第4回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(議事録)

 

1.日時 令和2年10月5日(月)9時58分~10時54分
 
2.場所 AP虎ノ門会議室C+Dルーム
       (東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

3.出席委員
(公益代表委員)
○東京医科大学公衆衛生学分野講師 小田切優子
○筑波大学ビジネスサイエンス系教授 川田琢之
○立教大学経済学部教授 首藤若菜
○東京海洋大学大学院海洋工学系流通情報工学部門教授 寺田一薫
○法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授 藤村博之
○慶應義塾大学大学院法務研究科教授 両角道代

(労働者代表委員)
○日本私鉄労働組合総連合会中央副執行委員長 池之谷潤
○全国交通運輸労働組合総連合軌道・バス部会事務局長 鎌田佳伸
○全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長 貫正和
○日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長 久松勇治
○全国自動車交通労働組合連合会書記長 松永次央
○全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長 世永正伸
  
(使用者代表委員)
○京成バス株式会社代表取締役社長 齋藤隆 
○昭栄自動車株式会社代表取締役 武居利春
○日本通運株式会社執行役員 浜島和利
○公益社団法人全日本トラック協会副会長 馬渡雅敏

4.議題
(1)自動車運転者の労働時間等に係る実態調査について
(2)その他

5.議 事
○監督課長補佐 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第4回自動車運転者労働時間等専門委員会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。本専門委員会の議事進行につきまして、冒頭の資料説明までは事務局において進めさせていただきます。私は労働基準局監督課の小笠原と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の議事運営に当たり、新型コロナウイルス感染症対策として、原則、報道関係者の皆様のみの傍聴とさせていただいております。さらに、本日は傍聴席の間隔を広げるなどの措置を講じた上で運営させていただきます。会場の皆様におかれましては、会場備え付けの消毒液の御利用をはじめ、マスクの着用、咳エチケットに御配慮いただきますようお願い申し上げます。なお、換気のために常時扉を開けさせていただきますので、あらかじめ御承知おきください。なお、本日使用するマイクですが、黄色の立て札を置かせていただいたマイクは集音マイクですので、使用しないようにお願いいたします。
 次に、当専門委員会の委員と本日の出席状況ですが、お手元の委員名簿及び座席表により御紹介に代えさせていただきます。本日は使用者代表委員の金井委員、清水委員が御欠席となりますので御承知おきください。なお、使用者代表委員の齋藤委員におかれましては、5分程度遅れるとの連絡を受けておりますので、御承知おき願います。
 続きまして、定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条第1項により、委員全体の3分の2以上の出席、又は公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。また、国土交通省自動車局安全政策課の石田課長におかれましては、引き続きオブザーバーとして御出席いただいております。
 続いて、お配りした資料の確認をいたします。資料1として「自動車運転者の労働時間等に係る実態調査について」という資料です。そのほか参考資料として調査票が3種類あります。まず参考資料1、ハイヤー・タクシー調査票です。右下にページ数が記載されておりますが、36ページまでです。続いて参考資料2、トラック調査票です。これは38ページに及ぶものです。それから参考資料3、バス調査票です。これは88ページに及ぶ資料です。資料は以上です。資料に不足のある場合は、事務局までお申し付けください。詳細につきましては、後ほど事務局から改めて説明させていただきます。
 次に、傍聴の方へのお願いでございます。カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。それでは、これ以降の進行につきましては藤村委員長にお願いいたします。藤村委員長、よろしくお願い申し上げます。
