2020年8月21日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和2年8月21日(金)14:00~

場所

イイノホール&カンファレンスセンター Room A(4階)

出席者

出席委員(16名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人2名

欠席委員(7名)
 
行政機関出席者
 
 鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
 山本史(大臣官房審議官)
 河野典厚(医療機器審査管理課長)
 新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
 山田雅信(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 木下勝美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他




 

議事

○医療機器審査管理課長 定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診療薬部会を開催いたします。先生方におかれましては、お暑い中また御多用の中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、中谷先生がもう間もなくいらっしゃるかと思いますが、現在15名の先生方に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを、ここに御報告いたします。
本部会より、委員の変更がありましたので御紹介させていただきます。まず、公益社団法人日本医師会常任理事を務めておられました長島公之先生が退任されまして、常任理事の宮川政昭先生が着任されております。宮川先生、一言お願いできますでしょうか。
○宮川委員 宮川でございます。よろしくお願い申し上げます。
○医療機器審査管理課長 続きまして、公益社団法人日本薬剤師会常務理事を務めておられました渡邉和久先生が退任されまして、常務理事の髙松登先生が着任されております。髙松先生、一言お願いいたします。
○髙松委員 髙松です。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 どうぞよろしくお願いいたします。続きまして、事務局に人事異動がありましたので、御報告させていただきます。独立行政法人医薬品医療機器総合機構医療機器審査第一部長の石井でございます。
○医療機器審査第一部長 石井でございます。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 続きまして、医療機器審査第二部長の田村でございます。
○医療機器審査第二部長 田村でございます。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 次に、本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介いたします。議題2につきまして、京都府立医科大学小児医療センター小児心臓血管外科病院教授でいらっしゃいます山岸正明先生と、それから地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立こども病院循環器科医長でいらっしゃいます金成海先生に、それぞれWebシステムを用いて御参加いただいております。両先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○山岸参考人 よろしくお願いします。
○金参考人 よろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果につきまして御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の先生方から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。先生方におかれましては、会議の都度、書面の御提出を頂くなど、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
○事務局 次に、本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。事前にお知らせいたしましたとおり、本日はペーパーレスで会議を進めたく、お手元には議事次第及び座席表の資料のみを紙でお配りしております。タブレットの操作について、御不明な点等がございましたら、お近くの事務係員までお声掛けいただければと思います。
それでは、以降の進行については荒井部会長にお願いいたします。
○荒井部会長 今の事務局からの説明について、何か御質問等ございますか。よろしいですか。よろしければ、議題を始めさせていただきます。
まず、議題1、次世代医療機器評価指標についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題1、次世代評価指標について、事務局より報告いたします。資料1-1を御覧ください。まず、資料1-1、2ページ目の下、参考と書かれた部分です。次世代評価指標とは、医療ニーズが高く最先端の技術を使った医療機器の開発促進を目的としたものです。早期に開発が見込まれる医療機器や再生医療等製品に着目して、それらを承認審査する場合に評価すべき点を検討し、評価指標として公表するものです。審査の際に評価すべき点を明らかにすることで、開発側にとっては、どういったデータを集めればいいのかが分かるため、開発を効率的に進めることができ、開発期間の短縮や費用軽減につながります。審査側にとっては実際に審査をするときのポイントが分かっているため、スムーズに審査を進めることができ、審査期間の短縮につながります。これまで、このような評価指標を35件作成してきており、毎年2~4テーマを選定し、評価指標を策定しております。
今回、御報告する評価指標は2件あり、「在宅医療機器に関する評価指標」と「難治性創傷治療機器の臨床評価に関する評価指標」です。いずれも平成30年度から令和元年度に評価指標を検討し、今年5月18日から6月16日にパブリックコメントを募集しました。近日中に評価指標の公表を予定しております。
それでは、評価指標の概要について御説明いたします。1ページです。1つ目の「在宅医療機器に関する評価指標」の概要です。社会的背景として、超高齢化社会を迎えるに当たって、在宅医療の必要性が増しています。医療機器についても、在宅での使用に当たり、医療機関で使用する場合と同等の安全性や性能を担保することが求められています。現在、人工呼吸器や人工透析等、医療機関・施設と同等の医療が行われており、また、植込み型デバイスの遠隔モニタリングも現実の医療として提供されています。
そこで、在宅で非医療従事者による使用が想定されている医療機器の特性を踏まえ、在宅における使用状況や治療内容に適した適応範囲の設定、在宅で長期間安全かつ有効に使用できる製品設計、使用者・使用環境等により発生する特有のリスクなどが重要な評価指標としてまとめられました。詳細については、3ページからの評価指標を御参照ください。
それでは、2つ目の「難治性創傷治療機器の臨床評価に関する評価指標」です。社会的背景として、近年、高齢化や生活習慣病の蔓延等により、糖尿病や動脈硬化、血液透析患者などが増加傾向にあります。患者には、足の壊疽や褥瘡等、難治性創傷が認められることが多く、重症の場合には下肢切断を余儀なくされ、患者のQOLを低下させます。創傷治療を目的とする医療機器が承認されているものの、臨床的な治療効果を評価する手法は確立されていないのが課題です。
