほどもありましたように、民間病院もかなり大型の病院はそれなりの対応をしているし、私は東京ですけれども、東京でいうとかなり小型の病院も本当に一生懸命入院病室を整備してきたということで、何とかここにたどり着いているのかなという気はします。
 ただ、今後のことを考えるときに、新興・再興感染症は感染症病床だけではとても対応できない。予防計画もつくり直さなければいけない。そうすると、ここの場だけで済む話ではなくて、国としてこれを5疾病5事業の中にどのように位置づけていくかということが非常に重要ですし、コロナ一つ取ってみても収まることはなくて、何らかの形で対応をずっと続けなければいけないのだろうと思うわけです。そうしたときに、病院の病床をどういう形で確保していくのか。
 今は何とか収まっているというか、一定数が発生しているわけで、一定数の病床で対応しているわけですけれども、例えば海外との行き来が盛んになると、また急に増える。そのときに、どのように増やしていくか。そうすると、先ほど図にありましたようなフェーズによって対応方法を決めていく以外にはないのかなという気はします。
 それから、このコロナの対応だけではないわけです。新興・再興感染症というのは今度何が起きてくるか分からないので、未知のものに対しての対応が必要になるということで、これはすぐに決める必要があるようでもあり、非常に大きいことを解決しなければいけないなと思って、とても難しい問題だと思っております。
 当面は、今までやってきた地域医療構想調整会議等々の在り方をしばらく併存させて話し合っていかないと、なかなかいい方法が見つからないのかなという気がしております。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 詳細な報告をありがとうございました。
 今、議論の中で、医療法と感染症予防法の関係を明確にしていくべきではないかと思います。感染症予防法は、基本的には感染症病床を常時から持っておいて、空床であっても置いておくもの。それに対して、今回コロナで必要になったのは一般病床をどう使うかということですので、感染症のほうの議論と一般病床をどう使うかという議論は並列して、なじませながら議論していく必要があると思います。
 この間の医療計画の会議でも申し上げましたけれども、感染症のほうの議論を先行させるということで、向こうの部会でやるということですので、そうすると、こちらの医療法のほうの一般病床をどう使うかという議論が後手に回ると、整合性が取りにくくなるのではないかということを心配しています。
 特に感染症の観点から言うと、一般病床をどう使うかというのは向こうからはなかなか考えにくいわけです。それはたくさん使わせてもらったほうがいいに決まっていますけれども、たくさん使うということは一般医療を圧迫するということですから、一般医療をどれだけ制限できますか。それも受ける病院が制限をしたら、その病院の患者さんをどこが受けますかという議論は医療法のほうで議論しない限りは、議論としては成立しないのです。そこを感染症のほうで議論することは難しいと思いますので、こちらの一般病床をどう使うか。例えば10分の1をコロナに確保するということであれば、その病床の分をふだんから予備能力として持っておくのか、そこをぐっと押しのけたときに、ほかの病院で受けてもらうという整理をするのか、両立させるのかということの議論が必要になってきて、それは感染症としてどれぐらい確保しておきますかということとすり合わせをしなければいけないことだと思うのです。
 ですから、向こうの議論とこちらの議論を並行して、常に情報を共有しながら、落としどころを探すということをしていかなければならないと思います。
 もう一つ、医療法は平時に対してどうするかという法律であるのに対して、感染症予防法は基本的には有事に対してどうするかということで、発想が違っています。ですから、平時と有事をどう整合性を取るかということだと思います。
 確かに5疾病5事業の中には災害医療があって、緊急時に対しての対応や救急医療もあるのですけれども、感染症の概念と一般災害とは随分違っていると思います。一般災害の場合は体育館みたいなところにICUをつくるという発想ですけれども、コロナの場合はそれは困るわけで、いかに個室をどれだけ確保できるかという話ですので、大分やり方が違ってきます。ですから、感染症の初動に対しての議論は医療法の中で、医療計画の中でも必要だと思いますので、その辺の議論が今後必要だと考えます。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。ウェブで参加されている構成員の方々、いかがでしょうか。
 織田構成員、どうぞ。
○織田構成員 ありがとうございます。
 お聞きしたいのですけれども、資料の21ページは時間軸で、流れとしては非常によくできていると思いますけれども、これは構想区域ではなくて、基本的には県を対象としたもので、県レベルの話になりますね。ということは、医療計画の中でこのように考えていくということになるのでしょうか。
 それと、先ほど平時と有事の話が出ましたけれども、平時から感染症を担っている病床を確保すると効率的には難しい部分が出てくると思うのです。ですから、一般病床から感染症病床に迅速に転換できるような柔軟な医療体制をつくっていくということだろうと思います。
 それらが21ページに示してあるものなのかなと思って見ておりましたけれども、いかがでしょうか。
○尾形座長 御質問ですので、事務局のほうからお願いします。
 鈴木課長、どうぞ。
○鈴木課長 御質問どうもありがとうございます。