○藤村委員長 では、ここから私が議事進行を務めさせていただきます。第4回目の会議ということで、調査票もまとまってまいりまして、最後の確認ということになるかと思います。お手元の次第にありますように、「その他」を除きますと、本日の議題は1つです。先日の第3回の専門委員会で今後の議論のスケジュール、あるいはこの秋に実施する実態調査について御意見を頂戴したところです。そういうものを受けまして、今後の議論のスケジュールや実態調査について、改めて事務局から説明してもらいまして、その上で委員の皆様から御意見をお聞きするという段取りで進めたいと思っております。
 それではまず、資料について、事務局から説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 労働基準局監督課の黒部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは資料1の2ページを御覧ください。改善基準告示の見直しについてですが、前回第3回の専門委員会の皆様の御意見を踏まえ、改善基準告示の今後のスケジュール等を作成しております。真ん中の枠ですが、これまでの経緯も含めて記載しておりますが、令和元年12月に第1回専門委員会を開催、その後、各業態に分かれて3回ずつ実態調査検討会を実施いたしております。そして、本年6月と8月の専門委員会を経て、本日10月5日が第4回専門委員会ということになっております。
 この後で実態調査、つまり通信調査の内容を説明いたしますが、委員の皆様に御承認いただけましたら、右のほうに矢印が出ておりますけれども、実態調査の実施、各営業所などへの調査票の発送の準備へと移りたいと思っております。
 調査方法につきましては、この表の下に記載しておりますが、前回の専門委員会において説明したものと同様です。詳細は省略させていただきますが、本調査を受託いただいたトーマツが事務局になりまして、調査票の発送及び回収、そしてその後の報告書のまとめを行っていただくことになっております。改善基準告示の見直しに向けた議論ですが、これは調査票がまとまった後、令和3年4月からスタートする予定です。議論につきましては業態ごとの個別の作業部会を開催して順次進め、節目節目で全体が集まる専門委員会を開催するという形で行うことを今のところ考えております。トラックにつきましては令和3年度の調査を実施するという御意見でしたので、業態ごとに議論のスピードや労使の意見がまとまる時期が少しずつ異なってきますが、いずれにせよ令和4年12月までには改善基準告示を改正して、特例が適用される令和6年4月には施行という運びにしたいと、今のところは考えております。告示改正の議論に関する今後のスケジュール等々については以上です。
 続いて、資料1の3ページから5ページ、通信調査の調査項目の概要について説明いたします。前回の専門委員会においては、調査の途中ということで説明しておりました。また、前回の専門委員会においては、公益委員の方から業態ごとの特殊性も大事でありつつも、横の並びから統一できる所は統一していただきたいという御意見も頂いておりましたので、そういったことを念頭におきつつ調査票の作成を進めてきました。また、その後、労使の皆様からも専門委員会終了後に、回答のしやすさであるとか言葉の使い方、あるいは今後の議論に必要かどうかといったことをお考えいただきながら、多くのお知恵を頂戴したところでございます。最終的には、例えば横並びをそろえるなどの関係から、各問いであるとか表現ぶりについて、公益委員の皆様の御判断に委ねさせていただくという部分もありましたが、本当に御協力ありがとうございました。この場を借りまして感謝申し上げます。事務局として最終的な案がまとまりましたので、説明をさせていただきたいと思います。
 まず3ページ、「ハイヤー・タクシー」です。左の欄の「事業者調査」を御覧ください。Ⅰ.営業所の概要からⅣ.その他まで4項目立てです。営業所の概要については、営業所の基本的な状況を把握するための項目となります。所在地、主たる事業内容、自動車運転者数、タクシーは歩合給が特徴ですので給与体系を確認します。車両台数等々を調査することとしております。
 Ⅱ.自動車運転者の拘束時間等です。ここは調査対象となった営業所のドライバーについて、どれぐらいの人がどれぐらいの時間働いているかという実態を把握するための項目になります。現在の改善基準告示の基準、拘束時間や休日労働の基準がありますが、それらの基準を踏まえながら、また、タクシーは日勤であるとか、あるいは隔日勤務、こういった違いもありますので、それらも押さえつつ、1日、1か月などの拘束時間や休日労働の回数等を調査することとしております。
 次にⅢ.改善基準告示の内容です。事業者の立場として現在の改善基準告示の各基準について、どのような所に問題があると考えているのか、また、適切と思う時間や理由について把握するための項目です。