そこで、難治性創傷治療機器の臨床評価における対象患者の組み入れ方法や臨床デザインなどが重要な評価指標としてまとめられました。詳細については、12ページからの評価指標を御参照ください。以上で、事務局からの説明を終わります。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局の説明につきまして、御質問や御意見等はありますか。概要のみで、詳細は既に御覧いただいていると思いますが、よろしいでしょうか。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。在宅医療機器に関する指標というものは非常に重要なポイントだと思っております。本項は、その在宅機器に実際どのように使われるのかを十分に想定して開発されているかを評価する上で極めて重要と認識しておりますが、使用に当たっては、やはり使用者がどのようなレベルにあるのか、どういう方が使うのかというところで、非常に問題点が多く想定されると思います。ですから、「医師の指導の下で」という文言がそこに入ることで、医師も非常にしっかりとした指導をしていく、医療者がそのようなポジションにあることを明言させることが必要なのではないかなと理解しております。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。今、御指摘の点につきまして、事務局からいかがですか。
○事務局 御指摘いただき、ありがとうございます。「医師の指導の下で」という文言を加えたほうがいいという先生の御意見を踏まえて、適切にこちらの評価指標を修正させていただきます。
○荒井部会長 宮川先生、よろしいでしょうか。
○宮川委員 はい。
○荒井部会長 そのほか、御意見いかがでしょうか、よろしいですか。それでは、議題1、次世代医療機器の評価指標は、今御説明いただき、各委員の方々に御了解いただいたということで、終了とさせていただきます。ありがとうございます。
それでは、ここまでは公開ですが、以後の議論は非公開となりますので、傍聴の方につきましては、恐れ入りますが御退席をお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題を始めさせていただきます。
○医療機器審査管理課長 御協力ありがとうございます。準備が整いましたので、再開をお願いしたいと思います。
○事務局 続いて、本部会の利益相反について御報告します。資料6「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。まず、1ページ目の医療機器「エドワーズ サピエン3」ですが、外科手術が施行できない症候性重度大動脈弁狭窄及び植込み済み大動脈生体弁の機能不全による症候性弁膜症の治療に対して承認を取得している経カテーテル生体弁留置システムですが、肺動脈弁位に植え込まれた弁付導管・外科用生体弁の再治療の適応追加のため、一変申請がなされております。
続いて2ページ目です。医療機器「NeuroStar TMS治療装置」は、パルス磁場を用いて脳皮質の局所領域に電流を誘導し、ニューロンを刺激することによって、成人のうつ病患者の治療に用いる医療機器であり、同様の効能・効果等を有する製品として資料に記載された品目が競合品目として提出されています。その他、一般的名称に係る影響企業のリストが3~9ページまでありますので、必要に応じて御覧ください。
本日の審議事項に関する競合企業として、資料6に示す企業について、委員の皆様から寄附金や契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の審議不参加の基準に基づく、審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明についてはよろしいでしょうか。
それでは、議題2に進みます。医療機器「エドワーズ サピエン3」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否についてです。議題2につきましては、一色委員が申請資料を作っておられるため、薬事分科会審議参加規程第5条第2項に基づいて、議題2の間は別室で御待機いただくこととさせていただきます。
-一色委員退出-
〇荒井部会長 それでは、「エドワーズ サピエン3」の審議を始めますが、先ほど冒頭で御紹介いただいたように、本議題につきましては、参考人として、山岸正明先生と金成海先生にWebで参加いただいております。それでは、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題2では、新医療機器「エドワーズ サピエン3」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価指定の要否について、御審議いただきます。
本品は、革新的医療機器条件付早期承認制度を利用して申請された第1号品目となりますため、審議品目及び審査の概要の説明に先立ち、事務局より本制度の概要について御説明させていただきます。
マイプライベートファイル、当日配布資料1のファイルをお開きください。1ページ目を御覧ください。革新的医療機器条件付早期承認制度は、生命に重大な影響があり、かつ既存の治療法に有効なものが存在しない疾患を対象とする医療機器について、患者数が少なく、治験症例の集積に長期間を要するような場合に、製造販売後のリスク管理措置を手厚く行うことを条件に、速やかな患者アクセスを可能にする制度として平成29年に制定したものです。
この制度によって、一定の臨床データはあるが新たな治験の実施が困難な医療機器でも、関連学会と連携の上、使用施設要件や医師要件の策定、市販後データ収集といった製造販売後のリスク管理計画を適切に行うことを承認条件として付すことで、早期に承認することが可能となります。2ページ目に、本制度の対象となる品目の要件を列挙してございます。
本日御審議いただきますサピエン3の肺動脈弁位への適応拡大は、平成30年のニーズ検討会において、要件ア)と要件イ)に当たる、生命に重大な影響がある疾患であり、既存の治療法がないという要件を満たすとの御判断を頂き、要件ウ)、要件エ)、要件オ)についても、申請者の示した臨床データ、関連学会と連携して作成した適正使用基準案、治験実施困難な理由についても、総合機構において要件を満たすと判断しています。
したがいまして、当部会においては、適正使用基準及び使用成績調査を含む製造販売後リスク管理計画の妥当性と、それを条件に限られた臨床データで本品を承認することの可否について御審議をお願いいたします。事務局からの説明は以上となります。
○医薬品医療機器総合機構 続いて、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料2を御覧ください。資料2の1ページ目に記載したとおり、本審査に当たり、地方独立行政法人静岡県立病院機構、静岡県立こども病院循環器科医長の金委員、聖隷浜松病院心臓血管外科部長の小出委員、国立大学法人東京大学医学部小児科講師の松井委員、京都府立医科大学小児医療センター小児心臓血管外科病院教授の山岸委員の計4名の専門委員から御意見を頂戴いたしました。
また、審査報告書に1点誤記が確認されましたので、当日配布資料2でお示ししております。大変申し訳ございません。
また、これより事務局の者が、製品のレプリカを持って回覧させていただきます。もし製品を御覧になりたい委員がいらっしゃいましたら、事務局員のほうまでお声掛けください。
それでは、資料2に戻りまして、審査報告書に沿って審査の経緯を御説明させていただきます。これより申し上げるページ数については、各ページの下、「○○/740」と書かれている緑の数字を引用して御説明いたします。
それでは、審査報告書9/740ページ、1の審議品目の概要を御覧ください。本品「エドワーズ サピエン3」は、経皮的心臓弁留置に用いるバルーン拡張型人工心臓弁システムです。図1にお示しするように、生体弁やデリバリーシステムなどから構成されております。
2段落目を御覧ください。本品は、経カテーテル大動脈弁留置術、TAVIに使用する医療機器として承認を取得しております。TAVIは成人疾患である大動脈弁狭窄症の治療法ですが、本申請は10/740ページ、図2及び図3のように、若年者を主たる対象とした先天性心疾患手術において、過去に植え込まれた心外導管や生体弁の機能不全に対する適応を追加することを目的とした製造販売承認事項一部変更承認申請です。
続きまして、本品の開発の経緯を御説明いたします。11/740ページの1段落目を御覧ください。肺動脈弁狭窄症は先天的に肺動脈弁に狭窄があり、右心系の圧負荷が増大する病態です。介入治療が必要な肺動脈弁狭窄症に対しては、バルーンカテーテルにより狭窄部を拡張する経皮的バルーン肺動脈弁形成術や、開胸下での外科手術による弁形成術が行われます。