 感染症病床の確保の考え方ですけれども、参考資料の57ページを御覧いただければと思います。先ほどの今村構成員の話にも関連するのですが、もともと医療法の中で、いわゆる基準病床という制度がありまして、地域医療構想で議論されているのは一般病床・療養病床のところでございますけれども、感染症病床につきましては、一般病床・療養病床とは別で整理されているというのが現状でございます。
 その中で、感染症病床の今の整備でございますが、下の※印にありますけれども、それぞれ特定感染症指定医療機関は全国に数か所、第一種感染症指定医療機関につきましては都道府県に1か所程度、次の次のページに参考でどれだけ整備されているかというのを入れておりますが、おおむね各都道府県で一定されている。あと、第二種感染症指定医療機関につきましては、二次医療圏に各1か所ということで、これまでは整備されていました。
 ただ、今回のコロナにつきましては、どちらかといいますと二種というよりも、前の56ページを見ていただきたいのですが、今回の感染症法に基づく主な措置の概要となっておりまして、今回、新型コロナウイルス感染症につきましては指定感染症に指定されたということになっていますが、いわゆる二類感染症、先ほどの第二種感染症指定医療機関に入るところですが、そことの対応が若干異なっているということもあり、また、当初は病原性が分からなかったということもございましたので、先ほどのような21ページの病床確保計画につきましては、都道府県単位で行っていただきたいということにさせていただいたところでございます。
 織田構成員が御指摘のとおり、感染症によってどういうところで、どの範囲を考えながら病床を確保していくのかというのは、今後の検討の論点ではあると思います。
 以上です。
○尾形座長 織田構成員、よろしいでしょうか。
○織田構成員 5疾病5事業もそうですけれども、医療圏は疾患によって違ったりしていますね。感染症に関して、今の地域医療構想の構成区域は、20万以下の構想区域が全部で80ぐらいあると思いますけれども、その規模ではなかなか調整できない部分もあるので、感染症に関する医療圏はどのように考えておられますか。それとも、今後構想区域を越えて、近隣の構想区域が一緒にやっていくとか、そういうことも含めて考えておられますか。
○尾形座長 事務局、どうぞ。
○鈴木課長 それにつきましては、そもそも今回の新型コロナウイルス感染症対策について、どのような体制で先ほどの感染症法に基づく予防計画をつくっていかなくてはいけないのか。それから、位置づけをどうするのかということについて、今ちょうど厚生科学審議会感染症部会で議論されているところです。そちらのほうの議論である程度方向性が見えないと、我々としても全体で見るのか、それとも医療圏で見るのかというところの議論は進まないかなと思っています。
 また今回、少なくとも新型コロナウイルス感染症につきましては、当初は病原性が分からずに、どれだけ感染するか分からなかったという中での対策となってきますので、今回新たに健康局さんのほうで議論していただくことになっておりますが、その辺も踏まえてどのように考えていただくのかということについて、また改めて健康局の議論も御紹介しながら、今後議論していただければと思っております。
○尾形座長 織田構成員、よろしいでしょうか。
○織田構成員 今回問題になっているのは、若い方たちは比較的軽症なのですけれども、どちらかというと御高齢の方が強毒性みたいな感じになっていますね。年齢によって全然違うのですけれども、そこら辺についての議論は今後どうなりますか。
○鈴木課長 そこも感染症部会のほうの議論になると思っています。
 端的に申しますと、病原性がある程度はっきりしているものについては、既に感染症法の中で一類から五類の中にある程度示されている。そうしますと、患者が発生した場合については、それについてどれだけの規模が出て、どれだけの病床が必要になってくるのかというのはある程度想定されますが、改めて申しますと、今回は病原性が分からなくて、どれだけ拡大するか分からなかった。感染症病床では間に合わずに、一般病床も利用せざるを得なかった。一般病床だけではなくて、軽症者につきましては先ほどの宿泊療養とか、特措法が出たときには臨時の医療施設ということで別途病院を新設したりとか、そういったところで病床を確保していたということがございます。どちらかというとそういう状況になったときに、我々の中で、感染症法の対応もそうですけれども、構想の中でどのように対応していくのかというところが今回の焦点になるのではないかと考えております。
○織田構成員 ありがとうございました。
○尾形座長 ありがとうございました。
 野原構成員、幸野構成員が手を挙げておられますので、その順番でお願いします。
 まずは野原構成員、お願いします。
○野原構成員 野原でございます。
 事務局から3点の論点が示されましたので、それぞれについて意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、1点目の感染拡大時の受入体制確保の在り方についてでございます。
 最初、今後の議論の進め方でございます。今村構成員からも指摘がございましたけれども、地域医療構想は平時における病床機能を想定しているのに対して、感染症対応という言わば有事の体制をどのように反映させていくのかというのは非常に難しい課題であると考えています。地域医療構想の病床の必要量は、感染症や結核、精神病床を対象としておらず、また、こうした健康危機管理時における病床のバッファーを想定していないためであると考えております。