 最後に、Ⅳ.その他ですが、現在の改善基準告示を遵守するために、どういった点が課題となっているのか。そのほか全般的な改善基準告示の改正について回答いただくこととしています。
 事業者調査の中で前回から少し追加されたのが、Ⅰ.営業所の概要の中の上から3行目になりますが、「働きやすい職場認証制度」の申請の有無というものです。実際の調査票でいきますと、参考資料1の6ページの一番下です。(8)の国土交通省が作られた認証制度です。働きやすい労働環境の実現、安定的な人材確保を図ることを目的として創設されたものということで、労働時間や休日、心身の健康等の一定の基準をクリアすれば認証されるということで、この9月16日から申請の受付がスタートしているということです。申請するのか、しないのか等々について聞くことにしております。これはタクシーとトラックにも該当しますので、共通のものとして入れております。
 次に右の欄に戻りまして、「自動車運転者調査」です。ⅠからⅥまでの6項目立てです。Ⅰ.自動車運転者自身のことについては、調査に御協力いただくドライバー自身の属性を確認する項目ですが、年齢・性別から勤務先での経験年数、運転者としての経験年数、タクシー業界特有の項目ですが、車庫持ち等の運転者か否か、歩合給などの給与体系等々を確認します。
 Ⅱ.疲労度に影響のある事項については、運転業務に当たって睡眠時間や勤務時間帯など、どのような要因が疲労に影響を与えるかを把握するための項目のほか、車両性能の向上が疲労度に及ぼす影響を確認することとしています。
 また、Ⅲ.休息時間の過ごし方については、勤務の終了から次の勤務の開始までの休息期間について、現在の告示の基準では8時間以上とされておりますが、最も忙しかった日の休息期間と通勤時間、睡眠時間、食事時間などの内訳を確認します。
 Ⅳ.改善基準告示に対する認識ですが、現在の改善基準告示の基準についての理解の状況を把握することとしています。
 そして次に、Ⅴ.自身の拘束時間等の状況及び改善基準告示の内容です。御自身の忙しかった時期の拘束時間を御回答いただいた上で、運転者の立場として現在の改善基準告示について、どこに問題があると思っているのかをお聞きします。これは事業者調査のⅢと対になるものです。また、収入と長時間労働の関係性をお聞きします。
 最後に、Ⅵ.その他の事項ですが、事業主が改善基準告示を遵守して、交番表などの運行計画をきちんと作ってくれているのかどうか、告示の中で規制を強めたほうが良いと考えている項目、拘束時間短縮などによる利点などをお聞きすることとしています。
 前回から少し追加させていただいた項目が3点あります。1点目は、Ⅱ.疲労度に影響のある事項の中の、車両性能の向上が疲労度に及ぼす影響です。タクシーの労働者の調査の25ページの下、問11です。ブレーキや自動車用シートの機能向上について、疲労度の軽減に大分影響を与えているのではないかという、検討会での御意見等がありましたたので、これをトラック・タクシー、それからバスにも入れております。また、Ⅴ.自身の拘束時間等の状況及び改善基準告示の内容の中で、最後に書いております収入と長時間労働の関係性、参考資料では33ページの問18です。これについても各業態並びで入れております。
 そして最後はⅥ.その他の事項の中にある、同告示の規制を強めたほうが良いと考える項目、これが34ページの問20になります。改善基準告示の基準を並べ、強化をしたいという部分部分の選択肢を付けておりますおりま。これらについては他の事業者の並びとして、同様の問いを入れております。ハイヤー・タクシーの調査項目の概要については以上です。
 次に、資料1 4ページに戻ります。「トラック」に関する調査項目です。左欄に「事業者調査」の項目があります。ⅠからⅤまでの5項目立てです。Ⅲに改善基準告示の特例等の利用状況が入っておりますので、タクシーよりも1項目増えております。おりまⅠ.営業所の概要ですが、トラック特有のものとして、取引先の発荷主の業種や保有車両台数で、大型・中型・小型などの分類や、運行種別として長距離やルート配送などの区分、Gマーク認定の有無などを確認することとしております。また、タクシーと同様に働きやすい職場認証制度の申請の有無を追加しております。
 Ⅱ.自動車運転者の拘束時間等ですが、調査対象となった営業所の運転者について、どのぐらいの人がどれぐらいの時間働いているかという実態を把握するための項目です。現在の改善基準告示の基準を踏まえながら、1日であるとか1か月の拘束時間、休日労働の回数等を確認します。
 続いて、Ⅲ.改善基準告示の特例等の利用状況ですが、トラックには休息期間分割等の特例や緊急輸送等の適用除外業務があり、その利用状況を確認するということです。