形成術には、パッチを用いて右室流出路を部分修復する方法や人工血管などの心外導管、コンデュイットを用いて再建を行う手術方法がございます。再建に使用されるデバイスとして、欧米では主にホモグラフトが使用されておりますが、本邦においてはePTFEなどの人工物のシートから作られる弁付き心外導管や、ウシ由来弁付き人工血管である「コンテグラ肺動脈用弁付きコンデュイット」、外科用生体弁などが使用されております。人工物のシートから作られる弁付き心外導管の成績の検証はまだ十分ではないものの、経時的な再置換回避率が高く、ホモグラフトやコンテグラなどと比べて長期的にも良好な成績を示すという報告もございます。
それでは、同じページの2段落目を御覧ください。肺動脈弁狭窄症に対する外科的再建術は根治的ではありますが、使用された弁付き心外導管や外科用生体弁の劣化に伴う再狭窄や逆流などにより再手術が必要になるということがあります。そのため、乳幼児期に初回手術が施行される先天性心疾患の場合、長時間の体外循環と全身麻酔を伴う再手術を生涯繰り返すことになり、再手術はその回数に応じてリスクが高くなることに加え、術後の心機能にも影響を及ぼすとされております。
3段落目を御覧ください。再手術を繰り返す先天性心疾患患者の開胸手術の回数を減らし、その心機能の温存を図ることは臨床的に重要な課題となっており、機能不全を起こした心外導管や生体弁を低侵襲に治療できる方法として、本品が開発されました。
続きまして、早期承認制度への該当性について御説明いたします。12/740ページの下段、(2)早期承認制度への該当性を御覧ください。本品の肺動脈弁位への適応取得に当たり、2018年5月に関連学会より、医療機器の早期導入に関する要望書が提出されました。これを受け、申請者は革新的医療機器条件付早期承認制度を利用した承認申請を希望いたしました。
この段落の下、2)早期承認制度への該当性を御覧ください。早期承認制度への該当性については、先ほど事務局からも説明があったように、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会ワーキンググループ及び第29回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会で議論が行われました。次の13/740ページの表2に、早期承認制度への該当性結果をお示ししています。要件が5つございまして、要件イ以外は特段の問題はないと判断されましたが、要件イ、既存の治療法に対する有効性及び安全性については、本品の対象患者を決めるに当たり議論がございました。
表2の要件イの下から4行目の最後、「植込まれた弁付き導管の」という箇所を御覧ください。「植込まれた弁付き導管の機能不全に対して外科的置換術が必要で、かつ再外科手術の実施リスクが極めて高く、本品を用いた治療が適切と判断される患者に使用される場合に限っては、本品を用いた治療には高い有用性が期待される」と判断されました。この理由については、後ほど臨床試験成績の項でも具体的に御説明させていただきますが、本品による治療の特徴として、留置後、経年とともに4、5年すると弁の再狭窄や逆流により、再治療が必要となる傾向が確認されています。先に御説明させていただきましたように、人工物のシートから作られる弁付き心外導管を使った国内外科手術成績が良いことが知られていることを踏まえ、本品の対象患者は、再外科手術の実施リスクが極めて高く、本品を用いた治療が適切と判断される患者に使用される場合に限定する必要があると判断されまして、本申請も再外科手術の実施リスクが高い方を対象とすることになりました。
それでは、審査報告書の14/740ページの表3を御覧ください。本品は、肺動脈弁位での海外承認を取得しておりませんが、欧米では本品の前世代品が販売されております。本品の非臨床試験については特段の問題は見られませんでしたので、審査報告書の21/740ページより、臨床試験成績について御説明いたします。
21/740ページの表7を御覧ください。早期承認制度を活用した本申請に当たり、臨床評価資料として、米国で本品を用いて実施されたCOMPASSION S3試験の留置後30日成績が提出されました。また、参考資料として、COMPASSION S3試験の留置後1年成績、前々世代品のSAPIENを用いて実施されたCOMPASSION試験の留置後5年成績、サピエンXTを用いて実施されたCOMPASSION XT製造販売後臨床試験の留置後1年成績が提出されました。
同ページの下の表8に、COMPASSION S3試験の概要をお示ししております。本試験の対象患者は、「右室流出路心外導管あるいは肺動脈弁位に過去に植え込まれた生体弁の機能不全を有し、かつ介入治療を必要とする患者」であり、登録症例の項に記載されているとおり、58例が登録されました。また、主要評価項目は「手技後1年における人工弁機能不全」と設定されました。
それでは、試験結果について御説明いたしますので、23/740ページを御覧ください。表9に、対象患者の背景情報と手技関連情報をお示ししております。年齢の欄にあるように、平均31.8歳の患者が登録されました。
24/740ページの下段を御覧ください。主要評価項目である「手技後1年における人工弁機能不全」については、術後30日報告時点で1例確認されました。この症例は、術後30日時点で肺動脈弁圧較差が40mmHgを超えていましたが、追加処置は実施されませんでした。参考資料として提出された当該臨床試験の1年報告結果では、主要評価項目は4.3%であり、達成基準の25%をクリアしておりました。
続いて、本品留置後の血行動態について御説明いたします。28/740ページの表13を御覧ください。術後1年時の欄を御覧いただきますと、20mmや23mmといった小さな弁サイズになればなるほど、大きなサイズに比べて高い圧較差が残存している様子が確認できます。また、この下の図5に肺動脈弁逆流の発生状況をお示ししておりますが、黄色の中等度以上の逆流が確認された症例は、術後1年で2.1%であったことが確認されました。さらに、29/740ページを御覧ください。こちらの1段落目になりますが、三尖弁逆流については、術後1年時点での中等度逆流が5例生じておりまして、ベースライン時と比較して1例が悪化しておりました。以上が、COMPASSION S3試験の概要となります。
続きまして、30/740ページを御覧ください。前々世代品のSAPIENを使って実施されたCOMPASSION試験について御説明いたします。当治験は、参考資料であり、COMPASSION S3試験とは異なり、表16の対象患者の項に記載したとおり、心外導管のみを対象とした試験になりますが、デバイス留置後の長期フォローアップ成績が確認できることから、審査の中で参考といたしました。
33/740ページを御覧ください。表18に、術後5年までの機器又は手技に関連した死亡及び、又はインターベンションの回避率をお示ししております。3年で94%、5年で87.1%という成績が確認されました。再インターベンションの詳細を表19にお示ししておりますが、主に治験機器が狭窄したり、逆流が発生したりすることで、外科的に生体弁を再置換したり、バルーン拡張術を実施した症例が確認されております。
続いて、35/740ページを御覧ください。図8に弁機能不全の回避率をお示ししておりますが、3年で82.2%、5年で72.5%と、術後経年により弁の機能不全が確認されている様子が分かりました。
以上の臨床成績を踏まえて、総合機構における審査の概要について御説明いたします。40/740ページから御覧ください。(2)本品の有効性及び安全性、並びに適切な対象についてを御覧ください。提出された海外臨床試験は、対象が外科手術が施行できない患者に限定されていないことから、これらの臨床成績により、対象患者の有効性及び安全性を評価することが可能と考えた理由について、申請者に説明を求めました。これらに対して申請者からは、次のページの表22にお示ししますように、外科手術へのリスクによる臨床成績の大きな違いなどがなかったことが説明されました。
続きまして、42/740ページの(3)本品の臨床的位置づけについての項を御覧ください。3行目の中央部分からあるように、術後の血行動態改善に一定の限界があり、長期成績にもいまだ不明確な本品につきましては、現時点で有効な治療法がない外科手術が施行できない患者を対象とすることが適切と判断いたしました。