 今後、具体的な議論を進める上で、仮に現在の高度急性期や急性期の必要病床数に感染症病床や結核病床、また現在新型コロナで対応している病床を反映させるとした場合の実質的な課題、さらに病床機能報告にも反映させるとした場合の課題も含めて整理をお願いしたいと考えております。
 また、新興・再興感染症の流行規模や実効再生産数等の流行拡大速度等をどの程度で想定するかでこの後の議論も変わってくると考えられます。今般の新型コロナウイルス感染症流行を想定した場合でも、まだ終息していない現段階で、また世界的にも流行状況が異なる中で、どの流行シナリオを想定するのかという点、加えて、先ほども議論がございましたが、今後起こり得る様々な感染症流行にも対応できるようにすべきだといった点についても整理が必要であると考えております。
 最初の前提を整理しないと議論がかみ合わないのではないかと考えますので、その点をよろしくお願いしたいと思います。
 2つ目は一般医療と感染症対応のバランスでございます。本日の資料にも示されているように、今般の新型コロナウイルス感染症対応病床については、感染症病床にとどまらず、多くの高度急性期、急性期の機能を担う一般の医療機関で対応しています。そのほか地方では重症者を受け入れる医療機関は1か所しかないことが多く、地域での役割分担が難しい場合もございます。また、こうした医療機関は、がん診療や救急医療など地域での一般医療の中核を担っていることが多く、院内感染等で一時的に医療機能の制限を行わなくてはならない場合、地域の医療提供体制に与える影響は極めて大きなものとなります。そうした医療資源の少ない地域にとって、一般医療の確保と感染症拡大時における病床確保のバランスをどのように取るかが大きな課題でありまして、こうした地域にも配慮した視点が必要と考えます。
 現在の感染症患者の受入体制の課題としては、示されているように、病床や人工呼吸器(ECMO)といった必要な医療資材と、感染症医療を担う人材確保が課題となっております。資料にも示されているとおり、医師の充足が高い医療機関ほど、新型コロナ患者の受入れが可能となっておりますが、医師不足の地域では、感染症に対応できる人材の不足も深刻であり、並行して、医師確保や偏在対策にも取り組んでいただければと考えております。
 今後の議論のすみ分けでございます。これは多くの構成員から御指摘があったことと思います。今回は地域医療構想ワーキングで議論する論点が示されました。政策医療としての感染症については、医療計画の見直し等に関する検討会で今後議論が進められると理解をしております。
 そのほか、鈴木課長からも御説明がありましたけれども、今般の新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた感染症法に基づく今後の確保すべき感染症病床数や機能などの感染症予防計画の見直しについて、今、厚生科学審議会で検討が進められていると思いますけれども、こういった議論の内容も御報告いただいて、このワーキンググループの論点とのすみ分けをきちんと整理していただければと考えます。
 2点目の具体的対応方針の再検証についてでございます。
 地域におきましては、20万以下の規模の構想区域が大部分でございますが、小熊構成員からも御指摘があったとおり、こうした地域では公立・公的医療機関の役割が非常に大きくなっております。このような再検証が必要な公的・公立病院が公表されましたが、その中には感染症医療機関など今般のコロナ対応を行っている医療機関が多く含まれております。岩手県でも第一種感染症指定医療機関などが含まれています。今後開催する各地域の地域医療構想調整会議からは、こうした感染症医療を担っている公立・公的医療機関の役割をどう位置づけるのか。また、今般の新型コロナウイルス感染症対応で担った役割をきちんと反映させるべきではないのかといった意見もあるところでございます。
 調整会議を主催する都道府県としては、国が示す限られた期間の中で一定の結論を得なくてはなりません。各地域での建設的な議論が進むような論点整理をお願いしたいと考えております。
 3点目、今後の人口構造の変化を踏まえた議論の工程でございます。
 医療計画は6年の計画でありまして、多くの行政機関が5年程度の中期計画となっております。地域医療構想は将来のあるべき地域医療を示すビジョンでありますので、それよりは長期的な展望が求められていると考えております。
 また、ダイバーシティ医療計画策定は2023年に行われることになりますが、そのときは2025年を目指した現行の地域医療構想の議論は行わないであろうと考えております。2025年まで5年を切った時点で、今後の具体的な工程の議論を進めておく必要があると考えます。
 長くなりましたが、以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。ごもっともな御指摘かと思いますので、御意見として受け止めたいと思います。
 続きまして、幸野構成員、どうぞ。
○幸野構成員 ありがとうございます。
 論点1の関係について、質問と意見を申し述べたいと思います。
 今、少し議論になりましたけれども、現行の感染症法に基づく予防計画なのですが、これは都道府県で策定されていますが、今般のコロナ禍で予防計画が本当に機能したのかどうか、また、どのように生かされたのかというところについて、総括をまずしていく必要があると思うのですが、この予防計画がコロナ禍で対応できたかどうか、担当は健康局だと思いますが、事務局にお聞きしたいですが、いかがでしょうか。
○尾形座長 これは医政局としては答えにくいかもしれませんが、何かありますか。