 続いてⅣ.改善基準告示の内容については、ハイヤー・タクシーと同様に、事業者の立場として現在の改善基準告示の各基準について、どこに問題があると考えているのかなどを把握するための項目です。
 最後にⅣ.その他ですが、改善基準告示を遵守する上での課題、現在の告示の内容や改善についての意見をお聞きするほか、トラックの特徴として、荷主から理解を得るために行っている取組や工夫をお尋ねする問いを入れております。
 次に、右の欄の「運転者調査」です。ハイヤー・タクシーと同様に6項目立てです。自動車運転者自身のことについては、トラック特有のものとして、自身が運転されている大型・中型などの乗車している車種、あるいは長距離、ルート配送などの勤務体系を確認します。
 ⅡからⅤについて、問いの基本的な考え方は、ハイヤー・タクシーと同様です。Ⅱの疲労度に影響のある事項に、他の事業者同様に車両性能の向上が疲労度に及ぼす影響に関する問いを追加しております。また、Ⅴの自身の拘束時間等の状況及び改善基準告示の内容の部分に、収入と長時間労働の関係性に関する問いを入れております。
 最後にⅥです。その他の事項については、荷主の協力などに関してお尋ねする問いなどのほか、他の業種との並びですが、告示の規定を強めたほうがよいと考える項目であるとか、そのほか拘束時間短縮等による利点などをお尋ねする項目を入れております。
 次に、5ページの「バス」に関する調査項目です。左欄の「事業者調査」の項目ですが、トラックと同様にⅠからⅤまでの5項目立てです。Ⅲに改善基準告示の特例等の利用状況が入っております。Ⅰの営業所の概要については、バスの特徴として乗合バス、あるいは貸切バスなど保有車両の分類をお尋ねすることとしております。また、貸切バス事業者安全性評価認定の有無、あるいは自動車運転者の人手不足感というものもお尋ねします。また、タクシー・トラックと同様に、「働きやすい職場認証制度」の申請の有無を追加させていただいております。
 Ⅱの自動車運転者の拘束時間ですが、調査対象となった営業所のドライバーについて、どれぐらいの人がどのぐらいの時間帯働いているかという実態を把握するための項目です。現在の改善基準告示の基準を踏まえながら、1日、1か月等々の拘束時間を確認するほか、これはバス特有のものとして、中間解放というものがあり、これは朝夕の需要に合わせて運転業務を行って、昼間の時間帯は休むというものがですが、これを拘束時間に含んでいるかということについて、その関係と、その中間解放時間の持っている課題、こういった問いを入れております。
 次に、Ⅲ.改善基準告示の特例等の利用状況ですが、休息時間分割の特例など4つの特例の利用状況のほか、バス特有のものとして振替輸送や道路渋滞による遅延の状況をお尋ねすることとしております。
 Ⅳ.改善基準告示の内容については、ハイヤー・タクシー、トラックと同様に、事業者の立場として現在の改善基準告示の各基準について、どこに問題があると考えているのかなどを調査するための項目です。
 そして、Ⅴ.その他ですが、これはバス独自のものとして、バスの改善基準告示の拘束時間につきましては、タクシーやトラックのように1か月単位ではなく、4週間単位で行われている部分もありますので、これに対する支障を確認するほか、告示の規制を強めたほうが良いと考える項目に関する問いを入れております。
 次に、右欄の「自動車運転者調査」です。ほかの業態と同様に6項目立てです。Ⅰ.自動車運転者自身のことについては、年齢・性別から勤務先での経験年数、運転者としての経験年数などを把握します。ⅡからⅤについては、基本的な考え方はハイヤー・タクシー、トラックと同様です。また、他の業種との並びで、Ⅱの疲労度に影響のある事項に、車両性能の向上が疲労度に及ぼす影響に関する問いを入れておりますし、また、Ⅴの自身の拘束時間等の状況、改善基準告示の内容の部分に収入と長時間労働の関係性も入れております。
 Ⅵ.の他の事項につきましては、改善基準告示の開始についての意見を幅広くお聞きすることとしているほか、バス特有のものですが、旅行代理店等のエージェントの改善基準告示の遵守への協力に関することを入れております。また、これも他の業種との並びですが、告示の規制を強めたほうが良いと考える項目や、拘束時間短縮等による利点などをお尋ねする項目を入れております。
 通信調査の調査項目案の概要は、簡単ですが以上です。内容について御了解いただけましたら、実際には10月末頃になりますが、全国の営業所に発送という形になろうかと思います。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございました。では、これから皆さんに御意見を伺うわけですが、大きく2つに分けて進めたいと思います。まず、A4横の資料1の2ページの改善基準告示の見直しのスケジュールについての御意見を伺い、その後に、黒部室長から御説明のあった調査票についての御意見を伺いたいと思います。まず、資料1の2ページのスケジュールについて何かありますか。これはよろしいでしょうか。分かりました。ありがとうございます。