続きまして、43/740ページの(4)本邦導入にあたってのリスク低減措置についてを御覧ください。1)小径弁に関する項の3段落目の1行目から御覧ください。本品の対象は外科手術が施行できない患者であり、本品の小径弁を用いて十分な血行動態改善が得られなかった場合、追加的治療を困難とし、患者に不利益になることも想定されることから、特に小さな弁口面積の患者に対して本品を使用する場合、その治療の適切性について、外科医を含めた医療チームによって十分に検討する必要があるということについて注意喚起を行うことといたしました。
2)アクセス中の三尖弁損傷リスクについてを御覧ください。44/740ページの3)の1つ上の段落です。デバイス成功率は98.1%と高率ではあったものの、本品が外科手術を施行できない患者を対象とすることを踏まえ、アクセス困難による三尖弁損傷等のリスクを低減するために、手技トレーニングやプロクタリングによる技術支援によりリスク低減を図るとする申請者の考えは妥当と判断しました。
次の3)長期耐久性については、COMPASSION試験成績において、術後4年以降で約5%前後の中等度以上の肺動脈逆流、術後5年で10%以上の再インターベンションが認められたことから、45ページの1行目に記載したように、本品を使用するに当たっては、術後比較的早期にこれらの事象が一定の頻度で生じうることを理解した上で、本品の治療を選択しフォローしていくことが重要と考え、市販後において長期成績を収集するとともに、添付文書やトレーニング等で長期成績の周知と注意喚起を行うことが妥当と判断しました。
45/740ページの4)から6)に記載した右室流出路心外導管にて生じうるリスクとその低減策、5)外科用生体弁、6)留置後の薬物療法に関する情報についても、医療関係者に情報提供するとともに、市販後調査について適切に情報収集する予定です。
最後に、47/740ページのト項を御覧ください。本申請は早期承認制度を利用した申請であることから、医療機器製造販売後リスク管理計画(案)が提出されました。
48/740ページの表内の追加のリスク低減化活動の項の右側を御覧ください。本品を市販するに当たり、関連学会に施設や術者に関する適正使用基準を策定いただくことになりました。また、早期承認制度の趣旨に鑑み、初めは主要医療機関8施設程度に限定して、初期導入を行うこととされております。
続いて、その下の項の実施施設基準及び術者基準の項を御覧ください。本邦への導入は2段階で実施されまして、第1段階であるPhase1においては、ここに記載された診療体制、設備、人的要件の全てを満たすこととされました。なお、診療体制の(3)TAVIの実績でも分かるように、Phase1では当品目の扱いに慣れた施設が選定される予定ですが、これにより、本来本品の対象患者である先天性心疾患治療に精通している施設への導入が進まないことが懸念されました。本申請は早期承認制度下での申請であり、国内データがない中での承認となりますので、なるべく米国臨床試験での実施状況なども踏まえた施設選定が必要と考えました。
米国では、本品を用いた治療は先天性心疾患治療の経験に長けた子供病院などで実施されていたことも踏まえ、機構側から関連学会に依頼し、国内において特に肺動脈弁位におけるカテーテル治療に精通し、冒頭で御説明したニーズの要望学会の中心的な施設でもある静岡県立こども病院及び長野県立こども病院においては、Phase1においても、TAVI施設と連携することで当製品が使えるよう、環境を整えていただくことになりました。
なお、Phase2につきましては、Phase1の成績を踏まえ、基準等の見直しが行われる予定です。
また、49/740ページの表26に記載したように、使用成績調査も実施予定です。総調査期間は11年と、通常よりも長い設定となっておりますが、これは対象患者が少ないことに伴い患者登録期間に時間を要すること、人工弁としての評価のため5年間のフォローアップが実施されることによります。
52/740ページを御覧ください。申請者が示したリスク管理計画案と使用成績調査案に対する機構の見解を御説明いたします。申請者が示した計画案は、市販後データを活用しながら安全性の確保を重視した計画となっていることから、妥当と判断いたしました。また、関連学会が作成中の実施施設及び術者基準についても妥当と判断しました。
そのように判断した理由としては、以下1ポツ目にあるように、対象患者の治療・実績が豊富な先天性心疾患を専門とする医師と本品の操作・特徴に精通するTAVIの施行医師がチームとして治療に取り組むことで、適切な適応の判断や手技の安全性の向上が期待できること。また、4ポツ目にあるように、総合機構の協力の下、Phase1の治療成績に基づいたPhase2における実施施設・術者基準の見直しが検討されることなどが挙げられます。
以上を踏まえ、実施施設に関する要件として、55/740ページにお示ししている承認条件の2.(2)を、術者に関する要件として承認条件の2.(3)を、適切な患者選択に関する要件として承認条件2.(4)を付すこととしました。
また、52/740ページの中ほどの2段落目、「本品の」から始まる所を御覧ください。本品の使用成績評価については、本申請で追加される使用目的に対する本品の年間使用数が40程度と少なく、早期承認制度の対象として、市販後の使用成績に応じたリスク管理も必須となることから、全例調査としたことは妥当と考えました。使用成績調査期間が11年に及ぶことについても、本品の実施医・実施施設基準が緩和後の使用成績の確認が重要であり、本品の長期成績の確認も必要となることから妥当と判断いたしました。なお、市販後の使用成績に応じたリスク対策を速やかに検討するため、本品の使用成績調査結果については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第23条の2の9第6項に基づく年1回の報告に加えて、定期的に総合機構へ報告し、必要に応じて関連学会と連携の上、適切な措置を講ずる体制を整えることも重要と考え、これを先ほどの55/740ページにお示ししている承認条件2.(5)として付すことといたしました。
以上の審査を踏まえ、総合機構は54/740ページに記載している使用目的にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。
本品は原材料としてウシ心のう膜が用いられているため、生物由来製品に該当します。また、使用成績評価の調査期間は11年とすることが妥当と判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは、参考人の金先生から追加の御発言を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
○金参考人 静岡県立こども病院の金です。よろしくお願いいたします。先ほどの機構からの概要説明で、ほぼ完全に網羅されていると思うのですが、本品に対する医療ニーズ、そして医療実態について私のほうから追加させていただきます。私は小児先天性の心疾患を専門とし、また日本先天性心疾患カテーテル治療学会の包括的レジストリーを統括する立場でおります。よろしくお願いします。
当日配布資料3を御覧ください。まず、先ほどからの説明にありましたように、今回の審査医療機器は、先天性心疾患術後の右室流出路導管又は生体弁の機能不全を対象としています。これまで我が国では、その機能不全に対して人工心肺を使用した外科的開心術が行われてきました。その手術実施数についてですが、日本心臓血管外科手術データーベース、JVCSDによると、当日配布資料の3の表1ですが、2016年の1年間に、代表的な基礎疾患であるファロー四徴症に対する根治的修復術が115例行われています。この手術は、自己の狭窄した肺の動脈弁を拡大し温存する、あるいはパッチにて拡大するといった手法が取られ、将来的にはその部分の機能不全による再手術の対象となり得ます。また、自己の肺動脈が全く使用できないような、より複雑な基礎疾患もありまして。それに対しては、右室流出路導管を設置し根治的修復術を行うという、いわゆるRastelli術が行われ、同じ1年間に新規に143件行われています。
これらのRastelli術も、患者さんの体格的成長や、導管そのものの機能不全により、数年ないし10年といった単位で再手術の対象となり得ます。これら新規の手術においては、できる限り再手術を避ける、あるいは1年でも長く待機できるように、心臓外科医により様々な術式の工夫がなされてきましたが、やはり長期的には、再手術すなわち右室流出路再建術が避けられないのが大部分で、同じ2016年の1年間で539件が施行されています。同手術の死亡数はそのうち7例で、また開胸、人工心肺を要するという再手術の性質上、侵襲や合併症発生率は少なくありません。