 事務局、どうぞ。
○小川課長補佐 事務局でございます。
 まさしく本日の資料の7ページにございます医療計画の見直し等に関する検討会の中で、今、委員が御指摘のとおり、まず新興・再興感染症対応に当たっての課題を関係審議会・検討会等におきまして整理いただくということが重要かなと思っております。予防計画がどう機能していたかということも含めての課題整理ということだと思いますので、それをもって医療計画の見直し等に関する検討会、またこのワーキンググループの中でもその状況、情報については報告をさせていただくことにしたいと思っております。
○尾形座長 幸野構成員、どうぞ。
○幸野構成員 ありがとうございます。
 今回、予防計画がどのような内容か見てみたのですが、非常に定性的な計画になっていまして、本当にこれで今般のような感染症拡大時の対応のガイドラインになるようなものだったのかということに関しては疑問が残るところです。策定された予防計画は、努力目標的なことばかり書かれていて、病床の確保計画など定量的な目標が全くなく、これは感染症拡大時の対応のガイドラインとするにはちょっと物足りないので、抜本的に見直す必要があるのではないかと思います。
 論点1の関係なのですけれども、先ほどいろいろと意見がございました。小熊先生からは余裕と効率性の問題、猪口先生からは5疾病5事業の中でどう考えていくかというところですが、私の考えを申し上げますと、いつ、どのような感染症が発生するか想定できない中で、感染拡大を前提に長期的な構想を立てていくことは、ちょっと違うのではないかと思います。
 地域医療構想はあくまで将来の医療需要を見据えた病床機能の分化・連携を構築することが目的だと思います。重要なのは、平時の医療需要に対応した医療資源の適正配置を維持しつつも、今般のような有事にいかに迅速かつ冷静に対処できるかという体制をあらかじめ準備しておくということだと思います。
 新興・再興感染症が発生したときの対応は、地域医療構想という大きな枠の中でどのように対処していくかを、都道府県が策定する医療計画と、先ほど申し上げました予防計画をしっかりとつくり、医療計画と予防計画の平仄を合わせて、その中で担保されていることを確認しながら、地域医療構想を粛々と進めていくことが必要なのではないかと思います。
 今日はコロナ受入実績の資料が示されましたけど、いろいろな状況が見えてきたと思います。例えば35ページと36ページを見れば、医療圏の人口規模によって公立・公的等・民間の役割は違っていたということは分かってきたのですが、全体としては、公立・公的等・民間ともに患者受入体制は比較的確保されていたという事実が分かり、各医療圏において、このようにあらかじめ受入れの役割分担を決めておくことが地域医療構想の中では必要なのではないかと思います。
 また、30ページや37ページ、38ページを見れば、比較的大規模の病院、あとは医療従事者の多い医療機関が比較的受入可能となっているという事実が分かったということで、最終的には地域の協議で決める話ですが、地域医療構想による統合・再編を通じて、各医療圏の中核となる病院の役割を明確化するということは、結果的には感染症対応にもつながるということに寄与するのではないかと思います。
 そういうことで、地域医療構想については余裕と効率性というのも大事なのですけれども、やはり中長期的な支援の中で行い、有事の体制は医療計画、予防計画の中でしっかりと担保していくという考え方が必要なのではないかということで、論点1について意見を申し上げます。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 岡留構成員、どうぞ。
○岡留構成員 先ほど小熊先生がおっしゃったとおりだと思います。例えば私どもは二百数十人受け入れたのですが、救命救急センターを全部潰して、そのベッドのやりくりをしながら、重症度に応じてレッドゾーンやグリーンゾーンなどゾーニングをきちんとやりながらやって、おかげさまで院内感染は出なかったのですが、結局、小熊先生が言われたように、この地域医療構想はベッドを削減するという方向ではなくて、むしろ連携や機能の分担をいかに本質的なものに動かして、実効性のあるものにしていくかということに論点が移ってきているのではないかと、今度のコロナの一連の騒動を見て思うのです。
 先ほど野原先生がおっしゃいましたが、法的に有事と平時の違いが十分ありますので、こういった場合にどういう対応をするか。5疾病6事業にして、その中に1つ事業を入れて、感染対策を国として法律化していくのかどうか。計画できちんと方向性を出していくことが非常に大事なことではないかと思います。
 今回、このとき言ってくれと日本病院会の連中からも言われたのですが、各病院とも受け入れているところは医療資源の投入量がものすごく負荷が加わって、これは二次補正である程度ペイバックできますけれども、その辺の負担が非常にのしかかってきている。その辺のところを考えながら行政もやっていただかないと、相当な空床を確保しておかないといけないし、そのための道具、イクイップメントも非常に重要なことになってきますし、いろいろなところに財政的な部分で負荷が加わってくるということもありますので、法的に有事、平時をどのようにしていただくかということと、必ずしも地域医療構想は削減ありきではないよということをもう一度、僕らは見直さなければならないのではないかと思っております。
 以上でございます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 伊藤でございます。