 では、次に調査票について、皆さんから御意見を頂きたいと思います。小田切先生、何かありますか。
○小田切委員 よろしいですか。
○藤村委員長 御発言があるようですので、お願いいたします。
○小田切委員 何点かあるのですが、まず1点は、私はバスのほうの担当をさせていただいておりましたが、今回、3業態を見ましたところ、トラックとハイヤー・タクシーにはない内容がありまして、是非、御検討いただければと思う点があります。例えば、バスで申しますと乗合バスや貸切バス等々ありますけれども、事業者向けの調査票の73ページ。その他のセクションの問9を御覧いただきたいと思います。バスの場合は、ここに「自動車運転者の過労防止のため、事業者として改善基準告示の規制を強めたほうが良いと考える項目はありますか」という内容が入っています。トラックとタクシーの場合には、この問9の前の段階のその他の問7の「改善基準告示を遵守することが難しい理由について、貴社全体の状況を踏まえ、ご回答ください」という所と、その後の自由記述にとどまっています。この事業所の調査票に対しては、シフトを組むのが大変であったり、人不足の中で様々御努力している中で、この調査票に答えていく中で、最後のほうに御回答いただくときに、やはりドライバーの過労を防止するのだという視点を今一度御認識いただくのが重要ではないかと思います。ですので、それぞれの設問の選択肢の内容は変わってくると思いますが、バスの問9に準じるものを、この2業態でも含めてはどうかと思う次第です。
 もう1点は、ドライバーのほうの調査票ですけれども、これは3業態全てに関してですが、バスの調査票の87ページを御覧いただければと思います。問16ですが、これは3業態とも同様の質問が入っているかと思いますが、「あなたが自動車運転者として働く上で、改善基準告示の規制を強めたほうが良いと考える項目はありますか」ということで、上位3つまで選択していただくのですが、ここではやはりドライバーの方が、いかに改善基準告示に従って仕事をした場合に疲労を改善できる状態になるか、逆に言えば、疲労が蓄積してしまう状態になってしまうのかという点で、ここだけはやはり規制を強めてほしいという意識を持って回答していただくために、「あなたが自動車運転者として働く上で、過労を防止するためや過労死に至らないために」といったような、少しそういう表現を入れていただいた上で、「改善基準告示の規制を強めたほうがよいと考える項目があるか」という聞き方にしていただくのがよいのではないかと思います。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございます。バスの問9にあるような設問をハイヤー・タクシー並びにトラックでも、取り入れたほうがいいのではないかという御提案が1つです。それから、運転者に対する問い、最後のほうになりますが、「過労防止のために」という文言を設問の中に入れたほうがいいのではないかという御提案です。これについて、皆さんの御意見を伺いたいと思いますが、まず、ハイヤー・タクシーの事業所調査について、今、小田切先生から提案のありましたことを入れるというのはいかがでしょうか。まずは使側に聞きます。
○武居委員 ハイ・タクの場合は、過労防止という意味では、改善基準で言われている拘束時間の部分が一番問題になってくると思うのです。
そういう意味では、拘束時間イコール過労防止違反ですという感覚を、ハイ・タクはそれほどもっていないという実態があります。基本的には、改善基準違反の中で総拘束時間違反というのは、それだけで調査をしますとそれほど多くないのです。
ですから、別に1か月の総拘束時間等々の問題はあるのですが、これをある程度、強化と言ったらおかしいのですけれども、そこの部分でやれば、過労防止という感覚は実態のところは調査の中ではそれほど必要ないのではないかなというように、タクシーの場合には考えています。
 というのは、給料全体が全然違うことと、ある意味では地域によっては、ほとんど拘束時間以内に収まっている地域というのは多くて、夜のお客様というのは、去年においても相当少なくなっておりまして、今のところ、改善基準を守らせるためにはどういった規制が必要ですかというような感覚のほうがいいのかなと思っています。
 ですから、過労防止強化をするためには改善基準を確実に短くすればいいのだという発想でやられてしまいますと、ちょっと感覚的に違うのかなと思っています。
今の改善基準等々の総拘束時間を含めた流れの中で、それを遵守するためにどういった問題点がありますかというのは、逆に、守らない場合はどういう理由がありますかというところにそこが出ると思います。私どもは拘束時間を守れば、過労防止という意味においてはクリアできるのかなという感覚を持っているということです。