この右室流路再建術が施行された患者さんの年代については、1~17歳が303件と最も多く、18歳以上の成人例も44例に行われていて、基本的には思春期以降に、成人体格に見合った人工導管若しくは生体材料由来の人工弁が設置されるのが実状です。
表2を見ていただきますと、年次推移では新規のRastelli手術件数は、少子化の影響も含め、2011年以降は横ばいないし減少傾向を示すものの、右室流出路再建術については成人期に移行する患者数の増加を反映し、明らかな増加傾向を認めます。
今回審査の経カテーテル肺動脈弁留置術については、現時点では国内での使用経験は非常に限られています。そのため、今回のサピエン3の肺動脈弁位の適応拡大は条件付早期承認制度を利用した申請となっておりますが、再手術対象となる右室流出路再建術患者のうち、再開心術のリスクが非常に高い患者数が一定数あり、本品による低侵襲性が合併症発生率の低下並びに生存率の向上に大きく寄与すると考えられること、そして先ほどの説明に出ましたように、米国での臨床試験や、また本品以外の同様の経カテーテル的肺動脈弁の良好な成績がそれを示唆していること、そしてその症例選択や安全な手技の普及のために、先天性心疾患カテーテル治療を専門とする認定医師が中心となって、先行したTAVIの専門医療チームと、心臓血管外科チームを含めた多種関連学会の共同の下、施行基準作りとレジストリーをベースとした使用成績調査による安全性の確保が、その妥当性を裏付けると考えています。説明は以上になります。
○荒井部会長 金先生、ありがとうございました。それでは引き続き、山岸先生より追加の御発言を頂けますか。
○山岸参考人 京都府立医科大学の山岸です。音声大丈夫でしょうか。
○荒井部会長 はい、聞こえております。
○山岸参考人 はい、よろしくお願いいたします。今、金先生がお示しされたように、一定の外科的なリスクが伴います。現在の心臓外科の技術、体外循環の技術というのは非常に発達をしておりまして、内科の先生、小児科の先生が御指摘されるように、非常に危険なものではないというのは事実でございます。ただし、患者さんのファクターによって、例えば腎機能障害があったり、肝機能障害があったり、また心不全があったりという症例に関しては、やはり体外循環という侵襲によって全身にリスクを、大きな侵襲を与えることは事実でございます。そういう患者さんに限定して、この経カテーテル肺動脈弁を入れるというのは非常に有用であるというふうに思います。ただし、これはあくまでも生体由来のものを使っておりますので、適応は限定すべきであり、外科手術を第一選択として危険性の高い患者に限定するということを考慮すべきだというふうに考えております。私のほうからの追加は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 山岸先生、どうもありがとうございます。それでは、部会の委員の方々から御質問、御意見等いかがでしょうか。中島先生、どうぞ。
○中島委員 ありがとうございます。このデバイスに関して、申請に対しては特段問題ないというふうに思っているのですけれども、このデバイスの市販後の成績調査が11年間と非常に長期にわたっているということで、1つ確認をしておきたいことがあります。デバイスというのは様々、マイナーチェンジとか、これはメーカーの都合等もあるかと思うのですが、色々変わってきて当然だと思います。これに対してどのくらいのマイナーチェンジであれば、今回の申請でそのまま問題ないとするか。あるいは、どの辺まで変更があったときには新たに何らかの対応が必要なのかという一般的な話です。この申請が11年と非常に長いということで、あえて質問させていただいたということです。
○荒井部会長 ありがとうございます。かなり重要なポイントだと思います。お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。総合機構より御回答申し上げます。まず、人工弁の場合ですと、恐らく大きなメジャーの変更としましては、血行動態に大きく影響を与えるような変更があった場合は、恐らく別の人工弁として考える必要があると思いますが、そうではないマイナーチェンジというのが多く行われると考えております。マイナーチェンジが起きた場合、市販後調査をどうするかですが、一般的には症例、今回は症例登録期間が5年になっているのですが、この間にマイナーチェンジが行われて、どんどんデバイスが改良された場合には、この市販後調査の対象機器に、そのマイナーチェンジされた新しい製品も加えることで、1つの使用成績調査の中で一緒に調査をする。そうすることで、デバイスが改良した後の結果なども一緒にして1つの市販後調査の中で調査をするということが可能なると考えております。一方、血行動態にも大きく差が出るような、新しいデバイスが開発された際には、それは恐らく別の人工弁として扱うことになると思いますが、既にサピエン3の成績がかなり蓄積されて、結果が分かっているようであれば、恐らくその結果を鑑みて、ではこのデバイスに対してどの程度の市販後調査を求めましょうという議論になるのではないかと考えております。こちらで、御回答になっておりますでしょうか。
○中島委員 はい、了解しました。
○機構(説明者) ありがとうございます。
○荒井部会長 今のお話ですと、「単なる弁」と言っては怒られてしまいますが、血行動態が大々的に変わるという訳ではなく、比較的マイナーな変更なので、そういうマイナーなチェンジに関しては最初に決めたことに従って、仮にマイナーチェンジがあったとしても、初めのルールに則って、そのままフォローしていく、そういう理解でいいですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのように考えております。
○荒井部会長 永井委員、どうぞ。
○永井委員 神戸大学の永井です。私も11年というのは気になっています。本条件は条件付早期承認に基づくものですよね。通常の市販後の使用成績調査であれば、これくらい長いのもやむを得ないのかなと思うのですが、これが条件を外すためのものという整理であるならば、そこはよく分からないのですけれども、COMPASSION S3でしたか、その試験での主要エンドポイントは1年で評価しているのですね。それを補うということであれば、その1年での機器の機能不全というのを評価できれば、効果のほうは評価できるのではないかと思います。安全性は長ければ長いほどいいに決まっていますが、きりがないですよね。例えば、抗がん剤でも最後は死亡まで見るわけではありませんので、その辺の整理が必要な気がいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。総合機構より御説明させていただきます。今回、フォローアップを5年とした背景なのですけれども、やはり先天性心疾患の患者さんというのもありますし、先ほど申し上げましたように、なるべく生涯の中での手術の回数を減らしたいという目的で本品を植え込みます。そうしますと、1年の成績というのは非常に重要でして、通常の承認審査等におきましても、5年の成績を待って申請となってしまいますと承認が大分遅れてしまうので、1年で評価というのは致し方ないところではあるのですが、その生体弁がなるべく長く、再手術を減らすために機能するというのは非常に大事な有効性のポイントになりまして、そこを承認後にデータを集めて見ていくという必要があると考えまして、5年フォローアップとさせていただきました。
○永井委員 それは分かるのですけれども、それが条件付承認の条件を外すための条件に必要ということなのですかね。
○荒井部会長 今の御質問は、条件付早期承認制度の結構根幹に関わるところについてです。最初はデータが少ないけれど承認はするので、その後にきちんとデータを集めましょうということですが、それではどこまでデータを集めれば普通の承認と同じになるのかという御質問ですよね。
○永井委員 そうです。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。こちら、名前は条件付きとなっているのですけれども、いわゆる普通の承認、承認であることは変わりません。ただ、市販前のデータが十分ではないので、より手厚く市販後データを集めましょうという制度になります。ですので、通常どおり保険も付きますし、通常どおり承認、先生方に使っていただけるという点では、通常の承認と同じという考え方になります。