 今回の様々な分析では、幸野構成員がおっしゃったように平時、有事という意味で、地域医療構想は平時の基本的な体制を整えて、その中でどのような役割分担をしていくかという点で、感染症という特殊な有事の状況においては、それに向けた特定の対応をすべきと思っております。
 今回のコロナということに限ってお話を申し上げれば、35ページに受入実績がございますけれども、受入可能だとする公立・公的・民間の医療機関がそれぞれあります。多くの病院は実際に受け入れたわけですが、受入れが可能と言いながらもそれができなかったところが幾つか存在しています。これに関して、なぜ可能と言いながらも受け入れることができなかったか原因の調査をすべきではないかと思っています。
 特に都市部と地方とではそれぞれの病院の役割が全く違ったわけで、それぞれの地域においてどの設立主体の医療機関が感染症に対して十分な役割を果たしたかということもいろいろとデータを取りながら、対応できなかった理由を潰していかないと、新たに感染症が起こったときに対応が後手後手に回るのではないかということを危惧しているということが1点。
 それから機能分化に関して、岡留構成員が言われましたけれども、都会部では非常に上手に機能分化ができたと思われます。特に東京では民間のコロナ受入れが積極的に行われ、他の都市部でも公立・公的の病院が重症例を積極的に引き受けて、それ以外の急性期疾病に関しては、その周辺の医療機関と上手に連携を組んだということが、まさに地域医療構想の理念に一致するところです。この役割分担をさらに進めるために、今回受入れができなかった病院の理由は何かということを含めて、きちんと原因をはっきりさせて、それを一つ一つ潰していくことで今後の対応ができるのではないかと考えるのですが、こういう調査をされる予定がございますでしょうか。
○尾形座長 これは御質問です。事務局、お願いします。
○鈴木課長 御質問ありがとうございます。
 今のデータの中で具体的にどこまで分かるかというのは、精査することはできると思いますが、1点申し上げさせていただきますと、今回都道府県ごとに感染の状況が全然違ったというところが一つ大きな原因になっております。例えば野原構成員がいらっしゃいました岩手県ですとほとんど感染症が出なかったという中で、61ページを見ていただきますと、左から4行目にあります確保病床数ということで、今、岩手県で病床を確保しているのが374あるのです。そういった意味で、確保はしているのだけれども患者さんが発生しなかったがために受入れがなかったというところは出てきているのではないかと思っております。
 あと、補足をさせていただきますと、野原構成員からも御指摘がありましたが、21ページで、今回の新型コロナウイルス感染症に関します病床確保につきましてはフェーズを基にということで、当初行っておりましたのは、感染のピークの数だけ病床は一遍に確保しておいてくれということを各都道府県にお願いしたところ、感染の状況によっては使わない病床がたくさんあったということから、時間軸を考えながら、感染の拡大と同時にこういったものを確保するという計画をつくってくれと。
 これはあくまでも、いわゆる災害といいますか緊急時の対応ということでつくらせていただいたところでございまして、一般的な医療計画におきましては平時の対応というところがございますので、そういった意味では、この計画については若干そういった違いが出てきているということが考えられると思っているところでございます。
 以上です。
○尾形座長 伊藤構成員、よろしいでしょうか。
○伊藤構成員 ありがとうございました。
 もう一点ですが、今回、コロナと新型インフルエンザという呼吸器を中心とした感染症が非常に話題になって、こればかりではなくてコロナとインフルエンザ以外の感染症に対する対応は少し違うような気がしておりまして、これは感染に関する専門家の対策もきちんとしていただいた上で、地域医療構想に反映させるべきではないかと思いますので、ぜひその点をよろしくお願いいたします。
○尾形座長 ごもっともな御意見かと思います。承っておきます。
 ほかはいかがでしょうか。
 今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 今までの議論は全くそのとおりだと思うのですが、特に重要なポイントについてもう一遍言わせていただきますと、重症例をどう受け取るかということが今回のコロナでも最大の問題だったと思います。先ほどの資料の中にもICUを持っている病院で受けたということが分かっていまして、いかに重症例を受け入れる病床を確保するかということが一番難しいです。
 実際うちの病院でも受けて、何が起こるかというと、ICUを止めると救急とオペができなくなります。救急がまず受けられなくなるので、それをどうほかの病院に受けてもらうかということと、手術後もしくはカテーテル後といったICUでともかく一旦受け止める人を受け止められなくなるので、一般の手術が止まります。それをほかの病院で受けてもらわない限りは、その方々は手術ができないのです。
 恐らく医療費は安くなるのです。それは医療を受けなくて済むからです。でも、その方は助からないということが起こり得るので、いかにICUを確保するかということと、ふだんのところを使うのであれば、どうほかの病院にICUの機能を移すかということだと思います。
 見ていますと、2か月、3か月たつと一般病床で人工呼吸器を受けて、昔でいうリカバリーという部屋に当たるものが復活し始めると動き始めるのですけれども、最初の初動2か月、3か月はICUを全部潰すしかないので、その結果として受けられなくなるオペと救急の2つをどう受け止めるかというところが、実際の医療構想に影響してくる部分だと思いますし、それは高度急性期の数という部分の中でも、ICUの数ということになると思いますので、そこをコロナの病床の問題とどう整合性を取るかだと思います。