○藤村委員長 分かりました。労側はどうですか。
○久松委員 働き方改革の一環として、長時間労働の是正とか過労防止を目的として、今回、自動車運転者についても改善基準告示の見直しをしようという趣旨でありますから、今、小田切先生に御指摘いただいたとおり、バスの事業者側の問9をタクシーに入れていただくことは、是非お願いしたいということと、先ほどの運転者向けの所に「過労防止のために」というような趣旨の追記をしていただくことを、是非、お願いしたいと思います。
○藤村委員長 ありがとうございます。武居さんの御意見とちょっと違うのですが、それを入れたことによって調査の趣旨、あるいは回答の仕方が変わるかどうかというところですが、私が考えますに、より趣旨が明確になるように思います。そういう意味では、久松さんがおっしゃるように、入れるというほうがいいのではないかと思いますが、武居さん、どうですか。
○武居委員 そこを入れることによって、今回の調査票の意図というのははっきりしてくると思いますので、そういう意味では別に構いません。ですが、その分、事業者調査の所に改善基準の問題点がありますので、多分そこで事業者側はきちんと言うと思います。そこは、事業者の意見として、○×ではなくて、そこの四角の部分を入れていただければ有り難い。入れることについては、久松さんがおっしゃるように、入れることによって調査票の内容が変わるというのはまずあり得ないので、そこはそこで意識の問題としてはいいのかなと思っています。
 ただ、問題は従業員。改善基準というのをきちんと理解している従業員に調査票が回るかどうかというのが、私は若干不安かなと思っています。というのは、事業側がある程度選別するので、そういった部分がちょっとあるのかなというところが事業者側としては不安な部分もあります。
○藤村委員長 分かりました。
○松永委員 今、武居さんが言われたように、私たちハイヤー・タクシーというのはいろいろな業態がありまして、サービス業ですから、お客様の要望に合わせた部分で働くというところもあるので、先ほど久松委員が言われたように、こういった文言を是非入れていただいて、そのどこに当たるかというのは選別されるわけですから、全くどこに当たるという状況は分からないのですが、その業種の経営者にとっては、自分たちの自覚のためにもこういうものがあるというのはプラスになるのではないかと思いますので、是非とも導入していただければ有り難いと思います。
○藤村委員長 ありがとうございます。では、入れるという方向でお考えいただきたいと思います。では、トラックはいかがでしょうか。馬渡さん、どうでしょうか。
○馬渡委員 トラックの場合も聞かれるのはいいとは思いますけれども、ただ、その先でいろいろな次の議論をしたときに、我々はハイ・タクとか、バスと違って、いつも言っているのは、その会社の社長、発荷主、着荷主の3人から指示を受けている状況、プラス、道路の渋滞とか、いろいろな気象条件等がありますので、ここで改善基準告示の規制を強めたほうがいいというお話になった場合に、荷主のほうも規制をしてくださいと言わざるを得なくなるのです。ですから、入れられるとしたら、3業態全部入れられるとしたら、我々のトラックのところでは、当てはまるものを3つ以内で○を付けてくださいというように、特にないなら特にないで1つに○を付けてもいいとか、そのように選択させていただいたほうがいいような気がします。ここはバスのほうはとにかく3つ選びなさいとなっているのですが。
○藤村委員長 そこはどうですか。
○小田切委員 これは、3つに○をしてくださいというのは私も余り意識していなかったのですが、3つまで○をしてくださいと頭の中で読んでしまっておりました。というのは、「特にない」がありますので、「特にない」が選択された場合は、ほかに付けようがないですよね。ですので、統一して「3つまで」ではいかがでしょうか。
○藤村委員長 よろしいですか。では、労側はいかがでしょうか。
○世永委員 そもそも、この会議の起こりというのは、特に自動車運転手の過労防止なり、長時間労働ということが出発点だろうと労側は思っております。そういう意味では、小田切委員が言われたような形でチェックしていくということも必要だろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
○藤村委員長 ということは、基本的に労使双方が入れることについて賛成ということですね。浜島さんもよろしいでしょうか。
○浜島委員 結構です。
○藤村委員長 では、小田切さんから御提案のありました件については、ハイヤー・タクシー、トラックにも入れるということで調整をお願いします。