○荒井部会長 永井先生、よろしいですか。
○永井委員 この制度、いわゆる仮免許というふうにずっと聞いていたものですから、ずっと仮免許のままでいくわけなのかと思いました。
○荒井部会長 課長、どうぞ。
○医療機器審査管理課長 御質問ありがとうございます。条件付承認の条件の考え方の御質問だと思っております。ご指摘の仮免許という考え方については、いわゆる再生医療等製品の条件期限付承認の概念に近い制度かなというふうに思います。今回の場合については条件付承認ということで、製販業者に対しまして、市販後にこういうことを行うことを条件に承認しますといったような制度でございます。したがいまして、今回は11年という非常に長い使用成績調査期間ではございますけれども、その期間に使用成績調査を実施していただくということを条件に承認させていただくという御提案をさせていただいている、そういったような状況でございます。
○永井委員 ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。この制度、確かにこの部会でも議論しておりますけれども、永井委員に言っていただいた「仮免許」という理解が感覚的には横行しているように思われます。しかし、実際には承認は承認であり、その代わり後に手厚くフォローしていく。もちろん何か問題があれば、そこでまたもう1回見直しを行うことになるでしょうが、そういう制度というのが正しい理解かと思われます。この点をご確認をしていただいたということになるかと思います。そのほかにいかがですか。山岸先生、金先生、何か今の議論等につきまして、追加の御発言等ございますか。
○金参考人 金です。追加というか、補足をさせていただけますでしょうか。
○荒井部会長 どうぞ。
○金参考人 先ほどの条件付きの定義で、医療実態のほうからなのですけれども、先ほど私や山岸先生のコメントにもありましたように、非常に適応を限って、安全性を確保して行っていくという条件付き、それを条件をキープしていく、そういう状態をキープしながら認定施設を順次拡大していくという意味の条件付きと、我々は考えています。条件を外して拡大していくということはなくはないと思うのですが、まずはこの特殊なニーズの高い治療を安全に導入するという取組がなされていると考えています。
もう1つはレジストリーの件、登録の件なのですけれども、大体5年間登録して、そして成長期かつ生体材料由来の材料ということで、登録期間5年プラスフォローアップ5年で、そうしますと大体は多く見積って11年の使用成績調査期間というふうに想定されていると思います。そういった成長期あるいは生育期に関わるデバイスということと、そういった登録ができるレジストリーも同時に構築していくということで、検討がなされているところであります。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。山岸先生、よろしいですか。
○山岸参考人 1点追加させていただければと思います。本品は、先ほども申しましたように生体由来材料で、こういう人工弁というのは、大体植え込んでから5年以上10年ぐらいで不具合が出てくる可能性がございますので、11年間ぐらいの使用成績調査はやはり必要かというふうに考えます。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の方々から、このほかに御質問、御意見等ございますか。梅津委員、どうぞ。
○梅津委員 革新的な医療機器が承認されるときには、よく付帯条件として、このトレーニングプログラムをきちんとやりなさいというのが出てまいります。今回の場合、プロクターの役目として、これこれと具体的に書いてあるのですが、52ページ真ん中辺りで、「トレーニングプログラムを含めた技術的支援」と、「TAVIや本品を用いた海外経験を踏まえ、保守的に設定」とあります。この「保守的」という語がその前のページにも出てきたのですが、どういうことなのかが分かりにくいなという気がしました。それから、「具体的に追加の対応が検討されることになっているから妥当と考える」と書いてあるのですが、この「追加の対応」というのは何を意味するのかというのが、はっきり分かりません。トレーニングプログラムをそもそも改良するには、誰がどういう責任を持ってこれを決めていくのかというところが分からなかったので、そこを教えていただきたいと思います。参考人の先生方がもしも分かれば、教えてください。もちろん、機構からでも。
○荒井部会長 機構のほうからお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。初めに機構から報告させていただきます。まず、「保守的に」ということでございますけれども、今回海外からプロクターの先生方をお呼びしますし、そのプラクターを行う症例数でしたり、あとは独り立ちするための要件、さらにそのプロクター期間が終わっても、ずっとサポートをしてくださるという、かなり手厚いフォローアップをさせていただいているところでございます。これは海外以上のフォローになります。というのも、やはり本邦でこのようなデバイスは初めての製品となりまして、なかなかまだ手技が慣れていないというところもございますので、保守的にと書かせていただいたのは、より手厚く設定をさせていただいたという意図で書かせていただきました。
それから、その後の「追加の対応が検討される」ということなのですが、今回事前に決まっていた技術的支援等でも、決定というわけではなくて、恐らく導入した後に、何かこういう工夫をしたらいいとか、何か恐らく新しい知見というのがたくさん出てくると思います。そういうのが集まったときに、更にこんなトレーニングをしたらいいのじゃないかとか、こういう教育したらいいのじゃないかということが恐らく出て来ると思いますので、その結果に応じて追加の対応というのもしていただけるというふうに企業から説明がありましたので、その点を書かせていただいたというところになります。機構からは以上になります。
○荒井部会長 要するに追加の対応というのは、あくまで主体として行うのは企業という理解ですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのとおりでございます。
○荒井部会長 山岸先生、金先生、今の点についてはよろしいですか。
○金参考人 はい、そのとおりです。
○山岸参考人 私もそのように思います。よろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございます。中谷委員、どうぞ。
○中谷委員 今のにも関係すると思うのですが、最終的には先天性心疾患を扱っている先生が主体となって、これを実施する。当初のうちは、TAVIに慣れている人たちが先天性心疾患の人たちが行うのを手伝う。ある程度慣れてきたら、基本は先天性の人たちがやって、TAVIの人たちは見ているという感じで進んでいくというイメージで、いいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構から御回答させていただきます。お考えとしてはそのとおりでございまして、特に初期の20例程度に関しては、先天性の心疾患治療に特に長けた先生方にメインで実施していただくというような基準が設定されておりますので、恐らく先天性心疾患の先生方をメインに治療は行われると思います。ただ、施設によっては、TAVIと両方の経験がある施設もございますし、基本的には先天性の先生方とTAVIの先生方、お互いに協力をして実施をしていただくというような体制を整えております。以上になります。
○荒井部会長 中谷委員、よろしいですか。ありがとうございます。そのほか、委員の方から御質問、御意見等ございますか。よろしいですか。ありがとうございます。特に、このほかに御質問、御意見ございませんので、議決に入らせていただきます。
医療機器「エドワーズ サピエンス3」につきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品または特定生物由来製品の指定につきましては、本品を生物由来製品と指定することとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価は期間を11年として指定するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件につきましては、次回の分科会にて報告をさせていただきます。