 実感として、今回ECMOなどが入ってきて、昔ならば助からなかった呼吸器感染症の人が助かるのです。ICUに入ることによって助かるという現象が恐らくここ10年ぐらいの間で起こっている変化ですので、それに対してICUをどこまで確保するか。
 ICUの確保というのはすごくお金がかかって、空床で持てば莫大な赤字が出るというものですので、医療構想の話の中では最もコアな部分だと思いますので、そこの部分の余力をどう持つかというのが最終的には一番しんどい部分ではないかと思います。なので、そこの部分は独立して議論が必要だと思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
 小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 今、今村先生のお話を聞いていて、自治体病院協議会で独自に第1波のアンケートを行いました。その中で、一般病床を感染病床に直したところで重症例を一番診ているのです。ICUが一番診ているかと思ったらそうではなくて、中等症の重いほうとか重症例は、確保した一般病床でも診ている。それのほうがむしろ多いと。我々の自治体病院の第1波ではです。それは恐らくICUが足りないから、あるいはほかのいろいろな理由があるかもしれませんけれども、そういうことではないかと思います。
 そこでも一応ECMOは回せますし、人工呼吸器はつけられますし、治療としては成り立つのです。ただ、それが将来的に見ていいことかどうかは別にして、やはりICUでやれたほうがいいに決まっていると思います。
 ただ問題は、コロナの場合は先ほど今村先生がおっしゃったように、災害時の体育館にどんと収容しておけばいいとかという問題ではなくて、感染というものをすごく考慮に入れなければいけないので、それを引き受ける病床というのは、それなりの施設整備や対応をしておかないと引き受けられないことだと思うのです。ですから、パンデミックのときも短期的な対応になることは間違いないと思うのですけれども、そういう設備が要るし人が要るということを本当に考えなければいけない。何もないところでただ診なさいと言われても診られるわけがないので、そういったことを事前にちゃんと考えておかないといけないのではないかと私どもは思っているところです。
○尾形座長 ありがとうございました。
 鈴木課長、どうぞ。
○鈴木課長 ICUのお話が出ました。33ページのところにありますが、今回の調査のICUの定義については、どちらかといいますと部屋の機能というよりも、ICU関連の算定をしたかというところで集計をさせていただいています。逆に言えば、ここの算定があるということは、部屋は別として、それなりのマンパワーや機器整備がされているというところになりますので、小熊先生がおっしゃっているような、一般病床である程度の人と配置があればこういった算定ができますので、そういったところも中に入っているというところは付け加えさせていただきます。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 もう一つ違う観点で難しい問題があって、今回の場合、疑い症例をどうするかということが難しいです。これは感染症予防法でやるのか、医療法でやるのか、根本的な問題がありますけれども、疑い症例の場合は、コロナの方の病棟に入れるわけにもいかないし、一般病棟にも入れるわけにもいかなくて、結局個室に入れるしかないという状況です。
 今回コロナでPCRが走り始めると同時に、大量に擬陽性の人が出てきています。そうすると、元気で擬陽性の人がどんどん入ってくるというときに、個室で受け入れるということは限界があって、それをICUのあるような大きな病院でどんどん受けていると、一瞬で埋まってしまうという現象が起きます。
 ホテルに入れていいかどうかというのも最初の段階ではなかなか難しいので、結局、何日か病院の個室にいるというのが必要になったので、現場ではそれをどこで受けるのかというのがすごくもめました。ですから、個室病床として一時的でもその人たちを入れられるところがないと、現実、こういうコロナの対応がなかなか難しいなと。
 その中でも特にコアに難しいのが、重症例の疑い症例なのです。重症例の疑い症例をICUに入れるか、それとも一般個室に入れるかというのは、その人の生命にも関わってきますので、それが一番コアな部分で、重症例の方をICUのある病院は受け入れていくので、そのためにどんどん病床が埋まっていく。でも、実はそのうち3分の2は違ったという状況で、結構高齢者の方の肺炎状態で入ってこられる方が増えるということが起きます。
 疑い症例をどうするのかというのは難しい問題としてありますので、重症例の話と全く対極なのですけれども、疑い症例の対応も医療法の世界と感染症法の世界でちゃんとすり合わせをしていかないと、積み残される可能性がありますので、ぜひその辺は御留意をいただきたいと思います。
○尾形座長 鈴木課長、どうぞ。
○鈴木課長 御指摘のとおりだと思います。
 今後、医療法の中でどういった感染症を対象にしながら、医療計画もしくは地域医療構想を考えていくのか、いわゆる対象疾病をどう整理するのかというところだと思います。
 先ほどもお示ししましたが、56ページの中には、感染症というのが指定感染症から一類、二類、三類、四類、五類とあって、新型インフルエンザ等感染症があり、それぞれの感染症の病原体によって、行われている措置が違うという状況になっています。