○武居委員 「過労防止のために」というように入れるという意味ですか。それとも項目をまた別に、項目自体をいじるという意味ではないのですか。
○小田切委員 事業者調査のほうでは、該当する項目が現在は入っていないので、新たに1問追加していただく形かと思います。
○武居委員 そういうことですね。
○小田切委員 はい。ですので、今、手元にある、例えばハイヤー・タクシーであれば、18ページの所に問5、問6があり、その次でしょうか。「自動車運転者の過労防止のために、事業者として改善基準告示の規制を強めたほうがよいと考える項目がありますか」として、選択肢は少し変わると思いますが、「当てはまるもの3つまで○をしてください」で終了し、照会先についてに続く。
○藤村委員長 いかがですか。納得できませんか。
○武居委員 いやいや、別にそのようなことはない。それに応じて調査の結果が違うということはあり得ないと思う。そこは意識付けの意味ではいいのです。
○藤村委員長 分かりました。
○武居委員 項目にどういう形で入ってくるのかなというのが、ちょっと気になるところです。
○小田切委員 自由記述の欄は非常に重要だと思いますので、おっしゃられたように問6の部分は、この大きさを是非確保していただいて、今、提案した項目が入ることによって自由記述欄が狭くなることは避けていただき、1ページ追加になると思いますけれども、そのような流れかと思います。
○藤村委員長 では、今、御提案がありました方向で、2つの調査票に一部の文言を付け加えるということにしたいと思います。ほかに調査票についてありますか。
○過重労働特別対策室長 今の関係で、労働者調査のほうの関係ですが、バスですと、一番最後の87ページで、「あなたが自動車運転者として働く上で、改善基準告示の規制を強めたほうがよいと考える」、この前に「過労防止のために」という文言を入れるかどうかというお話があったかと思いますが、こちらはいかがでしょうか。
○藤村委員長 その点も何か合意ができたと思いますけれども。よろしいですね。ありがとうございます。そのほか何かありますでしょうか。
○齋藤委員 確認ですけれども、先ほど小田切先生からありました「当てはまるもの3つに」は、他の箇所も「3つまで」というように統一するということでよろしいのですか。ほかのページにも「3つ」とかあるかもしれませんから。
○藤村委員長 そこはどうでしょうか、無理やり3つ選ばせるというよりも、「3つまで」ということで、回答の出方にそれほど差はないと思いますので、回答者の負担も考えると、「3つまで」ではどうでしょうか。
○小田切委員 賛成です。私も細かくチェックできていなかったと思って反省なのですけれども、ほかの部分では「3つまで」と既になっている所があります。例えば79ページの所の疲労度に影響のある事項についてでは、「当てはまるもの3つまでに○をしてください」となっておりますので、絶対に3つ挙げていただかなくてはいけない所は逆にないように思いますので、全て「3つまで」で統一で大丈夫ではないかと思います。
○藤村委員長 では、その部分の調査票の調整をお願いします。ほかにありますでしょうか。
○久松委員 ここまで何度も事務方とも調整してきたのですが、今更になって気が付いたことがありまして、申し訳ありません。多分、タクシーだけではなくて、バスもトラックもそうなのですが、運転者調査のほうのⅢで休息期間の過ごし方を聞いて、Ⅳで改善基準告示に対する認識を聞いているのですが、これを逆にしておけば、休息期間についてというものを、まず一旦認識した上で、休息期間の過ごし方について回答ができるのではないかと思いますので、このⅢとⅣを入れ替えることはいかがかなということ。それと、すごい細かいことですが、休息期間の過ごし方の中の2つ目の設問で、「休息期間をどのように過ごしましたか」ということですが、①が通勤時間で、行きにかかった時間で、②が通勤時間で、帰りにかかった時間ですが、休息期間なので、先に帰って、次、行くので、これは①②を逆にしたほうがいいのかなと思いました。細かい点で、申し訳ありません。
○藤村委員長 このⅢとⅣを入れ替えるというのは、割と大きな変更になるのですが、私の感覚では、このままのほうがいいかなと思います。というのは、制度を先に聞いてしまうと、それに合わせて答えるという可能性があるからです。実態をまず聞いた上で、改善基準告示を知っていますかという聞き方のほうがいいと思います。
 それから、通勤時間ですが、行きにかかった時間、帰りにかかった時間、確かに、帰ってから休息ですよね。休息が終わってから、次に出勤するということで言うと、①と②を入れ替える、あるいは通勤時間を後ろのほうにもってくるという手もあると思いますが、これはどうですかね。回答する側からいくと、余り変わらない気もするのですけれども。
○久松委員 そうなのですけ、感覚的なものです。
○藤村委員長 一応、このままでということでいきたいと思います。両角委員、どうですか。