それでは、これで議題2を終了いたします。山岸先生、金先生、どうもありがとうございました。
○金参考人 ありがとうございました。失礼します。
○山岸参考人 ありがとうございました。失礼します。
-一色委員入室-
○荒井部会長 それでは、議題3に進ませていただきます。医療機器「NeuroStar TMS治療装置」の使用成績調査の期間延長についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より議題3、医療機器「NeuroStar TMS治療装置」の使用成績評価期間の延長について説明いたします。資料3を御用意ください。1ページ目の中段、品目の概要を御覧ください。本品の申請者は、Neuronetics,Inc.です。本品はパルス磁場を用いて脳皮質の局所領域に電流を誘導し、ニューロンを刺激することによって、薬物抵抗性の成人のうつ病患者を治療する医療機器です。
本品は、平成29年7月14日に開催された本部会において御審議いただき、3年の使用成績調査を行うこととして、同年9月に製造販売承認を取得したものになります。しかし、承認から保険収載までに約1年9か月を要し、また新型コロナウイルスの流行によって医療機関との契約締結に時間を要したことから、いまだ症例登録が開始できておらず、調査期間の延長を希望しているものです。延長する調査期間は調査準備に2か月、目標症例数300例の登録に要する期間を1年11か月、最終症例の追跡に2か月、解析に3か月の計2年6か月を延長し、合計5年6か月が必要であると考えております。説明は以上です。御審議のほどお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。コロナが、こういうところにまで影響を及ぼしているというのが伝わってまいりますけれども、御意見、御質問等いかがでしょうか。よろしいですか。
御意見がないようでしたら、今の事務局の説明で御理解いただけたということで、議決に入らせていただきます。医療機器「Neurostar TMS治療装置」の使用成績評価は期間を5年6か月として延長することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件も分科会にて報告をさせていただきます。以上で、議題3を終了いたします。
続いて、議題4に入ります。議題4、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否についてです。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題4について説明いたします。資料4を御用意ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、「いずれのクラス分類に該当するかについて」、また「その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否か」について御審議いただいております。
今回は医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが4品目あります。資料4-1を御覧ください。新設予定の一般的名称は「椎体用支持材料」です。定義は、「拡張して椎体の内側に留まる支持構造で、骨折部位の椎体高を復元すること及び椎体内に整形外科用骨セメント注入用のキャビティを形成することを目的とする支持材料をいう。例えば、カテーテルによって骨折椎体に送達し、バルーンカテーテルの膨張、又は自己拡張により、支持材料は拡張して骨折椎体を支持する。カテーテルを抜去すると、支持材料は永久インプラントとしてその位置に留まる。」です。こちらはクラスⅢ、高度管理医療機器に指定されるべきものであると考えており、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えております。この一般的名称が付される予定の品目の外観図を、資料の3ページ目の下のほうに掲載しております。
次に4ページ目の資料4-2を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「解析機能付きセントラルモニタ用プログラム」です。定義は、「解析機能付きセントラルモニタを構成するプログラムであり、得られた情報を処理して診断等のために使用する医療機器プログラム。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」です。この一般的名称で定義される機器は、クラスⅢ、高度管理医療機器に指定されるべきものであると考えており、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えております。
続いて、7ページ目の資料4-3を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「アミロイドβ質量分析用セット」です。定義は、「生体由来の試料からアミロイド前駆体タンパク質に由来するペプチド(アミロイドβペプチド等)を測定するために使用する質量分析検査用セットをいう。前処理試薬及び解析プログラムから構成される。」です。これはクラスⅡ、管理医療機器に指定されるべきものであると考えており、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えております。
10ページ目以降の資料4-4から4-7の一般的名称ですが、複数の一般的名称を1つの医療機器に対して付す予定です。まず資料4-4は、「再製造胸部用トロカール」です。定義は、「先端が尖鋭な錐体状又は円錐状の手術器具で、胸部手術時に体腔に穿刺するために用いるものをいう。本品の内腔を満たす互換性のあるスリーブと組み合わせて使用することにより、この組立品を導入することができる。穿刺後、本品を抜去すると体腔に作業用チャンネルが作製される。本品は再製造単回使用医療機器である。」です。これはクラスⅡ、管理医療機器に指定されるべきものであると考えており、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えております。
資料4-5は、「再製造腹部用トロカール」です。定義は、「先端が尖鋭な錐体状又は円錐状の手術器具で、腹壁に穿刺するために用いるものをいう。本品により内腔が満たされるスリーブと組み合わせて使用することにより、この組立品を挿入することができる。穿刺後本品を抜去すると体腔に作業用チャンネルが作製される。本品は再製造単回使用医療機器である。」です。こちらもクラスⅡ、管理医療機器に指定されるべきものと考え、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。
12ページの資料4-6は、「再製造単回使用トロカールスリーブ」です。定義は、「トロカールとともに用いるプラスチック製のスリーブで、組み合わせると体腔の穿刺に用いる小型器具になるものをいう。挿入後本品からトロカールを抜去することにより体腔に作業用チャンネルが作製される。ガス又は液体の供給用の遮断弁又はポートを備えたものもある。トロカールを使用しないものもある。様々なサイズ又はデザインのものがあり、機能を果たすためにいくつかの付属品で構成されることもある。本品は再製造単回使用医療機器である。」です。こちらは、クラスⅠ、一般医療機器に指定されるべきものであると考えており、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。
最後に、資料4-7の「再製造リデューサ」です。定義は、「トロカールスリーブに取り付ける器具をいう。作業中のガス漏れを減らし、体腔の気密性を保つことができる。本品は再製造単回使用医療機器である。」です。これは、クラスⅠ、一般医療機器に指定されるべきものと考えており、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございます。7品目と数が多いのです。委員の方々は御存じかと思いますけれども、今御説明いただいた資料の中のそれぞれのものについて、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由が書かれていますが、そこで、それにあった新たな名称の箱を作りましょうということの品目についての説明を頂きました。御質問、御意見等はありますか。