 また、先ほど今村構成員におっしゃっていただいたところにもありますが、無症状病原体保有者の適用についても、病原性によって全然違ってくる。今回、新型コロナウイルス感染症につきましては、いわゆる擬似症、無症状病原体保有者も入院の対象とするということがありましたので、そういったことがございましたが、端的に言いますと感染症部会の話になるとは思いますけれども、感染症部会のほうで、どういう感染症についてこの医療法の中できちんと計画の中に入れるべきなのかということの議論を踏まえながら、今後検討していただきたいと思っています。
○尾形座長 今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 全くそのとおりで、感染症予防法の考え方だと、エボラみたいに割とはっきりと感染が分かる。エボラは怖い病気ですけれども、感染症対策としては割と単純な対策です。ですから、ああいう方の疑い症例を受けられるようには設計されているのです。ですので、飛沫感染のようなものに対しては、対策としてはあまり考えられていない。ましてや麻疹のように空気感染のようなものに対しては全く無力だという状況があります。
 感染症予防法が今カバーしている範囲を今回のコロナは越えていると思いますので、飛沫感染のようなものに対しての疑い症例をどう受け止めるかというのは感染症でも考えるべきですけれども、これは一般病床で受けない限りは、感染症病床の数では絶対に受け切れないものなので、そこはこちらのほうに議論がはねてくるものだと思いますので、難しいのですけれども、ぜひ御考慮をお願いします。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 幸野構成員、どうぞ。
○幸野構成員 論点2、3に関しての意見を申し上げたいと思います。
  論点2、3は、今、コロナで足踏み状態している状況をこれからどう考えていくかという投げかけだと思うのですが、今も新型コロナが終息していない状況下で、特に再検証の期限を再提示するというのは非常に難しい課題だと思うのですけれども、このまま足踏みしていても、医療需要の減少はますます加速することは見えております。そんな中で、特に再検証が必要な医療機関というのは、医療機関の経営の存続にも関わる問題であると考えております。当面の目標である2025年という残された時間を踏まえれば、このまま足踏みを継続しているわけにはいかないのではないかと思っていまして、新たな工程を作るために一歩踏み出し、具体的対応方針の再検証に向けた検討を再開すべきではないかと思います。
 このまま足踏みを続けていても、何ら解決策にはならないので、ウィズコロナという観点で、コロナを克服しながら、進めるべきものは進めていくということが必要なのではないでしょうか。
 昨日業界紙を読んだのですが、重点支援地域では一定の結論が出た区域もあったと聞いております。そういったことで、ウィズコロナでこの地域医療構想についてはそろそろ再開してはどうかと思います。
 そうした中で、期限を全く示さず現場の自主的な議論に委ねるだけでは、議論が進捗するとはとても思えません。再検証の具体的な期限の設定方法にもよりますが、目安としての期限を提示する方法で検討されてはいかがかと思います。
 再検証を要請された医療機関以外の民間についても、同じように2022年危機、2025年危機というのは共通の課題として残る事項であるため、こういった課題を進めていくためにも、このワーキンググループで、いつどのようにこれを進めていくのかという結論を得ていくべきではないかと思います。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 伊藤構成員、どうぞ。
○伊藤構成員 今、幸野構成員が言われましたけれども、2025年に向けた議論を進めていかなければいけないという御意見を頂きましたが、実際にコロナを診た民間病院として、今回のコロナ感染症は民間病院の運営に関して非常に大きな影響があったというのが現実でございます。したがいまして、民間が今回のコロナの感染拡大によってその役割を大きく変えてしまうという可能性は決して小さなものではありません。そうなりますと、今後話合いの中で、民ができないところを補完するという役割の担い方についてそのベースとなる現状の民間医療機関の機能が今回の感染症によって短期間で大きく変化することもあり得ることを十分に視野に入れて、少し時間をかけて検討したほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 小熊構成員、どうぞ。
○小熊構成員 自治体病院の立場から申させていただきますと、中長期的には人口も減ってきますし、平時の医療の在り方は当然考えていかなければいけない。我々公立・公的病院等が再検証に挙がっているわけですけれども、それはそれで見直していかなければいけないだろうと思っております。
 ただ、あくまでもA9B6というのは、いわゆる急性期の比較的高度な指標をもって判断したというところもございますので、それは圏域ごとのこの病院はどうあるべきかとか、圏域にとって本当になくてはならない病院なのだろうかという論争も非常に大事だろうと私どもは思っております。