○両角委員 細かいところですけれども、タクシー・ハイヤーの調査票で言うと、9ページの④の設問の※1、※2の所に関してです。この設問は1日の時間外労働時間について聞いておりまして、注は、この時間外労働時間とは労働基準法に定められた1日8時間を超える時間のことで、その会社ごとに定められている残業時間ではありませんということを言いたいのだと思います。しかし、※1には「「時間外労働時間」とは、法定外労働時間や残業時間のことを意味します」と書いてあり、少しミスリーディングかと思います。そこで、※1の「残業時間」という言葉を取ってしまい、※2で「貴社の定める残業時間ではありませんので、御注意ください」としたほうが明確になると思います。川田先生にもお聞きしたほうがいいかもしれません。
○藤村委員長 いかがですか。
○川田委員 今、両角先生が御指摘になったような形がいいかなと思います。残業時間という言葉については、業界におけるより適切な言い方等があったらそちらのほうがいいかと思いますが、特に※1で法定時間外労働時間と残業時間が並んでしまうというところは非常に分かりにくいというか、不正確になってしまうおそれがあると、今、私も見て思いました。そこは直したほうがよろしいと思います。
○藤村委員長 これは黒部室長、いかがですか。直しますか。
○過重労働特別対策室長 そのとおり修正させていただきます。
○藤村委員長 では、両角さんから提案があったような形でここを修正するということで、全部の調査票について、そこをチェックしていただきたいと思います。そのほかにありますでしょうか。改めて見ると気が付いたということはよくあるのです。我々も本が出来上がってきて、パッと開いた所に誤字が見付かることがあったりします。時間をおくとまた新しい目で見られますので、もし、お気付きの点があれば、遠慮なく言っていただければと思います。
○池之谷委員 バスのほうの調査票の8ページの所ですが、1日の拘束時間という所で、※2の所に、「「1日の拘束時間」は、各勤務の拘束時間(始業時間から終業時刻)ではなく」と書いてあるのです。これはあくまでも1日に複数勤務があるときのことだけの話であって、1日に1勤務しかない場合というのは、始業から終業ということになると思いますから、ここは「ではなく」という表現というのは、少し迷いが出るのではないかと思います。あくまでも1日の拘束時間、1勤務に当たっては始業時刻から終業時刻、複数勤務に当たっては、1勤務目の始業時間から、複数勤務にあっては複数勤務終了後の勤務時間という表現の仕方のほうが分かりやすいのではないかなと思います。変えなければ変えなくてもいいのですが、こういう議論をしておいたほうが、問合せがあったときに共有できると思いますので、変えるかどうかというのはお任せしたいと思います。
○藤村委員長 ありがとうございます。そうですね、難しいところですね。今のままにしておいて、回答しにくいということがあれば変えたほうがいいと思いますが。
○池之谷委員 これで、問合せが余りにも多くなるようだったら、変えたほうがいいと思います。最初からもう変えるのだったら変えてしまったほうが分かりやすいのかなと思います。
○藤村委員長 確かに拘束時間というのは、会社によって、あるいは勤務形態によって変わる場合がありますから、より正確にということで。
○過重労働特別対策室長 そこの修正の書き方は、事務局で調整して入れさせていただきます。
○藤村委員長 事務局で何とかするということですので、そのように御対応をお願いしたいと思います。ほかにありますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、今日は幾つか御提案がありました点を修正した上で、今月末ですが、全国の営業所及び自動車運転者を対象に実態調査を行うことを、この場で御承認いただきたいと思います。いかがでしょうか。
(異議なし)
○藤村委員長 ありがとうございます。それでは、事務局は本日の意見を踏まえ、実態調査を実施し、調査結果を報告書に取りまとめ、来年度以降の専門委員会で報告するようにしてください。
 それでは、予定の時間より早いですが、本日はここまでとさせていただきます。最後に、次回の日程等について事務局から説明をお願いします。
○監督課長補佐 次回の第5回専門委員会については、実態調査の調査結果を取りまとめて、来年度に開催する予定です。日時・場所については、調整の上、追って御連絡をさせていただきます。以上です。
○藤村委員長 それでは、これをもちまして、第4回自動車運転者労働時間等専門委員会を終了いたします。なお、議事録の署名については、労働者代表の久松委員、使用者代表の武居委員にお願いいたします。
 本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
(以上)