○事務局 申し訳ありません。事務局より訂正させていただきます。資料4-6の再製造単回使用トロカールスリーブ及び、資料4-7の再製造リデューサについては、クラスⅡ管理医療機器に指定されるべきものであると訂正させていただきます。大変申し訳ございませんでした。
○荒井部会長 一般ではなくて、管理医療機器ですね。御質問はよろしいですか。よろしければ議決に入ります。ポイントは、高度管理か管理医療機器かという点しか違いがありませんが、順番に確認させていただきます。
「椎体用支持材料」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。
「解析機能付きセントラルモニタ用プログラム」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。
「アミロイドβ質量分析用セット」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。
「再製造胸部用トロカール」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。
「再製造腹部用トロカール」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。
「再製造単回使用トロカールスリーブ」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。
最後に、「再製造リデューサ」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件も分科会にて文書報告をさせていただく予定となっております。以上で、議題4を終了いたします。
最後の議題、その他です。事務局から、前回6月に行われました本部会において審議された品目について、委員の先生方に御報告を頂くというように伺っておりますので、事務局からお願いいたします。
○事務局 当日配布資料4、その他報告事項という資料を御用意ください。6月19日に開催された前回の部会において、家庭用の心電計プログラム及び家庭用の心拍数モニタプログラムの一般的名称の新設について、御審議いただいたところです。その際の資料については3ページ目以降に再掲させていただいておりますので、適宜御参照いただければと思います。具体的な品目は、アップルウォッチの心電計のプログラム等です。その際、委員より、機器の使用者に加えて臨床の先生方に対する本品目の適正使用に関する情報提供の必要性について御指摘いただきましたので、その対応状況について御報告申し上げます。
本品の使用により、心房細動の兆候が検出され、受診がなされる際の診察に当たっては、当該機器でどういった情報が得られるのかといった情報について、医療現場で必要となります。そうしたことから、医療従事者向けには、本品の性能や限界といったことに関する情報を、あらかじめ情報提供することを考えております。情報提供内容については、1ページ目に記載されている幾つかの学会・医会のほうから既に協力を得られるということを頂いておりますので、こうした学会等とも連携しつつ適切なものとなるように、企業側とも検討を進めているところです。家庭用としてのこうしたプログラムは、日本では初ということもありますので、出てきたものに対しては行政通知を活用しての周知も予定しているところです。もちろん、使用者に対しても、本品の性能、位置付け、それから適正使用のために必要な情報というものを分かりやすく提供するということは重要ですので、例えば症状等がある場合には、本品の通知結果にかかわらず専門医に相談するようなというところが明確に伝わるような情報提供となるよう努めてまいりたいと思います。
2ページ目ですが、今後こうしたアップルウォッチだけでなく、疾患の兆候を検出・示唆し、受診を促すような機器の開発が進んでいくことも想定されます。そうしたこともありますので、今回、審査において留意した考え方をまとめましたので、紹介させていただきます。なお、まとめた内容は、あくまで現時点での限られた審査事例に基づく考え方ですので、今後事例の蓄積等を踏まえて適宜見直されるものです。
留意事項としては、一般向けであるということを踏まえて、1.にあるようなこうした医療機器の使用者については健常者を含めた方になることが想定されるため、適切な受診機会を逃す可能性というのも1つのリスクと捉えて、市販後の安全対策を含めたリスク評価が必要であること。もちろん、対象となる疾患によって、どのようなリスク・ベネフィットになるかについては様々ですので、一般的名称の新設のため、部会審議時においても懸念点などお気付きの点があれば、引き続き先生方からの御意見を賜りたいと考えております。
2.3.は、先ほど申し上げたアップルウォッチの事例でも説明したように、臨床現場、使用者双方への情報提供をすることが重要になっております。それぞれが適切な情報提供となるように、関係学会・医会と連携して対応していくことが重要であると考えております。
4.その他としては、機器の仕様等にもよりますが、情報セキュリティ対策が必要な場合も生じうるという点です。こうした点それぞれに対応する具体的な方策については、下段に記載しておりますが、必要な事項については、承認条件として位置付けて実効性を担保するといったことも考慮し、こうした機器が安全かつ有効に活用されていくよう、引き続き進めてまいりたいと思います。報告は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。これは前回、主に長島委員から御発言、御指摘を頂き、それに対する現時点での対応についての御説明と理解しております。今の報告について、何か御意見などはありますか。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。アップルウォッチというものは、米国において認証されているプログラム、アプリであるということで、優れた機能を有していると認識しております。これに対して、日本において、色々な使用者に対して誤解が与えられないような承認に向けた適切な手続を踏んでいただきたいと思っております。前任者の長島委員と同じで、適切な手続を踏めば、重要なアプリであると認識しております。
今後アップルウォッチと同じような医療機器が多く出てくるといった場合に、やはり使用者と、何か兆候を受けてそれを医療機関に来て読み取るといったところに齟齬が起きないように、言葉として誤解を生まないような仕組みをこれから作っていかないと、問題が起こるだろうと思います。使用者が、このぐらいならたいしたことないと思って放置してしまって、大きなことが見逃されてはいけません。今後起こり得るわけです。アップルウォッチは、これはこれで優れたアプリとして私たちは認識しているのですけれども、今後類似の物が現れてきたときには、その中でしっかりと判断して、注意深く対応していかなければならないと認識しております。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。この部会は非常にニッチなものも扱えば、汎用性の高いものも扱っています。ニッチな領域は通常実際のマーケットはあまり大きくないのですが、こういう汎用性の高いものは、ものすごく大きな影響が来る可能性があります。今の御指摘も踏まえて、今後こういった製品が出てきたときは、できるだけ慎重に検討を進めていきたいと思います。そのほか、御意見はよろしいでしょうか。では、事務局にお戻しします。
○医療機器審査管理課長 先生方、本日はお忙しい中ありがとうございました。次回の部会は11月中旬頃を予定しておりますが、詳細については後日メール等で御連絡させていただきます。事務局からの連絡は以上です。
○荒井部会長 次回は、できればWebではない状況で会議ができるように願っておりますが、いかがでしょうか。それではこれをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部公開で開催された。

照会先

医療機器審査管理課 

再生医療等製品審査管理室 室長 大原(内線4226)