 決してストップとか、そのような思いは何も持っておりませんし、正しく粛々と進めればいいのではないかとは思っておりますけれども、ただ問題は、今、コロナで片一方はばたばたしていて、今後の対応にとって、例えば病院内を改築しなければいけないとか、圏域内で機能連携を求めなければいけないとか、そういう動きが非常に強い中で、近い将来で期限を切られてしまいますと、腹を割った将来の体制を話し合えるかというと、なかなか難しい方向性もあるのではないかと私どもは考えておりますので、ある程度、感染症に対する対応にめどがついたということを踏まえてから、じっくりと話し合ってもいいのではないか。
 もちろんその間、圏域内のそれぞれの機能分担や連携体制は協議しながら、その上で結論づけるような方向性でよろしいのではないかと私どもは考えております。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 猪口構成員、どうぞ。
○猪口構成員 これはなかなか話がまとまらないなと思っております。目の前のコロナにどうするのかということを今は何とかしなければいけない。まだまだ続きそうだから、どうするのかという話が1つある上で、もう一つは新興・再興感染症というもう少し大きい範囲の中でどうするのか。しかもそれは健康局のほうで決めていくのでしょうけれども、これをある程度整理しないと、感染症病床を増やすということにはなるのでしょうけれども、そのほかにバッファーとして一般病床でどれぐらい準備をするかという中で、それがある程度めどを立てた上で、地域医療構想のそれぞれの区域の中で、どのような病院にそういう機能を持っていただくかという具体的な話合いが必要になってくるのだと思うのです。
 片一方では、本当に人口減でベッドを減らさなければいけないという区域、重点指導区域みたいなところも話合いが進んでいるわけですから、これはある程度並行で話を進めないと、片一方の結論が出てからでは多分間に合わないと思いますし、そこら辺の話をうまく整理しながらいかないと、今とても難しい問題があるなとは思います。
○尾形座長 ありがとうございました。
 岡留構成員、どうぞ。
○岡留構成員 ありがとうございます。
 今、猪口先生がおっしゃったようなことに関連するのですが、パンデミックといいますかコロナの問題である一定程度のところまで結論が見えて、再検証する時期が来ないと、地域医療構想との絡みは非常に難しいだろうと思うのです。
 今、重点支援区域の話が出ましたけれども、新潟のある地域に僕らの団体であります済生会の病院があります。そこにインボルブされているものですから、患者さんの動態が非常に地域で変わっているのです。ですから、コロナがある程度終息ないしは終焉しつつあるようなところで再検証した段階で、もう一遍、先ほど猪口先生がおっしゃったような再検討をして、地域医療がどうなっていくかということの検討を加えたほうが、私はこれからには大事になってくるのではないかと。拙速は、今の時点でこそよくないのではないかと考えております。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 今村構成員、どうぞ。
○今村構成員 私も今、短期間で期限を切るのはよくないと思います。今実際にコロナで事件が起こっているので、病床が足りないと言っている人たちに予備をどれだけ持ちますかということを今決めてくださいということになりますので、恐らく最終的に議論を待って決める病床と、今決める病床だと、今決める病床のほうがずっと多くなって、それは各病院にとっても後々大変な重荷になっていくものだと思うのです。
 もともとの医療構想で統合・再編の議論があった際にも、大きな病院を統合して、効率化するということが目的なのですが、今、大きな病院を統合すると、余力をもっと持たせようということで、もっと大きな余力をもった病院ができてしまう可能性があって、それだけは避けようという議論が今まで行われてきていることが、今決めることによってそれができてしまう可能性があります。
 ですので、あまり早く決めると、今事件の中で、後で持たなくていいような余力も持ってくるという可能性があるので、そういう意味では、一定の方向が見えてからのほうがよいと考えます。
 以上です。
○尾形座長 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。ほかに特に御意見がなければ、この辺で本日の議論を閉めたいと思います。
 今日は事務局のほうから示された論点を中心に、いろいろな御意見をいただきました。引き続き、この論点の整理をしていきたいと思いますので、事務局におかれましては、今日の議論を踏まえて、このワーキンググループで検討を行えるように、必要な準備をお願いしたいと思います。
 用意した議題は以上でございますけれども、全体を通してでも結構ですが、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。
 最後に事務局のほうから何かありますか。
○木下専門官 次回のワーキンググループにつきましては、詳細が決まり次第、御連絡させていただきます。
 また、本日は一般傍聴の制限をさせていただいております。議事録につきましては、可能な限り速やかに公表できるよう、事務局として校正作業を進めてまいりたいと存じます。
 構成員の先生方におかれましても、御多忙と存じますが、御協力いただきますよう何とぞお願い申し上げます。
○尾形座長 その点、よろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして第27回「地域医療構想に関するワーキンググループ」を閉会といたしたいと思います。
 長時間にわたりまして、熱心な御議論をどうもありがとうございました。

照会先

医政局地域医療計画課

直通電話:03-3595-2186